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AMBRONAY


1CDあたり¥4400(税抜¥4000)


 「音楽の聖地」と呼ばれるフランスの古都、アンブロネーには1000年の歴史をもつ石造りの修道院がある。その音響は最高で、数々の演奏家たちを魅了し続けて来た。この修道院では四半世紀に渡って古楽フェスティヴァルが毎年開催されており、エスペリオンXXI & サヴァール、ザ・レア・フルーツ・カウンシル、レザール・フロリサンら、極上の演奏者たちが集まり、実に親密な雰囲気で贅沢きわまりないコンサートを続けて来た。こんな夢のようなコンサートをCDでもお届けすべく、アンブロネー音楽祭が立ち上げたのがこの自主レーベル。
 #国内代理店が2018年9月を持って撤退したので、入荷までにはお時間がかかります。
中世の夢と幻影
 作曲者不詳: El Cant de la Sibilla /エスタンピー(ロバーツブリッジ写本)/
        Or sus, vous dormex trop (イヴリア写本)
 フランキヌス・ガフリウス(1451-1522)/ダニレフスカヤ編曲: Litania mortuorum discordans
 アンドレア・ステファニ(14世紀後半): Morte m 'a sciolt', Amor
 ジョヴァンニ・ダ・フィレンツェ(14世紀中頃): La bella stella / ソラージュ(14世紀後半): Fumeux fume
 ヨハネス・シモニス・デ・ハスプレ(?-1428): Puisque je sui fumeux
 トレボール(14世紀後半): En seumeillant / ジャコブ・デ・センレーケ(14世紀後半): En ce gravieux tamps

 ソッラッツォ・アンサンブル
  [ペリーヌ・ドゥヴィエル、佐藤裕希恵(S) ヴィヴィアン・シモン(T)
   ソフィア・ダニレフスカヤ(音楽監督/中世フィドル) ヴィンセント・キビルディス(Hp)]
 録音:2017年3月。 2014年にバーゼルで結成され、中世から初期ルネサンスの音楽を中心レパートリーに活動しているソッラッツォ・アンサンブル。フィドル奏者のアンナ・ダニレフスカヤが音楽監督を務めている。彼らのデビュー盤となる当盤は、無垢な夢みる歌から大酒のみの歌まで、中世の音楽の世界への楽しい旅へといざなってくれる。
レピッコ〜ヴァイオリンとテオルボのデュオ
 イグナツィオ・アルベルティーニ(1644-1685):ソナタ〔第1番/第3番〕
 ビアッジョ・マリーニ(1594-1663)/レピッコ編曲:カプリッチョ
 ベッレーロフォンテ・カスタルディ(1581-1649):ソナタ第7番/ Furiosa corrente
 ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ・メーリ(1624-1669):
  ソナタ〔 Op.4 No.4「 La Biancuccia 」/ Op.3 No.1「 La Stella 」/Op.3 No.5「 La Clemente 」〕
  / アレッサンドロ・ストラデッラ(1639-1682):シンフォニア〔第2番/第9番/第5番〕
 テオルボの即興/ヴァイオリンの即興

 REPICCO[キンガ・ウイスザスジ(Vn|使用楽器:アントニオ・グラニャーニ、1784年)
      ヤドラン・ドゥンクン(テオルボ|使用楽器:ブレンダン・ヒルスト、1989年)]
 録音:2017年3月1日-4日、フランス。 イタリア・バロックの作曲家たちの作品集。彼らの共通点は、殺された、あるいは殺人者、ということ。といっても、必ずしもこれらの作曲家達に具体的な事実があるというわけではないが、17世紀のイタリア・バロックのきわめつけのパッションが感じられる作品が選りすぐられている。ハンガリー出身のヴァイオリン奏者と、ノルウェー出身のテオルボ奏者によるデュオが、17世紀イタリアの心の世界を照らし出す。
 
新しいヨーロッパ〜17世紀前後、黄金期スペイン植民地の音楽
 ホアン・デ・カストロ: Entre dos alamos verdes / マヌエル・コレア: Dime Pedro, por tu vida
 エティエンヌ・ムリニエ: Orillas del claro Tajo / フランシスコ・ゲレロ: Sicut cervus
 作曲者不詳: Entre dos alamos verdes / Deus in adiutorium meum / Laudate Dominum / Tonada El Diamante /
        Lanchas para Baylar / Cachuas al Nacimiento de Nuestro Senor Jesucristo /
        Y technepa Sacramento / Sao qui turo
 コレッリ:トリオ・ソナタ第4番 Op.2 / B.ド・ハヴェシュタット: Duamtumn vil
 D.ツィポリ: Zuipaki / Chapie Zuichupa / クスコ伝承曲: Siwar situy
 フローベルガー: Phantasia supra Ut-Re-Mi-Fa-Sol-La, FbWV.201 (Extract)
 フランコ: Santa Maria in ilhuicac Pinheiro: Laetatus sum
 ホアン・グティエレス・デ・パディラ: A la xacara, xacarilla

 セコンダ・プラクティカ
 録音:2016年4月。16世紀から17世紀にかけて、スペインやポルトガルは多くの土地を植民地化した。当時のスペイン・ポルトガルの音楽、そして植民地に伝わっていた音楽、両者が融合して生まれた新しい音楽を収録した1枚。
マドリガーレの芸術
 デ・ヴェルト: Ha ninfe adorn 'e belle / Sorgi e rischiara al tuo apparir il cielo /
         Vicino un chiaro e cristallino fonte / Tirsi morir volea /
         Del vago Mincio sull'adorne sponde / Hor si rallegri il Cielo / In qual parte si ratto
 ガストルディ: Cantiam lieti, cantiamo / ルッツァスキ: I ' mi son giovinetta
 アゴスティーニ: Non t'aricordi / Vita della mia vita / All'arm'all'arme
 デ・ローレ: Anchor che col partire / ジェズアルド: Sento che nel partire
 モンテヴェルディ: Sfogava con le stelle SV.78 / O come e gran martire SV.61 / T'amo mia vita」SV.104
 マレンツィオ: Potro viver io piu / ピッチニーニ:パッサカリア(リュート独奏)
 ゴンザーガ: Padre, che'l ciel, la terra e'l tutto reggi

 ヴォーチェス・スアーヴェ
 録音:2016年4月13日-17日。スイスのバーゼルで2012年に発足した合唱団「ヴォーチェス・スアーヴェ」によるマドリガーレ集。ア・カペラを中心に、曲によってはリュートの伴奏が入り、リュート独奏も1曲収録。マドリガーレは16世紀に生まれた歌曲形式で、斬新な和声法や手の込んだ模倣対位法を駆使して書かれた実験的・前衛的な合唱作品が多く見られる。ジェズアルドの病的なまでの半音階書法、モンテヴェルディの感情の高ぶりと伝統的書法のせめぎ合いなどはこの形式の到達点と言える。16世紀の作曲家たちが手によりをかけて作り上げたルネサンス・マドリガーレの世界を俯瞰することが出来る恰好の1枚。
ドイツ・バロックの宝
 テレマン(1681-1767):
  ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ヘ長調 TWV 42: F1
 クリストフ・シャフラート(1709-1763):
  ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のためのトリオ・ソナタ 変ロ長調 CSWV E: 20
 アントニーン・ライヒェナウアー(1694頃-1730):
  ヴァイオリン、チェロ、ファゴットと通奏低音のための協奏曲 ト短調 Rk18
 ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1687-1755):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
 シャルル・デュパール(1667-1740):ヴォイスフルートと通奏低音のためのソナタ
 ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッロ(1690-1758):
  ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のための三重協奏曲 ト短調
 ラディオ・アンティカ[ルチア・ジロード(Vn) イザベル・ファヴィラ(リコーダー/Fg)
             ジュリオ・キリーチ(テオルボ) ペトル・ハモウ(Vc)
             クラウディオ・バルドゥコ・リベイロ(Cemb)]
 録音:2015年3月2日-5日。テレマンをはじめとするドイツのバロック作曲家たちの作品を集めた1枚。シャフラートは主にベルリンで活動した音楽家。ドレスデンの教会のオルガニストのポストに募集した際は最終的にヴィルヘルム・フリーデマン・バッハが採用されたものの、シャフラートはその後王子フリードリヒ(のちのフリードリヒ大王)に仕えるようになり、ベルリンの宮廷楽団のチェンバロ奏者に任命された。美しい旋律が魅力のギャラント様式の器楽作品を多く書いている。ライヒェナウアーはプラハ出身の作曲家だが、ドイツでもその作品は多く出版されていた。ここに収録されている作品の楽譜も、ドレスデンの図書館に所蔵されているコレクションに掲載されている。ピゼンデルはドレスデン宮廷楽団のヴァイオリン奏者として入団、のちに楽長を務めた人物で、当時ドイツで最高のヴァイオリニストだった。ヴィヴァルディやアルビノーニらも彼に作品を献呈している。デュパールは主にロンドンで活躍したフランスのヴァイオリニスト、クラヴサン奏者、作曲家だが、バッハやヴァルターらはデュパールの作品に感銘を受けてその何曲かを写譜したりしている。ヴァイオリン奏者で作曲家のブレシャネッロはイタリア出身だが、バイエルン選帝侯が彼をミュンヘンにまねいたのをきっかけにドイツでの活動を始め、シュトゥットガルトのヴュルテンベルク宮廷の首席楽長となった人物。ドイツで活躍したバロックの世界を堪能できる1枚。
ヘンデルとハイム
 ニコラ・フランチェスコ・ハイム(1678-1729):トリオ・ソナタ ハ短調 Op.1 No.4
 ヘンデル:歌劇「アドメート」HWV 22 〜アリア「 A languir ed a penar 」
 ニコラ・フランチェスコ・ハイム:トリオ・ソナタ ニ短調 Op.1 No.1
 ヘンデル:トリオ・ソナタ ヘ長調 Op.2 No.7 /
      歌劇「エジプトの王トロメーオ」HWV 25
       〜アリア「 Torni omai la pace all'alma 」
 ニコラ・フランチェスコ・ハイム:トリオ・ソナタ イ短調 Op.1 No.3
 ヘンデル:歌劇「ゲルマニアの王オットーネ」HWV 15 〜アリア「 Ah! Tu non sai 」/
      トリオ・ソナタ ト短調 Op.2 No.5 /
      歌劇「ゴールのアマディージ」HWV 11 〜羊飼いの男女の踊り
 ラウラ・リルチェンテ [L'AURA RILUCENTE]
  [ヘリベルト・デルガド・グティエレス、サラ・バニャーティ(Vn)
   シルヴィア・セッラーノ・モネステローロ(Vc)
   マクシミリアン・エールハルト(Hp) ホルヘ・ロペス=エスクリバノ(Org/Cemb)]
 録音:2014年11月24日-27日。ニコラ・フランチェスコ・ハイムはヘンデルによるオペラ作品の多くに台本作者として携わった人。作曲の才も際だっていたものの、その方面は歴史に埋もれており、発掘する価値のある作品が多く遺されている。ハイムがリブレットを手掛けたヘンデルのオペラを中心としたアリアを器楽曲に編曲したものと、それに関連したトリオ・ソナタを組み合わせた興味深いプログラム。
ルベル父から息子へ
 ジャン=フェリ・ルベル(1666-1747):舞踊の地方色/リュリ氏のトンボー
 フランソワ・ルベル(1701-1775)&フランソワ・フランクール:
  「平和のバレ」〜何とまばゆい光が天を/パリ裁判への前奏/ヴィーナスのためのエール/パリのためのミュゼット/
  ジュノンのためのサラバンド/楽しみのためのエール/平和の子供歌/メヌエット/光輝讃頌/
  レシタテイフと二重唱「優しい愛」/アマトゥス人のためのエール/タンブーラン/彼は鎖に繋がれ呻く/シャコンヌ/
  イスメーヌはすべて弱すぎる、ああ/二重唱「とても優しい風が」/「スカンデルベルク」〜狂乱、愛

 ジュリエット・ペレ(S) エティテンヌ・バゾラ(Br)
 アンサンブル・レ・シュルプリーズ
 録音:2013年3月、ジュジュリュー礼拝堂。時代を先んじた不協和音で始まるバレエ音楽「四大元素」で知られるジャン=フェリ・ルベル(1666-1747)。彼の息子フランソワ(1701-1775)も作曲家で、フランソワ・フランクールと組んで数篇のオペラを作曲したが、今日忘れられている。当アルバムがデビュー盤となるアンサンブル・レ・シュルプリーズは2010年結成のフレッシュなピリオド楽器合奏団。グループ名はラモーのオペラ「愛の驚き Les surprise de l ' Amour」に由来するそう。団員たちはニケ、クリスティ、ルセから鍛えられていて、驚くべき水準。2012年にアントワープで行われた国際若手演奏家プレゼンテーションで入賞し、各界から注目を集めている。
テレマン
 組曲 ト長調「ドン・キホーテのブルレスカ」TWV 55G: 10/リコーダーとフルートのための協奏曲 ホ短調 TWV 55G: e1/
 組曲 イ長調「ガリバー組曲」TWV 40:108/2つのフルートのための協奏曲 イ短調 TWV 52: A2/
 「忠実な音楽の師」〜トリオ・ソナタ ハ長調 TWV 42: C1/ターフェルムジーク第1集〜第6曲「終曲」 ホ短調

  レゼスプリ・アニモ
 録音:2011年4月23日-24日、フランス。バロックを代表する音楽家の1人、テレマン。小説と音楽の融合をテーマにした本CDでは、テレマンが残した数多の作品の中から「ドン・キホーテのブルレスカ」や「ガリバー組曲」など、小説を題材にした作品が収録されている。ドン・キホーテを題材とした作品はヨーロッパではお馴染みだが、器楽曲としてこの題材に取り組んだのはテレマンが最初であると言えるだろう。ブルレスカ(滑稽物)らしく時に陽気に、時に情熱的にドン・キホーテのキャラクターを描写している。「ガリバー組曲」は、巨人ガリバーと小人たちという対照的なキャラクターの見事な描写分けが最大の魅力。テレマンは小人の動きを描写するために24/1拍子や32/3拍子といった驚くべき拍子を用いており、CDのリブレットに載せられた楽譜を見ながら聴くとまた違った楽しみが味わえる。テレマンらしい軽快かつ優雅な響きに満ちた1枚。レゼスプリ・アニモは2009年にオランダで結成された新進気鋭の演奏団体。若手実力派達の活気にあふれた演奏によって、テレマンが作り出す魅力的な世界が生き生きと表現されている。
フランソワ・コラン・ド・ブラモン(1690-1760):
 カンタータ「シルセ(キルケー)」(8曲)/ギリシャとローマの祭典(6曲)
フランソワ・クープラン(1668-1733):比類ないリュリ氏の不滅の思い出のために
 作曲されたアポテオズ(輝かしい成果)という題名による器楽コンセール(12曲)/
                     パルナソス山の平和
  マルゴ・ブロンシャール、シルヴァン・サルトル指揮レゾンブル [Les Ombres]
 コラン・ド・ブラモンは、1719年に王室の音楽監督に就任したほどの人物ながら、その作品は録音が極端に少なく、今回の2曲はたいへん貴重。レゾンブルは、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のブロンシャールと、フラウト・トラヴェルソ奏者のサルトルによって2006年に結成された若いバロック・アンサンブル。この録音では随所に朗読を挟んでいるのも特徴。
ラモーの遺産
 ラモー/レヒシュタイナー編曲:
  協奏曲「未開人」(優雅なインドの国々)〔アフリカの奴隷たちのエール/優しいエール/未開人〕/
  (優雅なインドの国々)〔パルカのためのプレリュードとエール/わざとらしい悲しみ/コントルダンス〕/
  〔リゴードンあるいはソローニュのおめでたい者/アモールのためのエール/ミュゼット/タンブーラン〕
 ルベル&フランクール:サンフォニー組曲
  〔プレリュードとロンドー/サラバンド/ミュゼット/ファンファーレ〕/
  〔フォルラーヌ/行進曲/トリオとやさしいエール〕

 ルイ=ノエル・ベスティン・ド・カンブーラ指揮
 アンサンブル・レ・シュルプリーズ イヴ・レヒシュタイナー(Org)
 録音:2016年9月25日-27日。 18世紀、カトリックの国フランスでは、復活祭の前に、劇場などのエンタテインメント施設が休業となり、かわりに「コンセール・スピリチュエル」(宗教音楽のコンサート)とよばれる演奏会が催されていた。フランスの作曲家バルバトルが、1768年12月、コンセール・スピリチュエルの演奏会のために、ラモーの作品(必ずしも宗教的なものではない)の有名曲を抜粋したオーケストラとオルガンという編成によるシンフォニー組曲を編み、これが演奏されたという記録が残っている。しかしこの楽譜は残されていない。このたび、ラモーの作品「アムールの嘆き(Les Surprises l ' Amour)」からグループ名をとったアンサンブル・レ・シュルプリーズが、ラモーの楽曲から聴きどころを抜粋し、オルガンとアンサンブルによるシンフォニー組曲を再創造する試みを行った。レヒシュタイナーの超絶技巧のオルガンが核となる「未開人」は実に新鮮にして、不思議と神聖に響く。フランスのオペラの巨匠が書いた珠玉の楽曲が、新たな色彩を帯びてよみがえる。
 
アララト山〜フランス=アルメニア、音楽の対話
 作曲者不詳(アルメニア): Aravod lousso / Adana i voghpe / Mogats chouguen / Alakyaz et kheng'i dzar /
               Sird im sasani / Daroni / Gregoire De NareK; Havoun, havoun / Horovel /
               Tzernakhagh / Al Ayloughes / Khorourt khorin / Tamzara / Karoun a / Khio khio
 (フランス) Don Adami / Tierce Estampie Royale / Melodies du troubadour armenien Sayat-Nova /
        Madres amargadas et La mujer de Moxe

 エマニュエル・バルドン カンティクム・ノーヴム
 録音:2016年10月。 13世紀頃、フランスとアルメニアの間でもたれた音楽的対話を再現する物。当時のアルメニアとフランスの音楽が交互に組まれたプログラムは、日本の我々が聴いても郷愁を誘う不思議な空気に満ちている。
バッハと友人たち
 ブクステフーデ(1637-1707):前奏曲 ト短調 BuxWV163 / シャイデマン(1595-1663):涙のパヴァーヌ
 ヨハン・カスパール:フェルディナンド・フィッシャー(1656-1746):組曲第8番〜プレリュード&シャコンヌ
 ヨハン・パッヘルベル(1653-1706):セバルディナの歌 / J.S.バッハ(1685-1750):トッカータ ト短調 BWV.915
 ムッファト(1653-1704):トッカータ第9番 ホ短調(*) / ベーム(1661-1773):天のわれらの父よ(3種)(*)
 J.S.バッハ(1685-1750):幻想曲とフーガ ト短調 BWV.542 (*)

 ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラ
  (Org;*|D.トーマス、2014年製(シブール教会、フランス)/
   Cemb;無印|使用楽器:フィリップ・ユモー製〔モデル:グレープナー、1722年〕
 録音:2016年2月。 J.S.バッハと、彼が影響を受けた作曲家たちの鍵盤作品を集めた1枚。チェンバロ作品での親密な雰囲気から、オルガンの荘重な響きまで、様々な表 情をたのしむことが出来る。この録音で用いられたチェンバロは、1722年にドレスデンで制作された楽器のコピーで、元の楽器は、後にモーツァルトが「ドン・ジョヴァンニ」を作曲したときに用いたという。オルガンは、2014年に制作されたフランスのシブール教会のもので、歌声のように響くフルート・ストップなど、非常に魅力的な楽器となっている。ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブーラはパリ国立高等音楽院でオルガン、チェンバロ、室内楽と指揮を学んだ1989年生まれの俊英。オリヴィエ・ボーモンやブランディーヌ・ランヌーらにも師事している。ヨーロッパの様々なコンクールで優勝、入賞を重ねている。
女声のみにアレンジ〜ヴィヴァルディ
 キリエ ト短調 RV.587 /グローリア ニ長調 RV.589 /シンフォニア ロ短調「聖母のそばで」RV.169 /
 クレド ホ短調 RV.591 /弦楽のための協奏曲 ニ短調「マドリギャレスコ」RV.129 /マニフィカト ト短調 RV.610a

  アンナ・レイノルト(Ms) ジェフロワ・ジュルダン指揮レ・クリ・ドゥ・パリ
 録音:2015年9月27日-28日、アンブロネー修道院、フランス。有名な「グローリア」を始めとするヴィヴァルディの宗教声楽作品に、宗教的色彩の強い弦楽作品を合わせて構成。悲痛な短調作品が多い中、「グローリア」の晴れ晴れしい明るさが際立っている。このアルバムでは珍しいことに声楽がすべて女声のみにアレンジされ演奏されている。非常に透き通った美しい合唱が印象的で、ヴィヴァルディが自らの作品を演奏させ指導していたピエタ孤児院の女性オーケストラを思わせる。とは言え器楽メンバーには男性もいてキレのあるスリリングな演奏も味わうことができ、「クレド」のクルチフィクススは強く楔を打ち込むような伴奏音型にゾッとする怪演。また通奏低音チェンバロが雄弁で、ときおり耳をそばだてるフレーズが飛び出してくるのも楽しいポイント。
アンドレ・カルディナル・デトゥーシュ
 ミシェル=リシャール・ドラランド:オペラ=バレ「四大元素」(1721)
 エロディ・フォンナール、ウジェニー・ルフェーヴル(S)
 エティエンヌ・バゾラ(Br) アンサンブル・レ・シュルプリーズ
 録音:2015年11月8日-12日、ジュジュリュー礼拝堂、フランス。ここに収録された「四大元素」はデトゥーシュとドラランドの共作。冒頭の不協和音で有名なルベルの同名作品は1737年完成。「カオス」「水」「空気」「火」「土」の5部分からなる、美しいアリアや舞曲が並んだ大規模なオペラ。「水」はフルート、「空気」はリコーダーなど楽器の特性と色彩を生かしたオーケストレーションが魅力的。「土」はゆったりとしたテンポの音楽で息の長いメロディが流れる。そしてフィナーレには器楽による大規模なシャコンヌが置かれ、壮大なエンドロールとなる。ライナーノートにはフランス語の歌詞と英語・ドイツ語による対訳がついている。
ハンマーシュミット、テレマン、ブルーンス、シャイト:モテット、カンタータ、器楽曲集
 ゲオルク・フィリップ・テレマン:詩編6「ああ主よ、あなたの怒りで私を裁かないで下さい」
 ハインリヒ・シャイデマン:私を憐れんで下さい、おお主なる神よ/前奏曲 ニ長調
 アンドレーアス・ハンマーシュミット:
  詩編51「私を憐れんで下さい、おお主なる神よ」/5声のパヴァーヌ第1番/
  おお神よ、なぜあなたはお忘れになったのか/詩篇13「主よ、いかに永くわれを忘れたまいしや」/
  いかなる救いもなく/わたしの救い主の腕の中で
 ヨハン・ローゼンミュラー:シンフォニア11番 / クラウディオ・モンテヴェルディ:シンフォニア
 ザムエル・シャイト:エフライムは我が最愛の子であろうか/「何ゆえに悲しむや、わが心よ」による7つの変奏
 ニコラウス・ブルーンス:君のあふれる涙をおさえ

  イタイ・ジェドラン指揮ル・コンセール・エトランジェ
  アンネ=マリー・ブロンデル(Org)
 録音:2015年6月16日-19日。信心深い魂と神との対話である「祈り」。自らの罪の許しと神の加護を求める普遍的な「祈り」は、古くから作曲家たちにとって創作の源でもあった。旧約聖書の詩編におさめられた数々の祈りは作曲家に音楽的なインスピレーションを与え、沢山の声楽作品が生み出された。このCDに収録されている曲もそのような「祈り」がテーマとなった作品。モンテヴェルディからテレマンまで、16世紀から18世紀にかけての7人の作曲家のモテット、カンタータに加えて、オルガンや弦楽合奏の器楽曲が収められている。CD最後の曲であるブルーンスの「君のあふれる涙をおさえ」は、死を恐れる人間に永遠の魂の命を約束し、死へ向きあう勇気を与える内容のテキスト。ソロと合唱が交互に現れる形式のこの曲の最後には、バッハの教会カンタータ「キリストは死の縄目につながれたり」が引用され、キリストの復活が暗示される。
シューベルト弦楽四重奏曲集
 〔第12番「四重奏断章」 ハ短調 D703 (1820) /第15番 ト長調 D887 (1826) 〕
  テレプシコルドSQ
 録音:2015年4月9日-12日。シューベルトの四重奏曲の傑作、「四重奏断章」と、最後の四重奏曲第15番という充実のカップリング。第15番は長調と短調の間を揺れ動来るが、その光と影を際立たせた演奏となっている。テレプシコルド弦楽四重奏団は1997年に結成、ジュネーヴに本拠地を置く団体。テレプシコルドという名前は Terre-psy-cordes 〔大地-心-弦〕という意味で、まさに、地に足のついた活動を展開しながら、聴衆の心に響く音色を響かせ続けている団体と言える。
アーシェナイ〔遭遇〕〜オスマン帝国の音楽的出会い
 スペイン王アルフォンソ10世:カンティガ166番 / ディミトリエ・カンテミール:朝のそよ風が
 セファルディのロマンス「黒い肌」 / ハラド・アルマン(アフガニスタン):砂漠の服
 アルメニア伝統音楽源泉:山頂からの風よ / ディミトリエ・カンテミール:マーカム「ウザル・サキル(鶴)」
 アルメニア伝承音楽:明るい花 / トルコ伝統音楽:今日、私は悲しい
 セファルディのロマンス&ハラド・アルマン:朝食は / セファルディのロマンス:眠れ、眠れ、可愛い娘
 ハラド・アルマン(イラン):お酌よ、私の胸は高鳴る / トルコ伝統音楽:シルト
 スペイン王アルフォンソ10世:カンティガ383番

  エマニュエル・バルドン指揮カンティクム・ノヴム
  [ギュライ・ハチェル・トルク、マシャル・アルマン、エマニュエル・バルドン(歌)
   シャディ・ファティ(タル/シュランジス) アリョーシャ・ルニャール(ニッケルハープ/フィドゥラ)
   エマニュエル・ギグ(カマンシェ/ヴィエーレ) ゲナエル・ビハン(笛) フォリップ・ロシュ(ウード)
   アンリ=シャルル・カジェ、イスマイル・メスバヒ(Perc)]
 録音:2014年9月19日-23日、フランス。16世紀、スレイマン1世治下のオスマン帝国を中心に、東と西との音楽的出会いを集めた興味深いアルバム。またキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒が一緒に学べる学校を設立したスペイン王アルフォンソ10世、南欧ユダヤ人であるセファルディのロマンスなど、エキゾチック。またウードやタールなどイスラム系民族楽器と西欧楽器の関係など、驚きの連続。1996年結成のカンティクム・ノヴムは地中海沿岸やシルクロードの音楽をレパートリーにする団体。
旅への誘い
 デュパルク:旅へのいざない/ため息/悲しき歌/前世
 ジャック・ド・ラ・プレール(1888-1969): Odelette /願い/ Dédette /夜想曲
 ドビュッシー:シャルル・ボードレールの5つの詩/ステファヌ・マラルメの3つの詩
 リリ・ブーランジェ(1893-1918):天上の林間の空き地 [Clairières dans le ciel]
  〔もしこれがちっぽけな夢にすぎなかったら(Si tout ceci n ' est qu ' un pauvre rêve)/
   私たちは強く愛し合うだろう(Nous nous aimerons tant)/
   あなたは私を心から見つめ (Vous m ' avez regardé avec toute votre âme) 〕

 レイナルド・アーン:いとしい傷 [La chère blessure]
  ステファニー・ドゥストラック(Ms) パスカル・ジュルダン(P)
 録音:2014年7月8日-10日。1998年にアンブロネーで開催されたアカデミーでクリスティに見出されて以降、バロック・オペラのほかにも、「カルメン」や、モーツァルト、ロッシーニのオペラなどにも登場し、来日も果たしているなど幅広く活躍しているドゥストラック。フランス歌曲の粋の世界へと私たちをいざなう1枚の登場。美しくも強い力を持つ彼女の歌声と、豊かな子音のフランス語で聴く歌曲は絶品。ナディア・ブーランジェの妹リリ・ブーランジェの作品や、1921年ローマ賞で第1位を獲得し、パリ音楽院留学時代の矢代秋雄に和声を教えたジャック・ド・ラ・プレールらの作品も収録されている、興味深いプログラムとなっている。ピアニストのパスカル・ジュルダンは、ハイドシェック、ロジェ・ムラロらに師事した逸材。ドゥストラックとは20年以上も共演を重ねているとあって、このディスクでも、彼女の息や声色の少しの変化も見逃さない見事なピアノをつけている。
AMY-041
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(2CD)
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り
 セリーヌ・シェーン(S) ファビアン・ショフラン(CT) フェルナンド・ギマランイス、
 ツァハリ・ヴィルダー(T) マッテオ・ベッロット、ヴィクトル・トレス(Br) セルジョ・フォレスティ(B)

 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮カペラ・メディテラネア、ナミュール室内cho.
 録音:2013年9月7日-12日、アンブロネ。絶好調のアラルコンとカペラ・メディテラネアがモンテヴェルディの宗教音楽の大傑作「聖母マリアの夕べの祈り」を録音。期待を遥かに超える素晴らしい出来栄え。様々なタイプの演奏のあるこの曲だが、アラルコンはソリストたちと合唱を極めて巧みに使い分けて目を見張る効果を上げている。たとえば声楽パートが6声あるディクシット・ドミヌスでは、ソリストたちだけ、合唱だけ、ソリストと合唱の混合と細かく切り替えて、編成の変容による立体的効果を上げている。こうした演奏はこれまでにもあったが、ここまで徹底した例はなかっただろう。優秀なソリストたちがナミュール室内合唱団と見事に融合し、アラルコンの入念な構想がズバリ決まっている。また「オルフェオ」のトッカータを用いた有名な冒頭のドミネも、曲を知っている人ならちょっとビックリするはず。そのソリストは、アラルコンの録音の常連が多々。何といってもセリーヌ・シェーンの透明極まりないソプラノの美しさが絶品。通常第2ソプラノに振られるパートも多くシェーンが受け持っている。ファビアン・ショフランはアルゼンチン、ブエノスアイレス生まれのカウンターテナー。「聖母マリアの夕べの祈り」は、既にウィリアム・クリスティとディエゴ・ファゾリスの録音に参加しているというベテラン。またファルベッティの「大洪水」(AMY-026)や「ナブッコ」(AMY-036)で主役を務めたポルトガルのテノール、フェルナンド・ギマランイスのキリッとした美声はここでもとても魅力的。その他の歌手も全員高水準。ナミュール室内合唱団は、各パート5、6人の編成で、スッキリした透明な響きを持ちつつ、素朴な温かさもあるという優れ物。もちろん、カペラ・メディテラネアはアラルコンの意図を受けて、鮮やかな色彩感に満ちた万全の演奏を繰り広げている。名盤あまたの聖母マリアの夕べの祈りだが、このアラルコンの新録音は新たにもう一つ加える価値のあるの内容。なお、適宜アンティフォナを挿入、マニフィカトは7声のものを採用、ラウダ・イェルサレムは全音下げているが、マニフィカトは移調しないままで演奏している。
ブエノスアイレスのカンシオネロ〜カルロス・ガルデル(1890-1935):
 たそがれの時/緑の薬草/わが人生のすべて/チェ・バンドネオン/バンドネオンの嘆き/下町のロマンス/マッチの炎/
 クリスタル/ひとりゆく/居酒屋/長屋/南/やくざ者/恨みを抱いて/エル・モティーヴォ「哀れな女」/凧の夢/情熱

 ディエゴ・フローレス(歌) ウィリアム・サバティエ(バンドネオン) シロ・ペレス(G)
 録音:2013年10月22日-25日、文化ホール、ジュジュリュー礼拝堂、フランス。カルロス・ガルデルは伝説のタンゴ歌手。飛行機事故で夭折したが、その甘い美声は現在も不動の地位を占めている。彼の作曲したタンゴはピアソラのような現代的なものでなくオトナの色気に満ち、クラシックの世界にも波及しそうな気配。アルゼンチンのバリトン、ディエゴ・フローレス [Diego Valentìn Flores] (Juan Diego Flórez とは別人)は1972年生まれ。テアトル・コロンで「ジャンニ・スキッキ」のマルコ、「カルメン」のモラレス役で評判になった。ミュージカルの世界でも活躍。ピアソラのスペシャリストとして知られるバンドネオン奏者ウィリアム・サバティエと絶妙なアンサンブルを聴かせてくれる。
変身
 ヨハン・クリストフ・ペーツ:パストラール協奏曲 ヘ長調〜パッサカリア〜より
 J.S.バッハ:コントラプンクトゥス14〜フーガの技法より
 J.S.バッハ/ルピアニェス編曲:ゴルトベルク変奏曲「アリア」の8音のバスに基づく14のカノン BWV1087
 伝承曲:コーデンノウのエニシダ/ボニー・クリスティ/トランケールの茂みで/この前に沼越えてやって来た時
 ジェミニアーニ:ソナタ〔第1番「コーデンノウのエニシダ、ボニー・クリスティ」/
             第2番「トランケールの茂みで」/第3番「この前に沼越えてやって来た時」〕
 ポンティエル:セント・マーティン・レーン / コレット:コミック協奏曲第25番「未開人」
 マリーニ:4声のパッサカリア / メルラ:チャコナ / ジュゼッピーノ・デル・ビアボ:逃れよ
 マリーニ:「逃れよ、悲しい心よ」によるソナタ / 伝承曲:ジョン、今キスしに来て

  レス・エスプリ・アニモ
 録音:2013年8月、ジュジュリュー礼拝堂。オランダを拠点に活動し、今ヨーロッパで最も期待・注目されている若手バロック・アンサンブルの一つ「レス・エスプリ・アニモ」。日本人ヴァイオリニスト、バディアロヴァ朋絵を含む7名で構成され、昨2012年に日本初公演を行ない話題となった。ストーリー性のあるプログラムと躍動感あふれる演奏に定評のある彼ら、2枚目のアルバムとなる当ディスクも非常に凝った作り。テーマはずばり「変身」。流行歌や名作が第三者の手を経て新たな作品となったものを、その素材と結果の両者を披露。ミシェル・コレットのコミック協奏曲第25番「未開人」も「変身」の典型例。第1楽章はラモーのオペラ「優雅なインドの国々」のアリアによる技巧的変奏、第2楽章は思想家ジャン=ジャック・ルソーの作曲したオペラ「村の占い師」のアリアの編曲、終楽章はイギリス起源の有名なフランス民謡が用いられていて、その原型ポンティエルの「セント・マーティン・レーン」も収録されるという周到さ。また、当時のイギリスの流行歌を採り入れたジェミニアーニのソナタや、現在のイスラエル国歌の一節にもなっているジュゼッピーノ・デル・ビアボの「逃れよ」も興味津々。レス・エスプリ・アニモのフレッシュな演奏、ご存知ない向きはぜひ。
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 KV.622 (*) /レクイエム KV.626 (#)
 ベンジャミン・ディールティエンス(Cl) ルーシー・ホール(S) アンジェリック・ノルドゥス(Ms)
 フイ・ジン(T) ヨセフ・ワーグナー(B−Br) 
レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮
 ニュー・センチュリー・バロック、ナミュール室内cho.
 録音:2012年4月22日-26日(*)、2012年9月28日-10月2日(#)。1976年生まれ、抜群のリズム感覚と、声楽作品では言葉に対する鋭敏なセンスを持ち、音楽のもつドラマをストレートに引き出し、古楽を中心に高い評価を得ているアルゼンチンの指揮者、アラルコンによるモーツァルト。レクイエムでは、一音一音の細かな表情づけ、言葉の切り方などにアラルコンの抜群のセンスを感じさせる。また、合唱指揮者としての力量も確かなものだと納得。クラリネット協奏曲は、モーツァルトが、当時活躍していたクラリネットの名手シュタートラーのために書いたが、この協奏曲、そして名曲クラリネット五重奏曲のクオリティをみると、モーツァルトにとってのクラリネットという楽器は、バッハにとってのオルガンのように重要な存在だったのではとアラルコンは語っている。クラリネットのベンジャミン・ディールティエンスは、ヴォルフガング・マイヤーに師事、ロイヤル・フランダース・フィルの首席奏者などを務めたほか、ベルリン古楽アカデミー、オクトフォロスなどにもしばしば登場している。また、モダーン楽器も演奏、コンセルトヘボウo.にも登場したほか、20世紀の音楽を演奏する団体でも活躍した。ブリュッセル音楽院のクラリネットの教授を務めている。
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲集〔第6番 Op.18 No.6 /第15番 Op.132 〕
 テルプシコルドSQ [ジローラモ・ボッティリェーリ(Vn1) ラヤ・ライチェヴァ(Vn2)
              カロリーネ・ハース(Va) フランソワ・グリン(Vc)]
 録音:2010年6月23日-27日、スイス。ピリオド楽器使用。1997年に結成され、2001年にジュネーヴの国際コンクールで優勝したことで一挙に注目を集め、これまでシューベルトやハイドンといったメジャーどころを録音し、着々と評価を高めてきた若手実力派テルプシコルド四重奏団による満を持してのベートーヴェン。作品の時代に合わせ、モダーン楽器とピリオド楽器を使い分ける柔軟なスタイルでも注目される団体だが、今回は19世紀半ばのパリで作られたピリオド楽器を使用。ガット弦ならではの柔らかな音色が強烈なアタックによる音色の濁りや余分な重量感を取り除き、全体的に清潔感あふれるハーモニーが作りだされている。楽器ごとの音量バランスも素晴らしく、軽やかさと重厚感の絶妙なバランスが生み出す洒脱な演奏はテルプシコルド四重奏団ならでは。中期の代表作、6曲からなる作品18の弦楽四重奏曲の最後を飾る第6番では爽やかで活気あふれる演奏を、晩年の大作である第15番では前向きなテンポ感の中にもしっかりと重心を感じられる充実した演奏を聴かせてくれる。 モザイク四重奏団やフェシュテティーチ四重奏団に次ぐ注目のアンサンブル団体として、今後のリリースにも期待必至。
ミケランジェロ・ファルヴェッティ(1642-1692):オラトリオ「ナブッコ」(1683)
 フェルナンド・ギマランイス(T;ナブッコ) アレハンドロ・メーラプフェル(Br;ダニエーレ)
 ファビアン・ショフラン(CT;アリオーコ) カロリーヌ・ウェイナンツ(S;アナニア)
 マリアナ・フロレス(S;アザリア/イドラトリア) マグダレーナ・パディリャ・オリヴァレス(S;ミザエレ)
 マッテオ・ベッロット(B;エウファーテ) カピュシーヌ・ケラー(S;スペルビア)
 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮カペッラ・メディテラネア、ナミュール室内cho.
 録音:2012年9月10日-13日、アンブロネ。知られざる作曲家の傑作が発掘されたと大きな話題になった「大洪水」(AMY-026)に続いての、アラルコンによるファルヴェッティ第2弾。ファルヴェッティはシチリア島のパレルモの生まれ。1682年から本土との海峡町メッシーナの大聖堂の楽長を務め、同地で亡くなった。「ナブッコ」は1683年にメッシーナで初演された。有名なヴェルディの「ナブッコ」と同様、旧約聖書に登場するネブカドネツァル(歴史上の新バビロニア王ネブカドネザル2世)に題材を採っているが、波乱万丈なヴェルディのオペラとは異なり、ファルヴェッティのオラトリオはダニエル書の第2章と第3章に基づいており、ことに第3章で扱っている有名な「燃える炉の中に放り込まれる三人」の話が主になっている。音楽は大変充実しており、多彩な楽器を用いて見事に蘇った譜面と生き生きした演奏もあいまって、ファルヴェッティの音楽の魅力がたっぷり楽しめる。間もなくスカルラッティらナポリ派が台頭する時代、ファルヴェッティはモンテヴェルディ以来の短い音楽を連ねて劇的な場面を作る最後の世代に当たるのかもしれない。歌手は、アラルコンの声楽大作で常連になっている歌手が多数出演している。ナブッコのフェルナンド・ギマランイスはポルトガルのテノール。「大洪水」でも主役のノエ(ノア)を歌っており、アラルコンの信頼厚い歌手。ダニエーレのアレハンドロ・メーラプフェルは、アルゼンチン、サン・カルロス・デ・バリローチェ生まれのバリトン。アラルコンとはパーセル「ディドーとエネアス」およびヘンデル:ユダス・マカベウスでも共演している。アリオーコのファビアン・ショフランは、アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれのカウンターテナー。南米を代表するカウンターテナーとして幅広く活躍している。アナニアのカロリーヌ・ウェイナンツは、ベルギーのソプラノ。バロックの声楽作品で活躍している。78分ほどと手頃な長さだが、かなりの充実感を与えてくれるこのオラトリオ、バロック声楽ファンは逃せない。
AMY-035
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(2CD)
F.クープラン:3声の合奏のソナタと組曲「諸国の人々」(全曲)
 〔フランス人/スペイン人/神聖ローマ帝国の人々/ピエモンテの人々〕
J.S.バッハ:アリア ヘ長調 BWV587
 バンジャマン・アラール(Org) レゾンブル
 マルゴ・ブロンシャール、シルヴァン・サルトル(芸術監督)
 録音:2012年4月1日-9日、ランテルヌ聖堂、リヨン、フランス。2006年に結成されたばかりの新進気鋭の古楽演奏団体レゾンブル [Les Ombres] による、コモン・ド・ブラモンの作品集(AMY-301)に続く第2弾アルバムはF.クープランの代表作「諸国の人々」。このアルバムで特筆すべきは、組曲のラストにJ.S.バッハのオルガン曲が付随していること。というのも、このアリア ヘ長調BWV587は、「諸国の人々」の「神聖ローマ帝国の人々」から第1曲目を編曲したもの(バッハの手によるものではないという説もあるが)。「ピエモンテの人々」の最後の曲が流れた後、しっかりとした間を置いてからアラールによるオルガンの演奏が始まるというプログラム構成。フランスとドイツ、2人の作曲家の交差点を示してくれる、ちょっとしたエスプリの効いた興味深いアルバムとなっている。「諸国の人々」という題名の通り、フランス、スペイン、神聖ローマ、ピエモンテ(現在はイタリア圏だが、以前はフランス貴族のサヴォワ家が統治した地域)という4つの国の人々を表した本作。コレルリの合奏協奏曲を強く思わせる作風だが、舞曲の穏やかなリズム感と気品あふれる優雅な旋律はF.クープラン、ひいてはフランス・バロックならではの魅力と言えるだろうか。ゆったりとしたリズムの中に遊び心のように散りばめられたイネガルな装飾も美しく、ピリオド楽器ならではの暖かみのあるハーモニーと共にしっとりと聴き入る傑作。演奏を担当するレゾンブルは、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のマルゴ・ブロンシャールと、フラウト・トラヴェルソ奏者のシルヴァン・サルトルによって結成されたアンサンブル団体。バロック界の次代を担う注目の若手団体としてB.クイケンやJ.クリステンセンらからも一目置かれ、フランスを中心に高い評価を集めている期待の若手実力派。早くも日本を含め世界的なツアーを行っており、今後のさらなる飛躍に注目必至。
Monteverdi, Piazzolla
 モンテヴェルディ/サバティエ編曲:「オルフェオ」〜シンフォニア/「ウリッセの帰還」〜私はまだ 眠っているのか
 ピアソラ:悪魔のロマンス / ピアソラ/キト・ガト編曲:バチンの少年 / ピアソラ:天使の死
 モンテヴェルディ:「オルフェオ」〜緑に茂る森よ、覚えているだろうか/ポッペアの戴冠〜ただあなたを見つめ
 ピアソラ:天使のミロンガ / ピアソラ/キト・ガト編曲:ロコへのバラード
 モンテヴェルディ:戦と愛のマドリガーレ曲集第8巻〜ニンフの嘆き / ピアソラ:ミケランジェロ70
 ピアソラ/キト・ガト編曲:南へ帰る / モンテヴェルディ:「ウリッセの帰還」〜シンフォニア
 ピアソラ/キト・ガト編曲:ハシント・チクラナ / モンテヴェルディ:「聖母マリアの夕べの祈り」〜ベネディクタ
 トロイロ/サバティエ編曲:最後の酔い / ピアソラ/キト・ガト編曲:わが死へのバラード
 モンテヴェルディ:「倫理的・宗教的な森」〜十字架にかけられ

  マリアーナ・フローレス(S) ディエゴ・ヴァレンティン・フローレス(Bt)
  ウィリアム・サバティエ(バンドネオン) キト・ガト(バロック&エレクトリックG)
  レオナルド・ガルシア・アラルコン(Org/エピネット/P/芸術監督)
  ラ・カペラ・メディテラネア
 録音:2012年3月1日-5日、スイス。ヘンデル「ユダス・マカベウス」(AMY-024)、フェルヴェッティ「大洪水」(AMY-026)と注目のバロック歌劇作品を次々発信してきたアラルコン&ラ・カペラ・メディテラネアによる衝撃的アルバム。まず目を惹くのは、バロックの大家モンテヴェルディの歌曲と、20世紀タンゴ界を牽引した二大巨塔、A.ピアソラ&A.トロイロの作品を同時収録したオリジナリティあふれるプログラム。サバティエおよびキト・ガトによる編曲がなされており、本アルバムでしか聴けない独特の音楽世界が展開されている。アルバムを通して名手サバティエが奏でるバンドネオンの存在感が大きく、最初に収録された「オルフェオ」のシンフォニアの冒頭から見事なソロを聴かせてくれる。どこかオルガンの響きにも似たバンドネオンの音色は、テオルボやコルネットらピリオド楽器の響きとも馴染んでおり、目から鱗の音響世界に瞠目してしまうこと間違いなし。「ポッペアの戴冠」の有名な二重唱「ただあなたを見つめ」など、当時のポピュラー音楽の様式で書かれている作品を20世紀のポピュラー音楽の響きと重ね合わせることは、ありそうでなかった面白い試みといえるかもしれない。ブックレット記載のインタビューにて、「マドリガルもタンゴも、音楽という形で語られるエモーションなんだ」と語ったアラルコン。活気あふれるアンサンブルと極上のハーモニーを以て、聴く人を異国情緒あふれる世界へと誘ってくれる。
Paz, Salam & Shalom 〜15世紀-16世紀 セファルディの歌
 美しい夜(イェルサレム民謡)/聖母マリアのカンティガ より〔第37番「不思議な奇跡」/序曲〕/
 フランス王(トルコ民謡)/天の星(アレクサンドリア伝承曲)/そこを騎士が通った(トルコ民謡)/
 聖母マリアのカンティガ第100番「聖母マリア、夜明けの星よ」/祭礼の踊り(アルジェリア伝承曲)/
 母よ、私はイェルサレムへ行きたい(イェルサレム民謡)/聖母マリアのカンティガ第15番「すべての聖人たち」/
 ユスキュダル(トルコ伝承曲)/1時に私は生まれ(サライェボ民謡)/カンティガ第209番「大きな誤ちをして」

  エマニュエル・バルドン指揮カンティクム・ノヴム
 録音:2010年12月7日-10日、ポミエ教会、フランス。スペイン、アラブの古い民族音楽を得意とするアンサンブル団体が、トルコ、アルジェリア、サライェボなどに渡ったセファルディ(スペイン系ユダヤ人)の人々による歌に併せ、中世イベリア半島の単旋律歌曲集を代表する、アルフォンソ10世編纂「聖母マリアのカンティガ集」から珠玉の作品を抜粋。力強く艶のある歌声と、アラブ音楽の影響も色濃い独特な旋律の魅力を堪能できる。カンティクム・ノヴムはフランスを中心に活躍するアンサンブル団体。フィゲーラスやサバールらの下で演奏経験を積んだE.バルドンによって1996年に創立され、中世・ルネサンスのスペイン、アラブ音楽を得意のレパートリーとしている。ウード、カーヌーン(チター型の琴)といった民族楽器をふんだんに用いた活気あふれるサウンドがこの団体の大きな魅力。グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊やレ・フォリ・フランセーズのメンバーらとの共演も多く、ニースやアンブロネーなどの各地の音楽祭でも活躍している。
ルセのマルシャン&ラモー
 ルイ・マルシャン(1669-1732):組曲第1巻 ニ調 (1699) /組曲第2巻 ト調 (1702) /
                3つの小品〔ヴェネツィア風/バダン/ガヴォット〕
 ラモー(1683-1764):組曲第1巻 イ調 (1706)
  クリストフ・ルセ(Cemb)
 録音:2011年2月20日-22日、装飾芸術博物館、リヨン(フランス)。使用楽器:ドンゼラーグ、1716年製(装飾芸術博物館所蔵)。ルセ、チェンバロ・ソロ待望の新譜は、それまでのG '-Bまでの楽器よりも低音がFまで拡張されてパンチ力を増し、それでいて透明な魅力に満ちた音色をもつ有名な銘器を用いての17-18世紀当時を代表するヴィルトゥオーゾ奏者・作曲者マルシャンとラモーという、なんともそそられる内容。リヨンに生まれ学んだマルシャンの作品は、高貴さと荘重な雰囲気、そしてセンチメンタルな感情の表出がみられ、中・低音域が効果的に響くように書かれており、そのヴィブラートを思わせるような装飾のかけ方と相まって、まるでテオルボのような印象。1703年の一時期をリヨンで過ごしたラモーの作品は、これに比べると比較的高めの音域中心に書かれており、チェンバロ特有の繊細な音色がより活きるものとなっている。そしてリヨンはルセがユゲット・ドレフュスの下で学んだ地でもある。時代を超えて結び付けられる人物と楽器による、豪華なコラボレーション。様々な表情に満ちたエレガントな作品を、ルセ一流の歌心と装飾とで印象的に聴かせてくれる。
AMY-031
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(2CD+DVD)
2枚価格
Bach Drama 〜J.S.バッハ:世俗カンタータ集
 フェーブスとパンの争い BWV.201 (*) /満足せるエーオルス BWV.205 (*)
 ・BONUS DVD: 岐路のヘラクレス BWV.213 (#)
 セリーヌ・シェーン(S) クリント・ファン・デア・リンデ(CT)
 櫻田亮、ファビオ・トランピ(T) クリスティアン・イムラー(B)
 アレハンドロ・メーラプフェル(Br) レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮
 レザグレマン、ナミュール室内cho.
 録音・収録:2011年9月6日-7日、ナミュール、ベルギー(*) /2011年9月10日、アンブロネ音楽祭、ライヴ(#)。DVD仕様:NTSC、字幕なし。ファルヴェッティの「大洪水」(AMY-026)も話題となったアラルコン率いるナミュール室内合唱団&レザグレマンによる、アルバム・タイトル通り劇的な要素が強い3作品。「フェーブスとパンの争い」と「岐路のヘラクレス」のテキストを手がけたのは、かの「マタイ受難曲」も手掛けたC.F.ピカンダー。いずれの作品も最初と最後を荘厳な合唱が飾り、その合間にソリスト達によって華麗なレチタティーヴォとアリアが交互に歌われる。3作品とも快活な雰囲気に満ちた曲調で、個性豊かな登場人物たちが色鮮やかな音楽と共に見事に表現されている。活き活きとしたソリスト達の掛け合いはもちろんのこと、洗練された器楽アンサンブルも大きな聴き所。壮大なオーケストラサウンドからピリオド楽器の小さなアンサンブルまで、多彩な響きに魅せられる。ソリストの豪華さも本アルバムの大きな魅力。ソプラノのシェーンは、その美貌と美声で世界的注目を集める。ファン・デル・リンデはバッハ・コレギウム・ジャパンとの共演も多く、高貴な歌声と迫真の表現力が高く評価されている。「ユダス・マカベウス」(MIR-024)で国内外問わず絶賛された櫻田亮は今回も素晴らしい歌声を披露。ナミュール室内合唱団の歌声は相変わらず瑞々しく、快活な音楽劇にはまさにぴったり。レザグレマンと共に、透明感あふれるハーモニーを生み出している。
ポルポラ:主を誉め称えよ、僕らよ/サルヴェ・レジナ/主を誉め称えよ、エルサレムよ
 マリリア・ヴァルガス、高橋美千子(S) デルフィーヌ・ガルー(A)
 マルティナ・パストゥシュカ(1stVn) ジャン=ミシェル・ノエル合唱指揮ブルターニュ聖歌隊
 マルタン・ジェステル指揮ル・パルルマン・ド・ミュジーク
 録音:2011年9月16日(注:下記コメント欄と異なるが代理店記載ママ。どちらが正しいのか不明)、アンブロネ大修道院(フランス)、アンブロネ音楽祭ライヴ。リヨンとジュネーヴに挟まれる位置に存在するフランス中央西部の都市アンブロネでは、毎年9月に古楽界屈指の名手達が集う音楽祭が開かれる。本CDでは『2009年9月に行われた』(代理店記載ママ)ライヴ録音を収録。演奏曲は18世紀を代表するイタリア人作曲家ポルポラの宗教合唱曲集。いずれも1744年にヴェネツィアで開催された聖母被昇天を祝う式典用の合唱曲として、ポルポラがオスペダレット養育院の少女聖歌隊のために作曲した物。どれも聞き応え十分なものばかりで、ヴェネツィアでも指折りの大養育院を支える少女聖歌隊の実力を実感出来る。ポルポラの音楽は活動場所を同じくする音楽家ヴィヴァルディとはまた違った魅力に満ち溢れた物。気品あふれる器楽の伴奏と、女性特有の瑞々しい輝きに満ちた柔らかい歌声とのハーモニーが絶品。ソプラノを歌うのはブラジル出身の歌姫マリリア・ヴァルガスと、アンサンブル・プラネタ脱退後ソリストとしてヨーロッパにも活躍の幅を広げている高橋美千子!アルトを担当するデルフィーヌ・ガルーは、近年ミンコフスキやサバールと共演し、フランスを中心にますます注目を集める若手実力派。大修道院の素晴らしい音響の下、ジェステル率いるル・パルルマン・ド・ミュジークの清廉な演奏と、若手ソリスト達の瑞々しい歌声のハーモニーを堪能することが出来る1枚。
AMY-029
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(2CD)
ヴィヴァルディ:サン・マルコ聖堂でのヴェスペレ
 主は言われた(ディキシト・ドミヌス)RV807/主よ、私をお助け下さい RV593/主よ、あなたに感謝する RV596/
 主を畏れる者は幸いである RV795/褒め称えよ、神のしもべたちよ(ラウダーテ・プエリ)RV600/
 褒めよ、エルサレムよ RV609/マニフィカトRV610/私は喜んだ(詩篇122)RV607

  マリア・ソレダード・デ・ラ・ロサ、マリアナ・フロレス、カロリーヌ・ウェイナンツ(S)
  ジョエル・シャリエ、イヴリン・ラミレス(A) ファビアン・ショフラン(CT) ヴァレリオ・コンタルド、
  フェルナンド・ギマランイス(T) アレハンドロ・メーラプフェル(B) リオネル・デミュール(交唱)

  レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮レザグレマン、ナミュール室内cho.
 録音:2010年10月2日、アンブロネイ。立て続けに話題の録音をリリース、人気がうなぎのぼりのガルシア・アラルコンのヴィヴァルディ。8つの宗教曲を独自に組み立て、サン・マルコ聖堂でこのように演奏されたかもしれない、という“ヴェスペレ " に仕立てている。曲はいずれも人気のあるものばかりで、録音もあれこれあるものの、アラルコンの軽さと活気のある演奏だと「こんな素敵な曲だったのか!」と驚くばかり。ことに2010年1月からアラルコンが芸術監督に就任したナミュール室内合唱団の巧さは実に見事。ソリストも文句なし。ヴィヴァルディアンだけでなく、広く声楽好き、バロック音楽マニアに聞いていただきたい内容。
ヨハン・ローゼンミュラー(1619-1684):ソナタ
 〔第9番/第10番/第7番/第2番/第11番/第12番〕
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690):
 3声によるソナタ/4声によるソナタ/
 ソナタ第1番/4声によるソナタ第7番
アレッサンドロ・ストラデッラ(1644-1682):
 シンフォニア〔第18番/第11番/第22番〕
マンフレード・クレーマー指揮
ザ・レア・フルーツ・カウンシル
 録音:2010年9月。1677年頃、ヴェネツィアで名誉と迫害とに翻弄されながら栄華を競っていた3人の巨匠達による作品集。彼らは特にヴァイオリンという楽器に関して革新的で、情熱的だった。マンフレード・クレーマー率いるザ・レア・フルーツ・カウンシルの名手たちが、この三人の作曲家たちの魅力を存分に引き出して聴かせる。豊かな響きと声部の美しい絡み合いにただただ聴き入ってしまう1枚。
情熱と忘我
 カヴァッリ:ディドーネの嘆き / ロッシ:オルフェの涙
 A.スカルラッティ:「狂乱するディドーネ」より〔いとしい名前/怒りと波のうねりが〕
 ファジョーリ:独唱のためのカンタータ / ストロッツィ:ああマリア様
 モンテヴェルディ:聖母の涙 / パーセル:ディドの嘆き / カヴァッリ:カンツォン
 A.スカルラッティ:シンフォニア/協奏曲 ヘ長調/協奏曲 ニ長調/協奏曲 イ短調
 ファルコニエリ:パサカッレ / マリーニ:2つのシンフォニア〔第1旋法/第6旋法〕他
  ステファニー・ドゥストラック(Ms) アマリリス
 録音:2010年9月20日-23日、ジュジュリュー。美しくかつ劇的に歌うバロック声楽音楽で大人気のメゾ・ソプラノ、ドゥストラックの歌は、ことに悲しみの歌で本領発揮、それぞれのディドの嘆きはいずれも胸を引き裂く物。さらに有名作曲家の作品に加え、ロッシ、ファジョーリ、ストロッツィらの珍しい作品まで収録。伴奏は、リコーダー奏者エロイーズ・ガイヤールと鍵盤楽器奏者ヴィオレーヌ・コシャールが率いるアマリリス。軽めの肌触りの気品のある演奏が素晴らしく、伴奏以外に器楽曲も演奏、素敵に仕上がっている。
ミケランジェロ・ファルヴェッティ(1642-1692):オラトリオ「大洪水」(1682)
 〔第1部「天上にて」/第2部「地上にて」/第3部「洪水」/第4部「ノエの箱舟で」〕
 フェルナンド・ギマランイス(T;ノエ) マリアナ・フロレス(S;ラド)
 マッテオ・ベッロット(B;神) ファビアン・ショフラン(CT;死)
 イヴリン・ラミレス・ムノス(A;正義の女神) マガリ・アルノー(S;水)他
 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮カペラ・メディテラネア、ナミュール室内cho.
 録音:2010年9月6日-10日、ジュジュリュー。バロック声楽ファンは要注目。ファルヴェッティはシチリア島のパレルモ生まれの作曲家で、1682年島東部の海峡町メッシーナの大聖堂の楽長に就任、この「大洪水」は同年同地で初演された。「大洪水」とはもちろん旧約聖書のノアの箱舟で有名な洪水のことで、この作品は宗教的題材による一種のオラトリオ。ノアの箱舟の話を知っていれば話は理解出来る。しかし南イタリア気質の強い音楽には抹香臭さはなく、音楽には明るく澄んだ美しさがある。またファルヴェッティは大スカルラッティよりも二世代前に当たり、まだモンテヴェルディやカヴァッリの様式も色濃く残している。ヘンデルの「ユダス・マカベウス」(AMY-024)がたいへん好評だったアラルコン、ここでもラテン的色彩に満ちた素晴らしい演奏を繰り広げてくれる。アラルコンは、当時のシチリアにはまだイスラム文化の残影があったことを考慮し、アラブの打楽器を絶妙に採りいれ、絶大な効果を上げている。歌手たちも優秀。他にほとんど録音のないファルヴェッティの素晴らしい音楽をお楽しみ頂きたい。
Il Canto delle dame
 イザベッラ・レオナルダ(1620-1704):アヴェ・スアヴィス・ディレクティオ/3声のソナタ第7番
 フランチェスカ・カッチーニ(1587-1641以降):これは誰だ/マリア、愛しいマリア、私はやつれ、一人にさせて
 カテリーナ・アッサンドラ(1590頃-1618以降):
  二人のセラフィム/4声のカンツォン/ああ、なんと優しいことか/ああ、救いの犠牲よ
 バルバラ・ストロッツィ(1619-1677):アポロがテーティの胸に抱かれてから/他

  マリア・クリスティーナ・キール(S)
  ジャン=マルク・エメ指揮コンチェルト・ソアーヴェ
 録音:2010年5月23日-26日、アンブロネ。2010年3月久々の来日を果たしたアルゼンチンのソプラノ、キールによる、17世紀の女性作曲家の声楽、器楽作品。若い頃からの透明な美声はそのままにベテランの旨みを著しく増し、静かな歌い口に感情がジワリと滲んで聞き応えがある。
AMY-024
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(2CD)
ヘンデル:オラトリオ「ユダス・マカベウス」
 ソレダード・デ・ラ・ローサ(S) マリアーナ・レウェルスキ(Ms)
 ファビアン・ショフラン(CT) 櫻田 亮(T)
 アレハンドロ・メーラプフェル(Br) エティエンヌ・ドゥベジュ(B)
 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮レザグレモン、ナミュール室内cho.
 録音:2009年9月26日、アンブロネ、おそらくライヴ。
 「見よ、勇者が帰る」で有名な作品、異教徒からユダヤの民を開放した英雄ユダス・マカバイを描いているが、そこにさらに、反革命勢力のジャコバイトを打ち破ったばかりのカーナボン公爵を重ね合わせて描いていたため、当時大成功を収めた。ヘンデルが時事性への鋭敏な感覚を持っていたという一例だろう。
 この演奏、タイトルロールは櫻田 亮(さくらだまこと)。透明な美声はもちろんのこと、一族を率いる英雄のカリスマすら伝わってくる今日最高のユダスといって過言ではないだろう。2008年には東京でもマカベウスを歌い絶賛された彼だけに、完全に役を掌中に収めている。指揮のアラルコン(1976-)はアルゼンチンのラプラタ生まれ。現在はジュネーヴを拠点に活躍しており、明快な音楽を聴かせる。ブレイク間近と言われる逸材デ・ラ・ローサと、ショフリン、メーラプフェルもアルゼンチン出身。ナミュール室内合唱団はベルギーのワロン地域の町ナミュールで1987年に結成、レザグレモンはその付属オーケストラとして1995年に結成された。
ハイドン(1732-1809):ナクソス島のアリアンナ、歌曲、カンツォネッタ集
 「6つの創作されたカンツォネッタ」より[楽しい苦痛/羊飼いの歌「母は私に髪を結えと言う」/誠実]/
 「12のクラヴィーア伴奏歌曲第1部」より
  [すこぶる平凡な話/かつて女性の美しさが/はじめてのキス/母の遅すぎた到着]/
 「6つの創作されたカンツォネッタ第2集」より[彼女は決して恋について話さない/さすらい人]/
 12のクラヴィーア伴奏歌曲第2部〜人生は夢/精霊の歌/この心臓をえぐる苦痛で/ナクソスのアリアンナ

  ステファニー・ドゥストラック(Ms) アリーン・ジルベライヒ(Fp)
 録音:2009年11月。
 ハイドンの歌曲作品で、愛にまつわるものを集めた1枚。愛らしいリートとカンツォネッタの数々が、センチメンタルな旅路へと誘う。ドゥストラックは古楽シーンで活躍めざましいメゾソプラノで、ここでも芝居っけたっぷりのチャーミングな歌を披露。フォルテピアノのジルベライヒは「プサルテリウム&プサルテリオン」(AMY-012)でも凝ったコンセプトのCDで私たちを魅了した名手。ストラスブールの音大で教員も務める実力派で、なかなかに主張のある伴奏が光る。
パーセル:歌劇「ディドーとエネアス」
 ソレン・ラヴァナン・リンク(Ms;ディドー) ファビアン・ショフラン(CT;魔女)
 アルハンドロ・メーラプフェル(Br;エネアス) ソ・イェリ(S;ベリンダ)他
 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮
 ラ・カペラ・メディテラネア、ラ・ヌーヴェル・メネストランディエ
 録音:2009年、ジュネーヴ。パーセルの傑作「ディドーとエネアス」には、既に多数の名盤があるが、ここに新たな名盤が登場した。なんといってもアラルコン率いるラ・カペラ・メディテラネアがいい。レオナルド・ガルシア・アラルコンは、1976年、アルゼンチンのラ・プラタ生まれ。チェンバロを学び、1997年にスイス、ジュネーヴでクリスティーヌ・ジャコテに師事。1999年にはジュネーヴでラ・カペラ・メディテラネアを結成。以来鍵盤楽器奏者、指揮者として活躍している。そのアラルコンの「ディドーとエネアス」、強い表現意欲を持ったもので、序曲から悲劇的な緊張感に満ちてます。一方で柔らかい気品や舞曲での沸き立つリズムも見事。
 主役ディドーを歌うソレン・ラヴァナン・リンクは、1980年生まれの若いメゾ。現在スイスを中心に活動、バロック、古典派を歌えば、ワーグナー「パルジファル」の花の乙女やヴェルディ「アイーダ」の巫女も歌うという活躍ぶり。アルハンドロ・メーラプフェルはアルゼンチン出身のバリトン。非常に広範なレパートリーを誇っており、中でもバロック音楽で高い評価を受けている。ソ・イェリ〔徐 藝俐/ Yeree Suh〕は、韓国出身のソプラノ。ソウルで学んだ後、ドイツに留学。2003年、インスブルック古楽祭でヤーコプスが指揮したモンテヴェルディ「オルフェオ」に出演、以来ドイツ語圏を中心にバロック、古典派の声楽作品で活躍している。
Belle Virginie〔ドライヴ/酔っ払いとその妻/恋人の旅立ち/海人の別れ〕他
 ムジーク・プル・ラ・ヌーヴェル・フランス
 録音:2009年2月。フランスの中世の世俗歌曲を思わせるような、濃厚なフランスの民俗的要素が感じられる民謡集。ムックリのような楽器の音色や様々な笛の音色など、声も楽器も楽しめる内容。
超絶技巧の女性作曲家〜ストロッツィ(1619-1677):カンタータ「わが涙よ」Op.7/他
 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮カペラ・メディタレーニア
 録音:2008年10月。ストロッツィはヴェネツィアで活躍した作曲家、歌手。かけた瞬間、あれ?ディスク違いかな、と思ってしまうほどにフォークロアの色調が強い1枚。Op.7のカンタータ「わが涙よ」は、9分弱のカンタータだが、大規模で情熱的なレチタティーヴォから軽快なアリエッタまで、幅広い書法を含んでいる。人間の声を知り尽くしたストロッツィの、歌詞のリズムと情緒的内容を見事に表現した声楽作品を堪能できる1枚。
J.S.バッハ:シャコンヌ
ヴェストホフ(1656-1705):組曲第4番 ハ長調
ピゼンデル(1687-1755):無伴奏ソナタ イ短調
J.S.バッハ
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV.1001
ビーバー:パッサカリア ト短調
ミラ・グロデアヌ(Vn)
 録音:2008年10月。使用楽器:Marcin Groblicz, 1604。 グロデアヌによる、楽々としたバッハのシャコンヌから始まるヴァイオリン・ソロ作品集。シャコンヌの演奏は数多くあるが、グロデアヌの演奏は、極めてしなやかで楽々としている。有名な冒頭も、弦の美しい音色ばかりが印象に残る独特な物。内声までたっぷりと歌った見事な弾きぶりで、ゆったりと聴かせる。ヴェストホフやピゼンデル作品が収録されているのも嬉しいところ。
Ténèbres du premier jour
 あなたの神殿に対する熱情が私を食い尽くしているので/神よ、私を救いたまえ(詩編68)/
 あなたの神殿に対する熱情が私を食い尽くしているので/退けたまえ/
 F.クープラン:ルソン・ド・テネブル〜第1のルソン
 シャルパンティエ:イン・モンテ・オリヴェーティ
 F.クープラン:ルソン・ド・テネブル〜第2のルソン
 シャルパンティエ:オリーブ山上で
 F.クープラン:第3のルソン
 ミシェル・ランベール(1610-1696):ミゼレーレ(*)

  エマニュエル・マンドラン(Org)指揮レ・ドモワゼル・ド・サン=シール
 [ドロテー・ルクレール、ジュリエット・ペレット、ウジェニー・ワルニエ(第1S)
  セシル・コテ、メラニー・エミリエン、アンヌ・モーガール(第2S)
  オードリー・ケッセディアン、ブリギット・ル・バロン、セシル・ピロルジェ(A)]
 録音:2008年10月。(*)は世界初録音。
 フランス・バロック音楽の中でも最も円熟し、かつ内容の深い作品として愛されているF.クープランの「ルソン・ド・テネブル」を中心に、彼と同時代に活躍していた作曲家の作品を集めたもの。
ABBO ABBAS
 1000年代のフランス・イギリスのポリフォニー音楽集
カタリーナ・リヴリアニク指揮
ダイアロゴス
 録音:2006年、2008年。
 (フルーリーの)アッボー[英語: Abbo of Fleury /ラテン語: Abbo Floriacensis /または Abbon とも](947頃-1004)はオルレアン近郊に生まれ、フルーリーの教会で僧長を務めてたフランスの聖者・僧侶。大変博識で、王や教皇たちとの政治の面でも極めて重要な役割を果たし「第二のカエサル」と称された。あまりに能力が高かったため嫉妬を買い、最期は槍で刺されて亡くなったといわれる。アッボーが総長を務めていた教会は、英国ウィンチェスター教会ときわめて似た音楽慣習をもっており(アッボーは生涯のうち、イギリスの教会で2年間を過ごしている)、当盤はこれら双方の教会で歌われていた音楽を集めたもの。アッボーの死を悼む音楽も収録され、彼の偉大さと数奇な運命を追想する1枚となっている。
マラン・マレ(1656-1728):三重奏の曲集(1692刊行)
 [ニ長調/ホ短調/ハ長調/変ロ長調/ト短調]
 ディルク・ベルナー(Cemb)指揮 ミヒャエル・フォルム(Fl)指揮
 オゥ・ピエ・ドゥ・ロワ  [スレファニー・シャフト(Fl−tr) 松永綾子、レイラ・シャイェ(Vn)
  レベッカ・ルソ(ドゥシュ・ドゥ・ヴィオール/バス・ドゥ・ヴィオール) ドローレ・コスタイア(テオルボ)]
 録音:2007年8月。
 太陽王につかえた作曲家マレによる三重奏曲集の多様な様式は、今なお私たちを魅了してやまない。オゥ・ピエ・ドゥ・ロワ(王のステップ)によるこれらの演奏は、丹念に装飾が施された典雅なものとなっている。ヴァイオリンの松永は、「ラ・メラヴィーリャ・パルランテ」(KDC-5063)にも参加している。
ペーター:フィリップス(代理店記載ママ)(1561-1628):モテット&マドリガーレ集
 マリアーナ・フローレス、マリア・ヒノホサ・モンテネグロ、
 ファビアン・ショフラン、ジュアン・サンチョ、マシュー・ベイカー
 レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮カペラ・メディテラーニア
 録音:2007年10月。
 ピーター・フィリップスは、彼が生きていた当時、ヨーロッパ中で最もよく知られた作曲家だった。彼の作品はまだまだ知られていないが、莫大なエネルギー、力強い表出に満ちた作風で、発掘が待たれるところ。瑞々しい音で、生き生きとしたアンサンブルが見事にとらえられている。
AMY-014
廃盤
ジャック・アントワーヌ・ドノワイエ(?-1759):大規模な合唱と管弦楽のためのミサ曲(1758)
ミシェル・コレット(1707-1795):主を讃えまつる(ヴィヴァルディ:「春」より)(1766)
 マルタン・ジュステル指揮ル・パルルマン・ド・ミュジーク、ラ・メトリーズ・ド・ブルターニュ
バロックの太陽
 ルイージ・ロッシ:
  太陽の預言/3声のセレナータ/他
 マルコ・マラッツォーリ:太陽の預言
ジェローム・コレア指揮
レ・パラダン
 録音:2007年9月。
 バロック時代のローマでとりわけカンタータ作曲家として活躍した、ロッシとマラッツォーリの作品集。「太陽の預言」は、太陽が、死や悲しみと対話する物語。光り輝く太陽、影、様々な表情が魅力。ロッシやマラッツォーリの貴重な音源。
プサルテリオン&フォルテピアノ
 C.P.E.バッハ:ソナタ ハ長調 Wq.87 / ショーベルト:ソナタ ヘ長調 Op.7 No.2
 メルキオール・キエーザ:プサルテリオンのためのソナタ ハ長調
 ヨハン・エルンスト・エーベルリン:ソナタ ト長調
 モーツァルト:アダージョ K.266 /ヴァイオリン・ソナタ イ長調 K.305(プサルテリオンで演奏)

 アリーヌ・ジルベライヒ(Fp) マルギット・ユーベルラッカー(プサルテリオン)
 録音:2007年2月。
 プサルテリオン(プサルテリウムのフランス語呼称)は、ツィターの祖先。共鳴板に張られた弦を、指やプレクトラム(特別のバチ)で演奏した。15世紀頃以降はほとんど使われなくなったようだが、ダルシマーやツィターといった楽器へと変遷を遂げ、18世紀頃には現在のピアノの原型となるスクエア・ピアノなどが生まれた。
 『スクエア・ピアノとは、いわば‘鍵盤つきダルシマー ' のような音色だった。つまり、一度鍵盤を押して音が鳴ると、その鍵盤を離してもしばらく音が鳴り続け、衰弱して音が止む(つまりダンパー(消音機)がついていない)、というもの。この事実は、C.P.E.バッハやモーツァルトのいくつかの楽曲を理解するうえで非常に重要である』(演奏者自身によるブックレットより抄訳)
 ダンパー(消音機)のない鍵盤楽器の音色の饗宴、18世紀ヨーロッパにおける「ピアノのあけぼの」の目撃者となる1枚。C.P.E.バッハやモーツァルトの身近にもあった楽器の、ニュアンスや独特の残響を堪能出来る。ヴァイオリン・ソナタやピアノ・ソナタも、旋律部分をプサルテリオンがうけもち、伴奏部分をフォルテピアノが受け持つかたちで演奏している。
ミヒャエル・ハイドン(1737-1806):聖ヒエロニムスのミサ
ドルシェツキー(1745-1819):ミサ曲 変ロ長調
 ヨハネッテ・ゾマー(S) ブリッタ・シュヴァルツ(A)
 ギ・ド・メ(T) コルネリウス・ハウプトマン(B)
 ピエール・カオ指揮アルシス・ブルゴーニュ、アンサンブル・ゼフィーロ
 録音:2006年9月22日、ライヴ、アンブロネー修道院。
 フランスの古都アンブロネーにある石造りの修道院で行われた音楽祭のライヴ録音。ミヒャエル・ハイドンは、ヨーゼフ・ハイドンの弟で、幼い頃はウィーンの教会でオルガニストをつとめ、また、モーツァルトの友人でもあった。このミサ曲は、1772年にザルツブルクの司教に就任したヒエロニムスのために捧げられた(1777年に初演)。6本のオーボエが活躍する作品で、「オーボエ・ミサ」と呼ぶ人もいる。ソリスト歌唱陣の美しい歌声に、心洗われる。ドルシェツキーは、ボエミア出身で、ティンパニ奏者、そして管楽器アンサンブルの指揮者としても活躍した作曲家。このミサ曲は実にしっとりとした落ち着いた雰囲気で、管楽器パートの果たす役割が多い作品。この作品が書かれた 1810年は、ショパンやシューマンが生まれた年であるが、純然たる古典派の響きの美しいミサとなっている。指揮者のカオは、ルクセンブルク出身の指揮者で、古楽のスペシャリストとして活躍している。自身が1999年に設立した合唱団アルシス・ブルゴーニュと、名人集団アンサンブル・ゼフィーロ、そしてソリスト歌唱陣を見事にまとめあげている。
ポーランドのバロック音楽
 マルチン・ミェルチェフスキ:モテット「勝利の日」/聞け、死すべき者ども
 ヤン・ポドビェルスキ:前奏曲(オルガン独奏)
 バルトウォメイ・ピェンキエル:ミサ「ロンバルデスカ」/ディアローグ
 フランティシェク・リリウシュ:モテット「イエスは汝の喜び」
 スタニスワフ・サジンスキ:ようこそ、天の女王よ/急ぎ来て歌え
 ミコワイ・ジェレンスキ:マニフィカト/聖イグナツィのモテット
 グレアム・オライリー指揮
 アンサンブル・ユーロピアン・ウィリアム・バード、アンサンブル・ヴェントスム
 ポーランドは、ロシア、ドイツ、オーストリアによって3国分割されるまでは、ヨーロッパ屈指の大国として華やかな文化を発展させていた。その時期のポーランドのバロック音楽には驚くほど美しい曲が多いものの、外国ではまとまって聴くことが難しい状況だった。このアルバムは主として宗教作品が集められているが、敬虔な祈りとひなびた美しさは絶品。合唱にクレマン・ジャヌカン・アンサンブルのメンバーが参加しているのも魅力。
AMY-009
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(2CD)
J.S.バッハ:オブリガート・チェンバロと
 ヴァイオリンのための6つのソナタ
BWV.1014-1019
ミラ・グロデアヌ(Vn;*)
フレデリク・
 アース(Cemb;#)
 使用楽器:1604年 Groblicz (*)/1751年 Hemsch (#)。
 クイケン、マンゼ、サヴァール・・・錚々たる顔ぶれが揃って認めるルーマニア出身の名手グロデアヌと、スコット・ロスの愛弟子にして、ヘレヴェッヘ指揮のカンタータでは通奏低音をつとめ、インマゼールも太鼓判を押す1968年ベルギー出身のフレデリク・アース。二人の出会いは音楽を愛する者にとって格別なものとなった。完璧なバランス、尽きることのない創造性・・・。バッハの書いた、静寂から生まれ静寂に戻る哲学的な音楽の中にもふとした喜びや輝き、生命力が漲った名演奏の登場。
AMY-008
廃盤
リスト(1811-1886)&ワーグナー(1813-1883):
 ソナタ&メタモルフォーゼ
トーマス・ヒツルベルガー(P)
バッハの同時代人による知られざる名曲〜
 ジョアン・ロドリゲス・エステヴェス
(1700頃-1751以降):
  12声のための「ミゼレーレ」(1732)/エレミアの哀歌/スターバト・マーテル/
  8声のためのミサ曲/8声のための「大勢の群集が集まり」
 グレアム・オライリー指揮アンサンブル・ユーロペアン・ウィリアム・バード
 録音:2005年9月24日、フランス、ローヌ=アルプ地方アン県、アンブロネ修道院、ライヴ。
 エステヴェス(代理店表記はエステーヴェス)は、「バッハより15歳若く1年違いで亡くなった」(と代理店は記しているが、1729-1751 等という資料もあり、確定していない)同時代のポルトガルの作曲家。偶然にも、バッハと同い年のドメニコ・スカルラッティが移動する後を追うように、1719年、修行のためローマへ行き(スカルラッティはポルトガルへ)、1929年にポルトガルに戻った(スカルラッティはスペインへ)。彼の作風はスティーレ・アンティコ様式を採りながら、同時にバロック的な華やかさも併せ持つが、これは当時、リスボンをローマ以上にカトリック的にしたいと考え、彼に修行の助成金を出したポルトガル国王ジョアン5世の嗜好と、エステヴェス自身の好みにも合うものだった。このディスクに収録されたミゼレーレは、エステヴェスの最高傑作とされているが、併録のエレミアの哀歌、スターバト・マーテル、ミサ曲、「大勢の群集が集まり」ともに、バッハの作品と並べても遜色が無いものばかり。演奏もエステーヴェスの美点を十全に引き出している。
 #既に流通在庫限りと思われます。入手出来無い場合はご容赦ください。
AMY-005
廃盤
ヨハン・アドルフ・ハッセ(1699-1783):
 オラトリオ「荒野に燃え立つ蛇
  [ Serpentes ignei in deserto ]」
ジェローム・コレア指揮
レ・パラダン
AMY-004
廃盤
アレッサンドロ・スカルラッティ
 オラトリオ「ジュディッタ」(1693)
マルタン・ジェステル指揮
パルルマン・ド・ミュジーク
AMY-002
廃盤
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ集 アーリン・ジルベライク(Fp)
AMY-001
(4CD)
廃盤
モンテヴェルディ:倫理的・宗教的な森
 ガブリエル・ガッリード指揮エリマ・アンサンブル


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