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CSO RESOUND


特記以外 1枚あたり¥3520(税抜¥3200)


 1891年設立、2007年で116年の歴史を数える名門シカゴso.が、新たなオーケストラの自主レーベル "CSO・RESOUND" (シーエスオー・リザウンド)を立ち上げた。「シカゴ響はとどろく」 という意味のレーベルの名称は、オケそのもの、つまり輝かしい音色で名高いアンサンブルのめざましくパワフルな響きを表している。
 #2011年以降、年一回以下の発売となっている上、廃盤も発生しているので入手はお早めに。



ムーティ・コンダクツ・イタリアン・マスターワークス
 ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」より〔序曲/祭の飾りが〕/
       歌劇「マクベス」〜抑圧された祖国/歌劇「シチリアの晩鐘」序曲
 プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」間奏曲
 マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
 ボーイト:歌劇「メフィストーフェレ」プロローグ
  〔やよ、幸いあれ天主さま/さても天主さま/私は辺獄から舞い飛んで/栄えあれ、聖母さま!〕

 リッカルド・ザネッラート(B) リッカルド・ムーティ指揮シカゴso.、&cho.
 録音:2017年6月。帝王ムーティとシカゴso. による最新盤は、イタリア・オペラの名曲集。ムーティとシカゴso. は2019年1月末から2月初旬にかけて来日、交響曲の演奏会のほか、オペラ・フェスティヴァル特別プロとしてヴェルディのレクイエムも予定されている。ムーティはシカゴso. と、スカラ座でも幾度も取り上げた珠玉の作品を、2016/17のシーズンにあらためて演奏した。イタリア音楽の情熱、喜びと絶望すべてが炸裂したこれらの作品を、ムーティの最新の演奏でお届けする。そもそもオペラの序曲とは、オペラの世界を凝縮し聴き手を引き込ませるためにも作曲家が腕によりをかけて作るものといえるだろう。ナブッコ序曲でも冒頭の管楽器からシカゴso. の巧さが炸裂、そして序曲にちりばめられた各旋律のエッセンスひとつひとつからオペラのシーンが眼の前に浮かぶような充実した演奏となっている。ボーイトでは今ヴェルディなどのイタリアもので世界で引っ張りだこのバス、ザネッラートを起用し、充実の演奏が展開されている。なお、当盤のプロデューサーはデイヴィッド・フロスト、これまでに16回グラミー賞を受賞、最新の受賞は2018年1月のクラシック・プロデューサー・オブ・ザ・イヤーだった。ムーティとシカゴso. の素晴らしい関係性が打ち出された内容。
ムーティ〜ブルックナー
 交響曲第9番(1894年版)
リッカルド・ムーティ指揮
シカゴso.
 録音:2016年6月、ライヴ。 世界の巨匠ムーティとシカゴso. によるブルックナー9番の登場。ムーティにとって初録音となる。1891年に創立されたシカゴso. の125周年目のシーズンを締めくくった演目(演奏会ではテ・デウムもプログラム後半に演奏された)。2016年1月には待望の日本公演で日本の聴衆を圧倒した両コンビ。ムーティは2016年7月28日に75歳を迎えたが、その直前の6月の収録となる当ライヴでは、ムーティのブルックナー演奏の魅力である抒情性とドラマティックな推進力が遺憾なく発揮されており、他ではなしえない至高のブルックナーが展開されている。シカゴso. は、ブルックナーの交響曲を、ジュリーニ、ショルティダニエル・バレンボイム、エッシェンバッハベルナルド・ハイティンクといった巨匠たちと演奏を重ねてきたという歴史がある。とりわけ管楽器セクションは「ブルックナー・バンド」とも称されるほどに、ブルックナー作品の演奏にかけては特別な存在。ムーティは、この管楽器セクションから、贅肉のない、痛烈なまでに直截的な音色を引き出している。コラールのように厳かに響く部分、そして爆発的なエネルギーが輝かしく解き放たれる部分、すべてが完璧にコントロールされている。第2楽章のトリオ部分での、オーボエ首席客演奏者リチャード・ウッドハムの貢献は特筆に値するだろう。ムーティが知と感情の完璧なバランスで構築してゆく終楽章は圧巻、終結部の神々しさに深い感動をおぼえる。
シェーンベルク:語り手、合唱、管弦楽のための「コル・ニドライ」 Op.39 (1938) (*)
ショスタコーヴィチ:ミケランジェロの詩による組曲 Op.145a (#)
 リッカルド・ムーティ指揮シカゴso. イルダール・アブドラザコフ(B;#)
 アルベルト・ミズラヒ(語り;*) シカゴso.cho.(#)
 録音:2012年3月(*)、2012年6月(#)、コンサートホール、シンフォニーセンター、ライヴ。『ムーティの壮絶な入魂ぶり。 これは本当にショスタコーヴィチの交響曲第16番だ!』 「ミケランジェロの詩による組曲」は。ミケランジェロ生誕500年を記念すべく作曲、ショスタコーヴィチ最晩年、彼最後のオーケストラ作品となったが、その初演を作曲者は聴くことができなかった。もともとは交響曲第16番として構想された演奏時間40分を超える大作で、交響曲第13番「バビ・ヤール」や第14番「死者の歌」と同形態ながら、歌曲に分類されるためか演奏される機会は多くない。この作品も死をテーマとし、最晩年のショスタコーヴィチならではの人間業とは思えぬ技巧と境地で、冒頭からオーケストラの深い世界が広がる。全体を貫く緊張感、ドラマチックな表現はムーティの真骨頂、まさに交響曲第16番としての風格と存在感で感動させられる。ショスタコーヴィチ・ファン必聴の演奏。バス独唱はイルダール・アブドラザコフ。ゲルギエフ指揮のヴェルディの「アッティラ」をはじめとするオペラで大活躍している。彼は2005年にノセダ指揮BBCフィルと録音(シャンドス盤)しているが、7年を経てさらに解釈に深みが加わった。ロシア語訳されているとはいえ、ミケランジェロはイタリアの美術家にして詩人。ムーティにとって自国の偉人の作だけに深い理解と愛着も加わり、誰にも真似できぬ理想的な世界を創りあげている。
CSOR-9011501
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(2CD)
1.5CD価格
ムーティ〜ベルリオーズ
 幻想交響曲 Op.14 /レリオ(または「生への回帰」) Op.14b
  ジェラール・ドパルデュー(語り) マリオ・ゼッフィリ(T)
  カイル・ケテルセン(B−Br) リッカルド・ムーティ指揮シカゴso.
  デュアイン・ウルフ合唱指揮シカゴ・シンフォニー・コーラス
 録音:2010年9月23日-25日、28日、オーケストラ・ホール、シカゴ、ムーティのシカゴ響音楽監督就任記念演奏会、ライヴ。名優ドパルデューによる圧巻のナレーション。ベルリオーズの「幻想」&「レリオ」。
ムーティ& CSO 〜プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」
 組曲第1番 Op.64bis & 組曲第2番 Op.64 ter より(10曲)
  〔モンタギュー家とキャピュレット家/少女ジュリエット/マドリガル/メヌエット/仮面/ロメオとジュリエット/
   タイボルトの死/僧ローレンス/別れの前のロメオとジュリエット/ジュリエットの墓の前のロメオ〕

 リッカルド・ムーティ指揮シカゴso.
 収録:2013年10月3日、5日、8日、11日、オーケストラ・ホール、シンフォニーセンター、シカゴ、ライヴ。米グラミー賞をはじめ、各方面から絶賛されたヴェルディの「レクィエム」以来、4年ぶりにムーティがCSO RESOUNDに帰ってきた。2013年10月にシカゴso.を指揮した定期公演のライヴ収録。ヴェルディは別格として、ムーティのレパートリーは幅広が、ロシアものではチャイコフスキー、スクリャービンとならんで、プロコフィエフは好んで取り上げてきた作曲家のひとり。1977年に、首席指揮者時代のムーティがフィルハーモニア管を指揮してセッション録音した「イワン雷帝」は当時より強烈に刻み込まれているほか、1980年より音楽監督に就任したフィラデルフィア管とは、1990年に交響曲第5番、ヴォルガとドンの出会い、交響曲第1番をセッション録音、1991年に交響曲第3番をセッション録音してもいた。「ロメオとジュリエット」も、ムーティは1981年にフィラデルフィア管を指揮して第1組曲と、第2組曲からの5曲を合わせて12曲をセッション録音していたので、シカゴso. とのアルバムは32年ぶりの再録音ということになる。このたびのシカゴso. 新盤は、フィラデルフィア管旧盤とのトラックタイムの比較では、曲によって最大で 12%、平均でも 5%ほど演奏時間が拡大する傾向が認められる。ムーティの深い呼吸の音楽運びと、余裕のポテンシャルで応えるシカゴso. のあきれるばかりのうまさもあらためて印象的な「ロメオとジュリエット」。じっさいに、音源を聞いたところ、格段にスケールとパワーがアップしており、印象の違いには数字以上のものがある。「タイボルトの死」での、ずしりと迫力ある音調はやはりシカゴso. ならでは。変拍子の複雑なリズム処理もあざやかで、弦楽パートのメカニカルな運動性も驚異的。繊細にして、ときにむせかえるような美観に息を呑む「ロメオとジュリエット」。そして、悲痛なまでの感情の高鳴りを描き尽した「ジュリエットの墓の前のロメオ」など、全篇、色彩感は極上、表現の幅はとてつもなく、プロコフィエフの天才をみごとに解き明かすと同時に、現代オーケストラ・サウンドの極限を見る思いで、圧巻と云うほかない。近年は、お気に入りのプログラムのみを取り上げて、納得のゆく出来ばえのもの以外は一切リリースを許可しないというムーティだけに、その意味でも間違いなくこれは当たりといって差し支えないだろう。
ムーティ&CSOの「オテロ」〜ヴェルディ:歌劇「オテロ」
 アレクサンドルス・アントネンコ(T;オテロ) カルロ・グェルフィ(Br;イアーゴ)
 クラッシミラ・ストヤノヴァ(S;デズデーモナ) フアン・フランシスコ・ガテル(T;カッシオ)
 バルバラ・ディ・カストリ(Ms;エミーリア) マイケル・スパイアズ(T;ロデリーゴ)
 エリック・オウエンズ(B−Br;ロドヴィーコ) モンターノ(B;パオロ・バッターリア)
 デイヴィッド・ガヴァーツン(B;伝令) デュエイン・ウルフ合唱指揮
 リッカルド・ムーティ指揮シカゴso. & cho.
CSOR-9011303
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(2 HYBRID_SACD)
2.5枚価格
 録音:2011年4月、シカゴ。SACD仕様: DSD 5.1 マルチチャンネル|ステレオ。ムーティとシカゴso.のヴェルディ「オテロ」。ムーティは2011年4月7、9、12日、とシカゴso.の定期演奏会で「オテロ」を演奏会形式で上演、さらに一同を率いて15日にはニューヨークのカーネギー・ホールでも演奏。相当力を入れていたことが分かる。ムーティはスカラ座でもザルツブルク音楽祭でも素晴らしい「オテロ」を残しているが、当盤はシカゴso.という世界屈指の交響楽団を起用していることで、細部まで彼の意図が浸透した出来栄えになっている。オテロには、2008年8月、ザルツブルク音楽祭でムーティが大抜擢したラトヴィア出身の若いテノール、アレクサンドルス・アントネンコ。3年で大きく成長した歌が聞ける。イアーゴは、悪役バリトンを歌わせたら今これ以上の人はいないほどの個性派名バリトン、カルロ・グェルフィ。近年珍しいくらい憎々しくいやらしいイヤーゴ。クラッシミラ・ストヤノヴァはデズデーモナが当り役で、2006年3月、東京のオペラの森公演でデズデーモナを歌ったのをご記憶の方も多いことだろう。楚々とした声に加えドラマティックな表現力にも長けた、デズデーモナに打ってつけのソプラノ。カッシオには、若いロッシーニ・テノールとして注目を浴びているフアン・フランシスコ・ガテル。またロデリーゴにも、ロッシーニ・テノールとして活躍しているマイケル・スパイアズ。若く優秀な歌手を重用するムーティらしいやり方。
CSO BRASS
 ウォルトン/ヨセフ・クラインズ編:戴冠式行進曲「王冠」[ジェイ・フリードマン指揮]
 G.ガブリエリ(c.1510-86)/エリック・チース編曲:サクラ・シンフォニア第6番[マーク・ライデノー指揮]
 G.ガブリエリ/エリック・チース編曲:第12旋法による10声のカンツォーナ
 [クリストファー・マーティン、ジョン・ハグストロム(Tp)]
 G.ガブリエリ/R.P.ブロック編曲:第7旋法による8声のカンツォーナ第2番)
 J.S.バッハ/エリック・チース編曲:パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV.582[マーク・ライデノー指揮]
 グレインジャー/ティモシー・ヒギンズ編曲:リンカンシャーの花束[マーク・ライデノー指揮]
 シルベストレ・レブエルタス/ブルース・ロバーツ編曲:センセマヤ[マイケル・マルケイ指揮]
 プロコフィエフ/ヨセフ・クラインス編曲:「ロメオとジュリエット」〜
  〔モンタギュー家とキャピュレット家/踊り/ティボルトの死〕[デール・クレヴェンジャー指揮]

 デール・クレヴェンジャー(Hr首席) クリストファー・マーティン(Tp首席)
 ジェイ・フリードマン(Tb首席) ジーン・ポコーニ(Tu首席)
 ダニエル・ギングリッチ、ジェイムズ・スメルサー、デイヴィッド・グリフィン、オットー・カリッロ、
 スザンナ・ドレイク(Hr) マーク・ライデノー、ジョン・ハグストロム、テージ・ラーセン、デイヴィッド・ゴーガー、
 デイヴィッド・インモン、チャニング・フィルブリック(Tp) マイケル・マルケイ、チャールズ・ヴァーノン、
 マイケル・ベッカー、ペーター・エルフソン(Tb) ランダル・ホーウェ(B-Tb) アンソニー・ニッフェン(Tu)
 ヴァディム・カルピノス(Timp) シンシア・イェ、パトリシア・ダッシュ、エリック・ミルシテイン(Perc)
 ジョン・ブルース・イェー(Cl) ロジャー・クライン(Cb)
CSOR-9011103
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(HYBRID_SACD)
1.5枚価格
 録音:2010年12月16日-18日、シンフォニー・センターo.・ホール、ライヴ。これは!泣く子も黙るシカゴ響による、大注目のブラスCDの登場。1966年からシカゴ響で首席ホルン奏者を務めているデール・クレヴェンジャー、1965年からマルティノンの指名により首席トロンボーン奏者を務めているジェイ・フリードマン、ショルティの指名で1989年からシカゴ響に在籍しているマイケル・マルケイなど、名門シカゴ響の中でもブラス・セクションは最高峰。熱いファンをもっている。冒頭のウォルトンの華々しいファンファーレに続いて、2005年からハーセス・チェアの座についている若手のクリストファー・マーティンのガブリエリ作品での輝かしい音色!各パートが大変巧いからこそ引き立つ、各声部が対等の重みをもつバッハ作品。センセマヤでは各プレイヤーの遊び心が光る。グレインジャーもプロコフィエフも、堂々の出来栄えはさすが。シカゴ響サウンドを支えるブラス・セクションの実力、妙技を贅沢に味わえる1枚。もちろん録音も優秀、ガブリエリもオーディオ効果満点。
CSOR-9011006
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(2CD)
1.5CD価格
ムーティ&CSOの「ヴェルレク」〜ヴェルディ:レクィエム
 バルバラ・フリットリ(S) オリガ・ボロディナ(Ms)
 マリオ・ゼッフィリ(T) イリダール・アブドラザーコフ(B)
 リッカルド・ムーティ指揮シカゴso.、デュアイン・ウルフ合唱指揮シカゴ交響cho.
CSOR-9011008
(2 HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2009年1月15日-17日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。プロデューサー:クリストファー・オルダー、エンジニア:クリストファー・ウィリス。おそらく先に、CD-R 使用の DIRIGENT から DIR-0510(日付未判明)で発売されている録音で、今回がマスターからの初発売。
 2010/11年のシーズンよりCSOの第10代音楽監督にあらたに就任するムーティがCSO RESOUNDに堂々の登場。巨匠が取り上げたのはヴェルディのレクィエム。2010年秋の本格的始動に先立って、2009年1月におこなわれたコンサートの模様を収めた物。
 ムーティといえば言わずと知れた“ヴェルディのエキスパート "。「レクィエム」も過去に2度、まず、フィルハーモニア管と、首席指揮者・音楽監督在任中(1973-1982)の1979年にセッション録音、さらに、音楽監督(1986-2005)を務めたミラノ・スカラ座管とライヴ録音しており、ムーティにとっていずれもキャリアの節目に必ず取り上げているのが注目されるところ。その意味でも、このたびムーティがCSO RESOUNDデビューの記念すべき一枚に「レクィエム」を選んだのは決して偶然ではなく、世界最強の楽団とのあらたな歴史を築き上げてゆく意気込みを強く感じさせるもので、期待を抱かせるに十分な内容といえるだろう。
 いっぽうで、ムーティがCSOとの「レクィエム」に込めた特別な思いは、起用された歌手の顔触れにもそのまま顕れている。ソプラノのバルバラ・フリットリは1967年ミラノ生まれ。ムーティのファンには有名な2001年スカラ座の「オテロ」でのデズデモナの記憶が鮮明。オリガ・ボロディナは、1963年7月29日サンクトペテルブルク生まれのメッツォ。「ドン・カルロ」のエボーリ公女、「アイーダ」のアムネリスを持ち役とするボロディナにとって、ヴェルディの「レクィエム」は2000年収録のゲルギエフ盤以来。近年はムーティとの共演機会の多いことでも知られている。マリオ・ゼッフィリは1967年ギリシャのアテネ生まれのテノール。これまでにスカラ座をはじめ、ローマ、トリノ、ボローニャ、ナポリ、フィレンツェ、ヴェローナ、そしてパリ、バルセロナ、ベルリン、チューリヒ、ドレスデンの舞台に定期的に出演。2008年のラベンナ音楽祭では、ムーティの指揮でベルリオーズの「レリオ」や、ボロディナ、アブドラザーコフとともに、ヴェルディの聖歌四篇のほか、スターバト・マーテル、テ・デウムを歌っている。バスのイリダール・アブドラザーコフは、1976年ロシア連邦バシキール自治共和国のウファの生まれ。1996年に第17回グリンカ記念コンクールで第1位。1998年に第3回リムスキー=コルサコフ記念国際コンクール優勝、1999年にエレーナ・オブラスツォワ記念国際コンクール優勝、2000年に第5回マリア・カラス(ヴェルディの声)コンクール優勝。1998年に「フィガロの結婚」のタイトル・ロールでマリインスキー劇場にデビュー。以来、ゲルギエフの指揮で数多くのオペラに出演。2001年のスカラ座デビュー以来、2003/04年のシーズンにムーティ指揮ロッシーニの「モーゼとファラオ」のモーゼで一躍国際的な名声を獲得したのをはじめ、アブドラザーコフはムーティと数多くのオペラで共演を重ねている。現在、METを拠点に活動するアブドラザーコフだが、2008/09年にムーティ指揮で新演出の「アッティラ」でもタイトル・ロールを務めた。ヴェルディの「レクィエム」を得意とするアブドラザーコフは、ムーティのほかに、すでにゲルギエフ、シャイー、チョン・ミョン=フンらの指揮でも歌い評判を取っている。なお、いまロシア一番のバス歌手として“シャリアピンの再来 " とまで騒がれているアブドラザーコフはプライヴェートではボロディナの夫君でもある。
ベルナルド・ハイティンク
 R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」Op.40(*)
 ヴェーベルン:夏風のなかで(1904)(#)
ロバート・チェン(独奏Vn)
ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.
CSOR-9011004
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2008年12月4日-6日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ(*)/2009年4月23日-25日、28日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ(#)。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン/エンジニア:クリストファー・ウィリス。
 巨匠ハイティンクが最強の手兵CSOを率いて、楽団の看板レパートリーであるシュトラウスの「英雄の生涯」をレコーディング。カップリングはCSO楽団初演にして初録音となるヴェーベルンの「夏風のなかで」という対照的なプログラム。
 CSOによる「英雄の生涯」アメリカ合衆国初演。1891年に創設されたCSOは、シュトラウスが自作自演をおこなったことでも知られ、1899年3月3日の作曲者自身によるフランクフルト世界初演の翌年、1900年3月9日と10日にオーディトリアム・シアターで、初代音楽監督セオドア・トーマス指揮のもと「英雄の生涯」のアメリカ初演をおこなっている。
 CSOによる「英雄の生涯」のレコーディング。シュトラウス作品の録音に関しては、第4代音楽監督ロジンスキーが積極的な役割を果たしたともいわれているが、なんといってもやはりCSOの今日に至るシュトラウス演奏の礎を築いたのは、ステレオ期に数多くのシュトラウス作品を録音して絶大な人気を博し、楽団に第1期黄金時代を到来させた第6代音楽監督ライナーといえるだろう。CSOは「英雄の生涯」を、1954年にライナー指揮でセッション録音、1990年に第9代音楽監督バレンボイム指揮でセッション録音している。ちなみに、第2次黄金期の第8代音楽監督ショルティは「英雄の生涯」こそウィーン・フィルとの録音だったが、1973年に「ドン・ファン」を、1975年に「ツァラ」と「ティル」をそれぞれCSOとセッションで録音している。
 38年ぶりの再録音となるハイティンクの「英雄の生涯」。ハイティンクは、「英雄の生涯」を献呈された名門ロイヤル・コンセルトへボウo.(RCO) の首席指揮者在任中に、1970年の「英雄の生涯」を皮切りに、シュトラウスの主要な管弦楽作品をセッションでレコーディングしている。ハイティンクのシュトラウスに対する取り組みといえば先頃も、本録音より半年前の2008年6月ライヴで、LSOとの「アルプス交響曲」における充実の内容が記憶にあたらしいところ。この「アルプス交響曲」より1週間後、ハイティンクはLSOとの顔合わせでも「英雄の生涯」を、2008年6月15日と17日にバービカンで指揮していたし、よほど自信のあるプログラムということなのだろう。2008年12月に行なわれたシカゴでの本公演を経て、ハイティンクはCSOと2009年2月の来日公演でも「英雄の生涯」を取り上げていた。ついでながら、CSOも本ライヴに先がけてマンフレート・ホーネックの指揮で2008年3月13日、14日、15日に「英雄の生涯」を演奏している。このように38年ぶりにライヴで再録音となるハイティンクはもちろんのこと、前作より18年を経過しているCSOにしても、あらたな「英雄の生涯」のレコーディングに臨む環境は十分に整えられていたといえるのではないだろうか。
 ハイティンクが引き出すCSOのあらたな魅力。「ハイティンクは静かに演奏するところで、このオーケストラがまさにどれだけ美しく演奏するかをわかっているし、ほかのだれでもない流儀で静かに演奏させる。(中略)ブラスと木管は、きっと作曲家をニンマリとさせたであろうふうに結びつけられる。」(シカゴ・サンタイムズ紙アンドルー・パトナー)
 「英雄の生涯」公演初日の模様が「ハイティンクはシカゴ響の輝きと美とを引き出す」(シカゴ・サンタイムズ紙アンドルー・パトナー)と高く評されたように、ここでハイティンクはCSO のパワフルな持ち味を活かしつつも、かつてCSOが繰り広げてきた名演奏のいずれとも異なるなにかを聴かせてくれるとおもうとおおいに期待が膨らむ。
 CSO楽団初演&初録音のヴェーベルン「夏風のなかで」。カップリングは、シェーンベルクに師事する以前の1904年に、ヴェーベルンが作曲した大管弦楽のための牧歌「夏風のなかで」。ヴェーベルン初期の平易な作風からレパートリーに取り入れるオーケストラが多いなか、また、CSOは新ウィーン楽派の実演ならびに録音を幾度も経験してきたにもかかわらず、意外にもこのたびが初のレパートリーとなる。いっぽうで、「夏風のなかで」はハイティンクが実演で好んで取り上げてきた作品として知られ、録音が行なわれた2009年4月同様、マーラーの「復活」にも起用されていたメッツォ、ストテインがリュッケルト歌曲集を歌った2005年9月のRCOの公演でも、偶然にもハイティンクは本作をプログラムに組んでいた。この作品はヴェーベルンが初期にワーグナーに傾倒していたことを証明すると同時に、シェーンベルクの「淨夜」をごく直近に初めて聴き、当時20歳の作曲家がどれだけ激しくその新しい音楽に惹きつけられたのかを示唆しているといわれる。ハイティンクで定評あるマーラーのアダージョ楽章にも通じる濃厚なロマンティシズムが滴る美曲は、本来CSOがもっとも得意とする部分でもあることから、こちらの出来ばえにも相乗効果が期待されるところ。
ブーレーズ&CSOのストラヴィンスキー
 ストラヴィンスキー:
  バレエ「プルチネルラ」(全曲)(1920)(*)/3楽章の交響曲(1942-45)/
  オーケストラのための4つのエテュード(1914-1928)
 ロクサーナ・コンスタンティネスク(Ms;*)
 ニコラス・ファン(T;*) カイル・ケテルセン(B-Br;*)
 ピエール・ブーレーズ指揮シカゴso.
CSOR-901920
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2009年2月26日-28日、3月3日、5日-7日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。
 1995年以来、シカゴso.(CSO)首席客演指揮者のポストにあり、2009年10月よりあらたにヘレン・レーゲンスタイン名誉指揮者の称号を得た、楽壇の最重鎮ピエール・ブーレーズ。2010年3月に85歳の誕生日を迎えるのを記念してリリースの運びとなったCSO.RESOUND最新アルバムは、ブーレーズがもっとも得意とする作曲家ストラヴィンスキーの作品集。
 ストラヴィンスキーは、1950年代末より本格的に指揮活動を開始したブーレーズが意欲的に取り上げてきた作曲家のひとり。1960年代より1970年代にかけて、管弦楽曲から歌曲にいたる作品の数多くを録音したのちも、CSOをはじめ世界有数のオケとともに実演と並行して繰り返しレコーディングを行なっている。じっさい、ここに収録された3つの作品もすべてライヴによる再録音となる。
 2010年に生誕300年を迎えるペルゴレージの音楽素材からストラヴィンスキーがまったく独自の手法で組み上げた、新古典主義時代の代表作「プルチネルラ」。ブーレーズは1975年に組曲をNYPとセッション録音、1980年には全曲版をアンサンブル・アンテルコンタンポランとセッション録音している。「3楽章の交響曲」をブーレーズは1996年にBPOとレコーディング。なお、CSOは「3楽章の交響曲」を1993年にショルティと録音している。ブーレーズにとって本アルバム収録作品中最多の録音回数となる「4つのエテュード」は、まず1963年にフランス国立管と録音、1981年に同じくフランス国立管と再録音、1992年にはCSOと録音している。
 もとより明晰きわまりないアプローチで、精緻な内容を聴かせることで知られるブーレーズは、上述の「エテュード」と併せてバレエ「火の鳥」と「花火」のレコーディングでも、CSOよりカラフルでパワフルな響きを引き出すことに成功していた。前回より17年ぶり、いっそうの結びつきを強めているCSOとの再顔合わせとなる「エテュード」はもちろん、膨大な情報量に加え、とりわけ過激なリズムと広大なダイナミクスで、もっともCSO向きの作品ともいえる「3楽章の交響曲」、魅力的な若手ソリストの起用も話題の「プルチネルラ」でも、これまで同様に最上級の成果が期待されるところ。
 「フランスのマエストロによる非の打ちどころのないみごとな指揮ぶりとCSOにおよぼす途方もない影響力によりいつも、わたしたちはずっとさらに多くを渇望するままでいるのだ。」(シカゴ・サン・タイムズ紙)
 「ブーレーズがサクッと、そしてエレガントに作品の姿を提示したことによって、ストラヴィンスキー初期のリズムと構造への洞察がいかに深く、また、いかに注目すべき点を作品が留めていたままかを、わたしたちにちょうど思い起こさせる。」(アンドルー・パトナー-サン・タイムズ・ドットコム)
 このたびの録音プロデューサーは、元フィリップスの録音スタッフが創設したオランダ・ポリヒムニア社の総帥エヴァレット・ポーター。これまでに手がけた高品位のレコーディングでオーディオ・ファイルからの信頼も厚いスタッフの起用は、まさにブーレーズの方向性に沿うものといえるだろう。
ハイティンク&CSOのマーラー「復活」
 マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」
 ミア・パーション(S) クリスティアーネ・ストテイン(Ms)
 ベルナルド・ハイティンク指揮シカゴso.、デュアイン・ウルフ合唱指揮シカゴ交響cho.
CSOR-901916
(HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2008年11月20日、21日、22日、25日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:クリストファー・ウィリス。
 巨匠ハイティンクが最強の手兵CSOとともに手がけるマーラー・シリーズの最新作に、第2交響曲「復活」が登場する。当コンビによるシリーズはこれまでに3作を数え、2006年10月のハイティンク首席指揮者就任記念コンサートにおける第3番、ちょうど一年後2007年10月の第6番「悲劇的」、そして本作より半年前2008年5月の第1番「巨人」と、順調なペースで進んできていることから全集完成への呼び声も高く、CSO RESOUNDの目玉となりつつある。
 ハイティンクはマーラーの「復活」を、1968年にRCOと交響曲全集企画としてセッション録音、1984年にはRCOとライヴ録音しており、さらに1993年1月にBPOとセッション録音、また、BPOとはほぼ同時期に映像作品もライヴ収録している。いっぽうのCSOは「復活」を1976年2月にアバドとセッション録音、1980年5月にはショルティの指揮で全集シリーズとしてセッション録音している。
 21世紀に入り、ハイティンクにとって15年ぶり、CSOにとってはじつに28年ぶりとなる「復活」は、これまでの流れからもともに盤石の備えで臨んだレコーディングと言えるが、ここであらたに華を添えているのが魅力的なソリストたち。古楽でおなじみの清澄な感性をそのままに持ち込んだソプラノ、パーションとともに起用されたのは、ハイティンクのお気に入りでオランダ出身の新進メッツォ、ストテイン。このアルバムに先立って、「復活」の第4楽章に転用された「原光」を含むマーラーの歌曲集を発表しているストテインは、マーラーにすぐれた適性を示していただけに、同様にここでの歌唱も聴き逃せないところ。
 「かつてないほどスコアに忠実でありながら、ハイティンクによる個々のテンポ設定、リズム、音量、凝集と色彩の選択はほとんど衝撃的とおもわせるものだった。」(シカゴ・サン・タイムズ)と伝えられるように、このたびの模様もまたおおいに期待をつなぐ内容といえるだろう。
プーランク:グローリア(*)
ラヴェル:バレエ「ダフニスとクロエ」(全曲)(#)
ジェシカ・リヴェラ(S;*)
デュアイン・ウルフ合唱指揮
シカゴ交響cho.
ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.
CSOR-901908
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(HYBRID_SACD)
1.5枚価格
 録音:2007年11月8日-10日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:クリストファー・ウィリス。
 2009年3月4日に80歳の誕生日を迎えた現代屈指の巨匠ハイティンク。最強の手兵シカゴ響の首席指揮者としてすでに3シーズン目に入り、ますますの充実ぶりをみせるマエストロによるCSO RESOUND最新アルバムは、プーランクにラヴェルというシリーズ初のフランスもの。
 「ダフニスとクロエ」は古代ギリシアの恋愛物語を念頭に、ラヴェルがディアギレフ率いるロシア・バレエ団のために作曲したバレエ音楽。1912年に全曲の初演が行なわれ、1923年にはシカゴ響も第2代音楽監督ストックのもと、第2組曲を定期公演で初めて取り上げている。さらに、当オケは1928年1月20日と21日に、この第2組曲を当時アメリカ楽旅中であったラヴェル自らの指揮で演奏している。これよりシカゴ響にとって「ダフニスとクロエ」は格別ゆかりあるプログラムとなったのだろう。録音ではやはりその第2組曲に集中している感があり、フランス音楽のレパートリー拡大に努めた第7代監督マルティノンが1964年に、続いて第9代監督バレンボイムが1991年にセッション録音しているほか、1958年にはジュリーニが、また第二の楽団黄金期を築いた第8代監督ショルティもセッション録音こそ残さなかったものの1987年に、いずれもライヴを楽団の自主制作盤という形で残している。
 いっぽうのハイティンクもまたRCO時代の初期よりラヴェルを好んで取り上げており、主要な管弦楽作品をRCO、のちにボストン響とセッションで録音していることからも、エキスパートを自認していることがうかがい知れる。なかでも当作品への入れ込みようは相当なもので、RCOとは、まず1961年に第1、第2組曲をセッション録音、さらに1971年に第2組曲をセッションで再録音、1989年には全曲をボストン響とセッション録音している。実演でも2005年にバレンボイムが第2組曲を取り上げて以来となる、シカゴ響による「ダフニスとクロエ」。以上のような背景からも、経験ゆたかなハイティンクと、等しく代々演奏の系譜を連ねてきたシカゴ響との顔合わせによる最新録音は、おおいに期待を抱かせる内容といえるのではないだろうか。
 カップリングは、全3回の公演を通じて当日前半のプログラムとして演奏されたプーランクの「グローリア」。ヴィヴァルディによる同名の宗教曲を手本にしながらも、洒脱なセンスにあふれたプーランクの個性がよく出たこのナンバーは、いきなり重厚な弦楽セクションに乗せてブラスが絢爛豪華に鳴り渡る開始早々、まさしくシカゴ響向きといえる内容。また同時に、ここでは総勢150人にも及ぶシカゴ・シンフォニー・コーラスの活躍ぶりも大きな聴きどころとなっている。加えて、当公演(アルバム)でCSOデビューを果たしたリヴェラ。アダムズやゴリホフのオペラで注目されるアメリカの成長株が、中空を舞うように魅力的な歌唱で華を添える。
 「音楽の献身的な愛が歓喜にあふれ、彼ら合唱の歌唱から放射していた。冒頭の『グローリア・イン・エクセルシス・デオ(天のいと高きところには神に栄光)』では壮大に、その後はきびきびと、ハイティンクは白熱のパフォーマンスをリードした。」(シカゴ・トリビューン)
 「ハイティンクはまったくもって、ずばぬけた演奏手腕の持ち主だ。(合唱指揮のデュアイン) ウルフによるコーラスは完璧なバランスだった。」 (シカゴ・サン・タイムズ)
 当コンビといえば、2009年2月、アジア・ツアーの一環として行なった来日公演の大成功がまだ記憶に新しいところだが、ここまでの流れを見る限り、今後の動向も目が離せないものといえそう。
マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」 ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.
CSOR-901904
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(HYBRID_SACD)
1.5枚価格
 録音:2008年5月1日-3日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:クリストファー・ウィリス。
 首席指揮者ハイティンクと最強の手兵シカゴ響(CSO)によるマーラー・シリーズ第3弾。CSOリザウンド最新アルバムは、第6番「悲劇的」より半年あまりを経た2008年5月、前作ショスタコーヴィチ第4番(CSOR-901814)にわずか1週間ほど先立っておこなわれた第1番「巨人」ライヴ。
 巨匠ハイティンクがマーラーを得意としていることはよく知られているが、「巨人」については、交響曲全集録音の最初期、1962年にコンセルトへボウo.(RCO)とセッション録音して以来、1972年に同じくRCOとセッション録音で、さらに1977年にもRCOとはライヴ録音(同内容の映像有り)しているほか、1987年にBPOともセッション録音、BPOとは1994年にライヴ映像作品も収録している。
 いっぽう、作曲者自らの初演より四半世紀ののち、第2代音楽監督フレデリック・ストックの指揮で、1914年11月の定期演奏会における楽団初演に起源を遡るCSOもまた、首席客演指揮者ジュリーニ(1971年)と同じくアバド(1981年)、第8代音楽監督ショルティ(1983年10月)、テンシュテット(1990年、ライヴ)、ブーレーズ(1998年)とのあいだに豊富な録音歴を誇る。
 円熟の巨匠が導く世界最強のオケという、厚い信頼に結ばれた理想的な関係性。首席指揮者就任より3シーズン目に入り、つい先ごろ11月にもマーラー「復活」の公演で圧倒的な成功を収め、いよいよ2009年2月にはマーラー「悲劇的」を携えての来日公演が待望されるハイティンクとCSOとの相性の良さはいまさら申し上げるまでもないだろう。
 「ほかの数多くの指揮者は、われわれにシカゴ響をただヴィルトゥオーゾ・オケというものとして提示してきた。ハイティンクは彼ら全員がどんなに立派な音楽家であるかということをわたしたちに教えてくれるのだ。」(フィナンシャル・タイムズ)
 「ハイティンクの解釈は、あたたかく開放的でみごとなものだった。」(シカゴ・トリビューン)
 「ハイティンクとシカゴ響は、確信と活力とゆとりをみせつけ、(中略)満員の聴衆を5分間にもおよぶスタンディング・オべーションさせるに十分だった。」(シカゴ・サン・タイムズ)
 ハイティンクにとって、またCSO にとっても6種目となるマーラー「巨人」。完璧とまで騒がれた第3番、とてつもなく長大なスケールで描かれ深い味わいを残した第6番と、前2作の出来栄えを踏まえると当然の流れといえそうだが、各誌レビューが伝える当夜の模様からも、演奏内容はおおいに期待の持てるものといえそう。
CSOR-901814
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(1CD+
1DVD VIDEO)
1.5枚価格
ハイティンク&CSO 2008年5月ライヴ、初出
 ショスタコーヴィチ:交響曲第4番 ハ短調Op.43(*)
 [ボーナスDVD]“Beyond The Score "(#)
ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.
 録音:2008年5月8日-11日、13日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ、プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン、エンジニア:クリストファー・ウィリス(*)。/ NTSC Region Free 57 ' 音声:英 字幕:日西仏独伊露、エグゼクティヴ・プロデューサー:マーサ・ギルマー、クリエイティヴ・ディレクター:ジェラルド・マクバーニー(#)。
 ハイティンクのCSOへのデビューは1976年3月のこと。このときのプログラムがショスタコーヴィチの第4交響曲、しかもこれが当作品のCSOにとっての楽団初演だった。それから30年あまり、首席指揮者となったハイティンクによるCSO RESOUND最新作は、その再現ともいうべきショスタコーヴィチの第4番。この2008年5月最新ライヴは、シカゴ・トリビューン紙によると「連日2,566席のホールを満たし、終演後しばらく大喝采が鳴り止まなかった」と伝えられる。
 西側初となる交響曲全集録音の完成という偉業を通じて、ショスタコーヴィチのエキスパートとして広く認められることになるハイティンク。第4番の録音はCSOデビューののち、その全集プロジェクト開始まもなく1979年にロンドン・フィルと行われた。いっぽうのCSOも楽団初演の翌年にはプレヴィンの指揮でスタジオ録音(1977年)を果たしている。ともに再録となるこのたびのアルバムは、まさにかれらにとって運命的なもの。ハイティンクにしても、あまりにも過激で凶暴、そして複雑な作品の性格にたいして前回より明らかに格上とおもわれるパワフルな手兵を起用した効果ははかり知れないものがある。地力の差をみせつけるCSO戦慄のパワー。これでこそこの問題作が孕む狂気と暴力が浮き彫りになるというもの。ましてや、当曲ゆかりのマエストロをようやく迎えられたCSOにとって、格別に意義深い内容となっているのはいうまでもない。
 なお、ボーナスとして“スコアを越えて "と題されたショスタコーヴィチのドキュメンタリー映像作品のDVDが付属する。作曲家とその友人たちの言葉をふくむニュース映画や関係者の証言で構成されるほか、15分ずつ2本のインタビューが含まれ、うち一つはハイティンクのもの(※インタビュー・パートは英語音声のみで日本語字幕はつかない)という充実の中身。タイトルにも謳われているように音楽にとどまることなく、取り巻く政治的、社会的な背景や意味合いも込められて製作されており、ここでハイティンク&CSOがみせた破格の演奏内容と合わせていわくつきの作品の理解に大きく寄与するものとおもわれる。

 #当盤はレーベル・国内代理店で廃盤扱いとなりました。流通在庫限りのご提供となりますので、入手出来ない場合はご容赦下さい。
CSOR-901810
発売中止
ムーティ&シカゴ響ライヴ、初出
 プロコフィエフ:交響曲第3番 ハ短調 Op.44
 スクリャービン:法悦の詩 Op.54
 ラヴェル:ボレロ
リッカルド・ムーティ指揮
シカゴso.
CSOR-901812
(HYBRID_SACD)
発売中止
 # 2008/12/24 追記:当盤は残念ながら発売中止となりました。
CSOR-901804
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(2CD)
1CD価格
マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」 ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.
CSOR-901807
(2 HYBRID_SACD)
廃盤
 録音:2007年10月18、19、20 &23日、シカゴ、シンフォニーセンター&オーケストラ・ホール、ライヴ。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン / エンジニア:クリストファー・ウィリス。SACD盤は DSD マルチチャンネルステレオ。
 首席指揮者ハイティンクによるマーラーの「悲劇的」。シカゴ響のあらたなシェフとなったハイティンクが、首席指揮者就任コンサートでマーラーの第3交響曲を取り上げて圧倒的な成功を収めたのが2006年10月。それからちょうど一年後、ここにまたマーラーとともに巨匠がシカゴ響に帰ってきた。CSOリザウンド最新アルバムは、ほとんど完璧とまで大絶賛された第3番を受けてコンサートのスケジュール段階から早くもリリースが切望されていたマーラーの第6番ライヴ。
 ハイティンクにとってはRCOと2種(68年、ライヴ、69年スタジオ)、BPO(89年)、フランス国立管(2001年、ライヴ)につづいて、じつに5種目となるCSOとのマーラーの第6番。歳月を重ねて音楽に深みを増しているともっぱら評判のハイティンクは、同じ第6番で大きな話題を集めるゲルギエフ& LSO(LSO-0661)とは対照的に、ここでは終始遅めのテンポでじっくりと描いて行く。ライヴの熱を帯びながらも、いつもとまったく同じように誇張を排し、マーラーのスコアの指示を忠実に守るのがいかにもハイティンク。ちなみにこれまでの録音でも一貫してそうしているように第2楽章スケルツォ、第3楽章アンダンテの順に演奏、フィナーレでのハンマー打撃は2度実行している。
 いっぽうのシカゴ響も、第6番についてはドラティによる楽団初演(68年)に始まり、録音ではショルティ(70年)、アバド(79年)以来とあっていよいよ機も熟してのことだろう。心服を置く巨匠の意図に十全に応える。なかでも印象に残るソリストの顔触れをあげてゆくと、あたたかく優美な音色を聴かせたチューバのジーン・ポコルニーに、メローに沁みるバス・クラリネットのJ.ローリー・ブルーム。そして、首席打楽器奏者のシンシア・イエ・シュトラウス。彼女はフィナーレでハンマー打撃を必死にこなし、立派に大役を果たしている。
 じっさい演奏の内容が期待に違わぬものであったことは各紙レビューからもうかがえる。「破格で決然として…(フィナーレのハンマー打撃による)運命の叫びがこんなにも恐ろしく聞こえることはめったにありえない。」(シカゴ・トリビューン)「シカゴ響はいままさに絶頂期にある。(中略)マーラーの巨大で重厚な第6交響曲は、ハイティンクとシカゴ響により明解にかつきめこまやかに演奏された。それは時を止めているかのようにおもわれるものだった。」(シカゴ・サン・タイムズ)ハイティンクの首席指揮者就任から一年を経て、シカゴ響が着実に黄金時代を迎えつつあることを実感させるマーラーの第6番。やはり大きな反響を呼んだRCOとの第4番ライヴや先述の第3番の再現ともいうべき完成度の高さと圧倒的な手ごたえを感じさせるものとなっている。

 # 当初1枚物でしたが、2枚組(1枚価格)へ変更されています。
ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「シェロモ」(*)
ビャンバスレン・シャラフ(1952-):
 ケルレンの伝説(2000)(*)
ルー・ハリソン(1917-2003):
 琵琶協奏曲(1997)(*)
プロコフィエフ:
 スキタイ組曲(アラとロリー)Op.20(#)
ヨーヨー・マ(Vc)
ウー・マン[危蛮](中国琵琶)
シルクロード・アンサンブル
ミゲル・ハース=ベドヤ指揮(*)
アラン・ギルバート指揮(#)
シカゴso.
 録音:2007年4月12日、13日、17日(*)/2007年5月17日-19日、22日(#)、以上シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。プロデューサー:デイヴィッド・フロスト、エンジニア:クリストファー・ウィリス。
 クラシックの枠を飛び越えてクロスオーバーな活躍を続けるヨーヨー・マが1998年以来、情熱を傾けてきたシルクロード・プロジェクト。自身の世界各地での演奏経験を踏まえて、数世紀にわたってヨーロッパと東方を結んでいた交易路、シルクロードに沿って音楽の伝統と異文化のつながりとを探求し、世界共通語である音楽を通じて相互理解や文化交流を図ろうという壮大なもの。
 「シカゴには世界の分岐路にあった長い歴史がある。」と語るヨーヨー・マ。“シルクロード・シカゴ "と名付けられた、ヨーヨー・マ率いるシルクロード・アンサンブルとCSOならびにシカゴじゅうの何十もの文化機関とのユニークで画期的な催しは、2006年6月から2007年6月までの1年間さまざまな形で行なわれ、大きな話題を提供した。そして2007年の4月、グランド・フィナーレを迎えたCSOのコンサート“Sounds of the Silk Road "ではプロジェクトにふさわしく、中国伝承のほかエキゾチックな魅力とヴァラエティに富んだプログラムが取り上げられている。当夜の演目から編まれたCSOリザウンド最新アルバムは、題して“伝統と変化、シルクロード・シカゴのひびき "。前作までとはうって変わり意表を突くリリースに、誰しも少なからぬカルチャーショックとスリルとを与えられることだろう。
 現代アメリカのルー・ハリソン(1917-2003)による最後の大曲「琵琶協奏曲」。アジアの民俗楽器が西欧の弦楽オケに対峙する構図が、まさにシルクロード・プロジェクトにピッタリな内容。第1楽章こそクラシックのコンチェルトの様式を暗示するものの、以下の楽章はなんとも形容し難いほど独特。第2楽章は変化に富んだ小組曲、琵琶をバラライカ風に、また打楽器として、さらにマンドリンというふうに異なる形態の独奏楽器としてフューチャーしている。ハリソン天性のものといえるメロディラインが聴けるフィナーレ「ラメント」は、13、14世紀のフランスとイタリアにおける舞曲スタイル、エスタンピー。まさに琵琶のためのヴィルトゥオーゾ・ショーピースになっている。作品を献呈され世界初演を果たしたウー・マンは1963年中国浙江省杭州市生まれ。ヨーヨー・マとの数多くの共演をはじめ、タン・ドゥンの「ゴースト・オペラ」、クロノス・クァルテットとのコラボでも注目される第一人者。
 「ケルレンの伝説」は、音楽を通して物語をかたるというモンゴルの伝統スタイルの現代版解釈で、ケルレン川にまつわる話。1952年にモンゴル生まれた作曲者ビャンバスレン・シャラフはロシアのエカテリンブルグ音楽院で学び、モンゴル民謡と西欧音楽の伝統とを関連づける作風を確立している。ここで特徴的なのが西洋のブラスと打楽器に、モンゴルをもっとも象徴する響きのうちのふたつ、子供の頃に父から手ほどきを受けた「馬頭琴」とゴビ砂漠に広がる平原一帯で歌い継がれてきた「長い歌(オルティン・ドー)」とを組み合わせていること。特殊な呼吸法からつくられる大きく伸ばすフレージングは、しみじみと美しくどこか心落ち着かせるはたらきがある。さらに、ここで馬頭琴を弾くのがもちろんヨーヨー・マ。ドロドロにむせび泣く歌いまわしも濃厚なブロッホの名作「シェロモ」と合わせて、圧倒的な表現力と存在感はさすがとしかいいようがなく惹きつけて離さない。
 シルクロードつながりのカップリングは、N響客演でもおなじみアラン・ギルバートが振ったプロコフィエフの大音響スペクタクル。ストラヴィンスキー「春祭」そっくりのバーバリスティックな内容は、8本のホルンを筆頭にCSO が世界に誇るブラスの見せ場だらけ。ド迫力のサウンドに浸れる。
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調
      (1885年ハース原典版)
ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.
CSOR-901706
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(HYBRID_SACD)
1.5枚価格
 録音: 2007年5月10、11、12&15日、シカゴ、シンフォニーセンター、オーケストラ・ホール、ライヴ。67'31。SACD盤はDSDマルチチャンネル対応。プロデューサー:ジェイムズ・マリンソン。エンジニア:クリストファー・ウィリス、アシスタント・エンジニア:ジョン・ニュートン。
 2006年10月の首席指揮者就任コンサートからほぼ7ヶ月ぶりにCSOに復帰した巨匠ハイティンク。マーラーの第3番(CSOR-901701)でここに華々しいスタートを切ったCSOリザウンド・シリーズ第2弾は、2007年5月に行なわれたブルックナーの第7番ライヴ。はたして新たなシェフとわれらがCSOとの結びつきがどれほどのものかと高い関心を集め、今シーズン前半最大の目玉となったプログラム。
 ベートーヴェンの「コリオラン」序曲、ルトスワフスキのチェーン2(ヴァイオリン独奏はコンマスのロバート・チェン)のあと、休憩をはさんで後半に置かれたメインのブルックナー第7番。これまでにハイティンクが振った同曲は、年とともに演奏時間が拡大する傾向がみられ、最新のCSOとのライヴではより細部に至るまで目の行き届いた表現となっているのが特徴。
 ショルティ、バレンボイム時代を通じて、すっかり世界屈指のブルックナー・オケに成長したCSO。もともと、めいめいが黙っていてもモノスゴイ音を出すオケにあって、いかなる誇張表現をも排して、終始自然な流れを大切にするハイティンク。このうえなくデリケートな弦のトレモロから、深く静かに浮かび上がる息の長いフレーズで開始される第1楽章。冒頭の部分を聴いただけでもこの演奏がただものではないことを予感させるに十分だが、曲が進むにつれてその予感は確信へと変わってゆくのがわかる。各声部のバランス処理とブレンド具合、遅すぎず速すぎずのテンポ設定、全曲のみごとな構成力。どの瞬間も無機的にならないのは78歳、これこそ巨匠の境地というべきだろうか。 暖かくやわらかで、ホルンより低いバリトンの音域をもたらす四本のワーグナー・チューバ。アダージョではオーケストラ全体から極上の響きが生み出されるなか、とりわけブラス・セクションの健闘が光る。さらにフィナーレも、まさに音による大聖堂のような拡がりを形づくって圧巻というほかない。
 5月12日付のシカゴ・トリビューン紙は「白熱の、説得力ある演奏。ハイティンクとCSOは力強く成長している。」と評し、シカゴ・サン・タイムズもまた「ハイティンクはリズムにしたがってわたしたちの注意を強く求め、そして釘付けにするのだ。マエストロとCSOはほとんど感覚を超越したむすびつきに達している」とこの模様を絶賛している。最強の手兵CSOの圧倒的な合奏能力を武器に、おそらくは巨匠ハイティンクの総決算となるであろうブルックナー第7番。あいにく当アルバムには収められていないが、伝え聞く終演後の長く大きな喝釆が、何よりも演奏内容の素晴らしさを物語っている。
 ・ハイティンクのブルックナー第7番演奏時間比較:
   CSO /2007年ライヴ:I. 21'33 + II. 22'26 + III. 10'30 + IV. 13'01 =67'31
   RCO /1978年:   I. 20'48 + II. 22'20 + III. 9'51 + IV. 12'05 =65'19
   RCO /1972年ライヴ:I. 19'45 + II. 20'30 + III. 9'22 + IV. 12'37 =62'14
   RCO /1966年:   I. 18'10 + II. 21'00 + III. 9'19 + IV. 11'46 =60'15

 # SACD ハイブリッド盤 CSOR-901706 はレーベル・国内代理店で廃盤扱いとなりました。流通在庫限りのご提供となりますので、入手出来ない場合はご容赦下さい。
CSOR-901701
(2CD)
廃盤
ハイティンクのマーラー「第3」
 マーラー:交響曲第3番 ニ短調
ミシェル・デヤング(Ms)
ベルナルド・ハイティンク指揮
シカゴso.


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