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E LUCEVAN LE STELLE

特記以外
1枚あたり¥5060(税抜¥4600)

 E LUCEVAN LE STELLE(エ・ルチェヴァン・レ・ステッレ/日本語に訳せば「星は光りぬ」)はイタリアのレーベルで、1992年設立。創設目的は、長い間忘れられた遠い昔の音楽を発掘して世に出すことである。制作はすべてミュージシャンのもとで行われ、その録音はリアルな中に素朴な雰囲気を漂わせる独特のもの。また多くの地元の自治体、会社の理解と協力、支援を受け、ただの自己満足に終わらない文化的な意味を持つ復興が成されていることも特筆すべき事実。精緻でモダンなグラフィック・デザイン、上質な紙、またイタリアの有名なデザイナー、マッシモ・ドルチニが行ったジャケット制作、と音楽面だけでない、ひとつの薫り高い芸術品としての価値を持つアルバムばかり。
 #当レーベルはCD発売&販売事業を半ば停止しており(会社としては存続し、他レーベルヘの音源提供等を行っている模様)、下記でご注文可能な物でも基本的に流通在庫限りと思われます。また、国内代理店が2018年3月を持って廃業したため、以前流通していた国内仕様盤は全面的に入手出来無くなりました。元々情報が入りづらいレーベルであるため、各国の流通在庫状況や入手不可状況は基本的に不明です。
ピエトロ・モランディ
 オルガン独奏のための12の協奏曲
マルコ・メンコボーニ(Org)
リドルフィ時代のマルケ州の音楽
 ペレグリーニ、ドナーティ、
 バティフェッリ、ペイス/他の作品
マルコ・
 メンコボーニ(Org)指揮
サクロ&プロファノ
 当レーベルが活動するマルケ地方に深い縁のあった画家クラウディオ・リドルフィにちなんだ作品を収録。オルガン、チェンバロによる多彩な声楽曲、そして木目細やかで優雅な弦楽合奏の作品が印象的。
CD-EL952303
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1.5CD価格
愛しのマリア マルコ・
 メンコボーニ(Org)指揮
サクロ&プロファノ
 メールロの荘厳なオルガン曲に始まり、その後ロレトのオルガニスト兼作曲家ピエトロ・パーチェの静謐な「アヴェ・マリア」を始めとする崇高な声楽作品がならぶ。終生マルケ地方で音楽家として生きたパーチェの作品は、派手さはないものの深く心に染み入る何かを持つ。16世紀イタリアの片田舎にこれほど高度な作曲技術と深い音楽性を持った人がいたとは驚き。世界初録音。
 #特殊薄紙BOX装丁のため、他盤より高額となります。また、本体外装へのメーカー側シール添付、BOXの痛み(スレ・皺・凹み等)が見られますが、発売から年月が経っており、商品仕様となります。御了承下さい。
CD-EL952304
廃盤
ジョヴァンニ・モランディ:
 オルガンのためのソナタ・シンフォニー・パストラル
マルコ・メンコボーニ(Org)
恋のとりこ(全29曲)
 グリエルモ・エブレオ・ダ・ペサロ(1420-1484)、
 フランチェスコ・スピナチノ(15-16世紀)、
 他、作者不詳の作品
アンドレア・ダミアーニ(リュート)
 ペーザロ地方に伝わるハート型の楽譜をもとに、15世紀後半のリュートのための独奏曲を収録。ほとんどが当時流行していたシャンソンの編曲。
危険な音楽
 ラモー、クープラン、
 ロワイエ、バルバストル/他の作品
マルコ・メンコボーニ(Cemb)
 18世紀の爛熟かつ華麗なフランス・チェンバロ作品を楽しめる1枚。メンコボーニがほかのアルバムでは見せなかった超絶技巧を惜しげもなく披露。ジャケットに収められたフランソワ・ブーシェの美しい絵画も注目。
宮殿の音楽
 ペサロ、スピナチーノ、パーチェ、ペレグリーニ、ドナーティらの室内楽、及び小編成の声楽作品集
バルトロメオ・バルバリーノ:朱色の薔薇 マルコ・メンコボーニ(Cemb)
 バルバリーノは16-17世紀イタリアで活躍した歌手、詩人、作曲家。
レバノンより飛び去れ
 ルイジ・バッティフェーリ:
  独唱用モテットとリチェルカーレ
マルコ・
 メンコボーニ(Org)指揮
サクロ&プロファノ
 17世紀後半の北イタリアで生まれたバッティフェーリの作品集。独唱用のモテットと弦楽合奏のためのリチェルカーレが交互に演奏される。942302にもリチェルカーレが含まれていたが、ここでの6曲も、当時にしては古典的だったかもしれないが優雅で美しい作品ばかり。実際彼のリチェルカーレはドイツにも広まり、パッヘルベルやフックス、ゼレンカ、そしてバッハにもなんらかの影響を与えたとされている。タイトルの「レバノンより飛び去れ」は最終15曲目のモテットの題名。
ヴァイス
 ハルティヒ男爵の死に寄せるトンボー/
 組曲 ト長調/組曲 ハ短調
エドゥアルド・
 エグエス(リュート)
 バッハのリュート作品にも多大な影響を与えた18世紀における最大のリュート奏者ヴァイス。緊密な構成、深い情感、大胆な和声でリュート音楽を前人未到の高みに押し上げた。そして彼は最大であるとともに、最後のリュートの巨人でもあった。これ以降この楽器が日の目を見ることはなくなる。ここに収められた「トンボー」は、さながら落日のこの楽器に捧げられたかのようである。
フォリア〜 17世紀イタリア、マルケ地方のギターまたはアーチリュートのための作品集
 パルマのサンティーノ・ガルシ(1542-1604):バレット
 ジョヴァンニ・パオロ・フォスカリーニ:
  “L”の上のフォリア/バレット「帝国」/ガリアルダ「マンゾーナ」/フォスカリーニのラッパ/
  フォスカリーニのパッサカーリョ/“E”のためのフォスカリーニのチャコーナ/
  フォスカリーニのアレマンダ/フォスカリーニのコレンテ/サラバンダ
 アントニオ・フラミンニ・マルケッティ:“E”のためのマントヴァのバッロ/他

  アンドレア・ダミアーニ(アーチリュート/G)
 ピリオド楽器使用。なお、当盤は国内代理店サイトにCD-EL012311という番号で掲載されていますが、上記が正しい番号となります。
イグナツィオ・ドナーティと「離隔歌唱」〜コンチェルタンテ様式による教会音楽
 イグナツィオ・ドナーティ(1575頃-1638):
  4声のための「ベネディクトゥス」/独唱のための「サルヴム・メ」/
  5声のための「カンターテ・ドミノ」/4声のための「オ・プレティオスム」
 ヴィンチェンツォ・ペッレグリーニ(16世紀後半-1631):オルガンのためのカンツォン「ラ・ノーラ」
 イグナツィオ・ドナーティ:
  2声の上声のための「エゴ・フロス・カンピ」/4声のための「レタレ・イェルサレム」/
  4声のための「ルビラーテ・デオ」/上声のための「オ・アルティトゥド・ディヴィティアルム」/
  上声のための「サルヴェ・レジーナ」/4声のための「エッケ・ヌンク・テンプス」
 ヴィンチェンツォ・ペッレグリーニ:オルガンのためのカンツォン「ラ・マリアーナ」
 イグナツィオ・ドナーティ:4声のための「ナティヴィタス・トゥア」/4声のための「クィド・プロデスト」/
              5声のための「ベアトゥス・ヴィル」/
              2声のエコー上声による「サルヴェ・レジーナ」/上声のための「カンターテ・ドミノ」

 マルコ・メンコボーニ指揮サクロ・エ・プロファノ
  [エマヌエラ・ガッリ(S) カテリーナ・カルヴィ(A)
   ジャンパオロ・ファゴット(T)  フリオ・ザナシ(Br) 他]

 エドァルド・ベロッティ(Org)
 モンテヴェルディと同時代に、ウルビーノやペーザロ、フェラーラなど北イタリア〜アドリア沿岸で活躍したイグナツィオ・ドナーティの教会声楽作品集。彼が提唱し創始した「離隔歌唱(cantar lontano)」様式(合唱各パートを1人程度に絞り、それぞれのパートに高度の歌唱技巧を要求する一種の教会コンチェルト様式)による声楽曲を舞台に、各パートがしなやかに技巧をからませ競いあう。
 おどろくべき音楽性と技術をもちながら余裕たっぷり、小出し小出しにみせて我々を魅了してくれる独唱者たちは、フリオ・ザナシ(サヴァールのヴィヴァルディ歌劇「フェルナーチェ」やM・Aレコーディングスの異色アルバム「ブエノス・アイレス・マドリガル」でハイレヴェルな独唱を聴かせるバリトン)、ジャンパオロ・ファゴット(Virginでのアラン・カーティスのアンサンブルでの絶唱、Bongiovanniの古楽シリーズなど幅広い活躍で知られる知性派テノール)ら名手ぞろい。伴奏は簡素なオルガンひとつに時折トロンボーンが加わる程度、というストイックな編成。独唱者たちの技量をあざやかに際立たせながら、会場であるフィレンツェの修道院の残響をみごとに味方につけ、的確なサポートを聴かせてくれる。即興の名手E・ベロッティ奏するオルガン・ソロも何曲かあり、深く面白く愉しめる内容。
輝く真珠〜ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ(1570頃-1599以降):
 いとしいあなた、どうか私を捨てないで/2つのリュートのための第2カンツォーネ「コレッジオ」/
 2つのリュートのための「襟飾りをつけたなら」/作曲者自身によるプレリュード/
 フランス語によるカンツォーネ=シャンソン「小さなジャッケ」/そんなふうに彼女の髪は/
 リュート独奏のための第2トッカータ/2つのリュートのためのカンツォーネ「コレッジオ」/
 リュート独奏のためのフランス風バレット(バレー)/リュート独奏のための〔第1ブランル/第2ブランル〕/
 リュート独奏のためのドイツ風バレット(バレー)/2つのリュートのためのカンツォーネ「アレルミフォー」/
 リュート独奏のための第2ファンタジア/リュート独奏のための第4ガリャールダ/
 リュート独奏のためのパッセメッツォ/マレンツィオの「輝く真珠」の編曲

 エマヌエラ・ガッリ(S) ガブリエーレ・パロンバ、フランコ・パヴァン(リュート)
 16世紀の末、ベルガモで活躍したG.A.テルツィの作品をあつめた貴重なアルバム。マドリガーレ全盛(爛熟?)期にあって、ルネサンス的な均整感覚を失わない、美しく清廉な独唱曲の数々がここにある。併録されたリュート独奏・二重奏曲も綿密なつくりで、ルネサンス末期の器楽曲の美しさを堪能できる。フランスの「気取り趣味」から影響をうけたとおぼしき作品(なかにはフランス語の歌曲まで!)がちらほらあるのが面白い。
 最後まで独唱をつとめるガッリの少し翳りを帯びた細い線の歌唱が、作品の本質をみごとに浮き彫りに。二人のリュート奏者も実力充分、出どころと引きどころをわきまえた綺麗な伴奏や、細やかで音楽性あふれるソロを聴かせてくれる――涼しげなリュートの音が美しく綺麗に再現されるのには、やはりパオロ・メンコボーニ随一の残響収録テクニックが一役買っているようだ。
ティルシはいっそ死のうと思い〜
 ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス
(1600頃-1679):カンタータ・アリア集
  しずかに打ち寄せる波のそばで/どんな時でも、あなたを欲してやみません/
  不実なきみ、ぼくが死ぬとでも思ったかい/愛してくれる人ではないよね/あまりに深い恐怖の底から/
  涙ながす人の美しさ/あわれ、今こそこの涙/わたしを奪って、傷つけてください/逃げろ、逃げ去れ、わが心/
  残忍なる心の強奪者/百合は美しく残酷に/恋しているのに、誰が黙っていられよう/
  恋とはどんなものかしら、なんて言う奴がいるのかね/ティルシはいっそ死のうと思い

 マルコ・メンコボーニ(Cemb)指揮サクロ・エ・プロファノ
  [エマヌエラ・ガッリ(S) ジャンパオロ・ファゴット(T) セルジオ・フォレスティ(B)他]

 エドゥアルド・エグエス(テオルボ、バロックG)
 かつて L’empreinte digitale レーベルがカタログ付仕様でリリースしていたアルバムで大きくフィーチャーされていた作曲家がこのG.F.サンチェスだった。M.A.キーアらアルプス以北の気鋭のアーティストたちによってヴィヴィッドに美しく仕上げられた好アルバムだったが、E Lucevan le Stelleの当新譜では当然のようにひたすらイタリア人(または在イタリア)アーティストだけで固められている。後にウィーンで活躍したとはいえ、サンチェスはまごうことなきローマ生まれのイタリア人――その事実を思い知らせるかに、情熱ほとばしる鮮烈でバロックな歌い口。こちらのほうがはるかに「本場もの」なのだ! 情感ゆたかなイタリア人ならではの歌声は、17世紀前半にはやくもカンタータ形式を使い出したこの知られざる天才の危うく情熱ゆたかな音楽を表現するのにまさしくぴったり。地に足ついた表現力だ。
 伴奏はチェンバロとテオルボ(またはバロックギター)だけという簡素さだが、手際よくかつ情熱的なメンコボーニの鍵盤と、喜怒哀楽も自由自在・どこまでも闊達なエグエスの撥弦のコンビネーションは、ただの伴奏になどとても終わらないインパクトの強さ。鋭角的なその音が豊かな残響のなかで歌声と響きあうさまがなんとも美しい。
 17世紀バロック音楽を愛する人、アレッサンドリーニやフロリオらイタリア古楽奏者たちのつくる音が好きな本格志向の愛好家にぜひ聴いていただきたい快作だ。
モデナの夜〜G.A.ジャンネッティーニの晩課と1700年頃のモデナの音楽
 G.A.ジャンネッティーニ(1648-1720頃?):うるわしき聖処女マリアの被聖天の晩課(1717)から
 コレッリ(1653-1713):トリオ・ソナタ Op.3 Nos.9, 2
 F.ボンポルティ(1672-1749):聖書にもとづくラテン語アリア(2曲)
 ピエトロ・デッリ・アントーニ(1700頃活動):讃歌「アヴェ・マリス・ステラ」

 マルコ・メンコボーニ指揮カンタール・ロンターノ
  [エマヌエッラ・ガッリ(S) カテリーナ・カルヴィ(A)
   ジャンパオロ・ファゴット(T) セルジオ・フォレスティ(B)]

 ラ・スタジョーネ・アルモニカ(cho.) エドアルド・ベッロッティ(Org) 器楽合奏
 録音:2004年4月、パリ、ノートルダム・ド・ボン・スクール病院礼拝堂。
 カヴァッリやストラデッラ亡き後、中央〜南イタリアではA.スカルラッティが活躍していた頃。北イタリアではコレッリやトレッリらが器楽様式をはぐくむ傍ら、パレストリーナ式の厳格様式とオペラめいたコンチェルタント様式のはざまをゆくような、独特の教会音楽がさかんに書かれていた。モデナのエステ家や大聖堂で楽長として活躍していたジャンネッティーニの詩編群はそうした種類の作品だが、その力強さは実に見事なもの。セクシーなグレゴリオ聖歌に続いて合唱が始まると、録音会場であるアンコーナの教会堂の空気に熱気をはらんだ歌声の重なりが鮮やかに広がってゆく。録音技師メンコボーニの腕前もあるのだろうが、歌声と弦楽器の伴奏がきれいに融けあう会場の残響が、こうした「ポリフォニックにしてホモフォニック」な作品の持ち味を最大限に引き出してくれている。あいだに収録されたコレッリのソナタでのバロック・ヴァイオリン同士のやりとりも典雅で、えらく美しい。
 フランスやイギリス、オランダ、ドイツなどの古楽合唱とはまた一味ちがった、セクシーでヴィヴィッドなイタリア古楽合唱の素晴らしさが堪能できる「期せずして名盤」的な一作。イタリア旅行好きの音楽ファンであれば、感慨はいっそう深いこと請け合い。
CDEL-052317
廃盤
ジョスカン・デ・プレ(1455頃-1521):
 ミサ・パンジェ・リングヮ/モテトゥス「めでたし、まことの御体」(アヴェ・ヴェルム・コルプス)/
 モテトゥス「聖母は立てり、悲しみにくれ」(スターバト・マーテル)/
 フランス語によるシャンソン「衣をまとったニンフ が」/他、ラテン語モテトゥス4編

 ヴァルテル・テストリン指揮デ・ラビリント(無伴奏混声古楽cho.)
苦しまなければならなくて? 16世紀の国際感覚〜リュート作品と独唱マドリガーレ
 登場する作曲家:
  ウンベルト・ナイク(16世紀に活動)、フィリップ・ヴェルドロ(1470/80-1552以前)、
  フランチェスコ・ダ・ミラーノ(1497-1543)、ジャケス・ダ・ポンテ(16世紀に活動)、
  ニコラ・ゴンベール(1495頃-1560頃)、ジョスカン・デ・プレ(1455頃-1521)、
  クレメンス・ノン・パパ(1510頃-1555/56)、ジャック・ド・ラルシエ(16世紀に活動)、
  マルコ・ダ・ラクィラ(1470頃-1536以降)、ヨーハン・ヴァルター(1496-1570)、
  ハインリヒ・イザーク(1450-1517)、クリストバル・デ・モラーレス(1500頃-1553)

 エマヌエラ・ガッリ(S) フランコ・パヴァン、ガブリエーレ・パロンバ(リュート)
 リュート愛好家のために考え抜かれた編曲と、「諸外国」での「外来音楽」と、東西南北欧州中をへめぐる企画性も忘れる、この瑞々しい名演!
 E lucevan le Stelleほんらいの魅力をそのまま凝縮したような「濃さ」。基本的にイタリア世俗音楽アルバム、ととらえておよそ間違いないのだがタイトルはフランス語。それもそのはず、16世紀のイタリア音楽界はまだ後年ほど音楽大国だったわけではなく、むしろ(王侯貴族たちがフランス語を話す)ベルギーや東北フランスのフランドル/ブルゴーニュ楽派が強力な音楽伝統を持っていたところ、しだいにイタリアが音楽的優位を勝ち取るようになっていった、いわば過渡期にあたるわけだ。ここではそんな時代に、ドイツやベルギーの都市、あるいは北イタリアの出版大国ヴェネツィアで、当時のリュート愛好家たち向けに出版された楽曲をいろいろと集め、イタリア古楽界の最前線をひた走る3人の名手たちが、16世紀ならではの国際的音楽感覚のようなものを愉しませてくれる。
 ・・・と説明すると小難しい企画のようだが何のことはない、おそろしくウマいリュート奏者2人が、表現力と美声を兼ね備えた古楽歌手とともに、せつなく、のびやかに、純粋に音楽の喜びに身をまかせながら弾き連ねてゆく、きわめて聴きやすいルネサンス・アンソロジーにほかならない。つのだ/波多野デュオの「鰹出汁」を「オリーヴ油とトマト」に変えたような、素材そのままの活気、なまめかしい血の気がここにはある。百戦錬磨のパヴァンとパロンバの撥弦に漂う独特のうねり、名花ガッリの絶美のうたい口...民謡の歌曲化あり、ポリフォニー教会音楽のリュート編曲あり、阿吽の呼吸のリュート・デュオあり...長年じっくり、何度も聴き試しに戻ってきたくなる充実古楽盤!
CDEL-072322
廃盤
日の入りと日の出のあいだ〜モンテヴェルディ時代の教会音楽(全21トラック)
 クラウディオ・モンテヴェルディ(1666-1747):
  詩編第126編「ニジ・ドミヌス」/マニフィカト(私の魂は主をあがめ)/他
 エウスタキウス・モンティスレガリス(生没年不詳):詩編147「エルサレムよ、讃えよ」
 オラツィオ・ヴェッキ(1550頃-1605):讃歌「おおマリア、比ぶものなき女性」/他
 ディエゴ・オルティス(1510頃-1570?):讃歌「めでたし、天の皇后」/他
 他、オルガン独奏曲・グレゴリオ聖歌・詩編など

 マルコ・メンコボ-ニ指揮カンタ-ル・ロンターノ、 Ens.ラ・スタジョーネ・アルモニカ
CDEL-072324
廃盤
知られざるリュート音楽家の肖像〜ジョヴァンニ・マリア・ダ・クレーマ
 「リュートのためのインタボラトゥーラ第1巻」(1546年ヴェネツィア刊)より
 ガブリエーレ・パロンバ(リュート)
フランチェスコ・スピナチーノ(16世紀):
 リュート独奏のためのリチェルカーレ(11曲)/
 その他リュート独奏のための作品(3曲)〔ベネディクトゥス/マルグリー/かんぬき〕/
 リュート二重奏のための作品(4曲)
  〔ラ・ベルナディーナ/恋のとりこ/幸運の女神、絶望す/不幸がわたしを打ちのめす〕/
 コルネットを含む器楽合奏曲(2曲)〔母と父と/幸運の女神、栄華のなかで〕/
 リュート伴奏歌曲(7曲)
  〔さらば、わが恋の日々/恋の神、恋の神よ/ベネディクトゥス/幸運よ、おまえは残酷なればこそ/
   恋のとりこ/わたしは悲しい、恋の神よ/愛しき人は百金にもまさる〕

 ガブリエ-レ・パロンバ、フランコ・パヴァン(リュート) エマヌエラ・ガッリ(S)他
 パロンバ&パヴァンの絶妙リュート・デュオとエマヌエラ・ガッリのユニット新譜。活版印刷術発明直後、ペトルッチ工房が初めて出版した「最古の器楽作品集」。たおやか&古雅なアンサンブルに、コルネットとガンバがえもいわれぬサウンドを添える。
 イタリアの「ふくらはぎ」マルケ州の地元古楽を大事に再発見しつづけている極小レーベルE Lucevan le Stelle。たおやか&古雅なリュート独奏or阿吽の呼吸で絡み合うリュート・デュオを中核に、ラ・ヴェネシアーナなどでも活躍している日本でも人気の高い古楽ソプラノ、エマヌエラ・ガッリが合間ごと切なげな歌声をひびかせ、あるときはベルガモの天才作曲家テルツィを、あるときは活版印刷初期の小編成音楽を、と毎回特色あるプログラムで広がりある世界を描き出してくれる。今番は、グーテンベルクの活版印刷術発明から大して時間も経っていない1509年、有名な出版者ペトルッチがマルケ州フォソンブローネに来てから出版したスピナチーノなる作曲家の2冊の曲集。これは、世界ではじめて独奏楽器のために出版された曲集2冊だったりするそうな。確かにカピローラよりも、ダ・ミラノよりも古い曲集だが、リュート2挺で織り上げられる旋律の対位法的なからみといい、伸縮自在の音符のつまり具合といい、つい引き込まれずにはいられない周到な音作りはまさにルネサンス最盛期の傑作と目しうる出来。ときおり木管コルネットやガンバの鄙びた音色を織りまぜて、絶妙の呼吸感で綴られる素朴な音体験をぜひご堪能あれ。
シャルル・ムートン(1617-1700頃):
 「さまざまな旋法によるリュート小品集」より
  組曲〔ハ短調/ト長調/イ長調〕/
 ボルケアーズ、クロウフォード伯爵の蔵書
  〜「わたしの御婦人は愛らしい」
フランコ・パヴァン(リュート)
 アッコルドーネ来日時に手際よいテオルボ伴奏を聴かせた「ひどく背の高い」パヴァン氏、玄妙そのもののフランスものソロ・アルバムをリリース。なかなか単体録音されない、フランス晩期リュート楽派の偉人。その繊細さに酔いしれる。
 あの名リュート奏者フランコ・パヴァンが、ついに堂々すばらしいソロ・アルバムをリリースしてくれた。E Lucevan Le Stelle ではG.パロンバや名古楽歌手エマヌエラ・ガッリと歌+リュート2のユニットで名盤を続出、いくつかのソロ・トラックでおそろしく完成度の高い至芸を聴かせていたから、日本の古楽ファンには、ソロ盤を期待されていた方は少なくないはず。そして嬉しくも意外なことに、曲目はフランス大時代もの。それも滅多に単独アルバムの出ないフランス晩期リュート楽派の名匠、ムートンの作品集。
 17世紀中・後半に活躍したムートンは、コルネイユやキノー(いずれもリュリの台本作者でもあった)らパリ上流階級の知識人と交流を持ち、本盤の原語タイトルのように「とんでもない羊(ムートン)」などと渾名されて敬愛されていたリュート音楽家。トリノのサヴォワ宮廷やルーアンでも活躍、ゴーティエ派の伝統を受け継ぎながら、時代の要請にあわせ通奏低音奏者としても立派な腕前をみせ、ヨーロッパ中にその名を轟かせたもようだ。本盤の典拠となる楽譜も、プラハで自筆譜が見つかったりしている。E Lucevan Le Stelleの録音でも、Cypresでのアッコルドーネ録音の通奏低音奏者としても、パヴァンの多芸ぶりは明らかなのだが、それにしても本盤、フランスものでも本国勢にまったくひけをとらない堂に入りっぷりには驚かされる。しかもスティル・ブリゼーできれいに弾きくずしているのに根本的なテンポ感は揺るがず、非常に聴きやすく、フランス・バロックものに慣れていなくともつい引き込まれてしまうはず。


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