アイヴズ:交響曲第4番 | ジョン・アダムズ指揮 フランク・オッル第2指揮 アンサンブル・モデルンo. コレギウム・ヴォカーレ・ヘント | |
録音:1999年8月29日、ライヴ。 合唱と2群のオーケストラによる大作をアイヴズの音楽をこよなく愛するジョン・アダムズが指揮。アンサンブル・モデルンの通常編成を大幅増員しての演奏。合唱はヘレヴェッヘのコレギウム・ヴォカーレ。 | ||
ジョージ・ベンジャミン:自作自演集 サドン・タイム/ヴィオラ・ヴィオラ/ 3つのインヴェンション |
ジョージ・ベンジャミン指揮 アンサンブル・モデルン | |
録音:2000年1月-2月、ライヴ。 メシアンの愛弟子ジョージ・ベンジャミンの自作自演盤。新印象主義とも形容されるベンジャミンの主要作品が収められており、いずれも完成度の高い作品ばかり。 | ||
ヘルムート・ラッヘンマン: アウスクラング(終焉) 〜ピアノと管弦楽のための(1984-85) (*) リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲(#) |
マルクス・シュテンツ指揮 アンサンブル・モデルンo. ウエリ・ヴィゲット(P;*) | |
録音:2005年10月20日(*)、2005年9月20日(#)、ライヴ。ラッヘンマンとR.シュトラウスという妙なカップリングだが、アンサンブル・モデルンがアルプス交響曲をやるということに、まず驚き。いつも特殊奏法ばかりという鬱憤が溜まって、シュトラウスのようなよく鳴るオーケストラ曲をやりたくなったのだろうか?(その意味では、特に金管パートはやりがいがあるだろう)。ラッヘンマン作品は管弦楽とピアノといっても協奏曲ではなく、関係は対等のようであり、オケとピアノの、ぽつぽつといった禁欲的な音のやりとりが続くと思いきや、突然クラスターの楔が打ち込まれるといった、例によって例のラッヘンマン節。東洋の書を思わせるモノクロームの響きには凄惨な美しさがある。さてアルプス交響曲だが、現代音楽の名手ばかりがそろったオーケストラがクラシックのしかも華麗なオーケストラ曲を演奏すると一体どうなるかという好奇心をみたしてくれる大変シャープでクリアな名演。こうした試みは今後もぜひやってもらいたい。 | ||
ヘルムート・ラッヘンマン:ヌン
ディートマー・ヴィースナー(Fl) ウーヴェ・ディエルクセン(Tb) マルクス・シュテンツ指揮アンサンブル・モデルンo.、スコラ・ハイデルベルク | ||
録音:2005年10月20日、ライヴ。大管弦楽と独奏フルートと独奏トロンボーン、そして混声ヴォーカル・アンサンブルのための大作。こちらもスタティックな音の運びのなかに独自の緊張した時間が続く。管楽器の風奏、ノイズ、プリペアド・ピアノなど、オーケストラを完全に解体した巨大なカオスが延々と広がる。 | ||
ヘルマン・クレツシュマー(1958-): ノッツ・ピアノとその他の作品(1991-2007) オートマットで/討論/2/4/6/5/Aのエチュード/ これらの日々/ハイドン楽し/5つの前奏曲/ 9つの立方体の作品/1903年/ 3つの部分の小品/ノッツ・ピアノ |
ヘルマン・クレツシュマー(P) アンサンブル・モデルン | |
録音:2000年/2006年。 ピアニストで作曲家のクレツシュマーはアンサンブル・モデルンのメンバー。キーボード奏者としてケージ、シュトックハウゼン、カーゲル、ザッパ、クルタークらの作品を多数演奏している。彼自身の作品はピアノ、キーボード、ライヴ・エレクトロニクス、アンサンブルを使ったミニマル、先鋭的ロック、ノイズ・ミュージックに似た音楽。 | ||
回転毎分 [rpm]〜ミヒャエル・M.カスパー リゲティ:無伴奏チェロ・ソナタ B.A.ツィマーマン:無伴奏チェロ・ソナタ ラッヘンマン:プレッション マイケル・ゴードン:インダストリー ライヒ:手拍子の音楽(*) アルヴィン・ルシエ:RPM 's |
ミヒャエル・M.カスパー (Vc/手拍子/ガスペダル) ヤグディシュ・ ミストリー(手拍子2;*) | |
チェリストのカスパーはチェロをボリス・ペルガメンチコフとジークフリート・パルムに師事し、1980年から1985年までアンサンブル・モデルンのメンバーを勤めた。現代の古典とも言うべきリゲティのソナタ、チェロの特殊奏法の見本市ラッヘンマン作品、なぜかライヒの手拍子の音楽を仲間とやったあと、アメリカの特異な作曲家ルシエの作品を持ってくるなど、ただものではない。 | ||
ニコス・スカルコッタス(1904-1949): ピアノと室内楽作品集 32のピアノ小品(1940)〜 [ラグタイム/スロウ・フォックス/ブルース]/ 管楽とピアノのための四重奏曲第1番(1943/44)/ オーボエとピアノのためのコンチェルティーノ(1939)/ ファゴットとピアノのための協奏的ソナタ(1943)/ 管楽とピアノのための四重奏曲第2番(1943/44)/ トランペットとピアノのための コンチェルティーノ(1941-1943)/ ヴァイオリンとピアノのための小組曲 [第1番(1946)/第2番(1949)] |
ウエリ・ヴィゲット(P) アンサンブル・モデルン団員 [C.ホンメル(Ob) J.シュヴァルツ(Fg) S.ストヤノフ(Tp) J.ミストリー(Vn)他] | |
録音:2007年-2008年。 近年再評価が著しいスカルコッタスの室内楽作品集の決定盤。彼は様々な様式を作品によって使い分けているが、まず32のピアノ小品からの3曲ではジャズのスタイルを取り入れられ、クラスターに近い分厚い和音が激しく叩きつけられてヴァイタリティ溢れる音楽が展開。オーボエとピアノのためのコンチェルティーノは12音技法で書かれ、激しいリズムと前のめりの音楽にギリシャ人の熱い血が感じられる。2つの「小組曲」は生命力が激しく炸裂、ヴァイオリンとピアノが火花を散らしあう。 | ||
リョールカ〜サヴァ・ストヤノフ・ポートレイト E.デニソフ:トランペットのためのソロ / G.アンドレーエフ:ロドペ ジョナサン&サヴァ:即興 C.クリヴェッリ:即興曲第7番「リゲティの思い出」/クーテフによる2つのパラフレーズ I.シャロン:デュオ / 今井智景:オスモシス・フォネメ ベネディクト・メイソン:ヴァレンティン・ガーヴィーのための「2つのコルネット」/ サヴァ・ストヤノフのための「2つのピッコロ・トランペット」 J.ハーヴィー:リチェルカーレと旋律 / ヴィキンタス・バルタカス:リロ ヴァレリー&サヴァ:リョールカ / C.ミリケン:スリップ・イン・ナイト・タンゴ G.リゲティ:死の神秘 / サヴァ:... サヴァ・ストヤノフ(Tp/Hr/ツィンク/ピッコロTp) J.ウィリアムズ(Hr) M.K.カスパー(Vc) V.パチョフ(Tb) U.ヴィゲット(P) R.バルタ(S) V.ガーヴィー(ピッコロTp/メロディカ) M.クライン(リコーダー) N.アンドリヴァ(ブルガリアンVo)他 | ||
録音:2006年-2007年。 アンサンブル・モデルンの首席トランペット奏者、ストヤノフを中心とした作品集。ストヤノフは即興演奏で自作も披露。収録作品の作風は多種多様で現代音楽が名人演奏家の触発によって開拓されてきたことを改めて認識させられる。日本の若手、今井智景のグラフィック・スコアの作品も収録。 | ||
ウト・スープラ〜 ヴァレンティン・ガーヴィー・ポートレイト ヘンツェ:ソナチネ E.モギランスキー:リミテス B.メイソン:2つのピッコロ・トランペット M.ペルティコーネ:幻影 P.ヒンデミット:ソナタ B.メイソン:2つのコルネット L.マスライア:ウト・スープラ |
ヴァレンティン・ ガーヴィー(Tp) サヴァ・ストイアノフ (ピッコロTp) L.マスライア(P)他 | |
録音:2007年。 こちらもアンサンブル・モデルンのトランペット奏者であるガーヴィーを中心とした作品集。モギランスキーのトランペットとアンサンブルのためのリミテスは特殊奏法が頻出す奇怪な曲で思わず耳を傾ける。メイソンの2つのピッコロ・トランペットはバロック風の音楽を奏でながらミニマル風にずれたりパラフレーズしたりと音の戯れが続く。アルバム・タイトルにもなっているマスライアのウト・スープラはジャズともミニマルともいえるような(今で言ったらグレアム・フィットキンのような)軽いご機嫌な作品。 | ||
同時的音楽の旅 エンノ・ポッペ(1969-):市場(ユンゲ・ドイチェ・フィル委嘱作品) ヒンデミット(1895-1963):交響曲「画家マチス」 B.Aツィンマーマン(1918-1970):トランペット協奏曲「誰も知らない私の悩み」(*) マルコ・ブラオウ(Tp;*) スザンナ・マルッキ指揮ユンゲ・ドイチェpo. | ||
録音:2009年9月14日、デュッセルドルフ・トーンハレ、ライヴ。本CDでは細かな音がすばやく動きながら生き生きとした運動を繰り返す様がまさに「市場」を思わせる俊英ポッペの新作、これまで数々の名演に恵まれてきたものの、これほどまで精緻に作り込まれた演奏もない「画家マチス」、そして悲劇的なピストル自殺を遂げたツィンマーマンのトランペット協奏曲「誰に知らない私の悩み」のデフォルメされた狂気のジャズなど、現代音楽以外の多くのファンをも虜にするだろう。指揮は現代音楽のエキスパート、N響にも客演したことのある期待の女性指揮者スザンナ・マルッキ。 | ||
ジブリ〜無伴奏フルート作品集 エドガー・ヴァレーズ(1883-1965):密度21.5 エマヌエル・ヌネス(1941-):アウラ キャシー・ミリケン:ラウンド・ロビン ディートマー・ヴィースナー(1955-):ジブリ(熱風) ヘルマン・クレッツシュマー(1958-):膨張 アラン・ファビアン(1973-):レゾナンス ジェイムズ・テニー(1934-2006):ポエム |
ディートマー・ヴィースナー (Fl/アルトFl/バスFl) | |
録音:2000年-2010年。 ヴィースナーは1955年生まれのフルート奏者で、アンサンブル・モデルンの首席奏者の他、ソリストとしても活躍している。無伴奏フルートの作品では現代の古典とされるヴァレーズの「密度21.5」ではタイトルの無味乾燥さとは裏腹にロマンティックといえるほどの抒情的な演奏を聴かせる。演奏者自作自演の「ジブリ」(スタジオ・ジブリと同じスペル Ghibli )は特殊奏法を多用した電子音楽のような音響。ジェイムズ・テニーの珍しい「ポエム」はその名の通り詩的で粋な小品。 | ||
ネメトン〜ライナー・レーマー、打楽器リサイタル E.シュティープラー(1934-):接触(2つの小さいボンゴ) マティアス・ピンチャー(1971-):ネメトン(打楽器独奏) ウィリアム・バード(1539-1623)/ライナー・レーマー編: パヴァーヌ(伯爵ソールズベリーより; マリンバのための編曲版) G.ミュラー=ホルンバッハ(1951-):小太鼓のための練習曲 Nos.1, 2, 3, 5 ヘルムート・エーリング(1961-):きつね火3(塩化カリウム)(ヴォブラフォン)(#) ニコラウス・A.フーバー(1939-):同じことは同じではない(小太鼓独奏) ジョン・サーサス(1966-):フラグメント(ヴィブラフォンとピアノのための)(*) ライナー・レーマー(Perc) ウエリ・ヴィゲット(P;*) | ||
録音:2006年-2007年。 レーマーはアンサンブル・モデルン創立以来、首席打楽器奏者を勤めている。ヨーロッパの多くの現代音楽演奏コンクールに入賞し、作曲家から絶大な信頼を寄せられている。マティアス・ピンチャーはKAIROSにもアルバムがある若手の代表でマルチ・パーカッションを使った繊細な作品。(#)はヴィブラフォンで微分音を出させたり音にポルタメントをかけたりと工夫を実験精神に溢れている。(*)のみピアノとヴィブラフォンのデュオで、ミニマルの多分に要素を含んだ抒情的な音楽はギャビン・ブライヤーズを思い出させる。 | ||
アウト・イントゥ チョ・ウンファ(1973-): 弁じつつ次第に観念をつくりあげることについて バルトーク(1881-1945): 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ スカルコッタス(1904-1949): ヴァイオリンとチェロのための二重奏(*) ジョージ・ベンジャミン(1960-):3つの細密画 |
ジャグディッシュ・ ミストリー(Vn) ミハエル・カスパー(Vc;*) | |
録音:2007年。 ミストリーはアンサンブル・モデルンの首席ヴァイオリン奏者の一人で、アンサンブルとともに来日し現代音楽のワークショップなどを行っている。チョ・ウンファは韓国の女性作曲家で、その作品はドライで透徹した意志の強さを感じさせる。バルトーク、スカルコッタスは現代の古典だからという冷めたアプローチとは無縁の熱い演奏。武満が絶賛した才能ジョージ・ベンジャミンは2010年で50才。大家の風格を感じさせる3つの細密画も聴き物。 | ||
ヴァイオリンXX / XXI ルトスワフスキ(1913-1994):パルティータ(1984) / バルトーク(1881-1945):ヴァイオリン・ソナタ第1番(1921) ヤナーチェク(1854-1928):ヴァイオリン・ソナタ(1922) / アナスタシオ・ミトロプーロス(1977-): Ea1 (2008) (*) ラファウ・ザンブルツィキ=パイネ(Vn) ウエリ・ヴィゲット(P;*以外) | ||
録音:2009年-2010年。ザンブルツィキ=パイネは1978年ポーランド出身のヴァイオリニストでアンサンブル・モデルンのメンバーとしてフランクフルトを中心に活動している。ザルツブルク音楽祭ではベルクの室内協奏曲で参加したこともある。アルバムは東欧の作曲家の作品で統一され、ルトスワフスキとヤナーチェク、バルトークが深層でしっかりとつながっていることを感じさせる筋の通った内容。 | ||
インパルス:ウィーン ツェムリンスキー(1871-1942):シンフォニエッタOp.23 ベアト・フラー(1954-):ファオス シェーンベルク(1874-1951):浄夜(弦楽合奏版) |
ペーター・ルンデル指揮 ユンゲ・ドイチェpo. | |
録音:2010年9月26日、アルテ・オーパー・コンサート・ホール、フランクフルト、ライヴ。ウィーンに関わりの深い新旧3人の作曲家の作品。ツェムリンスキーのシンフォニエッタはもはや後期ロマン派の影響下から脱し新古典主義的な方向へ踏み出した作品で、その機知に富んだ内容はユンゲ・ドイチェの確かなアンサンブルに支えられ、鋭利なナイフのような輝きを見せる。静けさを切り裂くように時折、残酷な響きが屹立するフラーの「ファオス」、そして「浄夜」は激しいコントラスト、ルバート、カンタービレで最後まで聴き手を離さない。 | ||
ツェートマイアー&ブールのベートーヴェン「Vn協」付 クセナキス:3群の同一編成アンサンブルのための「アラックス」(*) ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61(#) トマス・ツェートマイヤー(Vn;#) エルネスト・ブール指揮 アンサンブル・モデルン、ハンス・アイスラー新音楽グループ&アンサンブル・ケルン(*) | ||
録音:1985年9月15日、ケルン音楽大学(初演;*)/1987年10月26日、ケルン・フィルハーモニー・ホール、ライヴ(#)。エルネスト・ブール(1913-2010)はその名前からも察せられるようにフランス人だが、出身地ストラスブールは歴史上、独仏両国の思惑に翻弄され独自の文化が育まれた場所。そんな土地に育ったブールには国境に囚われない進取の精神が培われたのだろう。指揮をヘルマン・シェルヘンに師事し幾つかの歌劇場や楽団で活躍した後、1964年からハンス・ロスバウトの後任として南西ドイツ放送so.の首席指揮者を勤めた。近現代音楽とりわけヨーロッパの前衛的傾向が強い作品を得意としたブールだが一方で南西ドイツ放送so.とモーツァルトの交響曲を数多く録音、古典派にも名演を残している。このCDはクセナキスとベートーヴェンをカップリングしたブールの二つの側面を知るのに最適の一枚。クセナキスの「アラックス」は3群のオーケストラが絡み合い分岐し衝突しまた合流するプロセスの中で時に官能的ともいえるほど鮮やかで色彩的な音響が立ち上がる。対してトマス・ツェートマイヤーをソリストに迎えてのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はいわゆる新即物主義による無駄のないスポーティな演奏だが、第2楽章では大変叙情的で歌心あふれる演奏を展開し、終楽章のほとばしるようなエネルギーも忘れがたい。 | ||
音楽への探求 オリヴィエ・メシアン(1908-1992):微笑み ジョージ・ベンジャミン(1960-):ピアノと管弦楽のための「デュエット」(*) ロビン・デ・ラーフ(1968-):もつれた物語 / ストラヴィンスキー(1882-1971):春の祭典 マルティン・ヘルムヒェン(P;*) ローター・ツァグロセク指揮ユンゲ・ドイチェpo. | ||
録音:2011年9月18日、アルテ・オーパー・コンサート・ホール、フランクフルト、ライヴ。師匠つながりの選曲。ラーフはベンジャミンの弟子でベンジャミンはメシアンの弟子。メシアンはストラヴィンスキーの直接の弟子ではないが同時代のフランスの文化的空気を共有したため、その影響は計り知れず、特にメシアンの特異なリズム語法は「春の祭典」からインスピレーションを得ている。メシアン最晩年の「微笑み」は彼の「異国の鳥たち」と「トゥランガリラ交響曲」の緩徐楽章をうまくダイジェストしたような天国的な小品。ベンジャミンのデュエットはメシアンやらヴァレーズその他の影響を感じさせつつ、ダイナミックな音のエンターテイメントを演出。おしまいの春の祭典は全体に早いテンポを取った、オーケストラの若い情熱が爆発する快演で、各セクションの聴かせ所を確かに押さえ聴き手の期待を裏切らない。 | ||
アルヌルフ・ヘルマン(1968-):13場からなるムジーク・テアター「ヴァッサー〔水〕」(2010-11)
サラ・マリア・ゾン(S) ボリス・グラッペ(Br) スコラ・ハイデルベルク(男声四重唱) ハルトムト・カイル指揮アンサンブル・モデルン | ||
録音:2012年6月、ミュンヘン・ビエンナーレ、世界初演時ライヴ。アルヌルフ・ヘルマンはドレスデン音楽大学で学んだ後、パリでジェラール・グリゼー、エルンスト・ヌネスに学んだ。またIRCAMの講習にも参加している。「ヴァッサー(水)」は声楽と器楽アンサンブルにコンピュータで制作されたサウンドも加わり、夢とうつつの間を往き来するかのような夢幻的なシアター・ピースでスペクトル楽派からの影響とIRCAMでの研鑽の跡が感じられ、その鮮な音響の色彩はさながら21世紀の「真夏の世の夢」といった趣き。 | ||
ハンス・ツェンダー(1936-):33の変奏による33の変奏〜ベートーヴェンの 「ディアベッリ変奏曲」にインスパイアされたコンポジション(2010-11) ハンス・ツェンダー指揮アンサンブル・モデルン | ||
録音:2012年8月。ベートーヴェンのディアベッリ変奏曲からインスパイアされ、その変奏曲をさらに変奏(あるいはその拡大パラフレーズ)するという、かつて「冬の旅」の偏執狂的オーケストラ編曲版を作ったツェンダーらしい作品。冒頭の主題提示は比較的まともに行われるが、以降はゲンダイ・オンガク的だったり、アイヴズ風のお祭り騒ぎになったり、まじめにベートーヴェンが復活したりと千変万化、変幻自在と次の展開が全く読めない。知的ユーモアにあふれた傑作。 | ||
彼らは・・・〜アンサンブル・モデルン国際作曲セミナー サエド・ハダッド:光の倫理(2004) / 藤倉大:バニシング・ポイント(2004) [フランク・オッル指揮] マルコ・ニコディイェヴィッチ:「対象/空間」(2004) [アレホ・ペレス指揮] トミー・ライサネン:中絶(2005) [ジョン・B.ヘッジズ指揮] アンナ・メレディス:ダウンホール(2005) [ライアン・ウィッグルズワース指揮] シモン・ステーン=アナセン:チェンバード・ミュージック(2007) / 伊藤聖子:ゴーイング・フォース・バイ・デイ(2006) [マヌエル・マウリ指揮] 今井千景:シムルジェネシス(2009) / アンソニー・チュン:ハイパー・バトン(2009) / シュテファン・ケラー:スプリング!(2011) / シュタイングリムール・ローロフ:最初の人間(2011) / ヨハネス・クライドラー:カンタータ「今、未来はない」(2008) [ヨハネス・カリツケ指揮] シュテファン・バイヤー:「信憑性の面で/ある決断」(2011) [パブロ・ルス・ブロセタ指揮] アンサンブル・モデルン | ||
録音:2004年-2013年。アンサンブル・モデルン国際作曲セミナーはダルムシュタット夏季現代音楽講習会と同じく、若い作曲家を対象に毎年、講師を招いて行われる教育プログラムでこれまで、講師にはラッヘンマン、ジョージ・ベンジャミン、ヨハネス・カリツケらが招かれている。ここでは若い作曲家の作品がアンサンブル・モデルンとの緊密なディスカッションとリハーサルによって演奏、発表されるのが最大の特色で、このディスクはこれまでのそうしたライヴを集めた物。日本からは藤倉大、伊藤聖子、今井千景が参加、それぞれの出世作、代表作となった。2000年代に入ってからの前衛若手・中堅世代の作風を俯瞰する上で最適のセット。 | ||
ユークリッド・アビス〜インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー ユーグ・デュフール:ユークリッド・アビス(1996) フリードリヒ・チェルハ:オーボエと弦楽四重奏のための五重奏曲(2007) シュタイングリムール・ローロフ:コロニース(2013) チン・ウンスク:ファンタジー・メカニーク(1994, rev.1997) ヴィンバイイ・カズィボニ指揮 IEMA アンサンブル2012/13 〔インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー〕 | ||
録音:2013年。アンサンブル・モデルンは10年ほど前から「インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー」なる催しを開き、作曲家と演奏家が密に共同作業を行う教育プログラムで自らの前進的な発展を促してきた。このディスクはこれまでの共同作業の中で制作・発表された作品から特に評価の高かった作品をセレクションした物。スペクトル楽派の一人と目されるフランスのデュフール、オーストリアの重鎮チェルハ、アイスランド系ドイツ人の若手ローロフ、韓国出身のウンスク・チンと世代も国籍も様々な作曲家たちの創作の最前線を知ることができる。 | ||
創立時のコンセプト〜アンサンブル・モデルン創立コンサート・ライヴ ヴェーベルン(1883-1945):交響曲 Op.21 (1927/28) / マティアス・シュパーリンガー(1944-):木管五重奏曲(1972) フリードリヒ・ゴルトマン(1941-2009):トロンボーンと3群の器楽グループのためのトロンボーン協奏曲(1977) (*) シェーンベルク(1874-1951):室内交響曲 Op.9 (1906) ディエゴ・マッソン指揮アンサンブル・モデルン ヴィンコ・グロボカール(Tb;*) | ||
録音:1980年/マスタリング:2014年。アンサンブル・モデルンはユンゲ・ドイチェ・フィルを母胎として現代音楽専門のオーケストラ、アンサンブルとして1980年に結成された。このCDはアルバム・タイトルにもある通り、結成まもなくのコンサートの模様を伝える極めて貴重な録音。現代音楽の古典シェーンベルクとヴェーベルンを両外に置き、中心を近作でまとめるプログラミングはアンサンブル・モデルンらしい。シュパーリンガーの木簡五重奏曲はクラシカルな編成から受ける印象を見事に裏切って奏者の語りやわめき声、テープ音響まで入る極めて前衛的な作品。 | ||
ザール・ベルガーのポートレート、トラヴェリング・ピース〜ホルンのための現代作品集 CD1:独奏作品集 ハインツ・ホリガー:怒り―夢 [cynddaredd brenddwyd] (2001, rev.2004) ミロスラフ・スルンカ:コロニー(2009) / 藤倉大:ポヨポヨ(2012) イェルク・ヴィトマン:エア(2005) / ニーナ・シェンク:ひとつの歌(2012) ヴァソス・ニコラウ: L.E.A.P.S (2012) / マヤ・ドゥニエツ:フィガロの夢(2012) [マヤ・ドゥニエツ(P)] デーモン・トーマス・リー:ベント(2008) / 今井千景:ドローイング(2012) ディトマー・ヴィースナー:テープつきの歌(2008) CD2:室内楽作品集 トーマス・アデス:ソナタ・ダ・カッチャ〔狩猟のソナタ〕 (1993) [クリスティアン・ホンメル(Ob) ウエリ・ヴィゲト(Cemb)] ザミール・オデー=タミーミ:ホルンと打楽器のためのデュオ(2011) [ライナー・レーマー(Perc)] キャシー・ミリケン:3ステップ(2010) [ジャグディシュ・ミストリー(Vn) エヴァ・ベッカー(Vc)] ヴィト・ジュラーイ:ウォーム・アップ(2012) [小川留美、デイヴィッド・ハラー(Perc)] ホーコン・テリン:夢の旋律(2012) [ホーコン・テリン(Cb)] アンソニー・チャン:ホルン独奏と管弦楽のための「霧のモビール」(2010) [マティアス・ピンチャー指揮フランクフルト放送so.] ヴァレンティン・ガーヴィー:金管四重奏曲「セロニアス・モンクのレッツ・コール・ディスの変奏曲」(2012) [ヴァレンティン・ガーヴィー、サヴァ・スイトヤノフ(Tp) ウーヴェ・ディエルクセン(Tb)] ザール・ベルガー(Hr) | ||
録音:2010年-2012年、ダルムシュタット、ライヴ。ザール・ベルガーはイスラエル出身のホルン奏者でエルサレム音楽院で学んだ後、渡独、ベルリンでマリー=ルイーズ・ノイネッカーらに師事した。現在はソリストとして多くのオーケストラに招かれ、また若手作曲家とのコラボレーション、現代の巨匠的作曲家の作品の再演など、現代音楽に並々ならぬ意欲を見せている。このアルバムは全てベルガーの委嘱によって書かれた作品で現代のホルン音楽を知る上で極めて貴重な内容。藤倉大、トマス。アデスら若手・中堅から重鎮ハインツ・ホリガーまで聴き応え十分。特にホルン・マニアは必携! | ||
ラウンドアバウト〜アンソニー・チャン(1982-): アンサンブルのための「 vis-a-vis 」(2010) (*) /アンサンブルのための「ハイパー・バトン」(2009) (+) / アンサンブルのための「ディスクリート・アンフィニティ」(2011) (+) [フランク・オッル指揮(*) ヨハネス・カリツケ指揮(+) アンサンブル・モデルン(*/+) ]/ ピアノのための「ラウンダバウト」(2010)[ウエリ・ウィゲット(P)]/ ホルンとオーケストラのための「フォグ・モビールズ」(2010)[ザール・ベルガー(Hr) マティアス・ピンチャー指揮 hrso. 〔フランクフルト放送so.〕] | ||
録音:2013年。アンソニー・チャンはサンフランシスコ出身の中華系アメリカ人作曲家で作品はアンサンブル・モデルンのほか、NYP 、フランクフルト放送so. などで演奏されている。中国の民族性とは一切無縁(仮にあったとしても極めて抽象化されている)で音響をとことん抽象化しデザインし構成する力量はかなりのもので音楽を時間軸の上での音響エネルギーの変化としてとらえているヴァレーズや湯浅譲二の音楽を想起させる。音色の色彩感覚、管弦楽法などに卓越した才能を感じさせる若手作曲家の登場。 | ||
EMCD-029 (2CD) 廃盤 |
ノット&ユンゲ・ドイチュ・フィル ソフィア・グバイドゥーリナ(1931-): ヴィオラ協奏曲(1996, rev.2015) (*) ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 |
アントワン・タメスティ(Va;*) ジョナサン・ノット指揮 ユンゲ・ドイチェpo. |
録音:2015年10月5日、フィルハーモニー、ベルリン、ライヴ。 #当盤は国内代理店への入荷が注文数より少なく、既にレーベル側では完売で再プレスの予定もないとの事です。今後の入荷は見込めませんので、ご了承の程お願い致します。 | ||
8つの感情「ヘルムート・ラッヘンマンを讃えて」〜エレクトロ・アコースティック作品集 ハネス・ザイドル(1977-):希望(2015) / ネーレ・ヒュルカー(1987-):幸せな災難(2015) ゴードン・カンペ(1976-): HL:24 (2015) / フランツ・マルティン・オルブリッシュ(1952-):流体(2015) ハラルド・ムエンツ(1965-):2つの感情(2015) / オルム・フィネンダール(1963-):ヘルムートのための断片(2015) ヘルマン・クレッチマー(1958-): H. A. L (ヘルムート・アマデウス・ロジック) (2015) マルティン・シュットラー(1974-):消された作曲家(2015) アコースティック音をコンピュータで様々に処理加工 | ||
ヘルムート・ラッヘンマンを讃えるため、主に30-40歳代の作曲家たちが作曲した8-9分程の作品を8つ収録。エレクトロ・アコースティック作品集と銘打たれている通り、アコースティック音をコンピュータで様々に処理加工している(因みにラッヘンマン自身は電子音楽やミュージック・コンクレート的な作品を一切作曲していない)。作品に使用されている主な音素材はラッヘンマンの著作で使われている言葉や講義の際に録音されたラッヘンマンの声。ぴゅるぴゅる、ちゅるちゅるとテープの早回し&逆回しのようなアナログでプリミティヴな音がどこか懐かしいオルブリッシュ作品、男女がタン・タン、ティ〜♪と楽しげに鼻歌を歌っているだけにしか聴こえないとぼけたフルッカー作品等々、なかなか楽しい。中でも録音されたラッヘンマンの講義の声を初期スティーヴ・ライヒ流のやり方を高度に繰り返したり重ねたりして別の音響に異化するフィネンダールの「ヘルムートのための断片」が聴き物。ラッヘンマンがこれらの作品を微笑みながら聴いている写真がブックレットに掲載されており、印象に残る。電子音楽、実験音楽ファンにはお薦めの一枚。 | ||
インゴ・シュルツェ(1962-): 音楽付きドラマ「排水管はボンボン菓子のように氷のかたまりを路上にはきだした」 音楽:〔ヘンツェ:信号/トッカータ / シュールホフ:メランコリア/無窮動 / ヴェーベルン:3つの小品 クレッチマー:オレンジ・モジュール/ Vc-Fg モジュール / ジョンソン:ハーピアノ カーデュー:秋60 /マテリアル / ケージ:鐘のための音楽 スケンプトン:ジェミニ・ダンス/ピアノと木片のための二重奏〕より ユディス・エンゲル、ジルヴェスター・グロス、トマス・ティーメ(語り) アンサンブル・モデルン(音楽演奏) | ||
インゴ・シュルツェは旧東ドイツ出身の作家。東ドイツ時代はライプツィヒ近郊の小さな劇場で監督助手をしていた。東西ドイツ統合後に新聞社を立ち上げ、そこで短編小説を発表し数々の賞を受賞、作品は20の言語に翻訳され、日本でも評価が高い。この作品はラジオ・ドラマ風に男女3人の会話で構成され、合間に上記の音楽が挿入される。 | ||
コールス・スタディース&ゲームズ〜トランペットとホルンのための作品集 エリオット・カーター(1908-2012):コール / ベアト・フラー(1954-):スタディ 今井千景(1979-):インターウィーヴ / ヴァソス・ニコラウー(1971-)):エイリアス マテイ・ボニン(1986-):モメンタム / ベルンハルト・ガンダー(1969-):不信心な説教 マンフレート・トロヤーン(1949-):序奏とスケルツィティーノ / マルチェロ・ペルティコーネ(1960-):注釈 マルティン・マタロン(1958-):金属の金属 / シュタイングリムール・ローロフ(1971-):生物 マートン・イレシュ(1975-):エン・コール I / デーモン・リー(1972-):ラザロの縁 ナタリオ・スエド(1973-):白から黒へ/ウォーミング・アップ/プリズマ / ミゲル・ガルペラン(1972-):塵から塵へ ヴィト・ズラジ(1979-):お静かに / ヴァレンティン・ガーヴィ(1973-):反ウィーン ヘルマン・クレッチマー(1958-):サ・ヴァ・サ・ゲームズ/新しいサ・ヴァ・サ・ゲームズ アダルベルト・アンドレ=ヴィダル(1974-):5つのエチュード サ・ヴァ・サ三重奏団 [サヴァ・ストイアノフ、ヴァレンティン・ガーヴィ(Tp) ザール・ベルガー(フレンチHr)] | ||
録音:2015年1月-3月。 サ・ヴァ・サ三重奏団はトランペット2本とホルン1本から構成されたトリオでメンバーはみなアンサンブル・モデルンの楽員。彼らのために世代も国籍も様々な作曲家が書き下ろした小品でまとめられており、曲の長さは30秒前後の超小品から2、3分のもの、10分前後のものまでと幅広い。大御所エリオット・カーターの厳格なセリーによる作品があるかと思えば特殊奏法を駆使した作品、中には奏者が楽器を吹くだけでなく声を出して叫んだりする作品(ローロフ:生物)やジャズの影響を受けた楽しい作品(クレッチマー:サ・ヴァ・サ・ゲームス)まで多種多様。日本のホープ、今井千景の作品が収められているのもうれしいところ。 | ||
Schlagzeug |小川るみ(パーカッション) 原田敬子(1968-):クラリネット、打楽器とピアノのための「ロンド・ヴァリエーションズ」(2006) Cl/Perc2/P/14 ジャロッド・カグウィン(1974-):3人の音楽家と4つの団扇太鼓のための「ムッテ・コップ」(2010) Perc2/Perc3/13 マンフレート・シュターンケ(1951-):打楽器、ヴァイオリンとチェロのための「皮膚と弦楽」(2006) Vn/Vc/11 アルフレッド・シュニトケ(1943-1998):チェロ、ハープと打楽器のための「ヒムヌス I 」(1974) Vc/Hp/14 マグヌス・リンドベリ(1958-):アコーディオンと打楽器のための「メタル・ワーク」(1984) Acco/10 小川るみ(Perc) ニナ・ヤンセン=ダインツァー(ClCl) デイヴィッド・ハラー(Perc2Perc2) スラヴィク・スタホフ(Perc3Perc3) ウエリ・ヴィゲット(PP/HpHp) ジャグディッシュ・ミストリ(VnVn) ミヒャエル・M.カスパー(VcVc) シュテファン・フッソング(アコーディオンAcco) | ||
録音:2010年/10、2011年/11、2014年/13、2014年/14。 アンサンブル・モデルンの首席打楽器奏者、小川るみが選んだ打楽器と様々な楽器を組み合わせた作品を収録。原田敬子はダルムシュタット夏季現代音楽講習会に参加しその後芥川作曲賞、尾高賞などを受賞、海外からの委嘱も多く、特にドイツでは高く評価されている。若手カグウィンの「ムッテコップ」は日本の団扇太鼓を使った、ややミニマル的な作品で、その乾いたユーモアのセンスが面白い。巨匠シュニトケの「ヒムヌスI」は静けさの中に祈りと不気味さが共存した作曲者全盛期の時代の傑作。そしてリンドベリの「メタル・ワークス」は文字通り、金属系の打楽器がアコーディオンときらびやかな音の火花を散らす。アコーディオンの名手フッソングとの息詰まるセッションぶりが聴き物。小川るみは東京藝大で高橋美智子に学んだ後、フライブルク音楽大学に留学し様々な現代作品を学び1981年よりアンサンブル・モデルンの楽員を勤めている。 | ||
どこから?どこへ?〜神話、民族、アイデンティティ パヴェウ・ヘンドリヒ(1979-):セディメトロン(アンドレイ・クロペツキの追憶に)(2012) (*) ニナ・シェンク(1982-): 20 in 5 (2012) (#) / ユディット・ヴァルガ(1979-):エンティタス(2012) (+) クリスタプス・ペーテルソンス(1982-):導かれた金(2012) (#) マテイ・ボニン(1986-):カレイドスコープ(2012) (*) フランティシェク・チャロウプカ(1981-):7つのリチュエル「マシンガン」(2012) (*) ヤニス・ペトラスケヴィチ(1978-):ダーク・ルーム(2012) (+) アンドリス・ジェニティス(1978-):ラトヴィアの料理本(2011/12) (*) ペーテル・エートヴェシュ指揮(*) アヌ・タリ指揮(#) クレメンス・ハイル指揮(+) アンサンブル・モデルン | ||
録音:2013年、ライヴ。 1980年前後に生まれた若手作曲家たちのアンサンブルのための近作をペーテル・エートヴェシュ、アヌ・タリたちの指揮で聴く2枚組セット。アルバム・タイトルにある「神話、民族、アイデンティティ」とは出品作曲家たちの様々な民族、出自を表すと思われる。ヘンドリヒはポーランド、シェンクとボニンはスロヴェニア、ヴァルガはハンガリー、ペーテルソンスとペトラスケヴィチとジェニティスはラトヴィア、チャロウプカはチェコの出身。それぞれの民族的、政治的、歴史的背景を現代音楽の技法でどのように表現しているかが聴きどころ。アンサンブル・モデルンの鮮烈で正確な演奏は相変わらずで楽しめる。 | ||
どこから?どこへ?〜神話、民族、アイデンティティ パヴェウ・ヘンドリヒ(1979-):セディメトロン(アンドレイ・クロペツキの追憶に)(2012) (*) ニナ・シェンク(1982-): 20 in 5 (2012) (#) / ユディット・ヴァルガ(1979-):エンティタス(2012) (+) クリスタプス・ペーテルソンス(1982-):導かれた金(2012) (#) マテイ・ボニン(1986-):カレイドスコープ(2012) (*) フランティシェク・チャロウプカ(1981-):7つのリチュエル「マシンガン」(2012) (*) ヤニス・ペトラスケヴィチ(1978-):ダーク・ルーム(2012) (+) アンドリス・ジェニティス(1978-):ラトヴィアの料理本(2011/12) (*) ペーテル・エートヴェシュ指揮(*) アヌ・タリ指揮(#) クレメンス・ハイル指揮(+) アンサンブル・モデルン | ||
録音:2013年、ライヴ。 1980年前後に生まれた若手作曲家たちのアンサンブルのための近作をペーテル・エートヴェシュ、アヌ・タリたちの指揮で聴く2枚組セット。アルバム・タイトルにある「神話、民族、アイデンティティ」とは出品作曲家たちの様々な民族、出自を表すと思われる。ヘンドリヒはポーランド、シェンクとボニンはスロヴェニア、ヴァルガはハンガリー、ペーテルソンスとペトラスケヴィチとジェニティスはラトヴィア、チャロウプカはチェコの出身。それぞれの民族的、政治的、歴史的背景を現代音楽の技法でどのように表現しているかが聴きどころ。アンサンブル・モデルンの鮮烈で正確な演奏は相変わらずで楽しめる。 | ||
ラヴェル(1875-1937):高雅で感傷的なワルツ(1911/12) ショスタコーヴィチ(1906-1975): 交響曲第15番 イ長調 Op.141 (1971) |
ジョナサン・ノット指揮 ユンゲ・ドイチェpo. | |
録音:2017年3月12日、フィルハーモニー・ザール、ベルリン、ライヴ。 2014年より東京so. の音楽監督を務めるほか2017年からはスイス・ロマンドo. の音楽監督に就任するなど八面六臂の快進撃を続けるジョナサン・ノット待望の最新録音、芸術監督を務めるユンゲ・ドイチェ・フィルと2017年3月12日にベルリンで行ったライヴの登場。曲目は作曲年代におよそ60年間を隔てた二つの20世紀作品、ラヴェルとショスタコーヴィチ。「優雅で感傷的なワルツ」管弦楽版の複雑にして繊細さを極める精妙なスコアをノットはこれ以上考えられないほどの品位とデリカシー、そして官能性をもってリアリゼーション。この録音がブーレーズ以後の同作品の新たなスタンダードになると言っても決して言い過ぎではない。そしてロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲や過去の自作からの引用、12音技法の応用、リズム・クラスターなど、とても晩年の作品とは思えないほど多くのアイデアと霊感に溢れたショスタコーヴィチの交響曲第15番。ノットはポスト前衛音楽時代の傑作としてとらえ直し、精緻なスコアを慎重に読み込みつつ、むくむくと湧き上がるようなドラマを作り出す。そして謎めいた終わり方をする、この作品が決して作曲者最後の交響曲ではなく、まだ続きがあるのだ、という聴き手のイマジネーションを掻き立てる想像力とエネルギーに溢れた名演。ユンゲ・ドイチェ・フィルもノットの高い要求に期待以上に応えて見事。迫真のライヴ。 | ||
クルト・ヴァイル(1900-1950): 音楽劇「マハゴニー」(1927)[歌詞: B. ブレヒト](*) / ソプラノ、男声四重唱と室内管弦楽のための「水辺の歌」(1934/2017) [歌詞:ジャック・デヴァルほか](#) / 管楽管弦楽のための「小さな三文音楽」(1928) (+) H K.グルーバー指揮アンサンブル・モデルン(*/#/+) ウテ・グフレラー(S;*/#) ヴィニーベーヴェ(S;*) アマルコルド〔男声四重唱〕(*/#) | ||
録音:2016年5月5日-6日、デッサウ(*) /2017年4月12日-13日(#)、2016年2月24日-25日(+)、フランクフルト(#/+) 。2020年、生誕120年(没後70年)を迎えるヴァイルが舞台のために書いた様々な音楽をコンパクトにまとめた、ヴァイルを知るのに最適の一枚。前衛音楽を得意とするアンサンブル・モデルンがヴァイルの音楽が持つユーモアと社会風刺、人間の哀歓を鋭く描き出す。有名な「マハゴニー市の興亡」のプロトタイプとして書かれた音楽劇「マハゴニー」には既に有名なマハゴニー・ソング、アラバマ・ソングが含まれ、「〜興亡」のダイジェスト版、組曲として楽しめる。「小さな三文音楽」は三文オペラの管楽オーケストラによる組曲。モデルンのメンバーもノリに乗ってごきげんな演奏を繰り広げている。 | ||
クリスティアン・ホンメル〜現代オーボエ作品集 ワーグナー(1813-1883):「トリスタンとイゾルデ」〜羊飼い / ブリテン(1913-1976):6つのメタモルフォース ロルフ・リーム(1937-):平素の / エジソン・デニソフ(1929-1996):ソロ / イサン・ユン(1917-1995):ピリ ヴィンコ・グロボカール(1934-):呼吸の研究 / キリアン・シュヴォオン(1972-):ケルプホルツ(*) フリードリヒ・チェルハ(1926-):軽率な骨片 / ジョン・ケージ(1912-1992):龍安寺(#) トマス・ハンメルマン(1964-):ムーヴィング I / キャシー・ミリケン(1956-):青のカタログ(#) サミール・オデー=タミミ(1970-):バーカル / マーク・アンドレ(1964-): Iv 5 イェルク・ビルケンケッター(1963-):ベル・カント / ヴィト・ズライ(1979-):デュース(#) ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):セクエンツァ VII クリスティアン・ペドロ・バスケス・ミランダ(1969-):ミクロスコピア / ウーヴェ・ラッシュ(1957-):歌唱 クリスティアン・ホンメル(Ob/コール・アングレ/ルポフォン/バスOb) 小川るみ(Perc;#) ライナー・レーマー(Perc;*) | ||
録音:2010年-2016年、 hr ゼンデザール、フランクフルト。クリスティアン・ホンメルはアンサンブル・モデルンの首席オーボエ奏者。ハインツ・ホリガーに学び、その後多くの国際コンクールに入賞、2008年よりアンサンブル・モデルンに在籍する。20〜21世紀音楽に深い関心がある他、バッハのオーボエ協奏曲全集録音にも挑む。このディスクは20、21世紀のオーボエ独奏曲を中心に集められた極めて貴重なディスク。ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の中のオーボエソロに始まり、間にケージの龍安寺を挟みつつ、オーボエ音楽の現在を俯瞰する好企画。 | ||
シューベルト(1797-1828)/ ハンス・ツェンダー(1936-2019)編曲: 「冬の旅」〜創造的編曲の試み(1993) |
ハンス・ペーター・ ブロホヴィッツ(T) ハンス・ツェンダー指揮 アンサンブル・モデルン | |
録音:1994年8月1日-5日、ゼンデザール、ヘッセン放送、フランクフルト|初出・旧品番: RCA/BMG, 09026-68067-2 〔当店未案内、廃盤〕。編曲というにはあまりにも創造的、逸脱的すぎるハンス・ツェンダーによる管弦楽版シューベルトの「冬の旅」。多数の打楽器、特殊奏法も入るこのバージョンは確かに時に悪乗り、奔放、やりすぎの感もあるが、なるほど、そう来たかと、ポンと膝を打つ瞬間も多々あり、ツェンダーのイマジネーションの拡がりに驚かされる。このように現代的なオーケストレーションを施されたことにより、シューベルトがいかに後のマーラー、ヴォルフひいては新ウィーン楽派に深い影響を与えたか、彼らにどう繋がっていったのかが改めて耳で実感出来る。名歌手ブロホヴィッツの渾身の歌唱ももちろん聴き逃せない。久々のリリース、この機会にお買い逃がしなく。 | ||
マルク〔マーク〕・アンドレ(1964-): アンサンブルのための Riss 〔 1 (2015/17) / 2 (2014) / 3 (2014/16) 〕 |
インゴ・メッツマッハー指揮 アンサンブル・モデルン | |
録音:2019年4月30日-5月1日、フランクフルト。マーク・アンドレはパリでジェラール・グリゼイに師事した後、渡独し特殊奏法を駆使した作曲で知られるラッヘンマンに師事してから頭角を表した。彼の作風はスペクトル楽派に特徴的な音の倍音構成に基づいた音色の変化にラッヘンマン譲りの静寂と沈黙、特殊奏法による微細な音響を融合したもので、霧に包まれた山水画のようなモノトーンの世界が魅力的。このriss三部作もそうしたアンドレの音楽の延長線上にある。アンサンブル・モデルンの精緻な演奏がアンドレの禅的ともいえる哲学を鮮烈に体現している。 | ||
ヘルムート・ラッヘンマン: コンチェルティーニ(*)/コントラカデンツ(#) |
ブラッド・ラブマン指揮(*) アンサンブル・モデルン(*) マルクス・シュテンツ指揮(#) アンサンブル・モデルンo.(#) | |
録音:2006年8月(*)/2005年10月(#)。 特殊奏法や超絶技巧を多く求められるラッヘンマンの作品はアンサンブル・モデルンの力量を最大限に発揮できるレパートリーであろう。ラッヘンマンの代表的なCDであるだけでなく、モデルンの数ある録音のなかでも代表的なものに数えられるだろう。 | ||
più 〜超絶技巧現代ファゴット作品集 サーシャ・ヤンコ・ドラギチェヴィッチ: ファゴットとライヴ・エレクトロニクスのための 「オートガミー第4版」(2005/06) エンノ・ポッペ:ホルツ・ソロ(1999/2005) ピエルルイジ・ビローネ:ファゴット独奏のための 「 Legno EdreII EDRE 」 (2003) サーシャ・ヤンコ・ドラギチェヴィッチ: ファゴットと電子音響のための più [もっと] (1994) フランク・ベドロテアン:ファゴットと ライヴ・エレクトロニクスのための 「トランスミッション」(2002) |
ヨハネス・シュヴァルツ(Fg) | |
録音:2006年。 ファゴット奏者のシュヴァルツは2003年以降、アンサンブル・モデルンのメンバー。ソリストとしてWDR響との共演のほか、現代音楽の紹介に務める。作品はファゴットの機能を超えるかのような特殊奏法を多用した典型的なヨーロッパ前衛音楽。特定の楽器のためレパートリーは卓越した奏者がいて生まれるものだが、これまで現代のファゴット作品は少なかった。ファゴットという楽器の新たな可能性が示されている。 | ||
語られた音〜現代チェロ作品集 ピエール・ブーレーズ(1929-):独奏チェロと6つのチェロのための「メサジェスキス」(1976) ヨハネス・シェールホルン(1962-):エコー(2007) ジュラール・ブケ(1954-):独奏チェロとエレクトロニクスのための「副詞」(2002) パク・ソンヨン(1974-):チェロ、トーン・バンドとエレクトロニクスのための「流れる昇華」(2001) ペーテル・エートヴェシュ(1944-):語りを伴うチェリストのための「ポリーのための2つの詩」(1998) エーファ・ベッカー(Vc〔多重録音〕/語り) | ||
録音:2006年、2008年。エーファ・ベッカーはアンサンブル・モデルンの首席チェロ奏者で、彼女が特に共感する新旧様々な世代の作曲家のチェロ作品を収録。ブーレーズのメサジェスキスは7人のチェリストのためのアンサンブル作品だが、多重録音で彼女一人で演奏している。ライヴ・エレクトロニクスを伴った特殊音響の嵐が渦巻くパク・ソンヨン作品、語り弾きを含むエトヴェシュ作品など、個性的な作品が目白押し。 | ||
ROOR〜現代トロンボーン作品集 ウーヴェ・ディエルクセン:ハラル/即興/織機 / エクトール・モロ:ロカビー、影 アーヌルフ・ヘルマン: ROOR / フォルケ・ラベ:バスタ ヨハネス・マリア・シュタウト:編集された下書き(書き出しII) ルチアーノ・ベリオ:セクエンツァV (*) / ヘルムート・エーリング:フィリップ(*) マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン:ソロ11 (*) ディエルクセン:鳥の教会(*)/ヌンについて話そう(*)/イントロ・アムステルダム(*)/ ソング・アムステルダム(*)/パンジーの葉(*) フランク・ザッパ/ディエルクセン編曲:低予算オーケストラのために改訂された音楽(*) ヘルムート・ツァップ:トロンボーンの音(*) ウーヴェ・ディエルクセン(Tb) メーヴィス・バンド(*) | ||
録音:2007年-2010年。無印はSACD盤、(*)はCD盤への収録。ウーヴェ・ディエルクセンはアンサンブル・モデルンの首席トロンボーン奏者で自ら作曲も行う。ここでも自作をフリージャズを思わせるアグレッシヴなパフォーマンスで聴かせている。現代のトロンボーンの名曲ベリオ作品、もともとはギター・ソロ曲のザッパ作品の編曲版、ヨーロッパ前衛の指導的立場にあるヨハネス・マリア・シ ュタウトの新作も聴き物。 |