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LSO LIVE


特記以外 1枚あたり¥2970(税抜¥2700)

ロンドン交響楽団の自主レーベル。


 1904年に英国初の自治オーケストラ団体として誕生したロンドン交響楽団がリリースする自主制作レーベル。巨匠サー・コリン・デイヴィスによる得意のベルリオーズ・ツィクルスやエルガー・ツィクルスに始まり、ハイティンクのブラームス・ツィクルス、近年ではベートーヴェン・チクルスも話題となるなど、良質な演奏をリリースしている。また、初期には録音プロデューサーやエンジニアにもジェイムズ・マリンソンとトニー・フォークナーを中心とした名手を起用、良いアイテムを創り出すための細かい気配りを見せている。その後、録音チームは DECCA から独立したジョナサン・ストークスを始めとする若手メンバーによって設立されたクラシック・サウンド社が中心になっているが、その充実振りには変りがない。
 打楽器アンサンブルのための作品をリリースする COLIN CURRIE RECORDS も併せてご案内。

LSO-5083
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(2CD)
1CD価格
パガニーニ:24のカプリス(全曲) ロマン・シモヴィチ(Vn)
 録音:2007年、セルビア。 ヴァイオリン奏者にとっての難曲のひとつ、パガニーニの24のカプリス。後年リストがそのいくつかをピアノ用の難曲に編曲したものや、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」などでも広く親しまれている。その芸術性と、演奏者に要求する超高度な技術はヴァイオリン曲の中でも屈指の存在といえるだろう。LSOのコンサートマスターを務めるロマン・シモヴィチが、ソロ・デビューとしてカプリス全曲に挑んだ録音の登場。そのおそろしく精確な技術と音楽性に圧倒されっぱなしの怒涛の24曲となっている。
LSO-5078
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(2CD)
ゲルギエフ& LSO 〜アメリカ・ライヴ
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」(1910年版)
 バルトーク:ピアノ協奏曲第3番/バレエ組曲「中国の不思議な役人」
 プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」〜モンタギュー家とキャピュレット家
 イェフィム・ブロンフマン(P) ヴァレリー・ゲルギエフ指揮 LSO
 録音:2015年10月24日、パフォーミング&アーツ・センター、ニュージャージー、 US 、ライヴ。ゲルギエフとLSOは2015年10月にアメリカ・ツアーを行った。ゲルギエフの8年におよぶ首席指揮者職最後の海外ツアーで、24日の公演をニューヨークのFMが放送用に収録し、その音源を2枚組CDとして発売。まず目を引くのがストラヴィンスキーの「火の鳥」。ゲルギエフはキーロフ劇場o.(マリインスキー劇場o.)と1995年に録音(当時「レコード芸術」誌準特選)しているが、20年ぶりの再録となった。今回も1910年全曲版で、テンポ等基本的な解釈は違わないものの、説得力と語り口の巧さが凄い。冒頭から徐々に盛り上げていく自然さ、金管はロシア伝統の咆哮など、自在な指揮ぶりはほとんど神業。興味深いのがバルトーク。かつて歌劇「青ひげ公の城」のCDで優れた解釈を評価されていたこともあり、猟奇的な「中国の不思議な役人」と天国的なピアノ協奏曲第3番をどう料理するか興味津々。これが期待以上の出来。バルトークの精密なスコアはゲルギエフにうってつけだが、LSOの名人芸もあいまって驚きの世界を作り上げている。ことにバルトークの冷たいまでに透明なオーケストレーションを類稀なバランスで再現、もちろんバルトークならではの暴力的エネルギーも申し分なしの充実感。ピアノ協奏曲第3番はブロンフマンの超絶技巧をあくまで抑え、宗教的ともいえる純な世界を描く。★聴衆の熱狂に応え、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」から「モンタギュー家とキャピュレット家」をアンコール演奏。携帯のCMで有名になった曲あの曲をゲルギエフとLSOの演奏で聴くことが出来る。それもアメリカの聴衆への告別で、ゲルギエフの演奏も感慨深いものがある。
LSO-5075
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(HYBRID_SACD)
モーツァルト:セレナード第10番 変ロ長調 K.361「グラン・パルティータ」
 LSO ウィンド・アンサンブル〔以下(*): LSO 首席奏者〕
 [オリヴィエ・スタンキエヴィチ(*)、ロジー・ジェンキンス(Ob) アンドルー・マリナー(*)、
  チ=ユ・モー(Cl) ロレンツォ・イオスコ(*)、クリス・リチャーズ(バセットHr)
  ダニエル・ジェミソン(*)、ジュースト・ボスジク(Fg) ティム・ジョーンズ(*)、アンジェラ・バーンズ、
  アレックス・エドムントソン、ジョナサン・リプトン(Hr) コリン・パリス(Cb)]
 録音:2015年10月31日、セント・ルークス・ジャーウッド・ホール、ライヴ。 LSOの素晴らしい演奏をささえている木管セクションメンバーによるアンサンブルの登場。名曲「グラン・パルティータ」。バセットホルンのロレンツォ・イオスコがアンサンブルをリードするかたちでの演奏のライヴ録音。LSOならではの木管セクションのブレンド具合の妙を心ゆくまでたのしめる内容。オーディオのトップメーカー、B & W 社がレコーディングをサポートしており、高品質の録音をおたのしみ頂ける。
LSO-5074
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(HYBRID_SACD)
ストラヴィンスキー:兵士の物語
 LSO 室内アンサンブル〔 * : LSO 首席〕
  [マルコム・シンクレア(語り) ロマン・シモヴィチ(Vn;*) エディクソン・ルイス(Cb 〔BPO〕)
   アンドルー・マリナー(Cl;*) ラファエル・ガウフ(Fg;*) フィリップ・コブ(Tp;*)
   ダドリー・ブライト(Tb;*) ニール・パーシー(Perc;*)]
 録音:2015年10月31日、セント・ルークス、ロンドン。 LSOメンバー + BPOメンバーによる、「兵士の物語」の登場。語りはイギリスの俳優、マルコム・シンクレア。映画「カジノ・ロワイヤル」にも出演しているほか、本場イギリスでシェイクスピアやオスカー・ワイルドらの作品の演じ手としても高く評価されている実力派俳優。LSOの首席奏者たち、そしてBPOのメンバーが集ったアンサンブルを率いるのはロマン・シモヴィチ。弦楽器の堅固な響き、そして管楽器の面々のうまさを堪能でき、しかも全員のアンサンブルとストーリーとの一体感は圧倒的。
LSO-5073
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(HYBRID_SACD)
スティーヴ・ライヒ(1936-):
 クラッピング・ミュージック(1972) /木片のための音楽(1973) /六重奏曲(1985)
  LSO パーカッション・アンサンブル
 録音:2015年10月30日、LSO セント・ルークス、ロンドン、ライヴ。2016年に80歳を迎えるライヒの作品集。「クラッピング・ミュージック」は2人の演奏者の手拍子による作品。12/8 拍子の基本リズムを1人が叩き続け、もう1人が同じリズムを1拍ずつずらしていく。3分半ほどの小品だが、ライヒ音楽の基礎というべき構成原理を持っている。「木片のための音楽」は5つのウッドブロック(あるいはクラベス)で演奏され、A、B、C#、D#、D#(オクターブ上)の5音が指定されている。最高音のウッドブロックがメトロノームのように終始テンポを刻み続ける中、他の奏者が順次新しいリズムで加わり、サウンドが変化していく。「クラッピング・ミュージック」のリズムも使われている。「六重奏曲」はマリンバ3、ヴィブラフォン2、バスドラム2、アンティークシンバル、タムタム、ピアノ2、シンセサイザー2という編成の作品。鍵盤打楽器が多いため音色は一層多彩、使われる和音も非常にカラフル。ヴィブラフォンは通常のマレット奏法の他に弓を使った奏法もあり、ハーモニクスのような独特の効果を上げている。曲全体は切れ目のない5つの楽章に分かれ、中央に行くほど速度の遅いABCBAのアーチ状構成になっている。2つ目のBではシンセサイザーが日本の陰旋法を思わせるメロディを奏で、旋律に意識が行ったところで再度リズムの饗宴となるAで明確なクライマックスを築いて幕を閉じる。
パヌフニクの遺産 II
 コリン・マシューズ、マックス・デ・ワードナー、エーヴィス・サムーティス、クリストファー・マヨ、
  トビー・ヤング、エリザベス・ウィンターズ、ラリー・ゴーヴス、レイモンド・ユー、アンジュラ・セマンズ、
   エドムンド・フィニス共作:パヌフニク変奏曲(「宇宙の祈り」の主題による10人の作曲家の共作)
 ダンカン・ワード: P-p-パラノイア / アラステア・パット:スパイラル / アーロン・パーカー:魅了された
 キム・B.アシュトン:波しぶき / ジェイムズ・モリアーティ:顆粒状の断片
 エリザベス・オゴネク:鳥のように / レオ・チャドバーン:茶色のレザー・ソファ
 ブシュラ・エル=トゥルク:切断 / マシュー・カーナー:書道家の自筆

 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮LSO
 録音:2015年6月3日-4日、聖ルカ教会、ロンドン。ポーランド出身のアンジェイ・パヌフニクは、半世紀にわたる後半生をイギリスで送った。ロンドン響とも縁の深い作曲家であっただけでなく、現在もカミラ未亡人の協力のもと「LSO パヌフニク・スキーム」を通じ毎年有望な若手作曲家6名を選出して作品発表の機会を設け、彼の偉大さを特別に讃えていることで知られる。そのアルバム第2弾にはパヌフニクが 1968-9年に作曲した4人の独唱と合唱、3台のハープとオルガンのための「宇宙の祈り」の主題を、 ホルストの「惑星」に「冥王星」を付け足したことで知られる作曲家コリン・マシューズを中心とする現代イギリスの10人の作曲家が変奏曲にした興味津々の作品が登場。指揮を務めるのは、この趣旨に賛同して第1弾から引き受けるフランソワ=グザヴィエ・ロト。ロトならではの推進力とバランス感覚であっという間に聴き通してしまう。
The Panufnik Legacies
 アンドルー・マコーマック:インセンティヴ / クリスティアン・メイソン:…照りつける日差しからの逃避…
 チャーリー・パイパー:浮遊 / エロイーズ・ジン:サクラ / エドワード・ネズビット:類似〔 I / II 〕
 ジェイソン・ヤード:ひどい幻滅! / クリストファー・メイヨー:サーマ / ヴラド・マイストロヴィチ:ハロ
 マーティン・サックリング:新生児のためのファンファーレ / エリザベス・ウィンターズ:突然の豪雨、突然の曇り

  フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮 LSO
 録音:2012年10月、LSO セント・ルークス、ロンドン。LSO Live の新シリーズ LSO Discovery 第1弾。10名の若き新進作曲家たちの新作を収めた内容はすべて、もともと「LSOパヌフニク・スキーム」の一環として委嘱された作品で、LSO(LSO)がその音楽を世界中で分かち合い、プロモートできるように、あらたにレコーディングされた物。ポーランドが生んだ20世紀を代表する作曲家サー・アンジェイ・パヌフニク(1914-1991)は、生前にLSOが3つの作品を委嘱して、その交響作品の多くをレコーディングしたことから楽団とのゆかりの深かったことで知られている。『作曲家で私の夫は、今日ではどうしたら若い作曲家たちが最高水準のオーケストラとの絶対不可欠な経験を得ることができるのかを気にかけていました。このプロジェクトこそが彼の夢をかなえるのです。』このように語るカミラ・パヌフニク夫人の協力のもとLSOによって、LSOパヌフニク・スキーム(The LSO Panufnik Scheme)は、今は亡き作曲家パヌフニクを追悼する目的で、創設された。2005年にスタートしたスキームでは、著名な作曲家コリン・マシューズの指導を受けて、毎年6名の作曲家たちにLSOのための演奏時間3分間の曲を書く機会を提供している。スキームの開始以降、この作曲家たちの多くが、引き続きLSOよりさらなる作品の委嘱を受けるようになっている。このアルバムでは、このプロジェクトの最初の5年間から厳選された作曲家たちの作品の数々を紹介しているが、その経歴や作風はじつにさまざま。グラスゴーの生まれで、作曲家への転向以前の青春期を、スコットランド中を演奏して廻るフォークバンドのヴァイオリン弾きとして過ごしたサックリング。クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」とのサントラの一部の譜面起こし、オーケストレーションおよび演奏を手掛けたマコーマック。作曲家、アレンジャー、プロデューサーそしてジャズ・サックス奏者としてすでに名高いヤードは、2013年3月のLSOセント・ルークス10周年記念式典の一環として、2013年4月のワークショップで演奏予定の、LSOブラスとパーカッション・セクションのための新作も委嘱されている。ここで選ばれた10名を含め、このアルバムはいま現在もこのスキームを通じてオーケストラと共同作業をする過去総勢45名の作曲家たちによる多岐に亘るスタイルと影響の範囲の一端を示すものといえるだろう。なお、指揮を手掛けるロトは、LSOが1990年より2年おきに行うドナテッラ・フリックLSO指揮コンクール(The Donatella Flick LSO Conducting Competition)で2000年に優勝を果たし、最長1年間LSOのアシスタント・コンダクターを務めるチャンスを得てキャリアの足掛かりを築き、世界の舞台へと羽ばたいていった指揮者でもある。2003年のオープンから10周年を迎えるLSOセント・ルークスは、LSOのリハーサルや演奏会およびレコーディングのためのホール。もとは18世紀にニコラス・ホークスムーアが設計した教会で、第一級指定建造物にも登録されており、外観が当時の様子を留めているのとは対照的に、内部には録音機材など最新鋭の設備が整えられている。公開リハーサルや、年間を通して毎週木曜日に開催される、BBCラジオ3放送番組用のクラシック・ランチタイムコンサートの会場として活用されると同時に、クラシックのほか、ワールドミュージックやポピュラーを取り入れた音楽教育プログラム LSO Discoveryも実施している。
 #当初SACDハイブリッド盤とご案内していましたが、代理店のミスで実際にはCDだとの事です。御了承下さい。
LSO-3073
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(Blu-ray
+ DVD)
1.5枚価格
若きドビュッシーへのオマージュ〔映像商品〕
 ドビュッシー:管弦楽組曲第1番(1882)
 ラロ:チェロ協奏曲 ニ短調(*)
 ワーグナー:「タンホイザー」序曲
 マスネ:歌劇「ル・シッド」〜バレエ組曲
エドガー・モロー(Vc;*)
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
LSO
 収録:2018年1月21日、バービカン・ホール、ロンドン|映像監督:コランタン・ルコント|サウンド・エンジニアリング:クラシック・サウンド・リミテッド|カラー|リージョン・オール| PCM STEREO | 24bit48kHz | 1h 30' 12' | 16:9 。 BD 仕様: 1080i HD 。 DVD 仕様: NTSC 。2017年3月以来LSOの首席客演指揮者の任にあるロト。これまで「パヌフニク・レガシー・シリーズ」や、カピュソンとのバルトークの協奏曲などのディスクがあるが、これからLSOライヴで名演の数々のリリースが予定されている。手兵レ・シエクルとはひと味異なるシンフォニー・オーケストラの醍醐味を堪能させる。ご期待頂きたい。その第1弾は「若きドビュッシーへのオマージュ」と題された映像商品。1つのパッケージにブルーレイとDVD 両方が入っている。ドビュッシー最初期の珍品をメインに置きながら、彼がどのように作風を確立して印象主義音楽に発展させていくかを検証する興味深い試み。人一倍感性の鋭かったドビュッシーは、いろいろなものから影響を受け、そこから全く独自な美学を作りあげたが、ごく初期に熱狂して周囲を呆れさせたワーグナー、好きすぎて作曲の弟子だと詐称したマスネの作品もとりあげた。また意外に知られていないことだが、若きドビュッシーはラロの音楽も大好きで、ここに収められている「管弦楽組曲第1番ことに第4曲にその影響が認められるとされる。そのラロのチェロ協奏曲を、期待の若手エドガー・モローが独奏を務めているのも注目。モローのフレッシュな演奏に加え、ロトの伴奏も絶妙。上品なスペイン色を披露している。注目はロトの「タンホイザー」序曲。これが雄大かつ引き締った快演で、彼のワーグナー演奏をもっと聴いてみたくなること間違いなしのお披露目。LSOもロトにぴったり合わせた見事なアンサンブルを示している。
LSO-3066
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(Blu-ray
+ DVD)
1.5枚価格
THIS IS RATTLE これがラトルだ〔映像商品〕
 ヘレン・グライム:ファンファーレ / トマス・アデス:アシュラ
 ハリソン・バートウィッスル:ヴァイオリン協奏曲
 オリヴァー・ナッセン:交響曲第3番 / エルガー:エニグマ変奏曲 Op.36
  クリスティアン・テツラフ(Vn) サイモン・ラトル指揮 LSO
 収録:2017年9月14日、バービカンホール、ロンドン、ラトル音楽監督就任記念コンサート、ライヴ| 115m | NTSC | 16:9 | Blu-ray: HD 1080i | All Regions |カラー| 24bit 48kHz, 2.0 PCM STEREO 。Colour ラトルがLSOの音楽監督に就任した折、10日間にわたり、就任を祝う演奏会が行われた。これは、その一連の演奏会の初日、まさに音楽監督に正式に就任した時の演奏会の記録。英国の作曲家作品を中心に組まれたプログラムは、いかにもラトル& LSO 。そしてその精度の高い演奏と、ラトルの思いをもらさず汲み取って表現する楽団員の気合を感じる演奏。バートウィッスルのヴァイオリン協奏曲は、オーケストラとヴァイオリンの対話が重要視された作品。2011年、ボストンso. とマルチェロ・レーニンガー( 指揮)、そしてテツラフのヴァイオリンによって初演された。ヴァイオリン・パートの輝かしいパッセージがちりばめられた作品で、テツラフの妙技を堪能出来る。そしてそれと対話するオーケストラと、すべてを統率するラトルの一体感が見事。エルガーでは全体の音色のブレンド具合がたまらなく美しく、ラトルとLSOの躍進をあらためて予感させる演奏となっている。
LSO-3042
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(DVD+
Blu-ray)
1.5枚価格
メシアン:天国の色彩(天の都市の色彩)(*)
ブルックナー:交響曲第8番(1939年ハース版)
ピエール=ロラン・
 エマール(P;*)
サイモン・ラトル指揮
LSO
 収録:2016年4月、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。映像仕様: STEREO | 24bit/48kHz | PCM |リージョン・オール。 まだ音楽監督就任前の時期ではあるが、既にラトルとLSOが強いきずなで結ばれていることを感じさせる演奏となっている。メシアンとブルックナーは、二人とも敬虔なカトリックであるという点で共通している。 メシアンの「天国の色彩(天の都市の色彩)」は、ピアノと管打楽器によって、タイトルにもある天の都市をめざす、極彩色の衣をまとった巡礼者たちの行列を思わせる音世界の作品。管楽器による美しいコラールがエマールのピアノによってさらにきらきらと彩られ、さらにクラリネットや打楽器が加わる。聴き手はこのメシアンによる極彩色のいわばカテドラルのような音楽によって耳をひらかれる。そして、休憩をはさんで演奏された、劇的な対比を成すブルックナーの壮大な交響曲第8番の世界、異なる大聖堂へといざなわれる。ブルックナーでは、LSOのメンバーは、フォルテとフォルティシモの区別も明確、そして絶美のピアニッシモまでラトルの音楽を完璧に表現。ラトルによるブルックナーの明晰な解釈と、LSOの底力を実感する内容。
 #2018年5月上旬以降発売予定。
LSO-3038
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(1 DVD +
1 Blu-ray)
1.5枚価格
ラトル& LPO 2016.1
 ラヴェル:クープランの墓/バレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲
 デュティユー:ヴァイオリン協奏曲「夢の樹」/メタボール
 モーリス・ドラージュ:4つのインドの詩
  レオニダス・カヴァコス(Vn) ジュリア・ブロック(S)
  サイモン・ラトル指揮 LSO
 収録:2016年1月13日、バービカン・ホール、ライヴ。 映像監督:フランソワ=ルネ・マルタン|オーディオ・プロデューサー:ニコラス・パーカー|サウンド・エンジニアリング:クラシック・サウンド・リミテッド。 LSO Liveから、映像商品の初登場!ラトル渾身のフランス・プログラム。LSOのパート間の響きの絶妙なバランスの巧さが存分に引き出されたライヴ。LSO Liveでは、2012年から、バービカン・センターでの演奏会をライヴ収録してきているが、このたび満を持しての映像商品初登場(ブルーレイディスクにボーナスとして映像が収録されていたものもあったが、純粋な映像商品としては初)。DVDとブルーレイがセットになったかたちでの発売となる。映像監督はフランソワ=ルネ・マルタン。2017年9月から正式に音楽監督に就任するラトル。既にLSO Liveからはシューマンの楽園とペリ(LSO-0782)がリリースされており、相性の良さと信頼度の高さは広く認められているところ。ラヴェル、デュティユーというフランス音楽の核を成す存在である作曲家の作品と、ラヴェルに師事したドラージュの作品も取り入れたフランス・プログラム、注目、ラヴェルの「クープランの墓」のオーケストラ版は、とりわけオーボエに超絶技巧が要求されるが、首席奏者スタンキエーヴィチが完璧な演奏を披露。デュティユーの「夢の樹」はラジオ・フランスの委嘱を受けて、I. スターンとフランス国立管のために、1983-85年にかけて作曲、1985年に初演された。木が枝や葉を伸ばしていくように、連続して増えていくプロセスを描いた作品を、名手カヴァコスとLSOが見事な集中力で展開。「メタボール」は、ドビュッシーを思わせる響きの変奏曲のかたちをとった作品。LSOの音響の混ざり合いの妙を楽しめる。ドラージュの「4つのインドの詩」は、1912年にソプラノと室内アンサンブル(フルート2、オーボエ、クラリネット2、弦楽四重奏)のために作曲された物。ドラージュはラヴェルに師事し、「俳諧」など、異国趣味の作品をのこしている。この「4つのインドの詩」は、インド旅行の後に書かれ、インドの旋律とリズム形式を西洋の楽器で様々に再現する作品。ジュリアン・ブロックの歌唱も光る、貴重な新録音の登場。そしてプログラムの掉尾を飾るのは、ラトルがこれまでに頻繁に取り上げている得意演目、ダフニスとクロエ第2組曲。ラトルの緻密な指揮にLSOが一ミリの乱れもなく反応している。
LSO-3028
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(1 DVD +
1 Blu-ray)
1.5枚価格
ラトル& LPO 2015.1.15
 ストラヴィンスキー:春の祭典
 リゲティ:マカーブルの秘密(歌劇「グラン・マカーブル」からのコンサート用アリア集)(*)
 ベルク:ヴォツェックからの3つの断章 / ヴェーベルン:管弦楽のための6つの小品
  バーバラ・ハニガン(S;*) サイモン・ラトル指揮 LSO
 収録:2016年1月15日(当初のアナウンスに記載されていた2016年1月13日は誤り)、バービカン・ホール、ライヴ。商品フォーマット(代理店記載ママ):『映像:HD収録』『音声:16bit 48kHzでの発売(24bit 96kHz収録)』。 ラトル& LSOによる春の祭典、4K 収録による映像の登場。カナダの歌姫、とりわけ現代ものでも素晴らしいパフォーマンスで聴かせるハンニガンをゲストに迎え、彼女の十八番ともいえる「マカーブルの秘密」も収録されているという、大注目盤。ラトルの「春の祭典」は、イングリッシュ・ナショナル・ユース管(1977)、バーミンガム市響(1987)、BPO (2003、2009(映像)、2012年)とこれまでに5回リリースされている。このたび初めてのリリースから実に40年を経ての最新録音となる。ラトルは「春の祭典」について次のように述べている。「私は19歳の時からこの作品を指揮している。まったく新しいものがもたらす衝撃とはどのようなものかを思い起こさせ、今なお大きなチャレンジの作品で、演奏する時にもっともわくわくする作品のひとつ」と。LSOの面々とラトルが繰り広げるアンサンブルは、思わず手に汗握る緊張感。ヴェーベルンの「管弦楽のための6つの小品」は情景感たっぷり、ラトルの繊細な表情づけにLSOの面々がよい反応をみせている。そして「マカーブルの秘密」では、カナダ出身のソプラノ、ハンニガンが真っ赤な血を思わせるようなガウンをはおって登場。彼女の得意演目だけあり、冒頭の「プスー」という発音も鮮やかな鬼気迫る演奏。聴衆の反応もとらえられている。LSOのメンバーによる器楽パートも、緊迫感たっぷりにリゲティの作品世界を盛り上げる。
LSO-0844
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(HYBRID_SACD)
シューマン
 交響曲〔第1番「春」 変ロ長調 Op.38 /第3番「ライン」 変ホ長調 Op.97 (#) 〕/
 序曲「マンフレッド」 Op.115
  ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO
 録音:2019年2月7日(#)、10日(無印)、バービカン・ホール、ロンドン。 LSO とのシューマンの全曲プロジェクトの完結編の登場(第1弾: LSO-0818) 。ARCHIVでのオルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークとの全集録音が1997年だったので、実に20年以上の時を経ての録音。交響曲第1番「春」は、冒頭のファンファーレから既に溌剌としており、主部に入ってからのリズム感もぴちぴちとした演奏。若々しさが打ち出されつつも、常に抑制の効いた演奏はさすがガーディナー。「マンフレッド」でもきわめて均衡のとれたサウンドの中、シューマンが込めた様々な感情が浮き彫りにされる。第3番では冒頭の堂々としたテンポ設定が印象的。終楽章に至るまでの雄大な流れは圧巻。ガーディナーの表情に機敏に反応するLSOの名人芸が炸裂した、見事なシューマンとなっている。
LSO-0826
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(4 HYBRID_SACD
+ Audio Blu-ray)
3枚価格
ガーディナー〜メンデルスゾーン:交響曲全曲&序曲集
 交響曲〔第1番−第5番〕/序曲〔静かな海と楽しい航海 Op.27 /ルイ・ブラス Op.95 /フィンガルの洞窟 Op.26 〕/
 「真夏の夜の夢」〔序曲 Op.21 /劇中音楽 Op.61〕

  独唱者、ナレーター ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO
 録音:2014年-2016年。単売の BOX 化。#既発の単売品に含まれていたボーナス映像は含まれません。#デジボックス仕様。それぞれのディスクは紙スリーブに収納されている。
LSO-0822
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(HYBRID_SACD)
ショスタコーヴィチ
 交響曲第8番 ハ短調 Op.65
ジャナンドレア・ノセダ指揮
LSO
 録音:2018年4月、バービカン・ホール。LSOの首席客演指揮者を務めるジャナンドレア・ノセダ& LSO第3弾。ノセダとLSOは2008年に初共演、以降ブリテン:戦争レクイエム(LSO-0719/2011年収録)、ヴェルディ:レクイエム(LSO-0800/2016年収録)をリリースしているほか、演奏会ではヴェルディ:リゴレットやベルク、マーラー、そしてショスタコーヴィチなどを取り上げてきており、ますますその信頼関係を強めている。このたび登場するショスタコーヴィチの交響曲第8番は、独ソ戦さなかの1943年、ソ連軍が攻勢に転じつつある時期に作曲された。希望の光の見え出した時に作曲されながら、高揚感や喜びの感情は薄く、苦しみの詩のようでもある。勝利ではなく、平和を願うような、ショスタコーヴィチの作品の中でも特に痛切な思いに満ちた要素も含まれているといえるだろう。ノセダが作品への深い共感を示しながら、作品に込められたショスタコーヴィチの複雑な思いと平和への祈りを、LSOとともにダイナミックに描く。
LSO-0818
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(HYBRID_SACD)
シューマン
 序曲「ゲノフェーファ」 Op.81 /
 交響曲〔第4番 ニ短調 Op.120 (1841年オリジナル版)(*) /第2番 ハ長調 Op.61 (1845) 〕
  ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO
 録音:2018年3月12日、3月16日(*)、バービカン、ロンドン。 LSO とのメンデルスゾーン:交響曲ツィクルスが大成功を収めたガーディナー。今度はシューマンの全曲プロジェクトがスタートする。ARCHIVでのオルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークとの全集録音が1997年だったので、実に20年以上の時を経ての録音となる。第4番は、1841年のオリジナル版の方が、1851年改訂版よりものびのびしていて、器楽の織りなす色彩もより透明感があり明るいとして、1841年を採用している。LSOの管楽器の巧みな節回しや抜群のアンサンブルが光る演奏となっている。1845年に書かれた第2番の終楽章、1844年の危機を支えてくれたクララ・シューマンへの高らかな感謝状のような長大なクレッシェンドもガーディナーが巧みにコントロール、LSOの面々も見事に応えており感動的。ライナーノートの中ではガーディナーがシューマンの交響曲について語っており、こちらも興味深いものがある。
LSO-0816
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(3 HYBRID_SACD
+ 1 BD Audio)
2枚価格
限定盤
ゲルギエフ& LSO 〜ラフマニノフ・ボックス( + バラキレフ)
 交響曲全集〔第1番 ニ短調 Op.13[録音:2015年2月19日](*) /
       第2番 ホ短調 Op.27 (完全全曲版)[録音:2008年9月20日-21日]/
       第3番 イ短調 Op.44[録音:2014年11月11日、13日]〕/
 交響的舞曲 Op.45 (1940)[録音:2009年5月7日-8日](*)
バラキレフ:交響詩「ロシア」[録音:2014年11月11日、13日]/交響詩「タマーラ」[録音:2015年2月19日]

 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮 LSO
 録音:[内]、すべてバービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。 SACD 仕様: STEREO 、5.1 & 5.0 (*) マルチチャンネル| Blu-ray Audio 仕様: 5.1 & 2.0 DTS-HD MA 24bit/192kHz 〔代理店記載ママ〕。既出音源にブルーレイ・オーディオ盤を付しての限定セット化。
LSO-0813
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(HYBRID_SACD)
レナード・バーンスタイン:ミュージカル「ワンダフル・タウン」
 ダニエル・ドゥ・ニース(ルース) アリーシャ・アンプレス(アイリーン)
 ネイサン・ガン(ベイカー) サイモン・ラトル指揮 LSO、LSO cho.
 録音:2017年12月、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。 バースタイン生誕100年にあたり、ラトル& LSOによる、バーンスタインの名ミュージカル「ワンダフル・タウン」の登場。バーンスタインは1966年にLSOと初共演、1987年から1990年に亡くなるまでは、LSOのプレジデントも務めてもいた。LSOは2018年の生誕100周年に先駆け、2017年の10月から、このワンダフル・タウンや「不安の時代」など、バーンスタイン作品を取り上げ、早々にチケットも完売、公演前から世界が注目するプログラムだった。ラトルは、このワンダフル・タウンはバーンスタイン「らしさ」の全てが詰まった作品だとしており、また、地上の音楽で一番素晴らしい韻をもつ詩が「オハイオ」(Why, oh why, oh why , oh Why did I ever leave Ohio?)だと述べている。「ワンダフル・タウン」は、1953年に初演され、トニー賞も受賞した名作。オハイオの田舎町から出てきた姉妹がニューヨークを舞台に、仕事、恋の予感などを展開する物語。ラトルがBPOの音楽監督に就任後初めて迎えたジルヴェスター・コンサート(2002年)でのメイン・プログラムに選んだのもこのワンダンフル・タウンだった。豪華メンバーによる演奏は当時大きな話題となった。それから15年経った2017年12月、ラトルが再び、今度はLSOとこの作品を取り上げた。作家志望の姉のルースを演じるのはダニエル・ドゥ・ニース(2005年のグラインドボーンのクレオパトラ役で一躍有名になった)。女優志望の妹アイリーンを演じるのはアリーシャ・アンプレス(ブロードウェイで活躍、ジャズ、キャバレー・ソングも得意とする)。ニースが原稿を持ち込む編集者ベイカーにネイサン・ガン(メトロポリタン歌劇場などでも活躍するバリトン)と、万全の配役。公演はセミ・ステージ形式で行われた(当盤は音のみの収録)。「コンガ」や「スウィング」などの楽曲ではラトルとLSOが想像以上の大爆発ぶり。「オハイオ」などの美しい二重唱もすべてが完璧な仕上がりで、ラトルとLSOがバーンスタインにささげる最高の100歳の記念プレゼントとなっている。
LSO-0810
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(HYBRID_SACD)
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 Op.36 (*)
ムソルグスキー/ラヴェル編曲:展覧会の絵(#)
ジャナンドレア・ノセダ指揮
LSO
 録音:2017年10月29日、11月1日(*) /2018年6月3日(#) 。オペラを聴いているようなドラマチックなチャイ4。冒頭のファンファーレの沈痛な表情に驚かされて始まる。第2楽章の物悲しい旋律には思わず涙となってしまいそう。終楽章ではノセダとLSOが一丸となってエネルギー炸裂している。「展覧会の絵」ではLSOの管楽器セクションの活躍が見物。冒頭のプロムナードから、高らかに響くトランペットに気持ちよく身をゆだねられる。各曲のキャラクターの違いも際だった、実に楽しめる演奏。ノセダはLSOの首席客演指揮者であるほか、2021/22のシーズンからはチューリヒ歌劇場の音楽監督に就任予定で、ノセダにとって初となるリングのプロジェクトも予定されているなど、これからますますオペラシーンでの活躍もたのしみな状況となっているが、この演奏もオペラのような劇場型アプローチで、エネルギーに満ちている。
LSO-0809
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(2 HYBRID_SACD)
ラトル& LSO 〜ベルリオーズ(1803-1869):ファウストの劫罰(全曲)(1845-46)
 カレン・カーギル(Ms;マルグリート) ブライアン・ハイメル(T;ファウスト)
 クリストファー・パーブス(B−Br;メフィストフェレス)
 ガボール・ブレッツ(B;ブランデル) サイモン・ラトル指揮 LSO
 サイモン・ホールジー合唱指揮 LSO cho.、ティッフィン少年cho.、ティッフィン少女cho.、ディッフィン児童 cho.
 録音:2017年9月、バービカン・センター、ロンドン、ライヴ。 『これはオーケストラへの、そしてコリン・デイヴィスへのオマージュです。私の世代は皆コリン・デイヴィスとLSOの演奏でベルリオーズを学びました。そして私の姉が働いていた音楽図書館に入りびたっていた風変りな子供であった私にとって、ベルリオーズの論文はバイブルでした。私達はどのようにしてファウストが早くから始まったかを忘れがちですが、ベートーヴェンは最初のスケッチを書いてすぐに亡くなっています。そのスケッチの独創性は今日なお非常に魅力的です。メフィストフェレスが歌う楽章では弦楽器が巨大なギターのように鳴りますが、誰もがその瞬間にまさにこの音を聴きたいと思うように音符が書かれており、他のページもすべてその調子で書かれています!これはどこからくるのでしょうか。どうして彼はオーケストラがこのようなことができるとわかっていたのでしょうか。これはもう映画を先取りしているとしか思えません。』(サイモン・ラトル)
LSO-0808
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ハイドン〜想像上のオーケストラの旅
 「天地創造」〜第1部第1日「ラルゴ:混沌の描写」/「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」〜終曲「地震」/
 「無人島」 Hob.Ia: 13 シンフォニアより〔ラルゴ-ヴィヴァーチェ・アッサイ/アレグレット - ヴィヴァーチェ〕/
 交響曲〔第64番 イ長調「時の移ろい」〜第2楽章「ラルゴ」/第6番 ニ長調「朝」〜第3楽章「メヌエット」/
     第46番 ロ長調〜フィナーレ「プレスト」/第60番 ハ長調「うかつ者」〜フィナーレ「プレスティッシモ」〕/
 「四季」より〜第4部 冬「序奏」/交響曲第45番 嬰ヘ短調「告別」フィナーレ〜〔プレスト/アダージョ〕/
 笛時計のための三重曲集〜 Hob.XIX: 1-32(抜粋)/交響曲第90番 ハ長調〜フィナーレ「アレグロ・アッサイ」

  サイモン・ラトル指揮 LSO
 録音:2017年7月11日-12日、バービカン・センター、ロンドン、ライヴ。 ラトルが愛してやまない作曲家、ハイドン。LSOを指揮しての、ハイドンの交響曲とオラトリオなどからのよりすぐり楽章で構成した「想像上のオーケストラの旅」の登場。すでにラトルは同様のプログラムをBPOと演奏しており、話題となったのも記憶にあたらしいところ。ハイドンの作品の中でもとりわけ際だった存在で、先見の明に満ちた楽曲をあつめて「グレイテスト・ヒッツ」のようなプログラムを作りたかったと語るラトル。ここでも、ハイドンの楽曲それぞれのキャラクターをラトルとLSOはもらさず活き活きと表現している。また、興味深いのが笛時計のための音楽も収録されているところ。「告別」の終楽章で、照明が徐々に落とされる中、楽団員が一人一人席を立って、最後にはラトルもステージを去り、ステージ上に誰もいなくなると、ホール内のスピーカーから、笛時計の音色(録音)が流れる。この笛時計は、機械仕掛けのオルガン(メカニカル・オルガン)で、音色は手まわしオルガンに似ている。エステルハージー家にもこの笛時計が置かれていたとされており、ハイドンはこの笛時計のために弦楽四重奏「ひばり」終楽章の編曲など、32曲の小品を残している。エステルハージー家でもこのように時計が鳴り響いていたのだろうか、と聴衆はタイムスリップしたような、不思議な世界にいざなわれる。その後団員たちがステージに再び結集し、交響曲第90番のフィナーレが最後に演奏される。偽の終止のところでの聴衆の拍手と笑い声も収録。本当に終止した時のあらためての盛大な拍手も収録されている。ユーモアの国、イギリスならではのセンスと聴衆の反応、そしてなによりラトルとLSOの細かな機微までぴたりと息の合った、愉悦のハイドンに大満足の1枚。
LSO-0807
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ズナイダー〜モーツァルトヴァイオリン協奏曲集 Vol.1
 〔第4番 ニ長調 K.218 /第5番 イ長調 K.219「トルコ風」〕(カデンツァ:ニコライ・ズナイダー)

 ニコライ・ズナイダー(Vn|使用楽器:グァルネリ・デル・ジェス「クライスラー」)指揮 LSO
 録音:2016年12月18日、2017年5月14日、バービカン・ホール、ライヴ。 ニコライ・ズナイダーがLSOを弾き振りして、モーツァルトの協奏曲をリリースするプロジェクトの第1弾。ズナイダーは、1997年エリザベート・コンクールに優勝してから、世界が認めるその美音と高貴な音楽性、そして精確なテクニックで世界的な奏者として活躍している。近年は指揮者としても世界的に活躍しており、2010年には、ゲルギエフに招かれ、マリインスキー劇場o. の首席客演指揮者に就任したほか、様々なオーケストラで首席客演指揮者を歴任、客演も重ねている。ズナイダーの演奏する名器「クライスラー」の高貴な音色によるモーツァルト。カデンツァは、このプロジェクトのためにズナイダー自身が書いた物。オーケストラもズナイダーの美しく流れる音楽と見事に融け合っている。
LSO-0804
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ズナイダー〜モーツァルトヴァイオリン協奏曲集 Vol.2
 〔第1番 変ロ長調 K.207 /第2番 ニ長調 K.211 /第3番 ト長調 K.216 〕(カデンツァ:ニコライ・ズナイダー)

 ニコライ・ズナイダー(Vn|使用楽器:グァルネリ・デル・ジェス「クライスラー」)指揮 LSO
 録音:2016年-2017年、バービカン・ホール、ライヴ。第4番&第5番 (LSO-0807) に続く完結編。 ニコライ・ズナイダーがLSOを弾き振りして、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲をリリースするプロジェクトの第2弾。第1楽章の時にオペラのアリアのような旋律から緩徐楽章の滋味溢れる旋律まで、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲の魅力を、この上なく気品ある音色で響かせる。オーケストラとのアンサンブルも愉悦の極みのできばえ。楽器(名器「クライスラー」)の魅力も最大限に味わうことが出来る。第1弾同様、カデンツァは、このプロジェクトのためにズナイダー自身が書いた物。ズナイダーは、1997年エリザベート・コンクールに優勝してから、世界が認めるその美音と高貴な音楽性、そして精確なテクニックで世界的な奏者として活躍している。近年は指揮者としても世界的に活躍しており、2010年には、ゲルギエフに招かれ、マリインスキー劇場o. の首席客演指揮者に就任したほか、様々なオーケストラで首席客演指揮者を歴任、客演も重ねている。
LSO-0803
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メンデルスゾーン(1809-1847):交響曲第2番「賛歌」 Op.52 (1840)
 ルーシー・クロウ(S) ユルギタ・アダモニテ(Ms) マイケル・スパイアーズ(T)
 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO、モンテヴェルディcho.
 録音:2016年10月16日、20日、バービカン・センター、ライヴ。 ガーディナーがロンドン響を指揮するメンデルスゾーン・シリーズの完結編(第5弾)。 第1曲「シンフォニア」では、LSOが誇る管楽器セクションが高らかに開始を告げ、続くアンサンブルも愉悦のきわみ。ソプラノは華のある歌声のイギリスの歌手、ルーシー・クロウ。メゾ・ソプラノはリトアニア出身で幅広いレパートリーで活躍するアダモニテ、テノールはアメリカ出身で、ロッシーニからベルリオーズ:ファウストの劫罰のファウスト役までを得意とするベル・カント、マイケル・スパイアーズという独唱陣もそれぞれ見事な歌唱。全篇をとおしてクリアさを保ちながらもやわらかみを帯びた録音で、LSOの各セクションのアンサンブルの妙、そしてガーディナーの手兵モンテヴェルディ合唱団の巧さが際立った名演奏となっている。
LSO-0800
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ノセダ〜ヴェルディ:レクイエム
 エリカ・グリマルディ(S) ダニエラ・バルチェッローナ(A)
 フランチェスコ・メーリ(T) ミケーレ・ペルトゥージ(B)
 ジャナンドレア・ノセダ指揮 LSO、サイモン・ホールジー指揮 LSO cho.
 録音:2016年9月18日、20日、バービカン・センター、ライヴ。 LSOの首席客演指揮者に就任したジャナンドレア・ノセダ。ノセダによる、2016-17年シーズンの幕開けを飾った、ヴェルディのレクイエムの登場。イタリアのスター歌手を集め、ロンドンの聴衆を熱狂の渦に巻き込み強烈な印象を与えた注目のライヴ録音。ノセダは2007年からトリノ王立歌劇場の音楽監督を務め、2016年の国際オペラ賞のコンダクターズ・オブ・ジ・イヤーを受賞、さらに2015年のアメリカ指揮者賞も受賞、ますます世界が注目する存在。すでにノセダはブリテン:戦争レクイエムでLSOライヴにも登場し、その緻密かつ大胆な音楽運びでLSOとの相性もバッチリなのは周知のところ。そんなノセダがLSO 2016-17年シーズンの幕開けに選んだのが、ヴェルディのレクイエム。ノセダは2011年にトリノ王立劇場管とヴェルディのレクイエムを取り上げているなど、まさに手に入った作品といえるところ。死の恐怖への抵抗と、死によってもたらされる天上の平和への祈りがこめられたヴェルディのレクイエム。ブラームスはこの作品を聴いて「天才だけがこのようなものを書くことできる」と言ったという。ノセダは繊細かつ時に暴力的なまでに激しく、作品に込められたすべてを引き出し、見事にまとめあげている。管楽器が活躍する「怒りの日」ではLSOのブラス・セクションがおそろしいまでに完璧な演奏を展開。そしてノセダが信頼をよせる独唱者たちも豪華な顔ぶれ。ソプラノのグリマルディは1980年生まれ、モーツァルト、ロッシーニから、ミミ(ラ・ボエーム)まで、まさに今乗りに乗っているソプラノの一人といえるだろう。1969年生まれのバルチェッローナはロッシーニでブレイクし、来日多数で日本でのファンも多く、最近ではヴェルディもよく歌っており、ヴェルディ・メッゾとしての地位も確立している逸材。テノールは艶のある声でMETはじめ世界で活躍、日本でも人気の1980年生まれのメーリ。そして1965年生まれのペルトゥージも世界最高峰のベルカント・バスとして世界で活躍する存在。4人とも圧巻の歌唱で聴かせる。
LSO-0798
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自作自演〜トマス・アデス(1971-):
 アサイラ [Asyla] Op.17 (1997) /テヴォット [Tevot] (2005-06) /
 管弦楽のための旅「ポラリス [Polaris] Op.29 (2010) /ブラームス(2001)
  サミュエル・デラ・ジョンソン(Br) トマス・アデス指揮LSO
 録音:2016年3月、バービカン・センター、ライヴ。 イギリスの人気作曲家、トマス・アデスの作品集。「イギリスには素晴らしき若き作曲家たちがたくさんいるが、その中でもトマス・アデスの才がずばぬけていることについて、反論する人はいないだろう」とはラトルの言葉。アデスは1971年ロンドン生まれ、93年にはロンドンで、ピアニスト、そして作曲家としてデビューして以降、様々な作品を委嘱され、95年にはラトル率いるバーミンガム市so. に作品を委嘱されるという異例の速さで才能が認められた逸材。イギリスを代表する存在のトマス・アデスが、LSOを指揮した、自作自演集。注目盤の登場。「アサイラ」は、ラトルがバーミンガム市so. の音楽監督時代に委嘱した作品で、ラトルもたびたびとりあげている作品。アサイラとは、安全な地、そして隔離された場所をも意味する言葉。コンサートホールも一種のアサイラであるといえるかもしれない。1997年ラトル指揮バーミンガム市so. によって初演された当時26歳のアデスの作品。2曲目のテヴォットは22分かかる作品。テヴォットとはヘブライ語で「小節」、そして「言葉」を意味する言葉。2005-06シーズンに、BPOのために作曲された。3曲目のポラリス(北極星)はマイアミの音楽ホール創立に際して作曲された物。チャイムもかきならされる大規模なオーケストラ作品ながら、静けさも印象的な不思議な作品。4曲目の「ブラームス」は、ピアニストのブレンデルが70 歳を迎えるにあたり(2001年)、ベリオらと共作でブレンデルの詞に付曲する、というプロジェクトから生まれた物。ブラームスの交響曲第4番の第1楽章冒頭風に始まり、同じく第4番のスケルツォのリズムで締めくくられる。
LSO-0795
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(1 HYBRID_SACD
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2枚価格
ガーディナー& LSO 〜メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」(全曲/含・語り)
 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO、モンテヴェルディcho.
 チェリ・リン・チッソーネ、アレクサンダー・ノックス、フランキー・ウェイクフィールド(ナレーション)
 録音:2016年2月16日、バービカン・ホール、ライヴ〔ブルーレイ・オーディオ・ディスクに、ボーナスとして当日の演奏映像(含・前半の交響曲第1番)付き〕。 ジョン・エリオット・ガーディナーがロンドン響を指揮するメンデルスゾーン・シリーズの第4弾。「真夏の夜の夢」、語り部分も収録した注目の内容。ガーディナーと LSO が繰り広げる序曲の緻密な演奏は、あらためてメンデルスゾーンの繊細なオーケストレーションを実 感する物。ガーディナーは、妖精の世界や人間の恋のストーリーに重きを置いて流れを構成。メンデルスゾーンが描いた豊かな色彩のメルヘンの世界を見事に再現している。語りを収録しているのもまたうれしいところ。演じる役者はいずれも名門ギルドホール音楽劇学校で学んでおり、まさに本場のシェイクスピアを味わうことが出来る。合唱もガーディナーの手兵、名門モンテヴェルディ合唱団ということで愉悦のきわみの美しさ。従来の SACD ハイブリッド盤に加えて、同一の演奏内容を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクが同梱される。お手持ちのブルーレイ・ディスク・プレイヤーで手軽に楽しめるハイスペックのフォーマットへの対応はオーディオ・ファイルから好評。なお、ブルーレイ・ディスクには、ボーナスとして、2016年2月16日の演奏会のもようが収録されている(前半に演奏された交響曲第1番も収録)。
LSO-0792
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(HYBRID_SACD)
LSO 弦楽アンサンブル Vol.3
 エルガー:序奏とアレグロ / ヴォーン・ウィリアムズ:ファンタジア
 ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲
    LSO 弦楽アンサンブル[ロマン・シモヴィチ(リーダー)]
 録音:2015年2月3日、バービカン・ホール、DSD 128fs 。ロンドン響の誇る弦楽セクション、LSO弦楽アンサンブルのLSOLiveレーベル第3弾。英国作曲家の作品が並んだプログラム。LSOにとって自家薬籠中の作品といえる「序奏とアレグロ」は、まるでLSO弦楽アンサンブルのために書かれたかのような綿密かつ濃厚な演奏。ヴォーン・ウィリアムズのファンタジアは、トマス・タリスの主題にもとづいており、高貴な世界をたのしめる。そして20世紀の弦楽アンサンブル作品の金字塔のひとつともいえるブリテンの変奏曲は、高度なアンサンブル、超絶技巧のソロが魅力。LSO弦楽セクションの実力が遺憾なく発揮されたアルバム。
LSO-0790
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(3 HYBRID_SACD
+ BD-AUDIO)
2枚価格
ドビュッシー:歌劇「ペレアスとメリザンド」  マグダレーナ・コジェナー(S;メリザンド) クリスティアン・ゲルハーヘル(Br;ペレアス)
 ジェラルド・フィンリー(B−Br;ゴロー) ベルナルダ・フィンク(Ms;ジュヌヴィエーヴ)

 サイモン・ラトル指揮 LSO &cho.
 録音:2016年1月9日-10日、バービカン・センター、ライヴ。ラトル&LSOの注目コンビが放つ、豪華キャストによる2016年1月の「ペレアスとメリザンド」ライヴの登場。バービカンで「ペレアスとメリザンド」が演奏されたのは20年以上ぶりのことだったという。ラトルとLSO 、そして豪華歌唱陣による繊細な色彩に満ちた演奏は絶賛され、現地では「LSO Liveからの(当ライヴの)発売が待ち遠しい」(The Times 誌など)という評も出ていた。(当日はピーター・セラーズ演出によるセミ・ステージ形式で演奏された)。ドビュッシーの官能的で繊細にしてミステリアスな音楽を、ラトルはあたたかみのあるLSOのサウンドを存分に活かして響かせている。そして豪華キャスト陣による美しい歌唱も完璧。ラトル&LSOの今後がますます楽しみでならない。
LSO-0789
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(3 HYBRID_SACD
+ 1 BD-AUDIO)
2枚価格
C.デイヴィス〜ニルセン:交響曲全集
 〔第1番 ト短調 Op.7, FS.16 (1891-92) [2011年10月2日、4日]/
  第2番 ロ短調 Op.16, FS.29「四つの気質」(1901-02) [2011年12月4日、6日]/
  第3番 ニ短調 Op.27, FS.60「ひろがりの交響曲」(1910-11) [2011年12月11日、13日](+) /
  第4番 Op.29, FS.76「不滅」(1914-16) [2010年5月6日、9日]/第5番 Op.50, FS.97 (1920-22) [2009年10月1日、4日]/
  第6番 FS.116「素朴な交響曲」(1924-25) [2011年5月26日、6月2日]〕

 ルーシー・ホール(S;+) マーカス・ファーンズワース(Br;+)
 コリン・デイヴィス指揮 LSO
 録音:[内]、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。ブルーレイ・オーディオ化は初、SACD は既出アイテムの BOX 化。 SACD: DSD 5.1 surround stereo / 2.0 stereo | Pure Audio Blu-ray: 5.1 DTS-HD Master Audio (24bit/192kHz) / 2.0 LPCM (24bit/192kHz) 。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニアリング、編集、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。巨匠コリン・デイヴィスが、最晩年に完成させた初のニルセン交響曲全集を BOX 化。
LSO-0786
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(HYBRID_SACD)
シューベルト/マーラー編曲:
 弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810「死と乙女」(弦楽オーケストラ版)
ショスタコーヴィチ/ルドルフ・バルシャイ編曲:
 室内交響曲 ハ短調 Op.110a(原曲:弦楽四重奏曲第8番)
  ロマン・シモヴィチ(リーダー) LSO 弦楽アンサンブル
 録音:2015年4月26日、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/エンジニアリング、エディティング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd. ロンドン響のコンサートマスター、ロマン・シモヴィチ率いる LSO 弦楽アンサンブルによるアルバム第2弾。鋭い切れ味を聴かせたデビュー盤「チャイコフスキー&バルトーク」とともに、柔軟で表現レンジの広いロンドン響弦楽セクションの魅力を味わえる一枚。
LSO-0784
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(HYBRID_SACD)
ラフマニノフ:交響曲第1番 ニ短調 Op.13
バラキレフ:交響詩「タマーラ」
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2015年2月19日、バービカン・ホール、ライヴ。ゲルギエフとLSOによるラフマニノフの交響曲シリーズがついに完成。交響的舞曲を含むラフマニノフの大作がゲルギエフの演奏で揃った。ゲルギエフの演奏は驚くべき凄さ。交響曲第1番は初めて聴くかのように新鮮。全体にいびつな感じはなく、むしろラフマニノフならではのしなやかで繊細なフレージングが息づいている。推進力に満ちたアレグロも絶妙。ピアノの難しいパッセージ風な楽句も、LSO の名人芸で曖昧さ皆無の完璧さ。またしばしばゴージャスなサウンドが響き、ラフマニノフの優れたオーケストレーションを再認識させる。圧巻はフィナーレの長いコーダ。一切ダレることなく、かえって栄光さえ感じさせ感動的。この作品の先入観を一変させる。カップリングはバラキレフの交響詩「タマーラ」。ゲルギエフの故郷カフカスの音楽素材を用い、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」を先取りするようなオリエンタリズムの世界を描いている。バラキレフ独特のボルテージの高さがゲルギエフにぴったり。めくるめく極彩色の絵巻として楽しめる。
LSO-0782
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(2 HYBRID_SACD
+ BD-AUDIO)
2枚価格
ラトル登場〜シューマン:オラトリオ「楽園とペリ」 Op.50 (1843)
 サリー・マシューズ(S;ペリ) マーク・パドモア(T;語り)
 ケイト・ロイヤル(S) ベルナルダ・フィンク(A)
 アンドルー・ステイプルズ(T) フローリアン・ベッシュ(B−Br)
 サイモン・ハルシー合唱指揮ロンドン・シンフォニー・コーラス

 サイモン・ラトル指揮 LSO
 収録:2015年1月11日、ロンドン、バービカン・ホール、ライヴ。 プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン|エンジニアリング、エディティング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd | [SACD : DSD 5.1 surround stereo / 2.0 stereo]、[Pure Audio Blu ray :5.1 DTS-HD Master Audio (24bit / 192kHz), 2.0 LPCM (24bit / 192kHz) ]。『(「楽園とペリ」は)あなた方がこの曲を聴くまで耳にしたことがなく、今でも、他にほとんど存在しないようなレベルの大傑作です...。考えてもみてください。これはまさにすごいことで、全く例外的なことなのです。この曲は、シューマンの生涯において、それまでに作曲した作品の中で最も人気があり、際限なく演奏されました。あらゆる作曲家がこの作品を愛しました。ワーグナーは、シューマンが成し遂げたことについて、自分がやってみたかったこの主題を奪ったことについて、どれほど嫉妬したか、それが、どれほど特別なことであったことかを書き記しています。それは、作曲家にとっての競いの場であり、作品は特別なものでした。」(サイモン・ラトル)。2017/18年シーズンよりロンドン響の音楽監督に就任するサー・サイモン・ラトルが、これに先駆けてLSO Liveに堂々初登場。2015年1月に本拠バービカンで行なわれたばかりの公演をライヴ収録したもので、SACDハイブリッド盤2枚組に加えて、ピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクも同梱されるという、たいへん力の入ったつくり。ラトルは「楽園とペリ」に心底魅了されたひとり。ラトルはすでにBPOの2009年2月の定期公演でもこの曲を取り上げているが、鍵を握る声楽陣については、このたびほぼ同一のキャストというのも興味深いポイントといえそう。併せて、BPOによる「マタイ」&「ヨハネ」の福音史家役で絶大なる存在感を示してラトルの信頼厚いパドモアを筆頭に、ベッシュ、合唱とここであらたに参加した強力な顔触れをみても、このたびのレコーディングに万全の布陣で臨むラトルの意気込みのほどがうかがえる。なにより、ラトルに応えるロンドン響のみずみずしい響きと、三部構成演奏時間一時間半近い長丁場を持続するテンションの高さからは、英国の誇る巨匠を迎えて音楽する歓びがひしと伝わってくるようだ。ラトル=シューマンといえば、2013年にBPOを指揮してライヴ収録した交響曲全曲の高評価も未だ記憶に新しいところ。ロンドン響との門出に選ばれた「楽園とペリ」は、ラトルが「家に帰るようなもの」とコメントした新たなパートナーとの輝かしい今後に期待をつなぐリリースといえるだろう。
LSO-0781
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(HYBRID_SACD)
ラフマニノフ:晩祷 Op.37 サイモン・ハルシー指揮
LSO cho.
 録音:2014年11月26日、バービカン・ホール、ライヴ。
LSO-0779
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(HYBRID_SACD)
ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44
バラキレフ:交響詩「ロシア」
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2014年11月11日、13日、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニアリング、エディティング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。首席指揮者ゲルギエフ& LSO Liveのラフマニノフ交響曲第3番。2008年9月ライヴの「第2交響曲」と2009年5月ライヴの「交響的舞曲」とによって、この作曲家への恐るべき適性を示したゲルギエフが、ロンドン響との顔合わせでまたしても金字塔を打ち立てた。当コンビによる前2作の並外れた出来栄えを知れば、ここでも期待は高まるところだが、たっぷりと重厚な響きを引き出した第1楽章開始からまもなく、どこか懐かしくもあるメロディが現れると、早くもこれは大当たりの予感、第2楽章に入ると確信へと変わる。ハープに乗せて朗々と歌い出すホルンにつづいて、独奏ヴァイオリンに導かれる甘美でせつない弦楽の調べが押し寄せるアダージョ・マ・ノン・トロッポ。まさに交響曲第2番第3楽章の再現ともいうべき美に浸れる。さらに、ラフマニノフのトレードマークともいえるグレゴリオ聖歌「怒りの日」が効果的に使われ、交響的舞曲との相関も指摘されるフィナーレもやはりゲルギエフのうまさが全面に出た場面といえるだろう。カップリングはバラキレフの交響詩「ロシア」。自作の「ロシアの主題による序曲第2番」をバラキレフが改訂したもので、ヴォルガ河流域を調査して収集した3つの民謡(ゆったりした婚礼の歌とふたつの輪舞)をもとに、作中では素材として自在に扱われている。民俗色ゆたかな親しみやすい内容で、こちらも雰囲気満点の演奏が楽しめる。 なお、ゲルギエフ指揮ロンドン響の演奏によるラフマニノフの交響曲シリーズは2016年春に完結予定とのこと。
LSO-0775
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ガーディナー〜メンデルスゾーン Vol.2
 交響曲第5番 ニ長調 Op.107「宗教改革」/
 序曲「静かな海と楽しい航海」 Op.27 /
 序曲「ルイ・ブラス」 Op.95 (#)
ジョン・エリオット・
 ガーディナー指揮
LSO
 収録:2014年3月23日(#)、2014年10月2日(無印)、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。 プロデューサー&エディター:ニコラス・パーカー。エンジニアリング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。 SACD 仕様; DSD 5.1 surround / 2.0 stereo | Pure Audio Blu-ray 仕様; DTS-HD Master Audio 5.1 (24bit/192kHz), 2.0 LPCM (24bit/192kHz) 。 ジョン・エリオット・ガーディナーがロンドン響を指揮するメンデルスゾーン・シリーズの第2弾。2014年10月にレコーディングされたばかりの交響曲第5番は、ガーディナーには1996年にVPOを指揮したライヴ録音盤があったので、18年ぶり2度目の録音ということになる。まず、バッハ演奏で評価を確立したガーディナーは、これまでにベートーヴェン、シューマン、ブラームスでも意欲的な取り組みをみせてきたが、メンデルスゾーンとの相性はたいへん良いようで、長年の厚い信頼で結ばれたロンドン響を起用した効果もあって、前作に引き続いて充実の仕上がりが期待できるものと思われる。プロデューサーのニコラス・パーカーは、ヴァイオリニストの経歴を持ち、ガーディナーとはイングリッシュ・バロック・ソロイスツの録音でもおなじみの間柄。ガーディナーがロンドン響を指揮したストラヴィンスキーの「放蕩者のなりゆき」で、2000年のグラミー賞最優秀オペラ録音を獲得している名コンビだけに録音面も万全。なお、シリーズ第1弾同様に当アルバムもまた、従来のSACDハイブリッド盤に加えて、同一の演奏内容を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクが同梱される。お手持ちのブルーレイ・ディスク・プレイヤーで手軽に楽しめるハイスペックのフォーマットへの対応はオーディオ・ファイルから好評で、なんとも嬉しい配慮といえるだろう。
LSO-0771
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スクリャービン:交響曲集
 〔第3番 ハ短調 Op.43「神聖な詩」(*) /
  第4番 Op.54「法悦の詩」(#) 〕
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2014年3月30日(#)、2014年4月13日(*)、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニアリング、エディティング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。
 『スクリャービンは偉大なるロシアの作曲家です、(中略)かれは自身の世界から生まれた、独自の表現を明確に持つ作曲家なのです。まったく独自のソノリティを見つけ、そのさまざまな色彩を聴き取る能力は伝説的でした。今日、スクリャービンは驚くほど魅惑的な音楽世界を創造することが出来た人物として理解されるべきで、まさにそう認めずにはいられません。わたしたちはこれらの作品と創作者の不思議な力によって魅入られずにはいられないのです。』(ヴァレリー・ゲルギエフ/公演前のインタビューにおいて)。
 ゲルギエフとロンドン響は、2014年3月から4月にかけて「ミュージック・イン・カラー」と題して、スクリャービンの5つの交響曲を取り上げた。「法悦の詩」と「神聖な詩」はその公演のライヴ録音からのSACD化で、ゲルギエフが首席指揮者としての最後の在任期間にリリースされるもっとも重要なプロジェクト、スクリャービンの交響曲全集シリーズ第1弾。ゲルギエフとロンドン響の顔合わせによる初のスクリャービン・アルバム。そもそも、神秘性と官能系音楽という点で、ほとんど同傾向のシマノフスキのシリーズで空前絶後の名演を繰り広げた当コンビだけあって、スクリャービンとの相性が悪かろうはずがないが、じっさい、ハマり過ぎのプログラムとしか言いようがない。ゲルギエフにとって「法悦の詩」は、1999年7月のマリインスキー劇場管との録音があったので、13年ぶりの再録音となるが、あらためてゲルギエフの濃厚な表現と、ロンドン響のポテンシャルの高さに感心する2015年きりのとんでもない内容となっている。交響曲第3番「神聖な詩」は、3つの楽章それぞれに「闘争」「悦楽」「神聖なる遊戯」という副題が付けられ、傾倒していたニーチェの超人哲学の影響を指摘される作品。さらに、そこから神秘主義へと向かった先の交響曲第4番「法悦の詩」は拍節感も調性もあいまいとなって、スクリャービンの代名詞ともいえる「神秘和音」を使用した、妖しく幻想的なムードに包まれた音楽。ゲルギエフの云う、個性的な手法が一気に開花した中期の作と、まったく独自の語法を確立した後期の代表作という組み合わせは、シリーズの輝かしいスタートにふさわしいものといえるだろう。
LSO-0770
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スクリャービン交響曲集〔第1番 ホ長調 Op.26 /第2番 ハ短調「悪魔的な詩」 Op.29 〕
 エカテリーナ・セルゲーエワ(Ms) アレクサンドル・ティムチェンコ(T)
 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮LSO & cho.
 録音:2014年3月30日、4月10日、バービカン・ホール、ライヴ。ゲルギエフとLSOは2014年3月から4月にかけて彼としては初めてスクリャービンの交響曲全5篇を上演した。 昨秋に第1弾として第3番と「法悦の詩 (第4番)」をカップリングでリリース(LSO-0771)し、話題となった。どちらもスクリャービン初期の作品だが、若き日に大のワグネリアンだった影響に加え、交響曲の規模を拡大し、声楽まで動員している点はマーラーを思わせる。ゲルギエフの得意とする音楽の集大成した感があり、これ以上彼向きの作品は珍しい。交響曲第1番は 1899-1900年の作で、全6楽章 50分の大曲。第5楽章にはメゾ・ソプラノとバリトンの独唱、終楽章には混声合唱が起用されている。歌詞はスクリャービン自身のよるロシア語の芸術讃歌で、マーラー風な響きと充実度に満ちているが、編成が大きいため演奏頻度は多くない。この曲がついにゲルギエフの演奏で登場。絶妙なバランスでオーケストラと声楽を統率、若きスクリャービン独特の鮮烈な叙情と、不思議な光に満ちた世界から、感動的なクライマックスに導く。この秋、マリインスキー・オペラで来日予定のセルゲイエワが説得力満点な歌唱を聴かせる。交響曲第2番は全5楽章の純器楽作品。メシアンを先取りしたような、延々と鳥の囀りを描写した第3楽章が独特。フィナーレはワーグナー風のロシア音楽で、カッコ良さの極み。初演当時は酷評されたが、ゲルギエフの演奏で聴けば、チャイコフスキーの伝統上にある魅力的な交響曲であることを再認識させられる。
LSO-0769
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ガーディナー〜メンデルスゾーン Vol.3
 交響曲第1番 ハ短調 Op.11 (1824)
  〔全曲/第3楽章「スケルツォ」(1829年ロンドン版)〕/

 交響曲第4番「イタリア」 イ長調 Op.90 (1833年版)
 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO
 録音:2014年3月23日、2016年2月16日、バービカン・ホール、ライヴ。 『★サー・ジョン・エリオット・ガーディナーがロンドン響を指揮するメンデルスゾーン・シリーズの第3弾。★ガーディナーは交響曲第1番の演奏会にあたって次のようにアナウンスしました:「メンデルスゾーンが1829年にロンドンに来た時、彼は自作の交響曲を演奏し、両親に手紙の中で“私は自分の交響曲をあらためて見ましたが、ああ神よ、メヌエットが涙が出るほど退屈なのです!そこで私は、八重奏のスケルツォを抜き出し、少しトランペットを付け加えたところ、とても素敵になりました”と書いています。実際にはメンデルスゾーンはかなり多くの改変を加え、オーケストレーションを輝かしいものにしています。それは大変素晴らしいので、皆様にはそれを聴いていただくべきだろうと思いました。しかしメヌエットとトリオはどうなるのでしょうか?なぜ、彼は、出版の段になって、メヌエットとトリオを採用し、スケルツォを排したのでしょうか。私は両方とも注目すべきで、両方があっても全体として素晴らしい交響曲になると考えています。皆さんはどちらがよいか、お聞かせ頂ければと思います」こうしたわけで、ガーディナーは、メンデルスゾーンが作曲した1824年当時のメヌエット、および1829年の「ロンドン版」に含まれたスケルツォという、ふたつの第3楽章を演奏しています。★第4番「イタリア」は、第1楽章冒頭のピチピチと弾むリズム、管楽器のかけあいから愉悦の極み。終楽章のサルタレッロの切れ味のよさは痛快なほど。LSOの巧さが際立ちます。ガーディナーは、第4番に関して、演奏会にあたって「メンデルスゾーンは、あらゆる技巧、およびリスクをおかして全てをこのイタリア交響曲に注力しました。その結果この作品は今でもきわめて人気が高いままです。」と述べています。 ★なお、シリーズ第1弾および第2弾同様に当アルバムもまた、従来のSACDハイブリッド盤に加えて、同一の演奏内容を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクが同梱されます。お手持ちのブルーレイ・ディスク・プレーヤーで手軽に楽しめるハイスペックのフォーマットへの対応はオーディオ・ファイルから大好評です。』
LSO-0767
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ピーター・マックスウェル・デイヴィス
 交響曲第10番 Op.327「アラ・リチェルカ・ディ・ボッロミーニ」(2013-14) (*)
アンジェイ・パヌフニク:交響曲第10番(1988) (#)
  マルクス・ブッター(Br;*) アントニオ・パッパーノ指揮 LSO
  サイモン・ハルシー合唱指揮ロンドン交響cho.(*)
 録音:2014年2月2日、世界初演時(*)、2014年10月19日(#)、以上、バービカン・ホール、、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニアリング、編集、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。現代イギリスを代表する世界的な作曲家のひとり、ピーター・マックスウェル・デイヴィスの交響曲第10番。80歳の誕生日を作曲者が迎える2014年2月におこなわれた世界初演時の模様をライヴ収録したもので、指揮はこれが LSO Live 初登場となるアントニオ・パッパーノが担当。作曲者自身「わたしの書いた作品のなかで、もっとも激しい音楽」と述べるこの曲は、17世紀に実在した建築家フランチェスコ・ボッロミーニの物語を描いた演奏時間42分ほどの作品。イタリア・バロックを代表する建築家でありながら、ボッロミーニは特異な建築であまたの批判に苦しんだ末に、不幸にも自殺を遂げている。ちなみに、マックスウェル・デイヴィスがこの人物をテーマにするのは2度目で、前回2001年から2007年に作曲された弦楽四重奏の連作10曲のうち、「ボッロミーニに寄せるメタフォーレ」と題された第7番でも取り扱っていたので、その思い入れの深さも窺い知れるところ。バリトン独唱と合唱を擁し、オラトリオやカンタータを思わせるこの交響曲でも、ボッロミーニの建築理念と数学的原理が全曲に浸透し、創造性、生と死、そして再生について語られる。ロンドン響、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管、チャイコフスキー記念so. による共同委嘱作品として作曲された交響曲第10番だが、指揮のパッパーノといえば聖チェチーリア国立音楽院管現音楽監督。もともとロンドン出身で、2002年に就任したロイヤル・オペラ・ハウスの音楽監督の活動と並行して、ここ毎シーズン登場して好評を博すロンドン響とはすでに20年来の親密な間柄となれば、ここで初演の大役を果たすにふさわしいのは、このひとをおいてほかにいないだろう。パッパーノは作品と作曲者について次のように賛辞を寄せている。「マックスがこの作品について説明したときに、私はそのドラマティックな内容にとても強く引きつけられた。かれはこの曲の大部分を病院で書いた。白血病と診断され、長期間治療を受けていたので、曲はとてつもない哀愁が強烈に漂い…作品に知識の持つ力と確信をもたらしている。」この言葉のままに、作曲者が込めた迫真のメッセージに対するパッパーノの熱い共感が伝わるこのアルバム。現時点で本作品の唯一のレコーディングとなる。カップリングは、アンジェイ・パヌフニク作の同じく交響曲第10番。こちらはマックスウェル・デイヴィスの世界初演より8か月あまり、2014年10月のパヌフニク生誕100周年記念コンサートにおけるライヴ・レコーディングとなっている。母国ポーランドから亡命、1991年に世を去るまでのほぼ半世紀に亘る後半生をイギリスで終えたパヌフニクは、生前からロンドン響にとってゆかりの深い作曲家であっただけでなく、現在も、楽団はカミラ未亡人の協力のもと「 LSO パヌフニク・スキーム」を通じて、毎年有望な若手作曲家6名を選出して作品発表の機会を設け、偉大な作曲家の業績を特別に讃えていることで知られる。シカゴso. 創設100周年記念委嘱作として、1988年に作曲された交響曲第10番は、パヌフニクのほかの数多くの作品と同様に、独特の簡潔な表現が特徴的で、この場合にはフィボナッチ数列だが、幾何学の影響を受けている。さらに、その人間性と激しくも奥深い音楽の才能とを伝えるため、パヌフニクが配分した、グループ化されたさまざまな楽器の組み合わせによって、極上のサウンド・クオリティを獲得しているのも、この交響曲の魅力。全曲は4つのセクション(ラルゴ-アレグロ・モデラート-プレスト-アダージョ)に分かれているが単一楽章形式により切れ目なく演奏される。不穏なブラスの咆哮で幕を開ける、この交響曲の最初の部分は、ある種の嘆願の性格を持つ物。続く瞑想的性格のセクションはクライマックスへと次第に高まりつつ、突如、打ち切られ、弱音の弦の振動のみが残る。その後、祈願するようなセクションが現れ、消え入るように閉じられる。
LSO-0766
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(8 HYBRID_SACD
+ 4CD + 1DVD)
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限定盤
コリン・デイヴィス〜 LSOライヴ録音選集
 ベルリオーズ:
  幻想交響曲 Op.14a (*)[2000年9月29日-30日]/序曲「宗教裁判官」 Op.3, H23d (#)[2006年9月27日-28日]/
  テ・デウム(#)[コリン・リー(T) ロンドン交響cho.、エルサム・カレッジcho./2009年2月22日-23日]/
  歌劇「トロイアの人々」[ベン・ヘップナー(T) ミシェル・デ・ヤング(Ms)他/2000年12月]
 ドヴォルジャーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」(*)[1999年9月]
 シベリウス:交響詩「大洋の女神」 Op.73 (#)[2008年6月29日、7月2日]/交響曲第2番 ニ長調 Op.43[2006年9月]/
       交響幻想曲「ポホヨラの娘」 Op.49[2005年9月18日、10月9日]
 ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第4番 ヘ短調(1934) (#)[2008年9月24日]
 エルガー:エニグマ変奏曲 Op.36[2007年1月6日-7日]/序奏とアレグロ Op.47[2005年9月23日、12月9日]
 ティペット:オラトリオ「われらが時代の子」[インドラ・トーマス(S) 藤村実穂子(A)他/2007年12月]
 ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」[ピーター・コールマン=ライト(Br)他/2008年9月]/
       交響曲第1番 変ロ短調[2005年9月23日、12月4日]
 ・特典DVD ドキュメンタリー「 The Man Behind the Music 」(#)[監督:ライナー・モリッツ/字幕:日仏独伊西]

 コリン・デイヴィス指揮 LSO
 録音:[内]、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。(#)は初出音源・映像、(*)は初SACD化、ベルリオーズ「トロイアの人びと」のみ通常CD盤、他はすべて HYBRID SACD 盤(特典DVDも除く)。コリン・デイヴィスが2013年4月14日に世を去ってはや一年、記念すべきLSO Live 初のアイテムもデイヴィス指揮のドヴォルジャーク「新世界交響曲」(LSO-0001)だったが、100番目のリリースもやはり、楽団の最大の功労者であるかれのために用意された。この13枚組のセットは、サー・コリンの LSO Live に対する功労のみならず、数十年間を通してのLSOとの関係に敬意を表するべく編まれた物。アンソロジーといっても、既発タイトルの寄せ集めではなく、うれしいことに録り溜めてあったお宝音源のなかから選りすぐりの初出タイトルがいくつも盛り込まれているところが見逃せない。さらに、特典DVDのドキュメタリー映像もまた初公開となる貴重な内容で、デイヴィスとその音楽を愛してやまないかたにとって、まさしくこれは文字通り永久保存版といえるだろう。デイヴィスがライフワークとしてもっとも得意としていたベルリオーズとシベリウス。2009年収録の「テ・デウム」は、生前最後のリリースとなった2012年の「レクィエム」に至る、ベルリオーズ・プロジェクトの一環として演奏された物。また、序曲「宗教裁判官」はシベリウスの第2交響曲と同日の録音で、そのシベリウスの交響詩「大洋の女神」は第4交響曲(LSO-0601)と同日のライヴ・レコーディング。すべてファンのあいだでリリースが待たれていた物。エルガー、ウォルトン、ティペットと、英国音楽のスペシャリストの面目躍如たるところを示してきたデイヴィス初の取り組みとしておおいに注目されたのが、ここでのヴォーン・ウィリアムズの第4交響曲だった。この作品は第2次大戦前夜のヨーロッパを取り巻く不穏な空気を強く反映した内容で、デイヴィスがまだまだ元気だった時期の演奏ということで、その仕上がりにもおおいに期待が持てそう。さらに、レーベル黎明期のタイトルで、リリース以来このかたたいへん好評な「新世界交響曲」と「幻想交響曲」を、装いもあらたにSACDハイブリッド盤化。音質の飛躍的な向上が期待され、演奏の感銘もいっそう深まるものとおもわれる。特典映像のDVDもまた、初めて日の目をみる興味深い内容。「The Man behind the Music(音楽を支え続けてきた人物)」と題されたドキュメンタリーには、マエストロ最後の公式声明と、サー・デイヴィッド・アッテンボロー、サー・サイモン・ラトル、ロジャー・ライトらの発言が収められ、ハイライトはマスタークラス、オペラ、コンサートにおける仕事ぶりと、カメラ目線のトークで、音楽家たちを支え続けてきたことをあきらかにしている。監督は、ドキュメンタリー「ピンク・フロイド/ライヴ・アット・ポンペイ」や、小澤征爾指揮の「ジャンニ・スキッキ」「スペインの時」の音楽映像作品などを手掛けたプロデューサー、ディレクターであるライナー・モリッツ。ドキュメンタリー映像とタイトルも同じ、52ページの付属ブックレットは、デイヴィスの生涯、LSOとのあゆみ、デイヴィス語録集、1961年から2012年にかけてLSOと構築したディスコグラフィ(アルファベットによる作曲家順)、楽譜や手紙の画像などから構成された資料的価値の高いもので、さらに、学生時分のクラリネットを吹く姿に始まり、プライベート・ショットを含むさまざまな時代のデイヴィスの表情はもちろん、ゆかりの深かった作曲家ティペット、ピアニスト内田光子らとの貴重な写真もふんだんに収められ、たいへん充実したつくりとなっている。
 # なお、完全限定生産品とのことなので出来るだけお早めに。
LSO-0765
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(HYBRID_SACD
+ BD-AUDIO)
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ガーディナー& LSO + ピリス〜メンデルスゾーン:交響曲全集 Vol.1
  〔音声 + 特典映像(BD ディスクに収録/3曲共全曲)〕
 メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」 Op.26
 シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
 メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 Op.56「スコットランド」
  マリア・ジョアン・ピリス(P) ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO
 収録:2014年1月21日、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。 プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニアリング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。SACD 仕様; DSD 5.0 surround / 2.0 stereo | Pure Audio Blu-ray 仕様; DTS-HD Master Audio 5.0 (24bit/192kHz), 2.0 LPCM (24bit/192kHz) 。#映像はブルーレイディスクへの収録のため、DVD再生環境では視聴不可です。当コンビによるメンデルスゾーンの交響曲全集録音シリーズ第1弾。ロンドン響にとっては、アバドの指揮でメンデルスゾーンの交響曲全集を初めて完成したのが1985年のことなので、完成すればほぼ30年ぶりの新たな全集の登場ともなる。ガーディナーは1996年-1998年にVPOを指揮して交響曲第5番をライヴ録音、第4番についてはセッション録音、さらに後者の1833/34年改訂版から、第2楽章から第4楽章を録音していた。16年の時を経て、新たなシリーズにかけるガーディナーの意気込んだるや、ひとかたならぬものがありそう。ロンドン響との顔合わせは、ガーディナーがここ毎シーズン、定期公演への客演を重ねて、親密な関係を保持しているだけに、出来ばえにはかなりの期待を持って迎えられるところ。なお、プログラム・ノートの執筆もガーディナー自らが手掛けており、ここにもシリーズに向けた気合いのほどが伺える。豪華なカップリングもおおきな魅力。メンデルスゾーンの2作品と同日の演奏で、名手ピリスをソリストに迎えた、シューマンのピアノ協奏曲を収録している。ピリスは、1997年9月にアバド指揮のヨーロッパ室内管と同曲をセッション録音していたので、16年ぶりの再録音ということになる。ピレーシュはシューマンをキャリアの初期から取り上げて得意としているが、美しく磨き抜かれた音色とあたたかい情感のこもった音楽に集約される、近年の進境には著しいものがあり、こちらも興味の尽きない内容といえるだろう。なお、当アルバムでは、従来のSACDハイブリッド盤に加えて、同一の演奏内容を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクが同梱される。お手持ちのブルーレイ・ディスク・プレイヤーで手軽に楽しめるハイスペックのフォーマットへの対応は、かねてよりオーディオ・ファイルからの要望も高かったのでなんとも嬉しい配慮といえるだろう。さらにボーナス映像として、ブルーレイ・ディスクのビデオ・パートには、2014年1月21日の本拠バービカンにおけるコンサート当日すべてのプログラム、序曲、協奏曲、交響曲が丸ごと収められ、まさに至れり尽くせりの仕様となっている。
LSO-0762
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ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」 Op.17
 オリガ・ボロディナ(Ms) ケネス・ターヴァー(T)
 エフゲニー・ニキーチン(B−Br) ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
 LSO 、ギルドホール・スクール・シンガーズ
 録音:2013年11月6日、13日、バービカン・ホール、ライヴ。ゲルギエフとLSOは2013年10月31日から11月17日にかけてベルリオーズの管弦楽曲を網羅的に上演した。すでに第1弾として「幻想交響曲」(LSO-0757)が、第2弾「イタリアのハロルド」(LSO-0760)がリリースされ話題となったが第3弾は、これ以上ゲルギエフ向きの作品は珍しい「ロメジュリ」。ゲルギエフは、チャイコフスキー、プロコフィエフが同じ題材で音楽化した作品の素晴らしい録音を残しているが、ベルリオーズは自身好きな作曲家として高く評価しているだけに興味津々。この作品は描写音楽ではなく、あくまでベルリオーズの妄想上の「ロメオとジュリエット」で、聴き手を徐々におかしな世界へと誘う。
LSO-0760
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(HYBRID_SACD)
ゲルギエフ〜ベルリオーズ
 交響曲「イタリアのハロルド」 Op.16 /
 カンタータ「クレオパトラの死」H.36 より
  〔抒情的情景/瞑想曲〕
アントワーヌ・タムスティ(Va)
カレン・カーギル(Ms)
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2013年11月1日、12日、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニアリング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。「独創的なスタイルと現代的な響きがわたしを虜にしてやまない」とベルリオーズに熱を入れるゲルギエフによるシリーズ第2作。「イタリアのハロルド」と「クレオパトラの死」は、第1弾「幻想交響曲」と同じく、2013年秋にゲルギエフがロンドン響を指揮して大成功を収めた「ベルリオーズ・プロジェクト」からのSACD化で、実演でも同じ組み合わせで演奏されている。「イタリアのハロルド」でヴィオラ独奏を務めるアントワーヌ・タムスティは、「『イタリアのハロルド』の完璧なるソリスト」(Scotsman, April 2013)と絶賛される逸材。1979年パリに生まれ、2004年には最難関のひとつとされる「ミュンヘン国際音楽コンクール」で優勝を果たしているタムスティは、2011年4月にミンコフスキ指揮ルーヴル宮音楽隊と「イタリアのハロルド」を録音していたので、およそ2年半ぶりの2種目の内容となる。ちなみに、タムスティの師であるタベア・ツィンマーマンも、2003年2月にコリン・デイヴィス指揮ロンドン響と「イタリアのハロルド」をライヴ録音していた(LSO-0040)。ゲルギエフは「イタリアのハロルド」を、2007年1月のマリインスキー劇場のニュー・イヤー・コンサートを収めたライヴ映像作品のなかで、バシュメット独奏でフィナーレのみを演奏していたほか、マリインスキー劇場管との実演では同じくバシュメットとの顔合わせで全曲も取り上げて、かねてよりこの作品への情熱にかなりのものがあることを窺わせていた。ようやくソフトとして全曲が登場するゲルギエフの「イタリアのハロルド」は、「完璧なるハロルド」タムスティと、ベルリオーズ演奏の蓄積も豊富なロンドン響を得たことで、先の「幻想交響曲」と併せてぜひとも押さえておきたいものといえるだろう。ローマ賞応募のために書かれたカンタータ「クレオパトラの死」は、斬新すぎる作風と過激な内容により落選となっているが、まさにそうした面にすでにベルリオーズらしさが横溢しているともいえる作品。過去に LSO Live でコリン・デイヴィスによる「キリストの幼時」のレコーディングにも起用されていたカレン・カーギルは、スコットランド出身のメゾ・ソプラノ。声量と美声に恵まれ、ここで要求されるドラマティックな表現にもみごとな対応をみせている。カーギルは2012年4月にもティチアーティ指揮スコットランド室内管と同じふたつのナンバーをレコーディングしていた。ゲルギエフもまた2003年5月にボロディナをソリストに、VPOを指揮してライヴ録音していたので、およそ10年半ぶりの再録音ということになる。
LSO-0757
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(HYBRID_SACD
+ BD-AUDIO)
2枚価格
ゲルギエフ〜ベルリオーズ
 序曲「ウェイヴァリー」Op.1 /幻想交響曲 Op.14
 ・特典映像(BD ディスクに収録) 幻想交響曲 Op.14(全曲/2013年11月14日)
  ヴァレリー・ゲルギエフ指揮LSO
 収録:2013年10月31日、11月14日、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。 プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニアリング、ミキシング&マスタリング: ジョナサン・ストークス。SACD 仕様; DSD 5.1 surround / 2.0 stereo | Pure Audio Blu-ray 仕様; DTS-HD Master Audio 5.1 (24bit/192kHz), 2.0 LPCM (24bit/192kHz) 。#映像はブルーレイディスクへの収録のため、DVD再生環境では視聴不可です。 ゲルギエフがロンドン響を指揮して、あらたにベルリオーズのシリーズをスタート。第1弾の「幻想交響曲」と序曲「ウェイヴァリー」は、2013年の秋、当コンビがシーズンの目玉に掲げたベルリオーズ・プロジェクトにおける公演の模様をライヴ収録した物。VPOを指揮した当時のフィリップスへのセッション・レコーディングが2003年だったので、このたびは10年ぶりの再録音ということになる。ベルリオーズはロンドン響にとって、この作曲家のエキスパート、コリン・デイヴィスのもとで半世紀以上に亘って共に取り組んできた、もっとも得意とするレパートリーのひとつ。膨大なディスコグラフィを構築する過程で、デイヴィス指揮でロンドン響は「幻想交響曲」について、2度もレコーディング(1963年セッション、2000年、ライヴ)を果たすほどで、演奏内容はその音楽語法を体得してきた自負を感じさせる説得力の強いものだった。公演に先立って行われたインタビューでゲルギエフは、ベルリオーズの音楽の魅力について熱っぽく次のように語っている。「ベルリオーズの響きはとても現代的で、とても新鮮で予測不可能なものなのだ。書法は独自のスタイルで貫かれている。それこそがいつもわたしをベルリオーズに惹きつけてやまない。」 ゲルギエフとロンドン響によるベルリオーズ・プロジェクトは、実質的には10月31日から11月17日までの2週間半と短期間ながら、本拠バービカン8公演と、ヨーロッパ・ツアーを併せた全13公演が組まれ、当アルバムの2作品のほかにも、「イタリアのハロルド」、「ファウストの劫罰」、「ロメオとジュリエット」、歌曲集「夏の夜」、カンタータ「クレオパトラの死」、「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲といった主要な作品が網羅的に演奏される大がかりで本格的なものだった。本レコーディングに際して、ゲルギエフ自身は2013年5月に、もうひとつの手兵マリインスキー劇場管を指揮して「幻想交響曲」を演奏してもいたし、ロンドン響とは「幻想交響曲」と序曲「ウェイヴァリー」を11月8日にブルノ、9日にザンクト・ペルテン、10日にエッセン、16日にパリのサル・プレイエルでも取り上げていたことから、実演でのプログラムと並行して演奏内容を検証しつつ、集中してその解釈を掘り下げる機会にも恵まれていたとおもわれる。「幻想交響曲」の演奏時間について。VPO盤との比較では、ロンドン響新盤は第1、第4楽章のすべての反復を実行して10分以上長くなっている。このあたりにもゲルギエフの細部の情報に対するこだわりが垣間見えて、より踏み込んだアプローチを期待出来そう。なお、当アルバムではLSO-Live初の試みとして、従来のSACDハイブリッド盤に加えて、同一の演奏内容を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクが同梱される。お手持ちのブルーレイ・ディスク・プレイヤーで手軽に楽しめるハイスペックのフォーマットへの対応は、かねてよりオーディオ・ファイルからの要望も高かったのでなんとも嬉しい配慮といえるだろう。さらにボーナス映像として、ブルーレイ・ディスクのビデオ・パートには、本拠バービカンにおける11月14日、分の「幻想交響曲」の全曲演奏が丸ごと収められ、まさに至れり尽くせりの仕様となっている。
LSO-0752
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(HYBRID_SACD)
チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 Op.48
バルトーク:ディヴェルティメントSz.113
ロマン・シモヴィチ(リーダー)
LSO弦楽アンサンブル
 収録:2013年10月27日、バービカン・ホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニアリング、ミキシング&マスタリング: Classic Sound Ltd 。若きロンドン響のリーダーでゲルギエフのお気に入りのロマン・シモヴィチ率いる LSO 弦楽アンサンブルのデビュー盤。2013年10月にバービカンでおこなわれたコンサート前半の演目。『わたしは、LSO弦楽アンサンブルを指揮するとき、いつもゾクゾクする。たった数日間、信じられないほど精力的に取り組むだけで、チャイコフスキーの弦楽セレナードとバルトークのディヴェルティメントの途方もなくゆたかな音色を習得したんだ。わたしたちは、自分たちの耳と反応を頼りに親密な室内楽の響きを習得したかったんだ。プレーヤー誰もがこのレコーディングで各自の重要性と影響力を実感したし、わたしにとっては彼らのチームの一員であることと、この録音に参加できたことはたいへんな名誉だよ。LSO弦楽アンサンブルはほんとうに特別なアンサンブルだ。』(ロマン・シモヴィチ) ロンドン響の誇る弦楽セクションは、2014年に創立110周年を迎えた名門楽団の看板として、その実力を遺憾なく示してきた。たとえば、コリン・デイヴィスとは、崇高で深遠な表情を湛えたエルガー、透明で清澄な空気に包まれるシベリウスで、さらに、ゲルギエフのもとではプロコフィエフやシマノフスキといったユニークなプログラムで、世界中の音楽ファンを魅了し続けているのは周知の通り。当盤は美しく親しみやすい旋律の宝庫であるチャイコフスキーに、ソリッドなサウンドでアンサンブルの精度が否応なく試されるバルトークという、弦楽合奏の魅力を伝える究極の組み合わせ。
LSO-0751
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(HYBRID_SACD)
ストラヴィンスキー
 バレエ「ミューズを司るアポロ」/オペラ=オラトリオ「エディプス王」
 ジェニファー・ジョンストン(Ms;イオカステ) ステュアート・スケルトン(T;エディプス王)
 ギドン・サクス(B;クレオン) ファニー・アルダン(語り) モンテヴェルディcho.合唱団男声合唱

 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮 LSO
 録音:2013年4月25日、5月1日、ロンドン、バービカン・ホール、ライヴ。プロデューサー:ニコラス・パーカー、レコーディグ・エンジニア、編集、ミキシング&マスタリング:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。2013年4月25日、「サー・ジョン・エリオット・ガーディナー生誕70年コンサート」と銘打たれたバービカン・ホールの公演で、ガーディナーはロンドン響(LSO)ならびに手兵モンテヴェルディ合唱団を指揮して、ストラヴィンスキーの「ミューズを司るアポロ」と「エディプス王」を取り上げた。なお、公演に先立ち4月14日には楽団の功労者でプレジデント、コリン・デイヴィスが惜しまれつつ世を去っており、ガーディナー祝賀の舞台がはからずもデイヴィス追悼の式典ともなった。ガーディナーは当日の公演プログラムのなかで、コリン・デイヴィスについて、次のように追悼の辞を寄せている。「非常に多くのイギリス出身の音楽家たちと同様に、わたしはコリン・デイヴィスの鼓舞と指導に負うところがたいへん大きい。わたしが、デイヴィスの指揮のもと、バードとトムキンズの作品を初めて歌ったのが14歳のときだった。翌年、わたしは勇気を振り絞って、ホーランド・パークにあるデイヴィスの自宅のドアを叩き『指揮者になるにはどうすればよいか』と尋ねた。デイヴィスの答えはこうだった。『まずは一旦帰って、それから「春の祭典」を勉強しなさい』と。わたしは、そうした。ストラヴィンスキーはもちろん、サー・コリンが特別な親しみを抱いていた作曲家のひとりであり、わたしは彼の指揮した「3大バレエ」のすべて、協奏曲「ダンバートン・オークス」と2つの交響曲といったすばらしい録音を大切に心に留め置いている。21歳の誕生日プレゼントにわたしは「エディプス王」のスコアをもらった。それから49年、残念なことにサー・コリンが世を去ってちょうど一週間が経つけれども、初めてこの作品を指揮する機会を得たことをとても感謝している。しかも、サー・コリンのすばらしきLSOとわたし自身のモンテヴェルディ合唱団との共演によって。けれども、わたしがもっともサー・コリンを連想するのは、「ミューズを司るアポロ」なのだ。アポロは太陽の神、音楽の神、医術の神として有名だが、サー・コリン自身はある種のアポロ神的な人物(Apollonian figure)だった。」古代ギリシャ神話をテーマにした「ミューズを司るアポロ」と「エディプス王」は、ストラヴィンスキーの新古典主義時代を代表する作品。1927年に完成した「エディプス王」は、詩人ソフォクレスの原作に基づくジャン・コクトーの台本、声楽はラテン語、語り手はフランス語により、父殺し、実の母と通じたエディプス王の悲劇が描かれる。人の声を加えた大作を念頭に置いたというだけに、合唱の担う役割は大きく、さすがは精緻にして圧倒的な表現力をみせるモンテヴェルディ合唱団が凄絶な効果を上げている。さらに、語り手の名女優ファニー・アルダン(トリュフォー監督「日曜日が待ち遠しい。」、オゾン監督「8人の女たち」、ゼフィレッリ監督「永遠のマリア・カラス」カラス役)のフランス語の味わいに、ヴェテランの存在感が光る。弦楽オーケストラのためのバレエ音楽「ミューズを司るアポロ」は、「エディプス王」に次ぐ1928年の作品。強烈な前作とは対照的に、ゆたかなハーモニーとテクスチュアが特徴的な内容で、そのスコアの古典的な美しさに心を奪われたディアギレフをして「この世のものではなく、どこか天上からの音楽」と言わしめたともいわれる。じっさい、このコメントを裏付けるように、LSO弦楽セクションによる目の詰んだアンサンブルと澄み渡るひびきに思わず言葉を失うほど。ここ毎シーズン、LSOの定期公演への客演を重ねて好評を博しているガーディナーは、2011/12年のシーズンにはベートーヴェンの「合唱」&第1番を指揮、このときもモンテヴェルディ合唱団を帯同して、ハンブルク、ハノーファー、ミュンヘンを巡るドイツ・ツアーを成功に導くなど、現在に至るLSOとの結び付きにはかなりのものがある。ちなみに、ガーディナー率いるLSOならびにモンテヴェルディ合唱団は、ストラヴィンスキー・プログラムを4月22日にブリュッセル、23日にパリ、25日のバービカンを挟んで、28日にケルンでも演奏しており、これらの成果を盛り込む形で、最終的に5月1日のバービカンでのパッチ・セッションを経て、このたびのアルバムは製作された。ガーディナーとコリン・デイヴィス、そしてストラヴィンスキー。あらためて、なんともふしぎな巡り合わせを感じさせるが、ほかでもない自身の記念コンサートに臨むにあたり、指揮者の道を示してくれた師デイヴィス、ストラヴィンスキーの音楽へ思いを馳せていたガーディナーのこと、いつもの洗練された美観のなかにもテンションの高い演奏内容を期待できそう。ガーディナーは、やはりLSOとモンテヴェルディ合唱団とを指揮して、1997年にオペラ「放蕩児の遍歴」、1999年に「詩篇交響曲」のセッション録音をおこなってもいたが、これまでのところガーディナーによるストラヴィンスキーといえば、もっぱら新古典主義的作風の演目で、そのすべてにすぐれた演奏を聴かせていたというのも興味深いところ。
LSO-0749
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(2 HYBRID_SACD)
ブリテン:歌劇「ねじの回転」
 アンドルー・ケネディ(T;前口上/ピーター・クイント) サリー・マシューズ(S;家庭教師)
 マイケル・クレイトン=ジョリ(B;マイルズ) ルーシー・ホール(S;フローラ)
 キャサリン・ウィン=ロジャース(Ms;グロース夫人) キャサリン・ブロデリック(S;ジェスル嬢)

 リチャード・ファーンズ指揮 LSO
 録音:2013年4月16日、18日、バービカン・センター、ロンドン、演奏会形式、ライヴ。本来、この上演はLSOの前首席指揮者コリン・デイヴィスが指揮する予定だったが、数ヶ月の体調不良の末4月14日に亡くなり、図らずも追悼公演になってしまった。出演者たちの思いが一つになっていることは、録音を通しても実感できることだろう。代役指揮のリチャード・ファーンズは、1964年生まれの英国の中堅。日本ではまだ知名度は低いだろうが、北イングランド、リーズのオペラ・ノースの音楽監督を2004年から務め、意欲的な上演を立て続けに成功させて名声を高めつつある人物。遠からず国際的人気指揮者になることだろう。その冴えた劇場感覚はこの演奏からも十分伝わって来る。「ねじの回転」は2010年に演奏したことがあるらしい。キャストは適材適所。家庭教師のサリー・マシューズは、LSOシリーズではお馴染みの英国のソプラノ。透明感のある美声がこの役にピタリ。ピーター・クイントのアンドルー・ケネディは1977年、英国生まれの若いテノール。バロック音楽やモーツァルトのテノールとして人気が高い美声のテノールだが、ミステリアスな雰囲気と声の張りにも不足はなく、クイントは当り役だろう。重要な役であるグロース夫人には、英国のベテランのメゾ・ソプラノ、キャサリン・ウィン=ロジャースを起用。そしてマイルズ少年はマイケル・クレイトン=ジョリ君が天使の声で歌っている。デイヴィス追悼で聞くにしても、次世代のオペラ界の担い手を耳で知るにも、新しい世代の歌手を目当てにするも、いずれにしても注目の録音。
LSO-0748
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(HYBRID_SACD)
ブラームス:ドイツ・レクィエム Op.45
 サリー・マシューズ(S) クリストファー・マルトマン(Br)
 サイモン・ハルシー合唱指揮ロンドン交響cho.
 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮LSO
 録音:2013年3月30日-31日、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。2012/13年のシーズンに、ゲルギエフはロンドン響を指揮してブラームスとシマノフスキの作品を対比上演するという意欲的なシリーズで話題を集めたが、このたび LSO Liveに登場するブラームスの「ドイツ・レクィエム」は、2013年3月30日と31日に、シマノフスキの「スターバト・マーテル」(LSO-0739)に続いて、後半に演奏されたプログラム。ゲルギエフにはロッテルダム・フィルを指揮した「ドイツ・レクィエム」のライヴ映像作品がすでに知られており、2008年5月25日におこなわれたこのときの模様は、1995年よりこの年まで13年に亘るゲルギエフの首席指揮者時代を締め括る最後のコンサートということもあってだろうか。たいへん熱のこもった指揮ぶりと並んで、世界最高峰と称されるスウェーデン放送cho. の高水準の仕上がりがひときわ記憶に残るものだった。いっぽう、ロンドン響との新盤でも、相変わらず声楽陣の優秀さが光る。1966年にロンドン響の仕事を補完するために結成され、ロンドン響とのこれまでのレコーディングでも数多くのパワフルな演奏を聴かせてきたロンドン・シンフォニー・コーラスを率いるのは、当代超一級のコーラス・ビルダーとして知られるサイモン・ハルシー。精緻で妙なるハーモニーはまさに、このひとならではのなせるワザと言える。ともに英国出身のソリストのふたりも的を射たキャスティング。LSO Liveではおなじみのマシューズは、凛とした歌声がたまらなくチャーミング。リートに声楽曲、オペラと実績を積むマルトマンは、知的で濃やかな性格表現に長けていることをここでもあらためて強く印象付けている。ゲルギエフ率いるロンドン響による「ドイツ・レクィエム」は、就任以来7シーズン目に入った首席指揮者のもとで、あらたな充実の時代を迎えている楽団のいまをうかがい知るのに、またとない内容といえるだろう。
LSO-0746
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(HYBRID_SACD)
ブルックナー
 交響曲第9番 ニ短調 WAB.109(ノーヴァク版)
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
 録音:2013年2月17日、21日、バービカンセンター、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、バランス・エンジニア:アンドルー・ハリファクス&ジョナサン・ストークス、編集・ミキシング&マスタリング:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。2011年にリリースされた交響曲第4番「ロマンティック」が、近年の充実ぶりを示す演奏内容との高評価を得ていたハイティンク&ロンドン響(LSO)が、こんどはブルックナーの交響曲第9番をレコーディング。はやくも40代前半にコンセルトヘボウ管との交響曲全集録音を完成させ、今日に至る豊富なディスコグラフィからも、当代有数のブルックナー指揮者としてのハイティンクの業績にはやはり目を瞠るものがある。そのなかでも近年のハイティンクが、良好な関係にある世界有数の楽団を指揮したライヴ演奏の数々は内容的にもひときわすぐれた出来栄えをみせているのは熱心なファンの間ではよく知られるところで、このたびのLSOの第9番もまたこうした流れのなかに位置づけられるものと期待される。第4番:ロンドン響(2011年) 第5番:バイエルン放送so. (2010年) 第6番:シュターツカペレ・ドレスデン(2003年) 第7番:シカゴso. (2007年) 第8番:シュターツカペレ・ドレスデン(2002年)/コンセルトヘボウ管(2005年) 第9番:コンセルトヘボウ管(2009年 ※ 映像作品)/ロンドン響(2013年) ハイティンクは交響曲第9番をいずれもコンセルトヘボウ管との顔合わせで、これまでに1965年と1981年にセッション録音していたほか、2009年にはライヴ収録の映像作品を発表しているが、そのすべてとの比較でLSOとの最新録音は、ハイティンク自身によるものとしては過去最長の演奏時間を更新している。このあたり前作「ロマンティック」のケースとも重なるが、ここでも実演特有の有機的な音楽の流れに、持ち前のひたむきなアプローチでじっくりと神秘的で崇高なるブルックナーの世界を聴かせてくれるのではないかとおもわれる。なお、交響曲第9番は、2013年2月にハイティンクがロンドン響を指揮して本拠バービカンホールで行ったコンサートの模様をライヴ収録したが、当コンビは同曲を翌3月の来日公演でも7日の東京サントリー、8日の横浜みなとみらいでメイン・プログラムに取り上げており、全公演最終日にあたる8日、終演後は長いこと拍手が鳴り止まずに会場全体が深い感銘に包まれていたのが印象的だった。
LSO-0745
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(HYBRID_SACD)
ハイティンク& LSO 〜ベートーヴェン
 ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19 (*) /三重協奏曲 ハ長調 Op.56 (#)
  マリア・ジョアン・ピリス(P;*) ラルス・フォークト(P;#)
  ゴルダン・ニコリッチ(Vn;#) ティム・ヒュー(Vc;#)
  ベルナルド・ハイティンク指揮 LSO
 録音:2013年2月(*) 、2005年(#) | (*)は初出、(#)はベートーヴェンの全集等で既出。1929年生まれの巨匠ベルナルド・ハイティンクは2019年3月で90歳になる。これを祝って、LSOは2013年のピリスとのとっておきの名演をリリースする。演目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番。この音源は配信では既に紹介されていたが、このたびディスク初登場となる。当時の演奏会評でも「望みうる最高スタンダードの演奏」「ピリスの演奏は直接的で自信に満ちておりベルナルド・ハイティンクの指揮によってそれはより高められている」と絶賛された演奏。カップリングの三重協奏曲はベートーヴェンの全集にも収められているものと同じ演奏。
LSO-0744
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(HYBRID_SACD)
マーク=アンソニー・ターネイジ(1960-):
 トランペット協奏曲「残骸から」(2005) /
 スペランツァ(2012)
ホーカン・
 ハーデンベルガー(Tp)
ダニエル・ハーディング指揮 LSO
 録音:2013年2月5日、7日、バービカン・ホール、ライヴ。ハーディングとLSOが英国の作曲家でターネイジ作品に挑戦。ストラヴィンスキー、ブリテン、ヘンツェに私淑しながらマイルス・デイヴィスに傾倒、本物のモダーンジャズを作曲できる数少ないクラシック作曲家とみなされている。また、ホルストの「惑星」の続編として準惑星「ケレス(セレス)」を作曲しており、天体オタクからも注目されている。「残骸から」はハーデンベルガーのために作曲された。通常のトランペットのほか、フリューゲルホルン、ピッコロ・トランペット持ちかえ、暗闇から光明への葛藤を描いている。ジャズの要素も濃く、マイルス・デイヴィスが現代作品を吹くかのような趣となっているが、ハーデンベルガーが驚愕の巧さで、鮮やかなテクニックと歌い回しが光る。「スペランツァ」は4楽章からなる40分の大作。タイトルは「希望」を意味するイタリア語だが、内容はセーヌ川で自殺したルーマニア系ユダヤ人作家パウル・ツェラン(1920-1970)の文学を背景にしている。第1曲にはパレスチナの聖歌、第2曲にはイスラエルのわらべ歌、4曲にはユダヤ民謡が引用されているが、全体は映画音楽風で色彩的。ハーディングもジャズ的なノリの良さ全開。いともカッコいい現代音楽。
LSO-0739
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(HYBRID_SACD)
ゲルギエフ&LSO 〜カロル・シマノフスキ(1882-1937):
 交響曲第3番 Op.27「夜の歌」(*) /協奏交響曲(交響曲第4番)Op.60 (#) /
 スターバト・マーテル Op.53(ポーランド語歌唱)(+)
 デニス・マツーエフ(P;#) トビー・スペンス(T;*/+) サリー・マシューズ(S;+)
 エカテリーナ・グバノーヴァ(Ms;+) コスタス・スモリギナス(Br;+)
 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮 LSO&cho. サイモン・ハルシー合唱指揮
 録音:2012年12月、2013年3月、バービカン・ホール、ライヴ。ゲルギエフとLSOは昨2012年シーズン、シマノフスキとブラームスの交響曲を対比上演するという試みを行った。かたやポーランド近代、かたや純ドイツ・ロマン派と、交響曲を4篇残していること以外共通する点のないふたりの作曲家だが、ゲルギエフにとって初レパートリーだけに興味津々。今回のアルバムはシマノフスキ作品のみ、ソリストとオーケストラのための3篇が収められている。カロル・シマノフスキ(1882-1937)は近代ポーランドを代表する作曲家だが、生まれ育ちはウクライナ。ロシア・ピアニズムの源流ゲンリフ・ネイガウスが従兄弟、ホロヴィッツの師だったピアニストで作曲家のフェリクス・ブルーメンフェリトが叔父という、ロシア音楽史から見ても特別な家柄の出。それゆえか、彼の音楽はポーランドの演奏家のみならず、ロシアの大物たちに愛奏される歴史があり、リヒテルやオイストラフも素晴らしい録音を残している。交響曲第3番「夜の歌」は、13世紀ペルシャの詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩をドイツ語からの重訳でポーランド語訳された歌詞によるテノールと合唱付きのオラトリオ風作品で、神秘的で扇情的な歌詞とスクリャービン風の官能性に満ちた音楽。この曲の初演は、1916年11月にアレクサンドル・ジロティ(ラフマニノフの従兄のピアニストで指揮者)の指揮で予定されていたが延期となり、1921年11月にロンドンにてアルバート・コーツ指揮LSOにより行われた。コーツはロシア革命までマリインスキー劇場の首席指揮者を務めたゲルギエフの大先輩でもあり、同じLSOを指揮しての演奏など、ゲルギエフならびにロシアとの縁の深さに興味津々。極めて大編成で、たくさんの声部による精緻を極めた織物だが、まさにゲルギエフの真骨頂、驚くべきバランス感覚と統率力で完璧に再現している。独唱のトビー・スペンスはイギリスのテノール。明るくさわやかな美声がかえってこの作品の変態性を際立たせている。交響曲第4番は、「協奏交響曲」と呼ばれるピアノとオーケストラのための作品。シマノフスキの晩年にあたる1932年に作曲され、親友の大ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインに捧げられた。通常のピアノ協奏曲よりもオーケストラの比重が高く、まさに立派な交響曲となっている。マツーエフの師ナセトキンはゲンリフ・ネイガウスの弟子であり、まさに直系の独奏者。あいかわらずの物凄いテクニックで、ポーランド民俗舞曲に基づくフィナーレなど、プロコフィエフの音楽のようで鮮烈。ここでもゲルギエフのバランス感覚とLSOの巧さが光る。1926年作の「スターバト・マーテル」は、宗教音楽ながらポーランドの民俗音楽の要素濃厚な、シマノフスキ後期の傾向が明瞭な作品。シマノフスキの古代趣味の表れのひとつである16世紀ルネサンス音楽への傾倒が見てとれる。独唱も合唱もポーランド語により、非常に感動的。ゲルギエフはシマノフスキの音楽について、「広く聴かれ、認められるのが当然なだけでなく、その音楽で20世紀音楽の発展をより良く理解する絶好の機会だ」と絶賛している。シマノフスキの交響曲第3番と4番はこれだけ持っていれば充分な決定盤の登場。
LSO-0737
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(HYBRID_SACD)
ブラームス:交響曲全集 Vol.2(完結編)
 〔第3番 ヘ長調 Op.90 (*) /第4番 ホ短調 Op.98 (#) 〕
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2012年12月11日(*)、12日(#)、18日(*)、19日(#)、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス、編集:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。ゲルギエフとLSOが進めてきたブラームス・プロジェクト、交響曲第1番&第2番(LSO-0733)、ドイツ・レクイエム(LSO-0748)に続く完結篇。ゲルギエフ& LSO は 2012/13年シーズンにシマノフスキとブラームスの交響曲および声楽曲他を対比上演、話題を集めた。交響曲第4番のプログラムは、前半にシマノフスキの交響曲第4番とヴァイオリン協奏曲第2番が置かれ、交響曲第3番は、後半にハイドン変奏曲とシマノフスキの交響曲第3番が演奏された。既出の2枚でもゲルギエフはロンドン響から重厚な響きを引き出し、正統的な堂々たる充実ぶりと相性の良さを見せていた。
LSO-0733
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(2 HYBRID_SACD)
ゲルギエフ〜ブラームス
 交響曲〔第1番 ハ短調 Op.68 /第2番 Op.73 〕/
 悲劇的序曲 Op.81 /ハイドン変奏曲 Op.56a
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2012年9月-10月、12月、バービカン・ホール、ライヴ。ゲルギエフとLSOは昨2012年シーズン、シマノフスキとブラームスの交響曲を対比上演するという試みを行った。かたやポーランド近代、かたや純ドイツ・ロマン派と、交響曲を4篇残していること以外共通する点のないふたりの作曲家だが、ゲルギエフにとって初レパートリーだけに興味津々。今回は待望のブラームス。ブラームスの交響曲はゲルギエフの音楽性と資質から考えると、面白そうと思われながら、録音は協奏曲やドイツ・レクイエムなどしか無かった。満を持しての披露。交響曲第1番にゲルギエフの個性がもっとも強く表れている。音色は暗く、強烈なアクセントはロシア音楽のようで新鮮。重低音をきかせたフィナーレの、ことにコーダはロシア正教の合唱をオーケストラに移し替えたような音響に驚かされる。交響曲第2番は本来田園的で平穏な作品のはずながら、不思議な不吉さと不穏な雰囲気に翳っている。ゲルギエフは伝統や因習から離れ、劇的といえるような作品像を描いている。終楽章の素晴らしい加速ぶりはゲルギエフならでは。最後の輝かしい肯定へ向かって進む熱気は感動的。「ハイドンの主題による変奏曲」は各変奏での性格分けの巧さが光る。メンデルスゾーンのスケルツォのように軽快な第5変奏、明朗な管楽による第6変奏、上品でうきうきしただ第7変奏、不気味に音を抑えた第8変奏が、威厳に満ちた「聖アントニウスのコラール」を感動的に導く。
LSO-0731
(HYBRID_SACD)
廃盤
ゲルギエフ〜シマノフスキ:交響曲集
 〔第1番 ヘ短調 Op.15 /第2番 変ロ長調 Op.19 〕
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
LSO-0730
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(10 HYBRID_SACD)
3枚価格
ゲルギエフ&LSO〜マーラー:交響曲全集 BOX
 〔第1番 ニ長調「巨人」[2008年1月13日]/第10番 嬰ヘ長調〜第1楽章アダージョ[2008年6月5日]/
  第2番 ハ短調「復活」[モシュク(S) ブルィチェワ(Ms)ロンドン交響cho./2008年4月20日-21日]/
  第3番 ニ短調[ラーション(Ms) ティフィン少年cho.、LSOcho./2007年9月24日]/
  第4番 ト長調[クレイコム(S)2008年1月12日]/第5番 嬰ハ短調[2010年9月26日]/
  第6番 イ短調「悲劇的」[2007年11月22日]/第7番 ホ短調「夜の歌」[2008年3月7日]/
  第8番 変ホ長調「千人の交響曲」[ヤーストレボワ、タイナン、ドゥディーノワ(S) パーシキヴィ、
   ブルィチェワ(Ms) セミシクール(T)他/2008年7月9日-10日]/第9番 ニ長調[2011年3月2日-3日]〕

 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮LSO
 録音:[内]、セント・ポール大聖堂(第8番のみ)、バービカンホール、すべてライヴ。分売リリース11枚分の収録内容はそのままに、収録順を組み換えることで10枚としたBOX。すべてコンサートでの演奏をライヴ録音しているところに特徴があり、実演における白熱の模様がストレートに肌で感じられるのも魅力のひとつ。第6番や第7番などはその最たる例で、極端なテンポ設定や荒削りでユニークなアプローチも話題騒然となった。また、シリーズの大詰めの時期にあたる第5番と第9番では、同一プログラムを数多くこなしたのちに、周到な準備を経て収録に臨んだこともあり、完成度の高さでもゲルギエフがLSOのシェフに就任して以来、屈指の成果を示している。
LSO-0729
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ベルリオーズ:死者のための大ミサ曲〔レクィエム〕 Op.5
 バリー・バンクス(T) コリン・デイヴィス指揮LSO
 ロンドン・シンフォニーcho.、ロンドン・フィルハーモニーcho.
 録音:2012年6月25日-26日、セント・ポール大聖堂、ロンドン、ライヴ。自他共に認める「ベルリオーズのエキスパート」、巨匠コリン・デイヴィスが首席指揮者、プレジデントを歴任してもっとも信頼を寄せているLSOを指揮して大作「レクィエム」を演奏。1962年4月にL'OISEAU-LYRE(現DECCA)に「ベアトリスとベネディクト」をウェンブリー・タウン・ホールでセッション録音したのを皮切りに、当時34歳のデイヴィスがLSOと開始したベルリオーズ作品のレコーディング・プロジェクトは息の長い本格的なものだった。翌63年以降、オランダのPHILIPSへとレコード会社を移してから80年までのあいだに、セッションで録音したプログラムは順に以下の通り。「幻想交響曲」/序曲集(「ローマの謝肉祭」「海賊」「宗教裁判官」「リア王」「ウェイヴァリー」)/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」/「テ・デウム」/「ハムレットの幕切れのための葬送行進曲」/「カルタゴのトロイア人」前奏曲/「葬送と勝利の大交響曲」/歌曲集「夏の夜」(※2種/アームストロング、ノーマン)/オーケストラ伴奏歌曲(「旅する美女」「囚われの女」「若きブルターニュの牧童」「ザイーデ」「デンマークの漁師」)/「レクィエム」/「ファウストの劫罰」/「イタリアのハロルド」/「キリストの幼時」/「ベアトリスとベネディクト」(※77年再録音)/「クレオパトラの死」/「エルミニ」/「レリオ、または生への回帰」/「宗教的瞑想曲」/「オフィーリアの死」。一連のセッション録音以後も、デイヴィスとLSOによるベルリオーズ作品への取り組みは継続され、1995年にLSOの首席指揮者に就任したデイヴィスが2000年にあらたにスタートしたLSO Liveのシリーズでは、初録音の「ベンヴェヌート・チェッリーニ」を別にして、主要レパートリーのライヴによる再録音をおこなっている。2000年1月「ロメオとジュリエット」/2000年6月「ベアトリスとベネディクト」/2000年9月「幻想交響曲」/2000年10月「ファウストの劫罰」/2000年12月「トロイアの人びと」/2003年2月「イタリアのハロルド」/2006年12月「キリストの幼時」/2007年6月「ベンヴェヌート・チェッリーニ」。このように、今日に至る「ベルリオーズのエキスパート」としてのデイヴィスの実績はLSOとともに半世紀近くにも亘り培ってきた膨大なディスコグラフィによって辿ることが可能だが、なかでも「レクイエム」はデイヴィスにとって真に特別なもののようで、まだクラリネット奏者だった若い頃に演奏して指揮者を志す啓示を受けた運命の曲であると述懐しているほど。デイヴィスはまた「レクいエム」について、1969年にLSOを指揮してウェストミンスター大聖堂でセッション録音、1989年にバイエルン放送so.を指揮したコンサートのライヴ映像作品を制作、1994年に聖十字架教会でシュターツカペレ・ドレスデンを指揮したコンサートの模様をライヴ収録という具合に、折に触れてすでに3度ものレコーディングを重ねており、とくに、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮したドレスデン爆撃戦没者追悼演奏会のライヴ録音盤が、言葉どおりの意味で迫真の演奏内容を聴かせたことで、桁違いの名演とまで騒がれたのはまだ記憶にあたらしいところ。デイヴィスが、自身による第1回目の録音からじつに43年ぶりに同じLSOを指揮してベルリオーズの「レクィエム」を演奏したアルバムは、50回目の節目を迎えたシティ・オブ・ロンドン・フェスティヴァル2012のハイライトとして、巨匠が85歳の誕生日を迎える3か月前の2012年6月25、26日の2日間に亘りセント・ポール大聖堂でおこなわれたコンサートの模様をライヴ収録した物。ここ最近のデイヴィスとの顔合わせでみせる手兵LSOの白熱ぶりはここでも健在なうえに、総勢150名にも及ぶ合唱には、やはりデイヴィスの第1回録音にも起用されたロンドン・シンフォニー・コーラスとともに、ロンドン・フィルハーモニーcho.が合同参加して、このモニュメンタルな大作の上演をおおいに盛り立てている。18年前のシュターツカペレ・ドレスデンとのライヴ録音盤を「まさに忘れることの出来ない感動的な体験」だったと語るデイヴィスだが、過去に安住することなく、あくまでひたむきな巨匠の境地と尽きることのない情熱には頭が下がる思い。デイヴィスが初めてLSOとベルリオーズ作品を録音して以来50年。デイヴィスが取り組んできたベルリオーズ・シリーズを締め括る「レクィエム」は、エキスパートとしてのポジションをあらためて裏付けるものといえるだろう。
LSO-0728
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J.S.バッハ
 「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004、ルターのコラール集」
 〔ヨハネ受難曲 BWV.245〜ああ、主よ、あなたの愛しい天使に命じて/パルティータ第2番〜アルマンド&クーラント/
  キリストは死の縄目につながれたり(BWV.4) /パルティータ第2番〜サラバンド&ジグ/
  死に打ち勝てる者は絶えてなかりき(BWV.4) /マタイ受難曲 BWV.244〜いつの日かわれ去り逝くとき/
  シャコンヌ(ヘルガ・テーネのレアリゼーション/ヴァイオリンと4声のコーラスのための)〕
フォーレ:レクィエム
 ゴルダン・ニコリッチ(Vn) グレース・デイヴィッドソン(S) ウィリアム・ゴーント(Br)
 ナイジェル・ショート指揮テネブレcho.、LSO室内アンサンブル
 録音:2012年5月、セント・ジャイルズ・クリップルゲイト教会、ロンドン、ライヴ。キングズ・シンガーズの元メンバーで、英国合唱界の大立者ナイジェル・ショート率いる若手精鋭合唱アンサンブル、テネブレがLSO Live へ本格的に登場。LSO室内アンサンブルとともに、バッハのコラールほか、メインにフォーレの「レクィエム」を取り上げた注目の内容。2011年6月、テネブレとLSO選抜メンバーによる室内アンサンブルは「シティ・オブ・ロンドン・フェスティヴァル」に出演、セント・ポール大聖堂でのコンサートは大成功を収めた。これはその翌年2012年5月に、すぐれた音響で知られるセント・ジャイルズ・クリップルゲイト教会でおこなわれた同一プログラム再演の模様をライヴ収録した物。プログラムはたいへんユニークなもので、前半のJ.S.バッハでは、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番各曲のあいだに、教会カンタータ第4番「キリストは死の縄目につながれたり」ほか、バッハのコラールを挿み込む構成が採られている。さらに、最大のポイントは終曲「シャコンヌ」で、バッハの旅行中に亡くなった彼の最初の妻、マリアへの“レクィエム " であるという説に依拠して、独奏ヴァイオリンに乗せて当時の教会用コラールからの歌詞が綾なすように歌われるさまが、神秘的な美しさを湛えているばかりでなく、フィナーレとしてもじつに自然で効果的。ちなみに、同じコンセプトの内容には、ポッペンのヴァイオリンとヒリアード・アンサンブルによるアルバムや、モレーノのリュートとカークビーの歌唱によるレコーディングがあったが、またひとつここに魅力的な演奏が加わった。なお、ここでみごとなヴァイオリン独奏を披露するのは、LSOコンサートマスターのゴルダン・ニコリッチ。師カントロフゆずりの折り目正しいアプローチがまさしくこうした内容にぴったり。テネブレは、しばしばロウソクの灯りのみが燈された空間で歌い、アレグリやヴィクトリア、タヴナーの宗教作品や、プーランクの声楽曲などにおいて、とびきり透明度の高い歌唱を聴かせてきたのはすでによく知られるところで、繊細な表現と美しいハーモニーの安定感は折り紙つき。フォーレのレクィエムは声楽曲の最重要レパートリーのひとつにもかかわらず、テネブレによるレコーディングはこれまでなかったので、その演奏内容にはひときわおおきな期待がかかる。また、意外なことに、LSOにとってもフォーレのレクィエムは、1982年にチェリビダッケが指揮したロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ライヴ演奏(BBC収録・オーソライズ盤未発売)くらいしかなかったので、その意味でも貴重な内容といえるだろう。ここでは時期の異なる3つの版うち、ジョン・ラターによる第2稿の校訂版(1984年)に拠る演奏となっている。
LSO-0726
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ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」
 サイモン・オニール(T;マックス) ラルス・ヴォルト(B−Br;カスパール)
 クリスティーン・ブルーワー(S;アガーテ) サリー・マシューズ(S;エンヒェン)
 シュテファン・ローゲス(B−Br;オットカール/ザミエル) マーティン・スネル(B;クーノー)
 マーカス・ファーンズワース(Br;キリアン) ギドン・サクス(B;隠者)
 ルーシー・ホール(S;4人の乙女) マルコム・シンクレア(語り)
 コリン・デイヴィス指揮 LSO 、ロンドン・シンフォニーcho.
 録音:2012年4月19日、21日、バービカン・ホール、ロンドン、演奏会形式ライヴ。2012年秋に85歳を迎えたコリン・デイヴィスを記念するリリースが続く LSO Live。デイヴィスは同曲全曲を、1990年1月にシュターツカペレ・ドレスデンを指揮してセッション収録していたので、22年ぶり2種目の録音ということになる。マクミランへの委嘱作やニルセンの交響曲のように、デイヴィスはあらたなレパートリーに対して情熱を傾けつつ、そのいっぽうでこれまでの長きに亘るキャリアを通じて解釈を深めてきたベルリオーズやシベリウスといった納得のプログラムの総仕上げをおこなってもきた。そうしたなかで、2006年にデイヴィスが LSO のプレジデントに就任したあたりから現在まで、いずれのケースにおいても桁違いの充実ぶりを示してきたのは、この間に構築したディスコグラフィを通じて確かめられるところで、このたびの演奏内容についても、やはりその出来ばえにはすばらしいものがある。それにしても、これから繰り広げられる場面のテーマをたくみに散りばめた「序曲」といい、楽譜に書き留められたうちでもっとも邪悪で残忍な描写として名高い「狼谷の場面」における緊迫感とボルテージといい、デイヴィスは年輪を重ねてかえってなおもエネルギッシュでみずみずしく、想像をはるかに上回る圧倒的な音楽で満たしている。意外なことに、これが初の「魔弾の射手」全曲録音となるLSOにしても、2000年以降の毎シーズン必ずコンサート形式でのオペラ上演に取り組んで着実に実績を重ねており、その結果生み出されたベルリオーズやベートーヴェンのオペラ録音が物語るように、デイヴィスとの呼吸も申し分ない。さらに、主要キャストも、マックスのサイモン・オニール(「オテロ」)、アガーテのクリスティーン・ブルーワー(ヴェルディの「レクィエム」)、エンヒェンのサリー・マシューズ(「天地創造」)という具合に、過去のリリースで起用されたデイヴィスのお気に入りで固められ、巨匠の信頼にみごとに応えている。ここにまたひとつデイヴィスを代表するアルバムが加わったといえるだろう。なお、このたびの上演に際して、オリジナルのドイツ語歌唱に並行して、アマンダ・ホールデンによる新英語訳のナレーションを、英国の名優マルコム・シンクレアが語るというスタイルが採用され、物語のスムーズな進行と理解に役立っていた。超優秀録音。
LSO-0722
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ニルセン:交響曲集
 〔第2番 ロ短調 Op.16, FS.29「四つの気質」(1901-02) (*) /
  第3番 ニ短調 Op.27, FS.60「ひろがりの交響曲」 (1910-11) (#)〕

 ルーシー・ホール(S;#) マーカス・ファーンズワース(Br;#)
 コリン・デイヴィス指揮LSO
 録音:2011年12月4日(*)、6日(*)、11日(#)、13日(#)、バービカンホール、ロンドン、ライヴ(#)。巨匠コリン・デイヴィス指揮LSO演奏によるニルセン・シリーズもいよいよ大詰め、第2番と第3番は、前作第1番より2ヶ月後の2011年12月、いずれも本拠で集中的に行われたコンサートの模様をライヴ収録。「四つの気質」というタイトルをもつ第2交響曲は、ニルセンが田舎を訪れた際にパブで偶然目にした、人間の気質をテーマとした水彩戯画に霊感を得て生み出されたもので、4つの楽章各々の発想記号に、怒りっぽい「胆汁質」、知的で冷静な「粘液質」、沈んでメランコリックな「憂鬱質」、陽気で快活な「多血質」という性格を暗示する形容詞が与えられ、じっさいの音楽もこれに沿う形で展開するところがユニークな作品。いっぽう、第1楽章の発想記号(アレグロ・エスパンシヴォ)に由来する「ひろがりの交響曲」というタイトルで呼ばれる第3交響曲は、第2楽章(アンダンテ・パストラーレ)の曲想から「ニルセンの田園交響曲」ともいわれ、楽章中盤以降に舞台裏からバリトンとソプラノの独唱が相次いでヴォカリーズで現れるところに最大の特徴があり、北欧風の牧歌的な味わいで発表当時から人気の高かった曲でもある。2012年5月25日、デイヴィスはデンマーク王室より、2011年にLSOと取り組んだニルセンの交響曲録音の功績を認められ、デンマーク大使を通じて由緒あるダネブロー・コマンダー勲章(Commander of the Order of the Dannebrog)を叙勲された。その評価の正当性はこれまでのシリーズのすぐれた演奏内容からも明らかだが、2012年9月に85歳を迎えたデイヴィスの音楽はここでも、はたして本当にこれがニルセンの交響曲に初めて本格的に挑んだ指揮者のものとは到底信じられないほどの高みに聳えて圧倒的な佇まい。前2作同様に、心酔する巨匠と音楽を奏でる歓びを一丸となって表現するLSOの演奏は迫真そのもので、シリーズを締め括るにふさわしいみごとな内容となっている。
LSO-0720
(HYBRID_SACD)
廃盤
The Greatest Film Scores of Dimitri Tiomkin 〜ディミトリ・ティオムキン(1895-1979):映画音楽集
   リチャード・カウフマン指揮LSO、ロンドン・ヴォイセズ
LSO-0719
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ブリテン:戦争レクィエムOp.66
 サビーナ・ツビラク(S) イアン・ボストリッジ(T)
 サイモン・キーンリーサイド(Br) エルサム・カレッジ少年cho.、ロンドン交響cho.
 ジャナンドレア・ノセダ指揮LSO
 録音:2011年10月9日、11日、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。
 首席指揮者ゲルギエフの弟子、ジャナンドレア・ノセダがブリテンの戦争レクィエムでLSO Live に初登場。
聖ミカエル教会のコヴェントリー大聖堂の祝賀献堂式のために委嘱された「戦争レクィエム」は、オペラ「ピーター・グライムズ」と並ぶブリテンの代表作。1940年のドイツ空軍による大爆撃で廃墟と化した同教会が22年ぶりに再建される経緯にも突き動かされたブリテンは、1960年後半から1961年12月にかけて、他の作品の作曲を中断してまで取り組み、かねて自らの最大の関心事であった反戦の決意と平和への祈願というテーマを込めるべく、この作品に持てる力のすべてを注ぎ込んだといわれている。6つの楽章は、ラテン語による通常のミサ典礼文の合間に、第一次世界大戦で夭折した戦争詩人ウィルフレッド・オーエンによる英文の詩を挿入する形が採られている。さらに、3管編成のオーケストラと室内アンサンブル、ソプラノ独唱、テノール独唱、バリトン独唱、混声合唱、少年合唱、ピアノ、オルガンまで動員する巨大な編成もまたモニュメンタルな内容にふさわしい特徴となっている。
 1962年5月の「戦争レクィエム」世界初演を自ら指揮したブリテンは、翌1963年1月にはLSOを指揮して世界初のセッション録音を果たしている。世界初演時のキャストふたり、ピアーズとフィッシャー=ディースカウに、当初出演が予定されていたヴィシネフスカヤをソリストに擁したこの録音は、随所に作曲者の強い表現意欲が漲り亘ることからもその説得力は絶大で、1963年度第1回レコード・アカデミー大賞にも輝いているなど、初演直後いきなりとんでもない高みにそびえ立つ内容として、圧倒的存在感を示してきた。さらに、LSOはまた「戦争レクィエム」を1991年にヒコックスの指揮でセッション録音しており、こちらはソプラノに世界初演時のヘザー・ハーパーを迎えたことも功を奏してか、英国Gramophone Awardを受賞している。
 ブリテンによる「戦争レクィエム」世界初録音の翌年、1964年ミラノに生まれたジャナンドレア・ノセダは、指揮をチョン・ミュンフン、ゲルギエフに師事した経歴の持ち主。1994年に、ノセダはカタルーニャのカダケスo.国際指揮コンクールで第1位を獲得、同年同楽団の首席指揮者に就任して、1997年にはマリインスキー劇場の外国人初の首席客演指揮者に就任している。ノセダはまた、ゲルギエフの首席指揮者時代(1995-2008)の1999年から2003年にかけて、ロッテルダム・フィルの首席客演指揮者も務めており、2002年よりBBCフィルの首席指揮者、2007年からトリノ王立歌劇場首席指揮者のポストにある。2002年にはMETにデビューを果たすなど、こうした経歴からもノセダはコンサート、オペラ双方での活躍目覚ましい姿が師ゲルギエフと重なる。
 ノセダがLSOを率いて、ブリテンの世界初演より半世紀後の2012年に世に問う「戦争レクィエム」。すでにLSOとは、ゲルギエフの首席指揮者就任を機に頻繁に客演を重ねている間柄であることもそうだが、ここでノセダはLSOによる過去2度のレコーディングにも参加したロンドン・シンフォニー・コーラスを起用。ソリストには、2011年6月にもビシュコフ指揮で同曲を歌ったばかりのスロベニア期待のツビラク、そして、もっともブリテンがこだわり抜いたオーエンの戦争詩のパートを受け持つテノールとバリトンに、英国が誇る当代きってのボストリッジとキーンリーサイドを配したきわめて強力な布陣で臨んでいることにも注目される。また、ノセダは、2011年5月のスペイン3か所でおこなったトリノ王立劇場管とのヴェルディの「レクィエム」、同じくパリ公演での「聖歌四篇」、さらに9月のトリノとリミニでトリノ王立歌劇場管、RAI国立響の合同オケを指揮したマーラーの「第8交響曲」と、立て続けに声楽付きの大作を手掛けて成功を収めていることから、この良い流れを受けての内容ということで期待もおおきく膨らむ。
LSO-0716
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廃盤
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調
 WAB.104「ロマンティック」(ハース版)
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0715
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ニルセン:交響曲集 Vol.2
 〔第1番 ト短調 Op.7, FS.16 (1891-92) (*) /
  第6番 FS.116「素朴な交響曲」(1924-25) (#)〕
コリン・デイヴィス指揮
LSO
 録音:2011年10月2日、4日(*)/2011年5月26日、6月2日(#)、以上 バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/バランス・エンジニア:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。高い評価を獲得した「不滅」&第5番からはや1年あまり、巨匠コリン・デイヴィス指揮LSO演奏のニルセン・シリーズに続篇が登場。このたびは、30年以上を隔てて書かれたニルセン最初と最後の交響曲であり、古典的な4楽章形式という点も共通する第1番と第6番というカップリングになる。
 ニルセン20代半ばの1891年から92年にかけて作曲された交響曲第1番には、第2ヴァイオリン奏者として当時在籍していたデンマーク王立劇場オーケストラでの経験も反映されてのことか、全曲の構成や管弦楽様式にドヴォルジャーク、特にブラームスの影響がみられると同時にまた、ニルセンの特徴として後世知られる進歩的な調性の兆しもすでに含まれている。ここでは、粗削りながら激しく若々しさに満ちた両端楽章に加えて、美しく牧歌的な中間楽章でもトロンボーン、ホルンあたりが大活躍するので、ブラス・セクションの本領が遺憾なく発揮されているのにも注目。ニルセンが世を去る6年前の1925年に完成した交響曲第6番は、副題から「簡潔な性格」の内容を示唆しながら決してそうではないところが、なるほど交響曲第4番、第5番を経て生み出されたという作品の素性を思い起こさせる物。第3楽章での錯綜するフーガに、手の込んだ変奏曲のフィナーレのほか、弦楽器が緘黙する第2楽章など限定的なオーケストラの楽器用法も特徴的で、第5番に引き続き打楽器群の存在感がまた強烈。そのうえ、シニカルでユーモラスな味わいも滲ませて、ほかの誰とも異なるニルセンのユニークな境地と、いみじくもこの作品が20世紀のシンフォニーであることを表してもいるようだ。「時に聴き手を戸惑わせるニルセンの音楽でデイヴィスが成功を収める鍵は、彼がニルセンの音楽にあまり自身を押しつけようとしないということ。むしろ、細部をできるだけ明白にして、全体的な形を自然に出て来させることにあくまで重点が置かれている。」-英ガーディアン紙2011年5月29日、[交響曲第6番]年輪を重ねてなおますます意気盛んなデイヴィスのもと、巨匠に心からの敬意と信頼を寄せるLSOの演奏は、真摯なアプローチと充実しきった音響がひときわ印象的なもので、同じ顔ぶれによるシベリウスの例がそうであったように、高品位な録音も併せて数あるニルセンの交響曲全集のなかでも、あらたな強力盤の登場を予感させるに十分な内容となっている。
LSO-0710
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ゲルギエフ〜チャイコフスキー:初期交響曲集
 〔第1番 ト短調 Op.13「冬の日の幻想」(*)/
  第2番 ハ短調 Op.17「小ロシア」(#)/
  第3番 ニ長調 Op.29「ポーランド」(+)〕
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2011年1月18日(*)、23日(*)、2011年3月23日-24日(#)、バービカンホール、ロンドン、ライヴ(*/#)/2011年5月20日、トーンハレ、チューリヒ、ライヴ(+)。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。LSO首席指揮者とマリインスキー劇場芸術総監督のポストを掌中に収め、現代のカリスマとして旺盛な活動を展開するゲルギエフ。マリインスキー劇場管と先ごろ、チャイコフスキー・コンクールの覇者トリフォノフをソリストに迎えたピアノ協奏曲第1番のアルバムを発表したばかりのゲルギエフが、LSOとも第1番に始まる初期交響曲3曲のセットという、チャイコフスキーの注目盤を立て続けにリリースする。2010/11年、2011/12年と2シーズンをかけて、ゲルギエフがLSOとともに取り組んだチャイコフスキー・プロジェクトは、マンフレッドを除く6つの交響曲を番号順に取り上げてゆくというもので、「紛れもなく聞き逃してはシリーズ」(ガーディアン紙)としておおきな話題を集めた。当セットはそのシリーズの一環として計画され、まず、2011年1月に第1番が、次いで2011年3月に第2番が、共に本拠バービカンでライヴ収録されたのち、第3番については2011年5月のバービカンでの定期公演を経て、同月20日にチューリヒのトーンハレでおこなわれた海外公演の演奏が採用されている。全篇を彩る民謡調のメロディが国民楽派の作風に通じる第1番、両端楽章で引用されるウクライナ民謡から「小ロシア」と呼ばれる第2番、フィナーレのポロネーズから副題を「ポーランド」と名付けられ、第2楽章のレントラー様式、第4楽章のスケルツォからも全体としてバレエ組曲のような第3番。これら3つの交響曲に共通する特徴といえるのが、胸に迫る美しい旋律の宝庫であり、自己のスタイルを確立した後期3曲とはまた別の、かえって若い時期ならではの魅力を放っている。これまでにもゲルギエフはチャイコフスキーの交響曲を複数回録音しているが、それらはすべて第4番以降の後期の3曲に限られていた。ウィーン・フィルと第4番(2002年)、第5番(1998年)、第6番(2004年)をいずれもライヴ録音、マリインスキー劇場管と第6番(1997年)をセッション録音していたほか、ゲルギエフは2010年1月にマリインスキー劇場管を指揮して第4番から第6番までを演奏したパリでのコンサートの模様を収めたライヴ映像作品を発表していたし、ショルティ亡きあと自ら率いるワールドo.・フォー・ピースを指揮して第5番を演奏した2011年のライヴ映像作品もあった。上述の後期交響曲集に限らず、これまでのゲルギエフはマリインスキー劇場管との実演・レコーディングを通じて、3大バレエを含む主要な管弦楽曲や協奏作品、オペラも手掛けてきた実績があるが、ここはLSOの起用が大当たり。エネルギッシュで劇的な表現を得意とするゲルギエフに触発されて、地力と経験あるLSOのテンションの高さが際立つ内容は、陶酔と惑溺へと誘う美観を湛えつつ、情感にあふれ、たいへん密度の濃い熱血の音楽となっている。フィナーレでは想像以上のものすごいエネルギー感で迫り、興奮と手ごたえを約束してくれるにちがいない。
LSO-0708
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ハイドン:オラトリオ「四季」(全曲)
 ミア・パーション(S;ハンネ) ジェレミー・オヴェンデン(T;ルーカス)
 アンドルー・フォスター=ウィリアムズ(Br;シモン) ロンドン交響cho.
 コリン・デイヴィス指揮LSO
 録音:2010年6月26日-27日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。
LSO-0702
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コリン・デイヴィス 2010-2011 〜ハイドン交響曲集
 〔第92番 ト長調 Hob.I: 92「オックスフォード」[2011年10月2日、4日]/
  第93番 ニ長調 Hob.I: 93[2011年12月11日、13日]/第97番 ハ長調 Hob.I: 97[2010年5月6日、9日]/
  第98番 変ロ長調 Hob.I: 98[2011年12月4日、6日]/第99番 変ホ長調 Hob.I: 99[2011年5月26日、6月2日]〕

 コリン・デイヴィス指揮 LSO
 録音:[内]、全て バービカンホール、ロンドン、ライヴ。初出音源と記載されている。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。コリン・デイヴィス&ロンドン響のセットが登場。ベルリオーズ、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズの未発表音源が投入された愛蔵家版ボックス「コリン・デイヴィス・アンソロジー」につづいて、こうして次々とかけがえのないドキュメントが日の目をみるのはなんともうれしい。1970年代半ばから80年代初めにかけて、デイヴィスはコンセルトヘボウ管を指揮して、「ザロモン・セット」を含む、ハイドンの交響曲19曲をオランダのPhilipsにセッション録音しているが、その優美で格調高い演奏内容は、モダーン楽器のオーケストラによる古典派演奏のひとつの頂点を築いたデイヴィスのベスト・フォームとして、いまなお多くのファンの根強い支持を得ている。以来、アルバム収録の5曲すべてが、デイヴィスにとっておよそ30年以上を経ての再録音となるハイドンの交響曲は、2010年と2011年に、最晩年にしてまだまだ意欲旺盛な巨匠がニルセンの交響曲全曲にあらたに挑むということでも話題を集めたコンサート・シリーズで、各回の前半に演奏されたプログラム。ガーディアン紙をはじめ、演奏会評もこぞってたいへん好意的であっただけに出来ばえにはおおいに期待が高まる。加えて、デイヴィスが同じくロンドン響を指揮してライヴ収録した2007年10月の「天地創造」(LSO-0628)や2010年6月の「四季」(LSO-0708)でも確かめられるように、前回からここに至るピリオド・アプローチの成果も適宜盛り込まれるなど、新旧の比較も聴きどころのひとつといえそう。
LSO-0701
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R.シュトラウス:歌劇「エレクトラ」Op.58(ドイツ語歌唱)
 ジャンヌ=ミシェル・シャルボネ(S;エレクトラ) アンゲラ・デノケ(S;クリソテミス)
 フェリシティ・パーマー(Ms;クリテムネストラ) イアン・ストレイ(T;エギスト)
 マティアス・ゲルネ(Br;オレスト) エカテリーナ・ポポワ(S;監視の女)
 オリガ・レフコワ(Ms;第1の下女) エカテリーナ・セルゲーエワ(Ms;第2の下女)
 ワルワラ・ソロヴィエワ(A;第3の下女) タチヤナ・クラフツォワ(S;第4の下女)
 リヤ・シェフツォワ(A;第5の下女) アンドレイ・ポポフ(T;若い下僕)
 ヴヤニ・ムリンデ(B-Br;年老いた下僕/ オレストの扶養者)
 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮LSO、ロンドン交響cho.
 録音:2010年1月12日、14日、バービカンホール、ロンドン、演奏会形式ライヴ。LSO首席指揮者と併せて、マリインスキー劇場の芸術総監督としての顔を持つ「当代のカリスマ」ゲルギエフが、劇場の実演で「影のない女」「サロメ」などを取り上げ、シュトラウス作品の舞台上演に情熱を傾けてきたことはよく知られている。そのゲルギエフの「エレクトラ」が登場。数あるシュトラウスのオペラのなかでも、死、暴力、性的抑圧、復讐といったテーマが遍在する「エレクトラ」となれば、ゲルギエフのドラマティックな芸風との相性の良さを容易に想像できるところだが、ゲルギエフの並々ならぬ入れ込みようは、豪華なキャストの起用からもうかがうことが出来る。スポレートでの第4の下女役で作品の魅力に開眼して以降、エレクトラ役を追究してきたというジャンヌ=ミシェル・シャルボネは、近年ドイツや近代のレパートリーで頭角をあらわすアメリカのドラマティック・ソプラノ。妹のクリソテミスに、2011年バーデン=バーデンの「サロメ」が強烈な印象を残したアンゲラ・デノケ、母親クリテムネストラ役には2005年のビシュコフ盤でも知られるヴェテラン、フェリシティ・パーマーと主要3 人の女性がなんとも強力。これに心理描写のうまさで定評のマティアス・ゲルネが弟オレスト役で加わり、しかも主役級のほかに脇をマリインスキー劇場のオペラ・カンパニーのメンバーを呼び寄せて固めるというのから、もはやこれ以上ない万全の態勢というほかない。
LSO-0700
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(2 HYBRID_SACD)
ヴェルディ:歌劇「オテロ」
 サイモン・オニール(T;オテロ) ジェラルド・フィンリー(B−Br;イヤーゴ)
 アラン・クレイトン(T;カッシオ) ベン・ジョンソン(T;ロデリーゴ)
 アレクサンドル・ツィンバリュク(B;ロドヴィーコ) マシュー・ローズ(B;モンターノ)
 ルーカス・ヤコブスキ(B;伝令) アンネ・シュヴァネヴィルムス(S;デズデモナ)
 エウフェミア・トゥファーノ(S;エミーリア) ジョセフ・カレン合唱指揮ロンドン交響cho.

 コリン・デイヴィス指揮LSO
 録音:2009年12月3日、6日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。
 長年にわたるイギリス音楽の普及と若い世代に向けた音楽教育の関わりへの多大なる貢献が認められ、女王陛下より2009年度のクィーンズ・メダル・フォー・ミュージックを叙勲されたコリン・デイヴィス。LSO Live 2010/11年シーズン最初のリリースは、ヴェルディの「オテロ」。その晴れがましいニュースが初めて公表された機会に、巨匠率いるLSOによってコンサート形式で上演されたプログラム。
 デイヴィスにとって「オテロ」とは、そもそもコヴェント・ガーデンの音楽監督時代(1971-1987)にもたびたび取り上げているこだわりのレパートリー。記録によると、デイヴィスはロイヤル・オペラハウスによるプロダクションとして、1972年にジョン・ヴィッカーズを表題役に立てて1公演、1980年に再度ヴィッカースで1公演、1983年にはプラシド・ドミンゴがオテロを歌い3公演を全曲上演している。この間ほかにもコヴェント・ガーデン歌劇場管とともに、1977年にオテロをドミンゴ、デズデモナにマーガレット・プライスを迎えてガラ・コンサート形式で上演している。デイヴィスはコヴェント・ガーデン歌劇場管と、1978、1979年に「仮面舞踏会」を、1980年に「トロヴァトーレ」をともにセッション録音しているが、あいにく「オテロ」についてはチャンスが無かった。
 1995年にLSO首席指揮者に任命されたのち、さらにデイヴィスは1999年にもLSOと「オテロ」をバービカンにおいてコンサート形式で取り上げ、このときはホセ・クーラをオテロに迎えている。このように「オテロ」に情熱を傾けてきたデイヴィスだが、LSO Liveにおける2004年収録の「ファルスタッフ」(LSO-0528、0055)や、あたらしいところでは2009年1月のヒコックス追悼演奏会における「レクィエム」(LSO-0683)でも示して明らかなように、ここに至る巨匠のヴェルディへの適性を疑う余地などないだろう。それにしてもここでのデイヴィスはとても82歳とは思えぬ、驚くべき白熱ぶり。それもエネルギーの爆発にみせる凄まじさは、人間のむき出しの感情を表現し尽くしてなお余りあるものがある。巨匠デイヴィスがようやく初レコーディングを実現した「オテロ」。各紙レビューでに報じられている内容からも圧倒的な手ごたえを約束してくれるものとおもわれる。
 タイトルロールのサイモン・オニールは、1971年ニュージーランドのアシュバートン生まれ。ドミンゴの代役として「ワルキューレ」のジークムントでMETデビュー。以降、ジークムントを当たり役として、パッパーノ指揮のコヴェント・ガーデンやラニクルズ指揮のMET、最近も2010年6月のフィリップ・ジョルダン指揮のバスティーユ・オペラで起用され、国際的な舞台での評価を急速に上げているというから、ドラマティックな歌唱が決め手となるオテロの資質にも十分期待がもてそう。ちなみに、本公演はドミンゴにオテロを師事したオニールにとってオテロ・デビューとなるもので、2012年にはスカラ座でバレンボイム指揮でも当役を歌うことが決まっている。イヤーゴを心憎いほどに演じ切ったジェラルド・フィンリーは1960年モントリオール生まれ。シューベルトやシューマンのリートでのこまやかな性格的歌唱も冴えるカナダのバリトン。異色のキャスティングといえるのが1967年ルール地方のゲルゼンキルヒェンに生まれたドイツのソプラノ、アンネ・シュヴァネヴィルムス。ワーグナーやシュレーカー、ことにR.シュトラウスものでは不動の地位を獲得しているシュヴァネヴィルムスもヴェルディは未知数だったが、聴かせどころの第4幕「柳の歌」では完璧な美しさを披露。ほかではともに英国出身で若手イケメンのテノールふたり、アラン・クレイトンとベン・ジョンソンも存在が光っていた。
 『オニールは、本物のトランペット・トーンの最高音の声を備えており、また、あらゆる真の戦士のように怖れを知らない。ドミンゴをふくむ、この役どころの非常におおくの名歌手たちは、バリトン寄りのヘルデンテノール・タイプで固められているので、ひとりの若い歌手が最高音をまちがいなく決めるのを聴くことは、興奮はしなかったけれども、斬新だった。(中略)じっさい、オニールが細心の注意を払い、表情ゆたかにテキストを扱ったことで大詰めの場面でほんとうに胸がいっぱいになった。』(インディペンデント紙)
 『サイモン・オニールは表題役で素晴らしいデビューを果たしたことで、最近10年間に出てきたヘルデンテノールのなかでも最高の歌手であることを世に知らしめた。初舞台を踏んだもう一人、ジェラルド・フィンリーは際立って明快で蛇のようにもっともらしいイヤーゴであった。』(デイリー・テレグラフ紙)
 『ここでの真の「ヴェネチアの獅子」はコリン・デイヴィス卿であった。つまり、バービカンの舞台から爆発したヴェルディの「オテロ」初めの強大な嵐のように、40歳かそこらに振舞う80歳かそこらであり、どこからみても最高司令官だった。』(インディペンデント紙)
 『演奏全体は興奮させるものだった。久しくコリン・デイヴィス卿はわたしたちの音楽人生の中心に留まりつづけるかも知れない!』(クラシカルソース・ドットコム)
LSO-0696
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(HYBRID_SACD
+ DVD [PAL])
1枚価格
ゲルギエフ〜ラヴェル
 バレエ「ダフニスとクロエ」(全曲)(*) /
 ボレロ(#) /亡き王女のためのパヴァーヌ(#)
 ボーナス DVD: ボレロ(+)
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO、ロンドン交響cho.(*)
 録音:2009年9月20日(*)、24日(*)/2009年12月13日(#)、18日(#/+)、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。LSO-0693 (*/#) に (+) を足しての新装発売。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。首席指揮者ゲルギエフがロンドン響を指揮して、初めてラヴェルの作品をレコーディングしたアルバムに、あらたに「ボレロ」全曲演奏を収めたDVD(PAL仕様)同梱仕様版が登場。映像で観るとインパクトも絶大。ニール・パーシーのスネアドラムに始まり、順々にソロを取る腕っ扱き揃いのメンバーの表情はもちろん、絵になるゲルギエフの指揮姿をバッチリと捉えたカメラワークも効果的。演奏終了後に立ちあがって割れんばかりの拍手を送る聴衆の熱狂ぶりも納得の出来栄えとなっている。
 # ボーナス DVD は PAL 仕様のため国内の通常映像機器では再生出来ず、パソコン等での再生保証もございません。
LSO-0694
(HYBRID_SACD)
廃盤
ニルセン
 交響曲第4番 Op.29,FS76「不滅」(1914-16)(*)
 交響曲第5番 Op.50,FS.97(1920-22)(#)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0693
(HYBRID_SACD)
廃盤
ゲルギエフ〜ラヴェル
 バレエ「ダフニスとクロエ」(全曲)(*)/
 ボレロ(#)/亡き王女のためのパヴァーヌ(#)
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO、ロンドン交響cho.(*)
LSO-0692
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ゲルギエフ〜ドビュッシー
 3つの交響的スケッチ「海」(*)/
 バレエ「遊戯」(#)/牧神の午後への前奏曲(+)
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2009年9月20日、24日(*)/2009年12月13日、18日(#)/2010年5月12日、19日(+)、以上 バービカンホール、 ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/エンジニア:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。
 LSO Live最新アルバムは、カリスマ・シェフのゲルギエフが2007年のLSO首席指揮者就任当初より定期的に取り上げてきたドビュッシー3曲を収めた期待のプログラム。ラヴェルの「ダフニスとクロエ」(LSO-0693)とともに、2009/10年のシーズンのオープニングを飾ったドビュッシーの「海」。ゲルギエフは「海」を、1997年以来自らが指揮者を務めるワールドo.・フォー・ピースと、2000年にBBCプロムスでライヴ録音していたので、9年ぶり2度目のレコーディングということになる。「海」といえば、数あるドビュッシー作品の中でもゲルギエフが一際好んで手掛けている作品としてよく知られ、アルバム併録の「牧神」が演奏された2010年5月19日、予定されていたラヴェルの協奏曲がグリモーの健康上の理由でキャンセルとなるアクシデントに見舞われた際、ゲルギエフが急遽プログラムをほかならぬこの曲に差し替えていることから、やはり自信のプログラムであることがうかがい知れる。なお、ここでの演奏の模様は、以前よりLSOによって演奏の一部がYouTubeでも公開されておおきな反響を呼び、ヴァイオリン両翼型配置を採用したオケの様子やソロをとる首席奏者たちの表情に加え、とりわけ『風と海との対話』におけるゲルギエフのエネルギッシュな指揮ぶりなど、まさに見た目の迫力そのままのセンセーショナルな内容を今もじっさいに確かめることが出来る。こちらはきわめて優秀な音質を実現した、前述の「ダフニスとクロエ」とはレコーディングの条件も同一とおもわれるので、録音面の出来ばえもまず間違いない。さらに、いずれもディアギレフ率いるロシア・バレエ団によって舞台上演されたことで関連する2曲のカップリングも魅力たっぷり。1988年にマリインスキー劇場のオペラ部門の芸術監督、1996年にはマリインスキー劇場の芸術総監督に就任して、ここに至るまで、つねに劇場作品をコンサート・レパートリーの中心に据えてきたゲルギエフにとってはお手の物。“ゲルギエフが想像力に富んだ舞踏の達人だった(タイムズ紙) "「遊戯」と、“絶好調のゲルギエフとLSO(インディペンデント紙) " による「牧神の午後」というラインナップは、ゲルギエフにとって初のレパートリーとなるという意味でも注目されるところ。
 アルバム全篇に通じる唖然とするほどゆたかな色彩感やリズムの切れ味は、過去にLSOが「海」「牧神」をストコフスキー、首席指揮者モントゥーやプレヴィンと録音し、また「遊戯」を、かつての首席指揮者で現首席客演指揮者ティルソン・トーマスと録音して、すぐれた演奏を聞かせていたことをもあらためて思い起こさせるもので、ラヴェルを指揮したケースと同様、LSOを起用したゲルギエフの見識の高さを示している。
LSO-0191
(4CD)
廃盤
コリン・デイヴィス&LSO〜シベリウス:交響曲全集
 [第1番−第7番/クッレルヴォ交響曲 Op.7(*)]
モニカ・グロープ(Ms;*)
ペーテル・マッティ(Br;*)
コリン・デイヴィス指揮
LSO、ロンドン交響cho.(*)
LSO-0689
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ハイティンク、23年ぶりの「アルペン」
 R.シュトラウス:アルプス交響曲Op.64
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
 録音:2008年6月8日&10日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。DSD 5.1 マルチチャンネル/ステレオ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。ハイティンクによる同曲は、下記記載の他にBPOとの2002年ライヴもCD-R使用の EN LARMES から出ている(ELS-02-302)。下記コメントは EN LARMES 盤を踏まえない場合の物となります。
 巨匠ハイティンクを迎えたLSO Live 最新アルバム。年内限りでコンサート活動からの引退を表明していたアルフレート・ブレンデルがモーツァルトのピアノ協奏曲第24番を弾くことでも話題を集めた舞台で、両日ともコンサート後半に演奏された。
 交響曲全曲録音を通じて特にマーラー、ブルックナーのスペシャリストとして名高いハイティンクにとって、R.シュトラウスもまた巨匠にとって重要なレパートリー。メンゲルベルクとともにシュトラウスより「英雄の生涯」を献呈された、ゆかりあるロイヤル・コンセルトへボウo.(RCO) の首席指揮者(1961-1988) を長年にわたり務めた経緯もあってのことだろう。ハイティンクは主要な交響詩をRCO とともにレコーディングしている。まず、その「英雄の生涯」を1970年にセッション録音、1973年に「ドン・ファン」と「ツァラトゥストラはかく語りき」をセッション録音、1977年に「ドン・キホーテ」をセッション録音、1981年に「死と変容」と「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」をセッション録音したのち、さらに1982年には「ドン・ファン」をセッションで再録音、そして1985年に「アルプス交響曲」をセッション録音している。また、舞台作品では1990年に「ばらの騎士」全曲を、やはり作曲者とのゆかり深いことで知られるシュターツカペレ・ドレスデンとセッションで録音していたことなども記憶される。なお、ハイティンクは同じLSOで「英雄の生涯」を、このたびの「アルプス交響曲」より一週間後、2008年6月15日と17日にバービカンで指揮していたし、現在首席指揮者のポストにあるシカゴ響と「英雄の生涯」を2008年12月のシカゴにつづき、2009年2月の来日公演でも取り上げており、本拠地シカゴでの模様はCSO RESOUND よりCD 化も予定されている。こうしたシュトラウス作品に関する録音と実演両面の充実ぶりは、そのままハイティンクのエキスパートとしての姿を明らかにするものといえるだろう。
 RCO とのセッション録音を経て、あらたにLSOとのライヴでのレコーディングという流れが、2003年と2004年に行なわれたブラームス、2005年から2006年にかけてのベートーヴェンの交響曲全集と共通する、ハイティンク指揮によるシュトラウスの「アルプス交響曲」。前回のRCO との「アルプス交響曲」は名門の熟成されたひびきを存分に活かしたみごとな内容だったが、以来じつに23年ぶりのハイティンクにとっての再録音は、LSOにとっても1990年のフリューベック・デ・ブルゴスとのセッション録音以来となる物。
 伝統ということにかけては1904年の楽団創設より一世紀以上の歴史があるLSO。2009年3月に傘寿を迎えたハイティンクに加え、プレジデントのコリン・デイヴィス、首席客演指揮者のハーディング、そして、あらたな首席指揮者ゲルギエフの加入による刺激もおおきな要因とおもわれるが、多彩な顔ぶれで、いままさに黄金時代を迎えている。「堂々たる暗闇より現われ、また暗闇へと陥ってゆき、ハイティンクとその手兵は作品のいかなるドラマにも敏感に反応していた。けれども、おそらくは、このうえない静寂の部分こそが、シュトラウスのスコアとこのパフォーマンスとで最も印象的であった。」( クラシカルソース・ドット・コム)「リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲のみごとなパフォーマンス。山頂への長い道のりが、ここまでたしかな決意をもって感じられたことはめったに無かった。ハイティンクが日の出の、そして夕闇におけるオーケストラの色彩を完璧に統率したことによって、ちょうど色彩の束が暗闇のモノクロームの輪郭から浮かび上がり、そしてふたたび陥ってゆくように、この演奏は、音楽それ自体をめぐる形而上学的な葛藤と克服を具現化するものとなった。」( タイムズ紙)各紙レビューが伝える状況からも、ハイティンクとLSO があらたに取り組んだ「アルプス交響曲」でどのような内容を聴かせてくれるのか、おおいに期待されるところ。
LSO-0688
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ラフマニノフ:交響的舞曲 Op.45(1940)
ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲(1942-45)
ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2009年5月7日-8日、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。ゲルギエフ&LSOによる、2008/09年のシーズンを通じてLSOが据えたプログラムのテーマ「Émigré(亡命者)」に因んで、祖国ロシアを離れアメリカ滞在時代に作曲された2曲。作曲者一流の哀愁と抒情を漂わせたメロディと、リズミカルな要素とがうまくブレンドされた「交響的舞曲」は、病と望郷の念で憔悴のなか持てる精魂を振り絞って回顧するかのように「第1交響曲」や「晩祷」といった自作の引用も特徴的なラフマニノフ最後の作品。LSOは比較的珍しいことにその長い歴史の中で「交響的舞曲」を7度しか演奏しておらず、うち4回が1973年のアメリカ・ツアーにおけるプレヴィンとの顔合わせによるものだった。また、レコーディングもLSOは過去に3度、すなわち1958年にグーセンス指揮1974年にプレヴィン指揮1992年にワーズワース指揮でおこなっている。ゲルギエフとLSOによるラフマニノフといえば、やはりこれに先立って2008年9月のシーズン・オープニングを飾った「第2交響曲」が当コンビ屈指の出来栄えとして記憶されているので、その流れを受けて演奏された「交響的舞曲」にも同様のすぐれた内容が期待できそう。そもそも「オーケストラのための協奏曲」的な音楽として構想された「3楽章の交響曲」は、ピアノやハープが活躍する協奏曲風な響きと形式構造が際立つと同時に、ストラヴィンスキー自ら「戦争交響曲」と述べてもいるように、ドキュメンタリー・フィルムを通して得た第2次世界大戦に対する強烈なインパクトを、粗野なリズムと管弦楽の咆哮といった原始主義時代をおもわせる作風で音化しているのが特徴的。すでにゲルギエフはマリインスキー劇場管とは、その原始的な傾向が相通じる「春の祭典」や「結婚」といったストラヴィンスキーのバレエ音楽の録音を完了しており、そこでは緻密な設計により圧倒的なサウンドを聴かせていた。いっぽう、LSOがグーセンスの指揮で初めて「3楽章の交響曲」をレコーディングしたのは、1946年の世界初演から12年後、じつに半世紀以上前の1958年のことで、LSOが手掛けた「3楽章の交響曲」の実演での演奏回数も全部で20回以上というから、その頻度はむしろ高い数字といえるだろう。以上を踏まえると、ゲルギエフ&LSOによる初のストラヴィンスキーはいかにも刺激的な取り合わせの予感十分で、期待度もかなりのものとおもわれる。
LSO-0685
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バルトーク:オペラ「青ひげ公の城」Op.11,Sz.48
  (ハンガリー語歌唱/プロローグのみ英語)
 エレーナ・ジドコーワ(Ms;ユディット) ウィラード・ホワイト(B-Br;青ひげ公)
 ワレリー・ゲルギエフ指揮LSO
 録音:2009年1月27日、29日、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン、ジョナサン・ストークス。
 ゲルギエフのLSO Live最新アルバムは、当コンビ初のオペラ録音となるバルトークの「青ひげ公の城」。2009年の1月に演奏会形式で上演され、白熱の模様がタイムズ紙ほかでも絶賛されたプログラム。
 バルトーク唯一のオペラ「青ひげ公の城」は、青ひげとその新妻ユディットという、わずかふたりの登場人物と、大編成の管弦楽によって繰り広げられる激烈なるドラマ。シャルル・ペローの童話集「マ・メール・ロワ」の一篇を題材にしながら、シュールで象徴的な内容を孕んだ台本を手掛けたのは、バルトークとの名コンビで知られるべラ・バラージュ。
 血塗られた狂気の物語は進む。わたしを愛しているなら鍵を渡し、城の7つある扉の向こうのすべてを見せてとせがむユディット。これに対して、何も訊かずにただ愛して欲しいと求める青ひげ。やがて、ついにユディットが過去の3人の女性とともに自らも第7の扉のなかに消えてゆくショッキングなラストまで、今でいうサスペンス・ホラーばりの緊迫したやりとりが見せ場となっている。
 「青ひげ公の城」といえば、LSOが1960年代に2度のセッション録音を行なっていることは広く知られている。まず、1962年にドラティの指揮で、次いで1965年11月には首席指揮者ケルテスという具合に、いずれもハンガリーの名匠に拠る点が共通していた。また、LSOは最近でも2008年5月にブーレーズの指揮で本作を“憑かれたように "(クラシカルソース・ドットコム)取り上げていることからも、本録音に向けての環境は十分整えられていたとみるべきだろう。
 このたびはソリストも揃い、青ひげ役は絶大なる存在感で現代屈指の同役歌いとして知られながら、これが初録音となるホワイト。かれはまた、知的で雄弁な英語でプロローグの吟遊詩人による語り(ピーター・バルトークによる翻訳)も担当している。ユディットにはスカラ座やネーデルラント・オペラでも同役を歌って、やはり当たり役とするジドコーワ。ロシア出身でベルリンを拠点に活動するメッツォは、ゲルギエフのお気に入りでプロムスやマリインスキー劇場にも登場している。
 「ゲルギエフはありとあらゆる無数の色彩をこの鮮明なスコアから引き出した。そしてユディットが第5のドアを開くとき、作品のクライマックスは息をのむようだった。…ユディット役のエレーナ・ジドコーワは、センセーショナルというにほかならないものだった。」(MusicOMH)すでに手兵マリインスキー劇場をはじめ、数々の劇場でオペラの場数を踏んできたゲルギエフだが、扇情的ということではなにより本作の内容はゲルギエフの志向と合っているように思われる。じっさい、ゲルギエフは今シーズンに予てよりの手兵マリインスキー劇場管とも4月23日にエカテリンブルクで、また25日にはモスクワのイースター・フェスティヴァルでも再演している。マーラーのシリーズでも速めのテンポで現代に生きる不安や焦燥を抉り出すかのようなアプローチを聞かせていたことなども思い起こすと、ここでも一級の心理劇として描き出し、スコアの核心に迫るものと期待されるところ。
LSO-0683
(2 HYBRID_SACD)
廃盤
ヴェルディ:レクィエム(ラテン語歌唱)
 クリスティーン・ブルーワー(S) カレン・カーギル(Ms)
 ステュアート・ネイル(T) ジョン・レリア(B)
 コリン・デイヴィス指揮LSO、ジョセフ・カレン合唱指揮ロンドン交響cho.
LSO-0682
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プロコフィエフ:
 バレエ「ロメオとジュリエット」Op.64(全曲)
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2008年11月21日、23日、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。
 レーベル・スタートより10年目となる2010年に向けてのLSO Live最新アルバムは、首席指揮者ゲルギエフによるプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」。2008年秋に手兵LSOを率いた形としては初の来日公演を果たし、交響曲全曲と主要な協奏曲を含む「プロコフィエフ・チクルス」で大成功を収めたゲルギエフが、その直前に本拠バービカンでおこなったコンサートを収録したもの。
 「私はこの30年来、プロコフィエフのすべてのオペラを指揮して来たし、ほとんどすべてのバレエや映画音楽も指揮している。彼のすべての作品を知っている。でも、まだ興味が尽きることはない。」
 自身の言葉を裏付けるように、プロコフィエフをライフワークに位置付けるゲルギエフは、これまでに1988年以来の手兵マリインスキー劇場管と「3つのオレンジへの恋」「炎の天使」「修道院での婚約」「戦争と平和」といった主要なオペラとピアノ協奏曲全曲のレコーディングをおこない、LSOとは首席指揮者就任以前の2004年に交響曲全集シリーズを敢行、この模様を収めたライヴ録音盤はGramophone賞を獲得している。
 「プロコフィエフの音楽はドラマチックなパワーを強くもっていて、特にバレエやオペラでそれを強く感じる。交響曲も彼の作曲人生の中で重要なジャンルだが、何と言っても本領は劇場のための作品にある。プロコフィエフとは『ロメオとジュリエット』を書いた作曲家である、とさえ言えるだろう。」
 シンポジウムで、プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」についてこのように熱く語り、来日公演でも第1、第2組曲より計10曲を取り上げていたゲルギエフだが、どうしてもこだわりのあるレパートリーということもあるのだろう。このたびのLSOとの新録音でも前回1990年のマリインスキー劇場管との録音と同じく、52曲からなる完全。
 これほどまでにゲルギエフが絶賛する「ロメオとジュリエット」は、パリから祖国に戻り、たまたま接したシェイクスピアの悲劇にいたく感動したプロコフィエフが、原作のバレエ化により実験主義的、モダニズム的手法から、シンプルで自然な手法、ロマンシティズムヘの転換点とするべく自らに課して創作に臨みわずか4ヶ月で一気に完成させた作品。彼の書いたバレエ・スコアのなかでももっとも長大で、もっとも激烈かつ劇的な作品である事実からも、プロコフィエフの強い意気込みがうかがい知れる。それだけに、ゲルギエフが作曲者の当初意図した完全な形での録音にこだわりをみせるのは当然のことなのかもしれない。
 ところで、LSOにとっても「ロメオとジュリエット」はなじみの作品といえ、1973年にプレヴィンが全曲版をセッション録音しているのをはじめ、1966年にアバドがハイライトをセッション録音、1978年にチェリビダッケ指揮のハイライトをBBCがライヴ収録、1983年にチェクナヴォリアンが組曲版をセッション録音(未発売)、1985年にヤン・パスカル・トルトゥリエが5曲をセッション録音という具合に、ここに至るまでの録音数も少なくない。
 来日公演では、重厚なオスティナートで名高い第13曲「騎士たちの踊り(モンタギュー家とキャピュレット家)」や、荒々しい躍動感が横溢する第35曲「タイボルトの死」といったナンバーの扱いが、広大に取られたダイナミックレンジと情報量の多さとにおいて圧巻というほかないものだった。ただ、それにもまして強い印象を残したのが、たとえば、チャーミングで愛おしい第10曲「少女ジュリエット」や、また、来日時の実演でもやはり終曲に置かれていた第52曲、悲痛なまでの愛の昂ぶりが胸に迫る「ジュリエットの墓の前のロメオ」でみせた、美しく優しく繊細なメロディの表現。じっさい、ゲルギエフは「美しいメロディが重要なポイントであるプロコフィエフ作品の中にあって、もっとも美しいものが『ロメオとジュリエット』と思っている」とも述べている。
 「ゲルギエフとLSOのパフォーマンスはまったくすばらしかった。ただのありきたりのオーケストラの演奏水準とかではなく、ゲルギエフが、手兵から引き出した色彩ときめ細やかさの幅において、それはバレエの振付が無いことをほとんど問題としないものだった。」( クラシカル・ソース・ドットコム)
 来日公演とほぼ同じ時期に録音された当アルバムだが、プロコフィエフを知り尽くし、「ロメオとジュリエット」をこよなく愛する巨匠のもと、機能性抜群の手兵LSOは度重なる実演を通じてプロコフィエフのイディオムを叩き込まれていることから、ここに作品の魅力を完璧に描き尽くしたといってもいいだろう。2009/10年のシーズンより首席指揮者就任3年目に突入するゲルギエフとLSOのいまを知り、そして今後の展開を占う意味で見逃せない内容と思われる。
LSO-0681
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(HYBRID_SACD)
ウォルトン
 オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」(1930-31) (*) /交響曲第1番 変ロ短調(1932-35)(#)
  ピーター・コールマン=ライト(Br;*)
  コリン・デイヴィス指揮LSO、ジョセフ・カレン合唱指揮ロンドン交響cho.(*)
 録音:2008年9月28日、30日(*)/2005年9月23日、12月4日(#)、共に、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。以前 LSO-0076, LSO-0576 〔ともに1曲のみの収録|廃盤〕で発売されていた(#)に、初出音源の(*)を足した再編集盤。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/エンジニア:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。
LSO-0677
(HYBRID_SACD)
廃盤
ラフマニノフ
 交響曲第2番 ホ短調 Op.27(完全全曲版)
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
LSO-0675
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(5 HYBRID_SACD
+ 1 BD-AUDIO)
2枚価格
C.デイヴィス〜シベリウス:交響曲全集 + α
 交響曲全集[第1番−第7番/録音:2002年9月-2008年6月、ライヴ]/
 クレルヴォ交響曲 Op.7[録音:2006年9月18日、10月9日、ライヴ]/
 交響幻想曲「ポホヨラの娘」 Op.49[録音:2005年10月]/
 交響詩「大洋の女神」 Op.73 [録音:2008年6月29日、7月2日]
  コリン・デイヴィス指揮 LSO 、LSO 男性cho.
  モニカ・グロープ(Ms) ペーテル・マッティ(Br)
 既出盤の高音質セット化。ディジボックス仕様。それぞれのディスクはスリーブケースに収められている。
LSO-0671
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(2 HYBRID_SACD)
ジェイムズ・マクミラン:聖ヨハネ受難曲(英語とラテン語による歌唱)
 クリストファー・モルトマン(Br;キリスト)
 コリン・デイヴィス指揮LSO、ジョセフ・カレン合唱指揮ロンドン交響cho.
 録音:2008年4月27日、ロンドン、バービカンセンター、世界初演時ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、バランス・エンジニア:ジョナサン・ストークス。DSD5.0、マルチチャンネル、ステレオ、110'。
 楽団のプレジデント、デイヴィスによるLSO Live 最新アルバムは、マクミランの「聖ヨハネ受難曲」世界初演ライヴ。2007/08のシーズンに80歳の誕生日を迎えるデイヴィスのためにLSOによって、ロイヤル・コンセルトへボウo.(ベイヌム財団)、ボストン響そしてベルリン放送cho.と共同で、マクミランに委嘱された完全新作。
 「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」(1993) を完成して以来、マクミランが避けては通れない次のステップとしてつねに意識し、その構想を暖めてきたという「聖ヨハネ受難曲」。全曲は2部構成で10の楽章からなり、第1楽章「キリストの逮捕」から第9楽章「キリストの死」までがソリストと合唱とを伴う形で進み、フィナーレSanctus Immortalis, miserere nobisはオーケストラのみで演奏される。また、テキストには英語による改訂標準訳聖書、そしてウルガータ(カトリックの標準ラテン語訳聖書)が採用されている。
 「ヨハネ受難曲」と聞いてまず誰しも連想するのがJ.S.バッハのそれだろう。ここで特徴的なのが、バッハでのエヴァンゲリストに替えて、福音書の物語の進行役として14名編成の室内合唱(Narrator Chorus)を、聖ペテロやピラトそのほかの役を担うメイン・コーラスとは別に置いていること。実演までの限られた時間とキャスト面の制約からマクミランが生み出したこのアイデアは、結果として上演のスピードアップに効果的だった。
 1959年生まれでグラスゴー在住、自身敬虔なカトリックであるマクミランは、社会主義とスコットランドへの愛国心に深く根ざした作風で知られ、これまでにメッセージ性の強い作品を数多く発表してきた。ここで、モルトマン演じるキリストに怒りと恨みに満ちた、仰仰しく雄弁な一節を大きく踏み込んで語らせていることでもあきらかなように、マクミランのオリジナリティは、キリストを、従順に運命を受け容れ十字架に向かう救世主ではなく、自分を苛む人の愚かさに対して罵るすさまじい反抗者として描いているところにも顕れている。
 このバリトンを含む声楽がすべての要といえるこの作品で、合唱を司るのはロンドン交響合唱団のジョセフ・カレン。マクミランの作品に造詣も深く、作曲者と創作初期の段階から綿密なやり取りを交わし周到に稽古を重ねてきたかれの力なくして、初演の成功が望めなかったことは疑いない。
 そして、いうまでもなく、2007年11月にようやく書き下ろされたばかりの新作を献呈され、80歳を迎えたシーズンの総決算ともいうべき初演に臨んだデイヴィスの意気込みも忘れるわけにはいかない。絶大な信頼を寄せる巨匠のもと、カーマイン・ラウリ、レノックス・マッケンジー、デイヴィッド・アルバーマンら、3人のヴァイオリニストの精妙なソロに象徴されるLSOのアンサンブルは一時間半を越える長丁場も乱れることなく、エネルギーも決して衰えなかったと伝えられている。
 時おり黙示録的なほとばしりを見せ、攻撃的に耳をつんざくファンファーレが鳴り渡ることはあれど、マクミラン作品の常として、小型の室内オルガンつきのオーケストラは一貫して抑制されたひびき。なかでもワーグナーの「パルジファル」第3幕を思わせるフィナーレはピュアで深遠なる美しさに吸い込まれそうになるほど。
 「カンタベリー大司教がスタンディングオベイションの口火を切るのを目撃することなど滅多にない。けれども、ローワン・ウィリアムズ大司教は先週バービカンで、ジェイムズ・マクミランが記念碑的な聖ヨハネ受難曲の世界初演ののち舞台に登場し礼をして拍手に答えたとき、真っ先に立ち上がったそのひとりだった。あきらかに、大司教は、偉大な新作がレパートリーに加わったという熱狂的な聴衆の見方を共有した。」(オブザーバー紙)
 J.S.バッハの傑作からほぼ3世紀近くを経て、同時代の旗手マクミランによってあらたに誕生した21世紀の「聖ヨハネ受難曲」。コリン・デイヴィス80歳の誕生日の願いは十二分に叶えられ、さまざまな条件にも恵まれて、今後スタンダードと成り得ることを予感させる圧倒的な演奏内容といえるだろう。
LSO-0670
(HYBRID_SACD)
廃盤
ティペット:オラトリオ「われらが時代の子」
 インドラ・トーマス(S) 藤村実穂子(A)
 スティーヴ・ダヴィスリム(T) マシュー・ローズ(B)
 コリン・デイヴィス指揮LSO、ロンドン交響cho.
LSO-0669
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(HYBRID_SACD)
マーラー:交響曲第8番 変ホ長調「千人の交響曲」
 ヴィクトリヤ・ヤーストレボワ(SI;罪深き女) アイリッシュ・タイナン(SII;贖罪の女)
 リュドミラ・ドゥディーノワ(SIII;栄光の聖母) リリ・パーシキヴィ(MsI;サマリアの女)
 ズラータ・ブルィチェワ(MsII;エジプトのマリア) セルゲイ・セミシクール(T;マリア崇拝の博士)
 アレクセイ・マルコフ(Br;法悦の神父) エフゲニー・ニキティン(B;瞑想の神父)

 ワレリー・ゲルギエフ指揮LSO、ロンドン交響cho.、
 ワシントン・コーラル・アーツ・ソサエティ、エルサム・カレッジcho.
 録音:2008年7月9日、10日、ロンドン、セント・ポール大聖堂、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。
 ゲルギエフ&LSOのマーラー・シリーズ第6弾は、2008年7月におこなわれた「千人の交響曲」ライヴ。その祝祭的な内容と実演でのプロジェクト締め括りにふさわしく、会場には1675年から18世紀初頭にかけて建設され、300年以上の歴史を数える名刹セント・ポール大聖堂が選ばれている。
 このたびゲルギエフ盤の会場となったセント・ポール大聖堂は、残響控えめの本拠バービカンとは大きく異なる音響環境。LSOによるマーラーの第8番の録音には、1959年のロイヤル・アルバート・ホールでのホーレンシュタイン盤(BBCL-4001)や、1966年のウォルサムストウ・アッセンブリ・ホールにおけるバーンスタイン盤などがあったが、マーラーがスコアに書き込んだ「エコーつきのコーラス」がはからずも成立し得るという特殊な状況もあってのことだろう。このことが演奏面でさまざまな影響を及ぼしているようにおもわれる。
 ゲルギエフは建物の構造に考慮して、大聖堂の横幅全体にわたって2つのコーラスを配置するという方法を採用することにより、ふつうのコンサート・ホールの垂直段に傾斜してゆく造りでは消えてしまうアンティフォナ(交唱)の対話を可能にしている。そのコーラスにはいつもの強力な手兵LSCと並んで、遠くワシントンDCからもよく訓練されたアンサンブルを迎え、これにエルサム・カレッジの精鋭児童合唱を加えている。ソリストも、前作第2番につづいてマリインスキー劇場のメンバーを含め、8人のうち7名までもロシア勢で固めるという、まさに万全の態勢で臨んでいることが覗える。
 これまでゲルギエフのマーラーといえば、時に過度とも云える急速なテンポ設定にその傾向が顕れていた。考え抜いて第8番でゲルギエフは、なかでも、長大で複雑な第2部『ファウスト』の終章において、急に駆り立てる場面をのぞいて意外にも通常以上に緩やかなテンポを選択している。結果として音楽にコントラストを生み、スリリングな効果を挙げるこうした判断もまた、ほかの作品のとき以上に密接な演奏環境の変化に応じたものとみるべきだろう。
 作曲者自らの指揮による第8 交響曲世界初演が「ミュンヘン博覧会1910」と題された音楽祭のハイライトして催されたのが1910年のこと。ほぼ一世紀の時を経て、ちょうど同じように、「シティ・オブ・ロンドン・フェスティヴァル2008」のメイン・イベントとして、熱狂的興奮に包まれたゲルギエフ&LSOのライヴ。鳴り物入りでチケットも早々に完売したことや、全2回の公演が異例の大成功を収めたことも符合してどこか運命的な巡り合わせさえ感じさせるものとなっている。
LSO-0668
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(HYBRID_SACD)
マーラー:交響曲第9番 ニ長調 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2011年3月2日-3日、バービカンホール、ロンドン、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、バランス・エンジニア:ジョナサン・ストークス、音声編集:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。カリスマ・シェフ、ゲルギエフとLSOによるマーラー・シリーズがついに完結。2010年12月1日の東京公演、明けて2011年2月27日のニューヨークのリンカーン・センターでの公演を経て本拠バービカンホールでおこなわれた演奏の模様をライヴ収録した物。2010年8月に行われたインタビューで、ゲルギエフは第9交響曲について「取り組むたびにその奥深さに惹かれる」と語っていたが、上記LSOとの演奏に先駆けて、ゲルギエフは2010年7月に、もうひとつの手兵マリインスキー劇場管を指揮して、ドイツのラインガウ音楽祭とシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭でも、マーラーの第9交響曲を演奏し成功を収めている。(出典:「ヴァレリー・ゲルギエフ指揮LSO来日公演2010プログラム」©KAJIMOTOより) LSO Liveにおけるゲルギエフのマーラー・シリーズは、前作の第5番を除いて、スタートの第6番より第7作の第4番までのすべてのリリースが基本的に2007/08年のシーズンを通して行われた交響曲全曲演奏会をライヴ収録してゆく形が採られているが、例外的に第5番がこの流れから2年半のちの2010年9月の演奏となっていた。2008年6月にもゲルギエフとLSOはマーラーの交響曲第9番を演奏しているが、先の来日公演中の記者会見で、ゲルギエフは「我々はレコーディングというものを非常に重要視している。レコーディングは、オーケストラの団員との関係を育みながら進めていく物。何度も演奏をし、経験と時間を重ねてから録音することには、とても大きな意味がある」(以上、2010/11/25 14:50 ©CDJournal.com より引用・© 株式会社音楽出版社)とも述べていたので、ここに至るまでの進境の変化にも注目したいところ。ゲルギエフのマーラー・シリーズでは、やはり再演という形で万全の準備を重ねてレコーディングに臨んだ第5番が高評価を得ているだけに、第9交響曲の内容にも同様の成果を期待できるものと思われる。
LSO-0666
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(2 HYBRID_SACD)
ゲルギエフのマーラー「第2」「第10」
 マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」(*)/
      交響曲第10番 嬰ヘ短調〜アダージョ(#)
エレーナ・モシュク(S)
ズラータ・ブルィチェワ(Ms)
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO & cho.
 録音:2008年4月20日、21日(*)/2008年6月5日(#)、以上ロンドン、バービカンホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。
 「予測できないことこそが特徴」(フィナンシャルタイムズ紙)と云われるゲルギエフ&ロンドン響によるマーラー・シリーズの第5弾は、2008年4月に行われた第2番「復活」。
 全5楽章からなる「復活」は、絶望の淵そのものというべき葬送行進曲に始まり、美しくおだやかな第2楽章、自作歌曲「パドヴァの聖アントニウス」と相関関係にある第3楽章を経て、深々としたアルト朗唱による「原光」、ついに、クロップシュトックの復活讃歌をモチーフに、合唱を大掛かりに動員して感動的なフィナーレで閉じられるという、きわめてドラマティックで明快な内容となっている。
 シリーズでこれまで聴かせてきたように、速めのテンポを基調とするストレートで剛直なゲルギエフのアプローチは、長大な作品を一掴みに聴かせようとするもので、こうした曲想にふさわしいと思われる。なお、ソリストにいずれも当シリーズでは初めて、実演や録音でもおなじみの手兵マリインスキー劇場のチームより迎えているのも注目されるところ。
 カップリングは、2008年6月に行われた第10番のアダージョ。当日前半のプログラムとして第9番全曲と同日に演奏されたもので、ここでも速めのテンポが特徴となっている。LSOの弦楽セクションは「非の打ち所がなかった」(クラシカルソース・ドットコム)と伝えられており、こちらも大いに期待が持てる内容といえそう。
LSO-0665
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(HYBRID_SACD)
ゲルギエフの「夜の歌」
 マーラー:交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2008年3月7日、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。有無を言わせぬ強引なアプローチで話題騒然のゲルギエフ& LSOによるマーラー・シリーズの第3弾は、前日に行なわれた第5番につづいて連夜の公演となった第7番「夜の歌」。
 マーラーの交響曲のなかでもなぞめいた曲と云われる第7番は、じつはそのぶん個性ゆたかな録音の数々で知られる作品でもある。筆頭に挙がるクレンペラーの冷徹演奏のほか、それぞれ方向性の異なる2種のライヴがあるテンシュテットが英国発というのも奇遇だが、偉大な先人に肩を並べるほどゲルギエフ&LSOのライヴもまた十分個性の際立つ内容といってさしつかえないもの。全曲を通じての特徴は、第6番(LSO-0661)のケースと同様にかなり速めのテンポを採用していること。不気味な暗さで開始され、主部に入り追い詰められた気配を強めてゆく第1楽章。‘地獄の踊り '(インディペンデント紙)と評されたスケルツォは‘当夜における全曲の白眉 '(ミュージカル・クリティシズム・ドットコム)。これを挟むふたつの夜曲は、快活なテンポで軍楽の要素が強調された第2楽章、やはりかねて思い描くよりも速く、ますます苦々しいパロディの印象を与える第4楽章のどちらも徹底して感傷を排した趣きとなっている。ついに神経症的アプローチのきわめつけは操状態で一気に駆け抜けてゆくフィナーレ。
 「これ(ゲルギエフによるフィナーレのアプローチ)がまったくマーラーが意図するものであったかどうかは、わたしにははっきりと分からない。けれども、終りまで疲れを知らない輝きに満ちたLSOの木管に力を与えられ、(フィナーレは)過激という以外の何ものでもなかった。」(インディペンデント紙)
 なかには戸惑いをおぼえ拒絶する向きもあるいっぽうで、いったいなにをしでかすのか、先の読めないハラハラドキドキする感覚に中毒症状を起こすファンが続出という事態を迎えている、ゲルギエフ&LSOのマーラー・プロジェクト。
LSO-0664
(HYBRID_SACD)
廃盤
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調 ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
LSO-0663
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(HYBRID_SACD)
ゲルギエフの「巨人」
 マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2008年1月13日、ロンドン・バービカンホール、ライヴ、プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。
 首席指揮者ゲルギエフを立て、LSO Live がその看板にかけて鳴り物入りでスタートさせたマーラー交響曲全曲シリーズ。各紙のレビューが真っ二つに割れたことが示すとおり、第2弾「巨人」もまた、聴き手を唸らすかなり個性的な内容となっている。
 期待と関心の高さから実演の数ヶ月前にはすでにチケットが完売したといわれる、ゲルギエフによる「巨人」。本来、マーラーのシンフォニーのなかでも比較的親しみ易いものであるはずの作品だが、そこは鬼才ゲルギエフ。ここでも既存のマーラー観をことごとく破壊しようとでもするかのように、挑戦的なアプローチが随所に試みられている。たとえば第3楽章。いつものメランコリックなにおいが減退したのに反比例して、これまで描かれたことのない魅惑の場面があらたに提示されているのはなんとも刺激的な体験。
 “葬送行進曲をもじった緩徐楽章では、断片的に少なからず魅力があり、すべてが過剰なほどはるかに洗練されていた。しかも、ほんのわずかだけれども、なかには絶妙に研ぎ澄まされた弦の演奏により、申し分のない満足感が得られた。 "―クラシカルソース・ドットコム
 このほかにも大胆なテンポの設定に始まり各声部の出し入れと、初めて気付かされる驚きの仕掛けがいろいろと施されていることに気付くだろう。そしてついにゲルギエフの野獣的な感性が一気に爆発して大荒れのフィナーレへとなだれ込む。
 “そう、アッチェレランドは発狂したように速かった。しかし、詰まった鼻が一気に通るようなフィナーレの叫喚は、私がLSOから聞いたなかでも最も刺激的なことのうちのひとつでだった。 "―インディペンデント・オン・サンデー
 おもえば、このような思い切ったアプローチがアイデア倒れに終わることなく成立可能な背景として、指揮棒なしのゲルギエフのニュアンスに難なく応えられるほどに、じつはLSOがマーラーをレパートリーの血肉としているという事実も見逃せないところ。それにしても、あたかもマーラー自身が創作過程でもがいたのを辿るかのように、賛否が渦巻く中で指揮者が試行錯誤を繰り返しながら進めてゆく、こんなマーラーのシリーズがかつてほかにあっただろうか。
 “ゲルギエフは絶え間なかった。すなわち攻撃性と不調和は、すべてが終わるまでステージを占拠していた。もし、心の奥底からの、背筋がゾクゾクする、危ういマーラーが好みならば、これこそまさにあなたにピッタリだ。…ほんとうにLSOはゲルギエフのために興奮しながら演奏している "―ガーディアン紙
 従来とは一線を画すマーラー像を打ち立てることに強い意欲を燃やすゲルギエフによる「巨人」。やはり物議をかもした第6番(LSO-0661)がふたを開けてみれば圧倒的な支持を受けている状況から、ありきたりの演奏にもはや飽き足らない真のマーラー好きには大いに歓迎されるにちがいない。
LSO-0662
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(HYBRID_SACD)
ゲルギエフのマーラー「第4」
 マーラー:交響曲第4番 ト長調
ローラ・クレイコム(S)
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
 録音:2008年1月12日、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。初出音源。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン&ジョナサン・ストークス。
 現代のカリスマ的指揮者、ゲルギエフと手兵LSOによるマーラー・シリーズがいよいよ再開される。第7作にあたる第4番は、第1番「巨人」(LSO-0663)の前日、2008年1月12日にバービカンでおこなわれた演奏をライヴ収録した物。
 第1番とならんでマーラーの交響曲のなかでも、親しみ易い魅力にあふれる自作「歌曲」との関連やサイズがコンパクトなこともあり、いち早く人気を獲得していた第4番。これまでにLSOは、1961年にブリテンとオールドバラでライヴ録音(BBCB-8004・廃盤)、1989年にモリスとセッション録音、2002年にはプレヴィンの指揮でライヴ録音(未発売)している。
 現代に生きる焦燥と不安を煽り立てるかのようなアプローチを聴かせた第6番(LSO-0661)など、これまでのシリーズの流れからもわかるように、第4番もゲルギエフの手にかかるとなにかありそうな予感がよぎります。特徴的なのが第3楽章。
 「緩徐楽章において、ゲルギエフは、音楽に内在する霊感を見失わずに、滞りなく先へと音楽を進めることによって、なにかすぐれた、ほんとうに不思議なことを成し遂げた。そのほかの部分をどう思われたとしても、この演奏はまさにそこに価値があった。」(ガーディアン紙)
第3楽章の壮絶さでは、ゲルギエフとはタイプは異なるものの、どこか同じロンドンを舞台に異常なマーラー演奏を繰り広げたテンシュテットが1976年に南西ドイツ放送so.とおこなったライヴ録音なども思い起こされる。レビューの伝える模様から、その出来ばえにおおいに期待したいところ。
 「ローラ・クレイコムが、“天上の生活 " における子どもがみた楽園のながめをこのうえなくデリケートに歌い上げたフィナーレでようやく、もしかして力強さには不足していたとしても、ほんとうにマーラーの精神が呼び覚まされたのだ。」(タイムズ紙)
 独唱のクレイコムは、2003年にライヴ収録されたティルソン・トーマス盤での歌唱も光ったが、ゲルギエフ盤ではどのような表現で応えているのかにも注目される。
 「マーラーの第4番を彼のシンフォニーの中でもっとも穏やかなものだと思っている人たちは、ゲルギエフの徹底的な演奏解釈によって、その考えに疑問を投げかけられたと気づいたかも知れない。明るくて、のどかな牧歌的であるのとはほど遠く、これはなにか安らかなノスタルジアというよりはむしろ不安や緊張になりがちなものだった。演奏をたいへん魅力的に、そして音楽をひどく気がかりなものにしたのは、おそらく安らぎと懸念との間のこうした苦闘だった。[中略]全般的な印象は、新鮮に表現され、いやおうなしにどっぷりと引きつけるマーラーの第4番だった。」(デイリー・テレグラフ紙)
 ただ、漫然と演奏を受け容れることを許さないところが、いかにもこのシリーズらしさを象徴しているようにも思われる。ますます意識的に挑発するような刺激で迫るゲルギエフとLSOによるマーラー・シリーズ
LSO-0661
(HYBRID_SACD)
廃盤
ゲルギエフ&LSOのマーラー、遂に登場!
 マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO
LSO-0660
(2 HYBRID_SACD)
廃盤
ゲルギエフのマーラー Vol.4
 マーラー:交響曲第3番 ニ短調
アンナ・ラーション(A)
ワレリー・ゲルギエフ指揮
LSO、
ロンドン交響合唱団女声合唱
ティフィン少年cho.
LSO-0628
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(2 HYBRID_SACD)
ハイドン:オラトリオ「天地創造」
 サリー・マシューズ(S;天使ガブリエル/イヴ) イアン・ボストリッジ(T;天使ウリエル)
 ディートリヒ・ヘンシェル(Br;天使ラファエル/アダム)

 コリン・デイヴィス指揮LSO&cho. (合唱指揮:ジョセフ・カレン)
 録音:2007年10月7日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。
 ハイドン歿後200周年を迎える2009年、LSO Liveがおくる超強力盤はデイヴィスによる「天地創造」。巨匠が80歳の誕生日を迎えるシーズンの呼び物のひとつとして、2007年10月におこなわれたライヴ。
 「天地創造」は晩年の2度にわたる英国滞在中に、「メサイア」などヘンデルの大作におおいに触発され着想した、その規模内容ともにハイドンの最高傑作といわれるオラトリオ。旧約聖書の「創世記」と「詩篇」、ミルトンの「失楽園」をテキストの題材として、神による創造の第1日から第4日まで、生き物が出現する第5日と第6日、そしてアダムとイヴの登場と、創世の七日間を時系列に沿って3部構成で描いている。このように直截的にキリスト教的世界観で彩られた内容と、絵画的ともいうべき巧みな手法でわかりやすく活写される動物たちの魅力や、大合唱が動員されて聞き栄えすることなどから、欧米ではとりわけ人気も高く特別な作品として迎えられている。
 こうした作品だけに「天地創造」は、すぐれた腕前で声楽作品を意欲的に取り上げてきたデイヴィスにふさわしいものとおもわれる。このたびの特色としてデイヴィスはヴァイオリン両翼型配置を選択。舞台下手から第1ヴァイオリン、チェロ、指揮者のすぐ正面に通奏低音、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、上手奥にコントラバスという具合に、2006年12月の「メサイア」(LSO-0607)のときと同じくヴィブラートも控えめに、あきらかにピリオド・アプローチを意識したアプローチを行なっている点も注目される。
 なお、声楽陣では「優秀さがあまりに凄すぎてそのためかあまり強調されることがない」(クラシカルソース・ドットコム)という、LSOに匹敵するもうひとつの手兵ロンドン・シンフォニー・コーラスに加え、目を引くのが名実ともにスター歌手を揃えたソリストたち。クリスティ盤のラファエルや、ヤーコプスの「四季」でのシモンが知られるヘンシェル。ミンコフスキの指揮でザルツブルク音楽祭2009でも同名役を歌う予定の、英国の誇りボストリッジ。そしてデイヴィスのお気に入りでマシューズという顔触れが並んでいる。
 あらためて、当ライヴが取り上げられた時期については、デイヴィス80歳ガラ・イヴニングとして9月に行なわれたモーツァルトの「レクィエム」(LSO-0127, 0627)、さらに12月のティペットの「われらが時代の子」(LSO-0670)、そして前作、翌2008年4月のマクミランの「聖ヨハネ受難曲」世界初演(LSO-0671)という流れにあって、この上ない充実ぶりをみせているという事実も見逃せないところだろう。
LSO-0127
(CD)
廃盤
モーツァルト:
 レクイエム ニ短調 KV.626(ジュスマイアー版)
マリー・アーネット(S)
アンナ・ステファニー(Ms)
 アンドルー・ケネディ(T)
ダレン・ジェフリー(B)
サー・コリン・デイヴィス指揮
LSO & cho.
LSO-0627
(HYBRID_SACD)
廃盤
ジェイムズ・マクミラン:
 世界の贖罪(*)/イゾベル・ゴーディの告白(#)
クリスティン・ペンドリル
(コールアングレ;*)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
 録音:2003年9月(*)、2007年2月21日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ(#)、プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、バランス・エンジニア:ジョナサン・ストークス。スタートから通算50番目の記念すべき節目にあたるアルバム。LSOとデイヴィスにとって、ともに度重なる実演を通じて長いつながりのあるマクミランの作品集。
 2007年3月にLSOが本拠とするバービカンセンター開設25周年記念コンサートでも取り上げられた「イゾベル・ゴーディの告白」。1990年プロムス初演の際に一大センセーショナルを巻き起こし、マクミランの国際的評価を決定づけた出世作であり、いまなお彼の一番人気の作品といわれている。作曲の動機は17世紀、宗教改革以後のスコットランドで吹き荒れた魔女狩りによって、おびただしい数の女性が犠牲となった史実に深くインスパイアされたこと。全曲は曲想の異なるブロックに分かれているが切れ目なく演奏される。暴力的なリズムと不協和音が支配する中間部では、集団ヒステリー下での吊るし首と火あぶりを表現しているのだろうか。ここぞとばかりにLSOのパワフルなブラスと打楽器が気を吐き、まさにこの世の地獄のような大音響。
 作曲者が「イゾベル・ゴーディのために決して歌われることの無かったレクイエム」と述べるように、なるほど途方もない悲しみの感覚を描くことに腐心したあとが窺えるのが冒頭と結尾で、陶酔さえ漂う弦楽の美しさ。真摯なデイヴィスのつくる音楽は痛切な祈りとなって閉じられる。1959年生まれのマクミランは、カトリックへの信仰、社会主義とスコットランドへの愛国心に深く根ざした作風がその特徴で、これまでにメッセージ性の強い作品を発表してきた。1662年に魔女のかどで残忍な拷問の末に処刑されたうら若き女性を題材にしながら、そのじつは近年ヨーロッパでのファシズムの新しい高まりに対する、自身の懸念を表明する意図が込められているともいわれる。
 カップリングの「世界の贖罪」はLSOによる1996年の委嘱作。聖木曜日の典礼にインスパイアされた曲は三部作「聖なる三日間」の第1部にあたり、基本的にはコールアングレのためのコンチェルトという趣きになっている。1997年の初演時と同じく当ライヴでもソロを務めるのはLSO首席の名手ペンドリル。ときに物悲しく、豊かな表情はさすがに初演者の自負の顕れにも似て絶大な説得力。演奏について、サンデー・テレグラフ紙、デイリー・テレグラフ紙、タイムズ紙とも挙って手放しの賛辞を贈っている。
 2007年9月25日に80歳の誕生日を迎えたLSOプレジデント、コリン・デイヴィス。自らの傘寿を祝う新たな作品を委嘱する作曲家として、ここで巨匠により指名されたのがマクミランだった。
LSO-0623
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(2 HYBRID_SACD)
ベルリオーズ:歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」H.76a, Op.23
 グレゴリー・クンデ(チェッリーニ) ローラ・クレイコム(テレーザ)
 ジョン・レリア(教皇クレメンス7世) アンドルー・ケネディ(フランチェスコ)
 イザベル・カルス(アスカーニオ) ジャック・インブライロ(ポンペーオ)
 ダーレン・ジェフリー(バルドゥッチ)
 ピーター・コールマン=ライト(フィエラモスカ)
 アンドルー・フォスター=ウィリアムズ(ベルナルディーノ)
 アラスデア・エリオット(カバラティア)
 コリン・デイヴィス指揮LSO &cho.
 録音:2007年6月26日、29日、ロンドン、バービカンホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。
 巨匠デイヴィスがキャリアの総仕上げともいうべき段階に入り、手兵LSOを率いていままた手がけるベルリオーズ。シリーズ最新作の「ベンヴェヌート・チェッリーニ」は、前作「キリストの幼時」に先立ち2007年6月に演奏会形式で上演され、あらためて巨匠の傾ける情熱と驚くほど生き生きとした音楽づくりがガーディアン紙ほかでも大きく扱われて話題になった。
 ルネサンス時代に実在したフィレンツェの彫金師ベンヴェヌート・チェッリーニ(1500-1571)の自叙伝にもとづくこのオペラ。その波乱に富んだ生涯を綴った内容に劣らず、ローマ帰りのベルリオーズが徹底的に自らのやりたいことをやりつくした結果、初演からたった4回で公演が打ち切りとなり大失敗に終わっている。
 ヴァイイーとバルビエの台本は、主人公チェッリーニとテレーザの恋愛模様を軸に、これに横恋慕するフィエラモスカらの陰謀、さらに教皇より制作を依頼された像の行く末も絡み、見た目にも絢爛たる謝肉祭の描写さらには流血シーンありと、すべてが大団円を迎えるラストまでドキドキハラハラのストーリー展開が用意されている。
 誰もがみとめるベルリオーズの音楽の真髄、すなわち爆発的なエネルギーの原動力となる鮮明で大胆なリズムおよび、華麗な色彩効果と密接な対位法処理に象徴される、驚くべき独創性は、本作にしっかりと息づいている。にもかかわらず、初演の折に聴衆がそうしたのとまったく同じように、その演奏至難さゆえに演奏家からも長らく遠ざけられ、上演はおろか配役することさえもほとんど不可能とされた。そして、デイヴィスによる旧録音(BBC響・1972年)から30年以上の時を経た今でさえ録音もけっして多いとはいえず、ましてや実演でかかることは稀というのが現状の「ベンヴェヌート・チェッリーニ」。
 ところで、無念のベルリオーズがオペラのエッセンスを掬い取り、あらたに生み出された序曲「ローマの謝肉祭」にはいくつかの重要な主題が登場する。これらチェッリーニとテレーザによる愛の二重唱、謝肉祭の場面におけるサルタレッロのリズムと旋律などはそれでもほんのごく一例にすぎない。こんなものではまだまだとても収まり切らないほどオペラ全体は聴きどころの宝庫。
 そしていま、このオペラの異常なテンションとほんとうの魅力を伝えることが出来るのは、まさしく巨匠デイヴィスをおいてほかにいないだろう。しかもなんともすばらしいタイミングで、いまのかれはそれが実現可能なLSOとロンドン交響合唱団という願ってもない武器を手中に収めているのから。さらにソリストについても云うことなし。タイトル・ロールにはネルソン盤でも同役を務めたクンデに、ノリントン盤でのテレーザ役も高評価のクレイコムと経験ゆたかなふたりを筆頭に、よくぞここまで揃えたという強力な布陣。
 デイヴィス会心の作、LSOとのあらたなる「ベンヴェヌート・チェッリーニ」。これぞベルリオーズのスタンダードにふさわしい傑作であることを教えてくれるアルバムがついに誕生。
LSO-0109
廃盤
コリン・デイヴィスのエルガー
 エニグマ変奏曲 Op.36(*)/
 序奏とアレグロ Op.47(#)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0609
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(HYBRID_SACD)
 録音: 2007年1月6日-7日(*)、2005年12月(#)、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス。
 2006年12月12日にヘンデル「メサイア」の公演をもってLSO首席指揮者の任を終えた巨匠デイヴィス。新年が明けたばかりの1月初め、ここにまたプレジデントとして手兵と新たなるスタートを切ったデイヴィスが放つ注目の最新アルバムは、2007年に生誕150周年を迎える英国の大作曲家エルガーのエニグマ変奏曲。この顔合わせでは前回のスタジオ盤(1965年)以来、じつに40年以上の時を経てのライヴによる再録音となる。
 管弦楽法に長けたエルガーが世に送り出し、当時のイギリス管弦楽作品史上最高傑作として英国内にその名を知らしめたエニグマ変奏曲。のちにLSOの初代首席指揮者に就任するハンス・リヒターによって1899年に初演されている。その内容はオリジナルの主題とそれに続く14の性格的な変奏、愛妻アリスに始まり作曲者ゆかりのさまざまな特徴的な人物を描写したのち、フィナーレの最終変奏でエルガー自らに到達するというもの。流麗でやわらかく、ときにエモーショナルで騒々しくと次々と変転する曲想に対して、いっそう良好の結びつきをみせる当コンビの演奏はさすがに見事なかぎり。哀切な主題に、第5さらにチェロの人懐こい旋律に締めつけられる第12変奏で顕著な弦の濃密な味わい。第4や第7、第11など激しい性格の変奏におけるブラスの迫力も満点。それぞれが印象深い場面に事欠かないが、全曲の白眉はこれまでに実演のアンコールでもしばしば単独で取り上げられることもあった第9変奏ニムロッド。静かに霧が立ち込めるようにしっとりと開始され、優しさと愁いを帯びた美しさが痛切に迫り絶品。そして、どこかあの行進曲「威風堂々」の雰囲気にも似て、あたかも大英帝国の栄光を体現したかのように華麗この上ない作曲家自画像のフィナーレ。大げさな構えとか誇張はなく、つとめて真摯なのはこの指揮者らしく好ましいところ。なお、ここでは任意指定のオルガンは使われていないが、それでもエルガーに不可欠な重厚な響きは十分に保たれている。
 ボールト、モントゥー、ヨッフム、プレヴィン…折に触れて行った過去の名だたる指揮者との録音実績を辿れば、当作品を演奏することが楽団の歩みとそのまま重なるといっても過言ではないLSO。その意味では、エルガーのアニヴァーサリーに、自らの録音史に新たな一コマを刻むLSOにしても、ほかでもないこの曲でプレジデントの初舞台を踏んだデイヴィスにしても、この“記念づくし "のライヴは偶然とは思えぬなんという運命の巡り合わせだろうか。
 カップリングは同じくエルガー1905年作の序奏とアレグロ。書法はさらに洗練されて、バロック時代の様式であるコンチェルト・グロッソをロマン派のイディオムで再現している。弦楽四重奏と弦楽オケが織り成す複雑な音楽は、スケールも大きく劇性に富み、自由で独創的。デイヴィスにはバイエルン放送so.(1993年)との録音もあるが、10年を超える歳月となによりエルガーにゆかりの深いLSOを得たことで説得力は計り知れない。交響曲全集(LSO-0072)やジェロンティアスの夢(LSO-0083、LSO-0583)でもそうだったが、デイヴィスのもとLSOがエルガーでみせる愛しむような表情にはやはり格別のものがあるというべきだろう。
LSO-0607
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(2 HYBRID_SACD
+ BONUS
DVD-VIDEO)
2枚価格
コリン・デイヴィス、LSO 首席指揮者勇退
  コンサートの「メサイア」

 ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
スーザン・グリットン(S)
サラ・ミンガルド(Ms)
マーク・パドモア(T)
アラステア・マイルズ(B)
コリン・デイヴィス指揮
LSO、テネブレcho.
 録音:2006年12月10日-12日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニア:ジョナサン・ストークス &ニール・ハッチンソン。SACD層は DSD、マルチチャンネル。
 2007年9月25日に80歳の誕生日を迎えるデイヴィス。2006年の12月12日を最後に、彼は11年間にわたりその任にあった LSO の首席指揮者を勇退した。デイヴィスが首席指揮者としての最後の晴れ舞台に選んだ、とっておきのプログラムはヘンデルの最高傑作「メサイア」。
 広く演奏され愛されているこの国民的なオラトリオは、ストレートでわかりやすくセレモニアルな内容から、いまや英国のクリスマス・シーズンには欠かせない風物詩となっている。巨匠デイヴィスによる LSO とのメサイアは、すでに前回のスタジオ盤(1966年)がモダーン楽器によるスタンダードの地位を獲得しているが、このたびのライヴでは、ピリオド・アプローチを意識した試みが随所に挙げられる。まず、ソリストにミンガルドやパドモア、マクリーシュのプロダクションでおなじみグリットンら古楽の確かな実績を積んだ顔触れを揃えていること。そしてきわめつけはバスのマイルズ。そのゆるぎない音程、流れるようなレガート、力強い発声をはっきりと確かめられるはず。さらに、あえて前回の録音に参加したロンドン交響合唱団に替えて、最強の秘密兵器テネブレ合唱団が迎えられた。じっさい、その透明度の高い歌唱はたとえようもなく、音楽に劇的なコントラストを生んでいる。レビューでも「これ以上に的確で情熱的なものはあるはずがない」(フィオナ・マドックス[英イヴニング・スタンダード])と絶賛されている。そして、いままさに絶頂にある LSO。編成を絞ったオケではヴァイオリンに対向配置が採用され、旋律の掛け合いがとても効果的。また、ピリオド楽器のレプリカを使用したトランペットなど、デイヴィスの意欲的な取り組みは例外なくオケにも向けられている。
 なお、当セットには期間限定でシリーズ初の特典として DVDビデオが付属する。11 トラックにおよぶライヴ演奏のハイライトとデイヴィスのインタビューは、無上の感動に包まれた一夜を巨匠とともに分かち合えるなによりのプレゼントとなることだろう。(DVDの仕様:40分/カラー/16:9 サラウンドステレオ/NTSC /Region 0/音声 :英語/字幕:なし)
LSO-0606
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(2 HYBRID_SACD)
ベルリオーズ:聖三部作「キリストの幼時」H.130(Op.25)
 ヤン・ブロン(T;語り手/百人隊長) カレン・カーギル(Ms;マリア)
 ウィリアム・デイズリー(Br;ヨゼフ) マテュー・ローズ(B-Br:ヘロデ)
 ピーター・ローズ(B;家長、ポリュドールス)
 コリン・デイヴィス指揮 LSO、テネブレcho.
 録音:2006年12月3日-4日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス。前作(1976年)から30年ぶり、ふたたび同じLSOとの「キリストの幼時」ライヴ。
 独特のスタイルで貫かれた「キリストの幼時」において、リズムの冴えや管弦楽法にもまして目を見張るのが声楽の扱い。いくぶんマタイ受難曲の福音史家を思わせるように、語り手の朗唱で幕を開ける第1部。語り手として本来予定されていたボストリッジ以上に最高のはまり役との惜しみない賞賛を受けたのは、ミンコフスキのプロダクションでおなじみのヤン・ブロン。この上なく明瞭無垢で得難いリリック・テノールの声質を申し分なく備えた逸材。そのブロンと並んで、当演奏に奇跡を起こしたのが若手の精鋭合唱グループ、テネブレ。もとキングズ・シンガーズのナイジェル・ショートが2001年に結成したアンサンブルは、しばしばロウソクの灯りのみが燈された空間で歌い、アレグリやタヴナーといった宗教作品においてとびきり透明度の高い歌唱を聴かせる注目株。繊細な表現と美しいハーモニーの安定感は抜群。
 起用されたゲストが揃って大健闘となればもちろん、デイヴィスに心からの尊敬を寄せてやまないLSOも奮起しないはずがない。たとえば第3部中ほど、2本のフルートとハープのためのトリオを聴いてみて頂きたい。その潤いに満ちた響きにどれほどなぐさめられ救われることか。
 かねてよりデイヴィスの声楽作品への関心の高さは知られるところとはいえ、“コーラル・ブロックバスターズ(合唱の超大作) " と銘打たれたシリーズに、よりによって「キリストの幼時」を用意するあたりは、いかにも“ベルリオーズのエキスパート "らしい自信とこだわりとを感じさせる。
LSO-0105
(CD)
廃盤
コリン・デイヴィスのシベリウス
 交響曲第2番 ニ長調 Op.43(*)/
 交響幻想曲「ポホヨラの娘」Op.49(#)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0605
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(HYBRID_SACD)
廃盤
流通在庫限り
 録音:2006年10月(*)/2005年10月(#)、以上、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス。
 LSO Live最大の呼び物デイヴィスによるシベリウス・シリーズに、いよいよ交響曲第2番が登場する。2007年のシベリウス没後50年に合わせ、リリースとなるこのたびのライヴは、過去2度にわたる全集録音の豊かな経験を踏まえ、巨匠デイヴィスの熱い思いのすべてが注ぎ込まれた渾身の内容。
 森と湖の国フィンランドの大地をほうふつとさせる曲想の親しみ易さが魅力の第2交響曲は、「フィンランディア」と並んでシベリウスのたぎる愛国心がストレートに表され、その個性がはっきりと刻まれた代表作。前回(1994年)から10年以上の歳月を重ねて臨んだ第2番のライヴ。そもそもデイヴィス+ロンドン響+シベリウスの組み合わせとくれば期待度の高さは計り知れないが、とっておきの作品を演奏することへの心からの喜びだろうか。これまでのどれよりもドラマティックで、若々しくみずみずしい感性にあふれているのが驚異的。いつ聴いても、あのどこか懐かしい気分に心弾む第1楽章、大自然の雄叫びのように荒々しく怒れるティンパニの炸裂と金管の咆哮とがこだまする中間2楽章を経て、とてつもなく雄大に結ばれるフィナーレ。いつしかこのうえなく温かく感動的な演奏に言葉もない。
 カップリングは2005-6年シーズンのオープニング・コンサートでクレルヴォ(LSO-0074、LSO-0574)の前プロに取り上げられた「ポホヨラの娘」。そのクレルヴォと同じく民族叙事詩「カレワラ」を題材とするこの作品でもまた、繊細な弦の表情とブラス・セクションの轟きが圧倒的な感銘を残す。
 一貫して完成度の高い録音もオーディオ・ファイル注目の的で、本拠地バービカンセンターのクリアな音場を最高のスタッフが忠実に再現している。

 # CD、SACDともに廃盤。2020年3月現在、 SACD はお届け可能な状況ですが、今後入手出来無くなった場合はご容赦下さい。
LSO-0601
(HYBRID_SACD)
廃盤
C.デイヴィス〜
 シベリウス:交響曲全集 完結編

  交響曲第1番 ホ短調Op.39(*)/
  交響曲第4番 イ短調Op.63(#)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0598
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(6 HYBRID_SACD)
ハイティンク〜ベートーヴェン・チクルス BOX
 交響曲全集/三重協奏曲/「レオノーレ」序曲第2番
  トワイラ・ロビンソン(S) カレン・カーギル(A)
  ジョン・マック・マスター(T) ジェラルド・フィンリ(B)
  フォークト(P) ニコリッチ(Vc) ヒュー(Vc)
  ベルナルト・ハイティンク指揮 LSO & cho.
 録音:2005年-2006年、、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。DSD、マルチチャンネル。BOXはSACDのみの発売。
 SACD によるベートーヴェン「交響曲全集」も発売点数は増えているが、録音時からSACDのマルチチャンネルを意図した全集はこれが世界初登場(CAPRICCIOのケーゲル盤やDGのカラヤン盤は擬似マルチチャンネル)。旧デッカの録音陣によるすばらしい収録は、どうやらマルチチャンネルで再生した際に最高の状態で鑑賞出来るようだとのこと。ハイティンクも2006年で77歳、味わいと深みが濃厚になり、小細工のない表現は今やかえって新鮮。
LSO-0594
(HYBRID_SACD)
廃盤
コリン・デイヴィス
 ベートーヴェン:
  ミサ曲 ハ長調Op.86 (*)/
  「フィデリオ」第1幕〜囚人の合唱 (#)
サリー・マシューズ(S)
サラ・ミンガルド(A)
ジョン・マーク・
 エインズリー(T)
アラステア・マイルズ(B)
コリン・デイヴィス指揮
LSO、ロンドン交響cho.
LSO-0593
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(2 HYBRID_SACD)
コリン・デイヴィス〜ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」
 クリスティーン・ブルワー(S;レオノーレ) ジョン・マック・マスター(T;フロレスタン)
 クリスティン・ジグムントソン(B;ロッコ) サリー・マシューズ(S;マルツェリーネ)
 ユハ・ウーシタロ(B;ドン・ピツァロ) アンドルー・ケネディ(T;ヤキーノ)
 ダニエル・ボロウスキ(B;ドン・フェルナンド)他
 コリン・デイヴィス指揮 LSO、同cho.
 録音:2005年5月23-25日、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェームス・マリンソン、エンジニア:ジョナサン・ストークス、ニール・ハッチンソン。ハイブリッドSACD盤のみの発売。
 御大サー・コリン・デイヴィス、円熟のベートーヴェンの「フィデリオ」! デイヴィス自身「今まででもっとも多い回数演奏してきたオペラ」と語るこの「フィデリオ」、演奏の度に絶賛を受けながら、ますますの彫りを深くしていくのだから頭が下がる。CDとしては、1995年のバイエルン放送so.との録音以来、ちょうど10年ぶり。当 LSO LIVE 盤はライヴなので、デイヴィス本来の熱気と77歳の円熟がたっぷり味わえる。歌手は、日本ではまだ知られていない人が多いものの、実はかなりの高水準。
 クリスティーン・ブルワーは、米国イリノイ州出身のドラマティック・ソプラノ。北米と、ことに英国での人気が高く、既にBBC交響楽団イゾルデ(カデンツァ注:代理店原文ママ)を歌ったCDもある。ジョン・マック・マスターは、今大きな注目を浴びているテノール。カナダ東端のニューブランズウィック出身。近年は徐々にドラマティックな役に挑戦、この秋にはトリスタンも初めて歌っている。カナダ出身のドラマティック・テノール、ジョン・ヴィッカーズやベン・ヘップナーに続く存在として、期待の星。また、フィンランドのバスバリトン、ユハ・ウーシタロに、アイスランドのバス、クリスティン・ジグムンドソンと、男声低音も極めて充実。ワグネリアンの方へも、歌手の実力を測るに絶好の録音としてお勧めしたい。
 なお、「レオノーレ」序曲第3番は挿入せず、そのまま「フィデリオ」全曲が演奏されている。
LSO-0092
(CD)
廃盤
ハイティンク〜
 ベートーヴェン・チクルス Vol.6

 交響曲第9番 ニ短調 Op.125「合唱」
トワイラ・ロビンソン(S)
カレン・カーギル(A)
ジョン・マック・マスター(T)
ジェラルド・フィンリ(B)
ベルナルト・ハイティンク指揮
LSO&cho.
LSO-0592
(HYBRID_SACD)
廃盤
LSO-0090
(CD)
廃盤
ハイティンク〜
 ベートーヴェン・チクルス Vol.5

 交響曲第5番 ハ短調 Op.67「運命」/
 交響曲第1番 ハ長調Op.21
ベルナルト・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0590
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(HYBRID_SACD)
 録音:2006年4月24-30日、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。SACDはDSD、マルチチャンネル。
 巨匠ハイティンク&ロンドン響によるベートーヴェン・シリーズは、堅牢で力強い推進力に満ちた音楽が魅力だが、今回はジャケット・デザインの握りこぶしが象徴するように、とてつもなくパワフルな「運命」。あらゆるクラシック音楽のフレーズで最も有名なもののひとつ、冒頭の運命の動機がロンドンでかくも鳴り響いたのはいったいいつ以来のことか!? とレヴューでも大絶賛されたライヴ。
 実演では「第9」と組み合わされていた第1番もそうだが、一面ではピリオド・アプローチの成果を取り入れながら「わたしたちの時代のベートーヴェン」というコンセプトを明確に打ち出しつつ、格調の高さをしっかりと守っている普遍的演奏。いつまでも何度でも繰り返し聴きたくなる内容。

LSO-0087
(CD)
廃盤
ハイティンク〜
 ベートーヴェン・チクルス Vol.4

 交響曲第4番 Op.60 変ホ長調(*)
 交響曲第8番 Op.93 ヘ長調(#)
ベルナルド・ハイティンク指揮
ロンドンso.
LSO-0587
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(HYBRID_SACD)
 録音:2006年4月19-20日(*)、2006年4月24日25日(#)、ロンドン、バービカンセンター、ライヴ。プロデューサー:ジェームス・マリンソン、エンジニア:ニール・ハッチンソン。SACDハイブリッド盤はマルチチャンネル。
 ハイティンクの手にかかると、どのオーケストラもそのオケ「らしい」音色やオリジナル・カラーといった個性が存分に引き出される、いわばハイティンク・マジックのようなものがある。ロン響ともすでに度々共演を重ねているが、リリースを重ねる度に、ロン響の弦のテンションの高さ、管楽器の上手さ、アンサンブルの完璧さにあらためて驚かされるばかり。第4番の終楽章のピアノとフォルテの対比、駆け巡る弦楽器のパッセージと、それに応える管楽器の丁々発止のやりとりは聴いていて思わずググッと身を乗り出してしまうほど。第8番も、第2楽章の管楽器の刻むリズムを聴いていると心躍り、華やかな名曲2曲のカップリングを、思う存分楽しめる、ハイティンクの指揮が冴え渡り、ロン響のエネルギーが120%爆発した演奏となっている。
LSO-0083
(2CD)
廃盤
エルガー:「ジェロンティアスの夢」Op.38
 デイヴィッド・レンドール(T:ジェロンティアス)
 アンネ・ソフィー・フォン・オッター(Ms:天使) アラステア・マイルズ(B)
 コリン・デイヴィス指揮LSO&cho.
LSO-0583
(2 HYBRID_SACD)
廃盤
LSO-0082
(CD)
廃盤
ハイティンク〜
 ベートーヴェン・チクルス Vol.3

 交響曲第2番 ニ長調 Op.36
 交響曲第6番 ヘ長調「田園」Op.68
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0582
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(HYBRID_SACD)
 録音:2005年11月16-27日、バービカン・センター、ライヴ。DSD録音。SACDハイブリッド盤はマルチチャンネル。
 2006年3月上旬の来日公演でも白熱の演奏を聴かせてくれたロンドン交響楽団。「第2番」は実にフレッシュな演奏で、スケルツォも実に快活。「田園」でも、第1楽章の冒頭から、他のオケとは一味違う管の名人揃いであることが証明される。第4楽章の嵐はパワー全開で、熱血ぞろいのロンドン響メンバーの白熱ぶりには思わず力が入る。
 #CDは廃盤、SACDも2020年3月現在、レーベル品切、再プレス&入荷時期未定。
LSO-0080
(CD)
廃盤
ハイティンク〜
 ベートーヴェン・チクルス Vol.2

 交響曲第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」
 「レオノーレ」序曲第2番 Op.72a
ベルナルト・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0580
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(HYBRID_SACD)
 録音:2005年11月16-27日、ロンドン、バービカン・センター、ライヴ。SACDハイブリッド盤はマルチチャンネル。
 斬新でドラマチック、それまでの交響曲の流れを変えたとさえいわれる「英雄」に、激しく複雑な「レオノーレ」。ともにシリアスな内容にふさわしく、シャープでギュッと凝縮感のある響き。力強い低域に支えられ快速のテンポで進む演奏を、一貫したサウンド・ポリシーによる完成度の高い録音が万全にサポート。かねてLSOが幅広い音楽に柔軟に対応できる機能性の高さを備えたオーケストラであるのは誰もが認めるところ。新しくも普遍的なベートーヴェン像を構築するシリーズ。
LSO-0078
(CD)
廃盤
ハイティンク〜
 ベートーヴェン・チクルス Vol.1

 交響曲第7番 イ長調 Op.92
 ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための
  三重協奏曲 ハ長調 Op.56(*)
ゴルダン・ニコリッチ(Vn;*)
ティム・ヒュー(Vc;*)
ラルス・フォークト(P;*)
ベルナルト・ハイティンク指揮LSO
LSO-0578
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(HYBRID_SACD)
 録音:2005年11月16−27日ロンドン、バービカン・センター、ライヴ。SACDハイブリッド盤はマルチチャンネル。。
 これからベートーヴェンを聴こうとする若い世代のための、まったく新しい交響曲全集シリーズ。コンセルトへボウ管創立100周年の記念碑的全集(第7番は1985年)が今も記憶に残る巨匠ハイティンクのベートーヴェン。20年の歳月を経て最新のベーレンライター版の楽譜を使用して臨んだ当ライヴは、経験に培われた堂々たる風格にもまして、不思議なことに若返ったかのような新鮮な魅力でいっぱい。オケの意気込みも桁違いで全篇驚くほどの高揚感。まぎれもなくここからはベートーヴェンが込めた、血の通った人間の、魂の音楽が聞こえてくる。
 そしてハイティンクにとってはボザール・トリオ&ロンドン・フィル(1977年)以来の三重協奏曲。同時期の「英雄」交響曲を思わせる勇壮さがポイントで、おなじみの首席奏者たちの見せ場もじつに豊富。彼らを大ヴェテランが万全に支えている。
LSO-0076
(CD)
廃盤
ウォルトン:交響曲第1番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0576
(HYBRID_SACD)
廃盤
LSO-0074
(CD)
廃盤
シベリウス:クレルヴォ交響曲 Op.7 ペーテル・マッティ(Br)
モニカ・グロープ(Ms)
コリン・デイヴィス指揮
LSO&男声cho.
LSO-0574
(HYBRID_SACD)
廃盤
LSO-0072
(3CD)
廃盤
エルガー:交響曲集
 〔第1番/第2番/
  第3番(A.ペイン補筆)
コリン・デイヴィス指揮LSO
LSO-0071
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(3CD)
ドヴォルジャーク:交響曲集
 〔第6番(*) /第7番(+) /第8番(#) /第9番(**) 〕
コリン・デイヴィス指揮
LSO
 録音:1999年9月29-30日(**)/1999年10月3-4日(#)/2001年3月21日(+)/2004年9月28-29日(*)。
 1995年に首席指揮者に就任してはや10年。ロンドン響とのあゆみがこのボックスでじっくりと体感できる。第9番はやはり名演、第6番はあの好々爺風なデイヴィスがどうしてここまで燃えることができるのかとおどろくほどのハイテンション。このコンビはいまや最高潮にあるといえるであろう。デイヴィスは2007年からは楽団総裁として共演を続けることになっている。
LSO-0070
(4CD)
廃盤
ブラームス:交響曲全集 ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0061
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(CD)
廃盤
流通在庫限り
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0516
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2004年10月10、15日、バービカンホール、ライヴ。
 デイヴィスの初レパートリーとなる「わが祖国」、手兵ロンドン響を率いて堂々の名演。1曲目の「ヴィシェフラド」のなんと勇壮なこと。プラハを守る城は、フォルティッシモで地平線に堂々とそびえたっている。そしてかつてこれほどまでにはげしくうねる「モルダウ」を感じさせる演奏があっただろうか。名手ぞろいのロンドン響が、デイヴィスと息もぴったり、スメタナの愛した故郷の母なる自然の偉大さを、時にやさしく時にはげしく見事にうたいあげている。
 #2009年4月に廃盤となったSACD盤(LSO-0516)に続き、CD盤(LSO-0061)も、2010年4月に廃盤となった旨国内代理店から連絡が来ており、流通在庫限りのお取扱いとなります。2020年3月現在はお届け可能な状況ですが、今後入手出来無くなった場合はご容赦下さい。
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番 ムスティスラフ・
 ロストロポーヴィチ指揮
LSO
LSO-0527
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(HYBRID_SACD)
 録音:2004年11月3-4日、バービカン・センター。
 ムラヴィンスキーに献呈された第8番は、ショスタコーヴィチ・ファンに特に人気の曲。さすが名人揃いのロンドン響、ものすごいテンションのショスタコ節を惜しげもなく繰り広げており、圧倒されどおし。
ドヴォルジャーク:交響曲第6番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0526
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2004年9月28日&29日、バービカン・センター、ライヴ。
 さすが管弦ともに名手ぞろいのロンドン響、大暴れのドヴォ6。「そこまでやるか」と思ってしまうくらいに爆発している第3楽章スケルツォは聴きもの。もちろん第2楽章では、この交響曲のもつ、ひなびた土臭さい雰囲気もしっとりとうたわれており、デイヴィス&ロンドン響はいまや世界最高レベルにあるといえるだろう。
LSO-0058
(CD)
廃盤
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 ムスティスラフ・
 ロストロポーヴィチ指揮
LSO
LSO-0550
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(HYBRID_SACD)
 録音:2004年7月7日&8日、バービカン・センター、ライヴ。
 ロストロポーヴィチにとって3度目となる録音。基本的には彼ならではの強烈な解釈だが、その解釈もこなれ、何よりオケの巧さが光り、聴き応え満点。ロストロポーヴィチは生前のショスタコーヴィチと親しく、スターリンの暗黒時代を体験した人でもあるため、この曲に込められたメッセージを自分のものとして再現しているのか、物凄い緊張感とボルテージの高さだ。
ブラームス:交響曲第4番 ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0547
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2004年6月16-17日、バービカン・ホール、ライヴ。
 全集完結編。冒頭からただならぬ雰囲気。厚みのある響きで、立体感あふれる音楽が展開されていく。旧録音より迫力と味わいが増し、実にスケールの大きな演奏。終楽章は圧巻。
LSO-0056
(CD)
廃盤
ブラームス:
 交響曲第3番 ヘ長調(*)/セレナード第2番(+)
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0544
(HYBRID_SACD)
廃盤
LSO-0055
(2CD)
廃盤
ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」
 ミケーレ・ペルトゥージ(ファルスタッフ) カルロス・アルバレス(フォード)
 ビューレント・ベツデューツ(フェントン) アラスデア・エリオット(カイウス)
 ペーター・ホアレ(バルドルフォ) ダレン・ジェフリー(ピストラ)
 アナ・イバッラ(フォード夫人アリーチェ) マリア・ホセ[ジョゼ・モレーノ](ナンネッタ)
 ジェーン・ヘンシェル(クイックリー夫人) マリーナ・ドマシェンコ(ページ夫人メグ)

 コリン・デイヴィス指揮LSO
LSO-0528
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(2 HYBRID_SACD)
 録音:2004年5月17、20、23日、ライヴ(演奏会形式)、DSDレコーディング。
 冒頭からLSO大爆発、アンサンブルのうまさが際立つ。第一幕の「熱き唇」のフェントンとナンネッタの二重唱にうっとり、ペルトゥージのまぬけなファルスタッフぶりに思わずにっこり。デイヴィスの見事な統率のもと、LSO各パートが実に生き生きと楽しいアンサンブルを聴かせてくれる。歌唱陣も実に絶妙な配置。ペルトゥージのまぬけだけど貫禄もたっぷりのファルスタッフぶりは最高のはまり役といえる。ボローニャ歌劇場来日公演で話題になったカルロス・アルバレスのフォード役も高い技術で実に見事。N響/デュトワの「エレクトラ」公演でクリテムネストラをつとめたジェーン・ヘンシェルのクイックリー夫人も愛嬌たっぷり。メグ役のマリーナ・ドマシェンコも期待の新星メゾ・ソプラノとして急上昇株。演奏者陣みんなが燃えに燃えた演奏会形式ライヴ、やはりすごい。録音はジョナサン・ストークスとニール・ハッチンソンが担当、なんとも贅沢な「ファルスタッフ」。
LSO-0054
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(3CD)
ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」
 グレン・ウィンスレード(ピーター・グライムズ) ジャニス・ワトソン(エレン・オーフォード)
 アントニー・マイケルズ=ムーア(ボルストロード船長) キャサリン・ ウィン=ロジャース(セドリー夫人)
 ジェイムズ・ラザフォード(スワロー)他 
コリン・デイヴィス指揮 LSO & cho.
 録音:2004年1月10日&12日、バービカン・センター、ロンドン。録音プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。録音エンジニア:ジョナサン・ストークス&ニール・ハッチンソン。
 絶妙のコンビ、サー・コリンとロンドン響による久々のオペラ全曲録音(同レーベルではLSO-0010「トロイ人」以来)。代理店によると「とてつもない大スケール」とのこと。
LSO-0051
(CD)
廃盤
シベリウス:交響曲第3番(*)/交響曲第7番(#) コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0552
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(HYBRID_SACD)
 録音:2003年10月1日&2日(*)/2003年9月24日&25日(#)、以上ロンドン。
 デイヴィスもまた、シベリウス全集を始動。とにかく弦が綺麗で、デイヴィスとオケとのコンビネーションの素晴らしさは、さすが首席指揮者。
LSO-0046
(12CD)
廃盤
バービカン・センター・ベルリオーズ・エディション
 劇的交響曲「ロメオとジュリエット」(LSO-0003)/歌劇「ベアトリスとベネディクト」(LSO-0004)/
 幻想交響曲&歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲(LSO-0007)/劇的物語「ファウストの劫罰」(LSO-0008)/
 歌劇「トロイアの人々」(LSO-0010)/交響曲「イタリアのハロルド」(LSO-0040)のセット
ブラームス:
 交響曲第1番/悲劇的序曲
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
 録音:2003年5月22日&23日、ロンドン。ライヴ。
 第2番&二重協奏曲(LSO-0043)に続く、ハイティンク指揮による新ブラームス「交響曲全集」第2弾。第1弾は異常なほどのボルテージに満ちた演奏だったが、こちらも第1番の冒頭から恐ろしい気迫で、終楽章も鳥肌もの。弦も美しく、ライヴとは思えないすばらしい音質も見事の一言。
 #2020年3月現在、レーベル品切、再プレス&入荷時期未定。
LSO-0043
廃盤
ブラームス:
 交響曲第2番/二重協奏曲(*)
ゴルダン・ニコリッチ(Vn;*)
ティム・ヒュー(Vc;*)
ベルナルド・ハイティンク指揮
LSO
LSO-0040
廃盤
ベルリオーズ:交響曲「イタリアのハロルド」 タベア・ツィマーマン(Va)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0038
(2CD)
廃盤
マーラー:交響曲第6番「悲劇的」 マリス・ヤンソンス指揮
LSO
LSO-0537
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(HYBRID_SACD)
シベリウス
 交響曲第5番 変ホ長調 Op.82(*)/
 交響曲第6番 ニ短調 Op.104(#)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
 録音:2003年12月10日-11日(*)/2002年9月28日-29日(#)、以上バービカンホール、ロンドン、ライヴ。CD:LSO-0037 (廃盤)のSACD化。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニア:ジョナサン・ストークス(*)/トニー・フォークナー(#)。
LSO-0030
(CD)
廃盤
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番「1905年」 ムスティスラフ・
 ロストロポーヴィチ指揮
LSO
LSO-0535
(HYBRID_SACD)
廃盤
ホルスト:組曲「惑星」 コリン・デイヴィス指揮
LSO、同女声cho.
 録音:2002年6月、バービカン・センター、ロンドン。ライヴ。
LSO-0023
廃盤
ブルックナー:交響曲第9番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0022
廃盤
ブルックナー:交響曲第6番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
エルガー:交響曲第3番
 (エルガーによるスケッチに基づく
   アンソニー・ペインによる完成版)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
 録音:2001年12月13日-14日、バービカン・センター、ロンドン、ライヴ。録音プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。録音エンジニア:トニー・フォークナー。ペイン補筆による同曲3枚目のディスクだが、確かライヴは始めて。
LSO-0018
廃盤
エルガー:交響曲第2番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0017
廃盤
エルガー:交響曲第1番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0014
廃盤
ドヴォルジャーク:交響曲第7番 コリン・デイヴィス指揮
LSO
デイヴ・ブルーベック(1920-2012):作品集
 デイヴ・ブルーベック:
  夏の音楽(ダリウス・ブルーベック編曲)/
  イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ(ハワード・ブルーベック編曲)/
  A Salute to the Count (クリス・ブルーベック編曲)/コラール/
  トルコ風ブルー・ロンド(ダリウス・ブルーベック編曲)/フォー・スコア・イン・セヴン/
  ブランデンブルグ・ゲートII(ハワード・ブルーベック編曲)
 ポール・デスモント:テイク・ファイヴ(ラッセル・グロイド編曲)
 デイヴ・ブルーベック:アンスクエア・ダンス(クリス・ブルーベック編曲)

 デイヴ・ブルーベック、ダリウス・ブルーベック(P)
 クリス・ブルーベック(バスTb/エレクトリック・ベース)
 マシュー・ブルーベック(Vc) ボビー・ミリテッロ(アルトSax/Fl)
 アレック・ダンクワース(ダブルベース) ラッセル・グロイド指揮 LSO
 録音:2000年12月23日、バービカン・センター、ライヴ|録音プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン|録音エンジニア:ジャック・レナー。編集エンジニア:トニー・フォークナー。
 デイヴ・ブルーベックはジャズ・ピアニストとして有名。作曲家でもあり、ダリウス・ミヨーから教えを受けたこともあるという。独奏はブルーベック一家総出演。
LSO-0010
(4CD)
廃盤
ベルリオーズ:歌劇「トロイアの人々」
 コリン・デイヴィス指揮 LSO & cho.
LSO-0008
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(2CD)
ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」
 エンケレイダ・シュコサ(Ms;マルゲリータ) ジュゼッペ・サバティーニ(T;ファウスト)
 ミシェル・ペルテュージ(Br;メフィストフェレス) デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(Br;ブランデル)

 コリン・デイヴィス指揮 LSO & cho.
 録音:2000年10月15日&17日、バービカン・センター、ロンドン。ライヴ。録音プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。録音エンジニア:トニー・フォークナー。
LSO-0007
廃盤
ベルリオーズ:
 幻想交響曲(*) /
 歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲(+)
コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0005
廃盤
ブラームス:ドイツ・レクイエム アンドレ・プレヴィン指揮
LSO&cho.
LSO-0004
(2CD)
廃盤
ベルリオーズ:歌劇「ベアトリスとベネディクト」
 コリン・デイヴィス指揮 LSO & cho.
LSO-0003
(2CD)
廃盤
ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」
 ダニエラ・バルチェローナ(Ms) ケネス・ターヴァー(T)
 オルラン・アナスタソフ(B) コリン・デイヴィス指揮 LSO & cho.
LSO-0002
廃盤
ドヴォルジャーク:交響曲第8番「イギリス」 コリン・デイヴィス指揮
LSO
LSO-0001
廃盤
ドヴォルジャーク:交響曲第9番「新世界より」 コリン・デイヴィス指揮
LSO
COLIN CURRIE RECORDS
 コリン・カリー・レコーズは、アンサンブル、そしてソロの主要な打楽器のためのアンサンブルをリリースしていく予定で、第1弾は、コリン・カリーが一躍世界に認められるところとなった「ドラミング」。クラウド・ファンディングを用いて資金を調達し実現したこのレコーディングを、ライヒは「これまでのドラミングの録音の中で、確実に、ベストのものになるだろう」と絶賛している。特にこの20年ほどの間に生み出された新しい音楽の数は豊かで、打楽器の世界は限りなく広がった、とカリーはコメントしている。今後はカーター、クセナキス、シュトックハウゼン、細川俊夫、マントヴァーニらのリリースが予定されているとのことで、非常に楽しみなレーベルの誕生となった。LSO Liveが世界的にディストリビューションを行なう。
コリン・カリー&スティーヴ・ライヒ〜ライヴ・アット・フォンダシオン・ルイ・ヴィトン
 クラッピング・ミュージック(1972) / Proverb(ヴィトゲンシュタインの「警句」)(1995) /
 マレット四重奏曲(2009) /パルス(2015) /木片のための音楽(1973)

 コリン・カリー、スティーヴ・ライヒ
 コリン・カリー・グループ、シナジー・ヴォーカルズ
 録音:2017年12月、ルイ・ヴィトン財団美術館、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン、パリ、ライヴ。コリン・カリーのレーベル第3弾。2017年末、ルイ・ヴィトン財団が、スティーヴ・ライヒの展覧会を企画した。ライヒはそのイベントにあたり、コリン・カリーと彼率いるアンサンブルが、ライヒ自身のオファーを受け、レジデンス・アーティストを務めた。演奏会で何を演奏するかについてはライヒとカリーの間で様々な話し合いが行われ、2日間にわたる演奏会が催され、その中から5作がここに収められた。クラッピング・ミュージックではライヒ本人も演奏に参加している。
THE SCENE OF THE CRIME
 アンドレ・ジョリヴェ:エプタード(1971) Pe/Tp
 ジョー・ダデル(1972-):キャッチMa/Tp
 トビアス・ブロストレム(1978-):ドリーム・ヴァリエーションズPe/Tp
 ダニエル・ベルツ(1943-):ディアロゴ4Pe/Tp
 ブレット・ディーン:シーン・オブ・ザ・クライム(2017) Tp/Fh/Pe
  コリン・カリー(Perc Pe /マリンバ Ma
  ホーカン・ハーデンベルガー(Tp Tp /フリューゲルホルン Fh
 録音:2018年6月9日-11日、ポットン・ホール。 ライヒからも認められる打楽器奏者コリン・カリー。カリーが今回共演しているのは、世界ナンバーワンの呼び声高き名トランペッター、ホーカン・ハーデンベルガー。彼らは15年以上にわたって共演し(「兵士の物語」が初共演)、常にあらたな境地を開拓してきた仲間。二人とも稀有のカリスマ性とヴィルトゥオーゾ性を持ち合わせた抜群のコンビといえるだろう。そんな彼らがコリン・カリー・レコーズで取り上げたのは、超絶技巧、かつエキセントリックの極北でありながら聴きごたえのあるプログラム。エネルギーと叙情の核融合的作曲家ジョリヴェの「エプタード」は1971年の作で、当盤では最も古い年代(1971年)の作品となるが、カリー曰く「もはや古典」の、「耳障りでありながら洗練されている」作品。威圧感たっぷりのトランペット・パートと、カリーが巧みに操る打楽器パートが圧巻。ジョー・ダデルは英国の作曲家で、様々な編成のための作品を書いているほか、バーバリーのファッションショーのための音楽(編曲)も手がけているなど、幅広く活躍している。スウェーデンの作曲家ブロストレムの作品は、この二人のために書かれた物。ブロストレム自身打楽器奏者であったこともあり、様々な楽器の効果的な使用もみられる興味深い作品。ダイエル・ベルツは、「バッコスの巫女」(1991)、「マリー・アントワネット」(1998)、「ゴヤ」(2009)などのオペラやオラトリオなどの声楽作品でも知られているが、交響曲をはじめとする管弦楽作品、室内楽作品、器楽のための作品と、幅広いジャンルに作曲している、スウェーデンの重要作曲家。ベルイマンと音楽劇でコラボレーションもしている。オーストラリアの作曲家ブレット・ディーンの「シーン・オブ・ザ・クライム」は、2017年のマルメ室内音楽祭の委嘱作品で、ハーデルベルガーとカリーのために書かれ、二人が初演した作品。ディーンが「ハムレット」のオペラ(2013-16) を手がけた後の作品で、マルメの地とハムレットの舞台ヘルシンゲルがほど近いところにあることから、他のプロジェクトに取り掛かる前に、自身のハムレット時代に区切りを付ける意味でもちょうどよい作品だったと語っている。タイトルの「シーン・オブ・ザ・クライム」は、曲中のミステアリアスで「黒い」部分の展開のことを指しているというが、ハムレットの物語をどこか思わせるようでもある。トランペットとフリューゲルホルン、そしてドラムという編成の、カリーいわく「鬼のような」作品で聴きごたえ満点。プロデューサーはBISレーベルでも数々の録音を手がけているマリオン・シュヴェーベル。
スティーヴ・ライヒ:ドラミング(1971)
 コリン・カリー・グループ[コリン・カリー、ジョージ・バートン、アントワーヌ・ブデヴィ、
                リチャード・ベンヤフィールド、アダム・クリフォード、オウエン・ガンネル、
                キャサリーン・リング、エイドリアン・スピレット、サム・ウォルトン]

 ロウランド・サザーランド(ピッコロ)
 シナジー・ヴォーカルズ[ミカエラ・ハスラム、ヒザー・ケアンクロス(口笛も担当)]
 録音:2017年5月8日、ロンドン、倉庫にて(24bit 96kHz PCM)。 ライヒも認める世界的パーカッション奏者、コリン・カリーが自身のレーベルを立ち上げた。その名もコリン・カリー・レコーズ。第1弾は2012年12月の来日公演でも日本を沸かせたライヒの屈指の人気曲にして大作の「ドラミング」!来日時と同じ、「コリン・カリー・グループ」と「シナジー・ヴォーカルズ」による録音。コリン・カリー・グループは、2006年BBCプロムスからライヒの70歳を祝うイベントの企画を任されたカリーが、「ドラミング」を演奏するために、俊英奏者たちによって結成したアンサンブル。この新録音をライヒは「ベストの録音」と評しているとあって、なんとも注目。シナジー・ヴォーカルズも、ライヒの信頼厚い声楽アンサンブル。主にアンプリファイされる作品のためのユニークなアンサンブルで、美しいハーモニーはもちろんのこと、正確無比なリズム感も高く評価されている。「ドラミング」は1971年に作曲され、9人の打楽器奏者と2人の歌い手、そしてピッコロ奏者によって奏される作品。ライヒのトレードマークでもあるフェーズ(それぞれの奏者が定型の旋律やリズム・パターンを奏で、それらが少しずつずれていくことによって独特の効果が生まれる)による作品。4つの一連の部分に分けられ、第1部はボンゴ、第2はマリンバ、そして第3はグロッケンシュピールがそれぞれ主体となり、そして第4部では全員が混然となって作品のクライマックスを迎える。それぞれの定型リズムはいたってシンプルなのに、それらが混然一体となった時に生まれる新しい音世界は何度聴いても圧倒的。コリン・カリー・グループとシナジー・ヴォーカルズによる妙技と、正確無比のリズムが生みだす独自の迫力をおたのしみ頂きたい。


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