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MIRARE

価格帯記載無し:1CDあたり¥3520(税抜¥3200)




 ラ・フォル・ジュルネ音楽祭のアーティスティック・ディレクターを務めるルネ・マルタンのレーベル。

ベートーヴェン(1770-1827):ヴァイオリン・ソナタ
 〔第7番 ハ短調 Op.30 No.2 /第8番 ト長調 Op.30 No.3 〕
ブリテン(1913-1976):組曲 Op.6
バーバー(1910-1981):ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調「 Lost movement 」(1928/2006発見)
 リヤ・ペトロワ(Vn) ボリス・クズネツォフ(P)
 録音:2019年9月19日-22日。2016年、デンマークのカール・ニルセン・ヴァイオリン・コンクール優勝者リヤ・ペトロワのCDの登場。「楽々としたヴィルトゥオーゾ」「音色の比類なき多様性」、いぶし銀から華やかな音色までを難なく繰り出す注目株。ここで彼女はベートーヴェン、ブリテン、バーバーという三名の作品をプログラムした。Bから始まる三人のターニングポイントの時期に書かれたもの、という共通点がある。注目なのがバーバーの楽章。これは、もともと3楽章だったソナタのうち、楽譜が現存する第3楽章のみを演奏した物。バーバーのソナタは1928年に完成、同年12月10日に、フィラデルフィアのカーティス音楽院の作曲科のクラスの学生たちによる演奏会で初演された(その時のプログラムには、3楽章構成として掲載)。作曲者自身のピアノ、そしてガマ・ジルベールというヴァイオリン奏者によって初演された。この初演以降、バーバーはこのソナタを放置していた。2006年になって初めて自筆譜が発見され、バーバーの伝記の著者であるバーバラ・ハイマンによってバーバーの作であると認められた。この楽章は第3楽章にあたる。ブラームス風の書法をとっており、バーバーのチェロ・ソナタに似て、バルトークの影響がみられるパッセージも含まれている。これまでのところ、第1・2楽章の譜面は発見されていない。しかしながらこの第3楽章のページからは、18歳の作曲家がドイツの偉大な作曲家たちの室内楽に大いに傾倒していたことが窺われ、大変興味深くも貴重な楽章となっている。ベートーヴェンのソナタは1802年、ベートーヴェンが自身の耳の不調を自覚した時期の作でハイリゲンシュタットの遺書もこの時期に書かれている。ブリテンの組曲は22歳、学生生活の終わり、プロとしての活動が始まった頃の作品だった。リヤ・ペトロワはブルガリアの音楽一家に生まれた。11歳でドイツで音楽を本格的に学び始め、デュメイ(ベルギー)、ルノー・カピュソン(スイス)、アンティエ・ヴァイトハース(ドイツ)でさらなる研鑽を積んでいる。ピアノのボリス・クスネツォフは2009年にドイツ音楽コンクールで優勝。モスクワ生まれ、グネーシン音楽院で学び、8歳でドイツに移住、ハノーファーのベルント・ゲッケ教授の下で研鑽を積んだ。ソロ活動と並行して室内楽や歌曲の伴奏にも積極的に取り組んでいる。
ツアー中
 ルトスワフスキ:舞踏前奏曲 / プーランク:クラリネット・ソナタ
 ヴェイネル:ペレグの踊り/2つの楽章 / バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
7  バーンスタイン:クラリネット・ソナタ / ラファエル・セヴェール:絆の始まり

 ラファエル・セヴェール(Cl) ポール・モンタグ(P)
 録音:2019年10月1日-4日、ボン・セクール教会、パリ。1994年生まれ、2014年に「フォルジュルネ音楽祭」で来日して注目されたフランスのクラリネット奏者ラファエル・セヴェール。彼が相方のピアニスト、ポール・モンタグと十八番 Op.を集めたアルバムをリリース。頻繁に演目に載せるため、アルバム・タイトルは「ツアー中」。ルトスワフスキ、ヴェイネル、バルトークら民俗音楽由来の素材を新しい感覚で処理したものと、都会的なプーランクとバーンスタインで対照させている。プーランクのソナタは最晩年の作で、ベニー・グッドマンとバーンスタインが初演している。一方バーンスタインのソナタは1942年作で、彼の初めて出版された作。そして最後にセヴェールの自作でしめている。21世紀クラリネット界でもっとも期待されるセヴェールの妙技をご堪能頂きたい。
ルイ13世の宮廷のスペイン歌曲
 ガスパル・サンス(1640-1710): Clarin de los Mosqueteros del Rey de Francia / Zarabanda Francesca
 エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676): Repicavan las campanillas / Ojos si quiereis vivir /
   Si matais quando mirais / Si menacen colores morena / Si negra tengo la mano
 ガブリエル・バタイユ(1575-1630):
   Quien quiere entrar conmigo / Pues que me das a escoger / Passava amor / Si suffropor ti morena /
   Claros ojos bellos / De mi mal nace mi bien / Dezid como puede ser / Vuestros ojos tienen d 'Amor /
   Rio de Sevilla / En el valle, Ynes la tope riendo / El baxel esta en la playa / Aver mil damas
 サンティアゴ・デ・ムルシア(1673-1739): Las Bacas / Las Penas / Tarentelas / Jacaras Francesca
 アンリ・ド・バイイ(1580s?-1637): Yo soy la Locura

 クロエ・セヴェール(Cemb)指揮アンサンブル・エル・ソル
 録音:2019年4月。1615年、ルイ13世はスペイン王フェリペ3世の王女アナ(アンヌ・ドートリッシュ)と結婚した。アナはスペインの様々な文化をフランス宮廷にもたらし、当時宮廷につかえていた音楽家たちは大いに刺激を受けた。1701年、フェリペ5世はマリア・ルイサ・デ・サボヤと結婚、彼女の音楽教師はほかならぬサンティアゴ・デ・ムルシアだったが、ムルシアはマリアのためにフランスの薫りをまとった作品を書こうと務めた。王族の国際政略結婚によってもたらされた文化交流は、ここに収められたような豊かな宝を多数生み出している。
FUTUR 〜 SON 「夢」
 ソルグスキー(代理店記載ママ):歌曲集「子供部屋」(全曲) / ラフマニノフ:6つの歌曲 Op.38(全曲)
 リスト:愛って何/若き日の幸せ/漁師の少年/ローレライ/「どうやって」彼らは尋ねた/すべての山の頂きに安らぎが

 イリーナ・キシリャルク(S) チェン・ユン=ホ(P)
 録音:2018年9月。「夢」と題し、様々な歌曲を集めた1枚。ソプラノのイリーナ・キシリャルクは1990年ウクライナ出身、チャイコフスキー音楽院、ライプツィヒ音楽大学、そしてパリ国立高等音楽院で学んだ。バロック音楽からオペレッタに至るまで30ほどの役柄をレパートリーとしている。ロシア語、フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語を自在にあやつり、美しいことばの発音で世界を魅了する逸材。ピアノを務めるのは台湾出身のチュン・ユン=ホ。彼女もパリ国立高等音楽院で学んでおり、キシリャルクとは共演を重ねている。
FUTUR 〜 FOLK
 クライスラー:ラ・ヒターナ/序奏とアレグロ/中国の太鼓 / バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 Sz.56
 ファリャ:はかなき人生/7つのスペイン民謡より〔ポロ/アストゥリアス地方の歌/ホタ〕
 サラサーテ:ボヘミアの歌 / マスネ:タイスの瞑想曲
 スコット・ジョプリン/プレヴィン&パールマン編曲:エリート・シンコペーションズ
 ドヴォルジャーク/クライスラー編曲:スラヴ幻想曲 / ブロッホ:ニーグン
 サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ / ラヴェル:ツィガーヌ

 トマ・ルフォー(Vn) ピエール=イヴ・オディク(P)
 録音:2018年10月1日-5日。1994年マルセイユ生まれのトマ・ルフォーによるヴァイオリン名曲集。「FOLK」と題し、民謡などに大いにインスパイアされて書かれた作品をそろえた。トマ・ルフォーは13歳でギトリスに才能を認められた実力の持ち主。パリ国立高等音楽院でロラン・ドガレイユに師事している。20代とは思えぬ見得の切り方や歌い回し、確かで華やかな技巧、そしてフォルテでも決して乱れぬ美音により、極上の名曲集が出来上がっている。ピアノのピエール=イヴ・オディクもパリ国立高等音楽院出身、2011年にはチャイコフスキー・コンクールで様々な弦楽器奏者の伴奏を務め高く評価された。
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61
ペーテリス・ヴァスクス(1946-):ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲「遠き光」
 ファニー・クラマジラン(Vn|使用楽器:マッテオ・ゴフリラー、1700年
 ケン=デイヴィッド・マズア指揮イギリス室内o.
 録音:2016年3月9日-11日。パリ生まれの俊英、クラマジランによる新譜の登場クルト・マズアの息子であるケン=デイヴィッド・マズア指揮イギリス室内o. との共演による、ベートーヴェンとヴァスクスというプログラム。クラマジランの魅力である繊細な美しさをたたえた、それでいて力強い音色が炸裂した演奏。ケン=デイヴィッド・マズア率いるイギリス室内管の丁寧な管弦楽がクラマジランの音楽を影になり日向になり支え、濃密なアンサンブルが展開されている。ベートーヴェンでのすみずみまで意志の通った演奏、そしてヴァスクスで聴かせるたしかな技巧に支えられた静謐の世界は圧巻。ヴァスクスの「遠い光」は1997年のザルツブルク音楽祭委嘱作品。初演したのはギドン・クレーメルと、結成間もないクレメラータ・バルティカだった(8月10日)。演奏時間は30分ほどで、楽章は切れ目なく演奏される。宇宙の永遠の美についての沈思から始まり、人間の狂気の不協和音、そして最後は冒頭のような静寂が戻って幕となる、深遠なる作品。ファニー・クラマジランは、1984年パリ生まれ。7歳でヴァイオリンを始め、2000年パリ国立高等音楽院修士課程に入学、ジャン=ジャック・カントロフに師事している。04年にロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックを卒業。95年ルイ・シュポア国際コンクール優勝。05年フリッツ・クライスラー国際コンクール第1位。07年には、モンテ・カルロ・ヴァイオリン・マスターズにて「モナコの侯爵レニエIII 世賞」(優勝)を受賞。これまでに、VPO 、ミュンヘン・フィル、ロンドン・フィルなどと共演している。使用楽器は1700年製マッテオ・ゴフリラー。ケン=デイヴィッド・マズアは1977年生まれ、2019/20のシーズからミルウォーキーso. の音楽監督に就任している。これまでにロサンゼルス・フィル、シカゴso. などと共演。2015年には読響とも共演を果たしている。これからの活躍がますます期待される俊英。
ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ集
 〔第5番 ヘ長調 Op.24「春」/
  第6番 イ長調 Op.30 /第10番 ト長調 Op.96 〕
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)
エマニュエル・シュトロッセ(P)
 録音:2019年8月28日-30日、音楽院オーディトリウム、パリ17区。名手二人だから到達したシンプルな美しさ、これ見よがしなところはなく、それでいてそこかしこに漂うフランスならではのエスプリただようベートーヴェン。オリヴィエ・シャルリエはラ・フォル・ジュルネ音楽祭などで来日も重ねているフランスの名手。シュトロッセもクレール・デゼールとのピアノ・デュオなどでもおなじみのフランスの名手。シャルリエの奏でる曇りのない音色、そしてシュトロッセの清潔感あふれるタッチがつむぎだすデュオは、まさにシンプルな美しさにあふれている。
トリオ・カレニーヌ
 ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第1番 ハ短調 Op.8
 ドヴォルジャーク:ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 Op.90「ドゥムキー」
 ワインベルク:ピアノ三重奏曲 Op.24
  トリオ・カレニーヌ
   [パロマ・クイデール(P) ファニー・ロビヤール(Vn) ルイ・ロッド(Vc)]
 録音:2019年5月24日-17日〔代理店記載ママ〕、サン=ラザール・サナトリウム、ボーヴェ。トリオ・カレニーヌは、トルストイの「アンナ・カレーニナ」から名を冠した2009年創立のフランスの団体。名が示す通り、ロシアや東欧作品に特別な愛着と関心を持つそうだが、これまでのディスクはフランス系やウィーン古典派のものだった。今回満を持して本領を発揮。ドヴォルジャークの名作「ドゥムキー」をメインに、ショスタコーヴィチとワインベルクという意欲的なプログラム。ショスタコーヴィチは17歳の若書き第1番で、急進的な書法と若々しいメロディが才気煥発な作。ワインベルク作品は第2次世界大戦終戦の1945年に作られ、ナチスの犠牲者たちに捧げられている。ピアノ・パートが非常に難しく、クイデールの鮮やかな技巧が光っている。
FUTUR 〜岡田修一
 シューマン: F. A. E. ソナタ〜第2楽章 間奏曲
 ブラームス: F. A. E. ソナタ〜第3楽章 スケルツォ(アレグロ)
 クララ・シューマン:ヴァイオリンとピアノのための3つのロマンス Op.22
 ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 Op.78
  岡田修一(Vn) クレマン・ルフヴュル(P)
 録音:2017年12月。パリ国立高等音楽院の優秀な学生を紹介するシリーズ、 "FUTUR" 始動。数々の国際コンクールで輝かしい成績を上げるなど注目度上昇中の岡田修一による、音楽がめぐりあわせた天才3人による作品集。彼らの友人であった大ヴァイオイリン奏者ヨアヒムに捧げられたF. A. E. ソナタの楽章も収録されている。岡田修一の気品あふれる音色と抑制の効いた歌いまわしは圧巻。若くして巨匠の風格漂う音色と音楽に圧倒される1枚。ピアノのクレマン・ルフヴュルはパリ国立高等音楽院でロジェ・ムラロのクラスで学び、ジェイムズ・モットラム・マンチェスター国際ピアノコンクールで第1位および聴衆賞を獲得、様々な音楽祭でもすでに活躍している。
MIR-458
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(2CD)
CARNETS DE VOYAGE(旅へのチケット)〜ボヤージュ(旅)から生まれた音楽(ものがたり)
 「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭2019年のテーマに基づく既出盤からのコンピレーション。 1995年にフランスの港町ナントで生まれたクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭。2019年のテーマは「Carnets de voyage(旅へのチケット)〜ボヤージュ(旅)から生まれた音楽(ものがたり」。さまざまな時代の作曲家たちが、旅先で得たインスピレーションをもとに書きあげた名作の数々が演奏される。2019年5月にはラ・フォル・ジュルネ音楽祭が日本でも開催(第15回目)、テーマは2019年のナントでの音楽祭と同じ物。一足先に、音楽祭の雰囲気を味わって頂けるセット。
ジェローム・アンタイ〜モーツァルト&ハイドン:鍵盤楽器のためのソナタ集
 モーツァルト:ソナタ〔第12番 ヘ長調 K.332 (1783?) /第4番 変ホ長調 K.282 (1774) 〕
 ハイドン:ソナタ〔第36番 ハ長調 Hob.XVI: 21 (1773) /
          第44番 ヘ長調 Hob.XVI: 29 (1776) /第51番 変ホ長調 Hob.XVI: 38 (1780) 〕

 ジェローム・アンタイ(Fp|使用楽器:製作者不詳〔ドイツ〕、18世紀後半製
 録音:2017年7月。ジェローム・アンタイといえば世界的なヴィオラ・ダ・ガンバ奏者で、アンタイ3兄弟すなわちピエール(Cemb)、マルク(リコーダー)とでトリオ・アンタイとしても活躍しているが、彼はまた鍵盤音楽、とりわけピアノ初期(フォルテピアノの時期)の作品にも強い興味を示してきた。ここで彼の鍵盤奏者としてのソロCDの登場。ここに収録された5つのソナタは、1773-1783年の間に作曲された物。1774年、ハイドンは彼の最初の独奏鍵盤楽器のためのソナタ集を出版。モーツァルトがこのジャンルに初めて取り組んだのもこの年だった。これらの作品の作曲家を越えたスタイルの変遷は、鍵盤楽器がチェンバロからフォルテピアノに移行する時期だったことが顕著にわかるものとなっている。ここではジェローム・アンタイが18世紀効果版に作られたドイツのフォルテピアノを用いて録音。抜群の左手はさすがガンバ奏者として古楽アンサンブルを長年支えていることをあらためて感じさせるとともに、表情豊かで歌うような音色を堪能できる。
ロワール川に沿って〜流域の音楽的描写
 序唱「処女の誕生を喜ぶ」より(12-16世紀の山間部の手稿譜に基づく)
 オケゲム(1420頃-1497):ミサ「 Fors seulement 」〜キリエ/ Intemerata Dei Mater
 ジャン・ムトン(1459-1522):ミサ「 Quem dicunt homines 」〜グローリア/
               Nesciens mater virgo virum / Quis dabitoculis nostris
 クレマン・ジャヌカン(1485-1558):
  Quand contremont verras / Herbes et fleurs / Bel aubepin verdissant /
  Le rossignol / Etans assis aux rives aquatiques /ミサ「 La bataille 」〜サンクトゥス
  ファブリス・カイエタン(1540-1578): La terre va les eaux boivant
  ピエール・セルトン(1515-1572): Vignon, vignette
  アントワーヌ・ド・フェヴァン(1470-1512):ミサ「 Pro fidelibus defunctis 」〜序唱
  ギヨーム・ファギュ(1442-1475):ミサ「 Je suis en la mer 」〜アニュス・デイ
  作曲者不詳: Dedans la mer

 ジョエル・シュビエット指揮アンサンブル・ジャック・モデルヌ
 録音:2018年10月。ロワール川にまつわるルネサンス期の作品集。ムトンやクレマン・ジャヌカンら、フランスの巨匠たちによるポリフォニー声楽作品をとおして、アンサンブル・ジャック・モデルヌが古のロワール川流域の世界へと私達を誘ってくれる。ロワール川沿いにそびえたつカテドラルや修道院、城などが目に浮かぶような美しい世界が広がる。
ブクステフーデ(1637頃-1707):
 われらがイエスの御体(四肢) BuxWV.75 /神よ、われを助けたまえ! BuxWV.34
  フィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソート
  マリア・シェオハーネ、ハンナ・バトディ=ヒルト(S) カルロス・メーナ(CT)
  ジェフリー・トンプソン(T) マティアス・フィーヴェグ(B)
 録音:2018年9月。ブクステフーデの最高傑作のひとつ、われらがイエスの御体。十字架にかけられたイエスの体の、足、ひざ、手、わき、胸、心臓、顔という7部に語りかけるかたちで、その受難を思う内容の7つのカンタータからなるラテン語の作品。えもいわれぬ美しい音色で奏でられるアンサンブル、そしてそのアンサンブルの世界にすっとなじむ歌唱陣による、絶美の祈りの世界が繰り広げられている。
ブクステフーデ:独唱のためのカンタータ集(および同時代人たちの作品集)
 フランツ・トゥンダー(1614-1667): Ach Herr, lass deine lieben Engelein
 ブクステフーデ(1637-1707):主は言われた BuxWV.17 /ソナタ第6番 ニ短調 Op.1, BuxWV.257 /
               Sicut Moses 、Herr, wenn ich nur dich hab BuxWV.38b
 作曲者不詳:3つのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ
 ヨハン・フィリップ・フェルチュ(1652-1732):深き淵より われ汝に呼ばわる、主よ
 ガブリエル・シュッツ(1633-1710/11):2つのヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ
 クリスティアン・ガイスト(1650頃-1711): Resurrexi adhuc tecum sum

 マイイ・ド・ヴィルトレイ(S) ラ・レヴーズ
 録音:2018年10月、パリ。ブクステフーデが書いた独唱のためのカンタータ、およびブクステフーデの同時代人たちの作品を集めた1枚。ラ・レヴーズは、バンジャマン・ペローとフロランス・ボルトンによって設立された古楽アンサンブル。17-18世紀の音楽をメインのレパートリーとしている。ブクステフーデらの作品は、イタリアのカンタータの影響も色濃く感じさせるスタイルのもので、後にバッハにも影響を与えることとなる。
ル・パリ・デ・ブルッテル〔 (*):ティボー・ペリーヌ編曲〕
 ティボー・ペリーヌ:ミュゼット組曲(全5曲) / プロコフィエフ:ユダヤ主題による序曲(*)
 ガーシュウィン:パリのアメリカ人(*) / ピアソラ:天使のミロンガ(*)
 リシャール・ガリアーノ:小フランス組曲(全5曲) / ギュス・ヴィズール:モントーバンの火(*)

 ル・パリ・デ・ブルッテル
  [フェリシアン・ブリュ(アコーディオン) エルメスSQ エドゥアール・マカレ(Cb)]
 録音:2018年9月、四季劇場、グラディニャン。2019年のフォルジュルネ音楽祭に出演が予定されているフランスのアコーディオン奏者フェリシアン・ブリュとエルメス弦楽四重奏団。彼らの共演アルバムの登場。1986年オーヴェルニュ生まれのブリュは、フランスのアコーディオン、ミュゼットの名手で、この楽器の機能と可能性を追求して新しい作品を世に出しています。ここではフランスの若手作曲家ティボー・ペリーヌによるオリジナル曲に加え、プロコフィエフ、ガーシュウィン、ピアソラ作品のアコーディオンと弦楽五重奏のための編曲が収められている。これはロシア、アメリカ、南米とそれぞれアコーディオンが形を変えて根付いた国の作品をとりあげているとのこと。ブリュのミュゼットはパリらしいエスプリにあふれ、ガーシュウィンも多彩な表現力に驚かされる。エルメス弦楽四重奏団の生気に満ちたバックアップも最高のアンサンブルを聴かせてくれる。
TEMPERAMENTS 〜C.P.E.バッハ&モーツァルト
 C.P.E.バッハ:アンダンテ・コン・テネレッツァ Wq.65 No.32, H.135 /
           ソルフェッジオ ハ短調 H.220 /スペインのラ・フォリアにもとづく12の変奏曲 H.263 /
           ピアノ協奏曲 ニ短調 Wq.23 /わがジルバーマン・ピアノへの別れ Wq.66, H.272
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K.310 /幻想曲 ニ短調 K.397 (*)
 C.P.E.バッハ:アンダンテ・コン・テネレッツァ Wq.65 No.32, H.135 (*)

  シャニ・ディリュカ(P|使用楽器:アナウンスに未記載(*以外) /
            Fp|使用楽器〔モデル:1790年アントン・ヴァルター〕(*)
  ベン・グラスバーグ指揮パリ室内o.
 録音:2018年7月-8月。グレース王妃に見出されたピアニスト、シャニ・ディリュカの新譜は、C.P.E.バッハとモーツァルトとの、音楽的あるいは精神的に親子のような関係をさぐるプログラム。「彼は父であり、われわれは子供だ」とはモーツァルトがC / P / E. バッハを表現した言葉だが、モーツァルトが愛したヴァルターのフォルテピアノ(コピー)でC.P.E.バッハとモーツァルトの作品を演奏し、その関係性に光を当てるという試みも収録されている。感情(気分)というものが、当時の芸術作品のひとつの重要な要素であったことも感じさせる演奏で、ふたりの作曲家の作品を、またあらたな視点で楽しむことが出来る。シャニ・ディリュカはスリランカ出身の両親のもとモナコで生まれ育ち、グレース王妃に見出されて英才教育を受けたピアニスト。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもたびたび来日し、その力強いタッチと豊かな語り口の音楽で聴衆を魅了している。協奏曲で共演の指揮者ベン・グラスバーグはケンブリッジ大学を卒業後、英国ロイヤル・アカデミーでシャーン・エドワーズに指揮を学び、2017年9月、第55回ブザンソン指揮者コンクールで優勝したほか、聴衆賞、オーケストラ賞も受賞した、注目度急上昇の若手。
CARNETS DE VOYAGE(旅へのチケット)〜ボヤージュ(旅)から生まれた音楽(ものがたり)
 ファリャ(1876-1946):スペイン舞曲第1番(はかなき人生より)SQ/Cas
 ドリーブ(1836-1891):カディスの娘たちS/P / フリアン・プラサ:ブエノスアイレス=東京Band
 タレガ:グラン・ホタ・アラゴネサ / アラン・ウルマン/アマリア・ロドリゲス:私の愛S
 ボッケリーニ:ギター五重奏曲 ニ長調 G.448 〜ファンダンゴSQ/Cas
 ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番〜アリア(カンティレーナ)S
 ピアソラ/ビジェーナ、ロスフェルダー編曲:アヴェ・マリアBand
 ルペルト・チャピ:セベデオの娘たち〜カルセレラスS/P
 ピアソラ/ビジェーナ、ロスフェルダー編曲:タンゴの歴史Band
 ロドリーゴ:代理店曲名未記載(*) S / ファリャ/M.レニュロ編曲:火祭りの踊りSQ
 ペドロ・ピナル/ペロド・アシス・コインブラ: Se eu adivinhasseque sem ti (*) S/P

 エマニュエル・ロスフェルダー(G;*以外) モディリアーニSQ SQ
 ギュイ=ルー・ボワノー(カスタネットCas) ラケル・カマリナ(SS
 ヨアン・エロー(PP) ビクトル・ウゴ・ビジェナ(バンドネオンBand
 録音:2018年9月。コンピレーション物(MIR-458)と同題名だが、新録音とされる。 ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2018 にも出演し、聴衆を熱狂の渦に巻き込んだギター奏者、エマニュエル・ロスフェルダーと注目アーティスト達が繰り広げる、熱きアンサンブル。ギターと他の楽器や声との絶妙なアンサンブルが要求される作品をプログラム。「CARNETS DE VOYAGE(旅へのチケット)〜ボヤージュ旅から生まれた音楽(ものがたり)」と、音楽祭と同テーマがタイトルになっており、スペインの舞曲から、ブラジル(ヴィラ=ロボス)、ピアソラ(アルゼンチン)、さらには東京までも含まれるなど、様々な雰囲気を楽しめるのはもちろん、ロスフェルダーの技術の高さに圧倒される1枚となっている。
第38回ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル公式 CD
 既出盤からのコンピレーション
革命
 ドゥシーク〔デュセック〕(1760-1812):フランス王妃の受難
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op.81「告別」
 ショパン:練習曲 ハ短調 Op.10 No.12「革命」/スケルツォ第1番 Op.20
 リスト:「詩的で宗教的な調べ」〜葬送 / ヤナーチェク:ピアノ・ソナタ「1905年10月1日の街角で」
 ドビュッシー:燃える炭火に照らされた夕べ/「前奏曲第2集」〜花火
 ジェフスキ(1938-):ウィンスボロ綿工場のブルース(ノース・アメリカン・バラード第4曲)

 ダヴィッド・カドゥシュ(P)
 録音:2018年12月、ベルギー。歴史的な革命や劇的な動きに衝撃を受けた作曲家が書いた作品を集めた1枚。古くはフランス革命を描いた作品から、ミニマルやトーン・クラスターの技法も用いられたジェフスキの作品までを収めている。歴史という大きな流れの中でまた、それぞれの作曲家たちは音符のひとつひとつにまた様々な感情や記憶が刻み込んでいることに感じ入る。さらに、社会的な歴史だけでなく音楽の歴史の流れも感じ取ることができ、様々な視点から楽しめる1枚。
ケフェレック〜モーツァルト:ピアノ・ソナタ集
 〔第13番 変ロ長調 K.333 /第12番 ヘ長調 K.332 /
  第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲つき」〕
アンヌ・ケフェレック(P)
 軽やかかつカラフルな純フランス風ピアニズムの担い手として貴重な存在のケフェレック。待望の新譜はモーツァルトのソナタ集。モーツァルトといえばMIRAREレーベルからは2001年録音の作品集(MIR-9931)があるが、それから20年弱を経ての録音となる。彼女の清冽なタッチはまさにモーツァルトにぴったり。ここでは名曲3曲を録音している。「トルコ行進曲つき」冒頭の変奏曲の美しさはまさに絶品。何も構えることなくすべてが自然に流れており、まさに巨匠のなせる芸術と言えるだろう。モーツァルトの魅力を純に味わうことが出来る。
D.スカルラッティ(1685-1757):ソナタ集 Vol.6
 〔ニ長調 K.119 /ト短調 K.179 /ト短調 K.234 /ハ長調 K.501 /ハ長調 K.502 /ヘ短調 K.69 /
  ト短調 K.43 /ハ長調 K.384 /ハ長調 K.487 /ハ長調 K.170 /ヘ長調 K.6 /変ロ長調 K.550 /
  ニ短調 K.18 /変ロ長調 K.544 /変ロ長調 K.273 /ニ長調 K.161 /ト長調 K.477 〕

 ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2018年6月、オランダ。鬼才アンタイによるドメニコ・スカルラッティのソナタ集、第6弾の登場。チェンバロ1台のはずなのに、まるでオーケストラによるオペラの序曲を聴いているかのような迫力。アンタイという現代の鬼才を通して、18世紀のヴィルトゥオーゾ・スカルラッティの演奏を追体験しているような感覚になる1枚。
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ集
 〔ト長調 K.379 /変ホ長調 K.380 /
  ホ短調 K.304 /ニ長調 K.306 〕
梁美沙(Vn)
ジョナス・ヴィトー(P)
 録音:2018年6月27日-29日、ラベイ・エコール・ドゥ・ソレーズ。トリオ・レ・ゼスプリのヴァイオリニストで、フォルジュルネ音楽祭でもお馴染みの梁美沙(ヤン・ミサ)。大阪出身、パリ音楽院でカントロフとシャルリエに師事した若手。彼女がフランスの名手でやはりフォルジュルネでおなじみのジョナス・ヴィトーとモーツァルトのソナタに挑んだ。これらのソナタはピアノが主とも言えるが、ヴィトーのシックで色彩的な表現力が光る。また梁美沙の独特な語り口も非常に魅力的。
ガブリエル・デュポン(1878-1914):砂丘の家(1907-09)(10曲)
ギュスターヴ・サマズイユ(1877-1967):海の歌(3曲)
 マリー=カトリーヌ・ジロー(P)
 録音:1997年1月、サン・ピエール教会、パリ|初出・前出・旧品番: 3D Classics (FRANCE), 3D 8020〔当店未案内、廃盤〕 ガブリエル・デュポンはラヴェルと同世代のフランスの作曲家。36歳で夭折したため作品数は少ないものの、独特の音世界を垣間見せている。ピアノ組曲「砂丘の家」は全10曲の大作。ジローはこのなかの2篇に他の録音があるが、ここでは全曲を堪能で来る。彼はドビュッシーと同じようにムソルグスキーの強い影響を受け、不思議な音響を生み出している。さらにショーソンのような上品なメランコリーにも翳る絶美の世界が魅力で、宝物を発見したような喜びを感じる。ギュスターヴ・サマズイユ(1877-1967)はドビュッシーやラヴェル作品のピアノ用編曲で名を残しているが、オリジナル作品も印象派にワーグナーの影響を加えた濃密な作風が魅力。ジローの美しい演奏で楽しめる。フォルジュルネ音楽祭の演奏も好評だったマリー=カトリーヌ・ジロー。知られざる作品をエレガントで香り高く披露している。
ラヴェル
 ヴァイオリン・ソナタ イ短調(1897) /5つのギリシャ民謡(マリヤ・ミルシテイン編曲)/
 フォーレの名による子守歌/ヴァイオリン・ソナタ ト長調(1923-27) /ハバネラ形式の小品/
 「2つのヘブライの歌」〜カディッシュ(リュシアン・ガルバン編曲)/ツィガーヌ
  マリヤ・ミルシテイン(Vn) ナターリヤ・ミルシテイン(P)
 録音:2018年11月24日-28日。スペインはもとより、東欧、そして東洋の音楽に魅せられ、それらを取り入れたスタイルの作品を多く書いたラヴェル。ラヴェルが見た様々な世界を追体験できるプログラムの1枚の登場。マリヤ・ミルシテインとナターリヤ・ミルシテインは姉妹。ヴァイオリンのマリヤはグルベルトとデュメイに師事。ピアノのナターリヤは父とネルソン・ゲルネルに師事。共演CDは「ヴァントゥイユのソナタ」(MIR-384)があるが、マリヤの力強い音色と、ナターリヤの強靭な技巧は相性ぴったり。今後に要注目の姉妹。
ポートレイツ〜モディリアーニ弦楽四重奏団
 メンデルスゾーン:カプリッチョ(弦楽四重奏のための小品 Op.81 No.3)
 ラフマニノフ:スケルツォ(弦楽四重奏曲第1番より) / プッチーニ:菊
 コルンゴルト:間奏曲(弦楽四重奏第2番 変ホ長調 Op.26 より)
 クライスラー:スケルツォ(弦楽四重奏曲 イ短調より)
 バーバー:アダージョ(弦楽四重奏曲 ロ短調 Op.111 より)
 シューベルト:メヌエットとトリオ(弦楽四重奏曲 D.89 No.3 より)
 ボロディン:スペイン風セレナータ(ベリャーエフの名前による四重奏曲)
 ショスタコーヴィチ:ポルカ(弦楽四重奏のための2つの小品より)
 ヴェーベルン:弦楽四重奏のための緩楽章
 ホフシュテッター:アンダンテ・カンタービレ(セレナーデ/弦楽四重奏曲 ヘ長調より)
 モーツァルト:プレスト(ディヴェルティメント ヘ長調 K.138)
 ルロイ・アンダーソン:プリンク・プランク・プランク!
  モディリアーニSQ
   [アムリ・コエイトー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1773年製)
    ロイック・リョー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1780年製)
    ローラン・マルフェング(Va|使用楽器:マリアーニ、1660年製)
    フランソワ・キエフェル(Vc|使用楽器:ゴフリラー「 ex-Warburg 」、1706年製)]
 録音:2018年4月、フラゲイ、スタジオ1、ベルギー。フランスの人気クァルテット、モディリアーニ弦楽四重奏団、新メンバーでの録音第2弾の登場。「ポートレイツ」と題し、名曲から演奏機会の少ない美しい曲をプログラム。作曲家の国も様々で、魅力ある小品による旅のようなアルバムとなっている。=モディリアーニ弦楽四重奏団=2003年結成。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などでも来日を重ね、みずみずしい音楽と濃密なアンサンブルでファンを大いに増やしている。2016年、第一ヴァイオリンのベルナール・フィリップが肩および右上腕部の筋肉をいため、演奏家としてのキャリアをストップさせることを決断。フランス放送フィルハーモニー管弦楽団のコンサート・マスターを務めていた旧知の友人、アムリ・コエイトーを新メンバーに迎え、新たな活動もいよいよ深まってきたところ。2017年にはベルリン・フィルハーモニーや、カーネギー・ホールでのデビューも果たしている。新メンバーでの録音は、シューマン作品集(MIR-346)に続く第2弾。
プロコフィエフ
 ピアノ・ソナタ第2番 ニ短調 Op.14 /
 ピアノ・ソナタ第5番 ハ長調 Op.135(改訂版)/
 10の小品 Op.12
ルーカス・ゲニューシャス(P)
 2010年第16回ショパン国際コンクール第2位、2015年第15回チャイコフスキー国際コンクール第2位でフォルジュルネ音楽祭でもおなじみ、ルーカス・ゲニューシャス待望のMIRAREデビュー盤。デビュー盤にあたり、ゲニューシャスはプロコフィエフ初期の2作と、9篇あるピアノ・ソナタのうち唯一外国で作曲した第5番を希望したといわれる。ゲニューシャスは父がリトアニア人ながら母はロシア人で、モスクワ出身。母方の祖母はホロデンコや、上原彩子をはじめ日本にも弟子の多いヴェラ・ゴルノスタエヴァ。祖母からネイガウス派のピアニズムを伝授されている。プロコフィエフのピアノ曲といえば、ガンガン叩く不協和音とスポーツのようなスピード感が特徴ではあるが、ここに選ばれた作品はどちらかといえば叙情的でメロディアスなものが多く、ゲニューシャスのデリケートな解釈が絶美。プロコフィエフのメルヘンチックな世界を堪能出来る。ピアノ・ソナタ第5番は1923年にパリで作曲されたもので、同時代の交響曲第2番や歌劇「炎の天使」と共通する先鋭的な作風だったが、死の直前の1954年に大改訂を施し、作品番号を135に変えた。奇しくもプロコフィエフが完成した最後の作品となった。ここで演奏されているのはその改訂版なのでむしろ最晩年の作品で、透明で迷いのない音楽が感動的。10の小品は1906-13年、プロコフィエフのハイティーン時代の作で、どれも非常に個性的。ハープのための「前奏曲」や4本のファゴットのための「ユーモラスなスケルツォ」の原曲を含むが、ゲニューシャスはあくまでもピアノの魅力を発揮した演奏を繰り広げている。
根〜バルトーク:2つのルーマニア舞曲 Op.8a /野外にて(全5曲)/
        ハンガリー農民の歌による即興曲 Op.20(全8曲)/14のバガテル Op.6
 フロラン・ボファール(P)
 録音:2018年1月、グルノーブル MC2 。 ブーレーズのアンサンブル・アンテルコンタンポランや、イザベル・ファウストとのフォーレ・アルバムなどで見事なピアノを聴かせてくれたベテラン、フロラン・ボファール。久々の新録音の登場。曲は得意のバルトーク。精力あふれるアレグロの指さばきの巧みさはもちろんながら、「野外にて」の「夜の音楽」に見られる鋭敏な感性に驚かされる。どの曲の初めて聴くような新鮮さに満ちている。
シューマン(1810-1856):
 幻想曲 Op.17 /森の情景 Op.82/
 3つのロマンス Op.28
クレール・デゼール(P)
 録音:2018年1月。フランスのベテラン、クレール・デゼールによるシューマンの登場。シューマンの怒涛の思いが溢れ出ているような幻想曲や3つのロマンス、そして歌曲や室内楽を多く書いた時期を経てピアノ曲としては10年ぶりとなる「森の情景」の世界まで、デゼールの包み込むようで思慮深く、控えめな解釈と、たしかなテクニックで味わうことが出来る。
MIR-402
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(2CD)
ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント音楽祭2018公式CD 〜新しい世界へ
 おそらく既出盤からのコンピレーション
LUX
 グレゴリオ聖歌: Introitus Lux fulgebit / シューマン:暁の歌 Op.133 〜第1曲「落ち着いたテンポで」
 ドビュッシー:前奏曲集第1巻〜沈める寺 / マティアス・ピンチャー: Whirling tissue of light (2013) (*)
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 Op.53「ヴァルトシュタイン」〜第3楽章
 スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番 Op.30 / ドビュッシー/ポラト編曲:牧神の午後への前奏曲(*)
 リスト:超絶技巧練習曲州〜夕べの調べ / トマス・アデス: Darknesse Visible / バルトーク:夜の音楽
 グレゴリオ聖歌: Exortum est in tebebris
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 Op.27 No.2「月光」〜第1楽章

 マタン・ポラト(P)
 録音:2018年1月。(*)は世界初録音。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも来日し、その素晴らしい演奏やマスタークラスで評価されているイスラエル出身のピアニスト、マタン・ポラト。「LUX」というタイトルで、「光」をテーマにした作品が収録されている。ピアニストはもちろんのこと、作・編曲家としてもすぐれた才をもつポラト。ピンチャーの作品は、まばゆいような硬質の音色と超絶技巧が際だちます。ドビュッシーの「牧神」を自身でピアノ独奏編曲しており、こちらも注目。目のさめるような1枚。
ジャン=ルイ・デュポール(1749-1819):チェロ協奏曲集
 〔第4番 ホ短調/第1番 イ長調/第5番 ニ長調〕
ラファエル・ピドゥ(Vc)
ダニエル・キュイエ(Vn)指揮
ストラディヴァリア
 録音:2017年10月。トリオ・ヴァンダラーでもおなじみのチェロ奏者、ラファエル・ピドゥと、古楽界のサラブレッド、ダニエル・キュイエ率いるストラディヴァリアによる、デュポールのチェロ協奏曲集の登場。ジャン=ルイ・デュポールは1749年10月4日、18世紀の真ん中に生まれた。彼の8つ年上の兄ジャン=ピエールは優れたチェロ奏者だったが、ただちにジャン=ルイの才能に気付き、チェロの指導を開始。ジャン=ルイはフリードリヒ大王の目にとまり、宮廷のオペラなどの奏者としてパリを離れプロイセンに移った。ジャン=ルイは兄がフランスで務めていたポストを引き継いで奏者として活動を開始、またたく間に名声を博し、兄よりも有名になったとも言える。フランス革命が近くなり亡命しようと考え、最終的には兄をたよってプロイセンに移り、そこでもまた兄の宮廷オペラでのポストを引き継ぎながら、パリでは終えられなかった楽器奏法についての論文を完成させたほか、ベートーヴェンをはじめとする作曲家と出会ったりもした。ジャン=ルイ・デュポールのチェロ協奏曲は、パリを発つ前に、コンセール・スピリチュエルなどでも演奏された第1番から第3番、およびプロイセン時代の第4, 5番が遺されており、いずれも3楽章構成となっている。急速なスケール、アルペジオの奏法、さらには左手の敏捷な動きと自由な右手が要求される難解なパッセージなど、自身すぐれた奏者であること、そしてロマン派時代の幕開けに生きた作曲家でもあったことを感じさせる充実した作品。
MIR-392
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(2CD)
1CD価格
ドビュッシー(1862-1918):若き日の作品集
 ベルガマスク組曲/マズルカ/忘れられた映像/アラベスク第2番/ピアノと管弦楽のための幻想曲(*) /
 小組曲(1台4手のための)(#) /忘れられたアリエッタ(+) /ビリティスの3つの歌(**) /
 牧神の午後への前奏曲(ジョナス・ヴィトー編曲|ピアノ独奏版)

 ジョナス・ヴィトー(P) ルステム・サイトクロフ(P;#)
 カリーヌ・デエ(Ms;**) セバスティアン・ドロワ(T;+)
  クレマン・マオ=タカク(音楽監督)指揮セセッションo.(*)
 録音:2017年9月(*以外)、2017年12月(*)。研ぎ澄まされた音色と迷いのない音楽、そして歌心にあふれたフランスのピアニスト、ヴィトーによるドビュッシー。ソロ曲から連弾、さらには歌曲、そしてオーケストラを伴う作品まで、ドビュッシーの若き日の作品を集めた。ドビュッシー没後100年にまたひとつ貴重なタイトルが加わる。ジョナス・ヴィトーは1980年生まれ。6歳でピアノを 、11歳でオルガンを 始める。パリ国立 高 等音楽院で、エンゲラーやイヴァルディに師 事 、ピアノ、室内楽、伴奏、和声の4つのプルミエ・プリを得て卒業。ソロ、室内楽、オーケストラとの共演およびデュティユー、クルターク、エスケシュ、エルサンらの現代の作品にも積極的に取り組んでいる。セセッションo. は、2011年にクレマン・マオ=タカクによって結成されたオーケストラ。19世紀末のウィーン分離派からその名前をとっている。室内楽から大規模なオーケストラ作品まで、その作品によって編成を自在に変えて、20-21世紀の作品を中心に幅広いレパートリーに取り組んでいる。
リャプノフ:12の超絶技巧練習曲 Op.11 広瀬悦子(P)
 録音:2017年10月29日-11月2日、聖マルセル福音教会、パリ。 パリを本拠に活躍する広瀬悦子待望の新録音。今回はセルゲイ・リャプノフ(1859-1924)の「12の超絶技巧練習曲」。リャプノフが崇拝したリストの追悼で作られているが、もともとリストがすべての調性で24曲作るつもりながら12曲で終った「超絶技巧練習曲」の残り12曲をひきつぐ意図で始められた。リャプノフは、ロシア風の美しいメロディと恩師バラキレフゆずりの極度に難しいテクニックと異様なボルテージの高さが特徴だが、ここではさらにリスト流の華麗さもあいまり、彼の最高傑作となっている。絵画性も強く、民族舞曲から吹雪や大河の流れまでを色彩的に描いていて魅力的。広瀬悦子はバラキレフ・アルバム(MIR-181)で示した余裕の技巧とボルテージの持続を、ますますパワーアップ、ピアノの機能の極限までを追求している。正確な技巧のみならずロシア的な歌い回しや明るい音色も魅力で、「子守歌」や「妖精の踊り」など聴き惚れさせられる。
アキロン・クァルテット
 ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調 Op.20 No.2, Hob.III: 32
 モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番 ト短調 K.387
 シューベルト:弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」 ハ短調 D.703
  アキロンSQ [エムリン・コンセ、エリーズ・ドゥ=ベンドゥラック(Vn)
           ルイーズ・デジャルダン(Va) ルーシー・メァカット(Vc)]
 録音:2017年10月30日-11月3日、パリ音楽院。2011年にパリで結成、第8回ボルドー国際弦楽四重奏コンクール優勝のアキロン・クァルテットによる、ハイドン、モーツァルト、シューベルトという、弦楽四重奏の最重要レパートリーを生み出した巨匠たちの作品集。アキロンとは、天と地を結ぶ「凧」を意味するイタリア語から名付けられたという。
ヴァントゥイユのソナタ
 ピエルネ:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.36 / レイナルド・アーン:クロリスに/恍惚の時
 サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 Op.75 / ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ

 マリヤ・ミルシテイン(Vn) ナターリヤ・ミルシテイン(P)
 録音:2016年6月20日-23日、サン=マルセル教会、パリ。 マルセル・プルーストの長編小説「失われた時を求めて」には、架空の作曲家ヴァントゥイユのヴァイオリン・ソナタが登場する。爾来この曲が何を 指しているのか研究され、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番か、文中に譜例が示されたフランクのソナタか、あるいはプルーストの恋人で、登場人物スワンのモデルともいわれるレイナルド・アーンのソナタかと議論されてきた。ここではそれにまつわる作品と、プルーストとは反目しあっていたというドビュッシーのソナタをあつめ、プルーストが何を考えていたのか、聴き手を妄想へと誘う。マリヤ&ナターリヤ・ミルシテイン姉妹はモスクワ出身。ヴァイオリンのマリヤはグルベルトとデュメイに師事。ピアノのナターリヤは父とネルソン・ゲルネルに師事。ともに今後が要注目の若手。
MIR-382
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(2CD)
リスト:ワーグナーのオペラ・楽劇からの全編曲作品集
 〔ワーグナー作曲/リスト編曲(無印)、ワーグナー作曲(+)、
  ワーグナー作曲/タンギ・ド・ヴィリアンクール編曲(*)、リスト作曲(#) 〕
 「トリスタンとイゾルデ」より〔前奏曲(*) /イゾルデの愛の死〕/「ニーベルングの指環」〜ヴァルハラ/
 リエンツィの主題による変奏曲/「さまよえるオランダ人」より〔紡ぎ歌/ゼンタのバラード〕/
 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜静かな炉辺で/「パルジファル」〜聖杯への厳かな行進曲/
 「タンホイザー」より〔序曲/ヴァルトブルク城への客人の入場/レチタティーヴォと夕星の歌/巡礼の合唱〕
 「ローエングリン」より〔エルザの夢/エルザの結婚の行進/祝典と結婚式の歌/ローエングリンの非難〕/
 リスト:リヒャルト・ワーグナーの墓に(#) /ワーグナー:エレジー(+)

 タンギ・ド・ヴィリアンクール(P)
 録音:2016年4月19日-22日、2017年3月31日、4月2日、エスパス・モーリス・フルレ、パリ音楽院。19世紀の音楽界でとりわけ異彩を放つ存在、フランツ・リスト。彼は1848年から1885年にかけて、15のワーグナー作品のピアノ編曲を行った。そのどれもが、10本の指では演奏不可能と思えるほどの超絶技巧を用いており、オリジナルの管弦楽の原曲にも勝るとも劣らぬ壮大な世界となっている。それを全部収録したのがこの2枚。この偉業に挑んだのは、1990年フランス生まれのタンギ・ド・ヴィリアンクール。パリ国立高等音楽院でロジェ・ムラロ、クレール・デセール、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェのクラスで学び、2008年のYAMAHAコンクール、2013年のフォーレ・コンクールで入賞、以降ジャック・ルヴィエ、ケフェレックらのもとでさらに研鑽をつみ、2016年にジュネーヴ芸術協会の審査員賞、およびオーディエンス賞を受賞。2017-19のSPEDIDAMジェネレーションのウィナーとなるなど、ますますの活躍が期待される新星。ライナーノートはヴィリアンクール自身によるもので、それぞれの楽曲の場面と特徴が非常によくまとめられている(日本語訳なし)。
MIR-380
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(2CD)
エルベン (ABQ) + ディリュカ〜ベートーヴェン:チェロとピアノのための作品全集
 チェロ・ソナタ〔第1番 ヘ長調 Op.5 No.1 /第2番 ト短調 Op.5 No.2 /第4番 ハ長調 Op.102 No.1 /
         第3番 イ長調 Op.69 /第5番 ニ長調 Op.102 No.2 〕/
 ヘンデル「ユダ・マカベア」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45 /
 モーツァルト「魔笛」の「娘か女か」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 Op.66 /
 モーツァルト「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46

 ヴァレンティン・エルベン(Vc)|使用楽器:マッテオ・ゴフリラー、1720年製
 シャニ・ディリュカ(P)
 録音:2016年3月7日-19日。 アルバン・ベルク四重奏団のチェロ奏者として活躍した世界的チェリスト、ヴァレンティン・エルベンによるベートーヴェンの登場。エルベンが演奏しているチェロは銘器マッテオ・ゴフリラー、フルニエやヨーヨー・マが演奏していた楽器。演奏者の心の機微を忠実に声にできる楽器で、エルベンのこれまでの人生の豊かさすべてが感じられるような滋味溢れる深い音楽を堪能出来る。ピアニストは、近年頻繁に共演しているMIRARE /ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもおなじみのシャニ・ディリュカ。彼女のピアノも、エルベンの音楽を、さらに深い音色で包み込んでおり、えもいわれぬアンサンブルが展開されている。
ロシアの祈り
 ラフマニノフ:晩祷 Op.37〜来たれ、我らが王、神に/聖金口イオアン聖体礼儀 Op.31 〜我ら汝のために歌う
 チャイコフスキー:聖金口イオアン聖体礼儀 Op.41 より〔クレド/我らが父〕 / グリンカ:ヴェネツィアの夜
 グレチャニノフ:正教受難週の聖歌〜花婿を見よ / ダルゴムイシスキー:嵐は霞で空を覆う
 ロシア民謡:果てもなき荒野原/暗い森にて/おお、広き野よ/鐘/箒 / タネーエフ:セレナード
 スヴィリドフ:プーシュキンの花束〜起床ラッパ/祖国への讃歌〜広野の悲哀
 アリャビエフ/ペトレンコ編曲:ナイチンゲール / ガヴリーリン:鐘〜夜の音楽/ティ・リ・リ

 アンドレイ・ペトレンコ指揮エカテリンブルグ・フィルハーモニーcho.
 録音:2017年4月28日-5月3日、スヴェルトロフスク国立フィルハーモニー・コンサート大ホール。 ペトレンコといっても話題のキリルでもヴァシリーでもない、合唱指揮の巨匠アンドレイ・ペトレンコ。ペテルブルク出身で、1989年から2000年までペテルブルク音楽院で合唱指揮を教えていたが、ゲルギエフの招きで2000年からはマリインスキー劇場で首席合唱指揮者を務めている。2014年にウラルのエカテリンブルグ・フィルハーモニーcho. 首席客演指揮者に任命され、翌年には芸術監督となった。旧ソ連の合唱伝統を守る正統派で、声の芸術の素晴らしさを存分に堪能させる。
フォーレ(1845-1924):ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.120
ラヴェル(1875-1937):ピアノ三重奏曲 イ短調
タイユフェール(1892-1983):ピアノ三重奏曲
トリオ・カレニーヌ
[パロマ・クイデール(P)
 ファニー・ロビヤール(Vn)
 ルイ・ロッド(Vc)]
 録音:2017年6月22日-24日。 フランスの作曲家によるピアノ三重奏曲3選。フォーレ、そしてその弟子でもあったラヴェル、さらにラヴェルに師事したタイユフェールの作品、というプログラム。フォーレの作品は亡くなる晩年の1923年に完成、ラヴェルの作品は1914年頃に完成、タイユフェール作品は4楽章からなるが、最初の部分を1917年に書いてからずっと離れており、作品を完結させたのは1978年になってからのことだった。いずれも20世紀になってから作曲された作品だが、3作品それぞれ独自の世界がある。トリオ・カレニーヌの颯爽とさわやかな演奏で、3作品の味わいの違いを楽しむことが出来る。トリオ・カレニーヌは、2009年に結成されたピアノ・トリオ。名はトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」に由来する。パリ国立音楽院でイザイ弦楽四重奏団に師事し、メネヘム・プレスラー、バイエルレらのマスタークラスを受講。第5回ハイドン室内楽コンクールで特別賞/プロ・ムジチス協会賞を受賞。2013年、ミュンヘン国際コンクールで最高位(第2位)に輝いている。
MIR-374
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(3CD)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集
 〔第1番 ハ長調 Op.15 /第2番 変ロ長調 Op.19 /第3番 ハ短調 Op.37 /
  第4番 ト長調 Op.58 /第5番 変ホ長調「皇帝」 Op.73 〕

 ジャン=フランソワ・エッセール(P)指揮 新アキテーヌ室内o.
 録音:2014年11月、2015年3月。 フランス生まれ、ペルルミュテルらに師事したジャン=フランソワ・エッセールが弾き振りをした、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集がリリースされる。管弦楽は1981年設立、フランス西部のポワティエを本拠地とする新アキテーヌ室内o. 。2000年からエッセールが芸術監督を務めており、アンゲリッシュ、ルノー・カピュソン、シャマユ、デュメイ、ラドゥロヴィッチらをソリストに迎えて協奏曲を演奏しているほか、客演指揮者にはロト、メストレも登場しているなど、旬のアーティストとの仕事も多い楽団。エッセールは、1950年生まれで、ペルルミュテルやアンリエット・ピュイグ=ロジェ、マリア・クルチオらに師事、コンセルヴァトワールで20年以上に渡り後進の指導にもあたったフランスの名手。ベルトラン・シャマユやジャン=フレデリック・ヌーブルジェらもエッセール門下出身。オーケストラの華麗にして細やかな響きと、エッセールの堅実なピアノが魅力。
ウェーバー
 クラリネット協奏曲 ヘ短調 Op.73 (*) /クラリネットとピアノのための変奏曲(シルヴァーナ変奏曲) Op.33 /
 クラリネットとピアノのための協奏的第二重奏曲 Op.48

 ラファエル・セヴェール(Cl) アジス・ショハキモフ指揮ベルリン・ドイツso.(*)
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P;*以外)
 録音:2016年2月15日-16日、フィルハーモニー、ベルリン、ライヴ(*) /2016年2月25日-26日、ボン=セクール寺院、パリ(*以外) 。 クラリネット界の新星、ラファエル・セヴェールによるウェーバーの登場。協奏曲ではエネルギーに満ちた指揮者ショハキモフ率いるベルリン・ドイツ響と、さらにピアノとの作品では、天才ジャン=フレデリック・ヌーブルジェとの共演による注目盤。ラファエル・セヴェールは、1994年、音楽一家に生まれる。ナント音楽院を経て、14歳でパリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)に入学。2010年仏ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジークに選出。2013年ニューヨークのヤング・コンサーツ・アーティスで第1位、および8の副賞(全部で10)を受賞。これまでに名だたるオーケストラと共演、さらに室内楽でもモディリアーニSQ 、アルゲリッチ、ベレゾフスキー、クレーメルらと共演を重ねている。トリオ・レ・ゼスプリのメンバーでもあるピアノのアダム・ラルーム、チェロのヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエールとの共演盤(MIR-250)でも高く評価された。2013年にはフランス・ミュジークの依頼により、プーランクの付随音楽「荷物のない旅人」の初演をしている。ウェーバーといえばなんといってもオペラだが、自身当代随一のピアニストとしても名高く、ピアノや室内楽、そしてクラリネットにも重要な作品を残している。協奏曲では指揮者ショハキモフ率いるオーケストラとの息もバッチリで、第2楽章など天上を思わせる美しさ。ピアノとの共演による2作は、クラリネットとピアノの両方にきらびやかな技巧が求められる難曲だが、天才ヌーブルジェのサポートを得て、華麗なる演奏が展開されている。
J.S.バッハ:フルート・ソナタ集
 〔ホ長調 BWV.1035 /ロ短調 BWV.1030 /ホ短調 BWV.1034 /イ長調 BWV.1032 〕/
 (無伴奏)パルティータ イ短調 BWV.1013
 マルク・アンタイ(Fl|使用楽器:ルドルフ・トゥッツ、2013年製〔モデル:ロッテンブルク〕
 ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2016年9月19日-23日、ハールレム、オランダ。 アンタイ兄弟による、バッハのフルート・ソナタ集というなんともぜいたくなCDの登場。ピエール・アンタイ(1964年生まれ)は来日も多い名手で、アルトゥール・ハース、そしてグスタフ・レオンハルトに師事している。J.S.バッハの音楽はもちろんのこと、エリザベス朝の音楽、フランス・バロック、スカルラッティなど、それぞれのスタイルの作品を切り口鮮やかに聴かせる名手。マルク・アンタイは1986年にベルギー王立音楽院を首席で卒業、バルトルド・クイケンに師事した。コンセール・デ・ナシオンやシャペル・ロワイヤルなど、古楽シーンを牽引したオーケストラで首席奏者を務め、来日も多い名手。アンタイ兄弟は非常にリラックスした空気感の中、広く親しまれた美しい旋律に満ちたこれらの作品の魅力をあらためて聴き手に提示している。無伴奏の作品も、マルク・アンタイのあたたかみのある音楽が炸裂。2大名手による、極上、らくらくとした、余裕の表情のバッハ。
1700年頃のロンドン〜パーセルとその周辺 Vol.1
 ヘンリー・パーセル(1659-1695):ソナタ〔第3番 ニ短調 Z792 /第6番 ト短調 Z807 〕
 ダニエル・パーセル(1664-1717):ソナタ第3番 ニ短調(2本のリコーダーのための)/
                 ソナタ第6番 ト短調(ヴァイオリンのための)
 ゴドフリー・フィンガー(1655/56-1730):
  グラウンド ニ短調(リコーダーのための)/組曲 ニ短調(リコーダーのための)/
  ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第2番 ニ調
 ジョヴァンニ・バッティスタ・ドラーギ(1640-1708):トリオ・ソナタ ト短調
 ジョン・ブロウ(1649-1708):2つのリコーダーのためのグラウンド ト短調
 ウィリアム・クロフト(1678-1727):2本のリコーダーと2つのヴァイオリンのためのソナタ ヘ調

 ラ・レヴーズ
 録音:2017年10月、パリ。バンジャマン・ペローとフロランス・ボルトンによって設立された古楽アンサンブル、ラ・レヴーズ。17-18世紀の音楽をメインのレパートリーとしている。今回のテーマは、17世紀末のロンドン。17世紀の終わり、ロンドンは夢と希望に満ちた都市だった。劇場やコンサートは毎晩満席、音楽出版も盛んに行われていた。このロンドンという都市の華やぎは、海外の音楽家たちのあこがれだった。器楽音楽においても非常に充実した作品が生み出されていた。ここでは、パーセルの作品や、イタリア出身で英国に招かれた鍵盤ヴィルトゥオーゾ奏者としても鳴らしたドラーギの作品、さらにはロンドンで(トリオ・)ソナタの形式を定着させたフィンガーと、その後継者であるダニエル・パーセルやウィリアム・クロフトらの作品など、当時のロンドンの最先端の音楽シーンでしのぎを削った作曲家たちの作品が並ぶ。
Sacrum convivium - Vox Clamantis
 デュリュフレ:グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット / ギヨーム・ド・マショー: Le Lai de Nostre Dame
 プーランク:悔悟節のための4つのモテット / メシアン:おお、聖なる饗宴よ

 ヤーン=エイク・トゥルヴェ指揮ヴォックス・クラマンティス
 録音:2014年9月。エストニアの声楽アンサンブル、ヴォックス・クラマンティスによる、14世紀のギヨーム・ド・マショーからメシアンまで、フランスの声楽音楽を駆けぬける1枚。デュリュフレとプーランクの作品では、それぞれのトラックでまずグレゴリオ聖歌を演奏してからデュリュフレが演奏されている。ヴォックス・クラマンティスは1996年にトゥルヴェによって結成、グレゴリオ聖歌から現代音楽、さらには他文化の音楽までをも演奏する。
モンポウ(1893-1987):ピアノ作品集
 歌と踊り より Nos.1-12, 14 /風景/子供の情景/
 ひそやかな音楽 第1巻〜第3番
ルイス・
 フェルナンド・ペレス(P)
 録音:2016年12月1日-3日、スペイン。 1977年マドリッド生まれの名手、ルイス・フェルナンド・ペレスによる、スペインの至宝作曲家、モンポウの登場。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもおなじみで、その演奏と人柄で着実にファンを増やしている注目ピアニスト。幼いころラジオで流れていたのを聴いてモンポウの音楽に初めて出会ったというペレス。「ユニークなハーモニー、神秘的な響き、色彩、繊細さ、‘スウィング '、自由さ、鐘の音色・・・民謡だけが持つ真の力強さ」を持つモンポウの作品に魅了された、という。後にそれはモンポウ自身が演奏する「歌と踊り」だったと知り、ますますのめり込んだそう。師であり、モンポウ弾きでもあったラ・ローチャにもモンポウについて指導を仰いだ。モンポウの妻、カルメンを生前訪ねたことがあり、その時に彼女にモンポウ作品を全曲録音するよう励まされたという。本盤はその第1弾ということになる。ペレスは、鮮烈にして深みのある音色で、モンポウの音楽に秘められた豊かな世界を大胆に解き放つ。「繊細」「静謐」と評されるモンポウ作品に、こんなにも美しい和声と豊かな歌が込められていたのかと気付かされる1枚。「歌と踊り」は全15曲から成るが、そのうちピアノのために書かれた楽曲全13曲が収められている。
鏡の中に
 フランク:前奏曲、アリアと終曲 ホ長調 FWV.23 /前奏曲、コラールとフーガ FWV.21
 ティエリー・エスケシュ:木陰の連祷 / J.S.バッハ/ブゾーニ編曲:シャコンヌ
 サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番のフィナーレによるトッカータ Op.111 No.6
  マリー=アンジュ・ヌグシ(P)
 録音:2016年11月22-25、ヴァンサン=メイヤー・ホール、パリ国立高等音楽院。 フランス=アラビア系の注目才能ピアニスト、マリー=アンジュ・ヌグシのCD 。スケールの大きなフランク作品での広大な世界、ブゾーニ編曲のシャコンヌでの迫力の技巧と圧倒的な集中、サン=サーンスのトッカータで魅せるテクニックと軽やかさ、すべてにマリー=アンジュの天賦の才が息づいている。CDのプログラミングおよびライナーノートはマリー=アンジュによるもの(日本語訳なし)。フランク、サン=サーンス、ティエリー・エスケシュのピアノ作品は、彼らが過去の偉大なオルガニストにして即興演奏家でもあった作曲家たちへの強いあこがれを示しているというマリー=アンジュ。偉大なる教会音楽監督であったバッハのシャコンヌを、ブゾーニがその声をなぞるように編曲したものを始め、このディスクに収められた作品を通して、それぞれの作曲家が紡いだ過去と(作曲家当時の)現在、そして我々が生きる現在がたがいに反響する。フランス=アラビア系のピアニスト、マリー=アンジュ・ヌグシ。2011年、13歳でパリ国立高等音楽院に入学、アンゲリッシュのクラスで学んだ。まだ20歳にならないが、すでに博士号も取得、ソルボンヌ大学でも音楽学を修め、さらにはオンド・マルトノも演奏するという、音楽性はもちろんのこと、研究、知性とのたぐいまれなるバランスをもつおそるべきピアニスト。レパートリーは広く、現代を生きるエスケシュやマントヴァーニらといった作曲家の作品の演奏も手がけている。ボンのベートーヴェンのほか、ヨーロッパ各地で開催されるピアノの音楽祭にも多く出演している。
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ集
 〔第3番 変ホ長調 Op.12 No.3 (1798) /第7番 ハ短調 Op.30 No.2 (1802) /第10番 ト長調 Op.96 (1812) 〕

 バティスト・ロペス(Vn) モード・グラットン(Fp)
 録音:2014年5月、フランス。 バティスト・ロペスは1980年生まれ、メキシコでヴァイオリンを学んだ。フランスではコンセルヴァトワールでカントロフに師事している。室内楽に魅 了され、ガウディ・カルテットで演奏。その後、ピリオド楽器にも衝撃を受け、ヘレヴェッヘ、クイケンらの指揮のもとで研鑽を積んだ。2009-12年まで、フランダース・フィルのソロ・ヴァイオリン奏者を務める。ピリオド楽器の四重奏団、エディング四重奏団のメンバーとして活躍している。モード・グラットンは1983年フランス西部生まれ。オルガン、チェンバロ、ピアノ奏者として活躍している。これまでにアンタイ、ピエルロ、ダミアン・ギヨンらに師事。ヘレヴェッヘ主宰のコレギウム・ヴォカーレおよび、ピエール・アンタイ主宰のル・コンセール・フランセのメンバー。MIRAREからも室内楽やソロのCDをリリース、高く評価されている。
F.クープラン(1668-1733):ルソン・ド・テネブル&モテット集
 聖水曜日のためのルソン・ド・テネブル(1714) /
 詩篇「あなたの定めは驚くべきもの 119. 129 」による、王の礼拝のために作曲され歌われた4行(1703) /
 修道院のためのミサ(1690) 〜アニュス・デイ/モテット「主よ、われらを救いたまえ」(1705) (*)

 レ・ゾンブル[シャンタル・サントン・ジェフリ、アンヌ・マグエ(S) ブノワ・アルノー(Br)]
 録音:2017年3月、12月。(*)は世界初録音。 リュリの後継者にしてラモーの先駆者でもあるF. クープランの探求に燃える古楽アンサンブル、レ・ゾンブルによる、ルソン・ド・テネブル他の作品集。世界初録音のモテットも含む注目盤。ルソン・ド・テネブル(暗闇の朗読、の意)は、キリスト教で、受難の聖金曜日をはさむ聖木曜日から聖土曜日の3日間の、原則として明け方におこなわれる礼拝のこと。各日とも、エレミアの哀歌に基づくテキストの3つの朗読(ルソン)を含む。暗闇を意味する「テネブル」という語は、この礼拝で、朗読を進めるにつれ、ロウソクが一本ずつ消されてゆくことに由来している。キリスト教にとってとりわけ重要な受難を思う礼拝というだけあり、付随する音楽も非常に重要視されている。ルイ14世(太陽王)(1638-1715)の時代に多く作曲され、ルソン・ド・テネブルは、社会的イベントのひとつにまでなった。モテット「主よ、われらを救いたまえ」は世界初録音。内容的にはルソンと同じで、バリトン独唱をメインとする、聖木曜日の祈りのような内容となっている。レ・ゾンブルは、Fl−tr奏者のシルヴァン・サルトルとヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のマルゴー・ブランシャールによって2006年に設立された古楽アンサンブル、レ・ゾンブル。これまでにF. クープランの「リュリ讃」や「諸国の人々」も録音している。
フォーレ(1845-1924):ピアノ作品全集 Vol.4(完結編)
 舟歌〔第7番 ニ短調 Op.90 /第10番 イ短調 Op.104 No.2 /第11番 ト短調 Op.105 /
    第8番 変ニ長調 Op.96 /第12番 変ホ長調 Op.106 bis /第13番 ハ長調 Op.116 〕/
 即興曲〔第4番 変ニ長調 Op.91 /第5番 嬰ヘ短調 Op.102 〕/
 夜想曲〔第9番 ロ短調 Op.97 /第12番 ホ短調 Op.107 /第11番 嬰ヘ短調 Op.104 No.1 /第13番 ロ短調 Op.119 〕

 ジャン=クロード・ペヌティエ(P)
 録音:2017年6月、ボン・セクール・ルター派教会、パリ。 フランスの巨匠ペヌティエによる、フォーレ作品全集の完結編。後期(1905年頃以降)の舟歌やノクターンの世界。フォーレは晩年難聴がすすみ、舟歌第13番やノクターン第13番などはほとんど聴こえない中で書かれた孤独の歌、とも言われるが、様々に織り込まれた息の長い旋律を、ペヌティエはひとつひとつ深く熱く響かせている。ともすると難解なイメージのある晩年のフォーレ作品の奥に広がる美しい風景に感じ入る1枚。
リスト(1811-1886):
 メフィスト・ワルツ第2番 S.515 /詩的で宗教的な調べ S.173 より〔死者の追憶/葬送〕/
 死の踊り(ピアノ独奏編曲版)S.525 /死のチャルダーシュ S.224 /「ファウスト交響曲」〜グレートヒェン S.513

 ナタナエル・グーアン(P)
 録音:2016年12月27日-29日、ブリュッセル。 1988年パリ生まれの新星ピアニスト、ナタナエル・グーアンのソロ・アルバムの登場!グーアンはソロ、そして室内楽でも引っ張りだこの存在。ヨーロッパ、アジア、アメリカでの演奏会経験も豊富。4歳から音楽を学び始め、オーストリアのヨハネス・ブラームス・コンクールや、スウェーデン国際デュオコンクールで優勝している。2015年には、ピリスのパルティトゥーラ・プロジェクトに選ばれ、日本でもベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番や、ピリスとの連弾を披露している。本CDのプログラムのテーマは「死」。当時の画家や作家同様、リストにとって「死」は魅力的な題材だった。リストは、ピアノの伝統的な用法を超えた次元で、死や地獄のおそろしさを描きた。グーアンの、何かに憑依されたかのような驚異的なヴィルトゥオーゾは圧巻。もちろん死や地獄を描きながらもリストはキリストによる救いも音楽に込めており、グーアンはその場面では天国的な美しい歌を聴かせている。
第37回ラ・ロック・ダンテロン・ピアノ・フェスティヴァル公式CD
 既出盤からのコンピレーション
プロコフィエフ
 ピアノ・ソナタ第4番 ハ短調 Op.29 (1917) /
 10の小品 Op.12 (1906-13) /トッカータ Op.11 (1916)
ラヴェル:クープランの墓(全曲)(1914-17)
ナターリヤ・ミルシテイン(P)
 録音:2016年9月1日-3日、ベートーヴェン・ザール、ハノーファー。 1995年生まれ、ネルソン・ゲルネル門下の若きピアニスト、ナターリヤ・ミルシテイン待望のソロ・アルバム。ロシア系ながらフランスで生まれ育った彼女ならではの、プロコフィエフとラヴェルの作品によるアルバム。すべてが第1次世界大戦頃に作曲されているという時代に加え、ガヴォット、リゴドンなど古典舞曲からなるラヴェルの「クープランの墓」とプロコフィエフの「10の小品」の作風的な共通性など、考え抜かれたプログラミングとなっている。両者の難曲トッカータの胸のすく演奏で終るのにも感心。強靭な技巧と真摯な音楽性に将来の大成を予感させる、要注目の若手。
アラベスク〜アブデル・ラーマン・エル=バシャ:ピアノ作品集
 3つの東洋的小品/子供の世界/前奏曲と歌/10のロマンティックな小品/若者の作品
ショパン/エル=バシャ:ワルツもしくはマズルカ(遺作)
 アブデル・ラーマン・エル=バシャ(P)
 録音:2017年7月、フラジェ、ブリュッセル。 フォルジュルネ音楽祭でもおなじみのアブデル・ラーマン・エル=バシャ。彼は作曲家でもあり、ピアノ曲が多数ある。その自作自演アルバムの登場。エル=バシャはレバノン人だが、彼のピアノ曲はアラブ的でも現代的でもなく、ラヴェルやダマーズを思わす近代フランス的で繊細な美しさに満ちています。もちろん「エジプトの歌による変奏曲」や「レバノンの歌」など彼の出自をうかがわせるものもあるが、いずれもほのかなエキゾチシズムで魅力的。楽譜も入手可能なので、子供の新しい教材にもぴったり。
シューマン:弦楽四重奏曲集
 〔第1番 イ短調 Op.41 No.1 /第2番 ヘ長調 Op.41 No.2 /第3番 イ長調 Op.41 No.3 〕

 モディリアーニSQ
  [アムリ・コエイトー(Vn|使用楽器:グァダニーニ、1733年製)
   ロイック・リョー(Vn|アレッサンドロ・ガリアーノ、1734年製)
   ローラン・マルフェング(Va|マリアーニ、1660年製)
   フランソワ・キエフェル(Vc|マッテオ・ゴフリラー「 ex=Warburg 」、1706年製)]
 録音:2017年4月、フランス。 2003年に結成されたモディリアーニ弦楽四重奏団。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などでも来日を重ね、みずみずしい音楽と濃密なアンサンブルでファンを大いに増やしている。2016年、第一ヴァイオリンのベルナール・フィリップが肩および右上腕部の筋肉をいため、演奏家としてのキャリアをストップさせることを決断。フランス放送po. のコンサート・マスターを務めていた旧知の友人、アムリ・コエイトーを新メンバーに迎え、新たな飛躍が期待されている。2017年にはベルリン・フィルハーモニーや、カーネギー・ホールでのデビューも決まっている。本録音は、新たな4人のメンバーによる初めてのセッション録音。シューマンの名曲3曲を収録している。シューマンが重んじた先人たちの様式とロマン派の表現が高い次元で融合した作品で、モディリアーニ弦楽四重奏団の新たなメンバーたちはこれまで以上に濃密で息の合ったアンサンブルを展開しながら、それぞれが高貴な歌を奏でている。
イベリア〜ルネサンスから現代のスペインとポルトガルの多声音楽集
 アルフォンソ10世:サンタ・マリアのカンティガ
 作曲者不詳:「ラス・ウエルガス写本」〜女声のための作品〔 Fa fa mi fa - Ut re mi ut / Ex illustri 〕
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611):
  Alma Redemptoris mater / Super Flumina Babylonis / O Magnum Mysterium
 イバン・ソラノ(1973-): Cielo Arterial / ドゥアルテ・ローボ(1563-1646): Audivi vocem de caelo
 フランシスコ・ゲレロ(1528-1599): Canciones y villanescas espirituales
 アントーニオ・シャガス・ローザ(1960-): Lumine Clarescet / マヌエル・カルドーゾ(1566-1650): Lamentatio

 ジョエル・スュビエット指揮レ・ゼレマン
 録音:2017年6月27日-30日、トゥールーズ。
ベレゾフスキー、指揮者無し
 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
 ストラヴィンスキー:
  ピアノと管楽オーケストラのための協奏曲
ボリス・ベレゾフスキー(P)
指揮者無し
スヴェトラーノフ記念
 ロシア国立so.
 録音:2017年4月8日、モスクワ音楽院大ホール、ライヴ。 ベレゾフスキー、2017年4月にモスクワで行われた協奏曲のライヴ。ブラームスの1番とストラヴィンスキーで、オーケストラはロシア国立so. 。しかし現在音楽監督を務めるユロフスキは登場せず、なんと指揮者なし。古典派あるいはショスタコーヴィチのピアノ協奏曲は指揮者なしで演奏されることもあるが、「ピアノ付きの交響曲」と称され、第1楽章はオーケストラだけの長い提示部を持つブラームスの第1番と複雑な変拍子の続くストラヴィンスキー作品ゆえ不安をおぼえはするものの、さすがロシア国立響、堂々たる演奏を繰り広げている。ベレゾフスキーは聴衆を前にしたライヴで燃えるタイプで、その方がはるかに神業を発揮するが、ここでも驚くべき演奏をモスクワ音楽院大ホールのコンサートで行っている。ベレゾフスキーは指揮者が自分の個性で支配する協奏曲よりも、彼が大将になって仲間とアンサンブルを楽しむことを好む傾向があり、この2篇も室内楽のように解釈したかったと述べている。もちろん開始やトゥッティの部分は事実上ベレゾフスキーが指揮しているが、もともとロシアには革命直後の1922年に「ペルシムファンス」という指揮者なしのオーケストラが存在し、プロコフィエフのピアノ協奏曲などを作曲者と演奏するなど伝統があった。ロシア国立響はかつてモスクワでトップの実力を誇っていた団体だけに、指揮者なしでも精密なアンサンブルと、ストラヴィンスキーでの各奏者の妙技が何の不足もなく実現している。ベレゾフスキーのピアノはますます円熟味を深め、ブラームスはたっぷりとした音量、重厚な解釈が非常に感動的。彼初となるストラヴィンスキーはまるで合奏協奏曲。切れ味抜群で、まさにストラヴィンスキーならではのダイナミックな世界を描いている。
トーマス・アデス(1971-):「テンペスト」〜コート・スタディーズ(2005)
メシアン:世の終 わりのための四重奏曲
 ラヴァエル・セヴェール(Cl) トリオ・メシアン
  [ダヴィッド・ペトルリック(Vn) ヴォロディア・ファン・クーレン(Vc) テオ・フシュネレ(P)]
 録音:2017年12月20日-22日、ベルギー。1994年生まれ、14歳でパリ音楽院に入学、2013年ニューヨークのヤング・コンサート・アーティスツ・インターナショナル・オーディションで第1位および8つの賞を受賞したフランスの気鋭クラリネット奏者、セヴェール。ブラームス作品集(MIR-250)に続くMIRARE第2弾は、ピアノ・トリオと共演してのトーマス・アデスとメシアン。ヴァイオリン、チェロ、ピアノとクラリネットという編成の作品はヒンデミット、そしてこのメシアンの世の終わりのための四重奏曲が代表的だが、トーマス・アデスは自身の代表的なオペラ作品「テンペスト」(2004年初演)から、登場人物たちのキャラクターを凝縮させたようなこのコート・スタディーズを作曲(2005年)した。オペラの原曲を知らなくても、刺激的なリズムと透明感のあるハーモニーで非常に聞きごたえのある、エネルギーに満ちた作品。セヴェールのクラリネットのきわめて自然な音楽運びと、トリオ・メシアンとの抜群のアンサンブルが楽しい1枚。
J.S.バッハ:カンタータ集
 〔第75番「乏しき者は食らいて飽くことを得」 BWV.75 /第22番「イエス十二弟子を召寄せて」 BWV.22 /
  第127番「主イエス・キリスト、真の人にして神よ」 BWV.127 〕

 ハンナ・モリソン(S) カルロス・メーナ(男性A)
 ハンス=イェルク・マンメル(T) マティアス・ヴィーヴェク(B)
 フィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソート
 録音:2016年5月。 とにかく美しく流れる演奏が持ち味のリチェルカール・コンソートによるバッハのカンタータ集の登場。バッハがライプツィヒでトーマス・カントル正式就任後の礼拝で初めて披露したカンタータ第75番と、トーマス・カントル採用試験に際して演奏された第22番、そしてヨハネ受難曲の改訂稿上演を控えた時期に作られた第127番、という充実作の組み合わせ。器楽陣の、流麗にして芯のある美しい響きに心奪われ、独唱者たちのしっとりとした歌声に魅了される。
MIR-330
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(2CD)
LFJ音楽祭2017「ラ・ダンス 舞曲の祭典」
 ダンスをテーマに選曲されたコンピレーション(一部MIRAREからは初出)
J.S.バッハ(1685-1750):
 イギリス組曲第2番 イ短調 BWV.807 /
 トッカータ ニ長調 BWV.912 /
 フランス風序曲 ロ短調 BWV.831
ユリアンナ・アヴデーエワ(P)
 録音:2017年3月8日-10日、ライツターデル〔カデンツァ注:ライトシュターデル?〕、ノイマルクト、ドイツ。 2010年ショパン国際コンクールの覇者、ユリアンナ・アヴデーエワ、MIRAREレーベル第3弾の登場。第2弾同様、音響的に非常に有名なドイツ、ノイマルクトにあるコンサートホール、ライツターデルで、名トーンマイスターのアンドレアス・ノイブロンナーによって録音された。今回彼女が取り上げたのは、バッハ。イギリス組曲第2番(1725年頃までに完成)、トッカータ ニ長調(1707あるいは13年頃)、そしてフランス風 序曲(1735年出版)と、作曲時期の異なる名作3曲によるプログラム。すべての要素がくっきりと清潔感のある音色で響かせられながらも、ふくよかに歌われており、アヴデーエワの知性と、ますます深化した音楽性に感じいるバッハとなっている。イギリス組曲第2番は、2声対位法によるプレリュードで幕を開けるが、作品全体を通して、アヴデーエワはひとつひとつの要素をすべてくっきりと響かせつつふくよかに歌っている。華麗な上行音型で華やかにたたみかけるように始まるトッカータ ニ長調では、即興性あふれる自由さで、さわやかに駆け抜けるような演奏を展開している。リュリのオペラの序曲を思わせる長大な序曲で幕を開けるフランス風序曲。「序曲」と題されているが、バッハの時代、フランス風の序曲と複数の舞曲からなる組曲全体を「序曲」と呼ぶことがあった。冒頭の充実した長大な序曲では抜群の装飾のセンスをみせ、2段鍵盤のチェンバロの特性である強弱を意識して書かれた終曲のエコーでも、チェンバロの強弱表現の再現にとどまらない豊かな音楽で聴かせる。
鳥のシンフォニー
 ドヴォルジャーク:ボヘミアの森〜森の静けさ Op.68 No.5 /シューマン:森の情景〜予言の鳥 Op.82 No.7
 サン=サーンス:動物の謝肉祭〜白鳥 / グラナドス:ゴイェスカス〜嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす
 モーツァルト:魔笛〜私は鳥刺し / セリン(カナリア属)の鳴き声 / ヴォーン・ウィリアムズ:揚げひばり
 グリーグ:抒情小品集〜小鳥 Op.43 No.4 / 鶏小屋 / ラモー:新クラヴサン組曲集〜めんどり
 ジョージ・パールマン:小鳥は歌う / チャイコフスキー:白鳥の湖〜小さな白鳥たちのおどり
 ストラヴィンスキー:火の鳥〜子守歌 / リスト:伝説〜小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
 カザルス:鳥の歌 / クロウタドリの鳴き声 / オリヴィエ・メシアンと「救世主の鳥」

 シャニ・ディリュカ(P) ジュヌヴィエーヴ・ロランソー(Vn)
 ジョニー・ラス、ジャン・ブコー(鳥のさえずり)
 録音:2016年10月、カルクフー、ナント、フランス。 2016年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのテーマは「ナチュール」。自然にまつわる楽曲などが演奏され、特に注目を集めたのが鳥のさえずりを真似して、様々なアーティストとコラボレーションしているジョニー・ラス&ジャン・ブコーだった。彼らはヨーロッパ随一の野生の宝庫である、フランス北部のソム湾に近い村で育った幼なじみ。子供のころから2人は鳥の鳴き声の真似をしており、特別な才能を開花させる。近年は、クラシック、ジャズ、伝統音楽などの音楽家と共演し、魅力的なパフォーマンスを繰り広げてきた。ここでは、ピアニストのシャニ・ディリュカとヴァイオリニストのジュヌヴィエーヴ・ロランソーとともに、鳥をモチーフとした楽曲に、彼らの鳴き真似を重ねて、まるで森の中で鳥のさえずりを聞いているかのようだ。実際に2016年の音楽祭での4人でコンサートに登場し、幻想的なひと時を提供し聴衆を魅了した。全曲が鳥からインスピレーションを得た作品。夢の中の鳥、少女を慰める小鳥、ちょっと滑稽味のある鳥、友達みたいに、内緒話を話してくれる鳥など、様々な鳥に出会うプログラムになっている。
アンタイ〜ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):ソナタ集 Vol.5
 〔変ロ長調 K.551 /変ホ長調 K.474 /変ホ長調 K.475 /変ホ長調 K.252 /変ホ長調 K.253 /
  ト長調 K.547 /変ロ短調 K.87 /ホ長調 K.28 /イ長調 K.211 /ニ長調 K.401 /
  ニ長調 K.388 /ニ長調 K.277 /ト長調 K.124 /ハ長調 K.157 /ヘ短調 K.238 /ヘ長調 K.205 〕

 ピエール・アンタイ(Cemb|使用楽器: Jonte Knif 、2004年製作〔モデル:18世紀ドイツ〕
 録音:2016年6月、ハールレム、オランダ。 1964年生まれのアンタイ、ますますセンスとテクニックが冴えわたり、MIRAREの鮮烈録音とあいまって、極彩色、あざやかなリズムの演奏。当時チェンバロ作品集を出版して注目を集めていたラモーにささげたK.547など、興味深い作品が収録されている。
シューベルト
 アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821 /セレナーデ D.957 /水車職人と小川 D.795 No.19 /
 連祷 D.343 /嘆きの歌 D.23 /君は憩い D.776 /涙の賛美 D.711 /朝の挨拶 D.795 No.8 /
 さすらい人の夜の歌 D.224 /さすらい人 D.489 /夜と夢 D.827 /エレンの歌第3番 D.839

  フランソワ・サルク(Vc) クレール=マリ・ル・ゲ(P)
 録音:2016年6月26日-28日、TAP 、ポワティエ、フランス。 フランスのチェロ界の巨匠、フランソワ・サルクと、名手クレール=マリ・ル・ゲによるシューベルト。フランソワ・サルクは、ローザンヌ国際コンクールで全会一致の優勝、ジュネーヴ国際コンクール第2位、ミュンヘン国際コンクールやチャイコフスキーコンクールでも様々な賞に輝いている。イェール大学を卒業後、パリ国立高等音楽院でも学んでおり、ブーレーズに「たぐいまれなるカリスマとヴィルトゥオジティ」を兼ね備えていると賞賛された。これまでに70カ国で演奏会を行っており、録音も多数。新曲も初演しているほか、ジャズ・アーティストともコラボレーション、その活動の幅はとどまるところを知らない、フランスの大家。アルペジオーネ・ソナタは、ウィーンの名ギター奏者にしてアルペジオーネの奏者でもあった、シュスターのために書かれた。名手のヴィルトゥオーゾ性と楽器の魅力を存分に引き出すためにシューベルトが書いた音楽は、流麗な冒頭と続くダンスのようなモティーフが印象的な第1楽章、美しく ホ長調で歌う第2楽章、そして様々に表情を変えながらめぐるロンド形式で、スタッカート、ピツィカート、跳躍なども要求される第3楽章という後世の人々を魅了してやまないもので、チェロでも頻繁に演奏されている。ここでは、世界で活躍し、日本にもファンも多い美しきフランスの名ピアニスト、クレール=マリ・ル・ゲの素晴らしい共演を得て、端正にして高貴なシューベルトの世界を展開している。他に収録された歌曲のチェロとピアノのための編曲でも、CDのタイトルともなっている「さすらい人」の深遠な詩の世界の表現は圧倒的。それぞれの歌曲の詩人の朗読を聞いているような、豊かな情感と色彩に満ちた演奏となっている。
ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調 Op.8
ドヴォルジャーク:ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 Op.90「ドゥムキー」
 トリオ・レゼスプリ [Trio les Esprits]
  [アダム・ラルーム(P) 梁 美沙〔ヤン・ミサ〕(Vn) ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール(Vc)〕
 録音:2016年4月11日-13日、ボン=セクール寺院。 トリオ・レ・ゼスプリ、第2弾 CDの登場。クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールの覇者アダム・ラルーム、マルクノイキルヘン国際コンクールで第2位を獲得しフランスを中心に高い評価を得ているチェリスト、ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール。そして大阪出身でパリ国立音楽院に学んだヴァイオリニスト、梁 美沙(ヤン・ミサ)の3人による注目のドゥムキーとブラームス。トリオ・レ・ゼスプリは、2009年に初めて共にコンサートを行い、互いの音楽性に共感し、2012年正式にピアノ・トリオを結成。パリのシャンゼリゼ劇場にデビュー後、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭、ドヴィール・イースター音楽祭など数々の音楽祭に参加し、世界の音楽関係者の注目を集めている。ベートーヴェンとシューマンのピアノ三重奏曲を組み合わせたデビュー盤(MIR-241)でも、熱い情熱あふれる演奏で世界を魅了した三人。当盤でも、ブラームスの冒頭、ラルームのうちに秘めた熱が感じられる前奏につづき、ヤン・ミサ、ジュリアン=ラファリエールの弦が熱く交差する。そしてドヴォルザークの名作ドゥムキーでも、高貴なる情熱あふれる演奏が展開されている。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 〔第2番 イ長調 Op.2 No.27 /第9番 ホ長調 Op.14 No.1 /
  第14番「月光」 嬰ハ長調 Op.27 No.2 /
  第31番 変イ長調 Op.110 〕
レミ・ジュニエ(P)
 録音:2016年9月。 2013年のエリザベート王妃国際コンクールで第2位に輝いたフランスの若手ピアニスト、レミ・ジュニエ。MIRAREレーベル2枚のアルバムがこの度発売される。第1作目はバッハの作品集(MIR-268)だったが、今回はベートーヴェンのピアノ・ソナタ集。「月光」ソナタは2015年の来日公演の際にも披露され、卓越したテクニックと繊細な表現力で聴衆を魅了した。第1楽章では、静寂の中から浮き上がる神秘的な旋律を美しく、ひんやりとした音色はどこか澄んでいて、厳かな夜を思わせる。軽やかさのある第2楽章は、絶妙な音色とニュアンスで聴かせる。そして第3楽章では情熱をむき出しにしたようなエネルギー溢れる音楽を作り上げている。各作品が語りかけてくる声に耳を傾けるような、ベートーヴェンの音楽に真摯に向き合った演奏。2017年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンにも出演予定で、今後の活躍が一層楽しみなピアニスト。
ダンスに加わって
 モンポウ:歌と踊り第4番 / シャブリエ:アルバムの一葉 / ロパルツ:「山の日陰で」〜ロンド
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ/優雅で感傷的なワルツ〜第2曲/古風なメヌエット / マスネ:狂ったワルツ
 ドビュッシー:「子供の領分」〜雪が踊っている/「小組曲」〜バレエ/
        「カンマ」〜舞曲/「6つの古代碑銘」〜クロタルを持つ舞姫のための
 アーン:「うぐいす狂乱」より〔愛と倦怠の踊り/愛と悪の踊り〕 / サン=サーンス:のんきなワルツ Op.110
 フロラン・シュミット:「眠りの精の一週間」〜石板に書かれた文字のロンド / ピエルネ:即興的なワルツ Op.27
 プーランク:「フランス組曲」より〔シャンパーニュのブランル/パヴァーヌ/シシリエンヌ〕/夜想曲集〜幽霊の舞踏会
 サティ:「逃げ出したくなる歌」〜ゆがんだ舞曲 / フォーレ:「ドリー」〜スペインの踊り
 フランク:ゆるやかな舞曲 / ショーソン:「いくつかの舞曲」〜パヴァーヌ

  アンヌ・ケフェレック(P) ガスパール・ドゥアンヌ(連弾P)
 録音:2016年10月、アルセナル、メス。 『大好評だった小品集「サティと仲間たち」から4年を経て、ケフェレック待望の新録音小品集が登場します!フォル・ジュルネ音楽祭の常連として日本でも非常に人気の高いケフェレックですが、軽やかかつカラフルな純フランス風ピアニズムの担い手として貴重な存在。彼女が弾くだけでフランス・ピアノ音楽がオシャレな香りにあふれます。今回のアルバムも「サティと仲間たち」の続編的な19世紀末からベル・エポックの、パリが流行の最先端だった時代のピアノ曲から、いちばん聴きたかったものばかりを23曲集めた好企画。サン=サーンス、ショーソン、ラヴェル、アーン、プーランクらフランス音楽の魅力を存分に堪能できます!ラヴェルやドビュッシーはともかく、録音の少ないものが大半で、ケフェレックの美演で聴くことができるのは存外の幸せと申せましょう。シャブリエの遺作「アルバムの一葉」は、絶美なメロディがしっとりかつ真摯に謳われる感動的な小品で、彼の作品中の白眉といってよい隠れた名品。またマスネのピアニスティックな「狂ったワルツ」もあくまでフランス的なエスプリに満ちているのがケフェレックならでは。おなじく「狂乱と愛」をテーマにしたアーンの作品も近年いくつか録音はありますが、ようやく納得できる演奏の登場。またショーソンの「パヴァーヌ」も気が変になりそうな麻薬的な美しさをふりまいています。そして純フランス的なプーランク。オシャレかつエレガント、古き良きパリの脂粉の匂いがしてくるような文化を味わえます。』
オネゲル:「ダヴィデ王」
 クリストフ・バリッサ(語り手) アテナ・ポウロス(巫女) リュシー・シャルタン(S)
 マリアンヌ・ベアート・キールランド(Ms) トーマス・ウォーカー(T)
 ダニエル・ロイス指揮スイス・ロマンドo.、ローザンヌ声楽アンサンブル
 録音:2016年9月、OSRスタジオ、ジュネーヴ、スイス。 オネゲル30歳の時の出世作「ダヴィデ王」。もとはスイスの詩人ルネ・モラが書いた「旧約聖書」に基づいた舞台作品の音楽としてオネゲルが作曲した物。当時まだ無名に等しかったオネゲルを推薦したのは、彼の音楽を頻繁に取り上げていた指揮者のエルネスト・アンセルメ。1921年ジョラ劇場で行われた初演は成功を収め、オネゲルの初期の代表作となる。1923年にオネゲル自身が交響的詩篇(オラトリオ)として改訂したものが、現在では主に演奏されている。ここでは小編成のオリジナル版で演奏している。金管、木管を中心に、ピアノ、チェレスタ、ハルモニウム、打楽器群、チェロ、コントラバスが一人ずつという異例の編成だが、オネゲル自身はオリジナルの編成こそ作曲意図が反映されていると語っていたという。3部構成全27曲からなり、旧約聖書の登場する英雄ダヴィデ王の生涯を描いている。オネゲルの巧みなオーケストレーション、色彩豊かなスイス・ロマンド管、ローザンヌ声楽アンサンブルの透明感ある美しい響きは楽曲の崇高さを一段と盛り上げてくれる。
ペヌティエ〜モーツァルト:ピアノ協奏曲集
 〔第21番 ハ長調 K.467 /第24番 ハ短調 K.491 〕
ジャン=クロード・
 ペヌティエ(P)
クリストフ・ポッペン指揮
フランス放送po.
 録音:2016年2月20日、オーディトリウム・ド・ラ・メゾン・ド・ラ・ラディオ、ライヴ。 近年その音色はさらに純度を増し、奥深い音楽を展開しているフランスの大家、ジャン=クロード・ペヌティエ。モーツァルトのピアノ協奏曲のライヴ録音の登場。第21番では、フランス放送フィルが奏でる軽やかで明るい前奏の後の、ペヌティエのピアノの第1音から、天上の世界にいざなわれるようだ。第24番でも、モーツァルトの短調の美しさをこれ以上ないかたちで堪能させる。ペヌティエの音色からは、一切の「私」が排除されており、ただただ純度の高いモーツァルトの世界がつむぎだされていく。
第36回ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル
 (MIRARE 既出盤からのコンピレーション)
 2016年に 36回目を迎えるラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァルの公式 CD 。南仏プロヴァンス地方のラ・ロック・ダンテロンで1981年より開催されているこのフェスティヴァルは、地元の村長ポール・オノラティニと、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭のプロデューサーとしても知られ るルネ・マルタンによって創設された。緑豊かな美しい風景とともに楽しむ野外コンサートが大人気で、毎年多くの人が訪れる世界的音楽イベント。 この CD はマルタンのレーベル「MIRARE」から発売されているピアノの音源を集めたコンピレーション・アルバムとなっており、フェスティヴァル常連の ピアニストが名を連ねている。レーベルのベスト盤としても楽しめる内容。
イレーヌ・ドゥヴァル〜ポエム
 プーランク:ヴァイオリン・ソナタ / シマノフスキ:神話 Op.30 〜アレトゥーザの泉
 ショーソン:詩曲 Op.25 / フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
 エルンスト:シューベルトの「魔王」による大奇想曲 Op.26
  イレーヌ・ドゥヴァル(Vn) ピエール=イヴ・オディク(P)
 録音:2015年11月10日-12日、サル・ヴァンサン=メイエ、パリ。イレーヌ・ドゥヴァルはフランス人の父と韓国人の母のもと1992年に生まれたヴァイオリニスト。7歳からヴァイオリンを始め、ジャン=ジャック・カントロフ、ローラン・ドガレイユらに師事、2015年のフォル・ジュルネ音楽祭で来した際は、容姿からは想像できない力強く渾身系の演奏で話題となった。エルンスト作品以外、ここに収められた作品は女性的な感性があふれ出るものばかりだが、ドゥヴァルの竹を割ったような演奏で男らしいものに変貌している。超絶技巧を要するエルンストの「魔王」が凄まじさの極み。巫女的な没入で身動きすらとれなくなる5分を体験出来る。
シューマン:ピアノ三重奏曲集
 〔第1番/第2番〕
トリオ・カレニーヌ
 2009年に結成されたピアノ・トリオのデビュー盤。名はトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」に由来する。パリ国立音楽院でイザイ弦楽四重奏団に師事し、メネヘム・プレスラー、バイエルレらのマスタークラスを受講。第5回ハイドン室内楽コンクールで特別賞/プロ・ムジチス協会賞を受賞。2013年、ミュンヘン国際コンクールで最高位(第2位)に輝いた期待の若手。若い感性がほとばしる生き生きとした演奏を繰り広げている。
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38 (CD)
フランク:チェロ・ソナタ イ長調(原曲:ヴァイオリン・ソナタ)
ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
 ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール(Vc) アダム・ラルーム(P)
 録音:2015年12月21日-23日、ボン・セクール寺院、パリ。フランスの若手実力派ピアニスト、アダム・ラルームとチェリスト、ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエールがブラームス、フランク、ドビュッシーのソナタに挑戦した。彼らはヴァイオリニストの梁美沙とともに結成したトリオ・レ・ゼスプリとしても活躍。ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポンにも出演しており、日本でも着実に知名度を上げている。
チャイコフスキー
 四季 Op.37b /グランド・ソナタ ト長調 Op.37
ジョナス・ヴィトー(P)
 録音:2013年12月31日。1980年生まれのピアニスト、ジョナス・ヴィトーによるチャイコフスキー。本プログラムで2016年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンにおいて演奏会が成される予定。磨きぬかれたテクニックと目の前に情景を描き出すインスピレーションに富んだ演奏。圧倒的な集中力で大曲を弾ききっている。
MIR-305
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(2CD)
ラ・フォル・ジュルネ「 la nature 〔ナチュール〕」ナント 公式 CD
 限定盤|おそらく既出盤からのコンピレーション
LA REVEUSE
 ブクステフーデ(*:ウプサラ大学所蔵手稿譜より):
  ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ イ短調 BuxWV.272 (*) /
  トリオ・ソナタ集 Op.2 〜第3番 ト短調 BuxWV.261(ハンブルク1696)/
  ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオローネと通奏低音のためのソナタ ニ長調 BuxWV.267 (*) /
  ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタと組曲 変ロ長調 BuxWV.273 (*)
 ディートリヒ・ベッカー:ソナタと組曲 ニ長調(ハンブルク1674)
 作曲者不詳:無伴奏ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ニ短調(リューベック)

  ラ・レヴーズ[ステファン・デュデルメル(Vn) フローレンス・ボルトン(ヴィオール)
           バンジャマン・ペロー(テオルボ) エミリー・オードワン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
           カスティン・ローフ(Cemb) セバスティアン・ウォナー(Org)]
 録音:2015年10月、パリ。バンジャマン・ペロー率いるラ・レヴーズによるブクスデフーデの室内楽曲集。北ドイツのオルガン楽派最大の音楽家であり、J.S.バッハのオルガン音楽に最大の影響を与えたブクステフーデ。リューベック聖マリア教会のオルガニストだったブクステフーデは、当時、大変な人気を誇る音楽家だった。20歳のJ.S.バッハが、ブクステフーデが主催する「夕べの音楽」を聴くために、400kmも離れたリューベックまで徒歩で訪れ、さらには4週間の休暇を無断で4ヶ月に延長してしまったほど、ブクスデフーデの音楽に心酔していたことは有名な話。本盤に収録されているのは1696年にハンブルクで出版されたトリオ・ソナタ集、ウプサラ大学図書館(スウェーデン)所蔵の手稿譜に基づいて出版されたソナタを3曲、そして同時代に活躍したオルガニスト兼作曲家であったディートリヒ・ベッカーのソナタと作曲者不詳でおそらくリューベックで書かれ、ブクスデフーデの影響も多少うかがえる無伴奏ガンバのためのソナタ。
標題音楽と幻想様式
 ビーバー:5声のセレナード(*) /4声の嘆きのバレット/ソナタ第6番/戦い
 シュメルツァー:ソナタ・レプレゼンタティヴァ/ヴィオールとヴィオラのためのソナタ/古いアリアによるセレナータ
 アレッサンドロ・ポリエッティ:「ハンガリーの反乱」によるトッカッティーナ
 ケルル:シュタイアーの羊飼い/ソナタ A.3. ex. G. B mol (#)

 リチェルカール・コンソート
  [マティアス・フィーヴェク(B;*) ソフィー・ジェント、トゥオモ・スニ(Vn) サラ・クイケン(Vn;#)
   フィリップ・ピエルロ(バス・ド・ヴィオール/ヴィオール・アルト) 上村かおり、ライナー・ツィパーリング
    (バス・ド・ヴィオール)  フレデリク・ヒルデブランド(ヴィオール;#) フランク・コピーテルス
    (ヴィオローネ) マウデ・グラットン(Cemb) ジュリアン・ウォルフス(Org/Cemb)]
 録音:2014年12月。三十年戦争の後、音楽によってその威光を示そうとしたハプスブルグ家の野望は多くの才能ある音楽家の登場を促した。このCDにはそんな彼らの2つの意味での「模倣の音楽」が収録されている。1つ目の意味での「模倣」は、「描写」としての音楽。バロック時代は「描写音楽」が花開いた時代だった。彼らの「描写音楽」は謝肉祭の期間に、自然の音や日常に溢れる音を描写して人々を楽しませ、謝肉祭の中で大きな位置を占めていた。ビーバーの「5声のセレナード」は、2本のヴァイオリン、3本のヴィオール、クラヴサンに加えて4楽章「アリア」にのみ夜警役のバスが出てくる作品。リュートを思わせるピチカートの伴奏の上で「皆さん聴いてくれ 鐘が9時(10時)を告げた 火に気をつけて、よく気をつけて 父なる神とわれらが優しき乙女をたたえなさい」(今谷和徳訳)と歌う。「戦い」の描写も沢山の作曲家が挑んだテーマ。このCDではポリエッティの「『ハンガリーの反乱』によるトッカッティーナ」とビーバーの「戦い」がおさめられている。ポリエッティはオスマン帝国との第二次ウィーン包囲の際のハンガリー反乱に題材をとり、チェンバロのソロで馬のギャロップを表している。ビーバーの「戦い」は太鼓や大砲の音を模倣するために弦に紙を挟んで共鳴させたり、楽器の胴を叩いたり、はたまた指板に打ち付けるようなピチカート(20世紀になってから「バルトーク・ピチカート」として使われるようになる現代奏法!)の使用など、現代音楽顔負けの特殊奏法のオンパレード。2つ目の模倣は「対位法技術としての模倣」。ビーバー、シュメルツァー、ポリエッティ、ケルルが生きた時代の神聖ローマ帝国の皇帝、レオポルト1世は音楽を愛好し、対位法にも秀で、自身でも作曲していたと伝えられている。ある声部の主要な楽想を他の声部が模倣する模倣対位法のスタイルを好んだ皇帝のために、彼らは洗練された書法のソナタを書いた。当時「ヨーロッパ1のヴァイオリニスト」と称されたシュメルツァーを始めとする彼らのソナタを聴いていると、1つのメロディが様々な楽器に受け渡され、まるで楽器同士が対話しているような様子を聴くことが出来る。ジャケット写真には、歌川広重の『桃花燕子』(江戸時代天保3年/1832)が使用されている。
ユリアンナ・アヴデーエワ
 ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49 / モーツァルト:ピアノ・ソナタ第6番 ニ長調 K.284
 リスト:巡礼の年第2年「イタリア」〜ダンテを読んで
 ヴェルディ/リスト編曲:「アイーダ」〜神前の踊りと終幕の二重唱 S.436
 ユリアンナ・アヴデーエワ(P)
 録音:2015年、ライツターデル、ノイマルクト。2010年ショパン国際コンクールの覇者、ユリアンナ・アヴデーエワ。2014年に発売されたMIRAREデビューCDでは、その卓越したテクニックと完成された音楽性で高い評価を得た。MIRAREレーベル第2弾となる本アルバムは、音響的に非常に有名なドイツ、ノイマルクトにあるコンサートホール、ライツターデルで録音された。さらに名トーンマイスターのアンドレアス・ノイブロンナーがサウンド・エンジニアとして参加している点にも注目。最高の布陣によりアヴデーエワの知性と巧みなテクニックがより際立ち、最高の録音が完成した。ショパンの「幻想曲Op.49」は、構成は自由なソナタ形式で書かれており、高度なテクニックを要する、ショパンの創作意欲が絶頂期に達した1841年に作曲された最高傑作のひとつ。アヴデーエワは抒情的な旋律を切々と歌い上げ、アルバム冒頭からショパン独特の世界を作り上げている。続くモーツァルトの第6番のソナタは、1755年にミュンヘンで一気に書き上げられた「デュルニッツ・ソナタ」の最後の作品。大規模なソナタで力強く推進力ある、モーツァルトの才気が溢れた曲。アヴデーエワのダイナミックな音楽は、作品のギャラント風の強弱対比を上手く表現している。リストの<巡礼の年第2年イタリア>は、マリー・ダグー伯爵夫人とリストがふたりで滞在したイタリアでの印象をもとに書かれた作品群。この曲集の最後を飾る「ダンテを読んで-ソナタ風幻想曲」は、ダンテの「神曲」を読んで得たインスピレーションから創作された、輝かしい魅力あふれる曲。アヴデーエワのドラマティックで迫力満点の演奏に圧倒される。そしてリストが編曲した「アイーダ」より神前の踊りと終幕の二重唱では、幻想的なエジプト風の旋律を自在に演奏し、華やかにアルバムを締めくくっている。
MIR-300
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[JAZZ]
ジャック・ボー&カルロス・メーナ〜 UNDER THE SHADOW
 Shall I Sue / King Henry / Never Come Back Again / A Prayer / When I am Laid in Earth /
 1080 love / Let Me Die Alone / White as Lilies / Land Of Darkness

  カルロス・メーナ(CT) ジャック・ボー(エレクトリック・ベース/音楽監督)
  ディスフォニックo.
   [ガルミナ・セーノウチ(Vo) サルヴァトーレ・レイターノ、オリヴィエ・マガロット(ハモンドOrg B3)
    トーマス・メーダー(Sax) フアン・ムンギア(ビューグル) シリル・レガメ、
    フランシス・ステッセル(ドラム) デイヴィッド・ティクシエ(P) アンディ・プパト(Perc)]
 ジャック・ボーによって立ち上げられた、クラシックとジャズを融合させた新しいスタイルを探求する「ディスフォニックo. 」。ジャック・ボー自身もエレクトリック・ベースを弾き、15年以上にわたりクラシックとジャズの世界で様々なアーティストを共演し多彩な活動していた。そこに世界的カウンターテナーのカルロス・メーナが加わり、新しいプロジェクトが生まれた。このアルバムは、パーセル、バッハ、モンテヴェルディ、ポルポラ、レグレンツィ、フォーレ、シューマンなどクラシックの作曲家の作品の要素とジャズの要素を混合し、よくある「ジャズ風アレンジ」ではなく、まったく新たな音楽を作り出している。楽曲に新たな息吹を吹き込んでいるカルロス・メーナの崇高な歌声が特に素晴らしい。
アダム・ラルーム
 シューマン:ダヴィド同盟舞曲集 Op.6
 シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960
アダム・ラルーム(P)
 録音:2015年7月21日-23日、サル・ガヴォー、パリ。2009年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールの優勝者、アダム・ラルーム。ダヴィッド同盟舞曲集はラルームの繊細な感性と作品がぴったりとあって おり、時に夢見るように、瞑想的に、そして気難しくと個々の曲の表情の変化を巧みに弾き分けている。そしてシューベルトは美しい弱音で深遠な音の世界へ聴き手を導き、この曲のもつ崇高な美しさを静謐に描き出している。
サン=サーンス(1835-1921):組曲「動物の謝肉祭」(フランス語ナレーション付)
 ボリス・ベレゾフスキー、ブリジット・エンゲラー(P) ミシェル・ギュイヨ、
 デボラ・ネムタヌ(Vn) セルジュ・スフラール(Va)
 アンリ・ドマルケット(Vc) エックハルト・ルドルフ(Cb)
 マリーナ・シャモー=ルゲ(Fl) リシャール・ヴィエイユ(Cl)
 ナタリー・ジュジョン=ガンティエ、イオネラ・クリストゥ(Perc)
 既出盤 [MIR-108] からの抜粋(にフランス語ナレーションを加えた物?)と思われるが、詳細不明。1曲のみならば収録時間:22分半。
MIR-296
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(6CD)
3CD価格
ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ BOX
 ツェルニー、リスト、ヘラー:練習曲集 [MIR-023/2CDs] | ライヴ・アット・サントリーホール [MIR-060/2CDs]
 ピアノ・リサイタル in パリ [MIR-145] | ラヴェル:ピアノ作品集 [MIR-232]
MIR-295
(3CD)
廃盤
ラ・レヴーズ BOX
 パーセル:歌曲&室内楽作品集 [MIR-033] | ブロサール:作品集 [MIR-125] | ヘンリー・ローズ:作品集 [MIR-177]
MIR-294
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(3CD)
1.5CD価格
リチェルカール・コンソート BOX 〜 Vocal
 J.S.バッハ&ヘンデル [MIR-009] | ヴェックマン:宗教的作品集 [MIR-204] |
 J.S.バッハ:待降節&クリスマスのカンタータ集 [MIR-243]
MIR-293
(3CD)
廃盤
リチェルカール・コンソート BOX 〜 Instrumental
 ベルターリ/他 [MIR-9969] | パーセル:作品集 [MIR-012] | F.クープラン/他 [MIR-150]
MIR-292
(3CD)
廃盤
イド・バル=シャイ BOX
 ハイドン:ピアノ・ソナタ集 [MIR-014] | ショパン:マズルカ選集 [MIR-075] | F.クープラン:作品集 [MIR-195]
MIR-291
(3CD)
廃盤
アンドレイ・コロベイニコフ BOX
 スクリャービン:ピアノ・ソナタ Nos.4-5, 8-9 /他 [MIR-061] |
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ Nos.30, 24, 17 /他 [MIR-090] |
 ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番&第2番 [MIR-155]
MIR-290
(3CD)
廃盤
ボリス・ベレゾフスキー BOX
 メトネル:作品集 [MIR-059] | ブラームス:ピアノ協奏曲第2番/他 [MIR-132] |
 チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番/他 [MIR-200]
MIR-289
(2CD)
廃盤
ピエール・アンタイ BOX
 J.S.バッハ:管弦楽組曲第1番&第4番/他 [MIR-017] | ラモー:歌劇からのクラヴサン曲集 [MIR-164]
MIR-288
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(2CD)
1CD価格
タチアナ・ヴァシリエワ BOX
 ショパン&アルカン:チェロ・ソナタ集 [MIR-107] | ハイドン:チェロ協奏曲第1番/他 [MIR-220]
MIR-287
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(2CD)
1CD価格
シャニ・ディリュカ BOX
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番&第2番 [MIR-126] | メンデルスゾーン:ピアノ作品集 [MIR-062]
第35回ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭
 J.S.バッハ:カプリッチョ 変ロ長調「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992[レミ・ジュニエ]
 スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32〜アリア[アンヌ・ケフェレック]
 クープラン:プラチナ色の髪のミューズ[イド・バルシャイ]
 J.S.バッハ:シンフォニア第11番 ト短調 BWV797[クレール=マリ・ル・ゲ]
 グリーグ:ピアノ抒情小品集 Op.12 No.1[マタン・ポラト]
 ボロディン:ダッタン人の踊り[デュオ・ヤーテーコク]
 バラキレフ:ソナタ 変ロ短調〜間奏曲[広瀬悦子]
 ショパン:前奏曲第15番 変ニ長調 Op.28〜ソステヌート[ユリアンナ・アヴデーエワ]
 スクリャービン:練習曲 Op.2 No.1[アンドレイ・コロベイニコフ]
 ラヴェル:高貴で感傷的なワルツ〜レント[ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ]
 ドビュッシー:小組曲〜小舟にて[クレール・デゼール、エマニュエル・シュトロッセ]
 チャイコフスキー:12の小品〜シャンソン・トリエステ[ボリス・ベレゾフスキー]
 デュポン:砂丘にある家〜思い出の家[マリー=カトリーヌ・ジロー]
 フォーレ:夜想曲 変ニ長調[ジャン=クロード・ペヌティエ]
 リスト:巡礼の年第2年イタリア〜サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ[ニコラ・アンゲリッシュ]
 シェーンベルク:ピアノ小曲集〜アンダンテ・グラツィオーゾ[フローラン・ボファール]
 デュカ:牧神のはるかなる嘆き[エルヴェ・ビヨー]
 ストラヴィンスキー:5つのやさしい小品〜ナポリ風[リディヤ・ビジャーク、サーニャ・ビジャーク]
 シューマン:森の情景〜別れ[ダヴィッド・カドゥシュ]
 シューマン:フモレスケ〜第2曲性急に - アダージョ[アダム・ラルーム]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第19番 ト短調 Op.49〜第1楽章[アブデル・ラーマン・エル=バシャ]
 キース・ジャレット:マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ[シャニ・ディリュカ]
 南仏プロヴァンス地方のラ・ロック・ダンテロンで、1981年より開催されている国際ピアノ・フェスティヴァル。地元の村長ポール・オノラティニと、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭のプロデューサーとしても知られるルネ・マルタンによって創設された。第1回目の開催ではマルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・ツィマーマン、ゾルターン・コチシュら大物アーティストが出演。期間中9, 200人の観客が訪れ、その後もラドゥ・ルプー、フランソワ=ルネ・デュシャーブル、クン・ウー・パク、スヴャトスラフ・リヒテルなどの有名ピアニストのほか、バーバラ・ヘンドリックスなどの声楽家の出演が続き、数年のうちにピアノ界の国際的なイベントとして認知された。大物アーティストの他にも、才能ある若手ピアニストの挑戦の場になるなど、観客とアーティストの出会いの場にもなっている。2015年公式CDには、MIRAREレーベルお馴染のピアニストたちの演奏が22トラック収録されている。
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集 Vol.4
〔イ長調 K.212 /ニ短調 K.247 /ト長調 K.144 /ハ長調 K.133 /ヘ短調 K.204a /イ長調 K279 /
 イ長調 K.533 /イ長調 K.405 /ホ短調 K.402 /ホ長調 K.403 /ホ長調 K.381 /イ長調 K.208 /
 イ長調 K.456 /イ長調 K.457 /ハ短調 K.302 /ト長調 K.201 /ニ長調 K.45 〕

  ピエール・アンタイ(Cemb|使用楽器: Jonte Knif 、2004年製作
 録音:2015年6月、ハールレム、オランダ。フランスが誇る世界的チェンバロ奏者ピエール・アンタイ待望の新譜。ドメニコ・スカルラッティは「近代鍵盤楽器の父」とも言われ、500曲を超えるソナタを作曲。これまでにも、アンタイの師であるレオンハルトをはじめ、名だたる鍵盤奏者がこの作品に挑んできたが、ピエール・アンタイも2002年から録音を開始、今回が第4作目となる。アンタイの強烈な個性と技巧で聴き手を圧倒し、毅然としたタッチ、細部まで組み立てられた演奏で聴かせてくれる。
パーセル(1659-1695):賛歌とアンセム
ゴットフリート・フィンガー(1660頃-1730):ソナタとディヴィジョン
 ラ・レヴーズ ジェフリー・トンプソン、マルク・モイヨン(T)
 ジェフロワ・ビュフィエ(B) フローレンス・ボルトン(バス・ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ピエール・ガロン(Cemb/Org) バンジャマン・ペロ(テオルボ)
 録音:2014年11月。イギリスの作曲家の筆頭に上がるバロック時代の作曲家、ヘンリー・パーセルによる賛歌、アンセム集。当時よく知られていた「メメント・モリ(死を想え)」という風習の影響が色濃く表れているパーセルの本ディスク収録曲は、暗く重い歌詞のものが多く、当時の疫病やロンドンの大火事と世代を同じくしたパーセルの世界観を垣間見ることが出来る。同じくこのCDに作品がおさめられているゴットフリート・フィンガーはパーセルと同時代のモラヴィア出身の作曲家でありヴィオール奏者。ロンドンに渡り、王室礼拝堂楽団のメンバーとなった彼は様々な楽器のための曲を残し、パーセルの死に際しては頌歌を書いている。パーセルと同じくヨーロッパ諸国の音楽に精通していた彼の作品からは、彼が優れたヴィオール奏者だったこともうかがい知れる。華麗なイギリスバロックの世界に浸ることのできるCD 。
ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115
ヒンデミット:クラリネット五重奏曲 Op.30
ラファエル・セヴェール(Cl)
プラジャークSQ
 録音:2015年5月。若手クラリネット奏者ラファエル・セヴェールとチェコを代表するカルテット、プラジャーク弦楽四重奏団によるブラームスとヒンデミット。ラファエル・セヴェールは1994年生まれ。天才クラリネット奏者として14歳でパリ国立高等音楽院に入学。2010年にはフランスのヴィクトワール・ド・ラ・ミュージックに選出。パリ・オペラ座管のクラリネット奏者を務めたイヴ・セヴェールを父にもち、ふくよかで美しい音、豊かな音楽性、安定したテクニックが魅力の奏者。ブラームス最晩年の傑作クラリネット五重奏曲。寂寞とした孤独を感じさせ、晩年のブラームスが到達した至高の境地と言える。セヴェールの叙情豊かな歌いまわしに寄り添ったプラジャーク弦楽四重奏団の演奏は、味わい深いブラームスを聴かせてくれる。一方ヒンデミットでは、大胆な響き、先鋭的な音色で強烈な印象を与える輝かしいテクニックを披露している。
シューベルト4手のためのピアノ作品集
 幻想曲 ヘ短調 Op.103, D.940 /創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 Op.35, D.813 /
 アレグロ イ短調 Op.144, D.947 「人生の嵐」/
 フランスのモティーフによるディヴェルティメント ホ短調 D.823
  〜アンダンティーノと変奏曲 ロ短調 Op.84
 クレール・デゼール、エマニュエル・シュトロッセ(P)
 録音:2015年1月、サン=ルイ劇場。20年以上デュオを組んでいるクレール・デゼールとエマニュエル・シュトロッセによるシューベルト。シューベルトは4手のための作品を30曲ほど作曲しているが、ここに収録されているのは、シューベルトが恋心を抱いていた伯爵令嬢のために作曲した「幻想曲」、荒々しい冒頭が印象的な「人生の嵐」など、短い人生の後半に書かれたものであり、シューベルトの後期の作品にあらわれるメランコリックで激しい曲調の作品。デゼールとシュトロッセは細部まで綿密に描き分け、ピタリと合ったアンサンブル、そして洗練された演奏で聴かせてくれる。
MIR-277
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(2CD)
パシオン − 魂と心〜ラ・フォル・ジュルネ音楽祭 2014 コンピレーション
フォーレ:ピアノ作品集 Vol.3
 8つの小品 Op.84 /主題と変奏 Op.73 /ノクターン第6番 変ニ長調/
 舟歌〔第4番 変イ長調 Op.44 /第5番 嬰ヘ短調 Op.66 /第6番 変ホ長調 Op.70〕
  ジャン=クロード・ペヌティエ(P)
 録音:2014年12月。ペヌティエのフォーレ作品集。洗練された音色と純度の高い音楽性で聴くものを虜にする。フォーレが生きた時代の雰囲気と文化の香りを教えてくれる演奏。穏やかなテンポ、作品に含まれた微妙なアーティキュレーションを巧みなペダリングで音楽に透明感を与えている。特にここに収録されている舟歌3曲では、フォーレ独特の洗練された和声が光る中期の特徴を、陰影深く機微を描いている。
EN PLEIN AIR
 J.S.バッハ:カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV992
 シューマン:森の情景 Op.82 / ヤナーチェク:霧の中で / バルトーク:戸外にて
  ダヴィッド・カドゥシュ(P)
 録音:2014年10月24日-26日、サル・ガヴォー、パリ。フランス生まれのピアニスト、ダヴィッド・カドゥシュ。一見、共通点がないようにも思える選曲だが、キーワードは「屋外 (out of door)」。外国に赴任する兄にむけて書いたバッハのカプリッチョ。「森」をモチーフとした詩に触発されて作曲したシューマンの「森の情景」。作曲家としてキャリアを暗中模索していた頃に書かれたヤナーチェクの「霧の中で」。屋外で演奏する音楽をピアノで描写したバルトークの「戸外にて」。多彩な音楽性を持つカドゥシュならではの卓越した表現力で各曲の魅力を存分に引き出している。
MIR-273
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(3CD)
2CD価格
ドメニコ・スカルラッティ(1685-1757):チェンバロ・ソナタ集(50曲)
 CD1 [旧・MIR-9918/録音:2002年](*)
 〔ニ長調 K.535 /イ短調 K.3 /イ短調 K.175 /イ短調 K.208 /イ短調 K.54 /ヘ短調 K.185 /
  変ロ長調 K.248 /変ロ長調 K.249 /変ロ長調 K.310 /ニ長調 K.299 /ニ長調 K.484 /ホ長調 K.162 /
  ハ長調 K.199 /ニ長調 K.145 /ニ短調 K.141 /ホ短調 K.531 /ニ長調 K.177 /ニ長調 K.492 〕

 CD2 [旧・MIR-9920/録音:2003年](#)
 〔ハ短調 K.58 /ヘ短調 K.239 /変ホ長調 K.370 /変ホ長調 K.371 /ホ長調 K.135 /ホ長調 K.215 /
  ホ長調 K.216 /嬰ヘ短調 K.25 /ロ長調 K.261 /ロ長調 K.262 /ホ短調 K.263 /ホ長調 K.264 /
  ト長調 K.314 /ト長調 K.259 /ト長調 K.260 /ハ短調 K.84 〕

 CD3 [旧・MIR-007/録音:2005年](#)
 〔ニ短調 K.213, L.108 /ニ長調 K.214, L.165 /ロ短調 K.227, L.347 /ニ長調 K.511, L.314 /
  ト短調 K.8, L.488 /ハ短調 K.56 / G 356 /ハ長調 K.357, L.456 /ヘ長調 K.468, L.226 /
  ヘ長調 K.525, L.188 /ヘ短調 K.466, L.118 /ヘ長調 K.366, L.119 /ヘ長調 K.276, L.S20 /
  ヘ長調 K.151, L.330 /ニ短調 K.517, L.266 /ロ短調 K.27, L.449 /ト長調 K.146, L.349 〕

 ピエール・アンタイ(Cemb)
 使用楽器:ユルゲン・アンマー(テューリンゲン、ドイツ)復元、1999年〔モデル:製作者不明、1720年〕(*) /フィリップ・ユモー(バルバスト、フランス)製作、2002年〔イタリア式〕(#)。ピエール・アンタイによるドメニコ・スカルラッティのソナタ集全3巻をまとめたBOXセット。アンタイの師であるレオンハルトをはじめ、名だたる鍵盤奏者がこの作品に挑んできたが、それに匹敵するような完成度で収録され、アンタイの強烈な個性と技巧で聴き手を圧倒し、毅然としたタッチ、細部まで組み立てられた演奏で聴かせてくれる。
ハイドンピアノ三重奏曲集
 〔第43番 ハ長調 Hob.XV: 27 /第5番 ト短調 Hob.XV: 1 /第25番 ホ短調 Hob.XV: 12 〕
フンメル:ピアノ三重奏曲第2番 ヘ長調 Op.22
 トリオ・ショーソン[フィリップ・タレク(Vn)
    アントワーヌ・ランドフスキ(Vc) ボリス・ド・ラロシェランベール(P)]
 録音:2014年7月、アンギャン=レ=バン・アートセンター。エンジニア&編集:ユーグ・デショー。トリオ・ショーソンの演奏するハイドンとフンメルのピアノ三重奏曲を収めたアルバム。録音されたのは、パリ近郊の温泉街、アンギャン=レ=バン市にあるアートセンター。2002年にオープンした新しい施設で、音楽、美術、ダンス、映画、建築など様々なジャンルを融合させた面白い企画を打ち出している注目の文化施設。録音を担当するのは、フランスの名エンジニア、ユーグ・デショー。自然で洗練された録音で、美しい楽器の響きと透明感が味わえる。ハイドンのピアノ三重奏曲は、ボザール・トリオ、カザルス・トリオなど往年の名演があるが、トリオ・ショーソンの演奏は、3人のアンサンブルの息もピタリと合って、非常にバランスのとれた演奏を繰り広げている。アルバムの冒頭を飾る43番( Hob.XV: 27)では、活き活きとした音楽と、推進力溢れるドラマティックな表現に聴き惚れる。そしてモーツァルトの内弟子として知られるフンメルのピアノ三重奏曲第2番。第3楽章にはトルコ行進曲が引用されており、軽快なリズムが刻まれる親しみやすい作品。トリオ・ショーソンは、2001年に結成。クレラック音楽祭でショーソンの作品を演奏したことが結成のきっかけ。パリ国立音楽院で、ピエール=ローラン・エマールの室内楽クラスで1等賞を獲得。日本には、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に度々出演して好評を得ている。
ブラームス
 チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38 /
 チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 Op.99 /
 ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 Op.108
  (チェロのための編曲版)
アレクサンドル・
 クニャーゼフ(Vc)
アンドレイ・コロベイニコフ(P)
 録音:2014年10月、バイエルン放送スタジオ2、ミュンヘン。ロシアのチェロ名手、アレクサンドル・クニャーゼフと、ロシアの異才ピアニスト、アンドレイ・コロベイニコフによるブラームス。ブラームス特有のメランコリックな抒情が感じられる第1番。雄弁なチェロとピアノの対話が光る第2番。晩年の作風が色濃く表れたヴァイオリン・ソナタ第3番からのチェロ編曲版。クニャーゼフの豊穣な音楽性と毅然たる風格漂う演奏、そして透徹された美しい音色をもつコロベイニコフのピアノが、ブラームス晩年の寂寥感に満ちた音楽を描き出している。
ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番 ヘ長調「アメリカ」 Op.96
バルトーク:弦楽四重奏曲第2番 / ドホナーニ:弦楽四重奏曲第3番 イ短調 Op.33
 モディリアーニSQ
  [フィリップ・ベルナール(Vn|使用楽器:G.B.ガダニーニ、1780年製
   ロイック・リョー(Vn|使用楽器:ガリアーノ、1734年製
   ローラン・マルフェング(Va
    |使用楽器:ガリアーノ、1734年製〔とあるが、おそらくマリアーニ、1660年製〕

   フランソワ・キエフェル(Vc|使用楽器:ゴフリラー「ヴァールブルク」、1706年製)]
 録音:2015年3月、サル・コロンヌ、パリ。若手クァルテットの台頭が目覚しい近年、一際存在感を見せているモディリアーニ弦楽四重奏団。パリ国立高等音楽院で意気投合した4人が一緒に演奏を始めたのが2003年。以降、世界の名だたるホールや音楽祭に招かれ活動の幅を広げてきた。これまでMIRAREレーベルから発売された5タイトルはいずれも高い評価を受け、ドビュッシー、ラヴェル、サン=サーンスのフランス近代弦楽四重奏曲集(KKC-5305)はレコード芸術特選盤に選ばれている。ドヴォルジャークが3年間のアメリカ滞在中に作曲した作品の1つ弦楽四重奏曲12番。希望に満ちた明るい曲調の中にチェコへの郷愁も漂う人気曲。モディリアーニの推進力溢れる明朗な演奏で聴かせてくれる。バルトークの弦楽四重奏曲第2番は1915年から17年かけて作曲され創作の過渡期にあたる。民族的な側面をモディリアーニの卓越した技巧で鮮やかに聴かせる。そしてハンガリー最後のロマン派作曲家ドホナーニの弦楽四重奏曲第3番。新古典派風の活気に満ちた楽想とハンガリー色が濃くあらわれた甘く美しい旋律が印象的。モディリアーニの心に訴えかける演奏は聴くものを引き込む。
J.S.バッハ
 パルティータ第4番 ニ長調 BWV828 /カプリッチョ 変ロ長調「最愛の兄の旅立ちにあたって」BWV992 /
 イギリス組曲第1番 イ長調 BWV806 /トッカータ ハ短調 BWV911

 レミ・ジュニエ(P)
 録音:2014年9月、ポワティエ・オーディトリアム・シアター (TAP) 。エンジニア:ユーグ・デショー。2013年エリザベート王妃国際音楽コンクールで第2位に輝いたフランスの新世代のピアニスト、レミ・ジュニエ待望のソロ・アルバム。彼は1992年フランスのモンペリエ出身。レナ・シャレシェヴスカヤ(エコール・ノルマル)、ブリジット・エンゲラー(パリ国立音楽院)、エフゲニー・コロリオフ(ハンブルク大学)らに師事。日本では2014年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭に出演し、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏して注目を集めた。ディスクとしては、エリザベート王妃国際音楽コンクールの上位入賞者たちのアルバム(QEC-2013)が発売されているが、セッション録音はこのアルバムがはじめて。内容はオール・バッハでレミ・ジュニエ自身によるこだわりの選曲。バッハの鍵盤作品に多様性を与えるプログラミングで、バッハの構造美を瑞々しい感性で演奏している。例えばパルティータ第4番は、コンクールのディスクにも収録されており、高貴で華やかな演奏を聴かせてくれる。またバッハには珍しい標題音楽のカプリッチョ「最愛の兄の旅立ちにあたって」では、バッハが作曲にあたった背景が見事に描き出されている。2015年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭では、このディスクの曲目も演奏される予定。今後の活躍が大いに期待されるピアニスト。
テレマン:三重奏と四重奏曲集
 ソナタ第2番 ト短調 TWV 43: g1(クァドリ/1730、ハンブルク)/
 三重奏曲第5番 ト短調 TWV 42: g1(1718、フランクフルト)/
 ソナタ ト長調 TWV43: G12 /ソナタ イ短調 TWV42: A7 /
 三重奏曲第2番 ト長調 TWV42: G6(音楽の練習帳/1727、ハンブルク)/
 パリ四重奏曲第6番〜シャコンヌ(モデレ)(1738)
 ラ・レヴーズ[フロランス・ボルトン(ガンバ) シュテファン・デュデルメル(Vn)
          セルジュ・サイッタ(トラヴェルソ) エミリー・オドゥワン(ガンバ)
          カルステン・ローフ(Cemb) バンジャマン・ペロー(テオルボ)]
 録音:2013年9月、サンセール教会。バンジャマン・ペロー率いる古楽専門のコンソート、ラ・レヴーズが、テレマンの三重奏曲と四重奏曲を録音。優雅で気品あるラ・レヴーズの演奏は、テレマンの音楽との相性は抜群。テレマンが求める音楽的要素を見事に再現し、現在はバッハに比べると軽い音楽というイメージが持たれるテレマンの作品を、優れた資質で聴かせる。大バッハと同時代に生きた作曲家テレマンは、当時バッハをしのぐ知名度と人気を誇り、あらゆるジャンルの音楽を作曲した。その中でも重要な位置を占めるのがフルートが花を添える典雅な四重奏曲。テレマンの四重奏曲といえば「パリ四重奏曲」が代表的だが、最初に出版された四重奏曲集「6つの四重奏曲」も忘れることはできない。コンチェルト2曲、ソナタ2曲、そして組曲2曲の合計6曲で構成されており、ここでは第4曲のソナタ第2番がアルバムの冒頭を飾る。軽快で表情豊かな音楽、多彩な魅力に溢れている。この素晴らしい曲集は、初版から6年後にパリでも出版され、パリの演奏家の間で大きな評判を呼び、テレマンはパリへ招待されることになる。それがきっかけで作曲されたのが「パリ四重奏曲」。本アルバムの終曲として同曲集の第6番の『シャコンヌ(モデレ)』が収録されている。三重奏曲では、1718年にフランクフルトで出版された「6つの三重奏曲集」から第5番。そしてソロ12曲、トリオ12曲からなる24曲からなる作品集「音楽の練習帳」から第2番が選ばれている。テレマンは三重奏曲の作曲についてはかなりの自信を持っていたようで、テレマンの特徴である自由な作風と親しみやすいメロディーが引き出された作品。
MIR-266
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(2CD)
ラモー:クラヴサン曲集
 クラヴサン曲集第1巻(1706) /クラヴサン曲集(1724) /王太子妃(1747) /
 新クラヴサン曲集(1726-1727) /コンセール用クラヴサン曲集(1741)
 ベルトラン・キュイエ(Cemb|使用楽器:フィリップ・ユモー、1977年製)
 録音:2014年1月3日、6日、5月19日-20日、ロワイヨモン修道院。1978年ナント生まれのベルトラン・キュイエ。チェンバロ奏者の母ジョスリーヌに手ほどきを受け、その後ルセとピエール・アンタイに学んだ。ニケ指揮コンセール・スピリチュエル、クリスティ指揮レザール・フロリサンとオペラで共演するほか、レ・バス・レウニー、ラ・レヴーズの通奏低音奏者兼ソリストとしても活躍するフランス古楽界の期待のサラブレッド。今回彼が録音したのはフランス・バロックの巨匠ジャン=フィリップ・ラモーのクラヴサン曲集。1706年に出版されたクラヴサン曲集第1巻、1724年に出版された2つの組曲と練習曲、王太子妃、新クラヴサン組曲の2曲そしてコンセール用クラヴサン曲集。各曲の性格を巧みに描き分けながら、優雅な響きフランス「粋」を感じさせる演奏。録音されたのはパリ郊外にあるロワイヨモン修道院。ここに併設されているフランソワ・ラング図書館。20世紀前半のピアニスト、フランソワ・ラング(1908-1944)のコレクションに基づいていて、16世紀から20世紀の作曲家の印刷譜や手稿譜、音楽理論書や作曲家自筆の手紙を数多く所蔵している。そしてラモーのコレクターとして知られているパトリック・フロランタンのラモー・コレクションも所蔵され、キュイエはこの録音に際し、これらのコレクションを参考にしたということ。
影と光〜Ombre et lumière 〜ドメニコ・スカルラッティ:鍵盤のための18のソナタ集
 〔ハ長調 K.420 /イ短調 K.54 /イ短調 149 /ト長調 K.103 /ト長調 K.425 /ホ短調 K.147 /
  ト長調 K.144 /ト長調 K.260 /イ短調 K109 /イ長調 K.279 /ニ長調 K145 /ヘ短調 K.481 /
  変ロ長調 K.551 /ニ短調 K.32 /ニ短調 K.517 /嬰ハ短調 K.246 /嬰ヘ長調 K.318 /ロ短調 K.27 〕

 アンヌ・ケフェレック(P)
 録音:2014年9月、ポワティエ・オーディトリアム・シアター。エンジニア:ユーグ・デショー。アンヌ・ケフェレックのスカルラッティ再録音版。 ERATO へ1970年に録音した13のソナタは彼女の初録音だったが、ピアノで弾いたスカルラッティの演奏として当初から高く評価され、40年以上過ぎた今も定盤として聴き継がれている。今回はアルバムのタイトル「影と光」の通り、スペインに移り住みこの 555曲のソナタのほとんどを当地で作曲、民族色の濃いスペイン・イベリア半島の音楽の影響が感じられる作品も多くあるスカルラッティのソナタにおける、明るい太陽に恵まれた陽気さと、強い日差しが生み出す影を巧みに表現している。ケフェレック自身もスカルラッティのソナタを「陽光と生きる歓び(joie de vivre)に溢れた作品と、憂鬱な闇夜を思わせるような作品」と言っているように緩急を取り混ぜた選曲をしており、ピアノの表現力を生かした素晴らしい演奏を聴かせる。
J.S.バッハ
 イタリア協奏曲 BWV.971 /カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV.992 /
 シンフォニア第11番 ホ短調 BWV.797 /パルティータ第1番 変ロ長調 BWV.825 /
 インヴェンション第14番 変ロ長調/半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903
  クレール=マリ・ル・ゲ(P)
 録音:2014年6月、ヴィルファヴァール農場。エンジニア:セシル・ルノワール。『バッハの音楽は、地球に深く根を張った樹木のように、空に向かって枝を伸ばし、音楽的生命力に溢れています。演奏するためには、バッハと対話しなくてはなりません。この深遠で本質的な旅は、バッハの天才性に支えられているのです。』(クレール=マリ・ル・ゲ) 現代フランスを代表するピアニストの一人、クレール=マリ・ル・ゲ。これまでモーツァルトやロマン派、現代音楽を中心としたレパートリーを組んでいたが、遂にバッハを録音した。知的な表現と大胆なアプローチで曲を構築し、バッハの肖像を明らかにしている。
ミシェル・コルボ〜スコラ・エテルナ、聖母マリアへの聖歌
 フランク:天使の糧(2種)〔ソプラノ独唱/テノール独唱〕/主よ、私たちを罰しないで下さい/
      アヴェ・マリア/このお方はどなたか/主の右手は
 ラドミロー:古いブルターニュの頌歌集 / ロパルツ:3声のミサ / アラン:旋法的なミサ
 ベルティエ:諸聖人の日の奉納唱/アヴェ・マリス・ステラ/タントゥム・エルゴ/アヴェ・マリア

  ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブル
 録音:2014年8月18日-19日、ヴィルファヴァール。 ミシェル・コルボとローザンヌ声楽アンサンブルによる19世紀後半から20世紀に書かれた聖母マリアへの聖歌集。19世紀後半から20世紀にかけてフランスではルネサンス時代のポリフォニーと対位法を再び見直す新しい動きがあった。その運動の中心にいたのが、和声の研鑽と進歩的なアプローチを推進していたパリ音楽院に対立するように1894年に創立されたスコラ・カントルムだった。本アルバムでは、スコラ・カントルムによって継承されたポリフォニーの黄金時代の技術を顕著にあらわした作曲家たちの作品を収録している。フランクの「パニス・アンジェリカス/天使の糧」は荘厳ミサ曲の中の作品。慈悲深く美しい旋律は、単独でも演奏されることの多い曲。ソプラノとテノールの2つのソリストのバージョンを収録している。そしてフォーレの優秀な弟子であったポール・ラドミロの「古いブルターニュの頌歌集」。フランス西部のブルターニュ地方に伝わるケルト民謡が織り込まれた美しい作品。ポール・ベルティエは、フランス中央部のオセールに生まれたオルガニスト兼作曲家。フランスの木の十字架少年合唱団″の創立者としても知られている。聖体の秘蹟を賛美し、父と子と精霊を讃える歌「タントゥム・エルゴ」は、ベルティエの洗練された旋律と熟練した形式美が特徴。ブルターニュ出身のギィ・ロパルツは、パリ音楽院で、和声法をデュボワ、作曲をマスネに学んでいたが、フランクとその一派の音楽に触れ、フランクの忠実な弟子として作品を発表した。「3声のミサ」は、美しい純粋なハーモニーは印象的で、特にアニュス・デイは、ウィリアム・バードの「3声のミサ」を思わせる各パートの音色が濁りなく柔らかに澄み切った響きを聴かせてくれる。マリー=クレール・アランの兄で29歳の若さで戦死したジャン・アラン。神秘的な美しさをもつ「7重奏のための旋法的なミサ」。短い生涯で残した作品は、無調音楽ではなくエレガントで多様な色彩感をもつ物。ミシェル・コルボとローザンヌ声楽アンサンブルの天国的な美しさは作品の本質を捉え、静謐さ、崇高さをより際立たせている。
Danses - Duo Jatekok
 ボロディン/ニコライ・ソコロフ編曲:だったん人の踊り / ラヴェル/作曲者編曲:スペイン狂詩曲
 グリーグ:ヴァルス=カプリス Op.37 /ノルウェー舞曲集 Op.35 / バーバー:スーヴェニール Op.28

 デュオ・ヤーテーコク[アデライード・パナジェ、ナイリ・バダル(P)]
 録音:2013年8月27日-30日、コーク音楽学校公会堂、アイルランド。女優と見まごう若きふたりの美人による期待のピアノ・デュオ、デュオ・ヤーテーコクの出現。幼い頃からの親友で、ともにパリ音楽院でブリジット・アンジェレ〔エンゲラー〕とニコラ・アンゲリッシュ、さらにクレール・デゼールに師事、2007年にデュオ・ヤーテーコクを結成した。ヤーテーコクとはハンガリー語で「play」の意味。切れ味良いテクニック、息のあったアンサンブルに加え、独特の華やかさとオシャレな感覚はスターになる要素をすべて持っている。デビュー・アルバムとなる当ディスクは、世界各国の作品を集めているが、タイトルはずばり「ダンス」。彼女たちの魅力であるオシャレで元気の良い世界を展開する。注目はボロディンの「だったん人の踊り」。リムスキー=コルサコフの弟子だったニコライ・ソコロフの編曲で、非常に効果的。ふたりの恩師であるブリジット・エンゲラーがボリス・ベレゾフスキーと愛奏していたもので、エンゲラーの強い薦めで録音したとのこと。有名なテーマの歌いまわしも独特なカッコ良さに聴き惚れるだけでなく、後半の急速で派手な盛り上がりもピッタリと合い、興奮させられる。またラヴェルの精巧極まりない「スペイン狂詩曲」、グリーグの民族色、バーバーの古き良きアメリカを感じさせる「スーヴェニール」と、いずれも輝きに満ちている。要注目。
セメレ
 マラン・マレ:音楽悲劇「セメレ」(抜粋) / デトゥーシュ:シンフォニーとソロのためのカンタータ「セメレ」
 ヘンデル:音楽劇「セメレ」(抜粋)/オラトリオ「テオドーラ」(抜粋)/合奏協奏曲 ヘ長調 Op.3 No.4, HWV 315 /
      オラトリオ「快活の人、沈思の人、温和の人」〜愛らしい鳥/カンタータ「炎の中で」

 シャンタル・サントン=ジェフェリー(S) メロディ・ルヴィオ(A)
 マルゴー・ブランシャール、シルヴァン・サルトル(音楽監督) レ・ゾンブル
 録音:2013年6月、ボネ絹博物館、ジュジュリュー、フランス。ギリシャ神話に登場する美しい女性「セメレ」を題材にした作品を収録したアルバム。まずマラン・マレの音楽悲劇「セメレ」。近年発見された楽譜をもとにエルヴェ・ニケによる復元版が演奏されるなど話題となっている作品で、マレの充実した音楽が展開されている。次にバレエ音楽「四大元素」で知られるフランス・バロック期の作曲家、デトゥーシュ。マレと同じくアントワーヌ・ウダール・ド・ラ・モットのテキストを用いたシンフォニーとソロのためのカンタータ「セメレ」を書いた。そして「セメレ」を題材とした一番有名なヘンデルの音楽劇。ヘンデルの冴え渡る技法を堪能できる作品。美しい人間のセメレの前に現れた人間の姿をした神ジュピター。ジュピターの子を身ごもったセメレに嫉妬心を抱く妻ジューノ。最後にはジュピターの雷光にあたってセメレは死んでしまう。登場人物の巧みな心理描写はまさにヘンデルの傑作と言えるだろう。演奏は、Fl−tr奏者のシルヴァン・サルトルとヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のマルゴー・ブランシャールによって2006年に設立された古楽アンサンブル、レ・ゾンブル。これまでにAMBRONAYレーベルよりアルバムを2作リリースしており、バロック界の次代を担う注目の若手団体として注目されている。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル2014公式CD〜プラタナスの木の下に佇むピアノ
 ソレル:ソナタ ホ短調第129番 R.451[ルイ・フェルナンド・ペレス]
 J.S.バッハ:前奏曲 変ロ短調 BWV853[シュ・シャオメイ] / クープラン:神秘のバリケード[イド・バル=シャイ]
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ ハ短調 K.457 / ドビュッシー:月の光 / アーン:冬[アンヌ・ケフェレック]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調 Op.31 No.2「テンペスト」〜第3楽章[アブデル・ラーマン・エル=バシャ]
 シューマン:予言の鳥[マタン・ポラト] / リスト:巡礼の年第1年〜泉のほとりで[ニコラ・アンゲリッシュ]
 シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 Op.11[アダム・ラルーム]
 ショパン:前奏曲 変ニ長調「雨だれ」Op.28 No.15[フィリップ・ジュジアーノ]
 ラフマニノフ:前奏曲 嬰ト短調 Op.32 No.12 / チャイコフスキー:中程度の12の小品 Op.40 No.8[ボリス・ベレゾフスキー]
 ラフマニノフ:ひなぎく Op.40 No.8[クレール=マリ・ルゲ]
 ビゼー:子供の遊び Op.22「小さい旦那様、小さい奥様」[クレール・デゼール&エマニュエル・シュトロッセ]
 ラヴェル:夜のガスパール〜オンディーヌ[ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ]
 ヒナステラ:優雅な乙女の踊り[シャニ・デュリカ] / ガーシュウィン:3つの前奏曲[ジャン=フランソワ・エッセール]
 南仏プロヴァンス地方のラ・ロック・ダンテロンで、1981年より開催されている国際ピアノ・フェスティヴァル。地元の村長ポール・オノラティニと、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭のプロデューサーとしても知られるルネ・マルタンによって創設された。2014年に34回目を迎え、世界中から集まった音楽家たちが、プラタナスの木が茂る野外ホールでコンサートを行なう。フェスティヴァルの常連のMIRAREアーティストによるコンピレーションCD。
テレマン:四重奏曲集
 2つのソナタ〔イ長調 TWV43: A1 /ト短調 TWV43: G1 〕/協奏曲 ト長調 TWV43: G1 /
 6つの組曲からなる新四重奏曲集〜四重奏曲第6番 ホ短調 TWV 43: E4

 レ・ゾンブル[シルヴァン・サルトル(Fl−tr) マルゴー・ブランシャール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
         ジョナサン・ペシェク(Vc) ナディア・ルソニエ(Cemb)]
 録音:2013年。新進気鋭のバロック・アンサンブル、レ・ゾンブルによるテレマンのパリ四重奏曲集。「クァドリ(四重奏曲集)」は1730年、ハンブルクで出版された曲集。コンチェルト2曲、ソナタ2曲、そして組曲2曲の合計6曲で構成されている。「パリ四重奏曲集(新しい四重奏曲集)」は1738年、パリで出版された6曲からなる曲集。いずれも、Fl−tr、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバまたはチェロ、そして通奏低音という楽器編成。軽快で表情豊かな音楽、多彩な魅力に溢れている。
ラインハルト・カイザー(1674-1739):マルコ受難曲
 ヤン・コボウ(T;福音史家) トーマス・E.バウアー(B;イエス)
 アマンディーヌ・ベイエ(Vn) ジョエル・スュユビエット指揮
 アンサンブル・リ・インコーニティ、ジャック・モデルヌ・アンサンブル
 録音:2014年4月。アマンディーヌ・ベイエとジョエル・スュユビエットの案により、リ・インコーニティとジャック・モデルヌという2つのアンサンブルの共演が実現。現在の研究では「マルコ受難曲」は、ラインハルト・カイザーの作品ではないという見方があるが、ニコラウス・ブルーンスやラインハルトの父ゴットフリートなど他の作曲家である説も確実には証明されていない。18世紀初期に演奏される機会が増えた受難曲。バッハも1726年にラインハルト・カイザーの「マルコ受難曲」を演奏したという記録が残っており、バッハはカイザーの音楽を高く評価していたということもあり、カイザーの作品にバッハ自身のオリジナル曲を追加、編曲を加えていたといわれている。バッハの「マルコ受難曲」は1731年にライプツィヒのトーマス教会で初演された記録が残っているが、楽譜については消失している。この録音は1713年ワイマールで演奏された版に基づいた、カルス出版から出されているハンス・ベルクマン版を使用している。
MIR-252
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(2CD)
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ユリアンナ・アヴデーエワ
 シューベルト:3つのピアノ曲
 プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 Op.83
 ショパン:24の前奏曲 Op.28
ユリアンナ・アヴデーエワ(P)
 録音:2014年2月10日-13日、ピエール・ド・ロンサール・オーディトリウム、コンヴェンションセンター、レ・ヴィンチ。『プロコフィエフの経歴を勉強しているときに思いついたプログラムです。プロコフィエフは、1918年ロシアからアメリカへの亡命を決めました。その際アメリカへ渡る前に日本を訪れています。日本で行われたリサイタルのプログラムには、日本の聴衆の好みに合わせるため、自作とショパンが含まれていました。さらにその後渡米した時にプロモーターから古典的なレパートリーも組み込んで欲しいとリクエストされ、その要望を受けプロコフィエフはシューベルトのワルツ集を編曲しています。そうした経緯を知り私は異なる3人の作曲を一つのアルバムに収録したいと考えました。』(ユリアンナ・アヴデーエワ) 2010年ショパン国際コンクールにおいて、アルゲリッチ以来となる女性ピアニストの優勝者として一躍注目され、世界各地で行われたリサイタルも、卓越したテクニックと完成された音楽性で絶賛、レパートリーもJ.S.バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、20世紀の作曲家と幅広いユリアンナ・アヴデーエワが、自らの選曲アルバムで MIRARE レーベルへ登場。
J.S.バッハ
 コラール「ただ愛する神の摂理にまかす者」BWV691 /幻想曲とフーガ イ短調 BWV944 /
 イギリス組曲第2番 イ短調 BWV807 /コラール「ただ、愛する神のみ旨に従うものは」BWV690 /
 コラール「わが確信たるイエスは」BWV728 /イタリア協奏曲 BWV971 /イギリス組曲第6番 ニ短調 BWV811

 ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2014年4月、ハールレム、オランダ。使用楽器:ミヒャエル・ミートケ、ベルリン、1702年製/ウィリアム・ダウド、パリ、1984年製/ブルース・ケネディ、アムステルダム、1994年製。鬼才チェンバロ奏者ピエール・アンタイによる、バッハのイタリア協奏曲、イギリス組曲などライプツィヒ時代の鍵盤作品を中心にしたアルバム。バッハは、ヴァイマール時代にヴィヴァルディを筆頭とするイタリアの協奏曲の形式に魅せられ、以降研究を重ね編曲を含めいくつかの作品を完成させた。特に「イギリス組曲」の第2番からイタリア・バロックのスタイルを模した音楽を書き、「イタリア協奏曲」はそうした研究の成果を存分に有しており、華やかなイタリア風の様式を1台のチェンバロで弾く意欲的な作品で、バッハには批判的であったヨハン・アドルフ・シャイベも、この作品には「単一楽器による協奏曲の模範」という賛辞を与えている。ピエール・アンタイの演奏は、確かな構成力と絶妙なアーティキュレーションとアゴーギク、そして圧倒的な技巧による闊達とした華やかさが魅力。さらにイギリス組曲でもクーラント、ジーグなどでは、軽快で自由開放的、爽快な音運びで聴かせてくれる。さらに間に収録されているコラール3曲と幻想曲とフーガ イ短調 BWV944。「キルンベルガー・コラール集」と呼ばれている曲集からの2つのコラール。オルガン小曲集ほど知られてはいないが、ソプラノに出る定旋律を、豊かな装飾音で流麗に聴かせる、美しいコラール。さらにバッハが後にオルガン曲(BWV543)に改作している16分音符の長大な主題が印象的なフーガBWV944。独創的な作品を見事な構築力で丁寧に音楽を奏で、バッハの真髄が垣間見られる演奏。
ブラームス:クラリネットのための作品集
 クラリネット三重奏曲 イ短調 Op.114 /
 クラリネット・ソナタ ヘ短調 Op.120 No.1 /
 クラリネット・ソナタ 変ロ長調 Op.120 No.2
ラファエル・セヴェール(Cl)
アダム・ラルーム(P)
ヴィクトル・ジュリアン=
 ラファリエール(Vc)
 録音:2014年1月6日-8日、パリ、サル・ガヴォー。名作クラリネット五重奏をはじめとした晩年のブラームスのクラリネット作品の陰には当時の名手ミュールフェルトの存在があったことは周知のこと。作曲家として引退を決意していたブラームスに再び創作への意欲を駆り立てたのがマイニンゲン宮廷o.のクラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトだった。その後ブラームスは立て続けにクラリネット三重奏曲、クラリネット五重奏曲を書き上げ、その後2つのクラリネット・ソナタを作曲している。中でもクラリネット三重奏曲は、ブラームス自身のお気に入りの作品。冒頭から哀愁漂わせる旋律をチェロ、そしてクラリネットと奏でられ、静かに作品の世界にいざなう。2つのクラリネット・ソナタはブラームスが残した最後の室内楽作品。クラリネットの特性を生かし、晩年のブラームスの円熟した技法で生み出された見事な表現力を発揮させた曲。また、ここに収録されている3作品はヴィオラのレパートリーとしても親しまれている。クラリネットを演奏するのは、1994年生まれのラファエル・セヴェール。2010年にフランスのヴィクトワール・ド・ラ・ミュージックに選出された注目の若手。14歳でパリ国立音楽院に入学。これまでジェラール・コセ、アンリ・ドマルケット、エベーヌ四重奏団、チェコ・フィル、シンフォニア・ヴァルソヴィアなどと共演している。ふくよかで美しい音を持ち、豊かな音楽性、安定したテクニックで将来が楽しみな奏者。ピアノを担当するのは、2009年クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールの優勝者アダム・ラルーム。彼の寄り添うようなピアノも光っている。チェロは、アダム・ラルームと梁美沙と共にトリオ・レゼスプリで活動しているヴィクトル・ジュリアン=ラファリエールが務めている。
アメリカン・ジャーニー
 バーンスタイン:セレナード(プラトン「饗宴」による) / バーナード・ハーマン:弦楽のための「サイコ」組曲
 バーバー:弦楽のためのアダージョ / ガーシュウィン:3つの前奏曲(*) / アイヴズ:答えのない質問

  タイ・マレイ(Vn;*以外)
  ジャン=フランソワ・エッセール(P)指揮(*以外) ポワトゥー=シャラントo.(*以外)
 録音:2013年10月、オードトリウム劇場、ポワチエ。本年のナントのフォル・ジュルネ音楽祭のテーマはアメリカ。それを記念してのアメリカ音楽アルバムは、ジャン=フランソワ・エッセールのピアノと指揮という超注目盤。プラトンの「饗宴」によるバーンスタインの「セレナード」はヴァイオリン独奏、弦楽、ハープと打楽器から成り、ヴァイオリン独奏をアメリカの女流タイ・マレイが務めている。また、ヒッチコックの映画「サイコ」のあの不気味な音楽を最新録音で聴くことができるのも魅力。さらにエッセールは、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」情感たっぷりに、ガーシュウィンの「3つの前奏曲」ではスウィングをきかせたジャズ風演奏でたっぷり楽しませてくれる。
J.S.バッハ待降節&クリスマスのカンタータ集
 〔第110番「われらの口を笑いで満たし」BWV110 /第151番「甘き慰め。わがイエスは来ませり」BWV151 /
  第63番「キリストの徒よ、この日を彫り刻め」BWV63 〕

 マリア・コヘイン(S) カルロス・メーナ(CT)
 ユリアン・プレガルディエン(T) シュテファン・マクロード(B)
 フィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソート
 録音:2012年11月、ベルギー。ピエルロ&リチェルカール・コンソートのクリスマス期の礼拝カンタータ集。各パート1名のいわゆるOVPP (One Voice Per Part)を採用した繊細で緻密な演奏で、ソプラノ、アルト、テノール、バスの流れるような歌唱が一段と美しく、透明感ある音色がクリスマス用の祝祭的な雰囲気とぴったりとあっている。特に第63番「キリストの徒よ、この日を彫り刻め」の華やかな冒頭、厳かで清らかに歌われる第151番「甘き慰め。わがイエスは来ませり」、慈愛に満ちた第110番「われらの口を笑いで満たし」と、充実した演奏で聴かせてくれる。
デュカ:ピアノ作品全集
 牧神のはるかなる嘆き/ピアノ・ソナタ 変ホ短調/
 ラモーの主題による変奏曲、間奏曲と終曲/ハイドンの名による悲歌的前奏曲
  エルヴェ・ビヨー(P)
 録音:2013年9月16日-18日、ロシュボン城教会。エルヴェ・ビヨーはパリ音楽院でジェルメーヌ・ムニエとジャン・ユボーに師事し、16歳で一等賞となった。非常な技巧派で、アルベニスの「イベリア」全曲の快演CDもある。デュカのピアノ曲はこの4篇しか残されていないが、ピアノ・ソナタは演奏時間が42分半もかかる大曲。技術的な難しさに加え、巨大で堅固な構成力が要求される難物。ビヨーは早目のテンポで聴き手をぐいぐいとひっぱる。フィナーレの盛り上がりなど、オーケストラに勝る凄さ。「ラモーの主題による変奏曲、間奏曲と終曲」はさほど有名ではないが、恐るべき難曲。ビヨーは楽々とこなし、曲の美しさをたっぷり味わせてくれる。
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第6番 変ホ長調 Op.70 No.2
シューマン:ピアノ三重奏曲第3番 ト短調 Op.110
 トリオ・レゼスプリ [Trio Les Esprits]
 [アダム・ラルーム(P) 梁美沙〔ヤン・ミサ〕(Vn)
  ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール(Vc)]
 録音:2013年4月28日-30日、サル・ガヴォー、パリ。トリオ・レゼスプリのデビュー・アルバム。クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールの覇者アダム・ラルーム、マルクノイキルヘン国際コンクールで第2位を獲得しフランスを中心に高い評価を得ているチェリスト、ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール、そして大阪出身でパリ国立音楽院に学んだヴァイオリニスト、梁美沙の3人は、2009年に初めて共にコンサートを行いって互いの音楽性に共感、2012年正式にピアノ・トリオを結成した。パリのシャンゼリゼ劇場にデビュー後、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭、ドヴィール・イースター音楽祭など数々の音楽祭に参加し、結成わずか2年にも関わらず、世界の音楽関係者の注目を集めている。デビュー・アルバムとなる本作には、ベートーヴェンとシューマンの全く異なる性格の作品が選ばれた。ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第6番は、名作「幽霊」と「大公」に挟まれた比較的地味な曲だが、豊かな楽想と穏やかな旋律が魅力。エネルギーに溢れた快活なフィナーレでは、親密なアンサンブル、充実した音楽性そして若い彼らの活気に満ちた演奏を聴かせてくれる。一方内省的でドラマティックなシューマンのピアノ三重奏曲第3番では、濃厚な情念が込められた力演を披露してくれる。この曲は不安と激情を繰り返す独特の緊張感、そして思わずため息が出るような美しく甘美な旋律といったシューマンの美点が集約されており、シューマンが精神を病む晩年を飾る傑作の一つと言ってよいだろう。この演奏で最も印象的なのが、ヴァイオリンの梁 美沙。彼女は感情を全面に押し出した演奏が特徴だが、このシューマンは彼女の中にある情熱がいっきに表出したかのような、衝撃的な演奏。そしてピアノもチェロも彼女のパッションに吸い寄せられるように、力強く躍動的な音楽を聴かせてくれる。
星のかけら〜シューベルトピアノ作品集〜
 感傷的なワルツ D.779 〜 No.13 /16のドイツ舞曲 D.783 より Nos.5, 14-15, 10 /
 12のワルツ D.145 より Nos.2, 8 /12のドイツ舞曲 D.790 より Nos.5, 11, 3 /
 高貴なワルツ D.969 〜 No.10 /オリジナル舞曲集 D.365〜 No.1 /ハンガリー風のメロディD.817 /
 ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960

 シャニ・ディリュカ(P)
 録音:2013年9月、芸術文化センター、ナンテール、フランス。 スリランカ出身の両親のもと、モナコで生まれ育ち、グレース王妃に見出され英才教育を受け、次世代のピアノ界を牽引する若手として成長を遂げ、毎年ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンにも参加している才能溢れるピアニスト、シャニ・ディリュカによるシューベルト。ピアノ舞曲を中心に選曲した内容。シューベルトは2手および4手のための作品をあわせると600以上のピアノ舞曲を作曲している。それらはすべて踊ることを目的としており、その多くが友人たちの集うシューベルティアーデで生まれた実用的な作品であった。ちょうどシューベルトが舞曲を書き上げた時期は、貴族的な舞踏から民衆・中産階級の人々が親しむものへと変化した時代でもあり、そうした背景もあり多くの作品が生み出された。一つ一つは短い曲だが、次々とテンポや調性が変化する即興性があり、星のかけらをひとつずつ集めて行くような楽しさがある選曲。アルバムの最後には、シューベルト最後のピアノ・ソナタ第21番が収録されており、晩年の崇高で穏やかなシューベルトの世界が果てしなく広がるような雄大さを感じる演奏を聴かせてくれる。
ルート66 〜アメリカのピアノ作品集
 ジョン・アダムズ:中国の門 / キース・ジャレット:マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ
 グレインジャー:子守歌 / バーバー:パ・ドゥ・ドゥ / エイミー・ビーチ:ヤング・バーチズ
 ビル・エヴァンズ:ワルツ・フォー・デビイ / フィリップ・グラス:エチュード第9番
 バーンスタイン:フェリシア・モンテアレグレのために/間奏曲/アーロン・コープランドのために
 コープランド:ピアノ・ブルース第1番「レオ・スミットのために」 / ヒナステラ:優雅な乙女の踊り
 ジョン・ケージ:イン・ア・ランドスケープ / ヒャン=キ・ジュー:シャンデルアーズ
 ガーシュウィン:愛するポーギー(キース・ジャレット編曲)/愛が訪れた時(グレインジャー編曲)

 コール・ポーター/ラファエル・メルラン編曲:
  ミュージカル「ウェイク・アップ・アンド・ドリーム」〜恋とはなんだろう(*)
  シャニ・ディリュカ(P) ナタリー・デッセー(S;*)
 録音:2013年11月。モナコ出身のピアニスト、シャニ・ディリュカ。アメリカのビート・ジェネレーションを代表する作家ジャック・ケルアックの著書「路上(オン・ザ・ロード)」にインスパイアされて彼女自身が選曲したアメリカ・ピアノ音楽集。アルバムのタイトルにもなっている「ルート66」は、ケルアックの「路上」にも登場するシカゴとサンタモニカを結んでいた国道66号線。今は廃線になっているが、20世紀中頃のポップ・カルチャーの中で度々題材とされ愛され、今なおその名が残っている。アルバムは、ミニマル音楽のジョン・アダムズ「中国の門」にはじまり、キース・ジャレットの名曲、ジャズ・ピアニストのビル・エヴァンズの愛らしい作品、バーンスタインの妻フェリシア・モンテアレグレに捧げられたピアノ曲、ガーシュウィンの傑作<ポーギーとベス>からのキース・ジャレット編曲作など多彩な内容で、若い男女の青春と苦悩を描いた「路上」と同じく、喜びや切なさ、孤独感、渇望、さまざまな感情が入り混じったピアノ作品が収録されている。さらにアルバムの最後にはコール・ポーターの「恋とはなんだろう」をフランスの歌姫ナタリー・デッセーが歌っている。穏やかな美しいデセイの歌声で響く極上の一曲。
ガブリエル・デュポン(1878-1914):
 ピアノと弦楽四重奏のための詩曲/ピアノのための組曲「療養の時」より
  〔墓碑銘/陽をあびる庭/日曜日の午後/友が花を持って来る/思わせぶり/庭で遊ぶ子供たち/平穏〕/
 ピアノのための組曲「砂丘の家」より〔思い出の家/幸せの憂鬱〕/ヴァイオリンとピアノのための「春の日」

  マリー=カトリーヌ・ジロー(P) プラジャークSQ
 録音:2013年8月、マルティーネク・スタジオ、プラハ。ガブリエル・デュポンはラヴェルと同世代のフランスの作曲家。36歳で夭折したため作品数は少ないものの、ラフマニノフのようなロマンとショーソンのようなエスプリに満ちた独特の世界を垣間見せ、最高の発見をしたような気分にさせられる。ピアノ組曲「療養の時」は、デュポンが肺炎でサナトリウム生活を送っていた 25-27歳の頃の作で、全14曲の大作。内容は少しもネガティブでなく、堀辰雄の文学を思わせる清々しさとセヴラックのような陽光を感じさせる。ここでは7篇が選ばれている。「詩曲」は30分を超える大作だが、ラフマニノフ調の出だしから釘づけにされる。2014年のフォルジュルネ音楽祭でも好評を博したマリー=カトリーヌ・ジロー。知られざるフランス作品をエレガントで香り高く披露している。チェコの名団体プラジャークSQも力演。
J.S.バッハ音楽の捧げもの BWV 1079
 3声のリチェルカーレ/王の主題による無窮カノン/トリオ・ソナタ/無限カノン/
 王の主題による各種のカノン/上方5度のカノン風フーガ/6声のリチェルカーレ/謎のカノン

 リチェルカーレ・コンソート
  [モード・グラットン(Cemb) マルク・アンタイ(Fl)
   フランソワ・フェルナンデス(Vn) フィリップ・ピエルロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)]
 録音:2011年11月、フランス、ルールマラン教会。フィリップ・ピエルロ率いるリチェルカーレ・コンソートによる「音楽の捧げもの」。ピエルロは遅かれ早かれこのバッハ晩年の傑作に挑まなければならないと考えていた。作品の偉大さはもちろん、王への献辞の頭文字をつなぐと彼らのグループ名に由来する「 RICERCAR 〔リチェルカーレ〕」となるから。また楽器編成や、曲順についても議論されることが多い作品でもある。このアルバムでの曲順は、1747年の初版譜に基づいている。初版は3部に分かれており、トリオ・ソナタは4楽章ではなく、無窮カノンを含む5楽章編成としている。楽器編成はヴァイオリン、フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロの各パート1人。音楽の精髄を極めたこの作品を、格調高く演奏している。チェンバロを担当するのは、ピエール・アンタイに学んだフランスの若手モード・グラットン。冒頭の3声のリチェルカーレでは、厳格に、後半の6声のリチェルカーレでは精緻かつ多彩に聴かせる。
MIR-236
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(3CD)
ラ・フォル・ジュルネ音楽祭20周年記念アルバム
 1995年にフランス北西部の町ナントではじまった「ラ・フォル・ジュルネ」音楽祭。2014年は記念すべき20回目の開催。このアルバムには、第1回のモーツァルトから最新2014年の「峡谷から星たちへ(アメリカ音楽)」まで、テーマとなった作品が45曲収録されている。また今注目の若手指揮者山田和樹によるブラームスのハンガリー舞曲第4番(『ポール・ジュオン編』などと書かれているが、おそらくパウル・ユオン編曲)など、MIRAREレーベルからCD化されていない音源も収録。ブックレットには第1回からのポスターも掲載されており、芸術監督であるルネ・マルタン氏の多彩なプログラミングの妙を再確認出来る。
MIR-235
(4CD)
廃盤
J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集
 〔第1巻(*) /第2巻(#) 〕
シュ・シャオメイ(P)
 録音:2009年5月、ノートルダム・ド・ボン・スクール教会、パリ(*)、2007年4月、2009年4月、ヴィルファヴァール農場、リムザン、フランス(#)。旧品番:MIR-103(*) &MIR-044 (#) のセット化。
ラヴェルピアノ作品集
 夜のガスパール/高雅にして感傷的なワルツ/
 クープランの墓
ジャン=フレデリク・
 ヌーブルジェ(P)
 録音:2013年5月、フェルム・ドゥ・ヴィユファヴァール。1986年生まれ、2007年にサントリーホールで華々しいリサイタル・デビューを飾り、2009年再来日の際も高評価を受け、ピアノ界が今最も注目する若き天才ピアニストの一人、ヌーブルジェのラヴェル。繊細にしてクリアな音色が要求される「夜のガスパール」第1曲のオンディーヌから、別世界へと誘われるよう。対照的に、「高雅にして感傷的なワルツ」では、ラヴェルのシニカルともいえる和声での独特の響かせ方、辛辣ともいえる3拍子のリズムの取り方、そしてふっと薫る優雅さなど、変幻自在、余裕たっぷりに聴かせる。最後の「クープランの墓」最大の難曲「スカルボ」も、実に鮮やか。少しの乱れもない。底知れぬ才能とセンスを感じる1枚。
ハイドン弦楽四重奏曲集
 〔第75番 ト長調 Op.76 No.1, Hob.III: 75 /
  第44番 変ロ長調 Op.50 No.1, Hob.III: 44 /
  第81番 ト長調 Op.77 No.1, Hob.III: 81 〕
モディリアーニSQ
[フィリップ・ベルナール、
 ロイック・リョー(Vn)
 ローラン・マルフェング(Va)
 フランソワ・キエフェル(Vc)]
 録音:2013年4月21日-24日、ラ・グランジュ、エヴィアン=レ=バン。『今日世界で最も優れたカルテット』(南ドイツ新聞)とも称されるモディリアーニ弦楽四重奏団。2013年に結成10年を迎え、今後さらに熟成されたアンサンブルを聴かせてくれるに違いない期待のカルテット。ドビュッシー、サン=サーンス、ラヴェルを収録したフランス近代弦楽四重奏曲集(MIR-188)では、瑞々しいアンサンブルと豊かな表現力でレコード芸術で特選盤に選ばれるなど高い評価を得た。今回のアルバムはMIRAREレーベル第1作(MIR-065)でも取り上げたハイドンの弦楽四重奏曲集。エルデーディ四重奏曲集の中の第1曲として親しまれているハイドンらしいユーモアを効かせた第75番。フリードリヒ・ヴィルヘルム2世に献呈されたプロシア四重奏曲集の第1曲である第44番は、快活で生命力に溢れた作品。そしてハイドン最後の弦楽四重奏曲集となったロプコヴィッツ四重奏曲集の第1曲第81番。気品漂う音楽的にも非常に充実した曲で、それぞれの楽器が美しく絡み合い、モディリアーニの堅密なアンサンブルが見事に弾き上げている。
ハイドン:チェロ協奏曲集(*)
 〔第1番 ハ長調/第2番 ニ長調〕
モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K201
タチアナ・
 ヴァシリエヴァ(Vc;*)
オーギュスタン・デュメイ指揮
ワロニー王立室内o.
 卓越したテクニックと非凡な音楽的センスで注目されているロシアの女流チェロ奏者タチアナ・ヴァシリエヴァ。2013年まで首席指揮者を務めることが決まっているオーギュスタン・デュメイ率いるベルギーのワロニー王立室内o.との共演で、ハイドンの協奏曲を録音、併せてデュメイがワロニー王立室内管就任以来希望していた、モーツァルトの交響曲第29番もカップリング。ヴァシリエヴァのハイドンの世界を楽しむような余裕ある弓さばきは、自然な音楽を作り上げている。デュメイお気に入りのモーツァルトの交響曲第29番。イタリア様式から脱却し、ウィーン様式を巧みに用いた作品と言われ、生き生きとし、変化に富んだ作曲技法が結合したモーツァルト10代の作品の中でも、25番と並んで人気の高い作品。デュメイ自身も度々コンサートで取り上げる程の得意曲であるように、ワロニー王立室内管の持ち味が遺憾なく発揮され、細部までこだわった造形と新鮮で遊び心溢れる豊かな演奏は、モーツァルトの音楽が水を得た魚のように躍動している。
ファリャ
 交響的印象「スペインの庭の夜」(*)
 三角帽子からの3つの踊り/アンダルシア幻想曲/
 「恋は魔術師」より〔きつね火の踊り/恐怖の踊り/
           魔法の輪/火祭りの踊り〕
ルイス・
 フェルナンド・ペレス(P)
カルロ・リッツィ指揮(*)
バスク国立o.(*)
 録音:2013年4月11日-12日、ボルドー・オーディトリウム(*) /2013年6月15日-17日、アルカラ・デ・エナレス音楽室(*以外)。フォル・ジュルネ音楽祭でもお馴染みのルイス・フェルナンド・ペレス。冴えたテクニックと独特のリズム感による明快な音楽性で、ラローチャ亡き後のスペイン・ピアノ界を背負う筆頭とみなされている。ペレスのスペイン物はどれも素晴しいのひと言に尽きるが、今回は待望のファリャ作品集。ピアノとオーケストラのための協奏作品「スペインの庭の夜」は2013年のフォル・ジュルネ音楽祭での名演が語り草となっているので、録音の登場は大歓迎。アルベニスやグラナドスと比べ、ファリャのピアノ独奏曲は多くなく、ポピュラーなものはない。このアルバムは「スペインの庭の夜」をメインに、バレエ音楽「三角帽子」と「恋は魔術師」から、ファリャの作品中最も人気のあるナンバーを作曲者自身がピアノ独奏用に編曲したものを集めるという秀逸かつ魅力的なラインナップとなっている。ギター風の打鍵、セギディーリャやファンダンゴのリズムの巧さが特筆されるが、「火祭りの踊り」のすさまじい効果も興奮させられる。
スクリャービン:練習曲集(全曲)
 練習曲 嬰ハ短調 Op.2 No.1/12の練習曲 Op.8 /
 8つの練習曲 Op.42 /練習曲 変ホ長調 Op.49 No.1 /
 練習曲 変ホ長調 Op.56 No.4 /3つの練習曲 Op.65 /
 ピアノ・ソナタ第7番「白ミサ」 Op.64
アンドレイ・コロベイニコフ(P)
 録音:2013年5月21日-23日、バイエルン放送局第1スタジオ、ミュンヘン。ロシアの新鋭ピアニスト、アンドレイ・コロベイニコフ。1986年生まれ、モスクワ音楽院でディエフに師事し、2004年に行われた第3回スクリャービン国際ピアノ・コンクールで優勝。日本ではラ・フォル・ジュルネ音楽祭にも度々登場し、日本のファンにもおなじみのピアニスト。本アルバムは、コロベイニコフの得意とするスクリャービンの練習曲全集。MIRAREレーベルで2008年に発売されたスクリャービンのピアノ・ソナタ集(MIR-061)は、ディアパゾン・ドールを獲得するなど高く評価されている。今回挑んだ練習曲全曲は、スクリャービンの中でも難曲として知られている。ピアノの名手であったスクリャービンは、ロシアのショパンとも言われ、ロマンティックで美しい曲をたくさん遺している。初期の作品である練習曲はショパンを意識して作曲され、透き通った響き、神秘的でありながら、ロシア独特のダイナミズムも感じさせる作風。スクリャービン国際ピアノ・コンクールの頃から、美音で名高いコロベイニコフ。音楽を良く味わい、追求した透徹の響きで聴かせる。また最後に収録された、ピアノ・ソナタ第7番「白ミサ」は初期の作風とは全く異なった悪魔的な雰囲気を持つ作品。強烈な強打和音が爆発したクライマックスを、圧倒的な技巧で弾き切っている。
ルネ・マルタンのレ・ク・ドゥ・クール2013
 ビゼー(1838-1875):「カルメン」第2組曲
  〔密輸入者の行進/ハバネラ/夜想曲/闘牛士の歌/衛兵の交代/ジプシーの踊り〕
 ロドリーゴ(1901-1999):アランフェス協奏曲(*) [ジャン=ジャック・カントロフ指揮
  シンフォニア・ヴァルソヴィア フアン・マヌエル・カニサレス(G;*)]

 ラヴェル(1875-1937):ボレロ / ビゼー:「カルメン」第1組曲〜闘牛士(#)
 ヘロニモ・ヒメネス(1854-1923):カスタネットとオーケストラのための
  「ルイス・アロンソの結婚式」より(#) / テナ:即興演奏(+)
  [フェイサル・カルイ指揮ラムルーo.(+以外) ルセロ・テナ(カスタネット;#/+)]
 録音:2013年2月、ナント、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭、ライヴ。東京での開催も2013年で9回目を迎えるラ・フォル・ジュルネ音楽祭。一足先、2013年2月にナントで行われた音楽祭のハイライトをルネ・マルタンがセレクトしたディスクが販売。なんといっても注目はカスタネットのルセロ・テナ。1938年メキシコ生まれの彼女は、スペインを中心に活躍する世界的フラメンコ・カスタネット奏者。その驚異の超絶技巧と豊かな表現力で、ロストロポーヴィチ、バイエルン放送so.、イスラエル・フィル、ロンドン・フィル等とも共演している。ロドリーゴも彼女のために作品を書いているほど。また、ギターのカニサレスも、BPOと共演、世界的なギター奏者。ほかに、「ボレロ」を初演した伝統あるラムルーo.による「ボレロ」など、聴きどころ満載。LFJの予習ディスクとしても、また、純粋にパッション溢れるライヴ録音ディスクとしても大いにたのしめる内容。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭公式 CD 2013(全20トラック)
 クープラン:さまよう亡霊たち[イド・ルドルフ・バルシャイ]
 J.S.バッハ:パルティータ第4番 イ長調 BWV828〜アルマンド[シュ・シャオメイ]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 Op.53〜第2楽章[ニコラス・アンゲリッシュ]/
         ピアノ・ソナタ第2番 イ長調 Op.2〜第2楽章[アブデル・ラーマン・エル・バシャ]
 フォーレ:3つの無言歌〜ロマンス Op.17 No.1[ジャン=クロード・ペヌティエ]
 ブラームス:ハンガリー舞曲第4番[ボリス・ベレゾフスキー]/シューマン:フモレスケ Op.20より[アダム・ラルーム]
 ショパン:前奏曲第17番 変イ長調アレグレット[フィリップ・ジュジアーノ]
 メデンルスゾーン〔代理店記載ママ〕:無言歌集第3集「夕べの星」 変ホ長調 Op.38 No.1
 ヌーブルジェ:バガテル[ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ]/スカルラッティ:ソナタ イ短調 K32[マタン・ポラト]
 ソレル:第24番 R.359 ニ短調[ルイス・フェルナンド・ペレス]/グリンカ/バラキレフ:ひばり[広瀬悦子]
 チャイコフスキー:無言歌 ヘ長調 Op.2 No.3[クレール・マリ=ル・ゲ]
 シェーンベルク:3つのピアノ曲〜アンダンティーノ[フローラン・ボファール]
 ショスタコーヴィチ:前奏曲第10番 Op.34より[アンドレイ・コロベイニコフ]
 ストラヴィンスキー:5つのやさしい小品[リディヤ&サーニャ・ビジャーク]
 メトネル:追憶のソナタ イ短調 Op.38 No.1(忘れられた調べ)第1集より[ダヴィッド・カドゥシュ]
 フォーレ:ドリー組曲より子守歌[クレール・デゼール、エマニュエル・シュトロッセ]
 サティ:ジムノペディ第1番[アンヌ・ケフェレック]
 南仏プロヴァンス地方のラ・ロック・ダンテロンで、1981年より開催されている国際ピアノ・フェスティヴァル。地元の村長ポール・オノラティニと、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭のプロデューサーとしても知られるルネ・マルタンによって創設された。第1回目の開催ではマルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・ツィマーマン、ゾルターン・コチシュら大物アーティストが出演。期間中9,200人の観客が訪れ、その後もラドゥ・ルプー、フランソワ=ルネ・デュシャーブル、クン・ウー・パク、スヴャトスラフ・リヒテルなどの有名ピアニストのほか、バーバラ・ヘンドリックスなどの声楽家の出演が続き、数年のうちにピアノ界の国際的なイベントとして認知された。大物アーティストの他にも、才能ある若手ピアニストの挑戦の場になるなど、観客とアーティストの出会いの場にもなっている。
ジョバンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ集
 〔第11番(2Vn)/第4番(Vnソロ)/第1番(Flソロ)/第5番(Vnソロ)/
  第8番(2Vn)/第2番(Vn)/第3番(Flソロ)/第6番(Vnソロ)/第7番(2Vn)〕

 ダニエル・キュイエ アンサンブル・ストラディヴァリア
 [アンヌ・シュヴァレロー、ブノワ・ヴァンデン・ベムデン(Vn)
  マリー・ノエル・ヴィセ・シュヴェルツ(Fl)
  ベルトラン・キュイエ、ジョスリーヌ・キュイエ(Cemb)]
 録音:2011年11月29日、12月2日、聖母教会、ナント。ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナは、イタリア初期バロックの作曲家、ヴァイオリン奏者。フォンタナの生涯については、多くは知られていないが彼の死後出版された、このソナタ集ではヴァイオリンの名手でヴァイオリン・ソナタの開拓者でもあったフォンタナならではの、技巧的で変化に富んだ豊かな音楽が展開されている。フランス古楽界の先駆者でもあるバロックヴァイオリン奏者のダニエル・キュイエ率いるアンサンブル・ストラディヴァリアの、引き締まった響きと求心的な雰囲気のアンサンブルが楽曲の愉しみを存分に表現している。
スカルラッティの主題による変奏曲
 スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32 / クープラン:クラウザン曲集〜プラチナ色の髪のミューズ
 ヤナーチェク:ないしょのスケッチ〜ただ先の見えない運命なのか? / メンデルスゾーン:無言歌 Op.62 No.1より
 グリーグ:抒情小曲集 Op.12 No.1 / バルトーク:ミクロコスモス〜ハエの日記
 ブラームス:間奏曲 ホ短調 Op.116 No.5 / ショパン:マズルカ ホ短調 Op.17 No.2
 ブーレーズ:ノタシオン第11番 / シューマン:森の情景 Op.82〜予言の鳥 / サティ:グノシエンヌ第2番
 ドビュッシー:前奏曲集第1集〜雪の上の足跡 / J.S.バッハ:パルティータ第1番 BWV825〜ジーグ
 ショスタコーヴィチ:抒情的なワルツ(人形の舞曲) Op.91b / アンタイル:トッカータ第1番
 チャイコフスキー:18の小品 Op.72〜やさしい非難 / ベートーヴェン:バガテル 変イ長調 Op.33 No.7
 ブーレーズ:ノタシオン第4番 / モーツァルト:ジーグ ト長調 K574 / リスト:オーベルマンの谷
 リゲティ:ムジカ・リチェルカータ〜第5番ルバート、ラメントーゾ / ブーレーズ:ノタシオン第8番
 スクリャービン:炎に向かって Op.72 / ポラト:即興 / スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32

  マタン・ポラト(P)
 録音:2013年1月28日-30日、ラ・シテ・ナント・イベント・センター。イスラエルのテル・アヴィヴ出身で、ピアニスト、作曲家として活躍している注目の若手、マタン・ポラトのデビュー盤。ジュリアード音楽院修了後、ヴェルビエ、ザルツブルク、デルフト等各地の音楽祭に参加。ソリストとしても、シカゴso.やイスラエル・フィル等と共演をかさね、カーネギー・ホール、ウィグモア・ホールなど、世界各地で活躍している。このアルバムはドメニコ・スカルラッティのソナタ ニ短調 K32を主題とし、バッハからブーレーズまでの色々なピアノ作品を変奏曲とみたて構成した内容。斬新な視点で組み立てられ、作品の新たな魅力に気付かされる。今後日本でも注目されることは間違えない注目のピアニスト。
ママと一緒に聴く〜バッハとヘンデル
 J.S.バッハ:前奏曲 ロ短調 BWV855a(ジロティ編)/シチリアーノ〜フルート・ソナタ 変ホ長調 BWV1031(ケンプ編)/
  主よ人の望みの喜びよ(ヘス編) / マルチェッロ/バッハ編:オーボエ協奏曲〜アダージョ ニ短調[アンヌ・ケフェレック]
 J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より/パルティータより[シュ・シャオメイ]
 ヘンデル:組曲 ト短調 HWV432〜サラバンド/組曲 ホ長調 HWV430〜「調子の良い鍛冶屋」
 ヘンデル(W.ケンプ編):組曲 変ロ長調 HWV 434〜メヌエット[アンヌ・ケフェレック]
 MIRAREレーベルから親子で聴くクラシックをテーマにしたコンピレーション・アルバムが発売される。ケフェレック、シュ・シャメイ、イド・バルシャイ、モディリアーニQらの選りすぐりの演奏を主宰者ルネ・マルタンがセレクトし、「パパと一緒に聴くモーツァルトとハイドン」と「ママと一緒に聴くバッハとヘンデル」の2枚のアルバムで楽しむことが出来る。ジャケットにはウディ・アレン、アラン・ルネ、ディアーヌ・キュリスなどの映画ポスターを手がける有名イラストレーター、フロック氏による可愛らしいイラストが使われている。またブックレットには特徴をつかんだユニークな演奏者達のイラストも描かれている。プレゼントに最適なかわいらしいCD。
パパと一緒に聴く〜モーツァルトとハイドン
 ハイドン:ピアノ・ソナタ ヘ長調 Hob.XVI; 23(第2楽章)[イド・バルシャイ]
 モーツァルト:デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲K.573 より[シュ・シャオメイ]
 ハイドン:弦楽四重奏曲 ト長調 Op.54 No.1(第2楽章)[モディリアーニSQ]
 ハイドン:ピアノ・ソナタ ニ長調 Hob.XVI; 24(第2楽章)[イド・バルシャイ]
 モーツァルト:きらきら星変奏曲 K.265より[シュ・シャオメイ]
 ハイドン:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 Hob.XVI; 49(第2楽章)[イド・バルシャイ]
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330(第2楽章)[シュ・シャオメイ]
 モーツァルト:ロンド イ短調 K.511〜アンダンテ[アンヌ・ケフェレック]
 ハイドン:弦楽四重奏曲第74番 ト短調 Op.74 No.3 Hob.XVI; 74「騎士」(第1楽章)[モディリアーニSQ]
コンユラティオ〜マティアス・ヴェックマン(1621-1674):宗教的作品集
 教会コンチェルト〔第1番「泣くなユダ族の獅子、ダヴィデの若枝は勝てり」/第2番「シオンは言う、主は
   我を見捨てられたと」/第3番「主よ、我汝だけをもち得るなら」/第4番「町はなんと荒れ果てていることか」〕/
 コラール〔いざ喜べ、愛するキリストの徒よ/すべて重荷を負うて苦労している者は/主がシオンの捕虜を放たれた時〕/
 第1旋法によるプレルディウム/第2旋法によるマニフィカト

  フィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソート
 バロック初期から最盛期にかけて活躍、ハンブルクの聖ヤコブ教会のオルガニストを務め、音楽団体「コレギウム・ムジクム」を設立した北ドイツの作曲家ヴェックマン。1663年にハンブルクを襲った疫病で妻や友人を亡くしたが、ここに収録されているのは、この悲劇を悼み作曲された、孤独と破滅、戦いと希望などのイメージを呼び起こす聖書のテキストを用いた宗教曲集。リチェルカール・コンソートとピエルロによる慈愛に満ちた美しい演奏。
ベレゾフスキー〜チャイコフスキー
 ピアノ協奏曲第2番 ト長調 Op.44(オリジナル版)(*) /主題と変奏曲 Op.19 No.6 /
 悲しき歌 Op.40 No.2 /マズルカ Op.40 No.5 /無言歌 Op.40 No.6 /村にて Op.40 No.7 /
 ワルツ Op.40 No.8 /感傷的なワルツ Op.51(クバツキー編曲/チェロとピアノのための版)(+) /
 アンダンテ・カンタービレ Op.11(ゲリンガス編曲/チェロとピアノのための版)(+)
  ボリス・ベレゾフスキー(P) アンリ・ドマルケット(Vc;+)
  アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア(*)
 録音:2012年9月、ワルシャワ、ライヴ(*) /2013年4月、サル・ガヴォー、パリ(*以外)。ピアノ協奏曲中もっとも有名なもののひとつ第1番に比べて、人気・知名度ともに低いチャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番、ついにベレゾフスキーによる決定盤が登場。彼は2011年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも演奏、この曲にはまっている旨を熱く語っていたこともあり、非常に期待出来る。ピアノ協奏曲第2番は第1番の5年後、1879-80年に作曲された。交響曲第4番や歌劇「エフゲニー・オネーギン」、ヴァイオリン協奏曲の直後という充実期の産物で、演奏時間40分を超える大作。チャイコフスキーならではのボルテージの高さと恰幅の良さは魅力なものの、1番のようなインパクトに欠け、長すぎることもあり、チャイコフスキーの弟子でラフマニノフの従兄だったアレクサンドル・ジロティによる短縮版で演奏されるのが常となっていた。しかしチャイコフスキー自身はこの編曲に立腹したとされる。当ディスクはチャイコフスキー本人のオリジナル版によるが、第1楽章のオーケストラのトゥッティと第2楽章の途中に、チャイコフスキー自身も認めたカットがある。非常に難技巧の要求される作品だが、ベレゾフスキーは余裕でこなし、スピード感が爽快。指揮はボリショイ劇場の音楽監督だったアレクサンドル・ヴェデルニコフ。チャイコフスキーの音楽を知り尽した説得力に満ちている。この曲の第2楽章はヴァイオリンとチェロの独奏が長々と表れるのも特徴だが、ここではラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもお馴染みのチェリスト、アンリ・ドマルケットが参加して美しい演奏を聴かせてくれる。フィル・アップはチャイコフスキーのピアノ小品。どれも魅力的なメロディにあふれ、チャイコフスキーのピアノ曲を再認識させる。
MIR-198
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(3CD)
2CD価格
限定盤
ブリジット・エンゲラー〜 Special BOX
 ・サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番&第5番[録音:2008年/MIR-079]
 ・シューベルト:ピアノ作品集[録音:2007年/MIR-043]
 ・子供の頃の思い出〜ロシア・ピアノ小品集[録音:2006年/MIR-022]
MIR-197
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(3CD)
2CD価格
限定盤
アンヌ・ケフェレック〜 Special BOX
 ・モーツァルト:ピアノ作品集[録音:2001年/MIR-9913]
 ・ショパン:ピアノ作品集[録音:2009年/MIR-096]
 ・ハイドン:ピアノ作品集[録音:2001年/MIR-104]
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 Op.47 ユーリー・テミルカーノフ指揮
サンクトペテルブルクpo.
 録音:2012年3月、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー、ライヴ。これは驚愕。テミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルがMIRAREレーベルに登場、今後興味深いシリーズを繰り広げる予定。その第1弾は十八番のショスタコーヴィチの交響曲第5番。ショスタコーヴィチの交響曲第5番は1937年11月21日、ムラヴィンスキー指揮レニングラードpo.(現サンクトペテルブルク・フィル)により初演された。その翌年に生まれたテミルカーノフが、初演75年を経て同オーケストラ(名称は変わっている)と同曲を演奏、それがライヴ録音された。テミルカーノフとしては4度目、特にサンクトペテルブルク・フィルとは3度目の録音、前回(2005年)より約6年を経ての再録となる。年を経るにしたがい、少しずつテンポが遅くはなっているが、基本的な解釈は全く変わらず、やや遅めのテンポで、ムラヴィンスキーの演奏にみられるような強い緊張感や怖さはみじんもなく、しなやかかつ流麗。冒頭から切実なメッセージ性とは無縁の純音楽的解釈を聴かせてくれる。オケの巧さはさすがで、弦の美しさ、金管の妙技にひたることが出来る。サンクトペテルブルク・フィルの「ショスタコ5番」としての価値観の変化、時の推移を実感させられ、時代の記録として貴重と言えるだろう。
F.クープラン:クラヴサン曲集
 さまよう亡霊たち/修道女モニク/ティク=トク=ショック、またはオリーヴしぼり機/プラチナ色の髪のミューズ/
 恋のナイチンゲール/ナイチンゲールの変奏/子供時代、ミューズの誕生、幼年期/タンブラン/神秘的な女/小さな皮肉/
 ロジヴィエール/子守歌、またはゆりかごの中のいとし子/おしゃべり女/心地よい恋やつれ/花咲く果樹園/葦/
 胸飾りのリボン/煉獄の魂/収穫をする人びと/髪の油/嘆きのほおじろ/騒がしさ/クープラン/神秘なバリケード

  イド・バル=シャイ(P)
 当時のロココ趣味を凝縮し洗練された優雅な旋律のフランソワ・クープランによるクラヴサン曲集を、1977年イスラエル出身のピアニスト、イド・バル=シャイの演奏で。独特のシニカルさと色彩豊かな世界を描き出している。
シューマン
 フモレスケ 変ロ長調 Op.20 /
 ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調 Op.11
アダム・ラルーム(P)
 録音:2012年9月2日-5日、サル・ガヴォー、パリ。2009年9月に行われたクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝者として注目を集めている期待の若手ピアニスト、アダム・ラルーム。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭、ヴェルビエ音楽祭などに名高い音楽に出演し、好評価を得ている。今回リリースされるのは、得意とするシューマンの作品集。シューマンの精神の深い森に入り込み、独特のロマンティシズムを見事に表現している。
フォーレ&サン=サーンス:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集
 サン=サーンス:序奏とロンド・カプリツィオーソ Op.28 /ヴァイオリン協奏曲第1番 イ長調 Op.20 /
         ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス ハ長調 Op.48
 フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」 Op.80 /子守歌 Op.16

  デボラ・ネムタヌ(Vn) トーマス・ツェトマイアー指揮パリ室内o.
 録音:2012年9月、サンキャトル、パリ。師弟関係にありながらも、お互いに刺激し合う良きライバルとして深い親交があったサン=サーンスとフォーレ。彼らの間で交わされた往復書簡は有名。そんなフランス近代音楽を代表する2 人の作品をパリ室内o.のコンサートミストレスのデボラ・ネムタヌが溢れんばかりの感性で聴かせる。ちなみにデボラは、映画「オーケストラ」で吹き替え演奏したことで話題となった女流ヴァイオリニスト、サラ・ネムタヌと姉妹。「序奏とロンド・カプリツィオーソ」はサン=サーンスの作品の中でも人気が高くヴァイオリンの名手がこぞって取り上げている。そしてサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲といえば第3番が有名だが、ここに収録されている第1番はサン=サーンスらしいおしゃれで上品な旋律が魅力の短い作品。サン=サーンスはこれらの作品を同時代の名演奏家サラサーテに捧げている。ネムタヌは哀愁たっぷりの音色と圧倒的な技術で聴かせる。またフォーレの「子守歌」では、美しい弦の響きと伸び伸びとした演奏で、フォーレ独特の優美で幻想的な旋律を堪能出来る。併録されている組曲「ペレアスとメリザンド」は、本場フランスの響きを感じさせる優雅かつ典雅な趣のある演奏。
ジョルジュ・オンスロウ(1784-1853):チェロ・ソナタ全集
 〔第2番 ハ短調 Op.16 No.2 /第1番 ヘ長調 Op.16 No.1 /第3番 イ長調 Op.16 No.3 〕
  エマニュエル・ジャック(Vc) モード・グラットン(Fp)
 録音:2012年7月、ヴィルファヴァール。オンスロウはイギリス系フランス人作曲家。近年弦楽作品が若い世代にもとりあげられ、名が広まっている。美しいメロディと効果的なピアノ伴奏が魅力。バロック・チェロとフォルテピアノによる演奏でお届けする。チェロのエマニュエル・ジャックは1974年生まれ。パリ音楽院でクリストフ・コワンに師事。現在、クリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリクの首席チェロ奏者を務めている。1726年ジャック・ボケ製チェロの美しい響きを堪能出来る。モード・グラットンは1983年生まれ。ピエール・アンタイ門下で、チェンバロ奏者、オルガン奏者としても活躍している。
MIR-191
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(CD+DVD)
1CD価格
シェーンベルクピアノ作品集
 CD:3つのピアノ曲 Op.11 /6つの小さなピアノ曲 Op.19 /5つのピアノ曲 Op.23 /
    組曲 Op.25 /ピアノ曲 Op.33a, b /3つのピアノ曲(1894)
 DVD:ボッファールが語るシェーンベルク
  フローラン・ボッファール(P)
 録音:2012年6月。1964年生まれのフローラン・ボッファール。1988年から1999年までブーレーズが主宰する現代音楽専門のオーケストラ、アンサンブル・アンテルコンタンポランのピアニストとして活躍。ハルモニア・ムンディ・フランスの若手音楽家を紹介するシリーズで2000年に録音したドビュッシーとバルトーク(廃盤)を完成度の高い演奏を聴かせてくれた。この度リリースするのは、新ウィーン楽派の中心的な存在であったシェーンベルクのピアノ作品集。若かりし頃に作曲した美しい調性音楽の「3つのピアノ曲(1894)」、そして独自の技法を模索していた初期の作品「3つのピアノ曲 Op.11」から12音技法に辿りつく「組曲 Op.25」まで見事な解釈でピアノが躍動的に動き、表情、響きも豊かに聴かせる。また付属のDVDは、ボッファール自身がシェーンベルクの各曲を分かりやすく解説した充実の内容。
子供時代
 フォーレ:組曲「ドリー」 Op.56 / ビゼー:子供の遊び Op.22
 ドビュッシー:小組曲 / ラヴェル:マ・メール・ロワ
  クレール・デセール、エマニュエル・シュトロッセ(P)
 録音:2012年6月16日-18日、TAP、ポアチエ、フランス。無邪気で天真爛漫な子供の世界に魅了されたフランスの作曲家たちの連弾作品をデセール&シュトロッセの黄金コンピが、色彩豊かな音色とエスプリ溢れる音楽性でノスタルジックに描き出す。フォーレの知人バルダック家の娘エレーヌの誕生日を祝って毎年1曲ずつ書いた曲集「ドリー」。愛らしい子供の世界を表情豊かに描いた12の小曲からなるビゼーの「子供の遊び」。ドビュッシー初期の作品で魅力的な旋律と特徴的なリズムをもった「小組曲」。子供好きであったラヴェルが友人夫妻の子供たちのために作曲した「マ・メール・ロワ」。
Satie & compagnie
 サティ:グノシエンヌ第1番/ピカデリー/ジムノペディ第1番
 セヴラック:休暇の日々から第1集〜古いオルゴールが聞こえるとき / プーランク:ジャンヌの扇〜田園
 ドビュッシー:夢 / ラヴェル:ファンファーレ(*) / サティ:ジムノペディ第3番
 ピエール=オクターヴ・フェルー:モンソー公園で〜のんびりと
 サティ:風変わりな美女〜「眼の中の意味ありげなキス」のワルツ(*) /グノシエンヌ第3番
 アーン:当惑したナイチンゲール〜「長椅子の夢見る人」
 サティ:グノシエンヌ第4番/ジムノペディ第2番/ひからびた胎児〜ナマコの胎児/
     風変わりな美女〜上流階級用のカンカン(*) /ジムノペディ第2番
 ラヴェル:シャブリエ風に / ドビュッシー:小さな黒人 / アーン:口絵
 デュポン:憂鬱な時間〜日曜日の午後 / ドビュッシー:ベルガマスク組曲〜月の光
 サティ:グノシエンヌ第6番/梨の形をした3つの小品 より〔第1番/第2番〕/グノシエンヌ第5番
 ケクラン:陸景と海景〜「漁夫の歌」 / アーン:冬 / フロラン・シュミット:秘められた音楽第2集〜グラス

  アンヌ・ケフェレック(P) ガスパール・ドゥアンヌ(P;*)
 録音:2012年6月、TAP、ポワティエ、フランス。フランスが誇る名女流ピアニスト、アンヌ・ケフェレックによる、サティを中心とした20世紀初頭のフランス、パリに咲いた作曲たちの珠玉の名品集。ケフェレックにとってフランス音楽はお手の物。サティのユーモア、ドビュッシーの詩的で彩り豊かな音楽、ラヴェルの美意識、プーランクのアイロニカルな響きなどフランス・ピアノ音楽の魅力が凝縮されたアルバム。ケフェレックのサティは20年以上前の録音があるが、当録音でも軽妙洒脱な演奏で見事に聴かせてくれる。「風変わりな美女」などの連弾作品ではガスパール・ドゥアンヌと組んで鮮やかに表現している。またケクラン、フロラン・シュミット、フェルーなどのあまり知られていない秘曲も収録されている。マスネの庇護を受け、美しく甘美な作品を多く作曲したレイナルド・アーン。「長椅子の夢見る人」はたゆたうような旋律の穏やかな曲。自身も優れたピアニストであり36歳の若さで夭折したガブリエル・デュポン。「日曜日の午後」は優れた描写力と色彩感、そして分散和音が美しく響く曲。そして、パリでドビュッシーやラヴェルと共に活躍し、都会での生活になじめず10年で故郷である南フランスのラングドックに戻ったデオダ・ド・セヴラック。ここに収録されている「休暇の日々」は丁度その頃の作品。親しみやすい曲調が魅力的な曲集で中でも「古いオルゴールが聞こえるとき」は、キラキラと光がこぼれるようなメロディーが特徴。ケフェレックの柔らかで色彩豊かな演奏がセヴラック独特のさりげない美しさを見事に表現している。
MIR-188
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(2CD)
フランス近代弦楽四重奏曲集
 ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調
 サン=サーンス:弦楽四重奏曲第1番 Op.112
 ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調
モディリアーニSQ
[フィリップ・ベルナール、
 ロイク・リョー(Vn)
 ローラン・マルフェング(Va)
 フランソワ・キエフェル(Vc)]
 録音:2012年4月、9月。夢幻的な抒情美に溢れたドビュッシー。色彩的で官能的な響きが感じられるラヴェル。優しく穏やか、かつ情熱を秘めたサン=サーンス。フランス近代の弦楽四重奏曲の名作を収録したアルバム。作品からにじみ出る繊細で洒脱な雰囲気をモディリアーニ弦楽四重奏団が見事なアンサンブルで美しく表現している。
MIR-187
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(10CD)
3CD価格
エル=バシャ〜ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集〔第1番−第32番〕
 アブデル・ラーマン・エル=バシャ(P)
 録音:2012年4月、2013年1月、ヴィルファヴァール農場、フランス。前録音 (FORLANE) から約20年、エル=バシャが全集を一挙再録音。『今回の録音は50代の円熟期を迎えた、力みが一切ない余裕のある打鍵、明晰な音楽の流れ、そしてエル=バシャの持ち味である高い技巧と豊かな表現力で、作品本来の魅力が存分に引き出された演奏を聴かせてくれます。往年の名ピアニストたちの名録音に勝るとも劣らない、ベートーヴェン音楽の第一級の通訳者として、真正面から向き合った高水準な全集となっています。』とのこと。
ドヴォルジャーク
 交響曲第9番 ホ短調 Op.95「新世界より」
ユーリー・テミルカーノフ指揮
サンクトペテルブルクpo.
 録音:2011年3月、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー、ライヴ。テミルカーノフが「新世界」を再録音。とはいっても、前回は旧ソ連時代の1968年、当時のソヴィエト国立響とのメロディア録音で、滅茶苦茶な爆演としてマニアの間で知られていた。それから40年を経て、すっかり洗練され磨き抜かれた演奏に生まれ変わった。今回の演奏はいたって真っ当で、巨匠としての貫禄満点の大きな演奏を聴かせてくれる。サンクトペテルブルク・フィルの芸達者ぶりも特筆で、第2楽章のイングリッシュ・ホルンのしみじみとした歌い回しは泣ける。
MIR-184
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限定盤
ルネ・マルタンのル・ク・ド・クールCD〜2012年ナントでのLFJ音楽祭ライヴ
 パヴェル・チェスノコフ:お告げ/ロシア民謡:おお!冬よ![アナトリー・グリンデンコ指揮モスクワ大司教座cho.]
 ボロディン:だったん人の踊り / チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 変ロ長調 Op.23〜第3楽章(*)
  [ボリス・ベレゾフスキー(P;*) ドミトリー・リス指揮ウラルpo.]
 グリンカ:大六重奏曲[アンヌ・ケフェレック(P) プラジャークSQ]
 ラフマニノフ:エレジー 変ホ短調 Op.3 No.1 /前奏曲 嬰ハ短調 Op.3 No.2[広瀬悦子(P)]
 ロシア民謡:12人の盗賊(V.ブリン編曲)/鐘の音は単調に鳴る(A.スヴェシュニコフ編曲)/The Boss
 [ヴラディスラフ・チェルヌチェンコ指揮カペラ・サンクトペテルブルク]
 ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも近年恒例となった「ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール(ハート直撃)コンサート」は、マルタンがお勧めする演奏者や作品の聴きどころを集めたコンサート。このCDは、まさにこのル・ク・ド・クールのCD版。マルタンが自信をもってお勧めする作品・アーティスト達が詰まった玉手箱。2012年の音楽祭で話題になること間違いなしのモスクワ大司教座合唱団やカペラ・サンクトペテルブルクの録音、さらにベレゾフスキーのチャイコフスキーのピアノ協奏曲も第3楽章を収録。ケフェレックのピアノによる、グリンカの大六重奏曲はナントでも大絶賛となった演奏。大変豪華なコンピレーションとなっている。
モーツァルト
 クラリネット協奏曲 イ長調 K.622 (*) /クラリネット五重奏 イ長調 K.581 (#)
 ロマン・ギュイヨ(Cl) ヨーロッパ室内o.(*)
 ロレンツァ・ボラーニ、マッツ・セッテルクヴィスト(Vn;#)
 パスカル・シフェール(Va;#) リチャード・レスター(Vc;#)
 録音:2012年3月。2008年よりヨーロッパ室内o.首席クラリネット奏者として活躍する若き実力者ロマン・ギュイヨ。日本にはラ・フォル・ジュルネ音楽祭などに出演し、その優れた音楽性を披露した。ここではモーツァルトが書いたクラリネットのための2大名作であるクラリネット協奏曲とクラリネット五重奏曲を収録。クラリネット協奏曲はモーツァルト晩年の作品で最後の協奏曲。明るく澄みきった美しさが印象的な作品で、ギュイヨの伸びやかなで豊かな音楽性が作品を生き生きと表現している。そして室内楽曲屈指の傑作クラリネット五重奏曲。クラリネットの深みのある音色と弦楽器のバランスが絶妙で、モーツァルトの愉悦感を追求した繰り返し聴きたくなる演奏。モーツァルトの音楽を純粋に味わう事のできる1枚となっている。
バラキレフ(1837-1910):ピアノ作品集
 グリンカ/バラキレフ:皇帝に捧げた命(1855-1899) /ひばり(1855-1899)
 バラキレフ:庭園にて(1884)/トッカータ(1902) /ソナタ 変ロ短調(1850-1905) /イスラメイ(1869)

  広瀬悦子(P)
 録音:2012年2月。日本人アーティストとして初めてMIRAREレーベルでレコーディングを開始した広瀬悦子。第3弾はロシア五人組の指導的役割を果たした作曲家バラキレフの作品集。広瀬の情熱的で色彩感に富む音楽と密度の濃いタッチで、一気にバラキレフの世界へと引き込まれる。「皇帝に捧げた命」は、バラキレフが尊敬していた作曲家グリンカの歌劇の主題に基づく作品。「ひばり」もグリンカが90曲ほど残した歌曲作品からの編曲。美しい旋律、繊細な高音で描かれるひばりの声のニュアンスは絶品。録音が少ないソナタが広瀬の演奏で聴けるのも貴重。そしてイスラメイでの熱を帯びた推進力と、「ピアノのために書かれた曲の中でもっとも難しい曲」と言われている超絶技巧の圧巻のフィナーレは必聴。
 ミュンヘン国際コンクール入賞、99年マルタ・アルゲリッチ国際コンクールで優勝後、世界で活躍する広瀬悦子。彼女の音楽がますます深まり、充実していることを実感する1枚。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも、バラキレフの作品は何度か取り上げる予定で、話題の一枚となるだろう。
ヘンリー・ロウズ:歌曲集
 朝日を見たことがあるか?/ゆるやかに流れよ、銀色の川/ただ生きよと命じて下さい/
 グラウンドによるディヴィジョン(フランシス・ウィシィ?)/前奏曲(ダニエル・バチェラー?)/
 私は起き上がり、深く悲しむ/あなたか私か、罪を犯した/ため息も 涙も 悲しみもなく(ニコラス・ラニアー?)/
 2つのリュートのためのアルマイン/クーラントI/クーラントII(ウィリアム・ロウズ?)/
 Whither are all her false oaths blown ? /私は恋の病(ウィリアム・ロウズ?)/
 草原はもはや花に覆われることなく(ニコラス・ラニアー?)/トレギアンのグラウンド/
 あわれにも愛の喜びから追放された君が/穏やかに眠れ/離せ、愛していた /
 クーラント(ジャック・ゴーティエ/アングレテールのゴーティエ)/おお、愛を教えて!おお、運命を教えて!/
 ゴーティエ氏の鐘(ジャック・ゴーティエ/アングレテールのゴーティエ)/きみよ まだ帰らないでおくれ/
 ディヴィジョン「ジョン、今すぐ私にキスして」(クリストファー・シンプソン?)/
 Wert thou yet fairer than thou art/なぜそう青白く暗いのか、盲目的に恋する者よ(ウィリアム・ロウズ?)

  ジェフリー・トンプソン(T) ベルトラン・キュイエ(Cemb)
  ベンジャミン・ペロー(リュート/テオルボ/バロックG)指揮
  フローレンス・ボルトン(Va)指揮 ラ・レヴーズ
 17世紀中期のイングランドの作曲家、ヘンリー・ロウズ。ダウランドとパーセルのちょうど間の世代でもある。詩と音楽の絶妙なバランスと表現豊かな旋律が魅力。弟のウィリアム・ロウズは短命であったが、作曲家としての才能に溢れ多分野で数多くの作品を残した。一方兄ヘンリーは、歌曲作曲家として名声を得ていた。彼の歌曲として知られているのは400曲を超え、35歳の頃チャールズ1世付きの音楽家に任命された以降、繊細さと多彩な感情表現を具えた自由な作風へと変化し、円熟期へと入って行く。王室に仕えることで宮廷詩人と交流し、カルー、ウォラー、ヘリックらの詩による歌曲を発表している。ヘッリクの詩による「ただ生きよと命じて下さい」は、快活な3拍子の有節歌曲。カルーの詩による「あわれにも愛の喜びから追放された君が」では、旋律線、リズム、フレージングなどが詩の劇性に溶け合った手法で聴き応えがある。きりっと引き締まった美しいアンサンブルが魅力のラ・レヴーズが会心の演奏を聴かせてくれる。
第32回ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭ライヴ録音集
 J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988〜アリア[シュ・シャオメイ(P)]
 スクリャービン:2つの左手のための小品〜前奏曲 嬰ハ短調 Op.9 No.1[クレール=マリ・ル・ゲ(P)]
 ショパン:マズルカ ヘ短調 Op.68 No.4[イド・バル=シャイ(P)]
 グラナドス:ゴイェスカス〜嘆き、またはマハとナイチンゲール[ルイス・フェルナンド・ペレス(P)]
 シューマン:色とりどりの小品〜5つのアルバムの綴り Op.99[クレール・デゼール(P)]
 メンデルスゾーン:無言歌集第6巻〜 変ホ長調「瞑想」Op.67 No.1[シャニ・ディリュカ(P)]
 J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1集〜第8番 変ホ短調 BWV.853[アンヌ・ケフェレック(P)]
 ショスタコーヴィチ:24の前奏曲第4番 変ホ短調 Op.34 No.4[アンドレイ・コロベイニコフ(P)]
 ショパン:12の練習曲第6番 変ホ短調 Op.10 No.6[フィリップ・ジュジアーノ(P)]
 ドビュッシー:映像第2集〜そして月は荒れた寺院に落ちる[ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)]
 シャブリエ:10の絵画風小品〜森で 変ト長調[エマニュエル・シュトロッセ(P)]
 シューベルト:4つの即興曲集第4番 変イ長調 Op.90 No.4[ブリジット・エンゲラー(P)]
 バラキレフ:園にて 変ニ短調[広瀬悦子(P)]
 フォーレ:3つの無言歌第3番 Op.17 No.3[ジャン=クロード・ペヌティエ(P)]
 ブラームス:8つの小品第3番間奏曲 変イ長調 Op.76 No.3[アダム・ラルーム(P)]
 ストラヴィンスキー:3つのやさしい小品[リディヤ・ビジャーク(P)サンヤ・ビジャーク(P)]
 リスト:巡礼の年報第1年スイス〜牧歌[ニコラ・アンゲリッシュ(P)]
 ムソルグスキー:展覧会の絵〜古城[ダヴィッド・カドゥシュ(P)]
 アルベニス:スペイン組曲〜グラナダOp.47 No.1[ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 プロコフィエフ:10の小品〜スケルツォOp.12 No.10[アブデル・ラーマン・エル・バシャ(P)]
 ブラームス:ハンガリー舞曲集第17番 嬰ヘ短調[ボリス・ベレゾフスキー、ブリジット・エンゲラー(P)]
 録音:記載無し(2011年?)。エクサン=プロヴァンスに近い地方都市ラ・ロック・ダンテロンで毎年7月末〜8月初頭にかけて行われているラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭は、かのラ・フォル・ジュルネの主催者でもあるルネ・マルタンがプロデュースしている夏の音楽祭。1980年に開始されて以来、若手・ベテラン問わず様々な世代のピアニストたちが集う豪華な顔ぶれと、クラシックとジャズという2つのジャンルにまたがる充実したピアノ・プログラムが話題の音楽祭。毎年恒例になっているこの音楽祭のライヴ盤が2012年も登場。広瀬悦子、クレール・デゼール、ボリス・ベレゾフスキーといった2012年のラ・フォル・ジュルネでも話題となったアーティストたちの個性あふれる演奏の数々を一度に堪能出来る。中には、2012年6月に惜しまれながらも亡くなったブリジット・エンゲラーの希少な録音や、5月に来日公演でも注目を集めた名手シュ・シャオメイのゴルトベルク変奏曲も収録。若手から往年の名手までの演奏を集めたプログラムで、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭のコンセプトにぴったりなアルバムと言えるだろう。2011年には観客数8万7000人を記録し、大盛況のうちに幕を閉じたラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭。その熱狂の片鱗を体感できる記念的アルバム。
エンゲラー&コセ〜ロシアのエレジー
 グラズノフ:エレジー ト短調 Op.44
 チャイコフスキー:夜想曲 嬰ハ短調 Op.19 No.4 /
          なつかしい土地の思い出〜メロディ 変ホ長調 Op.42 No.3 /
          6つの小品〜感傷的なワルツ イ短調 Op.51 No.6
 ラフマニノフ:14の歌曲〜ヴォカリーズ Op.34 No.14
 ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタOp.147
  ジェラール・コセ(Va) ブリジット・エンゲラー(P) 
 録音:2011年9月、la Fondation Singer-Polignac。ラ・フォル・ジュルネ2012のテーマ「サクレ・リュス(ロシアの祭典)」に合わせ登場する、世界的ソリスト二人組によるロシアのエレジー集。エレジーは、この世の儚さや人の死を悼むことに用いられる哀歌。20世紀を代表するリルケのエレジー「ドゥイノの悲歌」では「強大な集団権力下における孤独とそこから導かれる自己の内面への逃避」が強く謳われたが、ソ連下で活躍していた音楽家のエレジーには、どこかこの悲歌を思わせる魅力があると共に、他のエレジーにも増して痛ましくも甘美な旋律にあふれているように感じられる。本CDに収録されているのはグラズノフ、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ショスタコーヴィチという19世紀末〜20世紀ロシアを代表する音楽家たち。収録曲は全てヴィオラ・ソロとピアノ編成での演奏。コセが奏でるヴィオラの音色は極上の艶やかさ。「ヴォカリーズ」ではヴィオラならではのしっとりとした高音に心揺さぶられる。哀愁漂うふくよかな響きに、ヴィオラという楽器の音色とエレジーの相性の良さを実感する1枚と言えるだろう。力強い音と情感あふれる表現で高い評価を受けるエンゲラーのピアノとの息の合ったアンサンブルは圧巻の一言。
ストラヴィンスキー:春の祭典/ペトルーシュカ/
       5つのやさしい小品/3つのやさしい小品
リディヤ・ビジャック、
サーニャ・ビジャック(P)
 録音:2007年11月、パリ国立高等音楽院。新進気鋭のデュオ、ビジャック姉妹によるストラヴィンスキー。「春の祭典」がラ・フォル・ジュルネ2012のテーマ「サクレ・リュス(ロシアの祭典)」の由来に選ばれたこともあり、2012年ますます注目されること必至の作曲家ストラヴィンスキー。大作「春の祭典」「ペトルーシュカ」に小品集を合わせて収録した本CD は、20世紀にセンセーショナルを巻き起こした彼の音楽を存分に堪能することが出来る1枚と言えるだろう。「春の祭典」「ペトルーシュカ」はどちらもロシア・バレエのために作曲された管弦楽曲の連弾編成版。大編成のオーケストラによって壮大に展開される原曲の魅力が、ピアノ2台にぎゅっと凝縮されている。原曲が持つ独特のリズム感や流麗な旋律をそのままに、2台のピアノが織りなすアンサンブルが美しい作品。ビジャック姉妹の息の合ったアンサンブルは圧巻。連弾作品屈指の難曲に、若き姉妹デュオが挑む。
 リディヤ&サーニャ・ビジャック姉妹はセルビア生まれのピアニスト。以前はソリストとして活動していたが、2002年にデュオを結成。ベオグラードpo.とのデビュー演奏が話題となり、ヨーロッパ各地で幅広く活躍している。ラ・フォル・ジュルネで来日経験もあり、近年はアジアにも活躍の幅を広げているビジャック姉妹。可憐な容姿とは裏腹に、明瞭かつ力強いタッチで我々の耳を圧倒する演奏を聴かせてくれる。
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」
メトネル:追憶のソナタ イ短調 Op.38 No.1
     (忘れられた調べ)第1集より
タニェエフ:前奏曲とフーガ 嬰ト短調 Op.29
ダヴィッド・カドゥシュ(P)
 録音:2011年10月、Le Temple de l 'Annonciation、パリ。期待の若手としてフランスを中心に注目を集めている新進気鋭のピアニスト、ダヴィッド・カドゥシュによるピアノ独奏作品集。2012年のラ・フォル・ジュルネのテーマ「サクレ・リュス(ロシアの祭典)」に合わせ、19〜20世紀を代表するロシアの作曲家のピアノ独奏作品が収録されている。ムソルグスキーの代表作「展覧会の絵」を全曲、さらにメトネルとタニェエフの小品も合わせて収録した。「展覧会の絵」は若々しい活気にあふれる溌溂とした演奏。全体的にもたれることのないすっきりとしたテンポで、フォルテとピアノの対比が印象的。力強い音の後にふっと現れる繊細な弱音のギャップがたまらない。組曲に続くメトネルとタニェエフの作品は、どちらもふくよかな響きと抒情的な旋律が美しい作品。「追憶ソナタ」とも呼ばれるメトネルの小品では、哀しくも甘美な旋律に冒頭から引き込まれる。カドゥシュの情感あふれる表現力がいかんなく発揮された名演。
 ダヴィッド・カドゥシュは1985年フランス生まれ。13歳でI.パールマン指揮の下メトロポリタンホールで共演を果たした他、今日に至るまで数々のコンクール入賞経歴を持つ若手実力派ピアニスト。2010年にはニューヨークでリサイタル・デビュー。2011年6月には来日公演も行っており、日本においても今後ますます注目が高まる若手アーティストの一人と言えるだろう。
ロシアへの旅 [Voyage En Russie]
 リムスキー=コルサコフ:熊蜂の飛行 / スクリャービン:左手のための前奏曲 嬰ハ短調 Op.9 No.1
 ラフマニノフ:絵画的練習曲 変ホ短調 Op.39 No.5 /ひな菊 Op.38 No.3
 スクリャービン:前奏曲 ホ長調 Op.15 No.4/練習曲 嬰ハ短調 Op.2 No.1 / ボロディン:スケルツォ 変ロ長調
 チャイコフスキー:無言歌 イ短調 Op.40 No.6 / スクリャービン:練習曲 嬰ニ短調「悲愴」Op.8 No.12
 チャイコフスキー:無言歌 ヘ長調 Op.2 No.3 / ラフマニノフ:前奏曲 嬰ハ短調 Op.3
 スクリャービン:マズルカ 変ニ短調 Op.3 No.5 / チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォOp.7
 スクリャービン:前奏曲 変ロ短調 Op.16 No.4 / ラフマニノフ:前奏曲 ト短調 Op.23 No.5
 ムソルグスキー:子供の遊び/涙 / スクリャービン:詩曲「炎に向かって」Op.72

  クレール・マリ=ル・ゲ(P)
 録音:2011年10月11日-14日、Le Temple de l 'Annonciacion 、パリ。2012年のラ・フォル・ジュルネのテーマは「サクレ・リュス〔ロシアの祭典」。開催地を熱狂の渦に巻き込む一大イベントを直前に控え、クレール・マリ=ル・ゲがロシアをテーマとしたピアノ小品集をリリースする。19世紀から現代にいたる激動の時代を生きた音楽家たちの珠玉の作品の数々を収録した本CD、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの開催前には是非とも聴いておきたい1枚。ひとえにロシア音楽と言っても、その魅力は決して一言で語りつくせるものではない。「ロシアへの旅」と題した本CD において、ル・ゲは多彩な作品を選曲、収録している。超絶技巧作品、優雅かつ抒情的な舞曲、寂寥感にあふれた詩曲…聴き応え十分のプログラムとなっている。作曲家ごと、作品ごとに異なる多様な曲調を聴き比べながらロシア音楽の奥深い魅力に酔いしれる、おすすめ盤。
 清澄な音色と抜群の表現力で高い評価を受けるフランス人ピアニスト、クレール・マリ=ル・ゲ。幅広いレパートリーのピアノ作品を演奏することに積極的な彼女は、これまでモーツァルトからリストにわたる様々な時代の作品の演奏、録音に取り組んできた。よく練られた独自の解釈から生まれる彼女の演奏には他の演奏家とは一味違う魅力があり、多くの注目を集めている。本CDでは1曲目の「熊蜂の飛行」から卓越した演奏技術を披露。難曲であることを全く感じさせない安定した演奏と、情感あふれる表現力に圧倒される名盤。
INTUITION〜直感
 アリアーガ(1806-1826):
  弦楽四重奏曲第3番 変ホ長調
 モーツァルト:
  弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 KV.159
 シューベルト:弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 D46
モディリアーニSQ
 録音:2011年9月、サル・コロンヌ、パリ。端正な音色と勢いのある音楽性で評価のあるモディリアーニ弦楽四重奏団による、アリアーガ、モーツァルト、シューベルトという3人の天才が、10代に作曲した弦楽四重奏曲集。結成10周年を目前に、若き天才作曲家の直感に満ちた瑞々しい作品を、実に鮮やかに響かせる。
 『頻繁に演奏会・録音の機会に恵まれる「メインストリームのレパートリー」から外れてしまっていて、聴衆が聴く機会に恵まれない優れた作品というものが存在します。結成10周年を目前にして、私たちは、3人の10代の作曲家たちのハートとイマジネーションから生まれたこれらの素晴しい3つの宝石のような作品を、聴き手の皆さまと分かち合いたいという強い思いに駆られ、このCDを録音しました。クヮルテットというジャンルを開拓する喜びにあふれた若きモーツァルトの作品。親しい人々の前で演奏するために、たった数日でこの作品を書き上げたシューベルトの才能に溢れた作品。病に冒され彗星のように現れ消えていった偉大な才能アリアーガの作品。もちろん歴史を見ればこの3人の作曲家はあまりも偉大な存在ですが、3人がこの作品を書いた時点で既に持っていた卓越した「直感(intuition)」に触れ、純粋にその直感に従いながらこれらの作品に取り組むというなんとも素晴しい瞬間に満ちたレコーディングでした。』(モディリアーニ弦楽四重奏団/ライナーノーツより抄訳)
十字架への道〜リスト
 「詩的で宗教的な調べ」〜パーテル・ノステル/昇階曲「キリストは我らのために」/
 前奏曲「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」S.179/讃歌「王の御旗は進み」/十字架への道
  ジャン=クロード・ペヌティエ(P) ヤン・エイクトゥルヴェ指揮ヴォクス・クラマンティス
 ペヌティエ渾身の演奏で聴くリスト。「泣き、嘆き、悲しみ、おののき」や「パーテル・ノステル」などのリストの宗教的なピアノ作品を収録し、「十字架への道」へと誘導するような構成。キリストが死を前にし、十字架を背負いゴルゴダの丘へと歩いていく様子をピアノと合唱による14の場面で描かいた「十字架への道」は、リストの晩年の無調的&敬虔な信仰心が感じられる美しい作品。
庄司紗矢香〜ショスタコーヴィチ
 ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op.77/
 ヴァイオリン協奏曲第2番 嬰ハ短調 Op.129
庄司紗矢香(Vn)
ドミトリー・リス指揮
ウラルpo.
 録音:2011年8月、エカテリンブルク・フィルハーモニー(ロシア)。ジャケット写真:篠山紀信。これは衝撃の強力盤の登場。庄司紗矢香がショスタコーヴィチの協奏曲に挑戦。これまで彼女は日本のオーケストラと1番を何度か演奏し、高い評価を受けていただけに期待が高まる。まさに古今のどの協奏曲よりも庄司向きの作品と言える。ヴァイオリン協奏曲第1番は第2次世界大戦直後、まさにスターリンの恐怖政治下に書かれ、全体に神経質な緊張感と苦悩に満ちた大作。まず驚かされるのが庄司の凄まじいまでの気迫。カデンツァでの圧倒的な集中力、終楽章でのエネルギーまで息つく暇もないほどひきこまれる。ショスタコーヴィチの音楽の深さ、怖さを思い知らされる。第1番の約20年後に作られた第2番は、1番に比べると演奏される頻度が多くないが、庄司の演奏が1番に勝るとも劣らぬほど凄く、作品の素晴らしさを再認識させる。オーケストラはフォル・ジュルネ音楽祭でもおなじみのドミトリー・リス指揮ウラル・フィル。古き良きロシア的爆演と大きな音楽作りで、庄司の真剣勝負を真っ向から受け入れた好サポート。この緊張感の凄さはなかなか味わえない。
プロコフィエフ
 トッカータOp.11 /10の小品 Op.12 /
 ピアノ・ソナタ第2番 ニ短調 Op.14 /
 風刺 Op.17 /つかの間の幻影 Op.22
アブデル・ラーマン・
 エル・バシャ(P)
 録音:2011年7月12日-15日、ヴィルファヴァール農場、リムザン、フランス。圧倒的存在感のある質実剛健な演奏で多くの名演を残してきた世界的ピアニスト、エル・バシャ待望の新譜。デビュー直後にリリースした名盤ピアノ独奏曲全集、2004年に大野和士と共に行ったピアノ協奏曲全集録音など、常にプロコフィエフ演奏の第一線に立ってきたピアニストといっても過言ではない彼、本CDの5作品はすべて、1912年から1917年にかけて、若きプロコフィエフがアメリカへ亡命する以前、ロシア革命前夜の激動期に作曲された物。初期の作品にしてすでに、プロコフィエフの本質ともいえる、メカニカルなリズム、グロテスクな表現、人を食ったような軽妙さといった、個性が開花した内容を備えていることから、等しく重要作とされている。エル・バシャの演奏は相変らず抜群の安定感。力強いフォルテと芯のある繊細なピアノのコントラストが素晴らしく、プロコフィエフの音楽世界へとぐぐっと引き込まれる名演。「サクレ・リュス(ロシアの祭典)」がテーマであるラ・フォル・ジュルネ2012を前に必聴のおすすめ盤。
 録音場所はフランス、リムザン地方にあるヴィルファヴァール農場。農家の納屋を改築したような小さな演奏会場だが、その音響の素晴らしさから多くの録音が行われている会場として知られている。素晴らしい音響環境の下で行われた良録音により、エル・バシャの明晰かつ流麗なピアノの音色の魅力を存分に感じられるCD。
アンタイ&センペ〜ラモー:
 2台のクラヴサンのためのサンフォニー集 [Symphonies à deux clavecins]

 歌劇「優雅なインド」より〔序曲/ミュゼット/メヌエット/タンブーラン/ポーランド人たちのエール/
              アフリカの奴隷たちのエール/ガヴォット/シャコンヌ/未開人たち〕/
 歌劇「ダルダニュス」より〔シャコンヌ/プレリュード/優美なエール/タンブラン〕/
 歌劇「プラテ」より〔ミュゼット/ヴィエル風メヌエット〕/歌劇「ゾロアストル」より〔メヌエット/サラバンド〕/
 歌劇「ピュグマリオン」序曲/歌劇「遍歴騎士」より〔とても陽気なエール/少しゆるやかなガヴォット〕/
 歌劇「イポリトとアリシー」〜メヌエット/歌劇「エベの祭」〜タンブーラン/
 コンセール用クラヴサン曲集 より〔軽はずみ/パントマイム/おしゃべり/内気/マレ〕

  ピエール・アンタイ、スキップ・センペ(Cemb)
 録音:2011年7月、12月、アラス劇場、フランス。共に巨匠グスタフ・レオンハルトに師事し、今や古楽界を代表するクラヴサンの名手であるピエール・アンタイ&スキップ・センペが、ラモーの歌劇音楽を二台のクラヴサンで演奏。これ自体は珍しいことではなく、ラモー自身もクラヴサンによる演奏を意識して多くの編曲を行っている。1台でも豪奢な響きだけに、2台のクラヴサンが織りなすハーモニーの煌びやかさは言うまでもない。何より、フランス・バロックの典雅な響きを、アンタイとセンペという二大名手による演奏で堪能できるのはこの上ない贅沢。安定感抜群の卓越した技巧と共に、絢爛豪華なクラヴサンの音色に聴き入る名盤。ピエール・アンタイはフランスを代表するクラヴサン奏者。クイケン率いるラ・プティット・バンドやジョルディ・サバールなど、バロック界の大御所らと共に古楽界を牽引してきた名手。2012年11月に待望の来日公演を控えており、今後ますますの注目が期待される。一方のスキップ・センペはアメリカ出身。クラヴサン奏者して広く活躍する傍ら、近年はピリオド楽器アンサンブル、カプリッチョ・ストラヴァガンテの指揮者としても注目を集めている。アンタイ同様フランス・バロックものの録音にも積極的で、華麗な演奏が高い評価を集めている。
シャミナード(1857-1944):
 ピアノ三重奏曲第2番 イ短調 Op.34 No.2
ドビュッシー:ピアノ三重奏曲 ト長調
ルネ・ルノルマン(1846-1932):
 ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.30
トリオ・ショーソン
 録音:2011年7月。2001年に結成され、2008年にMIRAREでCDデビュー以来、非常に高い評価を受けている若手ピアノ・トリオ、トリオ・ショーソン。ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもお馴染の存在で、そののびやかで柔軟な音楽性と息の合ったアンサンブルで、いつも私たちを魅了している。今回はフランスものに取組んだ。ドビュッシーを核に、現在では演奏される機会の比較的少ない作品を収録している。デュボワ、トマなどの演奏機会の少ないピアノ三重奏曲の楽譜を、フランスのロマン音楽の調査・復興をめざす palazzetto Bru Zane から借り受け、色々精査して、シャミナードとルノルマンを収録することに決めたというトリオ・ショーソンのメンバー達。もともとトリオ・ショーソンという名前は、19世紀後半の作曲家エルネスト・ショーソンからとった名前だが、ショーソン自身優れた作曲家であっただけでなく、同時代の音楽家達を、有名無名を問わず献身的にサポートした人物でもあった。そういう意味で、このプログラムはトリオ・ショーソンのメンバーたちにとっても特別な思い入れがあると言える。
 シャミナードは1875年、音楽一家に生まれた。彼女の母親は素晴らしいピアニスト・歌手であった。両親は娘セシルの音楽的才能をすぐに見抜き、ル・クーペといった当時活躍した音楽家に師事させた。また、サン=サーンス、シャブリエ、ビゼーらからも薫陶を受けた。3歳の時、まだ楽譜も読めない頃に弾いていたピアノをビゼーが聴いて衝撃を受け、両親に強力に教育を受けさせるようアドバイスしたという。当時まだまだ珍しかった女性作曲家として、ヨーロッパだけでなく、アメリカへのツアーも実現したほどに成功した初めての女性音楽家。作品34のトリオは、ジュール・デルサール(フランクのヴァイオリン・ソナタをチェロ版に編曲した人物)に献呈された。3楽章構成になっており、主題が作品を通して現れる循環形式で書かれている。抒情的なメロディ、第3 楽章フィナーレの力強い推進力は圧倒的。トリオ・ショーソンの3人ののびやかな演奏が作品の魅力を120%引き出している。
 ドビュッシーが作曲した唯一のピアノ三重奏曲は、4楽章で書かれており、魅惑的な旋律はマスネ、フランクやフォーレを、スケルツォ楽章でのピッツィカートはドリーブのバレエ音楽を思い起こさせる。たった3人の手から紡ぎだされているとは信じられないような流麗で熱いエネルギーに満ちた演奏は圧倒的。
 1846年生まれのルネ・ルノルマンは現在ではほとんど知られていない存在の作曲家だが、室内楽協会や、「ザ・リート・イン・エヴリ・カントリー」といった協会を立ち上げ、フランス歌曲を世界に広め、また逆にドイツ・リートなどをフランスに広めるべく尽力した人物であった。劇作家アンリ=ルネ・ルノルマン(1882-1951)の父親でもある。 ト長調の三重奏曲は1893年にドイツで出版された作品。雄大な第1楽章に始まり、第2楽章の恍惚としたアンダンテ、そして第3楽章は活き活きとしたギャロップ風楽章。フィナーレは迸るエネルギーに満ちた楽章。勢いのあるのびやかな音楽性で、優れた作品を世に再認識してもらいたいという気概に満ちた力演。
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ(1710-1784):チェンバロと弦楽のための協奏曲集
 弦楽合奏とクラヴサンのための協奏曲〔イ短調 Falck 45 /ニ長調 Falck 41 /ホ短調 Falck 43 〕/
 シンフォニア ヘ長調 Falck 67 /アレグロ・エ・フォルテ ニ短調 Falck 65
  モード・グラットン(Cemb)指揮イル・コンヴィート
   [ステファニー・ポーレ、ソフィー・ジェント(Vn) ガブリエル・グロスバール(Va)
    エマニュエル・ジャック(Vc) ジョセフ・カーヴァー(Cb)]
 録音:2012年5月。J.S.バッハの長男、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ・バッハの協奏曲集。偉大な父の威光や弟たちの名声にひきかえ、賭け事と飲酒に溺れる荒んだ生活ぶりなど、なかなか不名誉なエピソードばかりが伝えられがちなヴィルヘルム・フリーデマン・バッハだが、彼もまた才能溢れる音楽家だった。本CDに収録されている彼のクラヴサンと弦楽合奏のための協奏曲は、父の影響の中にも彼のオリジナリティである遊び心が現れた秀作ばかり。父J.S.バッハの時代の王道である対位法の技法に、ヴィルヘルム・フリーデマンの時代の傾向であった優雅さや情熱を取り入れた彼の作品は、対位法優勢の音楽から18世紀後半に起こったロマン派の萌芽である芸術運動「疾風怒濤」への橋渡しとなっている。
アンドレ・カプレ(1878-1925):オラトリオ「イエスの鏡」(ロザリオの神秘)
 マリー・クロード・シャピュイ(Ms) アンヌ・バッサン(Hp) マルカントワーヌ・ボナノミ(Cb)
 シネ・ノミネSQ [パトリック・ジュネ、フランソワ・ゴトロー(Vn)
            ハンス・エジディ(Va) マルク・ジェルマン(Vc)]
 ジャン=クロード・ファゼル指揮ローザンヌ声楽アンサンブル
 録音:2011年6月3日-5日、ラ・ショー=ド=フォン、スイス。ドビュッシーと深い親交があり、「聖セバスティアンの殉教」など多くのドビュッシー作品を初演したアンドレ・カプレ。自身も作曲家であり、第一次世界大戦で健康を害し、47歳で夭折してしまったため、作品の数は多くはないが、フランス近代音楽を体現するような色彩的で繊細な陰影に富んだ美しい作風。ここに収められている「イエスの鏡」は亡くなる2年前に作曲され、「喜びの鏡」「苦しみの鏡」「栄光の鏡」の3部からなり、各部はプレリュードからはじまる6曲で構成されている。編成は小規模でメゾ・ソプラノのソロと合唱団そして弦楽四重奏とハープ、コントラバスを伴奏としている。一筋の光が差し込むようなマリー・クロード・シャピュイの清廉な歌声とシネ・ノミネ四重奏団の洗練された上質のアンサンブルが洒脱で機知に富むカプレの音楽性を見事に表現している。
ブルーノ・マントヴァーニ(1947-):
 シューベルトの名による8つの楽興の時 (2008) (Vn, Vc, Pf) /ソナーレ(2006) (Pf) /一声で(2007) (Vn, Vc) /
 パウル・クレーの名による5つの小品 (2007) (Vc, Pf) /アッルンガレーセ(2009) (Vn, Pf)

  クレール・デゼール(P) トリオ・ヴァンダラー
 録音:2011年6月。フランスの新進気鋭の現代作曲家ブルーノ・マントヴァーニ。パリ国立高等音楽・舞踏学校にて作曲、音楽史、管弦楽法、アナリーゼ、音楽美学を学び、その後IRCAM で作曲及びコンピューター・ミュージックを学んでいる。彼の作品はコンセルトヘボウ、ベルリン・フィルハーモニー、カーネギー・ホールなど世界的なコンサートホールで取り上げており、ピエール・ブーレーズ、リッカルド・シャイーなど著名な指揮者やアントワーヌ・タムスティ、タベア・ツィンマーマンなど豪華なソリストたちによって演奏されている。また指揮者としても活動しておりアクサンチュスやアンテルコンタンポランなどの現代アンサンブルと共演している。そして2010年には36歳の若さでパリ国立高等音楽・舞踏学校長に就任している。8つの楽興の時はルネ・マルタンが主宰するラ・フォル・ジュルネ音楽祭からの委嘱作品。パウル・クレーの名による5つの小品は、ベルンのパウル・クレー・センターを訪れた際に、クレーの作品に触発されこの作品を作曲したとのこと。ジャケット写真には、四角形の集合体で描かれたクレーの特徴的な作品「花ひらいて」が使われている。演奏はハルモニア・ムンディ・フランスで数多く録音している名トリオ、トリオ・ヴァンダラーと豊かな響きと美しい音色が魅力のフランスのピアニスト、クレール・デゼール。フランスの若き天才作曲家の作品を鮮やかに、かつ巧妙に描いている。
シューマン
 ダーヴィト同盟舞曲集Op.6 /子供の情景Op.15
シャオ・メイ・シュ(P)
 録音:2002年6月。前出:MANDALA, MAN-5033(廃盤)。 シューマンを最も詩的な音楽家として尊敬するシャオ・メイが、持ち味である卓越した演奏技術と静謐な音色を存分に活かし、魅力を見事に表現。ロマンティックかつドラマティックな2曲を収録した本 CDは、シャオ・メイの波瀾に富んだ人生をも感じさせるプログラム。インタビューでこのことを指摘されると『その通りですね。ピアノを始めたのは子供の情景のおかげです。ですから、音楽家としての人生を決めた作品なんですよ』と語り、ダヴィット同盟舞曲集についても『私がヨーロッパやアメリカへ移住した時、私が取り組んだ最初の大作でした」と思い入れの強さを伺わせている。ドラマティックな激しい表現と、暖かみのある抒情的な表現のコントラストにうっとりと聴き入る名演。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調Op.111
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960
シャオ・メイ・シュ(P)
 録音:2004年。前出:MANDALA, MAN-5085(廃盤)。死が身近なものであることを実感した時、取り組みたいと思ったという2曲を同時に収録したことについて質問され『人生において分かりきっていることが1つあります。それはいずれ死ぬということ。皆、そのことを隠そうとしているのです』と語っている。全体的に重めの演奏で、緊張感のある強靭なフォルティッシモと、寂寥感に満ちたピアニッシモの響きのコントラストに心揺さぶられる。豊かな表現力に圧倒される名演。
MIR-156
(2CD)
廃盤
J.S.バッハ
 6つのパルティータ(全曲) BWV 825-830
シャオ・メイ・シュ(P)
 録音:1999年9月。前出:MANDALA, MAN-4958/9(廃盤)。
ショスタコーヴィチ
 ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 Op.35 (*) /
 24の前奏曲 Op.34/
 ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102
アンドレイ・コロベイニコフ(P)
ミハイル・ガイドゥーク(Tp;*)
オッコ・カム指揮
ラハティso.
 録音:2011年5月26日、28日、シベリウス・ホール、ラハティ。このところ、ロシアの俊英たちによるショスタコーヴィチのピアノ協奏曲リリースが続いているが、フォル・ジュルネ音楽祭でもおなじみのピアニスト、アンドレイ・コロベイニコフも快演で一石を投じた。1986年生まれ、モスクワ音楽院でディエフに師事し、2004年に行われた第3回スクリャービン国際ピアノ・コンクールで優勝したのを皮切りに、いくつかのコンクールに入賞している。コロベイニコフのピアニズムは繊細、透明で、真珠を転がすように粒が揃っているのが特徴。このショスタコーヴィチも彼の美点が発揮されているだけでなく、ショスタコーヴィチの意外な面が発見出来る。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲は両曲とも音が薄く、線的な書法が中心だが、コロベイニコフの粒の揃ったタッチと知的な感情のドライヴにより、まるでモーツァルトのように端正、生命力ときらめきに満ちている。これまで、これほどモーツァルトを感じさせるショスタコーヴィチは聴いたことがない。「24の前奏曲」も非常に繊細で新鮮。語り口の巧さで、あっという間に聴かせてしまう。ピアノ協奏曲第1番で爽やかなトランペットを聴かせるガイドゥークは1990年生まれ。この若さでボリショイ劇場管の首席奏者を務める天才。もうひとつの魅力は、オーケストラがオッコ・カム指揮のラハティso.であること。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番の第2、第3楽章での恐怖感と深みはカムならでは。さらにラハティの透明なアンサンブルも光る。
Voces 8 〜 Brahms, Regaer, Bruckner
 ブラームス:「祭典と記念の格言」Op.109 より〔われらの父は汝に望む/栄光の民はいずこに〕/
       2つのモテット Op.74〜なにゆえに悩み苦しむ人に光が賜られたか Op.74-1
 レーガー:8つの宗教的歌曲Op.138 より〔アニュス・デイ/われらみな唯一なる神を信ず〕
 ブルックナー:モテット〔この場所は神が作り給う Op.92/正しい者の口は知恵を語り〕
 ブラームス:祭典と記念の格言Op.109〜強き盾にて武装する人、その城を守らば
 ブルックナー:モテット「エサイの枝は芽を出し」 / ブラームス:子守歌 Op.49-4

  ヴォーチェス8〔ディングル、ポール、ロバート、チャールズ、バーニー、クリス、アンドレア、エミリー〕
 録音:2011年2月、ラ・フォル・ジュルネ・ドゥ・ナント。2003年にウェストミンスター寺院聖歌隊出身者により結成された男声6人、女声2人によるア・カペラ・グループ、ヴォーチェス8(エイト)。2005年にイタリアのゴリツィア国際合唱コンクールで優勝し、ルネサンスからジャズまで幅広いレパートリーをもつ若手ア・カペラ・グループとしてたちまち注目を集めた。魅力的なステージ・パフォーマンス、確かな実力、変幻自在のヴォーカルでイギリスだけではなく世界中の人々を魅了している。またコンサート活動の他に積極的にワークショップやマスタークラスを行っている。
モーツァルト:ピアノ作品集
 きらきら星変奏曲 K.265/ピアノ・ソナタ ハ長調 K.330/
 幻想曲 ハ短調 K.396/アダージョ ロ短調 K.540/
 デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲 ニ長調 K.573/
 ピアノ・ソナタ ニ長調 K.576/アンダンテ ヘ長調 K.616
  シュ・シャオメイ(P)
 録音:2011年3月17日-20日、ポワチエ・オーディトリアム劇場。中国文化大革命の混乱を経験したピアニスト、シュ・シャオメイ。現在はフランス、パリを拠点に活躍。その数奇な半生と高い音楽性は日本でも注目を集めている。今回はモーツァルトがパリへ移った1778年から亡くなる1791年の作品を年代順に収録したアルバム。1曲目は速めのテンポで始まる「きらきら星変奏曲」、そして純真無垢な「 ハ長調のソナタ」、未完に終わった「幻想曲」、モーツァルトには珍しい「 ロ短調のアダージョ」、チェロ奏者ジャン・ピエール・デュポールの作品に基づいた「変奏曲」、モーツァルト最後のピアノ・ソナタ「 ニ長調K.576」、亡くなる年に作曲された自動オルガンのための「アンダンテ」。シュ・シャオメイの洗練された音色、響き、品格のある知性的な演奏、奥深い音楽性がモーツァルトの晩年の透明感を見事に描き出している。モーツァルトの作品の謎を解く鍵は「自由」と「深遠」であると彼女は語っている。『モーツァルトの音楽は生きている。シンプルでありながら「深遠」な世界を作り、「自由」には幸福や喜びに加え、慣例に囚われない大胆さや生命の躍動という感情も含まれることを知らなければならない。』音楽を緻密に捉えているにもかかわらず、音楽の流れを損なうことなく、むしろ生き生きとモーツァルトの音楽の面白さを伝えるシュ・シャオメイの演奏。今後も聴き逃すことのできないピアニスト。
F.クープラン:パルナッソス山、またはコレッリ賛
ルベル:リュリ氏のトンボー / F.クープラン:リュリ賛
 フィリップ・ピエルロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)指揮リチェルカーレ・コンソート
 録音:2010年9月、ボーフェ(ベルギー)。17世紀後半から18世紀初頭のフランスを代表する音楽家、フランソワ・クープラン。今回は彼の器楽合奏曲の中でも有名な「コレッリ賛」と「リュリ賛」を収録。両作品とも各楽章に表題が付けられており、「コレッリ賛」では音楽の神が住まうパルナッソス山にコレッリが導かれる様子が描かれ、「リュリ賛」では、コレッリに続いてパルナッソス山へ登ったリュリが、そこで出会ったコレッリと共に演奏を行う、という物語になっている。伝統的なフランス趣味と新しい魅力に満ちたイタリア趣味との狭間で揺れていた時代に、両者の融合を掲げていたF.クープランの理想が詰まった作品と言えるだろう。2曲の間にはルベルの作品を挿入。宮廷音楽家として活動していたルベルにとって偉大な先輩にあたるリュリへの賛美の念が込められたトンボー。全体的にリュリを思わせる穏やかな曲調の中に時折現れる瑞々しい活気にあふれた装飾が美しい作品と言えるだろう。演奏を担当するのは、調和のとれたアンサンブルが持ち味の演奏団体リチェルカーレ・コンソート。バッハのマニフィカト(MIR-102)においても高い評価を受けた、その柔らかい音色と卓越した演奏技術は健在。今回もピエルロの指揮の下、芯の通った透明感のある美しいアンサンブルを聴かせてくれる。フランス・バロックならではの温かくも華やかな響きを堪能できる名盤。
第31回ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル、公式アルバム
 アリャビエフ/リスト編曲:夜鳴き鶯(*) / リスト:暗い雲 S.199(*) / ブラームス:ハンガリー舞曲集第4番(*/#)/
 愛のワルツOp.52a-6(*/#) / メトネル:2つのおとぎ話 Op.14(#) [ボリス・ベレゾフスキー(#)、ブリジット・エンゲラー(*/#)]
 リスト:巡礼の年第1年〜ワレンシュタットの湖畔で[ニコラ・アンゲリッシュ]
 ブラームス:インテルメッツォOp.117-1[アダム・ラルーム] / メンデルスゾーン:無言歌 Op.102-4[シャニ・ディリュカ]
 シューベルト:ピアノ・ソナタ第22番 D.959〜スケルツォ[ジャン=クロード・ペヌティエ]
 ショパン:練習曲 Op.25-1[フィリップ・ジュジアーノ]/ノクターン ハ短調 Op.48-1[広瀬悦子]
 ラヴェル:シャブリエ風に[エマニュエル・シュトロッセ] / シューマン:色とりどりの小品より Op.99[クレール・デゼール]
 ベートーヴェン:バガテルOp.126-5[アンドレイ・コロベイニコフ]
 モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.396[シュ・シャオ・メイ] / ソレル:ソナタ ハ短調[ルイス・フェルナンド・ペレス]
 ハイドン:ピアノ・ソナタ 変ロ長調 Hob.XVI: 49[イド・バルシャイ]
 J.S.バッハ/クルターグ編曲:「神の時は最上の時なり」(哀悼行事のソナティナ)BWV106
  [アンヌ・ケフェレック、ガスパール・デヘヌ]
 J.S.バッハ:イタリア組曲第2番 BWV807より[ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ]
 南仏プロヴァンス地方のラ・ロック・ダンテロンで、1981年より開催されている国際ピアノ・フェスティヴァルは、地元の村長ポール・オノラティニと、東京でも開催されているラ・フォル・ジュルネ音楽祭のプロデューサーとしても知られるルネ・マルタンによって創設され、大物アーティストから若手有望株まで錚々たるメンバーが集まるピアノ界の国際的なイベントとして確立した。MIRAREレーベルの音源を中心に出演アーティスト、関連曲目を収録した2011年の公式アルバム。
ピアノ・リサイタル in パリ
 リスト:詩的で宗教的な調べ〜葬儀 / ジャン・バラケ(1928-1973):ピアノ・ソナタ
 ヌーブルジェ:マルドロール / ドビュッシー:映像第2集〜そして月は荒れた寺院に落ちる

  ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)
 録音:2011年1月14日、ラ・シテ・ド・ラ・ムジーク、パリ、ライヴ。2007年にサントリーホールで華々しいリサイタル・デビューを飾り、2009年の再来日公演の際も高い評価を受けるなど、日本においても人気急上昇中のジャン・フレデリック・ヌーブルジェ。これまでにもMIRAREレーベルから、サントリーホールライヴ公演(MIR-060)ベートーヴェンの『ハンマークラヴィーア』(MIR-080)や、ニケと共演したエロールのピアノ協奏曲(MIR-127)など意欲的なプログラムを発信してきた。今回収録されたパリ音楽院の傍に位置するコンサートホール、ラ・シテ・ド・ラ・ムジークで行われた本ライヴは、2010〜2011年にかけて企画された『ライジング・スター』シリーズの一つ。リストやドビュッシーの作品のほか、フランスの現代音楽家ジャン・バラケのピアノ・ソナタを取り上げたことで高い注目を集めた。バラケの作品は、初期を代表する存在でありながらも、その演奏時間の長さ(第1楽章約20分、第2楽章約18分)と極めて高い難易度から演奏されることが殆どない。無機質ながらも時に激しく繰り広げられる音の連続には、同年代に活躍する若きブーレーズの作風も思わせる。また、本ライヴでは作曲家としても活躍するヌーブルジェ自身の作品も演奏。バラケのピアノ・ソナタにも似た、断続的な音の合間に張り詰める無音空間にぐっと引き込まれる。現代音楽作品を挟むように収録されているリストとドビュッシーの作品での、芯のある柔らかな安定感抜群のヌーブルジェの演奏は、屈指の難曲揃いのプログラムであることを忘れてしまうほど。ライヴならではの臨場感あふれるサウンドで堪能できる1枚。
テオドール・デュボワ(1837-1924):協奏曲集
 チェロと管弦楽のための幻想小曲集/チェロ、ピアノと管弦楽のための小協奏組曲/
 ピアノと管弦楽のためのコンチェルト・カプリツィオーソ/
 死者のための追悼〜悲しい歌/チェロと管弦楽のためのアンダンテ・カンタービレ
  マルク・コペイ(Vc;*)
  ジャン=フランソワ・エッセール(P)指揮ポワトゥ・シャラントo.
 録音:2010年10月。使用楽器:マッテオ・ゴフリラー、1711年(*)。フランスの作曲家デュボワはシャンパーニュ地方の小村ロスネー生まれ。パリ音楽院でトマに師事し、恩師の死後1896年から1905年までパリ音楽院の院長を務めた。作曲家としては多作で、宗教曲、オペラ、バレエ、オラトリオ、器楽曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽など多岐にわたっている。また「対位法とフーガ」「和声法、理論と実践」など音楽理論家としても著書を残している。デュボワの作風は19世紀フランス音楽の伝統を受け継ぎ、優雅さと洗練された響き、明快でバランスのとれた構成を基本としている。このアルバムでは、その豊かな音楽性で近年注目を集めているデュボワのチェロとピアノを中心とした協奏曲集。美しハーモニーとソリストに効果的な技巧を要求する作品で聴く者を惹きつける。演奏はあのロストロポーヴィチにも認められた現代屈指のチェリスト、フランスの名手マルク・コペイ〔コッペイ〕とエッセール率いるポワトゥ=シャラント管。コペイの技巧はもちろん、豊かな感性と説得力のある演奏で、エモーショナルなデュボワの魅力を存分に表現している。
グラナドス
 詩的なワルツ集(全8曲)/ゴイェスカス(全6曲)/
 歌劇「ゴイェスカス」間奏曲(作曲者編)
ルイス・
 フェルナンド・ペレス(P)
 録音:2011年5月23日-25日。1977年マドリッド生まれのルイス・フェルナンド・ペレス。毎年ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に出演し、独特なピアニズムを聴かせてファンを増やしている俊英。低い椅子に座わり、ほとんど手首と指だけで轟音を紡ぎだし、非常にシャープな技巧で爽快な演奏を繰り広げる。アルベニスの名演の印象から、グラナドスの「ゴイェスカス」も聴いてみたいと思う向きも多かったと思うが、今回待望の登場となる。
 グラナドスの「ゴイェスカス」はゴヤの美術から霊感を受けて作曲されたとされ、まさに心血を注いで完成した大曲。内容も複雑で、技術的にも最高度のものが要求される。ペレスは後に追加された「わら人形」を除く全6曲をとりあげ、恩師ラローチャ直伝の解釈を聴かせてくれる。スペイン音楽の命ともいえるリズムの良さも光り、粋な節回しも溜息が出るほど魅力的。ラローチャよりあっさりしているのが新世代的。さらに嬉しいのは、グラナドスが同素材により作曲した歌劇「ゴイェスカス」の有名な間奏曲をグラナドス自身のピアノ編曲で聴けること。他の6曲よりシンプルながら、やはり魅力的なピアノ曲となっている。
 フィルアップは「詩的なワルツ集」。「ゴイェスカス」と比べるとシンプルで力みのない極上のサロン音楽。なぜか2拍子の第1曲を含め全8曲から成り、モシュコフスキかレイナルド・アーンの、どこかスペインの香りを感じさせるエレガントなメロディと、流麗なピアニズムはペレスにぴったり。透明な美音で酔わせてくれる。
トムキンズ氏の「価値のレッスン [Lessons of Worthe] 」〜
 バード、ブル、トムキンズ、タイス(代理店記載ママ):チェンバロ作品集

 イ調の作品 / ジョン・ブル:半音階的パヴァン/半音階的ガリアード / トムキンズ:奉献唱 / ト調の作品
 不詳(トマス・トムキンズ?):ロビン・フッド / バード:ウィリアム・ピーター卿のパヴァンとガリアード
 タリス:あなたは幸いな方 / トムキンズ:初心者のための「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラで」
 二調の作品 / ブル:イン・ノミネ / トムキンズ:グラウンドMB40 / ブル:ファンタジアMB11

  ベルトラン・キュイエ(Cemb)
 録音:2010年10月28日-31日、クセイ城。フランス古楽界の期待のサラブレッド、ベルトラン・キュイエの同レーベル第2弾はイギリス・ルネサンスの作曲家トムキンズによる同時代の巨匠達と自作からなるアンソロジー。この曲集にはトムキンズ自身による収録曲評価がコメントとして遺されており、当時の価値観をうかがい知ることができる貴重な資料でもある。キュイエは1978年ナント生まれ。チェンバロ奏者の母ジョスリーヌに手ほどきを受け、その後ルセとピエール・アンタイに学んだ。ニケ指揮コンセール・スピリチュエル、クリスティ指揮レザール・フロリサンとオペラで共演するほか、レ・バス・レウニー、ラ・レヴーズの通奏低音奏者兼ソリストとしても活躍。三台のチェンバロの世界・・・まろやかで憂いのあるイングリッシュ(イ調の作品:トラック1-3)、開放的なイタリアン(ト調の作品:トラック4-8)、オルガンとチェンバロによる音色と対位法の絡みが楽しいクラヴィオルガン(ニ調の作品)・・・を鮮やかな技巧で描き分け、アルバム全体をあたかも物語のように聴かせ、その手腕には才能のきらめきが実感出来る。
MIR-136
buyボタン
(2CD)
J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV.245(1724/1725)
 マリア・ケオハーン、ヘレーナ・エーク(S) カルロス・メーナ、ヤン・ヴェルナー(CT)
 ハンス・イェルク・マンメル(T;福音史家) ヤン・コボウ(T)
 マティアス・ヴィーヴェグ(B;イエス) シュテファン・マクロード(B;ペテロ/ピラト)

 フィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソート
 録音:2010年9月27日-30日、リエージュ・フィルハーモニー・ホール。ピエルロ&リチェルカール・コンサート待望のヨハネ受難曲。バッハの生前にヨハネ受難曲は4回演奏され、その度にバッハは改訂稿を出している。この録音、基本的には第1稿の1724年版を用いているが、第2稿(1725)で差し替えられている11曲のバスのアリア「天、裂けよ、地、震えよ」と最後のコラール「キリストよ、汝、神の子羊よ」が挿入されている。エヴァンゲリストは繊細な美声をもつマンメル。イエスは安定感のあるヴィーヴェグ。ソプラノのケオハーンは清々しい感動を覚える、生き生きとした歌声。歌手陣の質の高さに圧倒される。
シューマン
 序奏とアレグロ・アパッショナートOp.92/
 ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調
広瀬悦子(P)
フェイサル・カルイ指揮
ベアルン地方ポーo.
 録音:2010年11月。2010年MIRAREレーベルから発売されたショパン作品集(MIR-110)で世界デビューした若き日本人ピアニスト広瀬悦子の第2弾。2010年3月にネルソン・フレイレの代役としてカルイ率いるポーo.との共演をきっかけにこのアルバムは制作された。ダイナミックかつニュアンス豊かな広瀬悦子の演奏は、シューマンとリストの音楽を純粋に引き出している。瑞々しさ、気品に満ちたシューマンのピアノ協奏曲、誌的で抒情的なリストのピアノ協奏曲第2番を深みのある美しい音色と端正なタッチで表現している。スケールの大きいピアノをオーケストラが上手く支えている。指揮のフェイサル・カルイは1971年パリ出身。2002年までトゥールーズ・キャピトル国立管でミシェル・プラッソンの助手を務め、幅広いレパートリーを習得。2002年には設立20年のべアルン地方ポーo.の音楽監督に就任し、同楽団を目覚ましく成長させ高い評価を得ている、注目の若手指揮者。
ブラームス
 ワルツ集「愛の歌」Op.52a(4手のための)/
 ハンガリー舞曲集(4手のための) より
  [第1番/第2番/第4番/第5番/第6番/
   第8番/第11番/第16番/第17番/第21番]
ブリジット・エンゲラー、
ボリス・ベレゾフスキー(P)
 録音:2011年、ラ・フォル・ジュルネ・ド・ナント。最強の連弾コンビ、ブリジット・エンゲラーとボリス・ベレゾフスキーによるブラームスの連弾曲集。エンゲラーとベレゾフスキーはコンサートでも録音でも何度も共演し、大変息の合った演奏と親密な音楽性で聴く者を魅了している。このアルバムは2011年のナントでのラ・フォル・ジュルネ音楽祭期間中に録音された。
 ブラームスの「愛の歌」は、ドイツの詩人ダウマーの18の詩に基づいて作曲された、4手連弾のためのワルツ集。同名の四重唱曲の4手連弾編曲版。エンゲラーとベレゾフスキーが互いに紡ぐ旋律に心通わせ、優しく温和な音楽をじっくりと聴くことが出来る。一方華やかで哀愁を帯びたメロディー満載の「ハンガリー舞曲集」では、多彩な音色と自在なテンポ感で息の合った2人ならではの勢いのある演奏を聴かせてくれる。
ウィーン1925年
 ベルク:室内協奏曲
  (ピアノとヴァイオリン、13管楽器のための)
 J.シュトラウスII世/ヴェーベルン編曲:
  宝のワルツOp.418
 J.シュトラウスII世/シェーンベルク編曲:
  南国のバラOp.388
マリー=ジョゼフ・ジュド(P)
フランソワ=マリー・
 ドリュー(Vn)
ジャン=フランソワ・
 エッセール指揮
ポワトゥ=シャラントo.団員
 録音:2010年10月。ベルクの代表作「室内協奏曲」は、ベルクらしい緻密な旋律線や感情が交錯し、官能的で鮮烈な作品。編成もユニークでソロにはピアノとヴァイオリン。オケには、ピッコロ、フルート、オーボエ、イングリッシュ・ホルン、クラリネット2本、バス・クラリネット、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2本、トランペット、トロンボーンという編成。ソロ・パートにはフランスの若手奏者2人が選ばれている。ベルクとヴェーベルンが尊敬していたヨハン・シュトラウスのワルツをヴェーベルン編曲版で収録。アルバムのタイトルにもなっている「ウィーン1925」は、2011年のラ・フォル・ジュルネのプログラムともなっている。
ブラームス
 ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.83(*)/
 パガニーニの主題による変奏曲 Op.35/
 ハンガリー舞曲(*)
  〔第1番 ト短調/第2番 ニ短調/4番 ヘ短調〕
ボリス・ベレゾフスキー(P)
ドミトリー・リス指揮
ウラルpo.
 録音:2010年11月、エカテリンブルグ、ライヴ(*)。濃厚な表現力と卓越した技巧で聴衆を魅了するロシアのピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー。2011年最新アルバムは名盤ひしめく、ブラームスの傑作ピアノ協奏曲第2番。音楽性はもちろんピアニストに高い技巧を要求する難曲。伴奏は何度も共演しているドミトリー・リス率いるウラル・フィル。本拠地エカテリンブルグ、ライヴ収録。第1楽章冒頭の美しいホルンの響きに乗って雄大にピアノが入ってきてオケの合奏につなげ、再度ピアノ・ソロがバリバリと情熱的に歌いオケが表情豊かに旋律線を奏でる、メリハリのきいた演奏を展開する。シャープなタッチと内面から湧き上がる哀愁を湛えたピアニスティックな第2楽章。チェロの渋い旋律が静かなオケをバックに奏で、儚げにピアノが登場する第3楽章は至上の音楽。第4楽章では一転リズミカルで明るい曲調となり華やかに終わりをむかえる。ブラームス特有の重厚な音の響きは、ベレソフスキーの力強いタッチと推進力でオケを引っ張っていき、決して混濁することなく煌めく極上のブラームスを聴かせてくれる。カップリングの高度な技巧とロマンティシズムを要求されるパガニーニの主題による変奏曲はベレゾフスキーの真骨頂。奔放で情熱的なリズムと哀愁漂う旋律が特徴のハンガリー舞曲からは第1、2&4番を収録。心行くまで音楽を堪能できる王道の演奏。
ブラームス:ピアノ作品集
 創作主題による変奏曲 Op.21-1/
 8つのピアノ小品 Op.76/2つのラプソディOp.79/
 3つのインテルメッツォOp.117
アダム・ラルーム(P)
 録音:2010年11月2日-5日。2009年9月に行われたクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝、注目を集めている期待の若手ピアニスト、アダム・ラルーム。ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ、ピアノ・オ・ジャコバン、ヴェルビエ音楽祭、ルール・ピアノ・フェスティヴァルなど世界の名高い音楽祭で演奏し、2010年の日本のラ・フォル・ジュルネ音楽祭にも出演、もちろん2011年のラ・フォル・ジュルネにもこのブラームスのプログラムを携えて来日する。ブラームスの秘められた情念や葛藤を包み込むような優しい情感溢れる演奏。特に2つのラプソディーでは、音の強弱、濃淡をはっきりとさせ、微細で美しい旋律線を奏でている。
ブラームス:ピアノ五重奏曲ヘ短調Op.34/
       ヴィオラ、メゾソプラノとピアノのための2つの歌曲Op.91

 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P) アンドレア・ヒル(Ms) モディリアニSQ
 録音:2010年9月12日-15日。ヌーブルジェの切れの良いピアノとモディリアニQの緻密なアンサンブル。カナダ出身の美人メゾソプラノ、アンドレア・ヒルも、容姿もさることながら、豊麗な美声に魅了される。
シャルル・グノー(1818-1893):レクイエム ハ長調/ミサ曲 ト短調
 シャルロット・ミュラー=ペリエ(S) ヴァレリー・ボナール(A)
 クリストフ・アインホルン(T) クリスティアン・イムラー(B)
 ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブル
 録音:2010年8月。数々の名盤を生み出してきた巨匠ミシェル・コルボによるグノーの最後の作品レクイエム。グノーは音楽家になるか聖職者になるか迷い、音楽家の道を選んだことからも分かるように、他の作品に比べて宗教曲を圧倒的に多く作曲している。フォーレ、デュリュフレ、プーランクと並ぶレクイエムの傑作と言えるだろう。半音階の上昇と下降を繰り返し不穏な雰囲気を漂わせ、いつもの美しいグノー節は封印され、自らの最期を悟っているかのような音楽。とは言うもののサンクトゥスの美しい響きの洪水から一転、テノールとソプラノで高らかに歌われるベネディクトゥスなど、いつのも優美なグノー節を聴くことが出来る。ミサ曲 ト短調は透明感ある至福の喜びに満ちた作品。
MIR-128
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庄司紗矢香〜J.S.バッハ&レーガー:無伴奏ヴァイオリン作品集
 レーガー:前奏曲とフーガ ト短調 Op.117-2
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV.1001
 レーガー:前奏曲とフーガ ロ短調 Op.117-1
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番 ロ短調 BWV.1002
 レーガー:シャコンヌ ト短調 Op.117-4
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004
  庄司紗矢香(Vn)
 録音:2010年8月、ランファン・ジェジュ教会、パリ。使用楽器:1729年製ストラディヴァリウス(上野製薬株式会社 上野隆三氏より貸与/過去にミッシャ・エルマンが所有・演奏)。16歳でパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール日本人初、史上最年少優勝を果たし、世界の注目を集めてきた若きヴァイオリニスト庄司紗矢香。これまでに数々の録音とコンサートでその並はずれた才能を見せつけてきた天才少女が20代後半にさしかかり、より一層成熟したテクニックと表現力を携えてMIRAREレーベルに初登場する。MIRAREのプロデューサーであるルネ・マルタンが手がける音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」への参加をきっかけに、このアルバムが誕生した。
 収録曲はバッハとレーガーの無伴奏作品。バッハの無伴奏ヴァイオリンのための6曲は数多くの録音が存在するが、レーガーの作品と組み合わせ、 ニ短調の「シャコンヌ」を最後の山場に持ってくるという、極めて考え抜かれた構成となっている。レーガーの無伴奏作品はバッハを範として作曲されているが、その中にレーガー独自の幻想世界を作り込んでいく高い技巧を必要とされている作品。庄司紗矢香は抜群のテクニックと安定感、明るい音色で力強くストレートな演奏を披露している。レーガーの「シャコンヌ」は、作品の本質を真摯に追い求めていき、バッハの無伴奏パルティータ第2番では、高い集中力と深い音楽性を発揮した熱演となっている。
ルイ・ジョセフ・フェルディナン・エロルド〔エロール〕(1791-1833):
 ピアノ協奏曲集
〔第2番 変ホ長調/第3番 イ長調/第4番 ホ短調〕
  ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)
  エルヴェ・ニケ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア
 録音:2010年5月16日-18日。エロールはアルザス地方出身のフランスの作曲家でベートーヴェンとほぼ同時代に活躍した。父はハンブルクでC.P.E.バッハに音楽を学び、フェルディナンは幼少期父から音楽の手ほどきを受けていた。フェルディナンはオペラを数多く作曲し、特にオペラ・コミックのジャンルで不朽の名作を残している。彼の作品は独創的で魅力的かつ美しい旋律に溢れており、当時高く評価されていた。1831年歌劇「ザンパ」で一躍有名となるも、直後に肺結核を患い42歳の若さで亡くなっている。またピアノ曲や管弦楽曲も多く残し、このアルバムでは彼が作曲したピアノ協奏曲4曲のうち3曲を収録。ピアノ演奏にも優れ、1810年パリ音楽院で1等賞を獲得。1812年にはイタリア座の演奏会で自作のピアノ協奏曲を演奏している。演奏はラ・フォル・ジュルネ音楽祭でもお馴染のフランスの新進気鋭のピアニスト、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ。指揮はフランス・バロックの鬼才エルヴェ・ニケ。鮮やかな妙技とロマンティックな感情が表出した演奏を聴かせてくれる。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲集
 〔第2番 変ロ長調 Op.19/
  第1番 ハ長調 Op.15〕
シャニ・ディリュカ(P)
クワメ・ライアン指揮
ボルドー・アキテーヌ国立o.
 録音:2010年4月。シャニ・ディリュカは、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭などでも来日した才能溢れる女性ピアニスト。スリランカ国籍の両親のもとモナコで生まれ、幼少の頃からその才能を開花させ、晩年のグレース王妃に見いだされて世界各国で英才教育を受けたシンデレラ・ガール。
 MIRAREレーベル3枚目のアルバム。演奏に関するこだわりは非常に強く、カンデンツァはヴィルヘルム・ケンプの自作を使用し、繊細でクリアな響きに魅せられた名器ベヒシュタインで演奏している。ディリュカは繊細なタッチの変化や大胆で説得力のある音楽、そして卓越したテクニックを兼ね備えたピアニスト。
 指揮は若手有望株の指揮者クワメ・ライアン率いるボルドー・アキテーヌ国立管。注目の若手音楽家の共演で聴く瑞々しい演奏。
セバスティアン・ド・ブロサール(1655-1730):
 オラトリオ「無原罪の聖マリア」SDB.56/
 ソナタ ハ長調 SDB.224/
 カンタータ「レアンドロ」SDB.77/
 「悔い改めた魂と神との対話」SDB.55
ラ・レヴーズ
[シャルタン・サントン・ジェフリー、
 ウジェニー・ヴァルニエ(S)
 イザベル・ドリュエ(A)
 ジェフリー・トンプソン(CT)
 ヴァンサン・ブーショ(T)
 ブノワ・アルヌール(B)]
 録音:2010年6月28日-7月1日。セバスティアン・ド・ブロサールはフランスの辞書編纂者、愛書家、理論家、作曲家、聖職者。特に辞書編纂者、理論家としての功績が大きく、フランスでは初めての「音楽辞典」と詳細な「楽譜・楽書目録」の編纂で知られている。ブロサールはフランスにおけるイタリア音楽の浸透を支持しており、自身の作風にも取り入れていたが、オラトリオはこの形式の創始者として名高い作曲家、ジャコモ・カリッシミにならい作曲されている。また「レアンドロ」はイタリア語で書かれたブロサールの初期の傑作カンタータ。
第30回ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル、公式アルバム
 ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番 Op.5「幻想的絵画」〜夜と愛と
  [ブリジット・エンゲラー、ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 リスト:巡礼の年第1年「スイス」 S160〜泉のほとりで[ニコラ・アンゲリッシュ(P)]
 シューベルト/リスト編曲:住処[ブリジット・エンゲラー(P)]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番〜第1楽章[アンドレイ・コロベイニコフ(P)]
         エリーゼのために イ短調 WoO.59/ピアノ・ソナタ第20番〜第2楽章
          [ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)]
 シューマン:色とりどりの小品 Op.99より[クレール・デゼール(P)]
 メンデルスゾーン:無言歌集 Op.85-4〜春の歌[シャニ・ディリュカ(P)]
 J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1集〜前奏曲〔第8番BWV853/第6番BWV851〕[シャオメイ・シュ(P)]
 ショパン:マズルカ 〔嬰ハ短調 Op.63-3/ト短調 Op.67-2/イ短調 Op.17-4〕[イド・バルシャイ(P)]/
      ワルツ イ短調 KK.IVb-11/幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66[アンヌ・ケフェレック(P)]
 シャブリエ:絵画的小曲集〜牧歌/5つの小品〜アルバムの綴り[エマニュエル・シュトロッセ(P)]
 メトネル:2 つのおとぎ話 Op.14〜第1曲 ホ短調[ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 シューベルト:ハンガリー風のメロディ ロ短調D.817/シューマン:子供の情景 Op.15〜見知らぬ国と人々から
  [ブリジット・エンゲラー(P)]
 フォーレ:前奏曲第4曲 ヘ長調 Op.103-4[ジャン=クロード・ペヌティエ(P)]
 ショパン:夜想曲 ヘ長調 Op.15-1[ルイス・フェルナンド・ペレス(P)]
 メトネル:4つのおとぎ話 Op.26〜第2曲 変ホ長調[ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァルは、南フランスにあるラ・ロック・ダンテロンという街の森の中にあるコンサート会場で毎年開催される老舗のピアノ・フェスティヴァル。「熱狂の日」でもおなじみのルネ・マルタン氏がプロデュースしている。このアルバム音楽祭公式CD。第30回を迎える2010年は、7月23日から8月22日まで開催される。2010年もボリス・ベレゾフスキー、ブリジット・エンゲラー、アンヌ・ケフェレック、ニコラ・アンゲリッシュ、ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ、シャオメイ・シュ、広瀬悦子、そしてユジャ・ワン、グレゴリー・ソコロフ、ニコライ・ルガンスキーなど、世界的なピアニストが集まり、またジャズのコンサートも含め数多くのコンサートが開かれる。
メンデルスゾーン
 弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op.13/
 弦楽四重奏曲第6番 ヘ短調 Op.80/
 カプリッチョ ホ短調
モディリアーニSQ
[フィリップ・ベルナール、
 ロイック・リョー(Vn)
 ローラン・マルフェング(Va)
 フランソワ・キエフェル(Vc)]
 パリ国立音楽院在学中に結成された、才気溢れる彼らが今回挑むのはメンデルスゾーン。甘く切ない旋律を4人の叙情に富んだ音色が胸をかきたてる弦楽四重奏第2番。そしてメンデルスゾーン最愛の人、姉のファニーを亡くした悲しみの中で作曲した弦楽四重奏第6番は、メンデルスゾーンの嘆き悲しむ心がストレートに表現された傑作。俊英4人の鬼気迫る演奏は圧巻。
MIR-119
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シューベルト:ピアノ・ソナタ集
 [第18番 ト長調 Op.78 D.894「幻想」/
  第20番 イ長調 D.959]
ジャン=クロード・
 ペヌティエ(P)
 録音:2009年11月、リモージュ、フランス。
 フランスの名手ペヌティエはこれまで、シューベルトのピアノ・ソナタ録音を断り続けていたということで、このアルバムはまさに「機は熟した」と言うべき高い説得力を持つ。「幻想ソナタ」は全体的に少し遅めのテンポを取り、沈黙から音楽を引き出しているような、悟りの境地の静けさを感じさせる。またD.959は一転、ときおり見せる激しさと朗々とした歌を美しく聴かせ、ペヌティエの懐の深さを感じる。
シャブリエ
 10の絵画風小品/即興曲 ハ長調/
 5つの遺作/幻想的なブレー
ラヴェル:シャブリエ風に
エマニュエル・シュトロッセ(P)
 録音:2009年11月、リモージュ、フランス。
 フランス近代音楽に欠かすことのできない作曲家、シャブリエによるエスプリ溢れるピアノ作品を、エマニュエル・シュトロッセの豊かな音色で。代表作「10の絵画風小品」は洒脱な色彩感覚のもと、一つ一つが異なった魅力に彩られている。
アーベントムジーク〔夕べの音楽〕
 シューマン:色とりどりの小品 Op.99
 クララ・シューマン:
  ローベルト・シューマンの主題による変奏曲 Op.20
 ブラームス:シューマンの主題による変奏曲 Op.9
クレール・デゼール(P)
 録音:2009年11月、La Ferme de Villefavard(仏リムザン地方)。
 同時代に生きた3人の音楽家シューマン、クララそしてブラームス。親密で稀有な関係の中から生まれた音楽をクレール・デゼールが繊細かつ大胆なピアニズムで聴かせてくれる。
 シューマンの「色とりどりの小品」は、シューマン独特の魅力に溢れた小さな曲集。1曲1曲に緻密に表情をつけた、聴き手を包み込む幻想的な演奏。そしてブラームスの「シューマンの主題による変奏曲」は、シューマンの「色とりどりの小品」のなかの「5つの音楽帳〜第1曲」を主題に用いている。自由な性格をもつ変奏曲で、ときおり出てくる美しいメロディーにハッとさせられる。ピアニスト、作曲家として独創的な才能をみせたクララ。この「ローベルト・シューマンの主題による変奏曲」は夫ロベルトの誕生日のために作曲された物。美しさの中にも悲哀を感じる主題と多彩な7つの変奏による作品。この作品はブラームスの要請により、同じくロベルトの主題を使ったブラームスの変奏曲と同時に1854年に出版されている。
 複雑に絡まる3人の心情が表れた作品をクレール・デゼールの見事な表現で1枚のアルバムに仕上げている。
ル・ジュルナル・ド・ショパン〜ショパンの音楽日記
 1817年 ポロネーズ ト短調 S1-1 (*)
 1827年 ノクターン ホ短調 Op.72 No.1 (#)
 1829年-1830年 練習曲 [Op.10 Nos.1, 2, 3](+)
 1832年-1833年 2つのマズルカOp.17 (**)
 1838年-1839年 ノクターン ヘ長調 Op.15 No.1 (##)
 1837年 スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31 (++)
 1836年-1839年 バラード第2番 ヘ長調 Op.38 (##)
 1831年-1839年 前奏曲第15番 変ニ長調 (+)
 1845年-1846年 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60 (#)
 1845年-1846年 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61 (*)
 1846年 マズルカ 嬰ハ短調 Op.63 (**)/
 1849年 マズルカ ヘ短調 Op.68 (**)
アブデル・ラーマン・
 エル=バシャ(P;*)
アンヌ・ケフェレック(P;#)
フィリップ・ジュジアーノ(P;+)
イド・バル=シャイ(P;**)
ジャン=フレデリック・
 ヌーブルジェ(P;##)
児玉桃(P;++)
 日本語解説付き。
 「ル・ジュルナル・ド・ショパン〜ショパンの音楽日記」は7歳のときのデビュー作品から死の床で書かれたマズルカまでショパンの人生を、作品とともに追う構成。2008年に行われた同名のリサイタル・シリーズに参加した6人のピアニストによる演奏でショパン生誕200年を祝う。
フランスのチェリストたち〜メディタシオン
 ブロッホ:祈り / カザルス:鳥の歌
 ラフマニノフ:ヴォカリーズ
 ドヴォルザーク:交響曲第9番 Op.95「新世界」
          〜第2楽章「ラルゴ」
 オッフェンバック:ジャクリーヌの涙 Op.76-2
 フォーレ:夢のあとに Op.7-1
 シューマン:古いリュートOp.35-12/異郷にて Op.39-1/
       月の夜 Op.39-5/古城にて Op.39-7
 ワーグナー:タンホイザー〜夕星の歌
 ヴェルディ:ドン・カルロ〜彼女は私を愛していない
 チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第3番Op.30
          〜第3楽章「葬送とアンダンテ」
レ・ヴィオロンセル・フランセ
[エマニュエル・ベルトラン、
 エリク=マリア・クトゥリエ、
 エマニュエル・ゴゲ、
 グザヴィエ・ピドゥ、
 ラファエル・ピドゥ、
 ロラン・ピドゥ、
 ナディーヌ・ピエール、
 フランソワ・サルク]
 録音:2009年12月7日-9日。なお、代理店記載の人名等カナ等のフランス語読みではない記載『メディテイションズ』『ヴィオロンチェレス』『ハヴィエル』(グザヴィエ)などを当店で訂正しています。題名と団体名を共にミスるのはいかがなものだろうか。
 フランスを代表するチェリストが集結したチェロ八重奏団という珍しいアンサンブル。ルネ・マルタンのプロデュースにより2006年のラ・フォル・ジュルネ(ナント)で初コンサートを行い、聴衆を沸かせた。彼らのMIRAREデビュー・アルバムは「瞑想」と題され、チェロの豊かな響きにぴったりの楽曲をこのアンサンブルにも参加しているローラン・ピドゥが八重奏用に編曲、いずれも珠玉の名曲ばかり。それぞれの楽曲でソリストが美しいメロディーを奏で、7人のチェリストで支える深みのある演奏は心を揺さぶる。
ショパン:ノクターン集 Vol.1
 [変ホ長調 Op.9-2/へ長調 Op.15-1/嬰ヘ長調 Op.15-2/
  嬰ハ短調 Op.27-1/変ニ長調 Op.27-2/
  変イ長調 Op.32-2/ト長調 Op.37-2/
  嬰ヘ短調 Op.48-2/ハ短調 Op.48-1/嬰ハ短調 遺作]
ルイス・
 フェルナンド・ペレス(P)
 1977年マドリッド生まれのピアニスト、ルイス・フェルナンド・ペレスは、2009年に発売されたソレルのソナタ集(MIR-101)でスペインの薫り高い音楽を聴かせた。ラ・フォル・ジュルネを主宰するルネ・マルタン氏も大きな期待を寄せている彼の新譜はショパンのノクターン。詩的で繊細な音楽を端正かつ情熱的に演奏、色彩豊かな音色、優美、憂い、悲しみの感情を大胆に表現、これまでにないショパンを教えてくれる。
ショパン
 バラード[第1番/第2番/第3番/第4番]/
 ノクターン[Op.15-1/Op.15-2/Op.9-2/Op.48-1]/
 幻想曲 ヘ短調 Op.49
広瀬悦子(P)
 録音:2009年11月9日-11日、フランス・リモージュ。
 「シャコンヌ」「ラ・ヴァルス」と超絶技巧によるトランスクリプション(編曲)を続けてリリースしてきた広瀬悦子が、満を持してショパン・アルバムを発売。パリに拠点を戻し3年目。ヨーロッパでの生活から自然についてきた感性、そして音楽への影響がここに収められている。ショパンがインスパイアされた誇り高きポーランド魂を伝える繊細で儚い詩情を見事描き出した演奏。2010年新たな広瀬悦子の魅力が開花する予感。世界中の音楽ファンが注目する「ショパン・イヤー」に欠かせない1枚となるだろう。
ブロウ&パーセル:オードと歌曲集
 ジョン・ブロウ:ヘンリー・パーセルの死を悼む頌歌
 ヘンリー・パーセル:
  もしより多くの富を望むならばZ.544/目覚めよ、我がムーサよZ.320/
  フルートのためのシンフォニー/来たれ、芸術の子よZ.323/
  天上の音楽は神々を動かしZ.322/シャコンヌ/
  歌劇「予言者」第2幕〜アリア「罠と危険から」/フルートのためのシンフォニー/
  乙女の最後の祈り(または失敗するくらいなら)Z.601〜ダメよ抵抗してもだめ/
  私は美しいチェリアに恋をした/愛の女神は盲目Z.331
 カルロス・メーナ、ダミアン・ギヨン(CT)
 フィリップ・ピエルロ(ガンバ)指揮リチェルカーレ・コンソート
 録音:2009年10月。
ブロウ&パーセル:オードと歌曲集
 ジョン・ブロウ:ヘンリー・パーセルの死を悼む頌歌
 ヘンリー・パーセル:
  もしより多くの富を望むならばZ.544/目覚めよ、我がムーサよZ.320/
  フルートのためのシンフォニー/来たれ、芸術の子よZ.323/
  天上の音楽は神々を動かしZ.322/シャコンヌ/
  歌劇「予言者」第2幕〜アリア「罠と危険から」/フルートのためのシンフォニー/
  乙女の最後の祈り(または失敗するくらいなら)Z.601〜ダメよ抵抗してもだめ/
  私は美しいチェリアに恋をした/愛の女神は盲目Z.331
 カルロス・メーナ、ダミアン・ギヨン(CT)
 フィリップ・ピエルロ(ガンバ)指揮リチェルカーレ・コンソート
 録音:2009年10月。
ショパン:チェロ・ソナタ Op.65/
 序奏と華麗なポロネーズ Op.3
アルカン:演奏会用ソナタ ホ長調 Op.47
タチアナ・ヴァシリエワ(Vc)
ジャン・フレデリック・
 ヌーブルジェ(P)
 録音:2009年9月。
 第7回ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールで ロシア人初の優勝を果たし、その後世界的指揮者、オーケストラとの共演を重ね、2009年のラ・フォル・ジュルネでも注目を集めた期待のチェリスト、タチアナ・ヴァシリエワと新進気鋭のピアニスト、ジャン・フレデリック・ヌーブルジェによる「ショパン・アルバム」。
 ショパンが残した最後の大作チェロ・ソナタとアルカンのソナタ。この2つのソナタはフランスのチェリスト、オーギュスト・フランショームに献呈されたという共通項をもつ作品。幅広い表現、細かなニュアンス、移りゆく微妙な色合いまでも、2人の息の合ったアンサンブルで聴かせてくれる。二人の演奏が非常にロマンティックで美しいショパン。高度なテクニックで書かれたアルカンのソナタは演奏機会の少ない曲だが、完成度の高さとアルカンの挑戦が結実したロマン派を代表するチェロ作品。踊り狂ったようなチェロとピアノが、強烈なサルタレッロ風の終楽章は圧巻。またショパンとジョルジュ・サンドを思わせる意味深なジャケットにも注目。
フランク/ジョリス・ルジューヌ編:十字架上のキリストの最後の7つの言葉
グノー:十字架上のキリストの最後の7つの言葉
 ソフィー・グラフ(S) ヴァレリー・ボナール(A) マティアス・ロイサー、
 ヴァレリーオ・コンタルド(T) ファブリス・エヨーズ(B)
 ロール・エルマコラ(Hp) マルチェロ・ジャンニーニ(Org)
 ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブル
 録音:2009年8月7日-8日、ラ・フェルム・ド・ヴィルファヴァール。至高のハーモニーを奏でる合唱の大家ミシェル・コルボの最新録音。
 フランクとグノーの知られざる名曲「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」を合唱とオルガンによる新版で演奏。1850年頃再発見されたこの重要な宗教テーマ「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」。同じテキストを使って全く違う音楽が創造され、この正反対の2人の作曲家が、ほぼ同時期に同じテーマで作曲したというのは、興味深い事実。
 決して難解ではない2つの「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」は、美しい和声と透明感あふれる響き、そして柔らかいヴォーカル・アンサンブルが際立った作品。フランクの作品は、フランク研究家のジョリス・ルジューヌによって編曲。合唱とオルガンの他にハープとチェロを用い、オリジナルのオーケストラ編成の効果を引き出しながら、より幅広く演奏できる編成。
 コルボの音楽に秘められた神秘性は崇高なる祈りとして、聴くものの心に響いて来る。
エリザベト・クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲール(1665-1729):
 ヴァイオリン、ヴィオールと通奏低音のためのソナタ集

 ソナタ[第1番−第4番/レ・シルヴァン(クープラン/テオルボ編曲)/プレリュード(モレル/ヴィオール)
 バンジャマン・ペロー(テオルボ/バロックG)指揮ラ・レヴーズ
 [ステファン・デュデルメル(Vn) フローレンス・ボルトン(ヴィオール)
  アンジェリーク・モイヨン(Hp) ベルトラン・キュイエ(Cemb)]
 録音:2009年9月。
 ジャケ・ド・ラ・ゲールは17世紀に活躍した数少ない女性作曲家。楽器製作者の一族ジャケ家の出身で、神童として注目を浴び、クラヴサン奏者としても才能に溢れ、ルイ14世の寵臣を受け活動していた。
 このソナタは、当時フランスで流行していたイタリア趣味を取り入れ、ヴィオールのソロの間にヴァイオリンが華やかなパッセージを奏でるようなフランスの優雅さを折衷した独自の様式で書かれている。18世紀前半のフランス器楽曲の中で最も素晴らしい作品の一つ。
 ジャケットに使用されている肖像画はジャケ・ド・ラ・ゲール自身。フランソワ・ド・トロワの作品。精緻な描写と艶やかな光沢が美しく、女性らしさが引き立つ1枚。
ケフェレック〜ハイドン:ソナタと変奏曲集
 ソナタ第62番 変ホ長調 Hob.XVI; 52/
 変奏曲 ヘ短調 Hob.XVII; 6/
 ソナタ第53番 ホ短調 Hob.XVI; 34/
 ソナタ第54番 ト長調 Hob.XVI; 40
アンヌ・ケフェレック(P)
 録音:2001年9月30日、10月1日。
 コンサート、録音ともに世界中の音楽ファンを魅了するピアニスト、アンヌ・ケフェレック。彼女のレパートリーは非常に多様でいつも違った顔を見せてくれる。気品に満ち、その凛とした姿は、彼女が奏でる音楽そのもの。今回は2009年がアニバーサリーイヤーでもあるハイドンの作品。モーツァルトのハイドンに対する尊敬は「ハイドン・セット」の献呈文にもあらわれているが、他にもモーツァルトはこのようにも語っている。「洗練された冗談、意外な驚き、笑い、深い感動といった全ての事柄をハイドンほど上手く表現できる人は他にいない。」また同じように、モーツァルトがケフェレックの演奏を聴いたら「これほどハイドンの作品を表情豊かに活き活きと演奏できる人も、アンヌ・ケフェレックの他にいないだろう。」と言うかもしれない。それほどに、このケフェレックは、快活で力強く、また繊細で柔和な音楽を奏でている。
 ピアノ・ソナタの中でも後期の作品第62番は、ハイドンのソナタの最高傑作とも言われている。華々しい冒頭や、中間部の繊細さなど起伏に富んだ楽想を有する。また美しさと悲しさが交差する大規模な変奏曲、溌剌とした第53、54番のソナタ。ケフェレックの温和な表現、颯爽とした音楽性が溢れ出ている。
MIR-103
(2CD)
廃盤
J.S.バッハ:
 平均律クラヴィーア曲集第1巻
シャオメイ・シュ(P)
MIR-102
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(CD+DVD)
1CD価格
J.S.バッハ:マニフィカト
 マニフィカト BWV243/
 マニフィカト「わが心は主をあがめ」
  にもとづくフーガ BWV733/
 ミサ曲 ト短調BWV235/
 プレリュードとフーガ ト長調BWV541/
 ・特典DVD
   マニフィカト
    監督:ピエール=ユベール・マルタン
      NTSC 43mm 言語:仏、英
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカーレ・コンソート
 録音:2009年4月。
 マニフィカトBWV243はバッハがライプツィヒに着任した年のクリスマスの晩課のために作曲された。クリスマスを迎えるに相応しい壮麗な作品。マニフィカトによるオルガン編曲「わが心は主をあがめ」、キリエとグロリアで構成され、すべてカンタータからの転用であるミサ曲BWV235などそれぞれの関連性を考えた曲目構成で体系的に聴くことが出来る。
 フィリップ・ピエルロとリチェルカーレ・コンソートは、繊細な美しさの中に凛とした美しさが際立った美演を聴かせてくれる。
アントニオ・ソレル:ソナタ集
 [第129番 R.451 ホ短調/前奏曲第2番 ト短調/
 第87番 R.416 ト短調/第42番 R.377 ト短調/
 第18番 R.353 ハ短調/第19番 R.354 ハ短調/
 第24番 R.359 ニ短調/第25番 R.360 ニ短調/
 第54番 R.389 ニ短調/第15番 R.350 ニ短調/
 第85番 R.414 嬰ヘ短調/第90番 R.419 嬰ヘ長調/
 第154番 R.472 変ニ長調/第88番 R.417 変ニ長調/
 第86番 R.415 ニ長調/第84番 R.413 ニ長調]
ルイス・フェルナンド・
 ペレス(P)
 録音:2008年5月27日-30日、マドリッド。
 18世紀スペインのカタルーニャ出身の作曲家アントニオ・ソレルは、マドリッドのエル・エスコリアル修道院に聖職者として30年以上過ごし、その間に500曲を越す作品を書き、その中140曲に及ぶ鍵盤ソナタを作曲した。その作風はD.スカルラッティ風でもあるが、どれも色彩に満ち、スペイン的要素が感じられる情熱的な音楽。
 1977年マドリッド生まれ。ドミトリー・バシュキーロフ、ピエール=ロラン・エマール、アリシア・デ・ラローチャらに学んだルイス・フェルナンド・ペレスは、まさにスペインの風土を強く感じさせる演奏で魅力的に表現している。
フォーレ:ピアノ作品集 Vol.2
 3つの無言歌 Op.17 /3つの夜想曲 Op.33 /
 即興曲〔第1番 変ホ長調 Op.25 /第4番 変イ長調 Op.36 /第5番 変ロ長調 Op.37 〕/
 舟歌〔第1番 イ短調 Op.26 /第2番 ト長調 Op.41 /第3番 変ロ長調 Op.42 〕
  ジャン=クロード・ペヌティエ(P)
 録音:2009年10月。Vol.1:MIR-072。フランスの巨匠ペヌティエによるフォーレ第2弾。3つの夜想曲Op.33など、名曲が並ぶ。フォーレ独特のどこかかすんだような、やわらかな光に満ちた世界を、透明な音で見事に再現。フォーレの世界をふくよかに美しく響かせる。ささくれだった心に優しく沁み渡るような、涙の出るような優しさと美しさに満ちた、まさに巨匠の演奏。
ベレゾフスキー〜リスト(1811-1886):
 ピアノ・ソナタ ロ短調(*)/
 巡礼の年第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」
  [ゴンドラを漕ぐ女/カンツォーネ/タランテラ]/
 メフィスト・ワルツ第1番/
 超絶技巧練習曲〜第11番「夕べの調べ」(#)
ショパン:ワルツ第5番 変イ長調Op.42「大円舞曲」
ボリス・ベレゾフスキー(P)
 録音:2009年3月15日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ライヴ(*)/2009年6月26日、フェスティヴァル・デ・ラ・グランデ・メレ(代理店記載ママ)、ライヴ。(#)はアンコール。
 抜群のテクニックと豊かな音楽性で聴く者を虜にするピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー。超絶技巧を代表する作曲家リストの作品をライヴの熱演で聴かせてくれる。リストが唯一残したピアノ・ソナタ「ピアノ・ソナタ ロ短調」は、高度な技術と精神性が結びついた傑作。ベレゾフスキーの本領を発揮した劇的な演奏。燃えるようなロマンティシズムを堪能出来る。高度なピアノ技巧が満載された難曲「ヴェネツィアとナポリ」。「メフィスト・ワルツ」は悪魔的な迫力と躍動的かつ壮麗な演奏。そしてドラマティックな夜の訪れを感じさせる美演「夕べの調べ」。アンコールのショパン「大円舞曲」は熱狂したライヴの様子が伝わる名演。
アンヌ・ケフェレック〜ショパン
 ポロネーズ
  [変ロ長調KK.IV-1(1817)/ト短調S1-1(1817)/
   変イ長調KK.IV-a2(1821)]/
 マズルカ イ短調Op.7-4(1824)/
 ポロネーズ ヘ短調Op.71-1(1828)/
 ソステヌート 変ホ長調(1840)/
 カンタービレ 変ロ長調(1834)/
 ノクターン 嬰ハ短調 遺作(1830)/
 幻想即興曲 嬰ハ短調Op.66(1834)/
 ワルツ ヘ短調 Op.70-2(1841)/
 マズルカ ハ短調 Op.50-3(1841-1842)/
 子守歌 変ニ長調Op.57(1843)/
 舟歌 嬰ヘ長調Op.60/
 スケルツォ第4番 ホ長調Op.54(1842)/
 ワルツ イ短調KK.IVb-11, P2-11/
 バラード第4番 ヘ短調Op.52(1842)/
 マズルカ ヘ短調Op.67-4(1848)
アンヌ・ケフェレック(P)
 録音:2009年11月、リモージュ、フランス。81分。
 フランスを代表する女流ピアニスト、アンヌ・ケフェレック待望のショパン。叙情的で艶やかな魅力に溢れたショパンの作品を、ケフェレックの知性的で洗練されたピアニズムが繊細に紡ぎだす。ショパンの複雑で苦悶に満ちた音楽、幸福な思い出を想起させるような音楽、ケフェレックが描く鮮やかな色彩の渦に惹きこまれ、どっぷりとショパンの魅力に浸るこが出来る。特に2009年のリサイタルでも評判の高かったショパン円熟期の最高傑バラードの4番は必聴。ケフェレックの意外にも濃厚な表現がぴったりと合い、美しい旋律線が浮かび上がり絶美。曲目はショパンの祖国の記憶を読み解くプログラミング。第1曲目のポロネーズ 変ロ長調KK.IV/1 はショパンが7 歳の時の作品。この作品の中にも確実にショパンの魂は存在し、祖国ポーランドへの想いが含まれている。そしてショパンの故国への記憶は最後のマズルカまで彼を悩まし続けた。このアルバムはピアノ作品を通して、ショパンの失われた時代、土地を探し求める1枚となっている。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル公式アルバム Vol.3
 バッハ/ジロティ編:プレリュード ロ短調 BWV855a[アンヌ・ケフェレック(P)]
 ソレル:第87番 R.416 ト短調[ルイス・フェルナンド・ペレス(P)]
 ハイドン:ソナタ第62番 変ホ長調 Hob.XVI; 52 より[アンヌ・ケフェレック(P)]
      ソナタ第38番 ヘ長調 Hob.XVI..23 より[シャオ・メイ・シュ(P)]
 シューベルト/リスト編:水車小屋と小川[ブリジット・エンゲラー(P)]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第19番より[ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)]
 リスト:巡礼の年第2年「イタリア」〜第2曲「物思いに沈む人」[ニコラ・アンゲリッシュ(P)]
 メンデルスゾーン:幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ」Op.28より[シャニ・デュリカ(P)]
 ショパン:マズルカ ロ短調 Op.33/マズルカ 変ロ短調 Op.24[イド・バル=シャイ(P)]
 フォーレ:ロマンス Op.17[ジャン=クロード・ペヌティエ(P)]
 メトネル:2つのおとぎ話 Op.48〜第2曲 ト短調(妖精のおとぎ話)[ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 スクリャービン:ピアノ・ソナタ第4番より[アンドレイ・コロベイニコフ(P)]
 ボロディン:小組曲より[ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 Op.72より[クレール・デセール、エマユエル・シュトロッセ(P)]
 チャイコフスキー/ラフマニノフ編:組曲「眠れる森の美女」(4手版)
  [ブリジット・エンゲラー、ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 フランスのプロヴァンス地方で毎年開催されるフェスティヴァル、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァルの公式アルバム。代理店インフォによると『出演者によるコンピレーション・アルバム』とのことだが、これまで通り、音楽祭でのライヴから抜粋されたものだと思われる。
ベートーヴェン
 ピアノ・ソナタ第30番/
 6つのバガテル/
 ピアノ・ソナタ[第24番/第17番]
アンドレイ・コロベイニコフ(P)
 録音:2009年5月、フランス・リモージュ。
 1986年生まれの若きピアニスト、アンドレイ・コロベイニコフ。大胆にダイナミックに演奏する一方、柔らかく繊細に音を響かせ、双方を自在に操る類い稀な才能を持つピアニスト。ベートーヴェンの壮大な音楽を手中に収め、豊かに音楽を奏する様は巨匠並み。ベートーヴェン晩年の至高の芸術第30番のソナタは、堅実かつ完璧で美しい音色。冒頭の4小節が非常に美しい第24番「テレーゼ」。デリケートに軽やかに心地よく聴かせてくれる。音楽以外の多様な分野でも才能を発揮しているコロベイニコフ。スケールの大きい音楽性はこれからの演奏家としての躍進が期待されるピアニスト。
ショパン:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.8/
     序奏と華麗なポロネーズ Op.3
リスト:「オーベルマンの谷」〜トリスティア
トリオ・ショーソン
[フィリップ・タレク(Vn)
 アントワーヌ・ランドウスキ(Vc)
 ボリス・ド・ラロシェランベール(P)]
 ピアノの詩人ショパン唯一の「ピアノ三重奏曲」。この作品はチェロの名手であったアントニ・ヘンリク・ラジヴィウ公爵に献呈されている。ショパン19歳の時の作品だが、センチメンタルで甘美な旋律がアンサンブルの各楽器の艶を引き立てる。同じく19歳の作品「序奏と華麗なポロネーズ」はチェロという楽器の音色にピタリと合った旋律と、ピアノとの絶妙なかけあいが魅力的な作品。トリオ・ショーソンの演奏は、若きショパンの憂いと輝きをうまく表現し、ショパンの室内楽作品への印象がガラリと変わる秀演。またリストの「トリスティア」もふくよかな香り立つ音楽にうっとりさせられる。
W.F.バッハ:幻想曲、ソナタ、フーガ、ポロネーズ
 ポロネーズ第1番 ハ長調/フーガ第1番 ハ長調/
 ソナタ ト長調 FK 7/フーガ第2番 ハ短調/
 幻想曲 ハ短調 FK nv2(*)/ポロネーズ第10番 ヘ短調(*)/
 フーガ第3番 ニ短調/幻想曲 ニ短調 FK 19/ソナタ ニ長調 FK 3/
 ポロネーズ[第11番 ト長調/第7番 ホ長調/第8番 ホ短調(*)]/
 フーガ第6番 ホ短調/幻想曲 イ短調 FK 23
モード・グラットン
(Cemb/クラヴィコード;*)
 W.F.バッハは大バッハの長男で息子たちのなかでは最も才能に恵まれ、可愛がられていたと言われているが、その作品を耳にする機会は多くない。即興性に富んだ彼の作品はとても魅力に溢れている。12 の作品からなるポロネーズは、揺らぐテンポ、気まぐれなリズムが独特の作風を際立たせている。幻想曲は幻惑させられる半音階進行は彼の驚くべき才能とセンスが感じられる。先の読めない独特の楽想を新星モード・グラットンの優れた音楽性と多彩な音で聴かせてくれる。モード・グラットンは1983年フランス生まれの若手注目株。パリ国立音楽院にて学び、2000年サン・ジェルマン・デ・フォセ・コンクール第1 位、2003年ルージュ国際古楽コンクール第2 位など数々の受賞歴があり様々な音楽祭に出演。ピエール・アンタイ、クリストフ・ルセなど古楽界の巨匠から次々と指名をされている新星。
ラフマニノフ:交響曲第2番 クワメ・ライアン指揮
ボルドー・アキテーヌ国立o.
 録音:2008年10月。
 前作「グレイト」(MIR-045)で披露したその新鮮な解釈、また2008年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭で初来日し、日本の聴衆にその実力をみせてくれたクワメ・ライアンの最新盤。
 ラフマニノフの最高傑作の一つ交響曲第2番。豊かな情感、濃厚な響きとラフマニノフの特徴がよく表れた美しい作品で、情熱的に濃密に演奏されることが多いが、クワメ・ライアンは冷静に音楽の美しさを表現している。第1楽章の冒頭の長いフレーズを丁寧に繊細に奏で、甘くなりがちな第3楽章のロマンティックな旋律は、独自のしなやかさが絶妙な美しさを醸し出している。手兵ボルドー・アキテーヌ管の多彩な響きを生かした極上の演奏を聴かせてくれる。
MIR-086
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(2CD)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
 [第1番 ト長調BWV.1007(18 '29)/
  第2番 ニ短調BWV.1008(22 '14)/
  第6番 ニ長調BWV.1012(29 '55)/
  第3番 ハ長調BWV.1009(21 '48)/
  第4番 変ホ長調BWV.1010(23 '55)/
  第5番 ハ短調BWV.1011(26 '31)]
タチアナ・ヴァシリエヴァ(Vc)
 録音:2008年11月、シオン、スイス。
 2001年ロストロポーヴィチ・チェロ・コンクールでロシア人初の優勝を果たし、今最も注目の実力派女流チェリスト、タチアナ・ヴァシリエヴァ。日本では2008年のゲルギエフ&LSOの日本ツアーでプロコフィエフのチェロ協奏曲を熱演、2009年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭では舞踊家の勅使河原三郎氏とのコラボレーションによるコンサートが予定されている。MIRAREレーベル登場第1弾として挑んだのがチェロ奏者たちの旧約聖書ともいえる「J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲」。彼女の魅力は驚異的なテクニックと深い響きを持った音。独特の色気と流動感に満ちた演奏で新しいバッハ像を聴かせてくれる。
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲集
 [第1番 ニ短調BWV1052/第7番 ト短調BWV1058/
  第5番 ヘ短調BWV1056/第4番 イ長調BWV1055]
ベルトラン・キュイエ(Cemb)
ダニエル・キュイエ(Vn)指揮
ストラディヴァリア
 録音:2008年12日1-4日[代理店記載ママ]。
 フランス古楽界の草分け的存在ダニエル・キュイエが音楽監督を務めるストラディヴァリアと若手チェンバロ奏者ベルトラン・キュイエによる協奏曲集。ベルトランド・キュイエは、チェンバロ奏者ジョスリーヌ・キュイエを母に持ち、8歳でチェンバロをはじめ、その後ナント国立音楽院で学ぶ。若くして世界の古楽シーン活躍してきたベルトランド[代理店記載ママ]の演奏に注目。アンサンブルとのバランスも良く、透き通った音色、明解、明晰な音楽で溌剌とした演奏を披露している。
リスト:詩的で宗教的な調べ(全10曲) ブリジット・エンゲラー(P)
 録音:2010年4月。ブリジット・エンゲラー(アンジュレ)のMIRAREレーベル最新録音は、2011年生誕200年を迎えるフランツ・リスト。「詩的で宗教的な調べ」は全10曲からなる作品群で、フランス・ロマン派の詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌの同名の詩集に深い感銘を受け、タイトルを借りている。全曲録音したピアニストは少なく、各曲が単独で取り上げられることの多い作品。特にラマルティーヌの詩が冒頭にかかげられ、宗教的で瞑想的な内容の第3曲「孤独のなかの神の祝福」と超絶技巧で力強い重厚な第7曲「葬送」は有名。またリスト自身が好んで演奏したという第10曲「愛の賛歌」は華麗で神秘的な美しい作品。エンゲラーの磨き抜かれた音とエレガントな表現で全曲聴くことができるのは嬉しいかぎり。
J.S.バッハ〜瞑想 [CONTEMPLATION]
 コラール「主イエス・キリストよ、
  われ汝に呼ばわる」BWV639(ブゾーニ編)/
 カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちにあたって」BWV992/
 平均律クラヴィーア曲集第1巻 より
 [プレリュード第4番 嬰ハ短調BWV849/
  プレリュード第22番 変ロ長調BWV867]/
 カンタータ第22番「イエスは十二使徒を
  ひき寄せたまえり」BWV22(コーエン編)/
 平均律クラヴィーア曲集第1巻
  〜プレリュード第8番 変ホ短調BWV853/
 トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調BWV564(ブゾーニ編)/
 イギリス組曲第2番 イ短調〜サラバンドBWV807/
 ヴィヴァルディ「オルガン協奏曲 ニ短調」BWV596/
 フランス組曲第1番 ニ短調〜サラバンドBWV812/
 イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971/
 マルチェッロ「オーボエ協奏曲」〜アダージョ ニ短調/
 平均律クラヴィーア曲集第2巻
  〜プレリュード第14番 嬰ヘ短調BWV883/
 プレリュード ロ短調 BWV855a(シロティ編)/
 プレリュード ホ短調(シロティ編)/
 ゴルトベルク変奏曲〜アリア BWV988/
 主よ、人の望みの喜びよBWV147(ヘス編)/
 イギリス組曲第3番 ト短調〜サラバンドBWV808/
 フルート・ソナタ第2番 変ホ長調BWV1031
  〜シチリアーノ(ケンプ編)/
 来たれ、異教徒の救い主よBWV659a(ブゾーニ編)/
 神の時は最上の時なりBWV106
  (哀悼行事のソナティナ; クルターク編; 連弾)(*)
アンヌ・ケフェレック(P)
ガスパール・デヘヌ(P;*)
 録音:2008年9月La Ferme de Villefavard、仏リムザン地方。
 「ラ・フォル・ジュルネ」の主要出演者として毎年聴衆を沸かせているアンヌ・ケフェレックの久々の新譜がリリースされる。今回は2009年の「ラ・フォル・ジュルネ」テーマともなっているバッハ。「瞑想曲 瞑想」と題されたブゾーニ、コーエン、シロティ、ケンプ、クルターク編曲の作品を含むJ.S/バッハの名曲を収録。効果的なブゾーニの編曲が圧巻の「来たれ、異教徒の救い主よ」、名曲「主よ人の望みの喜びよ」、原曲の美しい旋律を生かしたケンプ編曲のシチリアーノ、そしてシロティ編曲のプレリュードは、バッハの様式とはかけはなれた非常に美しいロマンティックな作風だが、原曲以上の神々しさを持つ作品。ケフェレックの実に純粋無垢な演奏が感動を誘う。ケフェレックの魅力は凛として、透明感のある、美しく端正な音楽。瞑想的な表現やデリケートな美しさが忘れがたい名演となっている。
MIR-081
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(2CD)
コルボの「ロ短調ミサ」
 J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV.232
 谷村由美子(S) ヴァレリー・ボナール(Ms)
 セバスティアン・ドロワ(T) クリスティアン・イムラー(B)
 ミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽&器楽アンサンブル
 録音:2008年8月、La Ferme de Villefavard(仏リムザン地方)。
 フォーレのレクイエム(MIR-028)、シューベルトのミサ曲第6番(MIR-051)とMIRAREレーベルに次々と新名盤を生み出してきた合唱曲の大家、ミシェル・コルボが遂にバッハ「ロ短調ミサ」を録音。まず合奏の美しさに驚かされる。流麗な旋律に清楚で繊細な合唱が心地よく響き、安心感のある音楽を形成。高度な合唱に劣らず、4人のソリストたちのテクニックも文句なし。コルボの秘蔵っ子、谷村由美子の充実した声量と伸びのある声に感嘆。独特の声質で惹きつけるヴァレリー・ボナール。メリハリのある明るい美声のセバスティアン・ドロワ(国内代理店翻訳者は「ドロイ」としているが、フランス人で Droy のため、誤り)。艶がありキリリと引き締まった素晴らしいバス、クリスティアン・イムラー。個々の高いレベルを感じさせる演奏。感動的な終曲「ドナ・ノビス・パチェム」は圧巻。聴き終えた後もしばらく静かな余韻に浸りたくなるアルバム。
MIR-080
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(1CD+1DVD)
1CD価格
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 [第29番 変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア」/
  第19番 ト短調Op.49-1/第20番 ト長調Op.49-2]/
 エリーゼのために イ短調 WoO59
特典DVD; ハンマークラヴィーアの真髄へ迫る旅
 (ルネ・マルタン出演)
ジャン=フレデリック・
 ヌーブルジェ(P)
 新進気鋭のピアニスト、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ。日本でも急速に人気が高まっており、聴き逃す事の出来ないピアニスト。MIRAREレーベルではツェルニー(MIR-023)、ライヴ・アット・サントリーホール(MIR-060)の2タイトルが既に発売されて、高い評価を受けている。
 今回の収録曲はベートーヴェンのピアノ・ソナタの中でも最も長大で演奏が難しいとされている「ハンマークラヴィーア」を中心に構成されたプログラム。「ピアノ曲のエベレスト」、「大きな壁」と言われているこの作品だが、ジャン=フレデリック・ヌーブルジェは緻密な楽曲分析と卓越した技術を最大限に活かし、この高い頂に果敢に挑戦している。また特典としてこの難曲に挑戦する若きピアニストを追ったDVDが付属されている。彼を見出した敏腕プロデューサーのルネ・マルタンも登場。この「ハンマークラヴィーア」は2009年の来日リサイタルの演目にもなっていて、彼の演奏にますます注目が集まりそう。
サン=サーンス:
 ピアノ協奏曲第2番 ト短調Op.22/
 ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調Op.103「エジプト風」
ブリジット・エンゲラー(P)
アンドレア・クイン指揮
パリ室内o.
 録音:2008年6月、ルヴァロワ・ペレ、フランス。
 表現力の幅広さはピカイチのブリジット・エンゲラー。新録音はサン=サーンスの協奏曲。ダイナミックな表現力と歌心溢れる音楽性で聴かせてくれる。リストが高く評価し現在も最も人気のあるサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番。名人芸が堪能できる作品で、エンゲラーは華麗なテクニックを駆使しながら、美しい演奏を披露している。サン=サーンスがエジプト滞在中に作曲された第5番。異国情緒漂う雰囲気の第2楽章ではエンゲラーの鮮烈な演奏が印象的。
 タクトを振るのは1964年生まれのイギリス女流指揮者アンドレア・クイン。
2008 ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル公式アルバム
 ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番 Op.5「幻想的絵画」〜バルカローレ
 チャイコフスキー/ラフマニノフ編:組曲「眠れる森の美女」(4手版)
  [ボリス・ベレゾフスキー、ブリジット・エンゲラー(P)]
 メンデルスゾーン:無言歌第6巻〜嬰ヘ短調「失われた幻影」Op.67-2
          無言歌第1巻〜ホ長調「甘い思い出」Op.19-1[シャニ・ディリュカ(P)]
 J.S.バッハ:前奏曲第3番 ハ長調BWV.872[シャオ・メイ・シュ(P)]
 フォーレ:前奏曲第7番 イ長調Op.103[ジャン=クロード・ペヌティエ(P)]
 スクリャービン:2つの詩曲 Op.32 ハ長調〜アンダンテ・カンタービレ/詩曲「炎に向かって」Op.72
  [アンドレイ・コロベイニコフ(P)]  ショパン:ノクターン ヘ長調Op.15-1/バラード第2番[ジャン=フレデリク・ヌーブルジェ(P)]
 ヘンデル:組曲 ト短調HWV.432より[アンヌ・ケフェレック(P)]
 リスト/シューベルト:セレナーデ[ブリジット・エンゲラー(P)]
 リスト:巡礼の年第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」〜舟歌[ニコラ・アンゲリッシュ(P)]
 メトネル:4つのおとぎ話 Op.34〜第2曲 ホ短調/2つのおとぎ話 Op.20〜第2曲 ロ短調「鐘」
  [ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 Op.46〜ソウセツカ[クレール・デセール、エマユエル・シュトロッセ(P)]
 フランスのプロヴァンス地方で毎年開催されるフェスティヴァル、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル。「熱狂の日」でお馴染みのルネ・マルタン氏が創設した若手からベテランまで幅広いピアニストが出演するピアノ界には欠かせないイベント。抜粋なのが惜しまれるアルバム。
ハイドン:
 ソナタ第38番 ヘ長調Hob.XVI..23/
 ソナタ第53番 ホ短調Hob.XVI..34/
 アンダンテと変奏曲 ヘ短調Hob.XVII..6/
 ソナタ第50番 ハ長調Hob.XVI..50/
 ソナタ第62番 変ホ長調Hob.XVI..52
シャオ・メイ・シュ(P)
 録音:2008年6月、パリ。
 ラ・フォル・ジュル・ネでのお馴染みのピアニスト、シャオ・メイ・シュ。上海生まれで、幼い時に母親によって音楽教育を受け、8歳の時にはラジオやテレビで注目を集めていた。しかし文化大革命の影響で数年間地方に過ごし、その後北京で勉強を再開。1980年にアメリカへ、そして1984年にはパリへ移住し、世界各地で演奏活動を行い現在はパリで教鞭を取っている。
 録音ではゴルトベルク変奏曲(MIR-048)、平均律クラヴィーア曲集(MIR-044)ではその高い音楽性が注目された。今回のアルバムは2009年のハイドン・イヤーを祝う内容。60曲以上あるハイドンのソナタから音楽的にも充実した中期から後期の作品、そして間に哀愁ただよう変奏曲が盛り込まれている。中でも最後のピアノ・ソナタ第62番は音楽性に富み、複雑な技巧を要する作品。シャオ・メイ・シュの深い音楽性が作品の豊かさ、美しさを際立たせている。
ショパン:マズルカ集(30曲)
[第47番 イ短調/第7番 ヘ短調/第10番 変ロ長調/
 第11番 ホ短調/第12番 変イ長調/第13番 イ短調/
 第56番 変ロ長調/第14番 ト短調/第15番 ハ長調/
 第16番 変イ長調/第17番 変ロ短調/第42番 ト長調/
 第44番 ハ長調/第18番 ハ短調/第19番 ロ短調/
 第20番 変ニ長調/第21番 嬰ハ短調/第22番 嬰ト短調/
 第23番 ニ長調/第24番 ハ長調/第25番 ロ短調/
 第26番 嬰ハ短調/第29番 変イ長調/
 第42番 イ短調「エミール・ガイヤール」/
 第32番 嬰ハ短調/第45番 イ短調/第43番 ト短調/
 第40番 ヘ短調/第41番 嬰ハ短調/第49番 ヘ短調]
イド・バル=シャイ(P)
 1977年イスラエル出身のピアニスト、イド・バル=シャイは、テルアビブのルビン音楽アカデミーでプニーナ(国内代理店はピニーナとしているが、誤記)・サルツマンの元で学び、アレクシス・ワイセンベルクの指導も受けた。またヴェルヴィエ音楽祭、ラ・ロック=ダンテロン音楽祭、ナントと東京のラ・フォル・ジュルネ音楽祭にも招待されている注目の若手ピアニスト。MIRAREデビューCDのハイドンのピアノ・ソナタ集(MIR-014)は世界で高く評価された。
ラインケン:トリオ・ソナタ集「音楽の園」より
 [第1番 イ短調/第4番 ニ短調]
ブクステフーデ:
 ソナタ集
  [第1番 ト長調 BuxWV271/ハ長調 BusWV266/
   ヘ長調 BuxWV269]/
 シャコンヌ ハ短調BuxWV159(2台のオルガン用編曲)
バンジャマン・ペロー
(テオルボ)指揮
ラ・レヴーズ
 録音:2008年7月。
 ラインケンとブクステフーデのJ.S.バッハに大きな影響を与えた作曲家2人の作品。ラインケンはオラダンダ出身のハンブルクで活躍した教会オルガニスト。ラインケンの「音楽の園」をもとにJ.S.バッハが3曲鍵盤楽器用に編曲をするほど、バッハ自身もラインケンを深く尊敬していたようだ。ラインケンは長寿であり幅広く活躍していたが即興を得意としていたため非常に限られた作品しか残っていない。この「音楽の園」は唯一の室内楽作品。この作品と通ずるところがあるブクステフーデのトリオ・ソナタ。様々な楽想が変化していく奥行きのある作品。2台のオルガン用に編曲されたシャコンヌ ハ短調は悲しげなメロディーが美しい曲。「音楽の父」と称されたバッハがお手本とした2人の作曲家の重要性をラ・レヴーズがしっかりと伝えてくれる1枚。
MIR-073
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初回プレス限定
シューベルト/レネゲイズ編:
 3つの軍隊行進曲 D.733より/楽興のとき D.780より/
 セレナードより/即興曲より/スケルツォ D.593より/
 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」D.810より/
 交響曲「未完成」より/「魔王」D.328/
 アヴェ・マリア D.839
レネゲイズ・
 スティール・バンドo.
 録音:2008年2月、ナント、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭、ライヴ。
 2008年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭のテーマは「シューベルトとウィーン」。室内楽から交響曲、歌曲、ピアノ作品集まで、シューベルトの魅力を骨の髄まで味わいつくそうという音楽祭だが、ひときわ目を引くのが、スティール・バンドo.によるシューベルト作品のコンサート。シューベルトとスティール・バンド???という感じだが、これが聴いてびっくり、実にたのしく愉快なものなのだ。
 日本向け完全限定盤、代理店在庫終了次第廃盤となるとのことなので、お早めに。「商品の仕様は、通常の MIRARE のものとは違い、ジュエルケースで、インレイカードがありません。また、ブックレットも詳細な解説はつきません。何卒ご了承のほど、宜しくお願い申し上げます。」とのこと。
ペヌティエ〜フォーレ:ピアノ作品全集 Vol.1
 バラード Op.19/マズルカ Op.32/
 ヴァルス・カプリス(全4曲)/前奏曲 Op.103
ジャン=クロード・
 ペヌティエ(P)
 録音:2008年1月。
 フォーレ弾きジャン=クロード・ペヌティエによるピアノ曲全集がスタートする。ショパンと比較されることも多く、不思議な美しさを表現するのは難しいフォーレのピアノ作品だが、フォーレ国際コンクールで優勝経験のあるペヌティエはその自由な和声感を自在に操り、思わず聴き惚れてしまう。バラードはあのリストが「指が足りない」と言った難曲。声部を縫うような美しい旋律線、緩急が付けられた楽想を見事に捉えた秀演。ヴァルス・カプリスは軽妙なサロン風音楽だが、明るい調性、華やかな音楽、すり抜けるような掴みきれないリズムと共にフォーレ独特の雰囲気を持った作品。色っぽさと魅惑的メロディーに満ち溢れた4曲を大人の余裕で弾きこなしているペネティエに心酔。
MIR-070
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(CD+DVD)
1CD価格
DVDは限定付属
ベレゾフスキー&エンゲラー
 ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲
  [第1番 Op.5「幻想的絵画」(*)/
   第2番 Op.17(#)]
 チャイコフスキー/ラフマニノフ編:
  組曲「眠れる森の美女」(4手版;*)
 特典DVD(PAL):ドキュメンタリー「SHARED SECRETS」
  〜「眠れる森の美女」録音風景より
ブリジット・エンゲラー、
ボリス・ベレゾフスキー(P)
 録音:2006年7月(*)/2007年12月(#)、DVD仕様:[トータル・タイム:18分/言語:フランス語/字幕:英語]。
 2008年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭でも人気の高かった2人による新譜が発売される。ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして着実に地位を築いてきたロシアのピアニスト、ベレゾフスキー。フランス系のピアニストながらモスクワ音楽院でネイガウスに師事していたエンゲラーの二人の共演による4手のためのラフマニノフ・アルバム。さらにこのアルバムの録音風景やインタビューが楽しめる映像を収録したDVD(PAL方式)が付いた特別仕様。エンゲラーとベレゾフスキーの見応えのある演奏姿や仲の良い様子が伺える和やかな録音風景が満載のDVD。
 ラフマニノフが20歳の時の作品でチャイコフスキーに捧げられた「組曲第1番」。あの有名なピアノ協奏曲第2番と同時期に作曲された「組曲第2番」。歯切れの良い技巧を持つベレゾフスキーと豊麗な音色で全てを包み込む音楽を奏でるエンゲラーとの演奏で、いずれも高度な演奏技術を要するラフマニノフの難曲を見事に弾ききっている。また組曲「眠れる森の美女」は、最初から連弾曲だったのではないかと思わせるピアニスティックな魅力溢れる作品。息の合った二人ならではの躍動感、色彩感に満ちた演奏。
モディリアーニSQ〜
 ハイドン:弦楽四重奏曲集

  [ト長調Op.54-1/ト短調「騎手」Op.74-3/
   変ロ長調「日の出」Op.76-4]
モディリアーニSQ
[フィリップ・ベルナール(Vn)
 ロイク・リオ(Vn)
 フランソワ・キエフエル(Vc)
 ローラン・
  マルフェング(Va)]
 モディリアーニ弦楽四重奏団は2003年に結成、イザイ弦楽四重奏団に師事。2006年にはメンデルスゾーン&シューマン弦楽四重奏曲(NS-01)でCDデビュー。これも高い芸術性、確かな才能を感じさせる力作だった。このハイドンも絶妙なアンサンブルで生き生きとした演奏を聞かせる。
 2008年ラ・フォル・ジュルネ・ジャポンにも出演。
Stella Matutina 〜朝の星 ヴォクス・クラマンティス
ウィークエンド・ギター・トリオ
 なんともなんとも不思議な世界。旧約聖書の詩篇などに基づく聖歌と、エレクトリック・ギターが交じり合って響くと、この世のものとは思えない瞑想世界が広がる。異次元世界にそびえたつ聖堂の中に迷い込んだようで、トランス状態に陥る。
 聖歌ははじめは口頭伝承、そして後に楽譜という形態で脈々と受け継がれ、何世紀ものときを経て今なお私たちに不思議なパワーを与えてくれる。それでは、今なお生み出されていて現代の我々に様々なパワーを与えてくれるエレクトリック・ギターは将来どうなるのだろう?というのが、このCDの出発点。
  この21世紀初頭という今の時代に、聖歌と電気を用いた楽器ギターなどによるコラボをすれば、生命力倍増となって、今を生きる人にも伝わるだろうし、また何百年後の人類にも何らかの力を及ぼすだろうと考えた演奏者たちが集まって、このCDが生まれた。私たちの子孫がこれを聴いて何を感じるかと、気持ちが未来へと向けられる不思議なCD。
メンデルスゾーン:無言歌集
 無言歌集
  第1巻〜ホ長調「甘い思い出」Op.19-1/
  第6巻より[嬰ヘ短調「失われた幻影」Op.67-2/
        変ホ長調「瞑想」Op.67-1/
        ハ長調「紡ぎ歌」Op.67-4]/
  第7巻〜ニ長調「悲歌」Op.85-4/
  第8巻より[ホ短調「寄る辺なく」Op.102-1/
        ト短調「そよぐ風」Op.102-4/
        イ長調「楽しき農夫」Op.102-5/
        舟歌 Op.102-7(遺作)]/
 厳格な変奏 Op.54/ピアノ三重奏曲第1番 Op.49/
 幻想曲 嬰ヘ短調「スコットランド・ソナタ」Op.28
シャニ・ディリュカ(P)
 グリーグ:ピアノ協奏曲(MIR-026)でMIRAREデビューしたシャニ・ディリュカ。スリランカ国籍の両親のもとモナコで生まれ育ち、幼少の頃からピアノの才能を開花させ、晩年のグレース王妃に見いだされて世界各国で英才教育を受けた逸材。透明感のある音色、ロマンティックでチャーミングなシャニ・ディリュカの音楽は、この美しい描写音楽を表現するのにふさわしい。
 #「ピアノ三重奏曲第1番」が曲目にありますが、代理店記載ママ&詳細不詳です。
スクリャービン:
 ピアノ・ソナタ第4番 嬰ヘ長調 Op.30/
 2つの詩曲 Op.32/ピアノ・ソナタ第5番 Op.53/
 2つの詩曲 Op.69/ピアノ・ソナタ第8番 Op.66/
 2つの詩曲 Op.71/
 ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」Op.68/
 詩曲「炎に向かって」Op.72
アンドレイ・コロベイニコフ(P)
 ポゴレリッチの代役を務めた新星、1986年生まれのアンドレイ・コロベイニコフによる待望のソロ・アルバム。彼は法律の学問も修めており、法律関係の本を出版、さらにそれらは海外でも翻訳されているという頭脳派。彼の奏でるスクリャービンは、熱いタッチでいながら、きわめて明晰で見通しのよい音楽となっている。「若き怪物」コロベイニコフの才能がヴェールを脱ぐ。
MIR-060
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(2CD)
ヌーブルジェ、サントリー・ホール・ライヴ
 J.S.バッハ:イギリス組曲第2番 イ短調BWV.807
 ショパン:
  バラード第2番 Op.38/ノクターン ヘ長調Op.15-1
 ラヴェル:ラ・ヴァルス
 リスト: ロ短調ソナタ
 ラヴェル:古風なメヌエット
 ストラヴィンスキー:練習曲 ヘ長調Op.7-4
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ:バガテル
 J.S.バッハ/S.フェインベルグ編:
  オルガンのためのソナタ第5番〜ラルゴ
ジャン=フレデリク・
 ヌーブルジェ(P)
 録音:2007年11月17日、サントリーホール。
 演奏家、音楽家、作曲家として類まれな才能を持つ世界が注目するジャン=フレデリク・ヌーブルジェ。2007年秋、サントリーホールでセンセーショナルなデビューを飾ったリサイタルのCDが発売。未来の大演奏家になりうる可能性を持ったピアニストによる、記念すべき日本本格デビュー・リサイタルは、22歳という若さで多数のレパートリーを持ち、自身も作曲をするなど多彩な才能を持つ彼の魅力を充分に発揮したプログラム。
メトネル:作品集
 3つのロマンス Op.3〜第2曲「のぞみの日々も流れ去り」AP(*)/
 4つのおとぎ話 Op.34〜第2曲 ホ短調/プーシュキンの7つの詩 Op.29〜第4曲「馬」AP(*)/
 3つのおとぎ話 Op.42〜第1曲 ヘ短調/8つの詩 Op.24〜なぜ水の上に柳は垂れるFT(#)/
 プーシュキンの詩による7つの歌 Op.52〜第2曲「カラス」AP(#)/
 フェート、ブリューソフ、チュッチェフによる7つの詩 Op.28〜第5曲「春の静けさ」LU/FT(*)/
 2つのおとぎ話 Op.14 より[ヘ短調「オフィーリアの歌」/ ホ短調「騎士の行進」]/
 4つのおとぎ話 Op.35〜第4曲 ニ短調/2つのおとぎ話 Op.48〜第2曲 ト短調(妖精のおとぎ話)/
 ゲーテの詩による9つの歌 Op.6〜第3曲「妖精の歌」(#)/ハイネの3つの詩 Op.12〜第1曲「いとしい恋人、君の手を」(*)/
 ゲーテの詩による9つの歌 Op.6〜第5曲「可愛い子供よ」JWG(*)/8つの詩 Op.24〜第1曲「昼と夜」FT(#)/
 3つのロマンス Op.3〜第1曲「聖なる僧院の門の傍らに」ML(*)/
 8つの詩 Op.24 より[第4曲「夕暮」FT(#)/第7曲「ささやき、微かな吐息」AF(*)]/
 プーシュキンの6つの詩 Op.36〜第2曲「花」AP(#)/チュッチェフとフェートによる5つの詩 Op.37〜第4曲 ヘ短調FT/AF(#)/
 4つのおとぎ話 Op.26〜第2曲 変ホ長調/チュッチェフとフェートによる5つの詩 Op.37〜第1曲「眠れずに」FT/AF(#)/
 プーシュキンの7つの詩 Op.29〜第7曲「呪文」AP(*)/
 2つの詩 Op.13〜第1曲「冬の夕べ」AP(*)/2つのおとぎ話 Op.20〜第2曲 ロ短調「鐘」

ボリス・ベレゾフスキー(P) ヴァシリー・サヴェンコ(B;*)
イヤナ・イヴァニロヴァ(S;#)
 録音:2007年12月。作詞:アリクサーンドル・プーシュキンAP/フョードル・チュッチェフFT/ルートヴィヒ・ウーラントLU/ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテJWG/ミハイル・レールモントフML/アファナシー・フェートAF
 ベレゾフスキー自身も度々コンサートなどで取り上げているメトネルの作品をピアノと歌曲を交え録音したアルバム。バリトンのヴァシリー・サヴェンコはコンサートでもしばしばベレゾフスキーと共演している。ここ数年録音が急増したメトネルだが、超絶技巧ファンにも、哀愁の色濃いロシア音楽好きも満足できる1枚。
 20世紀前半を中心に活躍したロシアの作曲家・ピアニスト、ニコライ・メトネルは1880年ドイツ系ロシア人の両親のもと、モスクワ生まれる。モスクワ音楽院でスクリャービンの師であるサフォ-ノフ教授に理論をアレンスキーとタネーエフに師事。ロシアで演奏活動、教授活動を続けるが、その後パリに亡命48歳の時にロンドンの王立音楽アカデミーの名誉会員に選出され、56歳で渡英。以後71歳で亡くなるまでロンドンで暮らした。メトネルが晩年暮らしたイギリスを中心に彼の音楽は再評価されつつある。演奏機会の増えたピアノ音楽は、友人ラフマニノフ同様に技巧的で抒情的な美しい曲が多く近年人気が高まっている。まだまだ珍しい歌曲はロマンティックでこれもまた美しい作品ばかり。彼のピアノ作品は歌のない歌曲に喩えられるほど豊かな詩情を湛えているが、実際の歌曲はよりダイレクトにメトネルの感性が伝わって来る。
MIR-058
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(2CD)
フランソワ・フランクール&フランソワ・ルベル:叙情悲劇「ピラムとティスベ」
 トーマス・ドイル(ピラム) ユディット・ヴァン・ワンロイ(ティスペ)/他
ダニエル・キュイエ指揮
アンサンブル・ストラディヴァリア
 録音:2007年5月、ナント。
 フランソワ・フランクールはヴァイオリニストとして成功後、パリのオペラ界でも作曲家として名声を得た。またフランソワ・ルベルも同様にヴァイオリニストとして活躍。後に2人はオペラ座監督を務めている。親友であった二人が共作したのがこの叙情悲劇「ピラムとティスベ」。ピラムとティスベは愛し合っていたが、対立関係にある両家。ある時ふたりは夜中に駆け落ちをすることにしたが、誤解と行き違いからピラムはティスベが死んだと思い、自殺。その事実を知ったティスベもまた後を追い、命を絶ってしまう。というロメオとジュリエットのような悲恋のお話。演奏はフランス古楽界を代表するダニエル・キュイエ率いるアンサンブル・ストラディヴァリア。
J.S.バッハ:カンタータ集
 [第131番「深き淵より、我、主よ、汝に呼ばわる」BWV.131/
  第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」BWV.182/
  第4番「キリストは死の縄目につながれたり」BWV.4]
 キャサリン・フュージュ(S) カルロス・メーナ(CT)
 ハンス=イェルク・マンメル(T) シュテファン・マクロード(B)
 フィリップ・ピエルロ指揮リチェルカール・コンソート
 録音:2007年11月。
 フィリップ・ピエルロ率いるリチェルカール・コンソートの各パート一人のOVPP(OneVoicePerPart)を採用したカンタータ集。「悔改めの礼拝」のためのカンタータ第131番。ミュールハウゼンでの大火後の礼拝のために書かれたものといわれている。「死の淵」を表すために冒頭に5度下降するモチーフを用いている。哀切漂う歌声が心に響く。第182番のカンタータはバッハがワイマール宮廷楽師長に就任後第1作目。聴き所は第5曲のアルトのアリア「救い主の御前に」。カルロス・メーナのピュアで透明な美しい歌唱は必聴。コラール変奏曲という珍しい形式をとった作品第4番。キリストの死と復活、生と死の戦いを歌ったもの。聴き終えたときに生への喜びが感じられる感動的な演奏。フィリップ・ピエルロは深遠なるバッハの世界を見事描いている。
シューベルト:弦楽五重奏 Op.114「ます」
 ピアノ三重奏第2番 Op.100
トリオ・ショーソン
ペネロペ・
 ポアンシュヴァル(Cb)
井上典子(Va)
 数々のコンクールでの優勝歴を持ち、ヨーロッパ、ニューヨークで注目を集めている新鋭、トリオ・ショーソンとフランスを中心に活躍する井上典子とペネロペ・ポアンシュヴァルによるシューベルトの「ます」。爽やかなアンサンブル、抜群のテクニック、快活な疾走感が心地よい演奏。ピアノ三重奏第2番も色彩豊かに聴かせる。
ミシェル・コルボ
 シューベルト:ミサ第6番 D.950
ブリジット・フルニエ(S)
ジャッキー・カーン(A)
イェルク・デュルミュラー、
アンドレアス・カラシアク(T)
ガストン・シスター(B)
ミシェル・コルボ指揮
ローザンヌ室内o.&cho.
 録音:2007年10月29日-30日。
 数あるシューベルトのミサ曲の中で最も人気のある作品。シューベルトの最晩年の音楽性を感じさせる、内面から滲み出る祈り、願い、不安、味わい深い旋律美など人々を魅了する傑作。コルボの安定したアンサンブル、抑制感のあるソリストたち、神々しいまでに美しい演奏は、聴くものを深い感動に導く。
 シューベルト最後のミサ曲、第6番。世界屈指の合唱、宗教音楽の指揮者であるミシェル・コルボによる演奏。2008年のフォルジュルネの大注目のプログラムになることだろう。
スターバト・マーテル
 作者不詳:サルヴェ・レジーナ
 ベルターリ:ソナタ第4番 ニ短調
 フックス:アヴェ・マリア K.151
 レオポルドI世:レジナ・チェリ
 サンチェス:スターバト・マーテル
 シュメルツァー:ソナタ第4番
  同第9番/同第11番/同第12番
 ジアーニ:アルマ・レデンプトリス・マーテル
カルロス・メーナ(CT)
フィリップ・ピエルロ指揮
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
リチェルカーレ・コンソート
[フランシス・
 フェルナンデス(Vn)
 ルイス・オターヴィオ・
  サントス(Vn)
 上村かおり
  (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ミーネケ・ヴァン・
  デル・ヴェルデン
  (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 フランク・コピエテルス(Vn)
 ジョバンナ・ペシ(Hp)
 ルカ・グリエルミ]
 透明感溢れる澄みきった歌声のスペイン出身のカウンターテナー、カルロス・メーナとフィリップ・ピエルロ率いるリチェルカーレ・コンソートによる演奏。彼らによるスターバト・マーテルはこれまでヴィヴァルディ(MIR-9968)とペルゴレージ(MIR-006)が既に録音されている。今回収録されている作品は、憂いと深い祈りが絡み合う非常に美しい音楽ながらもあまり演奏される機会の少ないジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェスのスターバト・マーテル。その他ウィーン宮廷の楽長を務めた音楽家たちによって作曲されたモテットやレオポルドI世自身が書いたレジナ・チェリなど意欲的な内容。
ショーソン:ピアノ三重奏 ト短調 Op.3
ラヴェル:ピアノ三重奏
ショーソン・トリオ
[フィリップ・タレク(Vn)
 アントワーヌ・
  ランドウスキ(Vc)
 ボリス・ド・
  ラロシェランベール(P)]
 フランスの人口2000人ほどの村、クレラックで2001年に行われた音楽祭で知り合った3人が結成したトリオ。2008年最も注目すべき若手演奏たちだろう。 甘美でしなやかな音色は比類なき彼らの才能を十分に示している。ショーソンの音楽に魅せられた若手3人の今後の活躍が大いに期待される。
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 シャオ・メイ・シュ(P)
 録音:1990年。前出: MANDALA 。シャオ・メイ・シュ(チュ・シャオ=メイ)は上海出身のピアニスト。文化大革命の影響を受けるも、アイザック・スターンに見出され渡米。1985年からはパリに拠点を移して世界各地で演奏活動を行っている。当盤は前出時、ディアパゾンで5つ星を獲得した名演。彼女独自の斬新な解釈により、他では聴くことの出来ない稀演となっている。
ベレゾフスキーのショパン:ピアノ協奏曲集
 ショパン:ピアノ協奏曲[第1番/第2番]
ボリス・ベレゾフスキー(P)
ジョン・ネルソン指揮
パリ室内o.
 ヴィルトゥオーゾ・ピアニストであり、ロシア・ピアニズムの継承者として、近年確固たる地位を確立しているボリス・ベレゾフスキー。1990年チャイコフスキー国際音楽コンクールで優勝以来、世界中のオーケストラと共演、最近では「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」に毎年出演し日本のファンにも強く支持されている。
 今回リリースされるのはショパンの協奏曲。ベレゾフスキーの詩的な感性、卓越した技巧、輝きと艶を持った音色が、ショパンの音楽上に豊かに降り注ぐ。第1番の第2楽章はショパンの甘いメロディーの誘惑に過度に反応せず、弾き手自身から湧き上がる音楽の綾を美しく織り上げていき、第3楽章のコーダ部分では豪華絢爛、豊かで躍動感あるピアニズムを聴かせてくれる。またパリ室内o.の透明感溢れる変化に富んだ響きが、時折みせるベレゾフスキーの繊細さを上手くすくい上げ、その異彩の輝きにはっとさせられる秀逸な1枚。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル Vol.2
 ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 Op.72〜「ドゥムカ」
  [クレール・デセール、エマユエル・シュトロッセ(P)]
 ムソルグスキー:展覧会の絵〜「古城」[ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 ムソルグスキー:涙[ブリジット・エンゲラー(P)]
 グリーグ:抒情小曲集 Op.47-3〜メロディ
      抒情小曲集 Op.54-2〜ノルウェーの農民行進曲[シャニ・ディリュカ(P)]
 ルビンシュテイン:2つのメロディ〜Op.3-1[ブリジット・エンゲラー(P)]
 リャードフ:前奏曲集[Op.13-2/Op.10-1][ボリス・ベレゾフスキー(P)]
 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K457〜第3楽章[アンヌ・ケフェレック(P)]
 ハイドン:ピアノ・ソナタ第39番〜第2楽章[イド・バル=シャイ(P)]
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」〜第1楽章
  [ニコラ・アンゲリッシュ(P)]
 シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番〜第4楽章[エマユエル・シュトロッセ(P)]
 シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集〜第14曲[クレール・デゼール(P)]
 カール・ツェルニー:指使いの技法(50番練習曲)Op.740 より
  [ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(P)]
 ショパン:エチュード Op.10-3[フィリップ・ジュジアーノ(P)]
 ムソルグスキー/コルベイニコフ編:歌曲集「死の歌と踊り」〜トレパーク
  [アンドレイ・コロベイニコフ(P)]
 南仏で毎年開催されるラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティヴァル。「熱狂の日」でもおなじみのルネ・マルタン氏により創設され、これまでアルゲリッチ、ツィマーマンなどの大物ピアニストが出演。また才能豊かな若手演奏者、作曲者作品など、さまざまな試みを行っている成長を続ける音楽祭の一つ。Vol.1 (MIR-021)に続き、このVol.2 でもラ・フォルジュルネ& MIRARE アーティストの面々の演奏が収録されている。また2007年の「熱狂の日」の出演がキャンセルになったブリジット・エンゲラーの代役で来日した弱冠21歳のロシアの天才ピアニスト、アンドレイ・コロベイニコフの演奏も収録。抜粋ばかりなのは惜しいが、豪華絢爛フェスティヴァルの一端を垣間見れるアルバム。
シューベルト:交響曲第9番「グレート」D.944 クワメ・ライアン指揮
ボルドー・アキテーヌ国立o.
 若手有望株の指揮者、クワメ・ライアンは1970年トロント生まれのトリニダード・トバコ系カナダ人。1999年から2003年までフライブルク・フィルハーモニック・オーケストラの音楽総監督を務めて数々のオペラに取り組み、またペーテル・エトヴェシュと親交を深め彼のオペラ「三人姉妹」、「バルコニー」をフライブルクで演奏している。このアルバムは2007年に音楽監督就任したばかりのボルドー・アキテーヌ国立管を率いてのシューベルト「グレート」。
 クワメ・ライアン、2008年のラ・フォル・ジュルネ大注目の指揮者。
MIR-044
(2CD)
廃盤
J.S.バッハ:
 平均律クラヴィーア曲集第2巻(全曲)
シャオ・メイ・シュ(P)
ブリジット・エンゲラー
 シューベルト:
  即興曲 変ト長調 D.899-3
  クッペルヴィーザー・ワルツ
  ハンガリー風のメロディ ロ短調 D.817
  さすらい人幻想曲 ハ長調 D760/Op.15
 シューベルト/リスト:歌曲トランスクリプション
  [影法師/都会/海辺にて/すみか/セレナーデ/
   春の想い/連祷/水車小屋と小川/さすらい]
ブリジット・エンゲラー(P)
 録音:2007年9月。
 ブリジット・エンゲラーはパリ音楽院でリュセット・デカーヴに師事。モスクワ音楽院ではスタニスラフ・ネイガウスに教えを受け、1978年エリザベート王妃国際コンクール第3位。数々のコンクールで受賞歴を持ち、録音も多いベテラン女流ピアニスト。
 シューベルトの珠玉の作品とリストの歌曲トランスクリプションを収録したアルバム。音楽的深み、流麗なピアニズム、歌心溢れるフレーズ感など、エンゲラーの魅力が余すと来なく発揮した演奏。
 前回のラ・フォル・ジュルネでは惜しくも来日中止となったが、2008年はこのアルバムのプログラムで大いに楽しませてくれることだろう。
ドヴォルザーク:
 スラヴ舞曲集第1集&第2集
  (全曲;ピアノ4手連弾)

 スラヴ舞曲集第1集
  [ハ長調/ホ短調/変イ長調/ヘ長調/
   イ長調/ニ長調/ハ長調/ト短調]/
 スラヴ舞曲集第2集
  [ハ長調/ホ短調/ヘ長調/変ニ長調/
   変ロ短調/変ロ長調/ハ長調/変イ長調]
クレール・デセール、
エマユエル・
 シュトロッセ(P)
 本家本元、フランス・ナント市で2007年の2月に開催されたフォル・ジュルネ音楽祭のライヴ録音。2007年の日本でも同一演奏者による同一曲目が含まれる、ということでも大注目。しかもピアニストはフランスの名手、デセールとシュトロッセ。デセールもシュトロッセも、ソロだけでなく室内楽や伴奏者としてもひっぱりだこで、アンサンブルでも定評がある。そんな二人が組んだドヴォルザークだけあって、激しいうねりやリズム、すべてが完全なまでにぴったりと息のあったものとなっている。コンサートで聴くもよし、CDで聴くもよし、エネルギーと叙情に溢れた1枚。
深き淵より
 ニコラウス・ブルーンス:
  深き淵より、主は天に御座を堅く据え
 ディートリヒ・ベッカー:
  パヴァーヌ第5番/ソナタ第3番
 フランツ・トゥンダー:
  最愛のイエス、我に与えたまえ
 ブクスデフーデ:我はシャロンの花
 ヨハン・クリストフ・バッハ :
  ラメント「神よ、なぜわたしに怒りたもうか」
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソート
シュテファン・マクロード(B)
 録音:2007年3月。
 BCJでも活躍し日本でもお馴染みのバス歌手のシュテファン・マクロードを迎え、フィリップ・ピエルロとリチェルカール・コンソートによる17世紀の北ドイツで活躍した音楽の作品。
 ブクステフーデが認めた夭折の音楽家ニコラウス・ブルーンス。17世紀のドイツ室内楽で重要な役割を果たしたヴァイオリニストでもあるディートリヒ・ベッカー。北ドイツ・オルガン楽派の1人フランツ・トゥンダー。そのトゥンダーの娘と結婚した巨匠ブクステフーデ。バッハ一族としてJ.S.バッハと同様に当時オルガニストとして名声を得ていたが、その後の不遇により長い間忘れ去られていたヨハン・クリストフ・バッハ。
フランソワ・クープラン:ヴィオール作品集
 ヴィオール組曲第1番/組曲第2番/
 コンセール第1番/コンセール第2番
フィリップ・ピエルロ、
エマニュエル・バルサ
(ヴィオール)
エドゥアルド・エグエス
(テオルボ/G)
ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2007年2月13日-15日、ルールマラン、フランス。
 フィリップ・ピエルロ、ピエール・アンタイ、エドゥアルド・エグエス、エマニュエル・バルサら古楽界の大物たちが集結したクープラン:ヴィオール作品集。ここに収録されている曲の大部分は消滅したものと思われていたもの。長くパリの国立図書館に眠っていたもので、サインにはただ単にイニシャルFCとされているだけだった。シャルル・ブーヴェによる研究でフランソワ・クープランの作品であることが判明。新たな作品がこうして録音されることとなった。
J.S.バッハ:フルート・ソナタ集
 フルートと通奏低音のためのソナタ
  [ト短調BWV1034/ハ長調BWV1033/
   ホ長調BWV1035/ト短調BWV1030b]/
 フルートとチェンバロのための組曲 ニ短調BWV997
ヒューゴ・レーヌ
(フラウト・トラヴェルソ)
ピエール・アンタイ(Cemb)
エマニュエル・ギゲス(ガンバ)
 録音:2006年12月5日-7日、2007年4月21日-23日、ルールマラン城(フランス)。使用フラウト・トラヴェルソ:Ernst Meyer d 'apres Denner (BWV 1034 & 997) /Tim Cranmored 'apres Stanesby junior (BWV 1033) /Frederick Morgan et Joanne Saunders d 'apres Bressan (BWV 1035) /Jean-Francois Beaudin d 'apres Hotteterre et Stanesby junior (BWV 1030b)。
  名手3人が繰り広げる。バッハのフルート・ソナタは真作、偽作と議論されているが、古今のフルート・ソナタの中でも屈指の名作揃い。クリスティ、ヘレヴェッヘ、レオンハルトの後を継ぐ新世代の実力派ヒューゴ(ユーゴ)・レーヌ、そして、ピエール・アンタイ、エマニュエル・ギゲスらの初稿、自筆譜の絶え間ない研究が結実したアルバム。数々の名盤を凌駕しえる魅力と味わい深い演奏を聴かせてくれる。
MIR-036
廃盤
ビゼー:交響曲 ハ長調/組曲子供の遊び Op.22
シャブリエ:田園組曲
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
レ・シエクル
マヌエル・デ・ファリャ:
 歌劇「恋は魔術師」(1915年版)
アントニア・コントラレス
(フラメンコ歌手)
ジェローム・コレアス(B)
シャンタール・ペロー(S)
エリック・ウシエ(T)
ジャン=フランソワ・
 エッセール(エイセ)指揮
ポワトゥ=シャラントo.
 スペインの誇る作曲家マヌエル・デ・ファリャの代表作である「恋は魔術師」。この作品はメゾソプラノの独唱を加えているのがひとつの魅力だが、これはファリャの故郷アンダルシアの民謡風の旋律が歌われており、クラシック歌手が歌うとどこか違和感がある。今回は一流のフラメンコ歌手アントニア・コントラレスが歌いフラメンコ音楽の情熱、アンダルシアの雰囲気を満喫出来る。
ヘンリー・パーセル:
 わずらわしき世の中よ〜歌曲、室内楽曲集

 わずらわしき世の中よ/新しいアイルランドの歌 ト長調 Z.646/
 優しき音と美しい調べ/新しいグラウンド ホ短調 Z.T682/
 日陰の冷たく心地よき流れの中で/王子/
 アミンタスが初めて口づけを求めし時/ここに神が/
 プレリュード/トリオ・ソナタ Z.780/薔薇より甘く/
 グラウンドZD.221/ひとときの音楽/愛らしい素敵な人/
 ソナタ(G.フィンガー作曲)/嘆きの歌
ラ・レヴーズ
[ジュリー・ハスラー(S)
 ステファン・デュデルメル(Vn)
 フローレンス・ボルトン
 (ヴィオール)
 アンジェリーク・モイヨン(Hp)
 ベルトラン・キュイエ(Cemb)
 バンジャマン・ペロー
 (テオルボ)指揮]
 録音:2007年。
 ヘンリー・パーセルが活躍した時期はイギリス国内の情勢がめまぐるしく変化していった時代だった。清教徒革命によって1649年チャールズ1世が処刑されてから、イギリスはクロムウェルを護国卿とした共和政となり、この間、禁欲的なピューリタニズムによって劇場は閉鎖され、王室の楽団も解散させられるなど、公の場での音楽活動が規制されていた。しかし、クロムウェル死後まもなくチャールズ2世が即位し王政復古がなされると王室の楽団を再興し、様々な行事で音楽が用いられるようになった。
 このアルバムは、ちょうど時代の過渡期にあったパーセルの音楽を澄みきった美しい声の持ち主ジュリー・ハスラーとバンジャマン・ペロー率いるラ・レヴーズの気品溢れるアンサンブルで聴かせてくれる。ラ・レヴーズは17世紀の音楽を研究し演奏しているアンサンブル。
ポーランド女王のためのトンボー
 J.S.バッハ:
  ミサ イ長調 BWV.234/
  カンタータ第198番「候妃よ、さらに
   一条の光を(追悼頌歌)」 BWV.198/
  前奏曲とフーガ ロ短調 BWV.544
  コラール・プレリュード
   「我心よりこがれ望む」BWV.727
キャサリン・フーグ(S)
カルロス・メーナ(A)
ヤン・コボウ(T)
シュテファン・
 マクロード(B)
フランシス・ヤコブ(Org;*)
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソート
 録音:2006年10月。使用楽器:ゴットフリート・ジルバーマン、1737年製作 ポニッツ教会(*)。リチェルカール・コンソートによるOVPP(One Voice Par Part: 1声部1人)の最新録音。
 通常の演奏よりも少人数のため一段と高いバランス性が要求されるOVPP。ここでは均整のとれた音楽とそれぞれの歌手の個性がうまく調和した美しい世界を生み出している。フーグの芯のある声、メーナの透明感、コボウの巧みな歌唱、マクラウドの品のある響き、個々のバランスがすばらしい! 198番のカンタータは、ザクセン選帝侯妃クリスティアーネ・エーバーハルディーネの追悼式のために書かれた作品。クリスティアーネ・エーバーハルディーネ侯妃はプロテスタントの強い信仰を持ち続け、宮廷を離れて隠居生活を送っていた。国民の信望も厚く、ある貴族学生の出資により追悼式が行われた。この作品に漂う真摯な雰囲気は彼女のこうした信仰の深さを表しているのだろう。
バルトーク:弦楽四重奏曲集
 [第1番−第3番]
エベーヌSQ
 ミュンヘン・コンクールの弦楽四重奏部門で優勝した、フランスの美形若手実力派四重奏団。2006年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(「熱狂の日」音楽祭)で初来日を果たし、確かなテクニックと鋭敏な音楽性、息の合った演奏で聴衆を文字どおり熱狂させた。ハイドン「ひばり」(MIR-013)に続くこのアルバムは、2007年の同音楽祭での再来日時にも演奏予定のバルトークで、瑞々しく鋭角的な演奏。活躍、成長著しいエベーヌ弦楽四重奏団、見逃せない存在だ。
コルボのフォーレ「レクイエム」
 フォーレ:
  レクイエム(1893年版)Op.48/
  アヴェ・ヴェルム・コルプス Op.65-1/
  アヴェ・マリア Op.67-2/
  タントゥム・エルゴ Op.55
 フォーレ/メサジェ:
  ヴレヴィユの漁師達のミサ
   (のちに小ミサ曲に改作)
アナ・クインタンス(S)
ペーター・ハーヴィー(Br)
ミシェル・コルボ指揮
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ローザンヌ声楽アンサンブル
 2006年5月の東京国際フォーラムで開催された「ラ・フォルジュルネ」音楽祭でも久々に来日し、モーツァルトの声楽曲を指揮、その健在ぶりと感動的な演奏でファンを魅了したコルボとシンフォニア・ヴァルソヴィアによる新録音。レクイエムのどこまでも澄み切った世界は、コルボが現在いかに高い境地に達しているかを示すもの。ソプラノ・ソロによるサンクトゥスはまさに天上から降り注ぐような歌声、理想的なレクイエムの姿がここにある。のちに「小ミサ曲」として改作された「ヴレヴィユの漁師達のミサ」も収録されているのが心憎いところ。録音も秀逸。
ピエール・アンタイ〜
 F.クープラン:クラヴサン作品集

 大殿様/シャブイの王女またはモナコのミューズ/
 軽はずみな女/フロール/メヌエット/二重生活者/
 嘆きのほおじろ/芸術家/おじけた紅ひわ/
 キタイロンの鐘/勝利者の歓喜/プレリュード第6番/
 機知/フランスのフォリアまたはドミノ/
 葦/プレリュード第8番/そしらぬ顔であざ笑う女/
 うなぎ/交差するメヌエット/手品
ピエール・アンタイ(Cemb)
 名手ピエール・アンタイによる大クープランのクラヴサン作品集。美しさとシニカルさを持ったクープランの音楽世界を、想像を超えた表現力により描き出されている。アンタイの師であるレオンハルトの悠然とした格調高い演奏とは違い、洗練された表現と考え抜かれたアーティキュレーションで明晰さを感じさせる演奏となっている。奏される音、一音一音にはっきりとした意思を感じさせる強い音楽性を漂わせている。
シャニ・ディリュカ
 グリーグ:ピアノ協奏曲(*)/抒情小曲集
シャニ・ディリュカ(P)
エイヴィン・グルベルグ・
 イェンセン指揮
ボルドー・アキテーヌ国立o.
 シャニ・ディリュカはスリランカ人の両親を持つモナコ出身のピアニスト。日本ではまだ知名度はないだが第1回のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(「熱狂の日」音楽祭)に来日し、繊細で魅力的な演奏を聴かせてくれた。このアルバムは、2007年の同音楽祭で演奏予定のグリーグのピアノ協奏曲と抒情小曲集。グリーグは2007年に没後100年の記念年。お馴染みの印象的なイントロで始まる協奏曲で非常にロマンチックな作品を、彼女は豊かな感性と強い個性、強靭な技術で華麗に演奏している。
シューベルト:
 ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960/3つの小品
エマニュエル・シュトロッセ(P)
 録音:2005年6月。
 エマニュエル・シュトロッセは生まれ故郷であるストラスブールの音楽院でフランスの女流ピアニスト、エレーヌ・ボッシに師事。その後パリ国立高等音楽学院でピアノをジャン= クロード・ペヌティエに室内楽をクリスティアン・イヴァルディの元で学ぶ。日本ではラ・フォル・ジュルネ・オなどで数回来日している。シュトロッセのシューベルトは淡々として、そして美しい。この最後のソナタ21番ではシューベルトの深淵を覗かせ、3つの小品もシューベルトらしい哀愁を絶妙に描き出し、流麗な叙情を湛えた音楽、潤いのある音色で聴き手を引き込んでいく。
シューマン:
 ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6/間奏曲 Op.4
クレール・デゼール(P)
 クレール・デゼールは14歳でパリ音楽院に入学し、優秀な成績で卒業後、モスクワ音楽院で研鑽を積んだフランスの女流ピアニスト。2007年ラ・フォルジュルネ・オ・ジャポン出演の際には、多くの聴衆を惹きつけ日本でも人気上昇中。エマニュエル・シュトロッセとの連弾アルバム(MIR-042ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集)でもその実力は証明済み。優しい透明感のある繊細な演奏をするデゼールだが、音は太く細身の彼女からは想像出来ないパワフルな面も持ちあわせている。最もシューマンらしい作品のひとつ、「ダヴィッド同盟舞曲集」は、集中と解放を繰り返す熱い演奏。そして音楽は実に耽美的で申し分のないシューマンとなっている。
MIR-023
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(2CD)
カール・チェルニー(1791-1857):
 指使いの技法(チェルニー50番)Op.740
  [ THE ART OF FINGER DEXTERITY ](全曲)
リスト:
 2つの演奏会用練習曲
  [森のざわめき/小人の踊り]
 3つの演奏会用練習曲〜軽やかさ
ステファン・ヘラー:4つの練習曲
ジャン=フレデリク・
 ヌーブルジェ(P)
 ベートーヴェンの弟子で、リストの師匠でもあり、多くの練習曲を残したカール・ツェルニー。練習曲は辛く厳しいだが、よくよく聴いてみると面白い作品も多く、特にこの50 番は、「指の熟達のための技巧」というタイトルで出版された高度なエチュード。練習曲ながら音楽的な内容も盛り込まれており、ツェルニーを敬遠していた方には是非一聴いただきたいアルバム(当曲の全曲録音としては、VAIのリベッタ盤(VAIA-1241)に続く2種めのものとなる)。
 ピアニストのジャン=フレデリック・ヌーブルジェは、1986年生まれの(2007年で)21歳。8歳からピアノをはじめ、2003年にパリ国立高等音楽院にてプルミエ・プリを取得。エトリンゲン国際コンクールで優勝など受賞歴も数多く、2006年にはカーネギー・ホール・デビューを飾り、2005、2006年のフォルジュルネにも参加。
 2007年は秋に来日も予定されている、今最も注目されているピアニストの一人。
ブリジット・エンゲラー、
 子供の頃の思い出〜ロシア・ピアノ小品集

 チャイコフスキー:子供のアルバムOp.39
 ムソルグスキー:涙
 リャードフ:マズルカ/音楽玉手箱Op.32
 グリンカ:夜想曲「別れ」
 アラビエフ:ナイチンゲール
 ショスタコーヴィチ:
  人形の踊り〜7つの子供の小品より
  踊り/抒情的なワルツ
  ポルカ/おどけたワルツ
 ラフマニノフ:イタリア・ポルカ
 ルビンシュテイン:
  2つのメロディよりOp.3-1
  諸民族の舞曲集〜ポルカOp.82-7
  ペテルブルクの夜会〜ロマンスOp.44-1
 スクリャービン:
  2つの左手のための小品〜夜想曲Op.9
ブリジット・エンゲラー(P)
 録音:録音:2006年6月6,7& 8日、フォントヴロー王立大修道院。
 ロシア・ピアニズムを代表する作曲家たちの小品を集めたアルバム。魅力的な秘曲の数々をベテラン女流ピアニスト、エンゲラーが宝石箱の中を探るように輝かしく奏でている。
 2007年のフォルジュルネでは、このアルバムの中から数曲演奏される予定。
第26回ラ・ロック・ダンテロン
 国際ピアノ・フェスティバル公式アルバム
ニコラス・アンゲリッシュ、
ボリス・ベレゾフスキー、
ブリジット・エンゲラー、
アンヌ・ケフェレック、
クレール・デゼール、
エマニュエル・シュトロッセ、
フィリップ・ジュジアーノ、
イド・バル=シャイ、
ジャン=フレデリック・
 ヌーブルジェ(P)
 録音:2006年7月20日-8月22日。
 毎夏、南仏で行われるラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ・フェスティバル。このフェスティバルは会長ポール・オノラティニとラ・フォル・ジュルネのプロデューサーでもあるルネ・マルタンにより創設され、開催当初はアルゲリッチやリヒテルが出演したこともある。約90人以上の国際レベルの著名演奏家と才能ある若きピアニストがフロラン城庭園の野外ステージに集まりピアノの音色を響かせる。このアルバムは2006年フェスティバルの公式CD。ラ・フォル・ジュルネでもお馴染みのアンゲリッシュ、ベレゾフスキー、ケフェレックや若手のジュジアーノやイド・バル=シャなどMIRAREを代表するピアニスト達の演奏をまとめて聴くことの出来る嬉しいアルバム。
ベレゾフスキーのラフマニノフ〜
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集 Vol.2

 ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調Op.1/
 ピアノ協奏曲第4番 ト短調Op.40/
 パガニーニの主題による狂詩曲
ボリス・ベレゾフスキー(P)
ドミトリー・リス指揮
ウラルpo.
 驚異的なテクニックと豊かな音楽性を持つ世界屈指のヴィルトゥオーゾ・ピアニスト、ボリス・ベレゾフスキー。フランスMIRAREレーベルから3枚目のラフマニノフ・アルバムが発売される。ベレゾフスキーの巨体から繰り出される音楽は、濃厚で抑え切れない表現力が絶えず湧き出て、ドラマティックで華麗なラフマニノフの音楽に豊潤な音、詩的な表現力、卓越した技巧で圧倒的に迫っている。第1番の冒頭からその熱い音楽と強烈な技巧で聴き手を惹きつけ、第4番では丁寧にラフマニノフの抒情性を描き出している。またパガニーニの主題による狂詩曲は映画でも多数使用されている有名な第18変奏は息を呑むほど美しく、ベレズフスキーの余情をたたえた演奏にグッと来る。Vol.1:MIR-008。
MIR-018
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(2CD)
第13回ショパン国際コンクール最高位受賞、
 フィリップ・ジュジアーノのショパン

 ショパン:
  24の前奏曲集Op.28/
  24の練習曲集Ops.10 & 25
フィリップ・ジュジアーノ(P)
 フランスの若手ピアニスト、フィリップ・ジュジアーノは、パリ国立音楽院にて、ジャック・ルヴイエに師事。1990年にショパン国際ピアノコンクールにて17歳で最年少入賞し脚光を浴びる。再び同コンクールに参加した1995年には第2位(最高位)を獲得、現在世界的に演奏活動を行っている。また1993年の初来日以来、何度となく日本を訪れ確実にファンを増やしている。
ピエール・アンタイ指揮のJ.S.バッハ
 J.S.バッハ:
  管弦楽組曲第1番 BWV.1069/
  管弦楽組曲第4番 BWV.1066/
  ヴァイオリンとクラヴィーアための
   ソナタ第4番 BWV.1017/
  カンタータ「われは 憂いに沈みぬ」BWV21
   〜シンフォニア
ピエール・アンタイ指揮
ル・コンセール・フランセ
アマンディーヌ・ベイェ
(バロックVn)
アルフレード・
 ベルナルディーニ(Ob)
 チェンバロの鬼才、ピエール・アンタイ。このアルバムには、自ら結成した古楽アンサンブル「ル・コンセール・フランセ」を率いてのJ.S.バッハ「管弦楽組曲」などを収録。バッハの作品の中でもフランス・バロック的な要素がある管弦楽組曲は、ソロ・パートの気品や音色の多彩さが重要視されるが、ここでのル・コンセール・フランセの演奏は粋な感性が存分に発揮され、尚且つピエール・アンタイの刺激的な名人芸でドイツ・バロックの枠組みを越えた多様なニュアンスで聴かせてくれる。またヴァイオリンとクラヴィーアためのソナタでは、アマンディーヌ・ベイェが丁寧にバッハ像を描き出している。
ハイドン:ピアノ・ソナタ集
 第38番/第39番/第54番/第59番/
 アンダンテと変奏曲 ヘ短調
イド・バル=シャイ(P)
 1977年生まれのパリ在住のイスラエル人ピアニスト、イド・バル=シャイ。ソロとしての活動も盛んに行っているが、室内楽方面でも高い評価を受けている。
ハイドン:
 弦楽四重奏集 Op.64 No.5「ひばり」/Op.33 No.1/Op.76 No.1
エボニーSQ
 国立ブローニュ音楽院の学生によって1999年に結成されたエボニー・カルテットは、パリ国立高等音楽院でイザイ・カルテットに師事、フランスで最も有望な弦楽四重奏団のうちの一つと見なされている。そんな彼らのファースト・アルバムが登場。ハイドンの音楽性を保ちつつ革新的で野心に溢れた演奏を展開している。
パーセル:ヴィオールのためのファンタジア集
 グランドによる3声のファンタジア/パヴァーヌ/
 3声のファンタジア/4声のファンタジア/
 一音に基づく5声のファンタジア/
 6声のファンタジア「イン・ノミネ」/
 7声のファンタジア「イン・ノミネ」
フィリップ・ピエルロ(Vn)指揮
リチェルカール・コンソート
[上村かおり、
 ライナー・ツィパーリング、
 エマニュエル・バルサ、
 ミエネケ・ファン・
  デル・ヴェルデン、
 ソフィア・デニズ、
 フランソワ・フェルナンデス、
 ルイス・オクラビオ・サント、
 ジョバンナ・ペシ]
 ヴィオールの名手が揃った、古楽ファンを歓喜させるパーセルのファンタジア集。
 自ら FLORA レーベルを主宰するフィリップ・ピエルロ率いる実力派古楽集団リチェルカール・コンソートによるパーセルの秀作ファンタジア集。パーセルのファンタジアは英国伝統の対位法で作られているのが特徴。響きも派手さはなく堅実な音楽。反復低音上に音楽が展開するグラウンドは何度も繰り返して聴きたくなる不思議な魅力を持つ曲。フィリップ・ピエルロを筆頭にヴィオールの名手が一同に会した、なんとも贅沢豪華なアルバム。
テレマン(1685-1759):
 組曲 ト長調「ふしだらな女」
 オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調
 ターフェルムジーク 第1集
 ヴァイオリンとトランペットのための協奏曲 ニ長調
ダニエル・キュイエ指揮
アンサンブル・ストラディヴァリア
 アンサンブル・ストラディヴァリアは、ダニエル・キュイエによって1987年に創設されたフランスのピリオド楽器アンサンブル。挑発的な表現から柔らかな表現まで変幻自在の音楽性を持つ彼らはここでも、聴く楽しみと演奏する楽しみ両方を味わうことの出来るテレマンの世界を華麗に表現している。
MIR-010
廃盤
ヘンデル
 組曲 ホ長調 HWV.430〜エア「調子の良い鍛冶屋」変奏曲の主題
 組曲〔第6番 嬰ヘ短調 HWV.431 /第8番 ヘ短調 HWV.433 /第3番 ニ短調 HWV.436 〕/
 組曲 ト短調 HWV.432 〜パッサカリアの主題と3つの変奏/シャコンヌ ト長調 HWV.435/プレスト/メヌエット

 アンヌ・ケフェレック(P)
J.S.バッハ:
 オーボエ協奏曲 BWV.1055(#)
 結婚カンタータ「今ぞ去れ, 悲しみの影よ」BWV.202(*)
ヘンデル:
 ハープ協奏曲(+)
 カンタータ「炎の中で」HWV.170(*)
ヌリア・リアル(S;*)
ジョバンナ・ペシ(Hp;+)
パトリック・ボージロー(Ob;#)
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソート
 バロック・アンサンブル界の名門リチェルカール・コンソート。スペインの若手美形&美声ソプラノ、ヌリア・リアル、繊細な音楽を奏でるハープ奏者ジョバンナ・ペシ、BCJやアムステルダム・バロック管など幅広い活躍をみせているオーボエ奏者パトリック・ボージローとの共演。ピエルロの繊細・緻密な指揮により質の高い演奏を聴かせる。
ベレゾフスキーのラフマニノフ〜
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集 Vol.1

 ピアノ協奏曲第2番/
 ピアノ協奏曲第3番
ボリス・ベレゾフスキー(P)
ドミトリー・リス指揮ウラルpo.
 1990年のチャイコフスキーコンクールの優勝者ボリス・ベレゾフスキー。「ラフマニノフ:24の前奏曲」(MIR-004)では卓越した技巧でその実力を知らしめた彼は、今回の協奏曲でも圧倒的テクニックでドラマティックな演奏を披露している。第2番で聴かせる持続性のある集中力と適度な感情移入は、彼の明晰さと正統派スタイルを表すものと言える。第3番では、強靱かつ洗練されたリズムや華やかなサウンドと、息を呑むような美しい旋律が表裏一体となった音楽を聴かせる。ラフマニノフ作品の本質に踏み込み、卓越した技巧と躍動感溢れる聴き応えのある一枚。Vol.2:MIR-019。
ドメニコ・スカルラッティ:チェンバロ・ソナタ集
 ニ短調 K.213/ニ長調 K.214/ロ短調 K.227/ニ長調 K.511/
 ト短調 K.8/ハ短調 K.56/ハ短調 K.526/ヘ長調 K.468/
 ヘ長調 K.525/ヘ短調 K.466/ヘ長調 K.366/ヘ長調 K.276/
 ヘ長調 K.151/ニ短調 K.517/ロ短調 K.27/ト長調 K.146
ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2005年。使用楽器:2002年、バルバストにてフィリップ・ユモー製、イタリア式。
 実力派チェンバリストとして世界中で注目されているピエール・アンタイが、瑞々しくスケールが大きい情熱的な演奏を聴かせる。作品に対する真摯な姿勢と楽器の特性を捕らえた柔軟な解釈が際立っている。スラルラッティのソナタは、古典派以降の他楽章形式のソナタとは違って、多少の例外はあるものの、ほとんどが単一楽章で単純な二部形式という構成になっており、両手の交差、アルペッジョや装飾音の使用、急速な連打、音程の大きな跳躍などの、当時としては非常に新しいテクニックを演奏に求めている。アンタイの大胆な演奏が映える作品群。
ペルゴレージ:スターバト・マーテル ヌリア・リアル(S)
カルロス・メーナ(CT)
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソート
 わずか26歳でこの世を去ったペルゴレージがその最後に書いた遺作であり最高傑作である「スターバト・マーテル」。Mirareレーベルからリリースを続けているカルロス・メーナはスペイン随一のカウンターテナー。そしてソリストとして大活躍中の、これまたスペインの美貌のソプラノ、ヌリア・リアル。そして前作、J.S.バッハのカンタータ集で超名演を聴かせたフィリップ・ピエルロ率いるリチェルカール・コンソート。この作品を聴くための役者がすべてそろったアルバムである。
フランソワ・クープラン:
 王宮のコンセール〜第1,2,7番
 趣味の融合(新しいコンセール)〜第14番
ダニエル・キュイエ指揮
アンサンブル・ストラディヴァリア
 「王宮のコンセール」はヴェルサイユ宮殿で行われていた演奏会のために書かれた穏和な気品に満ちた作品。ダニエル・キュイエ率いるアンサンブル・ストラヴァリアが優美で洗練されたアンサンブルの妙味を聴かせる。軽やかで愛らしい、いかにもフランス風な感じが良く出ている演奏。
ラフマニノフ:24の前奏曲 ボリス・ベレゾフスキー(P)
 録音:2004年12月、グルノーブル文化会館ホール。
 今や大物となったボリス・ベレゾフスキーがミラーレ・レーベル初登場。意外にもベレゾフスキーはラフマニノフの前奏曲をこれまで録音していなかったが、大柄な技巧を持つ彼にとってこれほど向いているレパートリーはないといえよう。意外にも軽やかで爽やかな仕上がりとなっている。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 第12番 変イ長調 Op.26「葬送ソナタ」/
 第21番 ハ長調 Op.53「ワルトシュタイン」/
 第32番 ハ短調 Op.111
ニコラ・アンゲリッシュ(P)
 若手実力派、人気急上昇株のアンゲリッシュ(アンゲリッチ)によるベートーヴェンは、説得力たっぷり、まるで物語を聴いているかのような起伏に富んだもの。ベートーヴェンのソナタのもつドラマチックな魅力にあらためて気付かされる。30代とまだ若いアンゲリッシュ、ダイヤモンドのような輝きだ。
J.S.バッハ:カンタータ集
 第18番「天より雨下り、雪落ちて」BWV.18/
 第106番「神の時こそいと良き時」BWV.106/
 第150番「主よ、われ汝をこがれ望む」BWV.150
キャスリーン・フュージ(S)
カルロス・メーナ(CT)
ヤン・コボウ(T)
ステファン・マクラウド(B)
フィリップ・ピエルロ指揮
リチェルカール・コンソート
 録音:2004年9月。
 これぞ21世紀のバッハ解釈の先頭を走る名演奏。各パート1名のいわゆるOVPP(One Voice Per Part)を採用、さらにオーケストラの編成も室内楽編成。OVPPの鮮烈な効果を出すにはなにより歌手が問われるが、ここでの4人の歌手たちは、ソリストとして優れているだけでなく、アンサンブルでの融合も素晴らしい限り。細かなフレージングや発音まできちんと統一されており、個々の個性が突出することなく絶妙に折り合わされていくさまは奇跡的ともいえるほどである。「哀悼行事」として名高い第106番はOVPP演奏での人気が高く、ユングヘーネル(HMF)など既に4種のCDがあるが、この演奏の充実ぶりは際立っている。
アリスティド・イニャール(1822-1898):
 ヴェルヌの詩による歌曲集

 全く単純に/春に/私たちの星/子守歌/二つの集団/甘い期待/
 ダフネ/スコットランドの思い出/スカンジナヴィアの歌/
 トルコの歌/他(全13曲)
フランソワーズ・マセ(S)
エマニュエル・ストロセル(P)
 「十五少年漂流記」や「80日間世界一周」、「海底二万里」などの著作で知られるフランスの作家ジュール・ヴェルヌ(1828-1905)の詩をもとにした歌曲集。イニャールはヴェルヌと同じくナント生まれ。素朴で非常に親しみやすい、温かい音楽ばかり。ヴェルヌ没後100年を飾った素敵なCD。
ベートーヴェン:珠玉の名曲集  エリーゼのために/
 ゴッド・セイヴ・ザ・キングによる7つの変奏曲 WoO.78/
 アンダンテ・ファヴォリ WoO.57/
 ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27 No.2「月光」/
 バガテル;
  Op.33 No.1/Op.119 No.1/Op.119 No.3/Op.119 No.11/
 なくした小銭への怒り/
 創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34
アンヌ・ケフェレック(P)
 フランスで、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭公式盤としてリリースされたCD。今や数少ないフランスのピアニズムを受け継ぐケフェレックの透明なタッチで聴くベートーヴェンは、精練のきわみ。
アントニオ・ベルターリ:
 ヴァロローゾ(腕のよいヴァイオリニスト)

 アントニオ・ベルターリ(1605-1669):
  2、3、5、6声のためのソナタ(7曲)/シャコンヌ
 レオポルト1世:「天の女王」
   (ベルターリ作曲:ヴィオール伴奏部)
 作曲者不詳(クロムニェジーシュ写本):
  ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナティナ
フランソワ・フェルナンデス(Vn)
カルロス・メーナ(CT)
フィリップ・ピエルロ
 (ヴィオラ・ダ・ガンバ)指揮
リチェルカール・コンソート
 録音:2003年9月21-24日ベルギー、ブラ=スュル=リエンヌ教会。
 ベルターリはイタリア出身のオーストリアの作曲家・ヴァイオリニスト。生地で修業した後、若くしてウィーン宮廷に仕え、モンテヴェルディと並ぶ評価を得ていた。作風はヴェネツィア楽派の影響を得て華麗で鮮烈なもの。マリーニ、ファリーナからシュメルツァー、ビーバーへのヴァイオリン曲の流れの中で、確固たる位置を得ていた彼らしい作品が、このアルバムには集められている。
 ヴィヴァルディの作品集ではヴィオラ・ダモーレを受け持っていたフェルナンデスが、本職のヴァイオリンで遺憾なく力量を発揮し、特にシャコンヌにおいて、華麗で鮮烈な作風を余すことなく伝える。またメーナも、ベルターリが伴奏部を作曲したレオポルト1世のなかなか味わい深い作品を歌い、ベルターリの声楽作品という別の一面を伝えてくれる。作曲者不詳の1曲はベルターリのものと推測される作品で、ピエルロ自らが演奏を受け持っている。
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741):
 サルヴェ・レジーナ RV.616/
 スターバト・マーテル ヘ短調 RV.621/
 ヴィオラ・ダモーレ協奏曲 ニ短調 FII-2/
 独唱、ヴィオラ・ダモーレ、弦楽合奏と
  通奏低音のための「ニジ・ドミヌス」RV.608/
 ボーナストラック:
  「ニジ・ドミヌス」の
   第7曲「父と子、聖霊に栄光あれ」のための
    差し替え異稿版
  (ヴィオラ・ダモーレのかわりに
    ヴィオラ・ダ・ガンバを使用)
カルロス・メーナ(CT)
フランソワ・フェルナンデス
(ヴィオラ・ダモーレ)
フィリップ・ピエルロ
(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
リチェルカール・コンソート
 ひたすらに美しいカルロス・メーナの歌唱! 名手フェルナンデスがヴィオラ・ダモーレを手にとり忘れがたい美音で華を添える・・・損はさせない超名演!
 すでにドイツ・バロックの作品集「永遠について」(MIR-9911)でミラーレ=アンブロワズィ・レーベルに登場しているカルロス・メーナは、サヴァールらとの共演をはじめ今や押しも押されぬスペイン随一のカウンターテナー。ほの暖かみのある“ふるえ”が独特な素晴らしい声の持ち主の彼がリチェルカール・コンソートと再び共演して世に問うたのが、このヴィヴァルディの独唱のための宗教作品集だ。ヴィヴァルディの宗教曲のうちでも「グローリア」RV581と並び古くからよく知られ、黒澤明「八月のラプソディー」で使われたことで一躍有名になった名曲「スターバト・マーテル」をはじめ、静謐さと豊かさが2本のフルートの参加で際立つ「サルヴェ・レジーナ」、ヴィオラ・ダモーレのオブリガートがつく「父と子、聖霊に...」が美しい「ニジ・ドミヌス」と収録曲は名曲ばかり。さらに「ニジ・ドミヌス」の編成にからめて1曲のヴィオラ・ダモーレ協奏曲が収録されているのだが・・・どちらの曲でも、ヴィオラ・ダモーレを弾いているのはなんとバロック・ヴァイオリンの名手フランソワ・フェルナンデスなのである!彼のヴィヴィッドでたおやかな演奏を知る人なら充分想像がつくように、共鳴音の豊かなヴィオラ・ダモーレでのフェルナンデスの演奏はあまりに美しく、そのカンティレーナや弓の返しを聴く瞬間ごとに溜息がもれそうになるくらいだ。メーナの切々と美しい絶唱に対するに、これほど素晴らしい共演者がいるだろうか。
 この録音の聴き所はもうひとつ。「父と子、聖霊に...」の別ヴァージョンとして、ヴィオラ・ダ・ガンバがオブリガートに使われた版も収録されているのだ!しかも独奏はフィリップ・ピエルロ。これがまた実に美しく、おまけというには嬉しすぎるトラックになっている。ちなみに他にもエマニュエル・バルサ、エロイーズ・ガイヤールなど何気に若い名手たちが参加しているのが嬉しい。いつでも当代きっての若手ホープに恵まれているのが、リチェルカール・コンソートの素晴らしい点だろう。
愛の夢
 リスト:愛の夢
 シューマン:謝肉祭 Op.9〜[キアリーナ/ショパン]
 ショパン:夜想曲(遺作)
 シューマン:火の鳥
 クララ・シューマン/リスト:ひめごと
 リスト:コンソレーション 第3番
 ショパン:練習曲 ハ短調「革命」Op.10 No.12
 メンデルスゾーン:ヴェネツィアの舟歌 ト短調 Op.19 No.6
 同:同 嬰ヘ短調 Op.30 No.6
 リスト:悲しみのゴンドラ 第2番
 シューマン:謝肉祭 Op.9〜間奏曲
 シューベルト:セレナード
 メンデルスゾーン:春の歌
 シューマン:子供の情景〜見知らぬ国と人々から
 ショパン:夜想曲 Op.15 No.2/ワルツ イ短調(遺作)
 シューマン:トロイメライ
 モーツァルト:コンフタティスとラクリモサ
 リスト:暗い雲
ブリジット・エンゲラー(P)
 ロシア・ピアニズムを思わせる厚く深いタッチのエンゲラーによるロマン派名曲集。どれも短い曲ばかりだが、それぞれの曲で濃厚な世界を展開している。
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2003年、洗礼派教会、ハーレム、オランダ。使用楽器:ヨンテ・クニフ&アルノ・ペルト制作(2002)、ドイツ・スタイル。
MIR-9941
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(3CD)
リスト:「巡礼の年」全曲
 巡礼の年 第1年「スイス」/同 第2年「イタリア」/
 同 第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」/同 第3年
ニコラ・アンゲリッシュ(P)
 録音:2003年。
 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンでも大変な人気を博したピアニスト、ニコラ・アンゲリッシュ。彼の名が一躍知られたのがこのリストの大作「巡礼の年」全曲の録音だった。レコード芸術誌の海外盤試聴記で相場ひろ氏曰く、「伸びやかでスケール感のある歌を聞かせてくれるのがいい」、「全曲の構成を見通した上で各曲の性格が明瞭に描き分けられてい(る)」、「彼の持つ人を逸らさない誠実さは何ものにも代え難い」、「こういう演奏家がもっと聴かれてほしいものだと思う」。たしかに聴けば相場氏の御意見にすっかり納得の、非常に優れた演奏。リスト・ファンはもちろん、ちょっとリストを敬遠気味だった方にもおすすめ。
薔薇について〜17世紀イタリアとスペインの音楽
 マルコ・マラッツォーリ:薔薇について
 ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリ:
  カプリッチォ「イル・モルツァ」
 マルコ・マラッツォーリ:
  教条的カンタータ「おお、死すべき定めの者よ」/
  チャコーナ
 フアン・ナバス:草茂る野を統べる薔薇よ
 アンドレア・ファルコニエーロ:フォリアス
 マルコ・マラッツォーリ:ごきげんよう、新しい四月よ
アリアンナ・サヴァール(S)
フィリップ・ピエルロ
(ヴィオール/ディレクター)
リチェルカール・コンソート
 録音:2002年10月20日-24日、ブラ=シュル=リエンヌ教会、ベルギー。ピリオド楽器使用。録音技師:ニコラ・ベコ&アリーヌ・ブロンディオー( Musica Numeris Belgique )。ジャケット:ロレンツォ・ロット「聖カタリナの神秘の結婚」
 リチェルカール・コンソートとアリアンナ・サヴァールが送る17世紀の清涼な世俗声楽曲集。ローマ、ボローニャ、ナポリ、そしてマドリードという4つのカトリック都市にながく定住し、活動していた作曲家の作品を集めている。
MIR-9930
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(2CD)
J.S.バッハ:
 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV.846-869
ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2001年&2002年、ハールレム。使用楽器:ユルゲン・アンマー製作、1999年(1720年、テューリンゲンの無名氏制作による楽器のコピー)。
D.スカルラッティ: チェンバロ・ソナタ集 Vol.2
 フーガ ハ短調K.58/
 ソナタ [ヘ短調K.239/変ホ長調K.370/変ホ長調K.371/
      ホ長調K.135/ホ長調K.215/ホ長調K.216/
      嬰へ短調K.25/ロ長調K.261/ロ長調K.262/
      ホ短調K.263/ホ長調K.264/ト長調K.314/
      ト長調K.259/ト長調K.260/ハ短調K.84]
ピエール・アンタイ(Cemb)
D.スカルラッティ:チェンバロ・ソナタ集 Vol.1
 ニ長調 K.535/イ短調 K.175/イ長調 K.208
 イ短調 K.54/ヘ短調 K.185/変ロ長調 K.248
 変ロ長調 K.249/変ロ長調 K.310/ニ長調 K.299
 ニ長調 K.484/ホ長調 K.162/ハ長調 K.199
 ニ長調 K.145/ニ短調 K.141/ホ長調 K.531
 ニ長調 K.177/ニ長調 K.492
ピエール・アンタイ(Cemb)
 録音:2002年、ハールレム。使用楽器:1720年無名製をモデルに、1999年テューリンゲのユルゲン・アマー複製。
モーツァルト:ピアノ作品集  ロンド イ短調K.511/
 デュポールのメヌエットによる変奏曲K.573/
 幻想曲 ハ短調K.475/
 ピアノ・ソナタ ハ短調K.457/幻想曲 ニ短調K.397
アンヌ・ケフェレック(P)
 録音:2001年9月30日-10月1日、ティボール・ヴァルガ・ホール、シオン、スイス。エンジニア:ニコラ・バルトロメー/他。
 ケフェレック久々の録音で、充分すぎるほど演奏経験を積んだ末の、待望のモーツァルトであったもの。
永遠について〜17世紀後半のラメント
 ヨーハン・クリストフ・バッハ(1642-1713):
  哀歌「ああ、じゅうぶん水があったなら」
 クリストフ・ベルンハルト(1628-1692):
  なにがおまえを悩ませるのか
 クリスティン・ガイスト(c.1640-c.1711):
  だがそれは、十字架に
   つけられていた場所のそばだった/
  ああ、悲しみよ、心の傷みよ
 ヨーハン・ミハエル・バッハ(1648-1694):
  ああ、その時をどんなに待ち焦がれているでしょう
 ヨーハン・アダム・ラインケン(1643?-1722):ソナタ
 ニコラウス・ハッセ(c.1617-1672):永遠について/他
カルロス・メーナ(CT)
リチェルカール・コンソート
[フランソワ・フェルナンデス(Vn)
 マヤ・ジンルバーシュタイン(Vn)
 ドメン・マリンチッチ(Va)
 ギズレン・ヴァウターズ
 (ヴィオール/Vn/Va)
 ライナー・ツィパリング
 (ヴィオール/チェロ)
 上村かおり(ガンバ)
 ブライアン・フィーハン(テオルボ)
 フランシス・ジャコブ
 (Org/Cemb)
 フィリップ・ピエルロ
 (ヴィオール/ディレクター)]
 録音:2000年1月、ブラ教会、ベルギー。エンジニア:ニコラ・バルトロメー。デジタル編集:ユーグ・デショー。
 17世紀後半から18世紀初頭のドイツで作られた、受難や死を主題にした独唱曲集。スペインの若いカウンターテナー、メーナのまろやかな美声と精妙な弦の合奏が心にしみる。鐘の加わる最後の曲も楽しい。録音は AMBROISIE レーベルでもお馴染みのエンジニアによるもの。


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