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HMF

価格帯記載無し:1枚あたり¥4400(税抜¥4000)
価格帯B:1枚あたり¥6600(税抜¥6000)
[SACD
価格帯F:1枚あたり¥3960(税抜¥3600)
価格帯H:1枚あたり¥4950(税抜¥4500)
[DVD]
価格帯I:¥6600(税抜¥6000)
[DVD; 2枚組の一部]
価格帯BD:¥7260(税抜¥6600)
[Blu−ray Disc]




 1958年に創業、古楽レーベルとして名をあげ、今やフランスのみならず世界規模のインディペンデント・レーベルとなったハルモニア・ムンディ・フランスの膨大なカタログをご紹介。
 当ページには沢山のアイテムを掲載しているため、読み込みには時間がかかります。
 #アイテム品番冒頭記号のご説明:
  ・HMM : 当レーベルのレギュラー・シリーズ
       (従来の HMC 、 HMU〔ハルモニア・ムンディ・USA 企画〕、
        HMI 〔ハルモニア・ムンディ・イベリカ企画〕 を統合、
        2010年代後半からは HMX を除く再発商品もレギュラー化)

  ・HMW : ハルモニア・ムンディ・UK(イギリス)企画盤(流通在庫限り)
  ・HMG : ミッド・プライス "HM GOLD" シリーズ(2008年、レーベル創立50周年を記念し発売開始。
      フルカラーブックレットとディジパックで旧譜を再上程。欧文歌詞やオリジナル・ジャケット写真も掲載、
      おそらくすべて流通在庫限り)

  ・HMA : 廉価盤 "Musique d'Abord" シリーズ(HMA-195...で始まる物はディジパックの新仕様/HMA-190...で始まる物は
        プラケースの旧シリーズで流通在庫限り、だったが、2017年リリースから再度190...番号に変更、
        おそらくすべて流通在庫限り)

  ・HCX : USA企画(HMU型番)の廉価盤 "CLASSICAL EXPRESS" シリーズ(流通在庫限り)
  ・HMT : "SUITE" シリーズ(流通在庫限り)
  ・HAF : ウィリアム・クリスティによる新録音と旧譜再発を合せたシリーズ
  ・HMN : (旧・"Les Nouveaux Musiciens" )シリーズ:新人演奏家発掘
  ・HMX : コンピレーション物、その他様々な企画物など(基本的に限定盤)。
 以下のリストは、コンピレーション物を除き品番の下4桁で並んでいます(レーベル初期のアイテムは下3桁/再発時、内容が同じ場合はこの部分の番号が基本的に同一となります)。

弓張美季
 ムソルグスキー(1839-1881):展覧会の絵/涙
 スクリャービン(1872-1915):
  24の前奏曲 Op.11 より〔第11番 ロ長調/第12番 嬰ト短調/第24番 ニ短調〕/
  3つの小品 Op.2 〜第1番 練習曲 嬰ハ短調
 ラフマニノフ(1873-1943):10の前奏曲 Op.23 より〔第4番 ニ長調/第5番 ト短調/第6番 変ホ長調〕/
              ヴォカリーズ(コチシュ編曲)

 弓張美季(P)
 録音:2016年9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン|日本語帯・解説付|※国内仕様盤のみのご案内〔おそらく日本国外の発売なし〕。弓張美季、ハルモニアムンディ第3弾の登場。ムソルグスキー、スクリャービン、ラフマニノフの作品を収録している。「展覧会の絵」は弓張が3年ほどサンクトペテルブルクで過ごした時に特にのめり込んでいた作品。ひとつひとつの楽曲を慈しむように演奏しており、それでいて確かな技術に裏打ちされた演奏に、ひときわ胸を打たれる。スクリャービン、ラフマニノフの作品も、抒情豊かな世界と弓張の歌に溢れている。ライナーノートも弓張自身によるもので、それぞれの作曲家への愛が感じられる内容となっている。
HMA-195072
廃盤
ベルリオーズ:幻想交響曲 ジャン=クロード・カザドシュ指揮
リール国立o.
HMA-195200
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価格帯:F
パーセル:歌劇「アーサー王」(抜粋) アルフレッド・デラー(CT)
デラー・コンソート
 録音:1978年10月。全曲よりの抜粋盤。#レーベル廃盤。流通在庫限りのため、お届けできない可能性があります。
HMA-195201
廃盤
ジョン・ブロウ(1649?-1708):
 結婚頌歌/クロエは横たわるアミンタスを見つけた/ヘンリー・パーセルの死を悼む頌歌
  フィリップ・トッド(T) モーリス・ブヴァン(Br)
  アルフレッド・デラー(CT)指揮デラー・コンソート、ストゥール音楽祭室内o.
HMA-195202
廃盤
シェイクスピア劇の音楽 デスモンド・デュプレ(リュート)
アルフレッド・デラー(CT)指揮
デラー・コンソート
HMA-195208
廃盤
アルフレッド・デラー〜トーマス・タリス(1505頃-1585):預言者エレミアの哀歌
  アルフレッド・デラー(CT)指揮デラー・コンソート
HMA-195210
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価格帯:F
クープラン:ルソン・ド・テネーブル アルフレッド・デラー(CT)
フィリップ・トッド(T)
ミシェル・シャピュイ(Org)
 #レーベル廃盤。元々の HMA-195210 ではなく、2012年頃の海外雑誌付録品と思われるスリーヴ・ジャケット入り簡易装丁品でのお届けになる可能性があります。また流通在庫限りのため、お届けできない可能性があります。
HMA-190211
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価格帯:F
バード:3声、4声、5声のミサ アルフレッド・デラー(CT)
デラー・コンソート
 #レーベル廃盤。流通在庫限りのため、お届けできない可能性があります。
HMA-190215
廃盤
おお、愉悦よ〜 17-18世紀のイギリス歌曲集
  アルフレッド・デラー(CT) デスモンド・デュ・プレ(リュート/ガンバ)
  デイヴィッド・マンロウ、リチャード・リー(リコーダー)他
HMX-290219
廃盤
英国のルネサンス アルフレッド・デラー(CT)
デラー・コンソート
HMA-190220
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価格帯:F
ジェズアルド:ルソン・ド・テネブレ アルフレッド・デラー(CT)
デラー・コンソート
 #レーベル廃盤。流通在庫限りのため、お届けできない可能性があります。
HMA-195226
廃盤
フォーク・ソング集 アルフレッド・デラー、
マーク・デラー(CT)
デスモンド・デュプレ
(リュート/G)
グレゴリオ聖歌集〜ガリアの単旋聖歌と応唱 アルフレッド・デラー(CT)指揮
デラー・コンソート
 録音:1971年|初出・旧品番: HMD 234 (LP), HMC-90234 (CD), HMA-190234 (CD), HMA-195234 (CD) | (P) 1971 (C) 2018 。
HMG-50244/45
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(2CD)
価格帯:F
ダウランド:リュート伴奏歌曲集/リュート作品集
 アルフレッド・デラー(CT) ロバート・スペンサー(リュート) コンソート・オヴ・シックス
 録音:1977年9月、アッシュフォード、イギリス。旧品番: HMC-90244 (1CD) と HMC-90245 (1CD) のセット化で、2枚組としては HMX-290244 [HMX-290244/45] ("1+1" シリーズ)で出ていたもの。元々 LP では HM 244/246 という3枚組だった。主にアンサンブルの一員としてだが、若き日のナイジェル・ノースも参加している。
HMG-50249
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価格帯:F
パーセル:歌曲集
 嘆きの歌/音楽は愛の種/恋の病から/美しい島/
 ばらの花よりも甘く/わが苦悩のすべて
アルフレッド・デラー(CT)
ヴィーラント・クイケン
(バス・ヴィオール)
ウィリアム・クリスティ
(Cemb)
 録音:1979年3月。旧品番:HMC-90249
 ハルモニア・ムンディの歴史を語る上で欠くことのできないアルフレッド・デラー。もともと、創立者は彼の歌声を聴いて深い感銘を受け、クラシック音楽、とりわけ古楽の録音に本格的に取り組むようになった。この盤は、デラーの死のたった三ヶ月前に録音されたリサイタル。デラーが生涯をかけて取り組み続けていた、パーセル作品の至上の姿がここにある。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMG-50252
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(2CD)
価格帯:F
パーセル:歌劇「アーサー王」(全曲)(*)/「アテネのタイモン」付随音楽(#)
 アルフレッド・デラー(CT)指揮デラー・コンソート
 録音:1978年10月(*)/1976年頃(#)。旧品番:HMC-90252
HMX-290257/58
(2CD)
廃盤
パーセル:歌劇「妖精の女王」 アルフレッド・デラー指揮
デラー・コンソート
ストゥア音楽祭o.&cho.
HMX-290261/64
(4CD)
廃盤
アルフレッド・デラー〜ある伝説の肖像
 CD1:パーセルの歌劇と舞台音楽/CD2:教会音楽/CD3:独唱曲/CD4:イギリス民族音楽
  アルフレッド・デラー(CT)指揮デラー・コンソート/他
HMA-195335
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価格帯:F
カルミナ・ブラーナ〜
 12世紀のオリジナル手稿譜による
ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
 録音:1974年2月。旧品番:HMC-90335(廃盤)。
 12世紀のカルミナ・ブラーナの手稿譜をルネ・クレマンシックが丹念に調査・精査してセレクトされた曲集。激しい調子で時代を非難する歌のほかにも、カルミナ・ブラーナには、優雅な愛の歌、春の歌、内面的な感情を歌った歌、そして淫らな歌・・・実に様々な内容のものがある。旋律にも、グレゴリオ聖歌、トルヴェールやミンネゼンガーの歌の影響がみられる。様々な趣味のものが収められた興味深々の1枚。
HMA-190336
(3CD)
廃盤
カルミナ・ブラーナ ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
HMG-50351/52
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(2CD)
価格帯:F
F.クープラン:クラヴサン曲集第1巻より〔第1組曲−第3組曲〕
 ケネス・ギルバート(Cemb)
 録音:1970年|旧CD品番: HMA-190351/53〔当店未案内、廃盤〕|二十数年ぶりの再発売。ただし旧盤は3枚組で第1巻の全曲〔第1組曲−第5組曲〕が収められていたのに対し当盤は2枚で、2つの組曲がカットされている。 少年の時に聴いたチェンバロの音色に魅せられたのが音楽の世界に入るきっかけだったギルバートは、F.クープランの楽譜の校訂もしているフランス・バロックの権威。音色の選択やフレーズの取り方などまさに「オーセンティック」な演奏。音楽に対する真摯で献身的な態度が滲みでている。
HMA-190379
廃盤
タランチュラ(蜘蛛)=タランテラ(舞曲) グレゴリオ・パニアグア指揮
アトリウム・ムジケー
 録音:1976年。17&18世紀の舞曲を集めたパニアグアの初期の代表作。
HMA-190384
廃盤
クレマンシックと彼のフルート ルネ・クレマンシック(Fl)
HMA-195388
廃盤
Improvisations au Zarb: Classical Traditions of Iran
 [旧題名: Chemirani - Tradition Classique De L'Iran 1 - (Improvisations sur) le Zarb]

  ジャムシド・シェミラーニ(ザルブ) ジャック・マルコヴィチ(ザルブ2;*)
古楽幻想「アラブ=アンダルシアの音楽」
  (全25トラック)
グレゴリオ・パニアグア指揮
アトリウム・ムジケー
 録音:1976年10月|旧品番:HMC-90389, HMA-195389 アナログ期の優秀録音として、故・長岡鉄男氏も推薦していた。豊麗な文明社会であったながら、夢のように消え去ってしまった中世スペインのイスラム社会が生んだ音楽集。当時この地域の音楽において最も大切と考えられた形式「ヌバ [nuba, nouba] 」(「順番」のことで、バロック時代の「組曲」と似ている)は、記譜されることがなく、口頭伝承によって伝えられた。その後、スペインはキリスト教徒に再征服され、イスラム教徒はやむなくスペインから落ち延びた(キリスト教に改宗しスペインに残った人々は「ムデハル」と呼ばれる[イスラム教徒とキリスト教徒の様式が融合した建築の様式を指す言葉でもある])。そして、北アフリカの幾つかの都市に、南スペインから出た「落人」たちの子孫が住みつき、大切な財産である「アンダルシアの音楽」を幾世紀に渡って守り伝えた。魅惑の土地「アンダルシア」に今も漂う文化の残り香に思いを馳せながら聴きたい名盤。
HMA-190391
廃盤
イランの伝統音楽
HMC-90396
廃盤
トゥルバドゥール〜吟遊詩人の音楽 ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
 録音:1977年6月。
HMG-508099
廃盤
トルバドゥール〜吟遊詩人の音楽 ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
 録音:1977年6月。元々 LP :HM 396, HM 397, HM 398 の3枚(セット:HM 396/98)で出ていた140分強の録音。1CDの旧品番:HMC-90396は約62分、HMG-508099 の方は約76分半を収録。HUNGAROTON録音を追加したCD4枚セットHMX-2901524/7も過去に発売されていたが、廃盤になっている。
HMA-195414
廃盤
マラン・マレ(1656-1728):
 聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モンの鐘/3声の組曲 ハ長調/組曲第4番 ニ長調
  ニコラウス・アーノンクール(ヴィオラ・ダ・ガンバ、トレブル・ヴィオール)
  アリス・アーノンクール(Vn)
  ヘルベルト・タヘーツィ(Cemb) レオポルド・シュタストニー(Fl)
HMA-195427
廃盤
リコーダー、リュートとギター ルネ・クレマンシック
(リコーダー)他
HMA-195434
廃盤
物乞いたちの嘆き マッテオ・サルヴァトーレ(歌)
HMA-195567
廃盤
スラヴ正教会聖歌集 グレゴワール・ベインブリッジ指揮
ベネディクト派修道士合同cho.
HMA-195610
廃盤
ルネサンスの舞曲集 ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
HMA-195641
廃盤
聖金口イオアン聖体礼儀
 〔ギリシャ(ロシア)正教/ビザンチン=スラヴ聖歌〕
ディミトレ・ロウスコフ指揮
コラール・ソフィア
HMA-190700
廃盤
ブクステフーデ:
 ユビラーテ・ドミノ/カンタータ/前奏曲とフーガ
ルネ・サオルジャン、
ミシェル・シャピュイ(Org)
アルフレッド・デラー指揮
デラー・コンソート
ベッラ・チャオ〜イタリア庶民の歌
 *労働歌 ベッラ・チャオ〔オリジナル版/パルチザン版〕/
      オリーヴが落ちる(アブルッツォ州)/土運びたち(エミーリア地方)他
 *日曜日の歌 チョチャリーア地方のストルネッロ(ラツィオ州)/ローマへの巡礼たち(バドゥラ平原)/
        荒野の聖アントニオ/ガエータの猟師/主顕節の歌(以上3曲、アブルッツォ州)他
 *愛の歌 私の愛しい人よ、泣かないで(エミーリア地方)他
 *囚人の歌 美しいローマの門」(ミラノ)他
 *反戦歌 ああ、ゴリーツィアよ、おまえは呪われている(北部イタリア)
 *政治歌 さらば、ルガーノよ(北部イタリア)他

 ガスパーレ・ディ・ラーマ(G) グルッポ・パダーノ・ディ・ピアデーナcho.
 録音:1960年代前半以前| (C) 2019 |初出 LP: I Dischi Del Sole (Italy), DS 101/3 (Rel.1965) |既出CD: Harmonia Mundi France, HMA-190734, HMA-195734 /他。イタリア各地方の庶民に伝わる様々な歌を集めたアルバム。人々の笑顔やため息がメランコリーと共に歌いあげられる、普遍的にしてユニークな演奏。
HMA-195760
廃盤
プロヴァンス地方のオルガン
 ルイ・クープラン、フランソワ・クープラン、
 フレスコヴァルディ、フランソワ・ロベルデー、
 ムファット、作曲者不詳の作品
フランソワ・シャペレ、
ミシェル・シャピュイ、
ルシエンヌ・アントニーニ、
ルネ・サオルジャン(Org)
HMA-195764
廃盤
ベリオ:ラボリントゥス第2 クリスティアーヌ・ルグラン(S)
ジャネット・ボコモン(S)他
ルチアーノ・ベリオ指揮
Ens.ミュジーク・ヴィヴァンテ
HMX-295771
廃盤
J.S.バッハ
 トッカータとフーガ ニ短調 BWV.565 /パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV.582 /幻想曲とフーガ ト短調 BWV.542 /
 幻想曲とフーガ ハ短調 BWV.537 /6つのシュブラー・コラール
  〔目覚めよ、と呼ぶ声あり BWV.645 /われいずこに逃れ行かん(わが愛する神に) BWV.646 /
   ただ愛する神の摂理にまかす者 BWV.647 /わが魂は主をあがめ BWV.648 /
   ああ、われらのもとにとどまれ、主イエス・キリストよ BWV.649 /汝イエスよ、今天より降りたもうや BWV.650 〕

 リオネル・ロッグ(Org|使用楽器:ジルバーマン製、アーレスハイム歴史的オルガン)
HMX-290791
廃盤
バルトーク:ミクロコスモス 第3巻−第6巻 ユゲッド・ドレフュス
 (Cemb)
HMA-190795
廃盤
シュトックハウゼン:Aus den sieben Tagen ディエゴ・マッソン指揮
ムジク・ヴィヴァンテ
HMX-290799
廃盤
ニコラウス・ブルーンス(1665-1697):
 オルガン作品全集
ヘルムート・ヴィンター(Org)
HMC-90856/58
(3CD)
廃盤
マドリガル・コメディー集
 ラッスス、ヴェッキ、バンキエリの作品
ドミニク・ヴィス(CT)指揮
クレマン・ジャヌカン・アンサンブル
HMA-195904
廃盤
ブラームス:クラリネット・ソナタ集
 [第1番 ヘ短調Op.120 No.1/
  第2番 変ホ長調Op.120 No.2]
ミシェル・ポルタル(Cl)
ジョルジュ・
 プリュデルマシェール(P)
HMA-190925
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[フラメンコ]
価格帯:F
El Malagueño - Guitares Gitanes
 1. Madalena (Spanish) / 2. Solea / 3. Siguerya / 4. Grotin / 5. Fandango(s) /
 6. Renuncia (Spanish) / 7. Taranta / 8. Alegrias / 9. Allegria / 10. Taranta /
 11. Siguerya / 12. Milonga / 13. Tiento(s) / 14. Bulerias / 15. Rumba /
 16. Tiento(s) / 17. Churera / 18. Serrona / 19. Guagira / 20. Granodin / 21. Churera

 El Malagueño [Antonio & Marino Cano (G) / Isabel (Vo)]
 録音:1970年6月-1971年4月。初出 [LP]: HM 925 〔発売:1971年?〕他。前出CD: HMP-390925〔当店未案内、廃盤〕。
HMA-190928
廃盤
ギター・リサイタル ルネ・バルトリ(G)
HMA-195930
廃盤
ブーレーズ:ドメーヌ ミシェル・ポルタル(Cl)
ディエゴ・マッソン指揮
ミュジーク・ヴィヴァント
HMA-195957
廃盤
エルフェ&アウストベ〜
 ドビュッシー:2台ピアノと4手のための作品集
クロード・エルフェ、
ホーコン・アウストベ(P)
HMA-195965
廃盤
フラメンコ〜ロス・マラゲーニョス エル・マラゲーニョ(G)
マリーノ・カーノ(G)
ネーナ・カーノ(Vo)
コンチータ・カーノ(Vo)
HMA-190968/69
(2CD)
廃盤
バルトーク:ミクロコスモス クロード・エルフェ(P)
HMA-195989
廃盤
旧約聖書の音楽 アドルフ・アッティア(T)
ミシェル・シェルブ(Br)他
モーリス・ベナム合唱指揮
 録音:1975年11月。
HMA-1951005
廃盤
ヤーコプス〜マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
 聖水曜日のルソン・ド・テネブル
 ルネ・ヤーコプス(CT)指揮コンチェルト・ヴォカーレ
  〔ジュディス・ネルソン、アンヌ・フェルキンデレン(S) ヴィーラント・クイケン(バス・ヴィオール)
   ウィリアム・クリスティ(Org/Cemb) コンラート・ユングヘーネル(テオルボ)〕
HMA-1951006
廃盤
シャルパンティエ:
 聖木曜日のルソン・ド・テネーブル
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
HMA-1951013
廃盤
ウィーン、1850年〜ウィンナ・ワルツの誕生 ミヒャエル・ディトリッヒ指揮
ウィーン・ベッラ・ムジカEns.
HMA-1951015
廃盤
古代ギリシャの音楽 グレゴリオ・パニアグワ指揮
アトリウム・ムジケー古典合奏団
HMX-2901018
廃盤
ピエトロ・アントニオ・チェスティ(1623-1669):
 カンタータ集(*) /歌劇「オロンテーア」〜抜粋(+)
 ジュディス・ネルソン(S;*) ルネ・ヤーコプス(CT;*)
 ウィリアム・クリスティ(Cemb;*) ヤープ・テル・リンデン(Vc;*)
 コンラート・ユングヘーネル イザベル・プルナール(S;+)
 ヘルガ・ミュラー=モリナーリ(Ms;+)
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ(+)
HMA-1951020
廃盤
映画「モリエール」オリジナル・サントラ
 (ルネ・クレマンシック作曲)
ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
アルフレッド・デラー指揮
デラー・コンソート
HMA-1951021
廃盤
バロック時代のユダヤ音楽 ジョエル・コーエン指揮
ボストン・カメラータ
HMA-1951022
廃盤
モーツァルト:
 アイネ・クライネ・ナハトムジーク/交響曲第29番
アンジェロ・エフリキアン指揮
ボローニャ市立歌劇場po.
HMA-1951032
廃盤
モンテヴェルディ:
 コンセール・スピリチュアル/
 1声〜3声のモテット集
ルネ・ヤーコプス(CT)指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
HMA-1951035
廃盤
シューベルト:
 アルペッジョーネ・ソナタ イ短調D.821/
 弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調D.471/
 弦楽三重奏曲第2番 変ロ長調D.581
レジス・パスキエ(Vn)
ブリュノ・パスキエ(Va)
ローラン・ビドゥー(Vc)
ジャン=クロード・
 ペヌティエ(P)
HMA-1951037
廃盤
クリスティのロワイエ
 ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・
  ロワイエ(1705-1755):
   クラヴサン曲全集
ウィリアム・
 クリスティ(Cemb)
HMA-1901039
廃盤
17世紀イギリスの流行曲
 ロンドンの舞曲/カントリー・ダンス/
 シェークスピア劇の4つのバラード/他
ジェレミー・バーロウ指揮
ザ・ブロードサイド・バンド
HMA-1951043
廃盤
オッフェンバック(1819-1880):
 2つのチェロのための組曲Op.54

 [第1番 ホ短調/第2番 ホ長調]
ローラン・ピドゥー、
エティエンヌ・ペクラール(Vc)
ジャン=ジョセフ・モンドンヴィル(1711-1772):
  声またはヴァイオリン付きのクラヴサン曲集 Op.5
 ウィリアム・クリスティ(Cemb)
 ユディット・ネルソン(S) スタンリー・リッチー(Vn)
 録音:1980年1月|旧品番:HMC-901045, HMA-1901045, HMA-1951045 〔すべて廃盤〕。1752年から1762年にかけてコンセール・スピリチュエルの音楽監督を務めたモンドンヴィルは、当時のパリにおける最重要作曲家の一人だった。規模の大きな「グラン・モテ」の作曲と演奏で一躍当時の音楽会の話題をさらったことで知られるが、彼の重要な足跡は室内楽にある。その一つが、ここに収められている「声またはヴァイオリン付きのクラヴサン曲集」。題名が示すとおり、奏者は、声かヴァイオリンのいずれかを選択出来るが、一曲だけ声とヴァイオリンの両方が必要なものがある。どの楽章も独創性に溢れたテクスチュアで書かれており、後のモーツァルトやベートーヴェンが歩むこととなるソナタ形式の礎となっているといわれる。
HMA-1951047
buyボタン
価格帯:F
シューベルト:
 ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 Op.100
レ・ミュジシャン
[ジャン=クロード・
  ペヌティエ(P)
 レジス・パスキエ(Vn)
 ローラン・
  ピドゥー(Vc)]
 録音:1980年2月。旧品番:HMC-901047。レ・ミュジシャンの代表盤で、録音も優秀。
HMG-501048
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価格帯:F
シューベルト:
 ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調Op.99 (*)/
 ピアノ・ソナタ第13番 イ長調Op.120 D664
ジャン=クロード・
 ペヌティエ(P)
レジス・パスキエ(Vn;*)
ロラン・ピドゥー(Vc;*)
 録音:1980年2月。旧品番:HMC-901048HMA-1951048(以上廃盤)。
 ピアノ三重奏曲冒頭から、純粋なシューベルトの世界が広がる。第2楽章はシューベルト独特の内面的な世界が展開されるが、巨匠三人によるデリケートな音運びに耳と心を奪われる。ピアノ・ソナタでも、ペヌティエのどこまでも丁寧に行き届いた完成度の極めて高い、音楽の純粋さに打たれる。
HMA-1951050
廃盤
スペインのフォリア グレゴリオ・パニアグワ指揮
アトリウム・ムジケー
HMC-801050
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:1980年6月。旧品番:HMC-901050 (CD) 〔廃盤〕。
HMA-1951054
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価格帯:F
ヘンデル:詩篇第112番/詩篇第126番/
     サルヴェ・レジナ
マーク・デラー指揮
デラー・コンソート
キングス・ミュージック
 録音:1980年4月。
エティエンヌ・ムリニエ(1600頃-1669以降):モテと讃歌集
 モーセ讃歌 [Cantique De Moÿse] ( Œuvres Chrestiennes, 1633 より)/
 「 Meslanges de sujets chrétiens 」(1658) より
  〔モテ「 Veni Sponsa Mea 」/讃歌「 Espoir De Toute Âme Affligée 」/
   モテ「おお、よきイエス [O Bone Jesu] 」〕/
 エール・ド・クール集第5巻(1639) 〜ヴィオール四重奏による3つの幻想曲
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1980年6月、ボン=スクール教会、パリ、フランス。収録時間:48分27秒 。 旧品番:HMC-901055, HMX-2901055〔すべて廃盤、入手不能〕。約10年ぶりの再発売。
 #なお、国内代理店は当盤を『シャルパンティエ/モリエール:病は気から〜音楽と舞台を織りまぜた喜劇』とアナウンスしているが、これは HMG-501887/88 で発売されている物で、枚数(現役盤は2枚)や分数(79分〔初出時〕、あるいは90分〔再発時、LP CD初出盤未発売部分も収録〕)からしてもありえない。
HMA-1951057
廃盤
ハイドン:
 8つのジプシー舞曲 Hob.IX:28
 5つのコントルダンス、クワドリル、メヌエット Hob.IX:29,24
 踊りのメヌエット集 Hob.IX:4
 2つのフルートと2つのホルンのためのノットゥルノ集 Hob.II:D5
 6つのドイツ舞曲 Hob.IX:12
ミヒャエル・ディットリヒ指揮
ウィーン・
 アンサンブル・ベッラ・ムジカ
 録音:1980年8月。
HMX-2901061
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価格帯:F
ミシェル・ランベール(1611-1696):
 宮廷アリア集
ルネ・ヤーコプス(CT)
木村三穂子(Vn)
コンラート・ユングヘーネル
ヴィーラント・クイケン
ディルク・ヴェレルスト
 ランベールは宮廷アリア(エール・ド・クール)で絶大な人気を誇ったフランスの作曲家。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
HMA-1951062
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価格帯:F
ブラームス:室内楽作品集
 ピアノ四重奏曲第1番 Op.25(*)/
 ヴァイオリン・ソナタ第3番 Op.108 ニ短調(#)
レ・ミュジシャン
[ジャン=クロード・
  ペヌティエ(P)
 レジス・パスキエ(Vn)
 ブリュノ・パスキエ(Va)
 ロラン・ピドゥ(Vc)]
 録音:1980年(*)/1982年(#)。旧品番:HMC-901062HMT-7901062
 フランスの巨匠たちが勢ぞろいしたブラームスの作品集。録音から実に20年以上の歳月が経っているが、フランス流の音楽演奏が骨の髄まで沁み込んでいる名手たちによる演奏は、濃厚にして精緻。ピアノと弦楽器奏者ピアノ四重奏曲の終楽章のロンドは、極めてダイナミックで熱い演奏が展開されるが、決して重くなく、こってりと豊かに響くのは、さすが。ヴァイオリン・ソナタでは、名手パスキエが奏でる、甘くふくよかな旋律に耳を奪われてしまう。もちろんペヌティエの手堅いサポートは見事の一語に尽来る。
HMX-2901066
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(2CD)
1CD価格
ヴィヴァルディ:3声のセレナータ RV.690 ルネ・クレマンシック指揮
クレマンシック・コンソート
 "1+1" シリーズ。久々の復活。
HMA-1951068
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価格帯:F
モンテヴェルディ:マドリガーレ曲集〜
 第7巻(*)/第8巻「愛と戦いのマドリガーレ集」(#)より

 他の者は軍神マルスについて歌えばよい(マリーニ詩/6声、ヴァイオリンと通奏低音)(#)/
 ああ、フィリーデ、なぜ君は逃げるのか(3声と通奏低音)(#)/金色の髪よ(4声、ヴァイオリンと通奏低音)(*)/
 今や天も地も(ペトラルカ詩/6声、ヴァイオリンと通奏低音)(#)/
 ニンフの嘆き(リヌッチーニ詩/4声と通奏低音)(#)/敵が取り巻いている(3声と通奏低音)(#)/
 愛の神よ、どうしたらいいのか(4声、ヴァイオリンと通奏低音)(*)/
 ティルシとクローリ(ストリッジョ詩/5声と器楽合奏によるバロ)(#)

  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1980年12月。旧品番:HMC-901068 / HMA-1901068(ともに当店未案内)。
 ルネサンスからバロックへの大きな転換点に立つ巨人、モンテヴェルディ。彼が生涯にわたって書き続けた分野を見ると、自らの手で様式上の大転換をなしとげたことがわかる。「戦いと愛のマドリガーレ集」として有名な第8巻を中心にセレクトされた、華やかな雰囲気にあふれた珠玉の1枚。
HMA-1951071
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価格帯:F
「乞食オペラ」の挿入歌とその原曲 パトリツィア・クウッラ(S)
ポール・エリオット(T)
ジェレミー・バーロー指揮
ブロードサイド・バンド
 旧品番:HMC-901071
HMA-1951072
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価格帯:F
16世紀パリのシャンソン集
 クレマン・ジャヌカン(1485-1558):
  パリの物売り声/ある夫が新妻と/美しい乳房/
  さあ、ここにおいでよ/戦争/ヴェルノンの粉ひき娘は/
  愛と死と人生は/マルタンは豚を市場へ連れていった/
  すてきな押し込み遊び
 クローダン・ド・セルミジ(1490頃-1562):
  あなたは私を悩ませる/私にはもう愛情はない/
  私にはもう愛情はない(ロワ編曲)/ラ・ラ・ピエール先生/
  助けて下さい、愛するいとしいひとよ/どうしてあなたは/
  ああ、悲しいこと(ミラノ編曲)/
  私はあなたに楽しみをあげましょう/きれいな森の金盞花の陰に/
  あなたはわたしがそれで死ぬっていったけど
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 [ドミニク・ヴィス(CT)
  ミシェル・ラプレニ(T)
  フィリップ・カントール(Br)
  アントワーヌ・シコ(B)
  クロード・ドボーヴ(リュート)]
 録音:1981年4月。旧品番:HMC-901072
 16世紀パリで活躍した二人の人気作曲家のシャンソン集。いずれも高度な技巧で作られ、その作風の多彩さにも驚かされる。静謐な感動に満ちた「愛と死と人生は」、市場の賑わいを模した「パリの物売りの声」、しっとりとした悲しさに満ちた「きれいな森の金盞花の陰に」、ひたすら処女の胸の美しさを愛でる「美しい乳房」、そして猥雑さを短くカラッと露わにした「ある夫が新妻と」などなど。美から俗まで、人生の様々な局面に結び付いた音楽は生き生きとしており、450年という時を越えて我々の耳を楽しませてくれる。
 絶大な人気を誇るカウンター・テナー、ドミニク・ヴィスと仲間たちによる歌は、極めてレヴェルの高いもの。うっとりするほど美しいアンサンブルから、時に悪ノリすらためらわない自由な愉悦まで、イマジネーションに満ちた演奏は全世界で絶賛された。
HMA-1951073
廃盤
ブラームス:
 弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 Op.18
 ピアノ三重奏曲第3番 ハ短調 Op.101
ジャン=クロード・
 ペヌティエ(P)
レジス・パスキエ、
ラシェル・オレグ(Vn)
ブルーノ・パスキエ(Va)
ジャン・デュプイ(Va)
ロラン・ピドゥ、
エティエンヌ・ピクラール(Vc)
HMA-1901076
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価格帯:F
ダウランド:エアーとリュート練習曲集 アルフレッド・デラー指揮
デラー・コンソート
HMA-1951077
廃盤
アンリ・デュモン(1610-1684):グラン・モテ集
 思い出してください、ああとても慈悲深い聖母様/魂の対話/マニフィカト/バビロン川のほとりで
 ギユメット・ロランス(A) アンリ・ルドロワ(CT)
 ハワード・クルック(T) ウルリヒ・シュトゥーダー(Br)
 ペーター・コーイ(B) フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1981年7月、モエズ、フランス。旧品番:HMA-1901077〔廃盤、入手不能〕 。
HMA-1951078
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価格帯:F
ラモー:グラン・モテ集
 [主がシオンの繁栄を回復したもうた時/
  汝の住まいはいとも美しく/叫び疲れ力は失せ]
アンリ・ルドロワ(CT)
ギ・ド・メ(T)
スティーヴン・ヴァーコー(Br)
ベーター・コーイ(B)他
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
 録音:1982年2月。旧品番:HMC-901078HMA-1901078。夭折したルドロワの貴重な録音の一つ。
HMX-2921082
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価格帯:F
限定盤
マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
 歌劇「われらが主イエス・キリストの降誕」H.483 (1684) /
 オラトリオ「クリスマスの歌」H.414 (1683-85)
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1981年5月、アルマンド教会、パリ。旧品番:HMC-901082HMX-2971082(ともに廃盤)。 HMF "Christmas Edition"。 数あるシャルパンティエ演奏の中でも最高峰に位置する、クリスティとレザール・フロリサンによる名演。そのクリスマス音楽の美しさには酔いしれてしまう。
マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
 牧歌劇「花咲ける芸術〔レザール・フロリサン〕」 H.487
 ジル・フェルドマン(S;平和の女神) アニェス・メロン(S;音楽の女神)
 グレゴリー・ラインハート(Br;不和の女神) カトリーヌ・デュソー(Ms;詩の女神)
 ギユメット・ロランス(Ms;建築の女神) ドミニク・ヴィス(CT;絵画の女神)
 フィリップ・カントール(Br;ひとりの戦士) 戦士たち、復讐の女神たちの合唱
  :上記7名 + ミシェル・ラプレニー(T)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1981年5月。旧品番: HMA-1901083〔当店未案内、廃盤〕。約20年ぶりの再発売。1978年にウィリアム・クリスティによって結成されたレザール・フロリサン。この団体の名称となっているシャルパンティエの傑作、音楽劇「レザール・フロリサン(花咲ける芸術)」。シャルパンティエは多作であり、宗教曲から世俗歌曲、歌劇など幅広いジャンルに取り組み、洗練された美しさをもつ楽曲 を残している。本作「花咲ける芸術」はシャルパンティの巧みな劇作法と優美な楽しい音楽劇となっている。クリスティ&レザール・フロリサンによる本盤は、フランス・バロックの現代復興の第一歩となった記念碑的な名盤。クリスティやドミニク・ヴィスのデビュー時ならではの若々しい輝きも聴きどころ。
HMA-1951084
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価格帯:F
モンテヴェルディ:マドリガーレ集
 この暴虐なる愛の神は/静かにして、アルメリン/
 こうして私は少しずつ/私はあなたを愛しています、愛しい人/
 おお、私の愛しい人/優雅な天使/晴れやかで澄んだ眼差しよ/
 愛の別れ/おお、ミルティッロ、私の愛しい人/裸足のニンファ/
 私の魂は/さらば、美しいフローリダよ/
 ああ、優しく美しい太陽に向かうように
ルネ・ヤーコプス(CT)指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
 [バルバラ・シュリック(S)
 マリウス・ヴァン・アルテナ、
 ギ・ド・メ(T)、
 ミヒール・テン・
  ハウテ・デ・ランゲ(T)
 ハリー・ファン・デル・カンプ(B)
 コンラート・ユングヘーネル
  (テオルボ)]
 録音:1981年8月。
 かつてのカウンター・テナーの大御所にして、今やバロック指揮者の巨匠、ルネ・ヤーコプスが自身のリードで初めてモンテヴェルディのマドリガーレを録音したアルバム。ヤーコプスのみならず、シュリック、ド・メ、ファン・デル・カンプ、ユングヘーネルら錚々たるメンバーによる演奏は、四半世紀前の録音とは全く思えない褪せない鮮やかさを保っている。いまでこそソリストが各々役を持って演じているようなマドリガーレの唱法は一般的だが、マドリガーレがいまだ合唱の祖先として捉えられていた時代に、これだけ個が主張しながら確固とした統率のある演奏を成し遂げたことは驚くべきことである。日本にはだいぶ遅れて1994年に紹介されたが、それでも「レコード芸術」誌の特選盤に選ばれた。筋金入りの名盤である。
ルイジ・ロッシ(1660-1744):オラトリオ集
 オラトリオ「後悔した罪人」/オラトリオ「おお、哀れな瀕死の男のおろかさ」
  アニェス・メロン、ジル・フェルドマン(S) ギユメット・ロランス(A)
  ドミニク・ヴィス(オート=コントル) ミシェル・ラプレニー、
  エティエンヌ・レストランガン(T) フィリップ・カントール(Br)
  グレゴリー・ラインハルト(B) ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1982年1月。 旧品番:HMC-901091, HMA-1901091〔共に当店未案内、廃盤、入手不能〕。約20年ぶりの再発売。ルイジ・ロッシは室内カンタータを多く残し、イタリア初期バロックの声楽曲の分野では当時のローマを代表する存在だった。この2つのオラトリオは、 ロッシの名声が確立した 1640年頃の作品と考えられている。ロッシの音楽はローマで生まれ、その後ヨーロッパ全域に広まった声楽の新しいスタイルを代表するもので、優れた構成力、知性と想像力を駆使した鋭い審美眼に基づく音楽だった。
HMA-1951094
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価格帯:F
バルトーク
 ルーマニア民俗舞曲 Sz.56 /ピアノ・ソナタ Sz.80 /
 ハンガリー農民の歌による即興曲 Sz.74 /
 ピアノのための組曲 Sz.62 /戸外にて Sz.81
クロード・エルフェ(P)
 録音:1982年。旧品番:HMA-1901094(当店未案内)。フランスのピアニスト、クロード・エルフェ(1922-2004)は、カサドシュに師事し、エリート学校のエコール・ポリテクニークに学んだ。古典ものから現代ものまでをレパートリーにしていたが、特にブーレーズら現代作曲家と親交を結び、現代音楽界に多大な影響を与えた。ここに収められたバルトークの演奏は、抜群のリズム感と力強さに満ちた推進力が、腹の底に響く力演。
HMA-1951097
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価格帯:F
シュッツ:
 クライネ・ガイストリッヒェ・コンツェルト集/他

 主によって汝の喜びをなせ SWV.311/
 おおイエス、優しきその御名 SWV.308/
 悪しき者のはかりごとに歩まず SWV.290/
 神よ、速やかに私を救ってください SWV.282/
 わが魂よ、なにゆえに悲しむのか SWV.353/
 主よ、われらの主よ SWV.343/ルビーのように SWV.357/
 優しく、親しく、慈しみ深い主イエス・キリストよ SWV.285/
 あなたは何をしたのか SWV.307/主イエスよ SWV.313/
 神の子らよ、主に帰せよ SWV.283/
 主の聖徒よ、主をほめ歌い SWV.288/
 私は、主よ、心からあなたを愛しる SWV.348
ルネ・ヤーコプス(CT)指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
セバスティアン・ヘニッヒ
 (ボーイソプラノ)
ウィリアム・クリスティ(Org)
 録音:1982年4、5月。旧品番:HMC-901097。
 ルネ・ヤーコプスは今でこそバロックの大指揮者だが、もともとは名カウンターテナーであり、その代表的録音の一つがこれである。シュッツの代表作「クライネ・ガイストリッヒェ・コンツェルト集」を中心にした選曲。ヤーコプスの柔らかいカウンターテナーと、ヘニッヒの清楚なボーイソプラノの絡みあいは非常に美しく、発売当時の目の覚めるような驚きは今でも褪せてはいない。
HMG-501099
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価格帯:F
鳥の歌〜クレマン・ジャヌカン(1485頃-1558):
 鳥の歌/夜ごと夜ごとに/のぞみはゆるぎなく/その昔、娘っこが/ある日コランは/ああ、甘い眼差しよ/ひばりの歌/
 悲しいかなそれははっきりしたもの〔声楽版/ギヨーム・モルレイによるリュート編曲版〕/ああ、わが神よ/
 もしもロアールが上流に/私の苦しみは深くない/ああ、愛の苦しみよ/草よ、花よ/この美しい五月/
 盲目なった神は(A.ド・リップによるリュート編曲版)/満たされつつも/ある日、あの人が私に言うに/
 ある朝目覚めた私/私の愛しい人は、神の贈りものを授かっている/うぐいすの歌

  アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
   [ドミニク・ヴィス(CT) ミシェル・ラプレニ(T)
    フィリップ・カントール(Br) アントワーヌ・シコ(B)]

  クロード・ドゥボーブ(リュート)
 録音:1982年7月、ラジオ・フランス106スタジオ。旧品番:HMC-901099ドミニク・ヴィス率いるアンサンブル・クレマン・ジャヌカンによる数ある盤中のベストセラー。「鳥の歌」は「ピッピッピッ、トゥルルルル・・・・、トットットットッ・・・」と、各メンバーが歌う鳥のさえずりを模したオノマトペ(擬音)の歯切れ良い響きとリズム感が、心地よいハーモニーとなって聴き手に押し寄せる。ほかにも恋の歌など千変万化の舌の魔術、怒濤の言葉の洪水の合い間に、リュート・ソロの2曲が息抜き的に入っているのも魅力のひとつ。「音像も3次元的にソリッドでリアルで、口のあけ方までわかる感じだ」と、長岡鉄男氏も大絶賛の、演奏・オーディオ両方で大満足のたのしい1枚。
HMA-1951105
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価格帯:F
マレ:音階/マレ風のソナタ チャールズ・メドラム(Vn)指揮
ロンドン・バロック
 録音:1982年9月。
 ロンドン・バロック初期のの名盤として名高い、1723年パリで刊行された「音階および様々な合奏の小品」からの2曲。
HMA-1951106
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価格帯:F
中世イギリスの音楽
 〜作曲者不詳の14世紀-15世紀の作品集

 ・14世紀
  [アレルヤ、彼は真の殉教者(*)/優しく寛大なる御母/
   わが兄弟ヨナタンよ/カンタベリーの至宝、トーマス/
   山の上にある町は隠すことができない/あなたは最良の市民/
   高貴なるキリストの御母/行け、ミサは終われり(*)]

 ・15世紀
  [アレルヤ、新たなるみわざ/アンナ、キリストの御母の御母/
   イエスの薔薇ほどに徳高き薔薇はない/
   わが恋人は誠にうるわし/ヨセフよ、怪しむことはない/
   おお、選ばれし酒飲み達よ]
ポール・ヒリヤー(B)指揮
ヒリヤード・アンサンブル
[アシュリー・スタッフォード(CT)
 ポール・エリオット、
 ロジャーズ・カヴィー=クランプ、
 レイ・ニクソン(T)]
 録音:1982年9月。旧品番:HMC-901106HMA-1901106(共に当店未案内、廃盤)。
 アルス・ノヴァが誕生し発展した、14世紀のヨーロッパ。その頃から15世紀にかけてのイギリス音楽は、百年戦争をはさんで大陸との間に交流と断絶を見せ、より技巧的で複雑な独自の様式へと変容・熟成して行った。特に(*)の2曲はイギリス色濃厚であり、その他当時盛んに作られた「キャロル」などを含む、興味深い内容。中世イギリスの音楽を俯瞰する好集成。
HMG-501108
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価格帯:F
クリスティ&レザール・フロリサン〜
 モンテヴェルディ

  バレエ音楽「つれない娘たちの踊り」
   (マドリガーレ集第8巻より)/
  セスティーナ
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
アニェス・メロン(S)
ギユメット・ロランス(Ms)
グレゴリー・ラインハルト(B)
ジル・フェルドマン(S)
 録音:1982年9月。旧品番:HMC-901108(当店未案内)。
 1608年、マントヴァ公は自身の息子の誕生日を祝うため音楽イベントを企画した。このイベントの中に含まれたのが、宮廷楽長であったモンテヴェルディのマドリガーレ集の音楽にバレエを振付けた「つれない娘たちの踊り」。同時収録されている「セスティーナ」は、初演のときにキャスティングされていた歌手の一人が急死してしまい、その死を悼んで編まれたもの。
HMA-1951110
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価格帯:F
パスカル・ド・レストカール(1539/40-1584):
 「この世のむなしさ」についての八行連詩(1852)〜
  [流れる水は速いが/世の人よ、知るなら語れ/
  氷は光って美しい/その美女は誰/その怪物はいったい何だ/
  私は見た一人の子供が/心をこの世の深みに沈める/
  世の運行と停止については如何に/太陽の息子である昼が/
  世よ、何故逃げる/止まれ、待て、おお世人よ/
  たちどころに天界の目という目が/
  わが魂よ いまいづこ 偉大なる言説は/物読んで、考える/
  いったいこの世でいまさら何ができよう/罪と死/
  死は滅ぼされたが, この世は生きている/
  そして「この世」と「死」が装束を交換し/
  狂気じみた虚しいことである]
クレマン・ジャヌカン・アンサンブル
 録音:1982年11月、パリ。  パスカル・ド・レストカールは16世紀後半のフランスの作曲家。「『この世のむなしさ』についての八行連詩」は、哲学的な思索を歌った詩に曲をつけた無伴奏声楽曲集。ここでは19曲を演奏。カウンターテナーのドミニク・ヴィスを中心としたこの上ない出来栄えの演奏。
HMX-2901114
廃盤
バルバラ・ストロッツィ(1619-1664):
 カンタータ集
ジュディス・ネルソン(S)
コンチェルト・ヴォカーレ
 ストロッツィは自由奔放な生涯を送ったヴェネツィアの女性作曲家。ソプラノ独唱のためのカンタータを数多く残した。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
HMA-1951118
廃盤
モーツァルト:
 クラリネット五重奏曲 イ長調「シュタードラー」K.581/
 ケーゲルシュタット・トリオ 変ホ長調K.498
 (ピアノ、クラリネットとヴィオラのための三重奏曲)
レ・ミュジシャン
[ミシェル・ポルタル(Cl)
 レジス・パスキエ(Vn)
 ローラン・
  ドガレイユ(Vn)
 ブリュノ・パスキエ(Va)
 ローラン・ビドゥー(Vc)
 ジャン=クロード・
  ペヌティエ(P)]
 旧品番:HMC-901118HMX-2961118
HMA-1951119
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価格帯:F
ぺルゴレージ:スターバト・マーテル ルネ・ヤーコプス(CT)指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1983年4月。この名作は一般にソプラノとメゾでうたわれるが、ここではカウンター・テナーとボーイ・ソプラノで演奏。そのアンサンブルは見事。
HMX-2901120
(2CD)
廃盤
ラモー:クラヴサン作品全集
 クラヴサン曲集(1724)/新クラヴサン曲集(1728)
ウィリアム・クリスティ(Cemb)
レザール・フロリサン〜
  ミシェル・ランベール
(1610頃-1696):エール・ド・クール集
 全世界は愛にひれ伏す/私の愛しい人を隠しておくれ/いとしいイリスよ、もう終わったのだ/
 私は私の敬愛する人に愛されている/変わるより死んだほうがましだ/休止、木陰、静寂/
 私は秘めた炎に飲み込まれたようだ やわらかな葉の上で見つけるために/悲しくも感動的な私の歌によって/
 誰が彼に誓うのか?/イリスはもはや/その美しい瞳のために、イリスよ/
 若くて魅力的な女神をほめたたえよう/私のいとしい羊飼いはやさしく誠実だ

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
  [ドミニク・ヴィス(CT) ダニエル・キュイエ、コンラート・ユングヘーネル/他]
 録音:1983年4月|初出 [LP]: HM 1123 |CD初出:HMA-1901123 [(P) 1992] 〔以上当店未案内|廃盤、入手不能〕。20数年ぶりの再発売と思われる。 1689年、79歳の時にランベールがルイ14世のために出版・献呈した60の歌曲のコレクションは、いわば当時大流行していた「エール(エア、アリア)」の決定打ともいえるものだった。ランベールは、歌手、テオルボ奏者、そして作曲家として当時絶大な名声を得て活躍した作曲家の一人。『1979年にアンサンブル「レザール・フロリサン」を結成したとき、バロックのレパートリーを再び人気のあるものにするための戦いを、コンサートホールだけでなく、‘録音 'という素晴らしい魅惑の武器を使って行ったいと思っていた。』とはクリスティの言葉だが、まさにこの録音は、クリスティが世にその作品の真価を問うたフランス・バロック作品録音の渾身の1枚ともいえる名録音。声楽陣、器楽陣も錚々たる顔ぶれ。
HMA-1951129
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価格帯:F
クラウディオ・モンテヴェルディ:
 西風が戻り/ああ、恋する人はどこにいるのか
 愛の炎を燃さぬ者は
ベネデット・フェルラーリ・デラ・ティオルバ(1604-1681):
 宗教的カンタータ「この鋭いとげ」
クラウディオ・モンテヴェルディ:アリアンナの嘆き
 すてきな羊飼いさん/ああ、お前は何と愛らしいのか
 「さあ、私はあなたを見て喜び」
  (歌劇「ポッペアの戴冠」より第3幕、幕切れの二重唱)
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
ヘルガ・
 ミュラー=モリナーリ(Ms)
ルネ・ヤーコプス(CT)
ウィリアム・クリスティ(Cemb)
コンラート・
 ユングヘーネル(テオルボ)
ヤープ・テル・リンデン
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 旧品番:HMC-901129, HMT-7901129。ルネサンスからバロックへの音楽史上の大転換点に位置する大作曲家モンテヴェルディ。サン・マルコ大聖堂楽長として晩年を過ごしたヴェネツィアでは、優れた音楽家達が彼の周辺に集まり、新しい音楽を推進していった。端正なヤーコプスの美声が、そんな時代の活況を見事に映し出す。
HMA-1951130
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価格帯:F
ラモー:管弦楽組曲「優雅なインドの国々」 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
 録音:1983年6月。ヘレヴェッヘ初期の名盤の一つ。
HMX-2901131
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価格帯:F
クローダン・ド・セルミジ(1490頃-1562):
 ルソン・ド・テネーブル
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 ジャヌカンと並ぶルネサンス・シャンソンの大家として知られているが、宮廷礼拝堂音楽家としてはあまり知られていないセルミジの、初期の教会音楽集。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
 #当盤は廃盤となっており、流通在庫限りのお取扱いです。バーコード部に傷があるカット盤での入荷となりますので、あらかじめご了承下さい。
HMA-1951133
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価格帯:F
フランソワ・クープラン(1668-1733):
 聖水曜日のための3つのルソン・ド・テネブル
クラーク:祝福あれ、この甘美な地に
パーセル:
 讃歌「主よ、人間とは何か」/
 夕べの讃歌「夜が来たれり」
ルネ・ヤーコプス(CT)指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
 [ウィリアム・クリスティ
  (Org、Cemb)
コンラート・ユングヘーネル
 (テオルボ)
ヴィーラント・クイケン、
ヤープ・テル・リンデン
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ヴァンサン・ダラ(CT)
マックス・ファン・エグモント(B)]
 録音:1983年10月。旧品番:HMC-901133HMX-2981133
 クープランの「ルソン・ド・テネブル」の名盤の一つ。演奏の素晴らしさはもちろん、現代の古楽界をリードする巨匠たちが勢ぞろいしていることでも有名。
HMA-1901134
廃盤
12世紀アキテーヌのポリフォニー マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
HMA-1951135
廃盤
ショーソン:協奏曲Op.21/小品Op.39 レジス・パスキエ(Vn)
ジャン=
 クロード・ぺヌティエ(P)
ロラン・ドガレイユ(Vn)
ジュヌヴィエーヴ・シモノ(Vn)
ブリュノ・パスキエ(Va)
ロラン・ビドゥ(Vc)
 録音:1983年11月。フランスの実力派たちによる熱演。
HMA-1951136
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価格帯:F
ルッツァスキ:
 フェラーラのコンチェルト・デレ・ダーメの
  ための女声3部マドリガーレ集
H.アフォンソ、
クリスティーナ・ミアテッロ、
マリネラ・ペンニッキ(S)
HMG-501137
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価格帯:F
モーツァルト:教会ソナタ集
 [変ロ長調K.212/ 変ホ長調K.67/ 変ロ長調K.68/
  ヘ長調K.145/ ヘ長調K.224/ ヘ長調K.244/
  ハ長調K.336/ ハ長調K.328/ ト長調K.241/
  ト長調K.274/ ニ長調 K.245/ ニ長調K.144/
   ニ長調K.69/ イ長調K.225]
ロンドン・バロック
[イングリート・
  ザイフェルト(Vn)
 アンヌ・レーリヒ(Vn)
 チャールズ・メドラム(Vc)
 ウィリアム・
  ハント(ヴィオローネ)
 ジョン・トール(Org)]
 録音:1984年2月。旧品番:HMC-901137(廃盤)、HMA-1901137(以上当店未案内)。
 教会ソナタというと、緩-急-緩-急という楽章構成のソナタを思い浮かべるが、モーツァルトのソナタにつけられた「教会ソナタ」というジャンル名はそれとは異なる。モーツァルトのこれらのソナタは、教会の典礼ミサの中の「グラドゥアーレ」の合間に、言葉のない器楽曲として演奏されたという、まさに「教会ソナタ」なのだ。ミサの全体時間が長くなり過ぎないように、というお達しもあったため、このような単楽章の形をとっている。ブックレットのトラックリストには、各曲の冒頭テーマの譜例が掲載されているというこだわりの仕事ぶりも注目。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMA-1951138
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価格帯:F
ヴィクトル・ユーゴーの詩による歌曲集
 グノー、ビゼー、ラロ、ドリーブ、フランク、
 フォーレ、ワーグナー、リスト、サン=サーンス、
 ホワイト、レイナルド・アーンの作品
フェリシティ・ロット(S)
グラハム・ジョンソン(P)
 録音:1984年10月。
HAX-8901139/41
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(3CD)
2CD価格
マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
  「メデ」(全曲) H.491 (プロローグと5幕からなる音楽悲劇/台本:トマ・コルネイユ)
 ジル・フェルドマン(S;メデ) ジル・ラゴン(T;ジャゾン)
 ジャック・ボナ(B;クレオン) アニェス・メロン(S;クレウス)
 フィリップ・カントル(Br;オロンテ)他
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1984年4月、ヴェルサイユ宮劇場|前出CD: HMC-901139/41〔当店未案内、廃盤〕|二十数年ぶりの再発となる、クリスティの同曲第1回録音。 「メデ」はシャルパンティエによる唯一の抒情悲劇。1984年にクリスティとレザール・フロリサンによって行われた復活蘇演により、この「メデ」は今日でも演奏されるようになったといえるだろう。レザール・フロリサンが発足して間もないころの録音だが、当初から最高のレヴェルでの演奏を展開していたことにあらためて驚かされる内容。メデ(メディア)が自分を捨てた男への復讐から自分の息子までをも殺害する物語にシャルパンティエがつけた音楽は、半音階や転調が効果的かつ劇的に用いられた物。クリスティとレザール・フロリサン、そして名歌手たちの緊張感みなぎる演奏は今なお色あせることがない。
HMA-1951142
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価格帯:F
メンデルスゾーン:モテットと詩篇曲集
 なにゆえ国々は騒ぎ立ち」Op.78 No.1(詩篇2)/
 わが神よ、なぜわれを見捨てたもうか」
  Op.78 No.3(詩篇22)/
 ヌンク・ディミティスOp.69 No.1/
 いと高き所には神に栄光あれ/
 われら人生の半ばにありてOp.23 No.6/
 6つの箴言/わが祈りを聴きたまえ、主よ(讃歌)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
ラ・シャペル・ロワイヤル
コレギウム・ヴォカーレ
HMA-1951148
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価格帯:F
ノートルダム楽派のクリスマスのミサ
 マルセル・ペレス指揮アンサンブル・オルガヌム
  [ジェラール・レーヌ(CT) ジュゼプ・ベネト(T)
   ジュゼプ・カブレ、フィリップ・バロワ(Br)]
 旧品番:HMC-901148, HMA-1901148, HMX-2971148壮大な石造りの教会の内部に入り込んだような、荘厳な雰囲気が漂う一枚。クリスマスとは「神の御子がお生まれになった日である」という宗教的な原点を感じさせる。アンサンブル・オルガヌムの素晴らしさにはあらためて驚嘆。
HMA-1951149
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価格帯:F
シャルパンティエ:
 サルヴェ・レジナ〜1声と2声のためのモテット集
ルネ・ヤーコプス(CT)指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1984年7月。
HMA-1951151
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価格帯:F
クープラン:王宮のコンセール(全曲) ダヴィット・モロニー(Cemb)
ロベール・クレール、
ジャネット・スィー(トラヴェルソ)
ヤープ・テル・リンデン(ガンバ)
 録音:1984年8月。実力派アンサンブルによる典雅な演奏。
HMA-1951152
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価格帯:F
16−17世紀フランスとイギリスの世俗舞曲集
 アルボー(1519-1595)刊:
  「オルケソグラフィ」(1588)から
 プレイフォード(1623-1686)刊:
  「イギリスの舞踏教師」(1651)から
ジェレミー・バーロー指揮
ブロードサイド・バンド
 録音:1984年8月、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール/1982年11月、マヌ、ソヴァン城。
HMA-1951153
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価格帯:F
キャッチ&グリー集
 レイヴンズクロフト:
  3つの田舎舞曲が1つになるラウンド/三羽のカラス
 ヒルトン:ジョージまた注文だ/小僧やい
 ローズ:月夜の今晩、酒を飲み/女は夜もすがらいたく泣き悲しみ/
  美味しいアニスの水だよ
 ウィルソン:蜜蜂の吸う蜜吸って/ばらの花は摘めるうちに
 パーセル:女が俺たちに恋をさせ/
  サー・ウォルターは娘とお楽しみ
 不詳:イニゴウ・ジョーンズ
 バッティシル:墓銘碑
 アーン:合唱クラブ
 スミス:アナクレオンの歌
 アーン:不安を和らげるため
 ビショップ:森びとよ、陽気な角笛吹きならせ
 アーン:シェンストン氏の死を悼む哀歌/嘆くな乙女
 ピスアル:地上に楽園あり/誰か一緒に丘を越えてはくれないか
 バーンビ:心地よく靜かに
ヒリアード・アンサンブル
 録音:1984年9月。
 国内盤でも2度発売され、大人気だったヒリアード・アンサンブルの名盤が復活。17-19世紀にロンドンなど英国で歌われたアマチュア向け男声合唱曲を収録。前半は「キャッチ」と呼ばれる音楽。かつては家庭から抜け出した親父たちが日頃の鬱憤を歌で晴らすというもので、当然酒と女を歌ったきわどいものもある。後半に収録されているのは、「グリー」と呼ばれる18世紀の中頃からのもの。ポール・ヒリアーがリーダーを務めていた時期のヒリヤード・アンサンブルが楽しく聴かせてくれる。
HMA-1951154
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価格帯:F
夏は来たりぬ〜中世イギリスの歌
 13世紀とそれ以前の作者不詳の作品
  [夏が来た/聖母マリアよ(聖ゴドリックの3つの歌)/
   キリストとマリア(聖ゴドリックの3つの歌)/
   聖ニコラス様(聖ゴドリックの3つの歌)/
   森の小鳥/
   神のいとおしまれるお方・あなたのとりなしで/
   ハレルヤ・生誕/
   憐れみ給え・王、処女達に愛されるお方/
   聖なるかな・卓越した母マリアよ/
   神の子羊・人として造られ/キリスト者よ見るが良い]
 13世紀末から14世紀初めの作者不詳の作品
  [野でシンバルを打ち・天の法廷にふさわしい/
   聖母よ、請い願い給え/祝福あれ/
   この世の楽しみよ、さようなら(神に感謝しよう)/
   とても朝早く/
   天の王から遣わされた大天使ガブリエリは/
   母上、しゃんと立って/地よ、喜びの声をあげ/
   聖母よ、喜びなさい/野でシンバルを打ち]
ポール・ヒリアー指揮
ヒリヤード・
 アンサンブル
HMY-2921155/57
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(3CD)
2CD価格
ヘレヴェッヘ第1回録音〜J.S.バッハ:マタイ受難曲
 ハワード・クルック(T;福音史家) ウルリク・コルド(B;イエス)
 バルバラ・シュリック(S;ピラトの妻/女中1) ルノー・マシャール(Br;ユダ)
 マルク・メールスマン(Br;ペテロ/司祭1) ルネ・ヤーコプス(CT;証人)
 ハンス・ペーター・ブロホヴィツ(T;証人) ペーター・コーイ(B;ピラト/司祭2)
 カテリーヌ・ビニャレ(S;女中2) ゴットフリート・ファン・デ・ヴィヴレ合唱指揮
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル、
 コレギウム・ヴォカーレ、イン・ドゥルチ・ユビリオ児童cho.
 録音:1984年9月、聖ジル教会、ブルッヘ、ベルギー。 旧品番: HMC-901155/57, HMX-2901155/57 。#歌詞テキストは付いておりません。 ヘレヴェッヘによるマタイ受難曲、旧録音の復活。1998年録音( HMC-901676/78、福音史家はボストリッジ)の新盤もあるが、この1984年録音のものも根強い人気がある。このたび約10年ぶりの再発。ヤーコプスによるアルト(CT)のアリアが聴けるのもあらためて貴重。
HMA-1951159
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価格帯:F
ヨハン・タイレ(1646-1724):マタイ受難曲 クルト・エクヴィルツ(T)
ステファン・バルコエ(B)
ロジャーズ・コヴェイ=クランプ(CT)他
チャールズ・メドラム指揮
ロンドン・バロック
 録音:1982年4月。
 タイレはシュッツに学んでドイツ各地で活躍した。彼は大バッハが傾倒していた作曲家の一人としても知られているが、たしかにタイレのマタイ受難曲には、イエスがバスで福音史家がテノールという配慮、 コラールや賛美歌を効果的に採用し、叙情的な要素を活用していることなど、バッハ作品と様々な共通点が指摘できる。つまり、バッハの時代に向けて宗教音楽を大きく改革した人物と言えるだろう。 チャールズ・メドラム率いるロンドン・バロックが、バッハのマタイ受難曲でも感動的な福音史家として知られるクルト・エクヴィルツら優れた歌手を得て、タイレの表現探求の精神を今に蘇らせている。
HMA-1951167
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価格帯:F
ヘレヴェッヘのリュリ
 リュリ:グラン・モテ集
  [怒りの日/ミゼレーレ]
 デュモン:メモラーレ
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
 録音:1986年。旧品番:HMC-901167
 大規模な編成によるフランス風のモテット集。リュリは、ルイ14世に仕え、フランス・バロック・オペラの基礎を築いた人物。彼の比較的珍しい宗教音楽を、ヘレヴェッヘの指揮による極めて美しい演奏によって聴くことが出来る。賑々しいトランペットのファンファーレで始まる「テ・デウム」の絢爛豪華な世界、劇的な「怒りの日」の表現は見事。デュモンは、ルイ14世時代の王室礼拝堂で多くの宗教作品をのこした人物。
HMG-501169/70
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(2CD)
価格帯:F
J.S.バッハ:フーガの技法 デイヴィット・
 モロニー(Cemb)
 録音:1985年1月。旧品番: HMC-901169/70, HMA-1901169/70, HMA-1951169/70, HMX-2901169/70 。1986年グラモフォン賞受賞盤。
HMA-1951173
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価格帯:F
J.S.バッハ:4つのトリオ・ソナタ
 [BWV.1036/BWV.1037/BWV.1038/BWV.1039]
チャールズ・メドラム指揮
ロンドン・バロック
HMA-1951174
廃盤
パリのフリカッセ
 ジャヌカン、ド・メルル、セルミジ、パスロー、
 モルレ、クレキヨン、クレロー、他の作品
クレマン・ジャヌカンEns.
 録音:1985年2月。クレマン・ジャヌカン・アンサンブルの代表作。1550年頃、パリではやったシャンソンが収録されている。その世俗的で猥雑な雰囲気は彼等以外にはまねできない。
HMX-2901175
(3CD)
廃盤
フランチェスコ・
 カヴァッリ(1602-1676):歌劇「セルセ」
ルネ・ヤーコプス
(CーT;セルセ)
ジュディス・ネルソン
(S;アマストレ)
ジェフリー・ガル
(CーT;アルサメーネ)
イザベル・
 プルナール(S;ロミルダ)
ジル・フェルドマン
(S;アデランタ)
ジョン・エルウィズ
(T;アリオダーテ)
ギ・ド・メイ(T;エウメーネ)他
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1985年5月。カヴァッリはモンテヴェルディの直弟子で、 ヴェネツィアのオペラに黄金時代をもたらした。
HMA-1951185
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価格帯:F
シャルパンティエ:
 モテット「主は高座を裁きの場に用意した」H.434/
 モテット「すべての人の目はあなたを待ち望む」H.346/
 モテット「おお、神よ、わたしたちの救い主よ」H.372/
 ミゼレーレH.219
ウィリアム・ケンドール(T)
ペーター・コーイ(B)
アニェス・メロン(S)
イザベル・ブルナール(S)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
ラ・シャペル・ロワイヤル
HMA-1951186
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価格帯:F
ロベール・ド・ヴィゼー(1656頃-1732頃):ギター作品集
 組曲集〔第4番 ト短調/第9番 ニ調/第11番 ロ短調/第12番 ホ短調〕/
 小品〔イ短調/ニ短調/ニ長調/ト短調/ト長調〕
  ラファエル・アンディア(G)
 録音:1985年-1986年。旧品番:HMC-901186HMA-1901186(共に当店未案内)。全集(初出 LP : HM-1186/88|2015年に HMY-2928464/65 で初CD化)からの抜粋。
 ギターという楽器の奏法や音楽が発展させ、ライバルであったリュートと違う道を歩み始めさせたのは、イタリアとスペインだった。間もなくギターという楽器は流行し、ヴィセという優れた作曲家の作品のおかげで、フランスのルイ14世の宮廷でも愛される存在となった。宮廷スタイルの舞曲組曲の中にもラテンの薫り漂う高雅な作品が魅力的。
HMA-1951189
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価格帯:F
ヤサント・ジャダン(1769-1800):
 ピアノ・ソナタ集

 [嬰ヘ短調 Op.4 No.2/変ロ長調 Op.4 No.1/
  嬰ハ短調 Op.4 No.3/ヘ長調 Op.6 No.3]
ジャン=クロード・ペヌティエ(Fp)
 録音:1985年3月。旧品番:HMC-901189, HMA-1901189。
 ジャダンはヴェルサイユ宮殿のヴァイオリニストの子に生まれ、革命期を駆け抜けたフランスのピアニスト・作曲家。兄は同じく作曲家のルイ=エマニュエル・ジャダン(1768-1853)。85歳まで生きた兄と対照的に、弟ジャダンはわずか31歳で亡くなり、残された作品もほんのわずか。作品4のピアノ・ソナタ集は1795年に出版されたもの。この嬰へ短調と嬰ハ短調の二つのソナタはいずれも傑作で、一方で同時代(モーツァルトや初期のベートーヴェン)の短調の音楽との類似点が感じられつつ、他方でロマン派へ向かう若き情熱も強く伝わってくる。
 ジャン=クロード・ペヌティエが1830年のショット・ピアノを用いて、若くして散った天才の魂をしっかりと握り締めるような演奏を聴かせてくれる。
HMX-2931192/98
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(7CD)
3CD価格
アグノエル、プルーデルマッハー、プラネス、バドゥラ=スコダ、
  ダルベルト、ペヌティエ〜ベートーヴェン
/リスト編曲:ピアノ版交響曲全集
 〔第1番 ハ長調 Op.21 /第2番 ニ長調 Op.36 [ジャン=ルイ・アグノエル(P)/1985年11月/ HMC-901192 ]/
  第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」[ジョルジュ・プルーデルマッハー
    (プルーデルマシェール)(P)/1985年9月/ HMC-901193 ]/
  第4番 変ロ長調 Op.60 /第8番 ヘ長調 Op.93 [アラン・プラネス(P)/1986年6月/ HMC-901194 ]/
  第5番 ハ短調 Op.67「運命」[パウル・バドゥラ=スコダ(P)/1986年12月/ HMC-901195 ]/
  第6番 ヘ長調 Op.68「田園」[ミシェル・ダルベルト(P)/1986年2月/ HMC-901196 ]/
  第7番 イ長調 Op.92 [ジャン=クロード・ペヌティエ(P)/1987年5月/ HMC-901197 ]/
  第9番 ニ短調 Op.125「合唱」(2台ピアノ版)[アラン・プラネス、
    ジョルジュ・プルーデルマッハー(プルーデルマシェール)(P)/1987年6月/ HMC-901198 ]〕

シューベルトピアノ・ソナタ ハ短調 D.958 (#)
 [パウル・バドゥラ=スコダ(P)|1978年10月13日、サル・ガヴォー、ライヴ/ HMC-901195 ]
 録音/初出CD品番:[/内](当店で補完、会場は(#)を除き既出盤には未記載)|使用楽器:スタインウェイ(無印)、旧盤や演奏者公式サイトも含め記載無し(*/#) |既出CD BOX: HMX-2901192/98 〔発売:1995年|廃盤、入手不能〕。当初LPとCDで単売され、さらに1995年に CD BOX 化がなされていた録音の、約20数年ぶりの再発で、1985年と86年に集中して録音されたイディル・ビレットによる全集に続く、世界2番目のリスト編曲盤全集録音だったもの(次がカツァリスで、1981年から1989年にかけて完成)。 (#)はバドゥラ・スコダによる「第5番」が LP 半面で終わってしまうからか、当初からカップリング曲としてリリースされていたが、初出盤と BOX 以外にはリリースされた形跡がないもの。代理店は今回、これも1986年録音だとしているが誤り。 ハルモニアムンディの伝説の企画盤、豪華ピアニストを迎えてのリスト編曲によるベートーヴェンの交響曲全曲がボックスで登場!リストの編曲によるベートーヴェン交響曲といえば、リストはベートーヴェンのオリジナルを尊重し敬意を払いつつ、もはやリストによる "リライト "ともいえるくらいにピアニスティックな色合いを強めた物。それを名手たちによる饗宴で一挙にたのしめるとは、なんともぜいたく!ダルベルトが「田園」、プラネスとプルーデルマッハーが2台ピアノで「第九」を演奏、それぞれの楽曲を、これ以上ないくらいにぴったりの名手が担当しており、超絶名演満載のボックス。ベートーヴェンの交響曲のピリオド楽器による演奏の録音も、この録音前後から盛んにおこなわれるようになり(アーノンクールやガーディナーはピリオド楽器でのベートーヴェン交響曲を1990年代前半に録音)、様々な演奏に親しんだ現代の耳にはややロマン寄りの演奏に聴こえる印象もあることも事実。しかしそうしたことを超越して、名手たちが不朽の天才ベートーヴェンとリストという二人が手がけた作品に挑戦した軌跡として、そしてリストが行った編曲自体も楽しみたいボックスセット。第1番を担当しているアグノエル(1954年生まれ)は、フランス出身で現在はアメリカで教鞭をとっているピアニスト。ナディア・ブーランジェやアンリ・デュティユーのもとで作曲なども学んだ経歴を持っており、なんとも幻想的な雰囲気の第1番を展開している。第3番および第九で連弾を担当しているプルーデルマッハー(プルーデルマシェール)(1944年生まれ)は、現代から室内楽まで驚異的なレパートリーをバリバリと弾きこなし、ナタン・ミルシテインの最後のリサイタルでもピアニストを務めていた名手。「エロイカ」を胸のすくようなテクニックで、各声部の陰影も見事につけながら演奏している。第4番および第8番を担当のプラネス(1948年生まれ)は、ドビュッシー録音でもおなじみで、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭で来日もしていたる名手。第4番の冒頭など、ドビュッシーかと思うような雰囲気に思わず引き込まれる。第5番「運命」を担当している当時60歳手前のバドゥラ=スコダ(1927-2019)も直球勝負で聴かせる。第6番「田園」は今も定期的に来日している巨匠ダルベルト(1955年生まれ)による、きわめてピアニスティックでありながら、雄大なスケールを感じさせる演奏が見事。第7番を担当のペヌティエ(1942年生まれ)は、第1楽章冒頭でピアノの特徴である「音の減衰」を巧みに利用、終楽章ではピアニスティックな迫力が楽しめる。そして第九ではプラネスとプルーデルマッハーによる2台ピアノが炸裂している。終盤の怒涛の超絶技巧は爽快。
HMA-1951215
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価格帯:F
J.S.バッハ:
 オルゲルビュヒライン
  (オルガン小曲集)全曲 BWV.599-BWV.644
ルネ・サオルジャン(Org)
 録音:1982年10月。使用楽器:サン・ピエール大聖堂大オルガン、ルクセイユ、フランス。
 デュリュフレ、ジェルマーニに師事したサオルジャンは、ヘント・オルガン・コンクールでバッハ賞を獲得した後に、演奏・教育の両面で広く活躍した。
HMA-1951218
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価格帯:F
グレゴリオ聖歌前史〜
 古ローマ聖歌とビザンツ聖歌の出会い
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 旧品番:HMC-901218
HMA-1951219
廃盤
ボードレールの詩による歌曲集 フェリシティ・ロット(S)
グレアム・ジョンソン(P)
HMA-1951220
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価格帯:F
シュメルツァー、 ムファット:ソナタ集
 ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623頃-1680):
  フェルディナント3世の死に寄せる哀歌/
  3つのつのヴァイオリンのソナタ/3声のソナタ/
  3声のソナタ「ランテリー」/ソナタ第10番
 ゲオルク・ムファット(1653-1704):
  5声のソナタ第5番 ト長調/
  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
チャールズ・メドラム指揮
ロンドン・バロック
 録音:1985年10月。
 17世紀オーストリアで活躍したシュメルツァーとムファット。シュメルツァーはウィーンのハプスブルク家の宮廷に仕え、皇帝レオポルト1世から高く評価されたヴァイオリニストで、当時イタリア人が宮廷楽長を勤める慣例を破り、オーストリア人として始めて宮廷楽長に就任した。当然ながらヴァイオリン曲に優れた作品を残している。ムファットは生まれはフランス。パリでリュリらに学んだ後、ウィーン、プラハでの滞在を経てザルツブルクで職を得、そこからローマに留学してイタリアの音楽をたっぷり吸収、結果としてフランスとイタリアの音楽の混合をオーストリアに持ちこんだという大変特色のある人。5声のソナタは1682年にザルツブルクで出版された曲集から採られたもの。
 メドラム率いるロンドン・バロックの堅実な演奏は、昨今の過激に走りがちなバロック・アンサンブルよりも落ち付いて作品本来の味を楽しませてくれるように思われる。
HMX-2901225
(6CD)
廃盤
歴史的オルガンの数々
 CD1:スペイン(パルマ・デ・マヨルカ教会) / CD2:スペイン(トルホーヨ、コバルビアスの教会)
 CD3:フランス(マロセーヌの教会) / CD4:フランス(マルムティエール、サン=マキシマンの教会)
 CD5:イタリア(ブレシア、バスティアの教会) / CD6:ドイツ(トレーベル、アルテンブルフの教会)

 フランソワ・シャプレ、ルネ・サオルジャン、
 ミシェル・シャピュイ、ヘルムート・ヴィンター(Org)
HMA-1951231
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜J.S.バッハ:7つのモテット集 BWV.118 (+) , 225-230
 〔聖霊はわれらの弱きを助けたもう BWV.226/恐れるなかれ、われ汝とともにあり BWV 228/
  わが喜びなるイエス BWV 227 (#) /来たれ、イエスよ、来たれ BWV 229 /主を称えよ、すべての異教徒よ BWV 230 /
  主に向かって新しい歌をうたえ BWV 225 /おお、イエス・キリスト、わが生命の光 BWV 118 (+) 〕

 アニェス・メロン、グレタ・デ・レイゲール(S;#) ヴァンサン・ダラス(CT;#)
 ハワード・クルック(T;#) ペーター・コーイ(B;#)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1985年11月。旧品番:HMC-901231 (+以外) 、HMC-1231/32 (2LPs) 〔以上廃盤〕。(+)はセット物の HML-5908366/68 で初CD化された曲目と思われ、HMC-901231 には含まれていなかった。各声部が非常にやわらかに絡み合う、極上の世界が広がる。BWV227は各パート一人による演奏で、妙技を堪能出来る。BWV 118 の器楽による前奏も非常にやさしい仕上がり。美しさと優しさに満ちたモテット集。
HMA-1951233
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価格帯:F
ボッケリーニ:
 2台のチェンバロのための四重奏曲第1番−第6番
 ファンダンゴ
ウィリアム・
 クリスティ(Cemb)
クリストフ・
 ルセ(Cemb)
 録音:1985年12月。師弟共演による独特な緊密感のある演奏。
アンドレ・カンプラ(1660-1744):フランス語によるカンタータ集
 〔アリオン/アモルとヒュメナイオスの争い/女たち/アエネアスとディド〕
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 [ジル・フェルドマン(S) ドミニク・ヴィス(CT) ジャン=フランソワ・ガルデイユ(Br)
  ジョン・ハロウェイ、フロランス・マルゴワール、ヴァルター・ライター(Vn) ロベール・クレール
   (Flーtr) スティーヴン・スタッブズ(テオルボ) エリザベス・マティファ(Gamb)]
 録音:1986年1月、3月。旧品番:HMC-901238, HMA-1901238, HMA-1951238〔すべて廃盤、入手不能〕。カンプラは、生前からオペラ作曲家として広く認められる存在だった。1708年に出版されたフランス語のカンタータ集の冒頭に、カンプラは次のような言葉を寄せている。「フランス音楽の繊細な部分と、イタリア音楽の生き生きとした部分を生かすよう留意した。(中略)私は、イタリア語のカンタータに比べてフランス語のカンタータを作ることには不利な点が多い、と多くの人々に忠告されたが、我々の言語は、美しさにすべてが勝る。また、我々の音楽は、人々が、称賛し、真似したいという衝動を禁じえない美しさを持っている。私はメロディ、表情、そして、私たちの言葉の美しさを保つことに細心の注意を払った。」フランス語の美しさ、繊細で生命力に満ちた美しいメロディを堪能できるカンタータ集。
HMG-501239
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価格帯:F
ジョスカン・デ・プレ(1450頃-1521):
 ミサ「パンジェ・リングヮ」
マルセル・ペレス指揮
クレマン・ジャヌカン・
 アンサンブル
[ドミニク・ヴィス、
 ミシェル・ラプレニー、
 フィリップ・カントール、
 アントワーヌ・シコ]

アンサンブル・オルガヌム
[ジェラール・レーヌ、
 ジョゼ・ベネ、ジョゼ・カプレ、
 フランソワ・フォシェ]
 録音:1986年1月。旧品番:HMC-901239(廃盤)。
 ルネサンス最大の作曲家、“音楽の君主 "ジョスカン・デ・プレ。その精緻を極めたポリフォニーの頂点を示す傑作、ミサ「パンジェ・リングヮ」もハルモニアムンディが誇る名盤のひとつ。単旋律聖歌をモティーフに、複雑怪奇、絢爛豪華なポリフォニーが展開されている。作曲者も君主なら作品も実に「君主」風、思わず姿勢を正してしまうような厳格さに満ちた演奏。人の声なのに、リード・オルガンのようにビリビリと響く。
HMA-1951240
廃盤
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 ケネス・ギルバート(Cemb)
 録音:1986年。旧品番:HMC-901240HMA-1901240。使用楽器:ユベール・ベダール製リュッカース=タスカン・モデル、パリ音楽院楽器博物館所有。ギルバート自身の校訂による版。
HMA-1951243
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ&シャペル・ロワイヤル〜ジョスカン・デ・プレ:モテット集(全7曲)
 アヴェ・マリア/スターバト・マーテル/めでたし女王、あわれみ深きみ母/めでたし、いと高貴なる創造/
 おお慈悲深く、いと優しきイエスよ/主よ、いつまでわれを/神よ、われをあわれみたまえ
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1986年5月。旧品番:HMC-901243。ジョスカンの代表的なモテトゥス7曲を、ヘレヴェッヘとシャペル・ロワイヤルによる妙技で。
HMA-1951245
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価格帯:F
ジョヴァンニ・バッティスタ・
 サンマルティーニ(1701-1775):
 シンフォニア ト長調/同 ニ長調/五重奏曲 ト長調/他
ジュゼッペ・サンマルティーニ(1693-1751):
 リコーダー協奏曲 ヘ長調/
 合奏協奏曲第6番 ホ短調/同第8番 ト短調
コンラート・シュタインマン
 (リコーダー)
キアラ・バンキーニ指揮
アンサンブル415
 HMC-901245の再発売。
 サンマルティーニ兄弟の作品集。兄ジュゼッペはオーボエ奏者。後にロンドンに移住し、ヘンデルらと交流、協奏曲の分野で優れた作品を残した。弟ジョヴァンニ・バッティスタは交響曲の始祖とも言われ、ソナタ形式を積極的に活用し後の作曲家に多大な影響を与え、 多数の管弦楽作品やオペラを残した。彼ら作品のまとまった録音は比較的珍しく、これは貴重。
HMA-1951246
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価格帯:F
ヴィオラとピアノ版「イタリアのハロルド」
 ベルリオーズ/リスト編曲:
  交響曲「イタリアのハロルド」Op.16
  (ヴィオラとピアノのための版)
 シューマン:
  ヴィオラとピアノのための
   4つの小品「おとぎの絵本」Op.113
ブリュノ・パスキエ(Va)
ジャン=フランソワ・
 エッセール(P)
 録音:1986年6月。旧品番:HMC-901246HMA-1901246(共に当店未案内、廃盤)。
 ベルリオーズを崇拝していたリストが「幻想交響曲」をピアノ用に編曲したことは比較的知られているが、当盤の主役はその3年後に編曲した「イタリアのハロルド」。元来パガニーニがヴィオラ協奏曲として委嘱した作品のため、ヴィオラ独奏が重要な役割を占めるが、リストは独奏部をそのまま残し、管弦楽部を編曲している。シューマンの「おとぎの絵本」は晩年のオリジナル作品。数少ないロマン派ヴィオラ作品の貴重な名曲。フランスきっての名手パスキエはもちろん、エッセールも余裕の表情でリスト編曲の音の綾を紡ぐ。
HMG-501247/48
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(2CD)
価格帯:F
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
 アニェス・メロン、ギユメット・ロランス(S) ヴァンサン・ダーラ(CT)
 ハワード・クルック、ウィリアム・ケンドール、ジェラール・オベイルヌ(T)
 ペーター・コーイ、デイヴィッド・トーマス(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1986年1月。旧品番:HMC-901247 [HMC-901247/48], HMX-2901247 [HMX-2901247/48](以上、すべて廃盤)。
 ヘレヴェッヘのモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」は一味違う演奏で、ともすると快活すぎる演奏になりがちな冒頭から、やや控えめな、落ち着きのようなものを感じさせる。当時の典礼の進行にしたがって、各詩篇の間にそれぞれにふさわしい「アンティフォーナ」(グレゴリオ聖歌)を演奏、6声のマニフィカトIを含む全13曲版。
HMA-1951249
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価格帯:F
リュリ:歌劇「アティス」(抜粋) ギー・ド・メイ(T;アティス)
アニェス・メロン(S;サンガリート)他
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
 旧品番:HMX-2981249
HMA-1951250
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価格帯:F
モンテヴェルディ:
 「倫理的・宗教的な森」(抜粋)
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
HMG-501251
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜アンドレ・カンプラ(1660-1744):レクイエム
 エリザベス・ボードリー、モニク・ザネッティ(S) ジョゼプ・ベネト(CT)
 ジョン・エルヴィス(T) スティーヴン・ヴァーコー(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1986年8月。旧品番:HMC-901251〔国内仕様盤:KKCC-13, KKCC-9204 /以上 すべて廃盤〕。ノートルダム大聖堂楽長カンプラが次々発表する舞台作品は、謹厳な要職にはふさわしくない、と物議をかもしたそうだが、このレクイエムにもそうした性格が窺える。穏やかで平明な抒情と牧歌的情緒が、彼の生地、南仏プロヴァンスの自然を思わせるようだ。ひとつひとつを含めるように紡ぐ響きは、差し込む光のように暖かく清澄。
HMA-1951252
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価格帯:F
シャンティー写本〜14世紀フランスのバラードとロンドー
 すべての民よ、手を打ち鳴らせ/天の元后/おお、知恵よ/
 種の僕らよ/サルヴェ・レジナ/神よ、私の叫びを聴き/他
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1986年9月。
 パリ郊外のシャンティー城に保管されていた写本に記された音楽。この城はフランスの大貴族たちが所有した由緒あるもので、王家との関わりも深い。シャンティー写本は、70のバラード、17のロンドーなど、14世紀後半に成立した当時の貴重な音楽を今に伝えている。このCDには12曲を収録。
HMA-1901253
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価格帯:F
ヘンデル:
 セレナータ「アチスとガラテアとポリフェーモ」
エマ・カークビー(S)
キャロリン・ワトキンソン(A)
チャールズ・メドラム指揮
ディヴィッド・トーマス
ロンドン・バロック
HMA-1951255
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価格帯:F
シュッツ:十字架上のキリストの7つの言葉 ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
HMA-1951256
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価格帯:F
コルシカ地方のポリフォニー合唱曲集
 母への手紙/グアニェージの3行詩/美しい人/バラニーノの詩/
 7隻のガレー船/新しい橋/最初の花/私に聖水を/キリエ/
 サンクトゥス/アニュス・デイ/詩編/聖墓の賛歌
マルセル・ペレス指揮
エ・ヴォーチェ・
 ディ・ウ・クムーネ
(ヴォーチェ・ディ・クムネ)
 録音:1986年11月、コルシカ(コルス)島ピニャ、フランス。旧品番:HMC-901256
 ナポレオン出生の地として有名な地中海に浮かぶコルシカ島で、中世から歌い継がれてきた聖歌集。ミサ通常文の前に美しいメロディによる歌が8曲置かれているが、イタリア語とよく似た響きを持つコルシカ語と流麗なメロディは、カンツォーネを思わせる。どれも明るく、くっきりとした輪郭を持ち、宗教的なことを考えなくても存分に楽しめる異色の一枚。
HAX-8901257/59
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(3CD)
2CD価格
ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):歌劇「アティス」
  (5幕からなるトラジェディ・リリク/台本:フィリップ・キノー)
 ギ・ド・メイ(T;アティス) ギユメット・ロランス(Ms;シベル)
 アニェス・メロン(S;サンガリート) ジャン・フランソワ・ガルディユ(B;セレヌス)
 ジャック・ボナ(B;イダス) フランソワーズ・スメラーズ(S;ドリス)
 ジル・ラゴン(T;眠り[ヒュプノス]) ジャン=ポール・フシェクール(T;モルフェ)
 ベルナール・ドゥルトレ(B;フォベトール) ステファン・マツェイェフスキ(Br;ファンターズ)

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1987年1月|初出時の世界初録音|初出・前出CD: HMC-901257/59, HML-5901257/59 |平成元年度レコード・アカデミー賞音楽史部門受賞。奇怪な神話に基づき、類稀なる美青年アティスがその美しさゆえ多くの女性の誘惑と嫉妬にふりまわされ、ついには死に至るまでを父親との倒錯愛もからめて進行する。リュリの音楽はきわめて流麗。クライマックスの「復讐の場」をはじめ、クリスティの指揮も緊張感にあふれていて実に見事。歌唱陣も充実のメンバーだが、器楽パートにクリストフ・ルセやユーゴ・レーヌらの名が連なっていてこれまた豪華。録音から30年以上経っているが、録音のクオリティ、演奏の鮮烈さは他では得がたいものとなっている。
HMA-1951260
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価格帯:F
バッハ:音楽の捧げもの デイヴィット・モロニー(Cemb)
ジャネット・シー(Ft)
ジョン・ハロウェイ(Vn)
ヤープ・テル・リンデン(Vc)
マーサ・クック(Cemb)
HMG-501261
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価格帯:F
ハインリッヒ・シュッツ(1585-1672):
 ムジカーリッシェ・エクセークヴィエン
  Op.7 SWV 279-281

 [第1部「ドイツ鎮魂ミサの形式によるコンチェルト」/
  第2部 モテット「主よ、あなたさえいてくだされば」/
  第3部 シメオンのカンティクム
     「主よ、あなたは今こそこの僕を」]/
 モテット「それほどに神はこの世を愛された」SWV380/
 モテット「今よりのち主にあって死ぬ者は幸い」SWV 391/
 モテット「わたしはキリストのもとに去る」SWV 379
 小宗教的コンチェルトOp.9〜「わたしは復活である」SWV 324/
 小宗教的コンチェルトOp.8〜「おお、愛する主なる神」SWV 287/
 モテット「天は神の栄光を物語り」SWV 386
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
 旧品番:HMC-901261(廃盤)。
 大バッハのちょうど1世紀前、初期ドイツ・バロック期最大の作曲家ハインリヒ・シュッツ。G.ガブリエリの壮麗なヴェネツィア様式を学んだが、三十年戦争時代の苦悩の中でその音楽は深い静寂を湛え、強靭な精神性を秘めるものとなった。ロイス公のための「音楽による葬送」は、静かな諦観と哀惜の念に満ちている。
HMA-1951266
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価格帯:F
ムソルグスキー:ピアノ作品集
 組曲「展覧会の絵」/はげ山の一夜/ゴパーク/涙
 乳母とわたし/スケルツォ嬰ハ短調/子供の頃の思い出
ブリジット・アンジェレ
 (エンゲラー)(P)
ジェズアルド(1561?-1613):5声のマドリガーレ集
 第3巻より Nos.3, 8, 8, 9, 11 /第4巻より Nos.1, 11, 18 /
 第5巻より Nos.9, 11, 14 /第6巻より Nos.1, 6, 13
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1987年7月13日-15日。旧品番:HMC-901268HMG-501268〔共に廃盤〕。妻を自らの手で殺め、強烈な気性でいつも空想にふけり、それでいて非常に高貴な身分だった・・・などという種々の逸話に彩られたルネサンスの巨星、ジェズアルド。彼の残したマドリガーレは、死後400年を経た今なお鮮烈に響く。
HMA-1951269
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価格帯:F
クープラン:リュリ讃 ウィリアム・クリスティー、
クリストフ・ルセ(Cemb)
HMG-501270
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価格帯:F
J.S.バッハ:哀悼行事用のカンタータ
 「侯妃よ、さらに一条の光を」BWV189/
 「イエスよ、汝はわが魂を」BWV78
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
イングリート・
 シュミットヒューゼン(S)
チャールズ・ブレット(A)
ハワード・クルック(T)
ペーター・コーイ(B)
 録音:1987年11月。旧品番:HMC-901270(廃盤)。
 名曲として名高い2つの哀悼行事用のカンタータを収録。198番は、ザクセン選帝侯アウグストI世の夫人、クリスティアーネ・エーバーハルディーネのための追悼音楽。彼女はプロテスタント信仰の象徴のような女性で、国民の信頼も厚い人物だった。夫がポーランド王の称号と引き換えにカトリックに改宗したにも関わらず、プロテスタントの信仰を貫くために宮廷を離れるといったこともしている。受難曲を思わせる比較的規模の大きな作品で、最後は王妃の栄光と不滅を讃える輝かしい合唱で終結する。ヘレヴェッヘの指揮も冴える名盤。
HMA-1951271
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価格帯:F
ジャヌカン:シャンソン集〜狩の歌
 ジャヌカン:女達のおしゃべり/行け、夜鳴きうぐいすよ/
  たったひとつの太陽から/美しく緑なすさんざしよ
 モルラーユ:神々のガイヤルド
 ジャヌカン:ぼくには二重の苦しみが/緑の森に私は行くわ/
  すぐまた来なさい/こちらの側には名誉が/
  空を飛ぶこの小さな神様
 ル・ロワ:ブルゴーニュのブランル
 ジャヌカン:戦い[第1部/第2部]/絶えた望み/
  かわいいニンフ/どうしてその目/当然のこと
 モルヤール:ファンタジー
 ジャヌカン:花咲けるさんざしの上で/この五月/
  ああ、君は楽しいの/大胆で軽やかな風よ
 ル・ロワ:ブラン・ルゲ
 ジャヌカン:もうぼくは以前のぼくでは/修道士ティボー/
  狩の歌[第1部/第2部」
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 録音:1987年8月、アルル、聖マルタン教会。
 名カウンターテナー、ドミニク・ヴィスを中心としたアンサンブル・クレマン・ジャヌカン、その本領を最も発揮するのは、もちろん冠に名をいだいたジャヌカンのシャンソン。作品を知り抜き、緻密なアンサンブルと大胆な表情付けで、ジャヌカンの多様な魅力を十全に引き出している。聴いているだけウキウキする楽しい曲、しっとりとした美しさに浸れる曲、25曲どれをとっても楽しめること請け合い。
メンデルスゾーン:詩篇集
 鹿が谷川の水を慕うように/他
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル、
コレギウム・ヴォカーレ
HMA-1951273
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価格帯:F
バッハ:アルトのためのカンタータ集
 第35番「心も魂も乱れはて」BWV.35/
 第82番「われは満ち足れり」BWV.82/
 第53番「いざ、待ち望みたる時を告げよ」BWV.53
ルネ・ヤーコプス(CT)
キアラ・バンキーニ(Vn)指揮
アンサンブル415
 ヤーコプスの歌手としての絶頂期における録音。
ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):プティ・モテ集
 〔すべての民よ、手を打ち鳴らせ/天の元后/おお、知恵よ/種の僕らよ/サルヴェ・レジナ/
  神よ、私の叫びを聞き/キリストの御魂よ/めでたし、天の最高の贈り物/
  我が主に賜わった御言葉/おお、いと甘き主よ/主よ、王を救いたまえ〕

 モニク・ザネッティ、アルレッテ・シュタイアー(S) マリー・ボワイエ(Ms)
 ジェラール・レーヌ(CT) ジャン=ポール・フシェクール(T) フランソワ・フォシェ(B)

 ウィリアム・クリスティ(Org)指揮レザール・フロリサン
 録音:1987年8月。旧品番:HMC-901274HMA-1951274〔すべて廃盤〕。 リュリは多数の豪華なオペラや気宇の大きいグラン・モテを書く一方、ここに収録されたような数分程度のプティ・モテにも優れた作品を残している。フランス・バロック復興の大立役者、ウィリアム・クリスティと手兵レザール・フロリサンによる演奏は、30年経ってもこれを凌駕したものがないと言ってほど完璧な出来栄え。
HMA-1951277
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価格帯:F
ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 [第25番 ホ短調Hob.XV:12 /
  第26番 ハ短調Hob.XV:13 /
  第27番 変イ長調Hob.XV:14]
パトリック・コーエン(Fp)
エーリヒ・ヘーバルト(Vn)
クリストフ・コワン(Vc)
 録音:1988年1月。旧品番:HMC-901277HMA-1901277(共に廃盤)。
 モザイク弦楽四重奏団員の2人(ヴァイオリン奏者ヘーバルトと、チェロ奏者にしてバロック・チェロの帝王コワン)、そしてコーエンというピリオド楽器の名手三人によるハイドン。1790年頃まで「ヴァイオリンとチェロを伴うピアノ・ソナタ」と呼ばれることもあったこれらの作品を、ピリオド楽器のまろやかな響きで。
HMA-1951278
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価格帯:F
J.S.バッハ:
 イタリア協奏曲BWV.971/
 フランス風序曲(パルティータ)ロ短調BWV.831/
 4つのデュエットBWV.802〜BWV.805
ケネス・ギルバート(Cemb)
 使用楽器:バルンハルト・フォン・トゥッヒャー製。
HMA-1951279
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価格帯:F
ジョスカン・デプレ:シャンソン集
 かわいいカミュゼット/はかり知れない悲しさ/
 絶望的な運命の女神/こおろぎは良い歌い手/
 森のニンフ、愛の女神/他8全27曲)
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
ディドンの死〜
 ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール
(1667-1737):カンタータ集
 カンタータ集第1巻〜第6曲「ディドンの死」(ソプラノ、ヴァイオリン、フルートと通奏低音のための)/
 カンタータ集第2巻 より
  〔第7曲「意地悪な愛」(カウンターテナーと通奏低音のための)/
   第3曲「愛の勝利」(テノールと通奏低音のための)〕/
   第6曲「プラムとティスベ」(ソプラノ、テノール、バス、ヴァイオリン、フルートと通奏低音のための)/
 カンタータ集第3巻〜第9曲「ルクレティアの死」(ソプラノ、2つのヴァイオリンと通奏低音のための)

 アニェス・メロン、モニク・ザネッティ(S)
 ジェラール・レーヌ(CT) ジャン=ポール・フシェクール(T)
 ウィリアム・クリスティ(Cemb)指揮レザール・フロリサン
  [ミリアム・ゲヴェルス、ソフィー・デゥムール(Vn) マルク・アンタイ(Fl−tr)
   スティーヴン・スタッブズ(テオルボ) エリザベス・マティファ(ヴィオール)]
 録音:1988年3月。 旧品番:HMC-901280, HMA-1901280〔共に当店未案内、廃盤、入手不能〕。約20年ぶりの再発売。フランス・カンタータの黄金期を築いたモンテクレールの作品は少ないが、鍵盤楽器以外、あらゆる分野の楽曲を書いている。特に重要なのが、歌と楽器を絶妙かつ多彩に使用した3巻に渡るカンタータ集。アニェス・メロンをはじめとした古楽のエキスパートたちの歌唱にレザール・フロリサンの巧みな表現力を楽しむことが出来る。
HMY-2921282/84
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(3CD)
2CD価格
ヤーコプス〜フランチェスコ・カヴァッリ(1602-1676):歌劇「ジャゾーネ」
 マイケル・チャンス(ジャゾーネ) ハリー・ファン・デル・カンプ(B;エルコレ)
 カテリーナ・デュボスク(ヒュプシプレ) ベルナール・デルトレ(Br;オレステ)
 グロリア・バンディテッリ(Ms;メデア) ギ・ド・メイ(T;エジェウス)
 ドミニク・ヴィス(CT;デルファ) アニェス・メロン(S;アリンダ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1988年5月。 旧品盤:HMC-901282/84 [HMC-901282] 〔初出〕、 HMX-2901282/84 [HMX-2901282] 。 17世紀にオペラ作曲家として絶大な人気を誇ったカヴァッリの代表作。1649年の謝肉祭期に初演された後、17世紀イタリアにおいて最もよく上演され、称賛も批判もされた。1960年代まで忘れかけられたが、オペラの中でメデアが歌う歌の官能性や、各場面の音楽の抜群の効果、特にメデアが海に落とされるシーンは音だけでも迫力満点で、今聴いても非常に刺激に満ちた傑作。・あらすじ:ジャゾーネはレムノス島でヒュプシピュレとの間に双子をもうけるが、その後身分を明かさぬ女性と愛し合い、そこでも双子をもうける。この身分を明かさぬ女性は実はメデア。メデアの忠実なる乳母デルファはメデアに、ジャゾンと結婚し、何らかの戦いで父親が殺されても父親が誰であるか子供たちがわかるようにしておくようにとアドヴァイスをしする。メデアはジャゾンのもとを訪れ、身分を明かす。ジャゾンは喜び結婚する。ヒュプシプレはジャゾーネに、自分のところに戻るように詰め寄る。それを聞きつけたメデアは、ヒュプシプレを殺すようジャゾーネに求める。ジャゾーネはベッソに、その役を押し付ける。魔法のパスワードを伝え、それを口にした者を殺すようにと命じる。パスワードを伝えられたのはヒュプシプレ。しかしメデアが現れ、偶然にもパスワードを口にしてしまう。ベッソはメデアを海に落として殺そうとするが、メデアの元恋人エジェウスがこれを救い、エジェウスはメデアの愛を取り返す。ジャゾンは打ちひしがれる。イジーフィレはこの成り行きを見て絶望し、ジャゾンに、自分を殺せ、ただし、子供が困るから胸だけ残して子供に与えよと訴える。ジャゾンは心打たれ、再びヒュプシプレに対する思いを戻す。ジャゾーネとヒュプシプレ、メデアとエジェウス、そしてベッソとヒュプシプレの侍女(アリンダ)という3カップルが結ばれ、喜びの幕となる。
HMA-1951285
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価格帯:F
J.S.バッハ:
 平均律クラヴィーア曲集第1巻(抜粋)
ダヴィット・モロニー(Cemb)
 録音:1988年。全曲よりの抜粋盤。
HMX-2901289/90
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(2CD) 限定盤
マルカントワーヌ・シャルパンティエ:宗教的悲劇「ダヴィデとヨナタン」H 490
 ジェラール・レーヌ(CT;ダヴィデ) モニク・ザネッティ(S;ヨナタン)
 ドミニク・ヴィス(CT;女予言者) ジャン=ポール・フシェクール(T;ヨアベル)
 ジャン=フランソワ・ガルデイユ(B;サウル) ベルナール・ドゥルトレ(B;サミュエルの影/アシス)他
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1988年6月、パリ。旧品番:HMC-901289/90, HMA-1901289/90
 当時殆ど知られていなかったシャルパンティエの劇音楽を一躍世に知らしめた、巨匠クリスティ&レザール・フロリサンによる名盤の一つ、シャルパンティエの宗教的悲劇「ダヴィデとヨナタン」が再発売。モリエールやコルネイユといったパリの人気劇作家達の音楽を担当し、数々の劇音楽作品を残しているにも関わらず、専ら宗教音楽作品の演奏・録音が多いシャルパンティエによる劇音楽作品の名録音といえば、21世紀になっても尚クリスティによる録音の数々が挙げられよう。フランス・バロックならではの柔らかい響きと舞曲のリズムが心地よく、シャルパンティエの魅力に改めて気付かされる。レザール・フロリサンの洗練されたアンサンブルはもちろんのこと、珠玉の歌手たちによるアリアも聴き所。現在はイル・セミナリオ・ムジカーレの指揮者として活躍するジェラール・レーヌの歌声は素晴らしく、モニク・ザネッティの棘のない伸びやかなソプラノ・アリアも絶品。仏、英、独歌詞付。
ヘレヴェッヘ〜フォーレ「レクイエム」
 フォーレ:レクイエム(1893年|室内楽稿)/
      小ミサ曲(ヴィエルヴィユの漁師のミサ)(1882年|オリジナル管弦楽版)
 アニェス・メロン(S) ベーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル、
 アンサンブル・ミュジーク・オブリーク
 録音:1988年9月|旧品番:HMC-901292 [CD], HMC-801292 [HYBRID_SACD], HMG-501292 〔すべて廃盤、入手不能〕。『将来、レクイエムを演奏するすべての人が参照する必要がある、重要な録音である』(英グラモフォン誌|初出時の評) 発売当時、従来のオーケストラ稿とは異なる1893年の室内楽稿によっている点でも話題になった1枚。もともとレクイエムは、1901年にオーケストラ版が出版される以前に、1888年にマドレーヌ寺院で執り行われたある葬儀で演奏、その時の編成が室内楽稿だった。残された手稿譜とフォーレ自身の書き込みを基に、マドレーヌ寺院で演奏された響きを忠実に再現したというこの録音は、清澄無垢さが際立っており、純化された世界が広がる。
HMA-1951293
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価格帯:F
ベルリオーズ:合唱作品集
 亡霊の踊り/
 「トリスティア」〜オフェリアの死/
 「ロメオとジュリエット」〜マブ(*)/
 「レリオ」より
  [亡霊の合唱/山賊たちの歌(#)/
    ミランダ(第6曲前半)]/
 水浴びするサラ(+)/
 「アイルランドの歌」より
  [酒の歌(*)/神聖な歌(*)/エレーヌ]/
 「キリストの幼時」〜羊飼いたちの別れ/
 朝の祈り/来たれ創造主よ(**)/戦いの歌(*)/わな/
 「ベアトリスとベネディクト」〜シラクサの酒(##)
ノエル・リー(P)
ブルース・ブルワー(T;*)
ジャン=フィリップ・
 クルティス(Br;#)
ギャエル・ル・ロワ(S;+)
フランソワーズ・ビスカラ(Ms;+)
ロイック・マリ(ハルモニウム;**)
ジャン=リュック・リメ・
 メーユ(Perc;##)
ジャック・ルナール(G;##)
ジェラール・レーヌ(G;##)
ピエール・デュト(Tp;##)
ミシェル・アフネル(Tp;##)
アンドレ・ジャン(Tp;##)
ベルナール・テテュ指揮
リヨン国立管室内cho.
 録音:1988年9月、サン・モリエール、リヨン。
 これはお勧め。ベルリオーズの歌作品は、近年やっと録音が増えてきたが、その多くはオーケストラ伴奏による物。ここでは基本的にピアノ(一部器楽)伴奏で、ベルリオーズの精緻な世界が味わえる稀少な録音。特に冒頭の2曲と「水浴びするサラ」は佳曲&佳演で、後者は女声二重唱による非常に美しい響きが聞く者を魅了する。一方、酒宴での一場面を表した「シラクサの酒」のように、非常に楽しく聴ける曲も収められており、ベルリオーズがお好きな方なら一度は聞いて置きたいアルバムと言える。リヨン国立管弦楽団室内合唱団は1979年にセルジュ・ボドとベルナール・テテュによってリヨン国立管弦楽団と共に設立された。テチュはフランス物からドイツ物まで、幅広くその手腕を発揮する合唱のスペシャリスト。なお、(##)で有名なカウンター・テナーと同姓同名のギタリストが参加するが、別人(綴りが違う)。
 なお、当盤は3度目の発売だが、過去2回は比較的早く廃盤になっているので、是非お早めに。
HMA-1951294
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価格帯:F
ヨハン・ショーベルト(1740頃-1767):
 四重奏曲、三重奏曲、ソナタ集

 ピアノ、2つのヴァイオリンと
  チェロのための四重奏曲 ヘ短調 Op.7 No.2/
 ピアノ、ヴァイオリンと
  チェロのための三重奏曲 変ロ長調 Op.16 No.1/
 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ ニ短調 Op.14 No.4/
 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調 Op.14 No.5/
 ピアノ、ヴァイオリンと
  チェロのための三重奏曲 ヘ長調 Op.16 No.4/
 ピアノ、2つのヴァイオリン、
  チェロのための四重奏曲 変ホ長調 Op.14 No.1
ルチアーノ・スグリッツィ(Fp)
キアラ・バンキーニ(Vn)
ヴェロニク・メジャン(Vn)
フィリップ・ボスバッハ(Vc)
 録音:1988年10月。
 モーツァルトが多大な影響を受けた作曲家の一人として、ショーベルトは必ず登場する名前である。ドイツに生まれ、1760年にパリに移住、パリの人気音楽家となりた。ショーベルト旋風真っ只中の頃パリを訪問したモーツァルト少年が、ショーベルトから多大な影響を受け、ショーベルトの作品を自作に取り込んだことは良く知られている。誤って毒キノコを食べて早世してしまったのが大変に残念なことである。彼の作品の多くは、鍵盤楽器を主体に、ヴァイオリンなど他の楽器を伴なったもの。ここではスグリッツィが1820年頃のフォルテピアノを使用、さらに名手バンキーニらのサポートで、万全の演奏を展開している。
HMA-1951295
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価格帯:F
ミラノ教会の聖歌集 マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 旧品番:HMC-901295, HMT-7901295。ヨーロッパ聖歌の源流を追求するペレスの代表作の1枚。
HMA-1951296
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価格帯:F
ピエール・ド・ラ・リュー(1460年頃-1518):
 ミサ「武装した人(ロム・アルメ)」/レクィエム
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
 録音:1988年11月。
 宗教曲らしい敬虔な空気と共に、高度な作曲技法による目の覚めるような効果と、豊かな感情表現とが盛り込まれた傑作2曲。精密かつ自由な高水準の演奏である。
ルイジ・ロッシ(1660-1744):
 聖週間のためのオラトリオ(*) /オラトリオ「悔やむ罪人」(#)
 ジル・フェルドマン(S;*/#) アニェス・メロン、マリー=クロード・ヴァラン(S;*)
 モニク・ザネッティ(S;#) ドミニク・ヴィス(CT;*/#)
 ヴァンサン・ダーラ(CT;*) ジェラール・レーヌ(CT;#)
 イアン・ハニーマン(T;*) ジャン=ポール・フシェクール(T;#)
 ミシェル・ラプレニー(T;*/Br;#) ジャン=フランソワ・ガルデイユ(Br;#)
 フィリップ・カントール、フランソワ・フォシェ、アントワーヌ・シコ(B;*)
 フランソワ・フォシェ(B;#)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
  [ダニエル・キュイエ、ヴェロニク・メイヤン、ベルナドット・シャルボニエ、リシャール・ヴァルズ、
   ロベール・クリサフッリ、テレーズ・キプフェル(Vn;*) ジョナサン・ケーブル(Vn;#)
   エリザベート・マティファ(Vc;*/バス・ヴィオール;#) アンドルー・ローレンス=キング(Hp;#)
   ジェイ・バーンフェルド(ヴィオローネ;*) エリン・ヘッドリー(リラ;*/#)
   コンラート・ユングヘーネル(テオルボ;*/#) イヴォン・ルペラン(Cemb;*/Org;*/#)]
 録音:1984年2月(*) /1986年7月(#)。旧品番:HMC-901297, HMA-1901297〔すべて廃盤、入手不能〕。約20年ぶりの再発売。 17世紀前半、全盛を誇ったバルベリーニ家の庇護の下、様々な芸術が豪華を競っていたローマ。ローマ楽派の巨匠ルイジ・ロッシのバルベリーニ家時代の作曲と伝えられているオラトリオは、バロック芸術の本質である明暗、歓喜と悲観、といった劇的な対照によって、オペラにも優る表現力を持つ。豊かな表情と旋律美を、クリスティの洗練された抒情で聴かせる。
クリスティ&レザール・フロリサン再発〜
  マルカントワーヌ・シャルパンティエ
テ・デウム
 ジャック・ダニカン・フィリドール〔若いフィリドール〕(1657-1708):ティンパニによる行進曲
 マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
  テ・デウム H.146 /ミサ「聖母マリアの被昇天」 H.11 /聖母マリアへの連祷 H.83

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1988年10月4日-7日|既出CD, SACD 〔特記以外CD〕: HMC-901298, HMC-801298 (HYBRID_SACD), HMG-501298 〔すべて廃盤、入手不能〕。1699年、シャルパンティエが王宮礼拝堂に仕えていた頃に書かれた「テ・デウム」は彼の最高傑作のひとつとされている。輝かしい有名なプレリュードにつづき、独唱者や合唱が活躍する楽曲がならぶこの名作を、クリスティは純粋に音楽する喜びに満ちた、生き生きとした表情で響かせている。30年以上前の録音ながら、シャルパンティエの魅力をこれ以上なくはつらつと引き出した名演。
HMA-1951299
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価格帯:F
ラッスス:エレミアの哀歌 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
アンサンブル・ヴォカーレ・
 ユーロピアン・ド・ラ・
  シャペル・ロワイヤル
 録音:1989年3月。旧品番:HMC-901299(廃盤)。
 「エレミアの哀歌」のテクストは、ローマ教会で聖週間の典礼のための歌詞として用いられた。当作品は後期ルネサンスの歴史に燦然と輝く名作で、言葉がもつ鮮烈なレトリックを見事に音で表現している。ヘレヴェッヘによる名盤の一つとしても知られている。
HMG-501301/02
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(2CD)
価格帯:F
ラフマニノフ:2台ピアノ(*/**) と4手(#/##) のための作品集
 ロシアの主題による狂詩曲(*) /2台のピアノのための組曲第2番 Op.17 (*) /イタリア風ポルカ(#) /
 ロマンス ト長調(#) /6つの小品 Op.11 (#) /2台ピアノのための組曲第1番 Op.5「幻想的絵画」(**) /
 6手のための2つの小品(++)〔ワルツ/ロマンス〕/交響的舞曲 Op.45a (**)

 ブリジット・エンゲラー、オレグ・マイセンベルク(P)
 エレーナ・バシュキーロワ(P;++)
 録音:1988年(*/#)、1989年(*/#/**/##/++) |旧品番:HMC-901301/02, HMX-2901301/02 エンゲラー(1952-2012)、マイセンベルク(1945-)、さらに6手の作品ではバシュキーロワ(1958-)が参加、という豪華顔ぶれによるラフマニノフのピアノ・デュオ作品集。完璧な技巧、そしてラフマニノフの音楽がもつロシア的要素と西洋的要素が見事に汲みとられた演奏で、世界中で絶賛されたアルバム。
HMA-1951303
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価格帯:F
ドゥラランド:
 王の晩餐のためのサンフォニー(抜粋)

 [トランペットのコンセール/組曲第12番/
  組曲第7番(抜粋)/組曲第5番]
ユーゴー・レーヌ指揮
ラ・サンフォニー・
 ド・マレ
 旧品番:HMC-901303。ドゥラランドは、仏バロック期ヴェルサイユ楽派の第一人者。この曲はルイ14世の連夜の晩餐コースの手順に沿って、王の意向も取り入れながら演奏された「食卓音楽」であり、彼の没後も50年余り宮廷の食卓を飾った。全部で約303曲、18の組曲があるが、このCDはそのエッセンスを集めたもの。
 マレ・サンフォニーはレーヌが新進のバロック奏者を束ねて、1987年に結成した合奏団。レーヌは、リコーダー奏者としても活躍、多数のコンクールでの優勝経験がその実力を物語る。
HMA-1951304
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価格帯:F
モーツァルト:
 クラリネット協奏曲(*)/交響曲第21番/交響曲第27番
ミシェル・ポルタル(Cl;*)
フィリップ・アントルモン指揮
ウィーンco.
 録音:1989年5月。名手ポルタルの腕が冴える。
HMA-1951305
廃盤
W.F.バッハ:チェンバロ作品集
 ソナタ イ短調 FKnv.8/ソナタ ト長調 F.7/
 幻想曲 ハ短調 FKnv.2/前奏曲 FKnv.29/
 行進曲 FKnv.30/組曲 ト短調 FKnv.24/
 8つのフーガ FK.311
 [ハ長調/ハ短調/ニ長調/ニ短調/
   変ホ長調/ホ短調/変ロ長調/ヘ短調]
クリストフ・ルセ(Cemb)
HMA-1951307
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価格帯:F
コレッリ:
 ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタOp.5、第1巻
キアラ・バンキーニ(Vn)
イェスペル・
 クリステンセン(Cemb)
ルチアーノ・コンティーニ
(アーチリュート)
カティ・ゴール(Vc)
 録音:1989年6月。バンキーニが自ら持つ技術を全力投入したコレッリ。サポートの3人も熱演。
クリスティ〜パーセル(1659-1695):歌劇「妖精の女王」
 ナンシー・アージェンタ、サンドリーヌ・ピオー、リン・ドーソン、ヴェロニク・ジャンス(S)
 チャールズ・ダニエルズ、ジャン=ポール・フシェクール(CT) ベルナール・ルーヌ(T)
 ベルナール・デルトレ、ジェローム・コレア、リチャード・テイラー(B)他
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1989年7月|旧品番:HMC-901308/09, HMG-501308/09 〔ともに廃盤〕, HAF-8904106/08 。パーセルの豊かな楽才が本領を見せる珠玉の舞台作品の中でも、最も精緻な傑作。クリスティが、めくるめく鮮やかなコントラストと機智で描く。コンサートマスターは寺神戸亮、通奏低音のチェンバロおよびオルガンにはクリストフ・ルセも参加、という充実の布陣。
HMA-1951310
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価格帯:F
ハインリヒ・シュッツ
 クリスマス物語(キリスト生誕の喜ばしき物語)SWV 435 /
 小教会コンチェルト集第2集 Op.9から
 〔めでたしマリア SWV 333 /天は滴を落とし SWV 322 /ヨセフ・汝ダビデの子よ SWV 323 /
  今日こそキリストの生まれた日 SWV 315 /今日こそ主なるキリストの生まれた日 SWV 439 〕
 マリア・クリスティーナ・キール(S) ゲルト・テュルク(T)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1989年9月。ゼーヴェン、スイス。旧品番:HMC-901310HMX-2971310HMX-2921310〔すべて廃盤〕。 小教会コンチェルト集はシュッツの作品の中でも特に有名。17世紀のドイツのルター派の色合いと、イタリア・オペラのレチタティーヴォの要素が混じりあった、えもいわれぬ魅力に満ちている。
HMX-2901312
(2CD)
廃盤
ヘンデル:歌劇「フラーヴィオ」 ジェフリー・ガル:フラーヴィオ
デレク・リー・レイギン:グリード
レナ・ローテンス:エミーリア
ベルナルダ・フィンク
 :テオタータ 他
ルネ・ヤーコプス指揮
アンサンブル415
 録音:1989年1月。国内盤でレコード芸術特選の名盤。
HMG-501315
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価格帯:F
ビザンツ聖歌集〜受難と復活
 アレルヤ/見よ、夜中の花婿が/
 主よ、あなたの花嫁の寝室を/
 主よ、多くの罪を犯した女が/
 畏怖すべきあなたの晩餐の交わり/主は私のところに/
 今日、海に大地を支えるキリストは/
 生命であるキリストよ/恩寵溢れる女よ/
 キリストは蘇られた/
 キリストにおいて洗礼を受けたものは/
 天使はマリアに呼びかける
マリー・キーロウズ修道女
サン・ジュリアン・
 ル・パーブル教会聖歌隊
 録音:1989年6月。旧品番:HMC-901315(廃盤)。
 キリストは金曜日に十字架にかけられた。次の日を聖土曜日といい、ビザンチンの儀式では、この日の朝の礼拝では、キリストの復活を信じ、信仰と希望をもって瞑想する。そして翌日の日曜日にキリストが復活したことを祝い、ビザンツの儀式で奏でられる音楽も極めて華やかなものになる。ここで歌うのはマリー・キーロウズ修道女。独特の強い表現をもつ歌声で、強い信念や心の底からの喜びがダイレクトに伝わって来る。
カントゥス・プラヌス〜
  18世紀オセール大聖堂の単旋律聖歌集

 〔預言者、福音書家ヨハネをたたえて/
  大地の恵みの収穫を感謝して〕
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1989年9月|旧品番: HMC-901319, HMA-1901319, HMA-1951319 〔すべて廃盤〕。 ブルゴーニュの都市オセールの町にそびえる大聖堂は、ロマネスク様式の華麗さや装飾を一切排除した、荘厳なゴシック建築。ここに残されている聖歌は、ローマ教会のものとはまったく異なり、ガリア(フランス)の教会の伝統や性格を明確に打ち出すことを目指す動き「ガリシズム」の完璧な例となっている。
HMA-1951320
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価格帯:F
ジェズアルド、ゴルリ:宗教音楽集
 カルロ・ジェズアルド(1561頃-1613):
  聖土曜日のためのレスポンソリウム/
  モテット「いと優しきマリアを賛えよ」/同「日々罪を犯す私を」/
  同「あなたの慈しみを」/同「苦しみと嘆きを」
 ゴルリ:レクイエム
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
 録音:1989年10月。
 ジェズアルドは、しばしば「ドン」が付けられるように、ナポリ王国の名門の出身。1593年にエステ家のアルフォンソ公の従妹エレオノーレと結婚、フェラーラに移り、ここでの多くの優れた文化人と出会うことで彼の才能が花開いた。職業作曲家でなかったジェズアルドは、依頼主の好みに左右されることがなかったため、独自な音楽を確立することができた。当時としてはかなり斬新な不協和音や半音階の用法は、しばしば「マニエリスティック」とすら評される。強い表現へのこだわりが、ジェズアルドの作品に独特の苦悩と悲しみの緊張を生み出していることは間違いない。「聖土曜日のためのレスポンソリウム」は晩年の作品で、過激さが後退し、大胆な手法もひたすら静かな悲しみを掘り下げるために使われている。胸が苦しくなるほどの美しく悲しい、稀代の天才ジェズアルドの一大成果がここに示されている。ヘレヴェッヘとシャペル・ロワイヤルの演奏はこの作品の名演としてつとに有名なもの。緊張感と柔らかさという両立しがたい要素を完璧に融合している。
ブルックナー:
 モテット集
 [エクアール第1番/アヴェ・マリア/他(全7曲)]
 ミサ曲第1番 ホ短調
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル、
コレギウム・ヴォカーレ、
アンサンブル・
 ミュジック・オブリク
HMG-501323/24
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(2CD)
価格帯:F
カルミナ・ブラーナ〜13世紀の受難曲〔カルミナ・ブラーナの大受難劇〕
 マルセル・ペレス(語り手)指揮アンサンブル・オルガヌム
 [フランソワ・フォーシェ(イエス) ジュゼプ・ベネト(カヤファ) ジュゼプ・カブレ(祭司長/ロギヌス)
  アストリ・モガール(マリア) アスカル・ムレー(マルタ) ブリュノ・ボトルフ(ユダ) キリユ・
   グルスタンアベル(マグダラのマリア) ドミニク・ヴィス(御使い) フィリップ・カントール(ピラト)他]
 録音:1989年11月。 旧品番:HMC-901323/24 [HMC-1901323 ], HMA-1901323/24 [HMA-1901323 ]〔共に廃盤〕。ミュンヘン近郊オットー・ボイレン修道院に伝えられた「カルミナ・ブラーナ」〔ラテン語で「ボイレン修道院の詩歌集」の意〕写本巻末に付された「大受難劇」と「聖母哀歌」に基づき、ネウマ譜を独自に解読、グレゴリオ聖歌とペレス自身の作曲も加えた画期的解釈による受難劇。ドミニク・ヴィスが御使い役を演じているのも魅力。
J.S.バッハ
 マニフィカト ニ長調 BWV.243 /カンタータ「われらが神は堅き砦」 BWV.80
  バルバラ・シュリック、アニェス・メロン(S) ジェラール・レーヌ(CT)
  ハワード・クルック(T) ペーター・コーイ(B)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1990年1月|初出・前出:HMC-901326
HMA-1951327
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価格帯:F
パーセル:室内楽作品集
 グラウンド上の3声のファンタジア ニ長調Z.731 /
 4声のソナタ第6番 ト短調Z.807 /
 3つのヴァイオリンのための
  4声のパヴァン ト短調Z.752 /
 4声のチャコニー ト短調Z.730 /
 4声のパヴァン 変ロ長調Z.750 /
 3声のパヴァン
  [ト短調Z.751 /イ短調Z.749 /イ長調Z.748 ]/
 3声のソナタ第7番 ホ短調Z.796 /
 3声のソナタ第12番 ニ長調Z.801 /
 4声の序曲[ニ短調Z.771 /ト長調Z.336 ]/
 5声の序曲 ト短調Z.772 /
 4声の組曲 ト長調Z.770
チャールズ・メドラム指揮
ロンドン・バロック
 録音:1989年11月。旧品番:HMC-901327(当店未案内、廃盤)。
 夭折の天才パーセルが残した器楽作品は、かすかな陰りを帯びた憂愁美に満ちており、魅力的。パーセルの演奏に特に定評があるロンドン・バロックによるこのディスクは、パーセルの器楽曲再評価のはずみとなった1枚。フランス風序曲、シャコンヌ、グラウンド、トリオ・ソナタのスタイルなど、当時の器楽音楽の様々なスタイルが用いられている。
J.S.バッハ:カンタータ集
  〔わが心に憂い多かりき BWV.21 /されど同じ安息日の夕べに BWV.42 〕

 バルバラ・シュリック(S) ジュラール・レーヌ(CT) ハワード・クルック(T)
 ピーター・ハーヴィー、ペーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッへ指揮ラ・シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1990年1月|旧品番:HMC-901328 [(P) 1990], HMA-1951328 [(P) 1990, 2002] 〔ともに廃盤、入手不能〕。青年時代におけるカンタータ創作の総決算というべき壮大な記念碑、と称される第21番を含む。
ルイ=ニコラ・クレランボー(1676-1749):カンタータ集
 〔ピラムとティスベ(1713) /オペラのミューズ、または抒情的な文字(1716) /
  ヘラクレスの死(1716) /オルフェ(1728) 〕

 ノエミ・リム(S) ジャン=ポール・フシェクール(T) ニコラ・リヴェンク(B)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
  [ヒロ・クロサキ、寺神戸 亮(ヴィオローネ)
   マルク・アンタイ(Fl−tr) エリック・ベロック(テオルボ)他]
 録音:1990年2月、106スタジオ、ラジオ・フランス。旧品番:HMC-901329HMA-1901239〔共に当店未案内、廃盤〕。約20年ぶりの再発。
HML-5901330
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(3CD)
2CD価格
モンテヴェルディ:歌劇「ポッペアの戴冠」
 ダニエル・ボルスト(S;ポッペア) ギユメット・ロランス(Ms;ネローネ)
 ジェニファー・ラーモア(Ms;オッターヴィア) ミヒャエル・ショッパー(B;セネカ)
 ドミニク・ヴィス(CT;乳母) アクセル・ケーラー(CT;オットーネ)
 ギ・ド・メイ(T;ルカーノ) クリストフ・ホンベルガー(T;アルナルタ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1990年2月。旧品番:HMC-901330(廃盤)。各国のディスク賞を総なめにした名盤。
 モンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」は、ヴェネツェアのサン・マルコ大聖堂図書館所蔵の筆写総譜、ナポリのサン・ピエトロ・ア・マイエッラ音楽院図書館所蔵の筆写総譜の2稿が存在しており、ヤーコプスはこれら双方を具に研究してから録音に臨み、いくつかの部分でナポリ稿を大きく取り入れているのも特徴。シンフォニアの出だし、一転してきびきびとリズミカルな後半との鮮やかな対比は見事。的確なテンポ設定、繊細かつ創意に富んだ楽器の音色の選択と使い分けはさすが。どんな場合にも歌詞が決して曇らされることはなく、言葉のリズム、語りのスピードが活き、鮮やかな色彩とイメージに満ちた見事な演奏。いつもながらドミニク・ヴィスの芝居の巧さには圧倒される。最終的に愛は勝つ、と歌い上げる最終の合唱の場面では歌唱陣も器楽陣も高らかに喜びに満ち満ちた音色で圧巻。
 皇帝ネローネは、ローマの騎士長オットーネの妻ポッペアと不倫している。皇帝ネローネの妃オッターヴィアは、その事実を嘆いて、オットーネにポッペアの暗殺を命じるが失敗におわり、最終的にネローネとポッペアは結ばれ、王宮では愛の神が祝福する中、ポッペアの戴冠式が行われるという内容。
HMA-1951333
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価格帯:F
ブクステフーデ:
 カンタータ「われらのイエスの四肢」 BuxWV.75
 カンタータ「これこそ神の御子の勝利の日」BuxWV.43
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
HMA-1951334
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価格帯:F
ボッケリーニ:
 3つの弦楽五重奏曲/弦楽四重奏曲「ティラーナ」
アンサンブル415
 録音:1990年3月。キアラ・バンキーニ率いるアンサンブル415によるボッケリーニ。
HMY-2921337/40
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(4CD)
2CD価格
ユーゴー・レイヌ〜ドラランド(1657-1726):王の晩餐のためのサンフォニー(全曲)
 トランペット協奏曲/第1組曲/第2組曲/第3組曲/グラン・ピエス、パッサカイユ/第4組曲/第5組曲/
 第6組曲(フロールまたはトリアノンのバレのエア)/第7組曲/第8組曲/第9組曲(メリセルトのバレのエア)/
 第10組曲(妖精のバレのエア)/第11組曲(平和のバレのエア)/第12組曲(第3のカプリスを構成するエア)

   ユーゴー・レイヌ指揮ラ・サンフォニー・デュ・マレ
 録音:1990年5月、7月、パレ・デ・コングレ、エクス=レ=バン。 旧品番: HMC-901337/40 〔当店未案内/廃盤〕。 リコーダーの鬼才ユーゴー・レイヌのデビュー盤でもある、貴重な「王の晩餐のためのサンフォニー」全曲録音が復活。 ドラランドは、1714年から太陽王の宮廷に仕えており、この「王のためのサンフォニー」は王が食事をする際に演奏するための音楽。完全なスコアは出版されておらず、この録音が初の全曲録音盤だった。パリ国立図書館所蔵等の様々な自筆譜をあたり、苦労しながら調査・研究を進めた結果がこの録音。第1はルイ14世のために書かれたもの(12の組曲、計185曲)、そして第2はルイ15世のために書かれた物(18の組曲、計300曲)。第2の中には第1の楽曲も含まれてはいるが、曲順が変わっているなど必ずしも完全一致ではない。基本的にこの録音ではルイ14世のために作曲された第1版に基づいている。ルイ14世のために書かれたものも、当初は10の組曲(1703年の資料)だったが、1713年にドラランドはもう2つの組曲を付け加えている。ルイ14世はこの12の組曲から、その時の気分に合わせて好きな曲をリクエストしながら食事を楽しんだと言われ、このサンフォニーもその後50年ほどは宮廷内外で、食事の時以外の機会にも愛奏されていたという。
HMG-501341
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜ジャン・ジル(1668-1705):レクイエム/モテット「主よ、われ汝を愛せん」
 アニェス・メロン、ヴェロニク・ジャンス(S)、ハワード・クルック、
 エルヴェ・ラミ、トム・フィリップス(T) ペーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1990年5月。旧品番:HMC-901341 (国内仕様盤:KKCC-12)〔すべて廃盤〕。 ジルは、南仏プロヴァンス出身。パリやヴェルサイユ宮殿とは関係を持たなかったにも関わらず、その作品はパリや王室で演奏された。現存する作品は、モテットが15曲、詩篇曲が7曲、そしてレクイエムと、すべて宗教音楽のみ。ここにはジルの死後、パリで特に人気があった2曲が収められている。レクイエムは、現存する筆写楽譜にはないドラム連打で始まるが、これは南フランスにおける演奏習慣によるもので、出版楽譜(1764)にも加えられている。モテットも、装飾豊かな旋律、活気あふれる合唱、多彩な組み合わせによる重唱など魅力に富む。
HMA-1901342
(2CD)
廃盤
コレッリ:室内ソナタ集Ops.2 & 4 ロンドン・バロック
HMA-1901344
(2CD)
廃盤
コレッリ:教会ソナタ集 Op.1/Op.3 ロンドン・バロック
HMA-1951346
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価格帯:F
ベートーヴェン:
 ピアノ・ソナタ第31番/エリーゼのために/
 アテネの廃墟による6つの変奏曲Op.76/
 ロンドOp.51(全2曲)/アンダンテ・ファヴォリ
ブリジット・エンゲラー(P)
 録音:1990年6月。日本でも知名度の高いエンゲラー(アンジェレ)によるベートーヴェン。
HMA-1951347
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価格帯:F
中世典礼劇「エマオへの巡礼の物語」(12世紀) マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1990年6月19日-22日。旧品番:HMC-901347, HMX-2901347〔以上廃盤〕。典型的な中世典礼劇のひとつ、といっても物語は聖歌のような単旋律によって進み、語りや台詞部分などは無い。この「エマオ〔エンマウス〕への巡礼の物語」は、 十字架で息絶えたイエスが、エルサレム近郊の町エマオで2人の弟子の前に現れ復活を示したという内容で、復活祭の晩祷の最後、マニフィカトの音楽の後に上演された。この録音に晩祷やマニフィカト部分は含まれていないが、より実際に近い物を、ということで、晩祷で歌われた聖歌の一つが初めに収録されている。
HMA-1951348
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価格帯:F
メシアン:世の終わりのための四重奏曲 アンサンブル・
 ワルター・ブイケンス
 [マリエタ・コロセク(Vn)
 ワルター・ブイケンス(Cl)
 ルル・ディールティエンス(Vc)
 ロベール・グロスロ(P)]
 録音:1990年6月。旧品番:HMC-901348, HMT-7901348。
 メシアンが捕虜となって収容所にいた時に作曲された「世の終わりのための四重奏曲」には、数々の名盤がひしめき合っているが、クラリネットの名手ブイケンスを中心にしたベルギー勢によるこの演奏も秀逸。チェロに若きディールティエンスが参加している。
HMA-1951349
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価格帯:F
ブラームス:
 クラリネット五重奏曲ロ短調 Op.115(*)
 弦楽五重奏曲第2番 ト長調 Op.111(+)
メロスSQ
ミシェル・ポルタル(Cl;*)
ジェラール・コセ(Va;+)
HMA-1951350
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価格帯:F
レバノン地方のカトリック聖歌集
 [クリスマス/受難/復活]
マリー・キーロウズ修道女
アンサンブル・ド・ラ・ペ
 録音:1990年。旧品番:HMC-901350
 中近東の古代聖歌と関わりが深いことが感じられる旋法で書かれているマロナイト(マロン)派の聖歌を中心とした、シリア教会の典礼音楽。
ミシェル=リシャール・ドラランド(1657-1726):
 テ・デウム/バビロンの流れのほとりで/主よ、われは汝に心より感謝せん
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1990年9月。旧品番:HMC-901351HMA-1901351HMA-1951351〔すべて廃盤〕。ドラランドは、リュリらに代表されるヴェルサイユの華麗な雰囲気を受け継ぎつつも、室内向きの繊細な表情の魅力的な作品を残した。
HMA-1951353
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価格帯:F
作曲者不詳:トゥルネのミサ マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1990年9月。旧品番:HMC-901353, HMA-1901353。
 現存する最古のポリフォニーの通作ミサ曲。14世紀前半に成立したと考えられており、作曲者は複数に渡ると思われるものの、一続きのミサ曲としてしっかり作られている。作品の完成度は極めて高く、単なる考古学的価値だけに留まらない、感動的な音楽である。
 このマルセル・ペレスとアンサンブル・オルガヌムの演奏は、発売当時から決定的名盤の誉れ高いもの。新たな時代へ向かう豊かな感興をしっかりと打ち出している。
HMA-1951355
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価格帯:F
モンテヴェルディ(1567-1643):ミサ曲集
 4声のミサ曲/ Adoramus a sei voci /6声のミサ曲
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1990年11月/初発売:1991年。旧品番:HMC-901355
HMA-1951356
廃盤
ストラヴィンスキー:兵士の物語 アンサンブル・
 ヴァルター・ブイケンス
HMA-1951364
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価格帯:F
パスキエ&エンゲラー〜
 ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのための作品集

 ヴァイオリン・ソナタ(1897)/
 ヴァイオリン・ソナタ(1923-27)/カディッシュ/
 ツィガーヌ/ハバネラ/フォーレの名による子守歌
レジス・パスキエ(Vn)
ブリジット・エンゲラー(P)
 録音:1990年。旧品番:HMC-901364HMT-7901364(共に当店未案内)。
 パスキエは度々来日もしており、フランス流の軽やかに薫るヴァイオリンで多くの人々を魅了している。また、エンゲラーもラ・フォル・ジュルネ音楽祭などでしばしば来日、その濃密な音楽性で人々を魅了している。このアルバムは、そんな二人によるラヴェル作品集。エンゲラーの熱く煌めくピアノの上で、パスキエが自由に舞う様はまるで一枚の絵画を見ているかのようだ。「ツィガーヌ」の冒頭のソロの部分で、パスキエは余裕たっぷり、異国情緒たっぷりに音色を豊かに響かせる。実に巧みに聴かせる。続いて入るエンゲラーのピアノも、ミステリアスな薫りが濃厚に漂い、絶品。
ヘレヴェッヘ + コーイ〜J.S.バッハ:バスのためのカンタータ集
  〔われは満ちたれり BWV.82 /われは喜びて十字架を負わん BWV.56 /平安、汝にあれ BWV.158 〕

 ペーター・コーイ(B) フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル
 録音:1991年1月|旧品番: HMC-901365, HMA-1951365 〔ともに廃盤、入手不能〕。苦しみと死をテーマにした、バスを中心としたバッハによるカンタータ3曲。ソロを務めるのは、シャペル・ロワイヤルと長年にわたり共演を重ねているだけでなく、バッハのあらゆる声楽作品のに欠かせない実力者、ペーター・コーイ。30年前のコーイの、すでに熟している表現と完璧さにもあらためて驚かされる。これらの作品の決定的名演といえるだろう。
ヴィヴァルディ:
 「ラ・フォリア」によるソナタ/
 2つのヴァイオリンのためのソナタ集
  [RV.68/RV.70/RV.71/RV.77]
キアラ・バンキーニ(Vn)
アンサンブル415
HMG-501366
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価格帯:F
ヴィヴァルディ:
 「ラ・フォリア」によるソナタ/
 2つのヴァイオリンのためのソナタ集
  [RV.68/RV.70/RV.71/RV.77]
キアラ・バンキーニ(Vn)
アンサンブル415
 旧品番:HMC-901366
 「四季」で名高いヴィヴァルディは、自身天才的なヴァイオリンの名手でもあった。ここに収められている、楽器どうしのかけあいが実に壮観な「ラ・フォリア」を始めとする、火花を飛ばすような技巧がちりばめられたヴァイオリン作品の数々は、どれも聴き応え満点。キアラ・バンキーニはジュネーヴ生まれ、パリで活躍するヴァイオリニスト。柔らかな情感を湛えたしっとりとした彼女の音色が見事にとらえられた素晴らしい録音。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HAX-8901367/69
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(3CD)
2CD価格
ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):オペラ=バレエ「優雅なインドの国々」(全曲)
  (プロローグと4つのアントレからなるオペラ=バレエ/台本:ルイ・フズリエ)
 クラロン・マクファーデン、イザベル・プルナール、サンドリーヌ・ピオー、
 ノエミ・リム(S) ハワード・クルック、ジャン=ポール・フシェクール(T)
 ジェローム・コレア(Br) ニコラ・リヴェンク、ベルナール・ドルトレ(B)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1991年1月|初出: HMC-901367/69 1990年のエクサン・プロヴァンス音楽祭での上演が好評を博したのを受けて録音された名盤。幕ごとに1つの逸話があり、バレエを随所に取り入れた歌劇。インドを舞台とした異国趣味と音楽的多彩さで、ラモーの歌劇中最も親しまれている。18世紀ヴェルサイユ文化華やかな頃、37年の間に700回も上演されたという。
HMA-1951370
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価格帯:F
ショパン:チェロ・ソナタ Op.65
R.シュトラウス:チェロ・ソナタ Op.6
ルイス・クラレ(Vc)
アラン・プラネス(P)
 録音:1991年2月。旧品番:HMC-901370。
 ショパンのチェロ・ソナタは彼のピアノ独奏以外の作品の中では最も充実した一曲。1845年から翌年にかけて作曲されたこのソナタは、1832年以来交流のあったチェリスト、オーギュスト・フランショームとの友情の結実である。作曲は難航し、出来上がった曲はチェロの独奏曲ではなく、チェロとピアノがともに高い技巧でぶつかり合う壮絶な二重奏曲となった。情熱的なロマンティシズムの噴出はショパン以外のなにものでもない。
 シュトラウスのチェロ・ソナタは1880年から1883年にかけて、十代後半の作品。明らかなシューマンの影響を残しつつ、そこかしこに後のシュトラウスが顔を出しているのもはっきり見て取れる。ことに第2楽章の憂いを帯びた歌い上げの美しさは格別。青春の初々しさが感じられる佳曲である。
 ルイス・クラレ(クラレット)はピレネー山の小国アンドラ生まれのチェリスト。少年の頃にカザルスのレッスンを受け、このチェロの神様に心酔、自らも大変にヒューマンな味わいを持ったチェリストに成長した。性格も異なるこの2つの収録作品どちらにおいても自信に揺らぎが微塵もない堂々の弾きっぷり。伴奏が名手アラン・プラネスというのも豪華。
HMC-901371
廃盤
ブルッフ:
 クラリネット、ヴィオラとピアノのための8つの小品
ツェムリンスキー:
 ピアノ、クラリネットとチェロのための三重奏曲Op.3
ブイケンス(Cl) グリッセン(Va)
ディールティエンス(Vc)
グロスロット(P)
HMA-1951372
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価格帯:F
フローベルガー:「組曲とトッカータ集」
 組曲第30番 イ短調/組曲第19番 ハ短調/
 組曲第18番 ト短調/組曲第20番 ニ長調/
 トッカータ第9番 ハ長調/トッカータ第14番 ト長調/
 トッカータ第2番 ニ短調/トッカータ第18番 ヘ長調/
 トンボー(1652)/哀歌(1657)
クリストフ・ルセ(Cemb)
 使用楽器:1652年、ヨハネス・クシェ製。
HMA-1901374
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価格帯:F
プルーデルマッハー〜モーツァルト
 ピアノ・ソナタ〔第11番 イ長調 K.331 「トルコ行進曲付」/
           第10番 ハ長調 K.330 /第13番 変ロ長調 K.333 〕/

 アレグロ ト短調 K.312
  ジョルジュ・プルーデルマッハー〔プリュデルマシェール〕(P)
 録音:1991年3月。旧品番:HMC-901373/77 (5CDs | 全集〔分売:HMC-901374〕 ) , HMA-1951374 (1CD | Musique d'Abord) 〔すべて廃盤、入手不能〕。世評が高いながら、何故か当盤以外復活しない全集から。トルコ行進曲が爽快。
HMA-1951379
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価格帯:F
ヘンデル:
 トリオ・ソナタ集 Op.2(全6曲)
ロンドン・バロック
 録音:1991年4月。ロンドン・バロックの名盤。
HMG-501380
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価格帯:F
ヤナーチェク:
 弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」/
 弦楽四重奏曲第2番「内緒の手紙」
メロスSQ
 旧品番:HMC-901380HMA-1951380(以上、共に廃盤)。
 「1音1音の陰には、活き活きと力強い、愛すべき君がいるよ。君の体の香り、君の口付け――いや、君のじゃなかった、僕のだ。僕のすべての音符が君のすべてに口付けしているよ。君を激しく必要としているんだ――。」ヤナーチェクが、40歳年下の人妻に対して募る思いを込めて作曲された「内緒の手紙」。このメロス弦楽四重奏団の演奏は、各パート奏者の濃密な音色と、きめ細かなアンサンブルで、作曲者の妄想の官能世界を表現するのに成功している。聴いているとどうにかなってしまいそうな熱演。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):
 バレエ劇「ピュグマリオン」(全1幕)
  [ハワード・クルック(T;ピュグマリオン) サンドリーヌ・ピオー(S;愛)
   アニェス・メロン(S;セフィーズ)ドナティエンヌ・ミシェル=ダンサック(像)]/
 バレエ劇「ネレとミルティス」(全1幕)
  [アニェス・メロン(S;ミルティス) ジェローム・コレア(Br;ネレ)
   フランソワーズ・スメラ(S;カロリーヌ)
   ドナティエンヌ・ミシェル=ダンザック、カロリーヌ・ペロン(S;アルゴス人)]
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1991年5月。旧品番:HMC-901381, HMT-7901381, HMA-1951381〔すべて廃盤、入手不能〕。フランス・バロックの粋、ギャラントの極! 短いながら本格的なオペラに負けない劇性を持つラモーのバレエ作品を、クリスティによる珠玉の演奏で。
HMA-1951382
廃盤
古いローマの聖歌集(7世紀&13世紀)
 十字架の礼拝(聖金曜日の聖務)
 聖マルセルのミサ
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1991年6月。旧品番:HMC-901382, HMT-7901382。
HMA-1951383
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価格帯:F
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第1番 変ロ長調 Op.45
ルイス・クラレット(Vc)
アラン・プラネス(P)
 HMC-901383の再発売。
 たびたび来日しているスペイン出身の名手ルイス・クラレットの人間味のある演奏。
HMM-931385/87
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(3CD+1CD)
2CD価格
ヘンデル:歌劇「ジュリオ・チェーザレ」
 ジェニファー・ラーモア(チェーザレ) バルバラ・シュリック(クレオパトラ)
 ベルナルダ・フィンク(コルネリア) マリアンヌ・レルホルム(セスト)
 デレク・リー・レイギン(トロメオ) ドミニク・ヴィス(ニレーノ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルン
 録音:1991年7月|初出・前出:HMC-901385/87 (3CDs + Bonus 1CD) 。レコード芸術誌特選の名盤。#ブックレットには伊語歌詞のみ掲載(英訳等無し)。
HMA-1951388
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価格帯:F
パレストリーナ:
 ミサ曲「ガリラヤ人たちよ」/
 モテトゥス「ガリラヤ人たちよ」/
 第1旋法のマニフィカト&交唱
  「おまえたちを見捨てたままではおかない」
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
ヨーロッパ声楽アンサンブル
(ラ・シャペル・ロワイヤル)
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
HMA-1951390
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価格帯:F
シェーンベルク:
 「月につかれたピエロ」
 室内交響曲第1番(ウェーベルン編曲)
マリアンヌ・プスール(語り)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
アンサンブル・
 ミュジーク・オブリク
HMA-1951391
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価格帯:F
ラッスス:シャンソンとモレスカ集 ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
HMO-8901392
廃盤
シトー修道会の聖歌〜 12世紀のモノディー
 マルセル・ペレス指揮アンサンブル・オルガヌム
 録音:1991年9月、フォンフロワド修道院、フランス|旧品番: HMC-901392, HMX-2901392 〔ともに廃盤〕。
HMG-501393
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜モーツァルト
 マイスタームジーク(フリーメイソンのための葬送音楽)K.477 /
 ミサ曲 ハ短調 K.427 (ベーレンライター版/シャペル・ロワイヤル校訂版)
  ジェニファー・ラーモア、クリスティアーネ・エルツェ(S)
  スコット・ワイア(T) ペーター・コーイ(B)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ、
  ラ・シャペル・ロワイヤル、シャンゼリゼo.
 録音:1991年9月。旧品番:HMC-901393, HMC-801393 (HYBRID_SACD), HMX-2961393 〔全て廃盤〕。 マイスタームジークは、モーツァルトが所属していたフリーメイソンのメンバーのいわば「親方昇進の音楽」とされる。この作品からコーラス曲を外すと「フリーメイソンのための葬送音楽」になるが、このコーラス曲はフィリップ・A.オートクシェなる人物が復元したといういわくつきのもので、発売当時話題となった。ミサ曲 ハ短調はヘレヴェッヘならではの美音が存分に堪能できる演奏。ソリスト陣も豪華で、30年近く前の録音ながら名盤の誉れ高い1枚。
HMY-2921396/98
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(3CD)
2CD価格
クリスティ〜〜カンプラ:歌劇「イドメネ〔イドメネオ〕」(1731/改訂版)
 ベルナール・ドルトレ(B;イドメネ) サンドリーヌ・ピオー(S;エレクトル)
 モニク・ザネッティ(S;イリオーネ) ジャン=ポール・フシェクール(T;イダマント)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1991年10月。 初出・前出・旧品番: HMC-901396/98 [HMC-901396] 〔廃盤〕。#歌詞テキストは付いておりません。 カンプラ「イドメネ」の台本はアンドワーヌ・ダンシェによる物で、後のモーツァルト「イドメネオ」と同一。このカンプラの改訂版は初演時から大成功をおさめた。約260年後にクリスティによるこの録音が発表された時も、聴衆、批評家たちから熱狂的な賞賛を受けた。ピオーら充実キャストによる名演の貴重な復活。
HMX-2901401
廃盤
ハンス・レオ・ハスラー(1562-1612):
 ミサ「マリアは言われた」
 モテット集
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
アンサンブル・ヴォカール・
 ユーロペーン
 ハスラーはドイツ人ながらアンドレア・ガブリエーリに学び、サン・マルコのヴェネツィア派の音楽をドイツにもたらした、ハインリヒ・シュッツの先輩格的な作曲家。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
HMA-1951402
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価格帯:F
ボッケリーニ:
 2つのヴィオラのための五重奏曲集

 [ハ長調 Op.60-1 G.391/
  ハ長調 Op.62-1 G.397/
  ト長調 Op.60-5 G.395]
アンサンブル415
[キアラ・バンキーニ、
 エンリコ・ガッティ(Vn)
 エミリオ・モレンツォ(Va)
 ヴィム・テン・ハーヴェ(Va)
 ケーティ・ゲール(Vc)]
 録音:1993年。旧品番:HMC-901402HMA-1901402(共に廃盤)。
 ここに収録された五重奏曲は、1801年頃の作品で、ボッケリーニがもっともあぶらの乗った時期の作品であり、同時に、持病と家庭内のいざこざで疲弊し、さらにパトロンを失って最も困窮をきわめたという、彼にとって非常に困難な時期のものでもある。いくばくかの感傷があるかもしれないが、新鮮で澄み切ったスペイン趣味はまったく損なわれていない。作品60と62は、まさに古典派の純粋な結晶のような存在として音楽史上燦然と輝いている。アンサンブル415のメンバーによる、新鮮でうるおいをたたえた音色も魅力。
アリエノール・ド・ブルターニュのグラドゥアーレ〜
 13-14世紀の単聖歌とポリフォニー
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1991年11月、フォントヴロー修道院、フランス|旧品番: HMC-901403, HMD-941403 〔ともに廃盤〕。 イングランドで生まれ、フランスのフォンテンブロー修道院長を務めたアリエノール・ド・ブルターニュ(1275-1342) 〔英語名:エリナー・オヴ・ブリタニー。ブルターニュ公ジャン2世(1239-1305)と后ベアトリス・ダングルテール(1242-1275)の娘〕が残した彩色手稿譜「 Graduel d'Aliénor de Bretagne 」(アリエノールの紋章が記されているが、実際には彼女の両親のため1250年-1260年頃にパリで制作され、1290年、修道院で過ごすことになった娘のもとに届けられたと考えられている)に含まれる楽曲をペレスが復元演奏したアルバム。
HMG-501406/07
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(2CD)
価格帯:F
コレッリ:合奏協奏曲Op.6(1687年ローマ編成版) キアラ・バンキーニ、
イェスパー・クリステンセン指揮
アンサンブル415
 旧品番:HMC-901406, HMC-901407HMX-2971407)(以上分売)HMX-2901406 [HMX-2901406/07](以上、すべて廃盤)。
 メンバーの情熱と長年の研究により、コレッリが生きていた当時の編成(ヴァイオリン16人、ヴィオラ5人、チェロ6人、コントラバス6人、リュート5人、チェンバロ2人、ソリスト6人=総勢39人)とテンポを割り出して演奏した、古楽ファンの間では有名な録音。『古楽CD100ガイド』でこの曲の選者になれなかった某氏が、後書きで「私だったらこれを選んだ」と書いていた。エンリコ・ガッティ、エミリオ・モレーノも参加している。
HMA-1951408
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価格帯:F
シューベルト:
 弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」/第14番ニ短調「死と女」
メロスSQ
HMA-1951409
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価格帯:F
シューベルト:
 弦楽四重奏曲第15番 ト長調D.887/
 弦楽四重奏曲第12番 ハ短調「四重奏断章」D.703
メロスSQ
HMX-2901411
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(2CD)
1CD価格
F.A.デ・アルメイダ:
 「ジュディッタ(ユーディト)」(1726)
レナ・ルーテンス(S)
マーティン・ヒル(T)
F.コジュー(S)
アクセル・ケーラー(CT)
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ケルン
 "1+1" シリーズ。ポルトガル・バロック音楽の再発見として話題を呼んだ録音。
ミシェル=リシャール・ドラランド(1657-1726):プティ・モテ集
 〔独唱者(と合唱)のためのミゼレーレ(1867) /衛兵の寝ずの番はむなしい/同情と共感/第4の歌〕

ルイ・ルメール(1693/94-1750頃):マリアは天に昇らせたもう
ジャン=バティスト・モラン(1677-1754):レジーナ・チェリ
 ヴェロニク・ジャンス、サンドリーヌ・ピオー、
 ノエミ・リム、アルレッテ・シュタイアー(S)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1990年9月。1992年2月。旧品番:HMC-901416HMA-1951416〔すべて廃盤〕。 ソリストと小規模な器楽アンサンブルのために書かれた「プティ・モテ」集。
HMA-1951417
廃盤
アンドレ・カプレ(1878-1925):
 幻想的な物語/祈り/ディヴェルティメント/
 2つのソネット七重奏曲
シャロン・コスト、
サンドリーヌ・ピオー(S)
シルヴィ・ドギ(Ms)
アンサンブル・
 ミュジーク・オブリク
ローランス・カベル(Hp)
 録音:1992年2月。
 ラヴェルより3歳下のフランス印象派の作曲家カプレは、今日ではドビュッシーとの親交や、その作品のいくつかを編曲したことで知られているくらいである。しかし彼は1901年にラヴェルを退けローマ大賞を受賞した逸材で、ドビュッシーからさらに神秘主義的風合いを高めた素晴らしい作品を多く残している。
 このCDはなぜか録音に不遇だったカプレの音楽を大いに知らしめたものとして話題になったもの。なかでもサンドリーヌ・ピオーの歌声にハープが絡む「2つのソネット」は極めて美しい作品で、印象派の音楽がお好きな方なら必聴の名曲である。
HMA-1951418
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価格帯:F
ラモー:コンセール用クラヴサン曲集 クリストフ・
 ルセ(Cemb)
寺神戸亮(Vn)
上村かおり(ガンバ)
 トリオで活動したこともある名手3人による名盤。
HMA-1951420
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価格帯:F
クルト・ワイル:
 歌入りバレエ「七つの大罪」(ベルトルト・ブレヒト台本;1933)
 歌曲集「セーヌ哀歌」/ユーカリ(タンゴ・ハバネラ/ナナの歌/
 あとどのくらい?/雨が降る/灯かりのともったベルリンの歌
ブリギッテ・ファスベンダー(Ms)
カール=ハインツ・ブラント、
ハンス・ジェール(T)
小松英典(Br)
イワン・ウルバス(B)
コルト・ガーベン(P)指揮
NDRハノーファーpo.
 録音:1992年1月、1993年2月。
 「七つの大罪」は、ナチスに追われフランスに亡命したワイルとブレヒトがパリのシャンゼリゼ劇場で発表した歌入りバレエ。アメリカ南部出身の姉妹(一人の女の分身)が、家族の家を建てるため、男を手玉に取って世を渡り歩く姿を描いたもので、資本主義社会の矛盾を皮肉タップリに描いた秀作である。
 クラシック系の歌手以外にも好んで歌われる作品だが、ここではドイツの偉大なメッゾソプラノ、ブリギッテ・ファスベンダーが手ごたえのある歌を聴かせる。コルト・ガーベンは1943年バート・ホンブルク生まれのピアニスト・指揮者。ちなみに彼は凄腕のプロデューサーとしても知られており、レヴァイン&メトの「ニーベルングの指輪」も彼の仕事。
HMA-1951421
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価格帯:F
ブルックナー:弦楽五重奏曲 ヘ長調 メロスSQ
エンリケ・サンティアゴ(Va)
HMA-1951422
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価格帯:F
クルト・ヴァイル(1900-1950):
 カンタータ「森の中の死について」 Op.23
  (詞:ブレヒト)(*)/
 ヴァイオリンと管楽合奏のための
  協奏曲 Op.12 (1925) (#)/
 ベルリン・レクイエム(1928)
  (詞:ブレヒト)(+)
 [感謝の大讃美歌/
  水死した娘のバラード/墓碑銘/
  凱旋門の下の無名戦士についての
   第1の報告/
  凱旋門の下の無名戦士についての
   第2の報告/
  感謝の大讃美歌]
アレクサンドル・
 ライター(T;+)
ペーター・コーイ(B;*/+)
エリーザベト・
 グラーフ(Vn;#)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル、
アンサンブル・
 ミュジック・オブリク
 旧品番:HMC-901422HMC-2981422。マーラーやシェーンベルクでも驚くほど新鮮な名演を見せるヘレヴェッヘによるヴァイル。「ベルリン・レクイエム」と「ヴァイオリン協奏曲」というシリアスな作品へ真正面から対決。ローザ・ルクセンブルク追悼のために書かれた「ベルリン・レクイエム」は、ブレヒトの詞とあいまって、ヴァイル一流の辛らつさ、俗っぽさに満ちたものだが、宗教音楽の権威ヘレヴェッヘによる鋭いアプローチは、バッハにも匹敵する深さを見せている。
HMX-2901424
(2CD)
廃盤
ミシェル・ピニョル・モンテクレール(1667-1737):オペラ・バレ「イェフテ」
 ジャック・ボナ(イェフテ) ソフィー・デインマン(イフィーズ)
 クレール・ブリュア(アルマジ/ウェニュス) ニコラス・リヴァンク(フィネ/アポロン)
 マーク・パドモア(アモン)/他
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 1990年代初頭に国内盤で発売された時は、レコード芸術誌で特選盤となった名盤。ラモーに大きな影響を与えたモンテクレールの代表作。
HMA-1951426
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価格帯:F
モンテヴェルディ:戦いと愛のマドリガーレ集
 タンクレディとクロリンダの戦い/やさしいアンジョレッタが/
 何とかぐわしく/あなたはかつて私のものだった/
 あの軽蔑した眼差し/眠っているのか/静かな川のほとりで/
 西風が帰り/ああ、お前はなんと優しい/私は恋に燃えているが
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
 録音:1992年12月。
 バロック音楽界の大御所ウィリアム・クリスティは、どういうわけかモンテヴェルディの録音に非常に慎重で、CDも多くはない。この録音はその一つだが、完璧主義者のクリスティらしく、隅々まで鋭い目が行き届いた緊張感があり、彼ならでは強い主張の感じられる演奏。歌手にはサンドリーヌ・ピオー、ジャン=ポール・フシェクール、マーク・パドモア、ニコラ・リヴェンクなどが参加、またオーケストラにもヒロ・クロサキや上村かおりの名前も見られる。
HML-5901427
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(3CD)
2CD価格
モンテヴェルディ:歌劇「ウリッセの帰郷(ユリシーズの帰郷)」
 クリストフ・プレガルディエン(T;ウリッセ) ベルナルダ・フィンク(Ms;ペネロペ)
 クリスティーナ・ヘグマン(Ms;テーレマコ) マーティン・ヒル(T;エウメーテ)
 ジョスリーヌ・タイヨン(Ms;エリクレーア) ギ・ド・メイ(T;イーロ)
 ドミニク・ヴィス(CT;ピサンドロ) ロレイン・ハント(S;ミネルヴァ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1992年6月。HMC-901427(廃盤)。国内盤で1993年レコード・アカデミー大賞を受賞した名盤。
 1992年7月「東京の夏」音楽祭で2夜上演され、「'92コンサート・ベストテン」(音楽の友誌)でケルン歌劇場公演の現代オペラ『ムツェンスク郡のマクベス夫人』と1位を分け合った、ヤーコプスの「ユリシーズの帰郷」は、日本におけるバロック・オペラ受容の大きな第一歩として、日本の音楽史にとても重要な公演だった。当CDは、彼らが来日直前に日本公演と同一キャストにて録音した物。語り部からペネーロペに言い寄る男の役など一人四役をこなした芝居の巧さが輝くドミニク・ヴィス、哀れな大食漢を演じるギ・ド・メイ、夫を待ちわびる切なさを見事に表現したフィンク。楽想の襞にまで入り込んだ響きで作品に深みと広がりと力を与えているユングヘーネル、ディールティエンスと豪華な顔ぶれの通奏低音陣。これらの豪華演奏者をまとめ上げ、自ら雄弁なチェンバロで全てを統率しているヤーコプスが圧倒的なのは言うまでもない。冒頭から踏み込んだ深い響きで、えぐるような壮絶な表現・・・どの場面を聴いても、聴き手に強烈なイメージを呼び覚ます、気迫と美しさに満ちた素晴らしい演奏。
 トロイア戦争に出征したまま行方知れずのユリシーズの妻ペネーロペが、夫の留守中に様々な男に言い寄られながらも貞淑を守り、ユリシーズも様々な困難に見舞われながらも最後は妻ペネーロペの下に戻り大団円という内容。
HMG-501430
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(2CD)
価格帯:F
エンゲラー〜ショパン:ノクターン全集(全21曲)
 [変ロ短調 Op.9-1/ 変ホ長調 Op.9-2/ロ長調 Op.9-3/ヘ長調 Op.15-1/嬰ヘ長調 Op.15-2/
  ト短調 Op.15-3/嬰ハ短調 Op.27-1/変ニ長調 Op.27-2/ロ長調 Op.32-1/変イ長調 Op.32-2/
  ト短調 Op.37-1/ト長調 Op.37-2/ハ短調 Op.48-1/嬰ヘ短調 Op.48-2/ヘ短調 Op.55-1/
  変ホ長調 Op.55-2/ロ長調 Op.62-1/ホ長調 Op.62-2/ホ短調 Op.72-1/嬰ハ短調/ハ短調]
ブリジット・エンゲラー(P)
 録音:1992年12月、1993年5月-6月。旧品番:HMC-901430/31, HMX-2901430 [HMX-2901430/31]。
 エンゲラー自身大変気に入っているという彼女の代表盤のひとつ、ノクターン集がHM GOLD シリーズの豪華装丁で再登場。濃密な音楽性は今も色あせることなく芳香を放っている。
 2010年ラ・フォル・ジュルネ・ジャポンの期間中、ノクターンを含むプログラムのコンサートが予定されていることもあり、注目盤。
HMG-501432
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価格帯:F
ファリャ:
 七つのスペイン民謡/
 クラヴィチェンバロのための協奏曲/
 世界大劇場/プシシェ
ビクトリア・
 デ・ロス・アンヘレス(S)
ルイス・ビダル(Cemb)
ジュゼプ・ポンス指揮
リウレ劇場室内o.
 録音:1992年7月。旧品番:HMC-901432(廃盤)。
 スペインの伝統と民俗音楽を意識した作風のファリャ。七つの民謡では特にその意識が強く、2曲目のクラヴィチェンバロのための協奏曲はどちらかというと前衛的な音づくりながら、所々にやはりスペインの血が感じられる。
HMA-1951434
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価格帯:F
ラヴェル:
 ボレロ/ラ・ヴァルス/
 ピアノ協奏曲(全2曲)(*)
ジョルジュ・
 プリュデルマシェール(P;*)
ジャン=クロード・カサドシュ指揮
リル国立o.
 録音:1992年7月。
ラモー:歌劇「カストールとポリュックス」 ハワード・クロック、
ジェローム・コレア、
アニェス・メロン/他
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
HMX-2901438
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(2CD)
1CD価格
パーセル:
 4声の10のソナタ(1697)/3声の12のソナタ
ロンドン・バロック
 "1+1" シリーズ。
HMA-1951440
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価格帯:F
シューベルト:八重奏曲 ヘ長調 Op.166 アンサンブル・
 ヴァルター・ブイケンス
 録音:1992年10月。「室内楽のグレート」と称される大作。クラリネットの名手ブイケンスを中心とするアンサンブルにはディールティエンス(Vc)も名を連ねている。
HMA-1951441
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価格帯:F
ヨハネス・オケゲム(1425頃-1495):
 レクイエム (1461)
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 旧品番:HMC-901441。オケゲムが書いた、ポリフォニー手法による初めてのレクイエム。ペレスによって、コンムニオの後に続いていたとされる単旋律の「リベラ・メ」が追加されたことで、この純粋性と敬虔さの記念碑的作品は、さらに威厳を増したものとなっている。声の伽藍、圧倒的迫力。
ラブレーの楽しい宴〜
 フランス・ルネサンス・シャンソン集

 ジョスカン・デ・プレ、クレメンス・ノン・パパ、
 ガンベール、セルミジ、他の作品
ドミニク・ヴィス(CT)
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
HMA-1901455
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価格帯:F
ルクー:
 弦楽四重奏のためのモルト・アダージョ/
 ピアノ四重奏曲/
 チェロ独奏とアンサンブルのためのラルゲット/
 弦楽オーケストラのためのアダージョ(P四重奏版)/
 3つの詩
ヤカール(S)
ヴェイリエ(Vc)
アンサンブル・
 ミュージック・オブリク
リュリ:歌劇「アルミード」 ギユメット・ロランス、
ハワード・クルック、
ヴェロニク・ジャンス、
ジョン・ハンコック
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル、
コレギウム・ヴォカーレ
 レコードアカデミー賞受賞。
HMA-1951458
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価格帯:F
ヘンデル:歌劇「ジュリアス・シーザー」〜抜粋 ジェニファー・ラーモア(A)
バルバラ・シュリック(S)
ベルナルダ・フィンク(Ms)
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ケルン
HMA-1951461
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価格帯:F
オラーツィオ・ヴェッキ:
 マドリガル・コメディー「アンフィパルナーゾ」/
 音楽の饗宴(抜粋)
ドミニク・ヴィス指揮
クレマン・ジャヌカン・
 アンサンブル
ヘレヴェッヘ〜パーセル(1659-1695):メアリー女王の葬送音楽〜アンセム集
 〔主にありて喜べ/主よ、我らが罪を思い出したもうなかれ/シオンのラッパを吹き鳴らせ/我が祈りを聞き給え/他〕
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1993年1月|旧品番: HMC-901462 〔廃盤〕, HMG-508462/63 ヘレヴェッヘの真骨頂。陶器のようななめらかな音運びで紡がれる葬送音楽。
HMY-2921463/64
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(2CD)
1CD価格
ヘレヴェッヘ〜メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」Op.70
 ペッテリ・サロマ(B;エリヤ) ソイレ・イソコスキ(S;未亡人/天使)
 モニカ・グローブ(A;女王/天使) デルフィーネ・コロット(S;少年)
 ジョン・マーク・エインズリー(T;アハブ) フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
 シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ、シャンゼリゼo.
 録音:1993年2月5日-6日。 初出&旧品盤:HMC-901463/64 [HMC-901463] 。 スリム・クラムシェルボックス仕様、CD はスリーブケースに収納、ブックレットはトラック情報、解説(英独仏語)のみで、リブレットは無し。 メンデルスゾーンの代表作のひとつで、「聖パウロ」と双璧をなす傑作オラトリオ。預言者エリヤの生涯を題材にした作品で、冒頭にエリヤの厳粛な独唱が序章としておかれた後、規模の大きな管弦楽による序曲、そして厚い合唱で始まり、壮大な物語が展開されていく。ヘレヴェッヘの指揮が、壮絶な物語を美しい音で描いて行く。
HMA-1951465
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価格帯:F
シャブリエ:ピアノ作品集
 10の絵画的小品/遺作の小品/
 ブレー・ファンタスク/ハバネラ
アラン・ブラネス(P)
 musique d' abordシリーズの2002年カタログ付。
レザール・フロリサン〜
  ギヨーム・ブージニャック
(1590頃-1640頃):テ・デウム + モテット集
 愛の祭典の日を見よ/この人を見よ/あなたがたのうちの一人が私を裏切るだろう/
 平和のうちに私は/ああ!嘆くがよい/私の心を喜ばせたが/アレルヤ!友よ、来てください/
  Flos in flores /おお死よ/釘が鳴く棘が鳴く/暁を見よ/あらゆるものが静寂のうちに/
 神に向かって喜び歌え/イエスをたたえよ!/アヴェ・マリア/汝は万物の美/テ・デウム

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
  [フィリップ・ピエルロ、上村かおり、ジェローム・アンタイ、ケネス・ヴァイス/他]
 録音:1993年4月|初出、旧品番:HMC-901471. HMA-1951471 〔ともに廃盤〕。ブジニャックは、16世紀末に生まれ、17世紀前半に活動した音楽家。その音楽は、250年以上歴史に埋もれ、発掘されてからもなお50年ほどは事実上無視されていた。彼は宮廷や教会には仕えず、また、当時彼の楽譜が出版もされていなかったから。しかしその作品は、大バッハに勝るとも劣らぬ迫力の作品。たとえば受難のシーンをモテットに仕立てた作品(トラック2)では、ピラトと群衆のやりとりが音楽で再現されたいわば「対話」のスタイルによっている。磔刑のシーンの、群衆とピラトとのやりとりがソロと合唱で繰り広げられるが、バッハ以前にこのようなものが書かれていたのかと驚かされる。それにほかにも、リトルネッロのスタイルを用いて書かれた Jubilate Deoなど、こんな作品があったのかと驚かされることの連続。クリスティが率いるレザール・フロリサンのやわらかな声楽がまた見事。
HMA-1951472
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価格帯:F
サン=サーンス:
 動物の謝肉祭(室内楽版)/ピアノ五重奏曲/
 映画音楽「ギーズ公の暗殺」
Ens.ミュジーク・オブリーク
 録音:1993年4月。
HMA-1951475
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価格帯:F
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集
 [第3番 Op.1-3 ハ短調/第8番 WoO 39 変ロ長調/
  第4番「俗歌」Op.11 変ロ長調(*)]
ヴォルフガング・マイヤー
 (Cl;*)
パトリック・コーエン(Fp;*)
エーリヒ・ヘーバルト(Vn)
クリストフ・コワン
 (バロックVc)
 録音:1993年4月。使用楽器:ヴァルター、1986年(注:1786年?の代理店誤記か、コピーの制作年と思われるが詳細不詳)(*)。旧品番:HMC-901475(当店未案内)。
 なんとも豪華なメンバーによるピアノ三重奏曲集。弦楽器は、モザイク弦楽四重奏団のヴァイオリニストとしてもおなじみの名手エーリヒ・ヘーバルトと、バロック・チェロの帝王コワン。そして、ソロでもアンサンブルでも人気者のコーエン、そして現代ものも含め幅広い活躍を展開しているヴォルフガング・マイヤーをクラリネットに迎えている。ベートーヴェンお得意の ハ短調による第3番ではたしかなアンサンブルに思わず聴き惚れ、第8番の清澄な世界に心打たれ、第4番の生き生きとした歌いくちのうまさに酔いしれる一枚。
HMA-1951476
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価格帯:F
ベネヴァント教会の聖歌〜聖週間とイースター〔復活祭〕
 十字架への崇拝/復活祭前夜の徹夜課/復活祭ミサ
 マルセル・ペレス指揮アンサンブル・オルガヌム
 録音:1993年4月。初出・前出・旧品番: HMC-901476〔当店未案内〕。 グレゴリオ聖歌以前に歌われていた、ベネヴァント教会の聖歌集。
HMA-1951477
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価格帯:F
マーラー/シェーンベルク編曲/ラーナー・リーン補編曲:
 交響曲「大地の歌」(室内管弦楽編成)
ビルギット・レンメルト(A)
ハンス・ペーター・
 ブロホヴィッツ(T)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
アンサンブル・
 ミュジーク・オブリク
 録音:1993年4月。旧品番:HMC-901477。
 マーラーの傑作「大地の歌」をシェーンベルクが1920年に室内楽編成に編曲したもの。これは依頼主の財政問題で未完に終わってしまったが、後にライナー・リーンが補完、1983年に出版された。編成は、管楽器がフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、弦楽器がヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、鍵盤楽器がピアノとハルモニウム、そして打楽器。
 シェーンベルクの編曲は見事なもので、あまりに巨大すぎるオーケストラによるマーラーの原曲よりも、歌曲としての性格がくっきりと浮かび上がっている。バッハのスペシャリスト、ヘレヴェッヘのマーラーということで驚かされたこのCD、しかしただごとではない熱の入りっぷりの感じられる名演である。
HMA-1951478
廃盤
ボッケリーニ:6つの協奏的六重奏曲Op.23(抜粋)
 [第1曲 変ホ長調/第2曲 変ロ長調/第5曲 ニ長調]
キアラ・バンキーニ指揮
アンサンブル415
HMC-901479
廃盤
J.S.バッハ
 昇天祭オラトリオ「御国にまします神をたたえよ」BWV.11 /
 カンタータ「歓呼のうちに神は昇天したもう」 BWV.43 /
 カンタータ「かれらは汝らを追放せん」 BWV.44
  バルバラ・シュリック(S) カテリーヌ・パトリアス(A)
  クリストフ・プレガルディエン(T) ペーター・コーイ(B)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1993年5月。
17-18世紀のパリの単旋律聖歌集
 作曲者不詳:入祭文「 Parvulus natus est nobis 」
 カンプラ/マルセル・ペレス(オルガン即興):
  憐れみたまえ、主よ/いと高きところにいます神にのみ栄光あれ
 作曲者不詳:
  昇階唱「 Recordatus est Domine 」/アレルヤ唱「 Verbum caro factus est 」/
  続誦「 Votis Pater annuity 」/奉献唱「 Hostias et oblations 」/序文
 カンプラ/マルセル・ペレス(オルガン即興):サンクトゥス
 作曲者不詳:聖体の秘跡のモテット「 O salutaris Hostia 」
 カンプラ/マルセル・ペレス(オルガン即興):神の小羊
 作曲者不詳:聖体拝領「 In hoc apparuit caritas Dei 」
 ドラランド: Ite missa est / Deo gratias
 マルセル・ペレス:後奏曲(オルガン即興)
 マルセル・ペレス(Org|使用楽器:
   ルイ=アレクサンドル・クリコ〔パリ〕、18世紀製作
)指揮アンサンブル・オルガヌム
 録音:1993年6月29日-7月3日〔オルガン・ソロ:1993年7月1日、1993年10月11日〕、サン=ジャック&サン=クリストフ聖堂、ウダン、イル=ド=フランス地域圏、フランス|初出・旧品番: HMC-901480, HMT-7901480, HMX-2921480 〔すべて廃盤〕。当時パリのクリスマス・ミサで歌われていた単旋律聖歌を集め、同ミサの形式に合せて収録したアルバム。様々な歴史や文化の流れの中で、その時代に聖歌がどのように歌われていたかを追求し再現、つねに学究的でありながらセンセーショナルであったマルセル・ペレスのCD中でも、人気の高かったアルバム。
HMA-1951481
廃盤
ウェーバー:
 クラリネット五重奏曲/序奏と主題と変奏/
 大協奏的二重奏曲/
 ジルヴァーナの主題による協奏的変奏曲
Ens.ヴァルター・ブイケンス
 録音:1993年7月。
HMA-1951482
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価格帯:F
モンポウ:管弦楽作品集
 街はずれ(管弦楽編曲:
  マニュエル・ロザンタール1936年;*)/
 子供の情景(管弦楽編曲:
  アレクサンデル・タンスマン、1936年;#)/
 インプロペリア(+)/
 夢のたたかい
  (作曲者自身による管弦楽編曲、1965年;**)
ジュゼプ・ポンス指揮
バレンシア・
 リウレ劇場室内o.
ビルヒニア・パラモン(S;+)
イエジィ・アルティシ(Br;+)
バレンシアcho.
フランコ・
 ペラーレス合唱指揮(+/**)
 旧品番:HMC-901482
カタロニアが生んだ音の詩人モンポウ。彼のピアノ曲の独特な魅力は日本でも多くのファンを持っているが、管弦楽作品はきわめて珍しい。1963年作の「インプロペリア」はラテン語による独唱、合唱と管弦楽のための大作。「夢のたたかい」は原曲のピアノ伴奏をモンポウ自身の手でオーケストレーション。ともに独特の詩情が色彩化され興味深いものとなっている。
 モンポウの代表的なピアノ作品2つを、彼の盟友タンスマンとロザンタールがオーケストレーション。内容がより具体的で、新たな発見ができるものとなっている。
HMA-1951483
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価格帯:F
ラッスス(1532-1594):
 マドリガル「聖ペテロの涙」/
 モテット「 Vide homo, quae pro te patior 」
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
ヨーロッパ声楽アンサンブル
 録音:1993年6月。初出・前出・旧品番: HMC-901483「聖ペテロの涙」は、7声のための20のマドリガルからなるラッススの最後の作品。この作品を教皇に捧げた3週間後に亡くなった。ヨーロッパ声楽アンサンブルはマリア・クリスティーナ・キールやペーター・コーイ、ゲルト・テュルクら最高の布陣でこの傑作を清冽に演奏している。
HMX-2901484
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(5CD)
2.5CD価格
ルネ・サオルジャン〜ブクステフーデ:オルガン作品集
 前奏曲[ト短調BuxzWV149/ヘ長調 BuxWV145/
     ホ短調、BuxWV143/ホ長調BuxWV141]/
 コラール[BuxWV188, 192, 197, 202, 199]/
 テ・デウム BuxWV218/チャコーナ BuxWV159/
 トッカータ[BuxWV156/ ヘ長調BuxWV157]/
 コラール・パルティータBuxWV207/
 前奏曲[ホ短調BuxWV142/ニ短調 BuxWV140/
     ニ長調 BuxWV139]/
 前奏曲&チャコーナ BuxWV137/
 コラール[BuxWV182, 193, 201, 219]/
 フーガ ハ長調 BuxWV174/
 パッサカーリャ ニ短調 BuxWV161 /
 パルティータBuxWV181/
 前奏曲[嬰ヘ短調 BuxWV146/イ短調 BuxWV158/
     ハ長調 BuxWV136/イ短調 BuxWV153/
     ト長調 BuxWV147]/
 コラール[BuxWV180, 184, 183, 185, 186, 187,
         189, 190, 178, 208, 209, 211 ]/
 マニフィカト BuxWV203/
 前奏曲[イ長調 BuxWV151/ト短調 BuxWV150/
     イ短調 BuxWV152/ト短調 BuxWV148]/
 コラール[BuxWV191, 198, 200, 206, 217, 220,
         221, 222, 224, 212]/
 トッカータ BuxWV155/
 コラール[BuxWV210, 196, 194, 195, 223, 213]/
 前奏曲 ヘ長調 BuxWV144 /
 カンツォーネ[ハ長調BuxWV166/ニ短調 BuxWV168]/
 フーガ 変ロ長調 BuxWV176/
 チャコーナ ホ短調 BuxWV160
ルネ・サオルジャン(Org)
 録音:1967年-1970年。使用オルガン:オランダ、スイス、フランスの名器。
 ルネ・サオルジャンによるブクステフーデの名録音の数々が、お買い得なセットになって登場。驚くのはそのクオリティの高さ。はや40年が経過するこれらの録音だが、オルガンの音の芯が見事にとらえられており、それぞれの教会やオルガンが目の前にくっきりと浮かび上がって来る。もちろん演奏も、作品も素晴らしいもの。さらにパッケージが開けてビックリ、オルガンのふいごを思わせるようなアコーディオン式となっている。さらに驚きなのが、ブックレットの充実ぶり。使用したオルガンのストップの詳細なデータから、巻末には作品インデックスまでついている。CD盤もLPを思わせる黒盤。どこまでも豪華なつくりで、持っているだけでもうれしくなれるセット。
HCX-3951490
廃盤
ドビュッシー:交響詩「海」/夜想曲/選ばれし乙女 ジャン=クロード・カザドシュ
 指揮リール国立o.
 ドビュッシーが書いた管弦楽曲の人気作を一枚にカップリング。本場フランスのオケによる、木管に代表される独特の響きとカサドシュの知的な解釈とがプログラムにぴったり。
HMA-1951491
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価格帯:F
ロンサールの詩による16世紀のシャンソン集 ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 旧品番:HMC-901491。
HMA-1951492
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価格帯:F
グリーク:ヴァイオリン・ソナタ全集
 [第1番 ヘ長調Op.8/
  第2番 ト長調Op.13/第3番 ハ短調Op.45]
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)
ブリジット・アンジュレ
(エンゲラー)(P)
HMA-1951494
廃盤
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956 メロスSQ
ヴォルフガング・
 ベトヒャー(Vc)
 録音:1993年10月。メロスSQ第2世代のメンバーによる演奏。ロストロポーヴィチを迎えた旧盤(DG)に対し、こちらはBPOのメンバーであるベトヒャーが参加。
コルシカ島の聖歌〜
 17世紀と18世紀のフランチェスコ会の写本による
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1993年11月|旧品番: HMC-901495, HMD-941495, HMA-1951495 コルシカ島に伝わる聖歌という実に豊かな音楽を世界に知らしめ、人々を驚かせた1枚。これらの聖歌は教会ではもう歌われず、口頭伝承で伝えられたものだったが、ペレスらによる丹念な調査と研究で鮮やかによみがえった。
HMA-1951496
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価格帯:F
パーセル(1659-1695):
 チェンバロのための8つの組曲
  〔第1番 ト長調 Z.660 /第2番 ト短調 Z.661 /第3番 ト長調 Z.662 /第4番 イ短調 Z.663 /
   第5番 ハ長調 Z.666 /第6番 ニ長調 Z.667 /第7番 ニ短調 Z.668 /第8番 ヘ長調 Z.669 〕/
 グラウンド ト短調 Z.D 221 /新しいグラウンド ホ短調 Z.T 682 /ホーンパイプ ホ短調 Z.T 685

 ケネス・ギルバート(Cemb)
 録音:1993年11月。使用楽器: Couchet-Taskin, Anvers 1671 。初出・前出・旧品番: HMC-901496 〔当店未案内、廃盤〕。 丁度 CD 1枚に収まるほどのパーセルの鍵盤作品は、彼の劇場のための作品に比べあまり知られていないが、「イギリスのオルフェウス」とも称される天才音楽家の才を感じさせる作品ばかり。フランス、イタリア、イギリスの趣味がよいバランスでブレンドされた魅惑の作品を、巨匠ギルバートの演奏で。
HMA-1951497
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価格帯:F
メルキト派の聖歌〜
 聖母マリアをたたえる讃美歌集
マリー・キールーズ修道女
HAF-8901498/99
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(2CD)
1.5CD価格
クリスティ&レザール・フロリサン〜ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
 バルバラ・シュリック、サンドリーヌ・ピオー(S)
 アンドレアス・ショル(CT) マーク・パドモア(T) ネイサン・バーグ(B)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1993年12月。旧品番:HMC-901498 [HMC-901498/99 /国内仕様盤:KKCC-290/1 ], HML-5901498/99, HMG-501498/99 〔以上、すべて廃盤〕
HMA-1951500
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価格帯:F
ロベルト・ジェラルド(1896-1970):作品集
 組曲「アグレリアス」(1943)/
 ペドレルに寄せる賛歌(1941-42)/
 7つの俳句(1922/58)/パンドラ組曲(1944/50)
ジョゼプ・ベネット(T)
ジュゼプ・ポンス指揮
テアトル・リウレ室内o.
 録音:1993年。旧品番:HMC-901500(当店未案内)。
 ペドレルは、ファリャとジェラルドの作曲の師匠であった人物。熱い血が通った音楽に高揚感をおぼえる一枚。
HMA-1951501
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価格帯:F
ラモー:歌劇「カストールとポリュクス」(抜粋) ハワード・クルック(T;カストール)
ジェローム・コレア(Br;ポリュクス)
アニェス・メロン(S;テライール)
ヴェロニク・ジャンス(S;フェペ)他
ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
 旧品番:HMC-901501, HMA-1901501。
HMG-501502
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜メンデルスゾーン
 付随音楽「真夏の夜の夢」全曲/
 序曲「フィンガルの洞窟」
サンドリーヌ・ピオー、
デルフィーネ・コロー(S)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.、
シャペル・ロワイヤル
コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1994年2月。旧品番:HMC-901502, HMX-2901502この名盤、リリースされてから既に20年弱も経過しているとは驚き。「ピリオド・オーケストラ」の風雲児的存在であったヘレヴェッヘとシャンゼリゼ管の意気軒昂ぶり、意気揚々とした管楽器の音色はかくも美しく衝撃的なものであったかと驚かされ、再感動もの。ピオーの若き歌声にも興味津々
HMG-501505
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価格帯:F
ドイツ・バロック歌曲集
 ヨハン・ナウヴァッハ:夜の帳が近づき/わが愛しの人よ、さあ急ごう
 ハインリヒ・アルベルト:醜い老兵士、醜い老人の恋/悲しく響く女神の悲嘆
 ヨハン・カスパー・フェルディナンド・フィッシャー:
  前奏曲とシャコンヌ第8番(チェンバロ独奏)
 アダム・クリーガー:恋の炎は勇気をくじく/あなたは変ってよいの/
           愛の力は昼夜を支配する/ラインワインは優雅に踊る
 ヨハン・フィリップ・クリーガー:
  ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバのための2声のソナタ/
  やわらげておくれ、かたくなな心を/愛の泣き笑い/熱烈なる恋人/孤独/優しき夜
 アンドレアス・ハンマーシュミット:口づけの秘法
 ベルンハルト・ヨアヒム・ハーゲン:ロカテッリによるメヌエットと変奏(リュート独奏)
 ヨハン・ヴァレンティン・ゲルナー:夜/眠りに際して
  アンドレアス・ショル(CT)
  バーゼル・コンソート
   [M.メルクル(Cenb) K.E.シュレーダー(リュート) A.ヴァルツァー(Vc)
    P.ヴァレッティ、S.ピフィシュター(Vn) F.ナウマン、J.M.クインターナ(Gamb)]
 旧品番:HMC-901505(廃盤)。正統派の伝統を忠実に守る実力派ショルによる初期の録音。17-8世紀ドイツのバロック歌曲を、若々しい感性をきらめかせながら歌っている。
レザール・フロリサン〜ヘンデル:合奏協奏曲集 Op.6 より
 〔第1番 ト長調 HWV.319 /第2番 ヘ長調 HWV.320 /
  第6番 ト短調 HWV.324 /第7番 変ロ長調 BWV.325 /第10番 ニ短調 BWV.328 〕

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン[ヒロ・クロサキ(コンサートマスター)他]
 録音:1994年2月|初出、旧品番:HMC-901507. HMA-1951507 〔ともに廃盤〕。鋭い切れ味と典雅なムードで発売当時話題を呼んだ。
HMG-501508
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価格帯:F
ヤナーチェク:ピアノ作品集
 ピアノ・ソナタ 変ホ長調「1905年1月5日、街頭にて」/
 霧の中で(1912)/思い出(1928)/草影の小道を通って
アラン・プラネス(P)
 旧品番:HMC-901508(廃盤)。アンサンブル・アンテルコンタンポランで核的な活躍をしていた名手プラネスによる、情念と理の完璧なバランスによる理想的なヤナーチェク。
HMG-501509/10
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(2CD)
価格帯:F
ドヴォルジャーク室内楽作品集
 弦楽五重奏曲 変ホ長調 Op.97 (*) /弦楽四重奏曲 ヘ長調「アメリカ」 Op.96 (#) /
 弦楽四重奏曲 ニ短調 Op.34 /ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.81 (+)

  メロスSQ [ヴィルヘルム・メルヒャー、イダ・ビーラー(Vn)
          ヘルマン・フォス(Va) ペーター・ブック(Vc)]

  ジェラール・コセ(Va;*) カール・エンゲル(P;+)
 録音:1996年6月(*/#)、9月(*/#)、1994年3月(無印/+)、1995年5月(無印/+) |旧品番:HMC-901509 (*/#), HMC-901510 (無印/+), HMX-2901509/10 (2CDs) 。重厚な音と一糸の乱れもないアンサンブルで定評のあった名人集団メロス弦楽四重奏団のドヴォルジャーク。五重奏ではゲストにコセが、ピアノ五重奏ではスイス生まれのエンゲルが迎えられ魅力を放つ、彩り豊かなアルバム。
HMA-1951511
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価格帯:F
C.P.E.バッハ(1714-1788):トリオ・ソナタ集
 〔イ短調 Wq.156, H.582 /ヘ長調 Wq.154, H.576 /ホ短調 Wq.155, H.577 /
  変ロ長調 Wq.158, H.584 /ニ短調 Wq.160, H.590 〕
  ロンドン・バロック
   [イングリート・ザイフェルト、リチャード・グウィルト(Vn)
    チャールズ・メドラム(Vc) リチャード・エガー(Cemb)]
 録音:1994年4月/初発売:1994年。旧品番:HMC-901511〔国内盤:KKC-375〕(共に当店未案内、廃盤)。
HMA-1951512
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価格帯:F
モーツァルト:弦楽五重奏曲集
 [第3番 ハ長調K.515/第4番 ト短調K.516]
アンサンブル415
[キアラ・バンキーニ、
 エンリーコ・ガッティ(Vn)
 エミリオ・モレーノ、
 イルムガルト・シャラー(Va)
 カティ・ゴール(Vc)]
 録音:1994年4月。旧品番:HMC-901512(国内盤:KKCC-305/共に当店未案内、廃盤)。ピリオド楽器使用。
HMC-901513
廃盤
J.S.バッハ
 復活祭オラトリオ BWV.249 /カンタータ第66番「喜べ、汝ら、もろ人の心よ」 BWV.66
  バルバラ・シュリック(S) カイ・ヴェッセル(CT)
  ジェイムズ・テイラー(T) ペーター・コーイ(B)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1994年4月。復活祭オラトリオ冒頭の華やかなシンフォニアが、祝祭的な雰囲気たっぷりながらも美音のヴェールと白磁のような気品に満ちた、すばらしい演奏。
HMY-2921515/17
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(3CD)
2CD価格
ヤーコプス〜カヴァッリ:歌劇「カリスト」
 マリア・バヨ(S;カリスト) マルチェロ・リッピ(Br;ジョーヴェ)
 サイモン・キーンリーサイド(B;メルクーリオ) ジル・ラゴン(CT;リンフェア)
 グレアム・プシー(CT;エンディミオーネ) ソニア・セオドリドゥ(S;ジュノーネ)
 アレッサンドラ・マントヴァニーニ(S;ディアーナ、デスティーノ)
 ダヴィド・ピッシンガー(B;シルヴァーノ) バリー・バンクス(T;パーネ、自然)
 ドミニク・ヴィス(CT;サティリーノ、フリーオ)
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1994年8月、ドイッチュラントフンク・スタジオ、ケルン。 旧品番: HMC-901515/17 (国内仕様盤:KKCC-313/5)〔共に廃盤〕。 #歌詞テキストは付いておりません。モンテヴェルディの直弟子、カヴァッリの傑作を見事に復活した名盤。物語はギリシャ神話の世界、神々の様々な恋模様が繰り広げられる。嫉妬されて熊の姿に変えられたり、さらには星になったり、様々な登場人物が物語をもりたてる。ヤーコプスは、当時存命していた鬼才演出家ヴェルニッケの舞台でもこの作品を演奏しており、一躍話題となっていた。ヴェネツィアの賑やかさに満ちた娯楽性が存分に引き出された名演。
HMA-1951518
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価格帯:F
ベートーヴェン:
 七重奏曲 変ホ長調Op.20/
 ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調「街の歌」Op.11
アンサンブル・
 ヴァルテル・ブイケンス
初期キリスト教聖歌〜モサラベ聖歌集(15世紀-16世紀〔の写本より〕)(全19トラック)
 マルセル・ペレス指揮アンサンブル・オルガヌム
 録音:1994年5月|旧品番: HMC-901519, HMA-1951519 〔ともに廃盤〕。イスラム支配下以前の中世初頭、キリスト教が勢力を増し始めた西ゴート王国時代(415-711)の様式を継承していると考えられる聖歌。「モサラベ」とは、「言語や風俗・文化においてアラビア文化の影響を受けた」という意味のアラビア語形容詞「ムスタウリブ」が転訛したものを由来とし、711年以降一部では1492年まで続いたムスリム(イスラム教信者)支配下のイベリア半島、とりわけアル=アンダルスにおけるキリスト教徒のことを言う。
HMA-1951520
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価格帯:F
フェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936):古いスペインの民謡
ファリャ:「お代官様と粉屋の女房」
ジュゼプ・ポンス指揮
バルセロナ自由劇場co.
ヒネサ・オルテガ(カンタオーラ)
 録音:1994年5月。旧品番:HMC-901520。
 ガルシア・ロルカはグラナダに生まれたスペインの国民的な詩人・作家。彼は音楽の素養も高く、数多くのスペイン民謡を採譜した。これらはスペインの土の匂いをダイレクトに伝えてくれる素晴らしいもので、今なお幅広く愛されている。
 ファリャの「お代官様と粉屋の女房」は、1917年に初演されたパントマイム劇のための音楽。この音楽は後に発展的に改訂されバレエ「三角帽子」となり、1919年にロンドンで初演、ファリャの名前を大いに知らしめま。つまり「お代官様と粉屋の女房」は「三角帽子」の原形なのである。
 ジュゼプ・ポンスは1957年生まれ。バルセロナ舞台芸術研究所の自由劇場室内管弦楽団やグラナダ国立交響楽団を率いて高い評価を得ており、さらに有名なリセオ大劇場の指揮者としても活躍している。
HMG-501521
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価格帯:F
ハイドン(1732-1809):フルート三重奏曲集
 〔第28番 ニ長調 Hob.XV: 16 /
  第29番 ト長調 Hob.XV: 15 /
  第30番 へ長調 Hob.XV: 17 〕
パトリック・コーエン(Fp;*)
コンラート・ヒュンテラー(Fl)
クリストフ・コワン(Vc;+)
 録音:1994年6月。旧品番:HMC-901521〔当店未案内、廃盤〕。ピリオド楽器使用。使用楽器:アントン・ヴァルター、1790年頃製(*) / Testore, 1758 (+)。コンラート・ヒュンテラー(1947-)は、コレギウム・アウレウム、ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ、18世紀オーケストラなどで活躍した名手、コーエンとコワンの三人が繰り広げるアンサンブルは典雅で極上のたのしさに満ちている。
HMG-501522
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜ベルリオーズ
 歌曲集「夏の夜」Op.7/叙情的場面「エルミニー」
ブリジット・バレイス(Ms)
ミレイユ・ドゥランシュ(S)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
 録音:1994年6月、10月。旧品番:HMC-901522 / HMX-2981522
 ベルリオーズの魅力は、大編成のオーケストラによる狂おしいロマンティシズムばかりではない。ゴーティエの詩に基づいた「夏の夜」の控えめな美しさ、幻想的で夢に満ちた音楽は心に響く美しさがある。「エルミニー」はベルリオーズがローマ大賞に入選した時の作品。ヘレヴェッヘはベルリオーズを演奏するにあたり、19世紀音楽向けに当時の楽器を使用したシャンゼリゼo.を編成、現代オーケストラでは難しい、ベルリオーズが意図した通りの色彩を再現している。
シュッツ:宗教的合唱曲集 Op.11/
 宗教的小コンチェルト集より SWV291 他
アニェス・メロン(S)
マーク・パドモア(T)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
HMA-1901536
廃盤
ジャヌカン:
 ミサ「戦争」/ミサ「盲目の神」/
 ミサ「我らが敵が集まりて」
ドミニク・ヴィス指揮
クレマン・ジャヌカンアンサンブル
 シャンソンで知られるジャヌカンだが、宗教作品も残している。ここではラテン語による正式教会作品をすべて取り上げている。ヴィスたちの声楽陣は元気で、宗教曲らしさが少し欠けているとも言われるが逆にシャンソンのような気持ちで聞くのも悪くない。
アルベニス:歌劇「ペピータ・ヒメネス」〜組曲 S.チルコット(S)
F.ガリゴーサ(T)
ジュゼプ・ポンス指揮
バルセロナ・リウレ劇場室内o.&cho.
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
ノートルダム楽派のミサ曲集〜
 聖母誕生のためのミサ
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1994年10月8日-11日、コルバラコヴェント教会|初出・旧品番: HMC-901538〔当店未案内、廃盤〕。 現代に伝わる典礼音楽の歴史をさかのぼった1枚。13世紀のノートルダム楽派の聖母誕生のミサを再構築したもので、この後の時代のヨーロッパの宗教音楽に大きな影響を与えた13世紀ポリフォニーの音楽が見事によみがえっている。
HMA-1951539
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価格帯:F
ヨハン・パッヘルベル(1653-1706):カノン〜室内楽作品集
 5声のパルティータ ト長調/
 「音楽の楽しみ」(1685)〜
  [パルティータ第1番 ヘ長調/同第2番 ハ短調]/
 4声のパルティータ ト長調/
 「音楽の楽しみ」〜
  [パルティータ第3番 変ロ長調/同第4番ホ短調]/
 4声のパルティータ 嬰へ短調/
 「音楽の楽しみ」〜
  [パルティータ第5番 ハ短調/同第6番 変ロ長調]/
 カノンとジーグ
ロンドン・バロック
 録音:1994年10月。旧品番:HMC-901539HMX-2901539
 「パッヘルベルのカノン」といえば、誰もが一度は聴いたことのある有名曲。パッヘルベルはニュルンベルク生まれで、生前はオルガニストとして高名だった人物。一方作曲も活発で、その作品はいずれも非常に親しみやすく耳に心地よいものばかり。
 このアルバムは「音楽の楽しみ」を中心にパッヘルベルの作品をまとめた貴重な一枚で、最後にちゃんと「パッヘルベルのカノン」の原曲のカノンとジーグ(ピリオド楽器にしては遅めのテンポのカノンが絶品)も収録されている。ロンドン・バロックの優しく温かみ溢れる演奏は、パッヘルベルの心地よさにまさにうってつけ。一部の曲にマンゼも参加している名盤。(背の欧文表記がPachebel と誤った綴りになっております。ご了承ください。)
HMA-1951543
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価格帯:F
マヌエル・カルドーゾ(1566-1650):
 ミサ曲「主よ、われを憐れみ給え」/
 マニフィカト
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
ヨーロッパcho.
 旧品番:HMC-901543(当店未案内)。
 ヘレヴェッヘの本領、バロック無伴奏合唱曲。マヌエル・カルドーゾ(1566-1650)は、バロック時代のポルトガルの作曲家。パレストリーナ様式による宗教合唱曲を数多く残しており、それらは世界で指折りの反映に浴していた当時のポルトガルの文化が反映された美しさに満ちている。ヘレヴェッヘの指揮はいつもながらの柔軟でしなやかなうちに静かな感動を引き出している。
HMM-931544/45
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(2CD)
1.5CD価格
ヤーコプス〜J.S.バッハ:世俗カンタータ集
 〔第201番 フェブスとパンの争い「早く、早く、渦巻く風よ」BWV.201 /
  第205番 満足するエオルス「墓を裂け、破け、打ち砕け」BWV.205 /
  第213番 岐路のヘラクレス「われにまかせて見張りをさせよ」BWV.213 〕

 マリア・クリスティーナ・キール(S) アンドレアス・ショル(CT)
 クリストフ・プレガルディエン、クルト・アゼスベルガー、ジェイムス・テイラー(T)
 ローマン・トレーケル(Br) ペーター・リカ(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS 室内cho.
 録音:1994年-1995年|初出、旧品番:HMC-901544/45. HMG-501544/45 〔ともに廃盤〕。生命力にあふれた演奏で、特にBWV.201は迫力満点。演奏者全てがライヴ感覚で、まるでオペラのような雰囲気を持っている。
HMN-911546
廃盤
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ/3つのピアノ小品
フランク・ブラレイ(P)
HMA-1951547
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価格帯:F
ニコラ・アンゲリッシュ〜ラフマニノフ:
 練習曲「音の絵」 全曲

 〔 Op.33(全8曲)/ Op.39(全9曲)〕
ニコラ・アンゲリッシュ(P)
 録音:1994年11月。初出・前出・旧品番:HMN-911547 ( "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)。
1970年アメリカ生まれ、その後パリに住み活躍するピアニスト、アンゲリッシュ。7歳でモーツァルトの協奏曲を公開演奏、13歳でパリ音楽院に留学、チッコリーニ、ロリオ、ベロフに師事。1989年にロベール・カサドシュ・コンクール第2位、そして1994年にジーナ・バッカウァー・コンクール優勝した頃の貴重な録音。多彩な色彩を持つ音色が特徴で、技術面も非常に高度。一風変わったラフマニフの名演がうれしい復活。
HMA-1951548
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価格帯:F
ジュゼッペ・タルティーニ(1692-1770):協奏曲集
 合奏協奏曲第3番 ハ長調/ヴァイオリン協奏曲 イ短調/
 チェロ協奏曲 ニ長調/ヴァイオリン協奏曲 ト長調/
 合唱協奏曲第5番 ホ短調
エンリーコ・ガッティ(Vn)
ロエル・
 ディールティエンス(Vc)
キアラ・バンキーニ(Vn)指揮
アンサンブル415
 録音:1994年12月/初発売:1995年。旧品番:HMC-901548。タルティーニ再評価の先駆的1枚。
HMN-911549
廃盤
ブラームス:クラリネット・ソナタ第1番/同第2番 ロマン・ギヨー(Cl)
フランソワ=フレデリク・ギ(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。
HMG-501551
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価格帯:F
クシェネク(1990-1991):
 預言者エレミアの哀歌Op.39(1941完成)
マルクス・クリード指揮
RIAS室内cho.
 録音:1992年12月。旧品番:HMC-901551(廃盤;当店未案内)。
 この作品を書き初めた当初にナチ政権から「退廃音楽」として弾圧されたクシェネクは、完成時にはアメリカに亡命していた。預言の書から自身で選んだ言葉に12音技法をとりいれたポリフォニー作品。1948年に創立され、第2次世界大戦後の混乱期のベルリンの音楽シーンを支え続けた伝統と実力の合唱団の技が冴える。
HMA-1901552
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価格帯:F
3大カウンター・テナー〜夢の饗宴
 ディ・カプア:オー・ソレ・ミオ(*/#/+) / ビゼー:歌劇「カルメン」〜ハバネラ(#)
 マスネ:歌劇「ル・シッド」〜泣け、泣け、わが目(+)
 バーンスタイン:ミュージカル「ウェストサイド物語」〜マリア(*/#/+) P
 サン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」〜あなたの声に(*)
 アンドレアス・ショル:百合のように白く(#) L
 オッフェンバック:喜歌劇「ペリコール」〜ほろ酔い歌(+)
 ポール・アンカ:マイ・ウェイ(*) / ドニゼッティ:歌劇「愛の妙薬」〜人知れぬ涙(*/#/+)

  パスカル・ベルタン(CT;*) アンドレアス・ショル(CT;#)
  ドミニク・ヴィス(CT;+) ラインハルト・ワーグナー指揮カマルグpo.
  フランソワ・クトゥリエ(P P )カール・エルンスト・シュレーダー(リュート L
 録音:1995年2月、 Studio Gimmick, イエール、フランス。収録時間:約34分半。初出・旧品番:HMC-901552(国内仕様盤:KKCC-312)〔共に廃盤〕。発売当時大ヒットしていた「3大テナー」〔パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス〕に肖ったアルバム。
HML-5901553
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(2CD)
2CD価格
モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」
 ローレンス・デール(T;オルフェオ) ジェニファー・ラーモア(Ms;女使者)
 エフラート・ベン=ヌン(S;エウリディーチェ) ポール・ジェリモン(B;カロンテ)
 ハリー・ペーテルス(B;プルトーネ) ベルナルダ・フィンク(Ms;プロセルピナ)
 アンドレアス・ショル(CT;希望) ニコラ・リヴァンク(Br;アポロ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1995年1月。HMC-901553(廃盤)。
 驚くべき充実ぶり、音楽的深さ。オルフェオとエウリディーチェの有名な物語だが、結婚式の晴れやかかつ鮮やかに喜びのリズムを刻む合唱と器楽、地獄の場面での厳粛かつ恐ろしいまでの雰囲気など、聴き手の五感すべてを刺激するようなヴィヴィッドさ。
HMN-911556
廃盤
プーランク:オーボエ・ソナタ/
ブリテン:現代風の変奏曲
フランシス・ルルー(Ob)
E.シュトロッサー(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。
HMG-501557
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価格帯:F
ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ニ長調 Op.123
 ローザ・マニオン(S) ビルギット・レンメルト(Ms)
 ジェイムズ・テイラー(T) コルネリウス・ハウプトマン(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼo.、
 シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1995年2月20-21日、モントルー、ストラヴィンスキー・オーディトリウム、ライヴ。旧品番:HMC-905247, HMX-2901557, HMX-2981557(以上、すべて廃盤)。
 この録音は発売されるや欧米の各誌で大絶賛。単なる時代楽器による演奏というに留まらず、古典派からロマン派にかけての音楽を理想的に演奏するため結成されたシャンゼリゼ管弦楽団によって、既に精神的にも奏法的にもバロック時代から区切りがつけられていたベートーヴェン後期の時代のオリジナル楽器オーケストラのあり方を深く提起したことで大きな賛同を得た画期的な演奏であった。こうしたヘレヴェッヘの取組みによって、気宇壮大さばかりに目が行きがちだったミサ・ソレムニスから本来の美を取り戻すことができたのである。ベネディクトゥスは絶品。もちろんソリスト、シャペル・ロワイヤルとコレギウム・ヴォカーレの合唱も完璧。
HMX-2901561
(3CD)
廃盤
C.H.グラウン:歌劇「クレオパトラとチェーザレ」 ジャネット・ウィリアムズ
 :クレオパトラ
イリス・フェルミリオン
 :チェーザレ
リン・ドーソン:コルネリア
マリア・クリスティーナ・キール
 :セスト 他
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ケルン
リアス室内cho.
 録音:1995年。この名盤によってよみがえった傑作。
HMX-2981564
廃盤
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ第19番/即興曲集 Op.90
アラン・プラネス(P)
HMG-501566/67
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(2CD)
価格帯:F
ヤーコプス〜モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
 マリー=クリスティーナ・キール、バーバラ・ボーデン(S) アンドレアス・ショル(CT) ジョン・ボウエン、
 アンドルー・マーガトロイド(T) ビクトル・トレス(Br) アントニオ・アベテ、イェーレ・ドライエル(B)

 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ、オランダ室内cho.
 録音:1995年6月。旧品番:HMC-901566/67 [HMC-901566], HML-5901566/67 [HML-5901566] (2CD+BOOK)〔以上、共に廃盤〕。1610年の秋に法王パウル5世に献呈されたこの「聖母マリアの夕べの祈り」は、今なお音楽史上の名作として名高く、また人気も高い。非典礼的なテクストの採用や、名人芸の器楽パート、多彩な楽曲ながら、典礼文のテクストにはグレゴリオ聖歌の旋律を用いることによって全体の統一を図っている点など、いたるところに工夫が見られる。このモンテヴェルディの意欲作を、ヤーコプスや若きショルら、綺羅星のような歌唱陣が煌びやかかつ厳かに演奏している。
ルイス・デ・パブロ(1930-):
 Tarde de Poetas(声とオーケストラのための)
ルイサ・カステラーニ(S)
ホルヘ・シャミネ(Br)
ジュゼプ・ポンス指揮
バルセロナ・リウレ劇場室内o.、
バレンシアcho.
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMG-501570
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ&シャンゼリゼ管団員〜モーツァルト:13管弦楽のためのセレナード集
 〔第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」(*) /第12番 ハ短調 K.388「ナハトムジーク」〕
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼo.団員
 [マルセル・ポンセール、北里孝浩(Ob) ジェーン・ブース、ロレンツォ・コッポラ(Cl)
  ギ・ヴァン・ワース、ヨッヘン・ゼゲルケ(バセットHr) クロード・モーリ、
  ペトルス・ドンブレヒト(Hr) クリストフ・フェロン、デニス・メイトン(Hr;*のみ)
  マルク・ヴァロン、ジャン=ルイ・フィアット(Fg) ミシェル・マルドナード(Cb)]
 録音:1995年6月。旧品番:HMC-901570 [国内仕様盤:KKCC-387, KKCC-8002], HMX-2961570, HMX-2981570〔以上すべて廃盤〕。ヘレヴェッヘによるモーツァルト。ピリオド楽器の名手ぞろいのシャンゼリゼo.のメンバーによる演奏。ポンセールや北里による至芸はもちろん、現在フライブルク・バロックo.でも活躍しているコッポラの音色も堪能できる。しなやかで自然なフレージングと深々とした情感はまるで合唱のよう。数ある同曲の名盤のなかでもユニークな光を放っている。「短調のモーツァルト」一流の美しさを誇る「ナハトムジーク」に漂う哀感も聴きもの。
ヴィヴァルディ
 弦楽のための協奏曲 ハ長調 RV.114 /
 室内カンタータ「やめて、もうやめて」 RV.684 /
 4声のソナタ 変ホ長調「聖墓にて」 RV.130 /
 「ミゼレーレ」への導入歌 RV.638 /
 スターバト・マーテル RV.621
アンドレアス・ショル(CT)
キアラ・バンキーニ指揮
アンサンブル415
 録音:1995年6月|初出・前出・旧品番:HMC-901571 (CD), HMC-801571 (HYBRID_SACD) 〔共に廃盤〕。
HMA-1951572
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価格帯:F
ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 第43番 ハ長調 Hob.XV:27/第44番 ホ長調 Hob.XV:28/
 第45番 変ホ長調 Hob.XV:29
パトリック・コーエン(Fp)
エーリヒ・ヘーバルト(Vn)
クリストフ・コワン(Vc)
 録音:1995年7月。
 発売当時に大きな話題となった録音。コーエン、ヘーバルト、コワンという三人の名手が、ハイドンの時代の楽器を使用することで、あまり知名度のないハイドンのピアノ三重奏曲から真の魅力を引き出すことに成功している。ウィーン生まれで、ウィーン交響楽団、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスのコンサートマスターを務めたヘーバルトのヴァイオリンの美しさが全体を強くリード。またコーエンが奏でる1790年アントン・ワルター製のフォルテピアノも非常に心地よい響き。
HMA-1951574
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価格帯:F
ヨハン・ヘルマン・シャイン(1586-1630):
 宗教的マドリガーレ集「イスラエルの泉」〜抜粋(21曲)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
アンサンブル・ヴォカーレ・ヨーロッパ
 録音:1995年6月。
 J.S.バッハの先駆者と言うべき人物が何人かいる中で、シャインはことに重要な人物。1616年にライプツィヒの聖トーマス教会のカントルに就任し亡くなるまでその任に当った、つまりバッハの直の先輩に当たる。40代で亡くなってしまったため、同世代のハインリヒ・シュッツ(1585-1672)に比べて著しく知名度は低いものの、極めて優れた作品を残している。
 「イスラエルの泉」は旧約聖書に基づいた26曲からなるドイツ語の宗教的マドリガーレ集で、基本的には5人の歌手と通奏低音によって演奏される。ここでは21曲を選び、ギリギリCD1枚に収録。歌手にはマーク・パドモアやペーター・コーイの名前が見られる。ヘレヴェッヘ・エディションでの発売以来の、名盤復活である。
HMA-1951577
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価格帯:F
オリエントの賛美歌〜現代レバノンの聖歌集 マリー・キーローズ修道女
アンサンブル・ド・ラ・ペ
 録音:1995年9月。旧品番:HMC-901577(当店未案内)。
HMG-501578/79
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(2CD)
価格帯:F
ベルリン古楽アカデミー〜J.S.バッハ:管弦楽組曲 全曲
 〔第1番 ハ長調 BWV.1066 /第2番 ロ短調 BWV.1067 /第4番 ニ長調 BWV.1069 /第3番 ニ長調 BWV.1068 〕
  ベルリン古楽アカデミー
 録音:1995年9月。旧品番:HMC-901578/79 [国内仕様盤:KKCC-354/5] 〔分売:HMC-901578, HMC-901579 〕, HMX-2901578/79 [HMX-2901578] 〔以上すべて廃盤〕。ベルリン古楽アカデミーによる不朽の名盤として名高いJ.S.バッハの管弦楽組曲。
バッハ:管弦楽組曲第1番/管弦楽組曲第3番 ベルリン古楽アカデミー
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集
 [第7番/第8番/第9番「クロイツェル」]
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)
ブリジット・アンジェレ(P)
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMA-1951581
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価格帯:F
ムッファト:合奏協奏曲集「調和の捧げもの」〜
 少数または多数の楽器のための室内ソナタ集
  第1番−第5番
キアラ・バンキーニ、
イェスパー・クリステンセン指揮
アンサンブル415
 録音:1995年10月。旧品番:HMC-901581, HMA-1901581。パリでリュリ、イタリアでパスクィーニに学んだドイツの作曲家による、イタリア的明快さにあふれた作品。コレッリの合奏協奏曲Op.6に強い影響を受けており、ほとんどウリふたつ。盗作ではなく続編である、ということらしい。躍動的なリズム処理の目立つ刺激的な演奏。
HMC-901582
廃盤
Laudario di Cortona - A Medieval Mystery マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
HMY-2921584/85
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(2CD)
1CD価格
ヘレヴェッヘ〜メンデルスゾーン:オラトリオ「聖パウロ」Op.36
 メラニー・ディーナー(S) アンネッテ・マルケルト(Ms)
 ジェイムズ・テイラー(T) マティアス・ゲルネ(B)他
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ、
 シャペル・ロワイヤル、シャンゼリゼo.
 録音:1995年10月30日-11月1日、アウディトリウム・ストラヴィンスキー、モントルー、スイス、ライヴ。 初出・前出・旧品番: HMC-901584/85 [HMC-901584] 〔廃盤〕。#歌詞テキストは付いておりません。
HMN-911586
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価格帯:F
ヴェーベルン:
 弦楽四重奏曲「1915年」 M.79/
 弦楽四重奏のための5つの楽章 Op.5/
 弦楽四重奏のための6つのバガテル/弦楽四重奏 Op.28
ドビュッシーSQ
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。
HMA-1901589
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価格帯:F
バッハ:モテット集 BWV.225-230
 〔主に向かって新しい歌を歌え/精霊はわれらの弱きを助けたもう/わが喜びなるイエス/
  恐ろるるなかれ、われ汝とともにあり/来たれ、イエスよ、来たれ/主をたたえよすべての異教徒よ〕

 マリア=クリスティーナ・キール、ジビッラ・ルーベンス(S)
 ベルナルダ・フィンク(A) ゲルト・テュルク(T) ぺーター・コーイ(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー団員、 RIAS 室内 cho.
 録音:1995年12月。初出・旧品番:HMC-901589(国内仕様盤:KKCC-382)[CD], HMC-801589 [SACD]〔すべて廃盤〕。
ギヨーム・ド・マショー(1300頃-1377):
 ノートル・ダム・ミサ
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1995年11月20日-24日、シルヴァネ修道院|初出・旧品番: HMC-901590, HMG-501590, HMO-8901590 〔すべて廃盤〕。 中世の薫りが濃厚に立ち上ってくる名演奏。ここに収録されているのは作曲者の名前がわかるものとしては、ミサ通常文に作曲された最古のミサ曲。中世・ルネサンス期の声楽を研究しているペレスらによる演奏は、長く引く低音をリード・オルガンのようにビリビリと響かせたり、しゃっくりのようなホケトゥスの技法をふんだんに用いたり、通常のミサ曲のイメージとの違いに今もなおびっくりさせられる。鮮烈かつショキングな名演奏。
 火事で大きな損傷を受けたパリ・ノートルダム大聖堂の再建祈念CD。ハルモニア・ムンディを通して売上の一部が再建のために寄付される。
HMG-501591
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価格帯:F
ブラームス:宗教合唱曲集
 2つのモテット Op.74/祝辞と格言op.109/
 3つのモテットOp.110/ミサ・カノニカ/
 2つのモテット Op.29
マルクス・クリード指揮
RIAS 室内cho.
 録音:1994年-1995年。旧品番:HMC-901591
 その生涯を通じ合唱曲を書いたブラームス。宗教的なモテットは、ルターがドイツ語に訳した聖書のテキストに基づいている。
HMG-501592/93
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(2CD)
価格帯:F
ブラームス:合唱作品集
 3つの歌Op.42 (*) /2つのホルンとハープの伴奏による女声のための4つの歌Op.1 (*) /
 7つの歌Op.62 (*) /5つの歌Op.104 (*) /6つの四重唱曲Op.112 (#) /
 ジプシーの歌Op.103 (#) /4つの四重唱曲 Op.92 (#) /3つの四重唱曲 Op.31 (#) /
 3つの四重唱曲 Op.64 (#) /2つの四重唱曲 Op.112 (#)
  マフレット・クリール(Hr) アラン・プラネス(P)
  マルクス・クリード指揮 RIAS 室内cho.
 旧品番:HMC-901592(*), HMC-901593(#)(分売/共に廃盤)。『申し分のない声のブレンド具合、生まれ出た響きはどこまでも愛おしいもの、まちがいなく、彼らの演奏は聴き手にこれ以上ない愉悦の時をもたらすだろう』と英グラモフォン誌でも絶賛された。
J.S.バッハ:クリスマス・カンタータ集  〔新たに生まれし嬰児 BWV 122 /笑いは、われらの口に満ち BWV 110 /
  試練に耐えうる人は幸いなり BWV 57 〕
 ヴァジリカ・イェゾブシェク(S) サラ・コノリー(A)
 マーク・パドモア(T) ペーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1995年12月。
HMG-501595
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価格帯:F
天使のミロンガ〜ピアソラ(1921-1992):
 バンドネオン協奏曲/タンゴ・ポルテーニョの3楽章/5つのタンゴ
  パブロ・マイネッティ(バンドネオン) リュイス・ビダル(P)
  ジュゼプ・ポンス指揮リウレ劇場室内o.
 録音:1995年12月。旧品番:HMC-901595, HML-5901595 バンドネオンとオーケストラという意外な組合せが見事に成功していて、近年演奏会でもしばしば取り上げられている。5つのタンゴには、ピアソラの代表作ともいえる「天使のミロンガ」が含まれている。パブロ・マイネッティは1971年ブエノスアイレス生まれ。録音当時まだ20代前半という若さだったが、タンゴの世界では当時から世界的に有名な天才。
HMA-1951596
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価格帯:F
クラリネットとピアノのためのフランス音楽集
 プーランク(1899-1963:クラリネット・ソナタ(1962)
 ドビュッシー(1862-1918):小品/ラプソディ第1番
 ミヨー(1892-1974):スカラムーシュ(クラリネットとピアノのための版)
 フィリップ・ゴベール(1879-1941):クラリネットとピアノのための幻想曲
 サン=サーンス(1835-1921):クラリネット・ソナタ Op.167
 ガブリエル・ピエルネ(1863-1937):クラリネットとピアノのためのカンツォネッタOp.19
 オネゲル(1892-1955):クラリネットとピアノのためのソナチネ H.42
 ジャン・フランセ(1912-1997):クラリネットとピアノのための主題と変奏
  ロナルド・ファン・スパーンドンク(Cl) アレクサンドル・タロー(P)
 録音:1996年4月/初発売:1997年?。旧品番:HMN-911596 ("Les Nouveaux Musiciens" シリーズ) 。1970年生まれ、ブイケンスとライスターに学び、1989年にブリュッセル王立音楽院をプルミエ・プリで卒業、数々のコンクールを総ナメにした名手スペンドンクの録音。ピアノは当時20歳代のアレクサンドル・タロー。なかでもフランセの作品は、フランセ本人が録音に立ち会い、手放しに二人を称賛したという。
HMA-1951597
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価格帯:F
ボッケリーニ:交響曲集
 第8番 イ長調Op.12 No.5 (G.508)/
 変ホ長調Op.35 No.5 (G.513)/
 第26番 ハ短調Op.41 (G.519)/
 第27番Op.42 (G.520)
ベルリン古楽アカデミー
シューマン:子供の情景/謝肉祭
シューマン(リスト編):時は春/春の夜/愛の歌
クララ・シューマン(リスト編):秘密があちこちで
ブリジット・アンジェレ(P)
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
17世紀イギリスの民謡とリュート・ソング
 〜ダウランド、カンピオン、他の作品
アンドレアス・ショル(CT)
アンドレアス・マルティン(リュート)
ローマ教会の聖歌〜復活祭の日曜日の晩課 マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1996年11月|旧品番: HMC-901604, HMA-1951604 〔ともに廃盤〕。 6世紀から13世紀にかけてのローマ教会聖歌を復元したもの。751年、現在のフランスからドイツにかけて大きな勢力を持っていたフランク王国の小ピピンは、政略としてローマ教皇に近づいた。この時ローマ教会の典礼がフランク王国にもたらされ、フランク王国の繁栄によって広まった。古い時代の音楽に情熱をかけるペレスの本領発揮で、グレゴリオ聖歌ともまた違った単旋律の敬虔な美しさが映えている。
J.S.バッハ:待降節カンタータ集
 〔 喜び勇みて羽ばたき昇れ」BWV 36 /いざ来ませ、異邦人の救い主よ BWV 61 /
  いざ来ませ、異邦人の救い主よ BWV 62 〕
 シビッラ・ルーベンス(S) サラ・コノリー(A)
 クリストフ・プレガルディエン(T) ペーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1996年11月。
HMC-801606
(HYBRID_SACD)
廃盤
ファリャ:
 バレエ音楽「三角帽子」/
 交響的印象「スペインの庭の夜」
ジョゼプ・コロム(P)
イトゥハロ・メントゥハカ(Ms)
ジュゼプ・ポンス指揮
グラナダo.
 録音:1996年11月、グラナダ・マヌエル・デ・ファリャ文化センター、スペイン。通常CD(HMC-901606)は廃盤となっている。
 鮮やかな色彩美と今にも弾けそうな生命力。ファリャの代表作を組み合わせた当アルバムは、すべてスペイン勢で固めた演奏陣の強みもあり、初出時に大いに話題を呼んだ。総勢60人の小編成オケによる切れ味が強烈。
HMA-1951607
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価格帯:F
クロード・ル・ジュヌ(1530頃-1600):
 ミサ・アド・プラチトゥム/
 モテトゥス〔主の天使らはみな主を祝福せよ/悲しみがわれを悩ましぬ〕
  マニフィカト、ドミニク・ヴィス&クレマン・ジャヌカン・アンサンブル
 録音:1996年4月。初出・前出・旧品番: HMC-901607〔当店未案内〕。 詩の韻律を重んじたフランスの作曲家ル・ジュヌの宗教作品集。宮廷楽長として活躍した後ユグノー教徒となって、そのための宗教作品も多く残した、クレマン・ジャヌカン・アンサンブルもしっとりとした情感満点の好演。鈍色の抒情が味わえる。
HMG-501608
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価格帯:F
ブラームス:ドイツ・レクイエム ジェラルド・フィンリー(Br)
クリスティーネ・エルツェ(S)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル、
コレギウム・ヴォカーレ、
シャンゼリゼo.
HMC-801608
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:1996年6月8日&9日、ストラヴィンスキー・ホール、モントルー、スイス。CDの旧品番:HMC-901608(廃盤)。
 ヘレヴェッヘの数ある名盤の中でも特に名高いドイツ・レクイエム。ヘレヴェッヘの奏でる音楽は、どこまでも自然で流麗。そして白くなめらかな陶器のようにはっとするほど美しいフレーズ運びで、聴く者の心に、静かで熱い感動を呼び起こす不思議な力に満ちている。このドイツ・レクイエムもそんなヘレヴェッヘの魅力が存分に発揮された名演奏。ハルモニア・ムンディ・レーベルのベスト・セラー。
 CDは2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMA-1951609
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価格帯:F
ストラヴィンスキー:
 組曲「プルチネッラ」(1949年版)/管弦楽のための組曲第1番/
 管弦楽のための組曲第2番/協奏曲「ダンバートン・オークス」
ジュゼプ・ポンス指揮
リウレ劇場室内o.
 録音:1996年6月。
 第一次世界大戦から第二次世界大戦までの間、ストラヴィンスキーが新古典主義を打ち出していた頃の作品集。「プルチネッラ」はペルゴレージなどイタリアのバロック音楽を素材に用いた軽妙な音楽。管弦楽のための組曲第1番はナポリターナ、エスパニョーラ、バラライカと地方色を取り入れ、第2番ではマーチ、ワルツ、ポルカ、ギャロップと身近な娯楽音楽を用いている。「ダンバートン・オークス」は、バロックの合奏協奏曲を強く意識したもの。いずれも楽しい作品である。ジュゼプ・ポンスが明るい開放感で爽やかな演奏を繰り広げている。
HMA-1951610
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価格帯:F
フランショーム:
 チェロと2挺のチェロのための作品集、室内楽曲集

  ロシアとスコットランドの主題による変奏曲Op.6/
  カプリス ニ長調Op.7-6/練習曲 ハ短調Op.35-11/
  練習曲 ハ短調Op.35-5/夜想曲 イ長調Op.15-3/
  夜想曲 ハ短調Op.15-1/カプリス ロ短調Op.7-9/
  カプリス ハ長調Op.7-7/カプリス ト短調Op.7-11/
  「告別の歌」による幻想曲Op.9/
  シューベルトの主題による幻想曲Op.39/
  ロシアの旋律による変奏曲第2番Op.32
ロエル・ディールティエンス
(Vc)指揮
アンサンブル・エクスプロラシオン
J.S.バッハ:「ロ短調ミサ」BWV232 ゾマー(S)
ジャンス(S)
ショル(CT)
プレガルディエン(T)
コーイ(B) 他
ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
HMA-1951616
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価格帯:F
ストラヴィンスキー:
 春の祭典(2台ピアノ版;作曲者編)(*)
ムソルグルキー:展覧会の絵(#)
アンドレイ・ヴィエル(P;*/#)
ダン・グリゴーレ(P;*)
 録音:1996年9月。旧品番:HMC-901616
 オーケストレーションの極限を追求したことで有名なロシアの2大傑作「展覧会の絵」と「春の祭典」をオリジナルのピアノ版で。ルーマニア出身で「リパッティの再来」と称される名人アンドレイ・ヴィエルが個性的ピアニズムを聴かせてくれる。4手用の「春の祭典」では同郷の大物ダン・グリゴーレが共演。オケにひけをとるどころか、オケにはできない壮絶な世界を描いていて、満足度100%。
HMX-2901618
(2CD)
廃盤
テレマン:歌劇「オルフェウス」 ドロテア・レシュマン:オラジア
ロマン・トレケル:オルフェウス
ルート・ツィーザク
 :エウリディーチェ
マリア・クリスティーナ・キール
 :イズメーネ
ヴェルナー・ギュラ
 :オイリメデス 他
ルネ・ヤーコプス指揮
ベルリン古楽アカデミー 他
 録音:1996年10月。テレマンのオペラの再評価を大いに進めた録音。
ヘレヴェッヘ〜モーツァルト:レクイエム(ジュスマイアー版) K.626 /キリエ K.341
 シビッラ・ルーベンス(S) アンネッテ・マルケルト(A)
 イアン・ボストリッジ(T) ハンノ・ミューラー=ブラハマン(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コンチェルト・ヴォカーレ、
 シャペル・ロワイヤル、シャンゼリゼo.
 録音:1996年10月9日-10日、イーゴリ・ストラヴィンスキー講堂、モントルー、スイス、ライヴ|旧品番: HMC-901620 , HMX-2961620〔すべて廃盤〕。 ピリオド楽器でのモーツァルト演奏に新生面を開いたもの。「一聴して特別な演奏だと気付かされる」、「録音のバランスも見事」(BBC Music Magazine)など、欧米でも絶賛された。
HMX-2901621
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価格帯:F
ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):
 マドリガーレ集
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
 デ・ヴェルトは人気の高かったマドリガール歌手・作曲家で、モンテヴェルディのマドリガーレに最も影響を与えた一人とされている。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
 #当盤は廃盤となっており、流通在庫限りのお取扱いです。バーコード部に傷があるカット盤での入荷となりますので、あらかじめご了承下さい。
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン
 聖ウルスラのラウデス
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:1996年11月18日-22日、シルヴァネ修道院|初出・旧品番: HMC-901626 中世ドイツの修道院長、神秘家、作曲家、薬草学者、詩人・・・様々な伝説を持つ聖女ヒルデガルト・フォン・ビンゲン。彼女は当時の典礼や習慣に沿って音楽作ったが、しかし、彼女について残されている様々な伝説や言い伝えは、その音楽を歴史的文脈から切り離してしまっているといえるだろう。アンサンブル・オルガヌムは、ベネディクト会系女子修道会の伝統に光を当て、さらに、12世紀当時彼女が人々に与えた様々なインスピレーションに思いを馳せるようなプログラムで彼女の作品を取り上げた。
HMA-1951627
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価格帯:F
カンシオーネスとエンサラーダス〜スペイン黄金時代の歌と器楽
 エンリケ・デ・バルデラバノ(1500-1557):クラロス伯爵の定旋律によるコントラプント
 マテオ・フレチャ(1481-1553):ラ・ボンバ/戦争
 フアン・バスケス(1510頃-1560):とび色の瞳/わたしは、かあさん、わたしは/わたしの不幸は理由がある/
                 わたしの優しい女あるじ/騎士よ、あなたはわたしを捨てようと/
                 恋を知った今になって/君なしにはもはや生きていたくもない男が/わが慰めの涙
 フアン・ブルディエウ(1520頃-1591):われらが聖母の7つの至福
 アロンソ・ムダラ(1510頃-1580):第4旋法のファンタシア/第5旋法のティエント/第1旋法のファンタシア

  クレマン・ジャヌカン・アンサンブル
   [ドミニク・ヴィス(CT) ブリュノ・ボテルフ(T) ヴァンサン・ブショ、フランソワ・フォシェ(Br)
    ルノー・ドレイグ(B) エリク・ベロク(リュート/G) マッシモ・モスカルド(リュート)
    マテュー・リュソン(ヴィオール) ジャン=マルク・エメ(ポシティフOrg)]
 録音:1997年1月/初発売:1998年。旧品番:HMC-901627〔国内盤:KKC-404〕(共に当店未案内、廃盤)。1998年度グラモフォン賞受賞盤。スペイン王カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)が即位した1516年から、息子のフィリペ2世が亡くなった1598年にかけての、スペイン・ルネサンス黄金期の音楽。
HMN-911628
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価格帯:F
シュニトケ:チェロ・ソナタ(1978)
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40/他
グザヴィエ・フィリップス(Vc)
フセイン・セルメット(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。
HMG-501629
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価格帯:F
ブクステフーデ:宗教カンタータ集 コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
[ヨハンナ・コスロフスキー、
 ケルスティン・ブルンス、
 ヘトヴィヒ・
  ヴェストホフ=ドゥプマン、
 エリーザベト・ポピエン、
 ゲルト・テュルク、
 ヴィルフリート・ヨッヘンス、
 シュテファン・シュレッケンベルガー]
 録音:1997年4月。旧品番:HMC-901629(廃盤;当店未案内)。
 待降節(クリスマス前の約1ヶ月)になると毎週行われていたアーベントムジーク(夕べの音楽)では、名オルガニストでもあったブクステフーデがオルガンを演奏、さらいここに(代理店表記ママ)収められているような比較的短いながら美しいカンタータも演奏されていたという。教会で一番忙しい時期のひとつであり、教会に仕える音楽家も様々なイベントのために作曲をしなければならなかったが、これらは一つ一つが宝石のような輝きを放つ名作ばかり。
ヤーコプス〜J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV.248
 ドロテア・レシュマン(S) アンドレアス・ショル(CT)
 ヴェルナー・ギューラ(T) クラウス・ヘーガー(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS 室内 cho.
 録音:1997年1月 / (C) 1997 。旧品番: HMC-901630/31(発売:1997年)〔国内仕様盤: KKCC-390/1 〕, HMX-2901630/31(発売:2004年) 〔以上廃盤、又は製造中止〕。 レコード芸術誌1997年12月号「特選」盤。『よろこばしさとたのしさに溢れたクリスマス・オラトリオだ』(畑中良輔)/『ヤーコプスの演出は巧みで、バッハの卓越した作劇術を深く洞察して、情景を映画的に彷彿とさせ、しかもその一方で聴き手を超越的な世界に引き入れる。このリアリズムと超越性の交差は、これまでになかった手法ではないか』(喜多尾道冬)。初出時大いに話題になった、ルネ・ヤーコプス指揮のクリスマス・オラトリオ。ヤーコプスはバッハの録音にはかなり慎重で、 HMF に録音したのはわずかだが、そのいずれもが、しなやかで生命間溢れる「動」のバッハとして高い評価を受けている。バッハの音楽を強烈に上から照射するのではなく、まるで聴き手も物語のなかに参加しているかのように思わせるリアルさを浮きあがらせ、深い領域まで巻き込んで行くような音楽。これほど聞きながら心温かな気持ちになれるバッハも珍しいであろう。
HMG-501632
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(2CD)
価格帯:F
ベルリオーズ:オラトリオ「キリストの幼時」Op.25〔ヘロデの夢/エジプトへの逃避/サイスへの到達〕
 ポール・アグニュー(T;語り手) ヴェロニク・ジャンス(S;マリア)
 オリヴィエ・ラルエット(Br;ヨゼフ/ポリュドルス)
 ロラン・ナウリ(B:ヘロデ) フレデリク・キャトン(B:家長)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ、
 シャペル・ロワイヤル、シャンゼリゼo.
 旧品番:HMC-901632/3, HMX-2901632, HMX-2971632ベルリオーズによる、キリストの幼時の壮大な音物語。神の御子という身分でありながら、馬小屋の飼い葉おけの中で産声をあげ、その後もヘロデ王の陰謀で命の危険にさらされるなど、穏やかではなかったキリストの幼いときの音楽描写はかなり激しく、時に崇高で、実に壮大な音絵巻物語となっている。
HMM-931634/35
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(2CD)
1.5CD価格
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全6曲) BWV.1046-1051
 マリオン・フェアブリュッヘン(トラヴェルソ) ラファエル・アルパーマン(Cemb)他
 ベルリン古楽アカデミー
 録音:1997年5月-10月。旧品番: HMC-901634 [HMC-901634/35], HMA-1951634 [HMA-1951634/35], HMG-501634/35 〔以上、すべて廃盤〕。
 意外にもHMFレーベル初の「ブランデンブルグ」全曲だったもの。ピリオド楽器でもベルリンはベルリン、と言わんばかりの、いぶし銀の光りを放つ演奏。
HMA-1951637
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価格帯:F
シューベルト:
  ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959/4つの即興曲 D.935
アラン・プラネス(P)
 録音:1997年5月。
 フランスのピアニスト、アラン・プラネスは、1990年代の後半にシューベルトの後期のピアノ・ソナタを集中して録音し、高い評価を得た。シューベルトの後期ピアノ・ソナタは規模が大きく、ピアニストにとっては至難の作品。この第20番も実に40分を超える大曲であり、こうなると単に弾きこなせるという程度ではない、見通しの良い説得力が必要となる。プラネスは、フランス人らしい知的で洗練されたピアニズムを駆使し、従来理解されづらかったシューベルトの後期ピアノ・ソナタから、明確な意志の魅力を引き出している。
HMA-1951638
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価格帯:F
ロシア正教会聖歌集
 ディミトリー・ボルトニャンスキー(1751-1825):
  あなたを讃えるにふさわしい/グローリア
 アルテミ・ヴェーデリ(1767-1806):悔悟の門よ私に開け
 グリゴリ・ルヴォフスキ(1830-1894):天使ケルビムの歌
 ガヴリル・ロマキネ(1812-1885):私たちはあなたに歌う
 アレクサンドル・アルカンジェルスキ(1846-1924):苦悩を収めよ
 アレクサンドル・グレチャニノフ(1864-1956):
  クレド/三位一体の栄光
 ニコライ・ケドロフ(1871-1940):われらが父
 ニコライ・ルビモフ(19世紀-20世紀):人は幸いなるかな
 ドブリ・クリストフ(1875-1941):
  天使ケルビムの歌/あなたの王国で/主の名を讃えよう/
  私たちはあなたに歌う/あなたを讃えるにふさわしい
 パヴェル・チェスノコフ(1877-1944):
  神よ、あなたの人々を救ってください
ワレーリー・ルイビン指揮
ルイビンcho.
 録音:1996年2月。
 長い伝統のあるロシア正教の音楽は、ともするとエキゾチックなものと思われがちだが、それは大昔の話。18世紀にイタリア留学から帰国したボルトニャンスキーが、ロシア伝統の旋律と最先端の音楽とを結び付けてから、ロシア正教の音楽は無伴奏合唱曲として独自の発展を遂げ、豊かな作品が多数書かれた。このCDには、19世紀から20世紀にかけて活躍した作曲家の優れた作品が収録されている。
HMA-1951639
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価格帯:F
ギィ〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 〔第29番 変ロ長調 Op.106「ハンマークラヴィーア」/
  第30番 ホ長調 Op.109 〕
フランソワ=フレデリク・
 ギィ(P)
 録音:1998年。初出・旧品番:HMN-911639〔 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ/廃盤〕。ギィ(1969-)活動初期の録音。後に ZIG ZAG へソナタ全集を録音しているが、これはもちろん別の録音。彼による音楽の原点の一つとも言えるアルバムを再びじっくり聴くチャンス。
HMA-1951642
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価格帯:F
フランク・ブラレイ〜
 R.シュトラウス:ピアノのための作品集

 5つの小品Op.3/ピアノ・ソナタ ロ短調Op.5/
 4つの「情緒ある風景」Op.9
フランク・ブラレイ(P)
 旧品番:HMC-901642。ここに収められているのは、R.シュトラウスが17-18歳の時に書いたピアノ作品。彼のオペラや交響詩を思わせる華麗な世界が、ピアノ1台に見事に集約されている。フランスのスター・ピアニスト、フランク・ブラレイの演奏は、うねるような官能と豊かな色彩を漂わせつつ、きわめて流麗にして端正。R.シュトラウスのピアノ作品に新たな光をあてた一枚といえるだろう。
J.S.バッハ:アルト・ソロのためのカンタータ集
  〔満ち足れる安らい、うれしき魂の悦びよ BWV.170 /罪に手むかうべし BWV.54 /霊と心は驚き惑う BWV.35 〕

 アンドレアス・ショル(CT) マルセル・ポンセール(Ob)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1997年7月|旧品番:HMC-901644 [(P) 1998], HMC-971644 [(P) 1998 (C) 2014] 〔ともに廃盤、入手不能〕。
HMN-911645
廃盤
運命よ、わがかたき〜ルネサンス期のリュート音楽 アンドレアス・マルタン(リュート)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。オデットの後継者と目されるマルタンのルネサンス・リュート曲集。
HMG-501647
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価格帯:F
ドビュッシー:フルートを伴う作品集
 フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ/シランクス/
 牧神の午後への前奏曲(サマズイユ編曲/フルートとピアノ版)/
 ビリティスの歌(ピエール・ブーレーズ補筆完成版)/
 シランクス(フルート&朗読オリジナル版)(*)
フィリップ・ベルノール(Fl)
ジェラール・コセ(Va)
イザベル・モレッティ(Hp)
アリアーヌ・ジャコブ(P)
イレーヌ・ジャコブ(語り;*)
 録音:1997年。旧品番:HMC-901647(当店未案内)。フィリップ・ベルノール〔国内のマスター・クラスなどでは、なぜか「フィリップ・ベルノルド」とドイツ語風?読みされていることが多い〕は、リヨン国立歌劇場の第一フルート奏者を務め、1987年にはピエール・ランパル・コンクールで優勝、しばしば来日している人気フルート奏者の一人。シャルル・ミュンシュの孫弟子にあたり、指揮者としても活躍している。
HMN-911648
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価格帯:F
シューベルト:歌曲集
 ミューズの息子/さすらい人/さすらい人の月に寄せる歌/
 夜の曲/ブルックの丘にて/山々に憩いあり/他
ミューラー=ブラッハマン(B−Br)
マルコム・マルティノー(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。
ヤーコプス〜A.スカルラッティ(1660-1725):
  オラトリオ「カイン、または最初の殺人」(6声|1707年)
 ベルナルダ・フィンク(A;カイン) グラシエラ・オッドーネ(S;アベル)
 ドロテア・レシュマン(S;エヴァ) リチャード・クロフト(T;アダム)
 アントニオ・アベーテ(B;悪魔の声)
 ルネ・ヤーコプス(CT;神の声)指揮ベルリン古楽アカデミー
 録音:1997年9月|初出・旧品番: HMC-901649/50 〔廃盤〕。カインに殺害されたアベルの物語は旧約聖書に登場、18世紀イタリアの芸術家たちが好んで題材にした。オラトリオ、となっているが実際はこの年代のヴェリズモ・オペラともいうべきもので、初演した場所も教会ではないと考えられている。作品冒頭に用意された、これだけでも大変素晴らしい3楽章からなる序曲に続き、息子を殺害されて嘆くアダムの美しいレチタティーヴォとアリア、神の声や悪魔までも登場する。レチタティーヴォでのリュートによる美しい通奏低音はユングヘーネルが担当。作品的にも演奏的にも聴きごたえ十分な名演。
HMG-501651
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価格帯:F
ドイツ・バロック・カンタータ集
 シュッツ:おおイエスよ、甘き御名よSWV.308
 フランツ・トゥンダー:
  ああ主よ、あなたの愛する天使たちに命じて
 J.C.バッハ:
  哀歌「ああ、私の頭に涙がたくさんあったなら」
 フランツ・トゥンダー:めでたし、イエスよ
 ジョヴァンニ・レグレンツィ:
  4つのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第5番
 ブクステフーデ:
  哀歌「どんな墜落がもたらす事のない物を、死が
   もたらさなければならないのか」BuxWv.76-2
 フィリップ・ハインリッヒ・エルレバッハ:
  おのが身を天に任せるものは
 シュッツ:
  おお主よ、私はあなたを心から愛するSWV.348
 ブクステフーデ:
  主に向かって喜びの声を上げよBuxWv.64
 イグナーツィオ・アルベルティーニ:
  ヴァイオリンと通奏低音のための
   ソナタ第4番 ハ短調
 シュッツ:どうなさったのですか
アンドレアス・ショル(CT)
コンチェルト・ディ・ヴィオーレ
バーゼル・コンソート
 旧品番:HMC-901651
 名実ともに世界一のカウンターテナー、アンドレアス・ショル。ドイツ人である彼による、母国のバロック作曲家たちのカンタータ・アリア集。一見渋いラインナップだが、ショルの清澄で深い歌声にうっとりとひらせてくれるものばかり。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMG-501652/53
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(2CD)
価格帯:F
シュッツ:ダヴィデの詩編歌集 SWV.22-47
 コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン、コンチェルト・パラティーノ
  [エリーザベト・ショル、アンネッテ・ラブシュ(S) エリザベート・ポピアン(A)
   ゲルト・テュルク、ヴィルフリート・ヨッヘンス、イェルン・リンデマン(T)
   シュテファン・シュレッケンベルガー、シュテファン・マクロード(B)]
 録音:1997年10月、聖オスダーク教会、ノイシュタット=マンデルスロー、ドイツ/初発売:1998年。旧品番:HMC-901652 [HMC-901652/53]。
HMC-901657
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(1CD)
3CD価格
ファリャ:歌劇「はかなき人生」
 インマクラダ・エギド(サルー) アントニオ・オルドニェス(パコ)
 マベル・ぺレルステイン(サルの祖母)他
 ジュゼプ・ポンス指揮グラナダ市立o.、バレンシアcho.
 録音:1997年12月、マヌエル・デ・ファリャ文化センター、グラナダ、スペイン/発売:1998年。2016年現在、当・初出盤以外の発売が無い演奏。
 #廃盤のため高額商品です。また、ストック品の入荷となりますので、外装等に少々の痛みが見られる可能性があります。
HMC-901658
廃盤
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ第21番D.960、即興曲集D.946
アラン・プラネス(P)
 プラネスによるシューベルト・アルバム第4弾。
J.S.バッハ:カンタータ集
 〔いと尊き御神よ、いつわれは死なん BWV 8 /平安と歓喜もて、われはいく BWV 125 /
  汝なにゆえにうなだるるや、わが心よ BWV 138 〕

 デボラ・ヨーク(S) インゲボルク・ダンツ(A)
 マーク・パドモア(T) ペーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1998年2月|初出・旧品番:HMC-901659 [(P) 1998, 2000] 〔廃盤、入手不能〕。
ガスパール・ル・ルー:2台のクラヴサンのための作品集 ミッツィ・マイヤーソン
(クラヴサン、タスカン1769年)
L.クロフォード
(クラヴサン、タスカン1783年)
HMC-901661/2
(2CD)
廃盤
シューマン:
 ゲーテの「ファウスト」からの場面
ウィリアム・ダズリー(ファウスト)
クリスティン・シグムントソン(メフィスト)
カミラ・ニルント(グレートヒェン)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.、
コレギウム・ヴォカーレ、
ラ・シャペル・ロワイヤル
 この曲はクララとの結婚による安定期に作曲が開始されたが、完成したのは約10年後、精神錯乱で指揮者の地位を去る1853年。難産の末に生まれたシューマンにとって最も文学的で哲学的、そして神秘的な作品。
モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」
 ヴェロニク・ジャンス(S;フィオルディリージ)
 ベルナルダ・フィンク(Ms;ドラベッラ)
 グラシエラ・オッドーネ(S;デスピーナ) ヴェルナー・ギュラ(T;フェランド)
 マルセル・ボーネ(Br;グリエルモ) ピエトロ・スパニョーリ(B;ドン・アルフォンゾ)
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルン、ケルン室内cho.
 録音:1998年3月。旧品番:HML-5901663HMX-2901663, HMX-2961663。従来の感傷過多的な作品観を一変させ、大いに話題を呼んだ演奏。しかし日本ではオペラ評論家がそのあまりの強烈さに恐れをなしてしまい、特選をとり逃してしまったといういわくつき。それだけ先進的な名演といえよう。
HMC-901666
廃盤
バッハ:
 ゴルトベルク変奏曲/
 アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳より
アンドレイ・ヴィエルー(P)
HMA-1951667
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価格帯:F
ハインリヒ・イグナツ・フォン・
 ビーバー(1644-1704):
  聖ヨゼフの連祷/聖ポリカルピのソナタ
ゲオルク・ムファット(1653-1704):
 ミサ・イン・ラボーレ・レクイエス より
 [キリエ/グローリア]
アントニオ・ベルターリ(1605-1669):
 13声のソナタ
ムファット:クレド
ビーバー:「宗教的・世俗的弦楽曲集」
       〜11声のソナタ
ムファット:サンクトゥス
ベルターリ:聖プラテーディのソナタ
ムファット:アニュス・デイ
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン、
コンチェルト・パラティーノ
 旧品番:HMC-901667。18世紀のザルツブルクでは、音楽に理解の深かったヒエロニュムス大司教が宗教音楽の創造を奨励しており、きわめて豪華な宗教曲が次々と生み出されていた。ここに収められているのはその中でもきわめて充実した作品で、ぜいたくな響きに満ちたものばかり。ザルツブルク大聖堂での当時の音楽を再現すべく、この録音は、バロックの至宝ともいわれるメルク修道院(オーストリー)で行われた。当然その響きは、繊細素朴とは正反対の豪壮華麗さで、音楽、演奏、音響のすべてが理想的に共生している。
HMA-1951668
廃盤
シューマン:「ばらの巡礼」Op.112 クリスティアーネ・エルツェ(S)
ビルギット・レンメルト(A)
ウェルナー・ギューラ(T)
ハンノ・
 ミューラー=ブラッハマン(B)
マーカス・クリード指揮
RIAS室内cho.
フィリップ・マイアーズ(Fp)
 録音:1998年5月。
HMG-501669
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価格帯:F
夜の歌〜シューベルト
 森の夜の歌 D.913 (*) /墓と月 D.893 /ゴンドラ漕ぎ D.809 /詩篇第23番「主はわが羊飼い」D.706 /
 昔を今に D.710 T /コロナッハ D.836 /夜の明り D.892 T /
 夜 D.983c /セレナード D.920 A /水上の精霊の歌 D.714 (*/#) /雷雨の中の神 D.985

  ヴェルナー・ギューラ(T T ) ビルギット・レンメルト(A A
  マルクス・クリード指揮 RIAS 室内 cho. フィリップ・マイヤーズ(Fp;+)
  シャウロン・アンサンブル[Hr;*, # /Va;# /Vc;# /Cb;# ]
 録音:1997年-1998年。使用楽器(+):ウィーンのヨハン・フリッツ、1825年頃製作〔エドウィン・ボインク・コレクション〕。初出・旧品番: HMC-901669『「夜」をテーマに選ばれた珠玉のシューベルト合唱(重唱・独唱と合唱のための作品も含む)集。いずれもシューベルトの独唱曲に勝るとも劣らない優れた作品が並びます。名曲「森の夜の歌」でのホルン・アンサンブルも見事。弦による美しい前奏で始まる名曲「水上の精霊の歌」は8パートによる男声合唱ですが、完璧なアンサンブルに圧倒されます。』
HMA-1951670
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価格帯:F
ブリテン:無伴奏チェロ組曲(全曲) ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
 録音:1998年3月。旧品番:HMN-911670( "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)。ジャン=ギアン・ケラスが初めてハルモニア・ムンディに登場した際の録音。ブリテンの無伴奏チェロ組曲は、名手ロストロポーヴィチのために書かれた作品。高い技術と音楽性が要求される難曲。今や押しも押されもせぬ実力と人気を誇るチェリストとなったケラスの若き日の鮮烈な演奏を聴くことが出来る。
HMA-1951671
廃盤
シベリウス:
 弦楽四重奏曲 ニ短調Op.56「親愛なる声」
ヴェルディ:弦楽四重奏曲 ホ短調
メロスSQ
HMA-1951672
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価格帯:F
宗教改革期フランスの詩篇とシャンソン集〜
 華麗なる替え歌の世界
(全27曲)
 レスカトール:詩篇第33番
  「目覚めなさい、信あつき者たち」
 ヴァレ:天ノ国ナル我ラガ父ヨ
 (原曲:リュートのための)
 他、アッペンツェラー、グディメル、ジャヌカン、
   セルトン、ブルジョワ、ラッスス、
   デュ・コーロワ、ル・ジュヌの作品
ドミニク・ヴィス(CT)指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 録音:1998年8月。旧品番:HMC-901672。16世紀初めに起こった宗教改革。これにより音楽も大きく形を変えた。当時作られた世俗曲と詩篇は、しっとりとしたものからお色気たっぷりのコミカル・ソングまで、実に様々。ヴィス率いるクレマン・ジャヌカン・アンサンブルの面々による当盤は、ジャヌカンからはあえて宗教曲を選んだり、途中でデュ・コーロワのリュートとオルガンの演奏曲を入れたりと選曲のうまさが光り、ランス宗教改革期の並居る天才たちの歌を生き生きと歌いきる。アルバムの80%は宗教曲だが少しもかしこまった感じはなく、楽しく刺激的に聴かせてくれる。
HMG-501674
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価格帯:F
セシル・ダル(Fl)〜ピアソラ
 タンゴの歴史/6つのタンゴ練習曲/タンゴ組曲第3番/5つの小品/忘却
  セシル・ダル(Fl) パブロ・マルケス(G)
  ジュアン・ジョセ・モサリーニ(バンドネオン)
 録音:1998年12月、ラジオ・フランス・スタジオ 103。旧品番:HMN-911674 ( "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ )。フランスの女流フルーティスト、セシル・ダル〔ダルー〕(1969-2011)は、ランパル、ニコレ、デボストらに学び、ダルムシュタット、ウィーンなどのさまざまな国際的コンクールに入賞してヨーロッパを中心に活躍、ブーレーズからも「ヴィルトゥオーゾ・フルート奏者であるとともに、完璧で洗練された音楽家である。繊細でよく練られたやり方で、彼女は自分の表現の幅を自在に操っている」と絶賛され、クルターク、デュサパン、レヴィナスなどの現代作品の初演も数多くこなしていたが、病のため2011年に41歳の若さで亡くなってしまった。このピアソラ・アルバムでは共演の2人共に、アルゼンチンのアーティストを起用している。
HMA-1951675
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価格帯:F
ビゼー:
 「アルルの女」組曲第1番/
 「アルルの女」組曲第2番/交響曲 ハ長調
ジュゼプ・ポンス指揮
グラナダ市o.
 録音:1999年2月。旧品番:HMC-901675HMX-2901675
 交響曲 ハ長調は、ビゼーが17歳の時に書いた作品。アルルの女も南仏の陽射しを思わせる明るい響きが魅力。スペインの天才、ジュゼプ・ポンス率いるグラナダ市o.が、色彩豊かに聴かせてくれる。初出時にも「適度に荒々しさを残した響きがかえって好ましい効果をあげている」と評された。
ヘレヴェッヘ第2回録音〜J.S.バッハ:マタイ受難曲
 イアン・ボストリッジ(T;福音史家) フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(B;イエス)
 シビッラ・ルーベンス(S) アンドレアス・ショル(CT)
 ヴェルナー・ギューラ(T) ディートリヒ・ヘンシェル(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1998年8月。ヘレヴェッヘの同曲第2回録音。 他出: HMC-5901676/78 (3CDs + CD-ROM + BOOK) 、HMC-951676/78 (3CDs + CD-ROM) 、HML-5908376/78 (3CDs) 〔以上、すべて廃盤〕。ヘレヴェッヘ不朽の名演。ボストリッジの福音史家をはじめ、アリアを歌うソリスト陣も超豪華で、ショルの「憐れみたまえ」のアリアは感涙物。ヴィオラ・ダ・ガンバのソロもピエルロが務めているなど、器楽陣も贅沢の極み。あらためて、この演奏のヘレヴェッヘの美音ぶりは圧倒的。しかし、美しいだけでなく、痛さや苦しさ、様々な感覚をおぼえさせる見事な演奏。
HMA-1951679
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価格帯:F
ピョートル・アンデルジェフスキ〜
 J.S.バッハ
(1685-1750):
  フランス組曲第5番 ト長調 BWV.816/
  パルティータ(フランス風序曲) ロ短調BWV.831
ピョートル・
 アンデルジェフスキ(P)
 録音:1998年8月/初発売:1999年。旧品番:HMN-911679("Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)。2001年に Virgin レーベルからデビュ−し看板アーティストとなったアンデルジェフスキ(1969-)のソロ・デビュー盤。ヴィクトリア・ムローヴァや姉ドロータ・アンデルシェフスカの伴奏者としてのみ知られていた彼が、独奏者として改めて評価される切掛けとなったディスク。
HMA-1951680
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価格帯:F
モンテヴェルディ:聖母マリアの涙〜独唱のためのモテット集
 クラウディオ・モンテヴェルディ(1567-1643):われ主に感謝せん(1650)
 ビアージョ・マリーニ(1587頃-1663):3声のシンフォニア(1655)
 クラウディオ・モンテヴェルディ:人々よ、馳せ来たれ(1625)/いと麗しき(1625)/
                 もろびと喜びの声をあげよ(1640)/聖母の嘆き(1640)
 コスタンツォ・アンテニャーティ(1549-1624):10声のリチェルカール(1608)
 クラウディオ・モンテヴェルディ:めでたし、天の女王(1624)/シオンの娘よ、喜べ(1629)
 ビアージョ・マリーニ:6声のシンフォニア(1655)
 クラウディオ・モンテヴェルディ:神がととのえたもう宴を見よ(1625)
 クラウディオ・メールラ(1533-1604): Toccata con minute
 クラウディオ・モンテヴェルディ:主を讃めたたえよ(1640)
  マリア・クリスティーナ・キール(S)
  ジャン・マルク=エメ(Org)指揮コンチェルト・ソアーヴェ
  [アレッサンドロ・チッコリーニ、パトリツィオ・フォカルディ(Vn)
   シルヴィ・モケ(バス・ヴィオール) マーラ・ガラッシ(Hp)
   マティアス・シュペーター(アーチリュート)]
 録音:1998年9月。旧品番:HMC-901680/HMX-2981680
 キールの初ソロ・アルバムだったもの。技術的にも超A級の難曲を、これまでのバロック歌手にはないしなやかさで歌いきる。
HMN-911681
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価格帯:F
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ Op.18(1887)
デイヴィッド・グリマル(Vn)
ジョルジュ・
 プリュデルマシェール(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。
HMG-501682
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価格帯:F
ルネサンスの哀歌〜預言者エレミアの哀歌
 ティブルツィオ・マッサイーノ(1550-1609):
  聖週間における預言者エレミアの哀歌
 ロバート・ホワイト(1538-1574):哀歌
 マルブリアヌス・デ・オルト(1460-1529):
  預言者エレミアの哀歌
 ラッスス:聖金曜日のためのエレミアの哀歌
パウル・ファン・ネーヴェル指揮
ウエルガス・アンサンブル
 旧品番:HMC-901682(廃盤)。カトリックの典礼音楽上最も重要なテクストである「哀歌」。かつては多くのパターンが存在し、自由に引用されていたが、1545年に始まったトレント会議でその形式が確立された。これはその当時書かれた4つの哀歌を集めたアルバム。同性愛の嫌疑で追放されたマッサイーノの耽美的な作品、ウエストミンスター大寺院聖歌隊楽長ホワイトのエリザベス朝時代の頂点ともいうべき豊麗なハーモニー、悪名高いボルジア家などに仕えたオルトの半音階的抑揚と不協和音による暗鬱な曲調、フランドルの巨匠ラッススの劇的なポリフォニー、などなどいずれ劣らぬ魅力的な作品ばかり。演奏は数々の名盤をSONYなどからリリースしてきたベルギーの名門ウェルガス・アンサンブル。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMG-501683
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価格帯:F
パーセル(1659-1695):歌劇「ディドとエネアス」
 リン・ドーソン(S;ディド) ローズマリー・ジョシュア(S;ベリンダ)
 ジェラルド・フィンリー(Br;エネアス) ドミニク・ヴィス(CT;第一の魔女)
 マリア・クリスティーナ・キール(S)他
 ルネ・ヤーコプス指揮エイジ・オブ・エンライトゥンメントo.、
 クレア・カレッジ・チャペルcho. ジョン・トール(Cemb)
 ナイジェル・ノース(テオルボ) ポーラ・シャトーヌフ(G)
 録音:1998年10月。国内盤でレコード芸術特選となった名盤。 旧品番: HMC-901683, HMX-2901683, HMX-2991683英国バロックのみならず、音楽史上の金字塔オペラのひとつ、「ディドーとエネアス」。ブリテンによる復活上演以来の伝統を見なおし、失われたギター・パートを復元、ヤーコプスが独自の監修を施した演奏。17世紀英国の劇場の活気と喧騒、当時の人々を驚かせたであろう美しい旋律など、ヤーコプスの演奏の見事さにはあらためて圧倒される。歌手陣も皆みな立ち回り。大詰めで瀕死のディドが歌う嘆きのアリア「私が土の中に横たえられる時」はこの作品中の白眉だが、リン・ドーソンは情感に流されることなく、切々と訴えかけ、ヴィスの魔女役はまさにはまり役。ヤーコプスの通奏低音の音作りも、歌を邪魔することは決してないものの、色彩豊か。色褪せることのない不朽の名演。
HMG-501684
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価格帯:F
ジョン・ブロウ(1649-1708):歌劇「ヴィーナスとアドニス」
               (王の愉しみのための仮面劇)(1681)
 ロースマリー・ジョシュア(S;ヴィーナス) ジェラルド・フィンリー(Br;アドニス)
 マリア・クリスティーナ・キール(S) クリストファー・ジョシー、
 ロビン・ブレイズ(CT) ジョン・ボウエン(T) ジョナサン・ブラウン(Br)
 ルネ・ヤーコプス指揮エイジ・オヴ・エンライトゥンメントo.、
 ティモシー・ブラウン合唱指揮クレア・カレッジ・シャペル X cho.
 録音:1998年10月。旧品番:HMC-901684(廃盤)。
 弟子のパーセルが比較的気軽に世俗曲を書いたのに対し、師のブロウは典礼音楽やオルガン作品に執心した。そんな彼が国王チャールズ2世のために書いた唯一のオペラ作品(この時代に英国で書かれたオペラとしても稀少)。国王と彼の妾の子を出演させるため、内容は多少学芸じみた仮面劇ながら、小規模な作品の中にフランスやイタリアの優雅さとイギリスの抒情を盛りこみ、パーセルの「ディドーとエネアス」に匹敵する傑作となっている。指揮はヤーコプス。歌手陣も豪華。
アンドレアス・ショル、オンブラ・マイ・フ〜
  ヘンデル:アリア、レチタティーヴォ、名場面と管弦楽集

 歌劇「テッサリアの王アドメート」より〔序曲/亡霊たちのバレー/レチタティーヴォ〜「閉じよわが瞳」〕/
 歌劇「セルセ」より〔シンフォニア/オンブラ・マイ・フ(懐かしい緑の木陰よ)〕/
 歌劇「ジュリアス・シーザー」より
  〔アリア「美しく花咲く牧場で」/ジグ/アリア「静かに秘かに獲物を狙う狩人は」〕/
 ラダミストからの器楽組曲〔パッサカリア/ジグ/パスピエ/リゴードン〕/
 歌劇「ロンゴバルドの女王ロデリンダ」より
  〔シンフォニア=アリア「あなたは何処」/シンフォニア/混乱は彼女を捉える〕/」(CD)
 歌劇「アルチーナ」〜アリア「緑の牧場」/合奏協奏曲 ハ長調「アレグサンダーの饗宴」

 アンドレアス・ショル(CT) ベルリン古楽アカデミー
 録音:1998年10月|旧品番: HMC-901685, HMX-2901685 〔ともに廃盤、入手不能〕。アンドレアス・ショルのアリア集と、ベルリン古楽アカデミーの管弦楽曲集という2つの要素を楽しめるヘンデルのアルバム。アリアと序曲、組曲を効果的に組み合わせ、あたかも始めからそういう曲であったかのようにさえ思わせる巧みな楽曲構成。そしてこの録音期に絶頂期を迎えていた最高のカウンター・テナー、ショルによる歌声と、名手ぞろいのベルリン古楽アカデミーによる極上の音楽もたっぷり楽しめる。
HMG-501686
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価格帯:F
シュッツ:イタリア語のマドリガル集 第1巻 SWV 1-19 (1611、ヴェネツィア刊)
 コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン
 録音:1998年、聖オスターク教会、マンデルスロー、ノイシュタット=アム・リューベンベルゲ、ニーダーザクセン州、ドイツ。旧品番:HMC-901686世界的なリュート奏者であり、最近では指揮活動に入れているユングヘーネル。とくに手兵カントゥス・ケルンとともに作り出すドイツ独特の厳格で誠実な演奏は常に高い水準を誇る。当盤はシュッツがまだ20代の頃、ヴェネツィアでG.ガブリエーリに心酔し、モンテヴェルディやマレンツィオ、ジェズアルドらの高度なポリフォニー芸術に深く影響された頃のもの。シュッツによる宗教曲以外の作品も珍しく、イタリア音楽に感化されたこのドイツの若き天才が、どのようなマドリガル作品を残したか非常に興味深い。
HMA-1951687
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
 メラニー・ダイナー(S) ペトラ・ラング(A) エンドリク・ヴォトリヒ(T)
 ディートリヒ・ヘンシェル(B) フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
 シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ、シャンゼリゼo.
 録音:1998年10月、ライヴ。ピリオド楽器使用。旧品番:HMC-901687ベーレンライター新版のスコアを用いたヘレヴェッヘの「第9」。個性的な演奏で発売当初話題になった。声楽陣の純度の高い美しい歌唱と合唱の充実した響きも特筆すべきものがある。
HMA-1951688
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価格帯:F
失われた響きをもとめて・・・
 G.ガブリエリ:オルガンを含む合奏による
  ソナタとカンツォーナ集

 第9旋法による8声のカンツォーナ(*)
 7声によるカンツォーナ第5番(#)
 第1旋法による10声のカンツォーナ(*)
 第9旋法による12声のカンツォーナ(*)
 8声によるカンツォーナ第8番(#)
 8声によるカンツォーナ第10番(#)
 Ricercar del primo tono
 第12旋法による10声のカンツォーナ
 第2カンツォーナ(6曲のカンツォーナより)
 エコー効果の第12旋法による
  10声のカンツォーナ(*)
 第7旋法による8声のカンツォーナ(*)
 7声によるカンツォーナ第6番(#)
 第12旋法による10声のカンツォーナ(*)
 8声によるカンツォーナ第9番(#)
 第8旋法による12声のカンツォーナ(*)
 8声によるカンツォーナ第12番
 10声によるカンツォーナ第14番
 12声によるカンツォーナ第16番
  (*)サクラ・シンフォニア集第1巻(1597)より
  (#)カンツォーナとソナタ(1615)より
ブルース・ディッキー、
シャルル・トゥト(Org)
コンチェルト・パラティーノ
 録音:2000年。旧品番:HMC-901688
 ガブリエリの有名なソナタやカンツォーナを、ヴェネツィアのサン・マルコ教会で演奏されていた当時の姿で再構築しようとするすべての試みは、あるひとつの大きな理由によって阻まれてきた。その理由とは、ガブリエリの死後、当時教会にあった、ふたつのバシリカ風オルガンがなくなってしまったということ。このCDは、当時の2台のオルガンによるステレオ効果を得るために、ボローニャにある聖ペトロニオ教会で演奏、録音されている。この教会には、ガブリエリが楽長を務めていた当時のサン・マルコ教会と同様、2台のオルガンが配置されている。
ヘンデル:ドイツ・アリア集
 [先なる日々の思い煩い/燃えるばら、大地の飾り/
  私の魂は見つつ、聞く/快い茂みの中に」/他(全9曲)]
 テレマン:
  フルート、ヴァイオリン、チェロと
   通奏低音のための四重奏曲集/
  フルート、オーボエ、ヴァイオリンと
   通奏低音のための四重奏曲集
ドロテア・レーシュマン(S)
ベルリン古楽アカデミー
 録音:1998年12月。デジパック仕様。
HMC-901690
廃盤
J.S.バッハ:カンタータ集
 [第29番「神よ、われら汝に感謝す」BWV.29/
  第119番「イェルサレムよ、主をたたえよ」BWV.119/
  第120番「神よ、人は汝をひそかにたたう」BWV.120]
デボラ・ヨーク(S)
インゲボルク・ダンツ(A)
マーク・パドモア(T)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 1723年にライプツィヒ市の音楽監督として赴任したバッハが、在任前半に市参事会員選挙用に書いたカンタータ。敬虔な都市として有名なライプツィヒの面目を施す、神の栄光に満ちあふれた曲調。
HMN-911691
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価格帯:F
モーツァルト:クラリネット五重奏曲
ブラームス:クラリネット五重奏曲
ミゲル・ポアレッサンドロ・
 カルボナーレ(Cl)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。カルボナーレは数々のコンクールで優勝、入賞を繰り返しており、発売当時はフランス国立o.の首席奏者。
HMA-1951692
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価格帯:F
グザヴィエ・ドゥ・メストレ〜
 アンリエット・ルニエ(1875-1956):作品集

 伝説(1901)/いたずらな小妖精の踊り(1911)/
 瞑想(1898)/交響的作品(1913)/
 ハープ、ヴァイオリンとチェロのためのトリオ/
 幻想的バラード
グザヴィエ・
 ドゥ・メストレ(Hp)
インゴルフ・トゥルバン(Vn)
ウェン・シン・ヤン(Vc)
 録音:1999年。旧品番:HMN-911692
 グザヴィエ・ド・メストレ(1973-)はトゥーロンに生まれたウィーン・フィルのソロ・ハーピスト。また、ソリストとして世界の名だたるオーケストラとも多数共演、来日公演も多く、今もっとも輝いているハープ奏者の一人。ここに収められているのは、フランスの女性ハープ奏者にして作曲家、ルニエの作品。彼女は11歳で音楽院首席の座を獲得。和声、そして作曲のクラスへの参加を認められた初めての女性。最終トラックの幻想的バラードは、エドガー・アラン=ポーの不気味な物語「告げ口心臓」を音画化したもので、ハープのあらゆる楽曲のなかで最も難曲とされているもの。メストレが豊かな語り口と確かなテクニックで聴かせる。また、名手トゥルバンがひょっこりと顔を出している。
ロッシーニ:スターバト・マーテル クラシミラ・ストヤノヴァ(S)
ペトラ・ラング(Ms)
ブルース・フォウラー(T)
ダニエル・ボロフスキ(B)
マルクス・クリード指揮
ベルリン古楽アカデミー
RIAS室内cho.
 ピリオド楽器による初めてのロッシーニ「スターバト・マーテル」。のりに乗っているベルリン古楽アカデミーが作品の劇性をさらに高め、声楽陣も引き締まったバランスのよさを感じさせる。
HMX-2951693
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価格帯:F
ロッシーニ:スターバト・マーテル
 導入唱「悲しみに沈める聖母は涙にむせびて」
 アリア「嘆き憂い悲しめるその御魂は」
 二重唱「たれか涙を注がざる者あらん?」
 アリア「人々の罪のため」/「慈しみの泉なる御母よ」
 四重唱「ああ聖母よ」
 カヴァティーナ「その御傷を深くしのばしめ給え」
 アリアと合唱「審判の日にわれをまもり給え」
 四重唱「肉親は死して朽つるとも」
 終曲「アーメン、とこしえにわたり」
クラシミラ・ストヤノヴァ(S)
ペトラ・ラング(Ms)
ブルース・フォウラー(T)
ダニエル・ボロフスキ(B)
マルクス・クリード指揮
ベルリン古楽アカデミー
RIAS室内cho.
 録音:1999年3月、ベルリン・コンツェルトハウス。旧品番:HMC-901693HMC-2981693。2007年 musique d 'abord カタログ付。
 1842年、ロッシーニが50歳の時に書かれた宗教作品。神への祈り、キリストの受難を嘆き悲しむ聖母マリアの悲しみへの同情が純粋な音の結晶となって聴く者の心に響く。ピリオド楽器による初めてのロッシーニ「スターバト・マーテル」だったもので、ベルリン古楽アカデミーが作品の劇性をさらに高め、声楽陣も引き締まったバランスのよさを感じさせる。今回から当カタログ付きは HMX 記号となったので、初回限定プレスと思われる。是非お早めに。
J.S.バッハ:カンタータ集
 [第4番/第106番/第196番/第12番]
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
HMC-801694
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 バッハの若い頃のカンタータのみを取り上げたアルバム。少数精鋭で織り成すその濃厚な味わいは、BCJとは正反対のもの。
ドビュッシー:前奏曲集第1巻&第2巻 アラン・プラネス(P)
 ソロ活動の傍らアンサンブル・アンテルコンタンポランのなかでソリストを務めるなど、卓越したテクニックと透徹した感性でピアノ界に独自の地位を築きつつあるプラネス。 1897年製ベヒシュタイン・ピアノ使用。ベヒシュタインはドイツ製ながら独特の木目細かい柔らかさと深みのある音色を持つ。
マルチェッロ:詩篇集
 [第10番/第40番/第3番/第47番/第44番]
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
 録音:1999年5月。マルチェッロは当時のヴェネチアでヴィヴァルディの好敵手だっただけあって、曲の美しさは極上。
シューベルト:
 ピアノソナタ第18番「幻想」/楽興の時
アラン・プラネス(P)
 録音:1999年5月。
HMG-501698
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価格帯:F
マグダラのマリアの歌
 アニェレッティ:グローリア
 ルイジ・ロッシ:マグダラのマリアの嘆き
 フレスコバルディ:
  どちらに消え去ったのだろう/
  ハープによるトッカータとカンツォーナ/
  十字架の下に悲しめるマグダラのマリア
 ミケランジェロ・ロッシ:
  チェンバロのためのトッカータ第7番
 グラツィアーニ:モテット「主は我が光」
 マッツォッキ:それでは主よあなたはどこに/
         マグダラのマリアは再び泣いた/
         キリストの死についての考え
 ベルナベイ:ああ私はみすぼらしく不幸だ
 フェルラーリ:これらの鋭いとげは
マリア・クリスティーナ・
 キール(S)
ジャン=マルク・エーメ指揮
コンチェルト・ソアーヴェ
 録音:1999年5月。旧品番:HMC-901698(廃盤)。
 マグダラのマリアは、聖書に様々な重要エピソードがあり、イエスの復活を最初に目の当たりにした人物でもあることから、聖書の中でも特別な存在の女性。彼女はまたキリストの磔刑も見守っており、ここに収められているのはそのときの彼女の嘆き。どの楽曲も、厳密な対位法ではなく、歌詞の表出性、表現性を重視して書かれているため、マリアの心の嘆きが痛いほど伝わって来る。キールのまっすぐな歌声が直接心に響き、打たれる。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMG-501700
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価格帯:F
ギヨーム・デュファイ(1400頃-1474):「イソリズムによるモテトゥス」 全曲
 〔喜べ、ビザンツ帝国の妃/おお、聖セバスティアヌスよ/おお、輝きわたる宝石/誉れある使徒に/
  偉大なるヤコブを我ら正しく称えん/戦う教会/バルサムと上品なる蝋が人には平和が最高のもの/バラの花が先ごろ/
  めでたし、トスカナ人の花/度量ある人々の称賛を/神の教会の輝ける星/キリストとともにヨハネが〕

 パウル・ファン・ネーヴェル指揮ウエルガスEns.
 録音:1999年7月。旧品番:HMC-901700全曲はこれが初録音だったもの。デュファイのファンには待ち望まれていた「イソリズムによるモテトゥス」の全曲。抜粋としてはヒリヤードやプロカンによる演奏があったものの、当盤はベテランならではのバランスよく美しいアンサンブルが、音楽をさらに際だたせている。
HMN-911701
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価格帯:F
ラヴェル:ツィガーヌ/ヴァイオリン・ソナタ
シュニトケ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
シマノフスキ:夜想曲とタランテラ
グラーフ・モウリャ(Vn)
エレーナ・ロザノヴァ(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。1973年ウクライナ生まれでハンガリーの音楽一族の血を弾くモウリャ。ジプシー的性格を持つ曲を得意としているのは、血のなせる業か。
HMA-1951703
廃盤
バッハ以前のドイツ・カンタータ集
 フランツ・トゥンダー(1614-1667):
  主はわが光/汝の怒りをひるがえし/
  われらが神は堅き砦
 ヨハン・クーナウ(1660-1722):
  神よ、あなたの恵みによって
 ニコラウス・ブルーンス(1665-1697):
  私は横になり眠る
 クリストフ・グラウプナー(1683-1760):
  主よ、水の流れが生じ
デボラ・ヨーク、
スーザン・ハミルトン(S)
ダニエル・テイラー(CT)
ヤン・コボウ、
ブノワ・アレ(T)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1999年9月。旧品番:HMC-901703(廃盤)。1650年代(シュッツの死後)から1710年代(バッハが本格的にカンタータを作曲するようになる前)にかけて書かれたカンタータ集。この時期のカンタータは、演奏者、そして研究者たちからも忘れ去られてしまいがちだった。クーナウ(バッハの前任としてライプツィヒの聖トーマス教会に仕えていた)をはじめとするドイツの作曲家たちによるこれらのカンタータは、どの作品も新鮮な響きと美しさに満ちた、珠玉の作品ばかり。
メンデルスゾーン:宗教的合唱曲集
 詩篇100番 全地よ主に向かいて喜びの声をあげよ
 詩篇2番 Op.78-1/詩篇43番 Op.78-2
 詩篇22番 Op.78-3
 われら人生の半ばにありて Op.23-3
 主よ、今こそあなたは、このしもべを Op.69-1
 わが魂は主をあがめ
 ミサ・ブレヴィス
 (キリエ・エレイソン/天なる神に栄光あれ/聖なるかな)
 主よ、われらの願いに慈悲をたれたまえ
マーカス・クリード指揮
RIAS室内cho.
 録音:1999年9月、ベルリン=ダーレム、イエス・キリスト教会。ルネサンスからバロックにかけての教会音楽を研究して作曲に反映させたメンデルスゾーンの清澄な合唱曲。
HMA-1951705
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価格帯:F
クリストフ・デマンツィウス(1567-1643):
 聖霊降臨祭の晩課(1602年、ニュルンベルク刊)/
 哀悼歌集(1620年、フライベルク刊)
パウル・ファン・ネーヴェル指揮
ウエルガス・アンサンブル
 録音:1999年9月、ベルギー。旧品番:HMC-901705
HMA-1951706
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価格帯:F
ジョヴァンニ・ロヴェッタ(1595頃-1668):
 ルイ14世の誕生を祝うヴェネツィアの晩課
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
 録音:2000年6月。旧品番:HMC-901706
 1638年、ヴェネツィア駐在フランス大使は、王位継承者の誕生を世に高らかに知らしめ盛大に祝うため、「もっとも荘厳で、洗練された音楽を」と依頼した。このとき生まれたのが、後に4才で即位した「太陽王」ルイ14世なのだが、ヴェネツィアに当時ひしめいていた音楽家たちの中で、作曲者と楽団の指揮者として白羽の矢がたったのが、ジョヴァンニ・ロヴェッタだった。ロヴェッタは、巨匠モンテヴェルディの右腕として働き、間もなく彼の後継者となってヴェネツィア、サン・マルコ寺院の楽長に就任した人物。バロックの協奏曲のもつ劇的表現の可能性を究極のかたちで提示することに成功している。
HMA-1951707
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価格帯:F
セリーヌ・フリッシュ〜J.S.バッハ
 平均律クラヴィーア曲集第2巻〜前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.870 /
 フランス組曲第5番 ト長調 BWV.816 /組曲 イ短調 BWV.818a /
 トッカータ ニ長調 BWV.912 /イギリス組曲第3番 ト短調 BWV.808
  セリーヌ・フリッシュ(Cemb)
 録音:1999年11月/発売:2000年。初出・前出・旧品番:HMN-911707 ( "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)。使用楽器:アントニー・シデイ製作。2014年現在、人気古楽団体カフェ・ツィンマーマンのチェンバリストとしてお馴染みのセリーヌ・フリッシュ、意外?な事にまだ20代半ば、ヴァイオリニストのパブロ・ヴァレッティと共にカフェ・ツィンマーマンを結成した直後の当盤がデビュー録音。新鮮な演奏によって一部では大いに話題になったものの、まだフリッシュが無名同然だったためほどなくして廃盤。彼女の名が知られるようになった頃には入手の難しい幻の名盤になっていた。フランス風の軽く透明感のある音色の演奏で、これは ト長調の明るいフランス組曲第5番で存分に効果を発揮している。かと思えば鮮やかな指捌きで切れ味鋭い音楽を奏でたり(BWV818aのフォル・ゲのカッコイイこと!)、弾むリズムで生き生きとした舞曲を鳴らしたり(イギリス組曲第3番のガヴォット)、思い切った攻めで瞠目させたり(トッカータのアダージョ)、などアプローチが自在で新鮮なのが大きな魅力。もちろん曲によっては憂いや情感もたっぷり。どの曲からも若い才能の瑞々しい感性が伝わってくる。
HMA-1951708
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価格帯:F
シューベルト:
 歌曲集「美しき水車小屋の娘」D.795
ヴェルナー・ギューラ(T)
ヤン・シュルツ(P)
 録音:1999年10月。使用楽器:ベヒシュタイン。旧品番:HMC-901708
 清澄な歌声を持つギューラにぴったりな「水車屋」。美しいドイツ語、瑞々しい音楽性、実に見事。
ドヴォルジャーク:
 弦楽四重奏曲第14番 Op.105/第13番 Op.106
メロスQ
 録音:1999年11月、ベルリン、オーベルシェーネヴァイデ・キリスト教会。
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMA-1951710
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価格帯:F
20世紀のフルート作品集
 ブーレーズ:フルートとピアノのためのソナチネ
 メシアン:黒つぐみ
 ジョリヴェ:5つの呪文
 デュティユー:フルートとピアノのためのソナチネ
 ヴァレーズ:質量21.5
フィリップ・ベルノール(Fl)
アレクサンドル・タロー(P)
 録音:2000年。旧品番:HMC-901710(当店未案内)。
 今やフルートのみならず、フラウト・トラヴェルソ奏者、そして教育者としても世界中で広く知られるフィリップ・ベルノールによる20世紀音楽集。20世紀は、フルートが大きく変化を遂げた世紀だったといえるだろう。20世紀初頭、ドビュッシー作の「牧神の午後への前奏曲」は、フルートという楽器のもつ音色の色彩の豊かさを人々に気付かせた。1936年、ヴァレーズの「質量21.5」と、ジョリヴェの「5つの呪文」で、激しく上下に揺れる音型、たたきつけるような奏法など、フルートの表現性はさらに追及される。その後多くの作曲家がフルートに魅了され、独創性に富んだ作品が多く書かれてきた。誕生から100年も経たずして既にレパートリーとして定着している名作を存分に愉しむことができる1枚。フランスの人気ピアニスト、タローによる硬質な音色による切れ味鋭い伴奏にも注目。
HMG-501711
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価格帯:F
C.P.E.バッハ(1714-1788):
 チェンバロ協奏曲 ハ長調Wq.20(*)/
 チェロ協奏曲 イ短調Wq.170(+)/
 シンフォニア
  [ト長調Wq.173/ホ短調Wq.178/ホ長調Wq.179]
ラファエル・
 アルバーマン(Cemb;*)
ペーター・ブルンス(Vc;+)
ベルリン古楽アカデミー
 旧品番:HMC-901711(廃盤)。
 大バッハの次男エマヌエルはベルリンとハンブルクを中心に活躍、その情緒と感情あふれる作風はハイドンやモーツァルトに大きな影響を与えた。ベルリン古楽アカデミーにとって絶好のレパートリーであり、輸入元によればシンフォニアがかなりかっこいい演奏とのこと。Opus111に録音のあったブルンスのチェロにも注目したい。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMA-1951712
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価格帯:F
J.S.バッハ:
 ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ集

 ト長調 BWV.1027/ニ長調 BWV.1028/ト短調 BWV.1029/
 ト長調 BWV.1019
  (原曲:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ)
フアン・マヌエル・キンターナ
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
セリーヌ・フリッシュ(Cemb)
 録音:2000年2月。旧品番:HMC-901712。
 ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロという二つの対照的な個性の楽器が様々な役割を担い合うことで、多様な音楽表現を見せる作品。キンターナの堅実なヴィオラ・ダ・ガンバと、セリーヌ・フリッシュの闊達なチェンバロが好対照。
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ第17(19)番 ニ長調 D850(Op.53)
 ピアノ・ソナタ第13(15)番イ長調 D664(遺作)
アラン・プラネス(P)
 録音:2000年2月、パリ、IRCAM。シューベルトの実りの年といわれる1825年に作曲された2曲。
HMM-931714/16
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(3CD)
2CD価格
ラインハルト・カイザー(1674-1739):歌劇「クロイソス」全曲
 ドロテア・レッシュマン(S;エルミーラ) ヴェルナー・ギューラ(T;アティス)
 ロマン・トレケル(Br;クロイソス) クラウス・ヘーガー(B;オルサネス)
 ヨハネス・マンノフ(Br;ツィールス) マルクス・シェーファー(T;エリアテス)
 サロメ・アレル(S;クレリダ) ユン・クヮンチュル(B;ソロン)他
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、 RIAS 室内cho./他
 録音:2000年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン|初出・旧品番:HMC-901714/16カイザーは18世紀初頭のドイツにおいてもっとも高名なオペラ作曲家であったが、イタリア・オペラ全盛の時代にあって、ドイツ語によるオペラを推進し、成功を収めた。「クロイソス」は彼が晩年に大幅改訂した作品で、ほとんど最後のオペラといってもよい。内容は、実在したリュディアの王で伝説的大金持ちであるクロイソスが、ペルシャの王キュロスに打ち負かされるが、最後には許されハッピーエンド、というもの。ヤーコプスは1992年からベルリン国立歌劇場の芸術顧問を務めており、このオペラを1999年に上演した。
HMN-911717
廃盤
ドビュッシー:
 版画/映像 第1集/映像 第2集/
 マスク/スケッチ帳より/喜びの島
セドリック・ティベルギアン(P)
HMY-2921718/20
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(3CD)
2CD価格
ユングヘーネル〜モンテヴェルディ倫理的、宗教的な森(完全版)
 コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン、コンチェルト・パラティーノ
 録音:2000年9月。 初出&旧品盤:HMC-901718/20 [HMC-901718] 。 スリム・クラムシェルボックス仕様、CD はスリーブケースに収納、ブックレットはトラック情報、解説(英独仏語)のみで、リブレットは無し。 「聖母マリアの夕べの祈り」と並ぶモンテヴェルディによる宗教作品の代表作。当時楽長の任にあったヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の礼拝のために作曲された全40曲のモテットとミサを収めた大規模な曲集。ユングヘーネル率いるカントゥス・ケルンのやわらかくも厳粛な歌声に、コンチェルト・パラティーノによる管の音色が荘厳さを与えている、稀有な名演。
HMG-501721
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価格帯:F
アラン・プラネス〜ショパン
 24の前奏曲 Op.28/4つのマズルカ Op.41/
 ノクターン 嬰ハ短調(遺作)(オリジナル稿)/
 子守歌 Op.57/舟歌 Op.60
アラン・プラネス(P)
 録音:2000年3月。使用楽器:ニューヨーク・スタインウェイ、1906年製。旧品番:HMC-901721
 国内代理店が、旧盤発売時には「軽く繊細な音色」、今回は「骨太で色々な表情を含む響き」と書いた1906年製楽器が特徴の一枚。
HMA-1951722
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価格帯:F
アレッサンドロ・カルボナーレ〜オペラ座のクラリネット
 マスカーニ/カルロ・デッラ・ジャコマ(1858-1929)編曲:「カヴァレリア・ルスティカーナ」幻想曲
 ロッシーニ/ジローラモ・サリエーリ(1794-1838)編曲:「エドゥアルドとクリスティーナ」による導入・主題と変奏曲
 プッチーニ/カルロ・デッラ・ジャコマ編曲:「トスカ」幻想曲
 ベッリーニ/ルイージ・バッシ(1833-1871)編曲:「夢遊病の女」
 ヴェルディ/ルイージ・バッシ編曲:協奏幻想曲「リゴレット」

  アレッサンドロ・カルボナーレ(Cl) アンドレア・ディンド(P)
 録音:2000年3月-4月、スタジオ103、メゾン・ド・ラジオ・フランス/初発売:2001年。旧品番:HMC-901722〔国内仕様盤:KKCC-460/共に廃盤〕 。カルボナーレは1967年、イタリア、デゼンツァーノ(ヴェネツィア近郊)生まれ。アバドとのバセット・クラリネットを使用したモーツァルトの協奏曲録音でも知られ、リヨン歌劇場管弦楽団、イタリア人としては異例のフランス国立管弦楽団首席を経て、2003年より2013年現在まで、ローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の首席奏者を務めている。この録音はフランス国立管時代のもの。恐るべき超絶技巧と豊かな歌心が要求される曲目だが、余人には真似できぬ余裕の名演を繰り広げている。
シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 〔第7番変ホ長調 Op.122 D.568 /
  第16番イ短調 Op.42 D.845 〕
アラン・プラネス(P)
HMG-501724
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価格帯:F
ロッシーニ(1792-1868):小ミサ・ソレムニス(1864)
 クラッシミラ・ストヤノヴァ(S) ビルギット・レンメルト(A)
 スティーヴ・ダヴィスリム(T) ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(B)
 マルクス・クリード指揮 RIAS 室内cho.
 フィリップ・メイヤーズ、フィリップ・モル(P) 諸岡涼子(ハルモニウム)
 録音:2000年5月、イエス・キリスト教会、ベルリン|ピリオド楽器使用による世界初録音|旧品番: HMC-901724, HMX-2901724
HMG-501725
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価格帯:F
A.スカルラッティ:カンタータ集
 「美しき花々の母」
 「オルフェオはそれを知って」
 「愛する胸に飛び込んで」
マリア・クリスティーナ・
 キール(S)
ジャン=マルク・エメ指揮
コンチェルト・ソアーヴェ
 録音:2000年5月-6月。旧品番:HMC-90725(廃盤)。
 神話の登場人物である恋人たちが、運命によって引き裂かれてしまう悲しみを歌った作品を、深く語るようなキールの歌声でしみじみと。コンチェルト・ソアーヴェによる伴奏も哀しげで美しい。
HMX-2901726
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価格帯:F
ザ・ヴォイス―アンドレアス・ショル ベスト
 J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 から、
          マタイ受難曲 から
 ヘンデル:オラトリオ「メサイア」から、
       オペラ「セルセ」から
 ヴィヴァルディ:
  スターバト・マーテル から、
  カンタータ「やめてくれ、もうやめてくれ」
 カルダーラ:
  オラトリオ「キリストの足元のマッダレーナ」から
 ブクステフーデ:
  カンタータ「全地よ、主をほめたたえよ」
 バロック期ドイツの声楽曲から/民謡集から
アンドレアス・ショル(CT)
フィリップ・ヘレヴェッヘ、
ウィリアム・クリスティー、
ルネ・ヤーコプス、
キアラ・バンキーニ指揮
 HMF時代のショルの業績を集めた編集盤。
HMA-1951727
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価格帯:F
アンニーバレ・パドヴァーノ(1527-1575):24声のミサ
 パウル・ファン・ネーフェル指揮ウエルガス・アンサンブル
 初発売:2001年。旧品番:HMC-901727パドヴァーノはその名のとおりパドヴァに生まれ、ヴェネツィアのサン・マルコ寺院、グラーツ宮廷のオルガニストを歴任した。
HMA-1951728
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価格帯:F
ストラヴィンスキー:
 バレエ組曲「火の鳥」(1945年版)/
 /バレエ「カード遊び」
ジュゼプ・ポンス指揮
グラナダ市o.
 旧品番:HMC-901728。
 スペインの名指揮者ポンスが、ストラヴィンスキーの鮮やかな色の扱いをさらにラテン的な強烈なコントラストで引き立て、鮮烈な刺激を引き出す。
ルネサンス時代フランス・フランドル楽派の酒の歌
 クレメンス・ノン・パパ、デカレッラ、セルトン、セルミジ、
 アペンツェラー、ダンベール、ゴンベール、ルロワ、ジョスカン・デプレ、
 パストン、ミタンティエ、ル・ユルテュール、バルビオン、
 セリエール・デ・エダン、スザートの作品
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 有名無名の作曲家の飲食にまつわる歌を集めたアルバム。ヴィスの芸風爆発の楽しい音楽には古楽ファンでなくとも心浮かれること必至。
HMA-1951730
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価格帯:F
レクイエム〜ジャン・リシャフォール(1480-1548):
 レクイエム「ジョスカンの思い出に」(6声)/
 モテット集〔主に従う者よ、主によって喜び歌え(4声)/悲しみが私たちにのしかかり(4声)/
       サルヴェ・レジナ(5声)/心配するな、我が心よ(4声)/
       ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ、今が飲み時(3声)/甘く素敵な生活なんてない(4声)〕

 パウル・ファン・ネーヴェル指揮ウエルガス・アンサンブル
 録音:2000年7月。旧品番:HMC-901730リシャフォールはジョスカン・デプレとパレストリーナの間に位置し、セルミジやムートンと同時代にフランスで活躍した作曲家。ジョスカンの影響を非常に強く受け、その技法を熱心に探求して才能を伸ばした彼の作品は、やはりジョスカンばりの壮麗で清澄なすばらしい響きを持っている。
HMA-1951731
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価格帯:F
シューマン:
 ピアノ協奏曲イ短調 Op.54(*)
 チェロ協奏曲イ短調 Op.129(+)
アンドレアス・シュタイアー(Fp;*)
クリストフ・コワン(Vc;+)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
HMG-501732
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価格帯:F
見つめるナルシス〜パオロ・ダ・フィレンツェ(1355頃-1425/36/37):マドリガーレ集
 波荒き暗礁の中にて/さすらう鳥は/愛よ、教えておくれ/レーナ、貞節にして/
 エスタンピー「イサベッラ」(器楽)/もはや不幸では/ヴィーナス〔ウェヌス〕は/
 エスタンピー(器楽)/喜べ、フィレンツェよ/美しき鷹は/エスタンピー(器楽)
  ペドロ・メメルスドルフ(リコーダー)指揮マーラ・プニカ
   〔エルザ・フランゼッティ(S) アマンディーヌ・ベイエ(ヴィエル) マーラ・ガラッシ(Hp)他〕
 録音:1999年9月、ボローニャ。旧品番:HMC-901732〔廃盤〕。中世イタリア、トスカーナ地方で活躍したパオロ・ダ・フィレンツェの作品集。理論家としても知られた彼は、作品において西欧音楽の特徴となる動機労作や、定旋律技法にイタリア的旋律を組み合わせた様式創造を試み、音楽史上に重要な足跡を残している。高雅でゆったりした雰囲気の彼の作品がまとめて楽しめる稀少なアルバム。バーゼルとアムステルダムで研鑽を積んだメメルスドルフが1987年に設立、特に中世イタリア音楽の演奏について高い評価を得たマーラ・プニカの演奏。
HMN-911733
廃盤
ドビュッシー:12の練習曲
バルトーク:3つの練習曲Op.18
フローラン・ボッファール(P)
HMG-501734
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価格帯:F
クリード& RIAS 室内 cho. 〜イギリスの合唱作品集
 ブリテン:神聖と世俗 Op.91 / ヴォーン・ウィリアムズ:3つのシェイクスピア歌曲
 エルガー:パート・ソング集(1904) スタンフォード:「青い鳥」
 ディーリアス:2つの無伴奏パート・ソング
  マルクス・クリード指揮 RIAS 室内 cho.
 録音:2000年10月。旧品番:HMC-901734〔廃盤〕。それまで独・伊の作品を録音してきたクリード&RIAS室内合唱団によるイギリス物。安定した技術と高い音楽性は、合唱曲の宝庫イギリスの作品も自家薬籠中の出来に仕上げている。アルバム自体も、1905年作のエルガーの「パート・ソング」(混声合唱)から、ブリテン最晩年1975年の「神聖と世俗」と、20世紀の英国合唱作品を俯瞰できるような作りになっている。
HMG-501735
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価格帯:F
ケラス&タロ−〜 20世紀ハンガリーの無伴奏チェロ作品集
 コダーイ(1881-1967):
  無伴奏チェロ・ソナタ Op.8/チェロとピアノのためのソナティネ(*)/アダージョ(*)
 クルターク(1926-):しるしII Op.5b(1961)/影(1999)/信仰/
           ジェラール・ド・ネルバル(ピリンスキ・ヤーノシュの四行詩)/
           アチェール・ジェルジの思い出
 シャーンドル・ヴェレシュ:無伴奏チェロ・ソナタ
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc) アレクサンドル・タロー(P;*)
 録音:2000年10月、パリ。旧品番:HMC-901735ケラスによるソロ・デビュー第2作となったアルバム。Ens.アンテルコンタンポラン首席であった腕前は、特にクルターク作品における特殊奏法の数々においてみごとに発揮されている。
 なお、国内代理店による501735の案内において、クルタークの後半作品2作が『ピリンスキ・ヤーノシュ:ジェラール・ド・ネルヴァル/アツェール・ジェルジュの思い出に』と、あたかもピリンスキ・ヤーノシュという作曲家の作品であるかのように書かれているが、誤り。
HMY-2921736/37
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(2CD)
1CD価格
ヤーコプス〜モンテヴェルディ
 マドリガーレ曲集第8巻「戦いと愛のマドリガーレ」(全曲)
  ルネ・ヤーコプス(Cemb)指揮コンチェルト・ヴォカーレ
   [マリア・クリスティーナ・キール、サロメ・ハラー〔アレ〕(S) ベルナルダ・フィンク、
    マリサ・マルティンス(Ms) クリストフ・ラポルト(CT) コビー・ファン・レンスブルク、
    ジェレミー・オヴェンデン、ジョン・ボウエン、マリオ・ゼッフィリ(T) ビクトル・トレス(Br)
    アントニオ・アべーテ、ルノー・ドゥレイグ(B) 西山まりえ(Hp) 野入志津子(リュート)
    イムケ・ダーフィト(Gamb/リュート) エルナン・クアドラド、フアン・マヌエル・キンタナ(Gamb)
    ベルンハルト・フォルク、ダヴィド・プランティエ(Vn) ガリーナ・ジンチェンコ、
    シモン・エイエリック(Va) ガエターノ・ナジッロ(Vc) デントン・ロバーツ(ヴィオローネ)
    ドロレス・コストヤス(テオルボ/G) ゲープハルト・ダーフィト、ウィリアム・ドンゴワ(コルネット)
    フランク・ポワトリヌ、ジャン=ジャック・エルバン、シュテファン・ルゲ(Tb)
    マリー=アンジュ・プチ(Perc) アッティリオ・クレモネージ(Cemb/Org)]
 録音:2000年10月-11月、フォントヴロー修道院、ソミュール、メーヌ=エ=ロワール県、フランス。 初出・前出・旧品番: HMC-901736/37 [HMC-901736] 〔廃盤〕。#歌詞テキストは付いておりません。 モンテヴェルディのマドリガーレ集のなかでの頂点を成す第8巻の全曲を、ヤーコプスによる約156分という快速演奏で。
HMA-1951738
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価格帯:F
アントワーヌ・ブリュメル(1460頃-1513頃):
 ミサ「見よ、大地の揺れ動きを」(12声)
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン、
レ・サックブーティエ・
 ド・トゥールーズ
 録音:2002年。旧品番:HMC-901738
 ジョスカン・デプレの弟子として高名なフランドルの作曲家ブリュメルは、今日ではあまり顧みられることがないが、彼が生きた16世紀には非常に高く評価されていた。彼は、音楽のスタイルが根底から変化する時期に活躍した。その変化とは、旋律線中心の音楽が和声的なものへと変わるというものであり、また、歌詞にあまり縛られることのなかった、抽象的でメリスマを多用したポリフォニーが、歌詞の内容に注意を払い、言葉のリズムに根差したシラビックな作曲法へと移行していくというものだった。特に彼の中期以降の作品は、縦の響きが明確で、和声進行も予測できるものとなっている。
 この作品は各3声部ずつのソプラノ、アルト、テノール、バスという、当時としては異例の12声部編成で書かれており、ここでは各パート1名ずつ、12名で演奏しいている。3声部でカノンを展開している周りを、他の声部が修飾してゆくという手の込んだ作品。演奏も困難だが、クレマン・ジャヌカンの面々の巧さが際立つ1枚。器楽パートを、古楽管楽器の名手たち「レ・サックブーティエ」が担当しているのも魅力。
HMA-1951739
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価格帯:F
ウェルギリウスの歌〜ルネサンス音楽における古典の詩(全15曲)
 ジョスカン・デ・プレ、チプリアーノ・デ・ローレ、オルランドゥス・ラッスス、デリック・ヘラルデ、
 ルートヴィヒ・ゼンフル、マルブリアヌス・デ・オルト、アドリアン・ヴィラールト、
 リシャール・ド・ランヴォワジ、ドミニク・フィノ、作曲者不詳の作品

  パウル・ヴァン・ネーヴェル指揮ウエルガス・アンサンブル
 録音:2000年12月。旧品番:HMC-901739〔廃盤〕。ウェルギリウスなど古の偉大な詩人の詩に、ルネサンス時代の作曲家たちが作曲した作品集。神々しい世界から、愛の歌、妬みや様々な欲望まで、人間のあらゆる感情が歌われた古の詩の世界に浸りたい1枚。
HMA-1951740
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価格帯:F
J.S.バッハ:
 ヴァイオリン、フルートとチェンバロのための
  三重協奏曲 BWV.1044 (*)/
 チェンバロ協奏曲第1番ニ短調 BWV.1052(#)
ヨハン・ゴトフリート・ミューテル(1728-1788):
 クラヴィーア協奏曲 変ロ長調
ラファエル・
 アルパーマン(Cemb;*)
クリストフ・
 フントゲブルト(Fl;#)
ゲオルク・カルヴァイト(Vn;#)
ツヴィ・メニカー(Fp;#)
クリスティーネ・
 ショルンスハイム(Fp;+)
ベルリン古楽アカデミー
 旧品番:HMC-901740。当アルバムには、オルガン作品に基づくバッハの三重協奏曲や、バッハの息子の世代で、最晩年のバッハの知遇を得たというドイツの作曲家ヨハン・ゴットフリート・ミューテル(1728-1788)のクラヴィーア協奏曲など珍しい作品が並ぶ。ミューテルの作品は、「疾風怒濤(感情過多様式)」期特有の感覚で、古典ともバロックともつかない不思議な魅力に満ちている。
HMA-1951741
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価格帯:F
イザベル・ファウスト〜
 フォーレ:ヴァイオリンとピアノのための作品全集

 ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13/
 ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調 Op.108/
 子守歌 Op.16/ロマンス 変ロ長調 Op.28/
 アンダンテ 変ロ長調 Op.75/初見視奏曲 イ長調
イザベル・
 ファウスト(Vn)
フロラン・ボファール(P)
 録音:2001年1月。旧品番:HMC-901741。バルトークのヴァイオリン・ソナタで高い評価を得たファウストによるフォーレ。滑らかに水が流れるような清澄な雰囲気の中に濃厚なロマンティシズムが垣間見得る、現代風の演奏。
HMY-2921742/43
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(2CD)
1CD価格
ヤーコプス〜グルック
 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」(1762年ウィーン版/イタリア語歌唱)
 ベルナルダ・フィンク(Ms;オルフェオ) ヴェロニカ・カンジェミ
  (S;エウリディーチェ) マリア・クリスティーナ・キール(S;アモール)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、RIAS室内cho.
 録音:2001年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 初出&旧品盤:HMC-901742/43 [HMC-901742] 。 スリム・クラムシェルボックス仕様、CD はスリーブケースに収納、ブックレットはトラック情報、解説(英独仏語)のみで、リブレットは無し。 1762年10月5日、グルックのオルフェオとエウリディーチェは、ウィーンのブルク劇場で初演された。その後、1769年のパルマ上演、1774年のパリ上演と、改定がされており、いくつもの版が混在した状態で演奏されることも多かったこの作品だが、ヤーコプスは1762年の初演稿を採用、さらに初演時のオルフェオ役はアルト・カストラート歌手が務めたため、ピリオド楽器使用録音におけるオルフェオ役はカウンターテナーと相場が決まっていたが、当盤ではアルトのフィンクを起用した。迫真の歌唱、迫真の管弦楽で、非常に引き締まった名演。繰り返し部での装飾も非常に凝っている。有名な「エウリディーチェを失って」のアリアでは心打たれる。
HMA-1951746
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価格帯:F
ディートリヒ・ブクステフーデ(1637-1701):
 2つのヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと
  通奏低音のための7つのソナタOp.1
BuxWV 252-258
  [ヘ長調/ト長調/イ短調/変ロ長調/
   ハ長調/ニ短調/ホ短調]
フアン・マヌエル・キンターナ
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
マンフレート・クレーメル(Vn)
デイン・ロバーツ(ヴィオローネ)
ディルク・ベルナー(Cemb)
 録音:2001年4月/初発売:2002年。旧品番:HMC-901746
 オルガン曲と声楽作品でよく知られるブクステフーデだが、楽器としては特にヴィオラ・ダ・ガンバを好んだ。当盤の作品は1694年の出版で、ブクステフーデによるガンバ曲の特徴を凝縮したような曲集。キンターナによる熱演が光る。
HMA-1951750
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価格帯:F
ブラレイ〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 〔第14番「月光」/第23番「熱情」/第31番〕
フランク・ブラレイ(P)
 録音:2001年4月/初発売:2002年。使用楽器:スタインウェイ、1882年製。旧品番:HMC-901750まだほとんど名前を知られていなかった1990年代の来日公演においても、既に非常にとぎすまされた演奏を聴かせたブラレイ。そのあとも知名度はあがりつづけ、故・吉田秀和氏も大絶賛、現在では室内楽の分野でも活躍中。このベートーヴェンは発売後数年で在庫切れとなってしまい、再発が待たれていたもの。
R.シュトラウス:歌曲集
 献呈/何もなく/夜/ダリア/待ちわびて/もの言わぬ花/サフラン
 万霊節/セレナード/おお、あなたがわたしのものなら
 あなたはわたしの心の王冠/ああ恋人よ、わたしは別れねばならない
 春よ/ひそやかな誘い/二人の秘密をなぜ隠すのか/憩え、わが心
 ときめく心/わたしはおまえを愛する/15ペーニヒで
 わたしの父は言いました/崇拝
ビルギット・レンメルト(A)
ヤン・シュルツ(P)
 ドイツ、ブラウエンシュヴァイク出身のレンメルトは、当HMFへのマーラー:「大地の歌」(室内楽版)やベートーヴェン:ミサ・ソレムニスのソリストとしてすでに実力を証明済み。 今回のリート・アルバムでも、豊かな表現力としっとりした声で後期ロマン派の味を存分に引き出している。
 在庫僅少。入手出来ない場合はご容赦下さい。
HMA-1951752
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価格帯:F
ニコラス・ブルーンス(1665-1697):sドイツ語のカンタータ集
 〔別れの時/人間ではありえない/主を畏るるものは幸いなり/
  私は臥して眠る/わが心は定まれリ/君のあふれる涙をおさえ〕
 コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン
 録音:2001年2月/初発売:2002年。旧品番:HMC-901752ブクステフーデとバッハの中間世代位置するブルーンスは、イタリアのカンタータからドイツのカンタータが発展していく過程において、最も重要な役割を果たした作曲家の一人。32歳で早世した彼は12曲のカンタータを残したが、この録音では、その半分にあたる6作品を収録している。詩の深化に匹敵する彼の音楽の深化は、バッハ以前の孤立した例として知られており、この演奏もその点に非常に心を砕いている。
HMG-501753
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価格帯:F
シューマン:歌曲集
 「女の愛と生涯」 Op.42/
 「子供のための歌のアルバム」Op.79より
  [第29曲「ミニョン」/第13曲「眠りの精」]
 「ミルテの花」Op.25より
  [第3曲「くるみの木」/第7曲「はすの花」]/
 リートと歌 第3集 Op.77〜第5曲「ことづて」/
 6つのリート Op.36〜第2曲「セレナード」/
 ロマンスとバラード 第4集Op.64
  〜第2曲「捨てられし乙女」/
 3つの歌 Op.21〜第2曲「トランプ占いの女」/
 レーナウ歌曲集 Op.90
  (レクイエム Op.90b を含む)
ベルナルダ・フィンク(Ms)
ロジャー・ヴィニョールズ(P)
 録音:2001年6月。旧品番:HMC-901753(廃盤)。
 的確な技術を持ち、品性を備えた感情表現を得意とするフィンクの持ち味を生かしたアルバム。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
ラモー:新クラヴサン曲集
 組曲(第4番) イ短調〔アルマンド/クーラント/サラバンド/三本の手/ファンファリネット/
             意気揚々/ガヴォット/ドゥーブル第1番−第6番〕/
 組曲(第5番) ト長調〔レ・トリコテ/無関心/メヌエット I, II /めんどり/
             レ・トリオレ/未開人/エンハーモニック/エジプトの女〕

ドビュッシー:「映像」第1集〜ラモーを讃えて
 アレクサンドル・タロー(P)
 録音:2001年5月|初出・旧品番: HMC-901754, HMX-2901754 〔廃盤、入手不能〕。 フランスの人気ピアニスト、アレクサンドル・タローの名盤、ラモーの作品集が復活。 harmonia mundi におけるタローの初めての本格的ソロ・アルバムとして、さらにフランス・バロックに特に力を入れているレーベルが「現代ピアノによるラモー」を発売、ということでも大きな話題となった。このディスクが発売された当時は、ラトルがラモーの「レ・ボレアド」をモダーン楽器で、そしてミンコフスキがドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」をピリオド楽器で指揮し、それぞれセンセーショナルな出来事として取り上げられていた。そんな中発売された、このタローのラモーは、「これ以上魅力的にこの作曲家の精神を再現してみせたピアニストがほかにいただろうか」と世界中で大絶賛された。タローにとってラモーは片時も離れたことのない大切な作曲家。タローの音楽の真髄をあらためて感じる。
HMA-1951755
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価格帯:F
ポール・ルイス〜シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 [第19番 ハ短調 D.958/第14番 イ短調 D.784]
ボール・ルイス(P)
 録音:2001年6月、ヘンリー・ウッド・ホール、ロンドン。旧品番:HMN-911755
 イギリス人ピアニスト、ルイスはブレンデルの弟子で、徐々にその存在が日本でも知られるようになっている。2001/2002年のシーズンには欧米でシューベルト・チクルスを演奏。当盤はその彼のCDデビュー盤だった。
HMN-911756
廃盤
20世紀ヴィオラ名曲集 ローレンス・パワー(Va)
サイモン・
 クロード=フィリップス(P)
HMN-911757
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価格帯:F
プロコフィエフ:トッカータ Op.11/ピアノ・ソナタ第3番 Op.28
ラヴェル:鏡
ショスタコーヴィチ:24の前奏曲 Op.34
エレーナ・ロザノヴァ(P)
 録音:2001年5月、パリ。
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。ロザノヴァは1969年オデッサに生まれ、チャイコフスキー音楽院でナセトキン、モギレフスキーに師事。1991年大分国際コンクール第1位、1995年ロン=ティボー国際コンクール6位などの入賞歴を持つ。
HMA-1951758
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価格帯:F
アルカン(1813-1888):演奏会用大ソナタ Op.47
リスト:2つのエレジー/忘れられたロマンス/悲しみのゴンドラ/ノンネンヴェルトの僧房
 エマニュエル・ベルトラン(Vc) パスカル・アモワイヤル(P)
 録音:2001年3月11日-14日、パリ。旧品番:HMC-901758HMG-50175819世紀の傑出した超絶技巧ピアニストであった2人の作曲家のチェロとピアノのための珍しい室内楽作品。ロマン派色濃厚、そしてなによりピアノ・パートの美しさが魅力。親密な雰囲気と練り上げられた楽想が聴くものを惹きつけてやまない。 ヨーロッパで高い人気を誇る女性チェリスト、ベルトランは渋みの効いた音色。シフラの流れをくむヴィルトゥオーゾにして『アモワイヤルのパートナーでもあるアモワイヤル』(代理店記載ママ)は、1971年生まれで作曲もしている。
HMG-501759
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価格帯:F
プーランク(1899-1963):
 歌劇「人間の声」(1958) /ソプラノと管弦楽のための「モンテカルロの女」(1961)
  フェリシティ・ロット(S) アルミン・ジョルダン指揮スイス・ロマンドo.
 録音:2001年4月。旧品番:HMC-901759コクトーのテキストによる2つの異色作。電話を通じて恋人に訴えかける女の強烈な心理をみごとに描写した「人の声」でのロットの表現力、さらに最晩年の、地中海に身投げしようとしている年老いた女性のモノローグ「モンテカルロの女」の落ち着いた美しさ、共にみごと。ジョルダンが1997年まで音楽監督を務め、レヴェル・アップも著しかったスイス・ロマンド管のバック。
HMA-1951760
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価格帯:F
チプリアーノ・デ・ローレ(1515/16-1565):
 ミサ「万物の連なりを超えて」(7声)/モテットとマドリガル集
  パウル・ファン・ネーヴェル指揮ウエルガス・アンサンブル
 録音:2001年7月。初出・前出・旧品番: HMC-901760フランドル地方のロンセ(現在ベルギー領)で生れたが、後半生をイタリアで送ったチプリアーノ・デ・ローレは、イタリア語のマドリガーレが大変有名で、モンテヴェルディらに多大な影響を与えた。7声のミサはジョスカン・デ・プレのモテット「プレーテル・レールム・セリエム〔万物の連なりを超えて〕」を元にした作品。さらにシャンソン、モテット、マドリガルなど、どれも緻密かつ劇的な作品を収録。
HMA-1951761
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価格帯:F
プラネス〜ハイドン:ピアノ・ソナタ集 (旧・Vol.1/新・Vol.1 Disc 1 )
 〔第2番(旧・第11番) 変ロ長調 Hob.XVI: 2 /第46番(旧・第31番) イ長調 Hob.XVI: 46 /
  第23番(旧・第38番) ヘ長調 Hob.XVI: 23 /第41番(旧・第55番) 変ロ長調 Hob.XVI: 41/
  第6番(旧・第13番) ト長調 Hob.XVI: 6 〕/幻想曲 ハ長調 Hob.XVII: 4

 アラン・プラネス(P)
 録音:2001年8月。旧品番:HMC-901761〔廃盤〕。当録音は当初、左記の1枚で単売されたが、ハイドン没後200周年記念時に当盤を含め3枚分(旧・Vol.1〜Vol.3)が「3枚組で Vol.1 」(HMX-2961761/63) となり、新たに1枚分が録音され(発売順では Vol.4 となるはずが)「 Vol.2 」とされた。今回また単売されており、相当ややこしいので御注意頂きたい。なおソナタの番号表記は旧番号が使用されている。プラネスの巧みな語り口によるハイドン。ハイドンのピアノ・ソナタは音がどちらかというと少なく、それでいて独特のリズム感覚や様々なパッセージがちりばめられていたりと、ピアニストのセンスが試される物。プラネスは、非常に丁寧に美しい音で、ひとつひとつのパッセージを慈しむように奏で、さらに、音が少ない中でも「交響曲の父」ハイドンを思わせるような、様々な楽器を思わせる音色を随所に響かせている。見事なハイドン。
HMX-2961761/63
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(3CD)
価格帯:F
没後200周年記念ハイドン・スペシャル・エディション〜
 ハイドン:ピアノ・ソナタ集 Vol.1
(旧 Vol.1-3)
 [第2番(旧・第11番) 変ロ長調 Hob.XVI-2/
  第46番(旧・第31番) イ長調 Hob.XVI-46/
  第23番(旧・第38番) ヘ長調 Hob.XVI-23/
  第41番(旧・第55番) 変ロ長調 Hob.XVI-41/
  第6番(旧・第13番) ト長調 Hob.XVI-6/
  第34番(旧・第53番) ホ短調 Op.42 Hob.XVI-34/
  第28番(旧・第43番) 変ホ長調 Op.14 No.2 Hob.XVI-28/
  第24番(旧・第39番) ニ長調 Op.13 No.4 Hob.XVI-24/
  第32番(旧・第47番) ロ短調 Hob.XVI-32 (*) /
  第20番(旧・第33番) ハ短調 Op.30 No.6 Hob.XVI-20 (*) /
  第37番(旧・第50番) ニ長調 Hob.XVI-37 (*) /
  第51番(旧・第61番) ニ長調 Hob.XVI-51 (*) /
  第43番(旧・第35番) 変イ長調 Hob.XVI-43 (*) ]/

 幻想曲 ハ長調 Hob.XVII-4 /
 アンダンテと変奏 ヘ短調 Op.83 Hob.XVII-6
アラン・プラネス(P)
 録音:2001年8月、パリ、IRCAM (*)/他。旧品番:HMC-901761HMC-901762HMC-901763(以上単売はすべて廃盤)のセット化再発売。単売時には Vol.1-3 とされていたが、今回新発売録音としてHMX-2961944が同時発売となり、そちらが改めて "Vol.2" とされている。本体の曲番表記は、上記(内)の旧番号。
HMG-501762/63
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(2CD)
価格帯:F
ハイドン:ピアノ・ソナタ集(初出時: Vol.2-3 )
 〔第6番(旧・第13番) ト長調 Hob.XVI: 6 /第34番(旧・第53番) ホ短調 Op.42, Hob.XVI: 34 /
  第28番(旧・第43番) 変ホ長調 Op.14 No.2, Hob.XVI: 28 /
  第24番(旧・第39番) ニ長調 Op.13 No.4, Hob.XVI: 24 /第32番(旧・第47番) ロ短調 Hob.XVI: 32 (*) /
  第20番(旧・第33番) ハ短調 Op.30 No.6, Hob.XVI: 20 (*) /第37番(旧・第50番) ニ長調 Hob.XVI: 37 (*) /
  第51番(旧・第61番) ニ長調 Hob.XVI: 51 (*) /第43番(旧・第35番) 変イ長調 Hob.XVI: 43 (*) 〕/

 アンダンテと変奏曲 ヘ短調 Op.83, Hob.XVII: 6
  アラン・プラネス(P)
 録音:2001年8月、IRCAM 、パリ(*) /他。初出品番: HMC-901762HMC-901763(*)〔各単売/共に廃盤〕。#当プラネスのハイドン・シリーズは、当初CD3枚分が Vol.1-Vol.3 として1枚づつ単売で発売された後に中断を挟み、2007年にハイドン生誕200周年記念シリーズの一環として4枚目が新録音されたものの、先の3枚がセットとして「 Vol.1 」、2007年録音分(通算ならば Vol.4 になるもの/ HMX-2961994; 製造中止?)が「 Vol.2 」として発売、さらに2014年に初出時の Vol.1 が1枚物で再発 (HMA-1951761)、と大変判りづらい状況となっています。ご注意下さい。
 アンサンブル・アンテルコンタンポランでも活躍、LFJ でも何度か来日し、そのゆるぎない音楽性と確かなアンサンブルなどで聴き手を魅了したアラン・プラネスのハイドンが復活。抜群に安定感のあるテクニックで、ハイドンの機知に満ちたソナタを完璧に弾きこなしている。
HMG-501764
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価格帯:F
ロドリーゴ
 アランフェス協奏曲(1939)(*)/
 ある貴紳のための幻想曲(1954)(*)/
 庭園のための音楽(1957)/
 3つの古風な舞曲(1926-1929)
マルコ・ソシアス(G;*)
ジュゼプ・ポンス指揮
グラナダ市o.
 録音:2001年9月。旧品番:HMC-901764
 21歳でマラガ音楽院教授に就任、生前のロドリーゴに「天才的音楽性と力強い技術によって、深遠で感動的な心の旅をさせてくれる」と激賞されたスペインのギタリスト、ソシアス(1966-)によるスペイン色満点の「アランフェス」。「庭園の音楽」は1933年に管弦楽編曲された3つの子守歌と、マドリッドのレティロ公園についてのドキュメンタリーのために1957年に書かれた音楽を含む作品。「3つの古風な舞曲」はラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」とプロコフィエフの「古典交響曲」からの影響を昇華して自己のスペイン的要素と組み合せ、三枚折り絵のように仕上げたユニークな作品。
ハイドン:エステルハージ家のためのカンタータ集
 世俗カンタータ「目覚めよ、われを信ずる者たち」 Hob.XXIVa:2(*)/
 世俗カンタータ「主君の幸運の期間を祝い」 Hob.XXIVa:3(+)/
 世俗カンタータ「今やいかなる疑いが」 Hob.XXIVa:4(*)/
 交響曲第12番 ホ長調 Hob.I:12(#)
イム・スンヘ(S;*/+)
ヨハンナ・ストイコヴィチ(S;*/+)
マックス・チェレク(T;*/+)
アンドラーシュ・
 シュペリング指揮(*/+)
ニコラス・クレーマー指揮(#)
カペラ・コロニエンシス、
ケルン声楽
 アンサンブル(*)
 ハイドンの作品のなかではあまり顧みられない存在のカンタータだが、その大半はエステルハージ家のために書かれたもので、なかなか興味深い。(*)の2曲は1763年と1764年のニコラス・エステルハージ侯の命名日用、(+)は1767年のパリからの帰還を祝うために作曲されたと考えられている。
HMX-2961765
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価格帯:F
没後200周年記念ハイドン・スペシャル・エディション〜
 エステルハージ家のためのカンタータ集

 世俗カンタータ
  [目覚めよ、われを信ずる者たち Hob.XXIVa:2(*)/
   主君の幸運の期間を祝い Hob.XXIVa:3(+)/
   今やいかなる疑いが Hob.XXIVa:4(*)]/
 交響曲第12番 ホ長調 Hob.I:12(#)
イム・スンヘ(S;*/+)
ヨハンナ・
 ストイコヴィチ(S;*/+)
マックス・チェレク(T;*/+)
アンドラーシュ・
 シュペリング指揮(*/+)
ニコラス・クレーマー指揮(#)
カペラ・コロニエンシス、
ケルン声楽アンサンブル(*)
 旧品番:HMC-901765ハイドンの作品のなかではあまり顧みられない存在のカンタータだが、その大半はエステルハージ家のために書かれたもので、なかなか興味深い。(*)の2曲は1763年と1764年のニコラス・エステルハージ侯の命名日用、(+)は1767年のパリからの帰還を祝うために作曲されたと考えられている。
HMG-501766
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価格帯:F
シューマン
 歌曲集「リーダークライス」Op.28/
 歌曲集「詩人の恋」Op.48
ヴェルナー・ギューラ(T)
ヤン・シュルツ(P)
 録音:2001年10月。旧品番:HMC-901766(廃盤)。
 シューマンのリート中、最も人気の高い2歌曲集をセットにした盤。ミュンヘン生まれのギューラはザルツブルグのモーツァルテウム音楽院で学んだリリック・テノールで、往年のヴンダーリヒを思わせる、柔らかな中にも情熱を持った声が絶賛されている。
ハイドン:交響曲集
 [第6番「朝」/第7番「昼」/第8番「晩」]
ペトラ・ムレヤンス
(コンサートマスター)
フライブルク・バロックo.
 朝・昼・晩という自然の営みを主題としたハイドンの初期交響曲を、自然体の演奏で評価の高いフライブルク・バロック管弦楽団による演奏で。確かな技術を持つ彼等だが、その演奏はまさに素朴な味わいをかもし出している。
HMX-2961767
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価格帯:F
没後200周年記念ハイドン・スペシャル・エディション〜
 交響曲集

 [第6番「朝」/第7番「昼」/第8番「晩」]
ペトラ・ムレヤンス
(コンサートマスター)
フライブルク・バロックo.
 旧品番:HMC-901767の値下げ再発売。
 朝・昼・晩という自然の営みを主題としたハイドンの初期交響曲を、自然体の演奏で評価の高いフライブルク・バロック管弦楽団による演奏で。確かな技術を持つ彼等だが、その演奏はまさに素朴な味わいをかもし出している。
HMA-1951768
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価格帯:F
ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767):
 アクトゥス・トラジクス(哀悼行事)〜カンタータ集

 [さあ、汝ダニエルよ、行け/死に至るまで真正たれ/
  ああ主よ、われを責めたもうな/
  神よ、私のうちに清い心を作り]
コンラート・
 ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
 録音:録音:2001年11月/初発売:2002年。旧品番:HMC-901768
 テレマンの名前を聞いてカンタータを想像することはあまりないと思われるが、彼は生涯に、教会カンタータだけでも約1500曲を残している。「さあ、汝ダニエルよ、行け」は、バッハのカンタータ第106番と同じくアクトゥス・トラジクス(哀悼行事)と称される葬式用の作品で、テレマンのカンタータのなかでは比較的演奏の機会の多い名曲。
シマノフスキ:
 神話 Op.30/ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.9/
 パガニーニのカプリス第24番(ピアノ伴奏付け)
ストラヴィンスキー:
 協奏的二重奏曲/イタリア組曲
グラフ・ムリャ(Vn)
ナターリャ・グス(P)
 1973年ウクライナ生まれのハンガリー系ヴァイオリニスト、ムリャは、1994年チャイコフスキー・コンクール第3位、1999年ヴィオッティ・コンクール第2位をはじめ輝かしい入賞歴を誇る新進。 シマノフスキのヴァイオリン作品の中で意外に演奏の機会が少ないソナタは、22歳での若書きながら、ロマンティックな味わいと輝きに富んだ美しい作品。 パガニーニの有名なカプリスへのピアノ伴奏付けも凝っている。グスのピアノもみごと。
HMN-911770
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価格帯:F
マルティヌー:フルート・ソナタ H.306(1945)
プロコフィエフ:フルート・ソナタ ニ長調 Op.94
ヒンデミット:フルート・ソナタ 変ロ調(1936)
マテュー・デュフール(Fl)
アレクサンダー・マッジャー(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。デュフールは1972年パリに生まれ、パリとリヨンで学んだ後数々の有名コンクールで入賞、1992年、20歳でトゥールーズ・キャピトルo.の首席フルート奏者に任命された。その後も順調にキャリアを重ね、1995年にはバスティーユ歌劇場o.のスーパー・ソリスト(?)に、1999年にはシカゴso.の首席奏者に就任した。
フル・オーケストラ版「フォーレク」
 フォーレ:レクイエム(フル・オーケストラ版| 1998年出版新校訂譜使用)(*)
 フランク:交響曲 ニ短調
  ヨハネッテ・ゾマー(S) シュテファン・ゲンツ(Br)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
  シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ、シャンゼリゼo.
HMM-331771
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[LP]
〔 (*)のみ〕
1.5枚価格
 録音:2001年11月23日-24日|初出・旧品番(CD): HMC-901771〔廃盤〕。 LP仕様:独オプティマル社プレス|フォーレ「レクイエム」のみの収録。 フォーレのレクイエムは1892年当初、教会で室内楽編成で演奏された。フォーレは後に出版社からコンサートホールで演奏するためにオーケストラ編成にしてほしいと依頼を受け、1901年にオーケストラ版を完成させた。ヘレヴェッヘはフォーレのレクイエムを室内楽稿とフルo. 版の両方を録音、世界をその美しさで圧倒した。このフルo. 版での演奏にあたり、ヘレヴェッヘは1998年に出版された校訂譜を使用して演奏している。ピリオド楽器のオーケストラによるフォーレのレクイエム、超絶の美しい世界をお楽しみ頂ける。
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ:
 シンフォニア ニ長調/ヘ長調/
 アダージョとフーガ ニ短調/ヘ短調/
 チェンバロ協奏曲 ホ短調
ベルリン古楽アカデミー
ラファエル・アルバーマン
(Cemb)
 ベルリン古楽アカデミー結成20周年記念盤。フリーデマンはJ.S.バッハの長男。 悲惨な晩年を送ったことでも知られているが、その作品には弟エマヌエル・バッハには見られない大胆さがあり、再評価が進みつつある。
シューベルト:ピアノ4手連弾作品集
 ハンガリー風ディヴェルティメント ト短調 D.818/
 創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 D.813/
 幻想曲 ヘ短調 D.940
アレクサンドル・タロー(P)
チュ・シャオ=メイ(P)
 人気上昇中のタローとMANDALAやINAにも録音があったチュ・シャオ=メイのデュオ。D.940はあらゆるピアノ・デュオ曲中の最高峰と称される。哀愁あふれるD.818も魅力的。
HMA-1951774
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価格帯:F
ディンディア:マドリガーレとカンツォネッタ集 + トラバーチ、マイオーネ&マック
 シジズモンド・ディンディア(1582頃-1629):
  わが愛しきシターン/やわらげ、わが涙/私の心が愛の虫によって/独りぼっちのある日/
  私の厚かましい口づけ、その口づけをあなたは咎める/ああ、フィッリ、おまえに口づけしたいけど/
  さあ、シターンを取り上げ/私のアウローラ/お聞きなさい、小夜鳴き鳥が − 彼は少しつぶやくと、突然歌い出した/
  つれないぼくのフィッリは/私をあざ笑え、残酷な方よ/穏やかな西風が還り/
  森の中で孤独の恐怖に/天よ止めよ/不幸なディド(ディドの嘆き)/奥様は嘆くが、私は/徳
 ジョヴァンニ・マリア・トラバーチ(1575頃-1647):ガリアルダ/ルッジェーロの旋律によるパルティータ(2曲)
 マイオーネ:半音階演奏可能な鍵盤楽器によるトッカータ第5番
 マック:ストラヴァガンツァ第2番

  マリア・クリスティーナ・キール(S)
  ジャン=マルク・エメ指揮コンチェルト・ソアーヴェ
 録音:2001年12月、スタジオ・ティボール・ヴァルガ、シオン、スイス。旧品番:HMC-901774〔廃盤〕。ディンディアはシチリアのパレルモに生まれ、ヴェネツィア派とローマ派の両方から多くを学び、モンテヴェルディ、ジェズアルド、マレンツィオ、ヴェルトらの様式を効果的に取り入れ昇華した作曲家で、その作風は、ポリフォニーに精通する高い職人的技量に裏打ちされた叙情的表現に大きな特徴がある。当盤に収められた作品は、1609年から1623年にかけてミラノとヴェネツィアで出版された「音楽」と題された5巻の曲集から抜粋された名曲、秘曲で、「穏やかな西風が還り」と「不幸なディド」は広く知られている。ディンディアはジェズアルドの流れを汲む重唱マドリガーレでも有名であったが、主としてモノディ作品によって記憶されてきた。彼は独唱マドリガーレ、有節アリアなど、モノディの初期レパートリーに見られるすべての曲種を作曲しており、大胆な旋律を創り出すと同時に、和声進行においては、楽曲構成を緻密に計算し、終止形を極力抑えるというモンテヴェルディ流の書法を用いて、最初期のモノディが陥りがちだった単調さを克服、モノディ様式の発展に寄与した。なお、3曲収録された2声のための作品では、当時よく行われたように、器楽版を用いたり、1声部をヴィオラ・ダ・ガンバで演奏したりして、キールの美声をじゅうぶんに生かすよう配慮されている。ディンディアの声楽曲の間に収録された美しい器楽曲の作曲者であるトラバーチ、マイオーネ、マックは、ディンディアが17世紀初頭から関りを持っていたナポリの副王宮廷で、16世紀末から17世紀初頭にかけて活躍した知り合い同士の作曲家。
ベートーヴェン:ピアノのための変奏曲集
 エロイカ変奏曲 Op.35/
 32の変奏曲 ハ短調 Woo.80/
 「ルール・ブリタニア」による
   5つの変奏曲 ニ長調 Woo.79/
 6つの変奏曲 ニ長調 Op.76/
 6つの易しい変奏曲 ヘ長調 Op.34/
 5つの易しい変奏曲 ト長調 Woo.77/
 「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」による
  7つの変奏曲 ハ長調 Woo.78
セドリック・ティベルギアン(P)
 HMNシリーズでのドビュッシーが非常に好評だったディベルギアン、HMC規格での第1作はベートーヴェン。ところがソナタ集ではなく変奏曲集だ。 エロイカ変奏曲と32の変奏曲Woo.80以外は珍しい作品といえるが、クリアでありながら骨太な音、知的かつダイナミックな構成力で、一つ一つの変奏をきわめておもしろく、 全曲を一気に聴かせてしまうところがこの人の実力。これらの作品の認識まで改めさせてしまいそう。1975年生まれのディベルギアン、ジャケット写真に収まった姿もどこかアンファン・テリブル的印象。末恐ろしい。
HMA-1951776
廃盤
ロッシーニ:「6つの4声ソナタ」より Vol.1
 〔第1番 ト長調/第2番 イ長調/第4番 変ロ長調/第5番 変ホ長調〕
  アンサンブル・エクスプロラション
 旧品番:HMC-901776
HMG-501777
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価格帯:F
バルトーク
 バレエ「中国の不思議な役人」
   Op.19, Sz.73(オリジナル復元版)/
 舞踏組曲 Sz.37 /4つの管弦楽組曲 Op.12, Sz.51
デイヴィッド・
 ロバートソン指揮
リヨン国立o.
 録音:2001年4月、10月。 初出・旧品番:HMC-901777 〔廃盤〕。 「中国の不思議な役人」は、オリジナル・スコアに存在しながら欠落していた30小節を復活させ、かつディナーミク、ボウイング他の演奏指示を補った、作曲家の次男ペーテル( LP 初期の録音エンジニアとして有名なピーター・バルトーク)による1999年の復元版を使用。ロバートソンはブーレーズに絶賛された逸材。 ハイドンから現代音楽まで幅広いレパートリーを誇り、ブーレーズ譲りの知的な演奏を基本としながら、爆発すべきところは爆発する。
ファリネッリのためのアリア集
 ポルポラ:
  歌劇「オルフェーオ」(1736/ロンドン)〜
   オルフェーオのアリア「いかなる苦悩からも」
  歌劇「ポリフェーモ」(1735/ロンドン)〜
   甘く清々しいそよ風
  今や嵐の雪が(ハッセ作曲:歌劇「アルタセルセ」への
   追加アリア;1724/ロンドン)
 リッカルド・ブロスキ:
  歌劇「イダスペ」(1730/ヴェネツィア)〜
   ダーリオのアリア「忠実な霊よ、われもまた」/
   戦場のあの兵士
 ジェミニアーノ・ジャコメッリ:
  歌劇「シリアのハドリアヌス帝」(1733/ヴェネツィア)〜
   ファルナスペのアリア「おお神よ」
  歌劇「メローペ」(1734、ヴェネツィア)〜
   エピディーデのアリア「あの夜鳴きうぐいすは」
 ガルッピ:4声の協奏曲ハ短調
 ハッセ:歌劇「アルタセルセ」
  (1730、ヴェネツィア/1734、ロンドン)〜
    アルバーチェのアリア「この甘き抱擁もて」
ヴィヴィカ・ジュノー(Ms)
ルネ・ヤーコプス指揮
ベルリン古楽アカデミー
HMC-801778
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2002年1月、ベルリン。
 カウンターテナーの大御所、ルネ・ヤーコプスが惚れ込んだ、カストラート並みの広い声域と抜群の歌唱力を持つメゾソプラノ、ジュノーのソロ・デビュー・アルバム。
 かつてカストラートが誇った幅広い声域をすばらしいコロラトゥーラは、去勢手術が許されない現代にあっては、ひとりの歌手の声では不可能とされており、映画「カストラート」においても、 メゾソプラノとカウンターテナーの二人の声をコンピュータで合成することによって再現されていた。しかしこのジュノーは当時のカストラートのレパートリーにその力量を遺憾なく発揮する。 彼女がこのアルバムで歌っているは、1730年から1736年にかけて、ロンドンとヴェネツィアで初演された歌劇からのアリアで、作曲家はそれぞれ当時の偉大なカウンターテナーであるファリネッリ(本名カルロ・ブロスキ)と強いつながりを持っていた。
 リッカルド・ブロスキはファリネッリの兄。ジャコメッリと、ドイツ人ながらナポリ楽派の重要な作曲家であるハッセは、ファリネッリの代表的レパートリーを数多く作曲した。 ポルポラはファリネッリの声楽の師で、オペラ作曲家としてはヘンデルとライヴァル関係にあった大物。
HMG-501778
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価格帯:F
ファリネッリのためのアリア集
 ポルポラ:
  歌劇「オルフェーオ」(1736/ロンドン)〜
   オルフェーオのアリア「いかなる苦悩からも」
  歌劇「ポリフェーモ」(1735/ロンドン)〜
   甘く清々しいそよ風
  今や嵐の雪が(ハッセ作曲:歌劇「アルタセルセ」
          への追加アリア;1724/ロンドン)
 リッカルド・ブロスキ:
  歌劇「イダスペ」(1730/ヴェネツィア)〜
   ダーリオのアリア「忠実な霊よ、われもまた」/
   戦場のあの兵士
 ジェミニアーノ・ジャコメッリ:
  歌劇「シリアのハドリアヌス帝」
   (1733/ヴェネツィア)〜
     ファルナスペのアリア「おお神よ」
  歌劇「メローペ」(1734、ヴェネツィア)〜
   エピディーデのアリア「あの夜鳴きうぐいすは」
 ガルッピ:4声の協奏曲ハ短調
 ハッセ:歌劇「アルタセルセ」
  (1730、ヴェネツィア/1734、ロンドン)〜
    アルバーチェのアリア「この甘き抱擁もて」
ヴィヴィカ・ジュノー(Ms)
ルネ・ヤーコプス指揮
ベルリン古楽アカデミー
 録音:2002年1月、ベルリン。旧品番:HMC-901778
 カウンターテナーの大御所、ルネ・ヤーコプスが惚れ込んだ、カストラート並みの広い声域と抜群の歌唱力を持つメゾソプラノ、ジュノーのソロ・デビュー・アルバムだったもの。
 かつてカストラートが誇った幅広い声域をすばらしいコロラトゥーラは、去勢手術が許されない現代にあっては、ひとりの歌手の声では不可能とされており、映画「カストラート」においても、メゾソプラノとカウンターテナーの二人の声をコンピュータで合成することによって再現されていた。しかしこのジュノーは当時のカストラートのレパートリーにその力量を遺憾なく発揮する。彼女がこのアルバムで歌っているは、1730年から1736年にかけて、ロンドンとヴェネツィアで初演された歌劇からのアリアで、作曲家はそれぞれ当時の偉大なカウンターテナーであるファリネッリ(本名カルロ・ブロスキ)と強いつながりを持っていた。
 リッカルド・ブロスキはファリネッリの兄。ジャコメッリと、ドイツ人ながらナポリ楽派の重要な作曲家であるハッセは、ファリネッリの代表的レパートリーを数多く作曲した。ポルポラはファリネッリの声楽の師で、オペラ作曲家としてはヘンデルとライヴァル関係にあった大物。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMN-911779
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価格帯:F
シューマン:
 アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70/
 幻想小曲集 Op.73/民謡風の5つの小品 Op.102
グリーグ:チェロ・ソナタ イ短調 Op.36
マリ・アランク(Vc)
セドリック・ティベルキアン(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。アランクは2000年、2001年にコンサート・ホールやマスコミなどによる「その年の音楽家」に選ばれ、ヨーロッパを中心に着実にキャリアを重ねている女性チェリスト。20代前半の若さでブリュッセル王立音楽院教授に着任している。
HMA-1951780
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価格帯:F
ヘンシェル&ドイチュ〜コルンゴルト:歌曲集(全36曲)
 12の歌曲「神様とパパはこう遊んだ」/6つのやさしい歌曲 Op.9 〜3曲/
 4つの別れの歌 Op.14 /3つの歌曲 Op.18/5つの歌曲 Op.38/他
  ディートリヒ・ヘンシェル(Br) ヘルムート・ドイチュ(P)
 初発売:2002年。旧品番:HMC-9017801990年代から録音がぐっと増えたコルンゴルトだが未出版作品が多いため、あるジャンルの網羅的な録音はほとんどなされていない。ドイチュはアメリカから自筆譜を取り寄せ、自ら書き起こした譜面を用いてこの録音に望んだ。気品、甘さ、渋さを兼ね備えたヘンシェルの声はコルンゴルトの歌曲にぴったりで、名作とされる Op.14はひたすら陶酔の世界。
HMM-931781/82
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(2CD)
1CD価格
J.S.バッハ:ライプツィヒ時代のクリスマス・カンタータ集
 〔第63番「キリスト者よ、この日を銘記せよ」BWV.63 (#) /第91番「たたえられよ、イエス・キリスト」BWV.91 /
  第121番「われらまさにキリストをたたえるべし」BWV.121 /第133番「われは汝のうちにありて嬉し」BWV.133 〕/

 マニフィカト 変ホ長調 BWV.243a (#)
  ドロテー・ブロツキー=ミールズ、キャロリン・サンプソン(S)
  マーク・パドモア(T) ペーター・コーイ、セバスティアン・ノアック(B)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
 録音:2001年12月、サル・フィルハーモニーク・ド・リエージュ、ベルギー(無印) /2002年10月、アルセナル、メス、フランス(#) | (P) 2003 (C) 2018 |初出・旧品番: HMC-901781/82 [CD], HMC-801781/82 [SACD] 〔ともに廃盤〕。 流麗な演奏が魅力のヘレヴェッへに、クリスマス用カンタータはぴったり。マニフィカトの決定稿(ニ長調 BWV.243)でもジェラール・レーヌを迎えて美演を聴かせた(HMC-901326)彼が、初期稿も録音してくれたのはファンを喜ばせるに相違ない。この初期稿は4つの降誕祭用の楽曲を含み、クリスマス礼拝で生誕劇が演じられる際に演奏されたとも考えられている。
HMA-1951782
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜J.S.バッハ
 カンタータ「キリスト者よ、この日を銘記せよ」BWV.63 /マニフィカト 変ホ長調 BWV.243a
 ドロテー・ブロツキー=ミールズ(S) キャロリン・サンプソン(A)
 マーク・ダンツ(T) ペーター・コーイ(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
 録音:2002年10月。「ライプツィヒ時代のクリスマス・カンタータ集」(HMC-901781/82) 〔廃盤〕からの抜粋。旧品番:HMX-2971782 マニフィカト ニ長調 BWV.243 の初稿にあたるのが 変ホ長調 BWV.243a。改訂稿と比べてやや荒削りの印象もあるが、楽器の用法など、捨てがたい魅力に溢れる。マニフィカトは比較的華やかなのも一興だが、このヘレヴェッヘのようにどこまでも流れを失わない流麗な演奏は格別。いつ聴いても驚かされる名演奏、名録音。
HMG-501783/84
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(2CD)
価格帯:F
アルトバッキッシェス・アルヒーフ〔古きバッハ一族の書庫〕〜バッハの祖先の音楽(全24曲)
 作曲者不詳:アリア Nun ist alles überwunden
 ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703):
  カンタータ〔 Die Furcht des Herren / Es erhub sich ein Streit /
         Meine Freundin, du bist schön / Herr, wende dich und sei mir gnädig 〕/
  モテット〔 Lieber Herr Gott, wecke uns / Unsers Herzens Freude hat ein Ende /
        Herr, nun lässest du deinen Diener in Frieden fahren /
        Der Gerechte, ob er gleich zu zeitlich stirbt 〕/
  ラメント Wie bist du denn, o Gott, in Zorn auf mich entbrannt /
  アリア〔 Mit Weinen hebt sichs an / Es ist nun aus 〕
 ヨハン・ミヒャエル・バッハ(1648-1694):
  モテット〔 Ich weiss, dass mein Erlöser lebt / Herr, wenn ich nur dich habe /
        Nun hab'ich überwunden / Das Blut Jesu Christi 〕/
  アリア〔 Auf, lasst uns den Herren loben /Ach wie sehnlich wart'ich der Zeit 〕
 ヨハン・バッハ(1604-1673):アリア Weint nicht um meinen Tod /
               モテット〔 Unser Leben ist ein Schatten / Sei nun wieder zufrieden 〕
 ゲオルク・クリストフ・バッハ(1642-1697):カンタータ Siehe, wie fein und lieblich ist
 ハインリヒ・バッハ(1615-1692):ラメント Ach, daß ich Wassers genug
 ヨハン・セバスティアン・バッハ: Ich lasse dich nicht, du segnest mich den

  コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン、コンチェルト・パラティーノ
 録音:2002年2月。旧品番:HMC-901783/84 [HMC-901783] 〔廃盤〕。J.S.バッハの息子たちの作品の比べて録音される機会が非常に少ない、一族の先人たちの作品をたっぷり収録したアルバム。ヨハン・バッハは大バッハの祖父ハインリヒの兄、ヨハン・ミヒャエルとヨハン・クリストフはハインリヒの弟の子に当たる。ヨハン・クリストフは大バッハ以前の一族の中で最大の作曲家とされている。さらに大バッハの伯父ゲオルク・クリストフ(1642-1697)の現存する唯一の作品も収録、最後は大バッハのモテットで締めくくるという秀逸企画。大バッハ以前のドイツ・バロック音楽の流れに対応させながら聴く(たとえばヨハン・バッハはハインリヒ・シュッツの19歳年少)のも一興であろう。
HMA-1951785
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価格帯:F
放浪のヴァイオリン
 パガニーニ/クライスラー編曲:ラ・カンパネッラ / チャイコフスキー:ワルツ=スケルツォ
 ポンセ/ハイフェッツ編曲:エストレリータ / サラサーテ:カルメン幻想曲
 バルトーク/セーケイ編曲:ルーマニア民俗舞踊 / フロローフ:ブルース形式による小品
 クレイン:ヘブライ奇想曲 / ライナ:タランテラ / シリル・スコット/クライスラー編曲:蓮の国
 シチェドリン:アルベニスを摸して / クロール:バンジョーとヴァイオリン / ヴラディゲロフ:ホロ

 グラフ・ムリャ(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス、1682年製〔フェルフルスト家所蔵〕
 ナターリヤ・グス(P)
 録音:2002年2月。初出・前出・旧品番: HMC-901785ヴァイオリンの織り成すさまざまな様相を聴かせてくれるアルバム。スラヴ風なもの、ユダヤ的なもの、ジャズ風なもの、ラテン系、アメリカ風など多彩。いずれも小品で、1枚で12回のおいしさを味わえる。
HMG-501786
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価格帯:F
シューベルト:ミサ曲第5番 変イ長調 D.678
メンデルスゾーン:詩篇第42番
 アンナ・コロンディ(S) アンケ・ヴォンドゥング(Ms)
 アンドレアス・カラジアク(T) カイ・スティーフェルマン(B)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼo.、 RIAS 室内cho.
 録音:2002年3月、フィルハーモニー・ホール、ベルリン。ライヴ|旧品番: HMC-901786
HMA-1951787
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価格帯:F
テレマン:パリ四重奏曲
[協奏曲第1番 ト長調/協奏曲第2番 ニ長調/
 ソナタ第1番 イ長調/ソナタ第2番 ト短調/
 組曲第1番 ト長調/組曲第2番 ロ短調]
フライブルク・
 バロック・コンソート
[カール・カイザー(Fl)
 ペトラ・
  ミュレヤンス(ヴィオロン)
 クリスティン・
  フォン・デア・ゴルツ(Vc)他]
 旧品番:HMC-901787。「パリ四重奏曲」とも呼ばれるこの曲集は、当時ハンブルクで絶大な人気を誇っていたテレマンをパリの人々が呼び寄せた際の作品。テレマンならではの美しいメロディとしっかりした構成が特徴。ドイツの若い団体フライブルク・バロック・コンソートがフレッシュな演奏を繰り広げている。
HMN-911788
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価格帯:F
フランソワ・ドヴィエンヌ(1759-1803):
 四重奏曲Op.73-1/
 ヴィオラとファゴットのための
  デュオ・コンチェルタントOp.3-2/
 四重奏曲Op.73-2/
 デュオ・コンチェルタントOp.3-5/
 四重奏曲Op.73-3
ロラン・ルフェーヴル(Fg)
ニコリッチ(Va)
ストレッサー(Va)
トロトロー(Vc)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。ルフェーヴルは、パリ国立オペラ座のオーケストラで首席奏者を務める若手実力派。ファゴットやフルートのために技巧的な作品を残したドヴィエンヌの名曲を、同じく若手の仲間たちと演奏。
HMG-501789/90
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(2CD)
価格帯:F
シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 〔第4番 イ短調 D.537 (*) /第9番 ロ長調 D.575 (*) /第14番 イ短調 D.784 (*) /
  第13番 ヘ短調 D.625 (#) /第17番 ハ長調 D.840「レリーク」(#) 〕/さすらい人幻想曲 D.760 (#)

 アラン・プラネス(P)
 録音:2002年5月|旧品番: HMC-901789 (*), HMC-901790 (#) 。プラネスによるシューベルトが2枚組になって登場。
HMC-901791
廃盤
バッハ:三位一体の祝日のためのカンタータ集
 第2番「ああ神よ、天より見たまえ」BWV.2/
 第20番「おお永遠よ、汝恐ろしき言葉」BWV.20/
 第176番「そは頑にしてひるむものなり」BWV.176
ヨハネッテ・ソマー(S)
インゲボルク・ダンツ(A)
ヤン・コボウ(T)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・
 ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 ステンドグラスからの光にあふれた色彩美の教会を思わせる演奏。
HMG-501792
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価格帯:F
フンメル(1778-1837):ピアノ五重奏曲 変ホ短調 Op.87
シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調Op.114 D667「ます」
トリオ・ヴァンダラー
クリストフ・ゴーグ(Va)
ステファン・ログレ(Cb)
 録音:2002年6月。旧品番:HMC-901792(廃盤)。
 「ます」には名演が数多くあるが、これは流麗さが際立った録音。この珍しい編成でシューベルトが曲を書いたのは、あるパトロンがここに収録されているフンメルの作品を聴いてその響きに感銘を受けたからという話が残っている。フンメルは彼が生きていた当時ベートーヴェンと並び称されていた大作曲家にして、大変なピアノの名人だった。このピアノ五重奏曲もピアノ・パートの充実ぶりが際立っており、疾走感と緊張感に満ちた傑作。トリオ・ヴァンダラーはラ・フォル・ジュルネ音楽祭などで何度か来日もしているアンサンブルの名集団で、現在のハルモニア・ムンディ・フランスが誇るアーティスト。
HMA-1951793
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価格帯:F
イザベル・ファウスト〜スラヴ作品集
 ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
 ルトスワフスキ:スビト/パルティータ
 シマノフスキ:3つの詩「神話」 Op.30
イザベル・ファウスト(Vn)
エヴァ・クピーク(P)
 録音:2002年8月。旧品番:HMC-901793名実ともに現代ヴァイオリン界の女王となりつつあるイザベル・ファウストによるチェコとポーランドの作品集。難曲シマノフスキの名作「神話」では、驚きの技巧と深い精神性で作曲家の魂の叫びを表現した圧巻の演奏。またエヴァ・クピークの雄弁かつ絶妙なニュアンスのピアノも名演を支えている。
HMG-501794
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価格帯:F
Stille Nacht... 〜ドイツのクリスマス合唱作品集
 (初出時題名: Weihnacht der Romantik 〔ロマンティック・クリスマス・ソングズ〕 )
 カール・エドゥアルト・ネスラー(1863-1943):わが民をなぐさめよ
 レーガー(1873-1916):
  高く戸を上げよ/私たちの慕う聖母が Op.138 No.4 / Es kommt ein Schiff geladen /
  Das Volk,das im Finstern wandelt Op.84 No.2 /高き天より、われは来たれリ/
  Kommt und last uns Christum ehren /甘き喜びのうちに/
  わが子よ、眠れ/言葉は肉となり/おお、甘きエルサレムよ
 メンデルスゾーン:歓び歌わしめよ、救い主は近い/歓呼せよ、汝ら地の民よ
 フリードリヒ・ジルヒャー(1789-1860):いと高きところに神あれ
 ローベルト・フックス(1847-1927):喜びに満ちた日よ
 ブルッフ(1838-1920):Lasst uns das Kindelein wiegen
 キーンツル:わが魂は汝に感謝す / ヘルマン・リーデル(1847-1913):来たれ、羊飼いよ
 フランス・ヴュルナー(1832-1902):Herbei, o ihr Glaub 'gen/ Kindelein zart
 マンディチェフスキ:静かな夜、聖なる夜 / ヘルマン・リーデル: O du froehliche
  ウーヴェ・グロノスタイ指揮 RIAS 室内 cho.
 初発売:2002年。旧品番:HMC-901794, HMX-2971794ロマン派、後期ロマン派のクリスマスのためのドイツで生まれた合唱作品集。レーガーなど合唱団でもよく歌われる作品が、名門RIAS 室内合唱団&当団の監督を務めていた偉大な合唱指揮者グロノスタイによって演奏されている。
 #HMC-901794の流通在庫が残っているため、こちらの商品をお届けする可能性もございます。
HMX-2901795
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価格帯:F
ベルリン古楽アカデミー〜ポートレート
 テレマン:
  組曲 ヘ長調「アルスター」 TWV.55:F11〜序曲/
  組曲 ト長調「風変わり」 TWV.55:G2〜
   メヌエット第1/第2/夜鳴きうぐいす/
  組曲 ニ長調 TWV.55:D18〜駅馬車の御者たち/ファンファーレ
 C.P.E.バッハ:
  シンフォニア 変ホ長調 Wq.179〜プレスティッシモ/
  チェロ協奏曲 イ短調 Wq.170〜アンダンテ(*)
 カイザー:歌劇「クロイソス」第2幕〜エルミーラのアリア
   「愛よ、おまえはいったい何をしようとしているの?」(+)
 W.F.バッハ:アダージョとフーガ ニ短調 F.65
 バッハ:チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV.1052〜アレグロ(#)
 ポルポラ:歌劇「オルフェーオ」〜
  オルフェーオのアリア「いかなる苦労からも」
 ミューテル:フォルテピアノ協奏曲 変ロ長調〜アレグロ(**)
ペーター・
 ブルンス(Vc;*)
ドロテア・レシュマン(S;+)
ヴィヴィカ・
 ジュノー(Ms;+)
ラファエル・アルバーマン
 (Cemb;#)
クリスティーネ・
 ショルンスハイム
(Fp;**)
 創立20周年を迎えたベルリン古楽アカデミーの既発売録音からの編集盤。ディスコグラフィ付き、ディジパック仕様。
HMY-2921796/98
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(3CD)
2CD価格
ヤーコプス〜ヘンデル:歌劇「リナルド」
 ヴィヴィカ・ジェノー(Ms;リナルド) インガ・カルナ(S;アルミーダ)
 ローレンス・ザゾ(CT;ゴッフレード) ミア・パーション(S;アルミレーナ)
 ジェイムズ・ラザフォード(B;アルガンテ) クリストフ・デュモー
  (CT;エウスターツィオ) ドミニク・ヴィス(CT;キリスト教徒の魔法使いの隠者)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2002年。 初出&旧品盤:HMC-901796/98 [HMC-901796] 。 スリム・クラムシェルボックス仕様、CD はスリーブケースに収納、ブックレットはトラック情報、解説(英独仏語)のみで、リブレットは無し。 「リナルド」はヘンデルがロンドンで初めて発表したイタリア語のオペラ。イタリア時代の作品のよいところばかりを転用したため、全編徹頭徹尾充実した曲ばかりの驚異的な傑作として根強い人気がある。この録音は、ヤーコプスが2002年に行った物。豪華歌唱陣、気合いの入った管弦楽と大きな話題になった。ヴィヴィカ・ジェノーの超絶技巧はもちろん、ドミニク・ヴィスの不思議な仙人役の芝居っけたっぷり度合いなど、今聴いても身震いしてしまうような興奮の名録音。
HMA-1951799
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価格帯:F
ラ・スパーニャ、32のコントラプンクト〜コンスタンツォ・フェスタ(1490-1545):
 「ラ・スパーニャ」の旋律による125のコントラプンクト より(抜粋)
 〔第46番/第41番/第105番/第101番/第88番/第76番/第124番/第81番/第60番/第77番/
  第122番/第25番/第118番/第47番/第35番/第40番/第8番/第14番/第108番/第9番/第85番/
  第37番/第70番/第125番/第71番/第117番/第28番/第104番/第58番/第121番/第123番/第34番〕

 パウル・ファン・ネーヴェル指揮ウエルガス・アンサンブル
 録音:2002年6月、聖フィンセントゥス修道院、フラームス・ブラバンド州オプウェイク、ベルギー。 初出・前出・旧品番: HMC-801799 (HYBRID_SACD) 。初出時はハイブリッドSACD版のみのリリースだった物で、CDの発売は当盤が初。ジャヌカン、モラレスらと同時代に生きたフェスタは、ジョスカン・デ・プレとパレストリーナの間にあって、イタリア音楽隆盛の基礎を築いた最も重要なイタリア人作曲家。「ラ・スパーニャ」の旋律による125のコントラプンクトは、彼の代表作であるとともに、15〜17世紀に広く用いられた「ラ・スパーニャ」の定旋律による作品の中でも代表的なもの。ネーヴェル率いるウエルガス・アンサンブルは、この写本としてのみ残っている125曲の中から、特に個性が強い32曲を選び出している。
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ第20番 イ長調D.959/
 ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調D.960
ポール・ルイス(P)
 現代屈指のシューベルト弾きであるブレンデルの薫陶を受け、やはりシューベルトを得意とするイギリスのピアニスト、ルイスによる、第14番&第19番(デビュー盤、HMN-911755) に次ぐ後期ソナタの録音で、2001/2002年のシーズンに取りあげたシューベルト・チクルスの成果を存分に盛り込んだ力演。第21番のスケルツォにおける、モノトーンの世界にパッと花が咲いたような印象が魅力的。 前作に続き、ホール・トーン「が心地よい響きを演出している。
ベートーヴェン:歌曲集
 希望に寄すOp.94/うずらの鳴き声 Woo.129/
 遠い国からの歌 Woo.137/
 やさしき愛(君を愛す) Woo.123/
 アデライーデOp.46/ポロネーズOp.89(*)/
 6つの歌曲Op.48/ファンタジーOp.77(*)/
 新しき愛、新しき生命Op.75-2/
 彩られたリボンもてOp.83-3/
 ゲーテのファウストよりOp.75-3/
 アンダンテ・ファヴォリ Woo.57/
 遥かなる恋人に寄すOp.98/
 ひとりごと Woo.114
ディートリヒ・
 ヘンシェル(Br;*以外)
ミヒャエル・シェーファー(P)
 ヘンシェルのハリのある美声とシェーファーの実に雄弁なピアノで聴けるみずみずしいベートーヴェン。 (*)のピアノ・ソロ曲で(おそらくアンダンテ・ファヴォリも)シェーファーの独奏が収録されているのも面白い企画だ。
 なお、当盤は廃盤のためカット盤での入荷となります。
HMG-501802
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価格帯:F
ナガノ〜ベートーヴェン:オラトリオ「オリブ山上のキリスト」Op.85
 リューバ・オルゴナソヴァ(S;天使セラフィム)
 プラシド・ドミンゴ(T;イエス) アンドレアス・シュミット(B;ペテロ)
 ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツso.、ベルリン放送cho.
 録音:2002年9月。旧品番:HMC-901802 (CD), HMC-801802 (HYBRID_SACD) 〔以上、共に廃盤〕。ケント・ナガノの当レーベル初登場盤だったもの。超豪華メンバーによるベートーヴェン唯一のオラトリオ。イエスが十字架にかけられる前にオリブ山(ゲッセマネの丘)に登って苦悩を語る場面が歌われるこの曲、独唱・重唱に、天使、弟子、兵士の合唱が加わるが、ちょうどハイリゲンシュタットの遺書を書いた頃の作品だけあって、苦悩色に満ちている。やや埋もれてしまっている感はあるが、「第九」を理解する上でも避けては通れない重要作。
J.C.バッハ:
 交響曲 変ホ長調 Op.6 No.2/
 チェンバロ協奏曲 変ロ長調 Op.13 No.4/
 交響曲 ト短調 Op.6 No.6
C.P.E.バッハ:フルート協奏曲 ニ短調 Wq.22
ラファエル・アルバーマン(Cemb)
クリストフ・フンゲバース(Fl-tr)
ベルリン古楽アカデミー
 2002年10月、ベルリン、テルデック・スタジオ。
 ピリオド楽器オーケストラの中で最も重厚な響きを出すといわれているベルリン古楽アカデミー。ヨハン・クリスティアンの「Op.6 No.6」はヘルマン・シェルヘンが激賞した前期古典派交響曲の傑作。
HMN-911804
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価格帯:F
シューマン:
 3つのロマンス Op.94/
 アダージョとアレグロ Op.70/
 民謡風の5つの小品 Op.102〜3曲
 幻想小曲集 Op.73/晩の歌
クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22
アレクセイ・
 オグリンチュク(Ob)
レオニド・オグリンチュク(P)
 録音:2003年1月。
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。Raptusレーベルの「ベートーヴェン秘曲集」で復元されたオーボエ協奏曲のソロを吹いていた、1978年モスクワ生まれのアレクセイ・オグリンチュクがハルモニア・ムンディの新人シリーズに登場。確かなテクニックと伸びやかな音色を聴かせる。
HMM-931805/07
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(3CD)
2CD価格
ヤーコプス〜アレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725):歌劇「グリゼルダ」
 ドロテア・レシュマン(S;グリゼルダ) ローレンス・ザゾ(CT;グァルティエーロ)
 ヴェロニカ・カンジェミ(S;コンスタンツァ) ベルナルダ・フィンク(Ms;ロベルト)
 シルヴィア・トロ・サンタフェ(Ms;オットーネ)他 ルネ・ヤーコプス指揮
 ベルリン古楽アカデミー ニコラウ・デ・フィゲイレド(Cemb;通奏低音)合唱指揮
 録音:2002年11月、テルデックス・スタジオ・ベルリン|初出・旧品番:HMC-901805/07 (3CDs), HMC-801805/07 (3 HYBRID_SACDs) 〔ともに廃盤、入手不能〕 高名なアポストロ・ゼーノの台本による、グァルディエーロ王の妻グリゼルダの物語。初演当時不運に見舞われたこの作品も、20世紀後半に「発見」され、今では大スカルラッティの代表作として高く評価されている。ヤーコプスのこの演奏は、「グリゼルダ」がまさにオペラ史上に燦然と輝く宝石であることを知らしめるもの。歌手も、幾多の共演でおなじみのレッシュマン、ザゾ、フィンクに加え、ベルリンでのリナルドを歌ったトロ・サンタフェ、ミュンヘンでのバロック・オペラの常連カンジェミなど、よくぞ集めたり。
HMG-501808
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価格帯:F
アルベルト・ヒナステラ(1916-1983):
 バレエ「エスタンシア」〜4つの舞曲 Op.8a /
 ハープ協奏曲 Op.25 (*) /
 南米のファウスト序曲 Op.9 /協奏的変奏曲 Op.23
マグダレーナ・
 バッレーラ(Hp;*)
ジュゼプ・ポンス指揮
グラナダ市o.
 旧品番:HMC-901808〔廃盤〕。吹奏楽用にも編曲され大人気の「エスタンシア」(「大農場」の意)、名曲「ハープ協奏曲」等、『アルゼンチンの伊福部昭』(←輸入元の案内による)ヒナステラの魅力をたっぷり味わえるアルバム。
HMA-1951809
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価格帯:F
フライブルク・バロック管〜モーツァルト
 セレナード第6番 ニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」/
 3つのディヴェルティメント〔ニ長調 K.136 /変ロ長調 K.137 /ヘ長調 K.138 〕
  ペトラ・ミュレヤンス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2002年12月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。旧品番:HMC-901809, HMX-2961809〔以上廃盤〕。ミュレヤンスが指揮を務めたモーツァルト。美しさの中にも刺激的なアクセントなどが巧みに施されており、うまさに驚くばかりの極上の愉悦が広がる。
HMA-1951810
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価格帯:F
ベルトラン&アモワイヤル〜エルネスト・ブロッホ(1880-1959):チェロ作品集
 無伴奏チェロ組曲〔第1番−第3番〕/ユダヤ人の生活より(3つのスケッチ)/
 ニルヴァーナ〔涅槃〕/バール・シェム〜ニーグン〔即興、朗吟〕
  エマニュエル・ベルトラン(Vc) パスカル・アモワイヤル(P)
 録音:2002年12月。旧品番:HMC-901810〔廃盤〕。スイス生まれのユダヤ人作曲家ブロッホの音楽は、シナゴーグで厳かに鳴り響く聖歌のように、オリエンタルな気分を醸し出す。ユダヤの人々の慟哭までもが聴こえてくるようなブロッホの世界を見事に再現。
ラヴェル:ピアノ作品全集
 鏡/水の戯れ/亡き王女のためのパヴァーヌ/古風なメヌエット/前奏曲/シャブリエ風に/ボロディン風に/
 ハイドンの名によるメヌエット/マ・メール・ロワ/クープランの墓/夜のガスパール/ソナチネ/
 高雅で感傷的なワルツ/パレード(バレエのためのスケッチ)(*) /メヌエット 嬰ハ短調(*)

 アレクサンドル・タロー(P)
 録音:2003年1月、4月| (*)は初出時の世界初録音|初出・前出・旧品番:HMC-901811/12〔廃盤〕。
HMG-501813
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(2CD)
価格帯:F
J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調BWV.232
 ヨハンナ・コスロフスキー、メヒトティルト・バッハ、モニカ・マウフ、スサンネ・リデーン(S)
 エリーザベト・ポピアン(A) ヘニング・フォス(CT)
 ハンス=イェルク・マンメル、ヴィルフリート・ヨッヘンス(T)
 シュテファン・シュレッケンベルガー、ヴォルフ=マティアス・フリードリヒ(B)

 コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン
 録音:2003年2月。旧品番:HMC-901813 (2CDs)。なお国内代理店は、旧盤の際から『リデンアルト』というソプラノ歌手を記載しているが、リデーンとアルトを混ぜてしまったもので、誤り。冒頭の「キリエ」から、ゾクっとするほどなまめかしさ。時にクールな響きにまとめられたロ短調はまさに「耽美」。合唱部でもソロでも、器楽パートが対等に対話をしていて、どこか新鮮に響く。すみずみまで行き届いた表現のきめこまやかさに感服。全体にやわらかみのある優秀録音。
ジャン=ギアン・ケラス〜ハイドン&モン:チェロ協奏曲集
 ハイドン:チェロ協奏曲〔第1番 ハ長調 Hob.VII: b-1 /第2番 ニ長調 Hob.VII: b-2 〕
 ゲオルク・マティアス・モン(1717-1750):チェロ協奏曲 ト短調
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc) ペトラ・ミュレヤンス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2003年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン|旧品番:HMC-901816, HMX-2961816, HMG-501816 〔すべて廃盤、入手不能〕。チェロの貴公子ケラスによる疾風怒濤のハイドン。特に第1番終楽章は鮮烈の極み。4楽章形式の交響曲を最初に作曲したとされるモンの協奏曲は、低弦を生かした書法によりチェロの持つ可能性を最大限に引き出した作品。
HMA-1951817
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価格帯:F
ブルックナー
 交響曲第3番「ワーグナー」(1873年第1稿)
ケント・ナガノ指揮
ベルリン・ドイツso.
 録音:2003年3月。初出・前出・旧品番:HMC-801817 〔HYBRID_SACD、廃盤〕の通常 CD 化。『すばらしい演奏。堂々たるテンポ、あまりに美しい響きに驚きましたが、ブルックナーにふさわしいどっしりしたもの。終楽章の圧倒的コーダも聴きもの。まさにワーグナー交響曲というふさわしい第一稿にすごい演奏が加わりました。』と代理店絶賛だった演奏。
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」 サイモン・キーンリーサイド
(アルマビーヴァ伯爵)
ヴェロニク・ジャンス(伯爵夫人)
パトリツィア・ツィオーフィ(スザンナ)
ロレンツォ・レガッツォ(フィガロ)
アンジェリカ・
 キルヒシュラーガー(ケルビーノ)
マリー・マクローリン(マルチェリーナ)
コビー・
 ヴァン・レンズブルク(バジリオ)
アントーニオ・アベーテ
(バルトロ/アントーニオ)
ニコラウ・デ・フィゲレイド(P)
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ケルン、
コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
HMC-801818
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(3 HYBRID_SACD)
価格帯:B
 旧品番:HMX-2961818 (CD)。グラミー賞受賞、グラモフォン誌上でも絶賛の嵐だった「フィガロの結婚」、ヤーコプスのダ・ポンテ・オペラ第2弾。怒濤のように駆け巡る興奮と快楽に包まれた名演奏となった。歌手陣も強力で、知性派キーンリーサイドに既に当役を当たり役としているジャンスという伯爵夫妻、演技派レガッツォのフィガロと集中力で聴かせるチオーフィのスザンナというイタリア人コンビ、そしてキルヒシュラーガーのケルビーノにマクローリンのマルチェリーナと、想像するだけで楽しくなってくる。そして、セッコ伴奏が名手フィゲレイド。実に雄弁な演奏で、モーツァルトのレチタチーヴォの面白さを存分に味わわせてくれる。序曲から聴くものを惹きつけて離さない、ヤーコプスの熱い指揮による刺激あふれる傑作の登場。
HMC-801821
(HYBRID_SACD)
廃盤
シェーンベルク:
 地には平和を Op.13(管弦楽版)/
 オラトリオ「ヤコブの梯子」(W.ツィリヒ補筆完成)/
 地には平和を Op.13(無伴奏合唱版)
ケント・ナガノ指揮
ベルリン・ドイツso.、
ベルリンcho.
HMG-501822
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価格帯:F
月に寄せる〜ヘンシェル、シューベルト:リート集
 月に寄せるさすらいの歌 D.870 /あこがれ D.879 /戸外にて D.880 /りんご園に寄せて D.197 /愛の陶酔 D.179 /
 生きる勇気 D.883 /舟人 D.536 /双子座に寄せる舟人の歌 D.360 /水の上で歌う D.774 /海の静けさ D.216 /
 小人 D.771 /墓掘人の歌 D.869 /夜の曲 D.672 /弔いの鐘 D.871 /墓掘り人の郷愁 D.842 /秋の夜の月に寄す D.614 /
 さすらい人 D.649 /ヴィルデマンの丘を越えて D.884 /悲しみ D.772 /ブルックの丘にて D.853

  ディートリヒ・ヘンシェル(Br) ヘルムート・ドイチュ(P)
 録音:2003年5月、2004年1月、ベルリン。 旧品番:HMC-901822 ヘンシェルの歌には大方のリート歌手が陥る神経質な表情や、わざとらしさが皆無。あくまで自然体。その上で実に深い彫り込みがなされていると言う恐ろしい出来映え。「さすらい人」での感極まったような歌いまわしはもう最高、さらに「小人」や「弔いの鐘」のような渋い曲では他を寄せ付けない実に深い味わい。「ヴィルデマンの丘を越えて」や「生きる勇気」での男性的な力強さも見事。さらにヘルムート・ドイチュの伴奏が上手い。リート・ファンにはたまらない一枚。
ハイドン:弦楽四重奏曲集
 [ニ長調 Op.64 No.5「ひばり」/
  ニ短調 Op.76 No.2「五度」/ト長調 Op.77 No.1]
エルサレムSQ
 録音:2003年4月、オランダ、ハーレム。一時限定盤HMX-2961823(廃盤)も出ていた物。 1993年にエルサレムで結成、グラーツ国際コンクールで認められ、BBCとブイトーニ・トラストの援助を受け活動しているエルサレムSQが、「ユダヤの弦」の真髄を聴かせるハイドン。
HMG-501824
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価格帯:F
フィンク〜ドヴォルジャーク:歌曲集
 愛の歌 Op.83, B.160 /クラローヴェー・ドヴールの写本による歌曲集 Op.7, B30 /4つの歌曲 Op.2, B.124 /
 エクシュカ・クラースノホルスカーの詩による愛の歌/4つの歌曲 Op.82, B.157 /
 4つの歌曲「民謡調で」Op.73, B.146 /歌曲集「ジプシーの歌」 Op.55, B.104

  ベルナルダ・フィンク(Ms) ロジャー・ヴィニョールス(P)
 録音:2003年5月。旧品番:HMC-901824〔廃盤〕。ドヴォルジャークの魅力といえば何といっても素朴で親しみやすいメロディー。そんなドヴォルジャークが歌曲を好んでいたのは当然で、生涯に百曲近い歌曲を残しているが、残念なことに言葉の問題から日本では決して有名であるとはいえない。ここではアルゼンチン生まれのフィンクが全部で33の歌曲を原語で歌っている。彼女のすっきりと素直で木目調の声がこれほどドヴォルジャークにピッタリだったとは。心地よい音楽にどっぷりつかる安らぎをどうぞ。
HMG-501825
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価格帯:F
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲
 〔第1番 ハ短調 Op.8/第2番 ホ短調 Op.67〕
コープランド
 ピアノ三重奏曲「ヴィテプスク」
  (ユダヤの主題による習作)
トリオ・ヴァンダラー
 録音:2003年5月。旧品番:HMC-901825ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番はソレルチンスキー追悼のために書かれたもので、ユダヤのメロディを用いている。コープランド初期のピアノ三重奏曲「ヴィテプスク」に付けられたのはベラルーシの町の名。ヴィテプスクはユダヤ人が多く、シャガールもここの出身。ロシア系ユダヤ移民の子であるコープランドのルーツ探しで、むせかえるようなユダヤ色に満ちている。この2作品、何故か良く似ていて、同世代の米露2大作曲家の意外な関連が興味津々。
HMY-2921826/27
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(2CD)
1CD価格
シュペリング〜ヘンデル:歌劇「ペルシャの王シローエ」(1728)
 アン・ハレンベリ(A;シローエ) グンター・シュミット(CT;メダルセ)
 ゼバスティアン・ノアック(Br;コズローエ)
 ヨハンナ・ストイコビチ(S;エミーラ) イム・スンヘ(S;ラオディーチェ)
 アンドレアス・シュペリング指揮カペラ・コロニエンシス
 録音:2003年5月、ケルン。旧品番: HMC-901826/27 〔廃盤〕。#歌詞テキストは付いておりません。 ヘンデルのシローエ(ペルシャの王シローエ)はロンドンで1728年2月17日に初演された。前年にはジョージ2世が戴冠し、同時期に作曲された「イングランド王リチャード1世」(1727年作曲・初演)、「エジプト王トロメーオ」(1728年作曲・初演)と共に王室を主題とした三部作のようになっている。注目なのは、リブレッティスト。当作で筆を執ったピエトロ・アントニオ・トラパッシは後にメタスタージオと名乗り、18世紀オペラを語る上で欠かせないリブレット作者となる。あらすじは、ペルシャの王コズローエとその息子メダルセとシローエをめぐる物語。最初コズローエは次男であるメダルセに王位を譲ろうとしていたが、様々な策略が暴かれてゆき、最終的にはシローエが王位を継承する、といった内容。
ラッスス:
 ペトラルカ作「カンツォニエーレ」による
 マドリガーレ集

 独り物思いにふけって人けない野原を(5声)/
 もし愛の誠意が(8声)/思いから思いへ(6声)/
 ひねもす泣き暮らし(5声)/
 私はかつて歌い、今は泣く(5声)/
 魂よ、おまえは何をしているのか(7声)/
 夜明けの光に向かって(5声)/
 私の優しい運命と楽しい生活とが(5声)/
 耐えがたい重荷の下で私は疲れ(5声)/
 私の過ぎ去ったときに涙し(5声)
パウル・ヴァン・ネーヴェル指揮
ウエルガス・アンサンブル
 録音:2003年7月、サントンジュ、サン=ソヴァン、サン・シルヴァン教会。
 14世紀イタリア人文主義を代表する詩人、文学者、フランチェスコ・ペトラルカが生涯に渡って推敲し続けた「カンツォニエーレ」(全366編)にインスピレーションを受け、ルネサンス後期の巨匠ラッススが作曲した60曲以上の作品のなかから10曲を抜粋した録音。
 ラウラ・デ・ノヴェスへの愛を綴った詩に対するラッススの格調高い音楽は、古雅の趣きを思わせると同時に、鋭く表現に富んでいる。また、収録作品は1555年から1579年にかけて作曲され様々な曲集に 収録されており、ペトラルカもまたラッススにとっての創作の源泉であったことを示している。
ハイドン:オラトリオ「四季」 マルリス・ペーターゼン(S;ハンネ)
ウェルナー・ギューラ(T;ルーカス)
ディートリヒ・ヘンシェル(Br;シモン)
ルネ・ヤーコプス指揮
フライブルク・バロックo.、
RIAS室内cho.
HMC-801829
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2003年8月、インスブルック。
 ハイドンの傑作オラトリオ「四季」、しかし「天地創造」には多くの録音があるのに比べ「四季」は意外な程CDは少なく、しかもここ10年以上良い新録音がなかった。ハイドン自身「『天地創造』の方が優れている」などという言葉を残したためもあってか、今日まで評価が今一歩なのも要因かもしれない。しかしさすがはヤーコプス、誰が聞いても「四季」が傑作であることを納得させて大名演を録音してくれた。ベストセラーになった「フィガロの結婚」同様、ピリオド楽器オーケストラをフル稼働させ、晩年のハイドンによる恐るべき表現を万全に引き出している。特に狩の場面での鉄砲炸裂とワイン祭のある「秋」の大胆かつユーモアたっぷりの音楽が、これでこそハイドンと思わせる物。加えて歌手も素晴らしく、要のシモンに男っぷりも恰好良いヘンシェル、そして当代最高美声テノールのギューラに、バロックからルルまで幅広く大活躍のソプラノ、ペーターゼンと、実に良い配役。代理店曰く「従来のありとあらゆる録音をふっ飛ばしてしまった」演奏。
HMX-2961829
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(2CD)
価格帯:F
没後200周年記念ハイドン・スペシャル・エディション〜オラトリオ「四季」
 マルリス・ペーターゼン(S;ハンネ) ウェルナー・ギューラ(T;ルーカス)
 ディートリヒ・ヘンシェル(Br;シモン)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、RIAS室内cho.
 録音:2003年8月、インスブルック。旧品番:HMC-901829の値下げ再発売。
 ハイドンの傑作オラトリオ「四季」、しかし「天地創造」には多くの録音があるのに比べ「四季」は意外な程CDは少なく、しかもここ10年以上良い新録音がなかった。ハイドン自身「『天地創造』の方が優れている」などという言葉を残したためもあってか、今日まで評価が今一歩なのも要因かもしれない。しかしさすがはヤーコプス、誰が聞いても「四季」が傑作であることを納得させて大名演を録音してくれた。ベストセラーになった「フィガロの結婚」同様、ピリオド楽器オーケストラをフル稼働させ、晩年のハイドンによる恐るべき表現を万全に引き出している。特に狩の場面での鉄砲炸裂とワイン祭のある「秋」の大胆かつユーモアたっぷりの音楽が、これでこそハイドンと思わせる物。加えて歌手も素晴らしく、要のシモンに男っぷりも恰好良いヘンシェル、そして当代最高美声テノールのギューラに、バロックからルルまで幅広く大活躍のソプラノ、ペーターゼンと、実に良い配役。代理店曰く「従来のありとあらゆる録音をふっ飛ばしてしまった」演奏。
HMY-2921831/32
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(2CD)
1CD価格
ヘレヴェッヘ〜ラッスス(1532-1594):ダヴィデの懺悔の詩篇(1584、ミュンヘン刊)
 〔主よ、怒りもて罰したもうなかれ/その悪行を許され/主よ、怒りもて罰したもうなかれ/
  神よ、われを憐れみたまえ(ミゼレーレ)/主よ、わが祈りを聞きたまえ/
  深き淵より、われ汝を呼ぶ/主よ、わが祈りを聞きたまえ〕
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:2005年。 初出&旧品盤:HMC-901831/32 [HMC-901831] 。 スリム・クラムシェルボックス仕様、CD はスリーブケースに収納、ブックレットはトラック情報、解説(英独仏語)のみで、リブレットは無し。 2005年に創立35周年を迎えた世界屈指の古楽合唱団コレギウム・ヴォカーレによる、満を持してのラッスス。彼らによる声楽のみの録音は実に久しぶりだったが、あらためて彼らの絆の深さ、実力に驚かされるばかり。「ダヴィデの懺悔の詩篇」は、ミュンヘンで1584年に出版され、400年以上たった現在も、世の人々を驚かせる美しさに満ち、愛されている作品。ルネサンス時代の抽象的なポリフォニーの美しさと、言葉の粒立ちの美しさがえもいわれぬバランスで丁度よく融合した、実に見事な演奏。
イザベル・ファウスト〜ドヴォルジャーク
 ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53 (*) /ピアノ三重奏曲 ヘ短調 Op.65 (+)
  イザベル・ファウスト(Vn)
  イジー・ビェロフラーヴェク指揮プラハ・フィルハーモニア(*)
  ジャン=ギアン・ケラス(Vn;+) アレクサンドル・メルニコフ(P;+)
 録音:2003年9月、ルドルフィヌム、プラハ(*) /2003年12月、テルデックス・スタジオ、ベルリン(+) |旧品番:HMC-901833, HMX-2901833〔ともに廃盤、入手不能〕。イザベル・ファウストのドヴォルジャーク。しかも有名な協奏曲に加え、ピアノ三重奏曲まで弾いている。ヴァイオリン協奏曲はやたら力こぶ付きで演奏されがちだが、ここでのファウストは作曲者の細やかな感性を十分に読みきった演奏。常に透明感を失なわず、詩情を大事にした音楽が爽やかな後味を残す。ビエロフラーヴェクの見事なサポートっぷりにも関心。一転して渋い作風のピアノ三重奏曲では、ファウストが室内楽の分野でもかなりの人だということを証明。なんとなんとケラスとの共演というのも弦マニアのむせび泣きが聞こえてきそう。メルニコフのピアノがまた雄弁で、この作品のまれに見る名演。
HMA-1951834
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価格帯:F
マルタン(1890-1974):無伴奏二重合唱のためのミサ/アリエルの5つの歌
メシアン(1908-1992):5つのルシャン/ああ聖餐よ
 ダニエル・ロイス指揮RIAS室内cho.
 録音:2003年9月、11月/初発売:2004年。旧品番:HMC-901834現在世界最高の合唱団のひとつ、RIAS室内合唱団によるマルタンとメシアンのこの二大傑作合唱曲。近代宗教音楽の大傑作として広く人気のあるマルタンの無伴奏二重合唱のためのミサは、1922年から作曲され1926年に初演されたが、マルタンがその後半世紀近く再演の許可を出さなかったことでも知られている。無伴奏合唱の頂点に君臨するような作品ゆえに録音も少なくないものの、やはりRIAS室内合唱団はすごい。響きの純粋な美しさ、驚異的な精度の高さはもちろん、多くの団体がピッチリ合わせようと目の色を変えて力んでしまっているのに対し、RIAS室内合唱団はさも当然とばかりの緻密なアンサンブルな上、やわらかく自在に音のブレンド具合を微妙に変えて驚くほどの豊かさを得ている。メシアンの「5つのルシャン」は、「トゥランガリーラ交響曲」が初演された1949年の作品(この2曲とハラウィで「トリスタン」三部作と呼ばれる)。メシアンならではの緻密に織り込まれた精巧な美音から浮かび上がる官能性がたまらない。
HMG-501835
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価格帯:F
アンネッテ・ダッシュ〜バロック時代のドイツ歌曲集(全18曲)
 ハインリヒ・アルベルト:ああひどい冷酷さ//年の中心の五月が/
             かつて誇り高く今や死に瀕した若い女性の最後の言葉
 ヨハン・クリーガー:いとしい人、君が好きだ/晩の礼拝
 アンドレアス・ハンマーシュミット:美よ、お前は
 フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ:愛の神よ、急いで正直に助言を与えてくれ/
                    私たちの人生はたくさんの苦悩に囲まれている
 アンドレアス・クリーガー:飛べ、魂よ、飛べ
 ヨハン・クリスティアン・デデキント:すべては足早に過ぎ去って行く
 エラスムス・キンダーマン:ああ主よ、どれほど長く/他
  アンネッテ・ダッシュ(S) ベルリン古楽アカデミー団員
 録音:2004年7月。旧品番:HMN-911835 ("Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)。1976年ベルリン生まれのドイツのソプラノ、アンネッテ・ダッシュが、17世紀のドイツの作曲家による親しみやすい歌曲を歌った初ソロCDだったもの。2000年のジュネーヴ国際音楽コンクール声楽部門で第1位を獲得。バッハなどの宗教音楽で評価を得、日本では2003年12月の新国立劇場でのオッフェンバック「ホフマン物語」でアントニーアを歌って好評を博した。柔らかくしっとりした魅惑の声、驚くほどの気品が漂う表現、そしてもちろん若い歌手ならではの溌剌とした生命力、しっかりした技術力も目を見張るものがある。これは古楽ファンだけが楽しんでいてはもったいない。ベルリン古楽アカデミーのメンバーの伴奏がまた気が利いていて楽しい。
HMA-1951836
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価格帯:F
エマニュエル・ベルトラン
 R.シュトラウス
:ロマンス ヘ長調/チェロ・ソナタ ヘ長調 Op.6
 レーガー:チェロ・ソナタ ト短調 Op.8 /小ロマンス ニ長調 Op.79 No.2
  エマニュエル・ベルトラン(Vc) パスカル・アモワイヤル(P)
 録音:2004年2月。旧品番:HMC-901836R.シュトラウスが10代の頃に作曲したチェロ・ソナタは、若々しい息吹が随所に感じられ、また充実したピアノ・パートなど、10代とは思えぬ音楽性溢れる作品。レーガーのチェロ・ソナタ(第2番)は初演当初必ずしも好評ではなかったが後に再認識され、今やレーガー20代の代表作の一つに数えられている。レーガーらしい深いロマンティシズムをたたえた作品。エマニュエル・ベルトランの瑞々しく潤いのあるチェロの響きが、これらの名作を理想的に聴かせてくれる。
HMG-501837
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価格帯:F
バンセ、ヘンシェル、ナガノ〜ヴォルフ:管弦楽伴奏歌曲集
 心よ、考えよ/祈り/古い絵に/眠る幼な児イエス/聖週間/明け方に/火の騎士/新しい愛/どこに慰めを求めよう/ため息/
 ヴァイラの歌/眠りに/彼が来た(春だ)/花を摘みに行くなら/私の巻髪に包まれて/優しい恋を失った人は/ミニョン/
 心よ、がっかりするのはまだ早い/ねずみ捕りの男/竪琴弾きの歌〔 I / II / III /アナクレオンの墓/プロメテウス〕

  ユリアーネ・バンゼ(S) ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
  ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツso.
 録音:2003年11月、2004年7月、12月。 旧品番:HMC-901837 偉大なリート作曲家ヴォルフが、気に入ったリートの伴奏を管弦楽に編曲していたことはわりと知られているが、R.シュトラウスの管弦楽伴奏歌曲に比べると、録音に関してはあまり顧みられてこなかった。もちろんこれらは素晴らしい音楽であり、後期ドイツロマン派ファンならば瞬く間に魅了されてしまうにちがいない。バンゼ、ヘンシェルという、こうした曲を歌わせたら一番の歌手二人を起用。さらに指揮はケント・ナガノという強力な態勢。ヴォルフ・ファンの渇きを潤して余りあるCD。
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集 K.1-30 アラン・プラネス(Fp)
 録音:2003年11月。使用楽器:1800年頃、ヨハン・シャンツ製。おそらくディジパック仕様。
 ドメニコ・スカルラッティのソナタは、チェンバロで弾かれることや、あるいは現代ピアノで演奏されることは普通でも、フォルテピアノで演奏されることは稀である。その盲点をついたのがこのアルバム。名手アラン・プラネスは、保存状態の極めて良好なピアノを使用、これがスカルラッティに今までにない表情を与えている。ちょうどベートーヴェンが第1交響曲を初演した頃のウィーンの楽器は、スカルラッティの音楽に古雅でありなが意思の強さを与えている。そしてそれを見事に操るプラネス。これは注目盤だ。
HMG-501840/41
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(2CD)
価格帯:F
バーンスタイン:ミサ曲
 ジェリー・ハドリー(T) ユリアン・フリシュリング(S)
 ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツso.、ベルリン放送cho.
 パシフィック・モーツァルト・アンサンブル、ジグールト・ブラウンス(Org)他
HMC-801840
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2003年11月18日-22日、フィルハーモニー、ベルリン。CD旧品番:HMC-901840 [HMC-901840/41]。作曲家としてのレナード・バーンスタインは、「ウェスト・サイド・ストーリー」をはじめとして傑作を多数残しているが、その中でも最も野心的な作品として挙げられるのが、このミサ。ベトナム戦争真只中の混迷極める時代、ジャクリーン・ケネディからワシントンDCのケネディ・センターの柿落としのためにケネディ追悼の作品を依頼されて作曲されたもの。1971年の初演当事は賛否に割れたこの作品も今では、バースタインのユニークな才能が最も複雑に高度に結晶した傑作として、アメリカはもちろん、ヨーロッパでもしばしば取り上げられる人気作となっている。通常の管弦楽、合唱に加え、ロックやブルース、ゴスペル調の合唱、ブラスバンド、さらにダンサーなどなどの様々な要素が多様に入り組んだ巨大で複雑な音楽は、並の指揮者ではとても太刀打ちできない代物。今日、このミサを指揮するに、ケント・ナガノ以上にうってつけの人はいない。この愛弟子は、バーンスタインの熱いスピリットはそのままに、完璧な統率力で巨大な編成を見事にさばき、1970年代の混沌とした時代の叫びと平和への祈りを今に伝える。これはナガノとしても快心の傑作であるにちがいない。優秀録音も特筆すべきもの。
 #SACD盤は既にレーベルでは廃盤扱いの模様ですが、2012年現在ではまだ流通在庫が入手可能です。
HMG-501842
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価格帯:F
ヴェルナー・ギューラ〜シューマン、クララ・シューマン、ブラームス
 シューマン:歌曲集「リーダークライス」 Op.24
 クララ・シューマン:
  あの方は来た Op.12 No.2 /なぜあなたは周りの人にたずねるの Op.12 No.11 /ひそやかな語らい Op.23 No.3 /
  わたしは暗い夢のなかにいた Op.13 No.1 /彼らは愛し合っていた Op.13 No.2 /
  どうして泣くの、小さな花よ Op.23 No.1 /それは響くような日 Op.23 No.5
 ブラームス:ドイツ民謡集 WoO.33 〜10曲

  ウェルナー・ギューラ(T) クリストフ・ベルナー(P)
 録音:2003年11月。旧品番:HMC-901842〔廃盤〕。使用ピアノ:フリードリヒ・エールバー、1877-78年製。シューマン夫妻と大切な仲間であったブラームス、三人による珠玉の歌曲集。シューマンの歌曲に触発されてブラームスも歌曲を書くようになり、深い愛情を持っていた民謡からの作曲にも力を入れるようになる。クララ・シューマンの歌曲も美しいものばかり。彼らの間に交わされた手紙の文章も掲載されており、ロマン派時代の重要な歌曲が生みだされる様がリアルに感じられる。
J.S.バッハ:カンタータ集
 [泣き、嘆き、憂い、怯えBWV.12/
  深き苦しみから、我汝に叫ばんBWV.38/
  貧しき者は食らいてBWV.75]
キャロリン・サンプソン(S)
ダニエル・テイラー(CT)
マーク・パドモア(T)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 録音:2003年12月、ブリュッセル。デジパック仕様。
 ヘレヴェッヘによるバッハのカンタータ・シリーズ、今回はワイマール時代の1714年4月22日に初演された「泣き、嘆き、憂い、怯え」BWV 12、トーマス教会カントル就任直後の1723年5月30日に発表した二部構成の大作「乏しき者は食らいて」、そして1724年10月29日に初演された「深き苦しみから、我汝に叫ばん 」BWV.38という3曲。ヘレヴェッヘの明るく優しい肌触りのバッハは今回も文句なしで、加えて歌手に美声かつ的確な様式を身に付けた四人を揃えているのですからたまらない。特に清潔感に満ちたサンプソンと、これ以上のバロック・テノールはいないのではないかという人もいるパドモアは絶対の聞きもの。バッハ・マニアのみならず、バロック声楽ファンには飛び切りの贈り物。
ブラームス:ピアノ作品集
 7つの幻想曲 Op.116/3つの間奏曲 Op.117/
 6つの小品Op.118/4つの小品 Op.119
シュテファン・ヴラダー(P)
 録音:2003年12月。
 2004年春に24の前奏曲を含むショパン・アルバムをリリース(HMU-905260)、新たな充実期をむかえたウィーンのピアニスト、シュテファン・ヴラダー。今回はブラームス、しかも1890年代のブラームス晩年の渋さに満ちた作品ばかり集めるという意欲的なアルバム。
 2005年に40歳となるヴラダー、まだ若い世代だが、澄み切った思索の深さは誰もが驚嘆する豊かな詩情に満ちている。全20曲中、14曲が間奏曲という不思議なこれら4つの作品集から、ヴラダーは老境のブラームスの思いを十全に引き出してくる。Op.117の1曲目のしみじみとした感動、Op.118の1曲目の複雑な思いの巡る熱情なども耳を捉えるが、絶品はOp.118の2曲目、泣けてくる演奏。ディジパック仕様。
HMA-1951845
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価格帯:F
ポール・ルイス〜リスト:ピアノ作品集
 ピアノ・ソナタ ロ短調/灰色の雲/リヒャルト・ワーグナー=ヴェネツィア/不運/
 4つのピアノ小品(1865-1876) /夢の中に/眠れぬ夜、問いと答え/悲しみのゴンドラ
  ポール・ルイス(P)
 録音:2003年12月。初出・前出・旧品番: HMC-901845「派手」「豪腕」というイメージのリスト、しかしそれは若いころの話。このアルバムではリストの「その後」が集められている。1850年代のソナタには、まだ鉄腕リストが聞かれるものの音楽はずっと円熟し、さらに「4つの小品」になるとずっと穏やかで滑らかなロマンティシズムが溢れてきている。さらに晩年の1880年代の作品になると「これってリスト?」と思ってしまうくらいのたとえようもなく渋い美しさ。この多面性に真正面から取組んだのが、シューベルトのソナタ集で大好評を得たポール・ルイス、さすがはブレンデルの愛弟子だけあって、ここでも技術+音楽性が見事に鍛え上げられている。「悲しみのゴンドラ」のひたひたと迫る悲しげな情熱、深い余韻にはグッと来る。
HMN-911846
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価格帯:F
カリン・キュストナー(アコーディオン)
 〜新世代の演奏家シリーズ

   プレスチャ:3−2−2
   ブラソフ:グラフ
   フランク:前奏曲、フーガと変奏
   フラウエンドルフ:影跳び
   セミョノフ:カリーナ・クラスナヤ
   マコネン:ディスコ=トッカータ
   トロイロ、ピアソラ:コントラバヘアンド
   ピフラヤマー:風の踊り
   ボネ:夢のための小さなワルツ
カリン・キュストナー
(アコーディオン)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。カリン・キュストナーは1980年ドイツのハイルブロン生まれ。7歳からアコーディオンを学び、2004年に高等音楽院を終了したばかりの全くの若手奏者だが、在学中からその驚くべき才能が極めて高く評価され、数々のコンクールを勝ちぬき、オーケストラやアンサンブルなどとの共演も頻繁に行なうなど、もう売れっ子という。そんな彼女のファーストアルバムは、セザール・フランクの有名な前奏曲、フーガと変奏を除くと全て20世紀生まれの作曲家の作品。大半が高度に芸術的な作品で、21世紀のアコーディオンに新たなページを開くアルバムと言っても過言ではなさそうだ。
HMA-1951847
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価格帯:F
ロッシーニ:6つの4声ソナタ Vol.2
 6つの4声ソナタ より〔第3番 ハ長調/第6番 ニ長調〕/
 セレナータ 変ホ長調(1823) /チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調(1824) /涙
  アンサンブル・エクスプロラション
  [クリスティーネ・ブッシュ、マルガレーテ・アドルフ(Vn)
   ロエル・ディールティエンス(Vc) ローフェ・ペルソン(Cb)]他
 旧品番:HMC-901847。ピリオド楽器使用。 第1集(HMC-901776, HMA-1951776;共に廃盤)が出るや「ロッシーニは恐るべき天才少年だった」と世界中を唸らせた、アンサンブル・エクスプロラションによる「6つのソナタ集」の続編だったもの。12歳でこんなスカッとする音楽が書ける子供がいるとは! もちろんオリジナル通りの編成&ピリオド楽器を使用し、ロッシーニの意図を正確に再現している。この第2集にはさらに二つのヴァイオリン、ヴィオラ、フルート・オーボエ、イングリッシュホルンとチェロというこれまたユニークな編成の「セレナータ」に、低音がスイングする「チェロとコントラバスのための二重奏曲」、そして晩年の曲集「老いの過ち」の中の、ピアノのための「涙」を収録。
HMA-1951849
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価格帯:F
ヤーコプス、ハイドンの交響曲を振る〜ハイドン
 交響曲〔第91番 変ホ長調 Hob.I: 91 /第92番 ト長調 Hob.I: 92 「オックスフォード」〕/
 シェーナ「私の美しい恋人よ、別れないで〜ベレニーチェはどうする」 Hob.XXIVa: 10
  ベルナルダ・フィンク(Ms) ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2004年2月、バーデン=バーデン。旧品番:HMC-901849, HMX-2961849〔共に廃盤〕。ヤーコプスがなんとハイドンの交響曲を録音したと、大変な話題となった物。これがまた名演で、「フィガロの結婚」同様オーケストラの奏者一人一人がまるで役者のように雄弁に主張し、その押し引きから生まれるメリハリは爽快。熱く緊張感が漲る音楽であるながらも、どこか軽やかで楽しげですらある。名曲「オックスフォード」はもちろん、ハイドンの交響曲の中では地味と思われていた91番がヤーコプスの手にかかると、代理店曰く「バッチリ焼き付くのです!」。そして間に挟まれたコンサートアリア「ベレニーチェはどうするのだ」では、オペラ指揮者ヤーコプスの本領が発揮され、フィンクの抉りの深い歌を万全にサポート。ウィーン古典派=ひたすらマイルドなどという時代はとっくに過ぎたことを高らかに知らしめる、猛烈にエキサイティングなハイドン。
ハインリヒ・シュッツ(1585-1672):
 シンフォニア・サクラ第3集 Op.12(1650)
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
 [ヨハンナ・コスロフスキ、
 モニカ・マウク(S)
 エリザベス・ポピエン、
 ヘニング・ヴォス(A)
 ハンス=イェルク・マメル、
 ヴィルフリート・ヨッヘンス(T)
 シュテファン・シュレッケンベルガー、
 ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ、
 マティアス・ゲルヒェン(B)]
コンチェルト・パラティーノ
 シュッツの不朽の名作が、カントゥス・ケルンとコンチェルト・パラティーノという夢のような組み合わせで登場。管の響きはどこまでも華麗で、声のアンサンブルも一糸乱れず実に見事。17世紀半ば、ザクセンの宮廷楽長として音楽的に絶大な権力をもち、その名声をほしいままにしていたシュッツ。彼の当時の音楽的支配力を感じさせる豪奢な音作りに圧倒される。
HMA-1951852
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価格帯:F
ハンブルク・オペラの序曲集
 ゲオルク・カスパール・シュールマン(1672/73-1751):組曲「ルートヴィヒ1世〔敬虔帝〕」(1726)
 フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ(1657-1714):序曲第4番(1693)
 ラインハルト・カイザー(1674-1739):アルミーラ(舞曲組曲)(1726)
 ヨハン・クリスティアン・シーフェルデッカー(1679-1732):音楽コンセール(1713) 〜第1コンセール

  ベルリン古楽アカデミー
 録音:2004年2月。初出・旧品番:HMC-901981〔廃盤〕。北ドイツの大商業都市ハンブルクでは、1678年から1738年までの60年間、ゲンゼマルクト歌劇場が栄えていた。この劇場はドイツで初めての公開の歌劇場で、宮廷と関係がなかったため市民の娯楽としての自由なオペラ活動ができ、その結果、カイザー、ヘンデル、テレマンといった人々がこの劇場で活躍することとなった。このCDにはさらにエルレバッハやシュルマンらの作品も含めて、序曲や管弦楽組曲を紹介している。
HMN-911853
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価格帯:F
新人音楽家〜フレドリク・フォース(クラリネット)
 ドビュッシー:
  クラリネットのための狂詩曲/
  クラリネットとピアノのための小品
 マルチヌー:クラリネット・ソナティネ H.356
 ベルク:4つの小品 Op.5
 ブゾーニ:エレジー/クラリネットとピアノのための組曲
 プーランク:クラリネット・ソナタ
フレドリク・フォース(Cl)
スヴァイヌング・ビェラン(P)
 録音:2004年2月。
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。フレドリク・フォースのソロ・デビューCD。1973年に生まれ、1989年、わずか15歳でヘルシンボリ交響楽団と共演し、その様子がテレビでドキュメント取材されたという驚くべき経歴の持ち主。翌1990年にはウィーンでORF交響楽団とフランセのクラリネット協奏曲を演奏し国際的な活動を開始しているというから、只者ではない。それもそのはず、彼のクラリネットの音色は済みきって不純物が少なく、北欧の静かな湖のよう。信じられないほどクールで純な美しさをたたえている。ことにゆっくりでラメントな音楽、たとえばブゾーニのエレジー、プーランクのソナタのロマンツァ、ことにベルクの2曲目における、ヒヤリとした触覚の中に滲むニュアンスの移ろいはこの世のものとは思えぬ絶美。これはすごいクラリネッティストの登場だ。
 スヴァイヌング・ビェランは1970年生まれのピアニスト。既にBIS からトヴェイトのピアノ協奏曲第1番が発売されている(BIS-1397)。
HMG-501854
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価格帯:F
ハイドン:クラヴィーア協奏曲集
 クラヴィーア協奏曲 ト長調 Hob.XVIII: 4 /
 クラヴィーアとヴァイオリンのための
  協奏曲 ヘ長調 Hob.XVIII: 6 /
 クラヴィーア協奏曲 ニ長調 Hob.XVIII: 11
アンドレアス・
 シュタイアー(Fp)
ゴットフリート・
 フォン・デア・ゴルツ指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2004年3月、ベルリン。使用フォルテピアノ:モニカ・メイ、1986年製作〔モデル:ヴァルター(ウィーン)、1785年製作〕。 初出・旧品番:HMC-901854, HMX-2961854 〔廃盤〕。 古典派以前のピアノ、いわゆるフォルテピアノを演奏させたら最高の名手の一人アンドレアス・シュタイアー。いわゆるウィーン式のメカニズムだけが持つ細やかで木目の温もりのある音を彼は完璧に理解し操り、ハイドンの音楽から今まで聞いたことのないような豊かな感受性、湧き上がって止まらない霊感を奏でることに成功している。知性的な演奏でありながら、全て感情表現に注がれているようで、森の奥の泉のように清鮮な音楽。21世紀のハイドンの向かう方向を、フォルテピアノのあり方を明確に示した、画期的な演奏
HMA-1951855
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価格帯:F
キール、マクラウド、エメ〜モンテヴェルディ「音楽の諧謔」
 悲しみの冬は去り/愛する人よ、私はどうすればよいのか/リディア、私の心の刺/とても美しいダミジェッラ/
 あのあざけるような眼差し/あなたはもう私に微笑もうとはしない/苦しみが甘美なものならば/愛しのクローリ/
 甘い光に/これまで武装し続けた私/かつて君はすべて私のもの/面影よ、呪われよ/仕えることの報いを望んだのに/
 東方に夜明けが来る時/もし私の気だるい眼差しが/ああ、私は倒れてしまう/美しさにふさわしい賞賛/他

 マリア・クリスティーナ・キール(S) ステファン・マクラウド(Br)
 ジャン=マルク・エメ指揮コンチェルト・ソアーヴェ
 録音:2004年3月。初出・前出・旧品番: HMC-901855 古楽界の代表的ソプラノの一人、マリア・クリスティーナ・キールと、BCJ などとの共演で日本のファンにもすっかりおなじみのステファン・マクラウドの二人がコンチェルト・ソアーヴェと共演。しばしば見られる表現意欲の先走るモンテヴェルディではなく、あくまで明るく美しく開放感のあるとても聞きやすく心地よい演奏に仕上げている。コンチェルト・ソアーヴェはキールと鍵盤楽器奏者のエメによって創立された団体。イタリアの初期バロック音楽を中心としている。
HMA-1951857
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜ブルックナー
 交響曲第7番 ホ長調(ノヴァーク版)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
 録音:2004年4月、ユトレヒト。ピリオド楽器使用。 初出・前出・旧品番: HMC-901857 (CD), HMC-801857 (HYBRID_SACD) 〔共に廃盤、入手不能〕。 ブルックナーの交響曲がピリオド楽器で登場ということでも話題となった1枚。しかも美音主義者ヘレヴェッヘとシャンゼリゼ管の演奏。ヘレヴェッヘはブルックナーの大家ヴァントを大変尊敬していたこともあり、とろける美音を聴かせながらも大変硬派。音質もハルモニア・ムンディ・フランスならではの優秀録音。
HMG-501858
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(2CD)
価格帯:F
ケント・ナガノ〜マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
 シルヴィア・グリーンベルク、リン・ドーソン、サリー・マシューズ(S)
 ゾフィー・コッホ、エレナ・マニスティナ(A) ロバート・ギャンビル(T)
 デトレフ・ロート(Br) ヤン=ヘンドリク・ローテリング(B)
 ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツso.、ベルリン放送cho.、ライプツィヒMDRcho.、
 ヴィンツバッハ少年cho. ジグールト・ブラウンズ(Org)
 録音:2004年4月29日-5月2日、ベルリン。旧品番:HMC-901858 (CD), HMC-801858 (HYBRID_SACD) (ともに廃盤/入手不能)。
 2006年から(-2013年までの予定)バイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任したナガノは、この巨大作でも万全の指揮ぶりで、コンビを組んで5年のオーケストラも全力をあげて応えている。また歌手も優秀な面々。今おおいに活躍しているヘルデン・テノールの雄ロバート・ギャンビル、大ベテランのヤン=ヘンドリク・ロータリング、それに今やキルヒシュラーガーを追い越さんばかりに絶賛されているメッゾ、ゾフィー・コッホといった人たちが素晴らしいのはもちろんのこと。イスラエル出身でドイツ語圏でコロラトゥーラとして活躍中のグリーンバーグ、ラトル=BPOのジルベスター・コンサートで「カルミナ・ブラーナ」を歌ったマシューズ、1998年のチャイコフスキー・コンクールで第2位となり破竹の活躍をしているロシアのマニスティナ、急速に注目されるようになったドイツのロートと、ベテラン、若手を交えて適材適所。マーラー・ファン、大オーケストラ・ファン、そして名録音マニア、みんな大満足
J.S.バッハ:
 カンタータ「鳴り交わす絃の相和せる競いよ」BWV.207
 カンタータ「鳴れ、太鼓よ!響け、トランペットよ!」BWV.214
キャロライン・サンプソン(S)
マーク・パドモア(T)
シュテファン・ゲンツ(Br)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 録音:2004年6月。
 ヘレヴェッヘによるカンタータ・シリーズ。ライプツィヒ大学の法学博士ゴットリー・コルテの教授就任祝賀用に作曲されたBWV.207と、ザクセン選帝侯妃マリーア・ヨーゼファの誕生日を祝って上演されたBWV.214の2曲の世俗カンタータ。
 BWV.207は「幸福」、「感謝」、「勤勉」、「名誉」という寓意的人物を中心に繰り広げられる音楽劇。歌詞にふさわしい華麗な曲調で、ヘレヴェッヘの明るく滑らかな演奏が聴きもの。また高水準の実力を兼備えた4人の歌手たちにも注目を。サンプソンの純度の高い洗練された美声、コーイの深みのある豊かな音楽も特筆すべきものがある。
 BWV.214は壮麗な作品で、侯妃を祝福する女神たちの歌声が美しく響き渡る。華々しい歌手らの歌声はバロック音楽ファン必聴。
ヨハン・ローゼンミュラー(1619頃-1684):
 クリスマス物語

 野原に羊飼いがいました/
 何ものも太陽の下に新しいものはない/キリストは私の命/
 死は私の益、愛する主なる神よ!/
 いと高きところの神の栄光/私はあなたに喜び/
 おお、イエスの名は/慄け、自然よ
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
コンチェルト・パラティーノ
 録音:2004年6月。
 ドイツの作曲家ローゼンミュラーはライプツィヒで活躍し、かのトーマス教会のカントール就任を目前にしていたものの、1655年に性癖の問題から逮捕、投獄。なんとか脱出しヴェネツィアに逃れ、この地でサンマルコ大聖堂の楽団員となり、当時最先端のイタリア音楽を学び、さらに1678年から1682年には、後にヴィヴァルディが働いたことで知られるピエタ慈善養育院で教員を務めた。彼の作品はドイツに逆輸入されるほど人気が高いものとなり、彼は晩年にドイツに戻り亡くなった。
 このCDに収録されている作品はいずれも1645年から1655年、ライプツィヒ時代の作品。聴けばすぐ分かるが、イタリアに行く前からローゼンミュラーはイタリア趣味を取り込んでいて、素晴らしく豊かで高度な音楽を作り上げている。これはライプツィヒで人気だったのも当然。
 御存知ユングヘーネルがカントゥス・ケルンにコンチェルト・パラティーノを加え、ライプツィヒの質実な実直さと、ヴェネツィアの華やかな娯楽精神の美しき融合を文句なしに成し遂げている。
HMA-1951862
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価格帯:F
サン=サーンス:ピアノ三重奏曲集
 〔第1番 ヘ長調 Op.18 (1864) /
  第2番 ホ短調 Op.92 (1892) 〕
トリオ・ヴァンダラー
 録音:2004年8月。旧品番:HMC-901862 トリオ・ヴァンダラーによるサン=サーンス。第1番は30歳を前にした、若く瑞々しい楽想の溢れる曲。第2番は50代後半になったサン=サーンスの筆さばきも充実した傑作。どちらも聴けば一発で気に入るような名曲にもかかわらず、長いことお世辞にも人気作とはいえない状況であったが、近年になって急速に人気が上昇している。特長の異なるこれら2作品、トリオ・ワンダラーはどちらも万全の演奏を披露している。ことに、より手強い第2番での強いテンションと真っ直ぐな意志の音楽は見事。
HMA-1951863
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価格帯:F
クロード・ル=ジュヌ(1530頃-1600):シャンソン集
 戦い/私はみじめだ/僕の耳には蚤がいる、ああ!/
 僧院長とその小姓/風がさらっていくだろう/他 全16曲
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 録音:2004年6月。旧品番:HMC-901863ル・ジュヌは当時フランドルだったヴァランシエンヌの出身。パリで進歩的な芸術集団に加わり、詩と音楽の一致という理念に基づき、優れた作品を多数書いた。フランスのブルボン朝最初の王であるアンリ4世(在位1589-1610)が彼の才能を高く評価したことでも知られる。ル・ジュヌは宗教音楽、世俗音楽どちらでもかなり広範囲な活動をした人で、その中でも特に世俗のシャンソンは、ジャヌカンらのものとは異なってアカデミックで洗練されており、非常に人気があった。ヴィス率いるアンサンブル・クレマン・ジャヌカンは7人の歌手にリュートを加えて録音、もちろん演奏は完璧で、ル・ジュヌの志の高い理念と生命力ががっちり結び付けられている。
HMG-501864
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価格帯:F
ニーノ・ロータ
 「道」〜管弦楽組曲/
 「山猫」(レオパルドのための舞曲)/
 ピアノ協奏曲「夕べの協奏曲」
ベネデット・ルポ(P)
ジュゼプ・ポンス指揮
グラナダ市o.
 録音:2004年7月|旧品番: HMC-901864 , HMX-2901864 映画音楽の巨匠ニーノ・ロータはクラシック音楽の分野での人気ももちろん高く、どちらも絶品。このCDには、映画音楽の分野の傑作である「道」、「山猫」の音楽と、クラシカルなピアノ協奏曲「夕べの協奏曲」が収められている。
ヤコブス・デ・ケルレ(1531/32-1591):ダ・パーチェム・ドミネ パウル・ファン・ネーヴェル指揮
ウエルガス・アンサンブル
 16世紀の多声音楽というとやや複雑に過ぎるイメージがあるかもしれないが、ケルレの作風は凝っていながら明快で、実に美しい響き。オランダ、イタリア、ドイツ、そしてプラハと各地で活躍したケルレは、当時の礼拝音楽が形式を重んじるあまりに複雑をきわめた傾向にあったのに反して、シンプルな響きで言葉がはっきりと聴き取れる音楽をつくった。このことから、教会音楽の救世主はケルレであり、パレストリーナではない、と言う人もある。
 16世紀声楽音楽のパイオニア、ネーヴェルと手兵ウエルガス・アンサンブルが、ケルレの色褪せることのない美しい音楽を、悠久の時を超えて蘇らせる。
HMC-901867
廃盤
ケラス、ビエロフラーヴェク、ファウスト、メルニコフ〜ドヴォルジャーク
 チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104 (*) /ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調Op.90「ドゥムキー」(+)
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc) イジー・ビエロフラーヴェク指揮プラハpo. (*)
  イザベル・ファウスト(Vn;+) アレクサンドル・メルニコフ(P;+)
 録音:2004年8月、ルドルフィヌム、プラハ(*) /2004年12月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。他出品番:HMX-2901867(2009年カタログ付き)/ HMC-801867(SACD盤)〔ともに廃盤〕。
HMA-1951868
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価格帯:F
メンデルスゾーン
 弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20 (*) /協奏的変奏曲 Op.17 (+/#) /
 無言歌 ニ長調 Op.109 (+/#) /アルバムの綴り ホ短調(#)
  アンサンブル・エクスプロラション
   [クリスティーネ・ブッシュ、リディア・フォーベス、チャン・チャン、フランシス・ルーセンス、
    マルガレーテ・アドルフ(Vn) グース・イェケンドリュプ、マルテン・ベーケン(Va)
    ロエル・ディールティエンス、ゲールト・ドビエーヴル(Vc)]

  ロエル・ディールティエンス(Vc;+) フランク・ブラレイ(P;#)
 録音:2004年8月。使用ピアノ:スタインウェイ・コンサート・ピアノ、1874年製。 初出・前出・旧品番: HMC-901868 廃盤、入手不能〕。 メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲はまだ16歳の時の作品。弦楽器だけの室内楽編成ながら、30分かかるちょっとした小交響曲の趣があり、若さが長所となった素直でまっすぐなエネルギーがたいへん魅力的。こうした作品ではピリオド楽器演奏が優れているのは当然。ディールティエンスを中心としたアンサンブル・エクスプロラションは、爽やかでスッキリした味わいの中に、若きメンデルスゾーンの生命力の迸りをバッチリ浮き上がらせている。さらにディールティエンスとブラレイといううれしい組み合わせの協奏的変奏曲と無言歌、ブラレイのソロによるアルバムの綴りと、メンデルスゾーン・ファンならずともうれしくなるものばかり。
HMA-1901869
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価格帯:F
ティベルギアン〜J.S.バッハ:パルティータ集
 〔第2番 ハ短調 BWV.826 /第3番 イ短調 BWV.827 /第4番 ニ長調 BWV.828 〕

  セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2004年8月。初出・旧品番:HMC-901869〔廃盤〕。 1998年のロン=ティボー・コンクールで優勝し一躍その名が知られたティベルギアン。デビュー盤のドビュッシー、HMC企画第一弾のベートーヴェンの変奏曲集と、いずれもきわめて高い評価を得て、次に挑んだ王道バッハのパルティータ3曲。ここでも意志のはっきりしたクリアな音楽作りと、ガシッと本質を掴むたくましさ、そして知的でかつ音楽を楽しむ余裕のある懐の広さと、あらゆる点で唸らせられる。天晴れというしかない。
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための作品集
 幻想曲 ハ長調 Op.159 D.934/二重奏曲 イ長調 D.574/
 (華麗な)ロンド ロ短調 Op.70 D.895
イザベル・ファウスト(Vn)
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 欧米各国で目覚しい活躍ぶりを見せ、最も注目される若手ヴァイオリニストの一人、イザベル・ファウスト。同時代音楽の重要性を認識し積極的な姿勢を見せ、アバンギャルドなレパートリーの演奏や世界初演も数多い。またピアノは20世紀の巨匠・リヒテル秘蔵っ子, アレクサンドル・メルニコフ。ここでは非常に質の高いシューベルト演奏を聴くことが出来る。きりりと冴えた持ち味を活かしつつ流麗に演奏するファウスト。「ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲」では彼女のシューベルトの音楽への深い理解を感じさせる演奏。聡明でチャーミングなファウストのヴァイオリンをアレクサンドル・メルニコフのピアノがしっかりと支えている。
タロー|イタリア風の協奏曲〜
  J.S.バッハ:クラヴィーア協奏曲集

 ニ短調 BWV.596 〜シシリエンヌ
  (タローによるピアノ編曲版)/ト短調 BWV.975 /
 パストラーレ ヘ長調 BWV.590 〜アリア/
 イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV.971 /ニ短調 BWV.974 /
 ハ短調 BWV.981 /ト長調 BWV.973 /
 ロ短調 BWV.979 〜アダージョ
アレクサンドル・タロー(P)
 録音:2004年9月|初出・旧品番: HMC-901871 〔廃盤、入手不能〕。2001年、フランス・バロックの巨匠ラモー(1683-1764)をモダーン・ピアノで録音し一躍注目されたタローが、次に挑んだアルバム。ここに収録されている曲には2つの特徴がある。まず、有名なイタリア協奏曲をはじめ、いずれも協奏曲の名が付きながらソロの曲であること。そしてそれらは、いずれもイタリアの協奏曲様式で書かれ、さらに大半がイタリアの作曲家の作品を元にした編曲作品であること。 BWV.596, BWV.975, BWV.973 はヴィヴァルディ、 BWV.974 はA.マルチェッロ、 BWV.981 はB.マルチェッロ、 BWV.979 はトレッリが原曲。つまりバッハとイタリアの協奏曲の邂逅がこのCDのテーマなのである。タローはピアノでしか出せない深い情感が豊かで、加えて知性的なコントロールも見事、現代におけるピアノ演奏のバッハの意義を十全に感じさせてくれる出来ばえ。スタインウェイの上品な響きも特筆すべきもの。
HMC-801873
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
タリス&ピッツ:40声の合唱作品
 タリス:汝のほかに望みなし
 パーセル:主よ、わが祈りを聞きたまえ
 J.S.バッハ:フーガの技法〜対位1
 ハーヴェイ:聖霊よ、おいでください
 クヌート・ニューステット(1915-):不滅のバッハ
 コダーイ:オルガン讃歌
 サンドストレム:主よ、わが祈りを聞きたまえ
 ピッツ:XL 他
サイモン・ハルゼー指揮
ベルリン放送cho.
アフィート・ガスト(Org)
 録音:2004年9月。
 ベルリン放送合唱団は、ラジオ放送の誕生から間もない1925年に創立、戦後は名匠ヘルムート・コッホに育てられた。1980年代から、現代音楽も盛んに取上げるようになり、今日高い評価を得ている。2001年からサイモン・ハルゼーが指揮にあたっている。
 このCDには、合唱マニアおなじみの名作があれば、バッハの「フーガの技法」の冒頭曲を無伴奏合唱で歌ったり、ノルウェーの作曲家ニューステットらの作品、さらにグレゴリオ聖歌など、多彩。しかも作品によって、合唱の配置とマイクを工夫し、SACDでの再生ではサラウンド効果がバッチリ。アルバム・タイトルとなっているタリスとピッツの作品は40パート。これはオーディオ・マニアも必聴のCD。
アルフォンソ・フェラボスコ(1543-1588):
 わが魂よ、主に祝福を与えよ(詩篇103)
 日々罪を犯し/主は私たちの罪によってではなく(以上モテット)
 甘い怒り/あなたは黒いが美しい/あのいつも苦い(以上マドリガル)
 あなたのそばに(シャンソン)
パウル・ファン・ネーヴェル指揮
ウエルガス・アンサンブル
 録音:2004年9月。
 フェラボスコはかなり波乱万丈の生涯を送った人物。ボローニャ出身、1550年代後半にイタリアを離れ、ロレーヌ枢機卿シャルル・ド・ギーズのもとで名声を高め、ついに英国女王エリザベス1世お抱えとなった。ところが1577年、誤解から英国を追い出されフランスへ、さらに翌年にイタリアに帰るや教皇の命で逮捕・投獄され、3年後、フランスのカトリーヌ・ド・メディチの嘆願で釈放され、何とか静かな余生を過ごすことが出来た。
 16世紀ヨーロッパの大物が何人も関わるほど、フェラボスコの音楽の魅力は強いものだったのだが、意外なことにフェラボスコ単独のCDは非常に少ないのが現状。そこに登場したこのアルバムは「わが魂よ、主に祝福を与えよ」を中心にモテット、マドリガルなどを収録。エリザベス1世を虜にした、安らぎに満ちた美しい音楽にひたることができる。
HMA-1951875
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価格帯:F
旅へのいざない [Invitation au voyage]
 ヴォーン・ウィリアムズ:旅の歌(全9曲) / マーラー:さすらう若人の歌(全4曲)
 ピッツェッティ:ペトラルカの3つのソネット(全3曲)
 デュパルク:旅への誘い/波と鐘/恍惚/フィディレ/ロズモーンドの館/溜め息
  ディートリヒ・ヘンシェル(Br) フリッツ・シュヴィングハマー(P)
 録音:2004年10月。旧品番:HMC-901875〔廃盤〕。フィッシャー=ディースカウの後継者と目され、23歳でのデビュー以来その名声をほしいままにしているヘンシェルによる、「旅」にまつわる歌曲を中心に集めた一枚。白眉はやはりタイトルにもなっているデュパルク。シュヴィングハンマーのピアノの前奏から心がぞわぞわとさせられ、時にテノールをも思わせるヘンシェルの伸びやかな声、低い部分の美声に、別世界へと連れて行かれそうになる。別世界とははたして異国なのか、それとも死後の世界なのか・・・いろいろな「旅」を味わうことができる、深い内容。この表現の深さでまだ40歳になるかならないか(1967年生まれ)とは。名リート・ピアニスト、シュヴィングハンマーを相手に迎え、文句なし。
HMA-1951876
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価格帯:F
ベルリン古楽アカデミー〜J.S.バッハ:協奏曲集
 ヴァイオリン協奏曲 BWV.1052(オリジナル復刻版)/
 2台のチェンバロのための協奏曲 BWV.1062
  (2つのヴァイオリンのための協奏曲 BWV.1043より編曲)/
 2つのフルートとチェンバロのための協奏曲 BWV.1057
  (ブランデンブルク協奏曲第4番 BWV.1049より編曲)/
 オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 BWV.1060(オリジナル復刻版 BWV.1060a)
  ステファン・メイ、ミドリ・ザイラー、ラファエル・アルパーマン/他
  ベルリン古楽アカデミー
 録音:2004年11月。初出・前出・旧品番: HMC-901876「ヴァイオリン協奏曲 BWV.1052」は消失したとされる協奏曲で、カンタータ(BWV.146)→オルガン協奏曲(BWV.188)→チェンバロ協奏曲(BWV.1052a)と編曲された。このオリジナル復刻版は、C.P.E.バッハのチェンバロ作品の断章をもとにミドリ・ザイラーが編曲したもの。ファンタジー豊かで、華麗な音楽。ロマン派の音楽家たちも「バッハ最大の傑作のひとつ」と魅了されていた作品。ベルリン古楽アカデミーは、ドイツの歴史と伝統に培かわれたアカデミックな品格漂う演奏。名手たちの卓越したテクニックに裏付けされた見事なアンサンブルである。特に「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 BWV.1060」では、オーボエの木の香りを感じさせる暖かい音色が他の楽器と調和した、艶やかで洗練された響きに聴き惚れてしまう。
HMY-2921877/78
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(2CD)
1CD価格
ヤーコプス〜ヘンデル:劇的オラトリオ「サウル」
 ギドン・サックス(B;サウル) ローレンス・ザゾ(CT;ダビデ)
 ジェレミー・オヴェンデン(T;ヨナタン)
 ローズマリー・ジョシュア(S;ミカル) エンマ・ベル(S;メラブ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルン、RIAS 室内cho.
 録音:2004年11月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 旧品番: HMC-901877/78 (CD), HMC-801877/78 (HYBRID_SACD) 〔共に廃盤〕。 #歌詞テキストは付いておりません。 「サウル」は、1738年の夏に作曲、1739年1月に初演された。以降ヘンデルの生前から定期的に上演された当時からの人気作。大規模な合唱、そして序曲としておかれた「シンフォニー」を始めとする非常に充実した管弦楽パートで書かれており、さらに、オラトリオとはいえ、舞台上で演出つきで上演するための実に詳細な指示も残されている。題材は旧約聖書のサムエル記に登場する指導者サウル。英雄ダビデが怪人ゴリアテを倒して戻ってくると、人々はサウルよりもダビデを賞賛するようになる。サウルはダビデに嫉妬し、殺そうとし、魔女の力までをも借りようとするなどするがそこで現れた亡霊にサウルとその息子ヨナタンの死が予言される。最後はダビデが人々の先頭に立つこととなり幕となる、という物語。ヤーコプスの生き生きとした音楽づくりにあらためて感嘆してしまう演奏。
R.シュトラウス:歌曲集
 献呈 Op.10 No.1/なにも! Op.10 No.2/夜 Op.10 No.3/
 誰がしたのか? Op.10 No.6/解き放たれて Op.39 No.4/
 万霊節 Op.10 No.8/4つの歌 Op.27[憩え、わが心/
  ツェツィーリエ/ひそやかな誘い/あすの朝]/
 懐かしい面影 Op.48 No.1/私はお前を愛す Op.37 No.2/
 5つの素朴な歌 Op.21[私の思いのすべて/
  あなたは私の心の王冠/ああ恋人よ、私は別れねばならない/
  ああ悲しい、不幸なる者よ/女たちは時にはつつましく]/
 たそがれの夢 Op.29 No.1/夜の逍遥 Op.29 No.3/
 「はすの花びら」からの6つの歌 Op.19
  [おとめよ、それがなんの役にたつというのか/
  あなたの黒髪を私の頭に広げてください/
  美しく、しかし冷たい空の星よ/二人の秘密をなぜ隠すのか/
  希望と失望/私の心は沈黙し冷える]/
 私は恋を抱いて Op.32 No.1/あこがれ Op.32 No.2/
 悪天候 Op.69 No.5
ヨナス・カウフマン(T)
ヘルムート・ドイチュ(P)
 1993年にニュルンベルクのマイスタージンガーコンクールで見事優勝したヨナス・カウフマンは現在36歳。チューリヒ歌劇場でもひっぱりだこ、超人気者の彼は、ケント・ナガノ指揮の「ヤコブのはしご」(HMC-801821)で「指名されたもの」を熱唱、またノリントン指揮のベートーヴェンの第9交響曲(93-088)のソロでも凛々しい美声を披露している。タミーノやアルフレートなど、どちらかというとリリックテナーの王子タイプの役が多い彼だが、リートを歌わせるとなんとも頼もしい声。リートを歌う時に必ずパートナーとなる巨匠ドイチュのピアノとあいまって、シュトラウスの歌曲の魅力をじっくり味わわせてくれる。変幻自在、怪物的ともいえるその実力に脱帽するばかり。名テナーの魅力を心ゆくまで堪能できる。
ドヴォルジャーク:
 ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.81/
 2つのヴァイオリン、チェロと
  ハルモニウムのためのバガテル Op.47
フランク・ブラレイ
(P/ハルモニウム)
ロエル・
 ディールティエンス
(Vc)
アンサンブル・
 エクスプロラシオン
[クリスティーネ・
  ブッシュ(Vn)
 ヒュン=ジョン・
  カン(Vn)
 アンナ・ルイス=
  ディーヴァ(Va)]
 フレンチ・ピアニズムの若きカリスマ、フランク・ブラレイと、チェロのロエル・ディールティエンスによるドヴォルジャーク。クール・ビューティーのブラレイと、温厚派のディールティエンス率いるアンサンブル・エクスプロラシオンがここまでヒートアップするとは、ちょっと驚きもののピアノ五重奏曲に思わず釘付け。カップリングのバガテルがこれまた素晴らしく、歌心に満ちている。和声やリズムのセンスがひと際光るブラレイのハルモニウムと、弦のからみあいには心奪われてしまう。ブラレイもディールティエンスも2007年ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に来日が予定されており、来日が待ち遠しくてならない。
HMA-1951881
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価格帯:F
セメンチュク&ゲルギエワ〜ロシアのロマンス〔歌曲〕集
 ラフマニノフ:昔から恋には慰めは Op.14 No.3 /リラの花 Op.21 No.5 /夜は悲しい Op.26 No.12 /
        わが子よ、お前は花のよう Op.8 No.2 /夢 Op.8 No.5 /花はしぼんだ
 チャイコフスキー:夜 Op.73 No.2 /わが守護神、わが天使/ミニョンの歌 Op.6 No.6 /眠る前の夢 Op.27 No.1 /
          地上に闇はたれこめ Op.47 No.3 /眠れ、悲しむ友よ Op.47 No.4 /カッコウ Op.54 No.8 /
          眠れ Op.57 No.4 /死 Op.57 No.5 /君だけ Op.57 No.6
 グラズノフ:東方のロマンス Op.27 No.2 /スペインのメロディ Op.4 No.4
 タネーエフ:人は眠る Op.17 No.10 /鍾乳石 Op.26 No.6 /泉 Op.26 No.7
 グリエール:人間の涙 Op.6 No.2 /おお、もし私の悲しみが Op.28 No.3 /
       夜が訪れる Op.50 No.1 /恋焦がれ Op.46 No.3
 グレチャニノフ:東洋の歌/夜 Op.47 No.7 /雪つぶ Op.47 No.9

  エカテリーナ・セメンチュク(Ms) ラリーサ・ゲルギエワ(P)
 初発売:2006年。旧品番:HMN-911881 ("Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)。2004年9月にチョン・ミュンフン指揮の藤原歌劇団「カルメン」公演でカルメンを演じて話題となったセメンチュクによるソロ・デビュー盤だったもの。ベラルーシ出身のメゾで、深々としながらもゾクッとくるような低音が魅力。チャイコフスキーやラフマニノフのほか、グリエールやグレチャニノフが聴けるのも嬉しい限り。ワレリー・ゲルギエフの姉にして名伴奏者ラリーサ・ゲルギエワの強力なサポートも光る。
HMA-1951882
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価格帯:F
ヴォルフ:メーリケ詩集 より
 祈り/散歩/時は春/春に/古い絵に/希望の復活/旅路/四月の黄色い蝶/庭師/めぐりあい/
 鼓主/狩人の歌/つきることのない愛/朝早く/思え、おお魂よ/愛する人に/
 ペレグリーナ〔1/2〕/さようなら/世をのがれて/火の騎士/こうのとりの使い/さらば
  ヴェルナー・ギュラ(T) ヤン・シュルツ(P)
 旧品番:HMC-901882ヴォルフが愛してやまなかったメーリケの詩による歌曲集。ギュラは軽やかに、時にはしっとりと歌う。格調高いギュラの歌声は、激情に流されることなく、冷静に詩のドラマを表現していく。旧知の仲であるピアニストのヤン・シュルツは、ホルン奏者、指揮者としても幅広く活躍する実力派。ギュラにぴたりと寄り添った自然な伴奏は見事。
HMG-501883
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価格帯:F
フランク・ブラレイ、ラプソディ・イン・ブルー〜ガーシュウィン:ピアノ作品集
 ジャズボ・ブラウンのブルース/ラプソディ・イン・ブルー(作曲者編曲/ピアノ独奏版)/
 18のソング・ブック(作曲者編曲)〔私の愛する人/楽園への階段を作ろう/ス・ワンダフル/
   アイ・ガット・リズム/もう一度やってごらん/手をたたこう/オー・レディ・ビー・グッド/魅惑のリズム/
   誰かが私を愛してる/マイ・ワン・アンド・オンリー/素敵な気持ち/スワニー/スウィート・アンド・ロウ・ダウン/
   君のほかは誰も/ストライク・アップ・ザ・バンド/フー・ケアーズ?/ドゥ・ドゥ・ドゥ/ライザ〕/
 パリのアメリカ人(ウィリアム・ドリー編曲/ピアノ独奏版)/前奏曲(メロディ17番)/
 前奏曲(四度のノヴェレッテ)/3つの前奏曲/2つの調性による即興曲/2つのワルツ/
 メリー・アンドルー/スリー・クウォーター・ブルース/「プロムナード/前奏曲」
  フランク・ブラレイ(P)
 録音:2004年12月、パリ。旧品番:HMC-901883 [国内仕様盤:KKCC-528] 〔以上共に廃盤〕。鮮烈かつデリケート極まりないピアニズム、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などでも来日し、人気となっているフランスのピアニスト、ブラレイによるガーシュウィン。スウィングと、クラシックのスタイルとを、見事なエレガントさをもって融合させている。「ラプソディ・イン・ブルー」での高貴な憂鬱さ、そして終盤の盛り上がりは必聴。
HMA-1951884
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価格帯:F
ケント・ナガノ
 ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98
 シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲 Op.31
ケント・ナガノ指揮
ベルリン・ドイツso.
 初出・前出・旧品番: HMC-9018842000年から6年間、ベルリン・ドイツso.の音楽監督をつとめたケント・ナガノ。音楽監督としてハルモニア・ムンディ・レーベルに録音した最後の作品は、ブラームスの第4番とシェーンベルク。毎回深い思慮に満ちた演奏を聞かせるケント・ナガノのブラームスの第4番は文句のない出来ばえ。第1楽章の冒頭から、ただならぬ緊張感と集中力に満ちており、その空気は神々しささえ感じさせる。つづくシェーンベルクの変奏曲も、オケの技量の高さ、そしてケント・ナガノの構成力の確かさ、すべてが最高水準で、圧倒的な完成度。12音で書かれた作品ではあるが、細部にいたるまで巧みに色づけが施されており、あたたかみ、時に官能性すら感じさせる。
HMX-2901885
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(2CD)
1CD価格
クープラン:クラヴサン組曲集
 クラヴサン小品集第1巻〜第4曲/
 同第2巻〜[第6組曲/第11組曲]/
 同第3巻〜[第3組曲/第18組曲]/
 同第4巻〜[第25組曲/第27組曲]
クリストフ・ルセ(Cemb)
 録音:1992-1994年。"1+1" シリーズ。
 ルセの初期の偉業、クラヴサン組曲全集からの抜粋。今では指揮者として大活躍のルセだが、やはりクラヴサン奏者としての才能も非常に高い。クープランには興味があるけれど、どこから入門したらよいか分からない、という人にうってつけ。
HAX-8901887/88
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(2CD)
1.5CD価格
クリスティ「病は気から」〜マルカントワーヌ・シャルパンティエ
 コメディ=バレ〔歌劇〕「病は気から」 H.495 (*) /「無理強いの結婚」〜新幕間曲(間奏曲)(#)

  モニク・ザネッティ(S;*) ドミニク・ヴィス(CT;*) ハワード・クルック(T;*)他
  シリル・オヴィティ(オート・コントル;#) マルク・モイヨン(バス・タイユ;#)
  リサンドロ・アバディ(B;#) ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン(*/#)
 録音:1990年4月3日-8日(*) /2013年12月21-23日(#) |旧品番:HMC-901336 (*) (1CD/カットあり), HMX-2901887/88 (*) (2CDs) , HMG-501887/88 (*) (2CDs) , HAF-8905276 (#) 。
 #当初 HAF-8901887/88 という記号品番でご案内しましたが、上記に変更されました。  『★クリスティの名盤、「病は気から」。対話部分も収録された完全版です。2022年はモリエール(1622-1673)生誕400年。モリエールはフランスのシェイクスピアのような存在で、多くの研究者による膨大な本がありますが、モリエールの芸術を理解するうえで重要不可欠だった音楽は、長いこと忘れ去られたままでした。この状況を変えたのが、クリスティ。彼はこのモリエール原作のコメディ=バレを鮮やかに蘇演し、フランス国内のみならず世界中にフランスが誇る戯曲家の存在が生み出した音楽を世に知らしめてきました。発売当時、フランス発のセンセーションとなった名録音「病は気から」全曲版、そしてこのたびボーナストラックとして、2013年に録音された「無理強いの結婚」の新しい幕間曲(間奏曲)も収録しています。フランスが誇る巨匠クリスティによる、フランスの粋を極めた音楽にどっぷり浸かれます。』
HMA-1951889
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価格帯:F
ロカテッリ(1695-1764):合奏協奏曲集 Op.1 より Nos.2, 4, 7-9
 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2004年12月。初出・前出・旧品番: HMC-901889 廃盤、入手不能〕。 ロカテッリは、バロック時代、作曲家としてはもちろんヴァイオリニストとしても大活躍した。彼が作曲したコンチェルト・グロッソに弦楽器奏法の粋が盛り込まれているのは当然のことで、結果として作品は、弦楽器の変幻自在な魅力に満ちたものとなった。こんな難しい技法を盛り込んだ弦楽ものをパガニーニより100年も前に書いていたとは、ロカテッリおそるべし。フライブルク・バロック・オーケストラの面々による妙技が冴え渡る。
HMA-1951890
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価格帯:F
ヴラダー〜シューマン:ピアノ作品集
 蝶々 Op.2 /謝肉祭 Op.9 /
 ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26
シュテファン・ヴラダー(P)
 旧品番:HMC-901890生粋のウィーン育ちのピアニスト、シュテファン・ヴラダー。ウィーン音楽大学の教授を務め、後進の育成にも力を入れている。このアルバムには、創作意欲が高かった頃のシューマンの作品を収録。
HMA-1951891
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価格帯:F
モーツァルト:交響曲集
 〔第35番 ニ長調 K.385「ハフナー」/
  第36番 ハ長調 K.425「リンツ」〕
イジー・ビエロフラーヴェク指揮
プラハ・フィルハーモニア
 録音:2005年1月。旧品番:HMC-901891当代最高のチェコ人指揮者といえばこの人、ビエロフラーヴェク。2006年以来ロンドンの名門、BBC交響楽団の首席指揮者の地位にあるが、2012年からは、1990年から1992年まで首席指揮者を務めたチェコ・フィルハーモニー管弦楽団に返り咲く事が決定しており、近年さらに評価が高まっている。当盤はビエロフラーヴェクのHMF初録音盤だった物で、オーケストラは1994年の設立から緊密なプラハ・フィルハーモニア。演奏は小オーケストラの特性を生かして、キビキビとした端麗系でありながら隅々まで目が行き届いている。
アルゼンチンの歌曲集
 カルロス・グァスタビーノ(1912-2000):
  魅惑/カンパヌラよ、どこへ行くの?/パンパマパ/
  小さなハンカチを貸しておくれ
 ルイス・ヒアンネオ(1897-1968):6つのコプラ
 アベル・フレウリ(1903-1958):
  忘れっぽいあなた/あなたの思い出
 カルロス・ロペス・ブシャルド(1881-1948):
  荷馬車屋の歌/ペリコの歌/もし彼女を見かけたら/
  ヴィダラ(愛の歌)/ユイェーニャ/かよわくつないだ手
 アンヘル・E.ラサーラ:満天の星
 アストル・ピアソラ:迷い鳥/
  ジャチント・チクラーナ(ボルヘス詩)/操り人形(同 詩)
 マヌエル・ゴメス・カッリーロ(1883-1968):フアイニート
 フローロ・M・ウガルテ(1884- 1975):
  クレオール(クリオーリョ)の小さな馬
 マヌエル・ゴメス・カッリーロ:トルバドゥールの捧げ物
 アルベルト・ウィリアムス:恋を忘れた女のミロンガ
 マヌエル・ゴメス・カッリーロ:バイレシート
 カルロス・グァスタヴィーノ:朝の門/
  チャパナイのワイン/サン・ペドロの男/小さな村、私の村
ベルナルダ・フィンク(Ms)
マルコス・フィンク(Br)
カルメン・ピアッツィーニ(P)
 ベルナルダ・フィンクは2006年11月のウィーン・コンツェントゥス・ムジクス来日公演の「メサイア」でアルト・ソロを務めるなど、ますますその活躍の幅を広げているメゾ。今回は趣向を変えて、アルゼンチンの作曲家の作品を集めた歌曲集をリリース。名手カルメン・ピアッツィーニをピアニストにむかえてのピアソラは、聴いていてなにか血が騒ぐような、忘れかけていた情熱を呼び覚ましてくれるような力に満ちている。時にやさしく、時に熱く激しく、情熱で私たちを包みこんでくれるような演奏。
ドビュッシー:
 ベルガマスク組曲/2つのアラベスク/子供の領分/
 映像第1集/同第2集
アラン・プラネス(P)
 使用楽器:1902年、ブリュートナー製。
 プラネスのドビュッシー・シリーズはピアノの選択にこだわりを見せているが、今回はドイツの名器ブリュートナー、幻の逸品を用いている。このピアノは高音部に4本目の共鳴弦(ピアノは通常3弦)が張ってあることで、豊かな倍音の響きが出るまさにドビュッシー向きの楽器。「映像」の諸曲や「月の光」など、ピアノとは思えぬ色彩感に驚かされる。絶品なのは「雪が踊っている」で、ヴェールに包まれたような幻想の世界が広がる。こんな不思議な音世界はミケランジェりでさえ創りえなかった。ドビュッシー・ファンも目から鱗が落ちること間違いなし。
HMA-1901894
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価格帯:F
ボッケリーニ(1734-1805):2つのチェロを伴う弦楽五重奏曲集
 〔変ホ長調 Op.18 No.3, G.287 /ト短調 Op.29 No.6, G.318 /ヘ長調 Op.41 No.2 G.347 〕

 ロエル・ディールティエンス(Vc)指揮アンサンブル・エクスプロラシオン
 録音:2005年4月、アカデミーザール、シント=トロイデン、ベルギー。初出・旧品番:HMC-901894〔廃盤〕。ボッケリーニの弦楽五重奏曲は、どのパートの役割も重要で、スタイルも実に様々。収録された3曲の五重奏曲は、特にボッケリーニの真骨頂が味わえる名曲ばかりで、瑞々しい弦の音色、まばゆい音型、メリハリのある作品が、アンサンブル・エクスプロラシオンのメンバーたちによって見事に演奏されている。
HMG-501895/96
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(2CD)
価格帯:F
Opus ultimum 〜シュッツ(1585-1672):白鳥の歌(13のモテット)
 *[詩篇第119]
 いかに幸いなことだろう SWV.482 /あなたのしもべのためにお計らい下さい SWV.483 /
 主よ、あなたのおきてに従う道を示して下さい SWV.484 /あなたのしもべへの御言葉を思い起こして下さい SWV.485 /
 あなたはしもべに善きことをなさいます、主よ SWV.486 /私の魂はあなたの救いを乞い求め SWV.487 /
 私はあなたの律法をどれほど愛していることでしょう! SWV.488 /移り気な心の者を私は憎み SWV.489 /
 あなたのあかしは驚くべきもの SWV.490 /心を尽くして呼び求めます SWV.491 /
 地位ある人々が理由もなく迫害するが SWV.492 /

 *[詩篇第100] 全地よ、主に向かって喜びの叫びを上げよ SWV.493 /
 *[ドイツ語マニフィカト] 私の魂は主をあがめ SWV.494 (1671) 〔2 cho./器楽
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コンチェルト・パラティーノ、コレギウム・ヴォカーレ
  [コーラス I :ドロテー・ミールズ、ルート・ファン・デ・ヴェルデ、ドミニク・フェアキンデレン(S)
          マテュー・ホワイト、セシル・ピロルジェル、アレクサンダー・シュナイダー(A〔CT〕)
          アンドレアス・ヴェラー、マルコルム・ベンネット、マルクス・シュック(T)
          ペーター・コーイ、ロベルト・ファン・デル・ヴィンネ、フリッツ・ヴァンフレ(B)
   コーラス II :セシル・ケンペナース、エドヴィゲ・カルドエン、マリア・ケプケ(S)
          アレックス・ポッター、マルチン・ファン・デア・ツァイスト、
          ウヴェ・ツィボッラ=シュレーダー(CT)
          フリーデマン・ビュットナー、ゲルハルト・ヘルツル、ホセ・ピサロ(T)
          おがさわら・よしたか、ピーター・ケーネ、バルト・ファンデヴェーゲ(B)]
 録音:2005年4月。 初出・旧品番: HMC-901895/96 俗世から断ち切られた静寂のなか、一人部屋にこもって瞑想をしているような気分になる、シュッツ最晩年の作品。1660年代になると、70歳を過ぎたシュッツは自身の「死」というものを意識しはじめるようになった。彼は、自分の仕事の集大成として、詩篇の内で最も長い詩篇119(176の節をもつ)に曲をつけるという作業を始める。演奏されることを特別には念頭におかずに。何年かのち、シュッツのこの最期の作品は、二つの合唱のための11のモテットであると考えられ、現在の13のモテットとしての曲集のかたちに再構成され、演奏されるようになったのは1990年になってからのことだった。ヘレヴェッヘの演奏により、ひとつ名演奏の録音が加わった。彼が指揮をすると、コンチェルト・パラティーノの奏でる音色もひときわ柔らかで美しいものになるのは、まさにヘレヴェッヘ・マジックならでは。
モーツァルト:
 交響曲31番 ニ長調 K.297「パリ」/
 フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299/
 オーボエ、 クラリネット、
  ホルン、ファゴットと管弦楽のための協奏交響曲 K.297b
スザンヌ・カイザー(Fl)
アナ=カトリン・
 ブリュッグマン(Ob)
バビエル・サフラ(Fg)
アーウィン・ウィアリンガ(Hr)
マーラ・ガラッシ(Hp)
ゴットフリード・
 フォン・デア・ゴルツ指揮
フライブルグ・バロックo.
 ディジパック仕様。ドイツのピリオド楽器団体フライブルク・バロック・オーケストラは、リーダーでありヴァイオリンのゴットフリード・フォン・デア・ゴルツを筆頭に名手揃い。ここでは、モーツァルトの人生のなかでも激動の時期1778年に作曲された作品演奏されている。
 「パリ交響曲」はモーツァルトがパリ滞在中にコンセール・スピリチュエル支配人ジョセフ・ル・グロから依頼を受け作曲した、フランス趣味を盛り込んだ華麗なパリのオーケストラを意識した作品。フライブルク・バロック・オーケストラの精緻で輝かしい演奏は、緩急の差、作品の壮大さを見事に表現している。「フルートとハープのための協奏曲」は典雅なフランス風音楽で独奏楽器の艶やかな音色が際立つ甘美な演奏。「協奏交響曲」ではゴットフリード・フォン・デア・ゴルツ率いるアンサンブルの名人芸が光る。
ハンブルク 1734〜18世紀ドイツの鍵盤音楽
 ヘンデル:シャコンヌ ト長調 HMV.435
 テレマン:「忠実な音楽の師」〜組曲ブルレスケ ニ短調
   [ポロネーズ風序曲/ルール/ガヴォットとロンドー/
   ブーレ/メヌエット/ジグ]
 ブクステフーデ:前奏曲とフーガ ト短調 BuxWV.163
 マッテゾン:「通奏低音大教本」〜上級問題第13番,同第7番
 ゲオルク・ベーム:前奏曲、フーガと後奏曲 ト短調
 テレマン:「水の音楽−ハンブルクの潮の干満」組曲 ハ長調〜
   [ルール(恋におちたネプチューン)/
   ブーレ(テティスの目覚め)/
   ガヴォット(ナイアデスの遊戯)/
   ハレルキナーダ(おどけたトリトン)/ジグ(潮の干満)]
   (アンドレアス・シュタイアー編曲、チェンバロ版)
 ヴェックマン:トッカータ第4番 イ短調
 シャイデマン:涙のパヴァーヌ ニ短調
 テレマン:組曲「アルスター川」ヘ長調〜
   [ハンブルクのカリヨン/カエルとカラスのコンサート/
   白鳥の歌/アルスターの羊飼いの陽気な音楽]
 ブリス・ポセ:アントレー〜アンドレアスのための
   (デューラーの「ヒエロニムス」より)
アンドレアス・シュタイアー
 (Cemb)
 使用復元楽器モデル:1734年、ヒエロニムス・アルブレヒト・ハス製。
 モーツァルトのソナタ集(HMC-901856)で聴き手の度肝を抜く「トルコ行進曲」を聴かせてくれたことも記憶に新しい鬼才シュタイアー。今回は時代を少し遡ってバロック音楽。テレマンの名曲「ハンブルクの潮の干満」や「アルスター川」の演奏からは、神話にでてくる神々が戯れている様子や、カリヨンが華やかに町に鳴り響く情景が目に浮かぶよう。
 目玉はマッテゾンの「通奏低音大教本」の録音。マッテゾンは18世紀前半当時のドイツの音楽界の大御所で、この「通奏低音大教本」は当時のオルガニストたちの必携の書であった。ここでは、シュタイアーがどのように通奏低音に即興的な和声づけを施すか、大いに興味をそそられるところ。
 モーツァルトの「トルコ行進曲」で見せた達者なアレンジャーぶりが遺憾なく発揮された、創意に富んだ一枚。当時のチェンバロ製作一家、ハスの作による楽器のレプリカを使用しており、チェンバロでありながらオルガンのような厚い響きが堪能できる。
ドヴォルジャーク:
 弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」
 ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.81(*)
シュテファン・ヴラダー(P)
エルサレムSQ
 来日公演のたびに、演奏内容はもちろん甘いマスクと親しみ易いキャラで人気上昇中のエルサレム四重奏団。当レーベル・デビュー盤のハイドン(HMC-901823)、メンバーのルーツを強く感じさせたショスタコーヴィチ(HMC-901865)につづく第3弾はドヴォルジャーク。ほぼ同時期に書かれた「新世界」交響曲やチェロ協奏曲と並ぶ代表作のひとつで、「アメリカ」の愛称で親しまれる第12番。成長を続ける彼ららしく、民俗色と郷愁たっぷりの内容に爽やかな感性が加わり、まことに清清しく気持ちの良い演奏に仕上がっている。カップリングはこちらも豊かなメロディが魅力のピアノ五重奏曲。中間楽章にボヘミア固有のスタイル、ドゥムカとフリアントを置き、なんとも言えない哀感が胸を締めつけてやまない。ピアノはこのところ急速に円熟味を増しているヴラダー。大家への道を着実に歩む彼が、若手とともに味わい深い音楽を作っている。
HMG-501900
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価格帯:F
オリヴィエ・グレフ(1950-2000):
 ソナタ・ダ・レクイエム Op.283 /ピアノ三重奏曲(1998) 〔深き淵より/ジャヴァ/ロマンツェ/アッラ・ブレーヴェ〕
  エマニュエル・ベルトラン(Vc) パスカル・アモワイヤル(P) アンティエ・ヴァイトハース(Vn)
 録音:2005年6月。旧品番:HMC-901900音楽の世界が無調、アヴァンギャルドと様々な方向に向かっていく中で、それらの流れと無関係な独自の音世界を守り続けたオリヴィエ・グレフ。メータ、ミシェル・ダルベルトといった名だたる演奏家たちから高く評価を受け、オリヴィエ・グレフ財団及びアパックス社が設立され、様々な作品が出版されている。「私はこれまでにそんなにたくさんの作品をつくったつもりはない。もし私がこの多作ぶりについて自分自身にたずねるとしたら、私の人生は音楽そのものであるからだ、と答えるであろう。作曲することをやめたら、私は死ぬ。」1998年、このCDに収録されているピアノ・トリオを書き終えたときのグレフの言葉である。「ソナタ・ダ・レクイエム」は死を「喪失・旅・魂の黙想」の3つの観点から見つめた、死者への優しいなぐさめの音楽。ピアノ三重奏曲はショスタコーヴィチを思わせる味付けの、ちょっとアクセントのきいた曲想。
HMA-1951901
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価格帯:F
ブルックナー:交響曲第6番 イ長調 ケント・ナガノ指揮
ベルリン・ドイツso.
 録音:2005年6月26-28日、ベルリン。旧品番:HMC-901901ケント・ナガノと手兵ベルリン・ドイツ響によるブルックナー・シリーズ第2弾だった物。1899年にウィーンで全曲初演をマーラーが手がけたこの曲は、「改訂マニア」ブルックナー自らは手を入れなかった会心の作。「鉄面皮なヤツ」と自身があだ名をつけたのもうなずける第1楽章の開始。霧が立ち込めるようなヴァイオリンのきざみに、暗く不吉に呼応するコントラバス。やがてホルンが立ち現れ無骨なフォルムで全奏へとなだれ込んでゆくこの箇所は、実演でもそうだったが何度聴いてもゾクゾクしてくる。さらに続くアダージョでは、しなやかで陰影に富んだ弦の音色が織り成す絶妙な風合いがたまらない。晩年かのヴァントもよく振ったオケ、ベルリン・ドイツ響。ナガノの明晰な棒に素晴らしい反応をみせて、ずっしりと分厚い響きのブルックナーに心ゆくまで浸れる。
HMX-2901902
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(10CD)
4.5CD価格
ポール・ルイス〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 ポール・ルイス(P)
 録音:2005年4月-2007年6月。HMC-901902、HMC-901903 (3CDs)、HMC-901906(3CDs)、HMC-901909(3CDs) のセット化、おそらく限定盤。
 ブレンデルに学び、多彩な音色と知的なプログラムで聴衆を魅了している若手注目株のポール・ルイスのベートーヴェン「ソナタ全集」がセット化登場。各ディスクはベートーヴェンの様々な肖像が描かれた美しい紙製スリップケースに封入。分売時、901909は英グラモフォン誌のレコード・オブ・ザ・イヤー2008 に選ばれた。どの曲も、鋭い知性に基づく構築性、どんなに厚い和音でも決して鈍重にならず自然に豊かに広がる音色、そして実に巧い語り口で、聴き手の耳と頭に素直に入ってくる音楽作りとなっている。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 第16番 ト長調 Op.31 No.1/
 第17番 ニ短調 Op.31 No.2「テンペスト」/
 第18番 変ホ長調 Op.31 No.3
ポール・ルイス(P)
 録音:2005年4月。
HMC-901903
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(3CD)
2CD価格
ポール・ルイス
 〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 Vol.2

 [第8番「悲愴」 ハ短調 Op.13/
  第11番 変ロ長調 Op.22/第28番 イ長調 Op.101/
  第9番 ホ長調 Op.14-1/第10番 ト長調 Op.14-2/
  第24番 嬰ヘ長調 Op.78/
  第21番「ワルトシュタイン」 ハ長調 Op.53/
  第27番 ホ短調 Op.90/第25番 ト長調 Op.79/
  第29番「ハンマークラヴィーア」 変ロ長調 Op.106]
ポール・ルイス(P)
 録音:2005年12月、2006年3月。
HMC-901906
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(3CD)
2CD価格
ポール・ルイス〜
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 Vol.3

 [第1番 ヘ短調Op.2-1/第2番 イ長調Op.2-2/
  第3番 ハ長調Op.2-3/第4番 変ホ長調Op.7/
  第22番 ヘ長調Op.54/第23番 ヘ短調Op.57「熱情」/
  第12 番 変イ長調Op.26/第13番 変ホ長調Op.27-1/
  第14番 嬰ハ短調Op.27-2「月光」]
ポール・ルイス(P)
 録音:2006年3月30日、10月31日、11月1日-3日/2007年2月3日-6日、以上ベルリン、テルデックス・スタジオ。
HMC-901909
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(3CD)
2CD価格
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集 Vol.4
[第5番 ハ短調Op.10-1/第6番 ヘ長調Op.10-2/
 第7番 ニ長調Op.10-3/第15番「田園」 ニ長調Op.28/
 第19番 ト短調Op.49-1/第20番 ト長調Op.49-2/
 第26番「告別」 変ホ長調Op.81a/
 第30番 ホ長調Op.109/第31番 変イ長調Op.110/
 第32番 ハ短調Op.111]
ポール・ルイス(P)
 録音:2005年4月、2006年6月、2007年4月、6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。
 ディジパック仕様。しなやかな鋼を思わせる強靭なテクニックと、自在に揺れ動く叙情とリズムを兼ね備えた英国の逸材、ポール・ルイスによるベートーヴェンのソナタ・ツィクルスの完結編。澄んだ音色は師匠ゆずり。若手世代のベートーヴェン全集の金字塔ともいえる、堂々の演奏。彼はこの録音に先立ってロンドンでベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を敢行、新時代のベートーヴェン弾きとして高い評価を得、日本でも2005年6月に東京の武蔵野市民文化会館小ホールで収録の3曲(と「テレーゼ」)を演奏、大喝采を受けた。
 ルイスの演奏は決して髪を振り乱して力んで弾くようなものではなく、徹頭徹尾、真面目に曲に向き合い、丁寧に、そして密度濃く音楽を掘り下げていったもの。ぱっと見派手さがないベートーヴェンなので、ちょっと物足りないような気がしても、聴き進めていくうちに「これはスゴイ」と気がつくはず。なかなか弟子をとらないブレンデルに認められたことで「ブレンデルの高弟」という「お墨付き」で語られることの多いルイスだが、すでにそのような領域はとっくに脱して自らの境地を確立しており、これから先が益々期待できよう。「悲愴」冒頭のテンポは彼にしかなしえない「遅すぎない」ギリギリのところ。人気の「月光」や「熱情」が登場する第3弾でも、ちょうど若き日の師ブレンデルの録音がそうであったように、若さにまかせてバリバリ弾くというより、じっくりていねいに聴かせてゆくスタイルに共鳴する方も多いのでは。
HMA-1951912
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価格帯:F
ディートリヒ・ブクステフーデ(1637-1707):カンタータ集
 〔われらがイエスの四肢 BuxWV.75 /われらより取り去りたまえ、主よ BuxWV.78 〕
  コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン
 録音:2004年3月。初出・前出・旧品番: HMC-901912 古楽界の代表的ソプラノの一人、マリア・クリューベック聖マリア教会のオルガニストを務めたブクステフーデは、北ドイツのオルガン楽派最大の音楽家で、J.S.バッハのオルガン音楽に大きな影響を与えた。また彼は傑作「われらがイエスの四肢」を始めとする多くの宗教的カンタータを残している。オルガニストであったブクステフーデの響きは重厚なものだが、ユングネーネルは小編成で美しく透明感を帯びた演奏に仕上げている。
HMG-501913
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価格帯:F
ストラヴィンスキー
 バレエ・カンタータ「結婚」〔ロシア語歌唱〕/ミサ(1944)〔ラテン語歌唱〕/
 古いイギリスのテクストによるカンタータ (1952)〔英語歌唱〕
  キャロライン・サンプソン(S) スーザン・パリー(A)
  フセヴォロド・グリヴノフ、ヤン・コボウ(T) マクシム・ミハイロフ(B)
  ダニエル・ロイス指揮 RIAS 室内cho.、ミュジーク・ファブリク
  旧品番:HMC-801913 (HYBRID_SACD) 〔廃盤〕。 CD のみのリリースは今回が初。4台のピアノと各種打楽器が合唱に彩りを添える「結婚」はストラヴィンスキーならではの声楽作品で、「春の祭典」を思わす古代の儀礼的な雰囲気とバーバリスティックな音響に満ちている。RIAS室内合唱団が巧い。
HMG-501914
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価格帯:F
アレクサンドル・メルニコフ〜スクリャービン
 ピアノ・ソナタ〔第2番 嬰ト短調 Op.19 /第3番 嬰ヘ短調 Op.23 /第9番「黒ミサ」 Op.68 〕/
 幻想曲 ロ短調 Op.28 /2つの詩 Op.32 /5つの前奏曲 Op.74 /2つの小品 Op.57 /
 アルバムのページ Op.45 No.1 /前奏曲 ホ短調 Op.11 No.4 /皮肉 Op.56 No.2 /マズルカ Op.24 No.3

  アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2005年10月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。旧品番:HMN-911914 ("Les Nouveaux Musiciens" シリーズ)〔国内仕様盤:KDC-5024 /レコード芸術誌特選盤/以上共に廃盤〕。 たびたび来日公演を行い、またハルモニア・ムンディのCDではイザベル・ファウストとの共演で高評を受けるメルニコフ。1973年生まれ、1989年にシューマン、1991年にエリザベート王妃国際コンクールでともに最年少優勝を果たした天才。彼のスクリャービンは繊細ながら病的ではなく、艶のある音色と熱さを秘めた音楽運びは非常に高く評価された。第3番終楽章での押し寄せる激情、マズルカ Op.24 No.3で魅せる繊細さなど、スクリャービン作品の神髄を見事に描き切っている。
HMG-501915/16
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(2CD)
価格帯:F
ブラームス:ピアノ三重奏曲全集
 〔第1番 ロ長調 Op.8 /第2番 ハ長調 Op.87 /第3番 ハ短調 Op.101 〕/
      ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25 (*)

 トリオ・ヴァンダラー[ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャブディアン(Vn)
              ラファエル・ピドゥ(Vc) ヴァンサン・コック(P)]

 クリストフ・ゴーゲ(Va;*)
 録音:2005年9月。 初出・旧品番:HMC-901915/16 [HMC-901915 ]〔廃盤〕。 2017年に結成30年を迎えるトリオ・ヴァンダラーによるブラームスが復活。 プライヴェートではメンバー一人一人がマイペースなグループだが、演奏となると背中がゾクゾクするような息のぴったりあったアンサンブルを繰り広げる。弦の二人のしたたるような美音もさることながら、叙情と情熱に溢れるヴァンサン・コックのピアノの素晴らしさは際立っており、アンサンブルを見事に統率している。ピアノ四重奏曲に加わったクリストフ・ゴーゲのヴィオラも3人と巧みに絡み合い、聴く者の琴線に触れる名演となっている。
テレマン:
 組曲 イ短調 TWV.55a:a21/協奏曲 ハ長調 TWV51:C1/
 水の音楽「ハンブルクの潮の干満」組曲 ハ長調
モーリス・シュテーガー(リコーダー)
ベルリン古楽アカデミー
 1705年から1725年にかけて作曲された作品集です。リコーダー奏者のみならず、オーケストラにも、熟練の技術、そしてフランス、イタリア、ドイツの様式を熟知していることを要求する超絶技巧の曲ばかり。リコーダーのシュテーガーのヴィルトゥオジティの華やかにして快刀乱麻、胸のすくような見事な吹きぶりには圧倒され通し。「ハンブルクの潮の干満」がテレマンの管弦楽の中でも最高傑作といわれるのも納得の力演。
HMN-911918
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価格帯:F
20世紀ロシアのフルート音楽
 ストラヴィンスキー/
  グロート編曲:歌劇「ナイチンゲールの歌」から/
  作曲者&ドゥシキン編曲:
   バレエ「火の鳥」〜スケルツォ/パストラール
 デニーソフ:ソナタ
 シュニトケ:古風な様式による組曲
 プロコフィエフ:ソナタ
アレクサンドラ・グロート(Fl)
ピーター・ラウル(P)
 "Les Nouveaux Musiciens" シリーズ。アルメニア系美人フルート奏者アレクサンドラ・グロートは1981年モスクワ生まれ。8歳の時ゴールウェイのコンサートを聴き、この楽器を習ったがったという天性のフルート吹き。16歳でトリアッティとブカレストのコンクールで優勝、1998年からパリ音楽院でピエール=イヴ・アルトーに、ミュンヘン音楽大学でアンドラーシュ・アドリヤーンに師事している。難曲プロコフィエフをはじめ、ストラヴィンスキーの「ナイチンゲールの歌」中の長いフルート・ソロをグロート自身が編曲したものやシュニトケの擬古調作品まで、ロシア派ならではの太くたっぷりとした音と技巧で披露。将来が楽しみな逸材だ。
ヘレヴェッヘの「角笛」、ついに登場
 マーラー:歌曲集「子供の不思議な角笛」
サラ・コノリー(Ms)
ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
 あの斬新なシェーンベルク=リーン編曲の室内オーケストラ版による「大地の歌」(HMA-1951477)が録音されたのが1993年。いままたここにヘレヴェッへが手兵シャンゼリゼ管とともに衝撃的なマーラー演奏をおくり出してきた。オリジナル楽器オケを伴った初めての「角笛」歌曲集の登場。曲名に由来する同名の詩集は、詩人アルニムとブレンターノとがまとめあげたドイツの民謡詩集。およそ1887年から1901年にかけての15年以上に渡り、マーラーはこれにはまり好んで音楽をつけている。聴けばすぐに分かるように、第2番から第4番までの交響曲群と内容的に密接にリンクするこの一連の歌曲は、マーラーの音楽宇宙の精髄を成す重要な作品。
 ここでヘレヴェッへがロマン派の作品、たとえばシューマンやブルックナーの交響曲を手がける時にみせる異常なほど苛烈なアプローチを思い起こしてみていただきたい。オリジナル楽器の繰り出す清新な響きの持ち味も相俟って、この歌曲をトータルに彩る軍楽調の箇所のなんとも刺激的なこと。その一方でバッハにも相通じるハーモニーの美しさはまぎれもなくヘレヴェッへのもの。「美しいラッパが鳴り響くところ」など、どこからともなく怪しく退廃的な色香が匂い立ち、こ惑的な表情が濃密に折り重なってゆく。さらに当代随一、合唱音楽のスペシャリストとして、もはや「人の声」だけが織り成す美を究めているからであろうか、最も旬のヘンシェル、バッハのカンタータ・シリーズでもおなじみのコノリーとソリスト各々の魅力を存分に引き出すあたりほとんど天才的。
 ヘレヴェッへが作り上げた画期的な「角笛」歌曲集。このアルバムにより、ますます交響曲シリーズへの想像と期待とが大きく膨らむに違いない。
HMX-2901920
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価格帯:F
限定盤
2011年カタログ付き〜ヘレヴェッヘの「角笛」
 マーラー:歌曲集「子供の不思議な角笛」
サラ・コノリー(Ms)
ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
 通常盤:HMC-901920(2011年1月現在では入手可能)。 オリジナル楽器オケを伴った初めての「角笛」歌曲集。  ここでヘレヴェッへがロマン派の作品、たとえばシューマンやブルックナーの交響曲を手がける時にみせる異常なほど苛烈なアプローチを思い起こしてみていただきたい。オリジナル楽器の繰り出す清新な響きの持ち味も相俟って、この歌曲をトータルに彩る軍楽調の箇所のなんとも刺激的なこと。その一方でバッハにも相通じるハーモニーの美しさはまぎれもなくヘレヴェッへのもの。「美しいラッパが鳴り響くところ」など、どこからともなく怪しく退廃的な色香が匂い立ち、こ惑的な表情が濃密に折り重なってゆく。さらに当代随一、合唱音楽のスペシャリストとして、もはや「人の声」だけが織り成す美を究めているからであろうか、最も旬のヘンシェル、バッハのカンタータ・シリーズでもおなじみのコノリーとソリスト各々の魅力を存分に引き出すあたりほとんど天才的。
 #2011年 HMF カタログ付き。初回プレス限定と思われますので、お早めにどうぞ。
HMG-501921
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価格帯:F
ヘレヴェッヘ&シャンゼリゼ管〜ブルックナー
 交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」(ノヴァーク版)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼo.
 録音:2005年10月。旧品番:HMC-901921〔廃盤〕。美しいハーモニーを作り上げることにかけては天下一品のヘレヴェッヘ&手兵シャンゼリゼ管によるブルックナー。第1楽章冒頭、弦のトレモロが鳴り出す瞬間からすでに釘づけで、弱音の繊細な表情はピリオド楽器のオケならでは。主部に入ってからも見違えるように生気を取り戻したような音楽。ヴァイオリン両翼型配置のオケが立体的にこだまする陰影豊かなアンダンテ。このあたり彼のバッハにも通じる深遠な世界が拡がる。力強く弾むスケルツォから充実し切ったフィナーレにかけての金管群の剛毅な響きも格別で、曲が閉じられるまでがあっという間。
HMG-501922
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価格帯:F
音楽芸術の第5元素〜 The quintessence of a musical art
 ラッスス(1532-1594):ミサ曲「すべての悲しみよ」
 トマス・アシュウェル(1478頃-1513以降):ミサ「アヴェ・マリア」
 パレストリーナ(1525頃-1594):ミサ「ウト・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」
  パウル・ファン・ネーヴェル指揮ウエルガス・アンサンブル
 録音:2005年11月。旧品番:HMC-901922〔廃盤〕。 このCD タイトルは、録音が行われたリスボンにある水の博物館に由来している。第五の元素とは、気・火・地・水の4要素のほかにあると考えられた元素のこと。この場所自体が持つただならぬ雰囲気と音響は、これらの作品が普遍的で時空を超えた内容(=「第五の」要素)をもっているということを私たちに示している。厳格な対位法を用いて書かれたパレストリーナのミサ曲、イングランドが生んだ後期ゴシック様式の作品をのこしたアシュウェルのミサ曲、そして多声音楽爛熟期のラッススのミサ曲。これらの作品が、生きたものとして聴く者に迫る。ネーヴェル率いるウエルガス・アンサンブルの精鋭たちが織り成す、声の饗宴を味わうことのできる1枚。
HMC-801923
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(2HYBRID_SACD)
価格帯:B
モーツァルト:歌劇「ティートの慈悲」 マーク・パドモア(T:ティート)
アレクサンドリーナ・
 ペンダチャンスカ
 (S:ヴィテッリア)
ベルナルダ・フィンク
 (Ms:アンニオ)
スンハエ・イム
 (S:セルヴィーリア)
セルジョ・フォレスティ
 (B:プブリオ)
ルネ・ヤーコプス指揮
フライブルク・バロックo.
RIAS室内cho.
 録音:2005年。SACD盤はマルチチャンネル。
 「ティートの慈悲」は1791年に皇帝レオポルト2世のボヘミア王戴冠を祝うために急遽依頼されたオペラ・セリア。時間がなかったためレチタティーヴォをジュスマイアー任せにしたり、メタスタージオの台本が古めかしかったり、初演を見た王妃が駄作と貶したりと、せっかくの大作なのに200年以上不遇な扱いを受けてきた。しかし近年では、モーツァルト晩年ならではのオペラ・セリアの傑作として人気が高まっている。
 セリアなら当然、ピリオド楽器演奏が映えるというもの。この録音は、2005年11月のパリ、ブリュッセルでの上演と連動したもので、その上演においてもヤーコプスの面目躍如たる輝かしい音楽は絶賛された。また優れた歌手が見事な歌を聴かせてくれる。何と言ってもパドモアの柔らかくも情熱に満ちたテノールが最高。一方ヴェルディやドニゼッティのプリマドンナから古楽ソプラノに転向し成功を収めているペンダチャンスカも目を見張る出来ばえ。古楽メゾのベテラン、フィンクは言うまでもなく見事。そしてクリスティの秘蔵っ子で、つい先日ヴィヴァルディの「バジャゼット」で聴衆を魅了した美声ソプラノ、イムが絶妙に華を添えている。「ティート」の魅力にまだ開眼していない方にこそお聴きいただきたい、画期的名演の登場である。
HMC-901925
廃盤
イザベル・ファウスト
 ジョリヴェ(1905-1974):ヴァイオリン協奏曲
 ショーソン(1855-1899):詩曲 Op.25
イザベル・ファウスト(Vn)
マルコ・レトーニャ指揮
ベルリン・ドイツso.
HMG-501926
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価格帯:F
ベルナルダ・フィンク〜ブラームス歌曲集
 私の思いはあなたの許へ/調べのように僕に/サッフォー風の頌歌/野にひとり/夜鶯/落胆/古い歌/
 夜鶯に/乙女は語る/君の青い目/秘密/セレナード/永遠の愛について/死はすがすがしい夜/
 教会の墓地にて/五月の夜/余韻/スペインの歌/乙女の歌/日曜日の朝に/愛の誠/甲斐のないセレナード/
 乙女/テレーゼ/乙女の歌/狩り/鍛冶屋/恋しい人のもとへ/日曜日/乙女の歌/子守歌

  ベルナルダ・フィンク(Ms) ロジャー・ヴィニョールズ(P)
 録音:2006年3月。旧品番:HMC-901926ヤーコプスが絶大な信頼をおくメゾ・ソプラノ、ベルナルダ・フィンク。彼女はアルゼンチン生まれだが、両親はスロヴェニアからの移民。数々のバロック声楽曲で名高いが、リート・ファンの間でも高く評価されていて、シューマンの「女の愛と生涯」(HMG-901753)などでも絶賛された。当録音でも、メゾならではの滋味溢れるブラームスをたっぷり楽しめる。伴奏には、英国の名伴奏ピアニスト、ロジャー・ヴィニョールズを迎え、万全。
ショパン:ワルツ(全19曲)
モンポウ:ショパンの主題による変奏曲
アレクサンドル・タロー
(P|使用楽器: Steinway D
 録音:2005年12月、パリ|初出・旧品番: HMC-901927, HMX-2901927 〔廃盤、入手不能〕。フランスの名ピアニスト、アレクサンドル・タロー。その繊細で薫り高い演奏で聴衆を虜にしている。そのタローの名を世界的なものにしたショパンのワルツ集が待望の再発売。演奏はどこまでも美しく、軽やかに舞うワルツに心踊らされる。しかし、繊細の極みながら甘くなく、凛とした哀感に翳る。魔術的ともいえる極上のタッチで奏でる理想的なショパン像をここに聴くことが出来る。また、フィル・アップにモンポウが聴けるのも贅沢。前奏曲第7番に基づき、これが不思議に変容していく様が独特。ピアノの詩人タローの独壇場といえる。
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
 シャスティン・アヴェモ(S) パトリシア・バードン(A) ローレンス・ザゾ(CT)
 コビー・ヴァン・レンズブルク(T) ニール・デイヴィス(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、クレア・カレッジcho.
 録音:2006年1月、パウルスザール、フライブルク(国内代理店表記は『フライデルク、パウルスザーク』だが、誤りと思われる)。 SACDハイブリッド盤 (HMC-801928) も出ていたが、廃盤。 競合盤ひしめく中、ヤーコプスが満を持して録音した最高の「メサイア」。かつ彼ならではの知的刺激と熱い情熱が入り混じり、音楽に浸る喜びに溢れ、かつオーケストラを自在に操ったヘンデルはお見事の一言。この録音では1750年に上演した時の形態を元にし、ソリストを5人立てている。スウェーデン出身のソプラノ、アヴェモはバロック音楽から「ルル」のタイトルロールまで得意とする恐るべき人。アルトには、充実した深い美声が素敵なアイルランドのバードン。カウンターテナー、テノールはヤーコプス組というべきお馴染みの面々。バスにはこれもバロックで大活躍のウェールズのバス、デイヴィス。
HMX-2921928/29
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(2CD)
価格帯:F
限定盤
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
 シャスティン・アヴェモ(S) パトリシア・バードン(A) ローレンス・ザゾ(CT)
 コビー・ヴァン・レンズブルク(T) ニール・デイヴィス(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、クレア・カレッジcho.
 録音:2006年1月、パウルスザール、フライブルク(国内代理店表記は『フライデルク、パウルスザーク』だが、誤りと思われる)。 通常盤:HMC-901928。SACDハイブリッド盤 (HMC-801928) も出ていたが、廃盤。 HMF "Christmas Edition"。 競合盤ひしめく中、ヤーコプスが満を持して録音した最高の「メサイア」。かつ彼ならではの知的刺激と熱い情熱が入り混じり、音楽に浸る喜びに溢れ、かつオーケストラを自在に操ったヘンデルはお見事の一言。この録音では1750年に上演した時の形態を元にし、ソリストを5人立てている。スウェーデン出身のソプラノ、アヴェモはバロック音楽から「ルル」のタイトルロールまで得意とする恐るべき人。アルトには、充実した深い美声が素敵なアイルランドのバードン。カウンターテナー、テノールはヤーコプス組というべきお馴染みの面々。バスにはこれもバロックで大活躍のウェールズのバス、デイヴィス。
ジャン=ギアン・ケラス&アレクサンドル・タロー
 シューベルト:
  アルペジオーネ・ソナタ イ短調:D.821/
  「美しき水車小屋の娘」より[さすらい/焦燥]
 ヴェーベルン:チェロとピアノのための3つの小品Op.11
 シューベルト:
  鳥たち/
  ピアノとヴァイオリンのためのソナタD.384 Op.posth.137/
  子守歌D.498
 アルバン・ベルク:4つの小品Op.5
  (原曲:クラリネットとピアノのための)
 シューベルト:夜と夢D.827
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
アレクサンドル・タロー(P)
 いまや人気絶頂、たびたび来日しているケラスと、先日のショパンのワルツ集でますます冴え渡る音色を聴かせたタロー、2名による夢のデュオの登場。ウィーン出身の3人の作曲家たちによる作品を集めたもので、シューベルトの名曲中の名曲「アルペジオーネ・ソナタ」をはじめ、シューベルト歌曲のチェロへの転用、ヴェーベルンの作品など、ヴァラエティに富んだ内容。特筆すべきなのはなんといってもケラスのますます磨きのかかったストレートに心に響く音色と、タローのピアノのタッチ。思わずため息が出てしまいそうに美しいアンサンブルで、体験したことのない深い世界に引き込まれる。ケラスは2006年11月に来日が予定されており、ますます楽しみ。
シューベルト:歌曲集
 歌曲集「白鳥の歌」 D.957/
 出会いと別れ D.767/月に寄せて D.259/
 羊飼いの嘆きの歌 D.121/ミニョンに D.161/
 あこがれ/ミューズの子 D.764
ヴェルナー・ギューラ(T)
クリストフ・ベルナー(P)
 メインに「白鳥の歌」を据え、さらにゲーテの詩による歌曲を6曲収録している。ギューラの柔らかい美声がシューベルトにピッタリなのは言うまでもない。加えて、節度のある適切な表現と、詩句に対する読み込みの深さが、良い味わいを出している。伴奏のベルナーも優れもの。
ラヴェル:5つのギリシア民謡
ベルリオーズ:夏の夜 Op.7(ゴーティエの詩による)
ラヴェル:シェエラザード
ベルナルダ・フィンク(Ms)
ケント・ナガノ指揮
ベルリン・ドイツso.
 ケント・ナガノ&ベルリン・ドイツ響最新盤は、歌手にベルナルダ・フィンクを迎えての、ラヴェルとベルリオーズの歌曲。
 シェエラザード以外もともとはピアノと声のために書かれたものだが、のちにオーケストラと声のために編曲された。ラヴェルもベルリオーズも、オケの時計細工師と称されることもあるほどの完璧主義者だけあって、オーケストラパートの美しさは格別。緻密に書かれた微妙な色彩の木管パートなど、ベルリン・ドイツ響のうまさが際立つ。フィンクのどこまでも透明ながら深い色合いを帯びた声は、不思議な魅力で聴く者の心をぐっと掴んで離さない。透明な響き、完璧なバランス、そして歌とオケとの絶妙な調和・・・。聴いていると瞬く間に時が過ぎてしまう。
HMG-501933
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(2CD)
価格帯:F
ボッケリーニ
 スターバト・マーテル(1781年初版)(*) /
 弦楽五重奏曲 ハ短調 Op.31 No.4, G.328 (#)
 交響曲集(+)
  〔「悪魔の家」Op.12 No.4 /イ長調 Op.35 No.3 /
   ニ長調 G.490 /ヘ長調 Op.35 No.4 〕
アニェス・メロン(S;*)
キアラ・バンキーニ(Vn)指揮
アンサンブル415
 録音:1991年4月(*/#)/1988年6月(+)。ピリオド楽器使用。旧品番:HMC-901378 (*/#), HMC-901291 (+), HMA-1901291 (+), HMX-2901933 (*/#/+, "1+1" シリーズ)。ボッケリーニ入門盤として、そして最終奥義的な盤としても自信をもってお勧めできる名盤が復活。アンサンブル415の4-3-2-2-1の編成は発売当時衝撃的だった。今聴いても実に軽快、気分爽快。メロンの歌うスターバト・マーテルも感涙もの。
フランク・マルタン(1890-1974):
 世俗オラトリオ「魔法の酒」
 (7つの弦楽器とピアノ伴奏による
   12人の独唱者のための)
サンドリーヌ・ピオー
(S;イズー)
ステファン・ダヴィスリム
(T;トリスタン)
ユッタ・ベーネルト
(S;ブランゲーネ
 [ブランジァン])
ヒルデガルト・ヴィーデマン
(S;白い手のイズー)
ウルリケ・バルチュ
(A:イズーの海)
ヨナタン・E.デ・ラ・
 パス・サエンス
(B;マルケ王)
ヨアヒム・ブールマン
(T;カエルダン)
ダニエル・ルイス指揮
RIAS室内cho.、
シャロウン・アンサンブル
シュトックハウゼン=
 リーゲルバウエル(P)
 愛の秘薬を誤って飲みかわしてしまった王妃イズーと王の甥トリスタン。この時から2人は死に至るまでやむことのない永遠の愛に結びつけられる・・・。ヨーロッパ中世最大の恋物語「トリスタン・イズー物語」に基づく、フランク・マルタンの声楽作品。ジョゼフ・ベディエ編の小説(岩波文庫からも単行本が出版されている)に則って、プロローグ、3つの章(「媚薬」、「モロアの森」、「死」)、エピローグを持つ形式となっている。登場人物は台詞を歌い、合唱は動作を語り、場面を説明する語り部の役割を担う。ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」とは一線を画したものを、と考えたマルタンは、ソリストの旋律に十二音技法を採用、さらに合唱の響きの中に、官能的でありながらどこか空虚な響きを用いるなど、ワーグナーのとはまったく趣の異なるトリスタンを作り上げた。トリスタンの「死」の場面も、ワーグナーのオペラではトリスタンが切々と歌い上げるが、マルタンのものは、瀕死の状態のトリスタンにすがる白い手のイズー(カエルダンの妹、トリスタンは二人のイズーを愛した)や、合唱による淡々とした語りの合間に、トリスタンが切れ切れに言葉を発する、というもので、トリスタンが弱ってしまって死にゆく様がおそろしいほど克明に描写されている。録音があまり多くないこの名作、ひとつの決定盤ともいえるものの登場と言えるだろう。
HMC-801937
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
カイア・サーリアホ(1952-):歌劇「彼方からの愛」
 ダニエル・ベルヒャー(T;ジャウフレ・リュデル)
 エカテリーナ・レキーナ(S;クレメンス)
 マリー=アンジュ・トドロヴィッチ(Ms;巡礼者)
 ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツso.、ベルリン放送cho.
 録音:2006年3月、テルデックス・スタジオ、2008年10月、バイエルン。
 ケント・ナガノ最新盤は、サーリアホの歌劇。サーリアホ初のオペラであるこの作品は、2000年ザルツブルク音楽祭でピーター・セラーズのプロダクションで初演、絶賛された。時代設定は中世、登場人物は、運命の人に出会うのをただひたすら待っているアキテーヌの城に住む男リュデルと、トリポリの砦に住む女クレメンス。トリポリでクレメンスが歌う、理想の恋人を思う歌を聴いた巡礼者は、長旅の後、アキテーヌへとたどり着く。そこでリュデルの愛の歌を聴いた巡礼者は、遠く離れたこの男女二人が、まさに運命の人同士であると確信する。リュデルは、クレメンスに会うために、はるかトリポリまで船旅をするが、途中で重大な病にかかり、トリポリに着くころには瀕死の状態だった。二人は出会い、お互いが運命の人であることを確信するが、リュデルはクレメンスの腕の中で息絶える、という物語。かなわぬ恋に身をこがす、中世の騎士道の物語をアマン・マールフが読み直したリブレットに、サーリアホは、緻密な幻想的絵画のような、複雑な色彩のパレットを幾重にも重ねたような音楽をつけた。ケント・ナガノは、見事な明晰さをもってこの中世の音物語の世界を描く。
HMY-2921939/40
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(2CD)
価格帯:F
ユングヘーネル「ミサ・ブレヴィス」〜J.S.バッハミサ曲集
 〔イ長調 BWV.234 /ト長調 BWV.236 /ト短調 BWV.235 /ヘ長調.BWV 233 〕

 ザビーネ・ゲッツ、ガブリエーレ・ヒエルダイス(S) エリサベス・ポピエン、
 アレクサンダー・シュナイダー(A) ヴィルフリート・ヨッヘンス、
 ハンス・イェルク・マンメル(T) ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ、
 セバスティアン・ノアック(B) コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン
 録音:2006年1月、5月。 初出・前出・旧品番: HMC-901939/40 〔廃盤〕、 HMF "Heritage" | 2016年9月-10月リリース|#歌詞テキストは付いておりません。 ユングヘーネルによる、珠玉のバッハ「ミサ曲」。 時に幻想的な美しさに満ち、時に刺すように鋭く、えもいわれぬ神々しさに満ち、表情豊かミサ曲 ト短調は、名作の誉れ高い作品だが、なんともいえぬ優しさに満ちた冒頭の器楽による前奏はこの世のものとは思えない美しさ。歌が始まると一転、余計なものがそぎ落とされたストイックな声部間の掛け合い、そして温かみのある楽器の音色との交わりに心奪われる。
 #当録音は当初、2017年8月に "HM GOLD" シリーズから HMG-501939/40 という品番で再発される予定でしたが、国内代理店から2018年1月に『レーベルで廃盤となり、入荷の見込みがなくな』った旨アナウンスがありました。しかし当店海外取引先等でも在庫が無い状態が続いており、 HMG-501939/40 はレーベル側の都合で未発売に終わったのではないかと思われます。当店では2018年1月現在入手可能な上記盤を扱っておりますので、こちらを御注文下さい。
HMG-501941
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価格帯:F
Am Stein Vis-à-vis (1777) 、シュタイアー&ショルンスハイム〜モーツァルト
 転調する前奏曲 [Modulierendes Pradludium]
  ハ長調から変ロ長調へ(前奏曲 ハ長調 K.284a [全4部] より転調部)/
 ピアノ連弾ソナタ 変ロ長調 K.358 (*) /
 転調する前奏曲 [Modulierendes Pradludium] ヘ長調からホ短調へ K.deest /
 カデンツァ K.624 (626a) /
 パイジェッロの歌劇「哲学者気取り」の「主に幸いあれ」による6つの変奏曲 ヘ長調 K.398 /
 前奏曲とフーガ ハ長調 K.394 (383a) /ショルンスハイムとシュタイアーによる即興 (*) /
 ピアノ連弾ソナタ ニ長調 K.381 (*) /
 6つのドイツ舞曲 K.509(ショルンスハイム&シュタイアー編曲/ピアノ連弾版)(*)
  アンドレアス・シュタイアー(Fp) クリスティーネ・ショルンスハイム(Fp;*)
 録音:2006年3月。 使用楽器:シュタイン、1777年製「ヴィザヴィ」 [Stein, Vis-à-vis] 。 初出・旧品番: HMC-901941 これは!シュタイアーにモーツァルトが乗り移ったかのような、はたまたモーツァルトにシュタイアーが乗り移ったのか・・・。1曲目の「プレリュード」からシュタイアー大暴れ、聴くものの度肝をぬくような過激さ。モーツァルトの「プレリュード」は意外になじみがないかもしれない。当時「プレリュード」は元来、ピアニストの技量をひけらかすために即興で演奏されることが多かったもの。「私は即興ができない(わ)・・・」というピアニストの方々のために、即興演奏を譜面に書き起こしたものが当時の「プレリュード」だった(もちろん、ソナタなどのメイン楽曲の前に演奏されたり、楽器の具合を見るために演奏されたりすることもあったが)。ここに録音されているプレリュードはまさにモーツァルトの天才即興ぶりが譜面に記されたもの。ほかでは聴けない奇跡的な演奏がここにある。さらに楽器がまたすごい!この録音で用いられたシュタイン製の「ヴィザヴィ」(1777年)という楽器は、巨大な長方形のケースの中に二つの鍵盤楽器が組み込まれ、二つの短辺には鍵盤が付けられ、2人の奏者が向き合って演奏できるよう設計されたもの。片側が一段鍵盤のピアノ、反対側が二段または三段鍵盤のチェンバロになっているが、チェンバロ側の鍵盤の一つはピアノのためのもので、反対側にあるピアノ専用鍵盤と連動するというもの。同様の楽器は今回録音に用いられたものも含めて2台しか現存していない。シュタインのピアノ工房を、モーツァルトは1777年に訪れたことがあり、シュタインのピアノを大層気に入った。しかし、高価であったために購入を断念、父への手紙にも、今まではシュペート製のピアノが一番好きだったが、シュタインのピアノを聴いて断然こちらの方がよいと思う、という記述がみられる。シュタイン製のこのゴージャスで鮮烈な音色、そして演奏者に対する反応の良さをモーツァルトはおそらく気に入ったのかもしれない。楽器もすごいし楽曲も貴重だし、演奏はまさに奇跡的名演。ものすごい一枚。この録音では、1曲目は本来は4つの部分からなっているが、それらのうちの一番長い部分(ハ長調から変ロ長調へ転調する部分が含まれるもの)のみ演奏されている。また、最終楽曲の6つの舞曲は、オケ版のものをショルンスハイムとシュタイアーが編曲したもの。
HMA-1901942
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価格帯:F
シュテファン・ヴラダー〜モーツァルト
 ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467 /幻想曲 ニ短調 K.397 /
 ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調 K.382 /ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491
  シュテファン・ヴラダー(P)指揮カメラータ・ザルツブルク
 録音:2006年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。初出・旧品番:HMC-901942〔廃盤〕。 生粋のウィーン流ピアニスト、ヴラダーが弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲。むかえうつは伝統あるカメラータ・ザルツブルク。冒頭の弦楽器と管楽器のかけあいから、まさにこれしかないという絶妙な間の取り方とぴちぴち感に満ちている。続くピアノの入りもきらきらとまばゆいばかり。ピアノ・ソロ幻想曲も入魂の仕上がり。幻想曲の深刻な空気から、21番の澄み切った幸福感まで、モーツァルト・ワールドがたっぷりと堪能出来る。
HMG-501943
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価格帯:F
ショパン&ブラームス:バラード集
 ショパン:バラード(全4曲) Ops.23,38,47,52
 ブラームス:バラード Op.10
セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2006年4月。旧品番:HMC-9019431998年のロン=ティボー・コンクールで優勝し一躍その名が知られたティベルギアン(1975-)。ショパン第1番の冒頭から、強烈な音楽の推進力にたちまち引きこまれ、比較的たっぷりしたテンポで寄せては返す波のようなメロディーに酔いしれる。彼の紡ぎだす研ぎ澄まされたハーモニーは、倍音の先の先にまで耳を澄ましているかのようで、崇高さすら感じさせる。ブラームスのバラードもロマンの薫りが濃厚でありながらどこかはかなく、録音当時31歳にしてすでに隔世の感のある演奏となっている。
HMC-901944
廃盤
イザベル・ファウスト〜ベートーヴェン
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61 (*) /ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 0p.47 「クロイツェル」(#)

 イザベル・ファウスト(Vn) イジー・ビエロフラーヴェク指揮(*)
 プラハ・フィルハーモニア(*) アレクサンドル・メルニコフ(P;#)
 国内仕様盤: KDC-5027〔入手不能〕。
モーツァルト:
 ホルン協奏曲第1番 ニ長調 KV.412/
 ホルン協奏曲第4番 変ホ長調 KV.495/
 ファゴット協奏曲 変ロ長調 KV.191/
 オーボエ協奏曲 ハ長調 KV.314
トゥーニス・ファン・
 デァ・ズヴァールト(Hr)
ドナ・アグレル(Fg)
カタリナ・アルフケン(Ob)
ぺトラ・ミュレヤンス指揮
フライブルク・バロックo.
ドビュッシー:ピアノ作品集
 忘れられた映像/ボヘミア舞曲/夢想/マズルカ/
 ロマンティックなヴァルス/バラード/舞曲/
 夜想曲/ピアノのために/版画/コンクール用小品/
 ハイドンを讃えて/小さい黒人/レントより遅く/
 6つの古代のエピグラフ(独奏版)/
 英雄的子守歌/
 慈善団体「負傷兵の衣類」のための小品/
 エレジー/燃える炭火に照らされた夕べ/
 リア王の眠り(ロジェ=デュカス編曲)
アラン・プラネス (P)
 いつも高い評判を受けているプラネスのドビュッシー・シリーズがついに完成。今回は「版画」など名作から、連弾曲「6つの古代のエピグラフ」のドビュッシー自身による独奏版や最近楽譜が出版された絶筆「燃える炭火に照らされた夕べ」といった珍品、さらに初期の美しい小品まで盛りだくさん。「燃える炭火に照らされた夕べ」はすでにいくつか録音もあるが、プラネス級の名手によるものは初めて。ようやく曲の真価を知ることが出来る。
HMY-2921949/50
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(2CD)
1CD価格
ロイス&ベルリン古楽アカデミー + RIAS cho.〜ヘンデル:オラトリオ「ソロモン」
 サラ・コノリー(A;ソロモン) スーザン・グリットン(S;ソロモンの王妃/第1の遊女)
 キャロリン・サンプソン(S;シバの女王/第2の遊女) マーク・パドモア(T;ザドク/従者)
 デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(B;レヴィ人)

 ダニエル・ロイス指揮ベルリン古楽アカデミー、 RIAS 室内cho.
 録音:2006年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 初出・前出・旧品番: HMC-901949/50 [HMC-901949] 〔廃盤〕。#歌詞テキストは付いておりません。 1748年、既に63歳に達していたヘンデルが作曲したオラトリオ。旧約聖書に現れる古代イスラエルの王ソロモンを題材にし、第2幕には「大岡裁き」の場面があることでも知られている。今日では専ら、第3幕の前奏曲である「シバの女王の入城」ばかりが有名だが、作品全体も晩年のヘンデルの名曲が多々ある。この録音では、古楽界のスター歌手が揃えられ、しかもベルリン古楽アカデミーと RIAS 室内合唱団という鉄壁の布陣。そして指揮のロイスが知性と愛情100%の指揮を繰り広げている。ドリームチームのヘンデル
HMA-1951951
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価格帯:F
I.ファウスト〜マルティヌー
 ヴァイオリン協奏曲第2番 H.293 /
 弦楽セレナード第2番 H.216 /
 トッカータと2つのカンツォン
  (ピアノと弦楽合奏のための)
イザベル・ファウスト(Vn)
セドリック・ティベルギアン(P)
イジー・ビエロフラーヴェク指揮
プラハpo.
 録音:2006年6月。 初出・前出・旧品番: HMC-901951 廃盤、入手不能〕。 東欧諸国からパリに集まった作曲家のグループ「エコール・ド・パリ」のメンバー中、もっとも演奏・録音に恵まれているチェコ出身のボフスラフ・マルティヌー。何とイザベル・ファウストの演奏で協奏曲が登場。それも急進的な傾向の強い第1番でなく、マルティヌーの作品の中でもとりわけ美しい旋律にあふれ、平和で田園的な世界が続く、かのエルマンに捧げられた第2番というのが意外。ファウストの美音も冴え、ビエロフラーヴェクのボヘミア的濃厚な伴奏も絶品。マルティヌー観の変るアルバム。もうひとつの注目は、ピアノ協奏的作品「トッカータと2つのカンツォン」の独奏をイケメン名手ティベルギアンが務めていること。明るい喜悦性に富んだ曲で、あまり知られていない曲だが、存分に楽しめる。
HMA-1951952
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価格帯:F
聖週間のための哀歌 [Lamentations for Tenebrae]
 [聖水曜日]
  カリッシミ(1605-1674):エレミアの哀歌、ここに始まる/おとめシオンより、栄光はことごとく去り
  ロッシ(1601頃-1656):トッカータ・クヮルタ / フレスコバルディ(1583-1643):敵はその手を下し
  パレストリーナ(1525頃-1594):主よ、救いたまえ

 [聖木曜日]
  作曲者不詳:エレミアの哀歌/彼らが傷ついた者のように / カプスベルガー(1580頃-1651):トッカータ・クィント
 [聖金曜日]
  作曲者不詳:エレミアの哀歌/トッカータ・アルペッジャータ
  マルコレッリ(c.1615-c.1675):なにゆえ黄金は光を失い / 作曲者不詳:預言者エレミアの祈り

 マリア・クリスティーナ・キール(S)
 ジャン=マルク・エメ(Org)指揮コンチェルト・ソアーヴェ
 初発売:2007年。旧品番:HMC-901952キールによる最高純度の結晶のような歌声。受難を前にしたキリストを悼む哀歌が、澄み切った空気の中に響く。器楽のみの楽曲も、リュートをつまびく音一つ一つが真珠の涙の粒のような美しさ。至高の慰めがここにある。キリスト教では、枝の主日から復活の主日までを聖週間という。この期間の夕刻からロウソクの火が消えて教会が暗闇と化す時まで朗唱された音楽が、「ルソン・ド・テネブル」の原型。声楽の場合、エレミアの哀歌の聖句が、歌詞の大部分を占める。ルネサンス時代にこのジャンルは誕生し、ルイ14世下のフランスで発展を遂げた。イタリアでは、17世紀の前半にこのジャンルは流行し、ボローニャにある音楽博物館には、当時ローマで活躍していたあらゆる音楽家たちによる哀歌の23種類の曲集の譜が残されている。マリア・クリスティーナ・キールとコンチェルト・ソアーヴェが、これらの資料から、聖週間のための哀歌を再構築したもの。歌詞にも現れるdolor(悲しみ)、lamentatio(哀れみ)といった言葉を、他に類を見ない純度の高い美しい結晶にして蘇らせ、聴く者の心に溶け入るように聴かせる。
HMC-801954
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
40 Voices
 ヴィレム・キュレーアス:
  35声によるNomen mortis infame
 フアン・バウティスタ・ゴメス:
  12声によるグローリア
 ジョスカン・デプレ:
  12声による「いと高き神の保護のもとに住み」
 ロベルト・ウィルキンソン:
  クレド(13声)
 アレッサンドロ・ストリッジョ:
  見よ、祝福されたる光が(40声)
 ピーター・メーセンス:リヨンの狩人(16声)
 ジョアン・ローレンソ・レベーロ:
  祝福されしイェルサレム(16声)
 ジョヴァンニ・ガブリエーリ:
  主よ、あなたを呼びます(16声)
 トマス・タリス:エレミアの哀歌(40声)
パウル・
 ファン・ネーヴェル指揮
ウエルガス・アンサンブル
 ルネサンス期の声楽作品を中心に演奏活動を展開しているネーヴェルとウエルガス・アンサンブルの活動35周年記念コンサートのライヴ録音。ルネサンス期は、ヨーロッパ各地に立派な教会が次々と建立され、声楽を主とする教会音楽がもっともさかんに書かれた時期。音響効果も抜群なカテドラルの中、人の声のみによる美しい音楽が響きわたるとき、聴衆は神の存在を感じずにはいられなかったことだろう。タリスの「エレミアの哀歌」がよく訓練された40人の歌い手たちによって歌われるさまは、この世のものとは思えない美しさと迫力。
ティク・トク・ショク、アレクサンドル・タロー〜フランソワ・クープラン:鍵盤作品集
  神秘的なバリケード(第6組曲より)/ティク・トク・ショック(第18組曲より)/クープラン(第21組曲より)/
  信心女たち(第19組曲より)/さまよう亡霊たち(第25組曲より)/編み物をする女たち(第23組曲より)/
  シテール島の鐘(第14組曲より)/居酒屋のミュゼット(第15組曲より)(*) /葦(あし)(第13組曲より)/
  アタラント(第12組曲より)/パッサカリア(第8組曲より)/プラチナ色の髪のミューズ(第19組曲より)/
  奇術(第22組曲より)/闘いの響き(「凱旋」より/第10組曲より)/
  子守歌、またはゆりかごの中のいとしい子(第15組曲より)/空想にふける女(第25組曲より)/
  ロジヴィエール(第5組曲より)/双生児(第12組曲より)/
  かわいい子供、または愛らしいラジュール(第20組曲より)
 ジャック・デュフリ(1715-1789):ラ・ポトゥワン(クラヴサン曲集第4巻より)

 アレクサンドル・タロー(P) パブロ・ピコ(タンブール;*)
 録音:2006年7月、 IRCAM 大ホール、パリ|初出・旧品番: HMC-901956 〔廃盤、入手不能〕。『 playする、という考えに基づいて曲をきめました。自分がしばしばコンサートでも演奏するティク・トク・ショクを中心に据えました。F.クープランのもっとも「ピアニスティック」な作品を集め、これらのplay-ful な側面を強調しています』(アレクサンドル・タロー|当録音初リリース時のコメント)。2007年の初登場時『まさに衝撃的な一枚』と代理店が絶賛、大きな話題となったアルバム。かけた瞬間、ドビュッシー作品かと錯覚するほどの色彩感、量感、情感。ゆったりとふくよか、ビロードのようでありながら、立ち上がりがどこまでもくっきりとした不思議な音色は、聴く者をとらえて放さない。タロー本人の言葉通り、どの曲もきわめて清冽かつ明確に演奏されている。冒頭に収録されている「神秘的なバリケード」は、一音一音にしっかりと意志と力強さがこめられており、聴いていてストレートに心に響く演奏。また、「ティク・トク・ショック」も、これほどまでにクープラン作品が超絶技巧だとはと驚かされる物。最後にデュフリの作品が収録されているのも心憎いところ。
アンドレアス・ショル〜ヘンデル:作品集
 麗しのアマリッリHMV82(*)/
 カンタータ「優しい時に」HWV135b/
 カンタータ「愛の神が見て」HWV175/
 トリオ・ソナタOp.2-1 ロ短調/
 カンタータ「私の心は騒ぐ」HWV132c
アンドレアス・ショル(CT)
エレーヌ・ギユメット(S;*)
オッターヴィオ・
 ダントーネ(Cemb)指揮
アカデミア・ビザンチナ
[ステファノ・モンタナーリ、
 フィオレンツァ・
  デ・ドナティス(Vn)
 マルチェッロ・ガッティ
 (Fl−tr)
 マルコ・
  フレッツァート(Vc)
 ティツィアーノ・バニャーティ
 (アーチリュート/テオルボ)
 マルタ・
  グラツィオリーノ(Hp)]
 アンドレアス・ショルがハルモニア・ムンディで活動再開。再登場第1弾は渾身のヘンデル。やわらかさ、深さとハリのある強さを併せ持つ摩訶不思議な魅力的美声は健在、いやむしろますます磨きがかかって他の追随を許さないものとなっている。バックは今をときめくアカデミア・ビザンチーナ。ショルの美しい声と比類なき技巧に触発されたのか、極めてハイテンションの演奏を繰り広げており、ヘンデル作品のもつ力強い描写、劇的な変化、アンサンブルの妙、すべてが極上の仕上がり。至福の時を味わうことが出来る。今後もショルはムンディ・レーベルで続々リリース予定、ますますの充実ぶりに目が離せない。
 まるでオペラのように劇的かつ豪華な音作りの「麗しのアマリッリ」は、1708年頃に完成されたとされている。1994年に初めて出版されており、後に傑作オペラ「リナルド」や「フラーヴィオ」にも転用されることとなる2曲目のアリアをはじめ、どの曲も宝石のような輝きを放った名作。他にもヘンデルの最初期の頃のカンタータとされる「愛の神が見て」など、ショル・ファンのみならず全ての方に聴いていただきたい絶品の一枚。
ヤーコプスのモーツァルト、何と交響曲が!
 モーツァルト:
  交響曲第38番「プラハ」/
  交響曲第41番「ジュピター」
ルネ・ヤーコプス指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2006年8月。なんとなんとのヤーコプスによるモーツァルト交響曲。
 ヤーコプスというだけでも胸踊るのに、曲は「プラハ」と「ジュピター」。「プラハ」は、「フィガロの結婚」と「ドン・ジョヴァンニ」の作曲時期のちょうど中間に書かれており、まさに円熟の極みの名作。冒頭の序奏部からしてイキのよさが断然違い、何が起こるのかわくわくしてしまう。つづく主部であらわれる様々な動機も、まさにヤーコプス・マジック、すべての要素がくっきりといきいきと聴こえてくる。第2楽章は、まさにモーツァルト円熟期の結晶ともいえる楽章だが、ヤーコプス・マジック120%炸裂、思わず息をのんで聴き入るばかり。
 そして第41番「ジュピター」。なといっても白眉は終楽章。生命力に富んだフーガを怒涛の推進力で展開している。どの楽章をとっても、そして一音一音が、ぴちぴちとした躍動感に満ちている1枚。フライブルク・バロック・オーケストラの奏者一人一人の集中力、そしてヤーコプスの棒の冴え具合ともにかつてないものすごさ、絶品のモーツァルトとなっている。
HMX-2901958
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価格帯:F
2012年カタログ付・ヤーコプス〜モーツァルト「交響曲」
 モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」/
        交響曲第41番「ジュピター」
ルネ・ヤーコプス指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2006年8月。通常盤:HMC-901958。
ヤーコプス〜モーツァルト:交響曲集
 [第39番 変ホ長調 K543/第40番 ト短調 K550]
ルネ・ヤーコプス指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2008年10月。ヤーコプス、会心のモーツァルト交響曲新録音の登場。
 第39番メヌエットのソロ楽器の旋律の立たせ方など、オペラもシンフォニーも知り尽くしたヤーコプスにしかできない物。続くフィナーレも細部にいたるまで丁寧にアーティキュレーションやディナーミクが施され、同時に大きな和声の動きのダイナミックさも併せ持つ快演。第40番の冒頭の有名な音型は、美しいディナーミクの弧を描く。終楽章フーガでは、ホルンの咆哮もパオーンと効果的に響く。ヤーコプスの緻密な指揮と、フライブルク・バロックo.の面々の巧さが絶妙にマッチした、見事なモーツァルト。
アンドレアス・シュタイアー〜
 J.S.バッハ: Early Works(初期作品集)

 トッカータ ニ長調 BWV 912(1707/13頃)
 パルティータ「おお神よ、汝義なる神よ」 BWV 767
 トッカータ ホ短調 BWV 914(1707/13頃)
 組曲 イ短調 BWV 818a(1720年頃)
 トッカータ ト長調 BWV 916(1707/03頃)
 カプリッチョ 変ロ長調
  「最愛の兄の旅立ちに寄せて」 BWV 992
    (1704 or 1703頃)
アンドレアス・シュタイアー
(Cemb)
 使用楽器: Anthony Sideyd'apres Hass。
 シュタイアー冴えまくり !衝撃のバッハの初期作品集、現代音楽のような刺激的な和声、身の毛もよだつ半音階。「行進できない」トルコ行進曲(HMC-901856)で我々の度肝を抜き、モーツァルトの転調の妙技、さらにはショルンスハイムとの連弾(HMC-901941「 am Stein Vis-a-vis (1777)」)で我々を楽しましてくれたシュタイアー、待望のソロは若き日のバッハ作品集と相成った。「音楽の父」として音楽史上に大きく聳え立つ存在の大バッハ。シュタイアーは、ここに収められた初期作品の演奏を通して、バッハが若くしてすでに尋常ならざる気魄を備えた究極の音楽家であったことを我々に示してくれている。若き日の名曲として有名な「最愛の兄の旅立ちに寄せて」のアリアなど、シュタイアーの鬼才ぶりが遺憾なく発揮された名演。また、パルティータ「おお神よ、汝義なる神よ」の8曲目の半音階が多用された楽曲など、聴いていると足下の地面がぐんにゃりと変形して、異次元へと迷い込んでしまったかのような気分になる異様な半音階ぶりとなっている。
HMA-1951961
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価格帯:F
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 全集
 〔第1番 ニ短調 Op.49 /第2番 ハ短調 Op.66 〕
トリオ・ヴァンダラー
 録音:2006年9月/初発売:2007年。旧品番:HMC-901961ますます聴衆をとりこにしているトリオ・ヴァンダラーによるメンデルスゾーン。高貴な薫りに満ちた弦楽器は、まさに「美のツボ」をおさえた音色。官能的で時にむせび泣くような表現に引き込まれる。ピアノがまた素晴らしい!たとえば第2番のスケルツォ楽章で、真珠の粒のように美しく転がる音が、弦とたわむれ、時に熱いうねりとなって盛り上がる様子は、神がかりともいえる美しさ。たまらなく官能的でディープな世界へ誘われる。
サン=サーンス:チェロのための作品集
 チェロとピアノのためのソナタ第1番/
 祈り Op.158/ロマンス Op.36/
 ガヴォット Op.16-3/タランテラ Op.10-5/
 チェロとピアノのための組曲 Op.16/
 ロマンス Op.51/
 白鳥(オリジナル版による2台ピアノと
  チェロのための;「動物の謝肉祭」より)
エマニュエル・
 ベルトラン(Vc)
パスカル・アモワイヤル(P)
 サン=サーンスが、たいへんなピアノの名手であり、オルガニストだったことは有名だが、彼はまたチェロの名手でもあった。そんな彼が書いたチェロのための作品は、チェロのパートもピアノのパートも実に雄弁。チェロ・ソナタ第1番は、ベートーヴェンやシューマンを思わせる、重厚で熱い旋律が迸る。「祈り」や「ロマンス」は軽めの作品だが、どれも起伏に富んでいて楽しめる内容。ベルトランの、地の底から湧き上がるような力強い生命力のある音色と、アモワイヤルの硬質な響きの調和が極めて魅力的な一枚となっている。「白鳥」のピアノは重録音。
HMC-901963
廃盤
バルトーク:弦楽四重奏曲集
 [第5番/第6番]
アルカントSQ
ヤーコプスの「ドン・ジョヴァンニ」、登場
 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527 (1788年ウィーン稿)
 *補遺:1787年プラハ初演稿の楽曲*
   第2幕第2場レチタティーヴォ「それじゃ、さっき私のマゼットを (Dunque quello sei tu)」
    (ツェルリーナ、ドンナ・エルヴィラ、ドン・オッターヴィオ、マゼット)/
   第20番アリア「ああ、おゆるし下さい」(レポレッロ)/
   第2幕第10場レチタティーヴォ「 Ferma, perfido, ferma 」
    (ドンナ・エルヴィラ、マゼット、ツェルリーナ、ドン・オッターヴィオ)/
   第21番アリア「今こそ僕の愛しい人を慰めてあげて下さい(Il mio tesoro intanto)」
    (ドン・オッターヴィオ)

 ヨハネス・ヴァイサー(Br;ドン・ジョヴァンニ) ロレンツォ・レガッツォ(B;レポレッロ)
 アレクサンドリーナ・ペンダチャンスカ(S;ドンナ・エルヴィラ)
 オリガ・パシフニク(S;ドンナ・アンナ) ケネス・ターヴァー(T;ドン・オッターヴィオ)
 スンハエ・イム(S;ツェルリーナ) ニコライ・ボルシェフ(Br;マゼット)
 アレッサンドロ・グエルツォーニ(B;騎士長)

 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、 RIAS 室内cho.
HMC-801964/66
(3 HYBRID_SACD)
廃盤
 快進撃のとまらないヤーコプス、遂にモーツァルトのダ・ポンテ三部作完結編となる「ドン・ジョヴァンニ」の登場。2006年のインスブルック音楽祭で上演された直後の録音で、ヤーコプスの練り上げられた統率のもと、一音一音がショッキング!序曲冒頭の和音でいきなり奈落の底に突き落とされるような衝撃と迫力。名手フライブルク・バロック・オーケストラの面々が、いななく管、激流の弦で大爆発。楽しさ、おそろしさ、美しさをとことんつきつめた表現は壮観、まさに音絵物語。ドン・ジョヴァンニ役は、1980年ノルウェー出身の若き貴公子、ヨハネス・ヴァイサー。色気たっぷりだが、ドン・ジョヴァンニ=騎士身分の品格もきちんと感じさせる。レガッツォによるレポレッロは、ドン・ジョヴァンニに仕える憎めない役どころをきちんと演じているが、あまりに上手くてカッコよすぎるかも、と思う瞬間もあるほど。2007年10月の新国立劇場「フィガロの結婚」でもフィガロ役で登場予定、注目度大。ドン・ジョヴァンニに翻弄されるドンナ・エルヴィラは今をときめくペンダチャンスカ。ドンナ・アンナには、Opus111 でもおなじみのウクライナ出身の清潔感あふれるソプラノ、パシフニク。驚異的な息づかいの長さで、しっとりと歌いあげるさまは圧巻。ツェルリーナ役のスンハエ・イムは、韓国出身の期待のソプラノ。LFJ音楽祭2006でも来日、そのピンと透き通った歌声をご記憶の方もいらっしゃるのでは。レチタティーヴォでのフィゲイレドのチェンバロも冴えまくりで、一音たりとも聞き逃せない。
 さらに、さすがヤーコプス!と思わず膝を打ってしまったくなるのが、プラハ初演稿の楽曲もディスク3の最後に収録されていること。ドン・オッターヴィオのアリアの瑞々しいこと!どこまでもカンペキな「ドン・ジョヴァンニ」。
HMA-1951967
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価格帯:F
ラヴェル:ピアノ・トリオ
ショーソン:ピアノ・トリオ ト短調 Op.3
トリオ・ヴァンダラー
[ヴァンサン・コック(P)
 ジャン=マルク・フィリップ=
  ヴァルジャベディアン(Vn)
 ラファエル・ピドゥ(Vc)]
 録音:1999年。旧 LE CHANT DU MONDE LDC-2781114の、レーベル移行再発売。
 トリオ・ヴァンダラーはたびたび来日している人気室内楽グループ。緻密に計算されたバランス、デュナーミクのコントロール、ていねいでこまやかなフレージング、そして一人一人の奏でる音の美しさ、すべてがまさに完璧なトリオ。音楽史上に燦然と輝くラヴェルの作品と、ショーソンの若き日の、繊細な美しさを湛えた作品、どちらもエスプリたっぷりに、息をもつかせぬ美しい演奏で聴かせる。
HMG-501968
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価格帯:F
ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 [第39番 ト長調Hob.XV-25/
  第43番 ハ長調Hob.XV-27
  第44番 ホ長調Hob.XV-28/
  第45番 変ホ長調Hob.XV-29]
トリオ・ヴァンダラー
 録音:2001年。旧 CHANT DU MONDE LDC-2781143(廃盤)の、レーベル移行再発売。
 ドイツ・ロマン派の到来を告げる作品、シューベルトの「さすらい人幻想曲」に名前を因んだ1988年結成のアンサンブル。ハイドンでも意欲的で瑞々しい演奏を聞かせる。メンバーの一人チェロのラファエル・ピドゥは、フランスの名手ローランド・ピドゥの息子。
J.S.バッハ:カンタータ集
 たれぞ知らん、わが終わりの近づけるを BWV.27
 われはわが幸に満ち足れり BWV.84
 キリストこそわが生命 BWV.95
 ああ、いまわれ婚宴に行かんとして BWV.161
ドロテー・ミールズ(S)
マシュー・ホワイト、
ハンス・イェルク・
 マンメル(T)
トーマス・バウアー(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 録音:2006年11月、2007年2月。ヘレヴェッヘによる久々のバッハの登場。陶器を思わせる美しい音色が魅力のヘレヴェッヘだが、ますますその美しさに磨きがかかっている。器楽アンサンブルの弦楽器のしたたるような音色と、心の底から自然に出てくる祈りや叫びを思わせる管楽器の奏でる旋律には涙が出そうになる。歌い手一人一人の言葉ひとつひとつ、音符ひとつひとつに対する表現の細やかさにも圧倒される。ヘレヴェッヘがますます高い境地に達していることに驚かされる1枚。
HMC-901970/71
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(2CD +
1 DVD_VIDEO)
2CD価格
ジャン=ギアン・ケラス〜
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
 使用楽器:1696 Gioffred Cappa。ジャン=ギアン・ケラスによる待望のバッハの登場!ハリとバネのあるチェロの美しい音色、そして甘いマスクは、これまでにも多くのファンを魅了してきたところ。第1番の有名なプレリュードは、ゆったりとしていながら実にアグレッシブ。舞曲のような独特の躍動感。第3番も、プレリュードは、滾々と湧き出る泉のよう。湧き出た水は、時に速く、時にゆったりと、自在に姿を変えて大海原へと流れ来る。つづく舞曲も実にしなやか。「バッハの組曲では、弓をまるで剣の名手のように使いこなせることが要求される。フェンシングのチャンピオンみたいに。」と語るケラスによる華麗なる弓さばきが生み出す絶妙な間とタイミングに、最終曲のジーグまで引き付けられどおし。組曲がもつ独特の祈りのような深い精神性と、自由闊達な躍動感が見事に共存した稀有な演奏となっている。
 ボーナスDVD(35'40、NTSC 方式)では、組曲第3番全曲の演奏姿がおさめられており、彼の見事な弓づかいをじっくり見ることが出来る。また、レコーディング風景や、ケラスがバッハについて語る映像も収録(英語字幕あり)。耳でも目でもたのしめる素晴らしいバッハのセットとなっている。
ヘレヴェッヘ&シャンゼリゼ管、
 シューマン:交響曲全集 完結編

  交響曲第1番 変ロ長調「春」Op.38/
  交響曲第3番 変ホ長調「ライン」Op.97
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
 遂に遂に、ヘレヴェッヘ&シャンゼリゼ管による至高のシューマン交響曲集が完成! 第1弾の第2番と第4番(HMA-1951848;代理店は特に記していないが、元々は協奏曲などと1曲づつカップリングされていたため、「第1弾の〜」というのは誤り)がリリースされてから長い月日がたち、ようやくヘレヴェッヘがシューマンの交響曲の残り2曲を録音。第1番の冒頭から高らかに鳴り響く管楽器は、ピリオド楽器だからこそ味わえる鮮烈さに満ちており、またたくまに聴く者をシューマンの世界に引きずり込む。第2楽章も、シューマンの叙情たっぷりな世界を、一音一音磨きあげられた玉のような音色で展開している。一音一音の息を呑むような美しさにここまで感動できるのは、やはりヘレヴェッヘ・マジックとしかいいようがない。第3番の冒頭も、比較的厚めの響きが強調されがちな演奏が多い中で、一音一音のまばゆいばかりの輝きとエネルギーがひときわ異彩を放つ。ピリオド楽器オーケストラの風雲児は未だ健在、心踊る内容となっている。
21世紀のチェロ協奏曲集
 ブルーノ・マントヴァーニ(1974-):
  チェロとオーケストラのための協奏曲(*)
 フィリップ・シェーラー(1957-):
  風の目(チェロとオーケストラのための協奏曲;#)
 ジルベール・アミ(1936-):
  チェロとオーケストラのための協奏曲(+)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
ギュンター・ヘルビッヒ指揮(*)
ザールブリュッケン放送so.(*)
アレクサンダー・ブリジェ指揮(#)
ラジオ・フランスo.(#)
ジルベール・アミ指揮(+)
パリo.(+)
 録音:2005年9月(*)/2008年5月(#)/2006年9月(+)。
 時に管楽器を思わせる鋭い音色、時に深く抉るような低音、めまぐるしく上下を駆け巡る超絶技巧・・・。ケラスのチェロのうまさが200%実感できる現代ものの登場。もともとケラスはブーレーズ率いるアンサンブル・アンテルコンタンポランに所属していたこともあり、同じ今という時代を生きている作曲家の作品を演奏し、作曲家とともに音楽を作り上げることに関して特別な思い入れがある。作曲家のいかなる要求をも実現するテクニックは群を抜いている。そんなケラスによる、現代を代表する作曲家たちの力作がそろった。すべて世界初録音。
 マントヴァーニの作品は、2003年にケラスのために書かれたもの。シューマンのチェロ協奏曲と同じオーケストラ編成で書かれている。暗い洞窟の中で様々な音が不気味に響くような冒頭部に始まり、激しい盛り上がりを見せ、最後はサラリと終る。心の原風景を映し出すようなシェーラーの「風の目」。アミの作品は、武満徹の思い出に捧げられており、2000年にケラスによってサントリーホールで初演された。技巧的な部分もあるが、武満を思わせるような、静寂を聴かせる作品。どれもケラスの技が光る作品となっている。
ティエリー・ペク(1965-):作品集
 数え切れない鳥たち、ピアノとオーケストラのための
  協奏曲(2006)(*))/
 記憶のむこう〜変動成分(2004)(#)/
 鍵盤のための小さな本(1995)/
 ラモーのあとに、ひとつのサラバンド?(2001)(+)
ラモー:新しいクラヴサンのための組曲(1728)
     〜サラバンド(##)
アレクサンドル・タロー
(P;*, #, ##/ポジティブOrg;+/
 エピネット;+/
 クラヴィコード;+)
アンドレア・キン指揮(*)
パリo.アンサンブル(*)
 (##)はHMC-901754 より取られた物。(#)はAEON へも録音している(AE-0423)が、新録音。
 ティエリー・ペク(ペクー)は、1965年フランス生まれの作曲家。パリ国立高等音楽院に学び、様々な賞を受賞。カナダ、ロシア、スペイン、そして南米と様々な地で学んだり生活したりしながら、音楽活動を展開している。ペクは、「生きることは旅であり、旅することは書くことであり、書くことは異次元への旅」であると語る。彼の作品には、宇宙とも地球とも人間界ともつかない不思議な世界が広がっている。その世界の中で我々は、停滞する時間、完璧な瞑想状態、すべてを超越して脳髄で感じる陶酔など、様々な体験をすることが出来る。この体験ツアーのガイドとして選ばれたのがアレクサンドル・タロー。彼の、贅肉をとことんそぎ落とした音色、極端に集中して一糸の乱れもないパッセージ、一切の感傷を排除した演奏は、異次元への誘い手として実に最適。
HMA-1901975
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価格帯:F
ベルリン古楽アカデミー〜ヴィヴァルディ:二重協奏曲集
 弦楽合奏のための協奏曲 ト短調 RV.156 /2つのオーボエのための協奏曲 ニ短調 RV.535 /
 「調和の霊感」Op.3 より 第12番 ホ長調 RV.265 /2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV.531 /
 2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 RV.522/
 ヴァイオリン、2つの狩猟用ホルン、2つのオーボエとファゴットのための協奏曲 ヘ長調 RV.574

  ベルリン古楽アカデミー
 録音:2007年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。初出・旧品番:HMC-901975〔廃盤〕。
ブルックナー:ミサ曲第3番 ヘ短調
 インゲラ・ボーリン(S) インゲボルク・ダンツ(A)
 ハンス=イェルク・マンメル(T) アルフレート・ライター(Br)
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮RIAS室内cho.、シャンゼリゼo.
 ホ短調ミサにモテット集、交響曲第4番と第7番につづいておくる、ヘレヴェッヘのブルックナー。最新作は2008年3月にベルリンのフィルハーモニーでも、テノール(このときはスティーヴ・ダヴィスリム)をのぞいて同じ顔ぶれで演奏され、高い評価を得たミサ曲第3番。
 とりわけ交響曲が不動の人気を誇るブルックナーにあって、総じて声楽作品は交響曲に通じる動機や音型が随所に散りばめられていることもあり、ブルックナー好きのあいだではその魅力が語られてきた。じっさい、このジャンルの最高峰とも云われる第3番も、たとえば、まさに天国的という形容がぴったりのベネディクトゥス動機が第2交響曲第2楽章のコーダや第4楽章に引用されるなど、聴きどころの宝庫。思えばチェリビダッケが傾倒して、息の長いフレージングによる特異で巨大な演奏を聴かせていたのもこの作品だった。
 ヘレヴェッヘの新録の特徴は、どこか素朴なひびき味わいが内容に好ましいピリオド楽器による手兵シャンゼリゼ管と、なにより、もっとも重要な役割を担うコーラスにRIAS室内合唱団を起用したことだろう。ふわりとやわらかく包み込むようなサンクトゥス。グローリア、そして最大の山場クレドにおける、強じんでありながらもあたたかみのあるハーモニー。さすがは合唱指揮者としてまず名を成したヘレヴェッヘと、現代最高水準のアンサンブルとの顔合わせ。いま、あらためて名作の魅力に目を開かせてくれる演奏の登場。
HMG-501977
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価格帯:F
ビエロフラーヴェク&ティベルキアン〜
 ブラームス

  ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15 (*) /
  ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
セドリック・
 ティベルギアン(P;*)
イジー・ビエロフラーヴェク指揮
BBC so.
 録音:2007年。 初出・旧品番: HMC-901977 ピアノ協奏曲第1番は、オケによる冒頭の序奏から、この演奏がただならぬものであることを感じさるもの。重厚感を漂わせながらも決して重くなりすぎず、ビエロフラーヴェクの怒涛の推進力で音楽が展開していく。高雅なすすり泣きのように入ってくるピアノの音色は、クリスタルを思わせる清潔感あふれるもので1975年生まれのティベルギアンが30代をむかえ、ますます音楽的に充実していることを感じさせる。終楽章のオケとピアノのかけあいでも、ティベルギアンは、硬質で美しい音色を損なうことなく、力強く聴かせる。聴き終えたときには爽快感と充実感が押し寄せ、感動的。カップリングのハイドンの主題による変奏曲では、オケの各パートにひとつひとつの主題を丁寧に歌わせており、こちらでもビエロフラーヴェクの手腕と、オケの仕事ぶりが光る。
HMG-501978
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価格帯:F
ラフマニノフ
 絵画的練習曲集 Op.39(全9曲)/
 コレッリの主題による変奏曲 Op.42/
 6つの歌曲 Op.38 (*)
アレクサンドル・メルニコフ(P)
エレーナ・ブリロワ(S;*)
 録音:2007年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。初出・旧品番:HMC-901978 〔廃盤〕。ラフマニノフはピアニストとして多忙だったのと、ロシアを離れてから創作欲を失ったため、後半生の作品は多くないが、それらは執拗なまでに念入りな技法の追求がみられる。その時期の3篇にロシアの俊英メルニコフが挑戦。リヒテルのファンタジーとプレトニョフの端正さを併せ持つピアニズムが魅力。
HMA-1951979
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価格帯:F
モーツァルト:歌曲とピアノ作品集
 秘めごと K.518 /別れの歌 K.519 /何と私は不幸なことか K.147 /孤独に(私の慰めであって下さい)K.391 /
 幻想曲 ニ短調 K.397 /結社員の旅のための歌 K.468 /偽りの世 K.474 /小さなジーグ K.574 /春へのあこがれ K.596 /
 春の初めに K.597 /すみれ K.476 /ロンド ヘ長調 K.494 /夢のなかの面影 K.530 /寂しい森の中で K.308 /
 わがいとしのアドーネによる6つの変奏曲 K.180 /クローエに K.524 /満足 K.473 /ラウラに寄せる夕べの思い K.523

  ヴェルナー・ギューラ(T) クリストフ・ベルナー(P|使用楽器: Streicher 製
 録音:2007年。 初出・前出・旧品番: HMC-901979 廃盤、入手不能〕。 モーツァルトの歌曲は、大切な人との別れやフリーメイソンへの入会など、人生の重要な節目にあわせて作曲されたものが多い。ギューラは、歌詞のひとつひとつに繊細な超琢を施した表情豊かな歌唱で、一曲一曲小さな歌曲でありながら、見事な広がりを見せている。ウィーン出身のベルナー(1971-)は、2003年チューリヒのゲザ・アンダ・コンクールで、シューマンとモーツァルトの演奏で特に高い評価を得たピアニスト。ギューラの清潔感のある美しい声と、ピアノフォルテのやさしい音色が見事に融けあった、魅力的なモーツァルト・アルバムとなっている。
W.A.モーツァルト:最後の協奏曲
 ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595(*)
 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622(#)
アンドレアス・
 シュタイアー(P;*)
ロレンツォ・コッポラ(Cl;#)
ゴットフリード・
 フォン・デア・ゴルツ指揮
フライブルク・バロックo.
 古楽オーケストラの東の横綱、フライブルク・バロック・オーケストラによるモーツァルトのシリーズ最新盤は、なんとびっくり!シュタイアーと名手コッポラをソリストに迎えてのモーツァルトの最後の協奏曲。メンバーを聞くだけで、とっても気になってしまう1枚の登場。
 まず、ピアノ協奏曲では、冒頭のオーケストラから、上品さは保たれたまま、とってもピチピチとした音楽。思わず心がうきうきしてしまう。シュタイアーは、「行進できないトルコ行進曲」で我々の度肝を抜いたのと同一人物とは思えない、実に丁寧な仕事ぶり。手入れの行き届いた演奏で、一音一音が胸に染み入る。しかし、期待を裏切らない(?)ハッチャケぶりを見せてくれているのが第3楽章のロンド。ロンド主題が回帰する直前に挿入されるソロの部分が、実になんとも「シュタイアー節」で、毎回毎回ロンド主題が回帰するのが待ち遠しくなってしまう。最後のカデンツでは、「ちゃんと主題に戻れるのだろうか・・・」と少し心配になってしまう即興ぶり。興味深いのが、自筆譜でピアノパートに「ソロ」と書かれた部分のオケの弦楽パートが弦楽四重奏編成になっていること(トゥッティの部分は別)。これは、オケのメンバーが当時の演奏習慣を様々に研究、検証した結果なのだが、このことにより、各パートとピアノとの絡み合いがくっきりと浮かび上がっており、また、合いの手の管楽器の音色が極めて効果的に響いて来る。
 うってかわってクラリネット協奏曲は、どこまでもしっとりと曲の美しさが探求されたもの。それだからこそ、オーケストラのメンバーの一人一人のうまさも輝く。思わず神の存在を感じるような、天上から降りてくる一筋の光のような第2楽章はただただ呆然と聴き入ってしまうのである。クラリネットのソロのコッポラは、リベラ・クラシカ2008年2月の演奏会でもソリストとして招かれることになっている。
HMA-1951981
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価格帯:F
ファウスト、ズヴァールト、メルニコフ〜ブラームス
 ホルン三重奏曲 変ホ長調(*/#/+) /
 ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調「雨の歌」(*/+) /幻想曲集 Op.116(+)
  イザベル・ファウスト(Vn;*) アレクサンドル・メルニコフ(P;+)
  トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト(ナチュラルHr;#)
 初出・旧品番:HMC-901981〔廃盤〕。使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」(1704) (*) /ローレンツ (1845) (#) /ベーゼンドルファー(1875) (+) 。ホルン三重奏曲が完成した1865年、ブラームスは、母を亡くした。この作品は母に捧げる悲歌とも言われている。第1楽章冒頭、慈しむような優しさに満ち溢れた旋律が、ヴァイオリンから他の楽器に受け継がれてゆくところから、一気に引き込まれてしまう集中した熱演。終楽章の疾走するパッセージの見事さはまさに圧巻。とにかく上手い!ブラームス当時のサウンドを蘇らせようと、それぞれのアーティストが思いを込めて、丁寧に音楽を構築しているのがよくわかる。新時代の巨匠達の誕生を感じずにはいられない、名演奏が誕生した。ブラームスは幼い頃からホルンに親しみ、その音色を愛していた。これは彼の交響曲などでも、ホルンが極めて重要な役割を果たしていることからもよくわかる。ホルンが登場する室内楽は、唯一この作品のみ。ブラームスはここで、ナチュラル・ホルンが、豊かな音色や柔らかなレガート効果も得られること、そしてブラームス自身がこの楽器に親しんでいたことからナチュラル・ホルンを指定している。フライブルク・バロックo.の首席ホルン奏者を務めている世界的な名手スヴァールトが、素晴らしい音色とテクニックで聴かせる。ピアニストのメルニコフはこの録音のために、19世紀のベーゼンドルファーを購入したということ。これがまた素晴らしいピアノで、音色の玉手箱のような楽器で、メルニコフのタッチの多彩さと的確さが冴え渡る。もちろんファウストの磨き抜かれたヴァイオリンの音色と、音楽の推進力はますますパワーアップ。「雨の歌」が入っているのも泣かせるところ。なんとも嬉しい内容とメンバーによるブラームス作品集。
アレクサンドル・タロー〜ショパン:前奏曲集
 ショパン:前奏曲集 Op.28(全曲)
 モンポウ:ひそやかな音楽第15番
 (ショパンの前奏曲第4番による)
 ショパン:3つの新しいエチュード
 モンポウ:プレリュード第9番
 ショパン:
  前奏曲 嬰ハ短調 Op.45/
  小プレリュード 変イ長調(遺作)
 モンポウ:Paisajes(風景)〜El lago(湖)
アレクサンドル・タロー(P)
 2007年10月に来日し、我々を魅了したピアニスト、アレクサンドル・タロー。その清冽にして多彩な独特のピアノのタッチと、聴くものの心をわしづかみにして金縛りにかけてしまうような、驚異的なまでに集中した音楽は、人々に強烈な印象を与えた。「音楽の友」誌2008年2月号の「2007ベスト・コンサート22」にもランク・インしている。自分の部屋にピアノをもたないことや、座禅を組むなどといった独特のライフスタイルもあって、年末の音楽界の話題をさらった彼の待望の録音は、ショパンとモンポウの作品。
 ショパンの前奏曲第1番から始まるこのディスク、いきなり豊かな響きに胸をわしづかみにされる。第15番「雨だれ」の冒頭の有名な旋律の繊細な歌わせ方はさりげなく絶品。中間部の 嬰ハ短調は、ショパンをすでに蝕んでいた病魔、死の影すら感じさせる壮絶な音楽となっている。モンポウの「ひそやかな音楽」第15番は、ショパンの前奏曲第4番をもとに書かれたもの。ショパンの心の原風景を見るかのような、心の中の暗がりをはてしなく彷徨っているような演奏。「湖」では、念入りに彫琢を施された音型が重なり合い、聴く者の心をふるわせ、絶えない感動のさざなみを呼び起こす。タローの音色の魔術師ぶりにあらためて圧倒。これからがますますたのしみなタロー、注目の最新盤。
HMG-501983
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価格帯:F
エルフィン・ナイト〜英国ルネサンスのバラードと舞曲
 ウィッティンガム・フェア(エルフィン・ナイト)/グリーンスリーヴス/スカボローフェア/他

  ヨエル・フレデリクセン(Vo/リュート) アンサンブル・フェニックス・ミュンヘン
 録音:2006年11月|旧品番: HMC-901983 この録音は、フレデリクセンがいなければ実現しえなかっただろう。自身でリュートを奏でながらしびれるような低い声で歌う彼は、現代に蘇った騎士のよう。バックに彼と息のばっちり合ったミュンヘン生まれのアンサンブル集団を従え、我々を英国とアメリカの伝統に属する、ポピュラーなバラードの魅力を探る旅へと誘う。サイモン&ガーファンクルでおなじみの「スカボローフェア」は19世紀末に編曲されたバージョンを元にしているが、ここではその原点とされているバージョンも収められている。騎士道の時代の香り、当時の町の喧騒を感じることのできる、タイムスリップの魔法のようなひととき
ラッスス:Cancione Sacrae sex vocibus
 (6声による宗教音楽)

 神々の酒と食べ物/服従の日々は延ばされぬ/
 わが生命は嘆きのうちに尽きたり/神を畏るる者は/
 われは知りぬ/主は人の道を見たもう/
 主を畏るることは知恵の初め/
 われは苦しめらるる時、主に対し/
 われは策略を見たり/神への畏れを知る者/
 彼らはモーゼの歌を歌いぬ/神はイスラエルに対し/
 力強き主よ、われは御身を愛し奉る/
 慈悲深きイエスよ、心に留めたまえ
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 録音:2007年5月。
 その指揮から引き出される音の美しさと響きのあたたかさが、至高の域に達しつつあるヘレヴェッヘによる最新録音。モテットの巨匠ラッススの、最後の作品にして、彼の最高傑作といえる作品。言葉のニュアンスを引き出すために複雑な書法を用いたパレストリーナと対照的に、ラッススは、知と情の完璧な均衡が保たれた平素な作品にしたてている。ヘレヴェッヘは、敬虔に丁寧に作品を読み込み、完璧なバランスで合唱を響かせている。まさに「天上の響き」とはこのこと、と思わずにはいわれない、私たちの心にダイレクトに届く滋味溢れる名演。
HMG-501985
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価格帯:F
ルクス・エテルナ
 ジェルジ・リゲティ(1923-2006):
  ルクス・エテルナ〔永遠の光〕/ヘルダーリンによる3つの幻想曲/
  無伴奏ヴィオラ・ソナタより
   〔第1楽章「ホラ・ルンガ」(1994) /第3楽章「ファスカル」(1992) /第2楽章「ループ」(1991)〕

 ロベルト・ヘッペナー:岩の(パウル・ツェラン詩)(全6曲)
 グレゴリオ聖歌:リベラ・メ、ドミネ
  ダニエル・ロイス指揮カペラ・アムステルダム、ムジーク・ファブリーク
  スザンヌ・ヴァン・エルス(Va)
 録音:2007年6月。 初出・旧品番:HMC-901985 〔廃盤〕。 リゲティの「ルクス・エテルナ」は、キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」に使用され、リゲティの名を世界的にした作品。この曲が欲しいという映画ファンからの問い合わせも多い。それも評価の高いロイス率いるカペラ・アムステルダムによるので嬉しさ倍増。さらに「ヘルダーリンによる3つの幻想曲」や無伴奏ヴィオラ・ソナタの冒頭3楽章まで、倒錯のリゲティ・ワールドにひたることが出来る。
グリーグ
 チェロ・ソナタ イ短調Op.36/
 叙情小品集より[Op.12-1/Op.43-5/Op.54-3/Op.68-3/
         Op.43-4/Op.62-5/Op.57-4/Op.54-2/
         Op.57-6/Op.57-1/Op.71-7]/
 アレグレット ホ長調/ インテルメッツォ イ短調
エマニュエル・ベルトラン(Vc)
パスカル・アモワイヤル(P)
 録音:2007年7月。
 たまらなく濃密なグリーグ作品集の登場。2001年にコンクールで優勝して以来、徐々に人気上昇中のチェリスト、ベルトラン。デュティユーにも一目おかれた彼女は、ベリオの作品の世界初演を手がけたこともある実力者。彼女をささえるアモワイヤルもフランスの実力派ピアニスト。ソナタで見せる二人の熱い掛け合い、二人で奏でるクライマックスは、思わずクラクラしてしまうような歌に満ちている。
HMG-501987
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価格帯:F
メシアン:世の終わりのための四重奏曲/ヴァイオリンとピアノのための主題と変奏
 トリオ・ヴァンダラー[ジャン=マルク・フィリップス=ヴァイジャブディアン(Vn)
              ラファエル・ピドゥ(Vc) ヴァンサン・コック(P)]

 パスカル・モラゲス(Cl)
 録音:2007年7月。 初出・旧品番: HMC-901987 「世の終わりのための四重奏曲」は、メシアンが第2次世界大戦でドイツの捕虜となり、ゲルリッツ収容所にいたときに作曲された。収容所内で確保できる人員で演奏できるようにしなければならないという難しい状況下で書かれたこの作品だが、メシアンの革新的試みがいたるところに見られる。その一つがリズム。変拍子があるのはもちろんのこと、拡大されたり縮小されたりするリズムは、音楽の新しい可能性をまたひとつ拡げたと同時に、この作品の地位を、20世紀を代表する室内楽作品のひとつへと高めている。この大作をトリオ・ヴァンダラーのとんでもなく腕の立つメンバーとモラゲスが演奏する、というだけでも興味をそそられるが、期待を裏切らない名演となっている。特に、ピアノのヴァンサン・コックの硬質のダイヤのような音色がまさにメシアン作品にうってつけ。モラゲスの名人ぶりとトリオ・ヴァンダラーの一糸乱れぬアンサンブルで、20世紀最大の室内楽作品の理想的名演が誕生した。
マティアス・ゲルネ〜
 シューベルト・エディション Vol.1

 シューベルト:冥府への旅 D.526/
  沈むよろこび D.700/涙する D.926/
  漁夫の愛の幸せ D.933/冬の夕べ D.938/
  メムノン D.541/双子座に寄せる舟人の歌 D.360/
  舟人 D.536/あこがれ D.636/
  小川のほとりの若者 D.638/エンマに D.113/
  巡礼者 D.794/タルタルスの群れ D.583/
  希望 D.295/人間の限界 D.716
マティアス・ゲルネ(Br)
エリーザベト・レオンスカヤ(P)
 録音:2007年2月-3月、ベルリン。
 今日最も人気の高いリート歌手といえば、マティアス・ゲルネを外すわけには行かない。若々しいのに深みのある美声と、丁寧に掘り起こし言葉の意味を具現化する知性。あらゆる点で現代におけるリート歌手の模範といって良いだろう。そのゲルネが、HMFにシューベルト・エディションを開始。この第1集では、ヨハン・マイアホファー、カール・ゴットフリート・フォン・ライトナー、フリードリヒ・シラー、そしてヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの詞をバランスよく配置、詩によって微妙に変化するシューベルトの姿を多面的に描いている。特筆すべきは伴奏、何とエリーザベト・レオンスカヤ! この偉大なピアニストが、出しゃばらず、しかし恐ろしいほど意味と存在感を感じさせる伴奏を弾き、世界を一層高めている。リート・ファンだけのものにしてはもったいない名盤の登場!
HMC-901989
廃盤
バッハに捧ぐ〜R.シューマン:ピアノ作品集
 子供のためのアルバム Op.68 より
  〔第4番「コラール」/第14番「小練習曲」/第27番「カノン風な歌」/第28番「追憶」/
   第23番「曲馬」/第30番「無題」/第34番「テーマ」/第42番「装飾されたコラール」〕/
 スケルツォ、ジーグ、ロマンツェとフゲッタ Op.32/
 フゲッタ形式の7つのピアノ小品 Op.126 より Nos.4-7
 森の情景 Op.82(全9曲)/子供の情景 Op.15(全13曲)
  アンドレアス・シュタイアー(P)
HMA-1901990
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価格帯:F
シューベルト:弦楽四重奏曲
 〔第12番 ハ短調 D.703 「四重奏断章」/
  第14番 ニ短調 D.810 「死と乙女」〕
エルサレムSQ
 録音:2007年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。初出・旧品番:HMC-901990〔廃盤〕。 イスラエルのフレッシュなイケメンたちによるエルサレムSQ 。年齢的には若くとも、1993年結成なので、アンサンブルとしては完璧なまでに息のあったところを見せてくれる。ちょうどシューベルトがこれらの曲を作曲したのと同年代の彼らが、シューベルトの闇と深みよりも、ナイーヴな心の動きや悩みを等身大に描いていて心打たれる。
シューベルト:歌曲集
 シラーの「ギリシアの神々」の一節 D677/
 音楽に寄す D547/ガニュメートD544/
 ミニョンの歌 Op.64-4/糸を紡ぐグレートヒェン D118/
 悲しみの喜び D260/たゆみなき愛 D138/湖上で D543b/
 愛はいたるところに D239/6/シルヴィアに D891/
 ナイチンゲールに寄す D196/月に寄す D193/
 はなだいこん D752/子守歌 D527/星の世界 D307/
 ロマンツェ Op.26/若い尼僧 D828/
 リーゼン山頂に立って D611/春に D882/
 挨拶を送ろう D741/それらがここにいたことは D775/
 君こそわが憩い D776/笑いと涙 D777/
 沈みゆく太陽に寄せて D457/夕映えの中で D799
ベルナルダ・フィンク(Ms)
ゲロルト・フーバー(P)
 録音:2007年9月。代理店はピアニストのファースト・ネームを「ゲルハルト」としているが、誤り。
 女性らしい深い優しさ、そして同時に力強さをたたえた歌声のフィンクによるシューベルト。彼の天才の煌きというよりも、心の闇がそこかしこにフッと翳る演奏。何も足さない、何も引かない、シューベルトの世界がここに見事に存在している。
HMG-501992
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価格帯:F
メンデルスゾーン(1809-1847):合唱作品集
 野に歌う Op.41 /野に歌う Op.48 /野に歌う Op.59 /6つの歌 Op.88 /4つの歌 Op.100
  ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮 RIAS 室内cho.
 録音:2007年9月|旧品番: HMC-901992メンデルスゾーンは合唱について、ある4人組が集まって森に行ったりボートに乗ったりしたときに、そこで演奏するためにもって行ったり、時には暗譜して行ったりするのにもっとも自然な音楽だ、ということを述べている。美しい景色や鳥、自然を歌い上げたこれらの合唱作品は、音によって緻密に描かれた細密画のような繊細な美しさに満ちている。
HMC-901993
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(CD+DVD_DVD)
1CD価格
アンドレアス・ショル
 CrystalTears〜ジョン・ダウランドとその同時代人

 ダウランド(1563-1626):
  Go Crystal Tears /
  Now, O now, I needs must part /
  Go nightly cares / Sorrow,come! /
  Semper Dowland semper dolens (*) /
  The Lady Rich her galliard (*) / A Fancy (*) /
  Time stands still / From silent night /
  Come,heavy sleep
 ジョン・ウォード(1571-1638):
  ファンタジア Nos.4, 3
 ロバート・ジョンソン(1583-1633):
  Have you seen the bright lily grow?
 ウィリアム・バード(1543-1623):
  Though Amatyllis dance in green
 ジョン・ベネット(1599?-1614):
  Venus' birds whose mournful tunes (#)
 パトリック・マンド(1600年頃):
  Like as the day
 フェラボスコ II(c.1578-1628):
  四つの音によるパヴァーヌ
 作曲者不詳: O Death,rock me asleep
 リチャード・マイコ(c.1590-1661):
  ファンタジアOp.13
アンドレアス・ショル(CT)
コンチェルト・ディ・ヴィオール
 ボーナス DVDは NTSC 方式。曲名に(*)が付いているものがあるが、案内文に詳細は記載されておらず詳細不明。なお、代理店は演奏者欄にショルらの名前を全く記さず、代りに以下の演奏者を記載しているが、これらの演奏者はBIS-1450(ヴィラ=ロボス)と同一であり、参加していないと思われる。[ファビオ・ザノン(G) ダンテ・イェンクェ、オゼアス・アランテス、サムエル・ハムゼム(Hr) ダリン・コールマン(B−Tb) リンダ・ブスターニ、イラン・レヒトマン(P) ジョン・ネシリング指揮サンパウロso.]
 ショルの新譜は、エリザベス朝を代表するダウランドとその同時代人たちによる作品集。同じメンバーとほぼ同じプログラムで何度かコンサートで表現を掘り下げて練り上げた上での録音だけあって、比類なきクオリティの高みにある演奏ばかり。中でも特におすすめなのが、ジョン・ベネットの作品。「Venus' birds whose mournful tunes 」と題されたこの歌曲、ヴィーナスの鳥は、私の傷つき不安な心のためにララバイを歌ってくれる、といった内容のもの。ショルの口笛も挟みながらメランコリックな旋律が続き、リュートの鄙びた音色とともに、日常の様々な瑣末なことに疲れた私たちの耳と心を優しく慰めてくれる。聴けば聴くほど深い静寂に包み込まれるような気分になる、不思議な力を持っている。なお、ボーナスDVDでは、ベネット作品の演奏風景のほか、演奏家同士やプロデューサーとの、フレンドリーながらも厳しいやりとりも収められており、創作の過程を垣間見ることのできる興味深い内容となっている。
HMX-2961994
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価格帯:F
没後200周年記念ハイドン・スペシャル・エディション〜
 ハイドン:ピアノ・ソナタ集 Vol.2
(通算 Vol.4)
 [第48番(旧・第58番) ハ長調 Hob.XVI-48/
  第49番(旧・第59番) 変ホ長調 Hob.XVI-49/
  第50番(旧・第60番) ハ長調 Hob.XVI-50/
  第52番(旧・第62番) ホ長調 Hob.XVI-52 ]
アラン・プラネス(P)
 録音:2007年10月。今回が初リリース。本体の曲番表記は、上記(内)の旧番号。
 同シリーズの "Vol.2" というのは以前発売されたことがある (HMC-901762) が、既出の3枚は当盤発売と同時にセット化再発売され、改めて "Vol.1" となった (HMX-2961761/63) 。そのため、発売順では Vol.4 となるはずの当盤は "Vol.2" となっている。旧盤を含めての場合は収録曲目に矛盾が出るので、ご注意下さい。
マティアス・ゲルネの「水車小屋」第2回録音、
 伴奏はエッシェンバッハ

 シューベルト:歌曲集「美しき水車小屋の娘」D.795
マティアス・ゲルネ(Br)
クリストフ・
 エッシェンバッハ(P)
 録音:2008年9月6日-8日、ベルリン。
 ゲルネによるシューベルトのリート集、第3巻はシューベルトの三大歌曲集の一つ「水車小屋の娘」。ゲルネの歌うシューベルトの素晴らしさはもはや言うまでもないだろう、現代的な知性と、類い稀な美声の理想的な融合は絶品と言うしかない。ゲルネは既に2001年にこの歌曲集を録音(DECCA)しているが、7年間で芸術家として大きく成熟したことが「まざと」(代理店記載ママ)感じられる。そして伴奏はなんとエッシェンバッハ! 既に指揮者としても大家のエッシェンバッハだけに、強烈な存在感を放っている。この個性派二人による「美しい水車小屋の娘」が普通で終わるはずもなく、何とビックリの70分越え! 基本のテンポは極端に遅いわけではないが、「朝の挨拶」、「涙の雨」、「休み」、「好きな色」、「しおれた花」などは通常よりかなりじっくりと演奏され、ことに最後の「小川の子守歌」は9分超と尋常ではない。ゲルネとエッシェンバッハの生み出す独特の世界にどっぷりとつかりたい。
HMA-1951996
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価格帯:F
ジョヴァンニ・ベネデット・プラッティ(1697-1763):コレッリに基づく合奏協奏曲集
 コレッリに基づく合奏協奏曲〔第10番 ヘ長調(544)/第4番 ヘ長調(540)/第5番 ト短調(541)〕/
 チェロ・オブリガートを伴う合奏曲(VIII) ニ長調(*) /オーボエのための協奏曲 ト短調(644)

  ベルリン古楽アカデミー ゲオルク・カルヴァイト(コンサートマスター/独奏Vn)
  シェニア・レフラー(Ob) セバスティアン・ヘス(Vc)
 録音:2007年11月/初発売:2009年。旧品番:HMC-901996プラッティはイタリア生まれで、ドイツのヴュルツブルク宮廷に仕えた。自身オーボエのとてつもない名手であったため、最初は奏者として雇われたそうだが、ほどなくして作曲家としても才覚を発揮した。オススメは(*)の『協奏曲』(『』内代理店記載ママ。再発に際しても訂正無し)。痛快なテンポで刻まれる弦楽器による前奏を経て、チェロが旋律を上下にめまぐるしく奏でる。ベルリン古楽アカデミーの面々の一糸乱れぬアンサンブルは見事。そしてオーボエ協奏曲は、多感様式を思わせるような雰囲気を漂わせる豊かな表情が印象的。
HMA-1951997
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ユーゴーの詩による歌曲集(全19曲)
 リスト:わが子よ、私が王ならば/おお!僕がまどろむ時
 フォーレ:五月/君なくて / アーン:星のない夜は/私の歌に翼があったなら/ Viens!
 サン=サーンス:朝/エクスタシー/鐘/ジャン王の軍隊の行進/他
  コンスタンティン・ヴォルフ(B−Br) トゥルング・サム(P)
 録音:2007年11月。初出・旧品番:HMC-901997〔廃盤〕。 ユーゴーの詩は、激しく荒れ狂う波を連想させたかと思えば、どこまでもはてしなく続く大地を感じさせるものなど、そのスケールがあまりにも大きいものが多い。個人的な感情を歌うものが多い歌曲のジャンルの詩にしては「破天荒」とすら言える。それでも作曲家たちはユーゴーの詩を愛し、これらの優れた曲が生み出された。詩とメロディーの両方の世界を見事に制したバリトン、ヴォルフは1978年生まれ。カールスルーエに学び、ヨーロッパの歌劇場で活躍の場を広げており、徐々に人気を博しつつある。
J.S.バッハ:カンタータ集
 「イエス十二弟子を召寄せて」BWV22/
 「汝まことの神にしてダビデの子よ」BWV23/
 「主イエス・キリスト、真の人にして神よ」BWV127/
 「見よ、われらエルサレムにのぼる」BWV159
ドロテー・ミールズ(S)
マシュー・ホワイト(A)
ヤン・コボウ(T)
ペーター・コーイ(B)
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ
 円熟の極み、ますますの充実をみせるヘレヴェッヘによるカンタータ最新盤。BWV22、23は、トーマス教会のカントル採用試験のために書かれた作品で、試験提出用作品ということもあり、凝りに凝った作品となっている。22番は優美な作品、23番は厳粛な作品で、バッハの作曲の能力の幅広さを示している。127番も、「ヨハネ受難曲」の改訂稿上演を控えていた時期に作曲されたため、受難と復活の預言を主題とするものになっており、充実した作品となっている。ヘレヴェッヘならではの陶器を思わせるしっとりとした合唱と管弦楽の音色に心打たれる一枚。
O Felice memoire(幸せな死)〜
 16世紀イタリアの声楽作品
(全17曲)
 モンテヴェルディ:「私は怠惰の中に生まれ」
 カプスベルガー(1580頃-1651):
  「死にゆく者を憐れみたまえ」
 ファルコニエーリ(1585-1656):
  「つれなきアルミッラ」
 カッチーニ(1551-1618):「東方より」/
  「誰がわたしを慰めてくれるのだろうか?」
 他、ディンディア、プリアスキらによる作品
ヨエル・フレデリクセン
(バス/アーチリュート)
アンサンブル・フェニックス
 録音:2007年11月。
第1弾の「エルフィン・ナイト」(HMC)で、スカボロー・フェアの原型のメロディをそのしびれるような美しい低い声で見事に聴かせてくれたフレデリクセン。第2弾は、バロック時代のイタリアに生きたシンガー・ソングライター達による作品集。カッチーニやカプスベルガー、プリアスキといった作曲家たちは、自身のリュート伴奏で自作品を歌っており、とりわけバスの声域のために優れた作品を残している。中には2オクターブ半という広い音域に渡る作品も含まれており、言葉と旋律、フレデリクセン自身によるアーチリュートの音色、何よりしびれる低声が耳と心に染み渡る。
HMC-902000
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ブラームス:室内楽作品集
 弦楽四重奏曲第1番 ハ短調Op.51-1/
 ピアノ五重奏曲 ヘ短調Op.34
アルカントSQ
[アンティエ・ヴァイトハース、
 ダニエル・ゼペック(Vn)
 タベア・ツィンマーマン(Va)
 ジャン=ギアン・
  ケラス(Vc)]
ジルケ・アーヴェンハウス(P)
 ジャン=ギアン・ケラス率いるアルカント・クァルテットのCD第2弾は、ブラームス。
 ブラームスにとって、交響曲と同様、弦楽四重奏というジャンルにおいても、ベートーヴェンという存在はとてつもなく大きなものだった。ベートーヴェンの影から逃れるために長い年月をかけて作曲された第1番は、それだけに重厚で充実した作品となっている。時に弦楽四重奏、弦楽器という枠を超えているかのような大きな音楽で、様々な音色が求められる各パートだが、そこはさすが名手揃いのアルカント、見事なアンサンブルで聴かせる。
 ピアノ五重奏曲も、冒頭のユニゾンの暗い旋律から、ものすごい求心力で一気に作品に引き込まれる。ピアノのアーヴェンハウスも、ヴァイオリンのヴァイトハースとの共演も多く、メンバーとも気心の知れた仲間として、熱く融けあった見事なアンサンブルを展開している。

 #既にレーベルでは廃盤となっており、流通在庫限り&高額となります。入手出来無い場合はご容赦下さい。
聖母マリアのための夕べの祈り
 ヴィルジーリオ・マッツォッキ(1597-1646):
  主は言われた/幸いなる御母/
  ほめたたえよ、しもべ達よ/
  主が家を建てられるのでなければ/
  イェルサレムよ、主をたたえよ/マニフィカト
 カリッシミ(1605-1674):わが心よ、起きよ/
  おお、かくも美しき御名マリアよ/
  サルヴェ・レジーナ
 フレスコバルディ(1583-1643):
  二つのホルンのカンツォーナ
 パレストリーナ(1525-1594):マリア、星よ
コンラート・ユングヘーネル指揮
カントゥス・ケルン
コンチェルト・パラティーノ
 録音:2008年2月。
 16-17世紀に書かれたマリアの賛歌を集めたもの。モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」の原型は、17世紀にマッツォッキが書いたものだった。このディスクには、マッツォッキの作品のほか、同時代を生きたカリッシミ、フレスコバルディの作品が収録されている。フレスコバルディの「二つのホルンのカンツォーナ」は華やかな管楽器によるアンサンブル、そしてコンチェルト・パラティーノの名人芸が冴え渡る。教会の残響を美しくとらえた録音はさすがハルモニアムンディ。カントゥス・ケルンの美しい歌声、そしてコンチェルト・パラティーノの名手たちが奏でる、天上から降ってくるような管楽器の音色に聴き入ってしまう。
トリオ・ヴァンダラー〜
  シューベルト:ピアノ三重奏曲集

 ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 D.898
 ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 D.929
 ソナタ楽章 変ロ長調 D.28/
 ノットゥルノ 変ホ長調 D.897
トリオ・ヴァンダラー
[ジャン=マルク・フィリップス・
  ヴァイジャベディアン(Vn)
 ラファエル・ピドゥ(Vc)
 ヴァンサン・コック(P)]
 録音:2000年7月10日-14日、メス・アルスナル|初出: Le Chant du Monde, LDC-2781132/33|前出: HMF, HMC-902002/03 。1987年結成のトリオ・ヴァンダラー。ピアノ三重奏曲の粋を追求し続け、聴き手にピアノ三重奏というアンサンブルが最上の次元の音楽を展開し続けている。そんな彼らが2000年に録音したシューベルトのピアノ三重奏曲集が再々登場する。一人一人をとっても物凄い名手のトリオ・ヴァンダラー。そんな三人による音楽は、どこまでも自然で、横の流れの美しい物。お互いの音楽性を認め合って、お互いの音楽性を知り尽くしているからこその結晶といえるだろう。トリオ第2番の2楽章冒頭、「バリー・リンドン」でも使われた有名な旋律は心震える美しさ。
マティアス・ゲルネ・
 シューベルト・エディション第2集

 若者と死 D.545/緑の中の歌 D.917/秋の夜 D.404/
 静かな国へ D.403/秋の夕べ D.405/遠くへの渇望 D.770/
 私の心へ D.860/さすらい人 D.649/
 ヴィルデマンの丘を越えて D.884/嘆き D.371/
 春の小川のほとりで D.361/リュートに寄せて D.905/
 娘の恋の立ち聞き D.698/まなざしの歌 D.297/
 君はわが憩い D.776/音楽に寄せて D.547/泉に寄せて D.530/
 岩のそばの歌手 D.482/竪琴との別れ D.406/歌の終わり D.473/
 郷愁 D.456/ドナウ河の上で D.553/
 ウルフルが釣りをする時 D.525/星の夜 D.670/
 帰り道 D.476/秘密 D.491/ゴンドラの舟人 D.808/
 夕べの星 D.806/勝利 D.805/夜の曲 D.672/解消 D.807/
 語らずともよい、黙っているがよい(ミニョンの歌) D.877-2/
 ただ憧れを知るひとだけが(ミニョンの歌) D.877-4/
 ミニョンに D.161/
 竪琴弾きの歌 D.480
  [孤独に身を委ねる者は/
   涙を流しながらパンを食べたことのない者は/
   家々の門辺に歩み寄り]/
 流れのほとりで D.160/恋人の近くに D.162/漁師 D.225/
 湖上にて D.543/悲しみの喜び D.260/出会いと別れ D.767
マティアス・ゲルネ(Br)
ヘルムート・ドイッチュ(P;CD1)
エリック・シュナイダー(P;CD2)
 大好評をいただいた第1集(HMC-901988)に続く、ゲルネのシューベルト歌曲集の第2集。今回はなんと一気に43曲! ゲルネならではの美声と知性の見事な融合が、シューベルトの歌曲に新たな生命をもたらしている。伴奏は、ドイッチュとシュナイダーの両ベテランが担当、質においても量においても圧倒的なアルバム!
マルティン・イ・ソレル:ハルモニームジーク音楽集
 歌劇「椿事」〜
  木管アンサンブルのためのアリア編曲集/
 ディヴェルティメント
  [第2番 変ロ長調/第3番 変ロ長調/
   第4番 変ロ長調]
ホアン・エンリク・ルナ指揮
ムーンウィンズ
 録音:2008年2月。
 モーツァルトのCDと間違えたかな、と思ってしまうほど、高貴さと美しいメロディに満ちた曲が並ぶ、「ヴェネツィアのモーツァルト」と称されるソレル作品集。それもそのはず、1作品目の歌劇「椿事」の木管編曲版は、モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の地獄落ち直前の晩餐のシーンで引用されていた楽曲。ハルモニームジークとは、18世紀に流行した木管アンサンブル編成の音楽のことで、当時の上流階級の人々の食事会や集まりなどでよく演奏された。ムーンウィンズとしては2枚目のディスク(第1弾はHMI-987071)。また、ホアン・エンリク・ルナはクラリネット奏者としても活躍しており、東京クァルテットとのブラームス:クラリネット五重奏曲でも名演を聴かせている。
HMA-1902011
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価格帯:F
ヘレヴェッヘの「ブル5」
 ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調 WAB.105
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャンゼリゼo.
 録音:2008年2月、アルセナル、メス、フランス。プロデューサー:アンドレアス・ノイブロンナー/エンジニア:マルクス・ハイラント(以上 TORITONUS )。初出・旧品番:HMC-902011〔廃盤〕。
ケラス&タロー〜ドビュッシー&プーランク
 ドビュッシー:
  チェロ・ソナタ第1番 ニ短調/レントよりも遅く
 プーランク:
  チェロ・ソナタ/
  バガテル ニ短調(原曲:Vn&P)/
  「陽気な歌」
    〜第8曲「セレナード」(原曲:Vo&P)/
  フランス組曲(全7曲/Vc&P版)
 ドビュッシー:スケルツォ/インテルメッツォ
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
アレクサンドル・タロー(P)
 2007年のバッハ:無伴奏チェロ組曲の衝撃的名演奏のリリースの記憶も生々しいケラス。そして、2007年秋に来日し、強烈な個性と集中した演奏で事実上の日本デビューを果たしたタロー。2人の共演による夢のリリースは、フランスの室内楽。異様に研ぎ澄まされたタローのピアノの音色に、ケラスの颯爽としたチェロがからまる様は、まさにフランスのエスプリそのもの。「レントより遅く」でのたゆたうような雰囲気に酔い、プーランクの「フランス組曲」の終曲カリヨンでの音色の鮮やかさに圧倒される。今もっとも注目の二人による、堂々の1枚。
ヤーコプス〜テレマン(1681-1767):ブロッケス受難曲(全曲)
 ダニエル・ベーレ(T;福音史家/信仰心 VI ) ヨハネス・ヴァイサー(Br;イエス/信仰心 V )
 マリー=クロード・シャピュイ(Ms;ユダ/信仰心 III /娘 I )
 ドナート・ホーヴァール(T;ペトロ/ピラト/信仰心 IV )
 ブリギッテ・クリステンセン(S;シオンの娘 I /信仰心 I /マリア/女 I )
 リディア・トイシャー(S;シオンの娘 II /信仰心 I I/娘 II )

 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
 録音:2008年3月|初出・旧品番: HMC-902013/14 〔廃盤、入手不能〕。 ブロッケスは、18世紀ドイツ文学界の重要人物。彼が書いたこの受難曲のテキストには、テレマンのほかにも、ヘンデルやカイザー、マッテゾンら13人もの作曲家が付曲している。テレマンの受難曲は1716年4月2日に初演、大成功をおさめ、かの大バッハ1739年(45歳頃、自らがマタイ・ヨハネ両受難曲を作曲した後)に全曲を写譜して研究したほどに有名曲となった。ヤーコプスは、人間味豊か、絡み合う音が魅力のテレマンの名作を、大変見事に、瑞々しく現代によみがえらせた。序曲は器楽によるシンフォニア。まるでオーボエ協奏曲のような充実したシンフォニアを、名団体ベルリン古楽アカデミーで聴けるとは!バッハの受難曲が福音書家の役割が非常に大きいのに対し、テレマンの作品は、それぞれのソリストが「信仰心」という役割を持ち、場面場面で、二重唱や三重唱で信者(=わたくし)の心を代弁、活躍する。イエスが十字架上で「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのか」と言う場面は、実に人間味に溢れていてドラマティック。終曲コラールでは、トランペットの響きも高らかに、イエスの死による私たちが罪から救い出されるということを力強く讃美していて、大変輝かしい終結となっている。ヤーコプスの完璧なコントロールの指揮の下、歴史的名曲の理想的な名演。
HMA-1952015
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価格帯:F
ティベルギアン〜ブラームス
 ハンガリー舞曲〔第1番−第10番〕
  (作曲者編曲/P独奏版)/
 8つの小品 Op.76 /
 ワルツ集 Op.39(作曲者編曲/P独奏版)
セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2008年4月。初出・前出・旧品番: HMC-902015 廃盤、入手不能〕。 硬質でクリアなタッチと深い音楽性で辛口な演奏を繰り広げるティベルギアンのブラームス。それも作曲者自身による連弾名作の独奏版を中心とした個性的選曲。ハンガリー舞曲集の独奏版は、音の詰ったオクターヴの連続で非常に弾き難く、テンポを遅めたり流れの途切れた演奏になりがちだが、さすがティベルギアン、そのようなことは一切なく、ブラームスならではの迫力と重厚さで一気に聴かせる。この歳でこれほど深みのあるブラームスを実現、ただものではない。
HMG-502016
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価格帯:F
J.S.バッハ:ソロ・カンタータ集
 〔神にのみわが心を捧げん BWV.169 /満ち足れる安らい、うれしき魂の悦びよ BWV.170 /霊と心は驚き惑う BWV.35 〕

 ベルナルダ・フィンク(Ms) ぺトラ・ミュレヤンス指揮フライブルク・バロックo.、
 ヴォーカルコンソート・ベルリン(cho.) ヴォルフガング・ツェラー(Org)
 録音:2008年4月。 初出・旧品番:HMC-902016 〔廃盤〕。 バロック・アンサンブルの雄、フライブルク・バロックo.による、バッハのカンタータ集の登場。1曲目に収められている169番の第1曲シンフォニアは、チェンバロ協奏曲 ホ長調(BWV.1053の第1楽章)と同じ音楽。ソロ・パートはオルガンで演奏され、オルガン・ソロ(ヴォルフガング・ツェラー)の巧さが際立つ。3本のオーボエも活躍、フライブルク・バロックo.の面々の一人ひとりがパワー全開で演奏した実に密度の濃い演奏。35番も第1曲シンフォニアはオルガン協奏曲。ソロを彩り支えるファゴットの響きも実に豊か、通奏低音旋律の一音一音がふくよかに歌い上げられている。旋律楽器から通奏低音まで実に生き生きとしており、各パートが実に濃密。実に贅沢なカンタータ集となっている。これらのカンタータはすべて同時期に作曲された、アルト・ソロのためのもの。当時のライプツィヒには優れたカストラートがいたと考えられている。ヨーロッパで絶大な人気を誇るベルナルダ・フィンクがソロを務めている。
エリック・サティ:最後から2番目の思想
 ・ピアノ・ソロ編
   グノシエンヌ第1番/舞踏への小序曲/ジムノペディ第1番/本当にぶよぶよした前奏曲/グノシエンヌ第2番/
   嫌らしい気取り屋の3つのワルツ/グノシエンヌ第3番/ピカデリー/自動記述法/グノシエンヌ第4番/
   操り人形は踊っている/メドゥーサの罠(*) /冷たい小品/最後から2番目の思想/
   いくぶん生き生きと(モンマルトルのエスキースとスケッチより)/乾からびた胎児/グノシエンヌ第5番/
   ワルツ=バレエ/世紀ごとの時間と瞬間的な時間/ばら十字団の最初の思想/金の粉/グノシエンヌ第6番
 ・デュオ編
   梨の形をした3つの小品(1台4手のための)(#) /ジュ・トゥ・ヴ(+) /お医者さんのところで(+) /
   僕には友達がいた(+) /エンパイア劇場のプリ・マドンナ(+) /風変わりな美女(1台4手)(#) /
   右や左に見えるもの(**) /シネマ(ミヨー編曲/1台4手版)(#) /ダフェネオ(##) /
   リュディオン〔潜水人形〕(##) /再発見された像(C管トランペットとピアノのための嬉遊曲)(++) /
   シテール島への船出(**) /いいとも、ショショット(##)

 アレクサンドル・タロー(P;*以外/プリペアドP;*) エリック・ル・サージュ(P;#)
 ジュリエット(声;+) イザベル・ファウスト(Vn;**)
 ジャン・ドゥルスクリューズ(T;##) ダヴィド・ゲリエ(Tp;++)
 録音:2008年4月-5月。洒落ていて物憂くてエスプリたっぷりでどこか不気味・・・そんなサティの音楽。考えてみれば、タローほどサティ作品にぴったりなピアニストはそういないのではないだろうか。タローは持ち前の抜群のセンスで、プリズムのように刻一刻と変わる曲のニュアンスや洒落っ気を気持ちよく描いてみせてくれる。「指先の魔術師」タローが奏でる独特の音色にはドキッとさせられる。ピアノ・ソロだけでも充分楽しめるが、disc2の「デュオ」での豪華共演者陣も注目。ル・サージュとのデュオは、これ以上ない、と思えてしまうくらいに息も音色もセンスもぴったり。本当にうまいフランス人がフランスものを弾くとこうなるのか、と思わず脱帽。ジュリエットは、タローが「理想のサティ歌い」と絶賛するシャンソン歌手で、パリのちょっと古びたカフェを連想させる、雰囲気たっぷりの歌を聴かせてくれる。「右や左に見えるもの」では、イザベル・ファウストが変幻自在の活躍。ヴァイオリンという楽器がもつ音色の意外な響きをたのしませてくれる。ゲリエのトランペットも実に見事。パリっとおしゃれに決まった、サティの新たなる名盤の登場。
 ブックレットの裏表紙に書いてあるサイトにアクセスし、パスワードを入れると、ボーナストラックなどが入手できるという趣向もある。ジャケットに用いられているイラストは、ジャン=コクトーによるサティ像。
HMM-932019/20
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(2CD)
1.5CD価格
ショスタコーヴィチ
 24の前奏曲とフーガOp.87(全曲)
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2008年5月、12月、2009年3月|旧品番:HMC-902019/20〔国内仕様盤:KKC-5105/6 〕(以上、ボーナス DVD 付き)/HMC-972019/20〔以上全て廃盤)。ショスタコーヴィチ壮年期の「24の前奏曲とフーガ」はその巨大さ、深さ、技術的難度ゆえ、ピアニストにとって最高峰のひとつとなっている。全曲の録音も多くはなく、いまだに初演者ニコラーエワのものが超えるものなき決定盤の地位を保っている。しかし、今回ロシアの俊英メルニコフがまさに命をかけてチャレンジした録音は驚くべき完成度で、この世のものとは思えぬ域に達している。この音楽的深み、さらに時折見せる暗黒の情念など30代とは思えぬ成熟度、さらにニコラーエワにはない21世紀的な新しさなど、どこをとっても非の打ちどころなし、ついにニコラーエワの盤を超える演奏の出現と思える。
アンドレアス・シュタイアー〜
 シューベルト:ピアノ作品集

 ピアノ・ソナタ ト長調「幻想」D.894/
 4つの即興曲 Op.142 D.935
  [ヘ短調/変イ長調/変ロ長調/ヘ短調]
アンドレアス・シュタイアー(Fp)
 録音:2008年7月、8月。使用楽器:1827年コンラート・グラーフ製のレプリカ(クリストファー・クラーク製作、1996年)。
 2008年秋にソロで来日し、深く集中したシューマンの世界で聴衆を魅了したシュタイアー。次なる新譜はシューベルト作品集。死の2年前に書かれた「幻想」では、寄せては返す波のような冒頭から、シュタイアーの巧みな語り口によって静謐の世界へといざなわれる。終始シューベルトの歌に満ちており、楽器のあたたかく豊かな色彩を帯びた響きをシュタイアーは見事に操っている。4つの即興曲も、美しく愛らしい宝ものが並べられた宝箱を眺めているような、大切な思い出のアルバムをめくっているような、なんとも幸せな気分になる。
HMG-502022/23
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(2CD)
価格帯:F
カザルスSQ 〜ハイドン:弦楽四重奏曲集 Op.33(全6曲)
 〔ロ短調 Op.33 No.1 Hob.III; 37 /変ホ長調 Op.33 No.2, Hob.III; 38 「冗談」/
  ハ長調 Op.33 No.3, Hob.III; 39 「鳥」/変ロ長調 Op.33 No.4, Hob.III; 40 /
  ト長調 Op.33 No.5, Hob.III; 41 /ニ長調 Op.33 No.6, Hob.III; 42 〕

 カザルスSQ
 録音:2008年5月、7月。旧品番:HMX-2962022/23 [HMX-2962022] (ハイドン・シリーズ/ HMX 記号商品が初出)。ロシア四重奏曲集は鑑賞者にとっても演奏者にとっても魅力ある充実した作品群。1997年に結成されたカザルス弦楽四重奏団は、瑞々しい感性で緻密なアンサンブルを紡ぐ。Op.33 No.2の終楽章も、楽器間でめまぐるしく駆け巡る音符群を見事に操る。Op.33 No.3 も本当に鳥がさえずりあっているようで愛らしく、思わず微笑んでしまう出来栄え。
VENEZIA 1625
 G.B.フォンターナ(1571?-1630):ソナタ
  [第2番/第3番/第6番]
   (原曲:ヴァイオリン・ソナタ)
 ウッチェリーニ(1603-1680):
  シンフォニアXX(ラ・ヴァーミンガルダ)/
  ソナタXXIV/ベルガマスクに基づくアリア/
  シンフォニアXIV「ラ・フォスキーナ」/
  シンフォニアXVII「ラ・ストゥチャルダ」他
 ベルナルド・ストラーチェ(17世紀):
  シャコンヌに基づく即興演奏
 メルラ:
  チャッコーナ/カンツォン「ラ・ストラーダ」
 ロッシ:シンフォニアXI イン・エコー
 ピッチニーニ:トッカータ2番
モーリス・シュテーガー
(リコーダー)
 古楽やモダーンの垣根をひらりと越えて、リコーダー1本で世界を圧倒しつづけているスター、シュテーガーの新譜。リコーダーでここまで技巧を楽しむことができるとは! 原曲がヴァイオリンのための書かれた作品もシュテーガーの手にかかれば天衣無縫のリコーダー作品となって現れる。実に見事!
HMC-902025
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(4CD)
2CD価格
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
 [第1番 ニ長調Op.12-1(*)/第2番 イ長調Op.12-2(*)/第3番 変ホ長調Op.12-3(*)/第4番 イ短調Op.23(#)/
  第5番「春」 ヘ長調Op.24(#)/第10番 ト長調Op.96(#)/第6番 イ長調Op.30-1(+)/第7番 ハ短調Op.30-2(+)/
  第8番 ト長調Op.30-3(+)/  ソナタ第9番「クロイツェル」 イ長調Op.47(**)]/

 イザベル・ファウスト(Vn) アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2008年6月(*)、2008年9月(#)、2008年7月(+)、2006年5月(**)。(**)はHMC-901944と同音源。
 しなやかな力強さと細やかな感受性をあわせもつファウストの新譜は、ベートーヴェンのソナタ集。ファウストのヴァイオリンで聴くベートーヴェンというだけでも心踊るのに、メルニコフがピアノだなんて、なんと贅沢なことだろう。ファウストは、第5番「春」の第1楽章の有名な冒頭で、実に繊細で可憐な表情を見せており、彼女のセンスと知性が光る。ピアニストのメルニコフも、弱音でもくっきりとした発音とピリッと線の通った和声感、一糸乱れぬピアニズムで聴かせる。お互いに自由に羽ばたいているのに、息はピタリと合っており、見事の一語。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ集にうれしい名演奏の登場。
 #当初4枚目は両面ディスクで、片面にCD、もう一方に特典DVD映像として演奏風景などが収録されていましたが、2012年秋のプレス分からDVD部分がカットされ、通常CDのみの片面仕様に変更されています。今後は基本的にCDのみの商品が供給されますが、新旧商品は品番・バーコードとも同一で、特典DVD付きの商品(あるいはCDのみの商品)を指定してお届けすることは出来ませんので、御了承下さい。
二次元の雄叫び [L ' Écrit du cri] 〜ルネサンス、19〜21世紀の歌
 作者不詳(16世紀):パリのすべての雄叫びによる新しい歌
  (プロヴァンス地方で踊られた舞踊「ヴォルト」の歌)
 レジ・カンポ(1968-):マルセイユの雄叫び
 エドゥアルド・ドゥランサール(19世紀):通りの雄叫び
 クレマン・ジャヌカン(c.1485-1558):パリの雄叫び
 ヴァンサン・ブショー(1966-):パリの雄叫び
 アルフレート・ルボー(1835-1906):僧院の鐘の音(器楽作品)
 ジャン・ジョルジュ・カストナー(1810-1867):パリの雄叫び
 ジャン・セルヴァン(1530-1596):パリの雄叫びのフリカッセ(ごった煮)
 クロード・ルドゥ(1960-):ブログの雄叫び「14才で私は捨てられたの」
 アルフレート・ロラン(1797-1874):バニェルの雄叫び
 ブルーノ・デュコル(1949-):私は叫ぶの。叫ぶの。叫べるんだってば。
 ヴァンサン・スコット(1874-1952):兵隊サンの雄叫び
  ドミニク・ヴィス(CT)指揮アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
  [ウゲス・プリマール(T) ヴァンサン・ブショー(Br)
   フランソワ・フォシェー、ルノー・ドゥレイグ(B)]

  エリック・ベロック(Lute) エリサベス・ガイゲ(Org)
  ヴァンサン・ルトゥルム(P) ニコラ・クロッセ(Cb)
 録音:2008年8月。
 『ジャケットのあまりの強烈さに、思わず「雄叫び」としましたが、原題の「 Cri(英語でcry)」は物売りの声のこと。』と代理店は記している(上記曲目や下記でも、"Cri" はすべて「雄叫び」と訳されている模様)。古くから、道を行く行商人(時にはチンドンヤ)たちは、独自の売り文句の歌を持っていた。ヨーロッパでは16世紀頃から、この行商人やチンドンヤの声をとりいれた音楽が生み出された。こうした中世・ルネサンスの「雄叫び」世俗音楽は、1978年に結成されたアンサンブル・クレマン・ジャヌカンの十八番。このほかに、現代を生きる作曲家たちによる雄叫び音楽が収められているのがなんとも興味をそそられるところ。「ブログの雄叫び」は、インターネットのブログに見られるような不思議な文字の羅列が歌われ、私小説風なブログの散文が朗読されるなど、実に現代風。「私ハ—・・・」(注:案内に文字化けがあるため、正確には不明だがデュコルの作品を指すのか)は、街角で人々が突発的に出してしまった独り言や、何か言おうとして飲み込んだ言葉の断片が集められたような曲。人が発する歌や言葉は空気に溶けて消えてしまうもの。しかし、ここに集った名人たちは、空気や歴史、さらにはインターネットの渦の中に埋もれていた様々な言葉を楽譜へと「二次元」化、それを実際に音にすることにより、様々な言葉を聴く人の脳裏、耳の奥に焼き付ける。
HMA-1952029
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価格帯:F
ハイドン
 交響曲第80番 ニ短調Hob.I; 80 /交響曲第49番 ヘ短調「受難」Hob.I; 49 /
 ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ長調 Hob.VIIA; 1 (*)
  ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn;*)指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2008年8月。初出・前出・旧品番: HMX-2962029(ハイドン・シリーズ)。 交響曲80番は、冒頭から、オペラの序曲を思わせる作品。名手ゴルツ率いるフライブルク・バロックo.の演奏は、強弱や表情も変幻自在、ワクワク感と激しさに満ちたものとなっている。そして録音が素晴らしい! 瑞々しく響く弦の音色、ボワーンと伝わってくる木管の馬力ある音色に耳を離すことができない。ヴァイオリン協奏曲では、ゴルツのソロ・ヴァイオリンの腕の確かに思わず唸らされる。
ハイドン:弦楽四重奏曲集 Vol.2
 [第35番 ヘ短調Op.20 No.5 Hob.III-35 /
  第39番 ハ長調Op.33 No.3 Hob.III-39 「鳥」/
  第79番 ニ長調Op.76 No.5 Hob.III-79「ラルゴ」]
エルサレムSQ
 録音:2008年9月。旧品番・初出:HMX-2962030のレギュラー盤化。Vol.1:HMC-901823 1993年にエルサレムで結成、グラーツ国際コンクールで認められ、BBCとブイトーニ・トラストの援助を受け活動しているエルサレムSQが、「ユダヤの弦」の真髄を聴かせるハイドン。
シューマン:歌曲集
 歌曲集「ミルテの花」 Op.25 より(6曲)/
 メアリー・ステュアート女王の詩 Op.135/
 リュッケルトの詩による歌曲
 [おお太陽よ、海よ、ばらよOp.37 No.10 /
  忍従の花Op.83 No.2 /母よ、母よOp.25 No.11 /
  私を彼の胸に寄り掛からせてOp.25 No.12/
  おお、殿方よ Op.37 No.3 /東方のばらより Op.25-25 /
  ジャスミンの茂み Op.27 No.4/ 松雪草Op.79 No.26/
  Liebster,deine Worte stehlen Op.101 No.2/
  Mein schoner Stern! Op.101 No.4]/

 歌曲集「リーダークライス」 Op.39
ベルナルダ・フィンク(Ms)
アントニー・シピリ(P)
 録音:2008年10月。
 ヨーロッパを中心に活躍めざましいメゾ・ソプラノ、フィンクの新譜は彼女の瑞々しい知性とたしかな技術が光るシューマン。ピアニストに、草津音楽祭でもおなじみの名手シピリを迎えているのも興味をそそる。鈴を転がすような高音部、美しいドイツ語、寸分の狂いのない音程、フィンクのゆるぎない芸術を堪能できる1枚。
フォーレ:ピアノ四重奏曲集
 ピアノ四重奏曲第1番 Op.15 ハ短調/
 ピアノ四重奏曲第2番 Op.55 ト短調
トリオ・ヴァンダラー
アントワーヌ・タムスティ(Va)
 録音:2008年10月。
 きらめくようなアンサンブルでファンを魅了するトリオ・ヴァンダラー最新盤は、ヴィオラ界のスター、タムスティをゲストに迎えてのフォーレ:ピアノ四重奏曲集。自身が非常に優れたピアニストでもあった、フォーレのピアノ書法が光る、充実した2曲。
第1番は、傑作ヴァイオリン・ソナタと同じ時期(1876年)に着手されたが、同年末に結婚する予定であった婚約者マリアンヌ・ヴィアルド(ポーリーヌ・ヴィアルドの娘)に婚約を破棄され、大きなショックを受け、完成したのは1879年。初演は成功に終ったが、終楽章が不評だったため、書き直したものが現行のものとなっている。
第2番は84年に着手、87年に初演された。アダージョ楽章は、子供時代に聞いた、隣村から響いてくる鐘の音の思い出が反映されている、という、フォーレにしては珍しい(唯一の)謝辞が添えられている。
HMG-502033
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価格帯:F
スウェーリンク(1562-1621):フランス語聖歌&シャンソン集
 Resveillez vous chacun fidele (Ps.133) / Qui en la garde du haut Dieu pour jamais se retire (Ps.91) /
 Du fonds de ma pensee (Ps.130) / De profundis clamavi ad te Domine / Magnificat anima mea Dominum /
 Beati pauperes spiritu / A Dieux ma voix j’ai haussée / Ainsi qu'on oit le cerf bruire (Ps.42) /
 Sus mon ame qu'on benie le souverain (Ps.146) / Te Deum laudamus

  ダーヴィド・ヤンセン(Org) オフィラ・ザカイ(リュート)
  ダニエル・ロイス指揮カペラ・アムステルダム
 録音:2008年10月。 初出・旧品番: HMC-902033 作曲家、オルガニスト、オルガン製作者、そして国際的にも名の通った教師として活躍していたスウェーリンクは、彼が生きていた当時「アムステルダムのオルフェウス」と呼ばれるほどに、声楽分野でも知られた存在だった。当時最もよく歌われていたラテン語聖歌にまったく引けをとらない力強い表現に満ちている。特にマニフィカトは、必聴ものの素晴らしさ。
マティアス・ヴェックマン(1618頃-1674):宗教モテット&哀歌集
 なにゆえ、独りで座っているのか(哀歌1 : 1, 2, 8, 9, 12, 20, 21) /
 死は勝利にのみ込まれた(コリントの信徒への手紙115 : 54, 55, 57) /カンツォン \ (*)/
 泣くな、見よ(ヨハネの黙示録5 : 5, 12-14 ) /
 おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる(ルカによる福音書1 : 28-38) /
 疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい
  (マタイによる福音書11 : 28, 29) / カンツォンII (*) /
 シオンは言う、主はわたしを見捨てられた(イザヤ書49 : 14-16) /都に上る歌(詩篇124章)
  コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン
   [ヨハンナ・コスロフスキー(S) アレクサンダー・シュナイダー(CT)
    ハンス・イェルク・マンメル(T) ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ(B)]
  コンチェルト・パラティーノ(*)、ブルース・ディッキー(コルネット)他
 録音:2008年10月。ハンブルク聖ヤコブ教会のオルガニストを務め、さらに音楽団体「コレギウム・ムジクム」を創設し活躍したヴェックマンによる作品。劇的な感情の表出は、聴く者に衝撃を与える。
HMC-902035
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(CD+DVD)
1CD価格
マティアス・ゲルネ〜
 シューベルト:歌曲集 Vol.4

 ギリシャの神々 D.677/フィロクテート D.540/
 アイスキュロスからの断章 D.450b/
 赦されたオレステス D.699/
 ヘリオポリス1 D.753/ヘリオポリス2 D.754/
 竪琴に寄す D.737/アティス D.585/海の静けさ D.216/
 トゥーレの王 D.367/ブロンデルからマリアへ D.626/
 茂み D.646/羊飼い D.490/巡礼の歌 D.789/
 さすらい人の夜の歌 D.224/春の想い D.686/
 郷愁 D.851/十字軍 D.932/別れ D.475
マティアス・ゲルネ(Br)
インゴ・メッツマッハー(P)
 録音:2008年10月、11月、2009年2月、ベルリン。ボーナスDVDにはメイキング風景を収録(リージョン・オール/NTSC/17'38/字幕:英仏)。
 大好評のゲルネのシューベルト、今回は古代ギリシャや伝説、十字軍など、古代に題材を採った詩の曲が多い。遥か昔に思いを馳せるロマンティシズムが、彼ならではの滑らかで暗い美感に溢れた声でしっとりと歌われている。リート・マニアなら唸らされること請け合いの見事な出来栄え。しかも伴奏ピアニストは、指揮者メッツマッハーというから驚き。さすが知性派指揮者、音楽を丹念に掘り込みつつ、様式感は崩さぬ名人芸を披露している。
HMC-902036
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(3CD)
2CD価格
モーツァルト:歌劇「イドメネオ」
 リチャード・クロフト(T;イドメネオ) ベルナルダ・フィンク(Ms;イダマンテ)
 スンヘ・イム(S;イリア) アレクサンドラ・ペンダチャンスカ(S;エレットラ)
 ケネス・ターヴァー(T;アルバーチェ) ニコラ・リヴァンク(Br;大祭司)
 ルカ・ティットート(B;声)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、RIAS 室内cho.
 録音:2008年12月、ヴッパータル。待望の録音がついに登場!モーツァルトのダ・ポンテ三部作、「ティートの慈悲」に続いてヤーコプスが取り上げたのは、セリアの傑作「イドメネオ」。ヤーコプスは、2008年11月に、バリャドリッド(スペイン)、ケルン、ブリュッセル、パリとこのオペラを演奏会形式で集中的に上演、その直後の12月にセッション録音をしている。
 名作として録音も多数あるこのオペラだが、ヤーコプスの演奏はさすが次元が違う!これまでの成果を生かし、オーケストラはいよいよ熱く雄弁にモーツァルトの意図を音にしている。そして古楽界の名歌手をずらりと並べた歌手!ことにタイトルロールのクロフトは、至難なことで知られる第2幕のアリアを鮮やかに歌い切り、思わずブラヴォーと叫びたくなるほど。さらにはフィンク、イム、ペンダチャンスカ、ターヴァーと、ヤーコプスのモーツァルト・シリーズで活躍した歌手たちが適材適所で起用、その上大祭司にはベテラン、リヴァンクを配するという豪華さ。またいつも通り、この演奏でもフォルテピアノが雄弁に活躍している。基本的にミュンヘン初演稿に基づいており、幕切れのバレエも演奏されている。加えて第3幕には、初演時には外されたイダマンテのアリア、エレットラのアリア、イドメネオのアリアが追加されており、分量がだいぶ増えている。さらに補遺として、神秘の声の別ヴァージョンを収録。モーツァルティアンなら、絶対必携のCD !!
 ボーナスDVD(メイキング映像/NTSC)つき。
HMC-902039
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(2CD)
3CD価格
廃盤
流通在庫
限り
ヤーコプスの「天地創造」
 ハイドン:オラトリオ「天地創造」
 ユリア・クライター(S;ガブリエル/エファ) マキシミリアン・シュミット(T;ウリエル)
 ヨハネス・ヴァイサー(Br;ラファエル/アダム)

 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、RIAS室内cho.
 録音:2009年1月。ハイドン・イヤーに真打登場、大評判となった「四季」から5年、ヤーコプスがハイドンの「天地創造」を録音! 期待を上回る充実した演奏。
 今回もフライブルク・バロックオーケストラを起用、柔らかく自由な音楽性でありながら、質感も十分ある響きはまさにハイドンに最適。歌手は、バロック音楽から近代ものまで幅広く活躍している、ドイツの超美声ソプラノ、クライター。バリトンは、ヤーコプスが「ドン・ジョヴァンニ」の主役に抜擢して話題となったヴァイサー。そしてテノールには、ここ数年で人気急上昇中、瑞々しいドイツの美声テノール、シュミットを起用。RIAS室内合唱団の精緻な合唱も最高。名盤のひしめく「天地創造」の中にあっても、ずば抜けて高いクオリティの新録音!
 なお初回盤のみ品番が異なり(HMC-992039)、ハイドンにまつわる23分の特典DVD (NTSC) が付いていたが廃盤
 #当録音は、初回盤・再プレス盤共2013年までにレーベル側で廃盤となり、流通在庫のみの供給となっています。状況によっては DVD 付き盤をお届けしますが、ご指定はお受けできません。また、御注文時期によっては入手不能となっている可能性もありますので、御了承の程お願い致します。
ヘンデル(1685-1759):
 アン女王の誕生日のための頌歌 HWV.74/主は言われた HWV.232
  アンドレアス・ショル(CT) エレーヌ・ギユメット、ゾフィー・クルスマン(S)
  マルコム・E.べテット(T) アンドレアス・ヴォルフ(B)
  マークス・クリード指揮ベルリン古楽アカデミー、ベルリン声楽コンソート
 録音:2008年2月。
 ショルの最新盤は、ヘンデルが比較的若い頃に作曲した宗教作品2曲。アン女王の誕生日のための頌歌は、イギリスの地に落ち着いた直後、1713年のスペイン王位継承戦争の終わりを告げるユトレヒト条約に関連して作曲された。ベルリン古楽アカデミーの管楽器の名手たちが活躍する場面も多く、上手さが際立つ。「主は言われた」は、イタリア・オペラから学んだ表現を宗教音楽に取り入れた劇的な作品。ショルの力の抜けた歌唱が光る。
HMC-902042
(4CD)
廃盤
テレマン:ターフェルムジーク(完全全曲)
 フライブルク・バロックo.
マヌエル・ブラスコ・デ・ネブラ(1750-1784):
 ピアノ・ソナタ集

 [第1番 ハ短調/第2番 変ロ長調/第5番 嬰ヘ短調(*)
  第3番 ニ長調/第4番 ハ長調/第6番 ホ短調]/
 パストレーラ[第2番 ヘ長調/第6番 ホ短調]
ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2009年7月。(*):マニュスクリプト 2998(モンセラート古文書館より)
 アンダルシア出身の知られざる作曲家、ブラスコ・デ・ネブラの作品集。現存するネブラの作品は、わずか30のみ。24のソナタと、モンセラートの修道院に眠っていた6曲のパストレーラ(器楽によるパストラーレ)。D.スカルラッティを尊敬していたネブラは、自身の才能とD.スカルラッティのスペイン=ナポリ風作風をうまく融合。このディスクに収録されているソナタとパストレーラは、夭折の天才のまさに神がかり的な才能を私たちに伝えてくれる。奏でるピアニストは、ネブラと同じアンダルシア出身のペリアネス。スペイン出身のピアニストというと意外と少ないが、ペリアネスはラ・ローチャ亡き後、確実に注目度・重要度とも増してくるピアニストとなることだろう。バロック時代の最後に書かれたこれらの作品を、見事に現代のピアノで演奏しており、装飾音はチャーミングで心が震えるようだ。
HMC-902048
廃盤
ゼペック&シュタイアー〜エラール・ピアノによる
 シューマン:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集

 J.S.バッハ/シューマン編曲:
  シャコンヌ ニ短調 BWV.1004(ヴァイオリンとピアノのための編曲版)
 シューマン:
  ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 Op.105/暁の歌 Op.133/
  ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ短調 Op.121
 ダニエル・ゼペック(Vn;*) アンドレアス・シュタイアー(P;#)
クシェネク(1900-1991):
 フランツ・カフカの言葉に基づく6つのモテット(1959)(*)/5つの祈り (1944) /
 カンタータ「この世のはかなさ」(ソプラノ、合唱とピアノのための)(1932) /
 ニンファの嘆き(1932/ 原曲:モンテヴェルディ/編曲:クシェネク) /
 3つの無伴奏混声合唱曲 Op.22 (1923) /
 ジェムズ1世(代理店記載ママ)時代の2つの合唱曲 Op.87 (1939)
  カロリーネ・シュタイン(S) フィリップ・マイヤーズ(P)
  ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮 RIAS 室内cho.
 録音:2009年5月。
 (*)は RIAS 室内合唱団 の委嘱作。声部の旋律が鏡のように対称に動く部分が印象的。大変な難曲だがRIAS のメンバーは見事に精確に演奏している。『「怠惰は諸悪の根源であると同時に、あらゆる徳の中で最も尊いものである」と、人間が生きる意味についての意味を聴く者に考えさせつつも、真実の答は見つからないことも示している、皮肉な作品。』たという。
オスヴァルト・フォン・ヴォルケンシュタイン(1376頃-1445):歌曲集
 事は起こった/心、精神、身体、魂/汝おそるべし天使よ/いとしい人よ、来ておくれ/他
 アンドレアス・ショル(CT)
 クロフォード・ヤング(リュート/G)指揮シールド・オブ・ハーモニー
 [キャスリーン・ディネーン(S/Hp) マルク・レヴォン(G/リュート/他)
  マルギット・ユーベルラッカー(ダルシマー)]
 録音:2009年6月。
 ショルの新譜は、西洋音楽史上もっとも謎めいた人物の一人、ヴォルケンシュタインの作品集。ドイツ文学のキーパーソンでもある彼は、15世紀のヨーロッパ中を旅し、様々なアンソロジーに自分の作品を掲載した。ショルとその仲間たちは、旅と歌をこよなく愛した遍歴騎士のテクストを読み込み、鮮やかによみがえらせている。器楽パートはノスタルジック味満点で魅力的。ショルの歌声はますます磨きがかかって透明度を増しており、ドイツ語の語感も大変美しい秀逸の一枚。
プレイエルの家にて
 ショパン:
  アンダンテ・スピアナート ト長調Op.22/
  バラード第3番 変イ長調Op.47/
  ノクターン Op.48-1/ノクターン Op.48-2/
  前奏曲 Op.28-13/前奏曲 Op.28-11/前奏曲 Op.28-4/
  前奏曲 Op.28-9/練習曲 Op.25-1/練習曲 Op.25-2/
  練習曲 Op.25-12/ノクターン Op.9-2/
  ノクターン Op.27-2/前奏曲 Op.45/
  前奏曲 Op.28-15/マズルカKK IIb-5/
  マズルカ Op.41-2/マズルカ Op.41-3/
  即興曲 Op.51/ワルツ Op.42
アラン・プラネス(P)
 録音:2009年3月。使用楽器:プレイエル、1836年製。
 ショパンが1842年2月21日、パリのプレイエル邸で行ったリサイタルを再現したアルバム。ショパンも演奏したかもしれない1836年プレイエル社製のピアノを用い、名人プラネスが美しくショパンの世界を奏でる。
HMC-902053
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(3CD)
2CD価格
ルイス + ビエロフラーヴェク〜
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集

 [第1番 ハ長調 Op.15/第2番 変ロ長調 Op.19/第3番 ハ短調 Op.37/
  第4番 ト長調 Op.58/第5番「皇帝」 変ホ長調 Op.73]
ポール・ルイス(P)
イジー・
 ビエロフラーヴェク指揮
BBC so.
 録音:2009年7月、11月、2010年3月。使用楽器:スタインウェイ。
 注目のピアニスト、ポール・ルイスによるベートーヴェンのピアノ協奏曲。師ブレンデルにも太鼓判を押された美しく隙のないタッチと、どこまでも自然で余裕ある音楽運びはさすが。第1番の軽妙さ、第2番の気品あふれる愛らしさ、第3番の第3楽章でのスポーツ的な要素、第4番の冒頭のピアノ・ソロの美しき弱音、そして「皇帝」での輝かしいタッチ、そしてベートーヴェン独特の高音域でやや夢心地に展開される部分、すべてが雄弁なピアノには脱帽するほかない。すべてが理想的に輝いており、ベートーヴェンはこうでなきゃ、ベートーヴェンはこう弾くものなのか、と思わされるピアノ。巨匠ビエロフラーヴェク指揮によるうまい語り口のオーケストラ伴奏も見事。ソロ楽器とピアノのかけあいも思わず聴き入ってしまう。
フランク・マルタン(1890-1974):ゴルゴタ(1945-1958)
 〔[第1部] 合唱「父よ!父よ!」/枝(エルサレム入城)/寺院でのイエス/最後の晩餐/ゲッセマネの丘
  [第2部] 瞑想/大祭司の前のイエス/ピラトとイエス/ゴルゴタの丘(カルヴァリの丘)/復活(「おお、死よ」)〕

 ユディト・ゴーティエ(S) マリアンネ・ベアーテ・シェラン(A)
 エイドリアン・トンプソン(T) マッテイス・ファン・デ・ヴルト(Br)
 コンスタンティン・ヴォルフ(B) ダニエル・ロイス指揮エストニア国立so.、
 カペラ・アムステルダム、エストニア・フィルハーモニー室内cho.
 録音:2009年4月。マルタンが10年以上の歳月をかけて編んだイエスの受難の物語。大規模な管弦楽を伴う極彩色かつ幻想的な新しい受難曲。
 フランク・マルタンの大作「ゴルゴタ」の登場。ゴルゴタは、イエスが十字架にかけられた丘の名前。マルタンは宗教作品を書くことを避けていたが、レンブラントの「3つの十字架」(1653)のエッチングを見て、この作品を書くに至った。マルタン自身敬愛していたバッハの影を常に感じながら10年以上の歳月をかけ、このイエスの受難の物語の音楽を生み出した。バッハの受難曲で福音史家にあたる語り部は、基本的にバスのソリストが担当。イエスはバスが担当する。新約聖書のみでなく、旧約聖書などからの引用も多くみられるのが特徴。冒頭の「Pere!(父よ!)」の不協和音は、実に鮮烈。第2部の、8 分以上続くピラトの尋問の場面は圧巻で、ピラトの心の揺れ、「イエスに死を」と叫ぶ民衆の叫びなどが、大規模なオーケストラとともに聴く者に突き刺さる。終曲の神への賛美の合唱も、時にメシアンを思わせるような極彩色の世界。全体的に幻想的かつ大規模に描かれており、バッハの受難曲を聴きなれた耳に大変鮮烈に響くこのフランスの巨匠による受難曲、是非ご体験いただきたい世界。
HMC-902058
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(CD+DVD)
1CD価格
シュタイアーのゴルトベルク
 J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988
 ・ボーナスDVD:『アンドレアス・シュタイアー、
    「ゴルトベルク変奏曲」を弾く』(約23分/NTSC)
アンドレアス・
 シュタイアー(Cemb)
 録音:2009年7月。使用楽器: Anthony Sidey harpsichord after Hass 。CD収録時間:80分46秒。2011年度第49回レコード・アカデミー賞大賞銅賞・器楽曲部門賞受賞の名盤。なお、ボーナスDVD表題については、曲目欄には上記の通り『〜を弾く』とあるが、枠外に『ゴルトベルクとバッハについて語ったDVD 付き!』という記載がある。
 『シュタイアー、ついにゴルトベルクの登場です! まず、トータル80分超えという演奏時間もさることながら、録音も大変素晴らしい!まるでシュタイアーが、目の前で自分のためだけに弾いてくれているようなリアルな息遣いが感じられ、親密さと細やかさに満ち、しかしダイナミックさも併せ持つ演奏に圧倒されます。
  演奏CD だけでも素晴らしいものですが、特典DVD がまた実に興味深い!
  シュタイアーは、「バッハという人は、周囲にいた演奏者にだけではなく、親しい人、彼を愛する人にとっても大変難しい人物だったのではないか。完璧主義者で、自分と同じレベルのものを他人にも要求するようなタイプだったのではないか」と言っています。なので、1時間以上かかる鍵盤音楽を作曲依頼された時も、バッハは、「あなたは私のことを好いてはいらっしゃらないかもしれませんが、このような依頼に対して、自分ができるすべてのものを注ぎこみましょう、そして、他の誰もがなしえないものを作りましょう、依頼主に最高レベルのものを呈しつつも、どこか反発するような気分も交じっていたのではないか」とシュタイアーは語っています。深い学びに裏打ちされた、シュタイアーのバッハ私見を聞ける、とても興味深い内容の DVD となっています。さらに、シュタイアーは実際に鍵盤に触れながら、様々な要素が手を変え品を変え変奏されていること、曲の大きな構造などについて語り、自分がどのようにして音色を選択しているかなどについても語ります。これを見てからCD を聴くと、また違った風に聴こえてきます。ゴルトベルクとは、演奏者にとっても聴き手にとっても、汲めども尽きぬ大海のような作品なのです。』(以上『内』、代理店案内文をそのまま掲載)。
HMX-2902058
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価格帯:F
限定盤
シュタイアーのゴルトベルク
 J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988
アンドレアス・
 シュタイアー(Cemb)
 録音:2009年7月。2015年カタログ付。使用楽器: Anthony Sidey harpsichord after Hass 。2011年度第49回レコード・アカデミー賞大賞銅賞・器楽曲部門賞受賞の名盤。通常盤:HMC-902058 (DVD付) 。
J.S.バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ集
 パルティータ第2番 BWV1004 ニ短調/
 ソナタ第3番 BWV1005 ハ長調/
 パルティータ第3番 BWV1006 ホ長調
イザベル・ファウスト(Vn)
 録音:2009年9月1日-4日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。
 しなやかでチャーミング、そして力強く確かに歩む音楽で私たちを魅了しているヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。待望のバッハの登場。
 2009年に来日した際にも、しなやかかつ自然なバッハで聴衆を虜にしたファウスト。「シャコンヌ」というと、冒頭の次々と掻き鳴らされる重音に、聴き手も覚悟を決めてこの楽章に臨む、というイメージがあるが、ファウストの演奏は、この楽章がどちらかといえば跳躍の多い舞曲に起源を持つことを思い出させる。自然に紡ぎだされる様々な楽想では、ダンサーが一人で時にエレガントに、時に激しく、無心に踊っている部屋を覗いているような不思議な錯覚をおぼえる。ファウストのエレガントかつ自然体な人柄と、並外れたテクニック、そしてあくなき探求、すべてが見事に調和したからこそ生まれた演奏があますところなく収められている。録音も秀逸。

 ・ファウストの言葉より(ブックレット抄訳):『バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータの自筆譜を見た人は、その筆致の美しさ、完璧さに驚かされる。一貫して変わらない筆跡は、支柱、装飾、荘厳な構築性を兼ね備えた大聖堂のような総合芸術へと私たちを誘う。ここで見られるハーモニー、均衡はなんということか!この自筆譜の特徴を耳で聴けるかたちにするのは大変に骨の折れる作業である。演奏者は尽きることのない疑問と戦い、ゴールが果てしなく遠いことに気が遠くなることもある。この録音は、偉大なバッハに対する敬礼のようであり、きわめて親密なスナップであり、そして果てなく続くプロセスの中の一つの結晶のきらめきのようなものである。』
リスト
 「オーベルマンの谷」〜トリスティア
   (ピアノ三重奏版)(*/#/+)/
 ノンネンヴェルトの僧房(*/+)/
 忘れられたロマンス(*/+)/
 エレジー〔第1番(#/+)/第2番(*/+)〕/
 悲しみのゴンドラ(エレジー第3番)(#/+)
スメタナ:ピアノ三重奏曲 Op.15(*/#/+)
トリオ・ヴァンダラー
[ジャン=マルク・フィリップス・
  ヴァイジャベディアン(Vn;*)
 ラファエル・ピドゥ(Vc;#)
 ヴァンサン・コック(P;+)]
 録音:2009年9月。円熟のトリオ、トリオ・ヴァンダラーによるリストとスメタナ。スメタナのピアノ三重奏曲は、娘の死の悲しみの中で書かれた。冒頭の苦しみにもだえるようなパッセージから物凄い緊張感。続いて怒濤のように入るチェロもピアノも圧倒的で、作品に込められた激しい哀しみ、怒り、そして深い愛を、トリオ・ヴァンダラーのメンバーたちは濃密なアンサンブルで聴かせる。えもいわれぬ恍惚が香り立つリスト作品の数々だが、時として死神の凍りつくような美しい微笑を垣間見せる。骨の髄までとろけてしまいそうな熱さと情念に満ちた1枚。
ルベル:四大元素
ヴィヴァルディ:四季
ミドリ・ザイラー(Vnソロ)
ベルリン古楽アカデミー
 録音:2009年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン|初出・他出・旧品番: HMC-902061 , HMX-2902061 〔ともに廃盤〕。 生々しい「感触」「手触り」に満ちたルベルとヴィヴァルディ。好評だったダンスとのコラボレーション・ステージのDVD(HMD-9909026)の音楽のみを2009年9月に新たに録音した物。冒頭の「カオス」の不況和音は、耳と心にざらざらとした感触を与えるが、決して不快ではないところが、さすがベルリン古楽アカデミー。一気に世界に引き込まれる。ヴィヴァルディの「四季」も、「夏」の嵐も、弦楽器の弓が弦にひっかかる感触、ミドリ・ザイラーのソロは、まるでロックかと思うような印象。アンサンブルが刻むリズムも、単に激しいだけでなく、打ち付ける雨粒、足元からずぶぬれになるような錯覚に陥る。美しい風景画ではなく、どこまでもリアルな感触の「四季」をご堪能頂きたい。
変容 [Metamorphosis]
 バルトーク(1881-1945):弦楽四重奏曲第4番 Sz.91
 G.リゲティ(1923-2006):弦楽四重奏曲第1番「夜の変容」
 クルターク(1926-):12のミクロリュードOp.13「アンドラーシュ・ミハーイに捧ぐ」
  カザルスSQ
   [アベル・トマス・レアルプ、ヴェラ・マルティネス・メネル(Vn)
    ジョナサン・ブラウン(Va) アルノー・トマス・レアルプ(Vc)]
 録音:2009年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。
 若手最注目株カルテット、カザルス弦楽四重奏団の演奏はドライな精確さを保ちつつ、どことなく優しさ、柔らかさのようなものも存在しており、そのバランスが実に絶妙。勝負に打って出た、といった感の意欲的なプログラム。
 バルトークの作品はスタイリッシュな民俗色の豊かな作品。バルトーク独特の激しく刻むリズムも4人の息がぴったり合っていて、聴かせる。
 リゲティの作品は、4つの核となる音が様々に変容して姿を現す作品。8つの楽章からなるが、間をおかずに演奏される。落ち着いたテンポと急速なテンポの楽章がほぼ交互に置かれた形で、一曲だけワルツのリズムで優雅に演奏される楽章がある。各楽章の性格を鮮やかに描き分けた演奏は見事。
 クルタークの作品は、12の楽章からなり、それぞれがオクターヴ内のすべての音から始まる(CからBまで)という物。クルタークはバッハのことを崇拝しており、彼の作品をいくつも編曲しているほどで、この作品の配列も平均律に則ったものといえるだろう。ヴェーベルン的な要素(コントラストや突然の休止など)などを漂わせつつも、クルターク独自の世界が広がっているこの作品を、カザルス弦楽四重奏団の面々はドライさ、精確さと柔らかさのバランスを絶妙にとりながら見事に演奏している。
シューベルト:歌曲集
 夜と夢 D827/盲目の少年D833/あこがれ D637/墓堀人の歌 D869/私はすべての安らぎを奪われて D876/
 老年の歌 D778/墓掘り人の郷愁 D842/月に寄す D193/5月の夜 D194/シルヴィアに D891/セレナードD889/
 羊飼と騎馬の人 D517/夏の夜 D289/収穫の歌 D434/秋の歌 D502/愛らしい星 D861/恋人に D303

  マティアス・ゲルネ(Br) アレクサンダー・シュマルツ(P)
 録音:2008年9月。知的なバリトン、ゲルネのシューベルト。ヴィブラートは控えめながらも振幅に富んだよく響いた声で、冒頭の「夜と夢」から魅了される。ビロードのようにつややかな声で、静かに静かにシューベルトが描いた世界を私たちの目の前に立ち昇らせてくれる。言葉の一つ一つに明確なイメージを感じさせる歌唱は、さすがとしか言いようがない。シューマン音楽大学で教鞭をとる傍ら、世界各地でマスタークラスを開講する、シューベルトなどのリートを伴奏させたら世界一のシュマルツのピアノが、ゲルネにぴたっと寄り添い、ゲルネが語るイメージに豊かな背景を添える。
J.S.バッハ:「フーガの技法」
 コラール「深き悩みの淵より、われ汝に呼ばわる」BWV.38(*)/
 「フーガの技法」より コントラプンクトゥス
  〔1−13/18/反行形による拡大カノン/3つの新主題による未完フーガ〕
 ベルリン古楽アカデミー ラファエル・アルパーマン(Org;*)
 録音:2009年10月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。
 「フーガの技法」というと、ついしかめっ面でバッハが築いた対位法の複雑な砦に頭から突っ込んで迷ってしまいそうになるが、ベルリン古楽アカデミーの面々の手にかかると、なんとエキサイティングに響くことだろう!もちろん、バッハが知の限りを尽くした線と線、点と点のからみあいが織り成す堅固な形式はもちろんまったく損なわれていない。「ああ、これが主要主題でこちらが対旋律だな」とわかる演奏は多々あれど、これだけ主要主題と対旋律の双方が拮抗しながらお互いの効果を高め合い、緊張感とエキサイティング性、そして崇高なまでの「美」を保った演奏は他ではなかなか得難いものといえるだろう。バッハが残した知の迷宮にメンバーも全力で応え、楽器の編成もそれぞれの曲が効果的に響くように考えられていることがよくわかる。BWV38のコラールが最初に収録されているが、これは原調ではなく、 ニ短調で演奏されており、聴き手にとって「フーガの技法」のよき導入になるのでは、というメンバーの考えに基づく物。メンバーの意見によると、バッハがこのフーガの技法を書くときにこの主題が頭の中にあったかどうかはわからないが、主題の構造に類似性が認められるという。また、メンバー全員、実際の録音の時にもまずこの曲を聴いてからでないとフーガの技法に入れないこともあったとか。古楽界の雄、ベルリン古楽アカデミーの面々が真剣勝負で挑む、バッハが残した「知」の果てることなきゲームの目撃者となって頂きたい!
スロヴェニアの歌とデュエット
 アントン・ラヨビチ(1818-1960):わが祖国/ジャミー、来てごらん!/セレナーデ
 アロイジ・ゲルツィニク(1915-2008):悲しい手紙/秋の歌/ほこり/春の喜び
 ルチヤン・マリア・スケルヤンク(1900-1973):
  秋の歌/ビジョン/夕べの印象/山の向こうの月/歌/白い雲
 ヨシプ・パヴチッチ(1870-1949):片足のおじいさん/ララバイ第2番/チチバン、チチフイ
 ベンヤミン・イパベチ(1829-1908):
  春の憩い/夜に/野薔薇と蔦/春の夜/けし/てんとうむし/思い出の本に/春の風
 カミロ・マセク(1831-1859):窓の下で
 フラン・ゲルビチ(1840-1917):どこへ?/少女が糸を紡ぐのを見ていよう/夜に
 エミル・アダミチ:サクラソウ/ララバイ / ダヴォリン・イェンコ(1835-1914):異国に

  ベルナルダ・フィンク(Ms) マルコス・フィンク(B−Br) アントニー・シピリ(P)
 録音:2009年10月。ヨーロッパ地図の長靴の付け根の右側に位置するスロヴェニアで生まれた歌曲集。バルカン半島の民謡の影響を色濃く漂わせながら、ロマン派の雰囲気を漂わせた独特の世界が魅力。フィンク兄妹の両親はスロヴェニア出身ということもあり、思い入れもひとしおに聴かせる。ベルナルダ・フィンクのふくよかで優しい歌声、マルコス・フィンクのシピリのピアノのクリアーな音色、そして全体的に優しげな曲が多いのが印象的。
HMA-1902066
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価格帯:F
シューベルト:歌曲集「冬の旅」 ヴェルナー・ギューラ(T)
クリストフ・ベルナー(P)
 録音:2009年10月。使用ピアノ: Rönisch、1872年。初出・旧品番:HMC-902066〔廃盤〕。
HMC-902067
廃盤
ドビュッシー(1862-1918):弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
デュティユー(1916-):
 「夜はかくの如し」(弦楽四重奏のための)
ラヴェル(1875-1937):弦楽四重奏曲 ヘ長調
アルカントSQ
KKC-5108
廃盤
 録音:2009年10月。
 2009年度のレコード芸術レコード・アカデミー賞を受賞し、注目度急上昇中の弦楽四重奏団、アルカント・カルテット。今回は王道レパートリー、ドビュッシーとラヴェルにデュティユーという魅力のプログラム。ドビュッシーの冒頭の各声部が反行しながら動くさま、陽が差したような明るい音色のハーモニー、くすんだハーモニー、辛口でパンチの利いたハーモニー、官能的に薫る旋律など、刻一刻と表情が変わるので、息つく間もない。ラヴェルの第1楽章冒頭、息が深めにとられた絶妙なテンポ設定で、各パートの奏者たちの奏でる旋律線が、絡み合いながら上下に動く様の完璧な「美」を堪能出来る。「夜」に秘められた妖しくも官能的な世界が薫るデュティユー作品では、ピチカート、グリッサンド、トレモロ、ハーモニクスなど様々な技巧が用いられていて、各パートが各楽器界の第一線で活躍する奏者たちによる夢のカルテットの腕が冴えわたる。アンサンブルの密度もますます濃密なものとなったアルカント・カルテット、ますます目が離せない!
HMC-902068/70
(3CD)
廃盤
ヤーコプスの「魔笛」
 モーツァルト:歌劇「魔笛」
  ダニエル・ベーレ(T;タミーノ) マリス・ペーターゼン(S;パミーナ)
  ダニエル・シュムツハルト(Br;パパゲーノ) イム・スンヘ(S;パパゲーナ)
  アンナ=クリスティーナ・カーッポラ(S;夜の女王)
  マルコス・フィンク(B−Br;ザラストロ) クルト・アツェスベルガー(T;モノスタトス)
  インガ・カルナ(S;第1の侍女) アンナ・グレヴェリウス(Ms;第2の侍女)
  イザベル・ドリュエ(Ms;第3の侍女) コンスタンティン・ヴォルフ(B−Br;弁者)他

  ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
ポール・ルイス〜ベートーヴェン
 ディアベッリ変奏曲Op.120
ポール・ルイス(P)
 録音:2009年12月。 ポール・ルイスはシューベルトと並んでベートーヴェンも得意としている。2010年夏には、プロムス史上初めてベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を一人で演奏したピアニストとして世界中で注目を浴びた(指揮者、オーケストラは様々)。師匠のブレンデルの十八番でもあったディアベッリ変奏曲だが、ポール・ルイスの演奏は実にすばらしい。パッセージやモティーフひとつひとつの子音の立ち上がりの種類の細かさ、あくまで自然なフレージング、一寸の乱れもない美しい音色で、語り口の巧さは同世代のピアニスト達の中でも群を抜いているといえるだろう。奇を衒ったような表現は一切ないが、それだけにベートーヴェン作品のもつ斬新さや面白さがくっきりと浮き彫りにされている。ベートーヴェンの魅力がこれほどストレートに伝わってくる演奏は稀有。さわやかな感動をおぼえる快演。
ヴィヴァルディ:シンフォニア「聖なる墓にて」RV.169
ペルゴレージ:サルヴェ・レジナ(2声のための)/スターバト・マーテル
ロカテッリ:4声のコンチェルト 変ホ長調「アリアンナの嘆き」
 ベルナルダ・フィンク(Ms) アンナ・プロハスカ(S)
 ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)ベルリン古楽アカデミー
 録音:2009年12月。 アーノンクールとの来日も待ち遠しいフィンクによる、ペルゴレージを中心に据えたバロックの宗教作品集。コントロールの効いた、落ち着いた歌声が、十字架の下で嘆き悲しむ母マリアを切々と歌いあげる。ソプラノに迎えられたのは、1983年生まれの若手アンナ・プロアスカ。彼女は、2006年ベルリン国立歌劇場でのバレンボイム指揮のカルメンのフラスキータ役で一挙に世界から注目される存在となった。現代ものから古楽まで、そのピンと筋のとおった美声で歌いこなす。このディスクのペルゴレージやサルヴェ・レジーナは、曲のこれまでのイメージを一新するような鮮烈な出来栄え。器楽パートをうけもつベルリン古楽アカデミーの血の滴るような哀切感漂う演奏に支えられ、この世のものとは思えない美しさ。ディスクの冒頭に収録されているヴィヴァルディのシンフォニアも見事の一語。充実の1枚。
ティベルキアン〜ショパン:作品集
 マズルカ〔Op.68 No.2/Op.6 No.3/Op.7 No.1〕/
 スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
 マズルカ〔Op.17 Nos.2, 4/Op.24 Nos.2, 4〕/
 ノクターンOp.48 No.1/
 マズルカ〔Op.56 No.1/Op.59 Nos.1, 2, 3〕/
 幻想ポロネーズOp.61
 マズルカ〔Op.63 No.3/Op.68 No.4〕
セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2010年1月。
 1975年生まれで、ロン=ティボー国際コンクール覇者の注目株ティベルギアンによる、マズルカを中心としたショパン作品集。バラード第1番での鋼のような音色、マズルカで魅せる完璧なコントロールが生み出す、時にあたたか、時に涙に煙るような音色など様々な音に驚かされる。そしてティベルギアン持ち前の物凄い推進力、集中力、そして一曲一曲の余韻にただよう辛口の香りが、聴く者をとらえて離さない。ティベルギアンはブックレット掲載のインタビューで『2、あるいは3拍目にアクセントがくるというマズルカのシンプルな大原則に則りながら、これだけの多様な音楽を生み出したショパンには敬服するほかない』と語っている。ショパンが残した多彩なマズルカを、これだけ見事に1曲1曲弾き分ける腕をもつティベルギアン。これからますます目が離せない。
イザベル・ファウスト〜ブラームス
  ヴァイオリン協奏曲 Op.77 (*) /弦楽六重奏曲第2番 Op.36 (#)
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製
 ダニエル・ハーディング指揮マーラー室内o.(*)
 ユリア=マリア・クレッツ(Vn;#) ステファン・フェーラント、
 ポーリーヌ・ザクセ(Va;#) クリストフ・リヒター、シェニア・ヤンコビチ(Vc;#)
 録音:2010年2月、Sociedad Filarmonica 、ビルバオ(*) /2010年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン(#) |初出・旧品番: HMC-902075 〔廃盤、入手不能〕。2010年録音の、イザベル・ファウストの名盤、ブラームスのヴァイオリン協奏曲が再登場。ハーディング指揮によるマーラー・チェンバーo. との共演ということでも注目された名演。ヴァイオリン・ソロの冒頭から、ファウストの高度の集中としなやかさに耳を奪われる。第2楽章での高音による旋律では、ファウストの繊細かつ芯のある美音が冴えわたる。第3楽章で見せるエネルギー、それでいてどこか可憐な風合いもある表情はファウストの魅力全開。全体を通してハーディングの巧みな造形が光る音楽運びも見事。なお、ファウストは、ブゾーニのカデンツァを採用。「表情豊かで、作品への畏敬の念に満ち、構造的には単純ながらオリジナリティに溢れ、ブラームスらしさを保ちつつも、ヴァイオリニストの技量の見せどころもちりばめられている」とファウスト自身が熱く語るブゾーニのカデンツァ、注目。カップリングの弦楽六重奏曲は、繊細な冒頭から見事なアンサンブル。マーラー・チェンバーの若手奏者のほか、ナヴァラやフルニエに師事したクリストフ・リヒターなど世代を超えたメンバーによる演奏で、親密でロマンティックな名曲をたっぷりと聴かせる。
モーツァルト:弦楽四重奏曲集
 〔第4番 ハ長調K.157 /第17番 変ロ長調K.458 「狩り」/第22番 変ロ長調K.589 「プロシャ王第2番」〕
 エルサレムSQ
 [アレクサンダー・パヴロフスキー(Vn1) アミハイ・グロス(Vn2)
  セルゲイ・ブレスラー(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2010年2月。なお代理店案内には曲目詳細がなかったため、上記は当店で補完しました。1993年結成のエルサレム弦楽四重奏団の最新盤。ハルモニアムンディのデビュー盤のハイドンでも彼らが古典派の世界をきっちり演奏できる正統派であることは証明済みだが、デビューから経験を重ねた今取組んだモーツァルトの出来栄えは格別。各パート奏者の音程がピチっとはまっており、気持ちのよいモーツァルト。緩徐楽章でみせる気品に満ちた音楽性には圧倒される。アレグロ楽章での心地よい快活なスピード感、なにより4人の間に流れるテンポ間が一糸乱れることなく存在している。これからますますたのしみな弦楽四重奏団。
HMA-1902077
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価格帯:F
ヘンデル:オペラ・アリア集
 「ゴールのアマディージ」/「アグリッピーナ」/「リッカルド・プリーモ」/「エジプト王トロメーオ」/
 「オルランド」/「ロドリーゴ」/「ラダミスト」/「ロデリンダ」(*)/「ソザルメ」(*)からのアリア集

 ベジュン・メータ(CT) ローズマリー・ジョシュア(S;*)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2010年3月。初出・旧品番:HMC-902077〔廃盤〕。#初出盤初回プレス分にはボーナス DVD 〔内容:メイキング映像〕が付いていましたが、当盤には付属せずCDのみとなります。 アメリカのカウンターテナー、ベジュン・メータ(1968-)のハルモニア・ムンディ・デビュー盤。少年時代はボーイ・ソプラノで DELOS への録音もあったが、1990年代にはレコード・プロデューサーとしてシュタルケルの5回目のバッハ:無伴奏チェロ組曲録音なども手掛け、さらにはジョージ・ベンジャミンが彼を主役にしたオペラを書いているという異才。カウンターテナーというと、どこか声の奥に硬さがある歌い手などなかなかむずかしい面もあるが、メータの歌唱は男性ならではの力強さと透明感を完璧にあわせもった天性のカウンターテナー。高い音域ではますますやわらかく、低い声でも自然さを失わない歌唱は驚異的。ヤーコプス率いるフライブルク・バロックo.の伴奏もメータの劇的な歌唱をこれでもかと煽り盛り上げる。
J.S.バッハ:モテット集
 霊は弱い私たちを BWV.226/来たれ、イエスよ来たれ BWV.229/イエス、わが喜び BWV.227/
 おそるることなかれ BWV.228/主をたたえよ、すべての異教徒よ BWV.230/
 われを祝福し給わずは我汝を離さじ BWV.Anh 159/主に向かって新しき歌を歌え BWV.225
  マルクス・クリード指揮ヴォーカルコンソート・ベルリン
 録音:2010年3月。2003年に設立された声楽アンサンブル、ヴォーカルコンソート・ベルリンによる極上のバッハ・モテット集。きわめてソフト、声部間で繰り広げられる短い音型のやりとりは、1ミリの隙もなく溶け合い、まるで様々な色の水が流れ解け合い美しい模様を描いてゆくようだ。モテットは18世紀のはじめには時代遅れとなっており、あまり知られなくなっていた存在だった。そうした時期にあってなおバッハがモテットを、しかもこれだけの高い水準のものを書き、すでに当時時代後れになっていたにも関わらず、後世に受け継がれていることは、バッハがいかに優れた作曲家であったか、そしていかに偏屈だったか、ということを示しているといえるだろう。ライプツィヒの聖トーマス教会の合唱団の力量がいかに優れていたかという名残を濃厚に現代に伝える貴重な作品群とも言える。
ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1667-1731):葬送のための
 〔第1部「おお主よ、私は汝の僕」/第2部「私は天上の生活をもとめ」/第3部「私は感謝祭のいけにえを汝にささげます」〕
 アンナ・プロハスカ(S) イヴォンヌ・フックス(A)
 マキシミリアン・シュミット(T) アンドレアス・ヴォルフ(B)
 ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
 録音:2010年3月-4月。「マイニンゲンのバッハ」とも呼ばれる、バッハ一族に属するヨハン・ルートヴィヒ・バッハ。J.S.バッハの曽祖父の弟にあたる人物の玄孫にあたると考えられる。この作品は、J.L.バッハのパトロンであったエルンスト・ルートヴィヒ候が自身の葬儀のために書いた詞に作曲した物。2つの合唱団を要するが、J.S.バッハがマタイ受難曲を作曲する5年前に、このような大規模な作品を作っていたという点でも興味深い。死者が天にのぼり神とともに過ごすことへの喜びの雰囲気に満ちた作品となっており、哀悼のための音楽ではあるが希望と明るさに満ちている。ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内合唱団のアンサンブルの妙も堪能できる内容。
ドヴォルジャーク
 ジブシーの歌 Op.55(全7曲)/
 モラヴィア二重唱曲集 Op.32(全13曲)/
 聖書の歌 Op.99(全10曲)
ゲニア・キューマイヤー(S)
ベルナルダ・フィンク(Ms)
クリストフ・ベルナー(P)
 録音:2010年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ザルツブルクが誇るソプラノ歌手ゲニア・キューマイヤーと世界的メゾ・ソプラノ歌手ベルナルダ・フィンクによる、注目必至の共演CDがリリース! ウィーン国立歌劇場やミラノ・スカラ座といった名歌劇場はもちろん、ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭といった数々のフェスティヴァルに引っ張りだこの二人が、ドヴォルジャークの3つの歌曲集を全曲収録した。キューマイヤーが歌う「ジプシーの歌」は、民族的なリズムと艶やかな旋律の中にもどこか気品を感じさせる独特の魅力にあふれた物。丁寧に、しかし情感たっぷりに謳われる伸びやかな美しい高音に心奪われる。「聖書の歌」では、スロヴェニア人の両親を持ち、ドヴォルジャークの作品にも造詣深いフィンクが落ち着いた深みのある歌声をいかんなく発揮!本CDの聴き所でもある二重唱では、見事にマッチした二人の歌声のハーモニーに感嘆の一言。どこか里歌を思わせるような郷愁に駆られる旋律が、力強くも美しく歌い上げられている。伴奏を担当するのは名手クリストフ・ベルナー。過度な主張のない巧みな伴奏で、二人の歌姫の華麗な歌声に色を添えている。
メンデルスゾーン(1809-1847):協奏曲集
 ピアノと弦楽のための協奏曲 イ短調 MWV 02(1822)/
 ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための
  協奏曲 ニ短調 MWV 04(1823)(*)
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp;#)
ゴットフリート・フォン・デア・
 ゴルツ(Vn;*)指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2010年4月、テルデックス・スタジオ。使用楽器:copy after Conrad Graf 1824, built by Rodney Regier, 1989, Freeport, Main (USA) overhauled by Edwin Beunk and Johan Wennink in 2002 - collection Edwin Beunk (#)。フォルテピアノの申し子、クリスティアン・ベザイデンホウト。近年は王子ホールでのリサイタルや、オーケストラ・リベラ・クラシカとの共演のために毎年のように来日、どのコンサートでも、実に感動的な演奏を聴かせてくれており、日本での評価も急速に高まりつつある。ホグウッド指揮NHKso.との演奏会ではモダーンピアノでの素晴しい演奏を聴かせてくれたが、自身「音楽活動のうち95〜98%はフォルテピアノ」と言う通り、彼の真骨頂はフォルテピアノ。一音一音の表情が実に多彩で、時に笑いかけ、時に涙するような、変幻自在の柔らかな音楽性で聴き手を包み込む。
 ピアノ協奏曲 イ短調は、姉のファニーのために書かれ、1822年12月5日の日曜音楽会で初演された。半音階的な第2主題など、モーツァルトを思わせる空気も感じさせる。第2楽章はレチタティーヴォ風にピアノが優雅に歌う楽章で、ベザイデンホウトの音楽性の天賦の才が輝きを放つ。第3楽章は全体的に イ長調的な明るさに満ちているが、最後に怒濤のような イ短調の激しいコーダがあらわれ、 イ短調の作品として全体をググっと引き締めている。
ニ短調の二重協奏曲は、1823年の5月に最初に完成、その後7月にティンパニなどに手を加えたかたちでここに演奏された版が完成した。メンデルスゾーン自身のピアノと、彼の幼い頃からの親友でヴァイオリン教師でもあったエドゥアルド・リーツ(1802-32)によって初演された。第2楽章の夢のように美しいピアノとヴァイオリンのかけあいがとにかく見事、ロマン派を予感させる。
 メンデルスゾーンの才能、そしてベザイデンホウトの音楽の豊かさがまばゆいばかりに広がる、見事な出来栄えの1枚。ベザイデンホウトの今後の活動からますます目が離せない。
HMC-902083
buyボタン
(2CD)
1.5CD価格
シュタイアー〜
 C.P.E.バッハ(1714-1788):鍵盤協奏曲集 Wq43

 〔第1番 ヘ長調/第2番 ニ長調/第3番 変ホ長調/
  第4番 ハ短調/第5番 ト長調/第6番 ハ長調〕
アンドレアス・
 シュタイアー(Cemb;*)
ペトラ・ミュレヤンス
(コンサート・ミストレス)指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2010年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。使用チェンバロ: Hieronymus Albrechthass, ハンブルク 1834のコピー(2004年パリ、Anthony Sideyand Frederic Bal)(*)。鬼才天才奏者シュタイアー待望の新譜。オーケストラもこれ以上望みようがないくらいに最高の布陣での満を持しての演奏。とにかくチェンバロもオケもうまい! この録音のために、事前にコンサートに臨み、万全の態勢で録音を迎えたというから気合が違う。アレグロなどの快速楽章でのフライブルク・バロックo.の快活なリズムの刻みは、愉悦の極み。快速なパッセージによるかけあいも、シュタイアーが駆け巡る音型を奏でている間のオケの合いの手も、すべてに思わず笑みがこぼれてしまう素晴らしさ。また、緩徐楽章でのシュタイアーの冴えわたりかたはものすごいものがある。
シャロンのばら〜アメリカ音楽の100年
 Lay me low〜シェイカーの聖歌
 【自由を求めての戦い】〜
  ベンジャミン・フランクリン・ホワイト(1800-1879):朝のトランペット
  ヘンリー・カーリー(1687-1743):He comes, the hero comes!
  フィリップ・ファイル(1734-1793):The President's March/The Death of General Wolfe(アメリカの歌)/
                   ジェファーソンと自由(The Gobby O)〜(アイルランドの歌)
 【アメリカ合唱音楽の父】
  ウィリアム・ビリングス(1746-1800):アメリカ/神は王なり/私はシャロンのばら
 【Shape Notes and Singing Schools】
  やさしい兵隊(英国)/ Leander/ Drumdelgie/北の大地/キャプテン・キッド/驚くべき愛
 【Shaker Spirituals】
  生活よ、シェイカーの生活よ/おお愛よ、甘き愛よ/さあ、いとしの人よ/
  柳のようにしなやかに/現世の命/頑固なオーク/ Tis the gift to be simple
 【市民戦争からの音楽】
  The Army of the Free/メリーランド・マイ・メリーランド/ Lorena/ディキシーズ・ランド、ダンス・ミー・ア・ジグ
 【Revival Meetings and Spirituals】
  ステファン・コリンズ・フォスター(1826-1864):ハード・タイムズ・カム・アゲイン・ノー・モア
  伝統歌:Sinner Man / M.M.ウォーナー(1836-1900):Hear, O Lord, when I cry

 ヨエル・フレデリクセン(B/G) アンサンブル・フェニクス・ミュンヘン
 録音:2010年5月。ヨーロッパとくらべて、アメリカの古楽復興運動は近年になって注目される動きとなっている。新大陸へと移住した人々が、新天地の音楽と自分の音楽とを融合させていく変遷をたどるのは実に興味深い営み。ヨーロッパ伝来の作曲法をとりいれながら、音楽は、次第に独自色豊かなものになった。
 ここに収められているのは、アメリカの独立戦争(1775-83)から市民戦争(1861-65)にかけての時期に生まれたアメリカ音楽。アメリカに生まれアメリカで育った作曲家たちによる作品が中心に収録されている。メリーランド・マイ・メリーランドは「もみの木」として特にクリスマス音楽として日本で親しまれている曲。ほかにも耳にしたことのあるクリスマスソングの原型と思しき音楽もいくつか収録されており、大変興味をもちやすい内容となっている。
 「アメリカのパッチワークのようなプログラムの1枚。ひとつひとつの作品はパッチワークのパーツのようにばらばらだが、ひとつにまとまってみると見事なタペストリーとなっている。ヨーロッパ以外の国で発展、繁栄し、アメリカ大陸で独自の道をたどった豊かな伝統のほんの一部ではあるが、皆さまにお聴き頂きたく、このプログラムを考えた。」=ヨエル・フレデリクセンの言葉より
ブラームス:ピアノ作品集
 ピアノ・ソナタ 嬰ヘ短調 Op.2/
 スケルツォ ホ短調 Op.4/
 ピアノ・ソナタ ハ長調 Op.1
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2010年5月。使用楽器:ベーゼンドルファー、1875年製作。ブラームス最初期のピアノ作品集。ここに収められている二つのソナタを作曲した時(1852-53年)、ブラームスはまだ19歳だった。ブラームスは、作曲当時、シューマンの前でこのソナタを演奏し、シューマンがこれを受けて「新しい道」と題してブラームスに関する美しい評論を書いた、音楽史上大きな作品。ベーゼンドルファーによる演奏はメルニコフ自身が熱望した物。きわめて柔らかな弱音から力強いフォルテでのいぶし銀のような音色、また情緒たっぷりのところで豊かに香り立つ詩情あふれる音色など、メルニコフは楽器を完全に手の内に入れてブラームスの充実の初期作品群を弾き切っている。
 『=ブラームスをどのピアノで弾くべきか、という問題は、それほど重要なものとして取り上げられることは比較的少なかったというべきであろう。ピアノ協奏曲の第2番に関して、モダンのスタインウェイもしくはベヒシュタインというブラームス自身による楽器の選択についての記述が残されている。19世紀後半、堅固な鋼鉄のフレームに囲われたスタインウェイ社のピアノは、調律の手間が既存のピアノに比べて格段にかからなくなったため、ヨーロッパ中を席巻していた。さらに、ウィーンのピアノに関して、ブラームスは批判的であった。しかし、1853 年に初めてクララ・シューマンとローベルト・シューマンの前で自作のソナタを弾いたとき、ブラームスはウィーンの楽器を弾いていた。この時の演奏を聴いたシューマンが後に「新しい道」と題してブラームスを絶賛する美しい評論を書いたことは有名である。時のうつろいとともに、文化的にも美的にも価値観というものは変化しつづける。演奏者としても、そして聴く者も、「正しい」ことを見つける術は存在していないのである。』(アレクサンドル・メルニコフ/ブックレットより抜粋)
Barockes Welttheater〜シュメルツァー(1626頃-1680):
 古いアリアによるセレナータ/ポーランドのバッグ・パイプ/ソナタ・アマビリス(4声)/牧師とニンフのバレット/
 2声のソナタ/バレット第1番/宗教的・世俗的合奏曲集第4番 6声のソナタ/「美しい羊飼い」による変奏曲/
 そよ風のバレット/スコルダート調弦のヴァイオリンの2声のソナタ/7声のソナタ(「戦い」)

  フライブルク・バロック・コンソート〔ペトラ・ミュレヤンス(Vn;コンサートミストレス)〕
 録音:2010年5月、パウルス教会音楽ホール、フライブルク。2012年1月に初来日し、日本でも高い注目を集める「古楽のBPO」こと名門フライブルク・バロックo.の精鋭メンバーからなるアンサンブル団体、フライブルク・バロック・コンソートによるシュメルツァーのソナタ&バレット集。シュメルツァーは17世紀ウィーンに活躍したヴァイオリンの名手で、宮廷を占拠していたイタリア人のヴィルトゥオーゾたちを退け、ドイツ人として初めて楽長となった人物でもある。同時代に活躍したリュリ、シュッツ、パーセルらと比べると、現在では殆ど取り上げられなくなってしまったシュメルツァーだが、17世紀のオーストリア・バロック音楽を聴くには欠かせない音楽家と言えるだろう。本CDではシュメルツァーが残した珠玉のソナタとバレット(シンプルな舞曲風の器楽曲)の数々を収録。心に優しく沁み入るピリオド楽器の温かい響きと、気品あふれる優美な旋律に心癒される。「古いアリアによるセレナータ」や「そよ風のバレット」では軽快なリズム感が心地よく、様々なパーカッションの響きと共に、活気あふれるアンサンブルを聴くことが出来る。知る人ぞ知る名曲の数々に触れる希少な名盤。
 フライブルク・バロック・コンソートはフライブルク・バロックo.のメンバーからなるピリオド楽器演奏団体。17世紀〜18世紀半ばの音楽を中心に、今日では忘れ去られてしまった作品の再発見に尽力することを目的として結成された。テレマンのパリ四重奏曲(HMA-1951787)でも好評を博した丁寧なアンサンブルと心和ませる優しい響きは今回も健在。今後はどのような知られざる名曲を我々に提供してくれるのか…これからの活動に注目必至の団体。
HMC-902088/90
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(3CD)
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ヘンデル:歌劇「アグリッピーナ」
 アレクサンドリーナ・ペンダチャンスカ(S;アグリッピーナ)
 ジェニファー・リヴェラ(Ms;ネローネ) スンヘ・イム(S;ポッペーア)
 ベジュン・メータ(CT;オットーネ) マルコス・フィンク(B-Br;クラウディオ)
 ニール・デイヴィス(B-Br;パッランテ) ドミニク・ヴィス(CT;ナルチーゾ)
 ダニエル・シュムッツハルト(B;レスボ) ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー
 録音:2010年7月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ヘンデルの名声を全欧に広めた傑作「アグリッピーナ」をヤーコプスが録音。イタリア各地で修行を続けてきたヘンデルは、その総決算として1709年12月にヴェネツィアで「アグリッピーナ」を発表、これが大受けになって、ヴェネツィアっ子が「ザクソン人万歳!」とヘンデルを賞賛。この成功によってヘンデルの名前は全ヨーロッパ的に知られるようになり、やがてヘンデルがロンドンで活動する布石となった。ヘンデルのイタリア・オペラの代表作の一つとして、近年の人気は高く上演も頻繁にある。
 ヤーコプスは2009年2月にベルリンで「アグリッピーナ」を上演(クリスティアン・ラクロワが衣装を手がけて話題となった)、ポッペーア以外はこの時と同一メンバー。風刺の利いた物語ということで皮肉な味わいを生かした演奏が多い中、ヤーコプスの「アグリッピーナ」は非常に生々しく劇的。しかもタイトルロールのアレクサンドリーナ・ペンダチャンスカの硬派な歌いっぷりは、これまでのアグリッピーナのイメージを覆さんばかり。そしてスンヘ・イム、ベジュン・メータ、マルコス・フィンク、ドミニク・ヴィスと、ヤーコプス組の素晴らしい歌手が集められ、脇役のパッランテにニール・デイヴィスを配するという贅沢な物。
 ヤーコプスは今回、「アグリッピーナ」初演前の初期稿の音楽を随所で採用している。ヘンデルは様々な事情から初演直前に楽譜を手直しし、今日上演される「アグリッピーナ」はほぼ初演時の形態を踏襲している。初期稿で特に注目されるのは、第3幕でポッペーアがネローネを騙した後の場面。一般的なものではオットーネとポッペーアがそれぞれアリアを歌って退出という型通りの音楽だが、初期稿では二人の美しい二重唱が歌われており、とても魅力的。多々発売されているヘンデルの録音の中でも、これはことにクオリティの高いもの、バロック声楽ファン、オペラマニアはぜひ!
ディアベッリ変奏曲〜
 「アントン・ディアベッリのワルツ主題に基づく50の変奏」より
(1824年出版、ウィーン)
 〔ディアベッリ(1781-1858):テーマ / ツェルニー:変奏IV / フンメル:変奏XVI
  カルクブレンナー:変奏XVIII / ケルツコフスキー:変奏XX / クロイツァー:変奏XXI
  リスト:変奏XXVI / モシェレス:変奏XXVI / ヨハン・ペーター・ピクシス:変奏XXXI
  F.X.W.モーツァルト:変奏XXVIII / F.シューベルト:変奏XXXVIII〕

アンドレアス・シュタイアー:イントロダクション
ベートーヴェン:ディアベッリ変奏曲 Op.120(全曲)
 アンドレアス・シュタイアー(Fp)
 録音:2010年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。使用楽器:コンラート・グラーフ・モデル。2011年度アカデミー賞受賞アーティスト、近年ますますの充実を見せているアンドレアス・シュタイアー待望のソロ・アルバムの登場。今回シュタイアーがとりあげたのは、ベートーヴェンが腕によりをかけて主題を33回に渡って変容させたディアベッリ変奏曲。近年誰もがアクセス可能となったベートーヴェンの自筆譜ファクシミリを入念に研究した説得力満点の力演。さらに他の作曲家の手による変奏も収録、さらに自作の「イントロダクション」も収録したという、いつもながらのこだわりぶり。シュタイアーの演奏が霊感に満ちて素晴しいことは言うまでもないが、ペダルの使い方(音色の選択)が実に新鮮!ヤニチャーレン(ジャニサリー)・ペダル(トルコ親衛兵の軍隊音楽の打楽器の音色を思わせるガシャーンという音のするストップ)を使っての変奏23のドン・ジョヴァンニ変奏曲風楽章、変奏24のチェルニー練習曲カリカチュア風楽章の冒頭の和音は、なんともショッキング!シュタイアー渾身のディアベッリ、大注目。
 もともとディアベッリ変奏曲は、当時のヴィーンの有名な出版社で音楽家でもあったディアベッリが、自分が作った主題を当時人気のあった作曲家たち50人に渡して、それぞれに変奏曲を作曲させ、それをまとめて1つの変奏曲の作品として出版しようとした物。発注は1819年春頃で、大抵の作曲家(リストやシューベルトら)は注文のとおりに変奏を書いたが、ベートーヴェンは当時「ミサ・ソレムニス」の作曲に従事していたことなどもあり、本腰を入れ始めたのは1822年頃のことだった。最終的にベートーヴェンの作品は33もの変奏からなる大曲となったので、ディアベッリはベートーヴェンの作品は単独で出版、他の作曲家たちによるものはまた別に1824年に出版された。
 ベートーヴェンの作品が33もの変奏曲からなる大作になったことについて、シュタイアーは、「これは偶然ではない」と語る。ベートーヴェンはこの主題のことを「靴屋の継ぎ皮」として、他の作曲家と一緒にされたくなかったからこんな巨大な作品にしたのだろう、などと語られることもあるが、そのような理由だけで書いたにしては、その自筆譜からは、あまりにもベートーヴェンが苦労したあとが窺われる、と。バッハのゴルトベルク変奏曲は30の変奏から成り、また、自作主題による変奏曲は32からなることをベートーヴェンは強烈に意識していたはずと語る。
 ディスクの前半で、シュタイアーは、シューベルトによるシンプルながら天賦の才能に満ちた変奏、リストによるピアニスティックな変奏など、ヴァラエティ豊かなセレクションを聴かせてくれる。注目なのが、シュタイアーによる「イントロダクション」。シュタイアーは、他の作曲家によるものと、ベートーヴェンの偉大なツィクルスの間に何か聴覚的・時間的な間を置いたかったと語る。1819年、ベートーヴェンが発注を受けた際に残したスケッチに着想を得てシュタイアーが創りあげたイントロダクションは、幻想的で不思議な即興演奏のような空気の中、時折ベートーヴェンのソナタの断片を思わせるようなモティーフもちりばめられていて、実に面白い仕上がり。
 ベートーヴェンの作品は「変奏曲」と呼ばれているが、コピストの手による楽譜の原語タイトルにはVeränderungenとあり、厳密には変奏というよりも「変容」といった意味の強い物。ベートーヴェンは、主題に内在される要素を原子レベルにまで分解、それを徹底的に動機、あるいはリズム、フーガ的な手法で発展させている。ベートーヴェンの創意に満ちた作品を、こだわりやのシュタイアーが弾く。大注目の演奏。
ルイジ・ボッケリーニ(1743-1805):
 弦楽五重奏曲 ハ長調G.324, Op.30 No.6
  「マドリッドの夜の音楽」(*) /
 弦楽五重奏曲第6番 ホ長調G.275, Op.11 No.5 (#)/
 弦楽四重奏曲 ト短調G.205, Op.32 No.5 /
 ギター五重奏曲第6番 ニ長調G.448
カザルスSQ
[アベル・トマス・レアルプ、
 ベラ・マルティナス・メーナー(Vn)
 ジョナサン・ブラウン(Vc)
 アルノー・トーマス・レアルプ(Vc)]

エッカルト・ルンゲ(Vc)
カールス・トレパット(G)
ダニエル・トゥンマー
(カスタネット)
 録音:2010年4月。ボッケリーニといえば、あのメヌエット(#の第3楽章)がなんといっても有名だが、このディスクに収録されている他の楽曲を聴けば、彼がいかに天才のきらめきに満ちた音楽を遺したか、ということをあらためて実感できるだろう。ギター五重奏終楽章ファンダンゴでのカスタネットの巧みな使用、弦楽四重奏曲のエレガントなウィーン様式など、多様なスタイルには圧倒される。また(*)は描写音楽。町の教会がアヴェ・マリアを奏でる情景から始まり、盲人の乞食のメヌエット(この描写場面では、チェロ奏者は楽器をギターのようにかまえ、指で弦をかきならすことが要求される)、さらには真摯な祈りなど、人々が行き交う通りで繰り広げられる様々なドラマが巧みに描かれており、ボッケリーニの腕が冴える。1997年にマドリッドで結成されたカザルス弦楽四重奏団のメンバーによる、スペインの血の通ったエネルギー溢れる演奏は見事。アルテミス弦楽四重奏団の創設者でありチェロ奏者、ゲスト奏者のルンゲが参加しての、弦楽五重奏は感動的。ギターのカールス・トレパットは、世界的なコンクールで優勝した実力者で、フラメンコ・アーティストとの共演も多く、また、マリナーらクラシックの大御所との共演経験もるなど、幅広く世界的に活躍している。ボッケリーニの作品の魅力、独特のスペインの薫りが実に生き生きと引き出された秀逸の1枚。
ベジュン・メータ(CT)〜20世紀英国の歌
 ハーバート・ハウエルズ(1892-1983):デイヴィッド王/やもめの鳥/迷子の小さな子
 ロジャー・クィルター(1877-1953):それは愛する人とその恋人だった/来たれ、死よ/おお、僕の恋人/
                  吹けよ、吹け、冬の風/持って行け、あの唇を/ヘイホー、風と雨
 アイヴァー・ガーニー(1890-1937):サリーの庭
 ラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):静かな午後/リンデン・リー/輝かしき言葉の輪
 ジェラルド・フィンジ(1901-1956):2月のミドル・フィールド・ゲート/ため息/私たちが愛したから
 レノックス・バークリー(1903-1989):馬術家
 チャールズ・ヴィリアーズ・スタンフォード(1852-1924):サン・メルシーの美しい貴婦人
 ピーター・ウォーロック(1894-1930):ジリアン・オフ・ベリー
 ヴィクター・ヘリー=ハッチンソン(1901-1947):ヘンデル様式で
 パーセル/ブリテン編曲:Lord, what is man? /ヨブの災い / パーセル/ティペット編曲:嘆きのうた

  ベジュン・メータ(CT) ジュリアス・ドレイク(P)
 録音:2010年9月。大陸席巻中の人気カウンターテナー、ベジュン・メータ最新盤はイギリスの作品集。シェイクスピアの詞によるクィルター作品の魅力的な世界から、パーセル作品のブリテンやティペットによる編曲ものなど、メータは自由自在な表現力で聴かせる。「カウンターテナー」ということを忘れさせる、中性的ともいえる不思議な魅力に満ちた声をご堪能頂きたい。
ゲーテ歌曲集
 クシェネク:アリア「ステラの独白」Op.57 / シューマン:「夜の歌」Op.96 No.1
 ブラウンフェルス:太鼓が鳴ると Op.29 No.2 (*) / リスト:喜びに満ち、悲しみに満ち
 ケンプ:さすらい人の夜の歌 Op.61 No.4 (*) / ワーグナー:安らぎは消え
 ゾンマー:ああ、悲しみに満ちた聖母マリアよ / ディーペンブロック:ミニョン「君よ知るや南の国」
 チャイコフスキー:6つの歌〜ただあこがれを知る者だけがOp.6 No.6 / アイヴズ:イルメナウ
 ヴォルフ:悲しそうに歌わないで/私に言わせないで / リスト:さすらい人の夜の歌
 シューマン:ミニョン「大人になるまでこのままに」 / メトネル:さすらい人の夜の歌 Op.6 No.1
 シューベルト:ズライカ1「東風」 D.720 / メンデルスゾーン:ああ、お前の湿った羽ばたきが
 ゾンマー:さすらい人の夜の歌(*) / トロヤーン:よく賞賛されるが、悪口もよく言われる(*)

  マリス・ペーターゼン(S) イェンドリク・シュプリンガー(P)
 録音:2010年10月、テルデックス・シュトゥーディオ、ベルリン。(*)は世界初録音。ヤーコプス四季のハイドンの「四季」や、「魔笛」のパミーナ役などで持ち前の美声を発揮し、高い評価を得ているペーターゼン。2005年にはメトロポリタン歌劇場でアルバン・ベルクのオペラ「ルル」のルルを熱演、古典から現代作品まで幅広いレパートリーを持つ実力派ソプラノ歌手。今回、ペーターゼンが収録したのはゲーテの詩を用いた歌曲集。シューベルトの「魔王」などをはじめ、これまで多くの音楽家たちがゲーテの詩に音楽をつけてきた。「女性」をテーマとした本CDでは、ステラやエグモントといったゲーテの戯曲に登場する女性のために作られたアリアやリートをまとめて収録。シューベルトやシューマンといった有名曲だけでなく、ケンプやゾンマーなどの世界初録音となる作品も多く収録した希少なCD。録音にあたり、「一般的にリートというジャンルに結び付けられない作曲家や、殆ど知られていない作曲家を選ぶことで、出来るだけゲーテの詩に新しいアプローチをもたらしたかった」と意欲を語った演奏者の二人。時代や作曲家ごとに異なる作品それぞれの魅力を見事に表現しわけるペーターゼンの歌唱力には圧巻の一言!様々な曲調を楽しめると同時に、ペーターゼンの多彩な歌声に魅せられる名盤。
ヴィヴァルディ(1678-1741):チェロ協奏曲集/他
 「テンペのドリッラ」RV709〜シンフォニア/
 2つのヴァイオリン、オブリガート・チェロとチェンバロのための協奏曲 ト短調 RV416/
カルダーラ(1670-1736):シンフォニア第12番 イ短調「我らの主、イエス・キリストの受難」
ヴィヴァルディ:
 チェロ協奏曲 へ長調 RV422/協奏曲 ハ長調 RV114/
 チェロとファゴットのための協奏曲 ホ短調 RV409(*)/チェロ協奏曲 ロ短調 RV424
 2つのヴァイオリン、チェロ、弦と通奏低音のための協奏曲 ニ短調 RV565(#)
カルダーラ:シンフォニア第6番 ト短調「苦痛を受けし聖エレナ」
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲 イ短調 RV419
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc; Gioffredo Cappa,1696 )
  ゲオルク・カッルヴァイト(Vn独奏;# 他)指揮ベルリン古楽アカデミー
   〔クリスティアン・ブーズ(Fgソロ;*) エルファ・ルン・クリスティンスドッティル(Vnソロ;#)
    ヤン・フライハイト(Vcソロ;#) ラファエル・アルパーマン(Cemb;#)
    シモン・マルティン=エリス(リュート;#) ワルター・ルーマー(Cb;#)〕
 録音:2010年10月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。2年連続レコードアカデミー賞受賞アーティスト、アルカント・カルテットのチェロ奏者としても大変充実した演奏を聴かせるケラスのヴィヴァルディ「チェロ協奏曲集」。芯のある美しく語る音色、常に本質を突く鋭敏なケラスの音楽はヴィヴァルディにぴったり。管弦楽は録音では初共演となる名門、ベルリン古楽アカデミー。ケラスの類まれなる美音にして鋭敏な音楽と、みずみずしくアグレッシブなベルリン古楽アカデミーは、まさに絶品の組み合わせといえるだろう。ケラス自身「初めてコンサートで共演したときの電流が走ったような衝撃は忘れられない」と語っているほどに、両者の演奏は霊感に満ち、まさに火花が散るようだ。細かなパッセージの一音一音にまで神経が行き渡り、息の通った見事な演奏。終曲の イ短調RV419終楽章のオーケストラとケラス両者の俊敏な動きは特に聴き物。聴き手の心にストレートに響くケラスの美音から、オーケストラの豊かな響き、低弦の敏捷な刻み、すべてを見事にとらえた録音のクオリティもさすがハルモニアムンディ。心躍る1枚の登場。
 =ケラスとヴィヴァルディ=『「ヴィヴァルディは私に、幼い日の思い出を洪水のように呼び起こします。私が何度も繰り返し聴いた初めての盤は、ビルスマとコレギウム・アウレウムの演奏によるヴィヴァルディのチェロ協奏曲でした。チェロを学び始めた年にヴィヴァルディのソナタ を学び始めました。さらに言いますと、アマチュアのピアニストである母は、私が母のお腹にいたとき、伴奏でヴィヴァルディのチェロ・ソナタ をよく弾いていたということです。」25歳の時、バッハ作品のマスタークラスでビルスマと出会ったケラスは、その後ビルスマの自宅に招かれます。「『アラジンの洞窟』のような空間には膨大な量の紙資料(どれもバロック音楽に関する大変貴重な研究資料)が収められていました。ビルスマ先生は、ご自身の書き込みがびっしりとあるヴィヴァルディの協奏曲などの楽譜をいくつも私に下さいました。」「ヴィヴァルディのチェロ協奏曲は、ごくわずかの例外を除いて、急―緩―急の3楽章で書かれています。どの作品も独創性に満ちていますが、必ずしも、これらの作品は連続して演奏されるために書かれてはいないのでは、という考えに至りました。こうして私たちは異なった楽章構造をもつ作品を間に挟んで演奏することに決めたのです。このアイディアを膨大な知識と経験をもって最終的に実現可能にしてくれたのは、指揮者でもあるカルヴァイトであることは、述べておかねばなりません。このことにより、魅力的なコントラストに満ちた素晴しいCDになったと思っています。」』(ブックレットより抜粋)
ムソルグスキー:展覧会の絵(*)
シューマン:幻想曲 ハ長調 Op.17 (#)
ポール・ルイス(P)
 録音:2014年2月(*)、2010年11月(#)。世界をまたにかけて展開されたシューベルト・ツィクルスは、2014年12月初旬に東京と名古屋で演奏されたシューベルト三大歌曲の演奏会(歌手はマーク・パドモア)をもって日本でも大盛況に終わり、ますますの充実をみせるピアニスト、ポール・ルイス。次なる新譜は、ムソルグスキーとシューマンという組み合わせ。ポール・ルイス初のシューマンという意味でも、また、ムソルグスキーでの完璧な超絶技巧も注目の1枚。これら2作品は、一見不思議な組み合わせであるが、「標題」を越えた音楽の世界があるという点で共通している。ムソルグスキーの「展覧会の絵」は、友人であったヴィクトル・ハルトマンの絵画展で印象に残った絵画にインスピレーションを得て書かれたが、その音楽は、ハルトマンの絵画のイメージ世界を越えたもので、時に曖昧で、時に絵画のイメージとは必ずしも一致しないものもある。シューマンの幻想曲については、この作品は当初、各楽章に、イメージを喚起する標題がつけられていた。最終的にそれらは外され、各楽章にはシュレーゲルの詩がモットーとして掲げられるにとどまっている。標題が喚起するイメージの世界を越えた壮大なスケールの世界が広がる、シューマンの傑作。清冽で一点の汚れもない音色で、その音楽には作曲家の肉声を生々しいまでに感じさせるポール・ルイス。19世紀の傑作2曲のイメージを一新させるような、音楽的価値の真価を問うような演奏となっている。ますますの充実ぶりを感じる1枚。
ヤナーチェク
 6つのモラヴィア合唱曲(原曲:ドヴォルジャーク:モラヴィア二重唱曲集)
  〔もし大鎌が鋭く磨かれていたら/スラヴィコフの小さな畑/
   もみじの木にいる鳩/仲よく別れよう/野ばら/若者よ緑にもえよ〕/

 野鴨/狼の足跡/カンタータ「わが娘オルガの死を悼む悲歌」/
 わらべ歌(序奏と18曲とエピローグ)(*) /我らの夕べ/アヴェ・マリア/我らの父
  ダニエル・ロイス指揮カペラ・アムステルダム、ラジオ・ブレイザーズ・アンサンブル(*)
  トーマス・ウォーカー(T) フィリップ・マイヤーズ(P)
 録音:2010年11月、アムステルダム|初出・旧品番:HMC-902097 〔廃盤〕。ヤナーチェク創作の重要分野のひとつが合唱で、生涯にかなりの作品を残している。多くがモラヴィアの民謡を源泉としているもので、ヤナーチェクならではの深いメランコリーと苦みに満ちた独特の味わいがある。ここには民俗的なものと宗教的なものから魅力的な7作品が選ばれ、ヤナーチェクの合唱世界を俯瞰できるようになっている。興味深いのは母国の偉大な先輩ドヴォルジャークの「モラヴィア二重唱曲集」から6曲をヤナーチェクが混声合唱に編曲したもので、ヤナーチェク特有の和声がますます民俗色を濃くしている。ドヴォルジャークとヤナーチェクふたりの天才性が倍加する稀有な宝。また、愛娘を失った慟哭「わが娘オルガの死を悼む悲歌」の悲痛さも心を打つ内容となっている。一方、伝承音楽に基づく「わらべ歌」は全20曲から成り、カラフルな東欧色にあふれ、音による小旅行を楽しめる。1970年結成のカペラ・アムステルダム。ダニエル・ロイスの指揮のもとに、古典から近現代まで、幅広いレパートリーを誇っているが、ここでも民族色豊かなユニークな世界を見事なチェコ語で再現している。1961年生まれのダニエル・ロイスは、ロッテルダム音楽院で合唱指揮を学び、1990年にカペラ・アムステルダムの指揮者に就任、2000年にはRIAS室内合唱団の指揮デビューも飾っている。2003年-2007年、ベルリンRIAS 室内合唱団の首席指揮者を務めた。2006年のルツェルン音楽祭アカデミーで、ブーレーズの招きで指揮の指導者として登場。2015年より、ローザンヌ声楽アンサンブルの首席指揮者を務めている。
ヨハン・クリスティアン・バッハ(1735-1782):レクイエム
 〔入祭唱&キリエ ヘ長調(T208/5) /怒りの日 ハ短調(T202/4) /ミゼレーレ 変ロ長調(T207/5) 〕
 レネケ・ルイテン(S) ルース・サンドホフ(A)
 コリン・バルツァー(T) トーマス・バウアー(B) RIAS室内cho.
 ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮ベルリン古楽アカデミー
 録音:2010年11月。以前、ヨハン・ルートヴィヒ・バッハの「葬送のための音楽」(HMC-902080)が好評だったラーデマンによるバッハ一族の音楽再発見シリーズ第2弾。今回はヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)の末息子で、18世紀後半の多作家&モーツァルトに影響を与えた重要な作曲家ヨハン・クリスティアン・バッハ。生前はドイツ、イタリア、イギリスなど様々な都市で活躍し、とりわけロンドンではアーベルと共に公開演奏会の確立に多大な貢献を果たした。彼の音楽性はイタリア・オペラに由来しており、今回収録された「レクイエム」にも当時のイタリア教会音楽様式が垣間見える。彼の作品は生前大きな名声を得たものの、後進のハイドン、モーツァルトらの出現によって、没後はその作品の多くが歴史の影に埋もれてしまった。今回は彼の教会音楽作品の中でも代表的な「レクイエム」、「ミゼレーレ」を収録。これまでバッハ一族の音楽を数多く復興してきたラーデマンによって、ヨハン・クリスティアン・バッハの優美かつ壮麗な響きが蘇る!
ファリャ
 交響的印象「スペインの庭の夜」/4つのスペイン小品/ベティカ幻想曲/
 ドビュッシーの墓に捧げる賛歌/デュカの墓に捧げる賛歌/歌(1900)/
 夜想曲(1896)/マズルカ(1899)/アンダルシアのセレナータ(1900)
  ハビエル・ペリアネス(P) ジュゼプ・ポンス指揮BBCso.
 1978年スペイン出身、独特の繊細なピアニズムで世界の注目を集める俊英ハビエル・ペリアネスが母国の大作曲家ファリャのピアノ曲に挑戦。かねてグラナダ国際音楽舞踊祭のライヴCDでペリアネスの奏するファリャの「歌」が絶品であるとの声が高かったもので、今回ついに主なピアノ曲を集めた魅惑のアルバムの登場となった。ファリャの音世界は先輩のアルベニスやグラナドスと比べ、より儚げで翳がありペリアネスにぴったり。メインは協奏作品である「スペインの庭の夜」。今回の録音のために、ペリアネスと指揮者のポンスはグラナダのファリャ・アーカイヴで自筆譜を詳細に検討、出版譜との違いを多数発見して演奏に反映させているのが興味津々。至難な技巧の要求されるこの大作を、驚くほどデリケートかつ雄弁に弾き切っている。濃厚なスペイン色も最高。ファリャのピアノ音楽は技巧的に複雑なものが多いわりに、音楽はデリケートの極みで微妙なニュアンスを最重要視している。ペリアネスの演奏は、「歌」や「夜想曲」が予想通りの絶品なうえ、「4つのスペイン小品」はファリャ自身のピアノロール録音を超える名演。ペリアネスを聴いてしまうと、他のどの演奏も無神経に聴こえてしまうほど、究極のピュアな感性が光る。超オススメ。
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(5CD)
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トリオ・ヴァンダラー〜ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲全集 + 三重協奏曲
 〔変ホ長調 Op.1 No.1 /ト長調 Op.1 No.2 /ハ短調 Op.1 No.3 /変ロ長調 Op.11 No.1 /変ホ長調 Op.44 /
  ニ長調 Op.70 No.1 「幽霊」/変ホ長調 Op.70 No.2 /変ロ長調 Op.97 「大公」/
  ト長調 Op.121a 「私は仕立て屋カカドゥ」の主題による10の変奏曲とロンド/変ホ長調 WoO.38 /変ロ長調 WoO.39 〕

 三重協奏曲 Op.56 (+)
 トリオ・ヴァンダラー[ジャン=マルク・フィリップス=ヴァイジャベディアン(Vn;*)
            ラファエル・ピドゥー(Vc;#))/ヴァンサン・コック(P)]
 ジェイムズ・コンロン指揮ケルン・ギュルツェニヒo.(+)
 録音:2010年12月、2011年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン/2000年(+) |使用楽器:ペトルス・グアルネリウス(1748、ヴェネツィア) (*) / Goffredo Cappa (1680) (#) |旧品番: HMC-902100/03 (+以外), HMG-502131 (Original Release: Le Chant du Monde, LDC-2781142) (+) 〔以上全て廃盤、入手不能〕。オリジナルの4枚セットに(+)を足した Box 。(+)の旧盤には「エグモント」の音楽も含まれていたが、当セットではカットされている。 これ以上の演奏は望めないのでは、と思わされてしまうベートーヴェン。名トリオ、トリオ・ヴァンダラーが結成25周年を迎えた頃に録音したピアノ三重奏全集の再登場盤。まず何と言っても、ヴァンサン・コックのピアノの粒のそろったタッチ(特に初期作品)がひときわ輝きを放つ。ベートーヴェン自身が素晴しいピアニストであったことを実感させる、素晴しく充実したピアノ・パートは圧巻。魅惑の旋律とかけあいを展開するヴァイオリンとチェロも、全てが完璧に融合している。それぞれの奏者の技量の高さが同じくらいにハイレヴェルで、音楽の方向も同じだからこそのこのアンサンブルは、他ではなかなか得られないものではないだろうか。そして三重協奏曲で魅せるトリオ・ヴァンダラーの極上の対話に注目したい名盤。オーケストラは名門ケルン・ギュルツェニヒ管。コンロンの指揮のもと、かっちりとしたアンサンブルを展開している。 トリオ・ヴァンダラーはパリ国立高等音楽院の卒業生三名によって1987年に結成された。1999年に録音を開始、これまでに発売されたCDはどれも極めて高く評価され、特にメンデルスゾーンのトリオ集(HMC-901961)はニューヨーク・タイムズ紙でも決定盤として紹介された。古典派、ロマン派から現代までの幅広いレパートリーを可能にするそれぞれのメンバーの技量の高さで、テレパシーともいわれるまでに息のあったアンサンブルによる極めて上質の演奏で常に我々を魅了している。
ショスタコーヴィチ
 ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 Op.35/
 ヴァイオリン・ソナタOp.134/
 ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102
アレクサンドル・メルニコフ(P)
イザベル・ファウスト(Vn)
イェルン・ベルヴァルツ(Tp)
テオドール・クルレンツィス指揮
マーラー・チェンバーo.
 ショスタコーヴィチの難物「前奏曲とフーガ」全曲で衝撃を与えたメルニコフが協奏曲に挑戦、しかも指揮が話題のクルレンツィス、オーケストラがマーラー・チェンバーというのも注目。こだわり派のメルニコフはショスタコーヴィチの自作自演盤を研究し、独奏o.ともにテンポ、フレージング、表現等々ソックリなまでの影響を受けている。とは言っても単なるコピーではなく、メルニコフらしさやクルレンツィスらしさが横溢し、21世紀らしい新鮮さも欠けていない。協奏曲第1番のトランペット独奏はベルギーの若手ベルヴァルツが務めていて、その巧さにも驚愕。メルニコフの演奏はまさに才気煥発の極みで、テクニックはもちろん、ヒリヒリした皮肉と緊張感が理想的にブレンドされている。長大で深遠な交響曲第11番と同時期に書かれたピアノ協奏曲第2番は、平易で軽い作品と思われがちだが、メルニコフの演奏で聴くと一筋縄ではいかない力作であることを再認識させられる。クルレンツィスの指揮は評判となった交響曲第14番のディスクを彷彿させる充実ぶりで、メルニコフのピアノと互角に競い合う。
 フィルアップのようでアルバム一番の大作ヴァイオリン・ソナタは、何とイザベル・ファウストとメルニコフの共演。これは超驚愕の凄さ。ファウストとメルニコフは、オイストラフがショスタコーヴィチのピアノ伴奏で1968年にプライヴェート録音した音源の噂を聞き、オランダのコレクターを訪ねてそれを聴かせてもらい、目から鱗が落ちたとのこと。確かに背筋の凍るような緊張感と不思議な美しさは自作自演にソックリだが、セッション録音ゆえ、その凄さは倍増され、ちょっと人間業とは思えぬ境地に至った。ファウスト屈指の名演なだけでなく、意外に名盤に恵まれないこの作品のベストであることは歴然。
I.ファウスト&アバド
 アルバン・ベルク
  ヴァイオリン協奏曲(ある天使の思い出に)
 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61
イザベル・ファウスト(Vn;*)
クラウディオ・アバド指揮
モーツァルトo.
 録音:2010年11月、Auditorio Manzoni 、ボローニャ。使用楽器:スリーピング・ビューティ(Stradivarius, 1704)(*)。近年ひときわ輝きを増しているヴァイオリニスト、イザベル・ファウストの最新盤は、満を持しての2度目のベートーヴェン、そして、初登場となるアルバン・ベルクという充実のプログラム。クラウディオ・アバドが、是非に、と申し出るかたちで実現したレコーディング。アバドとオケが全身全霊でファウストの音楽を支えているのがよく感じられ、ベルクの協奏曲では、爛熟したハーモニーをオケが醸す上で、ファウストが変幻自在な音で飛翔する。ファウスト独特のタッチが生みだす美しい高音には思わず息をのむほど。ベートーヴェンでも、何度も聴いたことがあるはずの第1主題から、なんとも神々しい響き。第2楽章の天国的な美しい音色はショッキングらある。終楽章の活き活きと、そして愛らしさも漂う表情はファウストならでは。カデンツァは、ベートーヴェンがこのヴァイオリン協奏曲をピアノ用に編曲した際に、ベートーヴェン自身が書いたものに基づいている。ヴァイオリン界の新女王、という一言だけでは表現しきれない音楽と魅力的な表情、そして衝撃的に美しい音。ファウストとアバド、モーツァルト管が、神に許された人にしか立ち入ることのできない領域の音楽を展開している。
 『私がマエストロ・クラウディオ・アバド(マーラー室内管)と共演したのは2008年のことでしたが、この経験は、ベートーヴェンの協奏曲を理解し体験する新しい道を私に見出させました。このあと、アバド氏は、今度はモーツァルト管と、アルバン・ベルクの協奏曲を共演しましょうと申し出てくださいました。この二つの傑作をリハーサルし、コンサートにかける機会を幾度が経たあとで、これら2作品をCDに録音するということは、彼にとって、自然の流れだったようです。この2つの傑作を同時に持ち続けるということは私にとってまったく新しい体験でした。2010年にボローニャで行った幾度にも亘るリハーサルでは、ベルクが終わるとベートーヴェン、という風に、2作品を交互に演奏していました。アルバン・ベルクの、悲しみと苦しみの世界から、バッハの魂の浄化のコラールを経て、ベートーヴェンの最も輝かしく、この世のすべての苦しみから一見解放されたようにみえるフィナーレへの非常に密度の濃い旅は、演奏に携わる私達をこの上なく魅了しました。アバドとの音楽作りは、至上の歓びであり、音楽のマジックを知るための本物の鍵でした。彼が私を信頼して下さったことに心から感謝し、彼の芸術性に心からの賛辞を捧げます。』(イザベル・ファウストのコメント/ライナーノーツより)
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D956
 アルカントSQ[アンティエ・ヴァイトハース(Vn1) ダニエル・ゼペック(Vn2)
        タベア・ツィンマーマン(Va) ジャン=ギアン・ケラス(Vc)]
 オリヴィエ・マロン(第2Vc)
 録音:2010年12月13日-16日。ケラス率いる豪華メンバーによるアルカント・カルテットによるシューベルトの最高傑作、弦楽五重奏曲。ケラスの高弟オリヴィエ・マロンを第2チェロに迎え、心に刺さる冴えまくった名演を展開している。第1楽章冒頭、心に突き刺さるような、研ぎ澄まされたハーモニーから、この演奏のただならぬ凄味を感じる。シューベルト独特の、うつろいゆく気分、哀しみと喜びが共存するような表情をもらさずとらえており、圧巻。続く第2楽章では極限の集中と柔和な表情のバランスに、彼らの冴えたセンスが光る。第3楽章スケルツォの一気呵成に聴かせる絶妙に軽快なテンポ設定はさすが。5人の音色が風のように駆け抜けます。終楽章は聴き物。執拗に繰り返されるシンコペーションのリズムが浮き彫りにするシューベルトの心の闇、そして終幕の駆け上がるパッセージと最後の和音は何とも悲痛な叫びのように、聴き手の心に刺さって来る。この作品の意外性を存分に聴かせると共に、シューベルトの心の闇にもくまなく光を当てた、注目の演奏といえるだろう。第2チェロを担当するオリヴィエ・マロンも、エッジの効いた音色で本質にズバっと切り込むアルカント・カルテットの面々の音色に見事に融け込んで、時に甘く時に悲痛に、美しい低音を響かせている。レコード・アカデミー賞(銅賞)を二年連続で受賞、日本で、そして世界中でもますます高い評価を得ているカルテットの、危険といってしまえるかもしれないくらいに鋭く心に刺さる演奏に、心して向き合ったい一枚。オリヴィエ・マロン:1980年フランクフルト生まれ。リヨン音楽院にてジャン・デュプラスに、そしてシュトゥットガルトでジャン=ギアン・ケラスに師事。2004年7月、J.S.バッハコンクール(ライプツィヒ)で1位。ジュネーヴの現代音楽アンサンブル「アンサンブル・コントルシャン」に所属、ブーレーズら20-21世紀の現代作品の演奏にも積極的に関わっている。2009-11年にかけて、ケラスのアシスタントとしてドイツ国立シュトゥットガルト音楽大学にて教鞭をとる。
マティアス・ゲルネ・シューベルト・エディション Vol.9(完結編)
 シューベルト:歌曲集「冬の旅」
  マティアス・ゲルネ(Br) クリストフ・エッシェンバッハ(P)
 録音:2011年1月、5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。マティアス・ゲルネ・シューベルト・エディションの最終巻の登場。エッシェンバッハをピアニストに迎えての「冬の旅」。まろやかさを失うことなく、ときに劇的な表情を見せるゲルネの声が、物語の情景を克明に描き出す。エッシェンバッハの、ゲルネの歌の表情に寄り添いながらもどこか淡々と冷たい感じさえもおぼえる抑えの利いたピアノも見事。詩の主人公の心の闇までをも照らし出しているかのような心を打つ名演となっている。なお、ゲルネは今後、マーラーなどの歌曲でハルモニアムンディでのレコーディングを続けるという。
ウェーバー(1786-1826):
 ピアノのためのヴァイオリン・オブリガート付6つの段階的ソナタ Op.10
  〔ヘ長調/ト長調/ト長調/変ホ長調/イ長調/ハ長調〕/
 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための四重奏曲 変ロ長調 Op.8
  イザベル・ファウスト(Vn;*) アレクサンドル・メルニコフ(Fp;#)
  ボリス・ファウスト(Va;+) ヴォルフガング・エマニュエル・シュミット(Vc)
 録音:2011年6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。使用楽器:ストラディヴァリス「スリーピング・ビューティ」、1704年製作(*) / "Lagrassa", 1815年年頃製作〔エドウィン・ボインク・コレクション〕(#) /ガエターノ・ポラストリ(+) /マッテオ・ゴフリラー(無印)。今もっとも輝いているヴァイオリニスト、イザベル・ファウストによるウェーバーの作品集。ドイツにおけるロマン主義運動の重要な先駆者であり、多芸多才な楽長、明晰な批評家として、さらには華々しいピアニストとしても活躍したウェーバー。「魔弾の射手」やピアノ曲が非常に有名だが、室内楽はわずか9曲(完成されたもの)しかのこしていない。そのうち8曲は、ウェーバー自身、かなりの名手であった楽器、ピアノを含む編成のものとなっている。イザベル・ファウストを中心とする豪華メンバーのこの録音では、ウェーバーの才能の輝きに満ちた室内楽作品が、ファウストにしか奏でることのできないまばゆい音色に導かれ、いきいきと再現されている。メルニコフの溌剌とした気魄に満ちたフォルテピアノの音色も見事。なお、四重奏曲で共演しているヴィオラのボリス・ファウストは、イザベルの兄。そしてチェリストも来日経験もある中堅シュミットということで、注目盤の登場。6つのヴァイオリン・ソナタは、1810年の夏の終り頃、出版社のヨハン・アントン・アンドレの依頼を受けて作曲されたもので、家庭内で、いわゆるアマチュアの人々が音楽演奏を楽しむための楽曲がならぶ。ウェーバーはあまりこの仕事に乗り気ではなかったことが手紙などにも残されているが、その内容は実に多彩で、ウェーバーの才気に満ちた物。カスタネットが打ち鳴らされるようなボレロ(第2番第1楽章のキャッラテーレ・エスパニョーロ)や、バラライカの音色を思わせるエア・リュス(第3番第1楽章)など、多国籍の情緒が感じられ、また、魅力的なメロディー、そこかしこに、魔弾の射手のアリアを彷彿とさせる華やかなパッセージも盛り込まれていて、「アマチュアのための」とされてはいるが、非常に充実した内容となっている。アンサンブルをたのしむことにも主眼がおかれた作品だけあって、ファウストとメルニコフとの、丁々発止のやりとりにも注目。四重奏曲は、1809年9月、ウェーバーが22歳のときに完成された作品。なんといっても聴きどころは第2楽章。弦楽器の半音的な動きをみせるハーモニーに始まる印象的な問いかけにピアノが応えたかと思うと突然の休止小節、そしてピチカートによるカデンツァが続く、というなんとも謎めいた出だしの楽章。この楽章だけ、1806年に完成、残りの楽章は後になって書かれたことがわかっている。ピアノの短い導入に始まり、瑞々しいロマンティックなメロディーのきらめきが美しい第1楽章、弦楽器の美しい音色が冴えわたる充実した第2楽章、エスプリの効いた短い第3楽章、そして、終楽章では、弦楽器3者のフーガ風なやりとりの中、ピアノが縦横無尽に華麗にかけめぐる。ファウストの、どこまでもまっすぐな音色で奏でられるウェーバーの書いた旋律美、メルニコフの才気と知性が冴えるピアノ・パート、そしてアンサンブルの妙。すべてがとびきりのクオリティのウェーバー作品集。珠玉の1枚の登場。
さすらい人の夜の歌〜マティアス・ゲルネ〜シューベルト・エディション Vol.8
 沈みゆく太陽に寄せて D457 /死と乙女 D531 /ばら D745 /思い出「死者への捧げもの」D101 /万霊節の連梼 D343 /
 水の上で歌う D774 /夕べの光景 D650 /雷雨ののちに D561 /小人 D771 /春に D882 /花言葉 D519 /すみれ D786 /
 遠く去った人に D765 /ただあなたの傍に D866-2 /ガニュメートD544 /さすらい人の夜の歌「山々に憩いあり」D768 /
 羊飼いの嘆きの歌 D121 /野ばら D257 /たゆみなき愛 D138 /月に寄す D259 /涙の慰め D120 /最初の喪失 D226 /
 ミューズの子 D764 /秘めごと D719 /遊びにおぼれて D715 /御者クローノスに D369 /心の近さ D100 /
 それは私だった D174 /ばらの花冠 D280 /恋する者の気がかり D285 /あなたに寄す D288 /
 愛は裏切られ D751 /笑いと涙 D777 /それらがここにいたことは D775 /孤独な人 D800 /星 D684

  マティアス・ゲルネ(Br) ヘルムート・ドイチュ(P;CD1) エリック・シュナイダー(P;CD2)
 録音:2011年2月、4月 (CD1; D544 まで)、2012年2月 (CD2; D768以降)、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ますます深みをみせているバリトン、マティアス・ゲルネのシューベルト・エディション、今回は2枚組。有名曲「死と乙女」での語り部的表現、「野ばら」で聴かせる気高くもやさしい表情は絶品。表題にもなっている「さすらい人の夜の歌」での深く包み込むような歌声は、ゲルネがますます充実を迎えていることを示している。ピアニストも、名手ヘルムート・ドイチュ、そしてシェーファー、シュテファン・ゲンツらとの共演も多い歌手からの信頼篤き名手シュナイダー、2名を迎えた充実の内容。
「ピンク・ムーン」へのレクイエム〔ヨエル・フレデリクセン編曲(*)〕
 ニック・ドレイク(1948-1974):ロード / レクイエム・エテルナム(*) / ドレイク:ピンク・ムーン/ホーン
 ダウランド(1562/63-1626):歌曲集第1巻〜彼の金髪も時が銀髪に変えて(*) / ドレイク:プレイス・トゥー・ビー
 カベンディッシュ(c.1565-1628):ワンドリング・イン・ディス・プレイス(*) / ドレイク: Which Will
 ダウランド:歌曲集第1巻〜しばし休め、むごき心の痛みよ(*) / ドレイク:ライダー・オン・ザ・ホイール
 ダウランド:歌曲集第3巻〜時間は静止して、あの人の姿に見とれる(*)
 ドレイク:タイム・ハズ・トールド・ミー / フレデリクセン:海 / ドレイク:ハンギング・オン・ア・スター
 キャンピオン(c.1567-1619):歌曲の本〜荒天に船出すな(*) / ドレイク:ホーン / レクイエム(*)
 ドレイク:ヴォイス・フロム・ザ・マウンテン/ノーザン・スカイ/ハーヴェスト・ブリード
 ダウランド:歌曲集第1巻〜来たれ深き眠り(*) / ドレイク:フロム・ザ・モーニング / レクイエムII (*)

  ヨエル・フレデリクセン(B/リュート) アンサンブル・フェニックス
 録音:2011年3月、ノイマルクト。深々と心に響くしびれる低音で多くの聴衆を魅了するバス歌手ヨエル・フレデリクセンが、伝説のイギリス人シンガーソングライター、ニック・ドレイクの名盤「ピンク・ムーン」をカバーした新譜をリリース!リュートを弾きながら歌うフレデリクセンのスタイルは今回も健在。彼自身大きな影響を受けたというドレイクの優しくも物悲しい歌の数々を、持ち前の艶やかな低音でしっとりと歌いあげている。原曲よりも低く、落ち着いたフレデリクセンの歌声は原曲とは違った魅力がある。また、ドレイクの各作品の合間にはイギリス・ルネサンス歌曲の数々を挿入。ドレイクの「ホーン」の旋律に乗せたレクイエムなど、彼へのオマージュを強く感じさせるオリジナリティあふれる内容となっている。ニック・ドレイクは1948年ビルマ(現ミャンマー)生まれ、イギリス育ちのシンガーソングライター。哀愁漂う繊細な歌声による弾き語りは専門家から高い評価を受けるも、商業的成功には恵まれず、晩年はうつ病と闘いながら細々と活動を行った不遇のアーティストとしても知られている。生前に発表したアルバムはわずか3枚。今回収録された「ピンク・ムーン」は1972年、彼が亡くなる2年前にリリースされた最後のアルバムとなる。2004年に未発表音源集が発売されたり、メルドーらもドレイク作品をカバーしているなど、その人気はむしろ死後根強く広まっており、近年もまだまだ再評価の動きの止まないドレイク。2012年は「ピンク・ムーン」発売10周年ということもあり、往年の名歌手に想いを馳せるにふさわしいアルバムと言えるだろう。
シューベルト:歌曲集
 野ばらD.257/子守歌D.527/子守歌D.867/秘めごとD.719/ガニュメートD.544/
 ブルックにてD.853/漁夫D.225/美と愛がここにいたことは D.775/
 4つのリフレイン歌〜第2番「ただあなたのそばに」D.866/船乗りD.536/歓迎と別れD.767/
 さすらい人D.493/森でD.834/さすらい人の夜の歌D.224/一人住まいD.800/
 冬の夕べD.938/秋D.945/ロザムンデのロマンスD.797/夜の曲D.672
  ヴェルナー・ギューラ(T) クリストフ・ベルナー(P)
 録音:2011年1月、ライトシュターデル・クルトゥアハウス、ノイマルクト、オーバープファルツ県、ドイツ。古楽からロマン派まで幅広いレパートリーを持ち、気品あふれる歌声で人気のテノール歌手ヴェルナー・ギューラによるシューベルト。歌声は相変わらずふくよかで、過度な表現を抑えた自然な歌い方がシューベルトの繊細な音楽観に見事にマッチしている。ピアノ伴奏を務めるのは多くの録音を共にしてきた相方、クリストフ・ベルナー。リブレットの中で、シューベルトの代表作「冬の旅」や「美しい水車屋の娘」の形式をオマージュし、ある架空の人物の人生を物語るようなプログラムとなるよう選曲を行ったと語るベルナー。これまでシューベルトの歌曲に多く携わってきた名コンビだからこそ成せる、オリジナリティあふれるプログラム。収録作品はシューベルトの若き頃の作品から晩年期の作品まで多岐にわたり、シューベルトらしい美しくも陰りのある旋律の魅力にしっとりと浸ることが出来る。
HMC-902113/14
(2CD)
廃盤
フライブルク・バロックo.〜J.S.バッハ:管弦楽組曲 全曲
 フライブルク・バロックo.
 #2020年8月に国内仕様盤 (KKC-5184)共々廃盤、入手不能。
HMC-902115/16
buyボタン
(2CD)
1.2CD価格
ポール・ルイス〜シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 〔ハ長調 Op.53, D850/ト長調 Op.78, D894「幻想」/ハ長調 D840「レリーク」〕/
 4つの即興曲 Op.90, D899/3つのピアノ小品 D946
  ポール・ルイス(P)
 録音:2011年3月、6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。王子ホールでの「シューベルト・チクルス」も好評のポール・ルイス。天才の煌めきに満ちた即興曲 Op.90は、うつろう気分や繊細なデュナーミクなど意のままに演奏。ソナタ ト長調「幻想」での極美の弱音は聴き手を別世界へといざなう。一音一音がピアノの芯を見事にとらえていて、「他のどの楽器よりも、ピアノという楽器に対して、自分の身体が実にしっくりとなじむ」と語る通り、楽器を完璧にコトロールするポール・ルイスの演奏は、ピアノという楽器の存在を忘れさせ、そこにシューベルトがいるような、そんな気分にさせられる。どこまでも優しく、しかし雄弁に語りかける類を見ないシューベルト作品集。
Céline Moinet
 J.S.バッハ:無伴奏フルート・ソナタ イ短調 BWV.1013 / ベリオ:セクエンツァ第7
 ブリテン:オヴィディウスによる6つの変容 Op.49 / カーター:インナーソング
 C.P.E.バッハ:フルート・ソナタ イ短調 Wq.132
  セリーヌ・モワネ(Ob)
 録音:2011年4月-5月、テルデックス・シュトゥーディオ、ベルリン。秀麗眉目な外見、それにも増して美しいオーボエの音色で欧米を中心に人気沸騰中のオーボエ奏者セリーヌ・モワネが、ついにハルモニアムンディとのコラボレーションを開始!全世界が注目する待望のファーストCDがついにリリースされる。J.S.バッハとC.P.E.バッハのフルート・ソナタに、ベリオとブリテンの現代作品を合わせた意欲的なプログラムとなっており、バロックから現代に至るまで人々を魅了し続けるオーボエという楽器の魅力に迫る1枚となっている。バッハ親子のフルート・ソナタでは田園を思わせる柔らかな音色、ブリテンの作品では抒情に満ちた甘い響きにうっとり。モワネの奏でるオーボエの音色には一切の澱みがなく、どこまでも続いていくかのような息の長いメロディラインの表現力には圧巻。一方、合間に挿入されたベリオ、カーターの作品からはオーボエの新たな表現の可能性が垣間見える。破裂音のように力強い音の連続、張り詰めた糸のごとく緊張感のある旋律の魅力はバッハやブリテンからは感じられない物。屈指の難曲だが、モワネの卓越した演奏技術によって作品の魅力が見事に表現されている。
 セリーヌ・モワネは1984年リール(フランス)生まれ。パリ国立高等音楽院でダヴィッド・ヴァルター、モーリス・ブルグらにオーボエ、室内楽を師事した。同院卒業後、2004、2005年にクラウディオ・アバド率いるグスタフ・マーラー・ユーゲント管で活動。その活躍が認められ、ベルリン・ドイツso.、北ドイツ放送so.などドイツ各地の名門オーケストラの首席客演奏者に相次いで抜擢される。2006〜2008年までマンハイム国立劇場オーケストラ、2008年以降はドレスデン国立歌劇場で首席オーボエ奏者として活躍。2011年にはVPOから招待を受け、現在アジアとオーストリアを回るグラウンドツアーに参加している。この他にもソロ奏者、室内楽奏者として世界的に活躍しているモワネ。今後ますます注目されること必至のアーティスト。
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」(チェコ語歌唱)
 ダナ・ブレショヴァー(S;マジェンカ) トマーシュ・ユハース(T;イェニーク)
 ヨゼフ・ベンツィ(B;ケツァル) スヴォタプルク・セム(Br;クルシナ)
 スタニスラヴァ・イルク(S;ルドミラ) アレシュ・ヴォラーチェク(T;ヴァシェク)
 ヤロスラフ・ブジェジナ(T;サーカス団長) カテリーナ・クネージコヴァー(S;エスメラルダ)
 ルチエ・ヒルシェコヴァー(Ms;ハータ) グスターヴ・ベラーチェク(B;ミーハ)
 オンドレイ・ムラーズ(B;インディアン役のサーカス団員)
 マキシム・ドゥセク(ボーイS;第一の子供) バベッテ・ルスト(S;第二の子供)

 イジー・ビエロフラーヴェク指揮 BBCso.、BBCシンガーズ
 録音:2011年5月、ロンドン。チェコの名指揮者イジー・ビエロフラーヴェクが首席指揮者を務めるBBCso.を指揮したスメタナによるオペラの代表作「売られた花嫁」。2011年5月20日にロンドンのバービカンセンターで演奏会形式で上演されており、その際にBBC第3放送と共同で収録したもの( CD にはライヴとの表記はなく、また拍手も聞かれないので、総練習を中心とした収録の模様)。ビエロフラーヴェクといえば、プラハso.、チェコpo.、スロヴァキアpo.、自ら創設したプラハ・フィルハーモニア、BBCso.と、名門オーケストラを多数率いてきた名匠。しかも彼は2012年10月からチェコpo.の首席指揮者に復帰、60代後半を迎えてますますの円熟が期待されている。この新録音は、2006年から首席指揮者を務めるBBCso.との成果が示されたすごぶる充実した演奏で、これ見よがしなところは一つもないのに、ボヘミアの旨みがグワッと広がってくる音楽は久しく味わえなかったものだろう。ヒロインのマジェンカは、プラハ国民劇場で大活躍しているソプラノ、ダナ・ブレショヴァー。2008年のブルノ歌劇場来日公演でのワーグナー「タンホイザー」でエリーザベトを歌って評判になった。若い頃マジェンカで名声を築いた人だけに、まさにハマリ役。透明感と温かみと強さを兼ね備えた美声はとても素敵。イェニークのトマーシュ・ユハースはスロヴァキア生まれのテノール。まだデビューして数年という若手だが、既にチェコ、スロヴァキアでは人気の高いテノール。2011年12月、ヤクブ・フルシャが東京都so.を指揮したドヴォルジャークのスターバト・マーテルでテノール・ソロを歌った。重要な役所である結婚仲介人のケツァルは、スロヴァキアのバス、ヨゼフ・ベンツィ。驚いたことにチェコ語の「売られた花嫁」の新録音は、1981年のズデニク・コシュラーのSUPRAPHONE録音以来、実に30年ぶり。まさに待望の新録音。
シューベルト:弦楽四重奏曲集〔第10番 変ホ長調 Op.125 No.1 /第15番 ト長調 Op.161 〕
 カザルスSQ[ヴェラ・マルティネス・メーネル、アベル・トマス・レアルプ(Vn)
       ジョナサン・ブラウン(Va) アルマウ・トマス・レアルプ(Vc)]
 録音:2011年6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。1997年の結成以来、若手ながらベテラン顔負けの風格漂う演奏で今最も注目を集める若手アンサンブル団体、カザルス四重奏団によるシューベルト。これまでにharmonia mundiレーベルより数々の四重奏曲集をリリースしてきたカザルス四重奏団だが、シューベルトの四重奏曲を収録したのは今回が初めて。2011年の来日公演では第13番「ロザムンデ」の名演も話題となっただけに、期待必至。内容はシューベルトが16歳の頃に作曲した第10番と、亡くなる2年前、最晩年に作曲した第15番。作曲時期も曲調も対照的な2曲だけに、カザルス四重奏団の多彩な表現力が一層光る。青年期ならではの瑞々しい旋律が爽やかな第10番では、1stヴァイオリンを担当しているメーネルの清廉なソロが見事。若手らしい活気あふれる演奏で魅せる第10番から一転、第15番では重々しくも堂々たる演奏で冒頭からぐぐっと引き込まれる。メロディだけでなく、伴奏隊もアグレッシブ!毅然としたフォルテと抒情的なピアノの鮮やかなコントラストが素晴らしく、全体的にメリハリの利いた演奏と言えるだろう。情感豊かながらも一糸乱れぬカザルス四重奏団のアンサンブルは流石の一言。ソリストらの息の合った掛け合いと溌溂とした演奏が圧巻の名盤。
シューマン:室内楽作品集
 ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47 /ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
 アレクサンドル・メルニコフ(P;*)
 エルサレムSQ[アレクサンドル・パヴロフスキ、セルゲイ・ブレスラー(Vn)
        オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2011年7月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。使用楽器:ベーゼンドルファー、1875年製(*)。なんとも充実のシューマンの室内楽作品CDがリリースされる。2012年2月に来日し、もの凄いショスタコーヴィチの演奏会と、ファウストとのベートーヴェン・デュオのコンサートで日本の聴衆の度肝を抜いたメルニコフと、エルサレム弦楽四重奏団(ヴィオラの元メンバー(アミハイ・グロス)が、BPO首席ヴィオラ奏者に就任し、離団したため、新たにオリ・カムをヴィオラ奏者メンバーに迎えた新編成)による室内楽の登場。メルニコフが演奏しているのは、ブラームス作品集(HMC-902086)でも用いた、1875年ベーゼンドルファー製のピアノ。エルサレム弦楽四重奏団の研ぎ澄まされた清冽な音色で展開されるアンサンブルと、メルニコフのピアノのコンビネーションは絶品。ここに収められている室内楽曲は、どちらも1842年、「室内楽の年」(42年6月から43年1月までの比較的集中した時期)に書かれた物。この時期、3つの弦楽四重奏曲、そして、ピアノ四重奏曲と五重奏曲が書かれた。溢れるイマジネーションをピアノ・ソロの作品で表現するには「制約がありすぎる」とクララに語っていたという。五重奏は、ワーグナーにも強い影響を与えたと言われている。ベートーヴェン、メンデルスゾーンやシューベルトが残した同ジャンルの偉大な作品からエネルギーを得て、自身の創作力を全て注ぎこんだ力作。四重奏曲終楽章のフィナーレや、五重奏曲の有名な冒頭での、メルニコフのピアノは圧巻。メルニコフが描く細かな歌いまわしを、エルサレムの面々も見事にキャッチ。親密な雰囲気と、心地よい緊張感に満ちた稀有な演奏が展開されている。
カルロ・ジェズアルド(1560?-1613):聖歌集第2巻 (1603)
 【カンティクル(冒頭)】ミゼレーレ(レスポンソリア1611)
 【救済の祈り】ヴィルゴ・ベネディクタ/オー・オリエンス/オー・ベアタ・マーテル/ヴェルバ・メア/
        ヴェニ・クレアトール・スピリトゥス/アヴェ・サンクティッシマ/サナ・メ・ドミネ
 【絶望と嘆き】ディシェディテ・ア・メ・オムネス/オー・アニマ・サンクティッシマ/アルデンス・エスト・コル・メウム
 【平和と希望】ダ・パーチェム・ドミネ/ネ・デレリンクアス・メ/
        フランシスカス・ヒュミリス・エト・パウパー/ガウデアムス・オムネス
 【賛美と感謝】アドラムス・テ・クリステ/オー・サクルム・コンヴィヴィウム/アド・テ・レヴァヴィ/
        アスンプタ・エスト・マリア/ヴェニ・スポンサ・クリスティ/イルミナ・ノス
 【カンティクル(終結)】ベネディクトゥス(レスポンソリア1611)

 ジェイムズ・ウッド指揮ヴォーカルコンソート・ベルリン
 世界初録音。2013年に没後 400年を迎えるルネサンスの作曲家カルロ・ジェズアルド。ジェズアルドの生涯は1度目の結婚のスキャンダラスな事件の印象が強いが、フェッラーラのエステ家のレオノーラと再婚した2度目の結婚は彼の音楽性に大きな影響を与えている。エステ家には様々な芸術家が出入りし、華やかな宮廷文化に触れることとなる。ジェズアルドは亡くなる前の10年間に3つのモテット集を出版している。1603年に出版された第1巻は5声のためのモテット集、同じく1603年に出版された第2巻は6、7声のモテット集、そしてジェズアルドの代表作「聖週間のレスポンソリウム」は1611年に発表されている。ここに収録されている第2巻の一部分は不幸にも失われてしまっており、これまで演奏されることは無かった。ジェイムズ・ウッドは3年間にわたり熱心に研究を続け、ヴォーカルコンソート・ベルリンによって今回世界初録音することができた。ジェズアルドの作曲技法は大胆な対位法や半音階を駆使し、かなり高度なものだった。第2巻もジェズアルド独自の音楽手法がふんだんに盛り込まれ、繊細さと熱情が入り混じった魅力的な作品。
イザベル・ファウスト〜J.S.バッハ:無伴奏ソナタ&パルティータ集 Vol.2(完結編)
 ソナタ第1番 ト短調 BWV 1001 /パルティータ第1番 ロ短調 BWV 1002 /ソナタ第2番 イ短調 BWV 1003
  イザベル・ファウスト(Vn)
 録音:2011年8月-9月。使用楽器:1704年製ストラディヴァリス「スリーピング・ビューティー」。Vol.1:無伴奏ソナタ&パルティータ集 BWV 1004-1006 (HMC-902059) 世界中で絶賛されたイザベル・ファウストのバッハ、待望の完結編。聴き手の耳と心に焼きつく強烈な美しさを放つファウストの音。重力を感じさせない、しかし軽いというわけでは決してない、実に不思議な弓使いから生み出される彼女の音色は、一度聴いたら忘れられない物。今回のバッハでも、銘器ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」の特徴でもある美しい音色、彼女自身「レーザーのようにまっすぐで、宙を射る光の線のようにまばゆい」と述べる音色で、聴き手の心にまっすぐに響いてくるバッハを聴かせてくれる。ソナタ第1番第1曲アダージョ冒頭の、平衡感覚にすぐれた、持続する緊張感はファウストならでは。ただこの緊張感というのが、聴き手を金縛りにさせるような強烈なものとはまた違った、ファウスト独特の不思議な緊張感なが、冒頭からファウストの世界にぐいぐい引き込まれてしまう。パルティータ第1番1曲目のアルマンドは、アルマンドが舞曲であることを痛感させる浮遊感あるリズムに乗って、淡々と奏でられる。4曲目ドゥーブルの無窮動では、細かな音符が一部の隙もなく急速にくるくると押し寄せてきて、その遠心力で一種の無重力状態が生じているような、不思議な世界が広がる。ソナタ第2番の終曲アレグロでは、ファウストのかっこよさが炸裂している。イザベル・ファウストという演奏家、そしてこの素晴らしい音色を秘めた「スリーピング・ビューティー」という楽器、両者が最高の状態で出会い、ただならぬバッハの世界を創りあげている。
メルニコフ、ファウスト、ケラス〜ベートーヴェンピアノ三重奏曲集
 〔第6番 変ホ長調 Op.70 No.2 /第7番「大公」 変ロ長調 Op.97 〕
 アレクサンドル・メルニコフ(Fp
  ; Alois Graff, 1828頃〔エドウィン・ボインク修復、メルニコフ蔵〕

 イザベル・ファウスト(Vn;ストラディヴァリウス、1704年「スリーピング・ビューティ」
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc;Geoffredo Cappa, 1696年
 録音:2011年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。今、もっとも世界が注目する豪華な三名によるベートーヴェン。このメンバーは、2004年にドヴォルジャークの「ドゥムキー」を録音しているが、それから時を経、深みを増してからの録音とあって、期待が高まるところ。第6番は、「幽霊」とならんで作品70として出版されたもので、「傑作の森」と称される中期に生み出された作品。ベートーヴェンのピアノ三重奏曲の中では比較的地味な存在だが、ベートーヴェン自身が非常に高く評価していた作品で、晴れやかな楽想が印象的な名作。ファウストのヴァイオリンの伸びやかな音色で聴くメロディがえもいわれぬ美しさ。それをささえるメルニコフの溌剌としたフォルテピアノと、ケラスのハリのある音色が、活き活きと美しいアサンブルを奏でる。「大公」は歴史上に燦然と輝く名曲にして大曲。冒頭のメルニコフによるひたひたとしたピアノ独奏に、ファウストのまばゆくまっすぐな音色のヴァイオリンと、ケラスの豊かな響きと推進力のあるチェロが加わると、これから始まる雄大な世界への期待が高まる。三人ともひとつひとつのフレーズを慈しむように、実に細やかに表情づけを施しながら演奏しており、息をのむような美しい瞬間が随所に現れる。それでいて、作品の雄大なスケール感を感じさせる、音楽の広がり具合も見事。奏者の懐の深さゆえの余裕のある出来栄え。スケルツォでの弾むリズム、緩徐楽章での弦が織り成す美しいレガートは絶品。終楽章の華やかなコーダは圧倒的。室内楽史に燦然と輝く名曲の、決定的な名演がここに新たに誕生した。
HMC-902126/28
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ヤーコプス〜モーツァルト:歌劇「偽の女庭師」
 ソフィー・カルトホイザー(S;サンドリーナ) アレックス・ペンダ(S;アルミンダ)
 ジェレミー・オヴェンデン(T;ベルフィオーレ伯爵) ニコラ・リヴァンク(Br;市長)
 マリー=クロード・シャピュイ(Ms;騎士ラミーロ) スンヘ・イム(S;セルペッタ)
 ミヒャエル・ナジ(B;ロベルト) ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2011年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ジャケット絵画:ポンパドゥール夫人(美しい庭師)(部分)/ヴァン・ロー作(1760年)[プチ・トリアノン蔵]。HMFが誇るルネ・ヤーコプスのモーツァルトのオペラのシリーズ、新刊は「偽の女庭師」。1775年1月13日にミュンヘンで初演されたオペラブッファで、初演時モーツァルトは19歳目前、1774年というと交響曲第28番の頃なので、既に神童を脱した立派な作曲家に成長していた。物語は、かつて恋人ヴィオランテに大怪我を負わせて音信不通にしてしまったが今はアルミンダと婚約しているベルフィオーレ伯爵の前に、サンドリーナを騙り庭師として働くヴィオランテが現れ、周囲を巻き込んで騒動になる、といったお話。モーツァルトはかなり力を入れて作曲し、初演も好評だったことが伝えられている。この作品はモーツァルトの生前にドイツ語の上演が広まり、そのためオリジナルのイタリア語オペラブッファは20世紀まで埋もれていた。近年、青年期のモーツァルトの傑作として上演が増えている。サンドリーナのソフィー・カルトホイザーはベルギー出身のソプラノ。モーツァルト・ソプラノとして活躍しており、2005年に大野和士率いるモネ劇場の来日公演「ドン・ジョヴァンニ」でゼルリーナを歌っていた。ベルフィオーレ伯爵のジェレミー・オヴェンデンは英国のテノール。バロックから古典派の声楽作品で活躍しており、ヤーコプスは既にヘンデル「サウル」で彼を起用している。アルミンダのアレックス・ペンダとは、ヤーコプスが「イドメネオ」や「ティートの慈悲」などで重用しているアレクサンドラ・ペンダチャンスカのこと。最近、長すぎる名前を短縮するようになったんだそう。彼女と、これもヤーコプスの声楽作品の常連、ソプラノのスンヘ・イム、そして大ベテランのニコラ・リヴァンクなどなど、キャストは充実している。「偽の女庭師」は、復活が遅れた経緯から、最近の映像はいくつかあれど、しっかりした録音があまりない。ヤーコプスの気合の入ったこの新録音はモーツァルティアン、オペラマニア、どちらからも大歓迎されることだろう。
 『【版について】 この「偽りの女庭師」は、1775年にミュンヘンで初演(3回上演、うち2度目は短縮版)されたました。その後同じオリジナルのかたちで上演されることはなく、1779年以降、いくつかのカット、レチタティーヴォの語り芝居への変更を施したドイツ語上演が、1780年代後半までひろく行われました。モーツァルトを愛した街、プラハで上演されたのは1796年、モーツァルトの死後のこと。この時に作られた楽譜資料が2つ残されており(Náměšt、Oels)、このヤーコプス演奏はNáměšt版に基本的に準拠しています。このNáměšt版には、ドイツ語の歌詞とオリジナルのイタリア語の歌詞が併記されており、新モーツァルト全集(NMA)がこのオペラを出版した際の土台となっています(ただしNMAのオーケストレーションはNáměšt版よりもシンプルな、モーツァルトのオリジナルに近いもの)。このNáměšt版では、オリジナルのオーケストレーションはかなり大がかりなものへと変更されています。特に顕著なのが、アリアの伴奏で、管楽器パートに著しい充実がみられること。このオーケストレーションの変更を誰が手掛けたのかは不明なのですが、ヤーコプスは、モーツァルトのドン・ジョヴァンニやティートがプラハで初演され、この地から世界に広まったことを例にとり、この「偽りの女庭師」もプラハで上演されてから再び上演される機会が増えたことなどを考慮して、プラハにのこされたNáměšt版に基本的に基づいたと語っています。ただし、Náměšt版でも見られるいくつかのカットは適宜修復を施していること、さらに、録音時にはセリフや歌詞などにも演奏効果などを考えて小さな変更を加えるなど、様々な資料にあたった上で練りあげられた注目の演奏となっています!』(『内』代理店記載ママ)
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 7つの情熱(2001-2006) /「ラインの上で」〜アストラリス (2001) /情熱の断片(1968)
  ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮RIAS室内cho.
 録音:2011年9月-11月、イエス・キリスト教会、ベルリン。2012年で生誕60周年を迎える現代作曲家、ヴォルフガング・リーム。非常に多作な作曲家としても有名で、これまでに作曲した数は500を優に超えている。近年は体調不良で活動が危ぶまれた時期もあったが、2010年には新作オペラを発表、その創作意欲はまだまだ衰えを見せない様子。今後ますますの活躍が期待される現代作曲家の一人。アニバーサリーを記念した本CDに収録されているのは、受難曲2作と小品「アストラリス」。「アストラリス」は「ラインの上で」という作品から抜粋した小品。音量を最大にしても聞こえないほどの小さな音量から静かに始まり、夜明けの空に光が満ちていくように、壮大な音の世界がゆっくりと広がっていく。「出来うる限り長く、そして柔らかく」というリームの指示通り、切れ目なく展開されていく様々な音のハーモニーは、我々を瞑想の世界へと誘ってくれる。「7つの受難」は近年の作品で、中世の瞑想の祈りの音楽も思わせる柔らかくも神秘的なハーモニーに満ちた作品。一方の「受難の断片」では、息の長いハーモニーの合間に囁き合うような話し声や叫ぶ声が用いられており、「7つの受難」とはまた違った雰囲気に浸ることが出来る。それぞれ異なる時期に作曲された2曲の受難曲から、リームの作曲様式の変化も垣間見ることが出来るプログラムと言えるだろう。BPOの録音会場としても馴染み深いイエス・キリスト教会に、リームの独創的な音響世界が広がる。
シューベルト:歌曲と四重唱曲集
 四重唱曲「踊り」D826 /「4つのリフレイン歌」〜見分け Op.95 No.1, D866 /四重唱曲「人生の喜び」D 609 /
 「ラクリマス」からの2つの劇唱〜デルフィーネの歌 D857 No.1 /歌びと D149 /三重唱曲「婚礼の焼肉」D930 /
 二重唱曲「光と愛」D352 /四重唱曲「祝いの日」D763 /四重唱曲「嵐の中の神」D985 /全能の神 D852 /
 四重唱曲「無限なるものへの讃歌」D232 /埋葬の歌 D168 /四重唱曲「祈り」D815

  マリス・ペーターゼン(S) アンケ・ヴォンドゥング(Ms)
  ヴェルナー・ギューラ(T) コンラッド・ジャーノット(B)
  クリストフ・ベルナー(P)
 録音:2011年10月。使用楽器: Rönisch 、1872年製作(国内代理店は『フォルテピアノ』と表記)。シューベルトが親しい友人たちと開いた私的な演奏会「シューベルティアーデ」等、サロンのなかで歌われていた歌曲と重唱曲を集めたアルバム。ギューラやペーターゼンらシューベルトに深い愛着を持つ歌手らが繰り広げる極上のアンサンブルを楽しむことが出来る。三重唱曲の「婚礼の焼肉」は、ペーターゼンとギューラの生き生きとした絡み合いが愉しく、コミカルな掛け合いがオペラのよう。結婚式を翌日に控えたカップルが式の料理のために密かに兎狩りをし、猟師に見つかり脅され、結果的にはその猟師も式に招待し焼肉を用意してくれるという内容。また「無限なるものへの讃歌」などの四重唱では見事な堅密なアンサンブルで聴かせてくれる。
HMG-502131
廃盤
ベートーヴェン:三重協奏曲 Op.56
 トリオ・ヴァンダラー[ヴァンサン・コック(P) ラファエル・ピドゥ(Vc)
            ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジェベディアン(Vn)]
 ジェイムズ・コンロン指揮ケルン・ギュルツェニヒo.
フリードリヒ大王生誕300周年記念
 J.P.グラウン:序曲とアレグロ ニ短調 / ニシェルマン:チェンバロのための協奏曲 ハ短調
 フリードリヒ2世:フルートと通奏低音のためのソナタ ハ短調「ポツダムのために」
 グラウン:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ イ短調 / C.P.E.バッハ:シンフォニア ト長調 Wq.173

  ベルリン古楽アカデミー
 録音:2011年11月、テルデックス・シュトゥーディオ、ベルリン。2012年生誕300年を迎えるフリードリヒ大王を記念し、ベルリン古楽アカデミーがフリードリヒ大王と、彼に仕えた宮廷音楽家たちの作品集をリリース!音楽を非常に好み、自身も優れたフルート奏者であったフリードリヒ大王。18世紀ベルリンの音楽史を語る上で彼の存在は欠かせない。フリードリヒ大王のフルート・ソナタは優雅かつ繊細な旋律が美しい作品。一大軍事国家を作り上げた啓蒙君主のイメージとはまた違った大王の一面を垣間見ることが出来るだろう。また、本CDではフリードリヒ大王の作品に加え、グラウン、ニシェルマン、C.P.E.バッハら大王に仕えた宮廷音楽家たちの作品も収録。ニシェルマンは現代では殆ど忘れられてしまった作曲家だが、今回収録されたチェンバロ協奏曲は隠れた名曲と言えるかもしれない。弦楽器との繊細かつ抒情的な掛け合いが非常に美しい作品。全体的に気品あふれる旋律と、軽やかながらも重厚なハーモニーを持つ作品が多く収録された本CD、大王の宮廷に響いていたであろう当時の音楽に思いを馳せる1枚となっている。
 演奏するベルリン古楽アカデミーは2012年30周年を迎える名門。古楽、古典音楽を主なレパートリーとし、日本においても高い評価を受ける実力派古楽団体。12月には来日も予定されており、今後ますますの注目が期待されようだ。これまで多くの名演を世に生み出してきた彼らが、今回も卓越した演奏技術で心地よい古楽の響きを堪能させる。フルートの軽やかな高音の響きから、ヴィオラ・ダ・ガンバの深みたっぷりの低音まで、18世紀宮廷音楽の魅力にたっぷりと浸ることが出来るおすすめ盤。
Canciones espanolas - Bernarda Fink
 ファリャ:7つのスペイン民謡/3つの歌/ロンダのパン/お前の黒い瞳
 ロドリーゴ:3つのスペインの歌/4つのユダヤ人の歌/恋する羊飼いの歌/
       かっこう鳥の歌/小さなグラス/4つの愛のマドリガル
 グラナドス:昔風のスペインの歌曲集
  ベルナルダ・フィンク(Ms) アントニー・シピリ(P)
 録音:2011年11月。ヨーロッパで圧倒的な人気を誇るメゾ・ソプラノ、ベルナルダ・フィンクによるスペイン歌曲集。ここに収録されている作品は1902年から1965年にかけて作曲され、20世紀スペイン歌曲の発展とフランス歌曲への傾倒が表れている。エレガントな珠玉の名品などスペイン旅情を感じることの出来る内容。
ハンス・アイスラー(1898-1962):
 バリトンと器楽アンサンブルのための「厳粛な歌」(*) /
 ピアノ伴奏歌曲集
  〔ホテルの部屋1942号/脱出/卓上ラジオに/早朝に/春/食糧貯蔵庫1942/帰郷/亡命の風景/そして暗い時は今も続く/
   自殺について/失恋/復活祭の日曜日/庭園の撒水/サクランボ泥棒/お金の活力の歌/水車のバラード/連帯の歌〕/

 ピアノ・ソナタ Op.1 (+)
  マティアス・ゲルネ(Br;+以外)
  トーマス・ラルヒャー(P;*以外) アンサンブル・レゾナンツ(*)
 録音:2012年9月、2013年2月-3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。シューベルトの歌曲で孤高の境地を示すマティアス・ゲルネだが、アイスラーも得意としていて、1998年にはユニバーサル・レーベルから「ハリウッド・ソングブック」をリリースしている。それから15年を経て第2弾に挑戦。重複している曲も多いものの、ゲルネの成長ぶりが如実に現れていてむしろ大歓迎。誰にも真似できない見事さで、アイスラー芸術の理想像を作りあげている。当アルバムはアイスラー最初期 1922-3年の「ピアノ・ソナタ」、創作の絶頂期のブレヒト・ソング、1962年、死の数週間前の絶筆「厳粛な歌」まで彼の全創作期を俯瞰出来る。アイスラー音楽の魅力はポピュラー・ソングばりのキャッチーなメロディと、軍歌のようなカッコよさで、ゲルネにぴったり。ハイネの詩による「失恋」での叙情詩人ぶり、アイスラー作品でも特に有名な「連帯の歌」(ブレヒト詩)の颯爽とした姿はまるでポップ歌手のようだ。ゲルネの新しい魅力を発見出来る。さらにトーマス・ラルヒャーのピアノも透明な味わいが独特。これまで聴く機会の少なかった力作「ピアノ・ソナタ」の素晴らしさを発見させる。
ナポリのフォリア〜1725年
 ドメニコ・サッロ(1679-1744):協奏曲第11番 イ短調
 A.スカルラッティ(1660-1725):パルティータ「スペインのフォリア」に基づく即興
 ニコラ・フィオレンツァ(1700頃-1764):交響曲 イ短調
 ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):交響曲第1番 イ長調
 フランチェスコ・バルベッラ(1692-1732):協奏曲第3番 ハ長調
 フランチェスコ・マンチーニ(1672-1737):ソナタ第11番 ト短調
 レオナルド・レーオ(1694-1744):協奏曲 ト長調
  モーリス・シュテーガー(リコーダー) フィオレンツァ・デ・ドナティス、アンドレア・ロニョーニ、
  アナイ・チェン(Vn) マルギット・ウーベルラッカー(プサルテリウム) 北谷直樹(Cemb/Org)他
 録音:2011年11月。1971年スイスのヴィンタール(カデンツァ注:とあるが、おそらくヴィンタートゥル)生まれ、リコーダーの天才モーリス・シュテーガー。チューリヒ音楽大学にてパドロ・メメスドルフ(カデンツァ注:とあるが、正しくはペドロ・メメルスドルフ)とケース・ブッケに、シュトゥットガルトではマルクス・リードに師事し、1995年にソリスト・ディプロマ“With Highest Honors " を、2002年にはカラヤン賞を受賞している。ウィグモアホール、ゲヴァントハウス、コンセルトヘボウなどで演奏会を重ねているほか、ベルリン古楽アカデミーなどの古楽アンサンブルやモダーンo.とも共演。来日演奏も行っており、その技量と、舞台を縦横無尽に駆け回って演奏するパワー溢れるパフォーマンスで聴衆を魅了した。なんといっても光るのが非常にダイナミックかつ華麗な音楽。リコーダーという小さな楽器からこんなにも様々な音色と音型が飛び出してくるとは、とただただ圧倒される。バックで支えるアンサンブルのメンバーも、シュテーガーと共演も多い北谷直樹をはじめ、ツワモノぞろい。シュテーガーのめまぐるしく変わる表情に負けじとアグレッシブな音楽が展開されている。タイトルにある1725年は、フリードリヒ大王のフルート教師を務めたことでも歴史にその名を刻む名フルート奏者クヴァンツが、A.スカルラッティに会うためにナポリを訪れた年。クヴァンツは1月から3月までナポリに滞在、フルート(リコーダー)の魅力をナポリの人々に広めるべく努めた。1725年以前、ナポリでは声楽作品が非常に盛んで、リコーダー音楽はそれほど多く残されていないが、この1725年を境に、リコーダー音楽も多く書かれるようになった。これは、クヴァンツのナポリ訪問が大きなきっかけになったと考えられる。このCDに収録されている楽曲も、1725年前後の楽譜に基づいている。リコーダーという楽器の魅力を、歴史的にも興味深い切り口で鮮やかに提示してくれている力作。
 #初回プレス分にはボーナスDVDが付いていましたがレーベル&代理店で完売し、再プレス分からはCDのみとなりました〔品番等は変更無し〕。DVD付き商品を指定しての御注文はお受け出来ませんので御了承下さい。
HMC-902136/37
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ポール・ルイス〜シューベルト (Vol.3)
 幻想曲 ハ長調「さすらい人」D.760 /即興曲集 Op.142 D.935/楽興の詩 Op.94 D.780 /
 ピアノ・ソナタ第16番 イ短調 Op.42 D.845/アレグレット ハ短調 D.915
  ポール・ルイス(P)
 録音:2012年2月。ブレンデルの愛弟子で、次代巨匠の強力候補として高い注目を集めているポール・ルイスによるシューベルト、ソナタ第19番〜第21番(HMC-901800)、ソナタ第15番・第17番・第18番(HMC-902115)に続く第3弾。早くも「世界最高のシューベルト弾き」との声も高いほどの素晴らしさ。柔らかく均質なレガート奏法、聴く人の内面を深く穿つ弱音の響き、透明感のあるピアノの優しい音色とともに、一人真摯に聞き入るアルバム。今回はソナタ第16番ほか、これまでの来日公演でも絶賛された作品の数々を収録。メジャー作と共に、演奏機会が少なめな小品アレグレットを組み込んでいるあたり、ルイスのこだわりが感じられる。
 銀座の王子ホールで2011年より行っている好評のシューベルト・チクルスが2013年2月にいよいよ最終公演を迎えるのを前に、注目必至。最終公演では、最晩年のソナタ3作を予定しているルイス、今後も注目必至のアーティスト。
Moto perpetuo 〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 〔第12番 変イ長調「葬送ソナタ」Op.26 /第22番 ヘ長調 Op.54 /
  第17番 ニ短調「テンペスト」Op.31 No.2 /第27番 ホ短調 Op.90 〕
   ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2011年12月、テルデックススタジオ、ベルリン。ダニエル・バレンボイムやハーディング、メータといった巨匠たちと次々共演を果たし、今や母国スペインだけに収まらない世界的な注目を集め、日本へも2009年以降、ほぼ毎年公演を行っている若手ピアニスト、ハビエル・ペリアネス〔国内招聘元表記:ハヴィエル・ペリアネス〕。ファリャやモンポウなど故郷スペインの作曲家に焦点を当てた意欲的なアルバムを相次いでリリースしてきたが、今回は、2007年の初来日公演でも高い評価を得たベートーヴェン。彼の持ち味といえばやはり哀愁と翳りを含んだ弱音の流麗な響き。シューベルトのピアノ作品集 (HMI-987080) でも魅せた、心まで吸い寄せられてしまうえもいわれぬ深みを湛えた極上のピアニッシモは今回も健在。特に第12番「葬送ソナタ」の第3楽章、そして「テンペスト」の第3楽章はペリアネスの持ち味炸裂の美しさ。是非とも静かな環境でじっくりと聴き入って頂きたい。このアルバムには Moto perpetuo 〔無窮動〕という副題がつけられており、4曲とも終楽章が無窮動様式で書かれている。といっても、「テンペスト」のように非常に速い動きのものもあれば、Op.90 の 終楽章(第2楽章)のようにゆったりとした流れの中に隠れたものもある。様々な感情の起伏をも巧みに盛り込んだベートーヴェンの手腕に、あらためて感嘆する1枚。
HMM-932139/40
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シューベルト歌曲集 Vol.6(完結編)
 〜エッシェンバッハ独奏のソナタ21番付
 「白鳥の歌」(全15曲)D.957(「秋」D.945追補版)/
 ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960
マティアス・ゲルネ(Br)
クリストフ・
 エッシェンバッハ(P)
 録音:2010年2月、2011年1月、ベルリン|初出・旧品番: HMC-902139/40 | (P) 2012 (C) 2018 。 2007年より収録開始、バリトン界屈指のリート歌手ゲルネと豪華な伴奏陣とのアンサンブルが好評のシューベルト・エディションも、今回を以て完結。伴奏者には第3集(HMC-901995)でも強烈な存在感を放っていた名匠エッシェンバッハが満を持して再登場、個性派二人のアンサンブルは今回も聴き応え十分。軽快な「春のあこがれ」、重々しくも美しい「海辺で」など、様々な曲調の歌曲が一つに詰まった「白鳥の歌」では、ゲルネの巧みな表現力と艶やかな歌声に圧倒される。特に「海辺で」や「遠い国で」などでは、重めのテンポでたっぷりと美声を堪能出来る。今回はさらに、エッシェンバッハによるピアノ・ソナタ第21番も収録。49分を越える壮大な演奏で、エッシェンバッハの思い入れたっぷり。知的個性派二人による名演でシューベルト最晩年の傑作の数々を堪能できる、シリーズを締めくくるにふさわしい名盤と言えるだろう。
シューベルト:歌曲集 Vol.7〜「魔王」
 夕映えの中 でD.799 /さすらい人 D.493 /夜咲きすみれ D.752 /森にて D.834 /ノルマンの歌 D.846 /
 精霊の踊りD.116 /宝堀り人の願い D.761 /月に寄せて D.259 /魔王D.328 /湖のほとりで D.746 /アリンデD.904 /
 反映 D.949 /鱒 D.550 /流れ D.693 /夕焼け D.690 /嘆き D.415 /川 D.565 /漁夫の歌 D.881 /ブルックの丘で D.853

  マティアス・ゲルネ(B) アンドレアス・ヘフリガー(P)
 録音:2012年1月、ベルリン。現代最高のリート歌手の一人マティアス・ゲルネによるシューベルト・エディション第7弾。今回は「魔王」「鱒」を含む内容で、ゲルネの艶やかな声と巧みな表現力が十二分に発揮された1枚。冒頭の「夕映えの中で」は静かに美しく心に響く美声を聴かせ、「魔王」では魂のこもった歌唱と情感溢れる表現力で圧倒し、懐の深さを感じる味わい豊かな歌声で聴かせる「鱒」など、シューベルトを歌い込んできたゲルネならではの表現力を堪能出来る。また豪華な伴奏陣が話題となっているこのシリーズ、このアルバムではアンドレアス・ヘフリガーが担当。スイスの名門音楽一家に生まれ、世界の名立たるオーケストラと共演しソリストとしてはもちろん、タカーチQ や東京クァルテット、そして彼の妻でフルート奏者のマリーナ・ピッチニーニなど室内楽方面でも多数共演し、その実力は高く評価されている。
ショスタコーヴィチ:チェロ作品集
 チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 Op.107 (*) /
 チェロとピアノのためのソナタ ニ短調 Op.40 (#) /
 チェロとピアノのためのモデラート
エマニュエル・ベルトラン(Vc)
パスカル・アモワイヤル(P)
パスカル・ロフェ指揮
BBCウェールズso.
 録音:2012年1月、BBCホディノット・ホール(*) /2012年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン(#)。フランスの女流チェリスト、エマニュエル・ベルトランによるショスタコーヴィチのチェロ作品集。天才ロストロポーヴィチのために作曲され、凄まじい高度なテクニックを必要とするチェロ協奏曲第1番。彼女は驚くべき緊張感で見事この難曲を構築している。また情感溢れる旋律がロマン的なチェロ・ソナタ。哀愁たっぷりのベルトランの演奏で濃厚に聴かせる。チェロのためのモデラートは抒情的で感傷的な短い曲で、ショスタコーヴィチの死後に手稿が発見されチェロ・ソナタと同時期に書かれたとみられている。ベルトランのテクニックが惜しげもなく披露され、また濃厚な音色が印象的なアルバムとなっている。
アンドレアス・シュタイアー〜 ...pour passer la mélancolie
 フローベルガー:組曲第30番 イ短調 / ダングルベール:「オルガンのための種々のフーガ」〜基礎のフーガ イ短調
 J.C.F.フィッシャー:「音楽のパルナッソス山」組曲「ウラニア」 ニ短調 より〔トッカータ/パッサカリア〕
 ルイ・クープラン:組曲 ヘ長調 / ダングルベール:「クラヴサン小品集」より〔プレリュード/
                     シャンボニエール氏のトンボー/シャコンヌ ロンドー イ長調〕
 J.C.F.フィッシャー:「音楽のアリアドネ」〜リチェルカーレ「イエスが十字架にかけられしとき」
 クレランボー:「クラヴサン曲集第1巻」〜組曲 ハ短調
 ゲオルク・ムッファト:「オルガン音楽の練習」〜パッサカリア ト短調
 フローベルガー:皇帝フェルディナント4世陛下の悲しい死に寄せる哀悼歌

  アンドレアス・シュタイアー(Cemb)
 録音:2012年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。使用楽器:17世紀末フランス製クラヴサン“Anonyme Collesse " (2000-2004年、ロラン・ソマニャック)。鍵盤奏者として確固たる地位を築く名手アンドレアス・シュタイアー、2012年にリリースされたベートーヴェン「ディアベッリ変奏曲」(HMC-902091)での名演も記憶に新しいが、今回はファン必見のオール・チェンバロ・プログラム。17世紀のフランス&ドイツ・バロックの鍵盤作品を対象に、特にトンボーや哀悼歌など「憂鬱(メランコリア)」あふれる作品に焦点を当てたアルバム。近年はより深みのある音色と表現に磨きをかけてきているシュタイアー。本アルバムでも期待を裏切らぬ素晴らしい演奏で魅せてくれる。今回のプログラムについて、「『トンボー』や『嘆き』はフランスのリュート音楽において典型的な様式だが、クラヴサン奏者のレパートリーとしても等しく重要なの」と語ったシュタイアー。フローベルガーやダングルベールといった初期バロックの作品から、クレランボーやムッファトなどの後期バロック作品に至るまで幅広く収録しており、たっぷりとバロック・メランコリーを堪能するアルバムとなっている。フィッシャーのリチェルカーレ「イエスが十字架にかけられしとき」やムッファトの「パッサカリア」など、オルガン作品をチェンバロで演奏しているところにも注目されよう。時のヨーロッパにおいては、「憂鬱」という言葉には「瞑想」のイメージが多く含まれていたそうで、本アルバムに収録されている作品も、全体的に「瞑想」という言葉がしっくりくるような落ち着いた曲調の作品が目立つ。とはいえ、決して暗く沈みこんだ雰囲気に徹することがないのは、シュタイアーの緩急鮮やかな表現力が成せる業。音の響きの重みはそのままに、ドイツとフランスそれぞれの響きをしっかりと表現し分けているところも名手の面目躍如といったところだろうか。バッハの「ゴルトベルク変奏曲(HMC-902058)」でも絶賛された、明瞭な音捌きと圧倒的な響きの厚みは今回も健在。まさに骨太の演奏に定評のあるシュタイアーの魅力の真髄に聴き入るにぴったりのアルバム。
ハイドンスコットランド歌曲集 + ピアノ三重奏曲
 ピアノ三重奏曲第27番 ハ長調 Hob.XV: 27 /リー・リグ Hob.XXXIa: 31bis /モラグ Hob.XXXIa: 143bis /
 眠っているの? 起きているの? Hob.XXXIa: 157 /おお、かしこき勇敢なウィリー Hob.XXXIa: 227 /
 それは暗い真夜中のときだった Hob.XXXIa: 31bis / Jenny's Bawbee Hob.XXXIa: 252 /メリーの夢 Hob.XXXIa: 1bis /
 夜に喪服を着て Hob.XXXIa: 219bis /ウィリアムとマーガレット Hob.XXXIa: 153 /ある小娘がいた Hob.XXXIa: 4bis /
 ベッシー・ベルとメリー・グレイ Hob.XXXIa: 38 /孤立した谷 Hob.XXXIa /彼女は私の恋人だが小娘だ Hob.XXXIa: 194

 ヴェルナー・ギューラ(T) クリストフ・ベルナー(Fp; Collard & Collard )
 ユリア・シュレーダー(Vn) ロエル・ディールティエンス(Vc)
 録音:2012年3月、ライトシュターデル、ノイマルクト。なお、ピアノ三重奏曲は楽章毎に歌曲間へ収録されている(代理店は『ハ短調』と記載しているが、誤記と思われる)。ハイドンは、「エア」と呼ばれるスコットランドの伝統的なメロディに新しい伴奏を付け、時にオブリガート・ヴァイオリンや通奏低音などを加え、約375曲編曲した。どれもハイドンらしいウィットに富んでいるが、今日では殆ど演奏されない。ハイドンは、1791から1795年にかけて2度イギリスを訪れ、交響曲「ロンドン・セット」などの傑作を書いたが、このころにスコットランドの伝統的なエアにも出会ったと考えられる(スコットランドの伝統的な音楽には、古くはパーセルやC.P.E.バッハも影響を受けており、特有のリズムや旋律を取り入れた作品を残している)。はじめの100曲は当時深刻な経済危機にあった印刷会社を助けるために無料で提供、1792年に出版された。この盤におさめられているのは、そのあと、1800-1804年にかけて手がけられた、より意欲的な編曲コレクションからの物。この編曲の大部分を依頼したのはジョージ・トムソン(1757-1841)。アマチュア音楽家で、退職したあとはスコットランドのエアの楽譜を出版していた人物。ハイドンは四季などを作曲していたころで、まだまだ彼の書く力も権力もピークにあったころ。ハイドンはそれぞれのエアを腕によりをかけて編曲している。なお、エアから歌曲へと編曲される場合、その歌詞の内容も変えられることが一般的だったが、ハイドンは依頼されたときにそれぞれのエアにどのような新しい歌詞がつけられるかわからないまま作曲したものもあったそうだが、こうした歌曲の歌詞は、良家のサロンで演奏されるにふさわしい適度にセンチメンタルな内容のものが多いため、特に問題はなかったと考えられる。古くから多くの作曲家たちを魅了したスコットランドの伝統的な旋律を、ハイドン流の楽しいしかけいっぱいの編曲でたのしめる1枚。
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043 /
 ヴァイオリン協奏曲〔ホ長調(第2番)BWV1042 /イ短調(第1番)BWV1041 〕/
 3つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 BWV1064R (*)
  ぺトラ・ミュレヤンス、ゴットフリード・フォン・デア・ゴルツ(Vn)指揮
  フライブルク・バロックo. アンネ・カタリーナ・シュライバー(Vn;*)
 録音:2012年4月、パウルス・ザール、フライブルク。フライブルク・バロックo.によるバッハのヴァイオリン協奏曲集。バッハはヴァイオリンによる協奏曲を3曲残しており、ここではそれに加えてチェンバロ協奏曲から編曲した合計4曲が収録されている。第1番の協奏曲は威厳に満ちた音楽で宗教曲のような崇高さを感じられる曲。第2番は対照的に明るい曲調で愉しさに溢れている。そして2つのヴァイオリンのための協奏曲は、対位法を駆使した2つのヴァイオリンと合奏の3者の掛け合いが魅力的な作品。フライブルク・バロックo.の演奏は、バッハの溌剌としたリズムや楽器間の精緻なアンサンブルが見事で、特に緩徐楽章は、伸び伸びと表現され軽やかに愉しげに演奏されている。フライブルク・バロックo.のヴァイオリンの名手たちの鮮やかな技巧が冴え、バッハの音楽と向き合った充実した演奏を聴かせてくれる1枚。
ファウスト&ハーディング〜
 バルトーク
(1881-1945):ヴァイオリン協奏曲集
  〔第1番 Sz.36 /第2番 Sz.112 〕
イザベル・ファウスト(Vn)
ダニエル・ハーディング指揮
スウェーデン放送so.
 録音:2012年4月、ベールヴァルド・ホール、ストックホルム。使用ヴァイオリン:ストラディヴァリウス、1704年製「スリーピング・ビューティ」。人気・実力とも急上昇中のヴァイオリニスト、イザベル・ファウストによるバルトークのヴァイオリン協奏曲が登場、バックもブラームスで共演したハーディング&彼が音楽監督を務めているスウェーデン放送so.という最強の布陣。ライナーノートはファウスト自身の筆によるもので、特に第1番については曲の背景やファウストが見つけた事実などが述べられているという。バルトークはファウストの魅力が炸裂する作曲家の一人で、デビュー盤&その続編もバルトーク作品集だった(現役盤:HMG-508334/35)。デビュー盤は、新人としては異例の「グラモフォン」エディターズ・チョイス、1997年度グラモフォン賞に輝き、世界を驚かせた。第1番は、バルトークが26歳の頃に書かれた物。当時熱い思いを寄せた女性ヴァイオリニスト、シュテフィ・ガイエルに献呈されたが、一度も演奏されないままに、彼女もバルトークの死後10年ほどでこの世を去ってしまい、ふたりの死後しばらくしてからこの作品の存在が知られることとなった、遺作。ファウストはこの録音にあたり、草稿など様々な資料にあたり、バルトーク自身による書きこみなどを発見。バルトークの思いを可能な限り汲んだ力演を聴かせている。冒頭の長七の和音を静かに上行する4つの音からなる音型は、シュテフィ・ガイエルをあらわすモティーフ。ファウストが奏でる内省的な音色から、一気に世界に引き込まれる。ハーディング率いるオーケストラとのアンサンブルも緊張感に満ち、見事。第2楽章のゆるやかに上下行をくりかえす旋律を奏でるオーケストラの微妙な揺れと、ファウストが奏でる旋律が絶妙に融けあう様は息をのむほど美しく、官能的ですらある。終盤で聴かれるドイツ民謡の引用は、バルトークがこの作品を書いた1907年の夏、ガイエルと二人で休暇を共に過ごした時に聴いた物。しかしつかの間の平穏な雰囲気は霧散し、最後は緊張感のあるクライマックスを迎える。この作品が完成した2日、後、二人の関係は終った。にも関わらずバルトークはこの作品を彼女に献呈、作品ページ冒頭には、別れの挨拶が、そして最後には哀しみのメッセージが書かれている。こうした作品成立の背景を考えながら聴くと、また一層の味わいがある。第2番はバルトークの中期、最も創作的に充実していた時期に書かれた物。ハンガリー民謡的な旋律、抒情的な旋律、五音音階から十二音技法、さらには四分音まであらわれる、多種多様の素材が見事に融合・構築され、高度の集中を要求するこの作品には、バルトークのすべてが詰まっているといっても過言ではないだろう。激しいクライマックスで締めくくられる第1楽章、様々に変容する旋律でファウストの美しい音色が官能的に輝く第2楽章、そして野性味すら感じさせる力強いリズムに満ちた第3楽章まで、緊張感に満ちたファウストのソロと、ハーディング率いるオーケストラとのアンサンブルが見事に弾き切っている。幼いころから室内楽に親しみ、アンサンブル能力にたけたファウストだからこそ実現できる演奏といえるだろう。ファウストとハーディングによるバルトーク。今もっとも活躍する音楽家たちによる注目盤。
ベザイデンホウト〜モーツァルト
 ピアノ協奏曲〔第17番 ト長調 K453 /第22番 変ホ長調 K482 〕/ロンド イ長調 K386
  クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
  フライブルク・バロックo.〔ペトラ・ミュレヤンス(コンサートミストレス)〕
 録音:2012年5月、アンサンブルハウス、ブライブルク(代理店記載ママ)。使用楽器:ポール・マクナルティ、ディヴィソフ、チェコ共和国、2009年( Anton Walter & Sohn、ウィーン、1805 モデル)。フォルテピアノの申し子、天才ベザイデンホウトによるモーツァルトのピアノ協奏曲集の登場。ベザイデンホウトといえばこれまでにモーツァルトのソロ作品集を3枚リリース、そのどれもが高い評価を得ているが、今回は協奏曲での登場。管弦楽を務めるのは、古楽界のBPOとも称される名人集団フライブルク・バロックo.。ベザイデンホウトの奏でる装飾の巧さ、カデンツァでの神がかり的な美しさと創造性、そしてオーケストラとの掛け合いの妙。どこをとっても、うれしい驚きに満ちた素晴らしい1枚の登場。ベザイデンホウトが興味深い録音ノートを寄せている。まず、配置に関して、「フォルテピアノが真ん中に、管楽器がピアノ奏者と向かい合うかたちで一列に、弦楽器はピアノ奏者の背後を含め周りを囲うかたちで配されている。これにより、管楽器の音色が前面に出、さらに、ピアノと管楽器間のより自然で活き活きとした対話が可能となった。これにより、時折出会うような、いわゆるピアノ前面型の演奏から、E.T.A.ホフマンが言ったような、オブリガート・ピアノを伴う交響曲になった。ピアノは、ソロと通奏低音の両方を担当し、オーケストラの豪華なサウンドの中を自在に駆け回り、時には前面に出、時には伴奏にまわる。」と述べており、実に素晴らしいアンサンブルもじっくりたのしめる演奏となっている。また、「モーツァルトが即興の名手であったことはよく知られており、ピアノ・パートには明らかに装飾をして演奏しなければならない部分があるが、ということは、オーケストラにもやはりそうした部分があるのでは、と考えた」ということで、今回管楽器奏者の奏でる美しい旋律にもそこかしこに通例とは異なる表現が!時にはセッション中に実際に即興された部分もあるということ。あまりの美しさに思わずハッとしてしまう瞬間に満ちている。協奏曲の前奏から思わず胸がときめくようなオーケストラの巧さ、その合間にベザイデンホウトがさりげなく入れる通奏低音のセンスのよさ、もちろんベザイデンホウトのソロの素晴らしさ、そこかしこにちりばめられた天才的なひらめきに満ちた装飾音、17番第2楽章での仰天のカデンツァなど、聴きどころの瞬間に満ちた1枚。
HMC-902148
廃盤
ジャン=ギアン・ケラス
 エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85
 ドヴォルジャーク:
  ロンド Op.94 /森の静けさ Op.68 No.5
 チャイコフスキー/フィッツェンハーゲン改訂版:
  ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 Op.33
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
イジー・ビエロフラーヴェク指揮
BBCso.
KKC-5327
廃盤
プーランク(1899-1963):スターバト・マーテル/テネブレの七つの応唱
 キャロリン・サンプソン(S) ダニエル・ロイス指揮
 カペラ・アムステルダム、エストニア・フィルハーモニー室内cho.
 録音:2012年6月。プーランクの輝かしいハーモニー感覚が冴えわたる2作品。1949年、画家クリスティアン・ベラールが亡くなった。彼は当時のパリの中心的芸術家のひとりで、コクトーの映画や舞台の美術なども手掛けた人物で、プーランクの友人でもあった。プーランクは彼の死に際しレクイエムを書く予定だったが、このジャンルがあまりに大掛かりすぎると考え、友人の魂をなぐさめるための祈りの心を、聖母マリアに向けて作曲することにした。ソプラノ・ソロと混声合唱のためのスターバルは、なんといっても素晴しく書かれた合唱パートが特徴。ソプラノ独唱の楽章でも、合唱も非常に重要な役割を果たしている。合唱も充実しているがソプラノ・ソロの美しさも格別で、バッハ・コレギウム・ジャパンでもおなじみのキャロリン・サンプソンがソロを務めているのはうれしいかぎり。テネブレの7つの応唱は、1959年12月、バーンスタインからの委嘱(NYPのための作品)を受けて書かれた物。ボーイSと男声合唱のために書かれたもの(現在は混声合唱で演奏されることがほとんど。この録音も混声合唱による演奏)で、プーランク自身の投影でもある少年(ボーイS)が受難や死という運命について思い悩む姿を中心に作品は進行していく。プーランクならではの鮮やかな光を感じさせる和声感は圧巻。最高のハーモニーでプーランクを味わえる1枚。
アルバン・ベルク(1885-1935):抒情組曲(弦楽合奏版/全6楽章)
 〔第2、3、4楽章:ベルク編曲/第1、5、6楽章:テオ・ファーヴェイ編曲(*) 〕
シェーンベルク(1874-1951):浄夜 Op.4(弦楽合奏版)
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc) アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2013年6月、9月、フリードリヒ・エーベルト・ハレ、ハンブルク。(*)は世界初録音。近年日本での人気も急上昇中のチェリスト、ジャン=ギアン・ケラス。エルガーで魅せた真摯で熱きソロ、アルカント・カルテットの活動も注目されるが、この度、若き音楽家によって結成されたアンサンブル・レゾナンツをリードしての弦楽合奏作品の録音に臨んだ。アンサンブル・レゾナンツは、2002年にハンブルクで結成され、古の時代の巨匠、そして現代の巨匠による音楽を組み合わせたプログラムで活動を展開し、特に最近は近代の弦楽作品の普及に取り組んでいる。2010から3年間にわたり、ケラスがアーティスト・イン・レジデンスを務めた(13年からはヴィオラのタベア・ツィンマーマンが後任している)。この録音は、3年間に渡る彼らのコラボレーションの集大成といえるものとなっており、注目。「抒情組曲」は、ベルクが当時激しく恋をしていたハンナ・フックスへの思いが込められたもの(ハンナは人妻だったが)。ベルクは彼女に「この思いを表現するためには歌が最適だと思うが、言葉は私を裏切りかねない、なので、歌詞‐ ‐ ‐ この歌詞は、特定の人、あなただけにしかわからないもの‐ ‐‐のない歌になるだろう。弦楽四重奏曲の形をとるだろう。」と述べている。この作品は、Hanna Fuchsの頭文字HとF 、Alban Bergの頭文字AとB 、といった要素が鍵となって構築されており、ベルクのハンナ・フックスに対する熱き思いに満ちた音楽となっている。この演奏も、火花が散るような情熱に満ちている。抒情組曲はもともとは弦楽四重奏のための作品だが、出版社からの「弦楽合奏のための編曲を」というリクエストにより、ベルクは2、3、4楽章を弦楽合奏版に編曲している。この弦楽オーケストラ版による第2、3、4楽章は、1929年1月31日にホーレンシュタインの指揮で初演され、好評を博した。2006年に、オランダの作曲家テオ・ファーヴェイ(1959-)(ベルク:ピアノ・ソナタを管弦楽のために編曲、シャイー指揮コンセルトヘボウ管が演奏したことでも話題となった)が、ベルクが編曲をしなかった第1、5、6楽章を弦楽オーケストラ版に編曲、2010年にケラス率いるアンサンブル・レゾナンツがフランス初演した。全曲版としては世界初録音となる。続く「浄夜」も、マティルデ・フォン・ツェムリンスキーに、オフィシャルにではないが献呈されたもの(ツェムリンスキーの妹で、後にシェーンベルクは彼女と結婚する)。ベルクの「抒情組曲」同様、作曲者の女性に対する「愛」を秘めていると言えるだろう。デーメルの詩「浄夜」(月下での男女の語らいの詩)に基づいた、うねる旋律と半音階技法を多用した濃密な和声が織り成す官能性たっぷりの音楽。ケラス率いる弦楽合奏の演奏は、表現の振幅も感情の起伏も非常に豊か。名曲にまたひとつ名録音が生まれた。
メンデルスゾーン(1809-1847):交響曲第2番 変ロ長調「賛歌」 Op.52
 クリスティアーネ・カルク、クリスティーナ・ラントシャメル(S) ミヒャエル・シャーデ(T)
 パブロ・エラス=カサド指揮バイエルン放送so. &cho.
 録音:2012年6月、フィルハーモニー・アム・ガスタイク、ミュンヘン。パブロ・エラス=カサドの HMF 第2弾は、バイエルン放送so. との大曲、メンデルスゾーンの交響曲第2番。第2番交響曲は1840年6月、印刷術の発明者グーテンベルク400年記念祭のために作曲されたもので、行事の一環としてバッハゆかりのトーマス教会で初演された。3楽章のシンフォニア(交響曲)と、続く9曲のカンタータ部分からなる、演奏時間約70分の、メンデルスゾーンの才と、神々しいような輝かしさに満ちた大曲。冒頭に現れる勝利的な主題が高らかに奏でられ、3楽章の活き活きとした交響曲部分が始まり、その後、合唱を中心としたカンタータ部分へと続く。カンタータ部の第7曲コラールの冒頭、八声部無伴奏合唱で演奏されるルター派のコラールは非常に印象的で(バッハもこのコラールを用いてカンタータBWV9、192を書いている)、管弦楽が加わってますます世界は広がっていく。終曲は大規模な合唱フーガで、冒頭に現れる勝利的な主題が高らかに奏でられるなか、感動的なフィナーレを迎える。エラス=カサドの指揮は非常にふくよかな音作りで、ひとつひとつのフレーズをやわらかに導く。それでいて作品のもつ祝祭的な雰囲気をそこなうことは全くない。歌唱陣も、ヤンソンス率いるバイエルン放送so. の第九公演でもソロを務めたカルクとシャーデ、また、シャイーのマタイ受難曲に賛歌しているラントシャメルと充実の顔ぶれ。ドイツ最高峰のオーケストラ、バイエルン放送so. の厚みとやわらかさを兼ね備えた堅固なアンサンブル、美しい合唱、すべてが混然一体となって、最高のメンデルスゾーンの世界が展開されている。
ブラームス:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op.51 No.2 /クラリネット五重奏 ロ短調 Op.115
 エルサレムSQ シャロン・カム(Cl)
 録音:2012年6月、ベルリン。若き実力派カルテット、エルサレム四重奏団と、イスラエル出身の天才女流クラリネット奏者シャロン・カムによるブラームス。エルサレム四重奏団は、完璧なテクニックと強固なアンサンブルはもちろんのこと、音楽に寄り添った表現に徹した真摯な演奏。そしてシャロン・カムの伸びやかな歌い方、洗練された音色が音楽に深みを与えている。
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 交響曲「Nähe fern 〔近くと遠く〕 」(2012) /たそがれは空より降り(*)
  ハンス・クリストフ・ベーゲマン(B;*) ジェイムズ・ガフィガン指揮ルツェルンso.
 録音:2012年6月。戦後ドイツを代表する作曲家で、多作家として知られるヴォルフガング・リームの新作は交響曲。ルツェルンso.とルツェルン音楽祭からの委嘱作品で、2012年8月20日にルツェルン音楽祭で全曲初演された。4つの部分からなる作品で、ブラームスの4つの交響曲へのオマージュとなっている。リームはすでにブラームスへのオマージュとして何作品か作曲しており、ルツェルン音楽祭側がブラームスとリームのチクルスを計画し、作曲を依頼することとになった。アルバムには、ブラームスも作曲したゲーテの詩による歌曲「たそがれは空より降り」をリームによるバリトンとオーケストラ伴奏で交響曲第2部の前におかれている。
シューベルト(1797-1828):交響曲集〔第3番 ニ長調 D200 /第4番 ハ短調 D417「悲劇的」〕
 パブロ・ヘラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.[コンサート・ミストレス:ペトラ・ミュレヤンス
 録音:2012年7月、アウディトリウム・マヌエル・デ・ファリャ、グラナダ。注目指揮者ヘラス=カサドが、「古楽界の BPO 」とも称されるフライブルク・バロックo.を振ったシューベルトの初期交響曲。パブロ・ヘラス=カサドは1977年グラナダ生まれ。2007年にルツェルン音楽祭の指揮者コンクールで、現代音楽の解釈でとりわけ高い評価を受け優勝。ブーレーズの招きでフェスティヴァル・アカデミーを2 度指揮している。2009年にはサントリー音楽祭のシュトックハウゼン「グルッペン」公演の指揮で来日、話題となった。2011年5月には細川俊夫の新作オペラ「松風」を世界初演し世界の注目を集めたほか、10月にもBPOにデビュー、2012年からはニューヨークのセントルークスo.首席指揮者に就任している。これまでに、シカゴso.、サンフランシスコ響、バイエルン放送so.、フライブルク・バロックo.、マリインスキー劇場管、コンセルトヘボウ、BPOなどといった名だたるオーケストラのほか、ベルリン・ドイツ・オペラなどでも活躍。2013/14シーズンは、11-12月、メトロポリタン歌劇場で「リゴレット」を指揮してのデビュー、2014年にはNYPのデビューも決まっている。非常に歯切れのよいリズム感覚と、情景感たっぷりながら見通しのよい音楽、そしてバロックから現代音楽、オペラから交響曲まで幅広く柔軟、そして的確な指揮ぶりで、世界を席巻している。第3番は1815年7月、シューベルトが18歳の頃に作曲された物。第1楽章の堂々たる幕開けで轟くティンパニ、続いて管楽器で奏でられる第1主題など、カサドの絶妙のテンポと各楽器のエッセンスの効かせ方が実に巧み。FBOの巧さも冒頭からひしひしと実感出来る。第2楽章は、管楽器と弦楽器のかけあいもたのしいアレグレット。きびきびとした第3楽章のメヌエットは、リズムの刻みが耳に心地よく響く。終楽章は非常に歯切れよいテンポで、終始ノリのよい雰囲気でさっそうと駆け抜けます。決して前面に出過ぎることはないが、カサドの統率力が光る。第4番は、有名な歌曲「魔王」の作曲から数ヵ月後の、1816年4月27日に作曲された物。1816という年は、シューベルトは音楽教師の職に就くことができなかったり、結婚も諦めたりした試練の年だった。この交響曲は編成も比較的大きく、吹き荒れるホルン(C管2、Es管2)などはFBOで聴くと迫力満点、ピリオド楽器のおもしろさの際立つ演奏となっている。死を宣告するような不吉な和音から、続くアレグロ部も非常にドラマティック。オペラの序曲のような、様々な情景を喚起するような演奏。第2楽章のアンダンテも、美しい旋律が次々と奏でられるなか、独特の緊張感を保っている。第3楽章の突き刺すようなリズムとトリオ部分の典雅なメヌエットの対比も鮮やか。第4楽章も細かな表情付けが見事。オペラも得意とするカサドの歌心、そして抜群のリズム感と音楽の推進力、それにこたえるFBOのうまさが最高のかたちで結実したシューベルトとなっている。
ペルゴレージ:オラトリオ「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」(1730頃-1736頃)
 ソフィー・カルトホイザー(S) クリストフ・デュモー(CT)
 ユリエン・ベーア(T) コンスタンティン・ヴォルフ(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー
 録音:2012年8月、ベルリン。おそらく世界初録音。イエス・キリストが十字架上で語ったとされる7つの言葉。ハイドンやシュッツなど多くの作曲家がこの題材で作品を書いているが、ここに、最近の研究でナポリ楽派の作曲家ペルゴレージによる作品ではないかとされ、2012年7月のボーヌ古楽音楽祭でヤーコプスによって初演、その後録音されたオラトリオが登場。ペルゴレージの傑作「スターバト・マーテル」は亡くなる直前1736年に書かれたが、この作品も1730年頃から1736年頃の間に作曲されたと考えられている。この作品を研究したラインハルト・フェーリング氏は「この作品がペルゴレージの作品であるかどうかは大きな問題ではない。大事なのはここに素晴らしい作品があるという事実だけだ」と、そしてヤーコプスも「このオラトリオを見たとき、私の研究心に火がついた。そしてより詳しい研究により、それを確証した」と言うほど、この作品に魅了され、演奏にとりかかった。それぞれ2つのアリアを含む7つのカンタータで構成されている。均整のとれた楽曲構成と美しいハーモニー、そして巧みな楽器編成は「スターバト・マーテル」に勝るとも劣らない名作。
HMC-802156/58
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(3 HYBRID_SACD
+ DVD [NTSC])
2枚価格
価格帯:B
ヤーコプス〜J.S.バッハ:マタイ受難曲
 〔DVD収録内容:録音風景/ヤーコプスらへのマタイ受難曲についてのインタビュー/他〕
 ヴェルナー・ギューラ(T;福音書家) ヨハネス・ヴァイサー(B;キリスト)
 イム・スンヘ、クリスティーナ・ローテルベルク(S) ベルナルダ・フィンク、
 マリー=クロード・シャピュイ(A)トピ・レーティプー、ファビオ・トゥリュンピ(T)
 コンスタンティン・ヴォルフ(B−Br) アルットゥ・カタヤ(B)
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.、
 Staats-und Domchor Berlin 〔ベルリン大聖堂cho.〕
 録音:2012年9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。DVD仕様: NTSC| 収録時間 約46分|リージョン・オール|日本語字幕無し。ヤーコプスが遂にマタイ受難曲を録音。幼い頃、ボーイ・ソプラノとして演奏に参加したことをはじめ、ヘレヴェッヘ(1984)、そしてレオンハルト(1990)のレコーディングにもアルトとして参加、そして何度もこの作品を指揮してきたヤーコプス。まさに、満を持して世に送り出す、記念碑的録音。「マタイ受難曲」は、2つの合唱と管弦楽のグループを持つ大規模な作品。この初演はトーマス教会で行われたが、教会の構造や記録等を見ても、その時は、ひとつのグループは正面の祭壇のところに、そしてもう片方のグループは、礼拝参列者の後ろの、バルコニーのようなところで演奏されたと考えられる(しかもそれぞれの位置は24メートルほども離れていた)。ヤーコプスは、このレコーディングに際し、合唱を、ソリストも含む24人のPrincipal合唱団と12人のRemote合唱団に分け、配置をこれまでのように左右に置くのではなく、前後に配置している。このことにより、音楽面、音響(録音)面の両方で、素晴しい効果を生んでいる。Principal合唱にはエヴァンゲリストやイエス役のソリストも含まれ、受難の物語にダイレクトに関わり、生々しい描写をしていく。Remoteの方は、たとえば冒頭の合唱曲では「いずこへ?」などのパートを担当、さまよえるような雰囲気を醸成している。管弦楽も同様の割合で分け、これまでにない音世界。ただ、これは当時の演奏を再現しようとするためのものではなく、あくまでもバッハのアイディアを具現化させようという検討と試行錯誤の結果。冒頭合唱が入るまでのオーケストラの前奏から、通奏低音が刻むひたひたとしたリズムに、管・弦楽器が美しく絡む極美の世界。合唱も非常に柔らか。それぞれのアリアも、歌手が歌う言葉ひとつひとつはもちろん、器楽パートにもすみずみまで血が流れているのを感じる。通奏低音も、アルパーマンのオルガン、野入志津子のリュートなど、場面場面に非常に寄り添った音楽。ギューラのエヴァンゲリストも、出過ぎることはないが、物語の起伏に寄り添った語り部ぶりで見事。SACD HYBRIDでオーディオ的にも魅力なのも注目で、今回のレコーディングは演奏陣の配置も注目点なだけに、DVD映像で録音風景を確認できるのもうれしい。
アダージョとフーガ〜 W. A. Mozart after J. S.Bach
 〔 K 番号付きはモーツァルト作曲 or 編曲、K 番号無しは作曲者 or 編曲者不詳〕
 プレリュードとフーガ ニ短調 K.405 No.4 (J.S.バッハ:平均律第2巻第8番 嬰ニ短調 BWV877)/
 ラルゲット・カンタービレ ニ長調&フーガ K.405 No.5 (J.S.バッハ:平均律第2巻第5巻 ニ長調 BWV874)/
 アダージョとフーガ イ短調(J.S.バッハ:平均律第1巻第22番 変ロ短調 BWV867)/
 アレグロ ハ短調 K.Anh.44&2台チェンバロのためのフーガ K.426 /
 アダージョ・カンタービレ&フーガ 変ホ長調(J.S.バッハ:平均律第2巻第7番 変ホ長調 BWV876)/
 弦楽のためのアダージョとフーガ ハ短調 K.546 /
 アダージョとフーガ ホ長調 K.405 No.3 (J.S.バッハ:平均律第2巻第9番 ホ長調 BWV878)/
 アダージョとフーガ ロ短調(J.S.バッハ:平均律第1巻第4番 嬰ハ短調 BWV849)/
 アダージョとフーガ ニ短調(J.S.バッハ:平均律第1巻第4番 嬰ハ短調 BWV849)

  ベルリン古楽アカデミー
 録音:2012年9月13日-15日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ベルリン古楽アカデミー、圧巻の「フーガの技法」(HMC-902064)以来久々のアンサンブルもの。モーツァルト編曲のバッハ作品を中心とした1枚。興味深いのが、平均律の室内楽編曲版。バッハの平均律が出版されたのは1801年のことだったが、モーツァルトは、ヴァン・スヴィーテン伯爵を介して、バッハの平均律の存在を知り、オリジナルの資料にあたっ て平均律を研究、4声体の5つのフーガを2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのために編曲した。これは KV 405 というコレクションの中に収められており、1782年から1783年にかけてヴァン・スヴィーテン伯爵のサロンにおけるマチネーで演奏されたと考えられている。この盤には5曲のうち3曲を収録。プレリュードはバッハの平均律のプレリュードとは必ずしも同じものではないが、すべてモーツァルトによる(と考えられる)もの。K 番号が付されていないものは、オーストリア国立図書館に収蔵されている、モーツァルトと非常に関連が深い(コピストが同じ、など)と考えられるものの、作曲者不詳の楽曲。K.546の弦楽のためのアダージョとフーガは、K.426の2台のクラヴィーアのためのフーガのモーツァルト自身による編曲版だが、一層声部の動きが明瞭で、ベルリン古楽アカデミーの面々の腕も冴えわたっている。天才モーツァルトを介して知るバッハの新しい世界に興味津々の一枚。
ブラームス合唱作品集
 2つのモテット Op.74 〜何ゆえ悩む者に光があたえられたのか Op.74 No.1 /
 間奏曲 Op.119 No.1(P独奏)/5つの歌 Op.104 /運命の歌 Op.54(4手ピアノ伴奏)/
 3つのモテット Op.110 /3つの四重唱曲 Op.31 /祝辞と格言 Op.109
  ダニエル・ロイス指揮カペッラ・アムステルダム
  フィリップ・メイヤーズ、アンゲラ・ガッセンフーバー(P)
 録音:2012年10月。1970年に設立された名門合唱グループ、カペッラ・アムステルダムによるブラームスの合唱作品集。非常にやわらかな空気感で、ひとつひとつのフレーズのすみずみまで行き届いている。
アレンスキー:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.32
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲 イ短調 Op.50「偉大な芸術家の思い出」

 トリオ・ヴァンダラー
  [ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャブディアン(Vn)
   ラファエル・ピドゥー(Vc) ヴァンサン・コック(P)]
 録音:2012年11月1日。1987年結成の円熟著しいベテラン・ピアノ三重奏団トリオ・ヴァンダラー、意外にもチャイコフスキーの名作は初録音。2012年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも披露されたが、これが稀代の名演で、感動のあまり言葉少なく帰る観客が目についた。カップリングがこれまたロシア・ピアノ・トリオの名作アレンスキーの第1番。これほど流麗かつオシャレなアレンスキーは初めてで、あらためて聴き惚れてしまう。全く隙のないアンサンブル、各楽器の難技巧も何なくこなし、さらにアレンスキーとチャイコフスキーの音楽の中にある、フランス的な洗練も憎いまで絶妙に表現。決定盤の登場。
ハイドン:十字架上のキリストの最後の七つの言葉
 カザルスSQ [アベル・トマス・レアルプ、ヴェラ・マルティナス・メーナー(Vn)
        ジョナサン・ブラウン(Va) アルノー・トーマス・レアルプ(Vc)]
 録音:2012年11月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。1997年にスペイン(マドリッド)で結成して以来、ヨーロッパを中心に活躍している弦楽四重奏団、カザルス弦楽四重奏団。ハイドンのこの作品は、スペインの港町カディスの司祭、ホセ・サルーズ博士の依頼で書かれたもので、ハイドン作品の中でスペインと縁のある数少ない作品。カザルス弦楽四重奏団のメンバーは冒頭から、ヴィブラートを極力抑えた音色で、寒気すらおぼえるほどの凄味。キリストが亡くなった後に起こった地震を表現した終曲まで、ただならぬ雰囲気。スペインの俊英によるハイドン、注目盤。
バルトークピアノ作品集
 舞踊組曲 Sz.77 /15のハンガリー農民歌 Sz.71 〜4つの古い悲歌/
 ピアノ・ソナタSz.80 /ルーマニア民族舞曲 Sz.56 /14のバガテル Op.6 Sz.38
  アラン・プラネス(P)
 録音:2012年11月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ジャケットは自画像だと言うプラネスのイラストだが、相当強烈。アンサンブル・アンテルコンタンポランで腕をならしたフランスきってのベテラン、アラン・プラネス。久々の新譜は、彼の表情豊かな音色と精確なリズム感覚、ハーモニーのセンスが光るオール・バルトーク・プログラム。舞踊組曲はもともとは管弦楽曲だが1925年にバルトーク自身がピアノ版に編曲した物。ブダ市とペスト市の合併50年記念式典のために委嘱されたもので、バルトークのほかに、コダーイ、ドホナーニも同じ機会のために作曲している。1908年作曲の14のバガテルは、ハンガリーの民謡とドビュッシーの影響を感じさせる作風の14の小品集。リストやブラームスを思わせる厚い音の曲から、打楽器的な曲、そして不協和音など、バルトークの初期作品ながらバルトークのその後の要素の粋が詰まった意欲作で、プラネスの技巧とハーモニーの把握センスが冴えている。ルーマニア民族舞曲も、エネルギーだけで推し進めるのではなく、鋭く抜群のリズム感覚とハーモニー感覚で、目からうろこの名演奏を聴かせてくれる。「4つの古い悲歌」は、15のハンガリー農民歌の冒頭の4曲。オリジナルの民謡の語りかけるような性格をそのまま保っている作品で、プラネスが表情豊かな節回しで聴かせる。ちなみにジャケットのイラストはプラネス自身による自画像。彼の多才ぶりもまた興味深い1枚。アラン・プラネスは、1948年リヨン生まれ。ジャック・フェヴリエのもとで学んだあと、アメリカに渡り、メナヘム・プレスラー、フランコ・グッリ、ウィリアム・プリムローズらに師事。チェロのシュタルケルのピアニストとしても活躍した。アンサンブル・アンテルコンタンポランでも卓越した音色を聴かせ、ブーレーズ、ベリオ、リゲティ、シュトックハウゼンの作品などで比類なき解釈で現代もののスペシャリストとして世界中から認められる一方、ハイドンから現代もの、見事な色あいのドビュッシーや、フォルテピアノを演奏してのショパンなど変幻自在の才で魅せてきたフランスの名手。
HMC-902164
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…音と香りは夕べの大気の中に漂う
 ショパン:子守歌 Op.57 /練習曲 Op.25 No.1 /バラード第4番 Op.52 /ワルツ第3番 Op.34 No.2 /
      夜想曲第5番 Op.15 No.2 /練習曲第1番 Op.10 No.1 /舟歌 Op.60
 ドビュッシー:月の光/練習曲第11番「アルペジオのための」/前奏曲集第1巻〜音と香りは夕べの大気の中に漂う/
     レントよりも遅く/前奏曲集第1巻〜デルフォイの舞姫/前奏曲集第2巻〜月の光がそそぐテラス/喜びの島
 ・ボーナスDVD:ジュセプ・モリナ監督「二人の絶対の探究者たち」
   〔ショパン:子守歌/ドビュッシー:月の光/イヴァン・ノンミックによるペリアネスへの7分半のインタビュー〕

  ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2012年11月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ボーナス DVD 仕様:NTSC|字幕:仏英独西 。日本でも人気が上昇中のスペインのピアニスト、ハビエル・ペリアネス。当アルバムはピアノ音楽ファン注目の試み。ショパンとドビュッシーはピアノの表現と技巧を革新させた大天才で、後世に多大な影響を与えた。ドビュッシーの最初のピアノの師はショパンの弟子だったため、孫弟子にあたる。彼は師を通じてショパンの精神やエッセンスを受け継ぎ、それが後の作品に反映されているとし、いろいろな作品を対比して示している。ショパンの「子守歌」とドビュッシーの「月の光」はともに 変ニ長調で書かれ、描写的ながら人間の心理の変化を絶妙に描いている点が共通。練習曲のうち「エオリアン・ハープ」と「アルペジオのための」は共通する技巧克服のための共通点と相違点を示し、さらにドビュッシー作品がショパンに捧げられていることも示唆する。ショパンの「バラード第4番」とドビュッシーの「音と香りは夕べの大気の中に漂う」は前者がミツキエヴィチ、後者がボードレールの詩からインスパイアされたもので、文学作品の音楽化の方法、両者のワルツの捉え方、前奏曲第1番に現れるソックリなフレーズ、 嬰ヘ長調という調性を用いて夜を描く際の感覚、船と波のきらめきの共通性を示すなど、目から鱗の70分。ボーナスDVD付。「子守歌」と「月の光」全曲と、音楽学者ノンミックが、このアルバムのコンセプトについて約7分半ペリアネスと語っている。日本語字幕は付いていない。
HMC-902165/66
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(2CD)
1.5CD価格
シューベルトピアノ・ソナタ集
 〔第14番 イ短調 D.784 (*) /第19番 ハ短調 D.958 (*) /第20番 イ短調 D.959 /第21番 変ロ長調 D.960 〕
 ポール・ルイス(P)
 録音:2013年3月-4月(*)、2002年9月(無印)、テルデックス・スタジオ、ベルリン。旧・HMC-901800 (無印) に1枚分2曲を追加しての再発売。(*)はCDデビュー録音でも同一の2曲で録音(HMN-911755→HMA-1951755)しており、約12年ぶりの再録音。ポール・ルイスのシューベルト後期ソナタ集。1823年に作曲の第14番、亡くなった1828年の第19番、そして旧録の第20、21番(いずれも1828年)という組み合わせ。再録音の2曲は、清冽で健康的な音色、自然な音楽運びでありながら、聴き手の目の前に描かれていくのはシューベルトの心の世界。時に希望の光がさすものの、シューベルトの心の奥底の絶望感までもが浮き彫りにされているような壮絶さもあわせもつ演奏。ポール・ルイスのシューベルト観がますます研ぎ澄まされていることを感じさせる。2002年録音の2曲は、あらためて聴いてみると音色の清冽さは同じだが、(*)の壮絶な世界の後に聴くと少しほっとするような平和で健康的な印象。
C.P.E.バッハ(1714-1788):
 マニフィカト Wq.215 (1749) /モテット「聖なる神よ」Wq.217 (1776) /交響曲 ニ長調 Wq.183-1 (1780) (#)
  エリザベス・ワッツ(S) ヴィープケ・レームクール(A)
  ローター・オディニウス(T) マルクス・アイヒェ(B)
  ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
 録音:2013年1月、イエス・キリスト教会(無印)、2011年11月、テルデックス・スタジオ(#)、以上 ベルリン。1786年4月9日、C.P.E.バッハは、ハンブルクで、自身の代表作3曲を盛り込んだチャリティーコンサート(貧しい人々への無償医療を支えるためのもの)を指揮し、冒頭は父の書いた ロ短調ミサ曲の「クレド」、ヘンデルのメサイアよりハレルヤとアリア、そして後半に自作3作品を演奏した。その3作品を収めたのがこのCD 。マニフィカトは、自身が、偉大なる父バッハの後継者としてライプツィヒ・トーマス教会の楽長になれるようにという願いをこめて書いた物。結局エマヌエルはこの職に就くことはできなかったが、終曲の合唱フーガなど、父バッハを思わせる作風で、父の後継者としての力量のアピールだったのかもしれない。そして、二重合唱(人間と天使)のための「聖なる神よ」は、自身「こうしたジャンルの白鳥の歌となるだけでなく、この作品によって私の名は私の死後も忘れられることはないだろう」と述べた作品。最後に演奏された交響曲は、1780年に出版された4つの交響曲のセットの中の1曲。弦楽器のみのリズミックな導入部を経て、管楽器を含むトゥッティが不協和音を力強く奏でる第1楽章など、様々な工夫が凝らされている。カントール(楽長)の家系に生まれた指揮者ラーデマンは、2007-08のシーズンからRIAS室内合唱団の音楽監督を務めており、手兵ともいえる合唱団のメンバーによる美しいマニフィカト、およびベルリン古楽アカデミーの面々による活き活きとした演奏は注目。
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K581 /弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K421
 アルカントSQ [アンティエ・ヴァイトハース(Vn1) ダニエル・ゼペック(2Vn)
           タベア・ツィンマーマン(Va) ジャン=ギアン・ケラス(Vc)]

 イェルク・ヴィトマン(Cl)
 録音:2013年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ジャケット絵画:フラゴナール「馬乗り遊び [Le cheval fondu] 」(1870年頃)。スター奏者を揃え、2年連続でアカデミー賞を受賞、演奏会シーンでも活躍と、常に注目の存在のアルカント・カルテット、待望の新譜はモーツァルト。ゲストに、注目のクラリネット奏者イェルク・ヴィトマンを迎えたクラリネット五重奏曲と、弦楽四重奏曲第15番。クラリネット五重奏曲の冒頭の和音のスーッとした入りから、鳥肌物。つづいてヴィトマン奏でるクラリネットの上行和音から立ち上る香気で一気に別世界に引き込まれる。全体に甘さを抑えた表現なのが却って作品本来の素晴しさと高貴さを引き立てているようだ。弦楽四重奏曲第15番 ニ短調は、ハイドン・セットの中の唯一の短調の曲で、この作品のもつ暗さが、アルカント・カルテットの無駄を一切排除した表現で浮き彫りになっている。第1楽章冒頭の神秘的な仄暗さ、第3楽章のトリオの長調部分のむなしい明るさ、終楽章の変奏曲の、高貴なる悲しさなど、常に美しさは湛えながらも、壮絶なペシミスティック感漂う演奏で、ただならぬモーツァルトとなっている。2002年に結成された、スター揃いのアルカント・カルテット。これまでのリリースは4枚(バルトーク[廃盤]、ブラームス[廃盤]、ドビュッシー&ラヴェル&デュティユー[HMC-902067/ KKC-5108]、シューベルト[HMC-902106/ KKC-5235]、および日本限定でSACDボックスも発売中[HMSA-0006/4枚組(廃盤のものも含む)])だが、尋常でない緊張感に満ちた演奏で、常に音楽シーンで注目の的となっている。待望の新譜に注目。イェルク・ヴィトマン(1973-)は、作曲家・クラリネット奏者として注目の存在。ミュンヘンに生まれ、クラリネットを、ミュンヘン音楽大学でゲルト・シュタルケに、その後ジュリアードでチャールズ・ナイディッチに師事。作曲を、リーム、ヘンツェらに師事、彼らをはじめ様々な作曲家からクラリネット協奏曲を献呈され、初演を行っている。世界の名だたるオーケストラと共演、また作曲家としても活躍している異能の存在。フライブルク音楽大学ではクラリネットと作曲の両方で教授を務めている。
シャルパンティエ(1643-1704):ギーズ家のためのモテット
 ミゼレーレ H.193 /アンティエンヌ H.526(器楽曲)/
 Annuciate superi H.333 /序曲 H.536(器楽曲)/聖母マリアのリタニー H.83
  セバスティアン・ドゥセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2013年1月。Zig-Zagなどでもリリースを重ねている人気古楽団体、アンサンブル・コレスポンダンスとそれを率いるドゥセが HMF初登場。第1弾に彼らが選んだのはシャルパンティエ。シャルパンティエがパリのギーズ家のために書いたミサ曲が並ぶ。ギーズ家は、シャルパンティエのキャリアの初期段階で非常に縁のあった家で、ギーズ家に「仕えた」、あるいはギーズ家の「お気に入り」だったとする説などがある。シャルパンティエは、1670年代初頭にギーズ家と出会い、1688年、最後のギーズ家一族の人、マリー・ド・ロレーヌ嬢が亡くなるまでパリにいた。このマリー嬢は、ギーズ家の財産を受け継ぎ、フランスで当時最大とされる音楽サロンを持っていた人物で、また、信仰心厚い女性としても知られている。とりわけマリア信仰に厚い人物で、シャルパンティエも彼女のために聖母マリアのためのリタニー(連禱)をいくつか残している。ここに収録されている「聖母マリアのためのリタニー」は、6パートの混声+2パートの器楽という広音域にわたる比較的珍しい編成のもので、当時の聴衆の耳には非常に斬新に響いたものと思われる。演奏の際には、シャルパンティエ自身もカウンターテナーとして参加したといわれている。
クリスマス!
 メンデルスゾーン:聖夜 Op.79 No.1 / グロノスタイ:闇は深まり / エッカルト:私は深く死人のような夜だった
 ブルッフ:クリスマス・イヴに / ブラームス:おお救い主よ、天の扉を開け Op.74 No.2
 エッカルト:今ぞ、愛する魂よ/山を越えマリアは行く / ペルト:マニフィカト / プーランク:サルヴェ・レジナ
 ブルックナー:アヴェ・マリア/エサイの枝は芽を出し / グリーグ:アヴェ・マリス・ステラ
 スウェーリンク:この日キリストは生れたまえり / プレトリウス:甘き喜びのうちに/バラは咲きいで
 プーランク:クリスマスの4つのモテット / マンディチェフスキ:聖夜!

  ハンス=クリストフ・ラーデマン指揮 RIAS 室内 cho.
 録音:2013年1月、イエス・キリスト教会、ベルリン。「クリスマス」と題されたアルバムながら、クリスマス・ソング集ではなく、キリスト誕生にまつわる諸エピソードを描いた作品を集めた興味深いアルバム。作曲者はプレトリウスやスウェーリンクに始まり、メンデルスゾーン、ブラームス、グリーグ、ブルックナー、プーランク、ブルッフ、ペルトなど大物の名が並ぶ。いずれも敬虔かつ暖かな感情に満ちた合唱曲で、RIAS室内合唱団の完璧なアンサンブルと美しい響きに酔わされる。
アンドレアス・シュタイアー〜シューマン:変奏曲&幻想小曲集
 アベッグ変奏曲 Op.1 /幻想小曲集 Op.12 /3つの幻想的小曲 Op.111 /
 主題と変奏 変ホ長調〜最後の楽想による幻覚の変奏曲(精霊の変奏曲)
  アンドレアス・シュタイアー(Fp|使用楽器:エラール、1837年製
   〔エドウィン・ボインク・コレクション〕
 録音:2013年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン/発売:2014年10月。作品1の「アベッグ変奏曲」に始まり、最晩年の精神病院に入る直前の作品「主題と変奏(精霊の変奏曲)」(遺作)で終わるというシンメトリックなプログラム。前半の2作品は、若きシューマンの詩情ときらめきに満ちた演奏。アベッグ変奏曲冒頭の主題提示の豊かな詩情とやさしい音色にまず引き込まれる。幻想小曲集も、各曲の性格の描き分けも鮮やかに、シュタイアーの語りを聞いているような気分になる演奏。時を隔てて作曲された続く後半は、ぐっと深みが増し、ときに不安定でもある和声や、彷徨っているような旋律も耳に残る曲。シュタイアーの非常にやわらかい語り口は、アベッグ変奏曲のころから様々なことに見舞われ疲れ切ったシューマンをいたわるかのようだ。と同時に、聴き手にシューマンの言葉(詩)を代弁してくれているようでもある。エラールのフォルテピアノのあたたかな音色と、ペダルを使ったときに際立つ豊かで優しい響きも完ぺきにコントロールしながら、シュタイアーが優しさに満ちたシューマンの世界を展開している。
何と澄み切った空〜古典派オペラの勃興
 グルック:オルフェオとエウリディーチェ より〔アリア「何と澄み切った空」/合唱「憩いの地に来るがいい」〕/
      エツィオ より〔アリア「私を思い続けて、愛しい人」/アリア「あなたが稲妻を止めるなら」〕
 モーツァルト:アルバのアスカーニオ より〔なぜ黙っていなければならぬのか/
          アリア「愛しい人よ まだ遠く離れているのに」/アリア「ああ、かくも貴き心を」〕/
        ポントの王ミトリダーテ より〔行かねば/アリア「ヴェールは取り払われた」〕
 トラエッタ:アンティゴナ より〔アリア「彼がむせび泣くのを見れば」/アリア「ああ、そう、あなたによる」〕/
       タウリケのイピゲネイア〜「眠れ、オレステイア」
 ハッセ:クレリアの勝利〜アリア「ローマの神よ、お許し下さい」
 ヨハン・クリスティアン・バッハ:アルタセルセ より〔いや、運命にはない/アリア「苛酷な海へ」〕

  ベジュン・メータ(CT) ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー
 録音:2013年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。今もっとも注目されるアメリカのカウンターテナーで、ズービン・メータのはとこにあたるベジュン・メータ(1968-)が、ヤーコプス(彼からも認められる実力派)をバックに、バロックの名残ある作品から古典派のオペラ様式を確立していく様を、魅力的な名品で俯瞰できるようにした超豪華オペラ・アリア集。グルックやモーツァルトのような他でも聴くことの可能な作品も驚愕の新鮮さだが、トマゾ・トラエッタ(1727-1779)、ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783)、さらに大バッハの息子ヨハン・クリスティアン・バッハの作品は、知られざる宝を発見した喜びに震える凄さ。ベジュンの美声と芸達者な表現力に舌を巻かれるが、ヤーコプスの指揮するベルリン古楽アカデミーの艶のある響きと弾むリズム、美しい仕上がりはめまいがするほど魅力的。
ベルナルダ・フィンク、A LIFE IN SONGS 〜マーラー歌曲集
 春に(1880) /冬の歌(1880) /「若き日の歌」〜夏に小鳥はかわり(1887-90) /
 さすらう若人の歌(1884-85)(シェーンベルク編曲/室内アンサンブル版)(#) /
 トランペットが美しく鳴り響くところ(1898) (+) /「若き日の歌」〜もう会えない(1887-90) /
 亡き子をしのぶ歌(1901-04) (+) /「若き日の歌」〜春の朝/私は仄かな香りを吸い込んだ(1901) (+) /
 美しさゆえに愛するのなら(1902) (+) /真夜中に(1901) /私はこの世に捨てられて(1901) (+)

  ベルナルダ・フィンク(Ms) アントニー・シピリ(P;無印)
  グスタフ・マーラー=アンサンブル(#) アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮(+)
  ニーダーエステライヒ・トーンキュンストラーo. (+)
 録音:2013年4月-5月。ヨーロッパで活躍のメゾ・ソプラノ、ベルナルダ・フィンクのマーラー。名手シピリのスケール感の大きなピアノも見事なピアノ伴奏歌曲では細やかな表情づけが印象に残る。さすらう若人の歌はシェーンベルクの室内楽編成に編曲版。エストラーダ指揮による亡き子をしのぶ歌も、深みのある表情で聴かせる。美しいドイツ語の発音、充実のきわみにあるフィンクによる、聴きどころ満載のマーラー歌曲集の登場。
マティアス・ゲルネ、ブラームスを歌う〜ブラームス(1833-1897):
 プラーテンとダウマーによるリートと歌 Op.32 /ハインリヒ・ハイネの詩による歌曲
  〔夏の夕べ Op.85 No.1 /月の光 Op.85 No.2 /死は冷たい夜 Op.96 No.1 /
   花は見ている Op.96 No.3 /航海 Op.96 No.4 〕
/4つの厳粛な歌 Op.121

 マティアス・ゲルネ(Br) クリストフ・エッシェンバッハ(P)
 録音:2013年4月、2015年12月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。世界的バリトンとしてまさにあぶらの乗った活躍ぶりのマティアス・ゲルネ。ハルモニア・ムンディでのシューベルト三大歌曲(「水車小屋」HMC-901995、「冬の旅」HMC-902107、「白鳥の歌」 HMC-902139)でも共演したエッシェンバッハをピアニストに迎えてのブラームス。
メディテイションズ〜オペラ座のオーボエ&ハープ
 ドニゼッティ/サラ・クリスト編曲:アンダンテ・ソステヌート
 パスクッリ(1842-1924)/サラ・クリスト編曲:ベッリーニ讃(イングリッシュ・ホルンとハープのための)
 シューベルト/セリーヌ・モワネ編曲:歌劇「魔法の竪琴」に基づくアンダンテ
 イベール/セリーヌ・モワネ編曲:オーボエとハープのためのアントラクト(ジャクリーヌ・イベール=ジレ版)
 マスネ(1842-1912)/セリーヌ・モワネ編曲:タイスの瞑想曲 / オネゲル(1892-1955):アンティゴネ
 バンジャマン・ゴダール(1849-1895)/セリーヌ・モワネ編曲:歌劇「ジョスラン」〜子守歌
 アンリ・ブロッド(1799-1839)/サラ・クリスト編曲:
  ドニゼッティ「ランメルムールのルチア」の狂乱の場に基づくファンタジー Op.57
 ワーグナー(1813-1883):「トリスタンとイゾルデ」〜牧童の笛の音(*)
 ワーグナー/セリーヌ・モワネ編曲:「タンホイザー」〜夕星の歌
 パスクッリ/サラ・クリスト編曲:ドニゼッティの「ポリウート」に基づくファンタジー

  セリーヌ・モワネ(Ob〔マリゴー〕/イングリッシュHr;*) サラ・クリスト(Hp)
 録音:2013年5月。第1弾の「オーボエ・ソロ・リサイタル」(KKC-5267 / HMC-902118)も絶賛されたオーボエ奏者、セリーヌ・モワネの第2弾。「オペラ座のオーボエ&ハープ」と題し、オペラに関連する作品を集めた当盤、揺るぎのない安定した美しい音色、様々な表情と、モワネの魅力が詰まっている。マスネの「タイスの瞑想曲」はえもいわれぬやさしさと甘さに満ちている。ワーグナーの「牧童の笛の音」や「夕星の歌」でのたっぷりとした世界では、モワネの持ち味である非常に深い音色がひときわ活来る。曲ごとの様々な表情もまた魅力的で、イベールのアントラクト(間奏曲)での息の速い表現も見事に決まっている。最後に収録されているパスクッリの「ポリウート」の急速なパッセージでは、一分の乱れもない美しいレガートで超絶技巧をなんなくこなしており、注目。共演するハープ奏者、サラ・クリストも完璧かつ豊かなサウンドのサポートで聴かせる。
 セリーヌ・モワネ(Ob):フランス北部の都市リール出身のセリーヌ・モワネは、ダヴィッド・ヴァルターとモーリス・ブルグに師事し、パリ国立高等音楽院を卒業。アバド指揮のグスタフ・マーラー・ユースオーケストラに在籍したあと、ゲストのトップ・オーボエ奏者としてベルリン・ドイツso.、北ドイツ放送so.、ハンブルクpo.、フランクフルト歌劇場o.、シュトゥットガルト放送so. などで演奏。2006年から08年までマンハイム国立劇場オーケストラでソロ・オーボエ奏者を務め、08年6月からはドレスデン国立歌劇場にソロ・オーボエ奏者として迎えられている。2011年には、VPOの日本を含むアジア・オーストラリアツアーにも、VPOからの招きでメンバーとして参加。第1弾CDはレコード芸術誌で特選に推挙され、類をみない音色、出色のディスクと絶賛を博す他、読売新聞紙上においても、オーボエという楽器の不均質な性格を全く感じさせない技術は驚異的との評価を得た。2013年3月にも来日しており、日本での注目度もますます高まっているといえるだろう。
 サラ・クリスト(Hp):1980年生まれ。祖父には、マルティヌーがオーボエ協奏曲を献呈したのは彼女の祖父(チェコ・フィルの首席オーボエ奏者だった)であり、父はBPOの首席ヴィオラ奏者を22年にわたって務め、ヴァイオリン奏者のラファエル・クリストを兄に持つなど、音楽一家に生まれる。10歳でハープを始め、13歳でオーケストラと共演。21歳で、当時最年少でウィーン国立歌劇場のメンバーとなる。2年後、フリーとなり、以降BPOやドレスデン国立歌劇場管、バイエルン放送so. など名だたるオーケストラや室内楽シーンでハープ奏者として活躍している。2004年以降はルツェルン祝祭管でも定期的にメンバーを務める。後進の指導にも熱心にあたっている。
スメタナ:弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「わが祖国」
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲〔第1番「クロイツェル・ソナタ」/第2番「秘密の手紙」〕
 エルサレムSQ [アレクサンダー・パヴロフスキ(Vn1) セルゲイ・ブレスラー(Vn2)
           オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2013年5月、7月。エルサレム弦楽四重奏団久々のアルバムはスメタナとヤナーチェクの名曲集。最晩年のミューズ的存在であったカミラ・ストスロヴァーへの思いが詰まった濃密な作品「秘密の手紙」での、ねっとりと各パートが絡み合って構築されていく大きなうねりを伴うメロディーは圧巻。「わが祖国」でも、ドラマティックな語り口で名曲を思う存分楽しませてくれる。
プーランク:歌曲集
 2つの詩/矢車菊/「月並み」より[4.パリへの旅/2.ホテル]/モンパルナス/ルイーズ・ラランヌの3つの詩/
 このやさしい小さな顔/手は心の意のまま/ある日ある夜(全9曲)/ヴォカリーズ・エチュード/
 気まぐれな婚約(全6曲)/ファンシー/くじびき(全7曲)/イヴォンヌ・プランタンのための2つの歌

  ゾフィー・カルトホイザー(S) ユージン・アスティ(P)
 録音:2013年6月。ベルギー出身のソプラノ、ゾフィー・カルトホイザーによる、プーランクの歌曲を集めた魅惑のCD。モーツァルトの「偽りの女庭師」やペルゴレージのオラトリオ「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」(HMC-902155)でもヤーコプスの指揮の下素晴しい歌声を披露、特にバロックから古典にかけて世界で高く評価されている。「セー」での抑えの効いた表情から「愛の小道」の洒脱な雰囲気まで、一曲一曲変幻自在な表情と、美しく無駄のないフランス語の発声が印象的。ピアニストのユージン・アスティは、フェリシティ・ロットなどとも共演を重ねる、歌手からの信頼も篤い実力派ピアニストの一人で、カルトホイザーの表情の変化にぴたりと寄り添ったピアノも光っている。
マティアス・ゲルネ、若き日の歌〜マーラー/ベリオ編曲:管弦楽伴奏編曲版(1986-87)歌曲集
 「子供の魔法の角笛」より
  〔夏に小鳥はかわり/シュトラスブルクの砦に/もう会えない/いたずらな子をしつけるために/
   ハンスとグレーテ/私は緑の森を楽しく歩いた/別離と忌避〕/

 思い出/春の朝 ・ドン・ファンの幻想
ルチアーノ・ベリオ:シンフォニア(1968) (#)
 マティアス・ゲルネ(Br;#以外) シナジー・ヴォーカルズ(#)
 ジュゼプ・ポンス指揮 BBC so.
 録音:2015年9月25日-26日、BBC メイダ・ヴェイル・スタジオ(#以外) /2012年12月7日、バービカン・センター(#)。ゲルネによるマーラー歌曲、ベリオによるオーケストレーション版を用いての演奏の登場。オーケストラは名門 BBC 響、指揮はポンスと注目の布陣。「マーラーに音楽には音楽史すべてがある」とはシンフォニアを書いた10年後のベリオによる言葉。ベリオのシンフォニアは、マーラーの交響曲(第2番)がベースになる部分も多く、いわばマーラーへのオマージュともいえる作品。ベリオはマーラーを強く意識していた。シンフォニアを作曲してから10年もたたずに、ベリオは、マーラーが『子供の魔法の角笛』のテキストに付曲した歌曲(マーラーはピアノと声のために作曲)をオーケストレーションしている。ワーグナーや、後期のマーラー作品の成熟を思わせる、これらの若書きの歌曲の多様性に光を当てたかった、と語るベリオ。マーラーに敬意を払いながらベリオが作った、二人が作り上げた音の世界に、ゲルネのバリトンの声が素晴らしくマッチしている。「シンフォニア」も、ベリオが盛り込んだ様々な要素が活き活きとした秀演。
 #2016年9月上旬以降発売予定。
J.S.バッハチェンバロ協奏曲集
 〔第1番 ニ短調 BWV.1052 /第2番 ホ長調 BWV.1053 /第7番 ト短調 BWV.1058 /第3番 ニ長調 BWV.1054 /
  第4番 イ長調 BWV.1055 /第5番 ヘ短調 BWV.1056 /第6番 ヘ長調 BWV.1057 〕

 アンドレアス・シュタイアー(Cemb)
 ペトラ・ミュレヤンス(Vn)指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2013年7月。使用チェンバロ:アンソニー・シデイ&フレデリク・バル(パリ)、2004年製作〔モデル:ヒエロニムス・アルブレヒト・ハース(ハンブルク)、1734年製〕。シュタイアーがついにバッハのチェンバロ協奏曲集を録音。オーケストラはピリオド楽器オーケストラの雄、フライブルク・バロックo. という最高の布陣。ペトラ・ミュレヤンスがリーダーとなってのレコーディング。全篇をとおしてシュタイアーのソロがとにかく際立っている。さらにオーケストラとのアンサンブルも見事。シュタイアーとオーケストラが常に最高のバランスで聴こえてくる。緩徐楽章では絶品のラルゴを堪能、シュタイアーが時折混ぜ込んでくる刺激的かつ超絶技巧のパッセージに圧倒される。期待を裏切らないバッハのチェンバロ協奏曲集の登場。
HMC-902183/84
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(2CD)
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ケラス&メルニコフ〜ベートーヴェンチェロとピアノのための作品全集
 チェロ・ソナタ〔第1番 ヘ長調 Op.5 No.1 /第2番 ト短調 Op.5 No.2 /第3番 イ長調 Op.69 /
         第4番 ハ長調 Op.102 No.1 /第5番 ニ長調 Op.102 No.2 〕/
 モーツァルト「魔笛」の「娘か女か」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 Op.66 /
 ヘンデル「ユダ・マカベア」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45 /
 モーツァルト「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46

  ジャン=ギアン・ケラス(Vc) アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2013年10月、12月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。第52回「レコード・アカデミー賞」大賞銅賞受賞盤。人気、実力とも当代ナンバーワンのジャン=ギアン・ケラスの新譜は万全のベートーヴェン。ピアニストのメルニコフがパートナーを務める注目盤。チェロのケラスは、ソロ活動ではますます冴えわたった弓さばきを展開しているほか、アルカント・カルテットのメンバーとしての活動も充実。2014年秋にはアルカント・カルテットでも来日が予定されている、押しも押されぬ人気奏者。メルニコフも、近年充実著しいピアニスト。フォルテピアノとモダーンのピアノを縦横無尽に弾きこなしているが、ここではモダーンのピアノを奏でている。ケラスとメルニコフ両者の、透明感と密度の高さ、精確性を兼ね備えた音質が非常に美しく、1ミリの狂いもないアンサンブルで、ベートーヴェンの世界を自在に駆け巡る伸びやかさが心地よい演奏。第1番第1楽章、アレグロ部分でのベートーヴェンならではの溌剌としたパッセージも実に活き活きとしており、抜群に息の合った掛けあいには聴きいってしまう。有名な第3番の冒頭、チェロが奏でるのびのびとした第一主題も、ケラスは実に楽々と奏で、チェロを受けて入るメルニコフのピアノも絶妙の表情。第4、5番が書かれたのは1815年、ベートーヴェン後期の世界を感じさせる物。とくに第4番は、「ピアノとチェロのための自由なソナタ」とも題されているように自由な形式のソナタで、作品全体がひとつの幻想曲のような作品。第5番は古典的なソナタ形式に忠実ではあるが、フーガのような部分が目立つことや、緩徐楽章(チェロ・ソナタ5曲のうち唯一)での瞑想性など、やはり後期の特徴が表れている。ケラスもメルニコフも、研ぎ澄まされた音色で独特の世界を表現している。ベートーヴェン得意の変奏曲では、ケラスとメルニコフは実に颯爽と軽やか、表情豊か。快心の出来栄えのベートーヴェン。
ヴェネツィアの黄金時代〜ヴィヴァルディ、ポルタ、マルチェッロ
 ウリ・ロム(1969-):「オリンピアーデ」協奏曲(ヴィヴァルディとテッサリーニのパスティッチョ風)(2013)
 ヴィヴァルディ(1678-1741):弦楽と通奏低音のための協奏曲 ホ短調 RV.134
 アレッサンドロ・マルチェッロ(1669-1747):オーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ニ短調
 ジョヴァンニ・ポルタ(1675頃-1755):弦楽、2つのオーボエ、ファゴットと通奏低音のためのシンフォニア ニ長調
 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン、オーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲 変ロ長調 RV.Anh.18 (原曲:RV 364?)/
         ヴァイオリン、2つのオーボエ、2つのフルート、弦楽と通奏低音のための
          協奏曲 ト短調 RV.576「ザクセン選帝侯のために」
 テッサリーニ(1690-1766):弦楽と通奏低音のための序曲「ラ・ストラヴァガンツァ」 ニ長調
 ヴィヴァルディ:オーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ハ長調 RV.450

  クセニア・レフラー(バロックOb) ベルリン古楽アカデミー
  ゲオルク・カッルヴァイト(独奏Vn/コンサートマスター)
 録音:2013年10月、2014年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ヴェネツィアの黄金時代に生まれた活気に満ちた名曲の数々を、ガーディナーのカンタータ巡礼プロジェクトやコレギウム 1704 等で活躍しているクセニア・レフラーの美音&ベルリン古楽アカデミーのエッジの効いた演奏で。ポルタは、ヴィヴァルディの同僚としてピエタ音楽院で音楽活動を展開していた生まれついてのヴェネツィア人。マルチェッロは、ヴェネツィアの貴族の息子で、有力者として活動する傍ら音楽・芸術にも素晴しい功績を残した。テッサリーニは、ヴェネツィアの音楽院で教師を務め、ヴァイオリニスト、オーケストラのリーダー、作曲家、そして音楽出版の分野でも活躍した。1曲目に収録されているウリ・ロムの作品は、ベルリン古楽アカデミーの委嘱によるもので、クセニア・レフラーに献呈されている。ヴィヴァルディとテッサリーニの作品を参考にしたパスティッチョ(ごった煮)的作品。
モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」 Vol.1
 〔第14番 ト長調「春」K.387 /第16番 変ホ長調 K.428 /第19番 ハ長調「不協和音」K.465 〕
 カザルスSQ [アベル・トマス・レアルプ、ヴェラ・マルティナス・メーナー(Vn)
         ジョナサン・ブラウン(Va) アルノー・トーマス・レアルプ(Vc)]
 録音:2013年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。なまめかしいまでに美しい弦の音色、絶妙な声部間のバランス感覚、抜群の新鮮味。カザルス弦楽四重奏団によるモーツァルトの登場。モーツァルトが2年を費やし完成させたハイドン・セットは、モーツァルトの弦楽四重奏曲の中でも特に傑作ぞろいとして高い人気がある。1997年にスペイン、マドリッドで結成されて以来、ヨーロッパを中心に活躍、中堅として圧倒的な存在感をかもしつつあるカザルス弦楽四重奏団による演奏は非常に高貴でのびやか、新鮮味抜群。「不協和音」冒頭の不穏なハーモニーも、ヴィブラートを抑えた表現で実に生々しく響く。モーツァルトの充実の作品を、抜群の新鮮味溢れる演奏で聴ける、嬉しい一枚。
ブラームス(1833-1897):クラリネットとピアノのためのソナタ集
 2つのクラリネット・ソナタ Op.120〔第1番 ヘ短調 Op.120 No.1 /第2番 変ホ長調 Op.120 No.2 〕
 6つのピアノ小品 Op.118 (#)
  ロレンツォ・コッポラ(Cl;#以外|使用楽器:B管、シュヴェンク&セゲルケ製、
                     バンベルク、2001年〔ベルマン・オッテンシュタイナー・モデル〕

  アンドレアス・シュタイアー(P|使用楽器:スタインウェイ〔ニューヨーク〕、1875年製
 録音:2013年10月。鍵盤楽器の鬼才アンドレアス・シュタイアーのブラームス。最晩年屈指の名曲クラリネット・ソナタ、およびピアノ小品。クラリネットを演奏するのは、フライブルク・バロックo. のメンバーでもあり、モーツァルトの最後の協奏曲 (HMC-901980/廃盤) でクラリネット協奏曲を収録、世界を魅了したロレンツォ・コッポラ。曲目だけでも既に心躍るが、もうひとつ注目なのが楽器。クラリネットは、ブラームスがクラリネット作品を書くきっかけを与えた当時の天才奏者ミュールフェルトも使用していたベルマン&オッテンシュタイナー・モデルの楽器を使用。1875年製のスタインウェイと、バランス的にも音色的にも、素晴らしく融け合っている。クラリネット・ソナタ第1番では、冒頭のシュタイアーの前奏から、ただならぬ雰囲気。終楽章の活発なピアノに触発されたようなコッポラのクラリネットも圧巻。第2番では、やさしく甘い第1楽章の旋律で、コッポラがとろけそうな音色を奏でる。幻想曲風な第3楽章の幕切れも、ピアノの音色が独特の世界をいっそう盛り上げる。クラリネット・ソナタ2作の間に収録されているのはシュタイアーのソロ。晩年のブラームスが自分の作品ひいては人生を振り返って懐かしんでいるような作品を、シュタイアーが、彼ならではのやわらかな語り口と、スタインウェイの銘器の音色を最大に活かしながら、いつくしむように奏でている。
ドヴォルジャーク(1841-1904):
 交響曲第6番 ニ長調 Op.60 B112 /
 組曲「アメリカ」 イ長調 Op.98 B B190
  (原曲:ピアノ曲/作曲者自身による管弦楽編曲)
ジェイムズ・ガフィガン指揮
ルツェルンso.
 録音:2013年10月。アメリカの若手指揮者ジェイムズ・ガフィガン。ルツェルンso. とのHMF第2弾は、ドヴォルジャーク。ブラームスやベートーヴェンの影響も強く感じられる、ロマン色濃厚な第6番。ガフィガン率いるルツェルン響の面々の活き活きとした表情が印象的な好演。第3楽章のフリアントの激しいリズムもきまっている。組曲「アメリカ」はもとはピアノ作品。「アメリカ」という副題は最近になってつけられた物。1894年春に作曲され、翌年、ドヴォルジャークが祖国に戻る直前に管弦楽用に編曲された。アメリカ先住民とアフリカ系アメリカの音楽といった素材を、ボヘミアのアクセントで巧みに味付けし、非常に親しみやすい組曲となっている。ルツェルンso. は、1806年に創立されたスイス最古のオーケストラ。現代音楽演奏でも非常に高い評価を得ており、これまでにもグバイドゥーリナやシチェドリン、ファジル・サイ、デュサパンやダルバヴィー、リームなどに作品を委嘱して演奏もしている。ジェイムズ・ガフィガンは、1979年生まれのアメリカの指揮者。2004年のショルティ国際指揮コンクールで優勝したのを皮切りに、世界の名だたるオーケストラと演奏、2011/12のシーズンからルツェルンso. の首席指揮者、およびオランダ放送フィルや、ケルン・ギュルツェニヒ管などで首席客演指揮者を務めている。2011/12には「ラ・ボエーム」でウィーン国立歌劇場デビュー、その後も「ドン・ジョヴァンニ」(2012/13)で再登場、さらにグラインドボーンでも指揮、オケ作品のみならずオペラ作品でも世界にその名を着実に広めている。リームの作品集(HMC-902153)でも高い評価を得ており、緻密な指揮ぶりが光る。
イム・スンヘ、 ORFEO(S) 〜イタリア&フランスのカンタータ集
 ペルゴレージ(1710-1736):ソプラノ、弦と通奏低音のためのカンタータ「オルフェオ」
 ルイ=ニコラ・クレランボー(1676-1749):ソプラノと室内オーケストラのためのカンタータ「オルフェ」
 A.スカルラッティ(1660-1725):独唱と弦を伴うカンタータ「オルフェオ」
 ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):ソプラノとサンフォニー(フルートと弦)のためのカンタータ「オルフェ」

  イム・スンヘ(S) ベルリン古楽アカデミー
 録音:2013年11月、2014年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ヤーコプスが指揮するオペラでも、愛らしさと強さを兼ね備えた歌声で圧倒的な存在感を示しているイム・スンヘのソロ・アルバムが登場。プログラムは、オルフェウスを題材にした4つのカンタータ。ギリシャ神話の歌と音楽の天才、オルフェウス。その歌声でけだものの心や岩までをも揺り動かし、黄泉の国で愛する妻と再会するもまた引き離されてしまうという物語は、今なお人々を魅了している。フランス、およびイタリアの作曲家たちがこの人気の題材で書いた秀作カンタータを、イム・スンヘの演技力たっぷりの歌唱で堪能出来る。
ヴィヴァルディリコーダー協奏曲集
 〔ト長調 RV.443 (*) /ト短調「夜」RV.439 /ニ長調「ラ・パストレッラ」RV.95 (+) /
  ニ短調 RV.566 /変ホ長調 RV.375 (#) /ト短調 RV.103 /ニ長調「ごしきひわ」RV.90 (+) 〕

 モーリス・シュテーガー(リコーダー) ディエゴ・ファゾリス指揮イ・バロッキスティ
 録音:2014年3月-4月、アウディトリオ・ステリオ・モーロ、RSI ルガーノ。使用楽器:フラウティーノ〔フラジョレット〕、デスカント・リコーダー(c1;*)/トレブル・リコーダー(f1;無印)/トレブル・リコーダー(g1;+)/デスカント・リコーダー(b1;#)。名手シュテーガーによるヴィヴァルディの登場。今回も目にもとまらぬ超絶技巧で、ヴィヴァルディの名曲リコーダー協奏曲を一気呵成に聴かせる。管弦楽はこれまた切れ味抜群、ファゾリス率いるイ・バロッキスティ。シュテーガーが繰り出す、リコーダーとは思えない超絶技巧に負けじと、火花の散るようなアンサンブルが展開されている。モーリス・シュテーガーは、ヴィヴァルディの書法を注意深く読み解き、それぞれの作品に適したリコーダーを使い分けているのもポイント。たとえば有名な「夜」などでは、当時のドイツでみられた、非常に高い音域を避けるような、どちらかというと低めの音域でのスムースな音色を想定して書かれている、として、クリアで高い音色が出る楽器ではなく、繊細で丸みを帯びた低めの音域の楽器を用いている。これにより、それぞれの作品の魅力が200%引きだされているといえるだろう。管弦楽の音色も実にカラフルで、非常に楽しい一枚。モーリス・シュテーガー(リコーダー):1971年スイス生まれ。リコーダーと古楽をペドロ・メメルスドルフ、ケース・ブケ(フランス・ブリュッヘンのリコーダーの弟子)らに師事。指揮をマークス・クリードに師事。2002年、カラヤン賞受賞。ベルリン古楽アカデミーをはじめとする古楽オーケストラとの共演多数、ソリストとして、そして指揮者として世界で活躍する、世界トップのリコーダー奏者。
ルイス&ハーディング〜ブラームス
 ピアノ協奏曲第1番 Op.15 (*) /
 4つのバラード Op.10 (#)
ポール・ルイス(P)
ダニエル・ハーディング指揮(*)
スウェーデン放送so.(*)
 録音:2014年5月、ベールヴァルドホール、ストックホルム(*) /2016年1月、テルデックス・スタジオ・ベルリン(#) 。アルフレッド・ブレンデルの薫陶を受けるイギリスの名手ポール・ルイスは、ヨーロッパでひっぱりだこの人気ピアニスト。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集(HMX-2901902)、ピアノ協奏曲全集(HMC.902053)やシューベルトのピアノ・ソナタ集などハルモニアムンディからリリースされている数々の録音はいずれも高い評価を受けている。日本にも度々来日し、2015年12月に行った「ベートーヴェンの後期3大ソナタ」公演は、音楽の本質を射抜いたかのような演奏を聴かせてくれた。ブラームスのピアノ協奏曲第1番は、2014年新日本フィルとハーディングが行った「ブラームス:プロジェクト」の一貫でポール・ルイスがゲストとして参加した際に演奏された曲目。その際もハーディングがルイスとの共演を熱望したということで、完成度の高い演奏を披露した。ルイスのピアノは端正で味わい深く、第2楽章では幻想的に静かに語りかけるように、第3楽章では生き生きと爽快にダイナミックに聴かせてくれる。ハーディングの絶妙な指揮も聴きどころで、ピアノの音を引き立てつつ、重厚に音を響かせ、ときにはピアノと共に繊細な音を作り出し、特に木管陣の美しさ上手さに魅了される。そしてブラームスの初期のピアノ・ソロの中でも人気の高い「4つのバラード」。ルイスは若きブラームスの音楽からにじみ出る「孤独」を、透明感あるピアノの音色で描き出している。
トリオ・ワンダラー
 ピエルネ:ピアノ三重奏曲 ハ短調 Op.45 / フォーレ:ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.120
 トリオ・ワンダラー[ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャブディアン(Vn)
             ラファエル・ピドゥー(Vc) ヴァンサン・コック(P)]
 録音:2014年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもお馴染みのトリオ・ヴァンダラー、彼らが母国フランスの香り高いピアノ三重奏曲2篇に挑戦。フォーレ唯一のピアノ三重奏曲は最晩年1923年の作で、簡素な中にも驚くべき深さと高貴さに満ちている。終楽章の主題がレオンカヴァッロの「道化師」のアリア「さらば歌え、道化師よ」と似ているとされている。カップリングのピエルネ作品はあまり聴く機会がないものの、メロディにあふれたまさに隠れた名作。1922年2月の初演の際は、エネスコがヴァイオリンを、ピエルネ自身がピアノを受け持った。トリオ・ヴァンダラーはまさにフランス的伝統美を披露、洗練と清潔感に満ちた絶妙な表現による新しい決定盤の登場。
F.クープラン(1668-1733):讃歌集
 トリオ・ソナタ「壮大なもの」(1690年頃) /リュリ讃(1725) /
 コレッリ讃(1724) /4声のソナタ「スルタン妃」(1695年頃)
  アマンディーヌ・ベイエ(Vn) リ・インコーニティ
 録音:2014年1月4日-7日、四季劇場、グラディニャン、ジロンド。フランス古楽界の新世代を代表するバロック・ヴァイオリン奏者、アマンディーヌ・ベイエ。久々にハルモニア・ムンディからF. クープランで登場。ベイエの魅力である喜びに溢れたようなリズム、愛に満ちた明るい音色があますところなくとらえられている。「少しクセのある、色鮮やかな不協和音に満ちたハーモニーのキラキラとしたつむじ風にたちまち耳を奪われる」とベイエ自身述べている「壮大なもの」は非常にチャーミングに響かせている。「コレッリ讃」と「リュリ讃」は活き活きとしたリズムでひとつひとつのハーモニーまでも逃さず味わいつくすように演奏、最後に収録されているスルタン妃は比較的初期の作品だが、繊細なテクスチュア、柔軟な舞曲のリズム、抒情性、モティーフのキャラクターづけの巧さなどが光る秀作。
ムリニエ、ボエセ、フランソワ・ド・シャンシー、コンスタンタン:作品集
 エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):
  おお、甘きイエスよ(5声)/シオンよ、救い主を讃美せよ(5声)/わたしの肉はまことの食物である(5声)/
  主に向かいて新しき歌をうたえ(5声)/おお、甘きイエスよ(器楽)/賢者が星を見て(5声)/
  おお、イエスという甘き名よ(5声)/聞け、私は見る(5声)/私は野の花/王が休んでいる間に/
  私の配偶者よ、来たれ/ O salutaris hostia(器楽)/連禱(5声)/花があらわれ/忘れて下さい(5声)
 アントワーヌ・ボエセ(1586-1643):おおイエスよ、我らの救いよ(4声、5声)/人よ、私は汝らに何をしただろうか
 フランソワ・ド・シャンシー(1600-1656):アルマンド(ト調)/アルマンド(ハ調)
 ルイ・コンスタンタン(1585頃-1657):ラ・パシフィーク

  セバスティアン・ドゥセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2014年2月。フランスのバロック初期作曲家エティエンヌ・ムリニエは、ルイ13世のただ一人の弟であったガストン(オルレアン公)(1608-60)に仕えた。このガストンは、気まぐれで反抗的な人物だったが、芸術や文学の非常によき支援者としても知られ、ムリニエは、1627から1660年の30年余の長きにわたって、様々な作品を彼のために作曲した。世俗の作品は比較的よく知られているが、ここに収められている宗教作品は、ほぼ顧みられることなく埋もれていた。しかし、どれも非常に個性豊かで美しいものばかり。17世紀中期のフランスの音楽の発展にも重要な役割を果たしたムリニエの力作を、精緻にしてやわらかな美しい歌声と、心ふるわすような通奏低音の音色のアンサンブル・コレスポンダンスが見事によみがえらせた。
メンデルスゾーン無言歌集/他
 無言歌集 より
  〔甘い思い出 Op.19 No.1 /ヴェネツィアの舟歌第1 Op.19 No.6 /ヴェネツィアの舟歌第2 Op.30 No.6 /
   デュエット Op.38 No.6 /海辺で Op.53 No.1 /胸さわぎ Op.53 No.3 /ヴェネツィアの舟歌第3 Op.62 No.5 /
   瞑想/失われた幻影/巡礼の歌 Op.67 Nos.1-3 /子守歌 Op.67 No.6 /悲歌 Op.85 No.4 /寄る辺なく Op.102 No.1 /
   そよぐ風 Op.102 No.4 /信仰 Op.102 No.6 〕/変奏曲 変ホ長調 Op.82 /
 ロンド・カプリツィオーソ Op.14 /6つの前奏曲とフーガ Op.35〜第1番/厳格な変奏曲 ニ短調 Op.54

 ハビエル・ペリアネス(P)
 静謐の中、しっとりとした風合いの美しい音色で独自の世界を紡ぐスペインの俊英、ハビエル・ペリアネスのメンデルスゾーン。文学的側面も含む、余計なものを一切排除した「無言歌集」。メンデルスゾーンの、魔術的な雰囲気を作り出す名手としての才が発揮された「ロンド・カプリツィオーソ」。古典的な秩序へのやまない敬意が現れた「厳格なる変奏曲」。そしてバッハへの敬意が色濃く表れた「前奏曲とフーガ」。ペリアネスらしい静かなたたずまいの中、メンデルスゾーンの息遣いまでをも感じる1枚となっている。
HMC-902196
(CD+DVD)
廃盤
ファウスト、ケラス、メルニコフ、H=カサド〜シューマン(1810-1856):
 ヴァイオリン協奏曲 WoO.1 ニ短調(*) /ピアノ三重奏曲第3番 ト短調 Op.110 (#)
 *ボーナスDVD ヴァイオリン協奏曲 WoO.1 ニ短調(+)
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」、1704年製
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc;#|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年製
 アレクサンドル・メルニコフ(Fp;#|使用楽器:ジャン=バティスト・シュトライヒャー
   〔ウィーン〕、1847年精〔代理店記載ママ/エドヴィン・ボインク・コレクション〕

 パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.(#以外)
HMC-902197
(CD+Bonus DVD)
廃盤
ケラス、ファウスト、メルニコフによるシューマン・プロジェクト完結
 シューマン(1810-1856):チェロ協奏曲 イ短調 Op.129 /
             ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.63
 ボーナス DVD 内容:シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 Op.129 (*)

 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年
 イザベル・ファウスト(Vn
  使用楽器:ストラディヴァリウス「 スリーピング・ビューティー」、1704年

 アレクサンドル・メルニコフ(Fp
  使用楽器:ジャン=バティスト・シュトライヒャー〔ウィーン〕、1847年

 パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.
HMC-902198
(CD+BONUS
DVD[NTSC])
廃盤
シューマン(1810-1856):
 ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54 (*) /ピアノ三重奏曲第2番 ヘ長調 Op.80 (#)
 *ボーナスDVD内容:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
  アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:エラール、1837年製(*) /
     ジャン=バティスト・シュトライヒャー〔ウィーン〕、1847年製(#) 〕)

  イザベル・ファウスト(Vn;#
     使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」、1704年製

  ジャン=ギアン・ケラス(Vc;#|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年製
  パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.(*)
ショパン(1810-1849): 1846年、ノアンでの最後の年
 舟歌 Op.60 /3つのマズルカ Op.63〔ロ長調/ヘ短調/嬰ハ短調〕/
 チェロ・ソナタ ト短調 Op.65 (*) /3つのワルツ Op.64〔変ニ長調/嬰ハ短調/変イ長調〕/
 マズルカ イ短調 Op.67 No.4/2つの夜想曲 Op.62〔ロ長調/ホ長調〕
  パスカル・アモワイヤル(P) エマニュエル・ベルトラン(Vc;*)
 録音:2014年6月。ジョルジュ・サンドと別れることとなる1847年の前年の夏、ショパンはノアンでの最後の夏を過ごした。数あるショパンの名曲でも中核を成す作品がこの時期に書かれている。それらを集めたのがこの1枚。ピアノのアモワイヤルはシフラ直系で、ここでも珠玉の音色で傑作の数々を奏でている。チェロ・ソナタはショパンの生前に出版された最後の作品。チェロ奏者を務めるのは、アモワイヤルの公私にわたるパートナー、ベルトラン。非常に繊細で、涙なしには聴けない名演。
ヤーコプス〜エミリオ・デ・カヴァリエーリ(1550頃-1602):音楽劇「魂と肉体の劇」(1600)
 マリー=クリード・シャピュイ(魂) ヨハネス・ヴァイサー(肉体) ギューラ・オレント(時/忠告)
 マーク・ミルホーファー(知/喜び) キュンフォ・キム(喜びの第1の使者)
 マルコス・フィンク(世界/喜びの第2の使者/地獄に落ちた魂) ルチアーナ・マンチーニ(現世の生活)
 クリスティーナ・ローターベルク(守護天使) クリスティーナ・ローターベルク、エリザベス・フレミング、
 ベンノ・シャフトナー、フローリアン・フェット、フーゴー・オリヴェイラ(幸多き魂たち/天使たち)
 セレーナ・マルカンジ、ロレダナ・ジントーリ(賢人/分別) フランク・マルコヴィッチ指揮ベルリン国立歌劇場cho.

 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ、ベルリン古楽アカデミー
 [マーラ・ガラッシ、ロレダナ・ジントーリ、マサコ・アート、キアラ・グラナタ(Hp) 野入志津子(リュート)
  ドロレス・コストヤス(リュート/G) ニコラス・アハテン(リュート/チェテローネ)
  ヴィープケ・ヴァイダンツ(Org/Cemb) アンドレアス・キュッパース(Org/レガール)
  ヤン・フライハイト(ヴィオラ・ダ・ガンバ(B)) ダヴィド・ヤクス(Tb(B))
  バーバラ・ケルニヒ(Vc) ワルター・ルマー(ヴィオローネ) クリスティアン・ブーゼ(ドルシアン)
  〔装飾的楽器群〕:Vn、Va、ヴィオラ・ダ・ガンバ、小型リラ、リコーダー、コルネット、Tb、打楽器]
 録音:2014年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ヤーコプスが、カヴァリエーリによる現存する最古の音楽劇「魂と肉体の劇」を録音。様々な記述などにあたり、充実した通奏低音楽器群を従えた、カヴァリエーリの世界を生き生きと再現した見事な演奏。カヴァリエーリは、芸術家を輩出したローマの貴族の生まれ。父はミケランジェロの親しい友人で、ヴァチカンにも影響力のあった、非常なる有力者だったと言われている。カヴァリエーリ自身は作曲家、オルガン奏者、声楽教師など音楽の分野で活躍したほか、行政官、外交官としても手腕を発揮したようだ。現存する最古の音楽劇(全体に音楽がつけられた劇作品)である本作「魂と肉体の劇」の作曲者として名を残している。また、数字付き低音を用いた印刷譜が遺されているが、こちらも最初期の例となっている。この音楽劇「魂と肉体の劇」は、プロローグの語りを除いては、音楽のみで構成されていること、さらに、舞曲も含まれていることから、ヤーコプスは、この作品をオペラといっても間違いではないだろう、としている。様々な編成のアンサンブル、合唱、さらに器楽の楽章を含んだ多彩な音楽がちりばめられ、変化に富む構成。レチタティーヴォは完全に韻を踏んだかたちで書かれており、歌手が歌うテキストの世界を、充実した通奏低音楽器群がさらにイメージを広げ盛り上げる。ヤーコプスは当時の記述などから、数字付きの通奏低音を担当する基本の楽器群として、ハープやリュートなど、さらには管楽器も採用。非常に豊かな音色のパレットを得ることに成功している。全体を通して通奏低音パートが美しく響き、ストーリー展開にも重要な役割を果たすかたちの演奏となっている。なお、カヴァリエーリの指示には、器楽奏者は舞台には上がらず、袖などで、歌い手の息遣いに合わせて演奏するように、とあることから、ヤーコプスも、この作品を劇場で実際に上演した際には、可能な限り器楽奏者を袖に配置するようにしたという。
メルニコフ〜プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ集
 〔第2番 ニ短調 Op.14 /第6番 イ長調 Op.82 /
  第8番 変ロ長調 Op.84 〕
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2014年7月8日-10日、2015年8月3日-5日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 ショスタコーヴィチ「24の前奏曲とフーガ」や協奏曲で神業を聴かせたメルニコフがプロコフィエフのソナタに挑戦。もともとメルニコフの敬愛するリヒテルの十八番として、いくつか残る録音は今日も決定盤とされている作品ばかり。メルニコフの解釈は、リヒテルゆずりの辛口な解釈ながら、骨太さよりは繊細さによって、プロコフィエフのうつろいやすい気分を絶妙に表現している。まさに21世紀風演奏。プロコフィエフの作曲当時、メルニコフの祖父母にあたる作曲家ニコライ・チェンベルジとザーラ・レーヴィナはすぐ近くにおり、まさに誕生に立ち会っていた。そうした遺伝子上のつながりも、演奏に思い入れを増しているように思える凄さ。
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ集 Vol.2
 〔第4番 ハ短調 Op.29「古い手帳から」/
  第7番 変ロ長調 Op.83 /第9番 ハ長調 Op.103 〕
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2018年8月、2019年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。メルニコフのプロコフィエフのソナタ集、レコード芸術誌特選に輝いた第1弾(HMC-902202)に続く第2弾の登場。今回はプロコフィエフのピアノ曲を代表する傑作ソナタ第7番が収められているのに注目。作曲した1939-44年は第2次世界大戦中に疎開先で書かれたが、メルニコフの祖父母の作曲家ニコライ・チェンベルジとザーラ・レーヴィナも誕生に立ち会っていた。さらにプロコフィエフの指名で1943年1月に世界初演を行なったのはメルニコフの師匠スヴャトスラフ・リヒテル。当時27歳のリヒテルは4日間でこの難曲をマスターし、初演は大成功だった。メルニコフにとって因縁浅からぬ作品。4番もリヒテルが愛奏したうえ、第9番はリヒテルに献呈され、彼が世界初演した作品。メルニコフの解釈はまさにリヒテル直伝で、近年多い傾向とは一線を画している。7番は切れ味鋭い技巧とエネルギーにあふれる演奏が多い中、メルニコフは落ち着いたテンポによる内省的な解釈で、全く新しい作品を聴くような印象の快演。
メルニコフ〜プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ Vol.3
 〔第1番 ヘ短調 Op.1 /第3番 イ短調 Op.28 /
  第5番 ハ長調(1953年改訂版) Op.135 〕/
 つかの間の幻影 Op.22(全20曲)
アレクサンドル・メルニコフ(P)
 録音:2021年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。メルニコフのプロコフィエフのソナタ集、レコード芸術誌特選に輝いた第1、2集(HMC-902202/HMM-902203)に続く第3弾の登場。今回はプロコフィエフ:作品1であるソナタ第1番と完成された最後の作品のソナタ第5番改訂版という、まさに出発点と到着点が収められているのに注目。プロコフィエフのピアノ・ソナタといえばメルニコフの師匠スヴャトスラフ・リヒテルが作曲者からの信任厚く十八番としていたが、この3篇だけは何故か演奏したことがなく、当然録音も残っていない。いわば「リヒテルが弾かなかったソナタ集」。彼ならばどう弾いたかはメルニコフが一番分かっているはずで、もちろんモノマネではなく片鱗を味わえるのが興味津々。ピアノ・ソナタ第1番は学生時代16歳の作で、スクリャービンの影響が感じられる。第5番はもともと「作品38」として1923年にパリで作曲され、交響曲第2番や歌劇「炎の天使」と同時期の過激な内容だったが、最晩年の1953年に大改訂を施し、新たな「作品135」が附番された。「つかの間の幻影」はリヒテルも数篇を愛奏した小品集。全曲版なのが嬉しい限りで、プロコフィエフの移ろいゆく気分をメルニコフが絶妙に表わしている。
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調(*) /抒情小品集 より(#)
 〔第2集 Op.38〜第8曲「カノン」/第1集 Op.12〜第1曲「アリエッタ」/
  第3集 Op.43 より[第1曲「蝶々」/第2曲「孤独なさすらい人」]/第4集 Op.47〜第3曲「メロディ」/
  第5集 Op.54 より[第3曲「小人の行進」/第4曲「夜想曲」]/第6集 Op.57〜第6曲「郷愁」/
  第9集 Op.68 より[第3曲「あなたのそばに」/第5曲「ゆりかごの歌」/
  第10集 Op.71 より[第1曲「その昔」/第7曲「思い出」]〕

 ハビエル・ペリアネス(P) サカリ・オラモ指揮 BBC so.
 録音:2014年10月24日、バービカン・センター、ロンドン、ライヴ(*) /2014年6月5日-6日、テルデックス・スタジオ・ベルリン、セッション(#)。スペインの俊英、ハビエル・ペリアネスの新譜は、グリーグ。協奏曲と、抒情小品集からの抜粋というプログラムで、グリーグの魅力をあますところなく味わわせてくれる。グリーグが25歳で作曲したピアノ協奏曲は、オラモ指揮のBBCso.が醸し出す心地よい緊張感の中、ペリアネスのピアノの音色が冴えわたる。協奏曲のダイナミックな世界とは一変、ペリアネスの静寂を思わせる音楽性がひときわ輝く抒情小品曲は、どれも優しさを湛えた表情が魅力。
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):ルソン・ド・テネブル
 ゾフィー・カルトホイザー(S)
 セバスティアン・ドゥセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2014年7月。1714年から太陽王の宮廷に仕えていたド・ラランドも、聖週間の職務日課の作品ルソン・ド・テネブルを生み出した。ド・ラランドの作品はその没後も、パリでとりわけ高い人気を保ったため、この作品も没後の1730年に出版されている。ゾフィー・カルトホイザーは、モーツァルトの『偽の女庭師』やペルゴレージのオラトリオ『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』(HMC-902155)でもヤーコプスの指揮のもと素晴しい歌声を披露、近年はプーランクの歌曲などもレコーディングするなど(HMC-902179)、世界で高く評価されているベルギー出身のソプラノ。
ベートーヴェン弦楽四重奏曲集 Op.18
 〔第3番 ニ長調 Op.18 No.3 /第1番 ヘ長調 Op.18 No.1 /第2番 ト長調 Op.18 No.2 /
  第4番 ハ短調 Op.18 No.4 /第5番 イ長調 Op.18 No.5 /第6番 変ロ長調 Op.18 No.6 〕

 エルサレムSQ [アレクサンドル・パヴロフスキ(Vn1) セルゲイ・ブレスラー(Vn2)
         オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2014年12月。2015年6月に約10年ぶりに再来日し、そのエレガントなスタイルで聴衆を魅了したエルサレム弦楽四重奏団。1993年に創立、96年にデビュー、2011年録音以降ヴィオラメンバーの交代があったが、ヨーロッパを中心にその活動はますます充実をみせており、まさに「弦の国」イスラエルが世界に誇る完全無欠のアンサンブルの感が強くなっている。今は様々なタイプの弦楽四重奏団があるが、彼らの演奏スタイルは非常に美しくバランスも整った、いわゆる正統派に属するといえるだろう。そんな彼らによるベートーヴェンは、各パートが見事に調和しており、きわめて流麗。もちろん激しい感情が顔をのぞかせるところもあるが、美しい音色とバランスが損なわれることはなく、充実の演奏を聴かせている。
Tout un monde lointain 〔はるかな遠い国へ〕
 デュティユー(1916-2013):
  ザッハーの名による3つのストローフェ/チェロ協奏曲「はるかな遠い国へ」(#)
 ドビュッシー(1862-1918):チェロとピアノのソナタ(*)
  エマニュエル・ベルトラン(Vc) パスカル・アモイヤル(P;*)
  ジェイムズ・ガフィガン指揮ルツェルンso.(#)
 録音:2014年11月(#)、12月。フランス音楽の二人の巨匠、ドビュッシーとデュティユーのチェロ作品の世界。デュティユーの「ザッハーの名による3つのストローフェ」は、スイスの指揮者パウル・ザッハーの70歳の誕生日を記念してデュティユーの他12人の作曲家たちが彼の名前の綴り(SACHER)を音名に読み替えたものを素材に作曲した際の作品。独奏チェロから紡ぎだされる多様な表情や質感に、チェロという楽器の雄弁さを感じる1曲。チェロ協奏曲「はるかな遠い国へ」は、チェリスト、ロストロポーヴィチの委嘱で作曲された全5楽章からなる作品。タイトルは、ボードレールの詩集「悪の華」におさめられている「髪」の一節からとられている。チェロのモノローグで幕を開けるこの曲は、繊細な響きの中で移り変わる多様な景色の中を通り抜け、再び静寂の中へと収束していく。近代フランスのチェロ作品を堪能できる1枚。
ベルトラン〜サン=サーンス(1835-1921):
 チェロ協奏曲第1番 イ短調 Op.33 (#) /
 チェロ・ソナタ〔第2番 ヘ長調 Op.123 /
         第3番 ニ長調 遺作(未完)(*) 〕
エマニュエル・ベルトラン(Vc)
ジェイムズ・ガフィガン指揮
ルツェルンso.
パスカル・アモワイヤル(P)
 録音:2014年11月(#)、2016年6月(#以外) 。(*)は世界初録音。サン=サーンスは、同時代の作曲家たちの中で、チェロのための作品を最も多く書いた一人といえるだろう。2曲の協奏曲、アレグロ・アッパッショナート Op.43、組曲 Op.16、そして3曲のソナタ(うち1曲は未完)、そしていくつかの小品を残している。第3番のソナタは4楽章で構想されていたようだが、残されているのは2楽章まで。第3番のソナタが私的な演奏会で演奏された時のことが書かれた、1919年6月26日に友人の作家に宛てた手紙が残っている。その手紙には、演奏会前夜の夕食時、友人のホルマンが、サン=サーンスから預かっていた楽譜を荷物に忘れてきた、と死人のように青ざめた顔で言ってきたこと、そしてサン=サーンスはその夜と翌日もう一度楽譜を作り直し、夜の演奏会には間に合ったこと、さらにその新しく書いた稿は元の稿よりも良い出来になったこと、がつづられている。第3番のソナタは、4楽章構成だったと考えられているが、残されているのは第2楽章まで。第2番のソナタ以上に、リズムやハーモニーのコントラストの妙、そして入念に扱われた主題と、凝った作りになっている。ベルトランの繊細なチェロの音色、アモワイヤルの芯のある音色が描く、作曲家晩年の作品の貴重な世界初録音の登場。
J.S.バッハ/モーガン・ジュルダン&ラファエル・ピション復元:
 「レーオポルト侯のための葬送音楽」BWV.244a
 サビーヌ・ドヴィエイル(S) ダミアン・ギヨン(A)
 トーマス・ホッブス(T) クリスティアン・イムラー(B)
 ラファエル・ピション指揮アンサンブル・ピグマリオン
 録音:2014年5月、ヴェルサイユ宮殿内王立礼拝堂。消失していた「レーポルト侯のための葬送音楽」の復元録音の登場。これを手掛けたのは、ラファエル・ピション。彼は、アルファ・レーベルから、たび重なる改訂などで謎が多い「 ロ短調ミサ曲」の原点を、見事に再現してみせた、研究と演奏両面にひいでた指揮者。あくなき探求と研究が、またひとつの素晴らしい成果を生み出した。J.S.バッハは、レーオポルト侯(アンハルト=ケーテン侯)(1694-1728)の宮廷で1717-23年の間楽長を務めた。侯は、音楽を愛し、音楽に精通した主君で、優れた宮廷楽団を有し、バッハのよき理解者でもあった。バッハはこの時期に、 「ブランデンブルク協奏曲」「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」、「インヴェンション」、「平均律クラヴィーア曲集第1巻」など多くのすぐれた器楽曲を作曲した充実した日々を送っていた(ただしこれらのほとんどは浄書であり、作品自体がこの時期に成立したかどうか明確でない部分もある)。この「レーオポルト侯のための葬送音楽」は、1728年に亡くなった侯のために1729年3月24日に演奏された物。楽譜資料は消失しているものの、「マタイ受難曲」のテキストも手掛けたピカンダーによる、この作品のためのテキストが残されている。このテキストが、マタイ受難曲(初版、1727年版)などの既存のアリア楽曲旋律にそのままあてはめられる構造であることから、この葬送音楽はバッハの自作のパロディの技法を用いて作られたと考えることが出来る。たとえば、マタイ受難曲の有名なアルトのアリア「主よ、憐れみたまえ(Erbarme dich)」は、この葬送音楽では「Erhalte mich(私を忘れないで頂きたい)」というテキストに置き換えられており、完全に入れ替え可能なものとなっている。このようにテキストを既存の楽曲にあてはめながら、この復元・録音の実現となった。ブックレットのトラック表には、マタイ受難曲のほか、「侯妃よ、さらに一条の光を」BWV198、 ロ短調ミサ曲など、元になった楽曲との対照表もついている(欧文)。演奏陣も、俊英アンサンブル・ピグマリオン、さらに歌唱陣もフランスの新しい歌姫ドヴィエイルや、ダミアン・ギヨンらと充実の布陣で、つやがあって引き締まった素晴らしい演奏を展開している。ラファエル・ピション:カウンターテナー歌手としてサバール、レオンハルト、コープラマンらと共演したことがあり、また、ピアノ、ヴァイオリンも学び、その後、ピエール・カオの下で指揮も学んだという逸材。バロックから現代作品の初演までを手掛け、2006年、アンサンブル・ピグマリオンを設立。ラモーのオペラ録音、そして、バッハの ロ短調ミサ曲の録音(アルファ)でも話題となった。
ラモー(1683-1764):歌劇「カストールとポリュックス」(1754年版)
 コリン・アインスワース(T;カストール) フロリアン・センペイ(Br;ポリュックス)
 エマニェル・ド・ネグリ(S;テライール) クレマンティーヌ・マルガイヌ(Ms;フェーブ)
 クリスティアン・インムラー(Br;ジュピター) ヴィルジル・アンスリー(B;ジュピターの大司祭)
 サビーヌ・ドヴィエイル(S;クレオン、幸運な影、ヘベの侍女)

 ラファエル・ピション指揮アンサンブル・ピグマリオン
 録音:2014年7月。ジャケット絵画:ターナー「マーゲイトの日没」(1840)。ラモーのカストールとポリュックスは、1737年に初演された後、1754年に再上演された。1750年代といえば、音楽史上重要なブフォン論争のまっただなか。ラモーを代表とするフランス派と、フランス・バロックオペラの豪奢な世界を不自然だとするルソーに代表されるイタリア派との争いとなったブフォン論争において、ラモーの一連の作品は非難の対象となってしまっていた。そんな中、1754年にいわばフランス側の最後の切札として再上演されたのが、この「カストールとポリュックス」だった。再上演に際し、ラモーはプロローグを削除、第1幕は全く新しく創作、さらにいくつかの改訂をくわえ、よりドラマティックな構成に仕立て直した。この再演版は大成功をおさめ、翌年の1755年まで定期的に上演され、1763年には宮廷で上演、さらに1764年と、ラモーの死の半年前65年にも上演された。その後1770-82年までもたびたび上演されている。神話の世界のきらびやかさと、洗練されたオーケストレーションは、古典派のオーケストラ時代の到来を告げているともいえるだろう。この1754年版を、ピション率いるアンサンブル・ピグマリオンが、実に鮮烈に演奏している。
HMC-902214/15
(2CD)
廃盤
ヤーコプス〜モーツァルト:歌劇「後宮からの誘拐」K.384
 ロビン・ヨハンセン(S;コンスタンツェ) マリ・エリクスモーエン(S;ブロンデ)
 マキシミリアン・シュミット(T;ベルモンテ) ジュリアン・プレガルディエン(T;ペドリッロ)
 ディミトリー・イヴァシュチェンコ(B;オスミン) コルネリウス・オボニャ(語り;太守セリム)

 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
ベルリン古楽アカデミー〜ヘンデル:水上の音楽(1717)
 〔第1組曲 ヘ長調 HWV348 (10曲)/第2組曲 ニ長調 HWV349(5曲)/第3組曲 ト長調 HWV350(6曲)〕

  ゲオルク・カールヴァイト(音楽監督)ベルリン古楽アカデミー
 録音:2015年11月5日。名人集団ベルリン古楽アカデミーによる「水上の音楽」。1717年7月17日にロンドンのテムズ河を舞台に行われた豪華絢爛な川遊びのお祭り用に、ヘンデルが書いた豪華な本作品を、ベルリン古楽アカデミーがこれまた卓越したアンサンブルで煌びやかに鳴り響かせている。「水上の音楽」は独奏楽器(ホルン、トランペット、Fl)と合奏による合奏協奏曲の様式で書かれており、管楽器がソリスティックに活躍し、明るく華やかな雰囲気を演出す。実際にジョージ1世は演奏にいたく感動し、約1時間のこの曲を計3回演奏させ、50人の楽士に対するギャラが150ポンドかかったという話まで残っており、音楽も観客も非常に盛り上がった上演だったことがうかがえる。 「水上の音楽」はヘンデルの作品としては珍しく自筆譜が残っておらず、どのような曲順で演奏されていたか長らく謎に包まれており、様々な版(レートリッ ヒ版、クリュザンダー版、ハーティ版、ハレ版など)が存在する。曲の成立を踏まえて ヘ長調、 ニ長調、 ト長調の3つの組曲を主流として演奏されている。ベルリン古楽アカデミーは、各人のもつ名人芸と一糸乱れぬ精緻なアンサンブル、そして鋭敏なリズム感と絶妙なバランス感覚を駆使して、「水上の音楽」に生命感を与え作品のもつイベント性をよい一層演出し、色彩豊かな演奏を繰り広げている。
ベートーヴェン歌曲&バガテル集 [Lieder & Bagatellen]
 希望に寄す Op.32 /遠い国からの歌 WoO.137 /私はあなたを愛す WoO.123 /
 連作歌曲集「はるかなる恋人に寄す」 Op.98 /アデライーデ Op.46 /アリエッタ「口づけ」 Op.128 /
 寂しさの喜び Op.83 No.3 /あきらめ WoO.149 /希望に寄す Op.94 /6つのバガテル Op.126 (*)

  ヴェルナー・ギューラ(T;*以外) クリストフ・ベルナー(Fp)
 録音:2014年9月。使用フォルテピアノ: J. B. Streicher, 1847, G. Hecher's collection .モーツァルトや宗教作品などでとりわけ優れた演奏を聴かせているギューラのベートーヴェン。長年のパートナー、クリストフ・ベルナーのソロ演奏によるバガテルを曲間に挟んでのプログラム。ギューラの自然でやわらかな、それでいて針の穴を通すような精確な音程が心地よい声は、ベートーヴェンの歌曲の世界を何にも邪魔されることなく楽しむことが出来る。ベルナーが奏でているのはJ.B.シュトライヒャーの銘器。歌曲、バガテルの世界のどちらにも理想的な響きで魅了される。
ベザイデンホウト〜モーツァルト:ピアノ協奏曲集 Vol.2
 〔第12番 イ長調 K.414 /第11番 ヘ長調 K.413 /第13番 ハ長調 K.415 〕

 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2014年11月15日-17日、アンサンブルハウス、フライブルク。第17番&第22番/他 (HMC-902147) に続く、ベザイデンホウト & FBO によるモーツァルトのピアノ協奏曲集第2弾。今回も彼のマジックは冴え渡り、耳になじんだこれらの作品でも、ひとつひとつのパッセージが実に活き活きと愛らしい表情に満ち、新鮮な驚きを与え楽しませてくれる。また、ピアノをささえるオーケストラも実に細やか。愉悦の極みのモーツァルト。
ファウスト&メルニコフ
 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ〔第3番 ニ短調 Op.108 /第2番 イ長調 Op.100 〕
 シューマン:3つのロマンス Op.94
 ディートリヒ、シューマン、ブラームス共作:F.A.E.ソナタ
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製
 アレクサンドル・メルニコフ(P|使用楽器:ベーゼンドルファー、1875年製〔メルニコフ私蔵〕
 録音:2014年9月。快進撃がとまらないイザベル・ファウスト。こちらも充実著しい盟友、アレクサンドル・メルニコフとのコンビによるブラームス&シューマン。このブラームス&シューマン(& F. A. E. ソナタ) のプログラムは、2014年6月に日本でも公演があり、大きな話題となった。既にファウストとメルニコフはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番を録音しており(HMC-901981/現在廃盤 この時の録音でも同じベーゼンドルファーが用いられた)、これでファウストとメルニコフはブラームスのヴァイオリン・ソナタを全曲録音したことになる。第3番の冒頭から、ファウストの振幅の大きな歌にメルニコフもぴたりと応えた最高のアンサンブルが展開されている。ファウストが奏でる音楽は非常にやわらかで優しく、強弱や音色の幅も非常に豊か。そんなファウストにぴたりと寄り添うようにメルニコフが奏でるベーゼンドルファーの音色も、いぶし銀のような音色から輝かしいものまでその幅広さに驚かされる。また、強弱の幅も実に豊かで、モダーンのピアノよりも劇的に感じる瞬間もあるほど。ファウストとメルニコフ、充実著しいアーティストたちの作品に対する愛情と思いがつまった1枚となっている。#初回プレス限定で、CDと同内容のハイレゾ音源 (96kHz/24bit) 無料ダウンロード・クーポンがブックレット内に封入されていますが、当店ではクーポン付きである事を保証致しません。あらかじめご了承下さい。
チャイコフスキー
 交響曲第1番「冬の日の幻想」 ト短調 Op.13 /
 幻想序曲「テンペスト」 Op.18
パブロ・エラス=カサド指揮
セントルークスo.
 録音:2014年11月7日、2015年10月30日-31日、Di Menna センター、ニューヨーク。 HMF レーベルでの、FBO とのメンデルスゾーン・プロジェクト、およびシューマン・プロジェクトでも高く評価されている指揮者エラス=カサド。オペラでの活躍もあり、世界が注目する若手の一人。そんなエラス=カサドが現在首席指揮者を務めるセントルークスo. とのチャイコフスキーの登場。セントルークスo. は1974年からの歴史をもつ室内o. 。近年では、音楽監督としてノリントン(1990-94)、マッケラス(1998-2001)、 ドナルド・ラニクルズ(2001-2007)らが歴任、エラス=カサドは4代目の首席指揮者。2011年に楽団の首席指揮者に4年の契約で就任、契約 は更新され、2017年の9月まで、その関係は続く。ドラマティックな作品にちりばめら れた抒情的旋律の一つ一つを、エラス=カサドはたっぷりと歌わせている。
IL TEATRO ALLA MODA 〔当世流行劇場〕〜ヴィヴァルディ(1678-1741):
 「オリンピアーデ」〜シンフォニア ハ長調 RV 725 /ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 RV 282(オリジナル版)/
 スコルダトゥーラ調弦されたヴァイオリンの協奏曲 ロ短調 RV 391 /
 ヴァイオリン協奏曲〔ニ長調 RV 228 / RV 314a /ト短調 RV 323 /ト短調 RV 322 * 〕/
 ヴィオリーノ・イン・トロンバのための協奏曲 ト長調 RV 313 /
 「ポントスのアルシルダ王妃」RV 700 〜第1バレエ ト短調 ** /
 ヴァイオリン協奏曲 ト短調 RV316 〜第3楽章ジーグ(プレスト) *** /
 ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調「キアーラのために」RV 372a /ラルゴRV 228(ピゼンデルの版?)

 アマンディーヌ・ベイエ(Vn) リ・インコーニティ
 録音:2014年11月。代理店アナウンスに *, **, *** の印があるが、意味が記されていない。フランス古楽界の新時代の担い手、ベイエ率いるリ・インコーニティ(名もなき者たち、の意)による、非常に生き生きとしたヴィヴァルディの登場。「F.クープラン:讃歌集」(HMC-902193)でも高い評価を得たグループとあって、注目。タイトルにある「IL TEATRO ALLA MODA」は、バロック時代の作曲家・音楽評論家であるベネデット・マルチェッロが1720年代終わりに出版した、当時の音楽・オペラをめぐる様々を風刺した書籍(邦訳書が出版されており、その書名は『当世流行劇場』)。この本の中でマルチェッロは当時最大の人気を誇っていたヴィヴァルディを攻撃している。貴族階級に属し、正統的な作曲技法のみを重んじて作曲するマルチェッロとは対照的に、ヴァイオリンを自ら縦横無尽に弾き、劇場主らと組んで興業の部分にまで関わるなど、いわゆる商売の部分にも積極的だったヴィヴァルディ。ヴィヴァルディのこれみよがしなヴィルトゥオジティ、作曲技法、オペラの派手な演出などをマルチェッロは本の中でこっぴどく書いた。しかし、書物から300年ほどたった今なお、ヴィヴァルディの音楽の新鮮さ、才気煥発さ、鮮やかなコントラストなどが私たちを楽しませてくれているのは周知の事実。ベイエ率いるリ・インコーニティは、ヴィヴァルディの様々な作品を新たなひとつの舞台作品の物語のように仕立て、ヴィヴァルディの音楽の斬新さや多様性をあらためて私たちに感じさせる。ベイエの魅力である喜びに溢れたようなリズム、愛に満ちた明るい音色がアンサンブル全体にゆきわたり、非常に自由闊達なヴィヴァルディが展開されている。1パート1人で展開され、互いのバランスのとりかたや前への出方など、呼吸のほどが実に見事なアンサンブル。
トリオ・ヴァンダラー〜ブラームス
 ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 Op.8(初稿版)/ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 Op.60 (*)
 トリオ・ヴァンダラー[ジャン=マルク・フィリップス=ヴァイジャベディアン(Vn)
            ラファエル・ピドゥー(Vc) ヴァンサン・コック(P)]
 クリストフ・ゴーゲ(Va;*)
 録音:2015年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。1987年結成されたトリオ・ヴァンダラー。1999年からハルモニア・ムンディでリリースを続けており、そのどれも高い評価を得ている。古典派から現代まで幅広いレパートリーをもち、各メンバーの技術力の高さはもとより、3人の息のあったアンサンブルで繰り広げられる演奏は圧倒的。今回リリースされるのはブラームス。以前出た2枚組のピアノ三重奏曲全集(廃盤)に続く物。ブラームスはピアノ三重奏曲を3曲書いている。1854年に第1番の初稿が完成、1866年に第3番を書き終えた後、1891年に第1番を自身の手によって大幅に改訂している。ブラームスは通常改訂版を出した場合は、オリジナル版を破棄しているが、これはブラームスが唯一自ら2つの版を残した作品。現在演奏されるのは改訂版がほとんどで、トリオ・ヴァンダラーも全集の際は改訂版で録音している。2つの版は主題を入れ替えたり、長さを短縮したりと大幅に書き直されている。初稿版はやや冗長になっている部分もあるが、若々しい輝きも感じ取ることが出来る。トリオ・ヴァンダラーの演奏は、しなやかで自然体の表現が魅力的で、3人の個性が見事にとけあった美しい演奏を聴かせてくれる。カップリングには、ヴィオラのクリストフ・ゴーゲを迎えピアノ四重奏曲第3番を収録。後期特有の難解さはあるが、円熟の境地に達したともいえる音楽を、深い情緒を感じさせる演奏で聴かせる。
シュニトケ
 12の回心のための詩篇(1988) /3つの聖歌(1984)
ハンス=クリストフ・
 ラーデマン指揮
RIAS 室内cho.
 録音:2015年2月、イエス・キリスト教会、ベルリン。「12の回心のための詩篇」はロシアのキリスト教受洗千年祭を記念して書かれた。旧約聖書のアダムが楽園を追われてから回心するまでのいきさつを描いている。古いロシア聖歌を基本にしながらも、シュニトケならではの不協和音や対位法を駆使して斬新。人声の表現力の豊かさに驚かされる。ラーデマンらはこの作品に取り組んでいる際にいくつか疑問を感じ、作曲家デニーソフの先妻が所有していた自筆譜を見ることができた。それによって出版の際にヴィクトル・ススリンが行った変更を元に戻し、当盤が原典版の初録音となる。「3つの聖歌」は当時国立シンフォニー・カペレ合唱団の指揮者だったヴァレリー・ポリャンスキーの依頼で作曲したもので、ソ連時代ながらロシア聖歌の様式にのっとっているのが斬新。どちらも教会スラヴ語による歌唱。現在ドイツ合唱界を牽引するハンス=クリストフ・ラーデマンの見事なバランス感覚が光る。
グラナドス:ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.49
トゥーリナ:ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.1 /アンダルシアのミューズ Op.93 〜カリオペ
 ハビエル・ペリアネス(P) キロガSQ
 録音:2015年2月-3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。独特の繊細なピアニズムで世界の注目を集める俊英、1978年スペイン出身のハビエル・ペリアネスが母国の室内楽作品に挑戦。グラナドスの数少ない室内楽曲のひとつピアノ五重奏曲 ト短調は、有名なスペイン舞曲集などと同時期1895年の作で、対位法などの探求がみられつつも生来のスペイン風味が魅力的。ペレアネスの演奏で聴くことができるのはたいへんな贅沢。カップリングはトゥーリナの「作品1」。ベートーヴェンかフランクを思わせるこれも力の入った作品だが、やはり全体にみなぎるスペイン調が嬉しくなる。円熟期1942年の「アンダルシアのミューズ」は9名の女神を描いていて、それぞれ楽器編成が異なるが、カリオペはピアノ五重奏による。偉大な後輩ホアキン・ロドリーゴに捧げられている。ペレアネスは的確な技巧と詩的な音楽性が絶美。キローガ弦楽四重奏団がスペイン色濃厚な演奏を繰り広げ、華を添えている。
シュタイアー&メルニコフ〜シューベルト:ピアノ連弾作品集
 幻想曲 ヘ短調 D.940 /4つのレントラー D.814 /
 2つの性格的な行進曲 D.886 〜アレグロ・ヴィヴァーチェ ハ長調/
 創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 D.813 /
 6つの大行進曲〜ロ短調 D.819 /ポロネーズ ニ短調 D.824 /ロンド イ長調 D.951

 アンドレアス・シュタイアー、アレクサンドル・メルニコフ
  (Fp|使用楽器: Graf by Christopher Clarke
 録音:2015年3月/テルデックス・スタジオ、ベルリン。 シュタイアーとメルニコフ、なんとも豪華な二人の名手による、シューベルトの連弾作品集の登場。ヨーロッパでは、一晩の演奏会で、シュタイアーがチェンバロでバッハの平均律を、そしてメルニコフがピアノでショスタコーヴィチの24の前奏曲とフーガを演奏するといった試みも行われており、ふたりのデュオはいまや世界が注目するところ。19世紀、ピアノ連弾のための作品は人気があり、出版社はシューベルトに連弾作品を書くようしつこく依頼した。短い生涯の間に、シューベルト1台4手のための作品を少なくとも32のこしている。その曲想はレントラーや行進曲など様々で、最晩年に作曲された「創作主題による8つの変奏曲」、「幻想曲」(D940)、「ロンド」(D951)の3作品はとりわけ傑作として今も愛されている。二つの稀有な才能によるデュオは、行進曲では知的な抑制感を保ちながら、遊び心も満載。幻想曲では、素晴らしい演奏もさることながら、フォルテピアノのペダルが織りなす響きの迫力に驚かされる。最後に収録された最晩年の作のロンドは、優しさときらめきに満ちている。シューベルトの心の闇にどっぷり浸かるというよりも、二人の才能がシューベルトに新たな光を与えたような、希望を感じさせられる演奏となっている。
エラス=カサド〜メンデルスゾーン:交響曲全集 Vol.2
 第3番 イ短調 Op.56「スコットランド」/第4番 イ長調 Op.90「イタリア」〕
  パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2015年3月、アウディトリオ・イ・セントロ・デ・コングレス、ムルシア、スペイン。『★注目のスペイン人指揮者パブロ・エラス=カサドによるメンデルスゾーン第2弾。第1弾は、バイエルン放送響との「賛歌」(HMC-902151)でしたが、今回は「古楽界のベルリン・フィル」とも称されるフライブルク・バロック・オーケストラとの演奏で、「スコットランド」と「イタリア」を収録しました。エラス=カサドは、2011年本家ベルリン・フィルにデビューした際も「スコットランド」を取り上げており、本アルバムでも力演を聴かせてくれています。』『エラス=カサドは知的な解釈とスピード感溢れる指揮が特徴です。各パート間の流れを際立たせ、各楽器のバランスの取り方が見事で、作品のすみずみまでを見渡すことのできる情報量の多さ、そしてメンデルスゾーンの品格と快活さを失わない音楽を作り上げています。』
OVERTONES〔倍音〕〜調和する季節(中国笙&口琴)
 The Chant of Stars〔星の歌〕/ Overtone Dance I: Autumn〔倍音の歌I: 秋」〕/ Far away to Home〔はるか家路〕/
 Overtone Dance II: Summer Wind〔倍音の歌 II: 夏の風〕/ Overtones of the Sky〔空の倍音〕/
 Seismic Echo〔地震波〕/ Sun and Snow〔太陽と雪〕/ Dragon Dance〔ドラゴン・ダンス〕/
 Morning Prayer〔朝の祈り〕/ Overtone Dance III: Spring〔倍音の歌 III: 春〕/ Overtone Dance IV /
 Winter Heart〔倍音の歌 IV: 冬の心〕/ Five Leaf Clover〔5つ葉のクローバー〕/ Away

  ワン・リ(口琴/フルス/声/他) ウー・ウェイ(中国笙/芭烏/玲琴/声/馬頭琴)
 録音:2015年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 世界における広義のクラシック音楽をお届けする 新シリーズ、 "Latitudes" 〔=「緯度」、あるいはフランス語で「自由」の意〕。 東洋の伝統音楽の第一人者2名のコラボレーション・アルバム。ウー・ウェイは、37本の竹管からなる中国笙をはじめ、芭烏(リードをもつ中国の笛)、玲琴(胡弓の一種、擦弦楽器)、馬頭琴を自在に操り、また、自身の声をもって世界を表現。ワン・リも、口琴のほか、フルス(ひょうたん笛)、玲琴(チェロの弓を用いて奏する胡弓の一種)などを用いてこたえる。聴き手を虜にする倍音と独特の音色の宝庫のようなアルバム。伝統音楽でもなく現代音楽でもなく、何の楽器で演奏されているか俄かには判別できないような、非常に独特な世界が広がっている。
HMC-902230/31
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(2CD)
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イザベル・ファウスト&イル・ジャルディーノ・アルモニコ〜
 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集

  ヴァイオリン協奏曲〔第1番 変ロ長調 K.207 /第4番 ニ長調 K.218 /
              第2番 ニ長調 K.211 /第3番 ト長調 K.216a /第5番 イ長調 K.219 〕
/
  ロンド〔ハ長調 K.373 /変ロ長調 K.269 (261a) 〕/アダージョ ホ長調 K.261
   ※カデンツァ:すべてアンドレアス・シュタイアー作
 イザベル・ファウスト(Vn
  使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、ガット弦使用)

 ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ
 録音:2015年3月21日-23日、2016年2月4日-8日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。イザベル・ファウストのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲、全曲での登場。管弦楽はイル・ジャルディーノ・アルモニコ、さらに、カデンツァは鍵盤楽器奏者のアンドレアス・シュタイアーの筆によるもの、と大注目。近年ますます充実著しいファウスト。その音色はますます輝かしさとやわらかさを増し、音楽の深化もとどまるところを知らない。直近のシューマン・プロジェクトでも、作品に対する既成概念を払拭するような素晴らしいシューマンのヴァイオリン協奏曲を聴かせてくれた。このモーツァルトでも、シューマン録音と同様、愛器スリーピング・ビューティにガット弦を張って録音に臨んでいる。アレグロ楽章でのファウストならではのまっすぐな音色、緩徐楽章でのえもいわれぬ弱音の美しさ。刻々と変化する魅力の表情。そして管弦楽とのアンサンブルの妙!ファウストの音色と、イル・ジャルディーノ・アルモニコのとろみがありつつエッジの効いた音色が実によく合っている。弦の美しさが最高の状態でとらえられた録音も見事。すべてが想像を越えた素晴らしさ。ファウストは、シュタイアーがピアノ協奏曲で素晴らしいカデンツァを自作で演奏していることに注目し、シュタイアーにヴァイオリン協奏曲のカデンツァを作ってほしいと依頼したということ。シュタイアーは最初は躊躇したものの、最後は覚悟を決めて引き受けたそう。様々な研究を重ねた上でのシュタイアーのカデンツァ、こちらも大注目。
アントニオ・ソレル(1729-1783):チェンバロ・ソナタ集
 前奏曲〔第3番 ハ長調/第4番 ヘ短調〕/間奏曲〔(2曲)/迷宮の迷路〕/
 ソナタ〔第1番 ハ長調/第2番 ハ長調/第17番 イ短調/第18番 イ短調/第40番 ニ短調/
     第38番 ニ短調/第11番 変ロ長調/第12番 変ロ長調/第7番 イ長調/第8番 イ長調/
     第13番 ヘ短調/第14番 ヘ短調/第42番 変イ長調/第43番 変イ長調/第25番 ロ短調/
     第26番 ロ短調/第31番 ニ長調/第15番 ハ長調/第16番 ハ長調〕/
 ソナタ・パストラール第30番 ニ長調/わが人生のこの太陽の名声よ永遠なれ
 ディエゴ・アレス(Cemb)
 録音:2015年3月、ゼクエンツァ・スタジオ、モントルイユ。使用楽器:ジョエル・カスマン制作〔モデル:セビリャ・クラベ(チェンバロ)、1734年製作〕/使用楽譜:自筆譜〔ニューヨーク、モルガン・ライブラリー所蔵〕。代理店アナウンスに『このアルバムに収められた26篇はすべて世界初録音』と記載されている。生涯を聖職者として送ったアントニオ・ソレル神父。約150曲残されたチェンバロ・ソナタは師スカルラッティの影響を示しつつも、イベリア色香る独自の魅力を放っている。当時のイタリアやスペインの鍵盤ソナタは、同じ調性で一対の曲を成しているが、ここではそれをきちんと再現、美しいメロディと陽光あふれる世界は不思議なほど魅力的。1983年生まれのディエゴ・アレスはリチャード・エガーやジェスパー・クリステンセンらに師事した将来を嘱望される若手。スペイン黄金時代の響きを味あわせてくれる。
HMC-902233/34
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シュタイアー、ゼペック、ディールティエンス〜シューベルト:ピアノ三重奏曲集
 ピアノ三重奏曲〔第1番 変ロ長調 Op.99 D.898 /第2番 変ホ長調 Op.100 〕/
 ノットゥルノ 変ホ長調 Op.148 D.897
  アンドレアス・シュタイアー(Fp|使用楽器:
   クリストファー・クラーク、1996年製作〔モデル:コンラート・グラーフ(ウィーン)、1827年製作〕

  ダニエル・ゼペック(Vn|使用楽器:ロレンツォ・ストリオーニ、1780年製作
  ロエル・ディールティエンス(Vc
   |使用楽器:マルテン・コルネリセン、1992年製作〔モデル:ストラディヴァリウス〕
 録音:2015年6月15日-18日、20日-22日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。シュタイアーのシューベルトのピアノ三重奏。ヴァイオリンは、ドイツ・カンマーフィルのコンサートマスターにして、アルカント・カルテットでセカンド・ヴァイオリンを務めるダニエル・ゼペック。チェロは、ハルモニアムンディにも数々の名録音をものしている、しっとりとした音色が魅力の名手ディールティエンス。嬉しいメンバーでの録音の登場となった。★チェンバロを弾いてもフォルテピアノを弾いても、はたまた現代のピアノを弾いても、シュタイアーは実に詩情豊かな音色で独自の世界を聴かせてくれる名手。シューベルト作品では、以前ハルモニアムンディからト長調D894のソナタをリリース(HMC-902021)、シューベルトの心の闇をも優しくつつみこむような柔らかな音色が印象的だった。ここでもシュタイアーの詩情と慈悲深い音色は全開。弦楽器二人が奏でる音との絡み合いはえもいわれぬ美しさ。シューベルトの名作、ピアノ三重奏曲にまた新たな名演が誕生した。
エルサレムSQ 〜バルトーク(1881-1945):弦楽四重奏曲全集 Vol.1
  〔第2番 イ短調 Op.17, Sz.67 /第4番 ハ長調 Op.4, Sz.91 /第6番 ニ長調 Sz.114 〕

 エルサレムSQ [アレクサンドル・パヴロフスキ(Vn1) セルゲイ・ブレスラー(Vn2)
           オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2015年7月。 アラブのアクセントを思わせる激しい第2楽章をふくむ第2番、民俗音楽とアヴァンギャルドが巧みに融合された第4番、そして、まもなく亡くなる母、ファシズムの台頭という失意の中書かれた傑作第6番を収録。バルトークは弦楽四重奏曲を1909年(第1番)から1939年(第6番)の間に6曲作曲しており、バルトークの人生と作風の転機や変遷が濃厚に反映されていると言われているが、そのことをあらためて実感するプログラム。1996年のデビューから20年を迎え(2011年からヴィオラのメンバーがアミハイ・グロスからオリ・カム(現BPO)に交代)、ますます世界で活躍しているエルサレム弦楽四重奏団。バルトーク特有の激しいリズムの部分でも、美しい歌声を失わないバランス感覚はさすが。
HMC-802236/37
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(2 HYBRID_SACD
+ DVD [NTSC])
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価格帯:B
ヤーコプス〜J.S.バッハ:ヨハネ受難曲
 〔DVD収録内容:メイキング(録音風景)〕
 ヴェルナー・ギューラ(T;福音書家) ヨハネス・ヴァイサー(Br)
 イム・スンヘ(S) ベンノ・シャフトナー(CT) セバスティアン・コールヘップ(T)
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.、
 Staats-und Domchor Berlin 〔ベルリン大聖堂cho.〕
 録音:2015年7月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。DVD仕様: NTSC| 収録時間 約56分|リージョン・オール|日本語字幕無し。ヤーコプスがマタイ受難曲 (HMC-802156/58) に引き続きヨハネ受難曲を録音。 マタイ受難曲は、長年の経験と研究に裏打ちされた記念碑的録音であったので、今回の「ヨハネ受難曲」も大いに期待できる。ヨハネ受難曲はバッハ生前に計4回演奏され、毎回新たな変更が加えられた。その時の演奏で使える楽器や演奏家に影響され改訂された場合が多いが、もっとも大幅に変更されたのが1725年の第2稿。例えば冒頭の合唱部分には、当時まだ作曲されていないマタイ受難曲第1部の終曲を使用し、作品後半にも数曲異なるアリアを使用している。ヤーコプスはこの第2稿のみで追加、差し替えされた5曲(第1曲合唱を「おお、人よ、汝の大いなる罪を悲しめ」に変更/第11曲テノールのアリアを追加/第13曲テノール・アリアを別の曲に/第19曲テノール・アリアを別の曲に/第40曲をカンタータBWV23終曲合唱「キリスト、汝神の子羊」に変更)をアルバムの最後に収めている。ヤーコプスは、この第2稿について是非とも注目して聞いて欲しいと語っている。パッケージにボーナスとして収められている第2稿を入れ込んで再構築させた録音をハイレゾ・ダウンロード(harmoniamundi.comウェブサイトを参照)で通して聞くことが出来る。ボーナスDVDには録音風景を収録したメイキング映像が収められている。「マタイ受難曲」同様に録音配置にもこだわっている。ヤーコプスは合唱団の歌詞を最大限に明瞭にするため、そしてオーケストラにも最大限クリアな響きを求めるために、いくつかのパートに分類することを要求した。福音史家と通奏低音のパートは中央に、オーケストラは左に、右側には合唱、そこから各アリアを歌うソリストが現れ出るという、配置で録音された。5.1サラウンドで再生すると異なる4つのセクションが聞き手のまわりに配置されているように再生される臨場感溢れる録音となっている。
4月の嵐〜パッヘルベル:組曲、カノン、アリア集
 音楽の楽しみ(パルティータ集)(1695)
  〔第5番 ハ長調/第2番 ハ短調/第6番 変ロ長調/第3番 変ホ長調/第4番 ホ短調/第1番 ヘ長調〕/

 組曲4声のパルティータ ト長調/いかに儚き、ああ、いかに空しき、人の人生よ(*) /
 善良なヴァルター、我らの市参事会員(*) /4月の嵐(*) /
 おお、偉大なムーサの光(*) /我が命とその十字架/カノンとジーグ
 アマンディーヌ・ベイエ(Vn)
 リ・インコーニティ ハンス・イェルク・マンメル(T;*)
 録音:2015年7月、アルセナル文化センター。アマンディーヌ・ベイエ率いる古楽アンサンブル、リ・インコーニティによるパッヘルベルの室内楽、アリア集。パッヘルベルといえば、本アルバムの最終曲として収録されている「カノン」が大変有名で、世界中で親しまれている。この曲は本来3本のヴァイオリンと通奏低音による「カノンとジーグ」が対になった作品。軽快なテンポと3声部の絡みが立体的な色彩を構築し、素晴らしい手腕で対位法、カノン進行を処理しており、まさに彼の代表作と言える楽曲。パッヘルベルは現代では「癒し」の音楽の代表のような扱いだが、アイゼナハ、エルフルト、シュトゥットガルト、ニュルンベルクなど、教会・宮廷オルガニストとして活躍、バッハ以前のドイツの作曲家として最も重要な人物の一人。オルガニストとしても多忙であったが、大変な多作家でもあった。オルガン作品はもちろんのこと、その他の鍵盤楽曲、室内楽、声楽曲、典礼作品など多岐に渡っている。室内楽曲のうち最も重要な作品が、1695年ニュルンベルクへ移ってから出版された<音楽の楽しみ>。この曲集は、2つのヴァイオリンと通奏低音による6つの組曲からなっている。組曲はソナタと一連の舞曲からなり、その多くがフランス風様式で書かれ、特に第4、5番は壮大なシャコンヌで締めくくられており、ドイツの語法から離れていった手法がうかがえる。ベイエ&リ・インコーニティの演奏はタイトル通り音楽の楽しさを表現するような、明るく生き生きとした演奏を聴かせてくれる。また、テノールのハンス・イェルク・マンメルを迎え、アリアが組曲の間に収録されている。パッヘルベルのアリアのほとんどは、祭典、洗礼、葬式、新年などの特別な行事のために書かれたもので、艶やかな独唱が響き渡る作品。
ラインの娘〜シューベルト、シューマン、ブラームス、ワーグナー
 モルペウスの娘 ワーグナー:ライン川の河底に(女声合唱、ハープ、4つのホルン、2つのコントラバス)
         シューマン:子守歌 Op.78 No.4(女声四重唱とハープ/ヴィンセント・マナック編曲)
         ブラームス:私は角笛を苦しみの谷で鳴らす Op.41 No.1(4つのホルン)
 人魚 シューマン:ロマンス第1集 Op.69 No.5「海の女神」
    シューベルト:詩篇第23「主はわが飼い主」D.706(女声とハープ)
    シューマン:ロマンス第2集 Op.91 No.6「海の中で」
 セレナーデ ワーグナー:ジークフリート〜ジークフリートの鐘(ホルン・ソロ)
       ブラームス:女声合唱のための13のカノン Op.113 〜 No.5「かたい決意」
       シューベルト:セレナーデD.920(メゾ・ソプラノ、女声合唱)
 嘆きの女たち シューベルト:私は涙に濡れて D.131b(単純な3声のカノン)
        シューマン:ロマンス第1集 Op.69 No.6「礼拝堂」
        シューベルト:挽歌 D.836(女声合唱、2つのホルン、ピアノ/ハープ)
        ワーグナー:神々の黄昏〜葬送行進曲(4つのホルン/ジェイムズ・ウィルコックス編曲)
 もの憂い恋のうらみ ハインリヒ・イザーク:インスブルックよさらば(ヴィンセント・マナック編曲)
           ブラームス:女声合唱のための13のカノン Op.113 より
            〔 No.2「愛の神は私に過酷な姿であらわれる」/ No.13「もの憂い恋のうらみ」〕
 ラインの娘 ワーグナー:神々の黄昏〜ラインの娘(女声合唱、2つのホルン、ハープ/ヴィンセント・マナック編曲)
       ブラームス:2つのホルンとハープを伴う女声合唱のための4つの歌
         〔ハープは鳴り響く/シェイクスピアの歌「死と来たれ」/庭師 /フィンガルの歌〕

 ラファエル・ピション指揮アンサンブル・ピグマリオン
 ベルナルダ・フィンク(Ms) エマニュエル・セイソン(Hp)
 アネケ・スコット、ヨゼフ・ワルター、オリヴィエ・ピコン、クリス・ラーキン(Hr)
 録音:2015年7月、サン=テスプリ寺院、パリ。いま最もフランス古楽界で注目されている1984年生まれのラファエル・ピション。これまでにハルモニアムンディから「バッハ:レオポルト候のための葬送音楽」(HMC-902211)や「ラモー:カストールとポリュックス」など、既成概念を覆すようなアプローチの録音を発表し現代古楽界に衝撃を与えている。このアルバムは彼が率いるアンサンブル・ピグマリオンと、メゾ・ソプラノのベルナルダ・フィンク、そしてハープのエマニュエル・セイソンをメインに迎え、ライン川に魅了された作曲家シューベルト、シューマン、ブラームス、ワーグナーらの女声合唱を中心としたプログラムを収録している。スイス、ドイツ、フランス、オランダにまたがって流れるライン川は、美しい少女に魅せられた水夫を誘惑し、船を遭難させるという「伝説」や神話が残され、数々の歴史の舞台となり、ヒューゴ、ネルバル、ハイネ、アインヒェンドルフ、ターナーなど多くの作家、画家、芸術家を魅了し続けている。ワーグナーの「ラインの黄金」では、ラインの川底に隠された黄金を守る3人の水の乙女たちが登場する。ピションとピグマリオンはその「乙女」とともに川の流れをたどろうというプログラミングで、それぞれの曲をいくつかのカテゴリーに分け父なるラインの秘密に迫っている。珍しい女声合唱曲の数々をカウンターテナーとしても活躍するピションならではの解釈で聴かせてくれる。
エルサレムSQ 〜バルトーク(1881-1945):弦楽四重奏曲全集 Vol.2
  〔第1番 イ短調 Op.7, Sz.40 /第3番 Sz.85 /第5番 Sz.102 〕

 エルサレムSQ [アレクサンドル・パヴロフスキ(Vn1) セルゲイ・ブレスラー(Vn2)
           オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2019年6月15日-17日、11月30日、12月1日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。今や世界的クァルテットの代表格として活躍しているエルサレム弦楽四重奏団。2011年からヴィオラのメンバーがアミハイ・グロスからオリ・カムに変わったが、デビューから四半世紀ほどが経った当団のアンサンブルは近年ますます磨きがかかっている。バルトークの弦楽四重奏曲第2弾は第1、3、5番を収録した。バルトークは弦楽四重奏曲を生涯6曲残した。第1番(1908年作曲)、第3番(1927年作曲、フィラデルフィア音楽財団に献呈)、第5番(1934年、エリザベス・スプレイグ・クーリッジに献呈)とそれぞれバルトークの人生と作風の転機や変遷が濃厚に反映されていると言われているが、そのことをあらためて実感するプログラム。当演奏でもバルトークの独自のリズムととともに表情豊かな演奏は流石といえる出来栄え。第2、4、6番を収録した2015年録音の Vol.1(HMC-902235)とともにお楽しみ頂きたい。
アンリ・デュ・モン(1610-1684):ルイ14世の礼拝のためのモテと聖体奉挙のための作品
 メモラーレ/イエスよ わが心の喜び/1000回汝に祈る/おお、永遠に慈悲深い神よ/深い暗闇の影に/おお神々しい神秘よ/
 天の女王に栄えあれ/おおいと甘き聖母よ/なんと美しき/いと高く神々しい/バビロンの流れのほとりで

  セバスティアン・ドセ(Org)指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2015年9月、MC2 、グルノーブル。アンリ・デュ・モンは1663年から83年の20年間、ルイ14世のチャペルで音楽監督を務め、フル・コーラスのモテから独唱作品まで。日々の礼拝のために様々な曲を作っていた。「夜の王のコンセール」をリリース、ルイ14世関連のスペシャリストとして活躍するドセが、王宮の礼拝で奏でられた音楽をやわらかな響きで再現している。
THRACE 〔トラキアの伝統音楽〕〜サンデー・モーニング・セッションズ
 フランク・ルリシュ:ハムサ / S.シノプロス:ニハーヴェント・セマーイー / ロス・ダリー:カルシラマ
 ルトスワフスキ:ザッハー変奏曲 / オスタド・モハメアド・レザ・ロフティ:ザブリとシュスタリ
 作曲者不詳: Visite Nocturne (伝承曲/アラビアの歌)/私が鳥だったら(伝承曲)/ハサピコ(伝承曲/バルカン)/
        日曜日の朝(ギリシャ/結婚の歌ほか)/ "7/8" のダンス(伝統音楽/トラキア)
 シェミラーニ兄弟: Dast e Kyan(即興) / イェルク・ヴィトマン:ディジタル・エチュード(2015)

  ジャン=ギアン・ケラス(Vc) ソクラティス・シノプロス(リラ)
  ケイヴァン・シェミラーニ、ビヤン・シェミラーニ(ザルブ/ダフ)
 録音:2015年9月-10月。 世界における広義のクラシック音楽をお届けする 新シリーズ、 "Latitudes" 〔=「緯度」、あるいはフランス語で「自由」の意〕。 『★ケラスがいざなう、時空を越えた旅路。蠱惑的なリズムに乗ってケラスが奏でる古の旋律と、打楽器、リラの音色が合わさって、古の人々が行き交う喧騒が聞こえてくるかのよう。古楽から現代まで、おそろしいまでに精確な技術でいとも簡単にその垣根を越えるケラスによる、時代と地域を大きくまたがるプロジェクトの登場。タイトルのTHRACEとは、紀元前2,3世紀に栄えた文化交流も活発なトラキアのことで、歴史的に様々な地域のことを指しますが、本アルバムでは、ギリシア、トルコおよびブルガリアの音の原風景がとらえられています。ケラスのチェロの音色と、シノプロスが奏でるリラの音色が混然一体となり生まれる魅惑的な旋律、シェミラーニ兄弟のパーカッションの妙技にも引き込まれる1枚。★幼馴染の名打楽器奏者シェミラーニ兄弟、そして12年来の知り合いであるリラの名手、シノプロスの繰り出すリズムと音色が織りなす世界に、ケラスは自分やチェロという存在を融け込ませています。注意深く聴けば紛うことなきケラスのチェロの音色なのですが、チェロという楽器の枠を越えた世界が広がっています。2016年6月には本アルバムのメンバーとプログラムを携え来日、聴衆を熱狂させました。ケラス自身、「ずっと取り組みたかったプロジェクト」と語るプロジェクト。変幻自在、きわめて柔軟なケラスの音楽力にあらためて驚嘆させられる1枚です。★本CD1曲目の「ハムサ」は現代の作曲家によるもの。5拍子で書かれているのですが、西洋音楽に慣れ親しんだ耳には馴染みのないリズムに感じられ、1曲目から聞き手は一気に別世界へと引き込まれます。アルバムのタイトルにもなっているサンデー・モーニングは、ギリシアに伝わる結婚の歌をシノプロスがアレンジしたもの。クレタ島では、結婚を祝う音楽に、リラは欠かせないと言います。ルトスワフスキの作品は微分音が多様され、伝統音楽の音響とマッチします。また、ヴィトマンの作品デジタル・エチュード(フランス語のdigitalは「指の」の意もある)は、ブーレーズ追悼のために書かれたもので、弓をまったく用いず、ピツィカートやチェロ本体をたたく音のみで構成されており、シェミラーニ兄弟のパーカッションにも通じます。全体をとおしてプログラムを見ないで聴くと、伝統音楽なのか現代音楽なのか、区別がつかないくらいに巧みに構成された1枚。チェロとリラの音色も絶妙にマッチします。ケラスのような名手だからこそ為し得た、文化・文明の高度な融合がここにあります。』
孤独〜シューマン(1810-1856):
 6つの詩とレクイエム Op.90 /3つの詩 Op.83 〜世捨て人/天は一滴の涙を落とし Op.37 No.1 /夜の歌 Op.96 No.1 /
 ミルテの花 Op.25 より〔はすの花/君は花のごとく/孤独な涙よなぜ?〕/僕の美しい星よ Op.101 No.4 /
 6つの歌 Op.89 より〔夕べの空は荒れて/秘密の失踪/秋の歌/森との別れ/戸外へ〕/夕べの歌 Op.107 No.6

 マティアス・ゲルネ(Br) マルクス・ヒンターホイザー(P)
 録音:2015年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。シューベルト・エディション(HMX-2908750/KKC-8663)でも、リート奏者としての地位をあらためて世界に知らしめたゲルネが、シューマンの歌曲から19作を録音した。シューマンの結婚の年(1840)に作曲されたミルテの花は幸福感に満ち、レーナウ(1802-1850)への追悼として書かれた6つの詩とレクイエム Op.90 (1850)の歌曲には暗い絶望が漂うなど、シューマンの歌曲には、その時々の心の状態が色濃く反映されており、しかもどれも高い芸術性をほこっている。ゲルネはシューマンの生涯をたどるような示唆に富んだプログラムを通じて、シューマンの歌曲の世界を掘り下げている。そして完璧なコントロールに圧倒される。ザルツブルク音楽祭の音楽監督も務めるピアニスト、ヒンターホイザーがゲルネの歌の世界をさらに深みのあるものにしている。
ハーディング〜「幻想交響曲」&ラモー
 ラモー(1683-1764):
  歌劇「イポリートとアリシー」組曲
 ベルリオーズ(1803-1869):幻想交響曲 Op.14
ダニエル・ハーディング指揮
スウェーデン放送so.
 録音:2015年10月、ベールヴァルド・ホール、ストックホルム。充実著しいハーディング(1975-)による注目のアルバム。2016-17 シーズンからはパリo.の音楽監督 にも就任、ますますの充実ぶりで世界が注目している。ここで共演しているスウェーデン放送so.でも2007年から音楽監督を務めてほぼ10年。ここでハーディングが取り上げたのは、バロックの大家ラモーと、ロマン派の極みのベルリオーズ。相当遠い存在に思えるが、歌劇「イポリートとアリシー」の初演が1733年、「幻想交響曲」の初演が1830年と、100年程しか離れていない。ラモー初のトラジェディ・リリックとなったイポリートとアリシーは、アリアと合唱の役割が再考され、舞曲と描写的な管弦楽曲で、器楽の面でも革命をおこした。いっぽうの幻想交響曲も、具体的な表現の対象をもつ標題音楽の先がけとして、固定楽想などの革新的な技法が用いられている。ハーディングはそれぞれの作品のドラマを際立たせながら、刺激的なハーモニーやリズムなど、オーケストラを巧みに導きながら効果的に響かせている。フランスの巨匠による重要作品の核心に迫る演奏。
ヴォルフ:歌曲集〔作詞:ゲーテ(G) 、メーリケ(M) 、アイヒェンドルフ(E) 、ライニック(R) 〕
 4つのミニヨンの歌(G) /妖精の歌(M) /ねずみとりのおまじない(M) /お澄まし娘(G) /捨てられた娘(M) /
 心がわりした娘(G) /ニクセのビンゼフース(M) /秘めた愛(E) /花の挨拶(G) /少年と蜂蜜(M) /時は春(M) /
 夜明け前のひと時(M) /アナクレオンの墓(G) /彼は来た(M) /春に(M) /エオリアンハープに(M) /
 ある結婚式で(M) /少女の初恋の歌(M) /アグネス(M) /夏の子守歌(R)

  ゾフィー・カルトホイザー(S) ユージン・アスティ(P)
 録音:2015年10月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ベルギー出身のソプラノ歌手ゾフィー・カルトホイザーによるヴォルフ。モネ劇場でヤーコプス指揮のもとパミーナを歌い「生まれながらのモーツァルト歌手」と喝采を浴び一躍注目を集めた。その後も、劇場での実績を着実に積み、録音ではモーツァルト「偽の女庭師」やペルゴレージのオラトリオ「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」(HMC-902155)でもヤーコプスの指揮のもと高評価を得ている。ヴォルフ独特の諧謔的でユーモラスな曲から優しく甘い恋の歌まで様々な表情をもった作品が選曲されている。カルトホイザーのムラのないなめらかで、絶妙にコントロールされた歌声でじっくりとヴォルフの歌の世界を味わうことが出来る。
出会い [Encuentro]
 マヌエル・デ・ファリャ(1876-1946):7つのスペイン民謡/恋は魔術師(ピアノ組曲)
 フェデリコ・ガルシア・ロルカ(1898-1936):古いスペインの歌
  エストレッラ・モレンテ(歌) ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2015年12月。スペインのピアニスト、ペリアネスによるファリャ、そしてガルシア・ロルカの登場。歌うのはエストレッラ・モレンテ。2006年公開のスペイン映画「ボルベール(帰郷)」では主演女優ペネロープ・クルスが歌うシーンの吹き替えも行った歌手。ファリャ、そしてガルシア・ロルカの音楽には、スペインの音楽の歴史が詰まっている。この二人の作曲家に不可欠なのが、フランメンコの歌手。ファリャに「恋は魔術師」を書くよう勧めたのも、スペイン史上重要な、フランメンコ歌手にしてダンサーのパストラ・インペリオだった。タイトルの「Encuentro(出会い)」の通り、二人のアーティストはこの録音で初めて出会った。その邂逅を歓迎したい1枚。「7つのスペイン民謡」もガルシア・ロルカの古いスペインの歌も、心にストレートに響いて来る。「火祭りの踊り」のペリアネスのソロも、血が騒ぐような演奏。スペイン音楽の神髄を聴く1枚。
シャルパンティエ
 クリスマス牧歌劇 H.483 /待降節の聖歌集 H.36-43 /
 クリスマス牧歌劇より第2部異稿〔第2稿 H.483a /第3稿 H.483b 〕
  セバスティアン・ドセ(Org)指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2016年1月2日-6日。親しみやすく美しい宗教声楽作品を残したフランス・バロックの大家、シャルパンティエによるキリストの誕生を祝う牧歌劇。2部からなる作品で、第2部はふたつの異稿も収録している。ソロや重唱に合唱が合いの手を打つヴァラエティ豊かな歌が並び、9人の歌手が入れ替わり立ち代わり幸せな歌を聴かせる。声の合奏協奏曲とも言うべき音響効果が実に耳に楽しい名品。器楽は弦楽器、2つのリコーダーと通奏低音で構成され、リコーダーが醸し出す牧歌的イメージも幸福感たっぷり。器楽の活躍するリトルネロ主題もありここぞという所でしっかり音楽を引き締めてくれる。演奏はフランス古楽のスペシャリストとして人気を高めているドセ&アンサンブル・コレスポンダンス。小気味よく颯爽としたリズム感でありながら軽すぎず激しすぎず、のどかな美しさも存分に感じられる名演奏。柔らかな音色が絶品の、心洗われる素敵なアルバム。
トリオ・ヴァンダラー30周年〜ドヴォルジャークピアノ三重奏曲集
 〔ホ短調 Op.90, B.166「ドゥムキー」/ヘ短調 Op.65, B.130 〕
 トリオ・ヴァンダラー
  [ジャン=マルク・ヴァイジャベディアン(Vn) ラファエル・ピドゥ(Vc) ヴァンサン・コック(P)]
 録音:2016年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。1987年に活動を開始したトリオ・ヴァンダラー。結成30周年を記念してのリリースは、名曲ドゥムキーと、同じくドヴォルジャークのヘ短調というカップリング。もともと学生時代に教師の薦めでアンサンブルを組んだ3人は、活動を始めた翌1988年には難関で知られるミュンヘン国際コンクールで優勝。以降の活躍は世界が知るところ。ピアノ三重奏の「王道」レパートリーともいえる「ドゥムキー」は22年ぶりの録音。弦楽器の二人の息がぴったりなのは言うまでもなく、ピアノのヴァンサン・コックがすべてを見事にまとめあげている。ドヴォルジャークのヘ短調は、慟哭の冒頭から、一気に作品世界に引き込まれる。ピアノ三重奏の醍醐味を存分に味わわせてくれるトリオ・ヴァンダラー。活動開始30年を経た彼らの至高の芸術を堪能するとともに、さらにみずみずしさを増す彼らの音楽づくりに、今後がますます楽しみな1枚。
カルミニョーラ初登場&ベイエ〜ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲集
 〔ハ長調 RV 507 /変ロ長調 RV 529 /ハ長調 RV 510 /ハ長調 RV 505 /変ロ長調 RV 527 / ニ長調 RV 513 〕/

 4人の協奏曲 ニ短調 RV 127
  ジュリアーノ・カルミニョーラ、アマンディーヌ・ベイエ(Vn) リ・インコーニティ
 録音:2016年2月2日-6日、Pontifico Istituto de Musica Sacra, Sala, ローマ。フランス・バロック・シーンをしなやかに彩るヴァイオリンのアマンディーヌ・ベイエ&リ・インコーニティが、いわずとしれた名手カルミニョーラをゲストに迎えてヴィヴァルディの協奏曲集を録音。すべてのパッセージ、リズムが活き活きと輝き、物憂げな旋律の絡み合いの場面では美しい音色に心奪われる、至高のヴィヴァルディ世界。RV 507 は第1ヴァイオリンの方に華やかなパッセージや曲のしめくくりでも重要な役割が担わされているが、この録音では、随所でソリスト2人が奏でるなど、適宜手を加えながら自由に演奏している。またヴィヴァルディは当時、この RV 507 をドイツ屈指の名ヴァイオリン奏者ピゼンデルと共演したが、ピゼンデルは手稿譜に装飾音を書き入れており、この録音でも その装飾音が採用されている。
ゲルネ&ハーディング〜ザ・ワーグナー(1813-1883)・プロジェクト
 *「神と人間」
   「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(1868)より〔第3幕への前奏曲/ザックス「ニワトコのモノローグ」〕/
   「トリスタンとイゾルデ」(1865)より〔前奏曲/マルケ王「本当にそうしたと?」/イゾルデの愛の死〕/
   「ラインの黄金」(1869)〜ヴォータン「暮れに太陽の瞳が輝いている」
   「ヴァルキューレ」(1870)〜ヴォータンの別れと間の炎の音楽
 *「贖罪」
   「さまよえるオランダ人」(1843)より〔序曲/オランダ人のモノローグ「期限は過ぎた」〕/
   「タンホイザー」(1845)〜夕星の歌/「パルジファル」(1882)より
     〔第1幕への前奏曲/アンフォルタス「Ja - Wehe! Wehe! Weh uber mich!」/聖金曜日の音楽〕

 マティアス・ゲルネ(Br) トーヴェ・ニルソン(Ms) マッツ・カールソン(T
 ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放送so.
 録音:2016年3月21日-24日、2016年5月26-31日、ベールヴァルドホール、ストックホルム。 ゲルネとハーディング率いるスウェーデン放送so. による、ワーグナーの登場。ワーグナーの舞台作品から、「神と人間」そして「贖罪」をテーマに、バリトンやバスのためのよりすぐりの場面、そして管弦楽を集めている。ゲルネは2017年9月のペトレンコ率いるバイエルン国立歌劇場「タンホイザー」公演のヴォルフラム役でも絶賛されたことが記憶に新しい、まさに世界最高のバリトン。いっぽうのハーディングは2016年9月からパリo. の音楽監督にも就任、ますます脂がのってきている。ワーグナーに特化したアルバムは今回が初だが、前奏曲などはしばしば演奏会でも取り上げてきており、満を持しての録音といえるだろう。織り込まれた様々な要素におぼれることなく、オーケストラを豊かに歌わせ響かせている指揮ぶりはさすが。ゲルネの歌唱は、彼がまさに今 世界最高峰のバリトンであることを実感させるに十分な物。歌詞の一語一語に込められた深い表情と安定感に圧倒される。1967年生まれのゲルネと1975年生まれのハーディングによる、新しい世代の至高のワーグナーの登場といえるだろう。
J.S.バッハ:ソプラノのためのカンタータ集
 しりぞけ、もの悲しい影(結婚カンタータ) BWV.202 /
 信仰の道を歩め BWV.152 (*) /わたしの心は血の海を泳ぐ BWV.199
 キャロリン・サンプソン(S) アンドレアス・ヴォルフ(B−Br)
 イザベル・レーマン(リコーダー;*) カタリーナ・アルフケン(Ob;*)
 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vaダモーレ;*) ファウケ・ヘス(ヴィオラ・ダ・ガンバ;*)

 ペトラ・ミュレヤンス指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2016年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 バッハ・コレギウム・ジャパンでもおなじみのソプラノ、キャロリン・サンプソン。これまでに、BISレーベルから、多数の教会カンタータ集をリリース、さらに世俗カンタータ(BIS-1411 [BWV.210, 211収録])、そして最近では歌曲集のディスクもリリースされていたが、このたびハルモニアムンディ・レーベルから、フライブルク・バロックo. との共演で、バッハのソプラノのためのカンタータ集がリリースされるはこびとなった。 BWV.152はソプラノとバスのためのカンタータで、教会カンタータの中で唯一ヴィオラ・ダモーレが登場する作品。4曲目のソプラノのアリアでの、リコーダーとヴィオラ・ダモーレの作り出す天上的な響きもまた聴きどころ(ヴィオラ・ダモーレはゴットフリート・フォン・デア・ゴルツが担当)。サンプソンの歌唱の喜びのメリスマでの超絶技巧の軽やかさ、全体を通しての明るい歌声に、フライブルクの面々の醸し出すほっこりとした器楽アンサンブルがまた愉しく、すがすがしい気持ちになれる1枚。
イタリアからのおみやげ〜ハラハ伯爵の音楽日記
 ジュゼッペ・サンマルティーニ(1695-1750):フラウティーノのための協奏曲 ヘ長調
 レリオ・コリスタ(1629-1680):3声のシンフォニア・ド
 ジョヴァンニ・アドルフォ・ハッセ(1699-1783):フルートのためのカンタータ 変ロ長調
 ドメニコ・サッロ(1679-1744):フルート協奏曲 ニ短調
 アントニオ・カルダーラ(1671頃-1736):3声のチャッコーナ
 レオナルド・ヴィンチ(c.1696-1730):序曲&オペラ「エルピディア」からのアリア
 レオナルド・レーオ(1694-1744):チェンバロのためのトッカータ第8番
 ニコラ・フィオレンツァ(1700頃-1764):フルート・ソナタ イ短調
 アントニオ・マリア・モンタナーリ(1676-1737):フラウティーノ協奏曲 変ロ長調
 ジョヴァンニ・アントニオ・ピアーニ(1678-1759以降):リコーダーのためのソナタ第4番 ニ長調

 モーリス・シュテーガー(フラウト・ドルチェ/リコーダー)指揮
 ナージャ・ズウィーナー(Vn) 北谷直樹(Cemb)他
 スイス出身のリコーダーの名手、シュテーガーの新譜の登場。「ハラハ伯爵の音楽日記」と題した興味深いプログラム。1728年から 1733年まで オーストリア領ナポリ副王を務めたハラハ伯爵(1669-1742)は、多くの美術品を収集したことで知られている。そのコレクションには、リコーダーの ための作品も多く含まれていた。このCDのプログラムは、このハラハ伯爵のコレクションから。あまり知られていない作曲家のものも含まれているが、当時のナポリの音楽趣味の多様性に驚かされるラインナップ。どれも非常にヴィルトゥオーゾ性の高い作品ばかりだが、シュテーガーは、曲によってソプラノからテノール・リコーダーまでを華麗に吹き分け、リコーダーという楽器の底知れぬ可能性と表現力を見せつけている。共演者陣との、痛快なまでに息のあったアンサンブルで聴かせる。
ファウスト、メルニコフ、サラゴンSQ
 フランク(1822-1890):ヴァイオリン・ソナタ イ長調
 ショーソン(1855-1899):ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲 ニ長調 Op.21
  イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「ヴュータン」、1710年製
  アレクサンドル・メルニコフ(P|使用楽器:エラール、1885年頃製
  サラゴンSQ [クリスティーヌ・ブッシュ、リサ・インマー(Vn)
           セバスティアン・ヴォルフファース(Va) ジェシーヌ・ケラス(Vc)]
 録音:2016年6月、9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 『イザベル・ファウストの新譜、名曲フランクのソナタと、ショーソンのコンセールという組み合わせでの登場です。フランクと、彼に師事したショーソンという二名のフランスの大作曲家によるものであり、さらに、両作とも当時の大ヴァイリニスト、ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)にささげられている、という点でも共通しています。ファウストは近年ヨーロッパでの活躍が目覚ましく、ソロに室内楽にオーケストラとの協奏曲、ピリオド楽器(古楽器)からモダンまで、あらゆるスタイルと様々な時代のレパートリーを網羅する世界屈指の存在となっています。最近の録音でもモーツァルトの協奏曲全曲(KKC-5691/HMC-902230)、シューマンの協奏曲プロジェクト(KKC-5477、KKC-5617、KKC-5618)など充実の演奏を聴かせてくれていましたが、今回は楽器を「ヴュータン」と愛称のついたストラディヴァリに持ち替えての演奏となります。メルニコフも、ファウスト、そしてケラスと共演したシューマンの協奏曲プロジェクトのほか、プロコフィエフのソナタ集(KKC-5694/HMC-902202)でも著しい充実ぶりを示しているだけに、ますます期待が高まる新譜の登場といえるでしょう。フランクのソナタでは、メルニコフが紡ぎ出す前奏から、えもいわれぬ幻想的な雰囲気に思わず引き込まれます。ファウストの摩擦音が皆無のあの運弓が繰り出す音色は、繊細にして幻想的。終楽章も颯爽としたフレーズ運びで、コーダの華やかな終始も晴れやかに終わります。ショーソンは25歳のときに音楽の道を志し、パリ音楽院に入学、マスネのクラスに入りましたが、オルガン科の教授であったフランクに作曲を師事するようになります。ワーグナーにも傾倒していました。同時期の作品には熱情的な「愛と海の詩」(1882~93年)や大作「アルテュス王」(1895年完成)やなど抒情性と色彩感豊かな代表作が並びます。この「コンセール」(1889〜91年)は、名旋律の玉手箱のような傑作。美しい転調に彩られた第1楽章、懐かしさと切なさのシシリエンヌの旋律が美しく、ショーソンのリリシズムの粋に満ちた第2楽章、半音階が多用された荘重な第3楽章、そして八分の六拍子で快速に展開する中、様々な旋律が回想され華やかに幕となる第4楽章。全体をとおして、ファウストの繊細極まりない表情は絶美。2004年結成、18世紀のレパートリーを中心に活動を展開する中堅のアンサンブル、サラゴン・カルテットとのアンサンブルも完璧です。そしてメルニコフが陰になり日向になり、音楽を引き締めています。』
ホロデンコ〜スクリャービン
 6つの前奏曲 Op.13 /悪魔的な詩 Op.36 /5つの前奏曲 Op.16 /8つの練習曲 Op.42 /
 ピアノ・ソナタ〔第4番 嬰ヘ長調 Op.30 /第5番 Op.53 〕/悲劇的な詩 Op.34 /詩曲「焔に向って」 Op.72

 ヴァディム・ホロデンコ(P|使用楽器:ファツィオリ
 録音:2017年9月13日-14日、ファツィオリ・コンサート・ホール、サチーレ、イタリア、ライヴ。 ヴァディム・ホロデンコは1986年ウクライナ出身、モスクワ音楽院でゴルノスタエヴァ(ルーカス・ゲニューシャスの祖母)に師事し、2010年第4回仙台国際コンクール第1位、2013年ヴァン・クライバーン・コンクール優勝した若手実力派。現在アメリカを本拠に演奏活動を行い、2018年6月にも来日ツアーが予定されている。ハルモニア・ムンディのホロデンコ第3弾はスクリャービン作品集。ホロデンコはホロヴィッツを彷彿させる鋭敏なタッチで、スクリャービンの世界を描いている。イタリアの銘器ファツィオリのたっぷりとした音で歌う初期の前奏曲、独特な疾走感があやうい中期のソナタ、ピアノの響きの渦に書きこまれるような後期の「焔に向って」までピアノの魅力へ存分に浸れる。もちろんテクニックの冴えも万全。どんな難しいパッセージも曖昧さを見せずに再現。それでありながらスクリャービン独特な異常さにもあふれた凄絶さに言葉を失う。
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J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
 〔第1番 ロ短調 BWV.1014 /第4番 ハ短調 BWV.1017 /第2番 イ長調 BWV.1015 /
  第5番 ヘ短調 BWV.1018 /第3番 ホ長調 BWV.1016 /第6番 ト長調 BWV.1019 〕
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ヤコブ・シュタイナー、1658年製
 クリスティアン・ベザイデンホウト(Cemb|使用楽器:ジョン・フィリップス、バークリー、2008年製
  〔モデル:老ヨハン・ハインリヒ・グレープナー、ドレスデン、1722年製〕、トレヴァー・ピノックより貸与
 録音:2016年8月18-24日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 今や押しも押されぬヴァイオリンの女王、イザベル・ファウストが、バッハのヴァイオリン・ソナタを録音した。チェンバロは、天才ベザイデンホウト。2016年10月の来日公演でも、ふたりはバッハのソナタ集を演奏しており、その流麗にして息のぴったり合った演奏で、絶賛された。このバッハのソナタは、ヴァイオリンの声部と、鍵盤奏者の両の手が紡ぐ三重奏、いわば、トリオ・ソナタである、としばしばいわれる。トリオ・ソナタはバロックの作曲家にとって、対位法の技法を示す最上の場だった。バッハによるこれら6つのソナタは、対位法の最高級の技法が尽くされ、同時に音楽的愉悦に満ちた、トリオ・ソナタの決定的名作であると言える。実際バッハはこの6つの曲集を「亡くなる前まで」何度も改訂し続けており、田園的なものから真摯で受難を思わせる空気のものまで多様性に富み、活き活きとした、傑作となっている。イザベル・ファウストがここで演奏しているヴァイオリンの銘器ヤコブ・シュタイナーは、一時はヨーゼフ・ヨアヒムの手元にあったと考えられている楽器で、キレの良さ、あたたかみ、そしてメランコリーな表情にも合う暗めの音を兼ね備えている。そしてベザイデンホウトが奏でるチェンバロは、ピノックから貸与された、バッハも深く愛したジャーマンスタイルの楽器で、オルガンのように豊かな響きを可能にしながら、一音一音の発音(響き)が非常にクリアな名器。二者のバランスも理想的な演奏。ファウストのまっすぐに美しい音色と自然なフレージング、そしてベザイデンホウトのチェンバロのぴちぴちとしながらも流麗な音楽運び、二人ともきわめて自然に奏でている。急速なパッセージの場面でも、それぞれが難なく超絶技巧のパッセージを真珠を転がすように自由に演奏しながらも、二人の息はぴったり。それぞれの楽曲、それぞれの楽章のキャラクターの違いも際立っており、音楽の喜びにあふれた演奏が展開されている。無伴奏ヴァイオリンのソナタとパルティータと好一対を成す6曲に、歓迎すべき素晴らしい録音がひとつ生まれた。
ハーディング〜
 マーラー
(1860-1911):交響曲第9番 ニ長調
ダニエル・ハーディング指揮
スウェーデン放送so.
 録音:2016年9月8日-10日、ベールヴァルドホール、ストックホルム、スウェーデン。 充実著しいハーディングによる、マーラー9番の登場!1975年生まれのダニエル・ハーディング。2007年からスウェーデン放送so. の音楽監督を務めてほぼ10年、ベルリオーズの幻想交響曲(HMC.902244 / KKC.5669)などでもその音楽で世界を圧倒しましてきた。2016-17シーズンからはパリo. の音楽監督にも就任、ますますの充実ぶりで世界が注目している。マーラーが自らの手で完成させた最後の交響曲である第9番。これまでにも名演ひしめく大作だが、ハーディングは持ち前の見通しのよい音楽をここでも落ち着いて展開。作品に込められている、語り尽くされた壮大な物語におぼれることなく、マーラーが織り込んだ様々な細かな要素を効果的に響かせている。ひたすら長い道のりを歩むかのような終楽章も、最後まで一音も迷いなく自然に音楽が進んでいくようで、聴き手を引きつけて離さない。オーケストラとハーディングがまさに一体となって展開するマーラー、大注目盤の登場。
J.S.バッハ:ヴィオラ(・ダ・ガンバ)とチェンバロのためのソナタ集
 ソナタ〔ト短調 BWV.1029 /ニ長調 BWV.1028 /ト長調 BWV.1027 〕/
 カンタータ第5番「われはいずこにか逃れゆくべき」〜第3曲テノールのアリア「豊かに溢れ、流れ出して下さい」

  アントワン・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス「マーラー」、1672年製|
    使用弓: Arthur Dubroca 、2010年製バロック・ボウ

  鈴木優人(Cemb|使用楽器:ヴィレム・クレスベルゲン制作〔モデル:ヨアンネス・クシェ〕
 録音:2018年12月2日-5日、テルデックス・スタジオ・ベルリン。タメスティと鈴木優人による注目の1枚。ヴィオラのタメスティは、世界トップクラスのヴィオラ奏者として活躍しているほか、今井信子氏とヴィオラ・スペースを共宰、日本でもその名は広くしられるところ。鈴木優人はバッハ・コレギウム・ジャパンの首席指揮者としての活動のほか、器楽奏者・作曲者としても活躍、そして調布音楽祭ののエグゼクティブ・プロデューサーを務めるなど、その才能に世界が注目する存在。タメスティと鈴木優人は日本でも既に共演を果たしている。世代も近く、ともに音楽祭のプロデュースも手がけるなど共通する部分も多く、二人は盟友ともいえる関係。そんな二人による満を持してのバッハの登場、注目。ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタは、ヴィオラ・ダ・ガンバのパートと、チェンバロの右手と左手の3声の繊細な絡み合いが大きな魅力。チェンバロもソロ・パートもヴィルトゥオーゾ的要素も強い、魅力的作品がそろう。二人はレコーディングにあたり、バッハのカンタータの楽曲でそれぞれの楽章に通じるものを探りそのテキストを検討、音符ひとつひとつの裏まで読み込んで準備をすすめた。タメスティの奏でる美しく、ヴィオラや弦楽器という概念を越えた普遍的美を備えた音色はここでも炸裂。鈴木の奏でるチェンバロも実に雄弁で、望みうる最高のバッハの登場といえるだろう。カップリングは1724年、ライプツィヒ時代に成立したカンタータ BWV.5より第3曲のアリア。このテノール・アリアには美しくも技巧的な、溢れるばかりの神の恵みを注ぐかのような流麗な器楽ソロのオブリガートが書かれている。このソロには楽器の指定はない。アルト記号で書かれているため、ヴィオラ等で演奏されることも多いが、実際のところヴァイオリンでも演奏可能な音域。ここでは鈴木が声楽パートを含め演奏、タメスティはオブリガート・パートを演奏。溢れる神の恵みを表現したソロ・パートによってまさに救われるような、素晴らしい演奏となっている。
動物寓意譚〜動物がテーマの歌曲集
 ラロ:ひばりの歌(ラプラード詩)
 ラヴェル:くじゃく、こおろぎ、白鳥(「博物誌」より/ジュール・ルナール詩)
 プーランク:らくだ、チベットのヤギ、イナゴ、イルカ、ザリガニ、鯉(「動物詩集」(全6曲)/アポリネール詩)
 ドビュッシー:小さな羊飼、ジャンボ(象)のララバイ(「子供の領分」より)(ピアノソロ)
 フォーレ:「蝶と花」(2つの歌 Op.1より/ヴィクトル・ユゴー詩)
 セヴラック:ふくろう(2つのメロディより/シャルル・ボードレール詩)
 シャブリエ:小さなあひるのヴィラネル、蝉(ロズモンド・ジェラール詩)
 イベール:白い小さなろば(「物語」より)(ピアノソロ) / サティ:青銅の像、ダフェネオ(伊達男)
 シャプリエ(帽子屋) / ロッシーニ:2匹の猫の滑稽な二重唱
 オッフェンバック:からすときつね(ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ詩)
 アーン:リラの葉陰のナイチンゲール(レオポール・ドーフィン詩)
 ビゼー:てんとう虫(ヴィクトル・ユゴー詩) / ショーソン:蜂 雀(ルコント・ド・リール詩)
 ポーリーヌ・ヴィアルド(1821-1910):小鳥 VWV4021(ショパン:マズルカ第47番 Op.68 No.2の編曲/ルイ・ポメイ詩)
 ジャック・イベール:金の亀を使う女(「物語」より)(ピアノソロ)
 シャブリエ:赤い豚の牧歌、太った七面鳥のバラード(エドモンド・ロスタン詩)

 ゾフィー・カルトホイザー(S) ユージン・アスティ(P)
 録音:2016年9月14日-18日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。今をときめくソプラノのカルトホイザー。その混じりけのない美しい声でモーツァルト作品はもとより幅広いレパートリーでヨーロッパでひっぱりだこの活躍を見せている。彼女が今回とりあげたのは動物をテーマにした歌曲集。まず彼女の美しい歌声にあらためて驚かされ、それから動物にインスピレーションを受けた詩人や作曲家たちによる、イメージ豊かな世界を堪能できる1枚。ロッシーニの猫の二重唱での、ドミニク・ヴィスの芝居っけたっぷりの猫はさすが。本物のネコが録音に紛れ込んだのかと思わされるほど。挟み込まれたピアノソロでのアスティの非常に端正な演奏も好感がもてる。
テレマン(1681-1767):多数の楽器のための協奏曲集
 3つのトランペット、ティンパニ、2つのオーボエ、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ニ長調 TWV.54: D3 /
 2つのフルート、カルケドン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ロ短調 TWV.53: h1(ドレスデン版)/
 3つのオーボエ、3つのヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲 変ロ長調 TWV.44: 43 /
 2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ、チェロと通奏低音のためのソナタ ヘ短調 TWV.44: 32 /
 マンドリン、ハンマード・ダルシマー、ハープ、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調 TWV.53: F1 /
 3つのオーボエ、ファゴット、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ニ短調 TWV.53: d1 /
 3つのホルン、ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ニ長調 TWV.54: D2 /
 2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと通奏低音のための協奏曲 ト長調 TWV.43: 65 〜アダージョ

  ベルリン古楽アカデミー
 録音:2016年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 1982年創立の名門、ベルリン古楽アカデミー最新盤。テレマンの多数の楽器のために書かれた協奏曲を集めたプログラムで、各奏者が繰り広げる文 句なしの超絶技巧と愉悦の音楽を堪能出来る。少し珍しい楽器も取り上げられているのもまたおもしろいところ。TWV.53: h1に登場するカルケドンは、リュートの仲間。テレマンは400もの楽曲にこのカルケドンを指定しており、通常はバス声部を担当させているが、時にハーモニーを奏でるためにも用いている。カルケドンには様々な種類があるが、テレマンの楽曲の音域などから、6弦・ロングネックの「ガリツォーナ」として知られる楽器を念頭に置いていたと考えられる。この録音では、1718(または1728)にプラハで作られた楽器のコピーを用いて、ソナタのバス声部を演奏している。通常のリュートよりも少し低く太めでどこか素朴な味わいのある音色、注目。他にもマンドリンとハンマード・ダルシマーが登場する協奏曲も、どこかオリエンタルな響きのするたのしい仕上がり。ベルリン古楽アカデミーによる愉悦の極みのテレマン、注目。
バルトーク(1881-1945):
 ピアノ協奏曲第3番 BB.127, Sz.119 /
 管弦楽のための協奏曲 BB.123, Sz.116
ハビエル・ペリアネス(P)
パブロ・エラス=カサド指揮
ミュンヘンpo.
 録音:2016年9月26日-10月1日、ガスタイク、ミュンヘン。 ミュンヘン・フィルがハルモニアムンディに登場。スペインの俊英指揮者とピアニストとの競演によるバルトーク。オーケストラを率いるのはパブロ・エラス=カサド。古楽から現代もの、さらにオペラまで幅広く活躍する俊英によるミュンヘン・フィルとの初録音、注目。バルトークの管弦楽の協奏曲では、各楽器をこれ以上ないくらい効果的に響かせながら、見通しのよい音楽運びをしている。ミュンヘン・フィルの面々のうまさも際立つ名演。ピアノ協奏曲第3番では、ファリャ(HMC-902246)でも熱い音色で世界をうならせたハヴィエル・ペリアネスがピアニストをつとめる。ペリアネス独特の透明感のある音色で聴く第2楽章は絶品。終楽章も、充実したエネルギーと抜群のコントロールで、最後まで一気呵成に聴かせる。
シューベルト(1797-1828):
 八重奏曲 ヘ長調 Op.166, D.803 /
 5つのメヌエットと5つのドイツ舞曲 D.89 〜2つのメヌエット〔第3番/第5番〕
  (原曲:弦楽四重奏曲/オスカー・ストランスノイ編曲、八重奏版)

 イザベル・ファウスト
  (Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製
 アンネ・カタリーナ・シュライバー(Vn|使用楽器:作者不詳〔オランダ〕1700年頃製
 ダヌシャ・ヴァスキエヴィチ(Va|使用楽器:作者不詳〔ボヘミア〕、1860年頃製
 クリスティン・フォン・デア・ゴルツ(Vc|使用楽器:製作者不詳〔ウィーン〕、1800年頃製
 ジェイムズ・マンロ(Cb|使用楽器:G.パノルモ〔ロンドン〕、1827年製
 ロレンツォ・コッポラ(Cl|使用楽器:アニエス・グエルー、2010年製作〈2種;
   モデル:11キー、B管〔ウィーン〕、1820年頃製/6キー、C管、J. B. メルクライン、1810年頃製〉

 トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト
  (Hr|使用楽器: Courtois neveu aine 〔パリ〕、1802年製
 ハビエル・ザフラ(Fg|使用楽器: W. Triebert 〔パリ〕、1805年製
 録音:2017年7月5日-7日、9日、テルデックス・スタジオ・ベルリン。 クラリネット、ホルン、ファゴット、弦楽四重奏、そしてコントラバス、という編成のシューベルトの八重奏曲。シューベルトの室内楽でもっとも編成が大きな作品で、これまでにも多くの巨匠たちが録音をしてきたが、イザベル・ファウストが、豪華共演者陣と、ピリオド楽器で録音した。シューベルトの、音楽に生きる喜びが込められているともいわれる「八重奏曲」。心打つ旋律、そしてシューベルトの楽器の采配の妙に感動する瞬間の連続のような作品。そしてきわめつけは絶美の第2楽章。各奏者の旋律の受け渡しなど、シューベルトの音楽の素晴らしさ、そして素晴らしい演奏者たちが「アンサンブル」することによって生じる化学反応にあらためて感じ入るばかり。シューベルトの音楽世界の旅において、これ以上の仲間はなかった、とファウストが語るメンバーによる八重奏曲。極上の70分となっている。弦楽奏者はすべてフライブルク・バロックo. やオーストラリア室内管のメンバー、そして管楽器もフライブルク・バロックo. でもおなじみのコッポラ(Cl)ズヴァールト(Hr)ザフラ(Fg)といった、ピリオド楽器の最前線で活躍する奏者たち。彼らの奏でるピリオド楽器の、親密な音色が、作品のもつ色彩感が鮮やかによみがえらせ、ひとつひとつのパッセージが活き活きと語り出しているようだ。 「5つのメヌエット」は演奏機会が少ない弦楽四重奏作品。この録音のために、2つのメヌエットを八重奏版に編曲して演奏している。編曲をしたのはアルゼンチン系フランス人のオスカー・ストランスノイ、ファウストの友人でもあり、室内オペラやカンタータ、歌曲などの分野でも知られている。シューベルトが書いた宝石のようなパッセージのひとつひとつを見事に八重奏用に編みなおし、この作品の魅力を私たちに気づかせてくれる。
シューベルト:歌曲集「冬の旅」
 マーク・パドモア(T)
 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:グラーフ製〔エドウィン・ボインク・コレクション所蔵〕
 録音:2017年4月24日-26日。 オランダBPOともたびたび共演を重ね、オペラおよび歌曲、さらに宗教曲で世界をうならせているイギリスのテノール、マーク・パドモアが「冬の旅」を再録音した。パドモアの「冬の旅」には、2008年録音の、ポール・ルイスとの名盤(HMU-907484)がある。シューベルトが書いたオリジナル調で演奏、ソット・ヴォーチェ、完璧なディクションで、世界中で絶賛された。このポール・ルイスとの録音から約10年、来日公演でもイモジェン・クーパー(2008年)、ティル・フェルナー(2011/2017年)、そしてポール・ルイス(2014/2017年)と「冬の旅」を披露、ますますその芸術の幅を広げたパドモアが再録音に際し選んだパートナーは、フォルテピアノの天才、ベザイデンホウト。調性は旧盤と同じシューベルトのオリジナル調によっているが、フォルテピアノというまた違うパートナーを得て、パドモアの演奏がどのように展開されているかもたのしみなところ。まず、「おやすみ」の前奏から、ベザイデンホウトの美しい弱音に引き込まれる。パドモアの表情の細かな変化にぴたりとついたフォルテピアノはさすが。終曲での、消え入るような音色で不気味に鳴り響く空虚5度は、思わず息をつめてしまうような凄み。パドモアの透徹した語り手ぶりもますます堂に入り、5曲目の有名な「菩提樹」も、やさしさだけでは終わらず、ベザインデンホウトのフォルテピアノも実に効果的に響く「春の夢」でも壮絶な表情。幾度となく聴いているはずなのに、一音一音、一語一語にはっとさせられる、鮮烈な「冬の旅」の登場。
宗教改革 1517-2017
 J.S.バッハ:カンタータ
  第79番「主なる神は日なり、盾なり」 BWV.79 /第80番「われらが神は堅き砦」 BWV.80 〕
 マルティン・ルター(1483-1546):われらが神は堅き砦/平安と歓喜もて、われはいく
 ヨハン・クリューガー(1598-1662):いざやもろ人、神に感謝せよ [Nun danket all Gott]
 ゲオルク・ノイマルク(1621-1681):ただ神の御旨に従う者は
 メンデルスゾーン(1809-1847):ただ神の御旨に従う者は MVW A 7
 ブラームス:モテット「なぜ悩む者に光が与えられたか」 Op.74 No.1
 ウィリアム・クロフト(1678-1727): O God, our help in ages past
 ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):主よ、あなたは代々にわたしたちの宿るところ

  グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.、
  クレア・バロック[マーガレット・フォートス(Vn/リーダー)]
 録音:2017年4月2日、4日、聖ヨハネ福音教会、ロンドン。 2017年は、ルターの宗教改革(1517)から500年記念にあたる年。これを記念して制作されたアルバム。バッハの宗教改革記念日のためのカンター2作のほか、様々なコラールに基づく作品をあつめた1枚。バッハのカンタータ2作は、1724年(80番)、1725年(79番)の宗教改革記念日のために作られた物。「われらが神は堅き砦(神はわが櫓)」は、神への熱烈な信頼を歌う、ルターの有名なコラールで、ここに収録された第80番のほかにも、メンデルスゾーンの「宗教改革」にも登場、後世の様々な作曲家も引用している。79番は、カトリックへの敵対の歴史も歌詞に盛り込まれた内容で、第3曲に、クリューガーのコラールが登場する。メンデルスゾーンの「ただ神の御旨に従う者は」はルターのコラール「平安と・・・」はカンタータ BWV.125にも登場するが、ブラームスのモテット Op.74 No.1の終曲にも登場する。メンデルスゾーンは、コラールに基づくカンタータを8つ作曲しており、ここに収録された作品は3つ目にあたるもので、19歳の頃、1828から29年にかけて作曲されており、ちょうどメンデルスゾーンがバッハのマタイ受難曲の蘇演にむけての準備を進めていた頃に重なる。1829年に渡英した折にこの作品は演奏される予定だったが、現在では何の記録も残されていない。その後100年以上もこの作品は忘れられていたが、最近になって、メンデルスゾーンの友人で歌手のフランツ・ハウザーの遺産から楽譜の写しが発見された。このコラールは当時の讃美歌の中でもっとも人気のあったもので、メンデルスゾーンは1, 4, 7節に付曲しているが、それに先行してイスラエルの聖歌の歌詞が冒頭に引用されている。メンデルスゾーンの時代、ルター派の教会の礼拝でカンタータが演奏されるという慣習はすでになくなっていたが、何らかの宗教的行事の中での演奏を目的に作曲されたと考えられている。1921年に作曲されたヴォーン・ウィリアムズのカンタータは詩篇90の第1節からとられたもので、朗唱のような合唱や、効果的な強弱の指示など、創意に満ちた非常に美しい作品となっている。
異国にて〜亡命したエリザベス朝の作曲家たち
 ジョン・ダウランド(1563-1626):流れよ、わが涙/この恐れ慄く影に
 ウィリアム・バード(1540頃-1623):悲しみと不安/異国の地で主なる歌を歌えようか?
 リチャード・デリング(1580頃-1630):天上には沈黙があった
 ピーター・フィリップス(1560/61頃-1628):喜べ、処女マリアよ/喜べ、天の女王よ
 フィリップ・ド・モント(1521-1603):バビロンの流れのほとりに
 ヒュー・ワトキンス(1976-):不死鳥と亀 / ロバート・ホワイト(1538頃-1574):5声の嘆きの歌

 スティレ・アンティコ
 録音:2018年2月。「天上のハーモニー」無伴奏声楽アンサンブル、スティレ・アンティコによる最新盤は、エリザベス朝時代に亡命した作曲家たちの作品集。エリザベス1世は、イギリス国教会を確定させ、古いカトリック教の信者たちにひどい扱いをした。王朝への服従と良心の間に揺れたフィリップス、ダウランドたちは、海外での亡命生活を選んだ。また、英国に残り、精神的に孤立しながら過ごした音楽家たちの中には、ロバート・ホワイトやウィリアム・バードのように、みずからをバビロンに移住したイスラエル人にたとえたりもした。作曲家がテキストや音楽に込めた祖国への気持ちに思いを馳せつつ、スティレ・アンティコの美しいアンサンブルにただただ聴き入る1枚。
ハーディング、ステイプルズ〜ブリテン(1913-1976):
 高声と弦楽オーケストラのための「イリュミナシオン」 Op.18 (1939) 〔詩:アルテュール・ランボー〕/
 ホルン、テノールと弦のための「セレナード」 Op.31 (1943) /
 テノール、6つのオブリガート楽器と弦楽のための「夜想曲」 Op.60 (1958)

  アンドルー・ステイプルズ(T) クリストファー・パークス(Hr)
  ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放送so.
 録音:2018年3月、2019年5月、ベールヴァルド・ホール、ストックホルム。ハーディングが、ブリテンによる、(弦楽)オーケストラ伴奏歌曲を録音した。ハーディングといえば交響曲はもちろん、声楽付きの管弦楽やオペラ(ブリテンのねじの回転も含む)でもその手腕を発揮しているのは誰もが知るところ。ここでも、故郷の作曲家の作品を、手兵スウェーデン放送so. の多彩な音色を駆使して、作品の魅力を120%引き出している。歌うのは、1979年ロンドン生まれのテノール、アンドルー・ステイプルズ。ロイヤル・オペラ・ハウスでデビューしたのち、ラトル指揮のBPOやVPOなどとも共演、演奏会やオペラ、リサイタルで活躍する存在で、重すぎず品格ある響きはどこかピーター・ピアーズを思い起こさせる瞬間もあるようで、非常に魅力的。さらに、フォトグラファーとしてもセンスある写真を多数撮影している存在。≪イリュミナシオン≫は、ランボーの詩によるもの(原語のフランス語で歌われる)。ブリテンは、この詩についてvisions of heaven(天国の光景)と語っており、詩が含有する世界を見事な書法で華麗に音化している。ハーディングが器楽から引き出す音色がとにかく極彩色で高精度。素晴らしい出来栄え。≪セレナード≫ではホルンのクリストファー・パークスのソロが光る。クリストファー・パークスは1981年ドンカスター(イギリス)生まれ。はじめにコルネットを習ったあと、7歳でアルトホルン(イギリスではテナーホルン)をはじめ、15歳でホルンに転向。ロンドン・フィルのホルン奏者を務めたのち、2007年にロイヤル・フィルの首席奏者に就任。2010年からはスウェーデン放送so. で首席奏者を務めている。≪夜想曲≫は8曲からなり、それぞれの詩は英国を代表する詩人(あるいは作家)のものが採用されている。詩の素晴らしさもだが、各曲で、ファゴットやハープ、ホルン、ティンパニ、コールアングレ、フルートやクラリネットのオブリガート楽器が活躍するのもまた聴きどころの作品。ここではスウェーデン放送so. のメンバーたちによる素晴らしいアンサンブルをお楽しみいただける。1975年生まれのハーディングが、ここにきてさらに充実していることを感じさせると同時に、作品についての明確なヴィジョンを持っていることが、音からも実によく伝わってくる、秀逸な演奏。
イェルク・ヴィトマン(1973-):
 ヴィオラ協奏曲(アントワーヌ・タメスティに捧げる)(2015) (*)/
 ヴァイオリンとチェロのための「24のデュオ」より(アントワーヌ・タメスティ編曲/
   ヴィオラとヴァイオリン、またはヴィオラとチェロのための版)
    〔第9番 静かに(#) /第14番 カプリッチョ(#) /第15番 声(#) /
     第16番 機械仕掛けの小バレエ(+) /第12番 カノン=断章(+) /
     第5番 問い(+) /第6番 スケルツァンド(+) /
     第21番 バイエルンのワルツ(#) /第22番ラメント(代理店のアナウンスに記号記載なし) 〕
/
 弦楽四重奏曲「狩の四重奏」(**)
  アントワーヌ・タメスティ(Va;**以外
   使用楽器:ストラディヴァリウス「マーラー」、1672年製

  ダニエル・ハーディング指揮バイエルン放送so.(*)
  マルク・ブシュコフ(Vn;*) ブリュノ・フィリップ(Vc)
  シグナムSQ (**) [フロリアン・ドンデレル、アンエット・ワルター(Vn)
           シャンディ・ファン・ディーク(Va) トーマス・シューミッツ(Vc)]
 録音:2016年3月3日-4日、ヘラクレスザール、ミュンヘン(*) /2017年10月22日、30日、テルデックス・スタジオ、ベルリン(*以外)。 当代きってのヴィオラ奏者、アントワーヌ・タメスティ。難関ミュンヘン音楽コンクールで優勝、世界のトップクラスのヴィオラ奏者として活躍しているほか、今井信子氏とヴィオラ・スペースを共宰、日本でもその名は広くしられるところ。ハルモニアムンディからの第1弾リリースとなる「ベル・カント〜ヴィオラの声」(HMM-902277)は非常に高く評価された。マントヴァーニの2つのヴィオラのための協奏曲をタベア・ツィンマーマンとの共演で初演、その活躍の場とレパートリーはとどまるところを知らない。今回は、同じくこの時代を牽引する存在の作曲家にしてクラリネット奏者、ヴィトマンの作品集で登場。ヴィオラ協奏曲は、タメスティに捧げられた作品。concertoという単語はラテン語で戦い、競争、あるいは論争を意味し、ヴィトマンも、このラテン語から創造をスタート。基本的にヴィオラはオーケストラと相対する存在として扱われている。ステージ上でも、通常ソリストは指揮台の横に立つが、ヴィトマンはソリストをオーケストラの中に立たせる。しかも最初はソリストが楽器の指板やあごあてを叩いたりする音から始まる(この音が非常に美しく響くことに、まず驚かされる)。次第に打楽器が加わり、対話(口論?)となり、タメスティとオーケストラの一歩もゆずらぬ駆け引きで緊張感に満ちた第1楽章、静謐な世界の中でヴィオラが美しい低音を奏でる第2楽章、第3楽章の終盤ではタメスティのシャウトを合図にクライマックスを迎える。超絶技巧の第4楽章、そして「アリア」と題された終楽章(第5楽章)では、ヴィオラが美しくも悲しい旋律を奏で、最後は息絶えるように永遠に下降するかのようなグリッサンドで曲が閉じられる。24のデュオはもともとはヴァイオリンとチェロのためのデュオだが、ここではタメスティが、ヴィオラと、ヴァイオリンまたはチェロのためにアレンジして演奏。HMNシリーズでも登場した気鋭の奏者と共演している。狩の四重奏は、名門シグナム四重奏団による演奏。1楽章構成で、威勢のよい掛け声に始まり、古典派の狩の音楽を思い起こさせるように始まったかと思わせて、すぐにそれは不協和音や特殊奏法による音色で崩壊しかけるが、また古典派風に戻る、を繰り返す楽しい楽曲。ヴィトマンの作風の幅広さと、タメスティの美音を堪能できる1枚。=イェルク・ヴィトマン=世界的クラリネット奏者にして、世界的作曲家、そして指揮者でもある、音楽界を牽引する存在。ヨーロッパのオーケストラで彼の作品を取り上げていないところはないともいわれるほど、作曲家としてポピュラーな存在。また、クラリネット奏者として数多の指揮者、オーケストラと共演を重ねているほか、その作品はダニエル・バレンボイム、ハーディング、ケント・ナガノクリスティアン・ティーレマン、ラトルマリス・ヤンソンスらもしばしば取り上げている。2018年1月にはクラリネット奏者として来日、その技量に聴衆は驚嘆した。
無窮夜〜17世紀のエアと歌曲集
 ロバート・ジョンソン(1583頃-1633):安らぎをもたらす眠りよ / ニコラス・レイニア(1588-1666):もう緑の地は
 ウィリアム・ロウズ(1602-1645):私が湖に立つと/音楽よ、あなたの主は死んだ/偉大な英国よ
 ジョン・コプラリオ(1570/80頃-1626頃):行け、幸せな男 / ジョン・ジェンキンス(1592-1678):パヴァーヌ ヘ調
 ロバート・ラムゼイ(?-1644):「王妃よ、涙は何の助けになるか/行け、偽証した男よ/亡霊よ怒りよ、大声を出すな
 ジョン・バニスター(1624/25-1679):リュートを下さい/アミンタスよ
 ウィリアム・ウェブ(1600頃-1657):力強いモルペウスよ / ジェイムズ・ハート(1647-1718):喜びよさようなら
 ジョン・ヒルトン(1599-1657):立ち上がれ、気高き羊飼いよ
 ジョン・ブロウ(1648/49-):あわれなセラドン/歌え、歌え、ミューズよ
 マシュー・ロック(1621/23-1695):オルフェウスが歌った時 / ジョン・ジャクソン(?-1688):おお、フィリスよ!

 ルシール・リシャルドー(Ms)
 セバスティアン・ドセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2017年7月。 17世紀、フランスと英国の芸術家や君主の往来は、とりわけ英国の音楽に大きな影響を与えた。神話などのドラマティックな場面をうたった大規模なアリアは、後のオペラへの道を作った。毎度凝ったプログラムで魅せるドセは、ここでは、愛、夜とメランコリーを扱った内容の楽曲を集めた。独唱を務めるのは、ポール・アグニュー指揮のモンテヴェルディ:マドリガーレのプロジェクトにも参加していた、ルシール・リシャルドー。陰影に富んだ表情で聴かせる。
O Lux Beata Trinitas
 グレチャニノフ(1864-1956):ケルビムの聖歌 Op.29 / ブリテン(1913-1976):祝祭テ・デウム Op.32
 グレアム・ロス(1985-):セラフィムの二重唱 / スタンフォード(1852-1924): Laudate Dominum(詩篇150)
 チェスノコフ(1877-1944):ケルビムの聖歌 Op.29 No.5 / ジョン・ステイナー(1840-1901): I saw the Lord
 ジェイムズ・マクミラン(1959-):サンクトゥスとベネディクトゥス(ミサ曲より)
 チャイコフスキー(1840-1893):ケルビムの聖歌 ヘ長調 / ラフマニノフ(1873-1943):ケルビムの聖歌 Op.31 No.8
 ジョン・シェパード(1515頃-1558): Libera nos, salva nos I & II
 ウィリアム・バード(1543頃-1623): O lux beata Trinitas
 ジョシュア・パチェイ(1995-): Tres sunt / グリンカ(1804-1857):ケルビムの聖歌 Op.31 No.11
 ガブリエル・ジャクソン(1962-):三位一体への讃歌 / チャールズ・ウッド(1866-1926): Hail, gladdening light

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.
 録音:2017年6月。
ファリャ:バレエ「三角帽子」(*) /バレエ「恋は魔術師」(#)
 カルメン・ロメウ(Ms;*) マリナ・エレディア(カンタオラ;#)
 パブロ・エラス=カサド指揮マーラー・チェンバーo.
 バレエ「三角帽子」が初演されたのは1919年。2019年は初演100周年記念イヤーにあたる。スペインのグラナダ出身のエラス=カサドが、名門マーラー・チェンバーo. を率いて「三角帽子」と「恋は魔術師」を録音した。長年これらの作品を収録したいと考えていたエラス=カサド。このたびマーラー・チェンバーo. という世界最高峰のオーケストラを得ての満を持してのレコーディングとなった。まるで極彩色のキュビズムの絵画のような、熱く鮮烈な演奏に圧倒され、これまでのこれらの作品観を覆されるようだ。オーケストラの奏でる音色ひとつひとつから、極彩色の風景が薫り立つ。さらにカサド仕込みの本場のスペインのリズムに聴き手の耳も心も踊る。「恋は魔術師」で歌い手を務めるマリーナ・エレディアは、世界にフランメンコの魅力を伝え、受賞多数の世界的歌い手であり、当作品の世界最高峰のスペシャリストでもある。カサドによる、最高レベルでアップデートされたファリャ2作品、注目。
トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611):レスポンソリウム集
 〔聖木曜日のための/聖金曜日のための/聖土曜日のための〕
 スティレ・アンティコ
 録音:2017年2月。 復活祭前の一週間はキリスト教にとって特別な期間で、古来様々な音楽が書かれてきた。ア・カペラの人気声楽アンサンブルが今回収録したのは、16世紀スペインの巨匠トマス・ルイス・デ・ビクトリアによる聖週間のための音楽。スペインのルネサンス期の偉大なるポリフォニー作曲家としての真価を問う素晴らしい録音となっている。
ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809):
 ソナタ集〔ハ短調 Hob.XVI: 20 (1770頃) /ハ長調 Hob.XVI: 48 (1789) 〕/
 「神よ、皇帝フランツをまもりたまえ」の主題による変奏曲 Hob.i: 430
   (作曲者編曲|原曲:弦楽四重奏曲第77番「皇帝」 Op.76 No.3 (1797) 〜第2楽章)/
 パルティータ(ディヴェルティメント) ト長調 Hob.XVI: 6 (1760頃) /
 変奏曲(ソナタ、あるいは小ディヴェルティメント) ヘ短調 Hob.XVII: 6 (1793)
  クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:ポール・マクナルティ、2009年製〔モデル:
    アントン・ヴァルター&ゾーン(ウィーン)、1805年製.アレクサンダー・スキーピング・コレクション〕
 録音:2017年9月。フォルテピアノの申し子ベザイデンホウト。モーツァルトの全集(2014年完成)以降協奏曲や室内楽、歌曲での録音が続いており、どれも絶賛されたが、ここで久々に独奏アルバム、ハイドンの登場。 ハ短調ソナタの冒頭から、濃厚に漂う色、芳香、そして豊かな陰影に驚かれる。弦楽四重奏曲「皇帝」第2楽章のハイドン自身による鍵盤編曲版もベザイデンホウトらしいインスピレーションに満ちた、幻想的な雰囲気のある演奏。パルティータ(ディヴェルティメント)は、ひょっとしたらハイドンの最初のピアノ曲かもしれないとされているもので、1760年頃の作。既にハイドンが優雅でウィットに富んだ作風を確立していたことを感じさせると同時に、当時ウィーンで流行していた D.スカルラッティをも思わせる、長調と短調の歯切れの良い入れ替わりなどもみられる。初期から後期にわたる幅広いプログラミング。どの作品も、ベザイデンホウトにしかできない優雅な雰囲気をまといつつ、美しく際だたされた陰影とともに、実に生き生きと響いて来る。
COMPLICES =相棒=
 ハイドン/ピアティゴルスキー編曲:ディヴェルティメント ニ長調〜アレグロ・ディ・モルト
 クライスラー:愛の悲しみ / ブラームス:ハンガリー舞曲第2番 / ヴェチェイ:悲しきワルツ
 ポッパー:セレナーデ Op.54 No.2(スペイン舞曲集より)/妖精の踊り Op.39
 チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51 No.6 / シチェドリン/ヴァルター・デスパリ編曲:アルベニス風に
 ショパン:ノクターン Op.9 No.2 / ポッパー:マズルカ Op.11 No.3(3つの小品より)
  B. A. ツィンマーマン:短い練習曲第4番(#) / クライスラー:愛の喜び
 ファリャ:ナナ(7つのスペイン民謡より) / フォーレ:蝶々 Op.77 / サン=サーンス:白鳥
 プーランク:愛の小径 / コルトレーン:「アラバマ/バッハに基づく即興」(*)
 デュティユー:ザッハーの名による3つのストローフェ〜第1曲(#) / ハイドン:交響曲第13番〜アダージョ(+)

 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器ジョフレド・カッパ、1696年
 アレクサンドル・タロー(P;*/#/+以外) ラファエル・アンベール(テナーSax;*)
 ステファニー・マリー・ドゥガン指揮ラ・ディアーヌ・フランセーズ(+)
 録音:2018年9月5-10日、サル・ド・レスプラナード、アルセナル・ド・メス、フランス。ケラスの冴えたチェロの音色と、タローの魔術的なピアノの音色。黄金コンビの演奏がハルモニアムンディから登場する。タイトルは " Complices "、日本語にすると、“相棒 "、あるいは“道連れ "。このタイトルには演奏者二人自身のことはもちろん、聴き手も、その時空を演奏者と共有する仲間である、という意味が込められている。実演での共演機会も多いふたりが選んだプログラムは、有名曲から知られざる傑作までがそろった、いわばアンコール・ピース集。演奏会の時、告知された本編プログラムの時はもちろん、それが終わった後のアンコールの時、少しリラックスした空気の中にもまた違った素晴らしい自由や相互のやりとりが生まれると語るケラス。このアルバムにもそうした、よりのびやかで自由な雰囲気が素晴らしいかたちでとらえられています。トラック17では、人気サックス奏者ラファエル・アンベールが参加し、アルバムに華を添えている。ハイドンの交響曲第13番の第2楽章、独奏チェロが美しい旋律を歌う楽章でディスクが美しく閉じられる。編曲は二人によるものも含む。ふたりのアンサンブルはこれまでにも増して特別な化学反応を見せており、鮮烈にして円熟の極み。叙情的にして超絶技巧の名曲の数々を、ふたりの最高のデュオでお楽しみ頂ける。
アルベルト・ダ・リーパ(1500頃-1551):
  ファンタジア、声楽作品のインタブラトゥーラ(リュート編曲)、舞曲集
   (含・サンドラン、セルミジ、フェスタ、ジャンスィアン、ジャヌカンの作品)
  Fantasie XIX / Pavane, La Romanesque / Gaillarde La Milanoise / Fantasie III /
  Douce mémoire (Pierre Sandrin) / On en dira ce qu’on voudra (Claudin de Sermisy) /
  Fantasie II / O passi sparsi (Costanzo Festa) / Pavane / Galliarde / Fantasie VIII /
  L’eccho [Dieu qui conduis] (Gentian) / / Galliarde / Fantasie IX /
  Or vien ça vien mamie Perrette (Clément Janequin) / Fantasie I de Guyterne / Pavane /
  Galliarde / Fantasie XXII / Martin menoit (Clément Janequin) / Fantasie V /
  Galliarde / Gaillarde Piemontoise / Fantasie II de Guyterne / La Seraphine

 ポール・オデット(リュート/ルネサンスG)
 録音:2016年9月、ケベック、カナダ。リュートおよびギター界の巨匠、ポール・オデット、ソロ新録音の登場。16世紀スペインの大リュート奏者、ド・リーパの作品集。アルベルト・ド・リーパは、またの名をアルベルト・デ・リッペ、アルベルト・ダ・マントヴァ、アルヴェルト・マントヴァーノとも言われており、生地もマントヴァあるいはそこから南に20キロほどのリパ、生没年も1500年前後〜1551年頃、ちょうどフランチェウスコ・ダ・ミラーノ(1497-1543)と同時期に活躍した。宮廷につかえ、ヴィルトゥオーゾ奏者として活躍したという記録が残されている。ソロ作品である「26のファンタジア」の美しさで知られているが、同時に歌曲をリュート用に編曲したものでも知られている。生前自身の作品の出版を許さず、現在残されている楽譜はリップの死後、弟子によって出版されたものとなっている。5音や6音の和音を多用し、それを奏する際にはアルペジオで演奏するようになっており、その作品がもたらす独特の演奏効果は素晴らしいものがある。彼が亡くなった時にはロンサールを始め様々な作家が弔いの文章を寄せているなど、当時からひろく知られ尊敬されていたことが窺われる。オデットは若い頃ロックバンドでエレクトリック・ギターを弾いていたがほどなくしてリュートにシフト、現在ではルネサンスとバロック音楽の権威としてならしている。ソロ活動のほか、サバール、アーノンクール、レオンハルト、クリスティ、ホグウッドらとの共演など、アンサンブル活動も活発に行っている。1976年から、イーストマン音楽学校の教授を務めるかたわら、ボストン古楽フェスティヴァルのアーティスティック・ダイレクターも務めている。演奏者であるのと同時に演奏習慣や通奏低音関連の本を多数出しているほか、ニューグローヴ音楽辞典の「ダウランド」の項目の執筆陣の一人でもある、音楽学者でもある。近年ではオペラの指揮活動にも力を入れている、博識の名手。オデットの知性と深い音楽性が醸し出す美しい世界が魅力の1枚。
再発売、メストレ&クリスティ〜王妃のハープ [LA HARPE REINE]
 − マリー・アントワネットの宮廷における音楽

 ジャン=バティスト・クルムフォルツ(1747-1790):
  ハープ協奏曲第5番 変ロ長調 Op.7 (1778)
 ハイドン:交響曲第85番「王妃」 Hob.I: 85 (1785)
 ヨハン・ダーフィト・ヘルマン(1760?-1846):
  ハープと管弦楽のための協奏曲第1番 Op.9 ヘ長調 (1785-89)
 グルック/メストレ編曲:オルフェオとエウリディーチェ〜精霊の踊り
  グザヴィエ・ドゥ・メストレ(Hp)
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:2016年6月27日-28日、ヴェルサイユ宮殿王立歌劇場、ライヴ|初出・旧品番: HAF-8902276 〔廃盤、入手不能〕。 クリスティ率いるレザール・フロリサンが、ハープのメストレをゲストに迎えた1枚が再登場する。タイトルに「王妃のハープ」とあるように、マリー・アントワネット(1755-1793)と、彼女が愛した楽器、ハープの楽曲をおさめた内容。2016年6月に行われた演奏会のライヴ録音。1曲目の作曲家クルムフォルツは、ボヘミア出身の作曲家でありハープ奏者。楽器製作者とともに、ハープの改造や奏法に取り組み、それまでになかったハープのための作品を残している。クルムフォルツが対位法を師事したのが、作曲家ハイドン。マリー・アントワネットが気に入っていたとされる交響曲第85番を収録している。クリスティによるシンフォニーの録音ということで、注目のプログラムと言えるだろう。荘重なアダージョを経て軽快なヴィヴァーチェとなる第1楽章から、楽器間のアンサンブルも十分にたのしめる演奏。終楽章の最後まで、快活さと典雅さを感じさせる演奏。ドイツ人のヨハン・ダヴィド・ヘルマンは、アントワネットのピアノ教師で、作曲家。自身はハープ奏者では無かったが、3つのピアノ・ソナタ、3つのピアノ協奏曲のほか、3つのハープ協奏曲をのこしている。このハープ協奏曲はすべてルイ14世の妹(ハープ奏者)、つまりアントワネットの義妹にささげられている。今日ハープ奏者にも知られざる存在の作品だが、モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲と同様、ハープ奏者ではない作曲家によるハープ作品、ということでも重要な作品。演奏会でアンコールとして演奏されたグルックの「精霊の踊り」は、メストレ自身の編曲によるハープ独奏版。メストレの歌心に胸を打たれるトラック。
タメスティ|ベル・カント〜ヴィオラの声
 ヴュータン(1820-1881):ピアノとヴィオラのためのソナタ 変ロ長調 Op.36
 ドニゼッティ:歌劇「連隊の娘」〜マリーのアリア「さようなら」
 ヴュータン:ヴィオラとピアノ伴奏のためのエレジー ヘ短調 Op.30
 ドニゼッティ:歌劇「ラ・ファヴォリータ〜レオノーレのアリア「私のフェルナンド」
 ジャック=フェロル・マザ(1782-1849):ドニゼッティ「ラ・ファヴォリータ」に基づくエレジー「夢」Op.92
 カシミール・ネイ(1801-1877):無伴奏ヴィオラのための前奏曲第15番
 ベッリーニ:歌劇「ノルマ」〜アリア「清らかな女神よ」
 ヴュータン:無伴奏ヴィオラのためのカプリッチョ ハ短調 Op.55

  アントワーヌ・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス「マーラー」1672年製
  セドリック・ティベルギアン(P|使用楽器:スタインウェイ
 録音:2016年10月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。1979年生まれのヴィオラの名手、アントワーヌ・タメスティ最新盤が、HMFから初登場。「ヴィオラ=深くあたたかみのある、いぶし銀のような」といったイメージを越えた次元で鳴り響く美しい音色、そして心地よく効いたドライヴ、あらゆる表現を可能にする完璧なテクニックに圧倒される1枚。ピアノはHMF久々の登場となるティベルギアン。タメスティが描くエレガントな世界を、ほどよく引き締まった、時に甘さも薫る音色で彩る。本CDのプログラムは19世紀パリのコンサートホールやサロンで聴衆を魅了し続けた作品で構成されている。ヴュータンはヴァイオリンで有名だが、ヴィオラにも名曲を残している。歓迎すべき新録音の登場といえるだろう。カシミール・ネイ(本名ルイ=カシミール・エスコフィエ)はサン=サーンス、ヨーゼフ・ヨアヒムらとも音楽的交流があった当時のヴィオラの名手。1849年頃にヴィオラのための24の前奏曲を出版。これは、ヴィオラ奏者にとって、ヴァイオリニストにとってのパガニーニの24のカプリスのような存在の曲集。タメスティは超絶技巧のフレーズの数々を難なく、エレガントに弾きこなしている。他にもオペラの名アリアの旋律に酔いしれ、弦楽器の美しい音色に魅了され続ける65分。
ヴィヴァルディ:チェロと通奏低音のための6つのソナタ
 〔第5番 ホ短調 RV.40 /第1番 変ロ長調 RV.47 /第3番 イ短調 RV.43 /
  第4番 変ロ長調 RV.45 /第2番 ヘ長調 RV.41 /第6番 変ロ長調 RV.46 〕
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器|製作者不詳、ミラノ、1690年製
 ミヒャエル・ベーリンガー(Cemb/Org)
 リー・サンタナ(テオルボ) クリストフ・ダンゲル(Vc)
 録音:2017年10月。音楽への真摯な姿勢に貫かれた活動を展開しているチェリスト、ジャン=ギアン・ケラス。今回は、ガット弦と、バロック・スタイル・ボウ(シャルル・リシェ)で、非常に艶っぽく、時に親密でソフトにヴィヴァルディのソナタを聴かせる。ヴィヴァルディ、というと、まるでプルーストのマドレーヌのように、自身の幼い頃を思い出すというケラス。熱心なアマチュアピアニストだった母は、ケラスが言葉を話し出す前から、ヴィヴァルディらの室内楽も演奏しており、ケラスがチェロをはじめた頃からこれらのヴィヴァルディ作品は自分と共にあったという。「ヴィヴァルディは聴き手の手をとって、実際に味わったり、見たり、踊ったりすることのできるような世界にいざなってくれる」と語るケラス。通奏低音も、曲や楽章によって編成を変えるなど、曲のキャラクターが際だつように演奏している。すべての曲が完全に手の内に入っている余裕も感じられる、らくらくとした演奏。明晰であいまいなところのない譜面の読み込みと、すべてを弾きこなす完璧なテクニックで、ヴィヴァルディ作品の光と影を描く。チェンバロのミヒャエル・ベーリンガーは、フライブルク・バロックo. でもチェンバロ奏者としてツアーに参加している名手。ヒッレ・パールとバッハのソナタを録音している。リー・サンタナはアメリカのリュート・テオルボ奏者で、フライブルク・バロックo. でも活躍したほか、ヒレ・パールの夫君でもある。クリストフ・ダンゲルはコワンらに師事しており、ムローヴァ、ジョシュア・ベルらと共演もしている中堅。
シャルパンティエ(1634-1704):歌劇「黄泉へ下るオルフェ」(1686-87|仏語歌唱)
 ロバート・ゲッチェル(CT;オルフェウス) カロリーヌ・ウェイナンツ(S;エウリディーチェ)
 ヴィオレーヌ・ル・シュナデク(S;ダフネ) ニコラ・ブルイマン(B;プルート)他
 セバスティアン・ドセ(Org)指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2016年1月。 有名なオルフェオとエウリディーチェの物語をフランスで初めてオペラ化したのは、シャルパンティエだった。黄泉で、愛するエウリディーチェを返してほしいと訴えるオルフェオの歌の場面では、通奏低音楽器群のしっとりとした音色の支えが美しく響く。オルフェの歌に心打たれて歌われるプルートのアリアや、それに続く精霊たちの合唱も軽やか。非常にポエティックな美しさに満ちたシャルパンティエの「黄泉に下るオルフェ」となっている。
HMM-902280/81
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(2CD+DVD)
1.5CD価格
シャルパンティエ(1643-1704):宗教作品集
 処女にして殉教者なるチェチーリア H.397 /死者たちのためのミサ H.311 (8声)/
 マグダレーナ・マリアとイエスの間の対話 H.423 /ユディト、または解放されたベトゥーリア H.391 /
 サウルとヨナタンの死 H.403 /キリストと罪人たちとの対話 H.425, 425a /
 キリストと人との対話 H.417 /昇天 H.408 /ミラノの疫病 H.398, 398a
 *ボーナス DVD (#):
   おお、信心の奥義 H.274 /ユディト、または解放されたベトゥーリア H.391 /
   涙を流すマグダレーナ H.343 /処女にして殉教者なるチェチーリア H.397 /主の御保護のもとに H.28

 セバスティアン・ドセ(Org/Cemb)指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2016年10月、12月(#以外) |収録:2016年12月、ヴェルサイユ宮殿王立礼拝堂、ライヴ(#) |演出:ヴァンサン・ユゲ(#?) 。ドセ率いるアンサンブル・コレスポンダンス。毎度コンセプトの明確なプログラムで、フランスの古楽界を牽引する存在となりつつある。今回彼らが取り上げたのはシャルパンティエ。シャルパンティエはルイ14世の時代に宗教音楽のジャンルで重要な作品をのこした数少ない作曲家の一人といえるだろう。シャルパンティエは、30以上の宗教作品を、イタリアに居住した後に書いた。シャルパンティエは1660年代にローマの地で、オラトリオの巨匠カリッシミに学んだとされている。その成果が最も直接的に表れているのがここに収録された作品群。フランスの典雅さと厳格さをあわせもった美しさに満ちている。ボーナスDVDには、ヴェルサイユ宮殿で行われた2016年の公演のライヴが収録されている。
シューベルト(1797-1828):ピアノ・ソナタ集
 〔第21番 変ロ長調 D.960 /
  第13番 イ長調 Op.120, D.664 〕
ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2016年12月、マヌエル・デ・ファリャ・アウディトリウム、スペイン。 スペインの俊英、ハビエル・ペリアネス最新盤。シューベルトのソナタ集。ペリアネスのじめじめしていない音色が、純粋にシューベルトの広い世界を明るく照らしだする。第13番 D.664は1819年(1825年の説も)、シューベルトが20代前半に書いたが、愛らしい旋律、内声部まで書き込まれていて充実した秀作。シューベルト最晩年の作品と並べることで、シューベルトの才能の深化がいかに早かったかということを思い知ると同時に、その旋律の純粋な美しさにあらためて感動をおぼえる。
HMM-902283
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(2CD)
1CD価格
J.S.バッハ:アダージョ ト長調 BWV.968 /ゴルトベルク変奏曲 BWV.988
 ディエゴ・アレス(Cemb
  使用楽器:ジョエル・カッツマン、2002年製〔モデル:パスカル・タスカン、1769年製〕
 録音:2017年3月10日-13日、リスト・センター、オーストリア。 スペインの奏者ディエゴ・アレス(1983-)は、毎朝「ゴルトベルク変奏曲」を演奏して一日をスタートさせるという。 祈りであり、瞑想であり、同時にエクササイズにもなり、これを演奏すれば必ず幸せになれる万能薬のような存在だったといる。この「アリア」の世界にすんなり入るための序奏が必要だと感じるようになり、アレスがこのゴルトベルク変奏曲への序奏として選んだのが、「アダージョ」 ト長調 BWV.968だった。これは無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調の第1楽章をチェンバロのために編曲したが、付点リズムの動機が繰り返されて重なっていく中で織りなされる深遠なる音世界は、聴き手に深呼吸をさせるような不思議な効果を生みる。つづくゴルトベルク変奏曲では、聴き手は最初から作品の世界に集中することが出来る。「音楽は喜びとともにあり、悲しみを癒す薬でもある」という古からの格言を体現しているかのような演奏。ゴルトベルク変奏曲の演奏時間は86分ほど、たっぷりとした量感ある音色と豊かな色彩が魅力の演奏となっている。
ブリテン:合唱作品集
 オペラ「グローリアーナ」 Op.53 〜第2幕「コーラル・ダンス(合唱ダンス)」/
 聖チェチーリア賛歌 Op.27 /聖母賛歌/5つの花の歌 Op.47 / A.M.D.G (Ad majorem Dei gloriam)

 ジャスティン・ドイル指揮 RIAS 室内cho.
 録音:2017年11月-12月、イエス=キリスト教会、ベルリン。RIAS 室内合唱団による、ブリテンの無伴奏合唱作品集の登場。RIAS 室内合唱団は2018年11月の来日公演でもその美しいアンサンブルを披露、大きな話題となった。約70年の歴史をもつ彼らのCDデビューは16年ほど前、20世紀英国の無伴奏合唱作品で特に人気の高いものを選りすぐったアルバムでしたが、世界中でその盤は高く評価された。このたび新音楽監督で英国出身のジャスティン・ドイルの指揮による演奏で、再び英国作品にもどってきた。ブリテンの魅力あふれる合唱作品を、ドイルが洞察力に満ちた指揮で合唱をリードして聴かせる。ブリテンの無伴奏合唱作品(とりわけここに収録されたもの)は、聴き手にはもちろん、歌い手にも非常に魅力ある作品。RIASの面々の真骨頂が引き出された、精緻な名演となっている。
HMM-932286/87
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(2CD)
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恋のストラヴァガンツァ(蕩尽)!〜メディチ家宮廷でのオペラの誕生 1589-1608
 幕間劇〔第1番「愛の帝国」/第2番「アポロの物語」/
     第3番「オルフェウスの涙」/第4番「高貴な恋人たちのバレエ」〕
 ロレンツォ・アッレーグリ(1567-1648)、アントニオ・ブルネッリ(1577-1630)、ジュリオ・カッチーニ(1551-1618)、
 ジョヴァンニ・バッティスタ・ブオナメンテ(1595頃-1642)、エミリオ・デ・カヴァリエーリ(1550以前-1602)、
 ジローラモ・ファンティーニ(1600-1675)、マルコ・ダ・ガリアーノ(1582-1643)、ルカ・マレンツィオ(1533-1599)、
 クリストファーノ・マルヴェッツィ(1547-1599)、アレッサンドロ・オローリョ(1550頃-1633)、
 ヤーコポ・ペーリ(1561-1633)、アレッサンドロ・ストリッジョ(1536頃-1592)の作品を再構成

 レナート・ドルチーニ(Br) ルチアーナ・マンチーニ(Ms)
 ソフィー・ユンカー(S) ザハリ・ワイルダー(T)
 ラファエル・ピション指揮アンサンブル・ピグマリオン(管弦楽・声楽)他
 録音:2016年10月-11月、王立礼拝堂、ヴェルサイユ|旧品番:HMM-902286/87〔廃盤〕。初出盤はトール・サイズ仕様だったが、CDサイズで再発。フルカラー・ブックレットは変更無しとののこと。 若手気鋭古楽指揮者、ラファエル・ピションと彼が率いるアンサンブル「ピグマリオン」が送る、壮麗なプロジェクトの登場。16世紀、さかんに作られた、オペラ誕生の素地ともなった壮麗な幕間劇を、現代によみがえらせる。幕間劇は、芝居(喜劇)の幕間に挿入される、古代の演劇を模倣した、壮麗な視覚効果を生む娯楽。15世紀後半からさかんにつくられるようになったという。君主を讃える寓意的な説話が、音楽を伴って演じられた。大きなスケールの複合唱や、器楽伴奏を伴う独唱(器楽伴奏とメロディ)というスタイルがとりわけ多くとられている。豪華な舞台装置を伴うこの幕間劇は、政治的・芸術的可能性に着目した君主によって大いに奨励され、発展を遂げる。そしてこの幕間劇をとりわけ重視したのが、フィレンツェのメディチ家だった。一族の華やかな婚礼で上演される様々な喜劇の幕間劇のために、当時の最高の作曲家をそろえ、作曲させた。機会によっては3000人の貴族と800人の貴婦人の前で上演されるという、想像を絶する豪華さだったことが伝わっている。これは、一族の力を見せつけるだけでなく、16世紀のフィレンツェという場所事態が、列強の国々からの注目を集めていた都市だったので、力量を他の国々に示さなければならなかった、という事情もある。音楽のスタイルそのものだけでなく、劇場での音響効果についても考え抜かれた作品が多数生まれた。ピションは、本企画で、「ラ・ペレグリーナ」のための幕間劇が初演された1589年から、ガリアーノの「ダフネ」がフィレンツェで上演された1611年までの期間(幕間劇はこの時期にとりわけ人気を博していた)に焦点を絞り、あらたな4つの幕間劇を構成した。7つもの合唱グループを要する編成の楽曲など、豪華の極みの充実作品に、オペラ誕生期の音楽家たちの気概や聴衆の熱狂までもが伝わってくるようだ。また、レコーディングが行われたヴェルサイユ宮殿の王立礼拝堂の豊かな残響を伴う美しい音にも注目。
黄泉の国〜ラモー、グルックのオペラより
 [入祭唱]
  ラモー:「ゾロアストル」第4幕6場〜ああ!私たちの怒りは無駄ではなかった(復讐の神)
  ルベル:四大元素〜カオス
  ラモー:「ダルダニュス」第4幕4場〜ここが怪物の荒らしている悲惨な場所だ(アンテノール)
  ラモー/作曲者不詳:「カストールとポリュックス」のテーマに基づくレクイエム〜レクイエム・エテルナム
  グルック:「タウリーデのイフィゲニア」第2幕3場&4場〜神よ!このおそろしい海岸の守り手(オレステ)
 [キリエ]
  ラモー/作曲者不詳:「カストールとポリュックス」のテーマに基づくレクイエム〜キリエ・エレイソン
  ラモー:「イポリートとアリシ」第2幕4場〜神よ!いくつもの不運がこの場でうめいている(テセウス)/
      「愛の驚き」第2幕8場〜ルール(舞曲)
 [昇階曲]
  グルック:「アルミード」第4幕1場〜深い暗闇が口を大きく開けているのしか見えない(ウバルド)
  ラモー/作曲者不詳:「カストールとポリュックス」のテーマに基づくレクイエム〜ドミネ・イエス
 [セクエンツィア]
  グルック:「オルフェオとエウリディーチェ」第2幕1場 より〔地獄のシンフォニア/フーリエのエア〕
  ラモー:「ゾロアストル」第4幕5場&6場〜いたましい犠牲者たちの生活を終わりにしよう
  グルック:「オルフェオとエウリディーチェ」第2幕〜フーリエのダンス
  ラモー:「イポリートとアリシ」第2幕5場〜汝、未来の暗闇を見通す者よ・・・突然の汝の恐ろしい運命が
 [奉献唱]
  ラモー:「イポリートとアリシ」第3幕6場〜私は何を聞いたのか?・・・力強い波の主よ
  ラモー/作曲者不詳:「カストールとポリュックス」のテーマに基づくレクイエム〜私たちは賛美の生け贄と祈願を
  ラモー:「イポリートとアリシ」第4幕4場より
   〔私をここに召喚したこれらの悲しみは何か?(フェードル)/もうあなたには会わないだろう(テセウス)〕
 [聖体拝領唱・楽園へ]
  グルック:「オルフェオとエウリディーチェ」第2幕2場〜精霊の踊り
  ラモー/作曲者不詳:「カストールとポリュックス」のテーマに基づくレクイエム〜〜永遠の安息を彼らに
  ラモー:「レ・ボレアド」第4幕4場〜ポリムニーの入場

 ステファヌ・ドゥグー(B) ラファエル・ピション指揮ピグマリオン/他
 録音:2016年12月。 毎回凝ったコンセプトのディスクと切れ味抜群の演奏で人気急上昇中の、ピション&ピグマリオン。今回は、フランスの人気バス、ステファヌ・ドゥグーのハルモニアムンディ・デビュー盤として、黄泉の国がみせる様々な表情を探るプログラムで登場。ドゥグーの劇的でまるでテノールのようなハリのあるみずみずしいバスによる見事な歌唱は、ラモーとグルックの時代のバス歌手として歴史に名を残しているアンリ・ラリヴェ(1737-1802)の生まれ変わりのようだ。ピションは、ラモーとグルックのオペラの名場面(おもに地獄のシーン)と、器楽曲、そして当時編曲されたラモーのオペラに基づくレクイエムの楽章を抜粋し、架空のミサをつくり出した。冒頭はドゥグーが歌う嘆きにはじまり、ルベルの四大元素の「カオス」で聴き手は恐怖でおののかされるが、最後は、神聖な詩、讃歌をつかさどる女神「ポリムニー」の入場の典雅にして優しい音楽でプログラムが閉じられ、聴き手は天上へといざなわれるような気持ちで聴き終えることが出来る。
ショスタコーヴィチ
 ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.57 (*) /ブロークの詩による7つの歌 Op.127 (#)
  トリオ・ヴァンダラー
   [ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャブディアン(Vn)
    ラファエル・ピドゥー(Vc) ヴァンサン・コック(P)]

  カトリーヌ・モンティエ(Vn;*) クリストフ・ゴーゲ(Va;*)
  エカテリーナ・セメンチュク(Ms;#)
 録音:2019年2月、8月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。フランスのベテラン・ピアノ三重奏団トリオ・ヴァンダラーは2004年にショスタコーヴィチの2篇のピアノ三重奏曲をハルモニア・ムンディからリリース、今日も同曲の名盤とされている。それから約15年を経て再度ショスタコーヴィチに挑戦した。今回はゲストを招いて名作ピアノ五重奏曲とメゾ・ソプラノをピアノ三重奏で伴奏する「ブロークの詩による7つの歌」なのも注目。ピアノ五重奏曲にはカトリーヌ・モンティエとクリストフ・ゴーゲを加えさらに大きなスケール感を示している。やや遅めのテンポによる濃厚な表情づけが独特。「ブロークの詩による7つの歌」では近年マリインスキーやメトロポリタン、新国立劇場などに出演して注目されるメゾ・ソプラノのセメンチュクが独唱を務めている点も魅力。この曲の初演の際にはオイストラフ、ロストロポーヴィチ、ワインベルクが伴奏を担いたが、単に歌を支えるのではなく高度な表現と霊感を必要とされる部分、トリオ・ワンダラーの三名は驚異的な巧さとニュアンスでショスタコーヴィチの世界を創り上げている。
ヤーコプスの「モツレク」〜モーツァルト:レクイエム
 〔ジュスマイヤー版にもとづく、ピエール=アンリ・デュトロンによる補完版(2016年)〕
 ゾフィー・カルトホイザー(S) マリー=クロード・シャピュイ(A)
 マキシミリアン・シュミット(T) ヨハネス・ヴァイサー(Br)
 ルネ・ヤーコプス指揮フラブルク・バロックo. 、RIAS 室内cho.
HMM-332292
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[LP]
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 録音:2017年7月、テルデックス・スタジオ、ベルリン、セッション|ピッチ: A=430Hz | LP 仕様: 180g |レコーディング・エンジニア:ルネ・メーラー|プロデューサー:マルティン・ザウアー。 ヤーコプスがついにモーツァルトのレクイエムを録音。自身カウンターテナー歌手としてキャリアをスタートさせ、歌手として、そして指揮者として経験値と鋭い耳、そして深い知識を持つヤーコプス。70歳を迎え(1946年10月30日生まれ)、満を持しての録音・リリースとなる。冒頭から実にやわらかな音色の管弦楽にまず心奪われる。その後の声楽もそれぞれの声部がくっきりと聴こえ、美しく調和している。独唱者陣も全体の美しいやわらかな雰囲気をそこならずに、劇的な表情をみせている。ヤーコプスの近年の充実ぶりが結晶化した演奏の登場といえるだろう。また、注目なのが、ハルモニアムンディから久々にLPもリリースされること。LPの魅力である自然な雰囲気を最上のかたちで得るために、細心の注意をもってレコーディングも行われている。モーツァルトのレクイエムといえば、問題になるのが版。モーツァルトの死後、ジュスマイヤーによって完成された版で演奏されることが一般的だが、ここでヤーコプスはフランスの若手作曲家ピエール=アンリ・デュトロンの手による、ジュスマイヤー版を尊重しつつ注意深く行われた補完版を採用。この版を用いてヤーコプスは2016年11月にヨーロッパでツアーを行っており、大成功を収めた。この録音はツアーの後の2017年7月に、CDとLPヴァージョン両方のリリースを念頭においた万全のレコーディング態勢のもと、行われた。 ここでのデュトロンによる補完は、モーツァルトに来た依頼を完遂した人物、ジュスマイヤーが残した版に敬意を払って行われたもので、モーツァルトが最後までレクイエムを作曲したらどのようになっていたか、を探るためのプロジェクトではない。あくまでもジュスマイヤーの版を尊重しながら、彼が犯したオーケストレーション上の作法の間違いなどを修正し改善する、というところにある。「未完」であり、それがジュスマイヤーというまだ当時若かった作曲家により補完されている、ということがいまなお私たちの中の不満要因として燻っている現状を、現代の若き作曲家デュトロンが解消すべく挑んだ補完となっている。残された「歴史的」版に最大の敬意を払って補完された本版の結果の判断は聴き手一人ひとりにゆだねられているが、ヤーコプスの演奏が素晴らしいということだけは、間違いない事実だといえるだろう。
 ピエール=アンリ・デュトロン:バーゼル音楽院、パリ国立高等音楽院に学んだ作曲家、オーケストレーター、そしてパフォーマー。西洋音楽の伝統に根ざしている。これまでに10ほどの舞台作品を手掛けている。電子音楽と伝統的な素材を合わせた作品や、映画でもいわゆるドンパチ映画からミニ・シアター系映画のオーケストレーションも行う。
 録音について:録音技師、ルネ・メーラーが担当したこの録音では、CDとLPで異なるソースを採用している。CDでは30のマイクを使用、テルデックス・スタジオ内で鳴り響いている美しい音楽の、演奏者のわずかな表情の違いに至るまで再現されている。そしてLPヴァージョンでは演奏家たちの中 央に設置された2つの八の字型マイクからの信号のみを採用、いわば録音の現場で鳴り響いている音がそのまま刻まれており、きわめて自然な姿を感じられる物。演奏会とは異なり、オーケストラと声楽(合唱・ソリスト)は向かい合うかたちで録音に臨んでおり、適切なポジションにマイクを設置することにより、CD 、LPのどちらも最良の自然なバランスが得られている。と同時に、CDとLPではまた異なる音を体感することができる。
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
 〔第1番 ト長調 BWV.1007 /第2番 ニ短調 BWV.1008 /第3番 ハ長調 BWV.1009 /
  第4番 変ホ長調 BWV.1010 /第5番 ハ短調 BWV.1011 /第6番 ニ長調 BWV.1012 〕

 エマニュエル・ベルトラン(Vc
   使用楽器:カルロ・トノーニ、ヴェネツィア、18世紀前半/使用弓:バロック弓
 録音:2018年2月-3月、ノートル=ダム・ド・ボン・スクール教会、フランス。エマニュエル・ベルトランにとって、バッハの無伴奏組曲を録音するのは長年の夢だったが、このたび素晴らしい楽器と出会い、夢が実現した。ベルトランのあふれ出る音楽への喜びと感謝をすべて受け止めながらより豊かに響くカルロ・トノーニの音色は深く豊か。ガット弦、そしてバロック弓を用いて、西洋音楽史上燦然と輝くバッハの無伴奏を高らかに歌い上げる。
バイ・バイ・ベルリン
 クルト・ヴァイル(1900-1950):
  ユーカリ/「三文オペラ」より〔マック・ザ・ナイフ(マッキー・メッサーのモリタート)/バルバラ・ソング〕/
  遅く、そしてやさしく(弦楽四重奏曲 ロ短調〜第2楽章)/溺れる少女のバラード(ベルリン・レクイエムより)
 シュールホフ(1860-1942):シャンソン(ジャズの5つのエチュードより)/
              アンダンテ・モルト・ソステヌート(弦楽四重奏曲第1番〜第4楽章)
 ヒンデミット(1895-1963):「さまよえるオランダ人」への序曲(1925頃)
 アルノ・ビリング〔ミッシャ・スポリャンスキー〕 (1898-1985):ラヴェンダー・ソング
 ヤン・マイエロヴィツ(1913-1998):主よ私を救って下さい
 ハンス・アイスラー(1898-1962): 'Nein' 室内カンタータ第6番/孤独の歌/私はたくさんの友人に会った
 フリードリヒ・ホレンダー:ベルリンの廃墟/ブラック・マーケット/また恋におちて
 ベルク:ナイチンゲール(7つの初期の歌より)

 マリオン・ランパル(Vo) マンフレッドSQ
 ラファエル・アンベール(Sax/バスCl)
 録音:2016年11月。 フランス出身の歌手、マリオン・ランパルが誘う、1920年代のベルリンの音楽。1920年代、ベルリンは世界中で最も注目された都市だった。集団的エネルギーによって、あらゆる表現者(作家、画家、建築家、映画メーカー、そして作曲家)たちは、「新即物主義」を確立した。ジャズが誕生した場所でもあるニューヨークと同じような道のりをたどった、現代化(モダニズム)の縮図となった。ベルリンで生きていくことは楽では無かった。スト、貧困、ナチズムの勃興・・・。このような社会では、キャバレーは道徳・社会的な解放を可能にする安全弁のようなものであり、人々はそこで熱狂・発散することができた。マリオン・ランパルとマンフレッド四重奏団は、サックスにラファエル・アンベールを迎え、こうした‘偉大なるベルリン 'のあやうい地下世界へと私たちを招来く。情熱に彩られた、自由と人間性の爆発がここにある。
A Fancy 〜英国のエアとテューンに基づく17世紀のファンタジー
 マシュー・ロック(1621/23頃-1677):カーテン・テューン/金星の降順(Psyche)
 パーセル(1659-1695):
  「 The Virtuous Wife 」 Z.611 より〔序曲/第2の音楽/第1幕のテューン〕/
  「妖精の女王」 Z.629 より〔ホーンパイプ/ See, even Night herself is here 〕/
  「シアター・オブ・ミュージック」〜おお、孤独よ!/
  「 The Mock Marriage 」 Z.605 〜 Twas within a furlong of Edinboro'town /
  「 Regulus 」 Z.586 〜 Ah me! To many deaths decreed /「アーサー王」〜シンフォニー
 ジョヴァンニ・バッティスタ・ドラーギ(1640頃-1708):
  夢の神よ、あなたはどこに!/私は無駄にため息をつかなければならないのか?
 ジェイムズ・ハート(1647-1718):「テンペスト」より

 ベルトラン・キュイエ指揮カラヴァンセライル レイチェル・レドモンド(S)
 録音:2016年11月25日-27日。 17世紀ロンドンの劇場の音楽集。1978年ナント生まれのチェンバロの名手、ベルトラン・キュイエ、ハルモニアムンディ初登場盤となる。キュイエはクリストフ・ルセ、ピエール・アンタイらに師事したほか、ホルンも学んでおり、古楽アンサンブルのメンバーとして、またソリストとして活躍している。スコットランドの歌姫レイチェル・レドモンドの美しい歌声が、雰囲気を一層盛り上げている。
ルガンスキー〜ラフマニノフ:絵画的練習曲集
 絵画的練習曲集〔 Op.33 (全8曲)/ Op.39 (全9曲)〕/
 断片(1917) /オリエンタル・スケッチ(1917) /
 前奏曲 ニ短調(1917)
ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2022年9月、グスタフ・マーラー・ホール、エウレジオ文化センター、イタリア。「24の前奏曲」 (HMM-902339 )に次ぐハルモニア・ムンディのルガンスキー・ラフマニノフ第2弾。今回はラフマニノフ作品のなかでもとりわけ難曲として知られる練習曲集「音の絵」全曲に挑戦。ルガンスキーはこの作品を20歳の1992年に録音していて、今日も高く評価されているが、30年を経た50歳での再録音となった。録音は2022年2022年9月。円熟度はもちろんながら、疫病や祖国ロシアの情勢など反映しての心境か、暗い想念が感じられる。といっても鈍い演奏ではなく、明快な指さばきや轟きわたる輝かしい音などルガンスキー一流の芸術をたっぷり味わえる。ラフマニノフの「音の絵」はピアノ協奏曲第3番と同時期の作で、大ピアニストだった彼の技術の粋を結集させた極限的な難曲となっている。またピアノがもっとも美しく鳴るように作られており、腕に自信のある奏者にとり挑戦しがいがある作品と言える。ルガンスキーはラフマニノフのピアノ曲について、一旦マスターしてしまうと自分の指が奏でているのかピアノが自分で歌っているのか区別できなくなるほどピアノと一体化してしまうと述べているが、超難曲ながら指を忘れさせる余裕の技巧は驚き。歌いまわしも全く甘くなく格調高さを感じさせます。嬉しいのが作品番号のついていない小品3篇をルガンスキーの演奏で聴くことができること。いずれも革命時、ラフマニノフがロシアを去ろうとしていた頃のもので、不安な感情にあふれているが、ルガンスキーはそこからも美しい音楽を引き出している。
メランコリア〜 1600年前後のマドリガーレとモテット集
 ジョン・ウィルビー(1574-1638): Draw on, Sweet Night / O wretched man
 ウィリアム・バード(1543-1623): Tristia et anxietas / Come to me grief forever /
                 Lullaby, my sweet little baby(器楽曲)/ Come to me grief forever
 チェーザレ・トゥディノ(1530頃-1591以降): Altro che lagrimar(器楽曲)
 カルロ・ジェズアルド(1566-1613): O vos omnes / Merce grido piangendo / Tristis est anima mea
 ポンポニオ・ネンナ(1556-1608): La mia doglia s 'avanza
 オーランド・ギボンズ(1583-1625): What is our Life?
 ルカ・マレンツィオ(1553/54-1599): Crudele acerba inesorabil ' morte / Solo e pensoso
 ルッツァスコ・ルッツァスキ(1545-1607): Quivi sospiri
 トーマス・ウィールクス(1576頃-1623): O Care, thou wilt despatch me
 トマス・トムキンズ(1572-1656): Too much I once lamented

 ジョフロワ・ジュルダン指揮レ・クリ・ド・パリ[声/ヴィオール/コルネット/セルパン]
 録音:2017年6月25-30日。 「痛みの原因になっているものでも、それを瞑想することに喜びを感じる」、とは18世紀後半に出版された辞典に掲載されていた「メランコリー」の定義。このCDに収録された音楽のテーマと言える。後期ルネサンスの音楽創造を果てしなく豊かなものにした「メランコリー」のエッセンスに満ちた詩に付曲された楽曲の数々に、心揺さぶられる。「レ・クリ・ド・パリ」は、ジョフロワ・ジュルダンによって結成された声楽と器楽からなるアンサンブルで、16世紀初頭から現代音楽までをレパートリーにしている。演奏曲目によって、編成を3名から80名まで自在に変え、メンバーも作曲家、編曲家、俳優、舞台監督、楽器奏者、ダンサーからサウンド・デザイナーなど実に様々というユニークなグループ。
Melnikov & 4 pianos
 シューベルト:さすらい人幻想曲[使用楽器:グラーフ(フォルテピアノ)]
 ショパン:12の練習曲 Op.10[使用楽器:エラール]
 リスト:ドン・ジョヴァンニの回想[使用楽器:ベーゼンドルファー]
 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの三章[使用楽器:スタインウェイ]
  アレクサンドル・メルニコフ(Fp/P)
 録音:2016年10月、2017年5月、7月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 何ごとにも深いこだわりを見せるメルニコフが、ピアノの機能を最大に発揮した難曲4篇を、4種の楽器で演奏・録音することにチャレンジした。メルニコフによれば、作曲者が意図したことはふさわしい楽器を用いなければ忠実に再現できないとのこと。そのためには、作曲者が使っていたピアノ、もしくはその時代に周囲にあったものということで4つの楽器、グラーフのフォルテピアノ、色彩豊かなエラール、深みのあるベーゼンドルファー、華麗なスタインウェイを弾き分けている。どれもメルニコフならではの個性的解釈で面白さの極みだが、ショパンの練習曲が真骨頂。意外なほど思い入れのない「別れの曲」、七色にきらめく「黒鍵」と第1曲、凄みに満ちた「革命」まで一瞬も聴き手を飽きさせない。またかつてソ連でネイガウスが、「ミスなく弾けるのはギンズブルクだけ」と言った恐るべきリストの「ドン・ジョヴァンニの回想」(オリジナル版)の凄まじい技巧は師リヒテルを彷彿させる大きさ。これも金縛りにあったように動けなくなる演奏。さらに凄いのはストラヴィンスキー。スタインウェイがうなりをあげる効果と、やはりロシア物はさすがの説得力。ピアノがメーカーによってこんなにも異なる楽器なのかと実感させる。
ハイドン(1732-1809):マリアツェル・ミサ(祝福された聖処女マリアの賛美) Hob.XXII: 5
 ヨハンナ・ヴィンケル(S) ゾフィー・ハルムセン(A)
 ベンヤミン・ブルンス(T) ヴォルフ・マティアス・フリードリヒ(B)
 ジャスティン・ドイル指揮 RIAS 室内cho.、ベルリン古楽アカデミー
 録音:2018年6月、ベルリン・コンツェルトハウス、ライヴ。ジャスティン・ドイル率いるRIAS 室内合唱団の最新録音は、ハイドンのミサ曲。1752年、ハイドンは、オーストリアのマリアツェルの地にある教会(所有するマリアの肖像画の秘蹟を求めて多くの人が巡礼に訪れる)で合唱指揮者の職を得るという目的もあり、その地を巡礼した。ハイドンの才能はマリアツェルの地の音楽監督にも認められたが、ちょうどハイドンのためのポストはなく、ハイドンはウィーンに戻った。1761年、ハイドンはエステルハージ家の音楽家として職を得、1766年に、前任者が亡くなったことにより、ハイドンは正式にカペルマイスターとして就任し、家の礼拝の音楽もとりしきるようになる。ちょうどこの昇進の時期に、この「祝福された聖処女マリアをたたえるマリアツェルのためのミサ(Mass for Mariazell inhonour of the Blessed Virgin Mary [Missa Cellensis in honorem Beatissima Virginis Maria])」、通称「マリアツェル・ミサ」も成立したと考えられる(自筆譜が失われているので精確なところは不明)。合唱曲、および「Laudamusu te」などいくつかの楽曲は独唱によっており、バッハのミサ曲 ロ短調をも思わせる。どれも大変充実しているが、ドイルの指揮がすべてをやわらかな風合いにまとめており、RIAS 室内合唱団の底力と表現力にあらためて感じ入る、素晴らしい演奏となっている。
ドビュッシー
 前奏曲集 Vol.1(全12曲)/版画(全3曲)
ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2018年7月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。スペインの俊英ピアニスト、ペリアネス。「最後の3つのソナタ」(HMM-902303)でケラスとの素晴らしい共演(チェロ・ソナタ)を聴かせてくれていたが、このソロでその深い知性と、ペリアネスの耳の良さがさらに発揮されており、注目。絵筆のようなタッチはピアノであることを忘れさせるような美しい音色。静謐な世界に、ただただ聴き入る1枚。
ドビュッシー
 前奏曲集第2巻(全12曲)/
 交響詩「海」(作曲者編曲/4手版)
アレクサンドル・メルニコフ(P)
オリガ・パーシチェンコ(P;*)
 録音:2016年10月19日-22日、2017年6月6日-7日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。使用楽器:エラール、1885年頃製〔アレクサンドル・メルニコフ所有〕。 ドビュッシー・イヤーの2018年、ハルモニア・ムンディは特別なリリースを数本用意している。その第一弾はメルニコフによる「前奏曲集第2集」。メルニコフの独特な解釈はもちろん、彼所有の1885年頃製のエラール・ピアノを用いている点も注目。一聴して驚かされるのはその響き。「海」も「前奏曲集第2集」もドビュッシーが印象主義的作風を確立した作品として名高く、茫漠とした響きで再現されることが多いが、ここでは明快かつ明るい音色でくっきりと輪郭線を描いている。とはいっても即物的なものではなく、たっぷり歌っているのも特徴。「ビーニョの門」「花火」の激しい部分も決して叩かずに凄まじい効果をあげているのがさすが。ドビュッシー自身の演奏はこのようなものだったかと妄想させられる。カップリングはドビュッシー自身がピアノ4手用に編曲した交響詩「海」。手の接近や交差、複雑なトレモロの多用など演奏は極めて難しく、これまでの録音も2台のピアノを用いることばかりだったが、ここでは若手女流のオリガ・パーシチェンコとエラールの銘器を連弾。1986年生まれのパーシチェンコはリュビモフ門下で、フォルテピアノ、チェンバロ、オルガン奏者として非常に注目されている。この「海」もクリアで推進力に満ち、ドビュッシーが頭で描いていたであろう日本の浮世絵のように鮮やかでクリアな色彩に目から鱗が落ちること間違いない。
ドビュッシー(1862-1918):最後の3つのソナタ
 ヴァイオリン・ソナタ ト短調(1917)
  [イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」)
   アレクサンドル・メルニコフ(P)]/
 英雄の子守歌、ベルギー国王アルベール1世陛下とその兵士たちをたたえて(1914) /
 アルバムのページ(負傷者の服のための小品)(1915)[タンギ・ド・ヴィリアンクール(P)]/
 フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ ヘ長調(1915) (#)
  [マガリ・モニエ(Fl|使用楽器:ルイ・ロット、1880年製、 No.2862 /調整:ベルナール・デュプラ)
   アントワーヌ・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス「マーラー」、1672年製)
   グザヴィエ・ド・メストレ(Hp|使用楽器:エラール社製、19世紀末ルイ16世様式/調整:レ・シエクル)]/
 エレジー(1915)[タンギ・ド・ヴィリアンクール(P)]/
 チェロ・ソナタ ニ短調(1915)[ジャン=ギアン・ケラス(Vc) ハビエル・ペリアネス(P)]/
 燃える炭火に照らされた夕べ(1917)[タンギ・ド・ヴィリアンクール(P)]
 録音:2016年12月、2017年12月、2018年1月-2月、テルデックス・スタジオ・ベルリン(#以外) /2017年6月、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ(#)。 ハルモニアムンディがお送りするドビュッシー没後100周年記念シリーズ、「最後のソナタ集」と題し、ファウスト、ケラス、メルニコフ、メストレ、タメスティらが参加しているという注目盤の登場。ドビュッシーは晩年様々な楽器のための6つのソナタを作曲しようと考えていたが、実際にはここに収録された3作を書き上げた翌年に亡くなってしまいる。この計画の最後となったのは、ヴァイオリン・ソナタだったが、これはドビュッシーの文字通り最後の作品となった。冒頭でメルニコフが奏でる繊細きわまりない和音から一気に世界に引き込まれる。ファウストの演奏は、独特のミステリアスでかわいたような空気を漂わせつつも、非常にきめこまやかな表情づけで、一音一音、休符までも聴きの逃してはならぬ、と思わせられる演奏。フルート、ヴィオラとハープのためのソナタについてドビュッシーは友人にあてた手紙の中で「これは私が作曲の仕方を今よりは多少知っていた頃の作品だ。何年の前のドビュッシー、そう、‘夜想曲 'の頃のドビュッシーのようだ」と語っている。「ビリティスの歌」や「六つの古代墓碑銘」と、古のフランスのクラヴサン音楽の典雅さが融合したようで、独特の魅力にあふれた本作を、最高のメンバーで聴ける。マガリ・モニエは2003年よりフランス放送フィルハーモニーo. の首席フルート奏者を務め、2004年のミュンヘン国際音楽コンクールで優勝した名手。ハルモニア・ムンディでは初登場となる。彼女が演奏しているルイ・ロット(ルイ・ロット/ 1855年に工房を立ち上げ1951年まで存在していたオールド・フルートの代表格)のフルートは、ジョゼフ・ランパル(1895-1983)そしてその息子ジャン=ピエール・ランパル(1922-2002)らが演奏していたもの、また、ハープはレ・シエクルも用いている楽器で、まさにドビュッシーの頃の音色で楽しむことができるという意味でも貴重な演奏となっている。最後の3つのソナタの中では最初に完成したチェロ・ソナタ。ここではケラスと、スペインのペリアネスという顔合わせによる演奏でお聴き頂く。作品の世界に一歩踏み込んだ、繊細な色彩の描き分けが見事。より細やかな表情づけがなされており、絶妙な間合いの中にも「あそび」が感じられる演奏となっている。なお、ケラスは2008年にアレクサンドル・タローとドビュッシーのチェロ・ソナタを録音しているが、そちらはシャープさが際だった演奏で、10年の時を経ての変化にも感じ入る演奏となっている。ピアノ独奏作品もすべて晩年の物。奏でるのはタンギ・ド・ヴィリアンクール。フランスでは若くして名手としてソロに室内楽にバリバリと活躍、リストのような超絶技巧はもとより、古典から現代ものまで完璧に弾きこなすテクニックは圧巻。ドビュッシーの晩年の作品世界の多様性に、名手たちのきめこまかな演奏によってあらためて感じ入る1枚となっている。
ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 Op.35
エルサレムSQ
[アレクサンドル・パヴロフスキー、
 セルゲイ・ブレスラー(Vn)
 オリ・カム(Va)
 キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2017年4月18日-22日、オーストリア。 1993年に創立され、1996年にデビューしたエルサレム弦楽四重奏団。結成20 余年を数える、もはやベテランの存在。2015年6月には久々の来日公演も行っている。彼らの最新盤は、ドビュッシー没後100年にちなみ、ドビュッシー唯一の弦楽四重奏曲、そしてラヴェルの弦楽四重奏というカップリング。ドビュッシーは冒頭から4人だけで演奏しているとは思えないような豊かな響き。ピッツィカートの楽章も、弦の魅力満喫。エルサレム弦楽四重奏団のメンバー間に流れるあたたかな空気感までもがとらえられた優秀録音も注目。
狂おしい恋人
 ジョン・エクルズ(1668頃-1735):組曲「狂おしい恋人」(アリア集)〜2つのグラウンド
 パーセル:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第6番/リュートのための即興曲/前奏曲 ト短調 ZN.773
 ニコラ・マッテイス(1650頃-1714頃):ラ・フォリア変奏曲/組曲 イ短調「サラバンダ・アモローザ」/
                   組曲 ハ長調〜「昔のサラバンダあるいはチャッコーナ」/組曲 ト長調
 ニコラ・マッテイス Jr. (1670年代-1737):幻想曲 イ短調/幻想曲 ハ短調
 ヘンリー・エクルズ(1680頃-1740頃):ヴァイオリン・ソナタ〔第11番 ト短調/第5番 ホ短調〕/
                   「ジョン、さあキスして」の新しいディヴィジョン

 テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn|使用楽器:ヤコブ・シュタイナー、1665年製作
 トマ・ダンフォール(リュート|使用楽器:ジュゼッペ・トゥミアティ、1993年製作
 録音:2019年2月、ドイツ・プロテスタント教会、パリ。現在フランスを中心に活躍する若手奏者、ヴァイオリンのテオティム・ラングロワ・ド・スワルテとリュートのトマ・ダンフォールのデュオのアルバム「狂おしい恋人」。この録音のアイディアが生まれたのは二人がヴァイオリンとリュートのための作品を研究する中で、ジョン・エクルズの「グラウンド」を見つけすぐにレパートリーにしたことがきっかけになったとのこと。この作品はアルバム・タイトルにもなっているジョン・エクルズの組曲「狂おしい恋人」からの作品。演奏時間3分ほどの付帯音楽ながらその官能的な世界に誘う。その旋律は、かの有名な“ヴィターリのシャコンヌ "の冒頭を連想させ、変奏的に色彩豊かに奏でられる。その他パーセル、ニコラ・マッテイス、マッテイスJr. 、ヘンリー・エクルズの作品を見事に編み込んだ選曲となっている。どこかもの悲しい、しかしその美しい旋律が魅力であり、“高尚な憂鬱 "と表現できるアルバム。
ドビュッシー:歌曲集
 星月夜/マンドリン/艶なる宴第1集(第2版)/ビリティスの3つの歌/2つのロマンス/夕べの鐘/庭で/
 美しき夕べ/ロマンス、春が来た/センチメンタルな風景/麦の花/眠れる森の美女/ボードレールの5つの詩
  [ゾフィー・カルトホイザー(S) ユージン・アスティ(P)]
 3つの歌曲/艶なる宴第2集/フランスの3つの歌/フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード/
 ステファヌ・マラルメの3つの詩/愛し合う二人の散歩道
  [ステヴァヌ・ドゥグー(Br) アラン・プラネス(P)]/
 忘れられた映像[アラン・プラネス(P)]/燃える炭火に照らされた夕べ[ユージン・アスティ(P)]
 録音:2017年11月、2018年1月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ドビュッシー没後100周年記念シリーズ。美しいフランス語による旋律と、それをさらに美しく包みこむピアノがたまらない、歌曲集。象徴派と印象派の詩人たちによる歌曲を集めている。ドビュッシーは生涯に100ほどの歌曲を書いているが、そのうち生前に出版されたのは半分ほどだった。未出版のままとなっていたのは1880-85年、音楽院の学生だったときに書かれたものなので、歌曲という形式が、ドビュッシーのスタイルを形作っていく過程で非常に重要な役割を果たした、ということがうかがわれる。当盤では、若い頃から傾倒していたバンヴィル、そしてヴェルレーヌのほか、一時凝っていたブールジェ、そしてボードレール、また、歌手、俳優、コメディアンといったマルチの才能を見せたイスパらのテキストによる歌曲が選曲されている。カルトホイザー(S)とドゥグー(Br)の美しいフランス語でつむがれるメロディは、語りなのか歌曲なのかわからなくなってしまうほど。その美しい声を美しく包みこむピアノも、非常に雄弁。極上のドビュッシー歌曲集となっている。
ドビュッシー・・・とジャズ〜弦楽四重奏のための「前奏曲」集〔編成:[内]〕
 ≪C≫の影響〜「亜麻色の髪の乙女」(第1巻第8曲)と
  「奇人ラヴィーヌ将軍」(第2巻第6曲)による[弦楽四重奏とアコーディオン]/
 交代する六度〜「交代する三度」(第2巻第11曲)による[弦楽四重奏]/
 真昼、 ハ長調〜「交代する三度」(第2巻第11曲)による[弦楽四重奏とヴィブラフォン]/
 雪の上の足跡〜「雪の上の足跡」(第1巻第6曲)による[弦楽四重奏]/
 寺の陰に〜「沈める寺」(第1巻第10曲)による[弦楽四重奏、ピアノとコントラバス](*) /
 ミンストレル〜「ミンストレル」(第1巻第12曲)による[弦楽四重奏]/
 ヴィーノのダンス〜「ビーニョの門」(第2巻第3曲)による[弦楽四重奏とヴィブラフォン]/
 ヒースの荒野〜「ヒースの荒野」(第2巻第5曲)による[弦楽四重奏]/
 ビュスィのブルース〜「ヒースの荒野」(第2巻第5曲)による[弦楽四重奏とピアノ](#) /
 亜麻色の髪の乙女〜「亜麻色の髪の乙女」(第1巻第8曲)[弦楽四重奏]

 ドビュッシーSQ ジャッキー・テラソン(P;#) ヴァンサン・ペラニ(アコーディオン)
 フランク・トルティレル(ヴィブラフォン)
 ジャン=フィリップ・コラール=ネヴン(P;*) ジャン=ルイ・ラッサンフォス(Cb)
 録音:2018年3月-4月。 ドビュッシー没後100年記念シリーズ。ドビュッシーの名を冠した弦楽四重奏団「ドビュッシー四重奏団」が、ゲストを招き、ドビュッシーのピアノ独奏のために書いた、全2巻24曲からなる「前奏曲集」から楽曲を選択して、ジャズ風にアレンジして演奏している。1トラック目は、「亜麻色の髪の乙女」と「奇人ラヴィーヌ将軍」をあわせたアレンジ。あの有名なメロディはたしかに聴こえてくるが、どこか雅楽を思わせるような静謐な世界と、ケークウォークが融合した不思議な世界。アコーディオンが入ることにより雅楽の笙のような音色が得られ、ドビュッシーのジャポニズムをも感じさせるようで、引き込まれる。アコーディオンのヴァンサン・ペラニは、11歳でクラシックのアコーディオンを始め、16歳でジャズに出会い、現在は多ジャンルに渡り活躍する奏者。ヴァイオリンのローラン・コルシアとも共演している。ジャッキー・テラソンはアメリカ人の母、フランス人の父を持つドイツ生まれのピアニスト・コンポーザー。ヨーロピアン・クラシカルから、カリビアン・リズムまで、ボーダーレスな才能で世界を魅了している。
ドビュッシー
 喜びの島/2つのアラベスク/ベルガマスク組曲/
 レントよりゆっくりと/「版画」〜雨の庭/
 映像第2集/ハイドンを讃えて
ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2018年7月、ドッビアーコ、イタリア。 ドビュッシー・イヤーの2018年、ハルモニア・ムンディは特別なリリースを用意している。その注目盤のひとつがルガンスキーによるピアノ・アルバム。朋友メルニコフとは異なり、スタインウェイを用いて輝かしい音世界を創り上げている。ルガンスキーといえば、ラフマニノフやリスト、ショパンを正確無比な技巧と緻密に計算された設計で説得力満点の演奏を繰り広げてきた。そのルガンスキーがドビュッシーをどう再現しているか興味津々。ルガンスキーの魅力のひとつが、輝かしく鳴り響く音。音の魔術師だったドビュッシーの最重要ポイントのひとつだが、「喜びの島」などちょっとロシア音楽を思わせるところにびっくり。ドビュッシーはムソルグスキーを崇拝して、強い影響を受けているが、「喜びの島」がムソルグスキー起源であることを気付かせてくれる。一方「アラベスク第1番や「ベルガマスク組曲」の「月の光」の清潔できらめくような美しさも絶品。近年ドビュッシーの音楽とジャポニスムの結びつきに関心が集まっているが、ドビュッシー芸術にロシア音楽が大きく関与していることを演奏は示唆してくれる貴重な一枚。
ドビュッシー
 牧神の午後への前奏曲/海/「聖セバスティアンの殉教」の交響的断章
  〔百合の園/第一幕の法悦の踊りとフィナーレ/受難/よき羊飼い〕

 パブロ・エラス=カサド指揮フィルハーモニアo.
 録音:2018年1月、ヘンリー・ウッド・ホール&ロイヤル・フェスティヴァル・ホール。 ハルモニア・ムンディによるドビュッシー没後100年リリース。パブロ・エラス=カサドとフィルハーモニア管による演奏。英国のフィルハーモニア管は1945年に創立、2008年より、エサ=ペッカ・サロネンが首席指揮者&アーティスティック・アドヴァイザーを務めており、その充実した演奏ぶりは世界が知るところ。名手ぞろいのフィルハーモニア管による「牧神」は文字通りめくるめく世界。様々な楽器が奏でる旋律に身をゆだねているうち、あっという間に終わってしまうまさに夢のような演奏。 「聖セバスティアンの殉教」は、ドビュッシーの音楽語法の様々な要素が総決算的に濃密に詰まっている作品と言われるが、神秘性たっぷりで、ドビュッシーが築きあげた和声と色彩の宮殿が目の前に立ち上ってくるようだ。「海」もまさに圧巻。エラス=カサドの大きなフレーズ感と前進感が心地よいテンポは、色彩の中を駆け抜けるような、まさに絵画的な世界。フィルハーモニア管の面々の巧さにも改めて感心させられる。ドビュッシー没後100年リリースを名乗るにふさわしい素晴らしい演奏。
Spanish Nativity 〜スペインのクリスマス
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611):モテット「おお、大いなる神秘」
 フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):祝福されし神の御母マリア/ A un nino llorando
 アロンソ・ロボ(1555-1617):ミサ「祝福されし神の御母マリア」
 マテオ・フレチャ(1481頃-1553頃): El jubilate / Riu riu chiu
 ペドロ・リモンテ(1565-1627):ビリャンシコ「 De la piel de sus ovejas 」
 クリストバル・デ・モラレス(1500頃-1553): Cum natus esset

 スティレ・アンティコ
 録音:2019年3月。スペインの「黄金時代」には、素晴らしい音楽もたくさん生まれた。ア・カペラ合唱団として世界で活躍するスティレ・アンティコが、スペインの16世紀のクリスマスの音楽を収録した。手の込んだポリフォニー、そして民衆に伝わる舞踊のリズムも取り入れられたこれらの作品が、縦の響きと横の流れがこの上なく美しいスティレ・アンティコの声楽アンサンブルによって、まばゆいばかりの音楽の宝石のように響きわたる。
今まで気付かなかったなんて〜弦楽四重奏曲以前の弦楽四重奏曲
 パーセル(1659-1695):4声のファンタジア〔第8番 ト長調 Z.742 /第2番 変ロ長調 Z.736 〕/
            「アテネのタイモン」 Z.632 〜 Curtain Tune on a ground /
            「アーサー王」 Z.628 より〔 Fairest Isle /ホーンパイプ〕/
            パヴァーヌ ト短調 Z.752 /チャコニー ト短調 Z.730
 マシュー・ロック(1621/23-1677):
  「テンペスト」〜 Curtain Tune /4部のコンソート組曲〔第2番 ニ長調第1番(ニ短調)〕
 ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809):弦楽四重奏曲 ニ長調 Op.71 No.2, Hob.III: 70
 ジョン・ブロウ(1649-1708):「ヴィーナスとアドニス」〜 Act Tune

  キットガットSQ
   [アマンディーヌ・ベイエ、ナーマン・スルチン(Vn)
    ジョゼフ・コット(Va) フレデリク・バルダッサル(Vc)]
 録音:2019年2月11日-14日、フランス。現代最高鋒のバロック・ヴァリオイン奏者アマンディーヌ・ベイエ。そのしなやかな音楽で、アンサンブル「リ・インコーニティ」でも数々の魅力的なCD を発信している彼女だが、またここで新たなアンサンブルを設立した。その名もキットガット・カルテット(‘腸弦 'カルテットの意)。世界的なピリオド楽器アンサンブルで活躍するメンバーによって構成されており、自由、熱中と共有をモットーに、第1弾の当ディスクでは、ハイドンとイングランド(パーセル、ロック、ブロウ)に焦点を当て、弦楽四重奏の原石ともいえる珠玉の作品を集めた。パーセルのファンタジアと60代のハイドンが書いた弦楽四重奏曲の間には100年ほどの時代の差があるが、同時期に書かれたと言われたらそうかもしれないと思えるほどにパーセル作品が充実していることに驚かされる。演奏自体が素晴らしいことはもちろん、うれしい発見に満ちた音楽の旅が広がる。[キットガット・カルテット]2015年にベイエによって設立、ガット弦のピリオド楽器を演奏するメンバーによって構成される。古典派以前の弦楽四重奏の形態を探求するプロジェクトからスタートしている。メンバーは、ヴァイオリンにベイエ、そして元ディオティマ弦楽四重奏団のメンバーでもあるナーマン・スルチン。ヴィオラはピグマリオン、アンサンブル・コレスポンダンスなどのメンバーとしても活躍するジョゼフ・コッテ、そしてチェロはパリ国立高等音楽院でモダーン・チェロで一等賞を獲得したフレデリク・バルダッサル(モダーンのアンサンブルでも活躍中)、という顔ぶれで、彼らのにぎやかで自発的な議論に満ちた楽しいリハーサル風景までもが感じられるような、近しい息遣いが魅力のアンサンブル。
ハイドン:エステルハージのための協奏曲集
 ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Hob.VIIa: 1 /
 チェロ協奏曲 ハ長調 Hob.VIIb: 1 /
 ヴァイオリン協奏曲 ト長調 Hob.VIIa: 4
アマンディーヌ・ベイエ(Vn)
マルコ・チェッカート(Vc)
リ・インコーニティ
 録音:2018年1月、テアトル・オーディトリウム、ポワチエ。 バロック・ヴァイオリン界を牽引するアマンディーヌ・ベイエと、彼女が創設したアンサンブル、リ・インコーニティによる、愉悦のきわみのハイドンの協奏曲集。いずれも1760年代の作で、1761年にハイドンがエステルハージに仕えて間もない頃の物。当時ハイドンは、自身がいかにすぐれた作曲家であり、器楽奏者であるか、ということを折に触れアピールしていた。じっさい、ここにおさめられたような協奏曲をはじめ、この頃の作品は、ギャラント様式から、後に古典様式と呼ばれるものになる新しい音楽的対話を新しく構築した一人の素晴らしいアーティストの軌跡を示している。リ・インコーニティとしては比較的大きな編成(だが、エステルハージの素晴らしいオーケストラと同様の規模)をとるこれらの作品だが、ここでも彼女たちの親密なアンサンブルは健在。あらゆる瞬間瞬間を、奏者たちが心から楽しんでいて、休符にまで彼らの幸せな笑顔が感じられるような演奏。
ケラス&タロー〜マラン・マレ(1656-1728):〔 (*):ヴィオール曲集第3巻 組曲 イ短調 より〕
 プレリュード(*) /ガヴォット(*) /ミュゼット(ヴィオール曲集第4巻 組曲 イ短調より)/
 スペインのフォリアのクプレ(ヴィオール曲集第2巻より)/
 ラ・レヴーズ〔夢〕(ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)/ファンタジー(*) /
 グラン・バレ(*) /サラバンド(*) /膀胱結石手術図(ヴィオール曲集第5巻)(#) /クーラント(*) /
 作曲者不詳(伝:マラン・マレ): Les Regrets 〔後悔〕(ヴィオール曲集第2巻 組曲 ホ短調より)/
 プレリュード(ヴィオール曲集第2巻 組曲 ニ短調より)/サラバンド・グラーヴ
  (ヴィオール曲集第2巻 組曲 ニ短調より)/きわめて速く=遅く(マレ風ソナタ)/ル・バディナージュ
  (ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)〔ピアノ独奏編曲版〕/ジグ=ドゥーブル(*) /アルマンド(*)

 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年製
 アレクサンドル・タロー(P|使用楽器: YAMAHA CFX
 ギヨーム・カリエンヌ(コメディ・フランセーズ会員;#)
 録音:2022年8月、大ホール、アルセナル・ド・メス、フランス。ケラスとタローが、マラン・マレを録音した。モダーン・チェロとピアノによるマラン・マレというだけでも興味津々なうえ、ふたりによる演奏となれば、黙って通り過ぎるわけにはいかない。ケラスはその圧倒的なうまさと音楽で、洋の東西、時代を問わずに演奏活動を展開、そしてタローはラモーのクラヴサン曲集のピアノによる演奏で世界をあっといわせた存在。そんなふたりによるマレ!ひとつの組曲を核に、さまざまなキャラクターの小曲を合間にちりばめた、1枚をとおしてたのしめるプログラムも魅力。ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロで演奏するとどちらかといえばゆったりと典雅、内省的な印象すらあるマレ。ケラスとタローによる演奏は、フレーズひとつひとつに満ちる歌、さりげない装飾音にただよう繊細なエレガンスが美しく、そしてスタイリッシュ。かと思うと、ワールドミュージックを聴いているような感覚になるような場面もあるなど、1曲1曲が実に新鮮。膀胱結石手術図の患者役にはコメディ・フランセーズの役者をゲストに迎えた力の入りようだ。タローのソロも、ラモーやクープランにつづき、衝撃の美しさに心がふるえる。そしてスペインのフォリアでの、ケラスの圧倒的うまさ!!絶対注目!!
ブリュノ・フィリップ(Vc)
 フォーレ:ロマンス Op.69
 フランク/ジュール・デルサール編曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調(チェロとピアノ版)
 サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番 イ短調 Op.33 (*) / フォーレ:蝶々 Op.77
 プーランク:チェロ・ソナタ / フォーレ/パブロ・カザルス編曲:夢のあとに

 ブリュノ・フィリップ(Vc|使用楽器: Gennaro Gagliano, 1760年製
 タンギ・ド・ヴィリアンクール(P;*以外)
 クリストフ・エッシェンバッハ指揮フランクフルト放送so.(*)
 録音:2020年9月、ライヴ(*) /2022年4月(*以外)。チェロの新星ブリュノ・フィリップが、名作を贅沢に盛り込んだ1枚をリリースする。息の長く聴き手を包み込むような歌と、一切のブレのない美しい音色が全開。高く評価されたバッハの無伴奏チェロ組曲(KKC-6530 / HMM-902684)に続き、またひとつ世界に名乗りを上げる1枚の登場。フランクのソナタは、驚異的に長いフレーズ感歌い上げるのではなく、どこか夢見ているような瞑想曲のような風合い。タンギ・ド・ヴィリアンクールのピアノは圧巻、完璧かつ、細部のパッセージまでよく聴こえる解像度の高さ。新時代のフランクの名演の登場。サン=サーンスでは繊細で美しい音色はそのままにダイナミックに歌い弾きまくっており、聴きごたえ大満足。エッシェンバッハとオケも全力でフィリップと対話している。プーランクでは、洒脱さなどをところどころにピリッと効かせつつも、ブリュノ・フィリップ独特のどこか夢見がちな雰囲気が漂っており、そこにヴィリアンクールのピアノがプーランクのハーモニーをバチっと響かせた秀演。小品でも息の長い歌がとにかく印象に残る。ブリュノ・フィリップ1993年、フランス南部のペルピニャン生まれ。パリでラファエル・ピドゥに師事、その後ゲリンガス、イッサーリス、ゲイリー・ホフマン、ウィスペルウェイやハーゲンらに師事して研鑽を積んだ逸材。2011年にアンドレ・ナヴァラ国際コンクールでグラン・プリとベスト・リサイタル賞を受賞。2014年にはミュンヘン国際コンクールで第3番に入賞した。2017年、エリザベート王妃国際コンクール入賞。2018年、ヴィクトワール・ド・ミュジークの " 器楽天啓(Instrumental Revelation) "受賞。タンギ・ド・ヴィリアンクール1990年フランス生まれ。パリ国立高等音楽院でロジェ・ムラロ、クレール・デセール、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェのクラスで学び、2008年のYAMAHAコンクール、2013年のフォーレ・コンクールで入賞、以降ジャック・ルヴィエ、ケフェレックらのもとでさらに研鑽をつみ、2016年にジュネーヴ芸術協会の審査員賞、およびオーディエンス賞を受賞。2017-19のSPEDIDAMジェネレーションのウィナーとなるなど、ますますの活躍が期待される新星。
ベルリン古楽アカデミー〜C.P.E.バッハ:交響曲集〔完結編〕
 〔ハ長調 H.649, Wq.174 (*) /ハ長調 H.659, Wq.182-3 /ニ長調 H.651, Wq.176 (*) /
  イ長調 H.660, Wq.182-4 (*) /ホ短調 H.652, Wq.177 /ロ短調 H.661, Wq.182-5 /ト長調 H.657, Wq.182-1 〕

 ベルリン古楽アカデミー[コンサートマスター:平崎真弓(*)、ゲオルク・カッルヴァイト(*以外)]
 録音:2023年1月、 b-sharp 。ベルリン古楽アカデミーによる長年のプロジェクト、C.P.E.バッハの交響曲全曲録音の最終巻の登場。コンサートマスターは平崎真弓、そしてゲオルク・カッルヴァイト。平崎真弓は「ビーバー:ロザリオのソナタ」(KKC-6610)でレコード芸術2023年2月号特選、さらに2024年2月発売のムック「レコード芸術2023年総集編」で美山良夫氏セレクトの音楽史部門の第3位に選ばれるなど、その評価、注目度とも急上昇中の奏者。ゲオルク・カッルヴァイトは長年同団でコンサートマスターを務めており、その音楽づくりは広く知られるところ。1982年結成のベルリン古楽アカデミーが20年あまり取り組んでいるC.P.E.バッハ。J.S.バッハの息子であり、その自由と独創性によってハイドンやモーツァルトへの道を切り開いた重要な存在。C.P.E.バッハの交響曲は、管弦楽のための交響曲が11、弦楽のための交響曲が8(うち1曲は、管弦楽のための交響曲の弦楽版)。これまでの録音は、HMC-901622 にWq.183-2, 183-3, 182-2, 182-6、HMG-501711にWq.173, 178, 179、HMM-902420にWq.175, 183-4、HMM-902601にWq.180, 181、HMC-902132にWq.173、HMC-902167にWq.183-1が収録。C.P.E.バッハの交響曲は、ベルリン時代(1738-68)そしてその後移ったハンブルク(1768年以降)の初めのころに多く書かれた。当盤に収録の174, 176, 177はいずれも1750年代半ば、C. P. E. の創作力が最高潮にあった時期の作。ベルリン古楽アカデミーの実力をもってしても、C.P.E.バッハの交響曲は創意に満ち、大きなチャレンジだという。期待にたがわずC. P. E. のオリジナリティと創意を、このうえない形で聴くことができる内容。今回、平崎真弓がコンサートマスターを務める楽曲もあり、楽団の世代交代をも感じさせる重要な録音の誕生となった。
トリオ・ヴァンダラー〜フランク&ヴィエルヌ
 フランク(1822-1890):ピアノ五重奏曲 ヘ短調 FWV 7 (*)
 ルイ・ヴィエルヌ(1870-1937):ピアノ五重奏曲 ハ短調 Op.42 (*)
 フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 FWV 8 /
      ピアノ三重奏曲第1番 嬰ヘ短調 FWV 1, Op.1 No.1
 トリオ・ヴァンダラー
  [ヴァンサン・コック(P) ジャン=マルク・ヴァイジャベディアン(Vn) ラファエル・ピドゥ(Vc)]

 カトリーヌ・モンティエ(Vn;*) クリストフ・ゴーゲ(Va;*)
 録音:2022年7月、9月、ポワティエ・オーディトリウム劇場、フランス。トリオ・ヴァンダラーの最新盤は、フランク作品集。フランクの作曲家としてのデビュー作である三重奏曲、そして充実の五重奏曲、さらにヴァイオリン・ソナタも収録しているという超充実の内容。その演奏は、盟友ニコラ・アンゲリッシュ(1970-2022)に捧げた物。アンゲリッシュとトリオ・ヴァンダラーのメンバーたちは音楽院で年齢は違うが同じ時に学んだ仲で、特にヴァイオリンのヴァイジャベディアンにとってアンゲリッシュは弟のような存在だったといいます。16歳のアンゲリッシュと、4歳上のヴァイジャベディアンは、音楽院が企画したメシアンとドナトーニのピアノ四重奏曲の演奏会のツアーで共演したことがあったそう。アメリカからパリに引っ越してきたばかりのアンゲリッシュにとってヴァイジャベディアンは兄のような存在になったという。メシアンとドナトーニ本人からも、彼らの演奏は高く評価されたという。ふたりはヴァイオリンとピアノのためのレパートリーを片っ端から演奏しまくったという(アンゲリッシュの初見能力は驚嘆すべきものがあったとヴァイジャベディアンは述べている)。アンゲリッシュのピアノでペヌティエのマスタークラスを受けたときも、フランクのソナタと五重奏曲だったという。そんな彼らの間に流れるアンゲリッシュとの様々な思い出も感じられるからか、作品自体のもつ力に様々な思い出が反響し、実に胸をうつ演奏となっている。フランクのヴァイオリン・ソナタでのヴァンサン・コックが奏でるフランクのソナタのピアノ・パートは、繊細極まりなく、実に丁寧にひとつひとつのパッセージを歌っている。ヴァイジャベディアンのピアノもどこか寂しさを漂わせつつも、しかし美しく熱く歌っている。フランクのピアノ三重奏曲は、フランクの作曲家としてのオフィシャル・デビュー作。なんといってもピアノの活躍が華々しい作品だが、名手ぞろいのトリオ・ヴァンダラー、三人そろうと作品自体が自由に語りだし、演奏者達の存在は透明にさえ感じられてしまう、それくらいにトリオ・ヴァンダラーの芸術性が高いことにあらためて感じ入る演奏となっている。ルイ・ヴィエルヌは事実上盲目で生まれ、1894年にサン・シュルピス教会の、そして1900年から37年に亡くなるまで、パリのノートルダム大聖堂のオルガン奏者を勤めた。オルガン作品のほかいくつか作品を残しているが、最も有名なもののひとつがピアノ五重奏曲。息子の訃報を聞いて書かれ、戦争の惨状を描いたような部分など、壮絶な内容となっている。
ドヴォルジャーク(1841-1904):
 弦楽六重奏曲 イ長調 Op.48, B.80 (*) /弦楽五重奏曲 変ホ長調 Op.97, B.180
 エルサレムSQ [アレクサンドル・パヴロフスキ(Vn1) セルゲイ・ブレスラー(Vn2)
           オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]

 ヴェロニカ・ハーゲン(Va) ゲイリー・ホフマン(Vc;*)
 録音:2017年1月11日-14日、テルデックス・スタジオ・ベルリン。 1996年のデビューから20年を迎え、2011年からヴィオラのメンバーがアミハイ・グロスからオリ・カム(現BPO)に交代してからも5年以上が経ち、ますます世界で活躍しているエルサレム弦楽四重奏団。ドヴォルジャークがヨーロッパで高く評価されるきっかけとなった弦楽六重奏曲と、アメリカに渡り、世界にその名を認めさせるきっかけとなった弦楽五重奏曲、2作のカップリングでの新録音登場のはこびとなった。弦楽五重奏曲は2本のヴィオラが活躍する作品で、ここではヴェロニカ・ハーゲンが参加している。弦楽六重奏曲でも、LA DOLCE VOLTAレーベルでもおなじみの名手ゲイリー・ホフマンが参加し、エルサレム弦楽四重奏団の緊密なアンサンブルに、一層の厚みを加えている。
トリオ・ヴァンダラー〜ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 〔第27番 変イ長調 Op.61, Hob.XIV: 14 /第32番 イ長調 Op.70, Hob.XIV: 18 /第35番 ハ長調 Op.71, Hob.XIV: 21 /
  第40番 嬰ヘ短調 Op.73, Hob.XIV: 26 /第41番 変ホ短調 Op.101, Hob.XIV: 31 〕

 トリオ・ヴァンダラー[ジャン=マルク・フィリップス・ヴァイジャベディアン(Vn)
              ラファエル・ピドゥ(Vc) ヴァンサン・コック(P)]
 録音:2017年1月19日-22日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 1987年に結成されたピアノ・トリオの重鎮、トリオ・ヴァンダラーの最新盤の登場。ハイドンは、ピアノ三重奏曲を45曲ほど残している。当時、ピアノ三重奏曲という編成は、アマチュア音楽家たちの間でたいそう人気があり、ピアノ三重奏曲の楽譜を出版すれば、手がたい売上が見込めた、というのも、ハイドンがこれだけの作品を残した理由のひとつ。ハイドンの三重奏曲では、ピアノが主導的な役割を担い、弦楽器は和声などの構成を担当するのが基本だが、とはいえそこはさすがハイドン、要所要所でヴァイオリンやチェロにも見せ場を作り、また、楽器間の対話も魅力的に仕上げている。 トリオ・ヴァンダラーの演奏は、ヴァンサン・コックの真珠が転がるようなきらきらとしたタッチのピアノと、弦楽器の2名の時に熱く、時にクールな対話がピタリとはまり、フレーズの変わり目のふとしたところや休符での絶妙な間合いも抜群。アンサンブルの醍醐味を満喫できると同時に、ハイドンの創意にあらためておどろかされる。
BWV ... or not? 〜偽物のバッハ
 J.S.バッハ:ヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのための組曲 BWV.1025 イ長調
  (原曲:S.L.ヴァイス:リュート組曲 SC 47 |J.S.バッハ編曲)
 ピゼンデル(1687-1755)/伝・J.S.バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ハ短調 BWV.1024
 J.S.バッハ、またはJ.S.バッハ&C.P.E.バッハ:
  フルート、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV.1038 (H.590 No.5)
 C.P.E.バッハ:2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 BWV.1036 (Wq.145, H.569の初期版)
 ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(1727-1756):
  2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ハ長調 BWV.1037 (DuerG13)
 J.S.バッハ:フーガ ト短調 BWV.1026 /
         「音楽の捧げもの」 BWV.1079
           〜フルート、ヴァイオリンと通奏低音のための「王の主題」に基づくソナタ

 リ・インコーニティ
  [アマンディーヌ・ベイエ(ソロVn) アルバ・ロカ(Vn)
   マヌエル・グラナティエーロ(Fl) バルドメロ・バルシエラ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
   フランチェスコ・ロマーノ(バロック・リュート) アンナ・フォンターナ(Cemb)]
 録音:2017年2月9日-13日、ローマ。 バロック・ヴァイオリンに新しい風を送り続けるアマンディーヌ・ベイエ&リ・インコーニティによる、ちょっと気になるタイトル。J.S.バッハの作品目録では「偽作」に分類される、J.S.バッハが作曲したとされていた、あるいは、編曲した作品を集めた物。バッハ以外の人のテーマに基づいてバッハ自身が作曲した作品も最後に収録されている。この「偽作」が生まれた要因は、J.S.バッハが他の人の作品を筆写した楽譜を後世の人がバッハ作品として出版した。あるいはJ.S.バッハは次男のC. P. E. バッハは、お互いの作品をよく筆写したため、時にJ.S.バッハの作品がC. P. E. バッハの作品として出版されることもあった、など、様々な要因による物。「偽作」と言われるだけで、なんとなく色眼鏡でその作品を見てしまい、バッハの作品ではないとして片付けてしまいがちだが、ベイエ率いるリ・インコーニティの面々は、そのしなやかなリズム感あふれるアンサンブルと音色で、それぞれの作品のもつ、実に豊かな創意で聴き手をたのしませてくれる。
ゲルネ〜J.S.バッハ:バスのためのカンタータ集
 カンタータ第21番「わがうちに憂いは満ちぬ」 BWV.21 〜シンフォニア/
 カンタータ第56番「われは喜びて十字架を負わん」 BWV.56 /
 オーボエ・ダモーレ協奏曲 BWV.1055(原曲:チェンバロ協奏曲第4番 イ長調 BWV.1055) /
 カンタータ第82番「われは満ち足れり」 BWV.82
  マティアス・ゲルネ(Br) カタリーナ・アルフケン(Ob/Obダモーレ)
  ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(Vn)指揮フライブルク・バロックo.
  合唱:クリスティーナ・ローターベルク(S) イザベル・レヤル(A) フロリアン・フェス(T)
 録音:2017年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 ドイツ・リート現代最高の歌手の一人マティアス・ゲルネによる、バッハのソロ・カンタータ集の登場。管弦楽はフライブルク・バロックo. がつとめており、オーボエ・ダモーレ協奏曲およびカンタータのシンフォニアも収録されているといううれしいプログラムとなっている。カンタータ第56番は、広く知られた名曲で、苦難に満ちた人生は、死という安らかな港にたどりつくことによって初めて救済に導かれる、という内容。「十字架」と「ため息」の動機から構成された前奏に続き、バリトン・ソロが加わり5声部で展開される第1曲から、終曲コラールでは最後に合唱が加わるなど、バッハの創意と充実の筆致が魅力。カンタータ第82番も安らかな死をうたったもので、オーボエの活躍も印象にのこる、56番とならび広く愛される名作。オーボエ・ダモーレ協奏曲は、チェンバロ協奏曲第4番の原曲と考えられる物。ここでも名手ぞろいのフライブルク・バロックo.のメンバー、オーボエ奏者のカタリーナ・アルフケンの演奏が光る。
ウェーバー:ピアノ・ソナタ第2番 変イ長調 Op.39
シューベルト:ピアノ・ソナタ第9番 ロ長調 D.575
ポール・ルイス(P)
 録音:2017年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ポール・ルイスのシューベルト・ピアノ・ソナタ・シリーズ最新は第9番。カップリングはなんとウェーバーのピアノ・ソナタ第2番。彼にとって初レパートリーとなり興味津々。シューベルトとウェーバーはあまり接点を感じさせないが、シューベルトの第9番は1817年、ウェーバーの第2番は1816年と同時期の作で、どちらも明瞭なロマン派的色彩を持つ4楽章形式の大曲。どちらも魅力的なメロディがふんだんにあふれているが、オペラ的なウェーバーと歌曲的なシューベルトのテイストの違いも実感出来る。ウェーバーのピアノ曲は、それまでの古典派的ピアノ音楽と一線を画する大柄で派手な技巧を用い、リストやショパンの音楽の先駆を成している。ピアノ・ソナタ第2番は代表作ながら新しいディスクにあまり恵まれていなかったため大歓迎。ポール・ルイスの演奏は余裕のテクニックで聴き手をぐいぐい引っ張りますが、なによりも微妙な音色の変化とニュアンスに満ちていて美しさの極み。ウェーバーはドイツ人ながらシェイクスピアの「オベロン」をオペラ化し、ロンドンで客死しているなどイギリスと縁があり、ポール・ルイスがとりあげているのもさもありなん。シューベルトのピアノ・ソナタ第9番は弱冠20歳の作ながら、非常に内省的で複雑。リヒテルが得意としたことで知られているが、ポール・ルイスは独特の鋭さで全く異なる印象を与えてくれる。
メンデルスゾーン(1809-1847):
 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 /
 序曲「フィンガルの洞窟」 Op.26 /
 交響曲第5番 ニ短調 Op.107「宗教改革」
イザベル・ファウスト(Vn
ストラディヴァリウス
「スリーピング・ビューティ」、1704年製

パブロ・エラス=カサド指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2017年3月19日-22日、バルセロナ イザベル・ファウストが、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を録音した。指揮は1977年生まれの今ヨーロッパで大活躍の指揮者エラス=カサド、管弦楽は「ピリオドo. のBPO」とも称されるフライブルク・バロックo. という最高の布陣。情熱と霊感に満ちた第1楽章、天上を思わせる美しさの第2楽章、華麗の極みの超絶技巧の第3楽章からなる、クラシック屈指の人気曲である本作。ファウストの輝かしくまっすぐ聴き手の心に差し込んでくる奇跡の音色と、音楽に対する真摯な姿勢が、語り尽くされてきた名作にまたひとつ新鮮な感動をもたらしてくれた。「天上の天使たちを喜ばせる協奏曲を」というメンデルスゾーンの意志がここにすべて集約されている。ヴァイオリン協奏曲は、1844年に完成、その後も磨きをかけ、翌45年、メンデルスゾーンの盟友にして本作にも多大なアドヴァイスをした、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスo. のコンサートマスター、フェルディナント・ダーフィトによってライプツィヒで初演された。初演時から大成功をおさめた本作は、続くヨーロッパ各地の初演も名手が手がけている。1845年のドレスデン初演は当時15歳のヨーゼフ・ヨアヒム、1846年ベルリン初演はベルギーのユベール・レオナール(フランクのピアノ四重奏曲第1番を献呈された人物で、フォーレのヴァイオリン・ソナタ誕生時にも重要な役割を果たした)だった。彼らが演奏しておそらく書き込みもされていたであろう実際の譜面はもう残されていないが、それでも様々な資料が出版されており、それらを検証していくと、19世紀と現代とでは演奏スタイルに異なる部分があると考えられる。たとえば開放弦の多用。ポルタメントの多用。ボウイングのスタイルも現代とは異なっていた。そして、ヴィブラートは、継続的にではなく、要所要所で装飾的に用いられていたと考えられる。ファウストももちろんこれらの資料につぶさにあたったうえでこの録音に臨んでいるが、ここに繰り広げられている演奏が呼び起こす実に新鮮な感動は、歴史的演奏や慣習、すべてを越えた域にあるといえるだろう。また、2017年は、マルティン・ルターの宗教改革(1517)の500年記念にあたる。ここに収録された交響曲「宗教改革」は、ルターのアウクスブルクの信仰告白から300年にあたる1830年に完成された。序奏で管楽器が奏でる「ドレスデン・アーメン」がなんとも痛切に響き、全体的に非常に引き締まった音づくり。管楽器が奏でるコラールも荘重になりすぎず、終楽章も鮮やかなデュナーミクで颯爽とかけぬけるような演奏となっている。同じく1830年に作曲された「フィンガルの洞窟」も、メンデルスゾーンがスコットランドに旅した時に感動した光景が鮮やかに眼の前に浮かぶようだ。メンデルスゾーンの才能にあらためて感動し、エラス=カサドとフライブルク・バロックo. の力量にも圧倒される内容。
Jeux de Miroir 〔鏡遊び〕〜ラヴェル:管弦楽およびピアノ作品集
 道化師の朝の歌(管弦楽版)(*) /クープランの墓(ピアノ独奏版)(#) /
 ピアノ協奏曲 ト長調/クープランの墓(管弦楽版)/道化師の朝の歌(ピアノ独奏版)(#)
  ハビエル・ペリアネス(P;*以外) ジョゼプ・ポンス指揮パリo.(#以外)
 録音:2017年3月(#以外) /2018年11月(#) 。ラヴェルのピアノ曲と同曲のオーケストラ版を鏡のようにあわせて収録した注目盤の登場。管弦楽は、スペイン生まれのポンスとパリo. という絶妙の顔合わせ。ラヴェルを語る上で欠かせないのがスペイン趣味だが、スペインの血が流れるポンスが、パリ管に一流のスペインらしさをもたらしており興味津津。「道化師の朝の歌」も「クープランの墓」もいずれもオリジナルはピアノ作品だが、こちらもスペイン出身のハビエル・ペリアネスが演奏。「道化師の朝の歌」では持ち前の透明感と静謐な世界観の音楽性を保ちつつも、内側から否応なくあふれ出る熱きリズムが炸裂している。「クープランの墓」での硬質な響きは息をのむ美しさだが、「道化師の朝の歌」を聴いたあとの耳には、トッカータなどもスペイン音楽のような熱きリズムと色彩感を備えていることが感じられ、ラヴェル作品のさらなる魅力にふれるようだ。ピアノ協奏曲での管弦楽とピアノのしゃれた掛け合いも素晴らしい、極上のラヴェル・アルバムの登場。
HMM-902327/28
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シュタイアー、新しい道〜ベートーヴェン:作品集
 ピアノ・ソナタ〔第16番 ト長調 Op.31 No.1 /第17番 ニ短調 Op.31 No.2 /第18番 変ホ長調 Op.31 No.3 〕/
 創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34 /創作主題による15の変奏とフーガ Op.35「エロイカ変奏曲」

 アンドレアス・シュタイアー(Fp
  使用楽器:マティアス・ミュラー、ウィーン、1810年頃製、エドウィン・ボインク・コレクション
 録音:2017年6月、2018年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ベートーヴェン・イヤーにハルモニアムンディがリリースするベートーヴェン作品集。フォルテピアノのシュタイアーの登場。「新しい道」と題し、中期の傑作3つのソナタと、変奏曲というプログラム。 Op.31 No.3つのソナタは1803年4月に出版された。この時期、ベートーヴェンは友人に「自分はこれまでの仕事に満足していない。今から新しい道を歩む」と宣言していた。 1802年の秋には「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いたベートーヴェン。自身の耳の病から逃れられないことを確信しつつ、新たな人生を歩み出す決意を固めた時期でもある。これら3つのソナタも、古典的なソナタ形式に、様々な異質な要素(第1楽章の冒頭が主和音から始まらない、冒頭でいきなりリタルダンドがある、など)が盛り込まれており、聴き手は次の展開にワクワクせずにはおられない楽曲がそろっている。[CD2]の変奏曲は、出版社にあてた1802年10月18日、付けの手紙で「私は今2つの変奏曲作品をもっている。両曲とも実に全く新しい流儀で作曲したもの」と売り込んだ、まさにその2つの変奏曲。天才ベートーヴェンがさらなる高みに上がり、いよいよその創造性を発揮してきた時期の作品を、シュタイアーが最良の形で演奏している。ピアノ・ソナタ第16番は独特のリズムで始まり、シンコペーションのリズムも多用されている作品で、機知に富んだ曲。シュタイアーは、ベートーヴェンがちりばめた各要素をくっきりと打ち出しており、こんなにも面白さに満ちた曲だったかと眼から鱗の連続となっている。第17番「テンペスト」第1楽章冒頭のアルペジオのにじんだ効果はフォルテピアノならでは。第18番第1楽章でも、ペダルを使用した時の響きがにじむような効果はフォルテピアノならではの魅力といえるだろう。冒頭のリタルダンドも意外性と説得力十分。終楽章のロンドは快刀乱麻の切れ味、痛快極まりない演奏となっている。まるでこれらのソナタが昨日書かれたかのような、新鮮さに満ちた演奏。ベートーヴェンは変奏曲の達人であった。ひとつの主題の様々な属性を最大限に引き出しており、ベートーヴェンの楽想の豊かさと計りしれない構成力は他の追随をゆるさないものがある。 ヘ長調の変奏曲は、シンプルな歌が魅力な作品だが、シュタイアーの歌心あふれる演奏に、あらためてこの作品の美しさに感じ入るばかり。「エロイカ変奏曲」も超絶技巧作品だが、シュタイアーの演奏は、これが難曲であることよりも、あくまでもベートーヴェンが変奏の達人であったことを前面に打ち出しており、ファンタジーに満ちたスケールの大きな「エロイカ変奏曲」を聴かせてくれる。
ブラームス
 チェロ・ソナタ集〔第1番 ホ短調 Op.38 /第2番 ヘ長調 Op.99 〕/
 6つの愛の歌〔野の静けさ Op.86 No.2 /旋律のように Op.105 No.1 /サッフォー風頌歌 Op.94 No.4 /
        子守歌 Op.49 No.4 /愛のまこと Op.3 No.1 /愛の歌 Op.71 No.5 〕/
 まどろみはますます浅く Op.105 No.2

 エマニュエル・ベルトラン(Vc) パスカル・アモワイヤル(P)
 録音:2021年3月、フランス。ふくよかで熱い音色でフランスを席巻しているチェロ奏者、エマニュエル・ベルトラン。最近ではバッハの無伴奏チェロ組曲(HMM-902293)での演奏も印象に強く残っているが、次なる新譜は、夫君でもあるフランスの名ピアニスト、パスカル・アモワイヤルとの共演によるブラームス。ソナタ2編は貫禄たっぷり、熱い音色と見事なアンサンブルでたっぷり聴かせる。歌曲をチェロとピアノに編曲した楽曲もどれも詩情ゆたか。「子守歌」も日本人が思う子守歌とはまたひとあじ違った味わいにあふれる演奏で、引き込まれる。ベルトランは、1996年、東京の日本室内楽コンクールで優勝、2001年にはヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュジーク・クラシックのソリスト部門で1位を獲得し、一挙にヨーロッパでも認められる存在となった。アモワイヤルは1971年フランス生まれ。シフラとベルマンに師事。「シフラからは音楽の本質を、ベルマンからは音色を」学んだと語っている。高度なテクニックに、繊細な叙情を兼ね備えた感性で、ここでも抜群にしなやかで熱いブラームスを聴かせてくれる。
Les defis de monsieur Forqueray 〜フォルクレ氏の挑戦
 ミケーレ・マスチッティ(1664-1760):ソナタ第2番 ト短調
 アントワーヌ・フォルクレ(父)(1672-1745):ラ・ルクレール(ヴィオール曲集第2組曲〜第4曲)
 ジャン=マリ・ルクレール(1697-1764):ソナタ第2番 ホ短調
 ロベール・ド・ヴィゼ(1660?-1733?):ラ・ヴェネティエンヌ・ド・ムッシュー・フォルクレ
 コレッリ:ソナタ第3番 ニ長調 (Op.5)
 アントワーヌ・フォルクレ:ヴィオール曲集第4組曲
 ジャン=バティスト(=アントワーヌ)・フォルクレ:
  シャコンヌ(La Morangis ou La Plissay) (ヴィオール曲集第3組曲〜第3曲)

 ルシール・ブーランジェ(バス・ド・ヴィオール) ピエール・ガロン(Cemb)
 クレール・ゴトロ(バス・ド・ヴィオール) ロマン・ファリク(テオルボ)
 録音:2017年7月。これまでにも古楽系レーベルからリリースをしていたフランスの実力派ガンバ奏者、ルシール・ブーランジェがハルモニアムンディより登場。ガンバの歴史上きわめて大きな存在であるフォルクレに焦点を当てたプログラム。「フォルクレの挑戦」とタイトルにあるように、彼の作品は奏者に残酷なまでの技術的困難を要求する、まさに奏者への「挑戦」のような物。ブーランジェはここで名手とタッグを組み、このフォルクレからの挑戦状に見事に応えている。フォルクレがその作品を素晴らしく演奏したという記録が残されているマスティッチの作品や、フォルクレと友人でもあったルクレールの作品なども、実に活き活きと演奏されている。
C.P.E.バッハ(1714-1788):チェロ協奏曲集
 チェロ協奏曲 イ短調 H.432 (Wq.170) /
 交響曲 ト長調 H.648 (Wq.173) /
 チェロ協奏曲 イ長調 H.439 (Wq.172)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
リッカルド・ミナージ指揮
アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2017年6月27日-29日、聖ニコライ教会、パリー・オーディオ・ハンブルク〔代理店記載ママ〕|モダーン楽器使用〔代理店記載〕。 ケラスによる、この上なくエレガントなC. P. E. バッハの登場。音楽への真摯な姿勢に貫かれた活動を展開しているチェリスト、ジャン=ギアン・ケラス。明晰であいまいなところのない譜面の読み込みに裏打ちされたその音楽は、ますます冴えわたる精度と透明度を増し、ケラスがさらなる高みへと登っていることを感じさせる。共演は、アンサンブル・レゾナンツ。過去の偉大な作品から現代音楽まで、切れのある解釈で聴き手を魅了する18人の名手よる弦楽アンサンブルで、まさにケラスと絶好の相性の良さといえるだろう。ケラスは2010-13年、アーティスト・イン・レジデンスを務めている(指揮のミナージは、2018-20年のアーティスト・イン・レジデンス)。ここに収録された作品は、C. P. E. バッハのベルリン時代、もっとも充実していた頃に書かれた物。特にチェロ協奏曲は、ソロ楽器は名手のために書かれた華々しいヴィルトゥオジティで、ソロ楽器とオーケストラが対等のものとして扱われ、両者間の対話も魅力。 イ短調の協奏曲は、第1楽章冒頭せきたてられたようなオーケストラの前奏の後、ケラスの奏でるチェロの入りがなんとも繊細かつエレガントで、きわめて印象的。その後のオーケストラとソロの美しいかけあいにぐいぐいと引き込まれる。終盤のカデンツァはケラスの真骨頂で、現代音楽かと思うような瞬間と超絶技巧にくぎ付け。イ長調の協奏曲はC. P. E. バッハの作品の中でも名曲と名高いものだが、終楽章のジーグに倣った急速な楽章は、アンサンブル・レゾナンツの巧さとケラスの超絶技巧を堪能出来る。2曲の協奏曲の間にはさまれた交響曲は、まさに疾風怒涛のきわみ。モーツァルト以前の交響曲はピリオド楽器で、というのがなんとなく定着している中、モダーン楽器によるこのなんとも鮮やかな演奏は、C. P. E. バッハの音楽そのものの楽しさをあらためて存分に味わうことのできるものとなっている。
ベザイデンホウト& FBO 〜モーツァルト:ピアノ協奏曲集 Vol.3
 〔第9番 変ホ長調 K.271「ジュノーム」/第18番 変ロ長調 K.456 〕
 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:ポール・マクナルティ製、2008年
   〔モデル:ヴァルター&ゾーン・ピアノ、ウィーン、1805年頃〕

 フライブルク・バロックo.[コンサートマスター:ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ]
 録音:2021年5月、アンサンブルハウス、フライブルク。クリスティアン・ベザイデンホウトとFBOによるモーツァルトの協奏曲集シリーズ第3弾の登場!これまでに HMC-902147(第17番、ロンドK.386、第22番/2012年録音)、HMC-902218(第11, 12, 13番/2014年)がリリースされており、その後はベートーヴェンのピアノ協奏曲や、イザベル・ファウストとのバッハのソナタ集などでも素晴らしい演奏を聴かせてくれていたが、「モーツァルトの再来」とも称されるベザイデンホウトによる、待望のモーツァルト続編の誕生、ということになる。第9番「ジュノーム」と第18番という組み合わせは、女性に捧げられた2作、という点で共通している。1777年1月に完成された「ジュノーム」は、第1楽章の冒頭からアレグロでオーケストラが短い問いかけをし、それにピアノが応える、という斬新な幕開け。ジュノーム(Jeunehomme)として知られているが、当時プロのピアニストとしても活躍していたルイーズ・ヴィクトワール・ジュナミ(Jenamy)(モーツァルトの大の友人の娘)に捧げられた物。終楽章のロンドでのベザイデンホウトの小気味よい指さばきと、ベザイデンホウトが展開する世界に一糸乱れず絶妙にからんで色を添えるオーケストラのうまさは格別。第18番は、1784年9月30日、モーツァルトの二人目の子供であるカール・トーマスの誕生日に完成された。ウィーンに定住し始めて3年目のころで、音楽家(演奏・作曲)として認められ、生計を立てていく重要な手段として、ピアノ協奏曲を多く書いた時期だった。この1784年に完成したピアノ協奏曲は6作あるほど(14-19番)。さらに、「後宮」とダ・ポンテ三部作の間の時期という、まさに神がかった時期の作品と言える。こちらも当時ピアニスト、そしてオルガン奏者、作曲家などとして活躍していたマリア・テレジア・フォン・パラディス(1759-1824)のために書かれたといわれている。第2楽章の、フィガロの結婚のバルバリーナの有名なアリアを思わせる雰囲気の前奏につづいてベザイデンホウトが奏でる歌は実に雄弁。パッセージの間の取り方や、休符に漂う豊かな香りも絶妙で、ひきつけられる。終楽章での、FBOの面々が奏でる豊かな響きに包まれる喜びもまた格別なものがある。
ベザイデンホウト〜モーツァルト:ピアノ協奏曲集 Vol.4
 〔第6番 変ロ長調 K.238 (*) (カデンツァ:モーツァルト/アインガング:ベザイデンホウト)/
  第25番 ハ長調 K.503 (#) (カデンツァ:ベザイデンホウト)〕

 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp
   使用楽器:ポール・マクナルティ、2008年製〔モデル:ワルター&ゾーン、1805年製〕

 フライブルク・バロックo.[コンサートマスター:ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ]
 録音:2021年5月(*)、2022年3月(#) 、アンサンブルハウス・フライブルク。ベザイデンホウトとFBOによるモーツァルトの協奏曲集、第4弾の登場。若き日の協奏曲第6番(1776年)と、大作協奏曲第25番(1786年)という組み合わせ。第25番の終楽章は、「イドメネオ」の主題が引用されているが、楽章全体がさながらオペラの序曲のようなワクワク感に満ちてい演奏されている。鮮やかで大満足の終結を迎えると同時に、さらにそこから新たな世界が始まりそうで、ディスクが終わってしまって肩透かしを食ったような気分にさえなってしまうほどに心が愉悦で膨らむ。何度も聴いたことがあるはずの作品がすべて「今、その場で」生まれたように聴こえてくる。ベザイデンホウトは自身、ソロとは違って、オーケストラとの共演は「パーティーのように楽しい」と話していたが、まさにベザイデンホウトもオケも瞬間瞬間を楽しんでいることが感じられます。そして、重力を全く感じさせないように自在に翔けるベザイデンホウトのパッセージは至上の美しさ。モーツァルトの再来、と称されるベザイデンホウトの神髄を見るようだ。
HMM-902335/36
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J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲、シンフォニア、序曲とソナタ集
 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV.1052R /
 カンタータ第174番「われいと高き者を心を尽して愛しまつる」 BWV.174 〜シンフォニア
  (hrn2, ob2, オーボエ・ダ・カッチャ、vn3, vla3, vc3, 通奏低音)/
 ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV.1042 /
 カンタータ第21番「わがうちに憂いは満ちぬ」 BWV.21 〜シンフォニア(ob, 弦, 通奏低音)/
 トリオ・ソナタ ハ長調 BWV.529(vn2と通奏低音)/
 オーボエ、ヴァイオリン、弦と通奏低音のための協奏曲 ハ長調 BWV.1060R /
 管弦楽組曲第2番 BWV.1067〜ヴァイオリンと弦楽合奏、通奏低音の編成による(イ短調で演奏)/
 トリオ・ソナタ ニ短調 BWV.527(ob, vn, 通奏低音)/
 ヴァイオリン協奏曲 ト短調 BWV.1056R /
 カンタータ第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」 BWV.182 〜第1曲ソナタ(rec, vn, 弦と通奏低音)/
 ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV.1041・シンフォニア BWV.1045(vn;trp3, tim, ob2, 弦、通低)/
 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043

 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ヤコブ・シュタイナー)
 ベルンハルト・フォルク(Vn|使用楽器:制作者不詳、1725年)
 クセニア・レフラー(Ob/リコーダー) ヤン・フライハイト(Vc)
 ラファエル・アルパーマン(Cemb)
 ベルリン古楽アカデミー(コンサートマスター:ベルンハルト・フォルク)
 録音:2017年12月、2018年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。イザベル・ファウストとベルリン古楽アカデミーによるバッハの登場。!ヴァイオリン協奏曲のほか、オルガンのトリオ・ソナタをヴァイオリンと通奏低音で演奏、さらに管弦楽組曲第2番のフルート・ソロ部分をヴァイオリンで演奏、興味津津のプログラム。ファウストのソロは彼女の魅力そのものの音色、しなやか、そして完璧な技巧。ファウストのバッハ、というだけでもうれしいのに、ベルリン古楽アカデミーとの共演というのもまた注目。現在コンサートマスターを務めるベルンハルト・フォルクや、アクサンからも多数名盤をリリースしているオーボエのクセニア・レフラーなど、共演するソリスト(ベルリン古楽アカデミーのメンバーでもある)たちとの豪華共演も聴き物。[ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 BWV.1052R]現在チェンバロ協奏曲( BWV.1052)として伝わっているものは、消失したヴァイオリン協奏曲のチェンバロ版編曲。ここではヴァイオリン独奏版で演奏している。[カンタータ第174番「われいと高き者を心を尽して愛しまつる」 BWV.174よりシンフォニア]もともとはブランデンブルク協奏曲第3番(1721年完成)の第1楽章で、ホルン2本とオーボエ3本を加えたより大きな編成をとっている。[ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 BWV.1042]バッハがケーテンの宮廷楽長を務めていた時期(1718-23)に書かれたとされるもので、晴れやかで力強い上昇音型で、独奏ヴァイオリンの活躍も印象的な人気作品。[カンタータ第21番「わがうちに憂いは満ちぬ」 BWV.21よりシンフォニア]カンタータ第21番は嘆きを歌う第1部と救いの喜びを歌う第2部から成る大作。第1部冒頭のシンフォニアは、ヴァイオリンが描く「憂い」の表情に打たれる名曲。[トリオ・ソナタ ハ長調 BWV.529]オルガン作品として現在伝わっているが、もとは室内楽トリオだと考えられる物。ここでは2つのヴァイオリンと通奏低音という編成で演奏している。ヴァイオリン2本が奏でるヴィルトゥオーゾ的な音型が、広い音域のハーモニーの上で奏でられる。[オーボエ、ヴァイオリン、弦と通奏低音のための協奏曲 ハ長調 BWV.1060R]現在「2台のチェンバロのための協奏曲 BWV.1060」として伝わるものは、消失した協奏曲の編曲で、原曲はここでも演奏されているオーボエとヴァイオリンが独奏を務める協奏曲とみなされている。[管弦楽組曲第2番 BWV.1067]フルート、弦楽合奏、通奏低音という編成で現在伝わっているが、もともとは独奏ヴァイオリンのための協奏曲で、調性も全音低い イ短調で構想されていたと考えられ、ここではそのヴァージョンで演奏している。[トリオ・ソナタ BWV.527]オルガン作品として現在伝わっているが、もともとは室内楽トリオのための作品だったと考えられている。ここではオーボエ、ヴァイオリンと通奏低音で演奏。第2楽章の美しさにはノックアウト。[ヴァイオリン協奏曲 ト短調 BWV.1056R]チェンバロ協奏曲 ヘ短調 BWV.1056の初期稿にあたる物。[カンタータ第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」 BWV.182より第1曲ソナタ]独奏ヴァイオリンとリコーダーの奏する付点リズムが、ロバに乗って入場する「天の王」の歩みを描く。[ヴァイオリン協奏曲 イ短調 BWV.1041]その大半をバッハが作成したパート譜で伝えられている作品。冒頭の2音モティーフも印象的な名曲。[シンフォニア BWV.1045]失われた教会カンタータの導入楽章として伝えられる作品で、独奏ヴァイオリンと弦楽合奏、通奏低音のための協奏曲が原曲だったと思われる。149小節までしか残されていないが、短いカデンツァを挿入し冒頭のリトルネッロの主題を演奏して締めくくられる。[2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043]言わずと知れた2つのヴァイオリンのための協奏曲。2つのヴァイオリンがたがいに拮抗する立場で作品が進むが、ファウストとベルンハルト・フォルクの丁々発止のやりとりも聴き物。
ポルトガル風の〜イベリアの協奏曲とソナタ集
 ウィリアム・コルベット(1680-1748):
  協奏曲「ポルトガルの」 Op.VIII-7 変ロ長調(協奏曲集「Le bizzarie universali」より)
 ジョゼ・アントニオ・カルロス・デ・セイシャス(1704-1742):協奏曲 ト長調
 ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):ソナタ
  〔ト短調 K.8(アレグロ)/ト長調 K.13(プレスト)/ロ短調 K.173(アレグロ)〕
 チャールズ・エイヴィソン(1709-1770):合奏協奏曲第5番 ニ短調
  (D.スカルラッティのチェンバロのための2巻の作品集による12の協奏曲集より)
 ボッケリーニ(1743-1805)/シュタイアー編曲:
  小弦楽五重奏曲「マドリッドの通りの夜の音楽」(マドリッドの夜警隊の音楽) Op.30 No.6

 アンドレアス・シュタイアー(Cemb)指揮バッローカ・カーザ・ダ・ムジカo.
 収録:2018年2月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 シュタイアーと行く、18世紀スペイン・ポルトガルの世界。A Portuguesa 〜ポルトガル風の〜イベリアの協奏曲とソナタ集と題した、18世紀のイベリア半島にまつわる音楽集の登場。ヴィルトゥオーゾ的要素もあるセイシャスの充実の協奏曲や、ボッケリーニがマドリッドの喧騒を描いた作品から、イベリア半島の音楽の需要が高かった英国で生まれた、イベリア半島に由来する音楽までを網羅した非常に凝ったプログラム。 D.スカルラッティのソナタでは相変わらずの霊感に満ち冴えわたるソロを堪能出来る。オルケストラ・バッローカ・カーザ・ダ・ムジカは2006年にローレンス・カミングスによって結成されたアンサンブル。2015年にシュアイターとブランデンブルク協奏曲で共演している。当盤ではシュタイアーが指揮をしており、オーケストラのために編曲も行っている。18世紀イベリア半島の音楽が活き活きと響く。CD 冒頭のコルベットは、イギリスの作曲家・ヴァイオリン奏者。1715-26年、イタリアに暮らした。協奏曲集「Le bizzarie universali」を2冊(1728年および1742年に)出版している。文字通りだと「世界の珍しい物(人)」といった意味で、ポルトガルの他にも、ミラノ、シチリア、スペイン、といった様々な土地のスタイルを思わせる作品が入っている。ここでは「ポルトガルの」(といってもイタリア(コレッリ)のスタイルを思わせる部分が濃厚だが)を題された曲を収録。第2楽章のノスタルジックさはポルトガルを思わせる。セイシャス(1704-1742)は、18世紀ポルトガル音楽界の中心人物で、リスボンで同時期に活動していたドメニコ・スカルラッティから称賛されていた存在。14歳でコインブラ大聖堂のオルガニスト、そして16歳からはリスボンで宮廷礼拝堂オルガニストに就任、以降亡くなるまでこの職を務めたことは、彼が非常に早熟の天才であったことの表れといえるだろう。1755年のリスボンの大地震でその自筆譜の大部分が失われたと考えられ、また、筆写譜もほとんど残されていないが、宗教作品、また、鍵盤のためのソナタなどは700以上書いたとされている。協奏曲は、コインブラ大学の図書館で現在保管されている ト長調(1742年頃)のものと、リスボンの図書館に保管されている イ長調(手稿譜、1730年頃?)のふたつがセイシャスのものと確認されている。どちらも3楽章形式で、終楽章が活き活きとした舞曲になっているのが特徴で、 ト短調のものの終楽章はイベリアの舞曲、 イ長調の終楽章はイタリア風のジーグの舞曲となっている。疾風怒涛様式をも感じさせる、充実した作品で、ヴィルトゥオーゾ性の強い物。シュタイアーの切れ味抜群のソロも圧巻。18世紀の英国では、 D.スカルラッティの音楽は、プロの音楽家にも、聴衆にも非常に人気があった。英国の作曲家で、英国で初めての音楽批評集を出版した人物でもあるチャールズ・エイヴィソンは、 D.スカルラッティのソナタを合奏協奏曲に編曲、ドメニコのソナタの世界をさらにふくらませている。ボッケリーニはイタリアの作曲家だが、当時はチェロの大変な名手としても活躍した。26歳でスペインの宮廷に招かれ、マドリッドで後半生を送った。「夜の音楽」はもともと2つのヴァイオリン、ひとつのヴィオラとふたつのチェロのために書かれたもので、マドリッドの町の、教会の鐘から食堂で輪になって歌い踊る人々まで、躍動感ある生活を描写した音楽。シュタイアーによる編曲を、オルケストラ・バッローカ・カーザ・ダ・ムジカの面々による情景豊かな演奏でお楽しみ頂ける。
トリオ・ワンダラー
 ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲〔第1番 ト短調/第2番 ニ短調 Op.9「悲しみの三重奏曲」(1917年版) 〕
 グリーグ:アンダンテ・コン・モト ハ短調 / スーク:悲歌 Op.23(ピアノ三重奏版)

 トリオ・ワンダラー[ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャブディアン(Vn)
   ラファエル・ピドゥー(Vc) ヴァンサン・コック(P)]
 録音:2018年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。1987年結成、円熟著しいトリオ・ワンダラー。2013年リリースのチャイコフスキーは名演の誉れ高いものだったが、今回ラフマニノフに挑戦。チャイコフスキー以来、ロシアの作曲家は特別な人の追悼にピアノ三重奏曲を作ることが慣わしとなった。1893年10月にチャイコフスキーが急逝すると、ラフマニノフは長大かつ感動的な作品をその霊に捧げた。長さ、構造など意図的に真似ているが、ピアノが主役で非常に技巧的なのがラフマニノフならでは。意味深長な引用や慟哭などチャイコフスキーへの思いにあふれる重い作品となっている。ラフマニノフはその前年に習作的な断章を残しているが、規模の点でもナイーヴな感覚からも、近年こちらをとりあげる演奏団体が増えている。ここにももちろん収録。フィル・アップとしてグリーグ唯一のピアノ三重奏作品である「アンダンテ・コン・モト」とスークの「悲歌」が選ばれているのも嬉しい限り。トリオ・ワンダラーの演奏は辛口で緊張感に富むもので、凄みすら感じさせる。ラフマニノフ作品は名ピアニストで録音することが多いが、トリオワンダラーのピアノのヴァンサン・コックが、充実の名手ぶりを示しているのも聴き物。
ルガンスキー〜ラフマニノフ:前奏曲全集
 Op.3 No.2, Op.23, Op.32(全24曲)
ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2017年9月、ル・フラジェ、ブリュッセル。 ルガンスキー、何とハルモニア・ムンディからのリリース。彼は2001年に「鐘」の愛称で知られる Op.3 No.2と、10曲からなる Op.23の計11曲を2001年にEratoからリリースしているが、それから17年を経て Op.32の13曲も含めた24曲全曲のアルバムを新録音した。ラフマニノフの前奏曲は彼ならではのメロディや叙情性も魅力だが、全体に難曲揃い。ルガンスキーは遅めのテンポでじっくり表現しているが、これが説得力満点。切れ味抜群のテクニックも爽快なうえ、スタインウェイのフルコンサートが鳴りきっていて、ピアノの真の音を体感出来る。前録音から驚くべき成長と円 熟 を 遂げていることに感心させられる。人気の「鐘」もラフマニノフの自作自演に匹敵する凄さ。どの曲もロシア的情感の表現が絶妙で、ラフマニノフの「前奏曲集」の新たな決定盤の出現。
ミャスコフスキー:チェロ・ソナタ第1番 ニ長調 Op.12
ラフマニノフ
 2つの小品 Op.2 /前奏曲 嬰ハ短調 Op.3 No.2 (*) /チェロ・ソナタ ト短調 Op.19
  ブリュノ・フィリップ(Vc;*以外) ジェローム・デュクロ(P)
 録音:2018年6月、ラ・クロエ、アントレーグ=シュル=ラ=ソルグ。1993年生まれの若手チェロ奏者ブリュノ・フィリップ3枚目のディスク登場。今回はミャスコフスキーとラフマニノフによるロシアのチェロ・ソナタ2篇をメインに置いた選曲。ミャスコフスキーのチェロ・ソナタ第1番は1911年の作で、20年後に改訂したが20世紀の作品とは思えぬロマンティックなメロディとロシア的な熱気に満ちている。ラフマニノフのソナタとならび、深い歌心を必要とするが、その点ゲリンガスにも師 事したフィリップはロストロポーヴィチ派のロシア・チェロ流儀も身につけていて、たっぷりと歌い込まれるメロディの美しさに酔わされる。どの曲もピアノが念入りに書かれているが、ここではジェローム・デュクロが見事なサポートぶりを示している。フィリップ・ジャルスキーやルノー・カピュソンらの名相方として注目されているが、21世紀の名人伴奏者になること間違いなしのベテラン。なんとラフマニノフの「鐘」として名高い 嬰ハ短調の前奏曲の独奏も挟みこんでいて聴き物。
イザベル・ファウスト〜シェーンベルク(1874-1951):
 ヴァイオリン協奏曲 Op.36 (1936) (*) /浄夜 Op.4(弦楽六重奏曲版)(1899) (#)
  イザベル・ファウスト(Vn) ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放送so.(*)
  アンネ・カタリーナ・シュライバー(Vn;#)
  アントワン・タメスティ、ダヌーシャ・ヴァスキエヴィチ(Va;#)
  クリスティアン・ポルテラ、ジャン=ギアン・ケラス(Vc;#)
 録音:2019年1月、ベールヴァルド・ホール、ストックホルム(*) /2018年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン(#) 。イザベル・ファウストの最新盤は、シェーンベルク。20代中頃の作品「浄夜」の弦楽六重奏版と、それから40年弱という時を隔てて書かれたヴァイオリン協奏曲という組み合わせ。「浄夜」はブラームスやワーグナーの影響が色濃く見られる欄熟のロマンティシズムが魅力の作品だが、ここではファウストが心から信頼を寄せる奏者たちが集った最強のメンバーでの演奏で、注目。ファウストのまっすぐな音色が中心となったアンサンブルが却って作品の欄熟した空気を際だたせており、ドロドロの世界が展開されている。そしてヴァイオリン協奏曲は12音技法を探求していた時期の作品だが、ソナタ形式で書かれており、楽章構成も第1楽章―急(アレグロ)、第2楽章―緩(アンダンテ)、第3楽章―ロンド・フィナーレという形をとっている。シェーンベルクが12音技法の内に込めた様々な旋律を、ファウストが1ミリの狂いもない技術をもって奏でており、厳格かつ厳密な12音の世界の中にもシェーベリが織り込んだ美しい旋律がこの上なく魅力的に引き出されている。それをサポートするハーディング率いるオーケストラとのアンサンブルも、ぴたりとあった見事な物。欄熟のロマン、そして厳格な「古典」の書法の間にたって、ファウストと、彼女が心から信頼を寄せる音楽家たちが、20世紀の音楽史の中でも屈指の傑作であるこれらの作品を、これ以上なく生き生きと表現している。「浄夜」の共演者には信じがたいメンバーが顔をそろえている。ヴァイオリンのアンネ・カタリーナ・シュライバーは、フライブルク・バロック・オーケストラでリーダーも務める奏者。アントワン・タメスティは言わずとしれた世界的奏者(トリオ・ツィンマーマンのメンバー)。ダヌーシャ・ヴァスキエヴィチはアバド指揮モーツァルト管、カルミニョーラのモーツァルト全集で協奏交響曲のヴィオラを務めていた。クリスティアン・ポルテラはトリオ・ツィンマーマンのメンバー。ジャン=ギアン・ケラスも来日も多い世界的奏者。どの奏者も広い時代の作品を手がけており、そうしたメンバーがこの「浄夜」を演奏する、というのはまた格別なものがある。
タメスティ&ベルリン古楽アカデミー〜テレマン:ヴィオラ協奏曲集
 弦と通奏低音のためのブルレスケ 変ロ長調 TWV.55: B8 /ヴィオラ、弦と通奏低音のための協奏曲 ト長調 TWV.51: G9 /
 2つのヴィオラのためのカノン風ソナタTWV.40: 121 (*) /
 低音を伴わないヴァイオリンのための12のファンタジアTWV.40: 14-25 より 独奏ヴィオラのための
   ファンタジア〔ハ長調 TWV.40: 15(原曲:ト長調)/変ホ長調 TWV.40: 14(原曲:変ロ長調)〕/
 序曲=組曲「風変わり」TWV.55: G2 /
 2つのヴィオラ、弦と通奏低音のための協奏曲 ト長調 TWV.52: G3 (*)

 アントワン・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス、1672年製|
   使用弓:バロック、アルトゥール・ドゥブロカ、2010年製

 ベルリン古楽アカデミー[ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)]
 ザビーネ・フェーラント(Va;*)
 録音:2020年7月、テルデックス・スタジオ、ベルリン、ドイツ。2021年度レコード・アカデミー賞(音楽之友社)大賞銅賞受賞アーティスト、アントワン・タメスティ。ヴィオラや弦楽器といった楽器というフレームにはもはやおさまらない、超越的な音楽で空間を満たす稀代の名手。そんなタメスティが、テレマンを録音した。協奏曲はベルリン古楽アカデミーとの共演で、つい最近もブランデンブルク協奏曲(KKC-6418, HMM-902686)で圧倒的な名演を放った顔合わせ。テレマンは、ヴィオラを主役にした作品を書いた先駆者ともいえる存在だけあって、注目の内容。テレマンの無伴奏作品は、原曲は独奏ヴァイオリンのための作品だが、バッハの無伴奏作品と曲の規模は多少異なるが、内容世界的にはそれと比肩しうる深い内容で、今日のヴィオラ奏者にとっても重要なレパートリーとなっている物。内省的な緩徐楽章、軽やかで気品に満ちたアレグロ楽章と、タメスティの音楽と、美しい音色を満喫出来る。2つのヴィオラのための協奏曲も、しっとりと落ち着いた風合いの演奏。組曲でも、非常に気品に満ちた演奏で展開されている。名手たちによる余裕たっぷりなテレマン。冒頭のブルレスケ組曲は、実にぜいたくなアルバム。
INVISIBLE STREAM 〔見えない流れ〕
 ラファエル・アンベール(1974-):アキムの心/マイ・クレズマー・ドリーム/イメージの音楽/ソー・ロング・ラジオ・ヴォイス/亡命者
 ワーグナー:「タンホイザー」〜夕星の歌 /  / ハンス・アイスラー(1898-1962): An den kleinen Radioapparat
 オーネット・コールマン(1930-2015):ビューティ・イズ・ア・レア・シング / シューベルト:楽に寄す D.547
 レイモン・ル・セネシャル(1930-)/ピエール・バルー(1934-2016):水の中のダイヤモンド

 ラファエル・アンベール(Sax|使用楽器: Henri Selmer Paris
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器 Gioffred Cappa
 ピエール=フランソワ・ブランシャール(P)
 ソニー・トゥルペー(ドラム、kaドラム〔ハンドドラム〕)
 録音:2022年2月、エルマウ城、ドイツ。世界が認める語り口と技術で、作曲家の時代や国境やジャンルを超えて、自身の音楽を聴かせるチェロ奏者ケラスと、ジャズやクラシックのボーダーを超えた音楽を聴かせるサックス奏者アンベールによる、豪華共演アルバムの登場。ふたりは2016年のエクサン・プロヴァンス音楽祭のアソシエイト・アーティストを務め、そこでの演奏は聴衆に熱い感動を呼び起こした。アルバムのタイトル「Invisible Stream(見えない流れ)」とは、様々な境界を越えつつ、人々、アーティスト、即興演奏家、音楽家をつなぐ「見えない流れ」のこと。まさにケラスたちがここで展開している音楽、また彼らの活動自体を言い表したしたタイトルとなっている。クラシックの楽曲をジャズ風にアレンジしたもの、また、現代作曲家やアンベール自身による作品を、彼ら独自の世界観で聴かせる。「夕星の歌」ではメロディはケラスのチェロが担当。半音階が多用された旋律と、美しくも官能的なアンサンブルとの絡みに思わずドキっとさせられるようだ。シューベルトの「音楽に寄す」はアンベールがメロディを奏でる。歌では息の関係で難しいと思われるゆったりとしたテンポで進められる中、ドラムも非常に効果的に響く。ちなみに録音場所であるエルマウ城は、2022年のG7サミットでも使われた風光明媚な自然の中に位置する。
HMM-902344/46
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トリオ・ヴァンダラー〜シューマンピアノ三重奏曲全集
 ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47 (*) /ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44 (#) /幻想小曲集 イ短調 Op.88 /
 ピアノ三重奏曲全集〔第1番 ニ短調 Op.63 /第2番 ヘ長調 Op.80 /第3番 ト短調 Op.110 〕
  トリオ・ヴァンダラー[ジャン=マルク・フィリップ=ヴァルジャブディアン(Vn)
    ラファエル・ピドゥー(Vc) ヴァンサン・コック(P)]

  クリストフ・ゴーゲ(Va;*/#) カトリーヌ・モンティエ(Vn;#)
 録音:2020年9月-10月、オーディトリアム劇場、ポワティエ、フランス。1987年に結成されたピアノ・トリオの重鎮、トリオ・ヴァンダラーによるシューマンのピアノ三重奏曲全集。妻クララへの誕生日プレゼントのために作曲された第1番(1847年)。メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番 ニ短調に影響を受けて作曲され、この2作品はロマン派を代表するピアノ三重奏として広く認知されている。第2番は、1847年に第1番と同時期に作曲された。次第にシューマンを苦しめる心の病から逃れるかのように、明るく前向きな内容で、シューマン自身「甘やかで生き生きとした印象」としており、後にクララはこの作品について「私の魂の深いところをあたたかく包み、最初から最後まで私を喜ばせる作品」であり「大好きで何度も演奏したい」と述べた。1851年に作曲された第3番は、シューマン家でクララのピアノで初演されたのち、1852年に公開初演された。クララ自身、この作品を情熱的で創意に満ちていると非常に気に入っていたようすの日記が遺されている。充実していたシューマンの、情熱と創意に満ちたトリオを絶妙なアンサンブルで聴くことが出来る。カップリングには、ヴィオラのクリストフ・ゴーゲ、ヴァイオリンのカトリーヌ・モンティエを招いてピアノ五重奏曲、ピアノ四重奏曲を収録。ともにシューマンの好んだ 変ホ長調という調性で書かれた作品で、「室内楽の年」1842年の10月と11月に相次いで完成している。なかでも、作曲の過程でメンデルスゾーンがアドバイスを授けたピアノ五重奏では、楽想ゆたかなピアノがまず格別。トリオ・ヴァンダラーの深い情緒を感じさせる円熟の演奏で聴かせる。
Syrian Dreams
 地平線/ Bombs turn into roses / Hi-Jazz /シリアの伝統音楽: Touta (マヤ・ユセフ編曲) /
 夜の女王/ Syrian Dreams / ダマスカスの7つの門/突破/海

 マヤ・ユセフ(カヌーン) バーニー・モーゼ=ブラウン(Vc)
 セバスティアン・フレイ(Perc) アタブ・ハダド(ウード)
 録音:2017年、コア・スタジオ、ロンドン。 シリア出身のカヌーン奏者、マヤ・ユセフによるアルバム。彼女の祖国シリアは度重なる内戦・紛争で大変な状況になっており、マヤにとって音楽は、悲しみや破壊される祖国を目にする苦しみや悲しみをはきだす唯一の手段。2012年のニュースで目の当たりにした祖国の壊滅的な状況に、彼女は叫び、アルバムタイトルにもなっている、平和を願う祈りの「Syrian Dreams」を書いた。ほかにも、2曲めの「Hi-Jazz」はHijazというマカームの旋法に基づいた物。ジャズを聴かずに育ったユセフが、ジャズとアラブ音楽の共通点である「即興(インプロビゼーション)」を手がかりにつむぐ「ジャズ」。ほかにもシリアのウード奏者の作品など、多彩な魅力に満ちた1枚。
七つの言葉とイエスの四肢
 ブクステフーデ:7つの連作カンタータ「わたしたちのイエスの四肢」BuxWV.75 /
         カンタータ「安らぎと喜びもてわれは逝く」BuxWV.76 より
  〔第2曲「嘆きの歌:それでもなお死は逃れられないのか」/第1曲「安らぎと喜びもてわれは逝く」〕
 シュッツ:われを憐れみたまえ、おお主なる神よ SWV.447 /十字架上のキリストの最後の七つの言葉 SWV.478
 ディークマン:葬送音楽「嘆きの歌」 / ブクステフーデ:おお主よ、心からわれ汝を愛す BuxWV.41

 セバスティアン・ドセ(Org)指揮アンサンブル・コレスポンダンス
  [カロリーヌ・ウェイナンツ、ジュリー・ロゼ、カロリーヌ・バルド、ペリーヌ・ドゥヴィレール(S)
   ルシール・リシャルドー、ポール=アントワーヌ・ベノス・ジアン(A)
   ダヴィ・コルニヨ、アントニーン・ロンピエール(T) エティエンヌ・バゾラ、ニコラ・ブルイマン(B)
   ジョゼフ・コッテ、シモン・ピエール(Vn) マチルド・ヴィアル、エティエンヌ・フロウチエ、
   ルイーズ・ブエド、マチアス・フェレ、ジュリー・デサン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)他]
 録音:2020年8月-9月、アベイ・オ・ダム、サント、フランス。鍵盤奏者、指揮者のセバスティアン・ドセのもとに2008年にリヨンで創設されたアンサンブル・コレスポンダンス。17世紀のフランス宗教音楽を中心レパートリーとし、著名な作曲家の作品を再発見、その精力的な演奏・録音活動で定評のあるアンサンブルとしてフランスの古楽界を牽引する存在となっている。「七つの言葉とイエスの四肢」と題された当アルバムではJ.S.バッハ以前のヨーロッパにおけるルター派の宗教音楽発展に寄与したブクステフーデ、シュッツ、ディークマンの作品を収録している。1645年頃にスウェーデンのヘデモラで生まれ、1717年にストックホルムで亡くなったオルガニスト、作曲家のリューデット・ディークマンはスウェーデンの各地で活躍した。ディークマン唯一の現存の作品、葬送音楽「嘆きの歌(悲歌)」はスウェーデンの二人の王子グスタフ(1683-85)とウルリク(1684-85)の死を悼むもので、1685年4月にその短い生涯をとじた二人の王子の葬儀の際に作曲された。悲しくも実に心温まる旋律が印象的なディークマンの作品は、同時代のシャルパンティエを思わせる響きを思わせる。ソリストとしても活躍する精鋭が揃った当アンサンブルの演奏・歌唱は極上の一言。嘆きの歌をはじめ、聴き手の心に染みわたる録音。
マラン・マレの残り香〜ルイ・ド・ケ・デルヴロワ(1677頃-1759):ヴィオール作品集/他
 ヴィオールと通奏低音のための組曲〔ト調(2種)/ホ短調/ニ長調〕/
 フルートと通奏低音のための組曲 ニ長調/ La Berg-Op-Zoom / Plainte(嘆き)/ La la Fernay

 ラ・レヴーズ
  [フロランス・ボルトン(バス&・パルドゥシュ・ヴィオール) セルジュ・サイッタ(Fl/プティFl)
   エミリー・オードウィン(バス・ド・ヴィオール) カルステン・ローフ(Cemb)
   バンジャマン・ペロー(バロックG/テオルボ)]
 録音:2020年9月、シャンボール城、フランス。マラン・マレの最も優秀な弟子のひとりであり、マレの後継者でもあるデルヴロワは、バス・ヴィオールが次第に世から消える時期に生きながら、ヴィオールのための優れた作品をのこした。17世紀後半から18世紀前半の優雅さと気品をたたえた作品を多く書いている。ここでも、ヴィオールのほかにもパルドゥシュ(高音域)・ヴィオールやフルートなども活躍する魅力的な作品がセレクトされている。
シューマン
 リーダークライス Op.24(全9曲)/
 12の詩 Op.35(全12曲)
マティアス・ゲルネ(Br)
レイフ・オヴェ・アンスネス(P)
 録音:2018年3月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。現代最高のバリトン、ゲルネのリート最新録音の登場。ピアノはなんとアンスネス!ゲルネはシューベルト・エディションでも錚々たるピアニスト達と共演していたが、シューマンにきてアンスネスの登場。演奏を聴けば納得の顔合わせ。ゲルネとアンスネスが、雄弁かつ完璧に詩の世界を表現しており、聴き手もゲルネとアンスネスと共にシューマンが描いた世界を旅して、その世界に生きているような気分になれる。
ストラヴィンスキー:兵士の物語
 オリヴィエ・シャルリエ(Vn) フィリップ・ベロー(Cl)
 ベルナール・カゾラン(Cb) ジョルジョ・マンドレージ(Fg)
 ブリュノ・トンバ(コルネット) ギヨーム・コテ=デュムラン(Tb)
 エリック・サミュ(Perc) ディディエ・サンドル(語り)
 デュニ・ポダリデ(兵士) ミシェル・ヴイエルモ(悪魔)
 ジャン=クリストフ・ガヨ指揮
 録音:2017年4月。ディジパック縦長ケース。フランスの名手オリヴィエ・シャルリエと、パリo. 首席クラリネット奏者、首席ファゴット奏者、首席トロンボーン奏者、そしてパリ管設立時からのコントラバスと、パリ管メンバーのコルネットという超豪華メンバーによる兵士の物語。フランスの演劇シーンや舞台を中心に活躍する名優3人がテキストを朗読する。
モンテヴェルディ(1567-1643):倫理的、宗教的な森 Vol.1
 主は言われた II /わたしは神を賛美する II /この神の聖なる信者よ/おお汝目の見えぬものよ/
 すべての町よ喜び騒げ/サルヴェ・レジナ/主を賛美せよ〔 I / III 〕/彼らが大きな声で叫ぶ前に/
 十字架にかけられ/そして復活し/彼は再び来るだろう/おお汝聞く者よ/サルヴェ・レジナ/マニフィカト II

 パブロ・エラス=カサド指揮バルタザール=ノイマンcho.&アンサンブル
 録音:2017年5月9日、11日、13日、ムルシア、スペイン。 指揮者パブロ・エラス=カサドによるモンテヴェルディの登場。アンサンブルは、トーマス・ヘンゲルブロックが創立した、バロック期の建築家バルタザール・ノイマン(1687-1753)の名を冠したバルタザール=ノイマン合唱団&アンサンブル。モンテヴェルディの「倫理的、宗教的な森」から、選りすぐりの楽曲を収録していくプロジェクトの第1弾。 第1部は5つのマドリガーレ、第2部はミサ、第3部は晩祷のための音楽、そして第4部には「アリアンナの嘆き」を宗教曲にパロディした「マドンナの嘆き」をはじめとする4つのソロのモテット、という大きな4つの部分で構成される曲集から、エラス=カサドがとびきりの楽曲を選り抜いて構成したプログラム、注目。
明るい時〜ナディア&リリ・ブーランジェ:作品集
  〔編成特記以外は歌曲|詩(1曲のみの詩人は曲後に記載):アルベール・サマン(avs)、
   ポール・ヴェルレーヌ(pv)、アルマン・シルヴェストル(pas)、モーリス・メーテルリンク(mm)、
   ジョルジュ・ドラキ(gd)、カミーユ・モークレール(cm)、ハインリヒ・ハイネ(hh) 〕
 ナディア・ブーランジェ:
  わが心(avs) /聴いておくれ、いとも甘美な歌を(pv) /落日(pv) /二重唱 銀の湖を見に行こう(pas) /
  ヴェルサイユ(avs) /大いなるゆううつな眠り(pv) /イルダ(avs) /私の恋人(avs) /愛の詩(pas) /
  カンティーク(mm) /チェロとピアノのための3つの小品/うつろな時(mm) /シャンソン(gd) /
  冬の夜(ナディア・ブーランジェ)/新生活に向って【ピアノ曲】/疑惑(cm) /道端で(cm) /
  私は手を打った(ジャン=フランソワ・ブルギニョン)/恍惚(ユゴー)/
  オバド(ティルスラン)/絶望(pv) /エレジー(avs) /シレーヌ(アドニス&デヴォー=ヴェリテ)/
  おお、誓うな(hh) /孤独な涙は何を望む(hh) /ああ、またもその瞳(hh) /
  祈り(バタイユ)/明るい時〔ラウル・プーニョと合作|全8曲〕(ヴェルハーレン)/
  小品【ピアノ曲】/美しき船(gd) /海(pv) /交換(cm) /ナイフ(cm) /シャンソン(cm)
 リリ・ブーランジェ:
  小品【ヴァイオリンとピアノ】/待ちぼうけ(mm) /反映(mm) /夜想曲【ヴァイオリンとピアノ】/
  帰郷(gd) /序奏と行列【ヴァイオリンとピアノ】/天空の広間〔全13曲〕(フランシス・ジャム)/
  無限の悲しみの中で(ギャロン・ド・カロンヌ)/春の朝に【ヴァイオリンとピアノ】/
  悲しみの夕べに〔ナディア・ブーランジェ編曲〕【チェロとピアノ】

 ラケル・カマリーナ(S) ルシール・リシャルドー(Ms)
 ステファヌ・ドゥグー(Br) アンヌ・ド・フォルネル(P)
 サラ・ネムタヌ(Vn) エマニュエル・ベルトラン(Vc)
 録音:2022年2月、6月、RIFFX スタジオ、セーヌ・ミュジカル、ブローニュ=ビヤンクール。ブーランジェは、姉ナディアが名教師としてコープランドやバーンスタイン、マルケヴィチ、リパッティダニエル・バレンボイム、グラスから、ミシェル・ルグラン、ピアソラ、キース・ジャレット、クィンシー・ジョーンズらを育てたことで知られ、24歳で夭折した妹リリの作も近年演奏、録音が増えている天才姉妹。ナディアは妹に比べ自分の作曲の天分を卑下して、1920年代に断筆してしまう。その先入観ゆえかたいした作品を残していないと思われがちだが、14歳の時のユゴーの詩による「恍惚」をはじめ、20世紀の最初20年間に少なくとも38篇の歌曲を書いたとされ、そのすべてがこのアルバムに収録されている。さらにチェロ曲やピアノ曲も収録。それらを聴く限り彼女の作は決してつまらないものでなく、魅力的なメロディと洗練された技法が光る逸品ばかり、認識を改めさせられる。同様に作品数の少ない妹リリ作品22曲を収め、「悲しみの夕べに」はナディアが編曲したチェロとピアノ版でアルバムを終わらせている。未出版や世界初録音も含まれ、国際ブーランジェ・センターの協力で歌曲全集が実現した。ルシール・リシャルドーは27歳までジャーナリストとして働いていたフランスのメゾ・ソプラノ。中世から現代まで、研ぎ澄まされた声質で注目されている。フランス系アメリカ人ピアニスト、アンヌ・ド・フォルネルの清潔なピアニズムで理想的なブーランジェ姉妹の音世界を作り上げている。
ファウスト + プロハスカ〜ジェルジ・クルターグ(1926-):カフカ断章 Op.24
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:1704年製ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ
 アンナ・プロハスカ(S)
 録音:2020年5月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。イザベル・ファウスト(Vn)と、アンナ・プロハスカ(S)という、今世界の誰しもが認めるふたりの演奏家の共演による録音が実現した。作品は、「カフカ断章」。1926年ルーマニア生まれのハンガリー人作曲家クルターグが、フランツ・カフカ(1883-1924)の断片的な40のテキスト(クルターグ自身が選んだ)に、ヴァイオリンとソプラノという珍しい編成で作曲した作品(1987年完成)。[作品について]「カフカ断章」は、カフカが書いた日記や手紙、あるいは死後見つかった遺稿から40をクルターグが選び、4部(I: 19曲、II: 1曲、III: 12曲、IV: 8曲)に構成、それぞれのテキストに、ヴァイオリンとソプラノのデュオのために作曲したもの(1985-1987)。全体を通した物語の筋はない。それぞれのテキストは、「Ruhelost(心がやすまらない)」と一言のみのものから、孤独の叫びや恋人(あるいは特定のひと)を思わせるもの、さらに子供への優しいまなざしを感じさせるものなど様々。テキストはどれも比較的短く、長いものでも約80 語だが、楽曲の長さは30秒に満たないものから、長いもので6分を超えるものまで様々。[音楽]それぞれのテキストは断章というだけあって、短く、しかし非常に凝縮された世界。クルターグは、カフカが書き記した独白や思いを、これ以上なく無駄のないかたちで、ヴァイオリンと声で音楽化している。いくつか具体的に楽曲を見てみると、たとえば第1曲「善良な者は歩調を合わせて歩く・・・」では、ヴァイオリンが歩みを思わせるように「ド・レ・ド・レ」の音でリズムを刻むうえで、声が五 度上で並行してテキストを歌って始まる。第21曲「 "持つべきもの "はなく、 "あるべきもの "だけがある。最後の一息に、(窒 息 )死に憧れる」という孤独なテキストには、ヴァイオリンが胸をかきむしるように激しく上下に動く上で、ソプラノは独白のようにテキストをうたいる。終曲(第40曲)は「まぶしい月夜だった。木々の中で鳥が鳴いていた」というテキストで始まり、月のような繊細なヴァイオリンや、鳥の鳴き声を思わせるソプラノが美しい。五線譜の形態で記譜されているが明快な拍子はない。声楽は囁きから語り声、さらには叫び声など、「うた」という概念を超えた表現が要求される。ヴァイオリンも、歌う音色から、吠えるようなグリッサンド、乾いたクラスター音、耳をつんざくような高音、さらにはスコルダトゥーラが用いられた一節もあるなど、短いテキストの中にこめられらた叫びや思いを表現するために様々な技法が要求される。声楽とヴァイオリンの両パートには、表現の可能性の限界の追求が要求されている。
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集 Vol.1
 〔ニ長調 K.306 /ホ短調 K.304 /イ長調 K.526 〕
  イザベル・ファウスト(Vn
    使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製

  アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:クリストフ・ケルン、2014年製
   [モデル:アントン・ヴァルター(ウィーン)、1795年製]、メルニコフ・コレクション
 録音:2017年8月。ファウストとメルニコフによる、注目のモーツァルト・シリーズ第1弾の登場。どの作品も、キャラクターの描き分けが実に鮮やか。モーツァルトのソナタ・シリーズは、東京・王子ホールでも2017年10月に公演があり、その細やかなアンサンブルで絶賛された。今回は、1778年11月にパリで出版された K.306と304、そしてドン・ジョヴァンニ作曲中に書かれたモーツァルトの最後のヴァイオリン・ソナタ K.526 (1787年完成)という組み合わせ。 ニ長調 K.306は、このソナタが「ピアノとヴァイオリンのための」と正式には記されていることに納得の、ピアノが主となる部分が多い作品だが、ファウストもメルニコフも絶妙なバランスを保ちながら対等に演奏しており、作品のもつエネルギーが存分に引き出されている。 ホ短調 K.304の有名な冒頭の、ファウストのすすり泣くような音色、第2楽章のメルニコフのソロなどは思わず涙のせつない美しさ。 イ長調の K.526は、モーツァルトの最後のヴァイオリン・ソナタ。輝かしい推進力に富む両端楽章にはさまれた、短調のかげりの濃い緩徐楽章は、少年時代に親しかった友人アーベルの訃報に心を動かされて作曲されたと考えられている。バッハを思わせるような厳格な書法も用いられている充実作。ファウストのヴァイオリンの音色の変幻自在な美しさと精確なテクニックはもちろんのこと、メルニコフの奏でるフォルテピアノのおそろしいまでの表情豊かさ、そして二人の演奏のすべてを見事にとらえた優秀録音にも圧倒されるモーツァルト。
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集 Vol.2
 〔ヘ長調 K.376 (374d) /イ長調 K.305 (293d) /ト長調 K.301 (293a) /変ロ長調 K.378 (317d) 〕

  イザベル・ファウスト(Vn
    使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製

  アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:クリストフ・ケルン、2014年製
   [モデル:アントン・ヴァルター(ウィーン)、1795年製]、メルニコフ・コレクション
 録音:2018年6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 ファウストとメルニコフによる、注目のモーツァルト・シリーズ第2弾の登場。 今回もファウストが繰り出すパッセージは、どれもまばゆく冴えわたる音色で、目が覚めるような響き。そして、メルニコフのフォルテピアノがこれまた自由闊達で実に雄弁。「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ」とタイトルにあるが、あらためてピアノが先導役であることを感じるメルニコフの充実ぶりにも注目。1曲目に収録されている有名な ヘ長調ソナタの第1楽章冒頭での二人のやりとりから丁々発止で引き込まれる。何気ない旋律のすみずみまで音楽に溢れている。絶美の緩徐楽章、このうえなく痛快なアレグロ楽章、どれをとっても極上のアンサンブルとなっている。
モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集 Vol.3
 〔ト長調 K.379 (373a) /ヘ長調 K.377 (374e) /変ホ長調 K.302 (293b) /変ロ長調 K.454 〕

  イザベル・ファウスト(Vn
    使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製

  アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:クリストフ・ケルン、2014年製
   [モデル:アントン・ヴァルター(ウィーン)、1795年製]、メルニコフ・コレクション
 録音:2019年9月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 世界最高峰のヴァイオリン奏者の一人、イザベル・ファウストと、その音楽にますます深みと自由度を増している充実のメルニコフによる、モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集第3弾。第1弾 (HMM-902360) 、第2弾 (HMM-902361) とファウストとメルニコフの息をのむような素晴らしい演奏を聴かせてくれただけに、待望の第3弾のリリース。ソナタ楽章の前に、アダージョの序奏の付いた、自由な構造の「ソナタ ト長調 K.379 (373a)」と冒頭の躍動感あふれる曲想に続き哀愁漂う変奏、メヌエットと続く「ソナタ ヘ長調 K.377 (374e)」は、ウィーンのモーツァルトの優れた弟子ヨゼファ・アウエルハンマーのために書かれた作品。次に2楽章構成で、モーツァルトらしい華やかなパッセージが印象的な「ソナタ 変ホ長調 K.302 (293b) 」。そしてモーツァルトのヴァイオリン・ソナタの中で最高傑作と称され、1784年イタリアのヴァイオリンの名手レジーナ・ストリナザッキとの演奏会のために書かれた「ソナタ 変ロ長調 K.454」。どの作品も表情豊かに、2つの楽器が個性を発揮しながらも対等に渡り合い対話し、緻密かつスケールの大きい音楽が展開される。ファウストとメルニコフの絶妙の呼吸と完全に呼応しあう感性があるからこその演奏といえるだろう。ファウストの確固たる構成力、凛とした気品漂うヴァイオリンと、力みのない独特の柔らかさがあるメルニコフのピアノで聴くモーツァルトは、至福の時間と言えるだろう。
世界初録音、ランベールの「ルソン・ド・テネブル」集第1巻
 ミシェル・ランベール(1610頃-1696):ルソン・ド・テネブル集(水曜、木曜、聖金曜日のための)第1巻(*)
 ニコラ・オトマン(av.1613-1663):アルマンド/クーラント
 エヌモン・ゴーティエ(1575?-1651):メザンゴーのトンボー

  マルク・モイヨン(バス・タイユ〔B−Br〕) ミリアム・リニョル(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
  ティボー・ルーセル(テオルボ) マルアン・マンカル=ブニ(Cemb/Org)
 録音:2017年5月11日-15日。(*)は世界初録音。 ミシェル・ランベールはフランスの作曲家、歌手、そして歌唱教師であった。「パリで最高の歌唱教師」とされ、国王付きソリストも務めたと考えられる記録も残っている。エール集を20巻ほど出版したという記録があるものの多くは失われ、それでもなお300曲ほどの手稿譜、および筆写譜が残されている。さらに余り多くない宗教作品中、ルソン・ド・テネブルはフランスにおける初期のものと考えられるようだが、当盤で第1巻が日の目を見ることになった(第2巻には録音もあった)。
ブラームス:後期ピアノ作品集
 幻想曲集 Op.116 /3つの間奏曲 Op.117 /
 6つの小品 Op.118 /4つの小品 Op.119
ポール・ルイス(P)
 録音:2018年1月、2019年1月、テルデックス・スタジオ・ベルリン、ドイツ。名手、ポール・ルイスによる柔らかさと熱さに満ちたブラームス最晩年の作品集の登場。ポール・ルイスは「HBBプロジェクト」として、ハイドン、ブラームス、ベートーヴェンのピアノ作品を取り上げたプログラムを展開していた。ベートーヴェンはすでにソナタの全曲録音が完成しており、ハイドンのソナタ集は2集までリリースされているが、ここでブラームスの登場。盟友ハーディングとのピアノ協奏曲(バラード Op.10も収録)[HMC-902191]につづく、2枚目のブラームスとなる本盤では、ブラームス最晩年の作品を収録。オーケストラをそのままピアノに移したような雄大なソナタなどとはまた違った、凝縮された世界の作品がならぶ。それでもやはり何か絶対に得られないものを切望しているような Op.119の終曲をはじめ、「ピアノ」というフレームには収まりきらない、ブラームスの何か強い思いのようなものが感じられるものばかり。ポール・ルイスはそんなブラームスの一切をすべてを包みこんだような音色で、これらの作品を節度を保ちつつ怒涛のように演奏している。柔らかさと熱さに満ちた、ポールにしかなしえないブラームスとなっている。
マーラー(1860-1911):
 交響曲第5番 嬰ハ短調
ダニエル・ハーディング指揮
スウェーデン放送so.
 録音:2017年9月21日-23日、ベールヴァルドホール、ストックホルム、スウェーデン。ハーディング&スウェーデン放送so. によるマーラーの第2弾、交響曲第5番の登場。第1楽章の冒頭から、荘重ながらやわらかさを併せ持つ音色が美しくクリアに響き、目と耳が洗われるようだ。第1弾の第9番(HMM-902258)と同様、大仰に構えたところは全く感じさせず、楽譜の指示や細かなデュナーミクの指示に忠実に、響きのバランスが最高に美しいマーラー。アダージェットもひたひたとした集中の、崇高な世界。颯爽とした晴れやかさのうちにフィナーレが閉じられ、またひとつ新しい時代のマーラーの名演が生まれたことを実感する1枚。
歌曲とバラード集
 シューベルト:小人 / レーヴェ:3つのバラード Op.1 〜エドワード
 シューマン:ベルシャザル Op.57 /ロマンスとバラード第2集 Op.49 〜二人の擲弾兵
 ブラームス:エドワード Op.75 No.1 (*) /4つの二重唱曲 Op.28 〜第1曲 尼僧と騎士(#)
 リスト:3人のジプシーS.320 (第1稿)/昔テューレに王がいた S.278 No.2 (第2稿)/
     ペトラルカの3つのソネット
 ヴォルフ:メーリケ詩集 Op.44 〜第44曲 火の騎士

 ステファヌ・ドゥグー(Br) サイモン・レッパー(P)
 ダーム・フェリシティ・パルマー(Ms;*) マリールー・ジャカール(Ms;#)
 ドゥグーはリヨン国立音楽院卒業。エクス=アン=プロヴァンス音楽祭でパパゲーノを歌ってデビュー。その後世界の名だたる歌劇場(パリ・オペラ座他)で活躍している。ロト指揮レ・シエクルのベルリオーズ:夏の夜 (HMM-902634) でも共演、レコーディングも多く行っている。抑制の効いた表現が魅力のバリトン。ここではドイツ語の歌詞による珠玉の作品を、抜群の描写力と表現力で歌いあげている。
J.S.バッハ:カンタータ集
 〔いと尊きイエス、わが憧れよ BWV.32 /
  試練に耐えうる人は幸いなり BWV.57 /われは行きて汝をこがれ求む BWV.49 〕

 ゾフィー・カルトホイザー(S) ミヒャエル・フォレ(B)
 ラファエル・アルパーマン(Org)指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS 室内cho.
 録音:2017年10月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。 対話のカンタータ集。ソプラノは魂、バスはイエスとなり、魂とイエスの心の交流を描く物。ソプラノのカルトホイザーはベルギー出身、現代最高のモーツァルト歌いとして名を成しているほか、バロック・オペラから歌曲まで幅広く活躍し、そのまっすぐな歌声で世界を魅了している。カルトホイザーによる歌唱は聴き手の共感を自然に呼び起こすもので、悩める場面や喜びの場面での自然な表情が魅力的。バスのミヒャエル・フォレは、ドイツ出身で、モーツァルトで活躍するほか、チャイコフスキーやヴェルディのオペラでも引っ張りだこの万能選手。49番の第1曲目はシンフォニアで、チェンバロ協奏曲 ホ長調(BWV.1053)の第3楽章を転用した物。オルガンがソロを務めるが、非常に喜ばしい雰囲気。当盤で指揮およびオルガンを務めるアルパーマンは、1982年のベルリン古楽アカデミー設立以来演奏している傍ら、アバド指揮BPOとバッハの協奏曲を共演するなど、第一級の鍵盤奏者として、そして近年は指揮者としても活躍している。バッハが、このような感動的な楽曲を毎週の礼拝のために生み出していたとは、とあらためて驚嘆させられる充実の作品集。
メンデルスゾーン(1809-1847):
 交響曲第1番 ハ短調 Op.11 /
 ピアノ協奏曲第2番 ニ短調 Op.40 /
 演奏会用序曲「美しいメルジーネの物語」 Op.32
クリスティアン・ベザイデンホウト
(Fp|使用楽器:エラール、1837年製
 エドウィン・ボインク・コレクション

パブロ・エラス=カサド指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2018年9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。天才ベザイデンホウトと、底から湧き上がるエネルギーが魅力のエラス=カサドによるメンデルスゾーン。オーケストラはフライブルク・バロック・オーケストラという注目の布陣。演目は、メンデルスゾーンがイギリスで活躍する礎となった交響曲第1番、そしてメンデルスゾーン自身のピアノ独奏でバーミンガムで初演されたピアノ協奏曲第2番、ロンドンのフィルハーモニー・ソサエティからの委嘱で作曲された「美しいメルジーネの物語」、とイギリスと縁の深い作品が並ぶ。交響曲第1番 (1824頃完成、1827年初演)は、メンデルスゾーンがフルo. のために書いた最初の作品。わずか15歳ほどで書きあげた作品だが、冒頭から劇的な表情に満ちており、この後メンデルスゾーンが残す種々の作品の要素がすでに見られる内容となっている。終楽章の終結部もカサド率いるフライブルク・バロックo. がこれ以上なく晴れやかに演奏している。この作品は1839年にロンドンのフィルハーモック・ソサイティでのデビューでも一部楽章を組み替えて演奏され好評を博し、後のメンデルスゾーンのイギリスでの活躍の第1歩となった。ピアノ協奏曲第2番はメンデルスゾーンの新婚旅行中の1837年に作曲、同年にバーミンガムの音楽祭でメンデルスゾーン自身のピアノにより初演されました。ほの暗いオーケストラの序奏に始まるピアノ・ソロの独白のような冒頭から引き込まれる。ベザイデンホウトのほとばしるようなパッセージとオーケストラの掛け合いは見事その物。作品のもつ真価が発揮された演奏といえるだろう。「美しいメルジーネの物語」は1834年にロンドンで初演された。中世にさかのぼる人魚(半人半魚)の伝説に基づく物語で、絵画のような色鮮やかで繊細な音づかいで物語を描いている。メンデルスゾーン作品の弾むようなリズム、晴れやかさやロマン的な暗さ、そして何よりも美しさが見事に発揮された、メンデルスゾーンの真価を問う演奏の登場といえるだろう。
ケラス、ツィンマーマン、ロト〜リヒャルト・シュトラウス
 交響詩「ドン・キホーテ」 Op.35 (*/#) /
 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 Op.28 /
 チェロと管弦楽のためのロマンス(1883) (*)
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc;*) タベア・ツィンマーマン(Va;#)
  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮ケルン・ギュルツェニヒo.
 録音:2019年1月-2月、7月、ギュルツェニヒ管弦楽団リハーサル場、ケルン。今やリリースするディスクがすべてニュースとなるフランソワ=グザヴィエ・ロト。彼はリヒャルト・シュトラウスに並々ならぬ情熱を示し、6年ほど前にバーデン=バーデン&フライブルク南西ドイツ放送so. と交響詩全集を完成している。そのロトが「ドン・キホーテ」と「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」に再挑戦。今回はケルン・ギュルツェニヒo. で、「ドン・キホーテ」の独奏者がジャン=ギアン・ケラスとタベア・ツィンマーマンという2大スターなのも注目。短期間で再録音の理由は、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」が1895年11月に、「ドン・キホーテ」が1898年にギュルツェニヒo. により初演されていることによる。ロトはギュルツェニヒo. が世界初演したマーラーの交響曲第5番を2017年に、交響曲第3番を2019年に録音していて、そのシリーズとなる。「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」と「ドン・キホーテ」は、「ツァラツストラはかく語りき」を間にはさんだシュトラウス30代前半の力作。どちらも架空の人物の気まぐれな冒険をオーケストラの機能を駆使して描いている。「ドン・キホーテ」は事実上二重協奏曲で、とりわけ主役ドン・キホーテ役のチェロは大物が起用される。ケラスはまさに適任で、ロトと音楽性も共通するだけでなく、オーケストラという権力とそれに立ち向かうチェロを演じる役者ぶりに感心させられる。さらにサンチョ・パンサ役のタベア・ツィンマーマンの圧倒的な存在感。これくらいサンチョが雄弁だと、音楽がますます映像的で面白くなる。曲を知り尽くしたロトの自在な表現も神業。ゆかりの深いギュルツェニヒo. から極彩色の絵巻と悲哀を引き出す。2つのピカレスク・ロマンに満腹となったデザートとして、ケラスとロトがシュトラウス初期の美しいロマンスを奏でる。シューマンとブラームスの系譜上のあるドイツ的な歌をしっとりと聴かせてくれる。
ハイドン:ピアノ・ソナタ集
 〔変ホ長調 Hob.XVI: 49 /ハ長調 Hob.XVI: 50 /
  ロ短調 Hob.XVI: 32 /ト長調 Hob.XVI: 40 〕
ポール・ルイス(P)
 録音:2017年4月15日、8月20日-22日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 イギリスの名ピアニスト、ポール・ルイスによるハイドンのピアノ・ソナタ集の登場。ポール・ルイスは、2005年から07年にかけて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ集全集を録音、どれもくっきりと何の混じりけもない音楽で、ベートーヴェンの真髄を気負うことなく私たちに示してくれた。躍動するリズム、清冽なタッチ、絶妙な間とセンス、優雅さと諧謔様々な表情、そして集中力が要求されるハイドンのソナタは、ポール・ルイスにまさにうってつけの存在といえるだろう。ハイドンの作品もあざやかに響かせ、絶賛された。魔法にかかったように全ての音符が活き活きと語り出し、こんなにも豊かな表情がかくされているのかという驚きと発見に満ちたポール・ルイスによるハイドン、注目。
ハイドン:ピアノ・ソナタ集 Vol.2
 〔第20番 ハ短調 XVI: 20 /第52番 変ホ長調 XVI: 52 /第34番 ホ短調 XVI: 34 /第51番 ニ長調 XVI: 51 〕

 ポール・ルイス(P)
 録音:2019年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。名手ポール・ルイスのハイドン、HMM-902371 に続く第2弾の登場。まずなんといってもその清冽な音色!ますます磨きがかかり、ハッとさせられる。そして作曲家の残した音符と真摯に向き合い、一切の妥協のない表現もさらなる深化を遂げており、ポール・ルイスがますます高みにのぼっていることを感じる内容。ハイドンのピアノ・ソナタが、こんなにも豊かな音楽だったとは、と目からうろこが落ちるようだ。ピアノ学習者の多くが演奏する 変ホ長調も、らくらくとしながらも、活きのよい完璧な演奏。ニ長 調のソナタでは、もはやピアノという枠を超えた、シンフォニーのような響き。シューベルトとベートーヴェンのソナタを査曲録音、演奏会でもツィクルスで取り上げ、完全に手中に収めているポール・ルイスだからこその演奏が実現している。ポール・ルイスの比類なきハイドン、はやくも続編が楽しみ。
Vivaldi, Concerti per una vita 〜協奏曲で描くヴィヴァルディの生涯
 ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690):歌劇「世界の分裂(分割) [La divisione del mondo] 」より
  〔アリア 私の目は眠る [Occhi miei si dormire] (*) /アリア Lumi potete piangere 〕
 ヴィヴァルディ(1678-1741):
  シンフォニア ロ短調 RV.168(抜粋)/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 RV.813 /
  ヴァイオリン協奏曲 RV.768 〜アダージョ ホ長調(*) /ヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV.536 /
  ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 RV.256 「隠れ里」/
  ヴァイオリン協奏曲 RV.370 〜チャッコーナ 変ロ長調(未完|O.フレによる再構成版) (*) /
  ヴァイオリン協奏曲 ト短調 RV.315「夏」(ジェノヴァ版)(*) /
  ヴァイオリン協奏曲 イ長調 RV.349 〜ファンタジア「アンナ・マリアに捧ぐ」/
  ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 RV.267a 「アンナ・マリアに捧ぐ」
    (第2楽章アンダンテはヒストリカル楽器による初録音)/
  ファゴット協奏曲 RV.478 ホ長調〜フォルラーナに基づくディミヌーション(縮小)(O.フレによる)/
  ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 RV.171「 S. M. C. C.〔神聖ローマ皇帝カール6世〕のために」/
  ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 RV.212 〜レチタティーヴォ(*) /ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 RV.278 /
  ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 RV.37a (2022再発見|(第3, 4楽章のバス・パート:O.フレによる再構成版) (*) /
  2つのホルンのためのファンファーラ ヘ長調 RV.539 (O.フレ編曲)/
  歌劇「忠実なニンファ」RV.714 〜海の嵐 ヘ長調/
  歌劇「テンペのドリッラ」RV.709 〜シンフォニア・アル・バッロ ヘ長調/
  ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 RV.250 (*)
 ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ(1656-1705):ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調〜鐘の模倣
 ヴィヴァルディ:
  ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 RV.237「ピゼンデルに捧ぐ」/ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 RV.252 /
  ジャン=ジョゼフ・ムーレ(1682-1738)に基づくファンファーレ/ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 RV.569 /
  ソプラノのためのカンタータ「美しい夜明けは深紅に天にむかって」 RV.667 〜アリア イ短調/
  2つのアンサンブルとヴァイオリンのための協奏曲 変ロ長調 RV.583 〜チャッコーナ 変ロ長調

 テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn) ル・コンソール
 録音:2023年5月、7月、ポワティエ劇場オーディトリウム、フランス| (*):世界初録音。フランスの(バロック・)ヴァイオリン界の注目すべき新星、ド・スワルテによる、ヴィヴァルディの協奏曲集の登場。自らが結成したアンサンブル「ル・コンソール」を率いて、驚くべきみずみずしさと鮮やかなテクニック、そしてセンスある装飾でヴィヴァルディの生涯を作品を通じて描く。ヴァイオリン学習者が必ず演奏する イ短調の協奏曲も、初めて耳にするような新鮮さ。レングレンツィは、ヴィヴァルディよりも50年以上前に生まれているが、ヴィヴァルディの父と近しい関係があり、幼い頃のヴィヴァルディに音楽の手ほどきをしたのでは、とかんがえられている人物。ド・スワルテは、ヴィヴァルディの作風の先駆的な何かを感じさせる作品を収録したかったということで、ヴィヴァルディが生まれる3年前に書かれたレグレンツィのオペラからの楽曲を、ディスク冒頭に収録。また、ヴェストホフの作品「鐘の音の模倣」は、ピゼンデルがヴィヴァルディに弾いて聴かせたと言われているもので、その場面を再現するために敢えてヴァイオリン独奏のみで演奏している。ヴィヴァルディがこの作品を通してドイツの新しいヴァイオリン技法を知ったのかもしれない。「四季」の「夏」は、ヴィヴァルディが1725年に出版する前のオリジナル版を使用した世界初録音。出版されたものと大きな違いはないが、「カッコウ」の場面などはより極端で、出版にあわせてヴィヴァルディはより演奏しやすく、理解されやすいように少しシンプルにしたのかもしれない。いずれにしてもここでの演奏は実に細かい部分まで丁寧に行き届き、嵐の場面も勢いに流されない精緻さ。版の違いだけでなく、演奏も既存の録音とはまた違った新世代を感じさせるものとなっている。それぞれのトラックに聴きどころ満載。2つの世紀を超えて研究され続けているヴィヴァルディの、2022年に再発見された楽曲も含む。ル・コンソールはド・スワルテとジュスタン・テイラーらによって2015年に設立された気鋭のアンサンブル。2017年、クリスティが審査員長を務めるヴァル・ド・ロワール国際古楽コンクールで第1位と聴衆賞を受賞、以降飛躍的に活躍の場を広げている。ド・スワルテは、クリスティ率いるレザール・フロリサンのメンバーとして、そして現在はソリストおよび指揮者として同楽団と共演、2025年春にはレザール・フロリサンと共演(指揮・ヴァイオリン)してヴィヴァルディの「四季」を演奏予定ということ。また、ソリストとして、クリスティやジュスタン・テイラー、さらにリュートのトーマス・ダンフォード、ピアニストのタンギ・ド・ヴィリアンクールらともしばしば共演している。バロックはもちろん、ロマン派作品もレパートリーとしており、フランスの新世代のバロック・ヴァイオリンおよびヴァイオリン奏者として熱い注目を集める存在。
錬金術師クープラン〜F.クープラン(1668-1733):クラヴサン作品全集 Vol.1
 クラヴサン曲集〔第2巻(1717) 〜第11組曲 ハ調/第4巻(1730) より[第28組曲 ロ短調/第20組曲 ト調]/
         第3巻(1722) 〜第19組曲 ニ調/第1巻(1713) より[第4組曲 ヘ調/第3組曲 ハ調]〕

 ベルトラン・キュイエ(Cemb)
 録音:2017年5月。 ベルトラン・キュイエによる、F. クープランのクラヴサン曲集全曲録音の第1弾。4巻から成り、全部で27ある組曲を、特定のテーマで分類してリリースしていく予定。オルガン・ミサや声楽作品もいくつか収録が予定されており、クラヴサン曲集を様々な角度から照らすプロジェクト。この第1弾では、音色、パロディなど自由な精神に満ち、劇場を思わせるものが選ばれて収録されている。いくつかはタイトルなどに直接それが暗示されているが、中にはそれが隠されているものもある。この第1弾となる2枚組はハ調(クープランが好んで用いた調)に始まり ロ短調の作品(死など深い意味を持つ調)で終わっており、ひとつの舞台を見ているような気分にもなる。キュイエはまた、F. クープランはどの作品にも「クープランらしさ」が必ず見られ、それは同一の素材を様々に変化させる職人である錬金術師と重なる、と語っており、このようなタイトルがつけたという。
HMM-902377/79
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錬金術師クープラン|F.クープラン(1668-1733):作品集 Vol.2 〜若き日の作品集
 第1組曲(クラヴサン曲集第1巻、1713年)/修道院のためのミサ曲/
 第2組曲(クラヴサン曲集第1巻、1713年)/教区のためのミサ曲
  ベルトラン・キュイエ(Cemb) ジャン=リュック・ホー(Org)
  レ・メランジェ
   [ヴァンサン・リエーヴル=ピカール(T) トーマス・ファン・エッセン(Br)
    ニコラ・ルオー(Br) フロラン・バッフィ(Br) ヴォルニー・オスティウ(セルパン)]
 録音:2018年4月-6月。フランスの名手、ベルトンラ・キュイエによるフランソワ・クープラン:クラヴサン曲集全曲録音プロジェクトの第2弾、若き日の作品集の登場(第1弾はHMM-902375)。クープランは17歳でパリのサン=ジェルヴェ教会のオルガニストになり、ここから宮廷礼拝堂のオルガニストと王族の子どもたちのチェンバロ教師へと飛躍することになる。この第2弾では、クラヴサン曲集のほか、オルガン・ミサなど、この若い時期のクープランの作品を収録している。若きクープランの才気にみなぎった作品群となる。ベルトラン・キュイエの深い洞察に満ちた解釈と、併録されているゲストのオルガン奏者を招いてのオルガン・ミサなどにより、クープランの創造力の源となった音楽の場の豊かな響きがよみがえったようだ。ベルトラン・キュイエは、1978年ナントで音楽一家に生まれた。パリ国立高等音楽院でクリストフ・ルセにチェンバロを師事、その後ピエール・アンタイのもとでも研鑽を積んでいる。ブリュノ・コセ率いるレ・バス・レユニやラ・レヴーズなど様々なアンサンブル、そしてレザール・フロリサン、コンセール・スピリチュエル、ストラディヴァリアなどでも演奏、録音やツアーにも参加している。通奏低音奏者、アンサンブル、そしてソリストとして活躍するサラブレッド。アルファ、ナイーブ、MIRAREなどからアンサンブル、ソロのCD を多数リリースしている。
ドゥグー + プラネス〜フォーレ(1845-1924):歌曲集
 歌曲集「ある日の歌」 Op.21 (詩:シャルル・グランムジャン)/
 歌曲集「優しい歌」 Op.61 (詩:ポール・ヴェルレーヌ)/
 歌曲集「閉じられた庭」 Op.106 (詩:シャルル・ヴァン・レルベルゲ)/バラード 嬰ヘ長調 Op.19 (*) /
 歌曲集「幻影」 Op.113(詩:ルネー・ド・ブリモン)/歌曲集「架空の水平線」 Op.118

 ステファヌ・ドゥグー(Br;*以外)
 アラン・プラネス(P|使用楽器: 1892年製プレイエル "Grand Patron"
 録音:2023年5月、ロワイヨモン修道院。フォーレにとって歌曲は、一種の個人的な日記のようにいつもそばに存在するジャンルだった。フランスを代表するバリトン、ドゥグーは、美しいフランス語を響かせながら、詩の情景を豊かに描く。そして、名手プラネスが、1892年製のプレイエルの虹のような音色を見事に操り、1921年に書かれたフォーレの遺言のような「架空の水平線」を含む珠玉の歌曲をさらに輝かしいものに響かせる。ピアノ・ソロ曲のバラードも収録、色彩と表情の豊かさは驚き物。美しい旋律を甘すぎない絶妙のバランスで歌って聴かせる。
サミュエル・ハッセルホルン(Br)、原光〜死と復活の歌
 マーラー(1860-1911):歌曲集「子供の不思議な角笛」〜死んだ少年鼓手
 フンパーディンク(1854-1921):歌劇「王の子供たち」第3幕フィナーレ〜アリア むごいことだ!死んだ!
 コルンゴルト(1897-1957):歌劇「死の都」〜アリア 我が憧れ、我が幻想
 マーラー:リュッケルトの詩による歌曲〜真夜中に
 プフィッツナー(1869-1949):バラード「オルフ氏(Herr Oluf)」
 マーラー:歌曲集「子供の不思議な角笛」〜原光 / ツェムリンスキー:古い庭(Dear alte Garten)
 ブラウエンフェルス(1882-1954):ある兵士の墓に(Auf ein Soldatengrab)
 アルバン・ベルク(1885-1935):歌劇「ヴォツェック」第3幕第2場〜ヴォツェックとマリーの二重唱
  「左へずうっと行けば町よ (Dort links geht 's in die Stadt)〔池のほとりの小道〕」(*)
 マーラー:リュッケルトの詩による歌曲〜私はこの世に忘れられ

 サミュエル・ハッセルホルン(Br) ユリア・グリューター(S;*)
 ウカシュ・ボロヴィチ指揮ポズナンpo. 、
 ポズナン・ナイチンゲール少年cho.、ポズナン・フィルcho.(男声および少年合唱)
 録音:2023年8月-9月、アダム・ミツキエヴィチ大学オーディトリウム、ポズナン。人気実力とも急上昇のバリトン、サミュエル・ハッセルホルンによるオーケストラを得てのアルバムが登場する。ハッセルホルンは1990年生まれ。2018年にエリザベート王妃国際コンクールで第1位に輝いた。2023年2月には日本で名歌手ヴァルトラウト・マイアーのさよなら公演にも登場したことでも話題になりました。2023/24のシーズンはヒンデミットの「画家マティス」、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」、そしてドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」でタイトルロールを3つ演じることが決まっており、さらにベルリン・ドイツ・オペラでもデビューが決まっているなど、飛ぶ鳥を落とす勢い。ハルモニアムンディとは、2028年のシューベルト没後200年を見据えた「シューベルト200」の企画が進行しており、既に「美しき水車小屋の娘」(HMM.902720)が発売されているが、ここでオーケストラとの共演盤が登場。プログラムは19世紀から20世紀にかけて、ドイツ=オーストリア圏でとりわけ多く生み出されたオーケストラ歌曲、およびアリア。美しい発語、まったく力みのない発声、そしてまったくストレスなく自在に広い音域を豊かに響かせる力量は驚異的。オーケストラをものみこんでしまうような、あたりの空気を一変させるような豊かな表情と雰囲気は、すでに巨匠の風格。若々しくも大器の風格、ハッセルホルン、注目。ポズナン・フィルはポーランドを代表するo. で、指揮のボローヴィチ2021/22のシーズンから音楽監督および首席指揮者を務めている。
ラルーム〜シューベルト
 ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D.959 /
 楽興の時 Op.94(全6曲)
アダム・ラルーム(P)
 録音:2023年4月、ポワチエ劇場講堂。2020年3月の第1弾に続くアダム・ラルームのシューベルト第2弾の登場。今回はピアノ・ソナタ第20番と楽興の時全曲。第1弾でピアノ・ソナタ第18番と19番(HMM-902660)、MIRAREレーベルで第21番を手掛けていて、後期4大ソナタすべてが揃った。ピアノ・ソナタ第20番は死の年の作で、演奏時間40分を超える。シューベルトならではの優しいメロディと激しく攻撃的な面を兼ね備えるが、ラルームはシックで落ち着いた演奏を繰り広げる。有名な ヘ短調 Op.を含む「楽興の時」も独特なオシャレ感に満ちていて魅力的。新しいシューベルト像を確立していく予感が伺える。ラルームは1987年生まれ。パリ音楽院でミシェル・ベロフに師事し、2009年にクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝。ヴァイオリンの梁美沙らとトリオ・レ・ゼスプリを結成して室内楽にも力を入れている。
ショパン:マズルカ&ソナタ集
 3つのマズルカ Op.63 〔ロ長調 Op.63 No.1 /ヘ短調 Op.63 No.2 /嬰ハ短調 Op.63 No.3 〕/
 ピアノ・ソナタ〔第2番 変ロ短調 Op.35 /第3番 ロ短調 Op.58 〕
  ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2019年4月、2021年4月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。スペインを代表するピアニスト、ペリアネスがショパンを録音した。陰影に富んだ音色による研ぎ澄まされた世界が魅力のペリアネス。その特性はショパンでも見事に発揮されている。ここでは晩年(亡くなる3年前)に作曲されたマズルカ三篇 (Op.63)と、ソナタの第2番、第3番を収録。いずれもノアンに滞在している間に書かれたという共通点がある(葬送行進曲以外)。マズルカでは、ポーランドのバグパイプを思わせる響きが聴かれたりと、祖国ポーランドに伝わる音楽のエッセンスが巧みに取り入れられている。ソナタでは、ショパンがソナタ形式に精通しており、それを天才的に昇華させていることにあらためて感じ入る演奏となっている。2012年、スペイン文化省より国民音楽賞を授与され、直近では2021年1月に来日を果たし、N響との共演でも高く評価されているペリアネス。ますますその音楽性に磨きがかかっていることを感じさせる内容。
ケラス + ミナージ〜
  クラフト&C.P.E.バッハ:協奏曲集

 アントニーン・クラフト(1749-1820):
  チェロ協奏曲 ハ長調 Op.4 (1804)
 C.P.E.バッハ(1714-1788):
  チェロ協奏曲 変ロ長調 H436Wq171 (1751)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc
使用楽器 Gioffredo Cappa, 1696
)
リッカルド・ミナージ指揮
アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2023年9月、フリードリヒ=エーベルトハレ、ハンブルク。世界最高峰のチェロ奏者、ジャン=ギアン・ケラス。冴え渡った切れ味の技巧と知的頭脳的ひらめき、そしてそこに近年さらなる深みをました音楽性が加わり、とどまるところを知らない活動を見せている。このたびのケラスの新譜は、18世紀半ば、そして19世紀の幕開けに誕生したチェロ協奏曲2篇。どちらも超絶技巧が求められ、しかし軽やかに弾かねばならぬ難曲だが、ケラスはらくらくと、自由に歌いあそぶ余裕も見せながらの演奏を展開している。管弦楽はアンサンブル・レゾナンツ。こちらも過去の偉大な作品から現代音楽まで、切れのある解釈で聴き手を魅了するアンサンブルで、まさにケラスと絶好の相性の良さ。2017年にはC.P.E.バッハのチエロ協奏曲(イ短調)のディスクを録音している(HMM-902331)。指揮のミナージは、2018年からアンサンブル・レゾナンツのアーティスト・イン・レジデンスを務め、現在までその関係は延長されている。ミナージにとって、特にC.P.E.バッハはこれまでにも頻繁にとりあげている作曲家。徹底した資料研究と明確な音楽ヴィジョンで、当時の熱気や喧騒までをも彷彿とさせるような「生きた」演奏を展開している。クラフトはボヘミアの小さな町で生まれ、プラハ大学で学び、チェロの教本でも知られるウェルナーのレッスを受ける。ウィーンに移り、チェロの妙技で人々を魅了。ニコラウスI世ヨーゼフ・エステルハージーのオーケストラの首席チェロ奏者を務め、J. ハイドンの指揮のもと様々な作品を演奏する傍ら、作曲も師事した。ハイドンのチェロ協奏曲 ニ長調や、ベートーヴェンの三重協奏曲 Op.56のチェロ・パートはクラフトのために書かれたと言われており、彼がいかに優れた奏者だったかということが窺われる。そしてクラフトのチェロ協奏曲は音域の広さと超絶技巧に驚かされるが、ケラスはそんなことを感じさせない軽やかな技巧で演奏、さらに2楽章ではおあそびも交えるほどの余裕ぶり。C.P.E.バッハのチェロ協奏曲は、彼がもっとも充実していたベルリン時代に書かれた物。とある当時の大名手を念頭に書かれたと考えられ、エレガントな雄弁さで貫かれており、わかりやすいコントラストなどは控えられている。喜びに満ちた終楽章まで、C.P.E.バッハの旋律の美しさをたのしめる作品。
想定外のモーツァルト
 モーツァルト:
  教会ソナタ
   〔第13番 ハ長調 K.329 [Vn、Ob、Hr、Tp、ティンパニ、通奏低音、Org]/
    第1番 変ホ長調 K.67 [Vn、Org]/第14番 ハ長調 K.328 [Vn、通奏低音、Org]〕/
  前奏曲断片 K.624 [Cemb]/アリエット「鳥たちよ、毎年」[S、Cemb]
  ジーグ ト長調 K.574[Cemb]/
 C.P.E.バッハ:ロマンス、12の変奏「コリンは16歳になったばかりだというのに」[S、Cemb]
 モーツァルト:教会ソナタ第8番へ長調 K.244 [Vn、通奏低音、Org]
 ハイドン:笛時計のための作品 Hob.XIX より〔第13番 ハ長調/第2番 ヘ長調/第23番 ハ長調〕[Org]
 モーツァルト:教会ソナタ第10番 ハ長調 K.263 [Tp、Vn、通奏低音、Org]/
        ソルフェッジョ第2番 ヘ長調 K.393 [S、Org]/
        教会用歌曲「おお、神の子羊」 K.343 No.1 [S、Fp]/
        クラヴィーアのための組曲より「序曲」 K.399 [スクエアOrg]/
        クラヴィーアのための小葬送行進曲 ハ短調 K.453a [スクエアOrg]
 ハイドン:笛時計のための作品 Hob.XIX より〔第27番 ト長調/第25番 ニ長調〕[Org]
 モーツァルト:教会ソナタ第4番 ニ長調 K.144 [Vn、通奏低音、Org]/アンダンテ ヘ長調 K.616 [Org]/
        教会ソナタ第15番 ヘ長調 K.224 [Vn、通奏低音、Org]/
        アダージョ ハ長調 K.356 [グラスハーモニカ]/
        教会ソナタ ニ長調 K.69 [Vn、通奏低音、Org]/
        アダージョとアレグロ ヘ短調 K.594 [Org]/
        教会ソナタ第17番 ハ長調 K.336 [Vn、通奏低音、Org]/
        アダージョ ハ短調 K.546(カンブラー編)とフーガ ハ短調 K.426 [2台Cemb]
 C.P.E.バッハ:
  ファンタジア「生きるべきか、死ぬべきか」Wq.202(ハムレット・ファンタジー)[Br、Cemb]
 モーツァルト:リート「おいで、いとしのツィターよ」 K.351 [Br、マンドリン]/
        ファンタジア ヘ短調 K.608 [Org]/
        教会ソナタ第2番 変ロ長調 K.68 [Vn、通奏低音、Org]/
        アリエット「淋しく暗い森で」 K.308 [Br、Fp]/リート「満足」 K.349 [Br、マンドリン]/
        アダージョ K.593a とフーガ(レクイエム K.626 より/カンブラー編) ニ短調 [2台Cemb]/
        教会ソナタ〔第11番 ト長調 K.274 [Vn、通奏低音、Org]/
              第12番 ハ長調 K.278 [Ob、Tp、ティンパニ、Vn、通奏低音、Org]〕

 マリー・ペルボ(S) マルク・モイヨン(Br)
 アンナ・シヴァザッパ(マンドリン) トーマス・ブロッホ(グラスハーモニカ)
 ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ(Org/Cemb/Fp)指揮
 アンサンブル・レ・シュルプリーズ
 録音:2020年-2021年。モーツァルトのあまり演奏される機会のない作品を集めた2枚組。グラスハーモニカやスクエア・ピアノ(ピアノ=オルガン)などといった特殊な楽器も用いられた、どれも超一級の演奏でたのしめる作品集。ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラは1989年生まれのフランスのチェンバロ&オルガン奏者。オリヴィエ・ボーモン、ブランディーヌ・ランヌーに師事、ハルモニア・ノーヴァシリーズにも登場(HMN-916113)した、気鋭の奏者。今回彼が注目したのは、モーツァルト作品の中であまり取り上げられる機会のない作品。教会ソナタ(ミサの中で使われた単楽章のソナタ形式の楽曲)、委嘱作品、声楽家や楽器(めったに聴くことのできないグラスハーモニカなど)を紹介するための作品など、珠玉の音楽の宝箱のような2枚組となっている。モーツァルトがオルガンに関しても相当の腕前と楽器についての理解があったことにもあらためて感じ入る内容。チェンバロもモーツァルト当時の楽器が用いられており、並々ならぬこだわりが随所に詰まった2枚組。[グラスハーモニカ] 1743年、アイルランド人のパッカリッジが水を入れた脚付きグラスの縁をこすって音を出し演奏することを思いつきる。その後1761年にグラスハーモニカは楽器として完成をみる。20〜54個(37が標準サイズ)のグラス(器)が棒に、互いに接触しないようにはめあわされ、器の直径によって音高が決まる。奏者は濡れた指でグラスの縁をこすって演奏する。この楽器は、この音色が動物を怖がらせる、あるいは屈強な男が1時間で倒れる、演奏者を発狂させる(当時の原料の40%が鉛ガラス)といった理由で、ドイツのいくつかの都市で禁止され、1835年に姿を消すこととなる。が、パガニーニはこの楽器を「天使のオルガン」と呼び、モーツァルトのほかにもベートーヴェン、ドニゼッティ、R.シュトラウスらもこの楽器のために作品を書いた。ここで演奏されている楽器はガラス工芸の巨匠ゲルハルト・フィンケンバイナーによるもので20世紀後半に製造された。演奏しているトーマス・ブロッホは、数少ないプロ奏者として活躍する人物。[スクエア・オルガン]ピアノ=オルガンとも呼ばれ、オルガンとピアノの機能をあわせもつ楽器。オルガンとして、ピアノとして、あるいはオルガンとピアノの両方の機構を同時に鳴らすこともできる楽器。
イザベル・ファウスト、ロカテッリ〜ヴィルトゥオーソ、詩人
 ピエトロ・アントニオ・ロカテッリ(1695-1764):
  合奏協奏曲 ハ短調 Op.1 No.11 /ヴァイオリン協奏曲 イ長調 Op.3 No.11 /
  合奏協奏曲 変ホ長調「アリアンナの嘆き」 Op.7 No.6 /
  ヴァイオリン協奏曲 ハ短調 Op.3 No.2 /合奏協奏曲 ヘ短調 Op.1 No.8 〜パストラーレ

 イザベル・ファウスト(Vn)
 ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコ
 録音:2022年12月13日-17日、エウレギオ・グスタフ・マーラー文化センター、ドッビアーコ〔トーブラッハ〕、イタリア。世界最高峰のヴァイオリン奏者としての存在感を確かなものにしているイザベル・ファウスト。毎回注目の新譜だが、今回は、アントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコと共演して、「18世紀のパガニーニ」と謳われるロカテッリの作品を録音した。グラモフォン・アワードなど世界的に大変高い評価を得たモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲(HMC-902230|2015-16年録音)以来での共演。気品に満ちつつも華があり、「アリアンナの嘆き」でのやわらかくも劇的な響きなど、天下一品。演奏と作曲の両面で破格の才の持ち主であった音楽家ロカテッリの天才ぶりを実感させるプログラム。「18世紀のパガニーニ」と呼ばれるロカテッリ。1733年に24曲の無伴奏カプリス集「ヴァイオリンの技法 Op.3」をしているが、それぞれに超絶技巧のカデンツァが含まれ、今なお実現可能すれすれの技術的難曲ばかり。まるでパガニーニと言える。また、しばしば奏者が要求される左手の極限までの伸長(当時のヴァイオリンよりも、現代のヴァイオリンのほうが指板が長いだが、ファウストは、ロカテッリが、ヴァイオリンの指板が長くなったきっかけでは、とすら言っている)、高音域の多用、弦の上での弓の頻繁な跳躍(ロカテッリは1年で12本の弓を消耗させたという伝説もある)など、ありとあらゆる高い技術が要求される。しかしその音楽は、じつに典雅にして、オペラのような劇的な表現をも擁している。ここに収録された作品にも、前例のないヴィルトゥオジティで、ヴァイオリンの音楽を劇的に進化させたロカテッリの神髄が詰まっている。ディスク最後に収録されているパストラーレは、独奏ヴァイオリンと管弦楽を含まないアンサンブルによる演奏ということを忘れる瞬間もあるような、多彩な音色に驚かされる。ファウストとイル・ジャルデイーノ・アルモニコ、そしてアントニーニのアンサンブルの妙で聴く、ロカテッリの決定盤の登場。
Licht der Welt(世界の光)〜クリスマス・プロムナード〔 (*):ハワード・アルマン編曲〕
 フンパーディンク(1854-1921):クリスマスの夜(*) /世界の光
 ペーター・コルネリウス(1824-1874):羊飼いたち Op.82b /クリスマス・ツリー/3人の王 Op.83b (*)
 シベリウス(1865-1957):私は栄誉を求めない Op.1 No.4 / メンデルスゾーン(1809-1847):クリスマスの歌
  R. シューマン(1810-1856):クリスマス・キャロル「キリストがこの世にお生まれになったとき」 Op.79 No.16
 フォーレ(1845-1924):クリスマス Op.43 No.1 / エドゥアルド・トルドラ(1895-1962):マリアの賛美歌
 ホアキン・ニン(1879-1949):ムルシアのビリャンシコ/バスクのビリャンシコ
 グリーグ(1843-1907):クリスマスの子守歌 / ロッシーニ(1792-1868):クリスマスの夜(*)
 サン=サーンス(1835-1921):子を抱く聖母 / ラヴェル(1875-1937):おもちゃのクリスマス
 マスネ(1842-1912):異教徒のキャロル/花のキャロル/柔和な人たちのキャロル
 グノー(1818-1893):クリスマスを歌おう(*) / シャミナード(1857-1944):鳥たちのキャロル
 ヨーゼフ・マルクス(1882-1964):クリスマス・ツリー
  R.シュトラウス(1864-1949):クリスマスの雰囲気 WoO.94 /3人の聖なる王が

 クリスティアーネ・カルク(S) ゲロルド・フーバー(P)
 ハワード・アルマン合唱指揮バイエルン放送cho.
 録音:2021年3月29日-4月1日、バイエルン放送第2スタジオ。世界的ソプラノ、クリスティアーネ・カルクによるクリスマス・ソングの登場!カルク自身によるセレクションだが、どれも幼いころから歌って親しんだキャロル・・・というよりは、最近彼女自身も発見したものが多くならんでいる。ドイツではフンパーディンクのヘンゼルとグレーテルは知らなくても、ここに収録されているクリスマス・ソングは知っている、という人が多いくらいに有名な物。まったく新しいクリスマス・ソング集となっている。マーラー歌曲集(HMM-905338)でもゆるぎない表現力で魅せたカルクだが、ここでも曲によってきらびやかだったり厳かだったりと、変幻自在に表情を変えながら、クリスマスの様々な気分を自由に歌っている。
HMM-902400/02
(3CD)
廃盤
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集 Vol.1「インヴェンション(発明)」
 〔第1番 ヘ長調 Op.18 No.1 /第3番 ニ長調 Op.18 No.3 /第4番 ハ短調 Op.18 No.4 /
  ヘ長調 Op.14 No.1(原曲:ピアノ・ソナタ第9番/ベートーヴェン自身による弦楽四重奏編曲版)/
  第7番 ヘ長調 Op.59 No.1「ラズモフスキー第1番」/第12番 変ホ長調 Op.127 /第16番 ヘ長調 Op.135 〕

 カザルスSQ
HMM-902403/05
(3CD)
廃盤
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集 Vol.2 〜啓示
 〔第2番 ト長調 Op.18 No.2 /第10番 変ホ長調 Op.74「ハープ」 /
  第8番 ホ短調 Op.59 No.2「ラズモフスキー第2番」/
  第9番 ハ長調 Op.59 No.3「ラズモフスキー第3番」/第15番 イ短調 Op.132 〕

 カザルスSQ
HMM-902406/08
(3CD)
廃盤
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集 Vol.3 〜 APOTHEOSIS 〔崇拝〕
 〔第5番 イ長調 Op.18 No.5 (*) /第6番 変ロ長調 Op.18 No.6 (*) /第11番 ヘ短調 Op.95「セリオーソ」/
  第14番 嬰ハ短調 Op.131 /第13番 変ロ長調 Op.130 /大フーガ 変ロ長調 Op.133 〕

 カザルスSQ
コレクション・ストラディヴァリ Vol.5
 ベートーヴェン(1770-1827):
  チェロ・ソナタ〔第1番 ヘ長調 Op.5 No.1 /第2番 ト短調 Op.5 No.2 〕/
  モーツァルト「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46
 カミーユ・プレイエル(1788-1855)、シャルル=ニコラ・ボディオ(1773-1849):
  ピアノとチェロのためのコンチェルタンテ=夜想曲「魔笛の思い出」

 ラファエル・ピドゥー(Vc|使用楽器:ピエトロ・ガルネリ・ベニス、1734年(*)
 タンギ・ド・ヴィリアンクール(Fp|カール・グリウス・ゲバウール、1855年頃(#)
 録音:2020年1月、シテ・ド・ラ・ミュジーク、フィルハーモニー・ド・パリ、パリ|調律=430 Hz |国立音楽博物館コレクション、 E.1555 (*)、 E.2005.4.1 (#) 。フィルハーモニー・ド・パリの音楽博物館とハルモニア・ムンディのパートナーシップによって、博物館が保存している貴重な名器を用いたシリーズ第5弾はトリオ・ヴァンダラーのチェリストでソリストとしても活躍するラファエル・ピドゥーとラ・フォルジュルネTOKYO2018でも話題となったフランスの俊英ピアニスト、タンギ・ド・ヴィリアンクールが登場する。今回の使用楽器はジュゼッペ・ガルネリの息子、ピエトロ・ガルネリ・ベニスが1734年に製作したチェロ、そしてカール・グリウス・ゲバウールが1855年頃に製作したフォルテピアノ。博物館の徹底した管理のもと丹念にメンテナンスされた楽器の鳴り方は素晴らしく、低音は朗々と高音も渋みと深い味わいのあるこのチェロに対して、可憐で繊細そして色彩豊かな響きを持っているのがこのフォルテピアノ。この名器を用いてのベートーヴェンは格別の極み。チェロ・ソナタ第1番&第2番 Op.5は1797年に出版され、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世に献呈された作品。ベートーヴェン初期の作品ながら貫禄すら感じさせるがこの二人の演奏で新たな発見があること間違いなし。カミーユ・プレイエル(1788-1855)作曲の夜想曲「魔笛の思い出」〜ピアノとチェロのためのコンチェルタンテはシャルル=ニコラ・ボディオが作曲した「チェロの指使いと弓使いについての教本」をもとにして作曲した作品。美しいメロディと2つの楽器の掛け合いが魅力的。ピドゥーはトリオ・ヴァンダラーとしてピアノ三重奏曲全曲(HMC-902100)を、ヴィリアンクールはバガテル全曲集(MIR-492)をそれぞれリリースしており、ベートーヴェンの作品に向き合ってきたこの2人の名手による演奏は期待せずにはいられない。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集 Vol.1
 〔第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」/第2番 変ロ長調 Op.19(カデンツァ:ロバート・レヴィン)〕

 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:ロドニー・レジエ、1989年製
   〔モデル:コンラート・グラーフ、1824年製|コレクション・エドウィン・ボインク〕

 パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2017年12月、アンサンブルハウス、フライブルク。軽やかに飛翔する音楽で世界を魅了するベザイデンホウト、オーケストラを豊かに響かせつつ細やか、かつグルーヴ感のよい指揮で世界を舞台に活躍するエラス=カサド、そして名人集団フライブルク・バロックo. という望みうる最高の顔合わせによるベートーヴェンの協奏曲全曲シリーズの登場。2015年3月に協奏曲第3番を共演、その時にぜひこの顔合わせで全曲録音を、というプロジェクトが立ち上がった。2017年12月、10日間で一挙に5曲を録音する、というスケジュールで、皆がベートーヴェンにどっぷりつかった幸せな10日間だったという。最新の校訂報告にも入念にあたり、これまで見過ごされてきたアーティキュレーションやデュナーミクを忠実に表現し、よりすみずみまで行き届いた演奏となっている。「皇帝」冒頭のオーケストラのやわらかさをそなえた力強い響きに、はっと驚かされる。つづくベザイデンホウトが奏でる軽やかかつ華やかなパッセージに、ベートーヴェン当時の人々が感じたであろう衝撃と期待感をおぼえる。緩徐楽章でのベザインデンホウトの美しさは言うまでもなく、終楽章での細やかさと歯切れのよさ、そしてエラス=カサド率いるFBOの合いの手の絶妙加減も素晴らしいものがある。第2番ではオペラ序曲のような浮き浮きとした冒頭、緩徐楽章でのソロとオーケストラとの親密な対話、終楽章の小気味よいテンポ感、何をとっても絶品。第1楽章のカデンツァは、ベザイデンホウトたっての願いで、ガーディナー(オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティーク)とロバート・レヴィンが1999年にリリースした同曲の録音において、レヴィンが即興でおこなったカデンツァを元にしたものが収録されているが、これがまた超絶技巧と豊かな音楽が見事に発揮されたものとなっており、聴き物。ソリスト、オーケストラのメンバー一人ひとりの腕前が素晴らしく、それを束ねる指揮者の音楽性すべてが見事に作用し合ってこそ実現しえた稀有の名演が展開されている。
ベザイデンホウト + エラス=カサド〜ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集 Vol.3(完結編)
 〔第3番 ハ短調 Op.37 /第1番 ハ長調 Op.15 〕

 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:1989年ロドニー・レジエ製作(フリーポート、メイン州、アメリカ)、
  〔モデル:コンラート・グラーフ、1824年〕、2002年エドウィン・ボインク&ホハン・ヴェンニク修復

 パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2017年12月、アンサンブルハウス、フライブルク。世界が注目するシリーズ、ベザイデンホウト、エラス=カサドとFBOによるベートーヴェンのピアノ協奏曲シリーズ、待望にして衝撃の完結編の登場。作品の初演に立ち会っているような感覚になる、神々しくもスリリングな演奏。今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲唯一の短調の第3番と、第1番という組み合わせ。今回も、ベザイデンホウトのひらめきと才能にハっとさせられる衝撃の瞬間の連続!カデンツァはいずれもベートーヴェンのものに基づきながら、ベザイデンホウトによるパッセージも盛り込まれた物。さらに、第3番の第3楽章では、ロンド形式の主題が回帰するときのリード・イン(つなぎ)を、ベザイデンホウトがベートーヴェンのものを参考にしながら独自のものにしたてて演奏。これがまた絶妙な即興を聴いているようで、この協奏曲の初演に立ち会っているようなスリリングさを生み出している。エラス=カサド率いるFBOの管弦楽も、ひとつひとつの音符を、今生まれたかのうように鳴り響かせている。もちろんピアノと管弦楽のアンサンブルが素晴らしいことはいうまでもない。一瞬一瞬が過ぎ去ってしまうのが惜しくなるような、かみしめたくなる演奏。同じ顔合わせでのベートーヴェン:ピアノ協奏曲は、第2番&第5番[HMM-902411]、第4番[HMM-902413]は大絶賛されており、さらに第九&合唱幻想曲を収録した同じ顔合わせのディスク[HMM-902431]が2020年度アカデミー賞大賞を受賞している。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集 Vol.2
 序曲「コリオラン」 Op.62 (1807) /
 ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58 (1805-06) /
 プロメテウスの創造物 Op.43 (1800-01) 〜序曲
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)
パブロ・エラス=カサド指揮
フライブルク・バロックo.
 録音:2017年12月、アンサンブルハウス・フライブルク、ドイツ|使用フォルテピアノ:ロドニー・レジエ、1989年制作〔モデル:コンラート・グラーフ、1824年〕、エドウィン・ボインク&ヨハン・ヴェンニンク、オーバーホール、2002年〔エドウィン・ボインク・コレクション〕。フォルテピアノのベザイデンホウト(1979年生まれ)、指揮者エラス=カサド(1977年生まれ)という、その深化と飛躍ぶりに世界が注目する存在ふたりによる、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集第2弾の登場!第1弾の第5番「皇帝」および第2番 (HMM-902411) でも、そのイマジネーションとインスピレーションに満ちた演奏で高く評価されているだけに、注目。協奏曲第4番は冒頭のピアノ・ソロからまるで天上から楽想が降ってきたような浮遊感と即興性で、一気に引き込まれてしまう。エラス率いる管弦楽も、そんなベザイデンホウトの音楽に触発された、なんとも繊細な出だしにまた聴き手はこれから始まる演奏への期待に胸が高鳴る。ベザイデンホウトのソロでの、ふとしたパッセージで魅せる天才的な即興性はますます冴え渡っており、ただただ愉悦の時間をたのしむことが出来る。冒頭の「コリオラン」でこのディスク全体への期待が高められ、そして最後に収録の「プロメテウスの創造物」でも、エラス=カサドとFBOはひとつひとつの要素を実に新鮮に提示、交響曲第1番を書いたのと同時期のベートーヴェンの野心をあらためて感じさせる。この協奏曲全集は、2017年12月に、10日間で一挙に5曲を録音する、というスケジュールで、皆がベートーヴェンにどっぷりつかった幸せな日々だったという。最新の校訂報告にも入念にあたり、これまで見過ごされてきたアーティキュレーションやデュナーミクを忠実に表現し、よりすみずみまで行き届いた演奏となっている。続編にもますます期待が高まる。
ヤーコプスの「レオノーレ」〜
 ベートーヴェン
:歌劇「レオノーレ」 Op.72a, 1805年版(第1稿)
 マルリス・ペーターセン(S;レオノーレ) マキリミリアン・シュミット(T;フロレスタン)
 ディミトリ・イヴァシュチェンコ(B;ロッコ) ロビン・ヨハンセン(S;マルツェリーネ)
 ヨハネス・ヴァイサー(Br;ドン・ピツァロ) タレク・ナズミ(B;ドン・フェルナンド)
 ヨハネス・チュム(T;ヤキーノ) フロリアン・ヘルガート合唱指揮チューリヒ・ジングアカデミー

 ルネ・ヤーコプス(ダイアログ監修)指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2017年11月7日、フィルハーモニー・ド・パリ、ライヴ|初出品番: HMM-902414/15 〔発売:2019年11月|縦長装丁|廃盤、入手不能〕。現行品 932414/15 は2020年3月リリース、通常CDサイズ装丁。 ベートーヴェン・イヤーに注目のリリースの登場。ヤーコプスが「レオノーレ」(第1稿)を録音した。ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」(1814)には、3つの稿が存在しているが、現在では、1814年の最終形ともいえる「フィデリオ」がレパートリーとなっている。これに逆らうように、ヤーコプスが「フィデリオ」の原型ともいえる「レオノーレ」第1稿を録音した。1805年に完成された第1稿は、初演時の様々な不運な状況もあり、失敗に終った。その後2度改訂され、1814年の稿が現在でも演奏されている。1805年の初稿と、第2稿以降で大きく違う点は、第1稿が3幕構成なのに対し、第2稿以降は2幕構成になっていること。また、第1稿で重要なウェイトを占めた台詞部分も、第2稿以降ではかなり縮小されている。ヤーコプスはこの第1稿の大きな魅力である台詞部分にも注目し、ゾンライトナーの台本を尊重しつつ、原作のフランス語の小説にあたるなどして、多少の編集を施しながら、言葉づかいを現代に近づけている。たとえば冒頭序曲の次も、この第1稿ではセリフ劇から始まる(現行の「フィデリオ」では二重唱)。この「レオノーレ」第1稿は、音楽的にもストーリー的にも比類なきクオリティを持っており、オーケストラと歌唱陣の両者に高度な技術を要求する。ヤーコプスと彼が選んだメンバーたちだからこそ実現できた、素晴らしい録音の登場。=「フィデリオ」と「レオノーレ」のタイトルについて]=ベートーヴェンは1805年第1稿初演当初から「レオノーレ」というタイトルでの上演を希望していたが、興業主側が他の作曲家による前作と区別するために「フィデリオ」というタイトルで上演するよう要求した。1806年のベートーヴェンの自費出版による台本、および1810年出版のヴォーカル・スコアにはタイトルは「レオノーレ」をあり、現在では一般に最初の2つの稿を「レオノーレ」、そして第3稿にあたる現行の稿を「フィデリオ」と呼んでいる。
エリーゼのために〜ベートーヴェンバガテル集
 7つのバガテル Op.33 (1802) /11のバガテル Op.119 (1820-22) /6つのバガテル Op.126 (1823-24) /
 エリーゼのために WoO.59 (1810) /ピアノのための小品 変ロ長調 WoO.60 (1818) /
 ピアノのための小品 ロ短調 WoO.61 (1821) /ピアノのための小品 ト短調 WoO.61a (1825) /幻想曲 Op.77 (1809)

 ポール・ルイス(P)
 録音:2018年1月、2019年1月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ハルモニアムンディのベートーヴェン・イヤー・シリーズ。ピアニストのポール・ルイスによる、バガテル集の登場。ベートーヴェンのピアノ作品といえば、なんといっても32のソナタが巨 大な存 在感を放っているが、ベートーヴェンは生 涯にわたってバガテルを書き続けていた。「バガテル」とは本来 " 小さなつまらないもの "という意味だが、楽曲の名称としては「平易な小品」といったところで、曲によっては1分に満たないものもあるが、そのどれもが、ベートーヴェンのソナタ、あるいは交響曲にすら匹敵するといっても過言ではない宇宙を持っている作品ばかり。ポール・ルイスはこれまでにソナタ全曲、協奏曲全曲、ディアベッリ変奏曲といったベートーヴェンの金字塔的作品を、世界中の聴き手に演奏会と録音の両方で披露し、世界をうならせ続けているだけに、期待が高まる。これみよがしなところは一切なく、音楽作品の本質を常にキャッチし、テクニック云々という次元を軽々と超越した境地に到達した者にしかためし得ない、作曲家との対話のような音楽を響かせているポール・ルイス。このバガテル集でも、そんなポール・ルイスの美質がこれ以上ない形で展開されている。そして、そうした表情をもれなく収めた素晴らしい録音にもまた注目。
ファウスト、ケラス、メルニコフ、エラス=カサド〜ベートーヴェン
 ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための三重協奏曲 ハ長調 Op.56 (*) /
 交響曲第2番 ニ長調 Op.36(作曲者編曲|ピアノ三重奏曲版)(#)
  イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年製
  アレクサンドル・メルニコフ(Fp
   使用楽器: Lagrassa、1815年頃製〔エドウィン・ボインク・コレクション〕(*) /
        クリストフ・ケルン、2014年製
         〔モデル:アントン・ヴァルター(ウィーン)、1795年製/メルニコフ・コレクション〕(#)

  パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.(*)
 録音:2020年2月、6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ハルモニアムンディのベートーヴェン生誕250周年である2020年から没後200年となる2027年に向けた録音企画シリーズから大型新譜がリリースされる。ファウスト、ケラス、メルニコフ、そして2020年度のレコード・アカデミー賞大賞受賞したエラス=カサド、フライブルク・バロックo. によるベートーヴェンの三重協奏曲。シューマンの協奏曲プロジェクトも成功させた彼らの演奏に大きな期待がかかる。三重協奏曲は、弟子のルドルフ大公がピアノで知人たちと演奏するために書かれたといわれている。なのでピアノ・パートは技巧的ではないが効果的に書かれ、ヴァイオリンとチェロは各々楽器の響きを生かした主題が現れ、ピアノとオーケストラが調和する。オケとソロ楽器の素晴らしいバランス、自然なアーティキュレーションで作品に対する既成概念を払拭するような、まさにこの顔ぶれでしかためし得ない水準での、名盤が誕生した。そして、ベートーヴェン自身の編曲による響曲第2番のピアノ三重奏曲版。オーケストラ作品を少人数の室内楽で楽しむための編曲で、原曲とは違った魅力がある。ファウスト、ケラス、メルニコフの3人はベートーヴェンのピアノ三重奏曲集 [HMC-902125] をリリースしており、細やかな表情づけ、息をのむような美しい演奏を聴かせるだけあって、お互いに自由に羽ばたいているのに、息はピタリと合っており、この版の決定版と言えるだろう。
C.P.E.バッハ&ベートーヴェン:交響曲集
 C.P.E.バッハ(1714-1788):交響曲(シンフォニア) ヘ長調 Wq.175, H.650 (1755/56)
 ベートーヴェン(1770-1827):交響曲第1番 ハ長調 Op.21 (1799-1800)
 C.P.E.バッハ:交響曲 ト長調 Wq.183/4, H.666(管弦楽のための4つの交響曲、1776年より)(1775/76)
 ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 Op.36 (1801-02頃)

 ベルリン古楽アカデミー[コンサートマスター:ベルンハルト・フォルク]
 録音:2018年9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ハルモニアムンディによるベートーヴェン・イヤー・シリーズ、ベルリン古楽アカデミーによる交響曲第1番&2番の登場。「田園」(HMM-902425)も好評だったが、ここでも確かすぎる腕前のメンバーたちがそろってこそ可能となる、洗練されたエネルギーに満ちた演奏。第1番は、まるでオペラを思わせる華やかさと繊細さを兼ね備えた演奏。第2番も細部に至るまで完璧なアンサンブル。第3楽章スケルツォのコントラストも実にあざやか。カップリングはC.P.E.バッハの交響曲2編。ベートーヴェン以前の大シンフォニー作曲家であったC.P.E.バッハの作品ももちろん創意に満ちているが、こうして並べて聴いてみると、たとえばそれぞれの第1楽章の特徴的な冒頭だけとってみても、ベートーヴェンが先人たちの作品を 超えようとして様々なアイデアを凝らしていることにあらためて感じ入るばかり。30歳ほどのベートーヴェンが描きあげ、満を持して世に送り出した決定打を、ベルリン古楽アカデミーの鮮やかかつ洗練された演奏で思う存分お楽しみ頂ける。この録音に際し、ベルリン古楽アカデミーの面々は、ウィーンでベートーヴェンが演奏したことのある場所(いわゆるホール)すべてを訪ね、その音響を研究。最終的に、小さなホールの響きを理想とし、そのために弦楽器のメンバーも人数を少なくしての編成での録音の運びとなった。ベートーヴェン自身が指揮をした演奏会の詳細な記録や絵画は残っていないが、当時の劇場年鑑に残されているオーケストラのメンバーの人数の記録などから当時のオーケストラの陣容を推察。レイアウトについても、弦楽器は観客から見て左側、管楽器は右側になるようにし、コントラバスはトロンボーン、トランペットやティンパニの少し後ろに配置した。これにより、メンバー間でのコンタクトもとりやすくなり、指揮者無しでもまるで室内楽を演奏しているように各セクションの次の一手を酌むことができたという。
ロト&レ・シエクル
 ベートーヴェン:
  交響曲第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」(*)
 メユール:歌劇「アマゾネス」序曲(#)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2020年3月、トゥルコアン市立劇場、グルノーブル(*) /2020年2月、セーヌ・ミュジカル、ブローニュ=ビヤンクール(#) 。鮮烈な「運命」で度肝を抜いたロトとシエクルのベートーヴェン、次なる挑戦は交響曲第3番「英雄」だが、前作を上回る快演に圧倒されまくり。ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」は50分に及ぶ長さ、指揮者なしでは演奏し得ない複雑さ、政治性を公然と示す内容など、作曲された1804年当時には類のない革新的なものだった。さらに激流か溶岩のような止めることのできぬ音楽の迸りなど、ロマン派様式の明らかな萌芽もみられる。ロトは前作「運命」と同様にベートーヴェン作品の革命的側面に焦点を当て、さらに同時代のフランス作品をカップリングして多くの示唆を与えてくれる。今回はメユールの歌劇「アマゾネス」序曲。メユールはベートーヴェンより7歳年長で、ナポレオン時代のフランスを代表するオペラ作曲家。考えられている以上にベートーヴェンと共通点が多く、オーケストラの職人だった。メユールの交響曲第1番とベートーヴェンの第5番の類似性はシューマンも指摘している。ピッチは430Hz 。現存するベートーヴェン時代の管楽器はもはや演奏不能なため、レプリカを使用。ロトは世界中のオーケストラと「英雄」を演奏してきたが、フィナーレのコーダもしくは最後の変奏はモダーン楽器だと活力に欠け鈍重になってしまうとしている、しかしピリオド楽器ならアクセントのインパクトを強調でき、現代楽器だとすべて同じような色彩になるベートーヴェンの調性選択も、変ホ長調の意図がよくわかるとのこと。各楽章の演奏時間は、1:15 '58 "2:14 '28 "3:5 '29 "4:10 '58 "で、特に変わったものではないものの、透明な音色 、はつらつとして推 進力に満ちているため実 際よりも速く聴こえる。そのリズム感の良さと引き締まった造形、みなぎる緊張感いずれも見事。さすがロト、これほど新鮮な「英雄」は初めて聴くようだ。
カシオーリ + ミナージ〜
  ベートーヴェン:ピアノ協奏曲集

 〔第4番 ト長調 Op.58
  (ウィーン楽友協会所有手稿譜 A82b, 1808年)/
  第6番 ニ長調 Op.61a (作曲者編曲|
   原曲:ヴァイオリン協奏曲 Op.61 )〕
ジャンルカ・カシオーリ(P)
リッカルド・ミナージ指揮
アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2019年11月。ベートーヴェン・イヤー・シーズンにまた注目すべき1枚が誕生した。カシオーリと、ミナージ率いるアンサンブル・レゾナンツによるベートーヴェンのピアノ協奏曲。!カシオーリは、ベートーヴェンが書き残した様々なヴァリアントを自身でさらに磨き上げて完成させたヴァージョンによるピアノ協奏曲を、1990年代終わりから2000年代はじめにかけて、BBCso. とロイヤル・アルバート・ホールで演奏していた。それから時をかさね、研究者たちによる研究もさらに進み、カシオーリはあらためてベートーヴェンのオリジナル資料を検証、より変化に富み、ヴィルトゥオーゾ的なピアノ・パートの第4番を導き出した。第1楽章ではベートーヴェンによるカデンツァを採用、終楽章での創意に満ちた装飾もチャーミング。そして、ベートーヴェン自身にが書いた「ヴァイオリン協奏曲のピアノ版」といえば、 "ティンパニが入っていて、多くのヴァイオリン奏者たちが、ベートーヴェン自身が書いたピアノ版のためのカデンツァをもとに演奏する "(ベートーヴェンによる "ヴァイオリン協奏曲 "のためのカデンツァは残されていない)ことは大変有名だが、なかなか実演に接する機会はないと言える。この豪 華な顔ぶれの録音は大歓迎と言えるだろう。カシオーリによる演奏は、実に創意に満ちており、特に「ベートーヴェンが書いた」ピアノ版のカデンツァでは、時に悲 愴ソナタか月光ソナタを思わせるような、幻 想的かつヴィルトゥオジックな面もあり、ベートーヴェンの気配を色 濃く感じるとともに、カシオーリの雄弁にして切れ味鋭い音楽がさえわたっている。もちろんミナージ率いるアンサンブル・レゾナンツのサウンドが実に充実していることはいうまでもありません。ミナージもまた楽譜を徹底的に検証し、弦楽器にベートーヴェンが書き込んだアーティキュレーションを管楽器にも転用することにより、ハッとするような分厚い圧巻のレガート・サウンドがオーケストラからも聴こえてくる。ツェルニーが残したこの協奏曲のメトロノーム記号も参考にしながらテンポを検討するといった検証もまた、演奏の魅力と説得力をさらに確かなものとしている。
ロト&レ・レ・シエクルの「運命」
 ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 (*)
 ゴセック:17声の交響曲 ヘ長調 RH 64 (#)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2017年3月、フィルハーモニー・ド・パリ(*) /2020年2月、ブローニュ=ビヤンクール、ラ・セーヌ(#)。ベートーヴェン・イヤー最注目の新譜がリリースされる。2020年前半はクルレンツィスとムジカエテルナの衝撃的な「運命」が話題をさらいたが、後半はロトとシエクルが同じ曲で応戦。ロト(1971年11月生まれ)とクルレンツィス(1972年2月生まれ)は日本風にいえば同学年ながら、ライヴァル心を燃やすようなことはなく、まったく異なる価値観でこの名曲に挑戦した。ロトとレ・シエクルは、ベートーヴェンとフランスの特別な関係にテーマの中心を置いている。当初ナポレオンを崇拝し、本質的に革命家的感性を持つベートーヴェンはパリの空気を愛し、居住さえ考えたといわれる。ロトは交響曲第5番「運命」にフランス革命や革命歌の影響が感じられるとしている。今回の録音は2019年のベーレンライター版楽譜を使用、管楽器はレプリカながら1800年代初頭のドイツ製楽器を用いているのも興味津々。各楽章のタイムは第1楽章:6 '56 "第2楽章:9 '02 "第3楽章:5 '12 "第4楽章:10 '33 "フィナーレが長めなのは繰り返しを行なっているためで、基本的にロトらしい推進力に満ちた早目のテンポによる。歯切れの良いリズム、聴いたことのないような弦のフレージング、明るく輝かしい音色などドイツ系演奏とは一線を画し、まさにロトとレ・シエクルにしかできない演奏を繰り広げ充実感の極み。カップリングにフランソワ=ジョゼフ・ゴセック(1734-1829)が1809年に発表した「17声の交響曲」を収録。ゴセックといえば「ガヴォット」で有名だが、ラモーやシュターミッツと面識があり、ベートーヴェンやシューベルトよりも後まで生きた歴史の証人でもあった。ゴセックはシンフォニストとして非常な人気を誇り、また当時フランスの管楽器奏者の水準が高くそれを作品に反映させているため、ベートーヴェンは多くのことを学び作品に応用したとされる。「17声の交響曲」はもともと1780年代に作った3部分の序曲を拡大改作したもので、「サ・イラ」など革命歌が引用されている。また改作直前に発表・出版されたベートーヴェンの「運命」からの影響があるとも考えられている。これまで用いられてきた楽譜とは大きく装いを異にする2018年出版のクリティカル版楽譜を使用。ロトとレ・シエクルの力演で名作に聞える。
ユスティン・ハインリヒ・クネヒト(1752-1817):自然の音楽による描写、あるいは大交響曲
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68「田園」
 ベルリン古楽アカデミー[ベルンハルト・フォルク(コンサートマスター)]
 録音:2019年6月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ベートーヴェン・イヤーにあわせ、ハルモニアムンディから、ベルリン古楽アカデミーによる交響曲録音の登場!今回は第6番「田園」。ほかに1, 2, 4, 8番も同団による録音で登場予定。「田園」のカップリングは、その30年ほど前に書かれたクネヒトの大交響曲。こちらも同じく自然を描写した音楽で、各楽章のタイトルも類似しており、興味津々。この録音に際し、ベルリン古楽アカデミーの面々は、ウィーンでベートーヴェンが演奏したことのある場所(いわゆるホール)すべてを訪ね、その音響を研究。最終的に、小さなホールの響きを理想とし、そのために弦楽器のメンバーも人数を少なくしての編成での録音の運びとなった。ベートーヴェン自身が指揮をした演奏会の詳細な記録や絵画は残っていないが、当時の劇場年鑑に残されているオーケストラのメンバーの人数の記録などから当時のオーケストラの陣容を推察。レイアウトについても、弦楽器は観客から見て左側、管楽器は右側になるようにし、コントラバスはトロンボーン、トランペットやティンパニの少し後ろに配置した。これにより、メンバー間でのコンタクトもとりやすくなり、指揮者無しでもまるで室内楽を演奏しているように各セクションの次の一手を酌むことができたという。クネヒトの作品は1780年の作(ト長調)。冒頭から田園的な世界が美しい世界。第2楽章で次第に嵐が近付いてくる様子は不安気に繰り返される転調で表されている。第3楽章の嵐の描写は、何かオペラの序曲を思わせるような華やかな ニ長調で展開されており、ベートーヴェンのとはまた違って興味津々。終楽章は変奏曲の形式をとりながら、コラールのようなすがすがしい楽曲となっている。ベートーヴェンの交響曲第6番の各楽章のタイトルとクネヒトのは類似している。実際、確実な資料は残されていないが、ベートーヴェンの初期の作品はクネヒトのと同じ出版社から出版されていたことなどから、ベートーヴェンはクネヒトの作品を知っていたと考えられる。当時から自然を音楽で模倣する試みは行われており、1780年当時クネヒトの作品も革新的であったかもしれない。しかしこうして比較して聞いてみると、1808年12月の「田園」初演との間には30年弱の差があるとはいえ、あらためて楽聖ベートーヴェンの革新性と偉大さを痛感してしまうのも事実。ベートーヴェンの終楽章では、ベルリン古楽の面々が採用したバランスのおかげで管楽器が際だって聴こえ、今までの「田園」像が覆されるかのような感覚をおぼえる。
ヤーコプス〜ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス ニ長調 Op.123
 ポリーナ・パストリチャク(S) ゾフィー・ハルムゼン(Ms)
スティーヴ・ダヴィスリム(T) ヨハネス・ヴァイサー(B) ルネ・ヤーコプス指揮
フライブルク・バロックo. 、ベルリン RIAS 室内cho.(合唱指揮:デニス・コンテ)
 録音:2019年5月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ハルモニアムンディのベートーヴェン生誕250周年である2020年から没後200年となる2027年に向けた録音企画シリーズ。2021年初回のリリースはヤーコプス指揮による「ミサ・ソレムニス」。ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」は、作曲家最晩年の大作であると同時に、解釈が非常に難しいことでも知られるが、それだけに指揮者の力量が問われる。ベートーヴェンは、親交の深かったルドルフ大公の大司教就任祝いにこのミサ曲を書き始めたが、結局それには間に合わず、就任から4年後にようやく全曲が初演された。実 際完成したのは、カトリックの典礼、ドラマチックな表 現力、瞑 想 的な祈り、賛歌のような表 現 、古 風な要素 、交響曲的な構成といったものを一つにまとめ上げた記念碑的な芸術作品だった。それは何より、この作曲家がミサ曲という枠組みを超える作品を生み出すべく格闘していたからといえるだろう。ヤーコプスは、今回の録音で合唱をオーケストラ左 右に、ソリスト4人はオーケストラの後ろに配 置している。「19世紀の終 わりまで、オラトリオの公演では合唱はオーケストラの横、前方にさえ置かれており、後ろに配置されることは無かった。それには大きな利点があり、第一に合唱団は難しいパッセージでも歌いやすく、第二に、聴 衆はベートーヴェンが苦心したテキストをより深く理 解することが出来る。また4人のソリストをオーケストラの後ろに配 置するのはまるで天使の合唱のようだ。私はこれがベートーヴェンの夢見ていた方法なのではないかと考えている。前方の地上の合唱と後方の天使の声お互いに呼 応しダイナミックなコントラストを 生むことが出来る。」オーケストラと歌唱陣の高いテクニックとヤーコプスたちだからこそ実現できた、見事な録音が実現した。
シュタイアー + ディールティエンス〜ベートーヴェン(1770-1827):
 チェロ・ソナタ集(*) 〔第4番 ハ長調 Op.102 No.1 (1815) /第5番 ニ長調 Op.102 No.2 (1815) 〕/
 11のバガテル Op.119 (1820-22) (#) /6つのバガテル Op.126 (1823-24) (#)

  アンドレアス・シュタイアー(Fp;*/#|使用楽器:クリストファー・クラーク、1996年製
    〔モデル:1827年、コンラート・グラーフ、ウィーン製〕

  ロエル・ディールティエンス(Vc;*|使用楽器:マルテン・コルネリッセン、1994年製〔モデル:
     アントニオ・ストラディヴァリ〕|弓:ヘンク・コルネリッセン、2003年製〔モデル:ジョン・ドッド〕
 録音:2019年6月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ハルモニアムンディで進行中の、ベートーヴェン・イヤー・シリーズ。シュタイアーと、ディールティエンスによる、チェロ・ソナタおよびバガテル(シュタイアー独奏)という注目新譜の登場。チェロのロエル・ディールティエンスは、アンサンブル・エクスプロラシオンの創設者にして、チャイコフスキー・コンクールやライプツィヒ・バッハ・コンクールなど世界的なコンクールの審査員を歴任、バロックおよびモダーンの権威。シュタイアーも、フォルテピアノ、チェンバロ、そして時にはモダーンのピアノもその自身の音楽性で見事に響かせるいわずとしれた現代の巨匠。現代の巨匠。注目の顔合わせ。作品102のチェロ・ソナタは両曲とも1815年にさほど間をあけずに作曲された。この時期はベートーヴェンが後期作風を模索していた時期で、従来のソナタという枠組みを破るような、幻想的で瞑想的な色合いが強い物。ディールティエンスとシュタイアーは、ファンタジーに満ちたアンサンブルを展開している。バガテル Op.119は1820-22年にかけてまとめられた曲集。1曲1曲は短いが、その中にこれだけ深い世界と、様々な表情が込められていたのかと驚かされる演奏。そして時にはシュタイアーらしいビックリのしかけもあり、期待を裏切らない。1曲ごとに聴き終えた後の充実感がものすごい。そして Op.126は、1823-24年、第九やミサ・ソレムニスと同時期に書かれ、「(後期の)弦楽四重奏のスケッチ」などともいわれている、ベートーヴェンの後期の傑作群のエッセンスのすべてが凝縮されたような曲集。シュタイアーは、ロマン派をも予感させるようなファンタジーと歌に満ちた演奏でつむいでいる。ベートーヴェンの中期から後期に差し掛かる時期の、「既存の様式」の呪縛からはばたこうとする重要な傑作が、名手ふたりによって、最高のかたちでよみがえった。
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 /合唱幻想曲 ハ短調 Op.80
 クリスティアーネ・カルク(S) ゾフィー・ハルムセン(A)
 ヴェルナー・ギューラ(T) フロリアン・ベッシュ(B)
 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
 パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.、チューリヒ・ジングアカデミー
 録音:2019年11月。2020年ベートーヴェン・イヤーにあわせてハルモニアムンディが展開しているベートーヴェン・シリーズ、第九の登場。指揮は近年充実著しいパブロ・エラス=カサド、管弦楽はフライブルク・バロックo. 。ソリスト陣も第一線で活躍する顔ぶれ。合唱は2011年設立で既に世界を席巻している団体、チューリヒ・ジングアカデミー。期待が高まるという物。「第九」は、冒頭からストレートに一気呵成にたたみかけ、刻み込んでくる、パワーに満ちた演奏。これまでに様々な歴史的名演が存在する、特殊ともいえる作品のひとつだが、エラス=カサドは今まさにこの作品が書かれたかのように、新鮮に、大胆にストレートに譜面を響かせている。演奏時間は61'13(I: 13:35、II: 13:32、III: 12:07、IV: 21:59)。エネルギッシュでありながら、颯爽とした演奏に、今あらためての真の第九像を観る感すらある。終楽章冒頭もまさに「プレスト」。しかしすべてのテンポ設定は楽譜に書かれたもので、ここでも不自然さやぎこちなさはまったくない。エラス=カサドが、これまでの慣習にとらわれることなく、まっさらな目で緻密に譜面の検証を重ねたうえでの大胆な演奏となっている。「歓喜の歌」と重なる管弦楽も実にぴちぴちと喜びに満ちており、見事。管弦楽、ソリスト、合唱すべてが輝かしく混然 一体となって炸 裂した、実に新鮮なパワーに満ちた、鮮烈な第九の登場と言えるだろう。合唱幻想曲も、ベザインデンホウトのソロの迫真の説得力と迫力に思わず聴き入ってしまう。器楽とのアンサンブルも絶妙。ふとした表情の変化や、影から光への移行などを、ベザイデンホウトもエラス=カサドの歌に満ちた統率が光る管弦楽ももらさずとらえており、ベートーヴェンの筆に込められた創造性が響き渡る。ベザイデンホウトはこの作品について、「1808年のベートーヴェン自身がピアノ独奏を担当した演奏会は彼にとって大いなる心の傷だったろう。それは既にかなり進行していた難聴の中での、ある種の白鳥の歌としてこの演奏会に臨んでいたはず。その演奏会では冒頭部分は即興で演奏されたが、おそらくこれはベートーヴェンがプロのヴィルトゥオーゾ演奏家として演奏したごく最後の記録であろう。ベートーヴェンは聴衆に "これはヴィルトゥオーゾ・ピアニストとしての最後の証言となるだろう。これからはあなた方に純粋に音楽を提供していくことになる "と伝えている。」と述べているが、まさにこの演奏は、天才ベザイデンホウトの、過去の偉大なる天才ピアニストでもあったベートーヴェンへの敬意に満ちたオマージュであり、同時に腕前の勝負を挑む挑戦状ともいえるような、意欲的な演奏だといえるだろう。ベザイデンホウトがさらなる飛躍と深化を遂げ、持ち前の音楽性に加え、力強さも増してきていることを感じる力演。ブックレットには、ハルモニアムンディ社長のクリスティアン・ジラルダン氏による、「歓喜の歌」についての興味深い考察も掲載されている。注目盤。
ティベルキアン〜変奏曲集第1巻
 ベートーヴェン:エロイカ変奏曲 Op.35 /6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331 「トルコ行進曲付」
 ベートーヴェン:6つの変奏曲 ニ長調 Op.76
 シューマン:ベートーヴェンの主題による自由な変奏形式の練習曲
 ベートーヴェン:ヴィンターの歌劇「中止された奉献祭」の「子供よ、静かにお休み」による7の変奏曲 WoO.75 /
         パイジェッロの歌劇「水車小屋の娘」の「田舎者の恋は何と美しく」による9つの変奏曲 WoO.69
 ヴェーベルン:変奏曲 Op.27
 ベートーヴェン:
  パイジェッロの歌劇「水車小屋の娘」の「わが心はうつろになりて」による6つの変奏曲 WoO.70 /
  ジュスマイヤーの歌劇「スレイマンまたは3人のサルタン妃」の「ふざけと戯れ」による8つの変奏曲 WoO.76
 シューマン:最後の楽想による幻覚の変奏曲

 セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2022年1月、ポワチエ講堂劇場、フランス。ソリスト、アンサンブルに大活躍なティベルギアンが「変奏曲集」と題するシリーズを開始する。ベートーヴェンを中心にティベルギアンならではの凝った選曲でスウェーリンクからクルターグまで6枚の旅を予定している。第1弾は2枚組。Disc1はベートーヴェンの作品番号の付いた3篇の間にモーツァルトの「ピアノ・ソナタ第11番が挟まれるが、これも第1楽章が変奏曲。さらに終楽章は有名な「トルコ行進曲」だが、続くベートーヴェンの「6つの変奏曲 ニ長調」が同名異作を主題にしていることなど有機付けている。 Disc2はシューマンがベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章の主題を用いた変奏形式の練習曲に始まり、アルバムの要であるヴェーベルンの変奏曲をベートーヴェンの軽快な作品が挟みる。シューマン最後、メンタルを害していた時期に夢で亡霊が歌った主題で作った変奏曲で幕を閉じるという充実した内容。ティベルギアンの演奏は正確かつ安定した技巧に、独特な色調で情感にも満ちている。続くシリーズが非常に期待される。
ティベルキアン〜ベートーヴェン:変奏曲全集 Vol.2
 ベートーヴェン:創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80
 スウェーリンク:「わが青春はすでに去り過ぎ」による6つの変奏曲 SwWV.324
 ベートーヴェン:リギーニのアリエッタ「恋人よ来たれ」による24の変奏曲 WoO.65
 J.S.バッハ:イタリア風のアリアと変奏曲 イ短調 BWV.989
 J.S.バッハ/ブラームス編曲:シャコンヌ(左手のための)
 ベートーヴェン:「ルール・ブリタニア」による5つの変奏曲 WoO.79
 モートン・フェルドマン:最後の小品(全4曲) / ベートーヴェン:創作主題による6つの変奏曲 ト長調 WoO.77
 ケージ:7つの俳句 / ベートーヴェン:ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 ハ短調 WoO.63
 ジョージ・クラム:行列聖歌
 ベートーヴェン:ハイベルのバレエ「妨げられた結婚」の「ヴィガノのメヌエット」による12の変奏曲 WoO.68
 ケージ:ある風景のなかで / ベートーヴェン:イギリス国歌による変奏曲 ハ長調 WoO.78

 セドリック・ティベルギアン(P)
 録音:2023年1月、ポワチエ・オーディトリアム劇場。2023年2月にリリースされた第1集(HMM-902433/4) が「レコード芸術」誌特選をはじめ絶賛されたティベルギアンのベートーヴェン変奏曲全集シリーズ第2弾の登場。第1集以上に凝った選曲に驚愕。第2集も2枚組。Disc1は作品番号のない「創作主題による32の変奏曲 ハ短調」に始まるが、ピアノ協奏曲第4番と同時期1806年の作で、「ベートーヴェンの ハ短調」の充実が見られる。次にスウェーリンクで200年、J.S.バッハでと100年ほど前の変奏技法に立ち返り、ベートーヴェンへの影響を探る。「シャコンヌ」はブラームスが左手だけのために編曲したものを披露。Disc2はベートーヴェン作品で20世紀アメリカをはさむ興味深い企画。ベートーヴェンは変奏曲という形式を改革し、主題素材を無視してその抽象的な枠組みだけを残すことをあえてしている。これが現代音楽に影響を与えているとして、音響自体が沈黙の変奏である4作品を選んでいる。ティベルギアンの演奏でケージやフェルドマン、クラムの作品を聴くことができるのは贅沢の極み。ティベルギアンのニュアンスに富むピアノの音色は現代曲にもピッタリ。ことに全く前衛的でないケージの「ある風景のなかで」はBGMにしたいほどの美しさとメッセージにあふれていて絶品。ティベルギアンの新境地を垣間見れる。また「7つの俳句」では「わび・さび」の美学さえ感じさせる。
ベートーヴェン:後期ピアノ・ソナタ集
 〔第28番 イ長調 Op.101 /
  第30番 ホ長調 Op.109 /第32番 ハ短調 Op.111 〕
ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2020年7月、モスクワ音楽院大ホール。ベートーヴェン・イヤーの2020年、ハルモニア・ムンディは特別なリリースを用意している。その注目のひとつがニコライ・ルガンスキーによる後期ソナタ集。後期の3つのソナタは、前期、中期の作品とは一線を画す、高い音楽性と孤高の音楽となっている。作品101(第28番)は、フーガが用いられ、それまでのピアノソナタとは一線を画する内容を持ち、後期の入り口とされる作品。ルガンスキーは、ベートーヴェンの高まる芸術の萌芽を、丁寧に描き出そうとしている。そして一筋の光が差すような温かな明るさを持った作品109(第30番)のソナタは、第3楽章に比重がおかれ、演奏者の構成力が試される作品だが、緻密に計算されたルガンスキーの構築力に改めて脱帽。作品111(第32番)は、「第9」や「荘厳ミサ」と並行して作曲されていた経緯もあり、ベートーヴェンのピアノ音楽の最終地点でもある。その深淵を極めたベートーヴェンの世界観を、限りない優しさに満ちた演奏でルガンスキーは見事に表現している。
ルガンスキー〜ベート-ヴェン:ピアノ・ソナタ集 Vol.2
 〔第14番 嬰ハ短調 Op.27 No.2 「月光」/
  第23番 ヘ短調 Op.57 「熱情」/
  第17番 ニ短調 Op.31 No.2 「テンペスト」〕
ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2021年7月、リストーリ劇場、ヴェローナ。ベートーヴェン・イヤーだった2020年に、ルガンスキーはハルモニア・ムンディ・レーベルからベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタ集(第28、30、32番)をリリースし、レコード芸術誌で特選に輝くなど高い評 価を受けた(HMM-902441)。それに続く第2弾は「月光」「熱情」「テンペスト」という人気作3篇を集めた好企画。誰もが聴きたいと思われるはず。ルガンスキーの「月光」と「熱情」は、2005年録音の音源がワーナーからリリースされているが、こちらは2021年7月の最新録音で、16年を経ての円熟ぶりが実感出来る。さらに「テンペスト」は初めてでとても期待出来る。ルガンスキーの演奏はあくまで楷書的で正確だが、ロシア・ピアニズムならではの技巧と豊かな音が独特。ベートーヴェンでイメージされる重厚とか熱烈な世界ではなく、透明で端正な音楽を楽しめる。「月光」で左手にアクセントを付けメロディのように浮き出すのも興味深く、「テンペスト」のフィナーレも絶美。
ベートーヴェン
 交響曲第7番 イ長調 Op.92 /バレエ音楽「プロメテウスの創造物」 Op.43(全曲)
  ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2020年2月、6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ベートーヴェンの第7交響曲は初演時から好評を博し、「第5交響曲」「第6交響曲」のように革新的な構造形式ではなく、古典的な交響曲の様式に戻りながらも、ワーグナーが「舞踏の神格化」と呼んだほどに、四つの楽章でそれぞれ特徴的なリズムが登場し、音楽が展開されていく。ゴルツ率いるFBOの演奏は、第1楽章の軽やかさ、厳粛かつ美しい第2楽章、高揚感を高める第3楽章を経て迎える熱狂的なフィナーレ、と快速なテンポの中音楽を浮かび上がらせ、新しいベートーヴェン像を提 示している。そしてバレエ音楽「プロメテウスの創造物」全曲。イタリアの舞踊家サルヴァトーレ・ヴィガノが振付を担当するバレエのためベートーヴェンは、序曲、序奏と16曲の管弦楽曲を作曲。1801年にウィーンのブルク劇場で初演が行われた。ベートーヴェンは、第16曲(終曲)の主題をピアノのための変奏曲と「エロイカ」交響曲の変奏曲の主題として使っている。ゴルツとFBOによる鋭い切込みで作品を魅力を描き出している。
ベートーヴェン:交響曲全曲録音プロジェクト Vol.6 (完結編)
 ルイージ・ケルビーニ(1760-1842):「ロドイスカ」序曲(1791)
 ベートーヴェン(1770-1827):交響曲〔第4番 変ロ長調 Op.60 (1806) /第8番 ヘ長調 Op.93 (1812) 〕
 エティエンヌ・ニコラ・メユール(1763-1817):交響曲第1番 ト短調(1808)
 ベルリン古楽アカデミー[コンサートマスター:ベルンハルト・フォルク/他]
 録音:2021年4月-5月、テルデックス・スタジオ、ベリリン。ハルモニア・ムンディがリリースしているベートーヴェン・イヤー・シリーズ交響曲編の完結編となる、ベルリン古楽アカデミーによる第4番&第8番の登場!これまでの交響曲のリリースでは、同時代の作品がカップリングとして収録されていたが、それは今回も同様。今回は、ケルビーニ(1760-1842)、そしてメユール(1763-1817)の作品が選ばれている。ベルリン古楽アカデミーのうまさと、録音の素晴らしさを存分にたのしむことのできる内容。ベートーヴェンでは、交響曲第4番終楽章のファゴットの刻みなど、超絶技巧のきわみだが、わずかな乱れもない見事な物。ティンパニの豊かな響きも耳に残る(ティンパニ奏者は若くして首席奏者に就任した、1990年セビリャ出身のフランシスコ・マヌエル・アンガス・ロドリゲス。安倍圭子氏の招きで桐朋学園で学んだこともあり、ベルリン国立歌劇場で活躍したのち、バイロイト音楽祭でも演奏していた)。第8番第1楽章の快速テンポが生み出す、まるで舞曲のような軽やかさにもまた驚き。そうした第1楽章を経ての第2楽章のメトロノーム風の刻みも非常に効果的に響く。ケルビーニのオペラ「ロドイスカ」は1791年にパリで初演された。大成功を収めた作品で、当時200回以上上演されたという。愛しあう男女が父親によって引き裂かれるも、様々な苦難と試練や誤解を経てめでたく結ばれるという内容だが、序曲はオペラの内容を予見させるというよりも、シンフォニーを思わせるスタイルとなっている。ケルビーニの友人でもあったメユールの作品は、シューマンらによって「ベートーヴェンの交響曲第5番への返答」と評されることもある作品(終楽章のリズムが運命と似ていることなどが理由)が、彼がこの交響曲に取り組んでいたときに、第5番(1808年作曲)をどこまで知っていたかは今となってははっきりしない。それよりもむしろ、フランス革命期にこのような素晴らしい交響曲が存在し、その後のフランスのオーケストラ作曲にも大きな足跡を残したこと、そしてベルリン古楽アカデミーによる決定的な名新録音が誕生したことを祝いたい内容。
HMM-902450/52
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J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集 Vol.1 〜若き継承者
 [CD 1] オルドルフ時代
  ヨハン・ミヒャエル・バッハ(1648-1694):コラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」
  J.S.バッハ(1685-1750):
   幻想曲 ハ長調 BWV.570 /コラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」ハ長調 BWV.700 S
  フレスコバルディ(1583-1643):ベルガマスク F12.46 (*)
  ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703):前奏曲とフーガ 変ホ長調(*)
  クーナウ(1660-1752):ソナタ第4番「 Hiskia agonizzante e risanato 」(*)
  J.S.バッハ:コラール「古き年は過ぎ去りぬ」BWV.1091 S /コラール「わがことを神にゆだね」BWV.1113 S
  ゲオルク・ベーム(1661-1833):コラール「天にましますわれらの父よ」
  J.S.バッハ:
   コラール「キリストこそわが生命」BWV.1112 S /アルビノーニの主題に基づくフーガ ハ長調 BWV.946 /
   フーガ イ長調 BWV.949 (*) /コラール「源流を求めて」BWV.1119 S /
   コラール「キリストよ、受難せる汝に栄光あれ」BWV.1097 S /
   コラール「神の子は来たりたまえり」BWV.724 S /コラール「おお、イエスよ、いかに汝の姿は」BWV.1094 S
  フローベルガー(1616-1667):カンツォーナ(*) /  パッヘルベル(1653-1706):コラール「バビロンの流れの畔に」
  ルイ・マルシャン(1669-1732):組曲 ニ短調より (*)〔前奏曲/サラバンド/シャコンヌ〕
  J.S.バッハ:前奏曲とフーガ イ短調 BWV.551
  ニコラ・ド・グリニー(1672-1703):グラン・ジューのポワン・ドルグ

 [CD 2] リューネブルク時代
  J.S.バッハ:
   前奏曲とフーガ ニ短調 BWV.549a /コラール「 Ach Gott, vom Himmel sieh darein 」BWV.741 /
   コラール「 Jesu, meine Freude 」BWV.1105 S /コラール「主なる神よ、いざ天の扉を開きたまえ」BWV.1092 /
   コラール「目覚めよ、わが心よ」BWV.1118 S /
   コラール「神よ、汝のいつくしみによりてわれを遇いたまえ」に基づくフーガ BWV.957 S /
   コラール「われ、心より汝を愛す、おお主よ」BWV.1115 S /
   カプリッチョ ホ長調(「ヨハン・クリストフ・バッハを讃えて」)BWV.993 /ソナタ イ短調 BWV.967 (*) /
   フーガ イ短調 BWV.947 (*) /前奏曲とフーガ イ長調 BWV.896 (平均律クラヴィーア曲集第2巻より)(*) /
   コラール「主イエス・キリスト、汝こよなき宝」 BWV.1114 (*) S /
   コラール「人はみな死すべきさだめ」BWV.1117 S /
   パルティータ「ああ、罪人なるわれ、何をすべきか」 BWV.770 /
   コラール「神なしたもう御業こそいと善けれ」 BWV.1116 S /
   コラール「深き淵より、われ汝に呼ばわる」BWV.1099 S /
   コラール「いまぞ身を葬らん」BWV.1111 S /前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.531

 [CD 3] アルンシュタット時代
  J.S.バッハ:
   幻想曲 ハ短調 BWV.1121 (*) /カプリッリョ 変ロ長調「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV.992 /
   第3旋法による前奏曲とパルティータ ヘ長調 BWV.833 (*) /組曲 イ長調 BWV.832 (*) /
   アリアと変奏 イ短調 BWV.989 (*) /前奏曲とフーガ ト短調 BWV.535a /ソナタ ニ長調 BWV.963 (*) /
   フーガ イ長調 BWV.950 (*) /幻想曲 ト長調 BWV.571 /前奏曲とフーガ ホ短調 BWV.533 (*) /
   前奏曲(幻想曲)と模倣曲 ロ短調 BWV.563 (*) /アルビノーニの主題に基づくフーガ ロ短調 BWV.951a (*)

 バンジャマン・アラール(Org;無印|使用楽器:ジルバーマン、1718年製/Cemb;*
  |使用楽器:エミール・ジョバン製作〔モデル:1612年リュッケルス&ジョアンヌ・ドゥルケン(1747) 〕

 ジェルリンド・ゼーマン(S S 〔CD3の担当曲目は代理店アナウンスに誤記があり不明〕
 録音:アナウンスに時期未記載、聖オーレリー教会、ストラスブール(無印)/他。 『注目の鍵盤奏者バンジャマン・アラールによる、J.S.バッハの鍵盤作品を全て録音するプロジェクトの第1弾!作曲年代順に、J.S.バッハのチェンバロとオルガンの作品両方を一人の演奏家が演奏するという壮大なプロジェクトです。この第1弾では、1699年から1705年の間の作品(J.S.バッハが10代で作曲したもの)を収録。早熟なバッハの才能と感性が遺憾なく発揮された作品ばかりです。CD1では、アルンシュタットでの最初のポスト、オルガニストとしての驚くべき能力が詰め込まれた作品や、先人たちへ敬意とその作品への探求の度合いも並大抵のものではなかったことが感じられる作品が並び、我々のバッハの世界への耳があらためてひらかれるようです。オルガンの音色もチェンバロの音色もハルモニアムンディの最良の録音、そしてコラール楽曲で参加しているソプラノの歌声も清らか。少年バッハの驚異的世界を堪能できます。バンジャマン・アラールは1985年生まれ、2004年のブルージュ国際チェンバロコンクールで第1位を獲得しています。バーゼル音楽院で、アンドレア・マルコンらに師事しています。2005年から教会のオルガン奏者も務める傍ら、クイケン率いるラ・プティット・バンドで通奏低音奏者として活躍するほか、ソリストとしても活躍しています。アルファなどのレーベルからも既にディスクを発売しており、いずれも高く評価されています。』
HMM-902453/56
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北へ〜J.S.バッハ(1685-1750):鍵盤のための作品全集 Vol.2
 [CD1] リューベック
  ブクステフーデ:「今ぞ喜べ、愛するキリストのともがらよ」 BuxWV.210 / パッヘルベル:フーガ ロ短調
  J.S.バッハ:主キリスト、神のひとり子よ BWV.Anh.55 /輝く曙の明星のいと美わしきかな BWV.739
          コラール「ああ主よ、哀れなる罪人われを」BWV.742 /フーガ ロ短調 BWV.579 /
          コラール「キリストは死の縄目につながれたり」 BWV.718 /フーガ ト長調 BWV.577 /
          パルティータ「おお神よ、汝義なる神よ」BWV.767 /前奏曲とフーガ ホ長調 BWV.566
 [CD2] ハンブルク
  J.S.バッハ:トッカータ ニ長調 BWV.912a /イエスよ、わが命の命 BWV.1107
  パッヘルベル:コラール「憐れみたまえ 永遠なる神よ」
  J.S.バッハ:いと尊きイエスよ、われらはここに集いて BWV.754 /
          「われ汝に別れを告げん」にもとづくファンタジア BWV.735a /フーガ ト短調 BWV.578 /
          フーガ ハ短調(レグレンツィの主題による)BWV.574b /フーガ ハ短調 BWV.575
  ラインケン:コラール幻想曲「バビロンの流れのほとりで」
  J.S.バッハ:前奏曲 イ短調 BWV.569 /われらが神は堅き砦 BWV.720 /前奏曲とフーガ ニ長調 BWV.532a
    [バンジャマン・アラール(Org| Freytag-Tricoteaux (2001)
      d’après Arp Schnitger, église Saint-Vaast de Béthune ]
 [CD3] われを憐れみたまえ
  J.S.バッハ:コラール集( (*):ノイマイスター・コラール集(1695-1705年頃成立))
   われら皆一なる神を信ず〔 BWV.1098 (*)/ BWV.765 (#) 〕/天にましますわれらの父よ BWV.737 (#) /
   おお、神の子羊、罪なくして〔 BWV.1085 (*) / BWV.1095 (*/#) 〕/
   汝、平和の君、主イエス・キリスト BWV.1102 (*) /おお主なる神よ、汝の聖なる御言葉は BWV.1110 (*) /
   われらキリストの徒 BWV.1090 (*/#) /心より慕いまつるイエスよ、汝いかなる罪を犯し BWV.1093 (*) /
   神はわが救い、助けにして慰め BWV.1106 (*) /かくも喜びに満てるこの日 BWV.719 /
   ただ汝にのみ、主イエス・キリストよ BWV.1100 (*) /アダムの堕落によりてことごとく腐れたり BWV.1101 (*) /
   キリストよ、汝真昼の光 BWV.1120 (*) /ああ、主なる神よ BWV.714 /主なる神よ、われを憐れみたまえ BWV.721 /
   イエス・キリストが夜に BWV.1108 (*) /われは汝に依り頼む、主よ BWV.712 /
   パルティータ「キリストよ、汝真昼の光」BWV.766
 [CD4] 旅人
  J.S.バッハ:ソナタ イ短調 BWV.965-966 (原曲:ラインケン「音楽の園」第1ソナタ)
  パッヘルベル:トッカータ ハ長調 / ブクステフーデ:フーガ ハ長調 BuxWV.174
  J.S.バッハ:トッカータ ホ短調 BWV.914 /フーガ イ短調 BWV.959 /
          カンツォーナ ニ短調 BWV.588(フレスコバルディ「音楽の精華」の主題によるフーガ)/
          幻想曲 ト短調 BWV.917 /フーガ 変ロ長調 BWV.955a (エルゼーリウスのフーガに基づく)/
          トッカータ ニ短調 BWV.913a
    [ゲルリンデ・ゼーマン(S;#) バンジャマン・アラール
      (クラヴィオルガヌム|ブルーメンレーダー、2009-2010)、
      (Cemb|フランソワ・チョッカ (Riccia, 2003)〔グリマルディ・モデル(メッシーナ、1697年製)〕、
      (Org|ケンティン・グルーメンレーダー (Haguenau, 2010 )]
 録音:2018年5月、10月-11月。注目の鍵盤奏者バンジャマン・アラールによる、J.S.バッハの鍵盤作品を全て録音するプロジェクトの第2弾!第1弾(HMM-902450)では1699年から1705年の間のJ.S.バッハが10代で作曲したものを収録。「北へ」と題した当第2弾では、15歳で兄のもとを離れて北ドイツのリューネブルクに向かったバッハが、ゲオルク・ベームやラインケンのオルガン演奏および音楽に出会い、さらに20歳の頃にはリューベックの地でブクステフーデに傾倒した時期の、バッハの作品および、バッハの先達たちの作品群がプログラムされている。ブクステフーデ、ラインケン、そしてパッヘルベルらの音楽が、若きバッハの鍵盤作品創作のスタイルの基礎をためしたことがよくわかる興味深いプログラミングとなっている。アラールは2018年12月に来日しており、オルガン演奏でみせる華麗なテクニックと骨太なストイックさをあわせもつ若き巨匠的音楽、そしてチェンバロでも圧倒的な説得力で聴衆を魅了した。ラ・プティット・バンドなどでも活躍しており既に古楽ファンを中心に知られていた本格派の鬼才アラールの、体系的な録音プロジェクトということで世界から注目を集めている。このボックスではクラヴィオルガヌムが用いられているのも聴きどころ。クラヴオルガヌムは18世紀中頃に作られていた、弦とパイプを同時に鳴らす、チェンバロとオルガンの機能を併せもった楽器。バッハはクラヴィオルガヌムのために特定の作品を書いているわけではないが、アラールはいくつかの楽曲をクラヴィオルガヌムで演奏、チェンバロとオルガンの良さを一度に味わえるような、不思議な魅力の楽器の音色もたのしむことが出来る。
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J.S.バッハ(1685-1750):鍵盤のための作品全集 Vol.3 〜
  フランス風に/パルティータ、フランス風序曲、パッサカリア、トッカータ・・・

 *フランス風に(*)
   J.S.バッハ:序曲(組曲) ヘ長調 BWV.820 /組曲 ヘ短調 BWV.823 /
           プレリュード(アルペッジョによるプレリュード) ハ短調 BWV.921 /組曲 変ホ長調 BWV.819
   ヨナン・カスパール・フェルディナンド・フィッシャー(1656-1746):
    プレリュード第8番/シャコンヌ(ト長調/クラヴサン曲集 Op.2, 1696より)
   J.S.バッハ:3つのメヌエット BWV.841, 842, 843
   F.クープラン:クープラン(クラヴサン曲集第4巻第21組曲)
   J.S.バッハ:組曲 イ短調 BWV.818a / F.クープラン:第5のプレリュード
   J.S.バッハ:プレリュードを伴う組曲第1番 イ長調 BWV.806a(イギリス組曲第1番初稿)

 *いと高きところには神にのみ栄光あれ(#)
   J.S.バッハ:
    アリア ヘ長調 BWV.587(F. クープラン:諸国の人々〜神聖ローマ帝国人第1曲)/
    マニフィカト(ドイツ語マニフィカトに基づくフーガ) BWV.733 /
    コラール「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」 BWV.709 /
    トリオ・ソナタ「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」 BWV.655a /
    コラール「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」 BWV.726 /
    プレリュードとフーガ ハ短調 BWV.546 /コラール「いと高きところには神にみ栄光あれ」 BWV.711 /
    コラール「いと高きところには神にみ栄光あれ」 BWV.717 /
    コラール「いと高きところには神にみ栄光あれ」 BWV.715 /
    コラール「いと高きところには神にみ栄光あれ」 BWV.663a(ヴァイマール版)/
    ファンタジー ト長調(オルガン曲) BWV.572 /コラール「いまぞ喜べ、汝らキリストの徒よ」 BWV.734
   ニコラ・ド・グリニー(1672-1703):パンジェ・リングァ / アンドレ・レゾン:クリステ
   J.S.バッハ:パッサカリア BWV.582

 *舞曲による組曲(+)
   J.S.バッハ:イギリス組曲〔第4番 ヘ長調 BWV.809 /第2番 イ短調 BWV.807 〕/
           リュート(リュート・クラヴィーア)組曲 ホ短調 BWV.996

 バンジャマン・アラール
  (Cemb;*/+|使用楽器:
     18世紀初頭製〔フランス、アッサ城〕(*) /
     フィリップ・ユモー、1989年製〔モデル:カール・コンラート・フライシャー、1720年頃製〕(+) /

   Org;#|使用楽器:ジルバーマン、1710年製
 録音:2018年4月、アッサ城(*) /2019年5月、聖エティエンヌ修道院、マルムティエ(#) /2019年9月、アントナン・アルトー・オーディトリウム(+)、すべてフランス。注目の鍵盤奏者バンジャマン・アラールによる、J.S.バッハの鍵盤作品を全て録音するプロジェクトの第3弾!第1弾(HMM-902450)では1699年から1705年の間のJ.S.バッハが10代で作曲したものを収録。「北へ」と題した第2弾(HMM-902453)では、15歳で兄のもとを離れて北ドイツのリューネブルクに向かったバッハが、先人達、とりわけブクステフーデに傾倒した時期の作品群が収められていた。この第3弾では、23歳でヴァイマールの宮廷につかえるようになったバッハが、「若き巨匠」として鳴らした時期の、フランス音楽への顕著な興味と表情豊かな試みが見られる作品が収められている。当時フランスの鍵盤作品はヨーロッパを席巻しており、バッハもその影響を大いに受けた。バッハはヴァイマールの宮廷に仕える前から、フランスの舞曲を兄のヨーハン・クリストフ・バッハやゲオルク・ベームのコレクションから多数写譜して研究していたといいます。[CD2]はオルガン作品。クープランの「諸国の人々」の神聖ローマ帝国を、バッハが編曲したものも収録(この楽曲は、ピゼンデルが当時ドイツでもしばしば演奏していたため、よく知られていた)。アラールが今回選んだオルガンは1710年ジルバーマン製で、フランスのオーケストラ、あるいはリュリのオペラのような、あらゆる音色を兼ね備えた楽器で、音色の豊かさに驚かされる。アラールのセンスあふれる装飾も楽しめる。また、イギリス組曲が収録されています。「イギリス」という名称は後世につけられたが、冒頭に大規模なプレリュードが置かれ、その後フランスはじめ様々な国を起源とする舞曲で構成されている。 BWV.806aはヴァイマール時代に成立している。全体を通して、アラールの示唆に富んだプログラムと演奏の抜群のセンス、そして、バッハが、ブクステフーデやドイツの先人たちのみならず、フランスの幅広いスタイルまでを貪欲に研究し、それをレヴェルを高めたかたちで自らのものとして体得し、作品を書いていたという事実にあらためて驚かされる内容となっている。
HMM-902460/62
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J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集 Vol.4 〜ヴェネツィア風―イタリア様式の協奏曲
 [CD1]
 協奏曲 ト長調 BWV.973(原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 ト長調 RV.299 )/
 協奏曲 ト短調 BWV.975(原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 ト短調 RV.316 )/
 協奏曲 ロ短調 BWV.979(原曲:トレッリのヴァイオリン協奏曲)/
 協奏曲 ニ長調 BWV.972(原曲:ヴィヴァルディヴァイオリン協奏曲 ニ長調 RV.230 )/
 幻想曲とフーガ イ短調 BWV.944 /協奏曲 ニ短調 BWV.974(原曲:マルチェッロのオーボエ協奏曲 ニ短調 S.Z.799 )/
 前奏曲とフーガ イ短調 BWV.894 /
 協奏曲 ト長調 BWV.980(原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 変ロ長調 RV.381
 [CD2]
 オルガン協奏曲 イ短調 BWV.593
  (原曲:ヴィヴァルディの2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 Op.3 No.8 RV.522 )/
 協奏曲 ヘ長調 BWV.978(原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 ト長調 RV.310 )/
 オルガン協奏曲 ニ短調 BWV.596
  (原曲:ヴィヴァルディの2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ニ短調 Op.3 No.11, RV.565 ) /
 協奏曲 ハ長調 BWV.976(原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 ホ長調 RV.265 )/
 前奏曲とフーガ ト短調 BWV.535 /
 オルガン協奏曲 ト長調 BWV.592
  (原曲:ザクセン=ヴァイマール公子ヨハン・エルンストの消失したヴァイオリン協奏曲)/
 フーガ ト短調 BWV.542-2
 [CD3]
 オルガン協奏曲 ハ長調 BWV.594
  (原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 ニ長調「グロッソ・モグール」 RV.208 )/
 コラール前奏曲「われいずこに逃れゆくべき」 BWV.694 /トリオ ニ短調 BWV.583 /
 コラール前奏曲「われ汝に別れを告げん」 BWV.736 /コラール「いと高きところには神にのみ栄光あれ」 BWV.664 /
 コラール前奏曲「われらみな唯一なる神を信ず」 BWV.Anh.697 /
 コラール前奏曲「高き天よりわれは来れ」 BWV.Anh.658 /コラール前奏曲「大いに歓べ、わが魂よ」 BWV.Anh.529 /
 コラール前奏曲「イエス、わが喜び」 BWV.Anh.58 /トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV.564

 バンジャマン・アラール
  (Cemb;[CD1]|使用楽器:マッティア・デ・ガンド、ローマ、1702年制作
    〔グラツィアーノ・バンディーニ、ボローニャ、2016年修復
)/
   ペダル付Cemb;[CD2]|チェンバロ:フィリップ・ユモー、バルバスト、1993年制作〔モデル:
     カール・コンラート・フライシャー、ハンブルク、1720年制作〕|
                ペダル:クエンティン・ブルメンローダー、アグノー、2017年制作
)/
   Org;[CD3]|アンドレアス・ジルバーマン、1710年制作
    〔クエンティン・ブルメンローダー、アグノー、2010年修復〕
 録音:2020年6月28日-30日、サンタ・カテリーナ博物館、トレヴィーゾ、イタリア[CD1] /2019年5月6日-7日、アントナン・アルトー講堂、イヴリー、フランス[CD2] /2019年9月18日、マルムーティエ大修道院、ストラスブール近郊、フランス[CD3] 。注目の鍵盤奏者バンジャマン・アラールによる、J.S.バッハの鍵盤作品を全て録音する一大プロジェクトの第4弾の登場!アラールは1985年、フランスのルアン生まれ。2004年に開かれた古楽演奏の登竜門であるブルージュ国際古楽コンクールに18歳で優勝したのち、クイケンにその才能を評価されてラ・プティット・バンドのメンバーとして活 躍 。その後はソリストとして世界 各地で演奏活 動 を展 開している。第4弾は「ヴェネツィア風―イタリア様式の協奏曲」と題した3枚組。[CD1]にはヴァイマール時代後期、ヨハン・エルンスト公子の注文を受けて行われたイタリア様式を取り入れた協奏曲のクラヴィーア用編曲群でその作品はヴィヴァルディ、トレッリ、マルチェッロの協奏曲に基づ来る。アラールはこれらの作品をマッティア・デ・ガンドの歴史的なチェンバロを用いて演奏している。[CD2]には種々の協奏曲のオルガン編曲作品を中心に収録。アラールがここで使用した楽器は、なんとペダル付きチェンバロ。通常 BWV.593や BWV.596の協奏曲はオルガンで演奏されるが、当時のドイツではペダル付のクラヴィコードも演奏されていたことから、アラールが以前から愛奏しているチェンバロにペダルを付けて演奏している。アラールは「私の考えでは、ペダル付のチェンバロでの演奏はバッハがこれらの編曲作品を作ったときに意図した物。」と語っており、実に興味深い試みと言える。[CD3]は有名なジルバーマン兄弟の兄、アンドレアス(アンドレ)・ジルバーマン(1678-1734)が1710年に制作した歴史的なオルガンを用いての演奏。この楽器はアンドレアスが制作したオルガンの中で現在も状態が良いと評価されている数少ない銘器。アラールはオルガン協奏曲の中でも大曲の協奏曲 ハ長調 BWV.594を収録。また、最後にはトッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV.564を演奏している。この作品は北ドイツの伝統的様式と、新しいイタリア協奏曲様式が融合した「イタリア体験」の結実ともいえる名曲。アラールの実に練りこまれたプログラミングと時代背景を考えた楽器の選択は脱帽の一言。若き名手がバッハの鍵盤作品の世界に時代を追って旅することのできる唯一無二のプロジェクト。続編にも期待が高まる充実の演奏。
HMM-902463/65
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バンジャマン・アラール〜J.S.バッハ:
  鍵盤のための作品全集 Vol.5 「トッカータ」〜ヴァイマール期 1708-17

 ◆ CD 1 :使用Org:ケンティン・ブルーメンレーダー、パリ、改革派教会(Temple du Foyer de l’Âme) (2009)
  トッカータ ニ短調 BWV.565 /
  コラール前奏曲〔主なる神、われらの側にいまさずして BWV.1128 /
          いと尊きイエスよ、われらはここに集いて(2曲) BWV.730-731 〕/
  前奏曲とフーガ ハ長調 BWV.545a (ヴァイマール時代旧稿)/
  コラール前奏曲〔イエスよ、わが喜び BWV.713 /われらに救いを賜うキリストは BWV.747 /
          心よりわれこがれ望む BWV.727 /いと尊きイエスよ、われらはここに集いて BWV.706 /
  前奏曲とフーガ イ短調 BWV.543 (前奏曲を現行のものより短い BWV.543/1a で演奏)/
  キリストは死の縄目につながれたり BWV.695 /トリオ・ソナタ ニ短調 初期稿 BWV.528/2a (early version) /
  トッカータとフーガ ヘ長調 BWV.540
 ◆ CD 2 :使用Cemb:ペダル付(チェンバロ:フィリップ・ユモー、バルバスト、1993年製
      〔モデル:カール・コンラート・フライシャー、ハンブルク、1720年製〕/
     ペダル:クエンティン・ブルメンローダー、アグノー、2017年製)
  トッカータ ハ短調 BWV.911 /前奏曲とフーガ イ長調 BWV.536a /幻想曲とフーガ イ短調 BWV.904 /
  トッカータ 嬰ヘ短調 BWV.910 /コラール・パルティータ「喜び迎えん、慈しみ深きイエスよ」 BWV.768 /
  トッカータとフーガ ニ短調 BWV.538
 ◆ CD 3 :使用クラヴィコード:エミール・ジョビン、1998年製〔モデル:クリスティアン・ゴットフリート・ゲラ、
       1773年、フィルハルモニー・ド・パリ、音楽博物館コレクション〕
  トッカータ ト長調 BWV.916 /協奏曲 ト短調 BWV.985(テレマンの未出版協奏曲の編曲)/
  フゲッタ〔いざ来ませ、異邦人の救い主 BWV.699 /高き天よりわれは来たり BWV.701 /
       讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ BWV.697 /幼子イエスはわが慰め BWV.702 /
       神の子は来たりたまえり BWV.703 /査能の神に讃美あれ BWV.704 /
       キリストをわれらさやけく頌め讃うべし BWV.696 /主キリスト、神の独り子 BWV.698 〕/
  協奏曲 変ロ長調 BWV.982 (J.エルンスト公のヴァイオリン協奏曲 Op.1 No.1
    〔テレマンの編集により1718年フランクフルトで出版〕の編曲)/
  協奏曲 ニ短調 BWV.987 (J.エルンスト公のヴァイオリン協奏曲 Op.1 No.4 の編曲)/
  讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ BWV.722 /神を讃えまつれ、汝らキリストの徒よ、こぞりて BWV.732 /
  甘き喜びに包まれ BWV.729 /高き天よりわれは来たり BWV.738a (数字付低音による異稿、アルンシュタット時代)/
  前奏曲とフーガ イ短調 BWV.895 /協奏曲 ハ短調 BWV.981(マルチェッロのヴァイオリン協奏曲 Op.1 No.2 の編曲)

 バンジャマン・アラール(Org/Cemb/クラヴィコード)
 録音:2019年4月 (CD1)、2019年9月 (CD2)、2020年9月 (CD3) 。注目の鍵盤奏者バンジャマン・アラールによる、J.S.バッハの鍵盤作品を全て録音する一大プロジェクトの第5弾の登場!オルガンやチェンバロによって、バッハの鍵盤作品をすべて録音していく(作曲年代順)というプロジェクト。今回は、バッハのヴァイマール時代(1708-1717)に作曲された作品を収録している。ヴァイマールの地では、バッハは宮廷楽団の楽師および宮廷の礼拝堂のオルガニストを務めていたこともあり、オルガン作品が多く書かれた時期でもある。ヴィルトゥオーゾ的、即興的要素に満ちたトッカータの様式の作品が多く書かれ、あの有名な「トッカータ ニ短調 BWV.565」もこの時期に書かれている。今回の目玉の一つは、クラヴィコードが登場すること。たとえば BWV.895の前奏曲でのアラールの即興的で歌に満ちた緻密な空気が、クラヴィコードの素朴であたたかみのある音色によって、却って際立つような不思議な印象。壮大にして荘厳なオルガン、チャーミングで雄弁なチェンバロ、そしてユニークな繊細さをもつクラヴィコードと、3つの楽器の特徴を見事にとらえて弾き分けているアラールの技量に感服。アラールのシリーズ、ますます充実、注目。
HMM-902466/68
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バンジャマン・アラール〜J.S.バッハ:
  鍵盤のための作品全集 Vol.6 「 Das Wohltemperierte Klavier
   〔うまく調律されたクラヴィーア〕(平均律クラヴィーア曲集第1巻)」他

 ◆ CD 1 (*) : W. F. バッハのためのクラヴィーア小曲集 & 6つの小前奏曲
  6つの小前奏曲 BWV 933-938 /平均律クラヴィーア曲集第1巻 より 前奏曲 Nos.2-6, 8-12 /
  前奏曲〔ハ長調 BWV.846a /ハ長調 BWV.924a( W. F. バッハ?)/ヘ長調 BWV.928 /
      ニ短調 BWV 926 /ホ短調 BWV.932(W. F. バッハ?) /ニ長調 BWV.925 〕/
  小前奏曲〔ハ長調 BWV.924 /ヘ長調 BWV.927 /ト短調 BWV.930 〕/運指練習曲 ハ長調 BWV.994 /
  コラール前奏曲〔イエスよ、わが喜び ニ短調 BWV.753 /尊き御神の統べしらすままにまつろい イ短調 BWV.691 〕/
  フーガ〔ハ長調 BWV.953 /ホ短調 BWV.855a 〕/アルマンド ト短調 BWV.836 ( W. F. バッハとの合作?)/
  前奏曲とフゲッタ〔ニ短調 BWV.899 /ト長調 BWV.902a & BWV.902a/2 〕
 ◆ CD 2-3 (#):平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV.846-869 (全曲)

 バンジャマン・アラール(クラヴィコード;*/三段鍵盤Cemb;#)
 録音:2021年6月8日-11日、プロヴァン、セーヌ=エ=マルヌ県|使用楽器:ともにヨハン・アドルフ・ハス、ハンブルク、1763年製(*)、1740年製(#)、ともにプロヴァン楽器博物館コレクション。アラールによる、バッハの鍵盤作品をすべて録音するプロジェクトの第6弾。「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の登場。これまでの5巻で、若きバッハの作品(および影響を受けた他の作曲家の作品)から、ヴァイマール時代までを録音してきたアラール。今回の平均律クラヴィーア曲集第1巻は、ちょうど2021年2022年が第1巻成立300年の記念年にあたるという絶妙なタイミングでのリリースとなる。といっても、そこはアラール、まずはCD1で、「平均律」の母体となった、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集などからの作品を、クラヴィコードで演奏し、聴き手の耳と心を「平均律」の前にととのえてくれるようなセッティング。まるで実際にバッハ父子が楽曲を演奏している部屋に迷い込んだような気分になる。平均律では、アラール自身がさだめた順番で曲がおさめられている。ここで使用した楽器は、“歴史的 "チェンバロ、1740年製のヨハン・アドルフ・ハス。三段鍵盤を擁し、繊細でいながら実にカラフルかつパワフルな音色が魅力の楽器。アラールは、バッハも、特にライプツィヒ時代には様々な鍵盤楽器を自由に使えたはずで、おそらくはここで使用したような、規模の大きな楽器も愛奏していたのではないか、としている。平均律のもつ大きな宇宙の広がりを感じる演奏。
HMM-902469/71
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バンジャマン・アラール、J.S.バッハ(1685-1750):
  鍵盤のための作品全集 Vol.8 、ケ-テン、1717-1723 〜マリア・バルバラに捧げる
 CD1
  J.S.バッハ:ソナタ ニ短調 BWV.964 (原曲:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV.1003) /
          シャコンヌ ニ短調(原曲:ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004 〜第5曲)/
          前奏曲とフーガ(原曲:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV.1001 〜第2曲)/
          アダージョ ト長調 BWV.968(原曲:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 BWV.1005 〜第1曲)/
          ペダル練習曲 ト短調 BWV.598 (*) /幻想曲とフーガ BWV.542 〜幻想曲 ト短調 (*)
 CD2-3
  J.S.バッハ:インヴェンション ハ長調 BWV.772 /シンフォニア ハ長調 BWV.787 /
          インヴェンション ヘ長調 BWV.779 /シンフォニア ヘ長調 BWV.794 /
          インヴェンション ニ短調 BWV.775 /シンフォニア ニ短調 BWV.790 /
          インヴェンション ト長調 BWV.781 /シンフォニア ト長調 BWV.796 /
          インヴェンション ホ短調 BWV.778 /シンフォニア ホ短調 BWV.793 /
          インヴェンション イ長調 BWV.783 /シンフォニア ニ長調 BWV.789 /
          インヴェンション ニ長調 BWV.774 /
          インヴェンション ロ短調 BWV.786 /シンフォニア ロ短調 BWV.801
  F.クープラン:「クラヴサン奏法」〜プレリュード ニ短調
  J.S.バッハ:フランス組曲第1番 ニ短調 BWV.812
  F.クープラン:「クラヴサン奏法」〜プレリュード ト短調
  J.S.バッハ:フランス組曲第5番 ト長調 BWV.816
  F.クープラン:「クラヴサン奏法」〜プレリュード ロ短調
  J.S.バッハ:フランス組曲第3番 ロ短調 BWV.814/
          シンフォニア 変ホ長調 BWV.791 /インヴェンション 変ホ長調 BWV.776 /
          シンフォニア ハ短調 BWV.788 /インヴェンション ハ短調 BWV.773 /
          シンフォニア ヘ短調 BWV.795 /インヴェンション ヘ短調 BWV.780 /
          シンフォニア 変ロ長調 BWV.800 /インヴェンション 変ロ長調 BWV.785 /
          シンフォニア ト短調 BWV.797 /インヴェンション ト短調 BWV.782 /
          シンフォニア ホ長調 BWV.792 /インヴェンション ホ長調 BWV.777 /
          シンフォニア イ短調 BWV.799 /インヴェンション イ短調 BWV.784 /
          シンフォニア イ長調 BWV.798 /
          前奏曲 変ホ長調(フランス組曲第4番 変ホ長調 より BWV.815a 異稿)/
          フランス組曲第4番 変ホ長調 BWV.815 /前奏曲 ハ短調 BWV.999 /
          フランス組曲第2番 ハ短調 BWV.813
  F.クープラン:「クラヴサン奏法」〜プレリュード ホ短調
  J.S.バッハ:フランス組曲第6番 ホ長調 BWV.817

 バンジャマン・アラール(クラヴィコードCemb〔CD1、およびインヴェンション&シンフォニア〕/
             Cemb〔 CD2-3 のプレリュードと組曲〕
 録音:2021年6月(プレリュード、組曲)/2021年12月(インヴェンションとシンフォニア、その他の作品)|使用楽器:エミール・ジョバン、2018年製、およびクリスティアン・ゴットフリート・フリーデリキ、1773年製〔うち (*):ケンティン・ブルーメンレーダー制作によるペダル・ボードを使用〕( CD1 および CD2-3 のインヴェンション&シンフォニア)/ヨアンネス・クシェ製〔1720年頃、フランソワ=エティエンヌ・ブランシェ鑑定| Musee instrumental de Provins コレクション〕( CD2-3 のプレリュードと組曲)。名手アラールによる偉大な挑戦、バッハの鍵盤作品全集第8集は、インヴェンションとシンフォニア、そしてフランス組曲ほかを収録。楽器は、チェンバロ、クラヴィコード、ペダル・クラヴィコードを用いている。タイトルにある「マリア・バルバラ」(1684-1720)はバッハの最初の妻。彼女の父はオルガン奏者にして作曲家であり、父から音楽教育を受けたと考えられているが、あまり詳しいことはわかっていない(W. F. バッハやC.P.E.バッハら、作曲家として現在にも名を残している息子はマリア・バルバラとの子供)。1717-23年頃に書かれた(と考えられる、あるいは浄書譜が残っている)作品には少なからずマリア・バルバラと生活を共にしていた時に完成、あるいは着想されたものが多数あるはず、ということで、アラールはこのアルバムに、「マリア・バルバラ」の名前を入れている。「ケーテン時代」にバッハが仕えていたケーテン侯は、カルヴァン派(音楽が信仰の妨げになるという考え)だったため、バッハは教会カンタータは書きませんだった。この時期には世俗音楽を多数書き、「ブランデンブルク協奏曲」「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」「インヴェンション」「平均律第1巻」などがこの時代の自筆譜で伝えられている(すべてがこの時期に作曲・完成されたかどうかは不明)。1720年7月、バルバラが亡くなる。無伴奏ヴァイオリンの作品などは、マリア・バルバラの死への悲しみの感情が迸っていると言われることもある。ここでは、無伴奏ヴァイオリンの作品を鍵盤で演奏しております(バッハもしばしばこのように演奏したと伝えられている)。フランス組曲は1722-25年、アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集へ書き込まれる形で初稿譜が誕生している。歴史的チェンバロ、1645年製のクーシェで演奏されており、フランス風の細密画の非常に特別な世界を垣間見せてくれる。F. クープランの手法で描かれた肖像画のようでもあります。アラールは、フランス組曲の第1, 2, 5, 6番の前に、F . クープランの≪クラヴサンの技 法 ≫から、関 係 調のプレリュードを配して演奏、これによりバッハ、F . クープランの作品がそれぞれより際 立って来る。インヴェンションとシンフォニアもクラヴィコードでの演奏によるが、バッハは、インヴェンションとシンフォニアのタイトルページで、これらの曲がクラヴィコード特有の「カンタービレ」の演奏スタイルを身につけるためのものであると明確に記している。当時から1850年頃まで、ドイツ語圏ではクラヴィコードが音楽全般、特に鍵盤音楽を学ぶための基本的な道具だった。アラールの演奏により、インヴェンションとシンフォニアの、バッハが聴いていたであろう響きによる演奏を識ることが出来る。通常オルガンで演奏される作品([CD1]の9および10)が、ここではペダル・クラヴィコードで演奏・録音されていることにもアラールのこだわりが。当時オルガンを実際に演奏するには、人力によってパイプに風を送り込まなければならず、いつも自由に演奏できるものでは無かった。時に奏者はペダル・クラヴィコードで練習していた。 BWV.598のペダル練習曲は、大バッハのペダルの技術の驚異性を伝えるもので、エマヌエル・バッハの筆者譜によって伝えられている。アラールの足 鍵盤の技 術にも注目。バッハの作品ひとつひとつの完成度の高さに驚くとともに、バッハの生 涯や生 活 、周囲の環 境までにも思いを馳せながら聴くことができ、アラールがいよいよバッハに肉薄していることも感じられる、非常に濃い内容の3枚組となっている。
HMM-902472/73
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バンジャマン・アラール、J.S.バッハ(1685-1750):
  鍵盤のための作品全集 Vol.9 、ケ-テン、1717-1723 〜幸福なとき
 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903 /イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV.811 /
 協奏曲 ハ長調 BWV.984(J. エルンスト公子のヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Op.1 No.4の編曲)/
 カンタータ「裏切り者なる愛よ」 BWV.203 (*)
  (通奏低音チェンバロのみの伴奏による|バス独唱用カンタータ。歌詞作者不詳)/
 ブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV.1050 /
 イギリス組曲〔第3番 ト短調 BWV.808 /第5番 ホ短調 BWV.810 〕

  バンジャマン・アラール(Cemb|使用楽器:ヒエロニムス・アルブレヒト・ハス
      [Hieronymus Albrecht Hass] 、ハンブルク、1740年製

  マルク・モイヨン(B;*) シーン・ユイブレヒツ(Fl−tr) アンヌ・ペッカ、
  パウル・モンテイロ(Vn) サマンサ・モンゴメリ(Va) ロナン・ケルノア(バス・ヴィオール)
 録音:2023年4月-5月。新世代を代表するチェンバロ・オルガン奏者、バンジャマン・アラールによるバッハのシリーズ、第9巻の登場。有名な「半音階的幻想曲とフーガニ短調 BWV.903」をはじめ、オケパートは総勢5名(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、通奏低音1、フルートで演奏された「ブランデンブルク協奏曲第5番」まで、アラールの雄弁なチェンバロが華麗に響き渡る、怒涛の内容。ケーテン時代にバッハが仕えたレオポルト侯爵は、信仰の妨げになるとして音楽を制限したカルヴァン派だったため、この時期、教会カンタータは書かれず、ブランデンブルク協奏曲や、無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータなど、世俗音楽が多数成立している。前作の第8巻では、クラヴィコードが用いられていることでも話題になった。「半音階的幻想曲とフーガ」について、アラールは、バッハの最初の妻マリア・バルバラの予期せぬ辛い死の余波の中で作曲された可能性が高いと述べ、この苦悩に満ちた性格はクラヴィコードにも適していると考えたけれど、最終的にヒエロニムス・アルブレヒト・ハス(Hieronymus Albrecht Hass)作の素晴らしいチェンバロで演奏している。結果、広い音域、そして様々なストップ(リュートストップなど)のおかげで、さまざまな色を聴くことができ、また、アラールの、よい意味でのけれんみも感じさせる演奏が非常に映えている。イギリス組曲 BWV.806-811からは3曲を収録(イギリス組曲第1番初稿、第2番、第4番は第3巻に収録)。イギリス組曲は1719-1725年に成立されたと考えられている。ラ・プティット・バンドでも演奏していたアラールは、彼らとのブランデンブルク協奏曲第5番でも際立った演奏をして人々の印象にのこっているが、ここでのアラールは、歌と華やかさが炸裂している。アラールがまさに乗りに乗っていることを感じさせる、超充実の第9巻。
HMM-902498/99
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J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集 Vol.7 〜
  オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集) BWV.599-644
( BWV.633 の異稿 BWV.634 は未収録)
 バンジャマン・アラール(Org) マリーヌ・フリブール合唱指揮ベルガマスク声楽アンサンブル、
 エミリー・フルーリー合唱指揮パリ・ノートル=ダム児童cho.
 録音〔使用楽器〕:2019年5月、2021年1月、改革派教会、パリ〔ケンティン・ブルーメンレーダー(2009) 〕。 バッハ・ファンのみならず世界中の音楽ファンから熱い注目を集めるアラールのバッハ・プロジェクト第7弾は、オルゲルビュヒライン(オルガン小曲集)。1708-1717年にかけて書き進められた、礼拝などで会衆がコラールを唱和するのに先立ち、オルガンによって演奏される“コラール前奏曲 "集。このバッハのオルゲルビュヒラインは45曲からなり、コラール(讃美歌)の旋律に基づく楽曲が、待降節、クリスマス、新年、受難節、復活節というように、教会暦に沿って並べられている( BWV.635以降は特定の祝日にとらわれない種々のコラール)。コラール旋律は上声部にほぼそのまま現れる一方、下の三声部では、歌詞が歌う内容を動機や音型で巧みに表しており、奏者にはコラールそのもの及びテキストや関連聖句などに関する深い理解が求められる。バッハ自身によって「初歩のオルガニストが、コラールをさまざまな仕方で展開するための手引き、さらにペダル演奏を習得するための手引き」とこの楽譜帳に書き込まれていますが、実際の内容や要求される技巧は、超絶技巧と複雑かつ華麗な対位法が織りなす洪水の中からコラール旋律が浮かびあがってくる数々の“オルガン・コラール "と同等か、それ以上かもしれない。ここでは、アラールの清冽な音色によるオルガン独奏、そしてそれに続いてピュアな歌声でコラールが唱和されることにより、この曲集の神髄を聴くことが出来る。アラールの演奏は、華麗にたたみかけるようなパッセージの部分でも、聴き手をふわりと包み込むような軽やかさを備えた不思議な魅力に満ちており、そしてなにより音符に込められた様々な意味がくっきりと浮かびあがるようだ。アラールのシリーズ、ますます目が離せない。
ルイ・クープラン:新しい組曲集
 組曲〔ニ長調/ハ長調/イ長調/変ロ長調/ホ短調/ロ短調/ヘ長調/ト長調/ニ短調/イ短調/ニ短調〕

 クリストフ・ルセ(Cemb|使用楽器:
  ヨアンネス・クシェ〔アントワープ〕、1652年製〔国立音楽博物館コレクション〕
 録音:2018年1月、シテ・ド・ラ・ミュジーク、フィルハーモニー・ド・パリ内、パリ。 フランス古楽界でオペラ指揮者、そして鍵盤奏者として絶大な存在感を持つクリストフ・ルセ。最新録音は、鍵盤奏者としてのソロ。ルイ・クープランの組曲集。フランソワのおじにあたるルイ・クープラン(c.1626-1661)は、17世紀鍵盤音楽史上重要な作曲家。35歳で早すぎる死をむかえたルイは、「harmonist」としてその名をとどろかせており、その厚い和声と、効果的な場面で効果的に響くよう書かれた不協和音、すぐれた構築性などは生きていた当時から学者たちをはじめ玄人筋に喜ばれていた。ここに収録された作品も、どれも組曲ではあるが、紋切り型に終わらず、それぞれキャラクターが際だっており、ルイの偉大さを感じさせられる。フィルハーモニー・ド・パリの音楽博物館とハルモニア・ムンディのパートナーシップによって、博物館が保存している貴重な名器、1652年製のヨアンネス・クシェのピリオド楽器を演奏してのレコーディング。名手ルセの真骨頂発揮で、楽器の明瞭な発語と、豊かで鮮烈な響きに驚かされる。 (AP-006(現在廃盤)でもルイ・クープラン作品を取り上げているが、曲目は重複していない)
ベルリオーズ/エッセール編曲:
 幻想交響曲Op.14 (2台ピアノ版)
ジャン=フランソワ・エッセール、
マリー=ジョゼフ・ジュード(P)
 録音:2018年6月、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ|使用楽器:対面ピアノ、プレイエル、1928年製。 『★ベルリオーズ・イヤーの幕開けを飾る注目のアルバムがリリースされます。ベルリオーズの幻想交響曲をジャン=フランソワ・エッセールがみずから2台のピアノ用に編曲、マリー=ジョゼフ・ジュードと共演しています。★ベルリオーズの幻想交響曲の編曲といえばリストによる独奏用が有名ですが、徹頭徹尾オーケストラ的発想で作られている曲だけに、10本の指でカバーするにはリストであっても限界がありました。連弾版もいくつか作られましたが、音域がかぶる部分は必ずしも再現できませんでした。何故かこれまで2台のピアノ版がありませんでしたが、全く非ピアノ的な音楽にもっともふさわしいのは、演奏者の自由度の高いこの形態だという「コロンブスの卵」的アイディアが実現しました。★名ピアニスト、エッセールの編曲だけに華麗かつ効果的。「舞踏会」でのフランス的な洒脱さ、「断頭台への行進」迫力と終楽章の狂気いずれも充実度満点。技巧的なピアノ作品特有なボルテージの高い興奮にも満ちています。★さらに興味深いのは、通常のピアノでなく1928年プレイエル社製対面ピアノを用いていること。これは同社が1897年に開発した両サイドに鍵盤を持つ大きな長方形の楽器で、一台で2台ピアノを演奏できるもの。全部で74台製造され、コルトーやホルショフスキも所有していたとされます。今回はパリの音楽博物館所蔵の貴重なオリジナル楽器で演奏・録音となりました。コンディションの異なる2台のピアノを用いることでは達成できない響きの均一性が驚異的で、理想的なピアノ版・幻想交響曲が誕生しました。』
ベルリオーズ家の夜会 [Une Soiree chez Berlioz]
 マルティーニ:愛の喜びMs/P / レルー: Viens, aurore(アンリ IV 世の愛したロマンス)Ms/G
 ドヴィエンヌ: いつも計算ばかりしているあなたMs/G / ベルリオーズ:囚われの女(「東方詩集」より)Ms/Vc/P
 マルコ・アウレリオ・ザーニ・ド・フェッランティ(1801-1878):後悔G
 ニコラ・ダレイラク(1753-1809):誰もあなたの弓にあらがうことはできないG /おお!私のジョルジェットMs/G
 ドミニク・デッラ・マリア(1769-1800):おお!慎重な愛しい人のためにMs/G
 ベルリオーズ/リスト編曲:イデー・フィクス S.395 (アンダンテ・アモローソ|「幻想交響曲」「レリオ」から)P
 ベルリオーズ:若いブルターニュの牧童Ms/Hr/P / フェッランティ:「 Le Desir / Variation 」G
 ベルリオーズ:タージ〔タホ〕川(ブノワ・ポレによる作品のギター伴奏) H.5 Ms/G
 ドミニク・デッラ・マリア: Que d 'etablissements nouveaux Ms/G
 ジャン=アントワーヌ・メソニエ(1783-1857):愛の悲しみMs/G
 ベルリオーズ/リスト編曲:「ファウストの劫罰」〜妖精の踊りP
 ベルリオーズ:「アイルランド歌曲集」 H.38 〜散文の悲歌 H.47 Ms/P
 ジャン=アントワーヌ・メソニエ:リラ、またはギターのためのロンド第4番G
 シャルル=アンリ・プランタード(1764-1839): Bocage que l'aurore Ms/G
 ニコラ・ダレイラク:ニーナ、または愛に狂った女のロマンス「最愛の人が戻る時」Ms/G/Hp
 ベルリオーズ/リスト編曲:「イタリアのハロルド」〜巡礼の行列P

 ステファニー・ドゥストラク(Ms)
 ティボー・ルーセル(G
  使用楽器:ジャン=ニコラ・グローベール、パリ、1830年頃/国立音楽博物館所蔵、E.375

 タンギ・ド・ヴィリアンクール(P|使用楽器:プレイエル、1842年製、国立音楽博物館所蔵 E.991.16.1
 リオネル・ルヌー(ナチュラルHr|使用楽器: Courtois Neveu Aine, パリ、1815-37
 ブリュノ・フィリップ(Vc|使用楽器: Finocchi di Perugia, 1750年頃
 カロリーヌ・リービ(Hp|使用楽器: Blaicher, Paris, 1830年
 ベルリオーズは若い頃からギターに親しみ、作曲の際にギターを用いることもあった。「幻想交響曲」もギターで楽想を練ったとされている。先人達の作品を学ぶために、歌曲の編曲も行ったが、それも声とギターという編成のものだった。ここではそうしたベルリオーズによる編曲歌曲や、ベルリオーズと交流のあった同時代の音楽家たちによる作品が集められており、タイトルにあるようにベルリオーズのサロンでの音楽会のようなプログラムとなっている。さらに注目なのが、ここで演奏されているギターは、ベルリオーズ、そしてパガニーニも所有していたという楽器。さらにピアノも他の楽器もすべてベルリオーズの時代の物。ベルリオーズと彼を囲む仲間たちの気配までもが感じられそうな、特別な1枚となっている。ドゥストラクの迫力ある歌声、そしてルーセルの奏でるギターの音色、さらに名手タンギ・ド・ヴィリアンクールのピアノによるリストがベルリオーズ作品を編曲した「イデー・フィクス」(幻想交響曲のモティーフに基づく作品)も存分に楽しめる。
UNIS VERS 〜マティアス・レヴィ
  Intro 0’49 / Ginti Tihai / Sur le fil / Home de l’êtrel / Interlude / Unis vers / Extatique /
  Thelonious / Rêve d’éthiopiques / Kind of folk / Soleil dans les feuilles d’un arbre

 マティアス・レヴィ(Vn|使用楽器:ピエール・エル製「グラッペリ」、1924年
 ジャン=フィリップ・ヴィレ(Cb) セバスティアン・ジニオー(G/Vc)
 ヴァンサン・セガル(Vc) ヴァンサン・ペイラニ(アコーディオン)
 録音:2018年10月。フランスのジャズの神様、ステファン・グラッペリが愛奏していた楽器を用いての録音。この“グラッペリ "と呼ばれるピエール・エル製作のヴァイオリンは、パリの音楽博物館所蔵の品。20世紀初頭のパリのヴァイオリン制作の素晴らしい技術を物語っていると同時に、ジャズの歴史にとっても重要な楽器となっている。奏者のマティアス・レヴィは1982年生まれのジャズ音楽家。クラシック・ピアノとヴァイオリンを学び、ソルフェージュも修めたが、ジャズに傾倒(特にジョン・ゾーン)し、ジプシー・ヴァイオリンにものめり込んでいったという経歴を持つ。たしかな技術と、様々なスタイルの音楽から得たリズムやハーモニー感覚を活かし、深い語り口の演奏を聴かせる。ピエール・エルというメーカーは、ガルネリを目指して楽器制作をしていた。ピエール・エルはティボーやイザイといった演奏家とも懇意にし、エネスコは1924年のアメリカ・ツアーの際にピエール・エルの楽器を使用していた。1924年製の“グラッペリ "という楽器は、ピエール・エルのキャリアの絶頂期に作られた物。最初のオーナーはミシェル・ワーロップ。彼が1929年にこの楽器をかのグラッペリに献呈した。グラッペリがジャンゴ・ラインハルトらと録音した音源はすべてこの楽器を用いて演奏されたということになるだろう。1963年のデューク・エリントンとのセッションでも、この楽器を用いたと考えられる。1980年代になり、グラッペリはグァダニーニの楽器を用いるようになったが、このピエール・エルの楽器も定期的にメンテナンスしていた。1995年、グラッペリはその死の2年前に、この楽器を音楽博物館に寄贈した。
プルースト、1907年7月1日のコンサート
 レイナルド・アーン:クロリスに / シューマン:夕べに Op.12 No.1
 ショパン:前奏曲 変ニ長調 Op.28 No.15「雨だれ」
 フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13 /子守歌 Op.16 / クープラン:神秘的なバリケード
 フォーレ:夢のあとに/ノクターン第6番 変ニ長調 Op.63
 ワーグナー/リスト編曲:イゾルデの愛の死 / アーン:いみじき時

 テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「ダヴィドフ」、1708年
 タンギ・ド・ヴィリアンクール(P|使用楽器:エラール、1891年
 録音:2020年9月、フィラルモニ・ド・パリ、シテ・ド・ラ・ミュージック。2021年は文豪マルセル・プルーストの生誕150周年にあたる。それを記念してハルモニア・ムンディならではのアルバムが登場する。プルーストは音楽の造詣が深く、レイナルド・アーンとのパートナー関係は有名だが、若い頃からフォーレの音楽を熱愛していた。彼は「失われた時を求めて」の執筆を開始する6年前の1907年7月1日にリッツ・ホテルで「フィガロ」誌編集者ガストン・カルメットのためのディナーを催した。その際フォーレも招き自作を演奏させる企画もしたとされる。しかし土壇場でキャンセルされたため、マルグリット・アッセルマンとモーリス・アヨ、エドゥアール・リスレルでプログラムを再考したのがこの演目だった。演奏者の主張で当初企画していた趣旨から大きく変更されたが、プルーストの音楽的嗜好は反映され、アーンの美しい作品を最初と最後に、フォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番をメインに据えている。このソナタは「失われた時を求めて」に登場する架空の「ヴァントゥイユのソナタ」のモデルとみなす研究家も多く、小説成立に大きな役割を果たしたことは間違いない。また「ヴァントゥイユのソナタ」が「トリスタンとイゾルデ」の強い影響を受けているという設定から、リスト編曲の「イゾルデの愛の死」も重要。プルーストは、「失われた時を求めて」中最も感動的な「祖母の死」の場面をこの編曲を聴いた印象で書いたとも言われ、この小説が音楽から多大なインスピレーションを得ていこと、1907年7月1日のコンサートが重要なカギとなっていることを証明してくれる。フランス文学関係者必聴のアルバム。演奏は17世紀作品で高い評価を受けるテオティム・ラングロワ・ド・スワルテ。シテ・ド・ラ・ミュージックの音楽博物館所蔵の1708年製作ストラディヴァリウスの銘記「ダヴィドフ」を使用。ピアノはハルモニア・ムンディいち押しのタンギ・ド・ヴィリアンクールが同じく音楽博物館所蔵の1891年製エラールを使用。ハーフ・サイズのグラウンドで、サロンで愛用されたモデルゆえ、まさに往時の響きを再現している。
シューマン邸への招待
 クララ・シューマン:3つのロマンス Op.22 〜第1番 アンダンテ・モルト [Vn, Pf]
 ローベルト・シューマン:ミルテの花 Op.25 〜第1曲 献呈 [声, Pf]
 クララ・シューマン:ノットゥルノ [Pf]
 ローベルト・シューマン:
  ピアノ三重奏曲第2番 ヘ長調 Op.80 [Vn, Vc, Pf] /
  子供の情景 Op.15 〜第1曲 見知らぬ国と人びとから(Vn, Vc, Pf編曲版)/
  民謡風の5つの小品集 Op.102 〜第1曲 ユーモアをもって
 J.S.バッハ:小プレリュード ホ短調 BWV.938 [Pf]
 ニルス・ゲーゼ(1817-1890):エレジー (Op.19より)[Vn, Pf編曲版]
 ブラームス:49のドイツ民謡集〜お姉さん、私たちは [声, Pf]
 ローベルト・シューマン:民謡風の5つの小品集 Op.102 〜第2曲 ゆるやかに [Vc, Pf]
 メンデルスゾーン:アンダンテ&アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ Op.92 [4手ピアノ]
 テオドール・キルヒナー(1823-1903):色とりどりの作品 Op.83 第1巻〜第6番 無言歌 [Vn, Vc, Pf]
 ローベルト・シューマン:6つの詩 Op.90 〜第2曲 私のばら [声, Pf]
 D.スカルラッティ:ソナタ ト短調 [Pf] / ブラームス:子守歌 Op.49 No.4 [声, Pf]
 ローベルト・シューマン:子供の情景 Op.15 〜第13曲 詩人のお話 [Vn, Vc, Pf編曲版]

 トリオ・ディヒター
  [テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn|使用楽器:アレッサンドロ・ガリアーノ、1700年製)
   ハンナ・ザルツェンシュタイン(Vc|使用楽器:ピエトロ・ガルネリ、1734年製)
   フィオナ・マト(P|使用楽器:ベーゼンドルファー、1890年頃製)
   以上、使用楽器はすべてフランス国立音楽博物館のコレクションより]

 サミュエル・ハッセルホルン(Br) ホルヘ・ゴンザレス・ブアハサン(P|4手作品)
 録音:2022年6月22日-23日、9月12日-15日、シテ・ド・ラ・ミュジーク・オーディトリウム、パリ。フランスの俊英ヴァイオリン奏者ド・スワルテらをメンバーとするトリオ・ディヒター("詩人トリオ ")。初 CDとして彼らが選んだのは、クララ&ロベルト・シューマンおよび、その友人たちの作品。ベーゼンドルファーの音色にあわせて弦楽器もガット弦を用い、より柔らかで丸みのある音色のアンサンブルが実現している。クララが愛奏していたピアノ三重奏曲第2番や、ロベルトがクララに愛を告げた時に書かれた「ノットゥルノ」(ウィーンの音楽の夜会より)、そしてロベルトがクララに結婚前夜に送った「献呈」など。また、クララがその弟子に教材として与えたと考えられるバッハの小プレリュードや、ロベルトがショパンと同様に高く評価していたゲーデの作品、さらにロベルトの死後もクララと親交の続いたキルヒナーの作品など、どの作品をとってもエピソード満載。歌い手には今飛ぶ鳥を落とす勢いのサミュエル・ハッセルホルンを迎え、当時生まれたばかりの作品を、歴史に名をのこす音楽家たちがシューマンの家に集って演奏し互いに聴き入っている光景が目に浮かんでくるような、親密かつ熱気ある空気に満ちている。トリオ・ディヒターは2018年のラ・ロック・ダンテロン音楽祭のレジデンス・アンサンブルの一つとしてセレクトされるなど、早くからその音楽は高く評価されている。3人ともパリ国立高等音楽院卒業、音楽院ではクレール・デゼール、トリオ・ヴァンダラーなどに師事している。フランスの若きピアノ三重奏アンサンブルの一つとして注目されている。
フォーレ(1845-1924):
 8つの小品 Op.84 〜 No.5 即興 嬰ハ短調/2つの小品 Op.104 〜 No.1 夜想曲第11番 嬰ヘ短調/
 舟歌〔第5番 嬰ヘ長調 Op.66 /第3番 変ト長調 Op.42 〕/夜想曲第5番 変ロ長調 Op.37 /
 舟歌〔第4番 変イ長調 Op.44 /第9番 イ短調 Op.101 /第10番 イ短調(2つの小品 Op.104 No.2 )〕/
 夜想曲第12番 ホ短調 Op.107 /舟歌第13番 ハ長調 Op.116 /
 夜想曲第13番 ロ短調 Op.119 /舟歌第12番 変ホ長調 Op.106bis

 アリーヌ・ピブル(P|使用楽器:ガヴォー、パリ、1929年製
 録音:2023年12月、フィラルモニー・ド・パリ。フォーレ没後100年記念盤。アリーヌ・ピブルは2014年オルレアン国際ピアノコンクールで5つの賞を受賞したピアニスト。これまでに、フォーレとデュティユーの作品集でソロ・デビュー盤をリリース、サマズイユほかの作品集(PRI-033)など、センスの光るプログラムで高く評価されている。1929年製のガヴォー社製ピアノの、ぬくもりと木の質感を感じさせる音色を存分に活かしながら、フォーレの幅広い年代に書かれた作品を奏でており、フォーレの作曲の変遷を感じることができる1枚となっている。ガヴォー社は、ジョセフ・ガヴォー(1824-1903)によって1847年から1971年まで営業していたピアノ・メーカー。エラール、プレイエルとならんでフランスの三大ピアノ・メーカーのひとつとして知られていた。1907年にサル・ガヴォー(音楽ホール)が開かれたことにより、その名はさらに広く知られるところとなった。マルグリット、ロン、シフラ、バックハウス、ケンプらも愛奏したピアノとしても知られている。このピアノはゴンザロ・ティントレル(ピカソ、プーランク、ヴァレーズらの友人でもあった)が所有していたもので、ケンプ、チッコリーニ、プーランク、カサドシュ、ペルルミュテルらが演奏したこともある、というものということ。
C.P.E.バッハ
 オーボエ協奏曲 変ホ長調 H.468, Wq.165 (*) /管楽器、弦と通奏低音のためのシンフォニア ヘ長調 H.656, Wq.181 /
 オーボエ協奏曲 変ロ長調 H.466, Wq.164 (*) /
 2つのオーボエ、2つのホルン、弦と通奏低音のためのシンフォニア ト長調 H.655, Wq.180

 クセニア・レフラー(Ob;*) ベルリン古楽アカデミー
 18世紀中頃、「真の天才」C. P. E. バッハに魅了されていたベルリンの聴衆たちは、彼の書く協奏曲を貪欲に聴いていた。これらの作品はソリストに超絶技巧と高度にバランスのとれた音楽性を要求する難曲ばかりだが、ここではベルリン古楽アカデミーのオーボエ奏者であるレフラーが、仲間たちの強力にして万全な共演を得て、素晴らしいソロを展開している。
ブラームス:悲劇的序曲 Op.81 /ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15 (*)
ケルビーニ:歌劇「エリザまたはモン・サン・ベルナール氷河への旅」序曲
 アレクサンドル・メルニコフ(P;*|使用楽器:ブリュートナー、1859年頃製
 アイヴァー・ボルトン指揮バーゼルso.
 録音:2020年6月、ランドガストホフ・リーエン、スイス。絶好調のメルニコフがブラームスの協奏曲に挑戦。それも親交のあったスヴャトスラフ・リヒテルが得意とした2番ではなく、彼が弾かなかった第1番をあえて選んでいる。注目はこの曲が発表された1859年頃に製作されたブリュートナー・ピアノを用いていること。オーケストラはモダーンのバーゼルso. だが、バロック・オペラやピリオド楽器に精通するアイヴァー・ボルトンが指揮を務めているため、一種独特な音世界にひたれる。カップリングはブラームスの「悲劇的序曲」とケルビーニの歌劇「エリザまたはモン・サン・ベルナール氷河への旅」序曲。後者はスイスを舞台にした作品で、オペラ指揮者でもあるボルトンの真骨頂とも言えるが、実はブラームスのピアノ協奏曲が世界初演の5日、後にライプツィヒで作曲者独奏のもと行われた際、最初に演奏された曲とのこと。この時の協奏曲は大失敗に終わり、ブーイングの嵐にブラームスは傷ついたとされる。もちろん当アルバムのメルニコフは充実の名演。ブリュートナーの深みのある音色、じっくり解きほぐしていく語り口、クライマックスでの圧倒的な音楽と音量の大きさなど、成熟ぶり著しい姿を伝えてくれる。
HMM-932603/06
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夜のコンセール・ロワイヤル〜4部または4夜からなる「夜の王のバレ」、1653年2月23日
 王によって踊られた「夜の王のバレ」に基づく(再構築:セバスティアン・ドセ)

 テキスト:イサック・ド・バンスラード(1613?-1691)
 音楽:ジャン=ド・カンブフォール(1605頃-1661)、アントワーヌ・ベッセ(1587-1643)、
    ルイ・コンスタンタン(158頃5-1657)、ミシェル・ランベール(1610-1696)、
    フランチェスコ・カヴァッリ(1602-1676)、ルイージ・ロッシ(1597-1653)、作曲者不詳

 セバスティアン・ドセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 ヴィオレーヌ・ル・シュナデク(S;時/シンシア) カロリーヌ・ウェイナン(S;エウリディーチェ)他
 演出・振付・衣裳:フランチェスカ・ラットゥアーダ ダンサー:シーン・パトリック、
 マリアンナ・ボルディーニ、ピエール=ジャン・ブレオ、アドリア・コルドンシロ、フレデリック・エスクラ/他
 録音:2017年11月11日-12日、カーン劇場| CD収録時間:184分23秒|DVD仕様:196分46秒、字幕:英独仏、 PCM ステレオ 2.0、リージョン・オール。#( HMC-952223/24 は)『仕様変更のため廃盤となります。今後は本盤で流通いたします。』と代理店よりアナウンスされていますが、旧 HMC-952223/24 は「2015年1月-2月、MC2、グルノーブル」での録音で、収録時間は154分2秒でした。当盤は2019年リリースの HMM-902603/06 (当盤とディスク構成が同じ、装丁違い)の再発売だと思われます。 ルイ14世をたたえるための舞台「夜の王のバレ」は2015年に復活蘇演録音が登場(HMC-952223/24)。これは大きな話題となり、2017年に復活蘇演された。その映像の登場(収録:2017年11月)。上演にともない、さらに欠落していた舞曲を補強している。ルイ14世といえば5歳にして国王即位、72年にもわたる在位期間に王朝の最盛期を築き、「大世紀」(グラン・シエクル)と称される。ヴェルサイユ宮殿を建設した王でもある。そんなルイ14世は、バレエを奨励し、自らもバレエの名人であったと言う。1651年(13歳)に初舞台を踏み、1653年(15歳)、初主役を演じました。その初主役を演じたのがこの「夜の王のバレ」(ここでの再構築版は「夜のコンセール・ロワイヤル」と題されている)だった。これは、1653年2月23日、プチ・ブルボン宮のホールで上演された。1653年といえば、17世紀フランスで起こった貴族の最後の反乱、フロンドの反乱(1648-1653)が終息した年。戦火を避けていたルイ14世は52年の秋にはパリに戻り、宰相マザランも53年にはパリに戻った。絶対王政を浸透させ、国王の権力を、パリ市民、そして諸外国の代表に知らしめるためにマザランが企画したのが「王の夜のバレ」だった。音楽、台本(詩はイサック・ド・バンスラードによるもので、君主とその従臣の間のことを様々に描きつつも、王が至上の存在として輝くように書かれている)、すべてがルイ14世=「太陽王」の登場を讃えるために作られた。2000年の映画「王は踊る」でもこのバレエのもようは描かれているがもちろんそれはごく一部。ここでは、当時の人々に強烈なインパクトを与えた作品をモダーンな演出で再現。400年以上前の遠いフランスで、一人の王を印象づけるために企画されたこの一大スペクタクルの驚異的なパワーに、フランス文化の底力を見せつけられるようだ。
ヘンデル氏の夕食会〜協奏曲、ソナタとシャコンヌ
 ヘンデル:リコーダー協奏曲 ヘ長調/組曲(シュテーガー編曲)
        〔「アルミーラ」HWV.1 〜舞曲/オーボエ協奏曲 ト短調 HWV.287 〜終楽章(アレグロ)〕/
      フルート・ソナタ イ短調 HWV.362 /パッサカリア ト短調 HWV.399 /
      トリオ ハ短調 HW386a /シャコンヌ ト長調 HWV.435
 ジェミニアーニ(1687-1762):フルート協奏曲 ト長調
 ゴットフリート・フィンガー(1660頃--1730):グラウンド ニ短調
 ウィリアム・バベル(1690頃-1723):6本のフルートと4つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 Op.3 No.1

 モーリス・シュテーガー(リコーダー) ラ・チェトラ(バロックオーケストラ・バーゼル)
 録音:2018年8月-9月。リコーダー界のパガニーニ、モーリス・シュテーガー。シュテーガーはこれまでのディスクでも、演奏そのものの鮮やかさはもちろん、プログラミングの妙で世界の聴衆をあっと言わせてきたが、今回彼がとりあげたのは、ヘンデル。「Mr / Handel ' s dinner(ヘンデル氏の夕食会)」と題し、ヘンデルのオペラの幕間に繰り広げられた豪華な夕食会での音楽を集めた1枚。当時ヘンデルの周りには、ロンドンでもトップクラスの音楽家や、海外からヘンデルを訪ねてやってきた各国の人気作曲家たちが常にいた。にぎやかできらびやかなディナー会場が目に浮かぶようだ。リコーダー協奏曲は、HWV.369のリコーダーと通奏低音のためのソナタと、それをもとにヘンデルがオルガン協奏曲に仕立てたHWV.293のオルガン協奏曲 ヘ長調 Op.4 No.5の両ヴァージョンを合わせたかたちで演奏した物。ほかにも、ヘンデル自身も当時行っていたような、様々な楽曲からの舞曲をよりすぐってひとつの「組曲」にしたてたもの、ヘンデル自身が通奏低音の教材として使用するためにも作曲したものが収められている。パッサカリアはもともとは歌劇「ラダミスト」(1720年初演)の第3幕の終盤で演じられるバレエの楽曲で、1737/38年頃に出版されたトリオ・ソナタ Op.5 No.4の第3楽章にもなっている。当時のこの楽曲のコピー譜の中に、4声のため(ヴィオラが加わっている)の編成の譜面も見つかっており、これは原曲のオペラの楽曲をかなり忠実に編曲したものとなっている。ハ短調のトリオは、ヘンデルの初期のロンドン・オペラからの楽曲の楽章をアレンジした最初の作品。他にも、モラヴィア出身でおそらくはロンドンにおけるヘンデルの前任者であるフィンガー、ヘンデルの数少ない作曲の弟子と言われているバベル、そしてヘンデルより2歳年下で友人でもあったジェミニアーニの作品など、どこをとっても盛りだくさんの内容となっている。
プロコフィエフ:交響的協奏曲 Op.125 (*) /チェロ・ソナタ ハ長調 Op.119 (#)
 ブリュノ・フィリップ(Vc) クリストフ・エッシェンバッハ指揮(*)
 フランクフルト放送so.(*) タンギ・ド・ヴィリアンクール(P;#)
 録音:2018年2月、ヘッセン放送大ホール(*) /2019年11月、テルデックス・スタジオ、ベルリン(#) 。プロコフィエフの晩年のチェロ曲はロストロポーヴィチの協力で生まれ、彼が世界初演を務めた。ロストロポーヴィチならではの超絶的なテクニックと豊かな歌心が反映された名作として、今日の貴重なレパートリーとなっている。このアルバムの主役のブリュノ・フィリップは1993年生まれ。2011年にアンドレ・ナヴァラ国際コンクールで第3位とベスト・リサイタル賞を受賞、2014年にミュンヘン国際音楽コンクールで第3位と聴衆賞を受賞という将来を嘱望される若手。テクニックと歌心に加え、若々しい感性が魅力となっている。交響的協奏曲とソナタは、初演の際リヒテルが前者を指揮者、後者をピアニストとして支えたことで知られている。ここではエッシェンバッハ指揮フランクフルト放送so. が共演しているのもぜいたくで魅力的。ただしソナタは彼のピアノではなく、1990年生まれのピアニスト、ドミニク・ド・ヴィリアンクールと共演。パリ音楽院でロジェ・ムラロ、クレール・デセール、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェに師事した後、ジャック・ルヴィエとアンヌ・ケフェレックらの元で研鑽を積んだ。90年代生まれの若手ふたりが、さっそうとしたプロコフィエフを聴かせてくれる。
グラナドス:歌劇「ゴイェスカス」(全3場)〔アルベルト・ギノバルト校訂版〕
 ナンシー・ファビオラ・エレーラ(S;ロザリオ) グスターボ・ペニャ(T;フェルナンド)
 リディア・ビニェス=クルティス(Ms;ペパ) ホセ・アントニオ・ロペス(B;パキロ)

 ジュゼプ・ポンス指揮 BBC so.、BBCシンガーズ
 録音:2018年1月、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。ほとんどその機会のないオペラ版「ゴイェスカス」がポンスの指揮で登場。オペラ・ファンのみならず、ピアノ・ファンも待 望のリリース。ピアノ組曲「ゴエスカス」は1911年の作で、アルベニスの「イベリア」とならびスペイン・ピアノ音楽の最高峰とされ、描写的かつ煽情的な音楽が独特なスペイン民俗的イディオムにより、最高度の難技巧で表現される。グラナドスは同郷のアルベニスやファリャと異なり印象派の影響をほとんど受けず、18世紀末の純スペイン的な時代と文化に愛着を持っていたとされる。「ゴエスカス」はまさにその時代に生きたゴヤの絵画の世界、ラテン系ならではの情熱的な愛と、その甘美さのうちに漂う死の匂いを絶妙に描いている。グラナドスはピアノ組曲を発表後すぐオペラに改作、パリのオペラ座で初演を予定しながらも第一次世界大戦勃発で不可能となった。結局1916年1月にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で初演されるが、それに立ち会った帰路、船がドイツの潜水艦に撃沈されグラナドスは生命を失った。
Poetical Humors
 トバイアス・ヒューム(1579頃-1645):なんと大きな悲しみ/甘い音楽/やさしく私にさわって/ヒューム氏のパヴァーヌ
 ジョン・ダウランド(1563頃-1626):私は乞うか、慈悲を求めるか?/流れよ、わが涙/
                  彼女は私の間違いを許すだろうか/暗闇で横たわらせて下さい
 オーランド・ギボンズ(1583-1625):3声のガイヤルド/ファンタジア
 ミヒャエル・イースト(1580頃-1648):そしてあなたのように私も / フィリップ・エルサン(1948-): Lully Lullay
 ティエリー・ティドロウ(1986-):豊かで奇妙なものに / ジョン・ブル(1562/63-1628):おやすみ/私自身

 Les inAttendus〔レ・ザンアッタンデュ〕
  [マリアンヌ・ミュレル(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ヴァンサン・レルメ(アコーディオン)]
 録音:2017年10月。「Les inattendus」とはフランス語で意外な、思いがけない人々(もの)、の意味。アコーディオンとヴィオラ・ダ・ガンバという、ちょっと意外な組み合わせによる、17世紀英国音楽の登場。アコーディオンの構想・製造開始時期は19世紀にさかのぼるが、本格的に生産されるようになったのは第二次世界大戦より後のことだった。20世紀の最後の10年ほどで、1000以上の新曲がアコーディオンのために書かれている。それでいてオルガンの代役を務めることもできる楽器で、すでに奏者レルメはラモーの作品を録音してもいる。ここではさらに昔の16世紀の作品を演奏しているが、アコーディオンはオルガンの代役も務めることができる楽器。ここで聴けるように、作品と、そしてヴィオラ・ダ・ガンバと親和性があるのもまったく不思議ではない。アコーディオンの音色が時にオルガンのように、時にレガールのように鳴り響く中を、ヴィオラ・ダ・ガンバが時に旋律、時に通奏低音的な役割を担いながら自在に飛んでいるような、ようにまさにポエジーとユーモアに溢れた1枚の登場。
アメリカンズ
 バーンスタイン:「ウェストサイド物語」〜シンフォニック・ダンス
 アイヴズ:交響曲第3番「キャンプの集い」 / バーバー:序曲「悪口学校」 Op.5
 ルース・クロフォード・シーガー:弦楽のためのアンダンテ / バーバー:祝典トッカータ Op.36 (*)

 ポール・ジェイコブズ(Org;*) ジェイムズ・ガフィガン指揮ルツェルンso.
 録音:2018年11月、カルチャー・コングレスセンター、ルツェルン。1979年生まれの指揮者ジェイムズ・ガフィガンは近年精力的なレコーディングを示しているが、今回は手兵ルツェルンso. を率いて、故郷アメリカの作品集に挑戦。現代のミニマル音楽ではなく、半世紀以上前に作られた正統派オーケストラ曲が集められている。メインはバーンスタインが「ウェストサイド物語」の音楽を自ら交響組曲に編みなおした「シンフォニック・ダンス」。これを発表から60年目に最新録音と若い感性で再構築。またバーバー最初のオーケストラ作品「悪口学校」と、驚くべき進歩的感性を示す女性作曲家ルース・クロフォード・シーガーの「弦楽のためのアンダンテ」はともに1931年、大恐慌時代のアメリカで生まれた作品。もとは弦楽四重奏曲の第3楽章だったものを作曲者が弦楽オーケストラ用にしたもので、明瞭なトーンクラスターを用いた音世界は90年前の作とは思えぬフレッシュな感覚に満ちている。このアルバムのもうひとつのキーワードとなっているのが「オルガン」。アイヴズの交響曲第3番「キャンプの集い」は当初自身がオルガニストを務めていた教会用にオルガン曲として作ったものをオーケストラ曲に採り入れた。讃美歌の引用が多いため敬虔な雰囲気も感じられる。フィラデルフィアのアカデミー・オブ・ミュージックが新しいオルガンを設備したことを祝いバーバーが作曲した「祝典トッカータ」はオルガンの荘厳さと足鍵盤も含め派手なテクニックを楽しめる充実作。1977年生まれのアメリカの名手ポール・ジェイコブズの見事な演奏が聴き物。
ロト、ティベルキアン、ドゥグー〜ラヴェル:ピアノ協奏曲と歌曲
 ピアノ協奏曲 ト長調/ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(全3曲)(*) /2つのヘブライの歌(*) /
 亡き王女のためのパヴァーヌ(ピアノ版)(#) /マラルメの3つの詩(*) /左手のためのピアノ協奏曲/聖女(*)

  セドリック・ティベルギアン(P|使用楽器:1892年製プレイエル・グランパトロン
  ステファヌ・ドゥグー(Br;*) フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2020年12月、ピエール・ブーレーズ大ホール(無印) /2021年9月(*/#)、フィラルモニ・ド・パリ(*)、スタジオ(#)。ロトと手兵レ・シエクルはラヴェル作品とことさら相性が良く、次々と録音を実現しているが、ついにピアノ協奏曲に挑戦。それもティベルギアンを独奏に迎えているのが注目。ピアノは1892年製プレイエル・グランパトロンを使用。楽器はもちろん、楽譜にもこだわりを見せている。「左手のためのピアノ協奏曲」は第1次世界大戦で右手を失ったパウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱で作曲されたが、1932年1月5日にウィーンでの初演の際、能力的に無理のあったヴィトゲンシュタインが楽譜を許可なく変更し、スコアに意図的な付加をしたためラヴェルの怒りを買い、絶交状態となったと伝えられている。デュラン社より出版されたのはラヴェル死の年で、当時不治の神経疾患で校正など判断のできぬ状態だった。ヴィトゲンシュタインが初演時に自腹で浄書、印刷したスコアとパート譜は彼の独占 権 満了まで 変更と付加のままオーケストラからオーケストラに貸し出された。それらの楽譜に加え、リュシアン・ガルバンによる校正と訂正の資料、1933年パリ初演時の1分50 秒ほどの映像までも検証したクリティカル版を作成しているのも注目で、今後この作品の最重要盤になること間違いなし。演奏も最上等。ティベルギアンの正確でニュアンスに富むピアノ、ラヴェルならではの透明で極彩色のオーケストラ・サウンドを楽しめる。リズム感も秀逸。人気作「なき王女のためのパヴァーヌ」も収録されているが、オーケストラ版ではなくティベルギアン独奏のオリジナル・ピアノ版。味わい深い一幅の絵を観るようなひとときを楽しめる。さらにステファーヌ・ドグーと歌曲を披露。最初期の「聖女」からラヴェル最後の作「ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ」が収録されているのも大歓迎。さらに元祖ワールド・ミュージックの「2つのヘブライの歌」やラヴェルらしさ満載の「マラルメの3つの詩」も真似のできぬ美しさで聴かせてくれる。
1740年頃のロンドン〜ヘンデルの音楽家たち
 チャールズ・ワイデマン〔カール・フィリップ・ヴァイデマン〕(1705頃-1782):
  ジャーマン・フルート(トラヴェルソ)のための協奏曲第6番 ホ短調 Op.2
 ヘンデル(1685-1759):トリオ・ソナタ第5番 ト短調 Op.2, HWV.390
 サンマルティーニ(1695-1750):リコーダー協奏曲 ヘ長調
 ピエトロ・カストルッチ(1679-1752):ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ト短調
 ジェイムズ・オズワルド(1710-1769):カレドニアン・ポケット・コンパニオン
  〔 Hugar Mu Fean / Sleepy Maggy / The Cameronian's Rant / Up in the Morning Early 〕/
                  スコットランド民謡に基づくソナタ
  〔 O Mother what shall I do (Largo) / Ettrick Banks (アダージョ) / She rose and let me in (アンダンテ) /
    Cromlit 's Lilt (Largo) / Polwart on the Green (アンダンテ) 〕
 ヘンデル:ヴォクソールの演奏会のためのホーンパイプ HWV.356

 ラ・レヴーズ
 録音:2021年10月、パリ。ラ・レヴーズによる、1740年代のロンドンの音楽をプログラムにした1枚。当時のロンドンといえばヘンデル。ヘンデルが自身のオーケストラに招いた奏者はみな、ヨーロッパを代表するヴィルトゥオーゾたちだった。彼らはまた、作曲家としても活躍し、楽器の普及など、イギリスの音楽生活に力強い変化の風をもたらした。当時のヘンデル周辺には多大な影響力があったことに感じ入る内容。ジュゼッペ・サンマルティーニは当時のヨーロッパ中で知られていた大名手で、ヘンデルのオペラo. の首席オーボエ奏者だった。ここに収録された作品は彼の作品の中でも今でも人気のある作品。ヴァイオリン奏者のカストルッチはローマ時代からヘンデルと共に活動しており、1715年にヘンデルと共にロンドンにうつり、コンサートマスターに就任した。ワイデマン(英国で知られた名。本名はカール・フリードリヒ・ヴァイデマン)はヘンデルのオーケストラに1725頃に参加した。フルートの名手であっただけでなく、作曲でも名を成した存在で、ここに収録された作品もギャラント様式風で、彼に続く世代の作品を先取りしたようなスタイルとなっている。また、スコットランド人のジェイムズ・オズワルド(1710-1759)は、1761年ジョージ三世の室内楽作曲家に就任する一方、スコットランド民謡に基づく作品集の楽譜がベストセラーとなり(フルートやヴァイオリンで演奏可)、ひいては自国の音楽をロンドンの客間で流行させたという成果を残している。ラ・レヴーズは2004年にバンジャマン・ペローとフロランス・ボルトンによって結成された、ソロで活躍する音楽家たちによる古楽アンサンブル。17-18世紀の音楽に注力している。劇場や文学など、他分野の芸術と関連づけられた興味深いプログラムの数々は世界の注目を集め、高く評価されている。
ロト&レ・シエクル〜サン=サーンス:交響詩と動物の謝肉祭
 交響詩「ファエトン」 Op.39 /交響詩「ヘラクレスの青年時代」 Op.50 /
 交響詩「オンファールの糸車」 Op.31 /交響詩「死の舞踏」 Op.40 /歌劇「サムソンとデリラ」〜バッカナール/
 動物の謝肉祭(全曲)/映画音楽「ギーズ公暗殺」 Op.128(全6曲)

 フランソワ=マリー・ドリュー(Vn)
 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2021年11月、ラ・セーヌ、ブローニュ=ビヤンクール/2021年4月、フィラルモニ・ド・パリ。快進撃を続けるロトとレ・シエクルがサン=サーンス「動物の謝肉祭」のピリオド楽器演奏を実現させた。彼らは2010年に交響曲第3番「オルガン付き」とピアノ協奏曲第4番の画期的なアルバムを録音してもいるが、今回10年を経てサン=サーンス名作集の誕生となった。2枚組で、1枚目には4篇の交響詩をやはりピリオド楽器べて収録。名作「死の舞踏」の独奏ヴァイオリンもノン・ヴィブラートで、オーケストラの音色ともに、この曲が実はおどろおどろしくないことを示してくれる。もともとサン=サーンスは古楽とピリオド楽器復興に注力した人物でもあり、ロト自身「レ・シエクルの創設者のひとりといえる」と述べている。歌劇「サムソンとデリラ」のバッカナールも異国的でものものしいイメージが払拭され、パステル画のような色彩となり、これぞサン=サーンスのイメージしていたものと納得させられる。なにより興味深いのが2枚目の「動物の謝肉祭」。これまで聴いたこともない響きに驚かされる。作品には2台のピアノが用いられるが、ここでは1928年プレイエル製のダブル・ピアノが用いられているのも注目。一台のピアノの両端に鍵盤のついた対面型楽器で、シテ・ド・ラ・ミュジーク音楽博物館が1983年にプレイエル本社展示品を購入し、演奏可能な状態にしていた。1台の楽器ゆえ響きは美しく均一で、別々の2台では出せない世界を作り上げている。ジャン・スギタニとミヒャエル・エルツシャイドによるが、技巧的な「ロバ」を颯爽と弾くかと思えば、「ピアニスト」ではド下手にわざと間違えるなど爆笑の演奏を繰り広げている。ノン・ヴィブラート奏法ゆえ「雄鶏と雌鶏」や「耳の長い登場人物」はまさに動物の鳴き声に聴こえる。また「象」のコントラバスの重くない洒落気、「水族館」の木製ハーモニカ、「化石」のシロフォンなど古い楽器なのに非常に新しい音色として響く。単に時代考証で終わらないのがロトの凄いところ。リズム感のよさとサン=サーンスに不可欠な早く精力的な動きはもちろん、子供たちをも大喜びさせるようなユーモアは誰にも真似できない。史上初の映画音楽だった「ギーズ公暗殺」もLSOとサウンドトラックの仕事で鍛えたロトの感覚が光る。
ブラームス
 愛の歌、ワルツ Op.52(全18曲)/
 新・愛の歌、ワルツ Op.65(全15曲)/
 ハンガリー舞曲集 より
  〔第7番 イ長調/第20番 ホ短調/
   第4番 ヘ短調/第14番 ニ短調/第9番 ホ短調〕
アンゲラ・ガッセンフーバー、
フィリップ・マイヤース(P連弾)
ジャスティン・ドイル指揮
RIAS 室内cho.
 録音:2021年4月、ベルリン。ブラームスによる四重唱の中でも抜群の人気を誇る愛のワルツ Op.52を、名門 RIAS 室内合唱団が録音した。ブラームス自身「印刷された楽譜をみて初めて笑顔になることができた」という手紙を残しているくらいに、この作品を気に入っていた物。ブラームスの全作品の中でもとりわけ明るさに満ちた作品で、四重唱+ピアノ連弾という編成をとり、ワルツやレントラー、そして当時のウィーンの居酒屋などで流れていた音楽のリズムで書かれており、どれも基本的には男女の間で交わされる歌となっている。声楽の四重唱は、当時の家庭内での音楽活動のための編成で、大変に人気のあるジャンルだった。この Op.52は、正式には「四手ピアノ(連弾)のためのワルツ集(そして歌も自由に加えてよい)」という題がつけられている。これは、四重唱(声楽による四重奏)よりもさらに楽譜需要の高かった、ピアノ連弾という編成を全面に打ち出すための出版社の作戦でもあった。ブラームスはロシア語、ポーランド語、そしてハンガリーの詞に基づいてゲオルク・フリードリヒ・ダウマーが編んだ詩集をたいそう気に入り、作曲を始めた。出版社には「声楽パートなしで印刷・出版することのないように」と念を押していたほど。実際、やはり需要があり、後年になって、ブラームスはピアノ連弾のためにあらたに編曲をしなおすことになるが、その連弾の楽譜にはダウマーの詩が掲載されていた。この Op.52の成功をうけて書かれた Op.52に加え、ブラームスのピアノ連弾の代表格、ハンガリー舞曲からの抜粋を挟み込んだ充実のプログラムとなっている。
エルガー(1857-1934)/ライオネル・ターティス(1876-1975)、
 ティモシー・リダウト編曲:ヴィオラ協奏曲(原曲:チェロ協奏曲)
ブロッホ(1880-1959):ヴィオラと管弦楽のための組曲 B.41
 ティモシー・リダウト(Va) マーティン・ブラビンズ指揮 BBC so.
 録音:2022年4月、ロンドン。「詩人の恋」ヴィオラ編曲版で、その溢れるロマンスを存分に発揮し一挙に注目を集めたイギリスの俊英ヴィオラ奏者、ティモシー・リダウト。待望の新譜はエルガー。指揮者も英国出身のブラビンズ、オケもBBC響ということで、英国勢による演奏が実現、エルガーの暗くしかし抒情に満ちた世界が濃厚な熱量で展開されている。エルガーのヴィオラ協奏曲は、20世紀に活躍した英国のヴィオラ奏者ターティスのたっての希望で実現した、チェロ協奏曲のヴィオラ編曲版。この編曲は作曲者にも認められ、1930年にエルガーの指揮、ターティスのソロにより初演、チェロ協奏曲の初演よりも熱烈に迎え入れられたそう。リダウトはターティスの編曲にさらに手を加え、完璧に作品を手中におさめている。カップリングのブロッホは、演奏機会が少ないものの、東洋趣味の作品で、こちらもリダウトの巧みな歌いまわしが炸裂している。ティモシー・リダウトは1995年生まれ、王立音楽院で学んだのち、2014年セシル・アロノヴィッツ国際コンクール優勝、2016年ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール優勝。ヴィオラ界の若手の中では最注目の演奏者で、オーケストラとも共演多数、2021年6月には王子ホールでトランジット・シリーズに登場、絶賛された。
ジョスカン・デ・プレ(1450/55頃-1521):葬送モテット&挽歌集
 オケゲムの死を悼む挽歌/ Nimphes, nappes /はじめに言葉があった/主よ解放したまえ/おおアブサロン、わが息子よ/
 そしてダヴィデがこのような/深き淵より(レクイエム)/神よ、我をあわれみたまえ/我らが父よ(アヴェ・マリア)

ニコラ・ゴンベール(1495頃-1560):おおミューズ、和をなす娘たちよ
 ダニエル・ロイス指揮カペラ・アムステルダム
 録音:2018年7月、アムステルダム。「死者をいたみ、死を苦しみ、死を記憶する」というのは15世紀末に起こった新しいファッションだったと言われている。ジョスカン・デ・プレはヨハネス・オケゲム(c.1410-1497)の死を悼み、オケゲムの死を悼む歌を作曲した。オランダの声楽アンサンブル、カペラ・アムステルダムは、ダニエル・ロイスの指揮のもと、死者へのオマージュ(世俗作品)と宗教的なポリフォニー作品とを巧みに組み合わせたプログラムで、ルネサンスの巨匠たちによる作品を驚異的な美しさで蘇らせている。
セイレーン〜ベルリオーズ、リスト、ワーグナー:歌曲集
 リスト:ローレライ/喜びに満ち、悲しみに満ち〔1844年版/1860年改訂版〕/
     昔テューレに王がいた/ラインの美しき流れのほとり/山 々に憩いあり
 ベルリオーズ:夏の夜/オフィーリアの死
 ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集(女声のための5つの詩)
  ステファニー・ドゥストラック(S) パスカル・ジュルダン(P)
 録音:2018年9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ステファニー・ドゥストラックは、ウィリアム・クリスティの下でも研鑽を積んだフランスのメゾ・ソプラノ。幅広いレパートリーを誇りオペラと歌曲シーンで活躍している。彼女の新譜は、神話上の歌声で航夫たちをとりこにした海の怪物「セイレーン」(フランス語でシレーヌ)と題し、リスト、ベルリオーズ、ワーグナーのロマン派歌曲を集めた。リストの「ローレライ」はラインのセイレーン伝説を歌った作品で、リストはこの歌曲のほかピアノ独奏曲など様々な版をのこしている。ワーグナーを思わせる和声も印象的な名曲。ベルリオーズのオフィーリアの死は最初にこの独唱曲として書かれ、のちに女声合唱にも編曲されている。ワーグナーのヴェーゼンドンク歌曲の深遠な世界も見事。水にまつわる内容の歌曲での、ピアノでの水の表現も作曲家によって様々で楽しめる。ピアニストのジュルダンは、ハイドシェックやロジェ・ムラロに師事、室内楽を中心に活躍する名手。
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モンテヴェルディ(1567-1643):歌劇「ポッペアの戴冠」
 ソーニャ・ヨンチェヴァ(S;ポッペア) ケイト・リンゼイ(Ms;ネローネ)
 ステファニー・ドゥストゥラック(Ms;オッターヴィア)
 カルロ・ヴィストリ(CT;オットーネ) レナート・ドルチーニ(Br;セネカ)
 アナ・キンタンス(S;ドゥルシッラ) マルセル・ビークマン(T;乳母)
 ドミニク・ヴィス(CT;アルナルタ) アナ・キンタンス(S;ヴィルトゥ)
 テマラ・バンジェセヴィッチ(S;フォルトゥーナ) レア・デァンドル(Ms;アモーレ)
 ウィリアム・クリスティ(Cemb)指揮レザール・フロリサン
 録音:2018年8月、ザルツブルク音楽祭|旧品番:HAF-8902622/24 〔ボーナス DVD 付き|廃盤、入手不能〕。 クリスティが「この世でもっとも素晴らしい作品のひとつ」と語るモンテヴェルディの傑作「ポッペアの戴冠」。クリスティにとって初録音の演奏が、超豪華キャストで登場。2018年ザルツブルク音楽祭で絶賛された演奏。独裁者ネローネが魅力的なポッペアと恋に落ち、妻(オッターヴィア)などすべての障害を取り除き、二人は結ばれるという、清く正しい者が勝つというわけではない非道徳的といっても過言ではないストーリーにも関わらず、その音楽があまりに素晴らしく、今なお人を引き付けてやまない魅力に満ちた「ポッペアの戴冠」。クリスティはチェンバロを弾きながら指揮をし、軽やかでありながら、物語のドラマティックさを最大限引き出している。器楽アンサンブルは16名、上演では、舞台に設えられたピットに二手に分かれて配置され、重要なパートの時には立ち上がって演奏、歌い手たちと同様あたかも登場人物のように演奏している。歌唱陣はポッペアにブルガリア出身で2010年ドミンゴ主催の「オペラリア」で優勝し世界で活躍する歌姫ソーニャ・ヨンチェヴァ。ネローネには2019年9月にはハーディング指揮BPOのベルリオーズ:ロメオとジュリエット」に出演予定、さらに10月にはウィーン国立歌劇場「ナクソス島のアリアドネ」にも作曲家役で出演予定のアメリカ出身の急上昇歌手、ケイト・リンゼイ。他にもクリスティ「声の庭」出身の歌手など、望みうる最高の歌手たちが結集している。全体を通して歌唱陣は抜群の安定と余裕すら感じさせ、器楽パートも文句なしの超充実の演奏。美しい通奏低音も印象に残る。第3幕のオッターヴィアの「さらば、ローマよ」の通奏低音と歌い手の一体感は息をのむ美しさ。
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):グラン・モテ集
 ディエス・イレ(怒りの日) S 31 (1690) /四重奏〜王の夕餐のためのシンフォニーの第3のカプリスより S 162/5 /
 ミゼレーレ S 27 (1687) /来たれ、創造主よ S 14 (1684)

 セバスティアン・ドセ指揮アンサンブル・コレスポンダス
 録音:2021年2月。鍵盤奏者、指揮者のセバスティアン・ドセのもとに2008年にリヨンで創設されたアンサンブル・コレスポンダンス。17世紀のフランス宗教音楽を中心レパートリーとし、著名な作曲家の作品を再発見、その精力的な演奏・録音活動で定評のあるアンサンブルとしてフランスの古楽界を牽引する存在。このたび彼らが収録したのは40年以上にわたって宮廷に仕えた作曲家、ラランド(1657-1726)の作品。ラランドは、サン=ジェルマン・ロクセロワ教会の聖歌隊で学び、才能あるオルガン・チェンバロ奏者だったラランドは、同時代の人々から「ラテンのリュリ」と呼ばれ、1683年春、王の音楽団体(ミュジク・ド・ロワ)に入る。すぐに王に才能を認められ、礼拝堂の副室長、音楽監督(1689)、作曲家(1690)、そして楽長(1709)という4つの主要ポストを歴任し、礼拝および室内の音楽団の長を40年以上にわたって務め、王の日々の礼拝の音楽から夕餐の音楽など、主要な音楽の一切を取り仕切っていた。ここに収録されたのは、ラランドが主要ポストを務めて間もないころに作曲された3つのモテットと、夕餐のための音楽からの抜粋。「ディエス・イレ」は1690年5月5にサン=ドニ教会で執り行われたバイエルン王妃マリー=アンヌ=クリスティーネの葬儀のために作曲されたもだが、のちにルイ14世の葬儀(1715年10月23日、同じサン=ドニ教会)でも演奏されたと考えられている。四重奏は、器楽曲だが、これがまた実に雄弁な演奏。王がラランドを重用したのも納得の充実の楽曲。「ミゼレーレ」は、聖週間の最後の3日間におこなわれたテネブレの礼拝で演奏されたと考えられている。ラランドの、そして17世紀フランス音楽の最高傑作のひとつともいえる作品で、気高い美しさに満ちている。
ハビエル・ペリアネス〜グラナドス
 ゴイェスカス(全6曲)/わら人形
ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2023年5月、サラ・モサルト〔モーツァルト〕、サラゴサ。スペイン。ファリャやモンポウなどスペイン系ピアノ音楽紹介に力を入れるペリアネスがグラナドスの「ゴイェスカス」に挑戦。全6曲からなる組曲「ゴイェスカス」は1911年の作。アルベニスの「イベリア」とならびスペイン・ピアノ音楽の最高峰とされ、描写的かつ煽情的な音楽を独特な民俗的イディオムと最高度の難技巧で表現される。グラナドスは18世紀末の純スペイン的な時代と文化に愛着を持っていたとされる。「ゴイェスカス」はまさにその時代に生きたゴヤの絵画の世界、ラテン系ならではの情熱的な愛と、その甘美さのうちに漂う死の匂いを絶妙に描いている。スペイン人ペリアネスはゴヤの世界を熟知し雰囲気の表現も自然ながら、ことさら悩ましさを強調することなくピュアで高貴な世界を描いている。後で作られた「わら人形」もしっかり収録、生命力抜群でカラっとした快演を繰り広げる。
モーツァルト:セレナード集
 〔第11番 変ホ長調 K.375 (*) /第10番 変ロ長調「グラン・パルティータ」 K.361 (#) 〕

 ベルリン古楽アカデミー
  [クセニア・レフラー、ミヒャエル・ボッシュ(Ob) エルンスト・シュラーダー(Cl;*/バセットHr;#)
   マルクス・シュプリンガー(Cl) ベンヤミン・ライセンベルガー(Cl;#)
   フィリップ・カステホン(バセットHr;#) エルヴィン・ヴィーリンガ、ミロスラフ・ロヴェンスキ(Hr)
   ヤナ・シュヴァドレンコヴァー、ヴィクトリア・ハウアー(Hr;#)
   ジェーン・ガワー、エクハルト・レンツィング(Fg) クリスティーネ・シュティハー(Cb;#)]
 録音:2020年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ベルリン古楽アカデミーのメンバーによるモーツァルトの「グラン・パルティータ」がリリースされる。本作は、通常の八重奏(オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各2)にさらに管楽器4本とコントラバスを加えた13人という編成で、全7楽章演奏時間は約50分を要する大規模な作品。名手揃いのベルリン古楽アカデミーの秀逸なアンサンブルは、聴きごたえがあり、特にバロック・オーボエの名手クセニア・レフラーのソロなどはっとするような美しさで、この曲の魅力を存分に伝えてくれる。また妙技を強調するではなく、それぞれのメンバーの演奏がのびのびとしていて、かつ嬉々とした生気が感じられる演奏。カップリングには、セレナード第11番を収録。全5楽章モーツァルトが好んだ調性 変ホ長調で書かれ、モーツァルトならではの瑞々しい色彩を持ち、各楽器の掛け合いが聴き物。モーツァルトは13曲のセレナーデを残しているが、管楽器だけのために書かれたのは、前述の第10番、この第11番、そして第12番の三作品。ベルリン古楽アカデミーの精鋭による演奏は必聴。
FREE AMERICA! 〜抵抗と反乱の初期の歌
  ALL UNITE! [Friendly Union / The Cuba March / Bunker Hill / Liberty Tree / Chester]
  GONE FOR A SOLDIER [Captain Robert Kidd / Jolly Soldier / Boston March / Saw you my Hero /
            David's Lamentation / Johnny has Gone for a Soldier / Prince William 's March]
  REPENTANCE [Repentance / Thirst for Gold / My Body Rock'Long Fever /
        Didn't my Lord Deliver Daniel / Sanctum Te / Pretty Home / Hebrew Children]
  THE RICH MAN [False are the Men of High Degree / The Rich Man / The Jolly Sailor]
  A LAND OF FREEDOM [The Appletree / Trumpet of Peace / March (Clamanda) / O Zion Arise /
           Free Americay!/ RiseColumbia!/ Yankee Doodle, or The Lexington March]

 アンヌ・アゼマ指揮ボストン・カメラータ
 ボストン・カメラータはヨーロッパそしてアメリカの古楽シーンを牽引する存在。1954年、ボストン美術館の楽器コレクションを演奏するための団体として設立され、長きにわたって活躍している。2009年より、アンヌ・アゼマがリーダーを務めている。パリ、ブラジル、シカゴなど世界各地で演奏会を行っている。このFREE AMERICA!と題した1枚は、1770-1860年頃のアメリカの歌を集めた物。団結の自由、反逆し、犠牲を覚悟したうえでの戦いに臨む決意、しかし何よりも、新しい「約束の地」への長い旅路の友となるよう考えられた歌が集められている。
モーツァルト:三大交響曲集
 〔第39番 変ホ長調 K.543 /第40番 ト短調 K.550 /
  第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」〕
リッカルド・ミナージ指揮
アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2019年7月、フリードリヒ=エーベルト=ハレ、ハンブルク、ドイツ。ミナージ率いるアンサンブル・レゾナンツ、モーツァルトの三大交響曲という注目の新譜の登場。あくまでもモダーン楽器によるアプローチにこだわりつつ、既に膨大な数の録音があり、演奏会でとりあげられる回数も多いこの3作品を、目からうろこが落ちるような鮮度で演奏している。対比(和音とパッセージ、強弱など)が見事な第39番。「疾走」するあの有名な冒頭、と思うと思わぬところぐに足踏みしたりと、手に汗にぎるような第40番。そして第41番では胸のすくようなトゥッティ、それぞれの主題の性格の弾きわけの見事さ、弦楽器の走句の奏し方もひとつひとつが効果的で、耳がはなせません。モーツァルトが譜面に書いた要素一つ一つが生き生きと鳴り響き、ちょっとしたところでのリタルダンドなど、すみずみまで鮮やか。どこまでも自然。メンバーそれぞれの巧さが際だっている。まったく新しい三大交響曲の登場。ミナージは、アーノンクールがこれらの3作品の関連性と、連続して演奏することの意味を説いたことに言及しつつ、これらの3作品が作曲された同じ年に、モーツァルトがスヴィーテン伯にC.P.E.バッハのオラトリオ“Die Auferstehung und Himmelfahrt Jesu(イエスの復活と昇天) " を再構築し、指揮するよう依頼されていたことに着目。ミナージは、この作業がこれら3作品にもたらした影響は大きいと考えられるとしている。フランス風序曲を思わせる第39番の冒頭、様々な要素がキリストの受難にまつわる作品と関連付けられる第40番、そして41番のフィナーレでのグレゴリオ聖歌とのかかわり・・・。オーケストラの各パート間のパッセージの受け渡し、あるいは各部分の移行部にいたるまで理想的な響きを求めて演奏している。録音が行われたフリードリヒ=エーベルト=ハレは、かのヴァントも録音を行ったことのある由緒あるホール。音響にも注目。ミナージは、1978年生まれ。世界が認める俊英の一人。ヴァイオリン奏者として、サバール率いるコンセール・デ・ナシォオンやコンチェルト・イタリアーノ、アッカデミア・ヴィザンティナなど、名だたるピリオド楽器アンサンブルで第1ヴァイオリンを担当していた。バルトリの「ノルマ」の録音ではオーケストラ指揮のアシスタント、第1ヴァイオリン、そしてキュレーターも務め、2017年より、アンサンブル・レゾナンツ(ハンブルク)のアーティスト・イン・レジデンツを務めている。
イディッシュ・カバレット
 コルンゴルト:弦楽四重奏曲第2番 Op.26 (1933)
 シュルホフ:弦楽四重奏のための5つの小品(1923)
 デシャトニコフ:ヴォーカルと弦楽四重奏のための5つの歌「イディッシュ」
 ヒラ・バッジオ(S) エルサレムSQ
  [アレクサンドル・パヴロフスキー(Vn1) セルゲイ・ブレスレル(Vn2)
   オリ・カム(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2018年12月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。弦楽四重奏のスタンダード・レパートリーで高い評価を受けるエルサレム四重奏団が、ハルモニア・ムンディから「ちょっと変わっていながら、聴き手の興味をひくものに挑戦してみては?」と勧められ実現したルーツ捜し音楽集。戦前のポーランドは世界最大のユダヤ人口をかかえ、学問、芸術の分野で最先端であっただけでなく、1918年頃から1933年まで華開いたドイツのワイマール文化を牽引したのもユダヤ系で、一世を風靡したカバレット(キャバレー)ソングなどは、ユダヤ文化爛熟例だった。第2次世界大戦のホロコーストで姿を消したが、ハリウッドやブロードウェイへ場所を変え、ボードビルやミュージカルへと発展する要素となった。当時のポーランド・ユダヤ人のストリート・ミュージックを現在の視点で見るため、現代ロシアの作曲家レオニード・デシャトニコフに流行歌をソプラノと弦楽四重奏用に再創造するよう委嘱、生まれたのが「イディッシュ」。弦のための革新的な書法がユダヤの歌に現代的な命を吹き込んでいる。その縁取りを明瞭にするため、当時活躍したふたりのユダヤ系作曲家コルンゴルトとシュルホフの作品を収録。ナチスの台頭により前者はアメリカへ渡り映画音楽の世界で成功、後者は強制収容所に送られ48歳の命を散らした。ここに収められた2篇は、ワイマールのカバレットソングを彼らのやり方でクラシック作品化したもので、独特の雰囲気に酔わされる。エルサレム四重奏団もクレズマーさえ彷彿させるねちっこい音色で濃い世界を再現。ワールドミュージック好きにも超オススメ。
Passions 〜ヴェネツィア 1600-1750
 メールラ: Hor ch 'e tempo di dormire (Canzonetta spirituale sopra alla nanna)
 モンテヴェルディ:クルチフィクスス(4声)/「オルフェオ」〜シンフォニア/カンターテ・ドミノ SV.292 /
          アドラムス・テ・クリステ SV.289 /リトルネッロ、e Questa vita un lampo SV.254
 カヴァッリ:サルヴェ・レジーナ / レグレンツィ: Adagio, Dialogo delle due Marie “Quam amarum est Maria"
 ロッティ: In una siepe ombrosa /クルチフィクスス(6声、8声、10声)/クルチフィクスス(8声)
 カルダーラ:クルチフィクスス6声 / ジョヴァンニ・ガブリエーリ: Exaudi me Domine
 マリーニ: Sinfonia sesto tuono / Balletto secondo Pretirata / Balletto secondo Pretirata

 ジョフロワ・ジュルダン指揮レ・クリ・ド・パリ[声/ヴィオール/コルネット/セルパン]
 「メランコリー」につづき、今回レ・クリ・ド・パリが挑むテーマは「Passion(受難・苦しみ)」。クルチフィクスス(Crucifixus '十字架につけられ ')を中心に、ヴェネツィアのバロック音楽の中から受難をテーマにした珠玉の作品集。「レ・クリ・ド・パリ」は、ジョフロワ・ジュルダンによって結成された声楽と器楽からなるアンサンブルで、16世紀初頭から現代音楽までをレパートリーにしている。演奏曲目によって、編成を3名から80 名まで自在に変え、メンバーも作曲家、編曲家、俳優、舞台監督、楽器奏者、ダンサーからサウンド・デザイナーなど実に様々というユニークなグループ。
ハイドン
 十字架上のキリストの最後の7つの言葉 Hob.XX: 1A
リッカルド・ミナージ指揮
アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2018年7月、ハンブルク。アンサンブル・レゾナンツ。ケラスとの超刺激的なC. P. E. バッハ(HMM-902331)に続いて18世紀の音楽をプログラムした。冒頭の序曲から「ニ短調」という調性の不吉さが全開。管楽器群の炸裂ぶりにも驚かされる。当時この作品を初めて聴いた人々の衝撃を追体験するような、壮絶の内容。
ベルリオーズ(1803-1869):イタリアのハロルド Op.16 (*) /歌曲集「夏の夜」 Op.7 (#)
 タベア・ツィンマーマン(Va;*) ステファヌ・ドゥグー(Br;#)
 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2018年3月2日-3日、フィルハーモニー・ド・パリ(*) /2018年8月15日-16日、イル=ド=フランス国立オーケストラ・ホール、アルフォールヴィル(#)。 リリースするものすべてが話題となるロトとレ・シエクルの新譜は何とベルリオーズ。ベルリオーズは1869年に歿したため、2019年は没後150年にあたる。ロトのベルリオーズといえば2009年録音の「幻想交響曲」があるが、それから約10年を経てロトの円熟ぶりとオーケストラの成長ぶりに驚かされる新録音となった。ベルリオーズはオーケストレーションの改革者であると同時に楽器オタクでもあり、最新の楽器製作の動向に目を光らせていた。そしてシェフのようにすぐ応用した。それゆえ現代の楽器ではベルリオーズが思い描いた真の効果は出せないとロトは述べている。それが今回実現できた。曲目はソリストを伴う2篇。「イタリアのハロルド」は交響曲と銘打ちながら、パガニーニの依頼で作曲されたヴィオラ独奏を含む協奏作品。必ず名ヴィオラ奏者が起用されるが、ここではタベア・ツィンマーマンという大スターと共演になった。ツィンマーマンといえば、2003年にコリン・ディヴィス指揮LSOと共演した名盤や、エッシェンバッハ&パリ管とのDVDでこの作品を独奏しているが、今回はピリオドo. との演奏ということもあり興味津々。ヴィオラが登場するところから、その深々としながら朗々とした歌いまわしに引き込まれてしまう。「夏の夜」独唱はもともと異なる声域の曲を集めていたが、ここではバリトンのステファヌ・ドゥグーがひとりで全曲を歌唱。バリトンを用いたのはロトの意見でもあり、理想的な世界を創り上げている。今回もブックレットに弦楽器以外すべての使用楽器と制作年が明記され、貴重な資料となっている。ロトの演奏はますます精緻、ベルリオーズの天才的な管弦楽法を再認識出来る。
ハーディング〜ブラームス:ドイツ・レクイエム Op.45
 クリスティアーネ・カルク(S) マティアス・ゲルネ(Br)
 ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放送so.
 マルク・コロヴィッチ合唱指揮スウェーデン放送cho.
 録音:2018年10月、ベールヴァルドホール、ストックホルム、スウェーデン。マーラー・ツィクルス 第9番(HMM-902258)、第5番(HMM-902366)でも快進撃の続くハーディングとスウェーデン放送響が、ドイツ・レクイエムを録音した。独唱者は、ザルツブルク音楽祭の常連であり、アーノンクールクリスティアン・ティーレマンマリス・ヤンソンス、ハーディングらと数々の重要なコンサートで共演しているクリスティアーネ・カルク。そしてバリトンは、リートにオペラにそのやわらかくも深い歌声で世界を魅了し続けているマティアス・ゲルネという最高の布陣。やわらかにして厳か、そして高潔、非常に抑制の効いた演奏。ゲルネのやわらかく深い歌声、カルクのまるで天から降り注ぐような歌声には思わず涙が出そうな感動をおぼえる。
フォーレとその詩人たち(すべてフォーレ作曲、以下は詩人別)
 ヴィクトル・ユゴー:蝶と花 Op.1 No.1 /愛の夢 Op.5 No.2 / ボードレール:秋の歌 Op.5 No.1
 ゴーティエ:漁夫の歌 Op.4 No.1 /悲しみ Op.6 No.2 / ポメイ:オバド Op.6 No.1 / モニエ:舟歌 Op.7 No.3
 プリュドム:川のほとりで Op.8 No.1 /ゆりかご Op.23 No.1 / シュダンス:シルヴィー Op.6 No.3
 ビュシーヌ:夢のあとに Op.7 No.1 /トスカナのセレナード Op.3 No.2
 シルヴェストル:私たちの愛 Op.23 No.2 /秘めごと Op.23 No.3 / リラダン:夜想曲 Op.43 No.2 /贈物 Op.46 No.1
 ルコント・ド・リール:イスファハンのばら Op.39 No.4 /ばら Op.51 No.4
 ヴェルレーヌ:月の光 Op.46 No.2 /マンドリン Op.58 No.1 /ひめやかに Op.58 No.2
 リシュパン:涙 Op.51 No.1 /墓地にて Op.51 No.2 / モリエール:セレナーデ〜町人貴族
 サマン:夕べ Op.83 No.2 /伴奏 Op.85 No.3 / マンデス:水に漂う花 Op.85 No.2 /9月の森の中で Op.85 No.1
 ドミニク:無言の贈物 Op.92 / レニエ:歌 Op.94

 マルク・モイヨン(Br) アンヌ・ル・ボゼ(P)
 録音:2018年12月。芸術歌曲の頂点のひとつをためすフォーレの歌曲集。フォーレの歌曲の世界を支えた優れた様々な詩人たちによる作品が選ばれている。マルク・モイヨンは1980年フランス生まれのバリトン(テノールとして演奏することもあり)で、サバール、ドゥルス・メモワールといった指揮者やアンサンブルとも共演を重ねており、古楽界では特にその存在感を発揮している。モイヨンの言葉に関する鋭敏なセンスが遺憾なく発揮されたアルバム。ピアノのアンヌ・ル・ボゼは歌手との共演も多く、モイヨンが作り上げる世界を、より色彩と情景豊かにふくらませている。
ペルゴレージ(1710-1736):スターバト・マーテル ヘ短調
アンジェロ・ラガッツィ(1680-1750):4声のソナタ ヘ短調 Op.1 No.4
ジョアン・ロセール(1724-1780):
 2人の歌手のためのサルヴェ・レジーナ ヘ短調「サルヴェ・ア・ドゥオ」
  ジュリア・セメンツァート(S) ルシール・リシャルドー(Ms)
  リッカルド・ミナージ(Vn)指揮アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2020年9月、フリードリヒ=エーベルト=ハレ、ハンブルク。26歳で世を去った天才ペルゴレージ畢生の名品「スタバート・マーテル(悲しみの聖母)」は、18世紀宗教音楽の中で最も崇高な、聖なる奇跡のひとつ。古楽と現代を「共鳴(レゾナンス)させる」というテーマを掲げて活動を重ねてきた名団体アンサンブル・レゾナンツと2018年からアーティスト・イン・レジデンスを務めるリッカルド・ミナージが、この感動的な作品に驚くほど現代的な光を当てる。ただ美しいのではなく、時に穏やかならぬ響きを発し突き刺さる悲しみを痛切に表現。幾度もぶつかっては解決を繰り返す冒頭の軋み。暗闇のどん底のような短調と、ほのかな灯りがともるような長調。そして歌を含めた最強音と最弱音の、表情の幅のとてつもない広さ。闇の中にいかに光を対比させ命を宿すかというバロック芸術の精神が、劇的なまでに生々しく迫って来る。血と苦しみを絞り上げるように歌う二人の歌手もほんとうに素晴らしい。互いに共鳴し合うカップリングにも大注目。ヴァイオリン3本と通奏低音によるラガッツィのソナタは洗練された対位法を効果的に使った音楽で、第2楽章に「スターバト・マーテル」そっくりの進行が登場。「サルヴェ・レジーナのイミテーション」という副題を持っていて、技巧を織り交ぜつつもしめやかで気品に満ちた音楽。そして「スターバト・マーテル」と同じく二人の女声歌手をソリストにしたカタルーニャの作曲家ジョアン・ロセールによる「サルヴェ・レジーナ」も悲痛なまでの美しさ。長くペルゴレージ作として伝わっていた音楽で、語法はまさにペルゴレージその物。謎の多い作品だが劇的な表現は本家に引けを取らない。
モーツァルト、他/ピジョン構成:3幕からなる想像上のドラマ・ジョコーソ「自由!」
 第1幕〜熱狂の日(フィガロの結婚)
  〔序曲〜「騙された花婿」 K.430 (424a), 1783-84年より /
   四重唱「ああ、なんという冗談!」〜「騙された花婿」 K.430 (424a), 1783-84年より/
   アリア「このような美しい瞳が他にどこにあるだろうか」(「騙された花婿」より)/
   セレナータ「わたしの名を」(パイジェッロ:「セビリャの理髪師」, 1782年より)/
   レチタティーヴォ、アリア「わたしの美しい恋人…いかないで、愛しいひと」 K.528, 1787年/
   カノン「私のいとしい人、私の偶像よ」 K.562, 1788年/
   アリア「女はいつもこう言う」〜「カイロの鵞鳥」 K.422(未完), 1783年より)/
   カンツォネッタ「静けさがほほえみながら」 K.152 (210a), 1775年/
   二重唱「私には言えない」〜「イドメネオ」 K.366, 1786年版より/
   ノットゥルノ「いとしい人よ、もしあなたが行ってしまったら」 K.438, 1786年頃〕

 第2幕〜罰せられた放蕩者(ドン・ジョヴァンニ)
  〔序曲(歌劇「エジプト王、タモス」 K.345 (336a), 1773-1779年頃)/
   六重唱「おお、なんと素晴らしい祝賀!」(マルティン・イ・ソレル:「椿事」, 1786年より)/
   レチタティーヴォ「そなたはこうして裏切りをするのか/苦く恐ろしい後悔の気持ちが」K.432 (412a), 1782-83頃/
   カノン「私の太陽はかくれてしまい」 K.557, 1788年/アリア「参りましょう、でもどこへ?」 K.583, 1786年/
   アリア「どうか、詮索しないで下さい」 K.420, 1783年/
   アリア「いいえ、いいえ、あなたにはできない」 K.419, 1783年/
   六重唱と合唱「サタンの骨!」(歌劇「カイロの鵞鳥」 K.422(未完)より)/
   アリアと合唱「横柄なふるまいをするのでない」 K.Anh.122 /
   間奏曲(「エジプト王、タモス」 K.345 (336a), 1773-1779年頃より)〕

 第3幕〜恋人たちの学校(コジ・ファン・トゥッテ)
  〔序曲〜「劇場支配人」 K.486, 1786年より /アリア「男たちはいつでもつまみぐいしたがる」 K.433, 1783年/
   アリア「私はあなたに別れをつげます、おおいとしい人よ、さようなら」 K.Anh.245, 1787-91年頃/
   アリア「別れの時が今私たちを引き裂こうとしている」〜「劇場支配人」 K.486, 1786年より/
   レチタティーヴォ「私の心は打ち震え」〜サリエリ:歌劇「やきもち焼きの学校」より(1778年/1783年版)/
   六重唱「女はいつもわからない」〜サリエリ:歌劇「やきもち焼きの学校」より(1778年/1783年版)/
   三重唱「ああなんという事件!」〜「騙された花婿」 K.430 (424a), 1783-84年より/
   ノットゥルノ「数多い恋人たちの間にももう見られない」 K.549, 1788年頃〕

 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン
 ザビーヌ・ドゥヴィエル、ショブハン・スタッグ(S)
 セレーナ・マルフィ(Ms) リナール・ヴリーリンク(T)
 ジョン・チェスト(Br) ナユール・ディ・ピエロ(B)
 録音:2018年10月。「後宮からの誘拐」(1782年)の後、モーツァルトはいよいよダ・ポンテ三部作[フィガロの結婚(1786年)、ドン・ジョヴァンニ(1787年)、コジ・ファン・トゥッテ(1790年)]を生みだすこととなるが、この間、よき台本を常に探し求めていた。音楽によって、物語や登場人物の心理を昇華させ、観客をかつてない感動の渦に巻き込んだいと考え、ドラマティックな音楽づくりの研究を行っていた。演奏会用アリアや劇場のための音楽がそれ。ピション率いるピグマリオンが、そうした音楽や、この時期に書かれたオペラの中の楽曲を組み合わせて3幕仕立てのオペラとして提示。それぞれの幕がフィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、コジ・ファン・トゥッテのストーリーをベースとしているため、とても親しみやすく、かつ新鮮に響く。未完の楽曲も含まれるが、そうしたものの編曲はピエール=アンリ・デュトロン(ヤーコプス指揮のモーツァルト:レクイエムでも補完をした者)らが担当している。場面の必要に応じてモーツァルトと同時代人の作曲家によるオペラからの重唱なども挿入し、実に充実の3幕オペラとなっている。
 #2020年2月上旬以降発売予定。#初掲載時、品番を "HMM-902638/39" としていましたが、レーベル&代理店から二桁目が変更となった旨連絡がありました。
イタリア旅行記〜シャルパンティエ:4つの合唱のためのミサ曲/他
 [パリ] マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):主の御保護のもとに H.28
 [ボローニャ] マウリツィオ・カッツァーティ:(1616-1678): Salve caput sacrosanctum
 [ヴェネツィア] フランチェスコ・カヴァッリ(1602-1676):12声のソナタ ニ短調/マニフィカト
 [クレモナ] タルクィーノ・メールラ(1594/95-1665): Credidi propter quod
 [ローマ] フランチェスコ・ベレッタ(ca.1640-1694): Missa Mirabiles elationes maris
       ジュゼッペ・ジャンベルティ(ca.1600-ca.1663): Similabo eum viro sapienti
       フランチェスコ・ベレッタ: Missa Mirabiles elationes maris 〜 Et incarnatus est
       オラツィオ・ベネヴォリ(1605-1672): Missa Si Deus pro nobis 〜 Crucifixus
       フランチェスコ・ベレッタ: Missa Mirabiles elationes maris
 [パリ] マルカントワーヌ・シャルパンティエ:死者のためのミサ曲 H.2 〜 Symphonie du Kyrie /
                        4つの合唱のためのミサ曲 H.4 / Domine salvum fac regem H.285

 セバスティアン・ドゥセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2019年4月。パリの作曲家シャルパンティエは1660年代にローマへ渡り、イタリアの音楽を吸収してフランスへ持ち帰った。フランス古楽界の旗手セバスティアン・ドゥセがシャルパンティエの旅路を当時の音楽で構成して再現したのがこのアルバム。クレモナ、ローマ、ヴェネツィア、ボローニャと、聴き手を想像力豊かな旅へ誘う。作曲家と同じようにイタリア体験を経て、イタリアの色彩が色濃く生かされた作品であるシャルパンティエの「4つの合唱のためのミサ」にたどり着くと、その壮大なサウンドにフランス・イタリア双方の旨味を感じることが出来るだろう。
ルガンスキー〜フランク
 前奏曲、コラールとフーガ/前奏曲、アリアと終曲/
 前奏曲、フーガと変奏曲(ハロルド・バウアー編曲)/
 コラール第2番 ロ短調(ニコライ・ルガンスキー編曲)
  ニコライ・ルガンスキー(P)
 録音:2019年7月、サル・ド・シャントネイル、スイス。ルガンスキー最新盤は何とフランク作品集。意外な感があるかもしれないが、彼はこれまでもレーピンやクニャーゼフ(チェロ版)とヴァイオリン・ソナタを録音・演奏し、その素晴しさが高く評価されてきた。また2015年の来日公演で披露した「前奏曲、フーガと変奏曲」の感動的な演奏が語り草となっている。長年フランク作品集の録音を夢見ていたそうだが、今回ついに実現。ルガンスキーといえば、正確無比な技巧と緻密に計算された設計で説得力満点の演奏を繰り広げてきた。その点でフランクはルガンスキーにうってつけ。全く外面的でないのに恐ろしく技術的に難しく、また一音たりとも忽せにできぬ理詰めな構成を、まるで科学を解きほぐすように再現している。嬉しいのが感動的なオルガン曲2篇のピアノ編曲が収められていること。「前奏曲、フーガと変奏曲」の静かに切々と紡ぐ哀切感、ルガンスキー自身の編曲によるコラール第2番の俊厳さは絶品。いつもの轟き渡るルガンスキーの輝かしいピアノの音色を抑え、オルガンのような音を出してはいるのが注目。この曲はフランク最後の作品で、それを最後に置いている点にもルガンスキーの深い理解とこだわりを感じる。
ケラス + メルニコフ
 ショパン(1810-1849):チェロ・ソナタ ト短調 Op.65 (1846-47) (*)
 ラフマニノフ(1873-1943):チェロ・ソナタ ト短調 Op.19 (1901) (#)
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器 1696年製ジョフレド・カッパ
  アレクサンドル・メルニコフ(P|使用楽器:エラール、メルニコフ所有(*) /スタインウェイ(#)
 録音:2020年9月8日-11日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ケラスとメルニコフ、最高の組み合わせによるふたりが、ショパンとラフマニノフを録音した。ケラスの高貴にして弱音までもが美しすぎるチェロ。そしてメルニコフの透明かつ繊細なタッチが際立つピアノ。名手ふたりによる、ロマン派の名曲にまたあらたな名盤が誕生した。ジャン=ギアン・ケラス(Vc)とアレクサンドル・メルニコフ(P)という世界最高峰のふたりによる演奏のベートーヴェンのチェロとピアノの作品全集 (HMC-902183) は、世界で絶賛され、2014年第52回「レコード・アカデミー賞」大賞銅賞・室内楽部門も受賞している。このベートーヴェンから時を重ね、他の編成での共演もはさみながら、ますますそのアンサンブルの息の感度と精度に磨きがかかったところでの録音。ショパンのチェロ・ソナタは、生前に出版された最後の作品。ラフマニノフのチェロ・ソナタは1901年、ラフマニノフ20代終わり、ピアノ協奏曲第2番を完成して取り組んだ作品。苦悩に満ちた遺書のようなショパンと、ほとばしる抒情と輝きに満ちたラフマニノフの2作品ともロマン派の名作として人気だが、このふたりの演奏で聴けるのは格別の喜びがある。ピアニストが書いたソナタでもあり、メルニコフは楽器をかえてそれぞれの作品の理想的な響きを実現しているも注目。全編をとおしてケラスの音色が実に高貴。そして深い悲しみをたたえた音色、美しすぎる弱音。ケラスが常に深化を遂げていることが感じられる。メルニコフはショパンの前奏からその音色で一気に聴き手を世界に引きこみる。ショパンではエラール、ラフマニノフではスタインウェイとピアノを変えて演奏。ラフマニノフでは、ロマンティシズムにおぼれることなく、繊細で透明感ある音色で怒涛のようなパッセージを展開している。ショパンでもラフマニノフでも、チェロとピアノで完璧にバランスのとれた、そして息のあった対話が繰り広げられている。ショパンもラフマニノフも様々な名演が存在するが、あらたな決定的名盤の登場といえるだろう。
ロト&レ・シエクル〜ベルリオーズ
 幻想交響曲 Op.14 /序曲「宗教裁判官」 Op.3
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2019年7月16日-17日、アルフォールヴィル。ベルリオーズ生誕200周年最大話題盤の登場。ロトと手兵レ・シエクル最新録音による「幻想交響曲」。彼らは10年前の2009年に同曲を録音しているが、その後の成熟と充実ぶりから、今ならさぞや凄いものになるはずと誰もが想像するだろう。性能の向上した今日のオーケストラは、オフィクレイドやセルパンを他の管楽器で代用し、その他にもオリジナル同等の効果を再現できるように改変されている。しかしロトは発表された当時の形へ戻すことで、ベルリオーズの頭の中で鳴っていた音響と効果を忠実に再現しようと試みた。彼はパリ国立図書館所蔵の幻想交響曲自筆譜やスケッチなどを丹念に調べ、できる限りの復元を行った。レ・シエクルはもちろんピリオド楽器を用いている。2本のオフィクレイドは1837年製と1860年製、セルパンは19世紀ボドワンの複製を用いている。またハープは現在主流の2台ではなく、4台それも20世紀初頭のエラール製を指揮台の両脇で奏し、終楽章で活躍する鐘はスコアに指示された通りのものを、2013年にベルリオーズ・フェスティヴァルで鋳造したので、それを借りている。もうひとつ嬉しいのが、珍しい初期作品の序曲「宗教裁判官」をとりあげていること。もちろんピリオド演奏は初めての録音だが、すでに大オーケストラを用い、幻想交響曲の萌芽が見られ興味津々。ロトの音楽作りはきわめて大きく、物凄いエネルギーが伝わって来る。解釈も演奏経験や研究から10年前とは比べものにならないほどの充実ぶり、もちろんヴィブラート控え目で、エレガントな歌い回しなどではベルリオーズがフランスの作曲家だったことを再認識させる。2019年録音で、ベルリオーズならではの狂気じみた強奏も豊かに響く録音も極上。幻想交響曲の認識をくつがえす超注目盤の登場。
1610年ローマのカプスベルガー「ドイツ人」〜カプスベルガー:声楽曲集
 いとしい人よ、あなたから遠く離れて/ Ballo /私のいとしいフィッリ/ばらのような頬に/シンフォニア第13番/
 あなたを見たものは/ Uscita /わたしの最後のためいき/草の上に座って/絶望した私の心/欺瞞をあおる者は/
 シンフォニア第9番/私のたいせつな涙/目よ、愛の太陽よ/もし苦しみが/パッサカリア第10番/私はわらう/
 渡しのいとしいひとは/青白く血の気の引いたあなた/ Anima mea /私のいとしい息子、ねむりなさい/
  Colascione /ああ、わたしのいとしいクロリスよ/クーラント第5番/ Se turbando Austro le stelle

 レスカドロン・ヴォラン・ド・ラ・レーヌ
  [カロリーヌ・アルノー、ウジェーヌ・ルフェーヴル(S) ダミアン・フェラント(CT)
   フランソワ・ジョロン(Br) ルノー・ブレ(B) ジョセフ・コッテ(Vn)
   アントワーヌ・トゥシェ(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ティボー・ルセル(テオルボ)
   カロリーヌ・リービ(Hp) クレマン・ジョフロワ(Cemb/Org)]
 録音:2018年12月。テオルボの名手として名を残しているカプスベルガーによる、声楽作品集の登場。カプスベルガーは、ドイツ人の両親のもと、ヴェネツィアに生まれた。彼はその生涯をほぼイタリアで過ごした。結婚してローマにうつり、テオルボの名手として名を馳せ、上流階級の人々のサークルで演奏していた。ローマでは「IlTedesco(イタリア語で、 "ドイツ人 "の意)」とも呼ばれていた。彼はテデスコの名手だったが、美しい声の持ち主でもあり、彼の最初の出版楽譜はマドリガーレ(1608/09)だった。これは今でも演奏される機会がきわめて少ないが、テキストの詩情に見事に音楽が融合された作品ばかり。レスカドロン・ヴォラン・ド・ラ・レーヌの面々が、詩情ゆたかに奏でている。声楽作品の合間に収録された器楽曲も、どれも絶品。L 'Escadron Volant de la Reine(女王の飛行中隊)とはカトリーヌ・ド・メディチスが採用した侍女たちを指す。彼女たちは、ヨーロッパの他の宮廷との関係性を、会話など、彼女たちの存在そのものによって和らげる役割をになっていた。このアンサンブルも、彼女たちのように、ヒエラルキーなく、音楽活動を展開できることをめざして、アントワーヌ・トゥシェが中心となり、2012年1月に結成された。様々な音楽祭に登場、古楽シーンで重要かつ貴重な存在感を放っている。
「フォリア」の肖像
 ラインハルト・カイザー(1674-1739):オペラ=コミック「こっけいな王子ヨーデレット」〜シンフォニア
 アンドレ・カンプラ(1660-1744):
  オペラ・バレ「ヴェネチアの祭り」〜プロローグ「急いで」(Folie (狂気)のアリア)(*)
  「セメレ」〜雷が鳴ってすぐに(*)
 アンドレ・カルディナル・デトゥシェ(1672-1749):
  独唱とサンフォニーのためのカンタータ「セメレ」第1部より(*)
   〔怒りに燃える私をとめないで/この世についてかまってはいられない〕/
  ロンドー風ガヴォット&コメディ=リリック「狂気の謝肉祭」〜愛があなたを束縛することを許してください(*)
 マラン・マレ(1656-1728):「セメレ」〜降りてきて、いとしいひとよ(*) /
              フルート、ヴァイオリン、バス・ド・ヴィオールのための組曲第5番〜カプリス ホ短調
 ヨハン・ダヴィド・ハイニヒェン(1683-1729):7声のコンチェルト ト長調 S.214
 パーセル:「エールと歌の選集」〜静かな影から/「ドン・キショット」〜ばらのゆりかごから(*)
 ジョン・エックレス(ca.1668-1735):グラウンド ヘ短調
 ヘンデル(1685-1759):ああ、むごい人、私の涙には HWV.78 (*)
 ジャン=フェリ・ルベル(1666-1747):「四大元素」〜愛のためのエール「ロンドー」

 ステファニー・ドゥストラック(Ms;*)
 アンサンブル・アマリリス、エロイーズ・ガイヤール
 録音:2019年9月-10月。プーランクの遠い親戚にあたるステファニー・ドゥストラックは、ウィリアム・クリスティの下でも研鑽を積んだフランスのメゾ・ソプラノ。幅広いレパートリーを誇りオペラと歌曲シーンで活躍している。今回の彼女の新譜は、アンサンブル・アマリリスと共演したその名も「PORTRAITS DE LA FOLIE 〜(狂気)さまざま」。FOLIE(狂気)は中世の時代から芸術の重要なテーマのひとつだった。ここでは、バロックの作曲家による、絶望から喜び、誘惑から情熱的な愛などのシーンを抜粋し、人間の感情の奥底に潜む様々な狂気をまとった音楽が集められている。歌唱をともなう楽曲ではドゥストラックの演技力豊かな歌唱に引き込まれ、器楽作品でも一見すると典雅な楽曲の中に織り込まれた様々な感情に思いを馳せながら楽しめる1枚となっている。
ベリオ 歌おう [Berio To Sing] 〜ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):
 女声のための「セクエンツァ III 」 (1966) /
 8声のための「ロンドン物売りの声」 (1976) (6声のための同曲 (1974-75) からの改訂版)/
 声と5楽器のための「おお、キング」 (1968) /メゾソプラノと7楽器のための「フォーク・ソングズ」 (1964) /
 メゾソプラノ、フルート、クラリネット、ハープ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとコントラバスのための
  「ミシェル II 」 (1965-67) (「ビートルズの歌」より)/
 室内合唱のための「節なしで」 (1994) /
 ア・カペラ混声合唱のためのシチリアの恋の歌「そしてもし僕が魚だったら」 (2002)

 ルシール・リシャルドー(Ms)
 ジョフロワ・ジュルダン指揮レ・クリ・ド・パリ〔歌/器楽〕
 録音:2020年6月、11月、 ONDIF スタジオ、アルフォールヴィル、フランス。『★ガーディナー指揮の「セメレ」2019年ライヴをはじめソリストとして多彩な活動を行うほか、ピグマリオン(ピション指揮)やアンサンブル・コレスポンダンス(ドセ指揮)といった腕利き合唱団にも参加している魅惑のメゾ、ルシール・リシャルドーが「現代の古典」ベリオに挑戦。研ぎ澄まされた驚異の歌唱でベリオの音楽の核心に迫ります。「歌」という行為の根本を見つめ直すことにより紡がれる、聴き手をはっとさせる力を持った斬新な美しさ。大胆な遊び心と爽快な色彩、贅沢な愉しみに満ちた不朽の名作たちをお楽しみください。★さまざまな独奏楽器のために書かれた「セクエンツィア」シリーズは現代奏法の百科事典の如き様相をもつベリオの代表作。女声のための第3 番はありとあらゆる発声法が駆使され、技巧と表現の究極が歌手に求められます。中世音楽のような肌触りと複雑なアンサンブルによる「ロンドン物売りの声」、「シンフォニア」第2部と同一の音楽を切り詰めた編成で奏し歌う「おお、キング」(器楽も巧い!)、歌の原形質のような「節なしで」も滅法面白く刺激的です。★各国の歌詞に情感ある曲を乗せた「フォーク・ソングズ」やビートルズの一風変わった編曲、そしてベリオが死の前年に残した美しく素朴な小品「そしてもし僕が魚だったら」も収録。調性音楽の持つ懐かしさと温かみをセンス良く編んでいく手腕もまた、ベリオ音楽の魅力的な一面と言えるでしょう。★ブックレットには歌詞のほか、指揮者ジュルダンが聞き手となって行ったベリオへのインタビューを掲載。これはベリオの残した言葉をコラージュしてジュルダンが独自に作ったもので、「コラージュ」がベリオの音楽を語る上での重要なキーワードであるからこその気の利いた創作です。』
カンティレーナ
 ピアソラ(1921-1992):ル・グラン・タンゴ
 モンサルバジェ(1912-2002)/
  キム・カシュカシュアン&ロバート・レヴィン、タベア・ツィンマーマン編曲:5つの黒人の歌
 ファリャ:7つのスペイン民謡
 ヴィラ=ロボス(1887-1959)/プリムローズ編曲:ブラジル風バッハ第5番〜アリア(カンティレーナ)
 パブロ・カザルス(1876-1973)/ T. ツィンマーマン編曲:
  アン・ソルディーヌ/ En el mirall canviant de la mar blava(カタルーニャの歌第1番)/
   El angel travieso / Tres estrofas de amor
 グラナドス(1860-1909)/カシュカシュアン&ロバート・レヴィン編曲:
  マハの流し目/人気をなくしたマホ/悲しみのマハ第3番/控えめなマホ
 アルベニス(1860-1909):タンゴ

 タベア・ツィンマーマン(Va|使用楽器:パトリック・ロビン、2019年製
 ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2019年12月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。ヴィオラの女王、タベア・ツィンマーマンがハルモニアムンディからソロ作品をリリースする。ハルモニアムンディからはアルカント・カルテットのメンバーとしてのリリースはあったが、ソロ作品は初となる。内容はファリャ、カザルスからヴィラ=ロボス、ピアソラというスペインから南米への旅路と少々意外にも思えるが、ピアノに近年充実著しいスペインのピアニスト、ペリアネスを迎え、ツィンマーマンのパワーある音楽が炸裂している。ツィンマーマンの音色は知と熱、そして凄みのある物。ファリャの旋律で聴かせる郷愁に満ちた力強い音色は、タベア・ツィンマーマンにしか出せない音色とも思えて来る。アルバムのタイトルにもなっているヴィラ=ロボス作品では、彼女のヴィオラの音色が人の声の力を超えているように響く。スペイン出身のペリアネスのピアノが音楽を辛口に引き締めており、最高のコンビといえるかもしれない。タベア・ツィンマーマンのヴィオラの音色の濃さと情報量の多さ、雄弁さに圧倒され通しの1枚。
ヴィヴァルディ、ルクレール、ロカテッリ:ヴァイオリン協奏曲集
 ヴィヴァルディ(1678-1741):
  ヴァイオリン協奏曲 RV.355 に基づくプレリュード イ短調/ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 RV.384 /
  トリオ・ソナタ RV 60 に基づくプレリュード ハ長調/
  ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 RV.179a 「アンナ・マリーアに」(オリヴィエ・フォレ補筆完成版)
 ジャン=マリ・ルクレール(1697-1764):ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.7 No.5
 ロカテッリ(1695-1764):ヴァイオリン協奏曲〔ホ短調 Op.3 No.8 /ニ長調 Op.10 No.3 〕

  テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn
   使用楽器:ヤコブ・シュタイナー、1665年製|使用弓:ピエール・トゥルテ

  レ・ゾンブル[マルゴー・ブランシャール(ヴィオール)、シルヴァン・サルトル(Fl)他]
 録音:2021年4月-5月。18世紀前半のヴァイオリン作品の探求を続けるド・スワルテ。前作の HAF-8905292 では、クリスティ(Cemb)と共演して、ルクレールとスナイエに焦点をあてたプログラムで名演を披露。今回は、「ヴァイオリン協奏曲の父」ヴィヴァルディ、そしてその同時代を生きたルクレールとロカテッリに焦点をあてたプログラムで登場。それぞれが卓越した奏者だっただけに、その作品はかなりの技量が求められる。一度聴いたら忘れられないような魔術的な魅力をもつスワルテの音色、そして「レ・ゾンブル」との息の通ったアンサンブルも聴き物。
Inferno 〜ラッスス:6声と8声のモテット集
  Omnia tempus habent(6声と8声のための宗教曲集, ミュンヘン、1585) /
  Audi tellus (Sacra cantiones, liber quartus, ヴェネツィア、1566) /
  Ad Dominum cum tribularer (Cantiones sacra sex vocum, グラーツ、1594) /
  Media vita in morte sumus (Gregorian Antiphon) /
  Media vita in morte sumus (Patrocinium musices, prima pars, ミュンヘン、1573) /
  Circumdederunt me dolores mortis (Cantiones sacra sex vocibus composita, ミュンヘン、1601) /
  Libera me Domine (Selectissima cantiones, ニュルンベルク、1568) /
  Recordare Jesu pie (Cantiones sacra sex vocum, グラーツ、1594) /
  Deficiat in dolore vita mea (Cantiones sacra sex vocum, グラーツ、1594) /
  Vidi calumnias (Cantiones sacra sex vocum, グラーツ、1594) /
  O mors quam amara (Primus Liber concentuum sacrorum, パリ、1564) /
  Cum essem parvulus (Mottetta sex vocum typis nondum uspiam excusa, ミュンヘン、1582) /
  Vide homo (Lagrime di S / Pietro [...] con un mottetto nel fine, ミュンヘン、1595)

 ダニエル・ロイス指揮カペラ・アムステルダム
 ダニエル・ロイス率いるカペラ・アムステルダム最新盤は、精鋭たちからなる小編成によるラッスス作品集。6声および8声のためのモテットというプログラム。ここに収められた12のモテットは、そのほとんどがラッススの晩年、ミュンヘンで活動していた時期の作にあたるが、メランコリックさを大いに含み、また、さまざまなスタイルで書かれており、修辞学的にも深い内容を含んでいる。ロイス率いるカペラ・アムステルダムが、ラッススの個々の作品の様々な要素を豊かに響かせつつ、真摯に歌い上げている。ロイスは1990年よりカペラ・アムステルダムの音楽監督を務める傍ら、エストニア・フィルハーモニー室内合唱団(2008-2013)、RIAS 室内合唱団(1003-2006)の首席指揮者をつとめ、2015年からはローザンヌ声楽アンサンブルの首席指揮者、さらにオペラの分野でも活躍している。まさに声楽(アンサンブル)の最高峰の指揮者として世界が認める存在。
バッハ×バルトーク
 J.S.バッハ:フランス組曲第5番 ト長調 BWV.816
 バルトーク:野外にて
 J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV.826
 バルトーク:組曲 Op.14
ジュリアン・リベール(P)
 録音:2019年6月25日-27日、メディアポール、アルル。ジュリアン・リベールは1987年ブリュッセル生まれのピアニスト。エリザベート王妃音楽院でマリア・ジョアン・ピリスに師事し、その秘蔵っ子として多大な影響を受けた。2015年には来日し、新日本フィルと協奏曲を演奏している。今回のアルバムは大バッハとバルトークの組曲形式作品を交互に配置して比較観賞させる。バッハとバルトークの鍵盤曲に共通しているのは、舞曲形式によりながらも、当時最先端の技法を採り入れたり、錯綜の結果、音列や無調の域に達したり、さらに東欧やアフリカのリズムまで用いていることなどが、聴覚以上に散見出来る。リベールの演奏は目から鱗の説得力とスリルに満ちていて興奮させられる。
ブラームス
 ヴィオラ・ソナタ第1番 ヘ短調 Op.120 No.1 /ナイチンゲール Op.97 No.1(ヴィオラとピアノ版)/
 ヴィオラ・ソナタ第2番 変ホ長調 Op.120 No.2 /子守歌 Op.49 No.4(ヴィオラとピアノ版)/
 2つの歌 Op.91 (*) 〔鎮められたあこがれ/聖なる子守歌〕

  アントワン・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス「マーラー」1672年製
  セドリック・ティベルギアン(P|使用楽器:ベヒシュタイン) マティアス・ゲルネ(Br;*)
 録音:2019年9月、11月、テルデックス・スタジオ・ベルリン。当代きってのヴィオラ奏者、アントワン・タメスティ。難関ミュンヘン音楽コンクールで優勝、世界のトップクラスのヴィオラ奏者として活躍しているほか、今井信子氏とヴィオラ・スペースを共宰、日本でもその名は広くしられるところ。ハルモニアムンディからは、「ベル・カント〜ヴィオラの声」(HMM-902277)、「ヴィトマン:ヴィオラ協奏曲」(HMM-902268)、「J.S.バッハ:ヴィオラ[・ダ・ガンバ]とチェンバロのためのソナタ集」(HMM-902259)などをリリースし非常に高く評価されており、その活躍の場とレパートリーはとどまるところを知らない。本作は、ブラームスの2つのソナタを中心に、歌曲のヴィオラ編曲版と、歌にオブリガートのヴィオラ、ピアノが付いた珍しい編成の2つの歌など、「人の声に最も近い」とも言われるヴィオラの魅力が詰まった内容。ブラームスはその晩年、名クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトに影響を受け、クラリネットの名曲を立て続けに書いている。なかでも1894年に作られた2曲のクラリネット・ソナタは、ブラームスにとっての最後のソナタであり、自身によってヴィオラ版にも編曲された。情熱的な曲想の第1番、そして哀愁漂う旋律の第2番を滋味豊かに歌うタメスティと、1899年製のベヒシュタインで演奏したティベルギアンの優美な演奏は、ブラームス晩年の境地を見事に描いている。そして、マティアス・ゲルネが歌う「2つの歌」。リュッケルトの詩による第1曲「鎮められたあこがれ」はヴィオラも歌い手の心情を共に表現し、タメスティの内省的な美しさとゲルネの心に訴えかける歌唱は必聴。第2曲「聖なる子守歌」は、友人ヨーゼフ・ヨアヒムの長子誕生を祝って書かれたとも言われる優美な子守歌で、ヴィイオラは古いクリスマスの歌を奏する。
カサド + アラール〜ファリャ、ストラヴィンスキー
 ファリャ:歌劇「ペドロ親方の人形芝居」(*) /チェンバロ協奏曲(#)
 ストラヴィンスキー:「プルチネルラ」組曲
  アイラム・エルナンデス(T;ペドロ;*)
  ホセ・アントニオ・ロペス(Br;ドン・キホーテ;*)
  エクトル・ロペス・デ・アヤラ・ウリベ(上語り;*)
  バンジャマン・アラール(Cemb;#)
  パブロ・エラス=カサド指揮マーラー・チェンバーo.
 飛ぶ鳥落とす勢いのエラス=カサドが「三角帽子」「恋は魔術師」(2020年度第58回レコード・アカデミー賞大賞銅賞受賞/HMM-902271)に続きマーラー・チェンバーo. とファリャの「ペドロ親方の人形芝居」に挑戦。カップリングのチェンバロ協奏曲とストラヴィンスキーの「プルチネルラ」も魅力的。注目はバンジャマン・アラールがチェンバロ協奏曲を、それもプレイエル製「グラン・モデル」で弾いていること。曲はチェンバロの女王ランドフスカのためにモダーン・チェンバロを想定して書かれているが、この楽器自体、今日の美学的に好ましくないものとされ淘汰された感がある。アラールは楽器を探した末、ランドフスカ最後の弟子プヤーナがファリャ財団に寄贈したものを発見、それを用いて録音した。ノイズのなさや音量の大きさ、時にオルガンさえも思わす今や貴重なサウンドを堪能出来る。アラールはビリャンシーコによる第1楽章やスカルラッティを思わす第3楽章での指さばきはもとより第2楽章のスペイン的情念も理想的。決定盤出現と申せましょう。また、近代オーケストラにチェンバロが用いられた最初の例といわれる「ペドロ親方の人形芝居」もアラールが同じ楽器で参加して、華を添えている。ロシアのストラヴィンスキーは一見異質だが、「プルチネルラ」はペルゴレージをはじめ18世紀イタリア音楽を素材にしていることと、もともとディアギレフがロシア・バレエ団のためにファリャへ編曲を依頼したものの、断られたという因縁を持つ作品でもある。エラス=カサドはラテン的な感性と輝きで見事に再現している。
モーツァルト:弦楽四重奏曲集「ハイドン・セット」 Vol.2
 〔第15番 ニ短調 K.421 (1783) /第17番 変ロ長調 K.458「狩」(1784) /第18番 イ長調 K.464 (1785) 〕

 カザルスSQ
 録音:2019年11月、2021年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。スペインが誇る弦楽四重奏団、カザルス弦楽四重奏団によるモーツァルトのハイドン・セット続編の登場。「ハイドン・セット第1集」(HMC-902186/2013年録音)につづく登盤。この間にカザルス弦楽四重奏団のメンバーはベートーヴェンの弦楽四重奏全曲録音に取り組み、ますますそのアンサンブルを研ぎ澄ませたものにしてきている。モーツァルトがウィーンに居を構え、その創造性にも比類なき天才ぶりを発揮していた頃に書かれた作品群である「ハイドン・セット」。カザルスの面々による、満を持しての録音の登場。カザルス弦楽四重奏団は、1997年に結成、2000年ロンドン国際弦楽四重奏コンクール優勝、2002年ハンブルク・ブラームス国際弦楽四重奏コンクールで優勝し、またたく間にその実力を世界が認めることとなったカルテット。2007年に初来日、以降2009、2011、2014年に来日、2018年6月にはサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン2018でベートーヴェン・チクルス(全曲演奏/全6回)に登場し、圧巻の演奏を披露した。
エラス=カサド&パリ管
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
 ペーテル・エトヴェシュ:
  ヴァイオリン協奏曲第3番「アルハンブラ」(*)
イザベル・ファウスト(Vn;*)
パブロ・エラス=カサド指揮
パリo.
 録音:2019年9月、グランド・サルル・ピエール・ブーレーズ、フィルハーモニー・ド・パリ。大注目盤の登場!エラス=カサドとパリ管による「春の祭典」!カップリングには、ソリストにイザベル・ファウストを迎えたエトヴェシュの「アルハンブラ」を収録!2020年度のレコード・アカデミー賞大賞受賞したスペイン生まれの指揮者パブロ・エラス=カサド。深い解釈と高い説得力、そしてバロックから現代音楽までの広いレパートリー、さらには、フライブルク・バロックo. 、バイエルン放送so. 、マーラー・チェンバーo. 、ミュンヘンpo. 、フィルハーモニアo. と様々なオーケストラと共演・録音を行っていることを見れば、彼の多才さがよく分かる。今回録音されたのは、1913年パリのシャンゼリゼ劇場で初演され、一大センセーションを巻き起こしたストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」。反バレエ的な動き、バレエ界にとって大スキャンダルでもあったが、同時に聴衆を驚かせたのは、5管編成という独特のオーケストラ編成から生み出される響き、そして不規則で鋭いアクセント、変拍子というストラヴィンスキーの斬新な音楽。エラス=カサドの明晰な解釈とパリ管による精緻で多彩な色彩感をもつ演奏、個性的なパリ管の奏者たちの楽器一つ一つが良く響き、最高のアンサンブルで奏でている。第1部では、土着的な要素よりも知的で洗練された印象だが、第2部では万華鏡のように、光と色彩が目まぐるしく変化する演奏、それを躍動的かつ鮮やかに引き出すエラス=カサドの手腕にも脱帽。カップリングのペーテル・エトヴェシュのヴァイオリン協奏曲第3番「アルハンブラ」。この作品は2019年7月12日にスペインのグラナダ音楽祭の委嘱作品として、イザベル・ファウスト、エラス=カサド指揮マーラー・チェンバーo. によって初演されている。スペイン・グラナダにある有名なアルハンブラ宮殿に触発され、そして初演者であるイザベル・ファウスト、エラス=カサドの二人に捧げられている。エトヴェシュは、「宮殿の噴水、その次元、周囲の山々、アンダルシアの素晴らしい夕日、これらすべてが私の作品の一部となった。私が画家であったらそれを描いていただろう。」と語っている。また作品には、二人の名前が音名として隠されている。
ホロデンコ・プレイズ・チャイコフスキー
 ピアノ・ソナタ〔ト長調 Op.37 /嬰ハ短調 Op.80 〕/
 「四季」〜トロイカ Op.37a No.11 /
 ロマンス Op.51 No.5
ヴァディム・ホロデンコ(P
使用楽器:ファツィオリ
 録音:2019年9月、ファツィオリ・コンサート・ホール、サチーレ、イタリア。ハルモニア・ムンディ・レーベルでロシアのピアノ曲を精力的にリリースするヴァディム・ホロデンコ。最新盤はチャイコフスキー作品集。彼は数年来この企画を温め続け、満を持しての録音となった。チャイコフスキーの「ピアノ・ソナタ ト長調」は名作「四季」と同じ作品番号を持ち、1878年に作曲された。不幸な結婚から逃れてスイスで相方のヴァイオリニスト、コテクと楽しく過ごしながら回復し、ヴァイオリン協奏曲を作曲したのと同時期にあたる。長大で非常な難曲だが、近年ロシアのピアニストたちが好んで録音するようになり、立て続けに名盤が誕生する作品となっている。チャイコフスキーにはもう1曲ピアノ・ソナタがあり、それもホロデンコの演奏で登場なのが大歓迎。 Op.80という作品番号ながら、チャイコフスキーが学生時代に提出した初期作品。第3楽章スケルツォの主部が交響曲第1番「冬の日の幻想」の第3楽章に転用されていることも興味津々。ホロデンコは銘器ファツィオリの豊かで明快な音色を駆使して充実の演奏を展開。フィルアップには「四季」でとりわけ有名な11月「トロイカ」と、あまり知られていない「ロマンス」が採り上げられている。「ロマンス」は「6つの小品 Op.51」の第5曲。同じ曲集の第6曲が名作「感傷的なワルツ」で、この曲もチャイコフスキーならではの美しい世界を堪能出来る。
J.S.バッハ:モテット集
 J.S.バッハ:モテット
  〔主を讃えよ、すべての異邦人よ BWV.230 /来たれ、イエスよ、来たれ BWV.229 /
   御霊は我らの弱さを支え助け給う BWV.226 /恐れるな、私はあなたと共にいる BWV.228 /
   イエス、わが喜びよ BWV.227 /歌え、主に向かい新しい歌を BWV.225 〕
 ヴィンチェンツォ・ベルトルージ(ca.1550-1608):彼に私へ口づけをさせてください
 ヤコブス・ガルス〔ヤコブ・ハンドル〕(1550-1591):見よ、正義の人がいかにして死ぬか、誰もそれを心に留めない
 ジョヴァンニ・ガブリエリ(ca.1554/57-1612):主に向かって喜びの声をあげよ

 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン
 録音:2019年9月、パリ。いま最もフランス古楽界で注目されている1984年生まれのラファエル・ピション。注目の最新盤は、バッハのモテット集。といっても、モテットだけを集めて録音したのではなく、バッハ以前の時代の作曲家の多声作品もはさみこんでいる、凝ったプログラム。「J.S.バッハのモテットほど人を豊かにしてくれる音楽はない。私は幸運にも10歳の時から何度も何度も何度も歌うことができた。なぜなら、これらのモテットは、歌う人、聴く人すべてに忘れられない痕跡を残すから。モテットに立ち返る時、その魅力はますます増大している。その絶対的な力によって、人は感動し、確信する。すべてゆるぎない信仰心の表現によって導かれた作品。」とはピションの言葉だが、まさに、聴いていると声に包みこまれて高みにつれていってもらえるような気持ちになる1枚。ベルトルージは、ヴェネツィアのそばのムラーノ出身、クラクフで長年オルガニストを務め、北ヨーロッパに複合唱のスタイルを伝えた人物の一人。ヤコブス・ガルスは現在のチェコでカペルマイスターとして活躍した人物。ライプツィヒではここに収録された作品は聖金曜日の礼拝でよく用いられていた。ジョヴァンニ・ガブリエリはヴェネチアの有名なオルガン奏者で、シュッツの師でもあった人物。8声部からなるこのモテットは彼の中でも最高傑作のひとつ。
プロコフィエフ
 ピアノ・ソナタ第6番 イ長調 Op.82 /
 その物自体 Op.45 /4つの小品 Op.32 /
 つかの間の幻影 Op.22(全20曲)
ヴァディム・ホロデンコ
(P|使用楽器:ファツィオリ
 録音:2019年9月、ファツィオリ・コンサート・ホール、サチーレ、イタリア。プロコフィエフのピアノ協奏曲全曲録音を完了し、高い評価を受けたホロデンコ。次いで独奏曲に挑戦した。ホロデンコのこだわりを感じさせるプログラミングで、人気曲をあえて避けた辛口な芸術観がうかがえる。メインはピアノ・ソナタ第6番。「戦争ソナタ」第1作を成す傑作で、プロコフィエフのピアノ・ソナタ中最長の物。プロコフィエフならではの激しさを見せながらも、明るく抒情的な世界が独特。さらに初期の溢れる楽想を書きとめた才気煥発な「つかの間の幻想」を全曲聴かせてくれるのも嬉しい限り。ホロデンコの愛するファツィオリ・ピアノの明るい響きと音色の多様な変化、自在なコントロールで全く新しい装いを見せていて興味津々。さらに興味深いのは、アメリカ滞在中の「4つの小品」と「その物自体」という弾かれることの少ない2篇をとりあげていること。ホロデンコならではの複雑な内省性が際立つ名演となっている。
シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 〔ト長調 D.894 /ハ短調 D.958 〕
アダム・ラルーム(P)
 録音:2019年10月14日-17日、パリ。フランスの俊英ラルームのソロディスクがハルモニア・ムンディから登場!シューベルトの ト長調のソナタ(1816年10月)と、死の数週間前に書かれた3つのソナタのうちの第1曲、 ハ短調のソナタ(1828年9月)。 ト長調のソナタはシューマンが「最も完全な作品」と賞賛した作品。第1楽章のMolto moderato e cantabileの冒頭から、画家が繊細な筆遣いで次々と色を重ねながら静かに絵を完成させていくような、そして少しずつ霧が晴れていくような、繊細にして希望を感じる演奏。終楽章の、ともするとめまぐるしいだけになってしまう転調や回想も全てが必然であると感じる説得力抜群の演奏。 ハ短調のソナタはベートーヴェンを強く意識して書かれたものですが、テクニックと感情の両面に完璧なコントロールが効いた演奏。ラルームは10歳でピアノを始め、トゥールーズ音楽院を経て、パリ国立高等音楽院でミシェル・ベロフのもとで研鑽を積んだ。ハンブルクに移り、コロリオフの薫陶も受けており、清潔感のあるタッチと静謐な音楽、完璧なコントロールが持ち味。
エラス=カサド〜シューマン(1810-1856):交響曲全集
 〔第1番 変ロ長調 Op.38「春」(1841) /第2番 ハ長調 Op.61 (1845-46) /
  第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」(1850) /第4番 ニ短調 Op.120 (1851年版/1841年作曲・1851年改訂)〕

 パブロ・エラス=カサド指揮ミュンヘンpo.
 録音:2019年3月-4月、ガスタイク、ミュンヘン。パブロ・エラス=カサド&ミュンヘン・フィルという注目の顔合わせによるシューマンの交響曲が、一挙に全曲で登場する。エラス=カサドの指揮は、引き締まったリズムに貫かれていながら、濃密かつ華やか、そして鮮やか。130年を超える歴史あるミュンヘン・フィルのサウンドは完璧で、管楽器が華やかに鳴り響く場面での壮麗な響きはもちろんのこと、室内楽のように濃密な場面でのたっぷりとした歌など、エラス=カサドとともに、これ以上なく生き生きとしたシューマン像を響かせる。シューマンは、ベートーヴェンの影に押しつぶされることなく、交響曲という厳格な形式の中に、その自由なインスピレーションを注ぎ込んだ。ミュンヘン・フィルのロマン派作品演奏の伝統と、エラス=カサドの綿密な曲作りにより、シューマンの魂や息遣いがすぐそこに感じられるとともに、シューマンが当時前衛的な作曲家であったことをあらためて認識させるようだ。新しいシューマン像が見事に浮彫になっている。全集で一挙に聴けることにもまた価値のある発売といえるだろう。
ブラームス(1833-1897):
 ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 Op.5 (1853) /
 7つの幻想曲 Op.116 (1892)
アダム・ラルーム(P)
 録音:2020年12月、サル・ガヴォー、パリ。1987年生まれのフランスのピアニスト、アダム・ラルームのソロ第2弾。第1弾はシューベルト(HMM-902660)だったが、今回はブラームス。ソナタの第3番はブラームス20歳の頃の作品ということもあり、力強いテクニックが要求される作品だが、ラルームは冒頭から実に繊細。色濃く感じられるベートーヴェンの気配など、ラルームならではの視点からの演奏となっている。最晩年の作品、7つの幻想曲では繊細かつふくよかにうたうラルームの音楽が炸裂。作品の背景を深く読み込みつつも、ラルームの直感に満ちたタッチで演奏している。ラルームは10歳でピアノをはじめ、2009年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールなどで優勝している。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などで来日もしており、その繊細かつ誠実な表現に聴衆は心を打たれた。ラルームのさらなる深化にも期待の高まるブラームス。
ブノワ・ムニュ(1977-):イロワーズ海からカリブ海への旅「島」
 〜マヤ・ヴィラヌエヴァ(S) エマニュエル・ベルトラン(Vc)
 アンサンブル・シントニア
 録音:2019年10月13日-15日、フランス。ブノワ・ムニュのハルモニアムンディでの第1弾となるCD 。ムニュは、フランスを中心に活躍する気鋭の作曲家。2016年、SACEMアワード(若手作曲家の交響的音楽部門)を受賞している。ドミニク・ランベールやエメ・セゼールらの詩、そしてニト・ダリエルの彫刻作品に大きくインスピレーションを得て、海、そして自然への賛歌のような作品となっている。演奏陣は、女性チェロ奏者のベルトランや、ムニュの名前が世界で認められるきっかけともなったオペラ作品「Fando et Lis」にも出演したソプラノのヴィラヌエヴァといった布陣。そしてアンサンブル・シントニアはピアノ五重奏の編成で活動を続けるグループ。
含・世界初録音、イザベル・ファウスト〜ブリテン:ヴァイオリン協奏曲&室内楽作品集
 ヴァイオリン協奏曲 Op.15 (1939, rev.1958) (*) /
 ヴァイオリンとピアノ伴奏のための演奏会用練習曲「起床ラッパ [Reveille] 」(1937) (#) /
 組曲(1936) (#) /ヴァイオリン、ヴィオラとピアノのための2つの小品(1929) (+)

  イザベル・ファウスト(Vn) ヤクブ・フルシャ指揮バイエルン放送so.(*)
  アレクサンドル・メルニコフ(P;#/+) ボリス・ファウスト(Va;+)
 録音:2021年10月28日-29日、ライヴ(*) /2022年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン、セッション(#/+) | (+):世界初録音。イザベル・ファウストがブリテンのヴァイオリン協奏曲を録音した。管弦楽はフルシャ率いるバイエルン放送so. という最高の布陣。ファウストの聴き手の心を射抜くようなまばゆい音色は冴え渡り、オケも全員が全身全霊の超絶名演。ブリテンのヴァイオリン協奏曲は、アルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲に多大な影響を受けて書かれたが、ブリテン渾身の魅力的なメロディも満載の名曲。壮絶な場面から作品終盤の神がかり的な美しさまで、驚異の名演の登場。カップリングはメルニコフがピアノを担当している室内楽というこれまた豪華な内容で、世界初録音のブリテン16歳の時の「二つの小品」も収録されており、大注目の1枚。ブリテン(1913-1976)がヴァイオリン協奏曲の作曲に着手したのは1938年。1936年の国際現代音楽協会フェスティヴァルで初演を聴いたアルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲に触発されてのことだったといわれる。ヴァイオリン協奏曲はスペインのヴァイオリン奏者(1914年よりロンドンに定住)のアントニオ・ブロサのために書かれた。1940年3月、バルビローリ指揮NYPによりカーネギー・ホールで初演された。同時代の政治的激動に対するブリテンの心情がシリアスな器楽群に現れているような作品。冒頭はティンパニの柔らかな響きとそれに呼応するシンバルという行進曲風で印象的な出だしで、ヴァイオリンが登場しエレジー風かつ非常にかっこいい旋律を奏でる。ここからしてファウストの輝かしい音色が炸裂しており、ファウスト節全開。歌いまくり弾きまくっている様子に驚かされるほど。フルシャ率いるバイエルン放送so. もソリストとオーケストラの間で交わされる様々な対話のひとつひとつが実に丁寧。第2楽章はヴィヴァーチェで非常に暴力的で獰猛。そのまま第3楽章では様々な感情の起伏を経て、最後は壮絶ながらも神がかり的な美しさで曲が閉じます。終始ファウストのソロの鬼気迫るまでの表情と音色が際立っており、それに呼応するフルシャとオケも全身全霊。稀有の名演が誕生した。続く収録楽曲はピアノを含む室内楽作品。「組曲」はブリテンがベルクのヴァイオリン協奏曲を聴いた直後に作曲された作品で、ヴァイオリン協奏曲に先立ってアントニオ・ブロサとブリテン自身によって初演された。ヴァイオリン・パートには容赦ないヴィルトゥオジティが要求されるだけでなく、モダニズムの語法やストラヴィンスキーの新古典主義を思わせる部分など、ブリテンの才気に満ちた作品。Reveilleもアントニオ・ブロサのために書かれ、1937年4月12日にフランツ・ライゼンシュタインのピアノによりウィグモア・ホールで初演された。ピアノが時計のような規則的な動きをやわらかく繰り返す上で、ヴァイオリニストがゆっくりと目覚め、次第に旋律を奏で狂詩曲的な華やかさへ、そして最後には楽器の名人芸をより激しく披露していくような作品。世界初録音となる「二つの小品」は1929年12月12および24日、ブリテンの16歳の誕生日直後に完成された。2013年にようやく出版された作品で、ファウスト、ボリス・ファウスト、メルニコフという最高のメンバーによる世界初録音の登場となった。 スクリャービン、シェーンベルク、ベルクらの革新性を驚くほど理解しており、神秘的で集中した2曲。ピアノ・パートの驚異的な美しさ(書法も美しいし、メルニコフの演奏も素晴らしい)も印象的。
HMM-902669/70
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(1CD+ BONUS
DVD [NTSC])
1CD価格
われ汝のほかに望みなし
 CD
  トマス・タリス:われ汝のほかに望みなし(40声のモテット) / デリック・ジェラルド:おお主よ、羊飼いにして
  フェッラボスコ1世:オリーヴ山で / ウィリアム・バード:主よ、われらを救いたまえ
  作曲者不詳:救いの果実 / デリック・ジェラルド:汝は力なり
  フィリップ・ファン・ヴィルダー:われらの父よ / トマス・タリス:断食し、泣きつつ
  フェッラボスコ1世:イスラエルの民は歌いぬ / 作曲者不詳:あなたの祭壇から
  フェッラボスコ1世:主よ、われを裁きたまえ / ウィリアム・バード:あなたのしもべに
  トマス・タリス:世の救い主よ / フィリップ・ファン・ヴィルダー:町を見たり
  ジェイムズ・マクミラン:流れ出る水を見た
 DVD 「われ汝のほかに望みなし:450周年」(日本語字幕なし)
  当CD録音風景/トマス・タリス:「われ汝のほかに望みなし」録音/
  ジェイムズ・マクミラン:「流れ出る水を見た」録音/
  スージー・ディグビーとジェイムズ・マクミランの対談

 スージー・ディグビー指揮 ORA シンガーズ
 録音:2019年7月、12月、オール・ハローズ教会、ゴスペルオーク。ロンドン。16世紀イギリスの作曲家トーマス・タリスの名を不朽のものにした40声のモテット「われ汝のほかに望みなし」が作られて450年を記念して作られたアルバム。それに呼応する形で、現代イギリスの作曲家ジェイムズ・マクミランの委嘱作「流れ出る水を見た」を最後に置く充実した内容も魅力。16世紀イギリスは合唱文化が栄え、聖俗さまざまな作品が産み出された。当アルバムは聖歌を集めているが、いずれも清澄で透明、心洗われるような世界を繰り広げている。演奏はスージー・ディグビー率いるORAシンガーズ。2014年創立でルネサンスと現代の合唱作品を専門とする団体。実演よりもレコーディングに力を入れるのも異色。彼らの凄さは、どれほど複雑で大規模な作品でも常に明快で、他の団体では見落としがちなことを再発見させる。CDに加え約35分のDVD付き。アルバム・タイトルにもなっているタリスの「われ汝のほかに望みなし」などの録音風景が興味津々。またスージ・ディグビーとジェイムズ・マクミランの対談も貴重。日本語字幕はない。
HMM-902671
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[仏語版]
兵士の物語〜ストラヴィンスキー
 無伴奏ヴァイオリンのためのエレジー(1944) /
 ヴァイオリンとピアノのためのデュオ・コンチェルタンテ(1932) (#) /
 兵士の物語(7人からなる小オーケストラ版) (+)
  イザベル・ファウスト
   (Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」、1704年製
  アレクサンドル・メルニコフ(P;#|使用楽器:スタインウェイ
  ドミニク・ホルヴィッツ(語り;兵士&悪魔〔各国語とも〕;+)
  ロレンツォ・コッポラ(Cl
   使用楽器:ともにビュッフェ・クランポン、パリ、 B管〔1918年製〕、A管〔1906年製〕

  ハビエル・ザフラ(Fg|使用楽器:ビュッフェ・クランポン、1910年製)
  ラインホルト・フリードリヒ(コルネット|使用楽器:
    F. ベソン、ピストン式B管〔1906年製〕/製作者不詳、ピストン式C管〔1915年頃製〕/
   『 Ratzek製ミュート、マウスピース (1900年頃、製作者不明) 』〔『内』代理店記載ママ〕

  ヨルゲン・ファン・ライエン(Tb|使用楽器:A.クルトワ、1927年以前製
  ウィス・ド・ボーヴェ
   (Cb|使用楽器:マルティヌス・マティアス・フィフトル、ウィーン、1748年製
  レイモンド・カーフス(Perc|使用楽器:すべて19世紀末-20世紀初期製
HMM-982671
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[独語版]
HMM-992671
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[英語版]
 録音:2019年12月、4月(+)、2020年7月(*/#)、すべてテルデックス・スタジオ・ベルリン。ヴァイオリンの女王イザベル・ファウストによる、ストラヴィンスキー録音の登場。内省的な無伴奏作品「エレジー」、ヴァイオリンとピアノのための唯一の作品「デュオ・コンチェルタンテ」、そして「兵士の物語」というプログラム。ファウストといえばどんな作品でもその核心をまっすぐ引き出す音色、精緻かつ確固たる構成力、知性、そして共演した誰もが驚嘆するアンサンブルの才。その音楽の深化にとどまるところを見せないファウストにうってつけのプログラムと言えるだろう。CDは無伴奏ヴァイオリンのための「エレジー」から始まる。現代音楽を得意としたベルギーのプロ・アルテ弦楽四重奏団の設立メンバーで、第1ヴァイオリン奏者だったアルフォンス・オンヌー追悼のために1944年に書かれた作品。ストラヴィンスキーには珍しい無伴奏作品で、内省的で厳かな哀しみが感じられる曲で、ファウストの繊細で細密画のようなタッチが紡ぐ世界に引き込まれる。「デュオ・コンチェルタンテ」は長年にわたりアンサンブルを組んでいるメルニコフとの共演。オスティナート風のピアノと無機的なヴァイオリン・パートの掛け合いの第1曲に始まり、シニカルな第2曲、内省的でゆったりとした第3曲、打楽器のように弾むリズムが印象的な第4曲、そして緊張感に満ちた第5曲と、様々なキャラクターの5曲からなる作品だが、ファウストの光線のようなまっすぐな音色と、メルニコフの時に地鳴りのように、時に繊細極まりなく響くピアノのアンサンブルが見事な演奏。「兵士の物語」は7人の小オーケストラ版で、テキストもラミュの台本を使用した、いわば初演当時のオリジナルの姿での録音。注目なのが、アンサンブルメンバーの超豪華顔ぶれ!ファン・ライエン、ラインホルト・フリードリヒ、コッポラら、錚々たる顔ぶれ。そして彼らが手に取った楽器も、どれも作曲当時に作られたものから選びぬかれたもので、初演当時のサウンドがよみがえる(ブックレットにはそれぞれの奏者による使用楽器についてのコメントが掲載されており、たとえばライエンのトロンボーンは1940-50年代にコンセルトヘボウ奏者だった人物が使っていたものが突然のめぐりあわせで手にはいったものだとか、フリードリヒはまず楽器の「臭い」に慣れなければならなかったとか・・・大変興味深い内容)。それぞれの楽曲がもつ質感がざらざらひりひりと伝わってきて、作品の持つ大衆的で巡業するサーカスのような側面もより際立って響く。名優ホルヴィッツの語りは、器楽アンサンブルと実に見事にリズムがシンクロしているようで、もはや語りを超えたもうひとつのアンサンブルのパートのように聞こえる。ホルヴィッツはこのプロジェクトに際しファウストから直々にオファーを受けたといいます。ホルヴィッツは3か国語ヴァージョンで収録、ディスクも3種類のリリースという前代未 聞のスケールでのリリース。「兵 士の物 語」は、もともと第一次世界 大戦で多くのアーティストたちが困窮した中、少人数で演奏でき、巡業もしやすいものということで書かれた。初演は成功したものの、当時大流行していたスペイン風邪に作曲家自身や関係者が次々とたおれ、巡業の計画は実現しなかったという、今の状況と奇しくも重なって見える背景をもつ作品でもある。物語は、何の気なしに悪魔に魂を売ってしまった一人の兵士が、あらゆる手段を使って取引をもちかけるも、最終的には、人間が負けてしまう、という物。人間の自由のための戦いと、演劇的にも素晴らしい音楽が、最大限に表現されている。ストラヴィンスキー没後50年の2021年、最強メンバーによる録音の登場。
アンリエット・ド・コリニーの詩によるアリア〔エール〕集
 セバスティアン・ル・カミュ(1610頃-1677):
  わたしはあなたに身をゆだねる、いとしい思い出よ/ああ、私をこの危険な場所から飛び立たせてください/
  夏のたのしみ、涼しくて薄暗い木立/人里離れた森の中、ほの暗い棲家/
  せっかちな朝焼けよ、もっと夜を長く続けておくれ/あなたの魅力のとりこにさせないでおくれ/
  ああ、心穏やかに待つことができる者は/もはや人生には何もない/甘い春/
  私は心の中に新たなるざわつきを感じる/太陽よりも美しい羊飼い/孤独で暗い木々
 フランソワ・カンピオン(1685/86頃-1747/48):
  決して愛さないと1000回誓った/彼はなんと愛される価値のあることだろう
 フランソワ・デュフォー:組曲 イ短調(器楽曲)
 ベルトラン・ド・バシリー:彼はなんと愛される価値のあることだろう/私はこの青い木陰に逃げ込んだ/
              私は他の人の意見を聞こうとした/昼間よりも美しい、星輝く夜
 作曲者不詳:愛とやさしさなくして/あなたの魅力のとりこにさせないでおくれ/
       若々しい緑に彩られた木立の中で/この素晴らしいマスカットを味わってみよう
 アンリ・デュモン(1610-1684):ためいきをつかせておくれ、まとわりつく理性よ
 ミシェル・ランベール:「ためいきをつかせておくれ、まとわりつく理性よ/私は愛し愛されている」
 ロワイエ氏:昼間よりも美しい、星輝く夜 / サント=コロンブ氏:シャコンヌ ニ調
 オノレ・ダンブリュイ(活躍:1660-1685):「木々の穏やかな静寂/この緑の木陰、もっとも愛しい人よ」
 マシー氏:ガヴォット
 ジャン=バンジャマン・ド・ラ・ボルド(1734-1794):せっかちな朝焼けよ、もっと夜を長く続けておくれ
 ジャン=バティスト・ヴェッケルラン(1821-1910):愛とやさしさなくして

 マルク・モイヨン(Br)
 アンジェリク・モイヨン(トリプルHp) ミリアム・リニョル(バス・ヴィオール)
 2020年5-6月、フランス。アンリエット・ド・コリニー(1623-1673)は、当時の女性としては大変珍しいことに、20歳で恋愛結婚をした。夫が亡くなった後、母親の勧めでラ・スーズ伯爵と結婚させられることになったが、コリニーはいわば "愛のない事実婚 "とでも言うべきスタンスを貫き、大変自由な考えをもっていた。そんな彼女はまた大変な才能を持った文学者・詩人でもあり、彼女の詩には同時代人、および後世の人々が多数作曲している。古楽を中心に活躍するバリトン(テノールとしても活躍)、マルク・モイヨンが、彼女の残した美しい詩の世界をたくみな情景描写で歌い上げる。マルクの姉(妹)にあたるアンジェリク・モイヨンは 13-18世紀の音楽をハープで演奏しており、中世ハープ、ルネサンス・ハープを奏でるほか、ドゥルス・メモワールなどでも演奏している。マルクとはしばしば共演している。
ヤーコプス〜J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV.232(全曲)
 ロビン・ヨハンセン(S) マリー=クロード・シャピュイ(Ms)
 ヘレナ・ラスカー(A) セバスティアン・コールヘップ(T)
 クリスティアン・イムラー(B−Br) ルネ・ヤーコプス指揮
 ベルリン古楽アカデミー[コンサートマスター:ベルンハルト・フォルク]、ドニ・コンテ合唱指揮 RIAS 室内cho.
 録音:2021年8月、ビュルゲルハウス、ノイエンハーゲン・バイ・ベルリン、ドイツ。ヤーコプスによるミサ曲 ロ短調の登場。管弦楽はベルリン古楽アカデミー、合唱はRIAS 室内合唱団、という最強の布陣。「ミサ曲 ロ短調」は独唱者も重要だが、全編をとおして合唱も非常に重要なウェイトを占める作品。合唱は各パート5-7人の編成だが、楽曲によっては各パート3人程度の編成で演奏している箇所もあり、RIASのメンバーのうまさ、楽曲の魅力が引き立つ。管弦楽も、グローリアなどの華やかな楽曲での華やかな響きが美しいのはもちろんのこと、録音の思いがけないやわらかな美しさに心奪われそうになる。「ラウダムス・テ」や、演奏会でも誰もが耳をそばだてる「クオアニアム」の管弦楽による前奏も、名手による協奏曲の体で思わず聴き入ってしまう。通奏低音にはリュートも配されており、アニュス・デイなどの楽曲でのその効果は衝撃的美しさ。ヤーコプスは、1992年に、同じくRIAS 室内合唱団とベルリン古楽アカデミーと「 ロ短調」を録音しているが、それから時を経ての満を持しての録音。ブックレットには、ヤーコプスのコメントで、2021年1月に亡くなったハルモニアムンディのプロデューサーであり社長も務めたエヴァ・クータツ氏、そしてレーベル創始者・故・ベルナール・クータツ氏にこの演奏をささげる、とある。演奏者、録音に対して常に最高を求めたふたりにささげる、とあるだけあって、ヤーコプスのこの演奏への自負も感じられる。
イザベル・ファウスト〜 SOLO
 ニコラ・マッテイス・Jr (1670年代後半-1737):ファンタジア イ短調「 Alia Fantasia 」
  (ソロ・ヴァイオリンのための2つのファンタジアより)
 ニコラ・マッテイス・Sr (1650年頃-1713以降):ヴァイオリンのためのエア集 [Ayres for the Violin](抜粋)
  〔プレリュード/パッサッジョ/ロット=アンダメント/ヴェローチェ/ファンタジア〕
 ヨーハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755):ソナタ イ短調
 ルイ=ガブリエル・ギユマン(1705-1770):ソロ・ヴァイオリンのためのアミュズモン Op.18(抜粋)
  〔アレグロ=アレグレット=アンダンティーノ=アレグロ/
   マエストーゾ=アリア/グラティオーゾ=ヴァリアツィオーネ=アルトロ=アルトロ〕
 ヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイアー(1663-1722):パルティータ第5番 ト短調
 ハインリヒ・イグナーツ・フォン・ビーバー(1644-1704):ロザリオのソナタ〜パッサカリア ト短調「守護天使」

 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ヤコブス・シュタイナー、1658
 録音:2020年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。世界最高峰のヴァイオリン奏者、イザベル・ファウスト。深遠極まりない、無伴奏による新譜の登場。奏でている音色はやわらかく、フレーズのひとつひとつにふくよかな息遣いの音楽が宿っていながら、驚異的な集中にはただならぬオーラと鬼気迫るものすら感じさせるような演奏。ファウストの音楽だけでなく、彼女が音楽に向かう姿勢までもが鮮烈にとらえられているかのうような、圧倒的な録音。プログラムはバロック後期の無伴奏ヴァイオリン作品。冒頭のマッテイス(息子)の作品は3分半ほどの作品。ファウストの演奏は静かに始まるが、次第にこの楽曲のもつバッハのシャコンヌのような鬼気迫る凝縮された世界に、聴き手は金縛りにあったように引き込まれてしまう。ニコラ・マッテイス(息子)は当時コレッリのソナタを非常に優雅に演奏した、という記録が残されており、卓越した技術と音楽性を兼ね備えていた奏者だったことがうかがわれる(ハプスブルク家の宮廷に仕え、残されている作品はヴァイオリン作品よりむしろバレエ音楽が多い)。ピゼンデルはドレスデン宮廷楽団に仕えたドイツの最高のヴァイオリン奏者だった。イタリアを訪れ、ヴィヴァルディに師事し親交を深めたことでも名を残している。彼のソナタはバッハにも影響を与えたと考えられている。ギユマンはルイ15世やポンパドゥール夫人に仕えたヴァイオリン奏者・作曲家で、当時知名度・俸給の高さで群を抜いた存在だった。しかし浪費癖があり晩年は借金に苦しみ飲酒も過ぎるようになるなど、波乱の人生を送ったといわれている。舞曲風の楽曲が連なるこの Op.8は美しい装飾的な旋律が魅力。ヴィルスマイヤーは、ザルツブルク生まれで、ビーバーが率いる楽団の奏者だった。この作品は彼の唯一の出版譜に含まれるもので、楽譜の表紙には通奏低音を伴う作品を意図していた形跡もあるが、現在はソロ・パートのみが現存。ビーバーのスコルダトゥーラの技法も取り入れた作品となっている。ディスクの最後に収められているビーバーのパッサカリアは、無伴奏ヴァイオリン作品の最高峰のひとつ。ファウストの音楽は、たしかな歩みで音楽を運びつつ、音の余白にまで、研ぎ澄まされた神経が行き届いていることが感じられる物。なにかに突き動かされているように激しさを増す装飾は美しさを一切失わず、その音の連なりが織りなす空気は、人智を超えた神秘の領域を感じさせる。
シュタイアー〜J.S.バッハ
 平均律クラヴィーア曲集第1巻 BWV.846-869 全曲
アンドレアス・
 シュタイアー(Cemb)
 録音:2021年4月、6月、テルデックス・スタジオ、ベルリン|使用楽器:アンソニー・サイディ〔シデイ〕&フレデリック・バル、パリ、2004年制作〔モデル:ヒエロニムス・アルブレヒト・ハス、1734年制作〕。シュタイアーが演奏するバッハの平均律第1巻の登場。第2巻は先に録音(2020年)&発売 (HMM-902682/83) 、世界中で絶賛された。平均律クラヴィーア曲集第1巻には、バッハによる序文があり、「・・・音楽を学ぶ意欲のある若者たちの役に立つように、また、この勉強にすでに熟達した人たちには、格別の時のすさび(遊び、なぐさみ)になるように・・・」という部分があるが、まさにシュタイアーはこのバッハの言葉の後者にあたり、シュタイアー本人が楽しんで歌うように演奏しているのが伝わって来る。楽曲ごとの音色の選択の巧みさと、音色の種類の多さにも驚かされる。素朴な第1番のプレリュード、怒涛の迫力第2番のプレリュードと、曲集が進むにつれ様々な新しい世界が展開されている。シュタイアーが、バッハが構築した偉大な建造物の中を実にたのしく案内してくれるようで、新しい発見に満ちている。自然な演奏で、くつろいだ雰囲気すら感じられる。シュタイアーがさらなる境地に至っていることを感じる、堂々の第1巻。
シュタイアー〜J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻(全曲) BWV.870-893
 アンドレアス・シュタイアー(Cemb|使用楽器:アンソニー・サイディ&フレデリック・バル、
  パリ、2004年制作〔モデル:ヒエロニムス・アルブレヒト・ハス、ハンブルク、1734年製〕
 録音:2020年6月-7月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。アンドレアス・シュタイアー。いまなお静かに丁寧な仕事を続け、奏でる楽器がチェンバロであろうとフォルテピアノであろうと、あるいはピアノであろうと、その音楽からは「シュタイアー」の世界がたちのぼってくる鍵盤奏者にして音楽家。その知性と見識は音楽にとどまることなく深く広く、その語り口も、ひとつひとつの言葉の裏には広く深い宇宙が感じられる。そんなシュタイアーが、平均律クラヴィーア曲集を録音した。このたびシュタイアーがとりあげたのは第2巻。第1巻はバッハがブランデンブルク協奏曲などを書いたのと同時期の1722年に完成、そしてこの第2巻は1742年頃に完成された。第2巻を構成する作品は比較的長い期間にわたって作曲されたもので、そのスタイルは室内楽やオルガン作品、前古典派を思わせるものなど、第1巻よりもより多彩なものとなっている。シュタイアーは、楽器の多彩な音色も味方につけあそびを見せつつ、大バッハがのこしたこの音楽の聖典にして大きな宇宙を、気負うことなく、ひとつひとつ奏でている。
ブリュノ・フィリップ〜J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲
 〔第1番 ト長調 BWV.1007 /第2番 ニ短調 BWV.1008 /第3番 ハ長調 BWV.1009 /
  第4番 変ホ長調 BWV.1010 /第5番 ハ短調 BWV.1011 /第6番 ニ長調 BWV.1012 〕

 ブリュノ・フィリップ(Vc)
 録音:2020年7月、2021年8月、ラ・クーロワ、アントレーグ=シュール=ラ=ソルグ、フランス。フランスの注目チェロ奏者、ブリュノ・フィリップ。30歳目前という、まだ若手に属する存在だが、バッハの無伴奏チェロ組曲全曲録音に取り組んだ。あらためて譜面の選択からやりなおし作品とじっくり向き合い、第1番 ト長調は「誕生」、第2番 ニ短調「経験」、第3番 ハ長調「生命」、第4番 変ホ長調「精神的なもの」、第5番 ハ短調「死」、第6番 ニ長調「復活」とそれぞれの作品の根源的なテーマをさだめ、録音する順番も熟慮の上決定していったそう。トーマス・ダンフォードやジャン・ロンドーが所属するアンサンブル・ユピテルに通奏低音奏者としてガット弦を演奏して参加するうちに、ガット弦の魅力を深く知り、このたびの録音ではガット弦で演奏している。らくらくとしたテクニックで、自由にはばたくような音楽を聴かせるブリュノ・フィリップの、ひとつの究極の到 達 点となっている。ブリュノ・フィリップ1993年生まれ。パリ国立高等音楽院でラファエル・ピドウらのもとで学ぶ。2014年ミュンヘン国際コンクールで第3位、および聴衆賞受賞。2014年フォイアマンコンクールおよび2015年チャイコフスキー国際コンクールで特別賞受賞。2018年ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジークで「InstrumentarlRevelation(器楽部門の天啓的天才)」賞。フランスの名門ホールや音楽祭で活躍するほか、名門オーケストラとの共演多数。室内楽でも、タベア・ツィンマーマン、タメスティら世界的奏者たちと共演している。ジャン・ロンドーらが率いる古楽グループ、アンサンブル・ユピテルのメンバーでもある。ブラームス&シューマン作品集でCDソロデビュー(EVCD-0012)以降、ハルモニアムンディからもミャスコフスキー&ラフマニノフ(HMM-902340)、プロコフェイフ:交響的協奏曲(エッシェンバッハ指揮)(HMM-902608)をはじめ、録音参加作品も多数。
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全6曲)
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ヤコブス・シュタイナー、1658年製
 アントワン・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス「マーラー」、1672年製
 ベルリン古楽アカデミー
 録音:2021年3月、5月。ベルリン古楽アカデミーのブランデンブルク協奏曲の登場!これだけでも心躍るのに、なんとイザベル・ファウストとアントワン・タメスティという世界的名手がゲストに登場しているという、前代未聞のスケールの録音の登場。ベルリン古楽アカデミーは1998年にブランデンブルク協奏曲を録音(HMM-931634/35)、以降幾度となく演奏会でも取り上げており、まさにかれらの手中に完全に収められた物。自由自在、余裕たっぷりにあそびのあるアンサンブルが展開されている。また、ファウストとはバッハのヴァイオリン協奏曲集(HMM-902335)で素晴らしい録音を成し遂げ、タメスティともテレマンの協奏曲プロジェクトでお互いをよく知り尽くした上でのレコーディングとなっている。ファウスト、タメスティ両名が参 加している第3番では終楽章の目もくらむようなスピード感で展 開されるパッセージが圧巻!ファウストが参 加している第4番はリコーダーが活躍する楽曲だが、ファウストの攻めに攻めた、典雅で超絶技巧のパッセージもまた聴き物。第6番はヴァイオリンが含まれない少し珍しい編成の作品だが、ヴィオラのタメスティの存在感が際 立っている。ほかにもアルパーマンの雄弁すぎるチェンバロや、管楽器の面々のうまさ!語りつくせぬ聴きどころの連続だが、まるで6曲全体がひとつの大きな組曲であるように感じるくらい、ひといきに聴いてしまう。作品当時の奏者たちも高い技巧の持ち主だったことは夙に知られるところだが、あらためてその史実に驚きとともに思いをはせると同時に、当時の演奏の現場の熱気と活気、そして聴衆たちの興奮までもが再現されているようだ。即興感と心地よい疾走感に満ちた、尋常ならざる熱気とエネルギーと気魄にみなぎった演奏。
ベイエ&リ・インコーニティ〜ヴィヴァルディ
 協奏曲 ニ長調 RV.562 「聖ロレンツォの祝日のために」/フルート協奏曲 ホ短調 RV.432 /
 協奏曲 ハ長調 RV.556 「聖ロレンツォの祝日のために」/協奏曲 ヘ長調 RV.571 /
 ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ト短調 RV.576 /ヴァイオリン協奏曲 イ長調 RV.344 /
 2つのオーボエのための協奏曲 イ短調 RV.536 /協奏曲 ヘ長調「プロテウス、あるいは逆さまの世界」RV.572

 アマンディーヌ・ベイエ(Vn)指揮リ・インコーニティ
  [エレオノーラ・ビシェビチ、マニュエル・グラナティエロ(トラヴェルソ&リコーダー)
   ネヴェン・ルサージュ、ガブリエル・ピドゥ(Ob) ロベルタ・クリスティ、ルノー・ギィ=ルソー(Cl)
   アレハンドロ・ペレス=マラン(Fg) テオ・スカネク、シリル・ヴィトコク(Hr) 
   川久保洋子、フラヴィオ・ロスコ、ヴァディム・マカレンコ、アルバ・ロカ、カティア・ヴィエル、
   エレナ・ズマノヴァ(Vn) マルタ・マラモ、リカルド・ジル・サンチェスチェロ:レベカ・フェリ、
   カルラ・ロヴィロサ(Va) バルドメロ・バルシエラ(ヴィオローネ) フランチェスコ・ロマノ
    (テオルボ/バロックG) アンナ・フォンタナ(Cemb/Org) クレマン・ロスコ(ティンパニ)]
 録音:2021年4月、スペイン。フランス古楽界の新時代の担い手、ベイエ率いるリ・インコーニティ(名もなき者たち、の意。2006年結成)。待望の新譜は、ヴィヴァルディによる、もはや「交響曲」ともいえるようなスケールの協奏曲集。ベイエの奏でるヴァイオリンの明るく輝く音色は、生まれ故郷でもある南仏の太陽を思わせるようだ。そして奏でる音符やパッセージが微笑んでいるかのようだ。そしてクラリネットのユニゾン、リコーダーのトリル、官能的なオーボエの二重奏、燃え上がるようなホルンの響きが加わって、交響曲のようなサウンドながら、親密かつ軽やかなアンサンブルは必聴。ティンパニも登場する「聖ロレンツォの祝日のために」RV556は、1720年代中頃に作曲されたと考えられるが、クラリネットが使用されているのも注目ポイント。クラリネットは、ヴィヴァルディ当時はまだ新しい楽器だった(18世紀初めに登場)が、ヴィヴァルディは、ヴェネツィアにこの楽器が存在していたことに敬意を表してこれを作曲したと思われる(のちに、クラリネットを含まないヴァージョンも作曲している)。アルバムのタイトルにもなっている「プロテウス、あるいは逆さまの世界」と題されたRV544は、ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲に、フルート、オーボエ、チェンバロという編成の作品。入れ替えて演奏可能なヴァイオリンとチェロ双方のソロ・パートに相当な技術が要求される作品。さらに、他の楽器も、ソロ楽器と同じ旋律をオクターブのユニゾンで演奏するという、ソリストだけでなくメンバーの腕も要求される作品。そこにヴィオラがドローンのように長い音符を奏で、なんともいえない厚みのあるサウンドが生まれる歯ごたえのある作品。ベイエ率いるリ・インコーニティの面々は、パッセージのひとつひとつを愉悦に満ちた表情で奏でている。
信仰と希望と愛と〜シューベルト
 信仰と希望と愛と D.955 /休みなき愛 D.138 /あこがれ D.636 /小人 D.77 /秋の夜の月に寄せる D.614 /
 漁夫の愛の幸せ D.933 /双子座に寄せる舟人の歌 D.360 /水の上で歌う D.774 /墓掘人の郷愁 D.842 /夜と夢 D.827 /
 盲目の少年 D.833 /別れ D.475 /魔王 D.328 /この世からの別れ D.829 /万霊節の連祷 D.343

 サミュエル・ハッセルホルン(Br) ジョセフ・ミドルトン(P)
 録音:2021年4月、ラ・クールワ、フランス。ハルモニア・ノヴァ・シリーズで、シューマン作品集(HMN-916114)でデビューした注目のバリトン、サミュエル・ハッセルホルンによるシューベルトの登場。ディースカウの再来かと思うような、抑制の効いた表現、そして1990年生まれの若きハリとパワーが漲った、今のハッセルホルンがここにある。自然、夜、別れ、不在、死といった、シューベルトが好んだテーマに沿って、有名作品やあまり演奏機会のない曲が並んでいるが、いずれもハッセルホルンの歌が光る、秀逸なプログラム。シューマンの盤同様、ヨーゼフ・ミドルトンがピアノを担当。歌詞の世界がこれ以上なくあざやかに広がる。
ポール・ルイス〜
 シューベルト:ピアノ・ソナタ集
(完結編)
  〔イ長調 D.664 /変ホ長調 D.568 /イ短調 D.537 〕
ポール・ルイス(P)
 録音:2022年4月、スタジオ4、ベルギー。2001年にはじまったポール・ルイスのシューベルト・ソナタ集録音、ついに完結編の登場。ポール・ルイスはこの20年の間、シューベルトの演奏会シリーズで純度の高いシューベルトで世界中をうならせ、さらにベートーヴェンのソナタや協奏曲全集で他の追随をゆるさない高次元の演奏を展開してきた。久々となるシューベルトのソナタ録音となる当盤でも、ポール・ルイスは一切の過剰な表現を排し、シューベルトとの魂の対話を高精細な音色で聴かせてくれる。 イ長調のソナタはピアノ学習者がしばしば演奏するが、ポール・ルイスの演奏は明るい音色で自然な歌に満ちていながら、1ミリも隙がない均衡のとれた美しさ。ポール・ルイスがさらなる高みへと上っていることが感じられる。
HMM-902691/93
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(3CD)
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ピジョン&ピグマリオン〜J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV.244
 ユリアン・プレガルディエン(T;福音書記者) ラファエル・ピション指揮ピグマリオン
 合唱I:ザビーヌ・ドゥビエル(S;ピラトの妻) マイス・ド・ヴィルトレイ(S;召使1)
     アデレ・カルリエ、アンヌ=エマニュエル・ダヴィ、アルメル・フローリガー、ナディア・ラヴィワイエ(S)
     ルシール・リシャルドー、フィリップ・バルト、マリー・プシュロン(A/CT)
     レイノウド・ファン・メヘレン、オリヴィエ・コワフェ、コンスタンタン・グベ(T)
     ステファヌ・ドゥグー(B;イエス) エティエンヌ・バゾラ(B;ペトロ/大祭司1)
     ゲオルク・フィンガー(B;ユダ/大祭司2) ギヨーム・オルリ、ルネ・ラモス・プルミエ(B)
 合唱II:ハナ・ブラシコヴァー(S) ペリーヌ・ドヴィエール(S;召使2) カロリーヌ・アルノー、
     セシル・ダルモン、マリー・プラニンセク、ヴィルジニー・トーマス(S)
     ティム・ミード(CT;証人1) コリンヌ・バユオー、ヤン・ローランド(A/CT)
     エミリアーノ・ゴンザレス=トロ(T;証人2) ギヨーム・グティエレ、ランドル・ドロリゲス(T)
     クリスティアン・イムラー(B;カイアファ/ピラト) ニコラ・ブーランジェ、ピエール・ヴィルリ、
     エマニュエル・ヴィストルキー(B) リピエーノ:モルガン・ジュルデン合唱指揮ラジオ・フランス女声cho.
 録音:2021年4月、ピエール・ブーレーズ・ホール、フィラルモニ・ド・パリ。フランスのバロック界の騎手、ピションによるマタイ受難曲の登場。冒頭の合唱曲から、涙の出るような美しさにまず衝撃をうける。美しい声と美しい音色へのたゆまぬ探求がきわめられた、聴き手によりそうような、親密で、深い感動を呼び起こす演奏。ピグマリオンとピションが本格的に活動をはじめ、バッハの音楽とも深く関わって15年が経過しているが、この演奏は、彼らのバッハ音楽への取り組みが比類なき水準にあることを示している。ピションはここで、作品を内面から見つめなおし、導入―受難への準備―庭での場面―大祭司の場面-ピラトの場面―十字架の場面―埋葬―エピローグと場面わけをしている。これによって場面場面にあらためて深く共感できるような流れになっている。よい意味で、血なまぐささのない演奏ともいえるかもしれず、この作品が、感動的で普遍的な叙事詩のようであることにも気づかせてくれる。福音書記者のユリアン・プレガルディエンは、やわらかな声で、厳しい場面でも聴き手を責めるような歌唱にはならず、物語をすすめる。イエスの歌唱も、きわめて人間的。各合唱群に配されたソリストたちも、世界で活躍する歌手たちだが、物語の中に徹底して入っている。有名な「憐みたまえ」のアリアも、全体の流れにそいながらも、その楽曲の中での実に細やかな表情づけに、あらためてハッとさせられる瞬間の連続。全体のドラマの自然かつ見事な構成、かつ1曲1曲の比類なき完成度も衝撃の、ピション、ピグマリオン、歌唱陣すべてがバッハの音楽に仕えているからこそ実現した稀有な演奏となっている。[プロフィール]ピションはパリ音楽院で歌、ヴァイオリンとピアノを学び、若きカウンターテナー歌手として、サバールやレオンハルト、コープマン、ジュルダン(現代音楽も)の指揮のもとで演奏していた。2006年、ピグマリオン(合唱とピリオド楽器オーケストラ)を設立、瞬く間に世界の注目を集めるようになる。これまでに、バッハのミサ・ブレヴィスや、ラモーのトラジェディ・リリック、モーツァルトのあまり演奏されない作品などといったプロジェクトによって、アイデンティティを確立してきている。ピションは、2018年、ザルツブルク音楽祭にデビューしたのをはじめ、今後の活躍にもさらに期待が高まる。ピグマリオン&ピションも、パリでカンタータのツィクルスを成功させるなど、その美しい音楽で、世界の注目を集めている。
エレス=カサド& FBO 〜シューベルト:交響曲集 Vol.2
 〔第5番 変ロ長調 D.485 /ロ短調「未完成」〕
パブロ・エラス=カサド指揮
フライブルク・バロックo.
[アンネ・カタリーナ・シュライバー
 (コンサート・マスター)他]
 録音:2021年11月。パブロ・エラス=カサドとフライブルク・バロックo. によるシューベルトの交響曲集、第2弾の登場。第1弾(HMC-902154)では第3(1815年)&4番 (1816年)という組み合わせだったが、今回は第5番(1816年)および未完成(1822年)という組み合わせ。19歳の時に書かれた交響曲第5番は、シューベルトの心の闇を感じさせない、朗らかでリズミカルな作品。エラス=カサド持前のリズムの良さにFBOが機敏に反応しており、細やかかつ躍動感に満ちた演奏は見事。未完成でも、シューベルトが楽譜に記した細かな音符ひとつひとつにいたるまで、丹念に表情づけがなされている。特に第2楽章冒頭の管のアンサンブルの美しさは絶品。第5番にはない、絶望や不安に駆られたような瞬間も、実に劇的な効果をもって奏される。明るい5番、絶望や不安が垣間見られる未完成という2作品のコントラストがきわめて鮮やかな1枚。エラス=カサドの歌心とリズムに満ちた指揮と、FBOの機動力が素晴らしい化学反応を起こした名演。
ファウスト、シュライバー、タメスティ、ケラス、メルニコフ〜シューマン
 ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47 /ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44 (#)
  イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ」
  アンネ・カタリーナ・シュライバー(Vn;#|使用楽器:作者不詳、オランダ、1700年頃製
  アントワン・タメスティ(Va|使用楽器:ストラディヴァリウス、クレモナ、1672年製
  ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器:ジョフレド・カッパ、トリノ、1696年製
  アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:プレイエル、パリ、1851年製
 録音:2021年6月、連邦アカデミー、トロッシンゲン。おそろしいまでに最高のメンバーがそろったシューマンのピアノ四重奏&五重奏曲録音が登場した。世界最高峰のヴァイオリン奏者ファウスト、フライブルク・バロック・オーケスラの創設メンバーでもある名手シュライバー、ヴィオラ・スペースの音楽監督など日本にもゆかりの深い世界最高のヴィオラ奏者タメスティ、現代からマラン・マレ、どんなジャンルのものも神業の完成度と鋭さで弾いてしまうケラス、そしてスケールが大きく、種々の楽器を神業の完成度で弾き分けるメルニコフ、というメンバー(シュライバーは五重奏に参加)。これ以上のメンバーはなかなかそろわないだろう。弦楽器ひとりひとりの歌がそれぞれ際立っていながらも見事に融和している。そこを貫くように陰になり日向になりながら自在に歌い翔けるメルニコフのフォルテピアノが、全体をロマンティックの方向にリードしており、全体のバランスも極めてよい仕上がり。最高の形で実現した「名手たちによる室内楽」となっている。一音一音が過ぎていくのがもったいないような演奏となっている。
ジュリアン・リベール〜
  平均律クラヴィーア曲集第1巻 and beyond
(平均律の長調曲と他短調曲を交互に収録)
 J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 より 前奏曲とフーガ
  〔ハ長調 BWV.846 /嬰ハ長調 BWV.848 /ニ長調 BWV.850 /変ホ長調 BWV.852 /ホ長調 BWV.854 /ヘ長調 BWV.856 /
   嬰ヘ長調 BWV.858 /ト長調 BWV.860 /変イ長調 BWV.862 /イ長調 BWV.864 /変ロ長調 BWV.866 /ロ長調 BWV.868 〕
 ベートーヴェン:バガテル ハ短調 WoO.52 / ショパン:マズルカ 嬰ハ短調 Op.50 No.3 (Moderato)
 ラフマニノフ:前奏曲 ニ短調 Op.23 No.3 / フォーレ:前奏曲 変ホ短調 Op.103 No.6
 ラヴェル:「クープランの墓」〜フーガ(アレグロ・モデラート) ホ短調
 モーツァルト/ブゾーニ編曲:自動オルガンのための幻想曲 ヘ短調 K.608 (2台ピアノ版)(*)
 ブラームス:カプリッチョ (Un poco agitato) 嬰ヘ短調 Op.76 No.1
 ショスタコーヴィチ:前奏曲 ト短調 Op.34 No.22 / ブゾーニ:前奏曲 嬰ト短調 Op.37 (BV 181) No.12
 リゲティ:ムジカ・リチェルカータ I on A (Sostenuto)
 レーガー:すべての短調と長調による111のカノン WoO.III/4, 第1巻〜2つのパートのカノン 変ロ短調 Op.19
 シェーンベルク:6つのピアノ小品 Op.19

 ジュリアン・リベール(P) アダム・ラルーム(P;*)
 録音:2021年7月、サル・フラジェ、ベルギー|使用楽器:並行弦グランド・ピアノ、クリス・マーネ製。ベルギーの奇才、ジュリアン・リベールによるバッハの登場!バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の長調の楽曲と、それぞれの楽曲に呼応するようにリベール自身がセレクトした、のちの時代の作曲家たちによる短調の楽曲を並べ、バッハと様々な作曲家たちによる対話のようなプログラムとなっている。モーツァルトの自動ピアノのための幻想曲はブゾーニによる2台ピアノ版で、ラルームが共演しているのも注目。ピアノはダニエル・バレンボイムが使用していることでも知られている、クリス・マーネ製による並行弦グランド・ピアノを使用。新しいバッハ像が浮彫となって来る。ジュリアン・リベール(1987年、ベルギー生まれ)6歳でピアノを始める。ジャン・ファッシーナ、そしてピリスの薫陶を受ける。ピリスとは演奏会でも共演を重ね、ピリスから音楽を生きることについて学んだ。2008年、ヨーロッパの若き才能あるソリストに与えられるユベントス賞を受賞。ヨーロッパおよび日本でも演奏を、世界的に活躍している。室内楽ではデュメイ、ブラレイらと共演。テレビ番組でプレゼンターを務めて哲学など他分野のエキスパートと対談をしたり、困難な状況にあるブリュッセル郊外の小学校で音楽教育にあたるなど、音楽を広めるために様々な活動を展開している。
ヤーコプス〜ウェーバー(1786-1826):歌劇「魔弾の射手」
  (全曲|全3幕|対話部分再構築:ルネ・ヤーコプス)
 クリスティアン・イムラー(B;隠者) ポリーナ・パスツィルチャク(S;アガーテ)
 カテリーナ・カスパー(S;エンヒェン) マキシミリアン・シュミット(T;マックス)
 ヤニック・ドゥブ(Br;キリアン) マティアス・ヴィンクラー(B;クーノー)
 マックル・ウルラッハー(語り;ザミエル) ディミトリ・イヴァシュチェンコ(B;カスパール)

 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.[ペトラ・ミュレヤンス(コンサートマスター)他]
 フロリアン・ヘルガート、セバスティアン・ブロイング合唱指揮チューリヒ・ジングアカデミー
 録音:2021年6月、コンツェルトハウスおよびアンサンブルハウス、フライブルク。ヤーコプスによる「魔弾の射手」の録音の登場!冒頭の有名な序曲から、物語の世界にぴったりの美しくもメルヘンを思わせる霊妙な雰囲気の素晴らしい録音にまず心奪われる。そして、いつもながらのヤーコプスらしいこだわりをみせ、セリフ部分も充実。さらに、序曲の後に本来存在していた "隠者 "の場面を復活させ、「魔弾の射手」作品本来の姿がここによみがえった。歌唱陣と管弦楽の演奏がこれ以上なく生き生きとしている。超注目盤。魔弾の射手の物語は、以下のとおり・・・主人公は若く有能な狩人マックス。娘アガーテと結ばれるためには難しい射撃を成功させなければならない。マックスはライバルのカスパールにそそのかされ、悪魔に「魔弾」を鋳造させる。これは、6発は自分の思いのままに命中するが、最後の1発は悪魔の思うところに命中する、という物。射撃当日、その7発目は最初なんとアガーテに命中したように見えた。が、彼女は「隠者に送られた花束」によって守られ、ライバルのカスパールが凶弾に倒れる。最終的にマックスとアガーテはめでたく一緒になる。・・・という物。正直申し上げると、この「花束」に少々の唐突感があることは否めない。このアガーテを護った「花束」は、本来、台本作者のキントが、序曲の後に配した、隠者とアガーテの場面で登場していた物。序曲のあとに、隠者の家をたずねるアガーテと隠者が歌う場面があり、そこで、隠者はアガーテにおまもりとして花束を渡す。ウェーバーは、妻にして人気歌手のカロリーネ・ブラントを観客代表のように信用しており、彼女の助言にしたがって、序曲のあとに登場する隠者の場面をカットし、序曲のあとはにぎやかな射撃のシーンから始まるようにした。本来は序曲のあとに隠者の家の静寂な世界があったのに。キントはこの台本の変更をしぶしぶ承知したものの、死ぬまで後悔していました。本録音は、この場面を復活させている。しかもヤーコプスは、音楽をつけて復活させている。ヤーコプスは、台本のみ存在しウェーバーが音楽をつけなかったこの場面を復活させるにあたり、オペラのフィナーレで隠者が登場するときのメインテーマや、ほかの楽曲から旋律を転用している。これがまた実に見事!理想的な管弦楽、充実した歌唱陣、そして従来カットされていた部分の復活からセリフ部分にいたるまでの綿密かつこだわりのプロダクション。「魔弾の射手」をお持ちでない方にも、さらに「魔弾の射手」を全種類お持ちの方にも新たなる決定盤かつ注目盤としてお手にとっていただきたい内容。
メルニコフ、ファンタジー〜7人の作曲家、7種の鍵盤楽器による
 J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ BWV.903
  [2段鍵盤チェンバロ|マルクス・フィッシンガー、2019年製〔モデル:リュッケルス製〕]
 C.P.E.バッハ:幻想曲 嬰ヘ短調 H.300, Wq.67
  [タンジェントP|クリストフ・フリードリヒ・シュマール、1790年製]
 モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.396 /幻想曲 ニ短調 K.397
  [Fp|クリストフ・カーン、2014年製〔モデル:アントン・ヴァルター、1795年〕]
 メンデルスゾーン:幻想曲 嬰ヘ短調 Op.28 [Fp|グラーフ、1828年頃製]
 ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49 [P|エラール、1885年製]
 ブゾーニ:古い旋法による幻想曲 Op.33b No.4[P|ベヒシュタインB、1905-10年頃製]
 シュニトケ:即興とフーガ Op.38 [P|スタインウェイ D-274 ]

 アレクサンドル・メルニコフ(Cemb/タンジェントP/Fp/P)
 録音:2022年7月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。歴史的な鍵盤楽器を数多くコレクションし、実際に演奏・録音しているメルニコフ。彼が7人の作曲家の7つの幻想曲を7つの楽器で弾き分けた。メルニコフはアインシュタインの格言「過去、現在、未来の区別は幻想に過ぎない」をコンセプトに、J.S.バッハを基準点として300年におよぶ影響と、彼に帰結する偉大さを示している。7という聖なる数字にこだわっているのもメルニコフらしい深い意味がこめられている。メルニコフは2021年1月にトッパンホールでほぼ同内容のコンサートを行い聴衆の度肝を抜いたが、ここではさらなる完成度で神業を発揮している。楽器も単に時代を合わせているのではなく、作風、効果を考え抜いて選ばれている。最後に現代のスタインウェイの機能を駆使したシュニトケの「即興とフーガ」が聴き物。1966年の第3回チャイコフスキー国際コンクール用に作られた華麗な作品で、精神的にバッハへ先祖返りしていることを実証してくれる。
ミナージ〜モーツァルト:交響曲集 Vol.2
 〔第36番 ハ長調 K.425 「リンツ」/
  第38番 ニ長調 K.504 「プラハ」〕
リッカルド・ミナージ指揮
アンサンブル・レゾナンツ
 録音:2021年9月、オトマールシェン・キリスト教会、ハンブルク。苛烈なまでの表現力と推進力で聴き手を興奮の渦に巻き込んだリッカルド・ミナージ&アンサンブル・レゾナンツによる「モーツァルト:三大交響曲集」(HMM-902629)から3年。その続編となる録音がついにリリースされる。今作では、後期三大交響曲の前に連なる交響曲第36番「リンツ」と第38番「プラハ」を取り上げている。交響曲第36番「リンツ」は、1783年10月から11月にかけてオーストリアの都市リンツに滞在していたモーツァルトが、予約演奏会のためにわずか4日という短期間で書き上げたというエピソードで知られる作品。短期間で書き上げたとは思えない充実した内容で、の天才モーツァルトの速筆ぶりを示す交響曲として取り上げられる機会も多い交響曲。モーツァルトの交響曲ではじめて冒頭に緩やかな序奏が配置され、その後の輝かしく生き生きとした主題を盛り上げている。交響曲第38番「プラハ」は、1786年のプラハでの「フィガロの結婚」上演の大成功した翌年、招待を受け初めてプラハを訪れたモーツァルトが当地で初演した交響曲。メヌエット楽章を欠く、3楽章形式である理由は判明していないが、当時大流行した「フィガロの結婚」の旋律を散りばめた構成は、プラハの聴衆たちを大いに喜ばせた。大成功を収めたコンサートの後、モーツァルトは「人生において最も幸せな日」と語ったと伝えられている。リッカルド・ミナージは、自身が優れたバロック・ヴァイオリン奏者であり、ムジカ・アンティクァ・ローマやイル・ポモ・ドーロといったピリオド楽器アンサンブルでは自らヴァイオリンを取って指揮することが多かったが、2017年、ハンブルクを拠点とし自主的な活動を行う室内オーケストラ、アンサンブル・レゾナンツのアーティスト・イン・レジデンスに就任して以降、このアンサンブルとの共演ではほぼ指揮に徹しているよう(現在では首席客演指揮者に就任している)。全世界から先鋭的なアーティストが集まると呼ばれる芸術の街ハンブルクにおいて、1994年に創設され、モダーン楽器を用いながらさまざまな時代の演奏スタイルを柔軟に取り入れ、古典から前衛的作品までを弾きこなし、最も独創的と評されるまでになったアンサンブル・レゾナンツは、リッカルド・ミナージの指揮の下、より先鋭性を増し、世界の音楽シーンで圧倒的な存在感を持つようになった。学究性と感性が融合するミナージの独創的な解釈を見事に音にする高度な技巧と表現力を有している。後期三大交響曲の演奏も、嵐のようなすさまじさが大きな話題となったが、続編となるこのアルバムでも、そのすさまじさは健在で、より凄みを増しているような印象さえ受ける。アルバムの冒頭、「リンツ」の序奏と第1主題から、エネルギー全開の圧倒的な演奏が繰り広げられる。張り詰めた空気を持つ緩徐楽章の濃密さも聴き物。弦楽器の鋭い刻みや、金管楽器の強奏、ティンパニの強烈な打撃が、すさまじい音の渦と化している。この有名な2つの交響曲を初めて聴くかのようにハッとさせられる瞬間が連続して訪れる、かなり攻めた解釈だが、ぎりぎりのところでバランスを保ち、曲の構造を保つミナージの手腕は驚異的で、ミナージの解釈を見事に音にするアンサンブル・レゾナンツの高度な技術も脱帽物。リッカルド・ミナージとアンサンブル・レゾナンツの圧巻の演奏がもたらす衝撃的なモーツァルト体験をお聴き逃しなく!
ヘンデル:戴冠式用アンセム集
 ヘンデル:オケイジョナル・オラトリオ(機会オラトリオ)HWV.62
 ウィリアム・クロフト(1678-1727):主は太陽であり盾である(The Lord is a sun and a shield)
 ジョン・ブロウ(1649-1708):シャコンヌ ト長調
 ヘンデル:戴冠式用アンセム集〔司祭ザドク HWV.258 /汝の手を強めよ HWV.259 /
                王は歓喜する HWV.260 /私の心のよりどころとなるもの HWV.261 〕

 ジャスティン・ドイル指揮ベルリン古楽アカデミー、 RIAS 室内cho.
 録音:2022年10月。ヘンデルは、1727年、イギリスに帰化する。同じ年、ジョージ1世が亡くなり、ジョージ2世が即位することとなり、ヘンデルはその戴冠式のための音楽を書くよう依頼される。ジョージ1世のもとでヘンデルは水上の音楽やジュリアス・シーザーなどを発表していたが、ジョージ1世を継ぐ新国王の戴冠式というイベントを花火のように彩るような音楽を書いた。RIAS 室内合唱団とベルリン古楽アカデミーが、この壮大にして壮麗な作品を、これ以上なくゴージャスに響かせている。現在でも、この作品の一部は実際に戴冠式などの典礼で演奏されている。ウィリアム・クロフトの作品は、1714に行われたジョージ1世の戴冠礼拝で演奏された物。実に壮麗な音楽を聴きながら英国の歴史までも体感できるような1枚。
鳥たちのコンサート〔編曲:ラ・レヴーズ(*)、ヴァンサン・ブショ(#) 〕
 パーセル:「妖精の女王」〜鳥への前奏曲 / ファン・エイク:「笛の楽園」〜イギリスのナイチンゲール
 テオドール・シュヴァルツコップ:ナイチンゲールとカッコウの模倣によるソナタ〔アレグロ/ジーグ〕
 クープラン:クラヴサン曲第3巻 より(*) 〔恋のナイチンゲール/嘆くホオジロ〕
 ジャン=バティスト・ブセ:「エール第14巻」〜どうして、甘いナイチンゲール(*)
 モンテクレール:2つのフルートのためのコンセール第5番〜さえずり / コレット:カッコウ
 サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より(#) 〔森の奥のカッコウ/雌鶏と雄鶏〕
 ブリテン:「金曜の午後」〜カッコウ(#) / ラモー:雌鶏(#)
 ラヴェル:「マメール・ロワ」〜女王の陶器人形レドロネット(#)
 ヴァンサン・ブショ:絶滅危惧種の謝肉祭(+)
  〔前奏曲 センザンコウの悲しみ/アルマンド ジャワスローロリス/クーラント 昔の家禽ドードー/
   間奏曲 レソミラ63 /サラバンド 白フクロウと黒フクロウ/ガヴォット インドガビアル(ワニ)/
   間奏曲 レソミラ92 /ヴァルス・ツイスト ナマコ/ジーグ 人類、その進化〕

 ラ・レヴーズ
  [セバスティアン・マルク(リコーダー/フラジオレット)
   野崎剛右(フラジオレット/リコーダー/ミュゼット/ゲムスホルン)
   フロランス・ボルトン(バス・ヴィオール/パルドゥシュ・ヴィオール)
   バンジャマン・ペロー(テオルボ/バロックG) ジャン・ミゲル・アリスティサバル(Cemb)
   シルヴァン・ルメートル(マリンバ/ヴィブラフォン/打楽器)]
 録音:2022年6月、サン=ジャン=ド=ブレイ・カトリック教会(+以外) /2022年1月、シテ・ドゥ・ラ・ミュジーク、パリ(+) 。鳥は人類が音楽を始めるはるか昔からさえずっていた。人間が計算し考え抜いた完璧な音楽を作る間に、鳥は妙なる調べを自然に繰り出す。作曲家たちは自然現象やある種の騒音を表現する試みをしてきたが、鳥のさえずりは世界中で音楽化され、それぞれが工夫を見せている。ルネサンス、バロックはもとより、サン=サーンス、ラヴェル、ブリテンらの近代手法による鳥描写も楽しめる。さらにヴァンサン・ブショがサン=サーンス作品をもじって作った「絶滅危惧種の謝肉祭」が聴き物。古典組曲の様式であまり親しみのない動物たちを描き、最後「人類」で閉めているのも意味深長でいろいろ考えさせられる。ブックレットはフルカラーで各種鳥類や動物の詳細な説明もあり愛蔵したくなる美しさ。ラ・レヴーズはフロランス・ボルトンとバンジャマン・ペローにより2004年に創設されたピリオド楽器団体。17-8世紀作品が中心だが、音楽と時事問題を組み合わせたテーマで作品を構成し話題となっている。
HMM-932710/11
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(2CD)
1.5CD価格
ピジョン&ピグマリオン〜モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り SV.206
 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン
 セリーヌ・シーン、ペリーヌ・ドゥヴィエ(S) ルシール・リシャルドー(Ms)
 エミリアーノ・ゴンザレス・トロ、ザカリー・ワイルダー、アントナン・ロンドピエール、
 エティエンヌ・バゾラ、ニコラ・ブルーイマン、ルノー・ブレ(T)
 録音:2022年1月、聖霊教会(サンテスプリ教会)、パリ|初出・旧品番: HMM-902710/11〔発売:2023年10月|当店未案内|廃盤、入手不能〕。ピション&ピグマリオンの、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」。驚異的なまでにやわらかな響きの「マタイ受難曲」で2022年度レコード・アカデミー賞で大賞を受賞した彼らによる、こちらもまたかつてない極上の響きのモンテヴェルディが登場した。冒頭のファンファーレから、作品の既成概念を覆すようなやわらかな響きに驚かされる。モンテヴェルディの≪聖母マリアの夕べの祈り≫は、"教会と王侯両家の"礼拝堂の音楽家が利用できるように、さまざまな機会のために独自に作曲されたヴェスパーの楽曲を集めたアンソロジーであると位置づけられているが、ピションは、「グローリア」の楽曲が全体を締めくくるのにふさわしい楽曲とか投げられることから、これは全体としてひとつの作品であると考えている。そして、作品のテキストを、全体でひとつの作品という観点から再度読み解きなおし、言葉や場面にふさわしいハーモニーや表現を追求。モンテヴェルディが構想した作品の真の姿をつまびらかにすると同時に、作品固有の劇場感覚までをも存分に引き出している。圧倒的な体験。 ピションは、2023年ザルツブルク音楽祭で≪フィガロの結婚≫を指揮し、「ラファエル・ピションは、VPOを、そのクッションの効いたシロップのような心地よいサウンドからほど遠いところにある、歯切れのよい、硬派な古典主義の世界へと駆り立てた。クシェイの演出は音楽的であり、ピションの指揮は演劇的。両者の協働は通常では考えられない高いレベルで最大の効果を発揮している。細部に至るまで入念に考え抜かれ、その相乗効果には息をのむ。」(フィナンシャル・タイムズ)と絶賛されている。
ビーバー:ロザリオのソナタ
 〔喜びの秘蹟 第1番 ニ短調「受胎告知」/第2番 イ長調「訪問」/第3番 ロ短調「降誕」/
        第4番 ニ短調「拝謁」/第5番 イ長調「神殿のイエス」/
  苦しみの秘蹟 第6番 ハ短調「オリーヴの山で苦しみ」/第7番 ヘ長調「鞭打ち」/
         第8番 変ロ長調「いばらの冠をのせられ」/第9番 イ短調「十字架を背負う」/第10番 ト短調「磔刑」/
  栄光の秘蹟 第11番 ト長調「復活」/第12番 ハ長調「昇天」/第13番 ニ短調「聖霊降臨」/
        第14番 ニ長調「聖母被昇天」/第15番 ハ長調「聖母の戴冠」/第16番「守護天使」(パッサカリア)〕

 アマンディーヌ・ベイエ(Vn|使用楽器:ピエール・ジャケ、1996年製〔モデル:アマティ〕/
   シャルル・リシェ、2015年製〔モデル:ヤコブス・シュタイナー〕/マルセロ・ヴィアナ・クルス、2011年製
    〔モデル:ジョヴァンニ・バッティスタ・グァダニーニ〕/マルセロ・ヴィアナ・クルス、2021年製
    〔モデル:ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ〕|
   使用弓:アントニーノ・アイレンティ/1998年製、エドゥアルド・ゴル、2005年製

 バルドメロ・バルシエラ(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオローネ)
 フランチェスコ・ロマノ(アーチリュート) ナチョ・ラグナ(テオルボ)
 アンナ・フォンターナ(Cemb/ポジティブOrg)
 録音:2022年9月。17世紀ヴァイオリン音楽の至難の名曲、ビーバーのロザリオ・ソナタ。多様なスコルダトゥーラ(変則調弦)が指定されている上に、自身ヴァイオリンの名手でもあったビーバーが、自身の腕前を披露するために各曲に高い技術と深い内容を盛り込んだ超難曲。数多くの名盤が存在するが、ここで、ベイエによる、きらりと光る名演の登場。ビーバーが見事に楽譜に書き起こした即興性に満ちたパッセージや旋律が、躍動的なリズムとともに生きもののように聴き手に迫って来る。どの曲も高い技術で演奏されているのはもちろん、ひとつのフレーズの中でも下降音型と上行音型で表情がまったく異なる歌にみちているなど、細部まで美しい表情に満ちていて、非常に人間味にあふれている。通奏低音のメンバーと織りなす美しいアンサンブルも聴きものの充実の演奏。注目なのが、この録音が生まれるきっかけ。それはベルギーの国際的ダンス・カンパニー、ローザスの公演だった。2022年2月にベルギーで初演された「Mystery Sonatas / For Rosa」の公演では、ビーバーのロザリオ・ソナタの楽曲をバックにローザスのダンサーが踊ったが、その音楽演奏をベイエらが担当した。聖書の物語に基づく音楽ではあるが、楽曲にはクーラントはサラバンドなどの舞曲も含まれており、舞曲の要素も多分に含まれるロザリオのソナタ。ダンサーたちはバラの花びらや棘を思わせる動きをしながら作品が進行、美しい照明もあいまって、舞台は絶賛された。そこでの体験はベイエにとって大変大きなもので、ぜひ録音を、ということで実現したのがこのディスク。ダンサーたちの動きに合わせて演奏しているかのような、抜群のリズムと躍動感に満ちたこの名演奏の理由のひとつといえるだろう。ジャケット写真もローザスの公演のものとなっている。
ヒメノ + ケラス 〜デュティユー(1916-2013):
 管弦楽のための「メタボール」(1964) (*) /
 チェロ協奏曲「遥かなる遠い国へ」(1967-70) (#) /
 交響曲第1番(1951) (+)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc;#)
グスターボ・ヒメノ指揮
ルクセンブルクpo.
 録音:2019年7月(*)、2022年2月(+)、2023年4月(#)。メシアン作品集(HMM-905336)が強烈だったヒメノ&ルクセンブルク・フィルによる、デュティユー作品集の登場。チェロ協奏曲「遥かなる遠い国へ」にはデュティユーからの信頼も厚かったケラスがソリストとして登場している注目盤。ケラスは、若い新進奏者だったころ、「私の作品を演奏してくれてありがとう」という内容の手紙をデュティユーから受け取ったそう。その後長きにわたって、ケラスは何度もデュティユーの作品を演奏し、また、デュティユーの自宅(2台のコンサート・グランドのピアノが置いてあるために窮屈だったという)を何度も訪れ、そこでもデュティユーの作品を演奏し、助言を得たという。チェロ協奏曲「遥かなる遠い国へ」は、20世紀の名曲であり、非常に高い音も多用された難曲でもある。ケラスの最高峰の技術と、作曲家の意図を瞬時に汲み取る深く鋭い洞察力、そしてヒメノ率いるオーケストラとの精巧なアンサンブルが、この現代の名曲に決定的な名演を生み出した。この「遥なる遠い国へ」は連続して演奏される5つの楽章からなる作品で、各楽章にボードレールの一節が掲げられている。この作品が生まれる前、ボードレールの「悪の華」にデュティユーが音楽をつけ、ローラン・プティが振り付けをするというプロジェクトがあった。しかしそれは実現しなかったが、かわりにこの作品が生まれたと言える。ロストロポーヴィチによって初演されている。非常に静かで謎めいた、ソリストだけが奏でるトレモロで終わるという謎めいた結末まで、高い集中でひきつけられる演奏。交響曲第1番は、4楽章からなる30分ほどの作品で、パッサカリアの形式をとりながらジャズ風な要素があらわれたり、最後の謎めいたエンディングまで、デュティユーならではのセンスに満ちた作品。「メタボール」は、メタボリズム(代謝、物質交代、あるいは細胞または微生物内でおこる化学変化など)という言葉から派生したタイトル。第1楽章では木管楽器、第2楽章では弦楽器区群、第3楽章はパーカッションがそれぞれ際だって活躍し、そして第4楽章ではオーケストラ全体がヴィルトゥオジックに鳴り響く。委嘱・初演したのがセル率いるクリーヴランドo. という超人集団だったということも影響しているかもしれない。ここでのヒメノ率いるルクセンブルク・フィルも、驚くほどの鮮やかな音色で目の覚めるような演奏が展開されている。
シューベルト
 ハンガリー風ディヴェルティメント D.818, Op.54
デシャトニコフ(1955-):
 トロンプ=ルイユ〔だまし絵〕
シューベルト:幻想曲 ヘ短調 D.940, Op.103
パヴェル・コレスニコフ、
サムソン・ツォイ(Pデュオ
使用楽器: YAMAHA CFX
 録音:2023年11月、グスタフ・マーラー・ホール、イタリア。「衝撃的な親密さ」(ガーディアン)と称される、学生時代から公私ともにパートナーであるピアノ・デュオ、コレスニコフとツォイがハルモニアムンディから登場。ふたりはこれまでにもオールドバラ音楽祭をはじめ出演多数、2024年にはカーネギー・ホール、ロッテルダムのデ・ドーレン、そしてベルリンのコンツェルトハウスでデビュー。コレスニコフはBBCプロムスにもたびたび登場、オーケストラと協奏曲の演奏も多数、2020/21のシーズン、ウィグモア・ホールのアーティスト・イン・レジデンスを努めた。ツォイはLPOとベートーヴェンの協奏曲を演奏、やはりソリストとしても活躍している。デシャトニコフ(1955-)はクレーメルが積極的に作品を紹介し、おなじみとなった作曲家。周辺の民謡や伝承音楽に興味を持ち、その可能性を現代音楽の世界に生かしてバルトークの技法をさらに推し進めた作風を確立しようとしている。この「 Trompe-l'œil (だまし絵)」は、シューベルトの幻想曲へのエコーとして作曲されており、クールさと感情的な衝動が対位法のように複雑にからみあった作品。シューベルト2作品の完成度は比類ないものがある。今後の活躍にも注目したいふたり。
ファウスト + ロト〜ストラヴィンスキー
 バレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」〜アポロのヴァリアシオン(1927-28) (*) /
 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(1931) (*) /弦楽四重奏のための3つの小品(1914) /
 弦楽四重奏のためのコンチェルティーノ(1920) /ヴァイオリン、オーボエ、
  イングリッシュホルン、クラリネットとバソンのためのパストラール(1923) /
 弦楽四重奏のための二重カノン(1959)
 イザベル・ファウスト(Vn) レ・シエクル フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮(*)
 録音:2021年9月、2022年3月-4月、 RIFFX スタジオ1、セーヌ・ミュジカル、ブローニュ=ビヤンクール。ハルモニア・ムンディを代表するファウストとロト&レ・シエクル奇跡の共演。それもロトとシエクルの名を世に広めるきっかけとなったストラヴィンスキー作品だけに眼が離せない。メインはヴァイオリン協奏曲だが、収録曲すべてのヴァイオリン・パートをファウストが担当しているのが超豪華な驚き。彼女は「兵士の物語」をメインとするアルバムもリリースし、ストラヴィンスキーのヴァイオリン作品に熱を入れているが、ガット弦による弦楽四重奏作品も興味津々。ヴァイオリン協奏曲は1931年、新古典主義時代の作。ストラヴィンスキーはヴァイオリンの情緒や甘美さを嫌悪していたが、同じ感性の奏者ドゥシュキンとの出会いで信念を変えず協奏曲を実現させることが出来た。ファウスト自身その非ヴァイオリン性を指摘しつつも、誰も考えつかなかった音楽表現と激賞している。演奏は期待以上、ファウストの厳しいまでの表現とシエクルのカラフルな音色、ロトならではの切れ味良いリズムがあいまり、生命感あふれる世界を繰り広げます。終楽章でバッハのヴァイオリン二重協奏曲をパロディにした箇所も含め、メンバーが楽しみながら音楽作りをしているのも伝わって来る。カップリングには新古典主義時代のバレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」中の、ヴァイオリン独奏と弦楽合奏による「アポロのヴァリアシオン」をファウストとロトが披露。さらに「春の祭典」直後の「3つの小品」、かなり現代的な「コンチェルティーノ」、画家ラウル・デュフイ追悼の沈鬱な「二重カノン」というストラヴィンスキーの全弦楽四重奏作品を、ファウストが第1ヴァイオリンを担い、シエクルの弦のトップ奏者たちと共演している。緊張感に満ちた音世界ながら決して無味乾燥でなく、ストラヴィンスキーならではのユーモアと生命力が伝わる。ストラヴィンスキー観が変わること間違いなしのアルバム。
ハッセルホルン + ブシャケヴィチ〜
 シューベルト
:美しき水車小屋の娘(全曲)
サミュエル・
 ハッセルホルン(Br)
アミエル・ブシャケヴィチ(P)
 録音:2022年11月、スタジオ・bシャープ、ベルリン。2018年エリザベート・コンクールに優勝、またたく間に世界の注目を集め、名だたる歌劇場で活躍(バレンボイム指揮のベルリン国立歌劇場での「フィガロの結婚」伯爵ほか)、歌曲でも高く評価されている注目のバリトン、ハッセルホルン。先日も日本で最終公演をむかえたヴァルトラウト・マイアーのさよなら演奏会にも出演し、その歌声と舞台姿が話題となった。そのハッセルホルンが、シューベルトのシリーズをスタートする。シューベルト最晩年の1823-1828年に書かれた作品を中心に録音していくという注目のプロジェクト。シリーズ第1弾は、2022年2023年から200年前にあたる1823年に完成した「美しき水車小屋の娘」。ハッセルホルンの美しい発語と余裕あるフレーズ、そして作品に対する深い洞察は、説得力十分。歌曲伴奏で活躍するピアニストと組んでの理想的な演奏が誕生しました。「美しき水車小屋の娘」は1823年に完成した。ハッセルホルンはブックレットに以下のようにコメントを寄せている。〜「これらの曲が作られた時代と私たちを隔てる時間の隔たりに直面し、私たち演奏家は常に、これらの曲が、「今」の私たちに何を語りかけているのかを自問しなければならない。実は私は、「美しき水車小屋の娘」の物語(粉職人の男が水車小屋の娘に恋をするが、その恋は実らない云々)をそのまま素直に受け入れるのは難しいといつも思ってきた。あまりにも具体的な情報が少なすぎるのだ。たとえば、その若い女性については、金髪で青い目をしているということ以外には描写がない。彼女自身の発言も少ない。その若い女性がほかの男に恋をしたという三角関係、という解釈も難しい。ミュラー=シューベルトでは、ハイネ=シューマンがコンビを組んだ「詩人の恋」(1840年)と同様、男性主人公は孤独で、遠いところに身を置いている。失恋という単純な物語を超えて、詩と音楽は"よそ者"の拒絶を暗示しているのではないか。 "彼 "は世間一般の常識には当てはまらぬ人だったのかもしれず、その個性(ここでは「他とは違う」ということ)が理由で排斥される。そして社会的孤立によって絶望に追い込まてしまっているのだ。おそらくこれが、200年前に書かれたこの作品が、リートという枠を超えて、21世紀の男女に、今なお語りかけることができる理由なのだろう」。ピアノのブシャケヴィチは、エルサレムに生まれ、南アフリカで育ちました。ライプツィヒの音楽院、そしてパリ国立高等音楽院を卒業。フィリプ・モルや、ブレンデルに師事している。シューベルト作品の演奏に定評があり、2011年、国際シューベルト協会賞受賞。ソロでも活躍しているが、歌曲伴奏でも極めて高い評価を得ている。ディースカウ晩年の生徒の一人として、ディースカウのマスタークラスの伴奏者にも抜擢された。
エレス=カサド〜ブルックナー Vol.1
 交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
 (レオポルト・ノヴァーク版第2稿 1878-80)
パブロ・エラス=カサド指揮
アニマ・エテルナ・ブリュッヘ
 録音:2024年1月、コンセルトヘボウ・ブリュッヘ、ベルギー|ピリオド楽器使用〔コンサートマスター:アンネ・カタリーナ・シュライバー〕。 harmoniamundiで、大注目のシリーズが始まる。スペインの「注目株」からもはや世界にその実力を認められた存在となったパブロ・エラス=カサドと、ピリオド楽器のオーケストラとして1987年にインマゼールによって創立されたアニマ・エテルナによる、ブルックナーのシリーズ。アニマ・エテルナの音色は雄大な自然を感じさせる音色。エラス=カサドの指揮により、ブルックナーが音符にこめた無垢ともいえるまでに純粋な感情的な部分が、惜しげもなく引き出され増幅されている。驚くほどに振幅の大きい感情の揺れ、そしてデュナーミクの豊かさには圧倒される。レコーディングではリスクをとりにいくことができると語るエラス=カサドが、アニマ・エテルナとともに新たに描くブルックナー像。注目。アニマ・エテルナは1987年、鍵盤奏者・指揮者のヨス・ファン・インマゼールによって設立された、ベルギーに本拠地をおく、ピリオド楽器のオーケストラ。1745-1945年そして現在にいたるまでの音楽をとりあげている。2020-21のシーズンからは様々な客演指揮者と演奏するようになり、2022年より、パブロ・エラス=カサドともブルックナーのシリーズが始動している。パブロ・エラス=カサドは1977年グラナダ生まれ。harmonimaundiには2012年より録音を開始、2020年度第58回レコード・アカデミー賞大賞(ベートーヴェン:第九)および銅賞(ファリャ:三角帽子、恋は魔術師)。2023年に≪パルジファル≫でバイロイト音楽祭にデビュー、2024年にも同演目で登場する。NHKso. との共演で来日多数。
ヘンデル(1685-1759):
 主は言われた(Dixit Dominus) HWV.232 /
 主が家を建てられるのであれば(Nisi Dominus) HWV.238 /
 主を讃美せよ(Laudate pueri) HWV.237
  ジャステイン・ドイル指揮 RIAS 室内cho.、ベルリン古楽アカデミー
  キャロリン・サンプソン、ヨハンナ・ヴィンケル、ヴィクトリア・ウィルソン(S)
  アレックス・ポッター(CT) ヒューゴー・ハイマス(T) アンドレアス・ヴォルフ(B)
 録音:2022年8月、2023年9月。1707年、若きヘンデルが作曲した宗教作品3つを収録。器楽の扱いの充実、対位法の素晴らしい熟練、そしてテキストの内容をやわらかに膨らませ音楽化することの天才性が遺憾なく発揮されている。ヘンデルが生まれ故郷のハレを発ってハンブルクに向かったのが1703年、18歳の時のことだった。ハンブルクの後、イタリアに向かい、1706年末か1707年初頭から1710年まで、ローマを中心としたエリアで仕事をする。ここに収録の3作品は1707年7月16日のカルメル山の聖母の祝日のための一連の礼拝のために、ということでラテン語のテキストの宗教作品を依頼され生まれた物。どの作品もあざやかなコントラストに満ち、また、独唱の楽曲も器楽の組み合わせも様々。2017年よりRIAS 室内合唱団の芸術監督および首席指揮者に就任したジャスティン・ドイルとRIASの息もますますピッタリ、ベルリン古楽アカデミーの器楽も冴えに冴えた、ヘンデルの魅力満載の名演が誕生した。
F.クープラン(1668-1733):王宮のコンセール〜2台のチェンバロによる
 コンセール〔第1番 ト調/第2番 ニ調(*) /第3番 イ調/第4番 ホ調(**) 〕
 ピエール・ガロン、マテュー・ブティノー(Cemb)
 ティボー・ルーセル(テオルボ;*/バロックG;**)
 録音:2023年7月、サン=マルタン・ド・ラ・クルート教会|使用チェンバロ:フランコ=フレミッシュ〔D.ジャック・ウェイ&マルク・デュコルネ1988年=ジュリアン・ベイリー2020年〕/フレミッシュ〔マルク・デュコルネ工房、ジュリアン・ベイリー2020年〕。チェンバロ2台によるF. クープランの「王宮のコンセール」の登場。演奏するのは、フランスの気鋭の古楽アンサンブルを通奏低音で支え、ソロでも活躍している名手たち、ピエール・ガロン&マテュー・ブティノー。第2番と第4番のいくつかの楽曲では、テオルボとバロック・ギターも参加し、当時の王宮で行われていた親密にして贅沢な音楽会のもようが再現される。太陽王ルイ14世治世下のヴェルサイユ宮殿では、四六時中音楽が流れていた。王とその宮廷が新しい王宮に移り住んだ1682年以降、音楽は王の日課(l'ordinaire)すべてで演奏され、王が寝ている間だけが静寂につつまれた。宗教的、世俗的な祝祭行事も音楽によって彩られた。1714年と1715年、フランソワ・クープラン(当時は王立礼拝堂のオルガニスト)は、ルイ14世から「一年のほとんど毎週日曜日」に、他の少数の音楽家と共に「小音楽会」を開くように命じられる。王の死から数年後の1722年、クープランはこれらの「小音楽会」で演奏された曲の中から優れたものを「コンセール・ロワイヤル(王宮のコンセール)」と題し、「クラヴサン小品集」(1722年)の付録として出版した。この曲集は、調によってグループ分けされた4つの組曲で構成されており、基本的には古典舞曲組曲の形で、楽器の編成は奏者の自由に委ねられている。[ピエール・ガロン] 幼いころから様々な楽器に親しみ、10歳で自分にとってチェンバロこそがあらゆることを表現できる楽器だと発見。パリ国立高等音楽院で、オリヴィエ・ボーモンとブランディーヌ・ランヌーに師事。ヴェルレやアンタイらの指導も受けている。ベルトラン・キュイエ率いるアンサンブル「ル・カラヴァンセライユ」でも演奏、また、器楽奏者や声楽奏者とも共演を重ねており、ソロ、アンサンブル両面で活躍している。[マテュー・ブティノー]オリヴィエ・ヴェルネにオルガンを、そしてチェンバロをブランディーヌ・ヴェルレらに師事した。中世のクラヴィツィテリウムからシンフォニックなオルガン、さらにフォルテピアノまで、あらゆる鍵盤楽器を弾きこなしている。ピション&ピグマリオンの「マタイ受難曲」(2022年度レコード・アカデミー大賞、KKC-6514 / HMM-902691)でも通奏低音で参加していた。教会のオルガン奏者を務めたのち、幼いころからの夢であった楽器ビルダーとしての修行も始めているくらい、楽器そのものへの愛も大きな奏者。[ティボー・ル-セル]アンサンブル・コレスポンダンスやピグマリオンなど、現代の新進の古楽アンサンブルで演奏するテオルボ、ギター、リュート奏者。
ハンソンSQ + ラムール〜シューマン
 弦楽四重奏曲全集
  〔第1番 イ短調 Op.41 No.1 /
   第2番 ヘ長調 Op.41 No.2 /
   第3番 イ長調 Op.41 No.3 〕/
 ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44 (*)
ハンソンSQ
[アントン・ハンソン、
 ジュール・デュサプ(Vn)
 ガブリエル・ラフェ(Va)
 シモン・デュシャンブル(Vc)]

アダム・ラルーム(P;*)
 録音:2023年10月-11月、 TAP 〔テアトル・オーディトリウム・ド・ポワティエ〕ハンソン弦楽四重奏団がハルモニアムンディ・レーベルより登場する。シューマンの人生においてもっとも幸せに満ち溢れていた頃、1842年に書かれた弦楽四重奏とピアノ五重奏曲という充実の2枚組、ピアノはアダム・ラルーム。ハンソン弦楽四重奏団結成間もない頃、ロマン派の弦楽四重奏曲として初めて取り組んだのがシューマンだったそう。ピアノ五重奏曲も結成初期から取り組んでいて、しかもピアニストはアダム・ラルームだったということで、今回の録音はごく自然なながれで決まったものということ。非常に繊細な表情づけがなされながらも大きな息遣いの音楽はさすが。ピアノ五重奏曲でのアダム・ラルームのやわらかくな音色、そしてそのピアノに重なってくる弦楽器の多層感がたまらない演奏。横の流れがぴたりと心地よいのはもちろんだが、湧き上がってくるような縦の立体感豊かな響きも美しい演奏。ハンソン弦楽四重奏団2013年結成。ジュネーヴ国際コンクール(第2位)、ハイドン国際室内楽コンクール(第2位)、リヨン国際室内楽コンクール(第3位)等で上位入賞。2019年、アパルテ・レーベルよりデビュー・アルバムを発売、以降リリースを重ねたのち、このたびハルモニアムンディにデビュー。広いレパートリーに取り組んでおり、マティアス・ピンチャーの作品をフランスで初演、現代作品も積極的に演奏している。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭2023年にも登場し、ベートーヴェンの晩年の作品などを演奏し、高い評価を得た。
息子プレガルディエン + ベザイデンホウト〜
 シューベルト
:歌曲集「美しき水車小屋の娘」
ユリアン・プレガルディエン(T)
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp))
 録音:2023年11月、 SWR Funkstudio 、シュトゥットガルト|使用楽器:クリストフ・ケルン、2019年製〔モデル:コンラート・グラーフ、ウィーン、1825年製〕。ユリアン・プレガルディエンと、ベザイデンホウトによるシューベルトがharmoniamundiから登場する。ユリアン・プレガルディエンといえば若き世代のスター・テノール。透明かつ芯のある声、そして驚異的なまでの明晰な歌詞の発語は、ここでも冴え渡っている。時には装飾を加えたり、旋律線を変えたりすることもあり、また旋律が台詞のように聴こえる瞬間もあるが、それは本人の表現への強い衝動であり、あまりにそれが直截的なので、「作曲者への冒涜」などということは感じさせない説得力。ヨーロッパでユリアン・プレガルディエンとベザイデンホウトは「水車小屋」の公演を披露しているが、そこでは役者が演じる詩人のミュラーが舞台に登場したということで、プレガルディエンとベザイデンホウトの詩や言葉に対する意識の高さがうかがわれる。ベザイデンホウトのフォルテピアノも、プレガルディエンの真直ぐな表現に突き動かされたかのように感情に満ちており、驚くほど色彩豊かな音色で物語を紡いでいく。パドモアとの「冬の旅」の名録音もあるが、ここではより一歩踏み込んだダイレクトで雄弁な表現が光っている。闇と光、様々なコントラストも強烈な演奏。
HMX-2904000/06
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(7CD)
3CD価格
アルフレッド・デラー〜パーセル名録音集
 妖精の女王(*)[アルフレッド・デラー(妖精)/1972年]/
 アーサー王(*)[ロデリック・スキーピング指揮キングズ・ミュージック/1978年]/
 インドの女王(#)[キャサリン・マッキントッシュ指揮キングズ・ミュージック/1976年]
 嘆きの歌[アルフレッド・デラー(CT) ヴィーラント・クイケン(バス・ド・ヴィオール)
      ウィリアム・クリスティ(Cemb) ロデリック・スキーピング(Vn)/1979年]/
 おお、孤独よ(*/#) [1977年]

 アルフレッド・デラー指揮デラー・コンソート(*)、デラーcho.(#)
 録音:[内]。偉大なるカウンターテナー、アルフレッド・デラー(1912-1979)は、20世紀最大のカウンターテナーであり、「カウンターテナー」という存在をあらためて広く知らしめ、バロック音楽の復興の歴史を語る上で欠くことのできない役割を果たした。同時代の作曲家にも大きな影響を与え、ブリテン(1913-1976)は「真夏の夜の夢」で、デラーを念頭に置いてオーベロン役を作曲している。特にパーセル作品については、パーセルは300年ほど前に生きた作曲家だが、まるでデラーのために作品を書いたのではないかと皆に思わせるほど、その解釈と演奏に卓越した手腕を発揮した。デラーがいなかったらパーセル受容はこれほどまでにはならなかったといっても過言ではないだろう。このたびハルモニアムンディが、デラーの死後40年を記念して、オリジナル・テープからの入魂のマスタリングを施した。あらためてデラーの芸術に思いを馳せるボックスセット。
HMX-2904007/15
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(9CD)
4CD価格
限定盤
モーツァルト:鍵盤楽器のための作品全集 クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2009年-2014年|単売: HMU-907497, HMU-907498, HMU-907499, HMU-907528, HMU-907529/30, HMU-907531, HMU-907532/33 のセット化。 「モーツァルトの鍵盤独奏曲の魅力を最大限に引き出した、真に偉大な全集となるだろう(BBC Music 誌)」など、全世界で高く評価されている、ベザイデンホウトによるモーツァルト鍵盤楽器のための作品全集が9枚組セットとなってリリースする。「モーツァルトの再来」とも称されるフォルテピアノの天才ベザイデンホウト。この作品全集でも、彼のマジックは冴え渡り、耳になじんだこれらの作品でも、新鮮な驚きを与え楽しませてくれ, 有名なソナタでも、また共に収録されている、種々の変奏曲や小品も、変化に富む歌いまわしで聴かせてくれる。ひとつひとつのパッセージが実に活き活きと愛らしい表情に満ちており、ベザイデンホウトの演奏は、モーツァルトの閃きをダイレクトに伝え、今ここで音楽が湧き上がるようだ。抜群の演奏技術、濁りのない清廉な音色、厭味のない自然なテンポ感といった彼ならではの持ち味を遺憾なく発揮し、瑞々しさあふれる鮮烈な演奏による必聴のセットとなっている。
ジョスカン・デ・プレ〜ルネサンスの巨匠
 #収録内容詳細はリンク先 PDF ファイル(要・閲覧ソフト)をご覧ください
 録音:1988年-2018年。2021年はジョスカン・デ・プレが亡くなってちょうど500年にあたる。ハルモニアムンディの数々の録音から、デ・プレの最も特徴的かつ刺激的な世俗作品から宗教作品までの選りすぐりを、3枚組でお届けする。ブックレットでは、デ・プレの生涯が、美しいカラー図版多数とともに紹介されている(日本語はついていない)。
HMX-2904019/29
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(11CD)
5CD価格
ベルリン古楽アカデミー結成40周年記念、 The Bach Dynasty 〜バッハ一族
 ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1677-1731):葬送のための音楽〜独唱者、ふたつの合唱とふたつの管弦楽のための
 J.S.バッハ(1685-1750):ソプラノとバスのためのカンタータ
  〔いと尊きイエス、わが憧れよ BWV.32 /試練に耐えうる人は幸いなり BWV.57 /われは行きて汝をこがれ求む BWV.49 〕/
               ブランデンブルク協奏曲(全6曲)/管弦楽組曲(全4曲)
  W. F. バッハ(1710-1784):シンフォニア〔ニ長調/ヘ長調〕/アダージョとフーガ〔ニ短調/ヘ短調〕/チェンバロ協奏曲 ホ短調
  C.P.E.バッハ(1714-1788):
  マニフィカトWq.215 (1749) /モテット「聖なる神よ(Heilig ist Gott)」Wq.217 (1776) /交響曲 ニ長調 Wq.183-1 (1780) /
  オーボエ協奏曲〔変ホ長調 H.468, Wq.165 /変ロ長調 H.466, Wq.164 〕/シンフォニア ヘ長調 H.656, Wq.181 /
  2つのオーボエ、2つのホルン、弦と通奏低音のためのシンフォニア ト長調 H.655, Wq.180 /フルート協奏曲 ニ短調 Wq.22
 ヨハン・クリスティアン・バッハ(1735-1782):
  交響曲〔変ホ長調 Op.6 No.2 /ト短調 Op.6 No.6 〕/チェンバロ協奏曲 変ロ長調 Op.13 No.4 /
  レクイエム より〔入祭唱&キリエ ヘ長調(T208/5) /怒りの日 ハ短調(T202/4) 〕/ミゼレーレ 変ロ長調(T207/5)

 ベルリン古楽アカデミー
 録音:1995年、1997年、2002年、2010年-2011年、2013年、2017年-2018年。結成40周年をむかえるベルリン古楽アカデミー。40周年記念盤として、不朽の名演、管弦楽組曲とブランデンブルク協奏曲、さらに、バッハの息子たちの作品やバッハ家のヨハン・ルートヴィヒ・バッハらの作品をおさめた過去の録音を、特別価格の11枚組CDで発売する。ヨハン・ルートヴィヒ・バッハは、J.S.バッハの遠いいとこにあたる人物。バロック時代の黄金期の作品から、古典派の幕開けを感じさせる作品までを、ベルリン古楽アカデミーの名手たちによる冴えた演奏で一挙に聴くことが出来る。ベルリン古楽アカデミーは1982年、ミシェル・ブラヴェらの作品を旧東ドイツで結成された。古楽の演奏習慣の研究に根ざした演奏活動を展開。結成当初はバッハ、テレマン、そしてミシェル・ブラヴェら、メンバーたちの興味のおもむくままに、時にはアルパーマンが住んでいたフラットの1室でリハーサルをするなどして活動していた。時には高名なバッハ学者のハンス=ヨアヒム・シュルツェをリハーサルに招いたこともあったそう(リハーサルのためだけにシュルツェはライプツィヒからベルリンまでやってきた)。1984年に演奏会シリーズを本格スタートさせて以降、今日にいたるまでその演奏はドイツのみならず世界から絶賛されている。1986年に初CDをリリース、しかしメンバーの一人として当時CDプレイヤーをもっていなかったというから時代を感じる。1989年にベルリンの壁が崩壊してのち、より国際的な活動を展開していくようになる。名門声楽アンサンブルであるRIAS 室内合唱団とのコラボレーションも非常に長くつづいている。
HMX-2904030/31
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(2CD)
1.5CD価格
ベートーヴェン:有名ソナタ集
 ソナタ〔第8番 ハ短調 Op.13 「悲愴」/第14番 嬰ハ短調 Op.27 No.2 「月光」/
     第24番 嬰ヘ長調 Op.78 「テレーゼ」/第17番 ニ短調 Op.31 No.2 「テンペスト」/
     第23番 ヘ短調 Op.57 「熱情」/第29番 変ロ長調 Op.106 「ハンマークラヴィーア」〕/
 バガテル WoO.59 「エリーゼのために」

 ポール・ルイス(P)
 録音:2005年-2018年。ポール・ルイスのベートーヴェン。ソナタ、ピアノ協奏曲の全曲録音はいつ聴いても、その清冽きわまりないタッチと、一切の過剰さのない抜群の語り口と切り口で真のベートーヴェンの息遣いを感じさせる名演。このたびソナタの全曲録音から、有名ソナタおよび、バガテル集から「エリーゼのために」を抜粋して2枚組で発売する。あらためてポール・ルイスが魅せるくもりのないベートーヴェン像をご堪能頂きたい。
HMX-2904032/40
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(8CD +
1DVD [NTSC])
3CD価格
含・初出映像〜イザベル・ファウスト・プレイズ・バッハ
 ヴァイオリン協奏曲〔ニ短調 BWV.1052R /ホ長調 BWV.1042 /ト短調 BWV.1056R /イ短調 BWV.1041 〕
 カンタータ より〔第174番「われいと高き者を心を尽して愛しまつる」 BWV.174 〜シンフォニア/
          第21番「わがうちに憂いは満ちぬ」 BWV.21 〜シンフォニア/
          第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」 BWV.182 〜第1曲 ソナタ〕
 トリオ・ソナタ ハ長調 BWV.529 /オーボエ、ヴァイオリン、弦と通奏低音のための協奏曲 ハ短調 BWV.1060R /
 管弦楽組曲第2番 BWV.1067 〜ヴァイオリンと弦楽合奏、通奏低音の編成による(イ短調で演奏)
 トリオ・ソナ ニ短調 BWV.527 /シンフォニア BWV.1045 /2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043 /
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ BWV.1001-1006(全曲)/
 ヴァイオリン・ソナタ BWV.1014-1019 (全曲)/ブランデンブルク協奏曲 BWV.1046-1051 (全曲)
 DVD:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV.1005 (*) /パルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004 (*)

 イザベル・ファウスト(Vn) 共演:ベルリン古楽アカデミー、フォルク(Vn) レフラー(Ob/リコーダー)
 フライハイト(Vc) アルパーマン、ベザイデンホウト(Cemb) タメスティ(Va)
 録音:2009年、2011年、2016年-2018年、2021年|収録:2020年4月5日、トーマス教会、ライプツィヒ(*) | (*):初出| (*以外):当レーベルから既出。 世界中の聴衆、そして音楽家たちをも魅了してやまないヴァイオリン奏者、イザベル・ファウスト。近年その芸術の深みと迫真性はますます際立っている。そんなファウストがこれまで収録してきたバッハが、ボックスで登場!大注目なのが、バッハの無伴奏パルティータ第2番とソナタ第3番を、ライプツィヒのトーマス教会で、J.S.バッハの墓前で演奏した映像も入っていること(DVD / NTSC)(2020年4月5日、収録)。今回がDVD 初登場の映像(こちらの演奏会は、ライヴ配信され、期間限定でオンラインで視聴できたが、現在は見ることができない)。〜ファウストが内面で求めているものは、受け継がれている美というものの研究から得られるものだけでなく、生きること、いのちと真摯に向き合うことから生まれる真実。(ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング紙)〜過度に熱狂したり独走したりすることは決してなく、揺るがぬ確信をもって演奏しており、あらためてファウストの音楽にうたれる内容。
HMX-2904041/45
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(5CD)
2.5CD価格
Mozart: Operas - The Singspiele 〜
  ヤーコプス、モーツァルト:後宮からの誘拐&魔笛

 歌劇「後宮からの誘拐」 K.384 (*)
  [ロビン・ヨハンセン(S;コンスタンツェ) マリ・エリクスモーエン(S;ブロンデ)
   マキシミリアン・シュミット(T;ベルモンテ) ジュリアン・プレガルディエン(T;ペドリッロ)
   ディミトリー・イヴァシュチェンコ(B;オスミン) コルネリウス・オボニャ(語り;太守セリム)]

 歌劇「魔笛」 K.620 (#)
  [ダニエル・ベーレ(T;タミーノ) マリス・ペーターゼン(S;パミーナ)
   ダニエル・シュムツハルト(Br;パパゲーノ) イム・スンヘ(S;パパゲーナ)
   アンナ=クリスティーナ・カーッポラ(S;夜の女王) マルコス・フィンク(B−Br;ザラストロ)
   クルト・アツェスベルガー(T;モノスタトス) インガ・カルナ(S;第1の侍女)
   アンナ・グレヴェリウス(Ms;第2の侍女) イザベル・ドリュエ(Ms;第3の侍女)

 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
 録音:2009年9月-10月(#)、2014年9月(*)、ともにテルデックス・スタジオ、ベルリン|初出・旧品番: HMC-902068/70 (#), HMC-902214/15 (*) 〔ともに廃盤、入手不能〕|フルカラー約260ページ・ブックレット付き〔欧文のみ〕。 (*):パーカッションもにぎにぎしく活躍する快速序曲から、トルコを思わせる世界に一気に引きこまれる痛快な演奏。セリフ部分にも演技と音楽の両面で様々に工夫がなされ、聴いていて実にたのしい「後宮」の誕生となった。1782年の「後宮からの誘拐」のウィーン初演は、聴衆および批評家たちから、かつてない大成功の反響となった。エキゾチズム(東洋趣味)に重きを置いた音楽、啓蒙主義思想の礼賛、当時のオスマン帝国に対する偏見とは間逆の筋書が当時の人々にとってまさにドンピシャ、ツボにはまったものだった。また、このオペラはジングシュピール(歌芝居)なのでレチタティーヴォがなく、アリアとセリフで構成されている。現在では、演奏に際し、セリフ部分は多くの部分がカットされてしまうが、この録音では改訂を施しながらもフルに収録。さらに、アリアの途中でもセリフを挿入させるなど、耳のための音楽劇として聴き手が場面や登場人物の心情を想像しやすいような工夫も随所に見られる。さらに、様々な資料から、ヤーコプスは、セリフ部分でモーツァルトが自らフォルテピアノを操り場面を盛り上げ、次のアリアへのよい橋渡しとなるような即興、あるいは自作の鍵盤音楽からの引用を織り交ぜたのではと考え、この録音に際してもセリフ部分の何か所かで、フォルテピアノ奏者にちょっとした楽曲を演奏させ、さらにアリアの中でも通奏低音の枠を超えたようなものを演奏させている。このような細かな工夫により、セリフとアリアのつながりにも自然な流れが生まれ、オペラの内容がよりリアルなものとして見事によみがえっている。歌唱陣は、バイロイトにも出演、カルダーラの世界初録音アリア集CD(マルコン指揮)でも注目を浴びたソプラノのロビン・ヨハンセン、既にバロックからロマン派のアリアまで多数のCDをリリース、2015年のザルツブルク音楽祭デビューをしたテノールのマキシミリアン・シュミットなど、旬の顔ぶれがズラリそろっている。 (#):セリフ部分にも音楽部分にも入念な考察を重ねた、歌芝居としての面白さが万全に引き出された演奏。タミーノ役のダニエル・ベーレはハンブルク出身で録音当時デビューしたてだったが、今では大活躍のテノール。ペーターゼンは押しも押されぬ存在のソプラノ。「魔笛」の録音に新たな歴史を刻んだ名盤。
HMX-2904046/56
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(11CD)
3CD価格
限定盤
マティアス・ゲルネ〜 HMF へのシューベルト:歌曲集シリーズ
  「マティアス・ゲルネ・シューベルト・エディション」

 美しき水車小屋の娘、冬の旅、白鳥の歌(以上全曲)/他多数

 マティアス・ゲルネ(Br) エリーザベト・レオンスカヤ、ヘルムート・ドイチュ、
 エリック・シュナイダー、クリストフ・エッシェンバッハ、インゴ・メッツマッハー、
 アレクサンダー・シュマルツ、アンドレアス・ヘフリガー(P)
 録音:2007年-2012年。# [CD5](原盤:HMC-902035) に付属していたDVD、および[CD7](原盤:HMC-902139)に付属していたシューベルト:ピアノ・ソナタのCDはこのボックス・セットには含まれません。マティアス・ゲルネがハルモニアムンディに録音した珠玉のシューベルト歌曲集シリーズ。ゲルネの最新のシューベルトとして、さらに、パートナーを務めるピアニストが実に豪華で注目のシリーズが、このたび11枚組のボックスとして登場。シューベルトの音楽を最高の布陣で味わうことが出来る。
HMX-8904057/64
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(8CD)
3CD価格
限定盤
クリスティ&レザール・フロリサン〜シャルパンティエ・ボックス
 聖チェチーリアの殉教 H.413 [ビルギット・グレナ(S;チェチーリア)他|1979年11月]/
 放蕩息子 H.399 [ジュゼプ・ブネ(CT;放蕩息子)他|1979年11月]/
 マニフィカト H.73(3つの声、フルートと通奏低音のためのモテット)
  [ドミニク・ヴィス(CT) ミシェル・ラプレニ(T) フィリプ・カントール(B)
   ヴァルター・ファン・ハウヴェ(Fl) クリストフ・コワン(Vc)他|1981年5月]/
 歌劇「アクテオン」 H.481 [ドミニク・ヴィス(CT;アクテオン) アニェス・メロン(S;ディアーヌ)
   ギユメット・ロランㇲ(Ms;ジュノン)他|1982年4月]/
 「強制結婚」と「エスカルバーニャ伯爵夫人」 (H.494) 序曲
  [ドミニク・ヴィス(CT) ミシェル・ラプレニ(T) フィリップ・カントール(Br)|1982年4月]/
 歌劇「メデ」 H.491 [ジル・フェルドマン(S;メデ) ジル・ラゴン(T;ジャゾン) ジャック・ボナ(B;クレオン)
   ゾフィー・ブーラン(S;ネリーヌ) アニェス・メロン(S;クレウス) フィリップ・カントール(Br;オロンテ)他|
   1984年4月、ヴェルサイユ宮劇場]/
 聖ペテロの否認 H.424 [アニェス・メロン(S;オスティアリア) モニク・ザネッティ(S;アンキッラ)
   ドミニク・ヴィス、ジェラール・レーヌ(CT) エリザベス・マティファ(バス・ヴィオール)
   イヴォン・ルペラン(Cemb) エリック・ベロ(テオルボ)他|1985年4月]/
 四旬節のための瞑想 H.380-389 [ドミニク・ヴィス、ジェラール・レーヌ(CT;) イアン・ハニーマン、
   ミシケル・ラプレニ(T) フィリップ・カントール、フランソワ・フォシェ(B) エリック・ベロ(テオルボ)
   エリザベス・マティファ(バス・ヴィオール) イヴォン・ルペラン(Cemb)|1985年4月]/
 歌劇「ダヴィデとヨナタン」 H.490 [ジェラール・レーヌ(CT;ダヴィデ) モニク・ザネッティ(S;ヨナタン)
   ドミニク・ヴィス(CT;女予言者) ジャン=フランソワ・ガルデイユ(B;サウル)
   ジャン=フランソワ・フシェクール(T;ヨアベル)他|1988年6月]

 ウィリアム・クリスティ(Cemb/Org)指揮レザール・フロリサン〔器楽・合唱〕
 ブックレットには、クリスティのインタビュー、および各作品についての解説が掲載されている(日本語訳なし)。歌唱歌詞はハルモニア・ムンディのホームページに掲載されている。 レザール・フロリサンの40年にわたる録音活動からシャルパンティエ作品の選りすぐりがボックスで登場!1979年にクリスティによって設立されたアンサンブル「レザール・フロリサン」。シャルパンティエの音楽劇≪花咲ける芸術≫から名前をとっており、シャルパンティエはクリスティにとって特別な存在であることがわかります。クリスティはこれまでにシャルパンティエの作品を25ほど録音している。このたび、最初期の録音も含むかたちで再発売のはこびとなった。最初期のドミニク・ヴィスの他では得難い歌声、第二期ともいえる時期の中心メンバーであったジェラール・レーヌやモニク・ザネッティらと、体系的にグループの歴史を感じることが出来る。また≪メデ≫に関してクリスティは2度録音を行っているが1984年の最初の録音が復刻されており、当時のシャルパンティエ再興への熱量が感じられる演奏には圧倒される。〜シャルパンティエはこれまでも、そしてこれからも、レザール・フロリサンの礎であり続けるの〜と、リュリなどのフランス・バロックも知り尽したクリスティが今なお特別な思いを寄せているシャルパンティエの名録音の数々、ご堪能頂きたい。
HMX-2904070/86
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(17CD)
3CD価格
限定盤
ヘレヴェッヘ、ハルモニア・ムンディ・イヤーズ〜J.S.バッハ:カンタータ録音集成
 BWV.198, 78, 21, 42, 80, 63, 82, 56, 158, 43, 44, 11, 249, 66, 122, 110, 57, 63, 61, 62, 170, 54, 35, 8,
   125, 138, 29, 119, 120, 91, 121, 2, 20, 176, 12, 38, 75, 207, 214, 27, 84, 95, 161, 22, 23, 127, 159

 独唱者たち フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
 シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
 録音:1987年-2007年。フィリップ・ヘレヴェッヘがハルモアムンディ・レーベルで行ったJ.S.バッハのカンタータ録音がボックスで登場する。48作、17枚組。豪華歌手陣による歌唱、そしてなによりいつ聴いても典雅にしてやわらか、至極の美音の管弦楽となめらかな合唱。不朽のカンタータ名演録音の数々をじっくりと味わいたいボックスセット。
HMX-2904087/90
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(4CD)
2CD価格
限定盤
ヒリヤー〜アルヴォ・ペルト(1935-):主要合唱作品集
 プロファンディス(深き淵より)/モサ・シラビカ/ソルフェジオ/パリサィびとのひとりが/カンタンテ・ドミノ/スンマ/
 7つのマニフィカト用アンティフォナ/幸いなるかな/マニフィカト/ダ・パーチェム・ノミネ/
 ヌンク・ディミティス「今こそ主よ、僕を去らせたまわん」(2001) / LittlemoreTractus(もう少し長くのばした)(2000) /
  Dopo la vittoria(勝利のあとに)(1996/98) /マニフィカト(1989) /2つのスラヴ詩篇(1984/97) /
  An den Wassern zu Babel(バビロン川のほとりに)(1976/84/96) /来たれ創造主なる聖霊よ/鹿の叫び/詩篇/
 最も聖なる神の母/ソルフェッジョ/我が心はハイランドにあり/エルサレムに平安あれ/巡礼の歌/明けの明星/
 スターバト・マーテル/神の母(1990) /わたしはまことのぶどうの木(ヨハネによる福音書15:1-14) (1996) /
 カノン・ポカヤネン〜オード第9番(1989, rev.1997) /ベタニアで香油を注がれる(マタイによる福音書26:6-13) (1997) /
 皇帝への税金(マタイによる福音書12:15-22) (1997) /ベルリン・ミサ(1990, rev.1997)

 ポール・ヒリヤー指揮シアター・オブ・ヴォイセズ、
 エストニア・フィルハーモニー室内cho.、ザ・プロ・アルテ・シンガーズ
 クリストファー・バウアーズ・ブロードベント(Org)
 ダン・ケネディ(Perc) アルス・ノヴァ・コペンハーゲン、 NYYD カルテット/他
 録音:1996年、2006年、2010年、1998年。ポール・ヒリヤーは、エストニアの作曲家アルヴォ・ペルトと特別な信頼関係を築き、長年にわたってペルトの音楽を探求してきた。このボックス・セットは、ヒリヤーが行った主要な録音遺産(1996年〜2012年)をまとめた物。グレゴリオ聖歌の偉大な伝統から受け継いだ純粋さと、静謐な内面性を特徴とするペルト独自の音楽世界が展開されている。
HMX-2904091/96
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(6CD)
2CD価格
限定盤
ポール・ルイス・プレイズ・シューベルト
 ソナタ〔イ短調 D.784 /イ長調 D.959 /ハ長調 D.840 /変ロ長調 D.960 /
     イ短調 D.845 /ニ長調 D.850 /ト長調 D.894 /ハ短調 D.958 〕/
 3つのピアノ小品 D.946 /4つの即興曲 D.899, Op.90 /
 4つの即興曲 D.935, Op.142 /さすらい人幻想曲 D.760 /6つの楽興の時 D.780
 ポール・ルイス(P)
 録音:2002年9月、2011年3月-2013年4月。#下記アイテムと品番が一部ダブりますが、これで正しいもののようです。ポール・ルイスによるシューベルトの録音がボックスで登場。ポール・ルイスの、一切のごまかしのない音色によってうかびあがる作曲家の声。ここにあらためてまとめて提示されるシューベルトの後期の作品群の録音は、ポールとシューべルトとの魂の対話の記録。まちがいなく現代のシューベルト演奏の最高峰といえるだろう。
HMX-2904095/98
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(3CD+1BD)
2CD価格
限定盤
含・初出映像、シューマン・トリロジー〜協奏曲&ピアノ三重奏全曲
 ■CD:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 WoO.1 (**) /ピアノ三重奏曲第3番 ト短調 Op.110 (**) /
    ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54 (##) /ピアノ三重奏曲第2番 ヘ長調 Op.80 (##) /
    チェロ協奏曲 イ短調 Op.12 (++) /ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.63 (++)
 ■Blu-ray VIDEO: 序奏、スケルツォと終曲 ホ長調 Op.52 (*) /ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54 (**) /
          ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 WoO.1 (##) /チェロ協奏曲 イ短調 Op.12

 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」、1704年製
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc|使用楽器:ジョフレド・カッパ、1696年製
 アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:ジャン=バティスト・シュトライヒャー〔ウィーン〕、
   1847年製[協奏曲]/エラール、1837年製[ピアノ三重奏曲]〔ともにエドヴィン・ボインク・コレクション〕

 パブロ・エラス=カサド指揮フライブルク・バロックo.
 録音(CD):2014年5月、8月-9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン|映像収録:2014年3月25日、フィルハーモニー、ベルリン、ライヴ〔単売時の記載:2014年5月8日(**/##/++) 〕| (*):初出映像|ブルーレイ仕様: 16 : 9 / Full HD / All regions / Stereo HD |初出・旧品番: HMC-902196 (**), HMC-902198 (##), HMC-902197 (++) 〔各 CD + Bonus DVD |すべて廃盤、入手不能〕。 初出時、すべてボーナスDVDに収録されていた映像部分をブルーレイ・ディスク1枚にまとめ、未収録だった(*)の映像を加えた新装盤。なお、映像収録の日付アナウンスが初出盤と異なっている。
 #上記アイテムと品番が一部ダブりますが、これで正しいもののようです。
録音:2014年5, 8, 9月、テルデックス・スタジオ・ベルリン/映像収録:2014年3月25日、ベルリン・フィルハーモニーファウスト、ケラス、メルニコフというスーパースターたちによる、シューマンの協奏曲+ピアノ三重奏曲プロジェクトがボックスで登場する。映像は再登場にあわせてブルーレイ化、さらに単独で発売されていた時には含まれなかった管弦楽曲「序曲、スケルツォと終曲」が収録されている。ファウスト(Vn)、ケラス(Vc)、メルニコフ(P)という、いまや世界が認める存在となった三人による、シューマン・プロジェクト。シューマンの協奏曲3曲(ピアノ・ヴァイオリン・チェロ協奏曲)+ピアノ三重奏曲3曲のレコーディングをするというこのプロジェクトは、3人が、ヨーロッパでシューマンのピアノ三重奏曲を演奏するツアーを行った際に持ち上がったという。楽器は、ガット弦の弓を張った弦楽器、そしてフォルテピアノで、ということになり、オーケストラもソロ楽器に合った編成のフライブルク・バロックo. に決定。指揮はパブロ・エラス=カサド。オケとソロ楽器の素晴らしいバランス、自然なアーティキュレーションで作品に対する既成概念を払拭するような、まさにこの顔ぶれでしかためし得ない水準での、新しいシューマン像が完成した。
HMX-2904100/01
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(2CD)
1.5CD価格
限定盤
クリスティ&レザール・フロリサンの「テ・デウム」
 ジャック・ダニカン・フィリドール〔若いフィリドール〕(1657-1708):ティンパニによる行進曲
 マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
  テ・デウム H.146 /ミサ「聖母マリアの被昇天」 H.11 /聖母マリアへの連祷 H.83
 ミシェル=リシャール・ドラランド(1657-1726):(#)
  テ・デウム/バビロンの流れのほとりで/主よ、われは汝に心より感謝せん

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1988年10月4日-7日(無印) /1990年9月(#) |既出CD, SACD 〔特記以外CD〕: HMC-901298(無印), HMC-801298 (HYBRID_SACD) (無印), HMG-501298 (無印), HAF-8901298 (無印), HMC-901351 (#), HMA-1901351 (#), HMA-1951351 (#), HAF-8901351 (#) 〔 HAF 記号盤以外廃盤、入手不能〕。 クリスティ&レザール・フロリサンによるテ・デウムが2枚組お買い得セットで登場!CD1はシャルパンティエの「テ・デウム」を収録。1699年、シャルパンティエが王宮礼拝堂に仕えていた頃に書いた「テ・デウム」は彼の最高傑作のひとつとされている。輝かしい有名なプレリュードにつづき、独唱者や合唱が活躍する楽曲がならぶこの名作を、クリスティは純粋に音楽する喜びに満ちた、生き生きとした表情で響かせている。30年以上前の録音ながら、シャルパンティエの魅力をこれ以上なくはつらつと引き出した名演。CD2はドラランドの「テ・デウム」。ヴェルサイユ宮殿がまだ隆盛を誇っていた頃、宮殿で行われた礼拝のためにグラン・モテを作曲し、リュリの後継者とも言われたドラランド。1684年の「テ・デウム」はドラランドの最高傑作と名高い物。詩篇に音楽を付しているが、他の作曲家による同様の作品とは比べ物にならないくらい感情に直接訴えるドラランドのその力量に圧倒される内容。
HMX-2904102/03
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(2CD)
1.5CD価格
限定盤
ロト&レ・シエクル〜ベルリオーズ
 幻想交響曲 Op.14 (+) /序曲「宗教裁判官」 Op.3 (+) /
 イタリアのハロルド Op.16 (*) /歌曲集「夏の夜」 Op.7 (#)
  タベア・ツィンマーマン(Va;*) ステファヌ・ドゥグー(Br;#)
  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2018年3月2日-3日、フィルハーモニー・ド・パリ(*) /2018年8月15日-16日、イル=ド=フランス国立オーケストラ・ホール、アルフォールヴィル(#) /2019年7月16日-17日、アルフォールヴィル(+) |初出: HMC-902644 (+)、 HMC-902634 (*/#) 。レ・シエクルロトのベストセラー、幻想交響曲と、最高峰のヴィオラ奏者タベア・ツィンマーマンをソリストに迎えての「イタリアのハロルド」がベルリオーズ限定2枚組セットで登場。
HMX-2904104/05
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(2CD)
1.5CD価格
限定盤
ロト&レ・シエクル〜ラヴェル、ムソルグスキー
 ラヴェル:
  ピアノ協奏曲 ト長調/ドゥルシネア姫に思いを寄せるドン・キホーテ(全3曲)(*) /2つのヘブライの歌(*) /
  亡き王女のためのパヴァーヌ(ピアノ版)(#) /マラルメの3つの詩(*) /左手のためのピアノ協奏曲/聖女(*)
 ムソルグスキー/ラヴェル編曲:展覧会の絵(+) / ラヴェル:ラ・ヴァルス(+)

  セドリック・ティベルギアン(P|使用楽器:1892年製プレイエル・グランパトロン)
  ステファヌ・ドゥグー(Br;*) フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
  録音:2020年12月、ピエール・ブーレーズ大ホール(無印) /2019年11月(+)、2021年9月(*/#)、フィラルモニ・ド・パリ(*/+)、スタジオ(#)、ライヴ(+) |初出: HMC-902612 (+以外)、 HMC-905282 (+) 。レ・シエクルロトのベストセラー、ラヴェルの≪展覧会の絵≫と、ピアノ協奏曲などを収録した2タイトルが限定2枚組セットで登場。
HAF-8904106/08
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(3CD)
1.5CD価格
限定盤
クリスティ&レザール・フロリサン〜パーセル:「ディドとエネアス」「妖精の女王」
 ヘンリー・パーセル(1659-1695):歌劇「ディドとエネアス」(*) /歌劇「妖精の女王」(#)
  ギユメット・ロランス(Ms;ディド;*) ジル・フェルドマン(S;ベリンダ;*)
  フィリップ・カントール(Br;エネアス;*) ドミニク・ヴィス(CT;魔法使い;*)
  アニェス・メロン(S;第1の魔女、第2の女;*) バルバラ・ボルデン(Ms;第2の魔女;;*)
  ナンシー・アージェンタ、サンドリーヌ・ピオー(S;#)
  チャールズ・ダニエルズ、ジャン=ポール・フシェクール(CT;#)
  ベルナルド・ルーネン(T;#) フランソワ・バゾラ(Br;#) ジェローム・コレア(B;#)他

  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1985年7月(*) /1989年7月(#) |既出CD: HMC-905173 (*), HMC-901308/09 (#), HMX-2901528 (*), HMG-501308/09 (#) 〔以上すべて廃盤、入手不能〕, HAF-8901308/09 (#) 。 (*)はおそらく1995年以来、約二十数年ぶりの再発。クリスティのパーセルが3枚組で復活する。「ディドとエネアス」は、1985年の録音。冒頭の序曲から、気品に満ちており、悲しみをたたえたとにかく美しい録音が際立っている。ドミニク・ヴィスの雰囲気たっぷりの魔法使い、カントール(ドミニク・ヴィスと共にアンサンブル・クレマン・ジャヌカンで演奏してもいた)の若々しいエネアス、そしてロランスがなんともやわらかに歌うディドー、すべての歌がクリスティのマジックともいえる指揮によってこれ以上なく豊かに響く。「妖精の女王」は、シェイクスピアの真夏の夜の夢に基づいた物語。印象的な愛の場面や超自然的現象の場面、音楽の機智に満ちた傑作。才気迸る闊達な音楽を、クリスティが、めくるめく鮮やかなコントラストと機智で描きだする。1989年7月のエクサン=プロヴァンス音楽祭で大反響を呼んだ上演を、公演直後に録音したもので、コンサートマスターは寺神戸亮、通奏低音(Cemb/Org)にはクリストフ・ルセも参加しているというのもあらためて注目。歌唱陣も、ピオーをはじめ、錚々たる顔ぶれ。
HMA-1955129
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価格帯:F
ヴィヴァルディ:四季 ヤープ・シュレーダー(Vn)指揮
コンチェルト・アムステルダム
 録音:1970年。1709年製のストラディヴァリウスを使用したシュレーダーによる落ち着いた演奏。
クリスティ&レザール・フロリサン、久々の再発〜マルカントワーヌ・シャルパンティエ
 クリスマス・オラトリオ(主の降誕に歌われる歌) H.416 /
 パストラル「われらが主イエス・キリストの降誕」 H.482
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
   [アニェス・メロン、カトリーヌ・ビニャレ、ジル・フェルドマン(S) マリー=クロード・ヴァラン(Ms)
    ドミニク・ヴィス、ヴァンサン・ダラス(CT) イアン・ハニーマン、ミシェル・ラプレニー(T)
    フランソワ・フォシェ、フィリップ・カントール(B) ベルナデット・シャルボニエ、ダニエル・キュイエ、
    フレデリック・マルタン、ジャン・マイエ、リシャール・ワルツ、ロベルト・クリサフッリ、
    ヴェロニク・メジャン(Vn) ジャン・ルバック、ロベール・ブロウン(Va)
    クレア・ジャルデッリ(Vc) アンヌ=マリー・ラスラ(ヴィオローネ)
    コンラート・ユングヘーネル(テオルボ) エリザベト・マティファ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
    ユーゴー・レーヌ、ジャン=ピエール・ニコラ(リコーダー)
    エリック・ベロック(G) イヴォン・ルペラン(Org/Cemb)]
 録音:1983年8月|初出CD: HMC-905130 〔当店未案内、廃盤〕。初出盤以降の再発がこれまでなかった録音で、再発自体二十数年ぶり。クリスマス・オラトリオは、シャルパンティエが音楽指導にあたっていたパリのサン・ルイ教会のために作曲され、ラテン語による。シャルパンティエの同種の作品の中ではもっとも規模が大きい。信者、天使、羊飼い、そして明記されてはいないものの、神が登場し、降誕前夜に始まり、降誕を喜ぶ楽曲にはフランスの民衆的なクリスマス・キャロルを思わせるものなど、多様な楽曲がならぶ。独唱者にはドミニク・ヴィスらが名を連ねた名録音。
HMA-1955148
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価格帯:F
ミシェル・コレット(1709-1795):
 6つのオルガン協奏曲Op.26
ルネ・サオルジャン(Org)
ジルベール・ベッツィーナ指揮
ニース・バロック・アンサンブル
 HMAシリーズのカタログ付き。
HMA-1905149
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価格帯:F
セルジュ・ボード〜プーランク
 スターバト・マーテル/サルヴェ・レジナ/黒い聖母へのリタニア
  ミシェル・ラグランジュ(S) セルジュ・ボード指揮リヨン国立o.
  ベルナール・テトゥ合唱指揮リヨン国立cho.
 録音:1984年8月、オーディトリウム・モーリス・ラヴェル、リヨン、フランス。初出・旧品番:HMC-905149(国内仕様盤:ANF-274)〔共に廃盤〕。
HMA-1955159
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価格帯:F
アンリ・デュティユー(1916-):
 交響曲第1番(1950)/響・空間・運動
セルジュ・ボド指揮
リヨン国立o.&cho.
 録音:1985年10月。
 デュティユーの音楽は、ラヴェルなどから繋がる近代フランス音楽の系譜にしっかり繋がる伝統性に、鋭い現代の感性が加えられたもの。安易に前衛に傾かず、あくまでフランス音楽の伝統に則った上で20世紀後半の音楽を切り開いた点で、非常に高く評価されています。交響曲第1番は、パッサカリア、スケルツォなどの形式を楽章に用いつつ4楽章構成をしっかり保っている。セルジュ・ボドが音楽監督を務めていたリヨンo.を操った見事な演奏。
バビット:ピアノ作品集
 3つの作品(1947-48)/デュエット/
 セミ=シンプル・ヴァリエーション/
 パーティションズ/ポスト=パーティションズ/
 絵画/ピアノと増幅テープのための「反響」/
 Canonical Form/Lagniappe
ロバート・タウブ(P)
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMA-1955181
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価格帯:F
ベートーヴェン:
 オラトリオ「オリーヴ山のキリスト」Op.85
モニカ・
 ビック=ヒエロニミ(S)
ジェイムズ・アンダーソン(T)
ヴィクター・フォン・ハーレム(B)
セルジュ・ボド指揮
リヨン国立o.&cho.
HCX-3955182
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価格帯:F
バード:「グラドゥアリア」〜
 復活祭のミサ/天の女王/たたえよ、天の女王を/
 ミサ「祝されし聖母マリアの被昇天」
シャンティクリーア
 録音:1986年6月。シャンティクリーアの人気ブレイク前の録音。
HCX-3955183
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価格帯:F
ヘンデル:オペラ・アリア集 Vol.1
 「ジューリオ・チェーザレ」、「ロデリンダ」、「トロメオ」
 「リチャード1世」、「オルランド」、「フラーヴィオ」から
ドリュー・ミンター(CーT)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
HMA-1955184
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価格帯:F
イザベル・モレッティ〜ハープ・リサイタル
 C.P.E.バッハ:ソナタ ト長調 Wotq139
 デュセック:ハープのためのソナタ
 ヒンデミット:ハープのためのソナタ
 カセッラ:ハープのためのソナタ Op.68
 タイユフェール:ハープ・ソナタ
イザベル・モレッティ(Hp)
 録音:1986年。旧品番:HMC-905184(当店未案内、廃盤)。
 ハープのために書かれたオリジナル作品を収録。今なおハープ界の女王として君臨しているモレッティによる演奏はいつ聴いても典雅かつ精確。豊かな音色にうっとりしてしまう。
HMA-1955185
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価格帯:F
クセナキス:プレイアデス(プレイヤード)〔混合/金属/鍵盤/太鼓〕
 ストラスブール・パーカッション・アンサンブル(国立ストラスブール打楽器集団)
  [ジャン=ピエール・ベドワイヤン、ガブリエル・ブーシェ、クリスティアン・アムイ、
   中村啓子、クロード・リク、ゴルジュ・ファン・グフト]
 録音:1986年1月。旧品番:HMC-905185(国内盤:ANF-189), HMA-1905185(以上、すべて廃盤)。同団体による DENON 盤もあるが、そちらは1988年に浦安で収録された別の録音。6人の打楽器奏者が繰り広げる、原始的かつ高尚なリズムの世界。
 作品に対するクセナキス自身の言葉(抜粋):『私はこの作品で2つの試みをしている。第1に、西洋的でなく、マリンバなどの楽器で演奏可能な音階をまず作ること。ここに聴こえてくる音階は不思議なことに限りなく古代ギリシア、中東、インドネシアの音階と似通ったものとなっている。しかしこの私の音階は、古より伝わるものとは違って、オクターブの概念や、音階の途中でシンメトリーになるような構造をもっていないため、多声部が重なり合うと、補遺的なハーモニーの世界が生まれる。また、第2の試みは、微分音による19の音高をもつSixxenという金属製の打楽器を作り、これを用いることである。さらに、6 人の打楽器奏者たちは一瞬たりともユニゾンにならないということも念頭においている。』
バロックじゃないでしょ
 ベニヤミン・シュヴァイツァー(1973-):
  フレッキヒト
 ナディル・ヴァッセナ(1970-):超絶のバガテル
 ミヒェル・ファン・デル・アー(1970-):刻印
 ユリアーネ・クライン(1966-):
  私のあとについて来なさい
 レベッカ・サウンダース(1967-):ルブリカーレ
ゴットフリート・
 フォン・デア・ゴルツ指揮
フライブルク・バロックo.
 ディジパック仕様。古楽界ではヤーコプスとの共演など良い仕事をしているフライブルク・バロックオーケストラだが、当盤はバロックではなく、主に30代の若手作曲家の現代音楽集。これがいずれ劣らぬ変人揃いで、ベートーヴェンとヴァッセナ(37歳)の対談とか、意味の分らぬ造語辞典を繰り広げるサウンダース(40歳)とか、みなさん御自分の世界に没入し、聴き手を危険な世界へ誘う。フライブルク・バロックo.の真面目さもかえってシュール。かの大企業ジーメンス社が資金提供している。
HMA-1955205
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価格帯:F
ベートーヴェン:
 三重協奏曲(*)/ピアノ三重奏曲第3番
トリオ・ド・バルセロナ
エドモン・コロマール指揮
ECO(*)
HMC-905207
廃盤
パガニーニ&サラサーテ:
 ヴァイオリン独奏とヴァイオリンとピアノのための作品集
テディ・パパヴラミ(Vn)
クリストフ・ラリュ−(P)
HMG-505213
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価格帯:F
ファリャ:「恋は魔術師」(1915年初版) (*) /
      ペドロ親方の人形芝居
ヒネサ・オルテガ(Vo)他
ジュゼプ・ポンス指揮
リウレ劇場室内o.
 録音:1990年11月。旧品番:HMC-905213。(*)は当版による世界初録音だった物。今日バレエ音楽として知られるファリャの「恋は魔術師」は、元来歌と語りを含み伴奏は15名の奏者のみ、というものだった。作曲の翌年に現在の形へ直されたが、当CDはそのオリジナル版による初録音盤。バレエ曲と初版のものは、音楽素材は同じものの、別の作品といって良いほど異なっている。ドン・キホーテに基づく「ペドロ親方の人形芝居」は古いスペインの歌やアンダルシア民謡の要素が濃く感じられる。1985年に設立されたポンス率いるリウレ劇場室内管の気魄に満ちた演奏で。
HMA-1955218
廃盤
J.S.バッハ:
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタBWV.1027〜BWV.1029
パオロ・パンドルフォ(Gamb)
リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb)
アントニオ・カルダーラ(1670頃-1736):
 オラトリオ「キリストの足元のマッダレーナ(マグダラのマリア)」
  マリア・クリスティーナ・キール(S;マグダラのマリア)
  ローサ・ドミンゲス(Ms;マルタ) ベルナルダ・フィンク(A;地上の愛)
  アンドレアス・ショル(CT;天上の愛) ゲルト・テュルク(T;キリスト)他
  ルネ・ヤーコプス指揮バーゼル・スコラ・カントールム、アンサンブル415
   [キアラ・バンキーニ(Vn;コンサート・ミストレス)他]
 録音:1995年1月|初出・旧品番: HMC-905221/22, HMX-2905221/22 アントニオ・カルダーラは、ヴェネツィアに生まれ、サン・マルコ大聖堂の少年聖歌隊員、その後オーケストラのヴィオラ・ダ・ガンバおよびチェロ奏者として活躍した。その後、マントヴァやローマ、ウィーンの宮廷楽長を歴任、さらにスペインの地でも過ごしたことがあるなど、ヨーロッパ各地で活躍した。78曲もの歌劇を残し、オラトリオも40以上、その作風はバロック的なものと次の時代への移行期の融合的な物。このオラトリオはヴェネツィアで上演されたと考えられ、ヤーコプスはヴェネツィアの流儀で、通奏低音にオルガン、チェンバロ、テオルボ、リュート、チェロ、ヴィオローネ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ファゴットと、多彩な楽器群を配している。それぞれの声域にもこだわり、登場人物の性格を鮮明にしている。管弦楽はアンサンブル415が担当しており、全体を引き締め、盛り上げている。
HMX-2905223/24
(2CD)
廃盤
ビゼー:ピアノ作品全集
 夜想曲第1番 ヘ長調/演奏会用半音階的変奏曲/
 奇想曲第1番 嬰ハ短調/奇想曲第2番 ハ長調/幻想的な狩/
 無言歌 ハ長調/主題/ワルツ ハ長調/3つの音楽スケッチ/
 演奏会用大ワルツ 変ホ長調/海/夜想曲 ニ長調/
 家族向けの店/ラインの歌/4つの前奏曲/他(全15曲)
セトラク(P)
ホセプ・ソレル(1935-):
 マーラー歌曲集(*)/
 ピアノと室内管弦楽のための協奏曲(#)
ヴィルジニア・パラモン(S;*)
ルイス・ヴィダル(P;#)
ジュゼプ・ポンス指揮
リウレ劇場室内o.
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMC-905232
廃盤
ジュアン・アルベルト・アルマゴス(1950-):
 クラリネット協奏曲(*)/フルート・ソナタ/
 フルート、クラリネットと
  イングリッシュ・ホルンのための三重奏曲/
 2本のフルートのためのソナタ
ワルター・ブイケンス(Cl;*)
ジュゼプ・ポンス指揮
リウレ劇場室内o.団員
HMX-2905237
(2CD)
廃盤
ボンポルティ:10のインヴェンションOp.10
 キアラ・バンキーニ(Vn) イェスパー・クリステンセン(Cemb) ガエターノ・ナシッロ(Vc)
HMA-1905240
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価格帯:F
ロンド・ヴィオロンチェロ〜超絶のチェリスト集団
 ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第1番
 ワーグナー/セバスティアン・エルレヴァイン編曲:「トリスタンとイゾルデ」前奏曲
 バーンスタイン/セバスティアン・エルレヴァイン編曲:「ウェストサイド物語」より
  〔 I Feel Pretty /マリア/サムウェア/アメリカ〕

 ジョゼフ・フランシス・ラム(1887-1960)/
  ヴェルナー・トーマス=ミフネ編曲:ボヘミア・ラグ
 ユリウス・クレンゲル(1859-1933):12のチェロのための「讃歌」
 J.S.バッハ/グスタフ・レンツェフスキ編曲:
  「音楽の捧げ物」〜6声のリチェルカーレ
 ダーヴィト・フンク(1648–1699/700):組曲 ニ長調
  ペーター・ブック・チェロ・アンサンブル
 録音:1996年11月10日、シュトゥットガルト音楽演劇大学、ルートヴィヒ・ヘルシャー追悼演奏会、ライヴ。初出・旧品番:HMC-905240(国内仕様盤:KKCC-400)〔共に当店未案内、廃盤〕。 ペーター・ブック(1937-)はメロスSQ のチェリストを創設から解散まで(1966-2005)務め、1980年以降2017年現在、 母校のシュトゥットガルト音楽演劇大学で教授職にある。 当盤は弟子たち14人、総勢15名のチェロ・アンサンブルによる録音。ブックはヘルシャー(1907.8.23-1996.5.8)の弟子なので、弟子&孫弟子による追悼演奏という事になる。
クリストフ・シュトラウス(1575?-1631):
 9声のミサ・マリア・コンチェルタータ
ブルース・ディッキー指揮
コンチェルト・パラティーノ
 クリストフ・シュトラウスは代々ハプスブルグに仕えてきた音楽一族の一人。皇帝との仲が悪かったために大きな名声は得られなかったものの、現在ではモンテヴェルディと並んで、ルネサンスからバロックへの転換期に大きな役割を果たした最重要の作曲家として高く評価されている。
ガスパール・コレット(1671頃-1732):
 第8旋法のオルガン・ミサ
ジュリアン:オルガン曲集第1巻(抜粋)
ルネ・サオルジャン(Org)
 17世紀から18世紀にかけてフランスで活躍したオルガン奏者ふたりの代表作。
トゥリーナ:ギター作品集
 Sevillana Op.29/Fandanguillo Op.36/Rafaga Op.53/
 Sonata Op.61/Hemenaje a Tarrega Op.69/
 Tango #2 from Op.8/5 Danzas Gitanas Op.55
ラファエル・アンディア(G)
 フランス生まれのスペイン人ギタリスト、アンディアはラジオ・フランス国際コンクールで優勝した逸材。古楽から現代まで自由に弾きこなすが、18歳のときのスペインでの放浪の旅が彼にフラメンコの強烈な印象を焼き付け、それ以来自由で情熱的な響きが彼の持ち味となった。そんな彼にとってトゥリーナの音楽はまさにピッタリ。
 在庫僅少につき品切れの際はご容赦下さい。
HMG-505247
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価格帯:F
ガスパール・キッテル(1603-1639):アリアとカンタータOp.1(抜粋)
 (通奏低音の伴奏による1、2、3、4声のための/ドレスデン、1638年刊/
  ドクメンタ・スコラ・カントルム・バジリエンシス)
 ベルナルダ・フィンク(S/A) ゲルト・テュルク(T)
 マルティン・シュネル(B) パブロ・ヴァレッティ(Vn)
 フアン・セバスティアン・リマ(テオルボ) アッティリオ・クレモネージ(Cemb/Org)他
 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 録音:1999年7月。旧品番:HMC-905247(廃盤)。夭折したキッテルの唯一知られている作品で、始めてドイツに「カンタータ」という言葉をもたらした、初期バロックを代表する作品でもある。元々全30曲中11曲の抜粋録音だが、ヤーコプス率いるメンバーはいつもながら様式に適切な演奏で、イタリア的な明るさを持つこの曲を的確に表現している。
HMA-1955248
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価格帯:F
マラン・マレ:ヴィオール組曲集
 第3巻〜組曲 ニ長調/第5巻〜組曲 イ短調/
 第4巻〜組曲「迷宮」/第2巻〜組曲 ホ短調
フアン・マヌエル・キンターナ
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ドロレス・コストヤス(リュート)
アッティリオ・クレモネージ(Cemb)
 録音:1997年11月。旧品番:HMC-905248。
 全5巻・総数500曲以上もあるマレのヴィオール曲から4組曲・計27曲を収録したアルバム。サラバンド、アルマンド、ジーグ、ガヴォットなどの宮廷舞曲が、時に典雅に、時にしっとりと、時に陽気に奏でられる。
HMC-905249
廃盤
ストロッツィ:アリア・哀歌とカンタータ集
 恋するヘラクレイトス、偉人の品行、秘密の恋人、
 怠け者のキューピッド、哀歌「我が涙よ」、セレナータ、
 美しい瞳・素晴らしい胸・奇麗な髪・素敵な口、
 カンタータ「死が私たちを分かつまで」、
 ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド、
 愛しき人の名を表す言葉を慎む心、復讐
スザンネ・リデーン(S)
アンサンブル・
 ムジカ・フィオリータ
 カヴァッリの弟子でその才能をひろく知られた女流、ストロッツィの作品集。カンタータを中心に、彼女の情熱的かつ知的でウィットに富んだ作風を上手く表現した演奏。
HMC-905250
廃盤
19世紀の傑作ホルン・ソナタ集
 ベートーヴェン:ホルン・ソナタ Op.17
 フェルディナント・リース:ホルン・ソナタ Op.34
 ダンツィ:ホルン・ソナタ Op.28
トマス・ミュラー(ナチュラルHr)
エドゥアルド・トルビアネッリ(Fp)
 リースはベートーヴェンの弟子。この録音のためにベートーヴェンの生地ボンのベートーヴェン・ハウスより貸し出されたブロードウッド製フォルテピアノを使用。
HMC-905251
廃盤
ファッシュ:
 2つのオーボエ、ファゴットと
  通奏低音のためのトリオ・ソナタ集
カタリーナ・アウフケン(Ob)指揮
アン=カトリン・
 ブリュッヘマン(Ob)
ドンナ・アグレル(Fg)
カール・エルンスト・
 シュレーダー(Lu)
デイヴィッド・シンクレア
(Vg、Cb、ヴィオローネ)
イェルク・アンドレアス・
 ベティヒャー(Cemb)
 スコラ・カントールム・バジリエンシス・ドクメンタ・シリーズ。スファッシュはJ.S.バッハの同時代に活躍した作曲家で、ライプツィヒのコレギウム・ムジクムの創始者。 音楽的にはバッハからハイドンへの移行期における先駆者とみなされており、その作品にはモーツァルトを思わせるような優雅な部分がある。
ベートーヴェン:
 弦楽四重奏曲第9番 Op.59 No.3「ラズモフスキー第3番」
 同第10番「ハープ」
ターナーSQ
 ターナーSQはシャンゼリゼo.の首席奏者らが結成したピリオド楽器使用の四重奏団。
ウェーバー:
 クラリネットとピアノのための
  協奏的大二重奏曲 変ホ長調 Op.48/
 歌劇「シルヴァーナ」の主題による
  7つの変奏曲 Op.33
フェルディナント・リース:
 クラリネット・ソナタ ト短調 Op.29
ピエール=アンドレ・
 タイヤール(Cl;*)
エドアルド・
 トルビアネッリ(Fp;+)
 録音:2001年10月、フィレンツェ、アカデーミア・バルトロメオ・クリストフォリ。使用楽器:1800年頃ドレスデンにてハインリヒ・グレンザー製をモデルに、1988年インスブルックにてルドルフ・トゥッツ複製(9鍵)(*)/1822/1823年および1820年ウィーンにてコンラート・グラーフ製。
 古楽の牙城、バーゼル・スコラ・カントールムのドクメンタ・シリーズ。録音会場であるアカデミーのコレクションである2台のフォルテピアノを使用。ピアノのヴォルトゥオーゾだった両作曲家による華麗なピアノ・パートを、ピリオド楽器で聴けるのがうれしい。ベートーヴェンのピアノの愛弟子リースのソナタが拾い物で、技巧的な両端楽章にはさまれた、朗々と吹き上げるアンダンテが魅力。
 なお、当盤は廃盤のためカット盤での入荷となります。
HMX-2905255
(5CD)
廃盤
ベルリン交響楽団 記念BOX
 〜ザンデルリングさよならコンサート完全収録

   ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲(*)
   モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番 ハ短調(#)
   シューマン:交響曲第4番 ニ短調(*)
   ショスタコーヴィチ:
    ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調(+)/
    交響曲第5番 ニ短調「革命」(**)/
    交響曲第10番 ホ短調(##)
   プロコフィエフ:
    ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調(++)/
    ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調(++)/
   ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(***)
   ベートーヴェン:ロマンス第1番 ト長調(###)
   シューベルト:交響曲第2番 変ロ長調(+++)
   ワーグナー:「トリスタンとイゾルデ」〜前奏曲と愛の死(****)
内田光子(P;#)
イーゴリ・
 オイストラフ(Vn;+)
ダヴィド・オイストラフ
(Vn;++/***/###)
クルト・
 ザンデルリング指揮
(*/#/+/**/++/***/###/****)
ダヴィド・
 オイストラフ指揮
(##/###/+++)
ベルリンso.
 録音:2002年5月19日(*/#)/1966年10月(+/**)/1972年9月(##)/1971年4月(++)/ 1967年3月(***)/1965年3月(###/+++)/1970年4月(****)。
 ザンデルリング生誕90周年記念。さきごろ惜しまれつつ引退した「最後の大巨匠」クルト・ザンデルリングが、長年親密な関係であったベルリン交響楽団を指揮した放送録音を集めたもの。中でも注目なのは、ザンデルリング「さよならコンサート」が完全収録されているという点。ソリストが内田光子というのもポイント。他の録音も、オイストラフの指揮曲も含め非常に立派な演奏ばかり。
ショパン:
 24の前奏曲Op.28/
 バラード 全曲
  [第1番 ト短調Op.23/第2番 ヘ長調Op.38/
    第3番 変イ長調Op.47/第4番 ヘ短調Op.52]
シュテファン・ヴラダー(P)
 おそらくディジパック仕様。1965年ウィーン生まれのピアニスト、シュテファン・ヴラダーがHMFに初登場。このショパンは甘さや感傷性を排した辛口の演奏で、その奥行きの深さ、落ち着いた音など、どこから見てもオトナ向き。ショパンの偉大さや怖さが全く納得できる1枚。
出会い
 〜インドのラーガとヨーロッパ中世の歌、旋法音楽の2つの世界

   ジャンノ・ド・レスキュレル:
    バラッド「親切、知性、価値と値段」/
    ヴィルレ「甘き愛よ、私を慰めよ」
   ヒルデガルド・フォン・ビンゲン:おお、輝く宝石よ
   グレゴリオ聖歌:
    グラドゥアーレ「あなたに望みをおくものは誰も」/
    アレルヤ、主の天使が天より下り
   作曲者不詳(12世紀):
    コンドゥクトゥス「栄光の王の誕生日に」
   作曲者不詳:イスタンピー「美徳の始まり」
   セファルディ:おいで恋人よ
   インド伝統音楽:
    ラーガ「ビンパラシュリ」/ラーガ「パハリ」/
    ラーガ「マンジュ・カマジュ」/
    ラーガ「ビハグ」/ラーガ「バイラヴィ」
   ケン・ズッカーマン:ドリア旋法による作曲と即興/
              フリギア旋法による即興
バーゼル・スコラ・カントルム・
 ドクメンタ・シリーズ
 [ケン・ズッカーマン
  (リュート/サロド)
  ドミニク・ヴェラール(T)
  スワパン・
   チュウドゥリ(タブラ)
  ケィヴァン・
   チェミラニ(ザルブ)
  カジャ・ラィ(ドローン)
  エミリー・ズッカーマン
  (ドローン)]
 録音:2003年2月、ベルン放送コンサート・ホール。
 ケン・ズッカーマンは、旋法という共通の土壌の上にありながら歴史的には出合うことがなかった音楽を同じ舞台上で引き合わせ交じり合わせることで、新しい豊かな音楽世界を現出させた。 悠久の時と懐かしさを感じさせるその音楽は、音の中に魂の平安を見出したい人に最適。 ケン・ズッカーマンの驚異的な演奏技術も聴きどころ。
MELPOMEN〜古代ギリシャの音楽
 (コンラート・シュタインマンによる再構成)
アンサンブル・メルポーメン
 [コンラート・シュタインマン
  (アウロス&指揮)
 アリアンナ・サヴァール
  (S、バルビト)
 ルイス・アルヘス・ダ・シルヴァ
  (A、キンバラ)
 マッシモ・チアルフィ(打楽器)]
 紀元前450年頃のギリシャの音楽を、バーゼル・スコラ・カントルムのリコーダー教授、シュタインマンが再構成。アテネの町で朗詠されたと考えられる、愛やお酒を題材としたテクストに自然な節をつけたものを、アリアンナ・サヴァールの愛らしくエキゾチックな声で歌ったものなどが収められている。
ベートーヴェン:
 八重奏曲 変ホ長調 Op.103/
 ロンディーノ 変ホ長調 WoO.25/七重奏曲 変ホ長調 Op.20
アンフィオン管楽八重奏団
 ベートーヴェンが若い頃にマクシミリアン選帝侯の食卓音楽のために書かれた「八重奏曲」。美しい旋律がふんだんにちりばめられ、作曲技法的にも実に凝って作られており、一種の娯楽のための音楽としては超一級の作品。ハイドンは完全に宮仕えの音楽家、モーツァルトは宮仕えを経て自由の身となった音楽家、そしてベートーヴェンは自由の身となった音楽家、といった表現があるが、ベートーヴェンもごく若い初期の頃にはこういった貴族の娯楽のための音楽も書いていた。
 アンフィオン管楽八重奏団はパン・クラシック・スレーベルからもいくつかリリースのある、ドイツ語圏のメンバーを中心とする活発なグループ。ガーディナー、クリスティ、レオンハルトら数多くの指揮者のもとでも活動している。
コダーイ:
 チェロ・ソナタ Op.8
 ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7(*)
クサヴィエ・フィリップス(Vc)
ジャン・マルク・フィリップス=
 ヴァリャベディアン(Vn;*)
 甘く切ない音色が魅力的なクサヴィエ・フィリップスが、チェロの金字塔的作品を録音。ソナタの第1楽章では深く濃厚な歌を曲にふりまわされることなく見事に歌いきり、第3楽章の舞曲風の楽章も自由闊達に弾ききっている。トリオ・ヴァンダラーの名ヴァイオリニスト、ヴァリャベディアンを迎えた二重奏曲も最高の出来栄え。
ジュゼッペ・サンマルティーニ(c.1693-1750):
 フルートと通奏低音のためのソナタ集

 [ ホ短調 Op.2-3/第21番 変ロ長調/ ト長調 Op.2-4/
  第23番 へ長調/ ト短調 Op.13-5/
  ト長調 Op.13-1/ト長調 Op.13-4]
モーリス・シュテーガー
(リコーダー)指揮
セルジョ・チョメーイ
(Cemb/Org)
マルグレート・ケール(Hp)
マウロ・ヴァッリ(Vc)
クリスティアン・ボイゼ(Fg)
エドゥアルド・エグエス
(テオルボ/G)
北谷直樹(Org)
 録音:2004年。
 ジュゼッペ・サンマルティーニは、ミラノで活躍した弟のジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ(交響曲の父ともいわれる)に対して、「ロンドンのサンマルティーニ」とも呼ばれる。オーボエの名手として活躍し、その腕前は、フリードリヒ大王にフルートを教えていたクヴァンツに、北イタリアの最も優れた器楽奏者と激賞されたこともあるほどだった。彼はその後ロンドンに活動の拠点を移し、主に演奏者として活躍していた。当時のオーボエ奏者はりコーダーにも精通しているのが普通で、サンマルティーニもまたリコーダーのことも知り尽くしていた。18世紀初頭の英国は、リコーダーが高等な趣味を持つ人々の間で大流行していた頃。パーセルやバルサンティ、ヘンデルら英国で活躍した作曲家達によるリコーダーのための作品は多く残されているが、中でもこのサンマルティーニの作品は注目に値するもの。ソロ・パートの充実度はもちろんのこと、不協和音や半音階が効果的に用いられた作品は、現代の私たちにもエキサイテイングな喜びをもたらしてくれる。ソロをつとめるシュテーガーは、1971年スイス生まれ。毎回毎回リリースのたびに、目のさめるようなテクニックと、すがすがしい音楽性、そして選曲のセンスで私たちをたのしませてくれている。このディスクでも、目のまわってしまいそうなヴィルトゥオーゾ・テクニックで私たちの度肝をぬいてみせている。また、通奏低音チームの抜群のセンスがききもの。
ティエリー・ペク(1965-):
 クラリネット、トロンボーン、ヴァイオリン、チェロと
  5人の女声のための「ジャガー交響曲」(2002) (*)/
 大オーケストラのための「石の波」(2007) (#)
フランソワ・
 グザヴィエ・ロート指揮(*)
ジョナサン・ストックハマー指揮(#)
アンサンブル・ゼーリヒ
 ともにラジオ・フランス委嘱作。中国の古代画家の絵画や、マヤ文明にインスピレーションを得たというペクが鮮やかに独特の世界を展開。(*)は森林の奥から聴こえてくるサルの鳴き声、ゴリラのドラミング、鳥の鳴き声、さらには人間による呪いの祈りのような声などが飛び交うユニークな作品。
エディソン・デニソフ(1929-1996):
 室内交響曲第1番(1982) /室内交響曲第2番(1994) /
 ソプラノと室内管弦楽のための「天のいと高き所に」(バタイユ詩)(1987) /
エカテリーナ・クプロフスカヤ=デニソワ/デニソフ管弦楽編曲:
 ソプラノとアンサンブルのための「アンナ・アフマトワの5つの詩」(1994)
  ブリジット・ペイレ(S) ダニエル・カウカ指揮
  アンサンブル・オルケストラル・コンタンポラン
 録音:2011年10月、リヨン音楽院。デニソフは政治的発言、活動をしなかったにもかかわらず、社会主義リアリズムに背を向け、ひたすら西側的前衛音楽を追求したため、フレンニコフに目を付けられ辛酸をなめ、ソ連末期にフランスへ逃げている。あくまでも芸術至上主義で、同世代のシュニトケやグバイドゥーリナのような精神的反体制でなかったため、判官贔屓的人気はないが、作品の水準は旧ソ連の範疇を越えている。このアルバムには、デニソフの室内アンサンブル作品と、彼の妻で作曲家のエカテリーナ・クプロフスカヤ=デニソワの歌曲に彼がオーケストレーションを施したものが収められていて興味津々。「室内交響曲第1番」は2E2M の、「天のいと高き所に」はアンサンブル・アンテルコンタンポランの委嘱で作曲され、いずれの精緻を極めた前衛技法によるが、デニソフの音楽の特徴である霊的、聖的な雰囲気も満ちている。「室内交響曲第2番」は1994年の「東京の夏」音楽祭のためアリオン音楽財団から委嘱され、その初演のためにデニソフ自身も来日する予定だったが、直前に交通事故に逢い中止となり、モスクワ現代音楽アンサンブルにより作品のみ演奏された。アンサンブル・オルケストラル・コンタンポランは指揮者ダニエル・カウカにより1992年に結成された現代音楽集団。現代音楽を本領とし、リヨンのあるローヌ・アルプ地方を本拠に世界中の音楽祭に参加、その演奏技量を注目されている。
ティエリー・ペク(1965-):
 畏怖(2005-2010) /ソレイユ・ティグル(太陽・虎)(2009) /マノア(2005) /
 花の咲いた木(2010) /改革の散歩道(1995-2011) /ダンソン
  アンサンブル・ヴァリアンス、ペルキュシオン・クラヴィエ・ドゥ・リヨン
 録音:2012年1月。現代音楽と伝承音楽を融合した作風で世界的に高い注目を集めているフランスのティエリー・ペク。本アルバムでは、とりわけアメリカ・ラテン音楽の要素を強く盛り込んだ作品を中心に収録。多様な音楽が混ざりあうブラジルの謝肉祭にインスピレーションを受けて作曲された「畏怖」では、躍動感あふれるリズム感と、目まぐるしく入れ替わる多彩な曲調に引き込まれる。原曲は管弦楽編成だが、今回はピアノ、フルート、サックス、チェロ、打楽器という小編成。今回のアルバムの収録のためにペク自身が編曲した新版での演奏。フルート独奏曲「ダンソン」は、様々な演奏法を駆使した多彩な音色が愉しい小品。「改革の散歩道」では、ラテン情緒あふれる旋律とリズミカルなアンサンブルに心踊る。技巧的な作品から親しみやすい民俗音楽まで多彩な曲調を含む、まさにグローバルなペクの魅力に迫る。アンサンブル・ヴァリアンスはペクが2009年に設立したアンサンブル団体。ペクの作品に造詣深く、鍵盤打楽器アンサンブル団体、ペルキュシオン・クラヴィエ・ドゥ・リヨンとのセッションも見事。卓越したアンサンブルで、躍動感にはあふれつつも、安定したアンサンブルを聴かせてくれる。
シューマン
 ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54 (*) /
 幻想小曲集 Op.12 (#)
弓張美季(P)
クリスティアン・アルミンク指揮
ベルリン・ドイツso.
 録音:2011年3月10日(*) / 2011年8月14日(#)。ヨーロッパで活躍するピアニスト、弓張美季〔ゆみはり・みき〕がハルモニアムンディ・フランス・レーベルから世界デビュー! シューマンのドラマティックな出だしで響かせる硬質な和音から、流れるような展開部の繊細な色彩を帯びた音色など、冒頭から弓張の魅力満載。オーケストラとピアノの親密な対話が聴きものの第2楽章では、アルミンク率いるベルリン・ドイツ響の室内楽的なサウンドの好サポートを得て、甘い平和がじんわりと広がる。フィナーレの華やかなエンディングは天晴れ!弓張の未来への希望が広がるようだ。シューマンの詩情に溢れた幻想小曲集でも、幻想的で息の長い歌で聴かせる「夕べに」に始まり、ほとばしるような「飛翔」、小気味よいユーモアに満ちた「夢のもつれ」など、一曲一曲が宝石のような輝きを放っている。2012年8月以降日本でもコンサートが予定されており、大注目ピアニストの登場。弓張美季は神戸生まれ。幼少時に家族とともにフランクフルトに移り、オペラハウスなどに囲まれた豊かな音楽環境の中、ドイツでピアノの研鑽を積んだ。スタインウェイ・コンクールで第1位を獲得。また、ドイツ青少年コンクールで第2位を受賞し、その演奏の模様はドイツ全土で放送された。その後、英国でメニューイン音楽院、ニューヨークでジュリアード音楽院やマネス音楽院に学び、1998年にはカーネギー・ホールでリサイタルを開催。ロシアでも、日本人として初めてロシア国立エルミタージュ劇場で演奏、サンクトペテルブルク音楽院でも学んでいる。2004年以降、活動拠点をウィーンにおき、ヨーロッパ各地で演奏活動を行っている。
Sonatas for… 〜ヒンデミット(1895-1963):様々な楽器とピアノのためのソナタ集
 アルトホルンとピアノのためのソナタ(1943) /チェロとピアノのためのソナタ(1948) /
 トロンボーンとピアノのためのソナタ(1941) /
 ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ホ調(1935)/トランペットとピアノのためのソナタ(1939)

 アレクサンドル・メルニコフ(P)
 トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト(アルトHr)
 アレクサンデル・ルーディン(Vc) ジェラール・コスト(Tb)
 イザベル・ファウスト(Vn) イェルン・ベルヴァルツ(Tp)
 録音:2013年9月、12月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ジャケット絵画:カジミール・マレーヴィチ「新しい人物のプロトタイプ」。充実著しいメルニコフが、ヒンデミットの室内ソナタ作品を録音した。自身楽器演奏に長けていたヒンデミットは、管弦楽を構成する様々な楽器とピアノのために30のソナタを書いた。どの作品も、メロディと伴奏、というかたちではなく、対等な対位法で書かれた、両者に高度な技術と集中が要求されるものばかり。近年ますます雄弁になり、闊達さも冴えてきているメルニコフのピアノに全篇を通して耳が釘付け。各楽器奏者に迎えたゲストも、イザベル・ファウストを始めとする豪華な顔ぶれ。注目の1枚。ヒンデミットを積極的に取り上げ録音したピアニストには、グレン・グールドがいる。対位法の父ともいえるバッハの作品をあれだけ弾き込み、録音も数多く残したグールドは、ヒンデミットのことを現代のすぐれたフーガ作曲家と賞賛していた。そんなグールドのヒンデミット演奏は、まるでバッハ作品を聴いているような感覚になることもあるものだった。このメルニコフの演奏は、線的で流れるような美しさに満ちている。特にヴァイオリン・ソナタ ホ調では、終始柔らかな表情。一方で、空威張りする軍人を模したトロンボーンとピアノのためのソナタは、迫力の和音が連続するピアノとソロ楽器が織りなす緊迫の世界を見事に構築ヒンデミットの魅力を様々に引き出している。メルニコフは、ショスタコーヴィチの難物「24のプレリュードとフーガ」 Op.87の名録音をものしている。この作品は、ニコラーエワが演奏するバッハに強烈な印象を受けたショスタコーヴィチが作曲した物。ショスタコーヴィチは、若いころから、バッハやベートーヴェン、ブラームスを熱心に研究しただけでなく、ヒンデミット作品も熱心に勉強していた。旧ソ連の音楽家にとって、ヒンデミットは西側の重要な作曲家の一人だった。ショスタコーヴィチや指揮者ムラヴィンスキー、さらにはピアニストのリヒテルら、ソ連の音楽家はヒンデミットを尊敬していた。ヒンデミットもショスタコーヴィチも、当時の社会状況による創作活動への大きな影響があったこと、また、ショスタコーヴィチの最後の作品(亡くなる五日前に完成)がヴィオラ・ソナタであり、ヴィオラはヒンデミットにとっても特別な楽器であり、彼の作品は現代のヴィオラ必須レパートリーとなっているなど、この二人の作曲家には不思議な共通点がある。グールドが現代の究極の対位法作品として我々に投げかけたのがヒンデミットであり、ショスタコーヴィチを究めたメルニコフもヒンデミットにたどりついた、というのはなんとも興味深いといえるだろう。2013年はヒンデミット没後50年でF.P.ツィンマーマンや五嶋みどりらもヒンデミットを録音、話題となった。ショスタコーヴィチ作品で、ニコラーエワをも超える気魄の演奏を聴かせたメルニコフ。グールドとはまた違ったアプローチの新時代のヒンデミットの登場。
ヘンデル:ニ重協奏曲(2つの合奏体のための協奏曲)集
 二重協奏曲〔ヘ長調 HWV.334 /変ロ長調 HWV.332 /ヘ長調 HWV.333 〕
 ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ、ペトラ・ミュレヤンス
  (コンサートマスター)指揮フライブルク・バロックo.
 録音:2014年10月10日-12日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 フライブルク・バロックo. による、ヘンデルの二重協奏曲が登場!ヘンデルが、自作の人気合唱曲の編曲も含むかたちで編んだ豪華な編成の作品をお楽しみ頂ける。当時の作曲家が協奏曲を作曲する際には、聴衆が喜ぶようなヴィルトゥオーゾ性をちりばめたり、あるいは一般人たちが演奏できるようなものを書いたりするのが一般的だった。しかしヘンデルは、自分の作品の演奏会の合間に聴衆を楽しませるために協奏曲を書いていた。実際、ヘンデルの晩年30年の間、ヘンデルの一連の充実した協奏曲は、頌歌やオラトリオの演奏会と関連づけることが出来る。ヘンデルの最初のオルガン協奏曲は、もともとは1735〜36年の合唱作品の演奏会の聴衆のための特典として書かれているし、12の合奏協奏曲 Op.6は1739-40年の冬のオラトリオの演奏会の券売促進に一役買った。ここに収録された3作品は、1747-48年のオラトリオの初演演奏会時に演奏するために書かれた。1745年のジャコバイトの反乱が終わってから、多くの軍楽隊が解かれ、オーボエ、ホルン、ファゴット奏者は街にあふれかえっていたという。ヘンデルはこの仕事にあふれた音楽家たちを再雇用するかたちで、管楽器のメンバーを多く必要とするふたつの合奏体のためにこれらの作品を編みた。HWV.332は1748年3月9日のオラトリオ「ヨシュア」の初演時に演奏された。次に予定していた「アレクサンダー・バルス」の序曲を予感させるような第1楽章につづき、オラトリオ「メサイア」の楽曲 ' And the glory of the Lord '(こうして主の栄光が現れ)を、声楽パートを管楽器に担当させた第2楽章を置くなど、巧みな商才とセンスが光る。HWV.333は1748年3月23日のオラトリオ「アレクサンダー・バルス」の初演時に演奏された。ここでもメサイアの楽曲"Lift up your heads, o ye gates"(門よおまえたちのかしらを上げよ)の編曲も盛り込まれている。HWV.334は1747年4月のユダス・マカベアスの幕間に演奏され、こちらも他作品からの引用も含みながら、ときに水上の音楽を思わせるような響きの楽章などもあり、非常に楽しめる。この録音では、オーケストラは2グループに分かれ、HWV.334と332では、ゴルツが率いるグループが第1オーケストラを、333ではミュレヤンスが率いるグループが第1オーケストラを、という風に演奏されている。フライブルク・バロックo. の奏者が豪華に集い、極上の演奏をおたのしみ頂ける。
Dawâr 〜「見えざる言葉/ユニヴァーサル・リズム」
 Dawâr / Attar / To Bandégui / Mochaéré/ Kam Kam / Shékasté/ Sahar / Dar e Omid /
 Yâdé Saman / Adjab / Haft Rang / Ärézoust / Reng e Kyân / Reng e Elijah /
 Raqsé Dastan part 1 / Bâ namak part 2 / Rodâdad Kodjâst part 3 / Dawâr

  ジャムシド・シェミラーニ(ザルブ/声) ケイヴァン・シェミラーニ(ダフ/サントゥール)
  ビヤン・シェミラーニ(ザルブ/ダフ/サズ)
 録音:2014年7月。テヘラン出身のジャムシド・シェミラーニ(1942-)は、harmoniamundi の LP 時代からのアーティスト。40年ほど前に初のアルバムを録音以降、独自の芸術を究めていたが、このたび、息子であるケイヴァン&ビヤン・シェミラーニ兄弟とのコラボレーションによる新録音の登場となった。シェミラーニ兄弟といえば、チェロ奏者ジャン=ギアン・ケラスと幼少のころから交流があり、ケラスの音楽観にも影響をあたえた人物。クラシック音楽とは異なるリズム・サイクルはタイトルにもあるように、見えざる言葉のように、世界共通の言語のように響く。サントゥールなどのリュート属の楽器の音色も実に美しい、イラン色満載の魅惑の1枚。
アルヴォ・ペルト(1935-):
 カノン・ポカヤネン〔悔恨のカノン〕(1997)
ダニエル・ロイス指揮
カペラ・アムステルダム
 録音:2015年9月。ペルトの記念碑的作品「カノン・ポカヤネン」の登場。ペルトはラテン語や英訳の詩に多く付曲しているが、この「カノン・ポカヤネン」はロシア正教の言葉に付曲されている。ケルンの大聖堂の750周年を記念して委嘱された本作は、1997年に完成、1998年3月17日に大聖堂で初演された。悔恨は、教会では神の前に進む際に欠くことのできない要素。全篇にわたってニ短調で書かれており、張りつめた緊張感は、聴き手を悔恨の世界にいざなう。1970年代初期に正教会に入信、単声聖歌やグレゴリオ聖歌、中世の音楽、バロック音楽に傾倒したペルト。ここでもキャッチーな旋律は一切ないが、静かに動く各声部が織りなすハーモニーと言葉の重なり合いはえもいわれぬ透明感のある美しさ。
弓張美季〜ショパン:ピアノ作品集
 バラード第1番 ト短調 Op.23 /幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66 /前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28 No.15「雨だれ」/
 夜想曲〔第16番 変ホ長調 Op.55 No.2/遺作 嬰ハ短調/第8番 変ニ長調 Op.27 No.2 /第2番 変ホ長調 Op.9 No.2 〕/
 ワルツ〔第9番 変イ長調 Op.69 No.1「告別」/第10番 ロ短調 Op.69 No.2 /
     第6番 変ニ長調 Op.64 No.1「子犬」/第11番 変ト長調 Op.70 No.1 〕/
 スケルツォ〔第1番 ロ短調 Op.20 /第2番 変ロ短調 Op.31 〕

  弓張美季(P)
 録音:2015年4月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ヨーロッパで活躍するピアニスト、弓張美季のハルモニアムンディ・フランス第2弾。世界デビューとなった第1弾、クリスティアン・アルミンク指揮ベルリン・ドイツ響とのシューマン/ピアノ協奏曲は、アルミンクの好サポートを得て、ダイナミックな演奏を披露し世界から注目された。今回は彼女自身幼い頃から思い入れのあるショパンのピアノ作品を収録。ノクターン、ワルツ、バラード、スケルツォなど彼女が日頃から熱心に取り組んでいる作品を集めている。ショパンの美しい音世界を情緒たっぷりに演奏している。弓張美季:神戸生まれ。幼少時に家族とともにフランクフルトに移り、オペラハウスなどに囲まれた豊かな音楽環境の中、ドイツでピアノの研鑽を積む。スタインウェイ・コンクールで第1位を獲得。また、ドイツ青少年コンクールで第2位を受賞し、その演奏はドイツ全土で放送された。その後、英国でメニューイン音楽院、ニューヨークでジュリアード音楽院やマネス音楽院に学び、1998年にはカーネギー・ホールでリサイタルを開催。ロシアでも、日本人として初めてロシア国立エルミタージュ劇場で演奏、サンクトペテルブルク音楽院でも学ぶ。2004年以降、活動拠点をウィーンにおき、ヨーロッパ各地で演奏活動を行っている。
愛は苦しみ〜厳粛なアリアと酒の歌
 ミシェル・ランベール(1610-1696):
  秘密の炎/やすらぎと影、そして静けさ/ああ、今後は誰が約束しようなどと思うだろう/
  心変わりするならば死を選ぶ/イリスは去った/愛は苦しみ/
  新しい季節に小鳥が歌いだす/イリス、あなたの美しい瞳のために/
  悲しい別れは私の悲しみをときあかす/本当です、愛は魅力的/全宇宙が愛に従う
 フランソワ・クープラン(1668-1733):怠け者の墓碑銘/巡礼の女たち
 シャバンソー・ド・ラ・バール(1633-1678):魂を虜にされると
 マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
  「無理強いの結婚」〜新インテルメッツォ/赤ぶどう酒を飲んだあと/
  火のそばで愛し合う/深紅の小さな美しい瞳
 オノレ・ダンブリュイ(1650頃-1700):14. 私たちの森の快い静けさを
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
   [エマニュエル・ド・ネグリ(ドゥスュ/S) アンナ・レインオルド(バス=ドゥスュ/Ms)
    シリル・オヴィティ(オート・コントル) マルク・モイヨン(バス・タイユ/Br)
    リサンドロ・アバディ(B) フロランス・マルゴワール、タミ・トロマン(Vn)
    ミリアム・リニョール(ヴィオラ・ダ・ガンバ) トマス・ダンフォード(テオルボ)]
 録音:2013年12月、ヴァンセンヌ音楽院ホール。新発売音源。クリスティ率いるレザール・フロリサン、ルイ14世の栄華と衰退〜世紀末の愛を歌う。本アルバムは、ランベール、シャルパンティエら17世紀フランスの作曲家による、16世紀後半から17世紀中期にかけてフランスの上流階級で流行した「エール・ド・クール(世俗歌曲)」を収録したアルバム。エール・ド・クールの中心的な作曲家ランベール、シャルパンティエの作品は、フランス・バロックの開花初期の素朴な美しさが魅力。いずれも哀愁を帯びた旋律、それにヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュートの低旋律、和声、リズムを効果的に掛け合わせ情熱的に聴かせる。特にアルバムのタイトルにもなっているランベールの「愛は苦しみ(Bienquel'amour…)」は優美で洗練されたランベールの特徴が最も現れた美しい楽曲。そしてフランス・バロック中期から後期の代表的な作曲家F/クープランや、ルイ14世のシャペル付楽団のオルガニスト、シャバンソー・ド・ラ・バール、ランベールの弟子のオノレ・ダンブリュイの作品も収録。このアルバムに収められている作曲家たちは、同時代フランス・バロックとは言っても、フランス・ルイ王朝の栄華期に活躍したランベール、ラ・バール、シャルパンティエと衰退を見せた時期に活躍したダンブリュイ、F/クープランという2世代に分けられ、その対比を、音楽と詩という当時最も豊かであった文化を組み合わせた歌曲という分野で表面化させたプログラミングも、さすがクリスティと思わせるポイント。
HAWNIYAZ
 Delale〔私のいとしい女〕/ Rewend〔ノマド(遊牧民)〕/ Xidire min〔ああ、わたしの Khidir〕/
 Malan Barkir-Berivane〔漂流〜日記おぼえがき〕/ Ehmedo-Ez Reben Im〔Ehmedo〜私は絶望して〕

  カイハン・カルホール(カマンチェ) アイヌール(歌) サルマン・ガンバロフ(P)
  セミル・コクギリー [Cemîl Qoçgirî (Koçgün) ] (タンブール)
  世界における広義のクラシック音楽をお届けする 新シリーズ、 "Latitudes" 〔=「緯度」、あるいはフランス語で「自由」の意〕。 ペルシャ伝統楽器奏者 + クルド歌手 + クルド系ドイツ人タンブール奏者 + アゼルバイジャン人ジャズ・ピアニストによるコラボ・アルバム。 ペルシャの伝統楽器カマンチェの天才、カイハン・カルホール。2011年頃、BS プレミアムで放送されていた音楽番組「 Amazing Voice 〜驚異の歌声」トルコ編で取り上げられ、注目を集めたクルドの女性歌手、アイヌール。タンブールの名人セミル・コクギリー、そしてアゼルバイジャン出身のジャズ・ピアニスト、サルマン・ガンバロフという4人のコラボレーション・アルバム。2012年にオスナブリュックで開催されたモルゲンランド・フェスティヴァル。モルゲンランド・フェスティヴァルは、ジャズ、ワールドミュージックの音楽家が集う「東」が意識された音楽祭。ある夜、偶然のかたちで共演した4人のアーティストは、翌朝、タンブールのセミルが呼びかけて再び共演する。この4人の共演は非常に素晴らしく、当盤録音のはこびとなった。アルバム・タイトルの Hawniyaz とは、クルド族の言葉で「誰もが人を必要とする、我々一人一人は他人のためにある」といった意味。この言葉は、ここに集まった4人の素晴らしいアーティストたちが結成するアンサンブルにもごく自然に合う言葉。彼らの繊細さとそれぞれのメンバーのサウンドが、クルド音楽とペルシャ音楽の伝統を融合した中に、少しだけ西洋音楽のエッセンスも加えられた世界を作り上げている。アイヌールの胸に刺さる、哀愁と力強さに満ちた歌声がとりわけ印象に残る。
モンテヴェルディ:マドリガーレ集 Vol.3 〜「ヴェネツィア」第7巻 &第8巻(抜粋)
 マドリガーレ集第7巻「コンチェルト」より
  〔チェトラの調べに合わせて SWV117 〜シンフォニア/星の光に SV138 /唇よ、何とかぐわしく匂うことか SV139 /
   金髪の髪よ、美しい宝 SV143 /断ち切られた望み SV132 /愛の手紙 SV141 /ティルシとクローリSV145 〕/

 マドリガーレ集第8巻「戦いと愛のマドリガーレ集」より
  〔他の人々は愛の神について歌えばよい S146 /とても優しいナイチンゲールS161 /
   ニンフの嘆き SV163 /タンクレディとクロリンダの戦い SV153 〕

 ポール・アグニュー(T)指揮レザール・フロリサン
 録音:2014年5月、2015年4-5月、シテ・ド・ラ・ムジーク、パリ、ライヴ。レザール・フロリサン創設者のウィリアム・クリスティと共に、同楽団の共同指揮者として活躍しているポール・アグニュー。彼が指揮をしたモンテヴェルディのマドリガーレ全曲演奏会のライヴ録音から、抜粋で3枚のアルバムをリリースする企画が完結。「マントヴァ」(第4-6巻/AF-003)、「クレモナ」(第1-3巻/AF-005)に続く今作「ヴェネツィア」は残りの第7、8 巻からの楽曲を収録している。リコーダーやヴァイオリンの走句と楽しげな二重唱がキャッチーな『金髪の髪よ、美しい宝』、順次進行で下降するラメント・バスが繰り返される名作『ニンフの嘆き』、まさにオペラのような『タンクレディとクロリンダの戦い』など一聴しただけで心を捉える印象深い曲が並び、モンテヴェルディの天才性に打たれる。
Zabad, 黄昏時の潮
 Samai 〔 I / II 〕/ Zabad /ラスト・モード・プレリュード/ Awalem /
 ナハワンド・モード・プレリュード/北のそよ風/ Marakeb /アフタヌーン・ジャム

 デュオ・サビル[アハマド・アル・カティブ(ウド) ヨッセウ・フバイシュ(Perc)]
 エリー・クーリ(ブズック) ユベール・デュポン(Cb)
 録音:2015年8月-9月。 ハルモニアムンディのlatitudeシリーズ。デュオ・サビル(アラビア語で「道」の意)によるディスク。タイトルのZabadとはアラビア語で泡を意味する。軽さ、波の泡などのはかないものが音楽で表現されている。軽さのあるアラブの音楽の世界にどっぷり浸かれる1枚。
ロト〜ラヴェル
 バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル、
アンサンブル・エデス
 録音:2016年、フィルハーモニー・ド・パリ、シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン、コンピエーニュ帝国劇場、セナール劇場、アミアン・カルチャーセンター、ライスハレ、ハンブルク、スネイプ・モルティングス・コンサートホール、オールドバラ、すべてライヴ。 衝撃的な「春の祭典」から2年、またまたロトがやってくれた。ラヴェルの「ダフニスとクロエ」を初演時の楽器で再現。前々作「フランス-スペイン」に収録された「道化師の朝の歌」の新鮮な解釈により、ラヴェル作品との相性の良さを示したロトとレ・シエクル、期待しないわけにはいかない。もともと近代管弦楽法の極限を追求するような精巧さで極彩色のオーケストラ・サウンドを満喫できる作品だが、初演当時の音色で聴くと、ラヴェルの頭のなかに響いていたのが今日考えられている以上に明快な響きだったことに驚かされる。時代楽器による録音は初めて。初演指揮者のモントゥーも1959年に LSO と録音したが、それをさらに純化させた演奏が出現した。ロトは時代楽器を用いるだけでなく、この作品の出版譜に散見される誤植を正すことも義務と考えた。さらに合唱を注目の実力派アンサンブル・エデスが担うだけでなく、ラヴェルが詳細に指示した通り、舞台の両袖を活用して遠くから近づいてくる効果をはじめて録音で発揮させた。ラヴェルがオーディオ的発想をこの時代に持っていたことを証明してくれる。全体としてこの曲の持つ古風な雰囲気が強調され、古代とも現代ともつかぬ夢の世界を作り上げている。今回もブックレットに弦楽器以外すべての使用楽器と制作年が明記され、貴重な資料となっている。ロトの演奏はますます大きくなり才気煥発。歴史的な意義はもちろんながら、切れの良いリズム感、推進力など驚くほど魅力的な演奏を繰り広げている。今回からロト&レ・シエクルは Actes Sud からハルモニア・ムンディの扱いになる。
ロト&レ・シエクル〜ラヴェル
 バレエ音楽「マ・メール・ロワ」(全12曲)(*) /
 「シェエラザード」序曲(#) /
 クープランの墓(4曲)(+)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2016年10月31日、フィルハーモニー・ド・パリ(*) /2016年11月2日、サウスバンク・センター、ロンドン(*) /代理店アナウンスに年記載無し〔2016年?〕 1月4日、シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン(*) /2017年5月20日、2017年9月9日、17日、フィルハーモニー・ド・パリ(#) /2017年8月13日、ブローニュ=ビヤンクール、ラ・セーヌ(+) 。 2017年のベストCDのひとつ「ダフニスとクロエ」からちょうど1年、ロトが次なるラヴェルを披露してくれる。もちろん初演当時の楽器と奏法にこだわったもので、ファンなら待ちきれないリリース。ロトとレ・シエクルはストラヴィンスキー等で名を売ったが、本当に相性の良さを示すのはラヴェルで、全作品が彼らの演奏で揃えばラヴェルのオーケストラの新しいスタンダードとなること間違いなしの大事業となるだろう。今回選ばれた3篇のうち、「マ・メール・ロワ」はピアノ連弾曲、「クープランの墓」はピアノ独奏曲として書かれ人気があり、さらに初期の「シェエラザード」序曲も連弾版があるが、いずれもラヴェルが後に腕によりをかけてオーケストレーションして再創造した。しかし流れ作業ではなく、「マ・メール・ロワ」は前奏曲、「糸車の踊り」と5つの間奏曲を新たに書き足し、規模を倍にした。反対に「クープランの墓」は、ピアノ的な構造のフーガとトッカータをはずして4曲にしている。どちらもラヴェルとしては小さな編成だが、彼の天才的管弦楽法を駆使した精巧さで、極彩色の音響世界を創り上げている。それを初演当時楽器の音色で聴くと、かえって今よりもすっきりとした新鮮な美しさに魅了される。「シェエラザード」序曲はラヴェルの作品中ではあまり演奏されないが、これもものものしいエキゾチシズムとは異なる清潔な響きとなり、印象一新。実は「ダフニスとクロエ」や「ボレロ」と直接つながる世界であることを認識させる。今回もブックレットに弦楽器以外すべての使用楽器と制作年が明記され、貴重な資料となっている。ロトの演奏はますます精緻になり才気煥発。歴史的な意義はもちろんながら、切れの良いリズムとスペード感など驚くほど魅力的な演奏を繰り広げている。
ロト&レ・シエクル
 ムソルグスキー/ラヴェル編曲:展覧会の絵
 ラヴェル:ラ・ヴァルス
フランソワ=グザヴィエ・
 ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2019年11月、フィルハーモニー・ド・パリ、ライヴ。ロトと手兵レ・シエクルで最もリクエストの多かった「展覧会の絵」がついに実現した。もちろんラヴェルによるオーケストラ版。近代フランスの名作を初演時の響きと奏法で再現することを目指す彼ら、「展覧会の絵」とは言ってもムソルグスキーの時代ではなく、1922年10月19日にクーセヴィツキーがパリ・オペラ座で披露した頃に立ち戻ろうとしている。しかしわずか100年前のことながらいくつかの楽器が入手できないため、長く実現できずにいた。今回「古城」用として1950年セルマー製スーパーアクションのアルト・サクソフォン、「ビドロ」用の1913年ケノン製モノポールC管6バルブのフレンチ・チューバを見つけたため満を持しての実現となった。どちらもホルンを思わすような柔らかい音色に驚かされる。それだけでなくオーケストラの鳴りの良さ、響きの透明さは絶品。冒頭の「プロムナード」から異常なまでの充実感で、微妙な音色の移ろいがモダーン楽器よりもはっきり感じられるのと、重奏した際の麗妙な音のパレットにラヴェルの意図と天才性をあらためて認識させられることばかり。ことに「キエフの大門」の鐘の場などストコフスキー以上の効果に興奮させられる。楽器のみならずロトはラヴェルのオリジナル・スコアや初版楽譜へ立ち返り、クーセヴィツキーがロシア人としての感覚からラヴェルに訂正させた箇所、たとえば「バーバ・ヤガー」のファゴットのソロがもとはアルト・サクソフォンだったとか、「キエフの大門」後半でテーマが再現する際の弦の下降音型がもとはゆっくりしていたなど、一聴して分る違いに感心の連続。名盤「春の祭典」以上の検証が反映されている。カップリングは「ラ・ヴァルス」。2018年の来日での巨大な演奏が記憶に新しいだが、ここでも聴き手を一瞬も離さないロトの魔術全開。「ラ・ヴァルス」と「展覧会の絵」はほぼ同時期の作品で、打楽器を除けば楽器編成など共通点の多さを示唆しているのも流石。ロトはますます音楽の大きさを増し、ただただ圧倒される。また「殻をつけたひなの踊り」や「リモージュの市場」でのリズムの冴えとスピード感もロトならでは。数ある「展覧会の絵」録音のベスト盤と断言してしまいたくなる一枚。絶対お聴き逃しなく!
イタリアの庭で〜アリア、カンタータ、マドリガーレ
 バンキエーリ(1568-1634):音楽のザバイオーネ〜マドリガーレ「さあ、全員集まったから」
 ヴェッキ(1550-1605):「シエナの夜会」〜音楽のユーモア「皆さん、静かにして下さい」
 ストラデッラ(1639-1682):カンタータ「ねえ、恋人さんたち(愛のアカデミア)」〜シンフォニア
 ヘンデル(1685-1759):歌劇「オルランド」 HWV.31 〜アリア「冥界の川に住む、邪悪な亡霊たちよ!」
 ジャキェス・デ・ヴェルト(1535-1596):5、6,7声のマドリガーレ曲集第5巻〜もはは涙ではない
 ヴィヴァルディ:歌劇「オルランド・フリオーソ」 RV Anh.84 より
  〔レチタティーヴォ「不実で嘘つきな娘よ」/アリオーソ「鎧も兜も脱ぎ捨てよう」/
   レチタティーヴォ「身軽になったので、一息つこう」/アリア「俺は、背中には百の翼を」〕
 ヘンデル:オラトリオ「時と悟りの勝利」 HWV.46a 〜アリア「棘は残したまま、薔薇の花だけ」
 ヴィヴァルディ:歌劇「離宮のオットー大帝」 RV.729 〜アリア「嫉妬よ、おまえは私の魂にもたらした」
 ストラデッラ:カンタータ「ねえ、恋人さんたち(愛のアカデミア)」より
  〔レチタティーヴォ「「悟り」は愛の学校のメンバーではないけれど」/アリア「愛の神の矢に用心しなさい」/
   レチタティーヴォ「悟りが理性と手を組んだなら」/マドリガーレ「愛の神は巧みな師匠だ」〕
 チマローザ(1749-1801):歌劇「みじめな劇場支配人」〜ああ、皆さん分かって下さい
 ハイドン:歌劇「歌姫」 Hob.XXVIII: 2 より
  〔レチタティーヴォ「美しい方々!」/レチタティーヴォとアリア「私はどうしたらいいの」/
   レチタティーヴォ「どうか」/伴奏つきレチタティーヴォ「配偶者!」/四重唱「悪党!裏切り者!人殺し!」〕
 ドメニコ・サッロ(1679-1744):歌劇「カナリー劇場支配人」より〔アリア「人前で芝居をするのは惨めだわ」/
   レチタティーヴォ「外国から来る興行師を待ってるの」/レチタティーヴォ「私の名はニッボ」/
   レチタティーヴォ「でもあなたは私に去ってほしいの?」/アリア「愛は用意する」〕
 ハイドン:歌劇「騎士オルランド」 Hob.XXVIII: 11 〜フィナーレ「僕は困惑している」

 ルシア・マルティン=カルトン(S) レア・デザンドレ(Ms) カルロ・ヴィストリ(CT)
 ニコラス・スコット(T) レナート・ドルチーニ(Br) ジョン・テイラー・ウォード(B)

 ウィリアム・クリスティ(音楽監督)指揮レザール・フロリサン
 録音:2015年3月9日-10日、メルボルン・リサイタル・センター、ライヴ。 2016年10月、10年ぶりに来日したクリスティ&レザール・フロリサン。バロックから古典にかけての歌の数々を選りすぐり、前半は様々な感情を歌うアリアがならぶぜいたくなメドレー、後半は作曲家や劇場支配人と歌手(歌姫)たちのやりとりをコミカルに描く劇に仕立てた公演は大評判となった。この盤は同様の公演のメルボルン、ライヴを収録した物。日本公演とほぼ同内容で、公演の感動がみずみずしく蘇る。出演する歌手はいずれもクリスティが主宰するアカデミー「声の庭」に参加している、選ばれし若手声楽家。2002年にレザール・フロリサンが始めた声楽家のアカデミー「声の庭」は2年ごとに開催され、毎回250-300 人が応募する中から6-7人が選ばれる。彼らはクリスティが実際にフランスで住んでいる城館に住み、徹底的に訓練を受け、その後レザール・フロリサンと共に世界の舞台を経験するという夢のようなアカデミー。このディスクで演奏しているメンバーは7回生にあたる。
ルネサンスの至宝とその反映
 トマス・タリス(1505頃-1585):
  Man blest no doubt / Let God arise / O sacrum conviviumIf ye love me / Why Fum'th in Fight? /
  O come in one to praise the Lord / Videte miraculum / Loquebantur variis linguis /
  E'en like the hunted hind / Expend, O Lord / O nata lux de lumine 5vv / Te lucis ante terminum /
  Why brag'st in malice / God Grant we grace / Come Holy Ghost / Why Fum'th in Sight?
 スティーヴン・スタッキー(1949-):3つの新モテット「イン・メモリアム・トマス・タリス」〜 O sacrum convivium
 リチャード・アラン(1965-): Videte miraculum (*)
 フランク・フェルコ(1950-):トマス・タリス「 if ye love me 」の反映 (*)
 ケン・バートン(1970-): Many are the wonders? (*) / ハリー・エスコット(1976-): O light of Light
 アレック・ロト(1948-): Night Prayer (*) / ケリー・アンドルー(1978-): Archbishop Parker's psalme 150 (*)
 ボブ・チルコット(1955-):トマス・タリス(タリスのカノンの編曲版)

  スージー・ディグビー(芸術監督)指揮 ORA
 録音:2016年2月。(*)はORA委嘱新曲&世界初録音。 2014年に設立された声楽アンサンブルグループ、ORA 。現代は、ルネサンス時代に匹敵する合唱音楽の黄金期である、と考える彼らは、ルネサンス、および現代の合唱作品を演奏・録音している。第2弾となる当アルバムでは、トマス・タリスと彼の作品にインスピレーションを得て書かれた作品を集めた。400年の時を隔てた作品が並ぶプログラムだが、無伴奏の声楽が織りなすアンサンブルが、聴き手を時空を越えた旅へといざなう。
ロト&ギュルツェニヒ〜
 マーラー
:交響曲第5番 嬰ハ短調
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
ケルン・ギュルツェニヒo.
 録音:2017年2月20日-22日、シュトールベルク街スタジオ、ケルン、セッション。モダーン楽器使用。 ロトがついにマーラーの5番に挑戦した。オーケストラは手兵レ・シエクルではなく、2015年以来音楽監督を務めるケルン・ギュルツェニヒo. 。創立190年を誇る同団体は、1904年にマーラー自身の指揮で交響曲第5番の世界初演を行ったという、これ以上考えられない特別なオーケストラ。ロトの解釈は基本的にレ・シエクルを振る際と共通しているが、テンポも王道、ヴィブラート控え目、金管もまろやかに響かせるなど才気煥発ぶりが光る。アダージェットは押えた感情ながらワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「イゾルデの愛の死」ような陶酔感で静かに盛り上がり、夢のような時を味わせてくれる。フィナーレの統率力ときびきびした推進力もロトならではで、もっと聴いていたくなる魅力満点。強奏部でも豊かに響く録音も特筆物。ピリオド楽器演奏でないことを残念に思う向きもあるかもしれないが、今回はドイツのギュルツェニヒ管で大正解。さらにレ・シエクルで培った「初演当時の響き」をここでも追求、今や少なくなった113年前の古き良きドイツのオーケストラのサウンドを蘇えらせている。マーラー好きでも目から鱗の落ちる、超注目盤の登場
HMM-905286/89
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魂の苦悩〜アントワーヌ・フォルクレ(1672-1745)
 &ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782):
  第3組曲 ニ長調/第2組曲 ト長調/第1組曲 ニ短調/第4組曲 ト短調/第5組曲 ハ短調/
  リールの手稿譜 ト長調(+) 〔3曲|2つのクラヴサンのための編曲版|原曲:3つのヴィオールのための〕

 アントワーヌ・フォルクレ:若き日の作品
  〔4曲|最上の作曲家のバス・ラインをともなうヴィオールのための作品コレクション〕

 フォルクレ父子に捧げられた作品
  ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):ラ・フォルクレ〜フーガ[Cemb/Vn/Gamb]
  アナ・ギュルギュ=ボンドゥ(1977-):フォルクレの鐘[Cemb]
  シャルル=フランソワ・クレマン(1720頃-1789以降):
   アレグロ・マ・ノン・トロッポ[Vn/Cemb]/
   ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ〔第6/第4/第1〕
  F.クープラン(1668-1733): La Forqueray - Fierement sans lenteur [Cemb]
  ジョス・ブートミー [Josse Boutmy] (1697-1779):ラ・フォルクロ ― ラルゴ
  ルイ=アントワーヌ・ドルネル(1680頃-1756以降): La Forcroy
  ピエール=アラン・ブレイ=ウェッペ(1981-):フォルクレの墓[Cemb]
  ジャック・デュフリ(1712-1789):ラ・フォルクレ ヘ短調[Cemb]
  クロード=フランソワ・ラモー(1727-1788): La Forcray ニ長調[Cemb]

 ボーナスCD:本編4枚からの抜粋、他曲(*) 、楽曲にかぶせる形でのテキスト朗読(#)
   〔プロローグ/祖先の栄光に/オルレアン公フィリップの死/フォルクレ、小さな&大きな物語/ヴィオラ・ダ・ガンバの貴公子/
   アントワーヌ&ジャン=バテイスト/家庭内のもめ事/益々大きくなる内なる闇/完璧な人物/アントワーヌといっぱいの悦び〕

 ミシェル・ドゥヴェリテ(Cemb|使用楽器:アントニー・シデイ、1976年製作「 blue 」/
  アラン・アンセルム製作、フレンチ&ジャーマン

 ロベール・コーネン(Cemb;+)
 上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ|使用楽器:ニコラ・ベルトラン、1705年頃製作
 リカルド・ロドリゲス(ヴィオラ・ダ・ガンバ〔通奏低音〕
  使用楽器:マルコ・テルノヴェック、2013年製作〔モデル:ミシェル・コリション、1691年製作〕

 寺神戸亮(Vn|使用楽器:ニコロ・アマティ、1645年製作
 ニコア・ロルモー(語り;*) ジャン=ピエール・ニコラ(Fl;#)
 録音:2014年9月、2015年5月、ブラ=シュル=リエンヌ、ベルギー。ボーナスCDで朗読を担当するロルモーは、コメディ=フランセーズの俳優。 ヴィオラ・ダ・ガンバの歴史を語る上で欠かせない音楽家、フォルクレ。12歳から宮廷に仕えたアントワーヌ・フォルクレ(1672-1745)と、その息子ジャン=バティスト(=アントワーヌ)・フォルクレ(1699-1782)の名は生前からフランス全土で知られていた。アントワーヌ・フォルクレは、17世紀後半から18世紀のフランス音楽界においてヴィオラ・ダ・ガンバの名手として高い評価を受けた音楽家。アントワーヌはまだ12歳のころ(1689年から)、太陽王ルイ14世(1638-1715)下の宮廷に仕え、奏者として、そして作曲家として大切に扱われた。当時関心が高かったイタリア様式を取り入れながらも、フランス風の組曲のスタイルをとった、華麗で斬新な作品を残している。そのずば抜けた音楽性とは別に彼の激しい振幅の大きな性格や妻や息子(ジャン=バティスト)への暴力といった事実がしばしば語られ、同時代人であるマラン・マレの優雅さと対照的に語られることも多く、アンリ・ル・ブランの「ガンバを擁護する」(1740)では「マレは天使の如く、(父)フォルクレは悪魔の如く奏く」と表 現されている。その息子のジャン=バティストは父とともに、ルイ15世の娘(1727-52)に楽器を教える音楽教師の役割も担っていた。宮廷の力が落ちてからも、有力者のもとで音楽活動を続け、フランス全土にフォルクレ父子の名は知れ渡っていた。この盤は、1747年にジャン=バティスト・フォルクレが父アントワーヌの遺作として出版した曲集の作品と、アントワーヌ・フォルクレの初期の作品、さらには後の作曲家たちが「フォルクレ」に捧げた作品を集めた物。ミシェル・ドゥヴェリテ(ルーアンの音楽院でロベール・コーネンの下で学んだチェンバロ奏者)、そしてレ・タラン・リリクやレザール・フロリサンなどにもたびたび参加している上村かおり、名手寺神戸亮、そしてゲストとしてドゥヴェリテや寺神戸の師匠でもあるロベール・コーネンも参加しているという豪華布陣による演奏。チェンバロ独奏曲のそれぞれの色合いのあざやかさにフォルクレの才にあらためて感じ入り、ヴィルトゥオジティとセンシティヴさを兼ね備えた名手たちによるアンサンブルに酔いしれる、極上のセットとなっている。
HMM-905291
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ロト&レ・シエクル〜ドビュッシー
 CD (*): 牧神の午後への前奏曲/バレエ音楽「遊戯」/夜想曲
 ボーナスDVD (#):民謡の主題によるスコットランド行進曲/バレエ音楽「遊戯」/夜想曲
  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル(*/#)、レ・クリ・ド・パリ(*)
 録音:2018年1月、フィルハーモニー・ド・パリ(*) /収録:2018年6月、カール五世宮殿、アルハンブラ、第67回グラナダ国際音楽&舞踊祭(#)。ボーナス DVD 仕様: NTSC 。 ドビュッシー・イヤー最大の注目新譜の登場。2018年6月12日、東京オペラシティで超満員の聴衆を熱狂の渦に巻き込んだロトとレ・シエクルが、当日にも演奏したドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」と「遊戯」を、その半年前にパリで録音していた。もちろん初演当時の楽器と奏法にこだわったもので、待ちきれないリリース。今回選ばれた3篇のうち、「牧神の午後への前奏曲」と「遊戯」はニジンスキーの振付でディアギレフのロシア・バレエ団により初演されたもので、ロトの「ペトルーシュカ」「春の祭典」「ダフニスとクロエ」の系譜上の作品となっている。また「夜想曲」はバレエ作品ではないが、初期の「牧神」と後期の「遊戯」の中間に位置するものとして、作風の変遷を実感させるようになっている。「牧神の午後への前奏曲」は、ピリオド楽器による録音もあるが、ロトとレ・シエクルは格が違う。エラールのハープの繊細な音色、ノンヴィブラートのフルートの不思議な響きいずれも超新鮮。それでありながら潤いと香りにも欠けていない。「夜想曲」の「雲」は、ノンヴィブラート奏法でどこか雅楽のような響きを感じさせる。また「祭」は驚くほど強烈で大きな演奏で過去の巨匠の解釈を彷彿させる。そしてレ・クリ・ド・パリの女声合唱が入る「シレーヌ」の、この世のものとは思えぬ世界こそドビュッシーが思い描いていた音と目から鱗が落ちる。ドビュッシー晩年の「遊戯」は1913年にパリで初演され物議を醸したが、2週間後に同じ団体がストラヴィンスキーの「春の祭典」を初演、一大スキャンダルとなったため不遇な扱いを受けてきた。ドビュッシー後期の前衛的で実験的な手法が難解と思われがちだが、ロトとレ・シエクルは、この作品が実はとんでもないエロ音楽であることを認識させる。今回もブックレットに弦楽器以外すべての使用楽器と制作年が明記され、貴重な資料となっている。ロトの演奏はますます精緻になり才気煥発。歴史的な意義はもちろんながら、切れの良いリズムとスピード感など驚くほど魅力的な演奏を繰り広げている。
Generations 〜ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ集
 ジャン=マリー・ルクレール(1697-1764):ソナタ
  〔ホ短調 Op.3 No.5(ヴァイオリンとチェンバロンのための編曲版|
            原曲:通奏低音なしの2つのヴァイオリンのためのソナタ集(1730) より)/
   イ長調 Op.1 No.5 /ヘ長調 Op.2 No.2 〕
 ジャン=バティスト・スナイエ(1687-1730):ソナタ
  〔ホ短調 Op.4 No.5 (*) /ト短調 Op.1 No.6 /ニ長調 Op.3 No.10 /ハ短調 Op.1 No.5 〕
 即興:無伴奏ヴァイオリンのためのプレリュード(#)

 テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ
  (Vn|使用楽器:ストラディヴァリウス「ダヴィドフ」、1708年
 ウィリアム・クリスティ(Cemb;#以外)
 録音:2020年6月、ル・バテイモン、ティレ、フランス| (*):世界初録音。ルクレールとスナイエは18世紀の"フランスのパガニーニ"とも言われる。コレッリ(1653-1713)の圧倒的な成功の後、印刷技術の発達もあり、フランスでは18世紀のはじめの30年間で飛躍的に器楽、特にヴァイオリン作品が発展を見せた。フランソワ・デュヴァル、ジャケ・ド・ラ・ゲールら様々な人気作曲家がひしめき合った当時フランスの中で、特に技術的に高度でありながら詩情にあふれ、変幻自在で舞曲のような魅力的なリズムの作品を多く残したのが、ルクレールとスナイエ。現代における彼らの評価はまだまだ充分にされているとは言えない。そんな状況を打破すべく、古楽界の王様クリスティと若き天才ヴァイオリン奏者スワルテが、世代を超えてタッグを組んだ。最高級の品格とテクニックに満ちた演奏を展開している。
クリスティ&レザール・フロリサン〜J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV.232
 キャスリーン・ワトソン(S) ティム・ミード(CT)
 レイノー・ファン・メヘレン(T) アンドレ・モルシュ(B)
 ウィリアム・クリスティ(Cemb)指揮レザール・フロリサン(合唱、管弦楽)
 録音:2016年9月、フィルハーモニー、パリ、ライヴ(拍手は収録されていない)。 クリスティが遂に、バッハの最後の完成作であるミサ曲 ロ短調を録音した。2016/17シーズンにヨーロッパで行われた「 ロ短調ミサ」のツアーは大成功を収めたが、この演奏は2016年9月にパリのフィルハーモニーで行われた演奏会のライヴ。クリスティの母はニューヨークの教会の聖歌隊指揮者だったそうで、1950年代の終わりに、彼女が聖歌隊を指揮してミサ曲 ロ短調の2曲を演奏していたのを聴いて以来、 ロ短調ミサはクリスティの中で特別な存在であったという(クリスティは1944年生まれ)。冒頭の「キリエ」から、なめらかに丸みを帯びた合唱で、クリスティの真骨頂が発揮された絶美の演奏で、引き込まれる。また、自身鍵盤楽器の名手でもあるクリスティは、第2曲の「キリストよ、憐れみたまえ」のソプラノとアルトの二重唱をはじめ、9つの楽曲ではチェンバロ(通奏低音)に専念し、事実上指揮者不在となっている。これにより、クリスティが配した、適切な人数の合唱とオーケストラのメンバー、そして独唱者たちによって、より親密なアンサンブルが醸成されている。また、自身ライナーノートでも書いているが(日本語訳なし)、全体として軽やかな速めのテンポで演奏されている。「Cum Sancto Spiritu」などの超絶技巧の楽曲でも、合唱もオーケストラも実に軽やかに輝かしく演奏しており、クリスティ率いる音楽家たちのきわめて高い完成度に圧倒される。独唱者たちののびやかな歌唱も印象的。バスの独唱(「Quoniam」)でのホルンとファゴットの名人芸も注目し、ソプラノ・アリア(Laudamus te)ではヒロ・クロサキのヴァイオリン・ソロが聴けるのもまた嬉しいところ。「カトリック、プロテスタントという宗派を超えて、自らのキリスト教信仰の普遍形としてこのミサを書きあげた」バッハ(クリストフ・ヴォルフ/ライナーノートより(日本語訳なし)。厳格なミサ、というよりも、このミサ曲にバッハが込めた、人間というものへの肯定が前面に打ち出された、音楽の悦びに満ちたたぐいまれなる名演となっている。
モーツァルト:ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K.452
ベートーヴェン:ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 Op.16
 アンサンブル・ディアーロギ
  [クリスティーナ・エスクラペス(Fp|使用楽器:ポール・ポレッティ、バルセロナ、2009年製
     〔モデル:アントン・ヴァルター・ウント・ゾーン、ウィーン、1800年頃製〕)]
   ロレンツォ・コッポラ(Cl|使用楽器:アニェス・ゲルー、パリ、2010年製
     〔モデル:テオドール・ロッツ、ウィーン、1780年頃製〕)
   ピエール=アントワーヌ・トレンブレイ(ナチュラルHr|使用楽器:
      リヒャルト・セラフィノフ、ブルーミントン、2012年製〔アントン・ケルナー、ウィーン、1780年頃製〕)
   ジュゼプ・ドメネク(Ob|
      使用楽器:ポー・オリオルス、2015年製〔グルンドマン、ドレスデン、1795年頃製〕)
   ハビエル・ザフラ(Fg|使用楽器:ウィレム・トリーベール、パリ、1805年頃製)]
 録音:2015年11月。 世界の名だたるピリオドオーケストラで活 躍するメンバーと、フォルテピアノのクリスティーナ・エスクラペスによるアンサンブル、アンサンブル・ディアーロギのハルモニア・ムンディ・デビュー盤。とにかく全員がうまいので、ピリオド楽器であることを忘れさせるくらいにアグレッシヴな演奏が展開されている。 クラリネットのコッポラは、フライブルク・バロックo. で長年活躍する名手。モーツァルト:「最後の協奏曲」(HMC901980[ 廃盤])では、天上の響きのクラリネット協奏曲で世界を魅了した。ホルンのトレンブレイも、ソロ、アンサンブルのほか、フライブルク・バロックo. 、18世紀オーケストラ、アニマ・エテルナなど世界的なピリオド楽器オーケストラで活躍している。シューベルトの八重奏曲でファウストと共演している(HMM-902263)。オーボエのジュゼプ・ドメネクは、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、イル・ジャルディーノ・アルモニコなどで活躍するほか、アムステルダム国立音楽院でバロック・オーボエの指導もしている。ファゴットのハヴィエル・ザフラも、フライブルク・バロックo. のメンバー。シューベルトの八重奏曲でファウストと共演している(HMM-902263)。フォルテピアノのエスクラペスは、ハイドンとバッハを中心としたソロ活動のほかアンサンブル・ピアニストとしても高い評価を受けている。バルセロナで後進の指導にも情熱を注いでいる。
ラモー氏の庭園で
 ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):
  「イポリートとアリシ」から/「エベの祭典」第1アントレ「詩」から/「ダルダニュス」から/
  「優雅なインドの国々」から/2つのカノン〔笑いから離れ/起きろ、際限なく寝る奴め〕
 アントワーヌ・ドーヴェルニュ(1713-1797):「死に行くエルキュル」から/「ヴェネツィアの女」から
 アンドレ・カンプラ(1660-1744):「優雅なヨーロッパ」第2アントレ「フランス」から
 ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール(1667-1737):「ジェフテ」プロローグから
 ニコラ・ラコ・ド・グランヴァル(1683-1764):カンタータ「何もない」
 クリストフ・ヴィルバルト・グルック(1714-1787):「改心した酒飲み」から

 ダニエラ・スコルカ(S) エミリ・ルナール(Ms) ベネデッタ・マッズカート(A)
 ザカリー・ワイルダー(T) ヴィクトル・シカール(Br) シリル・コスタンツォ(B)
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:2013年3月29日-31日、パリ。初出・前出・旧品番: Les Arts Florissants, AF-002 〔廃盤、入手不能〕。クリスティが主宰するアカデミー「声の庭」に参加している、選ばれし若手声楽家たちによる、啓蒙主義時代のフランスの声楽作品へのいざない。後のフランス・オペラの世界の原点を見るような内容。2002年にレザール・フロリサンが始めた声楽家のアカデミー「声の庭」は2年ごとに開催され、毎回250-300人が応募する中から6-7人が選ばれる。彼らはクリスティが実際にフランスで住んでいる城館に住み、徹底的に訓練を受け、その後レザール・フロリサンと共に世界の舞台を経験するという夢のようなアカデミー。この演奏はその6回生たちによる物(第7回生は2016年10月に来日し、「イタリアの庭で」と題した公演で絶賛された)。
ヘンデルキャロライン王妃のための音楽集
 戴冠式アンセム第3番「主よ、王はあなたの力によって喜び」HWV.260 /
 テ・デウム「キャロライン王妃」HWV.280 /
 キャロライン王妃の葬送のためのアンセム「シオンの道は悲しみ」HWV.264
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン ティム・ミード(CT)
 ショーン・クレイトン(T) リサンドロ・アバディエ(B−Br)
 録音:2013年11月20日-21日、パリ。初出・前出・旧品番: Les Arts Florissants, AF-004 〔廃盤、入手不能〕。 ヘンデルは1710年頃から亡くなる1759年までほぼ半世紀をロンドンで過ごしたが、イタリア・オペラの活動に奮闘していたその前半の彼を熱心に支え、常に庇護したのは、英国王ジョージ2世(1683-1760/在位 1727-1760)の妃で非常に人気が高く、さらにまだ少女の頃から2歳年下のヘンデルを知っていたというキャロライン王妃(1683-1737)だった。ヘンデルは彼女のために多くの曲を書いているが、中でも有名な3曲を収録。
ロト&レ・シエクル〜マーラー
 交響曲第1番 ニ長調(1893年版|花の章付き)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2018年3月、10月、フィルハーモニー・ド・パリ/2018年2月、ニーム劇場/2018年10月、シテ・ド・ラ・ミュジーク。ついにマーラーの「巨人」のピリオド楽器による演奏が登場した。それもあのロトが、手兵レ・シエクルを率いての挑戦。マーラーの交響曲第5番と3番を、初演オーケストラであるケルン・ギュルツェニヒo. と録音して絶賛を受けているだけに、無視していられるクラシック・ファンはいないはず。マーラーは1889年11月20日に初のオーケストラ作品である交響詩をブダペストで初演した。その後1893年にハンブルクの宮廷指揮者に任命された際、その作品を改訂し、交響曲形式による音詩「巨人」と名付けた。徹底的にオーケストレーションを直し、あまりにベートーヴェン的だった序奏部を独創的な高周波のような弦のトレモロにし、木管を倍増、コールアングレやバスクラリネットなども加え、可能な限り自然の音をイメージさせるスコアにした。第2楽章に「花の章」を含むこの第2版は、同年10月27日にハンブルクで初演された。今回のロトとレ・シエクルの演奏はこの第2版による。ロトのコンセプトは「春の祭典」と同様にオリジナルの形へ戻すことで、削除された「花の章」の意義と重要性に着目し、この甘美な音楽が、続く荒廃の世界を強調する働きを持つことを強調している。また、1894年最終稿でより合理的なオーケストレーションに改善される前の響きに若きマーラーの思いが現れているとし、実際感動的。レ・シエクルはもちろん作品が作られた時代のピリオド楽器を用いている。マーラーの頭にはドイツのオーケストラとウィーンでの勉強によって養われた音の理想があり、彼がその後ウィーン宮廷歌劇場とムジークフェラインのピットで慣れ親しんだ楽器を使うことに決まった。オーボエはウィーン、フルート、クラリネット、ファゴット、トロンボーン、チューバはドイツ、ホルンとトランペットはドイツとウィーン製が選ばれた。これらは指遣い、穴、クラリネットのマウスピースさえも同時代のフランス製と全く違い、団員にとって全く新しい体験だったそう。管楽器は当時の独墺音楽独特のもので、フランスの楽器よりも音色は暗く、より力強いのが特徴。弦楽器は高弦はまさにガット、低弦はよったガットを用いている。ロトはやや速めのテンポながら造型も大きく、ヴィブラート控え目、マーラーの「巨人」観が完全に覆される衝撃的な演奏。2018年の録音で、強奏部でも豊かに響く録音も極上。超注目盤の登場。
モテットの巨匠たち
 アンドレ・レゾン(1650頃-1719):2つのキリエ〔第一旋法/第二旋法〕
 セバスティアン・デ・ブロサール(1655-1730):
  ミゼレーレ・メイ・デウス SdB.53 /スターバト・マーテル SdB.008 /
  アヴェ・ヴェルム・コルプス SdB.010(5声)
 ピエール・ブテイエ(1655頃-1717頃:ミサ・プロ・デフンクティス
  ポール・アグニュー指揮レザール・フロリサン
 録音:2016年7月。ブロサール作品の SdB 番号にケタ相異があるが、代理店記載ママ。 ポール・アグニュー率いるレザール・フロリサンによる、「モテットの巨匠たち」と題した1枚。ブロサールは自身作曲家でありながら、先達の自筆譜も熱心にコレクションし、それらを1724年に王立図書館に寄贈した。その中には、ブテイエのミサ・プロ・デフンクティスも含まれ、この作品のことをブロサールは自身のコレクションの中で最高の作品と評していた。こうしたフランスの巨匠たちの作品を中心に、ルイ14世の時代にその重要性を増すこととなった礼拝堂と合唱隊にスポットを当てたようなプログラムとなっている。
カリクスティヌス〔カリクストゥス〕写本〜聖ヤコブ〔サンチャゴ〕の夕べの祈り 17世紀
 マルセル・ペレス指揮アンサンブル・オルガヌム
 録音:2004年5月3日-6日|初出・旧品番: Ambroisie (Naive), AMB-9966 〔国内&当店未案内|廃盤、入手不能〕。 9世紀以降、サンチャゴ=デ=コンポステラへの道は数知れぬ巡礼者たちを魅了し、様々な神話も生み出された(聖ヤコブのことをスペイン語でサンチャゴという)。意外と見過ごされてきたのが、この聖地で実際に行われていた礼拝で歌われた音楽。サンチャゴの聖堂に保管されていたカリクスティヌス写本を、ペレスが本格的に調査。これにより、貴重な手稿譜で伝えられる、当時の巡礼者たちに大きな感動を与えた様々な珠玉の音楽がよみがえった。
テンプル騎士団の聖歌集〜12世紀のエルサレムの聖墳墓教会
 *アンティフォナ − 聖なる十字架をにないたまえ
 *レスポンソリウム − デウスの祝福/力天使と能天使の名誉 / *キリエ・エレイソン /他

 マルセル・ペレス指揮アンサンブル・オルガヌム
 録音:2005年12月、フォントゥヴロー王立修道院|初出・旧品番: Ambroisie (Naive), AMB-9997 〔廃盤、入手不能〕。 中世ヨーロッパの騎士修道会であるテンプル騎士団は、音楽に関しての資料をほとんど残していない。しかし、ペレスとアンサンブル・オルガヌムは、その限られた資料の中から、12世紀にまでさかのぼり、貴重な手稿譜を発見。テンプル騎士団の儀式のもようを現代に伝える貴重な録音となっている。
ヒメノ〜ストラヴィンスキー
 火の鳥/ミューズを率いるアポロ
グスターボ・ヒメノ指揮
ルクセンブルクpo.
 録音:2020年12月、2021年9月、大ホール、フィルハーモニー・ルクセンブルク。ヒメノとルクセンブルク・フィルによるストラヴィンスキーの登場。すでにこのコンビには、「春の祭典」「カルタ遊び」「アゴン」を収めたストラヴィンスキーのアルバム(PTC-5186650 / KKC-6011)があり、高く評価されただけにこちらもまた注目のリリースと言えるだろう。プログラムは≪火の鳥≫と≪ミューズを率いるアポロ≫。1910年から、ディアギレフの死の年1929年までの間に、バレエ・リュスは、ストラヴィンスキーの音楽によるバレエ作品を12作上演したが、その第1作が≪火の鳥≫そして最後が≪ミューズを率いるアポロ≫だった(もともとは≪ミューズ≫は他の目的で作曲され、のちにバレエ・リュスでも用いられた)。≪火の鳥≫のポストロマン派的な幻惑的な世界では、ヒメノはオーケストラをミステリアスにならしている。≪ミューズを率いるアポロ≫ (1928)では、新古典主義的なエレガンス全開。「ミューズ」のストーリーは、様式美と理想的な美の象徴であるアポロが誕生するところから、アポロが成長し、ミューズたちの先頭に立ってパルナッソスに入城する、といったシンプルなものながら、ヴァイオリン・ソロが活躍する楽曲もあったり、音楽的にはたのしめる物。ヒメノは、オーケストラを室内楽的かつ自由に響かせている。ヒメノとオーケストラの間のあつき信頼関係が感じられる演奏となっている。
ドビュッシー(1862-1918):12の練習曲(全曲)(*)
メシアン(1908-1992)/ロジェ・ムラロ構成:
 エローに棲まうムシクイたち〜地中海沿岸のコンチェルト(#)
 ロジェ・ムラロ(P)
 録音:2017年12月12日-14日、スタジオ・ジュジ(*) /2018年2月7日、スタジオ 104 、メゾン・ド・ラジオ・フランス、パリ、ライヴ(#)、全てフランス|(#)は世界初録音。 2017年6月23日に東京・トッパンホールで世界初演されたメシアンの秘曲「エローに棲まうムシクイたち」。フランス国立図書館に設けられた「メシアンアーカイブ」に未完の状態で保管されていたものを、イヴォンヌ・ロリオに師事したメシアンのプロフェッショナルともいえるムラロが緻密に再構成した作品の公演は大きな話題となった。この「エロー」はもともとメシアンがドビュッシー生誕100年(1961年)のために手がけていた作品。ムラロが没後100年記念として、満を持してのリリースとなった。さらにカップリングのドビュッシーの難曲12の練習曲(全曲)は、ドビュッシーがショパンに捧げた作品。偉大な音楽家がその先達に献呈するために書いた2作、という意味で深いつながりがある、注目のプログラムといえるだろう。1961年、ドビュッシー生誕100年を翌年に控え、メシアンはドビュッシーの追悼作品を書くよう依頼された。その頃メシアンはちょうど「エローの鳥たちについて」の協奏曲を構想しており、これをドビュッシー生誕100年記念作、とするはずだった。(ちなみにイヴォンヌ・ロリオは、ドビュッシーの12の練習曲をレパートリーとしたフランスの最初の女性ピアニストでもあった。)この作品(未完)はイヴォンヌ・ロリオに献呈される予定だったが、メシアンは献辞に「ドビュッシー、自然を愛した人へ・・・」と、ドビュッシーにも敬意を表している。この未完の協奏曲を、「エローに棲まうムシクイたち〜地中海沿岸のコンチェルト」というピアノ独奏作品として皆様にお聴き頂く(ムシクイは地中海沿岸に生息する鳥)。色彩感、鳥たちの歌声の見事な音による描写、自然を彷彿とさせる世界は、メシアンがドビュッシーに対して抱いていた敬意の表れではないだろうか。さらに、ドビュッシーは練習曲をショパンに献呈している。とにかくムラロのらくらくとした超絶技巧が冴えわたる。
THE MYSTERY OF CHRISTMAS
 ウィリアム・バード(c.1540-1623): O magnum mysterium / A. ピーコック(1962-): Venite, Gaudete!
 ロデリック・ウィリアムズ(1965-): O Adonai, et Dux domus Israel
 ジュディス・ウィアー(1954-): Drop down, ye heavens, from above
 トマス・タリス(c.1505-1585): Videte miraculum
 作曲者不明(中世): Coventry Carol / Nova, nova / There is no rose / Now may we singen
 リチャード・アラン(1965-)編曲: Coventry Carol
 ジェイムズ・マクミラン(1959-): Nova! Nova! Ave fit ex Eva
 ジョン・ラター(1945-): Suzi 's Carol *(ORA委嘱作・世界初録音)
 ジェイミー・W. ホール(1983-): As I lay upon a night / ベン・ロワース(1992-): There is no rose
 トマス・ハイド(1978-): Sweet was the song / セシリア・マクドウォル(1951-): Now may we singen
 フレデリク・シクステン(1962-): Mary 's Lullaby (Silent Night) / スティーヴン・サメツ(1954-): Gaudete
 モルテン・ラウリセン(1943-): O magnum mysterium

 ORAシンガーズ(指揮&芸術監督:スージー・ディグビー)
 録音:2017年1月23-28日、2017年8月7-12日、ロンドン。2014年に設立された声楽アンサンブルグループ、ORA 。現代は、ルネサンス時代に匹敵する合唱音楽の黄金期である、と考える彼らは、ルネサンス、および現代の合唱作品を演奏・録音している。英国で合唱指揮者としてならすスージー・ディグビーのタクトのもと、中世から現代までの、クリスマスにまつわる作品を収録。
Si vous vouliez un jour...〔もしあなたがのぞむなら〕〜厳粛なアリアと酒の歌 Vol.2
 マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):小さなパストラーレ、2人の羊飼いの牧歌
 エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):友よ!スペインワインでフランスを酔わせよう
 ミシェル・ランベール(1610-1696):愛よ、私は100たび嘆く / シャルパンティエ:愛は勝つ第1場
 ランベール:君のすばらしい瞳 / ムリニエ:私が愛するかの女性はついにやっと
 セバスティアン・ル・カミュ(1610頃-1677):ああ、なんと幸せそうなことか!
 シャルパンティエ:愛は勝つ第2場/おおむごい地よ、私の暗鬱な隠れ場所
 ランベール:むしろ死をのぞむ / シャルパンティエ:愛は勝つ第3場
 ランベール:しのごの言わずに / ル・カミュ:性急な夜明けよ、夜を終わらせないでおくれ
 ランベール:わずらわしさにため息をつくしかない/魅力に満ち満ちたあなた / ムリニエ:グイヨは私の恋人
 ランベール:あなたのあざけりはわたしに無数の恐怖を生む / シャルパンティエ:愛は勝つ第4場&終幕

 ウィリアム・クリスティ(Cemb)指揮レザール・フロリサン
 録音:2016年4月、フィルハーモニー・ド・パリ、サル・デ・コンセール、シテ・ド・ラ・ミュジーク。古楽界の帝王クリスティ&レザール・フロリサンによる、厳粛なアリアと酒の歌、第2弾の登場。第1弾の「愛は苦しみ」(HAF-8905276)では愛のメランコリーと滑稽な酒の歌の組み合わせだったが、当盤では、シャルパンティエの「愛は勝つ」を主軸に、合間に牧歌的な作品などが挟み込まれるという趣向。牧歌的な作品では、レザール・フロリサンの器楽奏者たちによる典雅にして素朴なアンサンブルをたのしめ、クリスティが認めた精鋭歌手陣により、愛の様々な側面が魅力的な詩と旋律で歌われる。1979年にクリスティによって結成されたレザール・フロリサン、2016年の録音。クリスティが認めた精鋭たちの演奏には脱帽するほかない。
ジェズアルド(1566-1613):マドリガーレ曲集 第1巻&第2巻
 〔第1巻(フェッラーラ、1594年)/第2巻(フェッラーラ、1594年)〕
 ポール・アグニュー指揮レザール・フロリサン
 録音:2019年6月。2019年10月に来日したばかりのクリスティ率いるレザール・フロリサン(1979年結成)。そのやわらかな表現と、合唱の歌唱力の高さに聴衆は圧倒的な感動をおぼえた。待望の新譜は、レザール・フロリサンの共同指揮者、ポール・アグニューによる、ジェズアルド。半音階の多用、強烈な不協和音など、その作品は今なお私達の耳に鮮烈に響く。また、編成も、モンテヴェルディがSSATB(ソプラノ2、アルト、テノール、バス)という5声なのにたいし、ジェズアルドはSATTB 、あるいはSSATB 、さらにSAATBなど、とその編成も様々。特にテノールが2声である編成の作品では、テノールが中心的な役割をしているのもポイントで、ジェズアルドが変幻自在に内容によって楽想を変えていることがうかがえる。ここではレザール・フロリサンの面々が、それぞれの作品の言葉と音、両方を美しくかつ刺激的に響かせている。レザール・フロリサンでは、今後、クリスティとアグニューによる演奏は半々の予定とのこと。それぞれの指揮による新譜も今後も予定されているとのことで、ますます注目。
ジェズアルド(1566-1613):マドリガーレ集 Vol.2
  〔第3集(フェッラーラ、1595 )/第4集(フェッラーラ、1596 )〕

 ポール・アグニュー指揮レザール・フロリサン
 ミリアム・アレン、ハンナ・モリソン(S) ルシール・リシャード(A)
 ショーン・クレイトン、ポール・アグニュー(T) エドワード・グリント(B)
 レザール・フロリサンの共同指揮者、ポール・アグニューによる、ジェズアルドのマドリガーレ集第2弾。ジェズアルドは、1560年頃イタリア・ナポリ王国の名門貴族として生まれ、イタリア・マドリガーレの最後を飾る作曲家。ジェズアルドが20歳の頃に結婚、しかし不義の妻と愛人を殺害し、このことが彼の人生に暗い影をおとす。ジェズアルドは、1594年(28歳頃)再婚のためにフェッラーラに赴く。彼の地フェッラーラは、宮廷で活躍していたルッツァスコ・ルッツァスキの影響でマドリガーレが盛んであり、ジェズアルドはこの街で生気を取り戻し、立て続けに4巻のマドリガーレ集を出版した。これらの曲集は、当時の様式に則りながらも、彼らしい激しい感情表現を、半音階的進行や不協和音など大胆な和声を駆使した作品で、同時期のモンテヴェルディの作品と並び16世紀末を代表するマドリガーレ集となっている。本盤では、前作(HAF-890507)に続き第3&4集を収録、レザール・フロリサンの刺激的かつ美しい演奏で聴くことが出来る。
ジェズアルド:マドリガーレ集第5集&第6集(完結編)
  〔第5集(1611) (*) /第6集(1611) (#) 〕
 ポール・アグニュー(T)指揮レザール・フロリサン
 録音:2020年10月(*)、2020年9月(#)、フィルハーモニー・ド・パリ。ポール・アグニューとレザール・フロリサンによる、ジェズアルドのマドリガーレ集、完結編の登場。不協和音や半音階的な表現を駆使された驚くべき現代性を響かせながら、愛と死、喜びと悲しみが、最小限の身振りながら効果抜群に表現されている。カルロ・ジェズアルドは、当時の他の作曲家とは異なり、とてつもなく裕福な貴族だった。当時の音楽家のほとんどは、雇われの身分だったので、貴族でありながら音楽家であることはむしろ憚られることだったが、ジェズアルドは自分の音楽での業績に、ほとんど強迫観念ともとれるくらいに、誇りをもっていた。そして、当時音楽作品を出版することは自分の地位や条件を向上させるため、新しい仕事を見つけるため、あるいは単にお金のためだったが、ジェズアルドはただ純粋に自分の素晴らしい作品を後世に残すために、自分の作品を出版していた。そして晩年、自分の命が尽きると確信したとき、城の一室を印刷所に改装し、究極のマドリガル集である第5集と第6集、そして聖週間のレスポンソリウムを制作・印刷した。それは、体調を崩した彼が、生涯の最高傑作と自負しているものを後世に残そうとしたことにほかならない。これらは、ジェズアルドが自ら自分の作品の中で最も優れた音楽の中から選んだものといえるだろう。
J.S.バッハ:フーガの技法 BWV.1080
 Les inAttendus 〔レザンアッタンデュ〕[ヴァンサン・レルメ(アコーディオン)
   マリアンヌ・ミュレル(7弦バス・ヴィオール) アリス・ピエロー(Vn)]
 録音:2019年12月16日-19日、ラ・クーロワ。ヴァイオリン、バス・ヴィオール、アコーディオンの3種楽器による「フーガの技法」!バッハの対位法技法の頂点のひとつ、「フーガの技法」は、鍵盤楽器のために書かれたとされているが、明確な楽器指定は残されておらず、どのような響きでこの緻密な構造体をならすかは現代の我々に託されたテーマでありつづけている。アコーディオンの真っすぐな音色と、2種の弦楽器の音色の相性は抜群。「見る音楽」ともいわれるほどに美しいこの作品の譜面が、様々な角度から光のようにまばゆく真っすぐに立ち上って来る。ヴァイオリンが上声部、ヴィオールが低声部、アコーディオンが中声部を担当するのがメインではあるが、曲によっては2つの楽器がユニゾンしたりすることによって、思いもよらない響きが生まれたりと、オーディオ的にも楽しめる内容。次はどうなるんだろう?と思いながら聴き進めてしまう。ヴァンサン・レルメはフランスで初めて博士号を取得したアコーディオン奏者。マリアンヌ・ミュレルはレザール・フロリサンなどでも演奏するヴィオール奏者で、オーケストラ、ソロの両方で活躍している。アリス・ピエローはレ・ミュジシャン・デュ・ルーブル=グルノーブル、次いでコンセール・スピリテュエルのソロ・ヴァイオリン奏者を務めた実力者。なんとも豪華な顔ぶれによる「フーガの技法」、注目盤。
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ロト〜マーラー:交響曲第3番 ニ短調
 サラ・ミンガルド(A) フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
 ケルン・ギュルツェニヒo.、スコラ・ハイデルベルク女声cho.、ケルン大聖堂児童合唱隊
 録音:2018年10月、フィルハーモニー、ケルン。マーラーの交響曲第5番を、ケルン・ギュルツェニヒo. と録音して絶賛を受けたロトが、第3番に挑戦した。同オーケストラは1904年にマーラー自身の指揮で第5番を世界初演という深い縁があった。第3番は多くの文献に「1902年6月9日、クレーフェルトにて作曲者自身の指揮により初演」としか書かれていないが、この際のオーケストラも、なんとケルン・ギュルツェニヒo. だった。ロトはやや速めのテンポながら造型も大きく、ヴィブラート控え目、金管もまろやかに響かせるなど才気煥発ぶりが光る。牧歌的な歌い回しも絶妙。また児童合唱の天使のような無垢さとイタリアのベテラン、サラ・ミンガルドのカウンターテナーのような低く妖しげな声が、この世のものとは思えぬ不思議な世界を創り上げている。ロトならではの目から鱗の落ちるような「マラ3」が出現した。2018年のセッション録音で、強奏部でも豊かに響く録音も特筆物。時代楽器演奏でないことを残念に思う向きもあるかもしれないが、今回もドイツのギュルツェニヒ管で大正解。さらにレ・シエクルで培った「初演当時の響き」をここでも追求、今や少なくなった117年前の古き良きドイツのオーケストラをタイムマシンで聴きに行く感がある。超注目盤の登場。
DESIRES 〜雅歌コレクション
 ブリュメル(1460頃-1512/13): Sicut lilium inter spinas / ノン・パパ(1510/15頃-1555/56頃): Ego flos campi
 ガブリエル・ジャクソン(1962-): I am the Rose of Sharon
 ロドリーゴ・デ・ケバロス(1525/30頃-1581頃): Hortus conclusus / 聖歌「 Tota pulchra es 」
 ロバート・ホワイト(1538頃-1574): Tota pulchra es / フランシス・グリアー(1955-): Dilectus meus mihi
 ニコラ・ゴンベール(1495頃-1560頃): Quam pulchra es / ビクトリア(1548-1611): Vadam et circuibo civitatem
 ジョナサン・ドーヴ(1959-): Vadam et circuibo civitatem(*) / パレストリーナ(1525/26-1594): Duo ubera tua
 セバスティアン・ド・ビバンコ(1551頃-1622): Veni, dilecte mi
 ジョアン・エスキべル(1560頃-1624頃): Surge propera amica mea / ジョン・バーバー(1980-): Sicut lilium (*)

 スージー・ディグビー(芸術監督)指揮 ORA
 録音:2016年2月| (*)はORA委嘱作品、世界初録音。2014年に設立された声楽アンサンブルグループ、ORA 。現代はルネサンス時代に匹敵する合唱音楽の黄金期である、と考える彼らは、ルネサンス、および現代の合唱作品を演奏・録音している。今回彼らがとりあげたのは、雅歌をテキストにもつ作品。透明なアンサンブルがきわめて美しい演奏。
期待しないで、私の眼は…〜厳粛なアリアと酒の歌 Vol.3
 クロード・ル・ジュヌ(1530頃-1600):
   Allons, allons gay gayment / Rendes-la moy cruelle / Rossignol mon mignon / Suzanne un jour
 エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):
   Dialogue de la Nuit et du Soleil / O che gioia ne sento mio bene /
   O doux sommeil / Dans le lit de la mort / Souffrez, beaux yeux pleins de charmes
 作曲者不詳: Symphonie / Prelude pour l 'Allemande cromatique & Allemande cromatique /
        器楽組曲「 Bransle, gay, bransle a mener, double 」/ Libertas & Sarabande italienne
 ピエール・ゲドロン(1565頃-1620):
   Bien qu 'un cruel martire / Belle qui m 'avez blesse / Quel espoir de guarir / Que dit-on au village ?
   Aux plaisirs, aux delices bergeres / Lorsque j 'etais petite garce /Cesses mortels de soupirer
 アントワーヌ・ボエセ(1587-1643): N'esperez plus, mes yeux
 ピエール・ヴェルディエ(1627頃-1706頃): Lamento

 ウィリアム・クリスティ(Cemb)指揮レザール・フロリサン
 録音:2019年1月。クリスティとレザール・フロリサンが奏でるフランス宮廷御用達の美しき声楽小品集。勇壮であったり土俗的であったり精神的であったりと様々な表情が散りばめられていて、100年以上にわたりフランス音楽界を彩った音楽ジャンルの洗練された美が味わえる。
イン・メモリア・エテルナ〜
 モサラベ聖歌とモロッコのサマア集
マルセル・ペレス指揮
アンサンブル・オルガヌム
 録音:2019年10月。ペレスとアンサンブル・オルガヌムが20年以上あたため探求し続けたプロジェクトがついに録音のはこびとなった。1997年、ペレスは、モサラベ聖歌(アラブ支配下にあったスペインのキリスト教徒の聖歌)とモロッコのサマア(イスラムのスーフィーが取り入れた、音楽を聴くこと)の精神修養を並行して探求し始めた。この2つの宗教の違いはさておき、ペレスたちは2つの音楽表現の間に多くの親近性を見出した。音楽を通して、失われつつある人類の兄弟愛を取り戻そうという、まさにユートピアのような発想が生まれた。登盤では、ディスク冒頭で「愛がすべてを救う」という内容の詠唱が聞かれたのち、モサラベの典礼の冒頭で歌われる聖歌、そしてイスラム教でスーフィーの祈りをささげる儀式をしている人に呼びかける音楽が続く、という、まさにキリスト教とイスラム教の音楽が入り混じったかたちで構成されているが、古今東西を問わず、人間が平和と平安を希求する気持ちはみな同じであることをあらためて感じる内容となっている。と同時に、ペレスらの研究と資料読解の労苦、そして様々な音楽を演奏する能力にも敬意を表したくなる1枚。マルセル・ペレスは1956年アルジェリア生まれのフランスの指揮者。1982年に中世音楽を演奏する「アンサンブル・オルガヌム」を結成。作曲当時の手法で演奏する古楽奏法により、各地に残る聖歌などの宗教音楽を演奏している。
レ・プレジール・ドゥ・ルーヴル〜ルーヴルの愉しみ
 アントワーヌ・ボエセ(1587-1643):
   Reine que je sers et que je connais (Concert de Diane et ses Nymphes) / Je perds le repos et les sens /
   Bien loin profanes de ces lieux (Concert des Nymphes des Bois) / Astres pleins de malheurs /
   Monarque triomphant (au Roy) / Aime-moi Cloris (Dialogue) / Fut-il jamais une rigueur pareille /
   Je suis l 'adorable Equite (Recit de la Felicite, la Justice, et les Amours) /
   Que pretendez-vous mes desirs / Ne vante point flambeau des cieux / Segua chi vuol iniquo Amore /
   Ce roi vainqueur de nos malheurs (Pour le Roy) / Conseille-moi mon coeur (David disgracie) /
   Me veux-tu voir mourir / O mort l 'objet de mes plaisirs
 ピエール・ゲドロン(1565頃-1620)の作品に基づく:
   Cesse mortel d'importuner / Quels tourments rigoureux (Le Purgatoire)
 エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676): Rompez les charmes du sommeil / O doux Sommeil /
                   Il sort de nos corps emplumes (Concert de differents oyseaux)
 作曲者不詳: Les Suisses / Les Suissesses / M. De Liancourt / Les Vallets de la Faiste
 ルイ13世(1601-1643): Les Gascons / ルイ・クープラン(1626-1661): La Piemontoise
 ジャック・シャンピオン・ド・シャンボニエール(1601-1672): L 'Entretien des Dieux
 フランソワ・ド・シャンシー(1600頃-1656): Rares fleurs vivante peinture

 セバスティアン・ドセ指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 録音:2019年7月。「夜の王のバレ」(HMC-952223)など、フランスのルネサンス後期からバロック期の音楽を、新たな視点で提示しているドセ&アンサンブル・コレスポンダンス。今回は「レ・プレジール・ドゥ・ルーヴル〜ルーヴルの愉しみ」と題し、ルーヴルで繰り広げられていた音楽の営みが見事に再構築された1枚の登場。ヴェルサイユ(1682年)以前、フランス王朝の中心地はルーヴルだった。そこは、貴族らの力を見せつけるための、音楽がつきもののセレモニーが行われる劇場だった。ルイ13世の時代、エール・ド・クール(宮廷の歌、の意。短い有節歌曲でリュートの伴奏で歌われる)やバレエ音楽のために、ムリニエやゲドロン、シャンシーといった作曲家たちが呼び集められた。ここでセバスティアン・ドセ率いるアンサンブル・コレスポンダンスは、その中で最も優れていたアントワーヌ・ボエセに着目し、ボエセの作品を中心に、ルーヴルで繰り広げられていた典雅な音楽を再現している。芸術で有名なルイ14世のルイ13世自身の作による楽曲も収録している。気品あふれる歌唱メンバーによる歌声と、器楽とのアンサンブルの妙も楽しめる1枚となっている。
C.P.E.バッハ:6つのシンフォニア Wq.182 +
 〔ト長調 Wq.182 No.1, H.657 /ホ長調 Wq.182 No.6, H.662 /ロ短調 Wq.182 No.5, H.661 /
  イ長調 Wq.182 No.4, H.660 /ハ長調 Wq.182 No.3, H.659 /ホ短調 Wq.177, H.652 /変ロ長調 Wq.182 No.2, H.658 〕

 アマンディーヌ・ベイエ(Vn)指揮リ・インコーニティ
 録音:2019年11月、アラス劇場、フランス。アマンディーヌ・ベイエ率いる古楽アンサンブル、リ・インコーニティによるC.P.E.バッハの「6つのシンフォニア」Wq.182。C.P.E.バッハは、バロック音楽から古典派音楽への過渡期に位置付けられる作曲家だが、ハイドン、ベートーヴェンといった後の作曲家にも大きな影響を与え、また教則本「正しいクラヴィーア奏法への試論」を著すなど、音楽理論家としても名をあげていた。この「6つのシンフォニア」は、C.P.E.バッハがハンブルク市のカントルと5つの大教会の音楽監督に着任し、当時のオーストリア大使ゴットフリート・ファン・スヴィーテン男爵(1733-1803)から「技巧的にむずかしく、洗練された様式の音楽」の要望とともに委嘱された弦楽オーケストラ作品。1773年に出版され、「ハンブルク交響曲」と呼ばれる。意外な和声進行、半音階、大胆なダイナミックスの変化、旋律間の鋭い対比、など予期せぬ展開と奇想天外なアイディアにあふれたC.P.E.バッハらしさがあらわれた作品集。アマンディーヌ・ベイエ率いるリ・インコーニティの演奏は、爽快で鋭い音楽感覚が生み出す快速な演奏を繰り広げている。C.P.E.バッハの音楽と彼の時代の様式を踏まえ、軽妙な愉悦感にあふれた親密なアンサンブルは必聴。
ロンドン〜1720年頃、コレッリの遺産
 ウィリアム・バベル(c.1690-1723):協奏曲第2番 ニ長調 Op.3(6つのフルートのための)
 フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687-1762):ソナタ第4番 ニ長調 Op.1, H.4
 アルカンジェロ・コレッリ(1653-1713)/ヨーハン・クリステァイン・シックハルト(c.1681-1762)編曲:
  ソナタ第4番ヘ長調 Op.6(合奏協奏曲 Op.6 No.1&2より)
 ヨーハン・クリスティアン・シックハルト:協奏曲第2番 イ短調 Op.19
 ヘンデル:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ト短調 HWV.364b /
      歌劇「アドメート」よりアリア「 Spera si mio caro bene 」
 ニコラ・フランチェスコ・ハイム(1678-1729)/ピエトロ・チャブ編曲: Thus with thirst my souls expiring
   ( A. スカルラッティ「 Il pirro e Demetrio 」のロンドン上演時翻案より)

 ラ・レヴーズ[バンジャマン・ペロー(テオルボ) フロランス・ボルトン(バス・ド・ヴィオール)他]
 録音:2019年10月、パリ。18世紀初頭、コレッリ(1653-1713)の影響はヨーロッパに広く及んでいた。1720年代のロンドンでは、音楽に対する需要が高まり、多くの外国人芸術家がロンドンに移り住んできた。ロンドンの人々は音楽を愛し、イタリアの最高のヴァイオリニストたちを惹き付けたと考えられる。1714年には、コレッリのもっとも傑出した弟子の一人、ジェミニアーニがロンドンに到着、瞬く間に人気を博した。コレッリのヴァイオリンのための作品は、よりアマチュアが手に取りやすいリコーダー用に編曲された。ここに収録された合奏協奏曲 Op.6も、2つのリコーダーと通奏低音のために編曲され、楽曲順も並び変えられ物。また、バベルの協奏曲は、当時の人気リコーダー奏者が、オペラの幕間に演奏した物。18世紀初頭のロンドンは音楽が盛んで、同時にリコーダーの最後の栄光の時代でもあった。当時のリコーダー奏者たちが聴衆を魅了している様子が目に浮かぶような、楽しくも華やかな編曲に心躍る1枚となっている。ラ・レヴーズは、バンジャマン・ペローとフロランス・ボルトンによって設立された古楽アンサンブル。これまでにMIRAREからもリリースがあったが、ハルモニアムンディからの登場となる。17-18世紀の音楽をメインのレパートリーとしている。
ペルト
 主よ、平和をあたえたまえ(無伴奏混声合唱のための)/石膏の壷をもつ女性(無伴奏混声合唱のための)/
 マニフィカト(無伴奏混声合唱のための)/今こそ主よ、僕を去らせたまわん(無伴奏混声合唱のための)/
 スターバト・マーテル(無伴奏合唱と弦楽オーケストラ)

ヴァスクスプレインスケープ(混声合唱、ヴァイオリン、チェロ)
マクミランミゼレーレ(無伴奏混声合唱のための)
 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.、ドミトリー・アンサンブル
 ジェイミー・キャンベル(Vn) オリヴァー・コーツ(Vc)
 録音:2018年7月。ペルト(エストニア)、ヴァスクス(ラトヴィア)、マクミラン(スコットランド出身)の作品を収録。真摯かつ静謐な空気をまとったペルトの祈りの音楽は、声の迫力が圧倒的な美を生み出している。ヴァスクスの作品はチェロとヴァイオリンが旋律を奏でる後ろで合唱が美しい背景となって響く感動作。マクミランの「ミゼレーレ」は、ペルトの作品と同様、古くから伝わる音楽素材も取り入れながら作られたもので、短調で描かれる罪から、長調で歌われる希望へと向かう推移も非常に美しい作品となっている。
ピエール・アンリ(1927-2017):
 CARNET DE VENISE(ヴェネチア記)〜モンテヴェルディの時代のヴェネチアへのいざない
  スタジオ・SON/RE(2002年)
 フランスの現代音楽作曲家、ミュジーク・コンクレートの第1人者、ピエール・アンリによる、モンテヴェルディ時代のヴェネチアへのいざない。ここでは「CARNET DE VENISE(ヴェネチア記)〜モンテヴェルディの時代のヴェネチアへのいざない」と題し、モンテヴェルディのマドリガーレ風な作品を導入に、カモメの鳴き声やゆきかうゴンドラの櫂の音など、ヴェネチアの町の様々な音を電子音で表現したトラックが続き、その後も古楽風のトラックと電子音のトラックが入り混じりながら作品は進む。2003年、ナントで行われたラ・フォル・ジュルネ音楽祭の委嘱作品ということで、ジャケットにはフォル・ジュルネ音楽祭のプロデューサーのレーベルMIRAREのロゴもあしらわれた共同制作盤となっている。
マシュー・ロック(1621頃-1677)/セバスティアン・ドセ再構成:歌劇「プシュケ」
 〔初演:1675年2月27日、ロンドン、ドーセット・ガーデン|5幕からなる劇的オペラ|
  音楽:マシュー・ロックおよびジョヴァンニ・バッティスタ・ドラーギ(ドラーギが書いた分は消失)|
  リブレット:トーマス・シャドウェル(1642頃-1692)|
  モリエール、キノー、コルネイユとリュリの「プシュケ」に基づく〕

 セバスティアン・ドセ(Cemb)指揮アンサンブル・コレスポンダンス
 ルシール・リシャルドー(Ms) デボラ・カシュ(S) マルク・モイヨン、アントナン・ロンドピエール(T)他
 録音:2020年7月28日-8月5日、ジェズイット教会、サントメール。イギリスのオペラ史初期における重要な傑作「プシュケ」の登場!フランスでリュリ、モリエール、コルネイユ、キノーが共同で創作した「プシュケ」(プシシェ)(1671)の大成功をうけて制作された、ロックの「プシュケ」(1675)は、ヨーロッパ大陸のオペラに負けぬようにと、演劇、歌、ダンスといった要素のほか、装置や背景といった実際の舞台面もこのうえなく豪華な上演がなされた作品。歌唱パートはもちろん、器楽、そして合唱すべてが非常に充実して書かれており、聴きごたえ満点。英国で、ロックの「プシュケ」が生まれるきっかけとなったのは、フランスでルイ14世の肝いりで制作され大成功をおさめたリュリ作曲の「プシュケ」(プシシェ)(1671年初演)。モリエール、キノー、コルネイユ、リュリという当時の最高峰の芸術家たちが中心となり、わずか数週間という期間で完成された。1671年の実際の上演にあたっては何百人もが雇われ、膨大な費用がかかったそうだが、それに見合うだけの大きな成功を収め、観客に感動と興奮を与えた。この作品の成功と素晴らしさはすぐに海峡の向こう側にも伝わり、テキストは英語に翻訳された。そして、1673年、ヨーク公(のちのジェイムズ2世)の結婚を祝うために、この英訳されたテキストをもとにイギリス初のオペラを創造せよと、トーマス・シャドウェル、マシュー・ロックとドラーギの三名に白羽の矢が立った。1675年2月に初演されたが、この初演は、イギリスのオペラの歴史の中でももっとも重要なイベントとして今も英国史に輝いている。初演と同じ1675年に、台本と楽譜が出版された。楽譜はロックが出版したため、ドラーギが担当した音楽が含まれておらず、現在ドラーギが担当した部分は消失、という形となっている。しかしながら、台本自体にきわめて詳細に、場面場面での楽曲、楽器編成から歌手の立ち位置、繰り返しに至るまでの指示が記されていた。この楽曲指示とロック出版の楽譜を照らし合わせて、楽譜に載っていない楽曲が、ドラーギが担当した部分と考えられる。ドセは、こうした消失した楽曲(おもに場面転換の器楽曲)にふさわさいい作品を、まず初めにドラーギの現存する作品から捜索したが、既存作品を移調することなども含めて試行錯誤してもうまくいかない。そこでドセは、リュリとロックの既存の作品から、場面にふさわしいものを注意深く選び、この英国版「プシュケ」を再構成して完成させている。プシュケのあらすじは、3人姉妹の一番下でもっとも美しいプシュケが主人公。彼女の美しさに嫉妬した姉たちが恋の神クピードに卑しい男とプシュケを結婚させるよう唆すが、クピードは誤って自分を矢で傷つけてしまい、プシュケとクピードは夫婦となる。その後プシュケが誤ってクピードをやけどさせてしまって、その介抱で衰えた自分の美しさを取り戻すために黄泉の女王プロセルピナのもとを訪れる、そこで、絶対に開けてはいけないと言われながら美しい金色の箱を受け取り、それを開けてしまい、神々の仲間入りを果たす、といった物語。ここではプシュケ自身には歌はなく、姉妹やほかの女神など、他の登場人物たちおよび合唱によって、物語が進行されるが、非常に大規模で完成されたアンサンブルに驚かされる。物語の進行に何役も買っている合唱のパートの充実した美しさも印象にのこる。
無分別 [Indiscretion] 〜18世紀の出版物によるスコットランドとアイルランドの民族音楽
 ■ジグ  Robbin Powers Fancy (O 'Farrell's Pocket Companion for the Union Pipes, 1804) /
      Miss Douglas Brigton 's Jigg (A Collection of Strathspey Reels & Country Dances, John Bowie, 1789) /
      Cosey 's Jigg (A collection of favourite Irish Tunes, William Jackson, 1790)
 ■ストラスペイ
   Miss Clementina Sarah Drummond of Perth (A Collection of Strathspey Reels & Country Dances, John Bowie, 1789) /
   The Marquis of Huntley 's Farewell (Napier 's selection of dances & strathspeys, 1795) /
   Mr Moore 's Strathspey (A collection of slow airs, reels, & strathspeys, Duncan Macintyre, 1794)
 ■ソング(ターロック・オキャロラン)
   Mable Kelly (A Collection of the Most Celebrated Irish Tunes, John & William Neal, 1724)
 ■リール
   "Miss Rose of Tarlogie's Reel" and "Mr Reid 's Reel" (both from Collection of strathspeys,
      reels, jigs &c for the pianoforte violin & violoncello, Donald Grant, 1790) /
   Colonel Mc Beans Reel (Choice collection of Scots reels or country dances & strathspeys, Robert Ross, 1780) /
   Anonyme (Scottish airs Manuscript, William Young, 1741)
 ■エア/ふたつのスリップ・ジグ
   Huntingtone Castle (A Collection of Strathspey Reels & Country Dances, John Bowie, 1789) /
   I have a Wife o ' my ain (The Caledonian Muse, Samuel Thompson, 1790) /
   Hey me Nancy (Forty Eight Original Irish Dances Never Before Printed, 1795)
 ■ラメント  Daughters Lament (Colin Campbell 's Instrumental Book, 1797)
 ■ソング  The Tears of Scotland (Land of cakes-Containing six songs set to musick in the true Scots taste, 1750)
 ■エア  And thou wert my own thing / John Hays Bonny Lassie (A Collection of the Choicest Scots Tunes Adapted for
      the Harpsicord or Spinnet and within the Compass of the Voice Violinor German Flute, Adam Craig, 1730)
 ■リール
   The Perthsire Hunt (A Collection of Strathspeys, Reels, Jigs, Abraham Mackintosh, 1797) /
   Mrs James Erskine of Kirkwall 's Reel (A collection of slow airs, reels, & strathspeys, Duncan Macintyre, 1794) /
   Mrs Gillespies Reel (New music for the piano forte or harpsichord, James Johnson, 1785)
 ■エア(ターロック・オキャロラン)
   Miss Noble (A Favourite Collection of the so much admired old Irish Tunes, John Lee, 1780)
 ■ソング  By Moonlight on the green (Wit and mirth, or, Pills to purge melancholy, William Pearson, 1719)
 ■ヴァリアシオン  Jackie Latin (A Collection of Favourite Scots Tunes with Variations, Charles Maclean, 1773)
 ■リール  The Honorable Miss Rollo 's Reel (A Collection of Strathspey Reels & Country Dances, John Bowie, 1789) /
       Drunken Friday (A Second Collection of Strathspey Reels, Robert Petrie, 1796) /
       Kelo House (Thirty New Strathspey Reels, Abraham Mackintosh, 1792)
 ■ヴァリアシオン  Fy Gar (A Collection of the Best Scots Tunes, Alexander Munro, 1732)
 ■ラメント/3つのリール
   Scots Lament by Mr Oswald (The Caledonian Pocket Companion, James Oswald, 1747) /
   Miss Preston Ferntons Reel (A Collection of Strathspey Reels & Country Dances, John Bowie, 1789) /
   Miss Johnstons Reel (A Collection of Strathspey Reels, Malcolm Macdonald, 1788) /
   The Countis of London 's Reel (A Collection of Strathspey Reels & Country Dances, John Bowie, 1789)
 ■ソング(ターロック・オキャロラン)
   Fanny Dillon (A Collection of the Most Celebrated Irish Tunes, John & William Neal, 1724)
 ■ホーンパイプ
   Morepeth Rant (A Second Collection of Strathspey Reels, Robert Petrie, 1796) /
   The Cruskeen Lawn (Collection of Old Established Irish Slow & Quick Tunes, Smollett Holden, 1805) /
   No.2 (A collection of strathspey reels, gigg 's, Charles Stewart, 1799)
 ■ソング  Old Towler (Musical repository,
         A collection of favourite Scotch, English, and Irish songs, set to music, Alex. Adam, 1799)

 ザ・キュリアス・バーズ〔ケルトの不思議な吟遊詩人〕
 アリックス・ボワヴェール(Vn) ジャン=クリストフ・モレル(シターン)
 サラ・ファン・オーデンホーフェ(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ルイ・カペイユ(Hp)
 ブリュノ・ハルレ(トラヴェルソ/ティン・ホイッスル)
 録音:2021年1月。2015年にアリックス・ボワヴェールが結成した古楽アンサンブル、Curious Bards(キュリアス・バーズ[ケルトの不思議な吟遊詩人])。デビュー盤[ex]traditionも好評だったが(HMN916105)、今回は「Indscretion〜無分別」と題し、18世紀の出版物に残されたスコットランドとアイルランドの民俗音楽の素材を探求している。エアやダンスを中心としながらも、タイトルのとおりごった煮的なプログラムは、真摯(シリアス)なものから、踊りだしたくなるようなものまで実に様々。新しい魅力に満ちた1枚。
キャロルの祭典
 ブリテン:主に向かい喜びを歌おう(1961) /テ・デウム ハ長調(1934) /神を讃えよ(1961) /聖ペテロ賛歌(1955) /
  主よ、我を早く救いたまえ(1944-5) /乙女の歌った歌はやさしかった(1931) /聖コルンバヌス賛歌(1962) /
  聖母賛歌(1934) /いちじくの木(1930, rev.1967) /キャロルの祭典 Op.28 /新年のキャロル Op.7 No.5 (1933-5)
 作曲者不詳/ブリテン編曲:柊と蔦(1957) / アイアランド:聖なる少年(無伴奏混声合唱版)(1941)
 フランク・ブリッジ:音楽はやさしい声が死んでも(1904) / ホルスト:これが私の真の愛に対してしたこと(1916)

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.
 ターニャ・ホートン(Hp) エリナー・カーター、アシュリー・チョウ(Org)
 録音:2019年6月、オール・ハローズ教会、ゴスペル・オーク&セント・マイケルズ教会、ハイゲート、すべてロンドン。1985年生まれの指揮者グレアム・ロス率いるケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団。優れた合唱団が目白押しのイギリスでも屈指の実力派団体。メンバーの大半はクレア・カレッジの学生で、若々しくフレッシュな歌声を聴かせてくれる。2010年からグレアム・ロスが指導するようになり、ハルモニア・ムンディからすでに12種のCD をリリースして世界的な評価を受けている。今回は母国の偉大な作曲家ベンジャミン・ブリテンの「キャロルの祭典」をメインに、彼の30年にわたる宗教的合唱曲と、その師筋にあたる3人の先達の美しい作品を集めている。「キャロルの祭典」を除くとあまり聴く機会は多くないが、いずれも魅力的でクリスマスらしい敬虔な気持ちにさせてくれる。「キャロルの祭典」は少年合唱とハープのための作品だが、ここではジュリアス・ハリソン(1885-1963)による混声合唱用編曲を使用。ターニャ・ホートンのハープが陶酔的な美しさで彩る。アルバム最初の3篇は混声合唱とオルガンのためのオリジナル作品だが、ブリテンがオルガンの効果を駆使しているのに注目。またいずれもブリテン好みの ハ長調で書かれ、明るく輝かしい響きを満喫出来る。また1955年の「聖ペテロ賛歌」は彼の生涯のパートナー、ピアーズの名と同じため、熱い思いがこもっているとされる。また18歳の時の作「乙女の歌った歌はやさしかった」は低音域のないアカペラ合唱が不思議な無重力感を味わせてくれる。アイアランドの「聖少年」はピアノや弦楽器にも編曲され親しまれている名旋律だが、ここではアカペラ混声合唱版で非常に感動的な世界を創り上げている。
アイスランド、永遠の音楽
 アンナ・ソルヴァルスドウッティル(1977-):私はひざまずき(2016)(ソプラノ・ソロ、混声合唱と弦楽オーケストラのための)
 ソルケトル・シーグルビョルンソン(1938-2013):お聞きください、天の創り主よ(Heyr, himna smidur)(1973)
 トリグヴィ・M.バルドヴィンソン(1965-):夕べの祈り(Kvoldvers)(2006)
 ヒャウルマル・ヘルギ・ラグナルソン(1952-):アヴェ・マリア(Ave Maria)
 アンナ・ソルヴァルスドウッティル(1977-):お聞きください、天の高みにいる神よ(Heyr tu oss himnum a)
 シーグルズル・セーヴァルソン(1963-):マニフィカト(2018) 世界初録音
 アトリ・ヘイミル・スヴェインソン(1938-2019):マリアに歌う秋の詩「マリアよ、あなたの外套をお貸しください」
 ヨウン・アウスゲイルソン(1928-):おだやかな陽だまりの流れに(Hja lygnri modu)
 スノッリ・シグフース・ビルギソン(1954-):愛の歌「それでもなお、真の愛は育まれる」(Afmorsvisa)
 ヨウン・レイフス(1899-1968):悲歌(Hinsta kvedja) Op.53(弦楽オーケストラのための)
 シーグルズル・セーヴァルソン(1963-):レクイエム(2016) 世界初録音
 シガー・ロス/ガイ・バトン(1988-)編曲:フリョウタヴィーク(Fljotavik)(2008)(ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための)

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.
 ドミートリー・アンサンブル、ステファニー・ゴンリー(Vn) キャロリン・サンプソン(S)
 録音:2021年7月。「火と氷の国」アイスランドは、歌の歴史が音楽の歴史と言われる。ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団を指揮するグレアム・ロスは、この国の音楽に深い関心を寄せ、アイスランドに生まれた作曲家たちと密接なコラボレーションをつづけてきた。過去半世紀のアイスランド音楽に焦点を当てる「氷の国」は、その集大成のひとつと言えるアルバム。このアルバムでは、ソルケトル・シーグルビョルンソンTorkell Sigurbjornsson (1938-2013)が13世紀の詩に作曲した「お聞き頂きたい、天の創り主よ」、アトリ・ヘイミル・スヴェインソンAtli Heimir Sveinsson (1938-2019)の「マリアに歌う秋の詩」、ヨウン・アウスゲイルソンJon Asgeirsson (1928-)の「おだやかな陽だまりの流れに」、スノッリ・シグフース・ビルギソンSnorri Sigfus Birgisson (1954-)の「愛の歌」といった、アイスランドの人々に広く愛されている作品とともに、「今」の作曲家たちの書いた新しい作品も演奏される。アンナ・ソルヴァルスドウッティルAnna Torvaldsdottir (1977-)の「私はひざまずき」は、ブクステフーデの「われらがイエスの四股」に対する現代の作曲家たちの「答え」のひとつとして、「膝」を題材にしたグヴズルーン・エーヴァ・ミーネルヴドウッティルの詩に作曲された作品。「ルカによる福音書」の「マリアの賛歌」(1章46節 -55節)をテクストとするシーグルズル・セーヴァルソンSigurdur Savarsson (1963-)の「マニフィカト」は、グレアム・ロスによるケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団のための委嘱作。2016年に作曲された彼の「レクイエム」は、これが初録音。トリグヴィ・M.バルドヴィンソンTryggviM / Baldvinsson (1965-)の「夕べの祈り」は、聖職者ハトルグリームル・ピェートゥルソンの「闇の中の導きの光、キリスト」を詠んだ詩に作曲され、2021年、ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団によりハトルグリーム教会で歌われた。このアルバムのプログラムには、アンナ・ソルヴァルスドウッティルの「私はひざまずき」で演奏したドミートリー・アンサンブルによる弦楽オーケストラ曲が2曲、含まれている。交響曲「サガの英雄たち」(BIS730)などの作品によりアイスランドでもっとも国際的に知られる作曲家、ヨウン・レイフスJon Leifs (1899-1968)が母の死を悼んで作曲した「悲歌」。アイスランドの西部フィヨルド地方の湾を歌ったロックバンド「シガー・ロス(シーグル・ロウス) SigurRos」の「フリョウタヴィーク」は、ドミートリー・アンサンブルのヴァイオリニスト、ガイ・バトンGuy Buttonの編曲で演奏される。セッションにはイギリスのソプラノ、キャロリン・サンプソンが参加。「私はひざまずき」と「レクイエム」の「永遠の光(Lux aterna)」のソロを歌っている。
世界のオルガン Vol.1 〜シチリアのオルガン
 *サン・フランチェスコ教会、カステルブオーノ、製作者不祥、1547年[録音:2020年10月-11月]
   マルコ・アントニオ・カヴァッツォーニ(1490頃-1560頃):リチェルカーダ/ Madame vous aves mon cuor
   ピエトロ・ヴィンチ(1525-1584頃): Il gambaro con denaretto
   アントニオ・ヴァレンテ(1520-1581):バッロ・ロンバルド/幻想曲 / 作曲者不詳: Pavan dan Ver
   ジョヴァンニ・デ・マック(1548/50-1614):ストラヴァガンツェ第2番
   アントニオ・イル・ヴェルソ(1560頃-1621):バビロンの対位法 (cor1)
 *聖パンタレオーネ教会、アルカーラ・リ・フージ、ジュゼッペ・スペラデオ、1666年制作[録音:2020年9月]
   ロッコ・ロディオ(1535-1615):リチェルカーダ第5番 / ヴァレンテ:炎のような美 / ヴィンチ:ヴィンチ
   セバスティアン・ラヴァル(1550頃-1604):
    Ricercar del secondo tono, trasportato in quattro fughe d'accordo
   ベルナルド・ストラーチェ(17世紀中頃):フォリア
 *聖霊教会、ノート、パオロ・グリマルディ、1726年制作[録音:2020年1月]
   シジズモンド・ディンディア(1582頃-1629頃): O gioia de ' mortali (s/vn)
   バルトロメオ・モンタルバーノ(1598頃-1651):シンフォニア第2番「 Zambiti 」 (s/vn)
 *聖マリア・アスンタ教会、フィカッラ、アニバーレ・ロ・ビアンコ、1714年制作[録音:2020年1月]
   エルコーレ・パスクィーニ(16世紀中頃-1619):トッカータ第4番 / デ・マック:ガリアルダ第1番
   ジョヴァンニ・マリア・トラバーチ(1580頃-1647):フランス風カンツォン第2番 / パスクィーニ: BDHP
 *聖バシリオ・マドーレ教会、レガルブート、ドナート・デル・ピアノ、1775-82年制作(大オルガン)/
               製作者不祥、18世紀頃製作(小オルガン)[録音:2019年12月-2020年1月])(#)
   パスクィーニ:トッカータ第3番
   ルカ・マレンツィオ(1553頃-1599): Basti fin qui le pen 'e i duri affanni (org2/cor2)
   ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(1525頃-1594):愛する者よ、あなたはすべてに美しい
   ヴィンチェンツォ・ガッロ(1560頃-1624):主は言われた(org2/cor2)
   ジローラモ・フレスコバルディ(1583-1643):カンツォン第4番(org2/vn/cor2)
   グレゴリオ・ストロッツィ(1615-1687):コレンテ / ディンディア: Forse avverra (org2/s)
   ラヴァル:平和を与えたまえ(org2/cor2) / ストロッツィ:トッカータとパッサカリア

 アルノー・ド・パスクアル(Org) フランソワ・ゲルリエ(Org2;org2)
 カミール・フラシェト(コルネット;cor1) サラ・デュビュス(コルネット;cor2)
 ペリーヌ・ドヴィレール(S;s) ジェローム・ファン・ワーベーケ(Vn;vn)
 録音:[内]、すべてシチリア州、イタリア。# (#)の大オルガン&小オルガンの引き分けについては、代理店のアナウンスに矛盾があるため省略しました。ハルモニアムンディが半世紀以上前にリリースした「ヨーロッパの歴史的なオルガン」。当レーベルの代表的な録音として知られるが、そのシリーズを上回る一大プロジェクト「世界のオルガン」シリーズが始動!記念すべき第1弾はシチリア。イタリア、シチリア州には16世紀から18世紀に建造された歴史的オルガンが今もなお現存しておりその音色を守ってきた。当アルバムでは5つの教会、計6つの歴史的オルガンの音色を十分に堪能できる内容。パイプオルガンが1台1台全く異なる個性を示し、その音色を今に伝える有形遺産をここに聴くことができます。演奏は天才鍵盤奏者アルノー・ド・パスクアル。ハルモニアムンディといえば、バンジャマン・アラールがJ.S.バッハの鍵盤のための作品全集録音を遂行中が、この「世界のオルガン」もまた注目のシリーズ開始と言えるだろう。ブックレット(仏・英・伊)には各オルガンの写真に加えて、オルガンのストップ表、ピッチ、修復年などの詳細を記載。資料的価値も高い内容。
アラン・プラネス〜ショパン:夜想曲全曲(全21曲)
 〔第1番 変ロ短調 Op.9 No.1 /第2番 変ホ長調 Op.9 No.2 /第3番 ロ長調 Op.9 No.3 /第4番 ヘ長調 Op.15 No.1 /
  第5番 嬰ヘ長調 Op.15 No.2 /第6番 ト短調 Op.15 No.3 /第15番 ヘ短調 Op.55 No.1 /
  第16番 変ホ長調 Op.55 No.2 /第7番 嬰ハ短調 Op.27 No.1 /第8番 変ニ長調 Op.27 No.2 /
  第9番 ロ長調 Op.32 No.1 /第10番 変イ長調 Op.32 No.2 /第11番 ト短調 Op.37 No.1 /
  第12番 ト長調 Op.37 No.2 /第17番 ロ長調 Op.62 No.1 /第18番 ホ長調 Op.62 No.2 /第13番 ハ短調 Op.48 No.1 /
  第14番 嬰ヘ短調 Op.48 No.2 /第21番 ハ短調 遺作/第19番 ホ短調 遺作 Op.72 No.1 /第20番 嬰ハ短調 遺作〕

 アラン・プラネス(P|使用楽器:プレイエル、1836年製
 録音:2019年11月、スペイン。巨匠プラネスが、ショパンのノクターン全曲を録音した。プラネスはこれまでにドビュッシーやショパンを録音し、それぞれのレパートリーに最適な時代の楽器を選択している。今回プラネスが使用した楽器は、1836年製のプレイエルのコンサート・グランド。ちょうどノクターンの多くが書かれた時期に作られた楽器。この楽器は標準モデルよりも大きなサイズ(2.40m)で、すでに現代のピアノに匹敵する音量を擁している。ハープのように軽やかな高音域、ベルベットのような中音域、丸みを帯び澄んだ低音域の3つの音域が、現代の均一な音色のピアノよりもよく混じりあって響く。「ベル・カント」に見せられたショパンが、ピアノを歌わせるための新たなアプローチを展開し、その創意の粋を詰め込んだ楽曲の数々を、プラネスが独特な音色のパレットで見事に響かせている。プラネスは1948年生まれ。5歳でピアノをはじめ、8歳でオーケストラと共演。パリ国立高等音楽院でジャン・ドワイヤンにピアノを、ジャック・フェヴリエに室内楽を師事、1970年に渡米し、メナヘム・プレスラーとインディアナ大学で一緒になった。伴奏者として、フランコ・グッリ、プリムローズ、シュタルケルらとの共演を重ねた。1977年にフランスにもどり、アンサンブル・アンテルコンタンポランのソリストを勤め、様々なフェスティヴァルで演奏(1981年まで)。以降は世界各地で演奏活動を展開、LFJで来日もしている。
SANCTISSIMA 〜聖母マリアの被昇天の祝日のための晩祷と祝祷
 CD1: Vespers
   Bells / パレストリーナ(c.1525-1594): Assumpta est Maria
  作曲者不詳(聖歌): Deus in adjutorium / Assumpta est Maria in calum
  ダヴィド・ベドナル(1979-): Assumpta est Maria
  作曲者不詳(聖歌): Dixit Dominus / Assumpta est Maria / Maria Virgo assumpta est
  オリヴィエ・ターネイ(1984-): In Homeward Flight
  作曲者不詳(聖歌): Laudate pueri / Maria Virgo assumpta est / In odorem unguentorum quorum currimus
  ジョン・ジュベア(1927-2019): Reflection on the plainchant antiphon ‘In odorem
  作曲者不詳(聖歌): Latatus sum / In odorem unguentorum quorum currimus / Benedicta filia tua Domino
  ジル・スウェイン(1946-): Benedicta filia
  作曲者不詳(聖歌): Nisi Dominus / Benedicta filia tua Domino / Pulchra es et decora filia Jerusalem
  キム・ポーター(1965-): Pulchra es et decora*
  作曲者不詳(聖歌): Lauda Jerusalem Dominum / Pulchra es et decora, filia Jerusalem / Ave Maris Stella
  ジェイムズ・マクミラン(1959-): Ave Maris Stella
 CD2: Vespers & Benediction - Vespers
  作曲者不詳(聖歌): Exaltata est / Hodie Maria Virgo calos ascendit
  ジュリアン・アンダーソン(1967-):マニフィカト
  作曲者不詳(聖歌): Hodie Maria Virgo calos ascendit / Benedicamus Domino
  - Benediction
  サンドストレム(1942-2019): O salutaris hostia / フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599): Ave Virgo sanctissima
  マシュー・マルタン(1976-): Sanctissima / サンドストレム(1942-2019): Tantum ergo
  作曲者不詳(聖歌): Adoremus / Ave Regina calorum / フェリーチェ・アネーリオ(1560-1614): Ave Regina calorum

  ORA シンガーズ
 録音:2017年1月、8月。聖母マリアの被昇天を祝う晩祷と祝祷の礼拝を、ルネサンスの名曲と現代の名作、そして伝統的な聖歌によって作り上げたプログラム。礼拝に実際に参加しているような厳かな気分になると同時に、幻想的で奥深い合唱曲の世界にいざなわれる魅惑の2枚組。ORAシンガーズは、英国の合唱アンサンブル。何世紀にもわたる英国の合唱の伝統を現代風にアレンジしており「音楽の彗星」とも評されている。現代合唱曲の世界有数の委嘱者であり、100 名の作曲家に100の新曲を委嘱することを目標に掲げている。2018年のオーパス・クラシック賞でアンサンブル・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、その「揺るぎないエレガントな」演奏と「素晴らしくエキサイティングな」録音の両方で批評家の称賛を浴びている。
ヒメノ、アムラン/他〜メシアン(1908-1992):
 ピアノ、オンド・マルトノと大管弦楽のための
  「トゥーランガリラ交響曲(1990年改訂版)
マルク=アンドレ・
 アムラン(P)
ナタリー・フォルジェ
(オンド・マルトノ)
グスターボ・ヒメノ指揮
トロントso.
 録音:2023年5月、ロイ・トムソン・ホール、トロント、カナダ。トゥーランガリラ交響曲。メシアンの最初の大規模な管弦楽曲であり、フランス生まれの電子楽器オンド・マルトノが用いられているほか、ピアノやチェレスタなど鍵盤楽器も登場する編成、そしてその壮大なスケールで音楽史上燦然と輝く大名作のひとつ。ここでまた注目の新譜が登場する。管弦楽は、1968年に、小澤征爾指揮メシアン立ち合いのもと、本作を世界初録音したオーケストラであるトロントso. 。1922年に設立された同団の100周年記念の一環として、大変に力の入ったプロジェクトといえるだろう。音楽監督に新しく就任したヒメノ(2020/21のシーズンから音楽監督に就任。ルクセンブルク・フィルの音楽監督でもある)との初共演盤でもある。ピアノにはカナダを代表するピアニスト、マルク=アンドレ・アムラン。マルトノにはメシアン研究家で、ツェンダーやカンブルランら様々な指揮者とも共演しているナタリー・フォルジェ。2016年よりパリ国立高等音楽院でマルトノ科の教授も務めている人物。トゥーランガリラ交響曲はトリスタンとイゾルデの伝説に基づいているが、究極的には「愛の歌」であり「喜びへの讃歌」であるとし、愛について、メシアンは、内省的な部分と壮大な部分、あるいは官能的で親密な部分と巨大なリズム・エネルギーの動き、といった対照的な状態をもって描かれていく。そのダイナミクス、色彩、感情の豊かさを類を見ない物。ヒメノ率いるトロントso. は、すべてのエネルギーを重ね合わせてこの作品に挑み、さらに本作を何度も演奏したことがあるナタリー・フォジェのマルトノの妖しい魅力、そしてこちらも本作を何度も演奏したこともあるアムランの輝かしい音色、すべてが一体となって、このメシアンの大傑作を一大スペクタクルとして響き渡らせる。
クリスティ + テイラー、 Conversation 〜対話
 ガスパール・ル・ルー(1660頃-1707頃):2つのチェンバロのための組曲第1番 ニ短調
 ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):トルコの儀式のための行進曲(町人貴族より)(*)
 ガスパール・ル・ルー:2つのチェンバロのための組曲第2番 ニ長調
 ジャン=バティスト・リュリ:パッサカーユ(アルミードより)(**)
 F.クープラン:メヌトー嬢(クラヴサン曲集第2巻、第7組曲 ト調より)
 ガスパール・ル・ルー:2つのチェンバロのための組曲〔第3番 イ短調/第6番 嬰ヘ短調〕
 マラン・マレ(1656-1728):人間の声(ヴィオール曲集第2巻 組曲第3番 ニ長調より)(*)
 ガスパール・ル・ルー:ジーグ ト長調/2つのチェンバロのための組曲第5番 ヘ長調
  〔 (*):クリスティとテイラーによる2台チェンバロ編曲版| (**):ダングルベールによる2台チェンバロ編曲版〕

 ウィリアム・クリスティ(Cemb
   使用楽器:作者不詳、リヨン、17世紀後半制作〔ロラン・スーマニャック、2000-04年修復〕

 ジュスタン・テイラー(Cemb
   使用楽器:ウィリアム・F.モートン、パリ、1991年制作〔モデル:リュッケルス、1624年製〕
 録音:2023年6月、サン=マルタン=ラール教会。フランス・チェンバロ界の異端児、ガスパール・ル・ルーの作品を、クリスティとジュスタン・テイラーという、フランス古楽界の巨匠と気鋭の奏者による注目の顔合わせで演奏した1枚。ル・ルーは、ルイ14世の治世末期に独自の創意と豊かな音楽を作曲した。ル・ルーの作品は、クープラン・ファミリーの影響をあまり感じさせない。その楽譜は、通常のチェンバロ独奏パートの譜面の下に、2つの旋律とバスの楽譜も併せて掲載されており、トリオ・ソナタとしても、チェンバロ2名(2台)でも演奏できることが示唆されているという大変ユニークな物。組曲の中の小さな舞曲でも、フランス・バロックの小編成の作品の魅力である「親密さ」はあまり感じられず、むしろ彼がシンフォニストであり、非常に豊かなハーモニーを求めていたことが感じられる。クリスティとテイラーは、お互いの見事なセンスとひらめきで、ル・ルーの作品の世界の魅力を存分に響き渡らせている。リュリ、マレ、フランソワ・クープランの作品では、フランス・バロックの魅力を堪能でき、同時に、ル・ルーの特徴とも対照的で、非常に変化に富んだ1枚となっている。
思い出〜マーラー歌曲集
  〔子供の魔法の角笛(*)、若き日の歌(#)、リュッケルト歌曲集(+) より〕
 ラインの伝説(*) /だれがこの歌を作ったのだろう?(*) /ハンスとグレーテ(#) /夏に小鳥はかわり(#) /
 別離と忌避(#) /むだな骨折り(*) /魚に説教するパドヴァの聖アントニウス(*) /この世の生活(*) /
 美しいトランペットが鳴り響く所(*) /私の歌を覗き見しないで(+) /私は快い香りを吸いこんだ(+) /真夜中に(+) /
 美しさゆえにあなたが愛するなら(+) /私はこの世に捨てられて(+) /思い出(#) /ドン・ファンの幻想(#) /
 もう会えない(#) /私は緑の森を楽しく歩いた(#/**) /天上の光(交響曲第4番より)(**)

 クリスティアーネ・カルク(S) マルコム・マルティノー(P;**以外)
 グスタフ・マーラー(P−R;**|使用ピアノ・ロール:ヴェルテ=ミニョン
 録音:2019年4月30日-5月3日|ピアノ・ロール収録:1905年(**) 。世界的ソプラノ、クリスティアーネ・カルクがハルモニアムンディから登場!今後、ハルモニアムンディでリリースを重ねていく予定(これまでにもhmfからはエラス=カサド指揮のメンデルスゾーン:交響曲第2番があった)。第1弾はマーラーの歌曲集。抜群のセンスと、非の打ちどころなく安定したテクニックで、オペラだけでなく歌曲でも、ひとつひとつの楽曲の世界を完璧に作り上げることができる稀有の歌手、カルク。長年のピアノ・パートナーであるマルコム・マルティノーとの完璧なアンサンブルに加え、マーラー自身が演奏したピアノ・ロールとの楽曲も含まれている、なんとも注目の内容。=(ブックレットより抄訳)2018年5月のブルージュの雨の夜。長い一日の移動の後、今まで知らなかった楽器であるヴェルテ・ミニョンのピアノを使ってのリハーサルが予定されていた。そこではオーケストラと一緒にマーラーのリートを歌い、交響曲第4番「天上の光」からのソロに加えて、グスタフ・マーラー自身がヴェルテ・ピアノで録音したオリジナルの伴奏でそのヴァージョンを歌うことになっていた。(中略)グスタフ・マーラーと一緒に音楽を作るという特権を享受することになった。その特別な瞬間は永遠に私の記憶に残り、この録音を通して、私の経験を他の人に伝えていきたいと思う。オーケストラとウェルテ・ピアノの両方でこの「天上の光」を演奏することを提案してくれたイヴァン・フィッシャーに感謝しなければならない。
Hodie Christus natus est 〔今日キリストがお生まれになった〕〜中世のクリスマス音楽
  HODIE!  Hodie Christus natus est (今日キリストがお生まれになった)/
      Uterus hodie Virginis floruit (今日聖母の胎内は) (anonymous Aquitania, 12th c.)
  SPONSUS (excerpts from the Sponsus miracle play, Aquitania, c.1050-1060)
   Adest Sponsus(彼はここにいる)/ Oiet virgines(聞きなさい) (Gabriel) /
   Nos virgines (Song of the Foolish Virgins) / Amen dico (Christ's reply to the Foolish Virgins)
  LUX!  Verbum Patris humanatur, O!(父の言葉が人となった) (anonymous Aquitania, 12th c.) /
     Judea et Jerusalem / Dominus veniet(主が来る)/
     Lux refulget(光がさす) (anonymous Aquitania, 12th c.)
  FLUR DE VIRGINITE
   Clara sonent organa (anonymous Aquitania, 12th c.) /
   Gedeonis area(ギデオンの花) (anonymous France, 13th from a text by Philp the Chancelor) /
   Flur de virginite(処女性の花) (anonymous France, 13th c.) /
   Veine pleine de ducur(甘き喜び) (anonymous England, 13th c.) /
   Edi be thu hevene quene(天の女王、祝福を受けよ) (anonymous England, 13th c.)

 ボストン・カメラータ〔音楽監督:アンヌ・アゼマ〕
 録音:2021年7月、ボストン。もともとボストン美術館収蔵の楽器の演奏・研究の団体として1954年に生まれたボストン・カメラータ。1970年代中ごろに、当時の監督ジョエル・コーエンが率いた演奏会プログラム「中世のクリスマス」は、ノンサッチからLPが発売され、大ヒットとなった。以来、中世のクリスマス音楽は、ボストン・カメラータにとって重要なレパートリーのひとつであり続けている。ここでは、3名の女性シンガー(楽器も担当)、そして2名の器楽奏者たちによる、声と、ハーディ・ガーディやハープ、ビウエラ、ベルなどが織りなす世界は、素朴にして厳粛。各曲の出典は様々だが、ここではおもに11-12世紀のアキテーヌ地方に伝わる音楽からプログラムが構成されている。中世の人々の息遣いまでも伝わってくるようなクリスマスの音楽集。
ベルトラン・キュイエ〜ドメニコ・スカルラッティ:スターバト・マーテル/他
 ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):
  スターバト・マーテル ハ短調/ソナタ〔ト長調 K.144 〜カンタービレ/ニ短調 K.90 /ニ短調 K.213 〜アンダンテ〕/
  歌劇「影の愛とアウラの嫉妬」より〔私は少しずつ感じる/私に少しください/愛の神よ〕/
  カンタータ「ああ、私はどうしたんだろう」〜シンフォニア、カンタービレ・アンダンテ/
  カンタータ「眠っていても、私を愛する者が現れ、なぐさめてくれる」
 チャールズ・エイヴィソン(1709-1770):D.スカルラッティにもとづく合奏協奏曲第3番 ニ短調〜アレグロ

 ベルトラン・キュイエ(Org/Cemb)指揮ル・カラヴァンセライユ
 エマニュエル・ド・ネグリ(S) パウル=アントワーヌ・ベノ=ジャン(CT)他
 録音:2020年10月。 D.スカルラッティといえば、500を超えるウィットに富んだ鍵盤のためのソナタが有名だが、オペラや世俗カンタータのジャンルでも、その発展に大きな足跡をのこしている(資料が散逸しているものも多い)。この盤で、キュイエは、ドメニコが教会音楽にのこした足跡に焦点をあてて作品を選定、録音している。10声部からなるこのスターバト・マーテルは、資料が残されている貴重な作品のひとつなだけでなく、ドメニコの和声と対位法のセンスの素晴らしさを示す傑作。10声部と通奏低音からなる作品だが、ドメニコのハーモニーと対位法の比類なき技巧を示している。‘Inflammatus et accensus 'では、ソプラノとアルトによる、厳しくも激しいかけあいがあり、キリストの磔刑の痛ましさを象徴的に表現しているようだ。カンタータは、ドメニコの初期作品で、メタスタージオのテキストによる物。ドメニコはこのテキストを、あの伝説のカストラート歌手ファリネッリ(本名:カルロ・ブロスキ)から受け取ったという。ほかにも、オペラからの抜粋など、聴きどころ満載の1枚となっている。
STELLA 〔星〕〜ルネサンスの至宝とその反映
 聖歌(作曲者不明):めでたし、海の星
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548頃-1611):アヴェ・マリア(8声)/めでたし、天の女王/めでたし、海の星(4声)/
                        祝福されし救世主の御母(5声)/われは美しき人を見たり/天の女王
 マーク・シンプソン(1988-)アヴェ・マリア(*) / アレクサンダー・カンプキン(1984-):めでたし、天の女王(*)
 フランシスコ・コル(1985-):星(*) / セシリア・マクドウォル(1951-):祝福されし救世主の御母
 ウィル・トッド(1970-):われは美しき人を見たり / ユリアン・ヴァハナー(1969-):天の女王

 スージー・ディグビー(芸術監督)指揮 ORA
 録音:2017年8月 | (*):ORA 委嘱作品、世界初録音。 ORAシンガース、今回は、スペインのトマス・ルイス・デ・ヴィクトリアによるマリアを讃える音楽を中心に、マリアをたたえる同じ歌詞による、ルネサンスの作曲家と現代の作曲家の作品を配した1枚。16世紀の作品のほうが却って斬新な音楽に聴こえたりするから不思議。ORAシンガースはイギリスを代表する声楽アンサンブル。現代が、ルネサンス期に匹敵する合唱音楽の黄金時代であるとし、気鋭の作曲家への新作委嘱は群を抜いている。2018年のオーパス・クラシック賞でアンサンブル・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、その「揺るぎない優雅な演奏」と、「見事で刺激的な録音」の両方で高く評価されている。
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ロト&レ・シエクルのバレエ・リュス
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」(1913年初版) (*) /
           バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年初版) (#)
 * Stravinsky : L’Oiseau de feu (+)
   グラズノフ:バレエ音楽「ライモンダ」第2幕より〔サラセン人の入場/東洋の踊り〕/
         バレエ音楽「四季」〜秋のバッカナール
   シンディング/チャーリー・パイパー編曲:東洋舞曲 Op.32 No.5
   アレンスキー:バレエ音楽「エジプトの夜」より
    〔エジプト女の踊り/蛇のシャルムーズ/ガジーの踊り〕]
   グリーグ/ブルーノ・マントヴァーニ編曲:「抒情小曲集」〜小妖精 Op.71 No.3
   ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年版|全曲)

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2010年10月2日、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ(+) /2010年10月9日、ラン大聖堂(+) /2013年5月14日、アルセナル、メス(*/#) /2013年5月16日、 MC 2 、グルノーブル(*/#) /2013年9月29日、旧オペラ座、フランクフルト(*)、全てライヴ|ピリオド楽器使用|前出・旧品番: Actes Sud, ASM-06 (#/+), ASM-15 (*/#) 〔ともに廃盤、入手不能〕。 CDリリースのたびに世界中に大きな音楽的ショックを与え続けているロト&レ・シエクル。2014年度レコード・アカデミー大賞を受賞した衝撃の名盤「春の祭典」&「ペトルーシュカ」[ASM-015およびKKC-5401、いずれも廃盤]、そして「火の鳥」が入ったアルバム[ASM-06およびKKC-5195、いずれも廃盤]が、このたびharmoniamundiレーベルからあらたな装いで2枚組として再登場する。「春の祭典」は1913年5月29日、モントゥーの指揮によりシャンゼリゼ劇場で初演され、音楽史上最大のスキャンダルとなった。今日では人気曲として、またオーケストラの性能を披露できる好個の楽曲として頻繁に演奏されるが、複雑な変拍子、無理な楽器法など、ピリオド楽器あるいは古楽指揮者には不可能な作品とされてきた。ここでは、まず冒頭のファゴット(1900年ビュッフェ・クランポン製バソン)の音から未知のもので衝撃度満点。また小型のフレンチ・チューバ、小トロンボーンも新鮮で、ピストン・ホルン8本の響きも独特。ロシア的な重量感あふれる音で奏されるのが常だが、この明るいフランス的音色こそまさに初演時の音。目から鱗が落ちる衝撃度。また「春の祭典」初演時1913年版楽譜は自筆のままでパウル・ザッハー財団が所蔵しているが、ロトはこれと1922年ロシア音楽出版社初版のスコア、モントゥー所蔵の1920年代初頭の楽譜を検討、音の間違いとストラヴィンスキーが改訂した箇所をはっきりさせ、1913年5月29日、初演時の音の再現を試みました。「ペトルーシュカ」も初演時1911年版。四管の大編成で、協奏曲風に活躍するはずのピアノがあまり目立たない。ここでは日本人ジャン=ヒサノリ・スギタニが1892年製エラールのピアノで美しい響きを醸し出している。通常のso. がこの版をとりあげると、もっさりと重くなるが、ロト&レ・シエクルは大編成なことを意識させない透明さ。ことにグロッケンシュピールやチェレスタのキラキラした響きが効果的で、ロシア・バレエならではの夢のあふれる世界を創り出している。「火の鳥」全曲でも、この作品が百年前の1910年6月、ピエルネの指揮によりパリ・オペラ座で初演された際の響きを再現している。ピッチこそさほど違和感はないが、弦楽器はガット弦、金管は細管、木管やハープはいずれもフランス製で、パリ音楽院直伝の奏法を遵守しているため、聴感上の印象はかなり違う。ヴィブラートも少なめで、パステル画のような色彩がいかにもフランス風。4管の大編成ながらすっきりしていて、金管の響きが独特。原色的で厚い音というストラヴィンスキーのイメージが一新され新鮮の極み。グラズノフのサウンドも向いていて、作品の爽やかさに痺れさせられる。ブックレットに弦楽器以外すべての使用楽器が明記されていて、貴重な資料となっている。
Face(s) à face(s)
 ガーシュウィン:「パリのアメリカ人」演奏会用組曲/「ポーギーとベス」〜サマータイム
 ジアド・ラーバニ: Nataruna / マヌエル・ドゥトルラン:パガニーニの主題による幻想曲=変奏曲
 ゲンスブール:ラ・ジャヴァネーズ / チャーリー・チャップリン:ライムライト
 バーンスタイン:「ウェストサイド物語」〜アメリカ / ジョアン・ボスコ:酔っ払いと綱渡り芸人
 ジャン=バティスト・アルバン:ヴェネツィアの謝肉祭にもとづく幻想曲 / ラファエル・メンデス:ロマンツァ
 ジャック・イベール:寄港地〜第2曲 チュニス - ネフタ / モリコーネ:ガブリエルのオーボエ(ミッション)

 ロマン・ルルー(Tp/コルネット/ピッコロTp/フリューゲルHr|使用楽器:すべて YAMAHA
 ギヨーム・アントニーニ、マニュエル・ドゥートルラン(Vn)
 アルフォンス・デルヴュー(Va) カロリーヌ・ボイタ(Vc) フィリップ・ブラール(Cb)
 録音:2019年5月26日-29日、シデ・ド・ラ・ミュジーク。フランスの若手トランペットの名手、ロマン・ルルーがハルモニアムンディより登場!ガーシュウィンやバーンスタインの「アメリカ」にはじまり、イベールの寄港地、さらにはゲンズブール(フランス)やブラジルのボスコの作品など、世界を旅しているような気分になれるプログラム。「サマータイム」では、弦楽アンサンブルが醸す思いもかけない硬質な世界に、クールなサウンドで聴かせる。パガニーニの主題による変奏曲では、ちょっと信じがたいような超絶技巧も聴かせてくれる。
Mein Traum 〔わたしの夢〕
 シューベルト(1797-1828):
  「ラザロ」 D.689 第2幕〜レチタティーヴォとアリア「私はどこに・・・力ある者よ、塵の中に/
  「アルフォンソとエストレッラ」 D.732 より
    〔第1幕〜合唱「狩りへ」/第2幕〜レチタティーヴォとアリア「 'O sing mir Vater...Der Jager' 」〕
 シューベルト/リスト編曲:「白鳥の歌」D.957 〜影法師(オーケストラ版)
 シューベルト:交響曲第7番 ロ短調「未完成」D.759 (楽章間に以下ウェーバー作品を挿入)
 ウェーバー(1786-1826):「オベロン」第2幕〜「おお!海の上に浮かぶのはなんと心地よいことか
 シューマン(1810-1856):人魚 Op.69 No.5(女声のための6つのロマンス第1集より)
 ウェーバー:「オイリアンテ」〜レチタティーヴォとアリア
         「どこに隠れよう・・・そして、私は復讐の力に身を捧げる」(抜粋)
 シューベルト:アルフォンソとエストレッラ D.732 〜第3幕 序奏
 シューベルト/ブラームス編曲:タルタロスの群れ D.583
 シューベルト:アヴェ・マリア(エレンの歌第3番) D.839, Op.52, No.6 /
        「ラザロ」D.689 第2幕〜合唱「やさしく静かに」
 シューマン:「ゲーテのファウストからの情景」 WoO.3 第3部〜第5場 アリア「ここは見晴らしがよく」
 シューベルト:神はわたしの羊飼い D.706

 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン(合唱、管弦楽)
 ステファヌ・ドゥグー(Br) ユディト・ファ、ザビーヌ・ドゥヴィエル(S)
 録音:2020年12月、ピエール・ブーレーズ・ホール、フィルハーモニー・ド゙・パリ。「マタイ受難曲」で世界を驚かせたピション&ピグマリオン、注目の新作のテーマはシューベルト。1822年のある朝、シューベルトは様々な思い出(愛する父から何度か拒絶された記憶や、父に拒絶された後絶望の中にさすらう旅をしたこと、母が亡くなった時のことや失恋のことなど)を記した謎めいた文章を書き残した。シューベルトの心の闇、シューベルトの作品の裏に感じられる孤独や絶望といったものの根源が観られるようだ。ピションとドゥグーは、シューベルトの傑作や演奏機会の少ない楽曲、さらに関連あるほかの作曲家たちの作品を注意深く集めて、1枚の広大な絵物語を創り出した。シューベルトが主人公のドラマティックなオペラのようになっている。タイトルの「Mein Traum(私の夢)」とは、フェルディナント・シューベルトがフランツの文章につけたタイトル。
ロト&レ・シエクル再発〜サン=サーンス
 交響曲第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付き」(*) /ピアノ協奏曲第4番 ハ短調 Op.44 (#)
  ジャン=フランソワ・エッセール(P;#) ダニエル・ロート(Org)
  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2010年5月16日、サン=シュルピス教会、パリ(*) /2010年6月16日、オペラ・コミック(#) 、ともにライヴ|ピリオド楽器使用|初出・旧品番: Actes Sud, ASM-04 〔廃盤、入手不能〕。サン=サーンスの交響曲第3番は名作の誉れ高いが、物々しく演奏されるのが常だった。しかし作曲者サン=サーンス本来の資質は軽妙でオシャレ、威圧感や重苦しさとは無縁のはず。そうした疑念を解消する演奏がついに登場した。フランソワ=グザヴィエ・ロトがピリオド楽器オーケストラ「レ・シエクル」を指揮したもので、ピリオド楽器による同曲のCD も初めて。まさに物々しさや重苦しさは姿を消し、テンポも早めで、オルガンも荘厳というより、そよそよと風が吹くような爽やかさ。これぞサン=サーンスが思い描いた響き、とまさに目から鱗が落ちる思いがする。オルガンを受け持つのはフランソワ=グザヴィエの実父で有名なオルガニスト、ダニエル・ロト。パリのサン=シュルピス教会の名器が素晴らしい響きを聴かせてくれる。カップリングはこれもシリアスな曲調で名高いピアノ協奏曲第4番。ジャン=フランソワ・エッセールが1874年製のエラールのフォルテピアノでいとも見事に披露。まるで古典派協奏曲のようなたたずまいとなっている。
クリスティ&レザール・フロリサン〜
  ジャン=フィリップ・ラモー
(1683-1764):歌劇「プラテー」
 ジャック・オトロー(1657-1745)の台本に基づく、プロローグと3幕からなる
 コメディ・リリック(バレー・ブフォン)、1745年3月31日、初演

  マルセル・ベークマン(T;プラテー) ジャニーヌ・ド・ビク(S;ラ・フォリー)
  シリル・オヴィティ(T;メルキュール&テスピス) マルク・モイヨン(T;シテロン&モミュス [Momus] )
  エドウィン・クロスリー=マーサー(B−Br;ジュピテル)
  エマニュエル・デ・ネグリ(S;クラーヌ&アムール) エミリー・レナード(Ms;ジュノン)
  イロナ・レヴォルスカヤ(S;タリー) パドライク・ローワン(B−Br;モミュス [Mommuss] &サテュロス)

  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
  エルヴィン・オルトナー合唱指揮アルノルト・シェーンベルクcho.
 録音:2020年12月、アン・デア・ウィーン劇場|既出映像: C-major (DVD/Blu-ray) 。クリスティが若き頃から50年以上も愛しているラモーの傑作、「プラテー」のCDの登場。2020年12月にアン・デア・ウィーン劇場でロバート・カーセンの演出により上演されたおりの録音(カーセンの演出による待望の「プラテー」は、2014年に新演出として上演されたが、その際は、クリスティが不調だったため、ポール・アグニューが指揮。これはクリスティ指揮による再演ということになる)。ハーヴァードで学んでいた時、クリスティはプロの演奏家として音楽を続けるかどうか迷っていた時期があったそうだが、ラモーのオペラの録音を聴いて、もし音楽を続けずにいたらこうした作品を演奏することもなく、それを一生悔やむだろうと思ったとのこと。それくらいに、ラモーは特別な存在。そして、ラモーの良さを知るには、なんといってもオペラであり、なかでもこの「プラテー」は指折りの傑作だと断言している。クリスティ自身、思い入れのひとしお強い演奏となっている。ラモーの「プラテー」は、1745年に初演、その後1749年に改訂版で再演された。自分はとても魅力的だと思い込んでいる沼の妖精(カエルの女王)プラテーと、ギリシャ神話の神々による喜劇。ラモーの作品の中でも指折りの傑作だが、不思議なほど録音は少ないのが実情。このクリスティによる録音の登場は、大歓迎といえるだろう。1745年版のエンディング、つまりプラテーがひとり沼に取り残されて自分の醜さを嘆いて終わる、という版が採用されている。プラテー役は、当時のヴィルトゥオーゾ歌手でとりわけこうしたコミカルな役も巧みに演じることのできたカウンターテナー、ピエール・ジュリオットを想定して書かれているが、この上演では、特にバロックおよびコンテンポラリーで世界を席巻しているオランダ出身のテノールのマルクス・ベークマンが演じている。「声」というカテゴリーにおさまりきらない自由自在なテクニックと無限なのではと思ってしまう音域の広さ、そして抜群の演技力で、プラテーを演じ切っている(プラテーは本来はカエルの姿だが、カーセンの演出により、ここではベークマンが扮するあまり魅力のない女性(ジャケット写真で横たわっている人物)として描かれ、ファッション界のレジェンド、ラガーフェルドをモデルにしたセレブのデザイナー(=ジュピテル)に弄ばれる、という設定になっている)。他の配役も、バロックにとどまらずオペラなどでも活躍している人気歌手がそろっている。当時の演奏習慣にも精通したクリスティ。チェンバロの用い方ひとつとっても、全曲を通して演奏されていたとはもはやされていないという研究をふまえ、ここでも序曲や合唱、バレエの部分ではチェンバロは演奏されていない。楽器も、当時のピリオド楽器、あるいはそれらの忠実なコピーを用いている。また、クリスティ自身も細部にわたって近しく指導したという合唱も、言葉の美しさが際立っている。合唱は場面ごとに演じている役割が違うが、どこも見事な表情。器楽、声楽陣、合唱、どれをとっても天国的レベル。クリスティがラモーにささげるこれ以上ない謝辞となっている。
ズヴァールト、メルニコフ〜 HORN & PIANO
 ベートーヴェン(1770-1827):ホルン・ソナタ ヘ長調 Op.17
 フェルディナンド・リース(1784-1838):ホルン・ソナタ ヘ長調 Op.34 (*)
 ジョヴァンニ・プント(1746-1803):ホルン協奏曲第1番(ピアノ編曲版)
 フランツ・ダンツィ(1763-1826):ホルン・ソナタ 変ホ長調 Op.28

  トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト(Hr|使用楽器: cor solo by Couesnon, 1900
  アレクサンドル・メルニコフ(Fp|使用楽器:
    クリストフ・ケルン制作〔モデル:アントン・ヴァルター、1796年製〕(*) /
    エドウィン・ボインク修復〔モデル:アロイス・グラフ、1830年頃製〕 (*以外)
 録音:2020年1月、テルデックス・スタジオ、ベルリン。ナチュラルホルンの奏者として世界に名をはせる名手ズヴァールトと、ピアノのメルニコフによるデュオ・アルバムの登場。18世紀のホルンの名手で、ベートーヴェンにもホルン・ソナタの筆を執らせた、ジョヴァンニ・プント( 本名ヤン・ヴァーツラフ・スティフ)ゆかりの作品をプログラムしている。ズヴァールトのプントについての博士研究が下地となったアルバム。ズヴァールトが使用している楽器は、19世紀頃に主にフランスで制作されていた、コール・ソロ、つまりオーケストラではなく、ソロのホルン奏者のための楽器 。その中でも、低音域も出る楽器、コール・バッスを使用。マウスピースは通常使い慣れたものより2ミリ広いコルバスのためのものを使っている。これのおかげで、ホルンの音色がよりベルベットのようになり、つんざくような音色がでなくなり、さらに音域の跳躍もこなせるとのこと。プント自身、16曲のホルン協奏曲をのこし、さらにプントが亡くなった後も同時代の作曲家たちが名手プントに触発されてホルンのための作品を書いた。その中からの選りすぐりを、名手ズヴァールトと、メルニコフによるフォルテピアノというこれ以上ない理想的な組み合わせで聴くことができる、貴重なアルバム。
HMM-935352/54
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ロト&レ・シエクル〜ドビュッシー:歌劇「ペレアスとメリザンド」
 ヴァンニーナ・サントーニ(S;メリザンド) ジュリアン・ベール(T;ペレアス)
 アレクサンドル・デュアメル(Br;ゴロー)
 マリ=アンジュ・トドロヴィチ(Ms;ジュヌヴィエーヴ)
 ジャン・テジャン(B;アルケル) ダミアン・パス(B−Br;医師)
 アドリアン・ジュベール(ボーイS;イニョルド) マテュー・グルレ(B;牧童)
 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル、リール歌劇場cho.
 録音:2021年3月、ラ・セーヌ・ミュジカル、リール歌劇場、配信用無観客上演中心|ピリオド楽器使用。クラムシェル・ボックス仕様。#初出盤 HMM-905352/54 〔 CD ブック仕様〕は廃盤になっています。おそらくほとんど誰も考えなかったドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」のピリオド楽器による録音が登場する。それもロトとレ・シエクルという最高の演奏陣で、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のディスク発表時以上の衝撃。「ペレアスとメリザンド」の声楽パートはフランス語の抑揚による朗誦に終始するが、1987年生まれのソプラノ、ヴァンニーナ・サントーニのメリザンド役をはじめ母国語歌手で固め、自然で美しさ満点。ことにゴロー役のバリトン、アレクサンドル・デュアメルの名演が光る。さらに注目なのがロトとレ・シエクルの作り上げるオーケストラ・サウンド。奇を衒わずあくまでシンプル、室内楽的とさえ言えるドビュッシーの精妙なオーケストレーションを実現。弦楽器以外はすべて1900年前後のフランス製(ブックレットに詳細記載)を用い、明るく透明な音色、ガット弦を用いた弦楽器が無限な柔らかさを醸しているのも魅力。基本的にノン・ヴィブラートなため日本の雅楽のような音響さえ創り出している。ロトによれば地下のシーンでドビュッシーがトロンボーンを用いた理由が、コントラバスの弦と共鳴して不思議な色合いを出そうとしているのも、この演奏で初めて実感できるとのこと。昨今日本でも「ペレアスとメリザンド」が注目されている感があるが、その本家本元による真打として世界中の関心を集めること間違いなし。まさに初めて曲の美しさ、凄さを実感出来る。コロナ禍の2021年3月に配信用に行われた無観客上演をもとに編集。ハルモニア・ムンディならではの高音質録音も光る。2022年初端から大新譜のリリース。
ヒメノ〜ロッシーニ:スターバト・マーテル
 グスターボ・ヒメノ指揮ルクセンブルクpo.
 マリア・アグレスタ(S) ダニエラ・バルチェッローナ(Ms)
 ルネ・バルベラ(T) カルロ・レポーレ(B)
 ヨハネス・プリンツ合唱指揮ウィーン楽友協会cho.
 録音:2019年12月、グランド・オーディトリウム、フィルハーモニー・ルクセンブルク。ヒメノ率いるルクセンブルク・フィルがハルモニア・ムンディ・レーベルから登場する。第1弾に彼らが選んだのは、ロッシーニの「スターバト・マーテル」。ロッシーニがオペラ作曲家としての筆をおいたのちに作曲されたが、その壮麗さが、「スターバト・マーテル」の本来の内容(十字架にかけられたイエスに涙する聖母マリア)にそぐわない、などと批判されることもあるが、その壮麗さや高揚感こそが、この作品を唯一無二の存在で、人々をひきつけてやまないともいえるだろう。ここで、ヒメノひきいる音楽家たちは、作品本来の意味を完璧に理解したうえで、あえて豊饒な声の饗宴と呼んでしまいたくなるような、感動的な朗唱、劇的な管弦楽を展開している。まるでヴェルディのレクイエムかと思うような瞬間もある。それでいながらつねに漂う品格と格調、ギリギリのところでの節度ある表現はヒメノの手腕のなせる業、といえるだろう。豊饒な声に包まれる快感と、オーケストラの素晴らしい音色を堪能出来る。巨匠による名録音もあるが、間違いなくあらたな名盤の一枚といえるだろう。
マラン・マレ:サント=コロンブ氏のトンボー(ヴィオール曲集第2巻|1701年)
 マラン・マレ(1656-1728):組曲 ホ短調/ロンドーのシャコンヌ/組曲 ニ短調/ファンタジー イ長調/
              フォリアのクプレ(スペインのフォリア)/人間の声
 サント=コロンブ(1640頃-1700頃):コンセール44番 トンボー「 Les Regrets 」
 ロベール・ド・ヴィゼ(1650頃-1730):シャコンヌ ト長調

 ラ・レヴーズ[フロランス・ボルトン、エミリー・オードゥイン(バス・ヴィオール)
          カルステン・ローフ(Cemb) バンジャマン・ペロー(テオルボ/バロックG)]
 録音:2022年11月、ベルギー。17-18世紀の音楽を中心に演奏するアンサンブル「ラ・レヴーズ」の最新盤は、マレ。このアンサンブル名は、マレの作品からとられているだけあって、彼らのマレに対する思い入れは格別なものがある。ヴィオラ・ダ・ガンバの楽器の音色がう美しいのはもちろん、その音と音の間に流れる静謐な空気までもが高貴さに満ちた演奏。かと思うと、楽しげな舞曲では居酒屋の喧騒が聴こえるような、美しい変化に満ちている。マレの精神的な師(サント=コロンブ)、マレの友人(ヴィゼ)らの作品も交え、マレの音楽に様々な角度から光をあてた1枚。
ロト&レ・シエクル〜マーラー
 交響曲第4番 ト長調
サビーヌ・ドゥヴィエル(S)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
 録音:2021年11月、セーヌ・ミュジカル RIFFX 第1スタジオ、ブローニュ・ビリヤンクール。ロトとレ・シエクルがマーラーの交響曲第4番のピリオド楽器演奏に挑んだ。第1番「巨人」は同じ組合せで、第5番と3番はケルン・ギュルツェニヒo. と録音し絶賛されたが、シエクル向きと思われる4番も期待が高まる。マーラーの交響曲第4番はまさに20世紀の夜明け1901年11月25日に初演された。大規模な第2、3番の後、伝統的な4楽章構成に復帰したかのような古典的なたたずまいで、マーラー作品中では明るく親しみやすいとされている。レ・シエクルは「巨人」の時と同様に作品が作られた頃のピリオド楽器を用いている。ピリオド奏法基本で、死神が弾くのをイメージした第2楽章のヴァイオリン・ソロもノン・ヴィブラートで繰り広げられるのが新鮮。また随所で響くハープの低音の効果にも驚かされる。終楽章でソプラノ独唱を担うのはサビーヌ・ドゥヴィエル。ラファエル・ピジョンの夫人で、ロト&シエクルともメサジェの「お菊さん」のアリアなどを録音したアルバムをリリースしていて息もピッタリ。明るい声質のノン・ヴィブラートで清らかに天上の生活を歌いながら、どこか残酷で怖い感覚が背後から迫り、一気に最晩年の「大地の歌」へつながる世界に気づかせてくれるかのようだ。ロトはやや速めのテンポで生気に満ち、何よりオーケストラの透明な音色が魅力。マーラーの4番観が完全に覆される衝撃的な演奏で、一見明暗の対照的な第5番との相似性を示してくれる。2021年11月のセッション録音で、強奏部でも豊かに響く音質も極上。超注目盤の登場。
レザール・フロリサン〜ヴィヴァルディ:ヴェネツィアの「大ミサ曲」
 キリエ (RV.587) /グローリアへの導入:モテット「深紅色で描かれた女」 RV.642 /グローリア RV.589 /クレド RV.591 /
 サンクトゥス(グローリア「主を怖れるものは幸いなり」 RV.597 第1曲と、
         「主は言われた」 RV.807 第7曲のコントラファクトゥム)/
 ベネディクトゥス(「主は言われた」 RV.807 第8曲のコントラファクトゥム)/
 アニュス・デイ(マニフィカト RV.610 第1曲と第8曲、およびキリエ RV.587 のコントラファクトゥム)

 レザール・フロリサン[合唱、管弦楽]
 ゾフィー・カルトホイザー(S) ルシール・リシャルドー、レナータ・ポクピク(Ms)
 録音:2020年3月, 10月、パリ。ヴィヴァルディは司祭の資格を持ち、「赤毛の司祭」と呼ばれているが、礼拝などを取り仕切ることはない在俗司祭だった。ピエタ慈善院付属音楽院での教職、およびオペラ作曲家やヴァイオリンのヴィルトゥオーゾとしての活躍がその活動の大部分を占め、教会音楽のジャンルの作曲は比較的少なく、ミサ典礼文のすべてに付曲したいわゆる完成した「ミサ曲」も残されていない。アグニュー率いるレザール・フロリサンは、現存する完成された宗教曲「グローリア」などとともに、ヴィヴァルディのほかの楽曲に、旋律を変えずにミサ通常文のテキストをあてはめ(コントラファクトゥム)たものを組み合わせて、ひとつの完成した「ミサ曲」を作り上げた。素晴らしいソリスト、器楽陣によって、壮麗かつ極上の柔らかさと、音楽することの喜びと音楽への愛にあふれた演奏となっている。
クリスティ〜ヘンデル:オラトリオ「快活の人、沈思の人、温和の人」 HWV.55
 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 レイチェル・レドモント(S) レオ・ジェミソン(ボーイS|トリニティ少年cho.)
 スレテン・マノイロヴィチ(B−Br)
 録音:2022年3月2日-3日、6月5日、フィルハーモニー・ド・パリ。クリスティが、レザール・フロリサンを率いて、最愛の作品のひとつであるヘンデルのオラトリオ「快活の人、沈思の人、温和の人」を録音した。この作品は、オラトリオとセレナータ(小規模なオペラ的作品)あるいは頌歌の中間のような、哲学的・道徳的な目的を持った作品で、やや謎めいた作品とも言われるが、歌詞に即したヘンデルの楽曲づけやオーケストラの書法の見事さ、さらに歌唱パートの旋律の美しさなど、ヘンデルの魅力が満載となっている。クリスティはこの作品に並々ならぬ愛着を持っており、2007年にはパリのオペラ座で上演もしている。この作品は、ロンドンの聴衆がヘンデルのイタリア語のオペラに飽きてきた頃であった1740年の冬に、わずか2週間で書き上げられた。第1部と第2部のテキストはジョン・ミルトンの原作に基づいて、チャールズ・ジェネンズ(メサイアの台本もジェネンズによる)が台本を作った。第3部はジェネンズのオリジナル。第1部「アレグロ」はヘンデルの自画像のようなオルガンのアドリブ部分が含まれ、続く第2部の「ペンセローゾ」ではミルトンの哲学的な言葉が音によって描かれる。そして第3部の「モデラート」では "何事も中庸に(ほどよく=moderato) "ということが大事なのだと歌われている。この作品の準備にあたり、‘Don 't just play the notes, paint every word(音符を演奏するのではなく、ひとつひとつの言葉を描くように) 'と奏者たちに何度も繰り返したというクリスティ。器楽奏者たちは、歌手および歌手の言葉に寄り添って演奏、言葉の抑揚にあわせて表情を変えており、歌手とアンサンブルの驚異的な一体感が生まれている。歌手たちのうまさ、そしてレザール・フロリサン独特の、やわらかでどこまでも自然な抑揚の管弦楽の美しさに圧倒される内容。
ロトのボレロ〜ラヴェル:歌劇「スペインの時」(全曲)(*) /ボレロ
 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 イザベル・ドリュエ(Ms;コンセプシオン;*) ジュリアン・ベール(T;ゴンサルベ;*)
 ロイク・フェリクス(T;トルケマダ;*) トマ・ドリエ(Br;ラミーロ;*)
 ジャン・デジャン(B;ドン・イニーゴ;*)
 録音:2021年3月23日-24日、 RIFFX スタジオ、ラ・セーヌ・ミュジカル、ブローニュ・ビヤンクール。ついにロト&レ・シエクルの「ボレロ」が実現した。過去4枚のラヴェル・アルバムの素晴らしさから、「ボレロ」がどんなものになるか誰もが期待し、実際リクエストも多数寄せられていた。ロト自身「楽器が揃ったら必ずやる」と言っていたが、今回満を持しての録音となった。これが予想をはるかに上回る演奏で、冒頭から15分間釘付けとなる。リズムを打ち続けるのがスネアドラムではなくタンブール(プロヴァンス太鼓)であることと、ピリオド楽器の音色とノンヴィブラート奏法に一瞬ドキリとさせられますが、すぐ既成概念を一新され引き込まれる。変わっていく楽器の音色が知っているものと違うのが新鮮で、ハルモニア・ムンディの録音の良さがそれぞれのニュアンスを絶妙に伝える。ロトは厳格にテンポを守り、じわじわとクレッシェンドしていくものの単調ではなく、むしろリズム感の良さが際立つ。それでいて各奏者のソロには遊び心をまかせている点が民主的であると実感させられる。ラヴェル究極の職人芸による人工美の音楽ながら、官能的とさえいえる情感を示す。ほとんどがボレロ初演時代の楽器で、トランペットのように聴こえる小口径のトロンボーンは初演時に使われたそのものとのこと。ガット弦のエラール・ハープ、ミュステルのチェレスタまで独特な明るい音色に魅せられる。楽譜も新しいクリティカル版により、後に削除されたカスタネットが曲後半に現れる。あまりの鮮烈さにあまたある名盤がかすんでしまう印象を持つ。アルバムのメインは歌劇「スペインの時」。ロトとレ・シエクルにとりオペラや管弦楽のジャンルの違いは重要ではなく、両作品にみられるラヴェルのスペインの出自と愛着、非現実性を追求している。「スペインの時」は約50分の一幕物で、スペイン女性の浮気心をテーマにした笑劇。通常コントラファゴットで代用されるサリュソフォンのパートをオリジナル通りに奏して独特な効果をあげている。歌手陣も好演で、ハバネラのリズムによる大団円の五重唱は圧巻。
ROLLING RIVER
 バーンスタイン(1918-1990):チチェスター詩篇(*)
 ハシュキヴェイヌ [Hashkiveinu] 伝承曲/ジェイムズ・エルプ編曲:シェナンドー
 サミュエル・バーバー(1910-1981):二つの合唱曲 Op.42 〔十二夜/水の上で歌う〕
 ハーバート・ハウエルズ(1892-1983): Take him, earth, for cherishing(大地よ、彼を大切にせよ)
 ジェニファー・ヒグドン(1962-):おお大いなる神秘よ
 キャロライン・ショウ(1982-): And the swallow(そしてつばめは)
 デイヴィッド・ラング(1957-):感染症から身を守りましょう
 ニコ・マーリー(1981-): A Great Stone 〔世界初録音〕 / A Good Understanding
 エリック・ウィテカー〔ホワイテイクル〕(1970-):レナードは空飛ぶマシーンを夢見る

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.合唱団、
 イェスティン・デイヴィス(CT;*) タニヤ・ヒュートン(Hp)
 オウエン・グンネル(Perc) レベッカ・ラーセン、ジェーン・ミッチェル(Fl)
 ジョージ・ジロー、サミュエル・ジョーンズ(Org)
 録音:2022年。グレアム・ロス率いる名門ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団の新譜は、アメリカの合唱音楽。バーンスタインのチチェスター詩篇から、アメリカの民謡「シェナンドー」、さらに世界初録音の楽曲まで、様々な作品が集められている。「シェナンドー」には様々なヴァージョンがあるが、ここで歌われているジェイムズ・エルプ編曲のヴァージョンは、合唱の世界で極めてよく演奏されている。タイトルのROLLIN RIVERは、シェナンドーの歌詞にも現れる言葉。きわめて高い水準での演奏の登場。
ジェズアルド:聖週間のレスポンソリウム ポール・アグニュー(T)指揮
レザール・フロリサン
 録音:2018年9月、アンブロネー修道院。カルロ・ジェズアルドは、当時の他の作曲家とは異なり、とてつもなく裕福な貴族だった。当時の音楽家のほとんどは、雇われの身分だったので、貴族でありながら音楽家であることはむしろ憚られることだったが、ジェズアルドは自分の音楽での業績に、ほとんど強迫観念ともとれるくらいに、誇りをもっていた。そして、当時音楽作品を出版することは自分の地位や条件を向上させるため、新しい仕事を見つけるため、あるいは単にお金のためだったが、ジェズアルドはただ純粋に自分の素晴らしい作品を後世に残すために、自分の作品を出版していた。そして晩年、自分の命が尽きると確信したとき、城の一室を印刷所に改装し、究極のマドリガル集である第5集と第6集、そして聖週間のレスポンソリウムを制作・印刷した。それは、体調を崩した彼が、生涯の最高傑作と自負しているものを後世に残そうとしたことにほかならない。これらは、ジェズアルドが自ら自分の作品の中で最も優れた音楽の中から選んだものといえるだろう。レスポンソリウムは、宗教的マドリガーレと位置付けることも出来る。イースター前の木・金・土曜の典礼(受難の朗読)のために書かれた。聖週間は鐘を鳴らさずに、木の棒を叩いて大きな音を出し礼拝の開始や終了を告げた。このディスクでも、冒頭と最後に木を鳴らす大きな音が入っている。
ヒメノ〜プッチーニ(1858-1924):グローリア・ミサ&管弦楽作品集
 4声による管弦楽をともなうミサ(グローリア・ミサ)(*) /
 弦のためのスケルツォ SC 56 /交響的カプリッチョ SC 55 /弦楽四重奏のためのエレジー「菊」 SC 65

 グスターボ・ヒメノ指揮ルクセンブルクpo.
 シャルル・カストロノーヴォ(T;*) リュドヴィク・テジエ(Br;*)
 パブロ・ララス合唱指揮オルフェオ・カタラ
 録音:2022年5月14日、6月29日、大ホール、フィルハーモニー・ルクセンブルク。ヒメノ&ルクセンブルク・フィルの2022年録音盤は、オペラ作曲家プッチーニの、宗教作品および管弦楽(器楽)作品という注目の内容。プッチーニ(1858-1924)は、5代にわたる教会音楽家一家の末裔だった。10歳前後から聖歌隊員として活動、同時にヴァイオリン、ピアノ、オルガン、作曲などの教育を受けるようになる。そして14歳の時には、教会オルガニスとして演奏していた。若い頃に作曲された宗教的な作品に、モテット、クレド、そして1880年に作曲されたこのグローリア・ミサがある。1876年にヴェルディの≪アイーダ≫にふれてオペラに専念するようになった、と記述されることも多いだが、プッチーニの初期の業績が聖歌、室内楽、管弦楽曲であり、そのキャリアを通じて、頻繁ではないにしてもこれらのジャンルの作品を書き続けていたことを忘れてはならない。ここには、オペラ以外の初期の作品で最も重要なものが厳選されて収録されている。スケルツォは、1881-83年に書かれた弦楽四重奏曲の中のひとつの楽章。ディスク冒頭はグローリア・ミサだが、男声2つ(テノール、バリトン)をソロにもつ、オーケストラと合唱という大編成。非常にきらびやかな作品で、非常に重みのある作品。オペラではないが、やはり、声の扱いが素晴らしいことがよくわかる。そして声を支える管弦楽も表情豊かで充実。ヒメノ率いるルクセンブルク・フィルが懇親の力で演奏していることが感じられる。≪交響的カプリッチョ≫は、ミラノ音楽院を卒業する際の最終試験のための楽曲。冒頭から壮大なオペラの序曲かはたまた映画の幕開けか、というドラマティックさで、さらにアレグロ vivaceの部分は、10年後に作曲した≪ラ・ボエーム≫の序曲冒頭とまるっきり同じであることに驚かされる。イタリアでは亡くなった人に≪菊≫の花を捧げる風習があり、この≪菊≫(もともとは弦楽四重奏作品だが、ここでは弦楽オーケストラで演奏)は、スペイン王(1870-73在位、イタリアのヴィットリオ・エマヌエーレ2世の次男)の死を悼むエレジー。非常にドラマティックな作品。
含・初出時の世界初録音、ロト〜ドビュッシー
 管弦楽組曲第1番[フィリップ・マヌリ補筆完成] (1882-84)
  〔祭/バレエ/夢/行列とバッカナール〕(*) /
 3つの交響的スケッチ「海」(#)
  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル
 録音:2012年2月2日、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ、管弦楽版世界初演時(*) /2012年4月13日、聖チェチーリア音楽院、ローマ(#)、ともにライヴ|ピリオド楽器使用| (*)は当演がなされた近年に草稿が発見されたもので、管弦楽版は当盤が世界初録音だったもの|初出・旧品番: Actes Sud, ASM-10 〔流通在庫限り〕|新リマスタリング。 #以下、初回リリース時のコメントを再掲しています|またまた鬼才ロトがやってくれた。今度は手兵の時代楽器オーケストラ、レ・シエクルとドビュッシーの名作「海」に挑戦。1905年10月、シュヴィヤール指揮のコンセール・ラムルー管により初演された際の響きを再現している。弦楽器はガット弦、金管は細管、木管やハープは当時のフランス製、パリ音楽院直伝の奏法を遵守している。何よりヴィブラートとトレモロに終始するようなこの作品で、ヴィブラートが極力抑えられているため、聴感上の印象はがらりと異なり、雅楽のようでさえある。名演ひしめく作品ながら、目から鱗の落ちる衝撃度第1番ディスク。さらに注目なのが、ドビュッシー初期の作品「管弦楽組曲第1番」の世界初録音。ドビュッシーが20-22歳、パリ音楽院の学生時代の作で、長く失われたとされてきたが、最近草稿が発見され話題となった。オーケストラ版とピアノ連弾版の2種があり、後者はすでに録音もあるが、待望のオーケストラ版は初めて。第3曲「夢」はオーケストラ・スコアが見つからず、他にも不完全な部分があったため、現代フランスの作曲家フィリップ・マヌリが補筆完成させ、2012年2月2日にロトとレ・シエクルがパリで世界初演を行った。演奏時間が30分近くかかる大作だが、ドビュッシーの初期作品に特有のナイーヴな叙情性と人好きするメロディにあふれた魅力作で、オーケストラの響きに若きドビュッシーが私淑したワーグナーの影響が感じられるのが興味津々。ほぼ同時期の「小組曲」や「春」に劣らぬ魅力を湛えていて、ドビュッシー・ファン狂喜間違いない。
再発売〜ロト&レ・シエクル〜リゲティ(1923-2006):
 木管五重奏のための6つのバガテル(1953) /
 室内協奏曲(1970) (*) /木管五重奏のための10の小品(1968)
  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮(*) レ・シエクル
 録音:2016年4月12日-14日、メジャン礼拝堂、アルル&シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ、すべてライヴ|古楽器使用|初出・旧品番: Actes Sud, ASM-26 〔廃盤、入手不能〕|新リマスタリング。 #以下、初回リリース時のコメントを再掲しています|毎回思いもよらぬ企画で、音楽ファンの度肝を抜く奇才指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロト。今回は何とリゲティをとりあげた。リゲティは2016年が歿後10年のまさに現代作曲家。それを古楽器集団のレ・シエクルで演奏するというのが常人には思いつかない発想。木管五重奏のための室内楽曲は、このジャンルで重要なレパートリーとなっているが、古楽器による演奏はもちろん初めて。レ・シエクルのメンバーであるマリオン・ラランクール(Fl)、エレーヌ・ムロ(Ob)、クリスティアン・ラボリ(Cl)、ミカエル・ロラン(バソン)、ピエール・ルジェリ(Hr)の五重奏だが、まず木管楽器の音色の違いに驚かされる。ことにバソンとホルンは、今や絶滅寸前の19世紀的なフレンチ・サウンドを聴かせ、同曲の印象ががらりと変わる。さらに興味津々なのが、ロトの指揮する「室内協奏曲」。13人の奏者のための作品で、各奏者の力量とアンサンブルの難しさで知られる。リゲティならではの猟奇的な音楽が繰り広げるが、パステル画のような明るい音色でとっつきにくさや難解さは皆無。むしろあっと言う間の18分を味わえる。これを聴かずにリゲティは語れない。ロトとレ・シエクルの企画力と実力の脱帽。
クリスティ&レザール・フロリサン〜ハイドン:パリ交響曲集 + ヴァイオリン協奏曲
 交響曲〔第84番 変ホ長調 Hob.I: 84 (#) /第85番 変ロ長調 Hob.I: 85 「王妃」/
     第86番 ニ長調 Hob.I: 86 /第87番 イ長調 Hob.I: 87 (#) 〕/
 ヴァイオリン協奏曲第1番 ハ長調 Hob.VIIa: 1 (*)

 テオティム・ラングロワ・ド・スワルテ(Vn;*)指揮(*)
 ウィリアム・クリスティ指揮(*以外) レザール・フロリサン
 録音:2020年10月(#)、2022年3月(#以外)、シテ・ド・ラ・ミュジーク、パリ、おそらくすべてライヴ。クリスティ率いるレザール・フロリサンが、ハイドンの交響曲を録音した。クリスティは「自分は今、人生において、好きなことをさせてもらえる時期」と語り、ハイドンの作品には絶大な敬意を抱いていて、ハイドン作品はずっとやりたいことリスト(机の上)にあった、という。これまでにもオラトリオは録音してきているが、交響曲!バロックに長年取り組んできた音楽家として、ハイドンの作品に最高級の敬意を払いながら、あらためて真価を問い、ハイドン作品に新鮮味をもたらし、ハイドンのために身を捧げたいと語るクリスティの並々ならぬ思いが詰まったハイドン。レザール・フロリサンの器楽メンバーの素晴らしさがこれ以上ない形で引き出されており、どの音も、喜びと明るさ、そして軽やかさに満ちている。ハイドンの「パリ交響曲」はいずれも当時のパリの新設オーケストラ、コンセール・ド・ラ・オランピックのために書かれたが、ハイドンがウィーンで指揮していたオーケストラはこれよりも小規模だったことなどから、様々な規模のオーケストラが演奏したと考えている。ただ、パリの聴衆のために書かれたということで、フランスが好む華やかさがあり、パリのこの新オーケストラのアンサンブルの正確さと質が生きる作品になっていることは確かとも述べている。ここではVnI=6名、VnII=4-6名、Vla=3-4名、Vc=4-5名、コントラバス2名、そして管楽器という編成で演奏している。ヴァイオリン協奏曲第1番は、エステルハージお抱えのオーケストラ(総勢15名ほど)のコンサートマスターだった、作曲家にしてヴァイオリンの大名手のルイージ・トマジーニのために書かれた作品。弦楽アンサンブルとソロのための作品。クリスティはここで、ド・スワルテに指揮をまかせ、自身はリハーサルの時も本番の時も、オーケストラの中に座っていたという。ハイドンによる、ポルポラ仕込みの洗練されたイタリア様式の熟練が光る名作。ド・スワルテの瑞々しくも大胆な演奏にも注目。ライヴ収録のため、各曲の最終楽章終了後拍手が入る。
バッカナール〜サン=サーンスと地中海
 サン=サーンス(1835-1921):バレエ音楽「パリザティス」
  IDIR (1945-2020): A vava Inouva(歌、チェロとハープ)
 サン=サーンス:タランテラ Op.6(フルート、クラリネットとオーケストラ)
 ラシド・ブライム=ディジェルール(1964-):ホタ・アラゴネーゼへの序曲
 サン=サーンス:ホタ・アラゴネーゼ Op.64
 イスティクバール・メズムムによる即興演奏
 サン=サーンス:あなたの声に私の心は開く(チェロと管弦楽版) / バッカナールのダンス
 サン=サーンス:アルジェリア組曲 Op.64 〜第1曲 前奏曲「アルジェの街」
 イスティクバール・ジダン:即興 / インキレブ: Yababi el Hosn
 サン=サーンス:アルジェリア組曲 Op.64 〜第2曲 ムーア風狂詩曲 / 即興 /  Leyla
 サン=サーンス:アルジェリア組曲 Op.64 〜第3曲 夕べの夢想 / 即興
 フランシスコ・サルバドール=ダニエル(1831-1871):チュニスのモレスクの歌

 ザイア・ジウアニ指揮オルケストル・ディヴェルティメント
 フェットゥマ・ジウアニ(Vc) シルヴィア・カレッドゥ(Fl)
 パトリック・メッシーナ(Cl) ステファヌ=フランス・レジェ(Hp)
 ラシド・ブライム・ディジェルール音楽監督アンサンブル・アメディエ
 録音:2022年11月。チェリビダッケからも認められた女性指揮者、ジウアニによるフランスと地中海の音楽のつながりを見つめるプロジェクト! 2023年1月、ジウアニの伝記的映画がフランスを中心に公開され、大きな話題となっている。大の旅行好きで、特に地中海沿岸の国々によく旅したサン=サーンス。アルジェリアへは18回、ほかにもエジプト、イタリア、スペインにも足を伸ばした。「サムソンとデリラ」の「バッカナール」、「アルジェリア組曲」、エジプトへの旅に触発された「パリサティス」のアバレエ音楽など、旅の影響を受けて書かれた作品は多数にのぼる。このアルバムは、アルジェリアに重きを置いて選曲されている。「アルジェリア組曲」の3つの楽章は、アリジェリアの伝統音楽や古典音楽とならんでプログラムされ、その関連性がよくわかるようになっている。指揮のザイア・ジウアニは1978年、アルジェリア人の両親のもとパリに生まれた。音楽好きな両親のおかげで幼いころからクラシック音楽に親しみ、中でも次第に指揮に興味を持つようになる。16歳の時、パリで開かれていたセルジュ・チェリビダッケのマスタークラスを熱心に受講、チェリビダッケの側近に認められ、アシスタントの一人として指揮をしたその日にチェリビダッケ本人に面会、その後1年半にわたってチェリビダッケの指導を受ける事ができた。当時はまだ女性が指揮者として成功することは難しい時代だったが、チェリビダッケは彼女なら絶対にできると励ましてくれたという。1998年、ディヴェルティメント・シンフォニーo. を設立。いまやその存在感はフランス内外でも広く知られる存在となっている。2007年、アルジェリア国立so. の初の客演指揮者に就任。2023年1月にフランスを中心に彼女の伝記的映画が公開されるなど、ヨーロッパでの注目が非常に高まっている。ディヴェルティメントの首席チェロ奏者でザイアの双子の姉妹でもあるフェットゥマ・ジウアニ、2021年にフランス国立管の首席フルート奏者に就任したシルヴィア・カレッドゥ、フランス屈指のクラリネット奏者パトリック・メッシーナ、ディヴェルティメント創立以来ハープ奏者を務めるステファヌ=フランス・レジェがソロも務める。さらに伝統楽器と歌のアンサンブル・アメディエが加わり、ヴァイオリンと歌のラシド・ブライム=ディジェルール、ウードのユセフ・ザイード、カーヌーンのマハディ・ムキニーニら、多彩な奏者たちを迎えた意欲的な内容となっている。
シュッツ(1585-1672):
 イタリア語のマドリガーレ集第1巻
ポール・アグニュー指揮
レザール・フロリサン
 録音:2022年5月、フィルハーモニー・ド・パリ。シュッツのイタリア語のテキストによるマドリガーレ集第1巻(第2集以降は存在しない)。出版は1611年。イタリアで、ガブリエリのもとで2年間修業を積んだのちの、いわば「卒業制作」的なものだった。ふたつの合唱隊のために書かれており、モンテヴェルディのマドリガーレ集第5巻から6年後のもので、16世紀から続くポリフォニックなマドリガーレの伝統の最高到達点とも言われている。テキストと音楽が実に見事に融合した、素晴らしい傑作として世に残されている。イタリア語の言葉のニュアンスや、言葉の感情を、音楽で見事に表現している。ポール・アグニューの的確な指揮が、若き日のシュッツが作品に込めた思いを美しく響かせている。
ティモシー・リダウト〜ライオネル・ターティスに捧ぐ
 CD1
  ヨーク・ボウエン(1884-1961):ヴィオラ・ソナタ第1番 Op.18
  ライオネル・ターティス(1876-1975): Sunset(日没)
  フランク・ブリッジ(1879-1941):
   2つの小品 H.53 〜第1番 Pensiero(沈思せる人)/アレグロ・アッパッショナート H.82
  ブラームス/ライオネル・ターティス編曲:愛の歌 Op.71 No.5
  シューマン/ライオネル・ターティス編曲:3つのロマンス Op.28 〜第2番 嬰ヘ長調
  フォーレ/ライオネル・ターティス編曲:エレジー ハ短調 Op.24
  ウィリアム・ウォルステンホルム(1865-1931):2つの小品 Op.17 〜第2番 アレグレット 変ホ長調
  クライスラー/ティモシー・リダウト編曲:・愛の悲しみ イ短調
  クライスラー/アラン・アルノルド、ティモシー・リダウト編曲:プニャーニの様式による序奏とアレグロ
 CD2
  ウィリアム・ヘンリー・リード(1876-1942):ラプソディ
  エリック・コーツ(1886-1957)/ジョン・ウィルソン再構築:ファースト・ミーティング(思い出)
  ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):イギリス民謡にもとづく6つの練習曲
  セシル・フォーサイス(1870-1941):ケルト風の歌(Chanson celtique)
  ジョン・アイアランド(1879-1847)/ライオネル・ターティス編曲: The Holy Boy
  メンデルスゾーン/ライオネル・ターティス編曲:無言歌集第1巻 Op.19b 〜第1番 ホ長調
  ライオネル・ターティス: Hier au Soir(昨日の夕べ)
  ウィリアム・ウォルステンホルム/ライオネル・ターティス編曲: The Question(問い) Op.13 No.1
  ヨーク・ボウエン/ティモシー・リダウト補編曲:ベートーヴェンの「月光」ソナタへのオブリガート
   (原曲:ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27 No.2 〜第1楽章)
  レベッカ・クラーク(1886-1979):ヴィオラ・ソナタ

 ティモシー・リダウト(Va)
 フランク・デュプレ(P;CD1) ジェイムズ・ベイリウ(P;CD2)
 録音:2023年4月[CD1]、1月[CD2]、ロンドン。ライオネル・ターティス(1876-1975)は、現代ヴィオラ演奏の父とも賞される、ヴィオラ界の最重要人物。ヴィオラのための作品を数えきれないほど委嘱、さらに名曲をヴィオラのために編曲。さらに、楽器の製造についても助言、ヴィオラのレパートリーと魅力、さらに楽器自体の発展に大きく寄与した。このたび、若手ヴィオラ奏者として注目を集めるリダウトが、ターティス本人の作品や、ターティスの友人や師匠、生徒たちによるターティスゆかりの作品を集めて演奏、2枚組のCDとしてリリースする。ターティスはヴィオラの世界で大きく名を残しているが、そのキャリはピアノからのスタートだった。16歳でヴァイオリンを手に取り、19歳で弦楽四重奏に誘われてそこでヴィオラを発見、たちまち魅了された。最初は独学でヴィオラを学び、1902年にクライスラーの演奏を聴いて、その美しいヴィブラートに衝撃を受ける。その奏法をヴィオラにも取り入れるよう試みた。ボウエンは、ホルン、ヴィオラ、そしてピアノを演奏した音楽家で、ターティストもしばしば共演していた。また作曲にも長け、後期ロマン的なスタイルで、ヴィオラのために2つのソナタ、1つの協奏曲、4つのヴィオラのためのファンタジーなどを残している。CD2に収録のベートーヴェンの「月光」ソナタ第1楽章の編曲も興味深い仕上がり。ターティスより少しだけ後に生まれたブリッジも、作曲家として名を残しているがヴィオラ奏者としても活躍していた。ブリッジは、ブリテンの師匠でもあり、ブリテンにヴィオラの魅力を教えた人物でもある。残念なことにヴィオラの作品はここに収録された「沈思せる人」と、「アレグロ・アッパッショナート」のみ。(「沈思せる人」の対となる未完に終わった「アレグレット」はのちにパウル・ハインドマーシュによって補完されたが、今回は収録されていない)。ターティスが愛奏したブラームス、シューマン、ジョン・アイアランドらの作品、そしてフォーレのエレジーも収録。フォーレのエレジーは、ターティス版を使用。ターティスがアナログ盤で残した録音は、収録時間の関係でカットがあるが、リダウトはノーカットで演奏している。盲目のオルガン奏者ウォルステンホルムの作品は原曲はオルガン曲だが、ターティスがたいそう気に入って編曲した。ターティスはクライスラーの作品を10作ヴィオラ用に編曲しており、その中から2作品を収録。エリック・コーツ、フォーサイス、そしてレベッカ・クラークはターティスの弟子。レベッカ・クラークにヴィオラを演奏するよう勧めたのはターティスだったそう。ヴォーン・ウィリアムズの作品は、ヴィオラの音域に合う6作を演奏している。ティモシー・リダウトは1995年生まれ、王立音楽院で学んだのち、2014年セシル・アロノヴィッツ国際コンクール優勝、2016年ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール優勝。ヴィオラ界の若手の中では最注目の演奏者で、オーケストラとも共演多数、2021年6月には王子ホールでトランジット・シリーズに登場、「詩人の恋」をヴィオラとピアノで演奏し、聴衆に強い印象をのこしたことも記憶に新しい、注目奏者。
Liebe Amalia... 〔愛しいアマリア・・・〕
 C.P.E.バッハ(1714-1788):
  ボヘミア人 [La Boehmer] /トリオ・ソナタ ニ長調 H.575, Wq.151 /
  アリエッタ「 D 'amor per te languisco 」 H.767, Wq.213 /ソナタ ト長調 H.137, Wq.50: 2 〜第2楽章/
  心地よい恋やつれ [Les Langueurs tendres] /歌曲「 Busslied 」H.686: 46, Wq.194: 46 /
   La Xenophon, La Sybille H.123, Wq.117: 29 /フルート・ソナタ イ短調 H.123, Wq.117: 29 /
  歌曲「隣人への愛 [Die Liebe des Nachsten] 」 H.686: 19, Wq.194: 19 / L 'Aly Rupalich H.95, Wq.117: 27
 プロイセン王女アンナ・アマリア(1723-1787):歌曲「クラヴィーアに寄す」(*) /フルート・ソナタ ヘ長調
 W,F,バッハ(1710-1784):ポロネーズ ホ短調 / キルンベルガー(1721-1783):トリオ・ソナタ ハ長調

 ジャン・ブレニャック(バロックFl) ダリア・ファデエーヴァ(Fp)
 ヨアン・ムーラン(Cemb) マリー・ルキエ(Vn)
 ジェニヴァー・ハーディ(バロックVc) ニコラ・ブイユ(バロックFl)
 録音:2022年12月| (*):世界初録音。芸術のパトロンであり、コレクターであり、文人であり、作曲家でもあったアンナ・アマリアゆかりの作品集。フルート奏者のジャン・ブレニャックが、王女のC.P.E.バッハとW. F. バッハ、そして彼女の師であったキルンベルガーらの作品、さらに王女自身の作品を取り入れたプログラムで、18世紀の音楽界のキーパーソンだった王女へのオマージュを捧げます。プロイセン王女アンナ・アマリア(1723-87)は、プロイセン王家の一員でありながら、回想録を残しておらず、生涯を通じて政治とは距離を置いていたため、生涯についての詳しいことはわかっていない。アンナ・アマリアの兄には、フルートの名手であり、音楽への愛で知られる兄フリードリヒ2世がいた。C.P.E.バッハは1740-1767まで彼に仕え、その後、1767年からC.P.E.バッハはアンナ・アマリアの個人的なカペルマイスターに就任する。アンナ・アマリアの書庫には、バッハ一族の作品のほか、ヘンデル、ハッセの作品、そしてC.P.E.バッハのオラトリオなど600冊(巻)を越える楽譜が収められていたという。彼女の交友関係には、モーツァルトやベートーヴェンのパトロンとして歴史に名を残しているスヴィーテン男爵もいた。のちに男爵はモーツァルトやベートーヴェンに与えた影響の源は彼女にもあったのかもしれない。アンナ・アマリアはそのほとんどの作品を破棄してしまったと言われている。ここに収録されているのは貴重な2作。彼女がカロリン・フォン・ブランデンシュタインの詩に作曲した歌曲「An das Klavier」は、ベルリン国立図書館で発見され、この盤が世界初録音となる。フルート・ソナタでは、繰り返しでの装飾の美しさも魅力的。フルート奏者のジャン・ブレニャックは、コンセール・スピリチュエル、レ・シエクル、オペラ・フォーコ、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルなど世界的なピリオド楽器オーケストラで活躍している。室内楽およびソロの分野でも、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、ザビーヌ・デュヴィエルらといったアーティストと魅力的な活動を展開。後進の指導も熱心に行っている。
スラヴ・オペラのヒーローたち
 チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」〜あなたの手紙は/「イオランタ」〜奴は何と言った
 ラフマニノフ:「アレコ」〜カヴァティーナ「月は高く輝く」 / スメタナ:「悪魔の壁」〜唯一人の美しい女の顔が
 モニューシコ:「ハルカ」〜ヤヌシュのアリア「おそらく、溜息のような風が」
 チャイコフスキー:「マゼッパ」〜ああ、マリア、マリア! / ドヴォルジャーク:「いたずら百姓」〜王子のアリア
 モニューシコ:「幽霊屋敷」〜ミェチニクのアリア「わたしの彼女のうちの誰が」
 リムスキー=コルサコフ:「サトコ」〜ヴェネツァの客人の歌 / モニューシコ:「貴人に二言なし」〜太陽を輝かせ
 チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」〜あれがあのタチヤナ?
 ボロディン:「イーゴリ公」〜眠りも安らぎもなく / シマノフスキ:「ロジェ王」〜アポロへの賛歌

  マリウシュ・クヴィエチェン(Br) ウカシュ・ボロヴィチ指揮ポーランド放送so.
 録音:2009年9月、2011年1月、ポーランド放送ヴィトルド・ルトスワフスキ・コンサートホール。ハルモニア・ムンディ・イギリス制作CD第1号。今や同郷のテノール、ピョートル・ベチャワと並び、メトをはじめ世界のオペラハウスを席巻の感のあるポーランド人バリトンのマリウシュ・クヴィエチェン。待望の初ソロ・アルバムの登場。それも彼の故郷ポーランド作品に加え、隣国で言語的にも近いチェコとロシアの名作オペラ・アリアを集めている。1972年生まれ、ワルシャワのショパン音楽アカデミーで学び、1993年にクラクフ歌劇場でパーセルの「ディドとエネアス」のエネアス役でデビュー。1999年にヤナーチェクの「カーチャ・カバノヴァー」のクリギン役でメト・デビュー、2003年には「ラ・ボエーム」のマルチェッロ役で注目された。2011年のメト来日公演のマルチェッロも好演だった。2012年には新国で予定されている「ドン・ジョヴァンニ」が今から話題となっているイチ押しアーチストとなっている。クヴィエチェンの魅力は驚くべき声量の豊かさとやや陰のある美声。さらに役者顔負けの演技力と切れ味のいい立ち振る舞いの美しさにあると言える。今回のアルバムではポーランドを代表するオペラ作曲家モニューシコのアリアが聴けるのも嬉しさの極み。ポーランド本国でのショパンと並ぶ人気が納得できる美しさで、クヴィエチェンは自由闊達、母国ものならではの自信に満ち、ツボを押さえた歌唱で鳥肌が立つほど感動させられる。同様にシマノフスキの「ロジェ王」も数ある録音の中の白眉。さらにロシア語によるチャイコフスキー、ラフマニノフ、リムスキー=コルサコフも絶品。まさにスラヴ・オペラの主人公たちの魅力を最大限にひきだしている。力こぶの入ったボルテージの高さにご期待頂きたい。
ミゼレーレとサヴォナローラの遺産
 アッレーグリ(1582頃-1652):ミゼレーレ
 アニムッチャ(1520頃-1571頃)/サヴォナローラ(1452-1498): Lesu, sommo conforto
 作曲者不詳/サヴォナローラ編曲: Alma, che si gentile / Che fa qui, core?
 ベッティーニ(1489頃-1527): Ecce quam bonum / バード(1539/40頃-1623): Infelix ego
 フィリップ・ヴェルデロ(1480/85-1530/32頃): Letamini in Domini
 エリクス・エセンヴァルズ(1977-): Infelix ego (*) / ジャン・リシャフォール(1480頃): O quam dulcis
 ル・ジュヌ: Tiristitia obsedit me, magno / 作曲者不詳: Ecce quomodo moritur
 クレメンス・ノン・パパ: Tristitia obsedit me, amici・ジェイムズ・マクミラン(1959-):ミゼレーレ

  スージー・ディグビー(芸術監督)指揮 ORA
 録音:2015年2月。(*)はORA 委嘱曲、世界初録音。#当盤の品番記号は HM"W" です。 2014年に設立された声楽アンサンブルグループ、ORA。現代は、ルネサンス時代に匹敵する合唱音楽の黄金期である、と考える彼らは、ルネサンス、および現代の合唱作品を演奏・録音している。アッレーグリのミゼレーレに始まり、マクミランのミゼレーレで終わる、というプログラム。中間には、ミゼレーレのテキストに影響された、当時大きな影響力を持ったドメニコ会修道士のサヴォナローラの作品から、ラトヴィア出身の作曲家エセンヴァルズの世界初録音までをも収録している。
HMF "HARMONIA # NOVA"
 HMN 記号のアイテムは、2018年に発売開始された注目の新人アーティストを起用したシリーズ。なお、下記代理店コメントで『このシリーズから〜』となっているのは、以前同じ "HMN" 記号で発売されていた "Les Nouveaux Musiciens" シリーズのこと。同記号で同趣旨だが、同名シリーズではない。
 『ハルモニアムンディが、久々に新人シリーズをお届けします。イザベル・ファウストやジャン=ギアン・ケラス、さらにはカルボナーレ(クラリネット)といった一流の音楽家たちも、このシリーズから出発しています。今回あらたに始まる「HARMONIA # NOVA」は、アーティストたち自身がプログラムを決めている、というのも注目。ハルモニアムンディが満を持して推薦するアーティストたち、ご期待ください!』

 #当シリーズは当初バジェット〜ミッド・プライスでしたが、途中から新譜が通常価格帯へ以降、さらに2024年9月から既出盤も全点通常価格帯へ変更されました。 HMN 記号商品の下記コメント内に価格に関するコメントがあっても、2024年9月現在では該当しなくなっている可能性がありますので、ご了承のほどお願いいたします。
HARMONIA NOVA #1 - [EX]TRADITION - THE CURIOUS BARDS(ケルトの不思議な吟遊詩人)
 3つのスコットランドのエアのセット〔 The Lads of Elgin / The Hirhlandman kissed his mother / The Fyket 〕/
 3つのアイルランドのエアのセット〔 Sr. Ulick Burk / The Soup of Good Drink / The High Road to Dublin 〕/
 ウェストミーズの熊手(変奏を伴うアイルランド民謡)/シンス・サウンディング・ドラムズ(アイルランドのエア)/
 ハイランド・バトル〔 The March / They Mend their Pace / The Battle Begins /
            The Height of the Battle / The Preparationfor a Retreat /
            The Chief is Killed / The Retreat / The Lamentation for the Chief 〕/
 アイルランド&スコットランドからの3つのエアのセット
  〔 Lady Herriot Hopes / Sir Adam Ferguson 's reel / Bonny Lads 〕/
 2つのアイルランドのエアのセット/ THE DUEL〔マロウの熊手〕(変奏を伴うアイルランド民謡)/
 3つのアイリッシュ・エアのセット〔 Mary O 'Neill / The Lads of Dunse / Port Patrick 〕/
 Kilkenny is a handsome place 〔アイリッシュ・ソング〕/
 アイルランド&スコットランドからの3つのエアのセット
  〔 Raddire en Ougnish / Marquis of Huntly 's strathspey / Mr JoReid 's reel 〕/ King of the Blind /
 3つのスコットランド・エアのセット
  〔 Miss Loraine of Kirkharles / Fight about the Fire side / Lochailis away to France 〕/
 Lady Anne Bothwell 's lament 〔スコットランド・ソング〕

 ザ・キュリアス・バーズ〔 THE CURIOUS BARDS /ケルトの不思議な吟遊詩人〕
  [アリ・ボワヴェール(Vn) ジャン=クリストフ・モレル(シターン)
   サラ・ヴァン・オウデンホーヴェ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)]
 録音:2017年1月。 ゲール、ケルトの音楽を演奏するために結成された5人のアンサンブル、ザ・キュリアス・バーズ。2015年から活動を始め、18世紀のアイルランドとスコットランドの作品を、残されている楽譜・資料を丹念に研究し、印刷譜に書かれているアーティキュレーション、それぞれの楽曲にふさわしいテンポなどを 再検証しながら演奏している。彼らのアイルランド・スコットランドに対する愛情を感じるとともに、その豊かな音楽世界に酔いしれる1枚。
HARMONIA NOVA #2 〜マルク・ブシュコフ(Vn)
 ウジェーヌ・イザイ(1858-1931):
  ファンタジー Op.32(ジャネット・ダンサン編曲/ヴァイオリンとピアノ版)/
  無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番 ホ長調 Op.27 No.6 (#) /
  ノルウェーの伝説 [Legende norvegienne] (*) /あなたが知っていたら [Si vous saviez] (原曲:歌曲)
 ショーソン:詩曲 Op.25(ヴァイオリンとピアノ版)
 マルク・ブシュコフ(1991-):ファンタジー(2015) (#) /メロディー(2015) (#)

 マルク・ブシュコフ(Vn|使用楽器: Jean Baptiste Vuillaume, Paris, 1865
 ゲオルギー・ドゥブコ(P;#以外)
 録音:2015年10月。(*)は世界初録音。 1991年生まれのマルク・ブシュコフによるイザイほか作品集。ブシュコフはヴァイオリン奏者の一家に生まれ、5歳でヴァイオリン奏者だった祖父から手ほどきを受けた。数々の国際コンクールで入賞を果たしている逸材。イザイを敬愛してやまないブシュコフは、この録音にあたり様々に調査を進める中、ベルギー王立図書館で、無名の人物が図書館に寄付したばかりというイザイの自筆譜を発見する。しかも、それを演奏してよいと許可を得た。早速に彼がとりかかったのが、このCDにも収録されている「ノルウェーの伝説」。世界初録音となる「ノルウェーの伝説」は、1882年4月28日という日付が残っており、その2日後に、ベルゲンで初演されたことが新聞に記述されている。イザイはグリーグと面会をし、5月1日に、グリーグの自筆サインつき写真を受け取っている。5月14日にオスロで再びこの作品が演奏されている。1880年に亡くなった、ノルウェーのヴィルトゥオーゾヴァイオリン奏者オーレ・ブルの息子、アレクサンドル・ブルに献呈されている。イザイの晩年の作とされる「ファンタジー」の原曲は、オーケストラとソロ・ヴァイオリン奏者(オケのメンバー?)のために書かれた作品だが、ショット社から発行されているヴァイオリン独奏とピアノのための編曲版が残されているのみ。2楽章から成り、12音技法や、イザイならではの超絶技巧がみられる秀作。ブシュコフ自身の作曲による無伴奏ヴァイオリンのための「ファンタジー」は、ウクライナの民謡に基づく変奏曲となっており、イザイのスタイルを思わせるヴィルトゥオジックな作品。ブシュコフの亡き祖母に捧げる「メロディー」も穏やかでどこか懐かしさを感じさせる旋律が魅力。
HARMONIA NOVA #3 - ZUGUAMBÉ 〜コインブラのサンタ・クルス修道院の典礼のための音楽
 ■序 (Invocatio) Deus in adjutorium
 ■主の誕生 (クリスマス| In Nativitate Domini)
  Octavo calendas Januarii / Calenda de Natal - Hodie nobis cælorum Rex / Responsório /
  Zente Pleto - [Vilancico] de Negro / [Tento do] 4o Tom(アゴスティニョ・ダ・クルス(1590頃-1633) )/
  De peña en peña las ondas - [Vilancico]

 ■聖体祭 (In festo Corporis Christi)
  [Verso do] 6o tom por Dsolre (ディエゴ・デ・アルヴァラド (1570頃-1643))/ Credidi propter – Salmo /
  Sale alumbrando a la tierra - [Vilancico] / [Verso do 1o Tom] (ドム・ホルヘ(17世紀初頭) )/
  Ai amores, Ai mi Dios - [Vilancico]

 ■主の誕生 (クリスマス|In Nativitate Domini)
  Octavo calendas Januarii - Calenda de Natal / Al Neglio de Mandiga - [Vilancico] de Negro /
  [Tento do] 4o Tom(アゴスティニョ・ダ・クルス)/ Al son que los christales - [Vilancico]

 ■昇天祭 (In Ascensio Domini festis)
  Ascendo ad Patrem meum - [Responsório breve] / Oy que los Cielos se alegran - [Vilancico]

 ■Dimissio Benedicamus Domino Pedro de Cristo(ドミノ・ペドロ・デ・クリスト(1550頃-1618))
 ティアゴ・シマス・フレイレ指揮カペラ・サンクテ・クルチス
 録音:2015年11月。 ポルトガル王国初期のもっとも重要な修道院、サンタ・クルス修道院に伝わる典礼音楽。コインブラ大学所蔵の貴重な未出版楽譜資料に基づく演奏。タイトルの ZUGUAMBÉ は感嘆語のようなもので、このディスクをレコーディングするにあたり、フレイレや演奏者たちが感じた音楽の素晴らしさをあらわしているという。指揮をしているティアゴ・シマス・フレイレは、建築、リコーダー、コルネットの修士号をもつ音楽家。現在、博士課 程にて17世紀のポルトガルの未出版の音楽(楽譜)の研究と演奏を行っている。カペラ・メディテラニアなど名だたる古楽アンサンブルとの共演多数。カペラ・サンクテ・クルチスはフレイレが結成したアンサンブルで、自ら音楽監督を務めている。このディスクでは指揮のほか、コルネットも担当している。
HARMONIA NOVA #4 - ジェラードSQ 〜シューマン、ベルク&クルターク
 シューマン:弦楽四重奏曲第3番 イ長調 Op.41 No.3 / アルバン・ベルク:抒情組曲
 クルターク:小オフィチウム(エンドレ・セルヴァーンスキーをしのんで)
  ジェラードSQ
   [リュイス・カスタン・コス、ジュディ・バルドゥレ・ビラロ(Vn)
    ミケル・ジュルダ・サウン(Va) ジェズス・ミラリェス・ロジェル(Vc)]
 録音:2017年4月。 カタルニャ出身ながらフランコ政権に敵視されて、1939年以降は主にイギリスで活躍した作曲家ロベルト・ジェラード(1896-1970)の名を冠し、2010年に結成された弦楽四重奏団が当レーベルへデビュー。 彼らは2013年に Columna Musica からベートーヴェン第3番&ヤナーチェク第1番 (1CM-0328) をリリース、 2016年には同じくスペインの Seed Music からもメンデルスゾーンの第1番、ジェラードの第2番、ラヴェル、トルドラ (SEED001-CD) がリリースされていた。 カタルーニャの作曲家、ロベルト・ジェラール(1896-1970)の名を冠した弦楽四重奏団、ジェラール弦楽四重奏団。2010年のデビュー以来、様々なコンクールで入賞している実力派で、スペインはじめ、ヨーロッパで高く評価されている。 ロベルト・ジェラードは20世紀初頭、シェーンベルクの下で学んだこともあった。彼がいたからこそ、ヴェーベルンやシェーンベルクは、まだファシズムが台頭する少し前のバルセロナをたびたび訪れ、街の文化に驚嘆した。クルタークの作品は彼が尊敬していた二人の作曲家、当時のハンガリーの若手作曲家に大きな影響を与えたエンドレ・セルヴァーンスキーとヴェーベルンを追悼して書かれた。ジェラード弦楽四重奏団のメンバーはクルタークと接したことはないものの、クルタークに近い人物たちから様々なアドヴァイスを受け、満を持してレコーディングに臨んでいる。ほか、シューマンやベルク作品でも熱く緻密なアンサンブルで聴かせる。
HARMONIA NOVA #5 - ブリュノ・フィリップ(Vc)
 ベートーヴェン/カール・ツェルニー(1791-1857)編曲:ヴァイオリン・ソナタ第9番 イ長調 Op.49「クロイツェル」
 シューベルト:夜と夢 D.827 /死と乙女 D.545 /アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821 /セレナーデ D.889

 ブリュノ・フィリップ(Vc|使用楽器: Tononi
 タンギ・ド・ヴィリアンクール(P|使用楽器: スタインウェイ
 録音:2017年4月。 ブリュノ・フィリップは1993年ペルピニャン生まれのチェロ奏者。2011年11月、アンドレ・ナヴァラ国際コンクールで第3位とベスト・リサイタル賞を受賞、そして2014年には難関ミュンヘン国際音楽コンクールで第3位と聴衆賞を受賞、世界のオーケストラと共演、また、クレーメルやタベア・ツィンマーマンらと共演、その実力が注目されている存在。ブラームス&シューマンの作品集 (EVIDENCE, EVCD-0012) でもすでに共演したドミニク・ド・ヴィリアンクールと組んでの登場。ベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを、ピアノ練習曲でもおなじみのカール・チェルニーがチェロとピアノ版に編曲したものが収録されている。ベートーヴェンは、自身の作品(交響曲など)をピアノソロ用に編曲するようツェルニーに依頼していた。この編曲もベートーヴェンによるものかどうかは定かでないが、まずツェルニーはピアノ独奏用に編曲(1837年出版)、1822年頃に、このチェロとピアノ版を完成、チェロ・パートはベートーヴェンのチェロ・ソナタ第4, 5番を初演したヨーゼフ・リンケを想定していたと考えられる。この版は1856年に出版されたが長らく埋もれており、1990年になってドミトリー・マルケヴィッチによって再発見された。ヴァイオリンの原曲とはまた違うスケール感で、ブリュノ・フィリップの豊かな音色とヴィリアンクールのヴィルトゥオジティに驚嘆。シューベルトの名曲アルペジオーネ・ソナタも若手とは思えぬ豊かな表情と、深く息のあったアンサンブルで聴かせる。歌曲トランスクリプションも、歌詞の世界が浮かんでくるような情感豊かな演奏。
Strings Attached 〜カンネルの音色〔編曲:アンナ=リーサ・エラー(+以外) 〕
 バード(1540頃-1623): Rowland, or Lord Willoughby 's Welcome Home
 即興:プレリュード(*) /後奏曲〔第1番(*) /第2番〕/間奏曲 / ダウランド(1563頃-1626):ラクリメ
 ルイ・クープラン(1626-1661):プレリュード ニ短調 / マショー(1300頃-1377): Dame, vostre doulz viaire (#)
 ラモー(1683-1764):クラヴサン曲集第1巻 より〔プレリュード/アルマンド〕/ミューズたちの対話
 ヴァイス(1687-1750):ロジ伯爵のトンボー / ヘレナ・トゥルヴェ(1972-): Silmaja (+)
 フレスコバルディ(1583-1643):聖体拝領のためのトッカータ

 アンナ=リーサ・エラー(クロマティック・カンネル|使用楽器: Otto Koistinen, 2007 /
               電子カンネル|使用楽器: Hannu Koistinen, 2011 /
               プサルテリウム;#|使用楽器: Peeter Talve, 1993
 録音:2019年1月-2月、ラ・クーロワ、フランス。#代理店アナウンスには記号(*)の意味説明がありません。カンネルとはエストニアの楽器で、フィンランドの民族楽器カンテレに似た撥弦楽器。あまり知られていないが、驚くほど多様な音楽の可能性を秘めており、その音色は「天からの音」と表される。カネル奏者のアンナ=リーサ・エラーが、中世のものから、現代のエストニアの作曲家ヘレナ・トゥルベの作品を収録、さらには電子カンネルで即興も行い、カンネルの魅力をたっぷり伝えてくれる。特に電子カンネルを用いた楽曲(即興)では、えもいわれぬ不思議な音世界が広がります。現代作品では、奏法もただ弦をはじいて奏でるだけでなく、弦をこすったり押さえたりすることによって、三味線を思わせるような独特の世界が広がっている。アンナ=リーサ・エラーはエストニア生まれ、カンネルで古楽から現代音楽までを演奏している。エストニア音楽院で学んだのち、リヨン音楽院でリスレヴァンに師事している。ヴォックス・クラマンティスといったアンサンブルとの共演も多数。
HARMONIA NOVA #6 〜アナイス・ゴドゥマール(Hp)
 ルニエ:伝説 / スカルラッティ:ソナタ イ短調 K.109 / C. P. E. バッハ:ハープ・ソナタ ト長調 Wq.139
 フォーレ:即興曲 / ヒンデミット:ハープ・ソナタ / エルサン:バーミヤン

 アナイス・ゴドゥマール(Hp)
 録音:2018年5月、ラ・クロエ、アントレーグ=シュル=ラ=ソルグ。アナイス・ゴドゥマールは1991年生まれのフランスの女性ハープ奏者。リヨン音楽院で学び、さらにローザンヌでも研鑽を重ねた。2012年にイスラエル・ハープ・コンクール優勝して注目される逸材。2016年にClavesレーベルからヒナステラほかの協奏曲のアルバムをリリースして注目された。今回のアルバムは独奏。ルニエの「伝説」、フォーレの「即興曲」、ヒンデミットのソナタなどハープの名作から、C. P. E. バッハのオリジナル作品、さらに現代のエルサンの「バーミヤン」まで多彩なプログラムでハープの魅力を満喫出来る。
HARMONIA NOVA #7 〜マリー・ペルボー(S)
 プーランク:愛の小径(*) / コスマ:タクシードライバーの悪夢(*)
 エルヴェ〔フェリモン・ロンジェ〕:
  「アメリカへの旅」〜ふくらはぎのロンドー/「法王の嫁」〜寄宿者のロンドー(*) /「コサック」〜理髪師の歌
 ジャン・ドレトル:私のランデヴー(*) / レイナルド・アーン:「ルヴュ」〜最後のワルツ
 プーランク:月並み(全5曲) / ドビュッシー:そぞろな悩める心
 セルペット:「赤ずきん」〜宝石の二重唱(#) / オッフェンバック:「ペリコール」〜ほろ酔い歌
 ディオー:エッフェル塔 / メサジェ:「仮面の恋人」〜恋人がふたり
 ドビュッシー:やるせない夢心地/巷に雨の降るごとく
 クルト・ヴァイル:セーヌ哀歌 / ルコック:「百人の乙女」〜大ヴァルス(*)

 マリー・ペルボー(S) ジョゼフィーヌ・アンブロセッリ(P;*)
 パコ・ガルシア(T;#) フリヴォリテ・パリジェンヌ
  [マテュー・フラノー(Cl) ティボー・モドリ(Vn)
   オリアーヌ・ポカール・キエニー(Va) ジャン=ルー・ロジェ(Vc) レミ・フェルメーレン(Cb)]
 録音:2018年10月、ラ・クロエ、アントレーグ=シュル=ラ=ソルグ。マリー・ペルボーはフランス期待のソプラノ。モーツァルトのオペラやバッハの受難曲で注目されるかたわら、オペレッタとシャンソンに力を注ぎ、観客との直接的な関係性に喜びを見出すという見所ある若手。プーランクを得意にするというだけに、洒脱でやや退廃的な声と歌い回しが超新鮮。歌の実力はもちろんながら、作品の歴史的な研究も好きとあって、戦前に姿を消したブールバール劇(フランスのグラン・ブールバール界隈で流行した娯楽劇)の復活を目指して忘れられた楽曲を発掘する学究肌の面もある。ルコックの「大ヴァルス」ではアルプスのヨーデル唱法にも挑戦。当アルバムの魅力は近代フランスのシャンソン系歌曲。プーランクの「愛の小径」でほのかなメランコリーのひだを表し、アーンの「最後のワルツ」では極上のベル・エポックのサロンの雰囲気を味あわせてくれる。ことにアーンの美しさは格別で、宝物にしたくなる。またフランスではないものの、クルト・ワイルの「セーヌ哀歌」も超オシャレ。ロートレックの名画「新聞を読むデジレ・ディオー」のディオー作曲の「エッフェル塔」も貴重。ペルボーの仲間フリヴォリテ・パリジエンヌの伴奏もベル・エポックの香りを現代に再現している。要注目の歌手の出現。
HARMONIA NOVA #8 〜ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ(Org)
 リスト:忘れられたロマンスVa /交響詩「オルフェウス」Va / フォーレ/ロビヤール編曲:シシリエンヌ
 パラディール:幻想Br / ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲Hp
 ヴォルフ/レーガー編曲:メーリケ詩集〜祈りS / レーガー:あなたに会う Op.105 No.1 S
 フランク:コラール第3番 イ短調 / フォーレ:幻の水平線 Op.118(全4曲)Br
 ドビュッシー/ロバン編曲:月の光 / ナディア・ブーランジェ:冬の夕べS/Hp /日没S
 フォーレ:夢のあとに Op.7 No.1 Va

 ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ(Org)
 ウジェーヌ・ルフェーブル(SS ) エティエンヌ・バゾラ(BrBr
 アドリアン・ラ・マルカ(VaVa ) リュシー・ベルトミエ(HpHp
 録音:2018年4月、ロワイモヨン修道院食堂。ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラは1989年生まれのフランスのチェンバロ&オルガン奏者。オリヴィエ・ボーモン、ブランディーヌ・ランヌーに師事、Ambronayレーベルからバッハとその周辺のチェンバロ、オルガン曲のアルバムをリリースして注目されていた。今回はロマン派から近代にかけてのフランスとその周辺の作品で、ベスティオン・ド・カンブーラはロワイモヨン修道院のオルガンを奏でている。フランク、ブーランジェとレーガーの歌曲はオリジナルだが他は編曲で、明記されていないものはベスティオン・ド・カンブーラの手による。目から鱗が落ちるのがドビュッシー。「月の光」は色彩感が増し、長い音価を指定通り伸ばせるため、音が混ざり合う効果を実感出来る。「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」もオリジナルの弦楽の綾がより色彩的かつ効果的に響く。リストの交響詩「オルフェウス」も興味津々。オーケストラ的なサウンドはもちろんながら、フランスの若手実力派ヴィオラ奏者ラ・マルカも加わり不思議な音響を生みだしている。
ひそやかな愛〜シューマン
 悲劇 Op.64 No.3 (ロマンスとバラード第4集 Op.64 より)/ベルシャザル Op.57 /12の詩 Op.35 /
 ライオンの花嫁 Op.31 No.1(4つの歌 Op.31 より)/
 ロマンスとバラード第2集 Op.49 より〔第1曲 二人の擲弾兵/第2曲 憎みあう兄弟〕/5つのリート Op.40

 サミュエル・ハッセルホルン(Br) ヨーゼフ・ミドルトン(P)
 録音:2019年7月、フランス。バリトンのサミュエル・ハッセルホルンは、2018年エリザベート王妃音楽コンクール声楽部門で第1位に輝き、ウィーン国立歌劇場のアンサンブルのメンバーとして、時にベルコーレ(愛の妙薬)やフィガロ(フィガロの結婚)の役割も与えられるなど、活躍していた。ヨーロッパやアメリカの歌劇場で活躍するほか、リート歌手としても頭角を現しており、ウィグモア・ホールでも既にデビューを果たしている。1990年生まれながら、すでに貫録たっぷり、そしてハリと清潔感、知性あふれる歌声が魅力。ピアノのヨーゼフ・ミドルトンは、声楽のピアニストとして引っ張りだこの存在で、王立音楽院で教授も務めている。今回ハッセルホルンが取り上げたのはシューマン。詩を聴いていて今後の展開がどうなるのかと思わず耳をそばだててしまうような内容の歌曲。ハッセルホルンの抜群の歌唱力と描写力、そしてその世界をミドルトンが見事にふくらませている。
HARMONIA NOVA #9 〜サンドロ・ネビェリーゼ(P)
 ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 Op.36 /
        絵画的練習曲集 Op.39 より〔イ短調 Op.39 No.2 /イ短調 Op.39 No.6 〕/ヴォカリーズ
 プロコフィエフ:ロメオとジュリエット Op.75 より Nos.2, 6-7, 10 /
         ピアノ・ソナタ第4番「古い手帳から」 Op.29 /練習曲 ホ短調 Op.2 No.2

 サンドロ・ネビェリーゼ(P)
 録音:2018年10月、フランス。またとてつもない才能の持ち主が現れた。2001年ジョージア生まれのサンドロ・ネビェリーゼ。5歳でピアノを始め、9歳からはマカ・ヴィルサラーゼのもとで作曲も学んでいる。2016年、マツーエフが主宰するフランド・ピアノ・コンクールでグランプリを受賞しているほか、マリインスキー国際ピアノコンクール入賞など、10代にして世界のピアノコンクールで輝かしい成績を収めている。作曲でも才能を発揮しており、ピアノソロ作品のほか、弦楽四重奏曲、オーケストラを伴うピアノ協奏曲などもすでに完成させており、2016年にはピアノ協奏曲第1番 ニ短調(セルゲイ・プロコフィエフに捧ぐ)がジョージアのベスト・コンポジション賞を受賞したのを皮切りに、作曲でも毎年様々な賞を受賞している。さらに文学への造詣も深く、シュールレアリスムの短編小説も自身書いているという驚異的な多才ぶり。トビリシ国立音楽院付属音楽学校を経て、2018年9月より同音楽大学に進学している。マツーエフ主宰の音楽祭で自作を演奏しているほか、音楽祭へも多数参加している。ラフマニノフは自身にとってとても近しく、作品への共感も自然にできると語っており、ここでも冒頭のソナタから、ほとばしるような情熱と説得力で一気に聞き手を自分の世界へと引き込む。プロコフィエフ作品でも圧巻のセンスを発揮している。これからますます世界的に知られる存在となるだろう。
HARMONIA NOVA #10 〜ヤルダニ・トレス・マイアニ(Vn|作曲)| ASTERIA 〜星の夜
  Lamento gitano (farruca) / Fandango popular (fandango de Huelva) / Yahaiouni (compas moro) /
  De roche et de jade (minera) / El afilaor de Torremolinos/ Le Rhone d'Albaron (cancion de cuna) /
  Conductus Maris (solea) / Abbaye de sel (tientos) / Amaro drom (Tango flamenco)

 ヤルダニ・トレス・マイアニ、アルマンド・ガロウェイ(Vn)
 ギヨーム・ルロワ(Va) ナタリー・フォルトンム(Vc)
 エリザベス・ガイガー(Cemb) ライヨ・ヘルムシュテッター(G)
 アントン・フロレンツァ・ファブレガ(Cb)
 ジプシーの音楽世界の空気をたっぷり吸い、クラシックの音楽教育をみっちり受けたヴァイオリニスト・コンポーザー、ヤルダニ・トレス・マイアニが登場。1曲目はピアソラのような世界観、3曲目のソロの作品ではスーフィーをも彷彿とさせるエキゾチックな世界。ヤルダニの多彩な世界が、そのヴァイオリンの確かすぎるテクニックによって、見事な説得力をもって描かれていく。1988年スペイン・アンダルシア生まれ。フランスにおけるジプシー音楽の聖地、サント=マリー=ド・ラ・メールで暮らす。ジャンルを旅するミュージシャンを自称し、様々なジャンルの音楽の演奏に携わる。フランスの若手ヴィルトゥオーゾとして名をとどろかせる一方、バッハ、パガニーニ、エネスコやピアソラらの作品がもつパワーを凌駕するような作品を書いてもいる。フラメンコの要素を取り入れているのも特徴。
l genio inglese 〜天才マッテイス、ロンドンのナポリ人
 ヨハン・ショップ(1590頃-1667):涙のパヴァーヌ(ジョン・ダウランドによる)
 ニコラ・マッテイス(1667頃-1737):
  グラウンド ニ調「 PERFAR LA MANO 」/組曲 変ロ長調/ギターのための組曲/組曲 イ短調/組曲 ニ短調
 マシュー・ロック(1621-1677):組曲 ホ短調 / ゴットフリート・フィンガー(1660頃-1730):組曲 ニ短調
 ジョン・バニスター(1624頃-1679):ヘ調のグラウンドに基づくディヴィジョン(変奏)

 アリス・ジュリアン=ラファリエール(Vn) グランド・フロア
  [エレナ・アンドレイエフ(Vc) エティエンヌ・ガルティエ(テオルボ)
   アンジェリク・モイヨン(Hp) ピエール・ガロン(Cemb)]
 録音:2018年12月。ニコラ・マッテイスは、故郷イタリアを離れてロンドンに渡った天才ヴァイオリニスト。1590年頃に生まれ、1674年頃にロンドンに渡った。ロンドンに渡ってから3年ほどで亡くなったが、その素晴らしい演奏は当時の上流階級の人々を驚かせ、1676年には4巻からなる作品集の出版が始まったほどに、その演奏と人柄で多くのパトロンを得た音楽家だった。ここでは、マッテイスの作品を中心に、当時活躍した音楽家たちの作品を並べて聴くことによって、マッテイスがいかに当時の音楽家に影響を与えたか、ということをうかがい知ることが出来る。ヴァイオリン・ソロを務めるアリス・ジュリアン=ラフェリエールはピアノとヴァイオリンから音楽を学び始め、現在はバロック・ヴァイオリンを活動の中心に据えているアーティスト。アンサンブル・コレスポンダンスなどアンサンブルのメンバーとしても活躍している。彼女の豊かな語り口が魅力の芸術性と、才能豊かなアンサンブル・グランド・フロアのメンバーの雄弁な演奏により、18世紀の偉大な巨匠たちの足跡をたどる秀逸な1枚となっている。
A Poet's Love
 プロコフィエフ/ボリソフスキー編曲:「ロメオとジュリエット」(ヴィオラとピアノのための版)より
  〔前奏曲/街の目覚め/少女ジュリエット/騎士たちの踊り/マキューシオ/バルコニー・シーン/ジュリエットの死〕
 シューマン:歌曲集「詩人の恋」 Op.48 (ヴィオラとピアノのための版)

 ティモシー・リダウト(Va|使用楽器:ペレグリーノ・ディ・ザネット、1565頃-1575制作
 フランク・デュプレ(P)
 録音:2020年7月、ラ・クーロワ。ハルモニアムンディの新進演奏家紹介シリーズから、ヴィオラ奏者、ティモシー・リダウトの登場。1995年生まれ、王立音楽院で学んだのち、2014年セシル・アロノヴィッツ国際コンクール優勝、2016年ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール優勝。ヴィオラ界の若手の中では最注目の演奏者で、オーケストラとも共演多数、2021年6月には王子ホールでトランジット・シリーズに登場、絶賛された。プログラムは、ユースo. に所属していた時に演奏した様々な作品の中でとりわけ強い影響を受け、感動したというプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」と、「詩人の恋」の編曲版。「ロメオとジュリエット」では情景感ゆたかに、時に気品たっぷり、時に大見得を切るような芝居気も見せながら聴かせる。「詩人の恋」でも豊かな音楽性が見事に発揮されている。単に歌のパートをヴィオラに置き換えて演奏しているのではなく、曲によっては、たとえば第9曲「あれはフルートとヴァイオリン」では、ヴィオラはピアノ・パートの右手を、そしてピアノが歌唱旋律を受け持つことによって、この主人公には悪夢のように聴こえる宴のいまわしい賑わいが再現されているなど、作品世界がより意味深長に響く。原曲の歌詞の世界を吟味しつくしたうえで演奏しているので、作品のイメージがより鮮明に浮かび上がって来る。ピアニストのフランク・デュプレは1991年生まれのドイツのピアニスト。最初にジャズ・パーカッション奏者としてスタート、のちにピアノ演奏でも活躍するようになり、とりわけ20世紀と現代に生きる作曲家の作品に力を入れている。さらに指揮者としての顔も持ち、ラトルやロトのアシスタントも務めていたという多才なこちらも注目のピアニスト。
ルイーズ夫人のための音楽
 ■田舎の音楽
  ジョン・フロウ(1649-1708):ヴィーナスとアドニス〜羊飼いよ、みなおいで
  ジャン=バティスト・リュリ(1632-1687):
   アルチェステ、またはアルシードの勝利 LWV 50 〜漁師のためのエア/
   アティス LWV 53 〜歌え、踊れ/ヴェイルサイユの王の大喜遊曲 LWV 38 〜ブレー
  マシュー・ロック(ca.1621-1677):テンペスト〜 Lilk
  ヘンリー・パーセル(1659-1695):アテネのタイモン Z.632 〜それゆえ、あなたのつまらない神と
  作曲者不詳: The Comical History of Don Quixote 〜おろかな英国 / ジョン・ブロウ:この甘い木立で
 ■ソフトな音楽
  リュリ:アティス LWV 53 〜みな、眠れ
  パーセル: Bonduca, or the British Heroine, Z.574 より〔エア/ホーンパイプ〕/
       テオドシウス、または愛の力 Z.606 〜準備せよ、祭りが始まる/妖精の女王 Z.629 〜見よ、夜だってそこに
  サムエル・エイクロイド(1684-1706頃活躍):フランスから最近来たにやけた男が歌う新しい歌
  ジョン・ブロウ:ヴィーナスとアドニス より〔フルートのための楽曲/ヴィーナス!アドニス!〕
  マシュー・ロック:プシケ〜ヴィーナス降臨のためのシンフォニー
 ■狂気の歌
  リュリ: Roland, LWV 65 〜この芝のなんという緑! / マシュー・ロック:プシケ〜悪魔と怒りの歌
  リュリ: Alceste ou le Triomphe d 'Alcide, LWV 50 〜黄泉の国の祭りのエア / 作曲者不詳:暗黒の牢獄から
  ジョン・エックレス(1668-1735): Cyrus the Great, or The Tragedy of Love 〜 Oh! Take him gently from the pile
 ■嘆きの歌
  リュリ:アティス LWV 53 〜天よ!私をつつむ空気
  ジョン・ブロウ:ヘンリー・パーセル氏の死に捧げるオード〜ほら!ヒバリやヒワの声が

 ルシル・テシエ(リコーダー/バロックOb/バロックFg) アンサンブル・レヴィアタン
 録音:2021年9月、サル・コルトー、パリ。フランスのマルチ楽器奏者、ルシル・テシエ率いるアンサンブル・レヴィアタン(リヴァイアサン、海中の聖獣のこと)による、17世紀英国の音楽集。17世紀英国、といってもその切り口は実に興味深いもので、当時活躍した女スパイゆかりの音楽集となっている。ルイーズ・ド・ペナンコエ・ド・ケルアイユ(ルイーズ夫人)は、ルイ14世に雇われたスパイで、チャールズ2世(1630-1685、王位1660-1685)の愛人だった。最初はチャールズ2世の王妃キャサリン付きの女官としてロンドンの宮廷に入り込み、チャールズ2世の寵愛を受け、ポーツマス侯爵夫人という称号まで与えられる。彼女はルイ14世から、太陽王の影響がイギリスにも及ぶように命じられていた。チャールズ2世はたいへんなフランス趣味で、王位につくと、ルイ14世にならって弦楽合奏団(24のヴァイオリン)を結成、宮廷や礼拝堂では、フランス人や、フランスで学んだ音楽家を雇いた。また、英国の音楽家をフランスに派遣したりと、フランスの芸術を英国に取り入れようとした。そんな中ルイーズも、独自の音楽施設まで与えられ、そこでリュリのオペラからの楽曲を楽員に演奏させるなど様々な催しを開いていた。チャールズ2世はこれを喜びましたが、彼がますますフランス趣味になることはルイ14世の意図と合致。ルイーズは非常にうまく立ち回りながら、文化的・政治的な目的を遂行した。さらに音楽家たちも、チャールズ2世宮廷の動向を、フランスに報告したりもしていたようだ。しかしそんなルイーズのおかげもあって、英国でも豊かで華麗、かつ表現力豊かなレパートリーが生み出されることとなった。こうした視点からプログラムされた音楽を聴いていると、海峡で隔てられた国同士の音楽でも、器楽の編成や書法などに似た部分が感じられ、大変興味深い。ルシル・テシエはパリ国立高等音楽院やバーゼル音楽院などで学んだ、様々な楽器を演奏でき、さらに歌も歌えるプレイヤー。コンセール・スピリチュエル、レザール・フロリサンなどでも活躍している。さらに、2016年からソルボンヌ大学で「英国の舞台音楽の狂気」について研究もしている。2015年、アンサンブル・レヴィアタンを設立。17世紀の英国の舞台音楽を中心としたレパートリーで活動をスタートさせるが、現在ではイタリア、ヘンデル、フランス音楽など、主にバロック期の作品に多く取り組んでいる。
HMG-507010
廃盤
ヘンデル:水上の音楽 ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
 録音:1987年10月&1988年3月。旧品番:HMU-907010HMX-2907010HCX-3957010 〔すべて廃盤、入手不能〕。
HCX-3957012
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価格帯:F
モーツァルト:
 ホルン協奏曲
[第1番 K.412/第2番 K.417/第3番 K.447/第4番 K.495]
 ホルンと管弦楽のためのロンド
[変ホ短調 K.371/ニ長調 K.514]
ローウェル・グレア
(ナチュラルHr)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
KDC-7010
廃盤
宇野功芳の音盤棚「これがUNO!」 Vol.10
 (曲目は HCX-3957012 と同一)
 録音:1988年3月、ローマ・マウンテン・カレッジ礼拝堂、サンフランシスコ。旧品番:HMU-907012(廃盤)。宇野功芳氏が第1番の推薦盤として挙げ、「古拙な響きが、初演者であるロイトゲープに思いを馳せさせてくれる」と評した演奏。
 #以下はKDC-7010掲載の宇野功芳氏ライナーノーツより(HCX-3957012に日本語表記はございません)。
 『拙著「宇野功芳のクラシック名曲名盤総集版」(講談社)におけるモーツァルト「ホルン協奏曲」の文章は、1996年に書いたものであるが、自分ながら今もって最も気に入っている演奏評のひとつである。(中略)本CD のソリスト、グリーアはその古楽器を使っているので、今にも音が引っくりかえりそうな面白さがあり、それがまたホルン演奏のダイゴ味となる。それにしてもグリーアは名手で、いくつもある難所を見事にグリーアじゃないクリアーしているが、興に乗ると音を割って、《第2番K.417》の第3楽章最後など、まるでオナラのようだ。』
HCX-3957014
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価格帯:F
コレッリ:合奏協奏曲集 Op.6 No.1-6 ニコラス・マッギガン
(Cemb&指揮)
フィルハーモニア・バロックo.
 録音:1989年、カルフォルニア州。
HCX-3957015
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価格帯:F
コレッリ:合奏協奏曲集 Op.6 Vol.2(第7番−第12番) ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
  Vol.1(HCX-3957014)の前半6曲と合わせこれで全曲。
HCX-3957017
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価格帯:F
モーツァルト:
 5つのディヴェルティメント 変ロ長調 K.439(Anh.229)/
 二重奏曲集 ハ長調 K.496a(487)
シュタードラー:三重奏曲集
ニュー・ワールド・
 バセットホルン三重奏団
 バセットホルンを愛好していたモーツァルトと、彼と交友のあったバセットホルンの名手シュタードラーの作品の組み合わせ。
HCX-3957018
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価格帯:F
モーツァルト:
 ピアノ四重奏曲 変ホ長調 K.493/
 ピアノ四重奏曲 ト短調 K.478
モーツァルティアン・
 プレイヤーズ
[スティーヴン・ルービン(Fp)
 スタンリー・リッチー(Vn)
 マイロン・ルツケ(Va)
 デイヴィッド・ミラー(Vc)]
 モーツァルトの作品ジャンルの中ではピリオド楽器演奏率が低い室内楽。この録音は聴き逃せない。
HCX-3957020
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価格帯:F
バロック・リュートの音楽〜カプスベルガー:作品集
 アルペッジョーネ風トッカータ
 ガリアルダ第11a,1a,10a,12a,4a番
 トッカータ第5a,1,6,5,3,1a,2a番/フィオレンツァのアリア
 コッレンテ第1a,7a,2a(「モデナ写本」から),12a,11a,2a
 チャコーナ/ベルガマスカ
 カプスベルガー/コラシオーネ/カナリオ
ポール・オデット
(10弦リュート、キタローネ)
 カプスベルガーはイタリアに生まれ没したリュートの名手で、「ドイツの貴人」と称された作曲家。
HMG-507020
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価格帯:F
気高きドイツ人(ティオルバのドイツ人)〜
 カプスベルガー:作品集

 アルペッジョーネ風トッカータ/
 ガリアルダ第11a,1a,10a,12a,4a番/
 トッカータ第5a,1,6,5,3,1a,2a番/
 フィオレンツァのアリア/
 コッレンテ第1a,7a,2a
  (「モデナ写本」から),12a,11a,2a/
 チャコーナ/ベルガマスカ/
 カプスベルガー/コラシオーネ/カナリオ
ポール・オデット
(10弦リュート、キタローネ)
 録音:1989年11月。旧品番:HMU-907020(廃盤)、HCX-3957020
 カプスベルガーはイタリアに生まれ没したリュートの名手で、「ドイツの貴人」と称された作曲家。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMU-907021
廃盤
モーツァルト:ヴェスペレ K.339 /ミサ曲 ハ長調 K.317 「戴冠式ミサ」
 マーティン・パールマン指揮バンケット・ムジカーレo.&cho.
HMT-7907022
廃盤
ああ、愛よ!〜 17世紀スペインの歌と劇場の音楽
 マリオン・フェアブリュッヘン(リコーダー) スティーヴン・スタッブス(G)
 アンドルー・ローレンス=キング(Hp) ニューベリー・コンソート
HCX-3957023
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価格帯:F
エリザベス朝のリュート歌曲〜キャンピオン:作品集
 夜の暗いとばりが下りて
 おいで、かわいい偽った目をした浮気者
 美しい方、ほめてもらいたいなら
 まいりましょうか、いとしい人よ
 ある夏の日に/こういう貴婦人は嫌い
 荒天に船出するな/他(全22曲)
ドリュー・ミンター(CーT)
ポール・オデット(リュート)
HCX-3957024
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価格帯:F
バッハ:フルート・ソナタ集 Vol.1
 第5番ホ短調 BWV1034/第6番ホ長調 BWV1035
 第3番イ長調 BWV1032/第1番ロ短調 BWV1030
ジャネット・シー(Fl−tr)
デイヴィット・モロニー(Cemb)
メアリー・
 スプリングフェルズ(Vg)
HCX-3957025
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価格帯:F
バッハ:フルート・ソナタ集 Vol.2 ジャネット・シー(Fl-tr)
ダヴィット・モロニー(Cemb)
メアリー・スプリングフェルズ(ガンバ)
 HMU-907024/25(2CD)からの分売後半。Vol.1:HCX-3957024。
HCX-3957026
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価格帯:F
ボッケリーニ:ギター五重奏曲集 Vol.1
 第6番 ト長調 G.450/第5番 ニ長調 G.449
 第4番 ニ長調 G.448「ファンダンゴ」
リチャード・サヴィーノ(G)
アルタリアQ
ピーター・マンド(カスタネット)
 イタリアで生まれスペインで活躍したボッケリーニならではの、ギターと弦楽器のための作品。
モーツァルト:ピアノ三重奏曲全集
 [第1番(ディヴェルティメント) 変ロ長調K.254/
  第3番 ト長調K.496/第4番 変ロ長調K.502/
  第5番 ホ短調 K.542/第6番 ハ長調 K.548/
  第7番 ト長調 K.564]
モーツァルティアン・プレイヤーズ
[スティーヴン・ルービン(Fp)
 マイロン・ルツケ(Vc)
 スタンリー・リッチー(Vn)]
 長らく廃盤となっていた名盤(全集:HMU-907033、単売:HCX-3957033HCX-3957034; 以上すべて廃盤)の復活。完璧なアンサンブルは今聴いても新鮮。
HMT-7907035
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価格帯:F
バラの花よりも甘く〜パーセル:歌曲集 ドリュー・ミンター(CT)
ポール・オデット(アーチリュート)
 ドラマティックな悲劇性と独特の繊細な抒情を持つパーセルの歌曲集。これまでの名盤デラー、ヤーコプスに対し、感情を抑えたミンターの歌唱はパーセルの透明な哀切感をそこはかと感じさせてくれる。
HCX-3957037
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価格帯:F
ブラームス:ホルン三重奏曲 Op.40
ベートーヴェン:ホルン・ソナタ ヘ長調 Op.17
クルフト:ホルン・ソナタ ホ長調
ローウェル・グリア(ナチュラルHr)
ステファニー・チェイス(Vn)
スティーヴン・ルービン(P)
 優秀録音盤、またナチュラル・ホルンをはじめとするピリオド楽器による決定盤として以前から評価の高い一枚。素朴な味わいを残したブラームスが一番の聴きもの。
HCX-3957038
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価格帯:F
中世の祝祭音楽
 ヤコポ・ダ・ボローニャ:恋人のためではなく
 ランディーニ:婦人よ、あなたがだめなら/ブロンドの編んだ髪/他
 チコーニア:おお美しいバラ/リジャドラ・ドンナ
 アントニオ・ザカラ・ダ・テラーモ、バルトリーノ・ダ・パドヴァの作品
 コルトーナ写本、ファエンツァ写本から作曲者不詳の作品
ニューベリー・コンソート
 イタリアに主眼を置いた選曲。
HCX-3957039
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価格帯:F
ボッケリーニ:ギター五重奏曲集 Vol.2
  第1番/第3番
リチャード・サヴィーノ(G)
アルタリアQ
 スペインと縁の深かったボッケリーニの膨大な室内楽作品中、編成の特殊性から名ギタリストが取り上げることの多い人気作で、上質のサロン音楽といった味わい。 後半の3曲を収めた Vol.1(HCX-3957026)とセットを成す2巻目。
HCX-3957042
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価格帯:F
バッハ:アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳〜抜粋 ニコラス・マッギガン
(Cemb/クラヴィコード)
ロレーン・ハント・
 リバーソン(Ms)
デイヴィッド・ボウルズ(Vc)
 録音:1990年、カリフォルニア州。有名なメヌエット(BWV Anh144,145)を含むバランスのよい選曲が魅力。
HCX-3957043
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価格帯:F
バロック・リュートの音楽 Vol.2
  フランチェスコ・ダ・ミラノ、ダッラクイラ、
  ボッローノ、ダ・リーパ、他の作品
ポール・オデット(リュート)
 15世紀から16世紀にかけてイタリアで活躍したリュート奏者たちの作品を集めたもの。
HMU-907044
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(1CD)
4CD価格
エーリヒ・ツァイスル(1905-1959):室内楽作品集
 ピアノ三重奏組曲 Op.8 (1923-24) (*) /弦楽四重奏曲第2番(1953) (#) /
 フルート、ヴィオラとハープのための三重奏曲「矢じり」(1956) (+)
  ブランディス=バルディン・アンサンブル(*/#)
   [ダニエル・シャピロ(P;*) ミッチェル・ニューマン(Vn;*/#) ルネ・マンデル(Vn;#)
    イーヴァン・ウィルソン(Va;#) デイヴィッド・ロウ(Vc;*/#)]

  ドビュッシー・トリオ(+)
   [アンジェラ・シュミット(Fl) キース・グリーン(Va) マルシア・ディックスタイン(Hp)]
 録音:1990年10月15日-17日、 Little Bridges Hall, ポモナ・カレッジ、クレアモント市、 US / (P) 1991 。3曲とも世界初録音。(*)の第1楽章と(#)〔ウィーン・ユダヤ博物館が2005年に製作したツァイスル作品集(歌曲中心)のCDがあったようだが、おそらく入手不能〕を除き、2016年現在においても、おそらく唯一の録音。
 ウィーン生まれの作曲家ツァイスルは、14歳でウィーン音楽院へ入学した神童だったが、ナチに追われてアメリカへ渡りハリウッドで活躍、映画音楽は「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)」、「凸凹透明人間(1951)」等、24作を手がけた。並行してクラシックの作曲も続けていたが、心臓発作で壮年期に急逝したためか、作品の録音は多いとはいえない状態が続いている。
 #レーベルでは既に廃盤で、流通在庫も払底しかけているため高額となっています。ご注意下さい。
HCX-3957046
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価格帯:F
ヴィヴァルディ:リコーダーを中心とした協奏曲集
 ニ長調「パストレッラ」 RV95/ヘ長調 RV99
 ト短調 RV105/ニ長調 RV94/ト短調 RV103
 イ短調 RV86/ニ長調 RV84
マリオン・
 フェアブリュッヘン(Rc)
ポール・グドウィン(Ob)
ジョン・ハロウェイ(Vn)
デニス・ゴドバーン(Fg)
ジョン・トール(Cemb)
セバスティアン・
 コンバーティ(Vc)
 録音:1990年11月、カリフォルニア州。
HCX-3957048
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価格帯:F
初期アメリカの合唱音楽 Vol.1
 ビリングズ:
  おお、天にまします主をたたえよ/
  イズ・エニー・アフリクテッド/エマウス/アフリカ/
  葬送アンセム/司祭サミュエル/シロー/ジョーダン/
  わたしはシャロンのバラ/わが祈りを聞きたまえ/
  ラトランド/ダヴィデの哀歌/天地創造/
  ブルックフィールド/復活祭のアンセム/他
ポール・ヒリアー指揮
ヒズ・マジェスティーズ・
 クラークス
 ビリングズはハイドンと同時代にアメリカのニューイングランド地方で活躍した作曲家。健康的ではつらつとした合唱が当時のアメリカの清教徒的清新さを感じさせる。 「わたしはシャロンのバラ」は広く知られた曲で、演奏も気分の乗っていてすばらしい。
HCX-3957049
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価格帯:F
シューベルト:八重奏曲 ヘ長調D.803 ダニエル・ステプナー指揮
ミュージック・フロム・
 アストン・マグナ
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」(完全収録盤) ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
HMX-2907053
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価格帯:F
ペラム・ハンフリー(1647-1674):
 ヴァース・アンセム集
ニコラス・マッギガン指揮
クレア・カレッジcho.
ロマネスカ
 ハンフリーはパーセルの師にあたるイングランドの作曲家。ヴァース・アンセムは英国国教会典礼音楽におけるカンタータ的なジャンル。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
 #当盤は廃盤となっており、流通在庫限りのお取扱いです。バーコード部に傷があるカット盤での入荷となりますので、あらかじめご了承下さい。
HCX-3957054
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価格帯:F
ヴォルトゥオーゾ・ピアノ・トランスクリプションズ
 シュルツ=エヴレル:ヨハン・シュトラウスIIの
  「美しく青きドナウ」の主題によるコンサート・アラベスク
 バッハ(ラフマニノフ編):
  無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番より
 バッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲より
 シェーンベルク(ブゾーニ編):ピアノ曲 Op.11 No.2
 ワーグナー(リスト編):「トリスタンとイゾルデ」〜愛の死
 シューベルト(リスト編):菩提樹/聞け、聞け、ひばり
 シューベルト(ラフマニノフ編):
  「美しき水車小屋の娘」〜どこへ
 シューマン(リスト編):春の夜
 シューベルト(プロコフィエフ編):ワルツ集
フレデリック・チュウ(P)
 HARMONIA MUNDI FRANCEの看板ピアニスト、チュウがその名を知らしめたデビュー盤。ブゾーニがシェーンベルクをまったく印象の違う曲に仕立てたり、 プロコフィエフがシューベルトの愛らしいワルツを難曲にねじ曲げたり、ヴルトゥオーゾ・ピアニスト・コンポーザーたちのやりたい放題を楽しめる一枚。
HCX-3957055
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価格帯:F
バッハ:
  トリオ・ソナタ BWV525-530
ジョン・ブット(Org)
 バッハ・イヤーに期間限定でリリースされた特価盤(HMX-2957055)からの移行再発売。
HCX-3957059
廃盤
モーツァルト:3つの五重奏曲
 クラリネット五重奏曲イ長調「シュタードラー」 K.581(*)
 ホルン五重奏曲変ホ長調 K.407(+)
 弦楽五重奏曲第4番ト短調 K.516(#)
ミュージック・
 フロム・アストン・マグナ
[(ダニエル・ステプナー
  ;芸術監督)
 エリック・ホープリチ
  (バセットCl;*)
 ローウェル・グリアー(Hr;+)
 ナンシー・ウィルソン(Vn;*,#)
 リンダ・クァン(Vn)
 デイヴィッド・ミラー(Va)
 アントニー・
  マーティン(Va;+,#)
 ロレッタ・オサリヴァン(Vc)]
 録音:1991年。ピリオド楽器の名手ホープリチとグリアーの名演は必聴。
 # (*)は同演奏者でCENTAUR レーベルから発売があるが、これは1999年の再録音 (CRC-2561)
HMX-2907066
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価格帯:F
マルコ・ウッチェリーニ(1610-1680):
 ベルガマスカ、トリオ・ソナタ集
ニコラス・マッギガン指揮
アルカディアン・アカデミー
 エンリコ・ガッティらの積極的な紹介により1990年代から知名度が上昇したウッチェリーニは、エステ家やファルネーゼ家の宮廷楽長として活躍したヴァイオリニスト・ 作曲家。ヴァイオリン演奏技法の開拓を示すその作品は重要。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
 #当盤は廃盤となっており、流通在庫限りのお取扱いです。バーコード部に傷があるカット盤での入荷となりますので、あらかじめご了承下さい。
HCX-3957067
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価格帯:F
バロック期イタリアのヴァイオリン・ソナタ集 Vol.1
 ニコラ・マッテイス:ヴァイオリンのためのアリア集
  組曲イ長調/ニ長調/ト短調/ホ短調/ソナタ ハ短調/ハ長調
ニコラス・マッギガン指揮
アルカディアン・アカデミー
 マッテイスは17世紀後半のイギリスで活躍したイタリア出身のヴァイオリニストで、批評家バーニーらから「コレッリに次ぐ重要なヴァイオリニスト・作曲家」と評価されていた。 長らく忘れられていたが、パラディアン・アンサンブルによる作品集の録音などにより再評価が進んでいる。
HCX-3957069
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価格帯:F
ボッケリーニ:ギター五重奏曲集 Vol.3
 ボッケリーニ:
  ギター五重奏曲第7番 ホ短調/
  ギター五重奏曲第8番 ハ長調「マドリッドの帰営ラッパ」
 ジュリアーニ:大五重奏曲 ハ長調 Op.65
リチャード・サヴィノ(G)
アルタリアSQ
 イタリアに生まれながら後半生をスペインで過ごしたボッケリーニが、最晩年、パトロンであるギター好きのスペイン貴族の依頼を受け、 さまざまな自作を自由に編曲して書いたのが一連のギター五重奏曲で、これらはボッケリーニの創作の集大成であるともいえる。セゴビア門下のサヴィノの名演。
HMA-1957079
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価格帯:F
魂のクリスマス〜旧世界と新世界のクリスマス・キャロル(全24曲)
 ダニエル・リード:羊飼いたちが / アイヴズ:クリスマス・キャロル / インゲルス:りんごの木
 シベリウス:権力も富も求めません / アメリカ伝承曲:この世に喜びを〔諸人こぞりて〕
 他、バイエルン伝承曲、オーストリア伝承曲、イギリス伝承キャロルなど

  ポール・ヒリヤー指揮シアター・オブ・ヴォイシズ
 録音:1993年12月。旧品番:HMU-907079, HMX-2977079〔以上廃盤〕。ヨーロッパの文化の中で育まれたクリスマス・キャロルは、移民たちの手によって新大陸へもたらされ、アメリカ的なものに発展していった。合唱の神様ヒリヤーがアメリカで創設したシアター・オブ・ヴォイシズを率い、ヨーロッパとアメリカの美しいキャロル集をまとめた録音。「もろびとこぞりて」をはじめ、シベリウスやアイヴズのキャロルまであるが、いずれも胸に沁み入るような逸品ばかり。
アノニマス4〜イングリッシュ・レディ・ミサ アノニマス4
HCX-3957081
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価格帯:F
愛の肖像〜18世紀フランス宮廷の音楽
 マレ:パリ、聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘/村の祝祭
 クレランボー:カンタータ「蜂に刺されたキューピッド」(*)
 クープラン:コンセール第9番「愛人の肖像」/
        組曲第13番「フランスのフォリア」
 モンテクレール:カンタータ「ディドーの死」(*)
ナンシー・アージェンタ(S;*)
トリオ・ソネリー
HMT-7907083
廃盤
ヨハネス・コルナーゴ:ミサ「世界地図」
 &15世紀スペインの世俗音楽集
メアリー・
 スプリングフェルズ指揮
ニューベリー・コンソート
ポール・ヒリアー指揮
 ヒズ・マジェスティーズ・クラークス
 コルナーゴのミサ「世界地図」は、当時コルナーゴが仕えていたスペイン・アラゴン王家が、一族の威信を示すために世界地図を製作させ、その完成記念か何かで流すために作られたとされる。
 一方後半は「コロンビーナ写本」などからの音楽で、コロンブスの息子フェルナンドのコレクションの一部。15世紀のスペインを二つの観点から浮き彫りにした好企画アルバム。
HCX-3957084
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価格帯:F
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集 Vol.1
 [ロ短調BWV.1014/イ長調BWV.1015/
  ホ長調BWV.1016/ハ短調BWV.1017]
エリザベス・
 ブリューメンストック(Vn)
ジョン・バット(Cemb)
HCX-3957094
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価格帯:F
シューベルト:室内楽曲集
 ピアノ三重奏曲第1番変ロ長調 Op.99 D.898
 三重奏曲「ノットゥルノ」変ホ長調 D.897〜アダージョ
 アレグロ(ソナタ楽章)変ロ長調 D.28
モーツァルティアン・
 プレイヤーズ
 ルービンを中心としたピリオド楽器アンサンブルによるバランスの良い演奏。
HCX-3957095
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価格帯:F
シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番変ホ長調 Op.100 D.929 モーツァルティアン・
 プレイヤーズ
 第1番他(HCX-3957094)に続くピリオド楽器によるシューベルト。優秀録音盤。
アノニマス4〜中世のキャロルとモテット
 アンティフォナ「今日、キリストが生まれ給えり」/
 モテトゥス「祝福され給いし降誕よ/神の驚くべき慈悲よ/処女の輝きよ/現われ給えり」/
 アンティフォナ「光よりの光」/讃美歌「アレルヤ、新しい御業」/賛歌「いと高きところよりの言葉」/
 モテット「バラムは託宣を延述べ伝えたり」/讃美歌「アヴェ・マリア」/歌曲「天の王からガブリエルが」/
 讃美歌「ルライ:甘美で美しい光景」/モテトゥス「時は過ぎ行き/恵み深き御母」/
 賛歌「見よ、明るき声が響き渡り」/ロンデルス「天の王国より」/アンティフォナ「シバより訪れし者はみな」/
 モテトゥス「処女の胎は/いと清らかなる御母」/讃美歌「ルライ、ルライ:降誕祭の夜に」/
 レスポンソリウム「3つの貴き贈り物」/モテトゥス「輝く新しき太陽が/人類の源/エサイの子孫よ」/
 歌曲「処女は産み給えり」/讃美歌「見よ、自然はその法則を」/賛歌「太陽が昇るところより」/
 讃美歌「このような美しい薔薇はない」/アンティフォナ「三博士は星を」/讃美歌「ノエル:眠りから覚めよ」

  アノニマス4
 録音:1992年11月23日-25日、ボストン。国内盤:KKCC-288(廃盤)。13世紀-15世紀までの中世イギリス音楽から、クリスマスにまつわる歌、モテット、キャロルを収録。派手なコーラスや荘厳な伴奏を伴う現代のクリスマス・キャロルとは異なる、アノニマス4の透明感あふれる美しい歌声にじっくりと浸れる。
HMX-2927099
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価格帯:F
限定盤
アノニマス4〜中世のキャロルとモテット
 アンティフォナ「今日、キリストが生まれ給えり」/
 モテトゥス「祝福され給いし降誕よ/神の驚くべき慈悲よ/処女の輝きよ/現われ給えり」/
 アンティフォナ「光よりの光」/讃美歌「アレルヤ、新しい御業」/賛歌「いと高きところよりの言葉」/
 モテット「バラムは託宣を延述べ伝えたり」/讃美歌「アヴェ・マリア」/歌曲「天の王からガブリエルが」/
 讃美歌「ルライ:甘美で美しい光景」/モテトゥス「時は過ぎ行き/恵み深き御母」/
 賛歌「見よ、明るき声が響き渡り」/ロンデルス「天の王国より」/アンティフォナ「シバより訪れし者はみな」/
 モテトゥス「処女の胎は/いと清らかなる御母」/讃美歌「ルライ、ルライ:降誕祭の夜に」/
 レスポンソリウム「3つの貴き贈り物」/モテトゥス「輝く新しき太陽が/人類の源/エサイの子孫よ」/
 歌曲「処女は産み給えり」/讃美歌「見よ、自然はその法則を」/賛歌「太陽が昇るところより」/
 讃美歌「このような美しい薔薇はない」/アンティフォナ「三博士は星を」/讃美歌「ノエル:眠りから覚めよ」

  アノニマス4
 録音:1992年11月23日-25日、ボストン。通常盤:HMU-907099〔国内盤:KKCC-288(廃盤)〕。 HMF "Christmas Edition"。 13世紀-15世紀までの中世イギリス音楽から、クリスマスにまつわる歌、モテット、キャロルを収録。派手なコーラスや荘厳な伴奏を伴う現代のクリスマス・キャロルとは異なる、アノニマス4の透明感あふれる美しい歌声にじっくりと浸れる。
HMA-1957102
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価格帯:F
ロッシーニ:「老いのいたずら」〜7曲
ロッシーニ/リスト編曲:「ウィリアム・テル」序曲
フレデリク・チュウ(P)
 旧品番:HMU-907102, HCX-3957102プロコフィエフのシリーズで評判を呼んだ現代の超絶技巧ピアニスト、チュウ(1964-)によるロッシーニ・アルバム。「ウィリアム・テル」は、いかにもリストを感じさせる屈指の難編曲でフィナーレは最高潮の盛り上がり。文字通り手のすさび的な内容の「老いのいたずら」も、選曲の良さが光る。
HMT-7907103
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価格帯:F
パーセル:オルガン作品全集 ジョン・ブット(Org)
HCX-3957107
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価格帯:F
モーツァルト:
 オーボエ四重奏曲 ヘ長調K.370(*)/
 クラリネット四重奏曲(#)
 (ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調K.317d(378)による)/
 弦楽四重奏曲第21番 ニ長調K.575
マルク・シャハマン(Ob;*)
エリック・ヘープリチ(Cl;#)
アルタリアSQ
アノニマス4〜愛の幻影(13世紀のモンペリエ写本) アノニマス4
パーセル:
 ディドーとエネアス/
 付随音楽「ゴルディウスの
       結び目はほどかれた」組曲
ロレイン・ハント・
 リーバーソン
(Ms;ディドー)
リサ・サファー
(S;ベリンダ)
ドンナ・ディーム
(S;第2の女)
エレン・ラビナー
(Ms;魔法使い)
クリスティン・ブランド
(S;第1の魔女)
ルース・ライネロ
(S;第2の魔女)
ポール・エリオット
(T;エネアス)
マイケル・ディーン
(B;船士)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・
 バロックo.
ケンブリッジ・
 クレア・カレッジcho.
 2006年7月3日、理想的なディドーの歌い手として世界で絶賛された、ロレイン・ハント・リーバーソンが亡くなった。今回彼女を偲び、かの名盤「ディドーとエネアス」が再発売。ディドーの最後のアリア、ディドーの嘆きの「Remember me(私を忘れないで)」の叫びは実に心打たれる。
HCX-3957116
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価格帯:F
ヴァイオリンとギターの二重奏曲集
 ジュリアーニ:協奏的二重奏曲(大ソナタ)ハ長調 Op.25
 パガニーニ:大ソナタ/協奏的ソナタ
モニカ・ハジェット(Vn)
リチャード・サヴィーノ(G)
 ジュリアー二はギターの、パガニーニはヴァイオリンのヴィルトゥオーゾだが、それぞれヴァイオリン、ギターについても理解が深く、2つの楽器の二重奏のための作品を残している。 技巧に走らず、互いに相手の楽器を立てるような作風である。
HCX-3957117
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価格帯:F
メンデルスゾーン:ピアノ・ソナタ集
 第1番 ホ長調 Op.6/第2番 ト短調 Op.105/
 第3番 変ロ長調 Op.106/
 ロンド・カプリツィオーソ ホ長調 Op.14
フレデリック・チュウ(P)
 旧 HMU-907117。
HMA-1957118
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価格帯:F
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」/花の章 ジェイムズ・ジャッド指揮
フロリダpo.
 旧品番:HMU-907118, HCX-3957118豊かな自然に囲まれたフロリダで1985年に結成されたものの、2003年に解散してしまったフロリダ・フィルによる「花の章」つきマーラー巨人。今はもうきくことができない、彼らならではのあたたかみのあるサウンドが魅力。
HCX-3957120
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価格帯:F
ヘンデル:「メサイア」(抜粋) 独唱者たち
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・
 バロックo.
フィリップ・ブレット指揮
U.C.バークレーcho.
HMT-7907123
廃盤
黄金の夢〜17世紀ネーデルランドの音楽 ニューベリー・コンソート
 17世紀中ごろ、商業の盛んだったネーデルランドでは裕福な市民を多く生み、多くの音楽愛好家のための作品が出版された。フェアブリュッヘンのリコーダーとオデットのリュートがそれらの音楽に厚みを増す。
ジョージ・パール:
 6つの練習曲集/ピアノ協奏曲第2番(*)
リチャード・ダニエルプール:
 ピアノと管弦楽のための「変容」(*)
マイケル・ボリスキン(P)
ジョセフ・シルヴァースタイン指揮
ユタso.
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
リリー&ラム〜中世イギリスのポリフォニーとチャント アノニマス4
HCX-3957127
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価格帯:F
イタリア・ルネサンス期の舞曲集 Vol.2
 バッサーノ、バンキエーリ、クレキヨン、
 デ・ローレ、ヴェッキ、ヴィラールトの歌曲と舞曲
ポール・
 オデット(Lute)
デヴィッド・ダグラス指揮
ザ・キングズ・ノイズ
HCX-3957128
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価格帯:F
初期アメリカ合唱作品集 Vol.2
 ジョン・ダウランド、ウィリアム・ビリングス、
 ジャスティン・モーガン、ダニエル・リード、
 エイブラハム・ウッド、他の作品
ポール・ヒリヤー指揮
ヒズ・マジェスティーズ・
 クラークス
ヘンデル:歌劇「ジュスティーノ」 マイケル・チャンス、
ドロテア・レシュマン、
マーク・パドモア/他
ニコラス・マッギガン指揮
フライブルク・バロックo.、
カンタムス・ハレ室内cho.
テレマン:
 12のファンタジー(1735年ハンブルク)/
 2つのヴァイオリンのための組曲
アンドルー・マンゼ(Vn)
カロリーネ・バルディング(Vn)
HCX-3957138
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価格帯:F
モーツァルト:
  ピアノ協奏曲第18番変ロ長調
  ピアノ協奏曲第19番 ヘ長調
メルヴィン・タン(Fp)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
 メルヴィン・タンの現役盤は現在かなり少ないが、その芸術性はもっと評価されても良い。 この再発は価格も安く、彼を知る手がかりには恰好だ。共演がマッギガンと言うのもポイント。
HCX-3957139
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価格帯:F
東方の星〜
 中世ハンガリーのクリスマス曲集
アノニマス4
 メンバーはわずか女性4人だけという恐ろしく純度の高いヴォーカル・アンサンブル、アノニマス4の5枚目のオリジナル・アルバムだったもの。 内容、録音、値段の三拍子揃った最強のヒーリング・アルバム。
HMU-907140
廃盤
キャンドル・イン・ザ・ダーク〜
 エリザベス朝の歌とコンソート音楽

  作曲者不詳:悪魔の歌/ファウスト博士
  バード:5声のための前奏曲とグラウンド/
   来たれ、悲しみのオルフェウスよ/老婦人
  キャンピオン:三度、このオークの木の灰をかき混ぜよ/
   すぐに、調子の整った響きに合わせて動け
  ダウランド:暗闇に私は住みたい/悲しみよとどまれ/
   彼の金髪も銀髪にかわってしまった
  フェラボスコ:水の上にいるなんと美しい人
  ジョン・ジョンソン:
   ジョンソンのグラウンド/パッサメゾ・パヴァーン
  マンディ:イン・ノミネ
  ピックフォース:イン・ノミネ
  タイ:イン・ノミネ 第13番「信仰」/さっさとお座り
  ロバート・ホワイト:ファンタジア第2番
エレン・ハージス(S)
ドリュー・ミンター(C−T)
メアリー・
 スプリングフェルズ指揮
ニューベリー・コンソート
HMU-907146
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(3CD)
2CD価格
ヘンデル:歌劇「アリオダンテ」 ロレイン・ハント・
 リーバーソン
(Ms;アリオダンテ)
ジュリアナ・コンデク
(S;ジネヴラ)
リサ・サッファー
(S;ダリンダ)
ジェニファー・レイン
(Ms;ポリネッソ)
ニコラス・カヴァリエ
(B;スコットランド国王)
ルーフス・ミュラー
(T;ルルカーニオ)
イェルン・リンデマン
(T;オドアルド)
ニコラス・マッギガン指揮
フライブルク・バロックo.、
ヴィルヘルムスハーフェン・
 ヴォーカル・アンサンブル
 録音:1995年6月、ゲッティンゲン。廃盤だったアイテム(当店未案内)の、同番号での再発売。
 2006年7月に、癌のため53歳で惜しくも亡くなったロレイン・ハント・リーバーソンを追悼して、マギーガンの記念碑的名盤「アリオダンテ」が豪華装丁で復活。1995年のヘンデル・フェスティヴァル音楽祭(ゲッティンゲン)での伝説的なプロダクションのメンバーによる録音。第1幕第8場の超絶技巧アリア「真心という翼にのり」でのロレイン・ハントの歌唱は、録音当時40歳代前半、まさに旬の歌声そのもの、今聴いても圧倒的な力強さで、色褪せることない魅力を放っている。ダリンダ役のサッファーの初々しい歌声も魅力。この「アリオダンテ」は、ヘンデルがコヴェントガーデンのために書いた最初のオペラというだけあって、聴衆を獲得するために気合を入れて書かれており、レチタティーヴォが短めで、次々と聴きもののアリアが繰り広げられるのが特徴。マギーガンのしなやかな情熱に満ちた指揮に、名人集団フライブルク・バロック・オーケストラが見事に応えていて、序曲からぐっと心をわしづかみにされてしまう。
HCX-3957150
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価格帯:F
プロコフィエフ:
 バレエと歌劇からのトランスプリプション曲集

  「ロメオとジュリエット」 Op.75
  「シンデレラ」 Op.95/「戦争と平和」 Op.96
フレデリク・チュウ(P)
ヘンデル:リコーダーのためのソナタ作品全集 マリオン・フェアブリュッヘン(Bfl)
コープマン(Cemb)
ヤープ・デル・リンデン(Gamb)
HCX-3957153
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価格帯:F
ヴィヴァルディ(ジョリス・ファン・ゲーテム編):
 5本のリコーダーのための「四季」
マリオン・
 フェアブリュッヘン(BFl)
フランダース・
 リコーダー・カルテット
HMA-1957155
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価格帯:F
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043 /
 ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV.1041 /
 ヴァイオリン協奏曲第2番 変ホ長調 BWV.1042 /
 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1060a
マンドルー・マンゼ(Vn)指揮
レイチェル・ポッジャー(Vn)
ジ・アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
 録音:1996年10月、ロンドン。旧品番: HMU-907155 [CD], HMU-807155 [HYBRID_SACD] 〔共に廃盤〕。今や押しも押されぬバロック・ヴァイオリン界の大物、マンゼとポッジャーが揃ってバッハを弾いているという豪華共演盤。重苦しいバッハの呪縛を逃れた自在な演奏はとてもスリリングで、発売当時熱心なバッハ・ファンやピリオド楽器愛好家から絶大な支持を得たもの。 BWV.1060aは本来オーボエとヴァイオリンのための協奏曲であるものを、2台のヴァイオリンで演奏している。
サンディアゴの奇跡〜カリクスティヌ写本より アノニマス4
HMG-507156
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価格帯:F
サンディアゴの奇跡〜カリクスティヌ写本より アノニマス4
 旧品番:HMU-907156
 アノニマス4は、4人の女性による声楽アンサンブル。中世写本で伝えられている音楽や、アメリカのフォークロア音楽などを心に染み入る声で聴かせるグループ。このアルバムは、中世スペインに伝わる写本を歌ったもの。中世の三大聖地といわれるエルサレム、ローマ、そして北西スペインの小村コンポステラ。イスラムに支配されていたスペインのキリスト教徒たちが心のよりどころとしていた音楽。ひなびた情感が漂っている。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMU-907158
廃盤
テレマン:リコーダー作品集 マリオン・
 フェアブリュッヘン(リコーダー)
HCX-3957159
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価格帯:F
ルネサンス期イタリアの舞曲集 Vol.1
 ザネッティ:「生徒−ヴァイオリンとその他の楽器の
            奏法を習得するための」から
 モンテヴェルディ、ジェズアルド、ヴィターリ、
 ザネッティ、ペーリ、トラバーチ、他の作品
キングズ・ノイズ
アンドルー・
 ローレンス=キング(Hp)
 舞台のために書かれた踊りに関係する歌も演奏されるなど、ヴァラエティ豊か。
HMU-907160
廃盤
ダウランド:リュート作品全集 Vol.1 ポール・オデット(リュート)
マスカラーダ〜エルンスト3世の宮廷音楽 デイヴィッド・ダグラス指揮
キングズ・ノイズ
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMA-1957166
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価格帯:F
反映
 ラヴェル(1875-1937):鏡
 アベル・ドコー(1869-1943):月の光
 シェーンベルク(1874-1951):3つのピアノ曲Op.11
フレデリック・チュウ(P)
 録音:1994年10月/初発売:1995年。旧品番:HMU-907166〔国内盤:KKC-332〕(共に当店未案内、廃盤)。
HMT-7907167
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価格帯:F
パーセル&ブロウ:歌曲と器楽作品集 クリスティーン・ブランデス(S)
メアリー・スプリングフェルズ(Gamb)
ニコラス・マッギガン指揮
アルカディア・アカデミー
 子弟関係にあったふたりの偉大な作曲家の歌曲と器楽作品集。
HMX-2907175
廃盤
ビアージョ・マリーニ(1587頃-1663):
 風変わりで大胆な創意(作品集)
アンドルー・マンゼ(Vn)
ロマネスカ
 マリーニは北イタリアで活躍したヴァイオリニスト・作曲家で、若い頃はモンテヴェルディ楽長時代のヴェネツィア、サンマルコの楽員を務めていた。
HMU-907176
廃盤
テレマン:36のファンタジー集(各12曲3巻) ジョン・ブット(Cem)
 テレマンのチェンバロ曲集を1枚にまとめたアルバムは現在ない。
遊戯場の歌〜オーボエ・バンドによる
 18世紀イギリスの劇場音楽集
ポール・グッドウィン(リーダー)
ロンドン・オーボエ・バンド
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMU-907182
廃盤
アルヴォ・ペルト:
 プロファンディス(深き淵より)/モサ・シラビカ/
 ソルフェジオ/パリサィびとのひとりが/
 カンタンテ・ドミノ/スンマ/
 7つのマニフィカト用アンティフォナ/
 幸いなるかな/マニフィカト
クリストファー・
 ブローベント(Org)
ダン・ケネディー(Perc)
ポール・ヒリヤー指揮
シアター・オブ・ヴォイシス
HMU-807182
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
HCX-3957184
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価格帯:F
トルヴェールの歌
 作曲者不詳:
  あなたのため、わたしに歌わせていただけますか?/
  新鮮な花が咲くのを見ると
 ガス・ブリュレ:わが故郷より飛び来たりし鳥たち/
          新しい季節の香りに包まれ
 モニオ・ダラース(アラスの僧):それは5月のこと
 ナヴァール王(シャンパーニュ伯)ティボー4世:
  一角獣のように/主はペリカンのごとく
 コラン・ミュゼ:5月に
ポール・ヒリアー(Br)
アンドルー・ローレンス=キング
 (プサルテリー、Hp、
  ポルタティフOrg)
 北フランスに花開いた最初の世俗的芸術音楽。
HMU-907185
廃盤
ホケトゥス〜中世ヨーロッパの音楽 ポール・ヒリアー指揮
シアター・オヴ・ヴォイス
 ヒリアーによる入魂の中世アルバム。ホケトゥスとはひとつの旋律を2声で交互に演奏する奏法。12、3世紀の写本から採られた29曲の小さな作品群は、どれも個性的で変化に富んでいて、聞いてて飽きない。ヒリアー自身の詳しい別冊解説書もついている。
HCX-3957186
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価格帯:F
イングランドのカントリー・ダンス集
 ジョン・プレイフォード出版の楽譜による
  17世紀のバラッドと舞曲
デイヴィッド・ダグラス(Vn)
ポール・オデット(テオルボ)
アンドルー・
 ローレンス=キング(Hp)
HMU-907190
廃盤
プロコフィエフ:ピアノ作品全集 Vol.7
 〜子供のための4つの小品/他
フレデリック・チュウ(P)
メロディーの園〜16世紀フランスの舞曲と歌曲集 デイヴィッド・ダグラス指揮
キングズ・ノイズ
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMU-907195
廃盤
プロコフィエフ:ピアノ作品全集 Vol.9
 〜トランスクリプション集

  「3つのオレンジの恋」より[行進曲/スケルツォ]/
  「シンデレラ」〜6つの小品/
  ディヴェルティスマン/
  ピアノのための「ハムレット」〜ガヴォット/
  オルガン・フーガ(原曲:ブクステフーデ)/
  ワルツ(原曲:シューベルト)/
  「キージェ中尉」組曲(チュウ編曲)
フレデリク・チュウ(P)
 的確な解釈と気品ある雰囲気、ヴィルトィオーゾ・ピアニストを名乗って良い十分なテクニックを持ちながら技巧派と呼ばれることを嫌う本格派、フレデリック・チュウ。名管弦楽曲の編曲ものと魅力的な小品とがバランスよく配置されたすばらしいアルバム。
ウッチェリーニ:ソナタ集 ロマネスカ
 古楽ヴァイオリニストとしては最高の人気と実力を誇るアンドルー・マンゼ率いるロマネスカ。 ウッチェリーニは17世紀イタリアで活躍、斬新で鋭角的で刺激的な作風で当時の聴衆を沸かせた彼のヴァイオリン・ソナタは、シュメルツァーやビーバー以前の最高傑作で、まさにこの分野の先覚者。マンゼは解説も執筆している。
HMU-907197
廃盤
プロコフィエフ:ピアノ作品全集 Vol.1
 〜ピアノ・ソナタ-1[第1番−第4番]
フレデリック・シュウ(P)
ヒルデガルド・フォン・ビンゲン:
 11000の処女殉教者
アノニマス4
HMU-807200
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
フレデリック・チュウ〜ショパン:練習曲集Op.10
 12の練習曲集Op.10/
 ロンド [ Ops.1, 5, 16, 73(2種の版)]
フレデリック・チュウ(P)
 発売:1997年。
HCX-3957202
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価格帯:F
クリスマス・コレクション〜シュッツ:作品集 ポール・グドウィン指揮
エンシェントco.、同cho.
 初出時に「朝日新聞」紙面で紹介され話題を集めたクリスマス・アルバム。冬に限らずオール・シーズン、リラグゼーション・アイテムとしても通用する質の高い内容。
ビダー・バラード
 〜古代から現代までのトラディショナル・メロディ
ポール・ヒリヤー(Vo)
アンドルー・ローレンス=キング(Hp)
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMX-2907205
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価格帯:F
モーツァルト:歌劇「ツァイーデ」K.344(336b) リン・ドーソン(S:ツァイーデ)
ハンス=ペーター・ブロホヴィツ
 (T:ゴーマツ)
オラフ・ベーア(Br:アラツィム)
ヘルベルト・リッペルト
 (T:スルタン・シロマン)
クリストファー・パーヴェス
 (B:オスミン)
ポール・グッドウィン指揮
アカデミー・オヴ・
 エンシェント・ミュージック
 録音:1997年6月17-18日。2004年版ハルモニア・ムンディ・レーベル・カタログ付きスペシャルCD。
 「ツァイーデ」は1779年にザルツブルクを訪れた劇団のために書き始められたが未刊に終わった、「後宮からの逃走」とほぼ同じ筋書きによるオペラ。フィナーレが書かれていないといった理由により上演されることがほとんど無いが、音楽的にはむしろ「後宮」より上だという意見もあるだけに、モーツァルト・ファンとしては聴かずにすますわけにはいかないであろう。
 この録音はピリオド楽器を使用したものとしては初であり、また歌手布陣は「よくぞ集めたり」と賞賛したいほど。セリフをカットしてCD1枚に収録。仏・英・独語による解説付き。
 HMX番号の商品は基本的に初回限定盤のため、お早めにどうぞ。
HMX-2907212
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価格帯:F
¡Jácaras!(ハカラス)愉快な舞曲〜
 サンティアゴ・デ・ムルシア(1682-1737頃):
  ギター作品集

 ハラカス/ラ・ホタ/マリサパロス/
 ガリャルダス/タランテラ/プレリュード・グラーベ/
 ラ・カデーナ/コレルリのジーグ/サランベーケス/
 パサカーリェス/ファンダンゴ/マリオーナス/
 クンベエス/パイサーノス/イタリア風フォリーアス/
 ラス・ペーナス/アレグロ/グラーヴェ/アレグロ/
 オトロス・カナリオス/カナリオス
ポール・オデット(バロックG)
アンドルー・ローレンス=キング
(ハープ・プサルテリウム)
ペドロ・エステバン(Perc)
スティーヴン・プレイヤー
(バロックG)
 録音:1997年9月7日-11日、オランダ。旧品番:HMU-907212。ハルモニアムンディが誇る名リュート奏者、オデットの名盤がカタログ付で復活!
 18世紀スペインを代表するギターの巨匠、デ・ムルシア。ここに収められている作品には、ヨーロッパに伝わるバロックの伝統と、西アフリカとラテン・アメリカの、外向的なスタイルが息づいている。タイトルにもなっている「ハカラス」とは、夜中に町を歩き回って騒ぎ、通りで大声で歌う不良の集まりや、高尚な精神の持ち主のこと。ポール・オデットはバロック・ギターを持ち、打楽器やハープ、プサルテリウムなどの楽器を加え、当時の人々のどんちゃん騒ぎやフラメンコの空気を再現する。静かに熱く掻き鳴らされるギターに知らず知らず引き込まれる。時折挟み込まれるしんみりとした音楽もまた絶品の名盤。
 #HMX記号の商品は基本的に初回プレス限定のため、お早めにどうぞ。
悪魔のトリル〜タルティーニ:ヴァイオリン作品集
 ヴァイオリン・ソナタ ト短調「悪魔のトリル」/
 「運弓法」(コレッリ Op.5 からのガヴォットによる50の変奏曲)より〔10曲〕/
 ヴァイオリン・ソナタ イ短調/スコルダトゥーラ・ヴァイオリンのための
  アンドルー・マンゼ(Vn)
 録音:1997年5月27日-30日、カリフォルニア|初出・旧品番: HMU-907213 〔廃盤〕 『★現在は指揮者としても活躍しているバロック・ヴァイオリンの鬼才アンドルー・マンゼが、「妖気」としか言いようがないオーラを放しつつタルティーニに挑んだ名盤。夢枕に立った悪魔の弾くヴァイオリンをもとに作曲したという伝説で有名な「悪魔のトリル」は、17世紀の偉大なヴァイオリンのヴィルトゥオーゾ奏者にして作曲家、教師であたタルティーニの最高傑作。マンゼはこの作品を録音するにあたり、手稿譜、および初版を徹底的に精査し、いわば「マンゼ版」の楽譜をもって演奏しています。さらに、タルティーニが意図したとおり、通奏低音(伴奏)も一切なし、文字通りヴァイオリン一本で演奏しています。世界中で絶賛されたベストセラーCDです。』
ロンドンの喧騒
 ギボンズ:
  「ロンドンの喧騒」1&2/4声のファンタジア/
  我が窓より行け
 コッボールド:新しい流行
 ウィールクス:ロンドンの喧騒
 ディアリング:6声部のファンタジア第1番/
         都市の喧騒/田舎の喧騒
 マイケル・イースト:牧歌的唱句
 [麗しき月である5月に/コリドンはその時彼女にキスをした/
  いとしのミューズ/ああ悲しいことに/私にとっての平和と喜び]
 レイヴンズクロフト:3羽のカラス
ポール・ヒリアー指揮
シアター・オヴ・ヴォイセズ、
フレットワーク
HMU-807214
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2005年6月30日-7月4日、サフォーク州オーフォード、旧牧師館オーフォード教会。
 主に17世紀前半に活躍したイギリスの作曲家たちによる、ロンドンの街の物売りの声や商人の歌などを組み入れた、いわゆる「ロンドンの喧騒」と分類される曲を収録。伴奏と合奏曲を受け持つフレットワークの腕の冴えはいつもながら素晴らしく、シアター・オヴ・ヴォイセズの面々の歌声は、17世紀のロンドンを髣髴とさせる。このタイトルの曲は、ギボンズとウィールクスのものが良く知られているが、「グリーンスリーヴス」などの民謡旋律を用いた一種のクォドリベットであるコッボールドの「新しい流行」も、この曲種の中では有名。また、ディアリングの「田舎の喧騒」は、「ロンドンの喧騒」と同じ手法で、野ウサギやキジを狩るときの歌、物売りの声、収穫の歌や方言などを組み入れ、田園風景を生き生きと伝えており、興味深い。17世紀のロンドンの程よい喧騒をお楽しみ頂きたい。
HMU-907215
廃盤
アラ・ヴェネチアーナ
 〜16世紀初期のヴェネチア・リュート曲集
ポール・オデット(リュート)
第10回ヴァン・クライバーンコンクール優勝者
 ストラヴィンスキー:4つの練習曲Op.7
 ブラームス:ピアノ・ソナタ第1番 ハ長調Op.1
 ショパン:
  アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
 ボルコム:9つのバガテル
ジョン・ナカマツ(P)
 当盤は廃盤のためカット盤での入荷となります。
第10回ヴァン・クライバーンコンクール第2位&第3位
 シューマン:アレグロOp.8(*)
 ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番(*)
 シューベルト:
  ピアノ・ソナタ第14番 イ長調Op.143(#)
 ショパン:夜想曲Op.48-1(#)/練習曲Op.25-10(#)
ヤコフ・カスマン(P;*)
アヴィラム・ライヒェルト(P;#)
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
ルベル:ヴァイオリン・ソナタ集 アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Cemb)
収穫祭のレディー・ミサ アノニマス4
 「誘惑的で激しく純粋で柔軟、そして官能的」な美女4人による中世イギリス収穫祭のミサ。
HMA-1957223
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価格帯:F
バード3、4、5声のためのミサ曲集
 ポール・ヒリヤー指揮プロ・アルテ・シンガーズ
 録音:2000年5月。旧品番:HMU-907223〔廃盤〕。ヒリヤー指揮による久々のルネサンス王道レパートリー&ヒリアード・サンサンブルでの EMI 盤以来久々となるバードのミサ曲として、発売当時歓迎された録音。プロ・アルテ・シンガーズは、トーマス・ビンクリーが設立したインディアナ大学の古楽研究所に所属する団体。なお、代理店はこの研究所に関して『ヒリアーが現在ディレクターを務める』と書いているが これは初出時の事で、彼は2003年に離任している。
西暦1000年、この世の終わりのためのミサ曲
 〜キリスト昇天のための中世の単旋聖歌とポリフォニー
アノニマス4
 千年期の週末は、シャルルマーニュの王国が崩壊し、侵略戦争とヨハネの黙示録に彩られた世界だった。ローマ・カトリックは政治的色合いを深め、教会音楽は従来の単旋律から、神をより称えるために、ポリフォニーによる複旋律へと移り変わりつつあった時代である。このアルバムは、その頃に演奏されたキリスト昇天のためのミサというコンセプト。グローリアとアレルヤはイギリスのウィンチェスター・トロープス写本から、他の曲はイギリスとも関係の深いアキテーヌ(リモージュのサン・マルシャル修道院)に起源をを持つ1000年頃の写本から採用されている。
HMU-907226
廃盤
ヴィヨンからラブレー
 〜16世紀の巷間、劇場と宮廷での音楽
メアリー・スプリングフェルズ指揮
ニューベリー・コンソート
 フランス・ルネサンス文学のシンボルともいうべき二人の作家ヴィヨンとラブレー。その奔放で、猥雑で、想像力豊かな世界を音楽史上に求めたアルバム。奇想のメルヘンともいうべきファンタジーに富んだ当時の様々な音楽をニューベリー・コンソートが鮮やかに再現。
HMG-507228/29
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(2CD)
価格帯:F
マンゼ& AAM 〜ヘンデル:合奏協奏曲集Op.6(全曲) アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
アカデミー・オヴ・
 エンシェント・ミュージック
 録音:1997年8月。初出・旧品番: HMU-907228/29
HMX-2907230
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価格帯:F
ヴィヴァルディ:ポーランド王子のためのコンサート
 シンフォニア ト長調 RV.149/
 ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 Op.8 No.5「海の嵐」 RV.253/
 リュート、ヴィオラ・ダモーレと
  弦楽のための協奏曲 ニ短調 RV.540/
 ヴァイオリン、エコー・ヴァイオリンと
  弦楽のための協奏曲 イ長調 RV.552/
 ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 Op.8 No.6「喜び」 RV.180/
 リコーダー、シャリュモー、マンドリン、テオルボ、
  ヴァイオリン各2、チェロと弦楽のための協奏曲 RV.558
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
アカデミー・オヴ・
 エンシェント・
  ミュージック
 録音:1996年4月22日&26日、聖ジュード・オン・ザ・ヒル教会、ロンドン。
 2002年度版カタログ付き特価限定盤。スリップケース仕様。
ジョン・タヴナー(1944-2013):
 永遠の曙/天使の歌(*) /ペトラ「儀式の夢」/サッフォー「叙情的断章」/サッフォー「葬送の聖歌」
  アンドルー・マンゼ(Vn;*) パトリシア・ロザリオ、ジュリア・グッディング(S)
  ジョージ・モスリー(Br) ポール・グッドウィン指揮
  アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージック
 録音:1998年7月6日-8日、テンプル教会、ロンドン/ (P) (C) 1999 。タヴナー追悼の再プレス。「永遠の曙」は故ダイアナ妃の霊にささげられた作品。
聖ニコラウスの伝説
 〜中世ヨーロッパの歌とポリフォニー
アノニマス4
 聖ニコラウスは水夫の守護聖人とされサンタクロースのモデルといわれる実在の司教。
HCX-3957233
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価格帯:F
旧世界と新世界のキャロル Vol.2 ポール・ヒリアー指揮
シアター・オヴ・ヴォイス
インディアナ大学室内児童cho.
HMU-907234
廃盤
ペリ:イル・ツァツェリーノ(全15曲) エレン・ハージス(S)
ポール・オデット(バロックG)
アンドルー・
 ローレンス=キング(Hp)
ヘッレ・ペルル(リローネ)
 現存する最古のオペラ「エウリディーチェ」の作者ペリの声楽、器楽作品集。同世代のモンテヴェルディにも影響を与えたという彼だが、意外なほど録音が少ない。 4人の実力者による充実した作品集は貴重。ちなみにタイトルの「イル・ツァツェリーノ」はペリのあだ名で「蓬髪のひと」の意味。
プロコフィエフ:
 ヴァイオリン・ソナタ第1番/
 ヴァイオリン・ソナタ第2番
 行進曲/5つのメロディ
ピエール・アモワイヤル(Vn)
フレデリック・チュウ(P)
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMX-2907238
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価格帯:F
アントニー・ホルボーン(1545?-1612):マイ・セルフ
 〜16世紀のパヴァーヌ、 ガリヤードとアルマン

 浮気者/明るい希望/マイ・リンダ/情熱/遊び友達/
 休日だ/ヘイホー/愛の果実/子守唄/別れ/
 ため息/他(全32曲)
デイヴィッド・
 ダグラス(Vn)指揮
ポール・オデット(リュート)
ザ・キングズ・ノイズ
 旧品番:HMU-907238。16世紀エリザベス王朝に仕えたホルボーン。政治的役職に就いたこともあり、またレベルの高い文化人でもあった彼の有名な作品集「荘重な曲と軽い曲を両方含んだパヴァーヌとガリヤード、アルメイン」(全65曲)の録音。ひとつひとつの曲名を見ればわかるとおり、まさに現代のポップス。その時代に非常に人気があったのもわかる。この頃からすでに今世紀後半のブリティッシュ・ポップの流れはあったということか。ダグラスの正当な解釈、オデットの渋いリュートに導かれ、キングス・ノイズもこれまで同様美しくもリアルな演奏を聞かせてくれる。
 HMF "CURIOSITA" シリーズ。「Curiosita」とは「好奇心」のことで、内容はかなりマニアック。ディジパック仕様。
 #当シリーズは徐々に廃盤が増えてきております。入手出来無い場合はご容赦下さい。
HMU-907239
廃盤
シューベルト(リスト編):
 「白鳥の歌」(全14曲)/ます
フレデリック・チュウ(P)
HMG-507241
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価格帯:F
マンゼ&エガー〜
 ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ:
  ヴァイオリン・ソナタ集

  [Op.3(全6曲)/Op.4(全6曲)]
アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Cemb)
 録音:1998年11月。旧品番:HMU-907241
 マンゼの名盤。モンテヴェルディの時代からコレッリへと至るヴァイオリン音楽の中で、1660年に出版されたこの2つのソナタ集によってその掛け橋の位置を占めるパンドルフィは、史料が少なく詳細が良く知られていないが重要な作曲家。マンゼの奏でるパンドルフィは、素晴らしい技巧と情熱的な楽想が絶妙なバランスを保っており、古楽ファンもヴァイオリン・ファンも必聴の衝撃的演奏。
アルヴォ・ペルト:
 ベルリン・ミサ(改訂版)(*)/
 神の母/皇帝への税金/
 わたしはまことのぶどうの木/他(全6曲)
クリストファー・バウワーズ=
 ブロードベンド(Org)
ポール・ヒリアー指揮
ザ・プロアルテ・シンガーズ
シアター・オヴ・ヴォイス(*)
 ペルトとヒリアーそしてブロードベンドのコラボレーションから生まれた作品群。「ベルリン・ミサ」はヒリアーとブロードベンドの助言によってオルガン伴奏作品として新たに甦った。ザ・プロアルテ・シンガーズとシアター・オヴ・ヴォイスの透明な歌声がペルトの美しい曲を完璧なまでに再現。時代感覚を超越した宗教曲アルバムの傑作。
ルーカス・フォス(1922-):
 ピアノ協奏曲第1番(1943)(*)
 ピアノ協奏曲第2番(1949-1951/1952)(+)
 アンネ・フランクのための悲歌(1989)(#)
 同曲(ナレーション省略版)(**)
ジョン・ナカマツ(P;*)
ヤコフ・カフマン(P;+)
ルーカス・フォス(P;#,**)
エリザ・フォス(ナレーター;#)
カール・セント=クレア指揮
パシフィックso.
 録音:2000年4月30日、5月1日、カリフォルニア。ポスト・バーンスタインの呼び声高いフォスの作品集。(*)(#)世界初録音。2つのピアノ協奏曲はそれぞれ半音階と新古典主義の手法で書かれた性格を異にする作品で、ヴァン・クライバーン・ コンクール・メダリストである日系アメリカ人ピアニスト、ナカマツとロシアの剛腕カフマンが弾き分けている。フォス自身も バーンスタインの交響曲第2番の録音で難物ピアノ・パートを弾きこなしたほどのピアニストで、ベルリン生まれでナチの脅威から かろうじて逃れたフォスの思いが込められた(#)(**)ではみずから弾いている。ナレーターのエリザ朗読は作曲者の娘で女優。
ショパン:
 即興曲(全4曲)、ポーランド民謡による大幻想曲Op.13、
 マズルカ第36番〜第39番Op.59、子守歌Op.57、
 ポロネーズ第1番、第3番&第6番
ジョン・ナカマツ(P)
 1997年のヴァン・クライバーン・コンクールで優勝した日系人、ジョン・ナカマツによるショパン。
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲集
 [第1番/第2番/変ホ長調]
エロイカSQ
 作曲当時の楽器、運指、運弓法をもちいてのメンデルスゾーン。作曲家の親友でゲヴァントハウスo.のコンマスだったF.ダーヴィドの運指、運弓指示まで研究して録音に臨んだという。
HMU-907246
廃盤
パヴァニーリャ
 〜17世紀イタリアの舞曲とマドリガーレ

 ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス
  (1600-1679):涙ぐんだ美女よ(器楽編曲版)
 ガスパーロ・ザネッティ(1626-1645頃活動):
  「カラヴァツォ侯のイントラーダと
    バレット、ガリアルダ付き」
 マルティーノ・ペゼンティ(1600-1648):
  愛とはなんとあざむくものか(*)
 ザネッティ:
  パヴァニーリャ/ラ・サルトレッラ/
  イル・カボナーノ/ラ・バッロリア/
  ラ・モンタニューラ/戦いのサルタレッロ
 デイヴィッド・
  ダグラス(1953-):タランテラ(1999)
 フランチェスコ・コルベッタ(1615頃-1681):
  フォリア/チャコーナ
 ルイジ・ロッシ(1597-1653):
  「おお苦悩よ、冥府より去れ、
    そしてわたしの後に続け」(*)
  ルイジ氏のパッサカリア
 クラウディオ・モンテヴェルディ
  (1567-1643):この世に別れを告げたい(*)
 カルロ・ジェズアルド(1561-1613):
  「分別ある望みは、
    死んだらあらゆるわたしの苦しみを」
  「わたしは死んでいく、苦悩のために」
 ザネッティ:
  キアーヴェ・マエストロによるパッサメッツォ
  パッサメッツォ形式のサルタレッロ
 伝ロッシ:カンツォン第1番「シピオーネ・ステッラ」
 モンテヴェルディ:おお、わたしは傷つきたおれる(*)
 カルロ・ファリーナ(1600頃-1640):
  パヴァーヌ第3番
エレン・ハージス(S;*)
デイヴィッド・ダグラス指揮
キングズ・ノイズ
ポール・オデット(Lu)
アンドルー・
 ローレンス=キング(Hp)
 録音:1999年5月、マサチューセッツ州ウェストン、キャンピオン・センター。宮廷や町の祭りなので踊られていた、イタリアらしい華やかさをもった舞曲集。 キングズ・ノイズのリーダー、ダグラスの自作曲も披露。
HMU-907247/8
(2CD)
廃盤
ショパン:マズルカ全集 フレデリック・チュウ(P)
 プロコフィエフのソナタ全集で確固たる地位を築いたチュウのショパン作品集第2弾。
バッハ:シューブラー・コラール集&トッカータ集
 シューブラー・コラール集〜
  「目覚めよ、と呼ぶ声あり」 BWV645
  「われいずこに逃れ行かん」 BWV646
  「ただ愛する神の摂理に任す者」 BWV647
  「わが魂は主をあがめ」 BWV648
  「ああ、われらのもとにとどまりたまえ、
    主イエス・キリストよ」 BWV649
  「汝イエスよ、今天より降りたもうや」 BWV650
 トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
 トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 トッカータ(前奏曲)とフーガ
   ニ短調「ドリア旋法」 BWV538
 トッカータ(前奏曲)とフーガ ヘ長調 BWV540
ジョン・ブット(Org)
 録音:2000年1月、ケンブリッジ、トリニティ・カレッジ礼拝堂。正統派らしい演奏で、録音も優秀。
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ全集/
    トッカータとフーガBWV.565(マンゼ編曲)
アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Cemb)
ヤープ・デル・リンデン(Gamb)
ベートーヴェン:
 弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調Op.74「ハープ」/
 弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調Op.95「セリオーソ」/
 弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調Op.135/
 弦楽四重奏曲断章 ロ短調(1817)
エロイカSQ四重奏団
(ピリオド楽器使用)
 録音:1999年3月19日-22日、イギリス、ドーセット州フォルデ修道院。ピリオド楽器使用。
 エロイカ四重奏団はガーディナー率いるORRにおいて活躍している演奏家3人を抱える。
HMX-2907255
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価格帯:F
「ポートレイト〜ポール・オデット」
ダウランド、ヘンデル、ペーリ、カスバート・ヘリー、
他の作品(全22トラック)
ポール・オデット(リュート)
 リュートの名手、オデットの素晴らしい腕前が楽しめるコンピレーション。
HMU-907256
廃盤
グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 全集 ピエール・アモワイヤル(Vn)
フレデリク・チュウ(P)
HMU-907257
廃盤
ラグ・オヴ・タイム
 〜17世紀イギリスのリュート歌曲&舞曲集

 ヘンリー・ローズ、ウィリアム・ローズ、ウィリアム・コーキン、
 ジョン・コプラリオ、アルフォンソ・フェラボスコ、
 ジョン・ヒルトン、ロバート・ジョンソン、
 フランチェスコ・コルベッタ、ジョン・ウィルソンの作品
ポール・ヒリアー(Br)
ナイジェル・ノース
(G/リュート/テオルボ)
 ヒリアード・アンサンブル時代から独唱でも高い評価を得ていたヒリアー、久々のソロ・アルバムは得意の英国リュート歌曲。舞曲や朗読も交えた盛りだくさんな内容。ノースが的確なサポートを聴かせる。
HMG-507258
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価格帯:F
エルガー:管弦楽作品集
 組曲「子供部屋」(1931)(*)/
 幻の子供たち Op.43/月夜に Op.50/
 ファゴットと管弦楽のためのロマンス Op.62(+)
 ため息 Op.70(#)/弦楽セレナード Op.20
 エレジー Op.58
ステファニー・ゴンリー(Vn;*)
ウィリアム・ベネット(Fl;*)
ジュリー・ブライス(Fg;+)
オシアン・エリス(Hp;#)
ポール・グッドウィン指揮
イギリス室内o.
 旧品番:HMU-907258(ディジパック仕様/廃盤)。
 エルガーの管弦楽作品は、弦楽パートの書法の際立った美しさと音の厚みが魅力。彼の初期作品特有のふくよかな旋律が印象的な「子供部屋」組曲、はかなく薫り高い管弦楽伴奏に乗って、ファゴットが物憂げな歌を奏でる「ロマンス」、感情の起伏をわずか60小節に凝縮した「エレジー」と、弦楽器の潤いある響きが楽しめる。
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ全集
 ニ長調 Op.1 No.13 HWV371/
 ヘ長調「ウォルシュ」 Op.1 No.12/
 ニ短調 HWV359a/イ長調 Op.1 No.3 HWV361/
 ト短調 Op.1 No.6 HWV364/
 イ長調「ロジェ」 Op.1 No.10/
 ホ長調「ロジェ」 Op.1 No.12/
 ト長調 HWV358/アンダンテ イ短調 HWV412/
 アレグロ ハ短調 HWV408
アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Cemb)
 録音:1998年11月28-30日、カリフォルニア、ルーカスアーツ社スカイウォーカー・スタジオ(ニカシオ)。
 持ち前の美音と大胆かつ潔いアプローチで、バロック・ヴァイオリンの寵児となったマンゼのヘンデルがついに登場。全く素直なアプローチで、ピリオド演奏にありがちな構えたところが無く実に清々しい演奏。引き締まった低音でこれを支えるエガーとの掛け合いも、伴奏と呼ぶのがはばかられるほどみごとなもの。瑞々しさを湛えた弦の響きを余すところ無く捉えた録音も素晴らしく、リラグゼーション効果も満点。
ジェミニアーニ:
 コレッリのソナタOp.5の編曲による合奏協奏曲集、
 6つのチェロ・ソナタOp.5〜第2曲
コレッリ:
 ヴァイオリン・ソナタOp.5〜第9曲(*)
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮AAM
リチャード・エガー(Cemb;*)
アリソン・マギリヴレイ(Vc;*)
 彼の師であったコレッリの「ラ・フォリア」を含むヴァイオリン・ソナタを編曲したジェミニアーニの合奏協奏曲集(全12曲)を、マンゼ&AAMが録音。バロック時代の弦に関する様々な技法が使われたこの名曲を、彼等は見事に弾き切る。
HMX-2907262
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価格帯:F
限定盤
ジェミニアーニ:
 コレッリのソナタOp.5の編曲による
  合奏協奏曲集より

 [第7番 ニ短調(*)/第8番 ホ短調/
  第9番 イ長調/第10番 ヘ長調/
  第11番 ホ長調/
  第12番 ニ短調「ラ・フォリア」]/
 6つのチェロ・ソナタ Op.5〜第2曲 ニ短調(#)
アンドルー・
 マンゼ(Vn)指揮
アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
デイヴィッド・
 ワトキン(Vc;*/#)
リチャード・エガー(Cemb;#)
アリソン・
 マギリヴレイ(Vc;#)
 HMF 2007年カタログ付き。
 2000年に発売されたジェミニアーニのこのディスク、もともとは2枚組で HMU-907261 という品番のものだった。今回はdisc2のみをピックアップ、2007年の美麗カタログをつけて限定リリース。6曲目の「ラ・フォリア」の編曲はいつ聴いても実に新鮮、切れ味抜群。この演奏によって、ジェミニアーニの世界に開眼したという方もおられるのでは。リリースからはや7年たった今もなお根強い人気のこの1枚、万が一お持ちでいらっしゃらない方は是非これでお試しを!
リスト:
 巡礼の年 第2年「イタリア」/
 巡礼の年 第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」
フレデリク・チュウ(P)
 録音:2000年4月9-11日、カリフォルニア州、スカイウォーカー・サウンド・スタジオ。
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMU-907265
廃盤
ロビン・フッド〜エリザベス朝のバラード名曲集
 バード:ラ・ヴォルタ/ウォルジーの荒野/パヴァーヌ第1番「プレイ」
  ガイヤルド/他
 フィリップス(1560-1628):半音階的パヴァーヌ/ガイヤルド
 フィリップ・ロセター(1567頃-1623):パヴァーヌ/ガイヤルド
 アスキュ氏:ロビン・フッド
 作曲者不詳:スペイン風パヴァーヌ/バッキンガム/ブランル 他
ポール・オデット(8弦リュート、
 オルファリオン、4弦シターン)
 録音:1999年9月26-29日、タングルウッド、小澤征爾ホール、フローレンス・グールド・オーディトリアム。
バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ集
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1番 ト長調 BWV1027(*)
 カプリッチョ変ロ長調
  「最愛の兄に旅立ちにあたって」 BWV992
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2番 ニ長調 BWV1028(*)
 カプリッチョ ホ長調
  「ヨハン・クリストフ・バッハをたたえて」 BWV993
 ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第3番ト短調 BWV1029(*)
ヤープ・テル・リンデン
(Va da gamba;*)
リチャード・エガー(Cemb)
 録音:1999年10月、ブリストル、セントジョージズ・ブランドン・ヒル教会。 ヴァイオリン・ソナタ集においてマンゼを強力サポートしたテル・リンデンとエガーによるデュオ。テル・リンデンは無伴奏チェロ組曲とともにバッハの低弦ものを制覇、エガーは1999年にピーター・ウィスペルウェイがこれらのソナタ集をピッコロ・チェロで演奏した録音でも鍵盤楽器を担当していた。エガーのソロによる2つのカプリチョも聴きもの。
 当盤はカット盤で入荷となる可能性がございます。また既に廃盤のため、品切れの際はご容赦下さい。
HMG-507269
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価格帯:F
セカンド・サークル〜ランディーニの恋歌
 フランチェスコ・ランディーニ
(1325頃-1397):バッラータ集
  アノニマス4
 録音:2000年9月。旧品番:HMU-907269〔廃盤〕。北イタリアやフィレンツェで活躍したアルス・ノーヴァ楽派の盲目作曲家ランディーニの、耳に心地よいラヴ・ソング集。
シューマン:弦楽四重奏曲全集
 第1番〜第3番 Op.41-1/2/3
エロイカSQ
 ピリオド楽器使用。3曲ともクララとの結婚直後に書かれた。
ジョン・タヴナー:
 皆既日食(1999)(*)
 アグラフォン(1995)(+)
ジョン・ハール(Sax;*)
クリストファー・ロブソン(CT;*)
ジェイムス・ギルクリスト(T;*)
パトリシア・ロザリオ(S;+)
ポール・グドウィン指揮
ASMIF
オックスフォード・
 ニュー・カレッジ聖歌隊
HMU-807271
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2000年6月。
 現代作曲家の中で、宗教的静謐とヒーリング感覚で人気の高いジョン・タヴナー。「皆既日食」はキリストの処刑から昇天までを「昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた」という新約聖書の記述に基づいて描く。途中に巻き起こる天変地異は地獄絵さながらの大音響、ダイナミック・レンジが驚異的に広く、オーディオ・チェックにも最適と評判になった。CDは在庫僅少のため、品切れの際はご容赦下さい。
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ集
 [第1番 ト長調 Op.78「雨の歌」/
  第2番イ長調 Op.100/第3番ニ短調 Op.108/
  「F.A.E.ソナタ」〜スケルツォ
ピエール・アモワイヤル(Vn)
フレデリック・チュウ(P)
 HARMONIA MUNDIへのグリーグ、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタの録音で高い評価を得ているアモワイヤルとチュウのコンビが、しっとりと弾き込んだブラームス。
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
グランド・ツアー
 ヴィヴァルディ:
  ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 Op.8 No.5 RV.253「海の嵐」(*)/
  弦楽のためのシンフォニア ト長調 RV.149(*)
 ヘンデル:
  合奏協奏曲 ニ長調 Op.6 No.5 HWV.323(+)/
  合奏ト短調 Op.6 No.6 HWV.324(+)
 バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ長調 BWV.1043(#)
 ジェミニアーニ:合奏協奏曲第12番 ニ短調「フォリア」(**)
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
AAM
レイチェル・ポッジャー(Vn;#)
 録音:1996年4月(*)/1997年8月(+)/1998年12月-1999年1月、5月(#)、ロンドン(*/+/#)。既発売音源からの編集盤。
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
ダークネス・イントゥ・ライト
 ジョン・タヴナー:
  来たれ、そしてあなたの望みを私にせよ/
  寝た者のように/主に祈るもの/新郎(*)
 聖歌(スーザン・ヘロアー編曲):
  おお、三位一体の祝福されし光よ/全能の神よ/
  光となるキリスト/他
アノニマス4
チリンギリアンSQ
 世界初録音(*)を含むタヴナーの作品を中心に聖歌などを散りばめたアルバム。中世の敬虔な音楽と、タヴナーのゆったりとした、しかし鋭敏な感覚に満ちた音楽が交互に流れ、 不思議な安らぎを与えてくれる。21世紀的静寂。
ジョン・ダウランド:
 ラクリメ、または7つの涙の曲集/
 来たれ深き眠り(歌曲集第1巻)/
 悲しみよとどまれ、真の航海の涙を添えよ(歌曲集第2巻)/
 行けすきとおった涙よ(歌曲集第1巻)
 私は見た、あの人が泣いているのを(歌曲集第2巻)/
 あふれよわが涙(歌曲集第2巻)
ポール・オデット(リュート)
デヴィッド・ダグラス
(Vn)指揮
キングズ・ノイズ
 録音:2000年6月12日〜14日、マサリューセッツ州レノックス、タングルウッド、セイジ・オザワ・ホール。
 ダウランドの作品が集められたこの録音は、一言で言えば、メランコリーな歌と踊りと言うことが出来る。メランコリーは、古代ギリシャからルネサンス初期に至るまで、 めんめんと受け継がれてきた思考・表現体系で、絵画においてはデューラーの「メランコリア」が表現の到達点とされている。 音楽における到達点ともいえるこれらの曲を、キングズ・ノイズは、その点に十分留意して、積極的な表現を試みている。
HMU-907276
廃盤
フラグメンツ〜イタリア、ギリシャ、ロシア、
          イギリス、フランスの13〜17世紀

[イタリア]
 13世紀の無名者:新しき歌をもて称えよ/来たりて称えよ
 アントニオ・ザカーラ・ダ・テラモ:「クレド」
 マッテーオ・ダ・ペルージャ:
  ようこそ、世界の聖なる救い主/アニェス・デイ
 14世紀の無名者:ベネディカムス
[ギリシャ]
 14世紀の無名者:サンクトゥス
 ヨアンネス・プルシアデノス:
  聖体拝領唱「精霊降臨節中日のための賛歌」/
  フィレンツェ公会議のための典礼文
 マヌエル・ガゼス:天において主を賛美せよ
[ロシア]
 17世紀の無名者:
  本日、キリストはベツレヘムにおいて    処女マリアからお生まれになった」/
  いかに幸いなことか/
  勝ち誇る万軍の勝利の導き手であるあなたのために/
  智天使ケルビム賛歌
[イギリス]
 13〜14世紀の無名者:
  この世の幸福はわずかしか続かない/
  なんと幸いな御胎/めでたし聖なるみ聖母/
  めでたし贖い主の御母/めでたし、弱き者の光/
  めでたし、棘のない薔薇/
  めでたし、処女の中の処女/
  処女マリア、父を生みだしし娘/
  おお、海の星/花が生んだ/処女マリア、花よ/
  サンクトゥス/アレルヤ/栄えある処女
[フランス]
 ペロティヌス(ペロタン):グラドゥアーレ
  [すべての人は見た/主はその救いを知らせ]
ポール・ヒリアー指揮
シアター・オブ・
 ヴォイシズ
 録音:2000年6月19日〜22日、ドイツ。
 フラグメンツというタイトルが意味するとおり、この録音には、中世を中心に手稿譜断簡が集められている。また同時に、東西へ分断したキリスト教(カトリックと正教) のそれぞれの曲が集められていることも意味している。ヒリアー率いるシアター・オブ・ヴォイシズは、曲の持つ、野卑と洗練の2面性を捉え、その両方をうまく表現している。
HMU-907277
廃盤
ハイドン:歌劇「アリオダンテ」(抜粋) ロレーヌ・ハント(Ms)
ジュリアン・ゴンデク、
ライザ・サッファー(S)
ジェニファー・
 レーン(Ms)
ニコラス・カヴァリエ(B)
ニコラス・マッギガン指揮
フライブルク・
 バロックo.
 全曲盤 HMU-907146/48より抜粋。近年再評価著しいヘンデルの歌劇のなかでも特に人気が高い。
HMX-2907278
廃盤
アンドルー・マンゼ・ポートレイト
 名手マンゼのサンプラー。
HMU-907279
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価格帯:F
鯨のためのリタニー(連祷)
 〜ジョン・ケージ:声楽作品集

   鯨のためのリタニー(連祷)(2声)/
   アリア第2番(1声とエレクトロニクス)(*)/
   ファイヴ(5声)/
   18の春を迎えた陽気な未亡人(1声と閉められたピアノ)(*)/
   ソング・ブックス〜声楽のためのソロ22
    (2声とエレクトロニクス)(*)/
   エクスペリエンシズ第2番(1声)/
   マルセル・デュシャンに関する、また、関さない
    36のメゾスティクス(2声とエレクトロニクス)(*/+)/
   アリア(7声とエレクトロニクス、
    キャシー・バーベリアンのための)/
   年月は熟し始める(1声と閉められたピアノ)(*)
ポール・ヒリヤー(声)
シアター・オブ・ヴォイシズ
テリー・ライリー(声;+)
 録音:1995年4月25日〜28日フランクフルト、ヘッセン放送。
 1998年にHMU-907187の番号でリリースされた名盤がお手ごろな価格で再登場。心安らぐ「鯨のためのリタニー」をはじめとする、ケージの声楽作品集。「18の春を迎えた陽気な未亡人」他、声楽曲の代表作がおさめられている、声楽曲のリリースCDが少ないケージの、貴重な完成度の高い録音。
HMX-2907280
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価格帯:F
限定盤
2011年カタログ付き〜モーツァルト:夜の音楽
 セレナード K.525
  「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」/
 アダージョとフーガ ハ短調 K.546/
 メヌエット ハ長調 K.485a/
 セレナード ニ長調 K.139
  「セレナータ・ノットゥルナ」/
 音楽の冗談 K.522
アンドルー・マンゼ指揮
イングリッシュ・コンサート
 旧品番:HMU-907280 (CD), HMX-2967280 (CD), HMU-807280(HYBRID_SACD) (以上すべて廃盤/入手不能)。マンゼとイングリッシュ・コンサートの初共演CDとして世のマンゼ・ファンを喜ばせた一枚。超有名曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をメインに据えているのも自信のあらわれか。なんとも刺激的、スピード感あふれるスリリングな演奏。
 #2011年HMFカタログ付き。初回プレス限定と思われますので、お早めにどうぞ。
HMU-907281
廃盤
エルガー:オルガン作品全集
 オルガン・ソナタ第1番 ト長調 Op.28/
 挽歌のヴォランタリー Op.14/
 讃歌ハ蝶々 Op.3 No.1/
 ラフバラのメモリアル・チャイム
 オルガン・ソナタ第2番
  変ロ長調(アトキンズ編曲)/
ジョン・バット(Org)
 録音:2000年7月1日-4日、ケンブリッジ、キングズ・カレッジ礼拝堂。
 HARMONIA MUNDIにバッハやフレスコバルディを録音して高い評価を受けているバットが弾いた、珍しいエルガーのオルガン作品。節度をわきまえた演奏により、「威風堂々」や「愛のあいさつ」の作曲家らしい崇高さ、可憐さが各曲にバランスよく表れている。
ショパン:
 練習曲集 Op.25(全12曲)/3つの新しい練習曲/
 子守歌 変ニ長調 Op.57/舟歌 嬰ヘ長調 Op.60/
 ポロネーズ第7番 変イ長調 Op.61「幻想」
フレデリック・チュウ(P)
 フレデリック・チュウ、噂に聞こえる天晴れな技巧も見事だが、それをひけびらかそうという気がサラサラないところがまたニクイ。あくまで感触はスマートで、洗練された都会派のショパン。こうクールで、さらりといやみのないショパンもなかなかないものだ。全てスマートにピタリとキメてくれるチュウの腕、タダゴトではない。
バッハ:チェンバロ協奏曲集
 [第1番ニ短調 BWV.1052/第2番ホ長調 BWV.1053/
  第3番 ニ長調 BWV.1054/第4番イ長調 BWV.1055/
  第5番ヘ短調 BWV.1056/第6番 ヘ長調 BWV.1057/
  第7番ト短調 BWV.1058]
リチャード・エガー(Cemb)
レイチェル・ブラウン(Fl)
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
アカデミー・オヴ・
 エンシェント・ミュージック
 マンゼの好サポート役として数々の名演をHMFに録音してきたエガーが、今度はマンゼのサポートを得て主役の座につき、バッハの協奏曲をまとめて披露。 エガーの的確な技術と高い音楽性を、マンゼとAAMが室内楽的アンサンブルで盛り上げる。スリップケース仕様。
HMX-2907283
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価格帯:F
カタログ付
限定盤
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲集
 チェンバロ協奏曲
  [第1番 ニ短調BWV1052/第2番 ホ長調BWV1053]/
 合奏協奏曲(トリプル・コンチェルト) イ短調BWV1044
リチャード・エガー(Cemb)
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
レイチェル・ブラウン(Fl)
ポーリーン・ノーブス(Vn)
エンシェント室内o.
 録音:2001年2月。レギュラー盤(HMU-907283[2CDs])から1枚分を抜き出した物。
 どれも有名な曲だが、BWV1052の冒頭から打ちのめされてしまう、衝撃的名盤。時折「こんな和音があったのか?」と思ってしまうような意外な響きの不協和音が聴こえ、カデンツァでもエガーの名人技が冴え、もちろんマンゼのヴァイオリンの音色、低弦音、刈り込まれた管弦楽パートの霊感に満ちたアンサンブル、そしてこれらすべての音を見事にとらえた木を思わせる響き、今聴いても真見事な1枚。
 当レーベルのカタログ付き限定盤は、基本的に初回プレスのみのため、是非お買い逃しなく。
HMU-907285
廃盤
タヴナーとイギリス・ルネサンス&バロックの音楽 フレットワーク
(ヴィオールEns.)
ラフマニノフ:
 ピアノ協奏曲第3番
 パガニーニの主題による狂詩曲
ジョン・ナカマツ(P)
クリストファー・シーマン指揮
ロチェスターpo.
HMU-807286
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 第3番は、第10回ヴァン・クライバーン・コンクールでナカマツが第1位を決めた本選決勝曲。ホロヴィッツを思わせるダイナミックなラフマニノフ。
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲集 Vol.2
 [第3番 ニ長調 Op.44 No.1/第4番 ホ短調 Op.44 No.2]
エロイカSQ
 ピリオド楽器使用。エロイカSQのHARMONIA MUNDIでの第1作であった同曲集Vol.1(HMU-907245)に続く物。第4番はメンデルスゾーンの室内楽作品の中でも最高傑作の一つとみなされている。
メンデルスゾーン:
 弦楽四重奏曲第5番 変ホ長調Op.44 No.3
 弦楽四重奏曲第6番 ヘ短調Op.80
 弦楽四重奏のための4つの小品Op.8
エロイカSQ
 [ピーター・ハンソン、
 ルーシー・ハワード(Vn)
 グスタフ・クラークソン(Va)
 デイヴィッド・ワトキンVc]
 録音:2002年10月20-23日。
 第1集(HMU-907245)、第2集(HMU-907287)に続く、ピリオド楽器によるメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲全集の完結編。前2作はロマン派の弦楽四重奏曲におけるピリオド・アプローチの意義を強く知らしめた傑作として評判も上々。この第3集でもこだわりの演奏が楽しめる。彼らが拠り所にしたのは、メンデルスゾーンの友人のヴァイオリニスト、フェルディナント・ダーヴィトが残した指示で、ボーイング、フィンガリングは当然これに従っている。また、ヴィヴラートが少ないのは古典派同様だが、ダーヴィトの指示に従って、ところどころ軽いポルタメントを絶妙に用いたりと、様々な点で面白いことこの上ない。大絶賛されたシューマン(HMU-907270)ともども、エロイカ四重奏団の面目躍如たる名演だ。
HMU-907289
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[CD-R]
1.5枚価格
2001年第11回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール〜
 オリガ・カーン(ゴールド・メダリスト)

  スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」 / ワーグナー/リスト編曲:イゾルデの愛の死
  バーバー:ピアノ・ソナタ Op.26 / シューベルト:即興曲 変ロ長調 D.935 No.3
  ユディト・ラング・ザイモント:指紋 / リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想

 オリガ・カーン(P)
 録音:2001年5月25日-6月10日、バス・パフォーマンス・ホール、テキサス州フォートワース、ライヴ。カーンはすでにキャリア豊富で、スカラ座や大阪のザ・シンフォニー・ホールでの演奏経験もあるロシア系アメリカ人女性ピアニスト。女性の優勝者は1969年第3回のオルティーズ以来。
 #レーベルでは廃盤となっているため、ライセンスを受けた米代理店の製作による CD-R 製版&オンデマンド製作盤での入荷となります。あらかじめご了承下さい。
2001年第11回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール〜
 スタニスラフ・ユデニッチ(ゴールド・メダリスト)

  リスト:スペイン狂詩曲 Sz.254/ハンガリー狂詩曲第6番
  シューベルト:楽興の時 D.780 Nos.2/3/6
  バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV.826
  ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調 Op.36(1913)
スタニスラフ・ユデニッチ(P)
 録音:2001年5月25日-6月10日、バス・パフォーマンス・ホール、テキサス州フォートワース、ライヴ。 ユデニッチはウズベキスタン生まれで、すでにミュンヘンpo.、ワシントン・ナショナルso.と共演経験あり。
HMG-507291
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価格帯:F
オデカドン〜ペトルッチの出版した楽譜から
 アグリーコラ、オブレヒト、
  イザーク、ブリュメルらの作品
フレットワーク
 録音:2000年8月。旧品番:HMU-907291(廃盤)
 ペトルッチ(1466-1539)はヴェネツィアを中心に活動した印刷業者で、歴史上初めて一枚の紙に、まず現在の五線にあたる線を印刷、その後違う版を重ねて音符と言葉をその線の上に印刷した初めの人物。彼はその後多声音楽の印刷技術も発展させたが、1501年に「ハルモニーチェ・ムジチェス・オデカトン」Aという楽譜集を出版、その後カンティB(1501/02)、C(1503/04)と続けて刊行された3つの譜集は、当時の様々な国、様式、作曲家の作品を優れた技術で収録しており、資料的価値がきわめて高い。フレットワークが500年の時を超えて命を吹き込んだ演奏。
2001年第11回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール〜
 アントニオ・ポンパ=パルディ、マキシム・フィリッポフ
  (シルヴァー・メダリスト)

   プーランク:「ナポリ」〜イタリア奇想曲(*)
   ショパン:ピアノ・ソナタ第2番(*)
   スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番 嬰ヘ長調 Op.30(*)
   プロコフィエフ:練習曲 ニ短調 Op.2 No.1
   ラフマニノフ:前奏曲集 Op.32 Nos.1/2/4/5-8/11-13(+)
アントニオ・ポンパ=パルディ
 (P;*)
マキシム・フィリッポフ(P;+)
 録音:2001年5月25日-6月10日、バス・パフォーマンス・ホール、テキサス州フォートワース、ライヴ。ポンパ=パルディはイタリア、フィリッポフはモスクワの出身。
HMX-2907293
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価格帯:F
ミサ・メキシカーナ〜南米のバロック音楽
 フアン・グティエレス・デ・パディーリャ:
  ミサ「エゴ・フロス・カンピ(私はシャロンのばら、野のゆり)」/
  サカラ「ア・ラ・サカラ・サリッリャ」/
  ネグリーリャ「おお、フランシキーリョさん!」
 フランシスコ・エスカラーダ:
  ビリャンシーコ「2羽の小さなひわが歌っている」
 サンティアゴ・デ・ムルシア:海岸地方のハカラ/クンベス
 フランシスコ・デ・ビダレス:
  サカラ「良き趣味を持っている人は全て」
 フアン・カバニーリェス:イタリア風コレンテ
 作曲者不詳(17世紀、ペルー):
  世俗的マリサパロス「夕べのマリサパロス」
 ジョアン・セレロルス:
  宗教的マリサパロス「汝、心地よい調和を備えるセラフィムよ」
 ミゲル・ペレス・デ・サバラ:
  マリサパロスによるディフェレンシアス
 フアン・ガルシーア・デ・セスペデス:グァラーチャ「夜は招く」
アンドルー・
 ローレンス=キング
 (スパニッシュHp/Org/
  ハーディ=ガーディ)指揮
ザ・ハープ・コンソート
HMU-807293
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2000年7月フランス、エーヌ県、ヴェルヴァン近郊、サン=ミシェル=アン=ティエラシュ修道院。旧品番:HMU-907293 (CD)。
 ローレンス=キング率いるザ・ハープ・コンソート。グティエレス・デ・パディーリャのミサ「エゴ・フロス・カンピ(私はシャロンのばら、野の百合)」を中心に組んだ、南米の楽曲集。清澄さが漂うこの佳曲を中心に、南米特有の哀愁漂う曲や、涼風が枝を渡る心地よいリズム、少しアフリカ的な腹に響くどっしりとしたリズムにのって歌われる、澄み渡るどこまでも青い空のような明るさの曲の数々。
カプリッチョ〜17世紀イタリアの器楽曲集
 D.スカルラッティ:マンドリンと通奏低音のためのソナタ
 M.ロッシ:トッカータ第7番
 ヴィターリ:
  5拍子のカプリッチョ/カプリッチョ/文字Eによる雄鳥の歩み
  カプリッチョ第1番/文字Bによるチャコーナ
 G.ストロッツィ:通奏低音のみによるソナタ
 バッサーノ:ロ調のトッカータ
 ロニョーニ:シュザンヌはある日(ラッスス原曲)
 A.スカルラッティ:スペインのフォリアに基づく変奏曲
 マッテイス:恋のアリア/音楽の偽りの調和〜組曲
 パスクィーニ:2つの通奏低音によるソナタ
 アリゴーニ:マンドリンと通奏低音のためのソナタ
トラジコメディア
[エリン・ヘドリー
 (Vg、リローネ)
 ポール・オデット(G、
  アーチリュート、マンドリン)
 スティーヴン・スタブズ
 (G、キタローネ)
 アレクサンダー・ワイマン
 (Cemb、Org)]
 録音:2000年5月31日〜6月3日、ルーカスアーツ社スカイウォーカー・サウンド、カリフォルニア州ニカシオ。 17世紀のイタリアでは器楽曲が驚異的な発展を遂げたが、その基盤となったのが通奏低音というシステムであった。
 在庫僅少。品切れの際はご容赦下さい。
HMU-907295
廃盤
シモーネ・モリナーロ:リュート作品集(全26曲) ポール・
 オデット(リュート)
 モリナーロは16世紀末から17世紀初めにかけてジェノヴァを中心に活躍した作曲家。収録曲の1つ、「“オルランド伯爵”と名付けられたバッロ」は、 後にレスピーギが「リュートのための古い舞曲とアリア」の原曲の1つとして用いたことでも知られる。
HMX-2907296
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価格帯:F
限定盤
J.S.バッハ:フーガの技法 BWV.1080
 (6つのヴィオラ・ダ・ガンバ版)
フレットワーク
 録音:2001年12月。通常盤:HMU-907296〔廃盤〕。ハルモニアムンディ2010年カタログ付限定盤。
 近年、坂本龍一ともコラボレーションした事でさらに人気上昇中のフレットワーク。1986年デビューの英国ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団は、今なおヴィオール・アンサンブルの雄と絶賛されている。ミステリアスな「フーガの技法」の迷宮をめぐる旅。
不死鳥の呼び声〜15世紀イングランドの希少な教会音楽
 作曲者不詳:天の星は
 ジョン・パイアムーア:なんと美しいことか(3声)
 フォレスト:あなたはなにもかも美しく
 ジョン・ベネット:グローリア
 ダンスタブル:聖なる御姿に栄光あれ
 ベネット:クレド
 ジョン・プラマー:あなたはなにもかも美しく
 作曲者不詳:
  おお、だれにもまして美しいおとめよ/
  サンクトゥス/おお、キリストの最も聖なる司よ
 プラマー:聖母の母なる聖アンナは
 作曲者不詳:天からの声が聞こえた
 ウォルター・フライ:めでたし、天の元后
 リチャード・マウアー:幸いなれ、神の御母なるマリア
 作曲者不詳:めでたし、天の元后/喜べ、おとめなる
 ジョン・トルールッフェ:御母は知らずに
 ウォルター・ラム:天の星は
オルランド・コンソート
 録音:2001年10月31日〜11月3日、聖母マリア教区教会、イースト・ロシアン州、スコットランド。
 オルランド・コンソートのHMU移籍第2弾は、中世イングランドの教会音楽で、聖母マリアにまつわる曲が数多く収録されている。復活や魂の不滅を象徴する不死鳥(フェニックス)がタイトルに使われているのは、 バラ戦争という荒んだ時代にあって、人々が魂の救済を歌の中に求め、天国を夢見ていたことを暗示しているのだろうか。
コレッリ:ヴァイオリン・ソナタOp.5(全曲) アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2001年11月。
 当代最高のバロック・ヴァイオリニストの一人マンゼによる画期的なアルバム。有名な「ラ・フォリア」(第12番)を含む等曲集には多数の奏者が挑んでいるが、マンゼによる演奏はそれら全ての演奏以上だといっても過言ではないほど。瑞々しい音色と切れの良いテクニックによる変幻自在なマンゼにエガーも素晴らしいサポートで臨んでいる。
HMU-907300
廃盤
ニコラ・ヴァレ:
 「ミューズの秘密」(28曲収録)
ポール・オデット(リュート)
 録音:2002年5月27日-30日、ドメーヌ=フォルジュ内フランソワ=ベルニエ・コンサート・ホール、ケベック州シャルルヴォワ市サンティレネ、カナダ。
HMX-2907301/10
(10CD)
廃盤
プロコフィエフ:ピアノ独奏のための作品全集
 [ボーナスCD]
 プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番(*)/第2番(*)
フレデリック・チュウ(P)
ピエール・アモワイヤル(Vn;*)
HMG-507312
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価格帯:F
アノニマス4、美しきマリア〜13世紀フランスのマリアに捧げられた歌
 2001年9月11日、同時多発テロの犠牲者に捧ぐ

 作曲者不詳:おお、マリア、おお、幸いなる産婦よ/敬虔深き恵みの御母よ/救い主の御母に/おお、処女マリアよ/
       良き、喜ばしき言葉を/幸いなれ、人の永遠の救い/私はけがらわしい歌を数多く作ったが/アヴェ・マリア
 ペロティヌス〔ペロタン〕:祝福されたる子よ
 作曲者不詳:神は世を新たにする/心からの愛を込めてあなたに祈る、気高き聖母マリアよ/めでたし、聖なる聖母/
       乙女のなかで最も清き者/まことに喜ばしきマリアについて/幸いなれ、乙女のなかの乙女よ/
       父の御母にして娘/幸いなれ、気高く、敬慕されるマリア

 アノニマス4
 録音:2001年9月10日-14日。旧品番:HMU-907312〔廃盤〕。偶然にも同時多発テロと同時期に録音された当盤は、キリスト教文化において癒しの役割を担ってきた聖母マリアに捧げられた歌を集めた企画であることから、そのテロの犠牲者たちに捧げるものとなった。
王のリュート奏者たち〜ヘンリー8世と
 エリザベス女王のお気に入りリューティストたちの音楽

  ヘンリー8世:良き仲間との気晴らし
  フィリップ・ファン・ヴィルデル(1500頃-1553):
   ファンタジー/フィリップのダンプ
  作曲者不詳:
   サマーセット公のダンプ/わがキャリー嬢のダンプ/
   ファンタジー(ヒルシュ・リュート・ブックから)/
   セレンジャーのラウンド/ダンプ/
   この道を通っていたのは誰
    (マシュー・リュート・ブックから)/
   ダウン/カンツォネッタ/クラロス伯爵
  アントニー・ド・カウンティー(?-1579):
   アントニーのパヴァン
  アルフォンソ・フェラボスコ(1543-1588):
   ファンタジー/パヴァン/カンツォネッタ
  エドワード・コラード(1595-1599頃活動):
   コラードのグラウンド
  ジョン・ジョンソン(?-1594):
   ペコーズの収穫/愉しみのためのパヴァン/
   愉しみのためのガリアード/クァドロ・パヴァン/
   全きガリアード/御者の笛/経過楽句のパヴァン/
   ウォルシンガム/ジョンソン氏によるパヴァン/
   ガリアード
ポール・オデット(リュート)
 録音:2001年10月2日〜5日、ケベック州シャルルヴォワ市サンティレネ、ドメーヌ=フィルジェ内フランソワ=ベルニエ・コンサート・ホール。 使用楽器:1550年頃マグノ・ティーフェンブルッカー製に基づく1984年ロンドンのポール・トムセン複製6弦リュート、1580年頃ゲオルク・ゲルレ製に基づく2000年ニューヨークのアンドルー・ラザフォード複製6弦リュート。
 イングランド・リュート音楽の黄金時代を開いたコンポーザー=リュートニスト、ジョン・ジョンソンの作品を中心としたアルバム。宮廷生活を彩った親密で静謐な音楽が現代に生きるわれわれの心をも癒す。
食、ワイン、歌〜ヨーロッパ・ルネサンスの音楽 オルランド・コンソート
(ヴォーカルEns.)
 装丁:CDサイズの119ページの本にCD本体が挿入されているというもの。 カウンター・テナーを含むヴォーカル4人組が、楽しげに食とワインについての楽曲をうたい上げる。本は版画などで充実とのこと。
ベネーガス・デ・エネストローサ(16世紀前半):
 即興(ファンタシア)の技法〜
  鍵盤楽器、ハープ、ビウエラのための
  新しい数字式タブラチュアによる曲集(1557)
  [エントラーダ
   (エネストローサとカベソンに基づく即興)/
  ラ・アルタ(ラ・スパーニャ)の旋律による
  3声の曲(カベソン作曲)/
  皇帝の歌「千々の悲しみ」(ジョスカン・デプレ作曲)/
  カンシオン「私をそんなに喜ばせたいのね、あなたは」
   (クレキヨン作曲)/
  カンシオン「わたしはあなたに」(作曲者不詳)/
  ハープもしくはオルガンによるティエント
   (ムダラ作曲)/
  王宮のパヴァーヌによるティエント
   (バルデラーバノ作曲)/
  舞曲様式によるソネット/
  ロマンセ「クラーロス伯爵」によるディフェレンシア
   (バルウデラーバノ&エネストローサ作曲)
  パヴァーヌ(エネストローサに基づく即興)/
  カンシオン
   「世界よ、汝は我に何を与えてくれるのか」/
  ミラノ風ガリアルダによるディフェレンシア
   (カベソン作曲)/
  40声のためのフーガ「唯一の神を丘にて」/
  カンシオン「見よ、何故泣いているのか」/
  朗誦するために(バルデラーバノ作曲)/
  ロマンセ「ポプラの森まで行って来ました、
   お母さん」(バスケス作曲)/
  バハ・デ・コントラプント(ナルバエス作曲)/
  ティエント第18番(カベソン作曲)/
  アヴェ・マリス・ステッラ(賛歌)/
  アヴェ・マリス・ステッラ(単旋聖歌)/
  アヴェ・マリス・ステッラ(カベソン作曲;2声)/
  アヴェ・マリス・ステッラ(カベソン作曲;3声)/
  アヴェ・マリス・ステッラ(賛歌;4声)/
  アヴェ・マリス・ステッラ(賛歌、単旋聖歌)

  「私の牛の見張りをしておくれ」による
   ディフェレンシア
   (ナルバエス&エネストローサ作曲)/
  ロマンセ「モーロの王は散策していた」
   (バルバエス作曲)/
  グロサード「モーロの王は散策していた」
   (パレロ作曲)/
  フィナール
   (終曲;ムダラ&カベソン作曲に基づく即興)
アンドルー・ローレンス=キング
 (スペイン式ダブルHp、
 ルネサンスHp、Org、Cemb、
 ハーディ・ガーディ)指揮
ザ・ハープ・コンソート
 録音:2000年2月11-17日、イギリス、ケンブリッジ州チェスターソン、セント・ジョーンズ教会。
 エネストローサによって集成されたこの曲集は、スペインのみならず、フランスやフランドルなど広くヨーロッパ中の既存の曲集から集められ、また、エネストローサが作編曲した音楽が収められている。 これらは当時のスペイン王、カルロス1世宮廷における音楽を反映しており、世俗的な楽しみに満ちあふれている。
HMU-907317
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(1CD)
3CD価格
ゴーティエ・ド・コワンシ(1177/78-1236):聖母の奇蹟
 アンドルー・ローレンス=キング指揮ハープ・コンソート
 録音:1999年6月11日-18日、サン・ミシェル・アン・ティエラシュ修道院、エーヌ県、フランス。
 「聖母の奇蹟」は、ゴーティエ・ド・コワンシが聖母マリアに関した多くの奇蹟を数え上げた約3万行に及ぶ壮大な物語詩。そこには、同時代の有名文学作品の例にもれず、曲の付いた詩も多く含まれており、彼自身の作曲になるものも多いといわれている。これら古フランス語による聖母讃歌には、同時代のさまざまな音楽様式からの影響が見られ、さらに明るさ、清澄さとノリの良さが加えられている。ハープ・コンソートの演奏はそういった美質をよく表わしており、聴くものの心を癒し、明るく軽やかにしてくれる。
 #廃盤のため高額商品&流通在庫限りです。入荷しない場合はご容赦下さい。
HMG-507318
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価格帯:F
ザ・パワーズ・オヴ・ヘヴン〜
 17−18世紀東方正教会の音楽

 ボルトニャンスキー:私の祈りをあなたに/
  私は目を山へと向ける/私の声で主を呼ぶ
 サルティ:今や天の力が
 ガルッピ:
  ケルビムの讃歌/肉においてあなたは眠りに落ちる
 ティトフ:父と息子への栄光
 ディレツキ:主の名をたたえよ/死者のように
 ヴェデル:バビロンの川のほとりで/
  主よ、私の終わりを教えてください 他(全11曲)
ポール・ヒリアー指揮
エストニア・
 フィルハーモニー室内cho.
 録音:2002年7月。旧品番:
 世界中で話題となったアルバム。バロックから古典派にかけてのロシアにおける正教会音楽だが、正教会では聖歌の楽器伴奏が認められていないため、すべて無伴奏作品。最近録音が増えつつあるジャンルではあるが、ヒリアー&エストニア・フィル室内cho.の演奏は正に鉄壁。
 2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
HMG-507318
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価格帯:F
ザ・パワーズ・オヴ・ヘヴン〜
 17−18世紀東方正教会の音楽

 ボルトニャンスキー:私の祈りをあなたに/
  私は目を山へと向ける/私の声で主を呼ぶ
 サルティ:今や天の力が
 ガルッピ:
  ケルビムの讃歌/肉においてあなたは眠りに落ちる
 ティトフ:父と息子への栄光
 ディレツキ:主の名をたたえよ/死者のように
 ヴェデル:バビロンの川のほとりで/
  主よ、私の終わりを教えてください 他(全11曲)
ポール・ヒリアー指揮
エストニア・
 フィルハーモニー室内cho.
HMU-807318
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2002年7月。CDの旧品番:HMU-907318(廃盤)。
 世界中で話題となったアルバム。バロックから古典派にかけてのロシアにおける正教会音楽だが、正教会では聖歌の楽器伴奏が認められていないため、すべて無伴奏作品。最近録音が増えつつあるジャンルではあるが、ヒリアー&エストニア・フィル室内cho.の演奏は正に鉄壁。
 HMG-507318は2008年、創立50周年を迎えたハルモニア・ムンディ・フランスの記念リリース、HM GOLD EDITION" の一枚。選りすぐりのタイトルを、新たに書かれ編集された充実のフルカラーブックレットと、豪華装丁ディジパックで再上程。再リリースながら、歌詞(欧文のみ)もきちんと掲載。さらに裏ジャケットには、オリジナル・ジャケット写真も掲載されているなど、どこまでも心配りの行き届いたシリーズ。
エクステンポア(即興)II〜
 中世の俗謡「ロム・アルメ(戦士)」に基づく
 聖ミカエルの祝日のための現代的ミサ

 ヒュー・ウォーレン:
  モテット「ザ・マン、ザ・マン(ロム・アルメ(戦士))」/
  クレド「叫ぶもの」/
  退出唱「われらに平安を与えたまえ」
 ドナルド・グレイグ:
  入祭唱「アプローチ」(詩篇第103(102)番より
   「御使いたちよ、主をたたえよ」)/
  アレルヤ唱「大天使」/
  密唱−奉献唱「ウンバッラ」(ヨハネの黙示録第8章より
   「天使が手に金の香炉を持って祭壇のそばに立つと」)
 マーク・ロックハート:
  聖体行列のためのファンファーレ「騒ぎ」(器楽)/
  キリエ「憐れみたまえ、憐れみたまえ」/
  グローリア「栄光あれ」/使徒書簡朗読「祈り」(器楽)/
  アニェス・デイ「解放」(*)/聖体拝領唱「雲を越えて」
 ダドリー・フィリップス:
  集会祈願「アザミ」/サンクトゥス「天と地」/
  ベネディクトゥス「ドラコーヌス」/
  主の祈り「鎖帷子(くさりかたびら)」
 ロバート・ハリー=ジョーンズ:
  昇階唱「保護」(詩篇第103(102)番より
   「御使いたちよ、主をたたえよ」)/
 ダドリー・フィリップス、ヒュー・ウォーレン、
  マーティン・フランス:福音の朗読「福音」
 ダドリー・フィリップス、マーク・ロックハート:
  叙唱「天使たちの役割」
 ドナルド・グレイグ、チャールズ・ダニエルズ:
  拝領祈願唱「神への執り成し」
 アンガス・スミス:閉祭唱「城門」
 朗読:主の祈り「主の祈り」/平和の祈り「平和」
オルランド・コンソート
 [ロバート・
  ハリー=ジョーンズ(CT)
 チャールズ・ダニエルス、
 アンガス・スミス(T)
 ドナルド・グレイグ(Br)]
パーフェクト・ハウスプランツ
 [マーク・ロックハート(Cl)
 ヒュー・ウォーレン
  (P、プリペアードP)
 ダドリー・フィリップス
  (アレクトリック・ベース、
  アコースティック・ベース)
 マーティン・フランス
  (ドラムス、
  エレクトリックPerc)]
 録音:2002年1月14-17日、ロンドン。
 イギリスの古楽演奏の雄オルランド・コンソートと、同じくイギリスのモダン・ジャズ・アンサンブル、パーフェクト・ハウスプランツのコラボレーション第2作(第1作:LINN CKD-076)。参加全メンバーが「ロム・アルメ」を題材にして作曲した各曲は、古楽的要素とジャズ的要素がインプロヴィゼーションによって組み合わされ、自在でいながら有機的に連関した音世界を形成するよう工夫されている。特に(*)が、清澄感と爽快感を感じさせるすばらしい出来栄え。
トムキンズ(1572-1656):星々の上に〜
 ヴァース・アンセムとコンソート音楽

 主よ、わが終わりを教えたまえ/神に歌え
 星々の上に/ファンタジー(6曲)
 イン・ノミネ/ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ
  他(全20曲)
エマ・カークビー(S)
キャスリーン・キング(A)
チャールズ・ダニエルズ(T)
ドナルド・グレイグ(B)他
フレットワーク
 トムキンズはバートの後を継ぐ作曲家として、イングランド音楽史上重要な人物で、主として教会音楽を残した。収録作品はいずれも格調の高さと親しみやすさを兼ね備えたものばかり。 ヴァース・アンセムとは英語による器楽伴奏付きのミニ・カンタータ的宗教曲。音階の繰り返しに基づく「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」はヒーリング・ミュージック的。
HMG-507321/22
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(2CD)
価格帯:F
ハインリヒ・イグナーツ・フォン・ビーバー(1644-1704):ロザリオのソナタ
 〔第1番 ニ短調「受胎告知」/第2番 イ長調「訪問」/第3番 ロ短調「降誕」/第4番 ニ短調「拝謁」/
  第5番 イ長調「神殿のイエス」/第6番 ハ短調「オリーヴの山で苦しみ」/第7番 ヘ長調「鞭打ち」/
  第8番 変ロ長調「いばらの冠をのせられ」/第9番 イ短調「十字架を背負う」/第10番 ト短調「磔刑」/
  第11番 ト長調「復活」/第12番 ハ長調「昇天」/第13番 ニ短調「聖霊降臨」/第14番 ニ長調「聖母被昇天」/
  第15番 ハ長調「聖母の戴冠」/パッサカリア ト短調〕/ボーナス・トラック:スコルダトゥーラについての解説

 アンドルー・マンゼ(Vn) リチャード・エガー(Org/Cemb)
 アリソン・マギリヴレイ(Vc)
 録音:2003年1月4日-7日、ロンドン。 初出・旧品番:HMU-907321/22 [HMU-907321 ]〔廃盤〕。 レコード芸術誌 2005年度「レコード・アカデミー賞」音楽史部門受賞。「深い感動を覚えた。17世紀のヴァイオリン音楽の至難の名曲だけに、今までにも数多くのCDがあるが、これが最高の演奏だ。ありあまる技術力を駆使しながらも、美しく昇華された祈りの時が流れる」(服部幸三/レコード・アカデミー賞2005年選定委員長) ビーバーの大傑作「ロザリオのソナタ」。15のヴァイオリン・ソナタと無伴奏ヴァイオリンによるパッサカリアの計16曲からなるこの作品は、受胎告知からキリストの受難と復活を経て、聖母マリアがキリストによって戴冠されるまでを描いた壮大な物ながら、ヴァイオリンと伴奏鍵盤楽器だけで全てを描写するという意欲作。しかもそれぞれの情景をより鋭く描くため、調弦を全て変えるというとんでもないことまでしており、ビーバーの各場面におけるこだわりが感じられる。それぞれの情景を思い浮かべながら卓越した描写に感嘆するもよし、なんの知識もなく聞いて見事な作曲技法に飲み込まれるのもよし。バロック・ヴァイオリン曲の中でも最大級の難曲だけに録音は少なく、満足する出来栄えのものはごく限られていた。そこに登場したこのマンゼ&エガー盤。初出時に代理店が「これはもう震えが止まらない出来栄え。マンゼの切れ味の鋭さと熱気、自由なインスピレーションと三拍子揃ったバロック・ヴァイオリンには感服するしかありません。」とべたぼめ状態。ボーナス・トラックとして、スコルダトゥーラ(変則的調弦)に関する解説が4分弱収録されている。
チャイコフスキー:
 ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調 Op.23(*)/
 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」 Op.32
オリガ・カーン(P;*)
クリストファー・シーマン指揮
ロチェスターpo.
 録音:2002年10月。
 モスクワ音楽院でセルゲイ・ドレンスキーに師事、2001年に行われた第11回ヴァン・クライバーン・コンクールで優勝、現在はアメリカで活躍するカーンによる待望の協奏曲録音。堂々たる楷書風の演奏。 オーケストラも充実、録音も優秀。
ヨゼフ・ヴェルフル(1773-1812):
 ピアノ・ソナタ集

 [ハ短調 Op.25/ハ長調 Op.33 No.1
  ニ短調 Op.33 No.2/ホ長調 Op.33 No.3]
ジョン・ナカマツ(P)
 ヴェルフルはベートーヴェンとほぼ同時代に活躍したヴィルトゥオーゾ・ピアニストにして作曲家。長身の美男子で華麗な演奏を聴かせた彼の人気はベートーヴェンを凌いでいたという。 作曲家としてはレオポルト・モーツァルト、ミヒャエル・ハイドンという申し分のない師につき、ウェーバーを先取りしたようなロマン的で技巧的なピアノ曲を数多く残した。往年のジャズ作曲家ヴァーノン・ デューク(ドゥケルスキー)は、ニ短調のソナタを「天国的な美しさ」と激賞した。ヴァン・クライバーン・コンクール優勝の日系ピアニスト、ナカマツがクランド・スタイルの演奏を繰り広げる。
ウォルクム・ユール〜ケルトとイギリスのキャロル集
 ・イギリスのクリスマス・キャロル
  ヒイラギとツタ(ア・カペラ)/三隻の船を見た(クリスマスの朝)/
  チェリー・トゥリー・キャロル/乾杯の歌/目覚めよ、朗らかな歌声に加われ

 ・ケルト民謡
  よき人々は皆/聖母マリアの7つの喜び/子守歌/寒い冬の日に/エジプトへの脱出/見よ、何よりも美しい朝を/他
 ヘンリー8世:青々と育ちしヒイラギは / ブリテン:新年のキャロル
 タヴナー:子羊 / R.R.ベネット:子守歌
 バーゴン:神にして人 / 作曲者不詳(17世紀):スコッツ・リルト
  アノニマス4 アンドルー・ローレンス=キング(Hp)
HMU-807325
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(HYBRID_SACD)
2枚価格
価格帯:B
 録音:2003年3月21日-25日、カリフォルニア。
 「ヒイラギとツタ」をはじめとするイギリスのクリスマス・キャロルと、アイルランドやスコットランドのケルト民謡を組み合わせた、心に染み入るクリスマス・アルバム。清冽な冬の空気を吸い込んだ時の敬虔で清々しい気持ちにも通じる、心穏やかな楽しいクリスマスを感じさせてくれる。アノニマス4の歌声は、いつもどおり親密で清楚。伴奏を担当するローレンス=キングのハープも声を引き立て、このうえない雰囲気を作り上げている。
 #SACD盤は廃盤となっており、流通在庫限りの上高額となっています。入手出来ない可能性もありますので、御了承下さい。
HMX-2927325
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価格帯:F
限定盤
アノニマス4〜ウォルクム・ユール、ケルトとイギリスのキャロル集
 ・イギリスのクリスマス・キャロル
  ヒイラギとツタ(ア・カペラ)/三隻の船を見た(クリスマスの朝)/
  チェリー・トゥリー・キャロル/乾杯の歌/目覚めよ、朗らかな歌声に加われ

 ・ケルト民謡
  よき人々は皆/聖母マリアの7つの喜び/子守歌/寒い冬の日に/エジプトへの脱出/見よ、何よりも美しい朝を/他
 ヘンリー8世:青々と育ちしヒイラギは / ブリテン:新年のキャロル
 タヴナー:子羊 / R.R.ベネット:子守歌
 バーゴン:神にして人 / 作曲者不詳(17世紀):スコッツ・リルト
  アノニマス4 アンドルー・ローレンス=キング(Hp)
 録音:2003年3月21日-25日、カリフォルニア。通常盤:HMU-907325。 HMF "Christmas Edition"。 「ヒイラギとツタ」をはじめとするイギリスのクリスマス・キャロルと、アイルランドやスコットランドのケルト民謡を組み合わせた、心に染み入るクリスマス・アルバム。清冽な冬の空気を吸い込んだ時の敬虔で清々しい気持ちにも通じる、心穏やかな楽しいクリスマスを感じさせてくれる。アノニマス4の歌声は、いつもどおり親密で清楚。伴奏を担当するローレンス=キングのハープも声を引き立て、このうえない雰囲気を作り上げている。
アメリカン・エンジェルズ〜希望、贖罪、栄光の歌
 アメイジング・グレイス(ニュー・ブリテン)/
 朝のトランペット/ポーランド/アマンダ/
 甘美なる祈りの時/他(全20曲)
アノニマス4
HMU-807326
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2003年5月12-15日、ルーカスアーツ社スカイウォーカー・サウンド・スタジオ、カリフォルニア州ニカシオ。
 アノニマス4のリーダー、マーシャ・ジェネンスキーが、18、19世紀アングロ・アメリカンの歌世界を辿る旅日記だと解説で述べているように、当時、野外伝道集会で歌われた宗教歌などを集めた録音。アノニマス4ならではの鮮烈な訴えのある音楽はいつもながら感動的。
「火のみなもと」
 伝ラバヌス・マウルス:賛歌「創造主なる聖霊よ、来たりたまえ」
 作曲者不詳(11世紀スイス):セクエンツィア「永遠に慈しみ深き聖霊よ」
 ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:
  交唱「おお、何と驚くべき予見が」/
  幻視1「創造の火(私は、力強い獅子たちの姿で燃え上がるでもなく/
   そして私は、前述の生命ある火炎から私へと語りかける声を聞いた)」/
   [道を知れ 第2部 幻視1]/
  セクエンツィア「おお、慰めたる聖霊の火よ」/
  幻視2「知恵とその姉妹(そして私は(その建物の)南側の中央に
   3人の形姿を見た/初めの形姿が言った)」[神の御業の書 第3部 幻視3]/
  応唱「おお、幸いなる魂よ」/
  幻視3「火の聖霊(そして私は天からの声を再び聞いた/
   そして形姿はこのように言った)」[神の御業の書 第1部 幻視1]/
  賛歌「おお、火の聖霊よ」/
  幻視4「愛(そして私は愛らしい乙女のようなものを見ました/
   そして私は、ある声が私に次のように語りかけるのを聞いた)」
   [1166年頃、エブラッハのアダム修道士(大修道院長)への手紙]/
  交唱「愛は全てに宿り」/同「おお、永遠なる神よ」
 作曲者不詳(9世紀フランス):賛歌「年はめぐりて」
アノニマス4
HMU-807327
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2003年10月5-9日、カリフォルニア州ナパ、キリスト教徒宗徒静修会、およびカンファレンス・センター。
 最近では伝記映画などを収録したDVDまで発売されているヒルデガルト・フォン・ビンゲン。この録音は、その彼女が幻視したイメージのうち、特に火を中心として、曲や幻視を組み合わせて構成したもの。アノニマス4は、彼女の曲とともに、彼女の幻視もグレゴリオ聖歌の招詞のスタイルで歌い、その清楚で静謐な世界を再現することに成功している。また、聖霊降臨節の賛歌を最初と最後に置き、主題的統一に時間的統一も与えている。HMU-907327はスリップケース仕様。
トレド・サミット(1502)〜
 16世紀前半、
  スペインとフランドルの歌曲とモテット集

 モンデーハル:めでたし、われらの王
 ピエール・ド・ラ・リュー:処女よ、喜べ
 アンチエタ:リベラ・メ
 ペニャローサ:喪の調べをわが琴は奏で
 ラ・トーレ:主を崇めん
 アグリーコラ:
  われは心を痛めず/わが眼に眠りを与えず
 作曲者不詳:さあ、踊れ
 ピエール・ド・ラ・リュー:
  ミサ「これほどの苦しみはなかった」〜キリエ/
  風は多くを運び去り
 ラ・トーレ:われが失いしは正義のみ
 ラガルド:行くがよい、熱情のおもむくままに
 ディヴィティス:
  おお、見捨てられし者を慰むる人
 ブリュメル:父の御母にして娘
 ピエール・ド・ラ・リュー:秘められし嘆き
 ルチャス:狩りへ、さあ、狩りへ
 ジョスカン・デプレ:
  主よ、われは汝の慈悲に期待せり
 アウクス:めでたし、
  至聖にして栄光に満ちしキリストの御身体
 ジョスカン・デプレ:幸あれ、祝祭の皿
 ペニャローサ:ミサ「ロム・アルメ」〜クレド
オルランド・コンソート
 録音:2002年10月25-28日、スコットランド、ロウジアン州イースト・ ロージアン、聖母マリア教区教会。
 1496年にハプスブルク家に輿入れした王女フアナが、1502年夏、夫フィリップ美公を伴って里帰りした際、スペインの古都であり宗教センターとして機能していたトレドで聴いたであろう音楽を集めたアルバム。 スペインとフランドルの作曲家たちによる宗教曲をオルランド・コンソートが精緻に歌い上げ、音楽のタピストリーを織り上げてゆく。
バッハ:チェンバロのための作品集
 イタリア協奏曲 へ長調 BWV.971/
 協奏曲 ト長調 BWV.973/
 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903/
 協奏曲 ニ長調 BWV.972/
 幻想曲とフーガ イ短調 BWV.904/
 ソナタ イ短調 BWV.965/
 幻想曲(とフーガ)ハ短調 BWV.906/
 フーガ ハ短調 BWV.906(リチャード・エガー補筆完成版)
リチャード・エガー(Cemb)
 アンドルー・マンゼとのコンビでおなじみのエガーだが、意外にソロ・アルバムは少なく、バッハはこれが初めて。 BWV.906では消失したフーガ部分を自ら補筆完成させて演奏するといった只者でないところも見せている。
海に働く人びと
 善良なアンドリオ/美しい娘たちがいたるところに/
 カテの娘たち/村の娘たち/婚約者たち/聖職者の黒服/
 ラ・ベルイッス/お化け屋敷/踊っても踊らなくても/
 乳搾り娘の歌/私のハーディ=ガーディ/猫/ミネット/
 美しいバラ/白イタチ/ジェルネリュイへの旅/
 孤独に満ち足りて/すみれを二つ/ブランル・ゲ/
 リウへの旅/サン・ピエール・リウ/私の本ができた/
 大男ジャン/シャ・ション
アンドルー・ローレンス=キング
 (Hp、他)指揮
ザ・ハープ・コンソート
クララ・サナブラス
 (S,バロックG)
ポール・ヒリアー(Br)
 録音:2003年1月。
 アルバム原題の「Les Travailleurs de la mer」は、文豪ヴィクトル・ユゴーの小説「海に働く人びと」から取られたもの。ユゴーは政治的事情から、英仏海峡のチャネル諸島にある王室属領の小島、ガーンジー島におよそ18年も亡命、ここで傑作「レ・ミゼラブル」と「海に働く人びと」を執筆した。ガーンジー島には幾多の伝説、伝承や民謡があり、ユゴーのインスピレーションをかき立てたことは間違いない。そしてなんと、古楽ハープの名手、アンドルー・ローレンス=キングも実はこのガーンジー島の出身。さすがは地元っ子、伝承曲を中心に全24曲を巧みにアレンジし、孤島の風情とそこに暮らす人々の人間模様を見事に描いている。この手の歌を歌わせたら今や世界一のクララ・サナブラスの素朴でしみじみした歌い口は絶妙。しかも、かのポール・ヒリアーもここでは歌手、飾らぬゆらりとした味のある歌を聴かせてくれる。遥か英仏海峡の小島が目前に浮かぶようなCDだ。
皇帝のための協奏曲〜
 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集

 ハ長調 RV.189/ホ長調 RV.271「恋人」/
 ハ短調 RV.202/ハ長調 RV.183/
 ホ短調 RV.277「お気に入り」/ヘ長調 RV.286
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
イングリッシュ・コンサート
HMU-807332
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2004年2月15日-17日、ロンドン。
 アンドルー・マンゼ、待望のヴィヴァルディ・アルバム第2弾。大絶賛された「ポーランド王子のためのコンサート」から7年、再びマンゼがヴィヴァルディに挑んだ。しかも今回はヴァイオリン協奏曲ばかり6曲。
 このアルバムは、1728年9月にヴィヴァルディがトリエステで神聖ローマ皇帝カール6世に手渡した12のヴァイオリン協奏曲からの選曲で構成されている。従来、このときヴィヴァルディが渡した曲集は、1727年にアムステルダムで出版された作品9の「ラ・チェトラ」(カール6世に献呈するという言葉が付けられていた)だと思われていたが、実はそれは印刷譜ではなく手稿譜で、「ラ・チェトラ」とは1曲以外全く別の作品だったことが判明。これはマンゼが校訂した楽譜での画期的な録音となる。
 マンゼのヴァイオリンが快刀乱麻の活躍なのはもちろん、どれもヴィヴァルディならでは生命力に溢れた名作名演。「恋人」という別名のあるホ長調の曲のかわいらしさ、そしてビックリするほど劇的なハ短調の曲、などなど、ヴィヴァルディの多彩な才能が余すところなく示されている。マンゼらしい過激なまでの仕掛けや遊び、大胆なカデンツァ、離れ業的超絶技巧も快感なら、ジーンと来るような繊細さ、しみじみした情感もあって、鬼才マンゼといえどもこれほどやりたいことをやり尽くした演奏も稀と思わされるほど、バリバリ全開そのマンゼの侍魂をイングリッシュ・コンサートが見事に受けとめて全力で応えているのも最高。ここ数年ヴィヴァルディのヒートアップが大変で、協奏曲、オペラ、声楽曲と続々と名盤が登場する状態。その中でもこのマンゼとイングリッシュ・コンサートの演奏は2004年のヴィヴァルディのアルバムの中でも特大の評価を受けた。
HMX-2907332
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価格帯:F
2012年カタログ付・皇帝のための協奏曲〜ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集
 〔ハ長調RV.189/ホ長調RV.271「恋人」/ハ短調RV.202/ハ長調RV.183/ホ短調RV.277「お気に入り」/ヘ長調RV.286〕
 アンドルー・マンゼ(Vn)指揮イングリッシュ・コンサート
 録音:2004年2月15日-17日、ロンドン。通常盤:HMU-907332。
HMA-1957333
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価格帯:F
Mass 'O crux lignum' 〜アントワーヌ・ビュノワ(1430頃-1492):
 喜べ、天のような女性よ(モテ)/私はある女性に御辞儀をした(シャンソン)/愛は私たちを名誉を持って扱う/
 喜べ、フランスの大地よ(シャンソン=モテ)/星々の優しき創造主よ(讃歌)/ミサ「おお木の十字架」/
 もう彼にそれを当てにさせないよう(シャンソン)/君はつま先だって歩いている(シャンソン)/
 終わりのある慈悲はあるのだろうか(シャンソン)/限りなきこと(モテ)

  オルランド・コンソート[ロバート・ハル=ジョーンズ(CT) マーク・ドウベル、
                 アンガス・スミス(T) ドナルド・グレイグ(Br)]
 録音:2003年11月2日-5日/初発売:2005年。旧品番:HMU-907333ビュノワは15世紀後半、いわゆるフランドル楽派の作曲家。ブルゴーニュのシャルル勇胆公とその後継ぎのマリーに仕え、ベルギーのブリュージュで亡くなった。大先輩であるオケゲム(1410頃-1497)の圧倒的な名声の前に隠れがちだったが、残された彼の作品はどれも高度なものばかりであり、もっと高く評価されてしかるべき。ビュノワは多数のシャンソン(現存するのは60曲ほど)といくつかの宗教曲を残しており、このアルバムにはそれらの中から10曲が選ばれている。御存知オルランド・コンソートによる、いつもながらの練り上げられた歌唱で。
五月に〜ルートヴィヒ・ゼンフル(1486頃-1543頃):
 歌曲と器楽曲集

 ある朝私は秘密の場所に立っていた(3曲)/五月に/
 ああエルセちゃん、僕のエルセちゃん/森から朝になり/
 音楽を楽しみ/木は葉を落とし/タンデルナーケン/
 アヴェ・マリア/カルメン/どんなさらに不思議なことが/
 私は音楽を楽しんだ/私は我慢しなくてはならない/
 他(全22曲)
チャールズ・ダニエルズ(T)
フレットワーク
 [リチャード・ブースビー
 リチャード・キャンベル
 ウェンディ・ジルスピー
 ジュリア・ホジソン
 ウィリアム・ハント
 スザンナ・ペル]
 録音:2003年5月13-16日。
 ゼンフルは、16世紀前半に活躍したドイツ・ルネサンス(生まれはスイス)の重要な作曲家。少年時代、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世のもとで合唱団員となり、そこでハインリヒ・イザークの弟子となって多大な影響を受けた。1517年にイザークが亡くなり、1519年にはマクシミリアン1世も亡くなって、しばらく不遇な時代があった後、1523年にバイエルン公ヴィルヘルム4世から礼拝堂楽長に招かれた。この時期はちょうどルターの宗教改革の真只中で、ルターはゼンフルを高く評価、二人の間の交流もあったようだ。
 高名なわりにはもっぱらイザークの弟子として言及される程度、コンサートでは時々名前を見かけるものの、録音は少なく、ゼンフル単独の優れたCDは皆無に近い状態だっただけに、このフレットワークのCDは古楽ファン感涙もの。ドイツ語世俗歌曲を中心に様々な楽曲を22曲、ダニエルズの素朴な声と温もりのヴィオール合奏が、ゼンフルの再評価を聴き手に迫る。輸入元大推薦の一枚。
コレグラフィ〜ルイ14世の舞曲
 ラウル・オジェ・フイエ:
  「コレグラフィ」(1700年出版)
    に収められた音楽
 [ダングルベール:プレリュード
  リュリ&カンプラ:序曲と舞曲
  〜ダングルベールによるソロ版〜]
アンドルー・
 ローレンス=キング(Hp)
 使用楽器: 17世紀イタリア・モデル・バロック・トリプル・ハープ、2004年製。1700年にパリで出版されたフイエの「コレグラフィ」は、舞踊記譜法に関する初めての著書として、音楽史上でも重要なもの。宮殿で踊られていた様々なダンスを、記号と線を用いて記譜したこの本は、リュリをはじめとする当時の代表的な作曲家による音楽も収められている。さらに、美しい挿絵も入っており、極めて豪華なつくり。ローレンス・キングは、この本の中から、ダングルベールの編曲によるリュート・ソロ用の曲を抜粋して演奏している。目をつぶると、太陽王の宮廷に鳴り響く踊り手の靴音が聴こえてくるかのような典雅な一枚。
HMU-907336
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[CD-R]
1.5枚価格
ラフマニノフ:トランスクリプション集
 バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 / シューベルト:何処に?
 メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」〜スケルツォ / クライスラー:愛の喜び/愛の悲しみ
 ビゼー:「アルルの女」〜メヌエット / チャイコフスキー:子守歌 / ムソルグスキー:ゴパーク
 リムスキー=コルサコフ:くまばちの飛行 / ラフマニノフ:リラの花/ひなぎく
 リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(ラフマニノフ作カデンツァ付き)
 ラフマニノフ:コレッリの主題による変奏曲 Op.42

  オリガ・カーン(P)
 2001年ヴァン・クライバーン・コンクールで優勝したロシアのピアニスト、カーンの2作目は、ラフマニノフによるピアノ編曲集という難物だが、余裕のテクニックで大柄かつソウルフルな演奏を繰り広げている。「ハンガリー狂詩曲」のカデンツァは記譜されていないため、ラフマニノフ自身が演奏した古い録音から採譜したとのこと。半端ではない熱の入れようだ。
 #レーベルでは廃盤となっているため、ライセンスを受けた米代理店の製作による CD-R 製版&オンデマンド製作盤での入荷となる可能性があります。あらかじめご了承のほどお願いします。
ギボンズ:
 セカンド・サーヴィスとコンソート・アンセム

  これは洗礼者ヨハネの記録/全能にして永久なる神/
  ヴォランタリー/
  セカンド・サーヴィス「朝」[テ・デウム/ユビラーテ]/
  教会のための讃歌と歌〜第1曲/
  2台のオルガンのためのファンタジー/
  教会のための讃歌と歌〜第9曲/
  セカンド・サーヴィス「夕」
   [マニフィカト/ヌンク・ディミィティス)/
  おお共に手を打て/偉大なる神々の王/
  見よ、見よ、御言葉は肉体となった
ロジャーズ・
 カーヴィー=クランプ(T)
スティーヴン・ハロルド(CT)
ピーター・ハーヴェイ(Br)
スティーヴン・コノリー(B)
ビル・アイヴズ指揮
オックスフォード・
 モードリン・カレッジcho.
フレットワーク
ジョナサン・ハーディ(Org)
 録音:2003年7月9-11日、オックスフォード大学、モードリン・カレッジ・チャペル。
 17世紀前半のイギリスを代表するギボンズの最も優れた作曲ジャンルである、英国国教会のための礼拝音楽を集めた録音。17世紀に特有の「ヴァース」・スタイルで作曲されたセカンド・サーヴィスと、 珍しい伴奏版が選択されたヴァース・アンセムが取り上げられている。
 ヴァース・アンセムのうち、ギボンズの作品中最もよく知られており独唱の朗誦的な旋律線が見事な傑作「これは洗者ヨハネの記録」、彼の独創性が最も発揮された「見よ、見よ、御言葉は肉体となった」、 「偉大なる主の中の主」という後世改作された歌詞でもよく知られる「偉大なる神々の王」の3曲では、17世紀中期にモードリン・カレッジのオルガニストを勤めたベンジャミン・ ロジャーズ所蔵であったヴィオル合奏(コンソート)による伴奏版が用いられている。
 残りの2曲のヴァース・アンセム、シンプルで美しいテクスチュアの「全能にして永久なる神」と、ギボンズがオクスフォード大学で音楽博士号を取得した際に課題作品であった「おお共に手を打て」 は無伴奏合唱。これに、「教会のための讃歌と歌」から2曲とオルガン作品2曲がバランスよく配されている。
 合唱を担当しているオックスフォード大学モードリン・カレッジ合唱団は、この伴奏版と縁深い演奏団体。歌詞の持つ意味を最大限引き出しているギボンズの作品を、清澄な声と真摯な姿勢で歌っている。 また、伴奏を担当するフレットワークと独唱陣も、これらの曲の特徴をよく捉えて演奏している。
HMA-1957339
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価格帯:F
ブラームス
 ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調 Op.5
 幻想曲集 Op.116/4つの小品 Op.119
ジョン・ナカマツ(P)
 初発売:2004年。旧品番:HMU-907339。1997年のヴァン・クライバーン・コンクール優勝者ナカマツによる、オール・ブラームス・プログラム。日系アメリカ人のナカマツは、音楽学校に通わず、マリーナ・デリーベリーという先生から20年以上に渡ってプライヴェート・レッスンのみを受け、鍛え上げられたことでも知られている人。それでは専攻は何かと言えば、なんとドイツ語。コンクールで優勝して突如有名になる前は、ハイスクールのドイツ語の先生だったとか。『だからブラームスに並ならぬ愛情と共感があるのは当然』と代理店。内容豊かな味のあるブラームスがここにある。
HMX-2907340
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(2CD)
1CD価格
ヴィヴァルディ:
 フルート協奏曲集(*)
  [ニ長調 RV.427/ト長調 RV.438/イ短調 RV.440/
  ニ長調「ごしきひわ」 RV.428/ト長調 RV.436/ニ長調 RV.429/
  2つのフルートのための協奏曲 ハ長調 RV.533(#)]/
 リコーダー協奏曲集(+)
  [ヘ長調「海の嵐」 RV.433/ハ短調 RV.441/ハ長調 RV.443/
  ハ長調「夜」 RV.104/ヘ長調 RV.434/ハ長調 RV.444/
  ト長調 RV.435]
ジャネット・スィー(Fl-tr;*)
スティーヴン・シュルツ(Fl-tr;#)
マリオン・フェアブリュッヘン
(リコーダー;+)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
 録音:1990年9月(+)/他。"1+1" シリーズ。天才肌フェアブリュッヘンと実力派スィーの対比の妙、またヴィヴァルディ作品へのアプローチの多様さを楽しめる2枚組。
HMX-2907342
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(2CD)
1CD価格
ヴィヴァルディ:マンチェスター・ソナタ集
 [第1番 ハ長調 RV.3/第2番 ニ短調 RV.12/
  第3番 ト短調 RV.757/第4番 ニ長調 RV.755/
  第5番 変ロ長調 RV.759/第6番 イ長調 RV.758/
  第7番 ハ短調 RV.6/第8番 ト長調 RV.22/
  第9番 ホ短調 RV.17a/第10番 ロ短調 RV.760/
  第11番 変ホ長調 RV.756/第12番 ハ長調 RV.754]
ロマネスカ
[アンドルー・マンゼ(Vn)
 ナイジェル・ノース
 (アーチリュート/
   テオルボ/G)
 ジョン・トール(Cemb)]
 録音:1992年3月25日-27日&9月28日-30日、聖アンドルー教会、トディントン、ロンドン。"1+1" シリーズ。
 1973年にマンチェスター中央図書館で発見された楽譜による12のヴァイオリン・ソナタ。ビオンディ盤(ARCANA)と双璧を成す名盤。
HMG-507344
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(2CD)
価格帯:F
ビーバー
 8つのヴァイオリン・ソナタ(1681)/リュート独奏のためのパッサカリア/
 描写ソナタ/ソナタ「羊飼い娘」/ヴァイオリン独奏のためのパッサカリア
  ロマネスカ[アンドルー・マンゼ(Vn) ナイジェル・ノース(リュート/テオルボ)
        ジョン・トール(Cemb/Org)]
 録音:1993年9月15日&18日、1994年1月8日&11日、聖マーティン教会、イースト・ウッダイ、イギリス。旧品番:HMU-907134/35, HMX-2907344 ("1+1" シリーズ)。なお、初出盤のHMU-907134/35とそれ以降では番号部分が変更されており、曲目記載は同一のようだが詳細が異なっている可能性がある(例えばテイクが異なる等)。マンゼが本領を発揮した難曲の秀演。
HMX-2907346
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(2CD)
1CD価格
バッハ:無伴奏チェロ組曲 BWV.1007-1012(全6曲) ヤープ・テル・リンデン(Vc)
 録音:1996年。"1+1" シリーズ。
 コープマンの盟友リンデンが、ガット弦の美しい響きを極限まで引き出した自然体の音楽を聴かせる演奏。
HMX-2907348
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(2CD)
1CD価格
ヘンデル:
 カンタータ「アポロとダフネ」
 カンタータ「クローリ、ティルシとフィレーノ」
ジュディス・ネルソン(S)
デイヴィッド・トマス(B)
ブルース・アイネス(Ob)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
 "1+1" シリーズ。
HMG-507350/51
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(2CD)
価格帯:F
フェアブリュッヘン〜ヤコブ・ファン・エイク(1590頃-1657):「笛の楽園」抜粋
 * CD 1 (20曲)(*)
  山羊の足/優しいセイレン/ひとは夜、何をする/最も美しい少女ダフネが/ブラヴァーデ/
  私の心のうちの小さな盗賊は、何故こんなに静かなのか/おお眠り、優しい眠りよ/英国のナイチンゲール/
  リンデンの緑の木陰で/涙のパヴァーヌ/わが友シーリア/狂った女王/麗しのアマリリ/ロバート殿下のマスク/
  モア・パラティーノ/道化師/狂ったシモン/起きろ、狩に出発だ/英国の歌/スコットランドの小さな歌

 * CD 2 (29曲)(#)
  前奏曲/ファンタジアとエコー/ヴァン・グーセン/バタリ/彼女は許してくれようか/大晦日の朝/聖母マリアへの讃歌/
  詩篇第118/詩篇第140/ローズモント/ああ、悲しみ、わが嘆き/しばらく黙って/すばやい愛の使者/
  美しい羊飼いの娘フィリス/戻っておいで/たとえ王妃がそれを望んだとしても/甘い夏/マルスのクーラント/
  カリレーン第2/カリレーン第4/羊飼いの娘/フランスのクーラント/ガブリエルは私に語った/私から消えた喜び/
  ロバート殿下のマスク/グラヴサンドのバレエ/愛しのマルティナ/ラヴィニョーネ/詩篇第134

 マリオン・フェアブリュッヘン(リコーダー)
 録音:1991年(*) 、1995年(#) 。 初出品番: HMU-907072 (*), HMU-907170 (#) | 旧品番: HMX-2907350/51 (*/#) 。 古楽ファンに強烈な印象を与えた演奏。 『ファン・エイクの「笛の楽園」は、17世紀ヨーロッパの人気の高い曲を集めた印刷曲集で、ファン・エイクのほぼすべての作品となる、150曲にもおよぶ単独・および変奏曲を含んでいます。第1集が1649年(1644年の「エウテルペ」の再版)、第2集が1646年に刊行されています。アムステルダム出身の名手フェアブリュッヘンが、一切の乱れのないヴィルトゥオジティをもって、珠玉の作品49を抜粋、演奏しています。2つの変奏を合体させたり、ファン・エイクの書いた装飾の他にも美しい装飾を施したりと、創意に満ちた演奏です。使用楽器についても、1980年にコペンハーゲンで発見されたファン・エイクのタイプのリコーダーをモデルに作成されたソプラノ・リコーダーで演奏、「笛の楽園」の楽譜に記された運指表に適合する楽器であるということでも話題となりました。また、ここで用いられているアルト・リコーダーはルネッサンスのリコーダーとしては異例の2オクターヴ半に及ぶ音域をもっています。』
HMX-2907352
(2CD)
廃盤
ショパン:マズルカ全集 フレデリック・チュウ(P)
 "1+1" シリーズ。
HMX-2907354
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(2CD)
1CD価格
ヴィヴァルディ:
 オーボエ・ソナタ集;RV.53, 58, 59, 81, 779(*)
テレマン:「忠実な音楽の師」、「音楽の練習」、
 「音楽による礼拝」、小室内楽組曲、他からの抜粋(+)
ポール・グッドウィン(Ob)
ゲイル・ヘネシー(Ob;*)
ジョン・ハロウェイ(Vn;*)
コリン・ローソン(シャルマイ;*)
ナイジェル・ノース
(リュート;*、テオルボ;+)
スーザン・シェパード(Vc;+)
ジョン・トール(Cemb;+)
ライデン・グラハム(Vc;+)
 "1+1" シリーズ。ヴィヴァルディのオーボエ・ソナタは100以上あるといわれるが、その真価を世に認めさせたグッドウィンの演奏が復活。テクニック的にも音楽的にも極めてハイクオリティの演奏はいつ聴いても色褪せることがない。器楽で綴る祈りの音楽である「音楽の礼拝」も貴重な名演奏の一つ。
HMG-507356/57
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(2CD)
価格帯:F
中世ヨーロッパの音楽
 ・エイジ・オヴ・カテドラル〜 12th Century Monophonic Chant (*)
 ピエール・アベラール(1079-1142): O quanta qualia / Virgines caste / Planctus cigne "Clangam filii"
 作曲者不詳(ラス・ウエルガスの写本より):Quis dabit / O monialis / Rex obiit / Plange, Castella
 ピエール・アベラール: De profundis / Epithalamica / Planctus David "Dolorum solatium"
 ・ホケトゥス〜 Medieval European Vocal Music (#)
 作曲者不詳(バンベルク写本より): In seculum "Longum" (3 voices) / In seculum "Viellatoris" (3 voices) /
                  In seculum "Breve" (3 voices) / In seculum "D'Amiens longum" (3 voices)
 作曲者不詳(モンペリエ写本より):Iam nubes dissolvitur (3 voices)
 アダン・ド・ラ・アル(1237頃-1287/88頃 or 1306以降): "Entre Adan et Hanikel / Chiès bien séans" (3 voices)
 作曲者不詳(スペイン/モンペリエ写本より?): Je n'amerai I (4 voices) / Je n'amerai II (4 voices)
 作曲者不詳(ファエンツァ写本より): Ave maris stella (organ)
 ギヨーム・ド・マショー(1300頃-1377): "Tous corps qui / De souspirant cuer" (3 voices)
 作曲者不詳(ピカルディのコレクションより): "Musicalis sciencia / Sciencie laudabili" (3 voices)
 作曲者不詳(イヴレア写本より): Or sus, vous dormés trop (organ)
 ベリー・セント・エドマンズ(の作曲家?): Ave rex gentis Anglorum (voice) /
  "Deus tuorum militum / De flore martyrum" (4 voices) / "Ave miles celestis / Ave rex patrone" (4 voices)
 作曲者不詳(ウスターの断片より):
  Beata viscera (3 voices) / "Thomas gemma Cantuarie / Thomas cesus in Doveria" (4 voices)
 作曲者不詳(14世紀イギリス): "Doleo super te / Absolon, fili mi" (3 voices)
 作曲者不詳(イギリス/モンペリエ写本より): "Epiphaniam domino canamus / Balaam inquit" (4 voices)
 作曲者不詳(14世紀イギリス): "Campanis cum cymbalis / Honoremus dominam" (4 voices)
 作曲者不詳(ファエンツァ写本より): Sangilio (organ)
 ヨハンネス・チコーニア(1373頃-1412): "Venecie mundi splendor / Michael qui Stena domus" (3 voices)
 作曲者不詳(ロッシ写本より): Amor mi fa cantar (voice)
 作曲者不詳(ムジカーレ・ボローニャ写本より): O zentil madona mia (2 voices)
 ジョヴァンニ・ダ・フィレンツェ(1350頃活動): Per larghi prati (3 voices)
 作曲者不詳(14世紀イタリア): Sanctus "Mediolano" (4 voices) / "Cum martelli / La manta" (3 voices)
 作曲者不詳(ファエンツァ写本より): Benedicamus domino (organ)
 ヨハンネス・チコーニア: "Ut te per omnes celitus / Ingens alumnus Padue" (4 voices)

  ポール・ヒリアー指揮シアター・オヴ・ヴォイセズ、プロ・アルテ・シンガーズ(*)
 録音:1997年5月、アウアー・リサイタル・ホール、インディアナ大学音楽学部、アメリカ合衆国(*) /1997年8月、ロンドン&ケンブリッジ(#) /1998年5月、インディアナ大学音楽学部、アメリカ合衆国(#)。旧品番: HMU-907157 (*), HMU-907185 (#), HMX-2907356/57 [HMX-2907356] (*/#)2つの中世音楽アルバムをカップリング。
HMX-2907358
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(2CD)
1CD価格
ヘンデル:
 オラトリオ「スザンナ」〜抜粋
 オラトリオ「テオドーラ」〜抜粋
ロレーン・ハント、 ジル・フェルドマン(S)
ドリュー・ミンター(CT)
J.トマス(T)
W.パーカー(Br)
デイヴィッド・トマス(B)
ニコラス・マッギガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
 "1+1" シリーズ。
HMX-2907360
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(2CD)
1CD価格
クーナウ:
 クラヴィーアの新しい成果、
  または豊かな創造と技巧の7つのソナタ
 聖書ソナタ
ジョン・ブット
 (Cemb、Org、
 クラヴィコード)
 "1+1" シリーズ。
HMX-2907362
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(2CD)
1CD価格
ファンタスティクス〜17世紀イタリアのヴァイオリン音楽(*)
 パンドルフィ:ロマネスク・ソナタ Op.4
 チーマ:ヴァイオリン・ソナタ
 カステッロ:ソナタ第1番/同第2番
 ピッチニーニ:パルティータ
 フレスコバルディ:パルティータ
 フォンターナ:ソナタ
 カプスベルガー:トッカータ
 コッラディーニ:ソナタ
シュメルツァー:ヴァイオリン・ソナタ集(+)
 第1番−第6番/カッコー/トルコを破るキリスト教徒の勝利
ロマネスカ
 [アンドルー・マンゼ(Vn)
 ナイジェル・ノース(テオルボ)
 ジョン・トル(Cemb)]
 録音:1997年1月6-9日(*)/1995年9月4-7日(+)。"1+1" シリーズ。
 いまやバロック・ヴァイオリン界のスター、アンドルー・マンゼ。彼が1990年代に精力的に活動していた古楽トリオ、ロマネスカの伝説的名盤が2枚組み合わされ、お得価格に。マンゼの快刀乱麻を断ち切るヴァイオリンの快演は、今も昔も変わりない。マンゼ・ファンならぜひロマネスカのマンゼもどうぞ。
HMX-2907364
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(2CD)
1CD価格
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ集
 ロ短調 BWV.1014/イ長調 BWV.1015/ホ長調 BWV.1016/
 ハ短調 BWV.1017/ヘ短調 BWV.1018/ト長調 BWV.1019/
 ト長調 BWV.1019a/ト長調 BWV.1021/ヘ長調 BWV.1022/
 ホ短調 BWV.1023
エリザベート・
 ブルーメンストック(Vn)
ジョン・バット(Cemb)
 "1+1" シリーズ。すでにmusique d'abordシリーズでも発売されロング&ベストセラーとなっているアルバム。今でこそ古楽ヴァイオリンのバッハのCDがひしめき合っているが、このCDが登場した当時は世のバッハ・マニアをあっといわせたものであった。
HMX-2907366
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(2CD)
1CD価格
スクリャービン:ピアノ・ソナタ全集
 第1番 ヘ短調 Op.6/第2番 嬰ト短調 Op.19「幻想ソナタ」/
 第3番 嬰ヘ短調 Op.23/第4番 嬰ヘ長調 Op.30/
 第5番 Op.53/第6番 Op.62/第7番 Op.64「白ミサ」/
 第8番 Op.66/第9番 Op.68「黒ミサ」/第10番 Op.70
ロバート・タウブ(P)
 録音:1988年5月、1989年12月、1990年12月、バーミンガム。"1+1" シリーズ。
 ロバート・タウブはもう四半世紀近く精力的に活動している米国のヴィルトゥオーゾ・ピアニスト。この全集は彼が1981年にデビューしてからしばらくしての、飛ぶ鳥を落とす勢いに録音されたもの。難技巧に問題なぞないのはもちろん、音楽的にも満足度の高い全集。
HMX-2907368
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(2CD)
1CD価格
ロビン・フッド〜エリザベス朝のバラッド(*)
 バード:ラ・ヴォルタ/ウルジーズ・ワイルド/
  にぎやかなパヴァン/ガリアルダ/森を
 ロセター:パヴァン/ガリアード
 フィリップス:半音階的パヴァン/ガリアード
 アスキュー:ロビン・フッド
 作曲者不詳:
  女房を家に閉じ込めたいが/アップ・テイルズ・オール/
  スペインのパヴァン/ジョンが来て私にキスを/
  可愛いケイティは俺が好き/
  月曜日にはお前のシャツを着て/バッキンガムのブランル/
  ルーシアン夫人のリルト/かき分け歩こう/
  わが主人ウィロビー卿のご帰館/陽気な色男/グラウンド/
  作者不詳:さあ市だ/ 故郷に帰ろう/トレンチモア/
  作者不詳:モール・シムス
チェルベリーのハーバートのリュート本(+)
 バチェラー:
  前奏曲/幻想曲/ダウランドのガイヤールによるガイヤール
 ジョンソン:パヴァン/幻想曲
 ヘリー:幻想曲/サラバンド 他(全28曲)
ポール・オデット(リュート)
 録音:1999年9月(*)/1991年10月(+)。"1+1" シリーズ。
 オデットの1990年代初めと終わりのCD2枚。ことに「ロビン・フッド」は世界各国で絶賛されたオデットの代表盤の一つ。16世紀から17世紀にかけてのイギリスのリュート音楽を見事に奏でている。リュート体験がまだの人から、かなりのリュート・マニアまで唸ること間違いなし。
HMX-2907370
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(2CD)
1CD価格
国王の楽しみ〜
 17世紀の声とヴァイオリン・バンドのためのバラッド集
(*)
 女王の楽しみ〜17世紀のイギリスのバレエと踊り(+)
ポール・オデット(リュート、チター)
デイヴィット・ダグラス指揮
ザ・キングス・ノイズ
 [エレン・ハージス(S)
 ロバート・ミーリー(Vn、Va)
 スコット・メトカルフ、
 ジェーン・スタークマン(Va)
 エミリー・ウォルハウト
  (バス・ヴァイオリン)]
 録音:1992年(*)/1996年(+)。"1+1" シリーズ。
 ポール・オデットは単なるリュート奏者ではなく、17世紀の音楽、ことに17世紀英国音楽の発掘と実技としての演奏法の研究家でもある。この2枚のCDはそんなオデットのいわば「粋」。バード、プレトリウス、トマス・シンプソンといったおなじみの作曲家から、あまり知られていない作曲家、さらに多数の作曲者不詳の作品まで全47曲、いずれもオデットならではの澄み切ったリュートの音に、ソプラノ、ヴァイオリン属の楽器などの伴奏が加わり、高い完成度を実現している。
HMX-2907372
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(2CD)
1CD価格
J.S.バッハ:
 無伴奏チェロ組曲 BWV.1006-1012(リコーダー版)
マリオン・フェアブリュッヘン
 (リコーダー)
 録音:1991年10月12日-14日、スカイウォーカー・サウンド・スタジオ、カリフォルニア州/他。旧品番:HMU-907071HMT-7907071)とHMU-907260のカップリング化再発売。前半3曲と後半3曲が約10年の間を置いて発売(おそらく録音も)された。"1+1" シリーズ。
 フェアブリュッヘンの卓越した技術、息遣いと音楽性により、無伴奏チェロ組曲があらたな魅力をもって聴くものの前に提示される。チェロで弾いても高度なテクニックが要求される名曲を、リコーダーのために編曲して吹くというだけでもこわいもの知らずの感があるが、フェアブリュッヘンの演奏はむずかしさなどを一切感じさせない。
HMX-2907374
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(2CD)
1CD価格
ヘンデル:オラトリオ「マカベアのユダ」 ギ・ド・メイ(T:ユダ)
リサ・サッファー
 (S:イスラエルの女)
パトリシア・スペンス
 (Ms:イスラエルの男)
デイヴィット・トマス
 (B:司祭シモン)
ブライアン・アサワ(CT:使者)
ルロイ・クロム
 (B-Br:ユーポレムス)
ニコラス・マギーガン指揮
フィルハーモニア・バロックo.
カリフォルニア州立大学室内cho.
 録音:1992年11月15日-18日、スカイウォーカー・サウンド・スタジオ、カリフォルニア州。旧品番:HMU-907077/78。"1+1" シリーズ。
 2枚目のトラック14、表彰式の曲として定番の「見よ、勇者は帰る」の合唱と管弦楽も極めて快活、マギーガンのヘンデルが再登場。10年以上前の発売当初、ヘンデルの作品群はまさに再発見され始めた頃であった。通常知られる1716年版に、ヘンデルが様々な機会に書き下ろした異稿もすべて収録。1992年の「東京の夏音楽祭」で来日してその歌唱力と演技力が話題となったギ・ド・メイが主役というのもあって発売当初話題となった名盤だが、廃盤となり多くの人々に惜しまれていた。優秀録音。
HMX-2907376
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(2CD)
1CD価格
ジョスカン・デ・プレ:幸福な聖処女のミサ(*)
ジャン・ムートン(ムトン)(1459以前-1522):モテット集(*)
ラッスス:マタイ受難曲(+)
ポール・エリオット(T;+)
ポール・ヒリアー(Br;*)指揮
シアター・オブ・ヴォイシズ
 録音:1993年3月&12月(*)/他、旧品番:HMU-907136(*)とHMU-907076(+)のカップリング化再発売。"1+1" シリーズ。
 ラッススのマタイ受難曲の貴重な録音が復活。ポール・エリオットのテノールの美声も懐かい。
HMX-2907378
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(2CD)
1CD価格
カンティガ集
 「ディスタント・ラブ」
  〜ジョフレ・リュデールとマルティン・コダスの歌
(*)
   マルティン・コダス(1230頃活躍):
     恋人の歌(全7曲と前奏曲、後奏曲)(**)
   ジョフレ・リュデール(1120-1147):
     泉から流れ出る水が/5月に日が長くなる頃/
     歌う術を知らず/他(全6曲と器楽曲1曲)(##)
 「ポルトガル宮廷のカンティガ」(+)
ポール・ヒリアー(歌)
シアター・オブ・ヴォイシズ
アンドルー・
 ローレンス・キング(Hp;*)
マルグリット・ティンデマン、他(+)
 録音:1994年2月16日&1996年4月5日、スカイウォーカー・サウンド・スタジオ、カリフォルニア州(**)/1998年10月1日-2日、フランソワ=ベルニエ・コンサート・ホール、ケベック州、カナダ(##)/1994年2月、スカイウォーカー・サウンド・スタジオ、カリフォルニア州(+)。旧品番:HMU-907203(*)とHMU-907129(+)のカップリング化再発売。"1+1" シリーズ。
 ヒリアーの夢幻的な声とローレンス・キングのハープの典雅な音色のコンビネーションが印象的な(*)では、遠く中世の様々な恋路が歌われる。コダスの歌は、海に出た恋人の帰りを待つ女心を歌った恋の歌。聖母マリアのカンティガ集と同じくポルトガル・ガリシア語で書かれた詩と、ガリシア民謡に近い旋律で構成されている。リュデールは「遠い恋(人)」に寄せる詩で名高いトルバドゥール。特に「5月に日が長くなる頃」は、高名なミンネゼンガー、フォーゲルヴァイデの「パレスチナの歌」の中の「今、初めて私の命が」に直接借用された部分があることで有名。なお、以上の内3曲(?)は旋律が残されておらず、朗読となっている。
 (+)は様々な楽器の音色もたのしめるもので、ポルトガルの宮廷で演奏されていた音楽が再現される。
モーツァルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ集
 第33番 ヘ長調 K.377(*)/第36番 変ホ長調 K.380/
 第32番 ヘ長調 K.376/ソナタ ハ長調 K.403
アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Fp)
HMU-807380
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2004年6月14日-17日。CDはおそらくディジパック仕様。
 1781年に作曲された3つのソナタを中心としたモーツァルト・アルバム。マンゼのヴァイオリンは清涼感に富んだ音色ながらも、音楽はあくまで意欲的でエネルギー満点。また、ピアノにも単なる伴奏以上のものが要求されているこれらのソナタだが、エガーのフォルテピアノも実に達者。ことにK.376の丁々発止のやり取りは、さすがこのコンビ!と唸らせられ、ヴィヴラートをかけないヴァイオリンの清澄な音色と典雅なフォルテピアノの響き。気心知れた名コンビが絶妙のバランスで紡ぎあげてゆく、繊細きわまりない世界。なお、未完のK.403 第3楽章はマクシミリアン・シュタートラーの補筆版を使用している。
チャイコフスキー:
 交響曲第5番 ホ短調 Op.64(*)/
 幻想序曲「ロミオとジュリエット」(+)
ダニエレ・ガッティ指揮
RPO
HMU-807381
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2003年7月31日、8月1日、アビーロード・スタジオ(*)/1998年5月6-7日、ワトフォード・コロシアム(+)。
 1961年11月6日、ミラノ生まれのダニエレ・ガッティは、歴代栄光のイタリア人指揮者に連なる逸材。彼はイタリア人らしくオーケストラをカラッと明るく鳴らすが、それが脳天気にならず、常に知性的な実に鋭い読みが土台に据えられる。そのため、スムースで流麗なフォルムとコントロールの効いた立体的な音響という、二つの要素の両立が見事に果たされるのである。そうした特徴はことにこのチャイコフスキーの第5交響曲で結実。ガッティは安易なチャイコフスキーっぽさを排し、速いテンポによる猛烈な求心力でもって音楽をえぐりにえぐっていく。グラマラスで濃厚、ド迫力なばかりのお祭りチャイコフスキーに対して痛烈な批判意識を持った演奏なのである。例えて言うなら、若くてノーブルな貴公子が良い血統の馬に乗って疾走するかのようなチャイコフスキー。
 #2010年10月、後期交響曲集として BOX 化再発売予定(HMX-2907561; CDのみ)。
バード:コンソート・ソング集
 私の心は私にとっては王国/6声のファンタジア/
 おお主よ、何と空しきことか/満足は豊か/
 貞淑なペネローペ/6声のパヴァン/6声のガリアード/
 私の恋人は小犬を飼っていた/おお、類稀なその胸から/
 名高い高貴な女王/4声のファンタジア/
 澄みきった東の空から/6声のファンタジア/
 真実ははじめ/ああ、この声を聞くあなた/
 この世のあらゆる楽しみを軽蔑するものは
エマ・カークビー(S)
フレットワーク
 録音:2004年1月。
 エマ・カークビーは若い頃からバードを得意としており、頻繁に歌っている。大ベテランとなった今日でも天使の歌声はそのままというのも驚異的だが、それ以上に見事に円熟した豊かな表現によって聖母のような慈しみと愉しみに満ち溢れた歌となっているのには驚嘆せざるをえない。静かな、温かい感動、もはやカークビーは奇跡の領域に達している。フレットワークが抜群にうまいのも言うまでもない。宗教画の背景に描かれた理想郷のごとく、ドップリと浸りたくなる美の世界。
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集
 第3番 ト長調 K.216/第4番「軍隊」ニ長調 K.218/
 第5番「トルコ風」イ長調 K.218
アンドルー・マンゼ(Vn)指揮
イングリッシュ・コンサート
HMU-807385
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 2004年にリリースされたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集(HMU-907380)も記憶に新しいマンゼ、次はヴァイオリン協奏曲集。モーツァルト・イヤーに向けて続々と発売されるアルバムの中でも超強力盤の一つ。
 第5番「トルコ風」では、第3楽章が普通の協奏曲のようにロンド形式ではなく、メヌエットになっている。メヌエットはモーツァルトの時代としては古い形式なのだが、トリオにあたる部分はアレグロになっていてトルコ風の活発なリズムやメロディーが現れる。カデンツァはマンゼ自身によるものを披露。マンゼは艶やかな音色と音楽的深さで、新鮮な響きに包まれた演奏を聴かせる。
ギター伴奏によるロシア・ロマンス集
 デュビュク:私を怒らないで、お母さん/セレナード/
        私があなたに気付いた時/さらば/2つの別れ
 チャイコフスキー:舞踏会のざわめきの中で
 グリンカ:忘られようか
 ワルラモフ:それを言うな、いとしい女よ/形見
 シリャーエフ:おまえをしっかり抱いて/
 パスハーロフ:私に頼むな
 ブラーホフ:可愛い口
 リバーソフ:おまえだけ
 スピロ:肖像画
 ユリエフ:むなしい愛
 イワーノフ=クラムスコイ(1912-1973):
  悲しい調子/夜想曲/ワルツ/つむじ風(ギター独奏)
カイア・ウルブ(S)
ヘイキ・マトリク(G)
 ロシア歌謡ファン狂喜? ありそうで少ないギター伴奏によるロマンス集。
 ギターというと、どうしてもスペインをはじめとするラテン諸国のイメージがあるが、ロシアには独自の7弦ギターがあり、民謡やロマンスの伴奏として活躍した。どういうわけかロシア民謡やロマンスはピアノ伴奏だとサマにならず、ギターのしっとりとした爪弾きを伴ってこそ真価を発揮できると言える。ここではエストニア出身2人のアーティストが、透明かつ正確な音程のロシア原語歌唱と美しい伴奏で共演。ロシアのロマンス集は何故か新録音が少なく、これだけの高水準のアルバムが出ることはファン大歓迎。いずれもロシア・ロマンスの代表作で、冬にぴったりの情感をたっぷり楽しめる。さらに嬉しいのは、「近代ロシア・ギター音楽の父」アレクサンドル・イワーノフ=クラムスコイの独奏曲が入っていること。スペインとはひと味異なるギターの宝石に出会える。原語歌詞付き。
モーツァルト:幻想曲とロンド集
 幻想曲 ニ短調 K.397/ロンド ニ長調 K.485/幻想曲 ハ長調 K.395/
 ロンド イ短調 K.511/行進曲 ハ長調 K.408/
 前奏曲とフーガ ハ長調 K.394/幻想曲 ハ短調 K.396/
 ボーマルシェの「セビリャの理髪師」のロマンス
  「私はランドール」による12の変奏曲 変ホ長調 K.354(299a)/
 アダージョ ロ短調 K.540/メヌエット ニ長調 K.355/
 小ジグ K.574/
 グラスハーモニカのためのアダージョ ハ長調 K.356/617A
リチャード・エガー(Fp)
 使用楽器:1805年製。
 マンゼとの共演、さらにソロ演奏でも聴き手を魅了し続けているリチャード・エガーによるモーツァルト。
 リチャード・エガーの言葉より:
 今年2006年は、250年前に生まれた男に捧げる記念コンサートとレコーディングがいっぱいあると思います。・・・このディスク上でのリサイタルは、モーツァルトによる「自由」な構造のピアノ音楽、ロンド、幻想曲、そして前奏曲といったプログラムからなっています。彼はこれらの音楽形式を、J.S.バッハ、そしてより重点的に、彼の息子たち、C.P.E.バッハ、J.C.バッハらから受け継ぎました。偉大なる「幻想曲 ニ短調 K.397」の重き雲が立ち込めるような冒頭は、その後軽やかな気分のアリアへと移ろってゆきます。この作品は、19世紀にモーツァルトの作品ではないとされていました。自筆譜等の楽譜資料が完全なかたちではのこっていないからです。私は、この小さな宝石ともいえる作品を結ぶために、「egarrtorial〜エガートライアル〜エガー的試み」という選択をとらせていただきました。私はこのプログラムを、グラス・ハーモニカのために書かれたK.356 のアダージョで締めくくりました。優れたオリジナル楽器を用いることによって、モーツァルトの音楽の多様性を知ることができ、彼の音世界にひとっとびすることができると確信しております。250年たった今も、モーツァルトが我々とともに生き続けていることに感謝しつつ・・・ハッピー・バースディ!」
 彼が述べているとおり、第一曲目ではエガー編による幻想曲が聴けるという興味深い試みも。エガーの人格の誠実さが光る。
メルキオル・ノイジドラー(1531-1594):リュート音楽集
 ファンタジア/私はどれほど幸せなことか/他(全24曲)
ポール・オデット(リュート)
 録音:2006年10月。
 メルキオル・ノイジドラーは、16世紀の重要なリュート製作家にして作曲家でもあったハンス・ノイジドラーの長男としてNurembergに生まれた。メルキオルが育ったノイジドラー一家は18人の子供がいた大所帯で、住んでいた家を引き払わなければならないという困窮した時期もあった。メルキオルはアウグルブルクに幼い3人の弟たちと一緒に移り住み、そこでヨーロッパ有数の銀行家、フッガース家と出会う。音楽をこよなく愛する彼らと交流する中で、音楽会などで演奏する機会も増え、ノイジドラーは演奏者としての地位を確立していく。広い音域で展開される優雅にして繊細な装飾など、彼の腕前が相当なものであったことをうかがわせる。彼の作品は、17世紀の間はヨーロッパ各地で出版されていたが、その後リュート奏法の趣味が変わったこと、また資料がきちんと残されていなかったこともあり、忘れ去られていた。オデットは、ノイジドラーの作品に再び息吹を吹き込み、私たちに示してくれている。
ダニエル・バチェラー(1572-1619):
 作品集
(全26曲)
  ムッシュー・アルマン/報われ得ぬ我が心のたけを述べんと
  ジョン・ダウランドのガイヤールに基づくガイヤール/他
ポール・オデット(リュート)
 バチェラーは、エリザベス朝黄金時代を代表する作曲家。リュート奏者や音楽学者、古楽ファンたちの間ではその存在を知られていたが、楽譜の出版もほとんどなされていないままのため、なかなか彼の作品をまとめたものは無かった。バチェラーの作風は、比較的シンプルな和声ながら、贅を尽した装飾が特徴的で、名手オデットの紡ぐ一糸の乱れもない精緻な装飾音が、聴く者をやさしく包みこむ。現代屈指の名手が、われわれを古の王朝の世界へと誘う。
アルフォンソ賢王のための音楽
 アルフォンソ10世(1221-1284)編纂:
  聖母マリアのカンティガ集〜
   [第15番/第36番/第103番/第116番/第159番/第166番/
   第263番/第315番/第323番/第393番/舞曲]
 マルティン・コダス:カンティガス・デ・アミーゴ(7曲)
デュファイ・コレクティヴ
 [ポール・ベヴァン
  (プサルテリー、ホイッスル、
  Perc)
 ヴィヴィアン・エリス(歌)
 ジャイルズ・ルーイン
  (歌、ヴィエール、ウド、
  ラバーブ、サズ)
 ウィリアム・ライアンズ
  (横笛、Perc、
  ハーディ=ガーディ)
 スザンナ・ペル(ヴィエール、
  ラバーブ、サズ)
 ピーター・スクース
  (Hp、Perc)]
 録音:2002年12月16-18日。
 聖母マリアのカンティガ集は、カスティーリャ王国の国王アルフォンソ10世(在位1251-1282)が編纂した、当時イベリア半島で歌われていた歌集。その名の通り、聖母マリアの奇跡を称えた内容が主で、実に400曲近くあるという。一方、マルティン・コダス(これが作曲家名かどうかは確定していない)の「カンティガス・デ・アミーゴ」は、1914年に偶然古い楽譜が発見された13世紀の歌。ガリシア地方の娘が歌う7つの恋の歌である。
 デュファイ・コレクティヴは1987年に結成された非常に人気の高い古楽音楽グループで、既にCHANDOS やAVIEなどからCDを出しているが、これがHMへの初録音。近年イベリア半島の中世からルネサンスの音楽で高い評価を受けている彼らは、歌付き、器楽のみのアンサンブルと編成を自在に変え、13世紀の自由で豊かな精神を現代に蘇らせている。またヴォーカルのヴィヴィアン・エリス(彼女は中世音楽やトラッドでは有名な歌手)の素朴な歌も素晴らしい。
オリガ・カーン〜ブラームス:変奏曲集
 ハンガリーの歌の主題による変奏曲 Op.21-2/
 ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ/
 パガニーニの主題による変奏曲 Op.35
  [第1部/第2部]
オリガ・カーン(P)
 スゴ腕女流ピアニスト、オリガ・カーンの最新盤はブラームスの変奏曲集。どれも規模の大きな作品ばかり、カーンの腕の冴え渡るところ。パガニーニ変奏曲はたいへんな難曲として知られているが、フォルテでオクターブの和音をおさえながら絶え間なく跳躍する部分もらくらくと弾きこなしている。ヘンデル主題も、複雑なフーガ部分も実に明晰に演奏、理知性と迫力とを兼ね備えた見事なブラームスとなっている。
HMU-907393
廃盤
チャイコフスキー:
 交響曲第4番 ヘ短調 Op.36/イタリア奇想曲 Op.45
ダニエーレ・ガッティ指揮
RPO
HMU-807393
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2004年12月13日-14日。#2010年10月、後期交響曲集として BOX 化再発売予定(HMX-2907561; CDのみ)。
チャイコフスキー:
 交響曲第6番「悲愴」ロ短調 Op.74
 弦楽セレナード ハ長調 Op.48
ダニエーレ・ガッティ指揮
RPO
HMU-807394
(HYBRID_SACD)
廃盤
 注目の若手指揮者ダニエーレ・ガッティ&ロイヤル・フィルのチャイコフスキー・チクルス。「悲愴」は初演9日後にチャイコフスキーが亡くなった事や、悲愴の情緒を強く表した音楽ゆえに、この作品はチャイコフスキーの遺書であるとも言われている。ガッティは「この録音に全魂を捧げたと言っても過言ではない」と語っており、重苦しさとは無縁なガッティらしいクリアーで鋭敏な演奏を聴かせる。第1楽章は 焦燥感を煽り果敢に音楽を展開し、第2楽章ではロシア民謡風のリズムを痛快に仕上げ、感傷的部分を残しつつ息つく間もなく旋律が流れていく。ガッティの演奏のダイナミックな持ち味が十分に発揮された第3楽章、苦悩、悲観、悲痛な叫びを爆発させ, クライマックスへの導く第4楽章。一聴の価値ある異色の「悲愴」である。またカップリングのセレナードはガッティとオケとの良好な関係を感じるとることの出来る演奏。
 CDも廃盤で、流通在庫限り。#2010年10月、後期交響曲集として BOX 化再発売予定(HMX-2907561; CDのみ)。
HMU-907395
廃盤
J.S.バッハ:(全18曲)
 幻想曲(オルガン曲)BWV.572 /われら悩みの極みにありて BWV.641 /
 平均律クラヴィーア曲集第2集巻〜第16番 ト短調 BWV.885/パッサカリア BWV.582 /他
  フレットワーク(ヴィオル・コンソート)
 録音:2004年6月1-4日。
 6人組ヴィオール・コンソート、フレットワークがバッハの鍵盤作品を録音。フレットワークは、ヴィオルの特性を活かしてアタックが鋭く明瞭な演奏が特徴。ヴィオル・コンソートの表現力の限界に迫る名演で、特に有名な「パッサカリア BWV.582」では多彩な表現で淡々と演奏。それぞれの作品の魅力を引き出し無理なく自然に演奏し、心地良い印象を与えるアルバムに仕上げている。
クリストファー・タイ(1505頃-1573):
 ラテン語と英語の教会音楽

 すべての民よ、手を打ち鳴らせ/平安のうちに/
 私は心をあなたに捧げます、神よ/
 私をお救いください、ああ神よ/主を褒め称えよ/柴の中で/
 マニフィカト/主よ、今こそ安らかに去らせてください/
 蘇りたまいしキリストは/父に、子に、そして聖霊に/
 神よ、われを憐れみたまえ/
 われらは、われらの父ともども、罪を犯した
ビル・アイヴズ指揮
オックスフォード大学
 マグダレナ・カレッジcho.
リチャード・パイネル(Org)
 録音:2004年7月7-9日。おそらくディジパック仕様。
 タイは16世紀中頃の英国音楽における大変に重要な作曲家で、ことに、エドワード6世(ヘンリー8世の息子)の時代にラテン語による合唱曲が禁止されたため、英語の合唱曲を多く残したことで知られている。しかし同世代のトーマス・タリスに比べ、録音は実にさびしい限り。この新録音はまさにその渇きを癒すものである。英語の曲、ラテン語の曲と、合奏曲を収録。
 オックスフォード大学マグダレナ・カレッジ合唱団は、カレッジの教会で務めをする、長い歴史を誇る聖歌隊。少年を含め全て男声で、見事に融和した響きの見事さはもちろん、迷いのない確信に満ちた深い表現にはただただ感銘。録音の優秀さも特筆もの。
ハインリヒ・イグナツ・
 フランツ・フォン・ビーバー(1644-1704):
 2声のファンファーレ第1番/同第4番/
 ミサ「キリストの復活」/
 ソナタ;第1番/第3番/第5番/第7番/第11番/6声のソナタ
シュメルツァー:ソナタ第12番
アンドルー・マンゼ指揮
イングリッシュ・コンサート&cho.
HMU-807397
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2004年9月20日-23日、ロンドン、テンプル・チャーチ。
 ビーバー没後300年記念の2004年、マンゼ率いるイングリッシュ・コンサートがフランス、ベルギー、オランダ、スペインそしてイギリスで演奏し大絶賛を浴びた公演曲目。ミサ曲はおそらく1674年の復活祭を祝うために書かれたものと推測されている。2000年にジェイムズ・クレメンツ校訂の楽譜が出版され演奏されるようになった。2対の四声合唱を持つ規模の大きな作品で、ビーバーらしい手の込んだ音楽は聞き答え満点。アルバムの作りもミサ単独でなく、当時の演奏様式に従い、ビーバー自作のソナタやファンファーレ、さらにはシュメルツァー作のものも挟みこむ形で演奏されている。細やかなニュアンスの表現力に加えて、音の放射感と臨場感が抜群。対をなす4声のコーラスが重層的に掛け合うさまに心が震える。
HMG-507397
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価格帯:F
ハインリヒ・イグナツ・
 フランツ・フォン・ビーバー(1644-1704):
  ミサ曲「キリストの復活」

 2声のファンファーレ[第1番/第4番]/
 ミサ「キリストの復活」/
 ソナタ[第1番/第3番/第5番/第7番/
     第11番/6声のソナタ]
シュメルツァー:ソナタ第12番
アンドルー・マンゼ指揮
イングリッシュ・コンサート&cho.
 録音:2004年9月20日-23日、ロンドン、テンプル・チャーチ。旧品番:HMU-907397
 ビーバー没後300年記念の2004年、マンゼ率いるイングリッシュ・コンサートがフランス、ベルギー、オランダ、スペインそしてイギリスで演奏し大絶賛を浴びた公演曲目。ミサ曲はおそらく1674年の復活祭を祝うために書かれたものと推測されている。2000年にジェイムズ・クレメンツ校訂の楽譜が出版され演奏されるようになった。2対の四声合唱を持つ規模の大きな作品で、ビーバーらしい手の込んだ音楽は聞き答え満点。アルバムの作りもミサ単独でなく、当時の演奏様式に従い、ビーバー自作のソナタやファンファーレ、さらにはシュメルツァー作のものも挟みこむ形で演奏されている。細やかなニュアンスの表現力に加えて、音の放射感と臨場感が抜群。対をなす4声のコーラスが重層的に掛け合うさまに心が震える。
ばら、ゆり、こけもも〜
 中世とルネサンス時代(1250-1560)の音楽庭園

 【第1章 フランス】
 マショー:薔薇、百合、春、緑(シャンソン)
 作曲者不詳(1259頃):五月、つぐみが歌うとき(モテット)
 作曲者不詳(1250頃):マリアちゃん、森で遊ぼうよ!(モテット)
 トレボール:タチアオイ、美しい花よ(シャンソン)
 【第2章 イギリス】
 作曲者不詳(1290頃):高貴でつつましやかな花よ(モテット)
 ワルター・フリエ(1450-1475):アニェス・デイ(ミサ)
 レオネル・パワー:なんと美しき芸術よ(モテット)
 【第3章 ブルゴーニュ】
 作曲者不詳(1460頃):サンザシの木の下で(シャンソン)
 アレクサンドル・アグリーコラ(1446-1506):
  花の女王(シャンソン)
 【第4章 スペイン】
 作曲者不詳(1480頃):ディンディリディン(シャンソン)
 フアン・バスケス(1550-1560):
  薔薇の小枝の泉のなかで(シャンソン)
 ロドリーゴ・デ・セバーリョス(1530-1581):妹よ(モテット)
 ガブリエル・メーナ(1511):
  優雅なヒースの茂る野原(シャンソン)
 フランシスコ・ゲレーロ(1529-1599):
  ヒマラヤスギのように(モテット)
 【第5章 フランス】
 クローダン・ドゥ・セルミジ(1490-1562):
  話題をかえましょう(シャンソン)
 ブリュメル(1460-1515):百合のように(モテット)
 ヨハンネス・ルピ(1506-1539):私は彼女を見た
 【第6章 イタリア】
 カルパントラ:これぞかの甘き薔薇(モテット)
 チプリアーノ・デ・ローレ(1515-1565):
  遠き東の美しき国から(マドリガル)
 アルカデルト(1505-1568):愛らしい花々(マドリガル)
 ドミニク・フィノト(1510-1556):汝この素晴らしき芸術を見よ
 【第7章 その他の国々】
 トマ・クレキヨン:私はたくさんのハーブを(シャンソン)
 クレメンス・ノン・パパ:
  すみれは愛らしい花群の中で育つ(シャンソン)
 ニコラ・ゴンベール:おお、野の花よ(モテット)
オルランド・コンソート
 [ロバート・ハル=ジョーンズ(CT)
 マーク・ドベル、
 アンガス・スミス(T)、
 ドナルド・グレイグ(Br)
 ロナルド・マクドナルド(B)]
 現代ではガーデニングの流行など、「庭」の意味はどちらかというとたのしみの要素が強いが、その昔、中世やルネサンス時代の庭は現代とはちょっと意味合いが違っていた。生きるための食物なども栽培する「サバイバル」な面、そして、当時の一般の人々の邸宅ではいわゆるプライバシーがまったくなく、庭の木陰などは、内緒話や密会にうってつけの空間だったという「ドラマの場」の面など。そんな時代、音楽家や文筆家たちは、庭の花や木々、木陰からきこえる話し声などにインスピレーションを得て創作したものをたくさんのこしている。このアルバムにおさめられているのは、そんな中世とルネサンス時代の庭での人々の生活、人間模様がいきいきと描かれた音楽である。
ラフマニノフ:
 ピアノ・ソナタ第2番Op.36(改訂版)/
 5つの幻想的小品 Op.3/V.R.のポルカ
タニェエフ:前奏曲とフーガOp.29
リャードフ:前奏曲 変ニ長調Op.57-1/オルゴール
バラキレフ:庭園にて/イスラメイ
オリガ・カーン(P)
 2001年ヴァン・クライバーン国際コンクール優勝のオリガ・カーン。彼女の第3弾はロシアのピアノ曲を集めたアルバム。桁外れな難曲として知られるバラキレフの「イスラメイ」(女性が公開で弾くのは非常に珍しい)やタネーエフの「前奏曲とフーガ」から、繊細でメルヘンチックなリャードフまで彼女の大柄な技巧と表現力の広さに驚かされる。ひとことでロシアのピアノ曲といっても、これほど作風に変化が富んでいることもうれしい発見。ワシントン・ポスト紙で「ホロヴィッツ流のきらめくヴィルトゥオジィ」と評されたカーンの真骨頂を味わえる。
グローリーランド
 アメリカ発祥のフォークソング、スピリチュアル音楽、ゴスペル集
アノニマス4
ダロル・アンガー(Vn/マンドリン)
マイク・マーシャル
(マンドリン/G/マンドチェロ)
HMU-807400
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ディスクをかけた途端、アメリカの広大な大地に果てしなく続くとうもろこし畑が目の前に広がるかのよう。とても陽気な気分の声とマンドリンなどのアンサンブルに心も思わず弾む。アノニマス4は、「クールな芸術性とあたたかみのある人間性の理想的な融合」とタイムズ紙でも激賞されている、4人女性による声楽アンサンブル。一時活動を休止していたが、ファンの熱い要望もあり、このたび活動を再開した。第1弾は、アノニマス4が重きをおいているアメリカ発祥の音楽の発掘的試みのアルバム。マンドリンの名手2人をゲストに迎えて満を持しての演奏に、身も心も弾む、陽気でたのしい一枚。
HMU-907401
(CD)
廃盤
アルヴォ・ペルト:
 ダ・パーチェム・ノミネ(2004)/
 ヌンク・ディミティス
  「今こそ主よ、僕を去らせたまわん」(2001)/
 Littlemore Tractus(もう少し長くのばした)(2000)/
 Dopo la vittoria(勝利のあとに)(1996/1998)/
 マニフィカト(1989)/2つのスラヴ詩篇(1984/1997)/
 An den Wassern zu Babel(バビロン川のほとりに)
  (1976/1984/1996)
ポール・ヒリヤー指揮
エストニア・フィルハーモニック
 室内cho.
クリストファー・バウアーズ=
 ブロードベント(Org)
HMU-807401
(HYBRID_SACD)
廃盤
HMU-907402
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[CD-R]
1.5枚価格
ショパン:
 ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11(*)/
 幻想曲 ヘ短調 Op.49/ボレロ Op.19/幻想即興曲 Op.66/
 ポロネーズ変イ長調「英雄」 Op.53
オリガ・カーン(P)
アントニ・ヴィト指揮
ワルシャワpo.
HMU-807402
(HYBRID_SACD)
廃盤
 2001年ヴァン・クライバーン・コンクールで優勝したロシアの若手オリガ・カーン。第5弾は待望のショパン・アルバム。本場ワルシャワ・フィルと競演の協奏曲は遅めのテンポで重量感たっぷりの充実した演奏。さらに「幻想即興曲」や「英雄ポロネーズ」など人気曲を集めた選曲も魅力的。カーンの超絶技巧はあいかわらず切れ味抜群だが、ショパンならではのしっとりとした情感にも欠けていない。ロシア・ピアニズム・ファン必聴。
 #レーベルでは廃盤となっているため、ライセンスを受けた米代理店の製作による CD-R 製版&オンデマンド製作盤での入荷となる可能性があります。あらかじめご了承のほどお願いします。
C.P.E. バッハ:
 4つの管弦楽のシンフォニア Wq.183 no.1-4
 チェロ協奏曲 イ長調
アンドルー・マンゼ指揮
イングリッシュ・コンソート
アリソン・マギリヴレイ(Vc)
HMU-807403
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 快進撃のとまらないマンゼ&イングリッシュ・コンソート、次なる新譜は、C.P.E. バッハ。バロック時代と古典派時代のちょうど端境期に生きたC.P.E. バッハの作品は、なんといってもきらきらと輝く生命力が魅力。
 マンゼのエネルギッシュで推進力に溢れた統率は見事。オケのメンバーが一丸となって縦横無尽に駆け巡る音型を熱演、時に激しく時に甘くやわらかな魅力に満ちており、気分爽快にしてくれることうけあい。
 カップリングのチェロ協奏曲でソリストをつとめているアリソン・マギリヴレイは、グラスゴー出身。学生のころから様々なアンサンブルに参加、ホグウッド率いるアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックでも重要なメンバーとして活躍し、イングリッシュ・コンソートのプリンシパルチェロ奏者。マンゼの快活な指揮のもと、伸びやかで魅力的な演奏を繰り広げている。
アレクサンダー・コブリン〜
 第12回ヴァン・クライバーン・コンクール・ライヴ

 ラフマニノフ:練習曲「音の絵」Op.33
 ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35
 ショパン:夜想曲 ロ長調 Op.9 No.3
 ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.36
アレクサンダー・コブリン(P)
 たまゆらレーベルにてショパン全集を刊行中のコブリンは、2005年6月に行われた第12回ヴァン・クライバーン・コンクールで見事優勝を果たした。当アルバムは同コンクールのライヴで、彼十八番の曲ばかりが収められている。ことにラフマニノフのソナタとブラームスの変奏曲は、2003年の浜松国際ピアノコンクールでの感動的な演奏が今でも語り草になっている。エナメルのような艶のある音色、異常に繊細な弱音、明快ながら甘さのないコブリンの至芸を満喫できる。
第12回ヴァン・クライバーン国際コンクール第2位
 ジョイス・ヤング

 J.S.バッハ:フランス風序曲 BWV.831
 リスト:ドン・ジョヴァンニの回想
 カール・ヴァイン:ピアノ・ソナタ第1番
 D.スカルラッティ:ソナタ ニ長調 K.492
 リスト:ハンガリー狂詩曲第6番
ジョイス・ヤング(P)
 コンクール・ライヴ。バッハもさることながら、リストの「ドン・ジョヴァンニの回想」は実に強烈。抜群のバリバリのテクニックと音楽性は衝撃的ですらある。スカルラッティも鮮烈、聴衆と一体となった熱い雰囲気がひしひしと伝わってくる。
第12回ヴァン・クライバーン国際コンクール第3位
 サー・チェン

 ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調
 ラヴェル:ガスパールの夜
 セバスティアン・クリエ:
  スカルラッティ・カンデンツァとブレインストーミング
 リスト:スペイン狂詩曲
 ストラヴィンスキー:練習曲 Op.7 No.4
サー・チェン(P)
 コンクール・ライヴ。熱く厚い音は実に印象的。ショパンのソナタ第3番は冒頭から怒涛のような情熱。薫るロマンティシズムや熱い音はジュリアードじこみならでは。第14回ショパン・コンクール(2000年)の第4位入賞者でもある実力派。
 なお、当盤は廃盤のためカット盤での入荷となります。
アルヴォ・ペルト(1935-):賛辞
 勝利のあとに/雪花石膏の箱を持った婦人(マタイ福音書より)/
 ベルリン・ミサ/ソルフェッジョ/マニフィカート/
 ボゴロディッツェ・ディエーヴォ/
 私(キリスト)はまことのぶどうの木(ヨハネの福音書より)/
 Which was the son of...
ポール・ヒリアー指揮
エストニア・
 フィルハーモニー室内cho.
シアター・オブ・ヴォイセズ
プロアルテ・シンガーズ
 現代音楽が忘れていた魂に響く調べを、奇跡のように辺境で育んでいたエストニア生まれのこの作曲家についてはもはや多言を要しないであろう。時に深淵を覗くような暗さ、はるか天空から差す白い光。作曲家自身が「私の音楽は、あらゆる色を含む白色光に喩えることができよう。プリズムのみが、その光を分光し、多彩な色を現出させることができる。私の音楽におけるプリズムとは、聴く人の精神に他ならない」と語っているように、透明で清澄な世界がここにある。故郷エストニアの合唱団とヒリアーという理想的な演奏陣も魅力的。
HMU-807408
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
シュトックハウゼン(1928-):
 Stimmung(2006年ヒリアーによる
       コペンハーゲン版)
ポール・ヒリアー指揮
シアター・オブ・ヴォイシズ
[Else Torp(S1)
 Louise Skovbセch(S2)
 Clara Sanabras(Ms)
 Wolodymyr Smishkewych(T1)
 Kasper Eliassen(T2)
 Andrew Hendricks (B)]
 「 Stimmung 」とは、英語に訳すと「tuning(チューニング)」。楽器や声の調子を合わせる意味だが、ここでは、声の調子のみならず、人の魂をもチューニングする、という内的な意味合いも含まれている。「変ロ」の音とその自然倍音列上にある音のみを、6人の奏者たちの声によって重ねていくこの作品は、1968年に作曲、初演された。歌詞は、母音の羅列や意味のない言葉、そしてシュトックハウゼンが書いた詞「魔法の名前」。また、ここに収録されている2006年版では、突然「 Wednesday 」などといった曜日が様々な言語で聴こえてくるが、これは、シュトックハウゼンの近作オペラ「リヒト」(2005年の東京の夏で一部演奏された)もそれぞれの部分が各曜日に属していて、シュトックハウゼンにとって、「曜日」に関する意識が高まっているのでは、という考えに基づいている。発表されてから約40年たとうとしている現在においてもなお、衝撃的かつ新鮮、斬新。ヒリアーによる揺るぎない統率のもと心をひとつにする6人の奏者の輪の真ん中にいるような錯覚に陥るような録音のされかたは実に見事。通常CDとして聴いても充分興味深い音響だが、マルチチャンネルで聴ける方は、是非、不思議ワールドに浸っていただきたい。
ジョン・ナカマツのリスト
 リスト:
  ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調/
  巡礼の年第2年「イタリア」/
  メフィスト・ワルツ第1番/
  ワルツ/ゴルチャコフ即興曲
ジョン・ナカマツ(P)
 おそらくディジパック仕様。ジョン・ナカマツは、米の名門スタンフォード大学の大学院(教育学)修了後、6年間高校のドイツ語の教師として教壇に立っていたという異色の経歴を持つ。そして、1997年のヴァン・クライバーン・コンクールで優勝したのを機に、本格的にプロのピアニストとしての活動を開始した。2004年の待望の日本デビューでは、秋山和慶指揮の東京so.とチャイコフスキーのピアノ協奏曲を快演し、2006年7月にも来日、同じく秋山指揮の東響とラフマニノフの協奏曲第3番を熱演、その正確無比のテクニックと熱い音楽性で聴衆を魅了した。
 ナカマツならではの濃厚な音楽性、正確無比なテクニック、すべてが完璧にマッチしたリストの演奏。実はナカマツは9度の音程になると少々つらいという小さな手の持ち主だが、そんなことは微塵も感じさせない「ダンテを読んで」や「メフィスト・ワルツ」は必聴。まるでリストが乗り移ったかのような魔力すら漂っている。
HMX-2927410
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[CD-R]
1.5枚価格
A NEW JOY 〜エストニア、ロシア、ウクライナの伝統的なクリスマス音楽
 聖アレクサンドル・ネフスキー大聖堂の鐘 / ケドロフ(1871-1940): Our Father
 ペルト(1935-): Rejoice O Virgin / バルヴィンスキー(1888-1926): Oh, What A Wonder!
 カスタリスキー(1856-1926): Verses Before the Six Psalms Nos.1 & 2 / Sheperds Of Bethlehem /
            Today The Virgin Gives Birth / When Augustus Ruled Alone Upon Earth / God Is With Us
 ステツェンコ(1882-1922): The Angels Exclaimed / A New Joy / Throughout The World
 ヤツィネヴィチ(1869-1945): Bells Rang Early in Jerusalem / イズヴェーコフ(1874-1937): Christ Is Born
 レオントヴィチ(1877-1921): A Song Of Good Cheer / チャイコフスキー(1840-1893): The Legend
 キーウ〔キエフ〕聖歌: Bells [ Ode 1 / Odes 3 - 9 / Refrain Before Ode 9 ] / Blessed Is The Man

  ポール・ヒリアー指揮エストニア・フィルハーモニック室内cho.
HMU-807410
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
1.5枚価格
 録音:2006年1月-2月、エストニア。 CD 旧品番: HMU-907410ロシア帝国〜ソビエト連邦を形成していた東欧の国々に生まれた作曲家たちによる、クリスマスのための合唱作品集。ケドロフ、カスタリスキー、イズヴェーコフはロシア、バルヴィンスキー、ステツェンコ、ヤツィネヴィチ、レオントヴィチはウクライナの作曲家。アンサンブルの美しさが神がかり的な域に達している、エストニア・フィルハーモニック室内合唱団の歌声に心うたれる。
 #SACD, CD 共既に廃盤となっています。入手出来無い場合はご容赦下さい。また、レーベルからライセンスを受けた米代理店の製作による CD-R 製版&オンデマンド製作盤での入荷となる可能性がありますので、あらかじめご了承のほどお願いします。
HMX-2907411
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(4CD)
2.5CD価格
ノエル〜クリスマスのためのキャロルとチャント
 [CD 1]聖ニコラウスの伝説〜中世ヨーロッパの歌とポリフォニー
 [CD 2]イギリスのクリスマス・キャロル
 [CD 3]アノニマス4〜中世のキャロルとモテット
 [CD 4]東方の星〜中世ハンガリーのクリスマス曲集
アノニマス4
 録音:1993、1996、1999、2003年。
 アノニマス4の既発売盤4枚を集めたクリスマス・アルバム。紙ジャケット仕様だが、写真や挿絵の入った見ごたえのあるブックレット付き。[CD 4]は単売では現在廃盤。なお、バーコード部に「HMU-2907411」と誤記があるとのこと。
ヘンデル:
 6つの合奏協奏曲 Op.3 全曲/
 5声のソナタ 変ロ長調 HWV.288
リチャード・エガー指揮
アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
HMU-807415
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
 チェンバロ奏者として着実にキャリアを重ねているリチャード・エガーが、盟友アンドルー・マンゼの後を継いで、アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの新音楽監督に就任した。マンゼの時代から切れ味のよいエッジの効いた演奏を聴かせてくれていたAAMだが、エガーの統率によって、切れ味にまろやかさがプラスされ、より気品に満ちた演奏となっている。カップリングの5声のソナタは、AAMの名手たちとエガーのチェンバロによるプチ協奏曲といったところ。丁々発止のアンサンブルでたのしませてくれる。
中世のクリスマス〜10世紀から16世紀にかけてのクリスマス音楽集
 ・予言 作曲者不詳(ウィンチェスター・トロープス集より):
      Christe Redemptor / Quem Iohannes / Alleluia V., Dies sanctificatus
     作曲者不詳(アキテーヌのオルガヌム): O primus homo corruit / Lux refulgent
 ・元旦 作曲者不詳: Annus renascitor / De quan qu'on peut
     アルノール・ド・ランタン: Tout mon désir / ギヨーム・デュファイ: Ce jour de l'an
 ・讃美歌 作曲者不詳: Clangat tuba (リトソン写本)/
             Ave rex angelorum (エジャートン写本)/ Eya, martyr Stephane
 ・物語風モテット集 クレメンス・ノン・パパ: Voix in Rama / Pastores loquebantur
           作曲者不詳(リトソン写本): Lullay, lullow : I saw a swete semely sight
           ロワゼ・コンペール: O admirabile commercium
 ・クリスマス アントワーヌ・ビュノワ: Noel, noel, noel
        アントワーヌ・ブリュメル: Noe, noe, noe / Nato canunt omnia
 オルランド・コンソート
 録音:2005年11月、セント・メアリー教区教会、スコットランド。オルランド・コンソートによる、一味ちがった中世の「クリスマス」音楽を。当時のクリスマスの祝祭は、1月6日の顕現節までをも含んでおり、その間に様々な行事が行われた。そして、その行事にまつわる音楽も典礼風のものから豪奢のものまで、これまた色々だった。
HMX-2927418
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価格帯:F
限定盤
中世のクリスマス〜10世紀から16世紀にかけてのクリスマス音楽集
 ・予言 作曲者不詳(ウィンチェスター・トロープス集より):
      Christe Redemptor / Quem Iohannes / Alleluia V., Dies sanctificatus
     作曲者不詳(アキテーヌのオルガヌム): O primus homo corruit / Lux refulgent
 ・元旦 作曲者不詳: Annus renascitor / De quan qu'on peut
     アルノール・ド・ランタン: Tout mon désir / ギヨーム・デュファイ: Ce jour de l'an
 ・讃美歌 作曲者不詳: Clangat tuba (リトソン写本)/
             Ave rex angelorum (エジャートン写本)/ Eya, martyr Stephane
 ・物語風モテット集 クレメンス・ノン・パパ: Voix in Rama / Pastores loquebantur
           作曲者不詳(リトソン写本): Lullay, lullow : I saw a swete semely sight
           ロワゼ・コンペール: O admirabile commercium
 ・クリスマス アントワーヌ・ビュノワ: Noel, noel, noel
        アントワーヌ・ブリュメル: Noe, noe, noe / Nato canunt omnia
 オルランド・コンソート
 録音:2005年11月、セント・メアリー教区教会、スコットランド。通常盤:HMU-907418。 HMF "Christmas Edition"。 オルランド・コンソートによる、一味ちがった中世の「クリスマス」音楽を。当時のクリスマスの祝祭は、1月6日の顕現節までをも含んでおり、その間に様々な行事が行われた。そして、その行事にまつわる音楽も典礼風のものから豪奢のものまで、これまた色々だった。
終祷のための音楽[ Music for Compline ]
 ジョン・シェパード(1515頃-1558):われらを解き放ちたまえ/主よ、われらを救いたまえ/平安のうちに/
                  あなたの御手に〔I/ II / III 〕/主よ、われをあわれみたまえ
 バード(1540頃-1623):主にして日なるキリストよ/主よ、われをあわれみたまえ/今こそ去らせたまえ
 トマス・タリス(1505頃-1585):あなたの御手に/主よ、われらをあわれみたまえ/平安のうちに/光の消ゆる前に
 ロバート:ホワイト(1538頃-1574):主にして日なるキリストよ/主よ、来て下さい
 ヒュー・アストン(1485頃-1558):喜べ、処女なるキリストの母

  スティレ・アンティコ
HMU-807419
(HYBRID_SACD)
廃盤
 終祷は、修道院で一日の最後に営まれる礼拝。ここに集められた、16世紀イギリスの作曲家達による終祷のための音楽は、どれも深い静けさの中に深い信仰の心が満ちている。第1曲目から、聴いていると本当に人の声だけによる演奏なのだろうか、と考えてしまうくらいに圧倒的に厚い響きに驚かされる。教会で録音されており、建物内いっぱいに響きわたる声に、神の存在を感じる。
 スティレ・アンティコは、英国の若き歌い手達によって結成された声楽アンサンブル集団。ヨーロッパの古楽コンクールでの優勝を期に、各地で大活躍している。レパートリーはチューダー朝の音楽からスペインもの、オランダものと実に幅広くこなする。
HMX-2907419
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価格帯:F
限定盤
終祷のための音楽[ Music for Compline ]
 ジョン・シェパード(1515頃-1558):われらを解き放ちたまえ/主よ、われらを救いたまえ/平安のうちに/
                  あなたの御手に〔I/ II / III 〕/主よ、われをあわれみたまえ
 バード(1540頃-1623):主にして日なるキリストよ/主よ、われをあわれみたまえ/今こそ去らせたまえ
 トマス・タリス(1505頃-1585):あなたの御手に/主よ、われらをあわれみたまえ/平安のうちに/光の消ゆる前に
 ロバート:ホワイト(1538頃-1574):主にして日なるキリストよ/主よ、来て下さい
 ヒュー・アストン(1485頃-1558):喜べ、処女なるキリストの母

  スティレ・アンティコ
 2015年カタログ付。通常盤:HMU-907419
グレイストン・アイヴズ(1948-):
 Listen sweet dove(ハトよ、聞け)

 純粋な喜びの国が/われは命の糧なり/平和のうちに/
 主よ、まさか私のことでは/神聖な愛の歌/子守歌/
 ミサ・ブレヴィス/エディントンの礼拝
ビル・アイヴズ指揮
オックスフォード大学
 マグダレナ・カレッジcho.
ジョナサン・ハーディ、
リチャード・ピネル(Org)
 録音:2004年3月。
 聖歌隊のために新しく書かれた作品を収録。新作というとちょっとなじみにくい響きのものを想像されるかもしれないが、これらは違い、作風はきわめて美しくノーマル。3月の極寒の教会の中で録音されたというこの演奏の純度は高い。
アグリーコラ:シャンソン&ヴィオール音楽集(全22曲)
 アレクサンデル・アグリーコラ(1446?-1506):
  落胆した女のように[I(4声)/II(3声)/III(2声)]/
  あらゆるよいものに満ち[I−IV(3声)]/他
 ファブリス・フィッチ/アグリーコラ:女のように[2声/4声]
 ピエール・ド・ラ=リュー:もし眠っているのなら/他
フレットワーク
マイケル・チャンス(CT)
 麗しき音色の弦楽器奏者集団フレットワークの新譜は、ネーデルラント楽派の重要な作曲家アグリーコラ。イタリアやフランスの王室礼拝堂、宮廷などに仕え、モテットなどの声楽作品で知られている。他に、フィッチやラ=リューなど、アグリーコラと同時代に生きた作曲家達の作品が収められているのもうれしいところ。マリナーのメサイアやガーディナーのモンテヴェルディ、バッハの録音などで幅広くファンをもつマイケル・チャンスとの共演とは、なんとも豪華。フレットワークの面々による深く沁みこむような音色による遠き15世紀の宮廷に鳴り響いた音楽に、心洗われる想い。
ヘンデル:テノールのためのアリアと場面集
 「アルチェステ」/「セメレ」/「時と悟りの勝利」/
 「タメルラーノ」/「サムソン」/
 「ロデリンダ」/「エステル」/
 「イェフタ」/「陽気な人、憂鬱な人、中庸な人」
マーク・パドモア(T)
ルーシー・クロー(S)
ロビン・ブレイズ(CT)
アンドルー・マンゼ指揮
イングリッシュ・コンソート
 バロック音楽のテノールの中でも、マーク・パドモアの実力は一頭地抜けているだろう。柔らかく美しい声には気品が宿り、オペラでもオラトリオでも、ヘンデルの音楽に抜群の相性を示している。ここでは、イタリア語のオペラから「タメルラーノ」、「ロデリンダ」、イタリア語のオラトリオから英「時と悟りの勝利」、英語のオラトリオから「エステル」、「サムソン」、「イェフタ」、その他英語作品「アルチェステ」、「セメレ」からアリアを歌っている。伴奏はアンドルー・マンゼと手兵イングリッシュ・コンソート。フランス系の古楽団体のように切り込みの強いヘンデルではなく、慈しむような温かさがパドモアの歌とピッタリ。なお、マンゼとイングリッシュ・コンソートの組合わせでの録音はこれが最後となり、マンゼは今後ヘルシングボリso.の音楽監督として活動をつづけ、ベートーヴェンの交響曲などを録音していくことになっている。イングリッシュ・コンソートはハリー・ビケットが後を継ぐ。
HMX-2907422
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価格帯:F
限定盤
ヘンデルテノールのためのアリアと場面集
 「アルチェステ」/「セメレ」/「時と悟りの勝利」/
 「タメルラーノ」/「サムソン」/「ロデリンダ」/
 「エステル」/「イェフタ」/
 「陽気な人、憂鬱な人、中庸な人」
マーク・パドモア(T)
ルーシー・クロウ(S)
ロビン・ブレイズ(CT)
アンドルー・マンゼ指揮
イングリッシュ・コンサート
 2015年カタログ付。通常盤:HMU-907422
ベートーヴェン:「ラズモフスキー」四重奏曲集
 弦楽四重奏曲第7番 Op.59 No.1/
 弦楽四重奏曲第8番 Op.59 No.2/
 弦楽四重奏曲第9番 Op.59 No.3
東京SQ
[マーティン・ビーバー、
 池田菊衛(Vn)
 磯村和英(Va)
 クライヴ・グリーンスミス(Vc)]
HMU-807423
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
 録音:2005年4月26日-29日。KDC-5017は、HMU-907423の国内盤仕様(日本語解説付き)。
 もはや押しも押されぬ存在、東京クァルテットがハルモニア・ムンディにてベートーヴェン弦楽四重奏曲ツィクルス始動。第一弾はいきなり直球、ラズモフスキー。作品としても、そしてテクニック的にも手の込んだこれら3曲を完璧に手中におさめ、余裕たっぷりと瑞々しい歌を聴かせる。メンバーの入れ替わりがあるとはいえ、結成30年以上のベテラン勢とは思えないような、けれん味のなさは実に見事、はや達観の域なのだろうか。息のぴったりと合ったアンサンブルで、ふとした間に満ちているただならぬ霊感にはっとさせられる。演奏も格別だが、楽器がこれまた特別。ニコロ・パガニーニ選定によるストラディヴァリのクァルテット。この夢のようなセットは地球上に6つしか存在しないと言われている。これらは日本音楽財団から10年以上もの間彼らに貸与されている。
  通常CD盤とSACDハイブリッド盤が同時発売。
J.S.バッハ:
 ゴルトベルク変奏曲 BWV.988/14のカノン BWV.1098
リチャード・エガー(Cemb)
 待望のエガーによるゴルドベルクの登場。どこまでも素直でまっすぐな演奏は、私たちを日常のゴタゴタから完全に離れた世界へといざなってくれる。
 カップリングは「14のカノン」。「ゴルトベルク変奏曲」初版の自家用保存本に書き込まれたもので、正式には「先のアリアの8つの基礎音に基づく種々のカノン」というタイトルを持つ。2拍子で書かれており、ゴルトベルク変奏曲とはまた違った趣を楽しむことができる。当時出版された楽譜の扉に描かれたアラベスクのような模様が、バッハの考えた調律法であるという説に基づき、この演奏でもその新しい調律法が採用され、得られた音色はどこまでもやさしく、素朴なあたたかみに満ちたものとなっている。AmbroisieレーベルのルセのCDなどでもおなじみの銘器、リュッカース(1638年)モデルのチェンバロを使用。
HMU-807427
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D956/弦楽四重奏曲第12番 ハ短調 D703「四重奏断章」
 東京SQ[マーティン・ビーヴァー、池田菊衛(Vn) 磯村和英(Va) クライヴ・グリーンスミス(Vc)]
 デイヴィッド・ワトキン(Vc)
 録音:2010年9月。2002年マーティン・ビーヴァーが加入して以来現メンバーでの活動もほぼ10年、ますますの充実ぶりをみせている東京クァルテットによるシューベルトの名曲。デイヴィッド・ワトキン(エロイカSQのチェロ奏者)を迎えた弦楽五重奏曲第1楽章で次々現れる美しい旋律のとろけるような音色、第2楽章の天上の響きと繊細にうつろいゆく調性、第3楽章のエネルギーと緻密な構成、第4楽章の圧巻のフィナーレ、すべてが至高の出来栄え。時折ほの暗い死の気配を感じさせながらロマン性たっぷりに聴かせる。「四重奏断章」で魅せる持続する心地よい緊張感も、東京クァルテットでなければなし得ないものといえるだろう。
リチャード・エガー〜パーセル(1659-1695):
 鍵盤のための作品集(組曲全集を含む)

 組曲第1番 ト長調 Z.660/シャコンヌ ト短調 Z.680/
 組曲第2番 ト短調 Z.661/グラウンド Z.T681/
 組曲第3番 ト長調 Z.662/新しいグラウンド Z.T682/
 組曲第4番 イ短調 Z.663/全音域のグラウンド Z.645/
 組曲第5番 ハ長調 Z.666/グラウンド Z.D221/
 組曲第6番 ニ長調 Z.667/ラウンド "O" Z.T684/
 組曲第7番 ニ短調 Z.668/グランド Z.D222/
 組曲第8番 ヘ長調 Z.669
リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2007年10月。
 2008年6月に来日し、その強烈でパンチの効いたチェンバロ演奏で聴衆をあっと言わせたリチャード・エガーの最新盤は、パーセル作品集。密度の濃い和声、入り組んだ旋律やテクスチュア、いうなれば「骨太」の音楽は、まさにエガーにぴったり。さらに、笑っていたかと思うと怒っている、怒っていたかと思うと3秒後にはすましている、といったようなイギリス的ユーモアの要素もつまっており、これまたサービス精神旺盛、ひょうきん者のエガーにこれまたぴったり。あまりに早くに亡くなった天才作曲家の作品が放つ、麻薬的ともいえる魅力に酔わされる1枚となっている。
HMU-807429
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
東京SQ ラスト・リリース
 ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」
 スメタナ:弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「わが生涯より」
  東京SQ [マーティン・ビーヴァー(Vn1) 池田菊衛(Vn2)
       磯村和英(Va) クライヴ・グリーンスミス(Vc)]
 録音:2006年2月。44年(現メンバーでも10年超)の活動に幕をおろすことを発表した東京クァルテット。2013年5月には日本でのファイナル・ツアーも控える中、最後のディスクが発売される。2006年の録音ということでラスト・レコーディングではないが(最後の録音はブラームスの五重奏曲集ということになる)、プログラムは王道中の王道、アメリカとわが生涯よりということで、感慨もひとしおといったところだろうか。「アメリカ」では、輝かしく気持ちよく伸びる音色による美しいアンサンブルを堪能。スメタナの音による自叙伝「わが生涯より」は、スメタナが自身の人生の思い出を注ぎ込んだ作品。東京クァルテットの熟練の面々が、ひとつひとつの要素や風景を情感たっぷりに響かせる様は、この録音当時はまだ解散は決まっていなかったが、クァルテット自身の歴史を振り返っているようにも感じられる。東京クァルテットという偉大なグループの歴史に思いを馳せながら、心して味わいたい1枚。
ブラームス:クラリネット・ソナタ Op.120
 [第1番 変ホ長調/第2番 ヘ短調]
ジョン・マナシー(Cl)
ジョン・ナカマツ(P)
 ブラームスは晩年、1891年に名クラリネット奏者ミュールフェルト(1856-1907)と出会う。彼の奏でるクラリネットの音色に虜になったブラームスは、彼がクラリネットを練習しているのを何時間もじっと聴いていて、楽器のもつ可能性や限界を知ったという。このOp.120のソナタ2曲は、ミュールフェルトとブラームス自身によって1895年に初演され、その後も2人でしばしば演奏していた。ブラームスは、ミュールフェルトに共演した際の出演料を全額渡し、さらに、ミュールフェルトの生存中は、このソナタ2曲の演奏権は彼にある、と定めていたというから、いかに彼のことを認めていたかということが窺われる。
 アメリカの人気者、ジョン・ナカマツとジョン・マナシーによるこの演奏、目を閉じれば、晩年のブラームスとミュールフェルトが演奏しているのではと思わせるような、ほどよく鄙びたクラリネットの音色と、それを、穏やかに熱く支えるナカマツのピアノが絶妙のアンサンブルを聴かせる。かの二人の美しき友情が鮮やかにここに蘇るような演奏。クラリネットのジョン・マナシーは、メトロポリタン歌劇場やアメリカン・バレエ・シアターのオーケストラの首席クラリネット奏者をつとめ、また、現在ではアメリカの様々な音楽学校で教鞭をとっている。
リチャード・エガー〜
 J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻
(全24曲)
リチャード・
 エガー(Cemb)
 使用楽器:1638年リュッカースの Joel Katzman によるコピー。
 エガー、待望の平均律の登場。第1番のプレリュードから、実にたっぷりとした響き。ひとつひとつの和声の変化をかみしめ、慈しむように演奏している。フーガも、ひとつひとつの主題、ひとつひとつの声部にいたるまで、こまやかに彫琢がほどこされている。もともと堅固で壮大な建築物を思わせるバッハの作品だが、エガーの演奏は変幻自在。時に果てしなく続く回廊のよう、時には柔らかな絹織物を思わせるようなたおやかな演奏で、1曲1曲、1フレーズ毎に違った表情を見せている。調律方法も注目で、曲集の扉に描かれていたアラベスクのような文様が、調律方法を示唆している、という新しい説に基づいて調律されている。得られた音色は、あたたかく伸びやかなもの。エガーの音楽と見事にマッチしている。
J.S.バッハ
 平均律クラヴィーア曲集第2巻(全24曲)
リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2007年3月。使用楽器:アムステルダムの Joel Katzman 製作、1991年(オリジナル:リュッケルス製作、1638年)。
 リチャード・エガー、チェンバロ奏者としての久々の新譜は、第1巻(HMU-907431)に続く 平均律クラヴィーア曲集第2巻。
 a '=415と比較的高めのピッチで、高音は輝かしく、中音域も一音一音くっきりと響き、そして低音はズシンと響く、それでいて全体の音色はふんわりと柔らかい名器を用いての演奏。どの曲もゆったりめのテンポ設定で、エガーの大きな息の音楽作りと、抜群のリズム感がよく活きている。バッハによる緻密な音の迷宮の細部に施された装飾までくっきりと浮かび上がらせながらも、心地よい推進力に満ちた演奏。あたたかみのある録音も魅力。
ベートーヴェン:6つの弦楽四重奏曲集Op.18
 [第1番 ヘ長調Op.18-1/第2番 ト長調Op.18-2/
  第3番 ニ長調Op.18-3/第4番 ハ短調Op.18-4/
  第5番 イ長調Op.18-5/第6番 変ロ長調Op.18-6]
東京SQ
[マーティン・ビーバー、
 池田菊衛(Vn)
 磯村和英(Va)
 クライヴ・
  グリーンスミス(Vc)]
 録音:2006年5月、2007年2月。
 世界を代表する弦楽四重奏団東京クヮルテット。彼らがBMGの全集から15年を経て、ベートーヴェンの初期四重奏曲を再録。彼らにとって特別な存在のベートーヴェン作品だけに、ボルテージの驚くべき高さと円熟で奇跡の演奏となっている。
J.S.バッハ:リュート曲集 Vol.1
 シュスター氏のためのリュート用作品
  イ短調 BWV 995
 (原曲:無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調)/
 パルティータ ヘ長調 BWV1006a
 (原曲:無伴奏ヴァイオリンのための
   パルティータ第3番 ホ長調)/
 ソナタ ト短調 BWV1001
 (原曲:無伴奏ヴァイオリンのための
   ソナタ第1番 ト短調)
ポール・オデット
(13弦バロック・リュート)
 録音:2006年3月。
 リュート界の哲学的鬼才、リュートという楽器演奏に要される能力の、もっとも純度の高い結晶のような存在、とも言われるポール・オデットによるバッハが、ついに登場。オデットの参加した録音は実に100以上にのぼり、ダウランドの作品集(HMU-907160、907161)などどれも高い評価のものばかり。しかし、ハルモニアムンディのプロデューサーからの、バッハを録音しては、という提案にはなかなか首を縦には振ってこなかったが、やっと機が熟し、このたびめでたく録音、リリースのはこびとなった。
 「シュスター氏の〜」の、苦悩にみちた前奏部分、低い音域でのどこまでも深く響く音色は、リュートとは思えないほどの力に満ちており衝撃すらおぼえる。「パルティータ」の3曲目のガヴォットの典雅さは、まるで妖精が舞っているかのよう。絶妙な間の取り方に思わずキュンとしてしまう。「ソナタ」は、終曲のフーガのみBWV1000という番号で流通しているリュート編曲版が現在よく演奏されているが、オデットはこの組曲全体がこの上なくリュート向きの作品である、と述べており、組曲すべてをリュートで演奏している。コレッリ風の冒頭曲のアダージョや、揺れるリズムが魅力の3曲目のシチリアーナなど、オデットの魔術ともいうべき手腕による新たな装いは実に見事。どこまでも神経がゆきとどき万事こまやか、微妙なニュアンスのひだを巧みに織り上げている。録音も秀逸。
ウィリアム・バード(1543-1623):
 セカンド・サーヴィス&コンソート・アンセム集

 起き上がりたまえ、
  おお主よ、何ゆえ眠りたもうや (*/#)/
 ああ神よ、汝は輝ける太陽を導き(*/+/##)/
 ああ、過ぎ去りしわが青春を振り返る時(*/**/##)/
 5声のイン・ノミネ第2番(##)/
 第2のサーヴィス(マニフィカト)(*/+/##)/
 ファンタジア ニ短調(#)/
 第2のサーヴィス
  「主よ、今こそ御身のしもべを(*/+/##)/
 5声のイン・ノミネ第4番(##)/
 主を畏るる者は幸いなり(**/##)/
 御身、天と地を導きたもう神よ(*/+/##)/
 5声のアンセム
  「おお主よ、御身のしもべエリザベスが」(*/#)/
 ファンタジア イ短調(#)/
 主よ、御身の怒りにてわれを
  非難したもうことなかれ(**/##)/
 5声のイン・ノミネ(第5番)(##)/
 おお神よ、われを憐れみ(*/+/##)/
 マドリガル
  「なぜ私は紙とインクとペンを使うか」(**/##)/
 5声のアンセム「導きたまえおお主よ」(*/#)
ビル・アイヴズ指揮(*)
オックスフォード大学
 マグダレナ・
  カレッジcho.(*)
ライアン・レオナルド
(Org;#)
ステフェン・ロバーツ
(ボーイS;+)
ロジャース・
 カヴィー=クランプ
(T;**)
フレットワーク(##)
 録音:2006年3月&7月。
 「イギリス音楽の父」とも評されるウィリアム・バードによる珠玉の作品集。この時代の教会音楽は、バードなしには語れない。魂をゆさぶる、美しく澄みきった声楽作品は、神々しささえ漂いる。名手フレットワークによる器楽作品も、胸と脳を振るわせる擦弦の音がたまらない。時折聴こえる不協和音にドキっとさせられる。
ガーシュウィン
 ピアノ協奏曲 ヘ調/
 ラプソディー・イン・ブルー/
 キューバ序曲
ジョン・ナカマツ(P)
ジェフ・タイジック指揮
ロチェスターpo.
 録音:2006年7月|初出・旧品番:HMU-807441 (HYBRID_SACD) 〔廃盤〕。 ガーシュウィンの作品集。指揮にジャズ界でも活躍している大御所タイジック、ピアノに強靭なテクニックとパッションのピアニスト、ジョン・ナカマツという最高の組み合わせ。ラプソディー・イン・ブルーの冒頭のオケもバッチリ決まって、続くピアノによる有名な旋律も、絶妙なリズム感とテクニックに裏打ちされた物。キューバ序曲では、タイジックならではのジャズへの深い読み込みにオケが見事に応えており、他では得がたい壮大な演奏となっている。
ブリテン:歌曲集〜
 Before life & after [生まれる前と死んでから]

 ブリテン:
  ジョン・ダンの神聖なソネット Op.35(全9曲)
 パーセル/ブリテン編:朝課/ヨブの苦難/晩課
 ブリテン:冬の言葉 Op.52(全8曲)/
      民謡編曲
  [I wonder wonder/Sail on, sail on/
   The Miller of Dee/At the mid hour of night/
   There 's none to soothe]
マーク・パドモア(T)
ロジャー・ヴィニョールズ(P)
 録音:2008年6月。
 2008年に来日、「私」を滅し、語り部に徹したいわばサムライ風の「冬の旅」を聴かせ、私たちを魅了したパドモアの新譜は、ブリテン歌曲集。ここでもパドモアの語り部名人ぶりは全開、静かな高音域も、「技巧」というものを全く感じさせない、すべてが詩の物語にとって必然でといった感の演奏。オリジナルはパーセルによる編曲ものも、まるで名優による詩か物語の朗読を聴いているような気分になる。ピアノのヴィニョールズも、スタインウェイ製ピアノを自在に操り、陰になり日向になり素晴らしいサポートで聴かせる。
マルティヌー
 2つのヴァイオリンとピアノのためのソナティナ
ショスタコーヴィチ
 ピアノ伴奏による3つのヴァイオリン二重奏曲
ミヨー:2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ
尹伊桑(ユン・イサン):2つのヴァイオリンのための
 ソナティナ、ペッツォ・ファンタジオーゾ(*)
アンジェラ・チュン、
ジェニファー・チュン(Vn)
ネルソン・パジェット(P)
 (*)は世界初録音。
 ヴァイオリン二重奏のレパートリーをとりあげる姉妹の第1弾は20世紀に書かれた作品を集めた物。彼女たち自身韓国出身ということもあり、特にユン・イサンで見せる熱演ぶりは印象的。
マンゼ&エガー〜シューベルト:
 ヴァイオリンとピアノのための
  ソナタ(ソナチネ)集

 [第1番 ニ長調 D.384,Op.137-1/
  第2番 イ短調 D.385,Op.137-2/
  第3番 ト短調 D.408,Op.137-3/
  第4番(二重奏曲) イ長調 D.574,Op.162]
アンドルー・マンゼ(Vn)
リチャード・エガー(Fp)
 マンゼ&エガーの最強デュオがおくる最新アルバムはシューベルト。エレガントなフォルテピアノと、無垢なるバロック・ヴァイオリンとが引き起こす奇跡の化学反応。モーツァルトやヘンデルのソナタでの記憶も強烈だが、このふたり何を弾いても心底新鮮な驚きの連続。シューベルトが19ないし20歳の頃、いままさにウィーンでの初めての成功を謳歌しようという時期に書かれたソナタでも、シンプルなのに演奏の力だろうか。ほとんど作品の真価を塗り替えてしまうほどに、これまでと全然ちがった世界を切り開いて行く。たとえば内容のもっとも充実している第4番。若きシューベルトのとめどなくあふれる感性をそのままに伝えてみごとというほかない。これはゼッタイおすすめ!
HMU-807446
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヘンデル:オルガン協奏曲 Op.4
 [第1番 ト短調/第2番 変ロ長調/第3番 ト短調/
  第4番 ヘ長調/第5番 ヘ長調/第6番 変ロ長調]
リチャード・エガー
(Org;*)指揮
アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
 使用楽器:2005年、Robin Jennings 製、4ストップの室内オルガン(*)。
 エガーの弾き振りによる、オルガン協奏曲。オルガンの音色は、リコーダーの重奏を聴いているような、心に染入る実にあたたかなもの。有名な第6番も、ゆったりとしたテンポ設定が、曲のもつ愛らしさを200パーセント引き出しており、思わずにっこりしたくなる出来栄え。エガー自身、ライナーノーツに書いているが、イギリスのオルガンはドイツのとは違って、荘厳で重厚な響きというよりも、甘くあたたかな音色が特徴的。ロンドンの教会にあるオルガンを用いた結果、大変心あたたまる協奏曲集が出来上がった。もともと細かな部分まで指定のないヘンデルの協奏曲の楽譜だが、エガー自身と、通奏低音(リュート)の名人、ウィリアム・カーターが見事な対旋律や装飾を施しており、合奏とオルガンの絡み合いは実に色っぽく、それでいて上品で、たまらなくセンシュアルな仕上がり。録音も秀逸で、オルガンのほっこりとした音色から、弦楽器の擦弦の生々しいリアルな音まで見事にとらえられており、オーディオ的にもたのしめる1枚。
HMU-807447
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヘンデル:オルガン協奏曲集 Op.7
 [変ロ長調 Op.7-1/イ長調 Op.7-2/変ロ長調 Op.7-3/
  ニ短調 Op.7-4/ト短調 Op.7-5/変ロ長調 Op.7-6]/
 シャコンヌ ヘ長調HWV 485(*)/
 フーガ ト短調HWV 264(*)/
 シャコンヌ ト長調HWV 442(*)/
 協奏曲 ヘ長調「カッコウとナイチンゲール」HWV295
リチャード・エガー
 (Org/Cemb(*))指揮
アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
 録音:2006年11月、2007年2月-3月。使用オルガン:Goetze & Gwynn (1998)[ヘンデル・ハウス・ミュージアムの特別許可により使用]/Robin Jennings, 4ストップの室内オルガン(2005年)[HWV 295 のみ]。使用チェンバロ:マルコム・グリーンハルフ、2005年[HWV485, 264]/ジョエル・カッツマン、1991年(1638年リュッケルス・モデル)[HWV 442]。
 1761年、ヘンデルの没後、遺作として出版された器楽協奏曲集の登場。エガーの霊感に満ちた即興満載のオルガン、楽器はヘンデル・ハウスが所有しているヘンデル生前のオルガンのコピーを使用。ファゴット2本を含むリッチな通奏低音パートが、オルガンの豊かな音色を支える。チェンバロ・ソロ作品では、フーガ(HWV 264)が傑出している。高い緊張、美しいメロディー、分厚い和声、エガーの腕が冴えている。「カッコウとナイチンゲール」は、まるでコンサートのアンコールをライヴで聴いているかのような盛り上がり。ヘンデルの充実の作風をたっぷりと味わうことが出来る。
ラフマニノフ&ショスタコーヴィチ:歌曲集
 ラフマニノフ:
  息がつげるだろう Op.26-3
  キリストは立ち上がりぬ Op.26-6/指輪 Op.26-14
  私はあなたを待っている Op.14-1/思い Op.8-3
  いや、お願い、行かないで Op.4-1
  おお、悲しまないで Op.14-8
  すべては過ぎ去り Op.26-15/何という苦さ Op.21-12
  私の胸のうちに Op.14-10/朝 Op.4-2
  夢 Op.8-5/夜の静けさに Op.4-3
 ショスタコーヴィチ:
  スペインの歌 Op.100(全6曲)
  ドルマトフスキーの詩による5つの歌 Op.98
イリス・オヤ(Ms)
ロジャー・ヴィニョールズ(P)
 1977年エストニア生まれのメゾソプラノ、イリス・オヤ初のソロ・アルバム。ヒリアー率いるエストニア・フィル室内合唱団のリーダーとしても活躍する期待の星。透明ながら非常に深々とした声質が独特で、多くのエストニア作曲家たちが新作を彼女のために書き下ろしている。ここではラフマニノフとショスタコーヴィチをロシア語で歌唱。ロシアの歌手とはひと味異なる微妙な陰影づけが素晴らしく、思わずひきつけられる。
HMU-807452
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
トイヴォ・トゥレヴ(1958-):
 8つの雅歌/主は我が運命の羊飼い[I/II]/
 喜べ、喜べ!/春まで/この苦しみから
ロビン・ブレイズ(CT)
ポール・ヒリヤー指揮
エストニア・フィル室内cho.
タリン室内管
 トイヴォ・トゥレヴは1958年生まれのエストニアの作曲家。エイノ・タンベルクやスヴェン=ダーヴィド・サンドストレムに作曲を師事し、さらにケルン音楽大学で電子音楽も研究した。そのかたわらグレゴリオ聖歌を研究し、ソ連時代の80年代にはエストニア・フィル室内合唱団のメンバーでもあった。気難しい哲学者もしくは何かよからぬ研究でもしてそうな科学者風の容貌で、音楽も不思議な前衛性と宗教性が混ざり合った狂的魅力に富んでいる。ヒリヤーの神業のさることながら、バッハ・コレギウム・ジャパンで活躍のカウンターテナー、ロビン・ブレイズの美声が冴え渡る。
HMU-807453
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
アノニマス4、The Cherry Tree〜クリスマスのための歌、キャロル、バラード集
 アノニマス4
 録音:2009年2月、11月。人気の女性4人による無伴奏声楽アンサンブルグループ、アノニマス4が長い活動休止期間を経て、再びハルモニアムンディに素敵なプログラムを録音してくれた。
 中世のイギリスとアメリカで大流行した、15世紀に書かれた素晴らしいバラード集「The Cherry Tree」の中のクリスマスの話を題材にした、中世のイギリスのキャロル、アングロ=アメリカのスピリチュアル・ソング集。懐かしさをおぼえる4人の声の音色と抜群のアンサンブルは健在。独特の節回しのうまさで、時に素朴に時に華やかに、キリスト教にとって特別なクリスマスを歌う。そのミステリアスともいえる魅力が増しているようにも感じられる、嬉しい新録音の登場。録音も秀逸。
イギリスの教会音楽
 CD1(*):
  バード:「グラドゥアリア」からのミサ曲集
  復活祭のミサ/モテット「天の女王」
  ミサ「祝されし聖母マリアの被昇天」/交唱「讃えよ、天の女王」
 CD2(#):
  ペラム・ハンフリー(1647-1674):ヴァース・アンセム集
 CD3(+):星の上に〜ヴァース・アンセムとコンソート音楽
  トムキンズ:
   主よ、我が終わりを教えたまえ/神に歌え/
   星々の上に/幻想曲(6曲)/イン・ノミネ/
   ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ/他(全20曲)
シャンティクリア(*)
ドンナ・ディーム(S;#)
ドリュー・ミンター(CT;#)
ロバート・
 カーヴィー=クランプ(#)
ジョン・ポッター(T;#)
ディヴィッド・トーマス(B;#)
ニコラス・マッギガン指揮(#)
ケンブリジ・ロマネスカ(#)
クレア大学cho.(#)
フレットワーク(+)
エンマ・カークビー(+)
キャスリーン・キング(+)
チャールズ・ダニエルズ(+)
ドナルド・グレイグ(+) 他
 録音:1986年6月(*)。
 イギリスで生まれた美しい教会音楽の数々。イギリスは一種の島国であったため、特殊な地位にあるが、その教会音楽もまた独特の美しさに満ちている。名盤ばかりが集まった貴重なセット。
教会音楽集
 CD1(*):
  フラグメンツ〜イタリア、ギリシャ、ロシア、イギリス、
            フランスの13-17世紀

  ペルージャ、ペロタン/他、無名の作曲家たちによる作品
 CD2(#):
  ザ・パワーズ・オブ・ヘブン〜17、18世紀東方正教会の音楽
  ボルトニャンスキー、ガルッピ、ティトフ、
  ディレツキ、ヴェデル/他の作品(全11曲)
 CD3(#):ラフマニノフ:晩祷 Op.37
ポール・ヒリアー指揮(*/#)
シアター・オブ・ヴォイシズ(*)、
エストニア・フィルハーモニー
 室内cho.(#)
 録音:2000年6月19-22日、ドイツ(*)/2002年7月(#)。様々な土地の教会音楽集。
 ヒリアーによる指揮のもと、ヨーロッパ内外の様々な土地で生まれた祈りの音楽が美しくこだまする。
HMU-807460
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集
 弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調Op.74「ハープ」/
 弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調Op.95「セリオーソ」
東京SQ
 録音:2007年11月、アカデミー・オブ・アーツ&レターズ、ニューヨーク。東京クァルテットによるベートーヴェン・ツィクルス第3弾。
 ベートーヴェン中期と後期の狭間に書かれた名曲「ハープ」と、「セリオーソ」二曲を収録。「ハープ」の題名の由来ともなったピツィカートも、東京クァルテットのメンバーが使用している、かのパガニーニが四重奏用にと組み合わせたというストラディヴァリの銘器で聴くとひときわ印象的。「セリオーソ」でも、冒頭のユニゾンでの息の合い方、集中はものすごいものがある。ハルモニアムンディレーベルでのベートーヴェン全集の完成を間近に控え、ますますこのクァルテットが円熟の極みにあることを存分に感じさせる、見事な出来栄え。
HMU-807461
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲) リチャード・エガー
 (Cemb)指揮
アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
 録音:2008年5月。
 骨太で過激なチェンバリスト、エガー弾き振りの「ブランデン」の登場。アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックは、いつもリズミカルでエッジの効いた演奏で私たちを愉しませてくれてきたが、ついにここで、ブランデンブルクの登場!しかもチェンバロはエガー自身!とくれば、まずなんと言っても外せないのが第5番。楽器とのかけあいは丁々発止、さらにソロのカデンツァ部分では鬼才ぶりが200%炸裂している。曲の展開は知っているが、思わず手に汗握ってしまう迫力。かつて一人のチェンバリストがここまでの存在感を示したことがあっただろうか・・・。いつもながらのハルモニアムンディUSA サウンドの美しさも満開、いや、待った甲斐があったとしかいいようのない最高の「ブランデン」である。
HMU-807463
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
天上のハーモニー
 トマス・タリス:
  大司教パーカーのための9つの詩編歌
 ウィリアム・バード:
  モテット、ペンテコステのためのミサ曲
スティレ・アンティコ
 録音:2007年5月、All Hallows教会、ロンドン。
 「終祷のための音楽」(HMU-807419/907419)でデビュー、美しいハーモニーで私たちの心を浄化した古楽のヴォーカルアンサンブル、スティレ・アンティコの第2弾は、タリスほかのミサ曲。教会の素晴らしい音響空間の中で、タリスやバードの美しい多声音楽が鳴り響くさまは感動的。タリスの「大司教パーカーのための9つの詩編歌」は、プロテスタントの音楽美学の結晶のような作品で、禁欲的で、何よりも聖書の言葉がくっきりと響くことが重視されている。一方、カトリックのバードの作品は、強い表現力で、言葉のもつ感情に訴える要素を極限まで表現しつくしている。ここに収められている作品は比較的小規模の合唱グループを想定して書かれており、テーブルを囲んで、また、個人所有のチャペルなどで演奏されることが多かったようだ。スティレ・アンティコは、曲によって編成を変えながら、ピュアで美しい歌を聴かせる。
オリガ・カーン〜ショパン:ピアノ・ソナタ集
 [第2番 変ロ短調 Op.35(*)/
  第3番 ロ短調 Op.58(#)]
オリガ・カーン(P)
 録音:2005年2月、スタインウェイD(*)、2008年5月、YAMAHA CFIII S(#)。
 ヘビー級のショパンのソナタの登場。オリガ・カーンは2001年第11回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでゴールド・メダルを獲得した実力派で、厚みのある音色と熱い音楽性でどっしりとボリュームある音楽を聴かせる。ショパンの第2番ソナタ冒頭の減7度下降から聴き手の心の底に響くエネルギーに満ちている。第3番もたっぷりと堂々とした第1楽章から、熱く蠢く終楽章まで一気に聴かせる。
ヘンデル:ソロ・ソナタ集 Op.1 (12曲)
 フルート・ソナタ ホ短調HWV359 Op.1-1/
 リコーダー・ソナタ ト短調 HWV360 Op.1-2/
 ヴァイオリン・ソナタ イ長調HWV361 Op.1-3/
 リコーダー・ソナタ イ短調HWV362 Op.1-4/
 フルート・ソナタ ト長調HWV363b Op.1-5/
 オーボエ・ソナタ ト短調HWV364a Op.1-6/
 リコーダー・ソナタ ハ長調HWV365 Op.1-7/
 オーボエ・ソナタ ハ短調HWV366 Op.1-8/
 フルート・ソナタ 変ロ短調HWV367b Op.1-9/
 ヴァイオリン・ソナタ ト短調HWV368 Op.1-10/
 リコーダー・ソナタ ヘ長調HWV369 Op.1-11 (*)/
 ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調HWV369 Op.1-12/
 ヴァイオリン・ソナタ イ長調HWV372 Op.1-10/
 オーボエ・ソナタ ヘ長調(手稿譜より)/
 ヴァイオリン・ソナタ ホ長調HWV373 Op.1-12
アカデミー・オブ・
 エンシェント・ミュージック
リチャード・エガー(Cemb)
パヴロ・ベズノシウク(Vn)
レイチェル・ブラウン
 (Fl/リコーダー)
フランク・ドゥ・ブルイン(Ob)
 録音:2007年9月。
 エガーの奏でる通奏低音チェンバロの装飾の美しさ、ソリスト陣のうまさにほれぼれしてしまう、ヘンデルの作品集の登場。これらの曲に対して、ヘンデルは明確な楽器指定を残していない。これは、ヘンデルが、奏者たちが様々な種類の楽器を使って、自分の作品を思いのままに料理してくれることを望んだこと、そして、様々な楽器で演奏できる、と謳うことによって、少しでも多く楽譜が売れるようにしようとしたことのあらわれである、とエガーは解説書の中で述べている。エガーはこの録音に際し、あえて当時出版された楽譜(Walsh版)に参考のために指定された楽器を用いて演奏している。楽器の色彩、多彩さ、そして音楽の豊かさが見事によみがえった。(*)以降の5曲は、Roger 社から出版された楽譜指定に基づく楽器編成、あるいは、手稿譜からの演奏となっている。
ヘンデル:トリオ・ソナタ Op.2 & Op.5(全曲)
 トリオ・ソナタ Op.2(2つのヴァイオリン、2つのオーボエあるいは
  フラウト・トラヴェルソと通奏低音のための6つのソナタ
  [第1番 ロ短調HWV.386/第2番 ト短調HWV.387/第3番 変ロ長調HWV.388/
   第4番 へ長調HWV.389/第5番 ト短調HWV.390/第6番 ト短調HWV.391]/

 トリオ・ソナタ Op.5(2つのヴァイオリンあるいはドイツ・フルートと、
  チェンバロやチェロの通奏低音のための7つのソナタ[トリオ])
  [第1番 イ長調HWV.396/第2番 ニ長調HWV.397/第3番 ホ短調HWV.398/
   第4番 ト長調HWV.399/第5番 ト短調HWV.400/第6番 へ長調HWV.401/第7番 変ロ長調HWV.402]

 リチャード・エガー(Cemb)指揮アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック
 パヴロ・ベズノシウク、ロドルフォ・リヒター(Vn)
 レイチェル・ブラウン(Fl/リコーダー) ヨーゼフ・クロウフ(Vc)
 録音:2007年10月、2008年1月。
 エガーとアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックによるヘンデル・シリーズ最新盤は、トリオ・ソナタ集。Op.2の第5番は、ヘンデルが14歳の時に作曲されたという記述が残っており、これは不確かな情報なものの、コレッリが活躍したローマで過ごしていた若い時分から、ヘンデルの才能がすでに開花していたことをうかがわせる。バロック時代のトリオ・ソナタは、ハイドンやモーツァルトの時代の弦楽四重奏と同じくらいに重要なジャンルだった。ヘンデルの音楽師匠であったコレッリは、48のトリオ・ソナタを遺している。ヘンデルの「トリオ・ソナタ」は、13の作品が出版され遺されているが、どれもヘンデルならではの豊かな筆致と色彩に満ちている。ヘンデルの器楽作品というと、フーガの技量について、バッハと比較され劣ると言われることもあるが、ヘンデルのフーガは、オラトリオやオペラを思わせる迫力あるもので、フーガの技法を極限まで追求したバッハとはまた違った魅力に溢れている。アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの名手たちと、エガーのひらめきに満ちた通奏低音の饗宴をお楽しみ頂きたい。
HMU-807469
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
Scattered Rhymes(散乱する韻)
 タリク・オレーガン(オリーガン)(1978-):
  散乱する韻(2006)(*)
 ギヨーム・ド・マショー(c.1300-1377):
  ノートル・ダム・ミサ曲
 ギヨーム・デュファイ(c.1400-1474):
  アヴェ・レジーナ・チェロルム
 ギャヴィン・ブライヤーズ(1943-):
  スーペル・フルミナ(2000)
 ギヨーム・ド・マショー:Douce dame jolie
 タリク・オレーガン:
  Virelai "Douce dame jolie" (2007)
ポール・ヒリアー指揮(*)
エストニア・フィルハーモニック
 室内cho.(*)
オルランド・コンソート
 荘厳な教会の中に様々な光を放つステンドグラスを思わせるマショーの「ノートル・ダム・ミサ曲」。これ自体が大変な名曲であるだけでなく、歴史上初めてすべての典礼に曲がつけられたものであること、作曲者が特定できる初めてのミサ曲ということで大変に重要な作品。このアルバムは、マショーやデュファイらの代表的なミサ曲と、現代の作曲家が彼らのミサ曲にインスピレーションを受けて作曲したものを交互に並べている。作曲年代に実に500年以上の開きがあるそれぞれの作品は、しかしどれもが新しく感じ、またどれもが15世紀の古の世界を思い起こさせる不思議な魅力に溢れている。声の豪華な饗宴を、心ゆくまで堪能できる1枚。
 オルランド・コンソートの久々の新譜であること、そして1曲目の「散乱する韻」を、先の新譜「シュトックハウゼン:Stimmung」で我々をのけぞらせる名演を聴かせてくれたヒリアーも参加しているということも注目に値する。
 なお、国内代理店のインフォメーションでは、当盤のイギリス現代作曲家2人について「ターリック・オレガン」「ギャビン・ブライアルス」という独特の表記が成されていますが、上記では通常の表記に近い物を採用しております。
A TRIBUTE 〜ロレイン・ハント・リーバーソン
 ヘンデル:
  「アリオダンテ」より(*)〔ここでは愛を/一途な思いの翼を/私はまだ生きている?/不実な娘が/夜のあとに〕/
  「テオドーラ」より(#)〔天使よ/おお輝かしき太陽/暗闇をもって/おお!私はあの翼にのって/汝、すばらしき息子よ〕/
  「メサイア」より(#)[シオンの娘よ大いに喜べ/だが、その来る日には/彼は侮られて…/わたしは知る、わたしをあがなう者は]
 パーセル:「ディドーとエネアス」〜私が地中に眠る時(#)
 ヘンデル:カンタータHWV96より(+)/「スザンナ」よりアリア(+)/ドゥラスタンティのためのアリア(+)
  (「ラダミスト」「オットーネ」「ジューリオ・チェーザレ」「アリアンナ」よりのアリア)
 J.S.バッハ:アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳〜アリア「御身が共にいるならば」BWV.508(+)

  ロレイン・ハント・リーバーソン(S/Ms) ニコラス・マッギガン指揮
  フライブルク・バロックo.(*)、フィルハーモニア・バロックo.(#/+)
 録音:1989年-1993年。惜しまれつつ亡くなったアメリカが生んだ名メゾ・ソプラノ、ロレイン・ハント・リーバーソン(1954-2006)。コンサートのライヴ録音などが追悼盤として世界中でリリースされ、彼女の人気は亡くなった後も衰えを知らない。その歌声は、ニューヨークの広大なメトロポリタン歌劇場でも何度か響き渡ったが、彼女の主な活躍の場はフランスのバロック巨匠との共演だった。得意としたヘンデルのオペラを中心に、彼女の声を堪能できる2枚セットとなっている。
マイケル・シェパード
 アール・ワイルド:
  ガーシュウィンの「ポーギーとベス」
   によるファンタジー
 バーバー/シェパード編:
  ひなぎく/聖アイタの幻影/夜想曲
 リチャード・ロジャース/
  スティーヴン・ハフ編:
   「回転木馬」〜回転木馬のワルツ/
   「サウンド・オブ・ミュージック」
     〜わたしのお気に入り
 ウィリアム・ボルコム:
  3つのゴースト・ラグ〜優雅な幽霊
 ジョージ・クラム:
  マクロコスモス第1巻(1972)〜夢の影像
 ジョン・コリリアーノ:
  エチュード・ファンタジー(1976)
マイケル・シェパード(P)
 録音:2007年1月、インディアナポリス大学、デハーン・ファイン・アーツ・センター、ルース・リリー・コンサートホール。
 当盤以下の3点は、過去にヴァン・クライバーン・コンクール入賞者のシリーズなどを手がけてきたハルモニア・ムンディUSAが新たにお届けする「アメリカ・ピアニスト協会シリーズ」。アメリカ・ピアニスト協会(APA)は、トニー・ハビックとデンマーク生まれのコミック・ピアニスト、ビクター・ボーグ[ボーエ]によって、1979年にニューヨークで設立(1982年よりインディアナポリスに拠点を移動)されたNPO。その使命はコンクール、コンサートツアーや教育プログラムを通して、世界へはばたく若いピアニストを発掘しサポートすること。現在、APAはクラシックだけでなくジャズをもふくめた3つの奨学基金を用意していて、すなわち、デハーン・クラシカル・フェロー、マクス・I.・アレン・クラシカル・フェロー、そしてジャズのコールポーター・フェローがそれ。受賞者は2年間で賞金とCDやコンサートなどの活動支援を含めた、75,000ドル相当の援助を受ける。過去の受賞者にはフレデリック・チュウの名前もある。あすのピアノ・ヴィルトゥオーゾを送りだす注目のシリーズの登場と言えるだろう。
 アメリカ・ピアニスト協会から2003年のクリステル・デハーン・クラシカル・フェローに選ばれたマイケル・シェパード。メリーランド州ボルティモアにあるジョンズ・ホプキンス大学のピーボディ音楽院で研鑽を積み、レオン・フライシャーに師事している。また、APAのバックアップでワシントンD.C.のケネディ・センターでデビューを果たして以来、全米で演奏活動を展開中。作曲家でもある彼はつねに新しい音楽に傾倒して、作曲家ニコラス・モー、マイケル・ハーシュ、ロバート・シロタとジョン・コリリアーノと頻繁にコラボも行っている。ここではロジャースのおなじみのミュージカル・ナンバーから、名手ワイルドの30分近い大曲、そして難曲クラムまで、おもわず目もくらむようなテクニックでとりこにする。
スティーヴン・ベウス
 チャールズ・グリフィス(1884-1920):
  ピアノ・ソナタ(1918)/
  幻想的小品 Op.6,Nos.1-3
   [舟歌/夜想曲/スケルツォ]/
  3つの音画 Op.5 より
   [第1曲「夕暮れの湖」/第3曲「夜風」]/
  ローマのスケッチOp.7〜第1曲「白孔雀」
 スクリャービン:
  ピアノ・ソナタ第6番 Op.62/
  12の練習曲 Op.8 より
   [第5番/第9番/第11番/第12番]
  幻想曲 ロ短調 Op.28
スティーヴン・ベウス(P)
 録音:2007年1月、インディアナポリス大学、デハーン・ファイン・アーツ・センター、ルース・リリー・コンサートホール。
 アメリカ・ピアニスト協会シリーズ。2006年マクス・I.・アレン・クラシカル・フェローをAPAより授与されたスティーヴン・ベウスは、ワシントン出身のピアニスト。ホイットマン・カレッジで学位を取得、現在ジュリアード音楽院で研鑽中の彼は、欧米を中心に活動の幅を広げている。これはかれにとってバーバーとマリオン・バウアーのピアノ作品集につぐ2枚目のアルバム。印象主義の作風で知られ、夭逝した作曲家チャールズ・グリフィス(1884-1920)とスクリャービンを収めている。グリフィスの代表作「白孔雀」はぼんやりした感じが「アメリカのドビュッシー」ともいわれたのが首肯される内容。妖気を醸し出したスクリャービンの技巧もいうことなし。
スペンサー・メイヤー
 エリス・ボノフ・コーズ(1916-2000):
  ロム・アルメによる変奏曲(1946-47)(*)
 コープランド:ピアノ変奏曲(1930)
 ブゾーニ:ショパンのプレリュードによる
       10の変奏 BV.213a
 ドビュッシー:前奏曲集第2巻 全曲
スペンサー・メイヤー(P)
 録音:2007年1月、インディアナポリス大学、デハーン・ファイン・アーツ・センター、ルース・リリー・コンサートホール。(*)は世界初録音。
 アメリカ・ピアニスト協会シリーズ。オハイオ出身のスペンサー・メイヤーは、APAから2006年デハーン奨学金を授与されたピアニスト。2003年10月にはニューヨークのカーネギー・ホールでリサイタル・デビュー。2004年に南アフリカのプレトリアで行われたUNISA 国際ピアノ・コンクールで第1位を獲得、さらには北米、ヨーロッパ、アジア、アフリカでのリサイタル、室内楽、オケとの共演など、めきめきと頭角を現している。その彼が弾くのは前奏曲集と変奏曲と題されたアルバム。ドビュッシーではくっきりした音色と華麗なタッチが冴え渡る。「現代の変奏曲の大家」との呼び声高いシカゴ生まれのコーズでは、想像力豊かな技法が駆使されメカニカルな味わい。難曲ブゾーニも各変奏の性格の描き分けがみごと。
HMU-807470
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
アンドルー・マンゼ、「英雄」を振る!
 ベートーヴェン:
  交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」/
 1 2のコルトルダンス WoO.14/
  バレエ「プロメテウスの創造物」Op.43〜フィナーレ
アンドルー・マンゼ指揮
ヘルシンボリso.
 なんとも驚きのリリース。古楽演奏からモダーンへと活動の場を広げていった先人はガーディナー、アーノンクールと数知れないが、ついにわれらがマンゼも名乗りをあげた。2006年に首席指揮者に就任したヘルシンボリ響を率いての「エロイカ」が登場。
 颯爽としたテンポが作りだす無類の格好よさ。いたずらに重くなりすぎず引き締まった葬送行進曲。フィナーレでは変奏ごとのゆたかな表情もまた魅力的。カップリングはこの「エロイカ」のフィナーレの主題つながりで、「プロメテウスの創造物」のフィナーレと同主題を第7曲目に使ったコルトルダンス。
 マンゼみずからがバロック・ヴァイオリンを駆るときにみせる、音楽にとびきりみずみずしくフレッシュないのちを吹き込む作業は、モダーンオケを振ってもすこしもかわるところがない。これは注目度満点のアルバムと言えるだろう。
Birds on Fire〜ヴィオールのためのユダヤ音楽
 オーランド・ガフ(1953-):Birds on Fire
 サラモーネ・ロッシ(1571-1630頃):祈り
フレットワーク
 ヴィオールの名人集団フレットワークによる新譜は、英国のユダヤをテーマにしている。英国では1290年にユダヤ人追放令が出され、ユダヤ人は国家をあげて迫害された。しかし、イギリス王朝に仕えた音楽家には、ユダヤの血が流れる音楽家たちが多数存在していたことが調査で明らかになってきている。そして、特に1550年から1650年頃、イタリア系ユダヤ人の家系、バッサーノ家とルポ家が輩出した優秀な音楽家たちは、宮廷で音楽的隆盛を誇っていた。ここに収められているのは、当時英国で活躍したユダヤ系の音楽家たちによる音楽。同時収録されている現代作曲家、ガフの作品は、ユダヤのクレズマー音楽にインスパイアされて書かれたもの。当時の音楽家たちが夜密かに仲間で集い、禁じられている自分たちの音楽を演奏している集会を思い描いていると語っている。クレズマー音楽とジャズの要素も少し感じられる独特な世界を、フレットワークが哀愁を漂わせながらも粋に演奏しており、きわめて印象的に響く。
ダニエル典礼劇 デュファイ・コレクティヴ
ジョン・ポッター(T;ダニエル)
ハーヴィー・ブロー
(T;ダリウス)
ヴィヴィアン・エリス(S;女王)他
サウスウェル・
 ミンスター合唱団団員
 典礼劇とは、10世紀前後の教会で行われていたイースター・ミサの導入に起源があるとされる。このダニエル典礼劇は、13世紀初頭には成立していたとされる最古の典礼劇のひとつで、旧約聖書のダニエル書に由来する。物語の構成の巧みさ、そして音楽的洗練の度合いから、音楽史上最も有名な典礼劇であるといえるだろう。預言者ダニエルが、壁に書かれたなぞの言語を読み解く場面、ライオンの洞窟に投げ込まれても神の力によって助けられる場面が音楽劇に仕立てられている。当時実際にどのような舞台で上演されていたかという資料は充分に残されていないが、若い聖職者によって上演されたといわれている。オペラの誕生の遥か以前から、教会内では劇的な要素を伴う音楽が既に所作を伴って上演されていた。遥か遠い昔に思いを馳せながら聴けば心は一気に中世。
HMU-807480
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
デュリュフレ:
 レクイエム Op.9〜合唱、小管弦楽とオルガン版/
 顕現節の入祭唱への前奏曲 Op.13/
 アンリ・ラボーの主題によるフーガ/
 グレゴリオ聖歌による4つのモテット Op.10/
 ジャン・ギャロンを讃えて/瞑想曲/
 ミサ曲「クム・ユビロ」Op.11
ビル・アイヴズ指揮
オックスフォード・マグダレン・
 カレッジcho.
イングリッシュ・シンフォニア
 純にして高貴、心洗われる世界にファンも多いデュリュフレ。彼の美しいレクイエムをはじめとする宗教合唱曲と、オルガン独奏曲を集めたアルバム。イギリスの名門オックスフォード・マグダレン・カレッジ合唱団が中世的な癒しの世界を創りあげている。
HMU-807481
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(3 SACD HYBRID)
2枚価格
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ベートーヴェン:後期弦楽四重奏曲集(全集完結編)
 〔第12番 Op.127 変ホ長調(*)/第14番 Op.131 嬰ハ短調(*)/
  第13番 Op.130 変ロ長調 + 大フーガOp.133
   (Op.133は第5楽章カヴァティーナと、最終楽章のアレグロの間に演奏;#)/
  第15番 Op.132 イ短調(#)/第16番 Op.135 ヘ長調(+)〕
 東京SQ[マーティン・ビーヴァー(Vn1) 池田菊衛(Vn2)
     磯村和英(Va) クライヴ・グリーンスミス(Vc)]
 録音:2007年11月、アカデミー・オブ・アーツ&レターズ(+)/2008年5月、バード大学フィッシャー・センター・フォー・ザ・パフォーマンツ(*)/2008年8月-9月、東京:王子ホール(#)。
 2009年に結成40周年を迎えた東京クァルテット、ハルモニアムンディ・レーベルでのベートーヴェン全集がいよいよここに完結した。各奏者の肩の力が完全に抜けた美しく柔らか、それでいて高度な緊張を保った音色は見事。緩徐楽章で四人が聴かせるゆったりと進む息の長いフレーズは、高い集中と緊密なアンサンブルがあればこそ。カヴァティーナでのえもいわれぬ優しさと温かさには、思わず熱い涙がこぼれます。4人の間に流れる空気、息遣いまでをも音楽的にとらえた素晴らしい録音。
シューベルト:歌曲集「冬の旅」D911 マーク・パドモア(T)
ポール・ルイス(P)
 録音:2008年11月-12月|使用楽器:スタインウェイ|旧品番: HMU-907484 〔廃盤〕。深々と冷え込む冬、どんよりと暗い空の下、ただただ雪を踏みしめて歩を連ねる旅人としての「私」の独白から始まる「冬の旅」。ピアノの前奏、それにつづくパドモアの声は、早くも聴衆を凍てつく冬の世界へと引きずり込む。パドモアは、「私」として、そして同時に、恋にやぶれずたずたになった「私」を非常に冷静に傍観する第三者として、この物語をすすめる。聴衆は、時にパドモア自身が主人公に思え、その主人公に共感して世界に足を踏み入れると、急にその主人公がふっと姿を消し、自分が冷たい世界に閉じ込められてしまったかのような、非常に不思議な感覚世界へと連れて行かれる。5曲目の有名な「菩提樹」も、やさしさよりも悲しい思い出が勝った演奏。「春の夢」も、あたたかな雰囲気は束の間、すぐに絶望の闇へと引き戻される。すべてシューベルトが作曲した時の調性で歌われているのもポイントで、深い集中が一貫して続き、時に気が狂いそうな絶望の淵まで追いやられるような気分になるが、最後には通常の世界の入り口へと連れ戻されているような感じがするから不思議。パドモアの透徹した声と美しい言葉の発声、そしてピアノとのアンサンブルは完璧。2008年6月の東京での来日公演で素晴らしい「冬の旅」(ピアニストはイモジェン・クーパー)を聞かせてくれたパドモア。その上手さは、ヘレヴェッヘ指揮の受難曲のエヴァンゲリスト役などでも広く知られるところだが、あらためてその芸の確かさに胸を打たれる1枚。
HMU-807485
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価格帯:B
バルティック・ルーン [Baltic Runes]
 ヴェルヨ・トルミス(1930-):
  歌の橋/司教と無神論者/聖ヨハネの日の歌
 シベリウス:組曲「恋する人」Op.14
 ツィリルス・クレーク(1889-1962):
  三つのフォークソング
 エーリク・ベリマン(1911-2006):ラッポニアOp.76
ポール・ヒリアー指揮
エストニア・
 フィルハーモニック室内cho.
 録音:2008年2月。
 いつ聴いても心に感動のさざ波が起こるシベリウスの「恋する人」にうれしい合唱版の新録音が登場。ほかにも男声のトーンクラスター的な効果が印象的なベリマンの作品など、エストニア・フィルハーモニック室内合唱団のうまさが際立つ1枚。
 バルティック・ルーン(バルト諸国の古代文字)というこのアルバム、バルトとフィンランドに古くから伝わる抒情詩や物語に、シベリウス、ツィリルス・クレーク、エーリク・ベリマンとヴェルヨ・トルミスらが作曲したメロディーを美しい合唱で辿る。
HMU-807486
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価格帯:B
タリク・オリーガン(1978-):先人たちの会話:アイルランド人の会話
                  [Acallam na senórach: an Irish Colloquy]
 ステュアート・フレンチ(G) ポール・ヒリアー指揮アイルランド国立室内cho.
 録音:2011年2月-3月、オライリー劇場、ウェックスフォード・オペラハウス、アイルランド。イギリスが誇る注目の作曲家、タリク・オリーガンによる待望の新曲。「先人たちの会話」は13世紀前後に書かれたアイルランド最古の書物の1つ。アイルランドの起源に触れる神秘的な物語に強いインスパイアを受けたオリーガンが、2部からなる壮大な音楽絵巻を練り上げた。古の儀式を思わせる神秘的な太鼓が印象的なプロローグから、物語の世界へとぐっと引きこまれる。ヒリアー率いるアイルランド国立室内合唱団の美しい響きによって、古の人々や聖人達の対話が見事に表現されている。13世紀音楽に強く影響されたオルガンの音楽は、前衛的でありながらもどこか中世的な響きを併せ持つ独特な物。マショーの作品と同時収録されたオルガン・コンソートのCD(HMU-807469)では、オリーガンの音楽は古楽愛好家達からも高い評価を受けた。現代音楽に馴染みのない方にとっても聴きやすく、現代音楽愛好家の方にとっては新鮮な魅力にあふれた1枚と言えるだろう。
昔日の歌〜エストニアの民謡聖歌とルーン歌曲
 わが心目覚め、歌えよ/異教徒の救い主/来たれ創造主よ/主よ私はここに/おおアダム、何と罪な/逃げられたガチョウ/
 奇跡の家/創造物/おおイエス、あなたの苦しみ/イエスよ、私はあなたを見捨てない/主よ、お守り頂き感謝する/
 お前はあのように死ぬか/子らを来させよ/来なさいと神の息子は言い/今や休息が夜のとばりに

  マルゴ・コラル指揮ヘイナヴァンケル
 録音:2007年10月、主の変容教会、タリン/2013年1月、エストニア音楽演劇アカデミー。作曲家でもある指揮者のマルゴ・コラルが1996年に創設した声楽アンサンブル「ヘイナヴァンケル」。エストニアの古い聖歌や伝承音楽を、現代の想像力を通した見たユニークな活動で注目されている。これまで alba レーベルに録音していたが、ハルモニア・ムンディ初登場。もともとエストニア人はプロテスタント信者が多く、西欧の聖歌を独自に変容させたり、民謡を聖歌化する伝統があった。また古代北欧歌曲が残っているのも貴重。しかしソ連に併合されていた半世紀間は宗教が認められていなかったため、崩壊後の20世紀末にようやく伝統が復活した。非常にシンプルで、あくまで静かに淡々と進むが、真摯な敬虔さが感動的。同じエストニアということもあり、アルヴォ・ペルトの音楽と共通する響きと情感に満ちていて、非常に魅力的。
HMU-807489
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価格帯:B
Song of Songs
 クレメンス・ノン・パパ(c.1510/15-1555/56):わたしはシャロンのばら(雅歌2:1-2, 4:15)
 パレストリーナ(c.1525-1594):どうかあの方が、その口のくちづけをもって
  私にくちづけしてくださるように(雅歌1:2-3)
 聖歌(作者不詳):王様を宴の座にいざなうほどわたしのナルドは香りました(雅歌1:12)
 フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):恋しい人は言う。(雅歌2:10-13)
 ニコラ・ゴンベール(c.1495-c.1560):気高いおとめよ(雅歌7 章の編集版)
 聖歌(作者不詳):エルサレムのおとめたちよ(雅歌1-5)
 ラッスス(1532-1594):恋しい人よ、来て頂きたい(雅歌7:11-12)
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611):起き出して町をめぐり(雅歌3:2, 5:8-10, 7:8)
 聖歌(作者不詳):恋人よ、あなたはなにもかも美しく(雅歌4:7)
 ゲレーロ:わたしはシャロンのばら(雅歌2:1-5)
 ジャン・レリティエ(c.1480-after1552):わたしは黒いけれども愛らしい(雅歌1:2-5)
 聖歌(作者不詳):あの人が左の腕をわたしの頭の下に伸べ(雅歌2:6)
 ロドリーゴ・デ・ケバロス(c.1530-1581):わたしの妹、花嫁は、閉ざされた園(雅歌4:12, 5:2, 2:14, 4:11, 4:8)
 パレストリーナ:エルサレムのおとめたちよ(雅歌1:5-6)
 聖歌(作者不詳):あなたは美しく
 セバスティアン・デ・ヴィヴァンコ(1551-1622):わたしは恋しい人のもの(雅歌7:11-13)
 ゲレーロ:あなたの名はかぐわしい(雅歌1:3, 7:6-8)
 聖歌(作者不詳):ごらん、冬は去り(雅歌2:11)
 ビクトリア:荒れ野から上って来るおとめは誰か。(雅歌3:6)

  スティレ・アンティコ
 録音:2008年3月。
 スティングと共演・来日したことでも話題となったイギリスの声楽アンサンブル集団、スティレ・アンティコの3枚目は、旧約聖書の「雅歌(Songof Songs)」に基づくルネサンス期の合唱曲と聖歌。雅歌は聖書の中でもっとも「世俗的」な書。ルネサンス時代の作曲家たちは、このテキストを、神聖な愛やマリア信仰の暗喩として用いた。
HMU-807490
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価格帯:B
タリク・オリーガン(1978-):作品集
 私は太陽を永らく見ていない/
 エクスタシーの上にあるもの/夜の入口/
 Tal vez tenemos tiempo/Care Charminge Sleepe/
 3枚つづきの絵画/憎む暇などない
コンスピラーレ
 録音:2007年10月。
 声によるプリズムや万華鏡を思わせる、独特の声楽作品を得意とするオリーガンの最新盤。近未来的宇宙を思わせるような、星と星の間で不思議に停滞しながら響き合う声のような作品が続く。
ピアソラ・アンド・ビヨンド
 ピアソラ:
  リベルタンゴ(1974)/天使の組曲/デカリシモ(1962)
 デイヴィッド・ゴードン:細分化されたタンゴ
 アダム・サマーヘイズ:墓地があくびをする時
 ピアソラ:
  ソールダッド(1956)/ミケンランジェロ70(1968)
 アダム・ゴードン&アダム・サマーヘイズ:
  ブルジョワのミロンガ
 ピアソラ:インヴィエルノ・ポルテーノ(1969)
 アダム・サマーヘイズ:エル・デスポセイド
ロンドン・コンチェルタンテ
 録音:2008年7月。
 自身のアルゼンチンの血を沸き立たせつつ、バッハ、クラシック、そしてジャズ、様々な音楽の要素を総合した音楽を書いた巨匠、ピアソラ。現代に生きる4人の作曲家によるピアソラへのオマージュ作品が入り混じったこの興味深いプログラムを通して、ロンドン・コンチェルタンテは、ピアソラという壮大な宇宙を「超え(ビヨンド)」る旅へと私たちをいざなう。
 「細分化されたタンゴ」は、ナイマンを思わせるミニマル・ミュージックとピアソラの力強い世界の融合。他の現代作品も、ピアソラに敬意を払いつつ、ピアソラを通して新しい世界を私たちにみせてくれる。
 ロンドン・コンチエェルタンテは、ジプシー・タンゴのバンドで活躍していたヴァイオリン奏者たちによって1991年に結成されたアンサンブル・グループ。純粋なクラシックのアンサンブルとは一味違う、エッジの効いた演奏を聴かせてくれる。
ガーシュウィン/グローフェ編:
 ラプソディ・イン・ブルー(オリジナル・ジャズ・バンド版1924)(*)/
 アイ・ガット・リズム変奏曲(ガーシュウィン自身のオリジナル・スコア)/
 ヤンキー・ドゥードゥル・リズム/同曲(1909年機械吹込み録音復刻)/
 すてきな気持ち/誰かが私を愛している/スウィート・アンド・ロウ・ダウン/
 天国への階段/私の彼氏/魅惑のリズム(#)/サマータイム(+)
  リンカーン・マヨーガ(P)
  アル・ガロドロ(A-Sax; *, #, + /Cl;*, # /B-Cl;*, +)
  スティーヴン・リッチマン指揮ハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク
 ガーシュウィンの名作「ラプソディ・イン・ブルー」はフルo.版で親しまれているが、初演はグローフェが突貫作業で仕上げた小編成のジャズバンド版だった。この版はバンジョーやもう1台のピアノも含まれてサウンド的にも興味深いのだが、あまり聴く機会がない。ここでは嬉しいジャズバンド版による最新録音の登場。さらにアイ・ガット・リズム変奏曲のガーシュウィン自身によるオーケストレーション版や、人気のソング・ナンバーをグローフェがバンド用に編曲したものまで、彼の一番聴きたい曲ばかりを1枚に収めた超魅力盤。ピアノはアメリカ・ポップス界の大御所リンカーン・マヨーガで、オシャレの極み。また、アメリカのサックス王で、1936年から1965年までホワイトマン楽団のスターだった伝説のアル・ガロドロが参加しているのも驚き。古き良きアメリカを最新の音で存分に味わえる。
チャイコフスキー、エリントン&ビリー・ストレイホーン:2つのくるみ割り人形
 チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 Op.71a(全8曲)(*)
  [スティーヴン・リッチマン指揮ハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク]
 チャイコフスキー/デューク・エリントン&ビリー・ストレイホーン編曲:「くるみ割り人形」組曲(1960) (#)
  〔序曲/トゥート・トゥート・トゥーティ・トゥート(葦笛の踊り)/ピーナッツ・ブリトル・ブリゲイド(行進曲)/
   シュガー・ラム・チェリー(金平糖の踊り)/間奏曲/ザ・ヴォルガ・ヴォーティ(トレパーク)/
   シノワズリー(中国の踊り)/ダンス・オブ・フロリドアズ(花のワルツ)/アラベスク・クッキー(アラビアの踊り)]
  [ルー・タバキン(T−Sax) ルー・ソロフ(Tp) ビル・イーズリー(Cl)
   ヴィクター・ルイス(Dr) ジョージ・ケイブルス(P)]
 録音:2011年11月-12月、マリー・フラグラー・キャリー・ホール、ディメンナ・クラシック音楽センター(*) /2010年9月、アヴァター・スタジオ、ニューヨーク(#)。チャイコフスキーの不朽の名作「くるみ割り人形」は、さまざまな形態に編曲されて親しまれているが、ジャズの王様デューク・エリントンのアレンジもLP時代からベストセラー盤だった。当アルバムの指揮者スティーヴン・リッチマンは、そのコロムビア・リリースのLPをたまたま聴かされ、すっかり魅了された。スミソニアン博物館に所蔵されていたオリジナル・スコアの印刷譜が最近出版されたこともあり、チャイコフスキーのオリジナルとエリントンのジャズ版を、同一指揮者で一枚のアルバムにしてみるという初の試みを思いたった。リッチマンはHMFからガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を、ポール・ホワイトマン・バンドが初演した際のオリジナル版で録音、こだわりを持つ指揮者だが、ジャズにも深い理解と鋭い演奏を見せ興味津々。エリントンによるジャズ編曲は、彼と助手のビリー・ストレイホーン(「A列車で行こう」の作曲者)により1960年に行われ、その絶妙なクロスオーバーぶりが「ハーレムのくるみ割り人形」の異名をとった。バレエ音楽がアメリカ的なダンス音楽に変身し、チャイコフスキーのメロディがすっかりジャズに変身している様はあっぱれ。良く知られた曲だけに、編曲の妙がわかりやすく、誰もが眼を輝かされること間違いない。収録ナンバーはエリントンの名盤と同じだが、今回の演奏はニューヨーク・ジャズ界の現役の名手勢ぞろい。テナー・サックスのルー・タバキンは秋吉敏子の夫君としても有名な名手。トランペットのルー・ソロフはクインシー・ジョーンズのバンドのメンバーで、マンハッタン・ジャズ・クインテットの看板アーチストでもある。クラリネットのビル・イーズリーは60年代後半、ジョージ・ベンソンのバンドで活躍した。彼らの妙技が見物。コンボではないビッグバンド的なアンサンブルを得意とする人たち、巧さに脱帽させられる。エリントンの完全リメイクというより、現代ニューヨークの名手たちによる豪華盤の登場。
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集
 ソナタ 変ロ長調K.454/ソナタ ト長調K.379/373a/
 フランスの歌「ああ、私は恋人を失った」
  の主題による6つの変奏曲/
 ヴァイオリン伴奏の
  クラヴィーア・ソナタ ハ長調 K.296/Op.2-2
ペトラ・ミュレヤンス(Vn)
クリスティアン・
 ベズイデンハウト(Fp)
 録音:2008年6月。
 フライブルク・バロックo.のコンミス、ミュレヤンスの久々のソロ新譜。ハリとツヤのある音色はさすが。フォルテピアノを弾くのは1979年南アフリカ出身の逸材、ベズイデンハウト。ビルソンの下で研鑽を積み、ポール・オデットの下で通奏低音を学び、21歳でブルージュのコンクールで優勝、聴衆賞も同時に受賞し一気に世界的に注目される存在となっている。ミュレヤンスとのアンサンブルの連携は見事、メロディーの合いの手や伴奏、どの音をとっても完璧。
キャンドルライトによるキャロル〜アドヴェント、クリスマスのための音楽
 聖歌: Creator alme siderum  / ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):天上からの信実
 バード:大地の樹 / チャールズ・ウッド(1866-1926):主よ、見て下さい
 J.S.バッハ:いざ来たれ、異邦人の救い主よ BWV.659(オルガン・ソロ)
 パレストリーナ:私は遠くから見る/トラーテ・チェリ
 ジョン・ステイナー(1840-1901):山から見る景色のなんと美しいことか
 ヘルモア(1811-1890):いざ来たれ、いざ来たれ、エマニュエルよ
 ブリテン:聖母のための賛歌 / ヴォーン・ウィリアムズ:祝福されし神の子
 作曲者不詳: In dulci jubilo / ブクステフーデ:暁の明星のなんと美しいことか BuxWV.223
 作曲者不詳: Of the father 's heart begotten / ゲレロ(1528-1599): Pastores loquebantur
 グレイストン・アイヴズ編曲:幼子イエスの子守歌 / レーガー:マリアの歌
 グレイストン・アイヴズ:いと甘き歌 / ウォーロック: Benedicamus Domino
 J.S.バッハ:いと高きところにいる神のみに栄光あれ BWV.662(オルガン・ソロ)
 ウィリアム・マサイアス:クリスマス / メンデルスゾーン:あめにはさかえ
 ジョン・ガードナー: Tomorrow shall be my dancing day

  ビル・アイヴズ指揮オックスフォード大学マグダレーナ・カレッジcho.
  マーティン・フォード(Org)
 録音:2008年7月、マグダレーナ・カレッジ、オックスフォード大学。『美しい合唱に定評のある指揮者』(代理店記載ママ)アイヴズのクリスマス・キャロル集。静かな瞑想のような音楽から、イエス・キリストの誕生を喜ぶ歌まで様々な表情の歌がつまっている。オルガン・ソロも挟まれ、クリスマス気分が盛り上がることこの上ないアルバムとなっている。なお、代理店翻訳者の表記「W.マタイ」「アイブス」等は当店で修正済。
HMX-2927495
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価格帯:F
限定盤
キャンドルライトによるキャロル〜アドヴェント、クリスマスのための音楽
 聖歌: Creator alme siderum  / ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):天上からの信実
 バード:大地の樹 / チャールズ・ウッド(1866-1926):主よ、見て下さい
 J.S.バッハ:いざ来たれ、異邦人の救い主よ BWV.659(オルガン・ソロ)
 パレストリーナ:私は遠くから見る/トラーテ・チェリ
 ジョン・ステイナー(1840-1901):山から見る景色のなんと美しいことか
 ヘルモア(1811-1890):いざ来たれ、いざ来たれ、エマニュエルよ
 ブリテン:聖母のための賛歌 / ヴォーン・ウィリアムズ:祝福されし神の子
 作曲者不詳: In dulci jubilo / ブクステフーデ:暁の明星のなんと美しいことか BuxWV.223
 作曲者不詳: Of the father 's heart begotten / ゲレロ(1528-1599): Pastores loquebantur
 グレイストン・アイヴズ編曲:幼子イエスの子守歌 / レーガー:マリアの歌
 グレイストン・アイヴズ:いと甘き歌 / ウォーロック: Benedicamus Domino
 J.S.バッハ:いと高きところにいる神のみに栄光あれ BWV.662(オルガン・ソロ)
 ウィリアム・マサイアス:クリスマス / メンデルスゾーン:あめにはさかえ
 ジョン・ガードナー: Tomorrow shall be my dancing day

  ビル・アイヴズ指揮オックスフォード大学マグダレーナ・カレッジcho.
  マーティン・フォード(Org)
 録音:2008年7月、マグダレーナ・カレッジ、オックスフォード大学。通常盤:HMU-907495。 HMF "Christmas Edition"。 静かな瞑想のような音楽から、イエス・キリストの誕生を喜ぶ歌まで様々な表情の歌がつまっている。オルガン・ソロも挟まれ、クリスマス気分が盛り上がることこの上ないアルバムとなっている。なお、代理店翻訳者の表記「W.マタイ」「アイブス」等は当店で修正済。
HMU-807496
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
デイヴィッド・ラング(1957-):
 マッチ売りの少女の受難曲/愛は強いから/
 横たわる/夜・朝・昼/再び(伝道の書)
ポール・ヒリアー指揮
シアター・オブ・ヴォイセズ
アルス・ノヴァ・コペンハーゲン
 録音:2008年11月。
 有名な童話「マッチ売りの少女」。「Passion(受難)」とは、被害を受けること、苦しみを意味するラテン語。ラングは、イエスの受難ではなくマッチ売りの少女が受けた苦しみ(まるでイエスの受難のようだ、とラングは語る)を悼み、2008年ピュリツァー賞音楽部門受賞の当作を書いた。バッハの受難曲では、合唱は群集を、独唱者はイエスやエヴァンゲリスト(語り部)を担当するが、ラングのこの作品では、声楽アンサンブルがすべてを語り、それぞれの歌手が打楽器も担当しながら進む。冒頭、少しずつリズムがずれていくカノンのようなトラックは、「ほ、ほ、ほたるこい」を連想させる透明感。ラングは、マッチ売りの少女の物語を、時に淡々と、時にホーミーのように、物語の最後の場面では、寒くて歯が噛み合わない少女の祈りの言葉を思わせる書法で、聴き手の眼前に深々と冷える物語の世界と、悲しい少女の物語をくっきりと浮かび上がらせる。
モーツァルト:鍵盤曲集 vol.1
 幻想曲 KV.475(1786)/
 ソナタ ヘ長調 KV.533/494(1788)/
 ソナタ 変ロ長調 KV.570(1789)/
 グルックのジングシュピール「メッカの巡礼たち」の
  アリエッタ「愚民の思うは」による
  10の変奏曲 ト長調 KV.455
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2009年5月。使用楽器:1987年Derek Adlam, Welbeck製(ワルター/1795年頃モデル)クリストファー・ホグウッド・コレクション。
 表情豊かで打ち解けたスタイルで人気のベザイデンホウトは、1979年、ドイツ系オランダ人の両親のもと、南アフリカで生まれた。何度も聴いたことのある曲でも、「どこに行くんだろう」と思うような、不思議な吸引力のある音にひきつけられる。使用した楽器は、モーツァルトがウィーンに移り住んで5年ほどした時に購入したワルター製フォルテピアノをモデルに製作された物。モーツァルトの‘音色 'を追体験できることでも価値ある1枚。
 2010年2月末に来日。また今後もフライブルク・バロックo.やBPOとの共演、ツアーも予定されているベザイデンホウト、要注目。
モーツァルト:鍵盤曲集 Vol.2
 ソナタ ハ長調 K.330/ロンド イ短調 K.511/
 ロンド ニ長調 K.485/アダージョ ロ短調 K.540/
 ソナタ ハ短調 K.457
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2010年1月。使用楽器:Paul McNulty, Divisoc, Czech Republic, 2008; after Anton Walter ' Sohn, Vienna, c.1802。
 モーツァルトの再来とも賞される天才フォルテピアノ奏者ベザイデンホウト、待望のソロ第2弾の登場。これしかありえないような自然なテンポ設定、気持ちよいくらいにはまっているデュナーミクの付け方、聴き手にとっても必然的かつ絶妙な間の取り方など、何度も聴いたことのある作品たちの音符ひとつひとつが鮮やかに香りたつ。 イ短調のロンドの語り口の巧さは絶品。 ハ短調ソナタの有名な冒頭では一変、現代ピアノで聴くよりも表情がダイレクトに伝わって来る。 ロ短調のアダージョでの慟哭と、音と音の間に流れる空気に、このベザイデンホウトという演奏者の底知れぬ魅力をみる。演奏者の息遣いまでをも巧みにとらえた録音も秀逸。フォルテピアノという楽器がもつ無限の表情と可能性を感じる1枚でもある。
モーツァルト:鍵盤曲集 Vol.3
 ソナタ 変ロ長調 K.333 /
 「女ほどすばらしいものはない」による
  8つの変奏曲 ヘ長調 K.613 /
 幻想曲 ハ短調 K.396 /ソナタへ長調 K.332
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2011年5月、ロンドン。A=430。『モーツァルトの鍵盤独奏曲の魅力を最大限に引き出した、真に偉大な全集となるだろう』(BBC Music誌)など、全世界で高く評価されている、ベザイデンホウトによるモーツァルト作品集第3弾。K.333の第1楽章の冒頭、やさしく下降する音型から、一音一音に笑みが満ちている。極めて音が少ないモーツァルトのソナタに、これほど表情豊かで雄弁な宇宙が詰まっていたのか、と驚かされる瞬間の連続。緩徐楽章の緩急の付け方は実に見事、ハーモニーの移り変わりの美しさを一瞬も逃さず捉えている。1805年製のアントン・ヴァルターのコピーの楽器を完璧にコントロールしている。この最新盤の演奏をじっくりと味わいながらも、早くも次のリリースへの期待がまた一段と高まってしまう、楽しみなシリース。
 なお彼の名前の読み方について、国内代理店は『これまでベズイデンホウトと表記しておりましたが、発音の確認をとりまして、今後はすべてベザイデンホウトで表記をさせていただきます』とのこと。
HMU-907500
廃盤
ロレイン・ハント・リーバーソン〜
 2004年ラヴィニア音楽祭リサイタル
ロレイン・
 ハント・リーバーソン(Ms)
ピーター・ゼルキン(P)
ドリュー・ミンター(CT;*)
バルトーク(1881-1945):44の二重奏曲集 Sz.98(1931) アンジェラ・チュン、
ジェニファー・チュン(Vn)
 録音:2009年5月。
 バルトークの44の二重奏曲集。旋律のほとんどは、バルトークが採取したハンガリーの農民たちの間に伝承された民謡からとられている。技巧的な熟練は要求されないが、フレージング、アクセントの置き方、リズムの精確さ、不協和音や倍音を効果的に響かせる耳と腕が要求される曲がずらりと並ぶ。演奏順は、彼女たちがより体系的になるように並べなおした順番を採用。民俗色とモダーンが共存する魅力的なミニアチュールがぎっしり詰まった宝箱のような1枚。
パーセル(1659-1695):ファンタジア集
 [ファンタジアI〜XII/
  一つの音に基づくファンタジア/
  イン・ノミネ(6部)/イン・ノミネ(7部)]
フレットワーク
 録音:2008年6月。
 フレットワーク久々の新譜。フレットワークは、1986年にデビュー、坂本龍一の「スコラ」シリーズのバッハの巻でも取り上げられ、今再び注目度が増しているヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団。パーセルのファンタジア集は、演奏される機会は少ないかもしれないが、複雑な三重対位法、ドキッとするような不協和音など、パーセルが、彼の同時代人よりも2歩も3歩も先を歩んでいたことを示す意欲的な作品集。フレットワークの面々は、複雑に絡み合う声部を見事に解きほぐし、縦の線も横の線も実に見事なバランスで演奏している。
ジョン・ナカマツ〜シューマン
 ピアノ・ソナタ第2番 ト短調 Op.22 /
 蝶々 Op.2 /謝肉祭 Op.9
ジョン・ナカマツ(P)
 録音:2012年12月、アメリカ芸術文化アカデミー、ニューヨーク。カリフォルニア生まれの稀代の日系人ヴィルトゥオーゾ、ジョン・ナカマツ(1968-)、前回が2008年のブラームス:アルバムだったので、5年ぶりの登場。音大で学ぶことなく高校で教師をしながら、1997年の第10回ヴァン・クライバーン・コンクールで優勝して注目された。今日では珍しい大柄で濃密なロマンあふれる演奏が特徴。今回は初のシューマン・アルバム。技巧の冴えは以前のままで、何の曖昧さもない指さばきを披露してくれる。ピアノ・ソナタ第2番の速く細かい動きが弾丸のようにはねまわる。ナカマツならではの濃密でロマンあふれる音楽性も独特。ロマン派ならではの情感をたっぷり堪能させる。
ラフマニノフ:徹夜祷 Op.37 ポール・ヒリアー指揮
エストニア・
 フィルハーモニー室内cho.
 録音:2004年5月24日-27日、ハープサル・ドーム・チャーチ、エストニア|既出CD, SACD: HMU-907384, HMU-807384 (HYBRID_SACD), HMU-807504 (HYBRID_SACD) 〔すべて廃盤、入手不能〕。ロシア正教のア・カペラ合唱の伝統、その一つの頂点とも言うべきラフマニノフの「徹夜祷」、西欧的な洗練さとロシア伝統のスラヴの魂が反映されたこの作品には名演名盤がひしめいているが、この演奏は別格の出来映え。純度が高く透明でありながら、詩情を感じさせる深みのある響き。個の集まりが生命体として息づく表現。声帯から発せられる音が織り成す芸術の完成形ではないか、そんな思いがする別世界がここに繰り広げられている。
KHM-997505
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日本特別仕様
輸入盤
辻井伸行〜
 衝撃のヴァン・クライバーン国際コンクール・ライヴ

 ショパン:練習曲 Op.10 より(#)
  [第1番 ハ長調/第2番 イ短調/
   第3番「別れの曲」 ホ長調/第4番 嬰ハ短調/
   第5番「黒鍵」 変ト長調/第6番 変ホ短調]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番
  「ハンマークラヴィーア」 変ロ長調Op.106(*)
 リスト:「ラ・カンパネッラ」(パガニーニによる
  超絶技巧練習曲集より第3番 嬰ト短調;*)
 ジョン・マスト:即興曲とフーガ(#)
  (ヴァン・クライバーン国際コンクール委嘱新作/
   新曲演奏課題曲)
辻井伸行(P)
HMU-907505
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通常仕様
輸入盤
 録音:2009年、第13回ヴァン・クライバーン国際コンクール、ライヴ、予選リサイタル(*)、セミ・ファイナルリサイタル(#)。KHM-997505は、『日本大幅先行入荷予定:7月下旬〜8月上旬予定』『辻井本人写真のスリップケース入り(ケース表面に日本語入りのようなので、おそらく国内代理店による特別仕様)』とのこと。2点とも収録内容は同一(国内盤は別に存在しますので、基本的に日本語解説等は無しと思われます)。
 今や日本中の注目を集めているピアニスト、辻井伸行。日本人として初めてヴァン・クライバーン国際コンクールの優勝を勝ち取った、衝撃のライヴ演奏がハルモニアムンディよりリリースされる。
 「ハンマークラヴィーア」での推進力に満ちた演奏、ショパンのエチュードの一曲一曲で魅せるきらびやかな音色と刻一刻と変わる豊かな表情、胸を打つ「ラ・カンパネッラ」、そして話題の超難曲、新曲課題のジョン・マストの作品までが収録された、充実のプログラム。辻井が世界で認められた決定的瞬間がすべてここに収められている。
 ジョン・マストの作品は、コンクールで課せられる新曲演奏の課題曲。演奏日の2週間前に、3人の作曲家の新曲の楽譜を渡され、演奏者はその中から任意の1作品を選び、本選のリサイタル・プログラムに組み込んで演奏する。辻井が演奏したこのマストの作品は、3作品の中で最も難易度が高いもの。辻井はこの演奏で、新曲演奏の最優秀賞にあたる「ビヴァリー・テイラー・スミス賞」も受賞している。
第13回ヴァン・クライバーン国際コンクール、ライヴ金メダル
 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの三楽章
 ショパン:24の前奏曲 Op.28
 メイソン・ベイツ:ロマックスへの他愛ない嘘
 リスト:スペイン狂詩曲
チャン・ハオチェン
 [張 昊辰](P)
 1990年、上海生まれの19歳。辻井と金メダルを分かち合った中国期待の新星チャン・ハオチェン。曲芸的難曲として知られる「ペトルーシュカからの三楽章」を目にも鮮やかな技巧で弾ききっている。ショパンの前奏曲集も清潔な詩情にあふれ、辻井と並ぶ逸材だったことを納得させる。
第13回ヴァン・クライバーン国際コンクール、ライヴ銀メダル
 ハイドン:ピアノ・ソナタ第58番 ハ長調
 バーバー:ピアノ・ソナタ Op.26
 ドビュッシー:前奏曲集第1巻〜
  [野を渡る風/音と香りは夕べの大気に漂う/
   アナカプリの丘/雪の上の足跡/
   西風の見たもの/亜麻色の髪の乙女]
 ゴドフスキ:
  J.シュトラウスの「こうもり」による交響的変容
ソン・ヨルム
 [孫 熱音](P)
 『1986年の女性ピアニスト』(代理店記載ママ)。一見たおやかな韓国女性ながら、かのホロヴィッツに捧げられた技術的にも内容的にも最高度のバーバーのソナタや、ピアノの機能を極限まで追及した恐ろしいゴドフスキの「こうもり」を難なく弾きこなす凄腕。不思議な情念も感じられる、アルゲリッチの後継者たらんとする注目株。
クラリネットとピアノのためのアメリカ音楽集
 ジョン・ノヴァーチェク(1964-):2人のジョンのための4つのラグ(2006)
 パキート・ドゥ・リヴェラ(1948-):ザ・ケープ・コッド・ファイルズ
 バーンスタイン(1918-1990):クラリネットとピアノのためのソナタ
 ガーシュウィン/ジェイムズ・コーン編:3つの前奏曲/アイ・ガット・リズム
  ジョン・マナシー(Cl) ジョン・ナカマツ(P)
 録音:2009年12月。
 NYPの首席クラリネット奏者もつとめていたジョン・マナシーと、ジョン・ナカマツによるデュオ。この編成の王道レパートリー、バーンスタンのソナタや、ノヴァーチェクとドゥ・リヴェラによる世界初録音2作品も含む注目の内容。ノヴァーチェクの作品はユーモラスな味わいが魅力の物。ドゥ・リヴェラの作品もクラリネットのポトポトとした音色が味わい深い。バーンスタインはクラリネットもさすがだが、ジョン・ナカマツのリズム感抜群のピアノが光る。ガーシュウィンの3つの前奏曲は20世紀音楽の古典とも呼ばれるもともとはピアノソロの名曲だが、ここではクラリネットとピアノの編成で演奏されている。二人のジョンの名手ぶりが光る1枚。
HMU-807509
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
Media vita〜ジョン・シェパード(1515頃-1558):
 レスポンソリウム めでたし、処女マリアよ〜主の祈り/
 アンセム「あなたに新しい命令を与えよう」/
 応唱「Media vita 〜命の中で」/
 アンセム「キリストは復活する」/
 アンセム「神よ、いそいで下さい」/
 聖歌「テ・デウム」
スティレ・アンティコ
 録音:2009年2月。
 スティレ・アンティコは、イギリスの若手歌手たちによるアンサンブルで、古楽の無伴奏合唱作品をとりあげ、その美しく豊か、かつ厳粛さも併せ持ったハーモニーで世界中を魅了し続けている。スティングとの活動でも話題を呼んだ彼らが今回とりあげたのは、これまでも彼らのアルバム「終祷のための音楽」(HMU-907419/HMU-807419)に収められていたことがある、チューダー朝の忘れられた作曲家ジョン・シェパード。
 シェパードの前半生についてはほとんどわかっていないが、オックスフォードのマグダレーナ・カレッジの合唱団に所属していたとされている。同時代のタリスなどの作品と違い、楽譜が不完全なかたちでしか残されていないものが多く、残された楽譜素材の校訂作業に時間がかかってしまっているが、シェパードの作風の広さ(カトリックの典礼音楽から、英語の歌詞を持つアンセムまで)やその斬新さは近年注目を集めている。
 アルバムのタイトルにもなっている「Media vita〜命の中で」は、人間の弱さと救済への希望を歌った応唱。多声部のそれぞれが対等に書かれていて、万華鏡のようなステンドグラスが施された大聖堂に迷い込んだような気分になる。スティレ・アンティコのメンバーの、第1ソプラノと第2ソプラノのリード・ヴォーカルを務める女性が双子同士ということもあって、いつもながらの完璧なアンサンブルには圧倒される。
HMU-807510
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
アノニマス4〜ラス・ウエルガスの写本(C.1300)の聖歌集
 [First Light〜はじめの光]
  かがやかしき処女/海原の星をたたえよ/モテット:節度ある修道院 - 聖処女は - FLOS FILIUS
 [朝]ファ・ファ・ミ - ド・レ・ミ/コンドゥクトゥス・モテット:おお、聖なるマリア/ベネディクトゥス
 [ミサ]聖なる母をたたえよ.../キリエ/グローリア/セクエンツィア「アヴェ と叫び続けよう」/
    モテット「高貴なる処女をたたえよ」/サンクトゥス&ベネディクトゥス/高貴なる処女に喜べ/
    アニュス・デイ/ブルゴスの修道女たちよ/奸計はいたる所に
 [夕刻]恵みの庭で/天の女王を賛美せよ/神をたたえよう
 [夜]婚礼に呼ばれたら/父なる主の母にして娘/主をたたえよ/あなたのすべてを信じます

  アノニマス4
 録音:2009年、2011年。これまで数多くの写本の聖歌収録に取り組んできたアノニマス4が、かの有名なラス・ウエルガス写本をついに収録! この写本が編纂されたのは、北スペインのブルゴスにあるラス・ウエルガス女子修道院。王族の女性の隠遁場であったこの修道院では、高貴な女性たちが密やかな修道生活を営んでいた。ラス・ウエルガス写本は14世紀初期に写された物。中には13世紀〜14世紀初頭の間に歌われていたラテン語の単律聖歌およびポリフォニー聖歌が186曲も残されており、まさに当時の聖歌名曲集と言えるだろう。本CDは朝から夜までの聖務日課を追うように収録されており、当時の修道女たちが過ごした神聖な一日を想起させるようなプログラムになっている。
 アノニマス4は女性4人で構成される歌唱団体で、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどのコンサートやフェスティヴァルで幅広い活動を行っている。もともとは中世聖歌を歌うために結成された団体ともあって、とりわけ中世音楽演奏において注目される団体。今回収録された聖歌でも、一切楽器伴奏はなく、女性の声のみによって歌われている。アノニマス4の卓越した歌唱力と透明感あふれる歌声を最大限堪能できるおすすめの1枚。
HMU-907511
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(4CD)
2CD価格
ルイ・クープラン:チェンバロ作品全集 リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2009年4月16日-20日、2010年2月20日-24日。使用楽器:(A) Joel Katzman, Amsterdam, 1991, after Ruckers, Antwerp, 1638 / (B) Joel Katzman, Amsterdam, 1995, after an anonymous original (probably Jacquet), Paris, 1652 。Pitch: a’ = 398 Hz / Temperament: ‘ordinaire’ (quarter-comma meantone)。演奏曲順はリチャード・エガーによる。ナンバリングは、ブルース・グスタフソンのL.クープラン作品カタログによる。
 「ルイこそがクープラン一族で最も重要で、あらゆる時代を通じて最も偉大なチェンバロ音楽の作曲家。・・・モーツァルトやパーセルのように道半ばにして夭折してしまったのが悲しくてならない」とルイへの深い尊敬と愛情を熱く語るエガー。ニューグローブ音楽事典などの「L.クープランは、フランソワに次ぐクープラン家で最も重要な作曲家であり、17世紀のもっとも重要な鍵盤作曲家」といった記述に対し、エガーは「これにまったく賛成できない」と言う。ルイの魅力である厚みのある進行、時にどぎついまでに刺激的な不協和音を、エガーは効果的に響かせている。4枚目の終曲「パリのカリヨン」でのまさに鐘のような音色は圧巻。「これは、チェンバロのために書かれた音楽の中で私が最も愛するものだ。私がこの楽器に触れるようになった初めのころからこれらの作品は常に私の傍にあった。私はこの素晴らしい作品を録音することができて大変幸せに思う。」まさにエガーが渾身のエネルギーをもってルイの真価を問う、真剣勝負。エガーは鍵盤奏者として、バロックものはもちろん、ショパンやベルクまで何でも聴かせる万能の音楽家。今や指揮者としても刺激的な活動をしている。あらゆる経験値を総動員して臨んだ渾身の録音。
 エガー自身の筆によるライナーノーツは、クープラン一家の背景から作品概観、楽器や調律のことなど、大変興味深い内容。ルイへの強い愛情を感じる。楽器について、17世紀のリュッケルスモデルのコピーを用いているが、このオリジナルにルイ・クープランはおそらく触れたことがあるのではないか、と言っている。重要なポイントは、これらの楽器のピック部分(弦をはじく部分)が本物の鳥の羽軸を使っているということ。今日の録音の大半で用いられているプラスチック軸の楽器よりもセンシティブで、音を保つ(伸ばす)のも実はプラスチック軸の楽器ほど大変ではない、とエガーは言っている。この楽器の能力を存分に引き出すエガーもすごいだが、全ての音をくまなく収めた録音クオリティもまたすごい。また、ここでは「組曲」として演奏されているが、120あまりある楽章の組み合わせ方は実は演奏者に委ねられている部分も多い。エガー版ともいえるこの演奏、存分にお楽しみ頂きたい。
ポール・オデット〜マイ・フェイヴァリット・ダウランド
 レディ・ハドソンのパフP.54 /靴屋の女房 P.58 /ミア・バルバラP.95 /サー・ジョン・スミスのアルマンドP.47 /
 ファンシーP.6 /サー・ジョン・ラングトンのパヴァーヌP.14 /デンマーク王のガイヤルドP.40 /
 カエルのガイヤルドP.23a /ラクリメP.15 /ラクリメのためのガイヤルドP.46 /ファンタジーP.1a /
 別れ P.3 / Forlorne Hope Fancye P.2 /エセックスの伯爵、ロバート閣下のガイヤルドP.42a /
 コイ・ジョイP.80 /ミセス・ヴォーのジグP.57 /ミセス・ウィンターのジャンプP.55 /
 クリフトン卿夫人閣下のスピリットP.45 /ウォルシンガムP.67 /ファンシーP.5 /パヴァーヌP.18 /
 The most sacred Queene Elizabeth, her Gaillard P.41 / Semper Dowland semper dolens P.9

  ポール・オデット(リュート)
 録音:2012年1月。使用楽器:8コース、マルコム・プリオール、2008年製作〔 Sixtus Rauwolf モデル、1590頃〕。リュート界の巨匠、ポール・オデット。オデットは、ダウランドについて、40年以上前、初めてリュートを手にして、初めて作品を奏でた時からたちまち魅了された作曲家だ、と語る。ちなみに、オデットは学生の頃ロックバンドでギターを弾いており、友人の勧めでクラシック・ギターも始め、そのレッスンでルネサンス音楽(ギターに編曲されたもの)と出会い、リュートを手にとるようになったという。オデットは、ダウランドについて、「楽器に非常に適したスタイルで書かれており、しかも、奏者は、ただ作品を弾いているのではなく、偉大な芸術の中に取り込まれているような感覚になり、また、何百回と作品に触れてもなお汲めども尽きぬ深さと魅力に満ちている」、と語っている。リュートを手にした時からオデットがずっと敬愛しつづけている作曲家、ダウランドの魅力を、心行くまでゆったりと味わうことのできる1枚。ダウランドの自筆譜はほとんど残っておらず、写譜に頼らざるを得ないが、それもどれが信頼できるものなのか、また、ダウランドはよく自作に手を入れており、どの段階が決定稿なのかわからない、などという問題があるが、オデットは、ほぼすべてダウランドの息子ロバートが1610年に出版した「Varietie of Lute Lessons」の楽譜に依拠している。
モーツァルト(1756-1791):
 クラリネット協奏曲 イ長調 KV.622
シュポア(1784-1859):
 クラリネット協奏曲第2番 変ホ長調 Op.57
ジョン・マナシー(Cl)
ジェラード・シュワルツ指揮
シアトルso.
 録音:2009年2月。
 「間違いなくナンバーワン」と世界が賞賛する名手ジョン・マナシーの新譜。彼の奏でる音は、柔らかさ、甘さ、そして豊かな色彩に満ちている。モーツァルトのロンド楽章でみせる軽やかさも絶品の一語。カップリングのシュポアも、トルコ行進曲風の終楽章の超絶技巧と安定した高音に思わず拍手したくなる出来栄え。
HMU-807517
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
待降節とクリスマスのためのチューダー朝の音楽
 トマス・タリス:ミサ「御子はわれらに生まれたもう」
 ジョン・タヴァナー(c.1490-1545):Audivi vocem de caelo
 ウィリアム・バード(c.1540-1623):グラドゥアーレ集 I (1605) より
  [天よ、上より雫をしたたらせ/支配者らよ、門を上げよ/アヴェ・マリア/見よ、乙女がみごもりて]
 ロバート・ホワイト(c.1538-1574):マニフィカト
 聖歌:御子はわれらに生まれたもう / ジョン・シェパード(c.1515-1558):言葉は肉体に
  スティレ・アンティコ
 録音:2010年1月。
 英国の若き声楽家たちによって結成された声楽アンサンブル集団、スティレ・アンティコ最新盤。ヨーロッパの古楽コンクールでの優勝を期に、世界で大活躍している。今回彼らがとりあげたのは、クリスマス、待降節など、季節の行事ごとに作られたチューダー朝のミサ曲。冒頭に収録されているクリスマスのためのミサ、トマス・タリスの7声部からなるミサが圧倒的。中世の教会の礼拝に迷い込んだような、神聖さと厳粛な美しさ、そして暖かみのある録音で、声によるえもいわれぬ極上の世界が広がる。
HMU-807518
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
レクイエム
 ハーバート・ハウエルズ(1892-1983):レクイエム
 エリック・ウィテカー
  (エリック・ホワイテイクル; 1970-):
  「3つの信仰の歌」より
   [希望、信頼、命、愛/
    神よ、この素晴らしき日に感謝する]
 ドナルド・グランサム(1947-):
  我らは彼らを思い出す
 イルデブランド・ピッツェッティ(1880-1968):
  レクイエム
 スティーヴン・ポールズ(1949-): The Road Home
 イライザ・ギルキソン(1950-):レクイエム
コンスピラーレ
クレイグ・ヘッラ・ジョンソン
 &カンパニー・オブ・ヴォイシズ
 録音:2005年10月。
 私たち人間と切っても切れない「死」をめぐるこれらの合唱作品を、名団体コンスピラーレの美しい歌声で聴く1枚。名作の誉れ高いピツェッティの「レクイエム」の演奏が特に見事。16世紀の対位法と、後期ロマン派の官能的な和声が融合するスタイルで書かれており、古代の人々、現代を生きる人々の思いがシンクロするような不思議な世界が広がる。「怒りの日」では、聖歌の有名な旋律が歌われるまわりを、美しく現代的な和声が彩る。
 #国内代理店はイギリス人作曲家の Herbert Howells を「ヘルベルト・ハウウェルズ」とドイツ語風で記載しているが、名字にある2つ目の「ウ」がどこから来ているのかは不明。また「ドナルド・グラントハム」「ステファン・パウルス」「私たちは彼らをおぼえる」という表記もあるが、誤り。
パドモア&ルイス〜シューベルト
 歌曲集「美しき水車小屋の娘」Op.25 D 795
マーク・パドモア(T)
ポール・ルイス(P)
 録音:2009年9月。使用楽器:スタインウェイ。「冬の旅」(HMC-902066)に続く、パドモア&ルイスによるシューベルト第2弾。
 冒頭のピアノの重心を深くとったリズムから独特で、前奏を聴くだけで、この演奏への期待が否が応にも高まるという物。歌唱のパドモアも滑舌鮮やかにミュラーの詩の世界を語る。詩からも歌からも超越したところでパドモアが歌い、映写機のような役割を果たしていて、詩の世界だけが淡々と映し出されるようで不思議な感覚をおぼえる。そしてルイスのピアノがまた見事!やはりシューベルトの歌曲は、歌手が巧いことはもちろんだが、ピアニストによってその出来栄えは格段に違ってくるのだなということを実感。ポール・ルイスのピアノもパドモアに負けず劣らず雄弁、それでいて決して歌を邪魔することはない。二人の崇高な精神の芸術家が、お互いを引き上げあって、高水準の「美しき水車小屋の娘」が生まれた。
シューベルト:歌曲集「白鳥の歌」 D.957/流れの上で D.943(*)/星 D.939
 マーク・パドモア(T) ポール・ルイス(P) リチャード・ワトキンズ(Hr;*)
 録音:2010年10月。使用楽器:カール・ゴットフリート・フォン・ライトナー(*)。ちょっと甘い歌声、言葉の美しい粒立ち、安定した歌唱で、宗教曲にリートに大活躍のパドモア最新盤は、日本でも注目度急上昇中のポール・ルイスとの共演によるシューベルト。徹底して「語り部」として詩人のメッセージを音楽にのせて聴き手に語りかけるパドモアの技にはますます磨きがかかっている。「私」をとことん滅し、時に極めて冷淡で、時にはっとするほど優しく、歌っているが「語って」いるというほうがしっくりくるような演奏ぶりは見事。詩人が語り描く世界に自分が迷い込んだような気分になる。有名な「セレナード」での、えもいわれぬ気品ある優しさは必聴。ポール・ルイスのピアノがまた文句なく素晴しく、パドモアの無駄なものが一つもない歌にぴたりと寄り添い、詩人の描く世界を見事に描写している。「流れの上で」はホルンとのトリオ。ベートーヴェンの死の翌年に書かれたもので、ベートーヴェンの「英雄」の葬送行進曲の優しいエコーとなっている。ゲスト奏者としてホルンを吹いているのは、1985年から1996年までフィルハーモニア管で首席奏者を務めた名手リチャード・ワトキンズ。滋味あふれる音色による名演は、ホルン・ファンならずとも是非聴きたいところ。
シューマン
 リーダークライスOp.24(全9曲)/
 詩人の恋 Op.48(全16曲)
フランツ・パウル・ラッハナー(1803-1890):
 ハイネの詩による歌曲集「 Sangerfahrt 」Op.33
マーク・パドモア(T)
クリスティアン・
 ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2010年6月。使用楽器:エラール、パリ、1837年(Edwin Benuk, Enschede, オランダのコレクション)。
 イギリス生まれのテノール、マーク・パドモアと天才フォルテピアノ奏者のベザイデンホウトのコンビによるシューマン。パドモアの声の美しすぎる子音の立ち方がとにかく印象に残る。音楽に、これほど鮮やかに詩をのせて歌ってくれると、ハイネの詩自体が音楽的に書かれていることを実感する。
 そして、フォルテピアノの伴奏が大変に素晴らしい!フォルテピアノ独特の音色の立ち上がりが、パドモアの歌い方とマッチしている。もちろん音楽作り、音楽運びはさすがのベザイデンホウト、天衣無縫に、絶美の歌を聴かせる。19世紀の音楽界の重鎮にしてシューベルトの親友でもあった、フランツ・ラッハナーがハイネの詩に作曲した、ドラマティックな雰囲気が印象的な歌曲も5つおさめられた、充実の内容。旬のテノール、旬のフォルテピアノ奏者による至福の1枚。
HMU-807522
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
バーバー
 十二夜 Op.42 No.1 /水の歌で歌う Op.42 No.2 /2つの合唱曲 Op.8 /生まれ変わり(全3曲)Op.16 /
 ストップウォッチと軍用地図 Op.15 /この輝く夜にきっと Op.13 No.3 /アニュス・デイOp.11 /
 恋人たち Op.43 (*) (R.キアー編曲/室内合唱団&オーケストラ版)/
 昇天日のための合唱「イースター・コラール」(*) (R.キアー編曲/室内合唱団&オーケストラ版)

  クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ〔カンパニー・オブ・ヴォイシズ〕、室内o.
 録音:2011年9月。(*)は世界初録音。アメリカが誇る合唱団体、コンスピラーレ(またの名をクレイグ・ヘラ・ジョンソン&カンパニー・オブ・ヴォイシズ)による、20世紀の合唱を語るに外せないサミュエル・バーバーの代表的合唱作品集。本場アメリカを代表する名門の演奏で、さらにはHYBRID_SACD盤の高音質でたっぷりと堪能できる。非常にゆったりとしたテンポの「アニュス・デイ」では、抑えの効いた美しい弱音から、クライマックスへの盛り上がりの大音量まで、名門の面目躍如。さらに本アルバムには世界初録音となる編曲作品が2曲収録されている。いずれもジョンソンの依頼を受けたロバート・キアーがオーケストラ用に編曲したもの。「恋人たち」では、80人の音楽家達による原曲の巨大なオーケストレーションを15人編成まで凝縮し、弦管打楽器全てのパートがソロという密なアンサンブルが実現されている。カンパニー・オブ・ヴォイシズの洗練された歌声と、ソリスト妙技の光る器楽伴奏隊との絶妙なハーモニーは必聴の美しさ。
Mr. Corelli in London〜ロンドンのコレッリ
 コレッリのヴァイオリン・ソナタ集 Op.5の、
  ジェミニアーニ(1687-1762)によるオーケストラ版とその他の優れた巨匠たちによる装飾版

 フルートのための協奏曲第10番 へ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-10)/
 フルートのための協奏曲第8番 ホ短調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-8)/
 コレッリの第5番ソロのフェイヴァリット・ジーグ/
 コレッリの「ラ・フォリア」に基づくコンチェルト・グロッソ/
 フルートのための協奏曲第4番 ヘ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-4)/
 フルート協奏曲第7番 ニ短調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-7)/
 ソナタ第7番のサラバンダのテーマに基づくグラウンド
  モーリス・シュテーガー(リコーダー)
  ローレンス・カミングス指揮イングリッシュ・コンサート
 録音:2009年7月。
 これがリコーダーで演奏されているとは!2009年秋の武蔵野・兵庫の来日公演で観客を熱狂の渦に巻き込んだ、リコーダーの神の申し子シュテーガーの新譜の登場。ヴァイオリンの偉大なる古典、コレッリのヴァイオリン・ソナタOp.5をジェミニアーニが管弦楽版に編曲したものを伴奏に、同時代人たちが華麗に装飾を施した超絶技巧の主旋律パートを、小さなリコーダー1本で演奏している。
 1720〜30年代のロンドンは、ヘンデルの存在のおかげで優秀な演奏者たちが集まっており、優れたプレイヤーたちは、劇場を飛び出して、居酒屋や様々な会合でもその腕前を披露、コンサート活動も非常に活発で、まさに音楽の聖地のひとつとなっていた。そんな中、特に人気があった作曲家がコレッリだった。当時の作曲家たちは、コレッリの作品を編曲・発表し、それを優れた奏者たちに演奏してもらうことにより自分の名を売っていた。コレッリ(1653-1713)自身はロンドンの土を踏んだことはないが、当時の大スターだった。このCDでシュテーガーは、様々な作曲家によってさらに華麗な姿へと変貌を遂げたコレッリのヴァイオリン・ソナタOp.5のうち、ロンドンで出版された楽譜を中心に採用し、イタリア趣味と、ロンドンの当時の最先端の技術が詰まったきわめつけの名演を展開している。シュテーガー自身、ブックレットのライナーノーツを『これらの版を演奏することは大いなる挑戦であったけれど、コレッリのイタリア的要素と、当時のイギリス趣味を再度深く学べる機会でもあった。Thank you, Mr/Corelli!』と締めくくっている。
HMX-2907523
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価格帯:F
限定盤
Mr. Corelli in London〜ロンドンのコレッリ
 コレッリのヴァイオリン・ソナタ集 Op.5の、
  ジェミニアーニ(1687-1762)によるオーケストラ版とその他の優れた巨匠たちによる装飾版

 フルートのための協奏曲第10番 へ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-10)/
 フルートのための協奏曲第8番 ホ短調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-8)/
 コレッリの第5番ソロのフェイヴァリット・ジーグ/
 コレッリの「ラ・フォリア」に基づくコンチェルト・グロッソ/
 フルートのための協奏曲第4番 ヘ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-4)/
 フルート協奏曲第7番 ニ短調(原曲:ヴァイオリン・ソナタOp.5-7)/
 ソナタ第7番のサラバンダのテーマに基づくグラウンド
  モーリス・シュテーガー(リコーダー)
  ローレンス・カミングス指揮イングリッシュ・コンサート
 録音:2009年7月。2015年カタログ付。通常盤:HMU-907523
HMU-807524
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
マリーとマリオン〜13世紀フランスのモテットとシャンソン
 Marie 母なる神/おお、母なる神よ/私たちの暗闇を照らす光/聖母の被昇天/喜びに満ちた不死鳥/光の光よ!
 The Song 喜びの歌を歌いたい/愛の歌を歌ってほしいかい?/苦しみのない愛を/神よ、私は何をすべきだろうか?
 Marion 悲しみに頭をたれ/朝に私はでかけた/すみれ、ばら、グラジオラスが咲くと/
     プライドもうらやみもなく/海岸の3人の姉妹が/愛が私に言う/5月に
 The Sorrow 小さな女の子/万能の神/私が彼女を愛するように
 Marie-Marion わたしはひどい心を持っている/4月のある朝/今私がなすべきは/花より美しい

  アノニマス4[ルツ・カニンガム、マーシャ・ジェネンスキ、
           スーザン・ヘラウアー、ジャクリーヌ・ホーナー=クウィアテク]
 録音:2013年5月、8月。モンペリエ写本のモテットやシャンソンから、当時の重要な2つのテーマ、地上の愛(マリオン)と、聖処女や天への愛(マリー)を軸に編まれたアルバム。アノニマス4のストレートで神秘的な魔力に満ちた歌声のアンサンブルは健在。古の世界の人々が歌い思い、祈ったことばが鮮やかによみがえる。アノニマス4は4人の女性からなる声楽アンサンブル。1986年に結成され、この世ならざる不思議な美しさに満ちた歌声で世界を魅了。世界中をツアーでまわり、これまでに19のディスクがリリースされている。そのレパートリーは非常に広く、西暦1000年頃の作品から、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンに代表されるような中世の神秘的な詩の作品、13世紀イングランドのポリフォニー、アメリカの古のフォークソング、そしてデイヴィッド・ラングらの現代作曲家による作品から委嘱作品まで、多岐に渡る。しばらく育児などあり、2006年発売の「グローリーランド」(HMU-907400)以降新録音は無かったが、このたび久々の新録音登場。
HMU-807525
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
Sing FREEDOM!〜アフリカ=アメリカ霊歌集
 Motherless ChildCHJ/天国と呼ばれた町LDP/すぐに、ああ、なされるだろう/私は安らかに死にたいCHJ/
 すぐに、ああ、なされるだろうWLD/厳しい試練CHJ/ホールド・オンMH/Been in de Storm/ Wayfaring StrangerCHJ/
 Oh Graveyard (Lay This Body Down)(D.ラング編)/いい知らせじゃないか!WLD/
 スティール・アウェイ(ティペット編)/共に歩こう、子らよMH/ダット・ロックに家を買ったMH/
 谷間の百合(ウェンデル・ハルム編)/プレンティ・グッド・ルーム(On the Glory Train)(カービー・ショウ作)/
 私の神はかたき岩(アリス・パーカー&ロバート・ショウ編)/フリーダム・ソング(ロバート・キール作)/
 スウィング・ロウ、スウィート・チャリオット(タリック・オリーガン編)
 〔編曲:C.H.ジョンソンCHJ/レオナール・ド・ポールLDP/ウィリアム.L.ドーソンWLD/モーゼス・ホーガンMH

  クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ&カンパニー・オブ・ヴォイセズ(cho.)
 録音:2010年10月。19世紀の終わり、アメリカに滞在したドヴォルジャークは、「黒人のメロディーと呼ばれるものの上にこの国(アメリカ)の音楽が成り立っている。アメリカの黒人のメロディーに、私は、必要なものすべてを見つけることができる」と語った。ブルース、ソウル、ラップ、ゴスペル、ブロードウェイミュージカル、ジャズ、ロック、R&B…さらに現代アメリカのオペラや交響曲のいくつかは、ここに収められている音楽の流れをくんでいる。アメリカ音楽の根っこの部分を今一度味わって頂くための1枚。『「霊歌(スピリチュアル)は1700年頃からアメリカに移住を余儀なくされたアフリカ人奴隷(1862年の奴隷解放宣言まで制度は続いた)によって作られ、歌われていた民謡である。国立図書館には7000を超える霊歌の録音(断片含む)が残されている。1867年に出版された「アメリカ合衆国の奴隷の歌」はこうした歌の貴重な記録であり、これにより南部のみならずアメリカ全土でこれらの歌が知られることとなった。1868年に設立されたFisk Schoolは、新たに解放された奴隷たちの教育の場であった。学校設立資金を集めるために、Fisk Jubilee Singersはこれらの歌をコンサートで披露していった。最初はシンプルな和声の伴奏で歌っていたが、次第に手の込んだアレンジで歌うようになる。これが霊歌のコンサート用アレンジの始まりである。今回の録音にあたり、あまり知られていない作品には、現代作曲家にアレンジを依頼した。さらに、デイヴィッド・ラング、タリック・オレガン、ロバート・キールらによる、アフリカの伝統音楽に基づいたオリジナル作品も収録している。さらに私(クレイグ・ヘッラ・ジョンソン)の作品も収録した。今日の合唱のコンサートでは、こうした霊歌はコンサートの最後におかれ、非常に盛り上がって終わる、というのが一般的な流儀だが、私はここで、それぞれの作品を掘り下げて、音楽自体が体現しているものが何なのかを皆様に提示したかった。今日にも当てはまる力強いメッセージをもち、人類の普遍的なハートを感じさせてくれるこれらの作品の魅力を味わって頂ければ幸いである。」(指揮者クレイグ・ヘッラ・ジョンソンの言葉/抄訳)
HMU-807526
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ロシア正教のクリスマス礼拝〔教会スラヴ語歌唱〕
 ・早歌〔朝歌〕 カスタリスキー:大頌歌第2番 Op.57
 ・礼拝の言葉 イッポリトフ=イヴァノフ:主に祝福あれ Op.37 No.2
        グレチャニノフ:栄光は…生れし子に Op.29 No.2 / マルティノフ:山上の垂訓
        チェスノコフ:来て崇めよ Op.8 No.2 / スヴィリドフ:クリスマスの讃詞
        カスタリスキー:今日、聖母が Op.7b /洗礼を受けし者すべてが Op.18c
 ・信心の礼拝 チェスノコフ:ヘルヴィム讃歌 Op.7 No.1 / グレチャニノフ:信経 Op.29 No.8
        カスタリスキー:平和の恵み Op.6 / ズナメニー聖歌:神の母の出産への讃歌
        グレチャニノフ:われらが父 Op.29 No.11 / チェスノコフ:天から主を讃えよ Op.42 No.9
 ・宗教コンチェルト スヴィリドフ:奇跡の誕生 / イリャシェンコ:沈黙の愛を選ぼう
        グレチャニノフ:今や天の力が Op.58 No.6 / チェスノコフ:われら年寄りを蔑むな Op.40 No.5
 ・礼拝の終了 ラフマニノフ:われらの口を満たせ Op.31 No.18 /主の名に祝福あれ Op.31 No.19
        グレチャニノフ:おお主よ、ずっとお守り下さい Op.79 / ケドロフ(父):われらが父

 クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ
 録音:2013年2月、セント・マーティン・ルター派教会、オースチン、テキサス。ロシアのクリスマスはユリウス暦で行なうため、1月7日、となっている。ロシア正教のクリスマスのミサは、信者か親族にロシア人がいない限り経験は難しいだが、その音楽を1枚にした好アルバムが登場。ロシアがキリスト教化したのは988年にキーウ〔キエフ〕大公ウラジーミル一世が、東ローマ帝国皇帝の妹を妃にし、同国の国教である正教の洗礼を受けたことに始まり、2013年はその1025周年にあたる。それを記念してアメリカの有名な合唱指揮者クレイグ・ヘラ・ジョンソンが、地元テキサス州オースチンの合唱団コンスピラーレと美しいアルバムを世に出した。英語圏の人々が教会スラヴ語で歌うのも珍しく、不思議な魅力あふれる世界が現れた。ロシア聖歌とは言え、作者はラフマニノフやイッポリトフ=イワノフ、スヴィリドフといったクラシック界で有名な人が多く、彼らの個性あふれる曲を楽しめる。合唱団コンスピラーレは1991年に結成されたグラミー賞受賞団体。ハルモニア・ムンディからはバーバーや「レクイエム」などの合唱曲集をリリース、注目されている。
HMU-807527
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
Stories: Berio and friends
 ルチアーノ・ベリオ(1925-2003)/(テキスト:エドアルド・サングイネティ): A-Ronne
 ジョン・ケージ(1912-1992)/(テキスト:ゲルトリュード・シュタイン):ストーリー(1940)
 ジャクソン・マクロウ(1922-2004)/(テキスト:ジャクソン・マクロウ):
  非対称の子亀 [Young Turtle Asymmetries] (1967)
 ロジャー・マーシュ(1949-)/(テキスト:ジェイムズ・ジョイス):
  魂ではなく我々自身の問題だ [Not A Soul But Ourselves] (1977)
 シェルドン・フランク(1943-2010)/(テキスト:シェルドン・フランク):言ったでしょ [As I Was Saying] (1980)
 キャシー・バーバリアン(1925-1983)/(テキスト:キャシー・バーバリアン):Stripsody (1966)

  ポール・ヒリヤー指揮シアター・オブ・ヴォイセズ
 録音:2009年11月、Garnisons Kirken、コペンハーゲン。ホーミー調の不思議倍音世界(シュトックハウゼンの「シュティムング」(HMU-807408))で世に衝撃を与えた、ポール・ヒリヤー率いるマルチ合唱集団シアター・オブ・ヴォイセズ。今回は、ダダやシュールレアリズム風の作品集。ベリオ、そしてその妻(離婚はしたが)であり、現代音楽を演奏する素晴らしい声楽家でもあったキャシー・バーバリアンの作品をアルバムの両端に据え、言葉(意味の有無にかかわらず)や口から出るノイズのみべてが進行する。声楽家としても優れたシアター・オブ・ヴォイセズの面々が、冷静に考えると吹き出してしまいそうなこれらの作品を大真面目に語り、刻み、時に歌う。シュールレアリズムやダダイズム好きにはたまらない1枚。オーディオ的にも、通常盤としても大変優れた録音なので大いに楽しめるが、各演者の声が色々な方角から聴こえてくるので、マルチチャンネルで聴くと楽しさ倍増。
 1トラック目は、ベリオ自身「耳のための劇場」とも呼んだ作品。構造は至って明快、始まり→真ん中→終わり。ヨハネによる福音書の冒頭「はじめに言葉があった」をラテン語・ギリシャ語・ドイツ語で発音したものが断片的に繰り返されながら始まったかと思えば、きれいなハーモニー、そして野良犬が残飯を食べあさっているような音など、刻一刻と変化する音風景に耳が離せない。8声のコンサート版も残されているが、ここではオリジナルの5声版が採用されている。
 2トラック目のケージの「ストーリー」は、リビング・ルーム・ミュージックの第2 楽章。打楽器四重奏でも演奏できる作品。「むかしむかし、世界はまるくてな、歩いても歩いても地面が途切れることはなかったんじゃ」というセリフが狂ったように何度も何度も何度も何度も繰り返される。
 3トラック目の作者ジャクソン・マクロウは、ケージの「偶然性の音楽」に強い影響を受けた人物。5人の歌手たちは一人一人が歌詞を読み、一人一人で録音。それぞれの録音を同時再生したものがここで聴かれる音。
 4トラック目のNOT A SOUL BUT OURSELVESはジョイスのテキストに基づ来る。ジョイスの小説「フェネガンズ・ウェイク」の最終章に登場する人物、プルーラベルの音による肖像画的作品。「ねえねえ、プルーラベルのこと知りたい?言っちゃおうかな、でもあなた聞いたら命はないわよ」といった台詞が延々と早口で繰り返されるなか、美しいハーモニーが背後にこだましている。マーシュは、ジョイスの文学作品を朗読などでオーディオ作品にしていることでも知られる。ジョイスのユリシーズは22枚組のCDとして2004年に発売されている。
 5トラック目は、ねえねえ聞いて聞いて、だから言ったでしょ、えっと、だから〜、つまりは、といった日常会話で「つなぎ」のように使われる言葉が文字通り「延々」と繰り返される作品。この作品には音高はあるものの、旋律はない。意味をなさない様々な言葉の連続は呪文のようにも、ありがたい講話のようにも聞こえてくるから不思議。またとないトランス状態になれるトラック。
 6トラックは、現代音楽の歌姫、キャシー・バーバリアンの作品。漫画のような図柄が散在する楽譜を読み解くと、椿姫のアリアが断片的に聴こえてきたかたと思うと、ブラームスの子守歌が聴こえ、直後に声による花火の描写で目が覚める。
ベザイデンホウト〜モーツァルト:鍵盤楽器のための作品集 Vol.4
 幻想曲 ニ短調 K.397(初版)/ソナタ第9番 ニ長調 K.311 /前奏曲とフーガK.394 /
 ボーマルシェの喜劇「セビリャの理髪師」のロマンス「私はランドール」による12の変奏曲 変ホ長調 K.354 /
 ソナタ第5番 ト長調 K.283 /幻想曲 ニ短調 K.397(現行版)

  クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2011年10月、エア・スタジオ、リンドハースト・ホール、ロンドン。今世界で最も注目されるフォルテピアノ奏者の一人、クリスティアン・ベザイデンホウトによるシリーズ、第3集(HMU-907499)に引き続く今回は2012年5月末の来日リサイタルでも演奏され、高い評価を得たプログラム。本アルバムでも、抜群の演奏技術、濁りのない清廉な音色、厭味のない自然なテンポ感といった彼ならではの持ち味を遺憾なく発揮し、瑞々しさあふれる鮮烈な演奏を聴かせている。本アルバムでは、幻想曲 ニ短調の現行版と、その初版(今日知られるかたち(現行版)の最後10小節分が欠落している)の両方が収録されているのもポイント。この幻想曲 ニ短調は、自筆譜などが残されておらず、1804年に出版された初版では、97小節までで中断、現行版の最後の10小節がない。初版の表題には「Fantaisie d ' Introduction…(導入の幻想曲)」とあり、後ろにソナタなどが続くことを想定して作られたものだったのかもしれないが、1806年にブライトコプフ社が出版したいわゆる「旧全集」では、10小節が足され(ブライトコプフ社の顧問で主任検査員のアウグスト・エーベルハルト・ミュラーの手によるとする見方が一般的)、完結した曲となっている。幻想曲 ニ短調の冒頭、深淵からゆっくりと浮かび上がるように響くフォルテピアノの音色は必聴の美しさ。即興演奏かと思わせるような、自由なタッチから生み出されるチャーミングな音世界に一気に惹きこまれる。ベザイデンホウトが初版の幻想曲のあとに選んだ作品は、ソナタ第9番。鮮やかなコントラスト、プログラミングの妙にもベザイデンホウトの才を感じる。
モーツァルト鍵盤楽器のための作品集 Vol.5-6
 ソナタ〔第11番 イ長調「トルコ行進曲つき」K.331 /ハ長調 K.309 /
     第4番 変ホ長調 K.282 (#) /第3番 変ロ長調 K.281 (#) 〕/
 パイジェッロの歌劇「哲学者気取り」6つの変奏曲 へ長調 K.398 /ロマンス 変イ長調 K.Anh.205 /
 アレグレットによる12の変奏曲 変ロ長調 K.500 /アダージョ ヘ長調 K.Anh.206a (#) /
 フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 ハ長調(キラキラ星変奏曲)K.265 (#) /
 フランスの歌「美しいフランソワーズ」による12の変奏曲 変ホ長調 K.353 (#)

  クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2012年11月1日-4日(無印)、2013年1月21日-24日(#)、エア・スタジオ、ロンドン。使用楽器:ポール・マクナルティ、2009年製作〔アントン・ヴァルター&ゾーン、ヴィーン、1805年製のコピー/アレクサンダー・スキーピング・コレクション〕。フォルテピアノの申し子、ベザイデンホウト。リリース毎に天才のひらめきに満ちたモーツァルトを聴かせる鍵盤楽器のための作品集シリーズが2枚分まとめて登場。「キラキラ星変奏曲」に「トルコ行進曲つき」ソナタなども含まれた、魅力的なプログラム。モーツァルトの再来、とまでいわれることもあるベザイデンホウト。「キラキラ星変奏曲」で、その天衣無縫な歌い回しがどのように開花するかは注目に値するところ。トルコ行進曲つきのソナタ、トルコ行進曲も注目だが、第1楽章(主題と変奏)でも、極上の歌を聴かせてくれることだろう。変奏曲「美しいフランソワーズ」は優美なテーマに様々な装飾を施していくような変奏曲。センス抜群の絶妙な装飾でも魅せるベザイデンホウトが、どのようにこの作品を響かせるか注目。
モーツァルト鍵盤楽器のための作品集 Vol.7
 ピアノ・ソナタ〔イ短調 K.310 (#) /ニ長調 K.284 〕/
 ドゥゼート「ジュリ」の「リゾンは眠った」による9つの変奏曲 ハ長調 K.264 /
 サリエリの歌劇「ヴェネツィアの定期市」のアリア「わがいとしのアドーネ」による6つの変奏曲 ト長調 K.180

  クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2012年11月(#)、2013年5月(無印)。使用楽器:ポール・マクナルティ〔ディヴィゾフ(チェコ)〕製作、2009年(モデル:アントン・ヴァルター&ゾーン、ヴィーン、1805年製/アレクサンダー・スキーピング・コレクション)。ベザイデンホウトのモーツァルト・シリーズ。有名な イ短調では、厳しい表情ながらも、フレーズの終わりや、ふとしたハーモニーの変化などで垣間見られる表情の柔らかさに、ベザイデンホウトのセンスを感じる。 ニ長調のソナタではフォルテピアノながらオーケストラのような効果を感じさせる豊かな音色の第1楽章から、ワクワクさせられる。サリエーリのオペラの主題による変奏曲の原作オペラは、1772年にヴィーンとマンハイムで上演されたが、時期的に見てモーツァルトが実際の舞台を見た可能性は全くないとされている。また、変奏主題は、声楽パートではなくヴァイオリン・パートからとられているとのこと。シンコペーションでずれる両手のリズムや付点つきトリル、また、アルペジオの指示はあっても、その和音の崩し方までは指示されておらず、最終的なやり方は奏者に任される部分も多い書かれ方の作品。ドゥゼートのオペラは、1772年にパリで上演され、モーツァルトもこの舞台を実際に見たとされている。グリッサンドや3度重音の急速な下降など名人的技巧が駆使されており、非常に華やかな作品。どちらもベザイデンホウトのセンスが冴えわたる。
ベザイデンホウト〜モーツァルト鍵盤曲集 Vol.8 & 9
 CD1 (Vol.8)
  ソナタ ハ長調 K.545 (*) /
  グレトリの歌劇「サムニウム人の結婚」の合唱曲「愛の神(行進曲)」による8つの変奏曲 ヘ長調 K.352 /
  組曲 ハ長調 K.399 /メヌエット ニ長調 K.355 /ジーグ ト長調 K.574 /小さい葬送行進曲 K.453a /
  ソナタ ヘ長調 K.280 /デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲 ニ長調 K.573

 CD2 (Vol.9)
  転調するプレリュード (K.624/626a) /ソナタ ハ長調 K.279 /アレグロ 変ロ長調 K.400 /
  アレグロ ト短調 K.312 /4つのプレリュードK.284a /12の変奏曲 K.179 (#) /ソナタ ニ長調 K.576

 クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp|使用楽器:ポール・マクナルティ、2009年製製作
  〔モデル:アントン・ヴァルター&サン(ウィーン)、1805年製作〕)
 録音:2013年1月(*)、5月(#)、2014年12月、エア・スタジオ、リンドハースト・ホール、ロンドン。活躍著しいフォルテピアノ奏者、クリスティアン・ベザイデンホウトのモーツァルト鍵盤楽器のための作品シリーズ第8&9弾を2枚組で発売。「初心者用」のタイトルがつけられ、ピアノ学習者に定番の「ソナタ ハ長調 K.545第15 (16)番」。モーツァルトがイタリアへの旅の直後にほぼ同時期に書かれた明るい曲調の「ソナタ ヘ長調 K.280 No.2」と「ソナタ ハ長調 K.279 No.1」。第1楽章の冒頭主題が印象的なモーツァルト最後のピアノ・ソナタ「ソナタ ニ長調 K.576 No.18」。ベザイデンホウトの演奏は、モーツァルトの閃きをダイレクトに伝え、今ここで音楽が湧き上がるようだ。また共に収録されている、種々の変奏曲や小品も、変化に富む歌いまわしで聴かせる、愛らしいアルバムとなっている。
コンスピラーレ・イン・コンサート
 モーテン・ローリドセン:Sure on This Shining Night / カーリー・サイモン:Let the River Run
 伝統曲: The Water is Wide / 黒人霊歌: Didn't My Lord Deliver Daniel?
 クレイグ・ヘラ・ジョンソン: Will There Really be a “Morning " ?
 ドリー・パートン: Light of a Clear Blue Morning / クレイグ・ヘラ・ジョンソン:Collage
 バーバー:アニュス・デイ / 黒人霊歌:深き河 / モリコーネ:Gabriel's Oboe
 モーテン・ローリドセン:Soneto de la Noche / エドワード・ハーマン:私が恋におちるとき
 エリック・ウィタカー: What If / イライザ・ギルキソン:レクイエム
 アニー・レノックス:1000の美しいこと / タリク・オリーガン:三連画〜 Each shall rise
 ラリー・ノーマン&ランディ・ストーンヒル:アイ・ラヴ・ユー / シドニー・カーター: The First of My Lovers

  クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ(cho.) トーマス・ブリット(Perc)
HMD-9907535
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(DVD)
価格帯:H
 録音・収録:2008年10月12日、ライヴ。DVD仕様: NTSC|16:9|DTS|56'+38' + ボーナス映像(曲目は『同一』と記載されている)。欧文のインフォメーションによると25曲?が含まれている模様だが、国内代理店のインフォメーションには18曲しか記載されていない。なお、代理店表記の作曲家名には相当な問題があり、『モルテン・ラウリドセン』『エドワルド・ハイマン』『エリック・ホイッタクル』『エリザ・ギルクソン』『タリク・オレガン』などと書かれているが、誤り。
 コンスピラーレは、グラミー賞にノミネートされたこともある人気合唱グループ。合唱指揮界のカリスマ、クレイグ・ヘラ・ジョンソンをゲストに迎えての楽しいコンサートの模様。DVDにはボーナス映像として、カリスマ合唱指揮者、クレイグ・ヘラ・ジョンソンによるリハーサル風景もたっぷり収録。
HMX-2907536
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(5CD)
2.5CD価格
THE ART OF THE LUTE〜ポール・オデット・スペシャル・ボックス
 カプスベルガー:「気高きドイツ人」(ティオルバのドイツ人)
 チェアバリーのハーバート卿のリュート写本〜17世紀リュート曲集
 ダウランド:リュート作品全集 Vol.1
 モリナーロ:リュート作品集(全26曲)
 J.S.バッハ:リュート曲集第1集
  シュスター氏のためのリュート用作品 イ短調BWV.995(原曲:無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調)/
  パルティータ ヘ長調BWV1006a(原曲:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調)/
  ソナタ ト短調BWV1001(原曲:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調)
 ポール・オデット(リュート/キタローネ)
 旧品番:HMG-507020 (HMU-907020)、HMU-907068、HMU-907160、HMU-907295、HMU-907438のセット化。
 「リュートという楽器にかつて触れたことのあるどの演奏家の誰よりも抜きん出た天才」と称されてる神様的存在、ポール・オデットの様々な魅力を味わい尽くすのに絶好のボックスセットの登場。廃盤になってしまって久しいダウランドが、全集中最初の1枚のみながら含まれているのも貴重。
HMX-2907541
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(5CD)
2.5CD価格
THE ART OF THE VIOLIN〜アンドルー・マンゼ・スペシャル・ボックス
 コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ Op.5 全集(*)
 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「海の嵐」RV253(#)/シンフォニア RV149(#)/
         イル・ピアチェーレ[RV180/RV552/RV540/RV558](#)
 ルベル:ヴァイオリン・ソナタ集(+)
 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集(**)
  [第3番 ト長調K.216/第4番「軍隊」 ニ長調K.218/第5番「トルコ風」 イ長調K.218]
 アンドルー・マンゼ(Vn)指揮エンシェント室内o.(#)、イングリッシュ・コンサート(**)
 リチャード・エガー(Cemb;*/+) ヤープ・テル・リンデン(Gamb;+)
 旧品番:HMU-907298/9(*)、HMU-907230(#)、HMU-907221(+)、HMU-907385(**)のセット化。
 バロック・ヴァイオリンの鬼才として、いつもエッジの効いた演奏を聴かせいるマンゼの名演がつまったボックス・セットの登場。ルベルで魅せる鬼才ぶり、また、コレッリでの神がかりな世界は、今聴いても鮮烈そのもの。ソロを支えるエガーやアンサンブルも刺激的な演奏を展開している。
Four Centuries of Chant
 イングリッシュ・レディ・ミサ/リリー&ラム/
 東方の星/
 西暦1000年:この世の終わりのためのミサ曲/他
アノニマス4
 ハルモニア・ムンディUSAのトップアーティスト、女性4人による声楽アンサンブル、アノニマス4のベスト盤。聖歌や中世の歌を郷愁たっぷりに聴かせる彼女たちの世界をご堪能頂きたい。
 # HMX記号ですが、通常価格となります。
辻井伸行〜クライバーン・コンクール・ライヴ Vol.2
 ショパン(1810-1849):
  ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 (*)/
  子守歌 Op.57/
  12の練習曲集 Op.10
辻井伸行(P)
ジェイムズ・コンロン指揮(*)
フォートワースo.(*)
 録音:2009年5月22日-6月7日、フォートワース(テキサス)、ライヴ。2009年、第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人初の優勝をはたした辻井伸行。コンクールのライヴ録音第2弾の登場。
 協奏曲で聴かせる、オーケストラと見事に溶け合いながらもなお一層のきらめきを放つ透明な音色、「子守歌」のどこまでも自然で伸びやかな音楽性は感動的。第1弾には収録しきれなかった練習曲Op.10全曲では、超人的な軽やかさ、そしてスピード感に圧倒される。辻井の魅力をあらためて味わうことのできる充実の1枚。
マルコ・ダッラクイラ(1480頃-1544):リュート作品集
 リチェルカーレ/ファンタジア/サルタレッロ/
 ジョスカン・デ・プレの
  多声部声楽作品のリュート編曲/他
ポール・オデット(リュート)
 録音:2009年8月。
 リュートの神様が今回の新譜で焦点を当てたダッラクイラは、ヴェネツィアで活躍したリュート奏者、作曲家。中世の終り頃から、ルネサンスの円熟した様式への過渡期に、リュートに適した音型や響きを探求し広めたという重要な役割を果たし、その後続くリュートの隆盛200年ほどの礎を築いたと言われている。どちらかというとアグレッシヴな印象の作品が多く、楽器が豊かに鳴り響く。
 ちなみに、この録音は当初アクイラの町で行われる予定だった。しかし、2009年4月に、アクイラの町を大きな地震が襲い、場所の変更を余儀なくされ、アクイラの町から南へ45キロほど下ったところで行われた。ブックレットには地震の被災者の方々へのメッセージも載せられている。
HMU-807549
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
1865 〜アメリカ南北戦争時代の希望と故郷のうた
 Weeping, Sad and Lonely (Vo) / Darling Nelly Gray (Ba/Vo) / Hard Times Come Again No More (Ba/Vo) /
 Sweet Evelina / Bright Sunny South (*/Ba/Vo) / The Southern Soldier Boy (Fi) / Rebel Raid (Fi) /
 Tenting on the Old Camp Ground / Aura Lea (G/Vo) / Listen to the Mocking Bird (Ba) / Camp Chase (*/Fi) /
 Brother Green (*/Fi/Vo) / The Faded Coat of Blue (G) /The Maiden in the Garden (G) /
 The True Lover's Farewell (Vo) / Home, Sweet Home (Ba) / Polly Put the Kettle On (Ba) /
 The Picture on the Wall (G/Vo) / Abide with Me / Shall We Gather at the River? (Vo)

 アノニマス4(*以外) [ルース・カニンガム、マーシャ・ジェネンスキー、
            スーザン・ヘラウアー、ジャクリーヌ・ホーナー=クウィアテク]

 ブルース・モルスキー(フィドル;Fi /バンジョー;Ba /G;G /声;Vo)
 アノニマス4が、アメリカ南北戦争(1861-1865)終戦150年を記念して、当時のアメリカで歌われていたさまざまな歌を集めたアルバムを発売。ここに収められているバラードや重唱は、過酷な戦争を生きた男性、女性、子供たちの真実のストーリーが詩となった物。アノニマス4のメンバー四人による無伴奏四重唱、メンバー2人による重唱、スペシャル・ゲストのブルース・モルスキーによるバンジョー演奏や歌も加えた様々な編成による演奏が楽しめる。どれも非常にシンプルで美しく優しい作品ばかりだが、目を閉じると、美しい音楽の裏から戦争の跫音も聴こえてくるような、非常に特別な空気が広がる。
HMU-807550
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
J.S.バッハ:ソプラノ独唱のためのカンタータとカンタータ・アリア集
 カンタータ第31番「天は笑い、地は歓呼す」BWV.31〜第8曲「アリア」/
 カンタータ第57番「試練に耐えうる人は幸いなり」BWV.57〜第3曲「アリア」/
 カンタータ第199番「わが心は地の海に漂う」BWV.199 /
 カンタータ第105番「主よ、裁きたもうことなかれ」BWV.105〜第3曲「アリア」/
 カンタータ第51番「全地よ、神にむかいて歓呼せよ」BWV.51
  エリザベス・ワッツ(S) ハリー・ビケット指揮イングシッリュ・コンサート
 録音:2010年1月。今注目を集めているイギリスのソプラノ、エリザベス・ワッツの魅力に満ちた1枚。イングリッシュ・コンサートが器楽パートを担当しているのも見逃せない。揺れ動くヴァイオリンが印象的なBWV.57第3曲のアリアでは、イエスの愛を求めてさまよう魂を熱唱。BWV.105の第3曲アリアは、通奏低音をもたない極めて独創的なアリアで、罪深い人間がおそれおののくさまが歌われる。オーボエが奏でるよろめきの旋律が印象的。声楽パートもさることながら、器楽パートも説得力十分に聴き手にせまる。有名なBWV.51のカンタータも収録されており、バッハのカンタータの魅力、エリザベス・ワッツの魅力、イングリッシュ・コンサートの魅力、すべてを堪能できる充実の1枚。
HMU-807551
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
クリストファー・ギボンズ(1615-1676):
 モテット、アンセム、ファンタジー、ヴォランタリー集(全12曲)
  パヴロ・ベズノシウク(Vn) ロドルフォ・リヒター(Vn)
  マーク・レヴィ(Gamb) リチャード・エガー(Org)指揮
  アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(AAM)&cho.
 録音:2010年11月、オール・ハロウズ教会、ゴスペル・オーク、ロンドン。ピリオド楽器演奏の概念を打ち破る鮮烈な演奏のヘンデル・シリーズも好評のエガー&アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(AAM)によるC.ギボンズの作品集という古楽マニアも唸る注目の収録内容。クリストファー・ギボンズは、16世紀末〜17世紀前半に活躍したイギリス人音楽家オーランド・ギボンズの息子。父と同じく教会のオルガニストとして活躍し、宗教曲だけでなくヴィオール・コンソートやマドリガルといった世俗作品も多く残した。15年ほど前に「ミスター・ギボンズ」と称されたクリストファーの記事を見つけて以来、古文書館などを回って楽譜の発見に努めてきたエガー。本アルバムには、モテット、アンセムといった宗教曲はもちろん、ピリオド楽器の柔らかいアンサンブルが美しいファンタジーも数多く収録。3世紀の間殆ど忘れ去られていた珠玉の作品集を存分に堪能出来る。作風は当時のロウズやパーセルを思わせる高雅な旋律と素朴な柔らかいピリオド楽器の響きに満ちた物。演奏陣はお馴染みのメンバーで、今回も洗練された見事なアンサンブルを聴かせてくれる。オール・ハロウズ教会に響く美しいハーモニーに、高音質でじっくりと浸る希少な名盤。
HMU-807552
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブリテン(1913-1976):セレナードOp.31 /ノクターンOp.60
フィンジ(1901-1956):クリスマスOp.8
 マーク・パドモア(T) スティーヴン・ベル(Hr)
 ジャクリーヌ・シェイヴ(1st.Vn)指揮ブリテン・シンフォニア
 録音:2011年2月、エア・スタジオ、リンドハースト・ホール、ロンドン。自然と心に沁み入るような甘い歌声で多くの聴衆を魅了しているテノール界の「語り部」マーク・パドモアが、イギリス20世紀を代表する作曲家ブリテン、フィンジの作品を収録。ブリテンの「セレナード」は、イギリス人作家による6つの詩に音楽をつけた作品。テノール、ホルン、弦楽器という編成からなり、テノールだけでなく様々な楽章に現れるホルンの旋律が印象的な楽曲。BBCコンサートオーケストラで首席奏者を務めるベルのソロにも注目!第4楽章冒頭から始まる雄大なホルン・ソロからテノールへと受け継がれる旋律は必聴の美しさ。多様な曲調を含むセレナードとは異なり、ノクターンは全体的に静謐な雰囲気。シェイクスピアやワーズワースなどの『夢』をテーマとした詩に音楽をつけた作品で、穏やかな中にも不安を駆り立てるような旋律が入り混じった神秘的かつ美しい旋律が印象的。美しいハープのソロとパドモアの美しくも妖しい歌声に、摩訶不思議な夢の世界へと誘われる。フィンジの「クリスマス」では、抒情的なテノールの歌と美しい弦楽器のアンサンブルが魅力的。伴奏と言うには憚られるほど綿密に組まれた器楽ソロの掛け合いも素晴らしい作品。その名の通りブリテンの音楽に造詣深いブリテン・シンフォニアのアンサンブルにも注目の名盤。ロンドン生まれ、カンタベリー育ちという生粋のイギリス人歌手マーク・パドモア。2011年末に来日公演も行い、日本においてもますます人気を集めている。ヘレヴェッヘ指揮の受難曲のエヴァンリスト役で広く知られるパドモワだが、古楽から現代、宗教曲からリートにいたる幅広いレパートリーを持つ歌手でもある。「孤高の歌声」とも言われる気品あふれる歌声と、聴衆の心に直接訴えかける「語り部」的歌唱力を、SACDの高音質でたっぷりと堪能出来る。
HMU-807553
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ペルト(1935-):
 来たれ創造主なる聖霊よ/鹿の叫び/詩篇/最も聖なる神の母/ソルフェッジョ/
 我が心はハイランドにあり/エルサレムに平安あれ/巡礼の歌/明けの明星/スターバト・マーテル

  クリストファー・バウアーズ・ブロードベント(Org) ポール・ヒリヤー指揮
  シアター・オブ・ヴォイセズ、アルス・ノヴァ・コペンハーゲン、NYYDカルテット
 録音:2010年6月、コペンハーゲン(デンマーク)。エストニア出身の現代作曲家、ペルトの室内合唱曲を中心に収録したCD。ソ連支配下のエストニアでタリス音楽院に在学し、ショスタコーヴィチらソ連の音楽家たちから、シェーンベルクやブーレーズが活躍する西ヨーロッパの前衛音楽まで強い影響を受けたペルト。最初期はこうした作風に影響を受けた前衛的な作品を多く手がけていたペルトだったが、中世の単旋律聖歌やバロックの宗教合唱曲のスタイルに魅せられて以降、その作風はガラリと変わる。こうして生まれたのがペルト独特の作風、ティンティナーブリ。「鈴が鳴るように」という名の通り、一定のテンポの上で単純な和声が鈴の鳴り響くように展開されていく。単純な上昇下降を繰り返す旋律には無駄な装飾もなくドラマティックな展開もないが、中世聖歌を思わせる静謐かつ神秘的な響きは息を呑むような美しさ!天上から降り注ぐ光のような輝かしい響きに心洗われることだろう。今回はペルトの代表作「ソルフェッジョ」や「スターバト・マーテル」はもちろん、未だ多く知られていない近年の作品まで、ペルトが誇る珠玉の室内合唱作品を収録。SACDHybrid盤の高音質で、ペルトの音響世界にたっぷりと浸ることが出来る。中世・ルネサンス聖歌がお好きな方、ヒーリングミュージックに惹かれる方には特におすすめの名盤。
 演奏を担当するのは、これまで多くの合唱曲を手掛けてきた名匠ポール・ヒリヤー。彼が1990年に創始した団体テアトル・オブ・ヴォイスは、ダウランドやバッハなど古楽作品からペルトなど現代作品にいたるまで幅広いレパートリーを持つ名門団体。2002年よりヒリヤーが指揮する合唱団体アルス・ノヴァ・コペンハーゲンの透明感あふれる歌声はペルトの清廉な作風にぴったりと言えるだろう。NYYDカルテットはエストニアの名手達からなるNYYDアンサンブルのメンバーから構成された弦楽四重奏団。エストニアの現代音楽演奏にも積極的に取り組む彼らが、シンプルながらも深い響きで合唱との美しいハーモニーを作り出している。
HMU-807554
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
Tune thy Musicke to thy Hart
 トムキンズ:おお、主をほめたたえよ/ダヴィデがアブサロムの殺されし時を聞きしとき
 アムナー:よき群衆達よ(*) / A stranger here / タヴァナー:ミサ曲「イン・ノミネ」(#)
 ラムゼイ:力強きものは倒れたるかな / タリス:神よ、我を罪より解き放ちたまえ
 パーソンズ:「イン・ノミネ」〔第1番/第2番〕(#) / ブラウン:主よ、お慈悲を / クローチェ:心の底から
 ダウランド:我、御身にふさわしからずを恥ず / キャンピオン:荒天に船出すな
 バード:なぜ私は紙とインクとペンを使うか(*) / ギボンズ:見よ、御言葉は肉体となりぬ(*)

  スティレ・アンティコ、フレットワーク(*/#)〔歌と共演;*/器楽のみ;#〕
 録音:2011年2月、リンドハースト・ホール、エアースタジオ、ロンドン。デビュー以来透明感のある美しい歌声で多くのファンを魅了してきたイギリスの若手歌手団体スティレ・アンティコによる、これまであまり取り上げられることのなかった、英国テューダー朝とフランスのジャコバン派の、個人的な祈祷(教会などの大きな場ではなく、家庭など小さな場での祈り)のための、いわば家庭用聖歌集。当時の人々の信仰心の篤さと、音楽文化の高さに驚嘆させられる。器楽演奏を担当する、ヴィオラ・ダ・ガンバの名手たちからなるフレットワークによる器楽曲も入っており、練られたプログラムと曲順で、作品ごとに異なる多様な美しい響きを堪能出来る。フレットワークによる豪奢な低音の響きは本CDでも健在。録音も素晴らしく、SACD の高音質でふくよかな響きをたっぷりお温かく(代理店記載ママ。「たっぷりと」のタイポ?)柔らかな音色に満ちたフレットワークの演奏と、スティレ・アンティコの輝かしい歌声が織りなす極上のハーモニーは必聴。
HMU-807555
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
キリストの受難と復活〜ルネサンス声楽曲集
 コーニッシュ:悲しみにくれて / ギボンズ:ダヴィデの子にホザナ / タリス:おお聖なる饗宴
 ラッスス:オリーヴ山で / モラーレス:おお十字架よたたえられよ、唯一の望み / ゲレロ:マグダラのマリア
 ビクトリア:おお、この道を行ったすべての人よ / ジョン・マッケイブ(1939-):悲しみにくれて(2009) (*)
 タヴァナー:安息日終わりしとき / バード:汝の復活によりて / J.レリティエ:善き羊飼いは蘇りたもうた
 ギボンズ:私は復活であり、命である / クレキヨン:めでたきかな、われ

  スティレ・アンティコ
 録音:2012年2月、オール・ハロウズ教会、ロンドン。(*)は世界初録音。イギリスの若手合唱団の中でも異彩を放つスティレ・アンティコによる、低音王フレットワークと共演したことでも反響高かった英国テューダー朝とフランス・ジャコバン派の聖歌集(HMU-807554)に続くアルバムは、復活祭の前日、キリストの復活を静かに待ち望む聖土曜日のために作られたモテットやアンセム集。お得意のイギリスものだけでなく、スペインもの、フランドル楽派のものまで、まるでルネサンス期のヨーロッパを旅するかのようなプログラム。また中盤にジョン・マッケイブがスティレ・アンティコのために作曲した作品を世界初録音。作曲委嘱にあたり、コーニッシュの「悲しみにくれて」で用いられている詩の美しさに強く惹かれたというマッケイブ。イギリス現代声楽の神秘的な響きの中にもアルカイズムを感じられる作品。全体的にホモフォニックなアンサンブルの響きの美しさが印象的。体の内側からじわじわと盛り上がっていくような、優しい音の流れに聴き入る。ステンドグラスを思い浮かべるような壮麗さと、密やかな修道院の一室を想起させる瞑想的な響きを併せ持つスティレ・アンティコの歌声は絶品の一言。どの音域にも隙がなく、低音から高音にいたるまで厚みのあるハーモニーを織り成している。オール・ハロウズ教会の音響も素晴らしく、HYBRID_SACD盤の高音質で「天上の歌声」と称される極上の響きをたっぷりと堪能できる1枚となっている。
HMU-807556
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
SOUND THE BELLS!〜アメリカのブラス音楽新録音集
 ジョン・T.ウィリアムズ(1932-):
  サウンド・ザ・ベルズ!(1993)/祝典のためのファンファーレ(1980)/マストを上げろ!(1992)
 マイケル・ティルソン・トーマス(1944-):ストリート・ソング(1988/1996)
 モーテン・ローリゼン(1943-):ブラス六重奏のためのファンファーレ/おお何たる神秘(1994/2001)
 ブルース・ブロートン(1945-):ファンファーレ、マーチ、賛歌&フィナーレ(2002)
 ケヴィン・プッツ(1972-):ブラスのためのエレジー(2009) / スコット・ヘルツィク(1962-):スパイラルズ(2005)

  ザ・ベイ・ブラス
 [デイヴィッド・バークハルト、ジェイムズ・ドゥーリー、グレン・フィッシュタール、ラルフ・ワーグナー(Tp)
  ジョナサン・リング、ブルース・ロバーツ、ロバート・ワード、キンバリー・ライト(Hr) ジェフリー・ブディン、
  ジョン・エンゲルク、マーク・ローレンス、ポール・ウェルカマー(Tb) ペーター・ワールハフティヒ(Tu)
  客演:ジェフ・ビアンカラーナ、ケール・カミングス、マーク・イノウエ、ジョン・キング(Tp)
     クリス・クーパー、ダグ・ハル、ジェシカ・ヴァレリ(Hr) ヴィクター・アヴディエンコ、
     レイモンド・フレーリヒ、トム・ヘンプヒル、デイヴィッド・ヘルベルト、アルトゥール・ストーチ、
     ジェイムズ・ウィアット(Perc) ダグ・リオット(Hp)マーク・シャピロ(P)]
 録音:2004年、2007年、2009年。ハルモニアムンディから珍しい、ブラスものの登場。ザ・ベイ・ブラスはサンフランシスコso.、同バレエ団、同歌劇場などで活躍する奏者たちによって結成されたグループ。密度のつまった音色、どこまでもまろやかな音色が持ち味の彼らの演奏で、アメリカ発、パワーと美しさに満ちた新曲を楽しむ1枚。録音も素晴しく、オーディオ的にも非常に楽しめる。ティルソン・トーマスの作品が収録されているのも見逃せない。
Il divino 〜フランチェスコ・ダ・ミラノ:作品集(全36トラック)
 幻想曲集/リチェルカール集/他の作曲家たちによる歌曲編曲集
  〔ジョスカン・デ・プレ:私に何を言いたいの/クローダン・ド・セルミジ:君は私が死んだといった/
   アントニオ・デ・リベラ:おお善きイエスよ/ジャン・リシャフォール:私の悲しい失望/
   セルミジ:ヴィニョン・ヴィネッタ/私は不幸を嘆き/
   作曲者不詳:父が私と結婚したように/私を目覚めさせて下さい/何故あなたは一人で行ってしまうのか〕

 ポール・オデット(リュート)
 録音:2011年8月。使用楽器:6コースリュート[ポール・トンプソン(ロンドン)、1940年制作〔マグノ・ティーッフェンブリュッカー(1550頃)モデル〕]。ダ・ミラノは、ルネサンス時代のイタリアで最も知られたリュート奏者・作曲者で、当時、人々から「Il divino(神)」と称えられていた(ちなみにこの「Il divino」というニックネームは、ミケランジェロにもつけられたものでもあった)。ダ・ミラノの演奏は、濃密な表現力、うっとりするような美しい音色、精巧な対位法書法、哀愁を帯びたハーモニーなどで人々を魅了したと言われており、この高い演奏者としての質は、そのまま彼が遺した作品にも表れている。フランチェスコの作品で現存しているのは、今では2つのジャンル、すなわちファンタジア(あるいはリチェルカールとも呼ばれる)、そして他者が書いた声楽作品の編曲作品のみ。このディスクには、その遺された作品の中から、オデット自らが選曲した愛奏曲が、広い作曲年代、作風に渡るように配慮されたかたちで収められている。ダ・ミラノがどのような楽器を用い、どのように自作品を演奏したかということは現代の我々にはもはや知るすべはないが、16世紀初頭のイタリア製の6コースリュートを用いていたのではとする説があり、オデットもこれに則ってこの録音では6コースのリュートを選んでいる。典雅でありながら力強い表出力に満ちた音楽、美しいハーモニー、そして素晴しい録音クオリティ。満を持しての録音。
HMU-807558
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
東京SQ〜ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115 /ピアノ五重奏曲 ヘ短調 Op.34
 ジョン・ナカマツ(P) ジョン・マナシー(Cl)
 東京SQ[マーティン・ビーヴァー(Vn) 池田菊衛(Vn)
     磯村和英(Va) クライヴ・グリーンスミス(Vc)]
 録音:2011年11月、ソウダー・コンサートホール、アメリカ。2013年6月をもって解散し、44年(現メンバーでの活動も10年目)の長き活動に幕をおろすことを発表した東京クァルテット。惜しくも最後のシーズンとなる2012-2013年の活動にますますの注目が集まる中、ブラームスのクラリネット五重奏曲とピアノ五重奏曲を収録した盤が発売。シューベルトの弦楽四重奏曲&五重奏曲(HMU-807427)に引き続き、今回も高音質HYBRID_SACD盤でのリリース。青年期と晩年期それぞれの作品の中でも指折りの傑作を同時収録した、ブラームス好きにはたまらないプログラムとなっている。いずれの作品もブラームスらしい重厚な響きと叙情的な旋律の数々が絶品。長き時を経て培ってきた東京クァルテットが織り成す円熟のアンサンブルによって、ブラームスならではの薫り高いハーモニーを堪能出来る。
 豪華な共演者も本アルバムの注目どころ。若き情熱あふれるピアノ五重奏曲にはアメリカの中堅ジョン・ナカマツ、晩年の傑作クラリネット五重奏曲には屈指の名手ジョン・マナシーをゲストとして迎えている。東京クァルテットのメンバーと比べれば若手に部類されてしまうであろう演奏家たちではあるが、ベテラン顔負けの貫禄ある演奏で極上のアンサンブルを織り成している。特にマナシーのクラリネットの音色は息を呑む美しさ。名手ミュールフェルトに魅せられたブラームスが、クラリネットという楽器の魅力の髄を詰め込んだ作品だけに、その素晴らしさが際立つ。第2楽章でのビーヴァーとのアンサンブルは鳥肌物。第4楽章ではグリーンスミスの艶やかなチェロ・ソロも光る。ピアノ五重奏曲では、リズム感抜群のナカマツのソロと共に激しくも安定感のあるアンサンブルを披露している。2013年の解散を前に、今後のアルバムのリリースも数限られることとなるであろう東京クァルテット。まさにファン必携のアルバムと言えるだろう。
ヘンデル:イタリア時代のカンタータとアリア
 棄てられたアルミーダHWV.105/愛の狂乱HWV.99/アルプスの山よHWV.81/
 時と悟りの勝利HWV.46a〜棘は捨て置き/復活HWV.47〜地獄の門よ、開け/
 クローリ、ティルシとフィレーノHWV.96〜ひどい人、あなたは信じていないのね/
 アミンタとフィッリーデHWV.83〜心地よい小川が/サルヴェ・レジーナHWV.241/
 ソナタ「あなたが誠実って?」HWV.171/5声のソナタ
  ルーシー・クロウ(S) ハリー・ビケット指揮イングリッシュ・コンサート
 録音:2010年8月、ロンドン。今英国で一番注目されているソプラノ、ルーシー・クロウがHMFからソロ・アルバムでデビュー。澄み切った美声と鮮やかなテクニック、華のある存在感に美貌と、何拍子も揃った逸材。すでにマルク・ミンコフスキが重用しており、ハイドンの聖チェチーリア・ミサなど(naive V-5183)で素晴らしいソロを披露、さらに大きな話題となったバッハのミサ曲 ロ短調(V-5145)では重要な第一ソプラノに抜擢されるなど、人気・注目度ともに現在急上昇中。しかも彼女はMET で「モーツァルト:ティートの慈悲」のセルヴィーリア、ベルリン・ドイツオペラでのヴェルディ「リゴレット」のジルダなど、古楽以外でのお呼びもかかるほどの実力の持ち主。近いうちに大ブレイク間違いなしの逸材。
 そんなクロウ初となるソロアルバムは彼女の声にピッタリのヘンデル。ヘンデルは、1706年後半から1710年までの約3年間、イタリア各地を巡り、イタリア人ら「ザクセン人万歳!」と絶賛されるほどの人気を博した。あの有名な「リナルド」のアリア 私を泣かせて下さい の原曲である「時と悟りの勝利」の‘棘は捨て置き ' はこの時期の作品。後のロンドンでの活躍の源泉となった音楽が多々ある。このアルバムでは、「棄てられたアルミーダ」や「愛の狂乱」、「アルプスの山よ」のようなソロ・カンタータ、「時と悟りの勝利」、「復活」、「クローリ、ティルシとフィレーノ」、「アミンタとフィッリーデ」といった大規模、中規模の声楽作品のアリアを中心に、クロウの魅力が存分に引き出せる曲を揃えている。バックは、英国バロック音楽の重鎮で、ことにヘンデルのスペシャリストとして知られるハリー・ビケットと、2007年来彼が音楽監督を務めるイングリッシュ・コンサート。ヘンデリアンにはたまらない一枚となっている。
HMU-907560/61
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(2CD)
1CD価格
フレットワークの6つのヴィオラ・ダ・ガンバ版「ゴルトベルク」
 J.S.バッハ/リチャード・ブースビー編曲:ゴルトベルク変奏曲
  フレットワーク[スザンナ・ペル、森川麻子、ライアン・バーン、市瀬礼子、
          リチャード・タニクリフ、リチャード・ブースビー]
 録音:2011年3月。坂本龍一が絶賛していることもあって、近年ますます注目が高まっている、魅惑の楽器ヴィオラ・ダ・ガンバの匠たちによるアンサンブル、フレットワークによる「ゴルトベルク変奏曲」。冒頭から思わず鳥肌ものの美音。恍惚と官能を感じさせる「アリア」から、この演奏がただならぬものであることを感じさせる。メンバー表をみると6 名の奏者によっているが、多数の奏者によるアンサンブルということを忘れさせるほどにピタッと1ミリの狂いもなく息の合った演奏は、神がかりとしか言えない。
 鍵盤楽器で弾いても難しい急速なパッセージなど、ヴィオラ・ダ・ガンバでは大変な超絶技巧となってしまう部分もあるし、また、ヴァリエーションによってはオリジナル作品の音域を得るために、テノール・ヴィオールの最低音弦を通常のAではなくGの音に調弦、様々な困難と工夫を経てのこの演奏は、すべてを凌駕した堂々の巨匠芸。旋律を奏でる肌に吸い付くような音色、たっぷりとした余韻をたたえたピチカートなど、すべてがあまりに美しすぎて我を忘れてしまう瞬間もあるくらいに素晴らしい、ゴルトベルク変奏曲の登場。
ガッティ・コンダクツ・チャイコフスキー〜チャイコフスキー:後期交響曲集
 交響曲第4番 ヘ短調 Op.36/イタリア奇想曲 Op.45[録音:2004年12月13日、14日](*)
 交響曲第5番 ホ短調 Op.64[録音:2003年7月31日、8月1日、アビーロード・スタジオ](#)
 幻想序曲「ロメオとジュリエット」[録音:1998年5月6日、7日、ワトフォード・コロシアム](#)
 交響曲第6番「悲愴」 ロ短調 Op.74/弦楽セレナード ハ長調 Op.48

  ダニエーレ・ガッティ指揮ロイヤルpo.
 HMU-907393(流通在庫限り)(*)、HMU-907381 (#)、HMU-907394(廃盤)(+) のセット化。
 ガッティの指揮するチャイコフスキーも3枚組ボックスになって登場。ダイナミックで刺激的、そして響きの美しさが際立つガッティ&ロイヤル・フィルによるチャイコフスキーは聴く者を圧倒する。ヴァイオリン両翼型配置による第4、第5交響曲ではフレーズの受け渡しもこれまでになく明快で、きわめて見通しの良い美演が楽しめる。また、陽気なムードいっぱいの「イタリア奇想曲」。ラテン系の指揮者の血を呼び覚ましたかのように、内容との相性の良さが印象的。よりいっそう弾けた出来栄え。注目の「悲愴」で、ガッティは「この録音に全魂を捧げたと言っても過言ではない」と語っており、重苦しさとは無縁なガッティらしいクリアーで鋭敏な演奏を聴かせてくれる。第1楽章は、焦燥感を煽り果敢に音楽を展開し、第2楽章ではロシア民謡風のリズムを痛快に仕上げ、感傷的部分を残しつつ息つく間もなく旋律が流れていく。ガッティの演奏のダイナミックな持ち味が十分に発揮された第3楽章、苦悩、悲観、悲痛な叫びを爆発させ、クライマックスへの導く第4楽章。一聴の価値ある異色の「悲愴」。
HMU-807565
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
クリスマス物語 ポール・ヒリヤー指揮
シアター・オブ・ヴォイセズ、
アルス・ノーヴァ・コペンハーゲン
 録音:2011年1月。聖歌、モテット、伝統的な民謡キャロルなどで歌い継がれているキリスト降誕の物語を収録。イタリア、ドイツ、デンマーク、イギリス、アメリカに伝わる歌を選んで美しく編んだ花束のような1枚。
HMU-807566
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
パドモア&ブリテン・シンガーズ〜V.ウィリアムズ、ドーヴ、ウォーロック
 ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):ウェンロックの断崖で(1907) (*) /ブレイクの詩による10の歌(1957) (#)
 ジョナサン・ドーヴ(1959-):ジ・エンド(+) / ピーター・ウォーロック(1894-1930):シャクシギ(+)

  マーク・パドモア(T) ジャクリーヌ・シェーヴ指揮ブリテン・シンフォニア団員
  ニコラス・ダニエル(Ob;#/イングリッシュHr;+)
  ヒュー・ワトキンス(P;*) エマー・マクドノー(Fl;+)
 録音:2012年。イギリスの名テノール、パドモアによるイギリス歌曲集。ヴォーン・ウィリアムズは交響曲作曲家として名を残しているが、彼が作曲家として生前の名声を確実なものにしたのは歌曲だった。「ウェンロックの断崖」は、英国で愛されていた詩人ハウスマンの抒情詩集『シロップシャーの若者』に基づくもので、この作品によって彼は世に広く知られることとなる。この詩に作曲したのはヴォーン・ウィリアムズだけではないが、優しくも繊細な、それでいてときおり不安な叫びも垣間見られる音楽が魅力。「ブレイク・ソング」は、オーボエとテノールという珍しい編成の作品。ウィリアム・ブレイクの詩に基づいている。英国の伝統民謡への傾倒が顕著にみられる作風で、オーボエとテノールが奏でるメロディが心に沁みる。ジョナサン・ドーヴの「ジ・エンド」は、ブリテン・シンフォニアとウィグモア・ホールの委嘱で書かれた作品。世界初録音。詩人はマーク・ストランド。弦楽四重奏と、フルート、イングリッシュ・ホルンという珍しい編成で、詩の持つ、死を連想させる静謐で神秘的な世界を巧みに表現している。ウォーロックは評論家としても活躍した人物。ディーリアスの音楽に衝撃を受け、音楽に強い興味をもつようになった。ジャコビアン時代(17世紀前半)やそれより前のエリザベス朝の時代(16世紀後半から17世紀初頭)の作曲家たちによるリュート・ソングを編曲するなどして、独自のスタイルを築き上げた。短い生涯の間にのこした作品はほぼすべて声とピアノのための物。ここに収録された「シャクシギ」は、イェイツの詩に基づくもので、ウォーロックの傑作といわれる作品。7年近くもかけて完成された。編成は、ウォーロックのものにしては珍しく、テノール、イングリッシュ・ホルン、フルートと弦楽四重奏となっている。1915年に書き始められ第1曲が完成したのち、7年かけて改訂・加筆およびいくつかの曲を削除するなどして、1922年に全5曲の歌曲集(うち1曲は器楽の間奏曲)として完成された。バルトーク、シェーンベルク、またパーセルなど様々な作曲家たちの影響をみせるこの作品は、あまりに早くに亡くなってしまった、個性的な作曲家ウォーロックのモニュメント的な作品となっている。パドモアの明晰にして無駄なもの一切ない歌唱がこのうえなく活きるプログラム。語り手として、作曲者と詩人が織り成す世界を見事に提示している。
HMU-807567
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):
 交響曲第2番「ロンドン交響曲」/
 音楽へのセレナード (1939年オリジナル版)
ジュリアーナ・アタイデ(ソロVn)
クリストファー・シーマン指揮
ロチェスターpo.、
マーキュリー・オペラ・ロチェスター
 録音:2011年3月、コダックホール、ニューヨーク。
 19世紀末から20世紀のイギリスを代表する音楽家で、イギリス民謡を基にした懐かしくも美しい旋律が魅力のヴォーン・ウィリアムズ。「ロンドン交響曲」は標題音楽ではないとされているものの、その名の通りロンドンの街の一日を思わせる作品。靄かかったロンドンの朝を思わせる密やかな始まりを見せる第一楽章は、曇り空と雨の日が多いロンドンの重い空を表わす緩慢な第二楽章に続き、人々が行きかう夜の喧騒を描いた第三楽章へと繋がる。第四楽章では雰囲気が一変。戦争の騒乱を表す猛々しいマーチが金打楽器によって奏でられ、やがて戦乱後の侘しい雰囲気を湛えながら曲は静かに幕を閉じる。多彩なメロディが次々と展開されていく様は、まるでロンドンの街を映した1 本の映画のようだ。聴き終わった後、何とも言えない充足感に満たされる。特に第二楽章のイングリッシュホルンの哀愁漂う音色とチェロの美しいソロは必聴。2曲目のセレナードはヴォーン・ウィリアムズが音楽家キャリア50周年を記念して作曲した作品。彼の作品中最も美しいと称される非常に甘美な旋律に満ちた小品で、16人のソリストたちの合唱がシェイクスピアの詩を美しく歌いあげる。ヴォーン・ウィリアムズの才気あふれる優美な旋律の数々を、SACDハイブリッドの高音質で堪能できるおすすめ盤。
 演奏するのは円熟の名指揮者シーマン率いるロチェスターpo.。2010-2011年のシリーズを最後に、30年に及ぶ音楽監督の席を退任したシーマン。2011年3月に録音された本CDは、音楽監督としての締めくくりとなる演奏の1つと言えるだろう。オーケストラを長きにわたって指揮してきたシーマンだからこそ成せる、オケと作品を完全に手中におさめた名演。
シア・マスグレイヴ(1928-):オーボエのための室内楽作品集
 オーボエとピアノのための「夜の窓」(2007) /
 即興曲〔第1番(1967)(フルートとオーボエのための)/
     第2番(1970)(フルート、オーボエとクラリネットのための)〕/
 オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための「カンティレーナ」(2008) /
 オーボエとテープのための「ニオベ」(1987) /フルート、オーボエとピアノのためのトリオ(1960) /
 Take Two Oboes (2008) /イングリッシュホルンとピアノのための哀歌 (1997/2005)

  ニコラス・ダニエル(Ob) チリンギリアンSQ ジョン・ファレル(Cl)
  エマー・マクドノウ(Fl) ジェイムズ・ターンブル(Ob) ヒュー・ワトキンズ(P)
 録音:2011年10月。スコットランド出身&アメリカで活躍する女流作曲家シア・マスグレイヴが、1960年から2009年の50年間の間に作曲したオーボエのための作品集。2007年と2008年の3作はニコラス・ダニエルのために書かれた物。「哀歌」はイングリッシュホルンのために編曲され、2005年のレスター音楽祭の際にニコラス・ダニエルが初演している。ニコラス・ダニエルは1962年イギリス出身のオーボエ奏者。古典から現代まで幅広いジャンルの作品を吹きこなす名人。「夜の窓」は、ジャケット写真にも使われている、20世紀を代表するアメリカの画家エドワード・ホッパーの同名の絵画からタイトルを取った作品。劇的でパワフル、そして強い個性と鮮やかな音楽性を兼ね備えたマスグレイヴの魅力をニコラス・ダニエルが十分に引き出した聴きごたえのある1枚。
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタOp.27(全6曲)
 〔第1番 ト短調/第2番 イ短調/第3番 ニ短調「バラード」/第4番 ホ短調/第5番 ト長調/第6番 ホ長調〕
  タイ・マレイ(Vn)
 録音:2011年3月、アメリカ芸術文化アカデミー、ニューヨーク。使用楽器:ジョヴァンニ・トノーニ、1690年頃製。シカゴ生まれの新進気鋭若手ヴァイオリニスト、タイ・マレイのデビュー盤。技術力と表現力を要求される難曲の全曲収録に若きヴィルトゥオーゾが挑んだ、渾身の1枚。タイ・マレイは2004年エイヴリー・フィッシャー賞、2008-2010年BBCニュー・ジェネレーション・アーティストに抜擢された注目新人。カーネギー・ホールでコンサートを行うほか、BBC響などとも共演、欧米を中心に活躍している。室内楽でも高い評価を得ており、共演したアーティストには内田光子なども含まれる。ユヴァル・ヤロン、フランコ・グッリ、ジュリアードSQの創設メンバー、ジョエル・スミルノフらに師事しており、バランスよく様々なスタイルを吸収し、自分のものにしているのが感じられる。一つ一つの音の粒が立ったすっきりとした音色、高音域においても深みと厚みを失わないしっとりとした響きは圧巻。若手らしい活気にあふれながらも安定感のある演奏に、今後ますますの注目が期待される。 技巧的なパッセージと抒情的な旋律が美しいイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは、当代の名手シゲティによるJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタの演奏に感銘を受けて作曲されたといわれる。壮大なアルペジオや美しく重ねられていく和音の響きにどこかバッハの同曲を思わせる名曲。
アノニマス4〜30周年記念盤(既出盤からのコンピレーション)
 「イングリッシュ・レディー・ミサ」より
  〔グローリア/ Polyphonic song: Salve virgo virginum / Polyphonic song: Edi beo thu hevene quene 〕
 「サンチャゴの奇跡」より〔 Agnus dei trope: Qui pius ac mitis / Offertory: Ascendens Ihesus in montem /
               Prosa: Portum in ultimo / Prosa: Clemens servulorum 〕/
 「アメリカン・エンジェルズ」より〔 Religious ballad: Wayfaring Stranger / Folk hymn: Abbeville /
                   Gospel song: Shall We Gather at the River 〕/
 「リリー&ラム」〜 Sequence: Jesu Cristes milde moder /「東方の星」〜 Alleluia: Fuit virgo /
 「愛の幻影」より〔 "Amours, dont je sui / L’autrier, au douz mois" /
           "On doit fin[e] Amor / La biauté / [In seculum] (Mo 134)" 〕/
 「セカンド・サークル」〜 Nella partita Francesco Landini /
 「シークレット・ヴォイセズ」〜 "Discant: Fa fa mi / Ut re mi" /
 「グローリーランド」より〔 Folk song: The Wagoner’s Lad / Gospel song: Just Over in the Gloryland 〕/
 「アメリカ南北戦争時代の希望と故郷のうた 1865 」〜 The Faded Coat of Blue J. H. McNaughton /
 「ウォルクム・ユール」より〔 A New Year Carol Benjamin Britten / An teicheadh go hÉigipt Trad. Irish 〕/
 「 The Cherry Tree 」〜 Ballad carol: Lullay my child – This ender nithgt /
 「ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:11,000の処女殉教者」〜 Responsory: Spiritui sancto

 アノニマス4 ダロル・アンガー(マンドリン)
 アンドルー・ローレンス=キング(Hp) マイク・マーシャル、ブルース・モルスキー(G)
 1986年春、ニューヨークの教会での読書会で出会った4人の女性が、中世の聖歌やポリフォニー音楽が、女声で演奏されたらどのように響くか、と興味をもって演奏してみた。それから30年、アノニマス4は世界中の人々を魅了してきた。これまでの彼女たちの足跡から珠玉のトラックを集めた、結成30年記念アルバム。
HMU-807572
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
フェニックス・ライジング
 ウィリアム・バード(1540頃-1623):アヴェ・ヴェルム・コルプス/5声のためのミサ
 トマス・タリス(1505頃-1585): Salvator mundi (I) /断食し涙しながら
 トマス・モーリー(1557-1602): Nolo mortem peccatoris
 オーランド・ギボンズ(1583-1625):手を共にたたこう
 ロバート・ホワイト(1538頃-1574): Portio mea / Christe qui lux es et dies (IV)
 ジョン・タヴァナー(1490頃-1545):おお、すばらしき栄光
  スティレ・アンティコ
 録音:2012年11月。抜群の音程感覚による透明で美しいア・カペラが特徴の若手声楽アンサンブル、スティレ・アンティコによるチューダー朝の教会音楽集。
HMU-807573
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):オーボエと弦楽の協奏曲 イ短調(1944) (*)
ジェイムズ・マクミラン(1959-):
 室内オーケストラのための「One」(2012) (#) /オーボエ協奏曲(2010)
ブリテン(1913-1976):イギリス民謡による組曲「過ぎ去りし時」 Op.90 (1974)
 ニコラス・ダニエル(Ob/イングリッシュHr)指揮(*)
 ジェイムズ・マクミラン指揮(*以外) ブリテン・シンフォニア
 録音:2014年2月。(#)は世界初録音。英国を代表する作曲家による作品を、英国の気鋭のアンサンブルと、英国出身の名オーボエ奏者の独奏で。ヴォーン・ウィリアムズのこの協奏曲でBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーを受賞した、思い入れも熱い作品。マクミランのオーボエ協奏曲は、ニコラス・ダニエルに献呈されている。「One」は、ブリテン・シンフォニア創立20周年を記念して書かれた物。マクミランの出身地であるスコットランドやアイルランドに伝わる歌の旋律が、様々な楽器によるソロで演奏される。オーボエ協奏曲はヴァイオリンのグリッサンドの多用が印象的。オーボエが超絶技巧でソロを展開する。ブリテン晩年の「過ぎ去りし時」も、古くから伝わる民謡の世界が雄大な美しさを湛えて再現されている。ニコラス・ダニエルは英国出身のオーボエの名手。18歳でBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーを受賞、その後ヨーロッパでも活躍するようになる。世界の指揮者と共演、バロックと19世紀音楽へのとりわけ深い造詣のほか、新作にも積極的に取り組んでおり、彼が初演した作品には、デュティユー、ジョン・タヴナー、マクミラン、ティペットらのものも含まれる。音楽祭の監督を務める傍ら後進の指導にもあたっている。
HMU-807574
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
エリザベス・ワッツ〜A.スカルラッティ(1660-1725):
 歌劇「グリゼルダ」(1721) 〜アリア「 Figlio! Tiranno! O Dio! 」/
 セレナータ「 Endimione e Cintia 」(1705) 〜アリア「私の心は嫉妬に燃え [Se geloso è il mio core] 」(*) /
 カンタータ「Non so qual più m'ingombra」(1716) 〜アリア・パストラーレ「彼はお生まれになった」/
 歌劇「 Eraclea 」(1700) 〜この新しい問題に [A questo nuovo affanno] /
 オラトリオ「 La Santissima Vergine del Rosario 」(1707) 〜私が楽しんでいる間に [Mentr 'io godo] /
 カンタータ「 Correa nel seno amato 」(1690) 〜くすんだ影 [Ombre opache] /
 セレナータ「エルミニア」(1723)より
  〔レチタティーヴォ「メランコリーな鳥が歌うところで [Qui, dove...Torbido, irato] 」/
   アリア「 Torbido, irato, e nero 」〕/
 アリア集「 7 Arie con tromba sola 」(1703-08) 〜アリア「祝いの声で」(*) /
 歌劇「 Mitridate Eupatore 」(1706) より
  〔レチタティーヴォ「 O vane speme! 」/アリア「 Cara tomba del mio diletto 」/
   アリア「 Esci omai 」(#) /アリア「 Dolce stimolo al tuo bel cor 」〕/
 歌劇「 Tigrane 」(1715) 〜アリア「 Sussurrando il venticello 」/
 歌劇「 Scipione nelle Spagne 」(1714) 〜アリア「キューピッドよ、翼をあげよ [Ergiti, Amor, su i vanni] 」/
 セレナータ「 Venere, Amore e Ragione 」(1706) 〜アリア「 D'amor l'accesa face 」/
 歌劇「 La Statira 」(1690) 〜アリア「 Io non son di quei campioni 」/
 カンタータ「 A battaglia, pensieri 」(1699) 〜シンフォニア、アリア「戦いに [A battaglia] 」(*)

  エリザベス・ワッツ(S) ローレンス・カミングス(通奏低音)指揮
  イングリッシュ・コンサート マーク・ベネット(Tp;*) ヒュー・ダニエル(Vn;#)
 録音:2014年11月、オール・ハロウズ教会、ゴスペル・オーク、ロンドン。アレッサンドロ・スカルラッティ。鍵盤のソナタでも有名なドメニコ・スカルラッティの父にあたり、特に声楽作品で大きな名を残している。アリアの巨匠ともいわれるA.スカルラッティの作品を、「同世代の中で最も美しいソプラノ」と絶賛されるエリザベス・ワッツが縦横無尽に歌いつくする。演奏機会の少ないオペラやセレナータからのアリアを中心に組まれたプログラムで、どの曲も色鮮やかな力強さに満ちている。エリザベス・ワッツは2006年キャスリーン・フェリアー賞受賞を始め、様々な賞を受賞している。2014年にはプロムスのラスト・ナイトにも出演、イギリスを中心に活躍の場を広げている。ここでも力強く表情豊かな歌声を思い切り響かせている。管弦楽は1973年にピノックによって創設され、その後マンゼのもとでも大きな人気を博し、現在はハリー・ビケットが音楽監督を務めているが、今回のCDではチェンバロ奏者としてもおなじみのローレンス・カミングスが指揮を務める。
HMU-807575
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ルネサンス時代のクリスマス合唱音楽
 M.プレトリウス:ベツレヘムにひとりの子供が生まれた/ Es ist ein Ros entsprungen
 H.プレトリウス:マニフィカト quinti toni / クレメンス・ノン・パパ: Pastores quidnam vidistis
 ハンドル:カニーテ・チューバ/ Mirabile mysterium / エッカルト: Ubers Gebirg Maria geht /高き空より
 ハスラー: Hodie Christus natus est

 スティレ・アンティコ
 ア・カペラ合唱グループ、スティレ・アンティコ。結成10年を越え、その澄んだハーモニーにはますます磨きがかかり、ヨーロッパ各地で絶賛されている。スティレ・アンティコによる、ルネサンス時代のクリスマス合唱作品集。厳格な対位法で書かれており、ともするとストイックな演奏になりがちなルネッサンス時代の合唱作品も、スティレ・アンティコにかかるとかくも美しくやわらかな響きをまとうものか、と驚かされる。ルネサンス、クリスマス、言 葉といったことを越えて、純粋に美しい声の織りなす響きに身をゆだねる喜びを味わえる1枚。
イモジェン・ホルスト(1907-1984):
 ミサ曲 イ短調(1927) /キリストへの賛歌(1940) /3つの詩篇(1943) (*) /
 喜びと悲しみの歓迎(1950) (#) /放蕩者よ、どこへ行くのか(1972)
ブリテン/I.ホルスト管弦楽編曲:
 祝祭カンタータ「キリストによりて喜べ」Op.30 (1952) (+)
 ターニャ・ホートン(Hp;#) クレシダ・シャープ(S;+) ロバート・クロス(CT;+
 スティーヴン・ケネディ(T;+) ドミニク・セジウィック(B;+) グレアム・ロス指揮
 ケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊、ドミートリー・アンサンブル(*/#/+)
 録音:2011年7月、オール・ハロウズ教会、ゴスペル・オーク、ロンドン。イギリス声楽曲ファン必聴、グレアム・ロス率いる名門ケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊が、「惑星」などで知られる大家グスターヴ・ホルストの愛娘、イモジェン・ホルストの宗教合唱曲を取り上げた。父の作品の校訂・編曲、あるいは伝記著者としての功績が専ら有名なイモジェンだが、彼女自身も生涯を通して作曲活動に邁進した音楽家であった。本アルバムでは彼女の宗教合唱曲に焦点を当て、初期から晩年にいたる幅広い年代の作品を満遍なく収録。しかも、その全てが世界初録音という価値ある物。いずれの作品も透明感のある美しいハーモニーが素晴らしく、これまで埋もれていたことが惜しまれる作品ばかり。ヴォーン・ウィリアムズやブリテンといったイギリスものがお好きな方には特におすすめ。
 1926年、父グスターヴと同じ英国王立音楽大学に入学したイモジェンは、イギリスの大家ヴォーン・ウィリアムズの下で作曲を学ぶ。この時期に作曲された「ミサ曲 イ短調」は、ルネサンス聖歌を思わせる厳格な旋律とポリフォニーの柔らかな響きが絶品。その和声の美しさは師のミサ曲も思わせる。
 「3つの詩篇」は、1943年にロンドンのウィグモアホールで行われた自作自演のコンサートで演奏された記念的作品。どこか父の作風も思わせる弦の深い響きと、幾層にも折り重なっていく合唱の厚みのあるハーモニーが見事。また、ダーリントン・ホールの音楽監督就任以降のイモジェンはブリテンとの親交も厚く、彼の誘いを受けてオールドバラ音楽祭へ参加し始める。「喜びと悲しみの歓迎」はこの音楽祭のために作曲された物。最後のブリテンの祝祭カンタータ「キリストによりて喜べ」は、音楽祭のために彼がイモジェンに編曲を依頼したオーケストラ編成版になる。壮大な響きの広がりと、多彩な表現力は管弦楽版ならではの魅力と言えるだろう。ロンドンのオール・ハロウズ教会の音響も素晴らしく、イモジェンの持ち味とも言える清廉な響きにただただ聴き入る名盤となっている。
HMU-807577
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ロバート・カイア(1952-):THE SINGER'S ODE (2012) / THE CLOUD OF UNKNOWING (2013) /SONG OF THE SOUL (2011)
 エステリ・ゴメス(S) デイヴィッド・ファーウィグ(Br)
 クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ、ヴィクトリア・バッハ・フェスティヴァルo.
 録音:2013年6月。アメリカの作曲家ロバート・カイアは、既に12の交響曲、3つの室内交響曲、3つのヴァイオリン協奏曲、そして様々な形態の声楽アンサンブルのための作品を数多く書いている、非常に輝かしい作風の持ち主。「THE SINGER ' S ODE」は無伴奏合唱作品。モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を思わせる穏やかな優しさと静けさに満ちているが、ハーモニーは非常に凝っている。つづく2作品へのプレリュード的な役割も果たす小品。「THE CLOUD OF UNKNOWING」は旧約聖書の詩篇や16世紀スペインのアヴィラの聖テレサがのこしたテキスト、そして14世紀に書かれた瞑想の入門書に付曲した物。2部構成(各4曲からなる)で神と愛への賛歌の内容となっている。「SONG OF THE SOUL」は、バッハに倣って対位法を用いて書かれたカンタータ。絶望から喜びへとむかう魂を描いた作品。初演時にウォール・ストリート・ジャーナルによって「絶望から喜びへの道を活き活きとたどることができる、アメリカ音楽の力強くも新しい達成」と絶賛された。
メシアン:前奏曲集(*)
 〔鳩/悲しい風景のなかの恍惚の歌/軽快な数/過ぎ去った時/
  夢のなかのかすかな音/苦悩の鐘と告別の涙/静かな嘆き/風のなかの反映〕/
     ピアノと弦楽四重奏のための小品(+)
サーリアホ:プレリュード(2006) (#) バラード(2005)(#)/
       ヴィオラ、チェロとピアノのための「私は第2の心を感じる」(2003)(+)
 グロリア・チェン(P) カルダーSQ (+)
 録音:2011年11月、アメリカン・アカデミー・アーツ&レターズ、ニューヨーク(*/#)/2012年2月、ジッパー・ホール、コルバーン・スクール、ロサンゼルス(+)。(#)は世界初録音。グラミー賞受賞経験もあるピアニスト、グロリア・チェンとニューヨーク・タイムズ誌で「超一流」と紹介された四重奏団カルダー・カルテットによるメシアンとサーリアホの作品集。メシアンがパリ音楽院在学中に作曲した初期の代表作「前奏曲集」。この8曲からなる「前奏曲集」には、ほとんどの作品にみられる宗教的サブタイトルは付けられていないが、それぞれに付けられたタイトルや作風などからはドビュッシーからの影響が感じられ、色彩的でリリシズムに溢れた作品。メシアンの重要な音楽語法のひとつ「逆行不可能なリズム」の原型などもみられ、メシアン独特の個性も光っている。またメシアンの母は詩人セシル・ソヴァージュ。オリヴィエを身ごもった時に我が子が芸術家になると予言し、これに霊感を受け詩集「芽生える魂」を書いたエピソードは良く知られている。この作品を作曲する2年前、メシアンが19歳時に母セシルは逝去してしまうが、メシアンは芸術的に母の影響を大きく受けている。そしてメシアン最晩年の作品「ピアノと弦楽四重奏のための小品」。1991年にウィーンで行われた現代音楽で有名なウニフェルザール出版社の社長の90歳を祝うコンサートのために作曲された。フィンランドを代表する女性作曲家カイヤ・サーリアホ。ピアノ・ソロ曲「プレリュード」と「バラード」は世界初録音となっている。サーリアホはフルートのための作品が多く、ピアノは彼女にとって親近感のある楽器では無かった。しかし彼女はピアノのための作品を書くことを決意し2006年「プレリュード」を発表した。サーリアホはピアノをフルo.とみなした大胆な作品に仕上げている。グロリア・チェンは、圧倒的テクニックと輝かしい色彩感、そしてイマジネーションにより、見事な演奏を聴かせる。
待降節のための音楽集
 来たれ、来たれインマヌエル / バード(1539頃-1623): Vigilate / アンティフォン I / O sapientia
 ハーバート・ハウエルズ(1892-1983):主への畏怖(*) / アンティフォン II / O Adonai
 ロデリック・ウィリアムズ(1965-): O Adonai, et Duxdomus Israel / アンティフォン III / O RRadix Jesse
 プレトリウス/サンドストレム編曲: Es ist ein Ros entsprungen / アンティフォンIV / O Clavis David
 ジョン・シェパード:我は天の声を聞きぬ / アンティフォンV / O Oriens
 ジョン・ラター(1945-):光の創り主への賛歌 / J.S.バッハ:「暁の星のいと美しきかな」BWV.436
 メンデルスゾーン:オラトリオ「キリスト」〜 Say, where is He born; There shall a star from Jacob (*)
 アンティフォン VI / O Rex Gentium / ピーター・ウォーロック:ベツレヘムの丘 / アンティフォン VII /
 O Emmanuel / アンティフォン VIII / O Virgo virginum / グレアム・ロス: I sing of a maiden
 ジョン・タヴナー(1944-):神はわれらとともに(*) / ラフマニノフ:晩祷 Op.37 〜神の母なる処女
 ハーバート・ハウエルズ:マニフィカト(*) / おお、主よ、主よ、来たれ(traditional;*)

  グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho. ニコラス・ハイ(Org;*)
 録音:2012年4月。英語およびラテン語による、待降節のための音楽集。ここに収められているアンティフォンは、すべて「O」から始まり、「 O アンティフォン」とも称されクリスマス前の礼拝で歌うマニフィカトの前に演奏される。このディスクは、この "Oアンティフォン“を軸に、そのパラフレーズ的作品が配されたプログラム。
ケヴィン・プッツ(1972-):
 もし私が白鳥だったら/トゥ・タッチ・ザ・スカイ/交響曲第4番(#)
  クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ(無伴奏cho.)(#以外)
  マリン・オールソップ指揮ボルティモアso.(#)
 録音:2012年9月-10日、St. Martin’s Lutheran Church, Austin, TX (#以外) /2012年6月11日-14日、 Joseph Meyerhoff Symphony Hall, Baltimore, MD 、ライヴ(#)。なお、国内代理店の記載には『コンスピラーレ (クレイグ・ヘッラ・ジョンソン)』『クレイグ・ヘッラ・ジョンソンが織り成す清澄な歌声が胸に沁みます』等という記載が見られ、何かを勘違いしている可能性がある。『歌劇「サイレント・ナイト」で2012年のピュリッツァー賞を受賞したケヴィン・プッツの作品集。プッツは、同世代作曲家の中でも注目株で、世界の名だたる音楽家たちから作品を委嘱されています。2005年にはジンマンの70歳の誕生日に委嘱依頼を受け、ヨーヨー・マのソロとアスペン音楽祭オーケストラの演奏で「Vision」が初演されました。★このディスクでは、コンスピラーレとテルマ・ハンター・ファンドの委嘱作である無伴奏合唱作品の「もし私が白鳥だったら」と「トゥ・タッチ・ザ・スカイ」を収録。「もし私が〜」はプッツのおばにあたる詩人、フレダ・ブラウンの詩に基づくもので、羽のように軽やかな讃美歌のような作品。「トゥ・タッチ・ザ・スカイ」は、冒頭の歌詞はマニフィカトとなっており、聖母マリアをはじめとする聖女について歌ったもの。★交響曲であるミッション・サン・ファン・バウティスタは、18世紀、スペインのカトリック教会の宣教のためにカリフォルニア州に建てられた教会のひとつ。18世紀、カリフォルニアにはいくつかのこうしたミッションが建設され、ヨーロッパから人や作物・動物などが移動しました。これに伴って発生した疫病などで、アメリカの先住民は少なからず影響を受けました。このサン・ファン・バウティスタは、約21現存する同種の建物の中で最大規模の建物。ミッションの音楽らしく、第1楽章冒頭は聖歌的な導入に始まり、アメリカ先住民の音楽の要素が至るところに聴かれます。指揮をオルソップが務めているという点でも興味深いディスクの登場です。』(以上『内』、代理店記載ママ)
ヘンデル:「偉大な」8つの組曲 HWV.426-433 (1720出版)
 〔第1番 イ長調 HWV.426 /第2番 ヘ長調 HWV.427 /第3番 ニ短調 HWV.428 /第4番 ホ短調 HWV.429 /
  第5番 ホ長調 HWV.430 /第6番 嬰ヘ短調 HWV.431 /第7番 ト短調 HWV.432 /第8番 ヘ短調 HWV.433 〕

 リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2012年9月、ポットン・ホール。使用楽器:ジョエル・カッツマン(アムステルダム)、1991年製作(リュッケルス1638年製モデル)/ピッチa '=442/調律:エガー(18世紀のモデルに則った調律)。L.クープラン全集などパンチの効いた演奏で魅力のエガーによるヘンデルの組曲集。この曲集はロンドンの人々に初めて提示するため、ヘンデルが腕によりをかけた作品で、厚みのあるオーケストラ的サウンド、ヴィルトゥオーゾなイタリア風要素、フランスのスティル・ブリゼ(和音を分散させて書く書法)による華やかな効果など、聴きどころ満載。現代のピアニストもその魅力に惹かれ、リヒテルやキース・ジャレットらが録音しているほどの名曲ながら、なぜかチェンバロ演奏によるものも含め、一般的なレパートリーとしては定着していない。エガーは持ち前の推進力と歌心で第7番のパッサカリアの迫力から、第3番のアルマンドでの繊細な表情まで、ヘンデルの偉大さをあらためて描き出している。
リチャード・エガー〜J.S.バッハ:フランス組曲(全曲 + )
 〔第1番−第6番 BWV 812-817 /
  第2番 ハ短調 BWV 813 より[メヌエット II /クーラント(自筆譜(1722)に基づく)/
                  クーラント(H.N.ゲルベルのコピーに基づく)/
                  クーラント(アンナ・マグダレーナ・バッハによるコピー(1725)に基づく)]

 リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2015年8月、オランダ。「古楽界のバーンスタイン」(米ナショナル・パブリック・ラジオ)とも称されるリチャード・エガー。指揮活動では時に鍵盤楽器を演奏しながらオーケストラを率い、協奏曲ではオルガン、チェンバロ、フォルテピアノ、モダーンピアノを自在に操るソリストとして、そしてもちろん鍵盤楽器独奏者としてもカーネギー・ホールやウィグモア・ホールでリサイタルを開催する鬼才の充実ぶりはとどまるところを知らない。このたび、そんなエガーによる、チェンバロ独奏のバッハのフランス組曲が登場する。愛らしいものから重めのものまで変化に富むこのフランス組曲の個々の曲を慈しむように演奏している。反復記号はすべて実施、エガーならではの流麗で自然な装飾音も魅力。また、第2番ハ短調BWV813で一般に演奏される稿には含まれていないメヌエット II(少数の後期稿にみられる)、およびクーラントの別稿を収録しているのも興味深いところ。ヨハネ受難曲やマタイ受難曲の様々な稿を指揮した経験ももつエガーは、バッハの作品でいくつかの稿が存在する場合、力強さや生々しさがより濃い初期の稿が好きだという。エガーの柔軟な感性に魅了される内容となっている。
ヘンデル:歌劇「忠実な羊飼い」(1712年オリジナル版)
 デイヴィッド・ベイツ指揮ラ・ヌォヴァ・ムジカ
 [ルーシー・クロウ、アンナ・デニス、キャサリン・マンリー(S) マデリン・ショウ(Ms)
  クリント・ファン・デア・リンデ(CT) リザンドロ・アバディー(B)]
 録音:2010年8月、テンプル教会、ロンドン。ヨーロッパを中心に活動する今注目の団体ラ・ヌォヴァ・ムジカが、ヘンデルのオペラ「忠実な羊飼い」を全曲収録。1712年オリジナル版での世界初録音ということで、ロンドンで開催されるヘンデルフェスティヴァルでも大きな話題となった注目のCD。「忠実な羊飼い」は「リナルド」で華々しいロンドンデビューを果たしたヘンデルが1712年に作曲したオペラ。本作もロンドンで上演されている。舞台は羊飼いやニンフが住まう理想郷アルカディア。男女のカップルがお互いに相手の不倫を疑い始めてしまったことから悶着が始まるも、最終的には大団円を迎えるというお決まりの展開。前作の「リナルド」に比べると、この「忠実な羊飼い」は柔らかな響きに満ちた作品。しなやかなアリアの旋律に心癒される。ヘンデルファンなら聴き逃せない、希少な名盤。
 デイヴィッド・ベイツ率いるラ・ヌォヴァ・ムジカはロンドンを中心に活躍する演奏団体。アンナ・デニスやクリント・ファン・デア・リンデなど、そうそうたるメンバーで構成されている。今後ますますの注目が期待されるイギリス出身の若手ソプラノ歌手、ルーシー・クロウの瑞々しい歌声にも注目。芯の通った艶のある歌声でアリアを華やかに歌いあげている。素晴らしい音響を持つロンドンのテンプル教会に響き渡る、ソリストたちの柔らかくも輝かしいアリアの響きを存分に堪能出来る。
HMU-807587
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヴィヴァルディ:主は仰せになられた(ディキシト・ドミヌス)RV.807 /
         モテット「いと正当なる怒りの激しさに」RV.626
ヘンデル:主は言われた(ディキシト・ドミヌス)HWV.232
 ルーシー・クロウ(S) デイヴィッド・ベイツ指揮ラ・ヌォヴァ・ムジカ
 録音:2012年3月、リンドハースト・ホール、エア・スタジオ、ロンドン。ヴィヴァルディとヘンデルの詩篇109篇(ディキシト・ドミヌス)に基づく作品を収録。ヘンデルの「ディキシト・ドミヌス」はイタリアに滞在していた若き日1707年作曲された見事な野心的な作品。そしてヴィヴァルディの「ディキシト・ドミヌス」は生き生きとした軽やかな作品で、長らくガルッピの作品として誤って伝えられていたが、現在は1730年頃作曲されたヴィヴァルディの作品とされている。モテット「いと正当なる怒りの激しさに」はソプラノ・ソロのための輝かしい作品。「イタリア時代のカンタータとアリア」(HMU-907559)で注目されたソプラノ歌手ルーシー・クロウの鮮やかな美声が響く。
HMU-807588
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
セバスティアン・ド・ブロサール(1655-1730):
 昇階唱のための交響曲〔ニ長調 SDB.229 /ト短調 SDB.228 〕/
 トリオ・ソナタ ニ長調 SDB.221
マルカントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704):
 聖ペテロの否認 H.424 /アブラハムの生贄 H.402
カリッシミ(1605-1674):エフタの物語
 デイヴィッド・ベイツ指揮ラ・ヌオヴァ・ムジカ
 録音:2014年1月、2012年10月。カリッシミの「エフタの物語」は、音楽史上最初の劇的オラトリオとも言われる屈指の傑作。美しい声楽パート、充実した器楽、そして物語を劇的に表現する、場面ごとの効果的な編成は、群を抜いているといえるだろう。エフタの物語は、旧約聖書からとられた物。勇者エフタが、むずかしい戦いに挑んでいたとき、「自分が故郷に帰ったときに最初に会った人物を神にささげる」と誓いをたて、戦いに勝利するが、実際に帰ったときに会った最初の人物は、自分のたった一人の娘だったが、誓いを守って娘を神に捧げた、という物。この「犠牲」をテーマに、シャルパンティエやブロサールの作品を集めて1枚にしたのがこのCD 。デイヴィッド・ベイツが、自身オルガンを演奏しながらアンサンブルを見事に導き、犠牲の物語につけられた美しい音楽を柔らかに再現している。
J.S.バッハカンタータ集
 〔第54番「罪に手むかうべし」 BWV.54 /第170番「満ち足れる安らい、うれしき魂の悦びよ」 BWV.170 〕

ペルゴレージ(1710-1736):
 ソプラノ、アルト、弦楽と通奏低音のための「スターバト・マーテル」(#)
 ティム・ミード(CT) ルーシー・クロウ(S;#)
 デイヴィッド・ベイツ指揮ラ・ヌオヴァ・ムジカ
 録音:2016年4月。 バッハのカンタータの中でも名作として人気が高い第54番(1714年)と第170番(1726年)は、どちらもアルト・ソロのためのカンタータ。ペルゴレージの名作「スターバト・マーテル」(1736年)との組み合わせという魅力的なプログラムのディスク。カウンターテナーのティム・ミードはキングズ・カレッジのメンバーとしてキャリアをスタートした歌手で、ヨーロッパおよびアメリカのオペラ・ハウスで活躍している。2007年結成のラ・ヌオヴァ・ムジカはヘンデルのオペラなど、声楽レパートリーに力を入れている団体。
HMU-807590
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
A Royal Trio 〜ローレンス・ザゾ、バロック・オペラ・アリア集
 ヘンデル:「フラーヴィオ」〜罠を砕き/「ジューリオ・チェーザレ」〜物音立てずに進む/
      「アドメート」より〔序曲/亡霊たちのバレエ〜導入/恐ろしい亡霊/閉じよ我が目よ/第2幕シンフォニア〕/
      「オットーネ」より〔私は裏切られた/多くの苦悩が〕/「ロデリンダ」〜生きよ、暴君め
 ジョヴァンニ・バッティスタ・ボノンチーニ(1670-1747):
  「クリスポ」より〔巡礼者はこのように疲れ/落ちていく急流は〕/
  「グリゼルダ」〜あなたを崇める栄光のため/「ムツィオ・シェヴォラ」〜傷ついた虎は
 アッティーリオ・マラキア・アリオスティ(1666-1729頃):
  「ヴェスパシアーノ」序曲/「近くの遭難者」〜波は荒れ、風は音を立て/
  「コリオラーノ」より〔ああ、邪悪な大理石め、不吉な亡霊め/あまりにも惨めな息子の〕

 ローレンス・ザゾ(CT) デイヴィッド・ベイツ指揮ラ・ヌオーヴァ・ムジカ
 録音:2014年1月、ロンドン。米国を代表するカウンターテナー、ローレンス・ザゾのバロックオペラ・アリア集。お得意のヘンデルを中心に、ボノンチーニ、アリオスティの作品を収録。この三人はいずれも同時期にロンドンで活躍しており、ここに収録されているのも1719年から1729年にかけてロンドンで初演されたオペラの曲ばかり。原題の A Royal Trio は、ロンドンでオペラ興行を行っていたロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックで活躍した三人組、といった意味。ヘンデルばかりが知られているが、ボノンチーニもアリオスティも優れた音楽を提供していたことが分かる。ザゾは1970年、フィラデルフィア生まれ。英国で声楽を学び、柔らかい美声で高い人気を誇っている。録音も非常に多く、特にルネ・ヤーコプスは、ヘンデル:リナルド、サウル、メサイア、スカルラッティ:グリゼルダの録音でザゾを起用するほど重用している。なお Zazzo のカナ表記はザッゾやザッツォになっている場合もあるが、この姓の多いアメリカ合衆国東海岸では、カタカナのザゾとほぼ同様に発音されている。指揮者のデイヴィッド・ベイツも実はカウンターテナー歌手。2007年、英国でラ・ヌオーヴァ・ムジカを創設、以来指揮者としても活躍しており、ラ・ヌオーヴァ・ムジカは数年のうちに高い評価を得ている。HYBRID_SACDでの発売。録音の良さでも楽しめる。
J.S.バッハ:イギリス組曲 BWV.806-811(全6曲) リチャード・エガー(Cemb)
 録音:2011年9月、イギリス、サフォーク、ポットン・ホール。使用楽器: Joel Katzman, アムステルダム、1991年製作〔1638年、リュッケルス・モデル〕。鍵盤楽器の名手リチャード・エガーによる「イギリス組曲」全曲。「イギリス組曲」の特徴は1曲目に長い「プレリュード」が置かれているという点。特に第6組曲のプレリュードは約9分と全体の中で最もスケールの大きい曲。エガーは各プレリュードを霊感に満ちた素晴らしい演奏で聴かせる。またバッハは全曲通しての構想も考えており、全6曲の主音を並べると「ラ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ」となり、ドイツ人が愛好するコラール「イエス、わが喜び」の冒頭となる。「イギリス組曲は舞踏組曲の中でも価値ある作品であり、バッハが仕掛けた精緻な技を完璧に表現するには、全曲録音に大きな意味がある。またそれを実行するに相応しい俊敏さ、柔軟性と想像力を兼ね備えた信頼できるパートナー(カッツマン作のチェンバロ)と最高の録音が出来た」とエガーは語っている。エガーは6つの組曲のそれぞれの世界を描き分け、且つバッハの鮮やかな様式美を堪能できる録音となっている。
エガー〜J.S.バッハ:パルティータ(全曲)
 〔第1番 変ロ長調 BWV.825 /第3番 イ短調 BWV.827 /第2番 ハ短調 BWV.826 /
  第5番 ト長調 BWV.829 /第4番 ニ長調 BWV.828 /第6番 ホ短調 BWV.830 〕

 リチャード・エガー(Cemb|
 録音:2016年1月。使用楽器:ジョエル・カツマン(アムステルダム)、1991年製〔モデル:リュッケルス、1638年〕。 フランス組曲(HMU-907583)でも高い評価を得たエガーによる、バッハのパルティータ全曲の登場。パルティータは、バッハにとっての作品1、すなわち初めて出版された作品。1726年に第1番を、以降毎年第2番、第3番と1曲ずつ出版。1731年にまとめて6曲の曲集「パルティータ」として出版された。当時の人々の趣味に沿うように組曲の形式をとりながら、その1曲1曲がひらめきと霊感に満ちた力作ぞろい。エガーはすべての反復記号を実施、反復時になんとも密度の濃い装飾を施しており、反復であることを忘れさせる。エガーの冴えわたるひらめき、そしてそのひらめきをあますところなくとらえた濃密な録音は見事。バッハの作品を論じるときにしばしば用いられる「数字」。このディスクでも、エガーは自身でライナーノートを書いているが、この数字をベースに興味深い文章を寄せている。BACHをアルファベットの文字順に数えると[2,1,3,8]となる。第1番のプレリュードは21小節、アルマンドは38小節から成り、バッハは自身の名前を刻印するかたちで組曲の幕を開けたことにはじまり、第6番でも小節数や和音の種類など、様々な数字の意味について述べている。もちろんそんな分析的なことを抜きにして、エガーの鮮烈かつ説得力満点の演奏に圧倒される2枚組。
HMU-807595
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ハプスブルク家の音楽
 クリストバル・デ・モラレス(1500頃-1553):神のうちに喜べ
 トマ・クレキヨン(1505頃-1557):キリスストのしもべ、アンドレアス
 トマス・タリス(1505頃-1585):使徒は様々な言語で主を讃美した
 ジョスカン・デ・プレ(1440頃-1521):1000の後悔 / ニコラ・ゴンベール(1495頃-1560頃):私の魂/1000の後悔
 ルートヴィヒ・ゼンフル(1486頃-1543頃):我々の目に涙をもたらすもの
 ピエール・ド・ラ・リュー(1460-1518):おおアブサロムよ
 ヤーコプ・クレメンス・ノン・パパ(1510頃-1555頃): Carole magnus eras
 アロンソ・ロボ(1555-1617):私のハープは / ハインリヒ・イザーク(1450頃-1517):賢き処女が

  スティレ・アンティコ
 録音:2013年10月。欧米で非常に高い人気を誇る無伴奏声楽アンサンブル、スティレ・アンティコ9枚目のリリース。ハプスブルク家といえば、11世紀から20世紀初頭にかけての長きにわたり、ヨーロッパに君臨する一族だった。その権力を極めたマキシミリアン1世の宮廷作曲家イザークをはじめ、同家に仕えた、あるいは何らかのかたちで関わった作曲家たちの作品を集めたのがこのCD 。スティレ・アンティコの清冽な澄んだアンサンブルが冴えわたる。
フィリップ・グラス、ニコ・マーリー
 ニコ・マーリー(1981-):4つの練習曲/オネスト・ミュージック
 フィリップ・グラス(1931-)/アレクサンドラ・ドゥ・ボワ編曲:
  マッド・ラッシュ(2つのヴァイオリン版)/イン・ザ・サマーハウス(2つのヴァイオリン版)

 アンジェラ・チュン、ジェニファー・チュン(Vn) ニコ・マーリー(P/キーボード)
 録音:2014年7月。フィリップ・グラスと、彼に影響を受け、深い親交を持つニコ・マーリーの作品集。マーリーの「4つの練習曲」は、本CDの演奏を手掛けるアンジェラ&ジェニファー・チュンのために書かれた曲。2台のヴァイオリンが絡み合う中、鍵盤楽器による保続音が単調に響く。このCDでは2台ヴァイオリンと、作曲者本人によるピアノとオルガンで演奏される。グラスの「イン・ザ・サマーハウス」は劇作家ジェイン・ボウルズの脚本を93年にニューヨークで再演する際に書かれた。全17曲(2台ヴァイオリン版では9、10曲目は無し)からなるこれらの曲は、元々はヴァイオリンとチェロのために書かれたが、アンジェラ&ジェニファー・チュンのために近年ヴァイオリン2台用に編曲され、このCDでは2台ヴァイオリン版での演奏が収録されている。シューベルトを思わせるような旋律や、バルトークのような激しさ、バロック音楽のような優雅さなど、様々な音楽様式の素材が短い時間内に凝縮された作品。「マッド・ラッシュ」は1981年ニューヨークで行われたダライ・ラマの演説に際して作曲され、グラス本人がオルガンで初演した曲。このCDでは2台のヴァイオリン版で演奏される。
HMU-807603
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ジョビー・タルボット(1971-):奇跡の道〔ロンセスバリェス/ブルゴス/レオン/サンティアゴ〕
 クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ
 録音:2014年1月。キリスト教の聖地、スペインのサンティアゴ巡礼の旅にインスパイアされたイギリスの作曲家タルボットが書いた合唱曲「奇跡の道」。サンティアゴ巡礼の起点であるロンセスバリェスに始まり、巡礼路の要所ブルゴスやレオン王国の都でもあったレオンを経由し、最期はサンティアゴにたどりつく内容。神々しい不思議な力強さに満ちた作品。
What becomes 〜トーマス・ラルヒャー(1963-):
 Smart Dust (2005) / Poems (1975-2010) / What Becomes (2009) / A Padmore Cycle (2010-2011) (*)
  タマラ・ステファノヴィッチ(P) マーク・パドモア(T;*) トーマス・ラルヒャー(P;*)
 瞑想的なハーモニーと内部奏法などの演奏技術の融合が魅力の作曲家、トーマス・ラルヒャー。ピアノに新たな光をあてたいと考え、プリペアード・ピアノ、そして時にはピアノ弦を直接触って奏でることによって新しい表現の可能性を模索したという。静謐な世界の中で内部奏法が印象的に鳴り響く「Smart Dust」や、アンスネスにインスパイアされて書かれた「What becomes」、「Poems」などのピアノ作品は世界初録音。「A Padmore Cycle」は、ラルヒャーの故郷の山や風景をうたったテキストに付曲した物。パドモアを、その声で音楽の外の世界へと共に旅に出る同志と語るラルヒャー。二人の共演に注目。トーマス・ラルヒャーはインスブルック生まれの作曲家。ウィーンでピアノと作曲を学んだ。当初はピアニストとして活躍、アバド、ブーレーズ、ヴェルザー=メストらと共演を重ねる傍ら室内楽やピアノ・ソロ作品を書いていた。1998年以降、作曲家としての活動が中心となっ ていく。多くのBBC響をはじめとする多くのオーケストラ、ベルチャ・カルテットなどの室内楽グループ、そしてアンスネス、マティアス・ゲルネ、パドモア、ムローヴァらのために作品を書いている。これまでにECMより5枚CDをリリースしている。
第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール〜金賞:ヴァディム・ホロデンコ
 ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの三章(*) / リスト:超絶技巧練習曲集(#)
  ヴァディム・ホロデンコ(P)
 録音:2013年5月28日(*)、6月3日(#)、バス・パフォーマンス・ホール、フォートワース、テキサス州、ライヴ。14回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール、第1位は、1986年生まれのウクライナのピアニスト、ヴァディム・ホロデンコ。併せて室内楽賞と新曲課題曲も受賞。2010年に行なわれた第4回仙台国際コンクール、ピアノ部門でも優勝した注目株。モスクワ音楽院でゴルノスタエヴァに師事したホロデンコは、正統派ロシア・ピアニズムを継承する大型ヴィルトゥオーゾだが、音色は明るく、分厚い和音でさえ重くならない爽やかさが特徴。ここに収められた2篇は、ストラヴィンスキーが5月28日の1次予選、リストが6月3日のセミ・ファイナルのライヴ。いずれもピアノ音楽中の最難曲ながら、ホロデンコは鮮やかなテクニックとボルテージの高さを披露して、聴衆を興奮の渦に巻き込んでいる。全体にテンポは速く、恐るべき難所でも難しそうに聴こえないのが凄いところ。
第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール〜銀賞&聴衆賞:ベアトリーチェ・ラナ
 シューマン:交響的練習曲 Op.13 / ラヴェル:夜のガスパール / バルトーク:野外にて
  ベアトリーチェ・ラナ(P)
 録音:2013年5月27日、バス・パフォーマンス・ホール、フォートワース、テキサス州、ライヴ。第2位は1993年生まれ、弱冠20歳のイタリア美人ベアトリーチェ・ラナ。2011年にモントリオール国際コンクール優勝、2012年には浜松国際ピアノアカデミー・コンクールで牛田智大とともに1位を分け合うなど、輝かしい経歴を誇っている。ここに収められた演奏は1次予選の物だが、非常に知的な音楽性を感じさせるのと同時に、イタリア人ならではの歌心と明るい音色が魅力。またバルトーク作品でみせるノリの良さにも注目。人気者になりそうな逸材。
第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール〜クリスタル賞:ショーン・チェン
 ブラームス:自作の主題による変奏曲 Op.21 No.1 / バルトーク:3つの練習曲 Op.18
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 Op.106「ハンマークラヴィーア」
  ショーン・チェン(P)
 録音:2013年5月29日、6月1日、バス・パフォーマンス・ホール、フォートワース、テキサス州、ライヴ。第3位は1988年フロリダ生まれの中国系ピアニスト、ショーン・チェン。ジュリアードでジェローム・ローエンタール、マッティ・ラエカッリョに師事。非常な技巧派で、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア・ソナタ」やバルトークの「3つの練習曲」などの超難曲を楷書風に堂々と披露しているが、聴き手の心をつかむ独特のきらめきがある。バルトークの「3つの練習曲」は、彼の作品の中でもとりわけ技巧的に難しく、また内容も現代的で過激。チェンの正確無比な演奏で聴くと、非常な傑作に思え興奮させられる。
スティーヴ・ライヒ(1936-):18人の音楽家のための音楽(1974-76)
 〔 Pulses / Section / Section II / Section III A / Section III B / Section IV / Section V /
   Section VI / Section VII / Section VIII / Section IX / Section X / Section XI / Pulses 〕

 ブラッド・ラブマン音楽監督アンサンブル・シグナル
 録音:2011年3月9日-12日、EMPAC コンサートホール。この作品によって20世紀の音楽シーンの歩む道が大きく決定づけられたといっても過言ではないライヒの「18人の音楽家のための音楽」。ミニマル・ミュージックのもはや古典とも呼べる存在の記念碑的作品となっている。アンサンブル・シグナルは2008年にデビュー、ニューヨークを本拠地としている団体。これまでに20作の新作の初演を手がけ、5つの録音をリリースしている。ニューヨーク・タイムズ紙にも「one of the most vital groups of its kind (この種の中でもっとも活発なグループのひとつ)」と絶賛されている。ハルモニアムンディでのデビューとなる当盤で彼らが選らんだのは、スティーヴ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」。グループの音楽監督であるブラッド・ラブマンは、現代音楽のスペシャリストで、アンサンブル・モデルンの「18人」の録音を指揮、20年以上にわたってライヒとも仕事をしてきた人物。アンサンブルのメンバーのほとんどはライヒの作品が初演された頃にはまだ生まれていなかったという若い世代で、ライヒの音楽が物心ついた時にはそばにあった世代。ひとつのミニマル音型が次第に増幅され、また一つになる・・・といった一連の流れが実に自然で、トランス状態で聴き入ってしまう。ライヒの記念碑的作品に、新しい名盤の登場となった。
HMU-807610
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
キャロル集〜新旧大陸の聖歌 Vol.3
 [聖歌] アンティフォナI: O Sapientia / O come, all ye faithful 〔神の御子は〕/ Remember, O thou man
 [聖歌] アンティフォナ II : O Adonai / ポール・ヒリアー: Adam lay ibounden / Gandete! Christus est natus
 ヘンリー・カウエル: Sweet was the song the Virgin sung / [聖歌] アンティフォナIII : O Radix Jesse
 ジェラルド・バリー: Carol / [伝承] Heissa, Bauma / [聖歌] アンティフォナ IV : O Clavis David
 ヨハン・クリストフ・バッハ: Merk auf, mein Herz / [聖歌] アンティフォナ V : O Oriens
 ヨセフ・スティーヴンソン: If angels sung a Savior 's birth / ダニエル・リード: Winter
 [聖歌] アンティフォナ VI : O Rex Gentium / [伝承] Gesù bambin l 'è nato / Away in a manger
 Eamonn Ó Gallc HobhaiR; An Tietheadh go hÉgipt / [伝承] Suantrai ar Slanaitheora
 アンティフォナ VII : O Emmanuel / Behold a silly tender babe / Ding Dong Merrily on High

  ポール・ヒリアー指揮アイルランド室内cho.
 録音:2012年6月、2014年1月。ポール・ヒリアー最新盤は、喜びにあふれたクリスマス・キャロル集。7曲収録されているアンティフォナは古くから伝わる聖歌で、すべて待降節にまつわる物。ほかにも、アイルランド、アメリカ、ヨーロッパ中・東部の近代の作曲家によるものまで幅広く網羅している。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン:歌曲集
 ハイドン:6つの創作されたカンツォネッタ第2集〜彼女は決して恋について話さない Hob.XXVIa: 34 /
      聞いて下さい、私があなたに言うことを Hob.XXVLA; 41(精霊の歌)/
      おとめの問いへの答え「私を忘れないで」 Hob.XXVLA; 46
 モーツァルト:すみれ K.476 /ラウラに寄せる夕べの思い K.523 /
        ドイツ語の小カンタータ「無限なる宇宙の創り主を崇敬する汝らが」K.619
 ベートーヴェン:5月の歌 Op.52 No.4 /新しき愛、新しき生命 Op.75 No.2 /メフィストの蚤の歌 Op.75 No.3 /
         アデライーデ Op.46 /独りごと WoO.114 /あきらめ WoO.149 /希望に寄す Op.94 /
         連作歌曲「遥かなる恋人に寄す」 Op.98(全曲)/星空の下での夕べの歌 WoO.150

 マーク・パドモア(T) クリスティアン・ベザイデンホウト(Fp)
 録音:2014年5月。使用楽器:ローゼンベルガー、1820年頃製〔調律: A-430、不等分平均律〕。マーク・パドモアとベザイデンホウトという、なんとも贅沢な顔合わせによる歌曲集の登場。シューマン:詩人の恋、リーダークライス他(HMU-907521、2010年録音)以来の録音共演。パドモアは、BPOのマタイ受難曲(KKC-9101)、ヨハネ受難曲(KKC-9098)でも世界的に話題となった、イギリスの名テノール。2014年末には東京・王子ホールでもポール・ルイスとシューベルトの三大歌曲を披露、大変な評判となった。パートナーをつとめるフォルテピアノの天才、ベザイデンホウトは、モーツァルトの鍵盤作品集を着々とリリース、どれも高い評価を得ている。ベザイデンホウトの奏でる前奏から、歌曲の世界が色鮮やかに眼前に浮かび上がる。ハイドン歌曲は英語。パドモアにとっては母国語とあって、美しい発語・発音が際だっている。モーツァルトの「すみれ」でのベザイデンホウトの伴奏は絶品。パドモアも、ひとつひとつの言葉を慈しむように語り歌う。ベートーヴェンの「遥かなる恋人に寄す」も遠くにいる恋人への想いが豊かなイメージとともに伝わって来る。
Lux de caelo 〜クリスマスのための音楽
 ブリテン:みどりごはお生まれになった Op.3 / ウィリアム・マティアス:みどりごが生まれた
 メンデルスゾーン:6つのアンセム Op.79 〜第1番聖夜「喜べ、もろびと」
 伝統キャロル/レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ編曲:天からの真実
 バスク地方の伝統キャロル/エドガー・ペットマン編曲:ガブリエルのメッセージ
 ミヒャエル・プレトリウス(1571-1621):暁の明星のいかに美しきかな/ Quem pastores laudavere /
                    Es ist ein 'Ros' entsprungen /甘き喜びのうちに(8声)
 J.S.バッハ:甘き喜びのうちに BWV.368 / ジル・スウェイン(1946-):コヴェントリー・キャロル Op.77 No.4
 ジョン・タヴァナー(1944-2013):神の母への讃歌 / グレアム・ロス(1985-): Lullay, my liking
 スペイン伝承曲/ノア・グリーンバーグ編曲:リウ・リウ・リウ
 イタリア伝承曲/グレアム・ロス編曲: Tu scendi dalle stele
 オーストリア伝承曲/グレアム・ロス編曲: Still, still, still / ヴェーベルン(1883-1945):イエスよ、ねむれ
 フランス伝承曲/デイヴィッド・ウィルコックス編曲: Wuelle est cette odeur agréable?
 ジョン・ラター(1945-): Nativity Carol / シェーンベルク(1874-1951):地には平和を

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.、ドミトリー・アンサンブル
 録音:2013年1月。名門ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団による、クリスマスにちなんだ合唱作品集。古くはプレトリウスのものから、現代の作曲家によるものまで、さらには伝承キャロルも含んだ、祝祭的な雰囲気から厳粛な雰囲気まで様々な作品が並ぶ。また、作品ごとに編成も大小さまざまにかえている。
悲しみの聖母は立ちぬ
 聖歌:スターバト・マーテル・ドロローサ / トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611):おお、すべての人よ
 ラッスス:私の魂は死ぬほどに悲しい / 聖歌:ああなんと悲しく打ちのめされたか
 トマス・タリス(1505-1585):断食し、泣きつつ司祭は祈れり
 ジョン・ステイナー(1840-1901):神はそれほどにこの世を愛された
 聖歌:涙をこぼさないものがあるだろうか / カルロ・ジェズアルド(1566-1613):わが眼は曇り果てたり
 グレアム・ロス(1985-):あなたと共に悲しませて下さい / 聖歌:その民の罪のために
 ジョン・サンダーズ(1933-2003):非難 / 聖歌:さあ、御母よ、愛の泉よ
 アントニオ・ロッティ(1667-1740):十字架にかけられ(8声) / 聖歌:聖なる母よ、どうかお願いします
 J.S.バッハ:主は最期の時に臨んでも / ウィリアム・バード(1540頃-1623):アヴェ・ヴェルム・コルプス
 聖歌:あなたと共にまことに涙を流し / トマス・タリス:世を救い給えI
 ブルックナー:キリストはこうあらせられた / 聖歌:いと清き乙女のなかの乙女よ
 ウィリアム・バード:主よ、どうかひどく怒らないで下さい / 聖歌:どうかその傷を私に負わせて下さい
 グレアム・ロス:私はあなたに懇願する / 聖歌:キリストよ、私がこの世を去る時には
 デュリュフレ(1902-1986):愛のあるところ

  グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.
 録音:2013年7月。イエス・キリストの受難と、それを嘆く聖母マリアの悲しみをうたったスターバト・マーテル。中世から伝わる聖歌と、後世の人々がスターバト・マーテルのテキストおよびそれから派生したテキストに付曲したものを並べたものが、このアルバム。すべて無伴奏合唱で、清廉きわまりない歌声によるハーモニーは絶品。聖母マリアの悲しみ、イエスの受難に心静かに思いを馳せたい1枚。
 #本体表記は HMU-907616 ですが、国内代理店が HMC-907616 としてしまっているため、こちらで受注致します。
Requiem - Music for All Saints & All Souls 〜ビクトリア:レクイエム/他
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611): O quam gloriosum
 エルネスト・バロック(1890-1979): Give us the wings of faith
 リチャード・デリング(1580頃-1630): Factum est silentium
 ケネス・レイトン(1929-1988): Give me the wings of faith
 チャールズ・ヴィリアース・スタンフォード(1852-1924): Justorum animae
 エドガー・ベイントン(1880-1956): And I saw a new heaven
 ウィリアム・バード(1543-1623): Justorum animae
 アロンソ・ロボ(1555-1617): Versa est in luctum
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア: Officium defunctorum(レクイエム)
  グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.、ドミートリー・アンサンブル
 録音:2014年2月17日、3月20日、22日。名門ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団による、スペイン・ルネサンス期の最高傑作として名高いビクトリアのレクイエム(6声部)のほか、聖人たちのお祝いのための音楽。ダイナミクス豊かな演奏に酔いしれる1枚。
HMU-807618
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価格帯:B
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」 変ロ長調 Op.11 (*)
ウェーバー:クラリネットとピアノのための協奏的大二重奏曲 変ホ長調 Op.48
ブラームス:クラリネット三重奏曲 イ短調 Op.114 (*)
 ジョン・マナシー(Cl) ジョン・ナカマツ(P) クライヴ・グリーンスミス(Vc;*)
 録音:2013年12月、ニューヨーク。クラリネットの現代屈指の名手の一人ジョン・マナシーによる、それぞれが当時のクラリネット名手のために書いた三作品というプログラム。今回も、ピアノは1997年ヴァン・クライバーンコンクール優勝経験をもつジョン・ナカマツ。三重奏のチェロ奏者には、2013年6月をもって解散した東京クァルテットで最後のチェロ奏者を務めていた、室内楽を知り尽くした名手クライヴ・グリーンスミスを迎えている。ベートーヴェンでは、名手三人の息の合ったアンサンブルが光る。ウェーバーの協奏的大二重奏曲は、クラリネットにも超絶技巧が要求されるだけでなく、ウェーバー自身名ピアニストだったこともありピアノ・パートも華やかな技巧に満ちた難曲だが、マナシーとナカマツの完ぺきな演奏で堪能できるのは嬉しい限り。ブラームスでは、クラリネットならではの蜂蜜のような甘くなめらかな音色に心奪われる。
ジョン・ハービソン(1938-):
 弦楽三重奏曲 (2013) /無伴奏ヴァイオリンのための4つの孤独な歌(1985) / SONGS AMERICA LOVES TO SING (2004)
  カメラータ・パシフィカ団員 エイドリアン・スペンス(Fl)
  ホセ・フランク=バッレスター(Cl) ポール・ファン(Vn)
  アニ・アズナヴォーリアン(Vc) ウォーレン・ジョーンズ(P)
 録音:2014年1月、5月。ジョン・ハービソンは、アメリカが世界に誇る作曲家のひとり。交響曲(6曲)、オペラ(3作)、協奏曲(12曲)、ほかにも5曲の弦楽四重奏曲や大規模な合唱作品などを作曲している、アメリカの大御所。シカゴso. 、NYPなどから委嘱作品多数、レヴァインのメトロポリタン歌劇場就任25周年のために歌劇「華麗なるギャツビー」を作曲、さらに「ヨハネパウロ二世即位25周年を記念する和解のコンサート」のためにも声楽作品を作曲、アメリカ内外の大きな仕事を多数手がけてきた。今回は、カメラータ・パシフィカの委嘱作でもある「 STRING TRIO 」のほか、ソロとカノンが楽しめる「 SONGS AMERICA LOVES TO SING 」、無伴奏ヴァイオリン作品「 FOUR SONGS OF SOLITUDE 」が収録されており、ハービソンの精緻な世界を楽しむことが出来る。演奏を手掛けるのはアメリカの西海岸を中心に活躍する、トップ・クラスのアーティストが終結したアンサンブル、カメラータ・パシフィカ。アメリカの精鋭陣が、アメリカを代表する作曲家の作品を真摯に奏でている。
HMM-807620
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価格帯:B
神の劇場〜ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):モテット集
 Gaudete in Domino / Hoc enim sentite in vobis / Saule, Saule / Vox in Rama audita est /
 Amen, amen dico vobis / Egressus Jesus / Peccavi super numerum / O Crux ave, spes unica /
 Ascendente Jesu in naviculam / Virgo Maria hodie ad coelum /
 Quiescat vox tua a ploratu / Deus iustus, et salvans / O altitudo divitiarum

 スティレ・アンティコ
 録音:2016年3月-4月、オール・ハロウズ教会、ロンドン。ルネサンス音楽の中心地フランドルに生まれ、バロック音楽が産声を上げるイタリアで人生の大半を過ごしたジャケス・デ・ヴェルトは、マドリガーレにおいて、ルネサンスの完成されたポリフォニー書法とモンテヴェルディが創り上げた新世代の書法、その間を見事に繋ぐ音楽を残しました。また個性的かつ劇的なモテットを残したことでも知られ、ここに収録されている楽曲も高度で巧妙なポリフォニー書法と心に訴えかける素直な美しさが同居した名品ばかり。「いにしえのスタイル」の名を持つイギリスの声楽アンサンブル、スティレ・アンティコによる晴れやかで透明なア・カペラ合唱 も素晴らしく、聴いてうっとりとする1枚。
Ascendit Deus
 ピーター・フィリップス:主は昇天せり / ヴォーン・ウィリアムズ:おお、手を叩け
 パトリック・ゴワーズ:ガリラヤの人 / ブレット・ディーン:声が聴こえたか?
 ニコ・マーリー:世界のすべてに歌わせよ / ジェラルド・フィンジ:神は召された
 スタンフォード:今日、栄光へ召された / フランク・マルタン:ミサ曲〜クレド
 グレアム・ロス:私は父のもとに昇天する / ジュディス・ウィアー:昇天
 ジョナサン・ハーヴィー:来たれ、聖なる亡霊 / グリーグ:「ペール・ギュント」〜ペンテコステの讃美歌
 エルガー:「使徒たち」〜主は霊である / ジャイルズ・スウェイン:神は召された

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.、ドミートリー・アンサンブル
 録音:2014年4月、聖アルバン教会大聖堂。イギリスの俊英グレアム・ロスが、手兵ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団とドミートリー・アンサンブルを共演させた待望のアルバム。古くは16世紀のピーター・フィリップスから、1980年代生まれのニコ・マーリーやグレアム・ロスまで400年の音楽が違和感なく並べられている。いずれも心洗われるような清々しさで、合唱の美しさにたっぷり浸れる。ヴォーン・ウィリアムズ、マルタン、スタンフォード、グリーグ、エルガーなどクラシックの大作曲家から、ビョークとのコラボで知られるニコ・マーリーや、アフリカ系音楽を素材にユニークな創作を展開するジャイルズ・スウェインまで多彩。ドミートリー・アンサンブルが加わり、映画音楽のような世界を繰り広げる。
ヘンリー・マンシーニ(1924-1994):「ピーター・ガン」の音楽集
 ピーター・ガンのテーマ/ソータ・ブルー/ The Brothers Go to Mother's /ドリームスヴィル/
 セッション・アット・ピートズ・パッド/ソフト・サウンズ/フォールアウト/放浪者/
 スロー・アンド・イージー/プロファウンド・ガス/ブリーフ・アンド・ブリージー/
 My Manne Shelly /ブルー・スチール/母のためのブルース/ Spook /ピーター・ガンのテーマ(繰り返し)

  スティーヴン・リッチマン指揮ハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク
 録音:2012年6月。「ピーター・ガン」はアメリカで1958年から61年にかけて放映された私立探偵TVドラマ。主人公であるピーター・ガンは、どんな難問題もクールに解決する名探偵。乱闘シーンの後でもスーツにシワひとつ寄らず髪の毛も乱れない、超ダンディという設定。依頼人と会うのは「Mother 's」というジャズが流れる水辺のロードハウス。回によって様々なジャズが流れ、ストーリーと音楽の両方で、放映当時から爆発的な人気を誇り、いまでも欧米で幾度となく再放送されているという。この音楽を手掛けたのがヘンリー・マンシーニ。マンシーニといえば、「ムーン・リバー」(オードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」主題歌、アカデミー賞歌曲賞受賞)や、「ピンク・パンサー」、「ひまわり」のテーマなどなど、誰もがどこかで耳にしたことのあるものばかり。この「ピーター・ガン」の音楽も、どれもピーター・ガンが愛したジャズ風の音楽で、どこか懐かしさがあり、それでいて今なお新鮮味をも併せ持った、非常にカッコよく魅力的なものとなっている。特に、「ピーター・ガンのテーマ」は現在放送されているコーヒーのTVCMでも最後の方でも使用されていて、聴けばすぐにわかる超有名曲!演奏しているのは「くるみ割り人形」のデューク・エリントンのアレンジ版(HMU-907493)などでも楽しませてくれたハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク。ジャズ好きの方、映画音楽ファンの方も必携の、楽しい1枚の登場。
ウィリアム・ロウズ(1602-1645):リラ・ヴィオールのための独奏作品全集
 前奏曲 Prelude (VdGS No.435) /カントリー・コール Country Col (VdGS No.421) /ジーグ A Jigge (VdGS No.422) /
 アルメイン Almain (VdGS No.491) /コラント Coranto (VdGS No.512) /アルメイン Almain (VdGS No.461) /
 コラント Coranto (VdGS No.423) /エアー Air (VdGS No.596) /アルメイン Almain (VdGS No.462) /
 コラント Coranto (VdGS No.424) /アルメイン Almaine (VdGS No.511) /コラント Coranto (VdGS No.513) /
 サラバンド Saraband (VdGS No.514) /アルメイン Almain (VdGS No.463) /コラント Coranto (VdGS No.465) /
 サラバンド Saraband (VdGS No.467) /アルメイン Almain (VdGS No.543) /コラント Coranto (VdGS No.541) /
 アルメイン Almaine (VdGS No.464) /コラント Corrant (VdGS No.425) /サラバンド Saraband (VdGS No.434) /
 アルメイン Almain (VdGS No.542) /コラント Coranto (VdGS No.544) /アルメイン Almain (VdGS No.430) /
 コラント Corant (VdGS No.426) /サラバンド Sarabrand (VdGS No.433) /コラント Corant (VdGS No.427) /
 サラバンド Saraband (VdGS No.591) /コラント Corant (VdGS No.428) /サラバンド Saraband (VdGS No.466) /
 コラント Coranto (VdGS No.545) /コラント Coranto (VdGS No.546) /コラント Corant (VdGS No.429) /
 コラント Corant (VdGS No.431) /サラバンド Sarabrand (VdGS No.432)

  リチャード・ブースビー(リラ・ヴィオール
   |使用楽器:リチャード・メアーズ(1647頃-1725)、1690年頃製作〔王立音楽院ケスラー・コレクション所蔵〕
 録音:2015年1月、3月、6月、9月、王立音楽大学、ロンドン。 フレットワークの創設メンバーにして、アーノンクールに師事、パーセル四重奏団を創設したリチャード・ブースビーが、王立音楽大学博物館所蔵のリラ・ヴィオールを用い、ロウズのリラ・ヴィオール・ソロ作品全曲を録音。リュートと声楽のための常勤の音楽家としてチャールズ1世の宮廷で勤めていたイギリスの作曲家、ウィリアム・ロウズは、3-6名の奏者で演奏されるヴィオール・コンソートのための組曲で名をのこしているが、リラ・ヴィオールのためのソロ作品を34曲、トリオ作品を59曲(完全な形で残っているトリオ作品は6曲)作曲している。ほぼすべてが1630年頃に集中的に書かれたとされるが、どの作品も固有の気分をもつ珠玉の曲ばかり。17世紀の音色に思いを馳せる1枚。
ESCUALO 〔鮫〕〜ピアソラ/マイケル・マガヌーコ編曲:
 ESCUALO /タンゴ・エチュード No.3 /バチンの少年/天使の組曲/
 タンゴの歴史〔ボルデル1900 /カフェ1930 /ナイトクラブ1960 /現代のコンサート〕
  アン・ホブソン・パイロット(Hp)
  ルシア・リン(Vn) J.P.ジョフレ(バンドネオン)
 録音:2013年9月、シンフォニー・ホール、ボストン。1969年にボストンso.へ入団、1980年から2009年まで首席を務めたハープ奏者アン・ホブソン・パイロットを中心としたアンサンブルによるピアソラ。バンドネオンのJ.P.ジョフレは、アルゼンチン出身ニューヨーク在住、コンテンポラリー・タンゴのニュー・スターとして世界中から注目を集める存在。ルシア・リンは11歳でメンデルスゾーンの協奏曲をシカゴso. と共演してデビューした天才。編曲を手掛けたマイケル・マガヌーコはパイロットの弟子のハープ奏者でもあり、ハープが活きた編曲となっている。各界で活躍する3人による、細やかな表情と美しい音色が魅力。
ジミー・ロペス(1978-):作品集
 ペルー・ネグロ [Perú Negro] (2012) /共感覚 [Synesthésie] (2011) /
 チェロ協奏曲 [Lord of the Air] (2012) (*) /ワイルド・アメリカ [América Salvaje] (2006)

  イェスズ・カストロ=バルビ(Vc;*) ミゲル・アルト=ベドヤ指揮ノルウェー放送so.
 ペルーの民族文化に堅固に根ざした新作音楽集。ジミー・ロペス(リマ生まれ)はアメリカのメディアを中心に注目が高まっている作曲家。リマの音楽院、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーで作曲を学び、その後バークリー大学で音楽修士も取得している。シカゴso.、フィラデルフィア管、ボストン響など様々なオーケストラが既に彼の作品を演奏している。指揮者ミゲル・アルト=ベドヤはロペスが10代の頃に彼と出会い、以来ロペスの作品の初演を手がけるなどロペスの才能にいちはやく着目した指揮者の一人。
ヴァディム・ホロデンコ〜2013年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール優勝者
 グリーグ(1843-1907):ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
 サン=サーンス(1835-1921):ピアノ協奏曲第2番 ト短調 Op.22
  ヴァディム・ホロデンコ(P) ミゲル・アルト=ベドヤ指揮ノルウェー放送so.
 録音:2014年8月-9月、NRKストア・スタジオ、オスロ。2013年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール覇者、ヴァディム(ワディム)・ホロデンコによるグリーグ&サン=サーンス。ホロデンコは1986年ウクライナのキーウ〔キエフ〕生まれ。2013年、26歳でヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール第1位、および最優秀室内楽賞、最優秀新作賞受賞、ほかにも1998年ウラディーミル・クライネフ青少年国際ピアノコンクール第3位、2010年第4回仙台国際音楽コンクール第1位、2012年国際シューベルトコンクール第1位など数々のコンクールで輝かしい成績をのこしている。これまでに来日もしており、世界で室内楽、ソロの両面で活躍の幅を広げているますます伸び盛りのピアニスト。ここでも力強くも抒情に満ちたグリーグ、そして貫禄たっぷりのサン=サーンスを披露している。指揮者のミゲル・アルト=ベドヤはグラミー賞ノミネート(ヨーヨー・マとのディスク)、エミー賞受賞の指揮者。フォートワースso. の音楽監督を15年務め、現在はオンルウェー放送so. の首席指揮者を務めている。アメリカの音楽を演奏、プロモーションするNPO団体「Caminos delInka」の創設者でもある。様々な初演を手がけるなど、様々な分野で活躍している指揮者。
HMU-807631
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価格帯:B
ホロデンコ〜プロコフィエフ:ピアノ協奏曲集
 〔第2番 ト短調 Op.16 /第5番 ト長調 Op.55〕
ヴァディム・ホロデンコ(P)
ミゲル・ハース=ベドーヤ指揮
フォートワースo.
 録音:2014年10月、2015年3月、ベース・パフォーマンス・ホール、フォートワース、テキサス、ライヴ。1986年ウクライナ出身のヴァディム・ホロデンコ、待望のプロコフィエフ。モスクワ音楽院でゴルノスタエヴァ(ルーカス・ゲニューシャスの祖母)に師事し、2010年第 4回仙台国際コンクール第1位、2013年ヴァン・クライバーン・コンクール優勝したことで注目を集めている。ホロデンコはホロヴィッツを思わすタッチで、奔放なヴィルトゥオーゾ風演奏を繰り広げる。しかしプロコフィエフならではの叙情的な歌に満ちた個所では、情感たっぷりで内省的なピアニズムを堪能させる。プロコフィエフのピアノ協奏曲はこれくらい指のまわる演奏だと、聴いていて爽快な興奮を沸かせてくれる。指揮は1968年ペルー出身のミゲル・ハース=ベドーヤ。往年の大巨匠を彷彿させる大きな演奏でソロを支えている。
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲集
 〔第1番 変ニ長調 Op.10 (*) /
  第4番 変ロ長調 Op.53(左手のための)(*) /
  第3番 ハ長調 Op.26 (#) 〕
ヴァディム・ホロデンコ(P)
ミゲル・ハース=ベドヤ指揮
フォートワースso.
 録音:2015年10月(*)、2017年5月(#)、ベース・パフォーマンス・ホール、フォートワース、テキサス。第2番と5番を収めたHMU-807631に続くホロデンコとハース=ベドヤによるプロコフィエフのピアノ協奏曲第2弾、これにて全曲揃った。ホロデンコは2013年の第14回ヴァン・クライバーン国際コンクールで優勝したことで、フォートワースso. 初の「アーチスティック・パートナー」となった。同オーケストラとも3枚目のディスクとなり、ますます緻密なアンサンブルを聴かせてくれる。プロコフィエフの協奏曲はいずれも難曲揃いだが、ホロデンコはホロヴィッツを彷彿させるテクニックで征服、心地よいスピード感で曲の素晴らしさを堪能させてくれる。1968年ペルー生まれ、小澤征爾門下のハース=ベドヤもホロデンコにピッタリとつけた好サポートを見せている。
HMU-807633
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
J.S.バッハ/ドミトリー・シトコヴェツキー編曲:
 ゴルトベルク変奏曲(弦楽オーケストラ版)
トーマス・グールド
 (Vn)音楽監督
ブリテン・シンフォニア
 録音:2014年4月、オール・ハロウズ教会、ロンドン。バッハ作品の中でも特別な人気を誇るゴルトベルク変奏曲。ヴァイオリン奏者にして指揮者としても活躍しているドミトリー・シトコヴェツキーは、バッハのゴルトベルク変奏曲を1985年、バッハ生誕300年の記念年にあわせて弦楽三重奏に編曲、その後弦楽オーケウストラ版も生み出した。ブリテン・シンフォニアは1992年に設立され、ブリテンの美学を受け継ぎ、新旧を問わず様々なプログラムで、グラモフォン・アワード受賞やグラミー賞にノミネートされたアンサンブル。このゴルトベルクでも、音を自在に伸ばせ、ヴィブラートなどで様々に表情をつけることができるという弦楽器の特性を生かしながらも、バッハの原曲がもつ、主題のシンプルな美しさを感じさせる演奏を展開している。
ショスタコーヴィチ/ルドルフ・バルシャイ編曲:
 室内交響曲 ハ短調 Op.110a(原曲:弦楽四重奏曲第8番)/
 小交響曲 Op.49a(原曲:弦楽四重奏曲第1番)/
 弦楽のための交響曲 Op.118a(原曲:弦楽四重奏曲第10番)
  グレアム・ロス指揮ドミートリー・アンサンブル
 録音:2014年4月、聖ジョン福音教会、ロンドン。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番は、「ファシズムと戦争の犠牲者に」と掲げられながら、実は自身への追悼用に作ったともいわれ、1960年当時絶望の淵に置かれていた精神状態が作品に表れている。これを歴史の生証人でもあるルドルフ・バルシャイが弦楽オーケストラ用に編曲した版は、室内交響曲としてオリジナル版に勝るとも劣らぬ評価と演奏頻度を誇っている。この成功によりルドルフ・バルシャイはショスタコーヴィチの他の弦楽四重奏曲も編曲した。ここでは室内交響曲をはじめ、さらに2篇も収めた。ドミートリー・アンサンブルはイギリスの若き弦楽オーケストラ。2009年にマクミラン作品集でCDデビュー、非常に高い評価を受けた。さらにケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団との共演でヴォーン・ウィリアムズ、ホルストのCDもリリースしている。今回、名称にぴったりのレパートリーで勝負に出た。幾分暗めながらつややかな響きが魅力。ハルモニア・ムンディUSAならではの優秀録音で、ルドルフ・バルシャイの編曲の綾と効果の目覚ましさを再認識させられる。指揮のグレアム・ロスはケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団の音楽監督も務め、珍しい作品にも並々ならぬ興味を示す俊英。ショスタコーヴィチの屈折した感情を見事に描き出している。
MONTAGE 〜グレート・フィルム・コンポーザーズ・アンド・ザ・ピアノ
 ブルース・ブロートン(1945-):ピアノのための5つの小品(2010)
 マイケル・ジアッキーノ(1967-):コンポジション430 (2013)
 ドン・デイヴィス(1957-):サーフェス・テンション(2013)
 アレクサンドル・デスプラ(1961-):抱擁(3つのエチュードより)(2012)
 ジョン・ウィリアムズ:会話(2012-13)
 ランディ・ニューマン:ファミリー・アルバム
  「アルフレード、エミール、ライオネル・ニューマンへのオマージュ」(2013)
 グロリア・チェン(P)
 録音:2014年4月20日-21日。現在活躍中の6名の映画音楽作曲家たちによる作品を集めたCD 。映画音楽作曲家たちがスクリーンを離れたとき、彼らが見る夢の中ではどんなメロディやハーモニーが鳴り響いているのだろうか? 気鋭のピアニスト、グロリア・チェンが、彼らのピアノ・ソロ新曲を録音し、この問いに対する答えを導いている。ブルース・ブロートンは、ケビン・コスナー主演の西部劇「シルバラード」音楽などでアカデミー賞音楽賞にノミネートされるなど、多くの映画音楽および TV などの音楽を手掛けている。マイケル・ジアッキーノは、「レミーのおいしいレストラン」や「カールじいさんの空飛ぶ家」などのピクサー映画の音楽など、さらに「ミッション・インポッシブル3」の音楽なども担当し、2008年のアカデミー賞授賞式では音楽監督を務めたという大物。バロック風の組曲的でもあり、ジャズ風でもあり、「ミッション・インポッシブル」を彷彿とさせる瞬間もあるなど、様々なイメージを喚起する作品。ドン・デイヴィスは「マトリックス」で一躍有名になった作曲家。有名作品のオーケストレーションも手掛けている。この「サーフェス・テンション」は、ミニマルミュージックのような無機的感と、爆発するようなエネルギーをあわせもつ作品。アレクサンドル・デスプラは、「英国王のスピーチ」などの音楽を手がけた人物。収録曲は、デスプラの妻にささげられたもので、リリカルで即興的な美しい作品。ジョン・ウィリアムズは、ジャズ・ピアニストとして活躍、さらに「E.T.」などの音楽のほか、「屋根の上のヴァイオリン弾き」の編曲などを手掛けた作曲家で、ボストン・ポップスo. の指揮者を長年務めた人物。「会話」は、星が降るような美しい瞬間など、様々な魅惑の瞬間がちりばめられた作品。ランディ・ニューマンは、「トイ・ストーリー3」などの音楽を手掛けた作曲家。この「ファミリー・アルバム」は、ノスタルジックなジャズ風のハーモニーが魅力。
HMU-807637
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
パブロ・ネルーダの詩にもとづく合唱作品集
 カリー・ラトクリフ(1953-):ありふれたものへの賛歌 [Ode to Common Things] (1966/室内楽版:2014)
  〔ものへの賛歌 [Oda a las Cosas] /ベッドへの賛歌 [Oda a la cama] /ギターへの賛歌 [Oda a la guitarra] /
   ハサミへの賛歌 [Oda a las TIJERAS] /パンへの賛歌 [Oda AL PAN] 〕
 ショーン・キルヒナー(1970-):ソネット53番「私の中のあなたの血 [Tu sangre en la mia] 」/
                ソネット52番「あなたの声 [Tu voz] 」
 ドナルド・グランサム(1947-):絶望の歌 [La canción desesperada]

  クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮コンスピラーレ、コンスピラーレ室内プレイヤーズ
 録音:2014年9月。チリの国民的詩人、パブロ・ネルーダ(1904-1973)。外交官、そして政治家でもあり、南米ではチェ・ゲバラと同様、左派のヒーローの一人となっている。1971年ノーベル文学賞受賞。映画「イル・ポスティーノ」のモデルにもなった人物。彼の生気に満ちた詩にインスパイアされた作曲家たちによる合唱作品集。ソネットは彼の妻(離婚2回、最期の妻へ)に送った100の愛のソネットからとられた物。1991年設立の合唱団コンスピラーレの力強い歌声に魅了される1枚。
HMU-807638/39
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
マシュー・シェパードにささげる〜
 クレイグ・ヘラ・ジョンソン
(1962-):
  コンシダリング・マシュー・シェパード
クレイグ・ヘラ・ジョンソン指揮
コンスピラーレ
 録音:2016年3月3日。マシュー・シェパードは1998年、21歳の時、同性愛者だからという理由でリンチ殺人の被害者となったアメリカの大学生。この事件は社会に大きな影響を与え、様々な社会的問題提起のきっかけとなった。この事件に大きな衝撃を受けたクレイグ・ヘラ・ジョンソンが、マシューのために書いた作品を収録した物。追悼の思いを込めたミサを核に、マシューの事件への考察などの意味を込めたプロローグやエピローグから構成されている。愛、人の命について様々に考えさせられる内容。コンスピラーレの名人たちによる演奏が、胸に刺さる。
HMU-807641/48
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(8 HYBRID_SACD)
価格帯:B
3枚価格
東京SQ 〜ベートーヴェン弦楽四重奏曲集(全曲)
 〔第1番 ヘ長調 Op.18 No.1 /第2番 ト長調 Op.18 No.2 /第3番 ニ長調 Op.18 No.3 /第4番 ハ短調 Op.18 No.4 /
  第5番 イ長調 Op.18 No.5 /第6番 変ロ長調 Op.18 No.6 [録音:2006年5月、2007年2月]/
  「ラズモフスキー」四重奏曲集 第7番 Op.59 No.1 /第8番 Op.59 No.2 /第9番 Op.59 No.3[録音:2005年4月26日-29日]/
  第10番 変ホ長調 Op.74「ハープ」/第11番 ヘ短調 Op.95「セリオーソ」[録音:2007年11月]/
  第12番 Op.127 変ホ長調/第14番 Op.131 嬰ハ短調[録音:2008年5月〕/
  第13番 Op.130 変ロ長調&大フーガ Op.133(第5楽章カヴァティーナと、最終楽章のアレグロの間に演奏)/
  第15番 Op.132 イ短調[録音:2008年8月-9月、王子ホール、東京]/第16番 Op.135 ヘ長調[録音: 2007年11月]〕

 東京SQ [マーティン・ビーヴァー(Vn) 池田菊衛(Vn)
      磯村和英(Va) クライヴ・グリーンスミス(Vc)]
 既出盤の BOX 化。Op.18 は単売が CD のみだったので、初 SACD 化(『マスタリング』の文字あり)。2013年、44年の長き活動に幕をおろした東京クァルテット。2002年からの最終メンバーとなってからはハルモニアムンディからレコーディングを発表、なかでも、彼らの集大成としてベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲は注目のプロジェクトとなり、日本での演奏活動の中心地であった東京・王子ホールで、ハルモニアムンディ・チームがレコーディングを行ったことも話題となった。東京クァルテットという、音楽史上のいまや「レジェンド」的存在の集大成を聴くことが出来る。
AMERICANO
 ペドロ・エリアス=グティエレス:アルマ・ジャネラ / ヴィラ=ロボス:プレリュード〔第1番/第3番〕
 アントニオ・ラウロ:ベネズエラ風ワルツ第2番/ seis por derecho(6歩まっすぐに)
 ジョアン・ペルナンブコ:鐘の音 / ロラン・ディアンス:タンゴ・アン・スカイ
 ルイス・ボンファ:ウォーキング・イン・リオ
 アグスティン・バリオス=マンゴレ:パラグアイ風ダンス第1番/森に夢見る
 ジョン・ウィリアムズ: ROUNDS (*) / アグスティン・ララ:グラナダ
 レナード・バーンスタイン:すてきな気持ち(I feel pretty)/ウェスト・サイド物語 より〔マリア/アメリカ〕
 伝統曲:ディア・オールド・ディキシー/カンザス・シティ・キティ/ Big eared mule

 パブロ・ビリェガス(G)
 録音:2014年3月25日-27日。(*)は世界初録音。「ザ・ソウル・オブ・スパニッシュ・ギター」と世界が絶賛するギター奏者パブロ・ビリェガスのハルモニア・ムンディ・デビュー盤。ドミンゴも歌うことがあるサルスエラの名曲「アルマ・ジャネラ」に始まり、ウェスト・サイド物語なども盛り込まれた魅惑のプログラム。広大なアメリカ大陸の様々な場所の旅へといざなってくれる。繊細なブラジル音楽、ノスタルジックなタンゴ、世界初録音のジョン・ウィリアムズの深い感情など、様々な色彩をもつ作品を、抜群に安定したテクニックで、変幻自在に奏でている。
HMU-807650
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
スティレ・アンティコ10周年記念ベスト
 トムキンズ:おお、主をほめたたえよ[HMU-807554 /2011年]
 クレメンス・ノン・パパ(1510/15頃-1555/56):わたしはシャロンのばら[HMU-807489 /2008年]
 ウィリアム・バード(1540頃-1623):グラドゥアリアI〜エッケ・ヴィルゴ・コンチピエ[HMU-807517/2010年]
 ニコラ・ゴンベール:マニフィカト[HMU-807595/2013年] / シェパード:平安のうちに[HMU-807419/2006年]
 バード: Vigilate[HMU-807463/2007年] / ビクトリア:この道を行ったすべての人よ[HMU-807555/2012年2月]
 ジョン・マッケイブ:悲しみにくれて(2009)[HMU-807555/2012年]
 ジョン・シェパード:レスポンソリウム めでたし、処女マリアよ〜主の祈り[HMU-807509/2009年]
 ギボンズ(1583-1625):手を共にたたこう[HMU-807572/2012年]
 ロドリーゴ・デ・ケバロス(1530頃-1581):わたしの妹、花嫁は、閉ざされた園[HMU-807489/2008年]
 トマス・タリス:ミサ「御子はわれらに生まれたもう」〜グローリア[HMU-807517/2010年]

  スティレ・アンティコ
 前出/録音:上記[内]。ア・カペラ合唱グループ、スティレ・アンティコのベスト盤。ぴたりと合ったアンサンブル、声の倍音までもが完璧に調和したような比類なき美しき声楽アンサンブルをあらためてご堪能頂ける1枚。
公現節のための音楽
 ラッスス: Omnes de Saba venient / ジョン・シェパード: Reges Tharsis / ジャン・ムトン: Nesciens Mater
 伝承曲/グレアム・ロス編曲: O worship the Lord in the beauty of holiness! / Hail to the Lord 's Anointed! /
               As with gladness men of old
 ウィリアム・バード: Ecce advenit dominator Dominus / パレストリーナ: Tribus miraculis ornatum
 クレメンス・ノン・パパ: Magi veniunt ab oriente / プーランク: Videntes stellam
 ハウエルズ: Long, long ago / Here is the little door / ユディト・ワイル: Illuminare, Jerusalem
 ビンガム: Epiphany / ウォーロック: Bethlehem Down (デイヴィッド・ヒル編曲)/ Benedicamus Domino
 J. J. ナイルズ/グレアム・ロス編曲: I wonder as I wander / バークリー: I sing of a maiden
 コルネリウス/アイヴォー・アトキンス編曲: The Three Kings / バックス: Mater ora filium

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.
 録音:2016年4月。「伝承曲/グレアム・ロス編曲」の3曲は世界初録音。クリスマスに誕生した主イエスが洗礼を受けたことを祝う公現節のための、15世紀から20世紀までに書かれた音楽集。ケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団の透明感のある歌声が祝祭気分を高らかに彩る。
英霊記念日 [11月11日] のための音楽
 デュリュフレ(1902-1886):レクイエム Op.9 (+) / トムキンズ(1572-1656): When David Heard
 (伝)リチャード・ファラント(1525-1580): Call to remembrance
 伝承曲(キーウ〔キエフ〕): Kontakion of the Dead
 ジョン・タヴナー(1944-2013): Song for Athene / ロバート・ラムゼイ(1590頃-1644): How are the mighty fallen
 ウィリアム・ヘンリー・モンク(1823-1889)/グレアム・ロス編曲: Abide with me (*)
 エルガー(1857-1934): They are at rest / トマス・ウィールクス(1576-1623): When David heard
 ウィリアム・ハリス(1883-1973): Bring us, O Lord God / Holy is the true light (#)

グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho. マテュー・ジョリス(Org;+)
 録音:2015年3月。(*)は世界初録音、(#)はボーナス・トラック。1918年11月11日は第一次世界大戦の終結日。イギリスにおいて11月11日は英霊記念日 [Remembrance] と制定されている。 このアルバムでは、 伝統音楽から、16世紀から20世紀までに書かれた、亡くなった人々や大きな犠牲に捧げる音楽を集めた。デュリュフレのレクイエムは1945年、 同年に亡くなったデュリュフレの父にささげる音楽として書かれた。 フル・コーラスとオーケストラを伴う大規模作品だが、教会でも演奏できるようにデュリュフレ自身がオルガン版も作製、この録音ではオルガン版が使用されている。終曲のソプラノの美しさはまさに死者を天国へを導く道を照らしているようだ。名門合唱団の実力を見せつけられる演奏。
Haec dies 〜復活祭の音楽
 ラッスス(1530/2-94):暁の光は赤く染まり/よき牧者は蘇えりぬ/第8旋法によるマニフィカト「暁の光は赤く染まり」
 ジョン・タヴァナー(1490頃-1545):安息日が過ぎて
 グレゴリオ聖歌:復活/この日こそ/復活のいけにえに/大地は震え / シャイト(1587-1654):ほろぶるものを
 ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):5つの神秘的な歌〜イースター
 バード(1539/40-1623):この日こそ/われらが過越の羊 / マシュー・マーティン(1976-):この日こそ(*)
 ジョヴァンニ・バッサーノ(1561頃-1617):マリアよ、私たちに告げよ / パレストリーナ(1525頃-1594):大地は震え
 ミヒャエル・ハラー(1840-1915):よき牧者は蘇えりぬ
 ジャン・レリティエール(1480頃-1551頃):よき牧者は蘇えりぬ / ラフマニノフ(1873-1943):徹夜祷
 サミュエル・セバスティアン・ウェスリー(1810-1876):神とその御父が祝福されんことを
 パトリック・ハドリー(1899-1973):わが愛する者はわたしに語って言う
 スタンフォード(1852-1924):新しきエルサレムの聖歌隊

  グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho. マシュー・ヨリス(Org)
 録音:2015年7月1日-2日。(*)は世界初録音。キリストの復活を祈るイースターは、古くからヨーロッパで盛大に祝われてきた大事な祝日。このCDには、イースターを祝うために書かれた聖歌が21曲おさめられている。書かれた時代は15世紀から20世紀に渡り、作曲家の出身もイギリス、ロシア、イタリア、ベルギーなど様々。興味深いのは「この日こそ」や「よき牧者は蘇えりぬ」のように、同じ題材を用いて時代も国も異なる作曲家が書いた作品が並べて収録されていること。それぞれの時代の音楽様式の違いや曲想の違いを楽しむことが出来る。本CDの中で1番新しい曲は、演奏を手掛けるケンブリッジ・クレア・カレッジ合唱団と指揮者グレアム・ロスの委嘱によって書かれ、彼らに献呈されたマシュー・マーティンの「この日こそ」。オルガンの大胆で斬新なファンファーレで幕を開けるこの曲はカラリと明るい祝祭的な雰囲気が魅力的。
リッチマン〜ガーシュウィン Vol.2
 ミュージカル「君がために歌わん」序曲(#)
  (1931, rev.1934/ガーシュウィン自身によるラジオ番組用短縮版)/
 3つの前奏曲(#) (ロイ・バーギー編曲/管弦楽版) /
 ピアノ協奏曲 ヘ調(*) /パリのアメリカ人
  リンカーン・マヨーガ(P;*) スティーヴン・リッチマン指揮
  ハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク
 録音:2014年6月22日-24日、ディメンナ・センター、ニューヨーク。(#)は当版による世界初録音。 グローフェによる初演ジャズバンド版「ラプソディ・イン・ブルー」を録音(HMU-907492)、話題となったスティーヴン・リッチマン指揮ハーモニー・アンサンブル・ニューヨークのガーシュウィン第2弾。指揮のリッチマンは、ワシントン国会図書館に所蔵されているガーシュウィンの自筆譜を研究し、その成果である「作品の書かれた20-30年代の無駄のない非感傷的な様式」を反映させたかったと述べている。ミュージカル「君がために歌わん」序曲はロバート・ラッセル・ベネットが1931年にオーケストレーションしたいわゆるオリジナル版ではなく、1934年にガーシュウィン自身がパーソナリティを務めるラジオ番組のために本人が作った縮小版を世界初録音。また「パリのアメリカ人」はガーシュウィンの死後、キャンベル=ワトソンが校訂し、有名なサクソフォンのパートに手を入れている版が流布しているが、ここではガーシュウェンの原典版を復元。その結果、ナサニエル・シルクレット指揮ヴィクターso.(ガーシュウィン自身がチェレスタ・パートで参加している)による1929年の録音とソックリな響きが再現され、演奏時間が17分を切った。これこそがガーシュウィンの考えていたテンポで、曲の印象が大きく変わる。さらに嬉しいのが、ピアノ独奏曲として人気のある「3つの前奏曲」を、ポール・ホワイトマン楽団のピアニストでアレンジャーだったロイ・バーギーがオーケストレーションしたもの。ブルース調の第2曲のメロディがサックスやクラリネットに受け継ぎ歌われるのが理想的な美しさで魅力が倍増、この版も世界初録音。
HMU-807659
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
フランソワ・クープランルソン・ド・テネブル
 フランソワ・クープラン(1668-1733):
  ルソン・ド・テネブル〔第1(*) /第2(*/#) /第3(#) 〕
 セバスティアン・ド・ブロサール(1655-1730):
  トリオ・ソナタ〔ホ短調/イ短調〕/スターバト・マーテル Op.8
 ルーシー・クロウ(S;*) エリザベス・ワッツ(S;#)
 デイヴィッド・ベイツ(Org)指揮ラ・ヌオヴァ・ムジカ(声楽)
 アレックス・マッカートニー(テオルボ) ジョナサン・リース(Vg) ジュディット・エヴァンズ(Cb)
 録音:2015年10月。クープラン作品とブロサール作品を交互に収録。クープランは9曲ルソン・ド・テネブルを書いたとされているが、現存するのはここに収録された3曲のみ。ソプラノ二重唱による第3(注:代理店記載ママ)のルソンは、モンテヴェルディの声楽書法やリュリの劇的表現をも思わせる充実した作品で、フランスの宗教音楽の中でも傑作のひとつとされている。ガッティ、ガーディナー、ネゼ=セガン、パッパーノら世界の名だたる指揮者からの信頼も厚いルーシー・クロウ、そしてイギリスが生んだナンバーワン・ソプラノ、エリザベス・ワッツ、2人のソプラノの共演にも注目。セバスティアン・ド・ブロサールは、理論家としての功績が大きい人物だが、イタリア趣味を巧みに取り込んだ作品を遺しており、そのセンスの良さはここに収められた作品からもうかがい知ることが出来る。
ヒースSQ 〜バルトーク:弦楽四重奏曲全集
 〔第1番 Op.7, Sz.40, BB.52 /第3番 Sz.85, BB.93 /第5番 Sz.102, BB.110 /
  第2番 Op.17, Sz.67, BB.75 /第4番 Sz.91, BB.95 /第6番 Sz.114, BB.119 〕

 ヒースSQ [オリヴァー・ヒース、セリーズ・ジョーンス(Vn)
         ゲイリー・ポメロイ(Va) クリストファー・マーレー(Vc)]
 録音:2016年5月、ウィグモア・ホール。 2002年に設立されたヒース弦楽四重奏団。2008年トロンプ国際コンクールで優勝し、その実力を世界に示した。ウィグモア・ホールに度々登場、イギリスをはじめ、世界が注目する存在となっている。HMF第2弾となるリリースは、バルトークの弦楽四重奏曲全曲という直球勝負プログラム。全篇を通して、彼らの魅力であるカンタービレな特性にあふれている。シリアスな場面でも、アンサンブルのつややかさが失われることなく、バルトーク特有のリズムが優勢な場面でも、歌心に満ちている。
ヒースSQ 〜チャイコフスキー:弦楽四重奏曲集
 〔第1番 ニ長調 Op.11 (1871) /
  第3番 変ホ短調 Op.30 (1876) 〕
ヒースSQ
 録音:2015年12月。 ヒース弦楽四重奏団は、2002年に結成されるやいなや英国を代表する弦楽四重奏団とみなされているグループ。ティペット、バルトークの弦楽四重奏曲全曲をウィグモアホールおよび全英、ヨーロッパ、アメリカで演奏している。2015年にウィグモアホール・レーベルからティペットの弦楽四重奏曲集 をリリースしており、HMF第1弾となる当盤の次には、バルトークの弦楽四重奏曲全集のリリースが決まっている。HMF第1弾となる当盤は、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」でも名高い第1番と、第1番および第2番を初演したヴァイオリン奏者、 フェルディナント・ラウプの思い出にささげられた激情の第3番を収録。「アンダンテ・カンタービレ」は感情におぼれることなく、美しい旋律をストレートに聴かせる。第3番でもハーモニーの美しさが絶品。抑えの効いた、ハーモニーの美しいヒース弦楽四重奏団の今後がたのしみな1枚。
HMU-807668
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
ブラームス/シェーンベルク編曲:
 ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25 (#)
ミゲル・ハース=ベドーヤ指揮
フォートワースo.
 録音:2015年10月2日-4日(無印)、2015年10月23日-25日(#)、ベース・パフォーマンス・ホール、フォートワース、テキサス、ライヴ。ホロデンコとのプロコフィエフの協奏曲録音で注目された指揮者ミゲル・ハース=ベドーヤ。1968年ペルー出身、オットー=ヴェルナー・ミュラー、小澤征爾、グスタフ・マイヤーらに師事。現在はノルウェー放送o. の首席指揮者とフォートワースo. の芸術監督を務める実力派。このアルバムでは、オーケストラの機能を追求した2篇で真価を発揮。ルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」は初期作品で彼の出世作。ポーランド民謡を素材としながら、現代的な和声と凝りに凝った作曲技法を示している。協奏曲の名の通り、各楽器のソリスティックな妙技に満ちていて聴き 応え満点。シェーンベルク編曲によるブラームスのピアノ四重奏曲第1番は、近年の人気作。シェーンベルクはブラームス流のオーケストレーションを墨守したと言いつつ、多種打楽器が近代的な音色を示し興味津々。フォートワースo. の熱演が光る。
エレーナ・ランゲル(1974-):
 3人のいる風景(全8曲)(リー・ハーウッド詩/英語)(2013) (*/#/+/**/++/***) /
 ヴァイオリンとピアノのための「雪」(2009) (+/##/###) /雷雲(ロシア民俗詩/露語)(2012)(###) /
 2つの猫の歌(ダニール・ハルムス詩/露語)(2006) (++/###) /
 アリアドネ(グリン・マックスウェル詩/英語)(2002) (#/+/**/++) /
 おお愛しい人(ジョン・ダン詩/英語)(2013) (#/+/**/++/***)

 アンナ・デニス(S;##以外) ウィリアム・タワーズ(CT;*)
 ニコラス・ダニエル(Ob;#) ロマン・ミンツ(Vn;+/##)
 メガン・キャシディ(Vn;**)クリスティナ・ブラウマネ(Vc;++)
 ロバート・ハワーズ(Cemb;***) カーチャ・アペキシェワ(P;###)
 録音:2014年11月3日-5日、ブリテン・スタジオ、サフォーク、イギリス。エレーナ・ランゲルはモスクワ生まれの女性作曲家。モスクワ音楽院で学び、当初はピアニストを目指していたが作曲に転向、1999年に はロンドンの王立音楽アカデミーに留学し、そのままこの地に住み活動を行っている。作風はロシア的でショスタコーヴィチとリムスキー=コルサコフの影響が明瞭、とにかく飽きさせない点がさすが。2013年にはジュネーヴ大劇場のためにキュイの児童オペラ「長靴をはいた猫」をオーケストレーションして高く評価された。このアルバムに収められた作品は、いずれもイギリスで作曲されたもので、「三人のいる風景」と「おお愛しい人」は目下最新作。ロシア音楽ファン要注目の逸材。
New South American Discoveries
 ホルガ・ヴィリャヴィチェンチョ・グロスマン(1973-): Wayra (2011)
 ヴィクトル・アグデロ(1979-): El Sombreron (2009) / セバステァイン・ヴェルガラ(1978-): Mecanica (2005)
 ディエゴ・ルツリアーガ(1955-): Responsorio (2000) / ディエゴ・ヴェガ(1968-): Musica Muisca (2009)
 セバスティアン・エッラスリス(1975-): La Caravana (2003)
 アグスティン・フェルナンデス(1958-): Una Musica Escondida (2004)
 アントニオ・ジェルヴァゾーニ(1973-): Icarus (2003)

 ミゲル・ハース=ベドヤ指揮ノルウェー放送so.
 録音:2014年10月、2015年12月。すべて世界初録音。 2000年代に、南米の作曲家(すべて1950年以降生まれ)たちによって書かれた短めのオーケストラ作品を集めた1枚。ペルー出身のミゲル・ハース=ベドヤの指揮。グロスマンのWayra(インカの言葉で「風」の意)は砂を巻き込んだ大きな竜巻のような作品。ヴィクトル・アグデロの「El Sombreron」はフォークの香り漂う作品。ヴェルガラの「Mecanica」はハイテンションの作品。エクアドルのルツリアーガの作品「Responsorio」はエクアドルのサラサカ地方のメロディに基づいている。他にもコロンビアの空気を思わせるヴェガのMusica Muiscaなど、それぞれ独自の色と香りに満ちている。オーケストラはハース=ベドヤが音楽監督を務めるノルウェー放送so. 。北欧のオーケストラではあるが、南米の作曲家達の音 楽世界を存分に堪能出来る。遠い南米の音楽活動の一端を垣間見ることのできる貴重かつ興味深い1枚。
スティーヴ・ライヒ
  Double Sextet (2007) (*) /
  RADIO REWRITE (2013) (#)
ブラッド・ラブマン指揮
アンサンブル・シグナル
 録音:2016年1月24日(#)、2011年3月11日-12日(*) 。『敏捷にして精確無比、そして情感豊か。ぜひ聴いて頂きたい』(スティーヴ・ライヒ)と作曲者絶賛のアンサンブル・シグナルによるライヒ作品集。「18人の音楽家のための音楽」(HMU-907608) と対を成すアルバム。二重六重奏曲はもともとはフルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、打楽器の6人のソリストがいて、6人で演奏したテープに重ねてライヴで6人で演奏する、というものだったが、この録音では各楽器の奏者が2人ずつ存在し、すべてがライヴで(テープを用いずに)演奏されている。12人が同時にライヴで演奏するこのヴァージョンのほうが、より満足のゆく結果となっていると指揮者ラブマンはライナーノートに書いている。RADIOREWRITEは、ライヒがレディオヘッドにインスピレーションを受けて書かれた物。レディオヘッドの音楽が素材となっているが、濃厚なライヒ・ワールドが展開される。
ジャネットに捧ぐ
 モーツァルト:オーボエ四重奏 ヘ長調 K.370 /
        イングリッシュ・ホルンのためのアダージョ K.580a(ニコラス・ダニエル補完版)
 ブリテン:ファンタジー Op.2 / オリヴァー・ナッセン(1952-):カンタータ Op.15 (1977)
 ジャン・フランセ(1912-1997):コール・アングレ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための四重奏曲

 ブリテン・オーボエ四重奏団
  [ニコラス・ダニエル(Ob/イングリッシュHr) ジャクリーン・シェイヴ(Vn)
   クレール・フィニモア(Va) キャロライン・ダンリー(Vc)]
 録音:2016年1月。 ブリテン・オーボエ四重奏団のCDデビュー盤。ブリテン・オーボエ・カルテットは、2005年にイギリスの名手ニコラス・ダニエルと、長年共演している仲間によって設立された。全員がブリテンに深い思い入れがあり、ブリテン協会の承認を得てアンサンブルの名前にブリテンの名を冠している。演奏会、レコーディングのほか、新作委嘱・初演など、精力的に活動している。ニコラス・ダニエルの師であるジャネット・クラクストン(1929-1981)に捧げられたアルバムとなっている。名手ニコラス・ダニエルの安定感抜群で明るいオーボエの音色が終始耳を悦ばせてくれるプログラム。クヌッセンの「カンタータ」は1977年、25歳の時の作品で、オーボエと弦が異なるテンポで進行する部分や「カンタータ」だけにレチタティーヴォ風な部分があるなど、効果的な場面転換が興味深い作品。フランセの洒脱で明るく辛口なユーモアのある演奏も見事。
HMX-2907677/78
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(2CD)
1CD価格
価格帯:F
限定盤
2016年 HMF カタログ付 ガーシュウィン − マンシーニ
 ガーシュウィン/グローフェ編曲 (HMU-907492) [録音:2006年-2007年](*)
  ラプソディ・イン・ブルー(オリジナル・ジャズバンド版/1924)/アイ・ガット・リズム変奏曲
   (ガーシュウィン自身のオリジナル・スコア)/ヤンキー・ドゥードゥル・リズム/
  ヤンキー・ドゥードゥル・リズム(1909年機械吹込み録音復刻)/すてきな気持ち/誰かが私を愛している/
  スウィート・アンド・ロウ・ダウン/天国への階段/私の彼氏/魅惑のリズム/サマータイム

 マンシーニ:「ピーター・ガン」の音楽集 (HMU-907624) [録音:2012年6月]
  ピーター・ガンのテーマ/ソータ・ブルー/ The Brothers Go to Mother's /ドリームスヴィル/
  セッション・アット・ピートズ・パッド/ソフト・サウンズ/フォールアウト/放浪者/
  スロー・アンド・イージー/プロファウンド・ガス/ブリーフ・アンド・ブリージー/ My Manne Shelly /
  ブルー・スチール/母のためのブルース/ Spook /ピーター・ガンのテーマ(繰り返し)

 リンカーン・マヨーガ(P;*) アル・ガロドロ(アルトSax/Cl/バスCl;以上*)
 スティーヴン・リッチマン指揮ハーモニー・アンサンブル・ニューヨーク
 オリジナル・ジャズバンド版による「ラプソディ・イン・ブルー」、さらに「アイ・ガット・リズム変奏曲」のガーシュウィン自身によるオーケストレーション版や、 人気のソング・ナンバーをグローフェがバンド用に編曲したものまで、彼の一番聴きたい曲ばかりを1枚に収めた魅力的なガーシュウィン・アルバムと、ヘンリー・マンシーニが音楽を手がけたアメリカで1958年から61年にかけて放映された私立探偵ドラマ「ピーター・ガン」のための音楽集のハルモニア・ムンディ USA らしい魅力的な企画盤がセットとなったカタログ付 CD 。
聖体の祝日のための音楽
 聖歌:パンジェ・リングァ・グロリオシ / ジョスカン・デ・プレ:ミサ・パンジェ・リングァ
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548頃-1611):ラウダ・シオン・サルヴァトレム
 ピエール・ド・ラ・リュー(1452頃-1518): O salutaris hostia
 ウィリアム・バード(1539/40頃-1623): Cibavit eos
 エドワード・ベアストウ(1874-1946): Let all mortal flesh keep silence
 ピエール・ヴィレット(1926-1998): O sacrum convivium / メシアン(1908-1992): O sacrum convivium
 フランシス・グリアー(1955-): Panis angelicus / グレアム・ロス(1985-):アヴェ・ヴェルム・コルプス(*)
 ジェラルド・フィンジ(1901-1956): Lo, the full, final Sacrifice

 グレアム・ロス指揮ケンブリッジ・クレア・カレッジcho.
 ミカエル・パパドプロス(Org)
 録音:2016年6月-7月。(*)は世界初録音。 聖体の祝日のための音楽集。ジョスカン・デ・プレのミサ・パンジェ・リングァも全曲収録されている。敬虔な空気に満ちた清澄な歌声に心奪われる1枚。
HMF "IBERICA"
HMA-1907006
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価格帯:F
カタロニア民謡集
HMA-1957007
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価格帯:F
イサーク・アルベニス(1860-1909):
 知られざるピアノ・ソナタ集

 [第3番/第4番/第5番]/ワルツ「秋」
アルベルト・ギノバルト(P)
 旧品番:HMI-987007。
 アルベニスには多数のピアノ曲があるが、「イベリア」ばかりが有名なきらいがあり、ピアノ・ソナタがあることすら知られていないかもしれない。他の多くの小品と同様、 今日あまり顧みられることのないアルベニスのピアノ・ソナタに新たな視点を投げかけたのがスペインのピアニスト、アルベルト・ギノバルト。彼は現状の評価に真っ向から挑み、 アルベニスのピアノ・ソナタがいかに「ピアノ・ソナタ」という形式にスペインの風合いを混ぜ合わせた傑作であるということをここで証明している。
HMA-1957009
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価格帯:F
ホアキン・トゥーリナ(1882-1949):
 ピアノ作品集

 3つのアンダルシア舞曲 Op.8/幻想舞曲集 Op.22/
 歌劇「東洋の庭園」より舞曲 Op.25/
 スペイン民謡による2つの舞曲 Op.41/
 ジプシー舞曲集 Op.55/ジプシー舞曲集 Op.84/
 管弦楽なしの協奏曲 Op.88
アルベール・ジュノヴァール(P)
 旧品番:HMI-987009。スペインのセビリャに生まれ、15歳の時にピアニストとしてデビューしたトゥーリナは、23歳の時にパリに移り、作曲をダンディに師事、ドビュッシーにも薫陶を受け、さらにピアノをモシュコフスキに師事した。スペインの民俗音楽に題材を求め、アンダルシア、バスク、カタルーニャの舞曲のリズムを独自の方法で効果的にとりいれた作品を残している。
HMA-1957015
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価格帯:F
スペインのセファルディの音楽 ミゲル・サンチェス指揮
アリア・ムジカ
 録音:1997年12月。旧品番: HMI-987015 。
 セファルディ、あるいはその複数形のセファルディムとはスペインやポルトガルのユダヤ系民族のこと。彼らはかつてイベリア半島で豊かな文化を生み出し、10-12世紀頃にその繁栄は頂点に達した。しかし1492年、イサベルとフェルナンドのカトリック両王によってスペインからのユダヤ人追放の命が出され、改宗に応じなかったユダヤ人たちは放浪の身となった。そして北アフリカや中近東にたどり着いた彼らは独自の文化を今に守り伝えてきた。このアルバムでは、ヘブライ語とラディノ語(スペイン語がユダヤ人の中で変化したもの)の伝承曲を、歌とカーヌーン(琴の一種)、ウード(リュート)、ナイ(縦笛の一種)、カヴァル(これも縦笛の一種)などの民族楽器を用いて演奏されている。
HMA-1957017
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価格帯:F
エンリケ・グラナドス(1867-1916):
 「ゴイェスカス」[組曲の6曲/わら人形/間奏曲]
アルベルト・ギノバルト(P)
 旧品番:HMI-987017。
 近代スペインの大作曲家の一人グラナドスの代表作。ゴイェスカスとは「ゴヤの絵のような情景」という意味。スペインの誇る偉大な画家ゴヤの絵からインスピレーションを得て作曲されたものである。ふんだんに盛りこまれたスペイン情緒とダイナミックな躍動感は誰にでも親しみやすい。
 アルベルト・ギノバルトはバルセロナ生まれのピアニスト・作曲家で、グラナドスのスペシャリスト。音符の全てを掌中に収めた自身に満ちた演奏を展開している。
HMA-1987018
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価格帯:F
暁の歌〜ムルシアの伝統的ポリフォニー
 Salve a la Virgen de la Fuensanta / Agnus Dei / Or 'elión / Padre nuestro / Miserere /
 Correlativa / Yoduja ra'yonai / Ave Maria / Miserere / Salve de Pasión

  ミゲル・サンチェス指揮アリア・ムジカ
 録音:1998年7月、Monasterio de Santa Maria de la Cruz 、クバス・デ・ラ・サグラ、マドリッド近郊、スペイン。旧品番:HMI-987018(当店未案内)。地中海地方伝統的なの祈りと音楽を集めた1枚。1985年に結成されたアリア・ムジカは、セファルディ(スペイン系ユダヤ人)の音楽や中世キリスト教の音楽を中心に、スペイン古楽を演奏している団体。
ウニカ・イスパニエ
 〜13世紀スペインの写本による中世のスペイン音楽
ミゲル・サンチェス指揮
アリア・ムジカ
 レコンキスタ(国土回復運動)が開始された時代に歌われたアルス・アンティクァ期のスペインの曲。ウェルガス写本などに記されているモノフォニーとポリフォニーを含む宗教曲がいかに実践されていたかという、珍しい証拠ともなるアルバム。
カプリッチョ・ピントレスコ
 〜スペイン国民主義時代のクラリネット作品
ホアン=エンリク・リューナ(Cl)
アルトゥーロ・ピサロ(P)
 19世紀末から20世紀前半に活躍したスペインの作曲家たちの(カサドシュはもちろんフランス人だが祖先はフィゲーラス出身だった)クラリネット作品。ミゲル・ユステ、トゥリーナ(リューナ編)、トルドラ、グラナドス(ギノバルド編)、ロベール・カサドシュらの顔ぶれが並ぶ。民族的作品から印象主義的作品まで多彩な作品。
HMA-1957026
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価格帯:F
セファルディムの音楽
 イェフダ・ハレビと
  ソロモン・イブン・ガピロルの詩による歌/
 ソロモン王の詩による歌
ミゲル・サンチェス指揮
アリア・ムジカ
 旧品番:HMI-987026。中世の偉大な詩人たちの詩による音楽。ソロモン王の「 Song of Songs 」は、ユダヤの典礼と神秘主義の美しい聖書を思い起こさせる。
HMA-1957028
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価格帯:F
ああ、甘き苦悩!〜スペインのバロック声楽曲集
 ホセ・マルティネス・デ・アルセ(1660頃-1721)、
 フアン・イダルゴ(1614-1685)、
 フアン・デル・ヴァード(1625頃-1691)、
 他の世俗歌曲(全11曲)
マルタ・アルマハーノ(S)
フアン・カルロス・リベーラ
 (アーチリュート、バロックG)
マイク・フェントロス(バロックG)
ベントゥーラ・リコ
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ペドロ・エステバン(打楽器)
 録音:2001年2月。旧品番:HMI-987028。
 17世紀スペインのバロック音楽には、イタリアの音楽とはまた異なった魅力がある。このアルバムの最大の魅力は、収録。なんといっても、スペインの古楽歌手のスター、マルタ・アルマハーノの美声。アルマハーノはスペイン北部アラゴン州のサラゴサ生まれ。バルセロナで学んだ後、立ち遅れていたスペインのバロック声楽曲の復興の旗手として活躍している。透明でありながら親しみやすさのある声は、こうした雅な愛の歌曲にぴったりである。
HMA-1957029
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価格帯:F
ロッシーニとスペイン
 ラモン・カルニセ(・イ・バリェ)(1789-1855):
  幻想曲 変ホ長調
 アントニオ・ロメロ(1815-85):
  演奏会用独奏曲第1番/
  練習曲第10番(リューナ編クラリネット&ピアノ版)/
 「ルクレツィア・ボルジア」の主題による幻想曲
 ロッシーニ(1792-1868):
  序奏、主題と変奏曲/幻想曲 変ホ長調
 イーヴァン・ミュラー(1786-1854):
  ロッシーニ作歌劇「セビリャの理髪師」の
   ロジーナのカヴァティーナ
    「今の歌声は心にひびく」による幻想曲
 エルネスト・カヴァッリーニ(1807-74):
  フィオリ・ロッシニアーニ
ジョアン・エンリク・リュナ(Cl)
ナイジェル・クレイトン(P)
 録音:2001年6月27-28日、イギリス、サフォーク州ダンウィック。旧品番:HMI-987029。
 18世紀に開発・改良されたクラリネットは、19世紀になって人気楽器としての地位を固め、楽器の改良とレパートリーの拡充の時期となったこの世紀の前半には、クラリネットの名曲が多々生まれた。このアルバムは、ロッシーニの音楽を元にしたスペインの作曲家によるクラリネット作品を中心にしたアルバム。ミュラーは、現代にまで続く楽器の改良をしたドイツのクラリネット奏者、また、カヴァッリーニは、クラリネットのパガニーニと呼ばれたイタリアのクラリネット奏者で、2人ともロッシーニに影響を受けた作品を書いたということから取り上げられた。いずれも名人芸が誇示された楽しい作品ばかりで、原曲を知っている人も、知らない人も楽しめる内容となっている。さらにロッシーニのオリジナルも2曲収録。
 ジョアン・エンリク・リュナはスペインを代表するクラリネット奏者。単なるお見事な技に留まらない、知的で明晰な音楽で、全体に華麗な雰囲気をもったアルバムに仕上がっている。
HMA-1957030
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価格帯:F
Zarambeques 〜17、18世紀のスペインのギター音楽
 ムルシア、サンタ・クルス、ゲラウ、他の作品
アルモニオージ・コンチェルティ
[ホアン・カルロス・
  リベラ(バロックG)
 コンスエロ・ナヴァス(テオルボ)
 ホアン・ミゲル・
  ニエト(バロックG)]
 旧品番:HMI-987030。17、18世紀のスペインでは、舞曲がその黄金期を迎えていた。様々な土地から伝わった舞曲と、スペイン独自の舞曲の様式が渾然一体となって生まれた楽曲の数々は、今なお色褪せることない輝きを放っている。ギターの名手たちによる色彩豊かな即興と変奏も見事。
デル・アモール〜スペイン・ロマン派の歌曲集
 デル・アダリッド、デ・レデスマ、カルニセル、
 マヌエル・ガルシーア、ロブレス、他の作品
マルタ・アルマハーノ(S)
マイケル・キーナー(P)
 録音:2002年10月。ディジパック仕様。
 スペインの名花アルマハーノは、プリマドンナ然としたところがないこざっぱりとした清涼感が魅力。そんな彼女がピリオド楽器の伴奏にのせて可憐に歌う19世紀スペインの歌曲集。 同時代のイタリア歌曲に似た趣のそこかしこにスペイン的情緒が染み込んで、独特の旨味を醸し出す。ロッシーニ時代の大テノールで、「セビリャの理髪師」の初演にも参加したガルシーアの作品もみごと。
イエス・キリストのベスティアリ〜動物寓話集
 (全18曲)
アリア・ムジカ
 ハルモニア・ムンディ・イベリカ(スペイン)のオリジナル盤。キリスト教では万物が神の創造によるものとみなされていたので、中世あたりまでは、 動物にも宗教的な見方から象徴的な意味が与えられてきた。そうした動物の絵と説明を集めた冊子はベスティアリと呼ばれ、当時は人気があった。当アルバムは、13世紀のスペインにおける音楽のベスティアリで、 18曲の中に様々な動物が登場する。無伴奏合唱を中心に、ときおり中世リュート等が加わるアリア・ムジカの演奏は心地よく、曲の内容に興味がなくてもじゅうぶん音楽に浸ることができる。もちろん中世音楽ファンなら必聴。
ジュアン・ギンジュアン(1931-)〜70歳記念演奏会
 マグマ(16人の奏者のための;1971)(*)/
 カデンツァ(チェロ独奏のための;1978)(+)/
 ネクサス(1993)(*)/
 バルセロナ 216(1995)(*)/
 カルメン・アマヤに捧ぐ(6人の打楽器奏者のための;1986)(*)
ピョートル・カラシウク(Vc;+)
ジュゼプ・ポンス指揮(*)
プロイェクト・ヘラルド(*)
 録音:2001年5月31日、マドリッド国立音楽ホール、ライヴ。おそらくディジパック仕様。
 ギンジュアンはカタルーニャ南部のタラゴナに生まれた作曲家。「マグマ」は友人の画家アウグスト・ピュイグの作品名、「バルセロナ 216」は現代音楽の演奏団体名、「カルメン・アマヤ」は有名なフラメンコ・ダンサーの名前。
アントニオ・リテレス(1673頃-1747):
 歌劇「ユピテルとセメレ」
マルタ・アルマハーノ
(S;ユピテル)
ビルヒニア・
 アルディード(セメレ)
ロラ・カサリエゴ
(Ms;クビド)
ソレダード・
 カルドーソ(S;ユノ)他
エドゥアルド・
 ロペス・バンソ指揮
アル・アイレ・エスパニョール
 録音:2003年2月、マヨルカ島アルタ市立劇場。ライヴ。
 リテレスは地中海の西にあるマヨルカ島出身の作曲家。18世紀前半(スペイン継承戦争の時代)に、ハプスブルク、ブルボン両王朝に宮廷作曲家として仕えた。 「ユピテルとセレメ」は実に見事なスペイン・バロックオペラで、スカッとする生命力がある。当時のイタリアの作曲家と比べても非常に独創性に富んだ作品で、当時最高の名声を得ていたのも納得。 音楽の間に台詞が置かれているが(セレメ役は台詞のみ)全く退屈しない。ムンディ・イベリアの華、アルマハーノを始めとするキャストもばっちりで、加えてバンソの色彩の陰影も鮮やかな指揮にも感嘆しきり。
HMA-1957038
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価格帯:F
フアン・クリソストモ・アリアーガ(1806-1826):
 弦楽四重奏曲集

  [第1番 ニ短調/第2番 イ長調/第3番 変ホ長調]
カザルスSQ
 録音:2003年5月。旧品番:HMI-987038(廃盤)。いち早く発揮された神童ぶり、二十歳に満たない若さでの夭折、そして50年を隔てての誕生日(1月27日)の一致などの類似から、しばしばモーツァルトになぞられるスペインの天才作曲家アリアーガ。パリで書いた3つの四重奏曲はわずか(といっても彼にとっては晩年の)18歳の作だが、すでに一流の音楽であり、エレガントかつ独創的で構成も巧み。その吸い込まれそうになるような美しさは恐しいほど。カザルス・カルテットは1997年マドリッドで結成され、メンバー平均年齢は録音当時で20代半ばのアンサンブル。当盤は彼等のデビュー盤となったもので、作曲者と演奏者のゆかりのスペイン、ハルモニア・ムンディ・イベリカからのリリースだった。
ラモー:クラヴサン作品全集 マイケル・キーマー(Cemb)
 ハルモニア・ムンディからはクリスティ以来となるレパートリー。キーマーはヨーロッパで活躍中の新顔。
ヴィラ=ロボス:
 交響曲第10番「アメリンディア」(5部のオラトリオ)(1952)
フランシスコ・バス(T)
エンリケ・バケリーソ(Br)
サントス・アリーニョ(Br)
ビクトル・パブロ・ペレス指揮
テネリーフェso.、
バレアレス諸島大学cho.、
コーラル・レイェス・
 バルトレット、
カマラ・デ・テネリーフェcho.、
テネリーフェ音楽院cho.
 録音:1998年12月、ラ・ラグーナ大学講堂、カナリア諸島テネリーフェ島、スペイン。
 この作品はサンパウロ市創設400年祭委員会からの委嘱で書かれた作品で、交響曲に5部のオラトリオを組合わせ、テキストにはトゥピ語、ポルトガル語、ラテン語を用い、 ヨーロッパとインディオの文化を融合させたヴィラ=ロボスらしい壮大なもの。なお、タイトルの「アメリンディア」はアメリンディアン(アメリカ・インディアン)の派生語で、 イヌイットを除くアメリカ大陸先住民の土地といった意味合い。
HMG-507042
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価格帯:F
ビクトリア:そしてイエスに〜独唱による宗教歌集
 2人のセラフィムが呼び交わしあった/おお、使途の輝き/年老いし女/男児をみごもり/
 博士たちは星を見た/主よ、われは値せず/聖なるかな/誉むべきかな/神の子羊/
 恐れるな、マリアよ/この者に罪無し/戦いにおいては力強くあれ/救い主を育てた母/
 おお、なんと栄光に満ちた/偉大な師にして神の友/ヘブライの子らは/めでたし女王
  カルロス・メーナ(CT) ジュアン・カルロス・リベーラ(リュート/ビウエラ)
 録音:2003年10月。旧品番:HMI-987042(廃盤)。
 スペインを代表するカウンターテナー、メーナが、くろうと筋からスペイン最高のリュート/バロック・ギター/ビウエラ奏者と認められているリベーラと組んだアルバム。ルネ・ヤーコプス、ドミニク・ヴィス、ジェラール・レーヌのような強烈な個性がないかわりに、清らかさや穏やかさを感じさせる彼の美声はバロック的というよりルネサンス的、まさにビクトリアにうってつけといえる。ビクトリア的ハーモニーから解き放たれたビクトリア的旋律を味わうのも、ルネサンス音楽ファンにとって心地よい体験となるにちがいない。
アレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725):
 オラトリオ「罪、後悔と慈悲」(1708)
ロサ・カサリエーゴ(Ms:罪)
マルティン・オーロ(CT:後悔)
マリア・エスパーダ(S:慈悲)
エドゥアルド・ロペス・バンソ指揮
セビリャ・バロックo.
 録音:2003年8月。
 2003年に発売されたリテレスの「ユピテルとセメレ」(HMI-987036)に続く、ロペス・バンソのHMI企画第2作。2003年にはルネ・ヤーコプス指揮による「グリゼルダ」(HMC-901805)の優れた録音が登場し話題を呼んだが、 このCDもまたスカルラッティの声楽大作復興を活気づけるものとなるかもしれない。こちらはローマでの復活祭のために書かれた作品で、台本はオットボーニ枢機卿の手になる。 当時のオラトリオによく見られる、抽象概念を擬人化させたオラトリオである。
 ロペス・バンソは1961年に生まれ、18歳でアムステルダムに渡りレオンハルトに師事、スペインに戻ってスペイン人声楽家とオランダで学んだ器楽奏者を中心にアル・アイレ・エスパニョールを創設、 ALMAVIVAやDHMに録音を続け、スペイン的情熱とオランダ古楽系の洗練を両立させた解釈で高い評価を得ている。この録音はアンダルシア地方、ポルトガルとの国境の町アヤモンテにおける音楽祭と連動して行われた。
HMA-1957048
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価格帯:F
ブラームス(1833-1897):
 クラリネット五重奏曲Op.115(*)/
 クラリネット三重奏曲Op.114(#)
ジュアン・エンリク・ルナ(Cl)
東京SQ(*)
ルイス・クラレット(Cl;#)
ジュゼプ・コロン(P;#)
 録音:2003年。旧品番:HMI-987048
 スペインを代表するクラリネット奏者、ルナのブラームス。この作曲家の濃厚さにはこだわらず、知的明晰さで独自の境地を開いている。バックに、当時結成35年を迎えていた東京SQや、日本でも人気のルイス・クラレット(リュイス・クラレ)らを擁するのも魅力。
J.S.バッハ:リュート作品集
 組曲 ト短調 BWV.995/同 ハ短調 BWV.997/
 前奏曲 ハ短調 BWV.999/フーガ ト短調 BWV.1000
アンドレアス・マルティン
 (テオルボ)
 録音:2004年2月。
 バッハの数多くの独奏曲の中でも、リュート系楽器のための作品の渋さは格別。ひたすら内省的で、バロック的な華やかさからは相当に離れた地味な世界。しかしその中に、バッハならではの心の奥深いところに語りかける感動が極めて純度高くたたずんでいる。熱心なバッハ・マニアほどリュート曲集を絶賛するというのも頷けるところ。
 アンドレアス・マルティンはフランクフルト・アム・マイン生まれのドイツのリュート奏者。ここでは18世紀製テオルボのレプリカを使用。低音リュートならでは深みが絶品で、水墨画のようなモノトーンの静けさを醸し出している。マルティンは、ことさら重々しくするわけでもなく、かといって意識的に明るくしたりもせず、バッハの思い浮べた世界をあるがままの姿で描く。鉛色だからこその感動である。
HMA-1957053
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価格帯:F
17世紀スペインの大聖堂の音楽
 パティーニョ:身を捧げて歌おう/マリア、母なる神よ
 カバニーリェス:シンフォニア/パッサカリア
 ルイス・デ・サマニエゴ:空は金色に輝き
 ドゥローン:サルヴェ・レジーナ/第1の哀歌
 ガラン:甘きこだまを聞け
エドゥアルド・
 ロペス・バンソ指揮
アル・アイレ・エスパニョール
 録音:2004年4月。旧品番:HMI-987053(廃盤)。
 すっかりハルモニア・ムンディ・イベリカの看板となった、ロペス・バンソとアル・アイレ・エスパニョールによる、17世紀に活躍したスペインの作曲家の様々な作品集。当盤最大の特徴は、二重合唱を用いた声楽作品を多く取り上げていること。それだけ作曲技法として高度なものばかりで、各パート一人の四人編成の合唱が二隊、見事な絡み合いの効果をあげている。バロック声楽曲でおなじみのエコーを二重合唱で試みたユニークなドゥローンの「サルヴェ・レジーナ」、とにかく陽気で元気の良いサマニエゴの「空は金色に輝き」などは、バロック声楽ファンなら聞かないわけにはいかない名曲。ギターも加わったアンサンブルも最高。
HMX-2987054
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価格帯:F
アリア・ムジカの道
 スペイン系ユダヤ人の礼拝伝統曲(6曲)
 地中海の伝統曲(3曲)
 中世スペインのキリスト教の礼拝伝統曲(8曲)
ミゲル・サンチェス指揮
アリア・ムジカ
 録音:1997-2002年。
 アリア・ムジカは1985年結成、セファルディム(スペイン系ユダヤ人)の音楽や中世キリスト教の音楽を中心に、スペインの古楽を探求し、その成果をCDにしてきた。このCDは彼らがハルモニア・ムンディ・イベリカに録音した5枚のアルバムから再編集されたコンピレーション。アリア・ムジカの世界を知るには打ってつけ。
サルヴァドール・ブルトンス(1959-):
 ギター協奏曲「われらの海」Op.78(*)
 トロンボーンとピアノのためのソナタ Op.82(+)
 フルート協奏曲 Op.72(#)
 ホルンと弦楽合奏のための幻想曲 Op.12(**)
アレクス・ガロベ(G;*)
リカルド・カゼーロ(Tb;+)
ダニエル・エスパーザ(P;+)
マグダレーナ・マルティネス(Fl;#)
デイヴィッド・トンプソン(Hr;**)
サルヴァドール・ブルトンス指揮
バルセロナso.(*/#/**)
 録音:2004年5月。
 バルセロナ生まれの作曲家の協奏曲を中心としたアルバム。ブルトンスはもともとフルーティストで、1980年代にはオーケストラに在籍していたが、作曲した作品の評判が高く、やがて作曲家一本に転進したという経歴の持ち主。ギター、トロンボーン、フルート、ホルン、と楽器の特性に合わせた多彩さが魅力。
ジュアン・ギンジュアン(1931-):
 管弦楽のための協奏曲第1番
 クラリネット協奏曲
 チェロのための音楽
ジョン・エンリク・ルナ(Cl)
デイヴィッド・アブラモヴィツ(P)
ルイス・クラレット(Vc)
バルセロナso.
カタルーニャ国立o.
 ジュアン・ギンジュアンはカタルーニャの作曲家。HARMONIA MUDI IBERICAからは小編成作品集が既発売(HMI-987035)。
口づけに〜17世紀の声楽曲集
 フェッラーリ:恋人たちにこう言おう/愛よ、私は反抗する/
  カンタータ「あの鋭い刺が」
 ストロッツィ:いとしい人から奪った口づけに/
  そんなことは望まない/希望は私を笑わせる
 カリッシミ:あなたは私をやつれさせた
 カプスベルガー:王でさえ泣きながら生まれる
 モンテヴェルディ:
  ああ、私は躓いた/私のトルコ娘/あの尊大な眼差し
 フレスコバルディ:
  もし風が吹くなら/私の太陽、あなたは去っていく
 レグレンツィ:
  装うことができない人は愛から遠ざかりなさい
 ピッチニーニ:アリア・ロマネスカ
 ファルコニエーロ:君主
 メッリ:ガイッラルダ「ラ・ファルネーゼ」
マルタ・アルマハーノ(S)
ルカ・ピアンカ(アーチリュート)
ヴィットリオ・ギエルミ
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 録音:2004年11月。
 スペインの古楽歌姫マルタ・アルマハーノが歌う17世紀イタリアの恋の歌。中でも注目は、当時としては珍しい女性作曲家バルバラ・ストロッツィの3曲。奔放な人生を歩んだ人だけに、個性は強烈。アルマハーノは持ち前の清廉な声を生かしつつも、そこはスペイン人、英仏系あたりの古楽歌手ではやらないようなズバリとした切り口で、何百年たっても変わらない男女の恋の心を赤裸々に歌い上げている。
HMI-987059
廃盤
エンリケス・デ・バルデラーバノ(1500頃-1557頃):「セイレーンの詩歌集〜
  シルヴァ・ドゥ・シナーレス」(1547)(モラーレス、ジョスカンらの歌曲編纂集)
 カルロス・メーナ(CT) アルモニオージ・コンチェルティ
HMI-987060
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(3CD)
2CD価格
モーツァルト:初期弦楽四重奏曲集
 ト長調 K.80/ディヴェルティメント K.136(125a) ニ長調/
 変ロ長調 K.137(125b)/へ長調 K.138(125c)/ニ長調 K.155(134a)/
 ト長調 K.156(134b)/ハ長調 K.157/へ長調 K.158/変ロ長調 K.159/
 変ホ長調 K.160(159a)/へ長調 K.168/イ長調 K.169/ハ長調 K.170/
 変ホ長調 K.171/変ロ長調 K.172/ニ短調 K.173
カザルスSQ
[アーベル・トマス・レアルプ、
 ヴェラ・
  マルティネス・メーナー(Vn)
 ジョナサン・ブラウン(Va)
 アルナウ・トマス・レアルプ(Vc)]
 モーツァルトが14歳の時に一晩で作曲したK.80を先頭に、16-17歳にかけて作曲されたミラノ四重奏曲とウィーン四重奏曲を収録。あらためて彼の天才ぶりを実感できる作品ばかり。弦楽四重奏の編成を変幻自在に操って、我々を極上の世界へと誘う。1997年に結成された若手カザルス弦楽四重奏団の、息のぴったりと合ったフレッシュなアンサンブルによる演奏は、モーツァルティアンにも室内楽ファンにもたまらない仕上がり。
デュオ〜バロック・アルバム
 シェンク:シャコンヌ
 C.P.E.バッハ:カプリシューズ/ カロライン
 アーベル:
  ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソロのための写本に基づく作品
 ヘンデル:歌劇「アルチーナ」〜Credete al mio Dolore
 モーツァルト:歌劇「魔笛」〜In doesen heil'gen Hallen
 アンドレアス・リドル:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ
 グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」〜
   Che faro'senza Euridice
ルカ・ピアンカ(アーチリュート)
ヴィットリオ・ギエルミ
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 録音:2002年9月16-18日。
 「17世紀イタリアの恋の歌」(HMI-987058)では、マルタ・アルマハーノと共演し情感に富んだ伴奏で美しい演奏を聴かせてくれたピアンカとギエルミ。今回は彼ら二人の卓越した演奏によるバロック・アルバムである。ピアンカは自然なフレージングと活き活きとした音楽表現で曲趣に応じた表情の変化を見せる。ギエルミの使用している楽器は、あのサント・コロンブも使っていたミッシェル・コリション製作のオリジナル。ギエルミは十分な音量と安定した音程で超絶技巧を聴かせる。
ホセ・デ・ネブラ(1702-1768):アルト、オーボエ、
  2つのヴァイオリンと通奏低音のためのカンターダ
ホセ・トーレス(1670頃-1738):アルト、オーボエ、
  2つのヴァイオリンと通奏低音のためのカンターダ 他
カルロス・メナ(CT)
エドゥアルド・ロペス・バンソ指揮
アル・アイレ・エスパニョール
 録音:2005年3月4-7日。
 ハルモニア・ムンディ・イベリカの看板アーティスト、エドゥアルド・ロペス・バンソとアル・アイレ・エスパニョール、そしてカウンターテノール界の新星カルロス・メーナ。このアルバムは、知られざるスペイン・バロックの作曲家の作品を取り上げたもの。グアテマラのカテドラルにて発見された楽譜をもとに神秘的でエギゾティックな演奏が繰り広げられている。穏やかで静かな響きが聴く者を別世界へと誘う。
ジョアン・アルベルト・アマルゴス(1950-):
 「エウリディーチェとカロンテの人形」
クラウディア・シュナイダー
 (Ms:ソフィア)
マルク・カントゥリ
 (Br:オスカール)
トニ・ルンバウ(歌)
バルセロナ 216
 録音:2003年。ディジパック仕様。
 アマルゴスはバルセロナ生まれの作曲家・指揮者。この「エウリディーチェ」は2001年に初演された作品で、内容はペーリの「エウリディーチェ」の上演を巡って、歌手ソフィアと、その恋人で音楽学者のオスカールの間に、街の人形劇の世界が割り込んでいくというもの。なにやらダリの絵を思わせるような不可思議な世界である。編成はピアノ、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、バンドネオンという、バンド形態。初演以来人気を博し、イタリア、ドイツなどでも上演されている。
The Devill's Dream
 ジョン・ダウランド(1562-1626)、
 フィリップ・ロセスター(1567-1623)、
 トバイアス・ヒューム(1579-1645)、
 ウィリアム・バード(1539-1623)、
 ギエルミ、ピアンカ/他の作品
ヴィットリオ・ギエルミ(Va)
ルーカ・ピアンカ
(リュート/キタローネ)
グラシエラ・ジベリ(S)
 ディジパック仕様。16-17世紀に英国で生まれた音楽の玉手箱のようなCD。当時英国の音楽は、すべて民族の文化に根ざしたいわばフォークロア調のものだった。ヒュームの作品も、ダウランドの作品も、そのインスピレーションはすべてその土地特有の調べから得られたもの。現代を生きるピアンカとギエルミの作品も同時収録されているが、400年の時を隔てて生み出されているにも関わらず違和感なく聴けるのは、音楽に流れている同じ「血」のせいだといえるだろう。
エルネスト・アルフテル(1905-1989):
 シンフォニエッタ/悲歌/詩篇
ビクトル・パブロ・ペレス指揮
テネリフェso.
 アルフテルは、スペインの大作曲家ファリャの愛弟子で、ファリャの絶筆作品となったオペラ「アトランティダ」を補筆してカンタータとして世に出した人物。ダリ、ガルシア・ロルカらとも親交をむすび、スペインの文化界においてなくてはならない存在だった。ストラヴィンスキー、その後1925年から10年間はラヴェルの下で修行をつみ、その作風は新古典主義的なものが多い。シンフォニエッタは1928年ごろに書かれ、この曲によってアルフテルはアメリカでも知られるようになった。
マリア・バーヨ〜18世紀のサルスエラを歌う
 ホセ・デ・ネブラ(1702-1768):
  レシタードとアリア「過酷な運命」/
  レシタードとアリア「この恩知らずの荒い岩山」/
  アリア・デ・グラシオーサ「彼が失った一つの目」/
  レシタードとアリア
   「彼の目を隠し、泣かせ、嘆かせよう」/他
 ボッケリーニ:
  シンフォニア ニ短調 Op.12-4 G.506「悪魔の家」
マリア・バーヨ(S)
エドゥアルド・
 ロペス・バンソ指揮
アル・アイレ・エスパニョール
 録音:2005年12月4日、8日。ピリオド楽器使用。
 古楽を中心に活躍するスペインの歌姫、マリア・バーヨが、18世紀スペインの作曲家ネブラによるサルスエラのアリアを歌う。ネブラはマドリッドで活躍した作曲家で、ここに収録されているアリアは、いずれも当時大変に人気があった。イタリア・オペラの影響を受けつつも、独自の魅力が開花している。バーヨの清楚な声が、まさにピッタリ!
 なお、特典DVDが付いていますが、PAL仕様のため国内の通常映像機器では視聴不可です。ご了承下さい。
HMG-507070
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価格帯:F
モンポウ・ピアノ作品集
 ひそやかな音楽(全28曲)/3つの変奏曲
ハビエル・ペリアネス(P)
 録音:2006年6月-7月。旧品番:HMI-987070スペインの国宝的作曲家、モンポウのピアノ作品集。ひそやかな音楽は全28曲からなる曲集。母方の家系が代々鐘をつくる職人であったモンポウならではの硬質でクリアーな音色、ふっと薫るニュアンスがゆったりとした曲調で心地よい音楽。「ひそやかな音楽」の題名はルネサンス時代の詩人クルスの詩からとられたもの。
モーツァルト:
 セレナード第10番「グラン・パルティータ」K.361
モーツァルト/ヴェント編:
 後宮からの誘拐(ハーモニームジーク版)
マルティン・イ・ソレル:
 歌劇「椿事」の主題によるディヴェルティメント
ホアン・エンリク・ルナ指揮
ムーンウィンズ
 ディジパック仕様。スペインのクラリネットの名手として注目されているホアン・エンリク・ルナ。彼が2005年に結成した管楽アンサンブル「ムーンウィンズ」がCDデビュー。いずれも名手揃いで、舌を巻く精密なアンサンブルと溢れる生命力で、今後目が離せない団体。マルティン・イ・ソレルがまさに掘り出し物。
Paisajes del recuerdo 〜思い出の風景
 アイタ・ドノスティア:
  庭に、美しい花が/復活と昇天/
  Atxia, motxia /一番愛らしい生き物/
  ビリ・ビリ・ボン・ボン/
  ビリビリ・ボンボロ/ルア・ルア/
  海の中で/僕はちっともこわくない
 ヘスス・グリーディ:
  風景/アヴェ・マリア/ミステリー/
  悲しみと暗がり
 エミリアナ・デ・ツベルディア:zortico
 アンドレアス・イサシ:
  風景/山のクリスマス・イヴ/母は歌う/
  熱望/避難/ダンシング・モンキー
 ベルトラン・パゴラ:Zortico
 ホセ・マリア・フランコ:
  あなたの名前を呼ぼう
 ホセ・ウルヌエラ:バスクの歌
 フランシスコ・エスクデロ:
  3つのバスクの歌
  [ワインの底から/遠くに/愛すべき国よ]
 フランシスコ・エスクデロ:買う
 カルメロ・ベルナオラ:
  3つのバスクの歌[ブロンズ/愛/水]
 フランシスコ・イバナエス:
  去る前に君を見ている
 エルコレカ:青
カルロス・メーナ(CT)
スザナ・ガルシア・
 デ・サラザール(P)
 録音:2006年10月。
 バスク地方の20世紀の作品を集めたもの。ほとんどが初録音、さらに未出版のものも多く含まれる。「思い出の風景」というタイトルのとおり、どこか懐かしさを感じさせる曲ばかり。心の内にあるやさしさ、感傷、愛、そして恐れといった、すべての人に共通の感情が喚起される。これらの歌によって喚起された普遍的な感情が、聴く者個人個人の特定の感情へと変換される過程には、これらの歌のひとつひとつにある文化、ふるさと、そしてバスクの内面的な声が響く。つまり、ここに響くものは、私たちが「アイデンティティ」と呼ぶものなのだ。
 スペイン・バスク地方出身のサラザールの血のなせる、心の奥底をかきむしるようなピアノに、カルロス・メーナの真っ直ぐで澄み切った歌声がマッチし、聴く者のさまざまな感情を呼び覚ます。
ブラームス:弦楽四重奏曲集
 [第1番 ハ短調Op.51/第2番 イ短調Op.52/
  第3番 変ロ長調Op.67]/
 ピアノ五重奏曲 ヘ短調Op.34(*)
カザルスSQ
クラウディオ・マルティネス・
 メーナー(P;*)
 録音:2007年。
 ブラームスの弦楽四重奏曲というと、つい構えてしまいがちだが、カザルス弦楽四重奏団の演奏は、柔らかな情熱に彩られた稀有な演奏。メンバー一人一人の音色があたたかく、気品に満ちているのがよくわかる。決して硬くなることなく、薫り豊かな演奏を展開していて、とても好感がもてる。カザルス弦楽四重奏団は1997年に創立された。2007年11月に来日しており、メンバー一人一人は若手だが、すでに巨匠の風格と余裕を感じさせる演奏で聴衆を魅了した。ピアノのメーナーは、レオン・フライシャーにも師事した名手。絶妙のバランスでアンサンブルをまとめている。
シューベルト:
 4つの即興曲 Op.90(全曲)
 アレグレット D.915/3つの小品 D.946
ハビエル・ペリアネス(P)
 2007年の秋に初来日を果たし、若くしてすでに巨匠の風格をそなえた名人芸のベートーヴェンで我々を魅了したペリアネスの新譜はシューベルト。即興曲Op.90 は、ピアノ学習者が比較的早い段階で取り組む曲でもあるが、その内容は追求すれば追及するほど深いもの。4番の 変イ短調のものなど、ひとつひとつのパッセージは大変美しいが、ペリアネスは、作品に秘められた心の闇の部分を浮かび上がらせており、ちょっと病的ともいえるシューベルト作品集となっている。
HMF その他の廉価盤、特装アイテム
HMX-2968096
(2CD)
廃盤
J.S.バッハ・エッセンシャル
HMX-2908098
廃盤
hm Gold(全12トラック)
 パーセル:嘆きの歌[デラー]/バッハ:哀悼行事のためのカンタータ BWV198/
 ブラームス:ドイツ・レクイエム[ヘレヴェッヘ]他
HMX-2908131/34
(4CD)
廃盤
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
カヴァッリ:聖母マリアの夕べの祈り
 (ブルース・ディッキー構成編纂)
ブルース・ディッキー指揮
シャルル・トゥト指揮
コンチェルト・パラティーノ、
サクブティエ・
 ド・トゥールーズ
HMX-2908135/39
(5CD)
廃盤
バッハ:祝祭日用カンタータ集 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
コレギウム・ヴォカーレ/他
HMX-2908140/44
(5CD)
廃盤
シャルパンティエ:声楽作品集 ウィリアム・クリスティ指揮
レザール・フロリサン
HMX-2908145/46
(2CD)
廃盤
マリー・キーロウズ修道女〜
 メルキート聖歌&ビザンツ聖歌
マリー・キーロウズ修道女
アンサンブル・ド・ラ・ペ(*)
サン・ジュリアン・
 ル・パーブル教会聖歌隊(+)
HMX-2908147/49
(3CD)
廃盤
太陽王時代のヴェルサイユの音楽
HMX-2908150/52
(3CD)
廃盤
アリア〜 1600年から1800年の宗教的&世俗的アリア集
HMX-2908153/58
(6CD)
廃盤
ヨーロッパ
HMX-2908159/61
(3CD)
廃盤
コーラス
HMX-2968162
廃盤
2006年手帳〜モーツァルトの生涯、サンプラー付き
HMX-2918163/72
(10CD)
廃盤
Early Music box〔旧・センチュリー・エディション Vol.1−10 〕
HMX-2908163
廃盤
センチュリー・エディション Vol.1 〜古代の音楽
HMX-2908164
廃盤
センチュリー・エディション Vol.2 〜初期キリスト教聖歌集
HMX-2908165
廃盤
センチュリー・エディション Vol.3 〜グレゴリオ聖歌集
HMX-2908166
廃盤
センチュリー・エディション Vol.4 〜吟遊詩人の歌
HMX-2908167
廃盤
センチュリー・エディション Vol.5 〜ポリフォニーの誕生
HMX-2908168
廃盤
センチュリー・エディション Vol.6 〜アルス・ノーヴァ
HMX-2908169
廃盤
センチュリー・エディション Vol.7 〜アルス・スブティリオル
HMX-2908170
廃盤
センチュリー・エディション Vol.8 〜ルネサンス期の宗教音楽
HMX-2908171
廃盤
センチュリー・エディション Vol.9 〜 ルネサンス時代の世俗音楽(歌曲)
HMX-2908172
廃盤
センチュリー・エディション Vol.10 〜 「器楽」の誕生(15〜16世紀)
HMX10-2908173/82
(10CD)
廃盤
センチュリー・エディション Vol.11−20
HMX-2908173
廃盤
センチュリー・エディション Vol.11 |バロック〜モダン音楽の誕生(1600-1750)
HMX-2908174
廃盤
センチュリー・エディション Vol.12 〜英国のバロック
HMX-2908175
廃盤
センチュリー・エディション Vol.13 〜 ヴェルサイユの太陽王ルイ14世のための音楽
HMX-2908176
廃盤
センチュリー・エディション Vol.14 〜 後期バロックおよび、ロココ様式と多感様式
HMX-2908177
廃盤
センチュリー・エディション Vol.15 〜 ウィーン古典派の巨匠たち
HMX-2908178
廃盤
センチュリー・エディション Vol.16 〜 ロマン派の黄金時代
HMX-2908179
廃盤
センチュリー・エディション Vol.17 〜 国民楽派〜汝を解放せよ!
HMX-2908180
廃盤
センチュリー・エディション Vol.18 〜ウィーン1900年
 ワグネリズムから新ウィーン楽派まで
HMX-2908181
廃盤
センチュリー・エディション Vol.19 〜 現代音楽への小径(1900-1950)
HMX-2908182
廃盤
センチュリー・エディション Vol.20 〜 1945年以降の音楽創造
ミサ
 マショー、ビュノワ、ブリュメル、ジョスカン・デプレ、
 ジャヌカン、リシャフォール、チプリアーノ・デ・ローレ、
 パレストリーナ、パドヴァーノ、モンテヴェルディ、
 シャルパンティエ、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、
 メンデルスゾーン、シューベルト、ロッシーニ、ブルックナー、
 フォーレ、プーランク、マルタン、バーンスタイン、他のミサ
フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
シャペル・ロワイヤル
コレギウム・ヴォカーレ
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
アンサンブル・オルガヌム
RIAS室内cho.
ウィリアム・クリスティー指揮
レザール・フロリサン
ケント・ナガノ指揮
ベルリン・ドイツso.
オルランド・コンソート、他
 ハルモニア・ムンディの膨大なカタログの中から名曲&名演のミサを3枚組セット化。
リート
 シューマン、ドヴォルジャーク、他の歌曲(*)
 ベートーヴェン、シューベルト、コルンゴルト、他の歌曲(+)
 シューベルト、シューマン、C.シューマン、他の歌曲(#)
ベルナルダ・フィンク(Ms;*)
ディートリヒ・ヘンシェル(Br;+)
ヴェルナー・ギュラ(T;#)
 ハルモニア・ムンディの擁する今をときめく歌手たちによる珠玉の歌曲集。
HMG-508190/91
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(2CD)
価格帯:F
ヘレヴェッヘ&シャンゼリゼ管〜シューマン交響曲全集
 〔第1番 変ロ長調「春」 Op.38 (*) /第2番 ハ長調 Op.61 (#) /
  第3番 変ホ長調「ライン」 Op.97 (*) /第4番 ニ短調 Op.120 (+) 〕
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼo.
 録音:2006年12月、ヘラクレスザール、ミュンヘン(*) /1996年1月、シテ・ド・コングレ、ナント(#) /1996年12月、サル・ワグラム、パリ(+) 。旧品番: HMC-901555 (#)(+ ピアノ協奏曲 w. シュタイアー→HMA-1951731), HMC-901598 (+)(+ チェロ協奏曲 w. コワン→HMA-1951731), HMA-1951848 (#/+), HMC-901972 (*) 〔以上、HMA-1951731 を除き全て廃盤〕。ヘレヴェッヘのシューマン交響曲が全集になって登場。古楽オーケストラの風雲児として、フォーレのレクイエムやメンデルスゾーンなどのレパートリーで世の度肝を抜いたヘレヴェッヘの真骨頂ともいえる名盤。特に第2番、第4番が発売された約20年前、その鮮やかな風合いに、それまで不必要に分厚いオーケストレーションで演奏されることもあったシューマンの交響曲像を一新した衝撃の演奏だった。第2番の金管はコンチェルト・パラティーノが担当、もちろんシューマンならではのみずみずしい詩性も存分に歌いあげられている。今なおその音色の鮮烈さ、新鮮さは格別。
 #当盤はレーベルで廃盤となりましたので、流通在庫限りとなります。御注文時に入手できなくなっていた場合はご容赦ください。
HMX-2908193/95
(3CD)
廃盤
アンドレアス・ショル〜スペシャル・ボックス アンドレアス・ショル(CT)
HMX-2908196/98
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(3CD)
廃盤
ルネサンス〜ポリフォニー音楽の名曲集 パウル・ファン・ネーヴェル指揮
ウエルガスEns.
HMA-1958199
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価格帯:F
ルネ・サオルジャン〜 Noëls à l'orgue(全16曲)
 サヴォア教会の鐘の音(*) / ダカン:南仏のクリスマス ト長調(*)
 ツィポーリ:パストラーレ(*) / J.S.バッハ:パストラーレ BWV590 (*)
 バルバストル:クリスマスのためのオルガン作品集 [Noëls à l'orgue] (#)
  〔イエスがお生まれになった時/ A la venue de Noël /ヨセフは幸せな結婚をした/ Il est un petit l'ange /
   Comment tu oze petite Rose / Au jô deu de pubelle-Grand dei, ribou, rebeine /
   Où s'en vont ces gais bergers / Ah ma voisine es-tu fâchée / Tous les bourgeois de Châtres /
   Qué tu grô Jan, quei folie / Votre bonté grand dieu / Joseph revenant un jour 〕

 ルネ・サオルジャン(Org)
 録音:1980年9月、サヴォア教会(*)/1973年頃、タンド大聖堂(#)。初CD化:2006年。 旧品番:HMX-2978199HMX-2928199全12曲のバルバストル「クリスマスのためのオルガン作品集」 [ Noëls à l'orgue, HM 984 (LP) (#) ] に、「舞曲とパストラール集」[ Danses et pastorales, HM 1059 (LP) ] の前半4曲(*)を足した物。 レコードとして発売されて以来、2006年まで全く市場から姿を消していた逸品。南仏の真珠とも評されるタンドの町にある教会のオルガンと、イタリア文化の影響も色濃く残るサヴォア地方のシャンベリーにある教会のオルガンを使って演奏しているなんとも贅沢な録音。キリストの誕生を一番最初に知らされた羊飼いの歌「パストラーレ」を集めたもので、ゆったりとした気分が最高の一枚。
 スコット・ロスの師でもあるサオルジャン(1928-)は、新録音こそ80歳代前半頃までは散発的に発売されていたが、30歳代始めから録音しているHMFへのこのようなLPは、いまだにCD化が進んでおらず残念。一度CDになったブクステフーデの全集なども、廃盤になっている。
HMX-2908201
(8CD)
廃盤
アラン・プラネス
 〜シューベルト:ピアノ・ソナタ集、ピアノ作品集
アラン・プラネス(P)
HMX-2958209/13
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(5CD)
3CD価格
アラン・プラネス〜ドビュッシー:ピアノ作品全集
 前奏曲集第1巻&第2巻(全曲)[使用楽器:ベヒシュタイン、1897年製/録音:1999年4月]/
 12のエチュード(全12曲)/スケッチブックから/仮面/喜びの島[録音:1995年3月12日-14日]/
 ベルガマスク組曲2つのアラベスク/子供の領分/映像第1集&第2集
  [使用楽器:ブリュートナー、1902年製/録音:2005年3月24日-27日]/
 忘れられた映像/ボヘミア舞曲/夢想/マズルカ/ロマンティックなワルツ/バラード(スラヴ風バラード)/
 スティリー風タランテラ/夜想曲 変ロ長調/ピアノのために/版画/コンクール用小品/ハイドン賛歌/小さい黒人/
 レントより遅く/6つの古代墓碑銘/英雄の子守歌/アルバムのページ(負傷者の服のための小品)/
 エレジー(ジャン・ジョベール版、パリ)/燃える炭火に照らされた夕べ(1917)/
 リア王の眠り(ロジェ=デュカス版、1926)[使用楽器:スタインウェイ/録音:2006年5月10日-15日]

 アラン・プラネス(P)
  アンサンブル・アンテルコンタンポランで腕をならしたフランスきってのベテラン、アラン・プラネス。彼の表情豊かな音色と精確なリズム感覚、ハーモニーのセンスで世界で高く評価されたドビュッシーのピアノ作品録音が、ドビュッシー・イヤーにあわせてボックス化される。 [CD3]で用いられている1902年製のドイツの名器ブリュートナーは、高音部に4本目の共鳴弦(ピアノは通常3弦)が張ってあることで、豊かな倍音の響きが出るまさにドビュッシー向きの楽器。「映像」の諸曲や「月の光」など、ピアノとは思えぬ色彩感に驚かされる。絶品なのは「雪が踊っている」で、ヴェールに包まれたような幻想の世界が広がる。こんな不思議な音世界はミケランジェリでさえ創りえなかったといえるだろう。他のディスクも、プラネスの豊かな経験と知性とリズム感に裏打ちされた、色彩豊かな世界が広がる。
HMX-2908214/16
(2CD +
DVD)
廃盤
ルネ・ヤーコプス〜 Rene Jacobs by himself(1977-2007)
 ハルモニア・ムンディ録音開始30周年スペシャルボックス
HMX-2908219
廃盤
2007年の音楽手帳 「DIARY 〜 2007」
HMX-2978223
廃盤
ハルモニア・ムンディ・クリスマス・エディション 2006〜
 スペシャル・コンピレーションCD
HMX-2928223
廃盤
NOEL〜ハルモニア・ムンディ・クリスマス・エディション、スペシャル・コンピレーションCD
ドミニク・ヴィス&
 アンサンブル・クレマン・ジャヌカン
 ラブレーの楽しい集い
(HMC-901453;全26曲)
  セルミジ:決して豚は食わないぞ
  アンリ・フレノー:愛の溜息/歓喜の思いよ/他
 ルネサンス時代フランス・
  フランドル楽派の酒歌
(HMC-901729;全21曲)
  クレメンス・ノン・パパ:食膳の祈り
  デカレッラ:トゥールで聖マルタンの祭日に
  セルミジ:アウ、アウ、アウ、俺は飲むぞ
  ルロワ:馬の足のアルマンド 他
ドミニク・ヴィス指揮
アンサンブル・
 クレマン・ジャヌカン
 元祖チョイワルカウンターテナー、ドミニク・ヴィス率いるクレマン・ジャヌカン・アンサンブルの楽しい2枚が豪華ブックCDで再登場。
 演技達者な面々が揃っているだけに、特にCD2の宴の音楽など、思わず立ち上って踊りだしたくなるような楽しさ。中世の宮廷の雰囲気から、教会音楽の荘厳さ、さらには一般の市民が集う酒場の喧騒にいたるまでがこの2枚にギュギュっと詰まっている。それにしても彼らの表現の多様なことといったら、オルガンのレガールのような音から、鳥の声、酒に酔ってダミ声で騒ぎ立てる中年女、カエルの鳴き声・・・すべてこれが声だなんて! 今さらながら驚き。ゴスペラーズやラグ・フェアが活躍するずっと前から、クレマン・ジャヌカンの面々はこんなにも鮮烈なことをやってのけていた。体験したことのない人は是非聴いてみていただきたい豪華CDとなっている。
 注目すべきは当時の料理のレシピ集。「雉のオレンジ・ソース添え(ゲーム)」では、羽毛のむしり方から始まり事細かに伝授。さらには白鳥やクジャクのしめ方、と思いきや、色々なスパイスも加えられてヒトクセあって美味しそうなアップルパイや、牡蠣のシチューなんていうのまで載っている。「※全ての料理は、細かな分量が指定されていないので、思い思いの分量でお試しください。きっと中世人になれますよ。」と代理店は記載している。
HMX-2908226/28
(2CD +
1DVD)
廃盤
Philippe Herreweghe By Himself Retroperspective (1981-2007) 1981年-2007年の軌跡
HMG-508235/36
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(2CD)
価格帯:F
ディールティエンス〜ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲集(Vol.1 + Vol.2)
 〔ハ短調 RV401 /ト短調 RV417 /変ロ長調 RV423 /ニ短調 RV405 (#) /ハ長調 RV400 /
  イ短調 RV419 /ト長調 RV415 (#) /イ短調 RV420 (+) /変ホ長調 RV408 (+) /
  ヘ長調 RV411 (+) /ニ短調 RV407 (+) / イ短調 RV421(+) 〕/
 ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 ヘ長調 RV544 「プロテウス」(+) /
 ヴァイオリンと2つのチェロのための協奏曲 ハ長調 RV561 (+)
  クリスティーネ・ブッシュ(Vn;+) クヒテ・ファン・デル・メール(Vc2;+)
  ロエル・ディールティエンス(Vc;#以外/ピッコロVc;#)指揮
  アンサンブル・エクスプロラシオン
 録音:1997年11月(+以外) /2001年3月(+) 。旧品番:HMC-901655(+以外), HMC-901745(+), HML-5908235/36 [HML-5908235] (全曲) 。朝日試聴室推薦、レコード芸術特選ときわめて高い評価を得た、ディールティエンス率いるアンサンブル・エクスプロラシオンによるヴィヴァルディの名盤。歌声に富んだ明るいヴィヴァルディの音楽は、有名な「四季」とは一味違った安らぎを与えてくれる。
HMX-2908238
(1CD+カード)
廃盤
Musical Instruments〜音・楽器絵あそび
HMX-2908241/49
(9CD +
1CD-ROM)
廃盤
没後250周年記念ヘンデル・スペシャル・エディション〜ヘンデル(1685-1759):オペラ集
HMX-2908250
(29CD+1CDROM)
廃盤
ハルモニアムンディ50周年記念スペシャルボックス
 「音楽ひとすじ五十年〜五十年、五十の名作」
HMX-2908280/83
(4CD)
廃盤
没後250周年記念ヘンデル・スペシャル・エディション〜ヘンデル(1685-1759):オラトリオ集
HMX-2908284/87
(4CD)
廃盤
没後250周年記念ヘンデル・スペシャル・エディション〜ヘンデル(1685-1759): Arias for...
HMX-2908288/91
(4CD)
廃盤
没後250周年記念ヘンデル・スペシャル・エディション〜
 ヘンデル(1685-1759):有名アリア集
HMX-2908292/95
(4CD)
廃盤
没後250周年記念ヘンデル・スペシャル・エディション〜
 ヘンデル(1685-1759):協奏曲集

  合奏協奏曲 Op.6(全12曲)(*)/
  合奏協奏曲 Op.3(全6曲)(#)/
  5声のソナタ HWV288(#)/
  オルガン協奏曲 Op.4(全6曲)(+)
アンドルー・マンゼ
(Vnソロ;*)指揮(*)
リチャード・エガー
(Org;+)指揮(#/+)
アカデミー・オヴ・
 エンシェント・ミュージック
HMG-508298/99
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(2CD)
価格帯:F
ハイドン:ピアノ三重奏曲集
 〔第34番 変ロ長調 Hob.XV: 20 (*) /第33番 ト短調 Hob.XV: 19 (*) /第32番 イ長調 Hob.XV: 18 (*) /
  第35番 ハ長調 Hob.XV: 21 (#) /第37番 ニ短調 Hob.XV: 23 (#) /第36番 変ホ長調 Hob.XV: 22 (#) 〕

 パトリック・コーエン(Fp|使用楽器:;アントン・ヴァルター、ウィーン、1790年頃
 エーリヒ・ヘーバルト(Vn|使用楽器:G. Guarnierius filius Andrede, Cremona, 1683
 クリストフ・コワン(Vc|使用楽器:C. A. Testore, 1758
 録音:1990年(*)、1992年(#)。旧品番:HMC-901314(*), HMC-901400(#), HMX-2968298/99 [HMX-2968298] (*/#) 〔全て廃盤〕。ハイドンのピアノ三重奏曲は、当時生まれて間もなかったこのジャンルの布石となった。楽器三種それぞれが独立し、そして美しく調和し、時代にあった音楽言語で生き生きと語っている。作品が書かれてから200年余後、バロック・チェロの帝王クリストフ・コワン、モザイク弦楽四重奏団でもおなじみのエーリヒ・ヘーバルト、そしてパトリック・コーエンの3人がピリオド楽器でこれらの名曲を生き返らせている。
没後200周年記念ハイドン・スペシャル・エディション〜
 ハイドン・セレブレーション 1809-2009

 交響曲第6番「朝」〜アダージョ-アレグロ[ミュレヤンス指揮フライブルク・バロックo.]/
 カンタータ Hob.XXIV1:3[シュペリング指揮]/ファンタジー ハ短調Hob.XVI; 4[プラネス(P)]/
 弦楽四重奏曲 Op.33-2〜スケルツォ・アレグロ[カザルスSQ]/チェロ協奏曲第2番 ニ長調〜第2楽章[ケラス]/
 ピアノ三重奏曲第38番 ニ長調より[コワン、ヘーバルト、コーエン]/
 ピアノ協奏曲 ニ長調Hob.XVIII; 11[シュタイアー/他]/弦楽四重奏曲「ひばり」(除第3楽章)[エルサレムSQ]/
 ピアノ・ソナタ第61番 ニ長調[プラネス]/「四季」より夏[ヤーコプス]/
 交響曲第92番「オックスフォード」[ヤーコプス/他]
 ハイドンの生涯と彼の作品についての美しいフルカラーブック+彼の音楽の聴きどころがぎゅっと集まった2枚CDからなる、スペシャル・エディション。
HMX-2908304/33
(29CD)
廃盤
宗教音楽集大成
HMG-508334/35
(2CD)
廃盤
イザベル・ファウスト〜バルトーク
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117 (*) /
 ヴァイオリン・ソナタ第1番 (#) /
 ヴァイオリン・ソナタ第2番 (+) /
 ラプソディ(+)[第1番/第2番]/
 ルーマニア民族舞曲集 Sz.56 (+)
イザベル・ファウスト(Vn)
エヴァ・クピーク(P;#)
フロラン・ボファール(P;+)
HMX-2908336/40
(5CD)
廃盤
フィリップ・ヘレヴェッヘ〜メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」「聖パウロ」「エリヤ」
HML-5908351/53
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜J.S.バッハ
 ヨハネ受難曲(1725年版;*)/復活祭前第7日曜日のためのカンタータ集(#)
HML-5908354/56
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜J.S.バッハ:オラトリオ&カンタータ集
HML-5908357/59
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜J.S.バッハ:カンタータ集 Vol.1
HML-5908360/62
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜J.S.バッハ:マニフィカト、他
HML-5908363/64
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念|
 J.S.バッハ:カンタータ集 Vol.2 〜世俗カンタータ&哀悼行事用カンタータ
HML-5908366/68
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜J.S.バッハ:ロ短調ミサ曲、他
 ミサ曲 ロ短調BWV 232 (*)/
 7つのモテット集 BWV.118 (+) , 225-230 (#)
HML-5908369/71
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜
 J.S.バッハ:待降節&クリスマスのためのカンタータ集
HML-5908372/74
(3CD)
廃盤
コレギウム・ヴォカーレ40周年記念〜J.S.バッハ:ソロのためのカンタータ集、他
HMX-2908375
廃盤
ショパン・ザ・エッセンシャルズ
HMX-2908379/81
(3CD)
廃盤
アレクサンドル・タロー〜バロック・ボックス
HMX-2908385/87
(3CD)
廃盤
ロシアの宝
HMG-508388/89
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(2CD)
価格帯:F
シュタイアー〜モーツァルト:ピアノ作品集〔ソナタ集〕 Vol.1 & Vol.2
 組曲 ハ長調 K.399 (385i) /ジーク(小さなジーク) ト長調 K.574 /幻想曲 ハ短調 K.475 /
 グルックの歌劇「メッカの巡礼」の「われら愚かな民の思うは」による10の変奏曲 ト長調 K.455 /
 ピアノ・ソナタ集〔第4番 変ホ長調 K.282 /第14番 ハ短調 K.457 /第10番 ハ長調 K.330 (*) /
          第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」(*) /第12番 ヘ長調 K.332 (*) 〕

  アンドレアス・シュタイアー(Fp)
 録音:2003年3月、シュトールベルガー・ザール、ケルン(無印) /2004年3月、テルデックス・スタジオ、ベルリン(*) 。使用楽器:マールブルク、モニカ・マイ複製、1986年(モデル:ウィーン、アントン・ヴァルター製、1785年頃)。 旧品番: HMC-901815, HMX-2961815, HMC-801815 [SACD/入手不能](以上無印)と、HMC-901856 (*) のセット化。鬼才シュタイアーがモーツァルトと通じ合っているかのような、まさに鬼演を披露。幻想曲やハ短調ソナタが物凄いのはもちろんのこと、組曲も天才の極み。音の間に間に雷にうたれたような戦慄が身体の中をかけぬける。おそるべき本領発揮。ウィーン・アクションのフォルテピアノを自由自在に操って、知性たっぷりの遊び心で大胆かつ斬新な切込みをし、それがバシバシ楽しい刺激になってくる。演奏会で聞いたら夢中になって歓声を上げそうな演奏ばかり。打楽器の効果を生むペダルはついてない楽器だが、特に「トルコ行進曲」でのショッキングな演奏、音色と即興性には当時誰もが驚いた。
HMG-508390/91
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(2CD)
価格帯:F
カザルスSQ 〜 20世紀の弦楽四重奏曲集
 ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10 (*) / ツェムリンスキー:弦楽四重奏曲第2番 Op.15 (*)
 ラヴェル:弦楽四重奏曲(#) / トルドラ:海へのまなざし(#) / トゥリーナ:闘牛士の祈り(#)

 カザルスSQ[ベラ・マルティネス・メネル、アベル・トマス・レアルプ(Vn)
       ジョナサン・ブラウン(Va) アルマウ・トマス・レアルプ(Vc)]
 録音:2004年(*) /2006年(#) 。旧品番: HMI-987057 (*) と HMI-987072 (#) のセット化。カザルス弦楽四重奏団は1997年にスペインで結成、シカゴ生まれのジョナサン・ブラウン以外は全員スペイン人。2000年のロンドン国際弦楽四重奏コンクールや、2002年にハンブルクで行なわれたブラームス国際弦楽四重奏コンクールで最優秀賞を獲得してから一気に注目される存在となり、2003年にハルモニア・ムンディ・イベリカからアリアーガの弦楽四重奏曲集(HMI-987038/HMA-1957038)でCDデビュー、これがかなりの評判となったことで世界的に知られる存在となり、以降ハイドン、ボッケリーニや現代物まで幅広く録音するようになっている。
 第1ヴァイオリンのベラ・マルティネス・メネルは録音当時まだ20代半ばのスペイン美女。他のメンバーも同時期にまだ30歳前後だったという若い団体。(*)はドビュッシーの大傑作と、ツェムリンスキーの末期ロマン主義の薫り高い第2番を組み合せるという意欲的なプログラム、(#)はいずれもスペインの血を引く3人の作曲家が20世紀の初めに作った弦楽四重奏曲。優雅でメロディアスなラヴェル、上品で繊細なトルドラ、情熱的なトゥリーナと、作品の性格分けも心憎いまでの巧さ。
HMG-508392/93
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(2CD)
価格帯:F
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲集 (Vol.1 & 2)
 〔第1番 ハ長調 Op.49 (*) /第4番 ニ長調 Op.83 (*) /第9番 変ホ長調 Op.117 (*) /
  第6番 ト長調 Op.101 (#) /第8番 ハ短調 Op.110 (#) /第11番 ヘ短調 Op.122 (#) 〕

 エルサレムSQ [アレクサンダー・パヴロフスキー(Vn1) アミハイ・グロス(Vn2)
             セルゲイ・ブレスラー(Va) キリル・ズロトニコフ(Vc)]
 録音:2004年7月(*) /2006年6月(#) 。旧品番:HMC-901865(*) とHMC-901953(#) 〔共に廃盤〕のセット化。彼らによるショスタコーヴィチは、2012年現在この2枚のみ。イスラエル人とは言え当初全員が旧ソ連の出身で、そこで音楽の基礎を学んだ彼らだったが、このディスクのヴィオラ奏者ブレスラーはBPOのメンバーとなって既に当団を離れている。この録音は創設メンバーによる意欲的なもの。少なくとも(#)の録音時、チェロのズロトニコフは、ダニエル・バレンボイムより貸与されたジャクリーヌ・デュ・プレ愛用のセルジオ・ペレッソンを弾いていた(2012年現在は別の楽器を使用)。
HMG-508394/95
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(2CD)
価格帯:F
RIAS 室内合唱団〜プーランク:宗教合唱作品集(*)&無伴奏合唱作品集(*以外)
 悔悟節のための4つのモテット(1938-39) (*) /エクスルターテ・デオ(1941) (*) /
 サルヴェ・レジナ(1941) (*) /クリスマスのための4つのモテット(1952) (*) /ミサ曲 ト長調 (1937) (*) /
 7つの歌(1936) /小カンタータ「ある雪の夕暮れ」(1944) /カンタータ「人間の顔」(1943) /
 アッシジの聖フランシスコの4つの小さな祈り(1948) /酒飲みの歌(1922)

  マルクス・クリード指揮(*)、ダニエル・ロイス指揮(*以外) RIAS 室内cho.
 録音:1995年6月、8月(*) /2004年9月、ベルリン(*以外)。旧品番:HMC-901588(*), HMC-901872(*以外) 。RIAS室内合唱団のプーランク2枚をセット化。録音に約10年の開きがあり、指揮者も二人にわたるが、合唱団全体が一つの運動体となり、音色、バランス、ディナーミクなどあらゆる点で完璧にコントロールされている。
HMG-508396/97
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(2CD)
価格帯:F
ベルリン古楽アカデミー〜テレマン:管弦楽組曲集
 〔ラ・ビザール(風変わり)〜組曲集(*) /管弦楽組曲集(#) 〕
 組曲 ニ長調 TWV55: D18 (*) /序曲 変ロ長調「諸国民」TWV55: B5 (*) /
 ヴァイオリン協奏曲 イ長調「雨蛙」TWV51: A2 (*/+) /序曲 ト長調「風変り」TWV55: G2 (*) /
 序曲 ニ長調「ハンブルク自由都市海軍学校創立百年祭に寄せて」 TWV 23: 1 (#) /
 4つのホルンと管弦楽のための組曲 ヘ長調「アルステル」 TWV 55: F11 (#) /
 組曲 ト短調「ル・ミュゼット」 TWV 55: g1 (#) /組曲 ヘ長調「狩」 TWV 55: F9 (#) /
 序曲と悲喜劇的組曲 ニ長調 TWV 55: D22 (#)

  ミドリ・ザイラー(Vn;+) ベルリン古楽アカデミー
 録音:2001年3月(*) 、1997年12月(#) 、1998年4月(#) 、以上 イエス・キリスト教会、ベルリン。旧品番:HMC-901744 [国内仕様盤:KKCC-472] (*), HMC-901654 [国内仕様盤:KKCC-433] (#) 〔以上すべて廃盤〕。なぜか発売順と当巻収録順が逆になっている。 テレマンが生きたバロック時代は自国以外の様式が流入し、結果として風変わりかつ楽しげな雰囲気の曲が流行した時代でもある。自発的で生き生きした演奏が特徴のベルリン古楽アカデミーは、まさにこのような作品にはうってつけ。
HMG-508398/99
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(2CD)
価格帯:F
シュタイアー、ゼペック、ケラス〜ベートーヴェン
 ヴァイオリン・ソナタ(*) 〔第4番 イ短調 Op.23 /第7番 ハ短調 Op.30 No.2 〕/
 モーツァルト「フィガロの結婚」による12の変奏曲 ヘ長調 WoO.40 (*) /
 ピアノ三重奏曲(#)〔第3番 ハ短調 Op.1 No.3 /第5番 ニ長調 Op.70 No.1「幽霊」〕
フンメル:ピアノ三重奏曲第4番 Op.65 (#)
 ダニエル・ゼペック(Vn) アンドレアス・シュタイアー(P)
 ジャン=ギアン・ケラス(Vc;#)
 録音:2005年10月(*) /2006年7月(#) 。 旧品番:HMC-901919 (*) と HMC-901955〔国内仕様盤:KDC-5059 〕(#)〔すべて廃盤〕のセット化。 使用楽器:1700年頃、ザルツブルク製〔ボン、ベートーヴェンハウス所蔵〕〔Vn;*〕、 1780年、ロレンツォ・ストリオーニ(クレモナ)製〔Vn;#〕/ 1840年(*) & 1824年 (#) 、コンラート・グラーフ製〔P〕/1696年、ジョフレド・カッパ製〔Vc;#〕。 (*)はベートーヴェンが使用したヴァイオリンによる初録音だったもの。リヒノフスキーがベートーヴェンに弦楽器四重奏用としてプレゼントした4つの楽器の中の一つで、ボンのベートーヴェンハウスが初めて録音のための使用を許可した。シュタイアーは1840年グラーフ製という、フォルテピアノと呼んでもおかしくない楽器(ただし、レーベルが「ピアノフォルテ」と表記している)を使用、時折光る独創性がなんとも魅力的。 (#)は実に新鮮かつあざやか。ベートーヴェン初期の作品第3番は、お得意のハ短調で、1音目から3人の間に飛んでいる火花が見えてくるよう。第5番はなんといっても「幽霊」のタイトルの由来にもなっている特徴的で幻想的な第2楽章のシュタイアーが聴きもの。病的に、そしてまぼろしのように演奏しており、それに絡む2人の弦も絶品。カップリングのフンメルは、ベートーヴェンがライヴァルと目していた人物。彼のピアノ三重奏曲は、ロマンティックさと若々しい魅力に満ちており、ベートーヴェンの2作品と趣は異なるが、この夢のトリオのさわやかな魅力が味わえる。なお、初出時のアナウンスでは『ケラスは、モダーン楽器のボディにオリジナルのブリッジや弦を用いたものを使用』とされていた。
HMX-2908409/16
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(8CD)
4CD価格
限定盤
Portrait 〜モーツァルト:晩年10年の傑作群
 ピアノ協奏曲〔第21番 ハ長調 K.467 /第24番 ハ短調 K.491〕
  [シュテファン・ヴラダー(P)指揮カメラータ・ザルツブルク/2006年]
 ピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲」イ長調 K.331[ジョルジュ・プルーデルマッハー(P)/1991年]/
 セレナード第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」[フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャンゼリゼo./1995年]/
 アダージョとフーガ ト短調 K.546 /セレナード ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
  [アンドルー・マンゼ&イングリッシュ・コンサート/2003年]/
 弦楽四重奏曲第17番「狩」 変ロ長調 K.458[イェルサレムSQ /2010年]/
 クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581[アレッサンドロ・カルボナーレ(Cl) リュク・エリー(Vn)
   フロランス・バンデル(Vn) ニコラ・ボヌ(Va) ミュルエル・プーザン(Vc)/1997年]
 春の初めに K.597 /すみれ K.476 /クローエに寄す K.524 /ラウラに寄せる夕べの思い K.523
  [ヴェルナー・ギューラ(T) クリストフ・ベルナー(P;シュトライヒャー)/2007年]
 交響曲〔第40番 ト短調 K.550 /第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」〕
  [ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo. 録音:2006年]
 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」K.588(全曲)[ヴェロニク・ジャンス(フィオルディリージ)
   ベルナルダ・フィンク(ドラベッラ)他 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルン/1998年]
 クラリネット協奏曲 イ長調 K622[ロレンツォ・コッポラ(Cl)
   ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロックo./2007年]
 レクイエム[シビラ・ルーベンス(S) イアン・ボストリッジ(T)他 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
   ラ・シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ、シャンゼリゼo./1996年]
 モーツァルトの晩年10年の間に生み出された傑作を集めた8枚ボックス。[CD3]のクラリネット五重奏曲は、当時フランス国立o. 首席奏者をつとめていた名クラリネット奏者カルボナーレのデビュー盤(HMN-911671 (廃盤))で、フランス国立o. のメンバー(当時)が弦楽四重奏を担当しており、ふくよかな輪郭を備えた、太くて芯のあるサウンドが発売時から非常に話題となった名演。[CD1]のデュナーミクが印象的な、プルーデルマッハーのトルコ行進曲付きも、注目度大。ヤーコプスの名盤「コジ・ファン・トゥッテ」も全曲まるまる入ってこの価格とは、非常にお買得なボックス。
HMX-2908417/24
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(8CD)
4CD価格
限定盤
Portrait 〜ヘンデル:バロック時代のヨーロッパ市民
 主は言われた HWV 232 /アン女王の誕生日のための頌歌 HWV 74
  [アンドレアス・ショル(CT)他 マルクス・クリード指揮ベルリン古楽アカデミー/2008年]/
 オルランド、セルセ、ロデリンダ、アルミーラ、アルチーナからのアリア、およびシンフォニア集
  [アンドレアス・ショル(CT) ベルリン古楽アカデミー/1998年]/
 合奏協奏曲 Op.3, HWV 312-317(全曲)/オルガン協奏曲 ヘ長調 HWV 295
  [リチャード・エガー(Org)指揮アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック/2006年]/
 歌劇「ジューリオ・チェーザレ」HWV 17(全曲)[ジェニファー・ラーモア(A) バルバラ・シュリック(S)
   ベルナルダ・フィンク(Ms)他 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルン/1991年]/
 水上の音楽 組曲 HWV 348-350[ニコラス・マッギガン指揮フィルハーモニア・バロックo./1987年-1988年]/
 オラトリオ「メサイア」HWV 56[ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo./2006年]
 ヘンデルがイタリアで学んだ時に受けた影響が色濃く感じられる「主は言われた」(1707年)から、発表当時から大評判だった歌劇「ジューリオ・チェーザレ」、さらには1742年に書かれたヘンデルの宗教大作「メサイア」まで、バロック時代のヨーロッパを生きたヘンデルの大作が収録されたボックス。マッギガンの独特の歯切れのよさが際立つ水上の音楽に、歌劇ジューリオ・チェーザレとメサイアが全曲入っているのもうれしいところ。
HMX-2908450/51
(2CD)
廃盤
INITIALES 〜アレクサンドル・タロー(P)
HMX-2908452/53
(2CD)
廃盤
INITIALES 〜エマニュエル・ベルトラン(Vc) + パスカル・アモワイヤル(P)
HMX-2908454/55
(2CD)
廃盤
INITIALES 〜イザベル・ファウスト(Vn)
INITIALES 〜ポール・ルイス(P)
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ〔第8番 ハ短調 Op.13/第25番 ト長調 Op.79〕[録音:2005年-2006年]
 シューベルト:ピアノ・ソナタ〔第19番 ハ短調 Op.958/第20番 イ長調 Op.959〕[録音:2001年]
 リスト:4つのピアノ小品〜悲しみのゴンドラ/ピアノ・ソナタ ロ短調[録音:2003年9月]
 イギリス出身のピアニスト、ポール・ルイスに焦点をあてた2枚。ここに並べられた作品はどれもピアニストとしても優れた才能をもった作曲家たちの手による物。ポール・ルイスの卓抜なピアニズムと完璧なコントロール、深い洞察と知と情の絶妙なバランスが光る演奏。
HMX-2908458/59
(2CD)
廃盤
INITIALES 〜アンドレアス・ショル(CT)
INITIALES 〜ヴェルナー・ギューラ(T)
 シューベルト:歌曲集「白鳥の歌」D957[クリストフ・ベルナー(P)/録音:2006年5月]/
        昔を今に D710/夜の明り D892[マルクス・クリード指揮RIAS室内cho./録音:1998年5月]
 シューマン:「詩人の恋」Op.48 より〔第1−3、5、7、8、13−16曲〕[ベルナー(P)/録音:2001年10月]
 ヴォルフ:メーリケ詩集 より〔第10、6、23、15、17、8、9、39、32、33、34、36、12、44曲〕
  [ヤン・シュルツ(P)/録音:2004年11月、12月]
 高貴なるテノールの声が魅力のギューラ。詩への共感が自然で、音楽も実に自然。「詩人の恋」の第3曲「ばらよ、ゆりよ、鳩よ」での活き活きとした表情は印象的。ヴォルフの「メーリケ詩集」の各曲の世界の完成度も見事。
HMG-508462/63
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(2CD)
価格帯:F
ヘレヴェッヘ〜パーセル(1659-1695):
 聖チェチーリアの祝日の頌歌「たたえよ、輝かしきチェチーリアを」(*) /
 メアリー女王の葬送音楽〜アンセム集(#)
  〔主にありて喜べ/主よ、我らが罪を思い出したもうなかれ/シオンのラッパを吹き鳴らせ/我が祈りを聞き給え/他〕
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1997年(*) /1993年(#) 。 旧品番:HMC-901643 (*), HMX-2981643 (*) と HMC-901462 (#)〔すべて廃盤〕のセット化。 高らかなファンファーレで始まる(*)も、ヘレヴェッヘの手にかかるとしっとりとした風合いを帯び、かつ祝祭的に仕上がっているのが不思議。(#)は彼の真骨頂、陶器のようななめらかな音運びで葬送のための音楽が紡がれて行く。
HMY-2928464/65
(2CD)
廃盤
ラファエル・アンディア〜ロベール・ド・ヴィゼー(1656頃-1732頃):ギター作品全集
HMG-508466/67
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(2CD)
価格帯:F
エマニュエル・ベルトラン〜20世紀の無伴奏チェロ作品集
  〔原題:無伴奏チェロのための作品集 [Œuvres Pour Violoncelle Seul] (*) /
      チェロは語る [Le violoncelle parle] (#) 〕
 アンリ・デュティユー(1916-2013):ザッハーの名による3つのストローフ(1976-82) (*)
 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(1926-2012):セレナーデ(1949) (*)
 ジョージ・クラム(1929-):(無伴奏チェロ・)ソナタ(1955) (*)
 ジェルジ・リゲティ(1923-2006):(無伴奏チェロ・)ソナタ(1948-53) (*)
 ニコラ・バクリ(1961-):(無伴奏チェロ・)組曲第4番(1994-96) (*)
 ブリテン(1913-1976):無伴奏チェロ組曲第3番 Op.87 (1971) (#)
 ガスパル・カサド(1897-1966):無伴奏チェロ組曲(#)
 パスカル・アモワイヤル(1971-): Itinerance (#) / コダーイ(1882-1967):無伴奏チェロ・ソナタ Op.8 (#)

  エマニュエル・ベルトラン(Vc)
 録音:1999年7月、ラジオ・フランス107スタジオ(*) /2010年6月(#)。初出・旧品番: HMN-911699 (*), HMC-902078 (#) 〔共に廃盤〕のセット化。 深い音色が魅力の女性チェリスト、ベルトランは1996年、東京の日本室内楽コンクールで優勝、2001年にはヴィクトワール・ドゥ・ラ・ムジーク・クラシックのソリスト部門で1位を獲得し、一挙にヨーロッパでも認められる存在となった。演奏の魅力はしなやかな音色と余裕あるテクニック。(*)は彼女の HMF デビュー盤。デュティユーは難解な作品ながら、巧みな語り口で聴かせる。(#)は近代チェロの金字塔的作品と、自身の演奏上のパートナーかつ夫でもあるパスカル・アモワイヤルによる自然を思わせるスケールの大きな無伴奏作品を並べた意欲的なプログラム。世界の伝統的な民謡のエッセンスや、先人達の作品の一部など、様々な要素を含む彼らの作品を、巧みな語り口と音色で提示。ブリテンの組曲はしなやかさに満ち、急速な上下行でも常に余裕を感じさせ、朗々と語る高僧のような風格すら漂う。
HMG-508470/71
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(2CD)
価格帯:F
シューマン&ブラームス:四重唱曲集
 シューマン (*) :スペインの歌遊び Op.74 /恋のたわむれ Op.101 (+) /スペインの恋の歌 Op.138
 ブラームス (#):愛の歌、ワルツ Op.52 /3つの四重唱曲 Op.64 /新・愛の歌、ワルツ Op.65

 マリス・ペーターゼン(S) アンケ・フォンドゥンク(Ms;*)
 ステッラ・デュフォワ(A;#) ヴェルナー・ギューラ(T)
 コンラート・ヤルノット(B−Br)
 クリストフ・ベルナー(P;+以外) カミッロ・ラディケ(P;+/#)
 録音:2009年6月(*)、2006年4月(#)、共に テルデックス・スタジオ、ベルリン。 初出・旧品番: HMC-902050 (*), HMC-901945 (#) 〔共に廃盤〕のセット化。 シューマン、ブラームスの重唱作品集。シューマンの Op.74 と Op.138 は、エマニュエル・ガイベル編纂によるスペインの詩の訳集にインスピレーションを受けた。これらの詩は、中央ヨーロッパの色彩をうっすらと帯びた、ぴりっとした「スペイン」スタイルの音楽にぴったりの素材だった。間にはさまれた、 親密な雰囲気の「恋のたわむれ」は、聴き手をスペインの世界からドイツのロマンティシズムの世界へと移動させる。 後半は 多くの声楽曲、そしてハンガリー舞曲集などすぐれたピアノ四手のための作品をのこしたブラームスが、ウィーンの伝統音楽にインスピレーションを受けて書いた贅沢な編成の重唱曲集。これらの曲集は、発表されるとすぐにウィーンの音楽サロンで大ヒットとなった。恋をしたうきうき気分から、失恋の悲しみまで、その歌詞の内容は恋のすべてを語りつくす。
HMX-2908474/75
(2CD)
廃盤
2016年 HMF カタログ付 イザベル・ファウスト〜J.S.バッハ:
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ BWV1001-1006
(全曲)
 イザベル・ファウスト(Vn|使用楽器:1704年製ストラディヴァリ「スリーピング・ビューティー」
HMX-2908500/09
(10CD)
廃盤
Romantic
HMX-2908510/19
(10CD)
廃盤
Baroque
HMX-2908520/29
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(10CD)
5CD価格
Choral Works
 J.S.バッハ:哀悼行事用のカンタータ[ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル/HMG-501270
 ビーバー:ミサ曲「キリストの復活」[アンドルー・マンゼ指揮イングリッシュ・コンサート/HMG-507397
 ブラームス:世俗合唱曲集[マルクス・クリード指揮RIAS室内cho./HMG-501592/93
 クシェネク:預言者エレミアの哀歌[クリード指揮RIAS室内cho./HMG-501551
 フォーレ:レクイエム(1893年室内楽稿)他[ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル/HMG-501292
 マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」[ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツso./HMG-501858/59
 モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り[ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル/HMG-501247/48
HMX-2908530/34
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(5CD)
3CD価格
エスパーニャ!
 [CD1] アルベニス:歌劇「ペピータ・ヒメーネス」(全2幕)
  [スーザン・シルコット(S) フランチェスコ・ガリゴザ(T)
   ジュゼプ・ポンス指揮リウレ劇場室内o./録音:1994年12月、アンドラ国立音楽堂/HMC-901537]
 [CD2] ファリャ:ファリャ:「恋は魔術師」(1915年版)/ペドロ親方の人形芝居
  [ジュゼップ・ポンス指揮リウレ劇場室内o./録音:1990年11月、バルセロナ/HMG-505213]
 [CD3] ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ/カディッシュ/ツィガーヌ/ハバネラ/フォーレの名による子守歌
  [ブリジット・エンゲラー(P) レジス・パスキエ(Vn)/録音:1990年12月/HMA-1951364]
 [CD4] モンポウ:ひそやかな音楽(全28曲)/3つの変奏曲
  [ハビエル・ペリアネス(P)/録音:2006年6月30日-7月1日、ジローナ、スペイン/HMG-507070]
 [CD5] ロドリーゴ:アランフェス協奏曲/ある貴紳のための幻想曲/庭園のための音楽/3つの古風な舞曲
  [マルコ・ソシアス(G) ジョゼプ・ポンス指揮グラナダ市o./録音:2001年9月、グラナダ/HMG-501764]
 2013年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのテーマは「パリ、至福の時」。日本では過去に類を見ない規模による近代フランス音楽の祭典が予定されている。祭典の発祥地、フランスのナントでは1月末からすでに熱狂の火蓋が切って落とされており、「1850年から現代までのフランスとスペインの音楽」をテーマに大変な賑わいを見せているとのこと。機を同じくし「harmonia mundi」レーベルからフランスとスペインの近現代音楽尽くしのボックスがリリースされる運びとなった。収録されているのは近代のフランスとスペインをまたにかけて活躍した作曲家たち。バスク系フランス人としてスペイン民族音楽の響きを併せ持つラヴェル、あるいはパリへ出てスペイン民族音楽にフランス的手法を取り入れたファリャやロドリーゴといった大家たちの珠玉の作品を収録している。ポンス率いるテアトル・リウレ室内管によるファリャのバレエ音楽『恋の魔術師』は、1915年の初版を用いた演奏ということで注目を集めた録音。初版は歌と語り、15名の奏者のみの小編成からなり、大編成の改訂版とは全く異なる魅力を持っている。ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」では2009年に来日公演も果たした名手マルコ・ソシアスが素晴らしいソロを披露している。また、ディスク1 のアルベニスの歌劇は現在入手困難作品。貴重な復刻と言えるだろう。[CD4] のハヴィエル・ペリアネスは2013年7月に来日公演を控えており、今後ますますの注目が期待される。2013年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン開催を前に、是非ともチェックしておきたい注目盤。
アントワーヌ・ヴァトーの音楽レッスン
 GALERIE SONORE
 【舞踏会の楽しみ(喜び)】シャルパンティエ:喜劇「病は気から」より/【田園の恋人たち(羊飼いたち)】
 【2人のバグパイプ奏者(習作)】カンプラ:オペラ「イドメネオ」より[クリスティ指揮レザール・フロリサン]
 【結婚の契約】リュリ:「町人貴族」より[ポール・グッドウィン指揮ロンドン・オーボエ・バンド]
 【イタリア喜劇の恋】【メズタン】マルティン・イ・コル:チャコーナ[アルモニオージ・コンチェルティ、リベラ(G)]
 【音楽のレッスン】クレランボー:カンタータ「オペラのミューズ」より[クリスティ指揮レザール・フロリサン]
 【地面に座り左足を組みフルートを吹く人(習作)】フランチェスコ・ジェミニアーニ:コレッリのソナタ Op.5の編曲による
   合奏協奏曲集より[イングリッシュ・コンサート、ローレンス・カミングス、モーリス・シュテーガー]
 【ジャン=フェリ・ルベルの肖像】ルベル:四大元素より[ベルリン古楽アカデミー、ゲオルク・カルヴァイト]
 【2人のヴァイオリニスト(習作)】ヴィヴァルディ:2つのVnためのソナタ 変ロ長調 RV77[バンキーニ、アンサンブル415]
 【音楽の集い(人生の楽しみ)】【眼鏡をかけた人たち(習作)】モンテクレール:「ディドーの死」より[クリスティ]
 UN CONCERT CHEZ CROZAT
 ロカテッリ:合奏協奏曲 Op.1〜第4番 ニ長調[フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロックo.]
 A.スカルラッティ:オラトリオ「カイン、あるいは最初の殺人」より[ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー]
 マレ:ヴィオール組曲〔ホ短調/ニ長調〕[クインターナ(ガンバ) コストヤス(Lute) クレモネージ(Cemb)]
 F.クープラン:クラヴサン曲集より / ラモー:コンセール用クラヴサン曲集[クリストフ・ルセ(クラヴサン)]
 アレッサンドロ・ストラデッラ:「オルフェオ」より[クリスティーヌ・ブランデス(S)他]
 コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ Op.5 No.5 ト短調[バンキーニ、クリステンセン]
 ブリュッセルのパレ・デ・ボザールで行われたウィリアム・クリスティとコンテンポラリー・アーティストのミヒャエル・ボレマンスの企画展「Watteau,the music lesson」のために企画されたCD。ロココ絵画の「雅宴画(フェート・ギャラント)」確立したことでも知られるフランスの画家アントワーヌ・ヴァトー。主に当時の貴族階級の娯楽をテーマに描き、代表作は雅宴画「シテール島の巡礼」。ヴァトーが「雅宴画」と併せて、好んで描いたモチーフが 、「演劇」。18世紀フランスは、演劇の黄金時代ともいわれており、彼が師事したクロード・ジローは舞台装飾の第一人者であったことから、彼もまたイタリア喜劇やオペラに傾倒 し、喜劇の登場人物をたびたび描いている。また楽器を奏でるシーンなど音楽に関連した絵画を多く描き、彼の作品群の3分の1を占めている。このアルバムは、そうしたヴァトーの絵画と関連する音楽作品を集めて、当時の音楽シーンを目と耳で楽しむ企画。 ヴァトーの傑作の一つ【舞踏会の楽しみ(喜び)】は舞踏をする人、役者、道化師、楽士、見物人など様々な人が描かれた見事な構成をもつ優美な作品。絵画に描かれた会場の賑やかさを表すようなシャルパンティエのユーモアたっぷりの喜劇「病は気から」の曲が併録されている。【田園の恋人たち(羊飼いたち)】は、田園風景の中で楽しむ男女を描いた作品。ダンスに合わせてミュゼットを奏でる人が描かれており、習作【2人のバグパイプ奏者】と共に、関連楽曲としてカンプラの「イドメネオ」から「ミュゼット」と「2人のバグパイプ奏者」が収録されている。ヴァトーの絵画を通して当時の演奏スタイルやコンサートの様式などを学ぶことが出来る。
バロック・オペラ・アリア集
 モンテヴェルディ:
  「オルフェオ」〜トッカータ/リトルネッロ〜音楽のアリア「Dal mio Permesso amat」
   [エフラート・ベン=ヌン(S)録音:1995年1月]
  「ウリッセの帰還」〜ペネーロペのアリア「Illustratevi, o Cieli」
   [ベルナルダ・フィンク(Ms)録音:1992年6月]
 「ポッペアの戴冠」〜ポッペアとネローネ(ローマ皇帝)の二重唱「ただあなたを見つめ」(陛下を見つめ)
   [ダニエル・ボルス(S)ギユメット・ロランス(Ms)録音:1990年2月]
 カヴァッリ:「カリスト」〜カリストのアリア「Piante ombrose &In ricovro più ombroso」
   [マリア・バーヨ(S)録音:1994年8月][以上 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ]
 リュリ:「アルミード」〜[序曲/アルミードのアリア「ついに彼はわが手中におちた」/ルノーのアリア「この場所をよく見れば見るほど」]
   [ギユメット・ロランス(S)ハワード・クルック(T)フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮シャペル・ロワイヤル]
 シャルパンティエ:「メデ」〜メデのアリア「Quel prix de mon amour, quel fruit de mes forfaits」
   [ジル・フェルドマン(S)録音:1984年4月、ヴェルサイユ宮劇場]
 ラモー:「優雅なインドの国々」〜平和の大キセルの踊り、ジーマとアダリオの二重唱と合唱「穏やかな森」
   [クロラン・マクファーデン(S)ニコラス・リヴェンク(Br)録音:1991年1月]
     「カストールとポリュクス」〜テライールのアリア「悲しい支度、青白いたいまつ」[アニェス・メロン(S)]
   [以上、ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン]
 パーセル:「ディドとエネアス」〜ディドのアリア〜[おまえの手をかしておくれ、ベリンダ/私が土の下に横たわるとき]
   [リン・ドーソン(S)ルネ・ヤーコプス指揮エイジ・オブ・エンライトゥンメントo.録音:1998年10月]/
      「アーサー王」〜冷たい賢者ジーニアスのアリア「What Power art thou」
   [モーリス・ベヴァン(Br)アルフレッド・デラー指揮ザ・キングズ・ミュージック]
 ヘンデル:「アグリッピーナ」〜ポッペアのアリア「Col Peso del tuo amor」/
                ネローネのアリア「Quando invita la donna l 'amante」
  [スンヘ・イム(S)ジェニファー・リヴェラ(Ms)ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー録音:2010年7月]/
      「リナルド」〜[アルミーダのアリア「荒れ狂う怒りよ」/アルミレーナのアリア「私を泣かせて下さい」]
  [インガ・カルナ、ミア・パーション(S)ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.録音:2002年]/
      「セルセ」〜アリア「オンブラ・マイ・フ」
  [アンドレアス・ショル(CT)ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー]
 ブロスキ:「イダスペ」〜アリア「戦場に立つ戦士のように」/「メロペ」〜アリア「恋するナイチンゲール」
  [ヴィヴィカ・ジュノー(Ms)ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー]
 ヘンデル:「エジプト王トロメーオ」〜アリア「Stille amare」/「ソザルメ」〜苦難の門をくぐり抜け
  [ベジュン・メータ(CT)ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.]/
      「忠実な羊飼い」〜アマリッリのアリア「Nò! Non basta a un infedele」
  [ルーシー・クロウ(S)デイヴィッド・ベイツ指揮ラ・ヌォヴァ・ムジカ]
 テレマン:「オルフェウス」〜[レチタティーヴォ〜オラジアのアリア「Sù mio core à la vendetta」/
 オルフェウスのアリア「Trà speranza,e trà timore」とオラジアのアリア「So hat die Rache denn gesiege」]
  [ロマン・トレケル(Br)ドロテア・レッシュマン(S)ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー録音:1996年10月]
 グラウン:「シーザーとクレオパトラ」〜クレオパトラのアリア「Tra le procelle assorto」
 [ジャネット・ウィリアムズ(S)ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ケルン録音:1995年]
 カイザー:「クロイソス」〜エルミーラのアリア「Liebe, sag ', was fängst du an?」
 [ドロテア・レシュマン(S)ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー録音:2000年3月]
 ドーヴェルニュ:「とりかえ結婚」〜ルバンのアリア「くそ、マルゴは喜びすぎだ」
 [ニコラ・リヴェンク(Br)ウィリアム・クリスティ指揮カペラ・コロニエンシス]
 グルック:「オルフェオとエウリディーチェ」〜オルフェオのアリア「エウリディーチェを失って」
 [ベルナルダ・フィンク(Ms)ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.]
 著名なバロック・オペラのアリアを一挙に堪能出来るアルバム。イタリア、フランス、イギリス、そしてドイツという4つの国を中心に、大家達の代表作のアリアがたっぷり収録。何よりも光るのが豪華絢爛と言わざるを得ない演奏家たちの布陣。お馴染みの名手たちから、近年めきめきと活躍を広げている実力派たちまで、古楽界の第一線で活躍する名手達が勢揃い。器楽伴奏陣も大御所ばかり。いずれもリリース当時に話題となった録音とあって、聴き所満載。
AMERICA! 〜避暑の地 [A LAND OF REFUGE]
 ヘンリー・カーリー(1687-1743):He comes, the hero comes!  フィリップ・ファイル(1734-1793):The President's March
 ジェファーソンと自由 [The Gobby O] (アイルランドの歌)/メリーランド・マイ・メリーランド/ディキシーズ・ランド/
 ダンス・ミー・ア・ジグ / M.M.ウォーナー(1836-1900): Hear, O Lord, when I cry
  [ヨエル・フレデリクセン(B/G)アンサンブル・フェニクス・ミュンヘン/2010年5月]
 ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」 Op.96 B.179[イェルサレムSQ」
 ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45a[ブリジット・エンゲラー、オレグ・マイセンベルク(P)]
 プロコフィエフ:年老いた祖母の話 Op.31 /3つのオレンジへの恋 Op.33〜行進曲&スケルツォ[チュウ(P)/1999年]
 ストラヴィンスキー:ミサ曲[ダニエル・ロイス指揮 RIAS室内cho.、ムジークファブリーク]
 バルトーク(1881-1945):ヴァイオリン、クラリネットとピアノのためのコントラスツ[アンサンブル・ワルター・ブイケンス]
 ハンス・アイスラー(1898-1962):ハリウッド・ソング・ブック より[ゲルネ(Br) ラルヒャー(P)]
 エドガー・ヴァレーズ(1883-1965):質量21.5[フィリップ・ベルノール(Fl)]
 ナントにおける「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」2014年のテーマ「アメリカ」に合わせて製作されたコンピレーション。18世紀から19世紀にかけてアイルランドやスコットランドなどからやってきた移民にもたらされた民謡にアメリカの土地の言葉をあてたものや、さらに20世紀にアメリカへと亡命したプロコフィエフ、ストラヴィンスキー、ラフマニノフらの作品が並ぶ。バルトークの「コントラスト」はブダペストで完成されたが1940年にカーネギー・ホールで初演された物。クラシックのアヴァン・ギャルド的要素と、ジャズの要素もある作品。初演時のヴァイオリンはシゲティ、ピアノはアンドレ・ペトリ(ハンガリーからの亡命者)、そしてクラリネットは、ベニー・グッドマンが務めたというなんとも時代と土地を象徴するような作品。
AMERICA! 〜ガーシュウィン:ブロードウェイからコンサートホールへ
 18のソング・ブック/ジャズボ・ブラウンのブルース/パリのアメリカ人/プロムナード[フランク・ブラレイ(P)/2004年12月]/
 アイ・ガット・リズム(ジェイムズ・コーン編曲)[ジョン・マナシー(Cl) ジョン・ナカマツ(P)/2009年12月]
 アール・ワイルド(1915-2010):ガーシュウィン「ポーギーとベス」による幻想曲[マイケル・シェパード(P)/2007年1月]
 アイ・ガット・リズム変奏曲(ガーシュウィン自身のオリジナル・スコア)/サマータイム/ラプソディ・イン・ブルー
  (オリジナル・ジャズバンド版(1924; グロフェ編曲)[リンカーン・マヨーガ(P) スティーヴン・リッチマン指揮]/
 ピアノ協奏曲 ヘ調[ジョン・ナカマツ(P) ジェフ・タイジック指揮ロチェスターpo. ]
 ナントにおける「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」2014年のテーマ「アメリカ」に合わせて製作されたコンピレーション。ガーシュウィンの2枚組は、1932年、ガーシュウィンの名声がもっとも高まっていた頃に出版されたソング・ブックや、ラフマニノフらも列席するコンサートのために急遽作曲した「ラプソディ・イン・ブルー」など、「アメリカのモーツァルト」と称された天才の作品が詰まっている。
HMX-2908543/44
(2CD)
廃盤
AMERICA! 〜モダーンからポップ・アートへ
HMX-2908601/30
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(29CD)
4CD価格
初回限定盤
「啓蒙主義の時代」〜18世紀の音楽
 (曲目詳細はリンク先テキスト・ファイルをご覧ください。)
 『ハルモニアムンディ・フランスから、またまた魅惑のボックセットの登場! 50周年記念ボックス以降、隔年リリースされているボックスセット。ハルモニアムンディが誇る質の高い既存の音源をテーマに沿って再編成する凝った内容、充実のブックレット、いつもながらの美しいパッケージ、そしてお値打ち価格と何拍子もそろったボックスです。今回のテーマは、「啓蒙主義」。この時代は、バロック(=いびつな真珠)時代のともすると装飾過多気味で、各旋律が対等の力をもつポリフォニーから、旋律と伴奏という構造がくっきりとしているホモフォニーへの移行。ソナタ形式の確立に伴う、ピアノ・ソナタや交響曲といったジャンルの確立と発展。室内楽ジャンルの発展。オペラでも、バロック時代の声楽作品のアリア構造(ダ・カーポ・アリアやレチタティーヴォなど)の影響をのこしつつも、凝った装飾や超絶技巧のアジリタを過剰に入れることを避け、音楽と劇の融合を図った美しい作品が生みだされるようになる(グルックのオペラ改革につながります)など、大きな変化のあった時代でした。こういった歴史の流れを俯瞰できるよう意識しつつ、廃盤で入手困難となっていたルセのクープランなど、実に微に入り細に入った嬉しい編成内容となっています。オペラも3作品が全曲収録されており、充実の内容。[CD1] ルセのクープランとラモー。クープランの第6組曲は神秘的なバリケードも入った超有名曲、他の組曲も嬉しい選曲です。[CD13-15]ラモーのカストールとポリュックスは、1750 年の音楽史上重要なブフォン論争(ラモーを代表とするフランス古典音楽・トラジェディ・リリックを擁護する「国王派」と、百科全書家(ルソーに代表される)の「王妃派」間の争い)のきっかけともなった作品。国王派が勝利したことにはなっていますが、フランスの古典オペラ・宮廷オペラの衰退は誰の目にも明らかでした。百科全書的啓蒙主義への流れを皮肉にも決定づけることとなったこの重要な作品を、クリスティ指揮の長らく廃盤となっていた名演奏で聴けるのは嬉しい限り。他にも一世を風靡したヘレヴェッヘの第九、バンキーニのボッケリーニ、ジョン・ブット先生のクーナウなどなど、一つ一つを語りだしたらきりがないくらいに様々な切り口に満ちたボックスです!』とのこと。
HMX-2908658/99
(39CD/他)
廃盤
OPÉRA BAROQUE〜バロック・オペラ・ボックス
HMX-2908700/09
(10CD)
廃盤
ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):没後250年記念ボックス
HMX-2908710/15
(6CD)
廃盤
MODERNE 〜アレクサンドル・タロー、近現代作品集
HMX-2908716
廃盤
モーツァルト:歌劇「魔笛」(抜粋)
 ダニエル・ベーレ(T;タミーノ) マリス・ペーターゼン(S;パミーナ)
 ダニエル・シュムッツハルト(Br;パパゲーノ) イム・スンヘ(S;パパゲーナ)
 アンナ=クリスティーナ・カーッポラ(S;夜の女王) マルコス・フィンク(B−Br;ザラストロ)他
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
 録音:2009年9月、10月、ベルリン。2015年カタログ付。全曲通常盤:HMC-902068/70
HMX-2908717/26
(10CD)
廃盤
ルイ14世のささやかな楽しみ〜パリからヴェルサイユ宮殿まで
HMX-2908727/29
(3CD)
廃盤
スティレ・アンティコ BOX
HMX-2908730/32
(3CD)
廃盤
ポール・ヒリヤー BOX 〜アルヴォ・ペルト(1935-):作品集
HMX-2908733/35
(3CD)
廃盤
エルサレム弦楽四重奏団 BOX
HMX-2908736/38
(3CD)
廃盤
ベジュン・メータ BOX
HMX-2908739/41
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(3CD)
2CD価格
アンドレアス・シュタイアー BOX 〜シューマン
 ・CD1 バッハに捧ぐ〜ピアノ作品集 (HMC-901989 [廃盤] )
 ・CD2 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集 (HMC-902048 [廃盤] ) (*)
 ・CD3 アベッグ変奏曲 Op.1 /幻想小曲集 Op.12 /他 (HMC-902171)

 アンドレアス・シュタイアー(Fp) ダニエル・ゼペック(Vn;*)
HMX-2908742/44
(4CD)
廃盤
フレットワーク BOX 〜J.S.バッハ:作品集
HMX-2908745/47
(3CD)
廃盤
ベルリン古楽アカデミー BOX
HMX-2908748
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限定盤
2017年 HMF カタログ付|トリオ・ヴァンダラー〜シューベルト
 ピアノ三重奏曲 変ホ長調 Op.100, D.929 /ピアノ五重奏曲 イ長調「鱒」 Op.114, D.667
 トリオ・ヴァンダラー クリストフ・ゴーゲ(Va) ステファヌ・ロジェロ(Cb)
 録音:2000年7月(三重奏)、2002年6月(鱒)。既出盤からのカップリング変更&カタログ付限定盤。
HMX-2908750/61
(12CD)
廃盤
マティアス・ゲルネ〜シューベルト・エディション(ピアノ・ソナタ第21番(*) 付き)
 HMC-901988、HMC-901995、HMC-902004/05、HMC-902035、HMC-902063、
 HMC-902107、HMC-902109/10、HMC-902139/40 (*)、HMC-902141 のセット化
 マティアス・ゲルネ(Br) クリストフ・エッシェンバッハ(P;*)
 エリーザベト・レオンスカヤ、ヘルムート・ドイチュ、エリック・シュナイダー、
 アレクサンダー・シュマルツ、インゴ・メッツマッハー、アンドレアス・ヘフリガー(P)
HMX-2908772/75
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(4CD)
3CD価格
クリスティ&レザール・フロリサン〜
 モンテヴェルディ:マドリガーレ集&倫理的、宗教的な森

 マドリガーレ集第7巻&第8巻より(*)
  第7巻より〔金の髪/アモールよ、私は何をしたらよいのか/バレエ「ティルシとクローリ」〕/
  第8巻より〔他の者には軍神マルスとその部隊のために歌わせて/なぜ逃げるのか、フィッリデよ/
        今はなんと天も地も/ニンファのラメント/狡猾なアモールよ〕
 マドリガーレ集第8巻〜情け知らずの女たちのバッロ(#)
 マドリガーレ集第6巻〜セスティーナ(六行詩節)愛する女の墓に流す恋人の涙(#)
 倫理的・宗教的な森(+) /タンクレディとクロリンダの戦い

 ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン
 録音:1980年12月(*)、1982年9月(#)、1986年7月(+)、1992年12月(無印)。 ウィリアム・クリスティとレザール・フロリサンのコンビがハルモニアムンディに録音したモンテヴェルディの全録音をまとめたボックス。器楽陣の壮麗な響き、歌唱陣の繊細にして軽やかな超絶技巧には、あらためて圧倒される。モンテヴェルディの作曲家としての偉大をあらためて認識させられるクオリティの高さ。とても楽しめるセット。
HMX-2908777/79
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(3CD)
2CD価格
モンテヴェルディ:マドリガーレ集
 〈クレモナ〉(*)
   第1巻(1587) より〔あなたが私の生命を愛しても/甘く優しい口づけよ/美しい羊飼いの娘が/
             私は燃えているがあなたを愛さない/燃えようが冷めようがあなたの自由だ〕/
   第2巻(1590) より〔私はかつて歌ったことがあった/まだ陽は昇っていなかった/そして女は嘆息しながら言った/
             もし愛の神が狩りに行ったら/不実な恋人よ、もし私から逃げるなら/見よ、波はささやき〕/
   第3巻(1592) より〔おお春よ/柔らかい草と白い花の上で/もし私があなたを愛さなかったら/
             去れ、むごき者/血のなかで/恍惚から覚め〕

 〈マントヴァ〉(#)
   第4巻 より〔星に打ち明け/そう私は死にたい/あなたですら私から去っていく/悲しい心よ/涙し溜め息をつき〕/
   第5巻 より〔つれないアマリッリ/ああ、ミルティッロ/私の魂はもう/
          あなたを愛している、私の命の人よ/こうして少しずつ/この素敵な調べは〕/
   第6巻 より〔アリアンナの嘆き/西風が戻り/愛する女の墓に流する恋人の涙〕

 〈ヴェネツィア〉(+)
   第7巻「コンチェルト」より〔チェトラの調べに合わせて〜シンフォニア/星の光に/
                 唇よ、何とかぐわしく匂うことか/金髪の髪よ、美しい宝/
                 断ち切られた望み/愛の手紙/ティルシとクローリ〕/
   第8巻「戦いと愛のマドリガーレ集」より〔他の人々は愛の神について歌えばよい/とても優しいナイチンゲール/
                       ニンフの嘆き/タンクレディとクロリンダの戦い〕

 ポール・アグニュー(T)指揮レザール・フロリサン
 録音:2011年10月(*)、12月(*)、2012年5月(*)、2012年11月26日-27日(#)、2013年6月6日-7日(#)、2014年1月15日-16日(#)、2014年5月(+)、2015年4-5月(+)、パリ、ライヴ。 初出・旧品番: Les Arts Florissants (自主制作), AF-005 (*), AF-003 (#) / HMF, HAF-8905278 (+) 。 レザール・フロリサン創設者のウィリアム・クリスティと共に、同楽団の共同指揮者として活躍しているポール・アグニュー。彼が指揮をしたモンテヴェルディのマドリガーレ全曲演奏会のライヴ録音から、抜粋で3枚のアルバムをリリースした企画のセット化。
HMX-2908781/87
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(7CD)
3CD価格
テレマンの手引き
 歌劇「オルフェウス」(全曲)[録音:1996年10月| HMC-901618/19, HMX-901618/19 ](*) /
 ブロッケス受難曲(全曲)[録音:2008年3月|HMC-902013/14 ](#) /
 管弦楽組曲、序曲、ヴァイオリン協奏曲/他[録音:2001年3月、1997年12月、2005年9月/
   HMC-901744, HMC-901654 (Set:HMG-508396/97), HMC-901917]

  ルネ・ヤーコプス指揮(*/#) ベルリン古楽アカデミー
 2017年8月現在、(*)の単売品は廃盤。 2017年は、テレマン(1681-1767)没後250年にあたる。これを記念して、ハルモニアムンディから、テレマンの名曲の、ベルリン古楽アカデミーによる名録音がお買い得ボックスで登場。テレマンはバッハやヘンデルより4年早く生まれ、そのどちらよりも長生きした。多作家で、何千曲という作品(バッハやヘンデルよりずっと多い)を手掛けたうえ、そのどれもがユーモアとセンスに溢れている。★ [CD1-2]「オルフェウス」は、テレマンの堂々たるハンブルク・オペラ。ヤーコプスが豪華なキャストで臨んだこの録音は、テレマンの再評価を大いに進めました。★ [CD3-4]は「ブロッケス受難曲」。ブロッケスは、18世紀ドイツ文学界の重要人物。彼が書いたこの受難曲のテキストには、テレマンのほかにも、ヘンデルやカイザー、マッテゾンら13人もの作曲家が付曲している。テレマンの受難曲は1716年4月2日に初演、大成功をおさめ、かの大バッハ1739年(45歳頃、自らがマタイ・ヨハネ両受難曲を作曲した後)に全曲を写譜して研究したほどに有名曲となった。ヤーコプスは、人間味豊か、絡み合う音が魅力のテレマンの名作を、大変見事に、瑞々しく現代によみがえらせた。序曲はまるでオーボエ協奏曲のような充実した器楽によるシンフォニア。バッハの受難曲が福音書家の役割が非常に大きいのに対し、テレマンの作品は、それぞれのソリストが「信仰心」という役割を持ち、場面場面で、二重唱や三重唱で信者(=わたくし)の心を代弁、活躍する。イエスが十字架上で「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのか」と言う場面は、実に人間味に溢れていてドラマティック。終曲コラールでは、トランペットの響きも高らかに、イエスの死による私たちが罪から救い出されるということを力強く讃美していて、大変輝かしい終結となっている。★ [CD5-6]テレマンの管弦楽曲集のこの録音も、テレマンの真価を問う名盤として名高い物。「雨蛙」は、蛙の鳴き声を楽器が模すユーモラスな作品。「諸国民」は様々な国を音楽で表現したもので、異国情緒あふれる「トルコ人」、クレムリンの鐘をユーモラスに描写した「モスクワ(ロシア)人」、ラテン的な明るい「ポルトガル人」など、多彩な魅力に満ちている。「風変わり」は声部間のぎこちないやりとりが、通常のフランス風序曲とは一味違う効果を生み出している。ベルリン古楽アカデミーの大胆なアプローチは必聴の演奏。★ [CD7]は、1705年から1725年にかけて作曲されたテレマンの作品集。リコーダー奏者のみならず、オーケストラにも、熟練の技術、そしてフランス、イタリア、ドイツの様式を熟知していることを要求する超絶技巧の曲ばかり。リコーダーのシュテーガーのヴィルトゥオジティの華やかにして快刀乱麻、胸のすくような見事な吹きぶりには圧倒され通し。「ハンブルクの潮の干満」も、テレマンの管弦楽の中でも最高傑作といわれるのも納得の力演。
HMX-2908793/95
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(3CD)
2CD価格
バルティック・ヴォイシズ Vol.1-3
 ツィリルス・クレーク(1889-1962)〔エストニア〕:ダヴィデによる4つの詩篇(1923) (*)
 スヴェン=ダーヴィド・サンドストレム(1942-)〔スウェーデン〕:
  我が祈りを聞きたまえ(パーセルによる)(1986) (*) /もう結構(1986) (*)
 エイノユハニ・ラウタヴァーラ(1928-2016)〔フィンランド〕:ロルカ組曲 Op.72 (1973) (*)
 ヴェルヨ・トルミス(1930-2017)〔エストニア〕:ラトヴィアのブルドン・ソング(1982) (*)
 アルヴォ・ペルト(1935-)〔エストニア〕: Which Was The Son Of... (2000) (*)
 ペーテリス・ヴァスクス(1946-)〔ラトヴィア〕:われらに平和を(1996/97)(*)
 ウルマス・シサスク(1960-)〔エストニア〕:「祖国の栄光」〜5つの歌(1988) (#)
 トイヴォ・トゥレヴ(1958-)〔エストニア〕:そして静寂のなか(2002) (#)
 ペーア・ネアゴー(1932-)〔デンマーク〕:冬の聖歌(1976/84) (#)
 ガリーナ・グリゴリエヴァ(1962-)〔ウクライナ〕:離脱の時(1999) (#)
 アルフレート・シュニトケ(1934-1998)〔ロシア〕:3つの聖歌(1983/84) (#)
 ヴァツロヴァス・アウグスティナス(1959-)〔リトアニア〕:足踏みしている花嫁(1994) (+)
 ペレ・グズモンセン=ホルムグレン(1932-2016)〔デンマーク〕:ステートメンツ(1969) (+)
 カイヤ・サーリアホ(1952-)〔フィンランド〕:夜(1991) (+) /別れ(1996) (+)
 リーティス・マジュリス(1961-)(リトアニア):眩まされた眼は言葉を失う(1992) (+)
 エリク・ベリマン(1911-2006)〔フィンランド〕:4つの驚きの歌 Op.51b (1960) (+)
 アルギルダス・マルティナイティス(1950-)〔リトアニア〕:アレルヤ(1996) (+)
 エルッキ=スヴェン・トゥール(1959-)〔エストニア〕:瞑想(2003) (+)
 ヘンリク・ミコワイ・グレツキ(1933-2010)〔ポーランド〕:5つのクルピエ地方の歌 Op.75 (1999) (+)

 ポール・ヒリアー指揮エストニア・フィルハーモニック室内cho.、タリン室内o.
 録音:2002年7月18日-19日(*)、22日-24日(*)、2004年10月25日-29日(+)、2005年4月19日-20日(+)、メソジスト教会、タリン(*/+) /2003年7月14日-17日、ハープサル教会(#)、すべて エストニア(*/#/+) 。 初出・旧品番: HMU-907311 [SACD: HMU-807311] (*) 、HMU-907331 [SACD: HMU-807331] (#) 、HMU-907391 [SACD: HMU-807391] (+) (以上、すべて入手不能)。 バルト海を臨む国々の作曲家の合唱作品を集めた人気シリーズ、バルチック・ヴォイシズが3枚セットで登場。一部をのぞいてすべて無伴奏合唱、グレツキの天上の響きの美しさの作品や、シュニトケの厳粛な雰囲気の作品など、ヒリアー率いるエストニア・フィルハーモニック室内合唱団がどれも精確に、そして感動的に歌い上げており、人の声の芸術の魅力をあらためて堪能できるセット。
HMX-2908796/97
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(2CD)
1CD価格
ドビュッシー(1862-1918):
 海[ジャン=クロード・カサドシュ指揮リール国立o./録音:1993年7月19日-21日]/
 チェロ・ソナタ第1番 ニ短調
  [ジャン=ギアン・ケラス(Vc) アレクサンドル・タロー(P)/録音:2008年2月26日-29日]/
 「映像」第1集〜水の反映[セドリック・ティベルギアン(P)/録音:2000年3月16日-18日]/
 フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ[フィリップ・ベルノルド(Fl)
   ジェラール・コセ(Va) イザベル・モレッティ(Hp)/録音:1997年9月20日-23日]/
 白と黒で[クロード・エルフェ、ホーコン・アウストベ(P)/録音:1972年]/
 小さな黒人/前奏曲集第1巻〜デルフィの舞姫/前奏曲集第2巻〜月の光が降り注ぐテラス/2つのアラベスク/
 「ベルガマスク組曲」〜月の光/夢〔夢想〕/版画/忘れられた映像/喜びの島/スケッチブックから
  [アラン・プラネス(P)/録音:1996年、1999年、2005年-2006年]/
 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10 [アルカント・カルテット/録音:2009年10月]
 2018年は、ドビュッシー没後100年にあたる。ハルモニアムンディから、ドビュッシーの録音のよりすぐりが2枚組で発売される。ケラス、タロー、アルカント・カルテット、そしてプラネスや、ティベルギアンによる演奏のピアノ作品、さらにジャン=クロード・カサドシュの「海」。2台4手のための「白と黒で」は、2004年に他界したフランスの名手クロード・エルフェと同じく現代音楽にも長けているホーコン・アウストベのデュオによる演奏。魅惑のアーティストによる注目のプログラム。
HMX-2908798/00
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(3CD)
1.5CD価格
限定盤
A Venetian Journey 〔ヴェネツィアの旅〕
 *ヴェネツィアの黄金時代〜ヴィヴァルディ、ポルタ、マルチェッロ [HMC-902185]
 *IL TEATRO ALLA MODA 〔当世流行劇場〕 [HMC-902221]
 *失われた響きをもとめて・・・ 〜G.ガブリエリ:
    オルガンを含む合奏によるソナタとカンツォーナ集 [HMC-901688/HMA-19516881]
 ルネサンス後期から18世紀中旬まで、ヴェネツィアは、宗教音楽から器楽ヴィルトゥオーゾ作品まで、当時の最先端の作品が生み出されていた都市だった。ここでは当時のヴェネツィアで鳴り響いた作品や、ヴェネツィアにまつわる作品を集めた3枚組をお買い得ボックスに。現代の名手たちの演奏を思う存分お楽しみ頂ける。
HMX-2908826/55
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(30CD)
4CD価格
限定盤
フィリップ・ヘレヴェッヘ〜ハルモニア・ムンディ・イヤーズ
 #曲目詳細はリンク先 PDF ファイル(要・閲覧ソフト)をご覧ください。
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮
 ブックレットには、歌詞や曲目解説は掲載されておらず、トラックリストと、クリスティアン・ジラルダン氏によるヘレヴェッヘに寄せる文章(仏・英語)のみです。 1947年生まれのヘレヴェッヘ。ハルモニアムンディから、70歳のお祝いとして特別ボックスが登場する。フィリップ・ヘレヴェッヘは、1991年から2008年にかけて、ほぼ30年の長きにわたってハルモニアムンディに録音をした。そのレパートリーは4世紀にわたり、常に私たちに音楽への新しいアプローチを示してくれた。精神医学者として、印刷された情報を超えた深き洞察で、スコアに向きあいた。古楽演奏者としてはアーノンクール、そしてレオンハルトに多大な影響を受けている。1980年代前半からハルモニアムンディでレコーディングを開始。初期の一連の録音のうち、ルイ14世時代、王室礼拝堂(シャペル・ロワイヤル)で作曲家の任にあったアンリ・デュモンのグラン・モテは、特に世界を熱狂させた。1977年に設立したヘレヴェッヘのオーケストラもこのシャペル・ロワイヤルの名を冠している。その後フランスの17-18世紀のリュリ、ラランド・カンプラ、ジルといった作曲家たちのレパートリーに注力。そして師であるアーノンクールとの思い出であるバッハのカンタータももちろん取り上げている。また、近現代ものも取り上げており、そのどれもが音楽ファンを魅了したことは言うまでもない。このたび、ハルモニアムンディがヘレヴェッヘに感謝の念を込めて、ヘレヴェッヘの名録音を30枚組でリリースする。どの録音も名盤として名高いものだが、ひとつ注目なのが、1度目の1984年録音のマタイ受難曲が含まれていること。ヤーコプスらが独唱者陣として名を連ねている。ヘレヴェッヘはマタイ受難曲をハルモニアムンディで2度録音しており、2度目の2000年のものは幾度となくハルモニアムンディでも再発売されていたが、このたび貴重な1度目の録音が久々に登場する。
HMX-2908873/78
(6CD)
廃盤
メルニコフ、ファウスト、ケラス〜ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集 +
  チェロとピアノのための作品全曲+ヴァイオリン・ソナタ全曲

  イザベル・ファウスト(Vn) ジャン=ギアン・ケラス(Vc)
  アレクサンドル・メルニコフ(Fp/P)
HMX-2908880/93
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(13CD)
3CD価格
ルイス + ビエロフラーヴェク〜ベートーヴェン:
 ピアノ・ソナタ全曲 + ピアノ協奏曲全曲 + ディアベッリ変奏曲

  ソナタ〔第1番−第32番〕/ピアノ協奏曲(*)〔第1番−第5番〕/ディアベッリ変奏曲 Op.120

 ポール・ルイス(P) イジー・ビエロフラーヴェク指揮 BBC so.(*)
 録音:2005年-2010年。2020年のベートーヴェン・イヤー(生誕250年)に先駆けて、ハルモニア・ムンディからも注目ボックスが登場!ポール・ルイスによるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲+ピアノ協奏曲全曲+ディアベッリ変奏曲。ピアノ・ソナタは、その一切の無駄のない音楽運びと語り口、そしてテクニックが遺憾なく発揮された、21世紀の規範と呼んでも大げさではない内容です。ピアノ協奏曲も、巨匠ビエロフラーヴェクが奏でる管弦楽との融合の見事さ、そして録音の素晴らしさにあらためて驚かされる。ディアベッリ変奏曲は、先日の来日公演(2019年10月1日、王子ホール)でも素晴らしい演奏を披露、聴衆を圧倒的な興奮に巻き込んだのも記憶にあたらしいところ。ポール・ルイスの奏でる音楽には、これみよがしなところは一切ない。音楽作品の本質を常にキャッチし、それをただひたすらに響かせている。このボックスには、ポール・ルイスが築いてきたベートーヴェンとの対話の至福の時がつまっている。
HMX-2908984/87
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(4CD)
2CD価格
バロック・クリスマス
 J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオ BWV.248(全曲)
  [ドロテア・レッシュマン(A) アンドレアス・ショル(CT) ヴェルナー・ギューラ(T)
   クラウス・ヘーガー(B) ルネ・ヤーコプス指揮 RIAS 室内cho.、ベルリン古楽アカデミー/1997年1月]
 シャルパンティエ:
  クリスマス牧歌劇 H.483 /待降節の聖歌集 H.36-43 /
  クリスマス牧歌劇〔第2部第2稿 H.483a /第2部第3稿 H.483b 〕
   [セバスティアン・ドセ(Org)指揮アンサンブル・コレスポンダンス/2016年1月2日-6日]
 コレッリ:合奏協奏曲 Op.6 No.8 ト長調「クリスマス・コンチェルト」
  [キアラ・バンキーニ、ジェスパー・クリステンセン指揮アンサンブル415(39人編成)/1991年10月]
 ローゼンミュラー:「クリスマス物語」〜慄け、自然よ
  [コンラート・ユングヘーネル指揮カントゥス・ケルン、コンチェルト・パラティーノ/2004年6月]
 ブクステフーデ:カンタータ〔第41番「主よ、われ汝を愛す」BuxWV41 /第10番「来たれと、天使に告げよ」BuxWV10 〕
  [コンラート・ユングヘーネル(リュート)指揮カントゥス・ケルン/未記載]
 シュッツ:今日こそ主なるキリストの生まれた日、SWV.439
  [ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ/1989年9月]
 録音:[/内]。バロック期の作曲家たちによる、クリスマスの音楽集。ヤーコプス指揮によるバッハのクリスマス・オラトリオは、祝祭感と厳かな空気に満ちた名演。ドセ指揮のシャルパンティエのクリスマス・ミサは、小気味よく颯爽としたリズム感でありながら軽すぎず激しすぎず、のどかな美しさも存分に感じられる名演奏。柔らかな音色が絶品。[CD4]はバンキーニ、ユングヘーネルら名手たちによる珠玉のトラックが集められており、こちらもあらためてその鮮烈な演奏に驚かされる名演となっている。
HMX-2908904/19
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(16CD)
3CD価格
限定盤
ハルモニア・ムンディ60周年記念ボックス1〜「革命の時代 1958-1988」
 [CD 1-2] I. オルガンへの情熱/ [CD 3] II. 古代の発見/
 [CD 4] III. ルネサンスからバロックへ/ [CD 5-11] IV. バロック・レヴォリューション/
 [CD 12-14] V. スコアを見る新鮮な眼/ [CD 15] VI. 20世紀/ [CD 16] VII. 世界への窓
HMX-2908920/37
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(18CD)
3CD価格
限定盤
ハルモニア・ムンディ60周年記念ボックス2〜「ファミリー・スピリット 1988-2018」
 [CD 1] I. アルフレッド・デラーの後継者たち/ [CD 2] II. ルネ・ヤーコプスによるオペラ叙事詩/
 [CD 3] III. バーゼルの女性たち/ [CD 4-5] IV. 新時代の鍵盤ヴィルトゥオーゾ/ [CD 6-9] V. 古典再訪/
 [CD 10] VI. フランス・チェロ楽派/ [CD 11] VII. 新しいロマン派/ [CD 12] VIII. HIPへの潮流/
 [CD 13] IX. スター三人組・・・スター・トリオ/ [CD 14] X. リートの巨匠たち/ [CD 15-16] XI. 新しい探求者/
 [CD 17] XII. ニュー・ジェネレーション/ [CD 18] XIII. あらゆるスタイルを弾きこなす巨匠たち
 #曲目詳細はリンク先テキスト・ファイルをご覧ください(別タブ、又は別ウィンドウで開きます)。 『ハルモニア・ムンディは、1958年に産声を上げました。それから60年にわたり、実に何千もの録音を世に出してきました。そのクオリティの高さと独自性、そしてアーティストとの深い結びつきは今なお他の追随を許しません。このたび、60年を記念し、これまでのハルモニア・ムンディの歩みを振り返る内容のボックスが発売されます。2つのボックスで、60年の歴史が30年ずつに分けられてプログラムが組まれています。1つ目のボックスは、≪革命の時代≫と題し、レーベルが生まれてから30年間を振り返るもので、サン=ミシェル=ド・プロヴァンスの高地でレーベル黎明期を支えたアーティストたちによる、古楽へのあくなき探求を中心に収録されております。レーベル創設者、故ベルナール・クータツの妻で元ミュージック・ディレクターおよびプロダクション・ディレクターを務めた、エヴァ・クータツ氏のインタビューが掲載されています。2つ目のボックスでは、≪ファミリー・スピリット≫と題し、1988年から現在までを振り返ります。「アティス」や「マタイ受難曲」での成功の後、レーベル黎明期を支えたアーティストたちの精神を受け継ぐ次世代の音楽家たちの演奏を中心に構成されています。こちらには、現在ハルモニア・ムンディ・レーベルでプロダクション・ディレクターを務めるクリスティアン・ジラルダン氏のコメントが寄せられています。なお、いずれの巻も、曲目解説や歌詞テキストは掲載されておりません。』
HMX-2908960/62
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(3CD)
2CD価格
Nuevo Tango! 〜アストル・ピアソラ:ブエノスアイレスの音楽
 バンドネオン協奏曲/デリカシモ/天使のミロンガ/天使の死/ブエノスアイレスの冬/アディオス・ノニーノ
  [パブロ・マイネッティ(バンドネオン) ジュゼップ・ポンス指揮リウレ劇場室内o.]/
 タンゴ・ポルテーニョの3楽章[ジュゼップ・ポンス指揮リウレ劇場室内o.]/
 タンゴの歴史(*/#) /タンゴ組曲〜第3番(*/#/+) /6つのタンゴ・エチュード(*) /5つの小品(#) /忘却(*/+/##)
  [セシル・ダルー(Fl;*) パブロ・マルケス(G;#) レオナルド・サンチェス(G;+)
   ホアン・ホセ・モサリーニ(バンドネオン;##) マウリシオ・アンガリータ(Cb;##)]/
 リベルタンゴ/ミケランジェロ70 /孤独(タンゴ・バレエより)[ロンドン・コンチェルタンテ]/
 天使の復活(**) /エスクアロ〔鮫〕(**) /ヴァルシシモ[
  アン・ホブソン・パイロット(Hp) ルシア・リン(Vn) JPジョフレ(バンドネオン;**)]/
 ル・グラン・タンゴ[タベア・ツィンマーマン(Va) ハビエル・ペリアネス(P)]
 迷子の鳥たち/ハシント・チクラーナ/操り人形[ベルナルダ・フィンク(Ms) カルメン・ピアッツィーニ(P)]
 既出盤からのコンピレーション。アルゼンチン・タンゴに革命を起こしたアストル・ピアソラ。伝統的なタンゴを活かしながら、ジャズやクラシックなどまったく違うジャンルの音楽をあえて取り入れ、数々の名曲を生みた。このボックス・セットは、ハルモニアムンディ・フランスからリリースされてたピアソラの名曲・名演を集めた物。ヴィオラの女王タベア・ツィンマーマンと近年充実著しいスペインのピアニスト、ペリアネスによる「ル・グラン・タンゴ」。20代の頃からタンゴの世界では当時から世界的に有名な天才バンドネオン奏者として活躍しているブエノスアイレス生まれのパブロ・マイネッティによる「バンドネオン協奏曲」。ブーレーズも絶賛した女性フルート奏者、セシル・ダルーによる「タンゴの歴史」。1969年からボストンso. で演奏を始め、1980年から2009年まで首席ハープ奏者を務めたアン・ホブソン・パイロットとアルゼンチン出身ニューヨーク在住、コンテンポラリー・タンゴのニュー・スターとして世界中から注目を集めるバンドネオンのJ. P. ジョフレ、そして11歳でメンデルスゾーンの協奏曲をシカゴso. と共演してデビューした天才ヴァイオリニスト、ルシア・リンによる「エスクアロ/鮫」や「天使の復活」など、ピアソラの偉大なる遺産を、網羅している。
HMX-2908965/69
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(5CD)
2CD価格
ヘレヴェッヘ不朽の名演〜J.S.バッハ:ヨハネ受難曲&マタイ受難曲
 ヨハネ受難曲(1725年版)(*)
  [シビッラ・ルーべンス、セシル・ケンペナー(S)
   アンドレアス・ショル(CT) マーク・パドモア(T;福音史家&アリア)
   マルコム・ベネット(下役) セバスティアン・ノアック(B;ピラト)
   ミヒャエル・フォレ(B;イエス) ドミニク・ヴェルナー(B;ペテロ)]
 マタイ受難曲 BWV.244 (#)
  [シビッラ・ルーべンス、エリーザベト・ヘルマン、スーザン・ハミルトン(S)
   アンドレアス・ショル(CT) イアン・ボストリッジ(T;福音史家)
   ヴェルナー・ギューラ(T) フランツ=ヨーゼフ・ゼーリヒ(B;イエス)
   フリッツ・ヴァンフル(B;ユダ) ディートリヒ・ヘンシェル(B;ピラト)]
 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ(合唱&管弦楽)
 録音:1998年8月、ラ・グランド・サル、アルセナル、メス、フランス(#) /2001年4月23日-27日、ケルン、ドイツ(*)|初出品番: HMC-901676/78 (#), HMC-901748/49 〔廃盤〕 (*) /他〔他出盤はすべて廃盤〕。バッハのヨハネ受難曲&マタイ受難曲というカップリング。ヘレヴェッヘの演奏は、これらがきわめて劇的な作品でありながら、きわめてすぐれた教会(宗教)音楽であることをあらためて私たちに気づかせてくれる一貫した敬虔さに満ちている。どちらも約20年前の録音だが、あらためてその美しい音と、バッハが遺した完全なる建造物ともいえる作品の素晴らしさに驚かせるセット。
HMX-2908970/71
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(2CD)
1CD価格
J.S.バッハ:オラトリオ&カンタータ集
 復活祭オラトリオ BWV.249 (*) /
 カンタータ〔第66番「喜べ、汝ら もろ人の心よ」 BWV.66 (*) /
       第43番「神は喜び叫ぶ声と共に昇り」 BWV.43 (#) /
       第44番「人々汝らを除名すべし」 BWV.44 (#) 〕/
 昇天節オラトリオ「御国にまします神をたたえよ」BWV.11 (#)
  バルバラ・シュリック(S;*/#) カイ・ヴェッセル(CT;*)
  ジェイムズ・テイラー(T;*) ペーター・コーイ(B;*/#
  カテリーヌ・パトリアス(A;#) クリストフ・プレガルディエン(T;#)
  フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮コレギウム・ヴォカーレ
 録音:1994年4月(*) /1993年5月(#) |旧品番:HMC-901513 (*), HMC-901479(#), HML-5908354/56 (*/#) 〔すべて廃盤〕。バッハの復活祭(イースター)と昇天祭のためのオラトリオとカンタータを集めた2枚。復活祭オラトリオ冒頭の華やかなシンフォニアは、祝祭的な雰囲気たっぷりながらも、美音のヴェールと白磁のような気品に満ちたすばらしい演奏。コレギウム・ヴォカーレのうまさが際立つ。
HAX-8908972/74
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(3CD)
1.5枚価格
レザール・フロリサン40周年記念ボックス〜名場面&名録音選集
 ウィリアム・クリスティ指揮 ポール・アグニュー指揮 レザール・フロリサン
 クリスティが1979年に設立したレザール・フロリサン。40年にわたりバロック音楽を中心とする古楽に注力しながらも、常に新しいレパートリーを発掘し、とりわけリュリ、シャルパンティエ、ラモーといったフランス・バロックから、パーセルやヘンデル、そしてモンテヴェルディやロッシらの作品の素晴らしさを私達に伝え続けてくれている。その音楽が宗教作品であれ、劇場作品であれ、王侯貴族の楽しみのためのものであれ、クリスティの手によってその輝きを取り戻したものも少なくないといえるだろう。このボックスでは、クリスティ伝説の始まりともいえる「アティス」から、最近の録音までの名場面や聴きどころを網羅。あらためてクリスティの音楽のエレガンスに満ちた美しさを堪能できる3枚組となっている。
HMX-2908980/81
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(2CD)
1CD価格
ピカソと音楽
  Guitares Gitanes: ファンダンゴ/エル・マラゲーニョ
 ロドリーゴ:アランフェス協奏曲〜第2楽章アダージョ/ある貴紳のための幻想曲
  [マルコ・ソシアス(G) ジョゼプ・ポンス指揮リウレ劇場室内o.]
 ファリャ:カンシオン/アンダルシアのセレナータ[ハビエル・ペリアネス(P)]/
      バレエ音楽「恋は魔術師」より〔悩ましい愛の歌/火祭りの踊り/きつね火の踊り〕/バレエ音楽「三角帽子」
       [マリーナ・エレディア(カンタオーラ) パブロ・エラス=カサド指揮マーラー室内o.]
 サラサーテ:カルメン幻想曲[グラフ・ムルハ(Vn) ナタリア・グース(P)]
 ストラヴィンスキー:小管弦楽のための組曲第1番/「プルチネッラ」より〔タランテラ/セレナータ〕
  [ポンス指揮リウレ劇場室内o.]
 グラナドス:ゴイェスカス〜ファンダンゴのフィナーレ[ポンス指揮 BBC so. &シンガーズ]
 ミヨー:スカラムーシュ〜ヴィフ / オネゲル:ソナチネ[スペンドンク(Cl) アレクサンドル・タロー(P)]
 ドビュッシー:仮面/6つの古代墓碑銘[アラン・プラネス(P)] / サティ:操り人形は踊っている
 ストラヴィンスキー:兵士の物語[ジャン=クリストフ・ガイヨ指揮]/
           クラリネット・ソロのための3つの小品[ワルター・ブイケンス(Cl)]
 ドビュッシー:マンドリン[ゾフィー・カルトホイザー(S) ユージン・アスティ(P)]/
        シランクス[フィリップ・ベルノー(Fl)]/
        牧神の午後への前奏曲[フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル]
 サティ:最後から2番目の思想より朝の歌[アレクサンドル・タロー(P)]
 ラヴェル:道化師の朝の歌[ジョゼプ・ポンス指揮パリo.]/
      ダフニスとクロエ第3部[グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル、アンサンブル・エデス]
 2020年4月から8月までパリのフィルハーモニーで行われるピカソ展に合わせて制作された企画盤。ピカソは毎日音楽を聴いていたわけでもなく、また、自身は楽器を演奏しなかったが、音楽は彼の創造性をかきたてるものだった。音楽は、ピカソにとって、主題(題材・・・音楽家やダンサー、楽器、楽譜を描いた一連のイメージに見られるように)であり、メタファー(著作や演劇プロジェクトにみられる歌の断片や音楽的な暗示)だった。また、バレエなど舞台作品の美術を依頼されてもいたし、同時代の数え切れない音楽家、作曲家、歌手とも交流があった。この2枚組では、ピカソが幼い頃に聴いていたジプシーの子守歌や、カフェ「クアトロ・ガッツ」で出会ったアルベニスらの音楽、また、マンドリンの楽器が描かれた作品(ドビュッシーの「マンドリン」)、パリで親しんだ「六人組」の作品、ピカソが美術を手がけたバレエ作品の音楽など、「音楽」という視点から見たピカソの芸術を俯瞰することが出来る。
HMX-2908990/95
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(6CD)
2CD価格
100のピアノ傑作集 [100 Piano Master Pieces ]
 録音:2009年-2014年。ハルモニアムンディのカタログから、「100のピアノ傑作集」として、6枚組全100トラックのピアノ音楽集の登場。プルーデルマッハー、フレデリック・チュウ、さらにはダルベルトによるベートーヴェン=リスト編の交響曲第6番「田園」という懐かしのトラックも!タローのショパンにラヴェル、メルニコフも収録された超充実のラインナップ、そしてそれぞれの演奏の質の高さにあらためて驚く6枚組。
HMB-590017
(2CD+BOOK)
廃盤
「カウンター・テナー、伝説と現実」
HMF "DVD" "Blu-Ray Disc"
HMDVD-9909001
[HMD-9909001/02]
(2DVD)
廃盤
フランチェスコ・カヴァッリ(1602-1676):
  歌劇「カリスト」
マリア・バーヨ(S;カリスト)
ルネ・ヤーコプス指揮
コンチェルト・ヴォカーレ
HMDVD-9909003
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[HMD-9909003/04]
(2DVD)
価格帯:H
ヤーコプスの「オルフェオ」、DVDで登場!
 モンテヴェルディ
:歌劇「オルフェオ」
 サイモン・キーンリサイド(Br;オルフェオ) フアニタ・ラスカロ(S;エルリディーチェ)
 グラシエラ・オッドーネ(S;使者の女) マルティーナ・ダイク(Ms;プロセルピーナ)
 スティーヴン・ウォレス(CT;希望) トーマス・トーマソン(B;プルトーネ)
 ポール・ジェリモン(B;カロンテ)他 トリシャ・ブラウン・カンパニー

 ルネ・ヤーコプス指揮コンチェルト・ヴォカーレ
 収録:1998年、ブリュッセル、モネ劇場。演出:トリシャ・ブラウン、装置・衣装:ロラント・エシュリマン。2h50'、オール・リージョン、NTSC、16/9、5.0 DTS /、PCM stereo 2.0、字幕:英仏独蘭。
 ヤーコプスは、大傑作モンテヴェルディの「オルフェオ」を何度も取り上げていて、1993年にはヴェルニッケの演出で、1998年にはこのトリシャ・ブラウン演出で、さらに2003年にはバリー・コスキーの演出で上演、さらに新演出が予定されていると言うから、数年毎に新しい「オルフェオ」を作り上げていることになる。
 今回DVD になったのは、モネ劇場で上演されたブラウン演出のプロダクション。ブラウンはニューヨークを拠点に活躍するモダーン・バレエの振付の大家で、この舞台でも、ダンサー達が目覚ましい効果を上げている。歌手は、サイモン・キーンリサイドの素晴らしいオルフェオを筆頭に、極めて充実。天下の傑作「オルフェオ」には、CDはもちろん、DVDもいくつも出ているが、これぞ決定盤になること間違いなし!! ボーナス・トラックとして、メイキングを約55分収録。
HMD-9909006
(DVD)
廃盤
ブクステフーデ:受難曲「われらがイエスの御体」
 ルネ・ヤーコプス指揮バーゼル・スコラ・カントルム
HMD-9909008/09
(2DVD)
廃盤
ヘンデル:「ジューリオ・チェーザレ」
 ラース・ウルリク・モーテンセン指揮コンチェルト・コペンハーゲン
HMD-9909013/14
(2DVD)
廃盤
ヤーコプスの「ドン・ジョヴァンニ」
 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(ウィーン稿)
 ヨハネス・ヴァイサー(Br;ドン・ジョヴァンニ)
 マルコス・フィンク(B;レポレッロ)
 アレクサンドリーナ・ペンダチャンスカ(S;ドンナ・エルヴィーラ)
 マリン・ビストレム(S;ドンナ・アンナ)
 ウェルナー・ギューラ(T;ドン・オッターヴィオ)
 スンハエ・イム(S;ゼルリーナ) ニコライ・ボルチェフ(Br;マゼット)
 アレッサンドロ・グエルツォーニ(B;騎士長)
 ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロックo.、RIAS 室内cho.
 演出:ヴァンサン・ブサール/衣装:クリスティアン・ラクロワ/
 装置:ヴァンサン・ルメール
HMD-9809013
(Blu-ray)
廃盤
HMD-9909018
(DVD+CD)
廃盤
[DVD]「アルフレッド・デラー Portrait of a voice
[CD]
 シェイクスピア劇の音楽/ダウランド:流れよ、わが涙
 パーセル:O Solitude/カッチーニ:アマリッリ 他
HMD-9909026
(DVD)
廃盤
ベルリン古楽アカデミー&ダンサーによる
 「四大元素」「四季」

 ジャン=フェリ・ルベル(1666-1747):
  バレエ音楽「四大元素」
 ヴィヴァルディ(1678-1741):協奏曲集「四季」
ベルリン古楽アカデミー
ミドリ・ザイラー(ソロVn)
ホアン・クルス・ディアス・デ・
 ガライオ・エスナオラ(ダンス)
HMD-9909028
(2DVD)
廃盤
ヘンデル:オラトリオ「ベルシャザル」(1744)
 ケネス・ターヴァー(T;ベルシャザル) ローズマリー・ジョシュア(S;ニトクリス)
 ベジュン・メータ(CT;サイラス) クリスティーナ・ハマーストレム(Ms;ダニエル)
 ニール・デイヴィス(Br;ゴブライアス) 演出:クリストフ・ネル
 ルネ・ヤーコプス指揮ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内cho.
HMD-9809028
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(Blu-Ray)
価格帯:BD
 収録:2008年7月、エクサン・プロヴァンス音楽祭、ライヴ。16:9|2h46m|字幕:英独仏。Blu-Ray 仕様:HD|PCM Stereo | DVD 仕様:リージョン・オール| NTSC | Dolby Digital 2.0, Dolby Digital 5.1。
 ヤーコプスのヘンデルがついに映像になった!。「ベルシャザル」は英語で歌われるオラトリオ。初演は1745年3月27日に行われた。ヘンデルのオラトリオは演奏会上演を前提としているが、多くのオラトリオは物語性が強く、この「ベルシャザル」も十分舞台上演が可能な程度。物語は、名高いペルシャの王キュロスによる新バビロニア王国滅亡に基づいており、旧約聖書のダニエル記などに描かれているエピソードから台本が作られている。ベルシャザルとは、新バビロニア王国最後の王の王子で、ここでは王として描かれている。
 ヤーコプスがヘンデルを指揮すると熱が入るのが常。ここでも音楽はじつにダイナミックで、ヘンデルならではの生々しい感情描写が存分に楽しめる。もちろん歌手も高水準。中でもサイラスのベジュン・メータ、至難なアリアも惚れ惚れするほど見事に歌い切り、圧倒的。さらに近年モーツァルト、ロッシーニのテノールとして活躍する米国のテノール、ケネス・ターヴァーのベルシャザル、英国の美声古楽ソプラノ、ローズマリー・ジョシュアのニトクリス、スウェーデン出身でやはり古楽畑で活躍するクリスティーナ・ハマーストレムの神秘的なダニエル、そしてヤーコプスが「メサイア」のソリストにも起用したウェールズのバス=バリトン、ニール・デイヴィスのゴブライアスと、ヤーコプスらしいこだわりの強い配役。
 演出のクリストフ・ネルは、1944年、シュトゥットガルト生まれの、今非常に人気のある演出家。ここでは、様式化された城壁を広げた舞台に、古代風の衣装と現代風の衣装を混ぜ込んだ舞台作りをしており、楽しめる舞台になっている。
 「ベルシャザル」のDVDは初めて、もちろんBlu-Rayでも初めて。鮮明映像でヤーコプスのヘンデルをお楽しみ頂きたい!

 「ベルシャザル」 簡単なあらすじ:第1幕:宮殿で、バビロニア王ベルシャザルの母ニトクリスはバビロニアの崩壊が近いことを感じ不安になっている。捕囚されているユダヤ人の預言者ダニエルは、すべてを神に委ねるべきと告げる。その頃ペルシャ王サイラス率いる軍はバビロンの町を睨んでいるが、堅固な城壁に守られ、食糧備蓄も豊富なため、バビロニア人たちは彼らをあざ笑うばかり。サイラスは、バビロニア人の祭に浮かれている時に、干上がったユーフラテス川を抜けて攻撃することを思いつく。ダニエルは、バビロニア滅亡の預言をする。そんなこととは知らぬベルシャザルは、宮殿で豪勢な宴を催し、ユダヤ人たちの警告も母ニトクリスの注意にも耳を貸さない。
第2幕:ユーフラテス川が干上がり、サイラスは攻撃を決意する。一方ベルシャザルは祭の日に大祝宴を催している。すると突然、壁に手が出現、謎の文字を書き残す。バビロニアの賢者たちはそれを解読できない。ニトクリスによって呼ばれたダニエルが、それがバビロニアの滅亡の預言であることを解読する。城壁の外では、サイラスが総攻撃を始めようとしていた。
第3幕:不安に苛まれているニトクリスをダニエルが落ち着かせていると、サイラス軍が城内に押し寄せたことが報告される。ベルシャザルはサイラスを迎え撃ちに出る。戦い。サイラスは勝利を収める。ニトクリスは民を助けるよう懇願し、サイラスもそれを請合う。捕囚のユダヤ人を解放すると宣言するサイラスを、ダニエルたちが讃える。
HMF "Les Leçons Particulieres De Musique"
  これは貴重! フランスの伝説的番組「ルソン・パティキュリエ」(プライヴェート・レッスン; 1987年から1991年にかけて、フランスの放送局 Arteの前身 La Sept が12回にわたって放映)がDVDで登場、まずは以下6点! 講師陣はロリオ、ロス、若き日のヤーコプス。生徒は、若き日のメガネ姿のエマニュエル・パユや、現在ヨーロッパを席巻しているチェンバロ奏者のフィゲイレドも!! レッスン番組とはいっても、レッスン風景の収録にとどまることなく、講師のインタビュー映像やドキュメンタリー的要素も含んでおり、興味深い映像が満載。またレッスンする作品にふさわしい場(コンセルヴァトワールの教会やメディチ家の邸宅など)が選択されており、凝った作りで見もの。どれも画質に不満なし。
 #なお、当シリーズはイタリア製の特殊ディジパック装丁となっています。ディスクの出し入れ時に装丁本体とディスクが全面にわたって接触する構造となっており、ディスク全体に浅い擦り傷が付いている場合がありますが、再生不可の場合を除き交換はお受け出来ませんので、御了承の程お願い致します。
HMD-9909030
(DVD)
廃盤
ルネ・ヤーコプス(CT) プライベート・レッスン〜ヘンデル
HMD-9909031
(DVD)
廃盤
スコット・ロス(Cemb) プライベート・レッスン
HMD-9909032
(DVD)
廃盤
イヴォンヌ・ロリオ(P) プライベート・レッスン
HMD-9909033
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(DVD)
価格帯:H
ヘルマン・バウマン(Hr) プライベート・レッスン
 シューマン:アダージョとアレグロOp.70[バウマンによる演奏+生徒:
  カエターノ・グラノドス=コネホへのレッスン、ルドガー・マックスザイン(P)]
 ベートーヴェン:
  ソナタOp.17 より[アンゲラ・エームケへのレッスン ルーシー・サンソン(P)]/
  フィデリオ序曲(一部)[エックハルト・シャール、エームケ、グラノドス=コネホ]/
 ハンス・ゲオルク・プフリューゲル:インペート[パウル・ファン・ゼルムへのレッスン]/
 モーツァルト:ホルン協奏曲第2番 変ホ長調 K417[エッセン・フォルクヴァング室内so.]
 放送:1990年。字幕:英・仏。監督:ハインツ・ペーター・シュヴェルフェル。ヘルマン・バウマンは1934年にハンブルクに生まれたホルン奏者。声楽やジャズ・ドラムを学び、17歳(18歳近かった)でホルンを始める。ハンブルク音楽院でフリッツ・フートに指示、1964年にミュンヘン国際音楽コンクールで優勝したのを期に一気に活動の幅が広がった。あらゆるタイプの楽器をも吹きこなし、バロックから現代、ジャズに至るまで自在に演奏し、リゲティからも曲をささげられた、まさに最高峰の天才ホルン奏者。
 「ホルンを演奏することはヨガのようなものだ。集中して、穏やかにならなければならない。」と穏やかに語るバウマン。どの作曲家のレッスンを見ても、体の自然な使い方、自然な呼吸、メロディーを自然に歌うことに重点が置かれ、バウマンのうまさの秘密を見ることができるようなレッスン。楽器学習者だけでなく、音楽学習者も必見の内容。シューマンの「アダージョとアレグロ」では「アダージョ」というテンポの捉え方や、旋律は常に緩急をもって柔らかく歌わなければならないことなどをわかりやすく説いている。少しのアドヴァイスで生徒の演奏が見違えるようになるのは印象的。ベートーヴェンのソナタOp.17のナチュラル・ホルンを用いてのレッスンも見物。タンギングのことやベルの中での右手の使い方などのお手本はほれぼれする。現代曲でもヴィブラートの効果的な響かせ方などわかりやすく指導。門外漢がみても大変わかりやすいレッスン。
HMD-9909034
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(DVD)
価格帯:H
ピエール・イヴ・アルトー(Fl) プライベート・レッスン
 ドビュッシー:シランクス[生徒:ヴェロニク・ローラン]/
 平 義久(1937-2005):
  シンクロニー[生徒:エマニュエル・パユ、クララ・ノヴァコヴァー]/
  Maya[ジャン=イヴ・アルトー自身のソロ]
 ファーニホウ:
  カッサンドラの夢の歌[生徒:エマニュエル・パユ、クララ・ノヴァコヴァー]/
  Unity Capsule[アルトー自身のソロ]
 放送:1988年。字幕:英・独。監督:ロジェ・カアネ。バス・フルートを吹きこなす若きパユの眼鏡も印象的な、現代フルート界の重鎮、ジャン=イヴ・アルトーのレッスン風景。アルトーは、現在でもたびたび来日しマスタークラスを展開している人気者。特に現代音楽シーンにおいても極めて大きな存在のアルトー。現代におけるフルート音楽の発展に多大なる貢献をしており、彼のおかげで重音奏法や循環呼吸、アタック技法など様々な新しい奏法が生み出された。またアルトーはこれらの奏法を体系的にまとめた本も書いている。まさに現代フルート界の最重鎮。
 「カッサンドラの夢の歌」のレッスンでは、ファーニホー自身も参加。演奏者たちにあれこれと注文を出し、それにアルトーがフルート奏者としてテクニック的に的確な助言をする。ちょっとしたお手本を示すアルトーの音量が大きいことにも驚かされるし、とてもうまい!さらに、作品がどんどん魅力的に響いてくるのがわかる。平の作品で要求されるハッフッと叫ぶ声は武術の影響があると語るなど、示唆に富んだレッスンが繰り広げられている。
 現代における最重鎮フルート奏者のカリスマ性が遺憾なく発揮された内容。
HMD-9909035
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(DVD)
価格帯:H
アンナー・ビルスマ(Vc) プライベート・レッスン
 フランショーム:エチュードOp.35-11[ロデヴィク・シュパンヤード]
 ドメニコ・ガブリエーリ:カンツォーネ[生徒:ルシア・スヴァルツ]
 アンリ・プスール: La ligne des toits[生徒:ヨブ・テル・ハール]
 J.S.バッハ:
  無伴奏チェロ組曲第5番 BWV.1011〜プレリュード[生徒:ルシア・スヴァルツ]
 インタビュー(聞き手:オリヴィエ・ベルナジェール)
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV.1007〜プレリュード
          [ビルスマ自身によるソロ]
 放送:1989年。字幕:仏・独・英。監督:フランソワ・マンソー。アンナー・ビルスマ(1934年ハーグ生まれ)。そのあたたかな人柄、そしてバロックから現代音楽まで、様々なスタイルの奏法をもちいて演奏することができる貴重なチェロ奏者。1962年から68年までロイヤル・コンセルトヘボウo.の首席チェロ奏者をつとめ、ブリュッヘン、レオンハルトらとともに70年代のオランダ古楽運動の原動力となった。
 DVDは、自宅と思われる場所で、息子と思しき子供と二重奏をしているというほほえましいシーンから始まる。レッスン会場である教会へさっそうと自転車で乗り付けるビルスマなど、CDでは決して見ることのできない表情を知ることが出来る。オランダの古楽運動の原動力でもあったビルスマ。ドメニコ・ガブリエリ作品のレッスンは熱が入っている。ガブリエリについて「音楽史上初めての正真正銘のチェリストだった」と物静かに、しかし熱く語る。カデンツァやアーティキュレーションについて、また、長い音符の奏で方などきめこまか、かつわかりやすく具体的なアドヴァイスが印象的。バッハの無伴奏組曲の解釈についてもあくまでも穏やかに、しかし熱く語っている。なにか特別な表情をつけるときに、アクセントをつけるのではなくソフトに奏でるという考え方など、興味深いものがある。鈴木秀美氏やウィスペルウェイの師でもある巨匠ビルスマ先生のあたたかな、そして率直な人柄がうかがわれる内容。
HMD-9909036
(DVD)
廃盤
ケネス・ギルバート(Org/Cemb) プライベート・レッスン
HMD-9909037
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(DVD)
価格帯:H
マレク・ヤノフスキ(指揮/指導者) プライベート・レッスン
 モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」〜第1楽章(*)
  [生徒:オリヴィエ・デジュール]
 ベルリオーズ:レクイエム(#)[ヤノフスキ指揮/練習風景]
 ベートーヴェン:エグモント序曲 Op.84(*)
  [生徒:オリヴィエ・デジュール/ヤノフスキ指揮]
  ラジオ・フランスo.(*)、ケルン・ギュルツェニヒo.(#)、
  ラジオ・フランス・デュッセルドルフcho.(#)
 放送:1989年。監督:ミシェル・フォラン。約56分。巨匠マレク・ヤノフフスキ(1939-)のレッスン。考えてみれば指揮のレッスン風景を目にする機会は少ないのではないだろうか。ここでのレッスンの流れは、楽譜とピアノを前に生徒とテンポや間の取り方、強弱などについて生徒とディスカッションしたあと、実際にオーケストラを指揮しながらレッスンをつけていく。オーケストラは当時自身が音楽監督を務めていたラジオ・フランス管が担当しているというなんともいえない豪華さ。エグモント序曲では弱拍の取り方についてきめ細かな指摘と指示。生徒と先生がたがい違いに振るが、オーケストラの鳴り方や音の方向性がまったく違って響いてくるのにびっくりする。指揮のレッスン風景のほか、ヤノフスキがオーケストラと指揮者との間の人間関係の大切さなど、指揮者としての心得などについて語っている場面も収録。あらゆるものに対する感覚を磨くことの大切さ、語るよりもジェスチャーで示せ、説明は最小限にせよ、説明をするとするならば明確なイメージを呼び起こすような言葉を選ぶことの大切さなどを説いている。指揮者の神秘を少しだけ垣間見ることのできる1枚。
HMD-9909038
(DVD)
廃盤
ジェラール・プーレ(Vn) プライベート・レッスン
HMD-9909039
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(DVD)
価格帯:H
ユーリー・バシュメト(Va) プライベート・レッスン
 序章(ドヴォルジャーク:弦楽セレナーデ ホ長調 Op.22)[バシュメト指揮]
 シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ[生徒:アンドレイ・グリドチュク(Va) ミハイル・ムンチャン(P)]
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタBWV.1001〜アダージョ[生徒:クレール・ボビィ(Va)]
 ブラームス:クラリネット・ソナタOp.120 ヘ短調(ヴィオラ版)[生徒:ダニロ・ロッシ]
 ブリテン:ラクリメ〜第5楽章[バシュメト(Va)]
 シューベルト(マーラー編):死と乙女[バシュメト指揮モスクワ=モンペリエo.ソリストたち]
 ブラームス:三重奏曲第5番 Op.114 イ短調[ボリス・バラズ(Vc) クセーニャ・バシュメト(P)]
 放送:1991年。約57分。監督:ジャック・デュシャン。ジプシー風のお涙ちょうだい風の節回しはシューベルトには厳禁であること、つねに距離感を保つことの大切さを説来る。バッハでは、音と時間との関係の大切さ、音楽が線となって進んでいくこと、拍の取り方、さらにハーモニーを大きくとらえることの大切さについても語る。真摯に音楽に向き合う姿が印象的なバシュメトによる、音楽に溢れたレッスン。
HMD-9909040
(DVD)
廃盤
ニキタ・マガロフ(P) プライベート・レッスン
HMD-9909041
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(DVD)
価格帯:H
ジョゼ・ヴァン・ダム(Br) プライベート・レッスン
 第1部〜声
  ロッシーニ:セビリャの理髪師〜「今の歌声は」[生徒:フロランス・ボンナフー]
  モーツァルト:フィガロの結婚〜「もう飛ぶまいぞ」[生徒:ルノー・ドゥルー]
                 スザンナのアリア[生徒:キャロリン・フェヴル]
  リエージュ音楽院でのレッスン風景(発声練習)
  R.シュトラウス:万霊節[生徒:マリー・ポール・フェイ]
  フォーレ:ゆりかご[生徒:ルノー・ドゥルー]
 第2部〜オペラのキャラクター
  ヴェルディ:ドン・カルロについて(フェリペ2世)[生徒:ジャン=ルイ・スマニャ]
 ドビュッシー:ペレアスとメリザンドについて(ゴローとメリザンドについて)
  [生徒:エレーヌ・ペッラギン&ヴァンサン・ル・テクシエ]
 R.シュトラウス:サロメ(ヨカナーンについて)[ジョゼ・ヴァン・ダム(Br)]
 放送:1990年。約109分。日本でもファンの多いベルギーの名バリトン、男爵ジョゼ・ヴァン・ダムによるレッスン。声のこと、オペラの登場人物についてのヴァン・ダム自身による分析など様々な話を交えながら、オペラ・アリア、ドイツ歌曲、フランス歌曲の名曲に細かなレッスンをつけていく。実際に演奏をする人にとっては最高の指南DVDとなることだろう。DVDの最後にはリヨン歌劇場でフランス語によるサロメ上演の一部が収録、ヨカナーン・パートの自身の練習風景も収録されている。ジョゼ・ヴァン・ダムがどのように曲を創りあげていくかを垣間見ることができ、非常に興味深い1枚。
HMD-9859051/52
(1 DVD +
1 Blu-ray)
廃盤
ジャン=フィリップ・ラモー(1683-1764):歌劇「ダルダニュス」(1739年初演版)
 *ボーナス映像Blu-ray 盤のみに収録:リハーサル風景、演奏者へのインタビュー
 カリーナ・ゴヴァン(S;ヴィーナス) ガエレ・アルケス(S);イフィス)
 ライノー・ファン・メヘレン(T;ダルダニュス) フロリアン・センペイ(Br;アンテノール)
 ナウエル・ディ・ピエロ(B;テュセル/イスメノル) エティエンヌ・バゾラ(Br;羊飼い)
 キャスリーン・ワトソン(S;アムール/羊飼いの娘/ベローネ/夢)
 ヴィルジル・アンスリー(B;夢) ギヨーム・グティエーレ(T;夢)

 ラファエル・ピション指揮アンサンブル・ピグマリオン 演出:ミシェル・フォー
 装飾:エマニュエル・シャルル、衣装:ダヴィド・ベルグ、振付:クリストファー・ウィリアムズ
HMD-9809053/54
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アルバン・ベルク(1885-1935):歌劇「ヴォツェック」〔映像商品〕
 マティアス・ゲルネ(Br;ヴォツェック) ジョン・ダスザック(T;鼓手長)
 マウロ・ペーター(T;アンドレス) ゲルハルト・ジーゲル(T;大尉)
 イェンス・ラーセン(B;医者) フランチェス・パッパス(Ms;マルグレート)
 ウラディーミル・ユロフスキ指揮 VPO 、ザルツブルク音楽祭劇場児童cho.
 収録:2017年8月、モーツァルト・ハウス、ザルツブルク音楽祭。演出:ウィリアム・ケントリッジ。リージョン・オール| 16:9 | PCM ステレオ|字幕:英独仏 DVD仕様: NTSC ユロフスキによるヴォツェック、2017年ザルツブルク音楽祭の映像。ユロフスキは管弦楽を見事に率いて物語を冷静に展開している印象。ゲルネのヴォツェックがとにかく素晴らしい。舞台装置と映像が巧みに融合されている演出も見事で、ところどころにケントリッジのドローイング・アニメも映写されている。
HMD-9909056/57
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ルイ14世の葬儀
  作曲者不詳: Subvenite Sancti Dei(聖歌) / ジャン・コラン(16世紀?-1694?):デ・プロフンディス
  作曲者不詳: Libera me Domine(聖歌)
 [王を運ぶための行進] アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652?-1730):
              Marche pour les Ponpes funebres des ceremonies extraordinaires
 [サン=ドニ 厳格なる葬儀/死者のミサ] ミシェル=リシャール・ドラランド(1657-1726):デ・プロフンディス
 [許し&地下納骨堂への安置]
  作曲者不詳: Subvenite Sacti Dei(聖歌) / ルイ・シアン(1637-1694): Ne recorderis
  作曲者不詳: Qui Lazarum resuscitasti(聖歌) / ルイ・シアン: Dirige Domine
  シャルル・エルフェ(1598-1661): Pie Jesu / 作曲者不詳: In paradisum(聖歌)
 [最後の別れ&賛歌] ドラランド: La Grande piece royale (王の夜食のための第5サンフォニー組曲より)
 [1周忌] ドラランド:怒りの日 [Dies irae, dies illa / Juste judex ulrionis]

 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン(管弦楽/合唱)
 セリーヌ・シェーン(S) ルシル・リシャルドー(Ms)
 サミュエル・ボーデン(CT) マルク・モワイヨン(T)
 クリスティアン・イムラー(B) 演出:ステファヌ・ヴェリテ 照明:ベルトラン・クデルク
 収録:2015年11月3日-4日、ヴェルサイユ宮殿内王立礼拝堂。代理店の妙なカナ表記『デ・プログンディス』『ルイ・シェイン』『シャルル・デルファー』等を修正済。 リージョン・オール| 16:9 | PCM ステレオ |アナウンスに分数記載無し|字幕:記載無し DVD仕様: NTSC 17、18世紀の音楽作品を、当時の歴史と資料などに具に当たって独創的な視点から再構築、そして軽やかな演奏で私たちをたのしませてくれるピション率いるピグマリオン。「太陽王」ルイ14世の葬儀の音楽を再現した舞台のライヴ映像の登場。1715年9月1日の朝、「太陽王」とも称され72年の長きにわたってフランスを支配したルイ14世が亡くなった。人々は歌い踊り、酒を飲み、お祝いの火を焚き、棺を見ると唾棄して侮辱したと言われているが、それでも宮廷はしきたりに則り、死者への賛辞、そしてきたる王の交代のための厳粛な葬儀を行った。ルイ14世の亡骸は、内臓を除き防腐処理をされた後に第一の棺に納められ、次いで第2のオーク材の棺に納められ、りっぱな祭壇にまつられた。1週間ほどの間、王に仕えた音楽家たちによってミサが演奏されたという。9月9日の夕刻以降に、サン=ドニの地に8頭の馬による馬車で運ばれ埋葬された。その後も特別な礼拝やミサが仕立てられた。このピション率いるピグマリオンによる一連の葬儀の再構築を試みた舞台は、王立礼拝堂でおこなわれ、簡易な演出と照明も施され、ルイ14世の死後300年の年に上演された。王室が絶頂期を誇った時期の音楽の魅力にあらためて感じ入るとともに、ピション率いるピグマリオンの、力みのなく軽やかな演奏に聴き入り、礼拝堂の美しさにも魅了される稀有な映像となっている。
HMD-9859058/59
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価格帯:D
ルイージ・ロッシ(1597頃-1653) /
 ラファエル・ピション&ミゲル・アンリ再構成:歌劇「オルフェオ」(2016)
 ユディト・ファン・ワンロイ(オルフェオ) フランチェスコア・アスプロモント(エウリディーチェ)
 ジュゼッピーナ・ブリデッリ(アリステーオ) ルイジ・デ・トナート(占い師/プルトーネ)
 ジュリア・セメンツァート(ヴェネレ〔ヴィーナス〕/プロセルピーナ) レイ・シュネ(乳母/アモーレ)
 レナート・ドルチーニ(サテュロス) ドミニク・ヴィス(バッコ) マルク・マウイヨン(モーモ)
 ヴィクトル・トレス(エンディミオーネ/カロンテ) ダヴィド・トリク(アポロ)

 ラファエル・ピション指揮ピグマリオン イェツケ・ミーンセン(演出)
 収録:2016年2月7日、9日、ロレーヌ国立歌劇場、ナンシー。 リージョン・オール| 16:9 | PCM ステレオ、dts 5.1 | 184分|字幕:英 DVD仕様: NTSC 1647年、パリでロッシの「オルフェオ」が上演され、フランスは「オペラ」を知り、その芸術に衝撃を受けた。この何年か前に、サクラーティの作品が上演されてはいたが、それはロッシのこのオルフェオの上演の前座にすぎなかった。この「オルフェオ」の上演は、当時大変な経済的困難を引き起こし、後のフロンドの乱のきっかけの一つともなったが、オーケストラ・ピットの中では状況は少し違いた。この上演ではイタリアとフランスのミュージシャンがオーケストラを構成、そこでは化学反応がおこり、オーケストラから豊かな色彩が生みだされた。この初演時の衝撃を、ピションが再現したのがこの舞台。オーケストラの楽器もなるべくルネサンス〜バロック期のものを集め、オルフェウスの竪琴はリラ・ダ・ブラッチョが受け持って、万人を惹きつけてやまない音色を聴くことが出来る。他にもオルフェオの長大なアリアや、嘆きの女声の合唱など、どの場面もまるで今起こっているかのようなみずみずしさ。演出家イェツケ・ミーンセンによって現代に置き換えられた舞台は、非常に品が良くしっとりとまとめられており、有名なオルフェオとエウリディーチェの神話を通して、人間が常に求め畏れている、愛と死がフォーカスされ、聴衆は、神話の世界を堪能しながら、現代の我々が生きる上で生じる様々な問題が人類永遠のテーマであることを痛感する。
HMD-9859060/61
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価格帯:D
ワーグナー:さまよえるオランダ人(全3幕)
 クワンチュル・ユン(B;ダーラント) インゲラ・ブリンベルイ(S;ゼンタ)
 ニコライ・シュコフ(T;エリック) カイ・ルーッテル(Ms;マリー)
 ベンジャミン・ブルンズ(T;舵手) サミュエル・ユン(Br;オランダ人)
 パブロ・エラス=カサド指揮マドリッド王立歌劇場o.&cho.
 アンドレス・マスペロ合唱指揮、アレックス・オッレ(演出)
 収録:2016年、王立劇場、マドリッド。 リージョン・オール| 16:9 | PCM ステレオ、dts 5.1 | 144分|字幕:英独 DVD仕様: NTSC スペインの指揮者エラス=カサド、初めてのワーグナー、しかも映像での登場。モンテヴェルディからブーレーズ、シューマンまで、なんでもものにしてしまうエラス=カサド、初のワーグナーは「さまよえるオランダ人」。ふるさとスペインのオペラの殿堂、マドリッド王立劇場での収録、スペインの前衛パフォーマンス集団ラ・フラ・デルス・バウスに属するアレックス・オッレが手がけた演出。映像を駆使しながらも奇をてらったところのない演出で、序曲で舞台に投影される荒れる海の映像から、観客は物語の世界に自然に引き込まれていく。歌唱陣も現代を代表するワーグナー歌いが集められた、最高の布陣。クワンチュル・ユンはアンドリス・ネルソンス指揮 RCOのオランダ人でもダーラントを務めていたし、ゼンタ役で世界の歌劇場から引っ張りだこのスウェーデン出身のソプラノ、インゲラ・ブリンベルイは、この舞台でも揺るぎのない歌唱を展開している。最後の場面まで、舞台&演出も歌唱もオーケストラも大きなひとつのうねりとなって観客を魅了している。耳も目も大満足の「さまよえるオランダ人」の登場。
HMD-9859062/63
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モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」
 シリル・オーヴィティ(T;オルフェオ) ハンナ・モリソン(S;エウリディーチェ/音楽)
 ポール・アグニュー(T;アポロ/エコー) ミリアム・アラン(S;プロセルピナ/ニンファ)
 3h28'レア・デザンドル(使者、希望/ S)カルロ・ヴィストリ(CT;羊飼い/黄泉の国の使い)
 シーン・クレイトン(T;羊飼い) ザカリ・ワイルダー(T;黄泉の国の使い/羊飼い)
 アントニオ・アベーテ(B;プルトーネ/黄泉の国の使い/羊飼い) シリル・コスタンツォ(B;カロンテ/黄泉の国の使い)

 ポール・アグニュー(演出)指揮レザール・フロリサン
 収録:2017年2月28日、カーン劇場、フランス。 リージョン・オール| 16:9 | PCM ステレオ、dts 5.1 | 208分|字幕:英独仏 DVD仕様: NTSC レザール・フロリサンによる「オルフェオ」公演が映像で登場!ポール・アグニューは2007年より創設者クリスティと共にレザール・フロリサンのジョイント音楽監督を務めており、10年を経て満を持してのオルフェオ上演のライヴ映像となる。ストリッジョのテキストをあらためて熟読し、オルフェオ(アポロ=(太陽神)の息子)と冥界の対比をあらわす美しい照明、そしてケルトのストーン・サークルにヒントを得た装置など、アポロ崇拝にも重きを置いた、あらたな舞台が作り上げられている。歌唱陣では、クリスティに見出されバロック・オペラを中心に活躍している逸材、シリル・オーヴィティによるオルフェオの、若々しい歌声が抜群。エウリディーチェのハンナ・モリソンはブロムシュテット指揮のドイツ・レクイエム日本公演(2017年11月)でも高く評価されたソプラノ。ほかにもクリスティの声のアカデミーに選ばれた歌手ら、気鋭のソリストたちをキャストにそろえている。


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