SIBERIAN TIGER

1CD−R ¥2415(税抜¥2300)



 アメリカ、ヴァージニア州に住む著名なクラシック・マニアであるロジャー氏が、自らの膨大なアーカイブから厳選した録音をリリースする為に設立したレーベル。製盤にはCD-Rを使用している。 レーベル名でもあるサイベリアン・タイガー(シベリア虎)は、絶滅の危機にありながらも絶対的な強さと存在感を持つ動物で、これからリリースされる音源の希少性とその孤高の音楽性を表現する為に最も相応しいとロジャー氏が命名したもの。
 初めの7点8枚はすべてテンシュテット、そしてカルロス・クライバーにキリル・コンドラシンも顔を出すという極めて力が入ったリリース。
 なお、当レーベルはプライヴェート・レーベルのため、入荷までにはご注文から1、2ヶ月かかる場合があります。
 2006/4/11 新譜を追加いたしました。今回は当レーベルの顔テンシュテットが、何と7タイトル同時発売、1点を除きいずれも初出です。


2006年新譜[2008年4月現在の最新盤]
テンシュテット、4種目の「運命」
 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
クラウス・テンンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1976年8月8日、タングルウッド、ライヴ。初出音源。彼の「運命」は、これまで1980年、キール・フィルとのライヴ(EN LARMES ELS-02-221)1982年、当盤と同じボストン響とのバークシャー音楽祭ライヴ(SIBERIAN TIGER ST-005)1990年、ロンドン・フィルとのライヴ(BBC BBCL-4158)が出ていたが、当盤の演奏が最も若い時の物となる。
 テンシュテットが「運命」の意味を問いつめてくる。生きるとはなにか、愛とは、孤独とは、芸術とは・・・一つ一つのフレーズが問いつめるように迫ってくる。その問いは平和な会場に響き渡り、最初脳天気だった聴衆の態度が、徐々に真摯なものに変わっていくのがわかる。オーソドックな音楽づくりの影で、じっくりと丹念に、深く沈む人生の意味を音に彫り込む、他の指揮者ではなし得ないテンシュテットの「運命」であり、彼が遺した同曲においても、最もその陰影が明確にみてとれる、おそろしい程に意味深き記録である。
テンシュテット、7種目
 ベートーヴェン:交響曲第7番
クラウス・テンンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1978年7月28日、ライヴ。初出音源。彼の「第7」はこれまでに全てライヴで、1977年ボストン響("000" CLASSICS ADB-0003、TH-013[後者は廃盤])、1980年北ドイツ放響(EMI CDM 4 76740 2)、同年のニューヨーク・フィル(SIBERIAN TIGER ST-006)、1989年10月10日のミネソタ管(RARE MOTH RM-520S、LIVE SUPREME LSU-1010-2)、同年10月21日(RARE MOTH RM-493S)翌22日(BBC BBCL-4167)の共にロンドン・フィルという計6種があった。
 王宮の重い門が開き、重厚できらびやかなその内側を覗き見るかのような、荘厳にして典雅な7番である。美しいが輝き過ぎず、深い光を放つ伝統ある装飾の一つ一つを手にとり、その冷たさと、そこに伝わり拡がっていく手の温もりを確かめながら進むような、思索に満ちた音楽であり、やがて拡がる舞踏の場も、陽気さよりもむしろ伝統的な格式美を感じさせる程落ち着いている。ボストン響のアンサンブルも素晴らしく、きれいにまとまった音の粒が塊となって心地よく頬を叩く不思議な体験をすることができる。
テンシュテット、音盤初レパートリー
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番
マルコム・フレージャー(P)
クラウス・テンンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1980年8月1日、ライヴ。初出音源で、テンシュテットの音盤初レパートリー曲となる物。彼の指揮によるベートーヴェンのピアノ協奏曲は、これまで1977年、同じくボストン響を振ったピーター・ゼルキンとの第4番(000 CLASSICS ADB-0003)があったのみ。
 水晶玉のように透明な響きを持つピアノの音が、テンシュテットの奏でる揺りかごにのってころころと転げ回る明るい響きのベートーヴェンである。低音を響かせる箇所も、深みよりも広がりを感じさせる音づくりで、遥か地平線まで届くかのような速度をもった音が我々の目前にも届く。テンシュテットはピアニストの個性を引き出しながらも、自らの旋律を伸びやかに歌い上げ、ベートーヴェンの協奏曲さえも、他の誰も真似できない自らの色に染めているのが良くわかる。
クラウス・テンシュテット
 シューベルト:交響曲第9番「グレイト」
クラウス・テンンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1977年1月8日、ライヴ。"000" CLASSICS から ADB-0003 という番号で発売されている物。彼の「グレイト」はこれまでに当盤を含め、1983年ベルリン・フィル、ライヴ(TIENTO CD-12006/7)、同年のベルリン・フィル、スタジオ録音盤(EMI)、1984年ロンドン・フィル、ライヴ(RARE MOTH RM-520S)の4種があった。
 テンシュテットにしては、非常に珍しい軽く陽気な響きをもったシューベルトである。 相当な躁状態にあったのか、快速テンポで進むグレートは、立ち止まることなくどんどんその歩を進め、いつの間にかその終えんにまで行き着く。なにも考えていないのではないかと訝るような音づくりではあるが、くり返し聴くと整理され尽くした様式美を備えた庭園のような美しい道がその音楽の跡に残っていることに気づく。残念ながら一部片チャンネルが欠落してしまった箇所があるが、この快速のグレートはそれを乗り越えて、美しい香りを残しいつの間にか彼方へ過ぎ去ってしまう。
テンシュテット、音盤初レパートリー
 ウェーバー:ピアノ協奏曲第1番(*)
 モーツァルト:クラリネット協奏曲(#)
マルコム・フレージャー(P;*)
ハロルド・ライト(Cl;#)
クラウス・テンンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1978年7月23日、タングルウッド音楽祭(*)/1979年2月(#)、共にライヴ。2曲とも初出音源で、テンシュテットの音盤初レパートリー曲となる物。
 静かな洞窟に響き渡る天上から落ちる雫のような、みずみずしく美しい音をもったフレージャーのピアノが冴え渡るウェーバーと、ビロードの響きをもつ気品に満ちた当時のボストン響主席、ライトのクラリネットが堪能できるモーツァルト、その両方がテンシュテットのバックアップによるものであることに改めて驚く。自らの音楽に固執するかのような普段の指揮からは見られない、全てを音楽の為だけに捧げた優しく美しい仕上がりに、テンシュテットの持つ天才の大きさをみた気がする。
テンシュテット、1970年代
 クリーヴランドとのの「ロマンティック」、初出

 ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
クラウス・テンシュテット指揮
クリーヴランドo.
 録音:1979年12月13日、ライヴ。初出音源。テンシュテットの同曲には1980年の北ドイツ放響ライヴ(RITARDANDO RIT-5012)、ベルリン・フィルとの1981年EMI盤、1982年、ボストン響とのライヴ(RARE MOTH RM-482S)、そして1984年のLPOとの東京ライヴ(TDK TDKOC-021)があったが、今回の5種目となる演奏が最も若い時の物となる。テンシュテット&クリーヴランド管の同曲も初めて。
 恐ろしい程静かで耽美的なブルックナーである。音を荒げることなく、その容積だけを膨らますかのような不思議な音づくりは、いつものテンシュテット以上に凄まじい静かな圧力を感じさせる。クリーブランドの音はブルックナーに合っているようで、北ドイツの雰囲気さえ感じさせるその硬質でクリアーな音色は、テンシュテットという指揮者を得て、さらにそこに様々な色を加えていく。最後までその力を一気に誇示することなく、徐々に圧力を加え続けやがて身動きがとれなくなるまで聴く者を圧倒するというテンシュテット独特の静かな力の全てが納められた記録となっている。
テンシュテット、1970年代の「ブル7」、初出
 ブルックナー:交響曲第7番
クラウス・テンンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1978年7月21日、ライヴ。初出音源。テンシュテットの同曲には、全てライヴで1984年のロンドン・フィル(RARE MOTH RM-489S)、1984年のシカゴ響(シカゴ響自主製作)、1985年、フィラデルフィア管(000 CLASSICS TH-004)、そして1986年のNYP(SARDANA SACD-196;廃盤)があったが、今回の5種目となる演奏が最も若い時の物となる。テンシュテット&ボストン響の同曲も初めて。
 夜空に拡がる満天の星が降ってくるような、壮大なスケールのブルックナーである。第1楽章からそのスケールで、我々を天空の高みへ引き上げ、第2楽章では宇宙の無限を見せつける。テンシュテットの心に拡がる宇宙の絵を、限り無くリアルな手法をもって眼前に提示されたような、しばらくは呆然とするしかない巨大な宇宙の音楽である。テンシュテットこそがブルックナーの求めた真理へ我々を導く真の伝導者であり、それを信ずる者のみが見ることのできるこの世界とは別に拡がる宇宙を、音楽を持って見せしめる新たな創造者でもあるのだ。
旧譜
クラウス・テンシュテット
 ベートーヴェン:交響曲第4番
クラウス・テンシュテット指揮
NYP
 録音:1980年5月、ライヴ。ステレオ。初出音源。テンシュテットの初音盤レパートリーとなる曲目。彼は同曲を取り上げたこと自体が少なく、 演奏会の記録としてもこの1980年代前半に数回が確認されている程度のようだ。テンシュテットのファンは必聴!! 音質的には少々ホワイト・ノイズが多めだが鑑賞にさほど支障はなく、低音域が多めなのもかえって迫力を増すのに貢献しており、テンシュテットの至芸を味わえる。なお、終演後の拍手は急にフェイド・アウトされている。
 「テンシュテット独特のスピード感と緊張感が際立つ演奏。前半2楽章は比較的アンサンブルを重視した整った演奏で進むが、後半楽章はやはりテンシュテットが自らの情熱を押さえきれず、さらにスピードと抑揚が増してくる。ただ、楽団員が懸命についていっているためアンサンブルの大きな乱れはなく、 爽快感さえ感じさせながら演奏は終了する。」
クラウス・テンシュテット
 ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
クラウス・テンシュテット指揮
ミネソタo.
 録音:1981年1月、ライヴ。ステレオ。初出音源。彼は同曲を得意とし、EMIへのスタジオ録音、TIENTO(CD-12006/7)RE! DISCOVER(RED-148)GNP(GNP-21)から出ている1981年ライヴというベルリン・フィルとの2つの演奏に加え、RARE MOTHからボストン響との1987年ライヴが出ている(RM-484S)。 また、テンシュテットとミネソタ管との共演は、同じくRARE MOTHからベートーヴェンの第7番&第8番(RM-520S)が出ている。 多少高域へ寄ってはいるが、001、002、003の3枚中最も緊迫感あふれる音質で、巨匠の芸術を存分に楽しめる1枚。なお、終演後の拍手はすぐにフェイド・アウトされているがさほど違和感は無い。
 「いったいこの日、テンシュテットになにがあったのかと思う程気合いが入った演奏。EMI盤の3倍はテンションが高い。ティンパニーの炸裂で始まる第1楽章、一方、美しく厚みをもった音楽で聴く者を永遠の深みに連れ去る第2楽章、そしてまるでロシアのオケのような金管の咆哮で突き進む第3、4楽章。 テンションの固まりがスピーカーからパンチをくり出してきて、終楽章が静かに消えていった後、疲労感を覚えること間違いなし。」
クラウス・テンシュテット
 ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」
独唱者たち
クラウス・テンシュテット指揮
ボストンso.、タングルウッド祝祭cho.
 録音:1976年7月、バークシャー音楽祭。ライヴ。ステレオ。初出音源。テンシュテットの同曲といえば2003年末にBBCから発売されたロンドン・フィルとの1985年ライヴ(BBCL-4131)で一挙にファンの渇望は癒された。ロンドン・フィルとの同曲演奏は他にRARE MOTHから1991年の演奏が発売されている(RM-410S)が、ボストン響との同曲はもちろん今回が初めてで、彼の同曲3種の中では最も若い時の演奏という事になる。第1楽章のノイズや時折聴かれるテープ劣化を除けば、001、002、003の3枚中最も優れた音質でバランスも良く、BBC LEGENDS盤よりこちらを支持される方も多いのではないだろうか。演奏も合唱が少々おとなしく聞こえるのは残念だが、他は独唱を含め音質以上の熱気で、これは聴き物。終演後の拍手も熱狂的だが、これも残念ながらすぐにフェイド・アウトされている。
 「緊張感を保ちながらどんどん音楽をドライヴしていくテンシュテットの代表作というべき演奏。特にティンパニ奏者はこの演奏で死んでも良いと思ったのか狂ったような強打を連発する。第3楽章に来てようやくその美しい演奏にホッとしたのもつかの間、4楽章からはまたティンパニーの爆裂が再開する。合唱は急造の合唱団なのか、音の整理が今一つだが、テンシュテットの気合いが勝っており1つの芸術として最高のまとまりをもって終了する。観客の反応も異常に熱い。音質面では第1楽章の始まりからチリチリしたノイズが9分程連続して入るが、BBCから出たロンドン・ライヴに今一つパンチを感じなかった人は必聴。」
クラウス・テンシュテット
 ストラヴィンスキー:バレエ「ペトルーシュカ」
クラウス・テンシュテット指揮
クリーヴランドo.
 録音:1978年7月14日、ブロッサム音楽祭、ライヴ。初出音源。ST-001「ベト4」に続くテンシュテットの初音盤レパートリー。彼が同曲を取り上げたこと自体これまた少なく、演奏会の記録としてもこの1980年代前半に数回などが確認されている程度のようだ。テンシュテットのファンは必聴!!
 「さすがのテンシュテットもストラヴィンスキーはこなせないのか? と少し不安に感じる程ギクシャクした第1曲の出だしだが、ほどなく音楽も整い、例によってテンシュテットの整然とした迫力をもって第2曲以降へ流れ込んでいく。ところどころで見せる突刺した後でさらにそこから何かをえぐり出すような表現は、テンシュテットのストラヴィンスキーでなければ経験できないだろう。音楽際ということで会場の都合からか音場がやや遠めに感じる録音になっている。」
クラウス・テンシュテット
 ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
クラウス・テンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1982年8月13日、バークシャー音楽祭、ライヴ。初出音源。彼の「運命」は、これまで1980年、キール・フィルとのライヴ(EN LARMES ELS-02-221)1990年、ロンドン・フィルとのライヴ(BBC BBCL-4158)が出ていたが、アメリカのオケとの共演はこれが初登場。その後当レーベルより、同じくボストン響との1976年、タングルウッドでのライヴがアナウンスされた(ST-019)。
 「第1楽章冒頭からザンザンとリズムを刻みながら突き進み、聴く者を自らの表現の世界へ引きずり込むような魔力をもった演奏。美しく慈愛に満ちた第2楽章を終えると次々と音楽が沸き上がってくるような後半楽章が現れ、その疾走感に魅せられたまま気が付くと総てが終わっている。聴き終えた後に爽快感すら感じることができる。第1楽章終了時に数人の観客が拍手をしてしまうのには失笑するが、その場にいたら自分は果たして拍手を押さえられるだろうかと自信がなくなる程それぞれの楽章の充実感が高い。」
クラウス・テンシュテット
 ベートーヴェン:交響曲第7番
クラウス・テンシュテット指揮
NYP
 録音:1980年5月27日、ライヴ。初出音源。彼の「第7」はこれまでに1977年のボストン響とのライヴ("000" CLASSICS ADB-0003、TH-013[後者は廃盤])、1989年11月のロンドン響(RARE MOTH RM-493S)ミネソタ管(RARE MOTH RM-520SLIVE SUPREME LSU-1010-2)の2つのライヴという計3種などがあったが、同曲のニュー・ヨーク・フィルとの共演はこれが初めて(テンシュテットによる同曲のその後の発売盤に関しては、ST-020の項目をご覧ください)
 「押さえた緊張感で始まるが、第3楽章から徐々に熱情が盛り上がっていき、第4楽章でそのパワーが解放される。一方でアンサンブルも整っており楽団員ひとりひとりの力の入り方が目に見えるような秀演。アメリカのクラシック・ファンの間では、アメリカにおける最高の演奏の一つとして記憶されているらしい。事実、聴衆の反応も熱い。」
ST-007/8

(2CD-R)
テンシュテットの「フィデリオ」全曲!
 ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」
マルトン、ヴィッカーズ、
プリシュカ、マズーラ、ピータース/他
クラウス・テンシュテット指揮
メトロポリタン歌劇場o.
 録音:1984年1月7日、メトロポリタン歌劇場、ライヴ。初出音源。ついにテンシュテットによる歌劇全曲録音が登場。正にファン感涙。彼はオペラ畑出身ながらも西側に出てからはあまり歌劇場と縁が無く、結局スタジオ録音では歌劇の全曲録音を残さなかった。この「フィデリオ」も、少なくとも1980年代以降ではこのシーズンに数回振っただけと思われる。この録音はマニアの間では存在が知られていたが、実際に販売されるのは今回が初めてのはず。オペラ・ファン、テンシュテット・ファン双方に、これはぜひ聴いてみていただきたい。
 「まるでコンピューターでつくり出したような完璧なアンサンブルで始まり、リスニングルームをメトロポリタン歌劇場にしてしまう。相当な練習を重ねたのだろうということが伺えるよどみのない演奏と、それをさらに盛り上げる美しい歌唱陣とが一体となり目の前に舞台が広がっていく。観客は音楽が終了する遥か前から熱狂的な拍手を送る。CD2枚を一気に最後まで聴き終えてしまうこと請けあい。制作者がDATを利用した録音で非常にクリアな録音だが、やや音が堅いと感じられる方もいるかもしれない。」
ST-009/10

(2CD-R)
クライバー&メトの「ボエーム」!
 プッチーニ:歌劇「ボエーム」
ミレッラ・フレーニ(ミミ)
ルチアーノ・
 パヴァロッティ(ロドルフォ)他
カルロス・クライバー指揮
メトロポリタン歌劇場o.&cho.
 録音:1988年2月1日、メトロポリタン歌劇場、ライヴ。2003年にアメリカのごく一部で私家盤として出まわったらしいLYRICAというレーベル(イタリアの同名レーベルとは別)と同一の音源だが、ほとんど入手不可能であった盤だけに、実質初出といっても良い録音。音質は良く無いようで、ジャケットに「音質が良く無いが貴重な録音ゆえのリリースだ」との断り書きが入るが、代理店によるとカルロス・クライバーの最後の演奏となった1999年のカナリア諸島&イタリア・ライヴ・シリーズ(ベートーヴェン;WLC 1-701MEMORIESから発売中)よりはマシのようだとのこと。
 カルロス・クライバーによる同曲の内、メトでの公演は現在のところこれが唯一であり、同時に現時点で聴ける最期の演奏となる。「颯爽としたクライバーの指揮の下、最高のソリスト達がその力を存分に発揮し、華麗な世界を創造していく。膝上録音で雑音が多く、音質も決して上質とは言いがたいが、その分ライヴ感が増しており、部屋を暗くして聴くと、スピーカーの間にうっすら舞台が浮かんでくるような生々しい雰囲気を持つ。演奏終了と前後して沸き起こる熱狂的な歓声の中、オーケストラピットから足早に消えていくクライバーの後姿まで浮かんでくるようだ。」
クラウス・テンシュテット、初出
 モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番(*)
 リヒャルト・シュトラウス:
  交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(#)
ミッシャ・ディヒター(P;*)
クラウス・テンシュテット指揮
ボストンso.(*)、
クリーヴランドo.(#)
 録音:1982年3月13日(*)/1979年3月(#)、ともにライヴ、初出音源。(*)はテンシュテットによる初音盤レパートリー。確か彼によるモーツァルトの協奏曲伴奏自体、当盤が始めてではなかったかと思われる。(#)の「ツァラ」はNAVIKIESE(NAV-4004/5)RE! DISCOVER(RED-158)から1984年のシカゴ響とのライヴが、EMIから1989年のロンドン・フィルとの演奏が出ているが、クリーヴランド管との共演はこれが初めてで、同曲中最も若い時の演奏となる。
 (*)の協奏曲でもテンシュテットの個性は存分に発揮されている。陽だまりのように素直で明るい第1楽章の後、テンポを落とし憂いが滲む第2楽章、そして全ての音が見事に融合し昇華する最終楽章へと、スムーズに正確で活気に満ちた音楽が流れていく。残念ながら第1楽章にテープ劣化による1、3秒のヒスノイズが1分程の間に5回程混入する部分があるが、テンシュテットが微笑むかのようなこの演奏を堪能できるレベルの音質は十分確保されている。(#)は第一主題の圧力と中間部分のなめらかさとのコントラストが美しい対比をなし、交響詩という名称にふさわしい緻密な音楽が展開していく。ややこもり気味の音質で音場も遠く、一部にテープ劣化による音の伸びとノイズが混入する部分もあるが、テンシュテットの体温は十分に伝わり、同曲の既存録音に今ひとつピンときていなかったテンシュテット・ファンには十分楽しめる記録である。
 なお、「ツァラトゥストラ」はボーナス・トラック扱いのため、ジャケットとバック・インレイに記載がございません。御了承下さい。
クラウス・テンシュテット
 マーラー:交響曲第7番
クラウス・テンシュテット指揮
クリーヴランドo.
 録音:1978年3月、ライヴ。レーベルは初出としているが、ほぼ同時期に発売されたMEMORIES ME-1031/6(廃盤)に含まれる演奏と同一ではないかと思われる。
 テンシュテットによる7番の録音では最初期のもの。暗い森の中から響いてくる木々のうなりのような低音が各楽章を通じて常に流れつづけ、その上にテーマが展開されていく彼らしい独自の解釈による演奏。オーケストラの技量の違いかテーマ毎のメリハリ、特に強音部分の厚みと弱音部分の繊細さや音の奥行きの深さは、ロンドンでのライヴ(EMI)より数段上と認めざるを得ない。
 録音はやや軟質な方向にあるが、良好な状態といえる。
クラウス・テンシュテット、初出
 モーツァルト:交響曲第32番(*)
 ハイドン:交響曲第100番「軍隊」(#)
クラウス・テンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1978年7月23日(*)/1980年7月27日(#)、ともにタングルウッド音楽祭、ライヴ。ともに初出音源。(*)はテンシュテットの音盤初レパートリー曲で、ほぼ同時に1977年のバイエルン放響との演奏も案内された(PROFIL PH-05004)。(#)は他に1977年1月8日の同じくボストン響との演奏が "000" CLASSICSのADB-0006として出ている。
 タングルウッド音楽祭でのライヴのためか、非常に牧歌的な美しい演奏。両曲とも暖かい陽だまりのようなやさしさで、テンシュテットの穏やかな一面と会場のリラックスした雰囲気が伝わってくる。音質はごく短時間ノイズが混入する個所があるが、おおむね良好。演奏中に鳥のさえずりが響いているが「これはノイズではなく演奏の一部とお考え頂きたい」と代理店。
テンシュテットのブルックナー「ロマンティック」ライヴ
 ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」
クラウス・テンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1982年3月13日、シンフォニー・ホール、ボストン。ライヴ。レーベルは初出としているが、RARE MOTHから1982年(月日不祥)とされる同顔合わせの演奏が発売されており(RM-482S)、同一の可能性もある。
 テンシュテットがブルックナーの意図を楽譜から読み取り、再現芸術としてそれを現代の観衆の前に提示、ヨーロッパのオケを指揮した演奏とは異なり、音楽の重さより音の構成を明確に描き出すことに成功している。もちろんテンシュテット自身の解釈が強くでてくる部分も多いが、なによりもブルックナーがなにを表現したかったのかを誠実に伝えることに重きをおいているようだ。残された録音の数こそ少ないが、彼のブルックナーはマーラーの演奏以上に音楽的に意義深いものであったことを再認識できる。
 テープ劣化による音のゆれがところどころあるものの、分離のよい聞きやすい録音。
 なお、当初 ST-014は先に「コンドラシン指揮 マーラー:交響曲第6番」でご案内した番号ですが、このアイテムはST-015に変更となり、当アイテムがST-014となります。御了承下さい。
コンドラシンのマーラー「悲劇的」ライヴ、初出
 マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
キリル・コンドラシン指揮
南西ドイツ放送so.
 録音:1981年1月18日、ライヴ。初出音源。コンドラシンの同曲にはMELODIYAへの有名なスタジオ録音があるが、ライヴはこれが初登場。
 指揮者の影響が強いせいかオーケストラの個性なのか、まるでショスタコーヴィチのようなマーラー。楽譜にある多くのマーラーの指示を一つ一つ忠実に再現した明快な演奏ではあるが、後半になると金管の強奏や打楽器の炸裂が増えて、あの南西ドイツがロシアのオーケストラのように響く。非常にモダンなテイストを持った6番。
 音質良好。
 なお、当盤は当初ST-014という番号でご案内しておりましたが、上記に変更となっております。
テンシュテット、初出
 ブラームス ピアノ協奏曲第1番(*)
 ・ボーナス・トラック・
  ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲(#)
ギャリック・オールソン(P;*)
クラウス・テンシュテット指揮(*/#)
ボストンso.(*)、クリーヴランドo.(#)
 録音:不祥(1980年代?)/1979年12月13日、ライヴ(#)。共に初出音源。オールソンとテンシュテットによる(*)には、LPOとのEMIスタジオ録音があった。また、テンシュテットによる(*)には、他にブレンデルとの1990年ライヴがあった(RARE MOTH RM-401/2S)。(#)はロンドン・フィルとの1990年ライヴ(BBC LEGENDS BBCL-4158)が出ているが、現在のところ他の演奏は無く、アメリカのオケ&1970年代の演奏共に初。
 (*)は伴奏指揮者としてもやはり超一流であったテンシュテットの代表的演奏。第一楽章のピアノが出てくるまでは、まさにテンシュテットのブラームスであるが、ピアノの演奏が始まると、オーケストラを巧みに操り、曲全体の調和を保つ。ところどころピアニストがもたつく部分も、テンシュテットが覚醒させるようなバックアップを見せ全体として引き締まった名演にまとめている。
 録音場所の関係かややこもった音質となっているが、珍しいレパートリーの記録としては十分以上のクオリティ。
 なお、当盤はリマスターの都合で発売が遅れておりましたがようやく発売、余白部分にはお詫びの意味もこめて(#)が日本向け限定ボーナス・トラックとして追加されています。
テンシュテットの1980年ブラームス「第4」、初出
 ブラームス:交響曲第4番
クラウス・テンシュテット指揮
ボストンso.
 録音:1980年8月1日、タングルウッド音楽祭、ライヴ。初出音源。テンシュットの同曲は、同じくボストン響との1974年ライヴ(THREE ZERO CLASSICS ADB-0001、RARE MOTH RM-487S、MEMORIES ME-1063/4)とロンドン・フィルとの1984年ライヴ(NAVIKIESE NAV-4022)があった。
 悲しいほど生真面目な音楽で、泣けてくる。堂々とした鳴りの音が響きわたる一見正統派のすばらしい音楽なのだが、後半楽章になると、だんだん悲しみがこみ上げてくる。あまりに生真面目に力を込めて全ての音を追い詰めているために、そこまでしなくてもという思いが強くなってくるのだ。全ての音に手を抜けず、こんな張り詰めた音作りをするしかなかったテンシュテットの性が、音楽の底から溢れでてきて聴く者の心を揺さぶる。会場にいた人々には、この感覚がしっかりと伝わっていたに違いない。最上の拍手をもって彼の音楽を称える。テンシュテットの血と汗のにおいがする魂の音楽である。
テンシュテット&クリーヴランド管の「新世界より」、初出
 ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
クラウス・テンシュテット指揮
クリーヴランドo.
 録音:1979年12月20日、ライヴ。初出音源。彼は同曲を得意としているが、今回登場するのはその中でも最も若い時のもの。ベルリン・フィルを振った1980年4月EMIスタジオ録音の約4ヶ月前の物となる。他にはGNP(GNP-21)などから出ている1981年のベルリン・フィル・ライヴ、RARE MOTHから出ているボストン響との1987年ライヴ(RM-484S)、そして当レーベルからもミネソタ管との1981年の演奏(ST-002)が発売されている。
 重苦しく救いようのない新世界だ。新しい世界の旅立ちへの期待よりも、後に残した故郷への望郷の念が強く感じられ、それに未知の世界への不安感が加わってどうしようもなく膨らんだ恐れが低い響きとなって聴く者を襲う。ところどころで激しく連打されるティンパニーの雷鳴も、すぐ後に続く暗く重い弦の重なりに吸い込まれていく。どうしてここまで来てしまったのか、という旅人の後悔に溢れた新世界なのだ。最後に何度も振り返りながら故郷の方向を確認するかようなしぐさを見せて、音楽が闇に吸い込まれて終わる。過去のテンシュテットのどの音楽よりも暗い。


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