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FUGA LIBERA



価格記載無し:1CDあたり¥3960(税抜¥3600)


 なお、当レーベルは2016年現在フランスへ本拠を移し、 Outhere グループ [他に alpha, Æon, Ramée, Ricercar, Zig-Zag, Phi, Arcana を擁する] となっていますが、前・国内代理店による2016年初頭のアイテム・アナウンス内コメントによると、Fuga Libera レーベルとしては『2年前に物理CD発売をやめた』との事で、 2015年以降の新譜はダウンロード販売のみとなっていましたが、2018年から物理CDの新譜が再開されたようです。 2015年〜2017年新譜の中にはダウンロード専売品があると思われますので、ご承知置き下さい。 また、ごく一部は Outhere グループ内別レーベル "REWIND" での再発があります。
 #当レーベルの商品は日本語解説&オビ付の国内仕様盤が出まわっていましたが、この国内仕様盤を発売していた国内代理店が2018年3月23日をもって事業撤退したため、今後の入荷分は全て輸入盤仕様のままとなり、国内解説とオビは添付されません。また品番の若い物には廃盤も出ており、下記でご注文可能でもお届けできない場合があります。また廃盤となった商品が別品番や別レーベルで再発されている場合は、新ヴァージョンでのお届けとなる可能性もございます。以上、その旨御了承の程お願い致します。

FUG-501
buyボタン
(2CD)
ルカ・フランチェスコーニ:プロット II
ヤン・マレシュ:エクリプス
クロード・レネルス:夜間飛行
ジャン=リュック・ファフシャン:スフィ教の聖典D
アレハンドロ・ビニャオ:リズム帳
ジェラルド・ツィンスターグ:シャルル・ラシーヌ讃
ミレイユ・ドギー(Ms)
ジャン=マルク・フォルツ(Cl)
オリヴィエ・スリーパン(Sax)
マーク・フォスター指揮
ユナイテッド・
 インストゥルメンツ・
 オブ・リュシリン
 ユナイテッド・インストゥルメンツ・オブ・リュシリンは2000年にルクセンブルク文化省のバックアップによって結成された現代作品の演奏専門のアンサンブル。収録された作品はそれぞれの作曲家の最新作で、いずれも世界初録音。
FUG-502
廃盤
ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ(1688-1758):
 序曲〔管弦楽組曲〕集
 パウル・ドンブレヒト指揮アンサンブル・イル・フォンダメント
ジュネーヴのヴィクトリア・ホールとそのオルガン
 アレクサンドル・ギルマン(1837-1911):
  オルガン・ソナタ第1番 Op.42/
  葬送行進曲と天使の歌 Op.17
 ルイ・ヴィエルヌ(1870-1937):
  太陽への賛歌 Op.53 No.3/トッカータ Op.53 No.6/
  哀歌 Op.31 No.3/アラベスク Op.31 No.5
 マルセル・デュプレ(1886-1971):3つの前奏曲とフーガ Op.7
クリスティアン・セインハヴ(Org)
 1894年建造のジュネーヴの名ホール、ヴィクトリアは1984年に火災で焼失したが、その後復興をはたし1993年に新しいオルガンが完成した。クリスティアン・セインハヴはマーストリヒト音楽院とパリ音楽院で学び、さらにアンドレ・イゾワールら著名なオルガニストに師事、1998年にオランダ、ハーレムのセザール・フランク国際コンクールに優勝して一躍注目された。現在、ブリュッセルのコーケルベルグ教会(世界で5番目に大きな教会だという)のオルガニスト。
シェーンベルク:
 月に憑かれたピエロ Op.21(*)/
 室内交響曲第1番 Op.9(ヴェーベルン編曲)
ジャクリーヌ・ジャンセン
 (シュプレッヒシュティンメ;*)
ロビン・エンゲレン指揮
コレクティーフ(Ens.)
 録音:2003年9月、シント=トルイデン。
 若い演奏家たちによるシェーンベルク。ジャクリーヌ・ジャンセンはマースリヒトの音楽院で学んだドイツのメゾソプラノで、ロッテルダム・フィルなどのオランダのオーケストラやベルギーのモネ王立歌劇場を中心に活動している。コレクティーフ(Het Kollektief)は1997年に結成されたブリュッセルの室内アンサンブルで、新ウィーン楽派以降の作品を主要なレパートリーにしている。指揮のエンゲレンは1974年にケルンで生まれた新鋭で、カールスルーエ高等音楽院でヴォルフ=ディーター・ハウシルトに学び、さらに1994年からギュンター・ヴァントにも学んでいた。2001年からこのコレクティーフの音楽監督に就任、また、シュトゥットガルト州立歌劇場の音楽総監督ローター・ツァグロセークのアシスタントも務めており、カールスルーエなどドイツの歌劇場でも活動を行っている。
FUG-505
(2CD)
廃盤
エル・バシャ&大野和士、
 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲全集

 [第1番 変ニ長調 Op.10/第2番 ト短調 Op.16/
  第3番 ハ長調 Op.26/第4番 変ロ長調 Op.53/
  第5番 ト長調 Op.55
アブデル=ラフマン・
 エル・バシャ(P)
大野和士指揮
ベルギー王立
 モネ歌劇場o.
 録音:2004年9月24、26日、ブリュッセル、ボザール宮、ライヴ|後出: REWIND, REW-509 (Nos.1, 4, 3), 517 (Nos.2, 5) [各1CD分売] 。
 これはプロコフィエフ協奏曲集の新しい決定的名盤であるとともに、名手エル=バシャの充実しきったピアニズムとが21世紀の巨匠・大野和士の細やかな音楽作りと奇跡のコラボレーションを遂げた、いとも幸福な共演盤でもある。これを全編ライヴで収録してしまった(そして迫力&完成度満点の傑作にしてしまった)のから、驚くほかはない。といってもエル=バシャも今や50歳間近、ヴィルトゥオーゾとしての最充実期に、やっておくべきことをやりとげた、という感じだろうか。演奏機会の少ない偶数番号の曲も含め、ピアニストとしてのプロコフィエフの気合の入れようが十二分に伝わる圧倒的なソロ・パートに丁々発止からむ、熟考と精力の双方が隅々までゆきわたった大野和士のタクト、モネ劇場の名手たちの至芸…この決定的名演を埋もれさせず、より広く日本の熱心な&新しい音楽ファンに。
 エル・バシャは1958年にレバノンの首都ベイルートに生まれ、1978年に19歳でエリザベート王妃国際コンクールに優勝して脚光を浴びたピアニスト。そのダイナミックで切れ味の鋭いテクニックにより、新時代のヴィルトゥオーゾの誕生として大いに期待され、デビュー直後に録音されたプロコフィエフのピアノ独奏曲全集がACCディスク大賞を受賞するなど、将来の大器を予感させるものであった。その後は国際的な華やかな活動こそないものの、地道にキャリアを重ね、ベートーヴェンのソナタ全集やショパンの作品全集など数多くの録音を行っている。2002年にはヴァイオリニストの戸田弥生の伴奏者として来日し、持ち前の技巧に抒情性や深みのある表現が加わった本格派の名ピアニストに成長した姿を見せてくれた。
 当アルバムの音源となったコンサートは2日間で5曲の協奏曲を演奏するという、デビュー以来プロコフィエフを得意としてきたエル・バシャならではの豪腕ぶりを発揮したもので、その素晴らしい出来栄えは満場の聴衆を熱狂させたという。王立モネ歌劇場の音楽監督に就任以来、目覚しい活躍ぶりを見せている大野和士のサポートぶりもききもの。
モーツァルト(1770-1827):
 フルート四重奏曲 ニ長調 KV285/
 フルート四重奏曲 ヘ長調 KV285a/
 フルート四重奏曲 ハ長調 KV285b/
 フルート四重奏曲 ニ長調 KV298/
 クラリネット五重奏曲 イ長調 KV591
アンサンブル・オクサリス
[トーン・フレット(Fl)
 ナタリー・ルフェーヴル(Cl)
 シャーリー・ラウプ、
 フレデリク・デュルセル(Vn)
 エリーザベト・スマルト(Va)
 マルテイン・フィンク(Vc)]
 近現代もので際立った成果をみせてきたベルギーの精鋭集団が、当レーベルへ先に録音していたモーツァルト。ほどよくピリオド奏法の風味を取り入れた爽快・精妙なサウンドで、さりげなく曲構造のうまみを示してみせる「技あり」の名演5編。
 近現代ものを得意とするベルギーの精鋭集団オクサリス。多くの人に知られたレパートリーで、こういう一つ頭飛び出た解釈を聴かせられる、そのことこそ腕前の証左にほかならない。リーダー格のトーン・フレットのフルートは、うっすらトラヴェルソ的なフレーズ感で、きれいにまっすぐ音が伸びる、なんとも聴き心地のよい歌い口。弦楽器奏者たちのフレージングも、極端でなしにピリオド奏法のテイストを採り入れている(実際、メンバーほぼ全員がピリオド楽器経験あり)。「フルート嫌いのモーツァルト」が残した異色の4名作、こんな演奏で最初に聴きたかった...。
 嬉しいことに、作曲家晩年の至宝・あのクラリネット五重奏曲まで併録されている。クラリネットのルフェーヴルも、のびやかにして透明感ある吹き口。各作品に期待されるものを満たしてあまりある、好感度120%の充実アルバム。
ブリテン:
 目覚めよ/少年の声のための3つの二部構成の歌曲集/
 金曜日の午後 Op.7/ユニゾンの歌とピアノのための12の歌/
 オペラ(ヴォードビル)「黄金の虚栄」Op.78
デニス・メニエ指揮
モネ少年cho.
ブルーノ・クラッベ(P)
 モネ少年合唱団はベルギー王立歌劇場(通称モネ劇場)の少年合唱団。モネ劇場ではブリテンのオペラも上演され、「真夏の夜の夢」では少年合唱が大活躍。その副産物となったのがこのアルバム。ブリテンが少年合唱のために書いた素敵な作品を、モネ少年合唱団が素敵に歌っている。メインは、ピアノ伴奏のための「黄金の虚栄」。
J.S.バッハ&C.P.E.バッハ:
 鍵盤作品集
  〜おお、甘美なるクラヴィコード

 C.P.E.バッハ(1714-1788):
  組曲 ホ短調 Wq.62-12/H.66
 J.S.バッハ(1685-1750):
  変奏付きアリア BWV989
 C.P.E.バッハ:
  ファンタジア第2番 ハ長調 Wq.59-6/H.284
 J.S.バッハ:
  ファンタジア イ短調 BWV922/
  ラウテンヴェルクのための組曲 イ短調 BWV996
 C.P.E.バッハ:
  「スペインのフォリア」による12の変奏
ジョスリーヌ・キュイエ
(クラヴィコード)
 使用楽器:エミール・ジョバン(フリーデリツィ1773年モデル)/パトリック・シュヴァリエ(フーベルト1785年モデル)。 “強烈なクラヴィコード "なんて、聴いたことない! こんなに激しく、クラヴィコードで歌い狂えるのか? 名曲と秘曲で綴る、通念を覆す至高のバッハ演奏!!
 「フォル・ジュルネ」の本拠地として知られる中仏の古都ナントで活躍する古楽アンサンブル・ストラディヴァリアの通奏低音奏者、ジョスラン・キュイエのバッハものアルバム。全編クラヴィコードだが、とにかく弾き方が絶妙にアグレッシヴ! 要所要所で爽快に激しい。
 クラヴィコードはピアノの正当な前身楽器で、チェンバロが弦を「弾く」ところ、こちらは小片で「つっつく」ことで音を得るため音量は驚異的に小さい。しかし楽器のアナログな構造ゆえ、強くキィを押すと弦をゆがめ特殊な音響効果も得られる。ジョスリーヌ・キュイエはこれを最大限に生かして表情をみごとにつけ、かつ「フォルティシモ」的な打鍵をすばらしく絶妙のタイミングで織り交ぜながら、ただでさえ感情表現の強烈な“大バッハの次男 "エマヌエルの作品の持ち味をユニークな方向に突き進ませ、「孤独と憂愁のロマン派の先駆け」的に鬱々とした美を追求するタイプの演奏とは一線を画した、「フランスの」「女性」ゆえにか?と思われる独特の境地を体現しているのだ! エマヌエル・バッハ作品がそんな感じゆえか、交互に現れる大バッハの作品もそうした感情表出的な側面が美しく強調されていて、なんとも聴き応えある、およそクラヴィコード゙らしからぬ絶品解釈が打ち出されている。「何はともあれ聴いて欲しい」としか言いようがない。
アリス・アデールのフランク
 フランク:
  前奏曲、フーガと変奏曲
   (原曲:オルガン)/
  前奏曲、コラールとフーガ/
  ピアノ五重奏曲(*)
アリス・アデール(P)
アンサンブル・アデール(*)
 録音:2002年2月3日-6日。ロマン派とフランス近現代の比類なき解釈者、磨き抜かれた音楽性は、フランクにこそ相応しいフランス批評諸誌大絶賛。遺憾なき音楽性の発露!
 ピアノ音楽ファン垂涎の名手、アリス・アデールの存在は、Fuga Liberaレーベルの品格をぐいっと上げているのではないだろうか? ちょっと聴いた感じではさらさらと流れてゆく心地よいピアノのようなのに、いったん耳をそばだてたが最後、的確な構築感と揺るぎない音楽性の“かすかなゆらぎ "のようなものにグイグイと引き込まれてゆく…そのあたりは、フランス近代音楽好きのピアノ音楽ファンならいやというほどご存知だろう。まったくもって稀代の名手なのだ。
 メシアン、エルサン…とフランス近現代の名盤多数な一方、ドイツ・ロマン派においてもユニークな解釈を聴かせる知性派アデールだけに、その双方のセンスなくしては面白味の出ないフランクの作品集はまさに適任中の適任。曲本来の持ち味を生かしながら聴き手を惹きつけるのは至難の業!なフランク晩年のピアノ中篇2曲に、理想的ともいえる距離感をとってアプローチ(入れ込みすぎず、遠ざからず…)、内実豊かにして魅力あふれるトラックにしてしまうその腕前に蓋し脱帽!そしてプログラムの中核を占めるのは「中期の最後」あたりに残されたフランクきっての充実室内楽、これはもう、フランス音楽好き必聴!といったところで、40分近い演奏時間があっという間に過ぎる、隅々までインスピレーションの行き届いた稀有の名演。こんな名手たちを集めて室内楽ができるなんて、なんてうらやましい…というか、それもアデールの実力と信用のなせるわざだろう。ごらんのとおり、フランス語圏の批評家たちがこぞって激賞しているのはダテではない。フランクを聴くなら、この1枚はもはやマストかもしれない。
フォーレ:歌曲集
 五月 Op.1 No.2/川のほとりで Op.8 No.1/ゆりかご Op.23 No.1/
 墓地にて Op.51 No.2/祈り/ある日の詩 Op.21(全3曲)/
 幻の水平線 Op.118(全4曲)/やさしき歌 Op.61(全9曲)
ヤン・ファン・デル・グラッベン(Br)
インゲ・スピネッテ(P)
 1964年生まれのグラッベンは、ベルギー、ロンドンにて研鑽を積んだ実力派で、エラート、ナクソスなどにも多数録音のある人気者。彼のしっとりとしたビロードのような声はフォーレ歌曲のもつ雰囲気にぴったり。
 FUG-511 「郷愁と現実のはざまに/アンサンブル・オクサリス」 → PASSACAILLE レーベル、PAS-1017 で再発売。
 FUG-512 「ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲全集/ダネルSQ 」 → ALPHA レーベル、ALPHA-226 で再発売。
ラフマニノフ:トランスクリプション集
 ラフマニノフ編曲/
  J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ
   第3番 BWV.1006〜前奏曲、ガヴォット、ジーグ
  シューベルト:「美しき水車屋の娘」〜どこへ
  ビゼー:「アルルの女」第1組曲 〜メヌエット
  メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」〜スケルツォ
  ムソルグスキー:「ソロチンツィの市」〜ゴパック
  チャイコフスキー:「6つの歌」〜子守歌
  リムスキー=コルサコフ:
   「サルタン皇帝の物語」〜熊蜂の飛行
  クライスラー:愛の悲しみ/愛の喜び
  ラフマニノフ:6つの歌 Op.48/12の歌 Op.21
エカテリーナ・メシェーチナ(P)
 録音:2005年5月。
 ピアノの王者、ラフマニノフの作品は多々あるが、その中で異彩を放っているのが、一連のトランスクリプション作品。古今の有名曲を手がけているが、もちろん単なる編曲ではなく、ラフマニノフらしく作り変えられているので、原曲がどう変貌しているのかという興味だけでなく、純粋に音楽としてもラフマニノフの濃厚な味が楽しめる。
 エカテリーナ・メシェーチナは1978年生まれのロシアのピアニスト。1980年代の終りから1990年代にかけて数多くのコンクールで入賞、2004年のアメリカ合衆国国際ピアノコンクールで優勝した。既に大変に完成されたピアニストで、世界中を飛び回っている。日本でもこれから人気に火がつく人でしょう、と輸入元は太鼓判。
G.M.ボノンチーニ&パーセル:3声のソナタ集
 ジョヴァンニ・マリア・ボノンチーニ(1642-78):
  「音楽の庭より、初物の果実さまざま」Op.1より
  〜ソナタ第4・5・6・8番(1666)/
  「ソナタ・ダ・カメラとバッロ集」Op.2より
  〜バレット第11番(1667)/
  「音楽の庭より果実さまざま、または2、3、4声
   の室内ソナタ集」Op.3より〜ソナタ第17番(1669)/
  「3つまたは4つの楽器のための楽曲集」Op.9より
  〜ソナタ第1・3・5・9番(1675)
 ヘンリー・パーセル(1659-95):
  「12曲からなる3声のソナタ集」より
 〜ソナタ第1・2・6・9・11・12番(1682)
ヤープ・シュレーダー
 (バロック・Vn)
アルカディア・プレイヤーズ
 (ピリオド楽器使用)
 ボノンチーニ、お父さんも負けてはいない。これだけ本気の演奏あればこそ、その事実は初めてちゃんと伝わる。なにしろ演奏は大御所シュレーダー御大。コレッリ登場の直前と直後で、同じイタリアと遠い英国に花開いたトリオ芸術の美を堪能。
 G.B.ボノンチーニの生まれたモデナという街は、実はコレッリが活躍したボローニャやローマと並ぶ、ヴィヴァルディらヴェネツィア楽派台頭以前のイタリア器楽のメッカのひとつ。彼はそこで稀代のヴァイオリン芸術家の息子として生まれ、華々しいキャリアを歩むわけだが、その父親のほうの作品は、演奏時間の短い曲ばかりのせいか、きちんと傾聴されうる録音になかなか恵まれない。実はこの父ボノンチーニは、ウッチェリーニやストラデッラら「中期バロック」のイタリア器楽作家たちと、後期バロックの大家コレッリとの間をつなぐ貴重な世代の偉人で、コレッリに先駆けてトリオ・ソナタ形式を発展させた重要人物のひとり。彼やトレッリのおかげで、北西イタリアはナポリやヴェネツィアより数段先駆けた器楽先進地であり続けた。嬉しいことに、本盤の演奏者はレオンハルトやアーノンクールと古楽復興を盛り上げた大御所、J.シュレーダー。絹糸のようにきめ細かいガットの美音はまさに彼だけの境地、軽微に聞き流されかねない小品の細部に潜む和声や装飾の機微を、一つ残さず傾聴させる至高の解釈に唸らざるを得ない。
 併録されたパーセルのトリオ群は、逆にコレッリ直後、その影響が理想的に昇華された作例・・・こちらも意外に録音されない穴場的レパートリーだが、英国的な“ふしぎさ "を押さえつつ、みごとイタリア風の鮮烈なコントラストも打ち出す周到さは圧巻。北米東海岸古楽界の粋を集めた絶妙の通奏低音陣とあいまって、良いバロック・ヴァイオリン聴覚体験が詰まった1枚。
フアン・クリソストモ・アリアーガ(1806-1826):
 声楽のための作品集

 おお、救いのいけにえよ/スターバト・マーテル/
 オイディプス王のアリア(ニコラ・フランソワ・ギヤール詩)/
 エルミニ/メデーのアリア(オペラのアリア)/
 「オロールおばさん」より二重唱/砂漠のハガルとイシュマエル
ビオレト・セレナ・
 ノールドゥイン(S)
ロベルト・ゲッチェル(T)
ミカエル・ステンベーク(T)
フベルト・クレッセンズ(B−Br)
ブリユク・ヴァテレ(ボーイS)
パウル・ドンブレヒト指揮
イル・フォンダメント
 世界初録音。ピリオド楽器使用。
 2006年は、20歳の誕生日を目前にして亡くなったスペイン出身の夭折の天才作曲家、アリアーガの生誕200年(没後180年)にあたる。アリアーガはスペインのビルバオに生まれ、15歳の時に音楽をさらに深く学ぶためパリへ赴いた。音楽院できわめて優秀な成績を修めていたが、20歳の誕生日を目前にして突然死してしまった。その短い生涯、さらに誕生日も50年を隔ててモーツァルトと同じ1月27日であることなどから、「スペインのモーツァルト」と評されることもある。
 アリアーガの交響曲や弦楽四重奏曲の録音は多数あるが、声楽作品はおそらくこれまで皆無だったといって良いだろう。これは、FUGA LIBERA レーベルがアリアーガの子孫らの協力を得、研究者らとともに未出版の楽譜を発掘、世界初録音の運びとなったもの。1曲目と2曲目は、アリアーガがただ2つ遺した宗教声楽作品。2曲目のスターバト・マーテルは15歳の時に作曲されたもので、ケルビーニに献呈されている。他の声楽作品は、すべてアリアーガの生涯最後の数ヶ月の間に書かれ、どれも血がしたたりそうなほど鮮烈かつ美しい響きで、シンプルながらも心に響く美しい作品ばかり。
 FUG-516 「大地の歌」室内楽編曲盤  → PASSACAILLE レーベル、PAS-1066 で再発売。
ショスタコーヴィチ:
 ピアノソナタ第2番/24の前奏曲集
プラメナ・マンゴヴァ(P)
 さらさらと流れてじわりと効く、奥の深いピアニズム。大作2編で、ショスタコーヴィチを端麗に切り取ったがっちり本格的にして柔軟な、この充実録音!
 ブルガリアのソフィア出身、エル=バシャの弟子で1980年生まれながら、すでにヴァディム・レーピン、イザイ四重奏団、オーギュスタン・デュメイ、ナターリャ・グートマン、テレサ・ベルガンサ…と国際的な名手たちとどんどん共演を重ね、トゥーレック、ヴィルサラーゼ、バシキーロフ、シフ、メナハム・プレスラー…と世界の巨匠たちに教えを乞うてきた気鋭の名手、プラメナ・マンゴヴァ。モネ劇場のコンサートマスター、タチヤーナ・サムイルとプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ全集(CYPRES MCYP-1646)でもぴりっとした演奏を聴かせていた彼女が、ベルギーの名門エリザベート音楽院のホープ・デビューシリーズ第1弾としてソロ録音したのは、アシュケナージの録音以来それほど新録音が出てこないショスタコーヴィチのピアノ・ソナタ第2番。 端麗にして柔らかな独特のタッチを武器に、その音楽はあくまで柔軟にして知的、ガツンガツンと叩きつけたりせず、かといって柔和な繊細さとも少し違う、さらっとしているのに、ずっと聴いているとズブズブ深い世界に引きずり込まれてゆく…独特の魅力は女性ならではなのだろうか、それとも彼女の音楽性そのものだろうか?
 曲目は上述の大作ソナタ(1943年の静養中に書かれた曲)と、その10年前の記念碑的曲集「24の前奏曲」からなり、ピアニストとしてのショスタコーヴィチを印象づけるアルバム内容にもなっている。叩きつけるピアニズムでも、醒めきって皮相に徹するでもなく、淡々と、とほうもなく澄み切った音色で連ねられてゆく音楽にただよう、この底知れぬ知的感性のゆらぎ…何度も聴き確かめたくなる一枚。マンゴヴァがベルギーで急に注目されはじめたのも頷けるだろう。
ジョセフ・ジョンゲン(ヨンゲン;1873-1953):
 室内楽作品集

 ピアノ三重奏曲 ロ短調 Op.10 (1896/7)(*)/
 ヴァイオリンとピアノのための
  水彩画 Op.59(1918)(#)/
 ピアノ三重奏のための2つの小品 Op.95(1931)(*)
アンサンブル・
 ジョセフ・ジョンゲン
[エリオット・ローソン(Vn)
 マルク・
  ドゥロビンスキー(Vc)
 ディアヌ・アンデルセン(P)]
 録音:2006年4月(*)/2006年6月(#)。
 近代ベルギーを代表する作曲家でありながら、なぜか日本では知られざる存在に留まっていたジョンゲン(ヨンゲンとドイツ風に表記されている場合が多い)の魅力が一聴してわかるお薦めの1枚。初期のOp.10では美しい旋律の魅力は認められるにせよ、まだ故国の偉大な先輩フランクのエピゴーネンという印象だが、「水彩画」やピアノ三重奏曲のための2つの小品に至るとこれはもう唖然とするほかない。同時代の偉大なフォーレやドビュッシー、ラヴェルに伍してまったく遜色を感じさせない高みに達した作曲家が、いくら時代の波からは幾らかずれていたとはいえ「知られざる大作曲家」に落ち着いてしまっているのは不思議というほかない。もっとも本国ベルギーでは再評価が著しく次々と新しい録音が登場している。ここで演奏しているジョンゲンの名を冠したアンサンブルはアンデルセン女史を中心として2002年に結成された新しい団体だが、気品と音色の点で作品にとてもフィットした演奏を行っている。
組曲のエスプリ(精神)
 マレ/ムクレ&S.ハリンク編:
  組曲「昔のフランスの古い踊り」
 ストラヴィンスキー/
  ピアティゴルスキー&S.ハリンク編):
   チェロとピアノのための「イタリア組曲」
 トゥルニエ:「イマージュ」第4組曲
  [魔法の鳥籠/雪の中でなる鐘/ロシア農民の踊り]
 ファリャ/マレシャル&S.ハリンク編:
  スペイン民謡組曲 より(第2曲を除く6曲)
  [ムーア人の衣装/アストゥリアス地方の歌/
   ホタ/子守歌/うた/ポーロ]
デュオ・ハリンク
[ソフィー・ハリンク(Hp)
 マリー・ハリンク(Vc)]
 ソフィーとマリーのハリンク姉妹の伸びやかで緻密なハープとチェロのアンサンブルが上質な時の流れを約束してくれるアルバム。17、18世紀のマレと、20世紀の作曲家の作品が収められているが、不思議なほど違和感がないのはストラヴィンスキーの作品が「プルチネッラ」の室内楽版であることと、その他の曲も穏やかな作風のものが集められているからだろう。ベルギー楽壇で最も将来を嘱望されているチェリストのマリーと、ハーピストの枠を超え「音楽家」として活躍の場を広げているソフィーの、素晴らしい実力を窺い知ることができる注目の一枚。
テレマン:クリスマス・カンタータ集
 待降節第1日のカンタータ TWV1:1174
  「今ぞ来たれ、異教の救い主」/
 待降節第2日のカンタータ TWV1:301
  「その日は間もなくやってくる」/
 クリスマスのカンタータ TWV1:1451
  「私たちのもとに、
   ひとりの嬰児がお生まれになった」/
 クリスマスのカンタータ TWV1:602
  「汝イエス・キリストは讃えられん」
パウル・ドンブレヒト指揮
イル・フォンダメント
グレタ・ド・レジェル、
ヨハンネット・ゾーメル(S)
ステーフ・デュハルディン(CT)
ミカエル・ステンバーク(T)
ヒュープ・クラーセンス(B)
 ピリオド楽器使用。テレマン初期のみずみずしい作風は、なんて新鮮。ティンパニとナチュラルトランペットの爽快なサウンド、バッハふうのコラールの美...“クリスマスを待つ "待降節からクリスマス本番まで、精鋭陣の後期バロック解釈は絶品。
 Fuga Liberaからもひとつ、押しも押されぬ巨匠テレマンの、ちょっと意外なクリスマス作品集をお届けする。演奏陣は名盤連発中のベルギーの精鋭集団イル・フォンダメント、しかも歌手陣は古今の偉大な古楽歌手が居並び、多彩な器楽布陣とともに豪華そのものバロック・サウンドが展開。
 巨匠テレマンはハンブルクに落ち着く前、若い頃にはダルムシュタットやアイゼナハ、ライプツィヒなどドイツ中央部のさまざまな宮廷で働いていたのはご存知の通り。ここに収録された4曲は、作曲家がフランクフルトにいながらアイゼナハの宮廷楽長をしていた頃の、初期の白眉ともいうべき教会音楽作品集『教会音楽・歌集 Geistliches Singen und Spielen』からの作品。芸達者なテレマンだけに最新イタリア風をきわめたコンチェルタンテ的作風と思いきや、意外にもコラール(賛美歌合唱)とソロのアリアが交錯するバッハのカンタータ風…がっちりドイツ朴訥系の構造というわけだが、書法はあくまでスマート、折々ティンパニやトランペットも興を添えつつ、滋味と清らかさが交錯する「聴きごたえたっぷり」な音にまとめあげる指揮者ドンブレヒトの手腕は「さすが。」の一言に尽来る。そして絶妙のソロを聴かせる独唱陣がまた素敵。来日公演でも名を上げたオランダきっての精鋭ゾーメル(公演時呼称は「ゾーマー」)の濃やかな歌もさることながら、驚くべきは、今や「大ヴェテランの名教師」だとばかり思っていたグレタ・ド・レジェル(指揮者として精力的に活躍していた頃のレオンハルトや、初期のリチェルカール・コンソートとの活躍で知られる往年の大歌手。)が、2006年録音というのにバリバリ現役、他の追従を許さぬ表現力を誇っていること。層の厚いヨーロッパ古楽シーンならではの、豪奢な1枚。
アレクサンドル・グラズノフ(1865-1936):
 ピアノ協奏曲 ヘ短調 Op.92(1911)/
 交響曲第5番 変ロ長調 Op.55(1895)
ゼーフェリン・フォン・
 エッカルトシュタイン(P)
ヴァルター・ヴェラー指揮
ベルギー国立o.
 あのヴェラー四重奏団のリーダー、伝説のウィーン・フィル首席奏者、古参名匠ヴェラーと21世紀のドイツから飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進中の超実力派エッカルトシュタイン!いま誰もが気になるグラズノフの充実作2編を、とんでもない組み合わせの超絶名演で!!
 こういうとんでもない顔ぶれのアルバムができてしまうから、Fuga Liberaという新レーベルは侮れない。玄人リスナー垂涎の的、1960年代のDECCAに名盤あまたのヴェラー四重奏団のリーダー・ヴァルター・ヴェラーがその後指揮者として、歌劇場と演奏会シーンで手堅く栄光を積み重ねてきていることはご存知のとおり。10年ほど前にはChandosで幻の「第10番」を含むベートーヴェン交響曲全集を完成させ健在ぶりを示したが、その後は英国のみならず、さらにバーゼル、シュトゥットガルト、ボローニャなどヨーロッパ方面でもキャリアを重ねている。そして2007年からは老舗ベルギー国立管の音楽監督に...その早々の成果(といっても録音は2006年以前のはず)が、このアルバムというわけ。しかも曲目は、昨今メジャーメーカーも注目のロシア晩期ロマン派の名匠、グラズノフの隠れ大曲2編!ピアノ協奏曲は殆ど録音もなかった秘曲だが、被献呈者はゴドフスキー、同郷のリヒテル御大もひそかに大絶賛していた...なんて逸話も。堂々と威容たのもしいヴィルトゥオーゾ的なソナタ楽章と、変幻自在のめくるめく交響的変奏曲からなる壮大な2楽章形式は、まさに晩期ロマンティシズムの麗しさ!かたや交響曲第5番は新古典派的構築感のなか、随所でスラヴの叙情がこぼれる忘れ難い充実作。オーケストレーションの達人グラズノフの面目躍如、聴き応え抜群の名品(昨今のセレブリエル盤との聴き比べも愉しみ!)両曲とも、ヴェラー渾身の指揮から鮮やかなパッションが迸る。対するピアニストは、なんと新世紀ドイツの風雲児エッカルトシュタイン(セヴェリン・フォン・エッカートシュタイン)!! 贅沢すぎもいいところの顔ぶれ。コンクール破りの快進撃もずいぶん前に思える、すでに堂々たる最前線奏者の風格が。名匠ヴェラーとがっちり組み合うさまは、ブラームス2番でのヨッフム&ギレリス、ベーム&バックハウスさえ髣髴させるような頼もしさ! まったくもって、硬派ユーザーの興味ど真ん中を突くような企画ではないか!
フアン・クリソストモ・デ・
 アリアーガ(1806-1826):交響曲と序曲

 序曲「幸福な奴隷たち」/序曲 Op.1/
 序曲 Op.20/交響曲 ニ短調
パウル・ドンブレヒト指揮
イル・フォンダメント
 新案内。ピリオド楽器使用。モーツァルトよりずっと若く夭逝したスペインの天才、同時代人が畏怖した末恐ろしさがここに!コンチェルト・ケルンには負けない?名楽団の面目躍如!
 「知る人ぞ知る」などという言葉は、もうアリアーガには似合わないのかもしれない。今では美食と現代アートの都市として有名な北東スペイン・バスク地方のビルバオに生まれ、僅か13歳でこのアルバムにも収録されている序曲「幸福な奴隷たち」を作曲、その驚くべき才能はパリで名ヴァイオリン奏者バイヨやフェティスといった巨匠たちに見出され、将来を嘱望されながらも僅か20歳そこそこで夭逝した、「スペインのモーツァルト」と呼ばれるこのベートーヴェンの同時代人を知る人は、今やディスク・ファンには少なくないだろうから…若々しさと鬼気せまる迫力、すばらしい叙情性に裏づけられた3曲の弦楽四重奏曲も傑作だが、まず本盤では上述の序曲のほか生前出版された2曲の序曲、そして古典派語法と初期ロマン派的スピリットが相半ばする志向の名作「交響曲 ニ短調」(現代楽器版ではロペス=コボスの往年の名盤があった)といった管弦楽作品を、なんとピリオド楽器で聴ける!スケールもまばらな同時代作品を集めたコンチェルト・ケルンのアルバム(Capriccio)とは違い、こちらは端的にアリアーガの代表作2曲を味わえるうえ、演奏と録音の充実度はまったく驚くばかり。アリアーガの天才的な構築感覚がくっきり浮かび上がるだけでなく、ピリオド楽器演奏らしいエッジの効いた解釈、ブイブイと鳴る管の迫力、細やかな弦…と文句のつけようもない。それもそのはず、演奏陣はレオンハルトやブリュッヘンの一党だった伝説の古楽オーボエ奏者ドンブレヒト率いる名団体・イル・フォンダメント。古楽大国オランダの名奏者が目白押しなのはダテじゃない。どこをとっても、作品の偉大さ、アリアーガの至高性を印象づけてやまない傑作録音なのだ。
レオ・ブローウェル(1713-51):
 ギター協奏曲第3番「悲しみの協奏曲」/
 三つの協奏的舞曲/
 ギター五重奏曲〜ギターと弦楽四重奏のための
ドゥニ・スンホ(G)
トゥルネー・シャペル・ミュジカル
 室内合奏団
フィリップ・ジェラール指揮
アルファマ四重奏団
ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-75):
 ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 Op.67(1944)/
 アレクサンドル・ブロークの詩による
  7つのロマンス Op.127(1967)
プラメナ・マンゴヴァ(P)
ナターリャ・
 プリシチェペンコ(Vn)
ゼバスティアン・クリンガー(Vc)
タチヤーナ・マリニチェンコ(S)
 『レコ芸』特選はダテじゃない、とにかくウマい、このピアニスト。豪華な共演者は アルテミスSQ創設メンバー&バイエルン放送so.首席チェロ。個性はぶつかり、調和する。歌曲伴奏もお手のもの。息をのむ静けさから強烈なアクセントまで、興奮必至の11トラック!
 ブルガリア期待の星、若き俊英プラメナ・マンゴヴァによるショスタコーヴィチのピアノ・ソナタと『24の前奏曲』のアルバム(MFUG-517)は立派な表現力を誇る名盤で、『レコ芸』特選に輝いた。この盤、実はフランスでも意外と出し渋られるレビュー賞のひとつ「ディアパゾン・ドール」をみごと獲得している。その勢いを逃すなかれ!とレーベル主催者が思ったか思わなかったか、今度は同じピアニストの次なる新譜。ピアノ・トリオと連作歌曲で、負けじと劣らず強烈な音楽性を持った弦楽器奏者たち&スラヴ的美質全開の歌手と見事なアンサンサンブルを聴かせる。プロコフィエフのVnソナタ盤(MCYP-1646)といい、近代ロシアの室内楽が確かに彼女にはしっくりくる。
 大作トリオでは「あの」アルテミス四重奏団の創設メンバーたるプリシチェペンコ(Vn)、現ヤンソンス時代のバイエルン放送so.で首席チェロを勤めるクリンガーという「濃い」共演者たちと個性をぶつけ合い、息をのむ静謐な瞬間も容赦ない強音の応酬もみごと曲のドラマ的構成のうちに織り込んで、これぞショスタコーヴィチ室内楽!と唸らずにはおれない至高の絶演を繰り広げる。交響曲よりも端的な極小編成ゆえ曲の輪郭がはっきり際立つ中期の傑作、その魅力炸裂!いっぽう連作ロマンス集『ブロークの…』は故・ロストロポーヴィチが「妻ガリーナとチェロで共演できる曲を」とショスタコーヴィチにもちかけて書かれ、結果ピアノ・トリオで伴奏する形になった曲集。歌い手はウクライナ出身スペイン在住、アルフレード・クラウス門下というが、自然にかかる神経質なヴィブラートはどこか大時代ソ連系歌手にも通じるような魅力があり、ショスタコーヴィチには珍しい叙情美優先的な曲の良さをめいっぱい引き出す。そして伴奏陣のトリオ…この美しい歌の後ろで、さりげなく凄い音楽を奏でる。じっくり聴き極めたい。
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):
 全死者のためのノットゥルノ(全3部)
ニコラ・フィオレンツァ(1726頃-1764):
 2挺のヴァイオリンと通奏低音のための
  シンフォニア ヘ短調/
 オブリガート・チェロ、2挺のヴァイオリンと
  通奏低音のためのシンフォニア ヘ長調
アンサンブル・ドルチェ・
 エ・テンペスタ
モニカ・ピッチニーニ(S)
ロミーナ・バッソ(A)
 新案内。ピリオド楽器使用。ストレートに情感をあらわす古楽歌唱のまっすぐさ、弦の重なりから滴り落ちるような美質。甘みと酸味をたっぷり含んだ南イタリアのトマトのように、あらがいようのないうつくしさ。ヘンデルの仇敵にしてハイドンの師匠、前古典派のナポリ野郎。圧倒的な古楽解釈!
 最近になって注目されはじめたポルポラの、あまり知られていない「ロンドン以降」の時代の秘曲。ポルポラといえば晩年のハンガリー時代には若造ハイドンをパワハラでいじめぬき、ロンドンではヘンデルの偉大さを前にほうほうの態で逃げ出したとか、そして映画「カストラート」ではいわれのない薄毛頭をさらして妙な芸術家像を作られてしまった悲しき名匠…そんな印象ばかりだが、音楽ファンなら、まずはその音楽を聴いてから判断していただきたいもの。そう、古楽ファンと音楽史家にはもう常識というか、ポルポラの声楽曲はまったくハズレなし!の美しさ。ペルゴレージの情感ゆたかさとヨンメッリの歌心をあわせたような、バロック後期〜前古典派独特のうつくしくあやうい音楽は、耳にすればたちまち魅了されること請けあい。しかも本盤、同郷のイタリア人歌手ふたりがすっきり&情感ゆたかな志向の解釈を聴かせ、経験豊かな器楽陣も一音一音ウマいどころの騒ぎではなく。合間にはさまったフィオレンツァなる作曲家のトリオやチェロ協奏曲ふうシンフォニアも、ピリオド楽器の純粋器楽アンサンブルがどこまでも美しく、残暑にぴったりの名アルバム!
 #既に入手不能となっている可能性があります。
ローベルト・シューマン(1810-56):
 三つのロマンス Op.28
 ピアノ・ソナタ第1番 嬰ヘ短調/子供の情景 Op.15
ミロシュ・ポポヴィチ(P)
 ネマーニャ・ラドゥロヴィチにつづくセルビアの“恐るべき天才児 "。冷徹なまでの技巧の冴えは今更いうまでもなく、自由自在にそれを操る腕前がたまらない。秘作には生命を、有名作品には静かな驚きを。先々まで楽しみな逸材、静かにデビュー!
 ベルギー歴戦の敏腕プロデューサーたる Fuga Libera 主宰者が「こいつはすごいよ、化けるよ」と胸を張って売り出してきたセルビアの新人ピアニスト、いきなりシューマンでデビュー。冷徹なまでに全体を見据えたうえで、東欧的・バルカン的・異国的な底知れなさを感じさせながら、冴えわたりまくった隙のない技巧で抑揚豊かに織り上げてゆくシューマン世界の、なんと堅固なこと。プログラムも渋いところ+超有名曲という気になる構成で、絵本のようなジャケットとあいまって、シューマン通も一般ユーザーもひとしく魅了してくれそう。
 19世紀的な組み立て方からすればソナタが大トリになりそうなものを、わざわざ逆に「子供の情景」の前にもってくるあたりなかなか確信犯的なやり口だが、じっさい演奏内容も真正面からシューマンとぶつかって、みごとに形にしてしまっているから恐れ入る。ピアノ曲しか書かなかった時期の最後のあたりに書かれた「三つのロマンス」でまずシューマンお得意の三部構成を印象づけ、ど真ん中で大曲ソナタをがっつり堪能させ、最後にじっくり、「子供の情景」の独自的解釈を味あわせる、という仕組み。モグレフスキ[代理店ママ/カデンツァ注:モギレフスキーの事だろうか?]とエル=バシャが彼の師匠というが、とくに後者のセンスに相通じるものがありそうだ。
フランツ・シューベルト(1797-1828):
 アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D.821/
 弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956
パウル・バドゥラ=スコダ(Fp)
ロザムンデSQ
 ピリオド楽器使用。とんでもなく豪華なメンバーで、極上の音楽性で、シューベルト室内楽の二大名曲を。アルペジオーネをこんなに綺麗な演奏で聴けるとは、しかもフォルテピアノは「あの巨匠」…幽玄と精悍のはざまを行く五重奏曲も絶品。ウィーンの伝統とフランス語圏の繊細の交錯。
 快進撃の止まぬロザムンデ四重奏団に、人気緩まぬ巨匠バドゥラ=スコダ、そして玄妙なるアルペジオーネのうらさびしい響きで綴られる、あの傑作ソナタ、これはもう何を申すまでもない強力アイテム。ウィーンの長老バドゥラ=スコダは最晩年のベートーヴェンが愛奏していたというグラーフ社のフォルテピアノに向かい、絶妙の繊細さと呼吸感でぽつ、ぽつと語りほぐしてゆくイントロに続き、あの有名なフレーズが「代用楽器」のチェロではなく、シューベルトが意図したとおりのアルペジオーネの音色で流れ出す…くぐもった響きがなんとも魅力的な、寒い季節にぴったりの音色のこの楽器は、ギターを縦にして弓で弾くような感じのもの。音楽界には定着せず廃れ、シューベルトの残したこの至高の一曲にのみ形跡を残したわけだが、弾きこなすのは至難の業のようで「試しに弾いてみたら、何で誰もあえて使わないか分かった」と嘯いたのはロストロポーヴィチだったかビルスマだったか。でも本盤を聴けば、なるほどシューベルトがこれほどの名曲を捧げたのも納得と思うはず。J.ゴリツキ、W.クイケン、P.ウィスペルウェイとそれぞれに「使用楽器にはうるさい」名手らに師事してきたベルギーの気鋭奏者ドルターユが、楽器の持ち味と曲の美しさを最大限に引き出し、グラーフ・ピアノの典雅な音色と忘れがたい協和を聴かせ、最後の一音まで聴き手を魅了してやまない。そして後半ではモダーン・チェロを手に、あの最晩年の一大傑作『弦楽五重奏曲』を・・・あの超一流団体・ロザムンデ四重奏団との共演で聴かせてくれるの曲冒頭からいきなり只者ならぬ玄妙な響き、そして精悍な勢いと絶美の静けさとがダイナミックに交錯する「明らかに超一流」な音楽作り演奏者の知名度がかもし出す「名演の予感」を更にかるく上回る、玄人筋も感涙ものの名盤ここに。
ベートーヴェン(1770-1827):
 サリエリの歌劇「ファルスタッフ」からの
  主題による変奏曲 WoO.73/
 ピアノ・ソナタ第23番 Op.57「熱情」/
 6つのバガテル Op.126
プラメナ・マンゴヴァ(P)
 「フォル・ジュルネ2008」の大・注目株による、ベスト・タイミングで新譜をリリース。コンサート演目含むベートーヴェン、しかも解釈がまたとんでもなくユニーク。初期・中期・晩期それぞれから1曲ずつ、近現代を得意とする独特のセンスで切り取った!!
 2008年5月、東京フォーラムの『フォル・ジュルネ・オ・ジャポン』にとんでもないピアニストがやって来る。その名もプラメナ・マンゴヴァ(公式ガイドブックでは「マンゴーヴァ」)、さきにリリースされたショスタコーヴィチのソナタ第2番&「24の前奏曲」(MFUG-517)は点の辛いフランスの批評誌「DIAPASON」から金賞を獲得したうえ「レコード芸術」誌上でも特選。Fuga Libera 主宰者のミシェル・ストッケム氏も大いに惚れ込んでいるようだが、活躍地ベルギーでは一2007年から去年にかけて大ブレイクしたアーティスト。アルテミスSQのヴァイオリニストとバイエルン放送so.の首席チェリストを迎えて録音したショスタコーヴィチのトリオ第2番(MFUG-525)もかなりの出来だったが、第3弾アルバムは「近現代通」が、いきなり「古典」に立ち戻ってのベートーヴェン。 しかも「初期作品」・「中期の超・王道名曲」・「晩年の玄人好み充実作」と、有名曲2+秘曲1という素敵なバランスで、彼女ならではのベートーヴェン像を端的に伝えてくれる。その解釈がこれまたユニーク&エキサイティングで。「熱情」ではぬらりと遅めの異様なテンポ設定、熟考しながら弾き進めるような展開はどこへ行くとも知れず、パラパラとした独特のタッチを次々と追わずにはおれない得体の知れない魅力たっぷり。「バガテル」も6曲それぞれに普通には終わらず、誰にも似ていない? アーノンクール的不思議世界を構築してゆく。冒頭の変奏曲も、この曲を聴くのが初めてでなくとも「知らない曲?異版?」と錯覚してしまうのでは。益々先が楽しみな逸材。
ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959):
 交響曲第4番 H.305
 大管弦楽のための三部作『版画』H.369
 歌劇『三つの願い』より「別離」H.175A
ヴァルター・ヴェラー指揮
ベルギー国立o.
 巨匠ヴェラーまたもや登場なんと堂々たる風格、なんと周到な設計、そしてなんと味わいあるベルギー勢の管と弦...迫力満点、魅力たっぷり、チェコ近代の巨匠マルティヌーの「フランスっぽさ」を如実に印象づける注目の新録音
 マルティヌーといえば、チェコ近代が誇るユニークな才能の持ち主。おおむねドイツ語圏で修業したヤナーチェクやドヴォルザークなど同郷の先人たちとは違い、彼は作曲修業をはじめた頃にひとしきりフランス音楽にかぶれたクチでして。それもそのはず、何しろ彼は1890年生まれから、若い頃にはちょうどドビュッシーらのフランス新音楽が世界的に注目されていた頃だったわけで...と、そんなことを想起せずにはおれない繊細至極&闊達強烈な(いや、まさにそんな感じなん)新しい名録音が登場2007年シーズンよりブリュッセルの名門・ベルギー国立o.の音楽監督に就任した、あの往年のヴェラー四重奏団のトップ奏者ヴァルター・ヴェラーによる「交響曲第4番」を中心としたアルバムである。彼の作る音楽の、まあ力強いこと力強いこと 知性派豪腕といった感じで、ベルギー国立管のメンバーそれぞれが持つ達者な腕前をみごと統制して、スケール豊かな音楽でうむを言わさず感動させる…といった感じ。ヴェラーの故郷ウィーンがマルティヌーの祖国チェコに近いから、というような親近感より、むしろウィーンで鍛え上げられた世界的巨匠が、フランス風でもあるベルギーのオーケストラでマルティヌーの国際感覚を浮き彫りにしてゆく感じかと。スケルツォでは歯切れ良くピアノも入る「交響曲第4番」の壮大さ、ジャズ&フランス音楽の風味も感じられる初期作品「別離」、そして最晩年の新印象主義的大作『版画』…どれをとっても最高にクリスピー&インテンス
 Fuga Liberaの常どおり録音も秀逸で、どーんと広がりある交響空間が現出。そのあたりでも快さバツグン、マルティヌーの管弦楽もの入門にもなかなか好適な、ハイクオリティな1枚。
アルフレート・シュニトケ(1934-1998):
 ピアノと弦楽合奏のための協奏曲 Op.136/
 ひとつの和声上の変奏曲 Op.39(P独奏)/
 即興とフーガ Op.38(P独奏)
ヴィクトリア・リュビツカヤ(P)
マルク・ゴレンシテイン指揮
ロシア国立so.
 モスクワ音楽院の伝統をひく名手が、「21世紀の新しいシュニトケ像」を圧倒的な求心力でつむぎだす。宝玉のように輝き匂いたつピアノの美音を、スヴェトラーノフの衣鉢をつぐ名門楽団&気鋭指揮者が、重層な弦の大波で迎える。
 シュニトケが亡くなってから、もう10年の歳月が過ぎ去ってしまった。歿後10年にあたる2008年が終わる前に、FugaLiberaから、モスクワ最前線をゆく名手&名指揮者によるクールな1作が登場。
 ドイツ系ソ連人として生まれ、冷戦から雪解けへの時期におけるロシアきっての前衛作曲家として、東西両陣営の多くの人々を熱狂させてきたシュニトケの作品群は、バルトークやショスタコーヴィチらのような近代的明確さと迫力、ペルトやタヴナーにも相通じる比類ない詩情、バロック的・古典的なスタイルのうまい採り入れ方などによって、21世紀以降もなお異例なまでに広い聴衆を獲得しつづけている。歿後10年を経た今でもこうして新録音が出てくるわけで、20世紀最後のユニヴァーサルな大作曲家として、その名は今後も歴史に刻まれ続けてゆくのだろう。
 ここで録音されているのも、決して初録音というわけではない1979年のピアノ協奏曲。しかしどうだろう、その演奏結果の瑞々しさ。 壮麗・重層な弦楽合奏の波をくぐるようにして、ひとつひとつが宝玉のような美を秘めた、ニュアンス豊かな音符を結晶させてゆくピアノ。ふたつの感性はぶつかりあい、対話をかわし、やがてひとつに溶け合ってゆく…作品構造をよく咀嚼したうえで、ひとつの新境地がここに打ち出されている。ゴージャスな弦楽サウンドの紡ぎ手は、巨人スヴェトラーノフと幾多の名演を残してきたモスクワ国立響の弦楽セクション。率いるはスヴェトラーノフの後任として、2002年から長年にわたり同楽団の監督でありつづけている名匠ゴレシテイン。 スケールの雄大さ、渋ーい音色の味わい、いずれもロシア好きにはたまらない響きではないだろうか。対するピアニストは、モスクワ音楽院直系の新世代奏者リュビツカヤ。おそらくこれがデビュー盤のようだが、ドミトリー・リスやアレクサンドル・ルーディンら「ロシアの国際派新世代」たる気鋭指揮者たちが彼女を共演者に選んでいることからも「将来嘱望されっぷり」は推して知れようというもの。2曲のソロでも強烈な求心力をほとばしらせ、作品の面白さを印象づけてみせるあたり(シュニトケで、よ?)只者じゃない将来性を感じさせる。これぞ21世紀のシュニトケ像、必聴。
ゴールトベルクの幽霊
 J.S.バッハ「ゴールトベルク変奏曲」をめぐって

 バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」より
 [アリア/第3、6、9、12、15、18、21、24、27、
  30変奏(九つのカノン)/アリア・ダ・カーポ]
 ガース・ノックス:「ゴールドベルクの幽霊」
 マルセル・ロイター:「間奏曲」/「砂漠/森」
 ブリス・ポゼ:「四つの変奏曲」
 トン・ド・クライフ:「変容 I&II」
 ベルナール・ストリュベール:
  「ホットバーグ・ストーリーズ」
ユナイテッド・
 インストゥルメンツ・オヴ・
 リュシラン
 注目必至ヴィオラとヴィオラ・ダモーレの鬼才奏者ガース・ノックスが仕掛ける、バッハの名曲にまつわるスタイリッシュなコンテンポラリー・アルバム。オリジナルとヴァリエーション、ピリオド楽器と現代楽器が織りなす意外なコラボレーション
 「バッハにもとづく」系のアルバムだが、アプローチはヴィヴラフォン盤(GRML-98794)とはだいぶ違い、ぐっと知的な感じ。全クラシック中でも屈指の人気を誇「ゴールトベルク変奏曲」をベースに、現代作曲家たちがヴィオラ・ダモーレやチェンバロなどピリオド楽器も交えて時にアンビエント、時にインテリっぽく絡むのだが、これがまた何ともユニークな聴覚体験に
 最初と最後のアリアはそのまま演奏され(冒頭のアリアはオーセンティックにチェンバロ・ソロで)、原曲で3変奏ごとに現れるカノン楽章もそのまま演奏され(シトコヴェツキー版の弦楽三重奏だが、音楽そのものはいじられてません)、そのあいだを埋めるようにして新作楽曲が置かれてゆく...ヴィオラ・ダモーレもこなすヴィオラ即興演奏の達人ガース・ノックスをはじめ、フランスやルクセンブルクの現代作曲家たちの綴る音楽はみな、小規模室内楽の楽器ひとつひとつの音を大事にした佳品ぞろい(とくに、ヴィオラ・ダモーレとマリンバのデュオによるノックスの表題作がなんとも心地好い)、微妙に原曲につながっているような、しかしバロックとは全く違う響きがバッハ音楽のあいだに挟まっているこの感触、クセになる。原曲にまつわる逸話どおり睡眠導入にするも良し(つまり「聴きやすさ」「心地よさ」の点で心配なし・ということ)、原曲と新作との関連をじっくり探るも良し。演奏陣はルクセンブルクの気鋭団体、現代音楽グループだけあって全員が腕達者。絶妙の呼吸感で聴く弦楽三重奏版バッハだけでも本盤を聴く理由にはなると思うが、マリンバ、サックス、クラリネット、フルート・・・それぞれ聴かせどころがあり。どうぞご注目を。
ベンジャミン・ブリテン(1913-1976):
 ブリッジの主題による変奏曲 Op.10/
 ラクリメ(涙)〜
  ダウランドの或る歌について思うこと Op.48a/
 弦楽合奏による二つの肖像/
 シンプル・シンフォニー Op.4
ローラン・ケネル指揮
ヨーロピアン・カメラータ
ジャン=ポール・ミナリ=ベラ
 (アルペジーナ)
 精鋭ぞろいのスーパー弦楽集団、腕前を最大限に発揮。あの傑作はじめ、英国近代の「お国芸」弦楽オーケストラの面白さがきわだつ名品さまざま。ルネサンス風や異色楽器の利用など、誰しも楽しめるブリテンの魅力を端的に凝縮。
 わかればわかるほど面白くてたまらないのが、近代以降の弦楽オーケストラもの。そしてご存知のとおり、このジャンルにおそらく一番強いのが20世紀(はじめからおわりまで)の英国だろう。古くはエルガーやホルスト、さらにウォーロック、ヴォーン・ウィリアムズ、ブリッジ、バターワース、フィンジ、バークリー父子… 12〜20人程度の弦楽合奏のための忘れがたい名曲を書いた英国人作曲家は枚挙に暇がないわけだが、実は20世紀英国最大の作曲家ブリテンも、このジャンルに一家言ある巨匠。本盤のヨーロピアン・カメラータは、20年くらい前にアバド指揮でベルリオーなどを録音していたECユースo.のメンバーたちが再結成したグループ。今回の録音では6-5-3-3-2の19人編成で、フランス語圏、イタリア語圏、英国などの気鋭奏者たちのアンサンブルは一糸乱れぬ揃いよう、さながら拡大された弦楽四重奏といった有機性を保ちつつもスマート&クールに機能的、じわじわ心に響くストレートな美音の重なりは明らかに非・英語圏的。現代音楽も古楽奏法もイケそうな大陸気鋭系、21世紀のユニヴァーサルな上質弦楽。英国楽壇のルネサンス・コンプレックスのなかで育ったブリテンだけに、ダウランドにインスパイアされた曲も1編あり。そのヴィオラ・ソロを異色楽器アルペジーナで、フランス国立管の首席ミナリ=ベラ(巨匠W.トランプラーの弟子)が鮮やかに仕上げている
ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770-1827):
 ピアノ、クラリネットとチェロのための
  三重奏曲 変ロ長調Op.11「街の歌」/
 ピアノ、クラリネットとチェロのための
  三重奏曲 変ホ長調Op.38
  (七重奏曲 Op.20の編曲版)
Ens.ケオプス
[ムヒッディン・
  デュルリュオイル(P)
 ロナルド・ヴァン・
  スパーンドンク(Cl)
 マリー・アランク(Vc)]
 マリー・アランク、ベルギー室内楽界のデキる二人とのトリオ。しかも堂々ベートーヴェン、その抜群の仕上がりは、他の追従を許さない。隆々とうたう多芸な名手3人の仕事人ぶりに、「七重奏曲」の編曲もひときわ映える。
 ヨーロッパのクラシック先進国のなかでも、とりわけすぐれた室内楽奏者を次から次へと輩出しているベルギー。この国はオランダや北欧諸国と並んで、どういうわけか聴く側も弾く側も現代音楽の垣根が低いうえ、古楽復興のメッカでもあるせいか、その双方をバランスよくこなしながら、腕を磨いてゆく名手たちに事欠かないのだろう。そんなベルギー室内楽の頼もしさをビシバシ感じさせるのが、チェロ奏者マリー・アランク、古典から現代まで幅広いレパートリーを誇る百戦錬磨のクラリネット奏者スパーンドンク、長年ブリュッセルを本拠に作曲家としても活躍する多芸なトルコ人ピアニスト、デュルリュオイルらのベートーヴェン。 スパーンドンクはブーイケンス、ライスター、アントニー・ペイらの門下で育った気鋭クラリネット奏者で、ベルギーのミシェル・ライサイトやマウリツィオ・カーゲルらの信望を得て現代シーンで大活躍をみせる一方、モーツァルトやブラームスなど伝統的名レパートリーの演奏でもひとかたならぬ才能を発揮、すでにharmonia mundiやAEON、Cypresなどに名盤を連発しているほか、NAXOSのプーランク室内楽曲全集BOXにも参加、すばらしい解釈を聴かせてくれた才人。アランクはトゥルネーからブリュッセルに出て大活躍中のチェリストだが、姉ソフィー(Hp)とのデュオをはじめ数多くの室内楽アンサンブルで主要メンバーとして活躍、Cypresでもさまざまな団体と名盤を連発している。彼ら二人の実力派が、作曲家でもあるピアニストと共演して織り上げたベートーヴェン初期の2傑作(うち1作は『七重奏曲』の作曲者自身による編曲)は、トリオとしての楽曲構造を周到にふまえつつ、自由自在、しなやかな歌心で編み上げられてゆくサウンドはきわめて明晰、とくに『七重奏曲』の編曲版では原曲とは違う音の繋ぎ方などもキレイに打ち出されて。こういうのは、現代音楽で信じ難いほど多彩な表現を身につけ、あれこれやったあげくベートーヴェンに戻ってきた腕達者な連中ならではの解釈の妙、と言えるだろう。『街の歌』終楽章での伸びやかな歌心も絶品、聴き応えある極上室内楽アルバム。
 #既に入手不能となっている可能性があります。
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714-88):
 音楽通・愛好家諸氏のためのソナタ集〜
 [カンタービレ(ソナタ第3番 Wq.55より)/
  ロンド第1番 Wq.58/
  ファンタジア ヘ長調 Wq.59/
  ファンタジア 変ロ長調 Wq.61/
  ロンド第1番 ハ長調 Wq.56]/
 ソナタ イ短調/
 自由なファンタジア 嬰ヘ短調 Wq.67/
 ジルバーマン殿のピアノに別れを告げて Wq.66
ジョスリーヌ・キュイエ
(クラヴィコード)
 使用楽器:C.G.フーベルト、1785年製楽器のコピー/C.G.フリーデリツィ、1773年製楽器のコピー。「バッハとクラヴィコード」(MFUG-508)につづく、ジョスリーヌ・キュイエ待望のクラヴィコード・アルバム第2弾。ひたすら繊細、あまりに雄弁…たわむ弦、ゆれる楽想、これは“鍵盤上の静かな革命 "だ。
 『バッハとクラヴィコード』でクラヴィコードの通念を軽やかに覆してみせたジョスリーヌ・キュイエが、またもやクラヴィコードで、大変な傑作アルバムを世に問う。彼女の演奏は途方もなくエモーショナル&エキサイティングで、たとえどんな音量で聴いていようとも、「弦をつっついて音を出すため実音が信じがたいほど小さい」というクラヴィコードの根本的事実を、すぐに忘れさせてしまう。そのキュイエが愛してやまないC.P.E.バッハは、父の大バッハ同様この鍵盤楽器を愛してやまなかったことで有名な人。今回は意外と知られていない晩年の作品群を集め、この孤独な巨匠が最後にたどりついた、ひたすら深く内向的な美しさの領域へと踏み込んで行く。解説にはルソーの『孤独な散歩者の夢想』からの引用がそこかしこ、偉大な芸術家の孤高のモノローグ、といったテーマに、キュイエならではの稀有のタッチはあざやかに合する。エマヌエル・バッハ特有のあの奇妙なとらえどころのなさを、またクラヴィコードという楽器の特質を知っていても、術中にからめとられてしまう、驚異の名演。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ集
 ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 KV330(300h)/
 ピアノ・ソナタ第17番 変ロ長調 KV570/
 ピアノ・ソナタ第18番 ニ長調 KV576/
 アダージョ ロ短調 KV540
ボヤン・ヴォデニチャロフ(Fp)
 仕様楽器:ヴァルター。寺神戸亮のパートナーたる異色フォルテピアノ奏者のソロ、ついに現るこの泰然自若、さりげない弾き方でこそ、モーツァルト晩年の“枯淡の境地 "は甦るもの。強烈一辺倒のソナタ解釈に物申す、ヴァルター・ピアノを最高に美しく鳴らした名演。
 寺神戸亮がモーツァルトのヴァイオリン・ソナタを録音するにあたってパートナーに選んだブルガリア系ベルギー人のフォルテピアノ奏者、ボヤン・ヴォデニチャロフが録音したモーツァルト独奏ソナタ集は、美しく滋味深い解釈。使用楽器モデルは、晩年のモーツァルトが愛奏していたことで知られるウィーンのヴァルター。作曲家・ジャズ奏者としての顔も持つ人だけに、あえて立ちもどってきたモーツァルトの音世界に対する、いつくしむような敬意が隅々まで行きわたっているピリオド派も現代楽器派も、ビギナーも玄人も、この音楽性にぜひ触れてみていただきたい
アリャビエフ 珠玉の管弦楽作品集
〜国民楽派前夜、知られざるロシアの天才〜

 アレクサンドル・アリャビエフ(1784-1851):
  「三つの10」(または「新・二日間」)序曲/
  4本のホルンと管弦楽のためのサンフォニー第3番/
  「子持ち女はまだ若く、許婚は48歳」序曲/
  「変説者」(または「コリントの包囲」)序曲/
  ウクライナ民謡「ドナウのコサック」による変奏曲
   〜ヴァイオリンと管弦楽のための/
  管弦楽のための絵画「あらし」/
  「朝と夕べ」(または「風向きは変わりぬ」)序曲/
  「魔法の太鼓」(または「魔笛、その後に」)より
   序曲と四つの管弦楽曲抜粋
アレクサンドル・ルーディン指揮
ムジカ・ヴィーヴァ室内o.
 国民楽派の父グリンカが、ロシア音楽を土臭く塗り換えてしまう前。こんなに洗練された管弦楽語法を使いこなす天才が、貴族たちを魅了していた。引き締まった演奏は心地よさ抜群。 4本ホルンの協奏的作品も、絶妙そのもの。。
 アリャビエフの歌曲「夜啼鶯(ナイチンゲール)」は、リストやグリンカがまばゆいばかりのピアノ編曲を残しているほか、その原曲はBIS初期の忘れがたいフルート付サロン歌曲集にも入っている。その他にもトリオや歌曲など、サロン的室内楽を中心に録音されている曲もちらほらあるが、ロシア音楽史を紐解けば「国民楽派の長」グリンカ登場以前の作曲家として、前世紀のボルトニャンスキーとともに必ず名のあがる重要人物なのに一般にはここまでの作曲家。17世紀以降ひたすら「脱亜入欧」をめざし、上流階級の子弟は西に染まれ、とばかりロシア語文法より先にフランス語会話を覚え、自国語では手紙ひとつ書けなかった、しかし好物はメンチカツにボルシチ、そしてクワスと呼ばれる国民的清涼飲料...そんなちょっと憎めない19世紀前半のロシア貴族たちを魅了してやまなかったのが、このアリャビエフによる流麗な劇音楽やロマンス(歌曲)。当人もじつに魅力的な人物だったらしく、女性遍歴が恨みを買ったのか、ある日突然身に覚えのない罪状で逮捕され僻地に追放されるのだが、看守たちもことごとく彼の人間性に惚れ込んで何かと世話を焼いてくれ、地元の名士のごとく振る舞ったあげく、いつの間にかまんまとモスクワに舞い戻ってこっそり作曲を続けたとか。そうした魅力あふれる人となりが反映されたような、土臭さとは無縁、パガニーニやロッシーニにも負けぬ流麗そのものの管弦楽を愉しめるのが、このアルバム。 待望のアリャビエフ単独アルバムとして歓迎されうるのはもちろん、ロシア最先端をゆくモスクワの気鋭集団(モスクワ・ヴィルトゥオージを髣髴させる引き締まり具合。)のクールな解釈は、万人を魅了せずにはおかないだろう。ホルン4本など協奏的作品のクリスピーな魅力も、ちょっと忘れがたいもの。華麗なる序曲の連続、知られざる天才の魅力にハマって頂きたい。
 #既に入手不能となっている可能性があります。
オリヴィエ・メシアン(1908-92):
 「世の終わりのための四重奏曲」(1942)〜
 クラリネット、ヴァイオリン、チェロと
 ピアノのための
チョン・ケーヨン(1971ー):
  殺されたガジュマルの老木への追悼〜
  フルートおよび各種笛、タムタム、クラリネット、
  ヴァイオリン、チェロとピアノのための
ヘット・コレクティーフ
[ベンヤミン・
  ディールチェンス(Cl)
 ヴィベルト・アールツ(Vn)
 マルテイン・フィンク(Vc)
 トーマス・
  ディールチェンス(P)
 トーン・フレット(Fl)]
 メシアン生誕100周年。精妙というほかはない絶妙アンサンブルで、この至高の名曲をじっくり堪能 とにかく全員、べらぼうに音がきれいで雰囲気満点
 2008年は何しろメシアン生誕100周年唯一にして比類なき室内楽作品『世の終わりのための四重奏曲』(戦時下の捕虜生活のなかで1941年、音楽家仲間たちとの演奏のために書きあげられた名品)にこんな新譜が登場した。しかも、並居る既存名盤群にまったく遜色ないどころか、きわめて個性的なサウンド作りにしているのが驚き
 ヘット・コレクティーフは、音楽都市ブリュッセルきっての現代音楽集団。なにしろメンバー5人が各人とんでもないスーパープレイヤー、そのうえ信じがたいほど精妙に揃ったアンサンブルが、強烈なユニークさを打ち出してやまない。末尾に配された現代マレーシアの作曲家ケーヨンの作品は、強烈に表現主義的な音楽だが、テーマ設定がわかりやすいせいか、現代物特有の表現に知らず知らず知らず体がついていってしまう。これもメンバー全員のソリスト級な腕前のなせるわざだろう。すごい求心力の瞬間と、しっとりオーガニックな静謐の瞬間の交錯を味わいながら、つい聴き込んでしまうこと必至。メシアン作品とともに「曲の美質」が引き立つ名演
バルブホルンの歴史と傑作室内楽
 ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770-1827):
  ピアノとホルンのためのソナタ ヘ長調Op.17(*)
 フランツ・シューベルト(1797-1828):
  歌曲「川の流れに Auf dem Strom」Op.119 D.943
 カール・ラネッケ(1818-1924):
  オーボエ、ホルンとピアノのための三重奏曲 Op.188
 ローベルト・シューマン(1810-56):
  アダージョとアレグロ Op.70
 リュク・ベルジェ(1956ー):
  歌曲「星のお姫さま」(#)
リュク・ベルジェ
 (ナチュラルホルン;*/
  19世紀バルブホルン/
  フレンチホルン;#)
ヤン・ミヒールス、
イング・スピネット
(1808年シュトライヒャーP、
 1861年ベヒシュタインP)
マルセル・ポンセール
(ウィーン式Ob)
イヴ・サーレンス(T)
 なんと19世紀の古いバルブホルンをヘレヴェッヘのシャンゼリゼ管やマーラー室内管で鳴らした腕利きナチュラルホルン奏者がたくみに、わかりやすく、そして滋味ぶかく吹く…ピアノも順調、名手ポンセールも参加。
 「さまよえるオランダ人」(1843)やブラームスのホルン三重奏曲(1865)でも大活躍しているように、ホルンは意外と最近までナチュラルホルンのほうが主流だった。しかし実は、近代式のバルブつきホルンも19世紀初頭に開発されていて、ただナチュラルホルン全盛に押されてなかなか多数派にはなりにくかった、というのが実情らしい。そこで、うまい奏者が吹けば、古いバルブ付ホルンが19世紀ロマン派の音楽にもしっくりくるという事実をまざまざと印象づけてくれるアルバムの登場。独奏をつとめるリュク・ベルジェは1959年生まれの大ヴェテラン。なにしろヘレヴェッヘのシャンゼリゼ管、ミンコフスキ率いるマーラー室内管などのホルン・セクションを支えてきた大御所だけに、ナチュラルホルン、19世紀末製の2種のバルブホルン、そして現代のフレンチホルンと、いずれの楽器にもしっくり合わせるブロウは滋味ぶかいことこの上なし、現代楽器よりも渋く、ナチュラル楽器よりも奥深い妙音でバフォバフォと鳴るシューマンなど、絶品そのもの。ピアノはもちろん各時代のフォルテピアノ、ライネッケのトリオ(Clavesでゴリツキやタックウェルが吹いている、あの名品)ではなんとあのヴェテラン古楽オーボエ奏者ポンセールがウィーン式の古雅な楽器で、切なげなロマン情緒に興を添える豪華さ。いぶし銀の吹き口をじっくり愉しみたいもの。損はさせない充実の1枚。
チェロとピアノのためのソナタ集
 クロード・ドビュッシー(1862-1918):
  チェロとピアノのためのソナタ(1915)
 ベンジャミン・ブリテン(1913-1976):
  チェロとピアノのためのソナタ ハ長調Op.65
 ニコラ・バクリ(1961-):
  チェロとピアノのためのソナタ/
  「ほとんど変奏曲のように」
   〜チェロとピアノのためのディヴェルティスマン
マリー・アランク(Vc)
セドリック・ティベルギアン(P)
 まごうことなき気鋭ティベルギアン、Fuga Liberaに登場。 名手アランク、艶やかに答える。端麗にして端正、あつくなりすぎず、静々とノーブルな感動をもたらすドビュッシーに酔う…ミニマリスト的なバクリの小品や充実ソナタ、ブリテンでのきわだった演奏効果も絶品。
 このところ、ヨーロッパで年を追うごとにそのいかんなき実力が知れわたりつつあるフランス語圏ベルギーの気鋭チェリスト、マリー・アランク。協奏曲ソリストとしての実績もさることながら、室内楽への旺盛な取り組みで知られる実力派だが、このたびデュオのパートナーとして共演しているのはなんと、同じく現場第一線の若い世代を代表する「一味違う」フランスの気鋭ピアニスト、セドリック・ティベルギアン。すでにharmonia mundiでグリーグとシューマンの二重奏作品を録音しているこの二人が今回プログラムに選んだのは、20世紀の最初期・中期そして現代からの3種のソナタ。ゴリゴリと力強く豪放なサウンドも、すうっと高貴にして精妙な繊細さも思いのままのアランクのチェロを、ある時はひょうひょうと、ある時は静かに見守るように、そしてある時はほんの一瞬のスキをついて抜け目なく主役に躍り出るティベルギアンのピアノ...ブリテンの冷徹かつ普遍的な音楽美はそれこそ初演者ロストロポーヴィチもかくや、という雄弁さが、冷静緻密、完璧なまでの構造把握とあいまって、まさに圧倒的な聴きごたえ。 対するドビュッシーはまったくもって「端麗」「端正」といった言葉がぴたりとくる仕上がり。
 少し前にケラスとタローがリリースしたドビュッシーのソナタ集(hmf)が、プーランク作品とのカップリングでフランスらしさを打ち出しているとすれば、こちらは“アール・ヌーヴォーの国 "ベルギーならではの「おのずと繊細」な感性をいかんなく発揮しつつも、英国の普遍主義者ブリテン、古典的な音楽美を大切にするバクリとの組み合わせで、近代音楽の“美 "におけるドビュッシーの立ち居地、その細やかさをはっきり印象づけてくれている。あわせて収録されたバクリは、タンギーやエスケシュらと同じく「聴きやすさ」を大切にする現代フランス随一の作曲家。ソナタという古典的な形式に真正面から向き合い(プロコフィエフやバルトークを彷彿させる、ダイナミックにして周到な設計の「クラシックらしい」秀作。)、併録作ではミニマリズム的なスタイルも垣間見せるなど、現代の新古典派といった作風美が名手2人の解釈で冴えわたる…けだし贅沢すぎるチェロ・アルバム。
FUG-544
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(2CD)
バッハ:フーガの技法 BWV.1080(全曲) アリス・アデール(P)
 フランス近現代作品ばらしい成果をあげてきたアデール、満を持してのバッハはいきなり「フーガの技法」。のっけから遅ーいテンポ設定で描き出される対位法世界はいきなり深遠。只者ならぬ内容の濃さは、ニコラーエワをも凌ぐほど?。
 「フーガの技法」、バッハ最晩年の未完の実験音楽にして対位法芸術のひとつの集大成、圧巻の作曲技法によって、音楽性ではない側面から圧倒的な感動を呼びさます奇妙な傑作...とまれ『音楽の捧げ物』同様この曲も楽器指定がないので、ヴァルヒャやグールド、他のオルガンによる歴史的名演、チェンバロ、弦楽四重奏、ヴィオール合奏…と多種多様な編成で録音されており。ピアノの録音だけをみても、いうまでもなくロシアの偉人タチアナ・ニコラーエワによる圧倒的名演があるし、グレゴリー・ソコロフがクールな秀演を出していたり、2008年初めにはP-L.エマールが、えらくピアニスティックな謎の怪演をリリースしたり…と競合盤にも事欠かない。しかし今、間違いなくそれらを向こうに回して充分わたりあえる傑作録音となるのが本盤。
 演奏者は、アリス・アデール。仏ADDAやACCORDなどでの名盤群が示している通り、フランスの近現代もので他の追従を許さぬ成果をあげてきた“巨匠 "。今は亡きメシアンに絶賛され、現代フランスを代表する作曲家のひとりフィリップ・エルサンの絶大な信望を得ているこのピアニスト、他方ドビュッシーやメシアンなどの録音でも批評家諸氏の熱烈な支持をあつめ、いわばケフェレックやプルーデルマッハーやクロード・エルフェらの良いところを合わせたようなキャリアを築いてきた。冒頭1曲目から、従来の誰よりも遅い、ひたすら遅いテンポで音を紡いでゆく、もういきなり「何か違う」と感じさせる強烈な存在感。その後しずかに弾き進められてゆく音符が、およそ単調さとは無縁、無味乾燥とも無縁、おそろしく遅いのに、全然それが気にならず、はっきりと各パートが独立して聴こえる、対位法の綾にしずかに絡め取られてしまう…本当にもう、圧巻というほかはない。折々に細やかなコントラストの妙を聴かせ続いてゆくCD2枚だが、最後にもうひとつ驚きの事実が――かくも磨き抜かれて曇りひとつない至高の解釈、なんとライヴ録音。終曲は例によってバッハの未完部分でぷつり、と演奏が「止まる」のだが、その後1分近く息をのむような沈黙、そのあと静々と、そしてしだいに嵐のように強烈になる拍手喝采、ブラヴォの応酬...CDを聴かれる方も、まったく同じ気持ちを感じるはず。この名演、見逃す手はない。
フランソワ=オーギュスト・ヘファールト
 (またはゲヴァール)(1828-1908):絶美の合唱曲集

 大ミサ曲「プエル・ナトゥス」
  (3声とオルガンのための)/
 幼子イェスのまどろみ/
 隣人よ、この大きな音はどこから聞こえるのか/
 田園風ノエル、1750年/クリスマスの楽しい小唄/
 ミュゼット/天使たちの知らせ/クリスマスの鐘/
 御誕生の雅歌/キリストの歌(フランデレン語)/
 18世紀のノエル/美しき天の御使い/
 われらは3人の強大なる君子/
 おお夜よ、幸せなるこの夜よ
カトリーヌ・ヴェイナンツ(S)
ティボー・レナールツ
 (T/総指揮)
ル・プティ・サブロン
 声楽アンサンブル
ニコ・ドクレルク(ハルモニウム)
ソフィー・アランク(Hp)
グザヴィエ・ドゥプレ(Org)
 フランクより少し年下、ジョンゲンよりかなり年上。ベルギー文化が最も美しかったとき、ベルギー象徴派絵画のように美しい、清らかな美をたたえた合唱音楽があった。古めかしさと優美さ、素朴と洗練がみごと並存する、えもいわれぬ清らかな声の色彩...
 オーケストラ音楽の発展のかたわら、合唱音楽も爆発的に人気が高まり、高度な洗練をみた19世紀後半。それはちょうど、フランスとオランダに挟まれた小国ベルギーが飛躍的な進歩を遂げ、極度に洗練された世紀末文化により周辺の大国にも強烈な影響をあたえていた頃。そんな頃に首都ブリュッセルの音楽界の頂点に立っていたのが、本盤の主人公、ヘファールトだった。中世以来の古い音楽を見直しつつも、ベルリオーズやワーグナーの新しい管弦楽にも造詣の深いこの音楽学者=指揮者=作曲家、一部ではハイドンのチェロ協奏曲の改作者として認識されているかもしれないが、実態は当時としては異例なほどの熱心な古楽研究家。19世紀末という時代にあっていち早く、チェンバロを弾きながらバロック作品を指揮する習慣を復活させたりしている。グレゴリオ聖歌や中世旋法にも詳しく、何よりも声楽こそが全ての音楽の基礎、と終生信じていた彼は、ブリュッセルのノートルダム・ド・サブロン教会で聖歌隊指揮もつとめ、本盤に聴くような、そうした世紀末の合唱音楽の水準の高さを如実に印象づけてやまない合唱作品と、さまざまな古謡の絶品アレンジを多数残したのだった。素朴なメロディが周到な対位法できれーいに展開するバロック期ノエルの編曲、「グローオオオオ、オー、リア...」というリフレインが有名な「天使たちの知らせ」のように有名なクリスマス曲のアレンジや、たくみなハルモニウム(昭和の小学校にあった足踏み式の“オルガン ")の伴奏が強烈にうつくしい「御誕生の雅歌」(さながらフランクかグノーの傑作声楽曲のよう)、フランデレン語が風雅な異趣をたたえる「キリストの歌」もさることながら、圧巻はやはり大作クリスマス・ミサ。女声3声に充実したオルガン伴奏がつき、フォーレ「ラシーヌの雅歌」もかくや、というほどの神秘的な美しさをたたえた作。。
 演奏陣はナミュール室内cho.出身の技あり歌手が率いる精鋭集団――伴奏陣も古楽畑の名手たちだけに(クイケン兄弟のドビュッシー盤にも参加していたハープ奏者S.アランクがいたり)透明な美質は絶品。
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949):
 ブルレスケ〜ピアノと管弦楽のための(*)/
 交響詩「英雄の生涯」(#)
ヴァルター・ヴェラー 指揮
ベルギー国立o.
プラメナ・マンゴヴァ(P;*)
アレクセイ・モシコフ
 (独奏Vn;#)
 ウィーン・フィルの元コンサートマスターたる巨匠ヴェラーに流れる、偉大なウィーンの伝統。ブリュッセルの老舗ベルギー国立管ならではの、古雅さとみずみずしさの並存。そしてゲストは異才マンゴヴァ。王道ファン必見、これぞ本物の「ヨーロッパ最前線」。
 ヴァルター・ヴェラーといえばご存知のとおり、1964年から70年までウィーン・フィルのコンサートマスターをつとめる一方、室内楽奏者として精力的に活動、あの伝説的なヴェラー四重奏団の名録音の数々によってディスク・ファンにも馴染み深い存在。その後は指揮者として、スコティッシュ・ナショナル管やロイヤル・フィル、リヴァプール・フィルなど英国の並居る名門オーケストラで音楽監督を歴任、録音シーンでも「知る人ぞ知る」本場ウィーン出身の名匠のひとりでありつづけている。2007年シーズン以降は創設1936年の名門ベルギー国立o.に音楽監督として、フランス語圏・オランダ語圏・ドイツ語圏のはざまに位置するブリュッセルを本拠に、この伝統と新鮮さを兼ねそなえたオーケストラと新たな境地を切り開きつつある。
 ようやく出てくれた。もろに王道ど真ん中、R.シュトラウスの『英雄の生涯』。オーケストラの機能性と総体としての構成感、そして圧倒的なスケール感やロマンが問われるこの大作、まさに指揮者のセンスをためすにはうってつけの「誰しも気になる」レパートリー
 そして本盤のもうひとつの目玉は…フォン・ビューロー御大が「演奏不可能。」と叫んだほどソロパートもオケも技巧的な『ブルレスケ』。ゲストが2008年のフォル・ジュルネ以来がぜん「見られている」新世代の異才マンゴヴァ。(しかも、彼女初の協奏曲録音)。この人の不思議なところは、わりとゴツゴツ弾くにもかかわらず音楽の流れがきわめて説得力にあふれている点。精妙なヴェラーの指揮との組み合いっぷりは必聴もの。
モーリス・ラヴェル(1875-1943):ピアノ三重奏曲/
 ヴァイオリンとチェロのためのソナタ/
 ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
トリオ・ダリ
[クリスティアン=ピエール・
  ラ・マルカ(Vc)
 ヴィネタ・サレイカ(Vn)
 アマンディーヌ・サヴァリ(P)]
 「これぞ完璧なトリオ」(メナヘム・プレスラー(ボザール・トリオ)談)曲構造をしっかと踏まえ、響きわたる絶妙・精妙な音楽美2008年の大阪国際室内楽コン優勝はダテじゃない、飛びぬけた才人たちの傑作録音。
 このアルバムでのトリオ・ダリの演奏は、ノンヴィブラート精妙系、冒頭いきなり違いを感じさせる、今までになかった「21世紀のラヴェル像」を打ち出しにかかる飛びぬけぶり。若手的な気負いはまるでなし、肩の力の抜けた、只者ではない落ち着きっぷり、「風格」と呼んでも差し支えないだろう。曲構造を完璧に見据えながら、各パートの自発性たっぷりに弾き進めてゆくスタイルは、ピエール・ブーレーズの指揮にも通じるような透明感が。そのじつ、全員すごくインテンスな熱情を奥に秘めているようで、それが室内楽全体の響きとなってクライマックスを盛り上げる。ピアノなしの、批評家アンドレ・マルローが「ラヴェル屈指の傑作」と褒めたたえたヴァイオリンとチェロのためのソナタでも、きわめて洗練された唐草模様のように「戦わずして精緻に絡み合う」といった感じの絶妙アンサンブルがたまらない。霊妙なヴァイオリン・ソナタ含め、精妙路線で作品像をさらりと一新してくれる、不思議な名演。
室内楽編曲による傑作管弦楽曲集
 グスタフ・マーラー(1860-1911):交響曲第4番
  (シェーンベルクとリーンによる室内楽編曲版)
 アルノルト・シェーンベルク(1875-1951):
  六つの管弦楽伴奏付歌曲
  (シュタインとアイスラーによる室内楽編曲版)
アンサンブル・オクサリス
ロール・デルカンプ(S)
フィオレンツァ、破天荒なるナポリの芸術家
 〜バロック晩期、さまざまな協奏曲とソナタ〜

 ニコラ・フィオレンツァ(1700頃-64):
  リコーダー協奏曲 ヘ短調(1728)/
  チェロ協奏曲 ニ長調(1728)/
  三つのヴァイオリンと通奏低音のための
   協奏曲 イ短調/
  ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調/
  チェロ協奏曲 ニ長調/
  シンフォニア イ短調(1726)〜リコーダー、
   2挺のヴァイオリンと通奏低音のための
ステーファノ・デミケーリ指揮
Ens.ドルチェ・エ・テンペスタ
 (ピリオド楽器使用)
ソロ:
 ニコラス・ロビンスン、
 マウロ・ロペス=フェレイラ
  (Vn)
 マルコ・テストーリ(Vc)
 トマーゾ・ロッシ(リコーダー)
通奏低音:
 エドゥアルド・エグエス
  (リュート)
 ステーファノ・デミケーリ
  (Cemb)
二つのホルン八重奏曲を、ピリオド楽器で
 〜19世紀、ホルンの進化とベルギー人〜

 マルタン=ジョゼフ・メンガル(1784-1851):
  八重奏曲(1820頃)
  〜6本のホルンと2本のトロンボーンのための
 レオン・デュボワ(1859-1935):八重奏曲(1895)
  〜8本のクロマティック・ホルンのための
リュク・ベルジェ
 (ナチュラルホルン/
  バルブ付19世紀ホルン)
ブリュッセル王立音楽院
 ホルン合奏団(ピリオド楽器使用)
テルデーリャス:イタリアを魅了したカタラン人作曲家
〜カストラート時代のヴィルトゥオーゾ・アリア集〜

ドゥメネク・テルデーリャス(1713-51):
 歌劇「メローペ」(1743)〜序曲と三つのアリア/
 歌劇「アルタセルセ」(1744)〜二つのアリア/
 歌劇「エジプトの王セソーストリ」(1751)
  〜序曲と四つのアリア/
 カタラン語カンタータ「なんと悲しい出来事が」
Ens.ドルチェ・エ・テンペスタ
 (ピリオド楽器使用)
マックス・レーガー(1873-1916):
 フルート、ヴァイオリンとヴィオラのための
  セレナード第2番 ト長調Op.141a(1915)/
 フルート、ヴァイオリンとヴィオラのための
  セレナード第1番 ト長調Op.77a(1904)/
 クラリネット五重奏曲 イ長調Op.146(1915)
アンサンブル・オクサリス
 複雑怪奇? とんでもない! 難解至極? いやいやいや!一筋縄ではゆかぬ多作家レーガー、その面白さが端的に伝わるのも演奏陣のたぐいまれな技量、一糸乱れぬアンサンブルの妙あればこそ。これぞ室内楽!
トマゾ・アルビノーニ(1683-1750):
 オーボエ協奏曲全集

 オーボエ協奏曲 Op.7-3/オーボエ協奏曲 Op.7-6/
 オーボエ協奏曲 Op.7-9/オーボエ協奏曲 Op.7-12/
 オーボエ協奏曲 Op.9-2/オーボエ協奏曲 Op.9-5/
 オーボエ協奏曲 Op.9-8/オーボエ協奏曲 Op.9-11
パウル・ドンブレヒト
 (バロックOb)指揮
Ens.イル・フォンダメント
 (ピリオド楽器使用)
フィリップ・ゴベール(1879-1941):
 チェロおよびフルートを伴う室内楽作品集

 三つの水彩画〜フルート、チェロとピアノのための/
 フルートとピアノのためのソナタ第2番/
 哀歌〜チェロとピアノのための/
 フルートとピアノのためのソナタ第3番/
 チェロとピアノのための三つの小品/
 浪漫的小品〜フルート、チェロとピアノのための
トリオ・ヴィーク
[クリスティーナ・
  ファスベンダー(Fl)
 ユストゥス・グリム(Vc)
 フローリアン・ヴィーク(P)]
 フランス近代、ドビュッシーやラヴェルの偉大なる同時代人だったフルート芸術家...自分の楽器だけに縛られない「フランス近代の巨匠」としてのゴベール像を、えもいわれぬ繊細な解釈で浮き彫りに。モネ劇場響のソロ奏者、コーミシェオーパー首席奏者の快挙。
ヨセフ・スク(1874-1935):
 交響曲第2番「アスラエル交響曲」Op.27/
 死せる英雄たちの伝説 Op.35b
  〜大管弦楽のための記念碑
ヴァルター・ヴェラー指揮
ベルギー国立o.
 「アルプス交響曲」には負けない「チェコ交響楽のトリスタン」。雄大にして繊細をきわめるポスト・ドヴォルザーク世代の優駿スークの大名曲を、ウィーン・フィル出身の「あの名匠」がストレートに心に響く痛快名演であざやかに仕上げた。管弦楽ファンに贈る絶妙盤。
クラリネットで、ソナチネを
 〜20世紀ヨーロッパ、さまざまなソナチネ芸術

 マルコム・アーノルド(1921-2006):
  クラリネットとピアノのためのソナチネ
 ボフスラフ・マルティヌー(1890-1959):
  クラリネットとピアノのためのソナチネ
 ニコラ・バクリ(1961-)::叙情的なソナチネ Op.108-1
 ピエール・サンカン(1916-2008):
  クラリネットとピアノのためのソナチネ
 レーモン・シュヴリュイユ(1901-76):
  クラリネットとピアノのためのソナチネ Op.94
 マルセル・プート(1901-88):
  クラリネットとピアノのためのソナチネ
 ジョーゼフ・ホロヴィッツ(1926-)::
  クラリネットとピアノのためのソナチネ
ロナルド・
 ヴァン・スパーンドンク(Cl)
エリアーヌ・レイエス(P)
 クラリネットのためのソナチネはどうしたものか、驚くほどの充実作ぞろい。 広範なレパートリーを誇る仕事人ヴァン・スパーンドンクが黙っていようはずがない。味のある逸品ぞろいの選曲を、絶妙の名演で。
フェリクス・メンデルスゾーン(1809-47):
 弦楽のための交響曲第8番 ニ長調/
 弦楽のための交響曲第9番 ハ長調「スイス」/
 弦楽のための交響曲第10番 ロ短調
ローラン・ケネル指揮
ヨーロピアン・カメラータ
 幸福な少年メンデルスゾーンの心に響いたいかんなき弦楽世界。すでに名盤あまたの名曲3篇の「それでもあえて聴きたい」傑作盤。ブリテン曲集が「レコード芸術」特選に輝いた、まごうことなき超実力派たちの極上解釈。
セルヴェ:チェロのための4つの技巧的名品
 〜19世紀、フランコ・ベルギー派最大のチェロ芸術家

 ロッシーニの歌劇「セビリャの理髪師」による大幻想曲/
 アントヴェルペンの追憶/スイスの追憶/スパの追憶
  ディディエ・ポスキン(Vc) ロザムンデ・アンサンブル〔弦楽四重奏+Cb〕
 ロマン派全盛期の「フランコ・ベルギー派のチェロ奏者」――ヴュータンと同時代、鮮やかな技巧とえもいわれぬ歌心で全欧州を魅了した、魔術的チェロ芸術家の音楽世界。その弾き手も同じベルギー出身、共感度が技量とみごとにマッチした極上チェロ・アルバム。
FUG-562
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(2CD)
ローベルト・シューマン(1810-1856):
 ノヴェレッテン Op.21/子供の情景 Op.15/
 フモレスケ Op.20/アラベスケ Op.18/花の曲 Op.19/
 三つのロマンツェ Op.28/夜の曲 Op.23
ピート・クイケン(Fp)
 使用楽器:J.B.シュトライヒャー、1850年製作。クイケン一族の「第2世代」、今や日本でも名をあげつつあるガンバと鍵盤の名手ピートがシューマン夫妻も愛したシュトライヒャー・ピアノで、細やかなタッチで「作曲家の心」に迫る。
シューベルト(179-1828):
 ピアノ・ソナタ ハ長調 D840(未完)/
 ピアノ・ソナタ イ長調 D959
ゼーフェリン・フォン・
 エッカルトシュタイン(P)
 ドイツ21世紀。すでに楽壇の先陣でバリバリ活躍中の「ドイツ本格派」エッカルトシュタインがついにドイツ=オーストリア系の王道作曲家に向き合ってくれた。風格たっぷり、余裕と詩情もたっぷり。長大な楽章で聴くに値する、この感性とスケール感。
ベートーヴェン(1770-1827):
 交響曲第1番 ハ長調 Op.25/
 交響曲第6番 変ロ長調 Op.68「田園」
アレクサンドル・ルーディン指揮
ムジカ・ヴィーヴァ室内o.
 Fuga Liberaレーベル・カラー・カタログ付(初回のみの可能性有)。これがロシアの室内楽団?。 どんどん進化する、その表現語法――ピリオド奏法をあざやかに取り入れた痛快解釈は、すでに先行盤で「お墨付き」済み。新世代のベートーヴェン演奏で、Fuga Liberaレーベルの秀逸センスをご実感あれ。
近代ヴァイオリン芸術、中欧からバルカンへ
 エネスク(1881-1955):
  ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3番
   「ルーマニア民俗風に」Op.25
 マルティヌー(1890-1959):
  五つのマドリガル詩節〜
   ヴァイオリンとピアノのための
 ヴァシリエ・モクラニャツ(1923-84):
  ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト短調
ロレンツォ・ガット(Vn)
ミロシュ・ポポヴィチ(P)
 ピアニストは、デビュー盤で「レコ芸特選」実績あり。弦は「まだ無名」――否、怪物。あやしく艶やかな曲線を描く、ヴァイオリンのメロディライン。「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれたバルカン半島のほうへ、三つの意外な傑作にひそむ“民俗情緒 "をえぐり出す。
FUG-566
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(2CD)
ムソルグスキー(1839-1881):
 涙ひとすじ/
 情熱的な即興曲(ベルトフとリューバの追憶)/夢想/
 「ソロチンスクの定期市」〜定期市の情景 ホパーク/
 村にて/クリミアにて(奇想曲(バイダリ)/グズフ)/
 幼年時代の追憶/
 幼年時代の二つの追憶(乳母とわたし/最初の罰)/
 酔狂な女/お針子の女(小さなスケルツォ)/
 スケルツォ 嬰ハ短調/古典様式による間奏曲/
 子供の遊び――陣取り/
 禿山の一夜(リムスキー=コルサコフ版にもとづく
 コンスタンティン・チェルノフによるピアノ独奏版)/
 瞑想(アルバムの一葉)/組曲「展覧会の絵」
アリス・アデール(P)
 近現代ものに通暁した知性派アデール。大御所になってきたところで、意外な全曲集。すぐれてロシア的な情緒を薫り高く感じさせながら、いたるところで思わぬ魅力――「展覧会の絵」だけで終わらない、音楽史上屈指の異才の正体をときあかす重要盤。
シューベルト、イザイ、ブラームス〜ヴァイオリンとピアノによる傑作3選
 シューベルト(1797-1828):ピアノとヴァイオリンのための二重奏ソナタ イ長調 D574
 ウジェーヌ・イザイ(1858-1931):無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 Op.27-3
 ブラームス(1833-1897):ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第3番 ニ短調 Op.108
  イリアン・ガルネッツ(Vn) アリーナ・ベルク(P)
 天才奏者発掘にかけては「センス」「地の利」ともに抜群のFuga Libera主宰者がぞっこんほれ込む、21世紀の逸材ふたり――年齢なんて関係ない、瑞々しく紡がれる傑作3篇に、ヨーロッパ楽壇の「いま」を肌で感じたい。見過ごしがたい室内楽アルバム。
 #既に入手不能となっている可能性があります。
FUG-568
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(2CD)
フーゴ・ヴォルフ(1860-1903):「メーリケ歌曲集」(1888)より(45曲)
 〔以下の6曲(代理店記載ママ)を除く全曲;
   「少年と蜜蜂」「夜明け前のひととき」「捨てられた女中」「アグネス」
   「庭師」「四月の山黄蝶」「或る老女の忠告」「人魚のビンゼフース」〕
 ディートリヒ・ヘンシェル(Br) フリッツ・シュヴィングハンマー(P)
 録音:2009年、ウィーン、ライヴ。使用ピアノ:ブリュートナー。『着々とドイツのリート世界を代表するヘンシェル』(代理店記載ママ)、超・重要曲目で Fuga Libera に登場。マーラーと同い年のウィーンの大家ヴォルフも生誕150周年、最重要作品集を1曲1曲、濃やかに歌いこなした鮮烈ライヴ録音。録音は Alpha のユーグ・デショー。
FUG-569
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(2CD)
モーツァルト(1756-1791):
 弦楽三重奏のためのディヴェルティメント 変ホ長調 KV593/
 弦楽三重奏のための6つの前奏曲とフーガKV404a
 トリオ・フェニクス
 [シャーリー・ラウプ(Vn) トニー・ネイス(Va) カレル・ステイラールツ(Vc)]
 モーツァルトが晩年どんどんハマっていった「対位法」、その先にあったのは、やはりバッハの芸術だった。 あざやかなメロディラインの交錯をきれいに解き明かしながら曲の瑞々しさと深さを静かに浮き彫りにする、これぞベルギー最前線の室内楽。
グリンカ(1804-1857):
 序曲〔ニ長調/ト短調〕/ロマンス「言うべきではない、彼女が神々しいなど」(*)/
 未完の交響曲断章 変ロ長調(補筆:P.クリモフ)/ロマンス「子守唄」(#)/
 「皇帝に捧げた命(イヴァン・スサーニン)」のための三つの舞曲/
 ロマンス「真夜中の閲兵式」(+)/カマリンスカヤ/
 ロマンス「私のことは、すぐに忘れてしまうだろうから」(*)/ワルツ幻想曲
  アレクサンドル・ルーディン(Vc)指揮ムジカ・ヴィーヴァ室内o.
  オリガ・センデルスカヤ(S;*) アリーナ・シャキロワ(Ms;#)
  ペトル・ノヴィコフ(B;+)
 引き締まったピリオド系奏法で、ロシア楽壇に鮮烈な新風を呼び込んだタッグ。“ロシア国民楽派 "といえばチャイコフスキーより五人組より、彼らの大先輩グリンカが断然魅力的永遠の傑作・ワルツ幻想曲はもちろん、最新校訂による単独序曲や「幻の交響曲」まで。
J.S.バッハ:オルガン独奏のための6つのトリオ・ソナタ〜巨匠たちの2台ピアノ編曲で
 フェルディナント・ティエリオート(1838-1919)編:ソナタ第1番 変ホ長調 BWV.525
 イシドール・フィリップ(1863-1958)編:ソナタ第2番 ハ短調 BWV.526
 ヴィクトール・バビン(1908-1972)編:
  ソナタ〔第3番 ニ短調 BWV.527/第4番 ヘ短調 BWV.528/第5番 ハ長調 BWV.529〕
 ヘルマン・ケラー(1885-1967)編:ソナタ第6番 ト長調 BWV.530
 メアリー・ハウ(1882-1964)編:羊は静かに草をはみ〜BWV.208より
  クロディーヌ・オルローフ、ブルカルト・シュピンラー(P)
ブラームス(1833-1897):
 ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b/
 ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 Op.15
ヴァルター・ヴェラー指揮
ベルギー国立o.
プラメナ・マンゴヴァ(P)
 まさに岩山のよう――それでいて、あたたかく、透明感に満ちている。プラメナ・マンゴヴァの風格あふれる“異能ぶり "は、この超・王道曲目でこそいかんなく発揮される。名手ぞろいの老舗楽団をあざやかに歌わしめる“ウィーンの名匠 "ヴェラーの棒も冴える。
D.スカルラッティ:鍵盤のためのソナタ(20曲)
 〔ト短調 K12 /ト長調 K144 /ハ短調 K99 /変ロ長調 K441 /変ロ長調 K373 /ニ短調 K32 /ト短調 K43 /
  変ロ長調 K202 / ハ短調 K40 /ハ長調 K225 /ト短調 K8 /変ロ長調K70 /ハ長調 K95 /ハ短調 K56 /
  ロ長調 K244 /イ長調 K83 /嬰へ短調 K25 /ヘ短調 K69 /ヘ長調 K85 /ヘ長調 K59 〕

 アリス・アデール(P)
FUG-575
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(3CD)
ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲全集
 〔第1番 ホ長調 Op.10[独奏:ヴィネタ・サレイカ]/第2番 嬰ヘ短調 Op.19[独奏:フラチヤ・アヴァネシヤン]/
 第3番 イ長調 Op.23[独奏:ニキータ・ボリソ=グレプスキー]/第4番 ニ短調 Op.31[独奏:ロレンツォ・ガット]/
 第5番 イ短調 Op.37「グレトリー」[独奏:ヨシフ・イヴァーノフ]/
 第6番 ト長調 Op.47[独奏:ヨレント・ド・マーイエル]/第7番 イ短調 Op.49[独奏:ハリエット・ラングレー]〕

  パトリック・ダヴァン指揮ベルギー王立リエージュpo.
 「フランコ・ベルギー派」は、誰もがヴュータンに負っている。その祖国から、徹頭徹尾ベルギーらしい美質に貫かれた本格派全集が登場。艶やかさ・繊細さ・堅固さ・緻密さ。ソリスト7人の腕もまさに“絶頂 "、妙なるロマンの薫りを馥郁と。
FUG-576
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(2CD)
フェルディナント・リース(1784-1838):フルート四重奏曲全集
 〔ニ短調WoO.35-1/ト長調WoO.35-2/イ短調WoO.35-3/ハ短調Op.145-1/ホ短調Op.145-2/イ長調Op.145-3〕
 アンサンブル・オクサリス[トーン・フレット(Fl) シャーリー・ラウプ(Vn)
              エリザベト・スマルト(Va) マルテイン・フィンク(Vc)]
 ここ数年、急速にその独自性と真価が音楽ファンを瞠目させつつある、初期ロマン派の異才。古典派語法への通暁も、心ざわつかせる情感も、じっくり味わえる卓越したピリオド系録音。
華麗なる三拍子〜19世紀のピアノで巨匠たちのワルツを
 シューベルト(1797-1828)/ブラームス編曲:ドイツ風舞曲「レントラー」 D.366
 ブラームス(1833-1897):ワルツ集 Op.39
 リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)/オットー・ジンガー編曲:「薔薇の騎士」のワルツ
 ラヴェル(1875-1937)/リュシアン・ガルバン編曲:ラ・ヴァルス
 ヴォルフガング・リーム(1952-):さらに短いワルツさまざま
  イング・スピネット、ヤン・ミヒールス(P)
 使用楽器:エラール、1892年製作(オリジナル)。繊細で優美。ワルツの魅力は、19世紀芸術とそのまま同義だったのか、それとも...1892年製エラールが醸し出す、いつかどこかの感じ。「ワルツ」をテーマに、大作曲家たちが残した傑作群を、歴史的フォルテピアノの全き名手ふたり、あざやかに。
エフゲニー・ボジャノフ〜ショパン(1810-1849):
 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60/
 ポロネーズ第9番 変ロ長調 Op.71 No.2/
 即興曲第3番 変ト長調 Op.51/
 ワルツ第8番 変イ長調 Op.64 No.3/
 ワルツ第5番 変イ長調 Op.42「新しい大ワルツ」/
 バラード第3番 変イ長調 Op.47/
 ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 Op.58
エフゲニー・ボジャノフ(P)
 全き存在感と、内面性――いま最も注目すべきコンクール戦士、いや来たるべき時代の担い手。ブルガリアから彗星のごとく現れたボジャノフ、Fuga Liberaレーベルで録音制作された圧巻のショパン盤が、ついにヴェールを脱ぐ。
FUG-580
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(2CD)
J.S.バッハ(1685-1750):管弦楽組曲(序曲)集
 〔第1番 ハ長調 BWV1066a/第2番 イ短調 BWV1067a/
  第3番 ニ長調 BWV1068a/第4番 ニ長調 BWV1069a〕
パウル・ドンブレヒト(Ob)指揮
Ens.イル・フォンダメント
 ピリオド楽器使用。私たちの知っていた「あの傑作」は、みんな「後から作られた」ものだった...?フルートではなく、ヴァイオリンで――あるいは金管の響きなしに、浮かび上がってくる物。これがバッハの最初に思いついた「原型」...人気抜群の実力派だから「聴かせられる」。
J.S.バッハは、マリンバで...〜J.S.バッハ(1685-1750):
 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV1001/3つのメヌエットBWV Anh.114-116 /
 ポロネーズBWVAnh.119/行進曲 BWV Anh.124/ミュゼットBWV Anh.126/
 無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007/前奏曲とフーガ 変ロ長調 BWV866

  クーン・プラーティンク(マリンバ)
 概して素敵な鑑賞体験を約束してくれる「バッハ編曲もの」――その中でも、これはとびきり。ボン、と優しく音を置いてゆく、音の珠が連なり、対位法の綾をなしてゆくマリンバ。バッハの音楽は、どの楽器に置き換えても極上。弾き手が古楽畑の俊才なら、なお。
大作曲家たちによる弦楽四重奏のための小品〜ロマン派から近代へ
 ヴォルフ(1860-1901):イタリアのセレナーデ(1887)
 ヴェーベルン(1883-1945):弦楽四重奏のためのラングサマー・ザッツ(1905)
 シェーンベルク(1874-1951):プレスト ハ長調(1895頃)
 メンデルスゾーン(1809-1847):カプリッチョOp.81 No.3(1843)
 チャイコフスキー(1840-1893):弦楽四重奏のための断章 変ロ長調(1865)
 ブリテン(1913-1976):アッラ・マルチア(行進曲風に)(1933)
 シベリウス(1865-1957):アンダンテ・フェスティヴォ(1922)
 ラフマニノフ(1873-1943):ロマンス ト短調(1889)
  アルファマSQ[エルサ・ド・ラセルダ(第1Vn) セリーヌ・ボドソン(第2Vn)
         クリス・エルマンス(Va) レナート・アッカールト(Vc)]
 19世紀から20世紀にかけ室内楽の王道でもあった「弦楽四重奏」。しかしそこには安らぎあり、実験あり、はたまた磨き抜かれた佳品あり、「小さきもの」を描き出せる可能性もあふれていた。大作曲家たちの思わぬ小品群。
FUG-584
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(2CD)
シューベルト(1797-1827):ピアノ三重奏作品集/他
 ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 Op.99 D898/
 ピアノ三重奏曲第2番 変ホ長調 Op.100 D929/
 アルペジオーネ・ソナタ イ短調 D821/
 ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調 D934
トリオ・ダリ
[クリスティアン=ピエール・
  ラ・マルカ(Vc)
 ヴィネタ・サレイカ(Vn)
 アマンディーヌ・サヴァリ(P)]
 シューベルト晩年の創意にみちた輝きを、これほど痛烈に深々と描き出せるのはトリオ・ダリだけ。ヴァイオリンとチェロ、それぞれの申し分ないソロ楽曲も収めた超・充実セット。
 #既に入手不能となっている可能性があります。
エルネー・ドホナーニ(1877-1960):六重奏曲(1935)
 (クラリネット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための)
クシシュトフ・ペンデレツキ(1933-)::六重奏曲(2000)
 (クラリネット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとピアノのための)
 アンサンブル・ケオプス
 [ムヒッディン・デュリュオイル(P) グラフ・ムルジャ(Vn) リズ・ベルトー(Va)
  マリー・アランク(Vc) ロナルド・ヴァン・スパーンドンク(Cl) エルヴェ・ジュラン(Hr)]
 ロマン主義よ、永遠に。20世紀に怯えるのは筋違い、ひたすらに美しい室内楽のとびきりの作例をふたつお届け。20世紀の前半と後半、申し分ない経験をたっぷり注ぎ込んで、ふたりの名匠が「なぜか同じ編成」で残した艶やかな名品を奏でる、超実力派たち。
ジョンゲン(1873-1953):ヴィオラとピアノのための作品全集
 アレグロ・アパッショナートOp.79 /序奏と舞踏 Op.102 /ヴィオラとピアノのための小協奏曲 Op.111 /
 演奏会用練習曲 Op.65 No.2 (*) /ヴィオラとピアノのための組曲 Op.48 /
 真昼の太陽 Op.33 No.1 (*) /アンダンテ・エスプレッシーヴォ

  ナタン・ブロード(Va;*以外) ジャン=クロード・ファンデン・エインデン(P)
 ベルギー近代きっての巨匠ジョンゲンの作風を最も美しく活かせるのは、やはりヴィオラだったのかもしれない。作曲者と同郷のすばらしい感性の持ち主が、古参の名匠とじっくり織り上げる響きは、どこまでも薫り高く奥深い。
フランクのソナタ、イザイの小品〜ベルギー世紀末、チェロとピアノのための室内楽
 フランク(1822-1890):チェロとピアノのためのソナタ イ長調(1886)
 ウジェーヌ・イザイ(1858-1931):子守唄 Op.20 /悲しい詩 Op.12
  アレクサンドル・クニャーゼフ(Vc) プラメナ・マンゴヴァ(P)
 豪華顔合わせで、この近代屈指の隠れ名作が味わえるとは。あのフランク特有の浮遊感と堅固な曲構造を、抜群のチェロがしなやかに綴ってゆく。そのパートナーは、あのとてつもない技量を秘めた異能の人マンゴヴァ。世紀末情緒、絶美。
ドヴォルジャーク(1841-1904):
 ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53/
 ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンツェ/
 四つのロマンティックな小品
ラチャ・アヴァネシヤン(Vn)
オーギュスタン・デュメイ指揮
シンフォニア・ヴァルソヴィア
マリアンナ・シリニヤン(P)
 ハチャトゥリヤンの国からやってきた東欧の異才の音色はあでやかに、そして気高く。師匠デュメイの精緻な解釈で冴えわたる銘団体の技量もすがすがしいほど...泥臭くならない高雅な精悍さ、これぞドヴォルザークの醍醐味。
マルティヌー(1890-1959):
 ヴァイオリン協奏曲第2番 H.293/
 交響曲第1番 H.289
ロレンツォ・ガット(Vn)
ヴァルター・ヴェラー指揮
ベルギー国立o.
 あまりに一面的に見過ごされたままの巨匠マルティヌー。鮮烈な解釈は、ベルギー発。アメリカは当時、真の意味で「新世界」だった。ヨーロッパのあらゆる国から人々が渡ってきた1940年代、マルティヌーの作風はさらなる充実へ。ウィーン・フィル出身の巨匠、絶妙のタクト。
ドビュッシーのトンボー〜ドビュッシーの練習曲集と後期作品、そして追悼作品
 ドビュッシー:英雄の子守歌(ベルギー国王アルベール1世陛下とその兵士たちに敬意を表して)(1914)/
        練習曲集〔第1巻/第2巻〕(1915)/アルバムの一葉(慈善団体「負傷者の衣」のために)(1915)/
        悲歌(1915)/炭火の温もりに照らされた、日々の夕暮れ(1917)
 ドビュッシーへの追悼作品さまざま
  マリピエロ(1882-1973):レント / デュカ(1865-1935):牧神の遥かな嘆き
  バルトーク(1881-1945):ソステヌート・ルバート / ルーセル(1869-1937):ミューズたちの歓待
  ファリャ(1876-1946):讃歌(ドビュッシーの墓に)
  ストラヴィンスキー(1882-1971):「管楽器によるサンフォニー」のための断章

 ヤン・ミヒールス(P)
 使用楽器:エラール、1892年製作オリジナル。100年前の「ほんとうの響き」。当時の楽器でこそ、ドビュッシーの思い描いた革新的音響の真相がわかるはず。最新発見の遺作をはじめとする秘曲群と「練習曲」で歴史的楽器の名手が問い直すドビュッシーのピアニズム、そして驚くべき追悼作品群。
FUG-592
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(2CD)
ラヴェル(1875-1937):ピアノ独奏のための作品全集
 夜のガスパール/グロテスクなセレナーデ/逝ける王女のためのパヴァーヌ/水の戯れ/ハイドンの名によるメヌエット/
 前奏曲/鏡/クープランの墓/ソナチネ/シャブリエ風に/ボロディン風に/高雅にして感傷的なワルツ/古風なメヌエット

  アリス・アデール(P)
 ユニークな解釈で知られる大御所アデール自家薬籠中のジャンル、フランス近代。ドビュッシー録音から20年、満を持してのラヴェル全集。アデール独自の真骨頂は、2枚のディスクにどう息づくのか?
フランソワ・セルヴェ(1807-1866):チェロと管弦楽のための作品集
 協奏的小品 Op.14 /「ヴェニスの謝肉祭」による荒唐無稽な幻想曲 Op.9 /
 ラ・ロマネスカ /チェロ協奏曲 ロ短調 Op.5
  ディディエ・ポスカン(Vc) パトリック・ダヴァン指揮 KBS so.
 チェロのピンを本格的に使いはじめたのは、フランコ=ベルギー派のチェロの巨匠だった。艶やかな旋律、みなぎるロマン情緒、ヴュータンやサン=サーンスにも比しうる美質...チェロを好きな方、初期〜中期ロマン派の管弦楽曲が好きな方、見過ごせない1枚。
ラロ(1823-1892):
 スペイン交響曲」Op.21 /ピアノとヴァイオリンのためのソナタ Op.12 /
 ユモレスク風素描「アルルカン」/ヴァイオリンとピアノのための「ギター」Op.28
  ニキータ・ボリソ=グレプスキー(Vn) ジャン=フィリップ・コラール(P)
  オーギュスタン・デュメイ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア
 新世代名手、続々育つのはもちろん...「上の世代」の溌剌とした若さにも驚かされる。少数精鋭集団シンフォニア・ヴァルソヴィアが絶妙のサイズ感・一体感で織り上げる「スペイン交響曲」もさることながら、実は室内楽でも天賦の才を発揮したラロの秘曲ソナタを「この名手」で聴けるとは。
ドビュッシー(1862-1918):
 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10 (1893) /ピアノ三重奏曲 ト長調(1880) /
 神聖な舞曲と世俗の舞曲(1903)〔2種;P使用版/Hp使用版〕
  ダネルSQ フランセット・バルトロメー(Hp) ダニエル・ブリュメンタール(P)
 フランス語圏ベルギーから世界へ、来日も多い銘団体がフランス語話者が録音しない「あの傑作」を。玄妙な和音のうねりも思いのまま。初期の秘曲のひとつピアノ三重奏曲や「舞曲」はハープ版のみならず、ピアノ使用でも録音、充実室内楽。
フランク(1822-1890):
 交響曲 ニ短調(1888) /
 交響詩「山の上で聞こえるのは」(1846) /
 バレエ組曲「フルダ」(1879-1885)
クリスティアン・アルミンク指揮
ベルギー王立リエージュpo.
 「ベルギー」といえば日本の音楽ファンにとって最も旬な話題は、このマエストロ。リエージュ・フィルの新たな音楽監督に就任早々、この国にとって最も大切な作曲家の「代表作」と「知られざる境地」の魅力をあざやかに探りあてる。同郷人たちの名演、必聴。
フランク:アノとヴァイオリンのためのソナタ イ長調(1886)
ドビュッシー:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1917)
ドビュッシー/アレクサンドル・ルーレンス編曲:月の光
ラヴェル:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1927)
 ツェン・ユーチェン(Vn) インガ・ジェクツェル(P)
 新世代発掘の場エリザベートの俊英、充実録音。じっくり聴き愉しみたい、自然体なのに優美な弦の音。
ヴィラ=ロボス(1887-1959):
 ギターのための五つの前奏曲 W419 (1940) /ギター協奏曲 W502 (1951) /
 ヴァイオリンと管弦楽のための感傷的な調べ W555 (1958)
  (ベルナルト・フミェラジ編曲/ギター、ヴァイオリンと管弦楽のための版)
 クシシュトフ・メルシンゲル(G) アンドルー・ヘヴロン(Vn)
 ジョゼ・マリア・フロレンシオ指揮ASMIF
 ギター協奏曲がらみ、爽やか&濃密な良盤。ヴィラ=ロボスの艶やかでダイナミックな世界を、唖然とするほどの技量でクリスピーに。オーケストラは、マリナー御大が結成した「あの名門」。実は昔からラテン系にも強い。
改めてバッハ『音楽の捧げ物』
 ヨーハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750):
 『音楽の捧げ物』BWV1079(全曲)
ヘット・コレクティーフ
[トーン・フレット(Fl/
 b-Fl/a-Fl/Picc)
 ベンヤミン・ディールチェンス
  (Cl/b-Cl)
 ヴィベルト・アールツ(Vn)
 マルテイン・フィンク(Vc)
 トーマス・ディールチェンス
 (P/Cemb/Org/Key)]
 録音:2005年8月1日-3日。もうとにかく “気持ちいい音 " でいっぱい。何から何まで「絶美」『フーガの技法』と並ぶ、あのバッハ最晩年の実験音楽――は、軽やかに時代を越える。ベルギーきっての現代音楽プロ集団であるヘット・コレクティーフは「フルート、Bクラリネット、ヴァイオリン、チェロ、鍵盤」の5人がかり、静々と精妙にこの曲を弾いてゆく。現代音楽的キツさは皆無、その響きの各楽音の何と美しいこと。ピアノでバッハ・の路線を拡大解釈したような、絶美の世界をぜひお試しあれ
Regency's Night
 モリコーネ:シシリアン
 コラード・ネーヴェン:クール・ジャーニー
 R.ロジャース&ハート:マイ・ロマンス
 コラード・ネーヴェン:カスケード
 マルシア・マリア&ラッシンフォッセ:ジェイト・シガーノ
 コラード・ネーヴェン:メルシィ
 ジスモンチ:パルアソン
 コラード・ネーヴェン:わが父への歌
 シコ・ブアルキ:ベアトリス
ジャン=ルイ・
 ラッシンフォッセ(ベース)
コラード・ネーヴェン(P)
 クラシックに非ず、そしてジャズに非ず。名手2人による妙なる音楽。
ラッシンフォッセは名手として名高いベーシスト。ネーヴェンは、ジャズというよりもむしろ現代音楽の世界で活躍している若手実力派。心の奥底から湧き出る楽想によって紡ぎだされ、聴くもののスピリットに染み入る「出会いの妙」。
 #既に入手不能となっている可能性があります。
Tiempo del Angel〜天使のとき
 ピアソラ:
  ブエノスアイレスの夏/天使のミロンガ/
  ミステリアスなフーガ/オブリビオン(忘却)/
  コントラバシヒモ/イ短調の旋律/天使の死/
  チキリン・デ・バチン/ブエノスアイレスの冬
アストリア・アンサンブル
 ピアソラの名曲ばかりを集めた一枚。アストリア・アンサンブルは、ピアソラに認められたクラシックの若き俊英6人たちと、アコーディオン奏者のクリストフ・デルポルテによって設立された。時に熱く、時にクールに、鮮やかな演奏が実に魅力。
アストル・ピアソラ(1921-1992):
 アレグロ・タンガービレ/五重奏のための協奏曲/幾年月の昔(タンティ・アンニ・プリーマ)/
 タンゴの歴史/孤独(ソレダー)/乾杯/カリエーゴ調のミロンガ

  マルク・グローウェルス(Fl) クリストフ・デルポルト(アコーディオン/バンドネオン)
  アンサンブル・アストリア イザベル・シャルドン(Vn) エリク・シャルドン(Vc)
  レオナール・アングラーニ(P) サント・シンタ(各種打楽器)
 歿後20年、ピアソラ芸術のユニヴァーサルな魅力、ベルギーという国の懐の深さ。無機質な線路に陽光がさしこむ美麗ジャケットが、そのサウンドの魅力を象徴しているかのようだ。ヨーロピアンなアコーディオン、妖艶な弦、涼しげな打楽器の響き。そしてゲストは「あの巨匠」。
アヴァンゲール(戦前)1911-1914
 〜大戦前のピアノ音楽による
   カレイドスコープ(万華鏡)

 ラフマニノフ:練習曲「音の絵」Op.33
  [全9曲中第4番を除く8曲]
 シェーンベルク:6つの小さなピアノ曲 Op.19
 ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
 プロコフィエフ:サルカズム(風刺)Op.17
 フォーレ:夜想曲第11番 嬰ヘ短調 Op.104-1
ヤン・ファンデ・ウェーヘ(P)
 録音:2005年6月。
 暦上では20世紀であっても、1914年8月までは文化も覇権も実質的に19世紀から連続していた。オーストリアの対セルビア宣戦布告とそれを受けた帝政ロシアの総動員令、さらにロシアの総動員令を期にドイツ帝国は予ねてから立案していたシュリーフェンプランを発動し、独陸軍の実に7/8にあたる大軍団で西部国境の向うへと怒涛の進軍を開始したその時に19世紀は完全に潰え、新しい激動の世紀に突入したといえるだろう。その第1次世界大戦前の束の間の平和な時期に花開いた彩り豊かな作品を絶妙の順で配したのがこのアルバム。
 ソロ・ピアニストとしての活動に加え、室内楽、歌曲伴奏でも主にフランドル地域で活躍しているファンデ・ウェーへはリサイタルである特定の時期の作品をプログラムに載せることで知られているということだが、難曲をそれと感じさせないテクニックと、重厚で陰影に富む音色がとても魅力的な優れたピアニスト。保守→超越→モダーン→モダーン→保守とそれぞれ持ち味が異なる大作曲家の個性を十分に描き分けている。
ボリス・ティシチェンコ(1939-):
 ヴァイオリン、ピアノと弦楽合奏のための
  二重協奏曲/
 ダンテ交響曲第3番(『地獄編』7〜9章)
ゲンナジー・
 ロジェストヴェンスキー指揮
モスクワso.
サンクトペテルブルク
 弦楽合奏団
ヴィクトリア・
 ポストニコワ(P)
アレクサンドル・
 ロジェストヴェンスキー
  (Vn)
 新案内。ファン待望、ショスタコーヴィチ最大の弟子ティシチェンコの「新作」"2編はいずれも大作 ヴァイオリンはいとも精妙、日本でもおなじみ・名手ポストニコワのピアニズムはまさに強烈。きりりと引き締まったモスクワ響を縦横無尽にあやつる、ロジェストヴェンスキーの巨匠性!
 ショスタコーヴィチの一番弟子ティシチェンコ。師匠ゆずりの斬新にして明晰なオーケストレーションの達人、折衷主義というよりもむしろ、ありとあらゆる書法に通暁したうえで明快な作風へとたどりついた巨匠。ソ連時代には急進派と目されたようだが、その音楽はあくまで「クラシック」の潮流に忠実、管弦楽曲では師匠から受けついだドラマ性と色彩感がぞんぶんに発揮される。ショスタコーヴィチ好きにはたまらなく魅力的なこの作曲家、作風そのまま、21世紀の現在なお精力的に作曲を続けている! それにしても、やはりこういうのを“一流 "というのだろうか。指揮はなんとロジェストヴェンスキー御大(以前ティシチェンコの交響曲第6番を録音していた)、この名匠のタクトでオケはきりりと引き締まり、作曲家が90年代から手がけている壮大な連作の一環「ダンテ交響曲」では、心をひとつにして静々と物語を綴る弦セクション、静謐にして玄妙なチューブラーベルなどが、勇壮な金管のするどい響きとはっきり対照をなし、40分もの単1楽章をきわめて面白く色彩豊かに仕上げる。対する二重協奏曲は、来日回数の多いロジェストヴェンスキー夫人ポストニコワと息子アレクサンドルが独奏をつとめ、家族共演が実現。静々とデュオで開始された音楽はやがて壮麗な盛り上がりをみせ、多重分割されて繊細に音を重ねる弦楽合奏の上で、ヴァイオリンは民俗情緒をうっすら漂わせながら雄弁にうたい、対するピアノは時に低音を打楽器のごとく叩きつけたりと強烈なピアニズムを発揮するのに、それらが全て美しく響くのから吃驚。ショスタコーヴィチ好きなら、これは絶対イケるだろう。
 #当初、MFUG-527という品番で案内されていましたが、上記へ変更となっております。
ブロッホとペルト〜神秘の詩
 ブロッホ(1885-1977):
  ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番「神秘の詩」(1924)/
  ヴァイオリンとピアノのための「神の名の師正しきユダヤの暮らし」(1923)〜ニグン(即興歌)/
  ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番(1920)
 ペルト(1935-):フラトレス〜ヴァイオリンとピアノ版(1980)

  エルサ・グレテール(Vn) フェレンツ・ヴィズィ(P)
 静かな瞑想から高雅な技巧性まで、ユダヤのヴァイオリンと、北欧の至宝…。誰もが知りたい作曲家のこと、そして誰もが愛してやまない自然派作曲家のこと――。フランスの室内楽シーンに、次々現れる超実力派たちぱじっくり聴き究めたい至高の室内楽。
ラフマニノフ(1873-1943):チェロとピアノのためのソナタ ト短調 Op.19 (1901)
カバレフスキー(1904-1987):チェロとピアノのためのソナタ 変ロ長調 Op.71 (1962)
レーラ・アウエルバッハ(1973-):「24の前奏曲」〜チェロとピアノのための
 七つの前奏曲(1999)〔前奏曲第6・12・15・16・19・20・24番〕
  カミーユ・トマ(Vc) ベアトリス・ベリュ(P)
 ロマン派のよき伝統が正しく息づいている国、ロシア――ラフマニノフと、その系譜に連なる世紀半ばと世紀末のすばらしい音楽世界を、あざやかに描き出す俊才ふたりの色彩感とスケール感に、じっくり酔いたい。驚くべき広がりをみせる室内楽盤。
ヒンデミット(1895-1963):
 かえるの求婚〜英国民謡による変奏曲(1941) /無伴奏チェロ・ソナタ Op.25 No.3 (1922) /
 チェロとピアノのための三つの小品 Op.8 (1917) /チェロとピアノのためのソナタ Op.11 No.3 (1918)

  ユディト・エルメルト(Vc) ダーン・ファンドヴァール(P)
 欧州の縮図・文化大国ベルギーでは、多面的かつ豊かな音楽活動がくりひろげられている。スタイリッシュに味わい深く、無伴奏とデュオ作品とでチェロの魅力を掘り下げたヒンデミットの名品群。ドイツ出身のエルメルト、現代音楽畑の超・実力派ピアニストと織り上げた充実名演。
ドヴォルジャーク(1841-1904):
 チェロ協奏曲第1番 イ長調(1865)
  (ヤルミル・ブルグハウセル版)/
 弦楽のためのセレナード Op.22 (1875)
アレクサンドル・
 ルーディン(Vc)指揮
ムジカ・ヴィーヴァ室内o.
 あの三大チェロ協奏曲に数え上げられる ロ短調協奏曲だけではなかった。最初期の傑作、痛快な仕上がりは格別その物。ピアノ譜だけで残っている管弦楽部分を忠実に再現したブルグハウセル版をもとに、ピリオド奏法の達人集団でもあるムジカ・ヴィーヴァ魅力全開の名演で。
FUG-717
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(4CD)
限定盤
ピリオド楽器集団イル・フォンダメント結成25周年記念BOX
 J.S.バッハ(1685-1750):序曲(「管弦楽組曲」の初期稿復元版) 全集
  序曲(管弦楽組曲)〔第1番 ハ長調 BWV1066a /第2番 イ短調 BWV1067a /
            第3番 ニ長調 BWV1068a /第4番 ニ長調 BWV1069a 〕
 アルビノーニ(1683-1750):5声の協奏曲集 Op.7 より Nos.3, 6, 9, 12 /協奏曲集 Op.9 より Nos.2, 5, 8, 11
 ヨハン・フリードリヒ・ファッシュ(1688-1758):序曲(組曲)集
  〔ト短調 FWV K; g2 (8声) /ニ短調 FWV K; d4 (7声)/ト長調 FWV K; G15 (8声)〕

 パウル・ドンブレヒト(Ob) イル・フォンダメント
 ピリオド楽器使用。バロック・オーボエの大御所パウル・ドンブレヒト、そのしなやかな吹奏は、多忙な音楽仲間とのアンサンブルあればこそ。Passacailleレーベルにも名盤あまたの古楽集団イル・フォンダメントと Fuga Libera レーベルでリリースしてきた音源、待望のBOX化。
ジョン・ダウランド(1563-1626):
 ラクリメ、または七つの情熱あふふるパヴァーンで表された七つの涙
 昔日の涙/昔日の涙、新たに/ため息まじりの涙/悲しみの涙/むりやりな涙/恋する者の涙/まことの涙/
 ニコラス・グリフィス氏のガリアード/ジョン・ソーチ卿のガリアード/
 デンマーク王のガリアード(ロバート・ダウランド作曲)/エマンド/
 トーマス・カリアーのガリアードを、2部の高音域パートで/ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルマンド/
 バクトン氏のガリアード/ヘンリー・アンプトン卿の葬儀/パイパー大尉のガリアード/
 ヘンリー・ノエル氏のガリアード/ジャイルズ・ハビー氏のガリアード/
 ジョン・ラングトンのパヴァーン/ダウランドはつねに悲しむ者

  ロミナ・リシュカ(ディスカント(高音域)/ガンバ/音楽監督)ハトホル・コンソート
 古楽大国ベルギーの演奏家たちは、英国ものにも独特の適性あり。ダウランドが残した異色の弦楽合奏曲「ラクリメ」久々のうつくしき名演、ガンバ合奏の至芸にしっとり心が沁みいるひととき。これぞまさに“昔日の涙、新たに "。エリザベス朝時代の憂鬱の美質、しなやかに、深々と。


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