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ANIMA RECORDS

1CDあたり¥3080(税抜¥2800)


 フランスの新しいレーベル。アンドラーシュ・シフ、ブルーノ・カニーノらに師事、その後数々の音楽祭に出演し、近年はジャン・フランセ国際音楽コンクールの芸術監督を勤めるなど後進の才能の発掘にも尽力しているピアニスト、ベルトラン・ジローがプロデュースし、フランスの才能豊かな若手演奏家を紹介して行くとの事。


ベルトラン・ジロー、リスト・リサイタル
 フランツ・リスト:
  ペトラルカのソネット[第47番/第104番/第123番]/
  バラード第2番/灰色の雲/悲しみのゴンドラ/夜/
  超絶技巧練習曲集〜第11番「夕べの調べ」/
  イゾルデの死(ワーグナー作曲/リスト編曲)
ベルトラン・ジロー(P)
 録音:2003年。
アニエス・ヴェスターマン、チェロ・リサイタル
 コダーイ:チェロ・ソナタOp.4/9つのエピグラム
 ヤナーチェク:物語
 プロコフィエフ:チェロ・ソナタ
アニエス・ヴェスターマン(Vc)
ベルトラン・ジロー(P)
 録音:2003年
 フランスの女流チェリスト、ヴェスターマンはエヴィアン国際音楽コンクール入賞後、室内楽奏者、ソリストとして活動。また常に新しい領域に意欲的な彼女は美術など他ジャンルとのコンサートも積極的に行っている。このCDではコダーイの無伴奏ではないソナタ(アルカイックな美しい佳品)と9つのエピグラム、ヤナーチェクなど隠れた名品を取り上げている。フランスの音楽家らしい色彩豊かで繊細な音が特長。
ロマンツァ〜イタリアのこだま(全20曲)
 モーツァルト:静かに笑わせて
 ベートーヴェン:出発
 シューベルト:羊飼い
 ベッリーニ:月はとりとめなくしゃべる
 トスティ:最後の歌/理想/他
グエン・ズイ=ツォン
 (Nguyen Duy-Thong)(CT)
ベルトラン・ジロー(P)
 録音:2004年。
 グエン・ズイ・ツォンはトゥルーズに生まれ、パリで音楽と古典文学を学んだ。パーセル、ヘンデル、グルックの歌劇に出演、リサイタルも数多く行っている。また現代音楽にも意欲的で、ベリオ、ベルナール・マーシュの作品を取り上げている。映画俳優としても活躍。
マティルド・カレ〜ショパン・リサイタル
 ショパン:
  スケルツォ第1番/マズルカOp.17 Nos.2, 3, 4 /
  マズルカ Op.24 Nos.4, 1, 2 /幻想曲Op.49/
  夜想曲Op.61 Nos.1, 2 /幻想ポロネーズ
マティルド・カレ(P)
 録音:2005年。
 マティルド・カレはブザンソン生まれでジャン・マルク=ルイサダの指導を受けている。1998年にはソフィア国際音楽コンクールでグランプリを受賞。無駄のない音が持ち味で、スリムでスタイリッシュなショパンが聴ける。
シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番 Op.120 D.664
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調
シューマン(リスト編):愛の歌
クリストフ・シモーネ(P)
モシェレス:憂鬱なソナタ
ブラームス:ソナタ Op.5-3
ベルトラン・ジロー(P)
アルフレート・トカイヤー(1900-1943):作品全集
 交響組曲「我が子の一日」(*)/晩夏〜Sopとorch版(*)/
 過去の女〜Sopとorch版(*)/
 チェンバロと弦楽オーケストラのための小音楽(#)/
 弦楽三重奏曲「黙祷」(+)/同「サトネー聖歌」(+)/
 ピアノ連弾のための2つの行進曲(**)/
 ピアノ伴奏歌曲(##)[酒の栄光の歌/夕べ/晩夏/
  過去の女/だからお前は行くのか、いとしい人/
  憑依/放浪者/世界は荒れている]/
 黙祷〜vnとpf版(++)/
 交響組曲「我が子の一日」〜Sopとpf版(***)
アモリ・ドゥ・クロゼル指揮(*/#)
ルーマニア室内o.(*/#)
エルザ・レヴィ(S;*/##/***)
ベルトラン・ジロー
 (P/Cemb;
  #/**/##/++/***)
ソフィ・リヴ(P;**)
セシル・プイロル(Vn;+/++)
ダニエル・ヴァグネル(Va;+)
アニエス・
 ヴェステルマン(Vc;+)
 アルフレート・トカイヤーは豊かな才能に恵まれながらも、ナチスに命を奪われた作曲家。1900年ドイツのケーテン生まれ。母がブルーノ・ワルターの従妹という血筋で、エルンスト・トッホに師事した後、1930年までブレーメンの歌劇場で指揮者として活躍。日本の音楽界に貢献したマンフレッド・グルリットと同僚でもあった。その後ベルリン・フォルクスオパーのヴォイス・トレーナーを務めるが、ナチスの台頭でパリに逃れ、レイナルド・アーンやロラン・マニュエルと親交を結ぶ。1936年には初期トーキー映画の名作「盗賊交響曲」(フェーエル監督)の音楽も担当するが、ナチスに追われ、1943年にアウシュヴィッツかマイダネクの強制収容所で亡くなったとされる。
 残念ながらトカイヤー作品は当アルバムに収められたものしか現存していない。第三帝国時代の作曲家らしい退廃的な華やかさに加え、ラヴェルやプーランクを思わすフランス的な繊細さも感じられる。確かな才能が存在していたことを伝えてくれる。
KDC-5060
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[ANM-080600001]
日本語解説付
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集
 第6番 ヘ長調Op.10-2/
 第14番 嬰ハ短調「月光」Op.27-2/
 第13番 変ホ長調「葬送」Op.27-1/
 第17番 ニ短調「テンペスト」Op.31-2
金子陽子(Fp)
 録音:2008年2月25日-28日、La Ferme de Villefavard(仏リムザン地方)。エンジニア:タッド・ガーフィンクル(MA recordings)。使用楽器:1800年アントン・ヴァルター・モデル(クリストファー・クラーク、2004年製作)。
 「ベートーヴェンをフォルテピアノで弾く?それとも現代ピアノで弾く?」イギリス近代劇作家ジョージ・バーナード・ショウの言葉は一体なにを意味するのか…。この問いかけに金子陽子が真正面から取り組んだアルバム。1800年頃に製造されたアントン・ワルターの楽器を元にクリストファー・クラーク氏が2004年に完成したフォルテピアノを用いている。ウィーン式アクションを備えたこの楽器は、現代ピアノとは異なる、奥深い繊細な表現、革新的な音色で、ベートーヴェンの音楽を忠実に完全に実現している。この録音を聴けばジョージ・バーナード・ショウの言葉が意味することを理解できるだろう。録音エンジニアは「ワンポイント録音」の名手タッド・ガーフィンクル氏。人口160 人ほどのフランスの小さな村にある小規模で高音質なホールで録音され、艶やかで温かみのある音色が素晴らしい録音。
石山聡
 フランク:
  前奏曲、コラールととフーガ(*)/人形の嘆き(*)
 ギヨーム・ルクー:ピアノ・ソナタ(#)
石山聡(P)
 録音:2007年9月3日-5日(*)、2008年3月26日-28日(#)。
 石山聡プロフィール:1987 年東京音楽大学卒業。1989 年渡仏。エコール・ノルマル・ドゥ・ムジーク・ドゥ・パリにてヴィクトリア・メルキ女史に師事し、1990 年ピアノ高等教授資格を取得し修了。フランス・アルベール・ルーセル協会より奨学金を授与。1991 年スコラ・カントルムに移りギャビー・カサドシュ女史(ロベール・カサドシュ夫人)に師事し、1992 年同音楽院最上級課程、ピアノ演奏家資格を審査員全員一致付きにて取得し修了。1993 年トゥールーズ国立音楽院第三課程高等研究科にてテレーズ・デュッソー女史に師事。1994 年同音楽院を修了し、再度パリ・エコール・ノルマルに入学し、ピアノ高等コンサーティスト課程においてアキレス・デレヴィニュ氏に師事。滞仏中、ジャック・ルヴィエ、パスカル・ドゥワイヨン、セルジオ・ペルティカロリの諸氏に師事し、また、エフゲニー・マリーニン氏のマスタークラスを受講し薫陶を受ける。1993 年J.S. バッハ国際コンクール第二位(パリ)等。1996 年日本帰国。帰国後もフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、スペイン等の各地より招かれリサイタル、室内楽、協奏曲のソリストを行う。2008 年パリ郊外コロンブ市夏期国際音楽アカデミーにおいては指導教授として招かれている。現在、大分県立芸術文化短期大学准教授。
ハシド音楽に基づく
 2本のヴァイオリンのための即興、瞑想、踊り

 Prazot Techev/Hine lo lanoum/Yavarekhekha/
 Danse d'Israël n°1/Al Hasela Hokh/El Dodim/
 Danse d'Israël n°3/Chant d'Israël n°2/
 Hava Neguila/Erev Ba/Tzadik Katamar/
 Danse d'Israël n°4/Chant d'Israël n°1/
 Danse d'Israël n°5/Dodi Yarad Legano/
 Osseh Chalom/Danse d'Israël n°2/
 Iti mi Levanon/Yedio Nefesch/Bona Banot/
 Chant d'Israël n°3
ベアタ・ハルスカ、
ベルナール・ル・モニエ(Vn)
 録音:2008年7月15日-17日。
 18世紀初頭に形式的宗教慣習よりも内面的宗教体験を重視するハシディズが東ヨーロッパのユダヤ人の間に起こった。映画「屋根の上のバイオリン弾き」にもあるようにユダヤ人の生活にはヴァイオリンが欠かせない楽器として考えられ、このアルバムに収録されている作品もそうした流れの中から生まれた曲なのだろう。
サン=サーンス(1835-1921):
 ピアノ四重奏曲 変ロ超長調(代理店記載ママ)Op.41
ジョゼフ・ジョンゲン(1873-1953):
 ピアノ四重奏曲 変ホ長調Op.23
ガブリエル・ピアノ四重奏団
[金子陽子(P)
 フランソワ・ソシャール(Vn)
 マルク・デスモン(Va)
 ルノー・ギュー(Vc)]
 録音:2008年7月28日-31日、ラ・ショー・ド・フォン音楽院ホール、スイス。
 金子陽子率いるガブリエル・ピアノ四重奏団の意欲作が登場。収録曲は、サン=サーンスとジョンゲンのピアノ四重奏曲。サン=サーンスはユーモアが光る華麗な作品。厳格さと叙情性が際立つジョンゲン。2曲とも長大な難曲だが、それを感じさせない緊張感が充実の演奏を生んでいる。この2作品を通して一段とパワーアップしたガブリエル・ピアノ四重奏団の豊かな音楽を心ゆくまで楽しむことが出来る。
ニコラ・バクリ(1961-):
 ピアノ、チェロとフルートのための
  室内独奏曲 Op.67 (1977 rev.1997)
ピエール・ジャンセン(1930-):
 フルートとピアノのための放浪(*)
フィリップ・フォルジェ(1970-):
 フルートとピアノのための「2つの朝の肖像」(*)
マルタン・クトゥノウスキー(1968-):
 三重奏曲「ブエノスアイレス Y2K 」
ベルトラン・ジロー(P)
フレデリク・シャトゥ(Fl)
ディフィーヌ・ビロン(Vc)
 (*)は世界初録音。
 フランス現代作曲家によるピアノ、チェロとフルートのための作品集。バクリの「室内独奏曲」は、彼15歳の時に作られた主題を元に、自ら「不器用ではあるが、ある種完成された15歳の音楽家の音楽を世に出そうと考えた」と語るように、1997年自身で手を加え完成させたもの。またクトゥノウスキーの三重奏曲はピアソラの「ブエノスアイレス午前零時」に由来し、ピアソラへのオマージュとして作曲されている。
ANM-90400001
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(5CD)
2.5CD価格
モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
 [第1番 ハ長調K.279/第2番 ヘ長調K.280/第3番 変ロ長調K.281/第4番 変ホ長調K.282/
  第5番 ト長調K.283/第6番 ニ長調K.284/第7番 ハ長調K.309/第8番 イ短調K.310/
  第9番 ニ長調K.311/第10番 ハ長調K.330/第11番 イ長調K.331「トルコ行進曲付き」/
  第12番 ヘ長調K.332/第13番 変ロ長調K.333/第14番 ハ短調K.457/第15(18)番 ヘ長調K.533/
  第16(15)番 ハ長調K.545/第17(16)番 変ロ長調K.570/第18(17)番 ニ長調K.576]
フランソワ・デュモン(P)
 録音:2008年2月8日-11日、ラ・ショー・ド・フォン音楽院ホール、スイス。
 いきなりモーツァルト・ピアノ・ソナタ全曲リリースをしたのはフランスの若手ピアニスト、フランソワ・デュモン。彼は1985年フランス、リヨン出身。パリ国立高等音楽でブルーノ・リグット氏に学び、その後ドミートリー・バシュキロフ氏、レオン・フライシャー氏のもので研鑽を積む。2007年エリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナリスト、2007年ジャン・フランセ国際音楽コンクール優勝、2002年スタインウェイ国際コンクール優勝など数々コンクール受賞歴を持ち、世界各国でコンサート活動を行っている。音響に定評のあるスイスのホール、ラ・ショ-・ド・フォン音楽院での録音。
フィリップ・フォルジェ:室内楽作品集
 Vent d'Yver(2つのチェロのための)/
 Canaa(メゾ・ソプラノとトリオのための)/
 チェロ組曲第1番/同第2番/
 ヒロシゲによるピアノのための5つの閃光
アニエス・ヴェスターマン(Vc)
パトリック・ランゴ(Vc)
ロゼリーヌ・アルーシェ(Ms)
トリオ・デ・オーヌ
 録音:2008年6月27日、2009年3月2日-4日。
 作曲家、合唱指揮者でもあるフィリップ・フォルジェによる室内楽作品集。歌を含んだ作品が多く、その作風は現代社会を独自の目線で切り取った個性的な物。
 「Canaa」はレバノン侵攻が起きた2006年に作曲された作品。恐怖の叫びを思い起こさせる悲痛な曲。「ヒロシゲによるピアノのための5つの閃光」は浮世絵師安藤広重(歌川広重)のヒロシゲ・ブルーに触発された作品。「Vent d'Yver」はフィリップ・フォルジェの友人である現代アーティスト、エティエンヌ・イヴェールとのプロジェクトによって作曲された小品集。叙情詩的なチェロ組曲はアニエス・ヴェスターマンの豊かな音色と繊細な音楽性で十分に表現されている。
ドビュッシー:歌曲集
 マンドリン/3つのシャンソン/忘れられたアリエッタ/
 フランスのシャンソン/2人の恋人の散歩道/
 艶なる宴1集/艶なる宴2集/3つのバラード
フィリップ・カントール(Br)
ソフィー・リヴ(P)
 録音:2009年5月3日-5日。
 クレマン・ジャヌカン・アンサンブルの名演、名盤に参加していたバリトン歌手フィリップ・カントールによるドビュッシーの歌曲集。柔らかいカントールの歌声とピアノの響きが、繊細なドビュッシーの音楽に溶け合い、不思議な魔力となって独特の歌世界を作り上げている。
ショーソン(1855-1899):ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.3
テオドール・デュボワ(1837-1924):センチメンタル・プロムナード
ジョルジュ・プファイファー(1835-1908):ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.103
 トリオ・アルカディス
 録音:2011年1月10日-12日、パリ。フランスの作曲家3人によるピアノ三重奏曲集。若きショーソンの情熱が込められたピアノ三重奏曲は、抒情的な美しさと香り豊かで繊細な音楽。気品ある美しさを漂わせる完成度の高いアンサンブルを聴かせてくれる。そしてシャンパーニュ地方の小さな村ロスネーに生まれたデュボワ。パリ音楽院でトマに師事し、恩師の死後1896年から1905年までパリ音楽院の院長を務める。作曲家としては多作であり、「対位法とフーガ」「和声法、理論と実践」など音楽理論家としても著書を残している。この「センチメンタル・プロムナード」はピアノの静かな旋律から始まり、それをヴァイオリンとチェロがなぞるように奏でる、静寂の音楽。ヴェルサイユ生まれのピアニスト兼作曲家のジョルジュ・プファイファー。カルクブレンナーの弟子でピアニストであった母からピアノの手ほどきを受け、父はプレイエルの楽器店を経営していた。彼はバレエ、オペレッタ、ピアノ曲、室内楽、管弦楽曲など様々なジャンルの作品を作曲した。彼はサン=サーンスと同じくフランスの作曲家としては珍しく3曲の協奏曲を作曲している。このピアノ三重奏曲はフランスらしい瀟洒さに富み、洗練された響きの作品。トリオ・アルカディスは2001年にパリとリヨンの国立高等音楽院の優秀な若手3人によって結成された三重奏団。
マルセル・ソラージュ(1894-1970):チェロ・ソナタ ヘ短調
ピエール=オクターヴ・フェルー(1900-1936):チェロ・ソナタ イ長調
ポール・ヴィアルド(1857-1941):チェロ・ソナタ
 オディール・ブラン(Vc) ジュヌヴィエーヴ・イバネス(P)
 録音:2010年12月27日-29日。なお、ピアニスト名字は『アイバニーズ』と記載されているが、Ibanez なので誤り。フランス音楽史上忘れてはならない重要な作曲家3人によるチェロ・ソナタ。マルセル・ソラージュは時代の過渡期に活躍した女性作曲家。パリ国立音楽院は1785年創立当初は、女性は器楽科のみ入学を許され、1850年までは作曲科は男性しか受け入れていなかった。20世紀に入り少しずつ女性にも扉が開かれ始めたその頃に、マルセル・ソラージュはフランス人の両親の元ペルーで生まれた。幼少の頃パリへ渡り、直ぐに音楽院でナディア・ブーランジェと共にピアノと伴奏法を学び、その後作曲の才能を開花させる。このチェロ・ソナタは1919年に作曲。3つの楽章からなる作品で、雄々しい主題から始まる第1楽章、装飾的で歌うような美しい第2楽章が続き、強いリズムと渦巻くフレーズの第3楽章で華やかに締めくくる。
 交通事故のため36歳の若さで夭折したピエール=オクターヴ・フェルー。リヨン出身で家族によって音楽の才能を見いだされる。大学では物理・化学を専攻、同時にフロラン・シュミットに作曲を学んだ。彼は8歳から教会で演奏するなど幼いころ評判のピアノ弾きであったが、指先の事故により作曲へ転向した。パリへ渡った後、室内アンサンブル「トリトン」を設立。評論、執筆活動を積極的に行っていた。このチェロ・ソナタは亡くなる4年前に作曲され、伝統的な作曲スタイルを好んだ、緻密な作品。
 19世紀ヨーロッパ音楽界を席巻したオペラ歌手・作曲家ポリーヌ・ガルシア=ヴィアルドの息子ポール・ヴィアルドは優秀なヴァイオリニストでもあり、姉マリアンヌの婚約者であったフォーレからヴァイオリン・ソナタ第1番を献呈されている。彼のチェロ・ソナタは気品と豊かな抒情を湛えた美しい作品。
オリヴィエ・グレフ(1950-2000):室内楽作品集
 「Oi Akashe」Op.170(チェロとピアノ)/
 チェロとピアノのための小品 Op.167/
 チェロとピアノのための小品 Op.173/
 チェロ独奏のための「Nô」Op.154/
 「ヴェニ・クレアトール」Op.103(チェロとピアノ)/
 ヴァイオリンとピアノのための小品第1番 Op.83/
 ヴァイオリンとピアノのための小品第2番 Op.84/
 コレットのカプリスOp.185(ヴァイオリン独奏)/
 ヴァイオリンとピアノのための小品第3番 Op.104/
 ピーター・フィリップスによる変奏曲
  (ヴァイオリンとピアノ)/
 ピアノのためのロンド「四十二番街」Op.33a/
ジョルジュ・オーリック(オリヴィエ・グレフ編):
 「さらばニューヨーク」Op.349(ピアノ、フルート、
   クラリネット、ヴァイオリン、チェロ)
デルフィーヌ・バイロン(Vc)
ベルトラン・ジロー(P)
マシュー・ゴデフロイ(Vn)
シャトゥー(Fl)
アレクサンドレ・シャボー(Cl)
 録音:2009年12月9日-10日、2010年1月7日、サン=マルセル寺院(パリ)。
 2000年に50歳で急逝したオリヴィエ・グレフ。2010年は没後10年を記念した録音がいくつかリリースされ、グレフの再評価が高まってきている。
 この室内楽作品集は、パリo.のチェロ奏者デルフィーヌ・バイロン、ANIMAレーベルの主催者でもありピアニストのベルトラン・ジローらグレフの音楽に共感する音楽家が集まり録音。美しい陰影を描くチェロとピアノの作品「ヴェニ・クレアトール」。ジョルジュ・オーリックのピアノ作品をグレフが室内楽用に編曲した「さらばニューヨーク」などジャズ風にアレンジされた作品など、独自の作風を確立したグレフの作品を幅広く取り上げている。
プロコフィエフ
 ピアノ・ソナタ第5番 Op.38/135(代理店記載ママ)
ヒナステラ:ピアノ・ソナタ第1番 Op.22
シマノフスキ:ピアノ・ソナタ第3番 Op.36
バルトーク:ピアノ・ソナタSz.80
エフゲニー・スタロドゥプツェフ(P)
 録音:2010年4月。プロコフィエフの作品番号は代理店記載ママで、初版なのか第2版なのか不明。ロシアの若手ピアニスト、スタロドゥプツェフ。収録作品はアイロニーを漂わせたプロコフィエフ、ラテンのエキゾチズムと神秘を感じさせるヒナステラのソナタ。シマノフスキのピアノ作品の中でも難曲とされるピアノ・ソナタ第3番、バルトーク唯一のピアノ・ソナタ。情熱と繊細さに満ちた演奏を聴かせてくれる。
 1981年生まれ。モスクワ中央音楽院を1999年に卒業後、2006年までモスクワ音楽院でナターリヤ・トゥルーリ教授のもと研鑽を積む。パルナッソス国際ピアノコンクールなど世界各地の国際コンクールで優勝、ロシア、ドイツ、ハンガー、ポーランド、スペインなどで演奏活動を行い、その実力は世界から注目を集めている。また作曲家としても才能を持ち、木管楽器、弦楽器、ハープのための室内楽曲作品がある。
20世紀初頭音楽の旅
 ストラヴィンスキー
:イタリア組曲(全6曲)
 ブロッホ:パール・シェム〜第2曲「ニーグン」
 ヒンデミット:無伴奏ヴァイオリン・ソナタOp.31 No.2(全4楽章)
 シェーンベルク:幻想曲 Op.47 / ラヴェル:ツィガーヌ(原曲版)
 ノア・ベンディックス=バルグレイ(Vn) 保都玲子(P)
 録音:2011年。2011年パリのヴィブラルテ国際コンクールで優勝、同年5月より名門ピッツバーグso.のコンサートマスターに選ばれ、今最も注目され、今後ますますの活躍が期待される新進気鋭ヴァイオリニストの一人、ベンディックス=バルグレイの新盤。シュトックハウゼン・プレイヤーとしてフランス・ドイツを中心に活躍する保都玲子の伴奏に乗せ、生き生きとした演奏を見せてくれる。本CDはタイトル通り、第一次大戦から1950年にかけてヨーロッパ各地で作曲された作品を収録。伝統的な音楽の継承か、新しい音楽の創造か――大きな岐路に立たされた20世紀初頭の作曲家たちは、激動の時代の中で果敢に各々の道を切り開いていった。独特の和声法で魅せるストラヴィンスキー、ヒンデミット、プロコフィエフ、十二音技法で新たな表現を開拓したシェーンベルク、自国の伝統の外に活路を見出したブロッホ、ラヴェル…本CD では同時期に作曲された作品が収録されており、各作曲家独特のスタイルや響きを聴き比べることが出来る。どの曲も難易度が高く、ベンディックス=バルグレイの卓越した演奏技術も存分に堪能出来る。
霧の中で [Dans les Brouillards]
 ヤナーチェク:霧の中で / スクリャービン:5つの前奏曲 Op.74
 シェーンベルク:6つのピアノ小品 Op.19 / ドビュッシー:前奏曲集第2集(全曲)
  ジェローム・グランジョン(P)
 録音:2011年3月、サン・マルセル教会。20世紀初期、音楽のみならず芸術全体が新しい表現を求めて「霧」の中をさまよっていた時代、チェコ、ロシア、オーストリア、フランスのそれぞれの作曲家が、自分の独特な表現法を確立していった作品に光を当てる。ジェローム・グランジョンは、若くして国立パリ高等音楽院ピアノ科、室内楽科を一党で卒業し、チッタ・ディ・セニガリア国際ピアノコンクール入賞。文学と音楽を融合させたコンサートを開催、教育者とし世界各地でワークショップを行うなど多岐に渡る活動を展開している。
プーランク:歌曲集
 2つの詩/陽気な歌/ロズモンド/動物詩集/2つの歌/冷気と火/2つの詩/パリの風物/
 ロンサールの詩/平和への祈り/4つの詩/「月並み」〜第2曲「ホテル」
  フィリップ・カントール(Br) ソフィー・リヴ(P)
 録音:2011年7月、パリ。アンサンブル・クレマン・ジャヌカンのバリトンとしても名を馳せるバリトン、フィリップ・カントールによるプーランク。そのレパートリーは古楽のみにとどまらず、ソロ活動からオペラはもちろんのこと、ヴィス率いるクレマン・ジャヌカンでの芝居っ気たっぷりの歌唱までをもこなしてしまうという、非常に多才な活動を展開している。彼のフランス語による歌唱は大変耳あたりが良く、声自体が美しいことはもちろんのこと、フランス語の響きも実に美しいので、フランス歌曲にあまり馴染みのない方でもお楽しみいただけることだろう。ユーモアとアイロニーに溢れる“エスプリの作曲家・プーランク " の世界観を、カントールのエネルギッシュな歌声でご堪能頂きたい。ピアニストのソフィー・リズとは大変親交が深く、今回の録音の他に「ドビュッシー歌曲集」(ANM-90900001) でも共演している。
スクリャービン:ピアノ作品集
 ソナタ第2番 Op.19/マズルカ〔 Op.25 No.8 / Op.40 Nos.1, 2 〕/プレリュード Op.15 Nos.2, 4 /
 エチュードOp.2 No.1 /5つのプレリュードOp.16 /ファンタジアOp.28 /2つの詩曲/
 4つの小品 Op.51〜 No.1「たよりなさ」/5つの前奏曲 Op.74 より Nos.1, 3, 4 /
 ピアノ・ソナタ第10番 Op.70 /マズルカ ハ長調 Op.25 No.2

  保都玲子(P)
 録音:2011年11月。ヨーロッパで活躍する保都が極めたスクリャービンの世界。芯まで響くタッチで描かれるスクリャービン特有のうねりや、「たよりなさ」などで聴かせる、煙ったような和音の神秘的な美しさが、聴き手にぐぐっとせまって来る。
 保都玲子:国立音楽大学付属中学ピアノ科、付属高校フルート科で学んだ後パリに留学。パリ・エコールノルマルのフルート科にて工藤重典氏に師事、ディプロマ・コンサーティストを首席で卒業(同時にイダ・リベラ、アラン・マリオン、ジャン=ピエール・ランパルから教えを受ける)。ふとした事からアラン・マリオンの推薦によりパリ国立高等音楽院(CNSMDP)フルート科のピアノ伴奏者として就任。その後ピアノをドイツ、シュトゥットゥガルト国立音楽大学ソリストコースで、オレグ・マイセンベルクに師事、首席卒業。スイス、チューリヒ音楽院にてオメロ・フランシェシュに師事、ランドール賞受賞。エフゲニー・マリーニン、ジャック・ルヴィエ、ジャン・ユボー、ジャン・ケルネルらのもとでも研鑽を積む。ジョルジュ・ドンとの出会いをきっかけに、音楽・ダンスにも強い興味をもっている。2001年から2007年にかけてドイツ今世紀最大の作曲家シュトックハウゼンが開催したシュトックハウゼン・セミナーで、ピアノ曲14曲を学ぶ。2005年には、ピアノ曲10番の演奏に対し、作曲家自身から日本人初シュトックハウゼンベストパフォーマンス賞を受賞。ロン・ティボー、ランパル・コンクール、ロストロポーヴィチ・コンクールなどの公式伴奏者もつとめている。2000年にパリ国立高等音楽院の初見科教授に就任。2009年9月よりライセンスレベルの伴奏科の教授としても後進の指導にあたっている。
マルタン・クトゥノウスキー(1968-):
 フルートとピアノのための「熱狂的な時間のうちに」/無伴奏フルートのためのタンゴの様式による12の練習曲/
 ピアノ独奏のための「見事に変貌したクラヴィーア」〜サラバンド/
 ピアノ独奏のための「ピーター・エンバーレイの夢」/クラリネットと弦楽四重奏のための「海にある塔」

  ベルトラン・ジロー(P) フレデリク・シャトゥ(Fl)
  アレクサンドル・シャボ(Cl) モンティセリSQ
 録音:2012年1月、サン・マルセル教会、パリ。アメリカ、ヨーロッパ、日本、南米にわたり世界的に活躍する現代作曲家クトゥノウスキーはスペインやアルゼンチンの音楽を取り入れた作品を多く手掛け、マルタ・アルゲリッチやミネソタso.など名だたる演奏家たちによって初演されている。スペインの詩人グスタボ・ベッケルの詩をモチーフにした「熱狂的な時間のうちに」と、イギリスの民謡にインスピレーションを受けたという「ピーター・エンバーレイの夢」は、2011年に作曲されたばかりの新作。前者はベルトラン・ジローとフレデリック・シャトゥー自身が初演を担当した。フルートのための12の練習曲は、ピアソラ・タンゴを思わせる曲調。随所に技巧的な旋律が散りばめられシャトゥーの妙技が光る。いずれの作品もどこかロマン派的、あるいは印象派的な響きを思わせる抒情的なハーモニーが美しく、艶やかな旋律の数々に魅入られる。ここまで本格的にクトゥノウスキーの作品のみを収録したアルバムは未だ少なく、彼の作品を聴き始めるにはぴったりな盤。
トリオ・ホーボーケン
 ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調 / トゥーリナ:ピアノ三重奏曲第2番 ロ短調
 ラヴェル/オリヴィエ・カスパール(1962-)編曲:スペイン狂詩曲(ピアノ三重奏曲版)
 シャブリエ/オリヴィエ・カスパール編曲:狂詩曲「スペイン」(ピアノ三重奏曲版)
 ホーボーケン・トリオ
 [ジェローム・グランジョン(P) サスキア・ルチェック(Vn) エリック・ピカール(Vc)]
 録音:2012年4月、8月、パリ地方音楽院(CRR de Paris)。パリ管の首席チェロ奏者ピカール、フェラス=バルビゼ国際コンクールの優勝の実力派ヴァイオリン奏者ルチェック、2011年に来日も果たした名手グランジョンという珠玉のメンバーからなり、2013年で結成10年を迎えたフランスのピアノ三重奏団が、得意のフランス近代ものに焦点をあてたアルバムをリリース。明暗のコントラスト鮮やかな色彩感だけでなく、民族音楽を取り入れた独特のリズム感も聴きどころのプログラムと言えるだろう。20世紀屈指の傑作との呼び声高いラヴェルのピアノ三重奏曲、ラヴェルやフォーレから多く影響を受けた作風で知られるトゥーリナのピアノ三重奏曲第2番に加え、とりわけ注目されるのは、ラヴェルの「スペイン狂詩曲」とシャブリエの狂詩曲「スペイン」のピアノ三重奏版が収録されているところだろう。2曲ともホーボーケン・トリオのために現代作曲家オリヴィエ・カスパールが編曲。シャブリエの「スペイン」は、カミーユ・シュヴィヤールによる当時の編曲にカスパールが加筆し、完成させたものになる。基本的に高音域をヴァイオリン、低音域をチェロが担当し、オーケストラ全体のポリフォニックな響きをピアノが見事にまとめあげている。各パートの魅力がぐぐっと強調されるのが室内楽版編曲の大きな魅力だが、ホーボーケン・トリオはその魅力を最大限に引き出す素晴らしいアンサンブルで聴かせてくれる。ラヴェルの「スペイン狂詩曲」の4楽章やシャブリエの狂詩曲「スペイン」など、管弦楽版ではぼやけがちなリズムの複雑な掛け合いを鮮やかに聴かせる演奏は圧巻の一言。
エレーナ・ロメロ(1908-1996):ピアノ作品全集
 2つの冬の前奏曲/道化師の踊り/ソナタ ニ長調/「ファルスタ」に基づくフーガ/ソナタ ト短調/
 トゥーリナへ捧げる歌/アルバイシンでの夜に/田舎の踊り/日は沈み、子は眠る/ピアノのためのシャンソネット/
 ピアノのための「ギター・ソング」の主題に基づく2つの楽章/3音に基づく歌と踊り/ピアノのための3つの小品/
 主題に基づく幻想曲/ピアノあるいはオルガンのための3つの楽章/夜想曲「田園詩」/暗示

  アルベルト・ポルトゥゲイス(P)
 録音:2010年2月、セント・ポール大聖堂、ロンドン。エレーナ・ロメロは、スペインのマドリッドに生まれた女流作曲家。12歳でピアニストとしてデビューし前半生にスペイン内戦を経験、動乱の中でなおコンサート活動を続けた彼女が、本格的に作曲活動を始めるのは1940年代のこと。本アルバムでは1942年から1991年までにわたって残したピアノ作品を一挙収録。多くは母国スペインにまつわるもので、新古典主義の響き、ロマン主義の響き、バロックの響き、様々な響きを取り入れつつも、その根底には母国スペインの地域色を感じさせる旋律が聞こえてくる。どこかラヴェルに近い響きも思わせる、不思議な和声の混じりこんだ独特の響きは魅力的。時に愉しく、時に哀切な旋律が胸を打つ。全体的に超絶技巧で魅せるというよりも、シンプルな音構成の中に深い味わいを持たせた作品ばかり。夜に一人、オーディオ・ルームでじっくりと集中するにはとっておきの音楽が詰まっている。今回、歴史の陰に埋もれてしまったロメロの作品に光を当てたのは、2011年に70歳を迎えた往年の名手アルベルト・ポルトゥゲイス。スペイン語を公用語とするアルゼンチン出身ということで、ロメロの作品が持つ民族情緒あふれる響きを見事に表現している。
シャブリエ:ピアノ作品全集
 2手作品 ブレー・ファンタスク/エール・ド・バレ/小さなワルツ/ハバネラ/セポイの行進曲/10の絵画風小品
 4手作品 ブリュノーの思い出/即興曲/カプリス/遺作の5つの小品/3つのロマンティックなワルツ/
      序曲とフランス風行進曲/道化の行列/ミュンヘンの思い出(全5曲)

  ブルーノ・カニーノ(P) ベルトラン・ジロー(P)
 録音:サン・マルセル寺院、パリ。使用楽器:ファツィオリ。演奏作品とピアニストの分旦、また、どちらがメインのピアニストとなっているのかは記載されていない。「ANIMA RECORDS」の中核で活動するフランス人ピアニスト、ベルトラン・ジローが、イタリアの名手ブルーノ・カニーノを迎え、エマニュエル・シャブリエのピアノ作品全集をリリース。全体的に優雅で甘美な曲調の作品が多く、超絶技巧で圧倒するというよりも、2人のピアニストが織りなす軽妙洒脱な掛け合いに聴き入る内容となっている本アルバム。何よりも、シャブリエのみを取り上げ、さらに全集としてまとめあげたアルバムは大変希少。フランス近代のピアノものがお好きな方には是非ともおすすめしたい。
Voices for Peace
 J.スペンサー:フルート、マリンバ、ヴァイヴと打楽器のための「平和への声」(*)
 J.M.ダマーズ:フルートとピアノのための演奏会用ソナタ(#)
 ハイドン/井原和子編曲:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ長調 Hob.XVI: 23(2つのフルートのための版)(+)
 J.スペンサー:フルートとマリンバのための「トゥリー・ソング」(**)
 R.シャンカール/田中紫織:ラーガ「TODI」に基づくフルート、マリンバと打楽器のための「魅惑の夜明け」(*)
 伝承曲/岩崎敏信編曲:アメイジング・グレイス(フルート独奏版)(**)

  井原和子(Fl)ミヒャエル・ハーゼル(Fl;+)
  田中紫織(マリンバ/Perc;*) 保都玲子(P;#)
 録音:ラ・ショー=ド=フォン、スイス(#/+) /熱田文化小劇場、名古屋(*/**)。2006年にシュトックハウゼン・コンクールコンサートにて優勝を飾り一躍注目を集めたフルート奏者、井原和子のファースト・アルバム。井原の師でBPOの中核を担うフルート奏者ミヒャエル・ハーゼルほか、田中紫織、保都玲子らを共演者に迎え、様々な編成のフルート作品を織り交ぜたプログラム。現代作曲家たちの作品も親しみやすい旋律で、フルート・ソロの優美な音色と伴奏楽器の特色を活かしたアンサンブルが魅力的。アルバムタイトルにもなっている、15人のノーベル平和賞女性受賞者に捧げられたスペンサーの「平和への声」では、マリンバやその他打楽器との掛け合いに聴き入る。ハイドンの「ピアノ・ソナタ第23番」は、井原がハーゼルと共演すべく、このアルバムのために編曲した物。原曲の魅力を活かしつつ、フルート2本ならではの清廉な響きを活かした編曲となっている。最後に収録されたアメイジング・グレイスはフルート・ソロのための編成版による演奏。ジャズ・トロンボーン奏者の岩崎による編曲とあって、ところどころに特殊奏法やジャズの要素が盛り込まれている興味深い作品。【井原和子】:武蔵野音楽大学卒業後、ケルン国立音楽大学院、および同大学現代音楽科を修了。フルートを高久進,西田直孝、H.Mミュラー、K.パスフェアらに師事すると共に、現代音楽をP.エトヴシュに師事。電子音楽の発展に貢献したケルン楽派の先駆者であるK.シュトックハウゼンとの造詣も深い。2006年にシュトックハウゼン・コンクールコンサートにて優勝。近年ではシュトックハウゼンの音楽から、さらに舞台芸術発展させるべく欧州の多くの作曲家と電子音楽、劇場音楽を始めとしダンサーとのコラボレーション等にも参加し、新しいパフォーマンスを展開している。2009年に帰国して以降、日本を拠点に国内外での演奏活動を続けている。


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