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NEOS

価格帯記載無し:特記以外1CDあたり¥2970(税抜¥2700)

価格帯B(SACD):1枚あたり¥3300(税抜¥3000)


 ドイツの新レーベル。COL LEGNO レーベルで長年活躍していたヴルフ・ヴァイマン氏が新たに立ち上げたレーベルで、COL LEGNO レーベルの名物企画だった「ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン」シリーズはこのレーベルに引き継がれると言う。もちろん内容は硬派な現代音楽揃いで、マニアには見逃せないレーベルとなりそうだ。

ミナス・ボルボウダキス(1974-):ピアノ作品集
 メタル・メカニクスI(2006)/
 ツィクロイデンI(2006)/
 メタル・メカニクスII(2006)/
 パリドロミア(2004)/
 メタル・メカニクスIII(2006)/
 6つのの思考(2002/3)/
 メタル・メカニクスIV(2006)/
 カタルシス(2002)/
 メタル・メカニクスV(2006)/
 1945・過去の残響(1995)/
 メタル・メカニクスI(2006)
ミナス・ボルボウダキス
(P/テープ)
 録音:2005年-2006年、全曲世界初録音。
 ボルボウダキスはギリシャ・クレタ島生まれの作曲家、ピアニスト。作曲をヴィルフリート・ヒラー、そしてCelestial Harmoniesでもおなじみのぺーター・マイケル・ハメルに師事している。またジョージ・クラム、ベリオ、リームらの指導も受けている。
 メタル・メカニクスの連作を中心に編まれたピアノ作品集は、新印象主義とも呼べる鮮やかな色彩とリズムが特徴でリゲティのエチュードを想起させる。
ニコラウス・ブラス(1949-):
 管弦楽作品集 Vol.1

 エコーの構造(32声と管弦楽のための)(2002)(*)/
 空間II(ピアノ、サクソフォン、
      打楽器と管弦楽のための)(2001)(#)/
ルッペルト・フーバー指揮(*)
SWRシュトゥットガルト
 放送so.(*)
ヴォーカル・アンサンブル(*)
ベンヤミン・コブラー(P;#)
ザーシャ・アルムブルスター
(Sax;#)
パスカル・ポンス
(Perc;#)
ローラント・
 クルティヒ指揮(#)
ベルリン放送so.(#)
 録音:2003年(*)/2006年(#)。
 「エコーの構造」はタイトル通り、合唱と管弦楽が相互不可分に干渉しあい、互いの響きを反響させ、ついに巨大なカオスとなる32声部の合唱と管弦楽のためおよそ30分の大作。「空間II」はピアノ、サクソフォン、打楽器のためのフリー・ジャズのセッション並みに熱いトリプル・コンチェルト。近年、ブラスは現代音楽のファンの間でなぜか人気がある。
ジョン・ケージ(1912-1992):
 ピアノのための音楽 1-84

 ピアノのための音楽1(1952)/
 ピアノのための音楽2(1953)/
 ピアノのための音楽3(1953)/
 ピアノのための音楽4-19(1953)/
 ピアノのための音楽20(1953)/
 ピアノのための音楽21-36(1955)/
 ピアノのための音楽37-52(1955)/
 ピアノのための音楽53-68(1956)/
 ピアノのための音楽69-84(1956)
ザビーネ・リープナー(P)
 録音:2003年。
 1950年代に集中的に作曲されたピアノのための音楽シリーズは主にダンスを始めとするパフォーマンスのために書かれたが、何れも内部奏法を取り入れた、点描的で静謐な音楽。
 ピアノのザビーネ・リープナーはオルガ・ノイヴィルトやドナトーニなどのヨーロッパ前衛から近年はアメリカ実験音楽に積極的に取り組んでおり、ケージの他、フェルドマン、ヘンリー・カウエル、そしてなんとボーリン・オリヴェロスまで取り上げている。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.15〜
 ムジカ・ヴィヴァ 1989 / 2006 より

 ペーテル・エートヴェシュ(1944-):
  カプ=コ(アコースティック・ピアノ、
   キーボードと管弦楽のための協奏曲)(2005)(*)
 ベルント・アロイス・
  ツィンマーマン(1918-1970):
   ヴァイオリン協奏曲(1950)(#)
 マルティン・スモルカ(1959-):
  ウォールデン、星の蒸留酒製造業者
  (H.D.ソローの詩による混声合唱と
    打楽器のための5つの小品)(2000)(+)
ペーテル・
 エートヴェシュ指揮
バイエルン放送so.(*/#)
ピエール・ロラン・
 エマール(P/Kb;*)
マルティン・
 ムメルター(Vn;#)
ヴォルフラム・
 ヴィンケル(Prec;+)
バイエルン放送cho.(+)
 録音:1989年、2006年。(*)は世界初演時ライヴ。COL LEGNO の名物シリーズだった「ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン」シリーズは今後 当・NEOS レーベルに移行する。
 エトヴェシュとローラン・エマールが火花を散らすカプ=コ、ベルクなどの表現主義の影響が濃厚なアロイス・ツィンマーマンのヴァイオリン協奏曲、そしてソローの有名な「ウォールデン」(森の生活)をテキストとしたロマンティックな混声合唱と管弦楽のための作品と三者三様、ヴァラエティに富んでいる。
エールハルト・グロスコップ(1934-):
 弦楽四重奏曲集

  [第1番(1983)/第2番(1990)/第3番(1997/8)]
アルディッティSQ
 録音:2001年。
 グロスコップはベルリンを拠点に活動しており、ダルムシュタット夏期現代音楽講習会でも中心的な役割を担っている。激しさと静謐さを併せ持つ彼の作品は厳しさのなかにも、中世音楽を思わせる瞑想的で典雅な美しさ(ペルトをもう少し苦しくした感じ)を湛えており、現代ヨーロッパの前衛のなかでも異色の存在といえよう。
クセナキス:鍵盤楽器のための音楽〜
 コンピュータ制御によるピアノ
  およびチェンバロのための作品集

 ヘルマ〜ピアノのための(1961)/
 ミスツ(霧)〜ピアノのための(1981)/
 コアイ〜チェンバロのための(1976)/
 エヴリアリ〜ピアノのための(1973)/
 ナーマ〜チェンバロのための(1984)
ダニエル・グロスマン
(MIDIプログラミング)
 制作:2005-2008年。
 鍵盤楽器のための作品に限ったことではないが、クセナキスの音楽は時に人間の限界を超えよと言わんばかりの超絶技巧と集中力を演奏者に要求する。こうして人の手によって再現された音楽は、神がかりともいえるほどの異様な気迫とエネルギーを生み出す。しかし、それらの演奏が完璧に楽譜を再現しているのかと言えば、必ずしもそうとは言えない。これは人の手では複雑すぎて再現しきれない楽譜の細かい指定までも全てコンピュータ制御で忠実に再現した初めての試み。これからのクセナキス演奏の新基準となるだろう。
ザルツブルク音楽祭2004
 ジェルジ・クルターク(1926-):
  R.V.トルソワ女史のメッセージ
   (ソプラノと室内アンサンブルのための
     21の歌)(1976/1980)(*)
 イェルク・ヴィトマン(1973-):
  ...umdDstert...
   (室内アンサンブルのための)(1999/2000)
オーストリー
 現代音楽アンサンブル
クラウディア・
 バラインスキー(S;*)
リューディガー・
 ボーン指揮(*)
 録音:2004年、ザルツブルク音楽祭、ライヴ。
 クルターク作品はロシアの詩人リンマ・ダロスの詩に基づく歌曲集だが、実際はモノオペラと言ってよい。ツィンバロンを含む多彩なアンサンブルによる。ヴィトマン作品も劇的緊張感に満ちた佳作。
シェーンベルク:
 月に憑かれたピエロ Op.21
 (マリア・バプティストによるジャズの間奏曲付き)
ベリオ:フォーク・ソング
ステラ・
 ドウフェクシス(Ms)
コンスタンティア・
 ゴウルツィ指揮
オーパス21ムジークプルス
マリア・
 バプティスト(P)
 この「月に憑かれたピエロ」では第2部と第3部の間に、この演奏でピアノも弾いているマリア・バプティストによるジャズ間奏曲が挿入されており、緊張を強いられるこの作品でちょっとした休憩といった感じになっている。「フォーク・ソング」は、アルメニア、アゼルバイジャン、フランス、イタリア、アメリカなど様々な国の様々な旋律の編曲。ドウフェクシスはドイツとギリシアの血を引き、2004年からベルリン・コミッシェ・オーパーに所属している。オーパス21ムジークプルスは、シェーンベルクのこの作品番号から名前を取り、音楽以外の芸術と結びついた音楽を演奏する、管弦打楽器奏者からなる合奏団。
NEOS-10710
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.16
 マティアス・シュパーリンガー(1944-):
  7台のピアノのための「早朝の色」
ジェイムズ・エイヴリー指揮
アンサンブル・サープラス
 発売を COL LEGNO から引き継いだ当シリーズの新刊。シュパーリンガーはダルムシュタット音楽アカデミーとシュトゥットガルト音楽演劇大学で学び、シェーンベルク、ウェーベルン、ストラヴィンスキー、ヴァレーズの音楽やジャズ、シェーファーのミュジック・コンクレートの影響を受けている。この作品は、全体は無調的で、ピアノを打楽器的に扱い、リズムの変化の可能性を追求している。
NEOS-10711
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ラディスラフ・クビーク(1946-):作品集
 ジバゴの歌(*)/短い協奏曲(#)/
 シンフォニエッタ第2番「ヤコブの壁」(+)
エイドリアン・
 トンプソン(T;*)
ロナルド・ゾルマン指揮(*)
チェコpo.(*)
ヨアンナ・ソブコフスカ(P;#)
ヴラディーミル・
 ヴァーレク指揮(#/+)
プラハ放送so.(#/+)
 録音:2006年11月、ライヴ(*)/2001年6月(#/+)。
 COL LEGNOレーベルでも継続的に紹介されてきたクビークの最新盤。クビークはプラハ音楽アカデミーで学び、1993年プラハ国際フランツ・カフカ作曲コンクールに入賞し、1991年からフロリダ州立大学教授を務めている。ジバゴはパステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』の主人公で、無調的な暗い基調に叙情的な旋律が織り込まれている。
NEOS-10712
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
クラウス・オスパルト(1956-):チャッピーナ変奏曲
 〜アンサンブルのための(2001)(*)/
 ヴァイオリン協奏曲(2003/2004)(#)
ぺーター・ヒルシュ指揮
チューリヒ・コレギウム・ノヴム
ベッティナ・ボラー(Vn;#)
 録音:2007年(*)、2006年(#)。
 オスパルトはウルリッヒ、フンメル、そしてラッヘンマンに師事したドイツの作曲家。グリッサンドを多用したねじれるような音塊が特徴。ラッヘンマンの弟子らしく特殊な音響が頻出すが、劇的な緊張感を保ちつつ全曲を澱みなくまとめ上げる力量はさすが。
 「チャッピーナ変奏曲」は同じ指揮者で別のオーケストラによる2005年ドナウエッシンゲン音楽祭のライヴもCD化されている(Col legno; 20246)。# NEOS-10172 という番号が記載されていますが、バーコードからすると上記が正しいようです。
NEOS-10713
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ダン・デデュ(1976-):ピアノ作品集
 「牧歌とゲリラ」〜四手のための(1998)(*)/
 「バッタ」〜左手のためのそして・・・(2006)/
 ピアノ曲集「レヴァンティック」(1997)より
 [ノスタルジックな動物/トランシルヴァニアの風/
  ボゴミル派のロックン・ロール]/
 ピアノ・ソナタ第4番(1996)/
 神秘的なバリケード=リローデッド(2006)
ダン・デデュ(P)
ヴァレンティナ・
 サンドゥ=デデュ(P;*)
 録音:2007年。
 デデュはルーマニア生まれ、ブカレスト音楽院で学び、1991年ジョルジュ・エネスコ国際作曲コンクールで優勝した。激しいクラスターとリズムが時にヘンリー・カウエルを思わせる。
チャールズ・ウゾー(1961-):作品集
 私は決して歌ったことのない秘密の歌を歌うだろう(*)/
 弦楽四重奏とテープのための
  「シェイクスピアのソネット第61」(#)/
 ギター四重奏のための
  「私の健康を取り戻させる惠みは…ただ見て」(+)
ヴォルフガング・
 マイヤー(Cl;*)
カルミナSQ(*/#)
クワジ・ファンタジア・
 ギター・アンサンブル(+)
 COL LEGNO盤(WWE-20032)に続くウゾーの作品集。ヴォルフガング・マイヤー(ザビーネの兄)やカルミナ・カルテットといった名手たちも登場!
 ウゾーはナイジェリアで生まれ、ビアフラ戦争の時スイスに移り、ロンドン王立音楽アカデミーでも学んでスイスに戻り、現代音楽の様々な手法を用いて作曲している。第1曲の曲名はスペインのトルバドゥール、ベアトリクス・デ・ディアの報いられない愛を指していて、叫び声のようなテープの音が挿入される。第3曲の曲名はマショーのバラード「私は痛まない」から採られた。
NEOS-10715
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ロベルト・HP.プラッツ(1951-):ピアノ作品集
 ピアノ曲第1番「道」(1981)/
 ピアノ曲第2番(1984)(*)/
 ピアノ曲第3番(1988)/
 ピアノ曲第4番「〜の上」(1997/98)/
 ピアノ曲第5番「帆の下」(2007)
ロルフ・ハインド(P)
SWR実験スタジオ(テープ;*)
 録音:2007年。
 フォルトナー、シュトックハウゼンに師事したプラッツは指揮者、現代音楽の名教師として度々来日している。彼の音楽はセリー音楽の延長線上にあり激しく点描的。ピアノ曲第2番ではテープ音響も入る。プラッツは今日の前衛音楽の正統的(?)継承者と言えるだろう。
細川俊夫(1955-):独奏楽器のための協奏曲集 Vol.1
 ヴァイオリン協奏曲「ランドスケープIII」(1993)(*)
  [アーヴィン・アルディッティ(Vn;*)
   ロベルト・HP.プラッツ指揮ベルリン・ドイツso.]/
 フルート協奏曲「ペル・ソナーレ」(1988)(#)
  [グンヒルト・オット(Fl;#)
   ロベルト・HP.プラッツ指揮SWRバーデン=バーデン・フライブルクso.]/
 ピアノ協奏曲「海へ」(1999)(サクソフォン協奏曲に基づく)(+)
  [ベルンハルト・ヴァムバッハ(P;+) ロベルト・HP.プラッツ指揮NDR放送po.]
 録音:1997年(*)、1999年(#)、2001年(+)。
 発売が遅れていた細川の協奏曲第1集がついに発売される。ザルツブルク音楽祭でゲルギエフにより初演された「循環する海」が話題になるなど、近年、ますます独自の境地に至っている細川のもっとも力の漲っていた1980年代から90年代の重要なオーケストラ作品をアルディッティ、HPプラッツら名手の演奏で聴けるとはなんという幸せ! 師匠イサン・ユンゆずりの息の長い、これでもか!これでもか!と言わんばかりにひっぱりまくる独奏楽器の旋律とオーケストラの鮮烈な音の持続。フルート協奏曲「ペル・ソナーレ」では一曲のなかで奏者が仮面を付け替えるようにピッコロ、フルート、アルト・フルートを持ち替え、尺八にも似た激しい情念の炎を燃やする。オーケストラは雅楽の笙にも似た清冽な音の大河を奏で、あたかも大自然のなかで行われている神聖な儀式を見ているようだ。彼が世界中で武満徹の最有力後継者と目されているのも頷ける。ライヴ・レコーディングではなく、じっくりと腰を据えて録音された本CDは音質もよく、迫力満点。オーディオ・ファンにも強くアピールする内容。
ヴォルフガング・リーム:ピアノ作品集
 1970年代の作品
  ピアノ曲
   [第1番/第2番/第4番/
    第5番「トンボー」/第6番「バガテル」]/
  レントラー
 1980年代以降〜最新作まで
  ピアノ曲第7番/ブラームスの愛のワルツ/調査の後/
  二ヶ国語/別のシート/2つの小さい振動/無言
マルクス・ベルハイム(P)
 録音:2007-2008年。
 500曲を越える多作家として知られるリームの多様な作風を作曲年代順に俯瞰するアルバム。10代後半のピアノ曲第1番から最新作「無言」まで収録。ピアノのベルハイムはリームの他、クルターク、リゲティ、ライヒなど様々な現代音楽を演奏しているスペシャリスト。
ステフォン・ウォルペ(1902-1972):歌曲集
 アンナ・ブルーメに/アッバウの歌/抑圧された階級/
 労働と資本/意思第2番/女中アマリエの手紙/
 「暴動」か?/彼女の悲しみを知れ/
 小さな偉業ら/明後日の幻想曲/ホステスへの挨拶/
 我々は解雇された/ブレヒトによる3つの歌曲/
 世界の貴族たち/生活の疲れ/戦いの作品
グンナー・ブラント=
 ジーグルトソン(T.Vo)
ヨハンナ・ボッセルス(P)
 録音:2007年1月。
 ウォルペはフランツ・シュレーカーに学ぶなど、後期ロマン派の影響を受けて出発したが、後に12音技法と表現主義、そしてブレヒト劇の影響を受けた独自の歌曲を多数作曲した。ウォルペの主要な歌曲を収録。モノ・オペラとも言える演劇性の高い歌曲。
NEOS-10720
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ジョン・ケージ(1912-1992):
 セヴン(1988)/
 カルテッツI〜VIII〜24の楽器のための(1976)
ダニエル・グロスマン指揮
ミュンヘン・
 ヤコプスプラッツo.
 録音:2007年4月、5月。
 「セヴン」はフルート、クラリネット、打楽器、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための作品で、ピアノで奏される旋法的、調性的な和音に導かれて各楽器が長い音をたなびかせる。終始静かで穏やかな雰囲気に包まれた佳品。「カルテッツ」は24楽器のために書かれているものの使われる楽器は常に4パートのみ。セクションによって楽器の組み合わせが変わる。素材は古いアメリカのコラールが使われているせいか、作曲法の新しさにもかかわらず、どこかコープランド調の、のどかで懐かしい響きがする。
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 2台ピアノと大管弦楽のための
  「音楽は天を穿つ」(1977/1979)(*)/
 書き込みについて(1992/2003)(#)
グラウ・シューマッハー・
 ピアノ・デュオ
[アンドレアス・グラウ、
 ゲッツ・シュマッハー(P)]

ペーター・ルンデル指揮(*)
ベルリン・ドイツso.(*)
 録音:2003年(*)/2005年(#)。
 (*)は圧倒的な音量と激しい音塊がぶつかり合うリーム中期の代表作。これとは対照的に(#)では2台のピアノが点描的で、どこかちぐはぐな対話を繰り返す。グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオは2台ピアノによる現代曲の紹介を積極的に行っている。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.17
 ジャチント・シェルシ(1905-1988):管弦楽作品集

  チュクルム(1963)〜
   大編成の弦楽オーケストラのための(*)/
  4つの部分(1959)〜オーケストラのための(#)/
  自然の再生(1967)〜11弦楽器のための(#)/
  ヒムノス(1963)〜オルガンと
   2つのオーケストラ・グループのための(#)
ハンス・ツェンダー指揮(#)
ペーター・ルンデル指揮(*)
バイエルン放送so.
エリザベト・
 ツァヴァドケ(Org)
 録音:2001年2月2日(*)、2006年3月3日(#)、ライヴ。
 2008年没後20年を迎えるイタリアの特異な作曲家シェルシの主要なオーケストラ作品を集めた画期的なアルバム。シェルシは一つの音を徹底的に持続させ、その音の倍音や色彩の変化で音楽を構成させる作曲家としてスペクトル楽派にヒントを与え、20世紀後半以降の現代音楽界に大きな影響を与えた。オーケストラはシェルシが夢見るヴィジョンを具現化するのにうってつけの媒体であり、シェルシ入門用としても最適。ツェンダー指揮によるバイエルン放送so.も他の追随を許さぬ大変優れた演奏。全てムジカ・ヴィヴァ音楽祭におけるライヴ。
クリスティアン・ウルフ(1934-):ピアノ作品集
 Tilbury(軽二輪馬車)I〜III(1969)/
 Keyboad Miscellany(鍵盤雑録)(1988-)/
 ピアノ・ピース(2006)/スノードロップ(1970)
ザビーネ・リープナー(P)
 録音:2007年1月-3月。
 ケージ、フェルドマンと共にアメリカ実験音楽を代表する作曲家ウルフのピアノ作品を集めた。暗雲垂れ込める空からぽつぽつと降ってくる雨音のように寡黙で静謐な音楽。ケージやフェルドマンの録音で知られるリープナーによる演奏。
NEOS-10724
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2006 Vol.1
 オーレ=ヘンリク・メー(1966-):
  弦楽四重奏と独奏ヴァイオリンのための
   「レンガー lenger 」(*)
 サエド・ハダド(1972-):
  弦楽四重奏のための「覆われた喜び」
 ヴォルフガング・リーム(1952-):
  ソプラノと弦楽四重奏のための2つの練習曲
   「行為と昼」(#)
 フリオ・エストラーダ(1943-):
  声と弦楽四重奏のための「毎日」(+)
アルディッティSQ
オーレ=ヘンリク・
 メー(Vn;*)
クラロン・マクファデン(S;#)
フリオ・エストラーダ(声;+)
 録音:2006年10月、世界初演、ライヴ。
 ノルウェーの作曲家メーによる第1曲は、弦をこするような奏法に終始する。ハダドはヨルダンで生まれ、西洋の文化の「他者」である自分にとってアラブの文化は何を意味するか考えながら作曲していると述べている。リームの作品は2幕から成り、第2幕はブレークの詩によっている。エストラーダはメキシコ・シティで生まれ、クセナキス、シュトックハウゼン、リゲティなどに師事した。「毎日の」では弦楽器が打楽器や電子音のような音を発する。
NEOS-10725
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2006 Vol.2
 ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):
  光と管弦楽のための協奏曲「ヒュペリオン」(*)
 イェルク・ヴィトマン(1973-):第2の迷宮(#)
ルペルト・フーバー
(練習指揮;*)
ハンス・ツェンダー指揮(#)
バーデン=バーデン・
 フライブルク
  南西ドイツ放送so.
 録音:2006年10月、世界初演、ライヴ。
 「ヒュペリオン」では、4群のオーケストラが会場の4つの壁に沿って配置され、演奏者は4つの音源に反応して演奏し、打楽器が様々なテンポで拍を刻む間に音響の塊が変化して行く。ヴィトマンはヘンツェ、リームなどに師事し、クラリネット奏者としても活動している。「第2の迷宮」は、1年前に作曲された、48の弦楽器のための「迷宮」の主題を別の方法で用いている。
NEOS-10726
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2006 Vol.3
 マルティン・スモルカ(1959-):
  新旧の楽器のための6楽章
   「センプリーチェ(単純に)」
 ヴォルフガング・ミッテラー(1958-):
  バロック管弦楽、合奏と電子音のための
   「内部で分離されて」(*)
ルーカス・フィス指揮
フライブルク・バロックo.
アンサンブル・ルシュルシュ
ヴォルフガング・ミッテラー
(ターンテーブル;*)
フライブルク
 音響芸術実験スタジオ(*)
 録音:2006年10月、世界初演、ライヴ。
 プラハ出身のスモルカによる第1曲は、「少数の音楽の道具が、一つの単純な真実を思い出させるいくつかの単純な感情を喚起する」という考えに基づき、ホケトゥス、 ハ長調の和音、微分音、自然ハーモニックス、自然ホルンの調律されていない音などを用いている。第2曲は、テレマンの「水上の音楽」の楽句のコラージュで、これをバロックo.が演奏してオーケストラが模倣し、そのいくつかは電子的に操作されて、バロックと電子音との奇妙な交錯が生じる。
NEOS-10727
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2006 Vol.4
 マウリシオ・カーゲル(1931-):
  合奏のための笑劇「ディヴェルティメント?」
 アルベルト・ポサダス(1967-):
  大合奏のための「歪像」
ラインベルト・デ・レーウ指揮
シェーンベルク・
 アンサンブル・
  アムステルダム
 録音:2006年10月、世界初演時ライヴ。
 カーゲルはブエノス・アイレスで生まれてドイツに移り、電子音楽や、劇や映画と結合した音楽を作曲している。「ディヴェルティメント」は変化に富む活発でにぎやかな作品で、演奏で普通は禁じられている行ためと演奏者間の対話が求められている。スペイン人ポサダスの「歪像」は、人物を歪めて描く絵画の技法を適用している。
NEOS-10801/02
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ルイジ・ノーノ(1924-90):作品集
 「冷たい怪物に気をつけろ」(1983)(M.カッチアーニのテキストによる2つのフルート、
   クラリネット、チューバ、ヴィオラ、チェロ、コントラバスと
    ライヴ・エレクトロニクスのための)
  [ノア・フレンケル、ズザーネ・オットー(A) ロベルト・ファブリチアーニ(Fl)
   エルネスト・モリナーリ(Cl) クラウス・ブルガー(Tu)
   スーザン・ナイト(Va) クリスティーネ・トイス(Vc)
   ウルリヒ・シュナイダー(Cb)]

 「死の間近な時 ポーランド日記第2番」
  (4人の女声、バス・フルート、チェロとライヴ・エレクトロニクスのための)
  [ハイケ・ハイルマン、ペトラ・ホフマン、アレクサンドラ・ルブチャンスキー(S)
   ズサーネ・オットー(A) ロベルト・ファブリチアーニ(Fl)
   クリスティーネ・トイス(Vc)
   アンドレ・リシャール指揮SWR実験スタジオ(ライヴ・エレクトロニクス)]
 録音:2007年1月、SWRハンス・ロスバウト・スタジオ、バーデンバーデン。
 いずれも1980年代に作曲されたアンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのための作品でノーノの代表作。SACDによりライヴ・エレクトロニクスの音質が飛躍的に向上、作品の意図をより明確に、よりリアルに伝える出来となっている。クラリネットのエルネスト・モリナーリ、フルートのロベルト・ファブリチアーニらノーノと縁の深かった名手たちによる演奏。
NEOS-10803
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
エルンスト・ヘルムート・フランマー(1949-):
 管弦楽作品集

 重なりあった干渉(1988-1990) (*)/
 沈黙させられた言葉!...拡大(1993-1994)(#)
W.F.セルゲ(Vc;*)
鈴木 優子(Perc;#)
ローター・ツァグロセク指揮(*)
オラフ・ヘンツォルト指揮(#)
SWRバーデン=バーデン・
 フライブルクso.(*/#)、
SWRエクスペリメンタル・
 スタジオ(Live Elec)(*)
 録音:1990年(*)/1995年(#)。世界初録音。
 フランマーはドイツ出身で当初、数学を学んだ後、音楽に転向、クラウス・フーバー、ファーニホーに師事した。チェロ協奏曲である(*)はチェロと管弦楽が終始、息もつかせぬスピードで文字通り「干渉」しあうアグレッシヴな作品。金属系打楽器の目の覚めるような響きとライヴ・エレクトロニクスのシュールな音響が一体となって鮮やかな音響流動体を作ってゆく。打楽器協奏曲(#)は日本の若きホープ鈴木優子のソロが聴きもの。
NEOS-10804
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
トーマス・フンメル(1962-):
 トラキラより〜失踪したオヴィッドの捜索

 (2003-2006; ハイパー・リアリスティック・
  レコーディング〜話し手とアンサンブルのための)
クリストフ・オギアマン
(ヴォイス・アーティスト)
ホルスト・シンフォニエッタ
 録音:2005年-2006年。
 フンメルは自然科学を学んだ後、音楽に転向、シュパーリンガーに作曲を師事。後にIRCAMでも研鑽を積む。終始劇的な展開は控えられ、高音主体の色彩、密度の変化だけで曲が構成されている。
NEOS-10805
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
モダーン・エイジの忘れ形見
 〜ヴィオラとチェロのための二重奏曲集

 オットー・ジーグル(1896-1978):
  デュオ・ソナタ(1945)
 レベッカ・クラーク(1886-1979):
  ララバイとグロテスク(1916)
 ヒンデミット(1895-1963):デュエット(1934)
 ギュンター・ラファエル(1903-1963):デュオ(1941)
 ルトスワフスキ(1913-1994):ブコリキ(1952/1962)
 ミヨー(1892-1974):ソナチネ(1959)
 ジークムント・シュール(1916-1974):
  2つの古風な舞曲(1941-42)
ユリア・
 レベッカ・アドラー(Va)
トーマス・ルーゲ(Vc)
 録音:2008年。
 ヴァイオリンとチェロのデュオならラヴェルに名曲がある。しかしヴィオラとチェロには・・・?ここにあった!しかも中音域(Va)と低音域(Vc)の組み合わせは意外に量感があり、それでいてもっさりした印象がなくて実はとても幅広い表現が可能。思えばヴィオラ奏者だったヒンデミットがこの分野に手をつけないわけがなかった。「モダーン・エイジの忘れ形見」の副題通り、19世紀末から20世紀初頭に生を受けた、前衛とは一線を画した作曲家たちのロマンの香り豊かな作品ばかり。ジーグルは1945年の作品ながらドヴォルザークかエルガーを思わせ、バルトークのルーマニア民族舞曲のようなルトスワフスキ作品、おしゃれなミヨー、ショスタコーヴィチばりの諧謔味が面白いシュール作品と1トラックごとに新しい発見のある一枚。演奏する二人はミュンヘン・フィルの首席として活躍している。
NEOS-10806
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヘルムート・ラッヘンマン(1935-):
 グラン・トルソ〜
  弦楽四重奏のための音楽(1971/76/88)/
 弦楽四重奏曲第3番「グリド」(2001)/
 弦楽四重奏曲第2番「精霊の踊り」(1989)
シュタードラーSQ
 録音:2007年7月、ベルリン。
 ラッヘンマンの弦楽四重奏曲集、アルディッティ四重奏団による同一曲目盤が KAIROS から出ているが、当盤はさらに世代が若いカルテットによる清新ともいえる演奏。作品自体緊張を強いるものだが、アルディッティのより緊迫した音楽作りと比べると、こちらは既にラッヘンマンを現代の古典とみなしたもので、余裕が感じられる。
NEOS-10807/08
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
アストル・ピアソラ(1921-1992):タンゴ・オペリータ「ブエノスアイレスのマリア」(1968)
 デルフィーヌ・ガルダン(マリア) シルヴィア・アバロス、
 グスタボ・ベイテルマン(語り) ロベルト・コルドヴァ(歌手)他
 ダヴィド・ヌニェス(Vn)指揮 ジャン=ポール・デッシー(芸術監督)
 アンサンブル・ムジーク・ヌーヴェル
 録音:2008年。ジャンルを超越した20世紀のクラシックとして、ついにピアソラが NEOS から登場。ピアソラ畢生の、この大作タンゴ・オペラ〔オペリータ〕は既に多くのディスクが存在するが、ヨーロッパの前衛音楽を数多く初演してきた作曲家、指揮者、チェリストのジャン=ポール・デッシー率いるアンサンブル・ムジーク・ヌーヴェルが現代音楽家としてのピアソラという視点からこれまでとは違った切れ味の鋭い演奏で作品に込められた深い人間への洞察、社会批評といったメッセージを強く打ち出す。
クラウス・フーバー(1924-):卑しめられ-束縛され-捨て去られ-軽蔑され・・・(1975/1978-83)
 マティアス・バーメルト指揮 ケネス・ジーン、ブルクハルト・レンペ、アルトゥーロ・タマヨ副指揮
 SWRバーデンバーデン・フライブルクso.、スコラ・カントゥルム・シュトゥットガルト、
 SWRシュトゥットガルト声楽アンサンブル アンネ・ヘーネン(Ms) テオフィル・マイアー(T/語り)
 ポウル・ヨーダー(B) テルツ少年cho.ソリスト
 録音:1983年10月、ドナウエッシンゲン音楽祭、世界初演時ライヴ。
 1975年より一時の中断時期を経て書かれたフーバー絶頂期の大作。ドイツ現代音楽集(RCA)に一部音源が紹介されたが全曲のCD化はこれが初めて。主任指揮者の他、協力する指揮者が3人、計4人の指揮者を必要とする複雑極まるスコアをバーメルト、タマヨらが奮闘。大管弦楽、独唱、合唱、テープが現代の孤独と疎外と混沌を音化する。突如として始まるデフォルメされた行進曲からマーラー、ベルクのはるかなエコーが聴き取れ、激烈なオーケストラの咆哮の隙間から時折り聴こえる合唱の透き通るようなハーモニーにこの作曲家の真摯な祈りの姿勢が感じられる。
ゲラルト・エッケルト(1960-):作品集
 ネリー・ザックスによる習作(2004/2008)/
 内部から〜造粒(2003)/ネンVII(2007)/
 垂直空間〜秋の雲(2002)/
 空間の響きII(1991/2000)/フィールド3(2005)/
 時間の定義の雲のように(1996/97)/
 繊維第1部(2006)
アンサンブル・レフレクションK
[ソプラノ、フルート、ハープ、
 アコーディオン、打楽器、
 ヴァイオリン、ヴィオラ、
 チェロ、コントラバス]
 録音:2008年。
 エッケルトはヴァルター・ツィマーマン、J.ディオン、N.A.フーバー、ファーニホウ、ハーヴィーらに作曲を師事した。極端な音高の跳躍、ディナーミクの激しいコントラスト、すばやく動き回る痙攣的なパッセージなど、ヨーロッパ前衛の中心的な様式を継承する一方、「ネンVII」では生楽器にテープ音響が加わり、山水画にも似た静かな空間が拡がる。フルートは尺八のむら息を模した音を奏でるし、彼の音楽はどうも禅のドイツ的解釈といえそうだ。楽音とノイズの境目を無効化し、あらゆる音色を素材とするところはラッヘンマンに近い。オリジナリティのある作曲家。
ヴォルフガング・
 フォン・シュヴァイニッツ
(1953-):
  ヴァイオリンとコントラバスのための
   純正律によるラーガ
    「プレインサウンド・グリッサンド・
      モデュレーション」Op.49 (2006-2007)
ヘルゲ・スラート(Vn)
フランク・ライネッケ(Cb)
 録音:2008年。
 シュヴァイニッツはハンブルク生まれでリゲティに作曲を師事。またスタンフォード・インテリジェンス・ラボラトリーにてコンピュータ音楽の研鑽を積んでおり、リゲティのミクロポリフォニー的なアプローチと科学的音響分析のスタンスが彼の作風を決定付けている。ヴァイオリンとダブル・ベースのハーモニクス、ノン・ヴィブラートを多用した終始静かな音の持続。平均率とは異なる調律法による豊かな倍音のたなびきが、あたかも中世の聖歌のように聴こえる。
NEOS-10813
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
アンデシュ・エリーアソン(1947-):作品集
 砂漠のポイント(1981)/オスタコリ(1987)/
 弦楽のための交響曲(2001)
アルコス室内o.
 録音:2008年。
 エリーアソンはスウェーデン出身。ジャズ・ミュージシャンとしての活動後、リゲティに作曲を師事した。このアルバムは弦楽オーケストラのための作品を集めたもので最初の2曲はシュニトケあたりを想起させる。世界初録音となる「弦楽のための交響曲」は前2作よりロマン的な香りが濃く、ベルク、バルトークのエコーを感じさせる悲しくも美しい作品。
NEOS-10814
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ホセ・マヌエル・ロペス=ロペス(1956-):作品集
 月の香り(2003)(*)/シエスタの技法(2005)/
 ア・テンポ(1998)/レア(1989)
アンヌ・メルシエ(Vn;*)
エステバン・アルゴーラ
(アコーディオン;#)
ダヴィド・アペラニス(Vc;+)
アンサンブル・オルケストラル・
 コンテンポラン(**)
ファビアン・パニセロ指揮
プルーラル・アンサンブル
 録音:2006年。
 ロペス=ロペスはマドリッド出身で、地元の大学で学んだ後 IRCAMで研鑽を積む。ノーノ、ブーレーズ、ドナトーニ、アルフテル、デ・パブロ、メシアンらから幅広く影響を受けつつ独自の語法を確立した。クラスター的な音の推移を音楽の推進力としながらもほのかに調性を感じさせる音響、鳥の声を思わせるモティーフの多用など詩的な香りを湛えた音楽。
ジョージ・クラム(1929-):黄道十二宮による増幅された
 ピアノのためのマクロコスモス
〔 I (1972) (*) / II (1973) (#) 〕
 マルクス・シュタンゲ(P)
 録音:2007年12月(*)、2008年2月(#)。クラムの代名詞ともいえる「マクロコスモス」全4集のうち、一人のピアニストで演奏される第1、2集を収録。ドビュッシー、メシアン、武満に通底する美を持ちながら通常奏法の他にプリペアド・ピアノ、内部奏法そしてピアニストは時に歌ったり叫んだり口笛を吹いたりと、独自の神秘的世界が展開する。既に多くのピアニストによって取り上げられている名作をドイツのベテラン、マルクス・シュタンゲが冴えたリアリゼーションで聴き手を惹きつける。スタンゲはアロイス・コンタルスキーに師事し20年に渡ってシュトゥットガルト・ピアノ・デュオのメンバーを勤め、現在は内藤祐紀子&マルクス・シュタンゲ・ピアノ・デュオ、アンサンブル・フォルミンクスのメンバーとして活動している。
NEOS-10816
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
スイス・チェンバー・ソロイスツ・エディション Vol.2
 ハッピー・バースデー、エリオット・カーター!
 エリオット・カーター(1908-):室内楽新作集

 モザイク〜室内アンサンブルのための(2004)(*)/
 作り話〜ヴィオラ・ソロのための(2007)/
 魅惑のプレリュード
  〜フルートとチェロのための(1988)/
 時間と時間
  〜ソプラノとアンサンブルのための(1998/99)/
 HBHH〜オーボエ・ソロのための(2007)/
 2つの断章〜弦楽四重奏のための(1994/1999)/
 オーボエ四重奏曲(2001)
スイス・チェンバー・ソロイスツ
[ハインツ・ホリガー
 (Ob/イングリッシュHr)
 ウルズラ・ホリガー(Hp)
 フェリックス・レングリ(Fl)
 フランソワ・ベンダ(Cl)
 ユルグ・デーラー(Vn/Va)
 シルヴィア・ノッパー(S)他]
 録音:2008年。
 2008年に100才を迎えたカーターの近作室内楽曲集。2008年にもボストン響から自らの生誕100歳記念オーケストラ曲を委嘱されており、衰えぬ創作力には目を見張らされる。本盤では巨匠ハインツ・ホリガーの最新録音が聴けるのもうれしい。(*)冒頭では微分音的なピッチがエスニックな味を醸し出していて面白い。作曲家は老いてますます自在の境地に達しているようだ。
NEOS-10817
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 6人の声とアンサンブルのための
  「ヴィジリア」(徹夜祷)(2006)
コールヴェルク・ルール
 (混声6重唱)
ルペルト・フーバー指揮
アンサンブル・モデルン
 録音:2009年4月、エッセン。
 ヴィジリアとは、献身的な見守りなどの目的のため夜を徹することを指すキリスト教の礼拝の儀式。リームはこれまでのエネルギッシュな作風から一転して静かな祈りの音楽という意外な方向へ向かい始めた。金管の陰鬱な導入に続き、闇の中にたなびく清冽な合唱の祈りのハーモニーは天上からの声かと思えるほど美しい。何箇所かアンサンブルによる緊張した音楽が登場するが、全体に静かで沈痛な趣きの祈りの音楽が続く。
第43回ダルムシュタット現代音楽祭 2006
 ロビン・ホフマン(1970-):7羽の黒い雷鳥(雄鳥)のための「魅惑」(2006)
 [ハンナ・ペーターマン、アンドレア・ナジ、クリストフ・ケレマンス、ケリー・ラナン、
  パトリック・クロスランド、ラウラ・カルミヒャエル、タルモ・ヨハネス(雷鳥[雄鳥]の声)

 ディーター・マック(1954-):17人の奏者のための「室内音楽 IV 」(2004)
 [アンゲリカ・ルツ(S) ブラッド・ルブマン指揮アンサンブル・モデルン]
 マルク・アンドレ(1964-):
  バス・クラリネット、チェロとピアノのための三重奏曲「 …ALS… 」(2001)
 [ラファエル・カルデンテイ・クレゴ(Cl) ヴォルフガング・ツァマスティル(Vc)
  ウエリ・ウィゲット(P) 国際アンサンブル・モデルン・アカデミー]
 クラウス・フーバー(1924-):
  チェロ独奏、バリトン独奏、アルト、アコーディオンと打楽器のための室内協奏曲
   「〜彼の馬から抜け出た魂と進み続ける絹のような足〜
     [ …à l’âme de descendre de sa monture
          et aller sur ses pieds de soie…] 」(2004)
 [ロハン・デ・サラム(Vc) マックス・エンゲル(バリトン[弦楽器])
  カタリナ・リクス(A) テオドロ・アンゼリオッティ(アコーディオン)
  中村 功(Perc) ルーカス・ヴィス指揮]
 近年、日本の若手作曲家が最もよく訪れ、学んでいるダルムシュタット夏期現代音楽講習会における2006年の演奏会ライヴからセレクト。常に指導的立場にあるクラウス・フーバーと次の世代に属する若手作曲家の作品が取り上げられている。ホフマンの「魅惑」はヤスリをこするような、シューシュー、シャカシャカした摩擦音だけで構成されたへんてこな曲。フーバー作品はパレスチナの詩人マフムード・ダーウィッシュ(1942-2008.8.9)による詩の断章をテキストとしたもので、ヨーロッパで活躍する日本の打楽器奏者、中村が参加。なおこの作品で、代理店翻訳者はバリトンを声楽の Baritone と思いこんでしまっているが、実際には弦楽器の Baryton (ハイドンがよくこの楽器ための作品を作った)である。
NEOS-10822/23
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ペーター・ルジツカ(1948-):弦楽四重奏曲全集
 [第1番「内省」(1969/1970)/第2番「...断章...」(1970)/
  第3番「消失の彼方へ…」(1992)/
  第4番「…見失っていた」(1996)(#)/第5番「秋」(2004)/
  第6番「記憶と忘却」(2008)(+)]/

 パウル・ツェランの12の詩〜
  「時の屋敷」より(朗読のみ;*/**)/
 「音の影」(1991)(**)
ミンゲSQ
ペーター・ルジツカ(語り;*)
クリストフ・バンツァー(語り;#)
モイカ・エルトマン(S;+)
 録音:2008年。(**)は第2番と第3番の間に収録されている模様。
 指揮者として、またザルツブルク音楽祭の音楽監督としても多方面に活躍するルジツカの初期から近年の作品までを収めた弦楽四重奏曲集。リゲティなどの音群的発想、コラージュ、特殊奏法主体の音響など、ヨーロッパ前衛音楽の王道を地で行くような作風だが、そんな中にもそこはかとなく漂う無常観、調性的な響きに硬質のロマンティシズムが感じられる。ひとつのトラックではまるまるパウル・ツェランの詩がルジツカの朗読だけで収録されたりと、こだわりのアルバム作り。「秋」は前衛的な響きを使いながら晩秋のヨーロッパをイメージさせる見事な音の細密画を聴かせる。最新作「記憶と忘却」ではソプラノ独唱も入り、ますますドラマティックでエネルギッシュな音楽になっている。
NEOS-10824
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2007 Vol.1
 ハンス・ツェンダー(1936-):ロゴス=断片(2007)(*)/
 クラウス・フーバー(1924-):
  平和とは何か? 心の理由に向かって(2007)(#)
  (テキスト:ジャック・デリダ、オクタビオ・パス、
        シモーヌ・ヴェイユ、クラウス・フーバー)
シルヴァン・カンブルラン指揮(*)
SWRバーデン=バーデン・
 フライブルクso.(*)
ノーラ・ティーレ
(アラブの打楽器;#)
ルペルト・フーバー指揮(#)
SWRヴォーカル・アンサンブル・
 シュトゥットガルト(#)
 録音:2007年、ライヴ
 前衛音楽界を牽引してきた2大巨匠の最新作オーケストラ大作を聴く。ツェンダー作品は合唱の呻くような旋律の帯に時折オーケストラが音のくさびをザクザクと打ち込む表現主義的大作。指導者としてもカリスマ的な存在であるフーバーは2009年85歳になるが、そんなことを全く感じさせないパワフルな作品に驚愕する。テキストにフーバー本人の詩も使った、彼の集大成的な作品。
NEOS-10825
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2007 Vol.2
 ハンス・トマッラ(1975-):叫び (2007)
 ジェイムズ・ゾーンダーズ(1972-):
  #211007 (2006/07)
 アルヌルフ・ヘルマン(1968-):怪物の歌(2007) (#)
 フランソワ・サーハン(1972-):
  インスタレーション、トークス・タイム・
   ナッシング 歌の名前(2007)(*)
ニーナ・ヤンセン(Cl;#)
ヨハネス・カリツケ指揮(*以外)
アンサンブル・モデルン(*以外)
F.ローデス(Perc/語り;*)
アンサンブル・ルシェルシュ(*)
エクスペリメンタル・
 スタジオSWR
(ライヴ・エレクトロニクス)(*)
 録音:2007年、ライヴ。
 トマッラはオペラを初め多くの作品を発表しており、現在はアメリカでも教鞭を取っている若手。『ゾーンダーズはエクスペリメンタル・スタジオSWRで研鑽を積んだことがアコースティック楽器の作品でも大きく反映している。ヘルマンとサーハンもパリのIRCAMでやはり電子音響の研鑽を積んだことが作品に反映している。』とのこと。
NEOS-10826
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2007 Vol.3
 マーク・アンドレ(1964-):...の上... III (2005/07)
 ヘルムート・エーリング(1961-):
  ゴヤ I〜私は見た(2006)(*)
 エンノ・ポッペ(1969-):楔状(2005/06)
シルヴァン・カンブルラン指揮
ルペルト・フーバー指揮(*)
SWRバーデン=バーデン・
 フライブルクso.
 録音:2007年、ライヴ
 アンドレもIRCAMで研鑽を積んだ作曲家。打楽器と弦の激しい連打音、フルートのむら息に似た奏法に、作曲家本人は意識していないだろうが、どこか民族音楽を思わせるテイストが感じられる。エーリングはギタリストとしても活躍。前衛作曲家だが、ストラヴィンスキー、ヴァレーズ、アイスラーを思わせる部分がある。ダイナミックな曲で音響的にも楽しませる。ポッペは新しい世代のなかでは最もよく知られた存在で、クラスターの響きの堆積のなかからクラシカルな響きが浮かび上がってくる。アイデアもさることながら大変熟達した管弦楽法に圧倒される。
ジョナサン・ハーヴィー(1939-):
 ピアノ・ソロ、フルートとピアノのための作品集

 ナタラージャ(1983)(*)/雷の前の走行(2004)(*)/
 メシアンの墓(1994)〜ピアノとDATのための/
 詩(2000)/ff(1995)/
 ケージ、ショパンへのオマージュ
  (そしてリゲティもまたいる)(1998)
    〜ピアノとDATのための/
 俳句(1997)/イェーツ読後の4つの印象(1969)
フロリアン・ヘルシャー(P)
ピルミン・グレール(Fl;*)
 録音:2007年、2008年。
 2009年還暦を迎えたイギリスの前衛作曲家ハーヴィーのピアノ・ソロ、フルートとピアノのための作品を集めた。「ナタラージャ」はフルートとピアノの高音が火花を散らすスリリングな小品。「メシアンの墓」はピアノとディジタル・オーディオ・テープによる作品で微分音が使われ、その音響は時にメシアンが愛したガムランを思わせる。
ヨーク・ヘラー(1944-):
 トピック(1967)〜ベルント・アロイス・ツィンマーマンに捧げる[ミヒャエル・ギーレン指揮WDRケルン放送so.]/
 地平線(1971/1972)(4チャンネル電子音楽)〜ウルズラ&クノ・テオバルトに捧げる
  [ペーテル・エートヴェシュ、フォルカー・ミュラー、WDRケルン放送電子音楽スタジオ]/
 13楽器、打楽器と4チャンネル・テープのための「神話」(1979/1980,1995)〜ハンス・ツェンダーに捧げる(*)/
 大管弦楽とヴォーカル、4チャンネル電子音響のための「黒い半島」(1982)〜シュトックハウゼンに捧げる(#)
  [ゾルト・ナジ指揮ムジーク・ファブリーク(*) ディエゴ・マッソン指揮WDRケルン放送so.&cho.(#)
   フォルカー・ミュラー&WDRケルン放送電子音楽スタジオ(*/#)]
 録音:1970年-1997年。
 ヨーク・ヘラーは作曲をB.A.ツィンマーマンに師事しダルムシュタットでブーレーズの講義を受け、後にケルン放送電子音楽スタジオ、IRCAMで電子音楽の研鑽を積むなど、ヨーロッパ前衛音楽の歩みを忠実に歩んできたと言ってよい。
 ミヒャエル・ギーレンが熱演する初期の大作「トピック」は起承転結のわかりやすい流れのなかで音響エネルギーが縦横無尽に炸裂して聴き応え充分。「地平線」は電子音楽の代表作で、この後、アコースティック楽器と電子音楽によるライヴ・エレクトロニクスへと関心がシフトする。「黒い半島」はその総決算的傑作でオーケストラ、電子音響と遥かにこだまする女声合唱が神秘的な空間を作り出す。
ミヒャエル・バスティアン・ヴァイス(1974-):
 ピアノのための「ミサルム・プロ・
  デフンクティス(レクイエム)断章」Op.7 (2000)/
 ニ段鍵盤チェンバロのための
  闇のなかのソナタ(交響曲第2番)Op.13 (2006)
アンドレアス・スコウラス
 (P/Cemb)
 録音:2005年/2007年。
 ヴァイスはミュンヘンで音楽学を学んだ後、作曲と哲学をハンス・ユルゲンスに師事した。時にウェーベルン、フェルドマンを思わせる点描的で静謐な音空間が特徴で「闇のなかのソナタ」は時に微分音まで使われ、現代チェンバロの名曲に数えられるだろう。スコウラスは古楽から現代までレパートリーをもち、ロッケンハウス音楽祭でクレーメルとも共演している。
アンデシュ・エリーアソン(1947-2013):鍵盤楽器のための作品全集
 ベルシオーネ(1973) /デザイン(1984) /デザイン2 (1987) /
 デザイン3「回転木馬」(2005) /地面(1983) /デザイン (1982) (#)
  アンドレアス・スコウラス(P;#以外/Cemb;#)
 録音:2007年、2009年。 エリーアソンは現代スウェーデンの作曲家。スウェーデン王立音楽院で学んだ後、数々の賞を受賞、フィンランドに招かれシベリウス音楽院でも教鞭を執った。クリスチャン・リンドベリのために書かれたトロンボーン協奏曲や交響曲など大規模な管弦楽作品やオペラを作曲、カレヴィ・アホらと並ぶスカンジナヴィアを代表する作曲家の一人と認識されている。このアルバムは彼の鍵盤のための全ての作品を集めた。自由な無調、モードを基本とした内省的、思索的な作品から生命力あふれるトッカータ的な作品まで多彩。北欧のほの暗い空、冬の木々の凍裂の音を思わせるメランコリックなリリシズムが横溢。
イリーナ・エメリアンツェワ(1973-):ピアノ作品集
 前奏曲(1991) /ロシア風フーガ(1991-1992/2009) /子供のための小品集(1991-1992) /
 循環するファンタジー(1996) /7つの小品(1998-1999) /ヴィーパースドルファー前奏曲(2003) /
 影・光(2003) /断章(2003) /オズボーン・レクイエム(2007)

  イリーナ・エメリアンツェワ(P)
 録音:2009年。ロスラヴェッツ作品集(NEOS-10902)に続くエメリアンツェワのアルバム。エメリアンツェワはロシア出身。サンクトペテルブルクのR.コルサコフ音楽院でセルゲイ・スロムニスキに師事、後にドイツでハンスペーター・キーブルツの指導を受けている。このCDでは彼女の20代から30代にかけての作品が収められているが、作風はバルトーク、ドビュッシーがやや進化したような曲から無調音楽まで多種多様。自らピアノを弾き生気あふれる音楽を聴かせる。
ニコライ・A.ロスラヴェッツ(1881-1944):
 ピアノ作品集

 3つのコンポジション(1914)/
 3つのエチュード(1914)/ソナタ第1番(1914)/
 前奏曲(1915)/2つのコンポジション(1915)/
 ソナタ第2番(1916)/2つの詩曲(1920)/
 5つの前奏曲(1919-1922)/ソナタ第5番(1923)
イリーナ・
 エメリアンツェワ(P)
 録音:2008年。
 ロスラヴェッツは初期はショパンの影響を受けたロマンティックな作風からやがてスクリャービンを思わせる濃厚な様式を経た後、独自の無調様式へと至る。ここ収められた作品は30歳代の作品で、既に無調様式になっている。きらきらとゆらめく色彩の移ろいにスクリャービン、印象派、シマノフスキらの影響が感じられる。エメリアンツェワはH.キーブルツに作曲を師事し自らも作曲を行う現代音楽演奏のスペシャリスト。
NEOS-10904/05
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ガリーナ・ウストヴォルスカヤ(1919-2006):ピアノ作品全集
 12の前奏曲/ピアノ・ソナタ[第1番−第6番]
ザビーネ・リープナー(P)
 録音:2008年。
 死後3年たつウストヴォルスカヤの音楽はこのところとみに関心が集まりつつある。このディスクは彼女のピアノ作品を全て集めてあり、彼女の作風の変遷、音楽思想を知る上でも貴重。彼女の師匠ショスタコーヴィチに「君が私の影響を受けているのでなく、私が君の影響を受けているのだ」と言わせるように独自の無調的様式を持っている。
NEOS-10906
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
アルトゥーロ・フエンテス(1975-):
 ヴァイオリンとバス・クラリネットのための「モジュラー」(2009) /
 テナー・サックス、ピアノと打楽器のための「先行詞 X 」(2006) /
 ヴァイオリンとライヴ・エレクトロニクスのための「光」(2009) /
 アンサンブルのための「パッサテンポ」(2009) /
 テナー・サックスとライヴ・エレクトロニクスのための「プレクサス」(2009) /
 フルート、バス・クラリネットとピアノのための「フォルマンテス」(2008)
  アンサンブル・アンテグラル
 録音:2009年。フエンテスは地元メキシコ・シティで学んだ後、パリのIRCAMで電子音響を学んだ。その後ミラノでドナトーニに師事しポルトガルのムジカ・ヴィヴァ現代音楽祭の第8回エレクトロ・アコースティック作曲コンクールに優勝。以後多くの賞を受賞。作品はアコースティックな楽器のための作品でも電子音響の影響が感じられ、劇的要素を排除した禁欲的な音響の中に独自のユーモアが感じられる。
NEOS-10907/08
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
オリヴィエ・メシアン(1908-1992):ピアノ独奏曲全集 I
 「幼な子イエスに注がれる20の眼差し」(1944)
マルクス・ベルハイム(P)
 録音:2008年8月。
 メシアンのピアノ曲といったら、この「〜20の眼差し」にとどめをさす。それほどの傑作でありトゥランガリラ交響曲と並ぶメシアンの代表作。特殊な旋法、リズム理論など彼の思想、理論の全てが集約されており、この曲が書かれた1940年代にメシアンの思想、技法は既に完成、完結していたことがわかる。大作のため取り上げられることは多くなかったが、久々の新録音が登場。ベルハイムは2000年の国際メシアン・コンクール優勝後、現代音楽のスペシャリストとして活動しており、そのレパートリーはリーム、クルターク、ライヒと多岐に渡る。ベルハイムはこれまで現代作品として弾かれてきたこの作品をドビュッシー、スクリャービンの流れのひとつと位置づけ、クラシックとして弾いている。目の覚めるような高音域の輝く光彩から大地が鳴り響くかに思われる低音まで表現のパレットが大きく、さながらピアノによる交響楽。
イェルク・ヴィトマン(1973-):ピアノ作品集
 悪の華〜ボードレールによるピアノ・ソナタ(1996/1997) /フラグメント・インC(2001) /
 トッカータ(2002) /光の習作 III (2002) /11のフモレスケ(2007)
  ヤン・フィリップ・シュルツェ(P)
 録音:2009年12月、バイエルン放送スタジオ2。ヴィトマンはミュンヘン出身で、ヘンツェ、H.ゲッベルス、W.リームらに師事し、今日では中堅世代の中心的存在と目されている作曲家。作品は現代音楽の専門家からエッシェンバッハ、ケント・ナガノらメジャーな音楽家まで広く支持されている。ここに収められたピアノ作品はヴェーベルンを思わせる点描的なものから、内部奏法、奏者のアクション(パフォーマンス)まで含む、およそ考えられる現代音楽の諸技法が使われている。その一方、「11のユモレスク」は森の情景や夢の中の歌など、文学的なタイトルがつけられた幻想的な11の小品からなっており、シューマンの性格的小品の一部を引用、デフォルメしたシューマンへのオマージュといえる作品。
サクソフォン協奏曲集
 グラズノフ(1865-1936):アルト・サクソフォンと弦楽のための協奏曲(1934) (*)
  (カデンツァ:ジョン=エドワード・ケリー;*)
 ニコラ・ルファヌ(1947-):アルト・サクソフォンと弦楽のための協奏曲(1989) (#)
 クシシトフ・マイヤー(1943-):アルト・サクソフォンと弦楽のための協奏曲(1993) (#)
  ジョン=エドワード・ケリー(アルトSax)指揮(*) ミヒャ・ハメル指揮(#) オランダ放送室内po.
 録音:2000年、ヒルヴェルスム。グラズノフのサックス協奏曲とその編成に合わせて委嘱された現代曲から構成された一枚。サックスのケリーは1958年米国サンフランシスコ出身で、1982年にドイツに移住以来、南北アメリカ、ヨーロッパを始め世界的に演奏活動を行っている。またロンドンのキングス・カレッジ、ストックホルム音楽院、ヘルシンキのシベリウス・アカデミーなどでレクチャーを数多く行っており、日本にもファンを持つ。グラズノフ以外の2作品は表現主義的な厳しい音楽でベルク、ヴェーベルン、チェルハなどに近い雰囲気を持っている。
迷路〜ダニエーレ・ロンバルディ(1946-):フルートのための作品集
 庭師の迷宮(2003) 〜ハイパー・バス・フルートのための/
 MIZ 迷路(1994) 〜フルート、ピッコロ、バス・フルートとライヴ・エレクトロニクスのための(*)/
 息(1984) 〜フルートとピッコロのための/ロンデルス(1995) 〜フルートのための/
 翼が大気をもたらす(1993) 〜フルートのための/グラフォディア1(1972) 〜アルト・フルートのための/
 グラフォディア2(1974) 〜フルートのための/グラフォディア3(1975) 〜ピッコロのための/
 渦巻き(1973) 〜フルート、バス・フルート、ピッコロのための

  ロベルト・ファブリチアーニ(Fl/ピッコロ/アルトFl/バスFl/ハイパー・バスFl)
  ダミアーノ・メアッチ(ライヴ・エレクトロニクス;*)
 録音:2008年6月、アレッツォ、イタリア。ダニエーレ・ロンバルディはイタリアの作曲家、ピアニストで演奏家としてはイタリア未来派やロシア・アヴァンギャルドの作品の紹介に努めた。作曲家としての代表作は数十台のピアノを使用して、そのモアレ効果を意図した交響曲第2番があり、発想の斬新さ、奇矯さはイタリア未来派譲りともいえる。ここに収められた作品はいずれも様々なフルートを駆使したもので、ハイパー・バス・フルートの超低音と独自の倍音を利用した図形楽譜の「庭師の迷宮」、またライヴ・エレクトロニクスを導入した「MIZ迷路」はフルートを使ってほとんどコンピュータ電子音楽といってもよいほどの多彩な音響を実現、その色彩の変容だけ曲が構成されている。名人ファブリチアーニの多重録音が楽しめる。
NEOS-10912
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価格帯:B
ジョルジュ・アペルギス(1945-):ピアノ作品集
 猛烈なスピード(完全版、1997)/基本的な秘密(1998)/
 印刷音楽(2001)/若いピアニストのための小品(2004)/
 「シマタ」〜プリペアード・ピアノのための(1969)
ニコラス・ホッジズ(P)
 録音:2008年。
 ギリシャ生まれで現在はパリを拠点に活動するアペルギスの初期から近作のピアノ曲。彼は前衛劇団の座付き作曲家として活動を始め、以来一貫して前衛的な姿勢を崩さない作曲家として知られている。
 「猛烈なスピード」では激しい音塊がフォルテで矢継ぎ早に叩きつけられる攻撃的な曲。「基本的な秘密」では一転、寡黙な持続、「印刷音楽」ではサティ風の協和音が不規則なリズムで飛び跳ねる。一見ランダムに思えるリズム構造も、実は綿密に計算されているという、恐るべきインテリジェンスをもった作曲家。
エルンスト・ヘルムート・フランマー(1949-):
 12部からなるオルガン連作「スーパーヴェルソ」(1985-92)
  〔創世記/トリオ/そして感嘆/シンフォニー I (ハルベルク・スタディ I )/
   ハルベルク・スタディ II /ハルベルク・スタディ III /小オルガンのためのスーパーヴェルゾ/
   夜中に/色彩音楽/トッカータ/ボツェット/シンフォニー II (黙示録/終曲)〕

 クリストフ・マリア・モースマン(Org)
 録音・使用楽器:2000年8月、第14大聖堂、リーガー・オルガン。エルンスト・ヘルムート・フロンマーはドイツの作曲家。当初、数学、哲学、歴史、音楽学を学び、後に作曲をクラウス・フーバー、ファーニホウらに師事した。この作品はファーニホウ譲りの複雑なテクスチュアに加え意味深なタイトルから、いかにも理屈好きのドイツ人らしい音の哲学書といった趣きの大作。リゲティを思わせる嵐のようなクラスター、オルガンの様々な音色の試みに加え、意外にも背景にはJ.S.バッハのオーラが感じられ聴き応え充分。
カレヴィ・アホ(1949-):ピアノ作品集
 ソナタ/ソロ II /ヴァイオリンとピアノのための Halla (*) /ソナチネ(1993) /3つの小さなピアノ小品/
 子供のための2つのやさしいピアノ小品/19の前奏曲集(1965-68) より Nos.1-2, 5, 9-11, 14, 16-19

 アンドレアス・スコウラス(P) アナ・カランダリシヴィリ(Vn;*)
 録音:2009年4月16日-17日。(*)は世界初録音。フィンランドを代表する現代音楽作曲家カレヴィ・アホのピアノ作品集。若き日に作曲した19の前奏曲集はまだ調性があり、聴きやすいメロディに溢れている。
NEOS-10916
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価格帯:B
パウル・ベン=ハイム(1897-1984):
 「カバラット・シャバット」金曜の夕べの儀式〜
  カントル、ソプラノ、合唱と8楽器のための(1966)(*)/
 頭をあげよ〜ソプラノと8楽器のための(1961)(#)
  [C.ミードル(Br;*) V.コンドルッチ(S;*/#)
   ダニエル・グロスマン指揮ミュンヘン・ヤコプスプラッツo.&cho.(*/#)]
 ト調のソナタ〜ヴァイオリン独奏のための(1951)[ズヴィ・ツァイトリン(Vn)](+)/
 3つの無言歌〜ヴィオラとピアノのための(1952)(**)
  [ユリア・レベッカ・アドラー(Va) アクセル・グレンメルシュプラッハー(P)]
 録音:2009年(*/#/**)、1972年(+)。
 ドイツ・ミュンヘンに生まれ、後にイスラエルに移住、ユダヤを題材にした管弦楽曲、室内楽を多数作曲した。後期ロマン派と中東的な音楽を折衷した極めてエキゾチックな作風だが、ここで単純にエキゾチックという言葉でひとくくりには出来ないだろう。いずれも宗教的題材に依っており、敬虔な音楽。カバラット・シャバットはユダヤ教の儀式を音楽化したもので、平明で美しい旋律に溢れている。
NEOS-10918
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価格帯:B
アルベルト・ヒナステラ(1916-1983):
 ポポル・ヴー〜マヤの世界創造(1975-83)/
 魔術的アメリカに寄せるカンタータ(1960)(*)〜
  ドラマティック・ソプラノと
   打楽器オーケストラのための
ステファン・アスバリー指揮
ケルン放送so.
ライアンヌ・デュプワ(S;*)
ブガロ=ウィリアムズ・
 ピアノ・デュオ(*)
アンサンブルS(*)
ケルン音楽大学
 打楽器アンサンブル(*)
 録音:2007年。
 ヒナステラといえば「エスタンシア」で知られるラテンのローカルな作曲家という印象しかないとしたらとんでもない勘違い。確かに彼は民族的な素材でわかり易い作品の作曲した時期もあったが、実は12音技法や微分音を使う前衛でもあった。このディスクは実際とんでもない内容。「ポポル・ヴー」は1975年から作曲されたものの完成にはいたらなかった。完成していた7つの楽章を1989年にスラットキンが初演し、録音も行った(RCA,廃盤)。このヒナステラ作曲家人生の総決算的作品はトーン・クラスター、音群的書法、各種特殊奏法が取り入れられマヤ民族の宇宙の創造と発展が描き尽くされる。その音楽はストラヴィンスキー、ヴァレーズ、伊福部昭、松村禎三を思わせ、その激しいエネルギーのほとばしりは岡本太郎の「芸術は爆発だ」その物。絶叫するブラス・セクション、炸裂するパーカッション!この美しくも狂気に満ちた世界はとても言葉では表せない。もちろんラテン情緒もたっぷりでクイーカの「♪ウ〜ホウ〜ホ」という悩ましげな呻きやポコパカ、ポコパカと楽しげな踊りのリズムも満載。「魔術的アメリカに寄せるカンタータ」もラテンのリズムが大活躍するヴァレーズを思わせる傑作。2012年はマヤ暦で世界が終わる年。それを踏まえた上で「マヤの世界創造」を聴くのもまたよろしい。
NEOS-10919
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価格帯:B
ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):アンサンブルのための作品集
 ああ、たとえ私が叫ぼうとも誰が聞いてくれよう(1999)〜打楽器とアンサンブルのための/
 ...自由な欲求から...接続...(1994-96)〜
  バス・フルート、バス・クラリネット、2つの打楽器群のための/
 ...そして...(2008)〜アンサンブルとエレクトロニクスのための
 エンノ・ポッペ指揮コレギウム・ノヴム・チューリヒ マーティン・ロレンツ(Perc)
 SWRエクスペリメンタル・スタジオ(エレクトロニクス)
 録音:2008年。
 ハースはウィーン大学でチェルハに師事。ダルムシュタットでは教鞭も取っている。「ああ、たとえ私が叫ぼうとも、・・・」は打楽器の周期的リズムにアンサンブルの息の長い響きの帯がかぶさってくる静かでセレモニアルな作品。ヴァイオリンの笙を思わせる響きが美しい。「...自由な欲求から...接続...」は音の運動と停止の間に複数の旋律の種子が生まれたかと思えば消えるという繰り返しに闇の中の魂の叫びが聴き取れる。「...そして...」は音色と質感の変化だけで曲が構成され移り行くダイナミックな音の推移が森羅万象を思わせる。
無伴奏ヴィオラ作品集
 ジョルジュ・アペルギス(1945-):180度の顔
 サルバトーレ・シャリーノ(1947-):夜の果て
 ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970):
  無伴奏ヴィオラ・ソナタ
 サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-):
  3つの華やかな夜想曲
 ジェラール・グリゼー(1946-1998):プロローグ
アナ・シュピーナ(Va)
 録音:2007年-2008年、ベルン。
 アナ・シュピーナは1971年スイス生まれ。スイスの現代音楽アンサンブル、ヌーヴェル・アンサンブル・コンタンポランを始めとする複数のグループに所属し、これまで多くの現代作品を初演&紹介してきた。ツィンマーマンの劇的な緊張あふれるソナタ、静謐な美しさを持ったシャリーノの3つの華やかな夜想曲、ヴィオラひとつで色彩豊かな世界を繰り広げるスペクトル楽派のグリゼーのプロローグが聴き物。
フリードリヒ・チェルハ(1926-):クラリネットを伴う室内楽作品集
 クラリネット、チェロ、ピアノのための5つの小品(2000) (*) /
 8つのバガテル(2009) (#) /クラリネット五重奏曲(2004) (+)
  アルクス・アンサンブル・ウィーン(*) アンドレアス・シャブラス(Cl;#/+)
  ヤンナ・ポリツォイデス(P;#) フーゴー・ヴォルフ四重奏団(+)
 録音:2011年5月。全曲世界初録音。2000年以降に書かれたチェルハのクラリネットをメインとする作品を集成。クラリネットのアンドレアス・シャブラスはウィーン国立音楽大学、グラーツ国立音楽大学に学び、現在バイエルン国立o.の副ソリストを務め、クラシックのみならず20、21世紀の作品の演奏に力を入れている。彼はチェルハのクラリネット協奏曲の世界初演を行い、チェルハから多大な信頼を寄せられている。作品はいずれもベルクを始めとする新ウィーン楽派への深い共感と影響に基づくドラマティックで手堅い手法で書かれている。
ミナス・ボルボウダキス(1974-):
 フォトニック・コンストラクションI(2006)[カスパー・デ・ロー指揮アンサンブル・モデルン]/
 メタ=サウンドスケープス[ROAIIV](2008)
  [ヴェルナー・ハイダー指揮アルス・ノヴァ・アンサンブル・ニュルンベルク]/
 テトラクティス(2006)〜弦楽四重奏のための[アンサンブル・スペクトラル団員]/
 クラーマタ(2001/02)[M.ボルボウダキス指揮アンサンブル・スペクトラル]/
 アルケゴノン(2002/06)〜打楽器と大管弦楽のための
  [ペーター・サードロ(Perc) ティート・チェッケリーニ指揮RAI国立so.]
 録音:2006年-2008年。
 ボルボウダキスはクレタ島出身の若手作曲家。W.ヒラー、P.M.ハメルに師事、またリーム、クラム、ベリオらの指導も受けている。伝統的なアコースティックの楽器から驚くほど新鮮な響きを作る。打楽器と大管弦楽のためのアルケゴノンは打楽器の挑発的な乱打がオーケストラと火花を散らす大作。クセナキス以来のギリシャの新星。
イェルク・ヴィトマン(1973-):
 アンサンブルのための10の小品(2002)(*)/
 ソプラノ、ヴァイオリン、クラリネットとピアノのための
  「枯れた菩提樹による7つのリフレイン」(1997)(#)/
 クラリネット、ホルン、ファゴット、2つのヴァイオリン、
  ヴィオラ、チェロとコントラバスのための八重奏曲(2004)
コレギウム・ノヴム・チューリヒ
イェルク・ヴィトマン指揮(*)
オリガ・パシチュニク(S;#)
 録音:2009年8月、チューリヒ。
 クラリネット奏者としても活躍している作曲家イェルク・ヴィトマンはミュンヘン生まれ、ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ、ヴォルフガング・リーム、ハイナー・ゲッベルスらに作曲を師事。管弦楽曲はドホナーニ、エッシェンバッハ、ケント・ナガノら名だたる指揮者が取り上げている。
 (*)は特殊奏法によるコンピュータ音楽顔負けの奇妙な音響の細密画、ディアナ・ケンプの詩による(#)は選びに選ばれた少数の音が針金で引っかいたような繊細にして緊張した空間を作り上げる。最新作「八重奏曲」はベートーヴェン、シューベルト風の音楽が次第にデフォルメされて最後は特殊奏法とクラシックな様式がぐしゃぐしゃに混じりあい、シュニトケ的なカオスとなる。
たぶん〜ヨゼフ・アントン・リードル(1927 or 1929-):作品集
 bschat,terschied (2006/2007)
  (ピアノ、打楽器、手拍子、足踏み、話し声、ピッコロのための)/
 ガラスの再生/第2稿(1974-1977)(アンサンブルのための)/
 「たぶん/デュオ」(1963/68/70/2008)(話し声、呼吸音、水の音、ホイッスル、
   口元の音、ライヴ・エレクトロニクスのための)/
 流出・トレース・沈殿物・残響(2001-2003)(ピアノのための)/
 ギター、古代シンバル、太鼓と語りのための小品(1960/1962)/
 5つの助言におけるインヴェンション(2004)(2つのマリンバのための)/
 euzeuläsäkut (2006/07)(ピッコロ、ピアノ、手拍子、足踏みのための)/
 Lautgedichtfolge h) (2006-2007)(2人の話し手のための)/
 ガラスの再生 第1稿(アンサンブルのための)(1974-1977)
  J.P.シュルツェ(P) S.ブルム(Perc) M.レンツ(話し手)
  H.リルメイヤー(G) 後藤えりな、T.ハシュトライター(マリンバ)
  ヨゼフ・アントン・リードル指揮アンサンブル
 録音:2004年-2009年。
 久々の「いっちゃっている」作曲家の登場。「たぶん/デュオ」は話し声、呼吸音、水の音etc...要は伝統的な意味での音楽とは無縁のあらゆる音と、人声を電気的に加工したりしなかったりで構成したミュージック・コンクレート的な作品で、「おえ〜」という声がした直後に水がびちゃびちゃする音がして、どう考えても飲み会の後の醜態の音にしか聴こえなかったり、うがいをする音がしたりと破茶滅茶。かと思えば「ガラスの再生」はガラス系、金属系の打楽器のサウンド・オブジェ的作品で、そのシュールで涼しげな音響が心地よい。何故かタイトルの最後のみ閉じ括弧がある「 Lautgedichtfolge h) 」は、音楽というよりむしろ前衛演劇作品でドイツ語の狂気に満ちた二人の男の会話(ののしり合い?)が続く。
 リードルは1927年か1929年(生年が定かでない)ミュンヘンに生まれ、音楽をカール・オルフとヘルマン・シェルヘンに学んだ。その後ジーメンスの電子音楽スタジオで研鑽を積む。こうした経歴が彼の音楽をほかの誰とも譬えられない作風を生み出したのだろう。タイトルの一部にアンダー・ラインが引いてあったり、翻訳不能な造語だったりと、とにかく怪しい。
NEOS-10926
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(5 HYBRYD_SACD++1CD)
5枚価格
価格帯:B
ムジカ・ヴィヴァ・フェスティヴァル2008
 シュトックハウゼン(1928-2007):ミクストゥール2003(2003)(*)
 K.A.ハルトマン(1905-1963):交響曲「ルーヴル」(1937/38)(#)
 アリベルト・ライマン(1936-):カントゥス(2006)(+)
 イェルク・ヴィトマン(1973-):アルモニカ(2006)(**)
 マティアス・ピンチャー(1971-):エロディアーデ断章(1999)(##)
 クセナキス(1922-2001):アンティクトン(1971)(++)
 ジェイムズ・ディロン(1950-):定期便 [La Navette] (2001)(***)
 ベアト・フラー(1954-):ピアノ協奏曲(2007)(###)
 シェルシ(1905-1988):ウアクスクトゥム(+++)
 ハヤ・チェルノヴィン(1957-):巡礼(2006/07)(****)
 カイヤ・サーリアホ(1952-):風の夜想曲(2006)(####)
 リザ・リム(1966-):黄土色の糸(2007)(++++)
 レベッカ・ソーンダーズ(1967-):青と灰色(2006)(*****)
 アドリアーナ・ヘルスキー(1953-):カウントダウン(2007)(#####)
 エジプトとペルシャの伝統音楽(+++++)
 ルーカス・ヴィス指揮(*) エミリオ・ポマリコ指揮(#/+++) バイエルン放送so.(*/#/+++)
 バイエルン放送cho.(+++) SWR実験スタジオ(音響監督:アンドレ・リシャール;*)
 クリストフ・ポッペン指揮(+/**/##/***) イェルク・ヴィドマン(Cl;+)
 ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送po.(+/**/##)
 マリソル・モンタルヴォ(S;##) ニコラス・ホッジス(P;###)
 ブラッド・ラブマン指揮WDRケルン放送so.(++/###)
 ロデリッヒ・クライデ指揮アンサンブル・クラージュ、ドレスデン聖十字架cho.(****)
 ニムロット・グエズ(Va;####/++++)
 ヨシュ・マルティン(ライヴ・エレクトロニクス;####/++++)
 シュテファン・シッリ(Ob;++++) セバスティアン・クリンガー(Vc;++++)
 フィリップ・シュトゥベンラウフ(Cb;++++/*****) フランク・ライネッケ(Cb;*****)
 ダニエル・グルーガー(CT;#####) リュディガー・ボーン指揮(#####)
 4人のピアノ奏者(#####) 8人の打楽器奏者(#####)
 4人のアルフォーン・トランペット奏者(#####)
 アンサンブル・シェイク・アーマド・アル・トゥニ(+++++) トリオ・チェミラニ(+++++)
 録音:2008年1月、2月、ミュンヘン、ライヴ。
 NEOSの名企画ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン・シリーズ最新盤を6枚組で一挙リリース。1枚目はシュトックハウゼン晩年の大作「ミクストゥール2003」。電子音響と大オーケストラが渾然一体となって奏でる涅槃の音響は天のものか地のものか。2枚目と3枚目はハルトマンの交響曲第6番の原曲で劇的な交響曲「ルーヴル」、古代の神秘的な儀式を想起させるクセナキスの「アンティクトン」など現代音楽の古典にベテランの大作。4枚目・5枚目は現代女性作曲家の新作室内楽を集め6枚目に古代エジプト、ペルシャの伝統音楽を含めた多彩な内容。CD6以外は全てSACD。
NEOS-10933
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブルーノ・マデルナ(1920-1973):管弦楽作品全集 Vol.1
 管弦楽のための
  コンポジツィオーネ第1番(1948-1949)/
 管弦楽のためのコンポジツィオーネ第2番(1950)/
 フランツ・カフカの「審判」のための習作(1950)〜
  語り手、ソプラノ、管弦楽のための(*)/
 管弦楽のための即興第1番(1952)/
 管弦楽のための即興第2番(1953)
アルトゥーロ・タマヨ指揮
フランクフルト放送so.
ミハエル・クヴァスト(語り;*)
クラウディア・
 バラインスキー(S;*)
 録音:2005年/2006年。
 戦後ヨーロッパの前衛音楽運動になくてはならない存在でありながら53才の若さで亡くなったイタリアの作曲家マデルナの音楽はまだ充分に知られているとはいえない。ノーノ、ベリオらイタリアの作曲家に強い影響を与え、ブーレーズとともに指揮者としても活躍した彼の音楽はセリー技法に基づきながらもドラマティックで色彩的、そして無調ながら大変叙情的な旋律を朗々と歌わせるなど、さすがオペラの国の作曲家と思わせる。管弦楽のための2つのコンポジツィオーネなどにはアルカイックな旋律があふれており、実に美しい。そろそろ現代音楽という枠組みを外してクラシック・コンサートのレパートリーになってもよいのではないか。
NEOS-10934
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブルーノ・マデルナ(1920-1973):管弦楽作品全集 Vol.2
 3楽章のコンポジツィオーネ(1954)/
 フルート協奏曲(1954)/
 アリア(1964)〜ソプラノ、フルートと管弦楽のための(*)/
 次元(ディメンシオーニ)III(1962-1963)〜
  フルートと管弦楽のための(#)/
 ディオティマへの石碑(1966)〜管弦楽のための(+)
アルトゥーロ・タマヨ指揮
フランクフルト放送so.
ダデウシュ・ワトソン(Fl;*)
クラウディア・バラインスキー(S;#)
セバスティアン・ヴィッティバー
 (Fl;#)
A.ラトカウスカス(Vn;+)
J.チャブルン(Cl;+)
U.ビュシング(バスCl;+)
J.マクドナルド(Hr;+)
 録音:2005年/2006年。
 Vol.1が初期から中期にかけての作品ならこちらは中期以降(1960年代)の作品。前アルバムでは旋律的傾向がまだ濃厚だったが、こちらになるとヴェーベルンとトータル・セリエリズムの影響が顕著になり、音運びが、ピッ!バリッ!というように点描的になっているが、色彩感はさらに鋭敏になりぐいぐいと聴かせる。3つの楽章のコンポジションではギターが登場し、イタリア的セレナードのパロディが演奏されほほえましい。現代音楽のスペシャリスト、タマヨ以下渾身の名演!
NEOS-10935
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブルーノ・マデルナ(1920-1973):管弦楽作品全集 Vol.3
 女声、フルート、オーボエ、大管弦楽とテープのための「放射」(1971) (*) /
 大管弦楽のための「ビオグラマ」(1972)/
 フルート、オーボエと管弦楽のための「グランデ・アウロディア」(1970) (#)
  キャロル・シドニー・ルイス(S;*) タデウシュ・ワトソン(Fl;*/#)
  ミハエル・ジーク(Ob;*/#) アルトゥーロ・タマヨ指揮フランクフルト放送so.
 録音:2007年。待望のシリーズ第3弾。第1集が1940-50年代、第2集が1950年代後半から60年代の作品と続き、いよいよ円熟の晩年の大作群の登場。(*)は古代ペルシャ、インドの古典文学をテキストにした声とフルート、オーボエ、予め録音されたテープと管弦楽のための大作で、マデルナ芸術の頂点といってもよい作品。死の前年に作曲された「ビオグラマ」はおそらくはテープ音楽に影響されたであろう、クリスタルのようなきらびやかで変幻自在の音色の変化に、また二重協奏曲「グランデ・アウロディア」では独奏楽器の超絶技巧とオーケストラの目も覚めるような色彩にうっとりとさせられてしまう。毎度のことながらアルトゥーロ・タマヨ率いるフランクフルト放送so.の演奏は完璧。超優秀録音。
NEOS-10936
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブルーノ・マデルナ(1920-1973):管弦楽曲全集 Vol.4
 4人の打楽器奏者と4群の管弦楽のための「クァドリヴィウム」(1969) (*) /
 管弦楽のための「アウラ」(1972) (#) /小管弦楽のための宗教的な庭(1972) (#) /
 室内オーケストラのための「アマンダ」(1966) (+)
  アルトゥーロ・タマヨ指揮 hr so.〔フランクフルト放送so.〕
  コンラート・グラーフ、アンドレアス・ヘップ、ブルクハルト・ロッゲンブルック、
  アンドレアス・ベートガー(Perc;*) アレヤンドロ・ルトカウスカス(Vn;+)
 録音:2007年1月(*) /2007年8月(#) /2006年12月(+)。53歳の若さで急逝したイタリアの作曲家マデルナの偉業を管弦楽作品でたどるシリーズ第4弾。そのきらきらと輝く星々のように鮮やかな色彩感と意表をつく展開、圧倒的なダイナミズムは現代音楽ファンならずとも思わず耳を傾けてしまうサウンドそのものの魅力にあふれており、オーディオ・マニアをも唸らせてしまう大迫力。
 (*)は4人の打楽器ソロの対話が徐々にオーケストラにまで波及し最後は両者とも音の渦に巻き込まれてしまう神話的神々しささえ感じさせるマデルナ畢生の大作。シュトックハウゼンの「3群のオーケストラのためのグルッペン」よりも更に巨大な編成と構成により、その美しさに言葉を失う。そして「アウラ」の切れ味の鋭いナイフを思わせるクールで冷たいエロス(?)、また「宗教的な庭」のクリスタルのように輝いては超新星のように爆発しまた再生成する音群など、鮮烈で時に凄惨なまでの美しさを持った音楽、それがブルーノ・マデルナの真骨頂だろう。SACDにより音質も超優秀。複雑なスコアが細部まで手に取るようにわかる。
NEOS-10937
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブルーノ・マデルナ(1920-1973):管弦楽作品全集 Vol.5
 ヴァイオリン協奏曲(1969) (*) /ピアノ協奏曲(1959) (#)
  トーマス・ツェートマイアー(Vn;*) マルクス・ベルハイム(P;#)
  アルトゥーロ・タマヨ指揮フランクフルトhrso.
 録音:2007年12月、2009年3月、ゼンデザール、フランクフルト・ヘッセン放送曲。SACDによるマデルナの管弦楽全集シリーズ。今回は二つの協奏曲を収録。ヴァイオリン協奏曲は、しめやかに歌うヴァイオリンに寂寥感を募らせつつも、ときには爆発する色彩的なオーケストラが点描的に絡み合う。ツェートマイアーのヴァイオリン独奏がとにかく美しい。その10年前に書かれたピアノ協奏曲は、デイヴィッド・チューダーに献呈され、彼が初演者だったことからもわかるように、前衛的な賑やかしさがまだわずかに残っている。「ピアノのフタを乱暴に閉める」という指示でも有名で(実際の演奏ではマーラーの交響曲におけるハンマーの縮小版のような効果)、内部奏法も多い。その中間部以降はマデルナらしい透明感、そして抒情性が前面に押し出されている。
NEOS-10940
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
マティアス・アルター(1964-):無伴奏作品集 1993-2007
 ソロ 2007「対話」(2007)[V.ブラゴイェヴィッチ](アコーディオン)]/
 ソロ 2002 (2002)[パトリシア・コパチンスカヤ(Vn)]/
 声(1995)[O.ダーベレイ(Hr)]/
 ソロ 1993 (1993/2009)[セリーネ・エレーロ(リコーダー)]/
 カデンツァ(2005)[トビアス・モスター(Vc)]/
 3つのピアノ小品(1999)[クリスティーネ・スティッゼ(P)]/
 カンタンド(歌)(2006)[パトリシア・コパチンスカヤ(Vn)]/
 ムジカ(2000)[シルヴィア・ノッパー(S)]/
 ソロ 2001 (2001)[ボリス・プレヴィシッチ(Fl)]/
 ソロ 2006「カンタンド〜レチタンド(暗誦)」(2006)[トビアス・モスター(Vc)]
 録音:2009年3月、チューリヒ。
 アルターはバーゼル室内o.に所属するオーボエ奏者であり、作曲とオーボエをハインツ・ホリガーに師事した。これらの作品はオーケストラの仲間を想定して書かれた。難易度の高いヴィルトゥオーゾ性、特殊奏法によって作られる特異な音響が巧みに構成されている。リコーダー・ソロのためのソロ1993における呪術的でデモーニッシュな魅力は現代の魔笛というに相応しい。また人気のヴァイオリニスト、コパチンスカヤが参加している点も注目。
NEOS-10944
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(3 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2008〜ライヴによる世界初録音集
 ・CD1 [NEOS-10941]
 イザベル・ムンドリー(1963-):私とあなた(2008)(*)
 エンノ・ポッペ(1969-):古い建造物(2008)(#)
 ブリス・ポーゼ(1965-):踊り子(交響曲第5番)(+)
 ベン・ジョンストン(1926-):群のための五重奏曲(1965/1966)(+)
 [トーマス・ラルヒャー(P;*) ピエール・ブーレーズ指揮(*/#)
  シルヴァン・カンブルラン指揮(+) SWRバーデンバーデン・フライブルクso.(*/#/+)/
  録音:2008年10月17日(*/#)、2008年10月19日(+)]
 ・CD2 [NEOS-10942]
 アーヌルフ・ヘルマン(1968-):架空のダンス第1集(2008)〜17人の音楽家のための
 ザイード・ハッダード(1972-):崇高(2008)[フランク・オッル指揮アンサンブル・モデルン]
 エドゥアルド・モギランスキー(1977-):蝋型法(2008)
 ジョルジュ・アペルギス(1945-):ティーター・トッター(2007/08)
 ベルンハルト・ガンダー(1969-):脚とストッキング(2007)
 [エミリオ・ポマリコ指揮クラングフォルム・ウィーン/録音:2008年10月18日]
 ・CD3 [NEOS-10943]
 ブライアン・ファーニホウ(1943-):クロノス・アイオン(2008)〜アンサンブルのための協奏曲
 [フランク・オッル指揮アンサンブル・モデルン/録音:2008年10月18日]
 ドゥロール・ファイラー(1951-):「ミュール」(2008)〜
  電気増幅された室内オーケストラと2人の歌手、ライヴ・エレクトロニクスのための
 [ロルフ・グプタ指揮クラングフォルム・ウィーン
  マイラ・アッシャー、マルティン・ヴィンクラー(声)、
  ドゥロール・ファイラー(ラップトップ/ライヴ・エレクトロニクス)/録音:2008年10月19日]
 CD3枚全てに個別番号が振られているが、2009年12月現在では分売としては未発売で、予定も不明。
 2008年ドナウエッシンゲン音楽祭は傑作の宝庫!武満徹を思わせる繊細なムンドリーの「私とあなた」、若い世代の作曲家ではヘルマンの「架空のダンス」、ハッダードの土俗的ともいえる生命力にあふれた「崇高」、ベテラン作曲家ファーニホーの錯綜した「クロノス・アイオン」など、決してアイデア倒れに終わらない、音楽として、音響として面白く、また美しい作品ぞろい。ブーレーズ久々の同時代作品の指揮も聴き物。
シルベストレ・レブエルタス(1899-1940):アンサンブル作品集
 カミナンド(器楽アンサンブル版)(1937) /ラジオ向きの八重奏曲(1933) /
 大アンサンブルのための「プラーノス」(1934)〜/管楽アンサンブルのための真面目な小品〔第1番/第2番〕(1940) /
 ピッコロ、3つのクラリネット、ホルン、トランペット、ティンパニとヴァイオリンのためのトッカータ(1933) /
 語り、管楽アンサンブル、ピアノと打楽器のための3つのソネット(1938) /
 バリトンとアンサンブルのための「あなたが考える理由がわからない」(1937) /
 大アンサンブルのための「フェデリコ・ガルシア・ロルカへの讃歌」(1936) /
 室内アンサンブルのための「センセマヤ」(1937)

  ローラント・クルティヒ指揮アンサンブル KNM ベルリン
  ガブリエル・ウルティア(Br/語り)
 録音:2008年。メキシコの作曲家兼ヴァイオリニスト、レブエルタスの没後75年記念アルバム。ガルシア・ロルカへの讃歌、センセマヤなど彼の主要作品も収録され、初めてレブエルタスを聴く人にもお薦め。メキシコ先住民の音楽や当時の世俗音楽、街の喧騒をも複調、多調、ポリリズムを駆使して取り込みラテンの血が爆発する色彩豊かで生命力に満ちたすばらしい音楽。死後70年余りを経て西洋前衛派が衰退した今、あらためてレブエルタスが注目されている。アンサンブルKNMベルリンの演奏はレブエルタスの作品の先見性、実験性に光をあて、さながらブーレーズが演奏するストラヴィンスキーを思わせる切れ味の鋭いアンサンブルを聴かせる。
ファビアン・パニセーリョ(1963-):
 ピアノのための練習曲第1巻(6曲; 2007)
  〔第1番−第4番「彩度 I. II. III、IV 」/第5番「ペンタフォニー」/第6番「ダブル」〕/
 ピアノのための練習曲第2巻(3曲; 2008)
  〔第7番「アクサクスI」/第8番「派生した和音」/第9番「アクサクスII」〕
ジェルジ・リゲティ(1923-2006):
 ピアノのための練習曲第1巻(1985)より
  〔第1番「無秩序」/第2番「開放弦」/第4番「ファンファーレ」/第5番「虹」〕/
 ピアノのための練習曲第2巻(1989/1994) より
  〔第8番「鋼鉄」/第10番「魔法使いの弟子」/第11番「不安定なままに」]/
 ピアノのための練習曲第3巻(1995/2001)より〔第15番「白の上の白」/第18番「カノン」〕
  ディミトリー・ヴァシラキス(P)
 録音:2009年。新旧二人の現代作曲家のピアノのための練習曲。ピアノは作曲家が新しいアイデアを試すのに好都合の媒体だが、もちろんアイデア倒れに終わらない完成度を持った先鋭的な作品。パニゼッロはブエノスアイレス出身で、作曲をエリオット・カーター、フランコ・ドナトーニ、ブライアン・ファーニホー、ルイス・デ・パブロに師事。数々の賞を受賞し国際的に活躍している。リゲティのエチュードは20世紀後半を代表するピアノ作品。ピアノの機能性の追求はもちろん、新しい作曲のアイデアをすべて注ぎ込んだリゲティ晩年の力作。ピアノのディミトリー・ヴァシラキスは1967年生まれのギリシャのピアニストでレオン・フライシャー、アリシア・デ・ラローチャらに学んだ。ブーレーズ、クセナキス、シュトックハウゼンなど現代作品を得意とし、ここでも超絶技巧を聴かせる一方、リゲティのエチュードではユーモラスな側面や抒情的な味わいも見せる。
NEOS-10947/50
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(4 HYBRID_SACD)
3枚価格
価格帯:B
ザルツブルク・ビエンナーレ〜ニュー・ミュージック・フェスティヴァル2009
 ベアト・フラー(1954-):シュプール(痕跡)(1998)(*) / マウリシオ・ソテロ(1961-):アウデーエイス(2004)(#)
 スティーヴ・ライヒ(1936-):弦楽四重奏とテープのための「ディファレント・トレインズ」(1998)
  [シュタードラーSQ ファン・シンウェイ(P;*) アルカンゲル(フラメンコVo;#)]
 ベアト・フラー(1954-):ゼノス(2008)
 ジェルジ・クルターク(1926-):クアジ・ウナ・ファンタジア(1988)(+)/ホワット・イズ・ザ・ワード(1990-91)(**)
  [ニコラス・ホッジス(P;+) P.モルナール(A;**) チューリヒ・ヴォーカル・アンサンブル(**)
   ベアト・フラー指揮アンサンブル・コントルシャン]
 ジェルジ・リゲティ(1923-2006):
  2台ピアノのための3つの小品[ミキ・スクタ、ノラ・スクタ(P)]/
  コンティヌム(1968)[フローリアン・ビルザク(Cemb)]
 スティーヴ・ライヒ:打楽器と鍵盤のための六重奏曲(1984-85)[オーストリア現代音楽アンサンブル]
 細川俊夫(1955-):ランドスケープV(1993)[宮田まゆみ(笙) ディオティマ四重奏団]
 ジョン・ケージ(1912-1992):笙とほら貝のための「 TWO3
  [宮田まゆみ(笙) アラベラ・ヒルナー(ほら貝)]
 ガリーナ・ウストヴォリスカヤ(1919-2006):
  8つのコントラバス、ウッド・ブロックとピアノのためのコンポジション第2番「怒りの日」(1972/73) (##)
 細川俊夫(1955-):笙と管弦楽のための「雲と光」(2008)(++)
  [塩崎典子(P;##) 宮田まゆみ(笙;++) ヨハネス・カリツケ指揮ザルツブルク・モーツァルテウムo.]
 クラウス・フーバー(1924-):
  ピアノと17楽器のための室内協奏曲「インタルシ」(ルトスワフスキの追憶に)(1993/94) (***)
 フランク・クリストフ・イェズニキアン(1969-):
  ツィンバロムとアンサンブルのための「鎧の筋線(褶曲軸)」(2008)(###)
 クラウス・フーバー(1924-):ヴァイオリンと小管弦楽のための協奏曲「テンポーラ」(+++)
  [ニコラス・ホッジス(P;***) ルイジ・ガッゲーロ(ツィンバロム;###)
   フランク・シュタードラー(Vn;+++) アルトゥーロ・タマヨ指揮ザルツブルク・モーツァルテウムo.]
 録音:2009年3月、ザルツブルク「ビエンナーレ2009」、ライヴ・レコーディング。
 4年に一度行われるザルツブルク・ビエンナーレ2009は、いまや現代音楽のザルツブルク音楽祭と言われているほどメジャーな現代音楽祭となった。2009年のプログラムではシュタードラー四重奏団のライヒ:ディファレント・トレインズの他、六重奏曲が取り上げられるなど、ライヒが特に注目を集めた。近年のヨーロッパの音楽祭でライヒがこれほどまでに注目を集めたのは珍しいだろう。そのほか、雲間から差す一条の日の光のように美しい細川俊夫のポスト武満ともいえる優美な傑作「雲と光」世界初演(近年の細川作品はこう言って良ければ一段と「抒情的」になってきている!)、クラウス・フーバーの最近の作品など、いずれも聴き応えのある注目の作品ぞろい。演奏陣もアルトゥール・タマヨ、ヨハネス・カリツケ、ニコラス・ホッジス、宮田まゆみほか、豪華絢爛!
アロイス・ハーバ(1893-1973):弦楽四重奏曲全集
 弦楽四重奏曲
  〔第1番 Op.4 (1919) /第6番「四分音による組曲」 Op.70 (1950) /第9番 Op.79 (1952) /
   第15番 Op.95 (1964) /第16番「五分音による」 Op.98 (1967) /第7番 Op.73 (1950/51) /
   第8番 Op.76 (1951) /第2番「四分音による」 Op.7 (1920) /第13番 Op.92 (1961) /
   第3番 Op.12 (1922) /第14番「四分音による」 Op.94 (1963) /第10番「六分音による」 Op.80 (1952) /
   第11番「六分音による」 Op.87 (1958) /第12番「四分音による」 Op.90 (1959/60) /
   第4番「四分音による」 Op.14 (1922) /第5番「六分音による」 Op.15 (1923) 〕/

 シュプレヒシュティンメと弦楽四重奏のための日記帳 Op.101 (1970) (*) /
 弦楽四重奏のための6つのコンポジション「六分音による」 Op.37
  (ヨハネス・コチュイ編曲/弦楽四重奏版/原曲:ハルモニウムのための?)
 ハーバSQ [シャ・カツォウリス、ホヴァネス・モカツィアン(Vn)
        ペーター・ゼリエンカ(Va) アルノルト・イルク(Vc)]

 ジグーネ・フォン・オステン(語り;*)
 録音:2003年7月、9月、11月、2006年2月、hr ゼンデザール、フランクフルト。おそらく初発売音源。ヴィシネグラツキーと並び微分音音楽のパイオニアとして知られるハーバの弦楽四重奏曲全集、これまでスタミツSQ 盤 (Bayer) が出ていたのみ。チェコ出身のハーバはプラハ音楽院で学んだ後、ウィーンでシュレーカーに師事、当初はヤナーチェクやドビュッシーもしくは後期ロマン派の影響を受けた作品を書いていたが1920年の弦楽四重奏曲第2番で初めて微分音(四分音)を導入。以後、微分音システムの研究、楽器の製作、教育を進めるとともに多くの微分音による作品を作曲した。彼の微分音音楽は民族音楽への関心から発展したものだが第15、16番、語りを伴う Op.101ではバルトーク、表現主義との親和性が見られる。演奏のハーバ四重奏団は1946年に結成された団体だが、この録音は1984年に再結成された新メンバーによる物。ハーバ特有の微分音程はもちろん、切れのよいリズム感がポップで心地よく、ハーバおよび微分音楽演奏の新しいスタンダードと言ってよいであろう。
NEOS-11006
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヘンシェルSQ 〜シュルホフ、シベリウス、ヤナーチェク:弦楽四重奏曲集
 シュルホフ:弦楽四重奏曲第1番(1924) / シベリウス:弦楽四重奏曲 ニ短調「親しき声」Op.56 (1909)
 ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」(1923)

  ヘンシェルSQ[クリストフ・ヘンシェル、マルクス・ヘンシェル(Vn)
            モニカ・ヘンシェル(Va) マティアス・バイヤー=カルツホイ(Vc)]
 録音:2008年12月。1994年に結成されたヘンシェル四重奏団は、様々なコンクールで入賞を果たし、国際的な舞台で活動している。メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲全集(ARTE NOVA)のCDはベスト・セラーとなった。当NEOSレーベルではブルッフから現代音楽まで個性的なラインナップが発売になっている。本CDは19世紀後半にこの世に生を受けた作曲家の20世紀初頭に書かれた三人三様の弦楽四重奏曲を取り上げている。シベリウス、ヤナーチェクは既によく知られた傑作だが、シュルホフ作品は激動する20世紀前半の音楽の諸傾向をすべて吸収・消化したアイデアと霊感あふれる傑作で20世紀後半に現れたワールド・ミュージックとミニマル・ミュージックの影響を感じさせるいくつかの作品を思い出させる興味深い作品。いずれも精緻極まる演奏で一気に聴かせる。
モイセイ(ミェチスワフ)・ワインベルク(1919-1996):
 無伴奏ヴィオラ・ソナタ全集

 ワインベルク:
  クラリネット・ソナタ(1945)(ヴィオラ編曲版)
 フョードル・ドルジーニン(1932-2007):
  無伴奏ヴィオラ・ソナタ(1959)
 ワインベルク:無伴奏ヴィオラ・ソナタ
  [第1番(1971)/第2番(1978)/
   第3番(1982)/第4番(1983)]
ユリア・
 レベッカ・アドラー(Va)
ヤッシャ・ネムソフ(P)
 録音:2008年-2009年。
 2009年が生誕90年のせいか、このところワインベルク復権の兆しあり、。先ごろもNorthern Flowersから管弦楽作品のリリースがあったばかりだが、ここに来て、ヴィオラ作品がまとまって出た。彼はポーランド生まれのユダヤ人でソ連で活躍したがユダヤ人ゆえ、かの国でも苦労を余儀なくされた。親交が深かったショスタコーヴィチの影響に加え、ヘブライ的な音階も多用するため中東的な色合いも多い。無伴奏ヴィオラのためのソナタは悲しくも美しい旋律に溢れている。ショスタコーヴィチのヴィオラ・ソナタの初演者ドルジーニンの作品も注目。ユリア・レベッカ・アドラーはユーリー・バシュメットに師事、ヨーロッパの主要なコンクールで優勝し今後の活躍が期待されている新星。
NEOS-11010
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
3つの俳諧アンド・モア
 エルヴィン・コッホ=ラファエル(1949-):コンポジション第60番「正午I」(2005)
 アネッテ・シュルンツ(1964-):その一からの光(2006) / 八橋検校(1614-1685):六段の調べ
 古典本曲:山越え(13世紀) / 高橋悠治(1938-):箏など遊び(2005) / 望月京(1969-):トッカータ(2005)
 古典本曲:打破(13世紀) / コッホ=ラファエル:コンポジション第60番「正午II&III」(2005)
 高橋悠治:リコーダーなど遊び(2000) / 細川俊夫(1955-):夜想曲(1982)/待雪草(2009)

  後藤真紀子(琴/謡い) ジェレミアス・シュヴァルツァー(リコーダー)
 録音:2009年。日本の琴奏者・後藤真紀子とドイツのリコーダー奏者ジェレミアス・シュヴァルツァーによる洋の東西を超えたコラボレーション。尺八を模倣したリコーダーの調べに琴が伴奏を加え、ヨーロッパとも日本とも違う不思議な世界が現出す。古典本曲を間に挟みつつ、高橋悠治、細川俊夫の2000年以降の作品が収録されているのも聴き所。
ラディスラフ・クビーク(1946-):
 シンフォニエッタ第1番(1998)〜19楽器のための[ヤクブ・フルシャ指揮アンサンブル21]/
 ピアノ協奏曲第3番「ボフスラフ・マルティヌーの追憶に」(2010) (#)
  [リード・ゲインズフォード(P) アレクサンデル・ヒメネス指揮ブルノpo.]/
 メゾ・ソプラノ または アルト、混声合唱、管弦楽とエレクトロニクスのための
  シンフォニエッタ第3番「ゴング」(2008)[ヤドヴィガ・ラッペ(Ms)
   ヤン・クチェラ指揮プラハ放送so.、キューン混声cho.](+)
 録音:2005年-2010年。すべて世界初録音。当レーベル2枚目となるクビーク作品集。(#)はマルティヌー没後50周年のコンサートのために作曲され、マルティヌーの様々な管弦楽曲(ピアノ協奏曲弟4、同第5番、交響曲第6番など)が引用される。(+)はリルケの同名の詩「ゴング」と「オルフェウスに捧げるソネット」をテキストにした歌つきの作品。クビークは戦後世代ながらいわゆる前衛とは異なり、ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキーを思わせるダイナミズムとエンターテイメント性を備えておりどれも楽しめる。
ジェルジ・リゲティ(1923-2006):
 チェロ協奏曲(1966) (*) /ピアノ協奏曲(1985-1988) (+) /
 トランペット独奏と室内オーケストラのための「グラン・マカーブルの秘密」(1991)(エルガー・ハワース編曲)(#)

 ニコラス・アルトシュテット(Vc;*) マルコ・ブラーウ(Tp;#)
 アルベルト・ロサド(P;+) ファビアン・パニセッロ指揮プルーラル・アンサンブル
 録音:2011年(*)、2009年(#)、2005年(+)。リゲティの代表的な2つの協奏曲ほかを新進気鋭の若手演奏家の演奏で聴く。チェロ協奏曲はリゲティの名を一躍有名にした「アトモスフェール」と音群作法の総決算ともいうべき傑作「ロンターノ」の間に書かれた音響とメロディの波が去来する20世紀を代表するチェロ協奏曲。「グラン・マカーブルの秘密」はリゲティ唯一のオペラ「グラン・マカーブル」第2幕3場で秘密警察長官ゲポポ(コロラトゥーラ・ソプラノ)が暗号で迫りくる脅威を告げる、声楽パートとは思えないアクロバティックなアリアを3つ繋げたものでトランペットで演奏してもよいことになっている部分の抜粋。ピアノ協奏曲は60年代の音群作法から抜け出して複雑なポリリズムを駆使したリゲティ後期の代表作。独奏者はいずれも30〜40代の若手・中堅で迸るエネルギーがリゲティ芸術に新たな生命を吹き込む。
NEOS-11014
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.18
 エリオット・カーター(1908-):チェロ協奏曲(2001)
 ウド・ツィンマーマン(1943-):
  チェロ協奏曲「ある島の歌」(2009)(*)
ヤン・フォーグラー(Vc)
クリスティアン・ヤルヴィ指揮
バイエルン放送so.
 録音:2009年、ライヴ。(*)は世界初録音。
 2010年で102歳となった長老エリオット・カーターによるチェロ協奏曲。セリーによる表現主義的で激しいエネルギーを放つ全曲20分あまりの大作は、とても作曲当時93才の作品とはとても思えない。いまだに現役でエネルギッシュな活動を続けているというのだから誠に恐れ入る。作曲者自らが「アンチ協奏曲」と話すウド・ツィンマーマンの「ある島の歌」はチェロと管弦楽が対決するのではなく、終始穏やかな空気に包まれ、民謡風の旋律、ロマンティックなハーモニーが奏でられる。ペーテリウス・ヴァスクスを思わせる抒情的な作品。
ダヴィッド・フィリップ・ヘフティ(1975-):
 オーボエ協奏曲「ロタス」(2009)(*)/
 ヴァイオリンとアンサンブルのための7つの音画
  「不思議な角笛の音楽」(2008)(#)
トーマス・インデアミューレ
(Ob/Obダモーレ;*)
ルドルフ・ピールマイヤー指揮(*)
アウグスブルクpo.(*)
ラヘル・クンツ(Vn;#)
ヤク・ヴァン・ステーン指揮(#)
ヴィンタトゥール・
 グライス劇場アンサンブル(#)
 録音:2009年4月、ライヴ(*)/2008年4月(#)。
 ヘフティはルトスワフスキ作曲コンクール優勝者で作曲をヴォルフガング・リーム、クリストバル・アルフテルらに師事している。冒頭の呪術的ともいえるオーボエのメリスマティックな旋律が管弦楽への静かに響きが拡がってゆく「ロタス」はどこか古代の儀式を見ているかのような神秘的な音楽。巨匠トーマス・インデアミューレの吹き歌い(?)を含めた超絶技巧は聴き物。「不思議な角笛」はヴェーベルンの再来かとも思える音の細密画。
マンフレート・トロヤーン(1949-):
 弦楽四重奏曲第3番(1983) /
 弦楽四重奏のための6つの小品
  「アンティゴネのための断章」(1988) /
 「愛の手紙」(2007)〜第6番「不眠症の歌 III」 /
 弦楽四重奏曲第4番(2009)
ヘンシェルSQ
[クリストフ・ヘンシェル、
 マルクス・ヘンシェル(Vn)
 モニカ・ヘンシェル(Va)
 マティアス・バイヤー=
  カルツホイ(Vc)]
 録音:2009年。世界初録音。人気のヘンシェル四重奏団が硬派な現代音楽に挑む。ドイツの作曲家トロヤーンはヨーロッパの主要な作曲コンクールに優勝し、これまでに5曲の交響曲、オペラ、多数の室内楽を発表している。作風は表現主義的な激しい表出力を持つものだが、ヨーロッパ前衛音楽の諸傾向を柔軟に取り込みつつ、時にリリカルな響きや叙情的な旋律すら浮かび上がる、新ロマン主義的な傾向も併せ持つ。
コントラバスのための音楽
 ジャチント・シェルシ(1905-1988):夜(1972)
 イサン・ユン(1917-1995):
  アキのためにI(1981)/アキのためにII(1981)
 ヤニス・クセナキス(1922-2001):テラプス(1976)
 マンフレート・シュターンケ(1951-):
  ストリート・ミュージックIII(1995)
 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(1926-):
  1207年8月9日S.ビアージョ(1977)
 ベント・ロレンツェン(1935-):深く(1993)
フランク・ライネッケ(Cb)
 録音:2004年-2006年。
 フランク・ライネッケは1960年ハンブルク出身。バイエルン放送so.の奏者を勤める傍ら、室内楽、ソロなど精力的に活動している。とりわけ現代作品の紹介、初演に意欲を燃やし、多くの作曲家が彼のために作品を書いている。メリスマティックな旋律(?)にどこかコダーイ?を感じさせるシェルシ作品、ユーモラスなユン作品、そして圧巻はエネルギッシュな音が渦巻くクセナキス作品で、その傍若無人のパワー(とライネッケの超絶技巧)に圧倒される。
NEOS-11020
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価格帯:B
ゲオルク・カッツァー(1935-):弦楽四重奏曲集
 〔第1番(1965) /第3番(1987) /
  第4番「壊れやすい時間」(2004) 〕
ソナーSQ
[ズザーネ・ツァップ、
 キルステン・ハームス(Vn)
 ニコラウス・シュリエルフ(Va)
 コジマ・ゲルハルト(Vc)]
 録音:2009年。カッツァーは現ポーランドとチェコの間にあるシレジアに生まれ、戦後は東ベルリン、チェコで音楽を学んだ。電子音楽、マルチ・メディアにも関心を寄せ、その成果は多くのオペラ、交響楽に反映されている。このCDは若い頃から最近までの作品が収録され、若書きの第1番では表現主義的、第3番では音色へのこだわりが重視され、第4番では特殊奏法を交えたさらに自由な音響実験が行われている。
ニコラウス・ブラス(1949-):
 無伴奏弦楽器のための「ソングラインズ」(2006/2007)

 [無伴奏ヴィオラのためのプロローグ(2006)/
  無伴奏ヴァイオリンのためのソングラインズ I (2006) /
  無伴奏ヴィオラのためのインターミッション (2007) /
  無伴奏ヴィオラのためのソングラインズ III (2007) /
  ヴァイオリンとコントラバスのための
   ソングラインズ IV (2006) /
  無伴奏チェロのためのソングラインズ V (2007) /
  無伴奏コントラバスのためのエピローグ (2007) ]
ヘルゲ・スラート(Vn)
クラウス=ペーター・
 ヴェラーニ(Va)
エリック・ボーギル(Vc)
フランク・ライネッケ(Db)
 録音:2007年-2009年。
 ソングラインズとはオーストラリア先住民の創世神話ドリーム・タイムと関係のある言葉で、彼らはソングラインズと呼ばれる、歌に詠み込まれた独特な地図とともにオーストラリア大陸を移動すると言われる。この作品はその神話に霊感を受けて作曲されたソロ弦楽器によるいわば音楽の旅。ブラスはラッヘンマンに作曲を師事、室内楽を中心に多くの作品を発表している。曲は特殊奏法も交えるものの、しなやかに変化してゆく旋律的運動の中に硬質の抒情が感じられる。
ギレアド・ミショリー(1960-):
 詩篇(2005)〜
  パウル・ツェランの詩による弦楽四重奏曲(*)/
 フーガ的小品集(2004-2005)〜アンヌ・ミハエルスの
  小説によるピアノのための連作(#)/
 チェロとピアノのための「詩篇」(2003) (+)
アウリトゥスSQ (*)
ギレアド・ミショリー(P;#/+)
ユリウス・ベルガー(Vc;+)
 録音:2008年-2009年。ギレアド・ミショリーはエルサレム出身でアルフレッド・ブレンデルの推薦でミュンヘンでゲルハルト・オピッツに学んだ。ピアニストとして多くのコンサート、レコーディングなど世界中で華々しい活動を行っているが、そんな彼のもうひとつの顔が作曲家。「詩篇〜パウル・ツェランの詩による弦楽四重奏曲」は演奏者の歌唱をも要求する実験性のある作品だが、民族的要素も強くクロノス四重奏団が演奏したら似合いそうな音楽。ピアノ独奏曲はもちろんミショリーの自作自演でクラスターなどを含むアグレッシヴな響きであふれている。
NEOS-11023
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価格帯:B
マルティーノ・トラヴェルサ(1960-):
 7楽器のための「エコーの残り」(2004)[マルコ・アンギス指揮アンサンブル・アルゴリツモ]/
 バス・クラリネットのための「白い広場、白い背景の上に」(2000)[R.ゴッタルディ(Cl)]/
 弦楽四重奏のための「四重奏曲第2番」(2007)〜[アルディティSQ]/
 ヴィオラとテープのための「無伴奏ヴィオラのための四重奏曲」(2007)[ガース・ノックス(Va)]/
 マンハッタン橋午前4時30分(2008)[マルコ・アンギス指揮アンサンブル・アルゴリツモ]/
 バス・フルートとテープのための「白く、しかし過ぎずに(1995-1996)[マリオ・カローリ(バスFl)]/
 フルートのための「呼吸の後に」(2003)[マリオ・カローリ(Fl)]
 録音:2008年。マルティーノ・トラヴェルサはイタリアの作曲家で作曲、ジャズ、電子音楽を学んだ後、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院で研鑽を積んだ。1987年から89年までルイジ・ノーノに師事し影響を受けた。限られた素材をもとに静寂な音を作り出す作法は典型的なポスト・セリエリズムといえよう。
イスラエルのピアノ音楽
 ヨセフ・タル(1910-2008):
  ムソルグスキーの主題による変奏曲「死者の言葉による死者との対話」(1945) /エッセイ II (1988)
 ツヴィ・アヴニ(1927-):ピアノ・ソナタ第2番「墓碑銘」(1979) /5つのピアノ小品「わが日記より」(2001)
 ギル・ショハット(1973-):絵画に基づく3つの即興(1989) /サロメの接吻(1993)

  ハイトルン・ホルトマン(P)
 録音:2009年10月。ヨセフ・タルは現ポーランド領プニェヴィに生まれ、後にベルリンへ移りヒンデミットらに作曲を師事した。多作で、残された作品の中には電子音楽も含まれる。「死者の言葉による死者との対話」はムソルグスキーの「展覧会の絵」の中の「カタコンベ」の次に来るプロムナードのタイトルで、それを主題とした自由な変奏曲。ツヴィ・アヴニはドイツ・ザールブリュッケン出身で作曲をベン・ハイムに師事、エドガー・ヴァレーズの推薦でアメリカのコロンビア・プリンストン電子音楽研究センターで研鑽を積んだ。モード、自由な無調から民族的な素材までを自在に扱った独自の宇宙を感じさせる音楽。指揮者としても活動するギル・ショハットは新印象主義とでも呼ぶべき、官能的な色彩を備えており、「サロメの接吻」ではドビュッシーや後期ロマン派からの影響が顕著。
ベルント・アロイス・ツィンマーマン(1918-1970):ピアノ作品全集
 5つの小品「エクステンポラーレ」(1939-46) /3つの初期のピアノ曲(1940) /
 民謡の主題による即興「カプリッチョ」(1946) /手引書〔 I (1946) / II (1952)/付録〕/8つの小品「構成」(1956)

 アンドレアス・スコウラス(P)
 録音:2009年6月。歌劇「兵士たち」で知られるB.A.ツィンマーマンが遺した全ピアノ作品を収録。ツィンマーマンはレイボヴィッツに12音技法を学びながらも、少し後の世代であるシュトックハウゼンをはじめとする前衛楽派とは明らかに一線を画し、どの派閥にも属さない独自の世界を確立したことで知られる。セリーと過去の音楽様式との折衷、あるいはその引用は今でこそ普通だが、前衛の嵐が吹き荒れた1950-60年代は前衛楽派から嘲笑の的となり、作曲家は苦悩の末、悲劇的なピストル自殺を遂げた。しかし彼の死後、前衛音楽が停滞し始めた70年代より急速に彼の音楽の評価は高まり、今日では彼の音楽の先進性、複雑で他に類をみない豊かな世界が広い世代から注目されている。ピアノ曲は拡大された調性、自由な無調により霊感のほとばしるまま豊かな幻想が拡がる。繊細さとドラマ性を兼ね備えた音楽は時に印象派やショスタコーヴィチさえ想起させる。
細川俊夫(1955-):独奏楽器のための協奏曲集 Vol.2
 チェロ協奏曲〜武満徹の追憶に(1997) (*) /旅 VII (2005)〜トランペット、弦・打楽器のための(#) /
 メタモルフォシス(2000)〜クラリネットと弦・打楽器のための(+)

  ロハン・デ・サラム(Vc;*) ジェローエン・ベルヴェルツ(Tp;#)
  オリヴィエ・ダルテヴェル(Cl;+) ロベルト・HP.プラッツ指揮ルクセンブルクpo.
 録音:2010年1月。Vol.1:NEOS-10716。作品は前回より引き続き、ほぼ作曲年代順に選曲、配列されており、作曲者の思索、心境、作風の変遷を辿ることが出来る。前回は1980年代の終わりから1990年代後半までのほぼ10年間、そして今回は1990年代後半から2000年代半ばまでの作品を収録。いずれも息の長い旋律とそこから派生し拡がってゆくモノクロームな世界は日本の書を思わせ、細川の面目躍如。もとアルディッティ四重奏団のチェリスト、ロハン・デ・サラムの独奏による入魂のチェロ協奏曲はこのシリーズの中でも圧巻。
NEOS-11031
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価格帯:B
ニコロ・カスティリョーニ(1932-1996):
 アルティソナンツァ(1990-92) /
 オラトリオ「イソップ物語」(1979) (*)
エミリオ・ポマリコ指揮
WDRケルン放送so.、
WDRケルン放送cho.(*)
 録音:2007年-2008年。カスティリョーニはミラノ出身で、戦後前衛音楽の影響を受けた後、独自の色彩的で幻想的な世界を作り上げた。「アルティソナンツァ」は冒頭の高音の持続によるキラキラした色彩は例えようもなく美しく、鳥の鳴き声のようなモティーフ(メシアンを思わせる)もメルヘンチックで楽しい。オラトリオ「イソップ物語」はまさにメルヘンその物。しかし安易な新ロマン主義的方向には流れず現代音楽の様々な書法を取りながら神秘的で不可思議な世界を展開している。
NEOS-11032
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価格帯:B
リーム(1952-):2台ピアノと2人の打楽器奏者のための
            「シュリフト・ウム・シュリフト」(1993/2007)
バルトーク(1881-1945):2台のピアノと打楽器のためのソナタ(1937)
 グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ
 F.シンドルベック、ヤン・シュリヒテ(Perc)
 録音:2008年-2009年。2台ピアノと打楽器という編成での古典的傑作、バルトークのソナタに呼応する形で作曲されたリームの「シュリフト・ウム・シュリフト(フォントにフォント)」はバルトークとは全く対照的な作風。フォントにフォントというタイトル通り、楽器間で点描的な音がやりとりされる静謐な作品。
NEOS-11033
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ジェルジ・クルターグ(1926-):弦楽四重奏のための作品全集
 ヴァルター・レヴィン85歳のオマージュ「アリオーソ」
  (アルバン・ベルクの様式による)(2009) 〔木製弱音器版〕(#) /
 6つの楽興の時 Op.44 (2005) (*)/ヤコブ・オブレヒトへのオマージュ(2004/2005) (#) /
 オフィチウム・ブレーヴ(A.セルヴァンスキの追憶に)(1988/89)/
 彼方から V (1999) (#) /
 12のミクロリュード「ミハーイ・アンドラーシュへのオマージュ」Op.13 (1977/78) /
 彼方から III (1991) /弦楽四重奏曲 Op.1 (1959) /
 ヴァルター・レヴィン85歳のオマージュ「アリオーソ」
  (アルバン・ベルクの様式による)(2009) 〔金属製弱音器版〕(#)
 アテナSQ[サスキア・フィエルゼン、マルゲリータ・ビーダービック(Vn)
      ミリアム・ゲッティング(Va;*以外) ハンナ・クライン(Va;*)
      カトリン・ボーゲンスベルガー(Vc)]
 録音:2008年-2010年。(#)は世界初録音。30代の初期作品から最近の作品まで弦楽四重奏でクルタークの創作の軌跡をたどるアルバム。バルトーク、ヴェーベルンの影響を受けつつ独自の緊張感溢れる世界を築いたクルタークの作風の変遷を俯瞰できる。ラサール四重奏団のヴァルター・レヴィンに捧げられた最新作の「アリオーソ」は2ヴァージョンを収録。
コンスタンティア・グルズィ(1962-)
 イラティキ・ポリシ(修道士の詩)(2007/2009)(*)/火炎 Op.44(2009)(#)/南風〜物語I Op.43(2009)(+)/
 サッフォーの歌〜クルタークへのオマージュOp.12(1995/2009)(**)/南風〜物語II Op.43(2009)(##)/
 化合物 Op.32(2007/2009)(++)/カスタリアOp.35(2008/2009)(***)

  コンスタンティア・グルズィ(P;**/++)指揮アポロン・ミュサゲート四重奏団(*/***)
  ヴァシリス・アグロコスタス(ビザンチン詩篇朗唱;+、##以外)
  ミカリス・コレバス(タルフー、サズ、ネイ;**以外) C.エルゼッサー(P;*/#)
 録音:2009年。全曲世界初録音。グルズィはギリシャ生まれの作曲家。作曲のみならず指揮教育、コンサート・プロデュースなど多方面に渡って活動している。また2009年にベルリン・ドイツ・オペラのために楽譜が断片しか残されていないハイドンの歌劇「フィレモンとバチウス」の補作・校訂も行っている。彼女の音楽はギリシャ正教の伝統的な朗唱や民族音楽と現代音楽の語法を対立させるのではなく、むしろそれら双方を生かすように作られており、新しいタイプのワールド・ミュージックのように聴こえる。ビザンチン聖歌の神秘的でメリスマティックな朗唱に斬新な響きがつけ加えられ、濃厚な香りと麻薬のような魅力を放つ。(+)(##)はペルシャの葦笛「ネイ」の独奏曲。他にもヴァイオリン系の民族楽器「タルフー」や、ギター系の民族楽器「サズ」が使用されている。
マーンコップ・エディション1〜クラウス=シュテフェン・マーンコップ(1962-):
 アンサンブルのための「ザ・トリステロ・システム」(2002)[ジェイムズ・エーヴリー指揮アンサンブル・サープラス]
 無伴奏チェロのための「クーリエ(急便)の悲劇」(2001)[フランクリン・コックス(Vc)]
 オーボエとライヴ・エレクトロニクスのための「 W.A.S.T.E 」(2001/02) (*)/
 8トラック・テープのための「 D.E.A.T.H 」(2001/02)
  [ペーター・ヴィール(Ob;*) SWRエクスペリメンタル・スタジオ]
 録音:2003年-2010年。マーンコップ(1962-)はドイツの中堅作曲家で作曲をブライアン・ファーニホー、クラウス・フーバーに師事した。そうした経歴からも想像できるように、彼の音楽はノイズ、様々な特殊奏法が目まぐるしく去来する複雑怪奇な世界が展開する。「クーリエの悲劇」は名の通り(?)超絶技巧が凄まじいスピードで奏される、演奏者泣かせの作品。
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 1楽章のチェロ協奏曲(2005/06) (*)
エルンスト・トッホ(1887-1964):
 チェロと室内管弦楽のための協奏曲(1925)(#)
ターニャ・テツラフ(Vc)
ペーター・ルジツカ指揮(*)
フローリアン・ドンデラー指揮(#)
ブレーメン・ドイツ・カンマーpo.
 録音:2007年5月(*)/2010年1月(#)。(*)は世界初録音。2012年に還暦を迎えるリームが円熟の極みを聴かせる「1楽章のチェロ協奏曲」。ベルクの音楽への敬愛を隠すことなく吐露した後期ロマン派、表現主義の影響が濃い傑作と言えるだろう。リームの新ウィーン楽派からの影響はいまさら言うまでもないとしても時々聴こえるのは後期マーラー、シマノフスキーのこだまだろうか? 19世紀末から20世紀初頭の諸潮流を統合し、激しいパッション、抒情的なメロディ、渦巻く音の奔流そして雲間から覗く日の光のようなカタルシスの時。リーム芸術の総決算のような名曲。一方のエルンスト・トッホはオーストリアの作曲家でシェーンベルク、コルンゴルト同様ナチスの迫害から逃れてアメリカに亡命後、アメリカでは映画音楽で生計を立て、ピューリッツァー賞も受賞した。在欧中に書かれた典型的な表現主義様式の作品で緊張感あふれる傑作。オーケストラはパーヴォ・ヤルヴィが音楽監督を務めるドイツ・カンマーフィルというのも注目。
ヨーク・ヘラー(1944-):
 大オーケストラとライヴ・エレクトロニクスのための「天球 [Spharen] 」(2001-2006)(*)/
 混声合唱、大オーケストラと
  ライヴ・エレクトロニクスのための「永遠の日」(1998-2000, rev.2002)
 セミョン・ビシュコフ指揮ケルン放送so.&cho.
 録音:2001年/2008年。(*)は2010年グロマイヤー賞受賞作で、世界初録音。
 グロマイヤー賞はルイヴィル大学で1985年から始まった賞で、歴代の受賞作品はルトスワフスキの交響曲第3番や武満のファンタズマ/カントスの他、ペンデレツキ、コリリアーノ、ブーレーズ、クルタークなど錚々たる作曲家が選ばれている。オーケストラとコンピュータ音響が次々と豊かなアイデアを繰り出して一時も飽きさせることがない。アイデア倒れの前衛音楽と違い、SF映画のサントラを聴くように現代音楽になじみのないリスナーもその新鮮な音響を楽しめることだろう。
 「永遠の日」はマーラーの第7交響曲が引用されるなど、後期ロマン派とも縁の深いダイナミックな作品。
シューマン=変容とピアノ・ソナタ〜
 ヘルマン・ケラー(1945-):作品集

 ピアノのための「胚葉:シューマン=変容」(2001)(*)/
 ヴァイオリンとピアノのための
  「シューマン=変容」(1996)(#)/
 ピアノ・ソナタ〔第2番(2001)(+)/第3番(2008)(*)〕
ヘルマン・ケラー(P;*/#)
アンティエ・
 メッサーシュミット(Vn;#)
トマス・ベーヒリ(P;+)
 録音:2005年-2009年。ヘルマン・ケラーはドイツ生まれの作曲家、即興演奏家で、ジャズ・ベーシストとして活動したこともある。ハインツ・ホリガー、ヴィンコ・グロボカール、インゴ・メッツマッハーらとともに現代音楽アンサンブルを度々組んでいる。この作品集はタイトル通りシューマンの作品を素材にした一種のパラフレーズ。ピアノの内部奏法、クラスターありと殆ど原型を留めないほど素材はデフォルメされるが、時折もとの素材がよみがえり、そのアンバランス感に独自のシュール・レアリスティックな詩学が聴き取れる。ピアノ・ソナタ第3番は2台の片方を四分音下に調律を変え、2台のピアノを独りで弾く作品で、めまいのするような幻想的な雰囲気を作り出す。
ジョン・ケージ(1912-1992):ASLSP(1985)
 [第1番/第7番(2番目のピースとして)/第2番/
  第3番/第4番/第5番/第6番/第7番/第8番]
ザビーネ・リープナー(P)
 録音:2009年。ASLSPとはas slow as possible(できるだけ遅く)の略であり、奏者は文字通り極めてゆっくりと弾くことを要求される。ケージは指示をas slow as possibleとしか書いておらず、どれくらいの速さで弾くかは奏者に委ねられる。何の脈絡もないように並べられた協和音、不協和音、単音が不規則な強さ、感覚で延々と続く音空間は日本庭園の「ししおどし(鹿威し)」か「水琴窟(すいきんくつ)」を聴くようでもあり、まさにケージ・ワールド。このディスクはCD1枚に収まるが、本作のオルガン版は2001年5月に演奏が開始され、演奏終了は2639年の予定とか。演奏はアメリカ実験音楽を得意とし、目の覚めるようなクリアな音が持ち味。
ジョン・ケージ(1912-1992):
 ピアノのための「 ONE」 (1987)/
 1〜4台のピアノのための「ONE 2 」(1989)/
 ピアノのための「 ONE 5 」(1990)
ザビーネ・リープナー(P)
 録音:2009年。ASLSPとほぼ同時期に作曲されたケージ晩年の作品。ナンバー・ピースと呼ばれるシリーズの最初の作品。ONEはソロを意味する。ピアノの単音、和音、内部奏法が間をおいてぽつりぽつりと連なってゆく静謐で美しいピアノ作品。
ペーター・ルジツカ(1948-):ピアノ作品集
 5つの情景(2009)/パレルゴン〜ヘルダーリンの6つのスケッチ(2006/2007)/
 前奏曲集(全6曲)/「時間の内部摘出」〜3つの夜想曲(1969)/
 補償〜ピアノのための回想(1966/2009)
  ゾフィ=マユコ・フェッター(P)
 録音:2009年12月。ルジツカは現代ドイツ作曲界の重鎮的存在。ヘンツェ、ハンス・オッテに作曲を師事した彼は堅実でアカデミックな様式を保ちつつ色彩的な音楽を作りあげる。激しい音の塊や、すばやいパッセージなど正統的な前衛音楽様式といえる。ピアノを弾くフェッターは日本でも度々リサイタルを開き、絶賛されているドイツの若手ピアニスト。大阪万博にシュトックハウゼンのアンサンブルで来日した父と当時通訳にあたった日本人を母に持ち、マユコ自身も後にシュトックハウゼンの演奏に関わっている。レパートリーは現代曲にとどまらず、ショパン、モーツァルトなども得意としザルツブルク音楽祭にも出演している。
ペーター・ルジツカ(1948-):管弦楽作品集 Vol.1
 フォアエコー(エコーの前)〜
  8つのアプローチ(2005/06)/
 ナッハクラング(エコー)〜管弦楽のための鏡(1999)/
 G.Sのための追憶(2001)/夜の小品(1997)(*)
ペーター・ルジツカ指揮
NDR北ドイツ放送so.
ジェローエン・
 ベルヴェルツ(Tp;*)
 録音:2009年-2010年。ルジツカはデュッセルドルフ出身でH.W.ヘンツェとH.オッテに師事した。ザルツブルク音楽祭の音楽監督を務めたり、指揮者としても活動し五島龍とも共演したことがある。作曲家としては70年代以降の前衛の諸傾向をうまく取り入れつつ音響的に多彩でドラマティックな作品を生み出している。このアルバムでは世紀の変わり目前後に書かれた近作が収められており、いずれもきらびやかなオーケストレーション、緊張感漲る構成が聴き手を耳を放さない。
ミヒャエル・クヴェル(1960-):室内楽作品集
 フルート、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための「エクスターレ」(1988/90) /
 フルートとギターのための「時と色彩 I 」(1995) /
 弦楽三重奏曲「覆われた秘密の世界の音」 (1994) /
 ピアノのための「 異方性 - (4) (集計) - 結論 [anisotropie – (vier) (aggregat) -zustände] (2001) /
 アコーディオンとギターのための「アクロノン」 (2008/09) /
 様々な空間星座のアンサンブル [ensemble in various spatial constellations] のための
  「アナモルフォシスII (-ポリフォモルフィア)」ヴァージョンA (2002/03)
  アリステア・ザルドゥア指揮アンサンブル・アヴァンチュール
   [Fl/Ob/Cl/Perc/P/Vn/Va/Vc/G/アコーディオン]
 録音:2009年。クヴェルはハンス=ウルリヒ・エンゲルマンに学び、フランクフルト芸術賞、ベルリン国際作曲賞などヨーロッパの多くの作曲賞を受賞しているドイツの作曲家。作風はラッヘンマンの影響が色濃く、特殊奏法を駆使した緊張度の高い音楽で錯乱したようなカオスと静けさのコントラストが印象的。
NEOS-11047
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
パサヘス〔通路〕〜メキシコの現代音楽
 ガブリエラ・オルティス(1964-):ピアノ三重奏のための「トリフォリウム」(2005)
 アルトゥーロ・フエンテス(1975-):ヴィオラと事前録音されたCDのための「ラウィネ」(2009)
 アレハンドロ・カスタニョス(1978-):
  ヴァイオリン、アルト・サックス、打楽器とエレクトロニクスのための「交差点」(2009)
 ジョーヒナ・デルベス・ロケ(1968-):
  ヴァイオリン、チェロ、テナー・サックスと打楽器のための「これ以上悲惨な」(2009)
 ジュアン・ジョゼ・バルセナス(1982-):電気ヴァイオリン、チェロ、テナー・サックス、
  打楽器とエレクトロニクスのための「ウン・レンコル・ビボ」(2008)
 アレイダ・モレノ(1982-):電気ヴァイオリン、アルト・サックス、ピアノ、打楽器、
  事前録音されたCDとライヴ・エレクトロニクスのための「夜の音楽」(2009)

 アンサンブル・アンテグラル ヘンリー・ヴェガ(ライヴ・エレクトロニクス)
 録音:2009年。メキシコの若い世代の作曲家の作品を収録。作曲家の殆どが地元で学んだ後、ヨーロッパに留学しヨーロッパの前衛技法を学んでいる。オルティスはストラヴィンスキーをポップな語法に組み替えた上で新しい音響を取り込んでゆく秀作。そのほかの作品は楽器の新しい奏法が作る特殊な音響に電子音響が絡み、アコースティックとも電子とも分かちがたい新たなアンサンブル作品を生み出している。1970年代以降の出身の作曲家にこの傾向が強い。その中でもバルセナスの「ウン・レンコル・ビボ」はエリオット・シャープらのアヴァン・ポップのような都市の落書きを思わせるノイズ・ミュージックで際立った面白さがある。
NEOS-11048
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ディーター・シュネーベル(1930-):
 弦楽四重奏曲第3番「空間内で」(2005/06)/
 小品(1954/55)/
 弦楽四重奏曲第2番「記憶-反復-運動」(2000-2007)
ディオティマSQ
 録音:2009年。
 ダルムシュタットでレイボヴィッツ、ノーノ、ブーレーズ、ヘンツェ、シュトックハウゼンらの影響を受け、牧師をしたり音楽大学の教授職を勤めたりとユニークな経歴を持つシュネーベルの新旧3つの弦楽四重奏曲を集成。最初期の小品(弦楽四重奏曲)はヴェーベルンの影響が濃く、その後の作品も音の少なさ、小ささでは一貫している。最近作の第2番では声までも取り入れ、演劇的な要素が増している。
ロルフ・ハインド(1964-):管弦楽と室内楽
 ピアノと管弦楽のための「マヤ=シェーシャ」(2007) (*) /
 プリペアド・ピアノと弦楽四重奏のための「火の目」(2004) (#) /
 声、ヴァイオリンとピアノのための「愛の都市」(2001-02) (+)
  ロルフ・ハインド(P) ジェイムズ・クラッブ(アコーディオン;*)
  マーティン・ブラビンズ指揮BBCスコティッシュso.(*) デュークSQ (#)
  サラ・レナード(Vo;+) ディヴィッド・アルバーマン(Vn;+)
 録音:2007年7月、ロンドン(#) /2008年8月、グラスゴー(*) /2010年、ラヴェンスブルク(+) 。武満徹「アーク」を英国初演したピアニストであり、作曲家としては東洋思想に大きな影響を受けたロルフ・ハインド。このアルバムに収録された3曲も、インド文化に根差した作品ばかりだ。ヒンドゥー世界を描いた「マヤ-シェーシャ」は、瞑想的な穏やかな解決に至るオーケストラの色彩が美しい作品。「火の目」は、「山」「ライオン」「バッタ」など、それぞれのヨガのポーズにおける呼吸法をリズムとして取り入れた17曲より構成される。17世紀のヒンディー語詩人ビハリのテクストを用いた声楽曲「愛の都市」はなかなかドラマティックな構成。第2曲での狂乱の場が強烈だ。
NEOS-11051
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴ Vol.1
 シャリーノ(1947-):叫びの夜の書(2009)(*)
 ベアト・フラー(1954-):
  管弦楽と話し声のための「アポン」(2009)(#)
 ジミー・ロペス(1978-):夢魔III(2009)(+)
ベアト・フラー指揮(*/#)
SWRバーデン=バーデン・
 フライブルクso.(*/#)
マリオ・カローリ(Fl;*)
カール・ロスマン(Cl;+)
D.ロスリュスト(Perc;+)
SWRエクスペリメンタルスタジオ(+)
 録音:2009年10月、ドナウエッシンゲン音楽祭、ライヴ。今回の呼び物は30分に及ぶシャリーノの新作「叫びの夜の書」。ほぼ全編をppで通し、フルートのむら息、特殊奏法がオーケストラを奇妙なやり取りを繰り広げ、さながら日本の書を思わせる空間を作る。フラーの「アポン」はオーストリアの劇作家H.クラウスの作品をテキストとするもので、ブーレーズを思わせる鮮やかな音響が魅力。ジミー・ロペスの「夢魔」はポウル・ウィリアムズの詩に基づくアイデア満載の佳作。
NEOS-11052
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴ Vol.2
 フランク・ベドロテアン(1971-):
  スウィング(2009)(*)
 ラファエル・チェンド(1975-):闇への導入
  (黙示録の3つのテキストによる)(2009)(*)
 クリストファー・トレビュー・ムーア(1976-):
  奇妙な誘惑者(2009)(+)
ジョルジュ=エリー・
 オクトール指揮(*)
イクトゥス・アンサンブル(*)
IRCAM(電子音響;+)
アレクサンドル・フォルティエ
(サウンド・ディレクター;+)
ソロイスツ・
 サウンドファブリーク(+)
SWRエクスペリメンタルスタジオ(+)
 録音:2009年10月、ライヴ。70年代生まれの若手作曲家の作品集。いずれも器楽アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのために書かれている。ベドロテアンはパリ出身でグリゼイ、ストロッパ、マヌリ、ミュライユ、ラッヘンマンに師事しスペクトル技法とラッヘンマンの特殊音響を融合した作風。チェンドはマヌリ、ファーニホウに師事しIRCAMで研鑽を積んだ。器楽の特殊奏法に電子音響が絡む目も眩む色彩の変化が聴き物。ムーアはスタンフォード大学でファーニホウに師事。複雑極まる音響の渦。
NEOS-11053
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2009ライヴ Vol.3
 マノス・ツァンガリス(1956-):俳優、歌手、合唱、管弦楽と
  ライヴ・エレクトロニクスのためのラジオ演劇「バチェバ、歴史を食らえ!」(2008/2009)
 シルヴァン・カンブルラン(俳優)指揮 デニス・コンテ指揮
 SWRバーデンバーデン・フライブルクso.、SWRヴォーカル・アンサンブル
 ケイト・ストリング(俳優) シモン・シュトックハウゼン(電子音響監督)
 アルブレヒト・レウ(サウンド・スーパービジョン)
 ヨハンナ・ヴィンケル(S) エルヴィラ・ビル(A) ジュリアン・ポッジャー(T)
 アンドレアス・ヴォルフ(Br) クリストフ・グルント(Org)他
 録音:2009年10月、ドナウエッシンゲン音楽祭、ライヴ。ツァンガリスはデュッセルドルフ出身の中堅作曲家で作曲をカーゲルに師事、ヨーロッパの名だたる作曲賞を数多く受賞している。本作は旧約聖書に題材を取ったシアター・ピースで、俳優の語り、ポルタメントを多く含む歌唱、打楽器を含むノイジーな音響、電子音、サウンド・モンタージュ、オルガンのクラスターなど、現代音楽のおよそ考えられる技法が全て注ぎ込まれている。
NEOS-11060
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(6CD)
4CD価格
ダルムシュタット・ドキュメント BOX 1〜作曲家=指揮者(自作自演集)
 アール・ブラウン(1926-2002):可能な様式I(1961)(*)[ムジーク・ファブリク/録音:1996年]
 ルネ・レイボヴィッツ(1913-1972):12楽器のための室内交響曲(1946-1948) (*/#)
  [ダルムシュタット劇場室内o./録音:1948年]
 ヴォルフガング・フォルトナー(1907-1987):生命の中心(1951)(*)
  [I.シュタイングルーバー(S) クルト・レーデル(Fl) ルドルフ・コーリッシュ(Vn)
   F.ヴィルトガンス(バスCl) R.クラマンド(Hr) ローゼ・シュタイン(Hp)/録音:1953年]
 エルンスト・クシェネク(1900-1991):戦時のカンタータ(1944)(*)
  [カルラ・ヘニウス(S) フランクフルト放送so.&女声cho.録音:1956年]
 ブルーノ・マデルナ(1920-1973):ピアノ協奏曲(1959)(*/#)
  [デイヴィッド・テューダー(P) フランクフルト放送so./録音:1959年]
 カールハインツ・シュトックハウゼン(1928-2007):クロイツシュピール III (1951)
  [A.シュヴァインフルター(Ob) ヴォルフガング・マルクス(バスCl) D.テューダー(P)
   C.カスケル、H.ヘッドラー、M.ヴェーナー(Perc)/録音:1959年]
 ハンス・オッテ(1926-2007):比率=概念(1960)(*/#)[J.エリカー(S) セヴェリーノ・ガッゼローニ(Fl)
                アルフォンス・コンタルスキー(P) C.カスケル(Perc)/録音:1960年]
 アンリ・プッスール(1929-2009):7人の奏者のためのレポン(1960)(*/#)
  [セヴェリーノ・ガッゼローニ(Fl) F.ピエール(Hp)
   アロイス&アルフォンス・コンタルスキー(P/ハルモニウム/チェレスタ)
   C.カスケル(Perc) K.アスマン(Vn) W.タウベ(Vc)/録音:1960年]
 ブルーノ・マデルナ(1920-1973):オーボエ協奏曲第1番(1962/1963)
  [ローター・ファーバー(Ob) 国際ダルムシュタット室内アンサンブル/録音:1963年]
 マウリシオ・カーゲル(1931-2008):濁音(1960)
  [K-H.ベートナー(スパニッシュ&エレキG) D.メーテルマン(Hp) G.ノートドルフ(Cb)
   M.カーゲル&ロックシュトロー(メンブラフォン楽器)/録音:1964年]
 ブルーノ・マデルナ(1920-1973):局面IV(1964)(#)
  [セヴェリーノ・ガッゼローニ(Fl) 国際ダルムシュタット室内アンサンブル/録音:1964年]
 ピエール・ブーレーズ(1925-):ドゥブル(1957-1958)(ドイツ初演)[ハーグ・レジデンティo./録音:1965年]
 ヘルベルト・ブリュン(1918-2000):ソノリフェロウス・ループス(1965)(*)[E.ブルム(Fl)
   P.ポリン(Tp) J.カゾーラン(Cb) ヘッドラー&ロスマン(Perc)/録音:1965年]
 アンドラーシュ・ミハーイ(1917-1993):室内アンサンブルのための3つの楽章(1968)(*/#)
  [ブダペスト・ハンガリー室内アンサンブル/録音:1968年]
 ブルーノ・マデルナ(1920-1973):オーボエ協奏曲第2番(1967)
  [ローター・ファーバー(Ob) ハーグ・レジデンティo./録音:1968年]
 マウリシオ・カーゲル(1931-2008):「1898」(1972-1973)
  [H.ダインツァー(Cl) A.バウアー(Tp) K.シュヴェルツィク(Hr) A.ロジン(Tb)
   R.トッツィ(Tu) B.シルベストレ(Hp) アロイス・コンタルスキー(P) C.カスケル(Perc)
   サシュコ・ガヴリロフ(Vn) S.パルム(Vc) G.ノートドルフ(Cb)/録音:1974年]
 エルンスタルブレヒト・シュテーブラー(1934-):コンティヌオ(1974) (*/#)
  [H.ダインツァー(Cl) K.トゥーネマン(Fg) K.シュヴェルツィク(Hr) A.ロジン(Tb)
   フーベルト・マイアー(Va) G.シューマッハー(Vc)/録音:1974年]
 マンフレート・トロヤーン(1949-):室内協奏曲(1973)(*)[C.レッドマン(Fl)
   M.ディーステル(アルトFl) R.ディリー(Cl) H.ハーゼ(バスCl) S=ニッテル(Vn)
   F.ガウヴェルキー(Vc) Y.アッペンハイマー(Cemb) D.アーデン(P)/録音:1976年]
 カルメン・マリア・カルネッチ(1957-):マド・ソングズ(1988)(*)
  [ブリギッタ・ショーク(A) M.ハラー(G管Fl) A.マルコム(イングリッシュHr)
   W.イフリム(バスCl) C.ディールシュタイン(ヴィヴラフォン/マリンバ)/録音:1988年]
 ロベルト・HP.プラッツ(1951-):雷、夢の恐怖から・・・(1987)(*)[アンサンブル・ケルン/録音:1990年]
 マイケル・フィニシー(1946-):ピアノ協奏曲第3番(1978)(*)
 [ジェイムズ・クラッパートン(P) イクシオン・アンサンブル/録音:1990年]
 ベアト・フラー(1954-):失われた瞬間を待つ(1990)[クラングフォルム・ウィーン/録音:1994年]
 マウリシオ・カーゲル(1931-2008):オーケストリオン通り(1995/1996)(*)[ムジーク・ファブリク/録音:1996年]
 ヨハネス・カリツケ(1959-):クラキシフィケイションII(1999)(#)[ベルリンso./録音:2000年]
 ゲルハルト・ミュラー=ホルンバッハ(1951-):内部トラック(2002)(#)[ムターレ・アンサンブル/録音:2002年]
 ダルムシュタット夏季現代音楽講習会、ライヴ、(*)初出/(#)世界初演時の録音。
 これは現代音楽愛好家には垂涎の貴重な音源集。ダルムシュタット夏季現代音楽講習会は、第二次世界大戦直後の1947年にメシアンやレイボヴィッツらを講師にして始められた現代音楽の老舗ともいうべきセミナー&音楽祭。戦後の前衛音楽シーンはここから始まったといっても過言ではない。ブーレーズ、シュトックハウゼン、ノーノら前衛三羽烏はここから巣立ってゆきた。またその後、それぞれの時代を作った作曲家のほとんどがこの門をくぐっている。そんな音楽祭の未発表音源を含む貴重なライヴ録音を一挙にリリース。しかも全て作曲者自身による指揮で、作曲家の意図を後世に正確に伝える結果となった。ブルーノ・マデルナのピアノ協奏曲をデイヴィッド・テュードアが弾くなど、歴史的セッションも忘れがたい物。録音はモノラルからディジタルまでまちまちだが、音質は大変良好。音の向こうから新しい時代のみずみずしくも尖った空気が伝わって来る。
NEOS-11067/68
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
マルク・アンドレ(1964-):歌手、楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
 3幕のオペラ「ミュージック・シアトリカル・パッション『...22, 13...』」(2004)
  ゲルハルト・ミュラー=ゴルトブーム指揮ヴォーカル・コンソート・ベルリン、
  ワークス・イン・プログレス・ベルリン、SWRエクスペリメンタル・スタジオ(電子音響)
 録音:2010年。マルク・アンドレはフランスの中堅で、ジュラール・グリゼー、ヘルムート・ラッヘンマンらに師事。傾向の異なるようで実は共通点もなくはないこの二人の巨匠の影響から特殊音響、切り詰められた音響により特異な時空間を作り出す。この作品は日本でいうところのコンサート・オペラ(演奏者も舞台の見える所に出ている)の様なステージ上で繰り広げられるシアター・ピース。パッションという副題からも分かる通り、ある種の黙示録的空間が表現されている。
ファビアン・パニセーリョ(1963-):
 トランペット協奏曲(2010) (*) /
 室内協奏曲(2005) (#) /
 ヴァイオリン協奏曲(2002) (+)
ファビアン・パニセーリョ指揮
プルーラル・アンサンブル
マルコ・ブラーウ(Tp;*)
フランチェスコ・
 ドラジオ(Vn;+)
 録音:2010年1月(*/+) /2008年9月、ワルシャワの秋音楽祭、ライヴ(#)。パニセーリョはアルゼンチンの中堅作曲家で現在はスペインで活動している。本人の言葉によればエリオット・カーター、ドナトーニ、ファーニホウ、ルイス・デ・パブロ、エトヴェシュらに強く影響を受けたとされる。しかしヨーロッパの正統的前衛の薫陶を受けながらも彼の作品からは南米の民族音楽のリズムと強烈な太陽を思わせるオーケストラの鮮やかな色彩、ふと去来する旋律とハーモニーに南米独特の哀愁が感じられる。その音楽には前衛の形をとりながらも抽象化されたアストル・ピアソラ、レブエルタス、ヴィラ・ロボス、ヒナステラの姿が見えてくる。
NEOS-11072
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
細川俊夫(1955-):弦楽四重奏作品集
 沈黙の花(1998)(*)/ランドスケープI(1992)(*)/
 ランドスケープV(1993)(#)/原像(1980)(*)/
 開花(2006/07)原典版(*)
ディオティマSQ
[ナーマン・スルチン、
 ユン=ペン・ツァオ(Vn)
 フランク・シュヴァリエ(Va)
 ピエール・モルレ(Vc)]
宮田まゆみ(笙;#)
 録音:2009年3月、ミュンヘン(*) /2009年3月、ザルツブルク・ビエンナーレ、ライヴ(#)。弦楽四重奏とそれを中心とした編成のための曲が多い細川俊夫の作品の中から、世界初演作品ではないものの、最近の録音を一枚に集成した話題盤。「開花」では原典版の楽譜を使用。いずれも複数の長い音の帯が重なりあい、時に激しくぶつかり合い、また時には尺八のむら息のように叫び、再び穏やかな凪へと戻ってゆく音楽。武満徹の「地平線のドーリア」の進化形ともいえ、モノクロームなトーンが幾重ものグラデーションを形成し、水墨画のような空間の広がりを作り出す。
ペーター・ルジツカ(1948-):管弦楽曲集 Vol.2
 凶星について(2011)/室内アンサンブルのための「トランス」(2009)/管弦楽のための記憶「マーラー/画像」(2010)
  ペーター・ルジツカ指揮ベルリン・ドイツso.
 録音:2012年3月。Vol.1 : NEOS-11045 。ドイツの重鎮的作曲家でザルツブルク音楽祭の監督も勤めたルジツカ。NEOSへの管弦楽作品は2年ぶりの第2集。最近(2009〜11年)の管弦楽曲を収録。ルジツカはヘンツェとハンス・オッテに作曲を師事したせいか、彼の管弦楽作品は後期ロマン派から表現主義までドイツの堅固な様式に基づいた演奏効果の高いダイナミズム持ってためリッカルド・シャイー、アシュケナージ、ティーレマン、エッッシェンバッハなど世界の名高い指揮者が好んで取り上げている。いずれも典型的な現代音楽の書法を採りながらオーケストラの圧倒的な迫力を楽しめる。「マーラー/画像」ではマーラーの交響曲第1番と第9番の一部が素材として使われている。
グバイドゥーリナ(1931-):コントラバスを伴う室内楽作品集
 ハープ、コントラバスと打楽器のための5つの練習曲(1965) /コントラバスとピアノのためのパントマイム(1966) /
 コントラバスとピアノのための8つの練習曲(1975) /コントラバスとピアノのためのソナタ(1975) /
 コントラバスとバヤーンのための「イン・クローチェ」(1979/2009) /
 ヴィオラ、コントラバスとピアノのための「ホケトゥス風に」(1984/2008) /
 バヤーン、ヴァイオリンとコントラバスのための「沈黙」(1991/2010) /
 アルトとコントラバスのための歌曲「一人の天使」(1994) /
 メゾソプラノ、打楽器とコントラバスのための15の小品「絞首台の歌曲」(1996) /
 コントラバスと3つのギターのための「ペンティメント〔良心の呵責〕」(2007) (#)

  マルティン・ハインツェ(Cb) クラングアート・ベルリン(アンサンブル)と仲間たち
 録音:2011年、ドイチュランド放送、ベルリン。2011年に80歳を迎えたグバイドゥーリナのコントラバスを含む室内楽作品集。30代の頃の作品から最新作まで幅広い年代の作品を収録。34歳の作「5つのエチュード」ではモダーン・ジャズの影響をほのかに感じさせつつ錯綜した彼女独自の世界を既に完成されている。最新作(#)は限られた音響のなかで静かな祈りの音楽を奏でているものの、特殊な音響の創造には意欲的でその創作力にはいささかの衰えは感じられない。
ロベルト・ジェラルド(1896-1970):
 器楽アンサンブルのための「レオ」(1969)/8人のための協奏曲(1962) /
 ヴァイオリンとピアノのためのデュオ・コンチェルタンテ「ジェミニ」(1966)(*) /
 フルート、クラリネット、打楽器、ギター、ピアノとヴァイオリンのための「リブラ」(1968)

  ペーター・ヒルシュ指揮コレギウム・ノーヴム・チューリヒ
  ラヘル・クンツ(Vn;*) クリストフ・ケラー(P;*)
 録音:2011年2月。ジェラルドはカタルーニャ出身で、当初エンリケ・グラナドスに師事、カタルーニャ民謡に興味を示し、そうした様式の作品を書いていたが、やがて12音技法に興味を持ち、スペイン人で初めてシェーンベルクの弟子となった。スペイン内戦で彼は迫害を逃れパリに移住、後にイギリスに居を定め、作曲とカタルーニャ文化の研究に没頭した。ここに収められた作品は一部、旋法的な書法が見られるもののほとんどが12音技法による点描的な厳しい作風で時折り現れるギターやカスタネットの響きに抽象的に純化されたスペイン音楽のイディオムを聴き取ることができる。ルイス・デ・パブロと並ぶスペイン現代音楽の父。
ヴィソツキー&ザヴォドニク:ピクチャーズ・オブ・ニューヨーク(全16曲)
 ショーを始めよう/物憂い街/グッゲンハイム・ハイ/セントラル・パークの濁った池/
 アメリカの昼休み/リトル・インディア/日没の幕切れ/他
  D.M.ヴィソツキー(A−Sax)
  ベアトリーチェ・ザヴォドニク(Ob/イングリッシュHr/バリトンOb)
 録音:2009年。アルト・サックスとオーボエ属の楽器によるデュオによりニューヨークの風景を描写したフリー・ジャズ系の音楽。D.M.ヴィソツキーとザヴォドニクがそれぞれ半分ずつ作曲を担当。
ニコラウス・ブラス(1949-):室内管弦楽作品集
 2つのクラリネットと弦楽のための協奏曲「やがて」(2008) (*) /18の独奏弦楽器のための「現代的な成長」(2006)
  ツェリンスキー=スメイヤーズ・クラリネット・デュオ(*)
  アレクサンダー・リープライヒ指揮ミュンヘン室内o.
 医学を学んだ後 作曲に転向、ハノーヴァーでラッヘンマンに学んだブラスによる弦楽を中心とした近作を収録。「やがて」では2つのクラリネットが弦楽合奏のモノクロームな響きの中に浮かび上がったり埋没したり、弦楽と共にハーモニーを奏でたりと終始、冬のヨーロッパの灰色の午後のようなメランコリックな時間が続く。「現代的な成長」では弦楽の長い音の持続が雅楽の笙を思わせ、どこか日本的な情感を漂わせるが、中ほどでベルクを彷彿とさせる表現主義的な激しいエネルギーの爆発がある。東洋的な諦観とわびさびを感じさせる美しい現代の音の水墨画。
アンサンブル・ヴォルテックスのゲスト作曲家たち
 アルトゥーロ・コラレス(1973-):リコーダー、ヴァイオリンとエレクトロニクスのための
  ポップな旋律「フォーク・ユー!」による「カノン・フラクタル」(2009)
 ジョン・メノード(1976-):コンピュータのための「アセファル(無頭人)」(2009)
 フェルナンド・ガルネロ(1976-):オーボエ、ギター、打楽器、ヴァイオリンと
                  コントラバスのための「ルミナール」(2005)
 フランシスコ・ユーゲ(1976-):
  コンピュータのための「 The Corners of this Section 」(2010)
 デニス・シュラー(1970-):声、オーボエ、ギター、打楽器、ヴァイオリンと
               コントラバスのための「 Teh 」(2008)
 ニコライ・ミハイロフ(1975-):テープのための「フラッシュ・バック」(2006)
 ダニエル・ゼア(1976-):ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、バスクラリネットと
             エレクトロニクスのための「エレガント・スパンキング」(2010)
  アンサンブル・ヴォルテックス
 録音:2005年/2010年。国籍も様々な作曲家たちの最新作。コラレスの作品は民族音楽の要素、ポップス、キッチュな趣味が融合したなんとも不思議で愉快な世界。メノードの作品は破茶滅茶ミュージック・コンクレート。ミハイロフ作品はピーポポという音響が何故か懐かしい。ゼアの作品はニューヨークのノイズ系実験音楽を思わせる。
NEOS-11114/17
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(4 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン現代音楽祭2010
 ジェイムズ・ディロン(1950-):弦楽四重奏曲第6番(2010) (*)〔3団体による同作品の演奏3種〕
  [アルディッティSQ/ディオティマSQ/ジャックSQ]
 フィリップ・マヌリ(1952-):ストリンジェンド(弦楽四重奏曲第1番)/
 ブライアン・ファーニホー(1943-):弦楽四重奏曲第6番(2010) (*)[アルディッティSQ]
 オンドジェイ・アダーメク(1979-):弦楽四重奏曲第2番「汚染されてないって何」(2010) (*) /
 アルベルト・ポサダス(1967-):影の反射(2010) (*)[A.ビラール(バスCl) ディオティマSQ]
 アーロン・キャシディ(1976-):弦楽四重奏曲第2番(2010) (*)[ジャックSQ]
 マルコ・ストロッパ(1959-):君の耳に歌わせて(2010)(*)〜電気増幅バセットホルンと室内オーケストラのための
 シモン・ステーン=アンデルセン(1976-):抹殺せよ(2010)(*)〜サンプラーと小オーケストラのための
  [M.マレッリ(バセットHr) P.エトヴェシュ指揮ヒルフェルスム放送室内po.]
 ヴィンコ・グロボカール(1934-):小説のX線撮影(2010)(*)〜7人の独唱者を含む混声合唱、
  アコーディオン、打楽器ソロ、30楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
 [SWRヴォーカル・アンサンブル、SWRエクスペリメンタル・スタジオ
  ルペルト・フーパー指揮SWRバーデンバーデン・フライブルクso./他]
 イヴァン・ヴィシネグラツキ(1893-1979):虹 Op.37(1956)〜6台の12音調律されたグランド・ピアノのための/
                     虹II(1972/未完/Op.52aからの抜粋)(*)
 ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):限られた近似(*)
  〜6台の12音調律されたグランド・ピアノと管弦楽のための(2010)
 [シルヴァン・カンブルラン指揮6人のピアニスト、SWRバーデンバーデン・フライブルクso.]
 録音:2010年、ドナウエッシンゲン音楽祭、ライヴ。(*)世界初録音。話題満載の内容でファンはいずれも聞き逃す事は出来ない。今回は何よりも巨匠グロボカールの大作マルチ・メディア作品の初演は大変重要。更にマヌリ、ファーニホーの新作弦楽四重奏曲、そして没後32年にして世界初演となるヴィシネグラツキの虹IIと絶対永久保存盤のラインナップ。
ルドルフ・ケルターボーン(1931-):
 5楽器と女声のための想像上の情景「FDへのオマージュ」(2010) (*) /
 2台ピアノと3つの楽器群のための室内交響曲第3番 (2007) (#) /
 ソプラノ、オーボエ(コール・アングレ)、チェロと
  ピアノのための「イッヒ・ヘーレ・ミッヒ」(2006) (+) /
 ヴィオラ協奏曲(2009)(**)
  ピエール=アラン・モノ指揮NECヌーヴェル・アンサンブル・コンタンポラン(**以外)
  ヤニーネ・ヒルツェル(S;*/+) アドリエンネ・ソーシュ、イーヴォ・ハーグ(P;#)
  ジェシカ・ロナ(Va;+) トマス・レースナー指揮ビールso.
 録音:2011年2月(*)/2008年9月、初演時ライヴ(#)/2011年2月(+)/2010年5月、初演時ライヴ(**)。バーゼル出身の作曲家ケルターボーンはヴォルフガング・フォルトナー、ボリス・ブラッハーらに師事、ポスト・ヴェーベルンの点描的な厳しい様式の流れを汲みつつ、ブーレーズを思わせる輝かしい音響が特徴。(#)におけるピアノ、ハープ、ギター、金属系打楽器の奏でる輝かしい音響の中から生まれてくる、ヴァイオリン群の息の長い旋律の神秘的な美しさや、ただひたすらヴィオラとオーケストラが禅問答のような孤独な対話を続ける大作(**)が聴き物。
NEOS-11119
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ルイジ・ノーノ(1924-1990):
 コントラルト、フルート、チューバ、打楽器とライヴ・エレクトロニクスのための
  「リゾナンツェ・エランティ」(マッシモ・カッチアリに)(1986/1987) (*)/
 チューバとライヴ・エレクトロニクスのための「ドナウのための後=前=奏曲」(1987) (#)
  アンサンブル・エクスペリメンタル
   [ズザーネ・オット(S;*) ロベルト・ファブリチアーニ(Fl;#) クラウス・ブルガー(Tu)]
  デトレフ・ホイジンガー指揮ストラスブール打楽器アンサンブル(*)
  SWRエクスペリメンタル・スタジオ(ライヴ・エレクイトロニクス)
 録音:2010年12月。(*)は世界初録音。リゾナンツェ・エランティ〔さすらう響き〕はハーマン・メルヴィルら数人の詩人の詩をテキストとし、他にいくつかの中世ルネサンスの歌曲が原型を留めぬほど変形してコラージュされて構成されている。コントラルトのモノローグとも言うべき独唱に打楽器、チューバ、電子音響が挑発的に楔を入れる形で進行するノーノ晩年の傑作。「ドナウのための後-前-奏曲」は現代曲の世界ではチューバの名曲として比較的知られており、2011年6月にも日本初演された。予め録音され変調されたチューバの音と生のチューバが夢と現実の境も曖昧な幻想的な対話を繰り広げる。
ダーフィト・フィリップ・ヘフティ(1975-):管弦楽&室内楽作品集
 チェロ協奏曲「鳴り響くものに対して」(2010) (*)
  [トーマス・グロッセンバッハー(Vc) デイヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレo.]/
 フェリックス・フィリップ・インゴルトの詩によるソプラノ、フルート、ヴァイオリン、
  チェロとピアノのための3つの集約「上り坂」(2010) [アンサンブル・アマルテア]/
 弦楽四重奏曲第2番「グッギスベルク変奏曲」(2008)[アマールSQ ]/
 月の詩〔ポエム・リュネール〕(2008)[ミシェル・ルイリー(Va) ベッティーナ・ズッター(P)]/
 音の弓(2009) (*)[ミヒャエル・ザンデルリング指揮ルツェルンso.]
 録音:2010年11月(無印)/2011年3月、ライヴ(*)。全曲世界初録音。スイス生まれの作曲家ヘフティはヴォルフガング・リーム、クリストバル・アルフテル、ルドルフ・ケルターボーンらに師事し、グスタフ・マーラー作曲コンペティション、パブロ・カザルス賞、ジョルジュ・エネスコ賞などに入賞している。リームらの影響を受けた緊張度の高いドラマティックな音楽が特徴で、チェロの引き裂くような叫び声にオーケストラは時に咆哮し、また時に微細な変化を見せるチェロ協奏曲「鳴り響くものに対して」は圧巻。
マルセラ・パヴィア&マックス・E.ケラー:作品集
 マルセラ・パヴィア(1957-):
  閃き(2009)[トリオ・フレア(ピアノ三重奏)]/ナイラ(1993)[リサ・チェラ(Fl)]/
  別れのために(2009)[ヴァレンティン・ヨハネス・グロール(語り) エスター・フリュキガー(P)]/
  分岐する道(2007)[デュオ46〔Vn/G〕]/バンシーの痛み(2009)[パトリク・クレーモラ(G)]/
  アマンカイ(2001)[G.カナセーヴィチ(Cl) マット・グールド(G)]
 マックス・E.ケラー(1947-):
  テヌート・バットゥート・フルミナンテ(2001)[デイヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレo.]/
  さらなる交渉(2006)[ヴェルナー・ベルチ(P/ライヴ・エレクトロニクス)]/
  ファゴット四重奏曲「5」(2008)[クァドリガ・ファゴット・アンサンブル]/
  流体(2009)[トリオ・フレア(ピアノ三重奏)]
 録音:2008年-2011年。パヴィアはアルゼンチン出身で作曲をドナトーニ、リゲティ、エンニオ・モリコーネ、アンリ・プッスールらそれぞれ個性が著しく異なる作曲家に師事した。作品はアメリカ、ヨーロッパで高く評価され、数々の賞を受賞している。ケラーはフリー・ジャズの活動から作曲を開始したが、ジャズ的要素は皆無で真面目にゲンダイ・オンガクしている。ジンマンの指揮で久々の同時代音楽が聴けるのもうれしい。
NEOS-11122
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ルイジ・ノーノ(1924-1990):
 「ピエールに。青い沈黙、不穏」(1985) /ジェルジ・クルタークへのオマージュ(1983/86) (+)
  [ロベルト・ファブリチアーニ(Fl) エルネスト・モリナーリ(Cl)
   ズザーネ・オット(A;+) クラウス・バーガー(Tu;+) デトレーフ・ホイジンガー指揮(+) ]/
 苦悩に満ちながらも晴朗な波(1976)[マルクス・ヒンターホイザー(P)]/
 ルイジ・ダッラピッコラとともに(1979)[ストラスブール・パーカッション・アンサンブル]

  エクスペリメンタル・スタジオ SWR (ライヴ・エレクトロニクス)
 録音:2010年12月。「冷たい怪物に気をつけろ」他(NEOS-10801/02)、「さすらう響き」他(NEOS-11119)に続くノーノ作品シリーズ第3弾。いずれも中期以降のアコースティック楽器とライヴ・エレクトロニクスを組み合わせた夢と現実の狭間をゆくようなシュールレアリスティックな夢幻空間。「苦悩に満ちながらも晴朗な波」以外は終始瞑想的ともいうべき静謐な空間が果てしなく拡がってゆく。悲観と諦観の間を彷徨するかのような後期ノーノの傑作の森。前作同様、クラリネットのエルネスト・モリナーリ、フルートのロベルト・ファブリチアーニらノーノと縁の深かった名手たちによる渾身の演奏。
チャールズ・ウォーリネン〔ウーリネン〕(1938-):
 ヴァイオリン、鍵盤楽器のための室内楽作品集
 ピアノのための「ハート・シャドウ」(2005) /
 ヴァイオリン・ソロのための「長く短く」(1969) /
 チェンバロ・ディヴィジョンズ(1966) (*) /ヴァイオリン変奏曲(1972) /
 ヴァイオリンとピアノのための6つの小品(1977)
  アンナ・スコウラス(Vn) アンドレアス・スコウラス(P)
 録音:2010年3-4月。 (*)は世界初録音。一時期アメリカ東海岸で主流をなした無調音楽の技法のひとつ「ピッチ・クラス・セット理論」を主導したコロンビア楽派の中心的な作曲家で、ニューヨークを拠点に活動するアメリカの作曲家、ウォーリネン〔ウーリネン〕が30〜40歳代に作曲した鍵盤作品とヴァイオリン作品を中心に収録。ぎりぎりまで削ぎ落された厳しい音のなかにひんやりとしたリリシズムが漂う。
サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-):ピアノ作品集
 ノットゥルノ〔第1番(1998) /第3番(1998) 〕/ソナタ第5番(1994) /
 永遠に持続された水上都市(1991) /ソナタ第1番(1976)
  フロリアン・ヘルシャー(P)
 録音:2010年10月、バイエルン放送スタジオ2。イタリア作曲界の重鎮、サルヴァトーレ・シャリーノのピアノ曲は、伝統的といっていい華麗なピアノ書法を匂わせつつも、煌めくような高音への跳躍、アイロニカルに、ときには神秘的に執拗に反復される音形などが、この作曲家ならではの透明感あふれる響きのなかで実現されている。その多くは、ラヴェルやドビュッシーの作品から触発されているという(たとえば、ソナタ第1番は「夜のガスパール」のトリルを引用し、それを幾度も反復する)。ソナタ第5番は、その難曲ゆえに初演者であるポリーニがコーダの書き換えを求めたほど。ヘルシャーの緻密なピアノからは、シャリーノの持ち味である静謐感もよく伝わってくる。
NEOS-11125
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ワインベルク・エディション Vol.1
 ミェチスワフ〔モイセイ〕・ワインベルク(1919-1996):
  交響曲第6番 Op.79 (1962-63)
   [ウラディーミル・フェドセーエフ指揮ウィーンso.、ウィーン少年cho.]/
  シンフォニエッタ ニ短調 Op.41(1948)
   [ジェラール・コルステン指揮フォアアールベルクso.]
 録音:2010年8月、ブレゲンツ音楽祭、ライヴ。
 ワインベルクは生涯に19曲の交響曲を作曲しているが、シンフォニエッタ、室内交響曲、番号なしの交響曲を入れると27曲に及ぶ。
 交響曲第6番はユダヤ系ソビエトの詩人レフ・クヴィトコの詩をテキストにした少年合唱つきの大作。ショスタコーヴィチの後期交響曲に通ずる深い悲しみと諦観の闇のなかから浮かび上がる清らかな少年合唱の響きは、ウィーン少年合唱団による名唱で天使の声と見紛うばかり。フェドセーエフはモスクワ放送so.とも同じ2010年に録音していたが、それは何故かカット版だった。今回の録音は演奏時間44分、待望の全曲版になる。シンフォニエッタはストラヴィンスキーかプロコフィエフ、ショスタコーヴィチのバレエ「黄金時代」「ボルト」あたりを思わせる外向的な作品。こちらはエヴァ・メイの夫君としても知られるジェラール・コルステンがブレゲンツのオーケストラを振っての演奏。両曲ともオーケストラのダイナミズム満載でオーディオ・マニアにも気に入って頂けるだろう。
NEOS-11126
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ワインベルク・エディション Vol.2
 ミェチスワフ〔モイセイ〕・ワインベルク(1919-1996):
  交響曲第17番「記憶」Op.137 (1982-84)
ウラディーミル・
 フェドセーエフ指揮
ウィーンso.
 録音:2010年7月、ブレゲンツ音楽祭、ライヴ。
 この「記憶」と名づけられた交響曲第17番は第18番&第19番と組んで三部作を構成し、いずれも1980年代に集中的に作曲された。作曲者はこの曲について「第二次世界大戦とソビエト亡命後のユダヤ人迫害、スターリン圧政下の苦難の思い出が反映されている」と述べている。第1楽章の闇の中で祈りを捧げるかのような悲痛な旋律、第2楽章の戦争を連想させる不吉な行進曲調の音楽、第3楽章のバロック様式を模しながらもどこまでも不安な曲調、そして終楽章の諦めと最後の闘争。どこまでも暗く救いのない音楽。曲を献呈されたフェドセーエフ(1984年の初演ライヴも出ていた)と、かつてシェフを務めたウィーン響入魂のライヴ。
NEOS-11127
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ワインベルク・エディション Vol.3
 ミェチスワフ〔モイセイ〕・ワインベルク(1919-1996):レクイエムOp.96 (1965-1967)
 〔パンと鉄(ドミトリー・ケドリン)/そしてそれから・・・(フェデリコ・ガルシア・ロルカ)/
  柔らかい雨が降るだろう(サラ・ティーズデイル)/広島、5本の詩句(深川宗俊)/
  人々は歩いた(フェデリコ・ガルシア・ロルカ)/種をまく(ミハイル・ドゥージン)〕

 エレナ・ケレシディ(S) ウラディーミル・フェドセーエフ指揮
 ウィーンso.、ウィーン少年cho.、プラハ・フィルハーモニックcho.
 録音:2010年8月、ブレゲンツ音楽祭、ライヴ。
 ベンジャミン・ブリテンの戦争レクイエムから影響を受けて作曲されたもの。ブリテンの友人でもあるショスタコーヴィチの薦めもあったようだ。ロシアのケドリン、スペインのロルカ、アメリカのディーズデイル、日本の深川宗俊ら、計5人の詩人によるテキストを使用。なお、深川宗俊は広島で被爆、戦後は峠三吉らと反戦詩人として活動した。楽譜は作曲後紛失、初演は作曲者の死後13年経った2009年11月リヴァプールにてトーマス・ザンデルリングの指揮で行われた。ショスタコーヴィチ、シュニトケ・ファンは必聴。
ワインベルク・エディション Vol.4
 ミェチスワフ〔モイセイ〕・ワインベルク(1919-1996):
 チェロ・ソナタ第2番 Op.63 (1959)
  [クリストフ・シュトラートナー(Vc) ルーカ・モンティ(P)(*) /
 ピアノ五重奏曲 Op.18 (1944)[ドリス・アダム(P) ウィーン EOS SQ ](#)
 録音:2010年8月(*)、2010年7月(#)、ブレゲンツ音楽祭、ライヴ。
 チェロ・ソナタ第2番は、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番に感銘を受けて作曲された、暗い叙情の溢れる佳曲。チェロのシュトラートナーはウィーン響の首席。ピアノ五重奏曲はワインベルクの「戦時の音楽」で、ブラームスから後期ロマン派、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチの影響を感じさせ、ヴァスクスら現代ロマン主義の作曲家とも不思議に似通った雰囲気を持つ大作。。
ワインベルク・エディション Vol.5
 ミェチスワフ〔モイセイ〕・ワインベルク(1919-1996):
 3本の椰子の木 Op.120 (1977) [タリア・オル(S) ウィーン EOS SQ ](*) /
 弦楽三重奏曲 Op.48 (1950) [松井香奈(Vn) ヨハネス・フリーダー(Va)
               クリストフ・シュトラートナー(Vc)](#) /
 トランペット協奏曲第1番 変ロ長調 Op.94 (1967)[ユルゲン・エレンゾーン(Tp)
               ジェラール・コルステン指揮フォアアールベルクso.](+)
 録音:2010年8月(*)、2010年7月(#/+)。
 (*)はミハイル・ユーリエヴィチ・レールモントフの同名詩を元とした作品、(#)は民族音楽と新古典主義の影響を受けた佳曲、そして(+)はソビエトの名トランペット奏者ティモフェイ・ドクシツェルのために作曲され、リムスキー=コルサコフの金鶏、ビゼーのカルメン、メンデルスゾーンの結婚行進曲などが引用される痛快な傑作。
オズヴァルド・コルッチーノ(1963-):
 弦楽四重奏のための「アッティモ」(2007) /弦楽四重奏のための「アイオン」(2002) /
 ピアノ四重奏のための「固定した反復」(2002) (*) /
 ヴァイオリンとチェロのための「切断」完全版 (2008)
  フェニーチェ劇場SQ[ロベルト・バラルディ、ジャナルド・タトーネ(Vn)
            ダニエル・フォルメンテッリ(Va) エマヌエーレ・シルヴェストリ(Vc)]
  アキーレ・ガッロ(P;*)
 録音:2010年10月。全曲世界初録音。コルッチーノはイタリアの中堅作曲家で、作品はRAIso.、アンサンブル・ルシェルシェによって盛んに紹介されている。このCDには弦楽四重奏を中心とした作品が収められているが、作風はヴェーベルンか、はたまたフェルドマンを思わせる切り詰められた音の中での静謐の美学を追求する。「固定された反復」では長く引き伸ばされた弦楽の響きの中で爪弾かれるピアノの音塊、また逆にピアノの余韻から浮かび上がる弦の断片的なモティーフに独自のリリシズムを感じさせる。
アーロン・キャシディ(1976-):作品集
 不確定の弦楽器独奏のための「記憶の支え」(2004)〜/
 貼り付けられた基盤における計数のための3つのスタディ
  〔トランペット独奏のための「 What then renders these forces visible is a strange smile 」(2008) /
   トロンボーン独奏のための
     「 Because they mark the zone where the force is in the process of striking 」 (2008) /
   オーボエ、ミュゼット、コールアングレとバス・クラリネットのための
     「 Being itself a catastrophe, the diagram must not create a catastrophe 」 (2009) 〕/
 声とライヴ・エレクトロニクスのための「私、紫、小競り合いの血、美しい唇の微笑み」(2006) /
 電気増幅されたバス・クラリネットのための「メタリック・ダスト」(1999) /
 ソプラノ・サックスのための「仮死状態」(2000)〜/
 トロンボーン独奏のための「彼らの聴き手と同じくらい嘆かわしいだけの歌」(2006)
  エリシオン・アンサンブル
 録音:2008年/2010年。キャシディは ISCM World Music Days でも作品が演奏されたアメリカの若手作曲家。編成は異なってもほとんどその音楽は変わらず、特殊奏法、つねにせわしなく動く断片的なパッセージの連続。わかりやすく言うとカセット・テープを再生しながら早回しをした時に生じる音のような「ピュルピュル・チュルッ・ピーブヒ・ヒヒヒ・パラピョラッ・フビヴォホピ〜」といった音楽がひたすら続く。それでいて即興の余地は全くなく、ブックレットに一部掲載されている楽譜を見る限りではリズムに関して厳格に記譜されているのは驚き。最後に収録された「彼らの聴き手と同じくらい嘆かわしいだけの歌」はそれまでとは一転、たった1音が微妙にピッチを変えながら最弱音で続くという誠に変わった作品。
ヨハネス・カリツケ(1959-):歌劇「強迫」(4幕) (2008-09)
 台本:クリストフ・クリムケ〜ヴィトルト・ゴンブローヴィッチの小説に基づく
  ヘンドリッキェ・ヴァン・ケルクホヴェ(S) ノア・フレンケル(Ms)
  リー・メルローズ、ルペルト・ベルクマン(Br) ベンジャミン・ヒューレット(T)
  ヨッヘン・コヴァルスキ(CT) マンフレート・ヘム(B)他
  ヨハネス・カリツケ指揮クラングフォルム・ウィーン
 録音:2010年2月19日、アン・デア・ウィーン劇場、世界初演時 ライヴ。ヨハネス・カリツケの4作目となるオペラ。ポーランドの作家ヴィトルト・ゴンブローヴィッチの同名の小説を原作とした心理的群集劇。無調・前衛手法で書かれながら緊密な構成と早い展開、緩急のあるダイナミズムで一気に聴かせる。
トマス・ブローメンカンプ(1955-):管弦楽、室内楽、ピアノ作品集
 大管弦楽のための5つの小品 (2007) [ジョン・フィオーレ指揮デュッセルドルフso.]/
 7つのデザート・リズミクス (2006) [デュッセルドルフ響木管五重奏団]/
 トッカータ、トンボーとトルソ (2009) [リヴィニウス・ピアノ四重奏団]/
 舟歌 (1988) /夜想曲 (1998)[シュテファン・イルマー(P)]/
 ピアノ・トリオと管弦楽のための音楽 (2003)
  [トリオ・オーパス8〔Vn,Vc,P〕 フランク・ベールマン指揮北西ドイツpo.]/
 無伴奏チェロ組曲 (2010) [ニコラウス・トリープ(Vc)]/
 アニマート、アダージョとアジタート (2010) [ランベルトゥス・ピアノ五重奏団]
 録音:2004年-2011年。ブローメンカンプはヨーロッパの数々の国際作曲コンクールに入賞しており、その才能はジェルジ・リゲティからも評価された。2001年にはドストエフスキーの同名小説に基づく「白痴」を発表しドイツ国内では大きな話題となった。作風は極めて多様で、この作曲家が様々な時代の様式と技術に精通していることがわかる。大管弦楽のための5つの小品では新ウィーン楽派が、7つのデザート・リズミクスではマルティヌーのエコーが聴こえ、「トッカータ、トンボーとトルソ」ではバルトークや他の東欧の作曲家の影響を感じ取ることが出来る。
マーンコップ・エディション Vol.2〜
 クラウス=シュテフェン・マーンコップ
(1962-):ピアノ作品集
 根茎(1988/1989) /5つの小ラクナリテート(1994/95) /室内細密画(1995) /室内小品(1995) /
 新しい天使の夢(1999) /ベートーヴェンの注釈(2004) /プロスペロ ー 断章(2005)

  エルミス・テオドラキス(P)
 録音:2010年8月、フライブルク。マーンコップはドイツの中堅作曲家でブライアン・ファーニホー、クラウス・フーバーらに師事し、ガウデアムス賞、シュトゥットガルト作曲賞などの受賞歴がある。作風は師匠ファーニホーの影響が色濃く(ブックレットに引用されている楽譜を見るとファーニホーの作品の譜面の風景がよく似ている)、複雑な楽譜には夥しい音と激しい強弱のコントラストによる音の身振りが詰め込まれている。そんな一方、「プロスペロー断片」ではヴェーベルンの発展系ともいうべき点描的な音楽を聴かせる。近年はアンサンブル・モデルンのためにも作曲しザルツブルク音楽祭にも招かれている注目の作曲家。
現代のギター四重奏曲集
 ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):四重奏曲(2007)
 ベアト・フラー(1954-):未来の書の断章(2007)(*) / マヌエル・ヒダルゴ(1956-):ダンス・バトル(2000)
 ヘルムート・オーリング(1961-):ミヒ・シュティーレ〜ギター四重奏と予め演奏が録音されたCDのための(2000)
 マルクス・ヘッハトル(1967-):網掛けのある線(2006)(#)

  ペトラ・ホフマン(S;*) エルネスト・モリナーリ(Cl;#)
  アレフ・ギター四重奏団[アンドレス・エルナンデス・アルバ、ホセ・ハビエル・ナバロ・ルカス、
              ヴォルフガング・ゼーリンガー、ティルマン・ラインベック(G)]
 録音:2011年11月。アレフ・ギター四重奏団は珍しい現代音楽専門のギター四重奏団として「ワルシャワの秋」(ポーランド)、パン・ムジーク(韓国)、アルス・ノヴァ(スイス)など数多くの現代音楽祭に招かれている。このCDでは中堅からベテラン世代に作曲家に委嘱した作品を収録。アヴァン・ポップ風のオーリング「ミヒ・シュティーレ」、特殊奏法多用がコンピュータ音楽を思わせるフラー「未来の書の断章」が聴き物。
H.E.エルヴィン・ヴァルター(1920-1995):室内楽曲集
 クラリネットとピアノのための9つの小品(1963) /
 クラリネット、チェロとピアノのためののための
  「ローテーション〔概説〕」(1969)〔ヴァージョン A /ヴァージョン B 〕/
 ケイトのアリア(1972)〔チェロ独奏版/「オーディオ・グラム」(ピアノ独奏版)〕/
 未定の音(1968)(チェロとピアノのための版)
  イブ・ハウスマン(Cl) ペーター・ブルンス(Vc) フランク・グートシュミット(P)
 録音:2011年12月、バイエルン放送。H.E.エルヴィン・ヴァルターはドイツの作曲家でオスカー・コールに音楽学を、ハンス・シンドラーに作曲を師事した。サルトル、コクトー、ブレヒトらの劇に多くの音楽を作曲、またジャズの演奏も行った。図形楽譜を用いた不確定性の作品を多く作曲し、ここでは楽譜そのものが美しい美術作品となっている(ジャケット、ブックレットに一部掲載)。ピアノは内部奏法も併用し、音のアクション・ペインティングともいえるフリー・ジャズとも通底している音楽。
H.E.エルヴィン・ヴァルター(1920-1995):声楽作品集
 スペイン語のテキストによるバリトンとピアノのための4つの歌曲(1989) /
 テノールとピアノのための3つの歌曲(1956) /ソプラノとピアノのための6つの歌曲(1979) /
 テノールとピアノのための2つの歌曲(1953) /ソプラノとピアノのための4つの楽しい歌(1960) /
 語り手とピアノのための12のスピーチ・ソング(1987)

  イヴォンヌ・フリードリー(S) ヨアヒム・フォークト(T)
  ヴォルフラム・テスマー(Br) フランク・グートシュミット(P)
 録音:2012年2月、バイエルン放送。「室内楽作品集」(NEOS-11209)が図形楽譜による不確定性の作品が中心なのに対して、こちらはきっちりと記譜されたどちらかといえば保守的傾向の濃い、声楽作品集。様式はシェーンベルク、ベルクの表現主義の歌曲に近い。「スペイン語のテキストによる4つの歌曲」ではテキストにガルシア・ロルカ、ラファエル・アルベルティの詩を使っている。また「テノールとピアノのための2つの歌曲」ではフランスとイギリスの古い作者不詳の詩をテキストにしている。
マーンコップ・エディション3「新しい天使チクルス」
 クラウス=シュテフェン・マーンコップ
(1962-):作品集
  新しい天使(1999-2000) (*)/室内交響曲第2番(1997-1999) (#) /ソリテュード・セレナーデ(1997) (+) /
  新しい天使の地(1997-1999) (**) /新しい天使の幻(1997-1998) (##) /新しい天使の夢(1999) (++) /
  新しい天使2(ソプラノ独唱版)(1999-2000) (***)

 モニカ・マイヤー=シュミット(S;*) エルネスト・ロンブー(ピッコロOb;+)
 ジェイムズ・エイヴリー指揮アンサンブル・サープラス(*/#/+)
 キャリン・レヴァイン(Fl;**) フランクリン・コックス(Vc;##)
 ゾフィ=マユコ・フェッター(P;++) アルムート・ヘルヴィヒ(S;***)
 録音:2001年-2011年、ライヴ(**/++)。(+)を除き世界初録音。マーンコップはドイツ・マンハイムの出身でファーニホー、クラウス・フーバーらに師事した。このチクルスはヴァルター・ベンヤミンの「新しい天使」に基づくシアター・ピース。曲名はラテン語だったり、ドイツ語だったり、フランス語だったりするが、日本語だとみな「新しい天使」になる。ソプラノの歌、語り、呻き、口笛など、およそ人間の口で出せるあらゆる音を駆使した(*)はシアトリカルな要素を持った秀作。室内交響曲第2番では交響曲の名も有名無実化し、前述の(*)では声で行われたことが各楽器で行われ、錯綜した時間が流れる。CD1がアンサンブルであったのに対しCD2 では独奏作品が並ぶ。ファーニホーの弟子らしく、様々な奏法が短い間に目まぐるしく展開する。
ジョン・ケージ、コミュニケーション〜ダルムシュタット・オーラル・アーカイヴ Box 2
 1958年ダルムシュタット夏期現代音楽講習会における
  ジョン・ケージ(1912-1992)によるレクチャー第3部「プロセスとしての作品」

 コミュニケーション〔1−6〕
 クリスティアン・ウォルフ(1934-):プレパレーションつきのピアノのための(1957)
 ボー・ニルソン(1937-):クヴァンティテーテン(量)(1958) (*)〔2種の演奏〕
 ジョン・ケージ:ヴァリエーションズI(2台のピアノとラジオ・セットのための) (1958) (#)

  ジョン・ケージ(レクチャー/ピアノ&パフォーマンス)
  デイヴィッド・テューダー(P/ピアノ&パフォーマンス)
 録音:1958年9月9日、1958年9月3日。BOX 2となっているが、1枚のCD。世界初録音、(*)は世界初演、(#)はヨーロッパ初演。ダルムシュタット夏期現代音楽講習会は第二次大戦後の現代音楽運動の推進に中心的な役割を担った作曲セミナーとしてブーレーズ、ノーノ、シュトックハウゼンを始めとして多くの作曲家を輩出した。戦後は主に総音列主義とその影響下にある作曲家が主導権を取っていたが、このディスクにはその現代音楽の牙城へついにケージが盟友デイヴィッド・テュードアと共に乗り込んで講義と演奏を行った模様が収められている。ケージによる、この講義とコンサートがヨーロッパの作曲界に及ぼした影響は凄まじく、あの現代音楽の怒れる職人ブーレーズにさえ多大な影響を与えた。さてディスクの内容は「プロセスとしての作品」というテーマのレクチャーが「コミュニケーション」と呼ばれる6つの章に分けられて語られる、その合間にデイヴィッド・テュードアによる演奏が入り、最後にケージとテュードアによる「ヴァリエーションズI」が演奏される。ケージはこの当時46歳、その若々しい声に驚かされる。またピアノと様々なラジオ放送、ノイズによる「ヴァリエーションズI」はこの時、ヨーロッパ初演であったが、その独自のポエジーとユーモアに聴衆からの笑い声がさかんに沸き起こる。録音は極めて良好で臨場感のある鮮明な音から当時の熱い空気が伝わって来る。
NEOS-11214/16
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(3 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2011
 ヴォルフガング・リーム(1952-):セラフィン交響曲(1993/2011) (*)
 ラーシュ・ペッテル・ハーゲン(1975-):ツァイトブロームへ (2011) (#)
 サエド・ハダッド(1972-):コントラ・ゲヴァルト〔逆効果の暴力〕(2010) (+)
 レベッカ・ソーンダース(1967-):スタシス(2011) (**)
 ヴォルフガング・ミッテラー(1958-):リトル・スマイル(2011) (##)
 ハンス・トマーラ(1975-):不在の輝ける形 (2011) (++)
 イリス・テル・シプホルスト(1956-):統計の研究/シリーズA(2009/2011) (***)
 アンドレアス・ドーメン(1962-):「コンパス/定規/フェルシャー」(2011) (###)
  エミリオ・ポマリコ指揮(*) フランソワ=クサヴィエ・ロト指揮(#/+/###)
  エンノ・ポッペ指揮(##/++) SWRバーデンバーデン・フライブルクso.(*/#/+/###)、
  アンサンブル・ムジーク・ファブリーク(*/**/##/++)
  イェルムン・ラーセン(ハルダンゲル・フィドル;#)
  ラーシュ・ペッター・ハーゲン、ヴィーラント・ホーバン(語り;#)
  ニーナ・ヤンセン(Cl;+) サラ・マリーナ・サン(S;++)
  SWRエクスペリメンタル・スタジオ(電子音響;++)
  ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥットガルト(***)
 録音:2011年10月、ドナウエッシンゲン音楽祭2011、ライヴ。ヴォルフガング・リームを筆頭にベテランから中堅世代のゾーンダース、そしてトマーラ、ハーゲンら若手世代など幅広い世代のバラエティに富んだ作品が揃っている。中でも1999年に書かれ2011年に改訂されたリームの「セラフィム」は圧巻。またトマーラのマルチ・メディア作品「不在の輝ける形」も注目。今のヨーロッパ前衛音楽シーンの最前線を知るのに最適のセット。SACDで音響も迫力満点。
フリードリヒ・チェルハ(1926-):
 弦楽四重奏曲〔第3番(1991/1992) /第4番(2001) 〕/
 弦楽六重奏のための「ヘルダーリン断章」による8つの楽章(1995) (*)
  シュタードラーSQ[フランク・シュタードラー、イジョー・バユス(Vn)
           プレドラグ・カタニッチ(Va) ペーター・ジーグル(Vc)]
  ウルリケ・イェーガー(Va;*) セバスティエン・ルドマニー(Vc;*)
 録音:2012年3月-5月、ライヴ。チェルハの弦楽四重奏曲はこれまでに4番までが作曲されている。第3番は6つの小品から構成されているのに対し、第4番は単一楽章による約20 分からなる大作。また「ヘルダーリン断章」による8つの楽章はヘルダーリンの言葉を楽章のタイトルに掲げた15の小品から構成される。いずれも新ウィーン楽派、特にベルクの影響が色濃い。調性的な響きも聴かれる手堅い書法で書かれている。第3番と「ヘルダーリン断章」による8つの楽章は2012年アスペクト・フェスティヴァル、第4番はザルツブルク・ビエンナーレのそれぞれライヴ録音。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン 19 〜アドリアーナ・ヘルツキー(1953-):作品集
 72人のヴォーカリストのための「殺された者の絵画」(1993)[グスタフ・ショクヴィスト指揮バイエルン放送cho.]/
 クラリネット、ハーモニカ、アコーディオンと管弦楽のための「反対側に」(2002)
  [ハワード・レヴィ(ハーモニカ) ミヒャエル・リースラー(Cl)
   ジャン=ルイ・マティニエ(アコーディオン) ルーカス・ヴィス指揮バイエルン放送so.]/
 合唱と管弦楽のための「悪魔」(2006)[マルティン・ブラビンズ指揮バイエルン放送so.& cho.]/
 36人の無伴奏混声合唱のための「フォルミカリウム」(2010)[フローリアン・ヘルガート指揮バイエルン放送cho.]/
 6人の打楽器奏者のための「狼を追いかけて」(1989/90)[エドガー・ガッジース指揮パーカッサンブル・ベルリン]
 録音:2002年-2010年、ライヴ。ヘルツキーはルーマニア出身でドイツ在住の女性作曲家。ミルコ・ケレメン、ヘルムート・ラッヘンマンらに師事、現代オペラとしては破格のヒットとなった「ブレーメンの自由」をはじめ、多くのオペラ、管弦楽作品を発表している。このアルバムは1990年代から2000年代に書かれた作品が中心で主に合唱が重要な役割を果たしている。ただ歌うだけでなく、叫び声、子音の特殊な用法、集団のざわめきなどが効果的に扱われ、非常に新しい音の世界が展開する。
クラウス・フーバー(1924-):
 室内協奏曲「〜彼の馬から抜け出た魂と進み続ける絹のような足〜」
  (...a l'ame de descendre de sa monture et aller sur ses pieds de soie.../
    マフムード・ダーウィッシュの詩による断章)(2002/2004) (*) /

 オルガン独奏のための「メタノイア」(1995)
  ヴァルター・グリンマー(Vc;*) マックス・エンゲル(Br;*)
  カタリーナ・リクス(A;*) フーゴー・ノート(アコーディオン;*)
  マイケル・パットマン(Perc;*) ハンス=ペーター・シュルツ(Org;#)
 録音:2009年2月(*)、1997年4月(#)。日本の若手作曲家にも多くの門弟を持つクラウス・フーバーのオーケストラの代表作「〜彼の馬から抜け出た魂と進み続ける絹のような足〜」は既に別の録音が当レーベルからも出されている(NEOS-10821)が、前衛作品でこれだけ再演率の高い作曲家は珍しい。様々な音の線が結びつき絡み合い、また分岐する様子は日本の「書」に見られるワビサビにも通じる世界。オルガン独奏のための「メタノイア」も同様で音響の帯が広い音域に筋雲のようにたなびき、現れては消える。細川俊夫が敬愛する作曲家の作品だけのことはある、と納得の内容。
NEOS-11230
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(7CD)
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ダルムシュタット・アウラル・ドキュメント Box 3 〜アンサンブル作品
 ハンス・イェリネク(1901-1969):弦楽四重奏曲第2番(1949)[ヴェーグSQ /1952年7月13日]
 ヘルベルト・ブリュン(1918-2000):弦楽四重奏曲第3番(1960)
 フランコ・エヴァンジェリスティ(1926-1980):弦楽四重奏のための「アレアトリオ」(1959)
  [ラサールSQ /1962年7月14日]
 ヤニス・クセナキス(1922-2001):弦楽四重奏のための「 ST/4-1,080262 」(1956-62)[パルナンSQ /1963年7月21日]
 ジョン・ケージ(1912-1992):弦楽四重奏のための13の小品(1983)[クロノスSQ /1984年7月27日]
 リチャード・バレット(1959-):弦楽四重奏のための「私は開け、閉める」(1983-88)
 エールハルト・グロスコップフ(1934-):バス・クラリネットと弦楽四重奏のための「歌」(1977) (*)
 ヨハネス・フリッチュ(1941-2010):弦楽五重奏曲(1984) (#)
 ピエルルイジ・ビローネ(1960-):弦楽四重奏のための「城壁 IIIb 」(2010) (+)
  [ロジャー・ヒートン(Cl;*) フェルナンド・グリッロ(Cb;#) アルディッティSQ /
   1990年7月22日、1982年7月19日(*)、1984年7月26日(#)、2010年7月22日(+) ]
 石井真木(1936-2003):9人の奏者のための前奏曲と変奏曲(1959-60)BM[1961年9月4日]
 アルギリス・コウナディス(1924-2011):
  ソプラノとアンサンブルのための「サッフォーによる3つの夜想曲」(1960) KA/BM[1962年7月11日]
 アンリ・プッスール(1929-2009):クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、2人の打楽器奏者とピアノのための
                 「マドリガル III 」(1962)[1962年7月15日]
 ハンス=クラウス・ユングハインリヒ(1938-):
  室内アンサンブルのための「ツァイトシュピール」(1962)BM[1962年7月18日]
 ジャン=クロード・エロワ(1938-):15の楽器のための「等価」(第1版)(1963)PB[1963年7月20日]
 ギュンター・ベッカー(1924-2007):室内アンサンブルのための「ダイアグリフェン」(1962)BM[1963年7月24日]
 ハンス・ウルリヒ・レーマン(1937-2013):19の楽器のためのコンポジション(1964-65)BM[1965年7月25日]
  [唐木あけみ(SKA)ブルーノ・マデルナ指揮BM ピエール・ブーレーズ指揮PB
   国際クラニッヒシュタイナー室内アンサンブル]
 アイヴズ(1874-1954):詩篇24番(1894)[グレッグ・スミス指揮グレッグ・スミス・シンガース/1961年8月30日]
 ウォルター・マルケッティ(1931-2015):スペース II (1958)
  [ブルーノ・マデルナ指揮アンサンブル・インコントリ・ムジカーリ/1958年9月5日]
 ベン・ジョンストン(1926-): Knocking Piece (1963) / ロバート・エリクソン(1917-1997):スケイプス II (1966)
  [イリノイ大学コンテンポラリー・チェンバー・プレイヤーズ/1966年9月1日]
 フレデリック・ジェフスキ(1938-):レクイエム〜第1部(1963-67)[フレデリック・ジェフスキ(P)
   ベルンハルト・コンタルスキー指揮スコラ・カントールム・シュトゥットガルト/1972年7月27日]
 ホラティウ・ラドゥレスク(1943-2008): thirteen dreams ago Op.26 (1977)
  [ローベルト・HP.プラッツ指揮アンサンブル・ケルン/1982年7月13日]
 トマス・ラウク(1943-):打楽器四重奏のための「地球はドラムであることを憶えておけ」(1986)
  [ベルンハルト・ウルフ指揮フライブルク打楽器アンサンブル/1986年7月14日、]
 フリアン・カリジョ(1875-1965):16分音ピアノとアンサンブルのための「 Balbuceos 」(1958)
  [マルティーネ・ヨステ(P) ウルフ・クラウスニッツァー指揮/1988年8月10日]
 フリオ・エストラダ(1943-):6人の打楽器奏者のための「 eolo’oolin 」(1981-84, rev.1988)
  [フリオ・エストラダ&中村功指揮ダルムシュタット1998夏期講習会生徒/1998年8月3日]
 タデウシュ・ヴィエレツキ(1954-):
  コントラバスとアンサンブルのための「半音のささやき/雑音のハーフトーン」(2004)
  [タデウシュ・ヴィエレツキ(Cb) ティトゥス・エンゲル指揮 Ensemble Courage /2004年8月16日]
 ロルフ・リーム(1937-):独奏ピアノ、バス・ドラムとアンサンブルのための「ホーキング」(1998)
  [クリストフ・グールド(P) クリスティアン・
    ディーエルシュタイン(バス・ドラム)指揮アンサンブル・ルシェルシュ/2000年7月21日]
 ミヒャエル・ロイデンバッハ(1956-):弦楽四重奏のための音楽「 und aber 」(2004)[カイロスSQ /2004年8月17日]
 ヴィーラント・ホーバン(1978-):8つの楽器のための「ツァライント」(2006)
 ゲノエル・フォン・リリエンシュテルン(1979-):アンサンブルのための「 Adrenochrom 」(2006)
  [ルーカス・ヴィス指揮ダルムシュタット2006夏期講習会生徒/2006年8月16日]
 マルク・バーデン(1980-):内臓 for trio basso (2010)[ファゾム弦楽三重奏団/2010年7月29日]
 マルタ・ゲンティルッチ(1973-):アンサンブルとライヴ・エレクトロニクスのための「 radix ipsius 」(2008)
 エドゥアルド・モギランスキー(1977-):アンサンブルのための「記憶補助」(2008)
  [アンサンブル・アスコルタ/2008年7月9日]
 リザ・リム(1966-):12人の打楽器奏者のための「堕天使の都」(2007)
  [クリスティアン・ディースタイン指揮ダルムシュタット2008夏期講習会生徒/2008年7月14日]
 ステファン・プリンス(1979-):フルート、エレキギター、打楽器、チェロとライヴ・エレクトロニクスのための
  「異物#1」 (2008)[ダーン・ヤンサンス指揮ナダール・アンサンブル/2010年7月21日]
 ロビン・ホフマン(1970-):室内アンサンブルのための「代わりに」(2009)
  [スザンヌ・ブルーメンタール指揮 IEMA アンサンブル/2010年7月23日]
 エンノ・ポッペ(1969-):アンサンブルのための「記憶I」(2009/10)
  [エミリオ・ポマリコ指揮クラングフォルム・ウィーン/2010年7月31日]
 ダルムシュタット夏期現代音楽講習会は1947年より毎年(近年は隔年)開催されている現代音楽の最前衛を学ぶ場であり、かつてブーレーズ、シュトックハウゼン、ノーノらもこの場を通って世界に飛び立っていった。長い歴史をもつだけに取り上げられるテーマ作曲家や作曲様式は時代によって異なるがいずれもヨーロッパを中心に一時代を画した講師たちが教壇に立ち、その顔ぶれを見るだけでも戦後の西洋音楽史を俯瞰するようだ。講習会のおおよそのカリキュラムは作曲家および作曲科学生のための授業と個人レッスン、演奏家および学生のためのレッスンで構成され、講習会の合間と最後に一般聴衆を入れたコンサートが複数行われる。その際、優秀と認められた若手作曲家、若手演奏家のための発表の場が提供されそれらが事実上、彼らのデビューコンサートとなることもある。このダルムシュタット・ドキュメント・シリーズはそうしたコンサートの貴重な記録であり、これらはそのまま現代音楽の歴史と現在を知る最高の手引き書となるであろう。Box3となる当セットではアンサンブル作品を集成。ケージ、クセナキス、石井真木(ドイツ留学の頃の作品であり、後年の汎アジア主義ではなく総音列主義で書かれている所に若さを感じる)ら大御所から近年の若手、中堅世代まで幅広い作曲家が取り上げられている。演奏陣はアルディッティSQ 、クロノスSQ (このグループがダルムシュタットに参加すること自体が驚き)、ラサール、ヴェーグSQ 、ブルーノ・マデルナピエール・ブーレーズなどのスターから当時将来を期待された若手(既に現在はベテランになっている演奏家が多い)まで多様。ライヴ録音のため、作品に対する驚きによる、どよめきや笑い声など聴衆の反応もリアルに収録されていて面白い。
アンデシュ・エリーアソン(1947-):
 ほんの一目・・・束の間の幻影(2003) (*) /
 アルト・サクソフォンとピアノのための「詩曲」(1988) (#) /
 アルト・サクソフォンと管弦楽のための交響曲第3番「協奏交響曲」(1989) (+)
  ジョン=エドワード・ケリー(アルトSax;#/+)指揮アルコスo.(*)
  ボブ・フェルステーフ(P;#) レイフ・セーゲルスタム指揮フィンランド放送so.(+)
 録音:2012年6月、ライヴ(*) /1991年4月(#) /1992年10月、世界初録音(+)。前出: COL LEGNO (#)。「弦楽交響曲、他」(NEOS-10813)に続くアンデシュ・エリーアソン作品集第2弾。エリーアソンはスウェーデン出身で当初トランペットを学び、やがてジャズの世界で活動するようになるが、やがてクラシック、現代音楽に興味を持つようになり、イングヴァール・リドホルム、ジェルジ・リゲティに作曲を師事した。見事な管弦楽法により、後期ロマン派からバルトーク、音群作法ほか現代音楽の諸技法を折衷したエネルギッシュでドラマティックな作風は多くの演奏家に好まれ、ブロムシュテット、セーゲルスタムらによって盛んに演奏されている。
マティアス・ピンチャー(1971-):独奏作品集&アンサンブル作品集
 ソプラノと7楽器のための「トワイライト・ソング」(1997) (*) /ピアノ独奏のための「晴れた日に」(2004) /
 8人の女声コーラス、3つのチェロとアンサンブルのための「モニュメント V 」(1998) (#) /
 バス・クラリネットのための「アルモニカの神格化を伴う7つのバガテル」(1993/2001) (+) /
 ヴィオラとチェロのための「ヤヌスの顔」(2001) /
 ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための「ヴェールに覆われた論文のためのスタディ II 」(2006)

  マティアス・ピンチャー指揮アンサンブル・コントルシャン、バーゼル・マドリガリステン(女声cho.)(#)
  エルネスト・モリナーリ(バスCl;+) シルヴィア・ノッパー(S;*)
 録音:2006年。ドイツの中堅作曲家ピンチャーが世紀の変わり目頃に作曲したソロおよびアンサンブル作品を収録。ギーゼルヘル・クレーベとトロヤーンに師事しラッヘンマン、ファーニホーにも影響を受けたピンチャーはいわばドイツ前衛音楽を正統的に受け継ぐホープとして近年演奏される機会が多い。「トワイライト・ソング」はカミングスの詩に基づくソプラノとアンサンブルのための幻想的な佳曲。
NEOS-11303/05
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(3 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2012
 マルティン・スモルカ(1959-):My My Country 〜我が父の思い出のために(2012) (*)
 アルヌルフ・ヘルマン(1968-):燃え尽きた仕事(2012) (*)
 ベルンハルト・ガンダー(1969-):フクル(2012) (#) / フランク・ペドロテアン(1971-):それ自体(2012) (#)
 ステファン・プランス(1979-):打楽器、エレキギター、ヴァイオリン、チェロと
  4つのゲーム・コントローラーのための「ジェネレーション・キル」(2012) (+)
 ヨアフ・パソフスキー(1980-):拡張されたアンサンブルのための「ミンシャク」(2012) (+)
 ヨハネス・クライドラー(1980-):9つの楽器、オーディオとビデオ・プレイバックのための
  「絶望の道(ヘーゲル)はクロマティックである」(2012) (+)
 クラウス・シェドル(1966-):アンサンブルのための「自殺執行人 II〜脳内への壁を通って」(+)
 クレメンス・ガーデンシュテッタ一(1966-):サクソフォン、エレキギター、打楽器とピアノのための悲歌(**)
 マーリン・ボング(1974-):テナー・サクソフォン、打楽器、ピアノ、エレキ・ギターと
               4つのオブジェのための「コブシ・ブルイ〔拳振い〕」(2012) (**)
 ゲオルク・カッツァー(1935-):
  ソプラノとアンサンブルのための「アフター・キャロル(ジャバウォック)」(2012) (##)
 ベアト・フラー(1954-):クラリネット、トランペット、トロンボーン、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、打楽器と
              エレキギターのための「地平線」(2012) (++)

  ルッペルト・フーバー指揮(*) フランソワ=クサヴィエ・ロト指揮(#)
  SWRバーデンバーデン・フライブルクso.(*/#) ナダル・アンサンブル(+)
  アンサンブル・ニケル(**) アンサンブル・アサミシマサ(##)
  ヨハネス・カリツケ指揮アンサンブル・アスコルタ(++)
 録音:2012年10月、ドナウエッシンゲン音楽祭2012、ライヴ。おなじみ現代音楽の祭典ドナウエッシンゲン、ライヴ録音。スモルカとフラーという中堅からベテランの域に差し掛かった作曲家のあいだに若手作曲家が挟まれるという構成。ガンダーの「フクル」は、「超人ハルク」のアナグラムから生まれたタイトルで、放射能を浴び超人化したハルクが変身するときの感情を描いた作品らしく、いかにもアメコミらしいドタバタした音楽だ。ラジオやテレビ音声をふんだんに使ってコラージュ風に仕上げるクライドラーのB 級っぷりや、演劇的に盛り上がるシェドル作品、打楽器が活躍する躍動的な作品だが、なぜか途中で掃除機のカデンツァがある「コブシ・ブルイ」(これは日本語に因んだタイトル)など、若者パワー爆発のオモシロ系の現代曲がひしめく。ジャケット写真にある「ローテク/ハイテク」や「人間/機械」といった二項対立の狭間で右往左往する作曲家の思考がヴィヴィッドに伝わってくるようだ。スモルカやフラーによる落ち着いた成熟した作品と世代的な比較も興味深い。
狂気のオルランドのスケッチ
 D.M.ヴィソツキ、ベアトリーチェ・ザヴォドニク、バリー・ガイ、
 ブリス・ポーセ、レオナルド・ガルシア・アラルコン連作: Schizzo 〔 I-XXVI 〕
  D.M.ヴィソツキ(A.Sax) ベアトリーチェ・ザヴォドニク(Ob/イングリッシュHr)
  バリー・ガイ(Cb) ブリス・ポーセ(Cemb) レオナルド・ガルシア・アラルコン(Org)
 録音:2012年4月-8月。ジャズ、現代音楽のそれぞれのスペシャリストが集まり行ったフリー・ジャズ風のセッションで構成された一枚。D.M.ヴィソツキはニューヨーク在住でジャズのエリック・ドルフィの影響を受け、一時期ガンサー・シュラーとも共演した経歴を持つ。ザヴォドニクはH.ホリガーにオーボエを師事、クラングフォルム・ウィーンなどと共演し現代音楽の世界で活躍。バリー・ガイはロンドン・ジャズ・コンポーザーズo. の芸術監督でジャズ、現代音楽の領域で活動。ブリス・ポーセは現代音楽の作曲家・鍵盤奏者、レオナルド・ガルシア・アラルコンも作曲家・鍵盤奏者で自らのアンサンブルを率いている。
マーンコップ・エディション Vol.4 〜ジェルジュ・クルタークへのオマージュ
 クラウス=シュテファン・マーンコップ〔マーンコプフ〕:
  ギターと室内管弦楽のための「ジェルジ・クルタークへのオマージュ」(2000-01) (*) /
  2つのギターのための「クルターク二重奏」(2000) (#)
 ユルゲン・リュック(G) ヨハネス・カリツケ指揮(*)
 oenm 〔オーストリア新音楽アンサンブル〕(*) エレナ・カーゾリ(G;#)
 録音:2003年8月、ザルツブルク。NEOS レーベルが注力リリースしているマーンコップの作品集第4弾。今回は現在87歳の作曲家ジェルジ・クルタークへのオマージュ作品を二つ収録。ファーニホウに学び、新複雑系の旗手だったマーンコプフだが、近年は以前の色彩性を引き継ぎながらも、よりシンプルで柔軟な作風に変化しているようだ。ギター協奏曲のスタイルを持ち、1時間を超える大作「ジェルジ・クルタークへのオマージュ」も、間欠的に音楽が楚々と鳴る余韻の強い音楽になっている。ギター二重奏の「クルターク二重奏」も静謐で美しい音楽の流れのなかで、ときおりパーカッシヴなフレーズが出現する。
ルネ・ヴォールハウザー(1954-)〜ヴォールハウザー・エディション1
 ソプラノ、バリトン、室内アンサンブルと作曲者による音響詩のための「マラクラ・サイクル」(2008-2011)
  〔ミラ・シナク(2006) /スラング(2007) /ソクラク(2008) /イグール - ブレイ - ルウップ(2009) /
   チャリプティン(2010) /マラクラ・コードØ (2011) /マラクラ・コード2(2011) 〕

 アンサンブル・ポリソーノ
 録音:2006年-2012年、バーゼル。ルネ・ヴォールハウザーはスイス・ブリエンツ出身で、ロック、ジャズ・ミュージシャンとしての経験を積んだ後、カーゲル、ホリガー、クラウス・フーバー、ファーニホーに作曲を師事、ヨーロッパの数々の作曲賞を受賞し、1980年代の終わりから1990年代の初めまでダルムシュタット夏期現代音楽講習会の講師も勤めた筋金入りのヨーロピアン・アヴァンギャルド。7作品からなる声と器楽のためのシリーズ「マラクラ・サイクル」は作曲者によって書かれた音響詩をテキストとして声と器楽が対等の立場で徹底した既成の音響と文法の解体を行い、結果的に全く意味不明の言葉もどきの音響がガチャガチャと宙を舞う。
ルネ・ヴォールハウザー(1954-):
 フルート、クラリネット、チェロとピアノのためのピアノ四重奏曲(1979/83-84,rev.1987) /
 フルートとバス・クラリネットのための「デュオメトリー」(1985-86) /
 チェロとピアノのための「アイデアの飛翔」(1995) /定量電流(1996/97)(フルート、チェロとピアノのための版)/
 空間における時間の分解(2000-01/11)(クラリネット(バスを含む)、チェロとピアノのための版)/
 フルートとピアノのための「結論と過程のための習作」(2007) /
 声とピアノ、作曲者による音響詩のための「リ・ゲ・ティン (Ly-Gue-Tin) 」(2008)

  ルネ・ヴォールハウザー(P/Br)指揮アンサンブル・ポリソノ〔S/Fl/Cl/Vc〕
 録音:2007年-2012年。ルネ・ヴォールハウザーはスイス出身でロック、ジャズの経験を持ち、インプロヴァイザーとしても活動している。バーゼルアカデミーで学んだ後、セロツキ、カーゲル、ホリガーらに師事。ダルムシュタット音楽祭その他の主要なフェスティヴァルで作品は盛んに取り上げられている。点描的な音形と炸裂するクラスターの音塊など70〜80年代の前衛音楽シーンのイディオムが詰め込まれている。「リ・ゲ・ティン」では自作の音響詩を自ら歌う極めてユニークな作品。
ザ・ラインズ〜デニス・シュラー(1970-):独奏・二重奏作品シリーズ
 永続する感覚と退出(2011)[クリスティーナ・プレスッティ、ジスレーヌ・ヴェルクリ(S)]/
 春(2012) (*) /折り目の中で(2011) (#) /止められた7秒(2010) (+)
  [パオロ・ヴィナローリ(バスFl;*/Fl;#) アレクサンドル・バベル(Perc;#/+)]/
 青い月(2013)[アナ・シュピーナ(Va)]/メロディ(2010)[ベアトリーチェ・ザヴォドニク(Ob)]/
 タン・カ(2012)[タニヤ・ミュラー(バスFl) エリアーネ・ヴィリナー(ピッコロ)]/
 ロイサイダ(2012)[タマル・アルペリン(Cemb)]
 録音:2013年4月-5月。デニス・シュラーはイタリア、ジェノヴァ出身でドラムと打楽器を学んだ後、ミヒャエル・ジャレル、エマヌエル・ヌネスらに師事、フライブルクの国際宗教音楽作曲コンクールに優勝後、ヨーロッパの数々のコンクール、音楽祭で作品が評価されている。このアルバムにはソロ、デュオばかりが選ばれ、楽器とアンサンブルの様々な可能性が探求されている。特に2人のソプラノが織り成す幻想的な「永続する感覚と退出」、こどもがふと思いついて楽器と戯れているような無邪気な「折り目の中で」のピュアな抒情性など、作曲者の繊細なアイデアと透明なロマンティシズムが美しい。
ベンクト・ハンブレウス(1928-2000):ピアノ協奏曲(1991-92) (*)
クロード・レンナース(1956-):ピアノ協奏曲「ファエトン」(1999) (#)
 オルトヴィン・シュテュルマー(P)
 イスラエル・イーノン指揮 SWR バーデン=バーデン・フライブルクso.(*)
 ジルベール・アミ指揮ザールブリュッケン放送so.(#)
 録音:1997年2月25日(*) /2003年2月10日、ライヴ(#)。ハンブレウスはスウェーデン出身で、後にカナダに移住し活動した作曲家。当初オルガン、音楽学を学んだ後、即興演奏を行うようになり、次第に作曲に活動の重心を移した。このピアノ協奏曲は終始ピアノとオーケストラが激しくぶつかりあうエネルギッシュな作品でユダヤ風の音階と民族的なリズムが聴き手に原初的な生命力を呼び覚ます。レンナースはルクセンブルク出身でコンピュータ、電子音楽に造詣が深く、この「ファエトン」でもオーケストラの様々な音響、音色にその影響が感じられる。内部奏法を含むピアノの動きにオーケストラが反応し、繊細な音のテクスチュアを作り出す。
ヘルマン・ケラー(1945-):独奏・二重奏・三重奏のための即興作品集
 ピアノのための「即興的な4つの主題と変奏曲」(2007) /
 クラキシロヴィアと沸き立った惑星のためのソロ(2001) (#) /通知1(1993) (+) /
 起動(1976) MS /2つの翼を持ち、そして飛ぶことはできない(2010) /
 小さなバラード(2011)JK /モルト・セッコ(2008) (**) /33年後(2012)UK

  ヘルマン・ケラー(P;#以外/ピアキシルノ;#/鼻Fl;+/Vo;+)
  アントイェ・メッサーシュミット(Vn;+, **/うなり板;+/鼻笛;+/Va;**)
  マンフレート・シュルツ(バリトンSax;MS) ユルゲン・クプケ(ClJK
  ディートリヒ・ペッツォルト(Va;**) ウーヴェ・クロピンスキ(GUK
 録音:1974年-2012年。すべて世界初録音。ドイツ人作曲家ヘルマン・ケラーの即興演奏家としての本領が発揮されているアルバム。ジョン・ケージを思わせる余白の多い乾いた響きで弾かれる「即興的な4つの主題と変奏曲」に始まり、スイスの音響彫刻家マルティン・シュピューラーが作った打楽器とピアノを組み合わせた特殊なピアノ(ピアノ上部に金属状の覆いがあり、ピアノの一部のハンマーがそれを叩き、同時に演奏者が直接それを叩くことも可能)も登場。ジャズ・アーティストとしても舞台に立つケラーだが、それは「小さなバラード」や「33年後」にその傾向が強く表れている。
コンヴァージェンス〜ローリー・アルトマン(1944-)の音楽
 ピアノ・ソナタ第5番(2006) (*) /南極の収束(2006) (#) /独奏ピアノのための「ペドロの物語」(2007) (*) /
 ロメール・ベアデン=ア・ギャラリー・ツアー(2006) (+) /デュークのための「3」(2006) (**)

  クリッパー・エリクソン(P;*) アンドルー・ラスバン(Sax;#/+)
  ローリー・アルトマン(P;#/+/**) スコット・リー(Cb;+)
  パトリス・マイケルズ(S;**) ヘレン・ラスバン(Fl;**)
 録音:2007年1月、ブリストル教会、プリンストン/2011年11月、ニューヨーク。ローリー・アルトマンはアメリカ生まれのジャズ・ピアニストで作曲家。ジャズとクラシックおよび現代曲が互いに行き交うような作風が特徴。ピアノ・ソナタ第5番は極めてクラシカルな形式を持った作品(とくに第4楽章「序奏とフーガ、コラール」は完全な擬古典として書かれている)。「南極の収束」はジャズ的な要素が強く、デュークのための「3」は、デューク・エリントンのナンバーをクラシカルな様式にアレンジした作品。また、アフリカ系アメリカ人画家をテーマにして書かれた「ロメール・ベアデン=ア・ギャラリー・ツアー」は、ニューヨーク・アート版「展覧会の絵」の趣きも。
フォーク・ソングズ〜アンサンブル・エクスペリメンタル・エディション Vol.5
 ルチアーノ・ベリオ(1925-2003):
  メゾ・ソプラノと7楽器のための「フォーク・ソングズ」(1964)(ギター付ヴァージョン)(#)
 フランギス=ヌルラ・ホヤ(1972-):絶望のキャラヴァン(2011) / ヴィト・ズラーイ(1979-):ツグブレニ(2010/11)
 マルタ・ゲンティルッチ(1973-):衆目(2010/11) / マリアナ・ウングレアヌ(1974-):ネ・ヴェリ・ヴェトリ(2012)
 マルコ・ニコディエヴィチ(1980-):プリトゥリ・サ・プラニナータ(2013)
 ヤミリア・ヤジルベコヴァー(1971-): S.O.G. (2012)

 デトレーフ・ホイジンガー指揮アンサンブル・エクスペリメンタル
   [A、Fl、Cl、G、Perc、Va、Vc]
 エクスペリメンタル・スタジオSWR (ライヴ・エレクトロニクス;#以外)
 録音:2013年。(#)は同版による初録音。アンサンブル・エクスペリメンタルは2009年に結成された比較的新しいグループで7人構成。この編成にライヴ・エレクトロニクスのエキスパート集団、エクスペリメンタル・スタジオSWRを加え〔(#)を除く〕、多様な音響空間が繰り広げられる。登場する作曲家の年齢も様々、国籍もイタリア、カザフスタン、セルビア、スウェーデン、モルドヴァ、スロヴェニアと多様で、これ一枚でISCM World Music Days音楽祭の様相を呈している。最近の若手・中堅世代の動向を知るのに最適の一枚。
武満徹、細川俊夫ギター独奏作品集
 武満徹(1930-1996):すべては薄明の中で(1987) /エキノクス(1993) /
           フォリオス(1974) /ギターのための小品(1991) /森の中で(1995)
 細川俊夫(1955-):セレナーデ(2003)
  マルコ・デル・グレコ(G)
 録音:2012年-2013年。『…(マルコ・デル・グレコは)私の《セレナーデ》を、深い解釈と繊細なテクニックをもって演奏してくれました。彼の“歌う”ギターの美しさに、私は本当に感動しました。マルコは私の恩師である武満徹の音楽を愛しており、その偉大なギター作品を、神秘的に、自分の内なる音として演奏します。聴衆はきっと、何ひとつ難解に感じることなく、彼の武満作品の演奏を好きになるでしょう。マルコのような若く才能ある音楽家によって、武満の繊細で美しい音楽が新しい世代に知られ、愛されるものになることを、とても嬉しく思います。』(細川俊夫) ギタリストのマルコ・デル・グレコは若い年代における傑出したギタリストのひとりで多くのコンクールで目覚ましい成績を収め、2010年には第53回東京国際ギター・コンクールで優勝、世界中の主要なコンサートホールで演奏を行っている。武満の「すべては薄明の中で」は武満が好んだジャズやポップス(ビートルズなど)のエコーが聴かれる繊細な小品集。細川作品は現在の所、唯一のギター独奏曲だが、ギター協奏曲なども作曲しており、この楽器への愛着が感じられる。
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コンタクト・タンゴ
 グスタボ・ベイテルマン(1945-):ヴィオラとピアノのための5つの小品(1997)
 ルイス・ボルダ(1955-):真実の風(1996/2012) / パブロ・アギーレ(1961-):リベラシオン(2010)
 ミゲル・バルベロ(1943-):エントレラツァドス(2007)
 アストル・ピアソラ(1921-1992):ヴィオラとピアノのための2つの小品(1949)/
                 グラン・タンゴ(1982) /6つのタンゴ・エチュード(1987)

  ユリア・レベッカ・アドラー(Va) ホセ・ガジャルド(P)
 録音:2012年11月、フランクフルト、2013年3月、アイヒェナウ。ピアソラ作品以外はすべて世界初録音。クラシック音楽の演奏家にとってピアソラは、ごく当たり前のレパートリーになっているが、このアルバムはそのピアソラを初め、彼の流れを汲む現在活躍中のタンゴ作曲家のヴィオラとピアノのための作品を収録している。ピアニストでもあるベイテルマン、ギタリストとして名高いボルダ、バンドネオン奏者のバルベーロなど、アルゼンチン・タンゴの現場を知る作曲家たち。彼らのタンゴ作品は、アドラーのノーブルなヴィオラとガジャルドの変幻自在なピアノによって、クラシカルなニュアンスも生かして演奏されている。
 # Pure Audio Blu-rayディスク。当録音はオーディオファイル向けに特化したもので、2013年11月時点においてはCDプレーヤー、SACD プレーヤー、DVD プレーヤーで再生可能なアイテムはございません。Blu-ray プレーヤー、もしくは Blu-ray 対応の PC をご使用下さい。
災害へのプレリュード〜フィギューラ・アンサンブル・エディション Vol.1
 ペーター・ブルーン(1968-):メゾソプラノと大アンサンブルのため「災害へのプレリュード」(2008/09)
 アンデシュ・ブロズゴー(1955-):10の絞首台の歌(2006)
 シュタイングリムール・ローロフ(1971-): "Still Not. Not yet" 〔「じゃない/まだ」〕

 フィギューラ・アンサンブル
  [エレーネ・ギイェリス(Ms) アンナ・クレット(バスCl) フランス・ハンセン(Perc)
   イェスパー・エゲルンド(Cb) フローデ・アンデルセン(アコーディオン)]

 シアトル・チェンバー・プレイヤーズ[ポール・タウブ(Fl) ミハイル・シュミット(Vn)
                     デイヴィッド・サビー(Vc) ローラ・デルーカ(Cl)]
 録音:2010年-2011年。フィギューラ・アンサンブルは1993年に結成されたデンマークの現代音楽演奏団体で、これまでに200曲以上の現代作品を初演しているだけでなく、実験的な演奏会や次の世代の作曲家育成のためのワークショップなども行っている。シアトル・チェンバー・プレイヤーズは姉妹アンサンブルで相互扶助の関係にある。ブルーンとブロズガーはデンマーク、ローロフはアイスランド/ドイツの作曲家で新ロマン主義的もしくは若干、ニュー・トナリティの傾向が感じられる。このアンサンブルの録音は今後当レーベルでシリーズ化の予定。
メラ・マイアーハンス(1961-):
 声、打楽器とプリペアド・ピアノのための「エニグマ」(1999) (*) /ピアノ独奏のための「トリトン」(1989/90) (#) /
 声と打楽器のための「 A-a 」(2000) (+) /声のための「オルフェウス」(1999) (**) /
 無伴奏ヴァイオリンのための「開放弦 II 」(電子音響付随版)(1995/96, rev.1999) (##)

 レスリー・レオン(Vo;*/+/**) ローラ・ガラチ(P;*/#) フリッツ・ハウザー(Perc;*/+)
 レンカ・スプコヴァー(Vn;##) トメック・コルチンスキ(エレクトロニクス;##)
 録音:2014年5月。マイアーハンスはスイス出身で、現在はベルリンとブランデンブルクに居住。バーゼル音楽院で2000年まで電子音楽の招聘作曲家として研究、作曲、講義を行い、ハノーヴァー歌劇場、ルツェルン音楽祭など、多くの音楽祭、歌劇場オーケストラから委嘱を受けている。作風は電子音楽の影響を受けて打楽器、プリペアード・ピアノなどから思いがけず精妙な響きを引出し、それを綿密に紡いでゆく、といった静謐で繊細な物。「エニグマ」はプリペアード・ピアノのせいもあろうが、初期のケージを思わせる美しい歌曲。
望月京:エテリック・ブループリント三部作
 雅楽(作曲者不詳/10世紀以前):盤渉調〔ばんしきちょうの〕調子 (*) /双調〔そうじょうの〕調子 (*)
 望月京(1969-):エテリック・ブループリント三部作〔 4D (2003) (#) /ワイズ・ウォーター(2002) (#) /
                         エテリック・ブループリント[天空の青写真] (2005-06) (+) ]

 杉山洋一指揮 mdi アンサンブル(#/+)
 宮田まゆみ(笙;*) クリストフ・マゼッラ(エレクトロニクス;+)
 録音:2012年-2013年。望月京は東京芸大および同大学院作曲専攻修了後、パリ国立高等音楽院作曲科で学びその後、IRCAMで研鑽を積んだ。作曲をブライアン・ファーニホウ、ポール・メファノ、トリスタン・ミュライユらに師事し、芥川作曲賞、尾高賞ほか多くの賞を受賞。ザルツブルク音楽祭、ウィーン・モデルン、ヴァネツィア・ビエンナーレなど多くの国際音楽祭に招待され作品が演奏されている。収録されているエスリック・ブループリント(天空の青写真)三部作は人を取り巻く自然や宇宙のエネルギーについて音楽を通して考えるとの事から構想され、ゲーテやシュタイナーの色彩論からも影響を受けているという。「自然」「宇宙」が彼女の音楽の重要なキーワードとなっていることから実際の水の音や風の音も作品に取り込まれ、それが一定のパルスの中で移りゆく風景のようにゆっくりと過ぎてゆく様が美しい。冒頭の2トラックに望月が愛し影響を受けた笙の古曲、盤渉調調子と双調調子を収録。
ペーター・ルジツカ(1948-):管弦楽曲集 Vol.3
 ホルン四重奏と管弦楽ための協奏曲「スパイラル」(2013/14) (*) /ルシェルシュ〔最も内側で〕 (1999) (#) /
 R.W.、管弦楽のための塗装(2012) /R.W.、ピアノのためのトレーシング(2014) (+)
リスト(1811-1886):リヒャルト・ワーグナーによる(1883) (+)

 ペーター・ルジツカ指揮(+以外) MDRso.(+以外)、MDR放送cho.(#)
 ライプツィヒ・ホルン四重奏団(*) ゾフィー・マユコ・フェッター(P;+)
 録音:2009年、2014年。ルジツカの管弦楽(を中心とした)作品集第3弾。冒頭からオーケストラのダイナミズムを全開にし現代音楽としては異例なほどドラマティックな展開を臆面もなく行う事実上のホルン四重奏協奏曲(!)「スパイラル」から聴き手の耳はスピーカーに釘付け。パウル・ツェランに詩に基づくオペラティックな「ルシェルシュ」、そしてリストのワーグナーに基づくピアノ曲を挟んで、そのリストのワーグナー・パラフレーズを更にメタモルフォーズしてゆくユニークな管弦楽曲とピアノ曲と続く。
解体するアコーディオン
 ヴィト・ズライ(1979-):シルエット(2012)
 エドゥワルド・デメッツ(1958-):アコーディオンとサンプルのための4つのトラック(2013)
 クラウス=シュテフェン・マーンコップ(1962-):解体するアコーディオン(2000/01-08)
 アルトゥーロ・フエンテス(1975-):ゲットムーヴ(2011/14) / ルカ・ユハルト(1982-): HrUP (2013)

 ルカ・ユハルト(アコーディオン)
 録音:2011年-2014年。若手アコーディオン奏者ルカ・ユハルトはこれまでに40曲以上の新作を初演してきた。その中にはドナウエッシンゲン音楽祭で初演されたグロボカールの記念碑的作品「ローマのラジオグラフィ」も含まれている。このアルバムでは中堅以上の世代の作曲家の作品が選ばれており、いずれもアコーディオンの機能を最大限に生かした、さながら電子音楽のような特殊な音響であふれている。自作のhrUPでは奏者自らが叫び声をあげるなど、パフォーマンス、シアター・ピースの色合いも濃い。
アルトゥーロ・フエンテス(1975-):
 暗い室内楽(2013) (*) /スキファー(2010, rev.2013) (*) /
 スペース・ファクトリー(#)〔 III (チルドレン・サイクルより) (2011) / IV (2012) / V (2012) / VI (2012) 〕

  シメオン・ピロンコフ指揮 PHACE (*) アンサンブル・ルシェルシュ(#)
 録音:2012年-2013年。フエンテスはメキシコ出身の若手作曲家で1997年に渡欧、ミラノでフランコ・ドナトーニほかに師事した。彼は室内楽のほか、コンピュータ音楽、ダンスとのコラボレーション、シアター・ピースなど様々なメディアのための音楽を手掛けている。ここに収められた作品はいずれも特殊奏法を駆使した、アコースティック楽器で再現されたコンピュータ音楽(曲によっては電子音響とのコラボもあり)といってもよい、超絶技巧を要する作品。
フランコ・ドナトーニ(1927-2000):管弦楽作品集
 イン・カウダ(行きはよいよい帰りは怖い)〔 II (1993-1994) / III (1996) 〕/
 エサ(イン・カウダ V )(2000) /プロム(1999) /ブルーノのための二重性(1974-1975)
  杉山洋一 指揮東京po.
 録音:2012年8月22日、サントリー・ホール大ホール、2012年サマー・フェスティヴァル、全曲日本初演時、ライヴ。2012年に生誕85年を迎えたイタリア現代音楽の巨匠フランコ・ドナトーニの管弦楽作品を彼の愛弟子、杉山洋一の指揮のもと東京po. の熱演で聴く。ドナトーニは初期の新古典主義を経てポスト・ヴェーベルン主義な作風に転向、やがてケージの影響を受けた図形楽譜による不確定性の音楽を試み、更には他の作曲家の作品を引用、現代音楽の変遷の歴史をそのまま体現するような創作を行ってきた。なお、ここに収められた「プロム」と「エサ」はドナトーニの遺作となった作品で未完成のまま残されたが、弟子の杉山洋一によって補作完成された。前衛音楽でありながら管弦楽の鮮やかな色彩とダイナミズムで聴き手を惹きつける手腕はさすがにイタリアの作曲家。ノーノ、マデルナ、ベリオと続くイタリア現代音楽の層の厚さを改めて感じさせる珠玉の一枚。
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ドナウエッシンゲン音楽祭2013 〜全作世界初演
 エンノ・ポッペ(1969-):記憶(2008-13) (*)
 ベルンハルト・ラング(1957-):
  2つの管弦楽(一つは四分音)のためのモナドロジー XIII「生意気なメイド」(2013) (#)
 ジョルジュ・アペルギス(1945-):23人の独奏者のための「シテュエーション」(2013) (+)
 アルベルト・ポサダス(1967-):増幅された木管トリオと管弦楽のための三重協奏曲「ケルゲレン」(2013) (**)
 ヴァルター・ツィンマーマン(1949-):
  6群のオーケストラのための「スアブ・マリ・マグノ/クリナメン I - VI 」(1996-98/2010-13) (##)
 フィリップ・マヌリ(1952-):管弦楽とアンサンブルのための「元の位置で」(2013) (++)

 エンノ・ポッペ指揮(*) エミリオ・ポマリコ指揮(+) クラングフォルム・ウィーン(*/+)
 ヴォルフガング・リシュケ指揮(#) クリストファー・シュプレンガー指揮(#)
 フランソワ・クサヴィエ・ロト指揮(**/++) パスカル・ロフェ指揮(##)
 SWR バーデン・バーデン・フライブルクso.(#/**/##/++)
 ルシェルシュ木管三重奏団(**) アンサンブル・モデルン(++)
 録音:2013年10月18日-20日。2013年のドナウエッシンゲン音楽祭は10月に開催され、4日間で計10のコンサートが行われた。内容は室内楽、合唱、サウンドアート、ジャズ・セッション、管弦楽など、近年はますます多様なジャンルに渡る。このセットでは管弦楽の全コンサートを収録。若手・中堅世代からベテランまで幅広い作風を楽しめる。中でも大ベテランの巨匠ヴァルター・ツィンマーマンが長きに渡り作曲・改作を続けている上記作の、禁欲的だが豊穣な響きの持続は貫禄充分で特筆に価する。
ジャン=ピエール・ルゲ(1939-):
 チェンバロと5つの楽器のための「エトワール」(1981)
  [イレーネ・アッサヤグ(Cemb) ユキ・マヌエラ・ヤンケ(Vn) マリオ・ブラウマー(Vc)
   ヤニーネ・ノイゲバウアー(Cl/バスCl) ヴィルマンタス・カリウナス(Ob/イングリッシュHr)
   ブリッタ・ヤーコプス(Fl/ピッコロ) ヨアヒム・フォンテーン指揮]/
 弦楽三重奏曲(1978-1979)
  [ジャンジ・カオ(Vn) ベンジャミン・リビニウス(Va) マリオ・ブローメル(Vc)]/
 ピアノのための「アズール」(1990-1991)[ドミニク・メルレ(P)]
 録音:2012年1月。ジャン=ピエール・ルゲは作曲家、オルガニスト、インプロヴァイザーとしての多彩な顔を持ち、ヨーロッパで既に多くの作品を発表している。「エトワール」はチェンバロと室内アンサンブルのための小さな協奏曲でチェンバロの細かな動きが次第にアンサンブルに広がり様々に変容してゆく佳品。ピアノ曲「アズール」はメシアン譲りの色彩的なハーモニーと量感のあるピアノの音塊が魅力。
マニア〜ルネ・ヴォールハウザー(1954-):ピアノ作品集
 ヴォーチス・イマーゴ(ピアノ独奏版)(1993-95) /ピアノのための3つの小品(1986-87) /
 マニア(ピアノ独奏版)(2001-02) /ネスト(ピアノ独奏版)(1977) /
 ナシュラ(16分音アップライト・ピアノのためのオリジナル版)(2013)/
 ナシュラ(3分音ピアノのための版)(2013) /ナシュラ(通常の半音階ピアノのための版)(2013)

  モリッツ・エルンスト(P)
 録音:2013年-2014年。ルネ・ヴォールハウザーは作曲の他、ピアノ、指揮者、バリトン歌手までこなすマルチ・タレント。当初はジャズ、ロックの分野で活動していたが後にハインツ・ホリガー、マウリツィオ・カーゲル、クラウス・フーバー、ブライアン・ファーニホーらに師事しヨーロッパの正統的な前衛技法を駆使した作品を発表するに至った。注目作は3つのヴァージョンが存在するナシュラ(Naschra)。16分音によるヴァージョンではヴィシネグラツキを思わせる極彩色の微分音音楽、やがて3分音、半音階(通常のピアノ)と調律法を変えることにより色彩とニュアンスの変化を楽しめる。
ヴォイド〜マーンコップ・エディション Vol.5
 クラウス=シュテフェン・マーンコップ
(1962-):
 ヒューマナイズド・ヴォイド〔人間化無効〕(2003-07)[ローラント・クルティヒ指揮バイエルン放送so./2008年4月]/
 ヴォイド=コル・イシャ・アシリト(2010-12)[ルパート・フーバー指揮 SWR シュトゥットガト放送so./2012年12月]/
 8トラック・テープのための「ヴォイド=マル・ダルシーヴ」(2002/03)[エクスペリメンタル・スタジオSWR/2015年]
 録音:[/内]。マーンコップはフライブルク音楽大学でクラウス・フーバー、ヌネス、ファーニホーらに師事、80〜90年代のヨーロッパの主流のひとつである「新しい複雑性」の影響を受けた。ここに収められた最近作は静謐な音の穏やかな持続の中に突然入る衝撃的な音の楔とそこから生じる音の波紋、音色、音響運動の変化、日本的とも形容できる静と動のコントラストといったマーンコップの特徴がさらに深められている。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.20
 エリオット・カーター(1908-2012):シンフォニア「我は過ぎゆく希望の対価なり」(1993-96) (*)
 チャールズ・アイヴズ(1874-1954):「ロバート・ブラウニング」序曲(1908-12) (#)

  エミリオ・ポマリコ指揮(*) ステファン・アズバリー指揮(#) バイエルン放送so.
 録音:2012年1月14日(*)、2012年2月17日(#)、ムジカ・ヴィヴァ音楽祭、ライヴ。2012年に行われたムジカ・ヴィヴァ音楽祭ライヴより二人の突出したアメリカ人作曲家の作品を収録。103歳で亡くなるまで文字通りの生涯現役を貫いたカーターが85歳で書いたシンフォニアは約50分からなる大作で、その密度の高さとパワーにひたすら圧倒される。その前衛性がいまだ色褪せないアイヴズのロバート・ブラウニング序曲も必聴。バイエルン放送so.も熱演。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.21
 ヴォルフガング・ミッテラー(1958-):管弦楽、オルガンとエレクトロニクスのための「クラッシュ 1-5 」(2012) (*)
 イザベル・ムンドリー(1963-):ピアノと管弦楽のための「ノン・プレイス」(2008/2012) (#)

  ヴォルフガング・ミッテラー(Org;*) ニコラス・ホッジス(P;#)
  ペーター・ルンデル指揮(*) エミリオ・ポマリコ指揮(#) バイエルン放送so.
 録音:2013年1月25日(*)、2013年2月22日(#)、ムジカ・ヴィヴァ音楽祭、ライヴ。共に世界初演(時)。ミッテラーの「クラッシュ」〔潰す/崩す〕はその名の通り、複雑なリズムや激しい打撃音がめまぐるしく発しては消え、一つのフレーズが生まれかけたと思いきや即座にそれを叩き潰す、といったアグレシヴな音楽。クラシカルなフレーズやハリウッド映画的なフレーズも断片的に現れどこかユーモラス。ジャーマン・プログレをオーケストラで聴いているような感覚に陥る。ムンドリーの「ノン・プレイス」ではいきなり楽員の話し声と笑い声で始まり、度胆を抜かされる。その後はピアノと管弦楽との神経質な音のやり取りが進む。ニコラス・ホッジスの繊細なピアノが聴きどころ。
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ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.22
 ジェルジ・リゲティ(1923-2006):ロンターノ(1967)
 トリスタン・ミュライユ(1947-):
  ピアノと管弦楽のための交響的協奏曲「世界の幻滅」(2011/12) (*)
 ジョージ・ベンジャミン(1960-):パリンプセスツ〔羊皮紙写本〕(1998-2002)
 ピエール=ロラン・エマール(P;*) ジョージ・ベンジャミン指揮バイエルン放送so.
 録音:2012年5月2日-4日、ムジカ・ヴィヴァ、ライヴ。(*)世界初演。スペクトル楽派を代表する作曲家トリスタン・ミュライユの注目のピアノ協奏曲をメインに、ミュライユが影響を受けたリゲティと影響を与えたベンジャミンの作品を前後に配置した興味深いプログラム。「世界の幻滅」の作曲においてミュライユはリストのピアノ協奏曲第2番と ロ短調ソナタから多大な啓発を受けたと述べており、ドラマティックでめくるめく様々な響きの変化を堪能できる。ロラン・エマールの超絶技巧ぶりも聴きどころのひとつ。リゲティの「ロンターノ」は出世作「アトモスフェール」の音群作法を更に進め洗練させた曲で終盤わずかにブルックナーが引用されるイマジナリーな傑作。作曲者が自作自演するベンジャミン作品は似通った2つの楽章から構成された佳品。
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ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.23 〜ヘルムート・ラッヘンマン(1935-):
 ピアノと管弦楽のための音楽「アウスクラング〔終止音〕」(1984/85)
  ピエール=ロラン・エマール(P) ジョナサン・ノット指揮バイエルン放送so.
 録音:2013年4月26日、ムジカ・ヴィヴァ、ミュンヘン、ライヴ。ラッヘンマンの代表作で度々演奏される「アウスクラング」のライヴ録音。アウスクラングは「フィナーレ」を意味し、これまで邦訳は「終結音」「終止音」「終焉」といくつかある。管弦楽とピアノといっても協奏曲ではなく、関係は対等のようであり、オケとピアノの、ぽつぽつといった禁欲的な音のやりとりが続くと思いきや、突然クラスターの楔が打ち込まれるといった、おなじみのラッヘンマン節。東洋の書や山水画を思わせるモノクロームの響きが作曲家の澄み切った境地を表している。エマールとジョナサン・ノット率いるバイエルン放送so. の精度の高い際立ったリアリゼーションが聴き物。
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ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.24 〜ヘルムート・ラッヘンマン(1935-):
 レオナルドによる音楽「…2つの感情…」(1991/92) (*) /書 (2002/03、2004年版) (#)
  ヘルムート・ラッヘンマン(語り;*) ペーテル・エートヴェシュ指揮(*)
  スザンナ・マルッキ指揮(#) バイエルン放送so.(*/#)
 録音:2014年2月8日(*)、2011年7月8日(#)、ムジカ・ヴィヴァ、ライヴ。「…2つの感情…」は代表作「マッチ売りの少女」の次に書かれた語り手を伴う作品。テキストはアルンデル写本に残されたレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉のドイツ語訳が使われ、作曲者本人が朗読している。曲はドイツ語の様々な発音、呼吸がオーケストラに波及して音響素材として展開される極めて独創的なアイデアで書かれている。「書」はサントリーホールの国際作曲委嘱シリーズで初演された。再演に恵まれ既に複数のディスクがリリースされているが、ここでは初演後一部改訂された2004年版で。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.25 〜ホルヘ・ロペス(1955-):
 川の交響曲(ホルン協奏曲) Op.20 (2005-07) (*) /交響曲第3番 Op.24 (2012/13) (#)
  カルステン・ダフィン、フランソワ・バスティアン(Hr;*) エリック・テルヴィリガー、ウルズラ・ケプサー、
  トーマス・ルー、クィリン・ラスト、ノルベルト・ダウザッカー、ラルフ・スプリングマン(ワーグナーTu;*)

  ペーテル・エートヴェシュ指揮(*) ブラッド・ルブマン指揮(#) バイエルン放送so.
 録音:2012年6月16日(*)、2013年12月13日(#)、ムジカ・ヴィヴァ音楽祭、ライヴ。全作世界初演(時)。ホルヘ・ロペスはキューバ出身で後にアメリカに移住、カリフォルニアでモートン・スポトニクに作曲を師事した。1990年にヨーロッパに居を移し、現在はウィーンを拠点に活動を続けている。(*)では2つのホルンにワーグナー・チューバのアンサンブルまで動員する特異な編成でホルンの超絶技巧が聴き物。指揮のペーテル・エートヴェシュのサポートも絶妙で緊張度の高い空間が作り上げられている。
ブライアン・ファーニホウ(1943-):ピアノ作品全集 (-2015)
 レンマ=イコン=エピグラム(1981) /渦巻〔Quirl〕 (2011-13) (#) /
 話すピアニストのための影芝居「オーパス・コントラ・ナトゥラム」(2000) /インヴェンション(1965) (#) /
 エピグラムス(1966) (#) /3つの小品(1966-67) (#) /2台のピアノのためのソナタ(1966) (*/#)

  ニコラス・ホッジス(P) ロルフ・ハインド(P;*)
 録音:2011年-2014年。(#)は世界初録音。「新しい複雑性」の作曲家として名高いファーニホウの初期作品から近作を含めたピアノ作品集。ファーニホウは12音技法および総音列主義を出発点としそれを徹底的に推し進めた複雑で演奏困難な作品で知られる。CD2では20代前半の作品が世界初録音として収録。ヴェーベルンを思わせる寡黙で美しい作品。ファーニホウの創作を俯瞰する上で最適のディスク。
ニコラウス・ブラス(1949-):弦楽四重奏曲第4番(2008)
  〔記憶のカタログ/十字の象徴/すなわち/愛の対話/とりわけ〕

 アンサンブル・コリオリス[ムリエル・カントレッジ、ミハエラ・ブッフホルツ(Vn)
                クラウス=ペーター・ヴェラーニ(Va) ハンノ・シモンズ(Vc)]
 録音:2009年9月。ブラスはドイツの作曲家で当初、医学を学んだ後、個人的にラッヘンマンに作曲を師事した。1986年にダルムシュタットでモートン・フェルドマンと出会い影響を受けている。収録の弦楽四重奏曲は表現主義的な激しさとフェルドマンを思わせる瞑想的で静謐さが混在するブラス円熟の秀作で太く荒々しい筆遣いから繊細で幽玄なタッチまで、モノトーンの弦楽四重奏が水墨画や日本の書を想起させる。
マルティン・ヘルヒェンレーダー(1961-):オルガン作品集
 時空間II (2001/2008) 〔ファンタジー(*) /ヒムヌス(*) /トリオ(+) /リチェルカーレ(+) 〕/
 時空間I「アド・フォンテス」(1996) (#)〔前奏曲/抑揚/オルゲル・プンクト〕/
 パウル・クレー・ブラット III 〜夜の光線(1991) (#) /トッカータとラメント(2008) (+) /
 パウル・クレー・ブラット V〜海の輝き(2011) (*)

  ハンス・ダヴィドソン(Org;+) マルティン・ヘルヒェンレーダー(Org;#)
  クリスティアン・シュミット(Org;*)
 録音:2014年。マルティン・ヘルヒェンルーダーはドイツの作曲家、オルガニスト、音楽学者でドイツ国内はもとよりアメリカ、中国、カナダでも教鞭を執っている。作曲家兼プレイヤーとしてマーカス・シュトックハウゼン、アルディッティSQ とも度々共演している。彼のオルガン作品はオルガンの様々な機能を駆使しつつも、根底にバッハなどの音楽があり、新古典主義的もしくは新ロマン派的に聴こえ、現代音楽の語法を使いながら大変華麗でロマンティックな響きに溢れている。
ヴォルフガング・フォン・シュヴァイニッツ(1953-):7つの23リミット・ハーモニー・
 イントネーションの習作「プレイン・サウンド・カウンターポイント」(2010-11) (*)
キャスリーン・ラム(1982-):ミラー(2006) (#)

 フランク・ライネッケ(Cb)
 録音:2012年(*)、2013年(#)。世界初録音。ダブル・ベース独奏のための2人の作曲家の作品を収録。どちらも独自の調律および倍音の構造に着目した音響音楽。シュヴァイニッツはハンブルクでリゲティに師事後、アメリカ・スタンフォード大学でコンピュータ音楽について研究、1990年代にはダルムシュタットに招かれて教鞭を執っている。終始ダブル・ベースのハーモニクスや倍音による虹のように繊細に変化する静謐な音が持続する。キャスリーン・ラムは純正律の大家ジェイムズ・テニーに師事。シュヴァイニッツとは異なったやり方でダブル・ベースから倍音の豊かな響きを引き出す。
ケルターボーン、モーザー、ロート:室内アンサンブル作品集
 ルドルフ・ケルターボーン(1931-):ピアノ四重奏のための「4人の奏者のための4つの小品」(2005)
 ローラント・モーザー(1943-):ヴィオラ、チェロとピアノのためファンタジー「 HALL=反対票」(2010)
 ミハエル・ロート(1976-):モンドリアン・チクルス(2001-10)
  〔疲れ(2003) /フェリンナルング(2001) (+) /変位〔ブギウギ〕(2004/2010) (#) 〕

 モンドリアン・アンサンブル
  [ダニエラ・ミュラー(Vn) ペトラ・アッカーマン(Va) カロリーナ・オーマン(Vc;#以外)
   マルティン・ヤッギ(Vc;#) タルミコ・コルツァイア(P)]
 録音:2009年9月。(+)を除き世界初録音。モンドリアン・アンサンブルは2000年に結成され、ルツェルン音楽祭を始めとする多くのフェスティヴァルやホールに出演している。ディスクにはいずれもこのアンサンブルのための書かれた作品が収められている。弦楽器とピアノの細やかな運動の集積が不思議な音響を生み出すケルターボーン作品、ピアノパートに内部奏法を含むアグレシヴなモーザー作品が聴きどころ。
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(1965-):
 九重奏曲 -512 bpm (1998) /七重奏曲(2001) /
 六重奏曲(2006) /八重奏曲(1995)
フランク・オッル指揮
アンサンブル・モデルン
 録音:2008年-2009年。ヴェッセルマンはドイツの作曲家。11歳で自作の打楽器で最初の作曲を試みた。エッセンのフォルクヴァング音楽大学で学び、後に電子音楽の研究を行い、ケルンの西ドイツ放送の若手作曲家の国際フォーラムでは2チャンネル用のテープリミックス(1991)賞を受賞している。ここに収められた作品はサクソフォン、エレクトリック・ギター、エレクトリック・ベース、ドラム・セット、電子キーボードが多用されると共に反復的な書法が取られジャズ、ロック、ミニマル・ミュージックの影響が強く感じられる。しかしアメリカの作曲家たちと違ってどこかシニカルなスタイルはさすがにドイツの作曲家。
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(1965-):ピアノ作品集
 ソロ〔5(1998/99) /6(2000) /7「モトブルース」(2001) /9「コンビナトリカル・エチュード」(2003) 〕

  モリッツ・エッゲルト(P)
 録音:2005年5月。ヴェッセルマンはケルンを拠点に活動する作曲家。反復を基本としながら徐々に変化してゆくところからミニマル・ミュージックの影響が強いと思われる。「ソロ7」ではブルースの現代音楽的解釈が行われ、非常に爽快感のある作品となっている。ミニマルといってもアメリカの作曲家たちのようなあっけらかんとした楽天性がないのは、ドイツの国民性ゆえのことか。日本の一柳慧やイギリスのフィットキン、ライヒの初期作品であるピアノ・フェイズといった即物的なミニマリズムに近い印象。
CANTIQUE
 レーガー(1873-1916):ベックリンによる4つの音詩 Op.128 より
  〔第1曲「ヴァイオリンを弾く隠者」/第2曲「波間の戯れ」〕
 エルネスト・ブロッホ(1880-1959):ヘブライ狂詩曲「シェロモ」(*)
 アンドレアス・プリューガー(1941-):チェロと大管弦楽のための「絵画」(2014) (*/#)
 レーガー:ベックリンによる4つの音詩 Op.128 より〔第3曲「死の島」/第4曲「バッカナール」〕

  エステレ・レヴァーツ(Vc;*) ファクンド・アグディン指揮ムジーク・デ・ルミエールo.
 録音:2015年2月。(#)は世界初録音。レーガーの「ベックリンによる4つの音詩」をアルバムの始めと終わりに、中にチェロ独奏を伴う協奏的作品を配置した面白い企画アルバム。プリューガーの「絵画」はパウル・クレー、セガンティーニほかの絵画にインスパイアされて作曲された5楽章からなる大変ロマンティックな大作で良質の映画音楽を思わせるダイナミックな展開が魅力的。なおチェリストのエステレ・レヴァーツはスイス出身の女流。パリ国立高等音楽院で学んだ後、ケルン音楽院でマリア・クリーゲルに師事した。既に数々のコンペティションに上位入賞しソリストとして活動を始めている期待の若手。
NEOS-11511
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
トマス・ケスラー(1937-):
 詩の朗読、ラップ合唱、弦楽四重奏と管弦楽のための「頭にショットガンを」(2003) (*) /
 5人の声と41楽器とライヴ・エレクトロニクスのための「ユートピア II 」(2011) (#)
  ジョナサン・ストックハンマー指揮 WDR ケルン放送so.
  ソウル・ウィリアムズ(詩、朗読;*) ラップ・コーア〔ラップcho.〕(*)
  ソジョン・アン、イシス・クリューガー、アクセル・リンドナー、
  ヨハンナ・メルダー、バルバラ・ツィールシュ(Vo;#)
 録音:2009年1月(*)、2011年7月(#) 。ケスラーはブラッハー、ペッピングに師事した後、自ら電子音楽スタジオを設立し研究と制作に打ち込んだ。以来、コンピュータとアンサンブルのための作品を中心に数多くの作品を発表している。このディスクではアフリカ系アメリカ人の詩人、ラッパー、シンガーのソウル・ウィリアムズとのコラボレーションによる「頭にショットガンを」が大変ユニークな作品として注目。ソウル・ウィリアムズはヒップ・ホップ、ロックなどジャンルを超えて活動するアクティブなシンガーソングライター。この作品では貧困、暴力、人種偏見など現代の様々な問題を告発した詩に様々な新しい響きがぶつかり合う。ウィリアムズ自らが語る自作の詩に含まれる英語のリズム、イントネーション、多様な子音が楽器に反映されやがて管弦楽全体に拡散されてゆくアイデアは極めて独創的。『語りと管弦楽のための作品としてはシェーンベルクの「ワルシャワの生き残り」に匹敵する傑作』と代理店。
NEOS-11512
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価格帯:B
ニコラウス・ブラス(1949-):弦楽三重奏曲集
 ヴァイオリン、ヴィオラとチェロのための
  「 Morgenlob 」/
 弦楽三重奏曲〔第2番「グランツ」/第3番「素描」〕
トリオ・コリオリス
 録音:2009年8月3日-6日、2015年6月16日-17日。 ブラスはドイツの作曲家で、当初は医学を学んだ後、個人的にラッヘンマンに作曲を師事。1986年にダルムシュタットでモートン・フェルドマンと出会い影響を受けている。この弦楽三重奏曲集も、ブラスの幽玄なタッチは日本の水墨画のようなモノトーンの幻想的な風景が広がる。
クリスティアン・オッフェンバウアー(1961-):弦楽四重奏のための作品集 1997-2011
 弦楽四重奏断章〔(第1) (1997) /第2「トーマス・ハインリヒのために」(2008) /
         第3「ユング・シュテルツィのために」(2009) /
         第4「断章 IV 」(2010) /第5 (2011) /第6 (2011) 〕/
 破壊(時/部屋)「クラウス・ペーター・ケールのために」(1999)
  アルディッティSQ [アーヴィン・アルディッティ、アショット・サルキシャン(Vn)
             ラルフ・エーラーズ(Va) ルーカス・フェルズ(Vc)]
 録音:2013年6月。オッフェンバウアーはオーストリア出身の作曲家、音楽理論家。作曲をフリードリヒ・チェルハに師事した。このCDには2015年現在までに作曲された彼の弦楽四重奏の全てが集められており、いずれも終始弱音で演奏されるユニークな音楽。ブックレットに掲載されている譜例を見ると非常に細かく指示が書き込まれており、微細な音の変化と構造に耳を傾けさせる音楽としてヴェーベルンの系譜に属する作曲家と思われる。アルディッティの精妙なレアリゼーションが聴き物。
NEOS-11515
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
エクスペリメンタル・スタジオ40周年アンソロジー Vol.1
 クリストバル・アルフテル(1930-):声、2人の打楽器奏者、ピアノとテープのための「結紮糸」(1970/71)
  [エレーヌ・フォーシェ(S) デトレフ・ホイジンガー指揮アンサンブル・エクスペリメンタル]
 ブライアン・ファーニホウ(1943-):バス・フルートとテープのための「ムネモシネ」(1986)
  [マルティン・ファーレンボック(バスFl)]
 アンドレ・リシャール(1944-):バス・クラリネット、コントラバス・クラリネット、2つのコントラバスと
  ライヴ・エレクトロニクスのための「グリディフ.音と歌」(ルイジ・ノーノの追憶に)(1991年版)(*)
 デトレフ・ホイジンガー(1956-):ピアノ・トリオとライヴ・エレクトロニクスのための「アブラウム II 」(1995)
  [デトレフ・ホイジンガー指揮(*) コレギウム・ノーヴム・チューリヒ]

  エクスペリメンタル・スタジオSWR(制作)
 録音:2013年。電子音楽制作スタジオ、エクスペリメンタル・スタジオ SWR の設立40周年記念。フランスのIRCAMと並ぶ電子音響制作のエキスパートでこれまで多くの作曲家に技術を提供してきた、同スタジオが制作に関わった作品の中から主要なものをセレクトし、新たに録音したシリーズ第1弾。女声とテープ、アンサンブルのために書かれた静謐な美しさを持ったアルフテル作品、新しい複雑性の旗手ファーニホウの呪術的なフルートのための作品など聴きどころ満載。
NEOS-11516
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
エクスペリメンタル・スタジオ40周年アンソロジー Vol.2
 ハヤ・チェルノヴィン(1957-):女声と9つの予め録音されたライヴ・エレクトロニクスを伴う
  リフレクションのための「シュー・ハイのやり投げの練習」(1997) (*)
 マルク・アンドレ(1964-):コントラバス・クラリネット、チェロ、打楽器、ピアノと
  ライヴ・エレクトロニクスのための「 ab II 」(1996/97) (#)

 エクスペリメンタル・スタジオSWR(制作) ノア・フレンケル(A;*)
 デトレフ・ホイジンガー指揮コレギウム・ノヴム・チューリヒ(#)
 録音:2013年。チェルノヴィンはイスラエル出身でファーノホーとロジャー・レイノルズに師事。ヘブライ語の語り歌い、唸り声、様々な唱法に加工された音響が絡む。アンドレはグリゼーに師事、スペクトル楽派の技法を更に発展させた作品を発表している俊英。神経を逆なるささくれ立った室内アンサンブルと悠久の時の流れを思わせる電子音響の対比が印象的。
ヨーク・ヘラー(1944-):弦楽四重奏作品集(and more)
 弦楽四重奏のための3つの断章(1966) /弦楽四重奏曲第2番(1997) /
 弦楽四重奏とピアノのための2つの形状(2007/08) /
 弦楽四重奏曲第1番「アンティフォン」(弦楽四重奏と電気的に
  変化させられた弦楽四重奏〔4チャネル・テープ〕のための)(1976, rev.1984)
 ミンゲSQ マルクス・ベルハイム(P)
 録音:2011年2月、11月。ギーレンやエトヴェシュなどによる作品集(NEOS-10829)、セミヨン・ビシュコフによる「天球」「永遠の日」(NOES-11039)に続く NEOS レーベルのヨーク・ヘラー作品集第3弾。弦楽四重奏を中心とした作品を集成。ヘラーはベルント・アロイス・ツィンマーマン、ヘルベルト・アイメルトに作曲を師事、ダルムシュタットではブーレーズの楽曲分析の講義を受け、パリの IRCAM では電子音響の研究にも携わっている。初期作品から音色への関心が強く見られるが12音技法の影響から次第に音響の電子的な変容のプロセスに作曲の関心が移り、「アンティフォン」では弦楽四重奏と電子的に変容された弦楽の音響が不可分に絡む独自のスタイルを完成している。
マルティン・シュルンプ(1947-):
 鏡像(2013) [ミシェル・ルイリー(Va) トマス・グロッセンバッハー(Vc) ペティヤ・ミーネヴァ(P)]/
 押して引く(2013)[セルゲイ・チルコフ(アコーディオン)]/
 クラリネットと弦楽四重奏のための「ファイヴ・ポインツ」(2012)
  [マティアス・ミュラー(Cl) ガラテアSQ ]/
 パズル(2011)[マティアス・ミュラー(バスCl) マルティン・シュルンプ(コンピュータ)]/
 アルト・サクソフォン、チェロとピアノのための「パンドラの約束」(2014)
  [ハリー・ホワイト・トリオ〔Sax/Vc/P〕
 録音:2012年-2015年。シュルンプは当初フェルディナント・ライトナーに指揮を学び、後にチューリヒでルドルフ・ケルターボーンに、ベルリンではボリス・ブラッヒャーに作曲を師事した。クラシック、現代音楽とともにジャズの即興についての研究をし、現代音楽とジャズの高次元での融合が彼の音楽の重要なテーマとなっている。最初の音楽体験はクラリネットという経歴からか、このディスクでもクラリネット、サクソフォンが活躍する作品が多い。「押して引く」は文字通りアコーディオンの演奏行為を示しており、独特のユーモアのセンスとヨーロッパ流に抽象化されたジャズのエコーを聴きとることが出来る。
NEOS-11520
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ヴォルフガング・リーム(1952-):
 アンサンブルのための「球のまわりの球」(1992/2003) (*) /
 A管クラリネットのための小品「ヴィル・マール」(2000) (#) /
 アンサンブルのための「セラフィン − 球」〜(1993-96/2006) (*)
  ルパート・フーバー指揮 ŒNM〔オーストリア現代音楽アンサンブル〕(*)
  アンドレアス・シャブラス(Cl;#)
 録音:2007年(*)、2016年(#)。 ドイツ作曲界の重鎮リームの2000年前後に書かれた作品集。「球のまわりの球」は激しい点描的な音の打撃音の中から次第に音価の長い音の層が棚引かれ持続してゆくが、それによって特にドラマが形成されるわけではなく、ひたすら緊張した空間が続く、ヴェーベルン、フェルドマンの今日的影響の在り方、といった作品。「ヴィル・マール」はクラリネット・ソロによる4つの小品で特殊奏法こそないもののクラリネットのあらゆる可能性が追及された超絶技巧作品。「セラフィン-球」は「球のまわりの球」と対をなす曲で、素材面で同じものが扱われている他、激しい点描的な様式も共通しているが、こちらの方がより激しくドラマティクな展開が行われている。
NEOS-11521
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
クロッシング・ザ・ボーダー〜ペーター・ルジツカ(1948-):
 ・・・私はより多くの事を外から得る以上に、自分でアイディアを見つけることは出来ない・・・(2012) /
 パウル・ツェランの詩「時の屋敷」によるバリトンと室内アンサンブルのための「・・・歌を強打する」(1985) /
 チェロと室内アンサンブルのための協奏曲「・・・限度を越えて」(2010) /
 弦楽四重奏曲第5番「秋」(2004) (#)
  ヨハネス・カリツケ指揮オーストリア現代音楽アンサンブル〔 œnm [oenm] 〕
  ディートリヒ・ヘンシェル(Br) ペーター・ジーグル(Vc) œnm [oenm] SQ (#)
 録音:2015年-2016年。ハンブルクでヘンツェとハンス・オッテに師事したドイツの重鎮ペーター・ルジツカのアンサンブル近作を集成。ゲルト・アルブレヒト、アシュケナージ、リッカルド・シャイーらクラシックを主なレパートリーとする音楽家によって好んで取り上げられている。作風はポスト・セリー以後の音色、音群をいかに操作して新奇な音響を作り出すかという方向に関心が向けられており、ツェランの詩による「歌を強打する」では言葉の韻や音色が楽器と等しく扱われ緊密な密度の高い空間が展開する。
NEOS-11522/24
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(3 HYBRID_SACD
+ DVD [PAL])
3枚価格
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭 2014
 フリードリヒ・チェルハ(1926-):夜(2012/13) / ハンスペーター・キーブルツ(1960-):闇へ進む(2014)
  [エミリオ・ポマリコ指揮バーデン=バーデン・フライブルクSWRso.]
 フランソワ・サルアン(1972-):
  9人の奏者、エレクトロニクスとヴィデオ・プロジェクションのための「セントラル・パーク」(2014)
  [フランソワ・サルアン(声) スタジオ・ムジーク・ファブリーク、エクスペリメンタル・スタジオ SWR]
 サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-):5人の声と10人の奏者のための「謝肉祭」(2010/11)〔第1番−第10番〕(*)
 チヨコ・スラヴニク(1967-):内なる声(2014)(#)
 ヴォルフガング・リーム(1952-):トランペットとアンサンブルのための「意志としての音」(2011/14) (+)
  [イラン・ヴォルコフ指揮クラングフォルム・ウィーン ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥットガルト(*)、
   エクスペリメンタル・スタジオ SWR (#) マルコ・ブラーウ(Tp;+)]
 ペーター・アブリンガー(1959-):地点と識見(2014)
 クシシトフ・マラツカ(1972-):ピアノと七重奏のための協奏曲「メロディクティオネール〔旋律の辞書〕」(2014)(**)
 ブライアン・ファーニホウ(1943-):アンサンブルのための「インコンジャクションズ」(2014)
  [ジョナサン・ストックハンマー指揮アンサンブル・モデルン ヘルマン・クレッチマー(P;**)]

 *PAL-DVD [146:08]
  シモン・ステーン=アンデルセン(1976-):ピアノ、サンプラー、ヴィデオと管弦楽のためのピアノ協奏曲(2014)
  オンドジェイ・アダーメク(1979-):エア・マシン、合唱と管弦楽のための「肉体と精神」(2014)
   [フランソワ・グザヴィエ・ロト指揮バーデン=バーデン・フライブルクSWRso. ニコラス・ホッジス(P)
    クリストフ・グラント(エア・マシン) ノイエ・ヴォーカルゾリステン・シュトゥットガルト]
  ジェニファー・ウォルシュ(1974-):トータル・マウンテン(2014)[ジェニファー・ウォルシュ(パフォーマンス)]
  映像「近代のための戦士:アルミン・ケーラーとドナウエッシンゲン音楽祭」[ザイトス・ドレーヤー(フィルム)]
 録音:2014年10月17日-19日、23日、ドナウエッシンゲン音楽祭 2014 、ライヴ。(*)の第10番を除き世界初演。ヨーロッパ現代音楽最大の祭典、ドナウエッシンゲン音楽祭2014の主要なコンサートのライヴを収録。もはやザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭と並ぶ、この催しは作曲家、演奏家も超一流。2014年はチェルハ、シャリーノ、ファーニホウら大御所が圧倒的な新作を発表し、その健在ぶりを見せたほか、リーム、キーブルツら中堅からベテラン世代の脂の乗り切った充実の作品を聴かせてくれた。一方、マーラトカ、ウォルシュ、スティーン=アンデルセンら若手世代の活躍も目が離せない。演奏陣はおなじみ南西ドイツ放送so.をはじめ、クラングフォルム・ウィーン、アンサンブル・モデルンも集結。このセットひとつでヨーロッパ現代音楽の最前衛地点を把握出来る。
 # DVD は PAL 方式のため、国内の通常映像器機では視聴できません。
パトリック・ドゥフォセ&アンヌ=ガブリエル・ドゥベッカー
 現代の、即興された、エレクトロ=アコースティック音楽
  「 QUATRE = ONZE = = (7) 」(2013-14)〔ムーヴメンツ 1−4〕
 パトリック・ドゥフォセ(アコースティック&ディジタルP/Perc/コンピュータ)
 アンヌ=ガブリエル・ドゥベッカー(ライヴ・スカルプチャー/ボウル)
 ダニエル・エルトマン(ソプラノ、テナー、バリトンSax/Perc)
 ベニー・スルチン(テナーTp/ユーフォニウム/Perc)
 録音:2013年10月25日、国立音楽創造センター、フランス、ライヴ。作曲家と現代音楽の演奏に深く関わっている演奏家たちによる集団即興「 4 = 11 = = [7] 」。2人の作曲家ドゥフォセとドゥベッカーは、主に即興の基礎となるいくつかの素材の提供し、あとの二人は基本的に管楽器を担当。彼らの演奏はリアルタイムで音響加工、または打楽器を加えられたりする。こうして出来上がった音楽はムーヴメント1がヨーロッパの前衛音楽風、ムーヴメント2がユーロ・ジャズ風、ムーヴメント3がグルジェフあたりと思わせる妖しい疑似民族音楽風、ムーヴメント4はエレクトリック・ピアノが入り、ジョージ・ラッセル風の先鋭的なジャズといったバラエティ感の溢れる内容となっている。『ジャズ・ファンにも自信をもってお薦め』と代理店。
ニコラウス・ブラス(1949-):ピアノ作品集
 11のベネディクティオン「空の手のための作品」(2011) /ピアノ音楽第2番「走行中の歌」(1983) /
 無効(1999) /ウンディーネは行く(2014) /愛の対話 V (2010/11)

 ヤン・フィリップ・シュルツェ(P)
 録音:2015年9月。 ブラスはベルリン自由大学で医学を学ぶ傍らミュンヘン音楽大学で作曲を、また私的にラッヘンマンにも師事した。1978年より数年間ダルムシュタット夏季現代音楽講習会で学び、その際、モートン・フェルドマンに会い、影響を受けている。このディスクは作曲者30代の若書きから最近の作品までをピアノ曲で辿る内容。「空の手の歌」はピアニストが時折り、唸ったり叫んだりしながらも終始静かな緊張感が続く、師匠ラッヘンマン譲りの奇抜さとフェルドマンの静謐が合体したような組曲。「無効」ではドビュッシーかスクリャービンと思わせる華麗な響きがフェルドマン風にどこへ向かうともなく霧のように漂い続ける佳品。このアルバムで最も新しい「ウンディーネは行く」では激しいクラスターの嵐と静かな無調の旋律が交互に対話を続ける秀作。
ヨハネス・X.シャフトナー(1985-):室内アンサンブルのための作品集
 室内アンサンブルのための交響的エッセイ(2008-16) /
 大管楽アンサンブルのための「エア/サミュエルエアロフォンに」(2013) /
 ソプラノと室内アンサンブルのための「4つの風の絵」(2013) /
 打楽器ソロのためのインヴェンション III 「石蹴り」(2013) /
 打楽器とピアノ五重奏のためのインヴェンション IV 「カノン(ヨハンナ・M.バイヤーに捧げる)」(2016) /
 打楽器と管楽奏者のためのインヴェンション V 「バッテリー」(2016) /
 バリトンと室内アンサンブルのための「上昇」(2010)

 マルクス・エルスナー指揮アンサンブル・ツァイトシュプルング
 テレーゼ・ヴィンセント(S) ペーター・シェーネ(Br)
 録音:2016年。シャフトナーはミュンヘン出身の若手作曲家、指揮者。この世代になると、いわゆる20世紀後半を席捲した前衛音楽はもはや金科玉条のごとく崇め奉るものではなくなり、その他の音楽(クラシック、ポップスなど)と等価値になり、表現内容により自分の表現として自由に混ぜ合わせられるようになっている。彼の音楽では調性、周期的リズム、ストリート・ミュージック風の音楽が独自の手法で巧みに取り入れられ、個性的な作品となっている。サミュエルエアロフォンとは管楽器のロング・トーンを長く続かせるための補助装置で、シュトラウスのアルプス交響曲で使用を推奨されている。
NEOS-11604
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価格帯:B
ホルスト・ローゼ(1943-):ヒエロニムス・ボッシュ〔ボス〕3部作
 7つの大罪(1989) /最後の4つの出来事(1996/97) (#) /用心せよ、所有者が見ている(2011-12) (+)

  クリストフ・マリア・モースマン(Org) ロベルト・フンガー=ビューラー(声;#)
  アルド・ブリッツィ指揮バンベルクso.(#/+)
 録音:2016年(#以外)、1997年(#)。ホルスト・ローゼはヘルムート・エデル、ベルトルト・フンメルに作曲を師事した。ガルシカ・ロルカの詩による声楽作品、数々のダンスのための実験的作品を発表し、作品はバンベルクso.、バイエルン放送より委嘱、演奏されている。作風は現代ドイツの作曲界にありがちな極端な前衛主義には傾かず、神話、伝説にインスピレーションを得た幻想的な物。このアルバムではルネサンス期のオランダの画家で奇怪で超現実的な画風で知られるヒエロニムス・ボッシュ〔ボス〕の絵画にインスパイアされた3つの作品を収録。オルガン、管弦楽と打楽器により鮮やかで壮麗な音の叙事詩を作り上げる大作「最後の4つの出来事」が聴き物。
ヴォールハウザー・エディション Vol.4 〜ルネ・ヴォールハウザー(1954-):
 ソプラノとバリトンのための「カザマロヴァ・サイクル」(2009-14) /バリトン独唱のための「イグアナ」(2009) /
 ソプラノ、バリトンとピアノのための「スラウェディク・サイクル」(2005-06) /デュエット〜バリトン独唱版(2008)

 デュオ・シモルカ=ヴォールハウザー[クリスティーヌ・シモルカ(S) ルネ・ヴォールハウザー(Br)]
 録音:2005-2014年。ヴォールハウザーは指揮者、ピアニストであるばかりかバリトン歌手でもあり、このディスクでも渋い歌声を聴かせている。当初ロック、ジャズ・ミュージシャンとして活動を始め、後にセロツキ、カーゲル、ホリガーらに学んだ。「カサマロヴァ」ではホーミーの唱法が取り入れられ全体は異教的、神秘的な雰囲気にあふれている。「スラウェディック」では子音や呼吸音まで素材として扱われ、さながら口による電子音楽という様相。
ルペルト・フーバー(1953-):
 混声合唱、エジプト・マディ・アンサンブルと10のボウル・ベルのための
  5部からなるモデム「ル・イ・グラーブ(薔薇の魂)」(2006) (*) /
 混声合唱、ボウル・ベル、オカリナとパイプのためのモデム「私のヴェネチア」(2009) (#)
  ルペルト・フーバー指揮バイエルン放送cho.
  マディ・アンサンブル(*) ドリス・フーバー(ボウル・ベル;*)
 録音:2008年6月(*)、2009年4月-5月(#)。 ルペルト・フーバーはオーストリア出身の作曲家、指揮者。作曲家としてはサティ、ケージ、フェルドマンの影響を受けることから創作を始め、やがて非西欧の音楽に関心を持つようになった。そして東ネパールのシャーマン(巫女、呪術師)のヒーリングの歌唱から強い影響を受けて自身の音楽の方向性を確立したという。パフォーミング・アーティストとしては古典派からロマン派、現代音楽まで幅広いレパートリーを持ち、アンサンブル・モデルン、クラングフォルム・ウィーン、WDR響、SWR響などに客演する「普通の」指揮者の一面もあるが、自作は一転して妖しい(怪しい?) 似非民族音楽、瞑想音楽に終始する。「薔薇の魂」は13世紀ペルシャの詩人ディン・ルミの詩をフリードリヒ・リュッケルトがドイツ語訳したものをテキストとした大作カンタータ。エジプトの民族音楽アンサンブルと混声合唱とボウル・ベルのために書かれており、抹香か焚くかハッパ(!)でも吸いながら聴いたらトリップしそうな神秘的な雰囲気に満ちている。「私のヴェネチア」は歌手たちの吐息やテキストにある詩の子音(シーとかシュ、シャーといった音)が徹底して素材として使われ谷間を吹く風のような効果を生む。そんな中、時折、うめき声やオカリナの奇妙な音が聴こえるといったいささかインチキ臭いながらも怪奇趣味の雰囲気が面白く、大変好感が持てる。デイヴィッド・ハイクスやペーター・ミヒャエル・ハメルなど瞑想、ヒーリング系の神秘的な音楽が好きな人にお薦め。
ルペルト・フーバー(1953-):
 混声合唱とペルシャの楽器を含むアンサンブルのための「エコー/薔薇」(2012) (*) /
 合唱とトロンボーンのための「蓬〔よもぎ〕」(1995) (#) /
 無伴奏合唱のための
  ローベルト・シューマンの主題による変奏曲とファンタジア「病人」(1991) (+)
 ルペルト・フーバー指揮バイエルン放送cho.
 ダスタン・アンサンブル(*) マイク・スヴォボダ(Tb;#)
 録音:2012年3月(*)、1995年3月(#)、2004年3月(+)。 11606 同様、非西欧的で神秘主義的な作風のルペルト・フーバーの合唱を中心とした作品集。「エコー/薔薇」は静寂のなか、聴こえるか聴こえないくらい小さいひそひそ話のような声で始まりやがて大きな喧騒へと発展、そして特殊打楽器のひとつ、ウォーター・フォンの不思議な響きを背景に古代の儀式を思わせる壮麗な音楽へと展開する。「蓬(よもぎ)」はマイク・スヴォボダによる力強いトロンボーンに導かれて美しい混声合唱がのびやかに歌われる佳品。「病人」はローベルト・シューマンの事実上の遺作となったピアノのための(通称)幽霊変奏曲の主題が使われ、シューマンの優美な主題が次第にフーバー流の幽玄で神秘的な世界へと変貌してゆく。
閃光〜ラジスラフ・クビーク(1946-):
 ピアノのための「ソナタ=ポートレイト」(*) /メゾ・ソプラノ、ヴァイオリンとピアノのための「夜明け」(#) /
 ヴァイオリンとピアノのためのデュオ・コンチェルタンテ(+) /
 2つのトランペット、4台のピアノ、トランペット・アンサンブルと打楽器のための協奏曲「閃光」(**)

 ヤン・フェイティン(P;**以外) フィリス・パンチェッラ(Ms;#) カレン・ベントレー・ポリック(Vn;#/+)
 アレクサンダー・ヒメネス指揮(**) リード・ゲインスフォード、ジョエル・ヘイスティングス、デイヴィッド・
  カルホウス、ハイジ・ルイーズ・ウィリアムズ(P;**) バーバラ・バトラー、クリストファー・ムーア
  (Tp独奏;**) ハヴィアン・ブラブハム、ジュディ・ガウン、セス・ジョンソン、ジョン・キルゴア(Tp;**)
 ジョン・マクゴヴァーン、ミッチェル・グリッブローエク、ピーター・ソロカ、ベン・トムリンソン(Perc;**)
 録音:2015年9月14日-20日。 プラハ生まれのチェコの作曲家ラジスラフ・クビーク。作曲と音楽理論をプラハ芸術アカデミーで学ぶ。1993年プラハ国際フランツ・カフカ作曲コンクールで第1位を獲得。クビークの音楽スタイルは、ペンデレツキやルトスワフスキのような戦後同時代を生きた東ヨーロッパの作曲家たちと関連している。「閃光」はオーケストラではなく、トランペット・アンサンブルとパーカッションをバックに、2本のトランペットと4台のピアノが共演する珍しい編成の協奏曲。
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(1965-):アンサンブル作品集 II
 カオス・コンチェルト「デゼット」(2007) /開かれた断片「ウン・デゼット」(2000/04) /
 2つの位相「デュオ・デゼット」(2002/04) /あなたの最愛の仲間へ「ザ・フライト・ウィル・ゴー・オン」(2013)

 フランク・オッル指揮アンサンブル・モデルン ウエリ・ウィゲット(P)
 ラファウ・ザンブリジツキ=ペイン(Vn) ミハエル・M.カスパー(Vc)
 録音:2008年-2015年。ヴェッセルマンはケルンを中心に活動する作曲家。ジャズ、ロックから多大な影響を受けており、ドイツの現代音楽界にあっては異色の存在。いずれも先鋭的なジャズ、アヴァンギャルド・ロックという印象の作品でターネイジやフランク・ザッパを彷彿とさせるパンクな一枚。アンサンブル・モデルンはかつてザッパ作品で「イエロー・シャーク」というアルバムを作っており、彼らがこの手の音楽を喜々として演奏しているのがよくわかる。現代音楽のみならずジャズ・ファンにも薦め。
Ins Offene 〜モダーン・エイジのピアノ作品集
 ドビュッシー(1862-1918):前奏曲第2巻〜第1番「霧」 / ソフィア・グバイドゥーリナ(1931-):シャコンヌ
 メシアン(1908-1992):4つのリズムの練習曲〜音価と強度のモード / 武満徹(1930-1996):リタニ
 シュトックハウゼン(1928-2007):クラヴィーアシュトゥック V
 パスカル・デュサパン(1955-):7つの練習曲〜第6番 / ジャチント・シェルシ(1905-1988):4つの挿絵
 アルヴォ・ペルト(1935-):アリーナのために / ハンス=ミカエル・ラムラー(1946-):5つの小品

  アンドレアス・スコウラス(P)
 録音:2016年7月22日-24日。 モダニズムの音楽が、歴史的に育まれた「概念と感情の世界」から根本的に解放されて以来、作曲家は過去のスタンダードや形式、経験から無限に離脱しようと努力してきた。このアルバムではドビュッシーから、世界初録音となるラムラーの「5つの小品」まで、作曲家が自らの個性的な表現を表出させたピアノ曲をセレクトしている。従来の構造と新しい音色とのバランスを維持し続けることで、モダニズムの限界に挑戦したのはクロード・ドビュッシーだった。同時に、彼はジャズのリズムや非ヨーロッパ文化の刺激を吸収し、「不協和音の解放」を進め、ピアノ作品の抽象化への道を歩みながら、中世の様式を試していた。1976年にアルヴォ・ペルト自身が確立した作曲技法である「ティンティナブリ(鐘鳴り)」様式で作られた「アリーナのために」や、グバイドゥーリナの「シャコンヌ」、メシアンの「音価と強度のモード」など収録。
NEOS-11611/12
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ドナウエッシンゲン音楽祭 2015
 ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):8つのトロンボーンのための八重奏曲(2015)
  [トロンボーン・ユニット・ハノーファー]
 ヨハネス・ボリス・ボロウスキ(1979-):管弦楽のための「シラク」(2014-15)
  [ペーテル・エートヴェシュ指揮 SWR バーデンバーデン=フライブルクso.]
 シュテファン・プリンス(1979-):ライヴ・エレクトロニクス、ライヴ・ヴィデオと
  アンサンブルのための「ミラー・ボックス・エクステンション」(2014-15)[ナダール・アンサンブル]
 マルク・アンドレ(1964-):クラリネット、管弦楽とライヴ・エレクトロニクスのための「 ...uber 」(2015)
 フランチェスコ・フィリデイ(1973-):管弦楽のための「バッハ殺害」(2015)
  [イェルク・ヴィトマン(Cl) フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮 SWR バーデンバーデン=フライブルクso.]
 ヨアフ・パソフスキ(1980-):管弦楽のための「プルスス・アルテルナンス〔交互脈〕」(2015)
  [ペーテル・エートヴェシュ、グレゴール・マイアーホーファー指揮 SWR バーデンバーデン=フライブルクso.]
 録音:2015年10月16日-18日、ライヴ。全曲世界初録音。そもそもの発端から数えると実に90年以上の歴史を持つドナウエッシンゲン音楽祭。戦後はヨーロッパ前衛音楽の牙城としてその名を轟かせてきた。その後、前衛楽派の求心力が衰え、音楽の潮流が細分化された今日においても硬派なゲンダイ・オンガクの重要な発信源として毎年多くのファンを集めている。近年は優秀な若手が台頭してきており、このアルバムでも40代、30代の作曲家の作品が大半を占めている。バッハの音楽が引用されたかと思うと強烈な打撃音で否定されてしまう、題名そのままの「バッハを殺害」、ミニマリズムのヨーロッパ的受容のひとつの在り方ともいうべき「交互脈」など、若手作曲家のユニークな作品が目立つ。
ソニック・ミグレーション〜ローリー・アルトマン(1944-):
 ピアノのための「ラフマニノフによる5つの変奏曲」(1994) P1 /
 クラリネットとピアノのための「スルー・ザ・クラックス」(2015) Cl1/P1 /
 ソプラノ、フルートとギターのための(ソナタ)「忘れはしない」(1994) S/Duo1 /
 2台ピアノのための「花糸」(2004) PDuo /ピアノ・ソナタ第7番「タンザニア」(2011) P1 /
 クラリネットと弦楽四重奏のための「ブラームス・テイクス」(2012) Cl/SQ /
 ソプラノ・サクソフォンとピアノのための「セルフレス・ギフト」(2012) Sax/P2 /
 ソプラノ、クラリネットとピアノのための「ホームレス女性の哀歌」(1992) S/Cl2/SQ/P3 /
 センサー拡張 [Sensor Augmented] バス・クラリネットのための「ソニック・ドリフト」(2014) B-Cl /
 弦楽四重奏のための「白川の歌」(2015) SQ /ピアノのための10の小品(2009) P3

 クリッパー・エリクソン(PP1) ローリー・アルトマン(PP2
 クアン=ハオ・フアン(PP3) アンドルー・ラスバン(SaxSax
 マティアス・ミューラー(ClCl1/ Sensor Augmented バス・クラリネットB-Cl
 ジョン・ブルース・イェー(ClCl2) パトリス・ミカエルズ(SS
 マンハッタンSQ SQ カヴァティーナ・デュオ[Fl/G]Duo1
 ランディ・バウアー、クアン=ハオ・フアン(PPDuo
 録音:2016年。全て世界初録音。 ニューヨーク出身の現代音楽作曲家、ローリー・アルトマン。マネス音楽大学でジェイ・サイドマン、レスター・トリンブルに師事。作曲のほかに、ジャズ・ピアニストとしても活躍している。この2枚組は四半世紀に渡り作曲してきた中から選りすぐられた作品を収録。“ラフマニノフの5つの変奏曲 "は、ラフマニノフのピアノ・ソナタの第2楽章を基に作曲された物。美しく印象的な旋律が優しく変化していく。“花糸 "は2台ピアノでラテン風味のジャジーな作風。ブラームス・テイクスはブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調『雨の歌』作品78にインスピレーションを受け作曲。クラリネットと弦楽四重奏という編成であのメロディが見え隠れしている。
マーンコップ・エディション Vol.6 「ダニエル・リベスキンドへのオマージュ」〜
 クラウス・シュテファン・マーンコップ
(1962-):
  ダニエル・リベスキンドへのオマージュ〔 Vol.1 (2002) / Vol.2 (2010/11) / Vol.3 (2010/12) 〕

 アンサンブル・サープラス[Fl/Ob/Cl/Vn/Va/Vc]
 録音:2016年2月1日-3日。 1962年ドイツ、マンハイムに生まれたマーンコップ。音楽学と社会学と哲学の分野で研究を続けていたが、それと平行してフライブルク音楽大学でブライアン・ファーニホウ、エマヌエル・ヌネス、クラウス・フーバーに師事。カミロ・トンニ国際作曲コンクール、ガウデアムス大賞、ICOMS国際作曲コンクールソロ部門第一位、シュトゥットガルト国際作曲賞など、多くの国際コンクールで入賞を果たしている注目の作曲家。この作品ではポーランド系アメリカ人の名建築家ダニエル・リベスキンドへのオマージュとして作曲された物。マーンコップが多大な影響、感銘を受けたというベルリンのユダヤ博物館や、フェリックス・ヌスバウム美術館などが有名で、最近ではニューヨークのグランド・ゼロの跡地コンペで優勝したことで一躍有名になった。
トリオ・トランスミッター〜カメラ・オブスキュラ
 フローリアン・ベルグマン(1984-):バスクラリネット、ヴァイオリン、ピアノとサンプラーのための「ノッツ」(2014)
 マルクス・ヴェットシュタイン(1963-):バスクラリネット、ヴィオラとピアノのための「フェンスター」(2014)
 マリア・ヌネス・イエロ(1980-):
  バスクラリネット、ヴィオラ、ピアノと2つのレコード・プレイヤーのための「トレフプンクト」(2013)
 ハンナ・ハルトマン(1961-):バスクラリネット、ヴァイオリンとピアノのための「アプリコット」(2015)
 ベネディクト・ビンデヴァルト(1981-):
  バスクラリネット、ヴァイオリン、ピアノと双眼鏡のための「起動中のCCTV」(2014)

 トリオ・トランスミッター[フローリアン・ベルグマン(バスCl)
                ベネディクト・ビンデヴァルト(Vn/Va) アルバ・ゲンティリ=テデシ(P)]

 ジョナサン・シェラッテ、リリ・ウィロウ、サラ・サヴィエト、
 ブノワ・ピトル(声) ゲオルク・ボチョフ(CT)
 録音:2015年。トリオ・トランスミッターは3人の作曲家によって結成された実験音楽のアンサンブル。このディスクでは若手から中堅世代、国籍はドイツのみならずスペイン、スウェーデン、スイス、イタリアと様々な作曲家に作品を委嘱、音楽キャリアもジャズ出身者ありとアカデミックな現代音楽とは違った自由でユニークな作品が並んでいる。なかでもひたすらピアノの内部をカリカリと鳴らし続ける(おそらく小さな扇風機をピアノ線に触れさせ、鳴らしていると思われる)ハルトマンの「アプリコット」、アイディア自体は他にも例があるが五線紙に音符で絵を描いてそれを演奏するナンセンスなビンデヴァルトの「起動中のCCTV」が聴き物。
NEOS-11618
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エルンスト・ヘルムート・フランマー(1949-):
 弦楽四重奏曲集
  〔火の鳥の旅(弦楽四重奏曲第4番)/
   別れ(弦楽四重奏曲第5番)〕
ジェードSQ
 録音:2016年5月23日-25日。 エルンスト・ヘルムート・フランマーはドイツの作曲家。当初、数学、哲学、歴史、音楽学を学び、後に作曲をクラウス・フーバー、ファーニホウらに師事した。「別れ」というタイトルを持つ弦楽四重奏曲第5番は、7つのセクションで構成され、静かに、そして激しく、様々な感情の「別れ」を表現している。ジェード・カルテットは2001年にドイツで結成された弦楽四重奏団。メロス弦楽四重奏団のチェロ奏者ピーター・ブックなどに師事。2005年大阪国際室内楽コンクール第3位、2004年ドイツ・ミュージック・アカデミー・コンテストで優勝、長きに渡って活躍している。
NEOS-11626
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ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.26 〜サルヴァトーレ・シャリーノ(1947-):
 ピアノ、管弦楽とゲーテの「ファウスト」&ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」
  のテキストによる合唱のための「アポクラーテの心象」(1974-79) (*) /
 ヴァイオリンと管弦楽のための
  「黒湖でのヴェイルに包まれた昼光 [Giorno velato presso il lago nero] 」(2013) (#)
  タマラ・ステファノヴィッチ(P;*) コールヴェルク・ルール(cho.) (*)
  カロリン・ヴィトマン(Vn;#) スザンナ・マルッキ指揮(*)
  ジョナサン・ノット指揮(#) バイエルン放送so.(*/#)
 録音:2015年3月26日、28日、ニューヨーク〔カデンツァ注:代理店アナウンス ママだが、同コメントからすると疑問。2013年&2014年?〕。(#)は世界初録音。 2013年と2014年に行われたムジカ・ヴィヴァ音楽祭のライヴより、イタリアの現代音楽作曲家サルヴァトーレ・シャリーノの作品を収録。2013年に演奏された(#)は世界初録音で、指揮は2000年からバンベルクso.の首席指揮者、2014年から東京都so.の首席指揮者に就任するなど日本でも馴染みの深いジョナサン・ノット、そしてヴァイオリンはシャリーノと親交のあるカロリン・ヴィトマン、バックはバイエルン放送so. が務めるなど、万全の態勢で行われた演奏。繊細で静謐な音楽と絶妙の間、研ぎ澄まされたヴァイオリンとオーケストラの音色が斬新。
NEOS-11627
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ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.27 〜ヴィンコ・グロボカール(1934-):
 管弦楽、合唱、ソプラノ、ナレーター、コントラバス・クラリネット、即興詩人のための
  「亡命者 III [移民エドヴァルドの生活]」
 ピーア・コムシ(S) ブルーノ・ガンツ(ナレーター)
 ミハエル・リースラー(Cb−Cl) ヴィンコ・グロボカール(即興詩人)
 ペーテル・エトヴェシュ指揮バイエルン放送so.&cho.
 録音:2015年2月20日、ライヴ。世界初録音。 2015年のムジカ・ヴィヴァ音楽祭のライヴより、スロベニア系フランス人のアバンギャルド作曲家、トロンボーン奏者、指揮者であるヴィンコ・グロボカールの世界初録音曲「亡命者III」を収録。スケールの大きな作品で、オーケストラの多彩な表現力と“声 "との一体感が際立っている。即興演奏家としても知られるグロボカールが、今作で即興詩人として出演し、さらにドイツの名優ブルーノ・ガンツ(映画「ヒトラー?最期の12日間?」、「ベルリン・天使の詩」など)がナレーターとして参加。ハンガリーの作曲家で、指揮者としても活躍しているペーテル・エトヴェシュがバイエルン放送so. を振るなど強力な布陣にも注目。グロボカールはルネ・レイボヴィッツ、のちにルチアーノ・ベリオから作曲を、アンドレ・ラフォスからトロンボーンを学ぶ。グロボカールはトロンボーン奏者としてベリオの『セクエンツァV』を初演している。
ヘルムート・エーリンク(1961-):
 楽器、ヴォーカルと舞台装置のコラージュ「新しい天使 II 」(2014)
 [01] Intro (Insert 1: Musik & Medienkunst) | [02] PROLOG – Ankunft / Abschied 1
 [03] Passage Ia Berlin 1921 / Ibiza 1933 | [04] Abschiedskammer / Dunkelkammer 1 (Insert 2: Karim Younis)
 [05] Passage Ib Berlin 1921 / Ibiza 1933
 [06] Passage II Marseille 1932 / Nizza 1933 (Insert 3: BOV: Michael Harenberg, Daniel Weissberg, Ernesto Molinari)
 [07] Passage III Paris 1939 / Port Bou 1940 | [08] EPILOG – Ankunft / Abschied

 レンナート・ドームス指揮ベルン芸術大学「ヴァーティゴ」アンサンブル
 企画・脚本:ステファニー・ヴェルドマン/舞台監督:アンジェラ・コーファー=バーガー
 ライヴ・オーディオ:ブノワ・ピッカンド、ビート・ミュラー、サミュエル・グフェラー/演出:ミレッラ・ヴァインガルテン
 録音:2015年1月24日-25日、ダンプフツェントラーレ、ベルン、ライヴ。 20世紀初頭のドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンはパウル・クレーの絵画に触発され「歴史の天使」論を残した。ステファニー・ヴェルドマンはこの作品を基に脚本を作り、ヘルムート・エーリンクが作曲。詩的でドキュメンタリーな内容と音楽を融合。楽器とヴォーカルと演劇が組み合わさった多角的に見せる作品。
ラディスラフ・クービック(1946-2017):声楽作品集
 日本の俳人、歌人、作家の詩によるメゾソプラノとピアノのための「24の俳句」(2016) /
 メゾソプラノとピアノのための「マグダレーヌ」(詩:ボリス・パステルナーク) (2012) /
 メゾソプラノ、アルト・フルート、ピアノとエレクトロニクスのための「ゴング」(詩:R.M.リルケ) (2016) /
 メゾソプラノとヴィオラのための「詩人になるということ」(チェコとスロヴァキアの詩人による) (2016) /
 メゾソプラノと打楽器アンサンブルのための「春の川」(詩:F.カフカ) (1996)

 フィリス・パンセーラ(Ms) フイ=ティン・ヤン(P) ハナ・ブロゾヴァー(Fl)
 イトカ・ホスプロヴァー(Va) フロリダ州立大学打楽器アンサンブル
 録音:2016年。 クービックはチェコ出身で後にアメリカに帰化した作曲家。このディスクは彼の主要な声楽入りの室内楽を収録した。「24の俳句」は松尾芭蕉、小林一茶、夏目漱石、与謝蕪村、正岡子規ら日本の俳人、作家の俳句(英訳)に曲を付けたおよそ30分近くかかる大作。作曲者は俳句の構造を生かした精妙なミクロコスモスを作っている。日本の俳句が後期ロマン派か表現主義の歌曲のように変身するのは驚き。「ゴング」は小説「ドクトル・ジバゴ」で知られるパステルナークの詩による歌曲で電子音を加えて元の詩の世界から大きく飛躍する。カフカの詩による「春の川」はシュプレッヒシュティンメ(語り歌い)と打楽器の多用な音色を駆使しカフカ独自の幻想的な世界を描き出している。
ニコラウス・ブラス(1949-):クラリネットと弦楽のための作品集
 クラリネット独奏のための「挨拶」(1997) /2つのクラリネットと弦楽三重奏のための「シュプール」(2010) /
 2つのクラリネットのための「愛の対話 VI 」(2009/11) /ヴィオラと2つのクラリネットのための「災害」(2015) /
 弦楽四重奏曲第5番「辞書から」(2つのクラリネットのオブリガート付) (2013) /
 クラリネット独奏のための「別れの挨拶」(1997)

 ベアテ・ツェリンスキ、デイヴィッド・スメイヤーズ(Cl) ミンゲSQ
 録音:2016年10月。 いまやドイツの現代音楽界で中心的な役割を担うブラスのクラリネットと弦楽のための作品を集成。「挨拶」は意外にも調的に書かれた小品で小鳥がさえずるような音型が可愛らしく詩的な作品。「シュプール」では2つのクラリネットが微分音および重音奏法で薄い音の帯を作りそれが弦楽三重奏と光と影のように重なりあう。弦楽四重奏曲第5番は事実上のクラリネット五重奏曲。クラリネットの旋律が弦楽の描く灰色の響きの空間を縦横にそして物憂げに飛び交う。
ルーベン・セロッシ(1959-):室内楽作品集
 ヴァイオリン、チェロとピアノのための「 Jazz...a propos de Matisse 」/
 ピアノのための「 ...through the keyboard 」/'(ピアノ独奏)
 ヴィオラ、クラリネットとピアノのための「 Ce discret charme...Hommage a Luis Bunuel 」/
 フルート、バス・クラリネット、ギター、ヴァイオリンとチェロのための「 Oppositive is Positive 」/
 フルート、クラリネット、ファゴット、ヴァイオリン、チェロとピアノのための
  「 The Yearnings of the Duck, In Memoriam Dudu Geva 」

 マイター・アンサンブル
  [モシェ・アハラノフ(Vn/Va) ヨニ・ゴトリボヴィチ(Vc) アミット・ドルベルグ(P)
   ギラード・ハーレル(Cl/バスCl) ハガール・シャチャル、ロイ・アモツ(Fl)
   ジョナサン・ハダス(Cl) ナダフ・コーエン(Fg) アナット・エンゲルマイヤー(Vc)]

 ダニエル・セロッシ(P) ルーベン・セロッシ(G)
 ガイ・フェダー指揮 ダニエル・コーエン指揮
 録音:2009年、2014年-2015年。世界初録音。 ウルグアイ生まれの作曲家兼ギタリストのルーベン・セロッシ。1974年からイスラエルのテル・アヴィヴに住んでいる。テル・アヴィヴ大学の音楽アカデミーにてレオン・シドロフスキーに師事。現在はブヒマン-メータ音楽院の作曲家主任を務めている。このアルバムは演奏しているマイター・アンサンブルの委嘱により作曲された物。
エルンスト・ヘルムート・フランマー(1949-):
 フルート、クラリネット、ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための「逝去」(1992) /
 オーボエ、クラリネットとファゴットのための「間奏曲 X 」(2010)/
 フルート、オーボエ、クラリネット、ピアノ、
  ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとコントラバスのための「時間の列」(1988) /
 コントラバス独奏のための「珍しい独奏者との出会い」(1979) /
 フルート、クラリネット、打楽器とチェロのための「散乱、破壊、崩壊」(2009) /
 フルート、クラリネット、打楽器、ピアノ、
  ヴァイオリンとチェロのための「すべてのものが終わりを望む」(1993)
 アンサンブル・アヴァンチュール
 録音:2001年10月/ 2014年1月。全作世界初演・録音。 フランマーの新旧様々な編成の室内楽曲を収録。フランマーはNEOSが力を入れている作曲家の一人でこれまでにも管弦楽作品集(10803)、オルガン作品集(10913/14)などがリリースされている。彼は当初、数学と物理学を、後に音楽学、歴史、哲学を学び、ヨーロッパの知性と教養を血肉とした。やがて作曲をクラウス・フーバー、ブライアン・ファーニホー、パウル・ハインツ・ディートリヒらに学んだことで西欧の論理性とポリフォニーの究極を極めた複雑な作品を発表するようになった。1990年代の作品「逝去」ではまだヴェーベルンの影響が感じられるが、やがてファーニホーらの「新しい複雑性」に影響を受けた夥しい音符の密林による作品へと変貌してゆく。しかしブックレットに掲載された音符で埋め尽くされた複雑な楽譜から受ける印象とは反対に、静寂や間を生かしたストイックな音楽はピアノの内部奏法や打楽器の霊妙な音色とあいまって東洋の書や山水画のような神秘的なイメージを聴き手に与える。
ベアト・ツェリンスキー&デイヴィッド・スマイヤーズ・クラリネット・デュオ
 アントゥリ・インゴルフソン(1962-):2つのクラリネットとアンサンブルのための「オルゴラス・スピークス」(2009)
  [グオニ・フランツォン指揮カプート・アンサンブル/録音:2009年]
 アドリアーナ・ヘルスキー(1953-):2つのクラリネットと管弦楽のための「飛行機操縦」(2006)
  [アルトゥーロ・タマヨ指揮バーデン・バーデン=フライブルク SWR so./
   録音:2006年、ドナウエッシンゲン音楽祭、ライヴ]
 ニコラウス・ブラス(1949-):2つのクラリネットと弦楽のための「大地の時」(2008)
  [アレクサンダー・リープライヒ指揮ミュンヘン室内o./録音:2010年]

 ベアト・ツェリンスキー、デイヴィッド・スマイヤーズ(Cl)
  デュオ・グループ「クラリネット・デュオ/ベアト・ツェリンスキー&ダヴィッド・スマイヤー」のために書かれた中堅からベテラン世代の作曲家による作品。インゴルフソンはアイスランド出身でジェラール・グリゼイに私的に師事した。「オルゴラス・スピーカース」は2つのクラリネットを舞台の役者に見立てたユーモラスな作品でクラシカルな語法、素材が現代音楽の要素と折衷されたユニークな作品。ヘルツキはルーマニア出身で現在ドイツを代表する作曲家。日本とも関りが深い。「飛行機操縦」は2人のクラリネット奏者がパイロットを象徴し飛行機に見立てられた管弦楽を操縦、リードするというアイデアで書かれている。ブラスの「大地の時」は2つのクラリネットが静かな対話を繰り返す中、その周りを弦楽の響きが霧のようにまとわりつくメランコリックな佳曲。弦楽は琵琶を思わせる奏法を行い、日本的、東洋的な雰囲気を持つ。
マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(1965-):独奏作品集 Vol.1
 ソロ1(フルートのための)(1986) /ソロ2(打楽器のための) (1987, version 2004 + 2007) /
 ソロ3(エレクトリック・ギターのための) (1992) /ソロ4(ヴィオラのための) (1993, version 2003) /
 ソロ8(バリトン・サックスのための) (2001-04) /ソロ10(ファゴットのための) (2006) /
 (Bonus Track)イン・ザ・ミックス(1991) (*)

 ヘレン・ブレッドソー(Fl) ディルク・ロトブルスト(Perc)
 マッツ・ベルイストローム(エレキG) ガース・ノックス(Va)
 シモーネ・オットー(バリトンSax) ヨハネス・シュヴァルツ(Fg)
 マルクス・アントニウス・ヴェッセルマン(テープ;*)
 録音:1991-2009年。 ヴェッセルマンはケルンを拠点に活動している作曲家で同じくケルンに本拠を置くアンサンブル・モデルンとは多くのコラボレーションを行っている。彼の音楽はロック、ジャズの影響を受け、現代音楽とそれらを抽象的なレヴェルで融合させた独自のミニマリズムだが、アメリカのそれとは全く異なる非常にオリジナリティあふれる物。フルートのためのソロ1では息の長い旋律が次第に短くなり急速なパターンとなって繰り返される。エレクトリック・ギターのためのソロ3ではミニマルとR&Bがドイツ風の辛口なテイストでミックスされ、バリトン・サックスのソロ8ではフリー・ジャズとの親近性が認められる。ボーナス・トラックの「イン・ザ・ミックス」は様々な具体的な音声のリミックスで一種のミュージック・コンクレートともいえるが、そのキッチュでポップなセンスはCM音楽や先鋭的なポップスで知られる日本のヤン冨田や中川俊郎を思わせる。
現代のギター四重奏曲集 Vol.2
 ニコラウス・フーバー(1939-):オルフェウスの逃走(2001) / アルベルト・ホルティグエラ(1969-):言葉は罰(2015)
 イレーネ・ガリンド・ケロ(1985-): Ziffer h Hut (2011)
 マティアス・シュパーリンガー(1944-):4つ(または3つ、または2つ)のギターのための「削除された補足」(2012)

 アレフ・ギター四重奏団[アンドレス・エルナンデス・アルバ、ティルマン・ラインベック、
               ヴォルフガング・ゼーリンガー、クリスティアン・ヴェルニッケ]
 録音:2016年2月8日-11日。すべて世界初録音。 アレフ・ギター四重奏団は1994年に結成された珍しい現代音楽専門のギター四重奏団として「ワルシャワの秋」(ポーランド)、パン・ムジーク(韓国)、アルス・ノヴァ(スイス)など数多くの現代音楽祭に招かれている。20世紀と21世紀の新たな音楽的技法や演奏技法を生み出し、現代音楽作曲家に委嘱することで、ギター四重奏曲のレパートリーを拡大し続けている注目のギター四重奏団。今作もすべて世界初録音。叩いたり、つま弾いたり、特殊奏法たっぷりの見事なアンサンブルを披露している。まるで琴のような音色にも聴こえるシュパーリンガーの“:削除された補足 Entfernte Erganzung、繊細に切れ目なく音が鳴り響くホルティグエラの言葉は罰など聴き物。
アルベルト・ポサダス(1967-):
 アンサンブルのための 「アナモルフォシス」(2006) /アンサンブルのための「3つの想像上の絵」(2014) /
 バリトン・サックス、コントラバスクラリネット、アコーディオン、
  チェロとコントラバスのための「解けないものの条約」(2013) /
 アンサンブルのための「夜の光」(2010)〜アンサンブルのための

  ナチョ・デ・パス指揮クラングフォルム・ウィーン
 録音:2015年12月。 ポサダスはスペインの作曲家で自然科学と数学、音楽との関係を探り、彼自身がマイクロ・インストゥルメンテーションと呼ぶ独自の概念を提唱し、それによって作品を作り続けている。一聴した印象では時に武満、リゲティ、クセナキスを思わせるが、その荒々しくも詩的な音楽はルイス・デ・パブロ以後のスペインの新しい世代の作曲家のものと確信させる。「アナモルフォシス」はまさに武満の70年代の諸作やリゲティの「ロンターノ」を彷彿とさせるが一転、「解けないものの条約」はアンサンブルが電子音楽のような響きの帯を延々と奏し続ける。「3つの想像上の絵」はレオナルド・ダ・ヴィンチ、モンドリアンらの絵画に触発されたというが、抽象画をそのまま音符にして音響化したかのような、その個性的な触発のされ方は聴き手の想像力をはるか上回る独自の世界を確立している。
NEOS-11716/17
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭 2016
 レベッカ・ソーンダーズ(1967-):ソプラノと13の楽器のための「スキン」(2015/16) S
 ベルンハルト・ガンダー(1969-):21の楽器のための「13の傷跡を持つ冷たい遺体」(2016) SS
  [ジュリエット・フレイザー(S S ) スティームボート・スイスSS
   ティトゥス・エンゲル指揮クラングフォルム・ウィーン]
 マーティン・スモルカ(1959-):アンサンブルのための2つの楽章「誤植の叫び」(2016)
  [アンサンブル・ルシェルシェ]
 ジェイムズ・ディロン(1950-):弦楽四重奏と管弦楽のための「門」(2016) SQ (*)
 フランク・ベドロテアン(1971-):管弦楽とエレクトロニクスのための「ツィスト(ねじれ)」(2016) E (#)
 マーティン・ヤギー(1978-):カラル(2016) (*)
 ゲオルク・フリードリヒ・ハース(1953-):トロンボーン協奏曲(2015/16) Tb (#)
  [アルディッティSQ SQ IRCAM + ロビン・メイヤー(コンピュータ・ミュージック・デザイナーE
   マイク・スヴォボダ(Tb Tb ) ピエール=アンドレ・ヴァラード指揮(*) アレホ・ペレス指揮(#) SWRso. ]
 録音:2016年10月14日-16日、ドナウエッシンゲン音楽祭、ライヴ。 ドナウエッシンゲン音楽祭は ISCM World New Music Days と並ぶ著名な現代音楽祭。2016年も多彩なプログラミングで聴衆を楽しませた。このアルバムはその中からオーケストラおよび大規模アンサンブルのための作品を収録した物。ソーンダーズの「スキン」はジェイムズ・ジョイスの代表作「ユリシーズ」をテキストとした声楽作品。詩に使われた言葉のイントネーション、声の質が徐々にオーケストラに波及、反映されてゆくアイデアで書かれ、どこか日本の能楽を思わせる繊細な作品。ガンダーの「13の傷跡を持つ・・・」はパンク・ロックと現代音楽の幸せな(不幸な?)出会いともいうべき作品で、エレキ・ベースやドラムの強烈なビートと不協和音、ノイズが交錯する果てにベートーヴェンの運命が鳴り響く。日本でも知る人ぞ知る有名なディロンの「門」は日本の神社の鳥居、特に京都のそれに霊感を得て作曲、非常に洗練された抽象度の高い美しい作品。幾重にも重なるオーケストラの響きの門の先に(おそらくは)本殿を象徴する弦楽四重奏が鎮座する発想と思われ、ディロンの近年の作品の中でも代表作と呼ぶに相応しい傑作。ハースのトロンボーン協奏曲は、はっきりした ハ短調の主和音で始まる極めてロマンティックな協奏曲。オーロラのように移ろいゆく美しいオーケストラの響きの中でトロンボーンがメランコリックなメロディを悠然と奏する。
タツィアナ・ゼリアンコ(1980-):ピアノ作品集
 8つの前奏曲(2009) /フリーダ・カーロ、「フレーム」裂け目で揺れる」(2013) /幻影(2016)

 アレクサンドラ・マトヴィエフスカヤ(P)
 録音:2017年4月。 ゼリアンコはベラルーシ出身の若手。地元ベラルーシで学んだ後、ルクセンブルクに移住し現在はここを拠点に活動している。若い世代らしく、ヨーロッパを席捲した前衛の多くの各流派の影響から離れ、自由に自分のヴィジョン、ファンタジーに従う姿勢が好ましい。様式としてはドビュッシー、シマノフスキ、スクリャービン、ソラブジらを思わせるモード、自由な無調を折衷したもので、画家フリーダ・カーロに捧げるオマージュや多くのピアノ小品を作曲している。モダーン・ジャズにも通じる響きを持っており、広く聴衆にアピールする内容。
ヴォールハウザー・エディション Vol.5 「音の画像」〜
 ルネ・ヴォールハウザー
(1954-):作品集
 ソプラノ、バリトン、フルート、クラリネット、打楽器、
  ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための「ユウェ・ラスベク・ノダク」(2012) /
 無伴奏ヴァイオリンのための「音の画像」(1993-95) /
 ソプラノ、バリトンと打楽器のための「ドストレイフ」(2016) /弦楽三重奏曲(2007) /
 フルート、クラリネット、打楽器、ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための「音の画像」(1993-95)

 アンサンブル・ポリソーノ
 録音:2013年-2016年。 ヴォールハウザーはスイス出身の作曲家でバリトン歌手、ピアニスト、指揮者としても活動し、このアルバムでも自らの渋い歌声を聴かせている。当初ジャズ・ミュージシャンとして活動した後、現代音楽に転向、セロツキ、カーゲル、ホリガー、ファーニホー、フーバーらそれぞれ傾向は異なるがヨーロッパで主導的な役割を果たした作曲家に師事。このアルバムではソロから声楽を含む室内楽を収録しており、様式としてはファーニホーらの「新しい複雑性」の影響が感じられる。しかし音色や倍音の特性を生かしたり、声楽の新しい可能性を探したりする姿勢は彼独自の物。ブックレットに一部掲載されたそのスコアの複雑さ、音符で真っ黒に埋め尽くされたジャングルのごとき譜面の風景に彼の音楽が端的に示されている。
ヴァン湖レコーディングズ〜
 グンナル・ガイセ
(1962-):独奏即興
グンナル・ガイセ
(ラップトップG)
 録音:2016年-2017年。全作世界初演・録音。 これはまるでドイツのジョン・ゾーン?ジャーマン・ロック、ユーロ・ジャズ、ノイズ系の好きな人は必聴!!日本から見たドイツ現代音楽界とはヘルムート・ラッヘンマンやクラウス・フーバーなどに代表されるような、ヨーロッパの歴史を一身に背負い、それらを検証、批判した上でキリキリと魂のきしむ音を譜面に書きつけるアカデミックな作曲家ばかりと思いがちだが、事実は大きく異なるようだ。アメリカに負けず劣らず実験音楽の作曲家たちも旺盛に活動している。グンナル・ガイセ(Gunnar Geisse)もその一人。ガイゼはドイツの作曲家、ギタリスト、インプロヴァイザー。エレクトリック・ギターをコンピュータにつないだラップトップ・ギターと彼が呼ぶ楽器で即興を行う。これにより瞬時の音色の変化やサンプリングによる演奏が可能となるばかりでなく、既存の音源を瞬時に編集、引用するなどミュージック・コンクレート的な制作も可能となる。このディスクはそうしたテクノロジーを駆使した彼のインプロヴィゼーションから構成されている。壁に描かれたグラフィティのような爆発するそのエネルギーはジョン・ゾーンやグレン・ブランカなど、ジャズ、ロック系から現代音楽に参入した作曲家たちの音楽が好きな人にお薦め。
ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン Vol.28 〜ジョルジュ・アペルギス(1945-):
 アコーディオン協奏曲(2014/15) (*) /大管弦楽のための6つのエチュード(2012-14) (#)
  テオドロ・アンゼロッティ(アコーディオン;*)
  エミリオ・ポマリコ指揮バイエルン放送so.
 録音:2016年2月26日、世界初演時(*) /2015年3月20日(#)、ともにムジカ・ヴィヴァ、ライヴ。 ギリシャ出身の作曲家アペルギスの大作2曲を収録。近作アコーディオン協奏曲はアコーディオンから繰り出されるクラスターや様々な音色、音型にオーケストラが反応し、響きの事象が拡散してゆくプロセスで構成された作品。ソリストのテオドーロ・アンゼロッティのフリー・ジャズ的とも思える情熱的なパフォーマンスに負うところが大きく、計算されたオ-ケストラの効果とクライマックスが聴き手を圧倒する。大管弦楽のための6つのエチュードはオーケストラの音色、テクスチュア、あるいは概念を拡大するための一種のデッサンで2分弱から10分までの6つの小品から構成されている。
シューベルト:ソナタ ハ長調D812「グラン・デュオ」
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番(ピアノ4手版)
グラウ・シューマッハー・
 ピアノ・デュオ(P)
 録音:2005年。
 清廉潔白なシューベルトに続くショスタコーヴィチは作曲者本人によるヴァージョン。ショスタコーヴィチは自作の交響曲を必ずピアノ4手に編曲し初演前に友人と弾いたと言われており、これもそうした際に作成された版と思われる。クライマックスのド迫力をどうやって4手で表現するのか、聞き物。
NEOS-20802
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(HYBRID_SACD)
コスモス
 クラム:セレスティアル・メカニクス
  (マクロコスモスIV)より(2曲)
 クルターク:ヤテコクより(3曲)
 シュトックハウゼン:黄道十二宮より(2曲)
 バルトーク:ミクロコスモスより(3曲)
 エトヴェシュ:コスモス(2台ピアノ版)
 バルトーク:ミクロコスモスより(4曲)
 シュトックハウゼン:黄道十二宮より(2曲)
 クルターク:ヤテコクより(3曲)
 クラム:セレスティアル・メカニクス
  (マクロコスモスIV)より(2曲)
グラウ・シューマッハー・
 ピアノ・デュオ(P)
 録音:2007年。
 選曲と配列が面白い。エトヴェシュのコスモスを中心にシンメトリックに作品集が並べられているが、演奏されている曲は同じ作品集のなかから別の曲が演奏されており、ヴァラエティに富んでいる。グラウシューマッハー・デュオはクラシックから現代音楽まで幅広くこなす当レーベルお馴染みのデュオ・グループ。
NEOS-20803
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
悲愴〜ユン=ベートーヴェン=ユン
 尹伊桑(1917-1995):
  小陽陰(1968/1996)/5つの小品(1958)
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」
 尹伊桑:間奏曲A
韓 伽倻
(ハン・カヤ)(P)
 録音:2008年3月1日-5日。
 日本生まれで現在はドイツで活躍、カールスルーエ音楽大学の教授でもあるハン・カヤ。作曲家から絶大な信頼を得ていた彼女によるユン作品の決定的演奏。陰気な現代的サウンドのユン作品の間にベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を持ってきた大胆なプログラム。
NEOS-20805
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドビュッシー&ストラヴィンスキー:
 4手ピアノ作品集

 ドビュッシー:白と黒で
 ストラヴィンスキー:2台のピアノのためのソナタ
 ドビュッシー:6つの古代の墓碑銘
 ストラヴィンスキー:春の祭典(4手ピアノ版)
グラウ・シューマッハー・
 ピアノ・デュオ
 録音:2006年11月。
 同時代を生きた2人の盟友による4手ピアノ作品。春の祭典は最近ファジル・サイ編曲版がよく知られているが、こちらは作曲者自身による版。現代音楽を得意とするシューマッハーとグラウの精妙な演奏で聴かせる。
フランツ・フンメル(1939-):
 ディアベッリのワルツによる33の変奏曲
ベートーヴェン:ディアベッリのワルツによる33の変奏曲
カルメン・ピアッツィーニ(P)
 録音:2007年。
 ドイツの現代作曲家F.フンメルがベートーヴェンの有名なディアベッリ変奏曲と同じ主題で作曲、本家本元のディアベッリとカップリングしたという好企画アルバム。
 ディアベッリ変奏曲は1819年、作曲家で出版業者だったアントニオ・ディアベッリが、当時有名だった作曲家たちに自分の主題で変奏曲を書かせたのがことの起こり。ベートーヴェンもその作曲家の一人だったが、当初はあまり乗り気ではなかったという。とはいえ、どこか思うところがあったのだろう、突如作曲を始め、結果的に50分からなるベートーヴェン晩年の大作となってしまった。一方F.フンメルは幼少時よりエリー・ナイ、クナッパーツブッシュなどから、その才能を高く評価され、交響楽、オペラなど多くの作品を手がけている。NEOSレーベルのイメージからディアベッリの主題を、さぞ前衛的で破天荒に料理するのかと思いきや(実際そういう部分もあるにはあるが)、ジャズっぽいスウィンギーな部分があったり、クラシカルな部分もありと、各変奏ごとに様々なスタイルを試みており、そういう所がどこかフリードリヒ・グルダの作品を思わせる。ピアッツィーニはブエノスアイレス出身で古典から歌曲伴奏、現代曲までこなすマルチ・ピアニスト。その経験がフンメル版ディアベッリでも大いに生かされている。
コンチェルティI
 モーツァルト(1756-91):2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調(第10番)K.365(*)
  (第1楽章と第3楽章のカデンツァ:バルトーク版による)
 リスト:2台のピアノのための「悲愴協奏曲」S.258
 バルトーク:2台のピアノ、打楽器と管弦楽のための協奏曲(#)
  グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P)
  フランツ・シンドルベック、ヤン・シュリヒテ(Perc;#)
  ルーベン・ガザリアン指揮ベルリン・ドイツso.(*/#)
 録音:2009年。ハンガリー、リスト、バルトークをキーワードとしたアルバム。バルトークによる(*)のカデンツァは、モーツァルトらしさを尊重しながらもダイナミックで華麗なピアニズムが印象的。
NEOS-20902
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
フランツ・リスト:合唱、独唱と4手ピアノのための
          「十字架の道行(受難の14留)」(1878)(*)
ヨンギー・パク=パーン[朴泳姫](1945-):無伴奏混声合唱のための
 「ヴィデ・ドミネ、ヴィデ・アフリクティオネム・ノストラム」(2007)(#)
 グラウ・シューマッハー・ピアノ・デュオ(P;*) ハラルト・マルティーニ(Br;*)
 フランツ・ゲリーセン(B;*) アンドレア・ヴァイクト(S;*/#)
 マリエッタ・シュヴィッタイ=ニーツヴィツキ(Ms;*) ベアタ・ボルヒェルト(A;*)
 ボリス・ポールマン(T;*) Hee-Kwang Lee(B;*/#) ベニタ・ボルボヌス(S;#)
 マルクス・フランケ(T;#) ルペルト・フーバー指揮WDRケルン放送cho.
 録音:2008年。(#)は世界初録音。
 リストのあまり演奏されることのない宗教曲と、韓国の女性作曲家でクラウス・フーバー夫人でもあるパク=パーンという異色のカップリング。
トランスクリプションズ
 J.S.バッハ/マイラ・ヘス編曲:主よ、人の望みの喜びよ
 ドビュッシー/作曲者編曲:牧神の午後への前奏曲
 サン=サーンス/ドビュッシー編曲:序奏とロンド・カプリツィオーソ
 モーツァルト/ブゾーニ編曲:「魔笛」序曲
 ワーグナー/レーガー編曲:「トリスタンとイゾルデ」前奏曲
 ラフマニノフ/ヴィクター・バビン編曲:ヴォカリーズ
 チャイコフスキー/ヴィクター・バビン編曲:「白鳥の湖」〜ワルツ
 ラヴェル/作曲者編曲:ボレロ
グラウ・シューマッハー・
 ピアノ・デュオ(Pデュオ)
 録音:2008年12月。これまでも「春の祭典」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」の編曲ものやクラム、シュットックハウゼンなど異色の作品を録音してきたピアノ・デュオが、今回とことんリラックスできるアルバムを作った。編曲は作曲者自身やそれぞれ由緒正しいヴァージョンを採用、なによりこのデュオの透き通った音色が聴き手の心を鎮め、まるで波ひとつない湖面のような心境へと導いてくれる。おやすみ前にはバッハ、ドビュッシー、お目覚めにはサン=サーンス、モーツァルトなどがお薦め。最高級のBGMとしてお楽しみ頂ける。
NEOS-20904
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(HYBRID_SACD + DVD)
1枚価格
価格帯:B
ヴィルトゥオーゾ
 マティアス・ミュラー(1966-):
  クラリネット協奏曲(2007-2008)(*)
 ジャコモ・ロッシーニ(1792-1868):
  アンダンテと変奏曲(1829)(*)
 イゴール・ストラヴィンスキー(1882-1971):
  クラリネットのための3つの小品(1918)
 マティアス・ミュラー:
  6つの演奏会用エチュード(2006-2008)
 パガニーニ(1782-2008):無窮動(1831-1832)
 [ボーナスDVD (NTSC/PAL)]
  マティアス・ミュラー:6つの演奏会用練習曲
  シュトックハウゼン:小さなハーレキン
マティアス・ミュラー(Cl)
デイヴィッド・フィリップ・
 ヘフティ指揮(*)
アンサンブル・ゼロ(*)
 録音:2009年。
 マティアス・ミュラーはバーゼル音楽院で学び、作曲家としても活動している。自作自演のクラリネット協奏曲は新ロマン主義風の親しみやすい曲でドビュッシーのラプソディに似たところもある。ロッシーニでは朗々とした旋律の歌いまわし、ストラヴィンスキー、パガニーニでの冴えた技巧も特筆に価する。
コンチェルト
 ボリス・チャイコフスキー(1925-1996):
  クラリネット協奏曲(1957)
 ドビュッシー(1862-1918):
  ラプソディ第1番(1910)/
  小品(1910)〜マティアス・ミュラーによる
         クラリネットと管弦楽のための編曲版
 ウェーバー(1786-1826):
  クラリネット協奏曲第2番(1810)
マティアス・ミュラー(Cl)
ミシャ・ドメフ指揮
モスクワ・チャイコフスキーso.
(モスクワ放送so.)
 録音:1998年10月、モスクワ。
 ボリス・チャイコフスキーのクラリネット協奏曲が聴き物。大作ではないもののショスタコーヴィチの影響を感じさせつつ豊かな旋律と華やかな効果にあふれている。クラリネット版牧神の午後ともいうべきドビュッシーの第1ラプソディの恍惚としたロング・トーン、ウェーバーの溌剌としたカンタービレなど聴きどころ満載。
不死鳥〜コントラバスのためのバロック音楽と現代音楽作品
 ヴィヴァルディ(1678-1741):チェロ・ソナタ第5番 ホ短調(コントラバス編曲版) (*)
 フィリップ・グラス(1937-):ファサード(4本のコントラバス、チェンバロとピアノのための編曲版)(#)
 J.S.バッハ(1685-1750):ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第2番 ニ長調(コントラバス編曲版)(+)
 アルヴォ・ペルト(1935-):鏡の中の鏡(コントラバス編曲版)(**)
 ミシェル・コレット(1707-1795):4本のバス・ヴィオールと通奏低音のための協奏曲 ニ長調「不死鳥」(##)
 ジュリアン=フランソワ・ツビンデン(1917-):J.S.バッハへのオマージュ(++)
 ヘンデル(1685-1759):2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ト短調
            (2本のコントラバスと通奏低音のための編曲版)(***)

 クリスティーネ・フック(Cb) トーマス・マルティン(Cb;*/#/##/***)
 トーマス・ヤウフ(Cb;#/##/***) シュテファン・バウアー(Cb;#/##)
 フローリアン・ビルサック(Cemb;**, ++以外) バルバラ・ヌシュバウム(P;#/**)
 録音:2012年2月。ダブル・ベースによるバロックと現代音楽をカップリングしたユニークなアルバム。グラスの「ファサード」はグラスの初期のアルバム「グラス・ワーク」に収録されている彼の代表作。ペルトの「鏡の中の鏡」も原作を損なうことなく、美しく編曲、演奏されている。クリスティーネ・フオークはドイツ・マインツ出身の演奏家で現代音楽のみならず、ジャズの分野でも活動している。これまでにルツェルン音楽祭、ザルツブルク音楽祭など世界的な音楽祭に多数出演している。
コンチェルティ II
 リスト/シュテファン・ホイツケ編曲・カデンツァ:2台のピアノと管弦楽のための悲愴協奏曲(1865/2008)
 バッハ:2台のピアノのための協奏曲 ハ長調 BWV1061 / ストラヴィンスキー:2台のピアノ協奏曲(1935) (#)

  グラウ=シューマッハー・ピアノ・デュオ[アンドレアス・グラウ、ゲッツ・シューマッハー(P)]
  マーティン・ブラビンズ指揮ベルリン・ドイツso.
 録音:2011年11月-12月。
 グラウシューマッハー・デュオの久々の協奏曲集第2弾。Vol.1:モーツァルト(カデンツァ:バルトーク)、2台ピアノ版リスト「悲愴協奏曲」、バルトーク (NEOS-20901)。リストの「悲愴」協奏曲は元々2台ピアノのための作品(それも元は独奏曲であったものからの編曲)を21世紀になって管弦楽の伴奏を付加して新たに蘇らせた珍曲。リストでは考えられない管弦楽法もさることながらリストの様式を踏まえつつクラスターを含む現代的な新た書き加えられたカデンツァも聴き所。ストラヴィンスキーの協奏曲は新古典主義時代の作品で今日聴くとポスト・ミニマルを思わせる大変ポップでお洒落な佳品。これまで作曲者の自作自演かラベック姉妹くらいしかなかった録音に今回、決定盤が現れた。
ドビュッシー(1892-1918):
 前奏曲集全曲〔第1巻/第2巻〕
ギレアド・ミショリ(P)
 録音:2012年7月。ヤナーチェクのピアノ付室内楽の全曲を世界で初めて録音したことでも知られるギレアド・ミショリは1960年エルサレム出身。日本へも度々訪れ、ソロや室内楽のコンサートを開きファンも多い。作曲家でもあり当 NEOS レーベルから室内楽作品集も発売になっている(NEOS-11022)。印象派、近現代作品は彼の最も得意とするレパートリーで、この前奏曲全集でもペダルを控えつつ、透明感のある解像度の高い現代的なドビュッシーに仕上げている。
ブラームス、シュルンプ、ミュラー
 ブラームス(1833-1897):クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115 (1891) (*)
 マルティン・シュルンプ(1947-):クラリネットと弦楽四重奏のための「ファイブ・ポインツ」(2012) (*)
 マティアス・ミュラー(1966-):弦楽四重奏のための23部(2012)

  ガラティアSQ  マティアス・ミュラー(Cl;*)
 録音:2013年2月、ボスヴィル・アルテ教会。ブラームス後期作品の傑作、クラリネット五重奏曲と組み合わされるのは、さすがNEOSレーベルらしく同編成で書かれたシュルンプの新作。作曲者によると、人種の坩堝の象徴であったニューヨークのファイブ・ポインツ地区、および作曲上のパラメーターがタイトルの由来だという。後半3楽章にはブラームス作品との共鳴する部分が用意されている。クラリネット奏者のミュラーの弦楽四重奏作品も収録。異なる長さの休符で23部に分割され、ブラームスの形式観の自由さとベルクの卓抜な表現力へのオマージュだという。ガラテア四重奏団は、ヴァイオリニスト坪井悠佳が中心となって結成された、近年注目を浴びているスイスを拠点とする若いカルテットだ。ブラームスでは各声部が溶け合うような滑らかさが際立つ。
発散〜ローリー・アルトマン、コルンゴルト、シェーンベルクの音楽
 ローリー・アルトマン(1944-):
  俺と一緒に踊りに来いよ(七重奏版)(2006/2013) /弦楽四重奏のための「デュークのための3」(2011) /
  弦楽四重奏のための「戦時に」(2009) /弦楽四重奏のための「シェーンベルクのOp.19によるファンタジー」(2012) /
  弦楽四重奏、ナレーター、ピアノ、クラリネットとヴィブラフォンのための「ガストロノミー」(2012)
 シェーンベルク:ピアノのための6つの小品 Op.19 (1911) / コルンゴルト:ピアノ五重奏曲(1920-23)

  プラットフォーム K + K ウィーン
 録音:2013年。ニューヨーク出身の作曲家ローリー・アルトマンはジャズ・ピアニストとしても活躍している。彼の作品はいずれもジャズのテイストとクラシック、現代音楽が程よく結びついた都会的で洒落た内容。弦楽四重奏のための「デュークのための3」はデューク・エリントンの名曲に基づいた自由なパラフレーズでクロノスQが喜んで演奏しそうな佳曲。その一方で「ガストロノミー」「シェーンベルクによるファンタジー」では12音技法の厳しい表現を見せる。シェーンベルクの Op.19の終曲はマーラーの死後一ヶ月後に書かれマーラーの第9交響曲の響きが鐘の音のように反響する繊細な小品。最後のコルンゴルトは後期ロマン派の抒情を時代の潮流に抗うように謳いあげた大作。
ファンタジア〜連弾のための作品集
 パーセル/クルターク編曲:1つの音の上のファンタジア(1台4手)
 モーツァルト/ブゾーニ編曲:自動オルガンのための幻想曲 K.608(2台P)
 シューベルト:幻想曲 ヘ短調 D.940(1台4手)
 スクリャービン:2台ピアノのための幻想曲 / ラフマニノフ:幻想曲(組曲第1番) Op.5(2台P)

 グラウ=シューマッハー・ピアノ・デュオ[アンドレアス・グラウ、ゲッツ・シュマッハー(P)]
 録音:2014年12月8日-11日。 グラウ=シューマッハー・ピアノ・デュオはピアノ連弾(1台4手、2台ピアノ)による現代曲の紹介を積極的に行っており、10枚以上のアルバムをリリースしている。「幻想曲」をテーマに作品をセレクト。ラフマニノフの“幻想曲 Op.5 "は4曲から成り、詩からインスピレーションを得て作曲された物。4曲それぞれに引用された詩の個性が浮き彫りにされ、ラフマニノフらしい抒情が溢れ出た名曲。シューベルトの“幻想曲 ヘ短調 D940 "は、シューベルトが亡くなった1828年に作曲された切ない美しさを湛えた最晩年の名作。
アイネイアースへ
 クレメンティ(1752-1832):「捨てられたディドーネ」 Op.50 No.3
 ギリアド・ミショリ(1960-):アイネイアースへ
 タルティーニ(1692-1770)/ミショリ編曲:ヴァイオリン・ソナタ「捨てられたディド」(ピアノ版)

 ギレアド・ミショリ(P)
 録音:2016年3月20日-22日。 トロイア陥落後の英雄アイネイアースの放浪と、カルタゴの女王ディドーネとの悲恋。アイネイアースとの別れを悲しみ火に身を投じてしまうディドーネ。この悲劇の物語を題材に描かれたクレメンティとタルティーニの作品に、自作曲を収録したアルバム。悲しみの情感が豊かな創造力を掻き立ててくれる。タルティーニの「捨てられたディド」のオリジナルはヴァイオリンとピアノ版をミショリがピアノ独奏版に編曲。ギリアード・ミショリはフライブルク音楽大学の教授も務めている。
NEOS-21602
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(17CD)
5CD価格
ハインリヒ・シフを讃えて〜初CD(*)多数
 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲
  〔第1番 BWV.1007 (*) [ハインリヒ・シフ(Vc)/1983年|プライヴェート] /
   第4番 BWV.1010 /第5番 BWV.1011 [ハインリヒ・シフ(Vc)/1984年、セオン|EMI]〕
 フランチェスコ・ジェミニアーニ(1680-1762):チェロと通奏低音のためのソナタ Op.5 No.6
   [ハインリヒ・シフ(Vc) トン・コープマン(Cemb)
   ヤープ・テル・リンデン(Vc)/1991年、アムステルダム| Philips ]
 ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲 RV.424
   [ハインリヒ・シフ(Vc) アイオナ・ブラウン指揮 ASMIF /1983年、ロンドン| Philips ]
 ベートーヴェン:
  魔笛の主題による12の変奏曲 Op.66
   [ハインリヒ・シフ(Vc) フリードリヒ・グルダ(P)/1981年、ウィーン| Amadeo ]/
  ウェールズとアイルランドの歌 WoO.155 Nos.25-26, WoO.152 Nos.1, 3-4
   [ハインリヒ・シフ(Vc) D.フィッシャー=ディースカウ(Br)
    イェフディ・メニューイン(Vn) ハルトムート・ヘル(P)/1984年、ベルリン| EMI ]/
  チェロ・ソナタ
   〔第3番 Op.69 (*) [ハインリヒ・シフ(Vc) クリスティアン・ツァハリアス(P)/
              1982年、ザルツブルク音楽祭、ライヴ| ORF ]/
    第5番 Op.102 No.2 [ハインリヒ・シフ(Vc) ティル・フェルナー(P)/2000年| Philips ]〕/
  交響曲第5番 Op.67 (*) [ハインリヒ・シフ指揮ケルン WDRso./1998年、ケルン、ライヴ| WDR ]/
  ヴァイオリン協奏曲 Op.61 (*)[トーマス・ツェートマイアー(Vn)
    ハインリヒ・シフ指揮ウィーン室内o./2000年、シューベルティアーデ、フェルトキルヒ、ライヴ]
 モーツァルト:
  交響曲第36番 K.425「リンツ」(*)[ハインリヒ・シフ指揮カメラータ・ザルツブルク/
                   2002年、コンツェルトハウス、ウィーン、ライヴ| ORF ]/
  交響曲第40番 K.550 /ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド ハ長調 K.373
   [ハインリヒ・シフ指揮ノーザン・シンフォニア/1990年、1991年、キーサイド、ニューカッスル| Virgin ]
 シューマン:
  チェロ協奏曲 Op.129
   [ハインリヒ・シフ(Vc) ベルナルド・ハイティンク指揮 BPO /1988年、ベルリン| Philips ]/
  チェロとピアノのためのアダージョとアレグロ/チェロとピアノのための幻想小曲集 Op.73
   [ハインリヒ・シフ(Vc) ゲルハルト・オピッツ(P)/1991年、ノイマルクト| Philips ]/
  交響曲第2番(*)[ハインリヒ・シフ指揮オスロpo./1996年、オスロ、ライヴ| Oslo Philharmonic Orchestra ]
 ブラームス:
  チェロ・ソナタ〔第1番 Op.38 (*)[ハインリヒ・シフ(Vc) クリスティアン・ツァハリアス(P)/
                    1982年、フライブルク、ライヴ|プライヴェート]/
          第2番 Op.99 [ハインリヒ・シフ(Vc) ゲルハルト・オピッツ(P)/
                  1996年、ノイマルクト| Philips ]〕/
  クラリネット三重奏曲 イ短調 Op.114 [ハインリヒ・シフ(Vc) ザビーネ・マイヤー(Cl)
    ルドルフ・ブッフビンダー(P)/1983年、フランクフルト| EMI ]/
  ピアノ三重奏曲 Op.8 [ハインリヒ・シフ(Vc) ウルフ・ヘルシャー(Vn)
             クリスティアン・ツァハリアス(P)/1982年、セオン| EMI ]/
  ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲[フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)
    ハインリヒ・シフ(Vc) ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 LPO /1996年、ロンドン| EMI ]/
 ドヴォルジャーク:
  チェロ協奏曲 Op.104 /森の静けさ/ロンド
   [ハインリヒ・シフ(Vc) アンドレ・プレヴィン(P)指揮 VPO /1992年、ウィーン| Philips ]/
  ポロネーズ[ハインリヒ・シフ(Vc) エリーザベト・レオンスカヤ(P)/
        1984年、ラ・ショー・ド・フォン、スイス| Philips ]/
  序曲「謝肉祭」 Op.92 (*)
   [ハインリヒ・シフ指揮シュターツカペレ・ドレスデン/1995年、ドレスデン、ライヴ| MDR ]
 ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(*) [ハインリヒ・シフ指揮ケルン WDRso./2004年、ケルン| WDR ]
 ブルッフ:コル・ニドライ Op.47 (*) [ブルーノ・ヴァインマイスター(Vc)
    ハインリヒ・シフ指揮ラインラント=プファルツ州立po./2002年、ルートヴィヒスハーフェン、ライヴ| SWR ]
 マーラー:交響曲第1番「巨人」(*)
   [ハインリヒ・シフ指揮バーデン=バーデン・フライブルク SWRso./2007年、フライブルク、ライヴ| SWR ]/
      交響詩「葬礼」(*)[ハインリヒ・シフ指揮 NDR ハンブルクso./2008年、ハンブルク、ライヴ| NDR ]
 ヴュータン:チェロ協奏曲第2番[ハインリヒ・シフ(Vc) ネヴィル・マリナー指揮
                 SWR シュトットガルト放送so./1986年、シュトゥットガルト| SDR, EMI ]
 パガニーニ:カンタービレ Op.17 (シフ編曲)/ロッシーニ「モーゼ」の主題による変奏曲(ジャンドロン編曲)
 チャイコフスキー:感傷的なワルツ Op.51 No.6 / グリエール:12の小品〜ワルツ Op.48 No.2
 プロコフィエフ/ピアティゴルスキー編曲:子供のための音楽〜行進曲 Op.65
  [ハインリヒ・シフ(Vc) サミュエル・サンダーズ(P)/1987年、ウィーン| Philips ]
 チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」(*)
  [ハイリンリヒ・シフ指揮バーデン=バーデン・フライブルク SWRso./2004年、フライブルク、ライヴ| SWR ]
 プロコフィエフ:バレエ組曲「ロメオとジュリエット」(抜粋/7曲)(*)
  [ハイリンリヒ・シフ指揮バーデン=バーデン・フライブルク SWRso./2003年、ジュネーヴ、ライヴ| SWR ]
 ヘルムート・シフ(1918-1982):ヴァイオリンとチェロのための2つのデュオ Op.63 (*)
  [ハイリンリヒ・シフ(Vc) アンドレアス・ライナー(Vn)/1981年、リンツ|プライヴェート]
 ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ Op.40 (*)
  [ハインリヒ・シフ(Vc) ツィモン・バルト(P)/1991年、ザルツブルク音楽祭、ライヴ| ORF ]/
           チェロ協奏曲第1番 Op.107 (*)
  [ハインリヒ・シフ(Vc) クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮 VPO /1988年、ウィーン、ライヴ| VPO ]/
           チェロ協奏曲第2番 Op.126[ハインリヒ・シフ(Vc)
   マキシム・ショスタコーヴィチ指揮バイエルン放送so. /1984年、ミュンヘン| Philips ]
 シュニトケ(1934-1998):
  合奏協奏曲第1番[ギドン・クレーメル、タチヤーナ・グリンデンコ(Vn) ユーリー・スミルノフ(Cemb/
            プリペアドP) ハインリヒ・シフ指揮ヨーロッパ室内o./1988年、ベルリン| DG ]/
  チェロ・ソナタ第1番(*)[ハインリヒ・シフ(Vc) オレグ・マイセンベルク(P)/
               1984年、ウィーン、ライヴ| ORF ]/
  弦楽三重奏曲[ハインリヒ・シフ(Vc) ギドン・クレーメル(Vn) タベア・ツィンマーマン(Va)/
         1987年、ロッケンハウス音楽祭、ライヴ|ロッケンハウス音楽祭 (Philips?) ]
  ヴィトルト・ルトスワフスキ(1913-1994):
   チェロ協奏曲[ハインリヒ・シフ(Vc) ヴィトルト・ルトスワフスキ指揮バイエルン放送so./
          1986年、ミュンヘン、ライヴ| Philips, BR ]/
   チェロ協奏曲(*)[クリスティアン・ポルテッラ(Vc) ハインリヒ・シフ指揮バーデン=バーデン・
             フライブルク SWRso./2004年、フライブルク、ライヴ| SWR ]/
   葬送の音楽〜バルトークの追憶に(*)[ハインリヒ・シフ指揮マーラー室内o./
                      2004年、フェラーラ、ライヴ| Ferara Musica ]/
   チェロとピアノのための変容〜荘重に[ハインリヒ・シフ(Vc) アチ・ベルトンチェリ(P)/
                     1983年、エッケンハーゲン| EMI ]
 ルディ・シュテファン(1887-1915):管弦楽のための音楽 1912 (*)
  [ハインリヒ・シフ指揮バーデン=バーデン・フライブルク SWRso./2009年、フライブルク、ライヴ| SWR ]
 B.A.ツィンマーマン(1918-1970):チェロ協奏曲「3つの形」[ハインリヒ・シフ(Vc)
   ミヒャエル・ギーレン指揮バーデン=バーデン・フライブルク SWRso./1989年、バーデン=バーデン| Philips ]
 フリードリヒ・グルダ(1930-2000):チェロと吹奏楽のための協奏曲
  [ハインリヒ・シフ(Vc) フリードリヒ・グルダ指揮ウィーン管楽アンサンブル/1981年、ウィーン| Amadeo ]
 ウェーバー:「オベロン」序曲(*)
  [ハインリヒ・シフ指揮 SWR シュトットガルト放送so./1999年、ケルン、ライヴ| Deutschlandradio ]
 シューベルト:交響曲第7番(第8番)「未完成」(*)
  [ハインリヒ・シフ指揮 NDR ハノーファー放送po./2011年、ハノーファー、ライヴ| NDR ]
 R.シュトラウス:チェロと管弦楽のためのロマンス[ハインリヒ・シフ(Vc)
   クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウスo./1989年、ライプツィヒ| Philips ]
 ラハナー(1811-1893):6つのドイツ舞曲〜カンタービレ(*)[ハインリヒ・シフ(Vc)
   クリスティアン・ツァハリアス(P)/1982年、フライブルク、ライヴ|プライヴェート]
 ドビュッシー:チェロ・ソナタ(*)[ハインリヒ・シフ(Vc) クリスティアン・ツァハリアス(P)/
                  1982年、ザルツブルク音楽祭、ライヴ| ORF ]
 ラフマニノフ:ヴォカリーズ[ハインリヒ・シフ(Vc) エリーザベト・レオンスカヤ(P)/
               1984年、ラ・ショー・ド・フォン| Philips ]
 サン=サーンス:白鳥 / ヴィエニャスフキ/シフ編曲:スケルツォ・タランテラ
  [ハインリヒ・シフ(Vc) サミュエル・サンダーズ(P)/1987年、ウィーン| Philips ]
 録音|原盤・ソース:[/内|]。(*)は「初CD化」とのこと(おそらく初出を含む)。 2016年12月26日に没したチェリスト、指揮者のハインリヒ・シフ(1951-2016)の主要なレパートリーをPhilips 、EMI 、DG等メジャー・レーベルや放送局の協力を得て集成。今回が初CD化となる多数の未発表音源を加えて大音楽家シフの偉業を辿る。ハインリヒ・シフは1951年オーストリア出身。アンドレ・ナヴァラらの指導を受け、1972年にグラーツで開催されたISCM国際現代音楽祭でロストロポーヴィチが急病のため代役として演奏したルトスワフスキのチェロ協奏曲で一躍世界的な注目を集めるようになった。その後はチェロの第一人者として華やかな活動を続けたが、病のため2012年より指揮に専念、指揮者としても一時代を築いた。メジャー・レーベルからの音源の復刻ももちろんだが、今回のセットでうれしいのは初CD化される音源が多いこと。特におすすめはショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番。1988年のVPOとのライヴでソリストはもちろんシフ、指揮はドホナーニで権利はVPOが所有していたが、今回が初CD化。また広く世界に知られるきっかけとなったシフの十八番、ルトスワフスキのチェロ協奏曲は作曲者指揮のPhilips音源に加え、シフが指揮者に回って演奏した2004年のライヴ(初CD化)も収録、両者の聴き比べも楽しみなところ。そして指揮者としては2007年バーデン=バーデン・フライブルクSWR響とのマーラー:交響曲第1番ライヴに2004年ケルンWDR響とのブルックナー:交響曲第4番など、いずれも白熱のライヴで今回初CD化なのが不思議なくらい。また既出のAmadeo音源ではあるが、ソルストとしては鬼才フリードリヒ・グルダの怪作「チェロと吹奏楽のための協奏曲」が収められているのも見逃せない。巨匠ハインリヒ・シフの足跡を辿る最高のセット。
Concerti III
 プーランク(1899-1963):2台のピアノのための協奏曲 ニ短調 FP.61
 コリン・マクフィー(1900-1964):2台のピアノと管弦楽のためのトッカータ「タブー・タブーアン」
 ジョン・アダムズ(1947-):
  2台のピアノ、3人の女声アンサンブルと打楽器のための「グランド・ピアノラ・ミュージック」(*)

 グラウ=シューマッハー・ピアノ・デュオ トリオ・メディヴァル(*)
 ブラッド・ラブマン指揮ベルリン・ドイツso.
録音:2014年10月13日-17日、テルデックス・スタジオ、ベルリン。 植民地博覧会で、プーランクが聴いたバリ島の音楽に影響を受け、ガムラン音楽の雰囲気が感じられる第1楽章、モーツァルトの作風を意識したという第2楽章など、次から次へと変わっていく音楽スタイルから生み出されるメロディに多彩なリズムに引き込まれる2台ピアノのための協奏曲。ロマンティックだけではない先鋭的な味わいも詰まった名曲。コリン・マクフィーはカナダの作曲家で、バリ島に滞在して、ガムラン音楽を研究、ガムラン音楽を西洋に紹介し、大きな影響を与えた。管弦楽でバリの儀礼音楽を再現した「タブー・タブーアン」は彼の代表作。マクフィー自身による2台ピアノとオーケストラ版を収録。「ポスト・ミニマリズム」の作曲家として有名なジョン・アダムズ。「ピアノラ」とは1900年頃に誕生した自動演奏装置のこと。ジョン・アダムズはこの装置をイメージして作曲したが、実際の演奏では難しいので、2台ピアノで演奏される。神秘的で、繰り返される音型、さらにはマーチやゴスペルなど様々な作風がごった煮的に現れる興味深い作品。「春の祭典」(NEOS-20805)、「ショスタコーヴィチの交響曲第5番(NEOS-20801)の編曲ものやクラム、シュットックハウゼンなど異色の作品を録音してきたグラウ=シューマッハー・ピアノ・デュオの卓越した演奏が光る。
ピッコロ・合奏協奏曲
 モーツァルト(1756-1791):クラリネット協奏曲 イ長調K.622 (1791)
 マティアス・ミュラー(1966-):八重奏曲(2014) (#) /ピッコロ・合奏協奏曲(2016/17) (+)
 マティアス・ミュラー(バセットCl) マイケル・コリンズ(バセットCl;+)
 チューリヒ室内o.(#以外) アンサンブル・リミックスド(#)
 録音:2017年。 作曲家にして一流のクラリネット奏者であるマティアス・ミュラーのクラリネット自作自演集。モーツァルトの音楽に敬意を表して全てバセット・クラリネットで演奏している。最初にモーツァルトのクラリネット協奏曲を自らの吹き振りで見事に演奏しており、その音色の美しさには驚嘆させられる。ミュラーの八重奏曲は6つの小品からなる新古典主義と現代的な要素が組み合わされた愛らしい組曲。ピッコロ・合奏協奏曲はモーツァルトの交響曲第40番、ドン・ジョヴァンニにインスパイアされて作曲され、モーツァルトの前述作品の引用も盛んに行われるユニークな作品。
NEOS "CLASSICS"
 硬派な現代音楽や、実験音楽的要素の強いジャズ・シリーズなど個性的なリリースを続けている当レーベルによる「クラシック」シリーズ。クラシックといえど、さすがに現代系のレーベルだけあってタダモノではない。
NEOS-30801
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
スイス・チェンバー・ソロイスツ・エディション Vol.1
 J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲
  (弦楽三重奏版; 1977年ベーレンライター・
    新バッハ全集に基づくシトコヴェツキー編曲)
スイス・チェンバー・ソロイスツ
[ハンナ・
  ヴァインマイスター(Vn)
 ユルグ・デーラー(Va)
 トーマス・
  グロセンバッハー(Vc)]
 録音:2007年。
 スイス・チェンバー・ソロイスツは1999年に結成され、バロックから現代曲まで幅広い作品をレパートリーとしている。現代曲ではホリガー、キーブルツ、クルターク、リゲティなどを得意としており、そうした経験を踏まえて演奏されるゴルトベルク変奏曲は切れ味の鋭い都会的で洗練された仕上がりとなっている。
1804年初演時と同じ28人編成による「英雄」
 ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
ダニエル・グロスマン指揮
アンサンブル28
 録音:2003年。ピリオド楽器使用。
 アンサンブル28はEU6ヶ国の音楽家によって構成され、ヒストリカル楽器を使用する団体。音楽監督は「クセナキス:鍵盤楽器のための作品集」でMIDIプログラミングを担当したダニエル・グロスマンが勤めている。この「英雄」は1804年の初演時と同じわずか28人で演奏されており、ヴァイオリンはファースト、セカンドそれぞれ4人、弦楽器が合計14人でオーケストラ全体の半分という小編成。無駄なくスリムで引き締まった演奏。
ブラームス/ハインリヒ・ポース編
 ドイツ・レクイエム(2台のピアノとティンパニによる伴奏版; 1979)
  ジモーネ・ノルト(S) カイ・シュティーファーマン(Br)
  イアン・ペース、マーク・ヌープ(P) ペーター・シュトラッケ(ティンパニ)
  ルペルト・フーバー指揮WDRケルン放送cho.
 録音:2007年。
 ドイツ・レクイエムのピアノ版は作曲家自身の編曲が存在するが、それは4手連弾版であり、しかも声楽パートはなかった(ピアノが声楽パートを弾いている、いわばインストゥメンタル・ヴァージョンである)。このCDはブラームスに造詣の深い作曲家ポースがピアノ伴奏版で声楽が入れるよう、再構成した版による録音。同じ4手でも連弾ではなく2台ピアノである上、低音を補充するためにティンパニが加えられているので音の厚みも十分。
NEOS-30804
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ブラームス
 愛の歌 Op.52(1833-69)(混声合唱版)/
 ワルツ Op.39〜4手のための(1865)/
 新・愛の歌 Op.65(1874-75)(混声合唱版)
ルペルト・フーバー指揮
WDRケルン放送cho.
グラウ・シューマッハー・
 ピアノ・デュオ(P)
 録音:2007年。2台のピアノとティンパニ伴奏による「ドイツ・レクイエム」に続くR.フーバー&WDRケルン放送cho.のブラームス合唱曲第2弾。
 「愛の歌」、「新・愛の歌」はもともとSop、Alt、Ten、Basの4人の独唱者と4手のピアノのための作品だが、このCDではそれぞれのパートを増やし、混声合唱版として演奏している。もっとも混声合唱版による演奏は珍しいことではなく、RIAS室内合唱団やリリングなどのCDが既に出ている。1839年パリ製の歴史的なフォルテピアノを使用、その古びた音色とフーバー指揮WDRケルン合唱団の時代考証に基づいた歌唱が初演当時の雰囲気を伝える。
シューマン
 ピアノ・ソナタ第3番Op.14「管弦楽なしの協奏曲」
  (英国図書館所蔵自筆譜によるオリジナル版)/
 幻想小曲集Op.12
フロリアン・ヘンシェル(P)
 録音:2001年8月28日-29日、クララ=ヴィーク・オーディトリアム、ゲースト・トンスタジオ、サンドハウゼン。前出:ARS MUSICI, AM-1407-2
 シューマンのピアノ・ソナタ第3番は当初、作曲者によって「管弦楽なしの協奏曲」と命名され、その名で出版されるように指示されたが、名前が適当でないとの理由から後に現在のピアノ・ソナタ第3番と改名された。そして、改められたのは題名だけではなく、内容も全5楽章から3楽章に減らされた(後の改訂で1つの楽章が復活)。このCDは最初の版の全5楽章による演奏で当初の題名を採用した。ヘンシェルは1970年ベルリン生まれの若手で、ソリストとしてだけではなく、リート伴奏者としても共演者から絶大な信頼を得ている。
NEOS-30806-08
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(3CD)
2CD価格
クリスマスの朝の祈り〜
 クリスマス聖日前夜のためのグレゴリオ聖歌集

  (近年発見された聖歌集)
ルペルト・フーバー指揮
WDRケルン放送cho.
 録音:2007年12月。
 クリスマスに因んだグレゴリオ聖歌集。しかしNEOSからのグレゴリオ聖歌、普通であるわけがない。これほど現代的な歌い方をしたグレゴリオ聖歌も珍しいだろうが、何より驚きなのが女声、男声共演による混声合唱版であること。アンティフォナでは女性と男性が呼び交わしまでしている。近年新発見された楽譜による学術的にも貴重な録音の登場。
NEOS-30901
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
メンデルスゾーン:弦楽五重奏曲第1番 イ長調Op.18(*)
ブルッフ:弦楽五重奏曲 変ホ長調(1918)(#)
メンデルスゾーン:
 弦楽五重奏曲第2番 変ロ長調Op.87(*)
ヘンシェルSQ
沢和樹(Va;#)
ローランド・
 グラッスル(Va;*)
 録音:2008年、2009年。(#)は世界初録音。
 (#)は近年発見され、2008年にヘンシェル四重奏団により初演されたブルッフ最晩年の作品。ヘンシェル四重奏団は1994年に結成され、1996年には大阪国際弦楽四重奏コンペティションで優勝後、世界各地で活動している。日本のヴァイオリニスト沢和樹が楽器をヴィオラに持ち替えて参加。
メリー・クリスマス〜
 クリスマスの伝統的な音楽と新しい音楽

 バッハ:「まぶねのかたえに我は立ちて」〜
  クリスマス・カンタータ
 ウォーロック:ベツレヘムの夜明け
 パッヘルベル:カノン
 楽しいクリスマス(ドイツのクリスマス・キャロル)
 J.S.バッハ:G線上のアリア/永遠の父なる神よ
 清しこの夜(クリスマス・キャロル)
 A.コレルリ:クリスマス協奏曲
 アール・J.ライスドルフ(1958-):
  幼子イエスのキャロル(2007/09)
 ローランド・ファッジ(1947-):化身(2009)
 アンディ・エヴァンズ(1962-):
  そしてマリアは言われた(2009)
 デレク・スミス(b.1930):カロリンガ(2009)
ヘンシェル四重奏団
テルツ児童合唱団ソロイスツ
M.ショイリヒ=ヘンシェル
 (Cemb)
フランク・ライネッケ(Cb)
 録音:2009年、2010年。
 硬派レーベルNEOSには珍しいクリスマス・アルバム。だからと言って斜に構えた内容ではなく普通に楽しくクリスマス・アルバム(?)している。バッハ、パッヘッルベル、コレルリは厳格な古楽スタイルの中に即興的な遊びの精神も宿って楽しい。現代の作曲家のクリスマス音楽も現代曲的な硬い作品ではなく親しみ易い物。
NEOS "JAZZ"
 ジャズとはいっても、クラシックの現代音楽と実験的ジャズを行き来しているようなアーティストを起用した、現代音楽ファンにも訴えるものが強いシリーズ。
気まぐれな〜
 イェンス・ヨネライト(1968-):作品集

 夜明けに/ともされたろうそく/想像した別の日/
 ゆらめく炎の中に/あばかれたおどけたしぐさ/
 気まぐれな/他
トム・シューラー
(Tp/Fhrn)
イェンス・ヨネライト
(Dms/Cb/P/電子P)
 録音:2005年-2007年。
 ヨネライトはドイツのオッフェンバッハで生まれ、サウス・ダコタ大学で美術と音楽を学び、マディソンのウィスコンシン大学で作曲をジョエル・ナウマンに師事した。交響曲、協奏曲、室内楽曲など多数の作品があり、BPOのためにも作曲しており、前衛の中で人間的な表現を探求している。
誤り〜
 エリオット・シャープ・エディション Vol.1

 エリオット・シャープ(1951-):
 スプリニーの切符/異言で/砂の都市/
 どのデルタ/刺激/人智圏/他
エリオット・シャープ
(G/Sax/コンピュータ)
テクトニクス
 録音:1998年。
 シャープはバード大学でフリー・ジャズの先駆者ラッド、バッファロー大学でフェルドマンなどに師事し、1979年からニューヨークの前衛的な演奏会場でギターを弾き、実験的音楽の主要人物となった。コルトレーンからクセナキスまで広範囲から影響を受け、作品は管弦楽曲からブルース、ジャズ、ロック、テクノまで及びます。ここでは、激しくかき鳴らされるギターにクラリネット、サクソフォン、ドラム、シンセサイザーなどが加わっている。
シンダキット〜
 エリオット・シャープ・エディション Vol.2

 エリオット・シャープ:
  シンダキット SyndaKit [第1部−第4部]
エリオット・シャープ(G)
オーケストラ・カーボン
 録音:1998年12月。
 オーケストラ・カーボンはシャープが創設した電子楽器を含む小規模なo.で、シャープは曲によってギター、クラリネット、サクソフォンを演奏する。この作品は、群がる鳥、通りの遊び仲間、組換えRNA、アフリカのドラム合奏などを音素材やその構成方法として用い、各部分では同じリズムがしばらく執拗に反復される上で様々な音が飛び交いる。
喉頭〜
 エリオット・シャープ・エディション Vol.3

 エリオット・シャープ:喉頭[1−6]
エリオット・シャープ
(G/Sax/Cl/サンプラー)
オーケストラ・カーボン
ソルジャーSQ
 録音:1987年6月-10月。
 この曲名は、ジューズハープ(口でくわえて指で弾く口琴)と、イヌイットとモンゴルの歌に関係があると作曲者は説明している。ここでシャープは自分が考案し製作したダブル・ネック・ギターなどを担当して、協奏曲のような要素もあり、騒音も含む大音響の力強い音楽が展開する。
集積〜
 イェンス・ヨネライト:作品集

 ほのめかし/変転/延長/難問
ロスコー・ミッチェル
(Sax/Fl/Pic)
イェンス・ヨネライト
(Dms/Cb/P)
 録音:2003年2月、5月。
 ここに収録された作品のリズムはジャズ風だが、ピアノの扱いや、特に第2曲の独奏サクソフォンの様式はクラシックの現代音楽風。ミッチェルは1940年シカゴで生まれたアフリカ人の作曲家・サクソフォン奏者で、現代音楽の先端にいる前衛ジャズの主要人物の一人と見なされている。
エリオット・シャープ・エディション Vol.4
 エリオット・シャープ:
  レオ〜ウンブラ(RHEO〜UMBRA)
オーケストラ・カーボン
エリオット・シャープ
 (フレットレスG)
ソルジャー弦楽四重奏団
 録音:1996年4月、ニューヨーク、ライヴ。
 エリオット・シャープはNEOSが注目するニューヨーク・アンダーグラウンドの巨匠。フリー・ミュージック、アヴァン・ポップ、現代音楽ファン必聴。強烈なビートを背景にノイズの嵐が吹き荒れる。ヴァレーズ、ストラヴィンスキーが好きな人にもお薦め。
イェンス・ヨネライト:
 イン=ビトゥイーン(ブルース・ピース)

 rise/impasse/plosion/lapse/submerged/
 rite out/washed over/cwm/in-between
イェンス・ヨネライト
(Dr/ベース/P)
 録音:2004年1月、2月。
 より伝統的なモダーン・ジャズ。冷たい抒情が廃墟の都市に響く。
エリオット・シャープ・エディション Vol.5
 エリオット・シャープ:スプリング&ニープ(*)/
 RE:ITERATIONS(#)
エリオット・シャープ指揮(*)
八木美知依(十七絃筝;*)
田中悠美子(太棹三味線;*)
藤尾佳子(細棹三味線;*)
ジーナ・パーキンズ
 (吟遊詩人のハープ;*)
野村誠(P;*)
澤民樹(Vn;*)
阿部美緒(Vn;*)
坂本弘道(Vc;*)
菊池正晃(Cb;*)
伊藤憲司(Prec;*)
熊田グアム(Prec;*)
ソルジャー弦楽四重奏団(#)
ラッツォ・B.ハリス(Cb;#)
 録音:1996年10月、東京、ライヴ(*)/1986年6月(#)。
 日本のニュー・ミュージック・シーンを代表するアーティスト総出演。軋み、唸り、咆哮し、もだえ、嗚咽し、やがて恍惚のあえぎ声を発するような全編、ノイズの嵐。
イェンス・ヨネライト:MAZE(ドラム・ソロ) イェンス・ヨネライト(Dr)
 録音:2004年2月。
 全編ドラム・ソロ。静けさから荒れ狂う嵐。ヨネライトはクラシックの作品も書いており、BPOのためにも作曲している。
Les Émeudroïdes [レゼムドロイデ?]
 Perplexe 1 (R. Monteiro) / L’Homme chaussure (J. Rühl) / Perplexe 2 (C. Canonne) / Herr Daïra (N. Nageotte) /
 Perplexe 3 (J. Rühl) / Squirrel 27 (C. Canonne) / Perplexe 4 (N. Nageotte) / Villeuses Volutes (R. Monteiro) /
 Perplexe 5 (J. Bruyère) / Excusez–moi Thomas F. (J. Rühl)
 録音:2007年10月14日-16日、L’Artscène Studio, Bourgoin-Jallieu, France / Mixed and mastered by Ananda Cherer & Les Emeudroïdes in January 2008。
 NEOSジャズ・シリーズ。Les Émeudroïdes(国内代理店翻訳者は「レ・エミュドロワード」と読んでいるが疑問)はエレクトリック・ベースを含むベース、ピアノ、シンセ、打楽器、サクソフォン、クラリネット5人組の実験的バンドでノイズ系のフリー・ミュージックをやっている。シンセの「ぴよぴよ、くちゅくちゅ、ちゅぱちゅぱ」といった音響の中に烈しいドラム・ビートが入ったり、そうかと思えばクラリネットがノスタルジックなブルースを奏でる、といったもの。
スコット・フィールズ:
 ラジオ番組のための音楽「 THIS AMERICAN LIFE 」
スコット・フィールズ・
 アンサンブル
[スコット・フィールズ(電気G)
 セバスティアン・
  グラムス(Cb)
 ジョアン・ロボ(Perc)
 スコット・ローラー(Vc)]
 NEOSジャズ・シリーズ。スコット・フィールドはシカゴ出身。フリー・ジャズ系の音楽だが叙情的な側面もある。
オルガ・ノイヴィルト
 私はだあれ?/
 「もう、ごめんだ」〜2つのオーディオ・フィルム
ICI アンサンブル
オルガ・ノイヴィルト
(卓上コンピュータ/
 自転車マシーン)
 録音:2007年、ライヴ。
 ヨーロッパ新世代の前衛シーンをリードするノイヴィルトは前衛の牙城にとどまる事なく、演劇、映画など他ジャンルとのコラボレーションを積極的に行ってきたが、ここではっきりとアヴァン・ポップ系音楽路線を打ち出した。とはいえ政治、哲学に一家言ある彼女のこと。ジャーマン・ジャズ、ジャーマン・プログレをひとひねりもふたひねりもした上、さらに二転三転させたような凝った作り。語りのほか、強力なブラス・セクション、ドラム・ビート、エレキ・ギターの掻きむしるような響き、ルパン3世のようなチープなサウンドとクラスターが、ぐちゃぐちゃと絡み合う。
NEOS-40808
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2007〜
 戦争地帯 〜 SWR2 ナウ・ジャズ

 エリオット・シャープ(1951-):
  リップルズ・フロム・ザ・バング
 ベルンハルト・ラング(1957-):パラノイア(2007)
ラタシャ・N.ネヴァダ・
 ディグス(語り/Vo)
フィリップ・ジェック
(ターンテーブル)
ハンス・コッホ(リード楽器)
ベルンハルト・ラング
(キーボード、エレクトロニクス)
エリオット・シャープ
(8弦ギター・ベース、エレクトロニクス)
フレディ・スチューダー(Perc)他
 NEOSジャズ・シリーズ。当レーベルではもうお馴染み、ニューヨークのノイズ派の巨匠エリオット・シャープの最新作。エレクトリック・ギターのクラスター、サンプリング、ラップのリズム、電子音響が激しくぶつかり合う、まるでニューヨークの壁に描かれた落書きのような作品。ラングは前衛とフリー・ジャズの間を行き来する作曲家だが、ここでもターンテーブルまで動員しタイトル通りのパラノイアックな世界を現出させる。
NEOS-40809
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
JOMO
 ベッドタイム・ストーリー/ジョモ/モジョ/猿/
 ナイト・スウィーツ/
 スコラダトゥーラ[第1部−第3部]/
 閉じられた扉/落日
JOMO
[マリー・オリヴァー(Vn/Va)
 ジョアンナ・ヴァーナー(Vc)]
 録音:2008年。
 JOMOは2008年結成、実験的ジャズ、クラシック、現代音楽の間をゆくような瞑想的な即興音楽を演奏する。ECMでたまに登場するパウル・ギーガーのような、ハーモニクスと特殊奏法を多用した幻想的な音空間。
ロウ・ダウン・ミュージック〜マンフレート・ニール
 ハンバーガー会社/とんでもなくひどい世間知らず/ミス・ブルー/
 明るさ/無料開店/ポツィライ/打ち鳴らす歌/シュネーフェルダーII
  リダクション・クァルテット(Tp/Tb/Db/ドラムス)
 録音:2004年。
 当シリーズとしては伝統的な(つまりわかりやすい)部類に入る。ラテン、アフリカのリズムに明るいハーモニー、自由なメロディが屈託なく歌われて楽しい。
グンダ・ゴットシャルク:ささやくユーラシア
 グンダ・ゴットシャルク(Vn) シュ・フェンシア(中国古箏/三弦/声)
 安藤明(Db) ギュンター・ベイビー・ゾンマー(Perc)
 録音:2009年.
 古筝、三弦(ともに中国琴の一種)に各種打楽器、ヴァイオリン、ベースが絡み、エキゾチックでアナーキーな空間が広がる。ジャズというよりノイズ系現代音楽。
エリオット・シャープ・エディション Vol.6
 エリオット・シャープ:スペクトロピア組曲
  (映画「スペクトロピア」サウンド・トラック)
31バンド
シリウスSQ
デビー・ハリー(Vo)
 録音:2009年。
 映画音楽だけあって様々なスタイルが混交。ノイズ系あり、伝統的なジャズ・スタイルあり、クルト・ワイル風の音楽あり、無調の正統的(?)現代音楽ありと多彩で楽しめる。
カール・ルードヴィヒ・ヒュープシュ:「宇宙の長期的発展」〜創造主は当初の計画を歪める
 光/ノット・イーヴン/3つのピンナップ/オービティング/モジュール・モジュレーション
  カール・ルードヴィヒ・ヒュープシュ(Tu) ゲリー・ヘミングウェイ(Dr)
  マティアス・シューベルト(テナーSax) ヴォルター・ヴィアボス(Tb)
 録音:2009年。実験的要素の多いフリー・ジャズ。アメリカ実験音楽とかなり接点多し。
エリオット・シャープ&スコット・フィールズ:アフィダカンポス
 プレオニカ/アース・エコロジー/俺は緑の卵が嫌れぇだ/クラッシュ・エリア/
 恥の図像/デルタ・デルタ/サン・フィグトリー/いま畳み込み!
  エリオット・シャープ、スコット・フィールズ(G)
 録音:2010年。2つのアコースティック・ギターのデュオ。ギターのボディを叩いたり、弦を引っ掻いたりとヘルムート・ラッヘンマン、ブライアン・ファーニホーを思わせる音楽。
スコット・フィールド&シュテファン・ラート:僕たちが話したこと
 スコット・フィールド(G) シュテファン・ラート(テオルボ)
 録音:2009年。
 アコースティック・ギターとリュート系撥弦楽器テオルボによるデュオ。周期的なリズムのない自由なテンポのなかで二つのギターが孤独な対話を続ける。武満徹のギター音楽を思い出させる。
NEOS-41006/07
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(2 HYBRID_SACD)
価格帯:B
ドナウエッシンゲン音楽祭2005・SWR2 ナウ・ジャズ 誘惑〔1−4〕
 大友良英(ターンテーブル/G/エレクトロニクス) アクセル・ドルメル(Tp)
 サチコ・M(サインウェーブ) マーティン・ブランドルマイヤー(Dr)
 録音:2005年、ドナウエッシンゲン、ライヴ。日本を代表する前衛ジャズ・ミュージシャン大友良英とその仲間によるセッション。ノイズと喧騒と沈黙の交錯する幻覚的世界。
NEOS-41008
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
コンポーザー・イン・ダイアログ〜ウィンター・サン・クライング(全15曲)
 鐘/列車/ウィンター・サン・クライング/大地/月/涙/希望/世界を変えよう/他
  ウィリアム・パーカー(ベース/Tp/尺八) ICIアンサンブル
 録音:2005年、ドナウエッシンゲン、ライヴ。ウィリアム・パーカーは1952年ニューヨーク・ブロンクス生まれのベーシスト。チャールズ・ミンガスらの伝統的ベース・テクニックを学んだ後、次第にフリー・ジャズへ転換。デレック・ベイリー、ジョン・ゾーン、DJスプーキーらと共演を重ねる。ICIアンサンブルはヴィンコ・グロボカールほか先鋭的なミュージシャンらが集まって1999年に結成、グロボカール、オルガ・ノイヴィルトの作品を上演するなどジャズ、現代音楽の音楽家を広く共演している。
NEOS-41601
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(HYBRID_SACD)
価格帯:B
[JAZZ]
ペーター・ブレッツマン(1941-):美しい嘘
 美は嘘をつかない/見る人の目
  ペーター・ブレッツマン(Sax) ICI アンサンブル
 ペーター・ブレッツマンはドイツのジャズ・ミュージシャンで、フリー・ジャズを専門としている。当初、美術を学んだ後、独学でクラリネットとサックスを習得しキャリアを開始、これまでの共演者としてエヴァン・パーカー、デレク・ベイリー、近藤等則らがいる。度々来日もして好評を博している。終始激しいフリーキー・トーンが飛び交う熱いライヴ。
NEOS-41602
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[JAZZ]
ミヒャエル・ヴェルトミュラー(1966-):地面!地面!引き上げろ!引き上げろ!
 バディ飛びます/ bng_gng / z.rat#5 /ラ・マラマ
  ジャンゴ・ベイツ指揮ベルン芸術大学ラージ・アンサンブル ルーカス・ニグリ(Dr)
 録音:2015年2月27日、ライヴ。ヴェルトミュラーはスイス、ベルンのジャズ・スクールでフリー・ジャズを学んだ後、オーケストラ、弦楽四重奏を作曲、ジャズ・ミュージシャンでありながらオペラも手掛け、作品はドナウエッシンゲン音楽祭、ムジカ・ヴィヴァ、ルツェルン音楽祭でも取り上げられている。また上記ペーター・ブレッツマンとトリオを組んでドラム・セットも担当している。当ディスクはビッグ・バンドのために書かれており、テーマはある程度決められているものの刺激的なインプロビゼーションが展開される。
NEOS-41701
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[JAZZ]
「 Say Yes / Till No.」〔録音:ライヴ〕
 Unchanged? / Sudden back unchanged? / Yes / Say Yes / Each time unchanged / Somehow unchanged /
 Till no./ Till say no./ Sudden back unchanged / Somehow changed / Each time somehow changed

 フィル・ミントン(Vo) ICIアンサンブル
  [ダーフィト・イェーガー、マルクス・ハインツェ(Sax) クリストファー・ヴァーナー(Tb)
   マルティン・ヴォルフラム(P) グンナル・ガイセ(ラップトップG)
   ゲオルク・ヤンケル(ダブルベース/エレクトロニクス) ズンク・ペシュル(ドラムス)]
NEOS "DVD"
NEOS-50802
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(DVD_VIDEO)
価格帯:C
クリストバル・アルフテル(1930-):「ラザロ」〜1幕のオペラ(2004-2007)
 イェルク・ザブロフスキ(Br) フリードマン・クンダー(B)
 ユリア・ヘニング、クラウディア・イテン(S) ヨハネス・アン(T)
 シュテフェン・ドーバーアウアー(T) マティアス・クライン(B)
 ジョーイル・チョイ(Br) ゲオルク・フリッチュ指揮キールpo.
 録音:2008年。世界初録音。NTSC。
 2008年キール歌劇場で初演されたジュアン・カルロス・マルセトの台本による聖書にもとづくオペラ。
 #2009年5月に同番号のPAL方式盤をご案内した物ですが、NTSC盤がリリースされれることとなりました。
NEOS-50905/08
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(4DVD)
2枚価格
価格帯:C
ザルツブルク・ビエンナーレ〜ニュー・ミュージック・フェスティヴァル 2009
 マウリシオ・ソテロ(1961-):地下室、ルイジ・ノーノのための音楽(2004-05, 2008/抜粋)
 [アルカンゲル(フラメンコVo) ベアト・フラー指揮ザルツブルク・バッハcho.
  オーストリア現代音楽アンサンブル/指揮者ベアト・フラーへのインタビュー付]
 フラメンコ: "Puro y hondo" からの2つの小品[アルカンゲル(Vo) ミゲル・アンヘル・コルテス(G)他]
 スティーヴ・ライヒ(1936-):電気増幅されたアンサンブルとテープのための「シティ・ライフ」(1995)
 [ヨハネス・カリツケ指揮オーストリア現代音楽アンサンブル]
               18人の音楽家のための音楽(1973-76)
 [ヴィア・ノーヴァ・パーカッション・グループ、シナジー・ヴォーカルズ、オーストリア現代音楽アンサンブル]
 バリのガムラン音楽(演奏会から抜粋)[イ・マデ・アルナワ監修アンサンブル・タルナ・メカール]
 細川俊夫(1955-):沈黙の花(1998) / ヴェーベルン(1883-1945):6つのバガテルOp.9
 ヴェーベルン:5つの楽章 Op.5(1909)[ディオティマSQ]
 ヘルムート・ラッヘンマン(1935-): temA (1968)
 [イングマール・メッシン(Fl) アンナ・マリア・パマー(声) ペーター・ジーゲル(Vc)]
 八橋検校(1614-1685):六段[川村京子(筝)]
 細川俊夫:声、筝、チェロとアンサンブルのための「味真野に」(相聞歌より) (2001)
 [川村京子(筝) ペーター・ジーグル(Vc) 細川俊夫指揮オーストリア現代音楽アンサンブル]
 尺八のための日本の伝統音楽:虚空/鶴の巣篭もり(演奏会から抜粋)[田嶋直士(尺八)/細川俊夫のインタビュー付]
 クラウス・フーバー(1924-):4人のアラビア人&2人のヨーロッパ人の音楽家とテープのための
  「地球は雄牛の角で回転する」(1992-94/抜粋)[クラウス・フーバー指揮アンサンブル、
                    エクスペリメンタル・スタジオSWR(テープ)/フーバーのインタビュー付]/
  エッチェ・ホミネス(1998)[シュタードラーSQ セルゲイ・マロフ(Va)]
 収録:2009年3月、ザルツブルク・ビエンナーレ・ニューミュージック・フェスティヴァル、ライヴ。NTSC & PAL 、各2枚づつのDVDをセット。現代音楽ファンにとってはまさに宝の山! 一部全曲収録でないことを差し引いてもあまりにも重要、貴重!! 二倍・三倍にも楽しめる内容。
NEOS-50909/10
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(DVD_VIDEO)
2CD価格
ムジカ・ヴィヴァ・フェスティヴァル・ミュンヘン2008、
 ヴィジュアル・ハイライト(演奏の抜粋とインタビュー)

 アドリアーナ・ヘルスキーITV(1953-):カウントダウン(2007)[R.ボーン指揮アンサンブル]NEOS-10926
 コンロン・ナンカロウ:スタディ第41番[W.ハイジヒITV、R.ローソンITV(フォノラ[自動ピアノ])
 ミヒャエル・レンツITV&ウリ・ヴィンタースITV:ボクシングの歌[T.カーゲル(ボクサー)
   F.リードゥル(電気G) B.ユッテ(Perc) U.ヴィンタース(電子音響)他]
 ハンス・ツェンダーITV:ロゴス=断章(*)/オリヴィエ・メシアン:微笑み/エンノ・ポッペITV:楔状骨/
 ヨンギ・パク=パーンITV(朴泳姫/1945-):イン・ルーチェ・アンビュレムス(#)
  [S.カンブルランITV指揮SWRバーデンバーデン・フライブルクso.
   シュトゥットガルト・ヴォーカル・アンサンブル(*) H.メイヤー(T;#)]
 ヤニス・クセナキス:アンティクトン/ベアト・フラー:ピアノ協奏曲(+)NEOS-10926/
 ジェラール・ペソン:いざこざの原因と結末
  [ブラッド・ラブマンITV指揮ケルン放送so. ニコラス・ホッジス(P;+)]
 制作:パイダー.A.デフィッラによる映像(バイエルン放送アルファ)、2008ムジカ・ヴィヴァ音楽祭における主要公演ライヴ。NTSC or PAL(同内容のディスク各1枚入り)、カラー、STEREO/16:9,字幕:ドイツ語、スペイン語、英語、フランス語、イタリア語、148分。
 バイエルン放送アルファ製作のテレビ用映像を集めたDVD。各々15分弱に演奏の抜粋と作曲家や演奏家のインタビューITVが収められている。2008年ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘンのCDはNEOS-10926(SACD5枚組+通常CD)で出ており、NEOS-10926の2曲は左記BOXに全曲が収録されているが、他は未収録。他の曲は、NEOSレーベルを初めとして、他CD盤で全曲が聴ける物も多い。
 映像自体は極めて魅力的なものが続々登場。コンロン・ナンカロウの壮絶なロール・ピアノ作品の映像が見られるのはこのDVDくらいだろう。その他にひとりのボクサーがリング上でサンドバックと戦う痛快なシアターピース(聴衆はボクシングの試合と同じくリングの周りの観客席に座らされる)ミヒャエル・レンツ&ウリ・ヴィンタースのボクス・ゲザング(ボクシングの歌)、フラーの鮮烈な美しさを持ったピアノ協奏曲などなど話題作盛りだくさん。演奏の合間を縫って作曲家、演奏家が作品について語る映像も貴重。特に現代音楽は音の定位や演奏風景、演奏家のジェスチャー、演奏以外のパフォーマンスが重要な要素となる場合が多いので、抜粋ながら映像で鑑賞できるのは嬉しいところ。
NEOS-51001
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(DVD)
2CD価格
ヘルムート・ラッヘンマン(1946-):弦楽四重奏曲集
 〔第1番「グラン・トルソ」(1971/76/88) /第2番「精霊の踊り」(1989) /第3番「グリード」(2001) 〕
 シュタードラーSQ [フランク・シュタードラー、イジョー・バユス(Vn)
           プレドラグ・カタニッチ(Va) ペーター・ジーグル(Vc)]
 収録:2008年5月23日-25日、ベルリン。 16:9 | 76min | DVD 5 | NTSC | リージョン・オール。 同団によるラッヘンマンは同一曲目の SACD (NEOS-10806) が出ているが、そちらは2007年7月の録音。現代音楽の作曲家にとって西洋音楽の完成されたフォーマットのひとつである弦楽四重奏曲を書くということはそれがどんな形、様式であれ、書くこと自体が歴史への挑戦であり、批評となる。ラッヘンマンは25才で「グラン・トルソ」を書いて以来、創作上の節目ごとにこの編成に果敢に取り組んできた。いずれも作曲者の代表作。どの作品もいわゆる普通のクラシックの奏法は皆無で、ひたすらキリキリ、ゴシゴシ、ビン!バチッ!といった特殊奏法によるノイズの嵐。しかし、この魂の油が切れてギシギシときしんでいるような響きをしばらく聴いている内、その響きの彼方に紛れもない、戦後ヨーロッパ知識人の思想と苦悩の片鱗がうっすらと浮かび上がってくる。どうやって音を出しているのか、わざわざ高価な楽譜を取り寄せて見なければわからない情報も、この映像を見れば一目瞭然。現代音楽ファン、作曲家志望の学生、好事家必見のDVD 。
NEOS-51005
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(Blu-Ray)
価格帯:BD
ミェチスワフ(モイセイ)・ワインベルク(1919-1996):歌劇「乗客」Op.97 (1967-1968)
 ミシェル・ブリート(Ms;リーザ) ロベルト・サッカ(T;ヴァルター)
 エレナ・ケレシディ(S;マルタ) アルトゥール・ルチンスキ(Br;タデウシュ)
 ヴェトラーナ・ドネヴァ(S;カーチャ) エルジビエタ・ウロブレスカ(Ms;ブラスタ)他
 テオドール・クレンツィス指揮ウィーンso.、プラハ・フィルハーモニーcho.
 録音:2010年7月、ブレゲンツ音楽祭(ユニテル、ORF、ブレゲンツ音楽祭、クラシカの共同制作)。リージョン・フリー、16:9、DTS-HD Master Audio 5.0/Stereo 2.0、190m|字幕:独英仏波露。演出:デイヴィッド・パウントニー。
 ユダヤ人であるがゆえに第二次世界大戦の勃発によってポーランドを離れ、しかも亡命したソ連でもユダヤ人嫌いのスターリンから迫害を受け処刑直前まで至ったという、過酷な生涯を送った作曲家ワインベルクが心血を注いだオペラ。1960年代初頭、ドイツの外交官ヴァルターとその妻リーザは、ブラジルに向かう客船に乗っていた。リーザはその時、見覚えのある、しかし死んだとばかり思っていた乗客を見かける。実は第二次世界大戦中、リーザはアウシュヴィッツでナチス親衛隊として収容者の監視人をしており、彼女が船内で目撃した「乗客」は、リーザが親しく接したポーランド女性マルタにそっくりだった。ここから物語は現在と過去を行き交う。この力作は1968年に作曲されたものの上演されず、ようやく2006年になってスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場で簡易舞台上演で初演が行われた。2010年のブレゲンツ音楽祭は、本格的な舞台上演として初のもので、英国の著名な演出家、D.パウントニーが舞台を作り上げ、ミシェル・ブリート、ロベルト・サッカといった優れた歌手、ギリシャ出身の若い指揮者で、ロシアのノヴォシビルスク国立歌劇場の音楽監督を務めるクレンツィスによって、ワインベルクの名作がついに真の姿を現した。HDD収録をBlue-Rayの鮮明画像で見ることができる。

 #DVD:NEOS-51006もありますが、現時点ではPAL盤のみで、国内の一般映像機器では視聴できません。お取り寄せは可能ですが、価格はブルーレイ版と同一となります
NEOS-51601
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(DVD)
2CD価格
ダニエーレ・ロンバルディ(1946-):
 36パートからなるミックス・メディア・イベント「 divina. com 」
  アントニオ・バリスタ指揮アンサンブル・ノヴェチェント・エ・オルトレ
  ダニエーレ・ロンバルディ(芸術監督) ダミアーノ・メアッチ(ライヴ・エレクトロニクス)
  アート・メディア・スタジオ(ヴィデオ) デイヴィッド・モス(声)
 収録:2004年7月5日、フィレンツェ、世界初演時、ライヴ。 16:9 | 85min | DVD 5 | NTSC | リージョン・オール。 ロンバルディは作曲家、ピアニストであるばかりでなく、映像作家としても国際的に活動しておりマルチ・メディア作品のアーティストとしてヨーロッパでは認知されている。「divina. com」は画家ミケランジェロの墓碑銘、ダンテの詩などをテキストとし、間にギヨーム・ド・マショーの作品を挿入した幻想的なイベント作品。コンピュータによる楽器、声のリアル・タイムでの変調、シュールレアリスティックなヴィデオを駆使して悪夢を見ているような不可思議な空間を創出。
NEOS-51701/02
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(2 DVD_VIDEO)
2枚価格
Ciclo del ritorno 〜ジョルジョ・ネッティ(1963-):ヴィオラ・ソロ作品集
 プリペアド&増幅したヴィオラ・ソロのための「 ciclo del ritornoIlassu 」 /
 IIun nastro(歪められた&広がった拍手)/ヴィオラのための「 IIIe poi 」/
 *インタヴュー:マーカス・ヴァイス&ジョルジョ・ネッティ(20:33)
 アンナ・スピーナ(Va) ブノワ・ピッカンド(サウンド・ディレクター)
 PCM 2.0 ステレオ| 16:9 |95分| PAL & NTSC|リージョン・オール。 1963年イタリア、ミラノ生まれの作曲家ジョルジョ・ネッティ。作曲をサンドロ・ゴルリに師事、ブライアン・ファーニホウ、ジェラール・グリゼー、ヴォルフガング・リーム、ヤニス・クセナキスなどの影響を受ける。この映像はネッティのヴィオラのための作品。実験的な試みと、前衛的なスタイルで演奏している。NTSC方式とPAL方式のDVDがそれぞれ収納。


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