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ORFEO

特記以外
価格帯記載無し:1枚あたり¥3300(税抜¥3000)
〔 CD / CD-R 〕
価格帯B:1枚あたり¥3520(税抜¥3200)
〔SACD〕
価格帯D:1枚あたり¥4620(税抜¥4200)
〔DVD〕



 1979年に創業し1980年にリリースを開始、2015年からは Naxos の傘下となっているドイツのレーベル。
 #当レーベルは2010年代中頃までは一切廃盤を行っていませんでしたが、 Naxos 傘下となって以降廃盤が出始め、2021年からは Orfeo D'Or シリーズ既出リリースの CD-R 盤化が開始されました。代理店からアナウンスがあったものについては下記に記載していきますが、海外の CD-R 盤化はアナウンスがなされないのが常であり、今後予告なく切り替わるものがあるかもしれません。当店ではプレス盤の保証をいたしませんのでご了承のほどお願いいたします。
マーガレット・プライス〜
 フランツ・シューベルト:名歌曲集

  秘密(フランツ・シューベルトに寄せて)D491/
  ロマンス D797/3b/水の上にて歌える D774/
  冬の夕べ D938/静かな国へ D403a/
  わたしのクラヴィーアに D342/夕映えの中で D799/
  ナイチンゲールに寄す D497/母なる大地 D788/
  草原の歌 D917/恋する者のさまざまな姿 D558/
  岩上の羊飼 D965
マーガレット・プライス(S)
ヴォルフガング・
 サヴァリッシュ(P)
ハンス・シェーネベルガー(Cl)
KDC-7009
廃盤
宇野功芳の音盤棚「これがUNO!」 Vol.9
 フランツ・シューベルト:名歌曲集

  (曲目はORFEO-001811と同一)
 録音:1981年9月9日-11日、ゼーオン修道院ホール。
 #以下はKDC-7009についての情報となります。
 演奏解説/unauの無能日記(エッセイ):宇野功芳氏。以前からその歌声に魅了され宇野功芳氏が絶賛していたマーガレット・プライス。可憐さと強さというソプラノ歌手にとって重要な要素を兼ね備えた稀有な才能を持った名歌手。ピアノ伴奏はドイツ・オーストリア音楽を代表する指揮者の一人、また名ピアニストでもあるヴォルフガング・サヴァリッシュ。彼は2008年8月26日で85歳になり、このCDが彼の偉業を称える宇野氏からのプレゼントとなることだろう。ORFEOレーベルも納得の宇野氏の熱烈解説の一部をご紹介する。注目のunauの無能日記は愛弟子、有山麻衣子とのオーディオ探索編。
 『マーガレット・プライスは低域から高域までムラのない美声を誇り、音程の正確さとフレージングの巧みさも光っている。CD はオペラ全曲盤が多く、歌曲は少ない。本CD はその数少ない貴重な一枚で、1981 年、プライス47 歳、最円熟期のレコーディングであり、ピアノ伴奏を指揮者サヴァリッシュが受け持っているのも価値を増している。ぼくはこの「シューベルト歌曲集」が発売されたときから口を極めて絶讃し、愛聴して来た。とくに「夕映えの中に」は名唱中の名唱といえるだろう。』【宇野功芳氏 KDC-7009 ライナーノーツより]
サヴァリッシュのR.シュトラウス
 R.シュトラウス:管楽器のためのソナチネ第2番
  (交響曲)変ホ長調「楽しい仕事場」AV.143
ヴォルフガング・
 サヴァリッシュ指揮
ミュンヘン管楽アカデミー
 発売:1982年。録音:DDD。国内仕様盤:36CD-10013〔廃盤/入手不能〕。
ヘルベルト・ブレンディンガー(1936-):作品集
 ヴィータのメディア Op.35 (*) /クラリネット協奏曲 Op.72 (#)
  ヘレン・ドナート(S;*) ヘルマン・ベヒト(B;*)
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立o.(*)
  ハンス・シェーネベルガー(Cl;#) ペーター・ギュルケ指揮ミュンヘン室内o.(#)
 録音:1980年(*) /1999年(#) 。『1936年生まれのブレンディンガーは聴いてみると反前衛ドイツロマン派保守本流のプフィッツナーの正統な後継者のようで、ドイツロマン情緒濃厚なクラリネット協奏曲など大変な名曲で現代曲には珍しく何度も聴きたくなる作品。』(以上代理店記載ママ)。
ORFEO-008102
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(2CD)
1CD価格
ベルティーニ〜ブラームス:セレナード集&愛の歌
 セレナード〔第1番/第2番〕/
 ワルツ集「愛の歌」Op.52より(*)
  〔第1曲「言っておくれ、世にも愛らしい少女よ」/第2曲「奔流は岩にぶつかり」/
   第4曲「赤く、美しい夕映えのように」/第5曲「緑のホップのつるが」/第6曲「かわいい小鳥が」/
   第8曲「あなたのやさしく、愛らしい眼が」/第9曲「ドナウ川の岸辺に立つ家の窓から」/
   第11曲「いやいや、ぼくは世間の奴らと」〕/

 ワルツ集「新・愛の歌」Op.65〜第9曲「私の心は毒にむしばまれて」(*)
  イングリート・ジークハルト(S;*) ガリー・ベルティーニ指揮
  ウィーンso.、ウィーン楽友協会cho.(*)
 録音:1982年5月28日-30日、ローゼンヒューゲル・スタジオ、ウィーン。(*)は初CD化。
 元々LP2枚で発売されていた上記の曲目からセレナード2曲を抜き出した旧CD盤は、CD発売初期からのロング・ベスト・セラーになっていたが(ORFEO-008101/廃盤)、LPのみに収録されていた(*)をボーナス盤に付けてスリムケース仕様で再発売。
ベーム&ボワモルティエ:フルート作品集
 テオバルト・ベーム(1794-1881):
  デュエッティーノ ニ長調(第66番)/虚ろなる心(パイシェッロ)Op.4 /
  大ポロネーズ ニ長調 Op.16 /アンダンテ・パストラーレ Op.31 /
  ロマンツァ ヘ長調(第68番)/民謡による幻想曲 ホ長調 Op.22 /
  シューベルトの主題による幻想曲 変イ長調Op.21 /
  易しい小品 ハ長調(第67番)/エレジー 変イ長調 Op.47
 ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ(1689-1755):協奏曲第1番 ト長調〜第2楽章
  ウルズラ・ブルクハルト、イレーナ・グラフェナウアー、ウィリアム・ベネット(Fl)
  アンドラーシュ・アドリアーン、オーレル・ニコレ、
  ミシェル・デボスト(Fl/アルトFl) バートン・ウェーバー(P)
 録音:1981年11月27日、キュヴィリエ劇場、ミュンヘン。バイエルン放送との共同製作。名手がずらりと勢揃いした豪華な録音。
ブルックナー:交響曲第6番 イ長調
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立o.
 録音:1981年10月。国内仕様盤:PHCF-5327〔廃盤/入手不能〕。仏 ディアパソン 誌「ディアパソン・ドール」、仏 ル・モンド・ド・ラ・ミュジーク誌「 CHOC 」、仏 テレマナ誌「 ffff 」を其々獲得。
ミヒャエル・ハイドン:セレナード ニ長調 MH.68(1764、ザルツブルク)
 ディーター・クレッカー(Cl) ゲアノート・シュマルフス指揮プラハ室内o.
 録音:2006年9月25日-30日、プラハ、ドモヴィナ・スタジオ。18世紀末当時、ミヒャエル・ハイドンはたいへんな人気作曲家だった。ザルツブルグ司教に仕えている間じゅう、その命により宗教曲だけでなく独創性に富んだ室内楽作品を数多く作曲している。1764年に書かれた ニ長調のセレナードは全体が9つの楽章から成り、その中に2つのコンチェルティーノ(ひとつはクラリネットのための、もうひとつはトロンボーンのための)をも含む大掛かりなもの。第1楽章は弦楽主導でオケとファゴットの妙技を示すのに対して、第5、第6楽章では独奏クラリネットを登場させ、美しいメロディと極上のカンタービレで酔わせます。ここでのカデンツァはもちろん名手クレッカーの独壇場。さらに第6楽章には驚くべき仕掛けが!なんと、このセレナードから数えて23年後に作曲されたモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でおなじみの上昇音型のモチーフが聞き取れる。ミヒャエルがモーツァルトに多大な影響を与えたことはよく知られているが 、こんなところにもその片鱗がみられ思わずニヤリとさせられる。また、解説文中クレッカー書き下ろしのくだりも、コンチェルティーノに関する専門家ならではの鋭い考察で興味が尽きない。
ブラームス:ドイツ・レクイエム Op.45
 マーガレット・プライス(S) トマス・アレン(Br)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン放送so.&cho.、ミュンヘン音楽大学室内cho.
 録音:1983年3月、10月。国内仕様盤:PHCF-5328〔廃盤/入手不能〕。
モル&ガーベン〜シューベルト:歌曲集「冬の旅」 D911(全24曲)
 クルト・モル(B) コード・ガーベン〔コルト・ガルベン〕(P)
 録音:1982年5月18日-19日、6月21日-25日、ハンブルク。収録時間:81分59秒。仏ディアパソン誌「ディアパソン・ドール」獲得盤。旧品番:ORFEO-042832 [C 042 832 H / 2CDs](当店未案内)を、そのまま1枚に収録したお買い得再発売。初発売時はまだモルのような低いバスがリートを歌い録音すること自体が珍しく、かなり話題になった。深く柔らかな美声と豊かな音楽性で知られるモルだけに、重心の低さを活用した重厚かつ感動的な「冬の旅」。伴奏のコルト・ガルベン〔これは慣用的なドイツ語カナ記載によるものだが、 Cord Garben を現代ドイツ語で発音すると「コート・ガーペン」と言うようにも聞こえる( "or" "ar" を「オル」「アル」でなく、英語に近い長音で発音する)〕は、英語風のコード・ガーベンのカナ表記で知られる元DG社のプロデューサー。伴奏ピアニストとしても一流の腕の持ち主。
ストラヴィンスキー
 組曲「火の鳥」(1919年版)〔管弦楽版(*) /エミール・ナウモフによるピアノ編曲版(#) 〕
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮ウィーンso.(*) エミール・ナウモフ(P;#)
 録音:1982年1月(*) /1983年4月(#) 。国内仕様盤:36CD-10010〔廃盤/入手不能〕。
ORFEO-045832
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(2CD)
1CD価格
半額で復活、ヨッフム〜モーツァルト:後期交響曲集
 交響曲第39番 変ホ長調 KV.543(*)/
 交響曲第40番 ト短調 KV.550(*)/
 交響曲第41番 ハ長調 KV.551「ジュピター」(#)/
 フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 KV.477(#)
オイゲン・ヨッフム指揮
バンベルクso.
 録音:1982年3月22日-24日、11月18日-20日、バンベルク・クルトゥーアラウム(ディジタル・セッション)。旧・ ORFEO-045901 [C 045 901 A] (LP: S 045 832 H) (*) / ORFEO-045902 [C 045 902 A] (LP: S 045 832 A) (#)(以上すべて当店未案内)のセット化&半額での再発売。
 巨匠ヨッフムがその最晩年に、かつて首席指揮者を務めて(1971-1973)ゆかりの深いバンベルク響とともにセッション録音で残したモーツァルトの後期3大交響曲集は、ORFEOレーベル草創期以来のベスト・セラーとなっている不滅の名盤だが、このたびセットになってお買い得な価格で再登場する。
 オイゲン・ヨッフム(1902-1987)といえば、ステレオ期に入り、バイエルン放送so.&BPO、さらにはシュターツカペレ・ドレスデンと、2度の交響曲全集を完成させた実績などから、「ブルックナー指揮者」としてのイメージが強烈だが、同時にまた、ハイドンやベートーヴェンそしてモーツァルトといった古典派作品でも独特の風格ある音楽づくりがいまなおファンの根強い支持を集めている。ヨッフムによるモーツァルトの交響曲録音は、コンセルトヘボウ管(RCO)の首席指揮者時代(1961-1964)にセッション録音した第35番、第36番、第38番、第41番をはじめ、比較的数も多く、なかでもRCOとの1986年の来日公演で、ブルックナーの第7交響曲とともに演奏された第33番はとりわけ印象深いものがあった。
 ヨッフム&バンベルク響によるモーツァルトの後期3大交響曲は、やはりほぼ同時期の1984年と1985年にBMG/オイロディスクへ並行しておこなわれた第33番、第35番、第36番、第38番のセッション・レコーディングとともに、かねて評価の高かった物。味わいゆたかな旋律の歌わせかた、遅すぎず速すぎずの絶妙なテンポ。その悠然としたアプローチはいずれもこれこそまさに巨匠の至芸というほかないみごとな内容で、最良の遺産としてこれから先も光を放ち続けることだろう。
 コンパクトサイズの6面折りたたみディジパック仕様。16ページ別冊ブックレットつき。
ブラームス:マゲローネのロマンス Op.33(語りつき) コンラッド・ジャーノット(Br)
カール=ハインツ・メルツ(P)
インゲ・ボルク(語り)
 録音:2002年6月&8月。
 ブラームスの連作歌曲「マゲローネのロマンス」は、ルートヴィヒ・ティークの「美しいマゲローネとぺーター伯爵との恋物語」に基づいたロマンティックで美しいメロディーに溢れた傑作。しかしそのわりに人気が今一つなのは、ブラームスが原作から自由に15の詩を選び作曲したため展開が追いづらく、全体としての一貫性が弱いためだといわれる。この弱点を補うために物語を説明するナレーションを入れることがあるが、この録音もその方式を採用。そしてナレーターがなんと往年の大ドラマティック・ソプラノ、インゲ・ボルク。さすがはもともと演劇畑のボルク、目の前に情景が広がるような素晴らしい劇作り。彼女の語りに思わず引き込まれてそのまま歌に繋がるので、一気に全曲聞いてしまう。コンラッド・ジャーノットは、数多いフィッシャー=ディースカウの門下生の中でも声の抒情的な瑞々しさと伸びでは群を抜いており、この歌曲集にピッタリ。
ドヴォルジャーク&グノー:管楽作品集
 アントニーン・ドヴォルジャーク(1841-1904):
  10の管楽器、チェロとコントラバスのための
   セレナード ニ短調Op.44
 シャルル・グノー(1818-1893):
  9つの管楽器のための小交響曲 変ロ長調(1888)
アレクサンダー・ブレツィーナ指揮
ミュンヘン管楽アカデミー
 録音:1981年。
エルヴィン・シュールホフ(1894-1942):
 「地方」/「人間性」/「町人貴族」のための音楽
ドリス・ゾッフェル(Ms)
ミヒャエル・リシェ(P)
ゲルト・アルブレヒト指揮
ベルリン・ドイツso.
 録音:1999年、ベルリン。
 DECCAの「退廃音楽」シリーズなどで猛烈なアバンギャルド性が注目されたシュールホフだが、ここに収録された曲はどれも聞きやすい。「地方」と「人間性」はどちらも20代の作品で、 「声とオーケストラのための交響曲」と銘打たれた、それぞれ5曲からなるオーケストラ伴奏の歌曲集。「町人貴族」のための音楽はピアノ、木管楽器、打楽器というバンド編成の劇付随音楽で、非常に楽しい。 こうした曲ならばアルブレヒトの出番で、日本でも既に「人間」を初演しているだけに愛情の感じられる指揮ぶりだ。
レオシュ・ヤナーチェク(1854-1928):
 ラシュ舞曲集/管弦楽のための組曲 Op.3/
 主よわれらに憐れみを/天にいますわれらの父よ
リヴィア・アゴーヴァ(S)
ビルギット・レメルト(A)
ペーター・シュトラーカ(T)
パーヴェル・ダニルク(B)
ザビーネ・ティール(Hp)
ペーター・ディッケ(Org)
ゲルト・アルブレヒト指揮
WDRケルン放送so.&cho.
 録音:2000年6月。
 ヤナーチェクの比較的初期にあたる1890年代から1900年代初めに書かれた作品集。まだ作曲家としての名声を獲得する前の楽曲だが、師ドヴォルザーク譲りの美しい旋律で忘れがたい印象を残す。読売日本交響楽団の首席指揮者として日本でもおなじみのアルブレヒトは、後の傑作の到来を告知するヤナーチェク独自の感性まで見事に描ききっている。
ワーグナー:歌劇「妖精」
 クルト・モル(B;妖精王) リンダ・エスター・グレイ(S;アーダ)
 カーリ・レファース(S;ファルツァーナ) クリスティーナ・ラーキ(S;ツェミーナ)
 ジョン・アレグザンダー(T;アーリンダル) ジューン・アンダーソン(S;ローラ)
 シェリル・ステューダー(S;ドロッラ) ローラント・ヘルマン(Br;モラルト)
 ヤン=ヘンドリク・ローテリング(B;ゲルノート) ノルベルト・オルト(T;グンター)
 カール・ヘルム(B;ハラルト) フリードリヒ・レンツ(T; Ein Bote ) ローラント・ブラハト(B)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン放送so.&cho.
 録音:1983年。国内仕様盤:32CD-10076/8〔廃盤/入手不能〕。ドイツ・レコード批評家賞、仏 ディアパソン 誌「ディアパソン・ドール」 を其々獲得。
ORFEO-063063
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(3CD)
2.5CD価格
モーツァルト:ハルモニームジーケン(管楽によるオペラ名曲集)
 「コシ・ファン・トゥッテ」(ヴェント編曲)
 「後宮からの誘拐」(ヴェント編曲)
 「ドン・ジョヴァンニ」(トリーベンゼー編曲)(*)
 「フィガロの結婚」(ヴェント編曲)
 「皇帝ティトゥスの慈悲」
  (トリーベンゼー/シェレンベルガー編曲)
 「魔笛」(ハイデンライヒ編曲)(*)
ベルリン・フィルハーモニー
 管楽アンサンブル
ミュンヘン吹奏アカデミー(*)
 18世紀末から19世紀初め頃まで盛んに流行した管楽アンサンブルによるオペラ名曲集。ウィーンの王立吹奏楽団で活躍したヨハン・ネポームク・ヴェント(1745-1801)やヨゼフ・トリベンゼー(1772-1846)、ヨゼフ・ハイデンライヒ(1753- 1821)の手になるモーツァルトの主要オペラ6作品の編曲を、カール・ライスター(クラリネット)など腕利きぞろいのベルリン・フィルのメンバーのアンサンブル他による、まるで木管がおしゃべりを始めたような素晴らしい演奏が3枚組のボリュームでたっぷり味わえる。
ベートーヴェンの作品のクラリネット編曲集
 ヴァルネファー:瞑想(「月光」のアダージョの主題による)
 ミュラー:「アデライーデ」の主題による協奏的小品
 ランメル:「ああ、裏切り者」の主題による幻想曲
 ソーベック:クラリネット協奏曲
  (未完のヴァイオリン協奏曲 WoO5に基づく)
ディーター・クレッカー(Cl)
ミラン・ライチック指揮
プラハco.
 名手クレッカーによる興味深い企画。WoO5 の原曲は BONGIOVANNI GB-5601に収録されている。
ハインリッヒ・ヨーゼフ・
 ベルマン(1784〜1847):クラリネット作品集

  コンツェルトシュトゥック(*)/
  コンチェルティーノ/
  クラリネット・ソナタ/
  クラリネット協奏曲/
ディーター・
 クレッカー(Cl)
ミラン・ライチェク指揮
プラハco.
 (*)の曲はティンパニとクラリネットのソロのための協奏曲で楽しい曲想。 ウェーバーと同時代の人なのでドイツ・ロマン派の香りがたっぷり味わえる。録音の美しさは特筆。
ヨハン・ルドルフ・ツムシュテーク(1760-1802):
 バラード「誘拐」/バラード「タウベンハインの牧師の娘」
ベルント・
 ヴァイクル(Br)
ヴォルフガング・
 サヴァリッシュ(P)
 録音:1982年11月。
 ツムシュテークはモーツァルトとベートーヴェンにはさまれた世代を代表する歌曲の作曲家で、シュトゥットガルトを中心に活躍、作品総数は300近くを数える。収録の2曲はいずれも演奏時間20分を越す長大なバラードだが、曲調は多彩で変化に富み、飽きさせない。シューベルトへの多大な影響を指摘されるほど重要な作曲家ながら、膨大なドイツ歌曲を録音したフィッシャー=ディースカウでも録音しなかった(レコード芸術誌のインタビューで『あまり好きではない』と発言していた)というほど録音に恵まれず、現在CDは皆無。ヴァイクルとサヴァリッシュという豪華コンビによる当録音のCD化を歓迎したい。
クシェネク:管弦楽作品集
 「まあるい地平線」 Op.196(*)
 ヴァイオリン協奏曲第2番 Op.140(+)
 オルガン協奏曲第2番 Op.235(#)
エルンスト・コヴァチッチ(Vn;+)
マルティン・
 ハーゼルベック(Org;#)
ウルフ・シルマー指揮(*/+)
ローター・ツァグロセク指揮(#)
ウィーンso.
 録音:1990年5月8日、ウィーン、ムジークフェラインザール(*/+) 1983年10月19日、ウィーン、コンツェルトハウス(#)。アナログADD。
ハイドン:
 チェロ協奏曲第1番 ハ長調/同第2番 ニ長調
ベートーヴェン/ミュラー=ショット編曲:
 ロマンス第1番 ト長調 Op.40/
 ロマンス第2番 ヘ長調 Op.50
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
リチャード・トネッティ指揮
オーストラリアco.
 録音:2001年10月18日〜20日、ノンマウスシャー、ニンバス・コンサートホール。
 1976年ミュンヘン生まれのミュラー=ショットはギーレンも激賞するドイツ・チェロ界期待の大物で、ルックスも良いので日本でもブレイクするかもしれない。最近はムターと組むなど室内楽にも力を入れている。
ウェーバー交響曲全集〔第1番 ハ長調 Op.19, J.50 /第2番 ハ長調 J.51 〕
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン放送so.
 録音:1983年。国内仕様盤:PHCF-5326〔廃盤/入手不能〕。
ロゼッティ:フルート協奏曲集
 ト長調 RWV.C25/ハ長調 RWV.C16/
 ヘ長調 RWV.C21/ト長調 RWV.C22
ブルーノ・マイアー(Fl)
アントニーン・フラディル指揮
プラハco.
ヤロスラフ・トゥマ(通奏低音)
 録音:2003年4月24-26日、プラハ、ドモヴィナ・スタジオ。
 400を越える作品を書いたボヘミアの職人作曲家ロゼッティ。なかでも管楽器のために書いた作品にはずれがないのは、ホルン協奏曲などをお聴きになられた方ならお分かりのはず。 まったく同様に世界初録音のフルート協奏曲もたいへん魅力的。うきうきと生命力の塊と化したアレグロに、こぼれ落ちるような美が詰まった緩徐楽章。締めは軽快なロンドという具合に、 古典派ファンにはお約束の聴きどころがいっぱい。モイーズやグラーフに師事したスイス生まれのマイアーの腕前もバッチリ。
ゴットフリート・フォン・アイネム(1918-1996):
 弦楽四重奏曲集

 [第1番 Op.45/第3番 Op.56/第5番 Op.87]
アルティスSQ
 録音:2001年6月26日&27日、2002年11月20日〜22日。
ゴットフリート・フォン・アイネム(1918-1996):
 弦楽四重奏曲集

 [第2番 Op.51/第4番 Op.63]
アルティスSQ
 録音:2002年11月20日〜22日。
 アイネムは20世紀のオーストリアを代表する作曲家の一人。過去の偉大な作曲家による旋律を引用した作風で知られており、ORFEO-098101ではシューベルトの旋律を聴き取ることができる。突拍子もない作品の、説得力のある演奏。
ヒンデミット:愛する人へのレクイエム「前庭に最後のライラックが咲いた頃」(1946)
 ブリギッテ・ファスベンダー(Ms)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮ウィーンso.、ウィーン国立歌劇場cho.
 録音:1983年。国内仕様盤:35CD-10093〔廃盤/入手不能〕。
サヴェリオ・メルカダンテ(1795-1870):
 クラリネット協奏曲集

 変ロ長調 Op.101/変ホ長調 Op.76/ハ短調/
 フルート、2本のクラリネット、ホルンと
  管弦楽のためのコンチェルタンテ第3番 変ホ長調(*)
ディーター・クレッカー(Cl)
ヴァーツラフ・クント(Fl;*)
ジュゼッペ・ポルゴ(Cl;*)
ヤン・シュレーダー(Hr;*)
プラハco.
 録音:2003年4月7-12日、プラハ。
 メルカダンテはドニゼッティとほぼ同年代の生まれのイタリアの作曲家で、ヴェルディが台頭するまではイタリアで最も重要な存在であった。彼はまた、オペラの歌手の技法を応用し、フルートやクラリネットの華やかな協奏曲を多数作ったことでも知られている。
 変ロ長調のクラリネット協奏曲はメルカダンテの大傑作で、イタリア的な明るく軽快な快活さを、瑞々しい感性が適度に潤していて、誰が聴いても名作。かつてカール・ライスターが好んで取り上げていた。変ホ長調はもっとロマン派的色彩が濃いもの。コンチェルティーノは協奏交響曲のような作品で、疾風怒濤の趣。華しい競い合いがまさにイタリアオペラのアンサンブルのよう。
 ウェットなイメージの強いクラリネット、しかしディーター・クレッカーにかかると音楽は明るく表情が豊かで無条件に楽しいものに変わる、もちろん技術水準も世界トップクラス。メルカダンテの曲など知らない、などと敬遠したらもったいない素敵なCDだ。
ハイドン:
 スコットランドとウェールズの歌(12曲)
 6つのカンツォネッタ Hob.XXVIa:31-36
 ピアノ三重奏曲第35番 イ長調 Hob.XV-35
 ピアノ三重奏曲第36番 変ホ長調 Hob.XV-36
ジェイムズ・テイラー(T)
ミュンヘン・ピアノ三重奏団
 [ドナルド・シュルツェン(P)
 ルドルフ・ケッケルト(Vn)
 ゲルハルト・ツァンク(Vc)]
 録音:2002年6月。
 ハイドンがスコットランドやウェールズといった地方の民謡を採譜、編曲していたことは良く知られている。それらはホーボーケン番号でXXXIに分類されており、その数はあわせて300を軽く越している。これだけの数、当然愛情がなければできないでことだが、その実態はまだまだ知られているとはいえない。このアルバムではその素朴な楽しさを12曲分だが味わえる。カップリングも魅力的で、ハイドン・ファン大喜びの盛りだくさんな内容。
ヘルマン・ロイター(1900-1985):歌曲集
 四季(4曲)/4つの歌/5つの歌/3つの歌 Op.56/
 3つのエンペドクレスの独白/5つの歌曲 Op.58/室内楽
ドリス・ゾッフェル(Ms)
ディートリヒ・
 フィッシャー=ディースカウ(Br)
アクセル・バウニ(P)
アリベルト・ライマン(P)
 録音:2000年/1980年。
 ロイターは20世紀の代表的ドイツ・リートの作曲家の一人で、200曲を越えるドイツ・リートを作曲し、伴奏者としてもフィッシャー=ディースカウを始め多くの名歌手たちと共演している。 フィッシャー=ディースカウはロイターの作品をしばしば取り上げており、当然ここにも出演。また、知性派の美声&美貌のメゾとして知られるドリス・ゾッフェルが半分近くの13曲を歌っている。
エルンスト・クルシェネク(1990-1991):歌曲集
 「夜を抜けて」 Op.67(1930-1931)(*)/
 「年の瀬の歌」 Op.71(1930)(+)
ハンナ・ドーラ・
 ストゥールドッティア(S;*)
イザベラ・フェルンホルツ(P;*)
リアト・ヒンメルヘーパー(Ms;+)
アクセル・パウニ(P;+)
 録音:1999年10月27日、2000年12月12-14日、ベルリン。
 クルシェネクが1930年代初頭に作曲した2つの歌曲を収録。「夜を抜けて」はかなりロマン派の影響を色濃く残した作風。「年の瀬の歌」は、ちょうど初の12音オペラ「カール5世」を作曲中だったためか、そうした傾向が強くなっている。1曲目の「秋にさまよえる者の歌」は、グレン・グールドが取り上げていることでもよく知られている。ハンナ・ドーラ・ストゥールドッティアはアイスランド出身のソプラノ。オペラのレパートリーも幅広く、また歌曲も得意としている。リアト・ヒンメルヘーパーは近現代音楽を得意とするメゾ。
チャイコフスキー:
 聖ヨハネス・クリソストムスの典礼/3つの教会聖歌
エリク・エーリクソン指揮
プラハ室内cho.
 地味ながら根強い人気を持つロシアの無伴奏合唱曲の中でも著名な曲。合唱界の大御所エーリクソンが珍しくチェコの合唱団を率いている。
ピアソラ:四季(*)
チャイコフスキー/ヴェルナー・トーマス・ミフネ編曲:
 四季(チェロ合奏版)
フィルハーモニッシェ・
 チェリステン
アルフレード・マルクッチ
 (バンドネオン;*)
J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ

 [BWV-1001-1006]
ドミトリー・
 シトコヴェツキー(Vn)
 録音:1984年12月19日-23日、27日-29日、以上バンベルク。
 シトコヴェツキーによる、バッハのオリジナル作品初録音であったと思われる物(自ら弦楽三重奏に編曲したゴルトベルク変奏曲[ORFEO-138851; +コセ(Va) マイスキー(Vc)]が前月1984年11月に録音されている)。1986年には国内盤も発売された(30CD-10057/8; 廃盤)。シトコヴェツキーは同作品集を1997年に再録音している (HANSSLER 92-119)
トーマス=ミフネ〜魅惑のチェロ小品集
 (ジャクリーヌの涙〜ロマンティック・チェロ)

 オッフェンバック:ジャクリーヌの涙
 フランセ:ロンディーノ/セレナード
 オッフェンバック:夕べの調べ
 フランセ:無窮動/子守歌
 ポッパー:タランテラ
 シューベルト:蜜蜂Op.13-9
 フォーレ:夢のあとに
 パガニーニ:ロッシーニ「モーゼ」の主題による
        序奏と変奏曲
 ワーグナー:「タンホイザー」〜夕星の歌
 サラサーテ:サパテアード
 オッフェンバック:天なる2人の精霊
ヴェルナー・トーマス=ミフネ(Vc)
ハンス・シュタットルマイア指揮
ミュンヘン室内o.
 録音:1983年5月3日-5日/1985年1月23日、バイエルン放送局、ミュンヘン。
 国内盤でも OCD-2014、KKCC-4251 (ともに廃盤) として出ていた物。当盤とORFEO-443961の約半数の曲ずつがカップリングされ、KKCC-8038(廃盤)として発売されたこともある。ちなみに、当盤のフォーレ「夢のあとに」は、テレビ・ドラマ「北の国から'98:時代」で使われ、当時評判となった。
モーツァルト:
 セレナード第11番 変ホ長調K.375/
 セレナード第12番 ハ短調K.388「ナハトムジーク」
ベルリン・フィルハーモニー
 管楽アンサンブル
[ハンスイェルク・シェレンベルガー、
 ブルクハルト・ローデ(Ob)
 カール・ライスター、
 ペーター・ガイスラー(Cl)
 ゲルト・ザイフェルト、
 マンフレート・クリーア(Hr)
 ギュンター・ピースク、
 ヘニング・トローク(Fg)]
 録音:1982年11月28日-29日、イエス・キリスト教会、ダーレム、ベルリン。
エゴン・ヴェレス(1885-1974):歌劇「バッカスの信女」
 (ギリシャ劇「エウリピデス」に基づく、全2幕;1929/1930)
 トーマス・モール(Br;ディオニソス) マイケル・バート(B;テイレシアス)
 ハラルト・シュタム(B;カドモス) ロバータ・アレクサンダー(S;アガベ)
 クラウディア・バラインスキー(S;イーノ)他
 ゲルト・アルブレヒト指揮ベルリン・ドイツso.、ベルリン放送cho.
 録音:1999年11月17日-20日、22日-23日、イエス・キリスト教会、ダーレム、ベルリン。
 オーストリアのヴェレスはシェーンベルクに師事しながら、厳密な十二音主義者にならず独自の音楽語法を開拓した作曲家。機能和声を重視しなかったのは、あくまで歌とドラマに比重を置いたからであり、その舞台作品はベルクなどに比べて聴きやすいことが特徴となっている。収録作品は彼の良き理解者クレメンス・クラウスによって初演された。永らく忘れられていたが、アルブレヒトらによってその大規模でダイナミックな全容がふたたび明らかになった。
バッハ(ドミトリー・シトコヴェツキー編):
 ゴルトベルク変奏曲BWV.988
  (弦楽三重奏版「グレン・グールドの思い出に」)
ドミトリー・
 シトコヴェツキー(Vn)
ジェラール・コセ(Va)
ミッシャ・マイスキー(Vc)
 録音:1984年11月26日〜29日、ツェントラール・ザール、バンベルク。
 シトコヴェツキーがグレン・グールドのレコードを聞いて編曲を思い立ったと言う「ゴルトベルグ変奏曲」。国内盤でも数回発売された名盤で、録音から20数年が経過しているにもかかわらず、未だにお問い合わせがある。
 *編曲によるゴルトベルグ変奏曲*
 ・ギター版〜ヨーゼフ・エートヴェシュ(G)(EJ-01)
 ・2台ツィンバロン版〜サカーイ&ファルカシュ(ツィンバロン)(HUNGAROTON HCD-31764)
   ・サクソフォン四重奏版〜デンマーク・サクソフォンQ(KONTRAPUNKT KONT-32330)
 ・八重奏版〜フランス八重奏団(CALLIOPE CAL-9334; 廃盤)
 ・ブラス版〜カナディアン・ブラス(BMG 09026-63610-2)
ヴォルフ:「メーリケ詩集」より
 [春に/朝早く/新しい恋/狩人の歌/希望の復活/
  旅路/さようなら/別れ/他、全22曲]
ペーター・シュライヤー(T)
カール・エンゲル(P)
ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調(リンツ版/1865-66)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立o.
 録音:1984年10月。国内仕様盤:PHCF-5329〔廃盤/入手不能〕。
ドヴォルザーク:オペラ「ヴァンダ」 オリガ・
 ロマンコ(ヴァンダ)
イリーナ・チスチャコワ、他
ゲルト・アルブレヒト指揮
ケルンRSO、プラハ室内cho.
 ドヴォルザーク30代のオペラの1875年に発表された当作品を、アルブレヒトが熱演。題材はポーランドの神話で、5幕仕立てであるなどドヴォルザークとしてはかなり異色。
ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調(原典版/1887-94)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立o.
 録音:1984年12月。国内仕様盤:OCD-2021〔廃盤/入手不能〕。
サヴァリッシュ&バイエルン国立管〜有名な序曲集
 ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜第1幕への前奏曲(*)
 ヴェルディ:「運命の力」序曲(*) / モーツァルト:「魔笛」K.620 序曲(#)
 ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第1番 Op.72b (+)
 ブラームス:悲劇的序曲 Op.81 (*)
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立o.
 録音:1980年9月(+)、1980年11月(*)、1981年2月(#)。国内仕様盤:32CD-10114〔廃盤/入手不能〕。
プフィッツナー:管弦楽作品集
 歌劇「パレストリーナ」より〔第1幕への前奏曲/第1幕への前奏曲/第3幕への前奏曲〕/
 劇音楽「ハイルブロンのケートヒェン」序曲/歌劇「愛の花園のばら」より〔花の奇蹟/葬送行進曲〕
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン放送so.
 録音:1984年11月。国内仕様盤:32CD-10123〔廃盤/入手不能〕。
R.シュトラウス:歌劇「アラベラ」
 ヴァルター・ベリー(B;ヴァルトナー伯爵) ヘルガ・シュミット(Ms;アデライーデ)
 ジュリア・ヴァラディ(S;アラベラ) ヘレン・ドナート(S;ズデンカ)
 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br;マンドリーカ)
 アドルフ・ダラボッツァ(T;マッテオ) ヘルマン・ヴィンクラー(T;エレメール伯爵)
 エルフリーデ・へバート(S;フィアカーミリ) ドリス・ゾッフェル(S;女占い師)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場o.&cho.
 録音:1984年6月。国内仕様盤:PHCF-5324/5〔廃盤/入手不能〕。
アントニーン・レイハ(ライヒャ)(1770-1836):
 木管楽器とオーケストラのための作品集

  クラリネット協奏曲 ト短調
   (E.ブッシュマン補完)(*)/
  ホルンとオーケストラのための
   序奏とロンド ヘ長調/
  ディッタースドルフの主題によるクラリネットと
   オーケストラのための序奏と変奏 ロ長調/
  ファゴットとオーケストラのための主題と変奏
ディーター・クレッカー(Cl)
サラ・ヴィリス(Hn)
カール・オットー・
 ハルトマン(Fg)
プラハ室内o.
(リーダー:ミラン・ラジュチク)
 録音:2001年4月4日〜8日、ドモヴィナ・スタジオ、プラハ。
 ベートーヴェンと同年にボヘミアで生まれたライヒャは、ウィーンに出て大成功した作曲家。ダンツィと並んで管楽作品の大家として知られるが、なぜか管楽器のための「協奏曲」がほとんど無い。(*)も当時の名手イヴァン・ミュラーのために書かれたが未完で、今回「ライヒャの最も重要な作品の一つ」と絶賛するクレッカーの意見を取り入れ、補完&録音された。併録の小品にベルリン・フィルのメンバー、ヴィリスが参加するなど、管楽ファンの心をくすぐるアイテムとなっている。
ハイドン:オルガンを伴う協奏曲集
 オルガン協奏曲 ニ長調Hob.XVIII-2 (*)/
 オルガンと2つのヴァイオリンのための
  協奏曲 ニ長調Hob.XVIII-7(#)/
 オルガン、2つのトランペットと
  ティンパニのための協奏曲 ハ長調Hob.XVIII-8(*)
マルティン・
 ハーゼルベック(Org)
アンネグレート・
  ディートリヒセン指揮
ディヴェルティメント・
 ザルツブルク
 録音:1982年6月11日-14日。ピリオド楽器使用。使用楽器:アイゼンシュタット聖マルティン教会、1778年製オルガン(*)/シュッツェン・アム・ゲビルゲ教会、1792年製オルガン(#)。以前国内盤でも 32CD-10115 という番号で発売されたことがある録音。
モーツァルト:オラトリオ「エルサレムの王ダヴィデ」 クリスティアン・エルスナー(ダヴィデ)
フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(サウル)
シビラ・ルーベンス(ミカエル)
アリソン・ブラウナー(ヨナタン)他
レオポルト・ハーガー指揮
ミュンヘン放送so.、
バイエルン放送cho.
 録音:1998年11月15日。
 カンタータ「悔悟するダヴィデ」K.469と劇付随音楽「エジプトの王ターモス」K.336aの音楽を、リヒャルト・ブレチャッヒャーによる新たなドイツ語台本を用いて一体化、 さらに他のモーツァルト作品も用いてオラトリオに仕上げた「新作」。
ヴィルフガング・ブレンデル〜オペラ・アリア集
 ロッシーニ:「セビリャの理髪師」、
 モーツァルト:「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」、
 オッフェンバック:「ホフマン物語」、
 グノー:「ファウスト」、
 ワーグナー:「タンホイザー」、
 ヴェルディ:「運命の力」、「仮面舞踏会」、
  「ファルスタッフ」、「トロヴァトーレ」から
ヴォルフガング・
 ブレンデル(Br)
ハインツ・ワルベルク指揮
ミュンヘン放送o./他
 録音:1981年3月。
 W.ブレンデルがバイエルン国立歌劇場で頭角を現してきた頃に行ったエネルギー全開の録音。EMIからLPが発売されていたものと同一音源。
アルベルト・ヒナステラ(1916-1983):
 パンペアーナ第1番/同第2番/アルゼンチン舞曲 Op.2/
 2つの歌 Op.3/5つの歌 Op.10/チェロ・ソナタ Op.49
オフェリア・サーラ(S)
ドナルド・スルツェン(P)
エンリ・ラウダレス(Vn)
ゲルハルト・ツァンク(Vc)
 録音:1999-2001年。
 20世紀の南米クラシックを語るに欠かせないアルゼンチンの作曲家ヒナステラ。民謡などの民俗性を近代作曲技法に盛り込んでいるのはもちろんだが、安易な引用に留まらない、ヒナステラ自身から沸き立つ血の熱さ、陽気さ、それと裏返しの気だるい哀愁など、まさしくラテン・アメリカの性格が音楽に直球勝負でぶつかっているところが人気作曲家たる所以であろう。このアルバムには形態が様々な曲が集められているだけに、ヒナステラの魅力が多面的に理解できる。2曲のパンペアーナ(パンパの草原)や歌曲、舞曲など、どれもヒナステラの魅力が詰まっており、ヒナステラ・マニアにも、ヒナステラ入門にもおすすめできる。
セレナード
 カルッリ:二重奏曲 ニ長調Op.34-1(*)
 ソル:2つのギターのための幻想曲
     ホ短調Op.63「ロシアの思い出」(#)
 ディアベッリ:セレナード ヘ長調Op.63(#)
 カルッリ:二重奏曲 ト長調Op.34-2(#)
 ジュリアーニ:協奏的変奏曲Op.130(#)
 カルッリ:二重奏曲 ホ長調Op.34-3(*)
フォルクヴァング・
 ギター・デュオ
 録音:1995年11月4日&5日、マルクノイキルヘン(*)/2000年1月29日&30日、6月25日、デュッセルドルフ(#)。
 ベルリオーズが「小さなオーケストラ」と評したギターは、19世紀ブルジョワジーの台頭を背景に手軽に楽しめる手段として愛好された。このアルバムでは、そうした音楽が大衆化する過程で書かれた人気曲を収録。フォルクヴァング・ギター・デュオは、20年以上に及ぶキャリアを誇り、現代作品ばかりかジャズ、ポピュラーにまでクロスオーバーな活動を展開している。
モーツァルト:管楽のための室内楽作品集
 12管楽器とコントラバスのための
  セレナード第10番 変ロ長調K.361 (370a)
   「グラン・パルティータ」/
 2つのクラリネットと3つのバセットホルンのための
  アダージョ 変ロ長調K.411 (484a)/
 クラリネットと3つのバセットホルンのための
  アダージョ ヘ長調K.Anh.94 (580a)
ベルリン・フィルハーモニー
 管楽アンサンブル
[ハンスイェルク・シェレンベルガー、
 アンドレアス・ヴィットマン(Ob)
 カール・ライスター、
 ヴァルター・ザイファルト(Cl)
 マンフレート・プライス、
 ペーター・ガイスラー、
 ノルベルト・トイブル(バセットHr)
 ダニエーレ・ダミアーノ、
 ヘニング・トローク(Fg)
 ノルベルト・ハウプトマン、
 マンフレート・クリーア、
 シュテファン・イェジエルスキ、
 ファーガス・マクウィリアム(Hr)
 クラウス・シュトール(Cb)]
 発売:1989年。
ヘルマン・ツィルヒャー(1881-1948):歌曲集
 ゲーテ歌曲集 Op.51 II/4つの歌曲 Op.14/
 4つの歌曲 Op.13/5つの歌曲 Op.10/4つの歌曲 Op.41/
 リヒャルト・デーメルの詩による歌曲 Op.41
クリスタ・
 マイヤー(Ms)
コンラッド・ジャーノット(Br)
カール=ハインツ・
 メルツ(P)
 録音:2001年3月。
 ツィルヒャーはドイツの作曲家・ピアニスト。前衛とは無縁の作風だが、鋭い感性がひらめく瞬間も多々。
ボリス・ブラッハー(1903-1975):
 フリードリヒ・ヴィルフの詩による4つの歌
 3つの詩篇/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
 アプレリュード/フランチェスカ・ダ・リミニ
 テント職人オマルの5つの格言 Op.3
 黒い鳥を見る13の方法/霧/弦楽四重奏のための談
ステッラ・ドゥフェキス(Ms)
ヤロン・ヴィントミュラー(Br)
クリストファー・リンカーン(T)
コルヤ・ブラッハー(Vn)
アクセル・バウニ(P)
ペテルソンSQ
 録音:1999年〜2001年。
 20世紀中盤のドイツを代表する作曲家の一人ブラッハーの、歌曲を中心とした作品集。前衛とは一線を画し、知的な遊びをたっぷり盛り込んだ作風には独特の魅力がある。
ぺーター・フォン・ヴィンター(1754-1825):
 クラリネット協奏曲 変ホ長調/
 交響曲第2番 ヘ長調 (1795) /
 交響曲第3番 変ロ長調 (1795) /
 クラリネットのオブリガートつきアリア
  「あなたの胸に平安が戻り」 (1788)
ディーター・クレッカー(Cl)
イゾルデ・ジーベルト(S)
ヨハネス・モエズス指揮
プフォルツハイム
 南西ドイツ室内o.
 録音:2002年4月、カールスルーエ。
 マンハイム生まれで同宮廷のオーケストラで神童とうたわれたぺーター・フォン・ヴィンターといっても知る人は少ないかもしれない。同世代のヴェーバーやシュポアにも一目置かれるほどの存在だった彼はプファルツ選帝侯カール・テオドールに仕え、侯がバイエルン選帝侯を兼任するに当たりミュンヘンに進出、後に宮廷楽長にまで上り詰めた。またウィーンでサリエーリから本格的に作曲を学び、19世紀初頭にはパリやストックホルムの音楽学会に名を連ねたり、スカラ座でオペラを成功させるなど、作曲家として国際的な名声を築いた。ヴィンターは、名高いマンハイムのオーケストラで、クラリネットの名手フランツ・タウシュと出会い、クラリネットの可能性を知ったのだと推測されている。作曲年代は、正確には不明だがおそらく1780年代で、モーツァルトのクラリネット協奏曲(1791年)よりも前。ヴィンターの人気が高かったことを裏付けるだけの豊かな楽想を持つ名曲で、ことに第3楽章のロンドは変化に富んでいて楽しい。この珍しい作品を、名手クレッカーがこの上ない名技で完璧な演奏に仕上げている。アリア、交響曲ともども、隠れた偉大な作曲家ヴィンターの実像に迫る。
レオポルト・コジェルフ(1747-1818):
 クラリネット協奏曲集

 クラリネット協奏曲第1番 変ホ長調/
 協奏的ソナタ 変ホ長調/
 クラリネット協奏曲第2番 変ホ長調
ディーター・クレッカー(Cl)
プラハ室内o.
 録音:2002年4月16-20日、プラハ、ドモヴィナ・スタジオ。
 ピアノの名手として知られたレオポルト・コジェルフは、18世紀ウィーンで活躍したチェコ音楽の第1人者。その影響力の大きさからベートーヴェンやモーツァルトと激しく対立したという記録もあるほど。青年時代ボヘミアのスタイルをとどめた第1協奏曲、自作の2つの弦楽四重奏を下敷きにした協奏的ソナタ、そしてカール・シュターミツの人気作第3協奏曲による協奏曲第2番を収録。ロココと前期ロマン派の間に位置する作風はどこまでも美しく楽しいもので、当時の人気のほどをうかがわせる。
クラリネットと弦楽アンサンブルのための作品集
 ジャコモ・マイアベーア(1791-1864):
  クラリネットと弦楽四重奏のための
   五重奏曲 変ホ長調(1813)(*)/
 ルイ・シュポア(1784-1859):
  クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと
   コントラバスのための幻想曲と変奏曲 Op.81(#)
 フェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924):
  クラリネット、2つのヴァイオリン、ヴィオラと
   チェロのためのシュポアの序奏と
    エルンストのエレジー(#)
 ルイ・シュポア:
  クラリネット、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、
   チェロとコントラバスのための
    アンダンテと変奏曲 Op.34(#)
 ハインリヒ・ヨゼフ・べールマン(1784-1847):
  クラリネット、2つのヴァイオリン、ヴィオラと
   チェロのための五重奏曲第3番 変ホ長調Op.23(*)
ディーター・クレッカー(Cl)
フィルハーモニア・クァルテット・
 ベルリン(*)
コンソルティウム・クラシクム(#)
 発売:1990年。録音:DDD。
モーツァルト:
 ディヴェルウティメント K.439b より
  [第1番/第3番/第5番]
 (2つのクラリネットとバセット・ホルンのための)/
 12の二重奏曲 ハ長調K.487 (496a)
  (2つのホルンのための)
ベルリン・フィルハーモニー
 管楽アンサンブル
[カール・ライスター(Cl)
 ヴァルター・ザイファート(Cl)
 マンフレート・
  プライス(バセットHr)
 ノルベルト・ハウプトマン(Hr)
 マンフレート・クリーア(Hr)]
 発売:1990年。録音:DDD。
ヨハン・ゴットフリート・ナウマン(1741-1801):
 歌劇「アチとガラテア」(1801)
ブリギッテ・ゲラー(ガラテア)
マルティン・ホムリヒ(アチ)
フラウス・ヘーガー
(ポリフェーモ)他
フリーダー・ベルニウス指揮
シュトゥットガルト・
 バロックo.
シュトゥットガルト室内cho.
 ナウマンはドレスデンに生まれイタリアで学び、ストックホルムとコペンハーゲンで活躍しドレスデンに没した作曲家で、ストックホルムではグスタフ3世(ヴェルディ:「仮面舞踏会」のモデル)からオペラによる啓蒙を命じられ、スウェーデン語による「グスタフ・ヴァーサ」を書いた。収録作品は彼の没年にドレスデンで初演された総決算的作品。イタリア語によるオペラ・ブッファだが、同世代のパイジェッロに比べてかなり手の込んだ力作で、ベートーヴェン直前の風雲が感じられる。
シューマン夫妻の歌曲集
 ローベルト・シューマン:
  ソプラノとテノールのための4つの重唱曲Op.78/
  スペインの歌Op.74〜二重唱/
  ロマンスとバラード第4集Op.64〜二重唱/
  君は花のようOp.25-24/心の通い合いOp.77-3/
  私の美しい星Op.101-4/伝言Op.77-5/
  ソプラノとテノールのための4つの二重唱Op.34
 クララ・シューマン:6つの歌曲Op.13
 ローベルト&クララ・シューマン:
  リュッケルトの詩による6つの歌曲
ペトラ=マリア・
 シュニッツァー(S)
ペーター・ザイフェルト(T)
チャールズ・スペンサー(P)
 シューマン夫妻の作品集は昨今増えて来たが、歌曲に限定したのは比較的珍しいのではないだろうか。それもテノールがザイフェルトとは豪華な布陣。 ソプラノにはミュンヘンのプリマ・ドンナとして近年著しく活躍中のシュニッツァーを配し、こちらも抜かりなし。
ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調(原典版)
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮バイエルン国立o.
 録音:1990年-1991年。国内仕様盤:PHCF-5251〔廃盤/入手不能〕。
ライヒャ(レイハ):
 劇的カンタータ「レノーレ」
カミーラ・ヌイルンド(S)
パヴラ・ヴィコバオヴァー(Ms)
コービー・ウェルチ(T)
ウラディミール・ヘムロ(B)
フリーダー・ベルニウス指揮
ヴィルトゥオージ・
 ディ・プラハ
プラハ室内cho.
 昨今、管楽作品ばかりがもてはやされているライヒャが残した大規模声楽作品の一つ。七年戦争に出征したヴィルヘルムのレノーレへの愛をテーマとしているが、 ナポレオン政府の検閲にかかり、上演できなかったという。
プロコフィエフ:
 劇付随音楽「エフゲニー・オネーギン」Op.71/
 交響組曲「エジプトの夜」Op.61
ナターリャ・アンドレイチェンコ
 :タチヤナ
オレグ・ヤンコフスキー
 :オネーギン
イーゴリ・コストレフスキー
 :レンスキー
ゲルト・アルブレヒト指揮
ケルン放送so.&cho.
 プロコフィエフはソ連に帰国した後の1937年、プーシキン没後百年祭のためいくつか劇付随音楽を作曲した。いずれもあまり知られていないが、 この中から後の作品にいろいろ使いまわしているので興味は尽きない。さらに有橋淑和の「チェンバロ・レボリューション」に収録を予定されながら中止となったプロコフィエフ唯一のチェンバロ曲も含まれている。 このアルバムのうれしい点はロシア語による劇も入っていることで、特にオネーギン役のオレグ・ヤンコフスキーは、タルコフスキーの「鏡」、「ノスタルジア」、日本映画「おろしや国酔夢譚」でもおなじみの名優。
ハンス・プフィッツナー(1869-1949):
 五重奏曲&六重奏曲

  ピアノ、2つのヴァイオリン、ヴィオラと
   チェロのための五重奏曲 ハ長調Op.23/
  ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、
   コントラバスとクラリネットのための
    六重奏曲 ト短調Op.55
コンソルティウム・クラシクム
[ディーター・クレッカー(Cl)
 ヴェルナー・ゲヌイト(P)
 アンドレアス・ライナー、
 アレクサンダー・
  ウスコラート(Vn)
 ヘルムート・ニコライ(Va)
 アニア・レヒナー(Vc)
 ユルゲン・ノルマン(Cb)]
ヤナーチェク弦楽のための作品集
 弦楽のための組曲(1877) /弦楽のための牧歌(1878) /オーケストラのためのアダージョ(1890)
  ミヒャエル・ヘルムラート指揮ミュンヘン・フィルハーモニー室内o.
 録音:1992年2月、バイエルン放送スタジオ1、ミュンヘン。
ムソルグスキー:ピアノ作品集
 組曲「展覧会の絵」/子供の頃の思い出 第3番/
 情熱的な即興曲/気まぐれな女/夢想/
 クリミア海岸にて/村にて/
 紡ぎ女(スケルツィーノ)/涙/騎手のポルカ
エレナ・クシュネローワ(P)
 ロシア魂を感じさせる一枚。「展覧会の絵」では、強靭なバネのきいた美しい音で聴く「リモージュ」や「バーバ・ヤーガ」が実に新鮮な味わい。アルバムの終曲として収められた 「騎手のポルカ」は、ムソルグスキーが10歳の時に書いた処女作。まるでリストを思わせるようなきわめて技巧的な作品で、滅多に演奏されることがなく、録音はなんとポストニコワ以来となる。
クラリネット五重奏曲集
 ジャコモ・マイアベーア(1791-1864):
  クラリネットと弦楽四重奏のための幻想曲
 アンドレアス・ロンベルク(1767-1821):
  クラリネットと弦楽四重奏のための五重奏曲 変ホ長調Op.57
 フェリクス・メンデルスゾーン(1809-1847):
  ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
  (クラリネットと弦楽四重奏のための編曲;
    ハインリヒ・ベールマン(1784-1847)編)
 カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826):
  クラリネットと弦楽四重奏のための五重奏曲 ロ長調Op.34(*)
ディーター・クレッカー(Cl)
コンソルティウム・クラシクム
[アンドレアス・ライナー(Vn)
 シモン・フォルトハム(Vn;*以外)
 アレクサンダー・ウスコラート(Vn;*)
 ヘルムート・ニコライ(Va)
 アニア・レヒナー(Vc)]
 発売:1994年。
ルイジ・ボッケリーニ(1743-1805)/
 オトン・ファンデンブレーク(1758-1832)編:
  クラリネット、フルート、ホルンと
   ファゴットのための
    6つの4重奏曲 G 262, G 263
  (原曲:弦楽四重奏曲)

 [ロ長調(原曲:ハ長調)G 262 No.1/
  変ホ長調G 263 No.1/
  変ホ長調(原曲:ヘ長調)G 262 No.2/
  変ホ長調(原曲:ヘ長調)G 263 No.2/
  ロ長調(原曲:ハ長調)G 262 No.3/
  ロ長調G 263 No.3]
コンソルティウム・クラシクム
[ディーター・クレッカー(Cl)
 ヴォルフガング・
  デュンシェーデ(Fl)
 クラウス・ヴァレンドルフ(Hr)
 カール・オットー・
  ハルトマン(Fg)]
 録音:1992年12月。当版での世界初録音。偽作とされる作品のため元々録音が少なく、本来の弦楽四重奏版は現在発売盤が無いようだ。
 編曲者のファンデンブレークは、おそらくオランダ系の両親の元ベルギーのイプルで生まれ、パリで亡くなったホルン奏者。フランスを中心に数々のオーケストラで奏者として活躍し、1795年からは(おそらく創立当初のパリ音楽院で)教授を務めた。
ジョン・デューク:歌曲集(全30曲) ジェイムズ・
 テイラー(T)
ドナルド・サルゼン(P)
 ジョン・デュークの名前はニュー・グローヴ音楽辞典などにも出ていないが、彼は20世紀最大の歌曲作曲家かもしれない。彼は1899年アメリカのメリーランドに生まれ、 ピアノをハロルド・ランドルフに、作曲をグスタフ・シュトルーベに学び、長年大学で教鞭をとりつつ265曲もの歌曲を作曲した。その抒情味に満ちた美しさはすこぶる魅力的で、 ロマン派のリートを聞いているかのような陶酔的な幸福感がたっぷり味わえる。今回のディスクは、 ジェイムズ・テイラーのテノールも実に伸びやかで柔らかく、歌曲ファンには特大のお薦め。
クリスマスをフィッシャー=ディースカウと共に
 〜4世紀にわたるクリスマスの音楽集
ディートリッヒ・
 フィッシャー=ディースカウ(Br)
ニコロ・ヨンメッリ(1714-1774):歌劇「捨てられたディドーネ」(全曲)
 マルティナ・ボルスト、メヒトティルト・バッハ(Ms)
 ウィリアム・ケンドール、ダニエル・テイラー(T)他
 フリーダー・ベルニウス指揮シュトゥットガルト室内o.
 録音:1994年10月24日-28日、カールスルーエ教会、ルートヴィヒスブルク。
クルシェネク:作品集
 イタリアのバラード/夜を徹して/
 ピアノのための二重のフーガ/二人の冷静な観察者/
 アルバムブラット/静けさ/鉄道のバラード/
 ダンス・スタディ/古い詩による4つの歌
キャサリン・アーサー(S)
アラインハルト・シュミーデル(P)
 退廃音楽シリーズ。ここ最近、ようやくメジャー入りした感のあるマーラ−の娘婿クルシェネク。91歳の長寿を全うし、 時代とともに作風が変化していったために未だに理解が進んでいないのも事実だが、このアルバムでは作品1のピアノ曲から、最最晩年の作品228の「アルバムブラット」まで幅広く収録。
マスネ:歌劇「テレーズ」(全曲) アグネス・バルツァ、
フランシスコ・アライサ、他
ゲルト・アルブレヒト指揮
ローマ・イタリアRSO
 1907年に書かれたコペラ・コミック。
ヨセフ・ボフスラフ・フェルステル(1859-1951):作品集
 ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ短調Op.88(*)/
 大管弦楽のための交響組曲
  「シラノ・ド・ベルジュラック」Op.55(#)
アンドレア・デュカ・
 レーヴェンシュタイン(Vn;*)
ゲルト・アルブレヒト指揮(*/#)
ウィーン放送so.(*)、チェコpo.(#)
 発売:1997年。録音:DDD。
J.S.バッハ:
 2声のインヴェンションBWV.772-786/
 3声のインヴェンション
  (シンフォニア)BWV.787-801/
 シャコンヌ ニ短調(ブゾーニ編)
ヴァルダン・マミコニアン(P)
 録音:1999年2月6日-8日、ヴェルトゼー。
 1970年、アルメニアに生まれたマミコニアンが弾くバッハの「インヴェンションとシンフォニア」と「シャコンヌ」は端正に磨き抜かれた仕上がり。
ロッシーニ:
 クラリネットと管弦楽のための
  「序奏、主題と変奏曲」 変ホ長調 ロ長調/
 クラリネットと管弦楽のための
  コンツェルトシュトゥック(協奏曲)第1番/
 クラリネットと管弦楽のための
  「序奏、主題と変奏曲」 ロ短調 ロ長調/
 クラリネット、ファゴットと管弦楽のための
  大2重協奏曲 変ホ長調/
 クラリネットと管弦楽のための幻想曲 変ホ長調
 クラリネットと管弦楽のための
  コンツェルトシュトゥック(協奏曲)第2番
ディーター・クレッカー(Cl)
カール=オットー・ハルトマン(Fg)
ホルガー・
 シュレーター=ゼーベック指揮
SWFso.
 発売:1996年。録音:DDD。
ウルマン:
  スラヴ狂詩曲 Op.26
   (管弦楽とサクソフォンのオブリガートのための)(*)/
  「壊れた水差し」 Op.36(+)
ジョン・アドワード・ケリー
 (Sax;*)
C.バラインスキー(S;+)
R.ヘルマン(Br;+) 他
ゲルト・アルブレヒト指揮
ベルリン・ドイツso.
ヨメッリ:歌劇「イル・ボロジェーソ」(全曲) ヴァシンスキー、
オディニウス、他
フリーダー・ベルニウス指揮
シュトゥットガルトco.
 番号は多分代理店のミスだが(420983が正しいと思われる)、こちらで受注いたします。
コンラディン・クロイツァー:歌曲集 クリスチャン・エルスナー(T)
オイゲン・ヴァングラー(P)
 ドイツ・初期ロマン派の作曲家クロイツァーの歌曲集。生涯に40ものオペラを残したが、今は歌曲作曲家として広く親しまれている。
アントン・ルビンシテイン:
 八重奏曲 ニ長調 Op.9
 ピアノと木管のための五重奏曲 ヘ長調 Op.55
コンソルティウム・クラシクム
 [トーマス・デュイス(P)
 ロベルト・ドーン(Fl)
 ディーター・クレッカー(Cl)
 ヤン・シュレーダー(Hr)
 アンドレアス・クレッヒャー(Vn)
 ニクラス・シュヴァルツ(Va)
 アルミン・フロム(Vc)
 ウルリヒ・シュナイダー(Cb)]
 大ピアニストにしてロシア音楽の父とも称されたアントン・ルビンシテインの、管楽器を含む室内楽作品。なぜかロシアの作曲家には管楽器のソロもしくは室内楽が少なく、その点でルビンシテインの2作は貴重といえる。八重奏曲はもともとピアノ協奏曲として構想されたため、ピアノが主役的に活躍する。2曲ともルビンシテインならではの美しいメロディが豊富に使われ、聴き応え満点。クラリネットのクレッカーをはじめとする名手の腕が冴える。
ヴォルフガング・フォルトナー(1907-1987):歌曲集
 シェイクスピア歌曲集(12曲)/献呈(4曲)/告別(5曲)/
 4つの歌/遺作歌曲集(5曲)/三行詩節集(6曲)
ディートリヒ・
 フィッシャー=ディースカウ(Br)
ステラ・ドゥフェクシス(Ms)
ラルフ・ルーカス(Br)
クリストファー・リンカーン(P)
アクセル・バウニ(P)
アリベルト・ライマン(P)
ありそうでなかったフォルトナー単独の歌曲集。20世紀ドイツ・リートといえばこの人、フィッシャー=ディースカウももちろん歌っている。
パウル・デッサウ(1894-1979):歌曲集(全36曲)
 安心/月明かりの夜/受胎告知/
 良き品行と悪しき品行についてのバラード/
 小さな裸足/2つの歌(1934)/5つの歌(1955)/
 レンツの詩による2つの歌(1950)/3つの歌(1974)/
 動物の歌(1972/73)/メゾ・ソプラノのための3つの詩(1974)/他
ハンナ・ドラ・
 シュトゥールルドゥッティル(S)
ステッラ・ドゥフェクシス(Ms)
ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
アクセル・バウニ(P)
 旧東ドイツ音楽会の大御所であったデッサウの、20歳頃から最晩年に至る歌曲を網羅。
プロコフィエフ:歌曲集
 5つの詩 Op.36/みにくいアヒルの子 Op.18/
 5つの歌詞のない歌 Op.35/5つの詩 から4曲/
 5つの詩 Op.27/3つの歌 Op.73
クラウディア・バレンスキ(S)
アクセル・バウニ(P)
 録音:2001年11月。プロコフィエフの青年期の歌曲を集めたアルバム。
フィビヒ:
 弦楽四重奏曲 ト長調/弦楽四重奏曲 イ長調/
 主題と変奏
コチアンSQ
 ドヴォルザークとほぼ同時期に活躍したフィビヒ。教会での活動が作品に影響を与えたのか、作風はどちらかというと渋め。室内楽が演奏されることは少なく、この録音は貴重。
コジェルフ:
 弦楽交響曲/カッサシオン/
 管楽八重奏のためのパルティータ/
 管楽六重奏のためのパルテイータ/
 管楽六重奏曲第3番
コンソルティウム・
 クラシクム
 ハイドンとモーツァルトのはざまにあって、2人の最大のライヴァルと言われたコジェルフ。作品は多岐におよぶが、故郷チェコの素朴さと、 第2の故郷ウィーンの優雅さを備えたロマン主義の管楽合奏曲は、ファン必聴の名曲。
トーマス=ミフネ〜数珠のチェロ小品集
 ショスタコーヴィチ:ロマンスOp.9-1
 チャイコフスキー:
  「6つの小品」〜感傷的なワルツOp.51-6(*)
 ショパン:夜想曲第20番 嬰ハ短調(*)
 ビゼー:「カルメン」〜花の歌(*)
 チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」
  〜レンスキーのアリア(*)
 ブルッフ:コル・ニドライOp.47(*)
 メンデルスゾーン:無言歌
 ドヴォルザーク:ロンド
 チャイコフスキー:
  「子供のためのアルバム」〜ナポリ人の歌(*)
 エルガー:愛のあいさつ(*)
 パラディス:シチリアーノ
 ワーグナー:「ヴェーゼンドンクの5つの詩」〜夢(*)
 タニェエフ:協奏組曲〜アンダンテ(*)
 カザルス:鳥の歌
 ヘンデル:「セルセ」〜ラルゴ(*)
 J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第5番〜アリオーソ(*)
 ラフマニノフ:ヴォカリーズOp.34-14(*)
 パク・チュンソク:
  ラブ・ゴーン・ウィズ・オータム・ビハインド
ヴェルナー・トーマス=ミフネ(Vc)
カルメン・ピアッツィーニ(P)
 録音:1996年4月26日&27日、ウルリヒ・クラウス・スタジオ、ヴェルトセー。
 国内盤でも KKCC-4252 (廃盤) として出ていた物。当盤とORFEO-131851の約半数の曲ずつがカップリングされ、KKCC-8038(廃盤)として発売されたこともある。
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1番&第2番、
 アレクサンドル・ブロークの詩による7つの歌(*)
ミュンヘン・
 ピアノ三重奏団
アーラ・
 アブラベルジェーヴァ(S;*)
 ショスタコーヴィチの少年時代(1923)、戦争のさなか(1944)、晩年(1967;以上曲順)の3時期の室内楽を集めたCD。
エゴン・ヴェレス(1885-1974):
 ヴァイオリン協奏曲 Op.84/プロスペローの呪文 Op.53(*)
アンドレア・ドゥーカ・
 レーヴェンシュタイン(Vn)
ゲルト・アルブレヒト指揮
オーストリア放送o.
 新ウィーン楽派のひとりではあるが、その作風は後期ロマン派と表現主義との折衷といったおもむき。ワルターによって初演された(*)もR.シュトラウスやマーラーに近い。
シマノフスキ:歌曲集 クラウディア・バラインスキ(S)
アクセル・バウニ(P)
 意外に多いシマノフスキのファンだが、特に歌曲はポーランド語によるためか録音が少ない。東洋への憧れを示す作品、叫び声や金切り声の現れる作品など一風変わった作品が並ぶ。
マンフレード・グルリット(1890-1973):歌劇「軍人たち」 マイケル・バート、
トーマス・モール、他
ゲルト・アルブレヒト指揮
ベルリン・ドイツso.
 今では知る人ぞ知るという程度の知名度になってしまったグルリットだが、戦前〜戦後にかけての日本でのドイツ音楽の普及に多大な影響を与えた人。24才でブレーメン歌劇場の監督に、34才の時にはベルリンで同職に就くなど才能を発揮した彼だが、大戦勃発により1939年に日本に移住、その後は日本に安住の地を見いだした。また、彼はフンパーディンクに作曲を学び、ドイツ・ロマン派の系譜の最後に連なる人物でもあった。彼の代表作としては、2つのオペラ「軍人たち」と「ヴォツェック」があるが、今日それぞれツィ-マーマンとベルクによる競合作があるため、グルリットの作品は忘れ去られてしまっている。今回の「軍人たち」は、語り調の歌を多用し、クールな印象を与えるが、やはりロマン派の流れを感じさせる作風。
ハウアー:歌劇「サランボー」 ロバーツ、イライアス
ローター・ツァグロゼク指揮
オーストリア放送o.
 12音技法は自分の発明であると主張し音楽界から疎んじられた変人、ヨゼフ・ハウアーの生誕100年を記念して行われた全曲盤世界初録音のライヴ。 ベルクを思わせるその書法は、やはり早すぎたとしか思えない。
弦の跳躍〜チェロ・アンサンブル
 イベール:交響組曲「パリ」〜ブローニュの森のレストラン
 ラヴェル:ハバネラ形式の小品
 チャイコフスキー:ナポリの歌
 ラロ:ウォッカ・ワルツ
 ポッパー:タランテラ Op.33
 ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
 クライスラー:中国の太鼓
 タンスマン:交響曲第3番〜テンポ・アメリカーノ
 パコ・デ・ルシア:エル・テンプル
 ミヨー:ブラジレイラ
 ヴィラ=ロボス:転覆したカヌー
 バーデン・パウエル:アペロ
 ピアソラ:肉屋の死
 レクオーナ:真夜中のコンガ
 ヴェルナー・トーマス=ミフネ:
  オリエンタル(トルコ風ベリー・ダンスのカリカチュア)/
  ローエングリンのロリ
 デイヴ・ブルーベック:ボザ・ノヴァ・USA
 デューク・エリントン:ムーンライト・フェスタ
フィルハーモニッシェ・
 チェリステン
ピョートル・ステパニアク
(P/Cb)
ステファン・エッピンゲル
(Perc)
 録音:2001年12月3日〜5日、ベネディクトボイレン修道院バロックザール。
 ベスト・セラー「ジャクリーヌの涙」(ORFEO-131851)でおなじみ、トーマス=ミフネ率いる6人のチェリストたちによる、ノリの良いナンバーで固めたゴキゲンなアルバム。 クラシックにこだわらない選曲とこなれたアレンジが魅力の、サロン・ミュージック仕立てのエンターテインメントに徹した一枚。
ミャスコフスキー(1881-1950):
 交響曲第2番 嬰ハ短調Op.11(1910/11)(*)/
 交響曲第10番 へ短調Op.30(1926/27)(#)
ゴットフリート・ラブル指揮
ウィーン放送so.
 録音:1997年9月9日&10日、11月24日-26日(*)/1996年3月18日&19日(#)、以上ウィーン。
 ペテルブルク音楽院卒業直後に作られ、グラズノフやリャードフなどの影響が濃い第2番と小規模ながらも彼の語法を確立した第10番。意欲的なラブルのアプローチは、これらの交響曲の先進的な側面を描き出す
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調Op.1
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番 ト短調Op.25
ヴァルダン・マミコニアン(P)
デイヴィッド・ストール指揮
フランクフルト放送so.
 録音:1999年5月10日-14日、フランクフルト。
 非常に力強い表出を感じさせる。ロマン派のピアノ協奏曲の特徴をよく捉えながら、同時に現代的なスマートさも併せ持った個性的な録音。特にリストのダイナミズムは秀逸。
R.シュトラウス:オペラ・アリア集 ユリア・ヴァラディ(S)
ディートリッヒ・
 フィッシャー・ディースカウ指揮
バンベルク放送so.
 録音:1999年。
ドヴォルザーク:オラトリオ「聖ルドミラ」 ゲルト・アルブレヒト指揮
ケルン放送cho.
プラハ室内cho.
ケルン放送so.
 アルブレヒトのライフワークとなっているドヴォルザークの声楽作品。
コンラディン・クロイツァー(1780-1849):
 クラリネット四重奏曲 変ホ長調/
 ピアノ四重奏曲/五重奏曲
コンソルティウム・クラシクム
 発売:1999年。
ヴァイル:
 ヴァイオリンと管楽器のための協奏曲(1924)
 小さな三文音楽
エリク・ラウダレス(Vn)
ゲルト・ミュラー=ローレンツ
 指揮ミュンヘンRO
 ラウダレスは南米グァテマラ出身の新進ヴァイオリニスト。
チャイコフスキー:オペラ・アリア集
  「エウゲニ・オネーギン」「オルレアンの少女」「マゼッパ」「魔女」
  「スペードの女王」「イオランタ」から
ユリア・ヴァラディ(S)
ロマン・カウフマン指揮
ミュンヘン放送o.
 録音:2000年6月、9月。ヴァラディの独特の暗い陰のある声がチャイコフスキーのメランコリックな旋律美にピタリとあっている。 「オルレアンの少女」や「魔女」といった、比較的珍しいオペラからのアリアが収められているのもうれしい。
ズデニェク・
 フィビヒ(1850-1900):歌劇「シャールカ」
ダリボール・イェニス
(プシェミスル公)
ヤネズ・ロトリッチ(ツチラト)
ウラディミール・クボヴチック
(ヴィトラス)他
シルヴァン・カンブルラン指揮
ウィーン放送so.
ウィーン・コンツェルトcho.
 録音:1998年5月8日。フィビヒはボヘミア生まれの作曲家だが、国民楽派とは一線を画し、ドイツ・ロマン派音楽に傾倒し、ワーグナー的和声とボヘミアの民族的素材の融合という、 マーラーの先駆ともいえる作風を確立した。シャールカはスメタナの「わが祖国」のなかでも描かれる、伝説の女族の戦士のこと。このオペラでは彼女が敵方である男族のツチラトを愛してしまう。 指揮は注目株、劇場経験豊富なカンブルラン。
バッハ:
  イタリア協奏曲/フランス組曲第2番/トッカータ BWV914
  パルティータ第6番 BWV830
  平均律クラヴィーア曲集第1巻〜前奏曲とフーガ ハ短調
エレーナ・クシェネロワ(P)
 クシェネロワはモスクワ出身で、1992にドイツに移住して世界各国で活躍している。
イタリア・ドイツの近・現代歌曲集
 ルイージ・ダッラピッコラ(1904-1975):
  アントニオ・マチャードの四つの詩
  [春が来た/きのう夢を見た
   主よ、あなたは私の最愛のものを/春が来た]/
  Rencevals
 カール・アマデウス・ハルトマン(1905-1963):
  アンドレアス・グリフィウスの哀歌
  [不幸/わが母に/平和]
 ヴォルフガング・フォン・
  シュヴァイニッツ(1953-):
   紙の星(テキスト:サラ・キルシュ)
   [凧揚げ/8月の雪/赤い鳥たち]
モイカ・エルトマン(S)
ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
アクセル・バウニ(P)
クラウディア・バラインスキ(S)
ドリス・ゾッフェル(Ms)
アリベルト・ライマン(P)
 オルフェオの「現代歌曲シリーズ」も10周年を迎え、今回はダッラピッコラ、ハルトマン、シュヴァイニッツというイタリア・ドイツの現代音楽作曲家の歌曲たちが顔をそろえた。
 戦後、オペラ「囚われ人の歌」で名を成したダッラピッコラはイタリアで初めて十二音技法を用いて作曲した人物で、またセリー音楽を発展させた人物としても知られている。一方ほぼ同世代といってよいドイツの作曲家、ハルトマンは交響曲が名高い人物。二人の共通点は新ウィーン楽派のアルバン・ベルクに啓発されていることと、そして第二次世界大戦を生き抜き、ナチスに対する反感の思いが作風に多大に影響を残していることだろう。もう一人の作曲家、戦後生まれのシュヴァイニッツは先述の2人とは半世紀ほど世代が違い、いまもベルリンに住んでいる。20代のころにやはり奨学金を受けて同時期にローマに滞在していた作家サラ・キルシュの作品「紙の星」に曲をつけた、みずみずしい作品が収録されている。キャリア十分の実力派歌手とピアニストが、作曲家が描いた世界を忠実に表現することに成功しているといえるだろう。
ニール・シコフ〜オペラ・アリア集
 ヴェルディ:「仮面舞踏会」、「ドン・カルロ」、
  「ルイザ・ミラー」、「運命の力」、
 プッチーニ:「外套」、「トゥーランドット」、
 グノー:「ロメとジュリエット」、
 ビゼー:「真珠採り」、マスネ:「ウェルテル」、
 アレヴィ:「ユダヤの女」、
 チャイコフスキー:
  「エフゲニー・オネーギン」から
ニール・シコフ(T)
ウラディーミル・
 チェルノフ(Br)
ファビオ・ルイージ、
フレデリク・シャスラン、
マルチェロ・ヴィオッティ指揮
ミュンヘン放送o.
 録音:1996年〜2001年、ライヴ。
 サントリーホールのオペラ・シリーズでの数々の名唱で日本のオペラ・ゴーアーに強い印象を残したシコフ。彼の役への入れ込みには並々ならぬものがあり、 入魂の舞台の後はしばらく放心状態になってしまうという。日本での「ドン・カルロ」や「カルメン」における完全燃焼ぶりも大評判であった。当盤は3つの演奏会から彼の絶唱をまとめたアルバム。 ウィーンを熱狂させた「ユダヤの女」のアリア、パヴァロッティとはまったく違った歌い方ながらえらく熱の入った「誰も寝てはならぬ」(「トゥーランドット」)が聴衆を大いに盛り上がらせている。
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための作品集
 ソナチネ第1番 ニ長調D.384/
 ソナチネ第2番 イ短調D.385/
 ソナチネ第3番 ト短調D.408/
 二重奏曲(ソナタ) イ長調D.574
アンドレア・デュカ・
 レーヴェンシュタイン(Vn)
フィリップ・モル(P)
 録音:2001年2月13日〜16日、ベルリン。
 1975年ベルリン生まれのレーヴェンシュタインは、ザハール・ブロン、ヴィクトル・トレチャコフ、ドロシー・ディレイに師事し、現在は活動の中心をリサイタルや室内楽に据えている期待の女流。 シューベルトは積極的に取り上げているレパートリーで、アルバン・ベルクSQのコースでも学んだという、しなやかなアプローチが印象的。ムターや諏訪内などとの共演でおなじみのヴェテラン、モルも好サポート。
シューマン:
 アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70/月の夜 Op.39 No.5/
 ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 Op.105/
 3つのロマンス Op.94/民謡風の5つの小品 Op.102/
 幻想小曲集 Op.73/晩の歌 Op.85 No.12
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
ロベルト・クーレク(P)
 録音:2003年5月22-25日、ミュンヘン。
 2003年9月、2004年2月に来日し、日本の聴衆をもすっかり魅了したドイツのチェリスト、ダニエル・ミュラー=ショット。1976年ミュンヘン生まれ、まだ20代の若さながら既に極めて高い評価を得ている。ミュラー=ショットの特徴はなんといっても当代一と断言しても良いくらいの美音。愛用の名器(ヴェネツィアのフランチェスコ・ゴフリッラーが1725年に製作したもの)から奏でられる音色は実に魅惑的。かなりチェロには厳しい愛好家でも彼は一目置く存在らしい。もちろんチェロ・マニアの心を揺さぶる歌心も満点。そんなミュラー=ショットがシューマンにピッタリなのは当然、このアルバムも幸福感に満ち溢れている。全18トラックどれもロマンティシズムどっぷり、中でも、もともと歌曲の「月の夜」が最高、クーレクの深く感じ入ったピアノと共に絶品。
シューベルト:
 夜鶯 D.724/遠く離れた人 D.331/矛盾 D.865/酒の歌 D.148/
 16世紀の酒宴の歌 D.847/酒の歌 D.75/昔を今に D.710/
 墓と月 D.893/ゴンドラを漕ぐ男 D.809/夜 D.983/
 晩の静けさ/草原の羊飼いの少女 D.513/おやすみに D.903
シューマン:
 夢みる湖 Op.33-1/ミンネゼンガー Op.33-2/はすの花 Op.33-3
メンデルスゾーン:
 舟旅 Op.50-4/夏の歌 Op.50-3/夕べのセレナード Op.75
ジルヒャー:ローレライ/元気に歌う/ごめんなさい/
       陽気な博士たちのお気に入りの歌/不実
クリスティアン・エルスナー、
ジェイムズ・テイラー(T)
フランツ・ヨゼフ・ゼーリヒ(B)
ミヒャエル・フォレ(Br)
ゲロルト・フーバー(P)
 録音:2002年7月27日、ヨハニスベルク、ラインガウ音楽祭。ライヴ。
 ドイツの四重唱歌曲を集めたCD。近年よく録音を見かける若手実力派が集まった四人の歌手の完成度の高さはもちろん、ライヴならではの感興も十分。
ショパン:ピアノ・ソナタ集
 第1番 ハ短調 Op.4/第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」/
 第3番 ロ短調 Op.58
イーゴリ・チェトゥーエフ(P)
 録音:2002年12月10-14日。
 1980年生まれのウクライナのピアニスト、イーゴリ・チェトゥーエフは、18歳の時にアルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで優勝したという天才。2002年、2003年と来日しているので既に御存知の方も多いことだろう。一聴して分かる良質の響きを駆使し、精緻で繊細かつ憂いにも不足ないショパン。有名な葬送行進曲も、大仰な身振りや派手な鳴らしっぷりを避け、あくまで"儚さ"を前面に打ち出している。さりげなさのなかに良く考えられ味の沁みているショパン、これは要注目。
ネッド・ローレム(1923-):歌曲集
 高声のための6つの歌曲
  [詩;ジョン・ドライデン、ロバート・ブラウニング]/
 ウォレス・スティーブンズの最後の詩集(9曲)/
 アリエル(5曲)/他(全23曲)
ローラ・エイキン(S)
ニコラ・ユルゲンセン(Cl)
ゲルハルト・ツァンク(Vc)
ドナルド・サルゼン(P)
 録音:2003年2月。
 ネッド・ローレムは米国インディアナ州リッチモンド生まれ、今や存命の作曲家の中でも長老格。自由闊達な合衆国の現代作曲家たちの中にあって、ローレムは手堅い書法の中に鋭い感性を込めた作風が特徴で、 とりわけ歌曲が有名。近年は名歌手たちが競って取り上げている。 このアルバムに収められたものの中では、「高声のための6つの歌曲」がユニーク。題名通りとにかく音域が高く、歌曲ではおよそあるまじき音域を多用したクリスタルで非日常的な美しさには一発で虜になる。 この至難の歌曲を歌うのは合衆国のコンラトゥーラ・ソプラノ、ローラ・エイキン。近年のザルツブルク音楽祭やメトでは「魔笛」の夜の女王はこの人で、超難易度の歌を実に鮮やかに歌いきり、 最後には高いF音を見事にきめている。他の歌曲もそれぞれに魅力があり、「ウォレス・スティーブンズの最後の詩集」ではチェロが、「アリエル」ではクラリネットが伴奏に加わって彩りを増している。 最後に収録されている「アレルヤ」がまた楽しい。
エルガー:チェロ協奏曲 Op.85
ウォルトン:チェロ協奏曲 Op.68
ダニエル・ミュラー=ショット(Vc)
アンドレ・プレヴィン指揮オスロpo.
 録音:2005年8月15-19日。
 「第1回若い音楽家のためのチャイコフスキー・コンクール」で優勝し一躍注目を集めた若手チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショット。共演のプレヴィンからの信頼も厚く、わずか数年間のキャリアで優れたチェリストの仲間入りを果たしている。美しさと力強さをあわせ持ったミュラー=ショットのエルガーのチェロ協奏曲は必聴。この作品には数々の名盤はあるが、彼の演奏は新鮮な感動を与えてくれる。またウォルトンのチェロ協奏曲は、この作曲家の独創性が溢れ出た作品。オーケストラの勢いある演奏に、ミュラー=ショットのチェロが朗々と歌い上げている。ミュラー=ショットの音楽にのめり込んで行く姿勢は胸を打つ。
ORFEO-622051
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
フランツ・アントン・ホフマイスター(1754-1812):
 クラリネット協奏曲 変ロ長調(*)
 協奏交響曲第1番 変ホ長調(+)
 協奏交響曲第2番変ホ長調(#)
ディーター・クレッカー(Cl)
ジュゼッペ・ポルゴ(Cl;+/#)
ヨハネス・メースス指揮
プフォルツハイム南西ドイツco.
 録音:2003年10月29-30日(*/#)、2004年2月23-28日(+)、オーベルデアディンゲン、ラウレンティウス・エヴァンゲリスト教会。
 モーツァルトにクラリネットのための傑作を書く機会を与えたアントン・シュタードラー。弟ヨハンとともに稀代の名手として知られた彼は、モーツァルト作品の出版者として音楽史に名を残すホフマイスターもまた親交があり、ホフマイスターもまた、クラリネットのための協奏曲を書いている。
 クラリネット協奏曲ではモーツァルトに先駆けて、かくも高度に技巧的な書法がみられるのは驚くべきこと。パッセージの多くにモーツァルトの原型がみられる。また、当時流行していたスタイルの協奏交響曲では、清々しい弦楽の調べに載せて、2本のクラリネットの掛け合いが楽しさいっぱい。
 未知の作品を掘り当ててきたクレッカーが教え子のポルゴの協力(ヨーロッパ中のアーカイヴを奔走して楽譜を探し当てた)を得てリリースにこぎつけたとのことだ。
ハチャトゥリヤン:
 チェロ協奏曲(*)/ヴァイオリン協奏曲(#)
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc;*)
アラベラ・シュタインバッハー(Vn;#)
サカリ・オラモ指揮
バーミンガム市so.
 録音:2003年8月14日&15日、シンフォニー・ホール、バーミンガム(*)/2003年4月7日、ガスタイク、ミュンヘン、ライヴ(#)。
 1976年生まれ、イッサーリス門下のミュラー=ショットと1981年生まれ、ギトリス門下のシュタインバッハーというドイツ期待の美形若手によるフレッシュなハチャトゥリヤン。若々しいエネルギーがハチャトゥリヤンの音楽にぴったり。渾身の演奏を聴かせてくれる。
アントニー・シピリのC.F.E.バッハ
 C.F.E.バッハ:
  ファンタジア ト短調 H225/
  ソナタ ハ長調 H248/
  ソルフェッジョ ハ短調 H220/
  ソナタ ハ短調 H298/ソナタ ホ長調 H213/
  ソナタ 変ホ長調 H78/
  ファンタジア ハ長調 H291/
  自由な幻想曲 嬰ヘ短調 H300
アントニー・シピリ(P)
 録音:2002年10月21日-23日。モダーン楽器使用。
 シピリはソロ、伴奏、現代ピアノ、チェンバロを自在に操り多方面で活躍している。ここでは現代ピアノを使用しており、C.P.E.バッハの時代の過渡期に存在する音楽性を描き出している。
 アントニー・シピリは2007年の草津音楽祭に出演予定。
ドヴォルザーク:歌劇「ジャコバン党員」(1889) クリストフ・シュテフィンガー
(B:ハラソフの伯爵)
マルチン・ブロニコフスキ
(Br:ボフシュ)
マーク・ホラント(Br:アドルフ)
アンドレア・ダンコヴァ
(S:ユリエ)
ペテル・ミクラーシュ
(B:フィリップ)
ミハル・レホツキー(T:イジー)
エバーハルト・フランチェスコ・
 ローレンツ(T:ベンダ)
リヴィア・アグホヴァ(S)
ゲルト・アルブレヒト指揮
WDRケルン放送so.
 録音:2003年6月19、21日、ケルン、演奏会形式ライヴ。
 フランス革命の余波に揺れるチェコの小さな村、伯爵の息子ボフシュは危険思想のジャコバン党員と非難され亡命していたが、密かに帰村。しかし伯爵は甥アドルフを後継者に指名していたので、アドルフはボフシュを投獄してしまう。しかしボフシュの妻ユリエが伯爵に事実を話し、ボフシュは許され親子は再会を喜ぶ、という本筋に、イジーとテリンカというカップル、滑稽な悪家老などが加わった楽しいオペラ。録音はピンカス指揮のSUPRAPHON盤と、カッレガーリ指揮のウェクスフォードでのライヴがあるくらいで、この新録音は歓迎されよう。
 ドヴォルザークのオペラに力を入れるゲルト・アルブレヒトがオーケストラの機能を生かした切れのある素晴らしい演奏は立派。歌手はチェコ、スロヴァキア系とドイツ系、さらにポーランドの実力者揃い。ミハル・レホツキーはいまプラハで大活躍のテノール。2004年名古屋での「蝶々夫人」のために来日、2005年7月にもチェコ国立ブルノ歌劇場来日公演で「カルメン」のホセを歌う予定。
ハイドン
 スコットランド歌曲集 Hob.XXXIaから(8曲;*)/
 ピアノ三重奏曲 ハ長調 Op.75-1 Hob.XV: 27(#)/
 アン・ハンターの詩による6つの
  独自のカンツォネッタ Hob.XXVIa: 25-30 (*)
ユーリエ・カウフマン(S)
ミュンヘン・ピアノ三重奏団
 録音:2003年11月17日-20日(*)/2004年3月4日-5日(#)、以上ミュンヘン。
 ハイドンの全作品中でも、膨大な量にも関わらずあまり顧みられなかったのがスコットランド歌曲集。民謡の素朴さと、ハイドンの温かみが重ねられた傑作揃いなのだが、なかなか満足できる演奏が無かった。この録音では、ベルリン芸術大学教授のユーリエ・カウフマンの清潔感溢れる歌と、ドイツを代表するピアノ三重奏団であるミュンヘン・ピアノ三重奏団の共演によって、シンプルだからこそ難しいという音楽を理想的に演奏している。名曲ピアノ三重奏曲 ハ長調がまた素敵な演奏。
モーツァルト:
 クラリネット五重奏曲 ハ短調 K.388/406
  (ヴァンサン・ガムバーロ編曲)
 アダージョ K.580a(フランツ・バイヤー編曲)
 アダージョ K.Anh3.30(イルジ・クラトチヴィル編曲)
 クラリネット五重奏曲 ロ長調
  (弦楽四重奏曲 K.575 よりフランツ・ヨゼフ・ロジニャク編曲)
ディーター・クレッカー(Cl)
マンハイムSQ
 録音:2003年9月27日-30日、クララ・ヴィーク講堂、サンドハウゼン。
 モーツァルトのもっとも魅力的な室内楽として多くのファンに支持される「クラリネット五重奏曲 イ長調」。モーツァルトにとってクラリネットという楽器は確かに一種特別な楽器だったに違いないが、ここで聴ける曲はなんと「クラリネット五重奏曲 ハ短調」。1782年作曲の「管楽セレナード ハ短調 K.388」をモーツァルトは1788年に弦楽五重奏に編曲(K.406)しているが、このハ短調のクラリネット五重奏曲はヴァンサン・ガムバーロ(1746-1810)なる人物が編曲したもの。モーツァルトのクラリネット五重奏曲の新発見といえるかもしれない。他もモーツァルト以外の人による興味深い編曲ばかり。
ベルリオーズ:「ベアトリスとベネディクト」序曲
エルガー:交響的習作「ファルスタッフ」Op.68
ドヴォルザーク:序曲「オテロ」
ジョン・フィオーレ指揮
ミュンヘン放送o.
 録音:2003年3月、9月。
 シェークスピアの作品を題材にとった3つの作品。しかもいずれ劣らぬ際立った個性の作曲家の競演とくれば興味は一層募る。天才のみが持つ狂気をどこかに宿したベルリオーズの鮮烈さ。わかるものだけわかれば良いのだと言いたげなエルガーの晦渋な世界。こぼれるばかりの光をメロディに乗せるドヴォルザーク。三者三様の作品を見事に描き分けたフィオーレとミュンヘン放送o.の精緻な演奏も聴き所。作曲家の個性が生みだすコントラストの面白さ、知的興味を喚起してやまない好企画盤!。
ミヨー:
 ヴァイオリン協奏曲第1番 Op.93(1929)
 ヴァイオリン協奏曲第2番 Op.263(1946)
 春のコンチェルティーノ Op.135(1934)
 屋根の上の牡牛
アラベラ・シュタインバッハー(Vn)
ピンカス・スタインバーグ指揮
ミュンヘン放送so.
 録音:2004年3月15-19日。
 多作家のミヨーだが、ヴァイオリン協奏曲は多くない。当盤一番のお勧めは「春のコンチェルティーノ」。これは気の利いた曲で、ヴァイオリンの音色の美しさが発揮できるような歌いまわしと、優しい色に彩られた伴奏オーケストラがチャーミング。第1番は10分ほどの短い作品で、いかにも六人組といった作風です。一方第2番は堂々とした風格のある作品で、特に第2楽章の濃厚さが格別。そして「屋根の上の牡牛」は多作家も頷ける多彩っぷりです。
 アラベラ・シュタインバッハーは1981年ミュンヘン生まれのヴァイオリニストで、祖母に日本人を持つ。子供の頃から注目されていたそうで、彼女の才能を高く評価したアンネ=ゾフィー・ムターが熱心に彼女を援助しているとのこと。その音楽性と美貌で遠からず人気ヴァイオリニストになることであろう。
ミュラー=ショット&クライツベルク〜
 ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲集

 [第1番 変ホ長調Op.107/
  第2番 ト短調Op.126]
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
ヤコフ・クライツベルク指揮
バイエルン放送so.
 録音:2005年9月1日-3日、5日、ヘルクレスザール。
 日本でも多くの聴衆を魅了し、ムター、プレヴィンなど世界中の一流演奏家から高く評価されているチェリスト、ダニエル・ミュラー=ショットによる難曲ショスタコーヴィチ。ロストロポーヴィチが2曲とも初演を行っており、いかにもショスタコーヴィチらしい滑稽味にあふれる音楽。演奏者に超絶技巧を要求され、一流のチェリストが名演を残しているこの難曲に、名器1727年マッテオ・ゴッフリラーを携えてミュラー=ショットが果敢に挑戦。共演経験のあるヤコフ・クライツベルクとの切れの良い演奏、真摯な姿勢、いとも簡単に弾きこなす技巧、音色の多彩さ、力強い演奏を聴かせてくれる。
アリベルト・ライマン(1936-):歌曲集
 アイヒェンドルフの詩による「夜の曲」 I(全5曲)
 パウル・ツェランの詩によるストレッタ(全8曲)
 シルヴィア・プラスによる6つの詩(全6曲)
 アイヒェンドルフの詩による「夜の曲」 II(全5曲)
キャスリン・ゲイヤー(S)
エルンスト・へフリガー(T)
バリー・マクダニエル(Br)
アリベルト・ライマン(P)
 録音:1968-1981年。
 現代ドイツを代表する作曲家でライマンは、数々の賞に輝く作曲家活動の他、名バリトンであるフィッシャー=ディースカウのピアノ伴奏者、さらにベルリン芸術大学教授として教育面でも知られている。ここでは言葉と音列が織りなすスリリングな作品を、大ベテランのへフリガー、さらにアメリカの現代音楽を得意とした歌手による緊密な歌唱で鑑賞できる。薄明の世界に漂うような緊張と瞑想の交錯による表現力はまさに圧倒的。
モーツァルト/ヨハン・ネポームク・ヴェント(1745-1801)編曲/
 不詳再編曲者:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(弦楽四重奏版)
アルティスSQ
 録音:2002年4月、東京。
 モーツァルトと同時代人のヴェントという当時の王立吹奏楽団のメンバーがフルートとヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという編成向けに編曲したスコアを、19世紀初め頃に無名者がさらに弦楽四重奏に編曲したものを演奏。序曲からフィナーレまで15曲が収録されてるが、独唱パートや合唱パートも巧みに書き直されていて、ついつい引き込まれてしまう。
ワーグナー、R.シュトラウス:オペラ・アリア&歌曲集
 ワーグナー:
  「タンホイザー」、「ローエングリン」、「ワルキューレ」、
 R.シュトラウス:「ナクソス島のアリアドネ」、「アラベラ」、
  「カプリッチョ」からの場面
 ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集
アドリアンネ・ピエチョンカ(S)
ウルフ・シルマー指揮
ミュンヘン放送so.
 録音:2005年3月18-23日。
 カナダ生まれで今やミュンヘンやウィーンの歌劇場で引っ張りだこのソプラノ、アドリアンヌ・ピエチョンカ。2005年秋のバイエルン国立歌劇場来日公演での「タンホイザー」でエリーザベトを歌って強烈な印象を残したことで、ご記憶の方もいらっしゃるはず。瑞々しくもしっかりとした芯があり、押し付けがましくないのに説得力があるという、まさにワーグナー、シュトラウスには理想的。このアルバムでも、どの場面も「もっと聴きたい」と思ってしまうほど魅力的。シルマーの伴奏も実に見事。
クラリネットのためのコンチェルティーノ集
 カール・ベールマン:2つのクラリネットと
  管弦楽のためのコンチェルタンテ 変ホ長調(*)
 メンデルスゾーン:
  クラリネット、バセットホルンと管弦楽のための
   コンツェルトシュテュック(#)
   [第1番 ヘ短調Op.113/
    第2番 ニ短調Op.114]
 カール・ベールマン:2つのクラリネットと
  管弦楽のためのデュオ・コンチェルタント
   変ホ調Op.33(*)
ディーター・
 クレッカー(第1Cl)
ジュゼッペ・ポルゴ(第2Cl;*)
ルイジ・
 マジストレッリ(バセットHr;#)
プラハ室内o.
 録音:2004年11月23日-27日、プラハ、ドモヴィナ・スタジオ。
 クラリネット・ヴィルトゥオーゾとして19世紀ヨーロッパ各地で熱狂的な人気を集めたハインリヒとカールのベールマン父子。カールによって語られる面白いエピソードは同時代に生きたメンデルスゾーンとの親交の深さをよく示すもの。別名“甘いダンプリングとシュークリーム、クラリネットとバセットホルンのためのグラン・デュオ "とも呼ばれるメンデルスゾーンによる2つのコンツェルトシュテュック。これはベールマン父子がコンサート・シリーズのためにサンクトペテルブルクへ赴く途中、1832年末にベルリンで、彼らとメンデルスゾーンとのあいだで闘わされた料理対決から派生したもの。大御所クレッカーを中心に、名手マジストレッリと愛弟子ポルゴがなにげないフレーズにもとびきりの腕前を聞かせてじつに楽しい仕上がりのアルバムとなっている。
ダンツィ:作品集
 七重奏曲 変ホ長調Op.10/
 クラリネット・ポプリ第3番 変ロ長調WoO/
 クラリネット・ポプリ第1番 変ロ長調Op.45/
 七重奏曲 ホ長調Op.15
ディーター・クレッカー(Cl)
コンソルティウム・クラシクム
 録音:2004年11月16日-19日、SWR、シュトゥットガルト。
 クラリネットの名手クレッカー率いるコンソルティウム・クラシクムの最新アルバムは、18世紀の終りから19世紀初めにかけて、ドイツの楽壇で重要な位置を占めたダンツィの作品集。ウェーバーの師である彼は、作曲家としてロココ時代と初期ロマン派の橋渡しをしたが、かれの属したマンハイム楽派の所産のひとつに、ミュンヘン、シュトゥットガルトそしてカールスルーエと広範囲にオケの発展に関与したこともあげられる。
 七重奏曲は、狩りを模したファンファーレと民謡主題が聞こえる作品10、愁いを帯びたラルゲットがアクセントを効かせる作品15とも、室内楽というより室内オケのような豊かな響き。いっぽう、パイジェルロ作「セビリャの理髪師」(1782年)のベルカント主題を導入のアダージョに用いた第3番、ミュンヘン宮廷楽団の首席奏者ベールマンのアイデアが盛り込まれた可能性もある第1番とふたつのポプリ(接続曲)は、華麗で技巧的な小品と独奏楽器のための協奏曲とが混じり合った性格を持つ。どのナンバーも名技が楽しく、管と弦の溶け合いが美しく耳にのこる。
ORFEO-675062
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(2CD)
1.75CD価格
モーツァルト:
 ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
 ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調「トルコ風」K.219
 協奏交響曲 変ホ長調 K.364(*)
 2つのヴァイオリンのためのコンチェルティーノ ハ長調(+)
ライナー・ホーネク(Vn)
ミラン・シェテーナ(Vn;+)
トビアス・レア(Va;*)
マルティン・ケルシュバウム指揮
ウィーン・クラシカル・プレイヤーズ
 録音:2004年3月、6月。
 ウィーン・フィルのコンマスとウィーン響のメンバーによる演奏。奇をてらったところはかけらもないが、こうした中庸の美の背景にはウィーンという街に積み上げられた伝統なしには成立しなかったであろう。モーツァルトを聴く喜びに直ちに誘う出色の名演。
コンスタンチン・リフシッツ〜
 バッハ&フレスコバルディを弾く

 J.S.バッハ:
  音楽の捧げもの BWV.1079/前奏曲とフーガ BWV.552
 フレスコバルディ:
  トッカータ集第1巻より[第1番/第2番]/
  トッカータ集第2巻〜第4番
コンスタンチン・リフシッツ(P)
KDC-5091
国内仕様盤
廃盤
 録音:2005年11月30日-12月3日、ミュンヘン、ババリア・ムジーク・スタジオ。バイエルン放送との共同制作。。
 久しく新譜が途絶えていたリフシッツのオルフェオ・デビュー盤。彼の弾くピアノによるバッハでは過去にゴルトベルク変奏曲(1994年; DENON)やリサイタル・アルバムなどが強い印象を残したが、このたび取り上げるのは「音楽の捧げもの」。
 フリードリヒ大王が与えたテーマをリチェルカーレ、カノンとさまざまに展開させてゆくこの作品でも、まだ30代ながらすでにリフシッツ(1976年生まれ)はいっそうの深みを増した哲学的表現を聴かせており、いまは亡きリヒテル、現役ではアファナシエフとロシア勢によるバッハ演奏の伝統を思い起こさせる。
Victorian Christmas
 サリヴァン:海のクリスマス・ベル/天なる神には
 ガントレット:ダビデの村の厩の内に
 サンズ:神が喜びをくださるように
 メンデルスゾーン:天には栄え
 ヘンデル:「メサイア」から
 レンドナー:ああベツレヘムよ
 ウェイド:神の御子は今宵しも
 レオントヴィチ:キャロル・オブ・ベルズ
 パーセル:夕べの讃歌
 アダン:おお聖なる夜
 メイソン:諸人こぞりて
 ホルスト:木枯らし寒く吹きすさび
 コルネリウス:三王/他
パッション・
 デ・キュイーヴル
コンスタンツェ・
 バッケス(S)
 金管アンサンブルによるクリスマス音楽集、というのは決して珍しくはないだろうが、使われている楽器が歴史的なものとなれば、俄然興味津々。パッション・デ・キュイーヴルは、二本のコルネット、ホルン、トロンボーン、オフィクレイドという編成。19世紀末のピリオド楽器を多く用い、19世紀後半の英国(ヴィクトリア朝の時代)で好まれた音楽を、時に和やかに、時に輝かしく演奏している。クリスマスの晩に、部屋を暖かくして心安らかに聞くに打ってつけのCD。
ヨハン・ヴェンツェスラフ・カリヴォダ(1801-1866):
 交響曲第5番 ロ短調 Op.106
 交響曲第6番 ヘ長調 Op.132
フリーダー・ベルニウス指揮
ホーフカペレ・シュトゥットガルト
 ボヘミアに生まれドイツで活躍したカリヴォダは驚くべき多作家で、交響曲も7つ残している。シューマンも褒めたという交響曲は、美しいメロディと巧妙なオーケストレーションが冴える意外な掘り出し物。
ドヴォルザーク:歌劇 「王様と炭焼き」 ダリボール・イェニス
(Br;マチャーシュ王)
リーヴィア・アーグホヴァー
(S;リドゥーシュカ)
ミカル・レホツキ
(T;イェニーク)
ペテル・ミクラーシュ
(B;マチェイ)
ミシェル・ブリート
(Ms;アンナ)
マルクス・シェーファー
(T;インドジフ)
ゲルト・アルブレヒト指揮
ケルン放送so.、
ケルン放送cho.、
プラハ室内cho.
 録音:2005年4月29日、5月1日。
 ORFEOから、アルブレヒトのドヴォルザーク・シリーズの新刊!ドヴォルザークの「王様と炭焼き」。
 「王様と炭焼き」は、数奇な運命を辿ったオペラ。元々1871年に作曲され、リハーサルされたものの、初演はキャンセル。1874年に、ドヴォルザークは台本だけを救い出し、ここに完全に新たな音楽を付け直している。この二つ目の「王様と炭焼き」は1874年11月に初演、好評を得た。その後、ドヴォルザーク自身が二度改訂、さらに1914年にカレル・コヴァジョヴィチが手を加えたものが、現在の決定版となり、それがここでも用いられている。狩りで道に迷ったマチャーシュ王は、炭焼き職人マチェイの家に泊まることに。家の娘リドゥーシュカは、イェーニクという若い炭焼き職人と愛し合っているが、両親に反対されている。王は娘の恋に協力しようと相談するが、イェーニクは二人が逢い引きしていると誤解、軍隊に入ってしまう。1年後、王は偽の裁判を行い、炭焼き一家を前に、イェーニクを殺人の容疑で処刑すると宣告。リドゥーシュカは、彼の命の代わりに自分の命を奪って、と訴えます。彼女の真の愛が証明され、お芝居が明かされ、リドゥーシュカとイェーニクが結ばれてハッピーエンド。
 1989年にプラハで録音されたSUPRAPHON盤があるが、半分近くにまで短縮された事実上の抜粋だった。つまり今回が初の全曲録音。近年ヨーロッパで幅広く活躍するスロヴァキアのバリトン、ダリボール・イェニスを始め、充実したキャスト。そして何といってもアルブレヒトの精緻な音楽。ドヴォルザークの珍しい傑作に大満足。
ブラウンフェルス:テ・デウム Op.32 イッタ=マリア・
 シェーベリ(S)
ラーシュ=エリク・
 ヨンソン(T)
マンフレート・ホーネック指揮
スウェーデン放送so.&cho.、
エーリク・エーリクソンcho.
 録音:ストックホルム、ベルワルド・ホール、ライヴ。
 当作品のライヴ録音(PH-06002)を遺した今は亡き巨匠ヴァントも云うように、ブラウンフェルスは1920〜30年代にかけて、R.シュトラウスやシュレーカーと並び称されるメジャーな作曲家のひとりだった。ナチによって‘退廃作曲家 'の烙印を押された彼が、独創性を開花させ始めるのは、第1次世界大戦で味わった恐怖体験と、自身のカトリックへの改宗した時期あたりから。代表作「テ・デウム」が書かれたのはちょうどその頃で、途切れることのない有機的な音楽の流れに、いくぶんワーグナーの面影をも感じさせる。全編が起伏に富み、たとえば来るべき審判の日を告げるマーチのリズムなど、作曲当時の時代的背景を越えてなお大きな訴求力がある。大規模な編成を要するドラマティックな内容だけに新録音が待たれていたが、ホーネックらによるライヴは期待に応える出来栄えとなった。
ラテン・アルバム
 ピアソラ(1921-1992):
  リベルタンゴ(ヴィーンハルト編曲)/
  アディオス・ノニーノ(オスバルド・カロー編曲)/
  天使のミロンガ(同編曲)/
  オブリビオン(ヴィーンハルト編曲)/
  レビラード(オスバルド・カロー編曲)
 ポンセ(1882-1948): エストレリータ(ハイフェッツ編曲)
 ファリャ(1876-1946):
  スペイン舞曲(クライスラー編曲)/火祭りの踊り
 クライスラー(1875-1962):ジプシーの女
 ヒナステラ(1916-1983):
  パンペアーナ第1番/ヴァイオリンとピアノのためのラプソディ
 アルベニス(1860-1909):タンゴ Op.165 No.2
 ミヨー(1892-1974):ブラジリア(ハイフェッツ編曲)
 ヴィラ=ロボス(1887-1959):ナナ/ポロ/黒鳥の歌
 ヴィーンハルト:サルサ(1966)
 マイク・モウワー:
  ボッサ・メレンゴヴァ(1958)(ヴィーンハルト編曲)
アラベラ・美歩・
 シュタインバッハー(Vn)
ペーター・
 フォン・ヴィーンハルト(P)
 ムターに次ぐ期待の女流ヴァイオリニスト、アラベラ・美歩・シュタインバッハー。来日コンサートでは力強い演奏を披露し聴衆を驚かせた。ストラディヴァリウス「ムンツ」(1736年製、日本音楽財団貸与)、ムターから贈与された弓と、最高の演奏環境を見事自分の手中におさめ、その美貌とともに観客を魅了する。
 待望のニュー・アルバムはこの時期にぴったりなラテン・ピース。ピアソラの強いリズムと物悲しい旋律を時には切なく時には激しく聴かせる。特に「アディオス・ノニーノ」は鬼気迫る演奏。ポンセの代表作「エストレリータ」はハイフェッツがヴァイオリン独奏に編曲し有名になったが、原曲は甘く美しい歌曲。アラベラの演奏は外見とは裏腹で非常に男性的。ここでも甘さだけでなく、豪快な意志の強さを感じさせる。
 これからショスタコーヴィッチの協奏曲の録音などが予定されており、今後も目の離せないアーティストの一人だ。
ショスタコーヴィチ:
 ヴァイオリン協奏曲第1番Op.77/
 ヴァイオリン協奏曲第1番Op.129
アラベラ・美歩・
 シュタインバッハー(Vn)
アンドリス・ネルソン指揮
バイエルン放送so.
 録音:2006年5月。
 注目の女流ヴァイオリニスト、アラベラ・美歩・シュタインバッハーが2006年に生誕100年を迎えたショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲を録音。ストラディヴァリウス「ムンツ」(1736年製)を弾きこなし、ショスタコーヴィチの傑作のである2曲のヴァイオリン協奏曲を強靭な表現力で聴かせる。第1番は沈鬱な色彩、感情を厳しく制御した熟考された音楽。彼女の力強さ、難曲に果敢に挑む姿勢が聴くものに激しい緊張感を与える。第2番は第1番の素晴らしさに隠れがちだが、ひねりのある旋律が要所要所で実に効果的に登場、彼女の底鳴りする深き音色が、哀愁を帯びたメロディーを浮かび上がらせる。1作品ごとに変化をみせるアラベラ・美歩・シュタインバッハーの著しい成長を感じ取ることが出来る1枚。共演のアンドリス・ネルソンは現在28歳の若手。ラトヴィアの首都リガで音楽一家に生まれ、2003年からラトヴィア国立オペラの首席指揮者を、2006/7シーズンからは北西ドイツフィルハーモニック管弦楽団の音楽監督に就任。ここでもフレッシュな演奏を披露している。
ミュラー=ショット&ヒューイット〜
 J.S.バッハ:
  3つのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ

 [1番 ト長調 BWV.1027/第2番 ニ長調 BWV.1028
  第3番 ト短調 BWV.1029]
 C.P.E.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバと
  通奏低音のためのソナタ ニ長調 H.559
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
アンジェラ・ヒューヒット(P)
 録音:2006年7月18日-21日。
 若手注目No.1チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショットと当代随一のバッハ弾きとしているます評価が高まっているアンジェラ・ヒューヒットによるバッハ・アルバム。バッハをあれほど弾き込んでいるヒューイットが、このガンバ・ソナタを録音し新たなバッハを発見したというほど、この3つのソナタはバッハの他の作品と異なる風合いが展開される。また重要となるのがここで演奏されている楽器だが、ダニエル・ミュラー=ショットが愛用している名器1727年製マッテオ・ゴッフリラーとヒューイットが好んで使用しているファツィオーリはともにヴェネツィア出身。音色の柔らかさはこの2つの組み合わせに勝るものはないだろう。またカップリングのC.P.E.バッハのソナタも旋律の美しさ親しみやすさを強調した作品。
 そしてミュラー=ショット次のリリースはショスタコーヴィチの協奏曲。また2007年6月に来日が予定されており、初の本格的なリサイタルも開かれる。今後の活躍にも大いに期待がかかる。
ピョートル・ベチャーラ〜アリア集
 ドニゼッティ:「ルチア」/「愛の妙薬」
 ヴェルディ:
  「エルサレム」/「リゴレット」/「仮面舞踏会」
 マスカーニ:「イリス」
 レオンカヴァッロ:「ボエーム」
 プッチーニ:「ボエーム」
 グノー:「ロメオとジュリエット」/「ファウスト」
 オッフェンバック:「ホフマン物語」
 バザン:「パトラン氏」
 マイヤール:「村の龍騎兵」
 マスネ:「ウェルテル」
  からのアリア
ピョートル・ベチャーラ(T)
イオン・マリン指揮
ミュンヘン放送o.
 録音:2007年6月25日-28日。
 2007年9月、チューリヒ歌劇場の来日公演で「椿姫」のアルフレードと「ばらの騎士」のイタリア人歌手の二役を歌って鮮やかな印象を残したテノール、ピョートル・ベチャーラのアリア集。1966年、ポーランド生まれ。1997年にチューリヒ歌劇場に進出し、ここで様々なテノール役を手掛け名声を高めた。ハイCを越える高音まで楽に出せる見事な声と、ほの暗さを湛えた情熱的な歌い回しは大変魅力的。この初のアリア集では、有名な名アリアだけでなく、珍しいオペラのアリアを取り入れている。マリンの颯爽とした伴奏も聞きもの。
ルイージ&ウィーンso.〜シューマン:交響曲全集
 交響曲
 [第1番 変ロ長調 Op.38「春」(*)/第2番 ハ長調 Op.61(#)/
  第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」(#)/第4番 ニ短調 Op.120(+)]/

 4本のホルンとオーケストラのための
  コンツェルトシュテュック ヘ長調 Op.86(**)
ヘクター・マクドナルド、
エリック・クシュナー、
マルクス・オプマン、
ゲオルク・
 ゾンライトナー(Hr;**)
ファビオ・ルイージ指揮
ウィーンso.
 2006年2月18日-19日(*)/2008年11月5日-6日(#)/2007年12月1日-2日(+)/2007年4月30日(+)、5月2日(+)、以上、ムジークフェライン大ホール、ウィーン、ライヴ(**以外)/2008年1月7日-8日、コンツェルトハウス、ウィーン、ライヴ(**)。ORFとの共同制作。
 2005年よりウィーンso.の首席指揮者を務め、2010年5月に手兵を率いて2006年以来4年ぶり2度目の来日公演を控えるファビオ・ルイージ。この絶好のタイミングでORFEOよりリリースされる注目のプログラムは、2010年に生誕200周年を迎えるシューマンの交響曲全集。
 トーンキュンストラー管、スイス・ロマンド管、MDR響そしてシュターツカペレ・ドレスデンと名だたるオケの監督を歴任した実力派ルイージと、1900年創立の名門ウィーン響との10年にわたる活動の成果は、これまでも折に触れて伝えられているが、ここでの味付けも濃厚で、激しく情熱的な演奏は高い評価を裏付けるものといえそう。
 第1番から第3番については「黄金のホール」ムジークフェラインにおけるライヴ録音というのも魅力で、馥郁たるオーケストラサウンドを心ゆくまで体感されることだろう。
シューベルト
 歌曲集「美しき水車小屋の娘」D795
パヴォル・ブレスリク(T)
アミール・カッツ(P)
 録音:2014年9月11日-14日、アウグスト=エファーディング・ザール、グリューンヴァルト、ミュンヘン。ドイツの音楽雑誌「Opernwelt (オーパーンヴェルト、オペラの世界)」で、2005年度の年間最優秀歌手賞を受賞して一躍脚光を浴び、いま、オペラ、コンサートの舞台でめざましい活躍を遂げているパヴォル・ブレスリクが、シューベルトの「美しき水車小屋の娘」に取り組んだ。ピアノにはブレスリクが互いにもっとも信頼を置く間柄と認める、1973年イスラエル出身でドイツ在住のピアニスト、アミール・カッツを迎えている。1979年にスロヴァキアのブラチスラヴァに生まれたブレスリクは、ブラチスラヴァ音楽院とマルセイユのオペラ研修所CNIPALで研鑽を積み、2000年にチェコのアントニーン・ドヴォルジャーク国際コンクールで第1位を獲得したのち、ベルリン国立歌劇場のメンバーに採用され、2006年以降はフリーランスのテノールとして活動を続けてきた。甘い美声で「魔笛」のタミーノを当たり役とするブレスリクは、ここで後期ロマン派のミュラーの詩に素直に付曲したシューベルトの率直な楽想に乗せて、若者の多感なこころのひだをみずみずしい感性と濃やかな表現で歌いあげて、おおいに魅力的。チューリヒ、ベルリン、MET 、ロイヤル・コヴェント・ガーデン、バイエルン、ウィーンといった世界的なオペラハウスに登場するのと並行して、コンサートにもひんぱんに出演を重ねるブレスリクのキャリアはすでに揺るぎないところだが、まだ伸びしろがいっぱいの才能が込める、若々しくさわやかな情感がなんとも気持ちの良いものとなっている。
サリエリ:ハルモニームジーク(管楽合奏)のための作品集
 トロフォーニオの洞窟(1785)(ハルモニームジーク版・7曲)/
 オルムスの王、アクスル(1788)(ハルモニームジーク版・10曲)/
 ペルシャの女王パルミーラ(1795)(ハルモニームジーク版・10曲)
  ディーター・クレッカー指揮コンソルティウム・クラシクム
 録音:2006年5月7日-9日、クララ・ヴィーク・アウディトリアム、ザントハウゼン。ハルモニームジーク(独語: Harmoniemusik)とは、広くは管楽器のための音楽を指すが、より限定的な意味では、18世紀中頃から1830年代にかけてのある時期のみ、ヨーロッパの貴族が抱えていた管楽合奏団(ハルモニー)および、そのための音楽を指す言葉として通用していた。ハルモニーの編成は、2本一対の管楽器、通常ホルンあるいはクラリネットから、モーツァルトの「グラン・パルティータ」で要求されているような13の楽器(12の管とコントラバス)にまで、多岐に亘っている。
 ハルモニームジーク隆盛のきっかけ:18世紀初めに遡る“管楽合奏団を雇用する " という伝統に画期的な変化がもたらされるのが1782年。この年に、皇帝やウィーンの貴族の何人かのもとで完全編成のハルモニーが結成される。これらはオーボエとクラリネットを含む8人編成で、第1級の職業音楽家たちをメンバーにしている点でこれまでとはまったく異なるものだった。
 あらたなレパートリーの創出:こうして、モーツァルトのK 375とK 388/384aのセレナードのように、ハルモニー本来のための格段にすぐれた作品が書かれるいっぽうで、モーツァルトがオペラ「後宮からの誘拐」のハルモニー編曲も自ら行っているように、オペラやバレエ全曲アレンジが、ハルモニーのためのまったくあらたなレパートリーとして数多く生み出されることになる。
 名ハルモニー・アレンジャー、ヴェントの功績:一般的に、編曲はそれを演奏するハルモニーの楽長が手掛けていたが、先駆けとして活躍するのがヨハン・ネポムク・ヴェント(1745-1801)。オーボエの名手として新設された皇帝の宮廷ハルモニーに在籍するかたわら、皇帝のハルモニーのために、モーツァルトの「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「皇帝ティートの慈悲」「魔笛」を含む数多くの編曲を行っている。
 サリエリのオペラのハルモニー編曲:モーツァルトと同時代に生きたサリエリは、ミロシュ・フォアマン監督の映画「アマデウス」のヒットなども後押しして、モーツァルトの敵役としての虚像がいっそう定着してしまった感もあるが、実際には、イタリア・オペラ楽派の流れを汲むすぐれた作曲家であり、多くの音楽家を指導して後世にも影響を与えている。ひとくちに言って、サリエリのオペラ作品をピリッと引き立たせているのは名人芸とゆたかな感性、そしてコミカルな特質。サリエリ最大の成功を収めた「タラール」からの完全改作である「オルムスの王アクスル」をはじめ、ここでのハルモニー用編曲による演奏のなかにもそうした要素がちょうどそのまま息づいていることに気付かれるだろう。
 クレッカー率いる名人集団コンソルティウム・クラシクム:コンソルティウム・クラシクムは、クラリネットの名手クレッカーが1960年代の初めに立ち上げたドイツきっての室内アンサンブル。その活動がいわゆる定番のレパートリーを磨きあげるにとどまらず、埋もれた傑作を再発見してあらたに生命を吹き込んできたことは、豊富なディスコグラフィを通じてよく知られるところ。サリエリを取り上げた内容も極上の仕上がりで、エステルハージ財団提供の楽譜を使用し、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各々一対にコントラバスを加えた、エステルハージ侯の有名な宮廷楽団のスタイルで当時の模様を忠実に再現している。
アラベラ・美歩・シュタインバッハー〜
 フランス・ヴァイオリン・ソナタ集

 プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
 フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
 ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(遺作)/ツィガーヌ
アラベラ・美歩・
 シュタインバッハー(Vn;*)
ロベルト・クーレック(P)
 録音:2007年5月7日-10日、バイエルン音楽スタジオ。使用楽器:ストラディヴァリウス「ムンツ」(1736年製/日本音楽財団貸与)。
 世界中から共演のオファーがくる注目の女流ヴァイオリニスト、アラベラ・美歩・シュタインバッハー。現在彼女が熱心に取り組んでいるプーランク、フォーレ、ラヴェルのフランス・ヴァイオリン・ソナタ集。多彩な音楽性を聴かせたラテン・アルバム(ORFEO-686061)に引き続き、新たな一面を見せてくれる。
 プーランクならではの洒脱さと、どこか憂いのある絶品のソナタ。夭折の女流ヴァイオリニスト、ヌヴーのために作曲されプーランクのピアノ演奏により初演されている。フォーレの代表作として名高いヴァイオリン・ソナタ第1番。淡い光と幸福感に満ち溢れた作品。アラベラの艶やかで明るい音色が作品と合っている。ラヴェルの最後の室内作品である傑作ヴァイオリン・ソナタ。流麗で優雅な第1楽章。ジャズの技法の影響が見られる第2楽章「ブルース」。演奏者の技巧が試される第3楽章「無窮動」。冴えわたる技巧に洒落っ気たっぷりに演奏するアラベラに脱帽。また超絶技巧と奏者の名人芸を存分に披露できるツィガーヌで華やかにアルバムを締めくくっている。
クラッシミラ・ストヤノヴァ〜アリア集
 ヴェルディ:「レニャーノの戦い」/
  「ルイザ・ミラー」/「シモン・ボッカネグラ」
 プッチーニ:「レ・ヴィッリ」
 ゴメス:「フォスカ」/「グァラニー族」
 マイヤベーア:「ユグノー」
 アレヴィ:「ユダヤの女」
 オッフェンバック:「ホフマン物語」
 マスネ:「エロディアート」からのアリア
クラッシミラ・ストヤノヴァ(S)
フリードリヒ・ハイダー指揮
ミュンヘン放送o.
 録音:2007年6月20日-24日、9月25日。
 2006年3月、東京のオペラの森公演、ヴェルディ「オテロ」で一番評判だったのは、デズデーモナ役のソプラノ、クラッシミラ・ストヤノヴァだった。ブルガリア出身で、1998年からウィーン国立歌劇場と契約を結び、活躍している。ドラマティックな役を得意としつつ、声には独特の透明な美しさがあるのが特徴。このアリア集では、ヴェルディ、プッチーニらマイナーなオペラからアリアを採用、さらにゴメス、マイヤベーア、アレヴィなど、マニアックな選曲に、彼女の意欲が表れている。
ディアナ・ダムラウ、歌曲リサイタル(全34曲)
 クララ・シューマン:それはある日のこと
  花よ、何を泣いているの/あなたの肖像画
  無言の蓮の花/月桂樹
 シューマン:「ミルテの花」 Op.25から
 [ズライカの歌/まだ見ぬ人/くるみの木
  お母さん!お母さん!/彼の胸にすがらせて
  蓮の花/献呈]
 メンデルスゾーン:新しい愛 Op.19a-4
  花束 Op.47-5/月Op.86-5/魔女の歌 Op.8-8
 ショパン:愛する人 Op.74-8
  リトアニアの歌 Op.74-16/闘士 Op.74-10
 リスト:美しい芝生が広がるところ
  わが子よ、もし私が王様だったら/ああ、私が寝る時
 ブラームス:セレナード Op.106-1
  メロディのようなものが僕の心に Op.105-1
  あの下の谷の底では
  どうやって扉の中に入ればいいの
  甲斐のないセレナード Op.84-4
 メンデルスゾーン=ヘンゼル:山の憩い
  なぜばらが褪せているの/南へ/他
ディアナ・ダムラウ(S)
ヘルムート・ドイチュ(P)
 録音:2006年9月4日。頭角を現しているソプラノ、ディアナ・ダムラウがオーストリーのシュヴァルツェンベルクの音楽祭、シューベルティアーデで行ったリサイタルのライヴ。
 ダムラウはバイエルン州東部の町、ギュンツブルク出身。モーツァルト「魔笛」の夜の女王が大評判となり、以来ザルツブルク音楽祭、スカラ座、メトと大活躍。その一方で、リートなど歌曲でも高い評価を得ている。このリサイタルでも、シューマン、メンデルスゾーン、ブラームスのみならず、ショパンやリスト、またクララ・シューマンやメンデルスゾーンの姉ファンニなど、多彩な曲を聞かせてくれる。盛大な拍手喝采に応えて、アンコールも4曲。会場の熱気まで伝わってくるCD。
メンデルスゾーン:チェロとピアノのための作品集
 協奏的変奏曲 ニ長調 Op.17/
 チェロ・ソナタ第1番 変ロ長調 Op.45/
 歌の翼にOp.34-2/葦の歌Op.71-4/
 アルバムブラット ロ短調/無言歌 ニ長調 Op.109/
 チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 Op.58
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
ジョナサン・ギラード(P)
 録音:2009年7月23日-26日、バイエルン・スタジオ(ミュンヘン)。
 近年、目覚ましい活躍を見せている若手チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショットが、2009年に生誕200年を迎えたメンデルスゾーンのチェロ作品を録音した。メロディー・メーカーの本領を発揮した甘美で美しい旋律に彩られた曲ばかり。2曲のチェロ・ソナタは、古典的な様式をとりながらも情熱的で力強い第1番、豊かな旋律、多彩な表現に満ちた魅力的な第2番。ミュラー=ショットのエレガントな音楽が際立つ秀演。主題と8つの変奏からなる協奏的変奏曲は、チェロの華やかさに加えピアノも活躍する作品。ミュラー=ショットとギラードの息の合った、そして時には激しくぶつかり合う音楽が聴き所。「歌の翼に」、「葦の歌」、アルバムブラット、無言歌といった歌心満ちた作品の魅惑的な旋律を見事な表現力で聴かせてくれる。甘さの中に奥行きのあるミュラー=ショットのチェロの音色が、メンデルスゾーンの作品にピタリと合った1枚。
ペーター・フォン・ヴィンター(1754-1825):
 2つのヴァイオリン、クラリネット、2つのホルン、
  ヴィオラとチェロのための七重奏曲 Op.10/
 クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための四重奏曲 o.O./
 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、フルート、クラリネット、ファゴット、
  2つのホルンと任意指定のコントラバスのための八重奏曲 o.O
 ディーター・クレッカー(Cl) コンソルティウム・クラシクム
 録音:2006年9月10日-15日、ドイチュラント放送、室内楽ホール、セッション・ステレオ。制作:ドイチュラント放送。
 クレッカーがふたたびヴィンターのめずらしい作品を発掘。「交響曲集、クラリネット協奏曲&アリア」(ORFEO-192031)以来、本作では円熟期に書かれた室内楽曲の数々を取り上げている。
 今やすっかり忘れ去られてしまったヴィンターだが、マンハイム宮廷のオーケストラで神童とうたわれ、同世代のヴェーバーやシュポアにも一目置かれるほどの存在だった。かのベートーヴェンの七重奏曲が“弦と木管の組み合わせの理想的なサンプル " とみなされるようになっていた当時、ヴィンターがメロディと楽器の扱いで天賦の才能をみせていたのが、まさにこのジャンルだった。
 いずれのナンバーでも美しいカンタービレが光るヴィンターの室内楽。長年の経験で抜群の腕前を聞かせるクレッカーらの演奏で聴くといっそう、巧みな器楽法がよくわかる仕組みとなっている。
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調Op.77 (*)
シューマン:交響曲第4番 ニ短調Op.120 (#)
アラベラ・美歩・
 シュタインバッハー(Vn;*)
ファビオ・ルイージ指揮
ウィーンso.
 録音:2007年12月11日、ムジークフェライン大ホール(*)/2007年4月30日&5月2日、コンツェルトハウス(#)、以上ウィーン、ライヴ。(*)は初出音源。(#)はシューマン「交響曲全集」 (ORFEO-717102) からの分売。いま最も期待されている若手ヴァイオリニストの一人、シュタインバッハーが、将来の巨匠候補として着実に実績を積んでいる指揮者ルイージと共演。シュタインバッハーは第1楽章の静かな熱を帯びた緊張感の中切れ味の良いヴァイオリンを聴かせ、第2楽章では濃厚で大胆な表現で聴衆を魅了し、エネルギッシュで躍動的な第3楽章では力強くしなやかに仕上げている。堅実でメリハリの効いたルイージ&ウィーン響の伴奏も絶品。
リスト:超絶技巧練習曲集 S139(全12曲) ミロスラフ・クルティシェフ(P)
 1985年ロシアのレニングラードに生まれたミロスラフ・クルティシェフは、2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールでピアノ部門最高位(第1位なしの第2位)に輝いた逸材。すでに、ウィーンのムジークフェラインザール、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ニューヨークのエイブリー・フィッシャー・ホールに登場するいっぽうで、巨匠ワレリー・ゲルギエフのお気に入りとして数々の音楽祭にも出演している。
 現在はペテルブルク音楽院に在学中のクルティシェフが弾くオルフェオ・デビュー盤は、リストの超絶技巧練習曲集。チャイコフスキー・コンクールの予選でも弾いて聴衆の度肝を抜いた第4、9、12番をはじめ、恐るべきヴィルトゥオーゾぶりに磨きをかけている。
ザイフェルト&シュニッツァー:ワーグナー集
 ワーグナー:
 「タンホイザー」より
  [この素晴らしい広間/姫様!/全能の乙女よ/ヴォルフラム、聞いてくれ]/
 「ローエングリン」より[暗い気持ちの日々に一人/甘美な歌が消え/遥かな国で]/
 「ワルキューレ」より
  [冬の嵐は過ぎ去り/あなたは春/おお甘美極まりない喜び/ジークムントと名乗り]
 ペトラ=マリア・シュニッツァー(S) ペーター・ザイフェルト(T)
 ウルフ・シルマー指揮ミュンヘン放送so.
 録音:2008年1月14日-17日。
 おしどり歌手夫婦としてして知られるシュニッツァーとザイフェルト。話題になったバイロイト音楽祭での「ローエングリン」をはじめ、夫婦共演のワーグナーはもはや名物。その二人が、「タンホイザー」、「ローエングリン」、「ワルキューレ」のアリアと二重唱を録音。しかも指揮は日本でも人気の高いシルマー。
 25分近い「ローエングリン」の二重唱や、幕切れまでの15分強を収録した「ワルキューレ」第1幕は、思わず全曲が聞きたくなるほど。指揮者目当ての人も要注目。
ORFEO-761092
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(2CD)
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メンデルスゾーン
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調(1822)/
 ピアノ協奏曲 イ短調(1822)/
 ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調(1823)
ディノラ・ヴァルシ(P)
アレクサンドル・
 シトコヴェツキー(Vn)
ミヒャエル・
 ホーフシュテッター指揮
シュトゥットガルト室内o.
 録音:2007年9月27日-29日、シュトゥットガルト・リーダーハレ、モーツァルト・ザール。
 1840年にローベルト・シューマンが‘19世紀のモーツァルト 'と呼んだように、メンデルスゾーンの神童ぶりはつとに有名。このアルバムでは、いずれも10代前半の作で、その才能の弾けっぷりがみごとな協奏曲を収めている。
 ピアノは1939年ウルグアイ生まれのディノラ・ヴァルシ。ゲザ・アンダに師事、1967年にクララ・ハスキル・コンクール第1位に輝き、エーリヒ・クライバー、ケンペ、クレツキ、ロヴィツキといった巨匠とも共演した彼女。1970年代の終りにコンサート活動から引退して以来、重鎮による久々の録音としても注目の内容と言える。
 アレクサンドル・シトコヴェツキーは1983年にモスクワ生まれた英国のヴァイオリニスト。イェフディ・メニューインに才能を認められ、マキシム・ヴェンゲーロフに師事する彼は、ミッシャ・マイスキー、ユリア・フィッシャー、ジャニーヌ・ヤンセンらとの室内楽活動でも知られている。
フンメル:七重奏曲集
 〔ハ長調 Op.114「軍隊」/ニ短調 Op.74 〕
ディーター・クレッカー指揮
コンソルティウム・クラシクム
フローリアン・ウーリヒ(P)
 録音:2007年3月20日-25日、ザントハウゼン、セッション。クラリネットの名手で、2011年に世を去ったディーター・クレッカー率いるコンソルティウム・クラシクムの残した貴重な音源が、数多くのアルバムをリリースしてゆかりの深い ORFEO より登場。ウィーン古典派とロマン派のあいだに位置する世代の代表的な作曲家で、存命中ヨーロッパ最大の作曲家と評されたフンメルの七重奏曲ふたつは、2007年のセッション録音。フンメルの特徴である、ヴィルトゥオーゾ・スタイルの作風をよく反映したプログラムを、このジャンルのエキスパートらによる最高級の演奏で味わえるアルバムとなっている。
 「軍隊」という副題を持つ ハ長調の七重奏曲は、フンメル後期の1829年の作品。トランペットの短いフレーズで開始され、楽章を通じてたびたびそのフレーズが現れることからその名がついたもので、楽器編成はピアノ、フルート、ヴァイオリン、クラリネット、チェロ、トランペット、コントラバスとなっている。いっぽう、フィナーレのロンドも印象的な ニ短調の作品は、1816年ころにウィーンで作曲されたとされ、こちらはピアノ、フルート、オーボエ、ホルン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという編成。ヴァイオリンの替わりに、フルートとオーボエの明るい音色が色彩感をゆたかにするとともに、ホルン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスがメロディアスな作品の性質に貢献している。優美なピアノ・パートを伴うところが共通する2曲に、プロ・デビュー以来メキメキと頭角を現し、いま、ヨーロッパで人気沸騰中の売れっ子ピアニスト、ウーリヒが参加しているのも注目。
ORFEO-763093
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[C 763 093 D]
(3CD)
メンデルスゾーン:弦楽のためのシンフォニア集(全曲)
 [第1番 ハ長調(1821)/第2番 ニ長調(1821)/第3番 ホ短調(1821)/第4番 ハ短調(1821)/
  第5番 変ロ長調(1821)/第6番 変ホ長調(1821)/第10番 ロ短調(1823)/
  第7番 ニ短調(1822)/第8番 ニ長調(1822)/第9番 ハ長調「スイス」(1823)/
  第11番 ヘ長調(1823)/第12番 ト短調(1823)/第13番 ハ短調(1823)]
ミヒャエル・
 ホーフシュテッター指揮
シュトゥットガルト室内o.
 録音:2007年9月、11月、2008年3月、9月、11月、シュトゥットガルト・ボートナング・リーダークランツハレ、セッション。
 現首席指揮者ホーフシュテッター率いるシュトゥットガルト室内管によるメンデルスゾーン生誕200年記念リリース第2弾。10代前半に作曲された「ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲集」(ORFEO-761092)につづいて、神童メンデルスゾーンが同じく12歳から14歳までの間に書いたシンフォニア全曲を収めている。
 シュトゥットガルト室内管は、カール・ミュンヒンガーによって1945年に設立されて以来、すでに半世紀を越える活動歴を刻んできた名門。当初J.S.バッハの演奏を第一に、やがてウィーン古典派へとそのレパートリーの幅を広げてゆきたが、近年はグラスやカンチェリの作品にまで手を広げており、世界有数の精鋭室内オケとして知られている。
 デニス・ラッセル・デイヴィスのあとを受けて、2006年9月に首席指揮者したミヒャエル・ホーフシュテッターはミュンヘン生まれ。ヴィースバーデンの劇場でカペルマイスター、またギーセンの劇場では総音楽監督としてキャリアをスタートさせている。
 ヘンデルの「アルチーナ」や「ジューリオ・チェーザレ」といったオペラの上演により、ホーフシュテッターは、バロック音楽のスペシャリスト、オーセンティック・スタイルによる演奏のエキスパートとしてすでに認められており、2008年にホーフシュテッターとシュトゥットガルト室内管は、その活動を高く評価され、ヨーロッパ室内楽賞を受賞している。
 “元祖神童 " モーツァルトとその時代の音楽に負うところが大きいとされるメンデルスゾーンにあって、その影響を目の当たりに感じさせるシンフォニアは、ホーフシュテッターとシュトゥットガルト室内管の経歴をみれば、まさしくもっとも得意とするところ。それにしてもここに聞くすがすがしさといったらどうだろう。なるほど、ここではじける生命感と清新なひびきの演奏から受ける衝撃はなによりすさまじく、このコンビの高い評価を端的に裏付ける内容といえそう。
アイネム
 「ダントンの死」〜管弦楽組曲 Op.6a/
 管弦楽のための「彷徨」 Op.21/ピアノ協奏曲 Op.20/
 管弦楽のための夜曲 Op.29/
 バレエ「メドゥーサ」Op.24からの組曲
コンスタンティン・
 リフシッツ(P)
コルネリウス・マイスター指揮
ウィーン放送so.
 録音:2008年7月28日-8月1日、ORFラジオクルトゥーアハウス。なお、代理店の表記に『2009年最新録音』ともあるが、これは誤りだと思われる。オペラ「ダントンの死」で世界的名声を得た、オーストリアの作曲家アイネムの作品を新らしい録音で聴ける価値あるアルバム。
 オーケストラ組曲「ダントンの死」は、オペラのエッセンスを4楽章形式の交響曲に編み直した内容。モーツァルト生誕200年の1956年に、ドナウエッシンゲン音楽祭のためにバーデン=バーデンの南西ドイツ放送の委嘱で書かれた「彷徨」は、「魔笛」のパパゲーノのアリア「可愛い娘か、女房がいれば」にもとづく物。ジャズとダンス・ミュージックとの文体のつながりをみごとに打ち立て、アイネムが新境地を開いたピアノ協奏曲は超絶技巧をさりげなく要する難曲で、名手リフシッツがソリストを務める本アルバム屈指の聴き物。
ドヴォルザーク:歌劇「悪魔とカーチャ」(1899)
 ミシェル・ブリート(Ms;カーチャ) ペーター・シュトラーカ(T;羊飼いイルカ)
 ペテル・ミクラーシュ(B;悪魔マルブエル) オルガ・ロマンコ(S;女領主)
 アルチュン・コチニャン(B;ルツィフェル)他
 ゲルト・アルブレヒト指揮 WDR ケルンso.&cho.
 録音:2007年11月23日-12月1日、ケルン。
 「レアものオペラ大好き」なアルブレヒトは、ドヴォルザークのオペラにも『大きなを入れており』(代理店記載ママ)、ついに6作目の全曲録音が登場。「悪魔とカーチャ」は、オドロオドロしい題名と裏腹に、とても面白い喜劇。アルブレヒトは、ドヴォルザークのボヘミア色を生かしつつ、ケルン放送so.から洗練された響きを引き出すことで、実は大のワグネリアンだったドヴォルザークの近代性を浮き上がらせることも忘れていない。カーチャ役は南アフリカ出身のドイツのメッゾ・ソプラノ、ブリート。2005年4月に新国立劇場の「フィガロの結婚」でケルビーノを歌って好評を博し、近年の活躍は目覚ましい。イルカ役のペーター・シュトラーカはドイツのテノール。1970年代からチューリヒを中心に活躍する大ベテラン。チェコ語のオペラにも頻繁に出演するので「ペテル・ストラカ」とチェコ人と間違えられることすらある。ロマンコはモスクワ出身で、1980年代末に西側に出て来て活躍しているソプラノ。トスカが当たり役。コチニャンはアルメニア出身で、ベルリン・ドイツ・オペラのバスとして活躍した人。ペテル・ミクラーシュはチェコのベテランのバス。かなり強力なキャスト。
 簡単なあらすじ:居酒屋で皆が踊りを楽しんでいるが、ガミガミ屋のカーチャには踊りの相手が現れない。憤慨したカーチャはつい「悪魔とでもいいから躍りたい!」と口走ってしまう。すると人間の姿をした悪魔マルブエルが現れる。実は彼の任務は、女領主の悪評を確認し、地獄に連れてくること。女代官の評判を確認したついでに、悪魔はカーチャを踊りに誘い、激しく踊る。疲れたカーチャが「自宅」への招きに応じるや、二人は地面に飲み込まれてしまう。カーチャが地獄に連れて行かれたと知ったイルカは、彼女を追いかけに行く。ところがカーチャはマルブエルにしがみ付いて口やかましく文句を言うので、悪魔たちも彼女を持て余してしまう。追いついたイルカの助言でようやくマルブエルは彼女から解放される。悪魔たちは踊りでカーチャを喜ばせ、機嫌を直したところでようやくイルカが彼女を地上へと連れて行く。悪魔たちは胸を撫で下ろす。一方地上では、女領主が地獄に落ちる預言に怯えている。彼女は後悔し、イルカに行いを直すから助けてくれと相談する。イルカが、女領主を攫いに来たマルブエルにカーチャの姿を見せると、悪魔は勘弁してくれと逃げ帰ってしまう。カーチャは褒美をたっぷり貰い、女領主は心を入れ替え、皆の喜びで幕。
アラベラ・美歩・シュタインバッハー
 ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 Op.61
アラベラ・美歩・
 シュタインバッハー(Vn)
アンドリス・ネルソンス指揮
ケルン放送so.
 最近目覚しい成長をみせ、共演のオファーなども多く、引っ張りだこのアラベラ・美歩・シュタインバッハー。人材豊富な若手ヴァイオリニストの中でも、骨太で力強い音楽を聴かせてくれる。
 ORFEOレーベルで6枚目となる今回の内容は、自身のデビューのきっかけとなったベートーヴェン、また2008年都響&スダーンと共演し大成功を収めたベルクを収録。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、2004年チョン・キョンファが、パリでの公演をキャンセルした際、マリナーからの要請を受け、急遽この作品をフランス国立フィルハーモニック管と演奏し大成功を収め、華々しいパリ・デビューを飾った。艶のある音色、瑞々しい表現、非常に音楽的なベートーヴェンを聴かせてくれる。
 「ある天使の思い出に」と副題がつけられているベルクのヴァイオリン協奏曲は、親交のあったアルマ・マーラの娘マノンの早すぎる死を悼み作曲されたベルク最後の作品。バッハのカンタータの引用やベルクの音楽の様々な要素が組み込まれた艶かしく美しい音楽にひきつけられる。アラベラの高い集中力から生み出される端正な音楽、マノンの昇天を描いたフィナーレは繊細にそして力強く演奏され聴くものを感動に導来る。
プッチーニ:アリア集
 「ヴィッリ」/「エドガール」/「マノン・レスコー」/「ボエーム」/「トスカ」/
 「蝶々夫人」/「ロンディネ」/「ジャンニ・スキッキ」/
 「修道女アンジェリカ」/「トゥーランドット」からのアリア
  アドリアンネ・ピエチョンカ(S)
  ダン・エッティンガー指揮ミュンヘン放送o.
 録音:2008年11月3日-5日、24日-26日、ミュンヘン。
 ワーグナー、シュトラウス集(ORFEO-665061)に続く、ORFEOからのピエチョンカ第2弾は、オール・プッチーニ!ドイツオペラで高い評価を得た彼女だが、イタリア・オペラも多くレパートリーに持っており、プッチーニでは「ボエーム」のミミ、「トゥーランドット」のリュー、「トスカ」のタイトルロールなどを歌っている。暗く深みのある瑞々しさを湛えた歌は、イタリア系の歌手が歌った場合とはまた一味違った繊細で情感豊かなプッチーニ。ことに蝶々さんの二つのアリアはどちらも大変充実したもの。今後こちらの領域にも活動を広げてほしい。
チャイコフスキー
 交響曲第5番 ホ短調Op.64/
 幻想序曲「ハムレット」Op.67
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
 録音:2008年10月16日-17日、バーミンガム、シンフォニー・ホール。
 アラベラ・美歩・シュタインバッハーとのショスタコーヴィチの協奏曲(ORFEO-687061)でも注目された俊英アンドリス・ネルソンス。音楽監督に就任したばかりの手兵バーミンガム市響を率いて、指揮者としてORFEOより本格的デビューを飾るアルバムは、地理的な要因からも若いころにつねに強い影響を受けていたと語るチャイコフスキー。同じラトヴィア生まれの指揮者ヤンソンスに見出されたネルソンスだが、ちょうど師ヤンソンスがオスロ・フィルとのチャイコフスキー全集で大きな飛躍を遂げたように、決然としたテンポとスケールの大きさとで、あらたなカリスマ指揮者の誕生を予感させるに十分な内容といえるだろう。
 アンドリス・ネルソンス…1978年ラトヴィアのリガに生まれる。母はラトヴィアで初めての古楽アンサンブルを結成し、父は合唱指揮者、チェリスト、教師。少年時代はトランペットとバス=バリトン歌手として研鑽を積む。サンクト・ペテルブルクでアレクサンドル・ティトフに指揮を師事、また、ネーメ・ヤルヴィ、ヨルマ・パヌラのマスタークラスを受講。トランペット奏者としてオスロ・フィルに急遽出演した折に、同郷の指揮者マリス・ヤンソンスの目に留まり、2002年以来指揮を学ぶ。2007年10月、サイモン・ラトルの25歳に次ぐ29歳の若さでバーミンガム市響の首席指揮者と第12代音楽監督に指名され、2008年9月より3年の任期で現在に至る。並行してコンサート、オペラハウスともに活躍の場を拡げており、ロイヤルコンセルトヘボウ管、チューリヒ・トーンハレ管、バイエルン放送so.
シュターツカペレ・ベルリン、フランス国立管、ピッツバーグ響に登場しているほか、ウィーン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、バイロイト・オペラにも客演を果たしている。
ミュラー・ショット&エッシェンバッハ
 シューマン:チェロ協奏曲 イ短調Op.129
 R.シュトラウス:
  チェロとオーケストラのためのロマンス ヘ長調AV75
 フォルクマン:チェロ協奏曲 イ短調Op.33
 ブルッフ:コル・ニドライOp.47
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc;*)
クリストフ・エッシェンバッハ指揮
北ドイツ放送so.
 録音:2007年7月3日-6日、北ドイツ放送ロルフ・リーベルマン・スタジオ、ハンブルク。使用楽器:マッテオ・ゴッフリラー、1727年製(*)。
 世界の名だたる巨匠たちに認められ、着実にそのキャリアを積み重ねているダニエル・ミュラー=ショット。ORFEOレーベル第7弾目は、度々共演し彼の才能を高く評価している巨匠の一人、クリストフ・エッシェンバッハとの協奏曲集。
 2009年の6月に東京so.との共演で、素晴らしい演奏を聴かせてくれたシューマン。哀愁漂うこの作品を抜群のセンスと充実した音色は聴き手の心を動かする。またヘブライの古い聖歌に基づいたブルッフのコル・ニドライは、深みがあるロマン的な作品。ミュラー=ショットの敬虔な表現が感動へ導く。R.シュトラウスのチェロとオーケストラのためのロマンス、シューマン、ブラームス、メンデルスゾーンらに影響を受けたドイツ・ロマン派の作曲家フォルクマンのチェロ協奏曲などチェロとオーケストラのための傑作が網羅されている。
ORFEO-782091
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[C 782 091 A]
ハイドン:アリア集
 「哲学者の魂(オルフェオとエウリディーチェ)」/
 「アルミーダ」/「月の世界」/「トビアの帰還」/
 「オルランド・パラディーノ」からのアリア/
 シェーナ「ベレニーチェ、どうするの?」と
  アリア「行かないで、私の愛する人よ」
シモーナ・シャトゥロヴァー(S)
アレッサンドロ・デ・マルキ指揮
NDR 放送po.
 録音:2008年11月24日-28日、ハノーファー。
 ハイドン・イヤーに素敵なアリア集が登場。シモーナ・シャトゥロヴァーはスロヴァキアのブラチスラヴァ生まれのソプラノ。まだデビューして数年という若いソプラノだが、ドニゼッティ「ルチア」のタイトルロール、ヴェルディ「リゴレット」のジルダ、またモーツァルト「フィガロの結婚」のスザンナ、「後宮からの逃走」のコンスタンツェなどで高い評価を得て、ヨーロッパのみならず米国でも活躍してるほど。このハイドンのアリア集でも、難易度の高い技巧の曲を鮮やかに歌えば、情感豊かな曲をたっぷり歌うなど、只者ではないことがすぐに分かることだろう。しかも伴奏は、バロック音楽の巨匠アレッサンドロ・デ・マルキが指揮。モダーンo.ながら新鮮な響きを引き出し、若い歌姫の魅力を存分に引き出している。
アンドリス・ネスソンス〜R.シュトラウス
 「ばらの騎士」演奏会用組曲 Op.59 AV 145(*)/
 交響詩「英雄の生涯」Op.40(#)
ローレンス・ジャクソン(Vn;#)
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
 録音:2009年5月28日、セッション(*)/2009年6月22日、24日、27日、ライヴ(#)、以上、バーミンガム、シンフォニー・ホール(*/#)。
 1978年生まれの俊英ネルソンスが、2008年9月より首席指揮者と音楽監督を兼任する手兵バーミンガム市響を振ったORFEO第2弾はシュトラウス。作曲者歿後60周年を迎えた2009年に、本拠バーミンガム・シンフォニー・ホールで行われた演奏会のライヴ録音による、「英雄の生涯」とセッション録音による「ばらの騎士」組曲を取り上げている。
 ネルソンスは前作チャイコフスキーの第5交響曲(ORFEO-780091)も旋律線をよく歌わせ起伏に富んだ音楽を聴かせていたが、このシュトラウスでも若きカリスマの片鱗を窺わせるように完全に掌握したオケを鳴らし切って華麗な内容にふさわしい充実ぶり。「ばらの騎士」組曲もネルソンスの劇場での実績を裏付けるもので舞台が目に浮かぶようだ。なお、ライヴによる「英雄の生涯」終演後には拍手が入る。
 アンドリス・ネルソンス:1978年ラトヴィアのリガに生まれる。母はラトヴィアで初めての古楽アンサンブルを結成し、父は合唱指揮者、チェリスト、教師。少年時代はトランペット奏者とバス=バリトン歌手として研鑽を積む。サンクトペテルブルクでアレクサンドル・ティトフに指揮を師事、また、ネーメ・ヤルヴィ、ヨルマ・パヌラのマスタークラスを受講。トランペット奏者としてオスロ・フィルに急遽出演した折に、同郷の指揮者マリス・ヤンソンスの目に留まり、2002年以来指揮を学ぶ。
 2007年10月、サイモン・ラトルの25 歳に次ぐ29 歳の若さでバーミンガム市響の首席指揮者と第12代音楽監督に指名され、2008年9月より3年の任期で就任、現在に至る。並行してコンサート、オペラハウスともに活躍の場を拡げており、ロイヤルコンセルトヘボウ管、チューリヒ・トーンハレ管、バイエルン放送so.
シュターツカペレ・ベルリン、フランス国立管、ピッツバーグ響に登場しているほか、ウィーン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、バイロイト・オペラにも客演を果たしている。
ストラヴィンスキー
 バレエ「火の鳥」(全曲)(1910年版)(*)/
 詩篇交響曲(1930)(#)
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
サイモン・ハルシー合唱指揮
バーミンガム市交響cho.
KKC-5110
国内仕様盤
廃盤
 録音:2009年7月21日-22日(#)、7月26日-27日(*)、バーミンガム、シンフォニー・ホール(セッション・ステレオ)。ORFEOより快調にリリースを続けるネルソンス&手兵バーミンガム市響の第3弾。
 同月28日のプロムスでも取り上げられた「火の鳥」は、バーミンガム市響にとって1987年のラトルとのセッション録音以来となる物。ここでネルソンスはラトル盤と同じく1910年版を選択してじっくりと幻想的なドラマを描いて行く。かなり早めのテンポ設定が個性的な「序奏」以下、「王女たちのロンド」までは各パートをよく歌わせて美しさを目いっぱい引き出して酔わせると、こんどは「夜明け」を境になだれ込むように「カスチェイ王一味の凶悪な踊り」へ突入、絢爛たる「フィナーレ」までグイグイと引っ張る若々しい音楽づくりがたまらなく新鮮。
 カップリングの「詩篇交響曲」は、ヴァイオリン、ヴィオラとクラリネットが含まれない実験的ともいえる楽器編成がユニークな作品で、なかでも混声合唱の存在感は際立っている。その意味では、世界的な合唱指揮者ハルジーによって、1983年より25年以上にわたり鍛え上げられたバーミンガム市響合唱団の雄弁な表現力を確かめる絶好の内容となっている。
ORFEO-810102
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[C 810 102 A]
(2CD)
1CD価格
F=ディースカウ85歳生誕記念〜ブラームス
 ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83 (*)/
 交響曲第4番 ホ短調 Op.98
コンスタンチン・リフシッツ(P;*)
ディートリヒ・
 フィッシャー=ディースカウ指揮
ベルリン・コンツェルトハウスo.
〔旧・ベルリンso.〕
 録音:2002年12月14日、ベルリン・コンツェルトハウス、ライヴ。収録:アルヒーフ・フィッシャー=ディースカウ。
 2010年5月に85歳の誕生日を迎えた大歌手ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウは、1973年に指揮活動もスタートさせたが、まもなく歌手に専念する事を決意、その後20年間はほとんど指揮台には上らなかった。歌手引退後は指揮者としても度々登壇している彼だが、今回生誕記念盤として2002年、当時のベルリンso.(2006年ベルリン・コンツェルトハウスo.に改称)を指揮したブラームス・プログラムがリリースされることになった。目玉はリフシッツをソリストに迎えたピアノ協奏曲第2番。切り出した塊のようなピアニズムが力強くその個性を主張しており、どの瞬間をとっても、神童からみごとに本物の天才へと変貌を遂げつつある姿が刻印されている。つづく交響曲第4番も渾身の力演。かつて指揮することにほとんど歓びをおぼえず、失望を味わったというフィッシャー=ディースカウだが、ここでの姿に迷いや蔭はない。なお、ピアノ協奏曲の終演後には拍手が入る。
ORFEO-812102
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[C 812 102 A]
(2CD)
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コンスタンチン・リフシッツ〜J.S.バッハ
 フーガの技法 BWV1080/
 コラール「汝の御座の前に我今進み出で」BWV668a
コンスタンチン・リフシッツ(P)
 録音:2009年4月27日-29日、ジーメンスヴィラ、ベルリン。
 聴く人の度肝を抜いた「音楽の捧げもの」に次ぐリフシッツのバッハ新録音は「フーガの技法」。最晩年のバッハがとりくみながら、途中で失明したために未完で終わり、今日も多くの謎を残している。人間業とは思えぬ複雑な作曲技法、時代を超えた前衛性、最晩年の孤高の境地と死の予感など、一筋縄にはいかない難物となっている。リフシッツはグールドのようにオルガンを用いるのではなく、ピアノのみで挑戦。ひとりで弾くのが不可能な2つのトラックのみ多重録音しているが、違和感は全くない。むしろ、これほどの深みに30代のピアニストが達しているのが驚異的。バッハの音楽の崇高さ、恐さ、面白さ、美しさがすべて満喫出来る。
ピョートル・ベチャワ(T)〜スラヴ・オペラ・アリア集
 ボロディン:イーゴリ公〜お前はどこ? ノヴォヴィエイスキ:バルトの伝説〜お前は私を愛しているか
 チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギン より[あなたを愛す、オリガ/わが青春はいずこへ]
 ジェレンスキ:ヤネク〜お前がスタフに誓いをたてる時 / リムスキー=コルサコフ:サトコ〜インドの歌
 モニューシコ:いかだ乗り〜いかだがヴィスワ川に浮く / チャイコフスキー:イオランタ〜恋の囁きも私には無縁だ
 ラフマニノフ:アレコ〜ごらん、彼方の月 / モニューシコ:幽霊屋敷〜静寂のなか
 スメタナ:売られた花嫁〜誰のために花嫁を / アレンスキー:ラファエル〜わが心は情熱で震え
 モニューシコ:ハルカ〜ヨンテクの思い / チャイコフスキー:スペードの女王〜我々の人生とは、賭け事だ
 ドヴォルザーク:ルサルカ〜愛らしき幻よ / リムスキー=コルサコフ:五月の夜〜おやすみ、かわい子ちゃん
 リムスキー=コルサコフ:サトコ〜インドの歌(オーケストラ版、ボーナス・トラック)

  ピョートル・ベチャワ(T) ウカシュ・ボロヴィチ指揮ポーランド放送so.
 録音:2009年8月25日-29日、11月30日-12月2日。
 名歌手を輩出しているポーランドが生んだ名テノール、ピョートル・ベチャワによる東欧オペラのアリア集が登場。ベチャワは1966年、ポーランド最南部のチェホヴィツェ=ジエジツェの生まれ。チューリヒ歌劇場のテノールとしてメキメキ名を上げ、2007年の来日公演では「椿姫」のアルフレードと「ばらの騎士」のテノール歌手で8日間に6回出演という活躍ぶり。さらにバイエルン国立歌劇場、ロイヤル・オペラ、スカラ座、メトロポリタン歌劇場と活躍の場を広げている。柔らかく甘い声で、しかも高い音も楽々。しかも最近は歌の成熟も目を見張るものがあり、美声を駆使した表現に磨きがかかっている。そんなベチャワ、ORFEOからは既にイタリア、フランスのオペラのアリア集が出ていたが(ORFEO-715081)、今回は東欧オペラのアリア集。母国ポーランドのオペラはもちろん、ロシアやチェコのオペラもお手の物。ことにベチャワの名を知らしめた「エフゲニー・オネーギン」のレンスキーは絶品。ノヴォヴィエジスキの「バルトの伝説」、モニューシュコの「いかだ乗り」、アレンスキーの「ラファエル」など、珍しいオペラのアリアが収録されているのも注目。ジェレンスキの「ヨネク」のアリアなど、テノール・マニアなら大喜びしそうな名曲。
 このCDもう一つのポイントが、指揮者のウカシュ・ボロヴィチ。1977年、ワルシャワ生まれのまだ若い指揮者だが、既に高い評価を得ており、国際的活躍も時間の問題という逸材。ボーナスとしてリムスキー=コルサコフの「サトコ」の有名な「インドの歌」のオーケストラ版が演奏されている。
グリーグ
 ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16 /
 ノルウェー舞曲集 Op.35 /抒情組曲 Op.54
ミロフラフ・クルティシェフ(P)
アイヴィン・グッルベルグ・
 イェンセン指揮
ハノーファー北ドイツ放送po.
 録音:2009年11月、2010年1月。2007年第13回チャイコフスキー国際コンクール最高位受賞のミロフラフ・クルティシェフ、ついに協奏曲の登場。クルティシェフはペテルブルクの出身だが、いわゆるロシア・ピアニズムとは一線を画した芸風を持っている。もちろん技巧派ではあるが、むしろ美しいタッチと独特の色気あふれるフレージングが独特で、グリーグの協奏曲でも第1楽章の第2主題、第2楽章、第3楽章第2主題などは格別な味わいに富み、痺れるような美しさ。かくも不思議なニュアンスを醸せるピアニストは今日稀で、数ある同曲の名演のなか、これほど艶っぽい演奏は珍しい。とは言っても情緒に溺れた演奏ではなく、楷書風にきちんとしていて安心度も満点。ノルウェー出身の指揮者アイヴィン・グッルベルグ・イェンセンのサポートも絶妙。今後、グリーグの協奏曲を語る上で、避けて通れないアルバムの登場。
ORFEO-828112
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[C 828112 A]
(2CD)
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J.S.バッハ:ピアノ協奏曲集
 〔第1番 ニ短調 BWV1052/第2番 ホ短調 BWV1052/第3番 ニ長調 BWV1054/第4番 イ長調 BWV1055/
  第5番 ヘ短調 BWV1056/第6番 ヘ長調 BWV1057/第7番 ト短調 BWV1058〕

 コンスタンチン・リフシッツ(P) シュトゥットガルト室内o.
 聴く人の度肝を抜いた「音楽の捧げもの」「フーガの技法」に続くオルフェオ・レーベルのリフシッツのバッハは待望のピアノ協奏曲集。7篇あるピアノ(Cemb)協奏曲は、すべて元来は他楽器用に書かれたが、4作はオリジナルが何の楽器か判明していない。リフシッツも時にチェンバロ、時にオーボエ・ダモーレ、またある時はヴァイオリンを感じることを認めていて、それをリフシッツならではの種々のタッチとだ模倣テクニックを駆使して実現、さらに作品全体に活気を与えている。リフシッツは古楽的な考証を研究したうえで、最新の感性と奏法で再現していて説得力満点。カンタービレな歌い回しはモーツァルトを先取りしているかのようにさえ聴こえ、非常に新鮮。ミュンヒンガーの手兵だったシュトゥットガルト室内管が絶妙に支えている。
ORFEO-829112
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(2CD)
1CD価格
バイバ・スクリデ〜ブラームス
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77(*)/
 ハンガリー舞曲集 WoO.1
  (ヨーゼフ・ヨアヒム編曲/全21曲) (#)
バイバ・スクリデ(Vn)
サカリ・オラモ指揮(*)
ロイヤル・ストックホルムpo.(*)
ラウマ・スクリデ(P;#)
 録音:2009年1月29日、ストックホルム・コンサート・ホール、ライヴ(*)/2010年11月7日-9日、アウグスト・エファーディング・ザール、ミュンヘン、グリュンヴァルト、セッション(#)。バイエルン放送との共同制作。1981年ラトヴィアのリガに生まれ、2001年にエリザベート王妃国際コンクールのヴァイオリン部門で第1位に輝いたバイバ・スクリデ。コンクール制覇以来10年の節目にあたる2011年、ORFEOよりあらたなスタートを切ることになった。
 バイバ・スクリデは、ライナーノートで、ブラームスのヴァイオリン協奏曲との関わりについて次のように述べている。「他のコンチェルトほど長くは弾いていない。 子供の頃に弾いたことはない。 私はこの曲を、およそこの10年間ほど、定期的に弾いてきた。 ストックホルムで、わたしたちはそれをライヴでレコーディングして、あとでハンガリー舞曲を加えようという考えが浮かんだ。ブラームスって本当におもしろいんよ、あなたが聞くのはこれまでで最も美しい瞬間ばかりみたいなんもの!ブラームスの緩徐楽章すべては、ブラームスのいちばんすてきな瞬間だとおもいない? ああ、これほど美しいものは何もない!もちろん、ほかの作曲家たちのすばらしい作品の数限りないリストがある。でも、ブラームスによって、ひとときの間完全に魅了される。」
 バイバ・スクリデがORFEOデビューの重要な機会にブラームスの協奏曲を取り上げたのは、とっておきの作品だからにちがいないが、第1楽章第2主題やアダージョでは、甘美な音色でたっぷりととろかすように歌って、じっさい、ここでの熱い言葉が示す通りのみごとな出来ばえを確かめることが出来る。
 「サカリ・オラモ自身がもともとヴァイオリニスト出身ということもあって、独奏ヴァイオリンを含めたすべてのパートを完璧にマスターしていたので、お互いに自然に反応し合える共演者を得て、たいへん心強かった。」
 これまでのレコーディングでも、バイバ・スクリデは、やはり同じラトヴィア出身のアンドリス・ネルソンス指揮によるチャイコフスキーをはじめ、ショスタコーヴィチ、モーツァルト、ヤナーチェクなど協奏曲のアルバムを中心に発表しており、オーケストラとの共演に強い関心を寄せてきたことがうかがえるが、とりわけバイバ・スクリデにとって、このたびのサカリ・オラモとの共演について満足するものだったようだ。
 妹ラウマとの鉄壁のデュオ。ヨアヒム編曲の「ハンガリー舞曲集」。
 「ハンガリー舞曲集全曲」は、ヴァイオリン協奏曲の被献呈者で、名手ヨアヒムがヴァイオリンとピアノのために編曲した版による演奏で、スクリデ姉妹が14、15歳当時、来日公演でも弾いたという思い出の演目。バイバ・スクリデの言葉によれば、興味深いことに「“ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオニスト " ヨアヒムの手によるアレンジに反して、音域・重音・跳躍といった観点からも“非ヴァイオリン的な様式 " で書かれた超難曲」とのことだが、そうした要素を微塵も感じさせないあたり、さすがに実妹とのデュオといったところだろう。
 このアルバムでバイバ・スクリデは、内容に合わせてふたつのストラディヴァリウスを弾き分けている。コンチェルトで使用するのは、2001年以来の愛器「ウィルヘルミ(1725)」(日本音楽財団より貸与)。開放的で、力強く輝かしい音色が特徴。いっぽう、ハンガリー舞曲集では「エクス・バロン・フォン・ファイリッチュ(1735)」に持ち替え。かつてギドン・クレーメルが所有していたこの楽器は、音色にあたたか味があり、とても色彩豊かで、どこか「大人びたヴァイオリン」なので、ピアノとの親密な対話によりふさわしい性格を備えているとの判断なのかもしれない。
 なお、装丁は32P別冊ブックレットのほかに、内部にスクリデ姉妹が並んだカラー・ポートレイト3点をあしらった、6面折りたたみディジパック仕様となっている。
ストヤノヴァ〜スラヴ・オペラ・アリア集
 チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」〜タチヤナのアリア(手紙の場)
 ハジエフ:「マリア・デシスラヴァ」〜マリアのアリア「偉大なる神よ」
 ボロディン:「イーゴリ公」〜ヤロスラヴナのアリア「長い年月が過ぎ」
 チャイコフスキー:「イオランタ」〜「何故私は知らなかったのだろう」/「マゼッパ」〜マリアの子守唄
 ドヴォルザーク:「ルサルカ」〜〔空の奥深くにいるお月さま/感情のない水の力〕/
         「ディミトリー」〜〔クセニアのアリア「あなたが死んだと思えた」/彼が退いた〕
 チャイコフスキー:「スペードの女王」〜リーザのアリア「もう真夜中近い」
 リムスキー=コルサコフ:「雪娘」〜友だちとブルーベリー摘みにいった時
 ストヤノフ:「ヒタル・ペタル」〜イグリカのアリア
 スメタナ:「売られた花嫁」〜マジェンカのアリア「ああ、何て悲しい」
 リムスキー=コルサコフ:「皇帝の花嫁」〜マルファのアリア「イワン・セルゲーヴィチ、庭へ行きましょう」

  クラッシミラ・ストヤノヴァ(S) パヴェル・バレフ指揮ミュンヘン放送o.
 録音:2010年3月、バイエルン放送スタジオ1。現在実力 No.1と目されるブルガリア出身のソプラノ、ストヤノヴァが母国ブルガリアをはじめ、ロシア、チェコの名オペラ・アリアを歌ったアルバム。彼女は2006年に東京のオペラの森公演で演じた「オテロ」のデズデモーナ役で評判となったが、2009年にはオーストリア宮廷歌手の称号を授与されるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している。ベルカントの技術もしっかり持ちながらも、ここでは持ち前の透明な声よりも暗く激しい芸風を示し、本場モノの巧さを見せている。ことに「エフゲニー・オネーギン」の有名な手紙の場は白眉。あまりの芸達者ぶりに約12分金縛りにあったように身動きができなくなる凄さ。ドヴォルザークの「ルサルカ」の「空の奥深くにいるお月さま」も絶品。彼女のこれまでのどのアルバム以上に、彼女の顔が直接見えてくる説得力に満ちている。
ヘンデル合奏協奏曲 Op.6より
 〔第1番 ト長調 HWV319 /第6番 ト短調 HWV324 /
  第10番 ニ短調 HWV328 /第12番 ロ短調 HWV330 〕/
 アレクサンダーの饗宴 ハ長調 HWV318
ミヒャエル・
 ホーフシュテッター指揮
シュトゥットガルト室内o.
 録音:2010年3月3日-5日、シュトゥットガルト、カール・ベンツ・アリーナ。バロック音楽の先駆者として名高いカール・ミュンヒンガーが1945年に結成したシュトゥットガルト室内o. は、2015年に創立70周年を迎えた。今では当たり前となったヴィヴァルディの「四季」やバッハの「管弦楽組曲」などのバロック音楽を小編成で演奏するスタイルを早くから確立。やがてウィーン古典派へとそのレパートリーの幅を広げてゆきたが、近年はグラスやカンチェリの作品にまで手を広げており、世界有数の精鋭室内オケとして知られている。2006年からは、首席指揮者に現代の古楽界でも活躍めざましいミヒャエル・ ホーフシュテッターが就任している。このアルバムは、12曲からなるヘンデルの合奏協奏曲作品6から4曲とオラトリオ「アレクサンダーの饗宴」の幕間に演奏され、現在は合奏協奏曲としてのほうが印象の強い「合奏協奏曲 アレクサンダーの饗宴 HWV 318」が収録されている。ヘンデルは作品3と作品6の2つの合奏協奏曲集を残しているが、そのうち多く演奏されるのがこの作品6。1カ月という短い期間で一気に書き上げられた本作は、力強く生き生きとした音楽の流れ、ドラマティックな転換、ヘンデルらしい陰影に富んだ曲を楽しむことが出来る。ホーフシュテッターとシュトゥットガルト室内o. の演奏は、軽快さの中にも起伏に富んだ表情が魅力の演奏を聴かせてくれる。
チャイコフスキー
 幻想序曲「ロメオとジュリエット」(*)/
 交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」(#)
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
 録音:2009年6月17日-18日(*)/2010年6月2日-3日(#)、シンフォニー・ホール、バーミンガム。2010年秋、BPOへのデビューを果たしたのに続いて、ウィーン・フィル来日公演にも帯同して、いま話題沸騰の若きマエストロ、アンドリス・ネルソンス。手兵バーミンガム市響との最新アルバムは、交響曲第5番ほか(ORFEO-780091)以来となる得意のチャイコフスキーで、「悲愴」交響曲と幻想序曲「ロメオとジュリエット」いう、注目度満点の組み合わせになる。
 本格的デビューとなった交響曲第5番のリリースに際して、ネルソンスは「地理的にも若いころにつねに強い影響を受けていたのがロシアの音楽、なかでもチャイコフスキーだけは特別」と語り、その演奏にかける強い意気込みを窺わせていた。
 このたびも、ネルソンスは「悲愴」交響曲について「チャイコフスキーが自身の人生のダイジェストを表そうとしたもの」であると述べ、また、「チャイコフスキーの音楽とはすべて人生における感情的な瞬間から出来ている」とも熱く語っている。
 いっぽう、「「悲愴」がチャイコフスキーのもっともパーソナルな作品であるのに対して、もっとも情熱的な作品である」という、カップリングの「ロメジュリ」については「シェイクスピアに題材を採りながらも、ここにはチャイコフスキーが当時、激しい恋に落ちていたヴァイオリニスト、ヨシフ・コテクへの抑えきれない感情が背景にあり、どれほど強く激しく深く愛しても、現実の人生では決して到達し得ない幸福を悟っていたの」とネルソンスはユニークな持論を展開している。そして、「前作のハムレットもそうだったが、チャイコフスキーのいかなる作品といえどもその人生に密接に関連しており、このような自身の実体験なくしてはかくも美しく激しい音楽を書けないと思うの」と結んでいる。
 じっさい、こうした言葉どおりに、ネルソンスのアプローチは両作品ともたいへん情熱的で、心を揺さぶるスケールのゆたかな音楽づくりが印象的。一作ごとに格段の成長を遂げていることを実感させる内容で、オケとのよりいっそうの良好な関係を物語る出来ばえとなっている。
R.シュトラウス
 アルプス交響曲Op.64 (*) /
 楽劇「サロメ」Op.54〜7枚のヴェールの踊り(#)
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
 録音:2010年1月28日(*)、2月3日(*)、11月10日-11日(#)、以上バーミンガム、シンフォニー・ホール、ライヴ。1978年、ラトヴィアのリガに生まれた若きマエストロ、ネルソンス率いる手兵バーミンガム市響による最新アルバムは、「英雄の生涯」&「ばらの騎士」組曲(ORFEO-803091-)に次ぐ、シュトラウス。シュトラウスによる管弦楽の最後の大曲にふさわしく、華麗で精緻なオーケストレーションをきわめた「アルプス交響曲」といえば、先にネルソンスの師であるヤンソンスがやはり巧みでみごとな演奏を聴かせていたが、ここでのネルソンスも作品への入れ込み方といい、リリースを重ねるごとにいっそうの結びつきを強めているバーミンガムの面々からゆたかな表情を引き出し、じっくりとスケールゆたかな演奏を繰り広げている。いっぽう、カップリングの「サロメの踊り」では、すでにオペラ指揮者としてもふんだんなキャリアをうかがわせるかのように、ネルソンスは狂気と戦慄と官能美を描き切って、全曲への期待を抱かせる内容となっている。ネルソンスは2010年秋に、BPOへのデビューを飾り、ウィーン・フィル来日公演にも帯同したのに続いて、2011年4月には「東京のオペラの森 2011」でワーグナーの「ローエングリン」を指揮する予定で、今後ますます目が離せない存在となるのは必至。来日も目前に控えたいま、その目覚ましい進境を伝える本作はまさにぜひとも聴いておきたい内容といえるだろう。
ミュラー=ショット〜
 ブリテン(1913-1976):無伴奏チェロ組曲 全曲

  〔第1番 Op.72/第2番 Op.80/第3番 Op.87〕
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
 録音:2009年7月26日、2010年7月28日-30日、ミュンヘン。使用楽器:1727年製ゴフリラー、ウィーン。ドイツの若き実力派チェリスト、ミュラー=ショットによるブリテンの無伴奏。親友であったロストロポーヴィチのために作曲され、バッハへの敬意が表れた洗練された様式、チェロの奏法を駆使して書かれたブリテンの傑作。ミュラー=ショットは銘器ゴフリラー使用、豊かな低音の響きを堪能することが出来る。明晰なアプローチを通して語られる雄弁な演奏は、まさに新時代の名演。聴かせ所となる20世紀の技法が盛り込まれ、圧倒的な説得力で聴く者を惹きつける。第2組曲のシャコンヌや第3組曲のパッサカリアなど抜群の安定感で弾ききる。リリースを重ねるごとに自身の音楽性を高めていくミュラー=ショットの更なる進化を感じさせる1枚。
プロコフィエフ
 交響的協奏曲 ホ短調(チェロ協奏曲第2番)Op.125
ブリテン:チェロ交響曲 Op.68
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
ユッカ=ペッカ・サラステ指揮
ケルンWDRso.
 録音:2011年10月、ケルン、フィルハーモニー。使用チェロ:ゴフリラー(ウィーン)、1727年製作。ドイツ屈指の俊英チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショット。当盤の2作は共にロストロポーヴィチへ献呈されたもの。力みのないしなやかなボーイングから生み出される伸びやかな響き、高音域でも痩せ細ることのない音色、弾けるようなアタックの鮮烈さ…ミュラー=ショットの持ち味が遺憾なく発揮された演奏にぐっと惹き込まれる。プロコフィエフの第2楽章、颯爽とした超絶技巧の弾きこなしぶりは見事!ブリテンの第3楽章から第4楽章のアタッカへの展開も素晴らしく、ミュラー=ショットが持つ表現力の深さを思い知らされる。使用楽器は今回も名器ゴフリラー!低音厚き艶やかな響きがミュラー=ショットの演奏に更に深みを与えており、身体の奥底にずしりとくる重音の響きは絶品。交響的作品とあって、チェロ・ソロだけでなく、それに負けず劣らず主張する雄大なオーケストラ・パートも大きな聴き所となる今回のプログラム。これまでにも数々の巨匠と共演しているミュラー=ショットだが、今回共演する運びとなったのは、フィンランドが誇る巨匠サラステ&ケルンWDRso.! ミュラー=ショットの瑞々しくも力強いソロを引きたてつつ、壮大なトゥッティ部分ではチェロ・ソロに食らいつかんばかりのエネルギッシュなサウンドで魅せてくれる。ブリテン第4楽章のラストの盛り上がりは圧巻の迫力!曲が終わってもなおホールに残響が広がっていくような、甘美な余韻を感じさせる熱演。1976年ミュンヘン生まれのダニエル・ミュラー=ショットは、若手世代の中でも白眉の活躍ぶりで注目を集める実力派チェリスト。H.シフ、S.イッサーリスらに教えを受けた後、ロストロポーヴィチからも個人的に師事。1992年、15歳で「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」に優勝したことで一躍注目され、プレヴィン、亡きクライツベルク、ハイティンク、マリナー、アシュケナージといった数々の巨匠らと共演を果たしてきた。バッハからブリテン、ショスタコーヴィチまで颯爽と弾きこなし、早くもソリストとして世界的活躍を見せているミュラー=ショット。2013年2月には4年ぶりとなる来日リサイタルを控えており、今後も目が離せない注目必至のアーティスト。
プッチーニ:歌劇「修道女アンジェリカ」(*) /交響的前奏曲(#)
 クリスティーネ・オポライス(S;修道女アンジェリカ) リオバ・ブラウン(Ms;伯母の公爵夫人)
 モイツァ・エルトマン(S;修道女ジェノヴィエッファ) ナデージダ・セルデューク(Ms;修道長)
 ベアーテ・ボルヒェルト(Ms;修練長) ベアーテ・ケップ(Ms;女子修道院長)
 カローラ・グンター(S;修道女ドルチーナ) クラウディア・ニュッセ(Ms;医務係修道女)
 イ・ドンヒ(S;托鉢修道女) クリスティアーネ・ロスト(S;修道女オスミーナ)
 ベニタ・ボルボヌス(S;修道院で働く女) ザビーネ・カルハマー(S;修練女)〔以上、(*)〕
 アンドリス・ネルソンス指揮ケルンWDRso. & cho. (*)、ボン劇場少年cho.(*)
 録音:2011年5月12日-17日(*)、2011年10月12日-15日(#)。製作:西ドイツ放送局、ケルン。「修道女アンジェリカ」の新録音。指揮は若手注目株の筆頭と言っても良いアンドリス・ネルソンス。1978年、ラトヴィアのリガの生まれ。まだ30代前半だが、2008年から名門バーミンガム市so.の音楽監督を務め、2010年にバイロイト音楽祭で話題騒然の「ローエングリン」の指揮に大抜擢、ここ数年で著しく人気が急上昇している。このプッチーニも才気が漲った演奏。タイトルロールは、やはりラトヴィア出身で近年ドイツで非常に人気の高いソプラノ、オポライス。公爵夫人はワーグナーのメゾ・ソプラノ役でおなじみのブラウン。修道長はマリインスキー劇場で活躍するメッゾ、セルデューク。修道女ジェノヴィエッファを今話題のエルトマンが歌っているのも注目。余白に、やはりネルソンス指揮でプッチーニの交響的前奏曲を収録。プッチーニがミラノ音楽院に在学していた頃の習作で、素材が後に「エドガー」で用いられたことでも知られているが、録音はあまり多くなく、久しぶりの新録音。
バイバ・スクリデ
 ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ調
 オネゲル:パシフィック231/ラグビー
 フランク・マルタン:ヴァイオリン協奏曲
 ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ
バイバ・スクリデ(Vn)
ティエリー・フィッシャー指揮
BBCウェールズ・ナショナルo.
 録音:2011年6月、BBCホッディノット・ホール。ラトヴィア出身のヴァイオリンのスター、バイバ・スクリデ待望の協奏曲。今回はストラヴィンスキーとマルタンという20世紀の難曲に挑戦している。ヴァイオリンのおどけて飄々とした性格を強調したストラヴィンスキー作品でも、彼女ならではの潤いのある温かな音色が光る。奇矯な部分でも、鮮やかな技巧で聴く者をうならせる魔力を見せてくれる。マルタン作品は対照的にデリケートで、不思議系の映画かドラマの音楽のような世界がとりとめなく続く。この音世界はちょっと類のない魅力で、波調の合う人ははまること請け合い。知らないともったいない。スクリデの独奏も完全にその世界に溶け込み、夢に現れる謎の美女のような非現実的美しさに満ち、頭から離れなくなってしまう。
 名古屋フィルの常任指揮者として日本でもおなじみのティエリー・フィッシャー。母国スイスのマルタンとオネゲルはさすがの共感度。オネゲルの「パシフィック231」と「ラグビー」はスクリデの独奏が入らない純管弦楽曲だが、フィッシャーの推進力が魅力。ことに「ラグビー」はあまり録音に恵まれていないので大歓迎。曲の面白さを再認識させる。
ショスタコーヴィチ
 交響曲第7番 ハ長調 Op.60「レニングラード」
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
C852121SACD
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[C 852 121 A]
(HYBRID_SACD)
 録音:2011年11月10日、12日、シンフォニー・ホール、バーミンガム、ライヴ。 SACD盤は、国内代理店によると日本限定発売だとのこと。#本体記載の品番は、CDとSACD共に同一の "C 852 121 A" が付されています。FAX等で御注文の場合はどちらの盤であるかを明記して下さい。
 いま、コンサートとオペラ双方で、その活躍がおおいに注目を集めるラトヴィア生まれの指揮者アンドリス・ネルソンス。ペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシンの流れを汲むアレクサンドル・ティトフに、また、同郷のマリス・ヤンソンスに師事したネルソンスは、ロシア音楽、なかでもショスタコーヴィチの作品を得意とすることで知られている。2010年の BPO デビューの際には第8交響曲を取り上げて大成功を収め、ネルソンスは以降、毎年BPOに客演を重ねるチャンスを掴み、翌2011年9月のルツェルン音楽祭でも、コンセルトヘボウ管を指揮して第8交響曲を演奏、そのライヴ映像作品(C-MAJOR, ブルーレイ&DVD; 71-0004、70-9908)は高い評価を得ていた。このたび登場する交響曲第7番は、コンセルトヘボウ管とのライヴから2ヶ月後。ネルソンスのショスタコーヴィチへの適性は第7番でもたしかなものがあり、渾身の熱演で応えるバーミンガム市響とは、2008年の音楽監督就任以来、たいへん関係も良好で、さきごろ2014/15年のシーズンまでの任期延長が伝えられたばかり。決然としたテンポで開始される第1楽章冒頭「人間の主題」、つづく中盤以降の突撃ぶりもまた凄まじい限り。決然と進むべきところは思いきりの良さが光るいっぽうで、深深とした抒情でいっぱいに満たされたアダージョは息を呑む美しさでじっくりと描き上げている。フィナーレは超弩級の輝きに溢れ、コーダではスケールも雄大に高らかに勝利を歌い上げ、終演後は拍手と快哉の嵐に包まれる。
Dans la Nuit
 フォーレ:夢のあとに / プーランク:愛の小径
 アーン:クロリスに/五月/華やかな宴/泉/恋する乙女/夜に/いみじき時
 マスネ:タイスの瞑想曲 / サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ
 ベルリオーズ:バラの精/知られざる島 / ボルヌ:カルメンによる華麗な幻想曲
  ニコラ・ユルゲンセン(Cl) マティアス・キルシュネライト(P)
 録音:2008年12月、レオンハルト=グレーザー・ザール、ジーゲン。ザビーネ・マイヤーの愛弟子にして、2001年以来ケルン放送so.の首席クラリネット奏者を務めるニコラ・ユルゲンセン。鮮やかな技巧と色気ある音色を聴かせてくれるうえ、女優のような美しすぎる容姿を持つ、まさに天からニ物を与えられた逸材。曲目はニコラならではのオシャレなフランス作品。憂愁の叙情をじっくり歌うフォーレの「夢のあとに」、まるでシャンソンのような甘美さのプーランク、メロディの美しさと匂い立つような色気に満ちたアーン、ヴァイオリンの難技巧をクラリネットで完璧に再現したサン=サーンスまで陶酔のひとときを味わえる。ニコラのクラリネットは、甘くまろやか。指の正確さはもとより、タンギングも絶妙で大歌手なみの表情豊かな歌い回しに驚かされる。日本でも人気上昇間違いなしのクラリネットの女神降臨。
バイバ・スクリデ〜シューマン
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 WoO.23 /
 ヴァイオリンのための幻想曲 ハ長調 Op.131 (#) /
 チェロ協奏曲 イ短調 Op.129(ヴァイオリン編曲版)
バイバ・スクリデ(Vn)
ヨン・ストゥルゴールズ指揮
デンマーク国立so.
 録音:2011年8月16日-18日(#以外)、2012年11月16日(#) 、DR コンサート・ホール、コペンハーゲン。使用楽器:ストラディヴァリウス、「エクス・バロン・フォン・ファイリッチュ」(1734)〔以前、ギドン・クレーメルが所有〕。ラトヴィア出身のヴァイオリニスト、バイバ・スクリデ、ブラームス(ORFEO-829112)、ストラヴィンスキー(ORFEO-849121) に続く ORFEO レーベル第3弾。ドイツ・ロマン派の傑作をスクリデの濃厚な表現と冴えわたるテクニックで聴かせる。バックはヘルシンキ・フィルの首席指揮者であり、スウェーデン放送so.のコンサートマスターであったヨン・ストゥルゴールズ。今回の協奏曲は、シューマン。シューマン最後の協奏曲「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」は、19世紀最大のヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの依頼で作曲されたが、ヨアヒムはこれを演奏せず、妻クララも封印してしまい、1937年に初演されるまで忘れられていたという複雑な経緯を辿った曲で、力強い構築美とシューマン独特のロマンティシズムと幻想に溢れた二面性を持った作品。そして一方ヨアヒムによって初演された「幻想曲」。シューマン自身が、チェロ協奏曲から編曲した「ヴァイオリン協奏曲 イ短調」の3作品が収録されている。
ミュラー=ショット〜ドヴォルジャーク
 4つのロマンティックな小品 Op.75 (*) /チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104 /森の静けさ Op.68 No.5 /
 ロンド ト短調 Op.94 /スラヴ舞曲第8番 ト短調 Op.46 No.8 (*) /わが母の教え給いし歌 Op.55 No.4 (*)

  ダニエル・ミュラー=ショット(Vc) ミヒャエル・ザンデルリング指揮
  北ドイツ放送so. ロベルト・クーレック(P;*)
 収録:2011年6月27日-7月1日、ロルフ・リーバーマン・スタジオ、NDR ハンブルク。使用チェロ:マッテオ・ゴッフリラー、1727年製。『わたしにとって、独奏チェロとオーケストラのための作品と同時に、室内楽曲をレコ−ディングすることはとくに重要で、どうやって声部間の絶妙なバランスによる室内楽の語法を、ドヴォルジャークがオーケストラの形式に移すことが出来たのかをたどるのは魅力的です』(ダニエル・ミュラー=ショット) 度重なる来日で着実にファンを獲得し、ドイツ屈指の実力派チェリストとしての呼び声も高いミュラー=ショットが、ついに不滅の傑作ドヴォルジャークの協奏曲を録音。2014年1月のBPOの定期公演でも、モルクの代役を急遽務めたミュラー=ショットは、ギルバート指揮でみごとに同曲を弾き切り、大成功を収めたことが伝えられている。本演奏でも、美しく伸びやかな音色にいっそうの磨きがかかり、研ぎ澄まされた技術としなやかな音楽運びで、ほかに例を見ないこの傑作にたっぷりと浸らせてくれる。さらに、ここではザンデルリングの指揮ぶりが的確で、指揮者転向以前にはすぐれたチェリストとして活動していた実績と、この作品に対する造詣の深さを感じさせる内容となっている。このアルバムには「チェロ協奏曲」「森の静けさ」「ロンド」とオーケストラ伴奏の楽曲のほかに、ピアノに名手クーレックを迎えて、ドヴォルジャークによる室内楽曲が併せて収められている。しかも、親しみやすいメロディにピアノとの親密な対話で、ドヴォルジャークの室内楽のエッセンスの詰まった「ロマンティックな小品」から開始され、あたたかくも切ない「わが母の教え給いし歌」でしんみりと閉じられるあたりに、アルバム構成にもミュラー=ショット独自のこだわりがうかがえる。
R.シュトラウス
 4つの最後の歌/「アラベラ」〜第3幕幕切れの二重唱「ほんとに良かったわ、マンドリカ」/
 「カプリッチョ」〜明日の昼11時に/「薔薇の騎士」〜マリー・テレーズ!

  アンネ・シュヴァーネヴィルムス(S) レギーナ・リヒター(Ms)
  ユッタ・ベーネルト(S) マルクス・シュテンツ指揮ケルン・ギュルツェニヒo.
 録音:2011年2月2日-4日、ケルン。今やドイツを代表するシュトラウス・ソプラノであるアンネ・シュヴァーネヴィルムスが、ついにR.シュトラウス・アルバムを発売。現在の彼女の公式サイトでは、レパートリーとして、ワーグナーはエルザとエリーザベト、モーツァルトでも「フィガロの結婚」の伯爵夫人と「イドメネオ」のエレットラしかないのに、R.シュトラウスだと、アラベラ、アリアドネ、クリソテミス、「影のない女」の皇后、ダナエ、そして日本でも歌った元帥夫人と、6役もある。それだけ彼女はシュトラウスで高く評価され、自信を持っているということ。2012年で45歳、まさに絶頂期のシュヴァーネヴィルムス、このCDも素晴らしい出来上がり。透明感がありながら柔らかさと潤いのある声は非常に美しく、しかも気品ある憂いが浮かぶシュヴァーネヴィルムスの歌は、シュトラウスの豊潤かつ繊細な音楽との愛称は抜群、比類ない美しさを醸する。どれも素晴らしい中、注目は、17分近くにおよぶ「カプリッチョ」の伯爵夫人のモノノーグ。シュトラウス風に濃密に歌われがちな悩める伯爵夫人の思いを、シュヴァーネヴィルムスはずっと細やかに知的に歌い描くことで、このシュトラウスの擬古典主義的オペラが、もはや後期ロマン派を抜け出た近代オペラであったことを示している。
 マルクス・シュテンツの指揮もたいへんに素晴らしい物。彼は2002年からケルンのギュルツェニヒo.の首席指揮者、及び同オーケストラがピットに入るケルン歌劇場の音楽総監督を務めている。両者の息の合ったコンビが、明晰で響きの美しい新時代のR.シュトラウスを聞かせてくれる。CD発売がすっかり乏しくなってしまったR.シュトラウスのオペラ、新録音に飢えているなら、ぜひこれを!
Piano Duetts
 メンデルスゾーン:華麗なアレグロOp.92(連弾) / ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b(2台)
 モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 / シューベルト:アレグロ「人生の嵐」D947(連弾)
 ファリャ:スペイン舞曲第1番〜「はかなき人生」より(連弾)
 ラヴェル:ラ・ヴァルス(2台) / ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲(2台)

  クリスティナ&ミシェル・ノートン(Pデュオ)
 録音:2012年1月、ブレーメン・ゼンデザール。2008年にデビューしたアメリカの美人双子ピアノ・デュオ、クリスティナ&ミシェル・ノートン。ともに生地フィラデルフィアのカーチス音楽院にてゲイリー・グラフマン、クロード・フランク。セイモア・リプキンに師事。デビューCDとなる当アルバムに収められた作品は連弾、2台ピアノの代表作ばかり。いずれも難曲揃いで性格も全く異なるが、見事に弾き分けている。急速で細かい動きの多いメンデルスゾーン、分厚く迫力に満ちたブラームス、寂寥感に満ちたシューベルト、華麗なラヴェル、現代的運動性に満ちたルトスワフスキすべてに共通するのは、軽やかで衒いのない若々しさ。爽やかすぎる美人デュオにご注目頂きたい。
チャイコフスキー
 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32/
 交響曲第4番 ヘ短調 Op.36
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
 録音:2011年6月1日-4日、バーミンガム、シンフォニー・ホール、ライヴ)。アンドリス・ネルソンスは、2010年秋、BPOへのデビューを果たしたのに続いて、2011年9月にもBPOに再登場して注目を集めるいっぽう、オペラでもMET やロイヤル・コヴェント・ガーデンなどにおける華々しい成功のニュースでも知られる、いま話題沸騰の若きマエストロ。手兵バーミンガム市響を指揮した最新アルバムは、ネルソンスの得意とするチャイコフスキー。交響曲第4番と幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」は、ともに2011年6月に本拠バーミンガムのシンフォニー・ホールにおいて行われた定期公演の模様をライヴ収録した物。
 「チャイコフスキーの音楽とはすべて人生における感情的な瞬間から出来ている」との持論を熱っぽく展開するネルソンスは、その言葉どおりにバーミンガム市響を指揮した第5交響曲(ORFEO-780091)、「悲愴」(ORFEO-832101)でもたいへん情熱的で、心を揺さぶるスケールのゆたかな音楽づくりには印象深いものがあった。このたびのアルバムでも、思いきりのよいアプローチとあふれ出る歌心が際立って印象的な仕上がりとなっており、加えて、メインの第4交響曲ではフィナーレのエネルギーの爆発的な開放など、実演ならではのホットな内容が期待以上の手ごたえで驚かされる。しかも、ライヴながら録音がきわめてすぐれているのもうれしいところで、各楽器、みごとなアンサンブルも精妙に聞き取ることが可能。首席指揮者就任3年目を迎えたバーミンガム市響との変わらぬ好調な関係も窺える。なお、第4交響曲のみ終演後に拍手が入る。
 アンドリス・ネルソンスは、1978年ラトヴィアのリガに生まれる。母はラトヴィアで初めての古楽アンサンブルを結成し、父は合唱指揮者、チェリスト、教師。少年時代はトランペット奏者とバス=バリトン歌手として研鑽を積む。サンクトペテルブルクでアレクサンドル・ティトフに指揮を師事、また、ネーメ・ヤルヴィ、ヨルマ・パヌラのマスタークラスを受講。トランペット奏者としてオスロ・フィルに急遽出演した折に、同郷の指揮者マリス・ヤンソンスの目に留まり、2002年以来指揮を学ぶ。2007年10月、サイモン・ラトルの25歳に次ぐ29歳の若さでバーミンガム市響の首席指揮者と第12代音楽監督に指名され、2008年9月より3年の任期で就任、現在に至る。並行してコンサート、オペラハウスともに活躍の場を拡げており、ロイヤルコンセルトヘボウ管、チューリヒ・トーンハレ管、バイエルン放送so.、シュターツカペレ・ベルリン、フランス国立管、ピッツバーグ響に登場しているほか、ウィーン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン王立歌劇場、メトロポリタン・オペラ、バイロイト・オペラにも客演を果たしている。
リフシッツ18年ぶりの再録音
 J.S.バッハ
:ゴルトベルク変奏曲 BWV988
コンスタンチン・リフシッツ(P)
 録音:2012年11月27日、ヴュルツブルク高等音楽学校大ホール、ベルリン。1994年6月、当時18歳だったコンスタンチン・リフシッツがグネシン音楽学校の卒業記念で弾き大騒ぎとなった「ゴルトベルク変奏曲」。その数日後に録音された Denon 盤は世界中の評判となり、グラミー賞にもノミネートされた。以後、リフシッツの代名詞となっていたが、約20年を経てついに再録音が登場。演奏時間は旧盤より2分ほど長く(収録時間:80分43秒)なっているが、基本的な解釈は変わっていない。しかし20年来の練り込みと積んできた人生経験が反映され、音楽的な深みと説得力は驚くべき高さとなっている。ピアノ演奏による「ゴルトベルク」は、グールドを筆頭に名演も多いが、リフシッツはその偉大な先人を辿りつつ、不眠症に悩んでいた駐ドレスデンのロシア大使カイザーリング伯爵のためにバッハが奏した縁にまで立ち返っている。ロシアとの関係を暗示させるその孤高さ崇高さは、アンドレイ・タルコフスキーの映画を観終えた後のような深い感銘を与えてくれる。とにかく30代でここまで深い世界を描くリフシッツ、ただ者ではない。21世紀の「ゴルトベルク」像誕生。
ベチャワ〜ヴェルディ・アリア集
 リゴレット〜さらわれてしまった/シチリアの夕べの祈り〜これがギイ・ド・モンフォール/
 トロヴァトーレ より〔やっと私たちだけになった/私はあなたの子どもではないのか/ああ美しい人〕/
 第一回十字軍のロンバルディア人〜私の喜びを/アイーダ〜もしその将軍なら・・・清きアイーダ/
 椿姫〜あのひとから離れていて/マクベス〜おおわが子よ/レクイエム〜かくは罪ゆえに/
 仮面舞踏会〜永久に君を失えば/ドン・カルロ〜あの方だ、まさにあの方

  ピョートル・ベチャワ(T) エヴァ・ポドレシ(A) マリウシュ・クフィエチェン(Br)
  ウカシュ・ボロヴィチ指揮ポーランド放送so.
 録音:2011年8月-10月、2012年9月-10月、ポーランド放送ヴィトルド・ルトスワフスキ・コンサート・ホール。ヴェルディ生誕200年記念アルバム。今やメトの大看板なだけでなく、世界中でひっぱりだこのベチャワ、待望のソロ・アルバム第2弾。ワルな女たらしぶりが光る「リゴレット」のマントヴァ侯爵に始まり、「イル・トロヴァトーレ」マンリーコの迫真の演技、若さあふれる「アイーダ」のラダメス、「椿姫」のアルフレードのお坊ちゃんぶりなど、彼の多彩な魅力をすべて味わえる。彼の魅力は透明で甘い独特の声質がこのアルバムにあますところなく収められている。同郷の共演陣も豪華。「イル・トロヴァトーレ」第2幕の「私はあなたの子どもではないのか」ではベテラン・コントラルトのポドレシが凄みのある低音のコントラストでベチャワの光り輝く声を際立たせている。さらに「ドン・カルロ」の二重唱「あの方だ、まさにあの方」では人気急上昇のバリトン、クフィエチェンとの共演。ハイCも決まり、オペラの醍醐味を満喫出来る。世界が認めた新時代のヴェルディ・テノール、まさに脂の乗りきった最高のアリア集、必聴。
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 Op.119
ブリテン:チェロ・ソナタ ハ長調 Op.65
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40
ダニエル・
 ミュラー=ショット(Vc)
フランチェスコ・
 ピエモンテージ(P)
 録音:2012年7月2日-5日、バイエルン放送スタジオ2、ミュンヘン。ダニエル・ミュラー=ショットによる20世紀のチェロ・ソナタ3篇。作曲者はすべて歴史上の人ながら、ショスタコーヴィチが1934年、プロコフィエフが1949年、ブリテンが1961年と、日本風に言うなら「昭和のチェロ・ソナタ集」。また、ロストロポーヴィチがショスタコーヴィチとブリテンは作曲者自身、プロコフィエフはリヒテルのピアノと共演した決定的名盤を残しているものだけに、ミュラー=ショットの自信がうかがえる。いきなり腹の底にずしりとしみわたるチェロの最低域で始まるプロコフィエフのソナタから、ミュラー=ショットの音程の正確さと安定した弾きぶりに惹きつけられる。また初期ショスタコーヴィチの尖った皮肉も冷静に受け入れるところに、ミュラー=ショットの誠実な人柄が表れていて新鮮。どこか非現実的なブリテンも一音一音丁寧に紡いで説得力満点。弱音を持続するテクニックに瞠目させられる。さらに特筆すべきはピエモンテージのピアノ。切れ味抜群のテクニックで、ショスタコーヴィチのフィナーレなどぐいぐいミュラー=ショットを引っ張る。いずれの作品もピアノ・パートがいかに雄弁に書かれていたか実感させる。
スクリデ + ペトレンコ〜シマノフスキ
 ヴァイオリン協奏曲第1番 Op.35 (*) /
 ヴァイオリン協奏曲第2番 Op.61 (*) /
 神話 Op.30(全3曲)(#)
バイバ・スクリデ(Vn)
ワシーリー・ペトレンコ指揮(*)
オスロpo.(*)
ラウマ・スクリデ(P;#)
 録音:2013年2月14日-15日、オスロ・コンサート・ホール(*) /2013年6月16日、イエス・キリスト教会(#)。注目のバイバ・スクリデ Orfeo レーベル第4弾はシマノフスキ、それもペトレンコとの初共演。両者は2013年9月に BBC プロムスで披露して以来、各国で弾いて評判となっている曲目。シマノフスキはポーランド近代の大作曲家ながら、育ちの点からロシア音楽の影響を、血筋の関係から北欧的な感性も兼ね備えているため、ラトヴィア人のスクリデとロシア人のペトレンコにうってつけの作品。シマノフスキは2篇のヴァイオリン協奏曲を残しているが、第1番はシマノフスキが作風を確立させた中期を代表する作品。大編成のオーケストラによる精緻を極めた作曲技法によるが、交響曲第3番「夜の歌」やピアノ・ソナタ第3番と同傾向な極彩色の妄想の世界にひたることが出来る。一方第2番はシマノフスキ最後の大作。ポーランドの民俗音楽の要素を採り入れた作風で、両曲の味わいはかなり異なる。スクリデの演奏は冴えに冴え、これまでリリースした協奏曲アルバム中ベストといえる凄さ。第1番では高音域が多用される独奏部を非現実的な美しさで再現。超絶的なカデンツァはとりわけ圧巻。曖昧さのない正確な技巧に感嘆させられる。第2番では躍動感あふれるエネルギー全開で、リズムのノリの良さも最高。ペトレンコはほとんど交響曲のような充実ぶり。細部まで計算されたスコアを絶妙なバランスで響かせ、延々と続く官能の世界を持続させる。難解なイメージのあるシマノフスキの音楽だが、めくるめく色彩とハープやチェレスタのキラキラした音響に聴き惚れさせられる。オスロ・フィルのひんやりとした音色もシマノフスキの音楽にピッタリ。カップリングはヴァイオリンとピアノのための「神話」。妹のラウマがピアノ・パートを受け持っているのも魅力。女性たちならではの感性で、シマノフスキの描く愛の世界を再現している。
ORFEOD-874131
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(DVD)
価格帯:D
ドキュメンタリー「燃える天才、アンドリス・ネルソンス」
 ・ボーナス:手兵バーミンガム市響と訪れた故郷リガにて(監督:アストリド・ブシャー)
 制作:2003年(Filmfritz)。 NTSC|16:9|DD 2.0|53分|言語:独|字幕:英。今、最も注目を集めている若手指揮者の一人、ネルソンスのドキュメンタリー映像。2008年から音楽監督を務めているバーミンガム市so.との良好な関係、楽団員たちからのメッセージには厚い信頼が寄せられているのが伝わる。そして時にはユーモアを交え、汗だくになって挑む真剣勝負のリハーサル風景、緊張感漂うコンサート直前の姿、バーミンガム市響の育ての親であるラトル、ピアニストとして共演したバレンボイムら現代の巨匠たちからの賞賛のコメントが寄せられている。また、生まれ故郷リガでの想い出を音楽家でもある母と継父が幼少時代の写真を交えて語り、ネルソンス本人も母校リガ音楽院やトランペット奏者として活躍していた当時を思い返している。バーミンガム市響をはじめ、WDRso.やウィーン国立歌劇場での公演風景、2011年のバイロイトで共演し大注目を浴びた、クラウス・フローリアン・フォークトとの「ローエングリン」のレッスン風景、愛犬や妻で同じくラトヴィア出身のソプラノ歌手クリスティーネ・オポライスと自宅で過ごす様子や2012年2月に生まれた愛娘の写真を嬉しそうに見る姿、無邪気に雪遊びをするプライベート・ショット、オーケストラのリハーサルに子供たちを招待し子供たちから質問を受ける姿など世界が注目する若き天才指揮者の多忙を極める日常と素顔に迫る興味深い内容。ボーナス映像には、故郷リガを手兵バーミンガム市響と訪れた際の映像が収められている。この映像はドイツの映像制作会社「Filmfritz」により制作された。
ネルソンス&バーミンガム市響〜R.シュトラウス:交響曲集
 〔ツァラトゥストラはかく語りき Op.30 [2012年1月10日、12日、14日]/
  ドン・ファン Op.20 [2011年9月27日-29日]/
  ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら Op.28 [2013年1月22日-24日] 〕
 アンドリス・ネルソンス指揮バーミンガム市so.
 録音:[内]、すべて シンフォニー・ホール、バーミンガム、ライヴ。プロデューサー:ティム・オールダム/エンジニア:フィル・ローランズ。『作曲家生誕150周年のアニヴァーサリーに向けて、アンドリス・ネルソンスがバーミンガム市響と取り組んできたシュトラウス・シリーズの最新作。チャイコフスキーやショスタコーヴィチのスケール大きく情熱的な演奏でおおきな話題を集めているヤンソンス〔注:代理店記載ママ〕ですが、シュトラウスもまた力を入れている作曲家のひとり。なるほど、ネルソンスがバーミンガム市響を指揮した前2作のアルバム、2009年収録の「英雄の生涯」「《ばらの騎士》組曲と、2010年収録の「アルプス交響曲」「《サロメ》の踊り」は、起伏に富むドラマティックな音楽づくりで強烈なインパクトを与えていました。また、2010年秋以降、ネルソンスが客演を重ねているベルリン・フィルでも、2011年に「《ばらの騎士》組曲」、2012年には「英雄の生涯」を指揮していましたし、ルツェルン音楽祭2011でも、同じく常連となったコンセルトヘボウ管を指揮して「《サロメ》の踊り」を演奏していたほか、さらに、2014/15年のシーズンより音楽監督に就任するボストン響とはこの5月に、演奏会形式による「サロメ」の全曲上演も予定されています。ここでシュトラウス特有の凝ったオーケストレーションで人気の交響詩3曲は、いずれも柔軟でを追うごとに深化を続けてきたお互いの関係が、ひとつの理想的な形を迎えたことをうかがわせる内容となっています。すべての収録曲は、2日間のライヴと予備日1日のパッチ・セッションというスケジュールでおこなわれたもので、このたびも目の覚めるような優秀録音が何よりうれしいところです。なお、終演後の拍手は入りません。』(以上『内』、代理店記載ママ)
ティーレマン&ベルリン・ドイツ・オペラ管 2004 ライヴ〜ワーグナー:管弦楽曲集
 「リエンツィ」序曲/「ローエングリン」〜第1幕への前奏曲/「タンホイザー」序曲/
 「神々の黄昏」より〔ジークフリートのラインへの旅/ジークフリートの葬送行進曲/
 「パルジファル」〜聖金曜日の不思議/「トリスタンとイゾルデ」より〔第1幕への前奏曲/イゾルデの愛の死〕/
 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜第1幕への前奏曲

 クリスティアン・ティーレマン指揮ベルリン・ドイツ・オペラo.
 録音:2004年11月28日、ウィーン、ムジークフェライン大ホール、ライヴ。収録: ORF。ORFEO のクリスティアーネ・デランク氏によれば、折しもウィーンに車で向かっていた際、当演奏の実況中継を聴いて強く心を動かされ、ほぼ10年に及ぶ交渉の末ワーグナー・アニヴァーサリーに合わせ、ようやくリリースにこぎつけた演奏だとの事。2000年に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を指揮してバイロイト音楽祭へのデビューを果たしたティーレマンは、一貫して同音楽祭との結びつきを強め、2006年から5年連続で「ニーベルングの指環」の指揮を任される快挙を成し遂げたのに並行して、かねて親密な関係にあるウィーン国立歌劇場とは、2003年に「トリスタンとイゾルデ」の新演出上演や、2011年には「ニーベルングの指環」の公演などを成功に導いていることからも知られるように、これからの世代を代表するワーグナー指揮者としての実績を着実に積み上げている。こうした実演での状況を反映して、ティーレマンはワーグナー作品について、すでにかなりの点数のCDアルバムや映像ソフトを発表しているが、このたびORFEOより登場するアルバムは、2004年にティーレマンがベルリン・ドイツ・オペラ管を指揮して、ウィーンのムジークフェラインでおこなったオール・ワーグナー・プログラムのコンサートの模様をライヴ収録した物。ティーレマンにとって、1997年よりこの年まで音楽総監督を務めたベルリン・ドイツ・オペラ管との顔合わせは、まさしく手兵との集大成的な意味合いもあったはずし、じっさい、得意の演目で自信を持って臨んだティーレマンもここでの演奏内容にはたいへん満足していたというから、おおいにその出来栄えには期待が高まるところ。そもそも、1991年にティーレマンがベルリン・ドイツ・オペラにデビューを果たした折のプログラムも「ローエングリン」だったから、よくよくワーグナーとはゆかりがあるのかもしれない。なお、ティーレマンはこれより7年前の1997年4月に、フィラデルフィア管を指揮して「マイスタージンガー第1幕前奏曲」「ローエングリン第1幕前奏曲&第3幕前奏曲」「パルジファル第1幕前奏曲&聖金曜日の不思議」「トリスタンとイゾルデ前奏曲と愛の死」をセッション録音していたほか、2002年にはVPOを指揮して「リエンツィ」序曲をライヴ録音してもいたので、そちらとの聴き比べもまた興味深い作業といえるだろう。
ストヤノヴァ、ヴェルディ・アリア集
 「アイーダ」〜勝って帰れ/「トロヴァトーレ」より〔恋は薔薇色の翼に乗って/静かで穏やかな夜〕/
 「ジョヴァンナ・ダルコ」〜ここでは天が自由に開けていて/「仮面舞踏会」〜死にましょう、けれどその前に/
 「ルイザ・ミラー」〜おお主よ、私を罰して下さい/「椿姫」〜さようなら、過ぎ去った日々よ/
 「ドン・カルロ」〜泣かないで、友よ,世の虚しさを知るあなた/「運命の力」〜平安を/「オテロ」〜アヴェ・マリア

 クラッシミラ・ストヤノヴァ(S) パヴェル・バレフ指揮ミュンヘン放送o.
 録音:2013年7月1日-6日、ミュンヘン。ブルガリア生まれでウィーンを拠点に活躍しているソプラノ、クラッシミラ・ストヤノヴァが得意としているヴェルディのアリア集を発売。ストヤノヴァといえばかのムーティがシカゴso. を指揮した「オテロ」の演奏会形式上演(CD: CSOR-9011301 / SACD: CSOR-9011303)でデズデーモナに抜擢されたことで知られているが、広いレパートリーを誇るストヤノヴァでもヴェルディは重要な物。2007年録音のアリア集(ORFEO-740081)では「シモン・ボッカネグラ」、「ルイザ・ミラー」、「レニャーノの戦い」と渋い選択だったので、今回は彼女の情感豊かなヴェルディをたっぷり楽しめる。パヴェル・バレフは、ブルガリア中央部のチルパン出身の指揮者。2007年からドイツのバーデン=バーデン・フィルハーモニーの首席指揮者を務めている。
チャイコフスキー
 スラヴ行進曲 Op.31 /
 マンフレッド交響曲 Op.58
アンドリス・ネルソンス指揮
バーミンガム市so.
 録音:2013年9月24日-27日、シンフォニー・ホール、バーミンガム、ライヴ。2015年6月のバーミンガム市響との公演をもって、在任期間6年9カ月に亘る音楽監督のポストを勇退するアンドリス・ネルソンスがおおいに得意とするチャイコフスキー。ネルソンスはBPO 、コンセルトヘボウ管などの名門楽団とも良好な関係を築いて、近年急速に評価を上げているが、今日の躍進の足掛かりを築いたバーミンガム市響との顔合わせのときが、やはりもっとものびのびとして思い切りのよい音楽をやるのは誰しもよく知るところ。
 当コンビによる後期3大交響曲の録音がそうであったように、カップリングの「スラヴ行進曲」も併せて、ここでも情熱的でスケールと迫力満点の演奏を聴かせてくれるものと期待される。
ORFEO-896152
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(2CD)
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バイバ・スクリデ
 シベリウス:
  ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47 /
  2つのセレナード Op.69
 ニルセン:ヴァイオリン協奏曲 Op.33
バイバ・スクリデ(Vn)
サントゥ=マティアス・
 ロウヴァリ指揮
タンペレpo.
 録音:2015年1月7日-9日、タンペレ・ホール、フィンランド。ラトヴィア出身のヴァイオリニスト、バイバ・スクリデによるシベリウスとニルセン。2015年は北欧を代表する二人がともに生誕150年を迎えた。スクリデがパートナーに選んだのは次世代の指揮者として注目を集めているサントゥ=マティアス・ロウヴァリ率いるタンペレ・フィル。フィンランドの伝統あるオケを任された2015年30歳を迎えたロウヴァリ。2014年には東京so.と共演し、その独特な指揮姿と生気溢れる音楽で日本の聴衆を驚かせた。スクリデの演奏は卓越したテクニックはもちろんのこと、繊細さと芯の強さ、高音域の透明感といった音色素晴らしさに加え、タンペレ・フィルとロウヴァリの好サポートにより、北欧の厳しい自然が醸す憂愁と豊かな詩情をたたえた美しい音楽を見事に描ききっている。


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