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マイナー・レーベル
2024年4月新譜情報


・国内盤マイナー・レーベル
・輸入盤マイナー・レーベル
・輸入盤 歴史的アイテム
・映像アイテム
・高音質アイテム


輸入盤の新譜は、基本的には御紹介月の翌月〜翌々月中にリリースされますが、 極端に発売日が遅れることや、初回生産が少なく次回プレスにまわされることがあり、入手に時間がかかるものもございます。 また、発売より時間の経ってからご注文の場合、 中には廃盤や入手不能の商品が出ている場合がありますので、その節は何卒御了承下さい。




輸入マイナー・レーベル




ALBANY (米) 1枚あたり¥3080(税抜¥2800)

 旧譜はこちらから
別れの曲〜バーバラ・ホワイト:尺八作品集
 @仏陀の微笑み on East 23rd (2009) /A木漏れ日の中の仏法僧(2009) /B知足・鈴慕(2012) D隠れ家(2017-8) /
 C悪魔の喉をかき切れ(鬼の首をとれ)(2016) /E仏陀は竹の中で呼吸する(2009) /F別れの曲(2016)

 ライリー・リー(尺八) BCDFバーバラ・ホワイト(Cl)
 Fチャールズ・マクドナルド(ドローン&G)
 録音:@D2017年9月20日、ABC2019年7月8日、以上プリンストン大学/F2017年9月6日-8日、ハリファックス [58:00] 。作曲者バーバラ・ホワイトの生年は公表されていないがブックレット記載の写真から中堅以上の世代と思われる。彼女は日本の尺八に大変興味を持っており、このアルバムでは尺八独奏および作曲者自らクラリネットを担当して尺八との二重奏、さらに尺八、クラリネット、ギター、ドローンによるアンサンブルのための作品が収録。尺八奏者のライリー・リーは1970年に来日し二代目星田一山、二代目酒井竹保ほかに師事、日本人以外で初めて大師範の免状を取得した。
リトル・スペクタクル〜クラリネット&バス・クラリネット二重奏作品集
 アレックス・テンプル(1983-):こればかりは仕方がない(2006, rev.2017)
 ラスティ・バンクス(1974-):二枚貝(2017) / サラ・ホリック(1984-):歌劇「ディストリクト・グルーヴス」(2018)
 コーリー・ダンビー(1991-):リトル・スペクタル(2018, rev.2021)
 メレディス・バターワース(1987-):少なくとも(2017, rev.2020)
 ジョン・ドラムヘラー(1957-):死角からの眺め(2001, rev.2013)
 ジェシカ・リンゼイ(1978-):野」(2020, rev.2021)

 スペイシャル・フォーセス・デュオ[クリスティ・バンクス(Cl, バスCl)、ジェシカ・シンゼイ(Cl, バスCl)]
 録音:2018年1月、6月、2021年5月 [49:13]。スペイシャル・フォーセス・デュオとは「宇宙のちから」二重奏団という意味。このアルバムには演奏者自作を含むアメリカの様々な世代の現代作曲家の作品を収録。純粋なクラリネット二重奏の他、コンピューター音響、ライヴ・エレクトロニクスやコンピューターの打ち込みリズム・セクション、シンセザイザーなどを加えた作品もあり、ヴァラエティに富んでいる。

BRIDGE (米) 特記以外 1CDあたり¥3080(税抜¥2800)

 旧譜はこちらから
レゴンディ(1822-1872):ギター独奏曲集
 序奏とカプリス Op.23 /エア・ヴァリエ第1番 Op.21 /
 ロンド・カプリス「村の祭り」 Op.20 /
 小協奏練習曲〔変ロ長調/ニ長調/ト長調/イ短調〕/
 練習曲〔第10番 イ長調/第2番 イ短調〕/
 夜想曲「夢」 Op.19
デイヴィッド・スタロビン(G)
 録音:1994年2月、1997年7月、9月5日、2012年10月26日、1992年8月、1994年5月、ニューヨーク、 US 、57'02 |4曲は既出のCD 2枚からの再録、新録音が6曲だとのこと。2022年が生誕200周年かつ没後150周年だったギター奏者、作曲家のジューリオ・レゴンディ(1822-1872)の独奏ギター作品集。ジューリオ・レゴンディはスイスのジュネーヴの生まれ。幼くしてギターの才能を発揮し、パリでは天才ギター少年として大きな話題と人気を得た。一方で彼の父(本当に父親かどうかも分からない)はレゴンディを厳しく教育して成功を収めさせると、金を持ち逃げして行方をくらましてしまった。レゴンディは養父母に育てられた後、ロンドンに移る。彼にとって不幸なことに19世紀後半はギターの衰退期で、レゴンディは少年時代の栄光を取り戻すことはなく、病没した後は忘れ去られた。レゴンディの作品は19世紀半ばのロマン主義のヴィルトゥオーソが豊かな作風で、彼がサロンで大人気だったことが良く伝わって来る。近年は再評価が進んでいるが、単独のCDはまだ少ない。このCDは、以前発売された2枚のCDからの4曲と、新録音の6曲を合わせて、レゴンディのギター独奏曲だけを集めている。BRIDGEレーベルから50点以上のCDを発売している看板ギター奏者、デイヴィッド・スタロビンもレゴンディを長年に渡って愛しているという。
BCD-9573
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(2CD)
チャールズ・ウォーリネン〔ウーリネン〕・トリビュート
 ウォーリネン〔ウーリネン〕(1938-2020):
  ハルーン・ピアノ・ブック(6曲)/和声とディナーミク・バランスのための練習曲/
  ダブルテイク/心の影/イントラーダ/アダージョ/スケルツォ
 J.S.バッハ(1685-1750):ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 (*)/
               前奏曲とフーガ イ長調 BWV.864 (*)
 スティーヴン・ベック(P)
 録音:2020年9月27日、11月11日(無印) /2020年12月29日-30日(*)、すべてマウント・ヴァーノン、ニューヨーク州、 US | 124'15 。米国の中堅ピアニスト、スティーヴン・ベックによる、チャールズ・ウォーリネン(ウーリネン)(1938-2020)とバッハの作品集。バッハはゴルトベルク変奏曲の全曲。そして最後に前奏曲とフーガ イ長調 BWV.864を演奏している。チャールズ・ウォーリネン(ウーリネン)は12音技法を下地に独自の境地を開拓した作曲家。ここに収録されているのはいずれも21世紀に入ってからの作品。静謐、辛口だがどこか明るさも感じられる作風だ。ウォーリネン(ウーリネン)とベックは親しい交流があり、ゴルトベルク変奏曲はウォーリネン(ウーリネン)宅で弾いたことがあり、前奏曲とフーガはウォーリネン(ウーリネン)が生前最後に練習していた曲だったという。スティーヴン・ベックはニューヨークを拠点に活躍している。同時代の作曲家の演奏に積極的に取り組んでいる。
アメリカのロマンティシズムの古典
 ブリストー(1825-1898):交響曲第4番「理想郷」
 フライ(1813-1864):ナイアガラ交響曲
レオン・ボツタイン指揮
ザ・オーケストラ・ナウ
 録音:2022年1月、アナンデール=オン=ハドソン、ニューヨーク州、 US 、[55'00] 。ロマン派の珍しい作品を復活させることに尽力している指揮者、レオン・ボツタインのBRIDGEへの5枚目のCDは、19世紀半ばの米国の作曲家の珍しい交響曲2曲。ジョージ・フレデリック・ブリストー(1825-1898)はニューヨークに生まれ育った作曲家。交響曲第4番「理想郷」は、米国への移民を扱った作品。ウィリアム・ヘンリー・フライ(1813-1864)は、フィラデルフィア生まれの作曲家、音楽評論家。ナイアガラ交響曲は12分半の作品ながら大変意欲的な作風で、むしろ当時最先端だった交響詩の分野の米国での最初の作品かもしれない。こうした作品ではレオン・ボツタインの本領発揮で、レア作品好きには大いに満足できる内容だろう。※Botsteinは日本ではボットスタイン、ボトスタイン、ボツスタインなどと表記されるが、本人はボツタインに近く発音している。
ストーリー・テラー
 クオン:チューバと管楽合奏のための協奏曲[2021年11月8日]
 マーラー/ベナヴィデス編曲:さすらう若人の歌
 グッドマン:チューバと管楽合奏のための協奏曲[2019年11月21日] / バーズヴィク:新入り
 ドビュッシー/ベナヴィデス編曲:ベルガマスク組曲〜前奏曲 / ウィテカー/ベナヴィデス編曲:おやすみ月よ
 ヴィズッティ:独奏チューバと管楽合奏のための「都市の景観」[2021年10月11日]

 ジャスティンン・ベナヴィデス(Tu) デイヴィッド・プラック指揮
 フロリダ州立大学シンフォニック・バンド デロイゼ・シャガス・リマ(P)
 録音:2021年8月24日-25日(上記[内]記載以外)、すべてタラハシー、フロリダ州| [78'29]。米国のチューバ奏者、ジャスティンン・ベナヴィデスによるチューバ作品集。ジャスティンン・ベナヴィデスはタラハシーso. の首席チューバ奏者で、またフロリダ州立大学の音楽大学でチューバとユーフォニウムの教授を務めている。彼の柔らかく明るい音色のチューバは、独英あたりのチューバとはかなり趣が異なる。ヴィエット・クオン(1990-)、トッド・グッドマン(1977-)、アンナ・バーズヴィク(1966-)、エリック・ウィテカー(1970-)、アレン・ヴィズッティ(1952-)らの作品を収録。
演奏のありさま
 ロバート・カール:
  地面から上へ(*) /急上昇(#)[2005年12月21日(#)、2006年2月21日(*)、ジル、マサチューセッツ州]/
  ブルーズ・ボックス[不明]/足元にある物
 ジョン・マクドナルド:2部の降雪/ペラム・ルックアウトで
 カール&マクドナルド:完全な別れの発掘[2004年3月21日、4月1日、ハートフォード、、コネチカット州]/
            与えること…と招待

 ジョン・マクドナルド(P) ロバート・ブラック(Cb)
 スコット・ウールウィーバー(Va)
 録音:2018年9月23日、メドフォード、マサチューセッツ州(上記[内]記載以外)| [66'22] 。米国の作曲家、ロバート・カールとジョン・マクドナルドによる現代作品集。「演奏のありさまStates of play」という題が付けられている。総じて静かで渋い作風。
マクダーモット〜モーツァルト:ピアノ協奏曲集 Vol.4
 〔第25番 ハ長調 K.503
   (カデンツァ:クリス・ロジャーソン)/
  第20番 ニ短調 K.466(カデンツァ:ベートーヴェン)〕
アン=マリー・マクダーモット(P)
セバスティアン・
 ラング=レッシング指揮
オーデンセso.
 録音:2020年8月25日-29日、オーデンセ、デンマーク、DDD 、66'22 。アン=マリー・マグダーモットによるモーツァルトのピアノ協奏曲、第4集が発売。マグダーモットの清流のように心地よいモーツァルトはここでも素晴らしく、マクダーモットのモーツァルトへの愛情がたっぷり感じられる。加えて第3集から参加した1966年生まれのドイツの指揮者、セバスティアン・ラング=レッシングの指揮が素晴らしく、マクダーモットのピアノを大いに引き立てている。ことに短調の傑作、第20番 ニ短調 K.466は、しばしば過度にロマンティックに劇的に表情付けされて演奏されるこの曲を、あくまで古典派の節度ある演奏を心掛け、そこから気高い感情の迸りを引き出している。マクダーモットとラング=レッシングの会心の演奏だ。

CASCAVELLE (瑞) 1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

  アナウンスされていない ご案内済旧譜はこちらから(価格が異なります)。
タンゴの詩人〜スタルマン:作品集
 ◆ヴァイオリンと弦楽五重奏(*)
  ミロンゴン/サンバの動機とマランボによる変奏曲/私はかつて/内気なタンゴ/マルタスタル/G線上のタンゴ/我が町/
  南米先住民のヴィダラ/スパルタクス/驚き/タンゴ・ルバート/付け足し付き/だってそうだから/古い考え

 ◆無伴奏ヴァイオリン、ヴァイオリンとピアノ(#)    ユーリ/昔に/きざな男/私のヴァイオリンと私/もし私をほしいと思うのなら/愚か者/ヴァイオリン/甘く見る/
  変奏/考え/気取り屋/何か親密なこと/いとしいベアトリス/ライオンの家/街のタンゴ/一番/中庭のタンゴ

 ロベルト・サウィツキ(Vn) ランシー=ジュネーヴo.の奏者たち(*)
 エリーザベト・デンニ・コッヒャー(P;#)
 録音:2022年、123'17 |簡易紙ケース収納。アルゼンチンの作曲家、ベルナルド・ストルマン(1910―2004)の作品集。彼の作風はクラシック寄りのタンゴといった感じで、どちら側からでも楽しめるだろう。ストルマンと同じくブエノスアイレス生まれで盟友のアルゼンチンのヴァイオリニスト、ロベルト・サウィツキがどの曲も愛情を込めて演奏している。サウィッキは1970年から1975年までスイス・ロマンドo. でヴァイオリン奏者を務めた。ランシー=ジュネーヴo. は、スイス・ロマンドo. を退任後サウィッキが創設したオーケストラ。
ポール・ミシュ(1886-1960):
  ヴァイオリンとピアノのための作品集
 ヴァイオリン・ソナタ イ短調 Op.14 /
 ヴァイオリンとピアノのための20の小品/
 ヴァイオリン・ソナタ ロ短調 Op.20 /
 ヴァイオリンとピアノのための17の小品
アレクサンドル・デュバク(Vn)
マルリス・ワルター(P)
 録音:2021年10月11日-13日、2022年7月11日-12日、クロワ、ヴォー州、スイス、143'06|簡易紙ケース収納。スイスの作曲家、ポール・ミシュ(1886-1960)のヴァイオリンとピアノのための作品集。ミシュはスイス、ベルン州クルトラリーの生まれ。ジュネーヴ音楽院でヴァイオリンを学び、後に母校のヴァイオリン教授に就任、40年に渡って指導にあたった。ヴァイオリニストしての活動の他、作曲にも熱心だった。彼の作品だけがまとまったCDはこれが初めてかもしれない。作風は非常にロマンティックで、フォーレなどから印象派を飛び越して直で繋がっているような印象を受ける。フランス近代のヴァイオリン曲が好きな人にはお勧めできる。アレクサンドル・デュバクはスイスのヴァイオリニスト。15歳でメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を弾いてデビュー。チューリヒ・トーンハレo. のコンサートマスターを務めた。
クララ・シューマンへのオマージュ
 ローベルト・シューマン(1810-1856):献呈/蓮華/沈黙の愛/夕べの歌/とても愛らしい君の顔
 クララ・シューマン(1819-1896):私は暗い夢を見ながら立っていた/彼らはお互いを愛し合った/愛の魔力/
                月は静かに上る/静かなる蓮華の花/私はあなたの眼を見た
 ブラームス(1833-1897):死は冷たい夜/わが愛は緑のごとく/夜鶯へ/ああもし私が帰り道を知っていたなら/
             やわらげられた憧れ/旋律が私を連れて行ってくれるように/私の眠りは静かに/
             セレナード/永遠の愛/五月の夜/動かない穏やかな空気/ゆりかごの歌/子守歌

 アリス・フェリエール(Ms)
 ニコラ・ロワイエ(P) ピエール=アンリ・ゼレブ(Va)
 録音:2022年4月20、25日、聖ジャン=ガル寺院 [66:24]。クララ・シューマンの珍しい歌曲を囲むようにしてローベルト・シューマンとブラームスの歌曲を配した一枚。メゾ・ソプラノのアリス・フェリエールはソルボンヌ大学で歴史と政治学を学んだ後、ウィーンでオペラを学んだ一風変わった経歴を持つ。2015年にベルリンで行われた「Das Lied」国際コンペティション、ミュンヘンで行われた「Vokal Gnial」コンペティションに入賞した。柔らかでしなやかな歌声を持つ若手歌手として今後の活躍が注目されている。シューマン夫妻とブラームスの歌曲の持つ叙情性、歌謡性が存分に生かされたアルバム。
インターヴァル〜パンフルートとハープの二重奏作品集
 ドビュッシー:アラベスク第1番 ホ長調 / ドヴォルジャーク:ユモレスク第7番 変ト長調
 モンティ:チャールダーシュ / ヴィラ=ロボス:黒鳥の歌 / モルナール:日本民謡の主題による幻想曲
 チャイコフスキー:感傷的なワルツ ヘ短調 Op.51 No.6 / F. ベッリーニ:夜想曲 Op.12
 ビゼー:「カルメン」より〔セギディリャ/第3幕への間奏曲〕 / ファリャ:7つのスペイン民謡〜ナナ
 イベール:間奏曲 / ピアソラ:大いなる理由の砦

 デルタ・デュオ[ジャンヌ・ゴリュ(パンFl) セリーヌ・ゲ・デ・コンブ(Hp)]
  DDD 、43'45 |簡易紙ケース収納。パンフルートとハープによる小曲集。パンフルートの素朴な伸びやかさとハープの華やかさが融合して、実に美しい。いずれの曲も格調の高さを保ちつつ、ゆったりと楽しむことができる。ジャンヌ・ゴリュはスイスを代表するパンフルート奏者。演奏活動の他、モントルー=ヴヴェ=リヴィエラ音楽院でパンフルートの指導者としても活躍している。
スイスの五重奏曲集
 ギュスターヴ・ドレ(1866-1943):弦楽とピアノのための五重奏曲(*)
 フランク・マルタン(1890-1974):パヴァーヌ「時の色」
 フリッツ・バック(1881-1930):ピアノ、2つのヴァイオリンとチェロのための「詩」(*)

  ウィーン・メロス・アンサンブル アダルベルト・マリア・リーヴァ(P)
 録音:2021年9月27日-30日、2022年2月19、20日、ウィーン、オーストリア、DDD | (*):世界初録音| 79'50 。※簡易紙ケース収納。近代スイスの作曲家の五重奏を集めている。ギュスターヴ・ドレ(1866―1943)のピアノと弦楽四重奏のための五重奏曲は1925年の作。暗くドラマティックな後期ロマン派風の音楽で、ベルリンとパリで学んだドレらしくドイツ風でもありフランス風でもある。やや渋めとはいえこれは隠れた傑作と言ってもよいだろう。フランク・マルタン(1890―1974)のパヴァーヌ「時の色」は、ペローの童話「ロバの皮」に出て来る時の色の服(実現不可能なもの)から採られた題名。童話を基にした穏やかで優しい弦楽五重奏曲。これも知られざる名曲。フリッツ・バック(1881-1930)はパリの生まれで、本名はフレデリック・アンリという。30代でスイスに移り、主として宗教曲を手掛けた。この「詩」は5つの楽章に、「青春時代」、「愛」、「幸福、嬉しい」、「苦しみ、悲しみ」、「闘争」と、人生の様々な局面を思わせる題が付けられている。これもいたってロマン派的な音楽。ウィーンの弦楽五重奏団、メロス・アンサンブルに、CASCAVELLEとGALLOで意欲的なCDをいくつも出しているピアニスト、アダルベルト・マリア・リーヴァが加わり、演奏も申し分ない。
魔の山
 コープランド:弦楽四重奏のためのレント・モルト
 ラヴェル/アントニーン・レイ編曲:クープランの墓
  (弦楽四重奏、フルート、クラリネット、オーボエとハープのための版)
 ストラヴィンスキー:弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ
 ストラヴィンスキー/サミュエル・ドゥシュキン編曲:
  「火の鳥」〜子守歌(ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための版)/
  「ペトルーシュカ」〜ロシアの踊り〜(ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための版)
 ストラヴィンスキー:弦楽四重奏のための「ラウール・デュフィ追悼のための12音技法による二重カノン」(1959) /
           弦楽四重奏のための3つの小品
 ポール・ノヴァーク:弦楽四重奏は鳥の羽のように
 コープランド:弦楽四重奏のためのフォーレの名によるロンディーノ
 ルチアーノ・ベリオ:メゾ・ソプラノ、ヴィオラ、チェロ、フルート、
            クラリネット、ハープと打楽器のための「フォーク・ソングズ」

 ロンターノSQ アマヤ・ドミンゲス(Ms) サミュエル・ブリコール(Fl)
 アントワーヌ・カムブルッツィ(Cl) シルヴァン・ドゥヴォー(Ob)
 コンスタンチェ・ルッツァッティ(Hp) クェンティン・デュブレイル(Perc)
 ヴィオレーヌ・ドゥベヴェール(P) アントニーン・レイ指揮
 録音:2022年5月-10月、DDD 、83'25。ラヴェルの「クープランの墓」の室内アンサンブル編曲版がなんといっても素晴らしい。意図的にであろうが、ラヴェルの傑作「序奏とアレグロ」と同じ編成でアレンジされている。その編曲の手際の良さと楽器編成と曲の相性が抜群で、さながら「序奏とアレグロ」第2番と呼びたくなるほどの出来栄え。「序奏とアレグロ」と組ませたコンサートを開催したら大成功間違いなし。ラヴェル自身の管弦楽版に匹敵する名編曲。その他にストラヴィンスキーの弦楽四重奏のための作品が2つと火の鳥、ペトルーシュカからの編曲、ルチアーノ・ベリオの名作「フォーク・ソングズ」ほかが収録。お腹いっぱいの素敵なアルバム。
サスキア・ルティエク
 フォーレ;ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
 サン=サーンス:
  ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 Op.75
 フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
サスキア・ルティエク(Vn)
ジェローム・グランジョン(P)
 録音:2021年1月29日-31日、パリ、75'40。フランクを初め近代フランスのヴァイオリン・ソナタの名曲を3曲収録。しかしただの名曲集ではない。ピアノは1875年のエラールのグランド・ピアノを使用、つまり作曲された当時のパリのピアノ。20世紀のピアに比べると音が優しく繊細な表現に長けており、どの曲も今日一般的な演奏よりも控えめな美感に満ちている。もちろんヴァイオリンもそれに合わせた優美な演奏で、決して弦を唸らせて歌うようなことのない気品溢れる音楽。
ソメル(1921-1997):弦楽四重奏曲第1番 ニ短調
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「クロイツェル・ソナタ」
ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」
 ロンターノSQ [ポリーヌ・クラウス、フロラン・ビリー(Vn)
         ロイク・アブデルフェッター(Va) カミーユ・ルノー(Vc)]
 録音:2021年4月27日-30日、プラトー・ダシ/2021年5月22日-23日、パリ 70'26。ロンターノ四重奏団によるボヘミアの作曲家の弦楽四重奏曲3曲。ドヴォルジャークの「アメリカ」とヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」も素晴らしい演奏だが、このCDにはウラディミール・ソメル(1921-1997)の弦楽四重奏曲第1番が収録されているのがボヘミア音楽好きに嬉しいだろう。ヴラディミール・ソメルは、現在はチェコのドイツ国境に近いホルニー・イジェティーンに生まれた作曲家。プラハ音楽院で学んだ後、チェコで作曲家として活動。弦楽四重奏曲第1番は彼の代表作の一つ。ロンターノ四重奏団は2015年にパリ高等音楽院の仲間たちによって結成された若い弦楽四重奏団。
アルミン・ジョルダンを讃えて
 @ブロッホ:シェロモ(1916)
 Aデュティユー:遥かなる遠い世界へ(1967-70)
フランソワ・ギエ(Vc)
アルミン・ジョルダン指揮
スイス・ロマンドo.
 録音:@1990年5月、A1991年3月6日、ジュネーヴ [52'25] ※簡易紙ケース収納。※名指揮者アルミン・ジョルダンの放送録音をCD化。2曲ともチェロ独奏が活躍する、ブロッホの「シェロモ」とデュティユーの「遥かなる遠い世界へ」。どちらの作品も、またブロッホもテュティユーも、ジョルダンは録音を残していなかったと思われる。どちらも大変な名演で、特にデュティユーの「遥かなる遠い世界へ」では、スイスのチェロ奏者、フランソワ・ギエともども熱く燃えている。フランソワ・ギエは1953年、地元ジュネーヴ生まれ。1979年から最近までスイス・ロマンドo. の首席ソロチェロ奏者を務めていた。
RSR-2003
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(2CD)
デル・モナコ、シミオナート、サンツォーニョ& OSR 〜ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」
 マリオ・デル・モナコ(T;リッカルド) カルラ・カステッラーニ(S;アメーリア)
 ジュリエッタ・シミオナート(Ms;ウルリカ) ピエロ・ビアジーニ(Br;レナート)
 マリサ・モレル(S;オスカル) アルセニオ・ジュンタ(Br;シルヴァーノ)
 カルロ・バディオーリ(B;サムエル) ジーノ・ベッローニ(B;トム)
 ルイージ・ナルディ(T;判事/アメーリアの召使)  ニーノ・サンツォーニョ指揮スイス・ロマンドo.
 録音:1946年5月8日、ジュネーヴ大劇場、スイス、モノラル|旧品番: RSR-6167 |他出CD: Bongiovanni, GB-1185/86 / Myto, 2MCD-034H081 [2 CD 034.H081] 〔以上すべて発売:2003年|廃盤、入手不能〕。
 往年の名歌手マリオ・デル・モナコは、キャリア初期のみヴェルディ「仮面舞踏会」のリッカルドを歌ったことがあった。セッション録音は存在せず、これは既知中、その貴重な唯一の録音と思われるもの。2003年に一挙3レーベルから初出になったが、他の2レーベルはイタリアが本拠のため、スイスが本拠の当盤が最も原盤に近い位置にあるレーベルと言える(ただし Bongiovanni 盤には「スイス・ロマンド放送とのコラボレーション」とあった)。彼はまだ30歳で、デビューして5年半の新進テノール、さすがに声は瑞々しく魅力的。しかし幕切れの死の場面では後の偉大なオテロのドラマティックな歌も垣間見られる。ウルリカが36歳直前のジュリエッタ・シミオナートなのも嬉しい。1940年代半ばのライヴ録音なので音質は良好とは言い難いものの、舞台上の声は良く捕らえていて年代にしてはまずまず聞きやすいだろう。

CEMBAL D’AMOUR (米) 特記以外1CDあたり¥3080(税抜¥2800)

 ピアニストのモルデカイ・シェホリが創設、自らの録音はもちろん、師であるミンドゥル・カッツや、シモン・バーレル、シューラ・チェルカスキーと言った歴史的ピアニストの未発売録音、ヤッシャ・ハイフェッツ、バール・セノフスキー、デイヴィッド・ネイディアンら名ヴァイオリニストの歴史的録音を発売する、目が離せないレーベル。旧譜はこちらから
モルデカイ・シェホリ、ベートーヴェンを弾く Vol.5〜ピアノ・ソナタ集
 〔第20番 ト長調 Op.49 No.2 /第19番 ト短調 Op.49 No.1 /第18番 変ホ長調 Op.31 No.3 /
  第24番 嬰ヘ長調 Op.78「テレーゼ」/第25番 ト長調 Op.79 /第27番 ホ短調 Op.90 〕

 モルデカイ・シェホリ(P)
 録音:2022年6月、ラスヴェガス、ネバダ州、DDD 、77'15 。CDリリースの勢いが止まらないモルデカイ・シェホリ、ベートーヴェン集が第5集に到達。今回は、実際には20代後半の若い頃の作品である第19番、第20番、中期の第18番、第24番、第25番、第27番を収録。シェホリの演奏はいつもながら誠実丁寧で安心して聞ける物。リストの超絶技巧練習曲集を弾ける程の優れた腕前のピアニストが虚心坦懐にベートーヴェンの有名ソナタに向き合っている。

GALLO (スイス)〔簡易作成版〕 特記以外 1CDあたり¥2970(税抜¥2700)

 既案内分はこちらから
ノラ・サパタ・プリル(1946-):詩集「私たちの海」(朗読作品)
 #朗読の前後・途中に以下の作品が演奏されています。
  ブロッホ:シャンソン、祈り/嘆願 / チャイコフスキー:ロマンス

 イルマ・ワイセンベルク・ペレーニ(朗読)  ロベルト・サウィツキ(Vn) エリザベト・デンニ・コヒャー(Pf)
 ノラ・サパタ・プリルはボリビアの詩人、文学者でマドリッドのヒスパニック文化研究所でスペイン語とスペイン文学についての研究を行った。多くの詩集を発表しており、このディスクに収められた「私たちの海」もそのひとつ。ディスクは基本的に朗読のみで構成されており、その間にブロッホとチャイコフスキーのヴァイオリンとピアノのための作品が4曲演奏される。
ロベルト・シューマン(1810-1856):
 6つの間奏曲Op.4(1832) /クララ・ヴィークの主題による即興曲Op.5(1833) /
 朝の歌Op.133(1853) /森の情景Op.82(1848-49)
 ボビー・ミッチェル(Pf)
 録音:2022年8月27日、オールド・ファースト教会、サン・フランシスコ。『※「ノヴェレッテOp.21、フモレスケOp.20」(GALLO-1678)に続くボビー・ミッチェルのシューマン第2弾。シューマンの決して長いとはいえなかった生涯に書かれたピアノ作品から初期のものと後期のものを収録。ピアノのボビー・ミッチェルはアメリカのピアニストで古典から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ中堅。このシューマンの作品集ではロマン派の音楽を弾く、というより、現代音楽を弾くように各声部をクリスタルのようなタッチでクリアに弾き切っていて清冽にして鮮烈。
グレゴリオ・ストロッツィ(1615-1687):奏されるべきカプリッチョ
 〔第1トッカータ、第1ガリアルダ、第3リチェルカータ、第1コレンテ、第4トッカータ、
  第2バレット、ユーフォニアとアリア・コン・パルティーテ、第3トッカータ、ほか〕(全19曲)

 ギイ・ボヴェ(Org)
 録音:2018年サン・ジョヴァンニ・バティスタ教会、ロカルノ・ソルドゥノ [64:34] 。『※グレゴリオ・ストロッツィは17世紀初頭にイタリア、ナポリを拠点に活躍した作曲家。彼は声楽曲、受難曲など宗教音楽の作曲の他、オルガニストとしても優れていたので、かなり多くのオルガン作品を残している。J.S.バッハ(1685-1750)とは祖父と孫ほどの世代差があり、ストロッツィの作品の中にバッハを生み出す母胎、萌芽を聴き出すことも可能だが、それよりもイタリアの作曲家らしい自由で伸びやかな歌謡性、即興性が楽しい。オルガンの機能を存分に使い色彩豊かな世界が展開する。1712年頃に製作されたオルガンを使用。
「風が吹くように」〜民謡、バロック、ジャズによる音楽の旅
 @黒は私の真実の愛の髪の色(スコットランド民謡) / A恐れずに(M.A.シャルパンティエ、フランス)
 B地上に誰かがいる(ブリテン編曲によるスイス民謡を自由にアダプトしたもの)
 Cクッションを縫って頂けますか(スコットランド民謡) / Dここは春(フランス民謡)
 E就寝時のスピリチュアルな歌(T.メールラ、イタリア) / F花屋(フランス民謡)
 Gあなたはため息をつきました(L.ミラン、スペイン) / H満月の曲(S.ディアス、ベネズエラ)
 I地上の夕べの聖歌(パーセル、イングランド)

 Linea Curva(バンド)
  [シルヴィア・アダミ(Vo) カール・デュカッセ(G、編曲)
   トマス・フェルナンデス・チルド(ベース, Gamba) フリオ・ドサンティアゴ(Perc, ドラムス)]

 ゲスト:Eナタチャ・カベサス(アーチリュート)
     ADFGHマヌエル・アレハンドロ・ランゲル(マラカス)
 『※ヨーロッパの民謡やバロック時代の歌を大胆にジャズ、ロック風にアレンジし歌った面白いアルバム。エレクトリック・ギター、エレクトリック・ベーズ、ドラムをバックに女声ヴォーカルがリリカルに歌い、あたかも現代のロックのように聴かせて新鮮。ジャズ、ワールド・ミュージック系のファンにお薦め。
「デ・アニマ(魂について)」〜ハープ作品集
 アンリエット・ルニエ(1875-1956):伝説(1901) / パウル・ヒンデミット:ハープ・ソナタ(1939)
 J.S.バッハ:アダージョBWV.564 / ベンジャミン・ブリテン:組曲Op.83(1969)
 シューベルト:ハンガリー風のメロディD.817 / スメタナ:モルダウ(H.トルネチェク編) / カイヤ・サーリアホ:秋(1991)

アンヌ・バッサン(ハープ)
 録音:2022年12月。『 [58:55]※「偉大なハーピストの作品集」(GALLO1413)に続くアンヌ・バッサンのGALLOへのアルバム第2弾。バッハから現代音楽の作曲家サーリアホまで珍しいハープ独奏曲を収録。アンリエット・ルニエ(1875-1956)は卓越したハーピストであり、多くのハープのための作編曲作品を残した。伝説はフォーレやシャミナードを思わせる洒脱な作品。バッハのアダージョBWV564はオルガン曲からの編曲。先ごろ亡くなったフィンランドの鬼才カイヤ・サーリアホの「秋」は北国の短い秋と冬の訪れを感じさせる美しい小品。アンヌ・バッサンはスイス、ジュネーヴ出身でヨーロッパを中心に活躍しているハープ奏者。』
ヴィクトル・カリンニコフ(ヴァシリーの弟)の徹夜祷
 ヴィクトル・カリンニコフ(1870-1927):徹夜祷(1914-18) / シュニトケ(1934-1998):3つの聖歌(1988)
 チャイコフスキー(1840-1893):ケルビム賛歌 / ラフマニノフ(1873-1943):ケルビム賛歌
 ヴィクトル・カニンニコフ:ケルビム賛歌

 ルノー・ブーヴィエ指揮レ・ヴォカリステ・ロマンド(混声cho.)
 録音:2022年11月18日-20日、エスタヴァイエ・ル・ジブルー教会、[58:09] |簡易紙ケース収納。アカペラ混声合唱によるロシア近現代の宗教歌を収録。今日、カリンニコフと言えば2つの知る人ぞ知る名作交響曲の作曲者で早世したヴァリシー・カリンニコフのことだが、その弟も作曲家であった。生前は弟ヴィクトルの方が世俗的な意味で成功しており、合唱のための宗教曲を数多く作曲したが今日ではあまり演奏されることがない。ロシアの大地から湧き上がるような「徹夜祷」の荘重な響きは印象的。多様式主義で知られたシュニトケの3つの聖歌は彼の交響曲や室内楽のようなエキセントリックな現代音楽的要素は一切皆無。カリンニコフやラフマニノフと見紛うばかりの美しい旋律と和音に溢れており、聴きごたえ充分。合唱ファン必聴の一枚。
小川のせせらぎ〔小川のなかのバッハ〕
 18世紀スウェーデン民謡(*) / ガブリエーリ(1659-1690):リチェルカーレ第3番
 J.S.バッハ(1685-1750):無伴奏チェロ組曲第2番 / ヴィターリ(1632-1692):パッサ・ガリ
 小川のなかのバッハ〔水の歌、来たれ異教徒の救い主よ BWV.659 〕(*) / ダッラーバコ(1710-1805):カプリス第1番
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 / ヴィターリ:ルジェーロ

 エスメ・デ・フリース(バロックVc)
 録音:2021年11月16日、18日、サバニエール教会(*以外) /2021年11月初旬、ジュラ川河畔(*) [63:55]|簡易紙ケース収納。大変面白い企画。バッハの名曲、無伴奏チェロ組曲第2番、第3番を中心に置きながらバッハの前後の世代の作曲家が書いた無伴奏チェロの作品を収録。つまりバッハに影響を与えた作曲家とバッハが影響を与えた作曲家の作品を並置することでバッハの名曲がある時突然生まれたのではなく、川の流れのように時代の流れのなかから自ずと生まれたことを私たちに知らせてくれるアルバム。洒落っ気のあるのはバッハの曲を小川(バッハとはドイツ語で小川の意味)のほとりで野外録音したトラックがあること。川のせせらぎの音とともに聴くバッハは癒しの効果も満点。バロック・チェロのエスメ・デ・フリースはオランダのヨトレヒトで学んだ後、ガット弦によるバロック・チェロに転向、ソロから協奏曲まで多くのレパートリーを持っている。音楽のみならず地球規模の環境問題にも多大な関心を寄せており、コンサートを通じて地球温暖化や環境保護についてのメッセージを伝え続けている。
シューマン
 8つのノヴェレッテ Op.21 /
 フモレスケ 変ロ長調 Op.20
ボビー・ミッチェル(P)
 録音:2021年、サンフランシスコ、カリフォルニア州、 US |簡易紙ケース収納。GALLO-1618に続く米国のピアニスト、ボビー・ミッチェルによるシューマン。現代音楽を得意とし、またフォルテピアノでハイドンを弾いたりするミッチェルは、シューマンでは意欲的で活力ある演奏を繰り広げている。シューマンで連想される苔むした森のような陰ではなく、陽のシューマン、これがなかなか面白い。
フリッツ・ブルン(1878-1959):
 ヴァイオリン・ソナタ ニ短調(第1番)(1907) /
 ヴァイオリン・ソナタ ニ長調(1951) (*) /
 チェロ・ソナタ(1952) (#)
アレッサンドロ・
 ファジュオーリ(Vn;#以外)
アンドレア・ムスト(Vc;#)
アレッシア・トファニン(P)
 録音:2021年7月19日-20日、8月11-12、30日-31日、サルメオーラ、パドヴァ県、ヴェネト州、イタリア、DDD | (*/#):世界初録音|83'31 。簡易紙ケース収納。スイスの作曲家、フリッツ・ブルン(1878-1959)のヴァイオリン及びチェロのためのソナタを3曲収録。フリッツ・ブルンはルツェルンの生まれ。ドイツのケルン音楽院で学んだ後、スイスに戻りベルンを拠点に、1941年に引退するまで指揮者、指導者として長く活動した。作風は、当時の多くのスイスの作曲家同様、ロマンティシズムの濃いもので、とりわけ ニ長調のヴァイオリン・ソナタは充実している。ヴァイオリンのアレッサンドロ・ファジュオーリはヴェネツィアのベネデット・マルチェッロ音楽院を修了。近代フランスの埋もれたヴァイオリン作品を発掘することで知られており、ピアノのアレッシア・トファニンとコンビで様々な活動を行っている。アンドレア・ムストはヴィチェンツァのアッリーゴ・ペドロッロ音楽院を修了後、クラーゲンフェルトやアーヘンでさらに学び、ドイツ語圏と北イタリアで活動している。
スイス・オルガン博物館の様々なオルガン
 ◆ロシュのスイス・オルガン博物館の様々なオルガン
  作曲者不詳:セイキロスの墓碑銘[ピエール=アラン・クレール(Org)]
  パスクィーニ:「ドイツ人の小姓」による変奏曲 / フローベルガー:トッカータ「聖体奉挙で弾かれるために」
  作曲者不詳:聖体拝領後の祈り / ピエス:即興ロマネスカの踊り
  J.S.バッハ:天の国の私たち父よ BWV.737 [以上、アドリアン・ピエス(Org)]
  J.S.バッハ:おお神の小羊よ BWV.1085 /キリストは死の絆に繋がれて BWV.695 /
          パルティータ BWV.827 〜第1曲 幻想曲
  モーツァルト:アンダンティーノ 変ホ長調 K.236 /アダージョ ハ長調 K.356
  ハイドン:音楽時計のための音楽〔ヘ長調 Hob.XIX: 1 /ヘ長調 Hob.XIX: 5 /ヘ長調 Hob.XIX: 6 〕
   [以上、ミシェル・ビニェン(Org)]
  ブラームス:自分を飾りなさい、ああ、愛する魂よ Op.122 No.5
  ビゼー:3つの音楽的素描〜第3曲 カプリス[以上、ピエール=アラン・クレール(Org)]
  ワーグナー/カルク=エーレルト編曲:「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲
  作曲者不詳:フルート・ストップを用いた前奏曲/
        フルート・ストップを用いた前奏曲エンツマン・ノイシュタット/バイエルンのレントラー
  ヨハン・シュトラウス II :皇帝円舞曲 / ムンソニウス:小さな郵便馬車
  トランスラトイア:ワルツ「ウィーンのプラターでの生活」 / トロヴァヨーリ:アンナのバイヨン
  グラナータ:マリーナ / カラス:第三の男 / ルノワール:聞かせてよ愛の言葉を
  ジーゲル:ザンクト・パウリの赤い灯 / リョサス:タンゴ・ボレロ[以上、演奏者不詳(Org)]

 ◆ローザンヌ放送局の大オルガン
  ラフマニノフ/ヴィエルヌ編曲:前奏曲 嬰ハ短調 Op.3 No.2 [ロイク・ビュルキ(Org)]
  フランク:カンタービレ[マラン・ピゲ(Org)]
  ジュアン・アラン:第1幻想曲[シャルロット・デュマ(Org)]/
           第2幻想曲[バンジャマン・リゲッティ(Org)]
  アジャン・ラン:ファンタスマゴリー / ベルティエ:4度奏法[以上、アナスタシア・ドゥハレヴァ(Org)]
  フィリップ・グラス:マッド・ラッシュ[コランタン・ダンドレ(Org)]
  ブラームス:心から愛するイエスよ Op.122 No.2 / エルガー:エニグマ変奏曲〜第9変奏 ニムロッド
   [以上、バシル・エロール(Org)]
  ボエリ:アンダンテ・モデラート Op.18 No.4 [シャルロット・デュマ(Org)]
  ジュアン・アラン:連祷[エミル・セシュレ(Org)]
  デュリュフレ:アランの名に基づく前奏曲[ギ=バティスト・ジャコテット(Org)]/
         アランの名に基づくフーガ[高田恵里(Org)]
 143'31 |簡易紙ケース収納。# CD 1 の後半の演奏者が本体に記載されておらず、不明。ご了承頂きたい。CD1は、スイス、ロシュのスイス・オルガン博物館に収蔵されている様々なオルガンを用いた演奏。選曲も多彩だ。CD2は、ローザンヌ放送局の大オルガンを用いた演奏。日本人オルガン奏者でフランスやスイスで活動する高田恵里の演奏が1曲含まれている。
光の歌〜ジェローム・ベルネイ
 春分/火の中で/ブルー・スターバト・マーテル
ドミニク・ティユ指揮
ローザンヌ声楽合唱アンサンブル
ロラン・ユニ(B)
タシロ・ユット(S)
ファビアン・セヴィラ(Cb)
ジェローム・ベルネイ(打楽器、ハング)
 録音:2021年10月1日-3日、パンピニー、スイス、37'17 。マルタンとジャズ(GALLO-1330)、ラヴェルとジャズ(GALLO-1655)と異ジャンル融合で注目されたジェローム・ベルネイの自作の演奏。全体が「光の歌」と題されているが、大半はブルー・スターバト・マーテル。クラシックというよりはだいぶジャズっぽい音楽。
ハーモニウムとピアノによるバッハ作品集

 J.S.バッハ/ラーメ編曲:
  目覚めよ、と呼ぶ声が聞こえ BWV.645 /チェンバロ協奏曲第5番 ヘ短調 BWV.1056 /
  カンタータ「私に気に入ることは、ただ快活な狩りだけ」 BWV.208 〜羊は安全に草を食むことができる/
  2つのチェンバロのための協奏曲第3番 ハ短調 BWV.1062 〜第2楽章
 J.S.バッハ/ラインハルト編曲:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 BWV.1005 〜フーガ
 グノー/スコット編曲:アヴェ・マリア / ペニッツ/ラーメ編曲:前奏曲 ニ短調 BWV.851に基づく瞑想曲
 ドレクセル: B-a-c-h Op.50 / J.S.バッハ/ラーメ編曲:管弦楽組曲第2番 ロ短調 BWV.1067 〜バディヌリ
 J.S.バッハ/カルク=エーレルト編曲:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV.1068 〜エール
 J.S.バッハ/ラーメ編曲:
  主イエス・キリストよ、私たちを顧みてください(2曲)〔 BWV.332 / BWV.655 〕/
  ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番 ハ短調 BWV.1017 〜シチリアーノ
 J.S.バッハ/ラインハルト編曲:クリスマス・オラトリオ BWV.248 〜シンフォニア
 J.S.バッハ/ラーメ編曲:カンタータ「心と口と行いと生活で」 BWV.147 〜主よ、人の望みの喜びよ

 クリストフ・ラーメ(ハルモニウム) オリヴァー・ドレクセル(P)
 録音:2021年7月12日-15日、ヴェックホーフェン、ノルトライン=ヴェストファーレン州、ドイツ|63'57|#簡易紙ケース収納。ベートーヴェン作品集(GALLO-1621)に続くクリストフ・ラーメらによるハルモニウムとピアノで演奏したCD 。ハルモニウムは19世紀半ばに流行した足踏み式のオルガンで、多数のストップを備えて多彩な音色を繰り広げることができ、20世紀末におけるシンセサイザーのような役割を19世紀半ばに担っていた。ここではドイツのハルモニウム奏者、クリストフ・ラーメが自ら編曲したものを中心に、19世紀の編曲も含め、様々な音楽が楽しめる。クリストフ・ラーメは、ドイツ、レックリングハウゼンの生まれ。オルガン奏者として活躍する一方、ハルモニウムの魅力に取りつかれ、現代ドイツを代表する演奏家でもある。オリヴァー・ドレクセルはドイツのピアニスト。
カルージュの聖堂の音楽
 ブルーンス:前奏曲 ホ短調 / コレッリ:トリオ・ソナタ イ短調 Op.1 No.4
 シャルジンスキ:イエスよ、私の希望よ
 J.S.バッハ:イエスよ、私の確信よ BWV.728 /今こそ喜べ、愛するキリストの仲間たちよ BWV.734 /
         私は心から望む BWV.727 /
         カンタータ「主は私たちのことを思っている」 BWV.196 〜主は祝福する、主を恐れる人を/
         前奏曲とフーガ ニ短調 BWV.539
 C.P.E.バッハ:最後の審判の日 Wq.197 /ゲッセマネのイエス Wq.198/29 /アダージョ ニ短調 Wq.n.v.66, H.352
 ハイドン:主の御名によって来る者は讃えられよう
 モーツァルト:教会ソナタ〔変ホ長調 K.67 /変ロ長調 K.212 /ハ長調 K.336 〕

 マルチェロ・ジャンニーニ(Org) マリエタ・イーヴァ・セーラル(S)
 ジュリエット・ルマイラク、 ジョナタン・ニュベル(Vn)
 カロリーナ・プウィヴァチェフスカ(Vc)
 録音:2021年9月7-12日、カルージュ、ジュネーヴ州、スイス、60'07 |簡易紙ケース収納。スイス、ジュネーヴ近郊の町カルージュの聖堂の建立200周年を記念した録音(おそらく演奏会と並行した収録、拍手やなどは無い)。聖堂備え付けのオルガン(1962年製)はもちろん、弦楽三重奏やソプラノも加わった多彩な内容。マルチェロ・ジャンニーニは1983年から20年近くこの聖堂のオルガン奏者を務めている。マリエタ・イーヴァ・セーラルはスロヴェニア出身のソプラノ。ジュネーヴ高等音楽院で学び、スイスを中心に活躍している。ジュリエット・ルマイラクはフランスのバロック・ヴァイオリン奏者。2017年にバロック音楽団体、ル・コンセール・ユニヴェルセルを結成し活躍している。カロリーナ・プウィヴァチェフスカは1994年生まれのポーランドのチェロ奏者。
@アンサンブル・バチーダ: HYDR-X (2019)
Aテリー・ライリー(1935-): In C (1964)
 アンサンブル・バチーダ
  [アレクサンドラ・ベロン(Perc)、アンヌ・ブリセ(Melodica, Perc)
   ジャンヌ・ラルートゥルー(Pf, Melodica, Perc)、ラファエル・クライカ(Synth, Melodica)
   ビバ・サンチェス・レイノーソ・モランド(Pf, シンセサイザー、エレクトロニクス、 他)]
 録音:@2020年8月6日-8日、フランス・ソーヌ/2019年1月23日、スイス・ジュネーヴ|@[20:00] A[54:00]。テリー・ライリーの“In C "は全てのミニマル・ミュージックの始まりを告げる記念碑的作品。楽譜に楽器の指定がないためピアノだけのものから中国の楽器で演奏されたりアフリカの楽器で演奏されたりと様々なバージョンが存在する。このアルバムではエレクトリック・ピアノ、シンセサイザー、メロディカ、グロッケンシュピール、ヴィブラフォン、ハーモニウム、さらにクロタルやジャワ・ゴングなど金属系の打楽器が多用され、全体にメタリックできらきらしたイメージに仕上げられている。オリジナル盤にあった民族音楽色は完全に一掃されテクノ・ポップ風に化学変化、渋谷や六本木のクラブでかかっていても何の違和感もない。またオリジナルにはなかった電子的なサウンド・エフェクトが多数かけられているだけでなく、ライリーが書いていない新たなパートが対旋律として登場、シンセサイザーの低音によるドローンも加わって万華鏡のような極彩色の世界が一時間近く続く。これはもはやIn Cのリミックス版と呼んだ方がよいだろう。アンビエントとして聴くもよし、これで踊りまくるもよし、トリップ必至の一枚。テリー・ライリーは現在日本在住。佐渡で「鼓童」を聴いて感動したとか。ナチュラリストの彼がこの未来都市型In Cを聴いたらどんな反応を示すのだろうか(それもまたいいではないか、それもわしのカルマじゃ、と言って笑うかもしれない)。HYDR-Xはアンサンブル・バチーダのメンバーによる共作でシンセ、打楽器とコンピューター操作による音響も加わった心地よいアンビエント・ミュージック。
エキゾチズム、ソノリテ、ピトレスク〜ピアノ独奏と連弾作品
 セヴラック:「休暇の日々」より〜〔第6曲 古いオルゴールが聞こえる時/第7曲 ロマンティックなワルツ〕
 ラヴェル:高雅にして感傷的なワルツ より〔第2曲 ト短調/第7曲 ハ長調〕
 ドビュッシー:前奏曲集第1巻〜音と香りは夕暮れの大気に漂う
 フォーレ:組曲「ドリー」 Op.56 〜スペイン風の踊り ヘ長調
 サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より〔第3曲 ハ短調 アジアノロバ/第7曲 イ短調 水族館〕
 ドビュッシー:前奏曲集第1巻〜とだえたセレナード/ベルガマスク組曲〜月の光
 ラヴェル:鏡〜悲しい鳥 / ドビュッシー:小組曲 より〔小舟にて/バレエ〕
 ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」より〔第3曲 パゴダの女王レドロネット/第4曲 美女と野獣の対話〕
 ファリャ:歌劇「はかない人生」〜スペイン舞曲 / ドビュッシー:前奏曲集第2巻〜花火
 ファリャ:「恋は魔術師」〜火祭りの踊り / モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 K.331 〜トルコ行進曲

 デュオ・ギルモー=デュボワ[リュドミラ・ギルモー、ジャン=ノエル・デュボワ(P)]
 60'13 |簡易紙ケース収納。ピアノ連弾とそれぞれの独奏の録音を集めている。リュドミラ・ギルモーはパリでかのマグダ・タリアフェロに学んだピアニスト。フランス風の味わいを持ちつつ情熱的な演奏が魅力。ジャン=ノエル・デュボワはサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏のラ・シャトル生まれのピアニスト。パリでジョルジュ・シフラに学び、リスト弾きとして知られている。二人は2007年からデュオ・ギルモー=デュボワとして幅広く活躍している。
アストル・ピアソラ生誕百年記念
 ピアソラ(1921-1992):タンゴ・バレエ/瞑想と踊り
 ヒナステラ(1916-1983):弦楽四重奏曲第1番 Op.20〜第1楽章/ひめゆりの踊り
 カルロス・グァスタビーノ(1912-2000):コラスティーヌの恋
 スタルマン(1910-2004):恋するコンパドリート/ザンバとマランボのモティーフ
 ピアソラ:天使のミロンガ/天使の死/メロディア/デカリシモ/リベルタンゴ
 フリアン・プラサ(1928-2003):夜想曲

  ロベルト・サヴィツキ(Vn)指揮ランシー・ジュネーヴo. ミシェル・フェストファル(Cl)
 [69:28] 。コロナ禍もあってか誰も騒がなかったが2021年はピアソラ生誕百年、そして2022年は没後30年ということで、その記念CDがこの度リリース。ピアソラの主要作品の弦楽オーケストラ編曲版の他、ピアソラが最初期に学んだ師匠ヒナステラの作品、同時代のアルゼンチンの作曲家たちの作品を収録。ヒナステラの弦楽四重奏曲は弦楽オーケストラに編曲されている。重厚でゴージャスなストリングスがピアソラの情熱的な世界を見事に再現。
聖母被昇天ノートル・ダム・バジリカ聖堂での演奏会
 J.S.バッハ:カンタータ「私たちはあなたに感謝する、神よ」 BWV.29
 シャルパンティエ:マニフィカト H.73 /太鼓とシンバルとラッパで H.323
 ヘンデル:オルガン協奏曲第4番 Op.4 No.4, HWV.292 〜第1楽章
 J.S.バッハ:カンタータ「鳴り響け、あなた方の歌よ」 BWV.172 /
         幻想曲 ト長調 BWV.572 (#) /アリア ヘ長調 BWV.587 (原曲:クープラン) (#)
 マルシャン:オルガン曲集第1巻(#)  / メイエ神父:マニフィカトの唱句(#)
 ブラン(#) :雷雨に驚いた村祭りの行列/牧歌/ファンファーレ/太鼓と行進曲の模倣/若い娘たちの讃美歌/
       嵐の前触れの強風/雷雨と雷鳴/人の声の合唱/行進曲/村民の帰宅
 メイエ神父:ファンファーレ(#)

 ダミアン・サヴォワ(Org;無印)
 ファキュンド・アギュダン指揮ミュジク・デ・リュミエールo.(無印)
 シモン・ペギロン指揮ヌシャテル参事会教会声楽アンサンブル(無印)
 ミリアム・エリヒ、マリー・リップ(S;無印) ヴェロニク・メイラン(A;無印)
 エティエンヌ・アンカー(T;無印) コンタン・ガイヤール(B;無印)
 ギ・ボヴェ(Org;#)
 録音:2021年10月2日(無印)、2021年10月16日(#)、すべてヌシャテル、スイス|簡易紙ケース収納。スイス西部の町ヌシャテルの聖母被昇天ノートル・ダム・バジリカ聖堂での2つの演奏会を収録。2021年10月2日の演奏会はオルガン、オーケストラ、独唱、合唱による華やかな物。バッハの2つのカンタータを枠にして、間にシャルパンティエとヘンデル。ダミアン・サヴォワはこの聖堂に所属するオルガン奏者。2枚目は御大ギ・ボヴェを招いての演奏会。バッハももちろん良いが、後半のメイエ神父やブランの作品が面白い。ジュール・ブランは19世紀前半のフランスの作曲家。これまで録音はごく少なく、10曲もまとまるのは非常に珍しい。題名の通り親しみやすい曲。
ジェローム・ベルネイ "3 + 3" 〜ラヴェル周辺のジャズ
 ラヴェル:ピアノ三重奏曲 / ベルネイ:乱入〔1−6〕
  トラミ・ンギュイアン、アレクシス・グフェラー(P)
  マリオン・ドゥヴォー(Vn) オーレリアン・フェレット(Vc)
  ファビアン・スヴィラ(Cb) ジェローム・ベルネイ(ドラムス)
 録音:2020年10月16日-18日、イヴェルドン・レ・バン、スイス、71'31。簡易紙ケース収納。これは少々風変わりなCD 。ラヴェルのピアノ三重奏曲の各楽章を分割して、そこにジャズを乱入(irruption)させている。知らずに聞いたら驚くだろうが、これが中々巧く出来ていて面白い。ジェローム・ベルネイは1971年、カナダのヴァンクーヴァー生まれでスイスのローザンヌ育ちの作曲家、打楽器奏者。
無伴奏フルート作品集
 C.P.E.バッハ:無伴奏フルート・ソナタ イ短調
 J.S.バッハ:パルティータ イ短調
 ドビュッシー:シランクス
 オネゲル:シェーヴルの踊り
 ミーク(1906-1990):練習曲=即興曲/ルエトの楽しみ/
           フルートの喜び
ジャン=リュク・
 レイシェル(Fl)
 録音:2021年4月5日、ケールザッツ、スイス [55'43]。バロック音楽から20世紀の音楽までの無伴奏フルート作品を収録。特に後半にペーター・ミーク(1906-1990)の作品を収録しているのが珍しい。ペーター・ミークはスイス、レンツブルクの生まれ、1930年代にパリで学び、フランス近代音楽の作風を身に着けた。ルエトの喜びは1972年にペーター=ルーカス・グラーフによって初演された。ルエトとはスイス北部のアールガウ州の町シュロスルエトのこと。ジャン=リュク・レイシェルはスイスのフルート奏者。ベルンとロンドンで学んだ後、様々なオーケストラでフルートを演奏している。
ジャン・ペラン(1920-1989):作品集
 @ピアノのための間奏曲 Op.29 〜第1番、第3番/Aホルン・ソナタ Op.7 /
 Bチェロ・ソナタ Op.11 /Cフルート・ソナタ Op.12b /Dセクンドゥム・パウルム

 ジャン・ペラン(P) Aヨゼフ・モルネル(Hr)
 Bジャン・ド・スパングレル(Vc) Cピエール・ワーブル(Fl)
 Dハンス=ペーター・グラーフ(T) クルツィオ・ペトラーリオ(Cl)
  エマニュエル・ゴファール(Vc)
 録音:@1979年5月20日、フランス/AC1979年1月30日、B1983年3月25日、D1987年3月10日、ABCDローザンヌ [69'52]。2020年に生誕100周年を迎えたスイスの作曲家、ジャン・ペラン(1920-1989)が自作でピアノを弾いた演奏を、スイス・ロマンド放送の音源からCDにした物。ジャン・ペランはローザンヌの生まれ。ピアニストや音楽評論家として活動する一方、作曲家としても精力的に作品を書いたが、CDはこれまで僅かしかなかった。作風は渋め。

HCR [HUDDERSFIELD Contemporary Records] (英) 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 イギリス北部ヨークシャーに設立されたハダースフィールド大学音楽学部が2009年に設立した現代音楽専門レーベル。2015年からは同じく UK の現代音楽系レーベル、 NMC のルート通じで世界的に配給されている。同大学在籍の作曲科専攻学生、教師の作品、在籍演奏科学生、教師の演奏を広く紹介することを主な目的としている。作品、演奏はともに高いレベルにあり、最近のイギリスの若手作曲家、演奏家の動向を知る上で貴重な音源。なおハダースフィールド大学は音楽以外に技術工学、インターネット・ソフト・ウェア開発にも定評があり、音楽における様々なテクノロジーの応用はIRCAM並みの技術力が期待されている。
 #基本的に新譜は CD-R 製版と思われます。旧譜も徐々に切り替わっていますがレーベルからの情報がないため、プレス盤を指定してのご注文はお受けできません。
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HCR-26
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[CD-R]
不可能の時間〜 21世紀の無伴奏ヴァイオリン作品集
 クララ・イアノッタ:ジャム瓶の中のスズメバチの死体 / ダリオ・ブッチーノ:「歳月人を待たず」第16番
 レベッカ・ソーンダース:痛み / リザ・リム:スー・ソン・スター・マップ
 エヴァン・ジョンソン:木の上の雲 / キャシー・ミリケン:クリー / アーロン・キャシディ:記憶の杖

 デヤナ・セクリッチ(Vn)
 録音:2021年7月1日-2日、ブリュッセル、[65:56] 。NMCが配給するイギリス、ウェスト・ヨークシャー州にあるハダーズ・フィールド大学音楽学部の自主制作レーベル。この大学の作曲科学生または関りの深い作曲家の作品を世に出す目的で設立された。若い才能の発掘の場であり、まことに羨ましい限り。大学の援助を受けて制作されているせいか、収益を考えず(?)思う存分、やりたい放題やっている、という作品が多い。このアルバムでは全てヴァイオリン独奏のための作品が収められているが、ひとつとしてまともな作品がない。イアノッタの「スズメバチの死体」は電子音のスクラッチ・ノイズにヴァイオリンの特殊奏法が絡む。このアルバムで最も著名な作曲家ソーンダースの「痛み」も徹頭徹尾ノイズ、ノイズまたノイズの嵐。全作品そんな調子。イギリスはビートルズやパンク・ロックを生み出した精神的土壌があるせいか、ドイツ、フランスの現代音楽界とは全く違った潮流があるようだ。大友良英、ジョン・ゾーンも顔負けの反骨精神丸出しのノイズ系現代音楽。ストリート・グラフィティのようなノイズ系ミュージックが聴きたい、という人にお薦め。
HCR-25
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[3CD-R]
シンギング・イン・タン〜リザ・リム(1966-):オペラと声楽作品集 1993-2008
 歌劇「オレステア」(1993)[サンドロ・ゴルリ指揮 ジュリー・エドワードソン(Ms)
   デボラ・ケイサー(Ms/Vc) タイロン・ランドー(T)/他|1993年5月31日-6月1日、メルボルン]/
 歌劇「チャン O 、月へ飛ぶ」(2000)
  [デボラ・ケイサー(S) サイモン・ヒューイット指揮|2003年7月20日、ブリスベン、 Live ]/
 ソプラノと15楽器のための「母国語」(2005)
  [ピーア・コムシ(S) ジャン・ドロワイエ指揮|2006年6月11日、シドニー、 Live ]/
 歌劇「ナヴィゲーター」(2008)[マヌエル・ナウリ指揮 オマール・エブラヒム(Br)
   フィリップ・ラーソン(B) アンドルー・ワッツ(CT)他|2008年7月29日、ブリスベン]

 エリジョン・アンサンブル
 録音:[|内] CD1[48:55]CD2[47:19]CD3[79:57]。リザ・リムは中国系オーストラリア人の作曲家。彼女はアジアの儀式文化、アボリジニの芸術に関心を持っており、非西洋音楽と西洋前衛音楽を融合するスタンスを取っている。彼女の作品はアルディッティ四重奏団、BBC響などによって度々取り上げられている。彼女の作品は自分の出自でもあるアジアの儀式文化に影響を受けているとはいえ、その作品は非常に前衛的、実験的で時にパンク・ロックを思わせる大音響、ノイズに溢れている。このアルバムには3つのオペラと1つの声楽作品が収められており、いずれも非常に攻撃的、野心的な内容。中国の京劇に通じるような極彩色といかがわしさが渾然一体となったシアター・ピース。

NMC (英) 〔含映像商品〕 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 #基本的に新譜は CD-R 製版と思われます。旧譜も徐々に切り替わっていますがレーベルからの情報がないため、プレス盤を指定してのご注文はお受けできません。
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NMC-D268
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[CD-R]
セヴァン・ホロックス=ホパイヤン:作品集
 ミュートされたライン(*/tc/tg) /ウェルカム・パーティ(*) /洞窟画家(語り)/洞窟画(*) /
 つばめと夜鶯(*/z) /淑女たち(*/z) /踊る鳥たち(*) /詩人(語り) (z) /インク壺(z) /
  Ser (Love) (#/z) /壁と道/2つの間の子守歌(#) /カセット(スケッチ) (#)

 セヴァン・ホロックス=ホバイヤン(Vo、語り、テープ)
 ジョン・ハーグリーヴズ指揮 LSO 団員(*) トリッシュ・クロウズ(Sax;tc)
 ティム・ジャイルズ(ドラムス;tg) ジアザン [Ziazan] (Vo、語り;z)
 ギャレス・ウィルソン指揮ケンブリッジ・ガートン・カレッジ&cho.(#) 他
 録音:2021年7月19日-20日、6月28日、[57:48] 。ホロックス=ホパイヤンはアルメニア系イギリス人の作曲家、歌手。生年は不詳。このアルバムにはソングや室内アンサンブルのための小品が多数収められている。彼女の出自であるアルメニアの聖歌や民謡を思わせる素朴で清らかな音楽が多く、心を癒される内容。自ら詩の朗読も行い、その澄んだ声と音楽の透明な響きはケルト音楽やエンヤの世界とも通底している。

MARSTON (米) 1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 BIDDULPH, BMG, EMI, NAXOS HISTORICAL, PEARL 等でもその腕を振った盲目の天才的復刻技師ウォード・マーストン自らが主宰するレーベル。アイテムの価値を下げることがないよう「小部数で製作し、完売後は基本的に再プレスを行わない」というスタンスを貫いているため、時間が経つにつれ入手困難度が増します(一旦レーベルで品切れした場合の再入荷は、世界各国の代理店・小売店からレーベルへ返品があった場合のみ〔=ほぼ廃盤状態〕。レーベル作製のCD-R製版品も入荷可能ですが、ブックレットやジャケット等の紙媒体が一切付属せず、CD-Rディスクのみが紙スリーヴに入った形態での供給となります)。お早めにどうぞ。
 旧譜はこちらから(レーベルの本家サイトでCD-R製版品に切り替わったアイテムは、基本的にプレス盤は廃盤と考えられ、当店でもCD-R製版品〔=ディスクのみ〕しかご注文をお受けしておりません)。
52077-2
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(2CD)
イナ・スパーニ〜全録音集
   + (補遺)ジャンニーナ・アランギ・ロンバルティ〜ヴェルディ:アリア集

■イナ・スパーニ、全録音集
 ◆ COLUMBIA GRAPHOPHONE COMPANY   ヴェルディ:「仮面舞踏会」〜私は死にましょう/「アイーダ」〜ああ私の祖国よ
  マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜お前がここに、サントゥッツァ・・・いいえ、トゥリッドゥよ(*)
  プッチーニ:「マノン・レスコー」〜この柔らかなレースの中で/
        「トスカ」〜歌に生き、愛に生き/「蝶々夫人」〜ある日見るだろう
  ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」〜死んだ母は
   [パオロ・マジーニ(T;*) 伴奏不詳|1924年、ミラノ、イタリア]

 ◆ THE GRAMOPHONE COMPANY, LTD 1926-31
  ロッシーニ:「ギヨーム・テル」〜暗い森(伊語)[カルロ・サバイーノ指揮ミラノ・スカラ座o.|1931年7月7日]
  ワーグナー:「ローエングリン」より(伊語)
   〔悲しい日々に一人[管弦楽伴奏|1928年4月10日]/
    そよ風よ、私の嘆きを聞いておくれ[カルロ・サバイーノ指揮ミラノ・スカラ座o.、ミラノ音楽院|1927年3月15日]〕
  グノー:「ファウスト」〜彼は私を愛している[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1928年4月3日]
  ヴェルディ:「仮面舞踏会」〜けれど乾いた茎から[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1927年3月11日]/
        「トロヴァトーレ」より
          〔穏やかな夜[カルロ・サバイーノ指揮ミラノ・スカラ座o.、ミラノ音楽院|1927年3月15日]/
           愛は薔薇色の翼に乗って[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1928年4月10日]]/
        「オテロ」より〔あなたが追放の生活を語った時[ジョヴァンニ・ゼナテッロ(T)
                 カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1926年11月8日、12月3日]/
                彼女は寂しい荒野で歌いながら泣いている(柳の歌)
                [カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1928年4月3日]〕
  マスネ:「マノン」〜さようなら、私たちの小さなテーブルよ(伊語)
   [カルロ・サバイーノ指揮管弦楽団、ミラノ音楽院|1929年5月3日]
  レオンカヴァッロ:「道化師」〜私の運命を決めてくれ・・・いや、あなたは私を愛していないのだ
   [アポロ・グランフォルテ(Br) カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.、ミラノ音楽院|1927年3月12日]
  プッチーニ:「マノン・レスコー」〜この柔らかなレースの中でミラノ・スカラ座o.|1927年3月10日]/
        「ボエーム」〜あなたの呼ぶ声に[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.、ミラノ音楽院|1927年3月12日]
        「トスカ」〜歌に生き、愛に生き[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.、ミラノ音楽院|1929年5月3日]
        「蝶々夫人」〜お前よ、小さな偶像よ[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.、ミラノ音楽院|1929年5月6日]
  カタラーニ:「ワリー」〜ではここから遠くに行きましょう[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1928年4月3日]
  カッチーニ:アマリッリ / チャンピ:少女 / A.スカルラッティ:もしフロリンドが誠実なら
   [ジーノ・ナストルッチ指揮弦楽八重奏団、ミラノ音楽院|1929年7月1日]
  パラディース:あのせせらぎ / 作曲者不詳/伝・ペルゴレージ、パリゾッティ:もしあなたが私を愛して
   [ジーノ・ナストルッチ指揮二重の五重奏団、ミラノ音楽院|1930年4月14日]
  ティリンデッリ:ああ春よ[カルロ・サバイーノ指揮スカラ・オペラo.|1931年4月14日]
  ブラームス:子供のための民謡集 WoO.31〜眠りの精(伊語)/昔の恋 Op.72 No.1(伊語)(#)
   [ジーノ・ナストルッチ指揮二重の五重奏団、ミラノ音楽院|1930年4月15日、1930年4月22日(#) ]
  ドヴォルジャーク:ジプシーの歌 Op.55 より〔弦の調子をあわせて/鷹の翼はタトラの峰高く〕
   [ジーノ・ナストルッチ指揮室内o.、ミラノ音楽院|1929年7月1日]
  グラナドス:分別あるマホ / ニン:山に住む人 / ウガルテ:祝日(##)
  ブチャルド:馬車引きの歌(##) / オブラドルス: Coplas de curro dolce (###)
   [ジーノ・ナストルッチ指揮二重の五重奏団、ミラノ音楽院|1930年5月2日、1930年4月17日(##)、1930年4月22日(###) ]

■補遺:ジャンニーナ・アランギ・ロンバルディの歌うヴェルディ:アリア集(+)
 ◆ ITALIAN COLUMBIA, 1926-33 [管弦楽伴奏]
  「トロヴァトーレ」〜恋は薔薇色の翼に乗って[1927年4月30日]/
  「運命の力」〜天使の中の聖処女よ[合唱団|1926年3月6日]/「仮面舞踏会」〜私は死にましょう[1933年12月7日]/
  「第1回十字軍のロンバルディア人たち」より
   〔聖処女よ、私はあなたに願う/マリア様、お救いください・・・もし祈りが無駄ならば〕[1933年12月9日]/
  「アイーダ」〜ここにラダメスが来るだろう・・・ああ青い空も[1928年11月14日-15日]

 イナ・スパーニ(S;+以外) ジャンニーナ・アランギ・ロンバルディ(S;+)
 録音:1924年-1933年、ADD 、161'23 。アルゼンチン生まれのプリマドンナ、イナ・スパーニの全録音集。イナ・スパーニは1890年、アルゼンチン、ブエノスアイレス近郊のプアンの生まれ。本名はイヒニア・トゥニャン。幼くして歌の才能を発揮し、ブエノスアイレスで学んだ後、ミラノに留学。1915年にミラノのスカラ座に初出演。1920年代にはイタリア各地と南米でプリマドンナとして大活躍をした。1924年にプッチーニが亡くなった時には、ミラノでの追悼式典でスパーニはトスカニーニの指揮で歌っている。1928年には偉大なネリー・メルバの故郷オーストラリアでの楽旅に同行している。イタリアでは1935年まで活動し、主要なプリマドンナをあらかた歌った。またイタリア人歌手とは異なり、歌曲にも積極的に取り組んだ。残念ながらロンドンを含めた英語圏であまり活躍することがなく、そのため実力に見合った国際的名声を受けられなかった。スパーニの声は中音域ではやや古めかしさも感じられるが、太く力強い声のまま輝かしい高音を鳴り響かせ、しかもそこに透明感すら感じられる、極めて優れた物。加えて知的な表現力にも長けている。このCDを聞けば、これほどのプリマドンナがなぜ半ば埋もれてしまったのか、誰でも不思議に思うだろう。余白に収録されているジャンニーナ・アランギ・ロンバルディ(1891-1951)は、スパーニとほぼ同世代のイタリアのソプラノ。彼女は当時のイタリアを代表するプリマドンナとして絶大な人気を誇り、SPの時代でありながらヴェルディ「アイーダ」、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」、ポンキエッリ「ジョコンダ」、ボーイト「メフィストーフェレ」といったオペラの全曲録音を残したほど。その力強い声はまさにヴェリズモ時代のプリマドンナの栄光その物。お得意のヴェルディのアリアが聞ける。なお彼女の姓はしばしばアランギ=ロンバルディArangi-Lombardiと繋げられて表記されるが、アランギ・ロンバルディ Arangi Lombardi が正しいという。
53026-2
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(3CD)
ロバート・ゴールドサンド(1911-1991) (P)〜失われたリサイタル集
◆ニューヨーク・リサイタル 1977.9.30
 クレメンティ:ピアノ・ソナタ 嬰ヘ短調 Op.25 No.5
 グァルニエリ:ピアノ・ソナティナ第3番「ト音記号で」
 ショパン:練習曲〔変ト長調 Op.10 No.5「黒鍵」/変ト長調 Op.25 No.9「蝶々」〕
 ゴドフスキー:ショパンの練習曲による学習曲集〜「からかい合い」
 ショパン:舟歌 変ニ長調 Op.57 /ワルツ 変イ長調 Op.42 [以上、1977年9月30日、ニューヨーク]

◆シラキューズ・リサイタル 1975.7.23
 ショパン:練習曲集    新練習曲〔第1番 ヘ短調/第2番 変イ長調〕/
   練習曲〔ヘ短調 Op.25 No.2 /ヘ長調 Op.10 No.8 /ヘ長調 Op.25 No.3 /イ短調 Op.10 No.2 /
       イ短調 Op.25 No.11 「木枯らし」/ホ長調 Op.10 No.3 /
       嬰ト短調 Op.25 No.6 /ハ短調 Op.10 No.12「革命」〕
 ショパン/ロセンタル〔ローゼンタール〕編曲:ワルツ 変ニ長調 Op.64 No.1「子犬」
 モーツァルト:ジーグ ト長調 K.574[以上、1975年7月23日、シラキューズ、ニューヨーク州]

◆ニューヨーク 1978.11.27
 シューベルト/ガンツ編曲:「ロザムンデ」〜バレエ音楽

◆ロンドン、 UK 、1960頃
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第17番 ニ長調 K.576
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番 嬰ヘ長調 Op.78 [以上、1960年頃、ロンドン、 UK ]

◆ニューヨーク 1956.10.17
 シューマン:ノヴェレッテ 嬰ヘ短調 Op.21 No.8 (短縮版)[1956年10月17日、ニューヨーク]

◆ Concert Hall 1952頃
 ラフマニノフ:ショパンの主題による変奏曲(短縮版)[1952年頃| Concert Hall Society, CHS 1149 ]

◆ニューヨーク・リサイタル 1963.4.30 〜ラフマニノフ:前奏曲集
 〔変ホ短調 Op.23 No.9 /変ロ長調 Op.23 No.2 /ト長調 Op.32 No.5 /ト短調 Op.23 No.5 /ロ短調 Op.32 No.10 〕
  [1963年4月30日、ニューヨーク]

◆ニューヨーク・リサイタル 1956.1.24
 リスト:パガニーニによる6つの大練習曲 S.141
 ヘンデル:組曲第2番 ヘ長調〜第2楽章   [1956年1月24日、ニューヨーク]

◆会場・年代不明の録音
 ショパン:ポロネーズ ハ短調 Op.40 No.2 /
      モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ」の「あそこで手を取り合って」による変奏曲 Op.2
 プロコフィエフ:前奏曲 ハ長調 Op.12 No.7 /行進曲 ヘ短調 Op.12 No.1
 アルベニス:「イベリア」〜トリアナ[以上、録音データ不詳]

◆ Desto LP, 1964頃
 ゴドフスキー:ヨハン・シュトラウス「こうもり」の主題による交響的変容[1964年頃| Desto, D-200 ]

◆ニューヨーク 1960.12.9
 J.S.バッハ/ヘス編曲:主よ、人の望みの喜びよ[1960年12月9日、ニューヨーク]

 ロバート・ゴールドサンド(P)
 録音:1952年頃-1977年、ADD 、404'22 |ほとんどが初出、あるいは初CDフォーマット化。
 Forgotten Records からセッション録音のCD-R化が進んだゴールドサンド、ついにライヴ録音が登場する。
 # CD 1 に不良が見付かったため、差し替えCDが付属しています。また、1970年代のライヴにはステレオと思しきものも含まれますが、音はほとんど左右に広がらず、実質モノラルとご理解ください。
ウィーン生まれで米国で活躍したピアニスト、ロバート・ゴールドサンドの貴重なライヴ録音集。ロバート・ゴールドサンドは1911年3月17日、ウィーン生まれ。ウィーンで学んだ後、欧州で評判となり、そして1927年、ニューヨークでの演奏会で米国初登場。1930年代初頭まで精力的に演奏会をこなしていたが、1935年から40年までアルプスの麓で休養。しかし祖国オーストリアがナチのドイツに併合され、米国に移住し市民権を得た。1950年代以降は教職も引き受けるが、演奏活動は継続した。彼のレパートリーはバッハから彼の同時代の作曲家の作品まで広く、特に同時代の作曲家の作品を積極的に取り上げた。ゴールドサンドは疑いなく20世紀半ばの名ピアニストの一人だった。ゴドフスキーの難曲「からかい合い」を(原曲のショパンの「黒鍵」と「蝶々」の後で)難なく弾きこなせるほど技術力は高く、音色はすこぶる美しく、そして音楽に詩情が宿っている。なにせCD1冒頭のクレメンティのソナタの、透明な響きがキラキラと輝きながら弾けるような演奏だけでも、彼を初めて聞くピアノ好きは目を見張るだろう。にもかかわわらず彼の録音は極めて少ない。そこにmarstonが、ニューヨークでのリサイタルのライヴ録音や放送録音、マイナーレーベルへの録音の復刻などをCD3枚たっぷり集めた。ゴールドサンドの素晴らしさを理解するには、とにかく聞いてみるのが一番だろう。また一つmarstonが見事な仕事を成し遂げてくれた。
55004-2
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(5CD)
ジュゼッペ・アンセルミ(T)(1876-1929)全録音集
◆ Fonotipia (SOCIETÀ ITALIANA DI FONOTIPIA) 録音集[ミラノ、イタリア]
 ドニゼッティ:歌劇「ドン・パスクァーレ」〜甘く清らかな夢よ / ヴェルディ:「リゴレット」〜あれかこれか
 レオンカヴァッロ:「道化師」〜衣装を付けろ / ジョルダーノ「フェドーラ」〜愛は君に禁じている
  [ピアノ伴奏|1907年4月22日]
 マスネ:「ウェルテル」〜なぜ私を目覚めさせるのか/「マノン」〜目を閉じれば(2種)
 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜私の宝の人を / ヴェルディ:「リゴレット」〜女心の歌
 マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜ああローラよ(シチリア語)[ピアノ伴奏|1907年4月25日]
 ヴェルディ:「ルイザ・ミラー」〜穏やかな夜に[ピアノ伴奏|1907年4月25日、11月8日]
 トマ:「ミニョン」〜彼女は信じなかった(伊語) / コチュベイ [Yelizaveta Kochubey] :彼女に言って(露語)
 ダヴィドフ:何という幸せ(露語) / ロッシーニ:「セビリャの理髪師」〜もし私の名前を[ピアノ伴奏|1907年4月29日]
 プッチーニ:「トスカ」〜妙なる調和 / マスカーニ:「イリス」〜君の窓を開けなさい
 ヴェルディ:「リゴレット」〜彼女が攫われた・・・彼女の涙が見えるようだ[ピアノ伴奏|1907年5月6日]
 トスティ:私は望む/理想の女/あなたはもう私を愛していない/私の歌 / グリーグ:君を愛す(仏語)
 デンツァ:青い目よ[ピアノ伴奏|1907年5月10日]
 トスティ:第2のマッティナータ「人気のない村の上に」 / ロッシーニ:「セビリャの理髪師」〜空は微笑み
 ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜空と海 / プッチーニ:「ボエーム」〜冷たい手を
 チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」〜青春は遠く過ぎ去り / ディ・カプア:オー・ソレ・ミオ
 コスタ:目覚めなさい(ナポリ語)[ピアノ伴奏|1907年11月4日]  ドニゼッティ:「ランメルムールのルチア」〜私の祖先の墓よ・・・間もなく私に隠れ場所を/
        「ルクレツィア・ボルジア」〜私は名もない漁師の息子だと/「愛の妙薬」〜人知れぬ涙
 ビゼー:「真珠採り」〜あの声・・・私には聞こえるように思える / レオンカヴァッロ:「道化師」〜ああコロンビーナ
 パデレフスキ:「マンル」〜太陽の輝きのように[ピアノ伴奏|1907年11月8日]
 アンセルミ:大洋の上に / グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」〜愛よ、愛よ・・・ああ! 太陽よ昇れ
 トマ:「ミニョン」〜さようなら、ミニョンよ、しっかり(伊語)
 マスネ:「ウェルテル」より〔だが嵐の後のように/私は目が覚めているのかどうかわからない〕[ピアノ伴奏|1907年11月13日]
 ボーイト:「メフィストーフェレ」〜野から牧場から
 ジョルダーノ:歌劇「マルチェッラ」より〔ああ聖なる自由よ/ああ私のマルチェッラよ〕
 ボーイト:「メフィストーフェレ」〜最後の歩みに[ピアノ伴奏|1907年11月25日]
 アンセルミ:私たちの父よ/セレナータ「夜は白く」[ピアノ、オルガン、ヴァイオリン伴奏|1908年3月12日]
 ドニゼッティ:「ファヴォリータ」より〔神の乙女、天使が/優しい魂よ〕[ピアノ伴奏|1908年3月12日]
 ザルド [Zardo] :悲し気な詩/あなたは…[ピアノ伴奏|1908年4月25日]
 プッチーニ:「ボエーム」〜冷たい手を / ロッシーニ:「セビリャの理髪師」〜もし私の名前を
 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」〜彼女の平安の/「コジ・ファン・トゥッテ」〜私たちの恋人たちのやさしい息吹は
 プッチーニ:「マノン・レスコー」〜見たこともない美人[ヴィンチェンツォ・ベレッツァ(P)|1909年10月2日]
 フロトウ:歌劇「マルタ」〜夢のように(伊語)
 サルヴィ:ドニゼッティ未完成の「アルバ公爵」のためのアリア「清らかで美しい天使」
 マスカーニ:「仮面」〜私はぼんやりした雲のように / プッチーニ:「マノン・レスコー」〜ああ!マノンよ、私を裏切った
 フォンツォ [Fonzo] :砂糖のように(ナポリ語) / ナルデッラ [Nardella] :女の愛(ナポリ語)
  [ヴィンチェンツォ・ベレッツァ(P)|1909年10月4日]
 トスティ:夢(仏語)/セレナータ/魅惑 / アンセルミ:ヴィッラネッラ/無限
 エルキュール・ド・フォンテネイユ [Hercule de Fontenailles] :ゆっくり [Tout doucement] (仏語)
 ビゼー:「カルメン」〜君が投げた花を(伊語)[ヴィンチェンツォ・ベレッツァ(P)|1909年10月6日]
 チャンピ [Ciampi] /伝・ルゴレージ/他:ニーナが床に伏してから三日になる
 アラーニャ [Alagna]:シチリアの歌(シチリア語) / デンツァ:黒い目(ナポリ語)
 アンセルミ:凝視(仏語)/新しい歌(仏語) / トスティ:マレキアーレ(ナポリ語)
  [アンジェロ・ベッティネッリ(P)|1909年12月20日]
 トスティ:君なんかもう愛していない/ デンツァ:なぜあなたはぐずぐずしているのか?(仏語)
 スクデーリ:どうか寝なさい / ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜空と海
 アンセルミ:ベアトリーチェ − とても親切で正直な人だ
 マンチネッリ:希求[アンジェロ・ベッティネッリ(P)|1910年1月10日]
 ヘンデル:「セルセ」〜喜び、愛らしく美しく / D.スカルラッティ:気を取り直して希望を抱きなさい
 メンデルスゾーン:五月の愛の歌 Op.8 No.1 /春に Op.9 No.4 /ロマンツェ Op.8 No.10 /春に Op.8 No.6
  [アンジェロ・ベッティネッリ(P)|1910年1月12日]
 R.シュトラウス:明日! Op.27 No.4 (伊語)/夜 Op.10 No.3 (伊語)
 マイヤベーア:「アフリカの女」〜おお、パラダイス!(伊語) / ヴェルディ:「椿姫」〜彼女から遠く離れて/燃える心を
  [アンジェロ・ベッティネッリ(P)|1910年1月17日]
 デ・クルティス:カルメラ(ナポリ語) / ディ・カプア:マリア・マリ(ナポリ語)
 レオンカヴァッロ:「道化師」〜そういう冗談は / グノー:歌劇「ロメオとジュリエット」〜さあ静かに眠りなさい(伊語)
  [アンジェロ・ベッティネッリ(P)|1910年1月19日]
 レオンカヴァッロ:朝の歌 / ヴェルディ:「アイーダ」〜浄きアイーダ / グラメーニャ [Gramegna] :ギターナ
  [アンジェロ・ベッティネッリ(P)|1910年12月5日]
 ムニョーネ [Mugnone] :朝の歌/希望、それは最後の女神 / アンセルミ:ある女性に
  [レオポルド・ムニョーネ(P)|1910年12月5日]
 アンセルミ:ある女性に[ピアノ伴奏|1910年12月5日]

◆ エジソン (THOMAS A. EDISON, INC.) 録音集
  [ロンドン、 UK | 10 inch ダイヤモンド・ディスク]
 レオンカヴァッロ:「道化師」〜衣装を付けろ(2種) / ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜空と海(2種)
 ドニゼッティ:「ファヴォリータ」〜優しい魂よ / ビゼー:「真珠採り」〜私には聞こえるように思われる(伊語|2種)
 マイヤベーア:「アフリカの女」おお、パラダイス!(伊語|2種)
 ドニゼッティ;「ルチア」〜神のもとへと翼を広げた君よ / トマ:「ミニョン」〜彼女は信じなかった(伊語|2種)
  [管弦楽伴奏|1913年1月-2月]

 ジュゼッペ・アンセルミ(T)
 録音:1907年-1913年、 ADD 、371'15 。 Marston の4枚組以上の商品は、ほぼ全て1〜2枚分安価な価格設定になっているが、当盤は枚数分そのままの価格。元々のディスクが希少な上、ブックレットにも費用がかかっているのだろう。20世紀初頭に活躍したイタリアの名テノール、ジュゼッペ・アンセルミ(1876-1929)の全録音集。ジュゼッペ・アンセルミは、シチリア島、カターニャ近郊のニコロージの生まれ。子供の頃からヴァイオリンを学びナポリ音楽院にもヴァイオリンで入学した。その後ヴァイオリニストとして活動しながら、18歳頃から声楽も学んだようだ。ギリシャのパトラでオペラ歌手としてデビューした後、1900年にジェノヴァでヴェルディ「リゴレット」のマントヴァ公で活動を本格化させる。翌年にはロンドンに初登場し成功をおさめ、以降はポーランドロテアを含む欧州各地と南米で活躍する人気テノールになった。1904年にはミラノ、スカラ座に初出演。スター歌手に上り詰めたアンセルミだったが、1918年、まだ声が衰える前の42歳で引退し、以降は歌唱指導をしながら悠々自適な生活を過ごした。1929年に亡くなった。電気録音が導入される前に引退したこと、歌唱スタイルが19世紀末から20世紀初頭の古いスタイルであったことから、一時代を築いた大歌手にしては顧みられることが少ない人だが、とろけるような甘い声をしなやかなフレージングはやはり素晴らしい。この5CDの中では1913年のエジソン社の縦振動録音(横振動録音より音が良いとされた)が特に貴重。marstonの常で復刻も極めて丁寧。さらに80ページ近いブックレットには、英文解説と写真がぎっしり。マニアにはたまらない資料でもある。
54010-2
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(4CD)
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おそらく当デュオの初CD|合衆国で一斉を風靡したピアノ・デュオ、
  ピエール・ルボシュッツ&ジェニア〔ジーニャ〕・ネメノフ〜ピアノ・デュオ録音集

 モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 [1940年2月9日、ニューヨーク| RCA Victor ]/
        2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365
         [セルゲイ・クーセヴィツキー指揮ボストンso.|1938年10月25日、ボストン、ライヴ]
 ショパン:2台のピアノのためのロンド ハ長調 Op.73 [1945年6月12日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 シューマン:アンダンテと変奏曲 変ロ長調 Op.46 [1945年6月11日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 メンデルスゾーン/ルボシュッツ編曲:華麗なるアレグロ イ長調 Op.92 [1945年6月12日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 メンデルスゾーン/フィリップ編曲:「夏の夜の夢」 Op.61 〜スケルツォ[1941年2月21日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ルボシュッツ:ヨハン・シュトラス II 「こうもり」かによる幻想曲「こうもり」[1959年頃| Everest ]
 R.シュトラウス/バビン編曲;「薔薇の騎士」からのワルツ[1949年12月27日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ウェーバー/ルボシュッツ編曲:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 Op.10 No.3 〜ロンド[1952年頃| Remington ]
 モーツァルト/コニュス編曲:「フィガロの結婚」序曲[1941年2月21日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ロッシーニ/コヴァーチ編曲:「セビリャの理髪師」〜私は街のなんでも屋[1945年6月12日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ヘンデル/ルボシュッツ編曲:組曲第7番 ト短調 HWV.432 〜パッサカリア[1941年3月3日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ミヨー:スカラムーシュ Op.165b [1949年6月1日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 レヴィツキ:ジプシー風ワルツ Op.7 [1941年2月8日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ファリャ/レヴィツキ編曲:「恋は魔術師」〜火祭りの踊り[1941年10月8日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 クライスラー/レヴィツキ編曲:中国の太鼓 Op.3 [1945年6月12日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 グリンカ/ルボシュッツ編曲:ひばり[1941年3月3日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 キュイ/ルボシュッツ編曲:「万華鏡」 Op.50 〜オリエンタル[1940年2月8日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ストラヴィンスキー/ルボシュッツ編曲:「ペトルーシュカ」〜ロシアの踊り[1939年9月15日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ムソルグスキー/ルボシュッツ編曲:「ボリス・ゴドゥノフ」〜戴冠式の場面[1940年2月8日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ショスタコーヴィチ/ルボシュッツ編曲:「黄金時代」 Op.22 〜ポルカ[1941年10月6日、ニューヨーク| RCA Victor ]/
                    「黄金の山脈」 Op.30 〜ワルツ[1949年12月27日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 リーガー [Riegger] :新しい舞り Op.18 〜終曲[1941年3月4日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b [1941年3月4日、ニューヨーク| RCA Victor ]/
       ワルツ集「愛の歌、ワルツ」 Op.52a(全18曲)
        [ロバート・ショウ指揮ヴィクターcho.|1941年5月24日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ポートノフ [Portnoff] :ブラームス「甲斐なきセレナーデ」に基づく無窮動[1952年頃| Remington ]
 J.S.バッハ/ルボシュッツ編曲:フルート・ソナタ 変ホ長調 BWV.1031 〜シシリエンヌ
  [1939年9月12日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 J.S.バッハ/フィリップ編曲:オルガン協奏曲 イ短調 BWV.593
  (原曲:ヴィヴァルディ「ヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV.522 」)[1949年5月31日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 J.S.バッハ/ルボシュッツ編曲:来たれ、異教徒の救い主よ BWV.61 [1949年6月1日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 J.S.バッハ:2台のピアノのための協奏曲第2番 ハ長調 BWV.1061
  [セルゲイ・クーセヴィツキー指揮ボストンso.|1947年7月15日、ボストン、タングルウッド音楽祭、ライヴ]
 ドビュッシー:リンダラハ[1952年頃| Remignton ]
 サン=サーンス:死の舞踊 Op.40[1941年10月29日、ニューヨーク| RCA Victor ]/
         ベートーヴェンの主題による変奏曲 Op.35 [1939年9月15日、ニューヨーク| RCA Victor ]
 ハチャトゥリアン:2つのピアノのための3つの小品〔オスティナート/ロマンス/幻想的ワルツ〕[1962年頃| Vanguard ]
 レーガー:導入、パッサカリアとフーガ Op.96 [1952年頃| Remington ]
 ハール・マクドナルド:2つのピアノと管弦楽のための協奏曲
  [ハール・マクドナルド指揮フィラデルフィアo.|
   1944年4月15日、アカデミー・オヴ・ミュージック、フィラデルフィア、中継放送録音]

 ピエール・ルボシュッツ、ジェニア〔ジーニャ〕・ネメノフ(P)
 録音:1938年-1962年頃、 ADD |おそらくすべて初出、あるいは初CD化|[共演|録音年|原盤、あるいはライヴ]:[内]。米国で一世を風靡したピアノ・デュオ、ピエール・ルボシュッツとジェニア〔ジーニャ〕・ネメノフの録音集。ピエール・ルボシュッツ [Pierre Luboshutz] (1891-1971)はロシア帝国時代のオデッサの生まれ。モスクワで学んだ後、二人の姉と共にピアノ三重奏団を組んで楽旅をする。ロシア革命後、米国に移住。パリ音楽院で出会ったロシア系パリ娘のピアニスト、ジェニア〔ジーニャ〕・ネメノフ [Genia Nemenoff] (1905-1989)と結婚、ピアノ・デュオを組んで精力的に活動した。彼らはピアノ・デュオを広めることに努め、委嘱作や編曲も多数ある。なにより二人の2台ピアノ演奏は、息の合ったなどというレベルではなく、明解で緻密な演奏で、現代のピアノ・デュオ演奏の祖というべき存在。1940年代には大きな人気を博し、RCA Victorにかなりの数の録音をしたのだが、しかし1960年代に演奏活動を縮小して以降は徐々に忘れられ、CDはおそらくこれまで1枚も出ていなかった。この4CDにはRCA録音に加え、Remingtonなどのマイナーレーベルの録音やライヴ録も加え、彼らの真価を再評価させる内容になっている。
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(5CD)
4CD価格
チェレスティーナ・ボニンセーニャ〜全録音集
◆ Gramophone and Typewriter /録音:1904年10月-11月、ミラノ、イタリア〜伴奏:カルロ・サバイーノ(P)
 ベッリーニ:「ノルマ」〜清らかな女神よ
 ヴェルディ:「トロヴァトーレ」より〔恋は薔薇色の翼に乗って/ミゼレーレ[共演:ジョヴァンニ・ヴァルス(T)]〕/
       「アイーダ」より〔ここにラダメスが来るだろう…ああ祖国よ/
                逃れましょう、暑く住みにくいこの不毛の土地を[共演:ジョヴァンニ・ヴァルス(T)]〕
 ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜自殺! / プッチーニ:「マノン・レスコー」〜この柔らかなレースの中で
 マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜あなたも知る通り/「仮面」〜私の朝の太陽…私の心は愛に苦しめられている
 グノー:「ファウスト」〜もう遅いわ・・・さようなら(伊語)[共演:フェルナンド・デ・ルチア(T)]
 レオンカヴァッロ:子守歌
◆ Gramophone and Typewriter /録音:1905年、ミラノ、イタリア〜伴奏:カルロ・サバイーノ指揮管弦楽団
 ヴェルディ:「エルナーニ」より〔エルナーニよ、私を連れて逃げて/
                 私があなたに会ったその日から[共演:フランチェスコ・チガーダ(Br)]〕/
       「トロヴァトーレ」より〔静かで穏やかな夜/
                   ご覧ください、この苦い涙の川が(2種)[共演:フランチェスコ・チガーダ(Br)]〕/
       「シチリアの晩鐘」〜ありがとう、愛する友たちよ/
       「仮面舞踏会」より〔けれどもあの乾いた茎から/死にましょう、けれどその前に〕/
       「運命の力」より〔哀れみ深い聖母よ/天使たちの中の聖母よ(2種)[共演:スカラ座cho.]〕/
 マイヤベーア:「アフリカの女」より〔ここから海が見える・・・憎しみが私を棄てた(伊語|2種)/
                   何という天の調和が[伴奏:カルロ・サバイーノ(P)]〕
◆ Gramophone and Typewriter /録音:1906年10月、ミラノ、イタリア〜伴奏:カルロ・サバイーノ指揮管弦楽団
 ベッリーニ:「ノルマ」より〔ああ! かつての誠実な愛の美しさよ私に戻りなさい[共演:cho.]/
               ああ! あの子たちを犠牲にしないで
                [共演:ルイージ・コラッツァ(T) アンドレス・ペレッロ・デ・セグローラ(Br)]〕
 ヴェルディ:「仮面舞踏会」〜あなたは知らないのか[共演:エマヌエーレ・イスキエルド(T)]/
       「運命の力」より〔哀れみ深い聖母よ[共演:cho.]/平安を〕
◆ Gramophone and Typewriter /録音:1906年11月、ミラノ、イタリア〜伴奏:カルロ・サバイーノ指揮管弦楽団
 マルケッティ:「ルイ・ブラス」〜ああ、あなたは私を避けた・・・ああ甘い喜び[共演:ルイージ・コラッツァ(T)]〕
 カントーニ:夜想曲 / サバイーノ:君だけを[伴奏:カルロ・サバイーノ(P)]
◆ Gramophone and Typewriter /録音:1907年、ミラノ、イタリア〜伴奏:カルロ・サバイーノ指揮管弦楽団
 マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜あなたも知る通り
◆ Pathe Freres, Etched-Label Discs /録音:1907年秋、パリ、フランス 」〜管弦楽伴奏
 ヴェルディ:「エルナーニ」〜エルナーニよ、私を連れて逃げて/「トロヴァトーレ」〜恋は薔薇色の翼に乗って/
       「仮面舞踏会」〜死にましょう、けれどその前に/「運命の力」〜平安を/「アイーダ」〜勝って帰れ!
 ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜自殺! / ボーイト:「メフィストーフェレ」〜いつかの夜
 マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜あなたも知る通り
 プッチーニ:「マノン・レスコー」〜この柔らかなレースの中で/「ボエーム」〜私の名はミミ/「トスカ」〜愛に生き
 グノー:「ファウスト」〜昔テューレの王が(伊語)
◆ Pathe Freres /録音:1908年、ミラノ、イタリア〜管弦楽伴奏
 ロッシーニ:「セミラーミデ」〜麗しい光が / ベッリーニ:「ノルマ」〜清らかな女神よ
 ドニゼッティ:「ルクレツィア・ボルジア」〜何と美しい
 ヴェルディ:「トロヴァトーレ」より〔静かで穏やかな夜/ミゼレーレ[共演:アウグスト・スカンピーニ(T)、cho.]〕/
       「シチリアの晩鐘」〜ありがとう、愛する友たちよ/
       「運命の力」より〔哀れみ深い聖母よ/天使たちの中の聖母よ[共演:cho.]〕/「アイーダ」〜ああ私の祖国よ
 ボーイト:「メフィストーフェレ」〜夜が淡く明けていく
 グノー:アヴェ・マリア[共演:ヴィルジーリオ・ランツァート(Vn/Hp)]
 ブラーガ:ワルハラの伝説[共演:ヴィルジーリオ・ランツァート(Vn/Org/Hp)]
◆ The Gramophone Company /録音:1909年4月-5月、ミラノ、イタリア〜伴奏:カルロ・サバイーノ指揮ミラノ・スカラ座o.
 ヴェルディ:「アイーダ」より〔勝って帰れ![1909年4月1日-2日]/
                ここにラダメスが来るだろう・・・ああ祖国よ[1909年4月2日]〕
 グノー:「ファウスト」〜彼は私を愛してる(伊語)[1909年5月14日]
◆ 米 Columbia /録音:1910年〜管弦楽伴奏
 ロッシーニ:「セミラーミデ」〜麗しい光が
 ベッリーニ:「ノルマ」より〔清らかな女神よ/ああ! かつての誠実な愛の美しさよ私に戻りなさい〕[以上、1910年2月18日]
 ヴェルディ:「エルナーニ」〜エルナーニよ、私を連れて逃げて[1910年3月14日]/
       「トロヴァトーレ」より〔静かで穏やかな夜/恋は薔薇色の翼に乗って〕[1910年2月14日]/
       「運命の力」〜平安を/「アイーダ」より〔勝って帰れ!/ああ私の祖国よ〕[以上、1910年3月14日]
 ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜自殺![1910年2月18日]
 マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜あなたも知る通り
 プッチーニ:「ボエーム」〜私の名はミミ/「トスカ」〜愛に生き[以上、1910年2月14日]
◆ 伊 Columbia /録音:1910年頃-1914年頃〜管弦楽伴奏
 ワーグナー:「ローエングリン」〜悲しみの日々に(伊語)
 グノー:「ファウスト」より(伊語)
  〔昔トゥーレの王が/ああ!私は鏡の中の自分が美しくて笑っている(宝石の歌)/彼は私を愛してる〕
 ヴェルディ:「エルナーニ」〜エルナーニよ、私を連れて逃げて/
       「仮面舞踏会」より〔あなたは知らないのか/死にましょう、けれどその前に/
                 ああ、何と心地よいときめきが[共演:ナルチーゾ・デル・リ(T)]〕/
       「運命の力」より〔哀れみ深い聖母よ/天使たちの中の聖母よ〕
 ボーイト:「メフィストーフェレ」〜夜が淡く明けていく
 プッチーニ:「トスカ」〜愛に生き/「イザボー」〜この私の白いマントが
◆ Thomas A. Edison, Inc. ダイヤモンド・ディスク/録音:1911年4月、ロンドン、 UK 〜管弦楽伴奏
 ヴェルディ:「トロヴァトーレ」〜静かで穏やかな夜[1911年4月11日]/「運命の力」〜平安を[1911年4月4日]/
       「アイーダ」〜勝って帰れ![1911年4月4日]
◆ The Gramophone Company /録音:1917年6月、ミラノ、イタリア〜管弦楽伴奏 共演:ルイージ・ボリス(T)
 ヴェルディ;「仮面舞踏会」〜私を愛しているって・・・ああ何と快い慄きが(2種)[1917年6月5日]
 ゴメス:「グアラニー族の男」より
  〔ペリーよ!何を望む?・・・御し難い力を感じる/ああ!彼女の鮮やかな眼差しが(2種)〕[1917年6月2日]
 カタラーニ:「ローレライ」〜今は私の心が[1917年6月2日]
 ジョルダーノ:「アンドレア・シェニエ」〜あなたのそばで心は静まり[1917年6月5日]
◆ Pathe Freres /録音:1918年-1919年、ミラノ、イタリア〜管弦楽伴奏
 ヴェルディ:「トロヴァトーレ」〜鎖に繋がれて・・・震える手をのばし/
       「アイーダ」より〔勝って帰れ!/ではどんな新たな身震いが[共演:ニーニ・フラスカーニ(Ms)]/
                逃れましょう、暑く住みにくいこの不毛の土地を[共演:イチリオ・カレヤ(T)]〕
 ポンキエッリ:「ジョコンダ」〜私は彼女を待った・・・稲妻のような愛が[共演:ニーニ・フラスカーニ(Ms)]
 カタラーニ:「ローレライ」〜それでは!あらゆる哀れみが私から消えるように・・・ああ秘密の力が
 マスカーニ:「カヴァレリア・ルスティカーナ」〜お前がここに、サントゥッツァよ[共演:ヘスース・デ・ガビリア(T)]/
       「イザボー」〜この私の白いマントが,よぼよぼの老婆がやって来た

 チェレスティーナ・ボニンセーニャ(S)
 録音:1904-1919年、ADD、373'50 。20世紀初頭のイタリア・オペラのプリマドンナ、チェレスティーナ・ボニンセーニャ(1877―1947)の全録音集。チェレスティーナ・ボニンセーニャはイタリア、レッジョエミーリアの生まれ。1921年の引退まで、イタリア各地はもちろん、ロンドンのコヴェント・ガーデン歌劇場、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、バルセロナのリセウ大劇場、さらにはサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場まで、欧米で幅広く活躍した。20世紀初頭のプリマドンナとはいえ、当時のヴェルズも・オペラを得意としたドラマティックなソプラノとは異なり、ボニンセーニャの声はとても滑らかで美しく、特に高音域での透明感が素晴らしい。また歌い口が柔軟かつしなやかで、ロッシーニやベッリーニ、初期のヴェルディを歌えるだけ技術も高い。ヴィブラートの強さに多少時代を感じさせるとはいえ、ボニンセーニャの歌は21世紀の今聞いても新鮮さが感じられる。Marstonの常で復刻も丁寧良質で、特に高音質で知られたエジソンのダイヤモンド・ディスクの縦振動盤は百年以上前の録音とは思えないほど声が生々しく再現されている。150年近く前に生まれた名歌手の芸術をたっぷり楽しめる。
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(6CD)
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ヘルベルト・ヤンセン(Br)〜マイスタージンガー〔名歌手〕の肖像
◆オペラとオペレッタ録音:1923-30
 ヴェルディ:「リゴレット」〜日曜日ごとに教会で・・・泣きなさい、娘よ
  [ロッテ・シェーネ(S) フリッツ・ツヴァイク指揮ベルリン国立o.|1927年11月11日、ベルリン]
 プッチーニ:「蝶々夫人」〜さあ私たちの番だ、ここに座りなさい(独語)
  [マルゲリータ・ペラス(S) ゼルマー・マイロヴィッツ指揮管弦楽団|1929年9月24日、ベルリン]
 グノー:「ファウスト」より(独語)〔ああ尊いメダルよ・・・この地を去る前に/
                   私の言うことをよく聞きなさい、マルゲリートよ〕
 ロルツィング:「刀鍛冶」〜君は冷たく私をここから去らせるのか/
        「皇帝と船大工」〜かつて私は王忽、王冠と星形勲章で戯れた
  [フリッツ・ツヴァイク指揮ベルリン国立o.|1928年4月19日、ベルリン]
 ワーグナー:「タンホイザー」より〔君は大胆な歌い方でわれわれに挑戦し/
                  私はここで彼女が祈っているのを見付けると思った〕
  [不明指揮者&管弦楽団|1923年12月、ベルリン]
 ワーグナー:「タンホイザー」より〔君は大胆な歌い方でわれわれに挑戦し/私がこの高貴な集いをぐるりと見ると〕
  [シジスムント・ピリンツキー(T) イヴァール・アンドレーゼン(B)
   カール・エルメンドルフ指揮バイロイト祝祭o.|1930年8月23日-26日、バイロイト]
 ワーグナー:「タンホイザー」より〔私はここで彼女が祈っているのを見付けると思った/
                  死の予感のように夕闇が大地を覆っている・・・ああ、お前よ、優しい夕星よ〕
  [ゼルマー・マイロヴィッツ指揮管弦楽団|1929年12月13日、ベルリン]
 ワーグナー「神々の黄昏」〜いかなる妖怪の策略が
  [ナンニ・ラーセン=トドセン(S) イヴァール・アンドレーゼン(B)
   レオ・ブレッヒ指揮ベルリン国立o.|1928年4月19日、ベルリン]
 ベナツキー:「三銃士」より
  〔私は君を愛している(原作: Art Fitch, Kay Fitch & Bert Lowe: I love you |ベナツキー編曲)/
   君は私の心の中に入り込んで来る〕
  [イェタ・リュンベリ(S) エルンスト・ハウケ指揮大シャウシュピールハウスo.|1929年10月7日、ベルリン]
◆フーゴー・ヴォルフ協会のための録音 1932-35
 ヴォルフ:竪琴弾き1「孤独に身をゆだねる者は」/竪琴弾き2「戸口へと私は忍び歩きしよう」/
      竪琴弾き3「涙とともにパンを食べたことのない者は」/アナクレオンの墓/コフタの歌2
      「ほら、私の助言を聞きなさい[コンラート・V.ボス(P)|以上、1932年9月29日]/
      考えろ、ああ魂よ/祈り/古い絵に/恋人に/ヴァルトブルク城の見張りの歌
      [コンラート・V.ボス(P)|以上、1934年9月22日]/隠棲/ビーテロルフ/溜め息/
      考えろ、ああ魂よ/ある結婚式で[ミヒャエル・ラウハイゼン(P)|以上、1935年11月4日]
◆ライヴ録音より 1936-37、コヴェントガーデン王立歌劇場
 ワーグナー:「神々の黄昏」より〔万歳! 万歳!ようこそ・・・ブリュンヒルデを、気高い女を/いかなる妖怪の策略が〕
  [フリーダ・ライダー(S) ルートヴィヒ・ウェーバー(B)
   トマス・ビーチャム指揮 LPO |1937年6月14日、ロンドン、ライヴ]/
       「さまよえるオランダ人」より〔期限が来た/ Wie aus der Ferne 〕
  [キルステン・フラグスタート(S) フリッツ・ライナー指揮 LPO |1937年6月11日、ロンドン、ライヴ]
◆ブラームス、シューベルト、シューマンの歌曲 1936-38
 ブラームス:わが女王、何とあなたは Op.32 No.9 /もはや君のもとへは行かないと Op.32 No.2 /
       愛の歌 Op.71 No.5 /教会の墓地で Op.105 No.4 [ジェラルド・ムーア(P)|1937年6月15日、ロンドン]
 シューベルト:セレナーデ D.957 No.4 [ミヒャエル・ラウハイゼン(P)|1936年11月10日、ベルリン]/
        影法師 D.957 No.13 /ガニュメート D.544 /道しるべ D.911 No.20 /宿屋 D.911 No.21 /
        ロマンツェ D.797 No.3 /兵士の予感 D.957 No.2 /セレナーデ D.957 No.4 /アトラス D.957 No.8 /
        君の肖像 D.957 No.9 /街 D.957 No.11 /影法師 D.957-13 /全能の神 D.852
         [ジェラルド・ムーア(P)|1937年8月29日、1938年3月22日、1938年11月16日-17日、ロンドン]
 シューマン:二人の擲弾兵 Op.49 No.1 [ミヒャエル・ラウハイゼン(P)|1936年11月10日、ベルリン]/
       献呈 Op.25 No.1 /蓮の花 Op.25 No.7 [ジェラルド・ムーア(P)|1937年6月10日、ロンドン]
◆ヴォルフ、R.シュトラウスの歌曲 1936-38
 ヴォルフ:あらゆる美の女神たちでも適わない/眠れぬ者の太陽/さまよい疲れた者の最後の憩いの地はどこなのか?/
      いつか、いつか、私の想いは/心よ、すべては憩いに向かっている/心の奥深くに私は苦しみを抱えている/
      ああ死よ、来なさい、夜に取り巻かれて/恋する者の歌/散歩/眠れる幼児イエス/狩人/楽士/友/憩え、憩え
       [ジェラルド・ムーア(P)|1937年5月20日、1937年6月15日、1938年11月15日-17日、ロンドン]/
      狩人[ミヒャエル・ラウハイゼン(P)|1937年2月10日、ベルリン]
 R.シュトラウス:黄昏の夢 Op.29 No.1 /夜 Op.10 No.3 /万霊節 Op.10 No.8 /献呈 Op.10 No.1
       [ジェラルド・ムーア(P)|1937年5月20日、1937年6月10日、1937年6月15日、ロンドン]
◆ヴォルフの歌曲、BBC ライヴ 1938.12.7 R.シュトラウスの歌曲 1936-38
 ヴォルフ:楽士/友[不明ピアノ伴奏者|1938年12月7日、ロンドン、 BBC 放送 (Recorded off the Air) ]
◆ライヴ録音集〜エーリヒ・クライバー指揮コロン劇場管、バッハ、ジークフリート 1938
 J.S.バッハ:ヨハネ受難曲〜私の尊い救い主よ
  [エーリヒ・クライバー指揮コロン劇場o. &cho.|1938年9月22日、ブエノスアイレス、アルゼンチン、ライヴ]
 ワーグナー:「ジークフリート」〜あなたに平安があるように・・・賢明な鍛冶師よ!
  [エーリヒ・ヴィッテ(T) エーリヒ・クライバー指揮コロン劇場o.|
   1938年10月4日、ブエノスアイレス、アルゼンチン、ライヴ]/
◆ブエノス・アイレス・セッション〜タンホイザー、パルジファル&オテロより 1943
 ワーグナー:「タンホイザー」より〔私はここで彼女が祈っているのを見付けると思った/
                  死の予感のように夕闇が大地を覆っている・・・ああ、お前よ、優しい夕星よ〕
  [ロベルト・キンスキー指揮コロン劇場o.|1943年10月4日、ブエノスアイレス、アルゼンチン]/
       「パルジファル」より〔だめだ! 覆いを外すな/そうだ、災いあれ! 私に災いあれ!〕
  [ロベルト・キンスキー指揮コロン劇場o.|1943年9月13日、ブエノスアイレス、アルゼンチン]
 ヴェルディ:「オテロ」〜同じものをデズデーモナ様の手に見た・・・大理石のような空にかけて誓おう
  [ラウリッツ・メルヒオール(T) ロベルト・キンスキー指揮コロン劇場o.|1943年8月31日、ブエノスアイレス]
◆グリーグ:歌曲集 1945
 初めてのサクラソウを Op.26 No.4(独語)/挨拶 Op.48 No.1 /白鳥 Op.25 No.2 /それから私は恋人がほしい Op.60 No.5 /
 薔薇の季節に Op.48 No.5 /傷ついた者 Op.33 No.3 /私はあなたを愛している Op.5 No.3 /夢 Op.48 No.6 /明るい夜 Op.70 No.3
  [フランツ・ルップ(P)|1945年6月8日、13日、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US ]
◆アメリカ合衆国での歌曲セッション録音〜シューベルト、シューマン、ブラームス 1945.4
 シューベルト:郵便馬車 D.911 No.13 /あなたは安らぎ D.776 / シューマン:間奏曲 Op.39 No.2 /春の旅 Op.45 No.2
  [イグナーツ・ストラスフォーゲル(P)|1945年9月17日、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US ]
 ブラームス:五月の夜 Op.43 No.2 /鼓手の小歌 Op.69 No.5 / ヴォルフ:アナクレオンの墓/ヴァイラの歌
  [イグナーツ・ストラスフォーゲル(P)|1945年9月14日、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US ]
◆アメリカ合衆国 CBS 放送からのヴォルフとR.シュトラウスの歌曲 1944, 1948
 ヴォルフ:竪琴弾き1「孤独に身をゆだねる者は」/竪琴弾き2「戸口へと私は忍び歩きしよう」/
      竪琴弾き3「涙とともにパンを食べたことのない者は」/アナクレオンの墓
 R.シュトラウス:黒髪を広げておくれ Op.19 No.2
  [アルフレード・アントニーニ指揮 CBS so.|1948年2月2日、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US ]
 R.シュトラウス:賛歌 Op.33 No.3 /巡礼の朝の歌 Op.33 No.4 /ツェツィーリエ Op.27 No.2
  [バーナード・ハーマン指揮 CBS so.|1944年1月26日、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US ]
◆米 Columbia へのマイスタージンガーからの抜粋 1945, 1947
 ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
  〔リラの花が何と柔らかく/迷いだ、迷いだ、どこも迷いだ〕
    [ポール・ブライザッハ指揮管弦楽団|1945年5月31日、ニューヨーク、 US ]/
   私の子よ、私はトリスタンとイゾルデの・・・太陽のように幸せな
    [ポリーナ・ストスカ(S) トルステン・ラルフ(T) ヘルタ・グラーツ(Ms)
     ジョン・ガリス(T) マックス・ルドルフ指揮管弦楽団|1947年12月7日、ニューヨーク、 US ]
◆ワルキューレ第3幕からの抜粋 1945.11.25
 ワーグナー:「ワルキューレ」〜さらば、勇気ある輝かしい子よ
  [アルトゥール・ロジンスキ指揮 NYP |1945年11月25日、ニューヨーク、 US ]

 ヘルベルト・ヤンセン(Br)
 録音:1927年-1947年、 ADD 、404'22 。ドイツ生まれで後に米国に移住してどちらでも活躍したバリトン、ヘルベルト・ヤンセン(1892-1965)の様々な録音を集めた6CD 。ヘルベルト・ヤンセンはケルンの生まれ。ベルリンで学び、ベルリン国立歌劇場のメンバーとなってワーグナーのバリトン役で人気バリトンにのし上がる。1930年代にはバイロイト音楽祭の主要バリトン歌手でアルトゥーロ・トスカニーニが指揮した伝説的な「タンホイザー」の上演でヴォルフラムを務めた。しかしヤンセンはナチの台頭を嫌い1938年にドイツを離れ、まず南米で、それから北米で活動、メトロポリタン歌劇場などで活躍したアルトゥーロ・トスカニーニはまた演奏会歌手として歌曲歌手としても素晴らしい実力の持ち主だった。時代柄ワーグナー歌手として名を馳せたヤンセンだが、柔らかい美声としなやかな歌い口で幅広いレパートリーを誇り、この6CDにはその全貌が見て取れる。ちなみに1927年の「リゴレット」の二重唱は、ドイツ人歌手によるベルリンでの録音にもかかわらずイタリア語で歌われているという時代を先取りした物。

ENSEMBLE MODERN 自主製作 1枚あたり¥3520(税抜¥3200)

 現代音楽の雄、アンサンブル・モデルンの自主製作盤。
 旧譜はこちらから。なお、当レーベルのアイテムは、CDとSACDで品番数字部分が同一のものが存在し、その場合でも内容が異なりますのでご注意下さい(例:EMSACD-002は現代ファゴット作品ですが、EMCD-002はジョージ・ベンジャミン)。
パスカル・デュサパン(1955-):歌劇「パッション」(2006-08)
  〔イタリア語による|台本:パスカル・デュサパン、リタ・デ・レッテリース〕
 フランク・オッル指揮アンサンブル・モデルン キエン・モツェリ(S)
 ゲオルク・クニグル(Br) ウエリ・ヴィゲット(Cemb)
 ヴォーカル・コンソート・ベルリン、ティエリー・コデュイス(音響操作)
 録音:2016年2月7日-8日、フランクフルト [74:14]。毎年、東京オペラ・シティで行われる武満徹作曲賞コンクールの2021年度の審査員を務めたパスカル・デュサパンが2006年に作曲した歌劇。デュサパンはモンテヴェルディの歌劇「オルフェオ」「ポッペア」「ウリッセ」にインスパイアされ、これらの作品を土台とした新しいシアター・ピースを書こうとしたと言う。デュサパンといえばフランコ・ドナトーニとクセナキスに学んだモダニストだが、彼の音楽は現代音楽の要素の中にもドビュッシー、メシアンの流れを汲む独自のリリシズムを持っている。このオペラは実験的な音響の中で時に調性やモードによる抒情的な旋律が歌われ、またチェンバロがバロック音楽の引用を行う。洗練された21世紀のオペラ。
BESCHENKT 〔あっぱれ〕、 40のミニアチュア〜アンサンブル・モデルン結成40年を祝って
 マーク・アンドレ: Rwh3 (抜粋) / マルティン・マタロン: Flux, H.b. &エピローグ
 アンソニー・チュン:逆流 / パスカル・デュサパン:共に / ヨハネス・カリツケ:スマイル!
 ハインツ・ホリガー: ENSMO-OMNES / ヨハネス・マリア・シュタウト:頭文字 -- 冬眠装置
 マルティン・グリュッター:ディアトニック・シンフォニー / ブリギッタ・ムンテンドルフ:デイジー、デイジー
 マイケル・ゴードン:紙吹雪 / キャシー・ミリケン:快進撃
 ゲオルク・フリードリヒ・ハース:エッサウィラからの誕生日の花束 / ハイナー・ゲッベルス:アナコンダの歌
 マーク=アントニー・ターネイジ: A Jolly Good Knees-up
 マンフレート・トロヤーン:ヴァルス・ミニッツ / フレッド・フリス:ダンシング・イン・プレイス
  H K.グルーバー:タンゴ・フラグメント / ヨハネス・モッチマン:ファンファーレと潜在周期
 ウラディミール・タルノポルスキ:オーバー・ドライヴ(抜粋) / ヴィト・ジュライ:バタロの声
 フィリップ・マヌリ:思い出 / アンデシュ・ヒルボリ:ヒルボリ・ミニアチュア
 サルヴァトーレ・シャリーノ:挨拶 / マルトン・イレシュ: EM-kor / エンニオ・モリコーネ:40周年のために
 デイヴィッド・フェネシー:コーダ / ペーテル・エートヴェシュ:クリスマスの歌 / ハンスペーター・キブルツ:喜び
 ジョルジュ・アペルギス:防寒 / アーヌルフ・ヘルマン:頭の中のやさしさ / ヨハネス・シェールホルン: In X
 サミール・オデー=タミミ: DGAM / サイード・ハダッド:ア・ウィンター・カード
 ブライアン・ファーニホウ:裸のクリスマス・ツリー / 今井智景:「薔薇が咲いた」の変容
 マルクス・ヘッハトル:根無し草 / オルガ・ノイヴィルト: Merry X-M
 ベルンハルト・ガンダー:マリアは茨の森を抜けて / エンノ・ポッペ: O Du / ジョージ・ベンジャミン:静かな夜

 インゴ・メッツマッハー指揮アンサンブル・モデルン
 録音:2020年6月29日-7月3日、フランクフルト| CD1[63:12]/ CD2[28:57] 。2020年にアンサンブル・モデルン結成40周年を記念して製作されたアルバム。40年に因んで作風も様々な40人の作曲家がアンサンブルのためにお祝いの曲を作曲し献呈。すべて1〜4分程度の小品で、さながら今日の現代音楽のモザイク模様のように壮観。同種の団体、たとえばアンサンブル・アンテルコンタンポランやクラングフォルム・ウィーンがヨーロッパの、ある特定の前衛様式で書かれた作品ばかり演奏するのに対し、こちらはそういった前衛派だけでなくマイルス・デイヴィスの影響を受けたマーク=アントニー・ターネイジ、ロック系フリー・ミュージックのフレッド・フリス、映画音楽で有名なエンニオ・モリコーネ(彼は2020年に他界したのでここに収録された曲は彼の最晩年の作であろう)の作品を取り上げるなど、その人選、選曲のセンス、企画の独自性において他の追随を許さない。どれも面白いがハイナー・ゲッベルスの、デフォルメされた矢野顕子?みたいな「アナコンダの歌」、ストラヴィンスキーとクルト・ワイルが合体したようなターネイジの「ア・ジョリー・ニーズ・・」、フレッド・フリスの中世ルネサンスとロックが融合したような、とぼけた「ダンシング・イン・プレイス」などは抱腹絶倒の快作。意外とまじめにゲンダイオンガクしているモリコーネ作品も必聴。21世紀音楽の見取り図、音のカタログとしてファンは必携のセット
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 狩猟と形式(1995-2001 /
  ワーク・イン・プログレス:2008状態)
ジョージ・ベンジャミン指揮
アンサンブル・モデルン
 録音:2020年9月3日、ベルリン・フィルハーモニー大ホール、ライヴ。※新ロマン主義の旗手として時代を牽引した鬼才リームの大作をイギリスの俊英作曲家ジョージ・ベンジャミンが振るファン垂涎の一枚。この作品はおよそ20年前に成立したもののワーク・イン・プログレスの作品として成長を続け、この演奏は2008年の状態の録音。およそ一時間に及ぶ怒涛の音の嵐から瞑想的で神秘的な瞬間までリーム節が炸裂する彼の集大成的他大作。アンサンブル・モデルンの渾身の演奏も迫力満点。

MUSIC AND ARTS (米) 1CDあたり¥3080(税抜¥2800)

旧譜はこちらから(若い番号の商品等、掲載中でも入手出来なくなっている物もございます)。
リスト
 巡礼の年第1年「スイス」 S.160 /
 ヴァーグナー「タンホイザー」〜巡礼の合唱 S.443
ジェフリー・ラドゥー(P)
 録音:2020年8月5日-7日、10日、サンフランシスコ、カリフォルニア州、 US | 60'05 。米国のピアニスト、ジェフリー・ラドゥーの弾くリストの巡礼の年第1年「スイス」。ラドゥーはドビュッシーを始めとするフランス近代音楽を得意としており、ここでのリストも豪快に鳴らすのではなく、詩的な情感を大切にしつつ、米国のピアニストらしい技術の高さも見事。ラドゥーはソリストのみならず、デルフィ・トリオのピアノとしても活動しており、どちらもMSRレーベルから発売されている。
ネポムセーノと、彼と同時代の作曲家による歌曲集
 ネポムセーノ:私を愛して/夢見た幸せ/秋/鐘の音/選ばれた眼/
        彼女を優しく揺する/祈り/それは宙に浮いている/忘却への憧れ
 グリーグ:薔薇の季節に Op.48 No.5 /挨拶 Op.48 No.1 /君を愛す Op.5 No.3
 R.シュトラウス:夜 Op.10 No.3 /何も/憩え、私の魂よ Op.27 No.1 /高鳴る胸 Op.29 No.2
 ショーソン:蝶々 Op.2 No.3 /ハチドリ

 キンドラ・シャーリッチ(Ms) リカルド・バレステロ(P)
 録音:2019年2月21日-23日、ベルベディア・ティブロン、カリフォルニア州、 US | 41'19 。近年再評価の進むブラジルの作曲家、指揮者、音楽教育者のアウベルト・ネポムセーノ(1864-1920)の歌曲を中心に、彼と同世代の作曲家の作品も収録。アウベルト・ネポムセーノはブラジル北東部のフォルタレザの生まれ。早くから音楽の才能を示し、20代でヨーロッパに留学。ベルリンで出会い結婚した妻がグリーグの弟子だった縁でグリーグと親しくなり、彼の民俗主義音楽から大きな影響を受けた。彼はまたマーラーとも交流があった。ブラジルでは自国の文化に根ざした音楽の発展に尽力。しかし病気のため56歳で亡くなった。ブラジル音楽史を語る上で無くてはならない偉大な作曲家であるにもかかわらず、これまで録音は数えるほどしかなかった。ポルトガル語を用いた歌曲がまとまってCDになるのは、少なくとも国際的な販路ではこれが初めてかもしれない。穏やかな作風の中に、ヴィラ=ロボスら後進への影響がたしかに聞こえる。1世代上のエルネスト・ショーソン(1855―1899)や、同年生まれでネポムセーノと親しかったというR.シュトラウス(1864-1949)の作品と比べるのも楽しいだろう。キンドラ・シャーリッチは米国の中堅のメゾ・ソプラノ。歌曲歌手として幅広く活躍しており、またバロックオペラにもたびたび出演している。リカルド・バレステロはブラジル、サンパウロ生まれのピアニスト。歌劇場のコレペティトゥール(伴奏歌唱指導ピアニスト)や歌曲の伴奏ピアニストとして活躍している。

ODRADEK RECORDS (米) 〔簡易作成版〕 特記以外 1枚あたり¥3080(税抜¥2800)

シェーンベルク:室内オーケストラ作品集
 @ピアノ協奏曲 Op.42(ライスによる室内オーケストラ伴奏編曲)/
 A4つの歌曲 Op.22(グリースルによるピアノ五重奏伴奏編曲)/
 B「グレの歌」―山鳩の歌(作曲者による室内オーケストラ伴奏編曲)/C室内交響曲第1番 Op.9

 ミヒャエル・ツラビンガー(指揮)ヴィーナー・コンツェルト=フェライン  ピーナ・ナポリターノ(P) イダ・アルドリアン(S) クリストフ・フィラー(Br)
 録音 : @BC2021年9月24-27日、A2022年6月16-17日、ウィーン、DDD、68'28。『※シェーンベルクの室内オーケストラ作品を集めたCD。といってもオリジナルは有名な室内交響曲第1番で、他はシェーンベルク自身のものも含めた編曲。近代の大編成オーケストラ作品を縮小編曲すると作品の斬新さが際立つというのはよくあることで、ここでも百数十年前のシェーンベルクの前衛っぷりが気持ち良い刺激で伝わって来る。 ツラビンガーは1984年、ウィーン生まれの若手指揮者。インゴ・メッツマッハーの助手を長く務め、彼自身20世紀の音楽を得意としている。2018年、マドリッドのレアル劇場でツィンマーマンの「軍人たち」を指揮して大評判となり、以来欧州各地の歌劇場で活躍している。ヴィーナー・コンツェルト=フェラインは1987年結成の若い音楽家によるオーケストラ。』
ベートーヴェン:「遥かな恋人に」 Op.98(全6曲)
シューマン:リーダークライス Op.39
ラヴェル:ドゥルシネア姫に心を寄せるドン・キホーテ」
 ヨエル・ウルヒ(Br) ゾフィー・シュツェパネク(P)
 録音 : 2021年6月11-13日 ドイツ ケルン、DDD、46'16。『※有名連作歌曲集3作を収録。ヨエル・ウルヒはドイツの比較的若いバリトン。少年の頃はエッセン大聖堂の児童合唱団で活動していたという。オペラ(特に新作オペラ)にも出演しているが、近年は演奏会や歌曲のバリトンとして、バロックから現代ものまで幅広く活躍している。力みのない素直な軽めのバリトン。ゾフィー・シュツェパネクはドイツのピアニスト。ソリストとしてのみならず伴奏ピアニストとしても高い評価を得ている。』
VPO 首席チェロ奏者ソモダリ初のソロ・アルバム| HEDRA 〜チェロ・ピアノのための作品集
 ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第4番ハ長調Op.102-1
 フォーレ:悲歌 ハ短調 Op.24
 フォーレ:シシリエンヌ ト短調 Op.78
 ドビュッシー:チェロ・ソナタ
 スティリャヌ(1972-):チェロ・ソナタ第1番 ハ長調

 ペーテル・ソモダリ(チェロ) ニコラス・コスタンティノウ(P)
 録音:2021年9月18―20日 キプロス、DDD,68'09 。『※ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団およびウィーン国立歌劇場管弦楽団の首席チェロ奏者、ペーテル・ソモダリによるチェロ・ソナタ集。ソモダリの独奏CDはあるいはこれが初めてかもしれない(アマル四重奏団のメンバーとしての録音あり)。ペーテル・ソモダリは1977年、ハンガリーのヴェスプレームの生まれ。独奏者としても立派に活動できるだけの力量を持ちながらオーケストラ団員の道を選んだ典型的な奏者で、このCDからも豊かな音楽性、確かな技術、そして滴るウィーンの美音がしっかり伝わって来る。どの曲も素晴らしいが、やはりベートーヴェンの第4番のソナタは絶品。コンスタンティノス・Y.スティリャヌは1972年、キプロス生まれの作曲家。作風は極めてロマンティックで美しい。ニコラス・コスタンティヌの伴奏もたいへん優秀。チェロ好き、ウィーンの音楽家好きには大歓迎されそうなCDだ。
ODRCD-361
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(10CD)
3CD価格
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集
 〔第1番−第32番〕
ミュリエル・シュマン(P)
 録音:2017年7月4日-6日、25日-28日、12月14日-16日、2018年4月27日-30日、10月22日-24日、2019年1月21日-22日、5月20日-22日、7月3日-4日、11月11日-12日、2020年7月15日-18日、2021年3月23日-27日、モンテシルヴァーノ、アブルッツォ州、イタリア。 696'56 。フランス出身でイタリアで活動するピアニスト、ミュリエル・シュマンがベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音。彼女は2000年にも全曲録音を目指し SOLSTICE から3巻6枚分をリリースした(「ベートーヴェン:32のピアノ・ソナタ Vol.1-3 」と銘打たれ、2000年と2001年にリリース)がそこで頓挫、おそらく4枚分が未発売になってしまった。今回が2度目の挑戦で初の全集録音発売となる。ミュリエル・シェルマンはフランス北西部、港湾都市として名高いル・アーヴルの生まれ。5歳でピアノを学び始め、パリのエコール・ノルマルを修了。その後イタリアでマリア・ティーポに学んでいる。欧米で広く活躍しつつ、2014年からヴェネツィア音楽院で指導にも当たっている。シュマンはイタリアでは特にベートーヴェン弾きとして有名で、2016年にODORADEKにディアベッリ変奏曲を録音、好評を得ていた。そしてこのピアノ・ソナタ全集は、ディアベッリ変奏曲の翌年2017年から4年近くをかけてじっくり手掛けた物。長年ベートーヴェンに打ち込んできたピアニストが到達した深い味わいを湛えたベートーヴェンは、強い説得力を持っている。
コンテンポ・コントラスティ
 ピエール・サンドラン(1490-1561):従軍して私の心が凝り固まったとき
 アトリ・ヘイミール・スヴェインソン(1938-2019):ステファン・ホロドゥル・グリムソンの詩による4つの断章(2000)
 フアン・デル・エンシーナ(1468-1529):可憐な勇気 / ジャコブス・デ・ミラルテ(1500頃?):さあ、食事にゆこう
 スヴェイン・ルドヴィク・ビョルンソン(1962-):損失?(1999)
 トマス・モーリー(1557-1602): Sleep Slum'bring Eyes
 ジョン・アントニー・スペイト(1945-):中世イギリスの詩による「今宵は長し」(2000)
 アレグザンダー・スコット(1520頃-1582/3): Depairte, Depairte (ビザンティン写本 [ca.1545] より)
 クレマン・ジャヌカン(1485-1558):昔一人の娘が

 コントラスティ・アンサンブル
  [カミーラ・セーデルベルク(リコーダー)、マルタ・グドルン・ハルドルスドッティル(Vn, Gamba, Voice)
   オロフ・セセリャ・オスカルスドッティル(Gamba, Vc)
   スノーリ・オルン・スノーラソン(Lute, Guiter)、ステーフ・ヴァン・オーステルホウト(Perc) ]
 録音:2001年3月21日、2003年5月7日、ヴィジスタザル教会、アイスランド [56:22]。氷河と火山とオーロラの国アイスランドからユニークなアルバムが登場。アイスランドといえば歌姫ビョークの出身国であり、以前よりポップ・ミュージック・シーンでこの国は注目されていたが、クラシックの分野でも近年、個性的なアーティストがたくさん輩出されている。2000年に結成されたグループ、コントラスティ・アンサンブルもそのひとつ。リコーダー、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴォーカル、打楽器による5人組でヨーロッパの中世、ルネサンス音楽とアイスランドの現代音楽を組み合わせたユニークなプログラミングで注目を集めている。遠い時を隔てた2種類の音楽が出会う時、そこには不思議な化学反応が生じ、どこにも存在しない異次元の世界へと聴き手を導く。アイスランドの現代作曲家の作品は現代曲といっても民族音楽のテイストを持ったどこかなつかしいもので中世ルネサンス音楽との相性も抜群。北方の茫漠とした荒野、そこに咲く一凛の小さな花、吹き出す間欠泉とフィヨルド。ひんやりとしたアイスランドの自然が見えてきそうな一枚。
リスト(1811-1886):
 超絶技巧練習曲 S.139, LW. A172 (1851)
マヌエル・チーニ(P)
 録音:2021年11月15日-17日、スタジオ・オドラデク・ザ・スフィアース [65:47] 。マヌエル・チーニは1998年、当年24歳の若きピアニスト(公式プロフィールに国籍の記載がないが経歴からイタリア出身と思われる)。イタリアのフィエーゾレ音楽院で学んだ後、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックで研鑽を積み、審査委員満場一致で演奏部門での音楽修士号を取得。現在はイギリス、サリー大学の博士課程に在籍、第二次大戦中ナチス強制収容所に送られた作曲家の作品の発見とその普及に尽力している。レパートリーはJ.S.バッハからルチアーノ・ベリオまで幅広いものの、最も得意とするリストがこのほどオドラデクより彼のファースト・アルバムとしてリリース。目の覚めるようなヴィルトゥオジティとラテン的な明晰さ、色彩の豊かさ、歌謡性が一体となった、まったく新しい世代の超絶技巧練習曲の登場。
ODRCD-404
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(3CD)
2CD価格
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集 + ピアノ小品集
 ピアノ協奏曲全集〔第1番 ハ長調 Op.15 (*) /第2番 変ロ長調 Op.19 (*) /第3番 ハ短調 Op.37 (*) /
          第4番 ト長調 Op.58 (**) /第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」(**) 〕/
 ロマンス〔第1番 ト長調 Op.40 /第2番 ヘ長調 Op.50 〕(ピサロ編曲|ピアノ独奏版)/
 アンダンテ ヘ長調「アンダンテ・ファヴォリ」 WoO.57 /
 2つのロンド Op.51 〔ハ長調 Op.51 No.1 /ト長調 Op.51 No.2 〕

 アルトゥール・ピサロ(P) ジュリア・ジョーンズ指揮ヴッパータルso.(*/**)
 録音:2021年1月20日-23日(*)、2021年3月21日、25、26日(**)、ヴッパータル、ドイツ(*/#) /2021年8月10日-12日、モンテシルヴァーノ、アブルッツォ州、イタリア(無印) DDD [201'17]。今やODRADEKの主軸アーティストである、ポルトガルが生んだ名ピアニスト、アルトゥール・ピサロ、そのピサロがベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を録音。これが近年では出色の出来栄え。アルトゥール・ピサロは1968年生まれ。1990年にリーズ国際ピアノ・コンクールで第1位となり、国際的に名を馳せた。録音は少なからずあるのだが、どういうわけか得意とするベートーヴェンの録音は散発的で、協奏曲は3番4番5番だけだった。ついに待望の全集が登場。ピサロの高度な技術と明晰な音色でピアノが一音一音クッキリと輝いている。表現は細部まで練りに練られていうるのだがしかし思慮と節度があり、常に音楽の素晴らしさが引き立つよう注意が払われている。どの曲においてもたっぷりと充足感の味わえる演奏だ。ちなみに第4番の有名な冒頭のピアノ独奏による主題提示で、ピサロはちょっとした仕掛けをしている。ピサロのピアノに加えて、ジュリア・ジョーンズの指揮も素晴らしい。1961年、イングランド、ウスター近郊のドロイトウィッチ生まれの英国の中堅指揮者。2016年から2021年までヴッパータルso. およびヴッパータル歌劇場の音楽総監督を務めた。この録音は任期末期の仕事で、ヴッパータルso. がジョーンズの意をしっかり汲んで演奏していることが音だけでもよく分かる。キリリと引き締まって足取りが軽く、細部まで神経を通わせながら優しい愛を感じさせる音楽はこれまた素晴らしい。とりわけ5曲とも緩徐楽章での情感豊かな美しさが素晴らしい。長めの余白に収録された小品もすばらしい。2曲のロマンスはピサロ自身がピアノ独奏用に編曲した物。ベートーヴェン好き、ピアノ協奏曲好きにぜひ聞いてもらいたい全集+αだ。
ブラームス:ザ・プログレッシヴ Vol.2
 ヴェーベルン(1885-1945):
  9楽器のための協奏曲 Op.24 (1934)
 ブラームス(1833-97):
  ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83 (1881)
ピナ・ナポリターノ(P)
モデスタス・ピトレナス指揮
リトアニア国立so.
 録音:2021年6月10日-11日、リトアニア・ナショナル・フィルハーモニック・ホール、ヴィリニス [58:52] 。ピナ・ナポリターノの「ブラームス:ザ・プログレッシヴ」シリーズ第2弾。第1弾「ブラームス、ヴェーベルン、ベルク:ピアノ作品集」(ODRCD-330)はレコード芸術特選!ブラームスは一般に思われているような頑迷な保守主義者では決してなく、実は新ウィーン楽派の3人が深く傾倒、影響を受けるほど先進的な作曲家だった。この企画はブラームスの作品を新ウィーン楽派の作品と対比させることで彼のそうした側面を浮き彫りにしようという物。今回はブラームスの交響曲並みの規模を持つ大作、ピアノ協奏曲第2番にヴェーベルンの9楽器のための協奏曲を対峙させる。9楽器のための協奏は伝統的な意味でのピアノ協奏曲ではなく、極めて室内楽的な作品だが、ナポリターノは厳しい様式で書かれたこの作品をみずからリードし峻厳なリリシズムを表出している。ブラームスの第2ピアノ協奏曲では甘いロマンティシズムを惜しげもなく出す一方、作品に内在する堅牢な論理性と構造を凛とした態度で演奏。同作品の新しい名演の誕生といってよいだろう。聴き手はこのアルバムでヴェーベルンの作品の中にあるロマンティシズムとブラームスの作品の中にある前衛性を再発見することだろう。
シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 〔第16番 イ短調 D.845, Op.42 /第20番 イ長調 D.959 〕
ステファニア・カファーロ(P)
 録音:2022年5月16日-18日、モンテシルヴァーノ、ペスカーラ州、イタリア、 DDD 、79'48。『※イタリアのピアニスト、ステファニア・カファーロによるシューベルトのピアノ・ソナタ2曲。ステファニア・カファーロは、1972年、シチリア島のカターニアの生まれ。生地のベッリーニ音楽院で学んだ後、シエナのアカデミア・キジアーナで修了証書を得る。カファーロのシューベルトは、すっきりした音色こそイタリア人を感じさせるが、決して急いたり大仰に弾いたりすることなく、じっくりと作品に向き合って作品の内面の情感を大切にした物。このCDには静寂 Silenceという題が掲げられているのだが、たしかに彼女の演奏の背後に広い静寂の空間が感じられるようだ。』
バルトーク(1881-1945):
 ヴァイオリン・ソナタ
  〔第1番 Sz.75 (1921) /第2番 Sz.76 (1922) 〕/
 ルーマニア民族舞曲 Sz.56
  (1915年ゾルターン・セーケイ編曲版)
フランツィスカ・ピーチ(Vn)
林田麻紀(P)
 録音:2021年5月24日-26日、スタジオ・オドラデク・ザ・スフィアース [63:04]。ヴァイオリンのフランチィスカ・ピーチは旧東ドイツ出身。東ベルリンでヴェルナー・ショルツに師事後、いくつかの国内コンクールに入賞。西側に移住後はジュリアードで学んだ。いくつかのオーケストラでコンサート・ミストレスを勤めた後、現在は室内楽とソロ活動に専念している。AUDEITEレーベルから多数のソロ・アルバムが発売になっている。ピアノの林田麻紀はフランスでベルナルト・リンガイセン、ドイツでカール=ハインツ・カンマーリングに学び、現在フランチィスカ・ピーチとデュオを組んで精力的に活動している。彼女たちは攻撃的で激しいバルトークの2つのヴァイオリン・ソナタを繊細に時に凄絶な美しさで演奏、神経質なまでに刻々と変化するフレーズ、リズムのニュアンス、表情を見事に弾き切っている。同作品の新しいスタンダードといってよい録音の登場。オドラデクの音質も優秀。
クロッシング・ライン〜ニック・ショルテン、ハープ・リサイタル
 ニック・ショルテン(1988-):覚醒(2020) /心配しないで(2020) /小さな総括(2017)
 マルセル・グランジャニー(1891-1975):ラプソディ Op.10 (1921) /パストラル(1971)
 マルセル・トゥルニエ(1879-1951):供物(1913) /ソナチネ Op.30 (1924) /ジャズ・バンド(1926) /ため息(1913)
 カルロス・サルセド(1885-1961):夜の歌(1927) /悲嘆(1927) /シンティレーション(1936)

 ニック・ショルテン(Hp)
 録音:2020年7月9日-16日、27日-30日、ステッペン・ウルフ〔荒野の狼〕・スタジオ、オランダ [66:32]。ニック・ショルテンはオランダ出身のハーピスト、作曲家。ユトレヒト音楽院でエリカ・ワーデンブルクに師事、しばらくロイヤル・コンセルトヘボウo. のハープ奏者を勤めていたが、2011年以降はジャズなどクラシック以外のアルバム制作に参加するようになり作曲家として実験的な音楽の制作にも携わっている。このアルバムには自作を含む、普段あまり聴く機会の少ない作曲家のハープ作品が集められている。グランジャニー、トゥルニエは19世紀後半のフランスの作曲家で曲はいずれもドビュッシーの影響を感じさせる繊細で美しい音楽。サルセードはフランス出身だが後にアメリカに移住しハープ奏者、作曲家として活躍、ラヴェルの序奏とアレグロを得意としてこの曲の普及に尽力した。この人の作品はドビュッシーとラヴェルの影響にラテンの要素を加えたセンスのよい音楽。ニック・ショルテン自身の作品はサティを思わせ、かつて一世を風靡したウィンダム・ヒル・レーベルに通じる透明な音楽。録音も大変優秀でハープの美しい音色が充分に堪能できる。
ODRCD-421
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(2CD)
エミーリオ・アリエータ(1823-1894):芸術歌曲全集
 ジプシー女(第1版)/夕べに/ある赤子の死に/漕げ!/ジプシー女(第2版ポロネーズ風)/運命/コレラ伝染病/気紛れ/
 美女/オアシス/憂鬱/追放された娘/湖上で/天才/欲求/悲哀/溜め息/トルクワートへのエレオノーラの告別/君に!/
 モリスコのセレナータ/棘のない薔薇/少女たちの眼差し/少女一人/親交/影/レパントの海戦でのセルバンテス/
 捨てられた娘第1番/春/国民の嘆き/ああ、天の快さよ!/平和/哀れなグラナダよ!/独白/捨てられた娘第2番

 ソフィア・エスパルサ(S) リナルド・ゾック(P)
 アリシア・グリフィツ・トゥリーリャス(ハープ;悲哀)
 録音:2021年2月17-22日、12月7―9日、モンテシルヴァーノ、アブルッツォ州、イタリア、 DDD 、155'02。※ブックレットに歌詞は掲載されていない。※※CDの収録曲は上記34曲。ディジタル配信に含まれるボーナス2曲は含まれていない。19世紀のスペインの作曲家、エミーリオ・アリエータ(1823-1894)の芸術歌曲を集めたCD 。正確なことは分からないが世界初録音の曲が多く含まれていると思われる。アリエータはナヴァラのプエンテ・ラ・レイナの生まれ。マドリッドで学んだ後、イタリアに渡りミラノ音楽院でイタリアの音楽を学び、1846年には最初のイタリア・歌劇「イルデゴンダ」を初演。その後マドリッドに戻るもしばらくはイタリア直伝の音楽を書いていたが、後半生はサルスエラに身を投じた。アリエータのCDはほとんどがサルスエラとそのアリア、それにイタリア・オペラが加わるだけで、当時人気を博した彼の歌曲はあまり顧みられなかった。ここにCD2枚に彼の歌曲がまとまったことは大変意義深くまた未知の宝との出会いが生まれた。イタリア語ありスペイン語あり、音楽もイタリア風ありスペイン風あり、ともかくいずれも素敵な曲ばかりだ。ソフィア・エスパルサはスペイン、ナヴァラ州パンプローナ生まれのソプラノ。美声のソプラノで、スペインを中心に活躍している。リナルド・ゾックはイタリア、トリエステ生まれのピアニスト。ODRADEKからはリストのヴェルディによるパラフレーズ集(ODRCD-309)、アルトゥール・ピサロと組んだドヴォルジャークのピアノ連弾曲集(ODRCD-323)、同じくベートーヴェンの4手ピアノ作品全集(ODRCD-335)、ヘスス・ガルシア・レオス作品集(ODRCD-347)と立て続けに録音が出ている。
大西洋の海水〜ガリシアの作曲家による管弦楽曲集
 @フェルナンド・ブイド(1980-):パサクセス(2016)
 Aファン・ドゥラン(1960-):モンテアグド宮殿の入り口(2014)
 Bオクタビオ・バスケス(1972-):生と死の未亡人(2014)
 Cエドゥアルド・スートゥーリョ(1968-):
  仕事と夜明けの門(さらに他のユークロニア)(2016)
ポール・ダニエル指揮
ガリシア王立po.
@ラケル・ロヘンディオ(S)
Aアルバ・バレイロ(Hp)
Bクリスティーナ・
  パト(バグパイプ)
 録音:2017年6月、2018年7月、ガリシア、スペイン [69:02]。ガリシアとはスペインの自治州のひとつでスペインの北西に位置し大西洋に面した場所。巡礼と大聖堂で有名なサンティアゴ・デ・コンポステーラはこの地にある。このディスクはこの土地出身の様々な世代の作曲家によるヴァラエティに富んだ管弦楽曲を収録している。同郷の作家ゴンザロ・ヘルモの詩によるブイドの声楽曲「パサクセス」は起伏に富んだ抒情的な力作。卓越した管弦楽法が聴き手を惹きつける。ドゥランの「モンテアグド宮殿の入り口」はハリウッドの映画音楽を思わせる(ジョン・ウィリアムズばりの管弦楽法が)華麗なハープ協奏曲。バスケスの「生と死の未亡人」は珍しい一種のバグパイプ協奏曲で中世ルネサンス風の音楽と現代音楽が激突する。スートゥーリョの「夜明けの仕事と門」は20世紀の鬼才画家フランシス・ベーコンの絵からインスピレーションを受けて作曲されたという巨大な交響詩。管弦楽の色彩と機能を存分に発揮させた渾身の力作。
シューマン
 アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70 /
 幻想小曲集 Op.73 /民謡風の5つの小品 Op.102
シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ D.821
アドルフ・
 グティエレス・アレナス(Vc)
ホス・デ・ソラウン(P)
 録音:2021年10月26日-28日、アリカンテ、バレンシア州、スペイン [62:16]。ミュンヘン生まれのスペイン人チェロ奏者、アドルフ・グティエレス・アレナスのODRADEKへの第2弾。第1弾のベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集(ODRCD-407)が大変素晴らしい演奏で驚かされたが、このシューマンとシューベルトはさらに輪をかけて充実している。アレナスのチェロはまさにドイツとスペインの美点の融合で、細部をおろそかにしないキッチリした音楽が下地にありつつ、そこから流麗な歌と体の底から突き上げるような情熱が加わっている。有名なシューベルトのアルペジョーナ・ソナタでは、かなり動的に揺らしているにもかかわらずそれがシューベルトらしい慎ましい佇まいを壊すことがない。シューマンではロマンティシズムがよりストレートで、とりわけ幻想小曲集の大きくうなる情感が素晴らしい。ホス・デ・ソラウンはスペインのピアニスト。バレンシア生まれだが、20年以上米国で暮らして米国籍も持っている。2014年にジョルジュ・エネスク国際コンクールで第1位を獲得。現在はマドリッド在住。
ポリーヌ・ヴィアルド(1821-1910):スペイン語歌曲集
 ハンガリー風二重唱/悲しい心/カーニャ/悪魔のファンダンゴ/おがくず/ロンデーニャ/王女の歌/
 スペインの歌/学生たちのホタ/私の女中の愛/何の役に立つのか?/悲しみのキジバト/
 あなたを忘れろとあなたは言う/マドリッド/カディスの娘/闘牛士/私は闘牛士を愛さない/
 ロジーヌへのセレナーデ/スペイン風ロマンス/ああ孤独よ!/ハバネラ/雌鶏/ほか全25トラック

 ナタリア・ラブルデット(S)エレナ・レスレイソン(Ms)
 フランシスコ・ソリアーノ(P)
 DDD,77'07。『※19世紀半ばにフランスを中心に絶大な人気を誇ったメッゾソプラノ、ポリーヌ・ヴィアルド(1821-1910)のスペイン語歌曲(多くは二重唱)を集めたCD。ポリーヌ・ヴィアルドは、ロッシーニの「セビリアの理髪師」初演でアルマヴィーヴァ伯爵を歌った高名なテノール、マヌエル・ガルシアの娘。姉は伝説的プリマドンナ、マリア・マリブラン。歌手として活躍する一方で、ポリーヌ・ヴィアルドは作曲もし、特に多くの歌曲を残した。このCDにはそのうちスペイン語のものを収録。世界初録音も多数。ナタリア・ラブルデットはマドリッド生まれのスペインのソプラノ。ベルリン芸術大学で声楽を学び、2016年にオペラ・デビュー。素晴らしい美声の持ち主である。エレナ・レスレイソンはポルトガル、バルセロス生まれのメッゾソプラノ。フランシスコ・ソリアーノは、マドリッドで学んだ後、ポーランドのショパン音楽大学に留学したピアニスト。彼らはヴィアルド生誕200年の2021年に彼女の歌曲を手掛け、このCDはその成果でもある。』
内なる旋風
 ジェイムズ・レイ(1957-):フルートとピアノのためのソナチネ(2007)
 ダニエル・サンチェス・ベラスコ(1972-):ダンス・プレリュード(2020)
 ゴンサロ・カシエリェス・カンブロル(1931-2020):運命のワルツ(2014)
 エリセンダ・ファブレガス(1955-):フルート・ソナタ第1番(1995)
 ホセ・エリソンド(1972-):リモンチェッロ(2018)
 パブロ・アギーレ(1961-):フーガ(1997) /距離(2002) /耳をつんざくような情熱(1991)
 マイク・マウアー(1958-):フルート・ソナタ第3番(2003)
  ロベルト・アルバレス(Fl) クセニーア・ヴォフミアニナ(P)
 録音:2020年9月5日-6日、スー・トン音楽院録音スタジオ| [66:13] 。ジャズ、ラテンのイディオムを持った20〜21世紀のフルートとピアノのための作品を集めた一枚。フルートのロベルト・アルバレスはこれまでにカペラデス国際音楽コンクール、アンヘル・ムニェス・トカ賞、シウタット・デ・マンレサ賞など国際的な賞を受賞し、現在シンガポールso. の団員の傍ら、ソロ奏者として活躍している。ピアノのヴォフミアニナは18歳の時、シンガポールの南洋芸術学院でボリス・クラリェヴィッチに師事の後、英国王立音楽院(ロンドン)で音楽学士号を取得、ウクライナのハリコフ国立教育大学で更に研鑽を積んだ若手。このディスクが彼らのデビュー・アルバムとなる。作品はいずれも20世紀後半から21世紀に書かれたものだが、いわゆる現代音楽ではなく、ジャズ、ラテンの影響を受けものからフランス印象派、新古典主義を思わせる美しく親しみやすいものばかり。フルート・ファンのみならず多くのクラシック・ファンにお薦め。
比類なきリスト
 ベートーヴェン/リスト編曲:ゲレルトの詩による6つの歌 Op.48, S.467 より
  〔第1曲 神の力と摂理/第3曲 バスの歌〕
 リスト:悲しみのゴンドラ第1番 S.200 No.1 /スケルツォとマーチ S.177 /
     暗い雲 S.199 /ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178 /不運! S.208 /
     ドニゼッティのルチアとパリジーナの
      2つのモティーフによる演奏会用ワルツ S.214 No.3
 マイケル・ケイコフ(P)
 録音:2021年9月3日、10月22日、スキルマン・ミュージック、ニューヨーク。 [62:16] マイケル・ケイコフはロシア、サンクトペテルブルク出身で現在はアメリカで活動している若手ピアニスト。6歳で既に公開の場でコンサートを行い、後にジュリアード音楽院でジェローム・ローウェンタールに学んだ。全米、ヨーロッパ、アジアで精力的な演奏活動を行っており、レパートリーはバッハから現代曲までと幅広いものの、とりわけリストに強い思い入れがあり、このディスクではリストの代表作 ロ短調ソナタを中核に小品とベートーヴェンの歌曲の編曲作品を収録している。ロマン派のヴィルトゥオーゾ系コンポーザー・ピアニストをこよなく愛するというケイコフは久々に登場する19世紀型・主情主観表出タイプのピアニストといえるだろう。
イベリアの印象
 アルマンド・ジョゼ・フェルナンデス(1906-1983):ソナティナ
 アルベニス(1860-1909):エスパニャ Op.165
 ペドロ・ブランコ(1883-1919):カスティリャ Op.16 〜レオンの子守歌/ロマンティックな時間 Op.6 〜子守歌/
                ガラニアス Op.10 〜ヴェルベナ(祭り)
 ジョゼ・ヴィアナ・ダ・モッタ(1868-1948):3つのポルトガルの情景 Op.9
 シャビエ・モンサルバジェ(1912-2002):イヴェットのためのソナティーヌ

 パウロ・オリヴェイラ(P)
 録音:2021年11月22日-23日、モンテシルヴァーノ、アブルッツォ州、イタリア。 DDD 、63'37。ポルトガルのピアニスト、パウロ・オリヴェイラの演奏するスペインとポルトガルの作曲家のピアノ作品集。スペインというと情熱的という印象が強いが、ここでは知的な美しさが光る曲も多い。アルベニスの「エスパーニャ」は言わずと知れた名曲。アルマンド・ジョゼ・フェルナンデス(1906-1983)はポルトガルの作曲家(ポルトガル人なのでJoseはホセでなくジョゼと読む)。20世紀の作曲家だが明快な作風で非常に魅力的。ペドロ・ブランコ(・ロペス)(1883-1919)はスペインの作曲家。北部のレオンの生まれで、マドリッドで学んだ後、ポルトガルに移ってポルトで亡くなっている。ロマンティックな音楽とドビュッシーなどの近代的な響きが混ざるブランコの音楽は優れたものだったが、1918年から1920年に流行したスペイン風邪の犠牲になり35歳で早世した。ここに収録された3曲を聞くだけでも、彼が長命したら、と思わざるを得ないだろう。ジョゼ・ヴィアナ・ダ・モッタ(1868-1948)はポルトガルの作曲家。彼はリストの最後の弟子として有名。リスボンでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏を成しなどピアニストとして、またピアノ教師としても高名だった。3つのポルトガルの情景は非常に親しみやすい気の利いた曲。カタルーニャの作曲家、シャビエ・モンサルバジェ(1912-2002)となると一気に近代的な響きが広がる。イヴェットのためのソナティーヌは、娘のために書いたものだという。パウロ・オリヴェイラはリスボン高等音楽院で学んだ後、同郷の出身で米国のカンザス大学でピアノ科教授を務めていたセケイラ・コスタ(1929-2019 |ヴィアナ・ダ・モッタの弟子)の高弟になった。癖のない優しい演奏が魅力。
メトネル
 忘れられた調べ第1集 Op.38 /
 4つの抒情的断章 Op.23 /6つのおとぎ話 Op.51 /
 ムーサ(フォルテ編曲) Op.29 No.1
ヴィットリオ・フォルテ(P)
 録音:2022年9月19日-22日、モンテシルヴァーノ、ペスカーラ州、イタリア、DDD 、79'46。近年人気が大いに高まっているニコライ・メトネルのピアノ作品集。メトネルの音楽は、たしかにロシアの香りがするものの、7歳上のラフマニノフのような豊かさ華麗さではなく、抒情的で内省的な音楽で、これは嵌るとたまらない物。人気作である忘れられた調べ第1集、4つの抒情的断章、6つのおとぎ話、に加え、フォルテ自身がピアノ独奏用に編曲した歌曲「ムーサ」も収録。ヴィットリオ・フォルテは、1977年、イタリア最南部のカラブリア州ロッサーノの生まれ。1998年、スイスのジュネーヴに移り、アルゼンチンのピアニスト、エディト・ムラーロに学び、さらにローザンヌ音楽院でクリスティアン・ファヴルにも学んだ。南イタリア出身とはいえスイスで学んだフォルテの演奏は、上質なロマンティシズムに満ちており、メトネルの繊細な美感を見事に生かしている。メトネル・ファンの人はもちろん、まだメトネルを聞いたことがない人への入門としてもお勧めできるCDだ。
エニグマ〜アルマンド・アルフォンソ(1931-):
 ピアノ作品全集
  トリプル・ゲーム研究(2016) /
  アローロの主題による変奏曲(1989) /
  アルバムの綴り1 & 2(2021) /ピアノ組曲(1956) /
  ピアニストの友人への前奏曲集(1996-97)
ハビエル・ネグリン(P)
 録音:2021年11月29日-12月1日、スタジオ・オドラデク、ザ・スフィアース [76:29] 。作曲者アルマンド・アルフォンソは現在パリ在住のスペインの作曲家。母国とフランス、イタリアで学んだ後、バレエのオーケストラ指揮者としてキャリアを開始、後にコンサート指揮者としてアンドラーシュ・シフ、ウラディーミル・スピヴァコフ、クリスティアン・カツァリスらと共演した。その傍ら、作曲家としても管弦楽曲や協奏曲、歌曲など多くの作品を生み出した。このアルバムは彼のこれまでのピアノ作品を集成した物。いわゆる現代音楽ではなく、ロマン派から近代までの様式を踏まえた親しみ易い作風。アルフォンソにとっては同じスペインの先輩作曲家フェデリコ・モンポウにも通じるリリシズムと素朴さを湛えた愛すべき作品集。
まるで川が歌っていたように・・・〜エストニアの新作管弦楽作品集
 アリソン・クルースマー(1992-):まるで川が歌っていたように…(2020) (*)
 マリア・ケルヴィツ(1987-):コンクリート〜オレフ・シーンマーへのオマージュ(2021) (#)
 ラスムス・プール(1991-):ヴァイオリン協奏曲(2019)(+)

 カスパー・マント指揮パルヌ市o.
 ヨハン・ランドヴェレ(P;*) リンダ=アネッテ・ヴェルテ(Vn;+)
 録音:2021年5月22日-23日(*)、2021年10月16日(#)、2021年5月3日-5日(+)、パルヌ、エストニア、DDD 、61'10 。1990年前後に生まれたエストニアの3人の若い作曲家の作品を集めたCD 。アリソン・クルースマーは1992年の生まれ。「川が歌っていたように…」は2020年に作曲されたピアノ協奏曲で、2021年1月にこのCDと同じヨハン・ランドヴェレのピアノで初演された。マリア・ケルヴィツは1987年の生まれ。「コンクリート」は管弦楽作品。エストニアの建築家、オレフ・シーンマー(1881-1948)の生誕140周年を記念して書かれた。このCDの中では最も前衛的な作風、ラスムス・プールは1991年の生まれ。作曲家、指揮者、アレンジャーなど幅広く活躍している。ヴァイオリン協奏曲は2019年の作。ヴァイオリン独奏のリンダ=アネッテ・ヴェルテの依頼で作曲され、2020年9月に彼女のヴァイオリンで初演されている。いずれも世界初録音。カスパー・マントはエストニアの指揮者。2019年からパルヌ市o. の首席指揮者を務め、また2014年からエストニア国立歌劇場の指揮者としても活躍している。
フランチスカ・ピーチ&林田麻紀〜ハンガリー作品 Vol.2
 ドホナーニ:ヴァイオリン・ソナタ Op.21
 コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7 / リスト:悲哀 S.723

 フランチスカ・ピーチ(Vn) ヒラ・カルニ(チェロ) 林田麻紀(P)
 録音: 2022年8月25-31日 イタリア ペスカーラ州 モンテシルヴァーノ、DDD、62'48。『※バルトークのヴァイオリン・ソナタ集(ODRCD 419、レコード芸術特選)に続くフランチスカ・ピーチと林田麻紀のCD、今回はチェロのヒラ・カルニも加えてのドホナーニ、コダーイ、リスト。ドホナーニのヴァイオリン・ソナタは21世紀に入ってからじわじわと人気の高まっている隠れた名曲。ドイツのロマンティシズムにハンガリー的な要素ほどよく入り、そしてなんといっても情熱に溢れている。ここではピーチが太い音色と豊かなヴィブラートで哀愁たっぷりに演奏している。この曲をまだ知らないという人にはぜひおすすめ。コダーイの二重奏曲はもう人気作といってよいだろう、コダーイらしい強烈なハンガリー色に彩られた曲。ピーチとカルニは思い切り高低の対比を彩っている。悲哀(トリスティア)は、リストの「オーベルマンの谷」を、デンマーク生まれの作曲家エドゥアルド・ラッセンの手を借りて自身でピアノ三重奏曲に編曲したもの。ここではピーチ、カルニ、林田の三人がしっとりとした音楽を聞かせてくれる。』
ミケル・ウルキーサ(1988-):
 ソプラノと室内アンサンブルのための「アイ・ナルト・ビー・クロード・オン・ザ・フロルト」(2018) (*) /
 ピアノのための「コントラプルマ」(2016) /ヴァイオリン、チェロとピアノのための5つの小品(2012) /
 ハープ、ピアノ、打楽器、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための「ヘビとはしご(セレナータ)」(2016) /
 フルート、クラリネット、ピアノ、打楽器、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための「灯りが輝く」(2015) /
 フルート、アコーディオン、ヴィオラ、ギター、チェレスタと打楽器のための「ジンツィル」(2012)

 ランスタン・ドンネ(アンサンブル) マリオン・タッソー(S;*)
 録音:2021年7月5日-8日、国立音楽創作センター、アルフォールヴィル、フランス| [56:25] 。ミケル・ウルキーサはスペイン、バスク地方出身の若手作曲家。パリ高等音楽学校でジュラール・ペッソンに学んだ後、2022年にジーメンス音楽財団の作曲賞を受賞。現在パリを拠点に活動し、ヨーロッパのアンサンブルのために盛んに作品を発表している。彼の作風を一言で語るのは容易ではない。活動拠点がパリということから想像されるスペクトル楽派からの影響はほぼ皆無。楽器の特殊奏法から醸し出される独自のユーモア、ノイズ、人を喰ったようなアイロニカルな音の身振りにユニークな音楽観が感じられ、視覚なしの音だけで聴くシアター・ピースといった趣き。オーストリアのオルガ・ノイヴィルトに継ぐ、新しいアイロニカル、ユーモア世代の作曲家の登場。
「宝石」〜ヴァイオリンとピアノのための小品集
 @ハイドン:ヤコブの夢 / Aワーグナー(アウアー編):夢 / Bリスト:3人のジプシー
 Cライネッケ:ロマンツェ Op.3-1 / Dシューマン(アウアー編):予言の鳥 Op.82-7
 Eヨアヒム:ロマンス ハ長調 / Fブラームス:スケルツォ ハ短調
 Gブラームス:アルバムの一葉 イ短調 / H-Lツェムリンスキー:ヴァイオリンとピアノのためのセレナード イ長調
 Mシェーンベルク:ヴァイオリンとピアノのための小品 ニ短調
 Nイザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第5番 ト長調〜第1楽章「曙」
 Oグルジ:ヴァイオリンとピアノのためのアリア Op.94

 ヨハネス・フライシュマン(Vn) クリストフ・ウルリヒ・マイヤー(P)
 コンスタンティナ・グルジ(ピアノ、Eのみ)
 録音:2022年2月21日-23日 イタリア ペスカーラ州 モンテシルヴァーノ DDD,73'48。『※日本でも人気の高いウィーンのヴァイオリニスト、ヨハネス・フライシュマンのODRADEK第2弾(第1弾はコルンゴルトとツァイスルのヴァイオリン曲集 ODRCD 410)。タイトルに掲げられたSOLITAIREとは「一つはめの宝石」、つまり指輪やイヤリング、ネックレスなどで大きな宝石が一粒飾られているものを指す言葉。ここに収録されている曲がそれぞれ大粒の宝石ということである。ヨハネス・フライシュマンのヴァイオリンはウィーン気質の美音を響かせつつ、演奏は高貴で気品高く、まさに宝石のような輝きを放つ。そして最後にはギリシャの作曲家、コンスタンティナ・グルジのアリアが世界初録音されている(これのみ作曲者自身がピアノの特殊演奏をしている)。※デジタル・ボーナス・トラック2曲はCDには収録されていません。』
ミケーレ・カンパネッラ(P)|「宝石」〜「回顧」〜ブラームス:ピアノ小品集
 8つの小品 Op.76 /6つの小品 Op.118 /4つの小品 Op.119

 ミケーレ・カンパネッラ(P)
 録音:2007年、フェルモ、マルケ州、イタリア。DDD 、70'17。ミケーレ・カンパネッラのODRADEKへの第3弾は「回顧」と題されたブラームスの3つの小品集。リスト弾きとして知られるカンパネッラがブラームスの渋い小曲集を弾くのは意外かもしれないが、これが予想を遥かに超えて素晴らしい。カンパネッラはピアノをかなり抑えて弾き、透明感のある静けさの中に豊かな詩情を湛え、そこに控えめな情熱を交える、その絶妙のバランスには舌を巻く。とりわけゆっくりした曲 Op.76の間奏曲 変イ長調や Op.118の イ長調の間奏曲や 変ホ短調の間奏曲 Op.119の ロ短調の間奏曲などは唸らされる。解説もカンパネッラ自身が書いており(英伊語)、ニーチェを引用してブラームスを語るカンパネッラの見識は、そのまま演奏に反映されているのだろう。
スティリャヌ(1972-):
 ヴィオラ・ソナタ集
  〔第1番 ヘ短調/第2番 変ホ長調〕
マーテー・スーチュ(Va)
ニコラス・コスタンティヌ(P)
 録音:2021年12月27日-30日、ストロヴォロス市立劇場、キプロス、DDD 、70'36。コンスタンティノス・Y.スティリャヌのヴィオラ・ソナタ2曲。コンスタンティノス・Y.スティリャヌは1972年、キプロス島生まれのギリシャ系作曲家。作風は近代的ロマンティシズムに東方趣味が少々加わった、といったところ、極めて聞き易い佳曲。これが世界初録音とある。ヴィオラを演奏するのは2011年から2018年までBPOの首席ヴィオラ奏者を務めたマーテー・スーチュ。さすが立派過ぎるくらい立派な演奏で、またハンガリー生まれのスーチュにとって東方的香りもお手の物で、完璧というべき演奏。
スティリャヌ(1972-):
 12の前奏曲第1巻(2008-18)
ニコラス・コスタンティヌ(P)
 録音:2022年6月11日-13日、ストロヴォロス市立劇場、キプロス、DDD 、62'24。1972年、キプロス島生まれのコンスタンティノス・Y.スティリャヌの12の前奏曲第1巻。世界初録音。各前奏曲は芸術作品に触発されたもので、たとえば第9番は有名なクリムトの接吻に基づいているという。そのため12曲の性格は様々で変化に富んでいる。前衛的なところは皆無で、近代風のピアノ曲が好きな人には歓迎されるだろう。ニコラス・コスタンティヌは、ブダペストのフェレンツ・リスト音楽院で学んだ後、ロンドンで修業を重ね、非常に幅広いレパートリーで活躍している。
ラフマニノフ
 ピアノ・ソナタ〔第1番 ニ短調 Op.28 /
         第2番 変ロ短調 Op.36 〕/
 コレッリの主題による変奏曲 Op.42
マテュー・ベルゴ(P)
 録音:2022年10月4日-5日、イタリアペスカーラ州モンテシルヴァーノ、DDD 、78'55。フランスのピアニスト、マテュー・ベルゴの弾くラフマニノフのピアノ・ソナタ2曲他。おそらくこれがマテュー・ベルゴの最初のCDと思われる。このラフマニノフは、いかにもフランス人ピアニストらしく、ロシア的な濃厚さは控えめで、鮮やかな色彩と香りに彩られた物。技術もとても高度。ラフマニノフのピアノ・ソナタは2曲とも長いこと評価されなかったことでも知られるが、ベルゴの演奏はすこぶる魅力的だ。まだ中堅のようなので今後が楽しみなピアニスト。
ODRCD-440
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(2CD)
ガウデンツ&イェナ・フィル〜マーラー:交響曲全集 Vol.1
 @Bスカラタッツィーニ(1971-):魔力/調和
 ACマーラー:交響曲第4番 ト長調/交響曲第5番 嬰ハ短調

 ジモン・ガウデンツ指揮イェナpo. Aリナ・ジョンソン(S)
 録音:@A2022年4月27日-30日、BC2022年5月17日-20日、DDD 、135'02 。ここ10年ほどで特に注目を浴びている指揮者、ジモン・ガウデンツが、音楽総監督を務めるイェナ・フィルハーモニーを指揮してマーラーの交響曲、それも第4番と第5番を一気に2枚でリリース。ジモン・ガウデンツは1974年、スイスのバーゼルの生まれ。2010年から2013年までデンマークのオーデンセso. の首席客演指揮者を務め、軽快で見通しの良い新鮮な音楽で評判を呼んだ。2018年にイェナ・フィルハーモニーの音楽総監督に就任し、この歴史ある町のオーケストラの水準を大いに高めている。ここでのマーラー2曲はどちらもガウデンツの力量が良く表れた名演。音楽は常に明快で重くなることがなく、しかし分析的になったり冷たさを感じさせたりすることもなく、あくまで風通し良く前に進む。力みなく響きが鳴るのでマーラーの大編成でももたれることなく、耳に心地よい。まだ40代のガウデンツ、これを聞けば今後が楽しみになること間違いない。各交響曲の前に収録されているアンドレア・ロレンツォ・スカルタッツィーニ(1971年生まれ)は、2018年からイェナ・フィルハーモニーのコンポーザー・イン・レジデンスを務めている。リナ・ジョンソンは近年メキメキと頭角を現しているソプラノ。ノルウェーのアウステヴォル生まれで、両親はノルウェー人と米国人。
ODRCD-443
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(3CD)
2CD価格
ガウデンツ&イェナ・フィル〜マーラー:交響曲全集 Vol.2
 @ACスカルタッツィーニ(1971-):トルソ/墓碑銘/精霊
 BDマーラー:交響曲第2番 ハ短調 「復活」/交響曲第3番 ニ短調

 ジモン・ガウデンツ指揮イェナpo.、イェナ・フィルハーモニー・フィルハーモニーcho.
 Dイェナ・フィルハーモニー児童cho. Bヤナ・バウマイスター(S)
 Bエフェリン・クラーヘ(コントラルト) Dイダ・アルドリアン(コントラルト)  BDベリット・ヴァルター(合唱指導)
 録音 : @-B2019年5月23-26日、BC2019年11月5-8日、イェナ・フォルクスハウス、DDD、190'23。『※第1弾のマーラーの交響曲第4番と第5番(ODRCD 440)が話題になったジモン・ガウデンツとイェナ・フィルハーモニーのマーラーの交響曲のシリーズ、第2弾は第2番「復活」と第3番の大編成2曲を3CDで発売。ジモン・ガウデンツは1974年、スイスのバーゼルの生まれ。2010年から2013年までデンマークのオーデンセ交響楽団の首席客演指揮者を務めて大いに評価を高めた。2018年にイェナ・フィルの音楽総監督に就任、こちらでもオーケストラの水準を大いに高めて大評判を得ている。その充実ぶりはこの録音を聞けば一目瞭然、歴史あるとはいえ11万人規模の中都市とは思えない緻密なアンサンブルと雄弁な音楽は見事、そのオーケストラを駆使してガウデンツは、明晰で柔らかく透明感に満ちて温かいマーラーを奏でている。ガウデンツのマーラーはまさに2020年代最先端のマーラーだろう。今回もイェナ・フィルのコンポーザー・イン・レジデンスを務めているアンドレア・ロレンツォ・スカルタッツィーニ(1971-)の作品をマーラーの交響曲の前に置いている。なお「精霊」は交響曲第3番に繋がる作られそのように演奏されている。』
フランシスコ・アセンホ・バルビエリ(1823-1894):スペイン語歌曲全集
 密輸入者/もつれ/五感/サン・フェリペ城との別れ/揚げた魚/魂の苦しみ/プエルトリコに連れて行ってあげる/
 神のもの/ひよこへのアドバイス/黒人の子/君の眼差しで/峡谷/何ということだ!/可哀想なアルメリア!/
 セギディーリャス「トカメ・ロケの家」/君の期待を守りなさい/見るたびに/あなたは結婚するでしょう、マリアよ/
 未来のセギディーリャ/神のたいまつ/激しい愛/秘めた情熱/匿名の歌/私はあなたを愛していた/他

 ソフィア・エスパルサ(S) リナルド・ゾック(P)
 録音:2023年2月8-11日 イタリア、アブルッツォ州 モンテシルヴァーノ、DDD、72'23。歌詞、解説ともスペイン語のみ。『※エミーリオ・アリエータの芸術歌曲全集(ODRCD 421)に続くソフィア・エスパルサとリナルド・ゾックによるスペイン歌曲集、今回はフランシスコ・アセンホ・バルビエリ(1823―1894)のスペイン語の歌曲集。フランシスコ・アセンホ・バルビエリはマドリッドに生まれここで活躍した作曲家。サルスエラで知られており、代表作「ラバピエスの理髪師」の中のパロマの歌は今でも親しまれている。とはいえスペインの外ではほとんど知られておらず、さらには非サルスエラ作品となると録音も皆無だったので、このCDは歓迎されるだろう。スペイン情緒溢れる陽気な曲ばかりである。ソフィア・エスパルサはスペイン、ナヴァラ州パンプローナ生まれのソプラノ。リナルド・ゾックはイタリア、トリエステ生まれのピアニスト。』
カリオン・インC
 ライリー:インC / スティヴリナ(1985-):国のない男 / ニルセン:木管五重奏曲 Op.43
 モーツァルト:ディヴェルティメント第1番 変ホ長調 K.113 / デンマーク民謡:私は夢を夢見る

 カリオン木管五重奏団
 録音:2022年5月20日,2023年1月28日-2月2日 デンマーク コペンハーゲン DDD、65'59。『※カリオン木管五重奏団のODRADEKへの久々の録音。このところ注目を浴びることの多いラトヴィアの作曲家、レナーテ・スティヴリナ(1985-)の 「国のない男」の世界初録音が面白い。またニールセンの名曲、木管五重奏曲やモーツァルトのディヴェルティメント第1番も精度の高い演奏である。カリオン木管五重奏団は2002年結成。ハンガリー出身のフルート奏者ドーラ・シェレシュ(彼女は2001年の第5回神戸国際フルートコンクールで第2位を受賞している)、ラトヴィア国立交響楽団の首席オーボエ奏者のエギルス・ウパトニエクス、ラトヴィアのクラリネット奏者エギルス・シェーフェルス、デンマーク国立交響楽団のソロ・ホルン奏者ダヴィド・M.A.P.パルムクヴィスト、デンマークのファゴット奏者ニルス・アナス・ヴェステン・ラーセンの5人で活動している。

PIERRE VERANY (仏) 1CDあたり¥3080(税抜¥2800)

 旧譜はこちらから(ただし発売が古い物は入荷率が極端に悪くなります)。
シュトゥルム・ウント・ドラング〜18世紀のドイツのソナタ
 C.P.E.バッハ:ヴュルテンベルク・ソナタ集 Wq.49〜ソナタ第3番 ホ短調 H.33
 J.C.バッハ:6つのピアノ・ソナタ Op.5 〜第4番 変ホ長調 W.A. 4
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 K.333
 ハイドン:ピアノ・ソナタ第49番 変ホ長調 Hob.XVI: 49(ウィーン原典版・第59番)
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第19番 ト短調 Op.49 No.1
 マリオ・ラスキン(Cemb)
 録音:2020年6月、ショシ、ヴァル=ドワーズ県、フランス。「シュトゥルム・ウント・ドラングSturm und Drang 疾風怒濤」と題されたチェンバロ・アルバム。副題に「18世紀のドイツのソナタ」とある通り、1743出版のC.P.E.バッハのヴュルテンベルク・ソナタ集から1797年作のベートーヴェンのピアノ・ソナタ第19番まで、18世紀の概ね後半のドイツの5曲のソナタがすべてチェンバロで奏でられている。この時期はフォルテピアノがどんどん発達して行くのだが、しかしまだ主流はチェンバロ、そこでラスキンはあえてすべてチェンバロを用い、モダーンピアノはもちろん、フォルテピアノとも異なったチェンバロ演奏による古典ソナタの魅力を引き出している。先に発売されたセバスティアン・デ・アルベーロのソナタ集(PV-721051)と同じくパリから北西に50Kmほど離れたヴィラルソー城所蔵の、クリスティアン・クロル(1745―1782)が1776年に製作した貴重なチェンバロを使用。この楽器の素晴らしい音色を優秀な録音で聞くだけでも価値があるだろう。

POLYMNIE (仏)〔簡易作成版〕 特記以外 1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 旧譜はこちらから
グリエール(1875-1956)
 ヴァイオリンのための二重奏曲 Op.49(全12曲)
パトリス・フォンタナローザ、
ジェルサンド・モンダーニ(Vn)
 録音:2021年1月|収録時間:26:00。『※名作ホルン協奏曲やバレエ音楽「赤いけしの花」「青銅の騎士」で知られるレインゴリト・グリエールはウクライナのキーウ出身。スクリャービン、ラフマニノフと同世代であるが国民楽派の影響を受けた交響曲、バレエ音楽を多く作曲した。このディスクは2つのヴァイオリンのための12のデュオが収められており、大変珍しい。2つのヴァイオリンで奏でられるバレエ音楽とでもいうべき楽しい内容。12の曲のイメージを絵にしたカードが12枚おまけで付いているチャーミングなアルバム。』
本田早美花&郷古廉|テルツェット〜ヴァイオリンとヴィオラのための三重奏曲集
 ドヴォルザーク:弦楽三重奏曲 ハ長調 Op.74 / トッホ:セレナード Op.25
 コダーイ:セレナード Op.12 / フックス:三重奏曲第1番 Op.61-1 / マルティヌー:セレナータ第2番

 本田早美花〔ほんださみか〕、郷古廉〔ごうこすなお〕(Vn)
 シルヴァン・デュランテル(Va)
 録音:2018年5月 フランス オーブ県 トロワ [73'43]。『※日本の素晴らしいヴァイオリニスト二人、本田早美花と郷古廉の共演! 2つのヴァイオリンとヴィオラの三重奏のための作品を集めたCD。ドヴォルザークの弦楽三重奏曲 ハ長調 Op.74は、テルツェットとも呼ばれて親しまれているこの編成の代表的作品。エルンスト・トッホ、ゾルターン・コダーイ、ロベルト・フックス、ボフスラフ・マルティヌー、いずれの作品も実に素敵なものばかりだ。ヴァイオリン2人は日本人。本田早美花は1984年、高知県高知市の生まれ。幼い頃英国で育ち、一時帰国の後、10歳で再渡英、本格的にヴァイオリンを学ぶ。2000年にパリに移り、パリ地方音楽院、パリ国立高等音楽院で学ぶ。以来パリを拠点に国際的に活躍している。郷古廉は1993年、宮城県多賀城市の生まれ。2007年にデビュー。2013年、スイスで開催されたティボール・ヴァルガ・シオン・ヴァレ国際ヴァイオリン・コンクールで第1位。同年には初CDを録音。ソリストとして広く活躍する一方、2023年4月にはNHK交響楽団のゲスト・コンサートマスターに就任。この二人の共演というだけでも注目すべきCDだ。』
リュール=ドルゴルキー(1975-):ピアノ作品集 Vol.11
 タランテル LWV161/4つの前奏曲 LWV163/間奏曲 LWV165/愛の激情 LWV166/悲哀 LWV167/もっと光を LWV177/
 2つの情緒のある風景 LWV179/B.R.のポルカ LWV180/演奏用練習曲 LWV181/楽興の時 LWV183/ヴァルス LWV186/
 バラード第9番 LWV187/ヴァルス=マズルカ LWV190/ソナタ第7番 LWV191/ヴァルス=マズルカ LWV192

 アンゲラン=フリードリシュ・リュール=ドルゴルキー(P)
 録音:2021年5月 フランス オーブ県 トロワ [64'29]。『※POLYMNIEの看板ピアニスト、アンゲラン=フリードリシュ・リュール=ドルゴルキーの自作自演集のなんと第11集。アンゲラン=フリードリシュ・リュール=ドルゴルキーは1975年、パリの生まれ。ピアニストとして活躍する一方で作曲活動にも精力的で、とりわけ20世紀初頭くらいまでのピアニストの伝統を受け継いだ、リサイタルで自分で弾くピアノ小品を数多く書いている。作風はまさにロマンティック・ヴィルトゥオーソ・ピアニストの小品といったものばかりで楽しめる。ちなみにリュール=ドルゴルキーは彼のピアノ曲全作品をCDにするつもりだという。』
リュシアン・ゲリネル(1930-):作品集
 フルートのための「小話3」(1995) /クラリネットのための「夜明けの反射」(1996) /
 バリトン・サックスのための「私の千年」(2010) /ヴィオラのための「喧噪」(2001) /
 ヴィオラのための「声」(1990) /チェロのための「彼の閉ざされた夜」(2006) /オルガンのための間奏曲(1990) /
 ヴィブラフォンのための「呼び声」(1994, rev.2011) /ピアノと語りのための「プロンプターの賛辞」(2011) /
 ギター二重奏のための「青くなった声のために」(1995) /弦楽四重奏曲第6番「調和」(2020) /
 小クラリネットと弦楽四重奏のための「一致6」(2017)

 フレデリック・ベルテレッティ(Fl) ロラン・フレシエ(Cl)
 ニコラ・プロスト(Sax) ギヨーム・ラションブル(Hr)
 シルヴァン・デュランテル(Va) エリック=マリア・クチュリエ(Vc)
 ジャン=ルイ・ロブラン(P) ジェレミー・マキシット(Perc)
 ジャン=ジャック・ブタン(語り)
 デュオ・パリサンドル[ヴァネッサ・ダルティエ(G) ヤン・デュフレスヌ(G)]
 フェンリスSQ ジャック・メルレ(Cl)
 録音:2022年9月、シャロン=シュル=ソーヌ、ソーヌ=エ=ロワール県、ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏、フランス| 132'41 。フランスの作曲家、リュシアン・ゲリネルの様々な作品を収録した2CD 。リュシアン・ゲリネルは1930年の生まれ。少年時代をチュニジアで過ごした。マルセイユでは科学の博士号を取得したという。その後長いこと作曲活動を続けている。このCDに収録されている曲は1900年から2020年までの作品。
ヘンデル、バッハ:リコーダーと通奏低音のためのソナタ集
 ヘンデル:ソナタ〔ニ短調 HWV.367a 「フィッツウィリアム・ソナタ第3番」/
          変ロ長調 HWV.377 「フィッツウィリアム・ソナタ第1番」/
          イ短調 Op.1 No.4, HWV.362 /ハ長調 Op.1 No.7, HWV.365 /ヘ長調 Op.1 No.11, HWV.369 〕
 J.S.バッハ:ソナタ〔ホ長調 BWV.1035 /ト短調 BWV.1020 /変ホ長調 BWV.1031 〕

 クリスティアン・マンドーズ(リコーダー)
 コリンヌ・ベティラック(Cemb) フィリップ・フロン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 録音:2021年10月、アサス、エロー県、オクシタニー地域圏、フランス。アサスといえば、スコット・ロスが一時居住していたことでも知られるアサス城があるが、そこでの録音なのだろうか? フランスを代表するリコーダー奏者、クリスティアン・マンドーズの吹くヘンデルのリコーダーのためのソナタとバッハのフルートのためのソナタ。クリスティアン・マンドーズは1948年、トゥーロンの生まれ。1981年にムジカ・アンティカ(・メディテラネア)を結成、南仏におけるバロック音楽の旗手となった。またコンチェルト・ケルンの団員としても活躍。マンドーズのリコーダーは技術的に完璧なのはもちろん、明るく温かい音色と人懐っこい歌いまわしが大変魅力的で、それはヘンデルで存分に感じられる。一方バッハの作品は本来横笛フルートのための作品だが、マンドーズのリコーダーでは親しみやすさが前に出るのが面白い。 BWV.1020と BWV.1031はバッハの真筆かどうか長いこと議論されて来ている曲だが、マンドーズのリコーダー演奏で聞くと、そういった議論とは別に純粋に素敵な曲だと改めて実感させられる。
2台ピアノによるラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集(第1〜5番)+α
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集(2台ピアノのための編曲版)
  〔第1番 嬰ヘ短調 Op.1 (*) /第2番 ハ短調 Op.18 (*) /第3番 ニ短調 Op.30 /第4番 ト短調 Op.40 〕/
        交響曲 ニ短調「ユース・シンフォニー」〜第1楽章(2台ピアノのための編曲版)
 ラフマニノフ/ヴァレンベルク編曲:ピアノ協奏曲第5番(原曲:交響曲第2番|2台ピアノのための編曲版)
 アレンスキー:ロシア民謡による幻想曲 Op.48 (2台ピアノのための編曲版)

 アンゲラン=フリードリシュ・リュール=ドルゴルキイ(P〔 (*以外):多重録音〕)
 マヘリー・アンドリアナイヴォラヴェローナ(P2;*)
 録音:2012年5月、サルセル、ヴァル=ドワーズ県、イル=ド=フランス地域圏/2021年6月、トロワ、オーブ県、グラン・テスト地域圏、すべてフランス、197'02 。Polymnieから意欲的なCDを立て続けに出しているピアニスト、アンゲラン=フリードリシュ・リュール=ドルゴルキイによるラフマニノフのピアノ協奏曲全集、2台ピアノ演奏。かつてピアノ協奏曲は、オペラや管弦楽伴奏の声楽作品におけるピアノ・ヴォーカルスコアと同様に、オーケストラ部分をピアノ用に編曲した楽譜が出版されるのが普通だった。ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番から第4番までとアレンスキーのロシア民謡による幻想曲については作曲者自身の編曲による2台ピアノ譜が出版されており、それがここでも使用されていると思われる。ラフマニノフの交響曲第2番を2007年にアレクサンドル・ヴァレンベルクが編曲した「第5番」は既に録音はあるが、2台ピアノ演奏は初録音。またアレンスキーのロシア民謡による幻想曲の2台ピアノ演奏も初録音とされる。大オーケストラをバックにピアノが華麗な独奏を繰り広げるオリジナルとは異なり、すべてがピアノの音で混然一体となることで、全体像を俯瞰しながら聞くような新たな視点を得ることができる。アンゲラン=フリードリシュ・リュール=ドルゴルキイは、1975年、パリ生まれのピアニスト、作曲家。リムスキー=コルサコフのピアノ作品全集で注目を浴びたり、ジョン・ウィリアムズの映画音楽を2台ピアノで演奏したり、実に個性的な活動を繰り広げる人だが、演奏は実に正攻法で誠実な物。そのジョン・ウィリアムズのCDなどで共演していたマヘリー・アンドリアナイヴォラヴェローナがピアノ協奏曲第1番と協奏曲第2番で第2ピアノを受け持っている。その他はリュール=ドルゴルキイによる二重録音。
フィリドール(1726-1795):2台ピアノ演奏編曲版による「転調の技法」
 シンフォニア〔第1番 ト短調/第2番 ヘ長調/第3番 ト長調/第4番 変ロ長調/第5番 ハ長調/第6番 ニ長調〕

 シャンタル・アンドラニアン、ジゼル・アンドラニアン(P)
 録音:2021年12月。シャンタルとジゼルのアンドラニアン姉妹が、18世紀後半のフランス、パリの作曲家、フランソワ=アンドレ・ダニカン・フィリドール(1726-1795)の「転調の技法」を2台ピアノ用に編曲して演奏。「転調の技巧」の原曲はオーボエもしくはフルート、2つのヴァイオリンと通奏低音による四重奏曲で、各曲はシンフォニアと題された3楽章。オリジナルの録音もまだ僅かしかないところにこの2台ピアノ編曲。バロック音楽のピアノ編曲の常だが、各声部が均質に絡むので、原曲とはまた異なった構成美が楽しめる。アンドラニアン姉妹の演奏も実に見事。
フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ
 〔第1番 イ長調 Op.13 /第2番 ホ短調 Op.108 〕
エリック・ラクルート(Vn)
ジャン=バティスト・
 フォンリュプト(P)
 録音:2021年2月25日-28日、セガン島、オー=ド=セーヌ県、フランス| 80'31 。※解説の日本語訳あり。なお二人の名字は、ラクルー、フォンリュープ〔フォンルー〕などともカナ表記されるが、ここでは日本語訳の表記に従っている。※80分強の超長時間収録。再生機器の環境にご注意頂きたい。フランスのヴァイオリニスト、エリック・ラクルートの弾くフランクとフォーレのヴァイオリン・ソナタ。エリック・ラクルートは1976年生まれのフランスのヴァイオリニスト。パリ国立高等音楽院の上級課程を修了。2003年からパリ国立歌劇場o. (バスティーユo. )のソロ奏者を務めている。歌劇場で演奏しているためか、ラクルートのヴァイオリンは温かみがあってよく歌い、そしてフランス近代からの伝統を色濃く残している。ジャン=バティスト・フォンリュプトのピアノもフランス的香りが豊かで、かつ作曲当時はこれらのソナタが伴奏においても非常に斬新だったことを思い出させるだけの積極性のある物。これら3曲をまとめたCDとしては出色の出来栄えではないだろうか。
アンゲラン・リュール(1975-):チェロ作品集
 ラプソディ LWV 50 /堂々とした組曲 LWV 87c /
 シシリエンヌとスケルツォ LWV 170 /悲歌 LWV 209 /主題と変奏 LWV 219
ブランダン(1893-1966):ロマンティックな小品
 ゼバスティアン・ヴァン・カイク、ベルトラン・ブライヤール(Vc)
 アンゲラン=フリードリヒ・リュール=ドルゴルキー(P)
 録音:2012年5月、2021年6月、トロワ、オーブ県、フランス。POLYMNIEレーベルではすっかりおなじみのピアニスト、作曲家、アンゲラン=フリードリヒ・リュール=ドルゴルキー(このCDでは作曲家としてはアンゲラン・リュール名義)のチェロとピアノのための作品集。チェロ奏者の一人に、今注目のフランスの四重奏団、ヴァン・カイク四重奏団のチェロ奏者、セバスティアン・ヴァン・カイクが参加している。彼の独奏CDは十数年ぶりのはず。ここではリュールの作品は擬バロックもしくは擬古典のものが多く、ヴァン・カイクの美音が生きている。エミール・ブランダン(1893-1966)はリュールの親戚(great-granduncle 曽祖父か曽祖母の兄弟)だという。なお日本では四重奏団が「ヴァン・カイック四重奏団」と表記されることが多いが、van Kuijk(オランダでは珍しくない姓)はヴァン・カイクと発音する。
オルガンと詩〜ドミニク・プレシェ(1954-2021):
 増殖/ノクタル/柔らかい扉夜の地/フィオレッティ
 ドミニク・プレシェ(Org) ヴィッキー・メシカ、イヴ・ルモワーヌ(語り)
 録音:1972年6月〔1972年5月9日?〕、フェカン、セーヌ=マリティーム県、フランス、おそらくライヴ|36'31|おそらく初CDフォーマット化|初出LP 〔当店推定〕: YVES LEMOINE Editeur (Private Press), 01 YL DP 72.500 。フランスの作曲家、オルガン奏者、ドミニク・プレシェ(1954-2021)の自作自演。「ノクタル」と「夜の地」は、フランスの作家、イヴ・ルモワーヌ(1947-)の詩に朗読に付けた即興演奏。
デジレ・ンカウア87歳-88歳〜
 ショパン:夜想曲全曲(全21曲)
デジレ・ンカウア(P)
 録音:2021年5月、9月、ムードン、イル=ド=フランス地域圏、フランス。
 ンカウア [Désiré N'Kaoua] (1933-)は非常に珍しい名字だが、生地はアルジェリアらしい。リュセット・デカーヴ、ラザール・レヴィ、マルグリット・ロンと言った錚々たる面々に学び、1961年のジュネーヴ国際音楽コンクール・ピアノ部門で優勝しているフランスのピアニスト。1933年生まれで、18歳のときにはBPOと初共演したと言う。当盤は87歳-88歳頃の録音だが、2024年4月にもマスター・クラスを開催しており、90歳を超えても健在振りを示している。公式サイトはあるが、2010年代初頭以降更新がなく、近況が伝わりにくくなっているのは残念。
ショパン
 24の前奏曲集 Op.28 /
 前奏曲 変イ長調 KK IVb/7, (B. 86)
サクル(1948-):24の前奏曲
ボルトキエヴィチ:10の前奏曲 Op.33 より
 〔第7番 嬰ヘ長調/第8番 変ニ長調/第5番 イ長調〕
シャンタル・アンドラニアン(P)
  78'48 。フランスのピアニスト、シャンタル・アンドラニアンによるフレデリック・フランソワ、ギ・サクル、セルゲイ・ボルトキエヴィチの前奏曲集。ショパンは有名な24の前奏曲に遺作の 変イ長調の前奏曲。アンドラニアンのショパンは、剛腕で豪快に鳴らす華やかなショパンとは一線を画した。ショパンがサロンで奏でていた時のような小世界を大切にした物。スケールが小さいからこその詩的な味わいが素晴らしい。ギ・サクルは1948年生まれのフランスの作曲家。24の前奏曲は1993年の作。2曲を除くと2分に満たない短い曲ばかりで、現代的感覚を持ちつつも印象派の残照も濃い。セルゲイ・ボルトキエヴィチ(1877-1952)は、ロシア帝国のハルキウ(現ウクライナのハリコフ)生まれのルーマニア系の作曲家。23歳でドイツに出て、二つの世界大戦とロシア革命に翻弄されながら、50代以降はウィーンを拠点に活動した。非常にロマンティックな作風でしかもナイーヴ。近年急速に再評価されているのも当然だろう。ここでもアンドラニアンの感性豊かな演奏が映えている。

QUERSTAND (独) 特記以外 1枚あたり¥2970(税抜¥2700)

 旧譜はこちらから
光の中へ〜ブレーメン、聖ペトリ大聖堂のオルガン
 ムファット:「音楽とオルガンの資料」〜トッカータ・オクターヴァ
 フレスコバルディ:「音楽の花束」より〔エピストラに基づくカンツォン/ベルガマスカ〕
 ブクステフーデ:トッカータ ニ短調 BuxWV.155
 J.S.バッハ:キリストよ、私たちの方を向いてください BWV.709 /
         私たちはあなたに感謝する、神よ BWV.29 〜序曲/キリエ、永遠の父である神よ BWV.672 /
         キリストよ、すべての世の慰めよ BWV.673 /キリエ、聖霊なる神よ BWV.674
 クレープス:高みにおられる神にだけ栄光があるように」Krebs-WV.500 より〔前奏曲/小フーガ〕
 ヘンデル:チェンバロのための組曲第2番 ヘ長調 HWV.427 より〔アダージョ/フーガ〕
 ドビュッシー:月の光 / レーガー:コラール幻想曲「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」 Op.52 No.2

 シュテファン・ロイトホルト(Org)
 録音:2021年5月8日-11日、ブレーメン、ドイツ、DDD 、72'28 。ブレーメンの旧市街の中心部に聳え立つ聖ペトリ大聖堂の4つのオルガンを用いたCD 。最も大きいものは1894年にヴィルヘルム・ザウアーが製作したオルガンで、その後何度も改修されたものを1993に修復された物。1732、3年頃のジルバーマン・オルガンは小型のもので、1993年に修復。これに近年に製作された、ドレスデンのオルガン製作者クリスティアン・ヴェクシャイダーによるオルガンと、ゲリット・クロップ製作の小オルガンが加わる。シュテファン・ロイトホルトは1973年生まれのドイツのオルガン奏者。2014年からブレーメンの聖堂オルガン奏者を務めている。
フランスの印象〜イルメナウ、聖ヤコブス教会のオルガン
 ランケトュイ:トッカータ ニ長調 / フランク:アンダンティーノ ト短調
 ボエルマン:ゴシック組曲(4曲) / ジュアン・アラン:空中庭園
 メシアン:聖体秘蹟への捧げもの/神の子たち / ヴィエルヌ:オルガン交響曲第3番 嬰ヘ短調 Op.28

 アンドレアス・マルクヴァルト(Org)
 録音:2021年8月23日-25日、イルメナウ、ドイツ、DDD 、76'08 。ドイツのど真ん中、ドレスデンとフランクフルト・アム・マインのちょうど中間あたりの町イルメナウ、その聖ヤーコプス教会のオルガンを用いたフランスのオルガン曲の録音。現在のオルガンは1911年にルートヴィヒスブルクのヴァルッカー社によって製作されたもので、1992、3年と2017年に修復がなされ、20世紀初頭のオルガンらしい勇壮な響きを保っている。マルセル・ランケトュイ(1894-1985)の作品が比較的珍しい。アンドレアス・マルクヴァルトは1981年生まれのドイツのオルガン奏者。2012年からヤーコプス教会のカントールを務めている。
ビーバー&ムッファト:ヴァイオリン作品集
 ビーバー:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第3番 ヘ長調/ロザリオのソナタ〜磔刑
 ムッファト:「音楽とオルガンの資料」〜パッサカリア ト短調
 ビーバー:ロザリオのソナタ〜パッサカリア / ムッファト:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ長調
 ビーバー:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第1番 イ長調

 ドーラ・シラージ(バロックVn) フローラ・ファーブリ(Cemb)
 録音:2021年9月6日-8日、フライブルク、ドイツ、DDD 、67'11 。今注目のハンガリー出身の二人の女性演奏家によるビーバーとムッファトのヴァイオリン作品集。ドーラ・シラージはブダペストのフェレンツ・リスト音楽大学を修了後、フライブルクに移ってゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(フライブルク・バロックオーケストラのリーダー)に学ぶ。バロックの室内楽を中心に活動しつつ、バロック・ヴァイオリンのソリストとしても名声を築きつつある。ドイツ仕込みの折り目正しい格調高い演奏を基本にしつつ、時折見せつ熱っぽさが素敵だ。フローラ・ファーブリはブダペストで学んだ後、ミュンヘンでクリスティーネ・ショルンスハイムに学んだチェンバロ奏者。彼女はマンハイム歌劇場などの歌劇場でコレペティトゥーア(練習伴奏ピアニスト)も務めているからか、伴奏の勘所が非常に良く、ここでもシラージのヴァイオリンを絶妙に引き立てている。選曲も良くビーバーとムッファトの魅力をたっぷり楽しめる。
フランスのヴィオール作品集
 フォルクレ:ルクレール/ラボルド/ブロン/摂政/トロンシャン / マレ:人間の声/スペインのフォリア
 サント=コロンブ:コンセール第44番トンボー「悔い」 / ウデリンヌ:組曲 ニ短調

 アンサンブル・アルト・デコー
  [ユリアーネ・ラーケ、イレーネ・クライン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
   カーステン・ローフ(Cemb) マグヌス・アンデション(リュート)]
 録音:2021年9月6日-9日、ヴァンゼー、ベルリン、ドイツ、DDD 、69'03 。ユリアーネ・ラーケ率いるアンサンブル・アルト・デコーによる新録音は、フランスのヴィオルの三大作曲家、アントワーヌ・フォルクレ(1672-1745)、マラン・マレ(1656-1728)、サント=コロンブ(1640頃-1690頃)の作品。さらに17世紀の謎多きヴィオル奏者、ルイ・ウデリンヌの組曲も収録。ラーケのヴィオラ・ダ・ガンバはいつもながら雄弁。フランスバロックということで華やかさもあるものの、やはりドイツ風の理路整然とした趣も残っていて、伴奏含め完成度の高い仕上がりになっている。
ヴォルフ:イタリア歌曲集(全46曲) ミレッラ・ハーゲン(S)
トビアス・ベルント(Br)
フランク=インモ・
 ツィヒナー(P)
 録音:2020年7月23日-24日、ダーレム、ベルリン、ドイツ、DDD 、73'52 。ヴォルフの傑作、イタリア歌曲集に素晴らしい録音が登場。ズバリ申し上げて、これは今メキメキと人気ソプラノへと駆け登っているミレッラ・ハーゲンを聞くべきCD 。ミレッラ・ハーゲンは1984年、バイエルン州ヴュルツブルクの生まれ。彼女の美声はクリスタルに喩えられるほどの透明で硬質で素晴らしい響き。バロックやモーツァルトを得意とする一方、ピンと張った声はロマン派でも圧倒的で、2013年から2015年に渡ってバイロイト音楽祭でヴォークリンデと森の小鳥を歌った。そして彼女はヴォルフには強い思い入れがあるようで、2012年、シュトゥットガルトでの歌曲コンクールでヴォルフを歌ってファイナリストに入っている。それから8年後のハーゲンは表現もしっかり練られている。CDでは歌曲の録音はどうしてもベテランが受け持ちがちだが、若く瑞々しい声の歌手によるドイツリートは実に新鮮だ。一方のバリトンのトビアス・ベルントも素晴らしい。1979年、ベルリン生まれの中堅。一声聞けば偉大なフィッシャー=ディースカウの伝統に連なる歌手と分かる逸材。バッハのバリトンとして大活躍している。
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 メヒティルト・
 ヴィンター(Cemb)
 録音:2021年5月、ゴーリヒ、ライプツィヒ、ドイツ、DDD 、79'37 。ドイツのチェンバロ奏者、メヒティルト・ヴィンターによるゴルトベルク変奏曲。メヒティルト・ヴィンターは1969年、ライプツィヒの生まれ。生地でクリスティーネ・ショルンスハイムに学んだ後、バーゼル・スコラ・カントルムでさらに研鑽を積んだ。1992年、ライプツィヒでのバッハ・コンクールのチェンバロ部門で第3位。東西統一後のドイツで30年活躍している。演奏は堅実で派手に腕をひけらかすことなく、作品をじっくり聞かせてくれる。1624年、アントウェルペンのヨアンネス・リュッケルス製作のチェンバロのレプリカ、2008年、マティアス・グリーヴィッシュ製作の楽器を使用。
ヴルピウス:モテット集第4巻〜聖歌集第2集
 ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中(ルカによる福音書第10章)/神よ、私の心は定まった(詩篇108)/
 キリストが昇天した時/今日、聖霊降誕の日が来た/
 誰かが私の主を取り去った(ヨハネによる福音書第20章、マタイによる福音書第28章)/復活のいけにえに/
 エルサレムよ大きな喜びで喜べ/見なさい、何という幸せ、何という喜び/イエスはナインという町に行った/
 イエスはエルサレムへ行く時/民よ、主に喜びの声をあげに走って来なさい/主の聖所で主を称えなさい/言葉は肉となり

 ルネ・ミヒャエル・レーダー(Org)指揮
 カペラ・ダレミンツィア、カペラ・ヴォカーレ・ヴァルトハイム
 録音:2017年8月21-26日、ヴァルトハイム、ザクセン州、ドイツ、DDD 、66'34 。querstandによるメルヒオール・ヴルピウス(1570頃―1615)のモテット集の第4巻。今回は1603年に出版された聖歌集 Cantiones Sacrae第2巻から、8声、10声、12声、14声のモテットを収録している。ヴルピウスは1596年からワイマールのカントールを務めた歌手、作曲家。高名な作曲家だったが45歳ほどで亡くなり、その作品は長らくザクセンのヴァルトハイムの教会図書館に所蔵されたままだった。2002年からこれらの作品の研究が進み、それを受けてルネ・ミヒャエル・レーダー率いるカペラ・ダレミンツィアによって網羅的な録音が進んでいる。今回は多声作品が多いので演奏も充実した物。
子供のための歌曲
 ムソルグスキー:歌曲集「子供部屋」(全7曲) / チャイコフスキー:嵐の中の子守 Op.54 No.10
 シューベルト:子守歌(2曲)〔 D.304 / D.498 〕/私の揺りかごに D.927 / ルビ:アーメンの歌
 ツァイスル:子供の歌曲集〜眠りの歌 / ツェムリンスキー:眠りの歌
 イルゼ・ウェーバー:そして雨が滴る/タニウツギ〔ヴィーガラ〕 / フックス:子供の死によって
 ワインベルク:7つのイディッシュ語の歌 Op.13 /6つの子供の歌 Op.139 〜子守歌/
        私が子供を揺すって寝かせると Op.110 No.4

 アンナ・グラーフ(S) ハン=リン・ユン(P)
 録音:2022年2月21日-23日、DDD 、60'37。曲名を見れば分かる通り、子守歌など子供のための歌曲を集めた面白い内容のCD 。シューベルトの歌曲や、ムソルグスキーの「子供部屋」(全7曲収録)などの有名曲から、ワインベルクのイディッシュ語の歌、アウシュビッツ強制収容所で処刑された悲劇の詩人、イルゼ・ウェーバーの子供のための歌まで、さまざま。アンナ・グラーフは、ロシア南西部、カフカス(コーサカス)地方のカバルダ・バルカル共和国の首都ナリチク出身。現地で学んだ後、21歳でケルンに留学。元々は合唱指揮者になるつもりだったそうだが、素晴らしく優しく温かい美声の持ち主で、歌手としての活動が主になった。まだデビューして数年だが既にドイツの地方歌劇場では人気のソプラノ。ここでの子供向けの歌曲は絶品で、若い母親が愛情いっぱいに子供に歌って聞かせているような安らぎに満ちている。ハン=リン・ユンは台湾出身のピアニスト。
モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550
シューベルト:交響曲第5番 変ロ長調 D.485
ダヴィド・ラビノヴィチ指揮
アポロ・アンサンブル
 録音:2020年11月、ホールン、北ホラント州、オランダ、DDD 、63'41 。ダヴィド・ラビノヴィッチ率いる古楽オーケストラ、アポロ・アンサンブルがquerstandにお目見え、しかもモーツァルトの大 ト短調交響曲とシューベルトの第5交響曲という人気古典交響曲2曲。ダヴィド・ラビノヴィッチは1959年、ソ連時代のウクライナのニコライウの生まれ。名ヴァイオリニストにして名教師のザハール・ブロンに学んだ後、1994年から2000年までオランダのハーグ王立音楽院で古楽を学んだ。以降アムステルダムやロンドンなどのピリオド楽器オーケストラのヴァイオリン奏者として大活躍をした。1992年創設のアムステルダムのピリオドオーケストラ、アポロ・アンサンブルの音楽監督を2000年から務め、評価を高めている。このCDも数多くの古楽団体で腕を磨いたラビノヴィッチの経験が万全に生きた演奏。大 ト短調交響曲ではロマン派の思い詰めたような表情はさっぱりと流され、かといってことさらに刺激的に荒ぶって演奏するのでもなく、あくまで初演当時の演奏様式に根差してリピートもすべて実行し、作品本来の姿を克明に浮き上がらせることでこの異形の傑作を演奏。なおクラリネットなしの初稿を使用。一方シューベルトの第5交響曲は、基本的に初期古典派らしく演奏しつつ、その範囲内で未完成交響曲や大 ハ長調交響曲へ繋がるほの暗いロマンティシズムを巧く引き出して良い味わいに仕立てている。これからもダヴィド・ラビノヴィチ率いるアポロ・アンサンブルに期待したくなる演奏だ。
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再発見された声|ヘルデン・テノール、ホルスト・ヴォルフ〜オペラ抜粋集 1936-59
 ヴェルディ:「仮面舞踏会」第3幕より(独語)〜おそらく彼女は到着している/永久に君を失えば
  [ホルスト・ヴォルフ(T;リッカルド) ヘルムート・ザイデルマン指揮デッサウ・フリードリヒ劇場o.|
   1936年11月3日、デッサウ、ドイツ]
 ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から〔7部分|約30分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;ヴァルター・フォン・シュトルツィング) マティアス・クライン(B;ザックス)
   アニタ・アルヴァルト(S;エーファ) ハンス・シュトイデル(Br;ベックメッサー)他
   ハインツ・レットガー指揮デッサウ州立劇場o.|1956年10月7日、デッサウ、東ドイツ]/
       「トリスタンとイゾルデ」第3幕から〔8部分|約44分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;トリスタン) フィルマ・フィヒトミュラー(S;イゾルデ)
   クルト・ウーリヒ(Br;クルヴェナール) クルト・ラインハルト(T;牧童)
   ミクローシュ・ルカーチ指揮デッサウ州立劇場o.|1955年5月26日、デッサウ、東ドイツ]/
       「タンホイザー」から〔22部分|約80分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;タンホイザー) エミ・プレル(S;エリーザベト)
   ロベルト・ラウヘファー(Br;ヴォルフラム) カール・ハーマン(B;ヘルマン) トルーデ・テレン(Ms;ヴェヌス)
   ハインツ・レットガー指揮デッサウ州立劇場o.|1954年12月12日、デッサウ、東ドイツ]
       「ワルキューレ」第1幕から〔6部分|約30分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;ジークムント) エミ・プレル(S;ジークリンデ) ペーター・ロト=エーラング
    (B;フンディング) エーリヒ・リーデ指揮デッサウ州立劇場o.|1954年1月24日、デッサウ、東ドイツ]
       「神々の黄昏」第3幕から〔4部分|約34分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;ジークフリート) ペーター・ロト=エーラング(B;ハーゲン)
   リタ・ヴェーグナー(S;ヴォークリンデ) アニタ・アルヴァルト(S;ヴェルグンデ) エルナ・ベルマン
    (Ms;フロスヒルデ) ハインツ・レットガー指揮デッサウ州立劇場o.|1955年5月22日、デッサウ、東ドイツ]
       「ローエングリン」第3幕から〔3部分|約15分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;ローエングリン) エミ・プレル(S;エルザ) ハイナー・バウマン(Br;ハインリヒ)
   エーリヒ・リーデ指揮デッサウ州立劇場o.|1952年11月23日、デッサウ、東ドイツ]
       「さまよえるオランダ人」から〔2場面|約20分〕
  [マティアス・クライン(B;オランダ人) エミ・プレル(S;ゼンタ) ホルスト・ヴォルフ(T;エリック)
   ハインツ・レットガー指揮デッサウ州立劇場o.|1956年11月21日、デッサウ、東ドイツ]
       「パルジファル」から〔6場面|約41分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;パルジファル) ヴィルマ・フィヒトミュラー(S;クンドリー) ハンス・シュトイデル
    (Br;クリングソル)他 ハインツ・レットガー指揮デッサウ州立劇場o.|1956年11月21日、デッサウ、東ドイツ]
       「リエンツィ」〜全能の父よ[ホルスト・ヴォルフ(T;リエンツィ)
   エルンスト・アルブレヒト・ラインハルト指揮ゲーラ市劇場o.|1959年4月2日、ゲーラ、東ドイツ]
 ヴェルディ:「アイーダ」から〔2場面|約14分|独語〕[エミ・プレル(S;アイーダ) ホルスト・ヴォルフ(T;ラダメス)
   ロージャ・デリ(Ms;アムネリス) ロベルト・ラウヘファー(Br;アモナズロ)
   ハインツ・レットガー指揮デッサウ州立劇場o.|1955年11月6日、デッサウ、東ドイツ]
 プッチーニ:「トスカ」から〔2場面|約6分|独語〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;カヴァラドッシ) エルンスト・アルブレヒト・ラインハルト指揮
   デッサウ州立劇場o.|1953年5月30日、デッサウ、東ドイツ]
 ダルベール:「低地」から〔15部分|約70分〕
  [ホルスト・ヴォルフ(T;ペドロ) フィルマ・フィヒトミュラー(S;マリア) エルヴィン・パタキ(B;トマゾ)他
   エルンスト・アルブレヒト・ラインハルト指揮デッサウ州立劇場o.&cho.|1956年6月12日、デッサウ、東ドイツ]
 録音:1936年-1959年、ADD 、394'51 |おそらくほぼ初出音源と思われる。これらの音源は元々、長年デッサウの歌劇場で活躍したヴォルフ自身が自らテープレコーダーを使用して自分の役を録音していたものだが、1980年に自宅が火事になり妻は焼死、彼自身も大やけどを負って数週間後に亡くなってしまった。自宅に保管されていたテープもほぼ再生不能になったと思われていたが、近年一部が修復され、このセットが誕生したという。ドイツのテノール、ホルスト・ヴォルフ(1894-1980)の貴重なライヴ録音が集められた5CD 。彼は日本ではほとんど知られていないだろうが、長らくドイツのデッサウ劇場を拠点に活躍したテノールで、特にワーグナーの英雄役を得意とした。しかしあまり大都市で活動せず、また全盛期である40代後半が第二次世界大戦と重なったり、さらに戦後はデッサウが東ドイツ領になったりしたことで、国際的知名度を得ることはなかった。とはいえ歌手としての力量はたいへんに高く、デッサウ市民はヴォルフを愛し、彼は1957年まで舞台に立ち続けた。ヴォルフは1950年代半ばからテープレコーダーで自分の舞台を録音するようになり、ここに収録されている録音は、1936年の「仮面舞踏会」を除くと、すべてそれらを音源としている。これらのテープは1980年の火災によって多くが焼失し、残ったものも再生不能になっていたというが、近年になっていくつかのテープが修復され再生可能になり、こうしてCDになったという。ヴォルフの歌声と共に、かつてドイツでも屈指の名地方劇場として知られたデッサウ劇場の上演活動を垣間見られる貴重な資料にもなっている。ドイツ語の38ページの詳細な解説冊子付き。
フェスラー&メードラー〜ジャズとクラシックの融合
 年ごとに/静かに雪が降り/ああモミの木よ/船がやって来る/マリアは茨の森を通り/エサイの根より/
 ヨーゼフよ、私の愛しいヨーゼフよ/きよしこの夜/天使の澄み渡った歌声を聞け/
 私はこのまぐさ桶のところに立つ/神の子は今晩にも/あああなたは何と喜ばしく/
 甘い喜びに(もろびと声あげ)/鐘がなお柔らかく響くことはない

 フェスラー&メードラー
  [ペーター・フェスラー(歌/G) ウルフ・ディルク・マドラー(Br)]
 DDD 、37'37 。ジャズとクラシックを融合させたデュオ、フェスラー&メードラーのCD 。ペーター・フェスラーはジャズ・ギタリストで歌もこなし、ウルフ・ディルク・メードラーはクラシックのバリトン。二人はベルリンのギリシャ料理店で偶然出会い、意気投合してデュオを組んだという。このCDには有名なクリスマス曲が中心に収録されている。バリトンとギター伴奏でじっくり聞かせる曲もあれば、ノリノリの曲もあり、どちらも楽しめる。

SALAMANDRE (仏) 特記以外 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 2012年に俳優・詩人・音楽家のヴァンサン・フィギュリ [Vincent Figuri] によって設立&2015年にリリースを開始、年一作以下だが堅調にリリースを続けているフランスの小レーベル。創設者の経歴からか語りが入る作品が1点に1曲は収録されている。
 ご案内済旧譜はこちらから
オルガンで聴く「ピーターと狼」「展覧会の絵」
 プロコフィエフ/ティエリー・メクラー編曲:「ピーターと狼」(オルガン版)(*)
 ムソルグスキー/ティエリー・メクラー編曲:組曲「展覧会の絵」(オルガン版)

 ティエリー・メクラー(Org) ヴァンサン・フィギュリ(朗読;*)
 録音:1993年〔演奏者の公式サイトによると1990年〕、サン・エティエンヌ〔サンテティエンヌ〕大聖堂,オーセール|(朗読部分)2023年3月14日 [65:08] |初出・旧品番(音楽部分のみ): REM, REM 311215 〔当店未案内|廃盤、入手不能〕。『※オルガンの多彩な音色を使って聴く、プロコフィエフの「ピーターと狼」そしてムソルグスキーの「展覧会の絵」。オルガンの複雑なレジストレーションを駆使してオーケストラ以上の豊かな色彩と迫力を作り出します。「ピーターと狼」にはフランス語の朗読が入ります。それぞれの登場人物のテーマがどんな音色で描かれているかはお楽しみ。「展覧会の絵」のオルガン版は荘厳というほかなく、冒頭のプロムナードそして最後の「キーウの門」に至っては教会の大伽藍の残響も手伝って聴き手を圧倒します。ラヴェルの管弦楽編曲版に継ぐ名編曲版です。ぜひお聴き下さい。』
朗読とピアノ〜シューベルト、シューマン、リストのメロドラマ集
 リスト:悲しみの僧侶 S.348 /ヘルゲ王の誠実 S.686 /亡き詩人の愛 S.349 /盲目の歌手 S.350 /レオノーレ S.346
 シューベルト:この世からの別れ D.829
 シューマン:美しいヘドヴィヒ Op.106 /野の少年のバラード Op.122 No.1 /逃亡者 Op.122 No.2

 ヴァンサン・フィギュリ(朗読) パスカル・アモイェル〔アモワイヤル〕(P)
  81'21 。このピアニストの名字は「アモワイヤル」「アモイヤル」「アモワイエル」「アモイエル」等々、様々にカナ翻字されているが、綴りは Amoyel なので「アモイェル」が妥当か。なお、著名ヴァイオリニストのピエール・アモイヤル〔アモワイヤル〕 [Pierre Amoyal] とは名字の綴りが異なる。フランス語発音記号に忠実に則ると、当盤の前者は「アムワイェル」、後者は「アムワイァル」と表記することも可能だろう。朗読入りの音楽に特化したレーベル、SALAMANDREの新譜は、シューベルト、シューマン、リストのメロドラマ。メロドラマは台詞と音楽を重ねた伴奏つき朗読のような形式。18世紀に流行し、かのベートーヴェンも「フィデリオ」の地下牢の場面で用いている。劇作品のほかにもピアノ伴奏作品も多数作られた。しかし今日では大作曲家の作品らあまり顧みられない。このCDでは、リスト、シューマン、シューベルトのメロドラマを収録。大作曲家のメロドラマがこれだけまとまったCDは初めてだろう。歌曲とは異なった、演劇的朗読と音楽の絡み合いが面白い。ちなみにリストの「ヘルゲ王の誠実」はフェリックス・ドレーゼケ(1835―1913)の同名バラードの編曲。朗読は基本的にフランス語。シューベルトの「この世からの別れ」だけフランス語とドイツ語の2種が収録されている。ヴァンサン・フィギュリはフランスの音楽家、詩人。SALAMANDREレーベルで一貫して朗読を受け持っている。そしてこのCDではフランスの名ピアニスト、パスカル・アモイエル(アモワイエルに非ず)が素晴らしい演奏を聞かせてくれる。パスカル・アモイエルは、1971年、フランス、セーヌ=エ=マルヌ県のロゼ=オン・ブリ生まれのピアニスト。以来30年以上精力的に活動している。録音は多いが、アモイエルのシューベルト、シューマン、リストのCDはこれまでなかっただろう。
シベリウス:メロドラマ集
 」妬ましい夜(仏語朗読)/孤独なスキーの滑り跡(仏語朗読)/伯爵夫人の肖像画(朗読なし)/森の精/伝説/
 もしあなたが見たのなら/伯爵夫人の肖像画(仏語朗読)/孤独なスキーの滑り跡(スウェーデン語)

 ヴァンサン・フィギュリ(朗読) アンサンブル・カリオペ
 秦茂子〔はた しげこ〕(S)
 録音:2020年12月14日-16日、2021年3月22日| 66'02 。シベリウスの作品の中でも隠れた名作と言われるメロドラマを集めた物。メロドラマとは朗読と伴奏を絡めた音楽で、特にフランスでよく用いられた形式。シベリウスは若い頃にメロドラマをいくつか書いており、いずれも瑞々しい美しさに満ちた名曲なのだが、取り上げられる機会はあまりなく、録音ら数えるほど。「妬ましい夜」は15分に迫り、ソプラノも加わる力作。「孤独なスキーの滑り跡」は4分弱の短い曲ながら非常に魅力的な音楽。ピアノ版とハープ+弦楽合奏版があるが、ここでは後者。「伯爵夫人の肖像画」はしばしば朗読なしで演奏され、ここでも朗読ありと朗読なしの2種を収録。「森の精」は、管弦楽のためのバラードの「森の精」の兄弟作品。朗読は基本的にフランス語によるが、「孤独なスキーの滑り跡」は原語であるスウェーデン語でも収録されている。ヴァンサン・フィギュリはフランスの音楽家、詩人。アンサンブル・カリオペは1999年創立の室内アンサンブル。ソプラノ独唱で福島県出身の秦茂子が参加している。
ジャック・ド・ラ・プレスル(1888-1969):ピアノ独奏曲&ピアノ伴奏歌曲集
 ジャック・ド・ラ・プレスル:
  子守歌/明るい時間(2曲)(*) /幻想的なパレード/歌(*) /即興曲/忘れられたアリエット(*) /恋愛の対話(*) /
  主題と変奏/神秘的な予期(3曲)(*) /写真のアルバム(11曲)/手紙(*) /小さな子守歌/極東(*) /タバランのお嬢様

 イベール(1890-1962):朗読とピアノのための「森」(4曲)(#)
 ロレーヌ・ド・ラチュルド(P)
 ヴァレリー・コンドリュシ(S;*) ヴァンサン・フィギュリ(朗読;#)
 録音:2019年4月、パリ| 79'00 。フランスの作曲家、ジャック・ド・ラ・プレスル(1888―1969)のピアノ独奏曲とピアノ伴奏歌曲を集めている。ド・ラ・プレスルはヴェルサイユの生まれ。ヴェルサイユ音楽院で学んだ後、パリ音楽院でさらに学び、1921年にはローマ大賞を受賞している。1937年から1958年までパリ音楽院で和声を教えた。作風は極めて平明穏健で、華やかな音楽も稀、刺激的な要素は皆無、それゆれ20世紀後半には注目されなかったのだろうが、今となってはその穏やかで静かな美しさがたいへん素晴らしい。余白に、ほぼ同世代のジャック・イベール(1890-1962)の語りとピアノのための「森」を収録、イベールらしい洗練された美感が映えている隠れた名曲。これも含め半数以上が世界初録音。ロレーヌ・ド・ラチュルドはフランスのピアニスト。20世紀の作品を得意としている。ヴァレリー・コンドリュシはフランスのソプラノ。
ドヴォルジャーク(1841-1904):交響詩「真昼の魔女」 Op.108
 〔仏語朗読付き(*) /朗読なし/独語朗読付き(+) /伊語朗読付き(*) 〕
 ヴァンサン・フィギュリ(朗読) イジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコpo.
 録音:1994年5月3日-7日、ドヴォルジャーク・ホール、ルドルフィヌム、プラハ、チェコ(管弦楽)/2013年6月、パリ、フランス(朗読|外装と当盤アナウンスに記載無し、当店推定)|原盤、ライセンサー: Chandos(管弦楽)|商品記載品番: SALAMANDRE-602 。#装丁等ほとんどの部分が SALAM-601 と同一の装丁です。
 ドヴォルジャークの交響詩「真昼の魔女」の元となったチェコの詩人、カレル・ヤロミール・エルベンの詩を音楽に合わせて朗読。 SALAMANDRE-601 の朗読付演奏の内、チェコ語と英語をドイツ語とイタリア語に入れ替えたもの(フランス語と朗読なしは同一)。チェコ語は別の人物による朗読だったが、当盤ではフィギュリが3ヶ国語とも朗読している。

SOREL CLASSICS (米) 〔簡易作成版〕 特記以外 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 1996年にピアニストのクローデット・ソレル(1932-1999)によって、女性音楽家の様々な機会を拡大し限界を広げる目的で設立された財団、 The Elizabeth & Michel Sorel Charitable Organization Inc. 〔彼女の両親にちなんで命名|略称:ソレル財団〕がリリースするレーベル。
 アメリカのピアニストであり教育者であったクローデット・ソレルは、そのキャリアを通じて、芸術界における女性の熱烈な擁護者であった。1999年に66歳で亡くなる前、ソレルは NYP に女性指揮者と作曲家のための基金を設立した。この基金は、ジュリア・アドルフ、レーラ・アウエルバッハ、カイヤ・サーリアホへの同フィルハーモニックからの委嘱作や、ジェーン・グラヴァー、エマニュエル・アイム、スザンナ・マルッキ、ジャネット・ソレル(クローデット・ソレルとの血縁関係はなし)、シモーネ・ヤング、シアン・チャン〔張玹〕ら指揮者の出演を支援した。
 クローデット・ソレルはピアノの神童だった。フランス系ハンガリー人の両親を持ち、パリで生まれた。米国でオルガ・サマロフ(・ストコフスキー)、ルドルフ・ゼルキン、ミェチスワフ・ホルショフスキに師事。10歳でニューヨークのタウン・ホールへデビューし、翌年にはカーネギー・ホールで ニューヨーク・フィルハーモニックと共演した。学業面では、奨学金を得てジュリアード音楽院に入学、最年少かつ最優秀の成績で卒業した。併せてカーティス音楽院でもアーティスト・ディプロマを最優秀で取得、さらに同時期コロンビア大学で数学の学位を「優等 [Cum Laude] 」で取得した。
 ソレルはそのキャリアを通じて2000回以上のコンサート、リサイタル、音楽祭に出演し、 NYP 、ボストン響、フィラデルフィア管、 NBC 響、 LPO など200のオーケストラとソリストとして共演した。彼女を象徴する代表的作品はマクダウェルのピアノ協奏曲第2番で、ルーカス・フォス、ハロルド・モリス、ポール・クレストン、ピーター・メニンらの作品を世界初演、数々の音楽賞を受賞、コンクール審査員やピアノ学科長を含む教授職も長く努め、 RCA Victor, Monitor, Musical Haritage への録音もあるが、それらはほぼCD復刻されていない。
スピリット&ロマンス
 バッハ/ブゾーニ編曲:シャコンヌ
 リスト:ペトラルカのソネット第104番/
     シューベルト「糸を紡ぐグレートヒェン」/
     ワーグナー「イゾルデの愛の死」
 シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 Op.11
アンナ・シェレスト(P)
 録音:2012年6月、ニューヨーク、 US 、DDD | 68'02 。アンナ・シェレストによるリストを中心にしたCD 。アンナ・シェレストはウクライナ生まれのピアニスト。ハルキウ音楽院で学んだ後、米国のジュリアード音楽院で名教師ジェローム・ローウェンタールに学び、修士号を得ている。以降ニューヨークを拠点に活動。夫のドミトリー・シェレストもピアニストで、夫婦デュオでも活躍している。彼女のピアノは派手さを抑えて、潤いのある音色で音楽を繊細かつジワッと広げて詩的情感を広げるもので、しばしばショーピース的に鳴らされるリストのイゾルデの愛の死が実に切々と美しく奏でられている。手強いシューマンのピアノ・ソナタ第1番も見事。
4手ピアノ用編曲による管弦楽作品集
 スメタナ/作曲者編曲:モルダウ(ピアノ連弾版) / リスト/作曲者編曲:交響詩「前奏曲」(ピアノ連弾版)
 チャイコフスキー/作曲者編曲:交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」〜第3楽章(ピアノ連弾版)
 ラヴェル/L.ガルバン編曲:ラ・ヴァルス / ガーシュウィン/H.レヴァイン編曲:ラプソディ・イン・ブルー

 シェレスト・ピアノ・デュオ[アンナ・シェレスト、ドミトリー・シェレスト(P)]
 録音:2014年10月、ニューヨーク、 US 、DDD | 63'54 。アンナ・シェレストとドミトリー・シェレストの夫婦によるピアノ連弾のCD 。ここでは管弦楽曲の編曲(作曲者自身のものも含む)を収録している。アンナもドミトリもウクライナ生まれで、共に12歳でウクライナ音楽院で出会い、そして結婚。夫婦デュオは少なくないものの、幼馴染の夫婦デュオとなるとそう多くはいない。二人の一体感は別格で、まさしく一人のピアニストが4本の手で奏でているかのような演奏。管弦楽曲のピアノ連弾編曲は豪快に鳴らした方が面白いことも少なくないが、しかしシェレスト夫妻はピアノ連弾ならでは美感をしっかりと引き出すことで、オーケストラの代用品などと思わせない品を醸している。
ジュディス・ラング・ザイモント(1945-):
 交響曲第4番「澄んだ、冷たい(水)」(2013) (*) /ピアノ三重奏曲第1番「ロシアの夏」(1989) (#)

  ニルス・ムース指揮ヤナーチェクpo.(*) ピーター・ウィノグラード(Vn;#)
  ピーター・ウィリック(Vc;#) ジョアン・ポーク(P;#)
 録音:2015年3月、オストラヴァ、チェコ(*) /1995年10月、パーチェイス、ニューヨーク州、 US (#) 、DDD | 58'23 。米国の作曲家、ジュディス・ラング・ザイモントの作品集。ザイモントは1945年、米国テネシー州のメンフィスの生まれ。ジュリアード音楽院で学び、若くして作曲家として認められた。ロマン主義の流れを汲みつつ新しい感覚と技法も盛り込んだ作風は非常に説得力のある物。交響曲第4番は2013年の作。「川」「氷」「にわか雨」「小湖」「海」のタイトルがついた5つの楽章の40分以上かかる大作で、ザイモントの集大成的作品。ピアノ三重奏曲第1番「ロシアの夏」は1989年の作。ノスタルジックな美しい作品。
展覧会の絵
 バラキレフ:グリンカ「ひばり」
 チャイコフスキー:
  2つのロマンス〔ヘ短調 Op.5 /ヘ長調 Op.51 No.5 〕/
  2つのワルツ
   〔変イ長調 Op.40 No.8 /嬰ヘ短調 Op.40 No.9 〕/

  夜想曲 ヘ長調 Op.10 No.1
 ムソルグスキー:展覧会の絵
アンナ・シェレスト(P)
 録音:2010年12月、ニューヨーク、 US 、 DDD | 66'32 。ウクライナ生まれのピアニスト、アンナ・シェレストの弾くロシアのピアノ曲集。シェレストは透明かつ繊細な音色が素晴らしく、バラキレフやチャイコフスキーでは情感豊かな演奏を繰り広げている。一方大作「展覧会の絵」では、早めのテンポ、クリアで硬質な音色でムソルグスキーの独特な音楽に果敢に切り込み、新鮮な世界を描きあげている。山ほどある「展覧会の絵」の録音の中でも注目に値する演奏だろう。
タンゴ・ファド・プロジェクト
 ポルテラ:ファド・マガラ「愛することより大切なこと」/古いブエノス・アイレス / フェラオ:ポルトガルの4月
 ガルデル:私の愛するリスボン / ダ・シルヴァ:1=3=7 /愛は炎/非絶対主義者の世界賛歌
 カンポス:ファド・タンゴ「疲労」 / カルーソー:コルドバのタンゴ / ピアソラ/ビネッリ編曲:トロイロ組曲

 マンハッタン・カメラータ
  DDD |67'13 。これはクラシックのCDとは言い難いが、内容はとても面白い。アルゼンチンのタンゴとポルトガルのファドを融合させた、タンゴ・ファド・プロジェクトという物。詳しいことは分からずとも、情熱に満ちた魅力的な音楽が並んでいることは間違いない。マンハッタン・カメラータは2009年創設のアンサンブル。音楽監督(ピアノ担当)のルシア・カルーソーの元、トランスクラシカル音楽を標榜して活動している。音楽的には多分野に跨るが、演奏者たちは高度な教育を受けた名手たちばかり。
プロコフィエフピアノ協奏曲集
 〔第1番 変ニ長調 Op.10 /第2番 ト短調 Op.16 〕
アンナ・シェレスト(P)
ニルス・ムース指揮
ヤナーチェクpo.
 録音:2014年12月、オストラヴァ、チェコ、DDD 50'23。アンナ・シェレストの弾くプロコフィエフのピアノ協奏曲2曲。アンナ・シェレストはウクライナ生まれのピアニスト。ハルキウ音楽院で学んだ後、米国のジュリーアド音楽院で名教師ジェローム・ローウェンタールに学んだ。シェレストの弾くプロコフィエフは、持ち前の透明で繊細な美音を生かしたもので、プロコフィエフ独特の刺々しさを抑えながら、近代的な抒情性を巧みに打ち出した物。彼女の卓越した力量が窺える。米国生まれのデンマークの指揮者、ニルス・ムースの指揮も見事。
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ナターリャ・トゥルーリ〜プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ全集
 〔第1番 ヘ短調 Op.1 /第2番 ニ短調 Op.14 /第3番 イ短調 Op.28 /第4番 ハ短調 Op.29 /第5番 ハ長調 Op.38 /
  第6番 イ長調 Op.82 /第7番 変ロ長調 Op.83 /第8番 変ロ長調 Op.84 /第9番 ハ長調 Op.103 〕

 ナターリャ・トゥルーリ(P)
 録音:1997年4月、 DDD |既出: DML Classics (Triton), DMCC-60001/3 〔廃盤、入手不能〕/ Triton (Octavia Records), 品番なし(配信専用)〔録音データ記載無しだが、 DML Classics 盤と同一音源と思われる〕 175'42 。#この録音は DML Classics 盤が世界初出と思われ、リリースも1997年7月25日なので、どちらが正しいかはともかく、2通りとも矛盾はない。ちなみに当盤と Triton (Octavia Records) の配信で表示される楽章ごとの分数記載は完全に一致している。※ロシアのピアニスト、ナターリャ・トゥルーリの弾くプロコフィエフのピアノ・ソナタ全集。ナターリャ・トゥルーリはソ連のサンクトペテルブルクの生まれ。生地で学んだ後、モスクワ音楽院で学んだ。1986年、チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で第2位を受賞し、一気に名前が広まった。以来国際的に活躍、またモスクワ音楽院の名教師としても知られている。チャイコフスキー・コンクールで第2位を獲得したほどの実力のあるピアニストでありながら、トゥルーリの録音は極めて少なく、このプロコフィエフのピアノ・ソナタ全集は貴重。実際、要求の多いプロコフィエフのピアノ・ソナタに対してトゥルーリは技術、音楽性両面で万全に応えている。
リオの鍵〜ブラジルのピアノ作品集
 ナザレ:オデオン/ろくでなし/気取った女/感じる心/頑張れ、カバキーニョ / ゴンザーガ:ガウチョ/溜め息/魅力的
 ノブレ:カンティガ / フレヴォデ・アルメイダ:パリのワルツ/ポリテアマ/セルトンの道
 ヴィラ=ロボス:苦悩のワルツ/吟遊詩人の印象/
         「赤ちゃんの一族」第1組曲から〔陶器の人形/張りぼての人形/ボロ布の人形/道化〕

 グレース・アルヴェス(P)
 録音:2014年2月、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US 、DDD | 60'53 。「リオの鍵 Keys to Rio」と題されたブラジル音楽集。エルネスト・ナザレ(1863-1934)は、近代ブラジルのピアノ、声楽作品などサロン風の作品で知られており、ヴィラ=ロボスが激賞した。シキーニャ・ゴンザーガ(1847-1935)は、ブラジル音楽史で最初期の女性作曲家。まだ女性がひどく虐げられていた当時のブラジルで目覚ましい活躍をした。マルロス・ノブレ(1839-)は2ブラジルのクラシック音楽界の長老。オリアーノ・デ・アルメイダ(1921-2004)は、マグダ・タリアフェロの高弟であるピアニストで、ピアノ曲の作曲家としても人気を博した。エイトル・ヴィラ=ロボス(1887-1959)については言うまでもないだろう。グレース・アルヴェスはブラジルのピアニスト。自国のピアノ作品に情熱を注いでおり、その愛情が伝わって来る演奏。
20世紀のウクライナのピアノ曲集
 リセンコ:ウクライナの主題による組曲 Op.2 /「タラス・ブーリバ」序曲(レヴツキー編曲|4手ピアノ版)
 レヴツキー:前奏曲集 Op.4 /前奏曲集 Op.7 /ワルツ 変ロ長調
 ジュク:ウクライナ・ラプソディス / コリク:4手ピアノのための「3つの途方もない踊り」

 アンナ・シェレスト(P) ドミトリー・シェレスト(P;連弾曲)
 録音:2017年、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US 、 DDD | 60'54 。20世紀のウクライナの作曲家のピアノ曲集。ミコラ・リセンコ(1842-1912)は、ウクライナ民俗主義音楽の祖というべき作曲家。多くのピアノ曲の他、ウクライナ語の歌劇「タラス・ブーリバ」でも知られる。レフコ・レヴツキー(1889-1977)は、ソ連時代のウクライナの代表的作曲家。アレキサンデル・ジュク(1907-1995)は、ハルキウを拠点に活動した作曲家、指揮者、音楽教育者。ミロスラフ・スコリク(1938-)は、現代ウクライナの作曲家の長老。アンナ・シェレストはハルキウ音楽院で学んだ後、米国のジュリアード音楽院で名教師ジェローム・ローウェンタールに学び、今日に至るまでニューヨークを拠点に活動している。連弾相手のドミトリー・シェレストは彼女の夫。ウクライナ音楽院における同級生でもある。
タンゴ・ファド・デュオ
 クワットロマーノ:あなたの影になりたい / パレーデス:青い年 / ビジョルド:エル・チョクロ
 ポルテラ:懐かしのリスボン / ダ・シルヴァ:涙 / モウラン=フェレイラ、オウルマン:マリア・リスボア
 ピアソラ:忘却 / ビネッリ:ここからパリ/前奏とカンドンベ / アルベニス:アストゥリアス〔伝説曲〕

 ダニエル・ビネッリ(バンドネオン) ペドロ・H.ダ・シルヴァ(ポルトガルG)
 録音:ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US 。これはクラシックのCDとは言い難いが、しかしクラシック音楽好きにも楽しめる内容だ。バンドネオンとポルトガル・ギター(胴がかなり丸い)による、タンゴ・ファド・デュオ。アルゼンチンのタンゴと、ポルトガルのファドが融合している。ダニエル・ビネッリはアルゼンチン・タンゴの名バンドネオン奏者。晩年のピアソラの協力者として知られる。ペドロ・H.ダ・シルヴァは、作曲家としても知られる多彩な音楽家。マンハッタン・カメラータの創設者の一人でもある。
父ヤルヴィ指揮〜ルビンシテイン
 ピアノ協奏曲第4番 ニ短調 Op.70 /
 ロシア奇想曲 Op.102
アンナ・シェレスト(P)
ネーメ・ヤルヴィ指揮
ザ・オーケストラ・ナウ
 録音:2017年10月15日、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US 、ライヴ、DDD | 50'34 。ロシアの大ピアニスト、アントン・ルビンシテイン(1829-1894)の代表作の一つ、ピアノ協奏曲第4番 ニ短調は、充実した傑作であるにもかかわらず20世紀後半にはあまり注目を浴びなくなってしまい、近年の録音も限られて来た。ここではウクライナ生まれのピアニスト、アンナ・シェレストが、ルビンシテインの豊潤な音楽から清らかな響きを引き出している。そして伴奏がなんと巨匠ネーメ・ヤルヴィ。しばしば冗長と評されるこの協奏曲が、然るべき名作になっている。哀愁に満ちたロシア奇想曲も名演。アントン・ルビンシテインのCDを1枚買うならまずこれを。
父ヤルヴィ指揮〜ルビンシテイン
 ピアノ協奏曲第3番 ト長調 Op.45 /
 ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.94
アンナ・シェレスト(P)
ネーメ・ヤルヴィ指揮
エストニア国立so.
 録音:2018年5月7日、タリン、エストニア、DDD | 72'08 。アントン・ルビンシテイン(1829-1894)のピアノ協奏曲第3番と第5番の録音。ルビンシテインのピアノ協奏曲では第4番が比較的よく知られているが、それはこの作品がルビンシテインにしてはロシア情緒が濃いからで、一方でルビンシテインの西欧趣味、洗練された自由な作風は、これら第3番 ト長調や第5番 変ホ長調の方がより良く出ている。20世紀にはその自由さがまとまりがないと受け止められ評価が低かったのかもしれないが、21世紀の耳はインターナショナルに活躍した大ピアニストの徒然な豊かな音楽こそルビンシテインの本領と受け止められるだろう。元より録音が少ないので新録音というだけでありがたいが、ウクライナ出身でニューヨークで活躍するピアニスト、アンナ・シェレストの清新なピアノと、巨匠ネーメ・ヤルヴィの極めて立派な伴奏が不当に埋もれた名作に光を当てている。
ドナ・ヴォーチェ〔女性の声〕〜女性作曲家のピアノ作品集
 ファニー・メンデルスゾーン:ピアノ・ソナタ ト短調 / ビーチ:バラード Op.6 /4つのスケッチ Op.15
 クララ・シューマン:スケルツォ Op.14 / シャミナード:森の精 Op.60 /演奏用練習曲 Op.35
 リリ・ブーランジェ:前奏曲 変ニ長調 / シュー・チャユー〔許家毓〕:ラプソディ・トッカータ

 アンナ・シェレスト(P)
 録音:2019年1月-2月、ニューヨーク市、ニューヨーク州、 US 、DDD | 70'21 。女性作曲家のピアノ作品を集めたCD 。ファニー / メンデルスゾーン(1805-1847)、クララ・シューマン(1819-1896)、セシル・シャミナード(1857-1944)、エイミー・ビーチ(1867-1944)、リリー・ブーランジェ(1893-1918)と有名な女性作曲家たちに加え、台湾出身で米国で活動しているシュー・チャユー許家毓 Chia-Yu Hsuの作品が収録されている。アンナ・シェレストはウクライナ出身のピアニスト。ハルキウ音楽院で学んだ後、米国のジュリアード音楽院で名教師ジェローム・ローウェンタールに学び、今日に至るまでニューヨークを拠点に活動している。女性作曲家の作品集ではあるが、いずれもそうした括りの必要ない名作ばかりで、それをシェレストの透明かつ繊細なピアノが引き立てている。特にシャミナードはたいへん素晴らしい。

TRITON (仏) 〔簡易作成版〕 特記以外 1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 旧譜はこちらから
夜の音楽
 @CDホフマイヤー(1957-):2つの誕生日の歌 Op.139 /風の中の歌 Op.216(5曲)/
                「センゼニ・ナ(私たちは何をしたのか)」に基づく幻想曲
 ABヴァン・ヴァイク(1916-1983):夜の音楽(7曲)/愛と見捨てられについて

 マリカ・ホフマイヤー(P) @BCミネット・デュ・トワ=ピアース(Ms)
 録音:2022年-2023年 フランス グラース。『※南アフリカの2人の作曲家、アーノルド・ヴァン・ヴァイク(1916-1983)とヘンドリク・ホフマイヤー(1957-)の歌曲とピアノ曲のCD。南アフリカは、まずオランダ、次いで英国の植民地になった歴史から、西洋音楽の伝統が深く、どちらの作曲家の作品も歌詞が南アフリカのアフリカーンス語という他はほとんど完全に近代西洋音楽になっている。その中にあって、「センゼニ・ナ(私たちは何をしたのか)」は南アフリカの反アパルトヘイトの民謡。』
ジャン=リュック・エティエンヌ(1963-):
  オルガンのための雑録
 白熱/さぼり/雑録11の小品/二部作/30/
 ささやき/トッカータ/詩節/ファンファーレ
パスカル・ルエ(Org)
 録音:2021年10月、カンペール、フィニステール県、フランス。フランスのオルガン奏者、作曲家、ジャン=リュク・エティエンヌの2002年から2019年までの作品を収録。ジャン=リュク・エティエンヌは現在トゥール地方音楽院でオルガンを教えている。パスカル・ルエはフランスのオルガン奏者。1986年にトゥールーズ国際オルガン・コンクールで第1位を受賞。現代フランスを代表するオルガン奏者の一人。


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