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マイナー・レーベル
2023年3月新譜情報


・国内盤マイナー・レーベル
・輸入盤マイナー・レーベル
・輸入盤 歴史的アイテム
・映像アイテム
・高音質アイテム


輸入盤の新譜は、基本的には御紹介月の翌月〜翌々月中にリリースされますが、 極端に発売日が遅れることや、初回生産が少なく次回プレスにまわされることがあり、入手に時間がかかるものもございます。 また、発売より時間の経ってからご注文の場合、 中には廃盤や入手不能の商品が出ている場合がありますので、その節は何卒御了承下さい。




輸入マイナー・レーベル




GOODIES ”DIRECT TRANSFER”
 CD/CD−R/DSD DISC (DVD−R)
 価格帯記載無し:1枚でのご注文:¥1650(税抜¥1500)
         2枚以上でのご注文:1枚あたり¥1210(税抜¥1100)
  (当シリーズ以外のアイテムは数に含みません/ DSD DISC [DVD-R] も同一価格)/
 価格帯B〔CD〕:1枚あたり¥1650(税抜¥1500)(枚数に関係なく当価格)

 東京の東村山市に本拠を構えるクラシックCDの小売り店、グッディーズさんが企画した盤起こしの復刻シリーズ(編集作業を全く行っていないため、レコード盤の切れ目で曲が途切れます)。78〜 はSP復刻、33〜 はLP復刻で、 CD-R と DSD DISC は品番部分の重複無し〔33CDR-3307 という品番がある場合、78CDR-3307というアイテムは存在しません〕。
 # 復刻マスター・データをそのまま収録している DSD DISC [DVD-R] は高音質ですが、DVD-Rで供給されるためCDプレイヤーでの再生は出来ません。ご注意下さい(DSDファイル再生に対応したオーディオ機器、あるいはパソコン&ソフトウェア等の再生環境が必要です)。
 2015年4月からCDプレス盤がリリース開始(今回はプレス盤新譜無し)。ただし、CD の品番は3000から振り直されており、CDR, DSD 盤とは異なっているため、ご注意の程お願い致します。
 旧譜はこちらから
78CDR-3898
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[CD-R]
自作自演〜プーランク
 オバド(ピアノと18の楽器のための舞踊協奏曲)
フランシス・プーランク(P)
ワルテル・ストララム指揮
コンセール・ストララム
78DSD-3898
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[DVD-R]
 録音:1930年1月20日、22日、シャンゼリゼ劇場、パリ|仏 COLUMBIA, LF 33/35 。 フランシス・プーランク(1899-1963)はスペイン出身のリカルド・ビネス(1875-1943)にピアノを、作曲はシャルル・ケクラン(1867-1950)に学んだ。フランス「6人組」の一人としてエリック・サティ(1866-1925)やモーリス・ラヴェル(1872-1937)から影響をうけ、フランス風エスプリに富んだ作品を残した。プーランクのピアノの師ビネスの演奏は「リカルド・ビネスの芸術」(78CDR-3895)で聞ける。この曲はプーランクが1929年に作曲した舞踏を伴う鍵盤楽器のために作曲した5曲の協奏曲の第2作目にあたる。作曲者自身のピアノで初演された。バレエのあらすじは、森に住む、純潔と貞節の女神ディアーヌ(ギリシャ神話のアルテミス、ローマ神話のディアナ)は自らの定めた神の掟によって恋をすることができず、夜明けのたびに悲しい思いをするという幻想的な筋書き。指揮者のワルテル・ストララム(1876-1933)は1926年にパリのオーケストラの中から名手を募り、コンセール・ストララムを結成した。1928年にラヴェルの「ボレロ」の初演の指揮をした。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3897
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[CD-R]
レナーSQ 〜ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.133「大フーガ」
 レナーSQ [イェノ・レナー(Vn1) ヨーゼフ・スミロヴィッツ(Vn2)
       シャーンドル・ロート(Va) イムレ・ハルトマン(Vc)]
78DSD-3897
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[DVD-R]
 録音:1930年2月19日|英 COLUMBIA, LX 103/4 。レナー弦楽四重奏団は1918年にハンガリーのブダペストで結成された。メンバー全員がブダペスト音楽院出身。リーダーのイェノ・レナー(1894-1948)、第2ヴァイオリンのヨーゼフ・スミロヴィッツとヴィオラのシャーンドル・ロートがイェノ・フバイ(1858-1937)の弟子、チェロのイムレ・ハルトマンがダヴィド・ポッパー(1843-1913)に師事した。4人はブダペスト・オペラの楽員だったが、1918年のハンガリー革命を機に弦楽四重奏団を結成した。2年間、田舎の村にこもって練習を積んだ後、1920年にウィーンでデビューした。そこに居合わせた作曲家のラヴェル(1875-1937)が演奏に感動し、彼らをパリに招いた。公演はセンセーショナルの成功を収めた。1927年のベートーヴェン没後100年を記念して16曲の弦楽四重奏曲中11曲(SPレコード40枚)をイギリス・コロンビアに録音した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3896
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[CD-R]
アンリ・マルトーの芸術
 ビゼー/サラサーテ編曲:カルメン幻想曲[独 HMV, EH 104A / Recoreded 12 December 1927, Berlin ]
 ボッケリーニ/マルトー編曲:メヌエット[独 ELECTROLA, EH 244A / Recorded 6 November 1928, Berlin ]
 ゴダール/マルトー編曲:悲しいアダージョ[独 ELECTROLA, EH 244B / Recorded 5 November 1928, Berlin ]
 ブラームス/ヨアヒム編曲:ハンガリー舞曲第6番 / サラサーテ:ハバネラ
  [独 ELECTROLA, EH 248A/B / Recorded 6 November 1928, Berlin ]
 J.S.バッハ/ヴィルヘルミ編曲:G線上のアリア / シューベルト/マルトー編曲:セレナード
  [独 HMV, EH 397A/B / Recorded June 1930, Berlin ]
 ビゼー/サラサーテ編曲:カルメン幻想曲
  [独 HMV, EH 413A/B / Recorded 5 November1928 + June1930, Berlin ]

 アンリ・マルトー(Vn) パンチョ・ウラディゲロフ、クレメンス・シュマルシュティヒ(P)
78DSD-3896
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[DVD-R]
 アンリ・マルトー(1874-1934)はフランスのランス生まれのヴァイオリニスト、作曲家。パリ音楽院でジュール・ガルサン(1830-1896)に師事、1892年に一等賞を得た。その後スイスのジュネーヴ音楽院、ベルリンの高等音楽院で教鞭をとったが、第一次世界大戦中に母国フランスと滞在地のドイツの両国からスパイ容疑がかけられたためスウェーデンに逃れ、1915年に市民権を得た。1999年にアンリ・マルトー国際ヴァイオリン・コンクールが開催された。マルトーのSP盤は製造国がイギリスであっても、発売国がドイツだったため流通量が少なくSPレコード時代から入手が困難だった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3895
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[CD-R]
リカルド・ビネス〔ビニェス〕の芸術 Vol.1
 アルベニス:グラナダ[ Fr. COLUMBIA, LFX 73b (WLX 1416-1) / Recorded 17 June 1930, Paris ]
 マヌエル・ブランカフォルト:メリーゴーランドのオルガン/軽業師のポルカ
  [ Fr. COLUMBIA, LFX 73a (WLX 1146-1) / Recorded 4 November 1929, Paris ]
 ドビュッシー:グラナダの夕べ[ Fr. COLUMBIA, D.15245b (WLX 1150) / Recorded 7 November 1929, Paris ]
 アルベニス:朱色の塔[ Fr. COLUMBIA, D.15245a (WLX 1147) / Recorded 4 November1929, Paris ]
 トゥーリナ:ムルシアの庭園で/ミラマール
  [ Fr. COLUMBIA, LF 12a/b (WL 1888/89) / Recorded 13 November 1929, Paris ]
 アルベニス:オリエンタル/セギディリャ
  [ Fr. COLUMBIA, LF 42a/b (WL 2330-1/2331-1) / Recorded 6 June 1930, Paris ]/
       タンゴ/スペインのセレナーデ
  [ UK HMV, DA 4885a/b (OLA 1208-1□/1209-1□ ) / Recorded 22 July 1936, Paris )

 リカルド・ビネス〔ビニェス〕(P)
78DSD-3895
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[DVD-R]
 リカルド・ビネス(1875-1943)はスペインのピアニスト。その昔フランス語読みでヴィーニェスと呼ばれていた(カデンツァ注: Ricardo Viñes はカタルニャ生まれだが、カタルニャ語では用いない "ñ" 〔 N にティルデを付した文字〕が綴りに含まれる。この文字は硬口蓋鼻音で、カタルニャ語では "ny" に相当するそうなので、スペイン語、カタルニャ語ともにカナ翻字は「ビニェス」が適当と思われる)。1885年にバルセロナ音楽院に入学し、1887年にピアノ賞を受賞、その後パリに移住し、パリ音楽院でシャルル・ウィルフリッド・ド・ベリオにピアノを、作曲と和声をバンジャマン・ゴダールとアルベール・ラヴィニャックに師事した。1895年サル・プレイエルでデビュー。その後、ロシア、ヨーロッパと南米諸国にツアー、1931年から1935年までアルゼンチンに住み、1936年にパリに戻った。レパートリーは古典作品に加えて、フランス、スペイン、ロシアの作曲家のピアノ曲をレコード録音し、SPレコード時代から人気があった。あらえびす著「名曲決定盤」にも登場していた。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3894
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レナーSQ 〜ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135
 レナーSQ [イェノ・レナー(Vn1) ヨーゼフ・スミロヴィッツ(Vn2)
       シャーンドル・ロート(Va) イムレ・ハルトマン(Vc)]
78DSD-3894
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[DVD-R]
 録音:1926年11月29日、ウィグモア・ホール、ロンドン|英 COLUMBIA, L 1918/20 。レナー弦楽四重奏団は1918年にハンガリーのブダペストで結成された。メンバー全員がブダペスト音楽院出身。リーダーのイェネ・レナー(1894-1948)、第2ヴァイオリンのヨーゼフ・スミロヴィッツとヴィオラのシャーンドル・ロートがイェネ・フバイ(1858-1937)の弟子、チェロのイムレ・ハルトマンがダヴィド・ポッパー(1843-1913)に師事した。4人はブダペスト・オペラの楽員だったが、1918年のハンガリー革命を機に弦楽四重奏団を結成した。2年に渡って田舎の村にこもって練習を積んだ後、1920年にウィーンでデビューした。そこに居合わせた作曲家のラヴェル(1875-1937)が演奏に感動し、彼らをパリに招いた。公演はセンセーショナルな成功を収めた。その後1922年にロンドン、1929年にアメリカにデビューした。1927年のベートーヴェン没後100年を記念して16曲の弦楽四重奏曲中11曲(SPレコード40枚)をイギリス・コロンビアに録音した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3893
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[CD-R]
シゲティ〜J.S.バッハ
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV.1052
ヨーゼフ・シゲティ(Vn)
フリッツ・シュティードリー指揮
ニュー・フレンズ・
 オヴ・ミュージックo.
78DSD-3893
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[DVD-R]
 録音:1940年4月24日、リーダークランツ・ホール、ニューヨーク|米 COLUMBIA, 11379/81-D 。J.S.バッハのチェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV.1052の原曲。ヨーゼフ・シゲティ(1892-1973)はハンガリーのブダペスト生まれ。ブダペスト音楽院でイェノ・フバイ(1850-1937)に師事した。1905年、13歳でベルリン・デビュー、大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)に認められた。1917年から24年にスイスのジュネーヴ音楽院で教え、1940年にアメリカに移住した。指揮者のフリッツ・シュティードリー(1883-1968)はウィーン生まれ。ウィーン大学で法学を学んでいた時、グスタフ・マーラー(1860-1911)に楽才を見いだされマーラーの助手としてウィーン宮廷歌劇場より任命された。1933年ヒトラーへの反撥からドイツを去り、1934年から37年までレニングラード・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者をつとめた。1937年にアメリカに移住し、ニューヨークのニュー・フレンズ・オヴ・ミュージックo. の指揮者になった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3892
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フォン・ヴェチェイ + アゴスティ〜ベートーヴェン
 ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op.12 No.3
フランツ・
 フォン・ヴェチェイ(Vn)
グィード・アゴスティ(P)
78DSD-3892
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[DVD-R]
 録音:1934年11月24日|独 POLYDOR, 62717/19 。ヴァイオリンのフランツ・フォン・ヴェチェイ(1893-1935)はハンガリー出身。8歳の時ブダペストでイェネー・フバイ(1858-1937)に師事し、2年後の10歳の時ベルリンのヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)に入門し神童として輝かしい道を歩んだ。1910年代から20年代にはヨーロッパ屈指のヴァイオリニストとして名を馳せ、一時はベラ・バルトーク(1881-1945)を伴奏者にして演奏旅行をしたこともあった。フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(1865-1957)はヴァイオリン協奏曲をヴェチェイに献呈した。ヴェチェイは作曲も手がけ超絶技巧を要するヴァイオリン曲を数多く書いた。ピアノのグィード・アゴスティ(1901-1989)はイタリアのピアニスト。フェルッチョ・ブゾーニ(1866-1924)の弟子だった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3891
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[CD-R]
ゴドフスキー〜ベートーヴェン
 ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op.81a「告別」
レオポルド・ゴドフスキー(P)
78DSD-3891
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[DVD-R]
 録音:1929年5月31日、ロンドン|英 COLUMBIA, L 2354/55 。レオポルド・ゴドフスキー(1870-1938)はロシア帝国リトアニア、ビリニュス近郊、ソシュリー生まれ。14歳でベルリンのケーニヒグリヒェ音楽院に入ったが、すぐにアメリカに赴き人生の大半をアメリカで過ごした。ピアノは独学とされている。アメリカではニューヨーク音楽大学で教鞭をとり、1891年に市民権を獲得した。その後、フィラデルフィア、シカゴの音楽大学で教え、1909年から1914年までウィーンで教えていた。機械式録音時代からレコード録音をしていた。電気録音時代(1925-)になって英コロンビアに入れ始めたが、1930年6月17日の録音中に脳卒中で倒れ、以降公開演奏から姿を消した。弟子にはギレリスやリヒテルの師ゲンリフ・ネイガウス(1888-1964)やホルヘ・ボレット(1914-1990)等がいる。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3890
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[CD-R]
チェリビダッケ& BPO 〜プロコフィエフ
 交響曲第1番 ニ長調 Op.25「古典」
セルジュ・チェリビダッケ指揮
BPO
78DSD-3890
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[DVD-R]
 録音:1948年2月4, 5日-6日、ベルリン|仏 VSM, SL 141/42 (英 HMV, C 3729/30 と同一録音)。指揮者35歳の初録音レコード。セルジュ・チェリビダッケ(1912-1996)はルーマニア生まれ。ベルリンに学び、その地で第2次世界大戦の終戦を迎えた。当時ベルリン・フィルの常任指揮者だったヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)が大戦中のナチスとの関係をとがめられ謹慎生活をおくっていた。後継の指揮者にレオ・ボルヒャルトが選ばれたが、ボルヒャルトが急死したため、後任者さがしコンクールが開かれ応募したチェリビダッケが審査員全員一致で優勝し、ボルヒャルトの死の8日、後にBPOの野外コンサートで指揮者デビューした。1947年のフルトヴェングラー復帰後もチェリビダッケはベルリン・フィルに留まっていたが、1954年フルトヴェングラーの死後カラヤンがベルリン・フィルの首席指揮者になってから、イタリア、スウェーデンのオーケストラに客演した。この録音はチェリビダッケが35歳の初録音。約4分のSPレコード一面に1日、を費やすこの指揮者の姿がデータから窺えるセルジュ・チェリビダッケはこのシリーズでロンドン・フィルを指揮したモーツァルト:交響曲第25番 K.183 (78CDR-3254)が出ている。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の 「 DS-DAC-10R 」 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3889
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[CD-R]
ザウアー + ヴァインガルトナー〜
 リスト
:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
エミール・フォン・ザウアー(P)
フェリクス・
 ヴァインガルトナー指揮
パリ音楽院o.
78DSD-3889
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 録音:1938年12月1日、パリ|英 COLUMBIA, LX 789/91 。 ピアノのエミール・フォン・ザウアー(1862-1942)は大作曲家フェレンツ・リスト(1811-1886)の最晩年の弟子の一人。モスクワ音楽院卒業後1884年から85年にヴァイマールでリストの薫陶を得た。その後ウィーン音楽院のピアノ科でマスタークラスを持つ傍ら、1880年代から1930年代まで演奏家としてヨーロッパからアメリカと国際的に活躍した。リストのピアノ協奏曲第2番もSPに録音していた。指揮者のフェリックス・フェリクス・ヴァインガルトナー(1863-1942)はオーストリアの大指揮者。ライプツィヒ音楽院出身。1882年、ヴァイマールでリストに師事、1884年に指揮者デビュー。1887年にグスタフ・マーラーの後任としてウィーン宮廷歌劇場とVPOの音楽監督に就任した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3888
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[CD-R]
マリユス・カザドシュ(1892-1981) /伝・モーツァルト:
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 K.Anh.294a 「アデライデ」
  イェフディ・メニューイン(Vn) ピエール・モントゥー指揮パリso.
78DSD-3888
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[DVD-R]
 録音:1934年5月14日、ステュディオ・アルベール、パリ|英 HMV, DB 2268/70 。 この曲は作曲者モーツァルトによるヴァイオリン独奏部と低音楽譜の自筆譜があるとされ、1933年に新発見のモーツァルトの作品としてマリユス・カザドシュ(1892-1981)によって出版された。ルイ15世の王女アデライドに捧げられた曲ということからこの名があるが、後にカザドシュの偽作であることが判明した。SPレコード時代に評判だった作品で、再発売の要望が高かった。ユーディ・メニューイン(1916-1999)はアメリカ生まれのユダヤ系ヴァイオリン奏者。パリでジョルジュ・エネスコ(1881-1955)に、ベルリンでアドルフ・ブッシュ(1891-1952)に師事した。ピエール・モントゥー(1875-1964)はフランスの大指揮者。ここで指揮をしているパリso. の初代指揮者(1929-1935)だった。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3887
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[CD-R]
南国のばら〜ブルーノ・ワルター、ヨハン・シュトラウス II : SP 録音集
  南国のばら Op.388 (*) /ウィーン気質 Op.354 /喜歌劇「こうもり」序曲/喜歌劇「ジプシー男爵」序曲(+)

 ブルーノ・ワルター指揮 BPO (*)、ベルリン国立歌劇場o.(無印)、交響楽団(+)
78DSD-3887
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[DVD-R]
 録音:1930年2月14日(*) /1929年1月10日-11日(無印) /1929年5月18日、ロンドン(+) 。ブルーノ・ワルター(1876-1962)はベルリンのシュテルン音楽院を卒業後ピアニストとしてデビュー、後に指揮者に転向した。1894年ハンブルク歌劇場の指揮だった時、そこの音楽監督だったグスタフ・マーラー(1860-1911)と出会い親交を深めた。ここに収録したヨハン・シュトラス2世の作品集は、若き日のワルターが指揮者を務めた各地のオーケストラで録音した物。SPレコードがマイクロフォンを使用した電気録音(1925-)初期の物。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3886
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[CD-R]
ブダペストSQ 〜モーツァルト:弦楽四重奏曲第23番 ヘ長調 K.590
 ブダペストSQ [ヨーゼフ・ロイスマン(Vn1) アレクサンダー・シュイナイダー(Vn2)
         イシュトヴァーン・イポリー(Va) ミッシャ・シュナイダー(Vc)]
78DSD-3886
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[DVD-R]
 録音:1935年4月29日-30日、アビー・ロード EMI 第3スタジオ、ロンドン|米 VICTOR, 16916/8 (英 HMV, DB 2514/6 と同一録音)。ブダペスト弦楽四重奏団は1917年にブダペスト歌劇場o. のメンバー4人によって結成され1967年に解散した。1932年に初代のリーダーだったエミール・ハウザー(在籍1917-32)からヨーゼフ・ロイスマン(1900-1974)になり、アメリカをベースに活動し20世紀中期最高の弦楽四重奏団として君臨した。アレクサンダー・シュナイダー(在籍1933-45、1955-67)は第2ヴァイオリン奏者で一時期ソリストと自らの四重奏団を結成し活動していた。ヴィオラのイシュトヴァン・イポリー(在籍1917-36)はボリス・クロイト(在籍1936-67)に代わった。チェロのオリジナル・メンバーであるハリー・ソン(在籍1917-30)はミッシャ・シュナイダー(在籍1936-67)に代わった。ヴィオラのイポリーがオリジナル・メンバーのハンガリー人、他はロシア人。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3885
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[CD-R]
ランドフスカ + ビゴ〜J.S.バッハ
 チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV.1052
ヴァンダ・ランドフスカ(Cemb)
ウジェーヌ・ビゴ指揮管弦楽団
78DSD-3885
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[DVD-R]
 録音:1938年12月1日、スチュディオ・アルベール、、パリ|仏 LA VOIX DE SON MAITRE, DB 11229/31 。ヴァンダ・ランドフスカ(1879-1959)はポーランドのワルソー生まれ。20世紀最高のチェンバロ&ピアノ奏者。彼女は演奏家、音楽学者、教授で1900年から13年間パリのスコラ・カントルムで教鞭をとった。二列の鍵盤と七個のペダルを有する自分のチェンバロをパリのプレイエル社に特注し、生涯この楽器を使用した。1940年フランス国籍を得たが、1941年ドイツ軍のフランス侵攻によりアメリカにのがれた。パリに残したチェンバロは後にアメリカ軍によって彼女の手元に届けられた。指揮者のウジェーヌ・ビゴ(1886-1985)はパリ音楽院出身。シャンゼリゼ劇場の指揮者を経て1923年パリ音楽院o.、1928年にフランス国立放送o.、1935年にラムルーo.、オペラ・コミックの指揮者を歴任。パリ音楽院の指揮科教授もつとめた。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3884
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[CD-R]
ブッシュ=ゼルキン初期電気録音集
 J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ ト長調 BWV.1021
 ヴィヴァルディ/ブッシュ編曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 Op.2 No.1
 ジェミニアーニ/ブッシュ編曲:シチリアーノ
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第3番 変ホ長調 Op.12 No.3
  アドルフ・ブッシュ(Vn) ルドルフ・ゼルキン(P)
78DSD-3884
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[DVD-R]
 アドルフ・ブッシュ(1891-1952)はドイツの名ヴァイオリン奏者。1922年からピアノのルドルフ・ゼルキン(1903-1991)とデュオを組んで活躍した。1936年ゼルキンはブッシュの娘イレーネと結婚したが、ゼルキンはナチスのユダヤ人迫害を避けてアメリカに移住した。その後ブッシュもアメリカに渡り1939年に定住した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3883
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ブレックSQ 〜モーツァルト
 弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421
ブレックSQ
[ハリー・ブレック(Vn1)
 エドワード・シルヴァーマン(Vn2)
 ダグラス・トンプソン(Va)
 ウィリアム・プリース(Vc)]
78DSD-3883
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[DVD-R]
 録音:1940年3月5日、デッカ・スタジオ、ウェスト・ハムステッド、ロンドン|英 DECCA, K 923/5 。リーダーのハリー・ブレック(1910-1999)はロンドン生まれ。9歳でヴァイオリンを始め、トリニティ音楽院に学び、その後プラハでオタカール・シェフチーク(1852-1934)の薫陶を得た。ハレo. に入団しながらマンチェスター音楽大学でアーサー・カテラルの指導を受け、1930年にBBCso. に入団し1936年まで在籍、退団後ブレック四重奏団を結成した。第2次世界大戦中にメンバーのシルバーマンが心臓病で、トンプソンが飛行訓練中に死去、プリースの兵役などでメンバー交代があったが1950年まで活動を続けた。一方、戦時中の1942年にロンドン・ウィンド・アンサンブルを設立して指揮活動をはじめ、1949年にはロンドン・モーツァルト・プレイヤーズを設立して、1984年まで首席指揮者を務めた。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3882
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リリー・クラウス〜モーツァルト
 ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 K.333
リリー・クラウス(P)
78DSD-3882
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[DVD-R]
 録音:1948年5月7日|英 PARLOPHONE, R.20566/7 。リリー・クラウス(1905-1986)はハンガリー生まれの女流ピアニスト。17歳でブダペスト音楽院に入り、ベラ・バルトーク(1881-1945)、ゾルターン・コダーイ(1882-1967)に師事した。1922年ウィーンに赴き、ウィーン音楽アカデミーでアルトゥール・シュナーベル(1882-1951)とエドゥアルト・シュトイアマン(1892-1964)についてさらに研鑽を積んだ。1930年代からモーツァルトやベートーヴェンの演奏家として名声を上げ、ヴァイオリンのシモン・ゴールドベルク(1909-1993)と共演して各国で評判をとった。1942年インドネシア公演中にゴールドベルクと共に日本軍によって拘留され大戦集結まで軟禁された。戦後イギリス国籍を取得して演奏活動を再開、1967年からアメリカに定住した。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。
78CDR-3881
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クレンペラー〜モーツァルト
 交響曲第25番 ハ短調 K.183
オットー・クレンペラー指揮
パリ・プロ・ムジカo.
78DSD-3881
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[DVD-R]
 録音:1950年2月、サル・プレイエル、パリ|仏 POLYDOR, A 6345/6 オットー・クレンペラー(1885-1973)はドイツ生まれ、1910年からドイツ各地のオペラハウスでキャリアを積んだ。1927年から31年にはベルリンのクロール・オペラの指揮者をつとめた。ユダヤ人だった彼は1937年ナチスの迫害を逃れてアメリカに移住、市民権を得てロサンゼルス・フィルハーモニーの音楽監督になった。だがカリフォルニアの土地にはなじめずその地位を離れた。第2次世界大戦が終わるとヨーロッパ楽壇に復帰した。この録音はヨーロッパ復帰直後にパリで行われた。プロ・ムジカo. の実体はラムルーo. 。この録音はSPレコード末期のもので日本ではほとんど知られていなかった物。このシリーズで同時期に録音された交響曲「リンツ」(78CDR-3433)が出ている。 復刻には「音のエジソン」 http://www.otono-edison.com/ SP レコード専用 MC 型カートリッジの上級モデル「ゼロSP 78rpm 」 (3 mil 針) とコルグ の Nu1 DSD 録音機を使用した。

DOREMI (加) 特記以外 1枚あたり¥2970(税抜¥2700)

 旧譜はこちらから
初出&初音盤、マルタ・アルゲリッチ・ライヴ Vol.13 〜クーベリックとの共演/他
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503 (*)
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 Op.30 (#)
 ◆ザールブリュッケン・リサイタル 1972.4.14 (+)
  J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV.826
  シューマン:ピアノ・ソナタ第2番 ト短調 Op.22
  ショパン:夜想曲第8番 変ニ長調 Op.27 No.2 (++) /スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
  ラヴェル:夜のガスパール
 マルタ・アルゲリッチ(P) ラファエル・クーベリック指揮 NYP (*)
 ベルンハルト・クレー指揮ハノーファー放送so.(#)
 録音:1978年2月7日、エイヴリー・フィッシャー・ホール、リンカーン・センター、ニューヨーク(*) /1979年6月14日、ハノーファー(#) /1972年4月14日、ザールブリュッケン(+) |初出音源| (++):アルゲリッチによる初音盤作品。 DOREMI のアルゲリッチ貴重音源集第13弾。クーベリックとのモーツァルト、クレーとのラフマニノフという2つの協奏曲ライヴに加え、72年のザールブリュッケン・リサイタルを収録。ショパンのノクターン第8番の録音はめずらしく、他では聴くことのできないレパートリー(他に、前日1972年4月13日の未発売録音がある模様)。

APARTE (仏) 1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 音のよさ、クオリティの高さで定評のある AMBROISIE レーベルのプロデューサーとして名高いニコラス・バルトロメーが立ち上げたレーベル。 旧譜はこちらから
ラモー:六重奏によるコンセール
 〔第1番 ハ短調/第2番 ト長調/第3番 イ長調/
  第4番 変ロ長調/第5番 ニ短調〕
ティボー・ノアリ(Vn)指揮
レ・ザクサン
 録音:2020年12月14日-16日、サン・ピエール寺院、パリ。六重奏によるコンセールはラモーの数少ない室内楽作品。6つのコンセールから成る。ティボー・ノアリとレ・ザクサンは、そのなかから名作「コンセールによるクラヴサン曲集」全曲を六重奏用に編曲した5つのコンセールに挑戦している。三重奏だった「コンセールによるクラヴサン曲集」がより多彩かつ華やかになっていて、各曲の性格付けがさらにはっきり感じられるようになった。ティボー・ノアリは1982年生まれ。2006年以来ミンコフスキのグルノーブル=ルーブル宮音楽隊のコンサートマスターを務めるほか、カウンターテナーのフィリップ・ジャルスキと共演したり、同じくミンコフスキから目をかけられたチェンバロのフレンチェスコ・コルティとデュオを組んだりと、活躍が注目されている。ノアリ率いるピリオド楽器アンサンブル「レ・ザクサン」はヴァイオリン3、ヴィオラ、チェロ2の編成で、クラヴサンを含まないラモーの世界を描いている。
AP-260
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(14CD)
6CD価格
Musica Imperialis 〜マルティン・ハーゼルベック&ウィーン・アカデミー
 ◆戦争とバレエ〜ウィーンのバロック音楽(*)
  シュメルツァー(1623-1680):皇帝風セレナーデのためのハ調によるアリアを伴うソナタ/音楽による剣術の学校/
                フェルディナンド三世の死によせるラメント/アリアをともなうセレナータ
  ビーバー(1644-1704):6声のソナタ Pauernkirchfahrt /トランペット、弦と通奏低音のための5声のソナタ/
             バターリャ(1673)/セレナーデ Nachtwaechter
  アレッサンドロ・ポリエッティ(1641-1683): Das Henner und Hannerngeschray に基づくカンツォンとカプリッチョ
  パヴェル・ヨーゼフ・ヴェイヴァノフスキー(1640-1693):
   ソナタ・ラ・ポスタ/ヴァイオリン、トランペット、トロンボーンと通奏低音のためのソナタ/8声のソナタ
  [マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo.
   グナール・レツボール(Vn) アンドレアス・ラックナー(Tp)他/録音:1995年5月]
 ◆皇帝たちの音楽(#)
  フェルディナント3世(1608-1657):聖歌 Jes Redemptor omnium /4声の聖歌 Deus Tuorum /8声の聖歌 Hamanae Salutis
  シュメルツァー(1620頃-1679):フェルディナンド3世の死のラメント
  ヨーゼフ1世(1678-1711):カンタータ「レジーナ・チェリ」
  レオポルト1世(1640-1705):ソナタ・ピエナ/ Laudate Pueri
   [マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo. リンダ・ペリッロ(S)
    イェルク・ヴァシンスキ、デイヴィッド・コーディエ、ヘニング・ヴォス(CT)
    アキム・クラインライン(T) ウルフ・ベストライン、マルコス・フィンク(B)/録音:1997年10月]
 ◆レオポルト1世:宗教音楽集(#) 〔モテット/ミゼレーレ/3つの晩課〕
  [イェルク・ヴァシンスキ(S) デイヴィッド・コーディエ、ヘニング・ヴォス(CT) アキム・クラインライン(T)
   マルコス・フィンク(B) マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1997年10月14日-16日]
 ◆ヨハン・カスパール・ケルル(1627-1693):オルガン作品集(*)
  [マルティン・ハーゼルベック(Org|クロスターノイブルク修道院、祝祭オルガン)
   フーベルト・ドップ合唱指揮ウィーン・ホーフブルクカペレ・コラールスコラ/録音:1992年10月]
 ◆ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741) (#):
   Victimae paschali laudes (セクエンツ)/キリスト聖体のミサ/
   2つのモテット〔 Plaudite, Sonat Tuba / Paries Quindem 〕
  [マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo. デイヴィッド・コーディエ(CT) ドルー・ミンター(A)
   ヨハネス・クム(T) クラウス・メルテンス(B)/録音:1997年5月19日-22日]
 ◆ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741):
   オラトリオ「われらが救世主イエス・キリストが十字架からおろされるとき」 K.300 (*)
    [ドロテア・レッシュマン(聖母マリア) ソイレ・イソコスキ(マグダラのマリア)
     デレク・リー・レイギン(福音史家)エヴァンゲリスト) ヘルムート・ヴィルトハーバー(ジュゼッペ・アリマテオ)
     フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(ニコデモ) マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo.
     フランツ・ファルンベルガー合唱指揮ザンクト・フローリアン少年&男声cho./録音:1992年9月]
 ◆ヨハン・ヨーゼフ・フックス(1660-1741):
   オラトリオ「カルバリの丘で慈悲によって開かれた救済の泉」 K.293 (#)
    [小池久美子、リンダ・ペリーリョ、ウルスラ・フィードラー(S) ヘニング・フォス(CT)
     ヨハネス・チュム(T) ヴォルフガング・ヴァンクル(B) ウィーン・アカデミーo./録音:1999年3月-4月]
 ◆ニコラ・ポルポラ(1686-1768):オラトリオ「ギデオン」
  [カイ・ヴェッセル(ギデオン) ウルフ・ベストライン(ヨアス) リンダ・ペリッロ(S)
   ヘニング・フォス、イェルク・ヴァシンスキ(CT) ヨハネス・クム(T)
   マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1998年4月]
 ◆モーツァルト:教会作品集(*)
   戴冠ミサ K.317 /カンタータ「聖墓の音楽」 K.42 /教会ソナタ集〔ヘ長調 K.244 /変ホ長調 K.67 /ハ長調 K.329 〕
    [エディト・ヴィーンス(S) ベルナルダ・フィンク(A) ヴェルナー・ホルヴェーク(T)
     トマス・ハンプソン(B) マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1990年6月]
 ◆モーツァルト:オルガン作品集(*)
   幻想曲〔ヘ短調 K.608 /ヘ短調 K.594 〕/アンダンテ ヘ長調 K.616 /序曲 ハ長調 ( K.399 より)/ジーグ ト長調 K.574 /
   アダージョ ハ長調 K.536 /フーガ〔ト短調 K.154 /変ホ長調 K.153 /ト短調 K.401 〕
    [マルティン・ハーゼルベック(Org)/録音:1989年9月、ブレッサノーネ大聖堂、ボルツァーノ、イタリア]
 ◆レオポルト2世の戴冠礼拝の音楽の再現(*)
   モーツァルト:ミサ・ソレムニス / 作曲者不詳: Asperges me
   アルフレヒツベルガー(1736-1809):グラドゥアーレ ハ長調「 Veritas mea 」
   モーツァルト:オッフェルトリウム ハ長調「 Splendete te, Deus 」 K.Anh.121
   ジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ(1706-1784):トッカータ ハ長調
   ミヒャエル・ハイドン(1737-1806):タントゥム・エルゴ ト長調 / サリエリ:戴冠式テ・デウム
   イジー・イグナーツ・リネク(1725-1791): KrönungsIntraden ハ長調 / グレゴリオ聖歌より
    [ルート・ツィーザク(S) エリーザベト・フォン・マグヌス(A) ヘルムート・ヴィルトハーバー(T)
     ゴットフリート・ホルニーク(B) ヘルムート・ヒュットラー、ミヒャエル・ヤンコヴィチ、
     ペーター・イェロジッツ(カントル) フーベルト・ドップ合唱指揮ウィーン王立礼拝堂学生cho.、
     フーゴー・ディストラーcho. インゴマール・ライナー(ポジティフOrg)
     マルティン・ハーゼルベック指揮ウィーン・アカデミーo./録音:1992年4月]
 初出・原盤: Novalis (*) / CPO (#) 〔含・当店未案内|多くが廃盤、入手不能〕。オルガン奏者にして指揮者のハーゼルベックが1985年に設立したオーケストラ、ウィーン・アカデミーo. による貴重な録音のボックスが登場。ウィーン・アカデミー管はHIPにこだわったスタイルで知られており、バロックからロマン派まで(珍しい作品もふくむ)、非常に意欲的に取り組んでいる。このボックスは、ハプスブルク家にゆかりのある音楽をあつめている。ハーゼルベックがこうした音楽に着目するきっかけは、自身が1976年、ハプスブルク家が重要な行事礼拝をおこなった教会でもあるアウグスティーナー教会のオルガン奏者に就任、さらに1978年には、ホーフブルク王宮礼拝堂のオルガン奏者に就任したことによります。礼拝堂のライブラリーには、シュメルツァーやビーバー、フックスら、さらには音楽を愛した皇帝たちの作品の楽譜など貴重な資料が多数おさめられておりました。このボックスには、ハーゼルベックとウィーン・アカデミー管が1989年から1999年にかけておこなった録音の中から、フックスのオラトリオや、ポルポラのオラトリオなどの貴重な作品から、音楽を愛したヨーゼフ1世やフェルディナンド3世、レオポルト1世による作品までが含まれている。どれも非常に丁寧な演奏。レツボールや若きトーマス・ハンプソンが参加しているものもあり、大注目のボックス。
AP-266
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(2CD)
シューベルト:最後の弦楽四重奏曲
 〔第15番 ト長調 D.887 /
  第14番 ニ短調 D.810 「死と乙女」〕
アヴィヴSQ
 録音:2021年5月13日-16日、22日-24日、ファロー城、ローザンヌ。1997年創設のイスラエルの団体アヴィヴ四重奏団が Aparte レーベル登場。今回はシューベルトの最後の2篇の弦楽四重奏曲に挑戦。弦の国イスラエルだけに豊かでつややかな音色、深い表現など見事な芸術を聴かせてくれる。
AP-267
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(2CD)
ジョヴァンニ・シモーネ・マイール(1763-1845):歌劇「夫婦の愛」
  〔初演:1805年、ヌオーヴォ劇場、パドヴァ|
   台本:ガエターノ・ロッシ/ジャン・ニコラ・ブイイ「レオノール、または夫婦の愛」に基づく

 デイヴィッド・スターン指揮オペラ・フオーコ[カタリーナ・ヴォルフ(コンサートマスター)他]
 シャンタル・サントン=ジェフリー(S;ゼリスカ/マルヴィーノ) アンドレス・アグデロ(T;アモルヴェーノ)
 ナタリー・ペレス(Ms;フロレスカ) バスティアン・リモンディ(T;アルデラオ)
 オリヴァー・グルディ(B−Br;ペテルス) アドリアン・フルネソン(B−Br;モロスキ)
 録音:2021年4月21日-25日、オペラ・ド・マッシー、フランス。マイールによるイタリア語のオペラ「夫婦の愛」全曲版の登場。マイールは1763年ドイツに生まれ、1787年からイタリアに留学し、ベルガモ大聖堂の終身教会楽長を務めた。ベートーヴェンの作品を紹介し、さらに、ベルカントに精通し、ベルガモの地でドニゼッティを指導したことでも知られている。オペラを70ほどのこしている。マイールの「夫婦の愛」の題材は、ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」の元となったものとしても有名な、ジャン・ニコラ・ブイイの「レオノール、あるいは夫婦の愛」。勇敢な妻ゼリスカが、不当に拘束された夫アモルヴェーノを救い出すために、男装してマルヴィーノと名乗り刑務官として雇われるために乗り込む、というストーリー。1805年にパドヴァで初演され大成功を収め、ヨーロッパ各地で何度も再演された。モーツァルトとハイドンから受け継いだ管弦楽法と、イタリアの声楽の伝統を巧みに融合させ、魅力的な作品に仕上げている。独唱アリアはもちろん、登場人物たちによる重唱もどれも胸を打つものばかり。レチタティーヴォではチェンバロだけでなく、チェロとコントラバスも通奏低音を演奏しており、物語と音楽をより魅力的なものとしている。マイールは自身、ベル・カントに精通していると自認しているが、事実19世紀のオペラの発展を語る上で欠かせない存在。デイヴィッド・スターン率いるオペラ・フオーコによる完全版のこの録音は、大歓迎すべきものといえるだろう。デイヴィッド・スターン&オペラ・フオーコ・・・アメリカの指揮者デイヴィッド・スターンは、2003年、18世紀中ごろから現代までのオペラ作品に特化した、パリを拠点としたオペラ・カンパニーを立ち上げる。オーディションによって若手を積極的に起用して、マスタークラス、リサイタルから大規模な舞台つきのオペラまで、意欲的なプロジェクトを世界に発信している。レパートリーによって自在に編成を変えるオーケストラ、オペラ・フオーコo. も併設している。
AP-269
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(2CD)
ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):「アシとガラテー〔アシスとガラテア〕」 LWV 73
 アンブロワジーヌ・ブレ(ディアーヌ/ガラテー) ロベール・ゲッチェル(コモス/テレーム)
 シリル・オヴィティ(アポロン) ベネディクト・トーラン(ラバンダンス〔豊かさ〕/シッラ)
 デボラ・カシェ(森の妖精/アマント) フィリップ・エステフ(森の精/霊〔パストラル〕)
 シリル・オヴィティ(アシ〔アシス〕) エドウィン・クロスリー=メルセル(ポリフェーム)
 エンゲラン・ド・イス(ティルシス) フィリップ・エステフ(ネプチューン)

 クリストフ・ルセ指揮レ・タラン・リリク、ナミュール室内cho.
 録音:2021年7月16日-18日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、プトー、フランス。リュリ最後の歌劇「アシスとガラテー」。リュリとしては13年ぶりのパストラル(悲劇でない)作品で、初演当時から賛否両論を巻き起こしながらも何度も上演が重ねられた傑作。30年ほど前にミンコフスキが全曲録音して以来、久々の全曲録音の登場となった。演奏陣は、フランス・バロックの要、クリストフ・ルセ率いるレ・タランリリク、そして歌唱陣も今最前線で活躍する歌手が顔をそろえた超強力盤。海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋、そして嫉妬深い、ポリフェームの暴力を描いたドラマティックな物語にリュリがつけた音楽は、どの瞬間を切り取っても美しく心揺さぶられる瞬間の連続。美しい旋律、器楽作品の繊細さなど、作品の魅力をルセがこれ以上ないかたちで引き出している。
バッハと新ウィーン楽派
 J.S.バッハ:トッカータ
  〔ホ短調 BWV.914 /嬰ヘ短調 BWV.910 /ニ短調 BWV.913 〕

 シェーンベルク:3つのピアノ曲 Op.11
 ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
 ヴェーベルン:変奏曲 Op.27
オルタンス・
 カルティエ=ブレッソン(P)
 録音:2021年2月、サル・コロンヌ、パリ。バッハと20世紀作品を交互に収録。オルタンス・カルティエ=ブレッソンはフランスを本拠に活躍する女流で、いとこは高名な写真家アンリ・カルティエ=ブレッソン。彼女は長年パリ音楽院で教鞭をとるかたわら精力的に演奏活動も行なっている。今回はバッハのトッカータ3篇にシェーンベルク、ベルク、ヴェーベルンら新ウィーン楽派大作曲家の初期ピアノ曲をはさみ、一種異様な組合せを示している。しかし新ウィーン楽派の音楽はモチーフの展開、線的な書法、感情を極力排するなどロマン派、古典派と通り越しバッハの世界に近いことを証明、シェーベリやヴェーベルンでも無機的にならず、微妙なニュアンスあふれる演奏を聴かせてくれる。
AP-273
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(3CD)
フォーレ:室内楽作品集 Vol.2
 ピアノ四重奏曲〔第1番 ハ短調 Op.15 /第2番 ト短調 Op.45 〕/
 ピアノ五重奏曲〔第1番 ニ短調 Op.89 /第2番 ハ短調 Op.115 〕/
 チェロとピアノのためのセレナード Op.98 /弦楽四重奏曲 ホ短調 Op.121

 シモン・ザヌイ(P) ピエール・フシュヌレ(Vn)
 ラファエル・メルラン(Vc) マリー・シルム(Va)
 ストラーダSQ [ピエール・フシュヌレ、サラ・ネムタヌ(Vn)
          リーズ・ベルトラン(Va) フランソワ・サルク(Vc)]
 録音:2021年3月17日-26日、ジャン=ピエール・ミケル講堂、ヴァンセンヌ。2018年5月にaparteレーベルから2枚組のフォーレ室内楽作品集をリリースしたピアノのシモン・ザウイやヴァイオリンのピエール・フシュヌレが待望の第2弾に挑戦。今回は3枚組で、ピアノ四重奏曲とピアノ五重奏曲各2篇をメインに、フォーレ最後の作品でもある弦楽四重奏曲という力作揃いなのが注目。ピアノ四重奏はフシュヌレのほか、チェロのラファエル・メルラン、ヴィオラのマリー・シルムと共演。ピアノ五重奏曲と弦楽四重奏曲はストラーダ四重奏団によるが、ヴァイオリンをフシュヌレとサラ・ネムタヌが担っているのに注目。意外にもピアノ五重奏曲2篇と弦楽四重奏曲、チェロ曲「セレナード」は20世紀の作品。ドビュッシーが印象主義作風を確立した以降の作もあり、新しい時代の空気が流れていることも再認識させる。
ロンドンの夜
 ジェイムズ・オズワルド(1710-1769):彼女は何も着ていないときがいちばんかわいい(ソロ版)
 チャールズ・エイヴィソン(1709-1770):ラルゴ(スカルラッティにもとづく合奏協奏曲第5番より)
 フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687-1762):合奏協奏曲 ニ短調 H.143 「ラ・フォリア」
 ヘンデル(1685-1759):セルセ HWV.40 〜シンフォニア
 ニコラ・ポルポラ(1686-1768):チェロ協奏曲 ト長調 INP 18
 ヘンデル:アルチーナ HWV.34 第3幕〜わたしの痛みを信じて下さい/
      合奏協奏曲 変ロ長調 Op.3 No.2, HWV.313 〜第2楽章
 ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783):フーガ〔グラーヴェ〕 ト短調
 ジョヴァンニ・バッティスタ・チッリ(1724-1808):チェロ協奏曲第2番 ト長調 Op.14 No.2
 オズワルド: The Murrays March / My Nanio /彼女は何も着ていないときがいちばんかわいい(アンサンブル版)
 ジェミニアーニ:音楽芸術における良い趣味の理論 より〔夜が静かに毛皮をまとい/ベッシー・ベルとメリー・グレイ〕
 オズワルド:パンチボウルの底
 ヘンデル:聖チェチーリアの祝日 HWV.76 〜音楽が元気づけたり鎮めたりすることのできない感情があるだろうか?

 オフェリー・ガイヤール(Vc|使用楽器:フランチェスコ・ゴフリラー、1737年製)指揮プルチネッラ
 サンドリーヌ・ピオー、ラケル・カマリーナ(S)
 ルシール・リシャルドー(Ms) ガブリエル・ピドゥ(Ob)
 録音:2021年9月27日-30日、2022年1月30日。オフェリー・ガイヤール。フランスの女性チェロ奏者として、その繊細かつふくよかな音色と音楽、さらに、凝ったコンセプトのCDで、聴き手を魅了しつづけている。今回のテーマはロンドン。ロンドンには特別な思い入れがあるというガイヤール。「Dreams」(AP.001)を録音したのはアビー・ロード・スタジオで、デュ・プレと同じマイクを使って録音したこと、あるいはマンチェスターでのチェロ・フェスティヴァルでシュタルケルにであったことなど、ロンドンや英国に滞在する時にはいつじも素敵なことがおこるそう。そんなロンドンには、かつてより多数の音楽家たちが住み、活躍していた。1700年代には、ヘンデルをはじめ、ジェミニアーニ(ヴァイオリン奏者として有名だが、チェロ・ソナタ Op.5の存在で、チェロの音楽史でも重要視されている)、ポルポラ(ファリネッリやハイドンの師で、晩年はオペラから離れ、チェロの音色に声楽性を発見し、素晴らしいチェロ協奏曲を完成させた)ら、実に多くの音楽家がロンドンにひしめきあっていた。また、スコットランド出身のオズワルドは、ロンドンに移り、チェロ奏者であったが、ジョージ三世の作曲家として使え、スコットランド民謡を主題にした作品を多く書いた。また、ジェミニアーニも、イギリス民謡の香りが色濃く感じられる作品を書いている。ガイヤールとプルチネッラは、当時のロンドンのこうした活気や熱気に満ちた作品を一晩の演奏会のように仕立て、私たちに提示してくれている。ガイヤールの音色にうっとり、さらに、ゲスト参加しているピオーのヘンデルの「アルチーナ」のアリアの素晴らしさ!豪華声楽陣のゲスト参加も、この1枚をひときわ豪華なものにしている。
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
 ヴァイオリン・ソナタ〔ト長調 BWV.1021 /ホ短調 BWV.1023 /ハ短調 BWV.1024 〕/
 フーガ ト短調 BWV.1026 /ガヴォット BWV.1019a /ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調 BWV.Anh.153

作曲者不詳ヴァイオリン・ソナタ ハ短調 (1720s)
 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn)
 アンネキャスリン・ベラー(Vc) トルステン・ヨハン(Cemb)
 録音:2021年5月、フライブルク・アンサンブルハウス。フライブルク・バロックo. のリーダーとしても活躍するバロック・ヴァイオリン奏者ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ。これまでバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータとソナタ、ヴァイオリン協奏曲集をリリースして高い評価を受けてきたが、今回は通奏低音付きのソナタ集に挑戦。と言っても有名な BWV.1014〜9の6篇ではなく、ほとんど顧みられない3つのソナタとフーガをとりあげているのが大歓迎。また長らくバッハ作とされながら現在はテレマン作と認定された イ長調 BWV.Anh1.53 と作曲者不詳の1720年代の ハ短調のソナタを収録。さらにヴァイオリン・ソナタ第6番 ト長調 BWV.1019の第3楽章として書いたガヴォットも聴けるのも存外の慶び。バッハの受容と研究のうえでなおざりにできぬ作品をゴルツの演奏で堪能できるのはぜいたくな限り。チェロのアンネキャスリン・ベラーとチェンバロのトルステン・ヨハンが絶妙なアンサンブルを創り出している。
スターバト・マーテル〜アルヴォ・ペルト(1935-):
 フラトレス(1977/83)〜弦楽と打楽器 /我が心はハイランドに(2000/13)〜カウンターテナー、弦楽三重奏、ピアノ/
 天にまする我らの父よ(2005/13)〜カウンターテナー、弦楽/鏡の中の鏡(1978)〜ヴィオラとピアノ/
 何年も前のことだった(1984)〜カウンターテナー、ヴァイオリン、ヴィオラ/
 巡礼者の歌(1984/2021) 〜カウンターテナー、弦楽/スンマ(1977/1991)〜弦楽/
 スターバト・マーテル(1985/2021) 〜カウンターテナー、ソプラノ、テノール、弦楽

 アレクサンドラ・クジャク(S) アンドレアス・ショル(CT)
 ロベルト・アラーニャ(T) トマシュ・ヴァブニツ指揮モーフィング室内o.
 録音:2021年9月12日-16日、カジノ・バウムガルテン、ウィーン。ペルトの作品は世界的な名手たちにより演奏、録音されているが、またひとつ超豪華な演奏陣によるアルバムの登場。ペルトのピュアな美をアンドレアス・ショルの美声で楽しめるのも格別だが、人気急上昇のポーランドのソプラノ、アレクサンドラ・クジャクと現在の夫君ロベルト・アラーニャと「スターバト・マーテル」に挑戦しているのに驚き。ペルトの「スターバト・マーテル」はカウンターテナー、ソプラノ、テノールの弦楽三重奏のために書かれているが、ここではモーフィング室内o. リーダーのヴァブニツによる弦楽オーケストラ版による豊かな響きで披露。心洗われるひとときを体験出来る。他もショルによるペルトの透明かつ静寂な4篇が収められ、現代でありながら中世のような音世界が広がる。名録音で知られるリトル・トリベカが繊細な息遣いまで再現。酷暑の清涼な気持ちにさせる。
北の王たち
 トマス・アーン:「アルフレッド」序曲 / ヘンデル:「ロデリンダ」〜暴虐が彼に国を与えた
 ルーマン:「音楽の宴」〜平和を与えたまえ、王の魂よ
 ゲオルク・カスパー・シュールマン:「ルドヴィクス・ピウス」〜汝に金冠を授けん
 カイザー:「フレデグンダ」〜私はあなたを黙らせねばなるまい / ヘンデル:「アルミーラ」〜クーラント
 ハイニヒェン:「カムベルクの平和」〜独りを怖れる / アリオスティ:「裏切りの誠実」〜この危険な命の海の中で
 ヘンデル:「オットーネ」〜コンチェルト/「イングランド王リチャード一世」〜邪悪な欺瞞
 カイザー:「クロイソス」〜神々よ憐みたまえ/「寛大なオクタヴィア」〜ああ、ネロはもはやネロでない
 ヘンデル:「アルミーラ」〜メヌエット / テレマン:「当節流行の恋人ダモン」〜あなたが裂け目を壊す
 J.S.バッハ:世俗カンタータ「太鼓よ轟き、ラッパよ響け」 BWV.214 〜王冠と称讃で飾られた御方

 トマーシュ・クラール(Br) ヤロスワフ・ティール指揮ヴロツワフ・バロックo.
 録音:2021年7月24日-27日、ヴィロツド・ルトスワフスキ国立フォーラム、ヴロツワフ。北ヨーロッパはバッハやヘンデルはもとより、バロック期にも優れた作曲家を輩出した。しかし南ヨーロッパの同時代人に比べ、ハイニヒェン、シュールマン、カイザー、テレマンらの華麗なオペラを聴くことはめったにない。彼らのオペラのなかで、怖ろしくも強い君主を描いた作品から低音アリアを存分に楽しめる。バリトンのトマーシュ・クラールはブルノ出身のチェコ期待の星。独特の美声で、お国ものに加え古楽の世界でも注目されている。ポーランドの若手古楽団体ヴロツワフ・バロックo. の生気あふれる演奏も聴き物。
親密の領域〜フランソワ・クープラン
 エール・セリュー〔巡礼の女たち「愛の神殿で」(1697) /どうか私に言わないで(1712) /
          わが心の甘い絆(1701) /牧歌「愛さねばならない」(1711) /
          隠者たち「キュテラ島で」(1711) /ブリュネット「そよ風よ、これらの地で穏やかに」(1711) 〕/
 四声のソナタ「スルタン妃」(1695頃) /さまざまな作曲家によるクラヴサン小品集ト調(1707)
  〔蜜蜂/イタリアのガヴォット/金髪の修道女たち/栗毛の修道女たち/シシリアーナ〕/
 トリオ・ソナタ「威厳」(1695頃) /小品集 ニ調〔ディアーヌ/フィレンツェ風〕/
 トリオ・ソナタ「スタンケルク」(1692頃) /小品集 イ調〔剽軽者/剽軽者〕(ルイ・マルシャン作?)/
 しばしば最も甘い運命に(エール・ア・ボワール)/小品集ヘ調
  〔ポーランド人(マラン・マレ)/ヴェネツィア人(ルイ・マルシャン)〕

 シリル・デュボワ(T) クリストフ・ルセ(Cemb)指揮レ・タラン・リリク
 録音:2016年7月10日-14日、ゲブヴィレール・ドミニカ教会/2017年9月7日-13日、フランス銀行金の間/2021年4月16日-17日、サン=ピエール寺院。フランソワ・クープランといえばフランス・バロックならではの美しさあふれるクラヴサン曲で知られるが、彼の最初の出版楽譜には「スタンケルク」をはじめとするいくつかのソナタのほか多くのエール・セリュー(愛や牧歌的場面を扱った歌)が含まれていた。ルセとシリル・デュボワがこれらクープランの作品中あまり知られていない部分をまとめ、新たな側面を明らかにする画期的な試み。特に興味深いのはクープランのイタリア好みを証明していること。さらに嬉しいのはクープランの唯一知られる直筆断片による未出版のエール・ア・ボワール(酒の歌)「しばしば最も甘い運命に」が世界初録音されているのと、1707年にバラールにより編纂されたクラヴサン小品のコレクションをルセの演奏で味わえること。非の打ちどころのない妙技を聴かせてくれる。
AP-283
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(2CD)
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集
  Disc 1: クリティカル・エディションより
  〔ト長調 K.13 /ト長調 K.523 /ト短調 K.8 /ト短調 K.450 /ト長調 K.259 /ニ長調 K.29 /
   ニ長調 K.96 /ロ短調 K.173 /ロ短調 K.377 /ヘ短調 K.69 /ヘ短調 K.387 /
   ト短調 K.31 /ニ短調 K.434 /ニ短調 K.444 /ヘ長調 K.446 /ヘ長調 K.525 〕
 Disc 2: ハンス・フォン・ビューロー編纂による組曲版
  組曲 ト長調〔前奏曲(アレッサンドロ・スカルラッティ作)/トッカータ K.13 /
         サラバンド K.8 /ブルレスカ K.450 /メヌエット K.259 /ジグ K.523 〕/
  組曲 ヘ短調〔ソナタ K.31 /フーガ(アレッサンドロ・スカルラッティ作)/
         クーラント K.69 /カプリッチョ K.446 /シチリアーノ K.446 /スケルツォ K.525 〕/
  組曲 ニ長調〔ソナタ K.29 /クーラント K.434 /カプリッチョ K.444 /
         ブーレ K.377 /ガヴォット K.173 /ジグ K.96 〕

 ジュリオ・ビッダウ(P)
 録音:2020年6月、11月、サル・コロンヌ。evidenceレーベルからレスピーギ自身の4手編曲による「ローマの噴水」や「ローマの松」をリリースして注目されたジュリオ・ビッダウ。1985年イタリアのサルディニア島出身で、パリのエコール・ノルマルでルイサダに師事、その後もチッコリーニから個人レッスンを受けた。 学 究的な一面も持つビッダウは、スカルラッティのソナタを題 材に興味深い試みをしている。2枚組の最初の1枚目にはエミリア・ファディーニの校 訂によるクリティカル・エディションから選んだ16曲を極めて厳格に再現。とはいっても堅苦しいものではなく、イタリア的な歌ごころとリズムが心地よい名演となっている。一方2枚目はハンス・フォン・ビューローが19世紀に編纂したロマン派的解釈による同じ曲を対比。ビューローは聴きやすく調性をあわせて組曲に仕立てていますが、編纂というよりも明らかな編曲で、リストやワーグナーの美学が反映されたような内容となっている。ビッダウは解釈や奏法をがらりと変え、濃厚な感情を聴かせる。ロマン派と現代の古楽解釈の違いを耳で学べる。
AP-284
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(3CD)
フォーレ:歌曲全集 シリル・デュボワ(T)
トリスタン・ラエ(P)
 録音:2020年7月3日、8月10日-17日、2021年6月14日-16日、サル・コロンヌ、パリ。フォーレは室内楽やピアノ曲で人気があるが、フランス歌曲のおける最も偉大な巨匠として100を超える名品を残している。そのなかには「月の光」や「夢のあとに」のようによく知られたものもある。このアルバムは1984年生まれのフランスのテノール、シリル・デュボワが相方ピアニスト、トリスタン・ラエとフォーレ歌曲に挑戦したもので、ひとりの歌手による全集は初とされる。彼らはこれまでもリストやブリテンの歌曲集で優れた演奏を披露してくれたが、何より非の打ち所のないフランス語の発音と並外れた解釈がフォーレにピッタリ。詩の雰囲気や感情、気分を自然に伝えてくれる。フォーレの歌曲は長い生涯にわたり書かれているため、4つの作風に分けられるとされる。1860-70年代はロマンティックで、どちらかというとセンチメンタルで暗い情感のものが支配的。1880年代は高踏派の詩人によるものが多く優美。1890年代は大胆で力強い表現が顕著。20世紀に入ってからは渋い内省性に加え、大胆な和声など時代の影響も感じられる。そのいずれをもデュボワは味わい深い表現で聴かせてくれる。
AP-285
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(4CD)
ウジェーヌ・ワルキエ:フルートを含む室内楽曲集
  Disc 1 「演劇的」 フルート五重奏曲 イ長調 Op.49 (*) /フルート四重奏曲第4番 ニ長調 Op.50 (*)
  Disc 2 「絵画的」 フルート・ソナタ第1番 Op.89 (*) /
            フルート、チェロとピアノのための三重奏曲 ニ短調 Op.97 (*)
  Disc 3 「詩人」 木管四重奏曲第4番 変ロ長調 Op.48(*) /
           フルーティストの休息 Op.47 〔オーヴェルニュのロンド/ロンド/行進曲/月の光に〕
  Disc 4 「ヴィルトゥオーゾ」 フルート二重奏曲第1番 ロ短調 Op.57 (*) /
                 3つのフルートのためのフルート三重奏曲第1番 変ホ長調 Op.93 /
                 4つのフルートのための大四重奏曲第2番 ヘ長調 Op.70

 アレクシス・コセンコ(Fl|使用楽器:ジャック・ベリッサン、1830年頃製6キー /
   クレール・ゴドフロワ、1840年頃製円錐管ベーム式木製/
   ルイ・ロット、1858年製円筒管ベーム式銀製/ルイ・ロット、1881年製円筒管ベーム式銀製

 ダニエル・ゼペック(Vn|使用楽器:ストリオーニ、1780年製)
 ジローヌ・ゴベール(Vn|使用楽器:クレパル、2021年製〔モデル:ストラディヴァリウス〕)
 レア・エンニーノ(Va|使用楽器:トニー・エシャヴィドル製)
 クリストフ・コワン(Vc|使用楽器:ガリアーノ、18世紀初頭製)
 ミカエル・チャヌー(Cb|使用楽器:エンリコ・マルケッティ、1895年製)
 エドアルド・トルビアネッリ(P|使用楽器:プレイエル、1843年製)
 ニコラ・バルデイル(Cl|使用楽器:シュヴェンケ&ゼゲルケ社製〔モデル:グレンザー、1810年頃製〕)
 ダヴィド・ドゥコ(Fg|使用楽器:サヴァリー Jr. 、1823年製)
 ブノワ・ド・バールショニ(Hr|使用楽器:フレーズ製〔モデル:ラウー、1820年頃製〕)
 アメリ・ミシェル(Fl|使用楽器:スベイラン社製〔モデル:テュルー、1845年頃製〕)
 アンヌ・パリゾ(Fl|使用楽器:ゴートロ一世、1850年頃製/ルイ・ロット、1858年製)
 オリヴィエ・ベニシュ(Fl|使用楽器:ジャン=ルイ・テュルー、1840年頃製)
 録音:2021年2月12日、3月11日-15日、サンピエール寺院、パリ/2021年3月22日-24日、ドメーヌ・ミュジカル・ド・ペティニャック。ウジェーヌ・ワルキエ(1793-1866)はフランスのフルート奏者で作曲家。テュルーにフルート、レイハ(ライヒャ)に作曲を師事するが、フルートは次第に師をおびやかす存在になったと伝えられる名手ぶりだった。ワルキエは作曲の師レイハから人気オペラ・アリアのフルート編曲の仕事を紹介してもらい成功、以後名ピアニストのカルクブレンナーやタールベルクと共作してフルートとピアノのための派手な作品を次々に発表した。同時にオンスローと親交を結び四重奏曲や五重奏曲などの古典的形式にも手を染めた。このアルバムでは五重奏から二重奏までの純音楽作品を集めている。多くが世界初録音なうえ、ピリオド楽器によることも貴重。主役はフランスのピリオド・フルート界第一人者アレクシス・コセンコ。彼は1830年頃製6キーのものから1858年製円筒管ベーム式銀製まで4本のフルートを吹き分けている。いずれも作品と同時期にもので、往時の響を味わえる。共演もヴァイオリンのゼペックやチェロのコワンをはじめ大物が華を添えているのも注目。ワルキエはベルリオーズやショパンと同時代人ながら作風は古典派寄りで爽やか。フルートの技巧を華やかに披露するかたわら、民謡を採り入れたりユーモアにあふれた陽性な世界を楽しめる。
50-50
 パーセル/コンテ編曲:メアリー女王の誕生日のオード「祝え、この祭典」〜祭壇に王冠を捧げ
 ダヴィド・シャルマン:しばしの音楽 / リュリ:「セルセ」〜マタシン/「トゥールーズのバレ」〜ジグ
 マーティン・ハリー: STAB /クーラントとサラバンド/シャルパンティエ「アクテオン」のエアによるパストラール
 シャルマン:パーセルの「アーサー王」のアリアによるコールド・ソング/グラウンドZ

 フランク=エマニュエル・コント指揮ル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユ
 録音:2021年10月20日-23日、ランタン寺院、リヨン。50-50(フィフティ・フィフティ)というアルバム・タイトルは半分バロック音楽で半分現代音楽、半分フランス人で半分イギリス人にかけられている。それをリヨンのピリオド楽器団体ル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユが奏するという斬新な試み。ダヴィド・シャルマンは1980年生まれのフランスの作曲家。クラシックとエクスペリメンタル・ロックのコラボを目指し、ラベック姉妹からマドンナまで手掛けるプロデューサーでもある。マーティン。ハリーはオックスフォードで教鞭をとる作曲家。これまでソニークラシカルのエグゼクティブプロデューサーやハリウッド映画の作曲家を務めるなど活躍している。彼らの作品を対比させるのではなく、フランス人シャルマンがイギリスのパーセルから、逆にイギリス人ハリーがフランスのシャルパンティエからインスパイアされて作ったジャズ・ロックあるいはミニマル・ミュージックを披露。フランク=エマニュエル・コント率いるル・コンセール・ドゥ・ロステル・ディユが乗りに乗った演奏に惹きつけられる。
無限〜近代クラリネット・ソナタ集
 プーランク:クラリネット・ソナタ
 バーンスタイン:クラリネット・ソナタ
 ワインベルク:クラリネット・ソナタ
 プロコフィエフ/ケント・ケナン、パブロ・
  バラガン編曲
:フルート・ソナタ(クラリネット版)
パブロ・バラガン(Cl)
ソフィー・パチーニ(P)
 録音:2021年6月30日-7月2日、南西ドイツ放送カイザースラウテルン・スタジオ。20世紀の大物作曲家によるクラリネット・ソナタ集。1962年作のプーランクを除き、すべて第二次世界大戦中に作曲されている。プロコフィエフはフルート・ソナタをアメリカの作曲家ケント・ケナンと当ディスクの演奏者パブロ・バラガンがクラリネット用に編み直した版。もともとフルートの難曲として知られるが、クラリネットではさらに難しいものとなっていて、バラガンの妙技を味わえる。パブロ・バラガンは1987年スペイン生まれのクラリネット奏者。故郷とバーゼルで学びダニエル・バレンボイムに認められ、ウェスト=イースタン・ディヴァンo. の奏者を務めている。それもあってか、バーンスタインやワインベルクらのユダヤ色(ジャズとクレズマー)濃厚な作品にも力を入れているのが特徴。ピアノをアルゲリッチが後継者と目しているソフィー・パチーニが担っているのも注目。1991年生まれで、2010年からルガーノのアルゲリッチ音楽祭でお馴染みの存在。これらの4作品は作曲者がいずれもピアノの名手だったこともあり、単なる伴奏ではありあせん。パチーニはバラガンと対等に競い、ダイナミックな演奏を聴かせてくれる。
私の歌に
 マーラー:リュッケルト歌曲集 より
  〔私は快い香りを吸いこんだ/美しさをあなたが愛するなら/私の歌をのぞき見しないで/私はこの世に捨てられ〕
 リスト:ローレライ/喜びに満ち、悲しみに満ち/汝天上にある者/
     愛し合うことは素晴らしいことだろう/おお、愛しうるかぎり愛せ
 コルンゴルト:3つの歌曲 Op.22 /不滅なるもの Op.27 No.5 / リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌

 サラ・トローベル(S) ヘルムート・ドイチュ(P)
 録音:2021年8月31日-9月4日、マルクス・シティックス・ホール、ホーエネムス。サラ・トローベルは「メトロポリタンの歌姫」と称されたヘレン・トローベルと大指揮者ギュンター・ヴァントの姪孫にあたるドイツのソプラノ。ヘルムート・ドイチュの伴奏とあいまってドイツ・リートの魅力を満喫出来る。ここに収められた4名の大作曲家はいずれもメロディ・メーカーで、リヒャルト・シュトラウスを除くとドイツ人ではないものの、すべてドイツ語の詩に曲がつけられている。リスト作品のうち「ローレライ」と「汝天上にある者」は「歌の本」、「おお、愛しうるかぎり愛せ」は有名な「愛の夢第3番」の原曲なのも興味をひかれる。
レベッカ・クラーク:ヴィオラ作品集
 ヴィオラ・ソナタ(1919) /モルフィウス(1917) /古いイングランドの調べによるパッサカリア(1940-41) /
 ヴィオラとチェロのための2つの小品(1916頃) /ヴィオラとチェロのためのアイルランドのメロディ(1918頃) (*) /
 ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのためのドゥムカ(1941) /チャイニーズ・パズル(1921)

 ヴァンシアーヌ・ベランジェ(Va) ダナ・チョカルリエ(P|使用楽器: YAMAHA CFX
 エレーヌ・コルレット(Vn) ディヴィッド・ローウェルス(Vc)
 録音:2021年7月6日-9日、サン・ピエール寺院、パリ| (*):世界初録音。ヴァンシアーヌ・ベランジェは2003年から2008年までマンフレッド四重奏団のメンバーを務めた女性ヴィオラ奏者。ソロ、アンサンブルに限らずヴィオラの魅力を普及させることに熱心で、このアルバムもこだわりを感じさせる。レベッカ・クラーク(1886-1979)はイギリス出身の女性作曲家。自身ヴィオラ奏者としても活躍したため、ヴィオラ作品ことにソナタは近年幅広く演奏されている。ここでは彼女の作曲したヴィオラ独奏曲を集めている。注目はヴィオラとチェロの二重奏による「アイルランドのメロディ」。長く失われたとされていたが、近年草稿が発見されここで世界初録音となった。「さらばククレイン」と「ロンドンデリーの歌」から成り、ヴィオラとチェロの魅力が存分に生かされている。ピアノをルーマニア出身の名手ダナ・チョカルリエが担っているのも豪華。
ポリーヌ・ヴィアルド讃
 グルック/ベルリオーズ編曲:
  「オルフェオとエウリディーチェ」〜私なにを言われたの?・・・アムールよ、私の魂に返して
 ベッリーニ:「カプレーティとモンテッキ」〜ロメオが息子さんを死に至らしめたなら
 マスネ:「マグダラのマリア」〜おお、私の妹よ / アレヴィ:「ユダヤ女」〜あの人が来る
 ロッシーニ:「セビリャの理髪師」〜今の歌声は心に響く/「セミラーミデ」より〔序曲/うるわしい光が誘惑する〕
 ドニゼッティ:「ファヴォリータ」より〔ちゃんと聞こえる・・・いとしいフェルナン/序曲〕
 ベルリオーズ:「トロイアの人々」〜ああ、私は死んでしまうのだろう・・・さようなら、自慢の町よ
 グノー:「サッフォー」〜不滅のリラよ
 サン=サーンス:「サムソンとデリラ」〜サムソンは私の居場所を求めて・・・愛よ私を助けにきて

 マリーナ・ヴィオッティ(Ms) クリストフ・ルセ指揮レ・タラン・リリク
 録音:2021年11月27日-30日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、ピュトー。ルセとレ・タラン・リリクがロマン派オペラに挑戦。これまでもグノーの「ファウスト」で新鮮な解釈を見せたが、今回はベルリオーズ、マスネ、サン=サーンスなどイメージから遠い作曲家が並んでいるのが興味津々。ポリーヌ・ヴィアルドゆかりのオペラ・アリアが選ばれているが、ロッシーニの「セミラーミデ」序曲とドニゼッティの「ファヴォリータ」序曲という純オーケストラ・ナンバーも味わえる。ポリーヌ・ヴィアルド(1821-1910)は19世紀フランスの大歌手。ロッシーニに認められ、リストにピアノを師事、ショパンやチャイコフスキーの親しい友人で、ツルゲーネフと長年同棲。後年は幼いレイナルド・アーンの才能を評価し可愛がるなどパリ音楽史のキーパーソンでもあった。マイヤベーアの「予言者」、サン=サーンスの「サムソンとデリラ」、グノーの「サッフォー」は彼女のために作曲され、ブラームスの「アルト・ラプソディ」を世界初演したことでも知られているが、ベルリオーズの「トロイアの人々」にも積極的に関わり、グルックの「オルフェオ」のベルリオーズによる近代オーケストラ編曲初演もヴィアルドが出演、聴衆を熱狂させたことが伝説になっている。それら伝説作品をスイス出身のフランスのメゾ、マリーナ・ヴィオッティがヴィアルドに成り代わり再現。あたかも乗り移ったかのような歌唱を聴かせてくれる。どの曲も美しいメロディにあふれ、声の魔力とともに圧倒させられる。
1773年〜モーツァルトとグレトリ
 モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183
 グレトリ:組曲「セファールとプロクリス」
 モーツァルト:歌劇「エジプト王タモス」〜組曲
マルティン・ヴァルベルグ指揮
オルケルテル・ノルド
 録音:2021年11月、セルブ教会、ノルウェー。ノルウェーのチェロ奏者でもある指揮者マルティン・ヴァルベルグが2009年に創設したピリオド楽器アンサンブル、トロンハイム・バロック。17-8世紀作品を主要レパートリーとし高い評価を受けているが、2018年にオルケルテル・ノルドと改名してさらなる可能性を模索。今回は1773年に焦点を当て、この年に作られたモーツァルトとグレトリの作品を並べている。モーツァルトは当時17歳。「小 ト短調」として知られる交響曲第25番と、後年の傑作「魔笛」のルーツといわれる「エジプト王タモス」。どちらも才気煥発でモーツァルトの天才性を再認識させる。一方グレトリは31歳、軽みとシリアスさを兼ね備えたオペラ・コミックを確立させ順風満帆な創作活動を行っていた。同じ年に作られた両者の純オーケストラ作品は、どちらも強さと輝かしさという共通点があるが、フランスの舞台音楽が交響曲へ新たに進化していく様をたどることが出来る。
AP-294
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(2CD)
さすらい人〜シューベルト
 ヒュッテンブレンナーの主題による変奏曲 D.576 /
 4つの即興曲 D.935 /さすらい人(リスト編曲)/
 幻想曲 ハ長調 D.760 「さすらい人」
シルヴィアーヌ・
 ドゥフェルヌ(P)
 録音:2022年4月1日-4日、ヌーシャテル・アール・ヴィヴァン・センター。シューベルト好きにはたまらない1枚。「ヒュッテンブレンナーの主題による変奏曲」は彼最晩年16分の大作ながらあまり聴く機会のない隠れた名作。名作「さすらい人幻想曲」はシューベルトの弾きにくい書法をリストが合理的に書き直した版というのも興味津々。スイス出身のシルヴィアーヌ・ドゥフェルヌは清潔なタッチと謳い回しが魅力のベテラン。シューベルトのピアノ曲の美しさが際立つ。
ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのための作品全集
 ピアノ協奏曲〜アダージョ・アッサイ(サマズイユ編曲)/ヴァイオリン・ソナタ/
 ハバネラ形式による小品(セオドア・ドニー編曲)/ヴァイオリン・ソナタ(遺作)/フォーレの名による子守歌/
 歌劇「子供と魔法」〜5時のフォックストロット(アスラン編曲)/2つのヘブライの歌(ガルバン編曲)/ツィガーヌ

 エルザ・グレーテル(Vn) デイヴィッド・ライヴリー(P)
 録音:2021年12月27日-29日、フラゲ、ブリュッセル。エルザ・グレーテルは1980年生まれのフランスのヴァイオリニスト。15歳の誕生日にパリ音楽院でプルミエ・プリを受賞した後、ルッジェーロ・リッチほかに師事した実力派。ラヴェルのヴァイオリン曲といえばソナタやツィガーヌが有名だが、このアルバムは全オリジナル曲のほか、興味深い他人の編曲物も集めている。中でもサマズイユによるピアノ協奏曲の第2楽章や、アスランによる「子供と魔法」の「5時のフォックストロット」は世界初録音。余裕の技巧で、オシャレなラヴェルの音世界を堪能させる。
パーセル:歌劇「ディドとエネアス」(*) /付随音楽「キルケ」(#)
 ジョナス・デスコット指揮レ・ザルゴノートディド
 カミーユ・アレラー(S;ディド(*) ) レナート・ドルチーニ(Br;エネアス(*)、第2司祭(#) )
 ジュリー・ロレ(S;ベリンダ(*)、第2の魔女(#) ) アンテア・ピシャニク(A;魔法使い(*)、第3司祭(#) )
 アナ・ヴィエイラ・レイテ(S;第2の女(*)、第1の魔女(#) )
 録音:2021年9月、シェヌ=ブジュリー寺院、スイス。ジュネーヴを本拠とする古楽団体レ・ザルゴノート。指揮者ジョナス・デスコットの創設で、ギリシャ神話で金羊毛を求めて出帆した歴史上最初の船アルゴ船の英雄たちになぞらえている。彼らの新譜はパーセル唯一の完全な歌劇「ディドとエネアス」。彼30歳の作で、ドラマティックかつ美しいメロディにあふれている。近年注目される若手歌手カミーユ・アレラー、ジュリー・ロレ、アンテア・ピシャニクらが芸達者ぶりを示し至福の時を味わえる。カップリングは同時期の付随音楽「キルケ」。こちらもフレッシュな解釈を聴かせてくれる。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集
 〔第3番 ト長調 K.216 /第4番 ニ長調 K.218 /
  第5番 イ長調 K.219「トルコ風」〕
ゴットフリート・
 フォン・デア・ゴルツ(Vn)
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2021年8月20日-24日、フライブルク・アンサンブルハウス。フライブルク・バロックオーケストラがゴルツの独奏でモーツァルトのヴァイオリン協奏曲に挑戦した。なんと名フォルテピアノ奏者クリスティアン・ベザイデンホウトも通奏低音のみならず指揮にまで挑戦。そこではモーツァルト時代の慣習に従い即興を見せているのも興味津々で、贅沢の極みの通奏低音となっている。ゴルツは1720年カルト・アントニオ・テストーレ製作のバロック・ヴァイオリンを使用。驚くべきパワーと生気に富む演奏で、初めて聴くかのように新鮮な魅力に満ちている。
ストラヴィンスキー:結婚(1919年オリジナル版)/結婚(1919年版)(テオ・フェルベイ完成版)
ロシア民謡「つまらん連中」 / ラヴェル/ロビン・メルヒオール編曲:ボレロ(合唱と小器楽アンサンブル版)

 マテュー・ロマーノ指揮アンサンブル・エデス、レ・シエクル アメリ・レゾン(S)
 ポリーヌ・ルロワ(Ms) マルシャル・ポリア(T) ルノー・ドレーグ(B)
 録音:2022年1月23日、パリ音楽院/2022年2月4日-5日、 RIFFX スタジオ、ブローニュ=ビヤンクール。ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ「結婚」は合唱、4台のピアノと打楽器が織りなす強烈な音響で知られるが、その形態に落着くまで紆余曲折があった。まず1917年に管弦楽用に執りかかるものの中断、1919年には合唱とピアノラ(自動ピアノ)、ハルモニウム、2台のツィンバロン、打楽器用に着手するが、生演奏と機械(ピアノラ)の共演やツィンバロンの名手を2人揃える非現実性に気づき前半で中止、最終的に現行版となった。2007年にオランダの作曲家テオ・フェルベイが1919年版を意図通りに完成させる許可をストラヴィンスキーの遺族から得て、全曲が日の目をみた。ハルモニア・ムンディからルネ・ボスが2005年に完成させた版もリリースされていたが、当アルバムはピリオド楽器のレ・シエクルのメンバーと、その手兵的合唱団アンサンブル・エデスの演奏であることが特別。声楽も正式なロシアの方言指導を受け、農民調に歌っているのが注目。また、ピアノラ(自動ピアノ)は最新コンピューター制御を駆使。プログラミングをさきの補筆完成したルネ・ボスが務めているのも、作品を熟知する点で重要。アンサンブル・エデスのノン・ヴォブラート唱法はリアルで終始ボルテージが高く、ツィンバロンの効果も抜群。ロシアの民謡唱法も巧みに真似し、あたかも前衛演劇を見るような、3大バレエに劣らぬエネルギーの発散と衝撃に満ちている。もうひとつ興味深いのは同じ編成に編曲されたラヴェルの「ボレロ」。リズムは打楽器が担当し、ヴォカリーズによる各歌手とハルモニウムがメロディを受け継ぐが、音楽自体は原曲に忠実。こちらもノン・ヴォブラート歌唱が高貴さから最後の狂気じみた物凄い盛りあがりまで、声の力を堪能させる。ロト指揮の「ボレロ」はまだディスクがないが、レ・シエクルのメンバーのリズム感と引き締まった演奏から想像が広がる。
AP-301
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(3CD)
ジョゼフ・マルシャン(1673-1747):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタを含む組曲
 〔第1組曲 イ調(全8曲)/第2組曲 ロ調(全7曲)/第3組曲 ハ調(全5曲)/第4組曲 ニ調(全7曲)/
  第5組曲 ホ調(全8曲)/第6組曲 ヘ調(全9曲)/第7組曲 ト調(全8曲)〕

 {oh!} トリオ[マルティナ・パストゥシカ(Vn) クシシュトフ・フィルルス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
         アンナ・フィルルス(Cemb/ポジティフOrg)]
 録音:2020年5月、2021年5月、聖ヤン教会、ミコウフ、ポーランド。ジョゼフ・マルシャン(1673-1747)は今日忘れられているが、ルイ14世の音楽家のひとりで、シャペル・ロワイヤル、王の24のヴィオロンなどのバス・ヴィオール奏者を務めた。教師としても名を馳せ、演奏家としては非常に特異なスタイルを持っていたとされる。1707年作のヴァイオリンと通奏低音のための7つの組曲はソナタを含み、恐るべき二重トリルを用いた最初のものとされる。イタリア的な様式ながら和声の美しさやバス・パートの妙技など個性が光る18世紀初頭の宝石。{oh!}トリオは1980年代生まれの3人のポーランドの演奏家が2012年に結成した古楽団体。知られざるマルシャンの作品を生き生きと蘇らせた。
愛〜私の怖れを追い払って  グレトリー:歌劇「立派な人」 / ダレイラク:歌劇「皆既日食」
 クレランボー:ラ・フォンテーヌの「寓話」より〔鹿/イタチ/蛙と牛/狼と子羊/狐とカラス/鷺/アリとキリギリス〕

  エレーヌ・クレール=ミュルジエ、ポリーヌ・ワルニエ指揮コンパニー・レ・モン・ドゥ・ルイユ
  ジャンヌ・ザエプフェル、ハドゥム・トゥーンチ、ルイソン・コステ(S) ギヨーム・グティエレス(T)
 録音:2022年4月7日-10日、シクステ教区館、ランス。2021年はフランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの生誕400年にあたり、フランスでは彼がらみの催や出版が続いた。このアルバムは翌2022年4月の録音だが、フォンテーヌ作品に基づく3つの音楽を収録した好企画。風刺と皮肉に満ちたラ・フォンテーヌの原作を3人の作曲家がオペラ化。「井戸に落ちる占星術師」によるニコラ・ダレイラク(1753-1809)の「皆既日食」は最初のコミック・オペラと称されるもので貴重なリリース。2007年にエレーヌ・クレール=ミュルジエとポリーヌ・ワルニエにより創設されたコンパニ・レ・モン・ドゥ・ルイユ。ランスを本拠に18世紀の知られざる作品の発掘で独自性を示し注目されている。指揮者なしのオーケストラで、ミステリー作家としても知られるチェンバロ奏者クレール=ミュルジエが率い、ワクワクするような世界を作り上げている。
魔術、ライナー・マリア・リルケを讃えて〜ヴラディゲロフ兄弟(1978-)
 アレクサンドル・ヴラディゲロフ:豹/オルフォイスのソネット I より〔 9 / 19 / 22 〕/私/結び
 コンスタンチン・ヴラディゲロフ:愛の歌/魔術/時祷集〔 I / II 〕/人間の言葉は怖い/
                 私は自分自身をさらけ出す/降臨祭/魔術ふたたび
 トリフォン・シヤノフスキー:別離/ピエタ

  アンドレアス・ショル(CT) クラッシミラ・ストヤノヴァ、ヤン・ムキアン、
  サラ・トローベル、テオドラ・ネステロヴァ(S) ウィーン少年cho.団員
  クリスティアン・ライナー、ロベルト・ライナー(朗読)
  コンスタンチン・ヴラディゲロフ(P/バスCl)
  アレクサンドル・ヴラディゲロフ(Tp/フリューゲルHr) モーフィング室内o.団員
 録音、ミキシング:2020年-2021年。アレクサンドル&コンスタンチン・ヴラディゲロフ兄弟は1978年ブルガリア生まれの双子音楽家。同国の大作曲家パンチョ・ヴラディゲロフの孫にあたり、ジャズの世界でも活躍している。このアルバムは大詩人ライナー・マリア・リルケへのオマージュとして彼の詩に作曲。ヴラディゲロフ兄弟の人脈を示すようにアンドレアス・ショルやクラッシミラ・ストヤノヴァ、ウィーン少年合唱団など世界的な演奏陣が並ぶ。ジャケットは「ドクトル・ジバゴ」で有名なボリス・パステルナークの父で画家レオニード・パステルナークによる友人リルケの肖像画。ヴラディゲロフ兄弟の曾祖母はパステルナーク家の出で、その人脈にも驚かされる。作風は現代的でなく、ヒーリング系ポップス風。リルケのファン、ドイツ文学研究家にもオススメ。
ランデヴー
 フレデリック・シャスラン:ソプラノ、トランペットとピアノのための6つの歌「ランデヴー」(2021) (*)
  〔巣から落ちた手(アラン・デュオー詩)/美しい恋人たち(ジャン・コクトー詩)/
   私たちが残すもの(アラン・デュオー詩)/そこにはいない熊へのバラード(ボリス・ヴィアン詩)/
   忘却(アラン・デュオー詩)/僕はスノッブ(ボリス・ヴィアン詩)〕
 アリエル・ビュトー詩:手(#) /夜(#) /ドレープ(#) /6月(#) /白(#) /緑(#)

 ジュリー・シェリエ=ホフマン(S;*) リュシエンヌ・ルノーダン・ヴァリ(Tp;*)
 フレデリック・シャスラン(P;*) ピエール・アルディーティ(朗読;#)
 録音:2022年1月10日-14日、マリ=エコール、ヴィーニュル・レ・アトンシャテル。歌曲にピアノとトランペットを組み合わせることはジャズやタンゴでは日常に行われるが、クラシックではあまり例がない。この編成の6曲からなる最新作「ランデヴー」の作曲者はフレデリック・シャルラン。パリ管等でダニエル・バレンボイムのアシスタントを務め、アンサンブル・アンテルコンタンポランの指揮者も務めた鬼才で、ここでは見事なピアノ伴奏も披露している。ジャン・コクトー、ボリス・ヴィアン、アラン・デュオーの詩により、作風は現代的でなく、シャンソンのようにオシャレでシックな世界。1999年生まれのトランペットのスター、リュシエンヌ・ルノーダン・ヴァリが共演しているのも豪華。まさに「ジャンルを超えた新星」の呼び声通りのポップな感覚で主役のような存在感。また各曲の間にアリエル・ビュトーの詩をはさみ、名匠ピエール・アルディーティがフランス語の美しい朗読も味合わせてくれる。
シューマン
 幻想曲 ハ長調 Op.17 /
 アラベスク Op.18 /子供の情景 Op.15 /
 子供のためのアルバム第30番 Op.68 No.30
ファブリツィオ・
 キオヴァッタ(P)
 録音:2022年3月5日-7日、グスタフ・マーラー・ザール、ドッビアーコ、イタリア。師のバドゥラ=スコダから「繊細にして熱い感情が伝わる演奏」と激賞されたスイスのピアニスト、ファブリツィオ・キオヴェッタ。彼がシューマンに挑戦。キオヴェッタはクラリネットのパトリック・メッシーナとシューマン夫妻のクラリネット曲のアルバム (AP-153)をリリースし、詩情あふれる演奏が注目されていたが、今回はシューマン20代後半の名作3篇。いずれも幸せな情感に満ちたものばかりで、キオヴェッタの明るく前進的な演奏によく合っている。
パリの夜
 ドビュッシー:美しき夕暮れ(ハイフェッツ編曲)/ヴァイオリン・ソナタ
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(フルーリー編曲)/ヴァイオリン・ソナタ(遺作)
 プーランク:プレスト(ハイフェッツ編曲)/ヴァイオリン・ソナタ
 ミヨー:「スカラムーシュ」〜ブラジレイラ(ハイフェッツ編曲)/シネマ幻想曲〔屋根の上の牛〕

 マノン・ギャリー(Vn) ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサン(P)
 録音:2022年9月8日-11日、エリザベート王妃音楽チャペル、ベルギー。1996年トゥールーズ生まれの美人ヴァイオリニスト、マノン・ギャリーと、1994年キューバ生まれのピアニスト、ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサンのフレッシュなアルバム。20世紀初頭、ベル・エポック時代頃の4人のフランスの作曲家のオリジナル作品に、ハイフェッツが編曲した彼らの小品(ラヴェル以外)を対にして魅力を発散している。チャップリンの映画のために書いたミヨーの「シネマ幻想曲」は名作「屋根の上の牛」のオリジナル。ガルシア・ロルカ追悼に書かれたプーランクのヴァイオリン・ソナタのスペイン感をピアノのゴンザレス・ブアハサンが絶妙に表現しているのも聴き物。
モーツァルト:始まりと終わり
 交響曲第1番 変ホ長調 K.16 /
 ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488 /
 交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
マキシム・
 エメリャニチェフ(P)指揮
イル・ポモ・ドーロ
 録音:2022年6月28日-30日、ノートルダム・デュ・リバン、パリ。エメリャニチェフがモーツァルトの大プロジェクトに着手した。手兵イル・ポモ・ドーロを指揮して交響曲全集に挑戦する。さらに魅力なのは、毎回フィルアップに協奏曲が入ること。ピアノの場合はもちろんエメリャニチェフが独奏を務める。エメリャニチェフはクルレンツィス指揮ムジカエテルナの「ダ・ポンテ三部作」録音の才気煥発な通奏低音で注目されたが、現在ではイル・ポモ・ドーロを指揮してバロック・オペラのアルバムをリリースし高い評価を得ている。もともとモスクワ音楽院でロジェストヴェンスキーの厳しい訓練を受けたサラブレッドなうえ、音の指向性や奏者の数による変化なども綿密に計算するなど考えに考え抜いた録音となっている。モーツァルトは彼らのレパートリー・イメージからは新しい方の作曲家だが、もともとエメリャニチェフ最愛の作曲家であり、シリーズで深く探求することでともに音楽的な成長も目指しているとのこと。第1弾は第1番と第41番のカップリング。単に最初と最後の番号というだけでなく、第1番第2楽章の主題(ジュピター音型)が「ジュピター」終楽章の壮大なフーガで用いられていることも再認識させる。今回のフィルアップはピアノ協奏曲第23番。フィルアップどころか一番聴いてみたいと思う向きも多いはず。1823年グラーフのフォルテピアノのレプリカを用い、「ダ・ポンテ三部作」以上に自在で魅力的な演奏を繰り広げている。
スペインの思い出
 トゥーリナ:闘牛士の祈り Op.34 /弦楽四重奏曲「ギター風」 Op.4 /セレナータ Op.87
 カステルヌオーヴォ=テデスコ:ギター五重奏曲 Op.143 (*)
  バイロンSQ マッテオ・メーラ(G;*)
 録音:2022年3月3日-7日。スペインがらみの室内楽。トゥーリナはピアノ曲や歌曲が有名だが、弦楽四重奏作品も残している。いずれもスペイン色濃厚で、ギター曲を弦楽で奏しているような感がある。カステルヌオーヴォ=テデスコはイタリア人だが、先祖がスペインのセファルディだったことからスペイン文化にも造詣が深く、ギター五重奏曲もその影響が見受けられる。バイロン四重奏団はスイスの団体。バイロン卿に敬意を表した名称で、パリ音楽院でイザイ四重奏団に学んだ後、アルバン・ベルク、ハーゲン、クリーヴランド、ベルチャの各四重奏団のマスタークラスに参加した。
ギター・デュオのモーツァルト、ハイドン、
  シューベルト
〔編曲:カラマーゾフ&シュタイドル〕
 ハイドン:ピアノ・ソナタ第49番 変ホ長調
 モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475
 シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ D.821
エディン・カラマーゾフ、
パヴェル・シュタイドル(G)
 録音:2022年3月3日-5日、ジャルディーノ・スタジオ、クレマ。イタリア。18世紀半ばのウィーンはヨーロッパ音楽文化の中心地だったが、ギター文化も盛り上がり、オリジナル作品が乏しかったゆえ多くの有名作品編曲が現れた。当アルバムは演奏者エディン・カラマーゾフとパベル・シュタイドルが当時の象徴的な3作品の2本のギター用に新編曲。ギターはその後タレガやセゴビアの出現により新しく合理的な奏法が開発されたこともあり、ふたりはより効果的な編曲を施した。ハイドンとモーツァルトはピアノ曲だが、フォルテピアノのように微妙なニュアンスが絶美。シューベルト作品はもともとの楽器アルペジオ-ネがギターの遺伝子を継いでいるためより「目から鱗」の連続にびっくり。非常な難曲ながらカラマーゾフとシュタイドルは見事な演奏を披露している。
女たち
 メキシコ伝承曲:カスティリャのバラ〔器楽版/声楽版〕/小さな花/泣き虫/ペテネーラ/海の波
 ボリビア伝承曲:マリア、すべてがマリア/別れ
 神は苦しみのために生まれたもうた(フアナ・イネス・デ・ラ・クルス〔メキシコ〕)
 ラ・マルティニアーナ(アンドレス・エネストローサ〔メキシコ〕)
 ロンヒーナ(マヌエル・コローナ・ライムンド〔キューバ〕)/ビオレータ・パラ:呪われた心〔チリ〕/
 アリエル・ラミレス:アルフォンシーナと海(フェリクス・ルナ〔アルゼンチン〕)/
 あなたの悲しみに泣く(ルシアーナ・オルティス・エレッラ〔アルゼンチン〕)

 ディアナ・バローニ(歌/トラヴェルソ/キハーダ)
 ロナルド・マルティン・アロンソ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ラファエル・グエル・フリアス(バロックG/笛/Perc/歌)
 録音:2021年4月、シルヴァネス修道院。アルゼンチン出身のディアナ・バローニは、古楽のみならずラテンアメリカのフォークロアを探求する興味深い活動を見せるトラヴェルソ奏者。このアルバムはラテンアメリカ女性の作あるいは女性を讃えた音楽を集めた興味深い内容となっている。ラテンアメリカの音楽ならではの情熱と明るさも感じさせ、トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、バロックギターの温かみのある音色と妖艶な歌声で植民地時代から今日まで、新世界の傑出した女性たちに敬意を表している。

BIS (瑞) 特記以外 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 旧譜はこちらから
BISSA-2198
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チャイコフスキー・オン・ザ・ピアノ
 グリンカ/スドビン編曲:「ルスランとリュドミラ」序曲
 チャイコフスキー/スドビン編曲:くるみ割り人形〜花のワルツ(*)
 チャイコフスキー:ドゥムカ Op.59 /四季 Op.37 より〔11月 トロイカ/6月 舟歌〕/
          2つの小品 Op.10 〔夜想曲/ユモレスク〕/夜想曲 Op.19 No.4 /
          18の小品 Op.72 より〔優しい非難/5拍子のワルツ/悲しい歌〕
 チャイコフスキー/スドビン編曲:眠りの森の美女〜ワルツ(*) /幻想序曲「ロメオとジュリエット」

 エフゲニー・スドビン(P) ベッラ・スドビン(P;*)
 録音:2020年2月、ゼンデザール、ブレーメン放送/2021年6月、ヴェステロス・コンサート・ホール/2022年7月29日、リストツェントルム、オーストリア。スドビンのチャイコフスキー・アルバム。でありながらグリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲に始まる。これはチャイコフスキーがモスクワ音楽院の開校式で「新音楽院で最初に響く音楽は、グリンカじゃなければダメ!」と自らピアノに向かい弾いた逸話を再現。当然即興で楽譜にもしていないため、スドビンが想像で編曲している。原曲自体が急速でボルテージが高く、これまでヴィルトゥオーゾ編曲がなかったのがむしろ不思議で、スドビンの華麗な編曲で新たな生命を得たと申せましょう。アルバムの中心はスドビン編曲の幻想序曲「ロメオとジュリエット」。ドラマチックな迫力と中間部の甘美なメロディの歌いまわしが絶品。同じく「くるみ割り人形」の「花のワルツ」と「眠りの森の美女」の「ワルツ」は4手用編曲で、12歳の愛娘ベッラ(高音部)と連弾している。非常に華やかで、スドビンの編曲の才能をうかがえる。「眠りの森の美女」はラフマニノフの編曲にさらに手を加え華麗にしている。そのほかチャイコフスキーのオリジナル・ピアノ曲を9篇披露、チャイコフスキーのメルヘンの世界をたっぷり堪能出来る。時にパッセージを変更し、より効果的にするなど往年のロシアの巨匠たちを思わせる。
BISSA-2271
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ニコラウス・ブルーンス(1665-1697):カンタータ集とオルガン作品集 Vol.1
 バス、2つのヴァイオリンと通奏低音のためのカンタータ(教会コンチェルト)「深き淵よりわれ汝を呼ぶ」/
 テノール、2つのヴァイオリンと通奏低音のためのカンタータ(教会コンチェルト)「全地よ、主を歓喜せよ」/
 オルガンのための大前奏曲 ホ短調(*) /
 バス、ヴァイオリンと通奏低音のためのカンタータ(教会コンチェルト)「われは心を確かにし」/
 2人のテノール、バス、ヴァイオリン、2つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための
  カンタータ(教会コンチェルト)「わが心、定まりて」/
 オルガンのためのコラール・ファンタジア「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」(*) /
 バス、2つのヴァイオリン、2つのヴィオラと通奏低音のための
  カンタータ(教会コンチェルト)「主は天に御座を堅く据え」(ト長調に移調)/
 2人のテノール、2つのヴァイオリンと通奏低音のための
  カンタータ(コラール・コンチェルト)「聖なるキリストは甦りたまえり」

 ポール・マックス・ティプトン(B−Br)
 ジェイムズ・テイラー、ダン・コークウェル(T)
 鈴木雅明(Org)指揮イェール大学宗教音楽研究所
  [ロバート・ミーリー、ダニエル・リー(Vn) ジェシカ・トロイ、カイル・ミラー(Va)
   ジョシュア・ケラー、ガイル・アン・シュローダー(ヴィオラ・ダ・ガンバ) エズラ・セルツァー(Vc)
   グラント・ヘレイド(テオルボ) レイチェル・ベグリー(ドゥルシアン)]
 録音:2016年5月1日-2日(*)、2017年3月23日-25日(*以外)、マーカンド・チャペル、イェール大学、ニューヘイブン、 US 。鈴木雅明がイェール大学宗教音楽研究所とブルーンスのカンタータとオルガン作品を録音。その第1集がリリースされる。ニコラウス・ブルーンス(1665-1697)は父からオルガンの手ほどきを受け、ブクステフーデにオルガンを学んだ。リューベックでは叔父ペーターからヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバを師事。同地の聖マリア教会および師ブクステフーデの推薦でコペンハーゲンのオルガニストを務めた。また、オルガン曲とカンタータ(教会コンチェルト)を作曲しており、ドイツ・バロックのオルガン音楽と教会カンタータの発展に貢献した。32歳という若さで亡くなってしまったが、その才能はブクステフーデに迫るほどで、残された作品は傑作ばかり。イェール大学宗教音楽研究所は1928年、ニューヨークのユニオン神学校内に設置された宗教音楽学校を母体とし、1974年よりイェール大学の専門大学院としてスタートした。宗教音楽、礼拝、芸術の研究などの実践を目的とし、演奏家、教会音楽、牧師としてのキャリアに向けた厳しいトレーニングを行っている。当録音メンバーも古楽の名手が揃っており、鈴木雅明の指揮とオルガン演奏とともに質の高い演奏をお楽しみ頂ける。使用オルガンは2007年に同チャペルに据え付けられたチャールズ・クリングバウム(1929-2020)製作の楽器。
イェ・シャオガン(1955-):(CD)
 管弦楽のための交響的絵画「四川の映像」 Op.70 (2013-14) (*) /
 ピアノと管弦楽のための「命の協奏曲」 Op.23c (2000) (#)
  シュエ・ヤン〔楊雪〕(二胡&中胡;*) ユエ・リー〔李楽〕(笛&簫;*)
  ヤン・ジン〔楊静〕(中国琵琶;*) レイ・ワン〔王磊〕(笙;*)
  小川典子(P) ホセ・セレブリエール指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナルo.
 録音:2018年8月21日-25日、 RSNO センター、グラスゴー、イギリス。1955年生まれの中国を代表する作曲家イェ・シャオガン[葉小鋼]。中央音楽院で学んだのち、1987年からはニューヨークに留学し研鑽を積んだ。そのシャオガンの名が世界に知られることとなったのは2008年の北京オリンピック開会式に使用されたピアノ協奏曲「Starring Sky(星空)」で、ラン・ランが演奏したことにより話題となった。この作品はアルバム「Winter(冬)」(BIS-2113)で小川典子演奏の録音でも知られる。期待の当アルバムでは「四川の映像」と「命の協奏曲」の2篇を収録した。四川po. の委嘱により作曲された交響的絵画「四川の映像」は、中国西部の風光明媚な地方の旅行記をまとめた映画のために作られた、29からなる短い曲をまとめた管弦楽のための作品。作曲の依頼を受けたイェ・シャオガンは四川の山、川、村、町、少数民族の住む地域を実際に訪れ、中国西部特有の自然の風景や千年の歴史を持つ史跡を「音」にした。大編成のオーケストラには打楽器の独奏パートに加えて中国の伝統楽器群も加わり、作品に独特の色彩を添えている。「命の協奏曲」は2000年に同名の映画のために作曲した音楽をもとに再構成した7楽章からなるピアノと管弦楽のための組曲。生徒を指導するために病気との苦難を乗り越えてきたピアニストとこの映画の感動的な瞬間がこの音楽に凝縮されており、ソロをつとめる小川典子が情感を込めて美しい演奏を披露している。
BISSA-2339
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相乗効果
 テレマン(1681-1767):リコーダー、フルート、弦楽とチェンバロのための協奏曲 ホ短調 TWV.52: e1 (*)
 サン=サーンス(1835-1921):フルート、クラリネットと管弦楽のためのタランテラ Op.6
 フランツ・ドップラー(1821-1883)/アンドラーシュ・アドリアーン(1944-)編曲:
  2つのフルートと管弦楽のための協奏曲 ニ短調(#)
 エイトル・ヴィラ=ロボス(1887-1959):フルートとファゴットのためのブラジル風バッハ第6番
 J.S.バッハ(1685-1750)/マーラー(1860-1911)編曲:J.S.バッハの管弦楽作品による組曲
  〔序曲/ロンドー - バディヌリー - ロンドー(管弦楽曲第2番 ロ短調 BWV.1067より)/
   エール(アリア)/ガヴォット I & II (管弦楽曲第3番 ニ長調 BWV.1068より)/
   バディヌリー(アンコール)〕

 シャロン・ベザリー(Fl) ミカラ・ペトリ(リコーダー)
 マイケル・コリンズ(Cl)指揮(*/#以外) ワルター・アウアー(Fl;#)
 ブラム・ファン・サムベーク(Fg) ビョーン・イェーヴェット(Cemb/Org)
 ウルバン・スヴェンソン指揮(*) トーマス・ダウスゴー指揮(#) スウェーデン室内o.
 録音:2017年6月(#)、2021年8月(#以外)、エレブルー・コンサートホール/2021年10月、2022年3月24日、ユーシュホルム礼拝堂(オルガン・パート)、すべてスウェーデン。楽器: Muramatsu 24 carat All Gold Model, No. 60600, specially built for her by the Muramatsu team /フルート(アウアー):Sankyo 24 carat. Head joint by Werner Tomasi /リコーダー:Mollenhauer Modern Alto, ebony and Moeck Ehlert Alto, ebony /クラリネット:Yamaha SE Artist Model /ファゴット:Heckel 1970, serial number 11174 。1973年創業のBISレーベルは2023年に50周年を迎える。現在も精力的なリリースが続く老舗レーベルだが、今後も注目新譜がリリースされる。当ディスクはフルート奏者シャロン・ベザリーの記念すべき50枚目のアルバムで、ミカラ・ペトリ、マイケル・コリンズ、ワルター・アウアーら超豪華アーティストとの共演で生まれる「相乗効果」をテーマとした充実の内容。収録内容はテレマン、サン=サーンス、フランツ・ドップラー、ヴィラ=ロボス、そしてマーラー編の「J.S.バッハの管弦楽作品による組曲」と実に多彩!テレマンの協奏曲ではリコーダーの女王ペトリと絶妙なアンサンブルを展開する。サン=サーンスの「タランテラ」はフルートとクラリネットが終始絡み合いながらも丁々発止のやり取りがたまらないサン=サーンスの初期作品。マイケル・コリンズと息の合った掛け合いが魅力。フランツ・ドップラー(アドリアーン編)の2本のフルートと管弦楽のための協奏曲ではVPOの首席フルート奏者ワルター・アウアーと共演!当録音では第2楽章の途中まではワルターが第1フルートを、その後はベザリーが第1フルートを演奏している。フルートの名手だったドップラーらしく華麗なパッセージとフルートの美観を前面に押し出した作品で、名手2人が対話を楽しむように演奏している。ヴィラ=ロボスのバキアナ・ブラジレイラは「ブラジル風のバッハ」という意。9つの作品を残しており、さまざまな楽器の組み合わせで書かれており、バッハへの賛 辞とともにバロック組曲の現代化の試みと言える。フルートとファゴットために書かれた第6番は、華やかなフルートと豊かでビロードのようなファゴットの対照的な音色を持った両楽器のコントラストがなんともいえぬ魅力を放っている。そして最後にはマーラーが編曲した「J.S.バッハの管弦楽作品による組曲」を収録!管弦楽曲第2、3番から4楽章構成に再編したこの作品は、現代オーケストラの厚みを持ちながらも通奏低音はチェンバロ、オルガンが登場する。フルート大活躍の第2番の「序曲」、「ロンドー-バディヌリー」、第3番の有名な「アリア」と「ガヴォット」という美味しいとこ取りの作品!マーラーのフィルターを通したゴージャスなオーケストラが最大の魅力。当演奏では最後にもう一度「バディヌリー」を演奏している。バッハ×マーラーは締めくくりにふさわしく、このアルバムのテーマ「相乗効果」を総括しているようだ。
BISSA-2345
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(HYBRID_SACD)
小川典子〜サティ:ピアノ独奏曲全曲録音 Vol.5 「エソテリック・サティ」
 4つの前奏曲〜エジナール(アインハルト)の前奏曲(1893) /冷たい小品(1897)
  〔3つの逃げ出させる歌[第1番/第2番(より半音階的に)]/3つのゆがんだ踊り[第1番/第2番]〕/
 新しい冷たい小品(1907) 〔壁について/木について/橋について]/4つの前奏曲〜ナザレ人の第1の前奏曲(1893) /
 ユスピュ(3幕のキリスト教的バレエのための)(1892) /ゴシックの舞曲(1893) /
 [多分貧しい人々のために](1893) /3つのハーモニー(1895) /祈り(1894) /
 「パンテ」のライトモティーフ(1892) /若い令嬢のためにノルマンディの騎士によって催された祝宴(1892) /
 4つのオジーヴ(1886?) /バラ十字教団の最初の思想(1891)

 小川典子(P|使用楽器:エラール、1890年製
 録音:2018年8月、Jスタジオ、東京音楽大学。BISレーベルを代表する世界的ピアニスト小川典子。2015年の歿後90年を記念して始動したサティのピアノ独奏曲全曲録音。各誌で絶賛された第1弾 (BISSA-2215) 、第2弾 (BISSA-2225) 、第3弾「ヴェクサシオン」 (BISSA-2325) 、第4弾「ルラーシュ-シネマ」 (BISSA-2335) に続く第5弾「エソテリック・サティ」の登場。19世紀末から20世紀初頭のフランスで活躍したサティ。10代のときパリ音楽院で学ぶも馴染めず、自由な発想の芸術家が集うモンマルトルで作曲活動を行った。1905年には作曲法を学び直すためにスコラカントルムでダンディに師事。作曲家としての知名度が上がるにつれ、ジャン・コクトーやピカソといった著名な芸術家たちから注目され親交を深めていった。やがて独自の世界を作り出し標題の風刺性とともに、何ものにもとらわれない純粋な音楽的感性の奔放な表現を追求していった。第5集では初期および秘儀的作品を収録。楽譜に小節線のない「バラ十字教団の最初の思想」、あまり録音のない「ユスピュ」など、サティのオリジナリティに溢れた世界が広がる。2018年8月にかけて行われた当録音は現在特 任教授を務める東京音楽大学のスタジオにおけるセッション。使用楽器は1890年製エラールピアノで、サティがピアノ曲の多くを作曲した同時代の楽器で演奏している。当時の響きを追 求した小川典子渾身の録音。
BISSA-2362
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シンガポール響のスクリャービン
 法悦の詩 Op.54 (*) /ピアノ・ソナタ第5番 Op.53 (#) /プロメテウス Op.60 (+)
  エフゲニー・スドビン(P;#/+) ラン・シュイ指揮シンガポールso.(*/+)、
  シンガポール響cho.(+)、シンガポール響青年cho.(+)
 録音:2017年7月-8月、エスプラネード・コンサート・ホール、シンガポール(*/#) /2006年8月、ヴェステロース・コンサート・ホール(#) |既出: BISSA-1568 (#) 。スドビン久々の新譜、それもファン狂喜のスクリャービン・アルバム。録音は2017年に行われていたもので、ラン・シュイ指揮シンガポールso. と問題作「プロメテウス」を披露。さらに「法悦の詩」も興味津々。オルガンを含む大編成のオーケストラ(「プロメテウス」はさらに混声合唱とピアノ独奏も含む)というカオスの世界だが、BISの超優秀録音で各楽器の主張と綾がはっきり見えて新鮮。どんなに複雑な部分でも透明で音の美しさを満喫出来る。「法悦の詩」と同時期の作で共通点の多いピアノ・ソナタ第5番もスドビンの演奏でカップリング。ただしこちらは2006年の録音でBISSA-1568に収録されているものと同ソース。プロメテウスともどもスドビンの色彩とニュアンスにあふれる弱音の妖しい魅力に酔わされる。
BISSA-2400
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サン=サーンス:ピアノ協奏曲全集 Vol.2
 ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.22 (1868) (+) /
 カプリス・ワルツ
  「ウェディング・ケーキ」 Op.76 (1886) (*) /
 アレグロ・アパショナート
   嬰ハ短調 Op.70 (1884) (#) /
 ピアノ協奏曲第1番 ニ長調 Op.17 (1858) (#) /
 オーヴェルニュ狂詩曲 Op.73 (1884) (*) /
 幻想曲「アフリカ」 Op.89 (1891) (#)
アレクサンドル・カントロフ
(P|使用楽器: Steinway D )
ジャン=ジャック・カントロフ指揮
タピオラ・シンフォニエッタ
 録音:2018年1月28日-2月2日(*)、2020年1月13日-17日(#)、2021年9月6日-8日(+)、タピオラ・コンサートホール、フィンランド。2021年11月の来日リサイタルも記憶に新しいアレクサンドル・カントロフ。ブラームスの「4つのバラード」、リストの「ダンテを読んで-ソナタ風幻想曲」、そしてブラームスのピアノ・ソナタ第3番という重量級プログラムに挑んだ日本初リサイタルだったが、異次元の集中力と情熱的な演奏で聴衆を魅了させた。まさに天才降臨といえるカントロフ!当アルバムはサン=サーンスのピアノと管弦楽のための作品第2集で、ピアノ協奏曲第1番&第2番、「ウェディング・ケーキ」、「アレグロ・アパショナート」、「オーベルニュ狂詩曲」、そして幻想曲「アフリカ」を収録。共演は父ジャン=ジャック・カントロフ指揮タピオラ・シンフォニエッタ。2歳でピアノをはじめ、3歳でかなりのレベルでピアノを弾きこなし、5歳で作曲をはじめたという神 童サン=サーンス。ピアノ協奏曲は生 涯5つを作曲した。いずれもサン=サーンスらしい華麗なテクニックときらめく旋 律が魅力。驚くべき才 能の持ち主アレクサンドル・カントロフが母国の天才作曲家の難曲を、余裕綽々ともいえるテクニックを武器に雄弁な語り口で華麗に歌い上げる。!1997年生まれのアレクサンドルは父親譲りの音楽的才能の持ち主。16歳のときにはナントおよびワルシャワでのラ・フォルジュルネでシンフォニア・ヴァルソヴィアと共演し、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲を披露。抜群のテクニックと情感豊かな演奏で聴衆を熱狂させた。そして、2019年に開催された16回チャイコフスキー国際コンクールでフランス人としてはじめて優勝。本選ではチャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番を演奏し、有名な第1番を上回る高度なテクニックを要する難曲をコンクールの場で見事に披露したことでも話題となった。現在フランスの英雄として全世界から注目される気鋭のピアニストの活躍が大いに期待される。親譲りの天才肌。
BISSA-2416
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無伴奏ヴァイオリンまたはヴィオラのための作品集
 バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117
 リゲティ:無伴奏ヴィオラ・ソナタ(1991-94) / ヴェレシュ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(1935)
 エトヴェシュ:無伴奏ヴァイオリンのための「属七の和音への冒険」(2019)[世界初録音]

 ヌリット・スターク(Vn|使用楽器:ピエトロ・グァルネリ(1710年)&弓:アルバート・ニュルンベルガー
           Va|使用楽器:アルフレッド・ライヒト& 弓:プロスパー・コーラ
 録音:2019年1月23日-25日、2021年10月12日-13日、アンドレーアス教会、ヴァンゼー、ベルリン。ハンガリーの4人の作曲家バルトーク、リゲティ、ヴェレシュ、エトヴェシュによるヴァイオリンまたはヴィオラのための独奏作品をヌリット・スタークが録音した。バルトークはヴェレシュの師であり、ヴェレスはリゲティの師だった。またリゲティはエトヴェシュの直接の師ではないが、リゲティの助言によりエトヴェシュがブダペストのリスト音楽院に入学することができた。西洋音楽の伝統と東欧を中心とした民族音楽が融合した彼らの音楽は有機的なつながりを持ちながらも独自のスタイルを築いていている。イスラエル生まれのスタークはジュリアード音楽院でロバート・マンに師事。さらにケルン音楽大学でアルバン・ベルク四重奏団にも師事したのち、いくつものコンクールで優秀な成績を収めている。Clavesレーベルよりブロッホ(50-1705)、ブゾーニ&エネスコ(50-2811[廃盤])、シューマン(50-1502)などをリリース。またBISレーベルからはクルターグの「カフカ断章」(BISSA-2175)をリリースしている。
BISSA-2466
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カレヴィ・アホ(1949-):
 ヴァイオリン協奏曲第2番(2015) (*) /
 チェロ協奏曲第2番(2013) (#)
エリナ・ヴァハラ(Vn;*)
ヨナタン・ローゼマン(Vc;#)
オラリ・エルツ指揮
キュミ・シンフォニエッタ
 録音:2019年4月24日-26日(*)、2021年12月2日-4日(#)、ともにクーサンコスキ・ホール、コウヴォラ、フィンランド。フィンランドを代表する作曲家カレヴィ・アホ。当アルバムにはヴァイオリン協奏曲第2番、チェロ協奏曲第2番を収録している。アホは1980年代前半にヴァイオリン、チェロそれぞれの協奏曲を書いているが、20年ほどの歳月を経て、ついに新作の登場。長年ヴァイオリン協奏曲を書いていなかったアホがエリナ・ヴァハラの依頼により作曲した第2番は、アホ独特の美しい旋律が魅力。ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストのヴァハラへ捧げた注目作。一方、チェロ協奏曲第2番はナーンタリ音楽祭とラハティso. との共同企画で生まれた新作委嘱。初演は2014年6月5日、ナーンタリでアルト・ノラスのチェロ独奏、オスモ・ヴァンスカ指揮
ラハティso. によって行われた。5つの楽章からなるこの作品はシンフォニエッタのように書かれており、楽章間がとぎれることなく演奏され、終楽章の非常に印象的なカデンツァも聴き物。当録音では2015年にはチャイコフスキー国際コンクールのチェロ部門で第6位に入賞した1997年生まれのフィンランド系オランダ人ヨナタン・ローゼマンがチェロ独奏をつとめている。
BISSA-2472
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リットン〜ショスタコーヴィチ
 ジャズ・オーケストラのための第1組曲(1934) /
 バレエ音楽「黄金時代」組曲 Op.22a (1930/35) /
 バレエ音楽「明るい小川」組曲
   Op.39a (1935/45)(チタレンコ編曲)/
 ステージ・オーケストラのための組曲(1950年代)/
 「タヒチ・トロット」(1927)
アンドルー・リットン指揮
シンガポールso.
 録音:2019年8月20日-23日、エスパラネード・ホール、シンガポール。ラン・シュイ〔水藍〕が世界的なオーケストラへ育て上げたシンガポールso. 。BISレーベルからリリースしている多くの録音でも知られるが、当アルバムではアンドルー・リットンを迎えてショスタコーヴィチの管弦楽作品を録音した。ショスタコーヴィチは交響曲、オペラ、映画音楽、バレエ音楽などあらゆるジャンルに名作を残しているが、30代以降は時代背景を表した重々しく暗い作品のイメージがある。当アルバムでは若かりしショスタコーヴィチの明るい側面をあらわした作品ばかりを集めた。ジャズo. のための第1組曲(ジャズ組曲第1番)は1934年に「ソビエト・ジャズ」の評価を高めることを目的として作られた3つの短い楽章からなる組曲で、当ディスク唯一のオリジナル作品。このほかは既存の作品からのアレンジ物。「ポルカ」が有名なバレエ音楽「黄金時代」組曲、コルホーズの農民と芸術家たちとの相互理解を描いたバレエ音楽「明るい小川」組曲、様々な作品から8つの楽章にまとめられたステージo. のための組曲、そしてヴィンセント・ユーマンス(1898-1946)の大ヒット曲「二人でお茶を」を管弦楽用に編曲した「タヒチ・トロット」を収録している。ゴージャスなサウンドを見事にとらえたBISレーベルが誇る技術陣渾身の録音。
BISSA-2476
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マーラー:交響曲第9番 ニ長調(1909-10) オスモ・ヴァンスカ指揮
ミネソタo.
 録音:2022年3月21日-25日、オーケストラ・ホール、ミネアポリス。好評を博しているオスモ・ヴァンスカ率いるミネソタo. によるマーラー・シリーズ。当アルバムは交響曲第9番を収録!当演奏でもヴァンスカならではの緻密な構成と、細部にまで注意が払われた圧巻の仕上がり。繊細かつ丁寧な音楽づくりが魅力。また録音にも注目。オーケストラ全体の響きを自然にとらえ、演奏の一体感を堪能することのできる録音。アルバン・ベルクが「マーラーが書いた中で最も輝かし作品」と激賞した交響曲第9番。形式、主題、調性あらゆる面で広大で感情的な第1楽章、喜びと遊び心に満ちた第2楽章、辛辣な皮肉と怒りを表した第3楽章、そして神秘的なアダージョで締めくくる第4楽章で構成されたマーラー最大の傑作。BISレーベルで数多くの録音を残してきたヴァンスカが最上級の演奏に達したマーラーの交響曲シリーズ。これまでに第1番「巨人」(BISSA-2346)、第2番「復活」(BISSA-2296)、第4番(BISSA-2356)、第5番(BISSA-2226)、第6番(BISSA-2266)、第7番(BISSA-2386)、第10番(BISSA-2396)がリリースされている。2003年にミネソタo. の音楽監督に就任したヴァンスカは、ベートーヴェンの交響曲全集などで評価を高めた。しかし、当団では経営悪化に伴う労使対立が激しさを増し、2012年10月に経営側はロックアウトを決行。その後の2012/13年のシーズンは全てキャンセルとなり、当団の存続そのものも危ぶまれる状況となった。ヴァンスカは、労使の合意が成立した2014年1月に首席指揮者に復帰し、以後、団結力の増したミネソタ管の演奏は一層密度の濃いものとなっている。
BISSA-2480
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アッラン・ペッテション(1911-1980):
 交響曲第15番(1978) (*)/
 ヴィオラ独奏のための幻想曲(1936) (#) /
 ヴィオラ協奏曲(1979) (*/#)
  (独奏パート補完:エレン・ニスベト)
エレン・ニスベト(Va;#
使用楽器:ニコロ・アマティ、1714年製作)

クリスチャン・リンドベリ指揮(*)
ノールショーピングso.(*)
 録音:2020年1月13日-17日、ルイス・デ・ギア・コンサートホール、ノールショーピング(#以外) /2020年5月29日、聖ペテロ教会、ダンデリード(#)、すべてスウェーデン。クリスチャン・リンドベリがノールショーピングso. と録音を続けている現代スウェーデンの作曲家アッラン・ペッテションの交響曲シリーズ。当アルバムでは交響曲第15番とヴィオラ協奏曲を収録した。交響曲第15番は冒頭から尋常ならぬ緊張感ではじまる作品。冒頭のホルンとトロンボーンが簡潔ながらインパクトの強い和音が特徴的。亡くなる2年前の1978年、晩年の集大成ともいえる大作。カップリングは1979年に書かれたヴィオラ協奏曲。未完のため当録音ではスウェーデンのヴィオリスト、エレン・ニスベトが独奏パートを補完させて演奏。ペッテションの初期作品ヴィオラ独奏のための「幻想曲」(1936年6月、作曲者自身がヴィオリストとしての道を歩み始めた頃の作品)とあわせてペッテションのヴィオラの世界もお楽しみ頂きたい。
BISSA-2481
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J.S.バッハ(1685-1750):
  チェンバロと弦楽のための協奏曲集 Vol.2
 〔第6番 ヘ長調 BWV.1057 /
  第7番 ト短調 BWV.1058 /
  第4番 イ長調 BWV.1055 /
  第3番 ニ長調 BWV.1054 〕
鈴木優人(Cemb)指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
[アンドレアス・ベーレン、
 水内謙一(リコーダー)
 若松夏美(Vn;コンサートマスター)
 高田あずみ(Vn)
 山口幸恵(Va;コンティヌオ)
 山本徹(Vc)
 西澤誠治(ヴィオローネ)]
 録音:2019年7月22日-26日、ヤマハホール、銀座|使用チェンバロ: Willem Kroesbergen, Utrecht 1987 〔 after J. Couchet, 2 manuals, 8', 8', 4', FF−f''' 〕。2018年9月よりバッハ・コレギウム・ジャパン首席 指揮者に就任した鈴 木優人がバッハのチェンバロと弦楽のための協奏曲査集録音を開始!バッハの独奏チェンバロと弦楽オーケストラのための協奏曲集はその大半がバッハや他者の作曲家による他の楽器のための協奏曲を編曲したものが、チェンバロという楽器を通奏低音から独奏楽器へと引き上げた注目すべき作品群。チェンバロ協奏曲第1、2、5、8番を収めた第1弾 (BISSA-2401) はレコード芸術「特選盤」、毎日新聞「特薦盤」、読売新聞「推薦盤」など各誌・各紙で高く評価された。第2弾となる当アルバムにはブランデンブルク協奏曲第4番 ト長調 BWV.1049のヴァイオリンがチェンバロに置き換えられたチェンバロ協奏曲第6番 BWV.1057、原曲がオーボエ・ダモーレをソロとした協奏曲と考えられるチェンバロ協奏曲第4番 BWV.1055、ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV.1041が原曲のチェンバロ協奏曲第7番 ト短調 BWV.1058、そしてヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV.1042が原曲のチェンバロ協奏曲第3番 ニ長調 BWV.1054の4篇を収録している。おなじみのヴァイオリン協奏曲などがチェンバロ編曲によりまた違った魅力を放っており、鈴木優人の雄弁なチェンバロとBCJの弦楽メンバーとの音楽的対話が実に見事な演奏を展開している。鈴木雅明と演奏した2台のチェンバロのための協奏曲集 (BISSA-2051) も好評発売中。
BISSA-2483
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バーバンクの変わり者〜アルベット・シュネルツェル(1972-):室内楽&管弦楽作品集
 管弦楽のための「バーバンクの変わり者」(2007) /ピアノのための「悪魔と踊る」(2000) (*) /
 室内管弦楽のための「私の手紙を燃やして - クララの思い出」(2019) /
 ヴァイオリンとピアノのための「アポロンの踊り」(2003) (#) /
 チェロとピアノのための「凍りついた景色」(2002) (+) /ヴァイオリン協奏曲第2番「夜の歌」(2018) (**)

  サイモン・クロフォード=フィリップス指揮ヴェステロース・シンフォニエッタ(無印/**)
  ヘンリク・モーヴェ(P;*) セシリア・シリアクス(Vn;#)
  ヤコブ・コラーニ(Vc;+) ダーヴィド・フアン(P;#/+) イリア・グリンゴルツ(Vn;**)
 録音:2019年11月26日-29日(**)、2020年6月15-17日(*/#/+)、2021年4月6日-8日(無印)、ヴェステロース・コンサートホール、ヴェステロース、スウェーデン。アルベット・シュネルツェルは、1972年生まれ。スカンディナヴィアの彼の世代でもっとも広く注目を集める作曲家のひとり。チェロ協奏曲「狂気のダイアモンド」など3つの管弦楽作品を収めた「郊外の話」(BISSA-2313)に次ぐシュネルツェルの作品集。アルバム・タイトル曲の「バーバンクの変わり者」は、「今日の音楽に影響を及ぼしたはず」のヨーゼフ・ハイドンと、ロサンゼルス郊外のバーバンクで子供時代を過ごし、「シザーハンズ」や「マーズ・アタック」といった映画を作ってきたティム・バートン監督という、「遊び心とバーレスクをこよなく愛する」ところで似ている2人の芸術家をテーマに作曲された。この作品は、ニュー・ストックホルム室内o. による2008年の初演以後、30を超すオーケストラがベルリン・フィルハーモニーやアムステルダム・コンセルトヘボウといったホールで70回以上演奏してきた人気曲。サイモン・クロフォード=フィリップスとヴェステロース・シンフォニエッタによる2021年4月のセッションが、世界初録音。ヴァイオリン協奏曲第2番「夜の歌」は、ウプサラ室内o.、スウェーデン室内o.、ヨンショーピング・シンフォニエッタがイリア・グリンゴルツのために共同委嘱した作品。「覚醒状態と睡眠という2つの異なる世界にはさまれた、重力のない浮遊する感覚」を背景にした4楽章で書かれている。空間に漂う感覚をとらえることを試みた「空中に浮遊する(Levitate)」、1393年にフランス王シャルル六世がパリで開催した「燃える人の舞踏会(Bal desArdents)」、シュネルツェルの夢に現れた「奇妙な想像上の動物たち」の「行列(Procession)」、夢から脱出したいと思いながらも行き場のない「逃げろ(Run)」。2019年4月11日、ウプサラで初演。この曲も、この演奏が世界初録音。もうひとつのオーケストラ曲「私の手紙を燃やして-クララの思い出」は、シュネルツェルがクララ・シューマンのエネルギーと「生への渇望」を表現することを試みた作品。ひとつの主要主題が「クララ・シューマン」を表す「荒々しく自由な」フルートと「ヨハネス / ブラームス」の「思慮深い」ファゴットに分かれ、対話していく。「室内管弦楽」の版を使った、世界初録音。室内楽作品が3曲。「リストたちのロマンティックなヴィルトゥオーゾ曲と「われわれの時代」のヘヴィメタル音楽という、2つの「悪魔的」伝統を交配させた」ソロ・ピアノのための「悪魔と踊る」。異なるクレズマースケールをハーモニー素材に使った「アポロンの誕生(The Birth of Apollo)」「青年期のアポロン(Adolescent Apollo)」の2楽章で書かれたヴァイオリンとピアノのための「アポロンの踊り」は、ギリシャ神話の神からイスピレーションを得た作品。「凍りついた景色」は、シュネルツェルが若い頃。スウェーデン北部の山脈で過ごした冬のある日の鮮やかな記憶を描いたチェロとピアノのための作品。
BISSA-2489
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サン=サーンス
 ヴァイオリン・ソナタ(*)
  〔第1番 ニ短調 Op.75 /第2番 変ホ長調 Op.102 〕/

 幻想曲 イ長調 Op.124 (#) /
 子守歌 変ロ長調 Op.38 (#)
  (フィッツパトリック編曲|ヴァイオリンとハープ版)
セシリア・シリアクス(Vn)
クリスティアン・
 イーレ・ハドラン(P;*)
スティーヴン・
 フィッツパトリック(Hp;#)
 録音:2021年5月11日-12日、リッラ・サレン(*) /2021年8月16日、ストックホルム(#)、すべてスウェーデン|使用楽器:ヴァイオリン: N. Gagliano (on loan from the Jarnaker Foundation) /ピアノ: Steinway D /ハープ: Lyon & Healy 。「弦楽トリオ ZPR 」でも知られるスウェーデンの名ヴァイオリニスト、セシリア・シリアクスがオール・サン=サーンス・プログラムに挑んだ。共演はユーハン・ダーレネとのアルバム「北欧ラプソディ」(BISSA-2560)の録音でも知られる若手ピアニスト、クリスティアン・イーレ・ハドラン、そしてハープのスティーヴン・フィッツパトリック。サン=サーンスの代表作ヴァイオリン・ソナタ第1番は終始ヴァイオリンとピアノの技巧的な掛け合いが魅力。ことに無窮動の終楽章の最終パート「アレグロ・モルト」は一度聴いたら忘れられないほど煌びやか。シリアクスとハドランは驚くべき演奏を展開している。幻想曲と子守歌(フィッツパトリック編曲)ではハープとヴァイオリンの美しいデュオをお楽しみ頂ける。
BISSA-2504
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ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス(1772-1847):ピアノ協奏曲全集 Vol.1
 〔ホ長調 Op.3 (ピアノ、またはチェンバロと管弦楽のための)/ハ長調 Op.12 (#) /ニ長調 Op.26 〕

 ロナルド・ブラウティハム(Fp)
 マイケル・アレクサンダー・ウィレンス指揮ケルン・アカデミー
 録音:2021年4月-5月(無印)、2021年8月(#)、すべてインマヌエル教会、ヴッパータール、ドイツ。ベートーヴェンと同時代を生きた作曲家ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス(1772-1847)が2022年に生誕250年、歿後175年を迎えた。ライン川中流部右岸のベルギッシェスラント地方の小さな村に生まれ父や兄からピアノと作曲の手ほどきを受け、フルートを独学で学んだヴィルムスは19歳のときにアムステルダムに渡り、フルート奏者、ピアニスト、オルガニストそして興行師としても活躍。その後、アムステルダムの裕福な美術収集家の娘と結婚し、彼も大きな恩恵を受ける。当時彼の作品はアムステルダムをはじめライプツィヒなどでも頻繁に演奏されていた。ヴィルムスはオランダ国歌も作ったことでも知られるが、交響曲、室内楽曲、協奏曲を中心に、のどかで心地よい作品を残している。生誕250周年を記念してロナルド・ブラウティハムとマイケル・アレクサンダー・ウィレンス率いるケルン・アカデミーが“オランダのベートーヴェン" ヴィルムスの現存する5つのピアノ協奏曲を録音。当アルバムはその第1集で3篇を収録している。当演奏では現存する楽譜からウィレンスの助言をとともにブラウティハムが再構築しており、軽やかで優美な旋律を充分にご堪能頂ける。
BISSA-2507
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ハイドン
 チェロ協奏曲〔第1番 ハ長調 Hob.VIIb: 1 /
        第2番 ニ長調 Hob.VIIb: 2 〕/
 交響曲第13番 ニ長調 Hob.I: 13
  〜第2楽章 アダージョ
ヒンデミット:チェロと
 弦楽オーケストラのための葬送音楽(1936)
クリスティアン・
 ポルテラ(Vc)指揮
ミュンヘン室内o.
 録音:2021年4月6日-9日、昇天教会、ゼンドリング、ミュンヘン。トリオ・ツィンマーマンのチェリストとしても活躍する名手ポルテラが弾き振りで挑むハイドンのチェロ協奏曲とヒンデミットの「葬送音楽」!クリスティアン・ポルテラは1977年チューリヒ生まれ。ザルツブルクとウィーンでハインリヒ・シフに師事した。これまでギドン・クレーメル、ヘンニング・クラッゲルード、内田光子ら世界的アーティストとの共演を重ねる室内楽の名手として知られる一方、ソリストとして数多くのディスクをリリースしている実力派。ハイドンのチェロ協奏曲は全部で6曲作曲されたといわれているが、紛失、偽作疑惑などで、現在残っているのは2曲。1761〜65年ころに作曲したとされる第1番は長きに渡り楽譜は失われていたが、1961年にプラハで筆写譜が発見され翌1962年に蘇演。現在ではチェロ協奏曲の必須レパートリーの一つに数えられる。一方、第2番はチェロの魅力が十分に引き出された優雅な雰囲気をもつ名作。そして交響曲第13番の第2楽章「アダージョ」は独奏チェロが大活躍の美しい楽章。ハイドンが書いた魅力的な旋律をポルテラが伸びやかに演奏している。カップリングはヒンデミットの「葬送音楽」。イギリス国王ジョージ5世の訃報を知ったヒンデミットが追悼のために急遽書いた作品。悲しくも凛とした魂を感じるこの名曲を歌心に満ちたポルテラの演奏でお届けする。
BISSA-2509
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(HYBRID_SACD)
ドッピオ・エスプレシーヴォ
 ヴィヴァルディ/マレイン・ファン・プローイエン、コントラバス用編曲:
  チェロ、コントラバス、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ト短調 RV.531 /
  歌劇「ジュスティーノ」RV.717 〜アリア「喜びと共に会わん」/
  チェロ、コントラバス、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ホ短調 RV.409
 ボッテジーニ/ボグスワフ・フルトク弦楽アンサンブル用編曲:
  ロッシーニのファンタジアからのカンツォネッタ「ラ・セレナータ」/パッショーネ・アモローサ
 エルンスト/ボッテジーニ、マレイン・ファン・プローイエン編曲:エレジー(弦楽アンサンブル版)
 ボッテジーニ/マレイン・ファン・プローイエン編曲:ファゴット、コントラバスと弦楽のためのデュエット

 リック・ストテイン(Cb) ヨハネス・ロスタモ(Vc)
 オリフィエル・テエリー(Cb2) ブラム・ファン・サムベーク(Fg)
 カメラータ RCO[シャーン・オーメン(Vn1) クーン・スタペルト(Vn2) エーディット・
   ファン・モエルガステル(Va)、フレット・エデーレン(Vc) フェリックス・ラシュマル(Cb)]

 クリスティアーン・エデーレン(Cemb) ゼーレン・ロイポルト(テオルボ)
 録音:2021年10月、ジンゲル教会、アムステルダム、オランダ。名コントラバス、リック・ストテインがイタリアの作曲家ヴィヴァルディとボッテジーニに焦点を当てたアルバムをリリース!「コントラバスのパガニーニ」の異名をとったジョヴァンニ・ボッテジーニ(1821-1889)。ストテインは常々ヴィヴァルディとボッテジーニが同時代に生まれていれば、技巧的で魅力的なコントラバス協奏曲を沢山書いていただろうと確信しており、このアルバムのコンセプトが生まれた。共演はカメラータRCOとブラム・ファン・サムベークらオランダの名手が揃った。ストテインの演奏は何といってもその美しさが魅力。これまでもコントラバス=通奏低音というイメージを一新してきた彼でしかできない唯一無二の世界が広がる。アンサンブルに長けた名人たちの演奏でお楽しみ頂きたい。
BISSA-2511
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(HYBRID_SACD)
来たれ〜クリスマスの歌 II
 ジョン・フランシス・ウェイド(1711-1786)/デイヴィッド・ウィルコックス(1919-2015)編曲、
  グレーテ・ペーデシェン(1960-)、イェルムン・ラーシェン(1981-)追加編曲:神の御子は今宵しも
 トマス・ベック(1899-1963)/イェルムン・ラーシェン・トリオ編曲:聖なるクリスマスイブ
 チャールズ・アイヴズ(1874-1954):クリスマス・キャロル
 アルネ・ムデーン(1936-2015)/イェルムン・ラーシェン(1981-)編曲:教会の旋律
 伝承曲/アンドレーアス・ユートネム(1973-)編曲:クリスマスの酒を作ろう
 ブルガリア、ノルウェー、バスク伝承の子守歌/デイヴィッド・ウィルコックス(1919-2015)編曲、
  グレーテ・ペーデシェン(1960-)追加:幼子イエス/ねんねんダミヤンチョ
 伝承曲/スチャン・カーシュテンセン(1971-)、イェルムン・ラーシェン(1981-)、
  ソンドレ・マイスフィヨルド(1975-)編曲:ディンドン、空高く
 伝承曲/グンナル・エーリクソン(1936-)編曲:見失った羊
 ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750):モテット「イエスよ、来たれ」 BWV.229
 伝承曲(セテスダール民謡)/ヨハン・クヴァンダール(1919-1999)の編曲に基づき、ヨン・ロルマルク(1967-)、
  グレーテ・ペーデシェン(1960-)編曲:おお、ここではたくさんのものが
 ウィリアム・ジェイムズ・カークパトリック(1838-1921)/アンデシュ・オールヴァル(1932-2012)、
  デイヴィッド・ウィルコックス(1919-2015)編曲:まぶねの中で
 伝承曲/グンナル・エーリクソン(1936-)、トロン・クヴェルノ(1945-)編曲:見よ、太陽の美しい光と輝きを
 マルコ・アンブロジーニ(1964-)、ソンドレ・マイスフィヨルド(1975-):即興「カリヨン」
 ジョン・ゴス(1800-1880)/デイヴィッド・ウィルコックス(1919-2015)編曲:ごらん、静かな冬の夕べに
 伝承曲(セテスダール民謡):クリスマスの歌 / 伝承曲/テリエ・クヴァム(1944-)編曲:この世はうるわし
 イェルムン・ラーシェン(1981-):歩き歌

 グレーテ・ペーデシェン指揮ノルウェー・ソリストcho.
 イェルムン・ラーシェン(Vn) マルコ・アンブロジーニ(ニッケルハルパ)
 ソンドレ・マイスフィヨルド(ベース) アンドレーアス・ユートネム、クヌート・ヨハンネセン(ハルモニウム)
 スチャン・カーシュテンセン(アコーディオン) ケート・ハーン(Vc)
 ヨアキム・ペーテション(ヴィオローネ) クリスティアン・ショス(Org) インゲボルグ・ダールハイム、
 ハンネ・マーリト・モルダール(S) マーリ・アスクヴィーク(A) デイヴィッド・マッキューン(B)
 録音:2021年12月、ロヴィーセンベルグ教会、オスロ、ノルウェー。ノルウェー・ソリスト合唱団とグレーテ・ペーデシェンは、初めてのクリスマス・アルバム「バラ(Ros)」(BISSA-2029)を2013年にリリースした後、毎年クリスマス・コンサートを開催してきた。ノルウェーの人たちと子供たちからもっとも愛されている音楽家のひとり、イェルムン・ラーシェンもアルバムにつづいて参加するコンサートは、聴衆が心待ちにする、寒い季節の暖かい時間として定着したと言われる。「12月は期待の時。私たちは待ち、望む」。ノルウェー・ソリスト合唱団のクリスマス・アルバム第2作「来たれ(Veni)」も「芸術音楽とトラッド・ミュージックがひとつになって」という同じコンセプトで作られた。「トラッド」からは、イェルムン・ラーシェンの他、キーフィドルのヒッケルハルパを弾くマルコ・アンブロジーニとベーシストのソンドレ・マイスフィヨルドが参加。「神の御子は今宵しも」「まぶねの中で」「この世はうるわし」といった広く親しまれたキャロルにノルウェーの民謡、アイヴズの「クリスマス・キャロル」、ニッケルハルパとベースによる「即興」などを交えた、ユニークな編曲も加えたプログラムを、変化をつけた編成で演奏している。
BISSA-2514
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(4 HYBRID_SACD)
3枚価格
シューベルト:交響曲全集
 交響曲〔第1番 ニ長調 D.82 (1813) /第2番 変ロ長調 D.125 (1814-15) /
     第3番 ニ長調 D.200 (1815) /第4番 ハ短調「悲劇的」 D.417 (1816) /
     第5番 変ロ長調 D.485 (1816) /第6番 ハ長調「小ハ長調」 D.589 (1817-18) /
     第8番 ロ短調「未完成」 D.759 (1822) /第9番 ハ長調「グレイト」 D.944 (1825-26) 〕/
 歌劇「アドラスト」D.137 (1819-20) (未完) 〜葬送行進曲/「ロザムンデ」序曲 D.644 (1820) /
 劇付随音楽「ロザムンデ」 D.797 (1823) より〔間奏曲第1番 ロ短調/間奏曲第3番 変ロ長調/間奏曲第2番 ニ長調/
                       バレエ音楽第2番 ト長調/バレエ音楽第1番 ロ短調 + ト長調〕

 トーマス・ダウスゴー指揮スウェーデン室内o.
 録音:2006年10月、2007年12月、2009年5月、2010年1月、2011年8月、2012年2月、2013年6月、すべてエレブルー・コンサートホール、スウェーデン|既出・初出: BISSA-1656, BISSA-1786, BISSA-1987, BISSA-1989 のセット化|クラムシェル・ボックス仕様。『ベーレンライター社から出版している「新シューベルト全集 [Neue Schubert-Ausgabe] 」の原典版に基づいて演奏しています。「新シューベルト全集」では「未完成」が第7番、「グレイト」が8番となっていますが、当アルバムでは従来の番号を踏襲しています。』ダウスゴーとスウェーデン室内o. によるシューベルト交響曲全集が遂にセットになって登場する。現代的感覚満点の鮮烈オーケストレーションが評価されるきっかけとなったシューベルト録音。なかでも交響曲第5番 変ロ長調 D.485(BISSA-1786)と交響曲第8番 ロ短調「未完成」 D.759(BISSA-1656)の両曲は、レコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で同曲のベスト・ワン・ディスクに選ばれており、数多の名盤が揃う同曲の筆頭として注目されている。シューベルトの交響曲は亡くなってから数週間後の1828年11月19日に開かれた追悼演奏会で披露されるなど、シューベルトの死後に日の目を見た。「グレイト」は1838年、「未完成」は1865年にそれぞれ初演されている。交響曲第1番から第6番は1813年から1818年にかけての作品。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンといった諸先輩作曲家からの影響を受けながらも歌曲作曲家としての面目をはっきりと示し全体的に明るさと朗らかさが漂う第3番、「悲劇的」の副題で知られる名曲第4番、ロココ的で小市民的な生活感情を象徴しているとも言われる第5番など、シューベルトの独創性がいたるところにあらわれているのが魅力。室内オーケストラ編成によるダウスゴーの解釈はまさに唯一無二。すがすがしく透き通るような音に込められたシューベルトの世界が広がる。同コンビの録音は名盤揃い。ブラームスの交響曲全集(BISSA-2556)、メンデルスゾーンの交響曲第1番&第3番「スコットランド」(BISSA-2469)、ブランデンブルク協奏曲と6人の作曲家による新作委嘱を交えた「ザ・ブランデンブルク・プロジェクト」(BISSA-2199)はいずれもレコード芸術誌「特選盤」となっている。
BISSA-2516
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(HYBRID_SACD)
クラス・トシュテンソン(1951-):シンフォニエッタのための「ランタン・レクチャー」(1999-2002)
 〔ブラス・リンク I - IV /ランタン・レクチャー I - IV 〕

 クリスティアン・カールセン指揮ノルボッテン NEO
  [サラ・ハンマシュトレム(Fl) クリストファー・バウマン(Ob/コールアングレ)
   ローベット・エーク(Cl) ソウム・ハウイー(バスCl) ベルトルト・グローセ(Fg)
   ソーレン・ヘルマンソン(Hr) マシュー・サドラー(Tp)  ミーケル・ルドルフソン(Tb)
   ダニエル・ザウアー(Perc) モッテン・ランドストレム(P)
   ブルスク・ザンガネ(Vn1) カルロッタ・グラーン・ヴェッテル(Vn2)
   キム・ヘルグレーン(Va) エレメール・ラヴォタ(Vc) シモン・マルチニアク(Cb)]
 録音:2018年12月3日-6日、スタジオ・アクースティクム、ピーテオー、スウェーデン。クラス・トシュテンソン Klas Torstensson (1951-)は、スウェーデン南東部のネッシェーに生まれ、1970年代の初めにユトレヒト大学内の電子音楽スタジオ、ソノロジー研究所で学んだ。オランダのハーレムを拠点に活動。オランダのマッテイス・フェルミューレン賞と王立スウェーデン音楽アカデミーの賞を受けた「Stick on Stick」をはじめとする管弦楽曲、室内アンサンブル曲、声楽曲と、幅広く手がけている。彼の音楽は、スタイル的にヴァレーズ、クセナキス、ストラヴィンスキーを思わせ、粗い花崗岩や海、凍ったバルト海の入江の氷、北極の氷帽、北極光など、彼が経験した「自然」からインスピレーションを得た楽想と表現に独自性がみられると言われる。サミュエル・アウグスト・アンドレーの悲劇的結末に終わった北極への気球旅行を題材にした歌劇「The Expedition(探検)」は、そうした特徴が顕著に現れ、トシュテンソンの代表作のひとつに挙げられている。「Lantern Lectures(ランタン・レクチャー)」は、「The Expedition(探検)」の作曲を終えた後、小編成の「もっと軽い」音楽を書きたいという思いから作られた作品。「幻灯機とスライドを使った講義」に見立てた「岩盤I」「岩盤II」「北極光」「ポットホール(甌穴)」のタイトルをもつ4つの「レクチャー」と、それを繋ぐ、トランペットとホルンとトロンボーンによる3つの「ブラス・リンク」で全曲が構成されている。それぞれの「レクチャー」は、2001年から2003年にかけてモントリオール、シュトゥットガルト、ストックホルム、ウィーンで初演され、2003年2月26日、アムステルダムでスサンナ・マルッキがアスコ・アンサンブルを指揮して、初めて全曲演奏された。ノルボッテンNEO(Norrbotten NEO)は、2007年、現代の室内楽作品をプロモートする目的で設立された。フルート、クラリネット、打楽器、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロは、ピーテオー室内オペラでも演奏するノルボッテン室内o. の首席奏者が固定メンバー。作品の楽器編成に合わせ、各国の首席クラスのプレイヤーが招かれる。アンデシュ・エリーアソンの室内楽作品(BISSA-2270)の他、クリスティアン・カールセンChristian Karlsen (1985-)が指揮した、スウェーデン・グラミー賞を受けた「アランフェス協奏曲」(BISSA-2485)の3つの作品を演奏していた。
BISSA-2523
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(HYBRID_SACD)
フランスのトランペット協奏曲集
 トマジ:トランペット協奏曲(1944)(フランク・ヴィラール復元によるオリジナル版)[世界初録音]
 ジョリヴェ:トランペット、弦楽とピアノのコンチェルティーノ(1948)
 シュミット:ランペットと管弦楽のための組曲 Op.133 (1955)
 ジョラス:11の歌(1977)[カデンツァ:ホーカン・ハーデンベルガー]
 ジョリヴェ:トランペット協奏曲第2番(1954)

 ホーカン・ハーデンベルガー(Tp) ファビアン・ガベル指揮ロイヤル・ストックホルムpo.
 録音:2021年8月23日-27日、ストックホルム・コンサートホール、スウェーデン。スウェーデンのトランペット奏者、ホーカン・ハーデンベルガーがフランスの20世紀のトランペット協奏曲集をリリース!1944年作曲のトマジのトランペット協奏曲はオリジナル版の復元で演奏された。これはピアノ・リダクションとしてのみ残されていた欠落部分のオーケストレーションを含む復元で、ハーデンベルガー、ガベルそしてトマジの作品を研究するフランク・ヴィラールが共同で完成した。ハーデンベルガーの卓越した演奏で聴く世界初録音。1977年に作曲、初演されたベッツィ・ジョラス(1926-)の「11の歌」は当アルバムでは一番新しい作品。タイトルはジョラスの作風の基本にある“音楽の声楽的な性質 "を想起させる。トランペットによって“歌われる "この作品は、室内オーケストラがまるで万華鏡のごとく変化し、ジャズやポピュラーあるいは感傷的な音楽を思い起こさせる。当作品の初演者で献呈されたピエール・ティボーはハーデンベルガーの師であり、指揮者ファビアン・ガベルはトランペット奏者でもあることから並々ならぬ思いで演奏している。
BISSA-2524
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(HYBRID_SACD)
ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス(1772-1847):ピアノ協奏曲全集 Vol.2
 〔ヘ長調 Op.32 /変ホ長調 Op.55 〕

 ロナルド・ブラウティハム(Fp)
 マイケル・アレクサンダー・ウィレンス指揮ケルン・アカデミー
 録音:2021年8月、インマヌエル教会、ヴッパータール、ドイツ。 ベートーヴェンと同時代を生きた作曲家ヨハン・ヴィルヘルム・ヴィルムス(1772-1847)が2022年に生誕250年、歿後175年を迎えた。ライン川中流部右岸のベルギッシェスラント地方の小さな村に生まれ父や兄からピアノと作曲の手ほどきを受け、フルートを独学で学んだヴィルムスは19歳のときにアムステルダムに渡り、フルート奏者、ピアニスト、オルガニストそして興行師としても活躍。その後、アムステルダムの裕福な美術収集家の娘と結婚し、彼も大きな恩恵を受ける。当時彼の作品はアムステルダムをはじめライプツィヒなどでも頻繁に演奏されていた。ヴィルムスはオランダ国歌も作ったことでも知られるが、交響曲、室内楽曲、協奏曲を中心に、のどかで心地よい作品を残している。生誕250周年を記念してロナルド・ブラウティハムとマイケル・アレクサンダー・ウィレンス率いるケルン・アカデミーが“オランダのベートーヴェン:"ヴィルムスの現存する5つのピアノ協奏曲を録音。当アルバムはその第2集で2篇を収録している。当演奏では現存する楽譜からウィレンスの助言をとともにブラウティハムが再構築しており、軽やかで優美な旋律を充分にご堪能頂ける。第1集(BISSA-2504)と併せてお楽しみ頂きたい。
BISSA-2526
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(HYBRID_SACD)
コルネットと鍵盤楽器のための音楽
 ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ第3番
 ジローラモ・フレスコバルディ(1583-1643):カンツォーナ第3番「ラ・ルッケジーナ〔ルッカの女〕」
 アンニーバレ・パドヴァーノ(1527-1575):第6旋法によるトッカータ
 ダリオ・カステッロ(?-1658頃):ソナタ第1番
 アンドレア・ガブリエーリ(1532/33頃-1585):「キ・ラ・ディーラ」によるフランス風カンツォン
 ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(1580頃-1651):シンフォニア第13番
 アンドレア・ファルコニエーリ(1585頃-1656):ラ・モナルカ(君主)
 リッカルド・ロニョーニ(1550頃-1620以前):陽気な羊飼い
 アンジェロ・ノターリ(1566-1663):ああ、いつもの情熱が燃えあがってくる / 作曲者不詳:旅立ちの歌
 ジローラモ・ダッラ・カーサ(?-1601):ある日シュザンヌが
 ジョヴァンニ・サルヴァトーレ(1611-1688):第9旋法によるトッカータ第2番
 ジョヴァンニ・マルティーノ・チェーザレ(1590頃-1667):ラ・フォッカリーナ
 フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ(1580以降-1626以降):恋人よ、あなたは美しい
 ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ第2番
 ビアージョ・マリーニ(1594-1663):オルガンとヴァイオリンまたはコルネットのためのソナタ

 セイチェント・ストラヴァガンテ
  [ダーヴィド・ブルッティ(コルネット) ニコラ・ラモン(Org/Cemb)]
 録音:2019年11月14日-17日、パッロキアーレ・ディ・モンテ・サン・ジョヴァンニ教会、ボローニャ/2020年6月24日-25日、サン・マルティーノ・ヴェスコヴォ教会、ヴェーシャ、ペルージャ/2020年8月26日-27日、サン・バルトロメオ教会、カプリーレ、ベッルーノ、すべてイタリア|使用楽器: Cornetto: Straight Cornetto by Andrea Inghisciano 2019 / Curved Cornetto by Paulo Fanciullacci 2018 / Mute Cor-netto by Andrea Inghisciano / Organ: Anonymous Organ built in Venice around 1660 / Regal: Nicola Ferroni 2017 / Harpsichord: Romain Legros after Giovanni Battista Giusti, 1681 。ルネサンスの時代には声楽曲を楽器で演奏することがよく行われたと言われている。「言葉がないと、甘美な音楽に流れる感情はどう表現されるだろう」。このアルバムは、そうした「素晴らしくバロック的な思いつき」から作られた。フォンタナの2つの「ソナタ」、パドヴァーノとサルヴァトーレの「トッカータ」、カプスベルガーの「シンフォニア」などの間に、ヴェネツィアのオルガニスト、エイドリアン・ガブリエーリが、アドリアン・ウィラールトのシャンソン「Quila dira la peine de mon coeur(わが心の痛みを誰が語れよう)」を編曲した「「キ・ラ・ディーラ」によるフランス風カンツォン」といった曲をはさむプログラム。「セイチェント・ストラヴァガンテSeicento Stravagante」(贅沢な17世紀)は、コルネット奏者のダーヴィド・ブルッティと鍵盤楽器奏者のニコラ・ラモンがルネサンスと初期バロックの音楽を演奏するために結成したデュオ。2018年6月のラヴェンナ音楽祭期間中にサン・ヴィターレ聖堂で3回のコンサートを行ってデビューし、高い評価を獲得した。ブルッティはこのアルバムで、ストレート・コルネット、カーブド・コルネット、ミュート・コルネットの3種の楽器を使い分けている。
BISSA-2535
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(HYBRID_SACD)
モーツァルト、シューマン、ブルッフ、ストラヴィンスキー:クラリネット三重奏曲集
 モーツァルト:三重奏曲 変ホ長調 K.498 「ケーゲルシュタット」
 シューマン:おとぎ話 Op.132 / ブルッフ:8つの小品 Op.83
 ストラヴィンスキー/作曲家編曲:組曲「兵士の物語」(*)(クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための三重奏版)

 ウィグモア・ソロイスツ[マイケル・コリンズ(Cl)
  イザベル・ファン・クーレン(Va;*以外/Vn;*) マイケル・マクヘイル(P)]
 録音:2020年8月24日-26日、ウィグモア・ホール、ロンドン、 UK 。2020年に結成された「ウィグモア・ソロイスツ」はイザベル・ファン・クーレンとマイケル・コリンズが中心となりウィグモア・ホールのディレクターであるジョン・ギルホリーとのコラボレーションによって生まれた可変室内アンサンブル。シューベルトの八重奏曲(BISSA-2597)のデビュー盤に次ぐ第2弾はコリンズ、ファン・クーレン、マイケル・マクヘイル演奏によるクラリネット三重奏曲の主要作品集。モーツァルトの「ケーゲルシュタット三重奏曲」は、ボウリングの原型ケーゲルンをしているときに作曲されたと言われる作品。クラリネットはもちろんのことヴィオラ、ピアノにも魅力的な旋律があらわれる名作。気さくで遊び心にあふれた雰囲気をもつシューマンの「おとぎ話」。気ままで快活な作品ながらシューマン晩年の1854年の作品。ブルッフ晩年の郷愁に溢れた「8つの小品」。ヴァイオリン協奏曲第1番があまりにも有名なブルッフだが、この上なく美しい旋律は「8つの小品」にも随所にあらわれる。ストラヴィンスキーの「兵士の物語」は第一次世界大戦で多くのアーティストたちが困窮していた中、少人数で演奏可能、かつ巡業しやすいことを念頭に置いて書かれた作品。しかし当時流行したスペイン風邪に、ストラヴィンスキー自身や関係者たちが次々と倒れ、巡業の計画は実現しなかったという、現代のコロナ禍とも奇しくも重なって見える背景をもつ。当録音では作曲家編曲によるクラリネット、ヴァイオリン、ピアノ三重奏版で演奏。タンゴやジャズなどさまざまな要素を取り入れた、ストラヴィンスキーの個性あふれる作品。現代最高峰の名手による新たな名盤登場。
BISSA-2540
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(HYBRID_SACD)
レスピーギ
 組曲「鳥」/リュートのための古風な舞曲とアリア〔第1組曲/第2組曲/第3組曲〕
  ジョン・ネシリング指揮リエージュ王立po.〔リエージュpo.〕
 録音:2021年7月5日-9日、フィルハーモニーホール、リエージュ、ベルギー。好評のジョン・ネシリング指揮によるレスピーギの管弦楽作品集。当アルバムには組曲「鳥」と「リュートのための古い舞曲とアリア」を収録している。組曲「鳥」はパスクィーニ、ラモーなどのクラヴサン曲より編曲した管弦楽作品。「ナイチンゲール」「かっこう」など鳥のさえずりの表現した5曲からなるこの作品は聴き手を色彩豊かな音風景へと誘う。「リュートのための古い舞曲とアリア」組曲は16世紀後半から17世紀初頭のイタリアとフランスの作曲家によるリュートまたはギターのための作品からの編曲だが、こちらも新鮮な響きで彩った組曲。繊細で洗練された音色が特徴のこの作品はイタリアのオーケストレーションの巨匠レスピーギが贈る名作。1947年サンパウロ生まれの指揮者ブラジルのジョン・ネシリングは、ボダンツキーやシェーンベルクの血を引くという逸材で、バーンスタインやスワロフスキーの薫陶を受けている。自身の持ち味である情熱的かつ抜群のリズム感で、色彩豊かにレスピーギを振っている。
BISSA-2550
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(HYBRID_SACD)
日の目を見た作品集〜ショスタコーヴィチ
 交響曲第14番 Op.135「死者の歌」(作曲者編曲|ソプラノ、バス、ピアノと打楽器版)/
 未完のヴァイオリン・ソナタ(1945) /革命の犠牲者追悼の葬送行進曲(1917?)(ピアノ曲)/
 郷愁(1918?)(ピアノ曲)/森の歌(1919)(ピアノ曲) /バガテル(1919)(ピアノ曲)
マーラー/ショスタコーヴィチ編曲:交響曲第10番断片(ピアノ・デュオ版)(#)
 ニコラ・スタヴィ(P/チェレスタ) エカテリーナ・バカノワ(S)
 アレクサンドロス・スタヴラカキス(B) フロラン・ジョデレ(Perc)
 パク・スーイエ(Vn) セドリック・ティベルギアン(P;#)
 録音:2021年12月7日-10日、ゼンデザール、ブレーメン放送|含・世界初録音。ショスタコーヴィチ・ファン狂喜のアルバムが登場する。すべて稀少作品のうえ、収録時間76分のうち63分が世界初録音なのも驚き。世界初録音2点のひとつ目は交響曲第14番「死者の歌」のショスタコーヴィチ自身によるピアノと打楽器用編曲。声楽と打楽器はそのまま、弦楽オーケストラのパートをピアノに書き換えている。弦とは全く異なる音響が衝撃で、原作以上に尖った暴力性が聴き物。単なる歌手の勉強用や作曲家同盟のプレゼン用ではないのは打楽器が加わっていることからも伺え、独特な刺激と色彩を添える。ここではフランス国立o. の名打楽器奏者フロラン・ジョデレがひとりで健闘、第3楽章と4楽章の重要なチェレスタ・パートはピアノのスタヴィが原作通り奏し、効果をあげている。もうひとつはマーラーの交響曲第10番第1楽章のピアノ4手編曲。1920年代、彼の親友の音楽学者ソレルチンスキーがレニングラードに協会を設立するほどマーラーに関心が高まっていた。ショスタコーヴィチも衝撃を受け、以後強い感化をうけることとなった。編曲は1920年代後半と思われるが、全曲ではなく最初の3分の1まで約8分の未完作品。仕事というよりは個人的な研究目的と協会員に聴かせるためで、最近ようやく日の目を見た。マーラーとショスタコーヴィチをつなぐ絆なうえ、セコンドをティベルギアンが受け持っているのも豪華。フィルアップは、ショスタコーヴィチが正式に作曲を学び始めた少年時代に試作した4つのピアノ曲。ショパンやラフマニノフを思わす作風のなか、ピアニスティックな技法やグロテスクさも垣間見せ興味津々。さらに1945年に取り組みながら中止したヴァイオリン・ソナタの断章も貴重。ユン・イサンのヴァイオリン協奏曲第3番ディスクで好演した韓国出身の若手パク・スーイエの熱演を楽しめる。ニコラ・スタヴィは1975年生まれのフランスのピアニスト。ドミニク・メルレ門下で2000年の第14回ショパン国際コンクール入賞の実力派。ソプラノのバカノワは1984年生まれ。2013年のフェニーチェ劇場の来日公演で注目された。ギリシャのバス、スタヴラカキスは2019年第16回チャイコフスキー国際コンクール声楽部門優勝の注目の若手。両者とも新鮮な歌唱ぶりを堪能させる。
BISSA-2553
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(HYBRID_SACD)
フーゴ・ヴォルフ(1860-1903):
 イタリア歌曲集 全曲〔第1巻/第2巻〕(全46曲)
キャロリン・サンプソン(S)
アラン・クレイトン(T)
ジョセフ・ミドルトン(P)
 録音:2020年9月21日-23日、2021年7月6日-8日、ポットン・ホール、サフォーク。ヴォルフの「イタリア歌曲集」を名歌手キャロリン・サンプソンとアラン・クレイトンが録音した。パウル・ハイゼのドイツ語訳詩にイタリア民謡になぞらえて編曲した全2巻46曲からなる「イタリア歌曲集」。この曲集はトスカーナの風景を背景に恋する男女の嫉妬、浮気、喜び、絶望などを描いた短編の愛の詩で構成されている。ハイゼの翻訳はしばしば原詩のシンプルなイタリア語を強調しており、ヴォルフは詩のもつ力と感情をさらに高めるように魅力的な旋律にのせた。幅広いレパートリーを誇りBCJの客演でもおなじみのキャロリン・サンプソンとアラン・クレイトンが男女の愛や恋の起伏に富んだ感情を生々しく表現しております。圧倒的な歌唱力と表現力を持ち合わせた二人による新録音。ご期待頂きたい。
BISSA-2559
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(HYBRID_SACD)
イェスペル・ヌーディン(1971-):
 クラリネット、管弦楽とライヴ・エレクトロニクスのための「潮流と波浪の間から出現する」(2018)
  マルティン・フレスト(Cl/ジェストルメント) マグヌス・ホルマンデル(Clソロ)
  エサ=ペッカ・サロネン(ジェストルメント)指揮スウェーデン放送so.
 録音:2018年8月31日、ベールヴァルドホール、ストックホルム、スウェーデン、ライヴ。コンピューター・ミュージック・デザイン:セバスティアン・リヴァス スウェーデンの音楽シーンでは、ロック、即興音楽、民俗音楽といったジャンルを背景にもち、情感に強く訴えかける音楽を作る「バーバンクの変わり者」(BISSA-2483)のアルベット・シュネルツェルに代表される1970年代生まれの作曲家たちが注目を集めている。イェスペル・ヌーディンもそのひとり。スウェーデン放送so. が初演した「RosteR; trilogy for orchestra(声:管弦楽のための三部作)」(2015)のような北欧のアンサンブルのための作品のほか、ストラスブールの「フェスティヴァル・ムジカ」で初演された「Visual exfor-mation」(2016)など、海外の音楽祭やオーケストラの委嘱作も手がけている。2010年には「独創性と不屈の好奇心をもち、アコースティック空間を探求し拡大する音の魔術師」として王立スウェーデン音楽アカデミーの賞も受けた。ヌーディンの「Emerging from Currents and Wave(潮流と波浪の間から出現する)」は鬼才クラリネット奏者のマルティン・フレスト(マッティン・フロースト)、指揮者エサ=ペッカ・サロネンのコラボレーションから生まれた作品。「ソーシャル・メディア、バーチャル・リアリティ、AIの出現は、われわれの文化にかぎらず社会の全体に変化をもたらしている……そうした変化の真っただ中にいるわれわれは、どんなやり方をすれば、芸術と芸術表現とその実践に新しいテクノロジーの力を利用することができるのか……」とヌーディンは語っている。大編成の管弦楽、ソロ・クラリネット、指揮者とライヴ・エレクトロニクスのために書かれた本作は、コンサートではリアルタイムのヴィジュアル効果も用いられた。エサ=ペッカ・サロネンに献呈された「Currents(潮流)」と「Waves(波浪)」の間にフレストに献呈された「Emerging(出現する)」をはさむ3つの部分による構成。「クラリネット協奏曲」の「Emerging(出現する)」では、作曲者のデザインした対話式(インタラクティブ)音楽ツール「Gestrument(ジェストルメント)」(「gesture instrument(ジェスチュア・インストルメント)」)をクラリネット奏者と指揮者が「演奏」するようスコアに指定されている。2018年8月31日にストックホルムのベールヴァルドホールで行われた初演にはIRCAMのサウンド・マネージャーとしてカイヤ・サーリアホたちのコンサートに協力したマルタン・アンティフォンと作曲家のセバスティアン・リヴァスの技術チームが参加。「無限の可能性をもつように見えるテクノロジーが、伝統への架け橋としても使えるのか」という問いへの答えが探られた。
BISSA-2554
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ニコス・スカルコッタス(1904-1949):
 ヴァイオリン協奏曲 A/K 22 (1937/38) /
 ヴァイオリン、ヴィオラと管楽オーケストラのための協奏曲 A/K 25(?1939-40) (*)
 ジョージ・ザカリアス(Vn|使用楽器: 'GeorginaJoshi' by Sanctus Seraphin, 1719
 アレクサンドロス・コウスタス(Va;*|使用楽器: Bohemian School, early 1900s
 マーティン・ブラビンズ指揮 LPO
 録音:2022年4月19日-20日、2020年1月5日-6日(*)、ヘンリー・ウッド・ホール、ロンドン、イングランド、 UK 。シェーンベルクに学んだ「エリート」弟子のひとり、ギリシャの作曲家ニコス・スカルコッタスのシリーズ。「ヴァイオリン協奏曲」は、「シェーンベルクの限界」にとらわれまいとする大胆なアイデアも導入されたとされる作品。シリーズ第1作として制作されたゲオルギオス・デメルツィスの演奏 (BIS-904)に次ぐ録音。エヴァ・マンツォーラニによる新校訂版を使った演奏。「ヴァイオリン、ヴィオラとウィンド管弦楽のための協奏曲」は、スカルコッタスがアテネ国立o. でヴァイオリンを弾いていた時の同僚、ヴィオラのジョン・パパドプロスのために書いたのではないかと推測される作品。「アレグロ」「アンダンティーノ」「アレグロ・ヴィーヴォ」。クラシカル音楽で初めてソプラノ、アルト、テナーというサクソフォン属の楽器を揃って使った作品のひとつ。世界初録音。ジョージ・ザカリアスが編纂した校訂版による演奏。ヴァイオリンのジョージ・ザカリアスは、アテネ生まれ。アテネ音楽院で学び、1997年の卒業後、ロンドンの王立音楽アカデミーでヨッシ・ツィヴォーニの下で学びました。「ヴァイオリニスト、作曲家スカルコッタス」をテーマとする論文で王立音楽アカデミーの博士号を取得。イギリスを本拠に活動している。ヴィオラのアレクサンドロス・コウスタスもギリシャ生まれ。イギリス・ナショナル・バレエ・フィルハーモニックの首席ヴィオラ奏者を務め、アカデミー室内o. でも団員として演奏している。
BISSA-2555
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テレマン:リコーダー・ソナタ集
 〔ハ長調 TWV.41: C5 /ヘ長調 TWV.41: F2 /イ短調 TWV.41: a4 /ニ短調 TWV.41: d4 /
  ヘ短調 TWV.41: f2 /ヘ短調 TWV.41: f1 /ハ長調 TWV.41: C2 〕/ソナチネ ハ短調 TWV.41: c2

 ダン・ラウリン(リコーダー) アンナ・パラディソ(Cemb) マッツ・オロフソン(Vc)
 録音:2021年4月19日-21日、スンドビュベリ、スウェーデン|使用楽器: Alto recorders by Philippe Lache, Fred Morgan and Francesco Livirghi Harpsichord by Francois Paul Ciocca (2008) after Nicolas & Francois Blanchet (1730) Cello by Johan Oberg the elder, Stockholm c.1765 。リコーダー界の鬼才ダン・ラウリン。BISレーベルからリコーダーのありとあらゆるレパートリーを精力的にリリースしているが、当アルバムでは後期バロックのドイツの大作曲家テレマンのリコーダー・ソナタを録音した。当演奏でもラウリンの天才ぶりをうかがい知ることのできる表現力豊かで自由な“歌い方 "を堪能出来る。パラディソ、オロフソンとの刺激的な演奏をお楽しみ頂きたい。
BISSA-2558
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モーツァルト:弦楽四重奏曲集「プロシャ王セット」
 〔第21番 ニ長調 K.575(プロシャ王第1番)/第22番 変ロ長調 K.589(プロシャ王第2番)/
  第23番 ヘ長調 K.590(プロシャ王第3番)〕

 キアロスクーロSQ
  [アリーナ・イブラギモワ(Vn|使用楽器: Anselmo Bellosio, c.1780 )
   パブロ・エルナン=ベネディ(Vn|使用楽器: Andrea Amati, 1570 )
   エミリー・ホーンルンド(Va|使用楽器: Willems, c.1700 )
   クレール・チリヨン(Vc|使用楽器: Carlo Tononi, 1720 )]
 録音:2020年11月23日-27日、ザ・ブリテン・スタジオ、スネイプ・モルティングス、 UK 。現代屈指のヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモワ。ソリストとしてだけでなく、自身が率いるキアロスクーロ四重奏団も現代最高の弦楽四重奏団として非常に高く評価されている。期待の当アルバムは「プロシャ王セット」の名で知られるモーツァルトの弦楽四重奏曲第21〜23番の3篇。この3篇はプロイセン(プロシャ)王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世からの依頼により作曲したとされ、メロディアスな第21番、チェロを弾いた王のためにチェロの旋律の美しさが際立つ第22番、そして物理学者でモーツァルト研究者でもあったアインシュタインが「モーツァルトのハイドンへの告別」と評した、弦楽四重奏曲最後の作品第23番と、それぞれの個性が際立つ最高傑作。一切隙のないキアロスクーロ四重奏団の演奏はこのモーツァルトでも本領発揮。シャープにして実に温かみのある演奏は彼らでしか表現することのできない唯一無二の世界が広がる。当曲集の新たな名盤登場。
BISSA-2567
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グリンゴルツSQ 〜シェーンベルク弦楽四重奏曲集 Vol.2
 〔第1番 ニ短調 Op.7 (1904-05) /第3番 Op.30 (1927) 〕
 グリンゴルツSQ
  [イリヤ・グリンゴルツ(Vn|使用楽器:アントニオ・ストラディヴァリウス ex-Prove 、クレモナ、1719年製作)
   アナヒット・クルティキャン(Vn|使用楽器:カミッロ・カミッリ、マントヴァ、1733年製作)
   シルヴィア・シモネスク(Va|使用楽器:ヤコブス・ヤヌアリウス、クレモナ、1660年製作)
   クラウディウス・ヘルマン(Vc|使用楽器:ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ、ブレシア、1600年頃製作)]
 録音:2021年3月24日-27日、 SRF スタジオ、チューリヒ。精力的な演奏・録音活動で知られるロシアの名手イリア・グリンゴルツ。ソロ活動のほか室内楽にも積極的に取り組んでおり自身のクヮルテットでも多くの録音がある。シェーンベルクの第2番と第4番を収めたアルバム(BISSA-2267)の録音から約5年、ついに第1番と第3番を録音した。十二音音楽の創始者として20世紀音楽に最も大きな影響を残した作曲家の一人、シェーンベルク。1908年頃より無調を試みたが第1番は1905年の作品。調性に基づいた作品だが、その対位法的な技巧と単一楽章形式の試みなど、注目すべき点の多い初期作品。単一楽章といっても当演奏では46分ほどの大曲。緊張感をもったこの作品だが当団は集中を切らすことのない演奏を展開している。第1番作曲から四半世紀弱。第3番は1927年の作品。十二音の技巧によって作られた4楽章構成のこの作品だが、第1番同様主要主題の音形によって静かに終る。当団の引き締まった演奏はシェーンベルクの作品にマッチしている。
BISSA-2568
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エコー〜時代を越える歌
 J.S.バッハ(1685-1750):パルティータ第4番 ニ長調 BWV.828 〜サラバンド/
               フランス組曲第3番 ロ短調 BWV.814 〜サラバンド/
               パルティータ第6番 ホ短調 BWV.830 〜コレンテ
 J.S.バッハ/ベンジャミン・ブリテン編曲:5つの宗教的歌曲 より
  〔第1曲 思え、わが心よ/第4曲 甘き死よ来たれ/第3曲 いと尊きイエスよ〕
 ヒュー・ワトキンズ(1976-):ソプラノとピアノのための「エコー」(2017)
 ヘンリー・パーセル(1659頃-1695)/トーマス・アデス編曲:美しい柔和さが(2017)
 ヘンリー・パーセル/マイケル・ティペット、ウィルター・バーグマン編曲:しばし楽の音に〔つかの間の音楽〕(1949)
 伝承曲/ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)編曲:
  彷徨いながら不思議に思う(1941頃) /民謡の編曲第4巻(1957) 〜なんと優しいエコーの答え
 伝承曲/ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)、コリン・マシューズ編曲:
  8つの民謡の編曲(1976) 〜ホワイト・ロックのデイヴィッド(ピアノ版)
 デボラ・プリチャード(1977-):世界(2021) / シェリル・フランシス=ホード(1980-):嘆き(2012)
 エロリン・ウォーレン(1958-):地に平和を(2006)

 ルビー・ヒューズ(S) ヒュー・ワトキンズ(P)
 録音:2021年4月28日-5月1日、ポットン・ホール、ウェスルトン、サフォーク、 UK 。イギリスのソプラノ歌手、2011年から2013年の BBC New Generation Artistsに選ばれたひとり、ルビー・ヒューズ Ruby Hughes は、2014年の「ヴェネツィアのクリスマス」(BISSA-2089)、ヴァンスカとミネソタso. のマーラーの「復活」(BISSA-2296)、ユナイテッド・ストリングズ・オブ・ヨーロッパの「リニューアル」(BISSA-2549)の録音に参加、「愛と喪失のヒロインたち」(BISSA-2248)に始まる3枚のリサイタル・アルバムをリリースしてきた。作曲家でピアニストのヒュー・ワトキンズHuw Watlkins (1976-)と共演した新作の「エコー(Echo)」は、「時代を越える歌(songs across theages)」の副題をもち、それぞれの音楽で語り、たがいに愛情をこめて「響きあう」17世紀から現代の作曲家たちの作品によるプログラムのアルバム。「時を越える感情の結びつきを示唆する」バッハのソロ・キーボードのための「サラバンド」と「コレンテ」、ベンジャミン・ブリテンがバッハの曲を「現代の音楽」に作った「5つの宗教的歌曲」と、イギリスの民謡の編曲。「8つの民謡の編曲」の「ホワイト・ロックのデイヴィッド」は、ウェールズ生まれのヒューズとワトキンズに敬意を払って選ばれ、コリン・マシューズが作ったピアノ共演版で演奏される。パーセルの「美しい柔和さが」と「しばし楽の音に」は、トーマス・アデス、マイケル・ティペットとウィルター・バーグマンによる版による演奏。ヒュー・ワトキンズの歌曲集「エコー」は、クリスティーナ・ロゼッティ、エミリ・ディキンソン、フィリップ・ラーキン、W ・B ・イェイツ、デイヴィッド・ハーセントの詩がテクストに使われている。メイン・プログラムにふさわしい、詩情と内省の音楽。カーネギー・ホールとウェールズのプレスティン音楽祭からルビー・ヒューズのために委嘱され、2017年10月にニューヨークで初演された。プログラム最後の3つの歌は、イギリスの作曲家による作品。デボラ・プリチャードDeborah Pritchard (1977-)が、ヘンリー・ヴォーンHenryVaughan (1621-95)の詩に作曲した、ルビー・ヒューズのための「The World(世界)」。シェリル・フランシス=ホードCheeryl Frances-Hoad (1980-)のアンドルー・モーションAndrew Motion (1952-)の詩による「Lament(嘆き)」。エロリン・ウォーレンErrollyn Wallen (1958-)が自身で詩を書いた「クリスマスキャロル」の「Peace on Earth(地に平和を)」。前作の「新しい命と愛の歌(Songs for New Life and Love)」(BISSA-2468)に「ガーディアン」紙が呈した「美しい演奏による、想像力あふれるリサイタル」の賛辞が「こだま」するアルバム。
BISSA-2569
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チャイコフスキー/アズクール編曲(*以外):
 弦楽セレナーデ Op.48 (*) /弦楽四重奏曲第1番 Op.11〜アンダンテ・カンタービレ/
 弦楽六重奏曲 Op.70「フィレンツェの思い出」/眠る前に夢見て(1963/4) (#)
 ユナイテッド・ストリングズ・オヴ・ヨーロッパ[ジュリアン・アズクール(リーダー)他]
 録音:2020年8月12日-13日(*/#)、2021年11月9日-10日(無印)、セント・サイラス教会、ケンティッシュタウン、ロンドン。レバノン系イギリス人ヴァイオリニスト、ジュリアン・アズクール率いるユナイテッド・ストリングズ・オブ・ヨーロッパ。民族を問わぬ若い奏者を集めたロンドンの団体で、BISレーベルからこれまで2枚のコンセプト・アルバムをリリースしたが、今回は単独の作曲家チャイコフスキーに捧げるアルバム。弦楽オーケストラのオリジナルは「弦楽セレナーデ」のみで、他はアズクールがこの団体のために編曲した。セレナーデを含め、いずれも第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ4、チェロ3、コントラバス1という編成で、チェロ以外は起立で演奏するという古楽アンサンブルのような様相を見せている。「フィレンツェの思い出」の急速なユニゾン的動きも恐ろしいまでの精度と緊張感で、チャイコフスキーの心の闇を垣間見せてくれる。つややかで迫力ある弦の世界をBISならではの高音質録音がとらえ、オーディオ的にも最適。最後にチャイコフスキー学生時代の最初期作「眠る前に夢見て」が収められているのも感動的。もとは聖歌風な無伴奏混声合唱曲だが、アズクールの巧みな編曲で弦楽器の音色と良くあっている。
BISSA-2571
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ラフマニノフ
 聖金口イオアン聖体礼儀 Op.31
カスパルス・プトニンシュ指揮
エストニア・
 フィルハーモニー室内cho.
 録音:2021年1月11日-15日、ニコライ教会、タリン。大ピアニストだったラフマニノフとしては珍しい、一切ピアノを用いない作品。もともとロシア正教の礼拝音楽には家元制度があり、自由な創作が許されなかった。それを打ち破ったのがチャイコフスキーで、ラフマニノフも1910年に挑戦した。ラフマニノフならではのメロディにあふれながらも、その新しい感覚ゆえ当時の教会からは使用を拒絶された。1981年創立のエストニア・フィルハーモニー室内合唱団はトリ・カリユステとの録音で知られるが、注目のラトヴィア人合唱指揮者カスパルス・プトニンシュに率いられての登場。重さのないクリアな声の響きを堪能出来る。
BISSA-2572
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ミッシー・マッツォーリ(1980-):
 ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための協奏曲「暗く明るすぎる」(2021) (*) /
 軌道を周る天体のためのシンフォニア (2013) /われらのうちにある世界(2006) /破滅したオルフェウス(2021) /
 ソロ・ヴァイオリンとエレクトロニック・サウンドトラックのための晩祷(2014) (#) /
 「暗く明るすぎる」(2021)(ソロ・ヴァイオリンと弦楽五重奏のための編曲版)(+)

  ペーテル・ヘッレスタール(Vn;*/#/+) ジェイムズ・ガフィガン指揮ベルゲンpo.(*)
  ティム・ワイス指揮アークティック・フィルハーモニック(無印)
  アークティック・フィルハーモニック団員(+)
   [オガネス・ギルニヤン(Vn1) オイヴィン・メフース(Vn2) ナターリャ・ギルニヤン(Va)
   メアリー・オナー(Vc) イングリ・マリーア・メフース(Cb)]
 録音:2021年6月4日、グリーグホール、ベルゲン、ノルウェー(*) /2022年3月、ストルメン・コンサートホール、ボードー、ノルウェー(*以外)。アメリカの作曲家ミッシー・マッツォーリMissy Mazzoliは、「黙示録的イマジネーション」(アレックス・ロス「The New Yorker」)と称賛され、インディロックの感覚とクラシカル音楽の流儀の混ざり合った精巧で神秘的なサウンド・ワールドの作品を作りつづけている。このアルバムには、アーネ・ヌールハイム、カイヤ・サーリアホ、ペア・ヌアゴーたちの音楽の「チャンピオン」として活動するノルウェーのヴァイオリニスト、ペーテル・ヘッレスタールPeter Herresthal (1970?)のための「協奏曲」を中心に彼女の管弦楽曲とソロ曲が収録されている。「Dark with Excessive Bright」(暗く明るすぎる)は、オーストラリア室内o. とロンドンのオーロラo. の委嘱で書いた「コントラバス協奏曲」をヘッレスタールの依頼で改作した作品。曲名は、ミルトンの「失楽園」からとられた。「視力を奪われた者が神の衣を語ったシュールで刺激的な言葉が、ぼんやりとした、胸の張り裂けるような弦の響きにぴったり」(マッツォーリ)。「ソロ・ヴァイオリンと弦楽五重奏のための編曲」は、ヘッレスタール、アークティック・フィルハーモニックの指揮者ティム・ワイスTim Weissとオーバリン音楽院の共同委嘱で行われた。「Vespers for Violin」(ヴァイオリンのための晩祷)は、「Vespers for a New Dark Age」(新たな暗黒の時代のための晩祷)を作り直したという作品。ソロ・ヴァイオリンと、キーボード、古オルガン、声と弦楽器の「サンプリング」を「エレクトロニクス」処理した録音が共演。2014年に初演され、2019年のグラミー賞「コンテンポラリー・クラシカル作曲部門」にノミネートされている。「Sinfonia (for Orbiting Spheres)」(シンフォニア(軌道を周る天体のための))は、「より大きな軌道の中で互いに巻きつくロココループの集合体」太陽系の形をした音楽。曲名は、楽曲の種類の「シンフォニア」と「ハーディ・ガーディ」を表す古いイタリアの用語の二重の意味を示している。ロサンゼルス・フィルハーモニックの委嘱で作曲され、その後、ボールダー・フィルハーモニックのために改訂が行われた。「These Worlds in Us」(われらのうちにある世界)の曲名は、第二次世界大戦で戦死した父に思いを巡らせたジェイムズ・テートの詩「The Lost Pilot」からとられた。「音楽は、ひとつの音やジェスチャーだけで痛みと幸せの感情を移すことができるという考えが好き」(マッツォーリ)。ベトナム戦争に従軍した、彼女の父に捧げられた作品。
BISSA-2573
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楽園〜シューベルト・リサイタル
 妹の挨拶 D.762 /ガニュメート D.544 /月に寄せて D.193 /水の上で歌う D.774 /若い尼僧 D.828 /
 春の神 D.448 /夜と夢 D.827 /星 D.939 /月に寄せて D.259 /万霊節の連祷 D.343 /ナイチンゲール D.497 /
 ミューズの子 D.764 /愛らしき星 D.861 /子守歌 D.867 /君はわが憩い D.776 /楽園 D.584 /別れ D.829

 キャロリン・サンプソン(S) ジョゼフ・ミドルトン(P)
 録音:2020年9月21日-23日、2021年7月6日-8日、ポットン・ホール、サフォーク州、 UK 。バッハ・コレギウム・ジャパンのソリストとしてもおなじみの名歌手キャロリン・サンプソン。BISレーベルから数多くのディスクをリリースしているが、当アルバムは「ズライカ」(BISSA-2343)に続く、シューベルトの第2弾となる。サンプソンは「完璧なコロラトゥーラ技術と豊かにのびる輝かしい声」と評され、世界の聴衆を魅了し続けている。バロック・古典派の歌曲からオペラまで幅広いレパートリーで積極的な演奏活動を展開しているが、なかでもシューベルトは非常に評価が高く美しい発音と歌声で魅了する。共演は名ピアニスト、ジョゼフ・ミドルトンで、サンプソンとはヴォルフの「イタリア歌曲集」(BISSA-2553)、「女性のためのアルバム〜ロベルト&クララ・シューマンのリート集」(BISSA-2473)、「「コントラスト」〜イギリス名詩による歌曲集」(BISSA-2413)、「狂気のなかの正気」(BISSA-2353)、「「私の安らぎは消え失せた」〜デュエットと独唱曲集」(BISSA-2279)、「花にまつわる歌曲集」(BISSA-2102)、「ヴェルレーヌの詩による歌曲集」(BISSA-2233)など、数多くの録音でも共演している。
BISSA-2575
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ヒューゴ・アルヴェーンの家で〜歌曲とピアノの小品
 ヒューゴ・アルヴェーン
(1872-1960):
  夕べ R.187 (1942)(声とピアノのための)/エルンスト・ティールの7つの詩 Op.28 (1908) /
  レークサンドの4つの歌(1914)(ピアノのための)/3つのオステルリングの歌 Op.22 (1905) /
  岩礁の描画 Op.17 (1901-02) /2つの抒情的な気分 Op.8 (1899) /わが心を汝(な)が御手に Op.54, R.203 (1946)

 イーリン・ロムブ(S) ペーテル・フリース・ユーハンソン(P)
 録音:2021年6月15日-18日、アルヴェーンゴーデン、ティブレ、スウェーデン|使用ピアノ: Steinway Hamburg grand model A 188, 1908頃, ebonized, originally shipped to Stockholm on 6th August 1910 。 ヒューゴ・アルヴェーンは、1945年から亡くなる年まで、「アルヴェーンゴーデンAlf-vengarden」と名づけたレークサンドの家に住んだ。ここを訪れる者は、足を踏みいれるなり、作曲家アルヴェーンがそこにいることを感じる。書斎とサロン、イタリア風の廊下……。アルヴェーンの生誕150年記念の年にリリースされるペーテル・フリース・ユーハンソンの「ヒューゴ・アルヴェーンの家で」は、彼のそうした体験から生まれたアルバム。プログラムは、「夏至祭の夜明かし」をはじめとする3つの「スウェーデン・ラプソディ」や「羊飼いの娘の踊り」「エレジー」といった管弦楽曲や「海辺の夜明け」「ふたりだけの牧場で」などの合唱曲で世界的に親しまれているアルヴェーンの作品から、初期の作品を中心にした歌曲とピアノ曲。彼の数少ないピアノのソロ曲でもっとも知られる「岩礁の描画」。ヘルマン・セーテルベリの詩に作曲した合唱曲をアルヴェーン自身が編曲した「夕べ」。第6曲「森は眠る」がアルヴェーンの「名刺代わり」の「エルンスト・ティールの7つの詩」。ユッシ・ビョルリングの愛好曲のひとつ「わが心を汝(な)が御手に」。歌曲のパートナーには、「レウヴスタ・ブリュークの音楽秘宝第3集」(BISSA-2354)のスウェーデン王国宮廷歌手、イーリン・ロムブが選ばれた。ユーハンソンは、ストックホルム王立音楽大学のアンデシュ・シールストレムとマッツ・ヴィードルンド、イタリアのコンスタンティン・ボギーノに学び、ウィグモア・ホールやアムステルダム・コンセルトヘボウなどの演奏歴をもっている。イェーナ・フェスティヴァル・アカデミーを創設、芸術監督を務めている。アルヴェーンゴーデンの書斎にあるスタインウェイ・ピアノは、1908年ごろハンブルクで作られ、黒檀加工をしてスウェーデンに送られたという楽器。
BISSA-2576
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スウェーデンのピアノ協奏曲
 ラウラ・ネーツェル(1839-1927):ピアノ協奏曲 Op.84
 スヴェン=ダーヴィド・サンドストレム(1942?2019):ピアノと管弦楽のための5つの小品(2016)
 アンドレーア・タッロディ(1981-):ピアノ協奏曲第1番「星の雲 [Stellar Clouds] 」(2015)

 ペーテル・フリース・ユーハンソン(P) ライアン・バンクロフト指揮ヨーテボリso.
 録音:2021年10月4日-7日、ヨーテボリ・コンサートホール、ヨーテボリ、スウェーデン。「偉大な作曲家の音楽と素晴らしい解釈」 (BR Klassk) と評されたアルバム「ヘレーナ・ムンクテルの音楽」(BISSA-2204)のセッションに参加したアーティストのひとり、スウェーデン放送P2のアーティスト・イン・レジデンスを務めたピアニスト、ペーテル・フリース・ユーハンソンPeterFriis Johansson (1983-)の新作。彼が近年、一層の興味をもつようになったという「わが国スウェーデン」の初録音のピアノ協奏曲を3篇、ライアン・バンクロフトRyan Bancroft 指揮のヨーテボリso. の共演で録音した。ラウラ・ネーツェルLaura Netzel (1839-1927)は、フィンランドのランタサルミで生まれ、1歳の時にストックホルムに移住した。「女性作曲家」に対する偏見をきらい、「N.ラーゴ(N / Lago)」のペンネームで作品を発表。スウェーデンでもっとも国際的に認められた作曲家のひとりとして、特にドイツとベルギーとフランスで頻繁に作品が演奏された。「ピアノ協奏曲」は、そのころに作曲された、彼女の書いたもっとも規模の大きい、ロマンティックな作品。手書きによる版がいくつか、しかも不完全な状態でしか残されていないため、過去に全曲演奏されたことがなかったとされる。今回の録音は「スウェーデン音楽遺産」のクラース・ガッゲKlas Gaggeの校訂版に基づいて行われ、さらに、第3楽章「プレスト」の終結に向けて欠けた部分をユーハンソンが補筆完成して演奏された。スヴェン=ダーヴィド・サンドストレムSven-David Sandstrom (1942-2019)の「ピアノと管弦楽のための5つの小品」は、アンデシュ・ヴァール・ファウンデーションの委嘱により2016年に作曲された。彼が、初期の前衛的な手法から離れ、ネオロマンティックないしネオバロックな語法をめざすようになった1980年代以降のスタイルの最良の例のひとつ。独奏ピアノが「ずっと高いところ、天の高みにあるといってもいい何か」(サンドストレム)を追い求め、美と調和をとりもどす……。「5つの小品」というさりげない曲名がつけられながら、作曲者がイマジネーションを自由に羽ばたかせた音楽。2017年3月22日にヨーテボリで初演され、ペーテル・フリース・ユーハンソンに献呈された。アンドレーア・タッロディAndrea Tarrodi (1981?)の「Stellar Clouds(星の雲)」は、彼女が初めて作曲した「ピアノ協奏曲」。「Introduction(序奏」「Star Formation(星形成)」「Constellations(星座)」「Cosmic Nursery(宇宙の育児室)」「Hpernova(極超新星)」「Solo Cadenza(ソロ・カデンツァ)」「Recapitulation(要約)」の7楽章で書かれた「天の旅」は、「爆発」や「スターダスト」といった宇宙のさまざまな事象が音楽に織りこまれ、SF映画のサウンドトラックを連想させる作品。ロイヤル・ストックホルムpo. の委嘱で書かれ、2018年4月12日、ユーハンソンがソロを弾いてストックホルムで初演された。指揮者のバンクロフトは、ロサンゼルスで育ち、2021年からBBCウェールズ・ナショナルo. の首席指揮者を務めている。
BISSA-2578
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20指のトーナメント〜イギリスのピアノ・デュオ作品集
 レノックス・バークリー:パーム・コート・ワルツ Op.81 No.2 /
             4手のためのソナチネ 変ホ長調 Op.39 /主題と変奏曲 Op.73
 リチャード・アーネル:4手のためのソナチネ Op.61
 スティーヴン・ドッジソン:20指のトーナメント/4手のためのソナタ
 コンスタント・ランバート:白鍵のための3つの黒人小品

 エマ・アバーテ、ジュリアン・パーキンス(Pデュオ)
 録音:2020年11月16日-17日、セント・ジョージズ、ブリストル。連弾または2台ピアノはフランス、ドイツ、ロシアに魅力作が豊富なイメージがあるが、意外にも発祥は16世紀のイギリス。20世紀のイギリス作品を集めた意欲的なアルバムの登場。20世紀といっても前衛的なものではなく、いずれもメロディアスで聴きやすいものばかり。原曲はオーケストラのレノックス・バークリーの「パーム・コート・ワルツ」ノスタルジックな情感は特にオススメ。またコンスタント・ランバートは全体で約9分の間、一度も黒鍵が現れない作品。南米風のリズムが心地よく、驚くほど豊かな音で盛り上がる。アーネルのソナチネ、ドッジソンの2篇は世界初録音。ナポリ出身のエマ・アッバーテと、古楽指揮とクラヴィコード、チェンバロ奏者として著名なジュリアン・パーキンスによるピアノ・デュオがBIS登場。これまで他レーベルからフォルテピアノ連弾によるモーツァルト集をリリースしてきたが、今回はスタインウェイDを存分に鳴らして充実した世界を作り上げている。古楽界の大物パーキンスは近代作品でも新鮮な解釈を聴かせてくれる。
BISSA-2579
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(HYBRID_SACD)
クルト・ヴァイル(1900-1950):
 音楽劇「銀の湖」(1932-33)(抜粋)〔序曲/第3番 セーヴェリンの歌「パン屋は夜明けにパンを焼く」(*) /
   「ちょっとした助言」の口頭による紹介(*) /第7番 宝くじ取次人の歌「ちょっとした助言のお代は?」(*) 〕/
 一楽章の交響曲(交響曲第1番「ベルリン交響曲」)(1921) /交響的幻想曲(交響曲第2番) (1933-34)

  HK.グルーバー(Vo;*)指揮スウェーデン室内o.
 録音:2021年8月16-21日、オレブルー・コンサートホール、オレブルー、スウェーデン。オーストリアの作曲家 HK.グルーバー(1943-)は、クルト・ヴァイルの世界に心酔し、クルト・ヴァイル財団の名誉終身理事を務めている。「マンハッタン・ブロードキャスト」 (BIS-1341)や「バスキング(大道芸)」 (BIS-1781)など自作の録音で指揮したスウェーデン室内o. との新しいアルバムでは、指揮者と歌手として、ヴァイルの3つの作品を演奏している。「一楽章の交響曲」(交響曲第1番「ベルリン交響曲」は、ヴァイルが21歳の時、フェルッチョ・ブゾーニの修士課程で学んでいた1921年に作曲され、ヴァイルの死後、1958年2月12日にNDRso. によるハンブルクのラジオ放送で初めて演奏された。ヨハネス・R.ベッヒャーの叙事劇「ArbeiterBauern Soldaten. Der Aufbruch eines Volkes zu Gott(労働者農民軍人. 人民の神への覚醒)」からインスピレーションを得て書かれたといわれる。ジェイムズ・ホームズの校訂版による演奏。「交響的幻想曲」(交響曲第2番)は、ヒトラーが権力を掌握しヴァイルがベルリンからパリに逃れる1933年3月までに第1楽章が書かれ、翌年2月、ルーヴシエンヌで全曲が完成された。ブレヒトとの共同作業の最終作「七つの大罪(Die sieben Todsunden)」の引喩が散見され、「ラルゴ」の第2楽章をグルーバーは「一種の「葬送タンゴ」」とみなしている。1934年10月11日ブルーノ・ワルター指揮コンセルトヘボウo. により初演された。音楽劇「銀の湖」は、古典的均整美とジャズ風リズムとメロディが融合した生気あふれる「序曲」と16のナンバーによる作品。「ある冬の物語(EinWintermarchen)」の副題をもち、「食糧不足に苦しむ社会の現実と人々を社会不安から解放する奇跡の可能性の間をさまよう」ストーリーと歌詞を「ロシア皇帝は写真を撮らせ給う(Der Zar lasst sich photographieren)」など2作のオペラで共同したゲオルク・カイザーが執筆した。ヴァイルがドイツを離れる前に完成。1933年2月18日にライプツィヒとエアフルトとマグデブルクで同時初演された。この抜粋では「パン屋は夜明けにパンを焼く」と「ちょっとした助言のお代は?」の2つの歌を、マグデブルク初演のエルンスト・ブッシュと、ヴァイル夫人のロッテ・レーニャの録音からアイデアを得て、グルーバーが歌っている。
BISSA-2581
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(3 HYBRID_SACD)
2枚価格
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集(全5曲)
 〔第1番 ハ長調 Op.15 /第2番 変ロ長調 Op.19 /第3番 ハ短調 Op.37 /
  第4番 ト長調 Op.58 /第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」〕
 ハオチェン・チャン(P|使用楽器: Steinway D, No.989 )
 ナタリー・シュトゥッツマン指揮フィラデルフィアo.
 録音:2021年10月26日-29日、ベライゾンホール、キンメル舞台芸術センター、フィラデルフィア。「まるで巨匠の様な演奏だ。」と激賞した故ロリン・マゼールをはじめ、多くの名指揮者もうならせてきたピアニスト、ハオチェン・チャン。2009年、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにて史上最年少優勝(当時)して以来、世界各地で積極的な演奏活動を展開している、人気・実力を兼ね備えた若手ピアニスト。録音ではこれまでBISレーベルから「シューマン、リスト、ヤナーチェク、ブラームス」(BISSA-2238)、「プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(BISSA-2381)をリリースし好評を博している。2021年10月に収録した当アルバムはナタリー・シュトゥッツマン指揮フィラデルフィアo. との共演で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲集(カデンツァ:ベートーヴェン)。チャンは2019年11月にヤニック・ネゼ=セガン指揮で同団と来日し、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を披露したが、その劇的な演奏は聴衆を虜にし、割れんばかりの拍手で大熱狂となった。期待の高まるベートーヴェンではクリスタルに輝く美音と極めて発音のよいタッチで演奏。まるでオーケストラとの対話を楽しむように自由に奏でているが、強靭なテクニックだけではなく繊細な叙情性を表現できるチャンの唯一無二の魅力に満ち満ちている。また、フィラデルフィアo. の演奏の素晴らしさにも注目。歌うようなフレージングと情感豊かな表現はコントラルト歌手でもあるシュトゥッツマンの指揮ならではと言える。コロナ禍に生きる私たちへの希望と祈りに満ちた注目のアルバムが完成した。
BISSA-2582
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(2 HYBRID_SACD)
パスカル・ロフェ〜ラヴェル:ローマ大賞のためのカンタータ集
 〔アリッサ(1903) (*) /アルシオーヌ(1902) (#) /ミルラ(1901) (+) /オーロラ(1905) (**) /
  夜(1902) (##) /踊り子たち(1900) (##) /プロヴァンスの朝(1903) (##) /全ては光明(1901) (##) 〕

 ヴェロニク・ジャンス(S;*) ソフィー・コシュ(S:#)
 ヴァンニーナ・サントーニ(S:+) クラリス・ダレ(S;**)
 ヤニナ・ベヒレ(Ms:#) ジュリアン・ベーア(T;*/#)
 マイケル・スパイアーズ(T:+) マティス・ラジエ(T;**)
 ジャック・インブライロ(Br;*/+) パスカル・ロフェ指揮フランス国立ロワールo.
 ヴァレリー・ファイエ合唱指揮フランス国立ロワールcho.
 録音:2020年9月3-5、8、10日-11日、シテ・デ・コングレ、ナント(*/#/+) /2021年9月10日-11日、コンベンションセンター、アンジェ(**/##)、ともにフランス|クラムシェル・ボックス仕様。ラヴェルが「ローマ大賞」に応募した作品をロフェ率いるフランス国立ロワール管が録音!「ローマ大賞」とは芸術を専攻する学生に対してフランス国家が授与した奨学金付留学制度。1663年にルイ14世によって創設され、1968年に廃止されるまで300年ほど続いた歴史ある賞。創設当初は建築、絵画、彫刻、版画の各分野に与えられていたが、音楽賞は1803年に追加。予選はフーガと合唱作品、本選は三人の独唱者と管弦楽による大規模なカンタータ作品で審査される。ラヴェルは1901年に「ミルラ」で3位を受賞したもののグランプリを獲ることはできず、1904年には不参加、さらに1905年は本選に進めなかった。しかし、五度も落選した結果とは反し、ラヴェルらしい色彩感豊かな作品の数々は流石の一言に尽きる。20代のラヴェルが「ローマ大賞」に向けて直向きな思いで取り組んだそれぞれの作品の充実度は天才ラヴェルだからこそと言える。パスカル・ロフェはオーケストラの音色を色鮮やかに変化させる魔術師のようだ。ラヴェルの煌めく世界をご堪能頂きたい。
BISSA-2584
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(HYBRID_SACD)
裸足の歌〜アッラン・ペッテション(1900-1980):
 中声とピアノのための6つの歌(1935) /
 裸足の歌(1943-45) (20トラック?)
ペーテル・マッテイ(Br)
ベンクト=オーケ・ルンディン
(P|使用楽器: Steinway D )
 録音:2021年3月11日-14日、オレブルー・コンサートホール、オレブルー、スウェーデン。スウェーデンの作曲家アッラン・ペッテションは、もっぱら彼が1950年以降に集中して書いていった堅固なつくりの交響曲で知られる。しかし、それより以前、ストックホルムの音楽大学の学生だったころとストックホルム・フィルハーモニックのヴィオラ奏者だったころ、彼は、室内楽曲や歌曲集を作曲していた。その歌曲集のひとつ、1943年から1945年にかけて書かれた「裸足の歌」は、いくつかの歌を後の交響曲に引用、生涯、彼にとって重要な意味をもつ作品になった。この「裸足の歌」は、貧しい労働者階級人々の住む界隈で育った子供時代を反映した作品など、自伝的内容をもち、きわめて個人的で古風な言葉も使いながらペッテション自身が書いた24の詩に作曲された作品。うち22曲は、すべて、短調で書かれ、民謡、賛美歌、流行歌を暗に示す語法が使われている。1935年の「6つの歌」は、グンナル・ビョーリングやインゲボリ・ビョークルンドたち5人の詩をテクストに使い、「歌曲集」を意図せず書かれた作品。バリトンのペーテル・マッテイと、30年近くにわたりコラボレーションをつづけるピアニスト、ベンクト=オーケ・ルンディンによる録音。マッテイが録音した、「痛み」という基調の共通するシューベルトの「冬の旅」(BISSA-2444)は、ペッテションの音楽の熱心な聴き手が多いといわれるドイツのメディアから高く評価されたアルバム。
BISSA-2585
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(HYBRID_SACD)
カストラポリス〜ナポリのカンタータとアリア
 ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783):歌劇「認められたキュロス(1751) 第1幕〜泣かないで、愛しい目よ
 ジュゼッペ・ポルジーレ(1680-1750):歌劇「ウリッセの祖国への帰還」より
  〔第2幕第19場 エルヴィラのアリア「哀れ、心を射られた者」/
   第2幕第10場 クレオンテのアリア「おまえはなんと残酷な」/
   第1幕第8場 テレーマコのアリア「目を開けろ、キュレネ」/
   第1幕第15場 テレーマコのアリア「戦士の魂の高慢な侮蔑が」/
   第2幕第5場 クレオンテのアリア「あの美しい顔が」/
   第3幕第7場 テレーマコのアリア「勝ち誇る準備はできている」〕
 アレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725):カンタータ「かの心地よき平安は」
 ドメニコ・アウレッタ(1723-1753):チェンバロ、2つのヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲 ハ長調
 ドメニコ・ナターレ・サッロ(1679-1744):カンタータ「話しておくれ、美しいほくろよ」(曲前に同名詩の朗読付)
 伝承曲:声とバロック・ギターのための「ガルガーノのタランテラ」

 ニコロ・バルドゥッチ(CT) ダン・ラウリン(リコーダー/音楽監督)
 アンナ・パラディーゾ(Cemb/共同音楽監督)ドルチ・アフェッティ
  [ケート・ハーン(リコーダー/Vc) シェシュティン・フローディン、 イーア・ノイミュラー(Ob)
   マッツ・クリングフォシュ(Fg) マリア・リンダール(Vn/リーダー) カロリーナ・ウェーバー・
    エークダール(Vn) ヨエル・スンディーン(Va) アンナ・パラディーゾ(Cemb;通奏低音)
   トゥーマス・イェットンソン(Cb) ドーヒョ・ソル(アーチリュート/バロックG)]
 使用楽器:チェンバロ: Francois Paul Ciocca, Riccia 2008, after Nicolas & Francois Blanchet 1730 /リコーダー: Alto recorder by Francesco Livirghi 。スウェーデンのバロック・アンサンブル「ドルチ・アフェッティ」のアルバム第1作がリリースされる。リコーダー奏者のダン・ラウリンと夫人のアンナ・パラディーゾが、ナポリ音楽院図書館の所蔵するナポリ音楽コレクションを探求する目的で結成。ヴァイオリンのマリア・リンダールやオーボエのシェシュティン・フローディンといったスウェーデンのバロック音楽シーンで活躍する音楽家たちが参加した。ナポリのカンタータとアリアを歌ったアルバム。フランスの小説家ドミニク・フェルナンデスが1974年の小説「ポルポリーノ(Porpolino ou les mysteresde Naples)」で「数多くのカストラート・ソプラノが結集した南の首都」を表すために使った言葉「カストラポリス」が、アルバム・タイトルに採られた。プログラムの最初は、アレッサンドロ・スカルラッティに学ぶためナポリを訪れたヨハン・アドルフ・ハッセがメタスタージオの台本に作曲した「認められたキュロス」から、リコーダーとオーボエを2つずつともなって歌われる「Non piangete, アマティrai(泣かないで、愛しい目よ)」。ジュゼッペ・ポルジーレの「ウリッセの祖国への帰還(ウリッセの帰還)」は、当時23歳だったカストラート歌手のドメニコ・ゴッツィがプロ・デビューで歌った作品。モンテヴェルディの歌劇と同じホメロスの「オデュッセイア」の物語を題材にしながら、別の作家による台本に作曲されている。アレッサンドロ・スカルラッティの「かの心地よき平安は」は、リコーダーの他、ソロ・ヴァイオリン、チェロと通奏低音をともなう、ソプラノのためのソロ・カンタータ。ドメニコ・アウレッタは、ナポリで生まれ、30歳で没した。チェンバロ、2つのヴァイオリンと通奏低音のための「協奏曲 ハ長調」は、ナポリ音楽院図書館が楽譜を保存している作品。ドメニコ・ナターレ・サッロは、トラーニで生まれ、サントオノフリオのナポリ音楽院で学んだ。声と通奏低音のためのカンタータ「話しておくれ、美しいほくろよ」も、ナポリ音楽院図書館の所蔵する作品。カンタータの演奏に先立って最初のレチタティーヴォ「Dimmi bel neo chefai」の朗読がはさまれる。アルバムの最後、サッロ、カストラート歌手ファリネッリ、アンナ・パラディーゾ、ニコロ・バルドゥッチが生まれたアプリア(プーリア)地方に伝わる「タランテラ」が歌われる。バロック音楽を得意とするソプラニスタ、カウンターテナーのニコロ・バルドゥッチは、1999年、イタリアのカノーザ・ディ・プーリア生まれ。ソプラノ歌手アンア・マリア・ステッラ・パンジーニに最初に教わり、マテーラの音楽院の学士号を、バロック歌唱をジェンマ・ベルタニョッリに学んだヴィチェンツァ音楽院の修士号を取得した。ヴェネツィアのジョルジョ・チーニ財団やヴィテルボのストラデッラ音楽祭に招かれ、第1位に選ばれたニコロ・ピッチンニなどのコンペティションに参加してきた。ヴィテルボの「フェスティヴァル・ストラデッラ」でダン・ラウリンと出会ったことが、2020年から2021年のシーズンのコンサートへの出演とこの録音につながった。
BISSA-2586
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(HYBRID_SACD)
ハチャトゥリヤン
 ピアノ協奏曲 変ニ長調 /
 「仮面舞踏会」組曲(ドルハニアン編曲/ピアノ独奏版)
  〔ワルツ/ノクターン/マズルカ/ロマンス/ギャロップ〕/
 ピアノと管弦楽のためのコンチェルト・ラプソディ
イヤード・スギャエル(P)
アンドルー・リットン指揮
BBC ウェールズso.
 録音:2021年10月20日-22日、 BBC ホディノット・ホール、カーディフ。 ハチャトゥリヤンは旧ソ連を代表する作曲家だが、近年ロシアでは以前ほど演奏されないとされる。しかしその反面、中近東系の演奏家たちが積極的に採り上げ重要なレパートリーとなりつつある。ハチャトゥリヤンの音楽はロシア伝統の手法によりながらも精神は東方的なため、彼らにとり近しい音楽として演奏欲求を刺激されるようだ。1993年ヨルダン出身のピアニスト、イヤード・スギャエルはこれまでハチャトゥリヤンのピアノ・ソナタと「子供のアルバム第1集」を中心としたソロ・アルバム (BISSA-2436) をリリースし高い評価を受けた。今回は2篇の協奏作品をアンドルー・リットン指揮BBCウェールズso. と共演。BISならではの高音質録音でハチャトゥリヤンのオーケストレーションの妙をあますところなく再現。ピアノ協奏曲の第2楽章で指定されたフレクサト-ンは韓国出身のチェロ奏者リ・スアがミュージカルソーで効果的に彩りをそえている。さらに嬉しいのは、ハチャトゥリヤンの作品中でも特に人気の高いワルツを含む「仮面舞踏会」組曲のドルハニアン編によるピアノ独奏版も収録されていること。スギャエルの爽快な解釈がフレッシュ。イヤード・スギャエルはヨルダン系パレスチナ人としてアンマンに生まれ。生地の音楽院で学んだ後、15歳からマンチェスターのチェタム音楽学校、王立ノーザン音楽大学でマレー・マクラクラン、マルティノ・ティリモほかに師事。今後が期待される注目の若手。
BISSA-2590
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(HYBRID_SACD)
液体が変化する〜ウロ・クリグル(1978-):合唱作品集
 合唱とエレクトロニクスのための「水は」(2015) /合唱と弦楽のための「湖は荒れ始めた」(2019) (*) /
 アカペラ合唱のための「だが、常に上を向け」(2019) /合唱とエレクトロニクスのための「液体が変化する」(2020)

 カスパルス・プトニンシュ指揮エストニア・フィルハーモニック室内cho.、タリン室内o.(*)
 録音:2021年8月16-21日、メソジスト教会、タリン、エストニア。タリン生まれのウロ・クリグル(1978-)は、活気に満ちたダイナミックな表現の音楽で注目され、21世紀エストニアの音楽を作曲家として注目されている。彼はロックとジャズ・アンサンブルのキーボード・プレイヤーとアレンジャーを10代で経験した後、エストニア音楽アカデミーとウィーン国立音楽大学で学んだ。ジャズ、ポスト・ミニマリズム、ソノリズムなどの影響も受けた広い領域の技法と語法による作品を発表。国内とドイツ、オーストリア、チェコ、ラトヴィア、ウクライナといった各国の音楽祭で演奏されてきた。クリグルは、今も、実験的音楽グループとロックバンドのメンバーとして活動している。このアルバムの3つの曲は、クリグルがエストニア・フィルハーモニック室内合唱団のコンポーザー・イン・レジデンスだった2019年から2020年の間に作曲された作品。3作は、共通のコンセプト(「水」「光」「霊」)と音楽素材のリサイクルという点で繋がる「三部作」とみなされ、エストニア・フィルハーモニック室内合唱団と指揮者プトニンシュ(1966-)のために彼が初めて作曲した「Vesi ise(水は)」は、共通する「旅」への「前奏曲」の役割を担っている。「Vesi ise(水は)」は、作曲者のクリグルが「瞑想習慣とコンサート・ミュージックの中間領域に位置する」と語る作品。エストニア・フィルハーモニック室内合唱団の委嘱を受け、特定のテクストのないまま作曲され、初演の数週間前になって、エストニアのシュルレアリスム詩人、イルマル・ラーバン(1921-2000)の詩が歌詞として追加された。「And the Sea Arose(湖は荒れ始めた)」は、「水」「イエス」「聖ペテロ」を主役とする「小劇」を思わせる作品。「ヨハネによる福音書」(6章18節)(「強い風が吹いて、湖は荒れ始めた」)と「マタイによる福音書」(14章29節-32節)をヘディ・ロスマHedi Rosmaが編集した英語のテクストが使われている。「Aga vaata aina ules(だが、常に上を向け)」は、「われわれを囲む物理的世界とわれわれの内にある哲学的世界を結ぶ」をコンセプトにエストニアの哲学者ウク・マシングUku Masingの「Vaatlusi maailmale eoloogi seisukohalt(神学者の視点による世界の観察)」の文章をヘディ・ロスマがアセンブルしたテクストが歌われる。「Hingamisi(呼吸)」「Oo on pime(夜は暗い)」「Puud aina kasvavad(木々は育つ)」「Ainuski pilv ei tule tagasi(雲は戻らない)」「Lahkuda onnidest(小屋を離れろ)」「Kui canasta raagiti tuulest(むかし風のことを話したとき)」の6楽章の作品。「liquid turns(液体が変化する)」は、この2つの作品のテクストと音楽の断片を抽出して「新たな全体」として再創造した作品。IRCAMとエストニア・フィルハーモニック室内合唱団の委嘱で作曲され、「液体が変化する-融解と凝固」を表す「凍った川のフィールド・レコーディング」と「氷の溶ける音と水の凍る音の録音」を素材とするコンピューター・ミュージック・デザインをIRCAMのカルロ・ラウレンツィが担当した。
BISSA-2595
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灰燼に帰す
 ジョナサン・ダヴ(1959-):今夜眠るものはみな / ジョージ・バタワース(1885-1916):死者のための祈り
 レベッカ・クラーク(1886-1979):シールマン〔海から来た男〕
 ジェラルド・フィンジ(1901-1958):歳月の時計/花輪をささげよう(5曲)
 ジョン・アイアランド(1879-1962):三羽のカラス / アイヴァー・ガーニー(1890-1937):棺台の脇で
 エルガー(1857-1934):心からの願い / ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):空は屋根の上にあって
 アーサー・サマヴェル(1863-1937):シュロプシャーの若者(10曲)
 ブリテン(1913-1976)編曲:トム・ボウリング / アイヴァー・ガーニー:最愛のあなた、私が死んでも
 リザ・レーマン(1862-1918):ヘンリー王 / エロリン・ウォーレン(1958-):このあたりは
 ウォルズリー・チャールズ(1889-1962):緑色の目をした竜

 ジェイムズ・ニュービー(Br) ジョーセフ・ミドルトン(P)
 録音:2022年1月31日-2月3日、ゼンデザール、ブレーメン。「BBC New Generation Artists (2018-2022)」のひとりに選ばれたイギリスのバリトン歌手、ジェイムズ・ニュービー(1993-)は、2020年、デビューアルバム「彷徨いながら不思議に思う」(BIS SA-2475)をリリース。「素晴らしく均質なバリトンの声は、ビロードのようになめらかで、ゆるぎない技術により全声域で安定している」("Opera Today ")と好意的な評価を受け、共演のジョーセフ・ミドルトンのピアノとともに、「りっぱなデビューディスク」("BBC Music Magazine ")と言われた。アルバム第2作「灰燼に帰す」は、イギリスの作曲家たちの音楽によるプログラムで作られた。「2015年、姉妹のローラが亡くなった。それからというもの、何か彼女に捧げることをしたいと願ってきた。そして、彼女の葬儀でジェラルド・フィンジの「照りつける太陽をもう恐れるな」を歌ったことから、この曲の入った曲集「花輪をささげよう」をメインにしたプログラムがふさわしいのではないかと思った」(ジェイムズ・ニュービー)。「十二夜」「ヴェローナの二人の紳士」「お気に召すまま」といったシェイクスピアの戯曲をテクストにしたフィンジの曲集とともに、A.E.ハウスマンの「シュロプシャーの若者」の10の詩に曲をつけたアーサー・サマヴェルの作品も「ハイライト」。
アミール・マヤル・タフレシプール(1974-):室内歌劇「カーテンの後ろにいる人形」(2015)
 ヨーナタン・フォン・シュヴァーネンフリューゲル(T;メールダード)
 シーネ・スネー・ドゥーアホルム(S;ビーター) エレノー・ヴィーマン(Ms;母)
 ヤコプ・ブロク・イェスパセン(B−Br;父) ペア・バク・ニセン(B;校長先生)
 トマス・ストーム(Br;トンボー) マリーエ・ドライシ(S;ジゼル)
 アイリク・ハウコース・オーデゴール指揮アテラス・シンフォニエッタ
 カロリーナ・レード(Fl) ライザ・ギブズ・フォックス(Ob) アナ・クレト(Cl)
 ニルス・アナス・ヴェステン・ラーセン(Fg) トアビャアン・B.グラム(Hr)
 ティーネ・レーリング(Hp) アネ・スー(Vn1) イディナ・リュツフフト(Vn2)
 テーア・ヤーアンセン(Va) キム・バク・ディニセン(Vc) アストル・コルタバリア(Cb)
 録音:2020年12月14日、 YMCA フェスティヴァルホール、コペンハーゲン。イラン系デンマークの作曲家アミール・マヤル・タフレシプール(1974-)の「カーテンの後ろにいる人形(The Doll behind the Curtain)」は、イラン初の現代室内オペラ。舞台は1930年代のフランスのル・アーブルとテヘラン。2幕の作品。「イランからの学生、恥ずかしがり屋で内向的な性格のメールダードは、ル・アーブルでリセの課程を終えたばかり。イランに帰る日を待っているころ、ジャンクショップで美しいマネキン人形を見つける。世知に長けた校長から別れ際の説教を聞かされた後、止むに止まれぬ気持ちで、トンボーという名の謎めいた店主と孫娘ジゼルのいる店を訪れ、雪花石膏でできたマネキンを買う……」。イラン現代文学を代表する作家サーデク・ヘダーヤト(1903-1951)の同名の短編に基づきイギリスの劇作家ドミニク・パワー(1947-)が英語台本に執筆。2015年8月にロンドンのキングズ・プレースで行われた「テータテート・オペラ・フェスティヴァル」で初演、2020年にコペンハーゲンのデンマーク王立歌劇場で上演された。細タフレシプールの音楽は、ヨーロッパのモダニズムと東洋の伝統の音楽の間を自在に行き来しながら、「文明の衝突」の中べての個人が直面せざるを得ない選択の姿を確実に描いていく。メールダードを歌うテノールのヨーナタン・フォン・シュヴァーネンフリューゲルや婚約者ビーター役のソプラノのシーネ・スネー・ドゥーアホルムをはじめ、王立デンマーク歌劇場の公演と同じキャスト。ノルウェーのアイリク・ハウコース・オーデゴールも同公演の指揮者。コペンハーゲンのYMCAフェスティヴァルホールでセッション録音された。アミール・マヤル・タフレシプール(作曲家)イラン系デンマークの作曲家。デンマークのエスビェア音楽アカデミー、ロンドンのトリニティ音楽カレッジとギルドホール音楽演劇学校でピアノと作曲を学び、2016年、ロンドンのブルネル大学の作曲博士課程を修了。2003年、ソロ・ピアノ作品の「Images of Childhood(幼年時代の映像)」でテヘラン大学の新音楽作曲コンペティションで第1位を獲得。各国の主要なアンサンブル、ソリスト、オーケストラからの委嘱が多い。2022年、アングロ・ペルシャン石油会社とイラン在住イギリス人のストーリーに基づく歌劇「The Black Gold」を作曲中。
BISSA-2601
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(HYBRID_SACD)
シンフォニエッタ集
 プーランク:シンフォニエッタ FP 141 (1947)
 プロコフィエフ:シンフォニエッタ イ長調 Op.5 (1909/14, rev.1929, Op.48)
 ブリテン:シンフォニエッタ Op.1 (1932/36)(小管弦楽版)
  ディーマ・スロボデニューク指揮ラハティso.
 録音:2021年1月4-9日、シベリウスホール、ラハティ。注目の指揮者ディーマ・スロボデニュークがプーランク、プロコフィエフ、ブリテンのシンフォニエッタを録音した。スロボデニュークは1975年モスクワ生まれ。17歳でフィンランドに移住しシベリウス音楽院でレイフ・セーゲルスタム、ヨルマ・パヌラから指揮を学んだ。2016年秋のシーズンからラハティso. の首席指揮者に就任し、BISレーベルから「カレワラの情景」(BISSA-2371)、「プロコフィエフ:歌劇「賭博者」による4つの描写と終結、バレエ音楽「石の花」からの組曲」(BISSA-2301)などを続々リリース。ロイヤル・コンセルトヘボウo.、 BPO にもデビューしている今注目の指揮者。弦楽四重奏曲の作曲を試みていたものの試奏段階でイメージがあわず断念。この弦楽四重奏曲を出版予定だった出版社からの依頼で曲を書き直したのがプーランクのシンフォニエッタ。4楽章構成で当演奏では26分半ほどの長さ。プーランクらしい洒落た旋律と豊かな内容をもっている。プロコフィエフが1909年に師チェレプニンに献呈したシンフォニエッタ。その後1914年、1929年に改訂。プロコフィエフの最も陽気な作品の一つだが当演奏では最終改訂版で演奏している。ブリテンの記念すべき作品1のシンフォニエッタは1932年、王立音楽院の学生だった18歳のときの産物。1927年から作曲を個人的に学んでいたフランク・ブリッジに捧げられたこの3楽章の作品。もともとは管楽五重奏と弦楽五重奏のための作品だった。1933年の初演後、1936年2月にホルンと小弦楽オーケストラを加えて改訂。当演奏では小管弦楽版で演奏している。当アルバムに収録のシンフォニエッタは元々別の編成や改訂を重ねたことが共通するが、作曲家の作品に対する思いはより凝縮され、独自の個性を発揮しており、スロボデニュークの奥深い解釈がその演奏にも表れている。
BISSA-2603
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ピアノ教育のための完全教程〜エレーヌ・ド・モンジュルー:「ピアノ教育のための完全教程」より
 〔第37番 ト長調/第36番 ヘ長調/第35番 ハ短調/第34番 ヘ長調/第28番 ホ長調/第26番 ト長調/第38番 イ短調/
  第41番 変ホ長調/第51番 ヘ短調/第53番 ホ短調/第52番 ハ長調/第55番 ヘ短調/第66番 ハ短調/
  第62番 変ホ長調/第65番 変ホ短調/第67番 ロ長調/第74番 ハ短調/第89番 変イ短調/第82番 ハ短調/
  第97番 ト短調/第99番 ハ短調/第100番 変ロ短調/第101番 嬰ハ長調/第103番 嬰ヘ短調/
  第106番 ロ長調/第104番 嬰ト短調/第107番 ニ短調/第110番 イ長調/第111番 ト短調〕

 クレア・ハモンド(P)
 録音:2021年12月17日-20日、ワイアストーン・コンサート・ホール。エレーヌ・ド・モンジュルー(1764-1836)はフランス革命期の女性作曲家。ベートーヴェンより6歳年長だが、すでにロマン派的な感覚を見せているのに注目。モンジュルーはパリ音楽院女性教授第I号とされ、フランスのピアノ教育に多大な貢献を残した。練習曲集「ピアノ教育のための完全教程」は全114曲から成り、非常に実践的な効果があがるとされている。しかしロマン派にリストやショパンらの登場によりピアノ技法が革新され、より合理的な術が編まれたこともあり、今日用いられることはほとんどない。しかしモーツァルトとショパンをつなぐピアノ音楽の宝石として再注目が起こりつつある。イギリスのクレア・ハモンドは知られざる作品に熱心な名手だが、ここでは「ピアノ教育のための完全教程」から29曲を披露。的確な技巧と清潔なタッチでフレッシュなフルーツのようなみずみずしさを引き出している。
BISSA-2611
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ベント・サーアンセン(1958-):マタイ受難曲(2019)
 ディテ・マリーエ・ブレイン(S) マーリ・アスクヴィーク(A)
 オイスタイン・ステンスハイム(T) ハルヴォル・フェステルヴォル・メリン(B)
 グレーテ・ペーデシェン指揮アンサンブル・アレグリア、ノルウェー・ソリストcho.
 録音:2022年3月24日-26日、リス教会、オスロ、ノルウェー。デンマークのベント・サーアンセン(1958-)は、北欧の音楽シーンでもっとも作品が演奏され、もっとも賞賛を集めている作曲家のひとり。三重協奏曲「都市の島(L 'isolda della Chitta)」で2018年のグローマイアー音楽賞を受賞した。イプ・ヌアホルムとペア・ヌアゴーに学び、早い時期に見つけた自身の「声」に忠実に作曲をつづけている。「マタイ受難曲」は、2014年ごろの「なによりも「マタイ受難曲」を作曲したい」という思いが発端となって生まれた。構想を練り、作品の姿が整ってきたころ、受難曲のことを発表。オスロ国際教会音楽祭とデンマーク国立so. の共同委嘱が決まった。「霧の中の旅-光に入り、光から出る。磔刑に向かう旅、さらにいえば復活に向かう旅。自信を信じること、死というより復活を信じることを感じた」(サーアンセン)。「霧のヴェールの中に」から「霧の中」まで10章による音楽として作られ、一部ラテン語の部分をのぞく、基本的に英語によるリブレットは、王立デンマーク音楽アカデミーのヤコブ・ホルツェがサーアンセンの意図を汲み、まとめあげた。「聖書」のほか、エーディト・セーデルグラン、アンナ・アフマートヴァ、エミリ・ディキンソン、セーアン・ウルリク・トムセン、オーレ・サーヴィー、フランク・イェーヤの作品が引用され、第4章「嵐の夜」は、ディキンソンの「嵐の夜、嵐の夜に」の全詩と「イザヤ書」の「恐れるな、わたしはあなたを贖う……」(43章)がテクストに使われた。「磔刑と復活によるキリストの人類すべてへの愛の表明というだけでなく、つましく美しい愛」(サーアンセン)。サーアンセンの音楽に固有の「光と影のグラデーション」と「静寂」のテクスチュアによる「愛の情熱(lovepassion)」の作品。2022年3月27日、グレーテ・ペーデシェン指揮のノルウェー・ソリスト合唱団とアンサンブル・アレグリアがオスロ大聖堂で初演。アルバムは、J.S.バッハの「モテット」(BISSA-2251)と同じオスロのリス教会で初演に先立って行われたセッションで録音された。
BISSA-2615
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ポール・ウェー〜ベートーヴェン&リスト、モーツァルト&アルカン
 ベートーヴェン/リスト編曲:交響曲第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」
 モーツァルト/アルカン編曲:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
 ポール・ウェー(P)
 録音:2021年9月10-15日、ワイアストーン・コンサート・ホール。ロンドンの敏腕弁護士として高名なポール・ウェー。ピアノの腕も一級どころか、腕扱きのピアニストたちでさえ尻込みするような恐るべき難曲に挑み余裕の技巧と明快な解釈で高く評価されている。今回はベートーヴェンとモーツァルトの名作に挑戦。それも前者はリスト編曲による交響曲、後者はアルカン編曲によるピアノ協奏曲をどちらもピアノ独奏で披露している。リスト編の「英雄」はその技巧的要求もさることながら、聴き手を50分惹きつける集中力と説得力も必要な難物。ウェーは余裕の技巧と歌心で感動的に再現していて聴き物。アルカン編のモーツァルトのピアノ協奏曲第20番は1861年に出版された。とてつもなく難しいのはもちろんながら、第1楽章と3楽章のために書かれたカデンツァがアルカンの真骨頂。交響曲第41番「ジュピター」の引用など凝りに凝った技法を駆使しながら、時代を半世紀以上先んじたような調性概念による異常なものとなっていて、まるで第1楽章主部がカデンツァの前奏であるかのようにさえ感じさせられる。
BISSA-2616
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鏡像
 ブライス・デスナー(1976-):トロンボーン五重奏曲〜第1楽章
 ダウランド/ニコ・ミューリー〔マーリー〕編曲:私の愛しい人が泣くのを見た
 ニコ・ミューリー〔マーリー〕(1981-):
  ダウランド「わが窓より行け」による変奏曲「オール・パーフェクションズ・キープ」
 バルトーク/ディミタール・ボドゥロフ編曲:ミクロコスモス より
  〔第113番 ブルガリン・リズム1/第149番 ブルガリン・リズムによる6つの舞曲第2番〕
 ディミタール・ボドゥロフ(1979-):内なる声 / フォーレ/スティーヴン・フェルヘルスト編曲:漁師の歌
 JT.フェルトハイス(ヤコブ・テル・フェルトハイス)(1951-):シラキューズのブルース
 サティ/ヨルゲン・ファン・ライエン編曲:グノシエンヌ第1番 / フローリアン・マグヌス・マイアー(1973-):糸
 シューマン/へールト・ヴァン・クーレン編曲:幻想小曲集 Op.12
 マルティン・パディング(1956-):シューマンの最後の行列
 キエル・マイエリング(1954-):ロック・ザット・トロンボーン

 ヨルゲン・ファン・ライエン(Tb) アルマSQ
  [マルク・ダニエル・ファン・ビーメン(Vn1) ベンジャミン・ペレド(Vn2)
   イェルン・ヴァウトストラ(Va) クレモン・ペニエ(Vc)]
 録音:2021年10月14-19日、ジンゲル教会、アムステルダム、オランダ。「トロンボーンの歴史は15世紀にさかのぼるが、この楽器のために書かれた室内楽のレパートリーは限られている。特に室内楽の沢山の名曲が生まれた古典派からロマン派の時代、同時代の偉大な作曲家たちがトロンボーンのために書いた室内楽はない」と語る鬼才トロンボーン奏者イェルゲン・ファン・ライエンが、トロンボーンの新たなレパートリーの開拓に挑んだ。ファン・ライエンは室内楽の“王様 "である弦楽四重奏との共演こそバロックから現代まで幅広いレパートリーを開拓できると考えこの録音を決意。ダウランド、バルトーク、フォーレ、サティから新作委嘱まで実にカラフルな作品で構成している。ロッテルダム音楽院にてジョージ・ヴィーゲルに、リヨン国立高等音楽院にてミシェル・ベッケにそれぞれ師事したヨルゲン・ファン・ライエンは、ロッテルダム・po. の首席奏者を経て、1997年よりロイヤル・コンセルトヘボウo. の首席奏者を務める世界トップクラスのトロンボーン奏者。「マクミラン、ファーベイ、ベリオ:トロンボーン協奏曲集」(BISSA-2333)がレコード芸術誌の特選盤に選出されるなど、多くのディスクでも高い評価を得ている。
BISSA-2618
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瞑想 II
 ダニエル・エルダー(1986-):エレジー(ダニエル・アダムズ・バタフィールドの「Taps」による)
 アウズル・グヴズヨンセン(1975-):アヴェ・ヴェルム・コルプス(2019)
 ガリーナ・グリゴリエヴァ(1962-):天国に(2012)
 フレイザル・インギ・ソルステインソン(1978-):ルクス・エテルナ(2018)
 ヘイクル・トウマソン(1960-):私たちの最後の日が(2004)
 オーラ・ヤイロ(1978-):サンクトゥス:ロンドン(2008)
 ソウラ・マルテインスドウッティル(1978-):主よ、わたしの手を取りお導きください(2011)
 ポール・ミーラー(1975-):慈しみと愛のあるところ(2011)
 伝承曲/ハフステイン・ソウロウルソン(1977-)編曲:ねんねん坊や
 ビョルン・ソーラレンセン(1962-):アニュス・デイ
 シーグルズル・セーヴァルソン(1963-):アヴェ・ヴェルム・コルプス(2018)
 伝承曲/ジョン・ハーン(1937-)編曲:谷は美しくとも
 パヴェル・ウカシェフスキ(1968-):主よ、今こそあなたは(2007)
 パルト・ウースベリ(1986-):天国に(2016) / エリック・ウィテカー(1970-):眠り(2000)

 ホルズル・アウスケルソン指揮レイキャヴィーク・スコラ・カントルム
 録音:2021年9月23日-26日、スカウルホルト教会、スカウルホルト、アイスランド。アイスランドの合唱団「レイキャヴィーク・スコラ・カントルム」(スコラ・カントルム室内合唱団)は、2016年、「瞑想(Meditatio)-休息(Hvild)」(BISSA-2200)と題したアルバムをリリースした。このアルバムでは「諸聖人の祝日(万聖節)」と「死者の日(万霊節)」に毎年行われるコンサートで歌われる、死別の深い悲しみを希望と慰めととらえた、20世紀と21世紀の曲によるプログラムが組まれた。新しいアルバム「瞑想 II(MeditatioII)」も「死に対する人間の思考と感覚」をテーマにした曲によるプログラムで歌われる。アメリカの作曲家ダニエル・エルダーが、アメリカ合衆国陸軍の葬儀や追悼式で演奏されるラッパ信号「Taps(葬送のラッパ)」にホレス・ロレンゾ・トリムが後につけた歌詞による「エレジー」。「グヴズルーンの第4の歌」 (BIS-908) を作曲したアイスランドを代表する作曲家のひとり、ヘイクル・トウマソンの「私たちの最後の日が」は、ノーベル文学賞受賞者ハトルドウル・ラクスネスの「愛と後悔、別離と死」を詠んだ詩による作品。ユリー・ハウスマンのドイツ語詩のシーグルビョルン・エイナルソによるアイスランド語訳をテクストにしたソウラ・マルテインスドウッティルの「主よ、わたしの手を取りお導き頂きたい」。ウェールズのポール・ミーラーがグレゴリオ聖歌の歌詞に作曲した「慈しみと愛のあるところ」。ポーランドのパヴェル・ウカシェフスキの「ルカによる福音書」による「主よ、今こそあなたは」。エリック・ウィテカーの「眠り」。「死者のためのミサ」「ミサ通常文」による作品も歌われる。聖体拝領の讃美歌「めでたし、乙女マリアより生まれ給いしまことの御体よ」をテクストにしたアイスランドのアウズル・グヴズヨンセンと、スコラ・カントルムのメンバーだったシーグルズル・セーヴァルソンの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。ラテン語のアンティフォン「天使があなたを天国に運んでくださるように」によるウクライナのガリーナ・グリゴリエヴァとエストニアのパルト・ウースベリの「天国に」。スコラ・カントルムのメンバー、フレイザル・インギ・ソルステインソンの「ルクス・エテルナ(永遠の光)」とビョルン・ソーラレンセンの「アニュス・デイ(神の子羊)」。アメリカ在住のノルウェーの作曲家オーラ・ヤイロの「サンクトゥス:ロンドン」は、単独の曲として作られた作品。アイスランドの伝承曲「ねんねん坊や」と「谷は美しくとも」は、それぞれ、ハフステイン・ソウロウルソンとジョン・ハーンの編曲で歌われる。レイキャヴィーク・スコラ・カントルムの創設者ホルズル・アウスケルソンの指揮。アイスランドの南部、スカウルホルトの教会でのセッション録音。
BISSA-2620
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BIS 創業者バール大推薦、ユーハン・ダーレネ
 ニルセン:ヴァイオリン協奏曲 Op.33, FS 61
 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
ユーハン・ダーレネ(Vn)
ヨン・ストゥールゴールズ指揮
ロイヤル・ストックホルムpo.
 録音:2021年6月7日-10日、ストックホルム・コンサートホール、スウェーデン。スウェーデンのBISレーベルの社主ロベルト・フォン・バール氏大推薦のヴァイオリニスト、ユーハン・ダーレネ。バール氏はダーレネが9歳の時からその才能を見出し、高く評価してきた。また「ここ10年の間でもっとも素晴らしいヴァイオリニストのデビュー作のひとつ」(「BBC MusicMagazine」)、「ダーレネの演奏には、彼が特別な感受性をもった音楽家だとわかる「存在」が感じられる」(「Gramophone」)など、各国のメディアからも高く評価されている。BISレーベルからはチャイコフスキーとバーバーのヴァイオリン協奏曲(BISSA-2440)と北欧の19世紀から20世紀を代表する作曲家のヴァイオリンとピアノのための作品を集めた「北欧ラプソディ」(BISSA-2560)をリリースしている。期待の高まる第3弾では北欧を代表するニルセンとシベリウスのヴァイオリン協奏曲を録音した。ダーレネは2019年に開かれたカール・ニルセン国際音楽コンクールで優勝。同年11月には初来日を果たし、ニコライ・スナイダー指揮日本po. との共演で、ニルセンを披露。その圧倒的な演奏で聴衆を沸かせており、日本のファンも待望の録音と言える。カップリングのシベリウスも圧巻。こちらもダーレネお得意の作品で、天性の音程感とブリリアントな音色で驚くべき演奏を聴かせてくれる。ダーレネは2000年スウェーデンのノルショーピング生まれ。4歳からヴァイオリンを習い、3年後、初めてプロのso. と共演した。王立ストックホルム音楽大学でペール・エーノクソンに学び、ドラ・シュヴァルツベルク、パメラ・フランク、ゲルハルト・シュルツ、デトレフ・ハーン、ヘンニング・クラッゲルードのマスタークラスに参加している。ヨーロッパ、中国、南アフリカのオーケストラにソリストとして客演、ローランド・ペンティネン、イングリ・アンスネスたちの共演でリサイタルに出演。また、2018年には「ノルウェー・クレッシェンド」プログラムでジャニーヌ・ヤンセン、レイフ・オヴェ・アンスネス、ギドン・クレーメルに教わった。新時代、クラシック界を牽引する逸材、要注目。彼の弾くヴァイオリンは、1736年製のアントニオ・ストラディヴァリウス。オスロの「アンデシュ・スヴェオース公益基金」から貸与された楽器。
BISSA-2623
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「別れ」〜別れの歌
 ヘルビング:「音楽の試み」〜モンタンとララゲ / フライシャー:眠りに/クラヴィーア曲
 モーツァルト:別れの歌 K.519 /クローエに K.524 /
        ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたとき K.520 /夕べの想い K.523
 ヴォルフ:クラヴィーア曲へ
 ハイドン:見捨てられた少女 Hob.XXVIa: 5 /私を忘れないで Hob.XXVIa: 46 /人生は夢 Hob.XXVIa: 21 /
      カンタータ「ナクソスのアリアンナ」 Hob.XXVIb: 2

 キャロリン・サンプソン(S) クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:
   ポール・マクナルティ、2009年製作〔モデル:アントン・ヴァルター、1805年製作〕
 録音:2021年4月22日-24日、殉教者聖サイラス教会、ケンティッシュ・タウン、ロンドン。フォルテピアノ奏者のクリスティアン・ベザイデンホウトがBISレーベルに初登場!キャロリン・サンプソンと18世紀のドイツ、オーストリアで活躍した作曲家の歌曲を録音した。ここでの注目はモーツァルトやハイドンだけでなく、彼らと同時代を生きた作曲家の作品も収録していること。現在演奏される機会がほとんどないアウグスト・ベルンハルト・ヴァレンティン・ヘルビング(1735-66)、フリードリヒ・ゴットロープ・フライシャー(1722-1806)、ミヒャエル・クリスティアン・ヴォルフ(1707-1789)の作品もとりあげている。ヘルビング、フライシャー、ヴォルフはともにドイツのオルガニスト、作曲家として活躍。ヘルビングは父から音楽の手ほどきを受け、10歳のときにはマクデブルク大聖堂聖歌隊学校に入学。その後同大聖堂のオルガニストとなるものの31歳の若さで没した。70曲の歌曲を集めた2つの曲集「音楽の楽しみ」「音楽の試み」を残しており、当アルバムに収録した「モンタンとララゲ」は「音楽の試み」からの作品。フライシャーは当時、歌曲を広く流布したものの現在は演奏される機会がほとんどない。ヴォルフはシュテッティンの教会オルガニストを長く務めた作曲家。彼の作品がベルリンやライプツィヒでも出版されていたことからその名がある程度知られていたことはうかがえるものの、現在では演奏されることはほとんどない。鍵盤楽器書法は非常に斬新でヴォルフ独自の作風と言える。サンプソンとベザイデンホウトはそれらの作品とモーツァルトとハイドンを演奏。当時の音楽がいかに優れていたかを表している。楽器はアントン・ヴァルター製作のレプリカで、ポール・マクナルティ製作によるフォルテピアノを使用している。
織られた光〜ヴィート・パルンボ(1972-):
 ヴァイオリン協奏曲(2015) (*) /
 エレクトリック・ヴァイオリンとエレクトロニクスのためのシャコンヌ〔織られた光/闇の中の輝き〕(2019-20) (#)

 フランチェスコ・ドラツィオ(Vn;*/エレクトリックVn;#)
 リー・レイノルズ指揮 LSO 、フランチェスコ・アブレシア(ライヴ・エレクトロニクス)
 録音:2016年9月17日、アビーロード・スタジオ第1スタジオ、ロンドン(*) /2021年1月19日-20日、モーラ・ディ・バーリ、イタリア(#) |使用楽器:ヴァイオリン: Giuseppe Guarneri, Cremona 1711 /エレクトリック・ヴァイオリン(5弦): Alter Ego (2007) /エレクトロニクス: Csound, Cycling '74 Max MS-P 。イタリアの作曲家ヴィート・パルンボは、シエナのキジアーナ音楽院を卒業、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミアの大学院でアツィオ・コルギに学びました。特別奨学生としてルチアーノ・ベリオに師事。ポストモダーンの実験的作品からキャリアをスタートさせ、高評価を獲得するとともに数々の賞を受けた。室内楽の作品、イタロ・カルヴィーノの「木のぼり男爵」によるオペラ=モノローグ「Sinforosa」やエミリ・ディキンソンの詩に基づく室内歌劇「Comuni-canti」といった声楽作品を発表。近年は、大編成の管弦楽作品やソロ楽器とオーケストラの協奏曲などを数多く手がけ、RAI国立so.、LSO、スウェーデンのヤヴレso. によって演奏されている。パルンボは天文学に関心を寄せ、「無限の宇宙エネルギーにくらべれば、われわれは小さな孤立する点でしかない」ことを示すように、単一の長大な楽章の内に抽象的な「コア・サウンド」を見出すことに狙いを定めていると言われる。このアルバムには、イタリアのバーリ生まれのヴァイオリニスト、フランチェスコ・ドラツィオのソロによるパルンボのヴァイオリン作品が2曲、収録されている。「ヴァイオリン協奏曲」は、単一楽章で書かれた演奏時間約31分の作品。「ベルクの名残」(ヴィート・パルンボ)のある「ほろ苦いリリシズム」の音楽。「「無」に始まり「無」に帰る」循環構造のスタイルがとられている。LSOがリー・レイノルズの指揮で共演している。「シャコンヌ」は、パルンボが緻密で正確な作曲技術とともに師コルギから受け継いだ、作曲の中心に音楽的「歴史の記憶」を置くという考えが、「過去の余韻」を思い起こさせる曲名に反映されている。「Woven Lights(織られた光)」と「The Glows in the Dark(闇の中の輝き)」の2楽章で書かれ、5弦エレクトリック・ヴァイオリンとエレクトロニクスにより演奏される。バーリのニコロ・ピッチンニ音楽院で作曲と電子音楽を学んだフランチェスコ・アブレシアがライヴ・エレクトロニクスを担当している。2010年に「イタリア音楽評論家協会」の最優秀ソリストに授与されるアッビアーティ賞(Premio Abbiati)を受賞したドラツィオの初めてのBIS録音。
BISSA-2627
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「レッスンズ」〜ジョン・ダウランド:リュート作品集
 プレリュード P 98 /ファンシー P 73 /蛙のガリアード P 23a /別れ(イン・ノミネ) P 4 /
 ファンシー P 6 /エリザベス女王のガリアード P 41 /失われし望みのファンシー P 2 /
 ダービー伯爵ファーディナンド閣下のガリアード P 44a /去り行く定め P 69 /彼女は許してくれようか P 42 /
 男ひとりに女ひとり P 10 /ジョン・スミス卿のアルメイン P 47 /オルランドは眠る P 61 /
 レディー・ハンズドンのパフ P 54 /いつもダウランド、いつも悲しく P 9 /デンマーク王のガリアード P 40 /
 ファンタジア P 1a /艦長パイパーのパヴァン P 8 /ファンシー P 5 /ラクリメ P 15 /ラクリメによるガリアード P 46

 ユーナス・ヌードベリ(リュート|使用楽器:9コース・バロックリュート、弦長 65cm 、a'= 392 Hz 、
   Built in 2015 by Lars Jonsson after an original by Magno Tieffenbrucker,
     strung in gut with mineral-loaded bass strings
  録音:2021年3月8日-10日、 15日-17日、デヴボ教会、スウェーデン。カプスペルガーのキタローネのためのタブラチュア曲集(BISSA-2417)でも高く評価されたバロックギターの名手ユーナス・ヌードベリがついにジョン・ダウランドのリュート作品を録音した。ヌードベリはザルツブルク・モーツァルテウム、ストックホルム音楽大学にて研鑽を積み、16世紀初頭から18世紀中ごろまでのテオルボ、リュート作品を中心に膨大なレパートリーを誇る名手で現在ヨーロッパを中心に活躍している。ジョン・ダウランドの息子ロバートが1610年に出版した「さまざまなリュート練習曲集からの音楽」。この曲集にはジョンの「エリザベス女王のガリアードP41」「ダービー伯爵ファーディナンド閣下のガリアードP44a」「ジョン・スミス卿のアルメインP47」「デンマーク王のガリアードP40」「ファンタジアP1a」が含まれている。「(練習曲集)レッスンズ」ながらいわゆる練習曲ではなく高い演奏技術を要する。ヌードベリの心温まる演奏でダウランドの世界をご堪能いただきたい。
BISSA-2630
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国境なきピアノ曲
 バルトーク:ピアノ・ソナタ Sz.80
 ミトロプーロス:パッサカリア、間奏曲とフーガ(1924)
 サイグン:ピアノ・ソナタ Op.76
 エネスク:ピアノ・ソナタ第3番 ニ長調 Op.24 No.3
ジャン・チャクムル(P
使用楽器:シゲル・カワイ SK-EX
 コンサート・グランド
 録音:2021年5月17日-20日、テスマー・トンスタジオ、ハノーファー。2018年浜松国際ピアノ・コンクール優勝者ジャン・チャクムル。1997年トルコ生まれの彼にぴったりなレパートリーによる意 欲的アルバムの登場。いずれも興味深い曲で、バルトークの「ピアノ・ソナタ」のような名作や、リパッティの名録音で知られるエネスクのピアノ・ソナタ第3番をチャクムル最新の若さはじける演奏で聴けるのは大歓迎。 注目なのが大指揮者ミトロプーロスのピアノ曲「パッサカリア、間奏曲とフーガ」。ミトロプーロスはピアノの名 手としてプロコフィエフやクシェネクの協奏曲を弾き振りで録音したほか、ブゾーニ門下の作曲家としても先鋭的感覚の作品を残している。「パッサカリア、間奏曲とフーガ」はベルリン国立歌劇場でエーリヒ・クライバーの助手を務めていた時期の作で、複雑な技法に驚かされる。さらに嬉しいのがチェクムル同郷の偉大な先達アフメド・アドナン・サイグン(1907-91)のピアノ・ソナタ。サイグンはトルコ最大の作曲家で、バルトークのように自国の民俗音楽を研究して作品に採り入れた。「ピアノ・ソナタ」は4楽章23分の大作で、死の数日前に完成した最後の作品。民俗音楽を見事に昇華させているが、さすがチャクムルはそれを肌で理解し、最高の説得力豊かな世界を語っている。4曲いずれも難技巧とエネルギーが要求され、構成力が試される多楽章形式ながら、チャクムルは余裕の指さばきで、全く新しい生命力を作品に吹き込んでいる。
BISSA-2632
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黄昏〜レスピーギ:歌曲集
 森の神々 P 107 (1917) (5曲)/6つのメロディ P 89 (1909) より〔第1曲 深い海の底で/第2曲 あきらめ〕/
 対照 P 66 (1906) /最後の陶酔 P 8 (1896) /ストロネッロを歌う女 P 69 (1906) /5つの古風な歌 P 71 (1906) /
 短いお話 P 52 (1904) /6つの歌第2集 P 97 (1912) 〜第4曲 古のクリスマス祝歌/
 6つの歌第1集 P 90 (1909) より〔第6曲 雨/第1曲 三日月よ〕/涙 P 9 (1896) /
 4つのスコットランド民謡 P 143 (1924) /夜想曲 P 11 (1896) /霧 P 64 (1906)

 ティモシー・ファロン(T) アミエル・ブシャケヴィッチ(P)
 録音:2021年7月6日-9日、バイエルン放送、ミュンヘン、ドイツ。 マレク・ヤノフスキもその実力を認めるテノール、ティモシー・ファロン。リストの歌曲集(BISSA-2272)でも注目されたが今回はレスピーギを録音した。レスピーギといえば「ローマ三部作」があまりにも有名だが、色彩豊かな旋律が魅力の美しい歌曲も多く作曲している。詩はアントニオ・ルビーノ(1880-1964)、アダ・ネグリ(1870-1945)、カルロ・ザンガリーニ(1874-1943)、象徴主義者ガブリエーレ・ダンヌンツィオ(1863-1938)など、レスピーギの多彩なスタイルと幅広い文学的インスピレーションが発揮されている。ティモシー・ファロンはジュリアード音楽院で学んだアメリカ系のテノール歌手。マリリン・ホーンに師事したあと、2013年に開かれたウィグモア・ホール歌曲コンクールで優勝した実力派で、これまで鈴木雅明、ヘルムート・リリング、マリン・オルソップなど世界の名だたる指揮者と共演している。エレガントでビロードのような明るさからダイナミズムの幅が広い声の持ち主。豊かな表現力でレスピーギの歌曲を歌い上げる。
ギティ・ラザズ(1986-):
 チェロ八重奏のための「 The Strange Highway 」(2011)
  [オール・アメリカン・チェロ・バンド〔ジュリー・アルバース、ジェイク・ブラウン、
   デニス・ジョキッチ、ポール・ドワイヤー、ケン・オルセン、ディヴィッド・レクイロ、サリナ・チャン、
   サイウン・ソルステインスドッティル(Vc)〕/2010年11月11日、アイ湾音楽堂、アムステルダム、ライヴ]/
 ヴァイオリンとピアノのためのデュオ(2007) [フランチェスカ・デパスケール(Vn) スコット・ケラー(P)/
   2021年1月28日、オーバリン大学、オーバリン、セッション]/
 録音されたチェロと電子楽器のための「 Legend of Sigh 」(2015) (*) /
 無伴奏ヴィオラのための「 Spellbound 」(2020) (#)
  [インバル・セゲフ(Vc;*) カタリーナ・カン・リットン(Va;#)/2021年2月20日(*)、2021年9月16日(#)、
   オクターヴェン・オーディオ、ニューヨーク、セッション(*/#) ]/
 室内オーケストラと電子楽器のための「 Metamorphosis of Narcissus 」(2011) [アンドルー・シア指揮
   メトロポリス・アンサンブル/2011年1月27日、ル・ポワソン・ルージュ、ニューヨーク、ライヴ]
 録音:[/内]。『中東のルーツが西洋の感性と融合して、オリジナルかつ驚くべき音楽を生み出すユニークな作曲家』(ジョン・コリリアーノ)。師コリリアーノが激賞する若手女性作曲家ラザズの作品集。1986年生まれのイラン系アメリカ人女性作曲家ギティ・ラザズ。ジュリアード音楽院でジョン・コリリアーノ、サミュエル・アドラー、ロバート・ビーザーら著名な作曲家に師事し、作曲の学士号と修士号を取得し卒業した。2016/2017シーズンにはアートやサブカルチャーを牽引する場所として知られるニューヨーク、ブルックリンのウィリアムズバーグ地区の小さなホール「ナショナル・ソーダスト」のコンポーザー・イン・レジデンスを務め注目された。師コリリアーノは「中東のルーツが西洋の感性と融合して、オリジナルかつ驚くべき音楽を生み出すユニークな作曲家」と激賞している。当アルバムには5篇を収録。電子楽器も交えた彼女の音楽はまさに唯一無二。今後要注目の作曲家。
BISSA-2636
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(HYBRID_SACD)
ペーパームーン〜ギターのための歌曲編曲集
 マノス・ハジダキス(1925-1994) /
   ローラン・ディアンス(1955-2016) (*)、オレスティス・カランパリキス(1981-)編曲:
  ペーパームーン/草地の浮浪児たち/ヒュメットゥス/郵便配達夫は死んだ(*) /高貴なご婦人/このボートの中で/
  月へ散歩に出かけよう/御者/わたしには秘密がある/かわいいラルー/大海原(*) /ジャスミンの甘い香り
 レオ・ブローウェル(1939-):郷愁への前奏曲(2020)

 エレナ・パパンドレウ(G|使用楽器: La Anorada, 1992, Jose Luis Romanillos
 録音:2022年2月6日-10日、聖ニコデモ教会、ベルリン。「ワシントン・ポスト紙」から「ギターの詩人」と呼ばれたアテネ生まれのエレナ・パパンドレウのBISレーベル第4弾!ニキータ・コシュキンのギター作品を弾いた第1作(BIS-1236)につづいて録音した「エレナ・パパンドレウ、ローラン・ディアンスを弾く」(BIS-1366)は、「われわれの時代のもっともインスピレーション豊かなギター作品の決定的な演奏が含まれる」(Classical Guitar Magazine)といった好評を得てきた。「ペーパームーン」と題した新作は、彼女が若いころから友人たちに歌っては感動させたというマノス・ハジダキス(1925-1994)の作品とキューバのレオ・ブローウェル(1939-)の作品によるプログラムが組まれた。ハジダキスは、映画「日曜はダメよ」の主題歌が1961年の第33回アカデミー賞歌曲賞を受賞し世界的に知られ、映画音楽の作曲を手がけるとともに多くのポップソングを作った。このアルバムでパパンドレウは、ハジダキスのポップソングの中からフランスの有名なギタリストで作曲家のローラン・ディアンス(1955-2016)と彼にパリ国立高等音楽舞踊学校で学んだギリシャのギタリスト、オレスティス・カランパリキス(1981-)による「ギター編曲」の12曲を演奏している。ディアンスが1997年の初めてのギリシャ・コンサートでアンコールに弾いた「The Postman Is Dead(郵便配達夫は死んだ)」と彼がカランパリキスに手稿譜を献呈した「Wide Open Sea(大海原)」。ロマンティックな夜の香りの「Paper Moon(ペーパームーン)」。現代ギリシャ社会を批判した「The Urchinsdown in the Meadow(草地の浮浪児たち)」。アテネを取り囲む山脈「Hymettus(ヒュメットゥス)」。女の悲しい物語「Noble Dame(高貴なご婦人)」。恋する人をひとり想う「In This Boat(このボートの中で)」と「A Stroll to the Moon(月へ散歩に出かけよう)」。恋の歌「The Coachman(御者)」。恋に落ちたティーンエイジの娘の「I Have a Secret(わたしには秘密がある)」。40人の勇ましい若者がひとりの美女の心をつかもうとする「Little Rallou(かわいいラルー)」。「決して甘くはない」とカランパリキスが語る「Sweet Smell of Jasmine(ジャスミンの甘い香り)」。「ハジダキスの歌を一枚のアルバムに作る」というディアンスとの夢を引き継いだカランパリキスが10曲の編曲を手がけた。プログラムの最後、ブローウェルがハジダキスの「Nanourisma(子守歌)」からインスピレーションを得て作曲しパパンドレウに捧げた「郷愁への前奏曲」が演奏される。
BISSA-2637
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(HYBRID_SACD)
バッハ・オン・ザ・ファゴット〜J.S.バッハ(1685-1750):
 パルティータ第2番 ハ短調 BWV.826 (ブラム・ファン・サムベーク編曲|ファゴット八重奏版[多重録音])/
 フランス組曲第5番 ト長調 BWV.816 (ティーモ・ウィンド編曲|ファゴット版)/
 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV.1013 (ウィリアム・ウォーターハウス編曲|ファゴット版)/
 無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV.1007 (ブラム・ファン・サムベーク編曲|ファゴット版)

 ブラム・ファン・サムベーク(Fg|使用楽器: Heckel, 1970 )
 録音:2021年6月、9月、ドゥシュホルム・カペル、ダンデリード、スウェーデン。BISレーベルから非常に積極的なリリースが続いているファゴット奏者ブラム・ファン・サムベーク。ファゴットの新たな可能性を引き出したユニークな企画で注目を集めている。今回はオール・バッハ・プログラムに挑戦。鍵盤、フルート、チェロに書かれた独奏作品をファゴットで演奏した。注目はパルティータ第2番 ハ短調 BWV.826。バッハの鍵盤作品中、最も有名かつ人気の作品だが、サムベークは自身の編曲でなんと8重奏版で多重録音した。長引くコロナ禍、「美しい曲や、実際のハーモニーを奏でたい」という、アンサンブルをこよなく愛するサムベークの強い思いがありこの編曲に挑戦したとのこと。多重録音の場合、通常はメトロノームやクリック・トラックで合わせて録音するが、それで出来上がる音楽はいくら自分自身の演奏といえどもニュアンス、フレージングの面での問題があり、ましてや8つのパートを豊かなアンサンブルにしあげるのは至難の業。そこでニュアンス、フレージングだけでなく音程を保つ上でも重要となる、いわば骨組みとなる“第9パート "「fagotto hypothetico= 仮設のファゴット」を作曲。それはベースラインを示すだけでなく、複雑に絡み合う声部、バッハの精巧な対位法を表現するために重要な物。これを最初に録音し、各パートの録音の際にこれを聴きながら演奏した。それで仕上がった演奏は、まるで8人いるサムベークがアンサンブルを楽しみながら演奏しているような驚きの出来栄え。「当曲は自分にとって、今回の災禍を象徴するものとなった」と語るサムベーク、渾身の演奏。(完成した録音には「fagotto hypothetico」は収録されていないが、ブックレット裏にその一部の楽譜が掲載されている)。このほかフランス組曲第5番 ト長調 BWV.816(ウィンド編)、無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV.1013(ウォーターハウス編)、無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV.1007(サムベーク編)の3篇はファゴット独奏での編曲版。多重録音したパルティータ第2番での大きな成果もあり、演奏はより自由に、原曲の魅力を持ち合わせながらファゴットが持つ音域とサムベークでしか表現することのできない驚きの演奏を披露している。独奏楽器としてはなかなか主役にはならないファゴットだが、このアルバムを聴けばその魅力に気づかされる。
BISSA-2640
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(3 HYBRID_SACD)
2枚価格
ブリテン:弦楽四重奏のための作品全集
 弦楽四重奏曲〔第2番 ハ長調 Op.36 (1945) /ニ長調(1931/74) /
        第1番 ニ長調 Op.25 (1941) /第3番 Op.94 (1975) /ヘ調(1928) 〕/
 3つのディヴェルティメント(1936) /小組曲(1929) /アラ・マルシア(1933) /
 シンプル・シンフォニー Op.4 (1933-34) /ラプソディ(1929) /小弦楽四重奏曲(1930) /幻想曲 ヘ短調(1932)

 エンペラーSQ [マーティン・バージェス(Vn1) クレア・ヘイズ(Vn2)
         フィオナ・ボンズ(Va) ウィリアム・スコフィールド(Vc)]
 録音:2005年5月、2007年3月、2011年4月、すべてポットンホール、サフォーク州、 UK | BISSA-1540, BISSA-1570, BISSA-1870 のセット化|クラムシェル・ボックス仕様。エンペラー四重奏団によるブリテンの「弦楽四重奏のための音楽」がお買い得なセットになってリリース。イギリスが誇るエンペラー四重奏団が生き生きとした躍動感と緻密なアンサンブルでブリテンの世界を魅力的に演奏している。
BISSA-2642
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(HYBRID_SACD)
ヴァンスカのユン・イサン〜尹伊桑
 管弦楽のための伝説「新羅」(1992) /
 ヴァイオリン協奏曲第3番 (1992) (*) /
 室内交響曲第1番 (1987)
パク・スーイエ(Vn;*)
オスモ・ヴァンスカ指揮
ソウルpo.
 録音:2021年8月30日-9月3日、ロッテコンサートホール、ソウル。ヴァンスカが尹伊桑作品に挑戦した。それも2020年から音楽監督を務めているソウル・フィルとの共演という興味深い物。ユン・イサン(1917-1995)は現代作曲家としては珍しく録音に恵まれているが、オーケストラ曲はドイツをはじめとする外国の団体ばかりだった。彼はスパイ容疑で1967年にKCIAに拉致・強制送還され死刑宣告を受けた。69年に特赦で釈放されたものの、国外追放となり二度と祖国の地を踏むことはできなかった。今日では韓国でも大作曲家とみなされているが、ソウル・フィル級のオーケストラによるセッション録音の登場は画期的で、歴史的快挙とさえ言えよう。収録された3曲はいずれも後期作品で、1992年の「新羅」は最後のオーケストラ曲。ヴァンスカのどこか東洋的な静謐さと透明感がユン・イサン作品にぴったりで、シベリウスさえ思わせる。同年のヴァイオリン協奏曲第3番は2000年生まれの若手パク・スーイエが独奏を務めているのが注目。彼女の初協奏曲録音ともなり、驚くべき成熟と激しい気質を示しているのが驚き。
BISSA-2645
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(HYBRID_SACD)
愛の痛み〜カウンターテナーによるオペラ・アリア集
 リッカルド・ブロスキ(1698頃-1756):
  歌劇「アルタセルセ」第3幕第1場〜アルバーチェのアリア「私は波間に揺れる船のようだ」/
 エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニ(1708-1775):歌劇「トラキアの王デモフォンテ」よりティマンテのアリア
  〔第3幕第5場 哀れな子/第1幕第4場 嵐が弱まることを〕
 ヘンデル(1685-1759):
  歌劇「ジュリオ・チェーザレ」HWV.17 序曲/
  歌劇「リナルド」 HWV.7 〜第2幕第4場 アルミレーナのアリア「私を泣かせて下さい」/
  歌劇「セルセ」 HWV.40 より セルセのアリア
   〔第1幕第1場 オンブラ・マイ・フ/第3幕第9場 恐るべき冥府の復讐の女神よ〕
 ヴィヴァルディ(1678-1741):
  歌劇「ファルナーチェ」 RV.711 〜第2幕第6場 ファルナーチェのアリア「凍りついたようにあらゆる血管を」/
  歌劇「怒れるオルランド」 RV.728 より〔第1幕第5場 オルランドのアリア「真っ暗な深淵の世界に」/
                     第1幕第12場 ルッジェーロのアリア「あなただけに、僕の愛しい人」〕/
  歌劇「狂えるファルナーチェ」 RV.711 〜第1幕シンフォニア/
  歌劇「ティエテベルガ」 RV.737 〜第2幕第13場 ロターリオのアリア「私の胸の中に」

 ニコロ・バルドゥッチ(CT) ダン・ラウリン(リコーダー)指揮
 バロック・アカデミー・ヨーテボリ・シンフォニー
 ソル・ドヒョ(テオルボ/バロックG) アンナ・パラディソ(Cemb)
 録音:2022年3月7日-11日、ヨンセレード教会、パーティレ、スウェーデン。ナポリのカンタータとアリアを集めた「カストラポリス」(BISSA-2585)のソリストに起用されたニコロ・バルドゥッチ(1999-)のアルバム第2作。カストラート歌手ファリネッリの兄、リッカルド・ブロスキの歌劇「アルタセルセ」のアリア、エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニのロンドンで上演された歌劇「トラキアの王デモフォンテ」からティマンテの2曲のアリア、ヘンデルの歌劇「セルセ」の「オンブラ・マイ・フ」の名で親しまれているアリア、失われた歌劇「ティエテベルガ」のためにヴィヴァルディが書いたロターリオのアリア「私の胸の中に」などに序曲とシンフォニアを加えたプログラムを歌っている。「楽しそうにのびのびと歌う」(「Opera Wire」)。前作を企画したダン・ラウリンの指揮。「バロック・アカデミー・ヨーテボリ・シンフォニー」は、2008年ごろに設立された約20人のピリオド楽器アンサンブル。
BISSA-2647
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(HYBRID_SACD)
モーツァルト
 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 (*) /クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 (#)
リチャード・バーチャル(1984-):バセット・クラリネット協奏曲「マイケル・コリンズのために」(2020) (+)

 マイケル・コリンズ(バセットCl)指揮(*)
 ロビン・オニール指揮(+) フィルハーモニアo.(*/+)
 ウィグモア・ソロイスツ(#)
  [アレクサンドル・シトコヴェツキー(Vn1) アナベル・メアー(Vn2)
   イザベル・ファン・クーレン(Va) エイドリアン・ブレンデル(Vc)]
 録音:2021年4月8日-9日、ヘンリー・ウッド・ホール、ロンドン(*/+) /2021年8月21日、メニューイン・ホール、メニューイン音楽学校、ストーク・ダバノン(#) 。クラリネットの鬼 才マイケル・コリンズがモーツァルトのクラリネット協奏曲とクラリネット五重奏曲を録音!カップリングはイギリスの作曲家リチャード・バーチャルの協奏曲。モーツァルトは当時の名手アントン・シュタードラー(1753-1812)のために、バーチャルはコリンズのために作曲。それぞれ名手のために捧げられた曲を組み合わせた注目作。楽器は全曲バセット・クラリネットを用いて演奏している。この楽器はA管クラリネットよりも4つの低音(Es 、D 、Des 、C)までの音域を出せるのが特徴 。バセット・ホルンの名 手だったシュタードラーが同じ音域を出せるバセット・クラリネットを演奏したことで名曲が誕 生した。クラリネット五重奏曲はコリンズ、イザベル・ファン・クーレンが中心となり2020年に結成した可変アンサンブル「ウィグモア・ソロイスツ」が演奏している。当演奏ではイザベル・ファン・クーレンがヴィオラを、アレクサンドル・シトコヴェツキーが第1ヴァイオリンをアルフレート・ブレンデルの息子エイドリアンがチェロを務めるなど、名手が揃ったアンサンブルの演奏でお楽しみ頂ける。1984年生まれのリチャード・バーチャルはケンブリッジ大学とギルドホール音楽演劇学校で学んだ音楽家。2010年までpo. のチェリストとして活躍し、現在は作曲家、編曲家としての活動を中心に多彩なキャリアを築いており、チェロ協奏曲「ラビリンス」、語りとチェロ八重奏のための「不思議の国のアリス」などで評 価されている。バセット・クラリネットと管弦楽のための協奏曲はコリンズに捧げた2020年の作品。3楽章構成(I. Metamorphosis / II. Still Life / III. ImpossibleConstruction)、演奏時間約20分のこの作品は非常にドラマティックに展開し、バセット・クラリネットとオーケストラとの絡みがなんとも魅力的。当楽器にしか出せない音域が随所に現れ、コリンズが情感豊かに演奏する。
BISSA-2652
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(HYBRID_SACD)
シマノフスキ
 神話 Op.30 /ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.9 /ロマンス ニ長調 Op.23 /
 夜想曲とタランテラ Op.28 /アイタコ・エニアの子守歌 Op.52
 スーイエ・パク(Vn|使用楽器:アントニ・ストラディヴァリウス、1724年製
  〔使用弓:ハインリヒ・カール・クノッフ、1865年製〕

 ローランド・ペンティネン(P|使用楽器:スタインウェイ D, 1929
 録音:2021年11月22日-25日、2022年4月11日-12日、ニコデマス教会、ベルリン。韓国若手期待のヴァイオリニスト、スーイエ・パク。BISレーベルから非常に積極的なリリースが続いているが、当アルバムでは名手ローランド・ペンティネンとオール・シマノフスキ・プログラムに挑戦した。ヴァイオリン・ソナタ ニ短調は初期作ながら既に独自の個性があらわれた作品。「ロマンス」や「夜想曲とタランテラ」はシマノフスキらしい独特の音楽表現が実に魅力的。そしてギリシャ神話を題材にした「神話」は、ヴァイオリンのあらゆる技巧が散りばめられた意欲作。別次元の音楽世界に誘われるシマノフスキの作品は技巧面での難しさ故、録音が少ないだけに名手2人による当盤登場は大歓迎。
BISSA-2669
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(3 HYBRID_SACD)
ローベルト・シューマン(1810-1856):交響曲全集、序曲集
 交響曲〔第1番 変ロ長調 Op.38 「春」/第2番 ハ長調 Op.61 /第3番 変ホ長調 Op.97 「ライン」/
     第4番 ニ短調 Op.120(原典版)/第4番 ニ短調 Op.120(現行版)〕/ツヴィッカウ交響曲/
 序曲、スケルツォとフィナーレ Op.52 /歌劇「ゲノヴェーヴァ」序曲/序曲「メッシーナの花嫁」 Op.100 /
 「ゲーテのファウストからの情景」序曲/序曲「ジュリアス・シーザー」 Op.128 /
 「マンフレッド」序曲 Op.115 /序曲「ヘルマンとドロテア」 Op.136

 トーマス・ダウスゴー指揮スウェーデン室内o.
 録音:2005年3月、2006年3月、10月、12月、2007年5月、8月、エレブルー・コンサートホール、スウェーデン|既出・初出: BISSA-1519, BISSA-1569, BISSA-1619 のセット化|クラムシェル・ボックス仕様。ダウスゴーとスウェーデン室内o. によるシューマンの交響曲&序曲集がセットになって登場する。現代的感覚満点の鮮烈オーケストレーションで独自のカラーを打ち出したシューマンの録音。交響曲第4番は原典版と現行版を収録。また、あまり聴く機会の少ない序曲も含まれていているのも当セットのポイント。小編成で透明なサウンドを持つスウェーデン室内o. の響きが「灰色の管弦楽法」と評されるシューマンのイメージを一新させている。
BISSA-2677
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(5 HYBRID_SACD)
3枚価格
トリオ・ツィンマーマン|「回顧録」〜弦楽三重奏曲集
  [BISSA-2347] J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988
  [BISSA-1817]
   モーツァルト:ディヴェルティメント 変ホ長調 K.563 / シューベルト:弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調 D.471
  [BISSA-2087, BISSA-1857]
   ベートーヴェン:弦楽三重奏曲〔第1番−第4番〕/セレナード ニ長調 Op.8
  [BISSA-2207]
   ヒンデミット:弦楽三重奏曲〔第1番 Op.34 /第2番〕 / シェーンベルク:弦楽三重奏曲 Op.45

 トリオ・ツィンマーマン[フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)
              アントワーヌ・タメスティ(Va) クリスティアン・ポルテラ(Vc)]
 録音:2009年-2018年。フランク・ペーター・ツィンマーマン、アントワン・タメスティ、クリスティアン・ポルテラによるトリオ・ツィンマーマン。これまでBISレーベルに録音してきた5枚のアルバムがお買い得なセットになって登場する。トリオ・ツィンマーマンは2007年に結成。「トリオは自分にとってベストなアンサンブル」と語るツィンマーマンは長年ベストなアンサンブルができる演奏者を探していたが、若きヴィオラ奏者のアントワン・タメスティの演奏に感銘を受け、ツィンマーマンが直々にトリオ結成を懇願。その後タメスティが信頼を寄せるチェリスト、クリスティアン・ポルテラにオファーしたことによりトリオ・ツィンマーマンが結成した。作品の真価を伝えてくれる彼らの演奏は結成当初から高く評価され、これまでJ.S.バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シェーンベルク、ヒンデミットを録音している。バッハのゴルトベルク変奏曲では「できる限り編曲やオクターヴ移動を施さず、基本的にバッハのスコアを詳らかにするような弦楽三重奏版を提案したい」と考え彼ら自身の編曲版で録音。弦楽器で奏することの意義が明確に伝わって来る快演を披露してくれた。モーツァルトのディヴェルティメントではレコード芸術誌の特集「新時代の名曲名盤500」で、ほぼすべての撰者が満点をつけた名録音。「緻密なアンサンブルで最高水準の成果を示した演奏史の馬鹿でも出色の出来」と評されている。ヒンデミットの弦楽三重奏曲第1番は1924年、第2番は1933年の産物。この年代の作品は新即物主義、新古典主義への移行とともに弦楽奏者ヒンデミットならではの各楽器の特性を熟知した非常に豊かな響きが魅力的。単一楽章からなるシェーンベルクの弦楽三重奏曲は1946年の作品。生涯12音音楽の旗手として重きをなす存在であったシェーンベルク晩年の傑作。F. P. ツィンマーマンが厚い信頼を寄せるタメスティ、ポルテラとともに極上の弦楽トリオの演奏をお楽しみ頂きたい。ブックレットはオリジナルの5冊がクラムシェル・ボックスに封入されている。
BISSA-2709
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(3 HYBRID_SACD)
ステーンハンマル:弦楽四重奏曲全集
 弦楽四重奏曲〔第1番 ハ長調 Op.2 (1894) /第2番 ハ短調 Op.14 (1896) /第3番 ヘ長調 Op.18 (1897-1900) /
        第4番 イ短調 Op.25 (1904-09) /第5番 ハ長調 Op.29「セレナード」(1910) /
        第6番 ニ短調 Op.35 (1916) /ヘ短調(1897) 〕/
 組曲「ロドレッシの歌」〜エレジーと間奏曲 Op.39 (1919)

 ステーンハンマルSQ [ペータ・オロフソン(Vn1) ペール・エマン(Vn2)
   トニー・バウアー(Va) マッツ・オロフソン(Vc)]
 録音:2011年4月、10月、2012年6月、12月、2013年9月、2013年12月|既出・初出: BISSA-1659, BISSA-2009, BISSA-2019 のセット化|クラムシェル・ボックス仕様。スウェーデンを代表する作曲家、ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871-1927)。その名を冠したステーンハンマル弦楽四重奏団による弦楽四重奏曲全集がセットになって登場する。ステーンハンマルは交響曲、協奏曲、声楽曲、オペラなど様々な音楽形態の作品を残しており、巨匠ヘルベルト・ブロムシュテットが積極的に演奏していることで、日本でも人気を高めている作曲家。その中でも弦楽四重奏曲はステーンハンマルの芸術を知る上で最も優れた作品群。当セットには世界初録音となった1897年作曲の ヘ短調の四重奏曲も収録しており、全集としての価値を非常に高めている。2002年に結成したステーンハンマル弦楽四重奏団はその名の通りステーンハンマルの作品を中心に演奏しており、スウェーデン国内外で高い評価を得ている。近年、現代音楽にも力を入れアメリカ、イギリスなどの作曲家から多くの委嘱作品を依頼されている。当クァルテットならではの的確な解釈は、同作品群を知る上で必聴。※ブックレットはオリジナルの3冊がクラムシェル・ボックスに封入されている。

EVIDENCE (仏) 特記以外 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 APARTÉ の妹的な役割を担い、フランスの若手を中心としたリリースのレーベル。 旧譜はこちらから
母のソングブック〜リストによるピアノ編曲版歌曲集 + ペトラルカのソネット
 シューベルト/リスト編曲:糸を紡ぐグレートヒェン/セレナード/魔王/アヴェ・マリア/水に寄せて歌う/若い尼僧/ます
 シューマン/リスト編曲:献呈 / リスト:ペトラルカのソネット〔第47番/第104番/第123番〕
 ショパン/リスト編曲:春/指環/バッカナール/家路

 エレーナ・ロザノヴァ(P)
 録音:2020年6月15日-18日、ボレロ・スタジオ、ヴィルティエリー。エレーナ・ロザノヴァは1969年オデッサ生まれ。モスクワ音楽院でナセトキンとモギレフスキーに学び、ハルモニア・ムンディやコンティヌオ・レーベルからロシア作品によるアルバムをリリースしている。最新アルバムはリストがピアノ用に編曲したシューベルト、シューマン、ショパンの歌曲とリストのペトラルカのソネット集。これらの歌曲は声楽家だったロザノヴァの母が愛唱していたもので、子守歌がわりだった思い出の曲ばかり。ロザノヴァは自身の楽器ピアノでこれらの歌をたっぷり歌いこんでいる。
ラフマニノフ
 ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.36 (1931年改訂版)/前奏曲〔ニ長調 Op.23 No.4 /ロ短調 Op.32 No.10 〕/
 楽興の時 Op.16(全6曲)/ヴォカリーズ Op.34 No.14(アラン・リチャードソン編曲)

 ジャン=ポール・ガスパリアン(P)
 録音:2021年2月、シンガー=ポリニャック財団、パリ。1995年生まれのフランスのピアニスト、ジャン=ポール・ガスパリアンの第3弾はラフマニノフ作品集。パリ音楽院でベロフ、デゼール、チッコリーニ、ダルベルトに師事した彼はフランス・ピアニズムの継承者。第1弾でもラフマニノフの難曲「音の絵」 Op.39をとりあげたが、今回はピアノ・ソナタ第2番をメインに技巧派ぶりを示しつつも、詩的で高貴な世界が魅力。ソナタは改訂版を使用。最後に収められた「ヴォカリーズ」は、ギレリスも愛奏したアラン・リチャードソン編曲版で、ロマンティックに謳いあげている。
ラヴェルへの感化〔編曲:エスプレ(*)、クザン(#)、トリオSR9 (+)〕(CD)
 ラヴェル:スペイン狂詩曲〜祭り(*/p) /夜のガスパール(*)
 ラフマニノフ(クザン編):チェロ・ソナタ Op.19 〜第2楽章 アレグロ・スケルツァンド(#/vc)
 ダニエル・アランゴ=プラダ:3台のプリペアード・マリンバのための「プリズム」(2021)
 ファリャ:はかなき人生〜スペイン舞曲〔第1番(*) /第2番(#) 〕
 フォーレ(編):ゆりかご Op.23 No.1 (+)

 トリオ SR 9 [ポール・シャンガルニエ、ニコラ・クザン、アレクサンドル・エスプレ(マリンバ)]
 カイリー・クリストマンソン(Vo;+) アストリグ・シラノシアン(Vc;vc) シャニ・ディルカ(P;p)
 録音:2021年9月29日、10月27日-31日、シテ・ド・ラ・ミュジーク。10年ほど前にリヨンで結成されたトリオSR9。これまでnaiveレーベルからマリンバ・トリオによるバッハ集やバロック舞曲集をリリースしてきたが、今回はevidenceレーベルからラヴェルを中心とした作品に挑戦。メインは3台のマリンバによる「夜のガスパール」。オリジナルはラヴェル作品中最難のピアノ曲だが、無謀にもマリンバのみにしているのが聴き物。ラヴェルはフランスの作曲家だが、スペインとロシアの音楽から影響を受けているとされる。ここではラフマニノフのチェロ・ソナタのアブない感覚の第2楽章とファリャのフラメンコ風なスペイン舞曲をマリンバで見事に表現している。さらにラヴェルの恩師フォーレの優しい子守歌も収録。3台のマリンバのみならず、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」の祭りにはフォルジュルネ音楽祭でお馴染みのスリランカ系の名手シャニ・ディルカ、ラフマニノフのソナタはアストリグ・シラノシアン、さらにフォーレではカナダのシンガーソングライター、カイリー・クリストマンソンという豪華ゲストが参加しているのも注目。
イタリアのピアノ音楽 1900-20
 マリピエロ:月に寄せる小詩集(全7曲)(1909/10) /
       アーゾロ詩集(全3曲)(1916)
 レスピーギ:甘美なワルツ/夜曲/
       グレゴリオの旋律による3つの前奏曲
ノルベルト・コルディスコ・
 レスピーギ(P)
 録音:2021年10月4日-6日、サル・コロンヌ、パリ。ノルベルト・コルディスコ・レスピーギは、2017年に先祖のレスピーギ自身の4手編曲による「ローマの噴水」と「ローマの松」「リュートのための古風な舞曲とアリア」で鮮烈なデビューを果たしたピアニスト。今回はマリピエロと先祖の独奏曲に挑戦した。1984年生まれ。パリのエコール・ノルマルでヴェロニク・ボヌカズに師事。チッコリーニとルイサダにも個人レッスンを受けている。ピアニストのかたわらBNPパリバ・グループで税務管理をするビジネスマンという顔も持つ異色の名手。どうしてもオペラ中心のイタリア音楽のなかで、マリピエロの「月に寄せる小詩集」はドビュッシー風の音遣いにイタリア的な空気感を感じさせる独特なの世界を作っている。レスピーギの「甘美なワルツ」と「夜曲」は「6つのピアノ曲」の第1、第3曲で、ロマンティックな情感にあふれている。「グレゴリオの旋律による3つの前奏曲」は懐古的な様相を深め、凝った技法によりながらもシンプルに響く。後にオーケストレーションされ「教会のステンドグラス」という作品になった。ノルベルト・コルディスコ・レスピーギはオーケストラ的な迫力と色彩で聴き手を引きつける。
ユディット&セメレ〜ジャケ・ド・ラ・ゲール
 聖書カンタータ「セメレ」/トリオ・ソナタ第4番 ト短調/聖書カンタータ「ユディット」/
 組曲 ト長調(ヴァイオリンでも演奏可能なクラヴサン小品集)

 エロイーズ・ガイヤール指揮アンサンブル・アマリリス マイリス・ド・ヴィユトレイ(S)
 録音:2021年11月5日-7日、ラ・クロワ、アントルーグ=シュル=ラ=ソルグ。17世紀フランスを代表するクラヴサンの名手にして女性作曲家エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲール。フランス・バロックの作曲家ダカンが夫の甥で、彼のクラヴサン曲にも影響を及ぼしている。ジャケ・ド・ラ・ゲールはクラヴサン曲のみならず、世俗・神聖両カンタータも多数残している。そのなかから旧約聖書に登場するふたりの女性、勇気と美徳を体現したユディト、節度と尊厳を体現したセメレを描いた2篇をエロイーズ・ガイヤール率いるアンサンブル・アマリリスが美しく再現。ジャケ・ド・ラ・ゲールの天性のドラマ的感覚が光る。アンサンブル・アマリリスは1994年結成の女性団体。器楽作品であるトリオ・ソナタ第4番は、半音階や大胆な和声などコレッリの影響を感じさせる新しい楽器法と、彼女ならではのフランス的な装飾技法の融合が興味深い作品。アンサンブル・アマリリスのフレッシュな演奏で味わえる。
7つの典礼〜リスト:宗教作品集 1869-84
 タントゥム・エルゴ/クリスマスの歌(おお聖なる夜)/キリストの御魂、われを聖ならしめ給え/わが魂は主をあがめ/
 聖セシリア/リベラ・メ/おお、血と涙にまみれた御頭よ/十字架にかけられ/7つの典礼/パーテル・ノステル III

 ドミニク・ヴェラール指揮アンサンブル・ジル・バンショワ
 シプリアン・サデク合唱指揮アルティテュードcho. クルト・リューデル(ハルモニウム)
 録音:2021年8月23日-26日。フェレンツ・リスト(1811-1886)の晩年の宗教作品集。リストはなんといってもヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして、そしてその後も交響詩などの分野で華々しく世界に名をとどろかせたが、1865年には僧籍に入るなど、その人生の後半以降は、宗教音楽の分野にも積極的に取り組むようになる。当時形骸化していた宗教音楽をそもそもの姿にもどし、神のメッセージや神秘的なものを伝えられるような作品を書き、宗教音楽への地位を回復しようと努めた。リストの音楽による説話は、過去のリストのピアノ作品などの音世界とと比べれば控えめに感じられるかもしれないが、それでもなおあふれ出る音楽が感じられ、時には大胆な和声もみられる。ドミニク・ヴェラールは1869-84年の間の、リストの宗教作品の中でもあまり知られていない作品を選び、リストが音に込めた敬虔な祈りを見事に音化している。
星のもとで
 リリ・ブーランジェ/ナンテ編曲:悲しみの夕べ/春の朝に / ルイ・トラヴノル:眠り(1734)
 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ト短調 RV.439 「夜」/チェロ協奏曲 変ロ長調 RV.501 「夜」
 イザイ:悲しみの詩曲 Op.12 (ナンテ編曲)/子供の夢 Op.14 / アレックス・ナンテ:星のもと(2019)

 マリアンヌ・ピケッティ(Vn) ル・コンセール・イデアル
 録音:2022年2月15日-19日、 ACB 国立舞台、バル=ル=デュク。パリ音楽院とジュリアード音楽学校で学び、パールマンやメニューインの薫陶を受けたマリアンヌ・ピケッティ。彼女を慕う人々と2013年に発足した団体ル・コンセール・イデアルの最新録音。テーマは夜。各作曲家にとり夜とその魅力は何かを探る音楽の旅となっている。ヴィヴァルティの陽気な騒ぎ、リリー・ブーランジェの憂鬱な夜、イザイの詩的な夢までフランス、イタリア、ベルギー、アルゼンチンの夜空を眺めるような味わいに満ちている。1992年アルゼンチン生まれの作曲家アレックス・ナンテはピケッティと親しく、「星のもと」は彼女の委嘱作。
ここで止まって〜小アジアのスケッチ
 ヴェラール/カヴァフィス詩:ここで止まって/1903年の日々/1903年12月 / キプロス伝承歌:聖母の嘆き
 即興〔ヒカスカル旋法による/キュルディ旋法による/ニクリズ旋法による〕 / スミルナ伝承曲:鎖より重い
 セファルディ民謡:私は許嫁を送った/あなたの扉を開けて / ペロポネソス伝承曲:今、鳥たちが

  ニクリズ・シルトオウレリア・ラムプロポウロウ(サントゥール) ドミニク・ヴェラール(歌/ウード)
 録音:2022年5月12日-16日、サン=フロラン教会。ギリシャ近代を代表する詩人コンスタンディノス・カヴァフィス(1863-1933)が提唱した小アジアに放浪の終止符を求めた集団を歌った詩にドミニク・ヴェラールが付曲したものと、各都市に伝わる歌を集めた東方的味わいの濃いアルバム。ギリシャやトルコの旋法に基づくサントゥール(ツィンバロン風楽器)の即興がはさまれている。アンサンブル・ジル・ヴァンショワのリーダーでもあるドミニク・ヴェラールの多才ぶりに感心させられる。

HMF (仏) 価格帯記載無し:1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 旧譜はこちらから
ルガンスキー〜ラフマニノフ:絵画的練習曲集
 絵画的練習曲集〔 Op.33 (全8曲)/ Op.39 (全9曲)〕/
 断片(1917) /オリエンタル・スケッチ(1917) /
 前奏曲 ニ短調(1917)
ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2022年9月、グスタフ・マーラー・ホール、エウレジオ文化センター、イタリア。「24の前奏曲」 (HMM-902339 )に次ぐハルモニア・ムンディのルガンスキー・ラフマニノフ第2弾。今回はラフマニノフ作品のなかでもとりわけ難曲として知られる練習曲集「音の絵」全曲に挑戦。ルガンスキーはこの作品を20歳の1992年に録音していて、今日も高く評価されているが、30年を経た50歳での再録音となった。録音は2022年2022年9月。円熟度はもちろんながら、疫病や祖国ロシアの情勢など反映しての心境か、暗い想念が感じられる。といっても鈍い演奏ではなく、明快な指さばきや轟きわたる輝かしい音などルガンスキー一流の芸術をたっぷり味わえる。ラフマニノフの「音の絵」はピアノ協奏曲第3番と同時期の作で、大ピアニストだった彼の技術の粋を結集させた極限的な難曲となっている。またピアノがもっとも美しく鳴るように作られており、腕に自信のある奏者にとり挑戦しがいがある作品と言える。ルガンスキーはラフマニノフのピアノ曲について、一旦マスターしてしまうと自分の指が奏でているのかピアノが自分で歌っているのか区別できなくなるほどピアノと一体化してしまうと述べているが、超難曲ながら指を忘れさせる余裕の技巧は驚き。歌いまわしも全く甘くなく格調高さを感じさせます。嬉しいのが作品番号のついていない小品3篇をルガンスキーの演奏で聴くことができること。いずれも革命時、ラフマニノフがロシアを去ろうとしていた頃のもので、不安な感情にあふれているが、ルガンスキーはそこからも美しい音楽を引き出している。
ケラス&タロー〜マラン・マレ(1656-1728):〔 (*):ヴィオール曲集第3巻 組曲 イ短調 より〕
 プレリュード(*) /ガヴォット(*) /ミュゼット(ヴィオール曲集第4巻 組曲 イ短調より)/
 スペインのフォリアのクプレ(ヴィオール曲集第2巻より)/
 ラ・レヴーズ〔夢〕(ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)/ファンタジー(*) /
 グラン・バレ(*) /サラバンド(*) /膀胱結石手術図(ヴィオール曲集第5巻)(#) /クーラント(*) /
 作曲者不詳(伝:マラン・マレ): Les Regrets 〔後悔〕(ヴィオール曲集第2巻 組曲 ホ短調より)/
 プレリュード(ヴィオール曲集第2巻 組曲 ニ短調より)/サラバンド・グラーヴ
  (ヴィオール曲集第2巻 組曲 ニ短調より)/きわめて速く=遅く(マレ風ソナタ)/ル・バディナージュ
  (ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)〔ピアノ独奏編曲版〕/ジグ=ドゥーブル(*) /アルマンド(*)

 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年製
 アレクサンドル・タロー(P|使用楽器: YAMAHA CFX
 ギヨーム・カリエンヌ(コメディ・フランセーズ会員;#)
 録音:2022年8月、大ホール、アルセナル・ド・メス、フランス。ケラスとタローが、マラン・マレを録音した。モダーン・チェロとピアノによるマラン・マレというだけでも興味津々なうえ、ふたりによる演奏となれば、黙って通り過ぎるわけにはいかない。ケラスはその圧倒的なうまさと音楽で、洋の東西、時代を問わずに演奏活動を展開、そしてタローはラモーのクラヴサン曲集のピアノによる演奏で世界をあっといわせた存在。そんなふたりによるマレ!ひとつの組曲を核に、さまざまなキャラクターの小曲を合間にちりばめた、1枚をとおしてたのしめるプログラムも魅力。ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロで演奏するとどちらかといえばゆったりと典雅、内省的な印象すらあるマレ。ケラスとタローによる演奏は、フレーズひとつひとつに満ちる歌、さりげない装飾音にただよう繊細なエレガンスが美しく、そしてスタイリッシュ。かと思うと、ワールドミュージックを聴いているような感覚になるような場面もあるなど、1曲1曲が実に新鮮。膀胱結石手術図の患者役にはコメディ・フランセーズの役者をゲストに迎えた力の入りようだ。タローのソロも、ラモーやクープランにつづき、衝撃の美しさに心がふるえる。そしてスペインのフォリアでの、ケラスの圧倒的うまさ!!絶対注目!!
明るい時〜ナディア&リリ・ブーランジェ:作品集
  〔編成特記以外は歌曲|詩(1曲のみの詩人は曲後に記載):アルベール・サマン(avs)、
   ポール・ヴェルレーヌ(pv)、アルマン・シルヴェストル(pas)、モーリス・メーテルリンク(mm)、
   ジョルジュ・ドラキ(gd)、カミーユ・モークレール(cm)、ハインリヒ・ハイネ(hh) 〕
 ナディア・ブーランジェ:
  わが心(avs) /聴いておくれ、いとも甘美な歌を(pv) /落日(pv) /二重唱 銀の湖を見に行こう(pas) /
  ヴェルサイユ(avs) /大いなるゆううつな眠り(pv) /イルダ(avs) /私の恋人(avs) /愛の詩(pas) /
  カンティーク(mm) /チェロとピアノのための3つの小品/うつろな時(mm) /シャンソン(gd) /
  冬の夜(ナディア・ブーランジェ)/新生活に向って【ピアノ曲】/疑惑(cm) /道端で(cm) /
  私は手を打った(ジャン=フランソワ・ブルギニョン)/恍惚(ユゴー)/
  オバド(ティルスラン)/絶望(pv) /エレジー(avs) /シレーヌ(アドニス&デヴォー=ヴェリテ)/
  おお、誓うな(hh) /孤独な涙は何を望む(hh) /ああ、またもその瞳(hh) /
  祈り(バタイユ)/明るい時〔ラウル・プーニョと合作|全8曲〕(ヴェルハーレン)/
  小品【ピアノ曲】/美しき船(gd) /海(pv) /交換(cm) /ナイフ(cm) /シャンソン(cm)
 リリ・ブーランジェ:
  小品【ヴァイオリンとピアノ】/待ちぼうけ(mm) /反映(mm) /夜想曲【ヴァイオリンとピアノ】/
  帰郷(gd) /序奏と行列【ヴァイオリンとピアノ】/天空の広間〔全13曲〕(フランシス・ジャム)/
  無限の悲しみの中で(ギャロン・ド・カロンヌ)/春の朝に【ヴァイオリンとピアノ】/
  悲しみの夕べに〔ナディア・ブーランジェ編曲〕【チェロとピアノ】

 ラケル・カマリーナ(S) ルシール・リシャルドー(Ms)
 ステファヌ・ドゥグー(Br) アンヌ・ド・フォルネル(P)
 サラ・ネムタヌ(Vn) エマニュエル・ベルトラン(Vc)
 録音:2022年2月、6月、RIFFX スタジオ、セーヌ・ミュジカル、ブローニュ=ビヤンクール。ブーランジェは、姉ナディアが名教師としてコープランドやバーンスタイン、マルケヴィチ、リパッティダニエル・バレンボイム、グラスから、ミシェル・ルグラン、ピアソラ、キース・ジャレット、クィンシー・ジョーンズらを育てたことで知られ、24歳で夭折した妹リリの作も近年演奏、録音が増えている天才姉妹。ナディアは妹に比べ自分の作曲の天分を卑下して、1920年代に断筆してしまう。その先入観ゆえかたいした作品を残していないと思われがちだが、14歳の時のユゴーの詩による「恍惚」をはじめ、20世紀の最初20年間に少なくとも38篇の歌曲を書いたとされ、そのすべてがこのアルバムに収録されている。さらにチェロ曲やピアノ曲も収録。それらを聴く限り彼女の作は決してつまらないものでなく、魅力的なメロディと洗練された技法が光る逸品ばかり、認識を改めさせられる。同様に作品数の少ない妹リリ作品22曲を収め、「悲しみの夕べに」はナディアが編曲したチェロとピアノ版でアルバムを終わらせている。未出版や世界初録音も含まれ、国際ブーランジェ・センターの協力で歌曲全集が実現した。ルシール・リシャルドーは27歳までジャーナリストとして働いていたフランスのメゾ・ソプラノ。中世から現代まで、研ぎ澄まされた声質で注目されている。フランス系アメリカ人ピアニスト、アンヌ・ド・フォルネルの清潔なピアニズムで理想的なブーランジェ姉妹の音世界を作り上げている。
ティベルキアン〜変奏曲集第1巻
 ベートーヴェン:エロイカ変奏曲 Op.35 /6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331 「トルコ行進曲付」
 ベートーヴェン:6つの変奏曲 ニ長調 Op.76
 シューマン:ベートーヴェンの主題による自由な変奏形式の練習曲
 ベートーヴェン:ヴィンターの歌劇「中止された奉献祭」の「子供よ、静かにお休み」による7の変奏曲 WoO.75 /
         パイジェッロの歌劇「水車小屋の娘」の「田舎者の恋は何と美しく」による9つの変奏曲 WoO.69
 ヴェーベルン:変奏曲 Op.27
 ベートーヴェン:
  パイジェッロの歌劇「水車小屋の娘」の「わが心はうつろになりて」による6つの変奏曲 WoO.70 /
  ジュスマイヤーの歌劇「スレイマンまたは3人のサルタン妃」の「ふざけと戯れ」による8つの変奏曲 WoO.76
 シューマン:最後の楽想による幻覚の変奏曲

 セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2022年1月、ポワチエ講堂劇場、フランス。ソリスト、アンサンブルに大活躍なティベルギアンが「変奏曲集」と題するシリーズを開始する。ベートーヴェンを中心にティベルギアンならではの凝った選曲でスウェーリンクからクルターグまで6枚の旅を予定している。第1弾は2枚組。Disc1はベートーヴェンの作品番号の付いた3篇の間にモーツァルトの「ピアノ・ソナタ第11番が挟まれるが、これも第1楽章が変奏曲。さらに終楽章は有名な「トルコ行進曲」だが、続くベートーヴェンの「6つの変奏曲 ニ長調」が同名異作を主題にしていることなど有機付けている。 Disc2はシューマンがベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章の主題を用いた変奏形式の練習曲に始まり、アルバムの要であるヴェーベルンの変奏曲をベートーヴェンの軽快な作品が挟みる。シューマン最後、メンタルを害していた時期に夢で亡霊が歌った主題で作った変奏曲で幕を閉じるという充実した内容。ティベルギアンの演奏は正確かつ安定した技巧に、独特な色調で情感にも満ちている。続くシリーズが非常に期待される。
HMM-902498/99
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(2CD)
1.5CD価格
J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集 Vol.7 〜
  オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集) BWV.599-644
( BWV.633 の異稿 BWV.634 は未収録)
 バンジャマン・アラール(Org) マリーヌ・フリブール合唱指揮ベルガマスク声楽アンサンブル、
 エミリー・フルーリー合唱指揮パリ・ノートル=ダム児童cho.
 録音〔使用楽器〕:2019年5月、2021年1月、改革派教会、パリ〔ケンティン・ブルーメンレーダー(2009) 〕。 バッハ・ファンのみならず世界中の音楽ファンから熱い注目を集めるアラールのバッハ・プロジェクト第7弾は、オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集)。1708-1717年にかけて書き進められた、礼拝などで会衆がコラールを唱和するのに先立ち、オルガンによって演奏される“コラール前奏曲 "集。このバッハのオルゲルビュヒラインは45曲からなり、コラール(讃美歌)の旋律に基づく楽曲が、待降節、クリスマス、新年、受難節、復活節というように、教会暦に沿って並べられている( BWV.635以降は特定の祝日にとらわれない種々のコラール)。コラール旋律は上声部にほぼそのまま現れる一方、下の三声部では、歌詞が歌う内容を動機や音型で巧みに表しており、奏者にはコラールそのもの及びテキストや関連聖句などに関する深い理解が求められる。バッハ自身によって「初歩のオルガニストが、コラールをさまざまな仕方で展開するための手引き、さらにペダル演奏を習得するための手引き」とこの楽譜帳に書き込まれていますが、実際の内容や要求される技巧は、超絶技巧と複雑かつ華麗な対位法が織りなす洪水の中からコラール旋律が浮かびあがってくる数々の“オルガン・コラール "と同等か、それ以上かもしれない。ここでは、アラールの清冽な音色によるオルガン独奏、そしてそれに続いてピュアな歌声でコラールが唱和されることにより、この曲集の神髄を聴くことが出来る。アラールの演奏は、華麗にたたみかけるようなパッセージの部分でも、聴き手をふわりと包み込むような軽やかさを備えた不思議な魅力に満ちており、そしてなにより音符に込められた様々な意味がくっきりと浮かびあがるようだ。アラールのシリーズ、ますます目が離せない。
エルガー(1857-1934)/ライオネル・ターティス(1876-1975)、
 ティモシー・リダウト編曲:ヴィオラ協奏曲(原曲:チェロ協奏曲)
ブロッホ(1880-1959):ヴィオラと管弦楽のための組曲 B.41
 ティモシー・リダウト(Va) マーティン・ブラビンズ指揮 BBC so.
 録音:2022年4月、ロンドン。「詩人の恋」ヴィオラ編曲版で、その溢れるロマンスを存分に発揮し一挙に注目を集めたイギリスの俊英ヴィオラ奏者、ティモシー・リダウト。待望の新譜はエルガー。指揮者も英国出身のブラビンズ、オケもBBC響ということで、英国勢による演奏が実現、エルガーの暗くしかし抒情に満ちた世界が濃厚な熱量で展開されている。エルガーのヴィオラ協奏曲は、20世紀に活躍した英国のヴィオラ奏者ターティスのたっての希望で実現した、チェロ協奏曲のヴィオラ編曲版。この編曲は作曲者にも認められ、1930年にエルガーの指揮、ターティスのソロにより初演、チェロ協奏曲の初演よりも熱烈に迎え入れられたそう。リダウトはターティスの編曲にさらに手を加え、完璧に作品を手中におさめている。カップリングのブロッホは、演奏機会が少ないものの、東洋趣味の作品で、こちらもリダウトの巧みな歌いまわしが炸裂している。ティモシー・リダウトは1995年生まれ、王立音楽院で学んだのち、2014年セシル・アロノヴィッツ国際コンクール優勝、2016年ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール優勝。ヴィオラ界の若手の中では最注目の演奏者で、オーケストラとも共演多数、2021年6月には王子ホールでトランジット・シリーズに登場、絶賛された。
シュタイアー〜J.S.バッハ
 平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV.846-869 全曲
アンドレアス・
 シュタイアー(Cemb)
 録音:2021年4月、6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン|使用楽器:アンソニー・サイディ〔シデイ〕&フレデリック・バル、パリ、2004年制作〔モデル:ヒエロニムス・アルブレヒト・ハス、1734年制作〕。シュタイアーが演奏するバッハの平均律第1巻の登場。第2巻は先に録音(2020年)&発売 (HMM-902682/83) 、世界中で絶賛された。平均律クラヴィーア曲集第1巻には、バッハによる序文があり、「・・・音楽を学ぶ意欲のある若者たちの役に立つように、また、この勉強にすでに熟達した人たちには、格別の時のすさび(遊び、なぐさみ)になるように・・・」という部分があるが、まさにシュタイアーはこのバッハの言葉の後者にあたり、シュタイアー本人が楽しんで歌うように演奏しているのが伝わって来る。楽曲ごとの音色の選択の巧みさと、音色の種類の多さにも驚かされる。素朴な第1番のプレリュード、怒涛の迫力第2番のプレリュードと、曲集が進むにつれ様々な新しい世界が展開されている。シュタイアーが、バッハが構築した偉大な建造物の中を実にたのしく案内してくれるようで、新しい発見に満ちている。自然な演奏で、くつろいだ雰囲気すら感じられる。シュタイアーがさらなる境地に至っていることを感じる、堂々の第1巻。
ポール・ルイス〜
 シューベルト:ピアノ・ソナタ集
(完結編)
  〔イ長調 D.664 /変ホ長調 D.568 /イ短調 D.537 〕
ポール・ルイス(P)
 録音:2022年4月、スタジオ4、ベルギー。2001年にはじまったポール・ルイスのシューベルト・ソナタ集録音、ついに完結編の登場。ポール・ルイスはこの20年の間、シューベルトの演奏会シリーズで純度の高いシューベルトで世界中をうならせ、さらにベートーヴェンのソナタや協奏曲全集で他の追随をゆるさない高次元の演奏を展開してきた。久々となるシューベルトのソナタ録音となる当盤でも、ポール・ルイスは一切の過剰な表現を排し、シューベルトとの魂の対話を高精細な音色で聴かせてくれる。 イ長調のソナタはピアノ学習者がしばしば演奏するが、ポール・ルイスの演奏は明るい音色で自然な歌に満ちていながら、1ミリも隙がない均衡のとれた美しさ。ポール・ルイスがさらなる高みへと上っていることが感じられる。
鳥たちのコンサート〔編曲:ラ・レヴーズ(*)、ヴァンサン・ブショ(#) 〕
 パーセル:「妖精の女王」〜鳥への前奏曲 / ファン・エイク:「笛の楽園」〜イギリスのナイチンゲール
 テオドール・シュヴァルツコップ:ナイチンゲールとカッコウの模倣によるソナタ〔アレグロ/ジーグ〕
 クープラン:クラヴサン曲第3巻 より(*) 〔恋のナイチンゲール/嘆くホオジロ〕
 ジャン=バティスト・ブセ:「エール第14巻」〜どうして、甘いナイチンゲール(*)
 モンテクレール:2つのフルートのためのコンセール第5番〜さえずり / コレット:カッコウ
 サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より(#) 〔森の奥のカッコウ/雌鶏と雄鶏〕
 ブリテン:「金曜の午後」〜カッコウ(#) / ラモー:雌鶏(#)
 ラヴェル:「マメール・ロワ」〜女王の陶器人形レドロネット(#)
 ヴァンサン・ブショ:絶滅危惧種の謝肉祭(+)
  〔前奏曲 センザンコウの悲しみ/アルマンド ジャワスローロリス/クーラント 昔の家禽ドードー/
   間奏曲 レソミラ63 /サラバンド 白フクロウと黒フクロウ/ガヴォット インドガビアル(ワニ)/
   間奏曲 レソミラ92 /ヴァルス・ツイスト ナマコ/ジーグ 人類、その進化〕

 ラ・レヴーズ
  [セバスティアン・マルク(リコーダー/フラジオレット)
   野崎剛右(フラジオレット/リコーダー/ミュゼット/ゲムスホルン)
   フロランス・ボルトン(バス・ヴィオール/パルドゥシュ・ヴィオール)
   バンジャマン・ペロー(テオルボ/バロックG) ジャン・ミゲル・アリスティサバル(Cemb)
   シルヴァン・ルメートル(マリンバ/ヴィブラフォン/打楽器)]
 録音:2022年6月、サン=ジャン=ド=ブレイ・カトリック教会(+以外) /2022年1月、シテ・ドゥ・ラ・ミュジーク、パリ(+) 。鳥は人類が音楽を始めるはるか昔からさえずっていた。人間が計算し考え抜いた完璧な音楽を作る間に、鳥は妙なる調べを自然に繰り出す。作曲家たちは自然現象やある種の騒音を表現する試みをしてきたが、鳥のさえずりは世界中で音楽化され、それぞれが工夫を見せている。ルネサンス、バロックはもとより、サン=サーンス、ラヴェル、ブリテンらの近代手法による鳥描写も楽しめる。さらにヴァンサン・ブショがサン=サーンス作品をもじって作った「絶滅危惧種の謝肉祭」が聴き物。古典組曲の様式であまり親しみのない動物たちを描き、最後「人類」で閉めているのも意味深長でいろいろ考えさせられる。ブックレットはフルカラーで各種鳥類や動物の詳細な説明もあり愛蔵したくなる美しさ。ラ・レヴーズはフロランス・ボルトンとバンジャマン・ペローにより2004年に創設されたピリオド楽器団体。17-8世紀作品が中心だが、音楽と時事問題を組み合わせたテーマで作品を構成し話題となっている。
ビーバー:ロザリオのソナタ
 〔喜びの秘蹟 第1番 ニ短調「受胎告知」/第2番 イ長調「訪問」/第3番 ロ短調「降誕」/
        第4番 ニ短調「拝謁」/第5番 イ長調「神殿のイエス」/
  苦しみの秘蹟 第6番 ハ短調「オリーヴの山で苦しみ」/第7番 ヘ長調「鞭打ち」/
         第8番 変ロ長調「いばらの冠をのせられ」/第9番 イ短調「十字架を背負う」/第10番 ト短調「磔刑」/
  栄光の秘蹟 第11番 ト長調「復活」/第12番 ハ長調「昇天」/第13番 ニ短調「聖霊降臨」/
        第14番 ニ長調「聖母被昇天」/第15番 ハ長調「聖母の戴冠」/第16番「守護天使」(パッサカリア)〕

 アマンディーヌ・ベイエ(Vn|使用楽器:ピエール・ジャケ、1996年製〔モデル:アマティ〕/
   シャルル・リシェ、2015年製〔モデル:ヤコブス・シュタイナー〕/マルセロ・ヴィアナ・クルス、2011年製
    〔モデル:ジョヴァンニ・バッティスタ・グァダニーニ〕/マルセロ・ヴィアナ・クルス、2021年製
    〔モデル:ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ〕|
   使用弓:アントニーノ・アイレンティ/1998年製、エドゥアルド・ゴル、2005年製

 バルドメロ・バルシエラ(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオローネ)
 フランチェスコ・ロマノ(アーチリュート) ナチョ・ラグナ(テオルボ)
 アンナ・フォンターナ(Cemb/ポジティブOrg)
 録音:2022年9月。17世紀ヴァイオリン音楽の至難の名曲、ビーバーのロザリオ・ソナタ。多様なスコルダトゥーラ(変則調弦)が指定されている上に、自身ヴァイオリンの名手でもあったビーバーが、自身の腕前を披露するために各曲に高い技術と深い内容を盛り込んだ超難曲。数多くの名盤が存在するが、ここで、ベイエによる、きらりと光る名演の登場。ビーバーが見事に楽譜に書き起こした即興性に満ちたパッセージや旋律が、躍動的なリズムとともに生きもののように聴き手に迫って来る。どの曲も高い技術で演奏されているのはもちろん、ひとつのフレーズの中でも下降音型と上行音型で表情がまったく異なる歌にみちているなど、細部まで美しい表情に満ちていて、非常に人間味にあふれている。通奏低音のメンバーと織りなす美しいアンサンブルも聴きものの充実の演奏。注目なのが、この録音が生まれるきっかけ。それはベルギーの国際的ダンス・カンパニー、ローザスの公演だった。2022年2月にベルギーで初演された「Mystery Sonatas / For Rosa」の公演では、ビーバーのロザリオ・ソナタの楽曲をバックにローザスのダンサーが踊ったが、その音楽演奏をベイエらが担当した。聖書の物語に基づく音楽ではあるが、楽曲にはクーラントはサラバンドなどの舞曲も含まれており、舞曲の要素も多分に含まれるロザリオのソナタ。ダンサーたちはバラの花びらや棘を思わせる動きをしながら作品が進行、美しい照明もあいまって、舞台は絶賛された。そこでの体験はベイエにとって大変大きなもので、ぜひ録音を、ということで実現したのがこのディスク。ダンサーたちの動きに合わせて演奏しているかのような、抜群のリズムと躍動感に満ちたこの名演奏の理由のひとつといえるだろう。ジャケット写真もローザスの公演のものとなっている。
ファウスト + ロト〜ストラヴィンスキー
 バレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」〜アポロのヴァリアシオン(1927-28) (*) /
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(1931) (*) /弦楽四重奏のための3つの小品(1914) /
 弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ(1920) /ヴァイオリン、オーボエ、
  イングリッシュホルン、クラリネットとバソンのためのパストラール(1923) /
 弦楽四重奏のための二重カノン(1959)
 イザベル・ファウスト(Vn) レ・シエクル フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮(*)
 録音:2021年9月、2022年3月-4月、 RIFFX スタジオ1、セーヌ・ミュジカル、ブローニュ=ビヤンクール。ハルモニア・ムンディを代表するファウストとロト&レ・シエクル奇跡の共演。それもロトとシエクルの名を世に広めるきっかけとなったストラヴィンスキー作品だけに眼が離せない。メインはヴァイオリン協奏曲だが、収録曲すべてのヴァイオリン・パートをファウストが担当しているのが超豪華な驚き。彼女は「兵士の物語」をメインとするアルバムもリリースし、ストラヴィンスキーのヴァイオリン作品に熱を入れているが、ガット弦による弦楽四重奏作品も興味津々。ヴァイオリン協奏曲は1931年、新古典主義時代の作。ストラヴィンスキーはヴァイオリンの情緒や甘美さを嫌悪していたが、同じ感性の奏者ドゥシュキンとの出会いで信念を変えず協奏曲を実現させることが出来た。ファウスト自身その非ヴァイオリン性を指摘しつつも、誰も考えつかなかった音楽表現と激賞している。演奏は期待以上、ファウストの厳しいまでの表現とシエクルのカラフルな音色、ロトならではの切れ味良いリズムがあいまり、生命感あふれる世界を繰り広げます。終楽章でバッハのヴァイオリン二重協奏曲をパロディにした箇所も含め、メンバーが楽しみながら音楽作りをしているのも伝わって来る。カップリングには新古典主義時代のバレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」中の、ヴァイオリン独奏と弦楽合奏による「アポロのヴァリアシオン」をファウストとロトが披露。さらに「春の祭典」直後の「3つの小品」、かなり現代的な「コンチェルティーノ」、画家ラウル・デュフイ追悼の沈鬱な「二重カノン」というストラヴィンスキーの全弦楽四重奏作品を、ファウストが第1ヴァイオリンを担い、シエクルの弦のトップ奏者たちと共演している。緊張感に満ちた音世界ながら決して無味乾燥でなく、ストラヴィンスキーならではのユーモアと生命力が伝わる。ストラヴィンスキー観が変わること間違いなしのアルバム。
Mein Traum 〔わたしの夢〕
 シューベルト(1797-1828):
  「ラザロ」 D.689 第2幕〜レチタティーヴォとアリア「私はどこに・・・力ある者よ、塵の中に/
  「アルフォンソとエストレッラ」 D.732 より
    〔第1幕〜合唱「狩りへ」/第2幕〜レチタティーヴォとアリア「 'O sing mir Vater...Der Jager' 」〕
 シューベルト/リスト編曲:「白鳥の歌」D.957 〜影法師(オーケストラ版)
 シューベルト:交響曲第7番 ロ短調「未完成」D.759 (楽章間に以下ウェーバー作品を挿入)
 ウェーバー(1786-1826):「オベロン」第2幕〜「おお!海の上に浮かぶのはなんと心地よいことか
 シューマン(1810-1856):人魚 Op.69 No.5(女声のための6つのロマンス第1集より)
 ウェーバー:「オイリアンテ」〜レチタティーヴォとアリア
         「どこに隠れよう・・・そして、私は復讐の力に身を捧げる」(抜粋)
 シューベルト:アルフォンソとエストレッラ D.732 〜第3幕 序奏
 シューベルト/ブラームス編曲:タルタロスの群れ D.583
 シューベルト:アヴェ・マリア(エレンの歌第3番) D.839, Op.52, No.6 /
        「ラザロ」D.689 第2幕〜合唱「やさしく静かに」
 シューマン:「ゲーテのファウストからの情景」 WoO.3 第3部〜第5場 アリア「ここは見晴らしがよく」
 シューベルト:神はわたしの羊飼い D.706

 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン(合唱、管弦楽)
 ステファヌ・ドゥグー(Br) ユディト・ファ、ザビーヌ・ドゥヴィエル(S)
 録音:2020年12月、ピエール・ブーレーズ・ホール、フィルハーモニー・ド゙・パリ。「マタイ受難曲」で世界を驚かせたピション&ピグマリオン、注目の新作のテーマはシューベルト。1822年のある朝、シューベルトは様々な思い出(愛する父から何度か拒絶された記憶や、父に拒絶された後絶望の中にさすらう旅をしたこと、母が亡くなった時のことや失恋のことなど)を記した謎めいた文章を書き残した。シューベルトの心の闇、シューベルトの作品の裏に感じられる孤独や絶望といったものの根源が観られるようだ。ピションとドゥグーは、シューベルトの傑作や演奏機会の少ない楽曲、さらに関連あるほかの作曲家たちの作品を注意深く集めて、1枚の広大な絵物語を創り出した。シューベルトが主人公のドラマティックなオペラのようになっている。タイトルの「Mein Traum(私の夢)」とは、フェルディナント・シューベルトがフランツの文章につけたタイトル。
ヘレヴェッヘ + コーイ〜J.S.バッハ:バスのためのカンタータ集
  〔われは満ちたれり BWV.82 /われは喜びて十字架を負わん BWV.56 /平安、汝にあれ BWV.158 〕

 ペーター・コーイ(B) フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1991年1月|旧品番: HMC-901365, HMA-1951365 〔ともに廃盤、入手不能〕。苦しみと死をテーマにした、バスを中心としたバッハによるカンタータ3曲。ソロを務めるのは、シャペル・ロワイヤルと長年にわたり共演を重ねているだけでなく、バッハのあらゆる声楽作品のに欠かせない実力者、ペーター・コーイ。30年前のコーイの、すでに熟している表現と完璧さにもあらためて驚かされる。これらの作品の決定的名演といえるだろう。
タロー|イタリア風の協奏曲〜
  J.S.バッハ:クラヴィーア協奏曲集

 ニ短調 BWV.596 〜シシリエンヌ
  (タローによるピアノ編曲版)/ト短調 BWV.975 /
 パストラーレ ヘ長調 BWV.590 〜アリア/
 イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV.971 /ニ短調 BWV.974 /
 ハ短調 BWV.981 /ト長調 BWV.973 /
 ロ短調 BWV.979 〜アダージョ
アレクサンドル・タロー(P)
 録音:2004年9月|初出・旧品番: HMC-901871 〔廃盤、入手不能〕。2001年、フランス・バロックの巨匠ラモー(1683-1764)をモダーン・ピアノで録音し一躍注目されたタローが、次に挑んだアルバム。ここに収録されている曲には2つの特徴がある。まず、有名なイタリア協奏曲をはじめ、いずれも協奏曲の名が付きながらソロの曲であること。そしてそれらは、いずれもイタリアの協奏曲様式で書かれ、さらに大半がイタリアの作曲家の作品を元にした編曲作品であること。 BWV.596, BWV.975, BWV.973 はヴィヴァルディ、 BWV.974 はA.マルチェッロ、 BWV.981 はB.マルチェッロ、 BWV.979 はトレッリが原曲。つまりバッハとイタリアの協奏曲の邂逅がこのCDのテーマなのである。タローはピアノでしか出せない深い情感が豊かで、加えて知性的なコントロールも見事、現代におけるピアノ演奏のバッハの意義を十全に感じさせてくれる出来ばえ。スタインウェイの上品な響きも特筆すべきもの。
ラフマニノフ:徹夜祷 Op.37 ポール・ヒリアー指揮
エストニア・
 フィルハーモニー室内cho.
 録音:2004年5月24日-27日、ハープサル・ドーム・チャーチ、エストニア|既出CD, SACD: HMU-907384, HMU-807384 (HYBRID_SACD), HMU-807504 (HYBRID_SACD) 〔すべて廃盤、入手不能〕。ロシア正教のア・カペラ合唱の伝統、その一つの頂点とも言うべきラフマニノフの「徹夜祷」、西欧的な洗練さとロシア伝統のスラヴの魂が反映されたこの作品には名演名盤がひしめいているが、この演奏は別格の出来映え。純度が高く透明でありながら、詩情を感じさせる深みのある響き。個の集まりが生命体として息づく表現。声帯から発せられる音が織り成す芸術の完成形ではないか、そんな思いがする別世界がここに繰り広げられている。
HMX-2904041/45
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(5CD)
2.5CD価格
Mozart: Operas - The Singspiele 〜
  ヤーコプス、モーツァルト:後宮からの誘拐&魔笛

 歌劇「後宮からの誘拐」 K.384 (*)
  [ロビン・ヨハンセン(S;コンスタンツェ) マリ・エリクスモーエン(S;ブロンデ)
   マキシミリアン・シュミット(T;ベルモンテ) ジュリアン・プレガルディエン(T;ペドリッロ)
   ディミトリー・イヴァシュチェンコ(B;オスミン) コルネリウス・オボニャ(語り;太守セリム)]

 歌劇「魔笛」 K.620 (#)
  [ダニエル・ベーレ(T;タミーノ) マリス・ペーターゼン(S;パミーナ)
   ダニエル・シュムツハルト(Br;パパゲーノ) イム・スンヘ(S;パパゲーナ)
   アンナ=クリスティーナ・カーッポラ(S;夜の女王) マルコス・フィンク(B−Br;ザラストロ)
   クルト・アツェスベルガー(T;モノスタトス) インガ・カルナ(S;第1の侍女)
   アンナ・グレヴェリウス(Ms;第2の侍女) イザベル・ドリュエ(Ms;第3の侍女)

 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
 録音:2009年9月-10月(#)、2014年9月(*)、ともにテルデックス・スタジオ、ベルリン|初出・旧品番: HMC-902068/70 (#), HMC-902214/15 (*) 〔ともに廃盤、入手不能〕|フルカラー約260ページ・ブックレット付き〔欧文のみ〕。 (*):パーカッションもにぎにぎしく活躍する快速序曲から、トルコを思わせる世界に一気に引きこまれる痛快な演奏。セリフ部分にも演技と音楽の両面で様々に工夫がなされ、聴いていて実にたのしい「後宮」の誕生となった。1782年の「後宮からの誘拐」のウィーン初演は、聴衆および批評家たちから、かつてない大成功の反響となった。エキゾチズム(東洋趣味)に重きを置いた音楽、啓蒙主義思想の礼賛、当時のオスマン帝国に対する偏見とは間逆の筋書が当時の人々にとってまさにドンピシャ、ツボにはまったものだった。また、このオペラはジングシュピール(歌芝居)なのでレチタティーヴォがなく、アリアとセリフで構成されている。現在では、演奏に際し、セリフ部分は多くの部分がカットされてしまうが、この録音では改訂を施しながらもフルに収録。さらに、アリアの途中でもセリフを挿入させるなど、耳のための音楽劇として聴き手が場面や登場人物の心情を想像しやすいような工夫も随所に見られる。さらに、様々な資料から、ヤーコプスは、セリフ部分でモーツァルトが自らフォルテピアノを操り場面を盛り上げ、次のアリアへのよい橋渡しとなるような即興、あるいは自作の鍵盤音楽からの引用を織り交ぜたのではと考え、この録音に際してもセリフ部分の何か所かで、フォルテピアノ奏者にちょっとした楽曲を演奏させ、さらにアリアの中でも通奏低音の枠を超えたようなものを演奏させている。このような細かな工夫により、セリフとアリアのつながりにも自然な流れが生まれ、オペラの内容がよりリアルなものとして見事によみがえっている。歌唱陣は、バイロイトにも出演、カルダーラの世界初録音アリア集CD(マルコン指揮)でも注目を浴びたソプラノのロビン・ヨハンセン、既にバロックからロマン派のアリアまで多数のCDをリリース、2015年のザルツブルク音楽祭デビューをしたテノールのマキシミリアン・シュミットなど、旬の顔ぶれがズラリそろっている。 (#):セリフ部分にも音楽部分にも入念な考察を重ねた、歌芝居としての面白さが万全に引き出された演奏。タミーノ役のダニエル・ベーレはハンブルク出身で録音当時デビューしたてだったが、今では大活躍のテノール。ペーターゼンは押しも押されぬ存在のソプラノ。「魔笛」の録音に新たな歴史を刻んだ名盤。

MIRARE (仏) 特記以外 1枚あたり¥3520(税抜¥3200)

 旧譜はこちらから
MIR-488
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(5CD)
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シューベルト:弦楽四重奏曲全集
 〔第1番 D.18 /第4番 ハ長調 D.46 /第13番 イ短調 D.804 「ロザムンデ」/第2番 ハ長調 D.32 /
  第6番 ニ長調 D.74 /第10番 変ホ長調 D.87 /第3番 変ロ長調 D.36 /第8番 変ロ長調 D.112 /
  第11番 ホ長調 D.353 /第5番 変ロ長調 D.68 /第9番 ト短調 D.173 /第14番 ニ短調 D.810 「死と乙女」/
  第12番 ハ短調 D.703「四重奏断章」/第7番 ニ長調 D.94 /第15番 ト長調 D.887 〕

 モディリアーニSQ
  [アムリ・コエイトー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1773年製)
   ロイック・リョー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1780年製)
   ローラン・マルフェング(Va|使用楽器:マリアーニ、1660年製)
   フランソワ・キエフェル(Vc|使用楽器:マッテオ・ゴフリラー "ex-Warburg" 、1706年製)]
 録音:2021年2月-3月、9月-11月。シューベルトの弦楽四重奏曲は、どれもが美しい旋律と抒情に満ちた、音楽史上の至宝。2003年に結成されたモディリアーニ弦楽四重奏団が、2021年の2月から10月まで、ほぼ1年間をかけてじっくり全曲録音に取り組んだ。一挙にボックスセットとしてリリースする。全体をとおして素晴らしいバランスのアンサンブル。ひとつのパートが旋律を奏でている時も、他のパートも実に気持ちよいバランスで響いており、ハーモニーを奏でているひとつひとつの瞬間のどこを切り取っても、端正で美しいバランス。それぞれの出るところと引くところの駆け引きも見事。縦と横の線の完ぺきなバランス、そして心地よい抑制感、つねに豊かに漂う抒情、と実に美しいシューベルトの登場。
エル=バシャ・プレイズ・ショパン
 24の前奏曲 Op.28 /幻想曲 ヘ短調 Op.49 /
 子守歌 Op.57 /舟歌 Op.60
アブデル・ラーマン・エル=バシャ
(P|使用楽器:ベヒシュタイン 282
 録音:2020年1月8日-12日、ヴィルファヴァール農場。アブデル・ラーマン・エル=バシャはショパンを全作品暗譜しているとされ、協奏曲を含む全集録音がある。還暦を迎え円熟の至芸で再録音に挑み始めた極上のシリーズ。2021年のバラートとスケルツォに続き、第2弾は24の前奏曲をメインに3つの単独作品をフィルアップ。ベヒシュタイン・ピアノの陰影に満ちた深い音色と、落ち着いたピアニズムで大人のショパンを聴かせてくれる。
ボヴァリー夫人の音楽
 ファニー・メンデルスゾーン:1年 より〔5月 春の歌/9月 川辺で/6月 セレナード〕/夜曲 ト短調/メロディ
 ポリーヌ・ヴィアルド:セレナード / ショパン:3つの夜奏曲 Op.9
 ドリーブ/ドホナーニ編曲:コッペリアのワルツ / ルイーズ・ファランク:ロシアの歌変奏曲
 リスト:「ルチア」の回想 / クララ・シューマン:ローベルト・シューマンの主題による変奏曲

 ダヴィド・カドゥシュ(P)
 録音:2021年7月12日-16日、ポワチエ公会堂。フローベールの名作「ボヴァリー夫人」は1856年に発表、翌年出版され大ベストセラーとなった。妄想癖のある田舎娘エマが、医師シャルルに見初められ結婚したものの退屈な夫と生活から不倫を繰り返し、加えて夫に無断で借金も重ね、最後は自ら命を絶つまでがリアリスティックなタッチで描かれる。文学と音楽の関係に関心の深いダヴィッド・カドゥシュは、エマ・ボヴァリーと音楽についてこのアルバムを編みた。とはいえ、ボヴァリー夫人を描いたミヨーのピアノ曲はあえて避け、また作品中に具体的な音楽があまり登場しないため、彼女が短い生涯で聴いたかもしれないであろう曲を妄想している。中心はファニー・メンデルスゾーンの「1年」と題された組曲の抜萃。物語の季節と合わせ、エマ・ボヴァリーの心情を綴る。また作者フローベールと親しかったポリーヌ・ヴィアルドの珍しいピアノ曲を選んでいるのも興味津々。また作品中エマが夫とルーアンのオペラハウスで観るドニゼッティの「ランメルムールのルチア」はリストのパラフレーズで披露。最後は狂乱するルチアとエマの運命を重ねる。またクララ・シューマンが夫ローベルトの主題で書いた変奏曲もエマと浮気相手レオンとの交情を暗示させる。フランス文学に興味のある方々にオススメ。
ドビュッシー、アーン、ストラヴィンスキー
 ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
 レイナルド・アーン:ヴァイオリン・ソナタ ハ長調
 ストラヴィンスキー:協奏的二重奏曲
アイレン・プリッチン(Vn)
ルーカス・ゲニューシャス(P)
 録音:2021年12月1日-3日、サンクトペテルブルク放送局。クルレンツィス率いるムジカ・エテルナ初来日時のコンサートマスターを務め話題となったアイレン・プリッチン。2019年の第16回チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門4位だったが、その前(2015年第15回)のピアノ部門第2位だったルーカス・ゲニューシャスと魅力的なアルバムを作った。ドビュッシー(1917)、アーン(1926)、ストラヴィンスキー(1932)のオリジナル曲を並べているが、それぞれ1910年代、20年代、30年代のパリ文化移りかわりを香らせつつ作曲者たち独自の美学を示している。大歓迎なのがレイナルド・アーンのソナタ。魅力的なメロディにあふれ近年録音も増えているが、真打の登場となる。プリッチンは一目惚れで虜になったそうで、彼に紹介されたゲニューシャスも「自分の人生の困難な時期を慰め癒してくれ、以来アーンはシューベルトと同等に彼の音楽的思考を支配する存在になった」と絶賛している。両者の思いの強さにより、単に流麗でさわやかなだけでなく、ベルエポック文化への苦い郷愁や相方だった文豪プルーストとの親密な対話など複雑な思いが見えて来て、この作品の新たな評価へつながる見事な演奏となった。
夜への頌歌〔編曲:ロラン・ピドゥー(*以外)、ルノー・ギウ(*) 〕
 ビゼー:「真珠採り」〜耳に残るは君の歌声 / オーギュスタ・オルメス:「ルードゥス・プロ・パトリア」〜夜と愛
 フォーレ:月の光 Op.46 No.2 / ドヴォルジャーク:「ルサルカ」〜月に寄せる歌)
 シューベルト:セレナード D.957 No.4 /君こそわが憩い D.776 /夜 D.983 No.4 /森の中の夜の歌 D.913
 グノー:「サン=マール」〜輝かしい夜
 ブラームス:静かな夜に WoO.34 No.8 /森の夜 Op.62 No.3 /
       夜警「静かな胸の音」 Op.104 No.1 /夜警「あなたは眠っているか」 Op.104 No.2
 サン=サーンス:夜の静けさ Op.68 No.1 / リヒャルト・シュトラウス:夢の光 Op.123 No.2
 ドビュッシー/:「夜想曲」より(*) 〔雲/祭〕

 チェロ8[ロラン・ピドゥー、ラファエル・アッレギーニ、ヤニス・ブドリス、
  アルベリク・ブルノワ、ノエ・ドレダク、レオ・イスピル、エリオット・レリドン、ソニ・シェチンスキ]
 録音:2022年10月9日-13日、サル・コロンヌ。チェロ・アンサンブルといえば「BPOの12人」が有名だが、その後8人アンサンブルが多く現れている。2006年ナントのフォルジュルネ音楽祭で、ルネ・マルタンも巨匠ロラン・ピドゥーをリーダーとする「レ・ヴィオロンチェレス・フランセ」をプロデュース、2009年には「メディテーションズ」というアルバムをリリースさせた。その後ピドゥーは「タラン&ヴィオロンチェレス」という協会を創設し、若いチェリストの育成に務めている。そこから選んだ7名を率い、2023年ナントのフォルジュルネ音楽祭のテーマ「夜」にちなんだ新アルバムをリリース。作曲家たちがさまざまな夜の雰囲気を描いた声楽作品を基にピドゥーとルノー・ギウが編曲している。
バッハ=アーベル・ソサエティ
 J.C.バッハ(1735-1782):四重奏曲 Op.8 No.4 /ヴァイオリン・ソナタ Op.16 No.3
 カール・フリードリヒ・アーベル(1723-1787):
  プレリュード〔ニ短調/二長調〕/ソナタ ハ短調(マルツァン・コレクション)/四重奏曲 ト長調
 ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809):スコットランド歌曲集 より
 ヨハン・ザミュエル・シュレーター(1753-1788):チェンバロ五重奏曲 ハ長調 Op.1 No.1 /ソナタ Op.7 No.6

 レ・ゾンブル
  [マルゴー・ブランシャール(ヴィオラ・ダ・ガンバ) シルヴァン・サルトル(Fl)
   フィオナ・マガウン(Ms) テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn)
   ジュスタン・テイラー(ピアノフォルテ) ハンナ・サルツェンシュタイン(Vc)]
 録音:2021年2月。1765年、ロンドンに居を構えたヨハン・クリスティアン・バッハは、友人のカール・フリードリヒ・ア-ベルとともに、英国初の予約制定期演奏会である「バッハ・アーベル・コンサート」を設立した。人気音楽家たちが出演し、時にはハイドンの作品をイギリスで初めて演奏、当時の音楽シーンを先取りした豪華な内容のサロンだった。ここでは、ジュスタン・テイラーやド・スワルテといった若手注目株の奏者たちも参加のアンサンブル "レ・ゾンブル "が、18世紀後半のロンドンの催しの典雅な世界に聴き手をいざなう。
モーツァルト
 ピアノ協奏曲第14番 変ホ長調 K.449 /
 ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K.382 /
 ピアノ協奏曲第12番 イ長調 K.414
セリム・マザリ(P)
ポール・メイエ指揮
マンハイム・プファルツ選帝侯室内o.
〔マンハイム・チェンバーo. 〕
 録音:2021年3月16日-19日、マンハイム・エピファニー教会。1992年生まれのセリム・マザリ、ベートーヴェンの変奏曲CD(MIR-488)で注目された彼の最新盤はモーツァルトの協奏曲。パリ音楽院でエンゲラーに師事し、2012年にエンゲラー没後はクレール・デゼールからさらなる研鑽を積んだ。その後ロンドン王立音楽大学でアレクセーエフにも学んでいる。古典派作品に熱意を示す彼だけに、モーツァルトはうってつけの選曲。バックを務めるのは名クラリネット奏者でもあるポーツ・メイエ率いるマンハイム・プファルツ選帝侯室内o. (マンハイム・チェンバーo. )。1952年創立でマンハイム楽派のレパートリーの再発見と普及で知られる団体。マザリの格調高いピアノと相まって典雅極まりない世界を作り上げている。
ファニー&フェリクス・メンデルスゾーン
 ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル(1805-1847):
  ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.11
 フェリクス・メンデルスゾーン(1809-1847):
  ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.49
トリオ・ショーソン
 録音:2021年4月。結成20年を迎えたトリオ・ショーソン。2021年に結成20年を迎えた。いつもみずみずしく、勢いがよくあたたかみのある演奏で、世界中で高く評価されている。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で来日もしており、彼らの演奏は絶賛された。そんな彼らがこのたび録音したのが、メンデルスゾーン。ファニーとフェリックス姉弟のピアノ三重奏曲をカップリングした。フェリックスのピアノ三重奏曲はピアノ・パートが難しいことでも知られているが、この演奏はそうしたことをまったく感じさせない、心地よい疾走感に満ちた演奏。そして、ファニーは弟のフェリックスを上回る才能の持ち主とはよくいわれているが、この盤を聴くと、ファニーの作品の素晴らしさがあらためてよくわかる。なによりトリオ・ショーソンの音楽が素晴らしい1枚。
リスト:超絶技巧練習曲 S.139 ガブリエル・スターン(P)
 録音:2021年5月14日-17日、スイス。ヴィルサラーゼも「その比類なき芸術的献身が、彼にしか表現しえない世界を実現させている」と手放しで絶賛する逸材ピアニスト、ガブリエル・スターン。1992年生まれ、スイスの音楽院でセドリック・ペシャのもとで学んだのち、ヴィルサラーゼのもとでさらなる研鑽を積んだ。さらに、カサール、ルイサダ、リフシッツ、ジャック・ルヴィエらにも薫陶を受けている。「リストの再来」を思わせるそのテクニックと、知的で見通しのよい音楽づくりは世界から高い評価を受けている。リストはその超絶技巧練習曲によって、ピアノのヴィルトゥオジティを、過去のものとは比べられないくらい、そして現代でも超えられないものへと一気に高めました。これらの曲に取り組むのは、まず技術がないと歯が立たないが、さらにリストが盛り込んだ詩情や風景、文学的背景への理解が奏者には求められる。つまりは超難曲。とにかく第1曲の前奏曲のひとつめの音から、スターンがとてつもないピアニストであることがはっきりとわかる。壮大な宇宙が広がる。リストの再来を思わせるようだ。テクニックには充分余裕があり、さらに音楽も素晴らしい。ガブリエル・スターン、おそるべき注目ピアニスト。
ヴィリアンクール・プレイズ・フランク
 交響詩「ジン」(*) /
 前奏曲、コラールとフーガ/
 交響的変奏曲(*) /
 前奏曲、アリアとフィナーレ
タンギ・
 ド・ヴィリアンクール(P)
クリスティーナ・ポスカ指揮(*)
フランダースso.(*)
 録音:2021年4月26日-29日、ブルージュ・コンセルトヘボウ。1990年生まれのフランス期待の名手ヴィリアンクールが、2022年アニヴァーサリー・イヤーのフランクに挑戦した。ピアノ独奏曲の代表作「前奏曲、コラールとフーガ」「前奏曲、アリアとフィナーレ」に加え、ふたつの協奏作品も収めたフランクのピアノ音楽を満喫できるアルバム。大器晩成と言われるフランク円熟期の作ばかり。いずれも外面的効果は薄いものの、フランクならではの難技巧にあふれ、またオルガン的な壮麗さにも満ちている。さらに和声や循環主題などワーグナーの影響も感じさせる。ヴィリアンクールは5年前にリストのワーグナー編曲を全曲録音したことが糧になっていることが技術、解釈に反映されているのか説得力満点なのに驚かされる。もちろんフランス的な洒脱さもあり、理想的なフランク像を作り上げている。交響詩「ジン」と交響的変奏曲は、エストニア出身の女性指揮者クロイスティーナ・ポスカ指揮フランダースso. と共演。ポスカは1978年生まれ、オペラ指揮で注目された。「ジン」はヴィクトル・ユーゴーの作品に基づき、また交響的変奏曲も物語性を感じさせるため、彼女のドラマ作りの巧さが光る。
Ellipses 〜円
 ジョヴァンニ・ソッリマ(1962-)/ボッケリーニ:ファンダンゴ / ドビュッシ:チェロ・ソナタ
 ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番「アリア」(チェロとギターのための編曲版)
 ヴィレム・デ・フェッシュ(1687-1761):シシリエンヌ(バロック・チェロとチェンバロ)
 フォーレ:シシリエンヌ Op.78 (チェロとピアノ)
 マリア・テレジア・フォン・パラディス(1759-1824):シシリエンヌ(チェロとピアノ版)
 ヨハン・エルンスト・ガイヤルド(1687-1747):シシリエンヌ(バロック・チェロとチェナロ)
 マラン・マレ/セルバン・ニキフォル編曲:スペインのフォリア(チェロとチェンバロ版)
 ティエリー・エスケシュ:無伴奏チェロのためのラ・フォリア
 ジュール・マットン(1988-):バロック・チェロとチェンバロのための「 Detail 〔細部〕」(世界初録音)
 コベーキン:チェロとタンブーランのためのハヤルド

 アナスタシヤ・コベキナ(Vc|使用楽器:ストラディヴァリウス、1698年製
 ヴァンサン・ボッカドーロ(P) エマニュエル・アラケリアン(Cemb)
 ティヴォー・kヴァン(G) トリスタン・ペレイラ(Perc)
 録音:2021年5月3日-6日。アナスタシヤ・コベキナ、注目盤の登場。コベキナは1994年エカテリンブルクの音楽一家に生まれ、4歳でチェロをはじめ、モスクワ音楽院で学んだのち、パリ音楽院、そしてフランクフルト音楽院でバロック・チェロを学んでいる。2019年6月には第16回チャイコフスキー国際コンクールで第3位に入賞、その実力と演奏に世界が魅了されている存在。18世紀、無伴奏チェロのために書かれた最初期の作品から現代までのチェロ作品を自在に組み合わせて、チェロの歴史を俯瞰するようなプログラムとなっています。現代の作曲家の作品は、バロック作品にインスパイアされて書かれた物。超絶技巧を要求されるものが多いが、コベキナは独特の存在感をたたえた音色で、雰囲気たっぷりに奏でている。共演の楽器も、カスタネットが効果的に響いたり、実に豊かな世界。ドビュッシーのソナタは哀愁も感じさせつつ、美しい弱音で聴かせる。コベキナの魅力にあふれた1枚、注目。
ラ・ファヴォリート〔お気に入り〕
 ジャック・デュフリ(1715-1789):クラヴサン曲集第3巻
 ジャン=バティスト・カルドンヌ(1730-1792):ヴァイオリンをともなうクラヴサンのための
  ソナタ集第1巻(ドーフィーヌ夫人に捧ぐ) より〔第4番「ラ・ファヴォリート」/第6番〕
 ジャン=ジョゼフ・カサネア・ド・モンドンヴィル(1711-1772):
  通奏低音をともなうヴァオリン・ソロのためのソナタ第5番〜ラ・カシア〔狩〕
 アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):随意にヴァイオリンをともなう、
  クラヴサンの小品形式の6つのソナタ集(ボーヴォー嬢に捧ぐ)〜ソナタ第3番
 ヨハン・ショーベルト(1735-1767):ソナタ第4番 ニ短調

 ジョスリーヌ・キュイエ(Cemb) ダニエル・キュイエ(Vn)
 録音:2021年10月2日-4日。バロック期およびロココ期の、ヴァイオリンとチェンバロのための二重奏作品集。優雅で洗練された雰囲気をもつ作品を、フランスを中心に活動を展開している古楽界の重鎮、ダニエル&ジョスリーヌ・キュイエによる演奏でおたのしみ頂ける。デュフリは当時の有能な政治家アントワーヌ・ド・サルタンに、ショベールはコンティ公爵に、モンドンヴィルはブフラー侯爵やポンパドゥール夫人によって名声を確立していった。また、アルマン・ルイ・クープランはパリでオルガン奏者として複数のポストを持っていた実力者だが、最後はルイ16世の音楽教師を務めている。文化的なパトロンたちの存在が生み出した珠玉の音楽の魅力が、最上の形で引き出されている。
[Ljus] 〜スウェーデン歌曲集
 トール・アウリン(1866-1914):ばらに/そして騎士は聖地に向かった
 ヴィルヘルム・ステーンハンマル(1871-1927):メロディ/彼方を船はゆく/ Fylgia /楓の木陰で/森で/海辺の歌
 テューレ・ラングストレム(1884-1947):ただひととき/別れ/夜の翼/夜への祈り/セレナード
 ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(1867-1942):山羊よ、坊やの所まで/収穫後の歌/待つは楽しい/ Boljeby-vals
 ボー・リンデ(1933-1970):リンゴの木と洋梨の木/あなたが私に口づけをした草原で
 シグルド・フォン・コック(1879-1919):シャイトラの月に
 ラーシュ=エーリク・ラーション(1908-1986):草はさまよえる足の下で歌う
 グスタフ・ノルドクヴィスト(1886-1949):海で / グンナル・デ・フルメリ(1908-1987):あなたが私の目をとじる時

 マリーヌ・シャニョン(Ms) ジョセフィーヌ・アンブロセッリ(P)
 メゾ・ソプラノのマリーヌ・シャニョンと、ピアノのジョセフィーヌ・アンブロセッリは、スウェーデンを旅した時に、その空気と光に魅了されたそう。北欧といえばその寒さや冬の間の夜の長さが有名だが、だからこそ、太陽の光やそのあたたかさに感激したという。このアルバムは、そうした「光」に焦点をあてた1枚。若きふたりが、きらめくように、そしてあたたかく、希望や喜びをもって歌い上げる、スカンディナヴィアのもっとも美しい旋律の数々をお楽しみ頂ける。
GEISTER DUO
 シューマン(1810-1856):東洋の絵 Op.66
 ブラームス(1833-1897):シューマンの主題による変奏曲 Op.23
 ドヴォルジャーク(1841-1904):ボヘミアの森より Op.68
  ガイスター・デュオ[ダヴィド・サルモン、マニュエル・ヴィエイヤール(P|使用楽器:ヤマハ)]
 録音:2021年5月21日-24日。2021年のミュンヘン国際コンクールで優勝した、世界が認めるピアノ・デュオ、ガイスター・デュオのデビューCD 。デュオの名前はシューマンの最後のピアノ曲「精霊の主題による変奏曲」の原題 Geistervariationから名前をとったとのこと。彼らの初 CDとなる本盤では、彼らに所縁の深い作曲家シューマン、ブラームス、そしてドヴォルジャーク作品を収録。シューマンは4手のために初期にひとつと、そのあと4つの作品を残しているが、奏者たちが取り上げるのはこの「東洋の絵」がほとんど。11世紀のアラブの詩にインスパイアされて書かれたとされており、シューマンらしいはずむリズムもあざやかな名曲。ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲」は、シューマンの「精霊の主題による変奏曲」から主題をとった物。ブラームスの4手の作品の中では演奏機会が少ないものだが、10の変奏からなる作品で、最終楽曲はシューマンへの葬送行進曲となっている。ドヴォルジャークの作品は第5曲の「森の静けさ」がドヴォルジャーク自身による他の編成で取り出して演奏されることも多い名曲。ガイスター・デュオの完ぺきなアンサンブルにより、シンクロしたリズム、驚異的なバランスと豊かな響きが実現されている。
MIR-614
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(2CD)
ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 2022 ナント公式CD
永遠のミューズたち
 ラフマニノフ:春の洪水 Op.14 No.11 /リラの花 Op.21 No.5 / ラヴェル:マダガスカル島民の歌(*)
 デュパルク:戦のある国へ/前世 / ワーグナー:天使/ヴェーゼンドンク歌曲集〜温室にて
 ショーソン:歌曲集「温室」 Op.24 〜第1曲 温室 / R.シュトラウス:あした Op.27 No.4 (#)
 ジェイク・ヘギー(1961-):アニマル・パッション(ナチュラル・セレクションより)

 シリール・ンジキ(S) カオリ・オノ(P)
 イリス・シャロン(Vn;#) サラ・ファン・デア・ヴリスト(Fl;*) アルベリク・ブルノワ(Vc;*)
 録音:2020年9月21日-25日、パリ国立高等音楽院。気鋭のソプラノ、シリール・ンジキのデビュー・アルバムの登場。「Muses eternelles〜永遠のミューズたち」と題し、女性にあてて書かれた、あるいは女性の詩によるものなど、女性にまつわる作品を集めた物。歌唱言語やスタイルは多岐にわたるが、そうしたことを超えて、全体として夢見るような、様々な場所や時代を旅するような、充実のプログラムの1枚となっている。ンジキとデュオ活動を行っているピアニスト・作曲家、カオリ・オノのピアノも、それぞれの作品のスタイルを的確におさえ、変幻自在で見事。ラヴェルでの迫真の表現とアンサンブルは圧巻。
MIR-622
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(2CD)
1CD価格
メシアン(1908-1992):峡谷から星たちへ・・・(1970-74) (全12曲)
 ジャン=フランソワ・エッセール指揮ヌーヴェル=アキテーヌ室内o.
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P) アデライーデ・フェリエール(シロリンバ)
 根本雄伯(Hr) フロラン・ジョドレ(グロッケンシュピール)
 録音:2021年5月月20日-23日。メシアンの「峡谷から星たちへ」最新録音の登場。この作品はメシアンがアメリカ合衆国のユタ州を旅した際に見た光景や、耳にした鳥の鳴き声などが取り入れられた作品で、3部構成全12曲、演奏時間90分以上、編成もオーケストラにくわえ、打楽器奏者5名のほか、鍵盤楽器も必要とする大作。ホルン独奏やピアノ独奏による楽章もあり、この録音では、世界的奏者がソロを担当。作品のもつ魅力を120%引き出した演奏で聴くことが出来る。管弦楽の音色も変幻自在。メシアンが描いた、地球の美しさをあらためて感じさせる音世界にどっぷり浸かれる秀逸録音の登場。ピアノのジャン=フレデリック・ヌーブルジェは神童として幼いころから活躍しているピアニストだが、近年作曲家としての活動も注目さrており、2019年にはロトとギュルツェニヒ管の委嘱により新曲を作曲してもいる存在となっている。根本雄伯は、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル-グルノーブル、ポワトゥ・シャラントo.、ペレアス室内o. などで首席奏者として活躍しているほか、室内楽でも活躍している。
モーツァルト:(CD)
 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 (*) /
 クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 (#)
ラファエル・セヴェール(Cl)
ラルス・フォークト指揮(*)
パリ室内o.(*)
モディリアーニSQ (#)
 録音:2021年10月6日-8日、フィラルモニ・ド・パリ(*) /2022年2月1日-2日、サル・コロンヌ(#)。フランスの若き天才クラリネット奏者セヴェール待望のモーツァルト。1994年生まれ、日本クラリネット協会主催ヤング・クラリネット・コンクールに12歳でグランプリ受賞、クラリネット界の未来を担う逸材と期待されている。当アルバムは共演の豪華さも注目。協奏曲は2022年9月に癌のため51歳で早世した名ピアニストのラルス・フォークトが指揮を務めるパリ室内o.、五重奏曲はモディリアーニ弦楽四重奏団が花を添えている。フランス風にオシャレで洗練された音楽作りながら、熱いエネルギーも感じさせ充実感たっぷり。要注目のクラリネット奏者。
幻想的世界
 リスト:グノーのファウストのワルツにもとづくパラフレーズ/ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」
 シューマン/リスト編曲:リーダークライス Op.39 〜 No.12 春の夜/献呈 Op.25 No.1
 シューマン:クライスレリアーナ Op.16シューマン
 ジャン=バティスト・ドゥルセ:エンディミオン(キーツの詩による)(2021)

 ジャン=バティスト・ドゥルセ(P)
 録音:2021年12月。ジャン=バティスト・ドゥルセは1992年生まれのピアニスト、即興演奏家、作曲家。パリ国立音楽院でクレール・デセールにピアノと室内楽を、ティエリー・エスケシュに即興演奏を師事した。2019年、ロン=ティボー・コンクールで第4位および聴衆賞、クララ・ハスキル・コンクールでモダーンタイムズ(新曲)賞受賞の注目の存在。作曲家として20ほどの室内楽や器楽作品を作曲、出版もされている。そんなドゥルセが今回プログラムしたのは、「詩」に多大な影響を受けたロマン派作品。シューマンの歌曲をリストが編曲した「春の夜」の繊細なさざめきのようなピアノは驚異的な美しさ。注目なのが、リストの「ダンテ・ソナタ」と、そのリストへの導入と自身位置付ける自作を続けて収録していること。リストの「ダンテ・ソナタ」は超絶技巧がものすごいのはもちろんのこと、情景が見事に目の前に浮かぶような描写力豊かな演奏に圧倒される。ダンテ・ソナタが下降で始まるのに対し、ドゥルセの作品は上行で始まり、美や神の世界について語るキーツの詩を、天上の世界の響きを思わせる美しいハーモニーで聴かせる。1枚が大きなストーリーとなっている内容で、ピアノの詩人ドゥルセの今後にも期待が高まる。
ヴェネツィアの天才を祝う〜カルダーラとヴィヴァルディ
 ヴィヴァルディ(1678-1741):グローリア RV.589 /協奏曲〔ハ長調 RV.443 /ト短調 RV.156 /ニ長調 RV.781 〕
 アントニオ・カルダーラ(1670-1736):セレナーデ(1709) 〜シンフォニア/モテット「 Caro mea vere est cibus 」/
                   Op.2 〜シャコンヌ/オラトリオ「アベルの死」〜シンフォニア

 エロイーズ・ガイヤール(リコーダー)音楽監督アマリリス[セルジュ・チザク(Ob/Tp)/他]
 マリアナ・デルガディッロ・エスピノーザ合唱指揮ペイ・ド・ラ・ロワール児童cho.
 録音:2021年2月。ヴェネツィアで活躍したふたりの天才、カルダーラとヴィヴァルディの才を祝して編まれたプログラム。バロック期のヴェネツィアでの演奏会を、色彩ゆたかに再現しようとする試み。ヴィヴァルディの「グローリア」が児童合唱で演奏され、天上から降り注ぐような声にこころが洗われるようだ。協奏曲では、アンサンブルの音楽監督でもあるエロイーズ・ガイヤールがリコーダーやオーボエを華麗に響かせる。
ケフェレック〜ベートーヴェン:後期3大ソナタ
 〔第30番 ホ長調 Op.109 /
  第31番 変イ長調 Op.110 /
  第32番 ハ短調 Op.111 〕
アンヌ・ケフェレック(P)
 録音:2022年2月5日-8日、ポワチエ劇場講堂。「フランス・ピアノ界の女王」と呼んでもさしつかえないほどの人気と存在感を示すケフェレック。彼女の最新盤はベートーヴェンのソナタ・アルバム。これまで「月光」などはあったが、後期3大ソナタなのに注目。何を弾いても素晴しいケフェレックだが、ベートーヴェンでも新境地を見せてくれる。ブックレットにはケフェレック自身がこの3作について記している。これがエッセイと思いきや哲学的修辞に満ちた大作で、さすが文学者の家系の出自と感心させられる才女ぶりを示している。演奏はケフェレックならではの端正っきりした造形感に、しなやかな歌心がオシャレの極み。淡々としながらも音楽性は深く感動的。芝居がかった熱い解釈が多いなか、新しいベートーヴェン後期ソナタのスタイルを示している。
ヨーゼフ・ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 〔ト長調 Hob.XV: 15 (フルート、チェロとピアノ)/ヘ長調 Hob.XV: 16(ヴァイオリン、チェロとピアノ)/
  ニ長調 Hob.XV: 16 (フルート、チェロとピアノ)/ホ短調 Hob.XV: 12(ヴァイオリン、チェロとピアノ)〕

 ジェローム・アンタイ(Fp) マルク・アンタイ(Fl)
 アレッサンドロ・モッチア(Vn) アリクス・ヴェルジエ(Vc)
 録音:2020年2月。なんとも豪華な顔ぶれによるハイドンのピアノ三重奏曲集の登場。ハイドンが1784年から1790年の間、エステルハージー公に仕えていた最後の頃の作品で、ハイドンの筆が完全に熟していたことを感じさせる作品がならぶ。ハイドンがちりばめた、ころころと自在に変化する表情のパッセージを、名手たちがこれ以上なく典雅に響かせる。
しーっ! 私はシューベルトと夢見る〜
  ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 2022 ナントのためのオムニバスCD
 ブックレットは付いていない。2022年のフォルジュルネ音楽祭、日本は残念ながら中止となったが、フランスのナントでは2月に開催された。2022年のテーマがシューベルトだったため、主催側のMIRAREレーベルが自社音源から編んだオムニバス・アルバム。ピアノと室内楽の名作から聴き所を61分にまとめ、故ブリジット・エンゲラー、クレール・デゼール&エマニュエル・シュトロッセ、シャニ・ディルカ、クレール=マリー・ル・ゲ、モディリアーニ弦楽四重奏団ら音楽祭でお馴染みの演奏家で綴る。さまざまなストレスに満ちた時代に、シューベルトの音楽が子守歌のように優しく癒してくれる。シューベルト入門にも最適のアルバム。
冬のセレナード〔編曲:ピエール・ジャノ(*) 〕
 ドビュッシー:「シャルル・ドルレアンの3つの歌」〜冬は嫌いだ / ドリーブ:寒気の合唱(*)
 フランス民謡:新しいノエル(*) / クロード・グディメル:精霊たち、聖なる夜に歌おう
 ウスタシュ・デュ・コロワ:ようこそ、栄光なる聖母 / プーランク:クリスマスのための4つのモテット
 パトリック・ブルガン:雪の夜 / サン=サーンス:冬のセレナード / プーランク:白雪/雪の夜
 ザド・ムルタカ:フランマ / バスク民謡:若き乙女がいた / アントワーヌ・ビュノワ:ノエル、ノエル、ノエル
 アントワーヌ・ブリュメル:ノエ、ノエ、ノエ / ニコラ・サボリ:カンボが私を傷つける(*)
 フランス民謡:聖母よ、われらに歌いたまえ(*)(クリストフ・バラールによる)
 クローダン・ド・セルミジ:声のかぎりノエと叫ぼう / アンリ・マルティネ:プチ・パパ・ノエル(*)

 ジョエル・シュユビエット〔スービエット〕指揮レ・ゼレマン
 録音:2022年2月28日-3月5日、サン・ピエール・デ・キュイジーヌ教会、トゥールーズ。トゥールーズを本拠とするアカペラ合唱団「レ・ゼレマン」は1997年創設。古楽から現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ彼らがクリスマスなどの祭事や冬の寒さを歌う。ドビュッシーやサン=サーンス、プーランクのほか、ルネサンス期の作曲家、民謡までフランスの冬の寒さと暖炉のあたたかさを音で味わえる。
ブラームス:セレナード 全曲
 〔第2番 イ長調 Op.16 /第1番 ニ長調 Op.11 〕
ヴィクトル・
 ジュリアン=ラフェリエール指揮
コンスエロo.
 録音:2022年9月30日-10月3日、ヴァンセンヌ・メディアセンター。チェロ奏者としても活躍するヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエールのイニシアティブで2019年に創設されたコンスエロo. 。コロナ禍でせっかくの活動がままならぬ状態だったが、これから本格的な世界進出が期待出来る。各奏者がソロ、室内楽でも活躍する名手揃いで、フレッシュで生気あふれる解釈が魅力。デビューCDはブラームス。それも最も若々しく明るいセレナードなのが大歓迎。今後に目が離せない。

NAIVE 1枚あたり¥3300(税抜¥3000)

 旧譜はこちらから
ASTRÉE
ホプキンソン・スミス〜 Bright & Early
 ジョアン・アンブロシオ・ダルツァ:
   Saltarello ala ferrarese / Piva ala ferrarese / Caldibi castigliano / Pavana ala ferrarese /
   Caldibi saltarello (ホプキンソン・スミスによる再構築版)/ Poi che volse la mia stella /
   Pavana ala venetiana / Saltarello ala venetiana / Piva ala venetiana / Tastar de corde /
   Poi che 'l ciel contrario adverso. Calata ala spagnola ditto terzetti dizuan ambroso dalza
 フランチェスコ・スピナチーノ:リチェルカーレ Nos.6, 13, 23, 4, 25, 15, 12, 9
 マルケット・カーラ: Io non compro piu speranza

 ホプキンソン・スミス(6弦リュート|使用楽器:ヨエル・ファン・レネプ〔ボストン〕、1977年製
 録音:2021年4月、フランス。至高のリュート詩人として世界が絶賛するホプキンソン・スミス。音楽が素晴らしいことはもちろん、歴史に関する膨大な知識と探求心で、歴史に埋もれてしまった楽譜を熱心に掘り起こしてもいる。このたび、歴史上(1507-1508、ベニス)初めて印刷(出版)されたタブラチュア譜から、リュートの楽器の最初期の作品と考えられる楽曲を録音した。「私の音楽の再構築を異端視する批評家もいるかもしれないが、スピナチーノの作品で現在まで残されているものの多くがひどく混乱した状態であることから、再構築が必要だと私は考えた。作品をそのまま演奏されない運命のままとしてしまうか、素晴らしいタペストリーのほつれた糸を引き締めて芸術作品として再提示するかのどちらかだ」とはスミスの言葉。スミスはこれらの繊細なポリフォニーを、15世紀後半の伝統に基づいて作られた6弦のリュートで奏でている。調弦も、15-16世紀の論文などを考慮した物。中世という遠い時代と幻想を呼び起こす神秘的な魅力に満ちた作品が、リュートという楽器を持った至高の語り部によって、現代に響く。舞曲の形式によるものから自由な形式によるものまで、ホプキンソン・スミスという最高の語り部を得た作品がよみがえった。
NAÏVE CLASSICS
V-7159
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(3CD)
ステファノ・ジェルヴァゾーニ(1962-):
 弦楽のための第3の四重奏曲「 clamour 」/闇への6つの手紙(2つのニュース)/ストラーダ・ノン・プレサ
ジェラール・ペソン(1958-):弦楽四重奏曲集
 〔吸って、とめて(第1番)/ bitume(第2番)/サイドピース(第3番)〕
エンノ・ポッペ(1969-): buch・zwolf(独奏チェロのための)/ tier(弦楽四重奏のための)/
                freizeit (弦楽四重奏のための)

 ディオティマSQ パスカル・モラゲス(Cl)
 録音:2016年2月、12月、2017年11月、2018年7月。エッジの効いた活動で注目を集めているディオティマ弦楽四重奏団。同じく現代に生き、その中でも最先端をいく、ジェルヴァゾーニ、ペソン、ポッペという三名の作曲家たちの作品を集めた。彼らはそれぞれ、弦楽四重奏という枠組みの中で、新しい書法を見事に打ち立てている。ジェルヴァゾーニ作品は熱狂と静寂の効果を探求、ペソンは作品内でブラームスを引用(クラリネットのモラゲスが演奏)しつつも静寂と音の間を漂うような作品を書いている。そしてポッペの作品は、永遠に変容し続ける細胞を念頭に置きながら、ユーモアにも満ちたものとなっている。
Legacy
 ハイドン:チェロ協奏曲第1番 ハ長調 Hob.VIIb: 1
 ポルポラ:チェロ協奏曲 ト長調〜ラルゴ
 モーツァルト/ロバート・レヴィン補完:
  ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための協奏交響曲 イ長調 K.320e (K.Anh.104) (断片)(*)
 グルック/ラ・マルカ編曲:「オルフェオとエウリディーチェ」〜精霊の踊り
 ポルポラ:「ヘスペロデスの園」〜正しい愛、私を燃え上がらせた(#)
 ハイドン:チェロ協奏曲第2番 ニ長調 Hob.VIIb: 2

 クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ(Vc)
 ジュリアン・ショヴァン(Vn)指揮ル・コンセール・ド・ラ・ローグ
 アドリアン・ラ・マルカ(Va;*) フィリップ・ジャルスキ(CT;#)
 録音:2021年2月27日-30日、パリ。フランスの俊英チェリスト、クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ。「チェロ360」(V7260)や、「ワンダフル・ワールド」(V7362)など、コンセプトから参加メンバーまで研ぎ澄まされた感性のアルバムで話題を呼んできたが、今回は「レガシー」と題し、ハイドンのチェロ協奏曲を中心としたプログラムのアルバムを発表する。管弦楽はル・コンセール・ド・ラ・ローグ、まさにハイドンを演奏するために誕生したアンサンブルを迎え、同団音楽監督のショヴァンの指揮のもと、実にエレガントなハイドンを展開している。モーツァルトの協奏交響曲(レヴィンによる補完版)では、同じくフランスの俊英ヴィオラ奏者にして弟でもあるアドリアン・ラ・マルカ、そしてショヴァンのヴァイオリンという注目の顔合わせの演奏。ポルポラといえば声楽の印象があるが、チェロにも非常に深い見識を持った作曲家だった。ポルポラはウィーンにイタリアの声楽伝統を根付かせた立役者で、ハイドンもグルックもウィーンで活躍した。そうした作曲家たち同士の生きた交流までもが感じられる内容。レコーディング(ディレクションから音のことまべて)は吉田研氏が担当。素晴らしい録音音質も特筆に値する。クリスティアン=ピエール・ラ・マルカは1983年生まれ。エクサン=プロヴァンス音楽祭でデビュー後、ジャン=マリ・ガマール、フィリップ・ミュレルに、さらにフランス・ヘルメルソンやスティーヴン・イッサーリスにも師事。ロストロポーヴィチやハインリヒ・シフらのマスタークラス受講。アルバム「チェロ360」は2021年ベスト・コンセプト・アルバム賞(グラモフォン)受賞。弟のアドリアン・ラ・マルカとフォレス音楽祭(フランス)の共同音楽監督をつとめる。
ビオンディ〜J.S.バッハ
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ(全曲)
  ファビオ・ビオンディ(Vn)
 録音:2020年6月。#国内品番のみのご案内。日本語解説つき。ビオンディがバッハを録音した。1990年にエウローパ・ガランテを創立、伝説の「四季」、そして数々のオペラや協奏曲、そしてソロと、これまで古楽ファンのみならず音楽ファンの話題の中心に存在しつづけてきたビオンディ。これまでバッハの無伴奏を録音することを遠ざけてきながらも、ずっとその時が来るのを待ち続けたと語る。そして、60歳になり、皮肉にもコロナ禍のおかげでゆったりと思索の時間を持つことができ、ついに満を持して、無伴奏全曲録音が実現した。驚異的に豊かな歌、そしてゆったりと深い音楽。感動のバッハ。フランス文学者の水林章氏による短編が寄せられている。水林氏は、フランス語で小説を発表、2019年にガリマール書店より発行された「壊れた魂」(邦訳はみすず書房より発行)では、バッハのパルティータ第3番が特に重要な役割を果たしていて、フランスはもとより各国で高い評価を得た。ビオンディは自ら水林氏に、ブックレットに文章を寄せてほしいと依頼している。ビオンディのコメントも水林氏によって翻訳されている。
ビオンディ〜メンデルスゾーン(1809-1847):
 弦楽のためのシンフォニア〔第2番 ニ長調(1821) /第5番 変ロ長調(1821) 〕/
 ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲 ニ短調(1822) /
 ソプラノと弦楽のためのサルヴェ・レジーナ 変ロ長調(1824) (*) /弦楽四重奏のためのフーガ 変ホ長調(1827) /
 ピアノと弦楽のためのラルゴ ニ短調(1820) /2つの3声のフーガ〔ト短調(1820) /ニ短調(1820) 〕

  ファビオ・ビオンディ(Vn)指揮エウローパ・ガランテ
  パオラ・ポンチェット(Fp) モニカ・ピッチニーニ(S;*)
 録音:2020年7月11日-13日、サラ・ギスレリ、アッカデミア・モンティス・レガリス、モンドヴィ、イタリア。ビオンディ率いるエウローパ・ガランテがメンデルスゾーンを録音した。メンデルスゾーンが11歳から18歳の間に書き上げた作品がプログラムされている。ビオンディは、「メンデルスゾーンの "若書き "の作品と成熟した時期の作品を見分けるのは難しい、なぜならメンデルスゾーンは最初からすべてを持っていたから」と語っているが、たしかにどれも、名曲として知られる作品と同様の天才のきらめきに満ちた美しい作品ばかり。バッハの伝統と、ロマン派のみずみずしい萌芽とが感じられる。「ヴァイオリン協奏曲」は、独奏楽器と弦楽群が対等な扱われ方で、バロック期の協奏曲のようでありながら、ソロ楽器の随所に美しく歌うメロディもちりばめられた魅力的な作品。ビオンディのヴァイオリン・ソロの美しさが炸裂し、また、技巧的な部分も華やかさに満ちている。「サルヴェ・レジーナ」は独唱と弦楽のための作品だが、弦楽のアンサンブルが、伴奏に徹するというより歌いまくっていて、少年メンデルスゾーンが書き上げた宗教作品の美しさをこれ以上なく引き出している。バロックのレパートリーを知り尽くしたビオンディとエウローパ・ガランテによるメンデルスゾーンは、メンデルスゾーンが過去の巨匠に大きな敬意を持ち、バッハ復興に大きな役割を果たしたことを考えるとさらに格別な意味と重みがある。
V-7362
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(2CD)
ワンダフル・ワールド
  INTRODUCTION
  フォーレ:夢のあとに / オーバー・ザ・レインボウ
   [ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
  ミシェル・ポルタル:ハバネラ[ with ミシェル・ポルタル(Cl) + バティスト・トロティニョン(P)]
  WONDER R.シュトラウス:あした[ with ザビーネ・デュヴィエル(S) + ナタナエル・グーアン(P)]
      クルト・ヴァイル: Lost in the stars [ with トーマス・エンコ(P)]
      フランク・レッサー: I've never been in love before
      [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
  THE EARTH CRY AND THE HUMAN CRY
  ガーシュウィン:サマータイム [ with バティスト・トロティニョン(P)]
  フィリップ・グラス: The hours〜the poet acts [ with 弦楽オーケストラ]
  POLLUTION, CITIES AND WASTE ファジル・サイ:フォー・シティーズ(チェロ・ソナタ)より〔 Sivas / Hopa 〕
   [ with ナタナエル・グーアン(P)]
  THE ISSUE OF WATER トーマス・エンコ:
  プレリュード(オブ・ウィンド・アンド・ウォーター)[withトーマス・エンコ(P)]
  THE BIODIVERSITY LOST; FORESTS, AMAZONIA; EARTH‘S LUNG
   ドヴォルジャーク:森の静けさ(ボヘミアの森 Op.68 〜第5曲)[ with ナタナエル・グーアン(P)]
  THE BIODIVERSITY LOST; THE SEA, THE OCEANS アリエル・ラミレス:アルフォンシーナと海
   [ with フェリシアン・ブリュ(アコーディアン) エドアルド・マカレス(Cb)]
  THE BIODIVERSITY LOST; ENDANGERED SPICIES
  R=コルサコフ:熊蜂の飛行 / カルロス・グァスタビーノ: La rosa y el sauce
  サン=サーンス:白鳥(*) [ with 弦楽オーケストラ(*) + ナタナエル・グーアン(P)]
  DETERIORATION IN QUALITY OF LIFE & SOCIAL DECAY リリー:・ウッド&ザ・プリック: You want my money
  [ with リリー・ウッド&ザ・プリック]
  INTERDEPENDANCE BETWEEN MAN AND NATUREDAY-NIGHT
  ヘンリー・マンシーニ:ムーン・リバー / ルドヴィコ・エイナウディ: I Giorni
  [ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
  THE SEASONS ピアソラ:ブエノスアイレスの冬
  [ with フェリシアン・ブリュ(アコーディオン) エドゥアルド・マカレス(Cb)]
  Awake of nature(即興演奏)[ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
 ニルス・フラーム: Ambre (冬の音楽より)[ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
 NATURE - HUMAN  Between man and nature(即興演奏)
  [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
  AWARENESS & ECOLOGICAL CONVERSION
  チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51 No.6[ with ナタナエル・グーアン(P)]
  ケルティック・ワルツ[ with ミシェル・ポルタル(Cl) + バティスト・トロティニョン(P)]
  伝統曲: brian boru renaissance [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]
  SONG OF PRAISE ブロッホ:祈り[ with 弦楽オーケストラ + ナタナエル・グーアン(P)]
  CONCLUSION - PROSPECTS & AWAKENING
   バティスト・トロティニョン: Fly [ with バティスト・トロティニョン(P)]
   ボブ・シール、ジョージ・デイヴィッド・ワイス:この素晴らしき世界
    [ with パトリシア・プティボン(S) ティエリー・エスケシュ(P)]

 クリスティアン=ピエール・ラ・マルカ(Vc) 弦楽o.〔パリo.団員〕
 録音:2021年3月27日-4月2日、サル・ガヴォー。フランスのチェリスト、クリスティアン=ピエール・ラ・マルカが、地球を救うことをテーマにプログラムしたアルバムをリリースする。豪華共演陣にも注目。音楽には、人々の意識を目覚めさせる力があると語るラ・マルカ。私たちの地球をともに救おうと、音楽家たちが手に手をとり、クラシック、ネオクラシック、ワールドミュージック、ジャズなどの形態をとりながら、同じ「地球の歌」を歌い上げている。
サン=サーンス(1835-1921):
 ロマンス〔ハ長調 Op.48 /変ニ長調 Op.38 〕/ヴァイオリン協奏曲第1番 イ長調 Op.20 /
 ヴァイオリンとハープのための幻想曲 イ長調 Op.124 /ミューズと詩人 Op.132
ウジェーヌ・イザイ(1858-1931):サン=サーンス「ワルツ形式の練習曲」によるカプリス
 ジュヌヴィエーヴ・ロランソー(Vn) ポーリーヌ・ハース(Hp)
 イアン・ルヴィオノワ(Vc) バンジャマン・レヴィ指揮ピカルディo.
 録音:2020年10月19日-21日、2021年1月7日-8日。2021年はサン=サーンス没後100年。フランスのヴァイオリン奏者ロランソーが、サン=サーンスを録音した。室内楽での親密な雰囲気から、オーケストラの共演でのはつらつとしたヴィルトゥオーゾ性と自由なノーブルさまで、ロランソーの魅力が最大限に発揮されている。「ヴァイオリンとハープのための幻想曲」で共演するハープ奏者は1992年生まれ、13歳でリリー・ラスキーヌ・ジュニアコンクールで優勝後、フランスを中心に活躍をしている奏者だが、ベテランのロランソーと見事に息のあった繊細なアンサンブルを展開しており、注目。「ミューズと詩人」でロランソーとともにソリストを務めるチェロ奏者ルヴィオノワは、コンクール入賞多数、オーケストラとの共演も多数の、若くしてすでに活躍している奏者。ジュヌヴィエーヴ・ロランソーは3歳でヴァイオリンをはじめ、9歳でオーケストラと共演。ヴォルフガング・マルシュナー、ザハール・ブロン、そしてジャン=ジャック・カントロフに師事。ノヴォシビルスク国際コンクールで第1位など、数々の輝かしい受賞歴がある。ソヒエフ、ロトらからもソリストとして指名を2007年〜2017年まで、トゥールーズ・キャピトル国立o. のコンサートミストレスを務め、現在はソリストとしての活動および後進の指導に重点を置いている。
サン=サーンス
 序奏とロンド・カプリツィオーソ Op.28 (1863) /ハバネラ Op.83 (1887) /
 ヴァイオリン協奏曲〔第3番 ロ短調 Op.61 (1879-80) /第1番 イ長調 Op.20 (1859) 〕/ロマンス Op.48 (1874) /
 歌劇「サムソンとデリラ」(1877) 〜あなたの声にわが心は開く(*)
  (ヘルツォーク編曲|ヴァイオリン、ヴィオラとオーケストラ版)

 チョ・ジンジョ(Vn) マテュー・ヘルツォーク指揮アパッショナート(オーケストラ)
 カロリーヌ・ドニン(Va;*)
 録音:2021年3月8日-10日、 RIFFX スタジオ、ブローニュ=ビヤンクール、フランス。現代の韓国ヴァイオリン界を担うチョ・ジンジョがオール / サン=サーンス・プログラムのCDをリリース。録音は歿後100周年となった2021年。「光と輝きに満ちたメロディとリズミカルな技巧的パッセージとの対比が好きなの」と語るチョ・ジンジョ。記念すべき年に並々ならぬ思いをこめて録音に挑んだ。チョは第5回モントリオール国際音楽コンクール第1位(2006年)、第9回インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクール第1位(2014年)など、世界的なコンクールでの華々しい受賞歴を誇る。圧倒的な技巧と情感豊かな表現力を持ち合わせるチョとサン=サーンスの音楽は完全にマッチし、そのダイナミックな演奏には感動せずにはいられない。充実のアルバムが完成した。
ビオンディ他|オペラ・イン・ムジカ、史上最初期の弦楽四重奏曲〜
  カルロ・モンツァ
(1735-1801):弦楽四重奏曲集
 〔ハ長調 対照的なライヴァルの恋人たち [Gliamanti rivali] /ニ長調 Opera in musica /
  ヘ長調 火山のマグマ [lafucina di vulcano] /変ロ長調 賭博者 [Il giuocatore] /
  ロ短調 夜のディヴェルティメント [Divertimento notturno] /変ホ長調「狩 [La caccia] 〕

 ファビオ・ビオンディ、アンドレア・ロニョーニ(Vn)
 ステファノ・マルコッキ(Va) アレッサンドロ・アンドリアーニ(Vc)
 録音:2019年7月26日-28日、イタリア。ビオンディの新録音は、弦楽四重奏曲集。音楽史上はじめて4つの弦楽器のために作曲されたとされる作品。作曲したのは、今ではほとんど知られていないミラノ生まれの作曲家、カルロ・モンツァ(1735-1801)。モーツァルトが14歳でミラノに滞在したときにおそらく何等か接点があり、また、ストラヴィンスキーのプルチネルラのもとになった作品にはモンツァのものもあると考えられている。なぜビオンディがモンツァに着目したかというと、それはモーツァルトの研究がきっかけだった。モーツァルトは、14歳の時、イタリアの旅の中でミラノに滞在する。地元の音楽家や上流階級の人々に認められ、また紹介してもらうためにも、当地の有力な音楽家のもとを訪れ、またその作品を研究していたはず。当時のミラノで特に有力な音楽家だったのが、ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ランプニャーニ、そしてカルロ・モンツァの3名だった。ただしモンツァがモーツァルトにとって実際にどのような存在だったかは(友好的だったか等)まだ定かではない。ビオンディは、約10年前に、プライヴェート・コレクションの目録にこの作品があるのを発見、しかし見ることしか許されなかったそう。以降ずっと演奏してみたくて気になっていたそうだが、音楽学者の友人が近年、フランス国立図書館に1冊だけ所蔵されていたコピー譜を発見した。はたしてその作品は、交響曲のリダクションなどではなく、純粋に弦楽四重奏のために書かれたものだった。どちらかというとオペラのような作風で、決して単なる「古典派」弦楽四重奏にとどまらない魅力を放つ。さらにこれらの作品は標題音楽となっており、1曲1曲の個性豊かな展開にも注目。演奏しているのは、ビオンディと、ビオンディ率いるエウローパ・ガランテのメンバーたち。ビオンディとオペラなどでもとことん協働しているだけあって、見事に息のあった演奏を展開している。
Chiaroscuro
 モーツァルト(1756-1791):デュポールのメヌエットによる9の変奏曲 ニ長調 K.573
 スクリャービン(1872-1915):5つの前奏曲 Op.15 /ピアノ・ソナタ第3番 嬰ヘ短調 Op.23
 モーツァルト:「愚かな民が思うには」の主題による10の変奏曲 K.455
 スクリャービン:5つの前奏曲 Op.16 /ピアノ・ソナタ第10番 Op.70 / モーツァルト:ジーグ ト長調 K.574

 ズラータ・チョチエヴァ(P|使用楽器:ベヒシュタイン D 282
 録音:2021年12月7日-10日、 B-SHARP スタジオ、ベルリン。スクリャービンの生誕150年にちなんだアルバム。ロシアのピアニスト、チョチエヴァが、幼いころから愛奏し、また愛聴してきたスクリャービン作品と、モーツァルトを巧みに組み合わせてプログラムした注目の1枚。ズラータ・チョチエヴァは1985年モスクワ生まれのピアニスト。14歳でプレトニョフに認められ教えを受けたほか、2008年からはモスクワ音楽院でネルセシヤンに、2012年からはザルツブルクのモーツァルテウム大学でジャック・ルヴィエに師事した。現在はモーツァルテウムで教鞭をとっている。「フレージングや余分な音符のなさ」など共通点を挙げれば無数にある、と語るチョチエヴァ。彼女の演奏は驚くべき透明な音色と豊かな歌に満ちている。モーツァルトとスクリャービンの間にある100年以上という時代や地域の隔たりを全く感じさせず、両者の音楽にある「歌」を純粋に聴かせてくれる。技巧的な難しさはまったく感じさせない。スクリャービンのソナタの第3番は技巧的、第10番はミステリアス。また、モーツァルトの変奏曲も楽曲ごとに陰影がくっきりしている。タイトルにある「キアロスクーロ」は絵画の陰影法のことだが、まさに様々な対比が際立たされた見事なプログラムと各曲の構成力、そしてなにより全体に豊かな「歌」がある、チョチエヴァの音楽に好感がもてる。
V-7566
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(2CD)
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 ティエンチ・ドゥ(P)
 録音:2018年12月16日-19日、シャルルヴォワ、サンティレネ、ケベック、カナダ。中国の注目度急上昇中のピアニスト、ティエンチのゴルトベルク変奏曲の登場。ドゥは、ユンディ・リやサー・チェンも師事したダン・シャオイー〔ザオイ〕に師事し、数々のコンクールで入賞を果たした人気・注目度急上昇中のピアニスト。彼が奏でるバッハは、創造性にあふれ、美しい音色やレガート、完璧にコントロールされたデュナーミクなど、ピアノという楽器のもつ可能性をすべて引き出した演奏となっている。ドゥのリサイタルに接したダン・シャオイー教授は「これまで演奏会で眠れなくなるまでの感動や興奮を味わってきたが、涙しながら演奏を聴き、終演後楽屋で演奏家の腕の中で号泣したのはこれが初めてだ」と激賞しました。2023年6月には来日も予定されているティエンチ・ドゥ。要注目のアーティスト。
V-7583
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(1CD)
2CD価格
1908 〜ヴァレンティーナ・リシッツァ
 ラヴェル:夜のガスパール
 ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 Op.28
ヴァレンティーナ・
 リシッツァ(P)
 録音:2017年6月28日-29日、シャウビューネ・リンデンフェルス、ライプツィヒ。#当盤はレーベルで廃盤となっており、流通在庫限り&高額になります。ウクライナ、キエフ出身のヴァレンティーナ・リシッツァがnaiveレーベル登場!彼女はDeccaレーベルからチャイコフスキーのピアノ曲全集やラフマニノフの協奏作品全集をはじめ、ヴィルトゥオーゾ作品を数多くリリースしてきたが、naiveでも同じ路線でラフマニノフとラヴェルの超難曲に挑戦。どちらも極端に難しい技巧が要求されるが、ともに1908年の作で暗く怪奇的な要素を持っている。「夜のガスパール」がアロイジウス・ベルトランの詩によることは有名だが、ラフマニノフ作品もゲーテの「ファウスト」に基づくとされる。ラフマニノフ作品のなかでも特に難しく、演奏時間35分に及ぶ交響曲のような世界のため、ポピュラーなピアノ・ソナタ第2番に比べ演奏頻度は非常に少ない物。そうした作品だからこそ、「ラフマニノフの女王」の異名を持つリシッツァの演奏で聴きたい物。悪魔的な超絶技巧とエネルギーで両曲とも楽々と再現、驚くべきボルテージのさを示す。
V-7700
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(1CD)
2CD価格
リシッツァ・プレイズ・ショパン
 スケルツォ(全4曲)
  〔第1番 ロ短調 Op.20 /第2番 変ロ短調 Op.31 /
   第3番 嬰ハ短調 Op.39 /第4番 ホ長調 Op.54 〕/

 幻想ポロネーズ 変ロ長調 Op.61 /
 アンダンテ・スピアナートと
  華麗なる大ポロネーズ Op.22 /
 幻想即興曲 Op.66
ヴァレンティーナ・
 リシッツァ(P)
 録音:2021年12月9日-10日、モスフィルム・スタジオ、モスクワ。#当盤はレーベルで廃盤となっており、流通在庫限り&高額になります。ヴァレンティーナ・リシッツァはDeccaレーベルよりショパンの24のエチュードをリリースしていたが、今回 naiveレーベルで4曲のスケルツォをメインとするショパン・アルバムに挑戦した。切れ味抜群なスケルツォをはじめ、「幻想ポロネーズ」と「アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ」という大作、さらに人気の「幻想即興曲」まで収めた嬉しい内容となっている。リシッツァのショパンは力強く骨太。病弱でセンチメンタルなショパン像とは異なる世界が新鮮。
V-8049
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(6CD)
3CD価格
モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
 〔第1番 ハ長調 K.279 /第2番 ヘ長調 K.280 /第3番 変ロ長調 K.281 /第4番 変ホ長調 K.282 /
  第5番 ト長調 K.283 /第6番 ニ長調 K.284 /第7番 ハ長調 K.309 /第8番 ニ長調 K.311 /
  第9番 イ短調 K.310 /第10番 ハ長調 K.330 /第11番 イ長調 K.331 /第12番 ヘ長調 K.332 /
  第13番 変ロ長調 K.333 /第14番 ハ短調 K.457 /第15番 ヘ長調 K.533 + 494 /
  第16番 ハ長調 K.545 /第17番 変ロ長調 K.570 /第18番 ニ長調 K.576 〕

 ソン・ヨルム(P|使用楽器:スタインウェイ
 録音:2022年1月27日-28日、3月1日-3日、5月17日-18日、6月13日-14日、トンヨン市。ソン・ヨルムがnaiveレーベルから登場!いきなりモーツァルトのピアノ・ソナタ全集、という驚きの内容。ソン・ヨルムは1986年韓国生まれ、3歳からピアノをはじめ1998年にデビュー。ヴィオッティ国際音楽コンクールをはじめ数々の国際コンクールで優勝・入賞を重ねているが、2009年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(辻井伸行が優勝)第2位受賞は日本でもその名が広く知られるきっかけとなったといえるだろう。彼女のモーツァルトはとにかく音の美しさがまず際立っている。清潔感と透明感に満ちており、その美しさには息をのむようだ。録音に臨む際、その場のインスピレーションを大切にしようと決めたソン・ヨルム。このソナタでの演奏も、そこかしこに即興的な装飾が入るが、それがキラリと光る小さな宝石のようで実に愛らしく、好感がもてる。
OPUS 111
ヴィヴァルディ:ソプラノのためのカンタータ集 Vol.1
 見つめたときに RV.650 /そよ風よ、おまえはもはや RV.652 /そよ風にはしずかに吹いてもらおう RV.669 /
 美しい夜明けは深紅に天にむかって RV.667 /蝶々が光のまわりをとび RV.660 /私の考えから RV.665

  アリアンナ・ヴェンディッテッリ(S) アンドレア・ブッカレッラ指揮アブコルディス・アンサンブル
 録音:2020年7月3日-6日、イタリア。#レーベル品切れのため、お届けできない可能性があります。ヴィヴァルディ・エディション第68弾は、ソプラノのためのカンタータ集(2巻予定)の第1弾。すべての主題は「愛」、世俗的カンタータ。ソプラノのアリアンナ・ヴェンディッテッリは、ヴァイオリンを学んだのち歌に専念するようになり、その音域の広さで若くして活躍、とくにモーツァルトでは定評があり、ムーティともたびたび共演している。古楽でも名だたる指揮者から指名を受けて出演、ヴィヴァルデイ・エディションでも、ダントーネ指揮の「ジュスティーノ」(OP-30571)、「タメルラーノ」(OP-7080)でに登場している。ここに収録のカンタータは、まるでヴィヴァルディが彼女のために書いたかと思ってしまうくらいに、すべての音符に隅々までエネルギーの行きわたった歌唱を聴かせる。愛の喜びから悲しみまで、豊かな表情に満ちた声の妙技、そして楽器のアンサンブルの妙技、遊び心のある装飾など、まるでオペラのようだ。ヴィヴァルディの作品がこのうえなく鮮やかに響く。
OP-7365
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(2CD)
アレッサンドリーニ〜モンテヴェルディ:マドリガーレ集第7巻
  1, 2, 3, 4 & 7声のための作品、およびその他の作品
 リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)指揮コンチェルト・イタリアーノ
 録音:2020年10月。アレッサンドリーニのモンテヴェルディ最新録音の登場。アレッサンドリーニはこれまでにマドリガーレ集第2巻、第3巻、第4巻、第5巻、第6巻、第8巻と録音しているほか、オルフェオなどの重要作品も録音。モンテヴェルディにかけてはひとしおの思い入れをもっている。ここでも、音楽自体がテキストの世界を物語るようなモンテヴェルディのドラマティックな作風を見事にとらえ、よい意味で非常になまめかしい演奏を展開している。歌い手たちの、たいへん表情豊かな歌唱力に圧倒されると同時に、器楽アンサンブルの面々による繊細かつ絶妙な歌とのバランスも見事。
アレッサンドリーニ|太陽の光 − 歌、ダンスと愛の物語〜モンテヴェルディ(1567-1643):
 オルフェオ より〔シンフォニア/バレエ音楽〕/音楽の諧謔〜そよ風はもどり/
 マドリガーレ集 より〔第2巻より[あたらしい日はまだ/ため息をつきながらある人が言った〕/
            第7巻より[シンフォニア/金色の髪、美しい宝]/
            第4巻〜わたしは若い娘/第9巻〜おどれ、たのしめ、喜べ〕/
 愛と戦いのマドリガーレ集 より〔私の旋律に感動してください/大胆なダンスと歌のハーモニーが〕/
 上がれ、上がれ、いたずらな羊飼いたちよ/上がれ、上がれ、ちいさな歌姫たちよ/上がれ、上がれ、一日が始まるぞ!/
 美の讃歌/ウリッセの帰郷 より〔第1幕〜むごく苦しい/第3幕〜私はただならぬなにかを感じる〕
 ビアージョ・マリーニ(1594-1663):教会&室内ソナタ集 Op.22 〜第2のガイヤルド(2回)
 アンドレア・ファルコニエーリ(1585/86-1656):カンツォーネ集第1巻〜チャッコーナ、エロイカ

 リナルド・アレッサンドリーニ指揮コンチェルト・イタリアーノ
 録音:2020年10月、カリタ・ホール、パドヴァ、イタリア。アレッサンドリーニは40年以上にわたり、モンテヴェルディの音楽に取り組んできた。マドリガーレやオペラなどを多数録音しており、手兵コンチェルト・イタリアーノとともに、モンテヴェルディの第一人者的存在といえるだろう。そんな彼が、モンテヴェルディの珠玉の楽曲を、「daylight(太陽の光)」と題し、夜明けから太陽が高くのぼった昼の時間帯までの間の愛の物語になるように、自身が選曲して録り下ろした1枚の登場。コンセプトとしては前回のモンテヴェルディ:夜〜恋人たちと兵士たちの物語(OP-30566)に続く内容だが、今回はすべて新録音の音源となる。同時代人たちの作品もプログラムに組み込むことによって、モンテヴェルディの音楽がより一層輝きを放つ。
OP-7367
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アレッサンドリーニ| Viv"a"ldi B"a"ch 〜「調和の霊感」全曲&バッハによる編曲6作
 ヴィヴァルディ:12の協奏曲集「調和の霊感」
 J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲 ヘ長調 BWV.978 (原曲: RV.310 )/
         4台のチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV.1065 (原曲: RV.580 )/
         オルガン協奏曲 ニ短調 BWV.596 (原曲: RV.565 )(*) /
         チェンバロ協奏曲 ハ長調 BWV.976 (原曲: RV.265 )/
         オルガン協奏曲 イ短調 BWV.593 (原曲: RV.522 )(*) /
         チェンバロ協奏曲 ニ長調 BWV.972 (原曲: RV.230 )
 リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)指揮コンチェルト・イタリアーノ
  [アンドレア・ロニョーニ、ステファノ・バルネスキ、ボリス・ベゲルマン、エリザ・チッテリオ(Vnソロ)
   アンドレア・ブッカレッラ、イグナツィオ・シファーニ、サルヴァトーレ・カルキオーロ(Cembソロ)
   マルコ・フレッツァート(Vcソロ) ロレンツォ・ギエルミ(Orgソロ)]
 録音:2020年12月14日-20日、ローマ(*以外) /2021年7月、モルビオ・インフェリオーレ州、スイス(*) |使用オルガン:サンタ・マリア奇跡の教区教会、2001年、マショーニ製(*) 。アレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノ、そして豪華ゲスト奏者たちによる、ヴィヴァルディの調和の霊感全曲+そのバッハ編曲という好企画盤の登場!!バッハは、ヴィヴァルディの調和の霊感を、チェンバロ協奏曲、およびオルガン独奏の「協奏曲」に編曲している。チェンバロ協奏曲編曲版は、アレッサンドリーニをはじめとする名手たちによる演奏、そしてオルガンはなんとギエルミが演奏している。ヴァイマールの主君ヴィルヘルム・エルンスト公の甥、ヨーハン・エルンストがオランダ留学から持ち帰った楽譜にヴィヴァルディの調和の霊感の楽譜もあり、これをソロの鍵盤作品に編曲するようにバッハに依頼した。こうして生まれた593や596は、協奏曲を1台のオルガンに凝縮しながらもバッハの対位法的手法が盛り込まれたバッハ色も濃厚な作品。名手ギエルミの品格ただよう至芸に期待が高まる。ヴィヴァルディの≪調和の霊感≫の演奏もどれもたまらなく素晴らしい仕上がり。そしてバッハ編曲によるチェンバロ協奏曲では、アレッサンドリーニの軽やかでやわらかなチェンバロが歌いまくっている。豪華メンバーによる超注目の美録音。
ピゼンデルとその周辺〜ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 (Vol.10)
 〔ト長調 RV.314 /ニ長調 RV.226 /変ロ長調 RV.369 /ニ短調 RV.237 /ニ長調 RV.225 /イ長調 RV.340 〕

 ジュリアン・ショヴァン(Vn)指揮コンセール・ド・ラ・ローグ
 録音:2021年3月11日-14日、フランス。ヴィヴァルディ・エディション。ヴァイオリン協奏曲第10巻目となる「ピゼンデルとその周辺」。タイトルが示すとおり、ヴィヴァルディと同時代にドレスデンで活躍した当時最高峰のヴァイオリン奏者、ピゼンデルに捧げられた、あるいは彼にまつわる作品が収録されている。ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755)は、クヴァンツやハッセにも賞賛され、アルビノーニやテレマンにも作品を献呈されている。J.S.バッハがピゼンデルのために無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータを書いた可能性も否定できないという説もあるほどの大家。そんなピゼンデルは、ドレスデン王室のオーケストラのアシスタント・コンサート・マスター(1728年より音楽監督)を務めていた時期の1716-17年にかけて、王たちの旅に同行しヴェネツィアを訪れる。そこでヴィヴァルディと知己を得、ヴィヴァルディの弟子にして友人となった。ピゼンデルは、作品の楽譜(写本や手稿譜も含む)を多数ドレスデンへと持ち帰り、ドレスデンにおけるヴィヴァルディの音楽の成功の立役者にもなっている。場合によってはヴィヴァルディの原曲に手を加え、ドレスデンのオーケストラが活きるように管楽器を多用したりといった変更も施した。ヴィヴァルディは、ソナタ(RV.2, 6, 19, 25, 29)および協奏曲(RV.172, 205, 237, 242, 314, 340, ひょっとしたらRV.328も)をピゼンデルに献呈した。収録曲の中では、RV.237, 314と340が明確にピゼンデルのための作品、そしてそのほかは当時のドイツのヴァイオリン奏者によって作られた写本による物。ところどころにピゼンデルのスケッチも書かれている。名手のために、ヴィヴァルディが腕によりをかけて書いた協奏曲を、ヨーロッパの古楽界が注目するショヴァン率いるコンセール・ド・ラ・ローグがこれ以上なく鮮やかに演奏している。
ヴィヴァルディ:3つの声のためのセレナータ RV.690
 アンドレア・ブッカレッラ(Cemb)指揮アブコルディス・アンサンブル
 マリー・リス(S;エウリッラ) ゾフィー・レンネル(Ms;ニース)
 アンチオ・ゾルツィ・ジュスティニアーニ(T;アルシンド)
 録音:2022年6月4日-7日、リーエン、スイス。18世紀の声楽ジャンルの「セレナータ」といえば、祝祭、誕生日、政治的イベント、あるいは結婚などといったお祝い事で演奏されることが多く、神話を題材とするものを指す。野外で(ごく稀に簡単な舞台を伴う)、松明の明かりのもとで演奏された。2部構成をとり、合間に聴衆は飲み物などを手にする。ヴィヴァルディは全部で8つのセレナータを作曲したとされているが、手稿譜が現存しているのはそのうちの3曲のみ。その中で、このRV690はフランスの貴族トゥレイユ氏が、平民との女性との自身の結婚を祝うためにヴィヴァウルディに発注したと考えられている。このセレナータのストーリーは、妖精のエウリッラが羊飼いのアルシンドにアプローチするが、アルシンドは妖精と羊飼いという身分の違いから、本気ではないと考え拒絶する。しかし、アルシンドがエウリッラの思いに気づいて心を開くと今度はエウリッラが彼を拒絶する、というなんともいえないものだが、これは貴族と平民との結婚を暗喩していると考えられる。美しいアリアがそろい、「テウッツォーネ」「ティート・マンリオ」にもこの作品のアリアが転用されている。
OP-30578
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(2CD)
アレッサンドリーニ〜J.S.バッハ:序曲集(管弦楽組曲/他)
 J.S.バッハ:序曲(管弦楽組曲)第3番 ニ長調 BWV.1068
 ヨハン・ベルンハルト・バッハ(1676-1749):序曲 ホ短調
 J.S.バッハ:序曲(管弦楽組曲)〔第1番 ハ長調 BWV.1066 /第4番 ニ長調 BWV.1069 〕
 ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1677-1731):序曲 ト長調
 J.S.バッハ:序曲(管弦楽組曲)第2番 ロ短調 BWV.1067

 リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)指揮コンチェルト・イタリアーノ
 録音:2018年12月。アレッサンドリーニによるバッハの管弦楽組曲。録音にあたり、アレッサンドリーニは、バッハのあらゆる作品をあらためて検証、スタイルや楽器編成についても再考し、この「管弦楽組曲」の魅力である複雑な対位法と、フランス・イタリア趣味の舞曲のキャラクターを見事なバランスを保ちながら再現している。アレッサンドリーニが放つ決定的名演。注目。当盤のもうひとつの魅力が、J.S.バッハのまたいとこにあたる、ヨハン・ベルンハルト・バッハとヨハン・ルートヴィヒ・バッハの作品も収録していること。J. S.バッハはベルンハルトの作品をコレギウム・ムジクムの演奏会で取り上げるなど、その才能を認めていた。バッハの資料の中には、ベルンハルトの作品を写譜したものも残されている。ルートヴィヒ・バッハの作品も、J.S.バッハはライプツィヒで演奏していた。そのおかげで、ルートヴィヒの作品(とくにカンタータ)も多く現存している。コンチェルト・イタリアーノとアレッサンドリーニが、ふたりの作品の魅力もこれ以上ないかたちで引き出している。

PARATY (仏) 価格帯記載無し:1CDあたり¥3300(税抜¥3000)

 品番下三桁順。番号が7桁のものが比較的新しく記号 "PTY" 、番号が6桁のものは(企画立案が?)古く記号 "PARATY" 。旧譜はこちらから(ただし旧譜に関しては、一部価格が高額で、供給ルートの問題から アイテムによって入荷までにお時間がかかる可能性があります)。
戦争と平和〜プロコフィエフ
 ピアノ・ソナタ第6番 イ長調 Op.82 /別れの前のロメオとジュリエット Op.75 No.10 /
 つかの間の幻影 Op.22(全20曲)/歌劇「戦争と平和」〜ワルツ Op.96 No.1 /年とった祖母の話 Op.31

 ヴェロニク・ボヌカズ(P)
 録音:2022年5月2日-4日、タルブ音楽院コンサートホール。ヴェロニク・ボンヌガズはボルドーとパリの音楽院の後、渡米してジュリアード音楽学校で学んだ実力派。教育面でも優れ、パリのエコール・ノルマルのほか日本のPTNAでも多くの生徒を育てている。CDではショパンやドビュッシーで独特な味わいの演奏を見せているが、今回プロコフィエフに挑戦。プロコフィエフは典型的ロシア音楽ながら6人組などフランス音楽の影響を受けていることもあり、ロシア系ピアニストとは違う側面を気づかせてくれる。とりわけ20曲からなる「つかの間の幻影」の色彩的で繊細な表現は絶品。
羽の鳥たち
 フランソワ=ベルナール・マシュ:ソピアーナ / ミカエル・レヴィナス:羽ばたき
 ドビュッシー/サマズイユ編曲:牧神の午後への前奏曲 / メシアン:黒つぐみ/シグル
 トリスタン・ミュライユ:アオアシカツオドリ/恋するナイチンゲール
 フィリップ・ユーレル:短いリトルネッロ(ルチアーノ・ベリオ追悼)
 マルク・モネ:ナット・ナット・ナット・ナット / レジス・カンポ:ヨーロッパアオゲラ

 アンヌ・カルテル(Fl|使用楽器:ブランネン=クーパー/アルトFl|使用楽器:三響/ピッコロ|使用楽器:ローゼン
 マリー・フェルミューレン(P|使用楽器:ベーゼンドルファー 280
 録音:2021年6月28日-7月1日、イル・ド・フランス国立o. 公会堂。音楽で鳥を表現することはルネサンス時代から行われていたが、それは擬音やノイズを用いての模倣だった。これを分析して記譜方法を体系立てたのがメシアン。彼をきっかけに作曲家たちがさまざまな目的、方法を試みた。しかしその真の発案者はドビュッシーだったともされる。このアルバムはメシアンとその意を汲む後継者たちによる鳥音楽集。鳥を表すのに最適なフルート属を用い、トリルやスタッカートのみならず各種特殊奏法を駆使している。ピアノも従来の音以外のコツコツ音などを響かせる。ことにカルテルとフェルミューレンのために書かれたモネの「ナット・ナット・ナット・ナット」はキテレツな奏法のオンパレードで釘付けとなる。メシアンの「シグル」は世界初録音。1982年作の無伴奏フルート曲だが、後にメシアン最後のオーケストラ曲となった「かなたの閃光」第7曲に流用された。
ボヘミアン・ラプソディ
 ドヴォルジャーク:ピアノ三重奏曲〔第2番 ト短調 Op.26 /第4番 ホ短調 Op.90 「ドゥムキー」〕
 スク:ピアノ三重奏のためのエレジー

 トリオ・アタナソフ
  [ペルスヴァル・ジル(Vn) サラ・スルタン(Vc) ピエール=カロヤン・アタナソフ(P)]
 録音:2021年4月-5月、カンプラ講堂、ダリウス・ミヨー音楽院、エクサン=プロヴァンス。2007年にパリ音楽院の学生たちで結成されたトリオ・アタナソフ。ハイドンからレーラ・アウエルバッハまで幅広いレパートリーを持つ彼らのCD第3弾は「ボヘミアン・ラプソディ」。といってもクィーンの名曲をピアノ三重奏で演じるのではなく、彼らが愛してやまないドヴォルジャークに挑戦。名作「ドゥムキー」をフレッシュな演奏で聴かせてくれる。最後をドヴォルジャークの娘婿スークがチェコの作家ゼイエル追悼で作曲したエレジーの作曲者自身による三重奏版で締めくくる感動的な内容。
模倣、バッハ作品の編曲〜J.S.バッハ/ラテルナ・マギカ編曲:
 ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 BWV.1015 /トリオ・ソナタ第3番 ニ短調 BWV.527 /
 主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ BWV.639 /トリオ・ソナタ第5番 ハ長調 BWV.529 /
 主イエス・キリスト、われらを顧みたまえ BWV.655 /
 トリオ・ソナタ ト長調 BWV.1039 /目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV.645

 ラテルナ・マギカ[ナタリー・ホウトマン、ローラ・ポーク(リコーダー)
           ベルナール・ウォルテシュ(Vc) ラファエル・コリニヨン(Cemb/Org)]
 録音:2021年6月7日-9日、聖アポリネールド・バラン教会。2002年創設のピリオド楽器アンサンブル「ラテルナ・マギカ」。幻燈を意味する団体名で、バッハ作品の編曲に執念を燃やして探求を続けてきた。彼らにとって編曲はコピーではなく「ミメーシス(模倣から本質を知る)」で、バッハ自身自作・他作を含め過去の作品を常に利用していた精神を受け継いでいるとのこと。リーダーのナタリー・ホウトマンはブリュッセル音楽院でリコーダーのプルミエ・プリを取った後、尺八も学んだという学究肌。今回もトリオ・ソナタのほか、タルコフスキーの映画「惑星ソラリス」で人気のコラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」も入っているのが注目。
共鳴するドビュッシー
 ドビュッシー:夢想/沈める寺/水の反映/月の光/雪が踊っている/雨の庭/パゴダ/そして月は荒れた寺にかかる
 ジョアンナ・グッデール:海洋起源/メタル・ムーン/まだ雪/目が眩むガムラン/共鳴するドビュッシー

 ジョアンナ・グッデール(P)
 録音:2021年5月11日-12日、ラ・ショー・ド・フォン音楽ホール、ライヴ。ジョアンナ・グッデールはイギリスとトルコの血を引くフランス/スイスのピアニスト。前作はバッハとイスラム系音楽(自作)を並べ、比較紹介することで「バッハがイスラム音楽を聴いていたならば」という妄想を展開させていた。今回はドビュッシーの自然を題材にしたピアノ曲とそれに呼応するグッデールの自作を並べ、自然の摂理や生態系と人間の位置などを問うている。
ヴィエルヌ:チェロとピアノのための作品全集
 チェロ・ソナタ ロ短調 Op.27 /2つの小品 Op.5 /異国の夜 Op.56
  〔グラナダ/レマン湖で/ヴェネツィア/カナダの大平原/中国の魚〕

 カミーユ・セゲルス(Vc) アレクシス・ティボー・ド・メシエール(P)
 録音:2021年5月1日-3日、アルソニック音楽堂。ノートルダム大聖堂のオルガニストを務め、そこでの演奏中に亡くなったヴィエルヌはオルガン作品のイメージがあるが、室内楽にも優れた作品を残しています。なかでもカザルスに捧げられたチェロ・ソナタは傑作の呼び声高く、フランクとフォーレを思わす美しい世界を繰り広げる。カミーユ・セゲルスはベルギー出身の女性チェロ奏者。ブリュッセルとケルンの音楽院で学んだ後、パリとフライブルクで研鑽を積んだ。長年相方を務めているピアノのアレクシス・ティボー・ド・メシエールもベルギー出身。ペテルブルク音楽院で学んだ異才。
ルネサンスの忘れられた宝〜ピエール・コラン(1538頃-1572):
 ミサ・エスタンス・アッシス/第7旋法によるマニフィカト/モテット より〔真の殉教者ここに眠る/
  エルサレムを照らすため立ち上がれ/使徒なる民と神のしもべ/われらが過ぎ越しのハレルヤ/
  納得すれば目は口ほどに物を言う〕/ミサ・アヴェ・グロリオーサ

 シモン・ギャロ指揮ラ・ノート・ブレーヴ
 録音:2021年、教会、ジゴール・エ・ロズロン、ドローム。ピエール・コラン(1538頃 -1572)はフランスの作曲家でオルガニスト。ジョスカン・デ・プレに続く世代を代表する作曲家ながら、「ルネサンスの忘れられた宝」と称されるほど生涯がよくわかっていない。彼はほぼ生涯をブルゴーニュのオータンで送ったとされるが、彼のミサ曲はイタリアのボローニャやトレヴィーゾの大聖堂に写譜が残されている点から、各地で演奏されていたことを示すとされている。それながら人間像が不明なコランについて、シモン・ギャロ率いるラ・ノート・ブレーヴはいくつかの作品を研究、演奏することで光を当てようとしている。ラ・ノート・ブレーヴは日本人のポジティフ・オルガンと声楽5人からなる古楽団体。南仏ドローム地方ジゴール・エ・ロズロンの中世風教会で静かなひなびた歌唱を聴かせてくれる。後のセヴラックやカントルーブにつながる精神世界を感じさせる。
偉大な世紀最後の輝き
 アンドレ・レゾン:オルガン曲集第2巻(1714)より
 クリストフ・バラール/ジャン=パスカル・シャイニス編曲:クリスマスの切手(1703)
 ジャン=クリストフ・ルヴェル(Org) ヴァンサン・リーヴル=ピカール(CT)
 リザンドロ・ネシス(ターユ) ジャン=マニュエル・カンドノー(バス=ターユ)
 録音:2018年5月、オーシュ大聖堂。アンドレ・レゾン(1650以前-1719)はフランス・バロックの作曲家。フランスのオルガン音楽興隆に貢献した。バッハが傑作「パッサカリアとフーガ」のパッサカリア主題をレゾンのオルガン曲から用いていることでも知られる。ここでは戦争と飢餓に苦しめられたルイ14世治下最後の輝きと平和への祈りを描いている。1703年にバラールが発表したキャロル集に従い、対話を成す15のオルガン曲を選んだ。オーシュ大聖堂オルガンのカラフルな響きが魅力。
ルイ&フランソワ・クープラン:作品集
 ルイ・クープラン:組曲〔イ短調(全5曲)/ニ短調(全5曲)〕
 フランソワ・クープラン:
  第2オルドル〜フィレンツェ風/第6オルドル〜神秘的なバリケード/
  第11オルドル より〔ゼノビ/生来のあでやかさ/ヴィオール弾きと乞食/傷痍軍人〕/
  第15オルドル〜子守歌またはゆりかごの中のいとし子/
  第18オルドル より〔ティク・トク・ショックまたはオリーヴしぼり機/騒がしさ/感動/ヴェルヌイユ〕/
  第23オルドル〜アルルカン/第25オルドル〜妄想

 ブノワ・バベル(Cemb)
 録音:2021年4月、ノートル=ダム・ド・ラソンプシオン、メス=ル=コント。1988年生まれのフランスのチェンバロ奏者ブノワ・バベルがルイとフランソワ・クープランの作品に挑戦した。バベルはパリ音楽院でノエル・スピートに師事、現在はヴェルサイユ音楽院でチェンバロと通奏低音を教えてもいる。またアンサンブル・ザイスのチェンバロ兼指揮者としても活躍している。バベルはヘンデル、ラモーのディスクでも高い評を受けているが、クープラン一族、ことにルイの作品は貴重。純フランス・クラヴサン演奏・解釈の伝統を堪能させる。
苦悩と神聖の〜ロック&ブロウ:ヴァース・アンセム集
 ジョン・ブロウ:主よ、私は罪を犯した/なにゆえ、独りで座っているのか/
         イエスはこの群衆を見て/神に従う人は喜び祝い
 マシュー・ロック:教えてください主よ、私の行く末を/誰がキリストの愛から私たちを切り離せましょう/アルメイン/
          なにゆえ、独りで座っているのか/パヴァン ハ短調/主よ、私の罪から御顔をそむけてください

 アンサンブル・コスモス[モルガーヌ・コロン、アリス・コメネツキー(S)
  ダミエン・フェッランテ(CT) パコ・ガルシア、リチャード・ガリアン(T)
  マクシム・グレ(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ロリ・バルカン(ポジティフOrg/ヴァージナル)]
 録音:2020年11月、聖ピエール教会、モンマルトル。アンサンブル・コスモスは2015年にロワイモヨン修道院で誕生した通奏低音を中心とする声楽グループ。ポリフォニーとソロの相互影響と結びつきの興味から17-18世紀イギリス独自の「ヴァース・アンセム」を探求した成果がこのディスク。ヴァース・アンセムは宗教合唱曲ながら独唱や器楽伴奏がつく点が注目で、チャールズ2世の王政復古期に発展した。その代表的作曲家マシュー・ロックとジョン・ブロウの2人の作品をとりあげた。いにしえの時代にタイムスリップしたような超俗的な空気感で、静かでゆったりとした声のひびきが心をいやしてくれる。
J.S.バッハ:フーガの技法 BWV.1080 ケネス・ワイス(Cemb)
 録音:2021年5月16日-17日、ベレン文化センター、ポルトガル|使用楽器:タスカン、1782年製〔リスボン国立博物館所蔵〕。1963年ニューヨーク生まれのチェンバロ奏者ケネス・ワイスはレオンハルトに学んだ後、クレザール・フロリサンでクリスティの助手を務めた。演奏活動のかたわらジュリアードやパリ音楽院で教鞭もとっている。バッハ作品に特別な熱意を燃やすワイスは、これまでもイタリア協奏曲、ゴルトベルク変奏曲、平均律クラヴィーア曲集などをリリースし、来日公演でも評判となりました。今回はバッハが人生の終わりにとりくんだ難物「フーガの技法」に挑戦。ワイスはこれまでこの作品を勉強したことがなかったものの、コロナ禍で演奏活動が中断され、在宅時間が増えたことを利用してじっくり学んだとのこと。ちょうど2019年にポルトガルのリスボン国立博物館から復元されたタスカンのチェンバロの披露演奏を依頼されていたので、それを用いての録音となった。もともと楽器の指定がない作品ながら、ワイスの演奏はチェンバロ曲としての魅力と表現力に満ち、78分間圧倒され続ける。バッハの死とともに解決しないまま唐突に終ることを現在の危機に重ね、各声部が複雑に絡み合うフーガながら、特定の音を強調できないチェンバロで表現するためアーティキュレーション、タッチ、テンポ、リズムの変化で表した「壮大な制約」など、コロナ禍の歴史の証言となった。
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 ファニー・
 ビセンス(アコーディオン)
 録音:2020年12月、セプム、フランス。1987年南仏ペルピニャン生まれのアコーディオン奏者ファニー・ビセンス。バロックから現代音楽まで意欲的な活動を見せ、古楽声楽アンサンブルのレ・クリ・ド・パリと共演したり、フランス初の微分音アコーディオンを奏するなど目が離せない。そのビセンスが今回アコーディオンで「ゴルトベルク変奏曲」に挑戦。アコーディオン演奏による同曲は他にも録音があるが、ビセンスの凄いところはアコーディオン向きに編曲をせず、オリジナルの楽譜で演奏していること。もともと2段鍵盤と両手の交差といったチェンバロの機能を活用した作品だが、ピアニストとしても活動する彼女は、その知識と技術で、まるで両手のような見事な仕上がりを見せている。弦を叩く(ひっかく)ピアノやチェンバロと、空気で音を出すアコーディオンは自ずと機能と効果が違って来るが、ビセンスはあえてチェンバロのような音を出す工夫をしていて興味津々。


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