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マイナー・レーベル
2023年3月新譜情報


・国内盤マイナー・レーベル
・輸入盤マイナー・レーベル
・輸入盤 歴史的アイテム
・映像アイテム
・高音質アイテム


輸入盤の新譜は、基本的には御紹介月の翌月〜翌々月中にリリースされますが、 極端に発売日が遅れることや、初回生産が少なく次回プレスにまわされることがあり、入手に時間がかかるものもございます。 また、発売より時間の経ってからご注文の場合、 中には廃盤や入手不能の商品が出ている場合がありますので、その節は何卒御了承下さい。




輸入マイナー・レーベル




GOODIES ”DIRECT TRANSFER”
 CD/CD−R/DSD DISC (DVD−R)
 価格帯記載無し:1枚でのご注文:¥1650(税抜¥1500)
         2枚以上でのご注文:1枚あたり¥1210(税抜¥1100)
  (当シリーズ以外のアイテムは数に含みません/ DSD DISC [DVD-R] も同一価格)/
 価格帯B〔CD〕:1枚あたり¥1650(税抜¥1500)(枚数に関係なく当価格)

 東京の東村山市に本拠を構えるクラシックCDの小売り店、グッディーズさんが企画した盤起こしの復刻シリーズ(編集作業を全く行っていないため、レコード盤の切れ目で曲が途切れます)。78〜 はSP復刻、33〜 はLP復刻で、 CD-R と DSD DISC は品番部分の重複無し〔33CDR-3307 という品番がある場合、78CDR-3307というアイテムは存在しません〕。
 # 復刻マスター・データをそのまま収録している DSD DISC [DVD-R] は高音質ですが、DVD-Rで供給されるためCDプレイヤーでの再生は出来ません。ご注意下さい(DSDファイル再生に対応したオーディオ機器、あるいはパソコン&ソフトウェア等の再生環境が必要です)。
 2015年4月からCDプレス盤がリリース開始(今回はプレス盤新譜無し)。ただし、CD の品番は3000から振り直されており、CDR, DSD 盤とは異なっているため、ご注意の程お願い致します。
 旧譜はこちらから
78CDR-3898
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[CD-R]
自作自演〜プーランク
 オバド(ピアノと18の楽器のための舞踊協奏曲)
フランシス・プーランク(P)
ワルテル・ストララム指揮
コンセール・ストララム
78DSD-3898
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[DVD-R]
 録音:1930年1月20日、22日、シャンゼリゼ劇場、パリ|仏 COLUMBIA, LF 33/35 。 フランシス・プーランク(1899-1963)はスペイン出身のリカルド・ビネス(1875-1943)にピアノを、作曲はシャルル・ケクラン(1867-1950)に学んだ。フランス「6人組」の一人としてエリック・サティ(1866-1925)やモーリス・ラヴェル(1872-1937)から影響をうけ、フランス風エスプリに富んだ作品を残した。プーランクのピアノの師ビネスの演奏は「リカルド・ビネスの芸術」(78CDR-3895)で聞ける。この曲はプーランクが1929年に作曲した舞踏を伴う鍵盤楽器のために作曲した5曲の協奏曲の第2作目にあたる。作曲者自身のピアノで初演された。バレエのあらすじは、森に住む、純潔と貞節の女神ディアーヌ(ギリシャ神話のアルテミス、ローマ神話のディアナ)は自らの定めた神の掟によって恋をすることができず、夜明けのたびに悲しい思いをするという幻想的な筋書き。指揮者のワルテル・ストララム(1876-1933)は1926年にパリのオーケストラの中から名手を募り、コンセール・ストララムを結成した。1928年にラヴェルの「ボレロ」の初演の指揮をした。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3897
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[CD-R]
レナーSQ 〜ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.133「大フーガ」
 レナーSQ [イェノ・レナー(Vn1) ヨーゼフ・スミロヴィッツ(Vn2)
       シャーンドル・ロート(Va) イムレ・ハルトマン(Vc)]
78DSD-3897
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[DVD-R]
 録音:1930年2月19日|英 COLUMBIA, LX 103/4 。レナー弦楽四重奏団は1918年にハンガリーのブダペストで結成された。メンバー全員がブダペスト音楽院出身。リーダーのイェノ・レナー(1894-1948)、第2ヴァイオリンのヨーゼフ・スミロヴィッツとヴィオラのシャーンドル・ロートがイェノ・フバイ(1858-1937)の弟子、チェロのイムレ・ハルトマンがダヴィド・ポッパー(1843-1913)に師事した。4人はブダペスト・オペラの楽員だったが、1918年のハンガリー革命を機に弦楽四重奏団を結成した。2年間、田舎の村にこもって練習を積んだ後、1920年にウィーンでデビューした。そこに居合わせた作曲家のラヴェル(1875-1937)が演奏に感動し、彼らをパリに招いた。公演はセンセーショナルの成功を収めた。1927年のベートーヴェン没後100年を記念して16曲の弦楽四重奏曲中11曲(SPレコード40枚)をイギリス・コロンビアに録音した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3896
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[CD-R]
アンリ・マルトーの芸術
 ビゼー/サラサーテ編曲:カルメン幻想曲[独 HMV, EH 104A / Recoreded 12 December 1927, Berlin ]
 ボッケリーニ/マルトー編曲:メヌエット[独 ELECTROLA, EH 244A / Recorded 6 November 1928, Berlin ]
 ゴダール/マルトー編曲:悲しいアダージョ[独 ELECTROLA, EH 244B / Recorded 5 November 1928, Berlin ]
 ブラームス/ヨアヒム編曲:ハンガリー舞曲第6番 / サラサーテ:ハバネラ
  [独 ELECTROLA, EH 248A/B / Recorded 6 November 1928, Berlin ]
 J.S.バッハ/ヴィルヘルミ編曲:G線上のアリア / シューベルト/マルトー編曲:セレナード
  [独 HMV, EH 397A/B / Recorded June 1930, Berlin ]
 ビゼー/サラサーテ編曲:カルメン幻想曲
  [独 HMV, EH 413A/B / Recorded 5 November1928 + June1930, Berlin ]

 アンリ・マルトー(Vn) パンチョ・ウラディゲロフ、クレメンス・シュマルシュティヒ(P)
78DSD-3896
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[DVD-R]
 アンリ・マルトー(1874-1934)はフランスのランス生まれのヴァイオリニスト、作曲家。パリ音楽院でジュール・ガルサン(1830-1896)に師事、1892年に一等賞を得た。その後スイスのジュネーヴ音楽院、ベルリンの高等音楽院で教鞭をとったが、第一次世界大戦中に母国フランスと滞在地のドイツの両国からスパイ容疑がかけられたためスウェーデンに逃れ、1915年に市民権を得た。1999年にアンリ・マルトー国際ヴァイオリン・コンクールが開催された。マルトーのSP盤は製造国がイギリスであっても、発売国がドイツだったため流通量が少なくSPレコード時代から入手が困難だった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3895
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[CD-R]
リカルド・ビネス〔ビニェス〕の芸術 Vol.1
 アルベニス:グラナダ[ Fr. COLUMBIA, LFX 73b (WLX 1416-1) / Recorded 17 June 1930, Paris ]
 マヌエル・ブランカフォルト:メリーゴーランドのオルガン/軽業師のポルカ
  [ Fr. COLUMBIA, LFX 73a (WLX 1146-1) / Recorded 4 November 1929, Paris ]
 ドビュッシー:グラナダの夕べ[ Fr. COLUMBIA, D.15245b (WLX 1150) / Recorded 7 November 1929, Paris ]
 アルベニス:朱色の塔[ Fr. COLUMBIA, D.15245a (WLX 1147) / Recorded 4 November1929, Paris ]
 トゥーリナ:ムルシアの庭園で/ミラマール
  [ Fr. COLUMBIA, LF 12a/b (WL 1888/89) / Recorded 13 November 1929, Paris ]
 アルベニス:オリエンタル/セギディリャ
  [ Fr. COLUMBIA, LF 42a/b (WL 2330-1/2331-1) / Recorded 6 June 1930, Paris ]/
       タンゴ/スペインのセレナーデ
  [ UK HMV, DA 4885a/b (OLA 1208-1□/1209-1□ ) / Recorded 22 July 1936, Paris )

 リカルド・ビネス〔ビニェス〕(P)
78DSD-3895
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[DVD-R]
 リカルド・ビネス(1875-1943)はスペインのピアニスト。その昔フランス語読みでヴィーニェスと呼ばれていた(カデンツァ注: Ricardo Viñes はカタルニャ生まれだが、カタルニャ語では用いない "ñ" 〔 N にティルデを付した文字〕が綴りに含まれる。この文字は硬口蓋鼻音で、カタルニャ語では "ny" に相当するそうなので、スペイン語、カタルニャ語ともにカナ翻字は「ビニェス」が適当と思われる)。1885年にバルセロナ音楽院に入学し、1887年にピアノ賞を受賞、その後パリに移住し、パリ音楽院でシャルル・ウィルフリッド・ド・ベリオにピアノを、作曲と和声をバンジャマン・ゴダールとアルベール・ラヴィニャックに師事した。1895年サル・プレイエルでデビュー。その後、ロシア、ヨーロッパと南米諸国にツアー、1931年から1935年までアルゼンチンに住み、1936年にパリに戻った。レパートリーは古典作品に加えて、フランス、スペイン、ロシアの作曲家のピアノ曲をレコード録音し、SPレコード時代から人気があった。あらえびす著「名曲決定盤」にも登場していた。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3894
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レナーSQ 〜ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135
 レナーSQ [イェノ・レナー(Vn1) ヨーゼフ・スミロヴィッツ(Vn2)
       シャーンドル・ロート(Va) イムレ・ハルトマン(Vc)]
78DSD-3894
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[DVD-R]
 録音:1926年11月29日、ウィグモア・ホール、ロンドン|英 COLUMBIA, L 1918/20 。レナー弦楽四重奏団は1918年にハンガリーのブダペストで結成された。メンバー全員がブダペスト音楽院出身。リーダーのイェネ・レナー(1894-1948)、第2ヴァイオリンのヨーゼフ・スミロヴィッツとヴィオラのシャーンドル・ロートがイェネ・フバイ(1858-1937)の弟子、チェロのイムレ・ハルトマンがダヴィド・ポッパー(1843-1913)に師事した。4人はブダペスト・オペラの楽員だったが、1918年のハンガリー革命を機に弦楽四重奏団を結成した。2年に渡って田舎の村にこもって練習を積んだ後、1920年にウィーンでデビューした。そこに居合わせた作曲家のラヴェル(1875-1937)が演奏に感動し、彼らをパリに招いた。公演はセンセーショナルな成功を収めた。その後1922年にロンドン、1929年にアメリカにデビューした。1927年のベートーヴェン没後100年を記念して16曲の弦楽四重奏曲中11曲(SPレコード40枚)をイギリス・コロンビアに録音した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3893
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[CD-R]
シゲティ〜J.S.バッハ
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV.1052
ヨーゼフ・シゲティ(Vn)
フリッツ・シュティードリー指揮
ニュー・フレンズ・
 オヴ・ミュージックo.
78DSD-3893
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[DVD-R]
 録音:1940年4月24日、リーダークランツ・ホール、ニューヨーク|米 COLUMBIA, 11379/81-D 。J.S.バッハのチェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV.1052の原曲。ヨーゼフ・シゲティ(1892-1973)はハンガリーのブダペスト生まれ。ブダペスト音楽院でイェノ・フバイ(1850-1937)に師事した。1905年、13歳でベルリン・デビュー、大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)に認められた。1917年から24年にスイスのジュネーヴ音楽院で教え、1940年にアメリカに移住した。指揮者のフリッツ・シュティードリー(1883-1968)はウィーン生まれ。ウィーン大学で法学を学んでいた時、グスタフ・マーラー(1860-1911)に楽才を見いだされマーラーの助手としてウィーン宮廷歌劇場より任命された。1933年ヒトラーへの反撥からドイツを去り、1934年から37年までレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者をつとめた。1937年にアメリカに移住し、ニューヨークのニュー・フレンズ・オヴ・ミュージックo. の指揮者になった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3892
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フォン・ヴェチェイ + アゴスティ〜ベートーヴェン
 ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op.12 No.3
フランツ・
 フォン・ヴェチェイ(Vn)
グィード・アゴスティ(P)
78DSD-3892
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[DVD-R]
 録音:1934年11月24日|独 POLYDOR, 62717/19 。ヴァイオリンのフランツ・フォン・ヴェチェイ(1893-1935)はハンガリー出身。8歳の時ブダペストでイェネー・フバイ(1858-1937)に師事し、2年後の10歳の時ベルリンのヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)に入門し神童として輝かしい道を歩んだ。1910年代から20年代にはヨーロッパ屈指のヴァイオリニストとして名を馳せ、一時はベラ・バルトーク(1881-1945)を伴奏者にして演奏旅行をしたこともあった。フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(1865-1957)はヴァイオリン協奏曲をヴェチェイに献呈した。ヴェチェイは作曲も手がけ超絶技巧を要するヴァイオリン曲を数多く書いた。ピアノのグィード・アゴスティ(1901-1989)はイタリアのピアニスト。フェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)の弟子だった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3891
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[CD-R]
ゴドフスキー〜ベートーヴェン
 ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op.81a「告別」
レオポルド・ゴドフスキー(P)
78DSD-3891
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[DVD-R]
 録音:1929年5月31日、ロンドン|英 COLUMBIA, L 2354/55 。レオポルド・ゴドフスキー(1870-1938)はロシア帝国リトアニア、ビリニュス近郊、ソシュリー生まれ。14歳でベルリンのケーニヒグリヒェ音楽院に入ったが、すぐにアメリカに赴き人生の大半をアメリカで過ごした。ピアノは独学とされている。アメリカではニューヨーク音楽大学で教鞭をとり、1891年に市民権を獲得した。その後、フィラデルフィア、シカゴの音楽大学で教え、1909年から1914年までウィーンで教えていた。機械式録音時代からレコード録音をしていた。電気録音時代(1925-)になって英コロンビアに入れ始めたが、1930年6月17日の録音中に脳卒中で倒れ、以降公開演奏から姿を消した。弟子にはギレリスやリヒテルの師ゲンリフ・ネイガウス(1888-1964)やホルヘ・ボレット(1914-1990)等がいる。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3890
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[CD-R]
チェリビダッケ& BPO 〜プロコフィエフ
 交響曲第1番 ニ長調 Op.25「古典」
セルジュ・チェリビダッケ指揮
BPO
78DSD-3890
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[DVD-R]
 録音:1948年2月4, 5日-6日、ベルリン|仏 VSM, SL 141/42 (英 HMV, C 3729/30 と同一録音)。指揮者35歳の初録音レコード。セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)はルーマニア生まれ。ベルリンに学び、その地で第2次世界大戦の終戦を迎えた。当時ベルリン・フィルの常任指揮者だったヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)が大戦中のナチスとの関係をとがめられ謹慎生活をおくっていた。後継の指揮者にレオ・ボルヒャルトが選ばれたが、ボルヒャルトが急死したため、後任者さがしコンクールが開かれ応募したチェリビダッケが審査員全員一致で優勝し、ボルヒャルトの死の8日、後にBPOの野外コンサートで指揮者デビューした。1947年のフルトヴェングラー復帰後もチェリビダッケはベルリン・フィルに留まっていたが、1954年フルトヴェングラーの死後カラヤンがベルリン・フィルの首席指揮者になってから、イタリア、スウェーデンのオーケストラに客演した。この録音はチェリビダッケが35歳の初録音。約4分のSPレコード一面に1日、を費やすこの指揮者の姿がデータから窺えるセルジュ・チェリビダッケはこのシリーズでロンドン・フィルを指揮したモーツァルト:交響曲第25番 K.183 (78CDR-3254)が出ている。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3889
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[CD-R]
ザウアー + ヴァインガルトナー〜
 リスト
:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
エミール・フォン・ザウアー(P)
フェリクス・
 ヴァインガルトナー指揮
パリ音楽院o.
78DSD-3889
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 録音:1938年12月1日、パリ|英 COLUMBIA, LX 789/91 。 ピアノのエミール・フォン・ザウアー(1862-1942)は大作曲家フェレンツ・リスト(1811-1886)の最晩年の弟子の一人。モスクワ音楽院卒業後1884年から85年にヴァイマールでリストの薫陶を得た。その後ウィーン音楽院のピアノ科でマスタークラスを持つ傍ら、1880年代から1930年代まで演奏家としてヨーロッパからアメリカと国際的に活躍した。リストのピアノ協奏曲第2番もSPに録音していた。指揮者のフェリックス・フェリクス・ヴァインガルトナー(1863-1942)はオーストリアの大指揮者。ライプツィヒ音楽院出身。1882年、ヴァイマールでリストに師事、1884年に指揮者デビュー。1887年にグスタフ・マーラーの後任としてウィーン宮廷歌劇場とVPOの音楽監督に就任した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3888
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[CD-R]
マリユス・カザドシュ(1892-1981) /伝・モーツァルト:
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 K.Anh.294a 「アデライデ」
  イェフディ・メニューイン(Vn) ピエール・モントゥー指揮パリso.
78DSD-3888
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[DVD-R]
 録音:1934年5月14日、ステュディオ・アルベール、パリ|英 HMV, DB 2268/70 。 この曲は作曲者モーツァルトによるヴァイオリン独奏部と低音楽譜の自筆譜があるとされ、1933年に新発見のモーツァルトの作品としてマリユス・カザドシュ(1892-1981)によって出版された。ルイ15世の王女アデライドに捧げられた曲ということからこの名があるが、後にカザドシュの偽作であることが判明した。SPレコード時代に評判だった作品で、再発売の要望が高かった。ユーディ・メニューイン(1916-1999)はアメリカ生まれのユダヤ系ヴァイオリン奏者。パリでジョルジュ・エネスコ(1881-1955)に、ベルリンでアドルフ・ブッシュ(1891-1952)に師事した。ピエール・モントゥー(1875-1964)はフランスの大指揮者。ここで指揮をしているパリso. の初代指揮者(1929-1935)だった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3887
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[CD-R]
南国のばら〜ブルーノ・ワルター、ヨハン・シュトラウス II : SP 録音集
  南国のばら Op.388 (*) /ウィーン気質 Op.354 /喜歌劇「こうもり」序曲/喜歌劇「ジプシー男爵」序曲(+)

 ブルーノ・ワルター指揮 BPO (*)、ベルリン国立歌劇場o.(無印)、交響楽団(+)
78DSD-3887
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[DVD-R]
 録音:1930年2月14日(*) /1929年1月10日-11日(無印) /1929年5月18日、ロンドン(+) 。ブルーノ・ワルター(1876-1962)はベルリンのシュテルン音楽院を卒業後ピアニストとしてデビュー、後に指揮者に転向した。1894年ハンブルク歌劇場の指揮だった時、そこの音楽監督だったグスタフ・マーラー(1860-1911)と出会い親交を深めた。ここに収録したヨハン・シュトラス2世の作品集は、若き日のワルターが指揮者を務めた各地のオーケストラで録音した物。SPレコードがマイクロフォンを使用した電気録音(1925-)初期の物。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3886
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[CD-R]
ブダペストSQ 〜モーツァルト:弦楽四重奏曲第23番 ヘ長調 K.590
 ブダペストSQ [ヨーゼフ・ロイスマン(Vn1) アレクサンダー・シュイナイダー(Vn2)
         イシュトヴァーン・イポリー(Va) ミッシャ・シュナイダー(Vc)]
78DSD-3886
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[DVD-R]
 録音:1935年4月29日-30日、アビー・ロード EMI 第3スタジオ、ロンドン|米 VICTOR, 16916/8 (英 HMV, DB 2514/6 と同一録音)。ブダペスト弦楽四重奏団は1917年にブダペスト歌劇場o. のメンバー4人によって結成され1967年に解散した。1932年に初代のリーダーだったエミール・ハウザー(在籍1917-32)からヨーゼフ・ロイスマン(1900-1974)になり、アメリカをベースに活動し20世紀中期最高の弦楽四重奏団として君臨した。アレクサンダー・シュナイダー(在籍1933-45、1955-67)は第2ヴァイオリン奏者で一時期ソリストと自らの四重奏団を結成し活動していた。ヴィオラのイシュトヴァン・イポリー(在籍1917-36)はボリス・クロイト(在籍1936-67)に代わった。チェロのオリジナル・メンバーであるハリー・ソン(在籍1917-30)はミッシャ・シュナイダー(在籍1936-67)に代わった。ヴィオラのイポリーがオリジナル・メンバーのハンガリー人、他はロシア人。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3885
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[CD-R]
ランドフスカ + ビゴ〜J.S.バッハ
 チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV.1052
ヴァンダ・ランドフスカ(Cemb)
ウジェーヌ・ビゴ指揮管弦楽団
78DSD-3885
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[DVD-R]
 録音:1938年12月1日、スチュディオ・アルベール、、パリ|仏 LA VOIX DE SON MAITRE, DB 11229/31 。ヴァンダ・ランドフスカ(1879-1959)はポーランドのワルソー生まれ。20世紀最高のチェンバロ&ピアノ奏者。彼女は演奏家、音楽学者、教授で1900年から13年間パリのスコラ・カントルムで教鞭をとった。二列の鍵盤と七個のペダルを有する自分のチェンバロをパリのプレイエル社に特注し、生涯この楽器を使用した。1940年フランス国籍を得たが、1941年ドイツ軍のフランス侵攻によりアメリカにのがれた。パリに残したチェンバロは後にアメリカ軍によって彼女の手元に届けられた。指揮者のウジェーヌ・ビゴ(1886-1985)はパリ音楽院出身。シャンゼリゼ劇場の指揮者を経て1923年パリ音楽院o.、1928年にフランス国立放送o.、1935年にラムルーo.、オペラ・コミックの指揮者を歴任。パリ音楽院の指揮科教授もつとめた。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3884
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[CD-R]
ブッシュ=ゼルキン初期電気録音集
 J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ト長調 BWV.1021
 ヴィヴァルディ/ブッシュ編曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 Op.2 No.1
 ジェミニアーニ/ブッシュ編曲:シチリアーノ
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op.12 No.3
  アドルフ・ブッシュ(Vn) ルドルフ・ゼルキン(P)
78DSD-3884
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[DVD-R]
 アドルフ・ブッシュ(1891-1952)はドイツの名ヴァイオリン奏者。1922年からピアノのルドルフ・ゼルキン(1903-1991)とデュオを組んで活躍した。1936年ゼルキンはブッシュの娘イレーネと結婚したが、ゼルキンはナチスのユダヤ人迫害を避けてアメリカに移住した。その後ブッシュもアメリカに渡り1939年に定住した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3883
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ブレックSQ 〜モーツァルト
 弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421
ブレックSQ
[ハリー・ブレック(Vn1)
 エドワード・シルヴァーマン(Vn2)
 ダグラス・トンプソン(Va)
 ウィリアム・プリース(Vc)]
78DSD-3883
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[DVD-R]
 録音:1940年3月5日、デッカ・スタジオ、ウェスト・ハムステッド、ロンドン|英 DECCA, K 923/5 。リーダーのハリー・ブレック(1910-1999)はロンドン生まれ。9歳でヴァイオリンを始め、トリニティ音楽院に学び、その後プラハでオタカール・シェフチーク(1852-1934)の薫陶を得た。ハレo. に入団しながらマンチェスター音楽大学でアーサー・カテラルの指導を受け、1930年にBBCso. に入団し1936年まで在籍、退団後ブレック四重奏団を結成した。第2次世界大戦中にメンバーのシルバーマンが心臓病で、トンプソンが飛行訓練中に死去、プリースの兵役などでメンバー交代があったが1950年まで活動を続けた。一方、戦時中の1942年にロンドン・ウィンド・アンサンブルを設立して指揮活動をはじめ、1949年にはロンドン・モーツァルト・プレイヤーズを設立して、1984年まで首席指揮者を務めた。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3882
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リリー・クラウス〜モーツァルト
 ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 K.333
リリー・クラウス(P)
78DSD-3882
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[DVD-R]
 録音:1948年5月7日|英 PARLOPHONE, R.20566/7 。リリー・クラウス(1905-1986)はハンガリー生まれの女流ピアニスト。17歳でブダペスト音楽院に入り、ベラ・バルトーク(1881-1945)、ゾルターン・コダーイ(1882-1967)に師事した。1922年ウィーンに赴き、ウィーン音楽アカデミーでアルトゥール・シュナーベル(1882-1951)とエドゥアルト・シュトイアマン(1892-1964)についてさらに研鑽を積んだ。1930年代からモーツァルトやベートーヴェンの演奏家として名声を上げ、ヴァイオリンのシモン・ゴールドベルク(1909-1993)と共演して各国で評判をとった。1942年インドネシア公演中にゴールドベルクと共に日本軍によって拘留され大戦集結まで軟禁された。戦後イギリス国籍を取得して演奏活動を再開、1967年からアメリカに定住した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3881
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クレンペラー〜モーツァルト
 交響曲第25番 ハ短調 K.183
オットー・クレンペラー指揮
パリ・プロ・ムジカo.
78DSD-3881
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[DVD-R]
 録音:1950年2月、サル・プレイエル、パリ|仏 POLYDOR, A 6345/6 オットー・クレンペラー(1885-1973)はドイツ生まれ、1910年からドイツ各地のオペラハウスでキャリアを積んだ。1927年から31年にはベルリンのクロール・オペラの指揮者をつとめた。ユダヤ人だった彼は1937年ナチスの迫害を逃れてアメリカに移住、市民権を得てロサンゼルス・フィルハーモニーの音楽監督になった。だがカリフォルニアの土地にはなじめずその地位を離れた。第2次世界大戦が終わるとヨーロッパ楽壇に復帰した。この録音はヨーロッパ復帰直後にパリで行われた。プロ・ムジカo. の実体はラムルーo. 。この録音はSPレコード末期のもので日本ではほとんど知られていなかった物。このシリーズで同時期に録音された交響曲「リンツ」(78CDR-3433)が出ている。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。

DOREMI (加) 特記以外 1枚あたり¥2970(税抜¥2700)

 旧譜はこちらから
初出&初音盤、マルタ・アルゲリッチ・ライヴ Vol.13 〜クーベリックとの共演/他
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503 (*)
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30 (#)
 ◆ザールブリュッケン・リサイタル 1972.4.14 (+)
  J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV.826
  シューマン:ピアノ・ソナタ第2番 ト短調 Op.22
  ショパン:夜想曲第8番 変ニ長調 Op.27 No.2 (++) /スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
  ラヴェル:夜のガスパール
 マルタ・アルゲリッチ(P) ラファエル・クーベリック指揮 NYP (*)
 ベルンハルト・クレー指揮ハノーファー放送so.(#)
 録音:1978年2月7日、エイヴリー・フィッシャー・ホール、リンカーン・センター、ニューヨーク(*) /1979年6月14日、ハノーファー(#) /1972年4月14日、ザールブリュッケン(+) |初出音源| (++):アルゲリッチによる初音盤作品。 DOREMI のアルゲリッチ貴重音源集第13弾。クーベリックとのモーツァルト、クレーとのラフマニノフという2つの協奏曲ライヴに加え、72年のザールブリュッケン・リサイタルを収録。ショパンのノクターン第8番の録音はめずらしく、他では聴くことのできないレパートリー(他に、前日1972年4月13日の未発売録音がある模様)。

APARTE (仏) 1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 音のよさ、クオリティの高さで定評のある AMBROISIE レーベルのプロデューサーとして名高いニコラス・バルトロメーが立ち上げたレーベル。 旧譜はこちらから
ラモー:六重奏によるコンセール
 〔第1番 ハ短調/第2番 ト長調/第3番 イ長調/
  第4番 変ロ長調/第5番 ニ短調〕
ティボー・ノアリ(Vn)指揮
レ・ザクサン
 録音:2020年12月14日-16日、サン・ピエール寺院、パリ。六重奏によるコンセールはラモーの数少ない室内楽作品。6つのコンセールから成る。ティボー・ノアリとレ・ザクサンは、そのなかから名作「コンセールによるクラヴサン曲集」全曲を六重奏用に編曲した5つのコンセールに挑戦している。三重奏だった「コンセールによるクラヴサン曲集」がより多彩かつ華やかになっていて、各曲の性格付けがさらにはっきり感じられるようになった。ティボー・ノアリは1982年生まれ。2006年以来ミンコフスキのグルノーブル=ルーブル宮音楽隊のコンサートマスターを務めるほか、カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキと共演したり、同じくミンコフスキから目をかけられたチェンバロのフレンチェスコ・コルティとデュオを組んだりと、活躍が注目されている。ノアリ率いるピリオド楽器アンサンブル「レ・ザクサン」はヴァイオリン3、ヴィオラ、チェロ2の編成で、クラヴサンを含まないラモーの世界を描いている。
AP-260
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(14CD)
6CD価格
Musica Imperialis 〜マルティン・ハーゼルベック&ウィーン・アカデミー
 ◆戦争とバレエ〜ウィーンのバロック音楽(*)
  シュメルツァー(1623-1680):皇帝風セレナーデのためのハ調によるアリアを伴うソナタ/音楽による剣術の学校/
                フェルディナンド三世の死によせるラメント/アリアをともなうセレナータ
  ビーバー(1644-1704):6声のソナタ Pauernkirchfahrt /トランペット、弦と通奏低音のための5声のソナタ/
             バターリャ(1673)/セレナーデ Nachtwaechter
  アレッサンドロ・ポリエッティ(1641-1683): Das Henner und Hannerngeschray に基づくカンツォンとカプリッチョ
  パヴェル・ヨーゼフ・ヴェイヴァノフスキー(1640-1693):
   ソナタ・ラ・ポスタ/ヴァイオリン、トランペット、トロンボーンと通奏低音のためのソナタ/8声のソナタ
  [マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo.
   グナール・レツボール(Vn) アンドレアス・ラックナー(Tp)他/録音:1995年5月]
 ◆皇帝たちの音楽(#)
  フェルディナント3世(1608-1657):聖歌 Jes Redemptor omnium /4声の聖歌 Deus Tuorum /8声の聖歌 Hamanae Salutis
  シュメルツァー(1620頃-1679):フェルディナンド3世の死のラメント
  ヨーゼフ1世(1678-1711):カンタータ「レジーナ・チェリ」
  レオポルト1世(1640-1705):ソナタ・ピエナ/ Laudate Pueri
   [マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo. リンダ・ペリッロ(S)
    イェルク・ヴァシンスキ、デイヴィッド・コーディエ、ヘニング・ヴォス(CT)
    アキム・クラインライン(T) ウルフ・ベストライン、マルコス・フィンク(B)/録音:1997年10月]
 ◆レオポルト1世:宗教音楽集(#) 〔モテット/ミゼレーレ/3つの晩課〕
  [イェルク・ヴァシンスキ(S) デイヴィッド・コーディエ、ヘニング・ヴォス(CT) アキム・クラインライン(T)
   マルコス・フィンク(B) マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1997年10月14日-16日]
 ◆ヨハン・カスパール・ケルル(1627-1693):オルガン作品集(*)
  [マルティン・ハーゼルベック(Org|クロスターノイブルク修道院、祝祭オルガン)
   フーベルト・ドップ合唱指揮ウィーン・ホーフブルクカペレ・コラールスコラ/録音:1992年10月]
 ◆ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741) (#):
   Victimae paschali laudes (セクエンツ)/キリスト聖体のミサ/
   2つのモテット〔 Plaudite, Sonat Tuba / Paries Quindem 〕
  [マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo. デイヴィッド・コーディエ(CT) ドルー・ミンター(A)
   ヨハネス・クム(T) クラウス・メルテンス(B)/録音:1997年5月19日-22日]
 ◆ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741):
   オラトリオ「われらが救世主イエス・キリストが十字架からおろされるとき」 K.300 (*)
    [ドロテア・レッシュマン(聖母マリア) ソイレ・イソコスキ(マグダラのマリア)
     デレク・リー・レイギン(福音史家)エヴァンゲリスト) ヘルムート・ヴィルトハーバー(ジュゼッペ・アリマテオ)
     フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(ニコデモ) マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo.
     フランツ・ファルンベルガー合唱指揮ザンクト・フローリアン少年&男声cho./録音:1992年9月]
 ◆ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741):
   オラトリオ「カルバリの丘で慈悲によって開かれた救済の泉」 K.293 (#)
    [小池久美子、リンダ・ペリーリョ、ウルスラ・フィードラー(S) ヘニング・フォス(CT)
     ヨハネス・チュム(T) ヴォルフガング・ヴァンクル(B) ウィーン・アカデミーo./録音:1999年3月-4月]
 ◆ニコラ・ポルポラ(1686-1768):オラトリオ「ギデオン」
  [カイ・ヴェッセル(ギデオン) ウルフ・ベストライン(ヨアス) リンダ・ペリッロ(S)
   ヘニング・フォス、イェルク・ヴァシンスキ(CT) ヨハネス・クム(T)
   マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1998年4月]
 ◆モーツァルト:教会作品集(*)
   戴冠ミサ K.317 /カンタータ「聖墓の音楽」 K.42 /教会ソナタ集〔ヘ長調 K.244 /変ホ長調 K.67 /ハ長調 K.329 〕
    [エディト・ヴィーンス(S) ベルナルダ・フィンク(A) ヴェルナー・ホルヴェーク(T)
     トマス・ハンプソン(B) マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1990年6月]
 ◆モーツァルト:オルガン作品集(*)
   幻想曲〔ヘ短調 K.608 /ヘ短調 K.594 〕/アンダンテ ヘ長調 K.616 /序曲 ハ長調 ( K.399 より)/ジーグ ト長調 K.574 /
   アダージョ ハ長調 K.536 /フーガ〔ト短調 K.154 /変ホ長調 K.153 /ト短調 K.401 〕
    [マルティン・ハーゼルベック(Org)/録音:1989年9月、ブレッサノーネ大聖堂、ボルツァーノ、イタリア]
 ◆レオポルト2世の戴冠礼拝の音楽の再現(*)
   モーツァルト:ミサ・ソレムニス / 作曲者不詳: Asperges me
   アルフレヒツベルガー(1736-1809):グラドゥアーレ ハ長調「 Veritas mea 」
   モーツァルト:オッフェルトリウム ハ長調「 Splendete te, Deus 」 K.Anh.121
   ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ(1706-1784):トッカータ ハ長調
   ミヒャエル・ハイドン(1737-1806):タントゥム・エルゴ ト長調 / サリエリ:戴冠式テ・デウム
   イジー・イグナーツ・リネク(1725-1791): KrönungsIntraden ハ長調 / グレゴリオ聖歌より
    [ルート・ツィーザク(S) エリーザベト・フォン・マグヌス(A) ヘルムート・ヴィルトハーバー(T)
     ゴットフリート・ホルニーク(B) ヘルムート・ヒュットラー、ミヒャエル・ヤンコヴィチ、
     ペーター・イェロジッツ(カントル) フーベルト・ドップ合唱指揮ウィーン王立礼拝堂学生cho.、
     フーゴー・ディストラーcho. インゴマール・ライナー(ポジティフOrg)
     マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1992年4月]
 初出・原盤: Novalis (*) / CPO (#) 〔含・当店未案内|多くが廃盤、入手不能〕。オルガン奏者にして指揮者のハーゼルベックが1985年に設立したオーケストラ、ウィーン・アカデミーo. による貴重な録音のボックスが登場。ウィーン・アカデミー管はHIPにこだわったスタイルで知られており、バロックからロマン派まで(珍しい作品もふくむ)、非常に意欲的に取り組んでいる。このボックスは、ハプスブルク家にゆかりのある音楽をあつめている。ハーゼルベックがこうした音楽に着目するきっかけは、自身が1976年、ハプスブルク家が重要な行事礼拝をおこなった教会でもあるアウグスティーナー教会のオルガン奏者に就任、さらに1978年には、ホーフブルク王宮礼拝堂のオルガン奏者に就任したことによります。礼拝堂のライブラリーには、シュメルツァーやビーバー、フックスら、さらには音楽を愛した皇帝たちの作品の楽譜など貴重な資料が多数おさめられておりました。このボックスには、ハーゼルベックとウィーン・アカデミー管が1989年から1999年にかけておこなった録音の中から、フックスのオラトリオや、ポルポラのオラトリオなどの貴重な作品から、音楽を愛したヨーゼフ1世やフェルディナンド3世、レオポルト1世による作品までが含まれている。どれも非常に丁寧な演奏。レツボールや若きトーマス・ハンプソンが参加しているものもあり、大注目のボックス。
AP-266
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(2CD)
シューベルト:最後の弦楽四重奏曲
 〔第15番 ト長調 D.887 /
  第14番 ニ短調 D.810 「死と乙女」〕
アヴィヴSQ
 録音:2021年5月13日-16日、22日-24日、ファロー城、ローザンヌ。1997年創設のイスラエルの団体アヴィヴ四重奏団が Aparte レーベル登場。今回はシューベルトの最後の2篇の弦楽四重奏曲に挑戦。弦の国イスラエルだけに豊かでつややかな音色、深い表現など見事な芸術を聴かせてくれる。
AP-267
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(2CD)
ジョヴァンニ・シモーネ・マイール(1763-1845):歌劇「夫婦の愛」
  〔初演:1805年、ヌオーヴォ劇場、パドヴァ|
   台本:ガエターノ・ロッシ/ジャン・ニコラ・ブイイ「レオノール、または夫婦の愛」に基づく

 デイヴィッド・スターン指揮オペラ・フオーコ[カタリーナ・ヴォルフ(コンサートマスター)他]
 シャンタル・サントン=ジェフリー(S;ゼリスカ/マルヴィーノ) アンドレス・アグデロ(T;アモルヴェーノ)
 ナタリー・ペレス(Ms;フロレスカ) バスティアン・リモンディ(T;アルデラオ)
 オリヴァー・グルディ(B−Br;ペテルス) アドリアン・フルネソン(B−Br;モロスキ)
 録音:2021年4月21日-25日、オペラ・ド・マッシー、フランス。マイールによるイタリア語のオペラ「夫婦の愛」全曲版の登場。マイールは1763年ドイツに生まれ、1787年からイタリアに留学し、ベルガモ大聖堂の終身教会楽長を務めた。ベートーヴェンの作品を紹介し、さらに、ベルカントに精通し、ベルガモの地でドニゼッティを指導したことでも知られている。オペラを70ほどのこしている。マイールの「夫婦の愛」の題材は、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」の元となったものとしても有名な、ジャン・ニコラ・ブイイの「レオノール、あるいは夫婦の愛」。勇敢な妻ゼリスカが、不当に拘束された夫アモルヴェーノを救い出すために、男装してマルヴィーノと名乗り刑務官として雇われるために乗り込む、というストーリー。1805年にパドヴァで初演され大成功を収め、ヨーロッパ各地で何度も再演された。モーツァルトとハイドンから受け継いだ管弦楽法と、イタリアの声楽の伝統を巧みに融合させ、魅力的な作品に仕上げている。独唱アリアはもちろん、登場人物たちによる重唱もどれも胸を打つものばかり。レチタティーヴォではチェンバロだけでなく、チェロとコントラバスも通奏低音を演奏しており、物語と音楽をより魅力的なものとしている。マイールは自身、ベル・カントに精通していると自認しているが、事実19世紀のオペラの発展を語る上で欠かせない存在。デイヴィッド・スターン率いるオペラ・フオーコによる完全版のこの録音は、大歓迎すべきものといえるだろう。デイヴィッド・スターン&オペラ・フオーコ・・・アメリカの指揮者デイヴィッド・スターンは、2003年、18世紀中ごろから現代までのオペラ作品に特化した、パリを拠点としたオペラ・カンパニーを立ち上げる。オーディションによって若手を積極的に起用して、マスタークラス、リサイタルから大規模な舞台つきのオペラまで、意欲的なプロジェクトを世界に発信している。レパートリーによって自在に編成を変えるオーケストラ、オペラ・フオーコo. も併設している。
AP-269
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(2CD)
ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):「アシとガラテー〔アシスとガラテア〕」 LWV 73
 アンブロワジーヌ・ブレ(ディアーヌ/ガラテー) ロベール・ゲッチェル(コモス/テレーム)
 シリル・オヴィティ(アポロン) ベネディクト・トーラン(ラバンダンス〔豊かさ〕/シッラ)
 デボラ・カシェ(森の妖精/アマント) フィリップ・エステフ(森の精/霊〔パストラル〕)
 シリル・オヴィティ(アシ〔アシス〕) エドウィン・クロスリー=メルセル(ポリフェーム)
 エンゲラン・ド・イス(ティルシス) フィリップ・エステフ(ネプチューン)

 クリストフ・ルセ指揮レ・タラン・リリク、ナミュール室内cho.
 録音:2021年7月16日-18日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、プトー、フランス。リュリ最後の歌劇「アシスとガラテー」。リュリとしては13年ぶりのパストラル(悲劇でない)作品で、初演当時から賛否両論を巻き起こしながらも何度も上演が重ねられた傑作。30年ほど前にミンコフスキが全曲録音して以来、久々の全曲録音の登場となった。演奏陣は、フランス・バロックの要、クリストフ・ルセ率いるレ・タランリリク、そして歌唱陣も今最前線で活躍する歌手が顔をそろえた超強力盤。海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋、そして嫉妬深い、ポリフェームの暴力を描いたドラマティックな物語にリュリがつけた音楽は、どの瞬間を切り取っても美しく心揺さぶられる瞬間の連続。美しい旋律、器楽作品の繊細さなど、作品の魅力をルセがこれ以上ないかたちで引き出している。
バッハと新ウィーン楽派
 J.S.バッハ:トッカータ
  〔ホ短調 BWV.914 /嬰ヘ短調 BWV.910 /ニ短調 BWV.913 〕

 シェーンベルク:3つのピアノ曲 Op.11
 ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
 ヴェーベルン:変奏曲 Op.27
オルタンス・
 カルティエ=ブレッソン(P)
 録音:2021年2月、サル・コロンヌ、パリ。バッハと20世紀作品を交互に収録。オルタンス・カルティエ=ブレッソンはフランスを本拠に活躍する女流で、いとこは高名な写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン。彼女は長年パリ音楽院で教鞭をとるかたわら精力的に演奏活動も行なっている。今回はバッハのトッカータ3篇にシェーンベルク、ベルク、ヴェーベルンら新ウィーン楽派大作曲家の初期ピアノ曲をはさみ、一種異様な組合せを示している。しかし新ウィーン楽派の音楽はモチーフの展開、線的な書法、感情を極力排するなどロマン派、古典派と通り越しバッハの世界に近いことを証明、シェーベリやヴェーベルンでも無機的にならず、微妙なニュアンスあふれる演奏を聴かせてくれる。
AP-273
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(3CD)
フォーレ:室内楽作品集 Vol.2
 ピアノ四重奏曲〔第1番 ハ短調 Op.15 /第2番 ト短調 Op.45 〕/
 ピアノ五重奏曲〔第1番 ニ短調 Op.89 /第2番 ハ短調 Op.115 〕/
 チェロとピアノのためのセレナード Op.98 /弦楽四重奏曲 ホ短調 Op.121

 シモン・ザヌイ(P) ピエール・フシュヌレ(Vn)
 ラファエル・メルラン(Vc) マリー・シルム(Va)
 ストラーダSQ [ピエール・フシュヌレ、サラ・ネムタヌ(Vn)
          リーズ・ベルトラン(Va) フランソワ・サルク(Vc)]
 録音:2021年3月17日-26日、ジャン=ピエール・ミケル講堂、ヴァンセンヌ。2018年5月にaparteレーベルから2枚組のフォーレ室内楽作品集をリリースしたピアノのシモン・ザウイやヴァイオリンのピエール・フシュヌレが待望の第2弾に挑戦。今回は3枚組で、ピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲各2篇をメインに、フォーレ最後の作品でもある弦楽四重奏曲という力作揃いなのが注目。ピアノ四重奏はフシュヌレのほか、チェロのラファエル・メルラン、ヴィオラのマリー・シルムと共演。ピアノ五重奏曲と弦楽四重奏曲はストラーダ四重奏団によるが、ヴァイオリンをフシュヌレとサラ・ネムタヌが担っているのに注目。意外にもピアノ五重奏曲2篇と弦楽四重奏曲、チェロ曲「セレナード」は20世紀の作品。ドビュッシーが印象主義作風を確立した以降の作もあり、新しい時代の空気が流れていることも再認識させる。
ロンドンの夜
 ジェイムズ・オズワルド(1710-1769):彼女は何も着ていないときがいちばんかわいい(ソロ版)
 チャールズ・エイヴィソン(1709-1770):ラルゴ(スカルラッティにもとづく合奏協奏曲第5番より)
 フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687-1762):合奏協奏曲 ニ短調 H.143 「ラ・フォリア」
 ヘンデル(1685-1759):セルセ HWV.40 〜シンフォニア
 ニコラ・ポルポラ(1686-1768):チェロ協奏曲 ト長調 INP 18
 ヘンデル:アルチーナ HWV.34 第3幕〜わたしの痛みを信じて下さい/
      合奏協奏曲 変ロ長調 Op.3 No.2, HWV.313 〜第2楽章
 ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783):フーガ〔グラーヴェ〕 ト短調
 ジョヴァンニ・バッティスタ・チッリ(1724-1808):チェロ協奏曲第2番 ト長調 Op.14 No.2
 オズワルド: The Murrays March / My Nanio /彼女は何も着ていないときがいちばんかわいい(アンサンブル版)
 ジェミニアーニ:音楽芸術における良い趣味の理論 より〔夜が静かに毛皮をまとい/ベッシー・ベルとメリー・グレイ〕
 オズワルド:パンチボウルの底
 ヘンデル:聖チェチーリアの祝日 HWV.76 〜音楽が元気づけたり鎮めたりすることのできない感情があるだろうか?

 オフェリー・ガイヤール(Vc|使用楽器:フランチェスコ・ゴフリラー、1737年製)指揮プルチネッラ
 サンドリーヌ・ピオー、ラケル・カマリーナ(S)
 ルシール・リシャルドー(Ms) ガブリエル・ピドゥ(Ob)
 録音:2021年9月27日-30日、2022年1月30日。オフェリー・ガイヤール。フランスの女性チェロ奏者として、その繊細かつふくよかな音色と音楽、さらに、凝ったコンセプトのCDで、聴き手を魅了しつづけている。今回のテーマはロンドン。ロンドンには特別な思い入れがあるというガイヤール。「Dreams」(AP.001)を録音したのはアビー・ロード・スタジオで、デュ・プレと同じマイクを使って録音したこと、あるいはマンチェスターでのチェロ・フェスティヴァルでシュタルケルにであったことなど、ロンドンや英国に滞在する時にはいつじも素敵なことがおこるそう。そんなロンドンには、かつてより多数の音楽家たちが住み、活躍していた。1700年代には、ヘンデルをはじめ、ジェミニアーニ(ヴァイオリン奏者として有名だが、チェロ・ソナタ Op.5の存在で、チェロの音楽史でも重要視されている)、ポルポラ(ファリネッリやハイドンの師で、晩年はオペラから離れ、チェロの音色に声楽性を発見し、素晴らしいチェロ協奏曲を完成させた)ら、実に多くの音楽家がロンドンにひしめきあっていた。また、スコットランド出身のオズワルドは、ロンドンに移り、チェロ奏者であったが、ジョージ三世の作曲家として使え、スコットランド民謡を主題にした作品を多く書いた。また、ジェミニアーニも、イギリス民謡の香りが色濃く感じられる作品を書いている。ガイヤールとプルチネッラは、当時のロンドンのこうした活気や熱気に満ちた作品を一晩の演奏会のように仕立て、私たちに提示してくれている。ガイヤールの音色にうっとり、さらに、ゲスト参加しているピオーのヘンデルの「アルチーナ」のアリアの素晴らしさ!豪華声楽陣のゲスト参加も、この1枚をひときわ豪華なものにしている。
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
 ヴァイオリン・ソナタ〔ト長調 BWV.1021 /ホ短調 BWV.1023 /ハ短調 BWV.1024 〕/
 フーガ ト短調 BWV.1026 /ガヴォット BWV.1019a /ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調 BWV.Anh.153

作曲者不詳ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 (1720s)
 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn)
 アンネキャスリン・ベラー(Vc) トルステン・ヨハン(Cemb)
 録音:2021年5月、フライブルク・アンサンブルハウス。フライブルク・バロックo. のリーダーとしても活躍するバロック・ヴァイオリン奏者ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ。これまでバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータとソナタ、ヴァイオリン協奏曲集をリリースして高い評価を受けてきたが、今回は通奏低音付きのソナタ集に挑戦。と言っても有名な BWV.1014〜9の6篇ではなく、ほとんど顧みられない3つのソナタとフーガをとりあげているのが大歓迎。また長らくバッハ作とされながら現在はテレマン作と認定された イ長調 BWV.Anh1.53 と作曲者不詳の1720年代の ハ短調のソナタを収録。さらにヴァイオリン・ソナタ第6番 ト長調 BWV.1019の第3楽章として書いたガヴォットも聴けるのも存外の慶び。バッハの受容と研究のうえでなおざりにできぬ作品をゴルツの演奏で堪能できるのはぜいたくな限り。チェロのアンネキャスリン・ベラーとチェンバロのトルステン・ヨハンが絶妙なアンサンブルを創り出している。
スターバト・マーテル〜アルヴォ・ペルト(1935-):
 フラトレス(1977/83)〜弦楽と打楽器 /我が心はハイランドに(2000/13)〜カウンターテナー、弦楽三重奏、ピアノ/
 天にまする我らの父よ(2005/13)〜カウンターテナー、弦楽/鏡の中の鏡(1978)〜ヴィオラとピアノ/
 何年も前のことだった(1984)〜カウンターテナー、ヴァイオリン、ヴィオラ/
 巡礼者の歌(1984/2021) 〜カウンターテナー、弦楽/スンマ(1977/1991)〜弦楽/
 スターバト・マーテル(1985/2021) 〜カウンターテナー、ソプラノ、テノール、弦楽

 アレクサンドラ・クジャク(S) アンドレアス・ショル(CT)
 ロベルト・アラーニャ(T) トマシュ・ヴァブニツ指揮モーフィング室内o.
 録音:2021年9月12日-16日、カジノ・バウムガルテン、ウィーン。ペルトの作品は世界的な名手たちにより演奏、録音されているが、またひとつ超豪華な演奏陣によるアルバムの登場。ペルトのピュアな美をアンドレアス・ショルの美声で楽しめるのも格別だが、人気急上昇のポーランドのソプラノ、アレクサンドラ・クジャクと現在の夫君ロベルト・アラーニャと「スターバト・マーテル」に挑戦しているのに驚き。ペルトの「スターバト・マーテル」はカウンターテナー、ソプラノ、テノールの弦楽三重奏のために書かれているが、ここではモーフィング室内o. リーダーのヴァブニツによる弦楽オーケストラ版による豊かな響きで披露。心洗われるひとときを体験出来る。他もショルによるペルトの透明かつ静寂な4篇が収められ、現代でありながら中世のような音世界が広がる。名録音で知られるリトル・トリベカが繊細な息遣いまで再現。酷暑の清涼な気持ちにさせる。
北の王たち
 トマス・アーン:「アルフレッド」序曲 / ヘンデル:「ロデリンダ」〜暴虐が彼に国を与えた
 ルーマン:「音楽の宴」〜平和を与えたまえ、王の魂よ
 ゲオルク・カスパー・シュールマン:「ルドヴィクス・ピウス」〜汝に金冠を授けん
 カイザー:「フレデグンダ」〜私はあなたを黙らせねばなるまい / ヘンデル:「アルミーラ」〜クーラント
 ハイニヒェン:「カムベルクの平和」〜独りを怖れる / アリオスティ:「裏切りの誠実」〜この危険な命の海の中で
 ヘンデル:「オットーネ」〜コンチェルト/「イングランド王リチャード一世」〜邪悪な欺瞞
 カイザー:「クロイソス」〜神々よ憐みたまえ/「寛大なオクタヴィア」〜ああ、ネロはもはやネロでない
 ヘンデル:「アルミーラ」〜メヌエット / テレマン:「当節流行の恋人ダモン」〜あなたが裂け目を壊す
 J.S.バッハ:世俗カンタータ「太鼓よ轟き、ラッパよ響け」 BWV.214 〜王冠と称讃で飾られた御方

 トマーシュ・クラール(Br) ヤロスワフ・ティール指揮ヴロツワフ・バロックo.
 録音:2021年7月24日-27日、ヴィロツド・ルトスワフスキ国立フォーラム、ヴロツワフ。北ヨーロッパはバッハやヘンデルはもとより、バロック期にも優れた作曲家を輩出した。しかし南ヨーロッパの同時代人に比べ、ハイニヒェン、シュールマン、カイザー、テレマンらの華麗なオペラを聴くことはめったにない。彼らのオペラのなかで、怖ろしくも強い君主を描いた作品から低音アリアを存分に楽しめる。バリトンのトマーシュ・クラールはブルノ出身のチェコ期待の星。独特の美声で、お国ものに加え古楽の世界でも注目されている。ポーランドの若手古楽団体ヴロツワフ・バロックo. の生気あふれる演奏も聴き物。
親密の領域〜フランソワ・クープラン
 エール・セリュー〔巡礼の女たち「愛の神殿で」(1697) /どうか私に言わないで(1712) /
          わが心の甘い絆(1701) /牧歌「愛さねばならない」(1711) /
          隠者たち「キュテラ島で」(1711) /ブリュネット「そよ風よ、これらの地で穏やかに」(1711) 〕/
 四声のソナタ「スルタン妃」(1695頃) /さまざまな作曲家によるクラヴサン小品集ト調(1707)
  〔蜜蜂/イタリアのガヴォット/金髪の修道女たち/栗毛の修道女たち/シシリアーナ〕/
 トリオ・ソナタ「威厳」(1695頃) /小品集 ニ調〔ディアーヌ/フィレンツェ風〕/
 トリオ・ソナタ「スタンケルク」(1692頃) /小品集 イ調〔剽軽者/剽軽者〕(ルイ・マルシャン作?)/
 しばしば最も甘い運命に(エール・ア・ボワール)/小品集ヘ調
  〔ポーランド人(マラン・マレ)/ヴェネツィア人(ルイ・マルシャン)〕

 シリル・デュボワ(T) クリストフ・ルセ(Cemb)指揮レ・タラン・リリク
 録音:2016年7月10日-14日、ゲブヴィレール・ドミニカ教会/2017年9月7日-13日、フランス銀行金の間/2021年4月16日-17日、サン=ピエール寺院。フランソワ・クープランといえばフランス・バロックならではの美しさあふれるクラヴサン曲で知られるが、彼の最初の出版楽譜には「スタンケルク」をはじめとするいくつかのソナタのほか多くのエール・セリュー(愛や牧歌的場面を扱った歌)が含まれていた。ルセとシリル・デュボワがこれらクープランの作品中あまり知られていない部分をまとめ、新たな側面を明らかにする画期的な試み。特に興味深いのはクープランのイタリア好みを証明していること。さらに嬉しいのはクープランの唯一知られる直筆断片による未出版のエール・ア・ボワール(酒の歌)「しばしば最も甘い運命に」が世界初録音されているのと、1707年にバラールにより編纂されたクラヴサン小品のコレクションをルセの演奏で味わえること。非の打ちどころのない妙技を聴かせてくれる。
AP-283
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(2CD)
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集
  Disc 1: クリティカル・エディションより
  〔ト長調 K.13 /ト長調 K.523 /ト短調 K.8 /ト短調 K.450 /ト長調 K.259 /ニ長調 K.29 /
   ニ長調 K.96 /ロ短調 K.173 /ロ短調 K.377 /ヘ短調 K.69 /ヘ短調 K.387 /
   ト短調 K.31 /ニ短調 K.434 /ニ短調 K.444 /ヘ長調 K.446 /ヘ長調 K.525 〕
 Disc 2: ハンス・フォン・ビューロー編纂による組曲版
  組曲 ト長調〔前奏曲(アレッサンドロ・スカルラッティ作)/トッカータ K.13 /
         サラバンド K.8 /ブルレスカ K.450 /メヌエット K.259 /ジグ K.523 〕/
  組曲 ヘ短調〔ソナタ K.31 /フーガ(アレッサンドロ・スカルラッティ作)/
         クーラント K.69 /カプリッチョ K.446 /シチリアーノ K.446 /スケルツォ K.525 〕/
  組曲 ニ長調〔ソナタ K.29 /クーラント K.434 /カプリッチョ K.444 /
         ブーレ K.377 /ガヴォット K.173 /ジグ K.96 〕

 ジュリオ・ビッダウ(P)
 録音:2020年6月、11月、サル・コロンヌ。evidenceレーベルからレスピーギ自身の4手編曲による「ローマの噴水」や「ローマの松」をリリースして注目されたジュリオ・ビッダウ。1985年イタリアのサルディニア島出身で、パリのエコール・ノルマルでルイサダに師事、その後もチッコリーニから個人レッスンを受けた。 学 究的な一面も持つビッダウは、スカルラッティのソナタを題 材に興味深い試みをしている。2枚組の最初の1枚目にはエミリア・ファディーニの校 訂によるクリティカル・エディションから選んだ16曲を極めて厳格に再現。とはいっても堅苦しいものではなく、イタリア的な歌ごころとリズムが心地よい名演となっている。一方2枚目はハンス・フォン・ビューローが19世紀に編纂したロマン派的解釈による同じ曲を対比。ビューローは聴きやすく調性をあわせて組曲に仕立てていますが、編纂というよりも明らかな編曲で、リストやワーグナーの美学が反映されたような内容となっている。ビッダウは解釈や奏法をがらりと変え、濃厚な感情を聴かせる。ロマン派と現代の古楽解釈の違いを耳で学べる。
AP-284
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(3CD)
フォーレ:歌曲全集 シリル・デュボワ(T)
トリスタン・ラエ(P)
 録音:2020年7月3日、8月10日-17日、2021年6月14日-16日、サル・コロンヌ、パリ。フォーレは室内楽やピアノ曲で人気があるが、フランス歌曲のおける最も偉大な巨匠として100を超える名品を残している。そのなかには「月の光」や「夢のあとに」のようによく知られたものもある。このアルバムは1984年生まれのフランスのテノール、シリル・デュボワが相方ピアニスト、トリスタン・ラエとフォーレ歌曲に挑戦したもので、ひとりの歌手による全集は初とされる。彼らはこれまでもリストやブリテンの歌曲集で優れた演奏を披露してくれたが、何より非の打ち所のないフランス語の発音と並外れた解釈がフォーレにピッタリ。詩の雰囲気や感情、気分を自然に伝えてくれる。フォーレの歌曲は長い生涯にわたり書かれているため、4つの作風に分けられるとされる。1860-70年代はロマンティックで、どちらかというとセンチメンタルで暗い情感のものが支配的。1880年代は高踏派の詩人によるものが多く優美。1890年代は大胆で力強い表現が顕著。20世紀に入ってからは渋い内省性に加え、大胆な和声など時代の影響も感じられる。そのいずれをもデュボワは味わい深い表現で聴かせてくれる。
AP-285
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(4CD)
ウジェーヌ・ワルキエ:フルートを含む室内楽曲集
  Disc 1 「演劇的」 フルート五重奏曲 イ長調 Op.49 (*) /フルート四重奏曲第4番 ニ長調 Op.50 (*)
  Disc 2 「絵画的」 フルート・ソナタ第1番 Op.89 (*) /
            フルート、チェロとピアノのための三重奏曲 ニ短調 Op.97 (*)
  Disc 3 「詩人」 木管四重奏曲第4番 変ロ長調 Op.48(*) /
           フルーティストの休息 Op.47 〔オーヴェルニュのロンド/ロンド/行進曲/月の光に〕
  Disc 4 「ヴィルトゥオーゾ」 フルート二重奏曲第1番 ロ短調 Op.57 (*) /
                 3つのフルートのためのフルート三重奏曲第1番 変ホ長調 Op.93 /
                 4つのフルートのための大四重奏曲第2番 ヘ長調 Op.70

 アレクシス・コセンコ(Fl|使用楽器:ジャック・ベリッサン、1830年頃製6キー /
   クレール・ゴドフロワ、1840年頃製円錐管ベーム式木製/
   ルイ・ロット、1858年製円筒管ベーム式銀製/ルイ・ロット、1881年製円筒管ベーム式銀製

 ダニエル・ゼペック(Vn|使用楽器:ストリオーニ、1780年製)
 ジローヌ・ゴベール(Vn|使用楽器:クレパル、2021年製〔モデル:ストラディヴァリウス〕)
 レア・エンニーノ(Va|使用楽器:トニー・エシャヴィドル製)
 クリストフ・コワン(Vc|使用楽器:ガリアーノ、18世紀初頭製)
 ミカエル・チャヌー(Cb|使用楽器:エンリコ・マルケッティ、1895年製)
 エドアルド・トルビアネッリ(P|使用楽器:プレイエル、1843年製)
 ニコラ・バルデイル(Cl|使用楽器:シュヴェンケ&ゼゲルケ社製〔モデル:グレンザー、1810年頃製〕)
 ダヴィド・ドゥコ(Fg|使用楽器:サヴァリー Jr. 、1823年製)
 ブノワ・ド・バールショニ(Hr|使用楽器:フレーズ製〔モデル:ラウー、1820年頃製〕)
 アメリ・ミシェル(Fl|使用楽器:スベイラン社製〔モデル:テュルー、1845年頃製〕)
 アンヌ・パリゾ(Fl|使用楽器:ゴートロ一世、1850年頃製/ルイ・ロット、1858年製)
 オリヴィエ・ベニシュ(Fl|使用楽器:ジャン=ルイ・テュルー、1840年頃製)
 録音:2021年2月12日、3月11日-15日、サンピエール寺院、パリ/2021年3月22日-24日、ドメーヌ・ミュジカル・ド・ペティニャック。ウジェーヌ・ワルキエ(1793-1866)はフランスのフルート奏者で作曲家。テュルーにフルート、レイハ(ライヒャ)に作曲を師事するが、フルートは次第に師をおびやかす存在になったと伝えられる名手ぶりだった。ワルキエは作曲の師レイハから人気オペラ・アリアのフルート編曲の仕事を紹介してもらい成功、以後名ピアニストのカルクブレンナーやタールベルクと共作してフルートとピアノのための派手な作品を次々に発表した。同時にオンスローと親交を結び四重奏曲や五重奏曲などの古典的形式にも手を染めた。このアルバムでは五重奏から二重奏までの純音楽作品を集めている。多くが世界初録音なうえ、ピリオド楽器によることも貴重。主役はフランスのピリオド・フルート界第一人者アレクシス・コセンコ。彼は1830年頃製6キーのものから1858年製円筒管ベーム式銀製まで4本のフルートを吹き分けている。いずれも作品と同時期にもので、往時の響を味わえる。共演もヴァイオリンのゼペックやチェロのコワンをはじめ大物が華を添えているのも注目。ワルキエはベルリオーズやショパンと同時代人ながら作風は古典派寄りで爽やか。フルートの技巧を華やかに披露するかたわら、民謡を採り入れたりユーモアにあふれた陽性な世界を楽しめる。
50-50
 パーセル/コンテ編曲:メアリー女王の誕生日のオード「祝え、この祭典」〜祭壇に王冠を捧げ
 ダヴィド・シャルマン:しばしの音楽 / リュリ:「セルセ」〜マタシン/「トゥールーズのバレ」〜ジグ
 マーティン・ハリー: STAB /クーラントとサラバンド/シャルパンティエ「アクテオン」のエアによるパストラール
 シャルマン:パーセルの「アーサー王」のアリアによるコールド・ソング/グラウンドZ

 フランク=エマニュエル・コント指揮ル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユ
 録音:2021年10月20日-23日、ランタン寺院、リヨン。50-50(フィフティ・フィフティ)というアルバム・タイトルは半分バロック音楽で半分現代音楽、半分フランス人で半分イギリス人にかけられている。それをリヨンのピリオド楽器団体ル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユが奏するという斬新な試み。ダヴィド・シャルマンは1980年生まれのフランスの作曲家。クラシックとエクスペリメンタル・ロックのコラボを目指し、ラベック姉妹からマドンナまで手掛けるプロデューサーでもある。マーティン。ハリーはオックスフォードで教鞭をとる作曲家。これまでソニークラシカルのエグゼクティブプロデューサーやハリウッド映画の作曲家を務めるなど活躍している。彼らの作品を対比させるのではなく、フランス人シャルマンがイギリスのパーセルから、逆にイギリス人ハリーがフランスのシャルパンティエからインスパイアされて作ったジャズ・ロックあるいはミニマル・ミュージックを披露。フランク=エマニュエル・コント率いるル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユが乗りに乗った演奏に惹きつけられる。
無限〜近代クラリネット・ソナタ集
 プーランク:クラリネット・ソナタ
 バーンスタイン:クラリネット・ソナタ
 ワインベルク:クラリネット・ソナタ
 プロコフィエフ/ケント・ケナン、パブロ・
  バラガン編曲
:フルート・ソナタ(クラリネット版)
パブロ・バラガン(Cl)
ソフィー・パチーニ(P)
 録音:2021年6月30日-7月2日、南西ドイツ放送カイザースラウテルン・スタジオ。20世紀の大物作曲家によるクラリネット・ソナタ集。1962年作のプーランクを除き、すべて第二次世界大戦中に作曲されている。プロコフィエフはフルート・ソナタをアメリカの作曲家ケント・ケナンと当ディスクの演奏者パブロ・バラガンがクラリネット用に編み直した版。もともとフルートの難曲として知られるが、クラリネットではさらに難しいものとなっていて、バラガンの妙技を味わえる。パブロ・バラガンは1987年スペイン生まれのクラリネット奏者。故郷とバーゼルで学びダニエル・バレンボイムに認められ、ウェスト=イースタン・ディヴァンo. の奏者を務めている。それもあってか、バーンスタインやワインベルクらのユダヤ色(ジャズとクレズマー)濃厚な作品にも力を入れているのが特徴。ピアノをアルゲリッチが後継者と目しているソフィー・パチーニが担っているのも注目。1991年生まれで、2010年からルガーノのアルゲリッチ音楽祭でお馴染みの存在。これらの4作品は作曲者がいずれもピアノの名手だったこともあり、単なる伴奏ではありあせん。パチーニはバラガンと対等に競い、ダイナミックな演奏を聴かせてくれる。
私の歌に
 マーラー:リュッケルト歌曲集 より
  〔私は快い香りを吸いこんだ/美しさをあなたが愛するなら/私の歌をのぞき見しないで/私はこの世に捨てられ〕
 リスト:ローレライ/喜びに満ち、悲しみに満ち/汝天上にある者/
     愛し合うことは素晴らしいことだろう/おお、愛しうるかぎり愛せ
 コルンゴルト:3つの歌曲 Op.22 /不滅なるもの Op.27 No.5 / リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌

 サラ・トローベル(S) ヘルムート・ドイチュ(P)
 録音:2021年8月31日-9月4日、マルクス・シティックス・ホール、ホーエネムス。サラ・トローベルは「メトロポリタンの歌姫」と称されたヘレン・トローベルと大指揮者ギュンター・ヴァントの姪孫にあたるドイツのソプラノ。ヘルムート・ドイチュの伴奏とあいまってドイツ・リートの魅力を満喫出来る。ここに収められた4名の大作曲家はいずれもメロディ・メーカーで、リヒャルト・シュトラウスを除くとドイツ人ではないものの、すべてドイツ語の詩に曲がつけられている。リスト作品のうち「ローレライ」と「汝天上にある者」は「歌の本」、「おお、愛しうるかぎり愛せ」は有名な「愛の夢第3番」の原曲なのも興味をひかれる。
レベッカ・クラーク:ヴィオラ作品集
 ヴィオラ・ソナタ(1919) /モルフィウス(1917) /古いイングランドの調べによるパッサカリア(1940-41) /
 ヴィオラとチェロのための2つの小品(1916頃) /ヴィオラとチェロのためのアイルランドのメロディ(1918頃) (*) /
 ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのためのドゥムカ(1941) /チャイニーズ・パズル(1921)

 ヴァンシアーヌ・ベランジェ(Va) ダナ・チョカルリエ(P|使用楽器: YAMAHA CFX
 エレーヌ・コルレット(Vn) ディヴィッド・ローウェルス(Vc)
 録音:2021年7月6日-9日、サン・ピエール寺院、パリ| (*):世界初録音。ヴァンシアーヌ・ベランジェは2003年から2008年までマンフレッド四重奏団のメンバーを務めた女性ヴィオラ奏者。ソロ、アンサンブルに限らずヴィオラの魅力を普及させることに熱心で、このアルバムもこだわりを感じさせる。レベッカ・クラーク(1886-1979)はイギリス出身の女性作曲家。自身ヴィオラ奏者としても活躍したため、ヴィオラ作品ことにソナタは近年幅広く演奏されている。ここでは彼女の作曲したヴィオラ独奏曲を集めている。注目はヴィオラとチェロの二重奏による「アイルランドのメロディ」。長く失われたとされていたが、近年草稿が発見されここで世界初録音となった。「さらばククレイン」と「ロンドンデリーの歌」から成り、ヴィオラとチェロの魅力が存分に生かされている。ピアノをルーマニア出身の名手ダナ・チョカルリエが担っているのも豪華。
ポリーヌ・ヴィアルド讃
 グルック/ベルリオーズ編曲:
  「オルフェオとエウリディーチェ」〜私なにを言われたの?・・・アムールよ、私の魂に返して
 ベッリーニ:「カプレーティとモンテッキ」〜ロメオが息子さんを死に至らしめたなら
 マスネ:「マグダラのマリア」〜おお、私の妹よ / アレヴィ:「ユダヤ女」〜あの人が来る
 ロッシーニ:「セビリャの理髪師」〜今の歌声は心に響く/「セミラーミデ」より〔序曲/うるわしい光が誘惑する〕
 ドニゼッティ:「ファヴォリータ」より〔ちゃんと聞こえる・・・いとしいフェルナン/序曲〕
 ベルリオーズ:「トロイアの人々」〜ああ、私は死んでしまうのだろう・・・さようなら、自慢の町よ
 グノー:「サッフォー」〜不滅のリラよ
 サン=サーンス:「サムソンとデリラ」〜サムソンは私の居場所を求めて・・・愛よ私を助けにきて

 マリーナ・ヴィオッティ(Ms) クリストフ・ルセ指揮レ・タラン・リリク
 録音:2021年11月27日-30日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、ピュトー。ルセとレ・タラン・リリクがロマン派オペラに挑戦。これまでもグノーの「ファウスト」で新鮮な解釈を見せたが、今回はベルリオーズ、マスネ、サン=サーンスなどイメージから遠い作曲家が並んでいるのが興味津々。ポリーヌ・ヴィアルドゆかりのオペラ・アリアが選ばれているが、ロッシーニの「セミラーミデ」序曲とドニゼッティの「ファヴォリータ」序曲という純オーケストラ・ナンバーも味わえる。ポリーヌ・ヴィアルド(1821-1910)は19世紀フランスの大歌手。ロッシーニに認められ、リストにピアノを師事、ショパンやチャイコフスキーの親しい友人で、ツルゲーネフと長年同棲。後年は幼いレイナルド・アーンの才能を評価し可愛がるなどパリ音楽史のキーパーソンでもあった。マイヤベーアの「予言者」、サン=サーンスの「サムソンとデリラ」、グノーの「サッフォー」は彼女のために作曲され、ブラームスの「アルト・ラプソディ」を世界初演したことでも知られているが、ベルリオーズの「トロイアの人々」にも積極的に関わり、グルックの「オルフェオ」のベルリオーズによる近代オーケストラ編曲初演もヴィアルドが出演、聴衆を熱狂させたことが伝説になっている。それら伝説作品をスイス出身のフランスのメゾ、マリーナ・ヴィオッティがヴィアルドに成り代わり再現。あたかも乗り移ったかのような歌唱を聴かせてくれる。どの曲も美しいメロディにあふれ、声の魔力とともに圧倒させられる。
1773年〜モーツァルトとグレトリ
 モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183
 グレトリ:組曲「セファールとプロクリス」
 モーツァルト:歌劇「エジプト王タモス」〜組曲
マルティン・ヴァルベルグ指揮
オルケルテル・ノルド
 録音:2021年11月、セルブ教会、ノルウェー。ノルウェーのチェロ奏者でもある指揮者マルティン・ヴァルベルグが2009年に創設したピリオド楽器アンサンブル、トロンハイム・バロック。17-8世紀作品を主要レパートリーとし高い評価を受けているが、2018年にオルケルテル・ノルドと改名してさらなる可能性を模索。今回は1773年に焦点を当て、この年に作られたモーツァルトとグレトリの作品を並べている。モーツァルトは当時17歳。「小 ト短調」として知られる交響曲第25番と、後年の傑作「魔笛」のルーツといわれる「エジプト王タモス」。どちらも才気煥発でモーツァルトの天才性を再認識させる。一方グレトリは31歳、軽みとシリアスさを兼ね備えたオペラ・コミックを確立させ順風満帆な創作活動を行っていた。同じ年に作られた両者の純オーケストラ作品は、どちらも強さと輝かしさという共通点があるが、フランスの舞台音楽が交響曲へ新たに進化していく様をたどることが出来る。
AP-294
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(2CD)
さすらい人〜シューベルト
 ヒュッテンブレンナーの主題による変奏曲 D.576 /
 4つの即興曲 D.935 /さすらい人(リスト編曲)/
 幻想曲 ハ長調 D.760 「さすらい人」
シルヴィアーヌ・
 ドゥフェルヌ(P)
 録音:2022年4月1日-4日、ヌーシャテル・アール・ヴィヴァン・センター。シューベルト好きにはたまらない1枚。「ヒュッテンブレンナーの主題による変奏曲」は彼最晩年16分の大作ながらあまり聴く機会のない隠れた名作。名作「さすらい人幻想曲」はシューベルトの弾きにくい書法をリストが合理的に書き直した版というのも興味津々。スイス出身のシルヴィアーヌ・ドゥフェルヌは清潔なタッチと謳い回しが魅力のベテラン。シューベルトのピアノ曲の美しさが際立つ。
ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
 ピアノ協奏曲〜アダージョ・アッサイ(サマズイユ編曲)/ヴァイオリン・ソナタ/
 ハバネラ形式による小品(セオドア・ドニー編曲)/ヴァイオリン・ソナタ(遺作)/フォーレの名による子守歌/
 歌劇「子供と魔法」〜5時のフォックストロット(アスラン編曲)/2つのヘブライの歌(ガルバン編曲)/ツィガーヌ

 エルザ・グレーテル(Vn) デイヴィッド・ライヴリー(P)
 録音:2021年12月27日-29日、フラゲ、ブリュッセル。エルザ・グレーテルは1980年生まれのフランスのヴァイオリニスト。15歳の誕生日にパリ音楽院でプルミエ・プリを受賞した後、ルッジェーロ・リッチほかに師事した実力派。ラヴェルのヴァイオリン曲といえばソナタやツィガーヌが有名だが、このアルバムは全オリジナル曲のほか、興味深い他人の編曲物も集めている。中でもサマズイユによるピアノ協奏曲の第2楽章や、アスランによる「子供と魔法」の「5時のフォックストロット」は世界初録音。余裕の技巧で、オシャレなラヴェルの音世界を堪能させる。
パーセル:歌劇「ディドとエネアス」(*) /付随音楽「キルケ」(#)
 ジョナス・デスコット指揮レ・ザルゴノートディド
 カミーユ・アレラー(S;ディド(*) ) レナート・ドルチーニ(Br;エネアス(*)、第2司祭(#) )
 ジュリー・ロレ(S;ベリンダ(*)、第2の魔女(#) ) アンテア・ピシャニク(A;魔法使い(*)、第3司祭(#) )
 アナ・ヴィエイラ・レイテ(S;第2の女(*)、第1の魔女(#) )
 録音:2021年9月、シェヌ=ブジュリー寺院、スイス。ジュネーヴを本拠とする古楽団体レ・ザルゴノート。指揮者ジョナス・デスコットの創設で、ギリシャ神話で金羊毛を求めて出帆した歴史上最初の船アルゴ船の英雄たちになぞらえている。彼らの新譜はパーセル唯一の完全な歌劇「ディドとエネアス」。彼30歳の作で、ドラマティックかつ美しいメロディにあふれている。近年注目される若手歌手カミーユ・アレラー、ジュリー・ロレ、アンテア・ピシャニクらが芸達者ぶりを示し至福の時を味わえる。カップリングは同時期の付随音楽「キルケ」。こちらもフレッシュな解釈を聴かせてくれる。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集
 〔第3番 ト長調 K.216 /第4番 ニ長調 K.218 /
  第5番 イ長調 K.219「トルコ風」〕
ゴットフリート・
 フォン・デア・ゴルツ(Vn)
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2021年8月20日-24日、フライブルク・アンサンブルハウス。フライブルク・バロックオーケストラがゴルツの独奏でモーツァルトのヴァイオリン協奏曲に挑戦した。なんと名フォルテピアノ奏者クリスティアン・ベザイデンホウトも通奏低音のみならず指揮にまで挑戦。そこではモーツァルト時代の慣習に従い即興を見せているのも興味津々で、贅沢の極みの通奏低音となっている。ゴルツは1720年カルト・アントニオ・テストーレ製作のバロック・ヴァイオリンを使用。驚くべきパワーと生気に富む演奏で、初めて聴くかのように新鮮な魅力に満ちている。
ストラヴィンスキー:結婚(1919年オリジナル版)/結婚(1919年版)(テオ・フェルベイ完成版)
ロシア民謡「つまらん連中」 / ラヴェル/ロビン・メルヒオール編曲:ボレロ(合唱と小器楽アンサンブル版)

 マテュー・ロマーノ指揮アンサンブル・エデス、レ・シエクル アメリ・レゾン(S)
 ポリーヌ・ルロワ(Ms) マルシャル・ポリア(T) ルノー・ドレーグ(B)
 録音:2022年1月23日、パリ音楽院/2022年2月4日-5日、 RIFFX スタジオ、ブローニュ=ビヤンクール。ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ「結婚」は合唱、4台のピアノと打楽器が織りなす強烈な音響で知られるが、その形態に落着くまで紆余曲折があった。まず1917年に管弦楽用に執りかかるものの中断、1919年には合唱とピアノラ(自動ピアノ)、ハルモニウム、2台のツィンバロン、打楽器用に着手するが、生演奏と機械(ピアノラ)の共演やツィンバロンの名手を2人揃える非現実性に気づき前半で中止、最終的に現行版となった。2007年にオランダの作曲家テオ・フェルベイが1919年版を意図通りに完成させる許可をストラヴィンスキーの遺族から得て、全曲が日の目をみた。ハルモニア・ムンディからルネ・ボスが2005年に完成させた版もリリースされていたが、当アルバムはピリオド楽器のレ・シエクルのメンバーと、その手兵的合唱団アンサンブル・エデスの演奏であることが特別。声楽も正式なロシアの方言指導を受け、農民調に歌っているのが注目。また、ピアノラ(自動ピアノ)は最新コンピューター制御を駆使。プログラミングをさきの補筆完成したルネ・ボスが務めているのも、作品を熟知する点で重要。アンサンブル・エデスのノン・ヴォブラート唱法はリアルで終始ボルテージが高く、ツィンバロンの効果も抜群。ロシアの民謡唱法も巧みに真似し、あたかも前衛演劇を見るような、3大バレエに劣らぬエネルギーの発散と衝撃に満ちている。もうひとつ興味深いのは同じ編成に編曲されたラヴェルの「ボレロ」。リズムは打楽器が担当し、ヴォカリーズによる各歌手とハルモニウムがメロディを受け継ぐが、音楽自体は原曲に忠実。こちらもノン・ヴォブラート歌唱が高貴さから最後の狂気じみた物凄い盛りあがりまで、声の力を堪能させる。ロト指揮の「ボレロ」はまだディスクがないが、レ・シエクルのメンバーのリズム感と引き締まった演奏から想像が広がる。
AP-301
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(3CD)
ジョゼフ・マルシャン(1673-1747):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタを含む組曲
 〔第1組曲 イ調(全8曲)/第2組曲 ロ調(全7曲)/第3組曲 ハ調(全5曲)/第4組曲 ニ調(全7曲)/
  第5組曲 ホ調(全8曲)/第6組曲 ヘ調(全9曲)/第7組曲 ト調(全8曲)〕

 {oh!} トリオ[マルティナ・パストゥシカ(Vn) クシシュトフ・フィルルス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
         アンナ・フィルルス(Cemb/ポジティフOrg)]
 録音:2020年5月、2021年5月、聖ヤン教会、ミコウフ、ポーランド。ジョゼフ・マルシャン(1673-1747)は今日忘れられているが、ルイ14世の音楽家のひとりで、シャペル・ロワイヤル、王の24のヴィオロンなどのバス・ヴィオール奏者を務めた。教師としても名を馳せ、演奏家としては非常に特異なスタイルを持っていたとされる。1707年作のヴァイオリンと通奏低音のための7つの組曲はソナタを含み、恐るべき二重トリルを用いた最初のものとされる。イタリア的な様式ながら和声の美しさやバス・パートの妙技など個性が光る18世紀初頭の宝石。{oh!}トリオは1980年代生まれの3人のポーランドの演奏家が2012年に結成した古楽団体。知られざるマルシャンの作品を生き生きと蘇らせた。
愛〜私の怖れを追い払って  グレトリー:歌劇「立派な人」 / ダレイラク:歌劇「皆既日食」
 クレランボー:ラ・フォンテーヌの「寓話」より〔鹿/イタチ/蛙と牛/狼と子羊/狐とカラス/鷺/アリとキリギリス〕

  エレーヌ・クレール=ミュルジエ、ポリーヌ・ワルニエ指揮コンパニー・レ・モン・ドゥ・ルイユ
  ジャンヌ・ザエプフェル、ハドゥム・トゥーンチ、ルイソン・コステ(S) ギヨーム・グティエレス(T)
 録音:2022年4月7日-10日、シクステ教区館、ランス。2021年はフランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの生誕400年にあたり、フランスでは彼がらみの催や出版が続いた。このアルバムは翌2022年4月の録音だが、フォンテーヌ作品に基づく3つの音楽を収録した好企画。風刺と皮肉に満ちたラ・フォンテーヌの原作を3人の作曲家がオペラ化。「井戸に落ちる占星術師」によるニコラ・ダレイラク(1753-1809)の「皆既日食」は最初のコミック・オペラと称されるもので貴重なリリース。2007年にエレーヌ・クレール=ミュルジエとポリーヌ・ワルニエにより創設されたコンパニ・レ・モン・ドゥ・ルイユ。ランスを本拠に18世紀の知られざる作品の発掘で独自性を示し注目されている。指揮者なしのオーケストラで、ミステリー作家としても知られるチェンバロ奏者クレール=ミュルジエが率い、ワクワクするような世界を作り上げている。
魔術、ライナー・マリア・リルケを讃えて〜ヴラディゲロフ兄弟(1978-)
 アレクサンドル・ヴラディゲロフ:豹/オルフォイスのソネット I より〔 9 / 19 / 22 〕/私/結び
 コンスタンチン・ヴラディゲロフ:愛の歌/魔術/時祷集〔 I / II 〕/人間の言葉は怖い/
                 私は自分自身をさらけ出す/降臨祭/魔術ふたたび
 トリフォン・シヤノフスキー:別離/ピエタ

  アンドレアス・ショル(CT) クラッシミラ・ストヤノヴァ、ヤン・ムキアン、
  サラ・トローベル、テオドラ・ネステロヴァ(S) ウィーン少年cho.団員
  クリスティアン・ライナー、ロベルト・ライナー(朗読)
  コンスタンチン・ヴラディゲロフ(P/バスCl)
  アレクサンドル・ヴラディゲロフ(Tp/フリューゲルHr) モーフィング室内o.団員
 録音、ミキシング:2020年-2021年。アレクサンドル&コンスタンチン・ヴラディゲロフ兄弟は1978年ブルガリア生まれの双子音楽家。同国の大作曲家パンチョ・ヴラディゲロフの孫にあたり、ジャズの世界でも活躍している。このアルバムは大詩人ライナー・マリア・リルケへのオマージュとして彼の詩に作曲。ヴラディゲロフ兄弟の人脈を示すようにアンドレアス・ショルやクラッシミラ・ストヤノヴァ、ウィーン少年合唱団など世界的な演奏陣が並ぶ。ジャケットは「ドクトル・ジバゴ」で有名なボリス・パステルナークの父で画家レオニード・パステルナークによる友人リルケの肖像画。ヴラディゲロフ兄弟の曾祖母はパステルナーク家の出で、その人脈にも驚かされる。作風は現代的でなく、ヒーリング系ポップス風。リルケのファン、ドイツ文学研究家にもオススメ。
ランデヴー
 フレデリック・シャスラン:ソプラノ、トランペットとピアノのための6つの歌「ランデヴー」(2021) (*)
  〔巣から落ちた手(アラン・デュオー詩)/美しい恋人たち(ジャン・コクトー詩)/
   私たちが残すもの(アラン・デュオー詩)/そこにはいない熊へのバラード(ボリス・ヴィアン詩)/
   忘却(アラン・デュオー詩)/僕はスノッブ(ボリス・ヴィアン詩)〕
 アリエル・ビュトー詩:手(#) /夜(#) /ドレープ(#) /6月(#) /白(#) /緑(#)

 ジュリー・シェリエ=ホフマン(S;*) リュシエンヌ・ルノーダン・ヴァリ(Tp;*)
 フレデリック・シャスラン(P;*) ピエール・アルディーティ(朗読;#)
 録音:2022年1月10日-14日、マリ=エコール、ヴィーニュル・レ・アトンシャテル。歌曲にピアノとトランペットを組み合わせることはジャズやタンゴでは日常に行われるが、クラシックではあまり例がない。この編成の6曲からなる最新作「ランデヴー」の作曲者はフレデリック・シャルラン。パリ管等でダニエル・バレンボイムのアシスタントを務め、アンサンブル・アンテルコンタンポランの指揮者も務めた鬼才で、ここでは見事なピアノ伴奏も披露している。ジャン・コクトー、ボリス・ヴィアン、アラン・デュオーの詩により、作風は現代的でなく、シャンソンのようにオシャレでシックな世界。1999年生まれのトランペットのスター、リュシエンヌ・ルノーダン・ヴァリが共演しているのも豪華。まさに「ジャンルを超えた新星」の呼び声通りのポップな感覚で主役のような存在感。また各曲の間にアリエル・ビュトーの詩をはさみ、名匠ピエール・アルディーティがフランス語の美しい朗読も味合わせてくれる。
シューマン
 幻想曲 ハ長調 Op.17 /
 アラベスク Op.18 /子供の情景 Op.15 /
 子供のためのアルバム第30番 Op.68 No.30
ファブリツィオ・
 キオヴァッタ(P)
 録音:2022年3月5日-7日、グスタフ・マーラー・ザール、ドッビアーコ、イタリア。師のバドゥラ=スコダから「繊細にして熱い感情が伝わる演奏」と激賞されたスイスのピアニスト、ファブリツィオ・キオヴェッタ。彼がシューマンに挑戦。キオヴェッタはクラリネットのパトリック・メッシーナとシューマン夫妻のクラリネット曲のアルバム (AP-153)をリリースし、詩情あふれる演奏が注目されていたが、今回はシューマン20代後半の名作3篇。いずれも幸せな情感に満ちたものばかりで、キオヴェッタの明るく前進的な演奏によく合っている。
パリの夜
 ドビュッシー:美しき夕暮れ(ハイフェッツ編曲)/ヴァイオリン・ソナタ
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(フルーリー編曲)/ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
 プーランク:プレスト(ハイフェッツ編曲)/ヴァイオリン・ソナタ
 ミヨー:「スカラムーシュ」〜ブラジレイラ(ハイフェッツ編曲)/シネマ幻想曲〔屋根の上の牛〕

 マノン・ギャリー(Vn) ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサン(P)
 録音:2022年9月8日-11日、エリザベート王妃音楽チャペル、ベルギー。1996年トゥールーズ生まれの美人ヴァイオリニスト、マノン・ギャリーと、1994年キューバ生まれのピアニスト、ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサンのフレッシュなアルバム。20世紀初頭、ベル・エポック時代頃の4人のフランスの作曲家のオリジナル作品に、ハイフェッツが編曲した彼らの小品(ラヴェル以外)を対にして魅力を発散している。チャップリンの映画のために書いたミヨーの「シネマ幻想曲」は名作「屋根の上の牛」のオリジナル。ガルシア・ロルカ追悼に書かれたプーランクのヴァイオリン・ソナタのスペイン感をピアノのゴンザレス・ブアハサンが絶妙に表現しているのも聴き物。
モーツァルト:始まりと終わり
 交響曲第1番 変ホ長調 K.16 /
 ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488 /
 交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
マキシム・
 エメリャニチェフ(P)指揮
イル・ポモ・ドーロ
 録音:2022年6月28日-30日、ノートルダム・デュ・リバン、パリ。エメリャニチェフがモーツァルトの大プロジェクトに着手した。手兵イル・ポモ・ドーロを指揮して交響曲全集に挑戦する。さらに魅力なのは、毎回フィルアップに協奏曲が入ること。ピアノの場合はもちろんエメリャニチェフが独奏を務める。エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されたが、現在ではイル・ポモ・ドーロを指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースし高い評価を得ている。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッドなうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっている。モーツァルトは彼らのレパートリー・イメージからは新しい方の作曲家だが、もともとエメリャニチェフ最愛の作曲家であり、シリーズで深く探求することでともに音楽的な成長も目指しているとのこと。第1弾は第1番と第41番のカップリング。単に最初と最後の番号というだけでなく、第1番第2楽章の主題(ジュピター音型)が「ジュピター」終楽章の壮大なフーガで用いられていることも再認識させる。今回のフィルアップはピアノ協奏曲第23番。フィルアップどころか一番聴いてみたいと思う向きも多いはず。1823年グラーフのフォルテピアノのレプリカを用い、「ダ・ポンテ三部作」以上に自在で魅力的な演奏を繰り広げている。
スペインの思い出
 トゥーリナ:闘牛士の祈り Op.34 /弦楽四重奏曲「ギター風」 Op.4 /セレナータ Op.87
 カステルヌオーヴォ=テデスコ:ギター五重奏曲 Op.143 (*)
  バイロンSQ マッテオ・メーラ(G;*)
 録音:2022年3月3日-7日。スペインがらみの室内楽。トゥーリナはピアノ曲や歌曲が有名だが、弦楽四重奏作品も残している。いずれもスペイン色濃厚で、ギター曲を弦楽で奏しているような感がある。カステルヌオーヴォ=テデスコはイタリア人だが、先祖がスペインのセファルディだったことからスペイン文化にも造詣が深く、ギター五重奏曲もその影響が見受けられる。バイロン四重奏団はスイスの団体。バイロン卿に敬意を表した名称で、パリ音楽院でイザイ四重奏団に学んだ後、アルバン・ベルク、ハーゲン、クリーヴランド、ベルチャの各四重奏団のマスタークラスに参加した。
ギター・デュオのモーツァルト、ハイドン、
  シューベルト
〔編曲:カラマーゾフ&シュタイドル〕
 ハイドン:ピアノ・ソナタ第49番 変ホ長調
 モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475
 シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ D.821
エディン・カラマーゾフ、
パヴェル・シュタイドル(G)
 録音:2022年3月3日-5日、ジャルディーノ・スタジオ、クレマ。イタリア。18世紀半ばのウィーンはヨーロッパ音楽文化の中心地だったが、ギター文化も盛り上がり、オリジナル作品が乏しかったゆえ多くの有名作品編曲が現れた。当アルバムは演奏者エディン・カラマーゾフとパベル・シュタイドルが当時の象徴的な3作品の2本のギター用に新編曲。ギターはその後タレガやセゴビアの出現により新しく合理的な奏法が開発されたこともあり、ふたりはより効果的な編曲を施した。ハイドンとモーツァルトはピアノ曲だが、フォルテピアノのように微妙なニュアンスが絶美。シューベルト作品はもともとの楽器アルペジオ-ネがギターの遺伝子を継いでいるためより「目から鱗」の連続にびっくり。非常な難曲ながらカラマーゾフとシュタイドルは見事な演奏を披露している。
女たち
 メキシコ伝承曲:カスティリャのバラ〔器楽版/声楽版〕/小さな花/泣き虫/ペテネーラ/海の波
 ボリビア伝承曲:マリア、すべてがマリア/別れ
 神は苦しみのために生まれたもうた(フアナ・イネス・デ・ラ・クルス〔メキシコ〕)
 ラ・マルティニアーナ(アンドレス・エネストローサ〔メキシコ〕)
 ロンヒーナ(マヌエル・コローナ・ライムンド〔キューバ〕)/ビオレータ・パラ:呪われた心〔チリ〕/
 アリエル・ラミレス:アルフォンシーナと海(フェリクス・ルナ〔アルゼンチン〕)/
 あなたの悲しみに泣く(ルシアーナ・オルティス・エレッラ〔アルゼンチン〕)

 ディアナ・バローニ(歌/トラヴェルソ/キハーダ)
 ロナルド・マルティン・アロンソ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ラファエル・グエル・フリアス(バロックG/笛/Perc/歌)
 録音:2021年4月、シルヴァネス修道院。アルゼンチン出身のディアナ・バローニは、古楽のみならずラテンアメリカのフォークロアを探求する興味深い活動を見せるトラヴェルソ奏者。このアルバムはラテンアメリカ女性の作あるいは女性を讃えた音楽を集めた興味深い内容となっている。ラテンアメリカの音楽ならではの情熱と明るさも感じさせ、トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロックギターの温かみのある音色と妖艶な歌声で植民地時代から今日まで、新世界の傑出した女性たちに敬意を表している。

EVIDENCE (仏) 特記以外 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 APARTÉ の妹的な役割を担い、フランスの若手を中心としたリリースのレーベル。 旧譜はこちらから
母のソングブック〜リストによるピアノ編曲版歌曲集 + ペトラルカのソネット
 シューベルト/リスト編曲:糸を紡ぐグレートヒェン/セレナード/魔王/アヴェ・マリア/水に寄せて歌う/若い尼僧/ます
 シューマン/リスト編曲:献呈 / リスト:ペトラルカのソネット〔第47番/第104番/第123番〕
 ショパン/リスト編曲:春/指環/バッカナール/家路

 エレーナ・ロザノヴァ(P)
 録音:2020年6月15日-18日、ボレロ・スタジオ、ヴィルティエリー。エレーナ・ロザノヴァは1969年オデッサ生まれ。モスクワ音楽院でナセトキンとモギレフスキーに学び、ハルモニア・ムンディやコンティヌオ・レーベルからロシア作品によるアルバムをリリースしている。最新アルバムはリストがピアノ用に編曲したシューベルト、シューマン、ショパンの歌曲とリストのペトラルカのソネット集。これらの歌曲は声楽家だったロザノヴァの母が愛唱していたもので、子守歌がわりだった思い出の曲ばかり。ロザノヴァは自身の楽器ピアノでこれらの歌をたっぷり歌いこんでいる。
ラフマニノフ
 ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.36 (1931年改訂版)/前奏曲〔ニ長調 Op.23 No.4 /ロ短調 Op.32 No.10 〕/
 楽興の時 Op.16(全6曲)/ヴォカリーズ Op.34 No.14(アラン・リチャードソン編曲)

 ジャン=ポール・ガスパリアン(P)
 録音:2021年2月、シンガー=ポリニャック財団、パリ。1995年生まれのフランスのピアニスト、ジャン=ポール・ガスパリアンの第3弾はラフマニノフ作品集。パリ音楽院でベロフ、デゼール、チッコリーニ、ダルベルトに師事した彼はフランス・ピアニズムの継承者。第1弾でもラフマニノフの難曲「音の絵」 Op.39をとりあげたが、今回はピアノ・ソナタ第2番をメインに技巧派ぶりを示しつつも、詩的で高貴な世界が魅力。ソナタは改訂版を使用。最後に収められた「ヴォカリーズ」は、ギレリスも愛奏したアラン・リチャードソン編曲版で、ロマンティックに謳いあげている。
ラヴェルへの感化〔編曲:エスプレ(*)、クザン(#)、トリオSR9 (+)〕(CD)
 ラヴェル:スペイン狂詩曲〜祭り(*/p) /夜のガスパール(*)
 ラフマニノフ(クザン編):チェロ・ソナタ Op.19 〜第2楽章 アレグロ・スケルツァンド(#/vc)
 ダニエル・アランゴ=プラダ:3台のプリペアード・マリンバのための「プリズム」(2021)
 ファリャ:はかなき人生〜スペイン舞曲〔第1番(*) /第2番(#) 〕
 フォーレ(編):ゆりかご Op.23 No.1 (+)

 トリオ SR 9 [ポール・シャンガルニエ、ニコラ・クザン、アレクサンドル・エスプレ(マリンバ)]
 カイリー・クリストマンソン(Vo;+) アストリグ・シラノシアン(Vc;vc) シャニ・ディルカ(P;p)
 録音:2021年9月29日、10月27日-31日、シテ・ド・ラ・ミュジーク。10年ほど前にリヨンで結成されたトリオSR9。これまでnaiveレーベルからマリンバ・トリオによるバッハ集やバロック舞曲集をリリースしてきたが、今回はevidenceレーベルからラヴェルを中心とした作品に挑戦。メインは3台のマリンバによる「夜のガスパール」。オリジナルはラヴェル作品中最難のピアノ曲だが、無謀にもマリンバのみにしているのが聴き物。ラヴェルはフランスの作曲家だが、スペインとロシアの音楽から影響を受けているとされる。ここではラフマニノフのチェロ・ソナタのアブない感覚の第2楽章とファリャのフラメンコ風なスペイン舞曲をマリンバで見事に表現している。さらにラヴェルの恩師フォーレの優しい子守歌も収録。3台のマリンバのみならず、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」の祭りにはフォルジュルネ音楽祭でお馴染みのスリランカ系の名手シャニ・ディルカ、ラフマニノフのソナタはアストリグ・シラノシアン、さらにフォーレではカナダのシンガーソングライター、カイリー・クリストマンソンという豪華ゲストが参加しているのも注目。
イタリアのピアノ音楽 1900-20
 マリピエロ:月に寄せる小詩集(全7曲)(1909/10) /
       アーゾロ詩集(全3曲)(1916)
 レスピーギ:甘美なワルツ/夜曲/
       グレゴリオの旋律による3つの前奏曲
ノルベルト・コルディスコ・
 レスピーギ(P)
 録音:2021年10月4日-6日、サル・コロンヌ、パリ。ノルベルト・コルディスコ・レスピーギは、2017年に先祖のレスピーギ自身の4手編曲による「ローマの噴水」と「ローマの松」「リュートのための古風な舞曲とアリア」で鮮烈なデビューを果たしたピアニスト。今回はマリピエロと先祖の独奏曲に挑戦した。1984年生まれ。パリのエコール・ノルマルでヴェロニク・ボヌカズに師事。チッコリーニとルイサダにも個人レッスンを受けている。ピアニストのかたわらBNPパリバ・グループで税務管理をするビジネスマンという顔も持つ異色の名手。どうしてもオペラ中心のイタリア音楽のなかで、マリピエロの「月に寄せる小詩集」はドビュッシー風の音遣いにイタリア的な空気感を感じさせる独特なの世界を作っている。レスピーギの「甘美なワルツ」と「夜曲」は「6つのピアノ曲」の第1、第3曲で、ロマンティックな情感にあふれている。「グレゴリオの旋律による3つの前奏曲」は懐古的な様相を深め、凝った技法によりながらもシンプルに響く。後にオーケストレーションされ「教会のステンドグラス」という作品になった。ノルベルト・コルディスコ・レスピーギはオーケストラ的な迫力と色彩で聴き手を引きつける。
ユディット&セメレ〜ジャケ・ド・ラ・ゲール
 聖書カンタータ「セメレ」/トリオ・ソナタ第4番 ト短調/聖書カンタータ「ユディット」/
 組曲 ト長調(ヴァイオリンでも演奏可能なクラヴサン小品集)

 エロイーズ・ガイヤール指揮アンサンブル・アマリリス マイリス・ド・ヴィユトレイ(S)
 録音:2021年11月5日-7日、ラ・クロワ、アントルーグ=シュル=ラ=ソルグ。17世紀フランスを代表するクラヴサンの名手にして女性作曲家エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲール。フランス・バロックの作曲家ダカンが夫の甥で、彼のクラヴサン曲にも影響を及ぼしている。ジャケ・ド・ラ・ゲールはクラヴサン曲のみならず、世俗・神聖両カンタータも多数残している。そのなかから旧約聖書に登場するふたりの女性、勇気と美徳を体現したユディト、節度と尊厳を体現したセメレを描いた2篇をエロイーズ・ガイヤール率いるアンサンブル・アマリリスが美しく再現。ジャケ・ド・ラ・ゲールの天性のドラマ的感覚が光る。アンサンブル・アマリリスは1994年結成の女性団体。器楽作品であるトリオ・ソナタ第4番は、半音階や大胆な和声などコレッリの影響を感じさせる新しい楽器法と、彼女ならではのフランス的な装飾技法の融合が興味深い作品。アンサンブル・アマリリスのフレッシュな演奏で味わえる。
7つの典礼〜リスト:宗教作品集 1869-84
 タントゥム・エルゴ/クリスマスの歌(おお聖なる夜)/キリストの御魂、われを聖ならしめ給え/わが魂は主をあがめ/
 聖セシリア/リベラ・メ/おお、血と涙にまみれた御頭よ/十字架にかけられ/7つの典礼/パーテル・ノステル III

 ドミニク・ヴェラール指揮アンサンブル・ジル・バンショワ
 シプリアン・サデク合唱指揮アルティテュードcho. クルト・リューデル(ハルモニウム)
 録音:2021年8月23日-26日。フェレンツ・リスト(1811-1886)の晩年の宗教作品集。リストはなんといってもヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして、そしてその後も交響詩などの分野で華々しく世界に名をとどろかせたが、1865年には僧籍に入るなど、その人生の後半以降は、宗教音楽の分野にも積極的に取り組むようになる。当時形骸化していた宗教音楽をそもそもの姿にもどし、神のメッセージや神秘的なものを伝えられるような作品を書き、宗教音楽への地位を回復しようと努めた。リストの音楽による説話は、過去のリストのピアノ作品などの音世界とと比べれば控えめに感じられるかもしれないが、それでもなおあふれ出る音楽が感じられ、時には大胆な和声もみられる。ドミニク・ヴェラールは1869-84年の間の、リストの宗教作品の中でもあまり知られていない作品を選び、リストが音に込めた敬虔な祈りを見事に音化している。
星のもとで
 リリ・ブーランジェ/ナンテ編曲:悲しみの夕べ/春の朝に / ルイ・トラヴノル:眠り(1734)
 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ト短調 RV.439 「夜」/チェロ協奏曲 変ロ長調 RV.501 「夜」
 イザイ:悲しみの詩曲 Op.12 (ナンテ編曲)/子供の夢 Op.14 / アレックス・ナンテ:星のもと(2019)

 マリアンヌ・ピケッティ(Vn) ル・コンセール・イデアル
 録音:2022年2月15日-19日、 ACB 国立舞台、バル=ル=デュク。パリ音楽院とジュリアード音楽学校で学び、パールマンやメニューインの薫陶を受けたマリアンヌ・ピケッティ。彼女を慕う人々と2013年に発足した団体ル・コンセール・イデアルの最新録音。テーマは夜。各作曲家にとり夜とその魅力は何かを探る音楽の旅となっている。ヴィヴァルティの陽気な騒ぎ、リリー・ブーランジェの憂鬱な夜、イザイの詩的な夢までフランス、イタリア、ベルギー、アルゼンチンの夜空を眺めるような味わいに満ちている。1992年アルゼンチン生まれの作曲家アレックス・ナンテはピケッティと親しく、「星のもと」は彼女の委嘱作。
ここで止まって〜小アジアのスケッチ
 ヴェラール/カヴァフィス詩:ここで止まって/1903年の日々/1903年12月 / キプロス伝承歌:聖母の嘆き
 即興〔ヒカスカル旋法による/キュルディ旋法による/ニクリズ旋法による〕 / スミルナ伝承曲:鎖より重い
 セファルディ民謡:私は許嫁を送った/あなたの扉を開けて / ペロポネソス伝承曲:今、鳥たちが

  ニクリズ・シルトオウレリア・ラムプロポウロウ(サントゥール) ドミニク・ヴェラール(歌/ウード)
 録音:2022年5月12日-16日、サン=フロラン教会。ギリシャ近代を代表する詩人コンスタンディノス・カヴァフィス(1863-1933)が提唱した小アジアに放浪の終止符を求めた集団を歌った詩にドミニク・ヴェラールが付曲したものと、各都市に伝わる歌を集めた東方的味わいの濃いアルバム。ギリシャやトルコの旋法に基づくサントゥール(ツィンバロン風楽器)の即興がはさまれている。アンサンブル・ジル・ヴァンショワのリーダーでもあるドミニク・ヴェラールの多才ぶりに感心させられる。

MIRARE (仏) 特記以外 1枚あたり¥3520(税抜¥3200)

 旧譜はこちらから
MIR-488
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(5CD)
2CD価格
シューベルト:弦楽四重奏曲全集
 〔第1番 D.18 /第4番 ハ長調 D.46 /第13番 イ短調 D.804 「ロザムンデ」/第2番 ハ長調 D.32 /
  第6番 ニ長調 D.74 /第10番 変ホ長調 D.87 /第3番 変ロ長調 D.36 /第8番 変ロ長調 D.112 /
  第11番 ホ長調 D.353 /第5番 変ロ長調 D.68 /第9番 ト短調 D.173 /第14番 ニ短調 D.810 「死と乙女」/
  第12番 ハ短調 D.703「四重奏断章」/第7番 ニ長調 D.94 /第15番 ト長調 D.887 〕

 モディリアーニSQ
  [アムリ・コエイトー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1773年製)
   ロイック・リョー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1780年製)
   ローラン・マルフェング(Va|使用楽器:マリアーニ、1660年製)
   フランソワ・キエフェル(Vc|使用楽器:マッテオ・ゴフリラー "ex-Warburg" 、1706年製)]
 録音:2021年2月-3月、9月-11月。シューベルトの弦楽四重奏曲は、どれもが美しい旋律と抒情に満ちた、音楽史上の至宝。2003年に結成されたモディリアーニ弦楽四重奏団が、2021年の2月から10月まで、ほぼ1年間をかけてじっくり全曲録音に取り組んだ。一挙にボックスセットとしてリリースする。全体をとおして素晴らしいバランスのアンサンブル。ひとつのパートが旋律を奏でている時も、他のパートも実に気持ちよいバランスで響いており、ハーモニーを奏でているひとつひとつの瞬間のどこを切り取っても、端正で美しいバランス。それぞれの出るところと引くところの駆け引きも見事。縦と横の線の完ぺきなバランス、そして心地よい抑制感、つねに豊かに漂う抒情、と実に美しいシューベルトの登場。
エル=バシャ・プレイズ・ショパン
 24の前奏曲 Op.28 /幻想曲 ヘ短調 Op.49 /
 子守歌 Op.57 /舟歌 Op.60
アブデル・ラーマン・エル=バシャ
(P|使用楽器:ベヒシュタイン 282
 録音:2020年1月8日-12日、ヴィルファヴァール農場。アブデル・ラーマン・エル=バシャはショパンを全作品暗譜しているとされ、協奏曲を含む全集録音がある。還暦を迎え円熟の至芸で再録音に挑み始めた極上のシリーズ。2021年のバラートとスケルツォに続き、第2弾は24の前奏曲をメインに3つの単独作品をフィルアップ。ベヒシュタイン・ピアノの陰影に満ちた深い音色と、落ち着いたピアニズムで大人のショパンを聴かせてくれる。
ボヴァリー夫人の音楽
 ファニー・メンデルスゾーン:1年 より〔5月 春の歌/9月 川辺で/6月 セレナード〕/夜曲 ト短調/メロディ
 ポリーヌ・ヴィアルド:セレナード / ショパン:3つの夜奏曲 Op.9
 ドリーブ/ドホナーニ編曲:コッペリアのワルツ / ルイーズ・ファランク:ロシアの歌変奏曲
 リスト:「ルチア」の回想 / クララ・シューマン:ローベルト・シューマンの主題による変奏曲

 ダヴィド・カドゥシュ(P)
 録音:2021年7月12日-16日、ポワチエ公会堂。フローベールの名作「ボヴァリー夫人」は1856年に発表、翌年出版され大ベストセラーとなった。妄想癖のある田舎娘エマが、医師シャルルに見初められ結婚したものの退屈な夫と生活から不倫を繰り返し、加えて夫に無断で借金も重ね、最後は自ら命を絶つまでがリアリスティックなタッチで描かれる。文学と音楽の関係に関心の深いダヴィッド・カドゥシュは、エマ・ボヴァリーと音楽についてこのアルバムを編みた。とはいえ、ボヴァリー夫人を描いたミヨーのピアノ曲はあえて避け、また作品中に具体的な音楽があまり登場しないため、彼女が短い生涯で聴いたかもしれないであろう曲を妄想している。中心はファニー・メンデルスゾーンの「1年」と題された組曲の抜萃。物語の季節と合わせ、エマ・ボヴァリーの心情を綴る。また作者フローベールと親しかったポリーヌ・ヴィアルドの珍しいピアノ曲を選んでいるのも興味津々。また作品中エマが夫とルーアンのオペラハウスで観るドニゼッティの「ランメルムールのルチア」はリストのパラフレーズで披露。最後は狂乱するルチアとエマの運命を重ねる。またクララ・シューマンが夫ローベルトの主題で書いた変奏曲もエマと浮気相手レオンとの交情を暗示させる。フランス文学に興味のある方々にオススメ。
ドビュッシー、アーン、ストラヴィンスキー
 ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
 レイナルド・アーン:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調
 ストラヴィンスキー:協奏的二重奏曲
アイレン・プリッチン(Vn)
ルーカス・ゲニューシャス(P)
 録音:2021年12月1日-3日、サンクトペテルブルク放送局。クルレンツィス率いるムジカ・エテルナ初来日時のコンサートマスターを務め話題となったアイレン・プリッチン。2019年の第16回チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門4位だったが、その前(2015年第15回)のピアノ部門第2位だったルーカス・ゲニューシャスと魅力的なアルバムを作った。ドビュッシー(1917)、アーン(1926)、ストラヴィンスキー(1932)のオリジナル曲を並べているが、それぞれ1910年代、20年代、30年代のパリ文化移りかわりを香らせつつ作曲者たち独自の美学を示している。大歓迎なのがレイナルド・アーンのソナタ。魅力的なメロディにあふれ近年録音も増えているが、真打の登場となる。プリッチンは一目惚れで虜になったそうで、彼に紹介されたゲニューシャスも「自分の人生の困難な時期を慰め癒してくれ、以来アーンはシューベルトと同等に彼の音楽的思考を支配する存在になった」と絶賛している。両者の思いの強さにより、単に流麗でさわやかなだけでなく、ベルエポック文化への苦い郷愁や相方だった文豪プルーストとの親密な対話など複雑な思いが見えて来て、この作品の新たな評価へつながる見事な演奏となった。
夜への頌歌〔編曲:ロラン・ピドゥー(*以外)、ルノー・ギウ(*) 〕
 ビゼー:「真珠採り」〜耳に残るは君の歌声 / オーギュスタ・オルメス:「ルードゥス・プロ・パトリア」〜夜と愛
 フォーレ:月の光 Op.46 No.2 / ドヴォルジャーク:「ルサルカ」〜月に寄せる歌)
 シューベルト:セレナード D.957 No.4 /君こそわが憩い D.776 /夜 D.983 No.4 /森の中の夜の歌 D.913
 グノー:「サン=マール」〜輝かしい夜
 ブラームス:静かな夜に WoO.34 No.8 /森の夜 Op.62 No.3 /
       夜警「静かな胸の音」 Op.104 No.1 /夜警「あなたは眠っているか」 Op.104 No.2
 サン=サーンス:夜の静けさ Op.68 No.1 / リヒャルト・シュトラウス:夢の光 Op.123 No.2
 ドビュッシー/:「夜想曲」より(*) 〔雲/祭〕

 チェロ8[ロラン・ピドゥー、ラファエル・アッレギーニ、ヤニス・ブドリス、
  アルベリク・ブルノワ、ノエ・ドレダク、レオ・イスピル、エリオット・レリドン、ソニ・シェチンスキ]
 録音:2022年10月9日-13日、サル・コロンヌ。チェロ・アンサンブルといえば「BPOの12人」が有名だが、その後8人アンサンブルが多く現れている。2006年ナントのフォルジュルネ音楽祭で、ルネ・マルタンも巨匠ロラン・ピドゥーをリーダーとする「レ・ヴィオロンチェレス・フランセ」をプロデュース、2009年には「メディテーションズ」というアルバムをリリースさせた。その後ピドゥーは「タラン&ヴィオロンチェレス」という協会を創設し、若いチェリストの育成に務めている。そこから選んだ7名を率い、2023年ナントのフォルジュルネ音楽祭のテーマ「夜」にちなんだ新アルバムをリリース。作曲家たちがさまざまな夜の雰囲気を描いた声楽作品を基にピドゥーとルノー・ギウが編曲している。
バッハ=アーベル・ソサエティ
 J.C.バッハ(1735-1782):四重奏曲 Op.8 No.4 /ヴァイオリン・ソナタ Op.16 No.3
 カール・フリードリヒ・アーベル(1723-1787):
  プレリュード〔ニ短調/二長調〕/ソナタ ハ短調(マルツァン・コレクション)/四重奏曲 ト長調
 ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809):スコットランド歌曲集 より
 ヨハン・ザミュエル・シュレーター(1753-1788):チェンバロ五重奏曲 ハ長調 Op.1 No.1 /ソナタ Op.7 No.6

 レ・ゾンブル
  [マルゴー・ブランシャール(ヴィオラ・ダ・ガンバ) シルヴァン・サルトル(Fl)
   フィオナ・マガウン(Ms) テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn)
   ジュスタン・テイラー(ピアノフォルテ) ハンナ・サルツェンシュタイン(Vc)]
 録音:2021年2月。1765年、ロンドンに居を構えたヨハン・クリスティアン・バッハは、友人のカール・フリードリヒ・ア-ベルとともに、英国初の予約制定期演奏会である「バッハ・アーベル・コンサート」を設立した。人気音楽家たちが出演し、時にはハイドンの作品をイギリスで初めて演奏、当時の音楽シーンを先取りした豪華な内容のサロンだった。ここでは、ジュスタン・テイラーやド・スワルテといった若手注目株の奏者たちも参加のアンサンブル "レ・ゾンブル "が、18世紀後半のロンドンの催しの典雅な世界に聴き手をいざなう。
モーツァルト
 ピアノ協奏曲第14番 変ホ長調 K.449 /
 ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K.382 /
 ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414
セリム・マザリ(P)
ポール・メイエ指揮
マンハイム・プファルツ選帝侯室内o.
〔マンハイム・チェンバーo. 〕
 録音:2021年3月16日-19日、マンハイム・エピファニー教会。1992年生まれのセリム・マザリ、ベートーヴェンの変奏曲CD(MIR-488)で注目された彼の最新盤はモーツァルトの協奏曲。パリ音楽院でエンゲラーに師事し、2012年にエンゲラー没後はクレール・デゼールからさらなる研鑽を積んだ。その後ロンドン王立音楽大学でアレクセーエフにも学んでいる。古典派作品に熱意を示す彼だけに、モーツァルトはうってつけの選曲。バックを務めるのは名クラリネット奏者でもあるポーツ・メイエ率いるマンハイム・プファルツ選帝侯室内o. (マンハイム・チェンバーo. )。1952年創立でマンハイム楽派のレパートリーの再発見と普及で知られる団体。マザリの格調高いピアノと相まって典雅極まりない世界を作り上げている。
ファニー&フェリクス・メンデルスゾーン
 ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル(1805-1847):
  ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.11
 フェリクス・メンデルスゾーン(1809-1847):
  ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.49
トリオ・ショーソン
 録音:2021年4月。結成20年を迎えたトリオ・ショーソン。2021年に結成20年を迎えた。いつもみずみずしく、勢いがよくあたたかみのある演奏で、世界中で高く評価されている。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で来日もしており、彼らの演奏は絶賛された。そんな彼らがこのたび録音したのが、メンデルスゾーン。ファニーとフェリックス姉弟のピアノ三重奏曲をカップリングした。フェリックスのピアノ三重奏曲はピアノ・パートが難しいことでも知られているが、この演奏はそうしたことをまったく感じさせない、心地よい疾走感に満ちた演奏。そして、ファニーは弟のフェリックスを上回る才能の持ち主とはよくいわれているが、この盤を聴くと、ファニーの作品の素晴らしさがあらためてよくわかる。なによりトリオ・ショーソンの音楽が素晴らしい1枚。
リスト:超絶技巧練習曲 S.139 ガブリエル・スターン(P)
 録音:2021年5月14日-17日、スイス。ヴィルサラーゼも「その比類なき芸術的献身が、彼にしか表現しえない世界を実現させている」と手放しで絶賛する逸材ピアニスト、ガブリエル・スターン。1992年生まれ、スイスの音楽院でセドリック・ペシャのもとで学んだのち、ヴィルサラーゼのもとでさらなる研鑽を積んだ。さらに、カサール、ルイサダ、リフシッツ、ジャック・ルヴィエらにも薫陶を受けている。「リストの再来」を思わせるそのテクニックと、知的で見通しのよい音楽づくりは世界から高い評価を受けている。リストはその超絶技巧練習曲によって、ピアノのヴィルトゥオジティを、過去のものとは比べられないくらい、そして現代でも超えられないものへと一気に高めました。これらの曲に取り組むのは、まず技術がないと歯が立たないが、さらにリストが盛り込んだ詩情や風景、文学的背景への理解が奏者には求められる。つまりは超難曲。とにかく第1曲の前奏曲のひとつめの音から、スターンがとてつもないピアニストであることがはっきりとわかる。壮大な宇宙が広がる。リストの再来を思わせるようだ。テクニックには充分余裕があり、さらに音楽も素晴らしい。ガブリエル・スターン、おそるべき注目ピアニスト。
ヴィリアンクール・プレイズ・フランク
 交響詩「ジン」(*) /
 前奏曲、コラールとフーガ/
 交響的変奏曲(*) /
 前奏曲、アリアとフィナーレ
タンギ・
 ド・ヴィリアンクール(P)
クリスティーナ・ポスカ指揮(*)
フランダースso.(*)
 録音:2021年4月26日-29日、ブルージュ・コンセルトヘボウ。1990年生まれのフランス期待の名手ヴィリアンクールが、2022年アニヴァーサリー・イヤーのフランクに挑戦した。ピアノ独奏曲の代表作「前奏曲、コラールとフーガ」「前奏曲、アリアとフィナーレ」に加え、ふたつの協奏作品も収めたフランクのピアノ音楽を満喫できるアルバム。大器晩成と言われるフランク円熟期の作ばかり。いずれも外面的効果は薄いものの、フランクならではの難技巧にあふれ、またオルガン的な壮麗さにも満ちている。さらに和声や循環主題などワーグナーの影響も感じさせる。ヴィリアンクールは5年前にリストのワーグナー編曲を全曲録音したことが糧になっていることが技術、解釈に反映されているのか説得力満点なのに驚かされる。もちろんフランス的な洒脱さもあり、理想的なフランク像を作り上げている。交響詩「ジン」と交響的変奏曲は、エストニア出身の女性指揮者クロイスティーナ・ポスカ指揮フランダースso. と共演。ポスカは1978年生まれ、オペラ指揮で注目された。「ジン」はヴィクトル・ユーゴーの作品に基づき、また交響的変奏曲も物語性を感じさせるため、彼女のドラマ作りの巧さが光る。
Ellipses 〜円
 ジョヴァンニ・ソッリマ(1962-)/ボッケリーニ:ファンダンゴ / ドビュッシ:チェロ・ソナタ
 ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番「アリア」(チェロとギターのための編曲版)
 ヴィレム・デ・フェッシュ(1687-1761):シシリエンヌ(バロック・チェロとチェンバロ)
 フォーレ:シシリエンヌ Op.78 (チェロとピアノ)
 マリア・テレジア・フォン・パラディス(1759-1824):シシリエンヌ(チェロとピアノ版)
 ヨハン・エルンスト・ガイヤルド(1687-1747):シシリエンヌ(バロック・チェロとチェナロ)
 マラン・マレ/セルバン・ニキフォル編曲:スペインのフォリア(チェロとチェンバロ版)
 ティエリー・エスケシュ:無伴奏チェロのためのラ・フォリア
 ジュール・マットン(1988-):バロック・チェロとチェンバロのための「 Detail 〔細部〕」(世界初録音)
 コベーキン:チェロとタンブーランのためのハヤルド

 アナスタシヤ・コベキナ(Vc|使用楽器:ストラディヴァリウス、1698年製
 ヴァンサン・ボッカドーロ(P) エマニュエル・アラケリアン(Cemb)
 ティヴォー・kヴァン(G) トリスタン・ペレイラ(Perc)
 録音:2021年5月3日-6日。アナスタシヤ・コベキナ、注目盤の登場。コベキナは1994年エカテリンブルクの音楽一家に生まれ、4歳でチェロをはじめ、モスクワ音楽院で学んだのち、パリ音楽院、そしてフランクフルト音楽院でバロック・チェロを学んでいる。2019年6月には第16回チャイコフスキー国際コンクールで第3位に入賞、その実力と演奏に世界が魅了されている存在。18世紀、無伴奏チェロのために書かれた最初期の作品から現代までのチェロ作品を自在に組み合わせて、チェロの歴史を俯瞰するようなプログラムとなっています。現代の作曲家の作品は、バロック作品にインスパイアされて書かれた物。超絶技巧を要求されるものが多いが、コベキナは独特の存在感をたたえた音色で、雰囲気たっぷりに奏でている。共演の楽器も、カスタネットが効果的に響いたり、実に豊かな世界。ドビュッシーのソナタは哀愁も感じさせつつ、美しい弱音で聴かせる。コベキナの魅力にあふれた1枚、注目。
ラ・ファヴォリート〔お気に入り〕
 ジャック・デュフリ(1715-1789):クラヴサン曲集第3巻
 ジャン=バティスト・カルドンヌ(1730-1792):ヴァイオリンをともなうクラヴサンのための
  ソナタ集第1巻(ドーフィーヌ夫人に捧ぐ) より〔第4番「ラ・ファヴォリート」/第6番〕
 ジャン=ジョゼフ・カサネア・ド・モンドンヴィル(1711-1772):
  通奏低音をともなうヴァオリン・ソロのためのソナタ第5番〜ラ・カシア〔狩〕
 アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):随意にヴァイオリンをともなう、
  クラヴサンの小品形式の6つのソナタ集(ボーヴォー嬢に捧ぐ)〜ソナタ第3番
 ヨハン・ショーベルト(1735-1767):ソナタ第4番 ニ短調

 ジョスリーヌ・キュイエ(Cemb) ダニエル・キュイエ(Vn)
 録音:2021年10月2日-4日。バロック期およびロココ期の、ヴァイオリンとチェンバロのための二重奏作品集。優雅で洗練された雰囲気をもつ作品を、フランスを中心に活動を展開している古楽界の重鎮、ダニエル&ジョスリーヌ・キュイエによる演奏でおたのしみ頂ける。デュフリは当時の有能な政治家アントワーヌ・ド・サルタンに、ショベールはコンティ公爵に、モンドンヴィルはブフラー侯爵やポンパドゥール夫人によって名声を確立していった。また、アルマン・ルイ・クープランはパリでオルガン奏者として複数のポストを持っていた実力者だが、最後はルイ16世の音楽教師を務めている。文化的なパトロンたちの存在が生み出した珠玉の音楽の魅力が、最上の形で引き出されている。
[Ljus] 〜スウェーデン歌曲集
 トール・アウリン(1866-1914):ばらに/そして騎士は聖地に向かった
 ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871-1927):メロディ/彼方を船はゆく/ Fylgia /楓の木陰で/森で/海辺の歌
 テューレ・ラングストレム(1884-1947):ただひととき/別れ/夜の翼/夜への祈り/セレナード
 ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867-1942):山羊よ、坊やの所まで/収穫後の歌/待つは楽しい/ Boljeby-vals
 ボー・リンデ(1933-1970):リンゴの木と洋梨の木/あなたが私に口づけをした草原で
 シグルド・フォン・コック(1879-1919):シャイトラの月に
 ラーシュ=エーリク・ラーション(1908-1986):草はさまよえる足の下で歌う
 グスタフ・ノルドクヴィスト(1886-1949):海で / グンナル・デ・フルメリ(1908-1987):あなたが私の目をとじる時

 マリーヌ・シャニョン(Ms) ジョセフィーヌ・アンブロセッリ(P)
 メゾ・ソプラノのマリーヌ・シャニョンと、ピアノのジョセフィーヌ・アンブロセッリは、スウェーデンを旅した時に、その空気と光に魅了されたそう。北欧といえばその寒さや冬の間の夜の長さが有名だが、だからこそ、太陽の光やそのあたたかさに感激したという。このアルバムは、そうした「光」に焦点をあてた1枚。若きふたりが、きらめくように、そしてあたたかく、希望や喜びをもって歌い上げる、スカンディナヴィアのもっとも美しい旋律の数々をお楽しみ頂ける。
GEISTER DUO
 シューマン(1810-1856):東洋の絵 Op.66
 ブラームス(1833-1897):シューマンの主題による変奏曲 Op.23
 ドヴォルジャーク(1841-1904):ボヘミアの森より Op.68
  ガイスター・デュオ[ダヴィド・サルモン、マニュエル・ヴィエイヤール(P|使用楽器:ヤマハ)]
 録音:2021年5月21日-24日。2021年のミュンヘン国際コンクールで優勝した、世界が認めるピアノ・デュオ、ガイスター・デュオのデビューCD 。デュオの名前はシューマンの最後のピアノ曲「精霊の主題による変奏曲」の原題 Geistervariationから名前をとったとのこと。彼らの初 CDとなる本盤では、彼らに所縁の深い作曲家シューマン、ブラームス、そしてドヴォルジャーク作品を収録。シューマンは4手のために初期にひとつと、そのあと4つの作品を残しているが、奏者たちが取り上げるのはこの「東洋の絵」がほとんど。11世紀のアラブの詩にインスパイアされて書かれたとされており、シューマンらしいはずむリズムもあざやかな名曲。ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲」は、シューマンの「精霊の主題による変奏曲」から主題をとった物。ブラームスの4手の作品の中では演奏機会が少ないものだが、10の変奏からなる作品で、最終楽曲はシューマンへの葬送行進曲となっている。ドヴォルジャークの作品は第5曲の「森の静けさ」がドヴォルジャーク自身による他の編成で取り出して演奏されることも多い名曲。ガイスター・デュオの完ぺきなアンサンブルにより、シンクロしたリズム、驚異的なバランスと豊かな響きが実現されている。
MIR-614
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(2CD)
ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 2022 ナント公式CD
永遠のミューズたち
 ラフマニノフ:春の洪水 Op.14 No.11 /リラの花 Op.21 No.5 / ラヴェル:マダガスカル島民の歌(*)
 デュパルク:戦のある国へ/前世 / ワーグナー:天使/ヴェーゼンドンク歌曲集〜温室にて
 ショーソン:歌曲集「温室」 Op.24 〜第1曲 温室 / R.シュトラウス:あした Op.27 No.4 (#)
 ジェイク・ヘギー(1961-):アニマル・パッション(ナチュラル・セレクションより)

 シリール・ンジキ(S) カオリ・オノ(P)
 イリス・シャロン(Vn;#) サラ・ファン・デア・ヴリスト(Fl;*) アルベリク・ブルノワ(Vc;*)
 録音:2020年9月21日-25日、パリ国立高等音楽院。気鋭のソプラノ、シリール・ンジキのデビュー・アルバムの登場。「Muses eternelles〜永遠のミューズたち」と題し、女性にあてて書かれた、あるいは女性の詩によるものなど、女性にまつわる作品を集めた物。歌唱言語やスタイルは多岐にわたるが、そうしたことを超えて、全体として夢見るような、様々な場所や時代を旅するような、充実のプログラムの1枚となっている。ンジキとデュオ活動を行っているピアニスト・作曲家、カオリ・オノのピアノも、それぞれの作品のスタイルを的確におさえ、変幻自在で見事。ラヴェルでの迫真の表現とアンサンブルは圧巻。
MIR-622
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(2CD)
1CD価格
メシアン(1908-1992):峡谷から星たちへ・・・(1970-74) (全12曲)
 ジャン=フランソワ・エッセール指揮ヌーヴェル=アキテーヌ室内o.
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P) アデライーデ・フェリエール(シロリンバ)
 根本雄伯(Hr) フロラン・ジョドレ(グロッケンシュピール)
 録音:2021年5月月20日-23日。メシアンの「峡谷から星たちへ」最新録音の登場。この作品はメシアンがアメリカ合衆国のユタ州を旅した際に見た光景や、耳にした鳥の鳴き声などが取り入れられた作品で、3部構成全12曲、演奏時間90分以上、編成もオーケストラにくわえ、打楽器奏者5名のほか、鍵盤楽器も必要とする大作。ホルン独奏やピアノ独奏による楽章もあり、この録音では、世界的奏者がソロを担当。作品のもつ魅力を120%引き出した演奏で聴くことが出来る。管弦楽の音色も変幻自在。メシアンが描いた、地球の美しさをあらためて感じさせる音世界にどっぷり浸かれる秀逸録音の登場。ピアノのジャン=フレデリック・ヌーブルジェは神童として幼いころから活躍しているピアニストだが、近年作曲家としての活動も注目さrており、2019年にはロトとギュルツェニヒ管の委嘱により新曲を作曲してもいる存在となっている。根本雄伯は、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル-グルノーブル、ポワトゥ・シャラントo.、ペレアス室内o. などで首席奏者として活躍しているほか、室内楽でも活躍している。
モーツァルト:(CD)
 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 (*) /
 クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 (#)
ラファエル・セヴェール(Cl)
ラルス・フォークト指揮(*)
パリ室内o.(*)
モディリアーニSQ (#)
 録音:2021年10月6日-8日、フィラルモニ・ド・パリ(*) /2022年2月1日-2日、サル・コロンヌ(#)。フランスの若き天才クラリネット奏者セヴェール待望のモーツァルト。1994年生まれ、日本クラリネット協会主催ヤング・クラリネット・コンクールに12歳でグランプリ受賞、クラリネット界の未来を担う逸材と期待されている。当アルバムは共演の豪華さも注目。協奏曲は2022年9月に癌のため51歳で早世した名ピアニストのラルス・フォークトが指揮を務めるパリ室内o.、五重奏曲はモディリアーニ弦楽四重奏団が花を添えている。フランス風にオシャレで洗練された音楽作りながら、熱いエネルギーも感じさせ充実感たっぷり。要注目のクラリネット奏者。
幻想的世界
 リスト:グノーのファウストのワルツにもとづくパラフレーズ/ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」
 シューマン/リスト編曲:リーダークライス Op.39 〜 No.12 春の夜/献呈 Op.25 No.1
 シューマン:クライスレリアーナ Op.16シューマン
 ジャン=バティスト・ドゥルセ:エンディミオン(キーツの詩による)(2021)

 ジャン=バティスト・ドゥルセ(P)
 録音:2021年12月。ジャン=バティスト・ドゥルセは1992年生まれのピアニスト、即興演奏家、作曲家。パリ国立音楽院でクレール・デセールにピアノと室内楽を、ティエリー・エスケシュに即興演奏を師事した。2019年、ロン=ティボー・コンクールで第4位および聴衆賞、クララ・ハスキル・コンクールでモダーンタイムズ(新曲)賞受賞の注目の存在。作曲家として20ほどの室内楽や器楽作品を作曲、出版もされている。そんなドゥルセが今回プログラムしたのは、「詩」に多大な影響を受けたロマン派作品。シューマンの歌曲をリストが編曲した「春の夜」の繊細なさざめきのようなピアノは驚異的な美しさ。注目なのが、リストの「ダンテ・ソナタ」と、そのリストへの導入と自身位置付ける自作を続けて収録していること。リストの「ダンテ・ソナタ」は超絶技巧がものすごいのはもちろんのこと、情景が見事に目の前に浮かぶような描写力豊かな演奏に圧倒される。ダンテ・ソナタが下降で始まるのに対し、ドゥルセの作品は上行で始まり、美や神の世界について語るキーツの詩を、天上の世界の響きを思わせる美しいハーモニーで聴かせる。1枚が大きなストーリーとなっている内容で、ピアノの詩人ドゥルセの今後にも期待が高まる。
ヴェネツィアの天才を祝う〜カルダーラとヴィヴァルディ
 ヴィヴァルディ(1678-1741):グローリア RV.589 /協奏曲〔ハ長調 RV.443 /ト短調 RV.156 /ニ長調 RV.781 〕
 アントニオ・カルダーラ(1670-1736):セレナーデ(1709) 〜シンフォニア/モテット「 Caro mea vere est cibus 」/
                   Op.2 〜シャコンヌ/オラトリオ「アベルの死」〜シンフォニア

 エロイーズ・ガイヤール(リコーダー)音楽監督アマリリス[セルジュ・チザク(Ob/Tp)/他]
 マリアナ・デルガディッロ・エスピノーザ合唱指揮ペイ・ド・ラ・ロワール児童cho.
 録音:2021年2月。ヴェネツィアで活躍したふたりの天才、カルダーラとヴィヴァルディの才を祝して編まれたプログラム。バロック期のヴェネツィアでの演奏会を、色彩ゆたかに再現しようとする試み。ヴィヴァルディの「グローリア」が児童合唱で演奏され、天上から降り注ぐような声にこころが洗われるようだ。協奏曲では、アンサンブルの音楽監督でもあるエロイーズ・ガイヤールがリコーダーやオーボエを華麗に響かせる。
ケフェレック〜ベートーヴェン:後期3大ソナタ
 〔第30番 ホ長調 Op.109 /
  第31番 変イ長調 Op.110 /
  第32番 ハ短調 Op.111 〕
アンヌ・ケフェレック(P)
 録音:2022年2月5日-8日、ポワチエ劇場講堂。「フランス・ピアノ界の女王」と呼んでもさしつかえないほどの人気と存在感を示すケフェレック。彼女の最新盤はベートーヴェンのソナタ・アルバム。これまで「月光」などはあったが、後期3大ソナタなのに注目。何を弾いても素晴しいケフェレックだが、ベートーヴェンでも新境地を見せてくれる。ブックレットにはケフェレック自身がこの3作について記している。これがエッセイと思いきや哲学的修辞に満ちた大作で、さすが文学者の家系の出自と感心させられる才女ぶりを示している。演奏はケフェレックならではの端正っきりした造形感に、しなやかな歌心がオシャレの極み。淡々としながらも音楽性は深く感動的。芝居がかった熱い解釈が多いなか、新しいベートーヴェン後期ソナタのスタイルを示している。
ヨーゼフ・ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 〔ト長調 Hob.XV: 15 (フルート、チェロとピアノ)/ヘ長調 Hob.XV: 16(ヴァイオリン、チェロとピアノ)/
  ニ長調 Hob.XV: 16 (フルート、チェロとピアノ)/ホ短調 Hob.XV: 12(ヴァイオリン、チェロとピアノ)〕

 ジェローム・アンタイ(Fp) マルク・アンタイ(Fl)
 アレッサンドロ・モッチア(Vn) アリクス・ヴェルジエ(Vc)
 録音:2020年2月。なんとも豪華な顔ぶれによるハイドンのピアノ三重奏曲集の登場。ハイドンが1784年から1790年の間、エステルハージー公に仕えていた最後の頃の作品で、ハイドンの筆が完全に熟していたことを感じさせる作品がならぶ。ハイドンがちりばめた、ころころと自在に変化する表情のパッセージを、名手たちがこれ以上なく典雅に響かせる。
しーっ! 私はシューベルトと夢見る〜
  ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 2022 ナントのためのオムニバスCD
 ブックレットは付いていない。2022年のフォルジュルネ音楽祭、日本は残念ながら中止となったが、フランスのナントでは2月に開催された。2022年のテーマがシューベルトだったため、主催側のMIRAREレーベルが自社音源から編んだオムニバス・アルバム。ピアノと室内楽の名作から聴き所を61分にまとめ、故ブリジット・エンゲラー、クレール・デゼール&エマニュエル・シュトロッセ、シャニ・ディルカ、クレール=マリー・ル・ゲ、モディリアーニ弦楽四重奏団ら音楽祭でお馴染みの演奏家で綴る。さまざまなストレスに満ちた時代に、シューベルトの音楽が子守歌のように優しく癒してくれる。シューベルト入門にも最適のアルバム。
冬のセレナード〔編曲:ピエール・ジャノ(*) 〕
 ドビュッシー:「シャルル・ドルレアンの3つの歌」〜冬は嫌いだ / ドリーブ:寒気の合唱(*)
 フランス民謡:新しいノエル(*) / クロード・グディメル:精霊たち、聖なる夜に歌おう
 ウスタシュ・デュ・コロワ:ようこそ、栄光なる聖母 / プーランク:クリスマスのための4つのモテット
 パトリック・ブルガン:雪の夜 / サン=サーンス:冬のセレナード / プーランク:白雪/雪の夜
 ザド・ムルタカ:フランマ / バスク民謡:若き乙女がいた / アントワーヌ・ビュノワ:ノエル、ノエル、ノエル
 アントワーヌ・ブリュメル:ノエ、ノエ、ノエ / ニコラ・サボリ:カンボが私を傷つける(*)
 フランス民謡:聖母よ、われらに歌いたまえ(*)(クリストフ・バラールによる)
 クローダン・ド・セルミジ:声のかぎりノエと叫ぼう / アンリ・マルティネ:プチ・パパ・ノエル(*)

 ジョエル・シュユビエット〔スービエット〕指揮レ・ゼレマン
 録音:2022年2月28日-3月5日、サン・ピエール・デ・キュイジーヌ教会、トゥールーズ。トゥールーズを本拠とするアカペラ合唱団「レ・ゼレマン」は1997年創設。古楽から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ彼らがクリスマスなどの祭事や冬の寒さを歌う。ドビュッシーやサン=サーンス、プーランクのほか、ルネサンス期の作曲家、民謡までフランスの冬の寒さと暖炉のあたたかさを音で味わえる。
ブラームス:セレナード 全曲
 〔第2番 イ長調 Op.16 /第1番 ニ長調 Op.11 〕
ヴィクトル・
 ジュリアン=ラフェリエール指揮
コンスエロo.
 録音:2022年9月30日-10月3日、ヴァンセンヌ・メディアセンター。チェロ奏者としても活躍するヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエールのイニシアティブで2019年に創設されたコンスエロo. 。コロナ禍でせっかくの活動がままならぬ状態だったが、これから本格的な世界進出が期待出来る。各奏者がソロ、室内楽でも活躍する名手揃いで、フレッシュで生気あふれる解釈が魅力。デビューCDはブラームス。それも最も若々しく明るいセレナードなのが大歓迎。今後に目が離せない。

NAIVE 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 旧譜はこちらから
ASTRÉE
ホプキンソン・スミス〜 Bright & Early
 ジョアン・アンブロシオ・ダルツァ:
   Saltarello ala ferrarese / Piva ala ferrarese / Caldibi castigliano / Pavana ala ferrarese /
   Caldibi saltarello (ホプキンソン・スミスによる再構築版)/ Poi che volse la mia stella /
   Pavana ala venetiana / Saltarello ala venetiana / Piva ala venetiana / Tastar de corde /
   Poi che 'l ciel contrario adverso. Calata ala spagnola ditto terzetti dizuan ambroso dalza
 フランチェスコ・スピナチーノ:リチェルカーレ Nos.6, 13, 23, 4, 25, 15, 12, 9
 マルケット・カーラ: Io non compro piu speranza

 ホプキンソン・スミス(6弦リュート|使用楽器:ヨエル・ファン・レネプ〔ボストン〕、1977年製
 録音:2021年4月、フランス。至高のリュート詩人として世界が絶賛するホプキンソン・スミス。音楽が素晴らしいことはもちろん、歴史に関する膨大な知識と探求心で、歴史に埋もれてしまった楽譜を熱心に掘り起こしてもいる。このたび、歴史上(1507-1508、ベニス)初めて印刷(出版)されたタブラチュア譜から、リュートの楽器の最初期の作品と考えられる楽曲を録音した。「私の音楽の再構築を異端視する批評家もいるかもしれないが、スピナチーノの作品で現在まで残されているものの多くがひどく混乱した状態であることから、再構築が必要だと私は考えた。作品をそのまま演奏されない運命のままとしてしまうか、素晴らしいタペストリーのほつれた糸を引き締めて芸術作品として再提示するかのどちらかだ」とはスミスの言葉。スミスはこれらの繊細なポリフォニーを、15世紀後半の伝統に基づいて作られた6弦のリュートで奏でている。調弦も、15-16世紀の論文などを考慮した物。中世という遠い時代と幻想を呼び起こす神秘的な魅力に満ちた作品が、リュートという楽器を持った至高の語り部によって、現代に響く。舞曲の形式によるものから自由な形式によるものまで、ホプキンソン・スミスという最高の語り部を得た作品がよみがえった。
NAÏVE CLASSICS
V-7159
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(3CD)
ステファノ・ジェルヴァゾーニ(1962-):
 弦楽のための第3の四重奏曲「 clamour 」/闇への6つの手紙(2つのニュース)/ストラーダ・ノン・プレサ
ジェラール・ペソン(1958-):弦楽四重奏曲集
 〔吸って、とめて(第1番)/ bitume(第2番)/サイドピース(第3番)〕
エンノ・ポッペ(1969-): buch・zwolf(独奏チェロのための)/ tier(弦楽四重奏のための)/
                freizeit (弦楽四重奏のための)

 ディオティマSQ パスカル・モラゲス(Cl)
 録音:2016年2月、12月、2017年11月、2018年7月。エッジの効いた活動で注目を集めているディオティマ弦楽四重奏団。同じく現代に生き、その中でも最先端をいく、ジェルヴァゾーニ、ペソン、ポッペという三名の作曲家たちの作品を集めた。彼らはそれぞれ、弦楽四重奏という枠組みの中で、新しい書法を見事に打ち立てている。ジェルヴァゾーニ作品は熱狂と静寂の効果を探求、ペソンは作品内でブラームスを引用(クラリネットのモラゲスが演奏)しつつも静寂と音の間を漂うような作品を書いている。そしてポッペの作品は、永遠に変容し続ける細胞を念頭に置きながら、ユーモアにも満ちたものとなっている。
Legacy
 ハイドン:チェロ協奏曲第1番 ハ長調 Hob.VIIb: 1
 ポルポラ:チェロ協奏曲 ト長調〜ラルゴ
 モーツァルト/ロバート・レヴィン補完:
  ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための協奏交響曲 イ長調 K.320e (K.Anh.104) (断片)(*)
 グルック/ラ・マルカ編曲:「オルフェオとエウリディーチェ」〜精霊の踊り
 ポルポラ:「ヘスペロデスの園」〜正しい愛、私を燃え上がらせた(#)
 ハイドン:チェロ協奏曲第2番 ニ長調 Hob.VIIb: 2

 クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ(Vc)
 ジュリアン・ショヴァン(Vn)指揮ル・コンセール・ド・ラ・ローグ
 アドリアン・ラ・マルカ(Va;*) フィリップ・ジャルスキ(CT;#)
 録音:2021年2月27日-30日、パリ。フランスの俊英チェリスト、クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ。「チェロ360」(V7260)や、「ワンダフル・ワールド」(V7362)など、コンセプトから参加メンバーまで研ぎ澄まされた感性のアルバムで話題を呼んできたが、今回は「レガシー」と題し、ハイドンのチェロ協奏曲を中心としたプログラムのアルバムを発表する。管弦楽はル・コンセール・ド・ラ・ローグ、まさにハイドンを演奏するために誕生したアンサンブルを迎え、同団音楽監督のショヴァンの指揮のもと、実にエレガントなハイドンを展開している。モーツァルトの協奏交響曲(レヴィンによる補完版)では、同じくフランスの俊英ヴィオラ奏者にして弟でもあるアドリアン・ラ・マルカ、そしてショヴァンのヴァイオリンという注目の顔合わせの演奏。ポルポラといえば声楽の印象があるが、チェロにも非常に深い見識を持った作曲家だった。ポルポラはウィーンにイタリアの声楽伝統を根付かせた立役者で、ハイドンもグルックもウィーンで活躍した。そうした作曲家たち同士の生きた交流までもが感じられる内容。レコーディング(ディレクションから音のことまべて)は吉田研氏が担当。素晴らしい録音音質も特筆に値する。クリスティアン=ピエール・ラ・マルカは1983年生まれ。エクサン=プロヴァンス音楽祭でデビュー後、ジャン=マリ・ガマール、フィリップ・ミュレルに、さらにフランス・ヘルメルソンやスティーヴン・イッサーリスにも師事。ロストロポーヴィチやハインリヒ・シフらのマスタークラス受講。アルバム「チェロ360」は2021年ベスト・コンセプト・アルバム賞(グラモフォン)受賞。弟のアドリアン・ラ・マルカとフォレス音楽祭(フランス)の共同音楽監督をつとめる。
ビオンディ〜J.S.バッハ
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(全曲)
  ファビオ・ビオンディ(Vn)
 録音:2020年6月。#国内品番のみのご案内。日本語解説つき。ビオンディがバッハを録音した。1990年にエウローパ・ガランテを創立、伝説の「四季」、そして数々のオペラや協奏曲、そしてソロと、これまで古楽ファンのみならず音楽ファンの話題の中心に存在しつづけてきたビオンディ。これまでバッハの無伴奏を録音することを遠ざけてきながらも、ずっとその時が来るのを待ち続けたと語る。そして、60歳になり、皮肉にもコロナ禍のおかげでゆったりと思索の時間を持つことができ、ついに満を持して、無伴奏全曲録音が実現した。驚異的に豊かな歌、そしてゆったりと深い音楽。感動のバッハ。フランス文学者の水林章氏による短編が寄せられている。水林氏は、フランス語で小説を発表、2019年にガリマール書店より発行された「壊れた魂」(邦訳はみすず書房より発行)では、バッハのパルティータ第3番が特に重要な役割を果たしていて、フランスはもとより各国で高い評価を得た。ビオンディは自ら水林氏に、ブックレットに文章を寄せてほしいと依頼している。ビオンディのコメントも水林氏によって翻訳されている。
ビオンディ〜メンデルスゾーン(1809-1847):
 弦楽のためのシンフォニア〔第2番 ニ長調(1821) /第5番 変ロ長調(1821) 〕/
 ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調(1822) /
 ソプラノと弦楽のためのサルヴェ・レジーナ 変ロ長調(1824) (*) /弦楽四重奏のためのフーガ 変ホ長調(1827) /
 ピアノと弦楽のためのラルゴ ニ短調(1820) /2つの3声のフーガ〔ト短調(1820) /ニ短調(1820) 〕

  ファビオ・ビオンディ(Vn)指揮エウローパ・ガランテ
  パオラ・ポンチェット(Fp) モニカ・ピッチニーニ(S;*)
 録音:2020年7月11日-13日、サラ・ギスレリ、アッカデミア・モンティス・レガリス、モンドヴィ、イタリア。ビオンディ率いるエウローパ・ガランテがメンデルスゾーンを録音した。メンデルスゾーンが11歳から18歳の間に書き上げた作品がプログラムされている。ビオンディは、「メンデルスゾーンの "若書き "の作品と成熟した時期の作品を見分けるのは難しい、なぜならメンデルスゾーンは最初からすべてを持っていたから」と語っているが、たしかにどれも、名曲として知られる作品と同様の天才のきらめきに満ちた美しい作品ばかり。バッハの伝統と、ロマン派のみずみずしい萌芽とが感じられる。「ヴァイオリン協奏曲」は、独奏楽器と弦楽群が対等な扱われ方で、バロック期の協奏曲のようでありながら、ソロ楽器の随所に美しく歌うメロディもちりばめられた魅力的な作品。ビオンディのヴァイオリン・ソロの美しさが炸裂し、また、技巧的な部分も華やかさに満ちている。「サルヴェ・レジーナ」は独唱と弦楽のための作品だが、弦楽のアンサンブルが、伴奏に徹するというより歌いまくっていて、少年メンデルスゾーンが書き上げた宗教作品の美しさをこれ以上なく引き出している。バロックのレパートリーを知り尽くしたビオンディとエウローパ・ガランテによるメンデルスゾーンは、メンデルスゾーンが過去の巨匠に大きな敬意を持ち、バッハ復興に大きな役割を果たしたことを考えるとさらに格別な意味と重みがある。
V-7362
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(2CD)
ワンダフル・ワールド
  INTRODUCTION
  フォーレ:夢のあとに / オーバー・ザ・レインボウ
   [ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
  ミシェル・ポルタル:ハバネラ[ with ミシェル・ポルタル(Cl) + バティスト・トロティニョン(P)]
  WONDER R.シュトラウス:あした[ with ザビーネ・デュヴィエル(S) + ナタナエル・グーアン(P)]
      クルト・ヴァイル: Lost in the stars [ with トーマス・エンコ(P)]
      フランク・レッサー: I've never been in love before
      [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
  THE EARTH CRY AND THE HUMAN CRY
  ガーシュウィン:サマータイム [ with バティスト・トロティニョン(P)]
  フィリップ・グラス: The hours〜the poet acts [ with 弦楽オーケストラ]
  POLLUTION, CITIES AND WASTE ファジル・サイ:フォー・シティーズ(チェロ・ソナタ)より〔 Sivas / Hopa 〕
   [ with ナタナエル・グーアン(P)]
  THE ISSUE OF WATER トーマス・エンコ:
  プレリュード(オブ・ウィンド・アンド・ウォーター)[withトーマス・エンコ(P)]
  THE BIODIVERSITY LOST; FORESTS, AMAZONIA; EARTH‘S LUNG
   ドヴォルジャーク:森の静けさ(ボヘミアの森 Op.68 〜第5曲)[ with ナタナエル・グーアン(P)]
  THE BIODIVERSITY LOST; THE SEA, THE OCEANS アリエル・ラミレス:アルフォンシーナと海
   [ with フェリシアン・ブリュ(アコーディアン) エドアルド・マカレス(Cb)]
  THE BIODIVERSITY LOST; ENDANGERED SPICIES
  R=コルサコフ:熊蜂の飛行 / カルロス・グァスタビーノ: La rosa y el sauce
  サン=サーンス:白鳥(*) [ with 弦楽オーケストラ(*) + ナタナエル・グーアン(P)]
  DETERIORATION IN QUALITY OF LIFE & SOCIAL DECAY リリー:・ウッド&ザ・プリック: You want my money
  [ with リリー・ウッド&ザ・プリック]
  INTERDEPENDANCE BETWEEN MAN AND NATUREDAY-NIGHT
  ヘンリー・マンシーニ:ムーン・リバー / ルドヴィコ・エイナウディ: I Giorni
  [ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
  THE SEASONS ピアソラ:ブエノスアイレスの冬
  [ with フェリシアン・ブリュ(アコーディオン) エドゥアルド・マカレス(Cb)]
  Awake of nature(即興演奏)[ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
 ニルス・フラーム: Ambre (冬の音楽より)[ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
 NATURE - HUMAN  Between man and nature(即興演奏)
  [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
  AWARENESS & ECOLOGICAL CONVERSION
  チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51 No.6[ with ナタナエル・グーアン(P)]
  ケルティック・ワルツ[ with ミシェル・ポルタル(Cl) + バティスト・トロティニョン(P)]
  伝統曲: brian boru renaissance [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
  SONG OF PRAISE ブロッホ:祈り[ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
  CONCLUSION - PROSPECTS & AWAKENING
   バティスト・トロティニョン: Fly [ with バティスト・トロティニョン(P)]
   ボブ・シール、ジョージ・デイヴィッド・ワイス:この素晴らしき世界
    [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]

 クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ(Vc) 弦楽o.〔パリo.団員〕
 録音:2021年3月27日-4月2日、サル・ガヴォー。フランスのチェリスト、クリスティアン=ピエール・ラ・マルカが、地球を救うことをテーマにプログラムしたアルバムをリリースする。豪華共演陣にも注目。音楽には、人々の意識を目覚めさせる力があると語るラ・マルカ。私たちの地球をともに救おうと、音楽家たちが手に手をとり、クラシック、ネオクラシック、ワールドミュージック、ジャズなどの形態をとりながら、同じ「地球の歌」を歌い上げている。
サン=サーンス(1835-1921):
 ロマンス〔ハ長調 Op.48 /変ニ長調 Op.38 〕/ヴァイオリン協奏曲第1番 イ長調 Op.20 /
 ヴァイオリンとハープのための幻想曲 イ長調 Op.124 /ミューズと詩人 Op.132
ウジェーヌ・イザイ(1858-1931):サン=サーンス「ワルツ形式の練習曲」によるカプリス
 ジュヌヴィエーヴ・ロランソー(Vn) ポーリーヌ・ハース(Hp)
 イアン・ルヴィオノワ(Vc) バンジャマン・レヴィ指揮ピカルディo.
 録音:2020年10月19日-21日、2021年1月7日-8日。2021年はサン=サーンス没後100年。フランスのヴァイオリン奏者ロランソーが、サン=サーンスを録音した。室内楽での親密な雰囲気から、オーケストラの共演でのはつらつとしたヴィルトゥオーゾ性と自由なノーブルさまで、ロランソーの魅力が最大限に発揮されている。「ヴァイオリンとハープのための幻想曲」で共演するハープ奏者は1992年生まれ、13歳でリリー・ラスキーヌ・ジュニアコンクールで優勝後、フランスを中心に活躍をしている奏者だが、ベテランのロランソーと見事に息のあった繊細なアンサンブルを展開しており、注目。「ミューズと詩人」でロランソーとともにソリストを務めるチェロ奏者ルヴィオノワは、コンクール入賞多数、オーケストラとの共演も多数の、若くしてすでに活躍している奏者。ジュヌヴィエーヴ・ロランソーは3歳でヴァイオリンをはじめ、9歳でオーケストラと共演。ヴォルフガング・マルシュナー、ザハール・ブロン、そしてジャン=ジャック・カントロフに師事。ノヴォシビルスク国際コンクールで第1位など、数々の輝かしい受賞歴がある。ソヒエフ、ロトらからもソリストとして指名を2007年〜2017年まで、トゥールーズ・キャピトル国立o. のコンサートミストレスを務め、現在はソリストとしての活動および後進の指導に重点を置いている。
サン=サーンス
 序奏とロンド・カプリツィオーソ Op.28 (1863) /ハバネラ Op.83 (1887) /
 ヴァイオリン協奏曲〔第3番 ロ短調 Op.61 (1879-80) /第1番 イ長調 Op.20 (1859) 〕/ロマンス Op.48 (1874) /
 歌劇「サムソンとデリラ」(1877) 〜あなたの声にわが心は開く(*)
  (ヘルツォーク編曲|ヴァイオリン、ヴィオラとオーケストラ版)

 チョ・ジンジョ(Vn) マテュー・ヘルツォーク指揮アパッショナート(オーケストラ)
 カロリーヌ・ドニン(Va;*)
 録音:2021年3月8日-10日、 RIFFX スタジオ、ブローニュ=ビヤンクール、フランス。現代の韓国ヴァイオリン界を担うチョ・ジンジョがオール / サン=サーンス・プログラムのCDをリリース。録音は歿後100周年となった2021年。「光と輝きに満ちたメロディとリズミカルな技巧的パッセージとの対比が好きなの」と語るチョ・ジンジョ。記念すべき年に並々ならぬ思いをこめて録音に挑んだ。チョは第5回モントリオール国際音楽コンクール第1位(2006年)、第9回インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール第1位(2014年)など、世界的なコンクールでの華々しい受賞歴を誇る。圧倒的な技巧と情感豊かな表現力を持ち合わせるチョとサン=サーンスの音楽は完全にマッチし、そのダイナミックな演奏には感動せずにはいられない。充実のアルバムが完成した。
ビオンディ他|オペラ・イン・ムジカ、史上最初期の弦楽四重奏曲〜
  カルロ・モンツァ
(1735-1801):弦楽四重奏曲集
 〔ハ長調 対照的なライヴァルの恋人たち [Gliamanti rivali] /ニ長調 Opera in musica /
  ヘ長調 火山のマグマ [lafucina di vulcano] /変ロ長調 賭博者 [Il giuocatore] /
  ロ短調 夜のディヴェルティメント [Divertimento notturno] /変ホ長調「狩 [La caccia] 〕

 ファビオ・ビオンディ、アンドレア・ロニョーニ(Vn)
 ステファノ・マルコッキ(Va) アレッサンドロ・アンドリアーニ(Vc)
 録音:2019年7月26日-28日、イタリア。ビオンディの新録音は、弦楽四重奏曲集。音楽史上はじめて4つの弦楽器のために作曲されたとされる作品。作曲したのは、今ではほとんど知られていないミラノ生まれの作曲家、カルロ・モンツァ(1735-1801)。モーツァルトが14歳でミラノに滞在したときにおそらく何等か接点があり、また、ストラヴィンスキーのプルチネルラのもとになった作品にはモンツァのものもあると考えられている。なぜビオンディがモンツァに着目したかというと、それはモーツァルトの研究がきっかけだった。モーツァルトは、14歳の時、イタリアの旅の中でミラノに滞在する。地元の音楽家や上流階級の人々に認められ、また紹介してもらうためにも、当地の有力な音楽家のもとを訪れ、またその作品を研究していたはず。当時のミラノで特に有力な音楽家だったのが、ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ランプニャーニ、そしてカルロ・モンツァの3名だった。ただしモンツァがモーツァルトにとって実際にどのような存在だったかは(友好的だったか等)まだ定かではない。ビオンディは、約10年前に、プライヴェート・コレクションの目録にこの作品があるのを発見、しかし見ることしか許されなかったそう。以降ずっと演奏してみたくて気になっていたそうだが、音楽学者の友人が近年、フランス国立図書館に1冊だけ所蔵されていたコピー譜を発見した。はたしてその作品は、交響曲のリダクションなどではなく、純粋に弦楽四重奏のために書かれたものだった。どちらかというとオペラのような作風で、決して単なる「古典派」弦楽四重奏にとどまらない魅力を放つ。さらにこれらの作品は標題音楽となっており、1曲1曲の個性豊かな展開にも注目。演奏しているのは、ビオンディと、ビオンディ率いるエウローパ・ガランテのメンバーたち。ビオンディとオペラなどでもとことん協働しているだけあって、見事に息のあった演奏を展開している。
Chiaroscuro
 モーツァルト(1756-1791):デュポールのメヌエットによる9の変奏曲 ニ長調 K.573
 スクリャービン(1872-1915):5つの前奏曲 Op.15 /ピアノ・ソナタ第3番 嬰ヘ短調 Op.23
 モーツァルト:「愚かな民が思うには」の主題による10の変奏曲 K.455
 スクリャービン:5つの前奏曲 Op.16 /ピアノ・ソナタ第10番 Op.70 / モーツァルト:ジーグ ト長調 K.574

 ズラータ・チョチエヴァ(P|使用楽器:ベヒシュタイン D 282
 録音:2021年12月7日-10日、 B-SHARP スタジオ、ベルリン。スクリャービンの生誕150年にちなんだアルバム。ロシアのピアニスト、チョチエヴァが、幼いころから愛奏し、また愛聴してきたスクリャービン作品と、モーツァルトを巧みに組み合わせてプログラムした注目の1枚。ズラータ・チョチエヴァは1985年モスクワ生まれのピアニスト。14歳でプレトニョフに認められ教えを受けたほか、2008年からはモスクワ音楽院でネルセシヤンに、2012年からはザルツブルクのモーツァルテウム大学でジャック・ルヴィエに師事した。現在はモーツァルテウムで教鞭をとっている。「フレージングや余分な音符のなさ」など共通点を挙げれば無数にある、と語るチョチエヴァ。彼女の演奏は驚くべき透明な音色と豊かな歌に満ちている。モーツァルトとスクリャービンの間にある100年以上という時代や地域の隔たりを全く感じさせず、両者の音楽にある「歌」を純粋に聴かせてくれる。技巧的な難しさはまったく感じさせない。スクリャービンのソナタの第3番は技巧的、第10番はミステリアス。また、モーツァルトの変奏曲も楽曲ごとに陰影がくっきりしている。タイトルにある「キアロスクーロ」は絵画の陰影法のことだが、まさに様々な対比が際立たされた見事なプログラムと各曲の構成力、そしてなにより全体に豊かな「歌」がある、チョチエヴァの音楽に好感がもてる。
V-7566
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(2CD)
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 ティエンチ・ドゥ(P)
 録音:2018年12月16日-19日、シャルルヴォワ、サンティレネ、ケベック、カナダ。中国の注目度急上昇中のピアニスト、ティエンチのゴルトベルク変奏曲の登場。ドゥは、ユンディ・リやサー・チェンも師事したダン・シャオイー〔ザオイ〕に師事し、数々のコンクールで入賞を果たした人気・注目度急上昇中のピアニスト。彼が奏でるバッハは、創造性にあふれ、美しい音色やレガート、完璧にコントロールされたデュナーミクなど、ピアノという楽器のもつ可能性をすべて引き出した演奏となっている。ドゥのリサイタルに接したダン・シャオイー教授は「これまで演奏会で眠れなくなるまでの感動や興奮を味わってきたが、涙しながら演奏を聴き、終演後楽屋で演奏家の腕の中で号泣したのはこれが初めてだ」と激賞しました。2023年6月には来日も予定されているティエンチ・ドゥ。要注目のアーティスト。
V-7583
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(1CD)
2CD価格
1908 〜ヴァレンティーナ・リシッツァ
 ラヴェル:夜のガスパール
 ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 Op.28
ヴァレンティーナ・
 リシッツァ(P)
 録音:2017年6月28日-29日、シャウビューネ・リンデンフェルス、ライプツィヒ。#当盤はレーベルで廃盤となっており、流通在庫限り&高額になります。ウクライナ、キエフ出身のヴァレンティーナ・リシッツァがnaiveレーベル登場!彼女はDeccaレーベルからチャイコフスキーのピアノ曲全集やラフマニノフの協奏作品全集をはじめ、ヴィルトゥオーゾ作品を数多くリリースしてきたが、naiveでも同じ路線でラフマニノフとラヴェルの超難曲に挑戦。どちらも極端に難しい技巧が要求されるが、ともに1908年の作で暗く怪奇的な要素を持っている。「夜のガスパール」がアロイジウス・ベルトランの詩によることは有名だが、ラフマニノフ作品もゲーテの「ファウスト」に基づくとされる。ラフマニノフ作品のなかでも特に難しく、演奏時間35分に及ぶ交響曲のような世界のため、ポピュラーなピアノ・ソナタ第2番に比べ演奏頻度は非常に少ない物。そうした作品だからこそ、「ラフマニノフの女王」の異名を持つリシッツァの演奏で聴きたい物。悪魔的な超絶技巧とエネルギーで両曲とも楽々と再現、驚くべきボルテージのさを示す。
V-7700
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(1CD)
2CD価格
リシッツァ・プレイズ・ショパン
 スケルツォ(全4曲)
  〔第1番 ロ短調 Op.20 /第2番 変ロ短調 Op.31 /
   第3番 嬰ハ短調 Op.39 /第4番 ホ長調 Op.54 〕/

 幻想ポロネーズ 変ロ長調 Op.61 /
 アンダンテ・スピアナートと
  華麗なる大ポロネーズ Op.22 /
 幻想即興曲 Op.66
ヴァレンティーナ・
 リシッツァ(P)
 録音:2021年12月9日-10日、モスフィルム・スタジオ、モスクワ。#当盤はレーベルで廃盤となっており、流通在庫限り&高額になります。ヴァレンティーナ・リシッツァはDeccaレーベルよりショパンの24のエチュードをリリースしていたが、今回 naiveレーベルで4曲のスケルツォをメインとするショパン・アルバムに挑戦した。切れ味抜群なスケルツォをはじめ、「幻想ポロネーズ」と「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ」という大作、さらに人気の「幻想即興曲」まで収めた嬉しい内容となっている。リシッツァのショパンは力強く骨太。病弱でセンチメンタルなショパン像とは異なる世界が新鮮。
V-8049
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(6CD)
3CD価格
モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
 〔第1番 ハ長調 K.279 /第2番 ヘ長調 K.280 /第3番 変ロ長調 K.281 /第4番 変ホ長調 K.282 /
  第5番 ト長調 K.283 /第6番 ニ長調 K.284 /第7番 ハ長調 K.309 /第8番 ニ長調 K.311 /
  第9番 イ短調 K.310 /第10番 ハ長調 K.330 /第11番 イ長調 K.331 /第12番 ヘ長調 K.332 /
  第13番 変ロ長調 K.333 /第14番 ハ短調 K.457 /第15番 ヘ長調 K.533 + 494 /
  第16番 ハ長調 K.545 /第17番 変ロ長調 K.570 /第18番 ニ長調 K.576 〕

 ソン・ヨルム(P|使用楽器:スタインウェイ
 録音:2022年1月27日-28日、3月1日-3日、5月17日-18日、6月13日-14日、トンヨン市。ソン・ヨルムがnaiveレーベルから登場!いきなりモーツァルトのピアノ・ソナタ全集、という驚きの内容。ソン・ヨルムは1986年韓国生まれ、3歳からピアノをはじめ1998年にデビュー。ヴィオッティ国際音楽コンクールをはじめ数々の国際コンクールで優勝・入賞を重ねているが、2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(辻井伸行が優勝)第2位受賞は日本でもその名が広く知られるきっかけとなったといえるだろう。彼女のモーツァルトはとにかく音の美しさがまず際立っている。清潔感と透明感に満ちており、その美しさには息をのむようだ。録音に臨む際、その場のインスピレーションを大切にしようと決めたソン・ヨルム。このソナタでの演奏も、そこかしこに即興的な装飾が入るが、それがキラリと光る小さな宝石のようで実に愛らしく、好感がもてる。
OPUS 111
ヴィヴァルディ:ソプラノのためのカンタータ集 Vol.1
 見つめたときに RV.650 /そよ風よ、おまえはもはや RV.652 /そよ風にはしずかに吹いてもらおう RV.669 /
 美しい夜明けは深紅に天にむかって RV.667 /蝶々が光のまわりをとび RV.660 /私の考えから RV.665

  アリアンナ・ヴェンディッテッリ(S) アンドレア・ブッカレッラ指揮アブコルディス・アンサンブル
 録音:2020年7月3日-6日、イタリア。#レーベル品切れのため、お届けできない可能性があります。ヴィヴァルディ・エディション第68弾は、ソプラノのためのカンタータ集(2巻予定)の第1弾。すべての主題は「愛」、世俗的カンタータ。ソプラノのアリアンナ・ヴェンディッテッリは、ヴァイオリンを学んだのち歌に専念するようになり、その音域の広さで若くして活躍、とくにモーツァルトでは定評があり、ムーティともたびたび共演している。古楽でも名だたる指揮者から指名を受けて出演、ヴィヴァルデイ・エディションでも、ダントーネ指揮の「ジュスティーノ」(OP-30571)、「タメルラーノ」(OP-7080)でに登場している。ここに収録のカンタータは、まるでヴィヴァルディが彼女のために書いたかと思ってしまうくらいに、すべての音符に隅々までエネルギーの行きわたった歌唱を聴かせる。愛の喜びから悲しみまで、豊かな表情に満ちた声の妙技、そして楽器のアンサンブルの妙技、遊び心のある装飾など、まるでオペラのようだ。ヴィヴァルディの作品がこのうえなく鮮やかに響く。
OP-7365
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(2CD)
アレッサンドリーニ〜モンテヴェルディ:マドリガーレ集第7巻
  1, 2, 3, 4 & 7声のための作品、およびその他の作品
 リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)指揮コンチェルト・イタリアーノ
 録音:2020年10月。アレッサンドリーニのモンテヴェルディ最新録音の登場。アレッサンドリーニはこれまでにマドリガーレ集第2巻、第3巻、第4巻、第5巻、第6巻、第8巻と録音しているほか、オルフェオなどの重要作品も録音。モンテヴェルディにかけてはひとしおの思い入れをもっている。ここでも、音楽自体がテキストの世界を物語るようなモンテヴェルディのドラマティックな作風を見事にとらえ、よい意味で非常になまめかしい演奏を展開している。歌い手たちの、たいへん表情豊かな歌唱力に圧倒されると同時に、器楽アンサンブルの面々による繊細かつ絶妙な歌とのバランスも見事。
アレッサンドリーニ|太陽の光 − 歌、ダンスと愛の物語〜モンテヴェルディ(1567-1643):
 オルフェオ より〔シンフォニア/バレエ音楽〕/音楽の諧謔〜そよ風はもどり/
 マドリガーレ集 より〔第2巻より[あたらしい日はまだ/ため息をつきながらある人が言った〕/
            第7巻より[シンフォニア/金色の髪、美しい宝]/
            第4巻〜わたしは若い娘/第9巻〜おどれ、たのしめ、喜べ〕/
 愛と戦いのマドリガーレ集 より〔私の旋律に感動してください/大胆なダンスと歌のハーモニーが〕/
 上がれ、上がれ、いたずらな羊飼いたちよ/上がれ、上がれ、ちいさな歌姫たちよ/上がれ、上がれ、一日が始まるぞ!/
 美の讃歌/ウリッセの帰郷 より〔第1幕〜むごく苦しい/第3幕〜私はただならぬなにかを感じる〕
 ビアージョ・マリーニ(1594-1663):教会&室内ソナタ集 Op.22 〜第2のガイヤルド(2回)
 アンドレア・ファルコニエーリ(1585/86-1656):カンツォーネ集第1巻〜チャッコーナ、エロイカ

 リナルド・アレッサンドリーニ指揮コンチェルト・イタリアーノ
 録音:2020年10月、カリタ・ホール、パドヴァ、イタリア。アレッサンドリーニは40年以上にわたり、モンテヴェルディの音楽に取り組んできた。マドリガーレやオペラなどを多数録音しており、手兵コンチェルト・イタリアーノとともに、モンテヴェルディの第一人者的存在といえるだろう。そんな彼が、モンテヴェルディの珠玉の楽曲を、「daylight(太陽の光)」と題し、夜明けから太陽が高くのぼった昼の時間帯までの間の愛の物語になるように、自身が選曲して録り下ろした1枚の登場。コンセプトとしては前回のモンテヴェルディ:夜〜恋人たちと兵士たちの物語(OP-30566)に続く内容だが、今回はすべて新録音の音源となる。同時代人たちの作品もプログラムに組み込むことによって、モンテヴェルディの音楽がより一層輝きを放つ。
OP-7367
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(2CD)
アレッサンドリーニ| Viv"a"ldi B"a"ch 〜「調和の霊感」全曲&バッハによる編曲6作
 ヴィヴァルディ:12の協奏曲集「調和の霊感」
 J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲 ヘ長調 BWV.978 (原曲: RV.310 )/
         4台のチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV.1065 (原曲: RV.580 )/
         オルガン協奏曲 ニ短調 BWV.596 (原曲: RV.565 )(*) /
         チェンバロ協奏曲 ハ長調 BWV.976 (原曲: RV.265 )/
         オルガン協奏曲 イ短調 BWV.593 (原曲: RV.522 )(*) /
         チェンバロ協奏曲 ニ長調 BWV.972 (原曲: RV.230 )
 リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)指揮コンチェルト・イタリアーノ
  [アンドレア・ロニョーニ、ステファノ・バルネスキ、ボリス・ベゲルマン、エリザ・チッテリオ(Vnソロ)
   アンドレア・ブッカレッラ、イグナツィオ・シファーニ、サルヴァトーレ・カルキオーロ(Cembソロ)
   マルコ・フレッツァート(Vcソロ) ロレンツォ・ギエルミ(Orgソロ)]
 録音:2020年12月14日-20日、ローマ(*以外) /2021年7月、モルビオ・インフェリオーレ州、スイス(*) |使用オルガン:サンタ・マリア奇跡の教区教会、2001年、マショーニ製(*) 。アレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノ、そして豪華ゲスト奏者たちによる、ヴィヴァルディの調和の霊感全曲+そのバッハ編曲という好企画盤の登場!!バッハは、ヴィヴァルディの調和の霊感を、チェンバロ協奏曲、およびオルガン独奏の「協奏曲」に編曲している。チェンバロ協奏曲編曲版は、アレッサンドリーニをはじめとする名手たちによる演奏、そしてオルガンはなんとギエルミが演奏している。ヴァイマールの主君ヴィルヘルム・エルンスト公の甥、ヨーハン・エルンストがオランダ留学から持ち帰った楽譜にヴィヴァルディの調和の霊感の楽譜もあり、これをソロの鍵盤作品に編曲するようにバッハに依頼した。こうして生まれた593や596は、協奏曲を1台のオルガンに凝縮しながらもバッハの対位法的手法が盛り込まれたバッハ色も濃厚な作品。名手ギエルミの品格ただよう至芸に期待が高まる。ヴィヴァルディの≪調和の霊感≫の演奏もどれもたまらなく素晴らしい仕上がり。そしてバッハ編曲によるチェンバロ協奏曲では、アレッサンドリーニの軽やかでやわらかなチェンバロが歌いまくっている。豪華メンバーによる超注目の美録音。
ピゼンデルとその周辺〜ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 (Vol.10)
 〔ト長調 RV.314 /ニ長調 RV.226 /変ロ長調 RV.369 /ニ短調 RV.237 /ニ長調 RV.225 /イ長調 RV.340 〕

 ジュリアン・ショヴァン(Vn)指揮コンセール・ド・ラ・ローグ
 録音:2021年3月11日-14日、フランス。ヴィヴァルディ・エディション。ヴァイオリン協奏曲第10巻目となる「ピゼンデルとその周辺」。タイトルが示すとおり、ヴィヴァルディと同時代にドレスデンで活躍した当時最高峰のヴァイオリン奏者、ピゼンデルに捧げられた、あるいは彼にまつわる作品が収録されている。ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755)は、クヴァンツやハッセにも賞賛され、アルビノーニやテレマンにも作品を献呈されている。J.S.バッハがピゼンデルのために無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータを書いた可能性も否定できないという説もあるほどの大家。そんなピゼンデルは、ドレスデン王室のオーケストラのアシスタント・コンサート・マスター(1728年より音楽監督)を務めていた時期の1716-17年にかけて、王たちの旅に同行しヴェネツィアを訪れる。そこでヴィヴァルディと知己を得、ヴィヴァルディの弟子にして友人となった。ピゼンデルは、作品の楽譜(写本や手稿譜も含む)を多数ドレスデンへと持ち帰り、ドレスデンにおけるヴィヴァルディの音楽の成功の立役者にもなっている。場合によってはヴィヴァルディの原曲に手を加え、ドレスデンのオーケストラが活きるように管楽器を多用したりといった変更も施した。ヴィヴァルディは、ソナタ(RV.2, 6, 19, 25, 29)および協奏曲(RV.172, 205, 237, 242, 314, 340, ひょっとしたらRV.328も)をピゼンデルに献呈した。収録曲の中では、RV.237, 314と340が明確にピゼンデルのための作品、そしてそのほかは当時のドイツのヴァイオリン奏者によって作られた写本による物。ところどころにピゼンデルのスケッチも書かれている。名手のために、ヴィヴァルディが腕によりをかけて書いた協奏曲を、ヨーロッパの古楽界が注目するショヴァン率いるコンセール・ド・ラ・ローグがこれ以上なく鮮やかに演奏している。
ヴィヴァルディ:3つの声のためのセレナータ RV.690
 アンドレア・ブッカレッラ(Cemb)指揮アブコルディス・アンサンブル
 マリー・リス(S;エウリッラ) ゾフィー・レンネル(Ms;ニース)
 アンチオ・ゾルツィ・ジュスティニアーニ(T;アルシンド)
 録音:2022年6月4日-7日、リーエン、スイス。18世紀の声楽ジャンルの「セレナータ」といえば、祝祭、誕生日、政治的イベント、あるいは結婚などといったお祝い事で演奏されることが多く、神話を題材とするものを指す。野外で(ごく稀に簡単な舞台を伴う)、松明の明かりのもとで演奏された。2部構成をとり、合間に聴衆は飲み物などを手にする。ヴィヴァルディは全部で8つのセレナータを作曲したとされているが、手稿譜が現存しているのはそのうちの3曲のみ。その中で、このRV690はフランスの貴族トゥレイユ氏が、平民との女性との自身の結婚を祝うためにヴィヴァウルディに発注したと考えられている。このセレナータのストーリーは、妖精のエウリッラが羊飼いのアルシンドにアプローチするが、アルシンドは妖精と羊飼いという身分の違いから、本気ではないと考え拒絶する。しかし、アルシンドがエウリッラの思いに気づいて心を開くと今度はエウリッラが彼を拒絶する、というなんともいえないものだが、これは貴族と平民との結婚を暗喩していると考えられる。美しいアリアがそろい、「テウッツォーネ」「ティート・マンリオ」にもこの作品のアリアが転用されている。
OP-30578
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(2CD)
アレッサンドリーニ〜J.S.バッハ:序曲集(管弦楽組曲/他)
 J.S.バッハ:序曲(管弦楽組曲)第3番 ニ長調 BWV.1068
 ヨハン・ベルンハルト・バッハ(1676-1749):序曲 ホ短調
 J.S.バッハ:序曲(管弦楽組曲)〔第1番 ハ長調 BWV.1066 /第4番 ニ長調 BWV.1069 〕
 ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1677-1731):序曲 ト長調
 J.S.バッハ:序曲(管弦楽組曲)第2番 ロ短調 BWV.1067

 リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)指揮コンチェルト・イタリアーノ
 録音:2018年12月。アレッサンドリーニによるバッハの管弦楽組曲。録音にあたり、アレッサンドリーニは、バッハのあらゆる作品をあらためて検証、スタイルや楽器編成についても再考し、この「管弦楽組曲」の魅力である複雑な対位法と、フランス・イタリア趣味の舞曲のキャラクターを見事なバランスを保ちながら再現している。アレッサンドリーニが放つ決定的名演。注目。当盤のもうひとつの魅力が、J.S.バッハのまたいとこにあたる、ヨハン・ベルンハルト・バッハとヨハン・ルートヴィヒ・バッハの作品も収録していること。J. S.バッハはベルンハルトの作品をコレギウム・ムジクムの演奏会で取り上げるなど、その才能を認めていた。バッハの資料の中には、ベルンハルトの作品を写譜したものも残されている。ルートヴィヒ・バッハの作品も、J.S.バッハはライプツィヒで演奏していた。そのおかげで、ルートヴィヒの作品(とくにカンタータ)も多く現存している。コンチェルト・イタリアーノとアレッサンドリーニが、ふたりの作品の魅力もこれ以上ないかたちで引き出している。

PARATY (仏) 価格帯記載無し:1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 品番下三桁順。番号が7桁のものが比較的新しく記号 "PTY" 、番号が6桁のものは(企画立案が?)古く記号 "PARATY" 。旧譜はこちらから(ただし旧譜に関しては、一部価格が高額で、供給ルートの問題から アイテムによって入荷までにお時間がかかる可能性があります)。
戦争と平和〜プロコフィエフ
 ピアノ・ソナタ第6番 イ長調 Op.82 /別れの前のロメオとジュリエット Op.75 No.10 /
 つかの間の幻影 Op.22(全20曲)/歌劇「戦争と平和」〜ワルツ Op.96 No.1 /年とった祖母の話 Op.31

 ヴェロニク・ボヌカズ(P)
 録音:2022年5月2日-4日、タルブ音楽院コンサートホール。ヴェロニク・ボンヌガズはボルドーとパリの音楽院の後、渡米してジュリアード音楽学校で学んだ実力派。教育面でも優れ、パリのエコール・ノルマルのほか日本のPTNAでも多くの生徒を育てている。CDではショパンやドビュッシーで独特な味わいの演奏を見せているが、今回プロコフィエフに挑戦。プロコフィエフは典型的ロシア音楽ながら6人組などフランス音楽の影響を受けていることもあり、ロシア系ピアニストとは違う側面を気づかせてくれる。とりわけ20曲からなる「つかの間の幻影」の色彩的で繊細な表現は絶品。
羽の鳥たち
 フランソワ=ベルナール・マシュ:ソピアーナ / ミカエル・レヴィナス:羽ばたき
 ドビュッシー/サマズイユ編曲:牧神の午後への前奏曲 / メシアン:黒つぐみ/シグル
 トリスタン・ミュライユ:アオアシカツオドリ/恋するナイチンゲール
 フィリップ・ユーレル:短いリトルネッロ(ルチアーノ・ベリオ追悼)
 マルク・モネ:ナット・ナット・ナット・ナット / レジス・カンポ:ヨーロッパアオゲラ

 アンヌ・カルテル(Fl|使用楽器:ブランネン=クーパー/アルトFl|使用楽器:三響/ピッコロ|使用楽器:ローゼン
 マリー・フェルミューレン(P|使用楽器:ベーゼンドルファー 280
 録音:2021年6月28日-7月1日、イル・ド・フランス国立o. 公会堂。音楽で鳥を表現することはルネサンス時代から行われていたが、それは擬音やノイズを用いての模倣だった。これを分析して記譜方法を体系立てたのがメシアン。彼をきっかけに作曲家たちがさまざまな目的、方法を試みた。しかしその真の発案者はドビュッシーだったともされる。このアルバムはメシアンとその意を汲む後継者たちによる鳥音楽集。鳥を表すのに最適なフルート属を用い、トリルやスタッカートのみならず各種特殊奏法を駆使している。ピアノも従来の音以外のコツコツ音などを響かせる。ことにカルテルとフェルミューレンのために書かれたモネの「ナット・ナット・ナット・ナット」はキテレツな奏法のオンパレードで釘付けとなる。メシアンの「シグル」は世界初録音。1982年作の無伴奏フルート曲だが、後にメシアン最後のオーケストラ曲となった「かなたの閃光」第7曲に流用された。
ボヘミアン・ラプソディ
 ドヴォルジャーク:ピアノ三重奏曲〔第2番 ト短調 Op.26 /第4番 ホ短調 Op.90 「ドゥムキー」〕
 スク:ピアノ三重奏のためのエレジー

 トリオ・アタナソフ
  [ペルスヴァル・ジル(Vn) サラ・スルタン(Vc) ピエール=カロヤン・アタナソフ(P)]
 録音:2021年4月-5月、カンプラ講堂、ダリウス・ミヨー音楽院、エクサン=プロヴァンス。2007年にパリ音楽院の学生たちで結成されたトリオ・アタナソフ。ハイドンからレーラ・アウエルバッハまで幅広いレパートリーを持つ彼らのCD第3弾は「ボヘミアン・ラプソディ」。といってもクィーンの名曲をピアノ三重奏で演じるのではなく、彼らが愛してやまないドヴォルジャークに挑戦。名作「ドゥムキー」をフレッシュな演奏で聴かせてくれる。最後をドヴォルジャークの娘婿スークがチェコの作家ゼイエル追悼で作曲したエレジーの作曲者自身による三重奏版で締めくくる感動的な内容。
模倣、バッハ作品の編曲〜J.S.バッハ/ラテルナ・マギカ編曲:
 ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 BWV.1015 /トリオ・ソナタ第3番 ニ短調 BWV.527 /
 主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ BWV.639 /トリオ・ソナタ第5番 ハ長調 BWV.529 /
 主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ BWV.655 /
 トリオ・ソナタ ト長調 BWV.1039 /目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV.645

 ラテルナ・マギカ[ナタリー・ホウトマン、ローラ・ポーク(リコーダー)
           ベルナール・ウォルテシュ(Vc) ラファエル・コリニヨン(Cemb/Org)]
 録音:2021年6月7日-9日、聖アポリネールド・バラン教会。2002年創設のピリオド楽器アンサンブル「ラテルナ・マギカ」。幻燈を意味する団体名で、バッハ作品の編曲に執念を燃やして探求を続けてきた。彼らにとって編曲はコピーではなく「ミメーシス(模倣から本質を知る)」で、バッハ自身自作・他作を含め過去の作品を常に利用していた精神を受け継いでいるとのこと。リーダーのナタリー・ホウトマンはブリュッセル音楽院でリコーダーのプルミエ・プリを取った後、尺八も学んだという学究肌。今回もトリオ・ソナタのほか、タルコフスキーの映画「惑星ソラリス」で人気のコラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」も入っているのが注目。
共鳴するドビュッシー
 ドビュッシー:夢想/沈める寺/水の反映/月の光/雪が踊っている/雨の庭/パゴダ/そして月は荒れた寺にかかる
 ジョアンナ・グッデール:海洋起源/メタル・ムーン/まだ雪/目が眩むガムラン/共鳴するドビュッシー

 ジョアンナ・グッデール(P)
 録音:2021年5月11日-12日、ラ・ショー・ド・フォン音楽ホール、ライヴ。ジョアンナ・グッデールはイギリスとトルコの血を引くフランス/スイスのピアニスト。前作はバッハとイスラム系音楽(自作)を並べ、比較紹介することで「バッハがイスラム音楽を聴いていたならば」という妄想を展開させていた。今回はドビュッシーの自然を題材にしたピアノ曲とそれに呼応するグッデールの自作を並べ、自然の摂理や生態系と人間の位置などを問うている。
ヴィエルヌ:チェロとピアノのための作品全集
 チェロ・ソナタ ロ短調 Op.27 /2つの小品 Op.5 /異国の夜 Op.56
  〔グラナダ/レマン湖で/ヴェネツィア/カナダの大平原/中国の魚〕

 カミーユ・セゲルス(Vc) アレクシス・ティボー・ド・メシエール(P)
 録音:2021年5月1日-3日、アルソニック音楽堂。ノートルダム大聖堂のオルガニストを務め、そこでの演奏中に亡くなったヴィエルヌはオルガン作品のイメージがあるが、室内楽にも優れた作品を残しています。なかでもカザルスに捧げられたチェロ・ソナタは傑作の呼び声高く、フランクとフォーレを思わす美しい世界を繰り広げる。カミーユ・セゲルスはベルギー出身の女性チェロ奏者。ブリュッセルとケルンの音楽院で学んだ後、パリとフライブルクで研鑽を積んだ。長年相方を務めているピアノのアレクシス・ティボー・ド・メシエールもベルギー出身。ペテルブルク音楽院で学んだ異才。
ルネサンスの忘れられた宝〜ピエール・コラン(1538頃-1572):
 ミサ・エスタンス・アッシス/第7旋法によるマニフィカト/モテット より〔真の殉教者ここに眠る/
  エルサレムを照らすため立ち上がれ/使徒なる民と神のしもべ/われらが過ぎ越しのハレルヤ/
  納得すれば目は口ほどに物を言う〕/ミサ・アヴェ・グロリオーサ

 シモン・ギャロ指揮ラ・ノート・ブレーヴ
 録音:2021年、教会、ジゴール・エ・ロズロン、ドローム。ピエール・コラン(1538頃 -1572)はフランスの作曲家でオルガニスト。ジョスカン・デ・プレに続く世代を代表する作曲家ながら、「ルネサンスの忘れられた宝」と称されるほど生涯がよくわかっていない。彼はほぼ生涯をブルゴーニュのオータンで送ったとされるが、彼のミサ曲はイタリアのボローニャやトレヴィーゾの大聖堂に写譜が残されている点から、各地で演奏されていたことを示すとされている。それながら人間像が不明なコランについて、シモン・ギャロ率いるラ・ノート・ブレーヴはいくつかの作品を研究、演奏することで光を当てようとしている。ラ・ノート・ブレーヴは日本人のポジティフ・オルガンと声楽5人からなる古楽団体。南仏ドローム地方ジゴール・エ・ロズロンの中世風教会で静かなひなびた歌唱を聴かせてくれる。後のセヴラックやカントルーブにつながる精神世界を感じさせる。
偉大な世紀最後の輝き
 アンドレ・レゾン:オルガン曲集第2巻(1714)より
 クリストフ・バラール/ジャン=パスカル・シャイニス編曲:クリスマスの切手(1703)
 ジャン=クリストフ・ルヴェル(Org) ヴァンサン・リーヴル=ピカール(CT)
 リザンドロ・ネシス(ターユ) ジャン=マニュエル・カンドノー(バス=ターユ)
 録音:2018年5月、オーシュ大聖堂。アンドレ・レゾン(1650以前-1719)はフランス・バロックの作曲家。フランスのオルガン音楽興隆に貢献した。バッハが傑作「パッサカリアとフーガ」のパッサカリア主題をレゾンのオルガン曲から用いていることでも知られる。ここでは戦争と飢餓に苦しめられたルイ14世治下最後の輝きと平和への祈りを描いている。1703年にバラールが発表したキャロル集に従い、対話を成す15のオルガン曲を選んだ。オーシュ大聖堂オルガンのカラフルな響きが魅力。
ルイ&フランソワ・クープラン:作品集
 ルイ・クープラン:組曲〔イ短調(全5曲)/ニ短調(全5曲)〕
 フランソワ・クープラン:
  第2オルドル〜フィレンツェ風/第6オルドル〜神秘的なバリケード/
  第11オルドル より〔ゼノビ/生来のあでやかさ/ヴィオール弾きと乞食/傷痍軍人〕/
  第15オルドル〜子守歌またはゆりかごの中のいとし子/
  第18オルドル より〔ティク・トク・ショックまたはオリーヴしぼり機/騒がしさ/感動/ヴェルヌイユ〕/
  第23オルドル〜アルルカン/第25オルドル〜妄想

 ブノワ・バベル(Cemb)
 録音:2021年4月、ノートル=ダム・ド・ラソンプシオン、メス=ル=コント。1988年生まれのフランスのチェンバロ奏者ブノワ・バベルがルイとフランソワ・クープランの作品に挑戦した。バベルはパリ音楽院でノエル・スピートに師事、現在はヴェルサイユ音楽院でチェンバロと通奏低音を教えてもいる。またアンサンブル・ザイスのチェンバロ兼指揮者としても活躍している。バベルはヘンデル、ラモーのディスクでも高い評を受けているが、クープラン一族、ことにルイの作品は貴重。純フランス・クラヴサン演奏・解釈の伝統を堪能させる。
苦悩と神聖の〜ロック&ブロウ:ヴァース・アンセム集
 ジョン・ブロウ:主よ、私は罪を犯した/なにゆえ、独りで座っているのか/
         イエスはこの群衆を見て/神に従う人は喜び祝い
 マシュー・ロック:教えてください主よ、私の行く末を/誰がキリストの愛から私たちを切り離せましょう/アルメイン/
          なにゆえ、独りで座っているのか/パヴァン ハ短調/主よ、私の罪から御顔をそむけてください

 アンサンブル・コスモス[モルガーヌ・コロン、アリス・コメネツキー(S)
  ダミエン・フェッランテ(CT) パコ・ガルシア、リチャード・ガリアン(T)
  マクシム・グレ(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ロリ・バルカン(ポジティフOrg/ヴァージナル)]
 録音:2020年11月、聖ピエール教会、モンマルトル。アンサンブル・コスモスは2015年にロワイモヨン修道院で誕生した通奏低音を中心とする声楽グループ。ポリフォニーとソロの相互影響と結びつきの興味から17-18世紀イギリス独自の「ヴァース・アンセム」を探求した成果がこのディスク。ヴァース・アンセムは宗教合唱曲ながら独唱や器楽伴奏がつく点が注目で、チャールズ2世の王政復古期に発展した。その代表的作曲家マシュー・ロックとジョン・ブロウの2人の作品をとりあげた。いにしえの時代にタイムスリップしたような超俗的な空気感で、静かでゆったりとした声のひびきが心をいやしてくれる。
J.S.バッハ:フーガの技法 BWV.1080 ケネス・ワイス(Cemb)
 録音:2021年5月16日-17日、ベレン文化センター、ポルトガル|使用楽器:タスカン、1782年製〔リスボン国立博物館所蔵〕。1963年ニューヨーク生まれのチェンバロ奏者ケネス・ワイスはレオンハルトに学んだ後、クレザール・フロリサンでクリスティの助手を務めた。演奏活動のかたわらジュリアードやパリ音楽院で教鞭もとっている。バッハ作品に特別な熱意を燃やすワイスは、これまでもイタリア協奏曲、ゴルトベルク変奏曲、平均律クラヴィーア曲集などをリリースし、来日公演でも評判となりました。今回はバッハが人生の終わりにとりくんだ難物「フーガの技法」に挑戦。ワイスはこれまでこの作品を勉強したことがなかったものの、コロナ禍で演奏活動が中断され、在宅時間が増えたことを利用してじっくり学んだとのこと。ちょうど2019年にポルトガルのリスボン国立博物館から復元されたタスカンのチェンバロの披露演奏を依頼されていたので、それを用いての録音となった。もともと楽器の指定がない作品ながら、ワイスの演奏はチェンバロ曲としての魅力と表現力に満ち、78分間圧倒され続ける。バッハの死とともに解決しないまま唐突に終ることを現在の危機に重ね、各声部が複雑に絡み合うフーガながら、特定の音を強調できないチェンバロで表現するためアーティキュレーション、タッチ、テンポ、リズムの変化で表した「壮大な制約」など、コロナ禍の歴史の証言となった。
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 ファニー・
 ビセンス(アコーディオン)
 録音:2020年12月、セプム、フランス。1987年南仏ペルピニャン生まれのアコーディオン奏者ファニー・ビセンス。バロックから現代音楽まで意欲的な活動を見せ、古楽声楽アンサンブルのレ・クリ・ド・パリと共演したり、フランス初の微分音アコーディオンを奏するなど目が離せない。そのビセンスが今回アコーディオンで「ゴルトベルク変奏曲」に挑戦。アコーディオン演奏による同曲は他にも録音があるが、ビセンスの凄いところはアコーディオン向きに編曲をせず、オリジナルの楽譜で演奏していること。もともと2段鍵盤と両手の交差といったチェンバロの機能を活用した作品だが、ピアニストとしても活動する彼女は、その知識と技術で、まるで両手のような見事な仕上がりを見せている。弦を叩く(ひっかく)ピアノやチェンバロと、空気で音を出すアコーディオンは自ずと機能と効果が違って来るが、ビセンスはあえてチェンバロのような音を出す工夫をしていて興味津々。


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